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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-23
(54)【発明の名称】両面粘着テープ、物品及び解体方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240716BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240716BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
C09J7/38
B32B27/00 M
B32B27/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579456
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 IB2022056071
(87)【国際公開番号】W WO2023275795
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2021107512
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】河野 泰宏
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
4F100AA21
4F100AA21B
4F100AA37
4F100AA37B
4F100AH03B
4F100AK01B
4F100AK25
4F100AK42
4F100AK51
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100AT00C
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA02
4F100CA02B
4F100CA13B
4F100CB00A
4F100CB00D
4F100CB01
4F100DJ01A
4F100EH46
4F100EH46B
4F100EJ17
4F100JA06
4F100JK02
4F100JK02B
4F100JK08
4F100JK08B
4F100JK10
4F100JL10B
4F100JL11
4F100JL11A
4F100JL11D
4F100JL14
4F100JL14B
4F100YY00B
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA06
4J004CC03
4J004CD08
4J004DA01
4J004DA06
4J004DB02
4J004EA05
4J004FA08
(57)【要約】
高い接着力と優れた易解体性とを両立させた両面粘着テープを提供する。第一の粘着剤層と、第一の粘着剤層上に設けられ、顔料を含有する分離層と、分離層上に直接積層されたフィルム状基材と、フィルム状基材上に設けられた第二の粘着剤層と、を備え、顔料が、カーボンブラック、酸化チタン及びフタロシアニンブルーからなる群より選択される少なくとも一種を含む、両面粘着テープ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の粘着剤層と、
前記第一の粘着剤層上に設けられ、顔料を含有する分離層と、
前記分離層上に直接積層されたフィルム状基材と、
前記フィルム状基材上に設けられた第二の粘着剤層と、
を備え、
前記顔料が、カーボンブラック、酸化チタン及びフタロシアニンブルーからなる群より選択される少なくとも一種を含む、両面粘着テープ。
【請求項2】
前記第一の粘着剤層が発泡体である、請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記分離層の破断時の引張応力度が4MPa未満である、請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記分離層が、前記顔料及びバインダー樹脂を含有する塗液の塗膜であって、前記顔料及び前記バインダー樹脂を含有する層である、請求項3に記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記分離層の破断時の引張応力度が4MPa以上であり、
前記分離層の破断時の引張伸長率が360%以下である、請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
前記分離層が、前記顔料、バインダー樹脂及び硬化剤を含有する塗液の塗膜であって、
前記顔料及び前記バインダー樹脂の硬化物を含有する層である、請求項5に記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
前記第一の粘着剤層上に直接積層された補助層を更に備え、
前記分離層が、前記補助層上に直接積層されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の両面粘着テープ。
【請求項8】
第一の部材と、
第二の部材と、
前記第一の部材及び前記第二の部材を接合する接合部と、
を備え、
前記接合部が、請求項3又は4に記載の両面粘着テープで構成される第一の領域と、請求項5又は6に記載の両面粘着テープで構成される第二の領域と、を有する、物品。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の両面粘着テープで接合された2以上の部材を解体する方法であって、
前記両面粘着テープの側面から扁平状の器具を挿入し、前記分離層と前記フィルム状基材との界面を剥離させる工程を含む、解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着テープ、物品及び解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な部材同士を固定するために、両面粘着材が用いられており、その接着力及び保持力の改善が検討されている。例えば、特許文献1には、コロナ処理されたフォームとその一面又は両面に形成される粘着層とを含むフォームテープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-95722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汎用性の高い両面粘着テープの一形態として、2以上の被着体を強固に接着でき、且つ、所望により容易に解体できる両面粘着テープが求められている。しかし、被着体との強固な接着力を確保すると、貼付後の解体が難しくなる傾向がある。また、両面粘着テープの剥離性を向上させて解体性を確保すると、接着力が不十分になりやすい。
【0005】
そこで、本発明は、高い接着力と優れた易解体性とを両立させた両面粘着テープを提供することを目的とする。また本発明は、部材間の強固な接着と解体の容易さとを兼ね備えた物品を提供することを目的とする。更に本発明は、上記両面粘着テープで接合された部材同士を容易に分離可能な、解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、第一の粘着剤層と、上記第一の粘着剤層上に設けられ、顔料を含有する分離層と、上記分離層上に直接積層されたフィルム状基材と、上記フィルム状基材上に設けられた第二の粘着剤層と、を備え、上記顔料が、カーボンブラック、酸化チタン及びフタロシアニンブルーからなる群より選択される少なくとも一種を含む、両面粘着テープに関する。
【0007】
上記両面粘着テープによれば、第一の粘着剤層及び第二の粘着剤層によって2以上の被着体を強固に接着することができる。また、上記両面粘着テープは、テープ側面から扁平状の器具を挿入して、分離層とフィルム状基材との界面を剥離することで、被着体同士を容易に分離し、解体することができる。
【0008】
一態様において、上記第一の粘着剤層は発泡体であってよい。
【0009】
一態様において、上記分離層の破断時の引張応力度は4MPa未満であってよい。このような分離層を有する両面粘着テープは、接着後の耐衝撃性に優れており、被着体をより強固に接着できる。
【0010】
一態様において、上記分離層は、上記顔料及びバインダー樹脂を含有する塗液の塗膜であって、上記顔料及び上記バインダー樹脂を含有する層であってよい。このような分離層は、破断時の引張応力度が低く(例えば4MPa未満)なる傾向がある。
【0011】
一態様において、上記分離層の破断時の引張応力度は4MPa以上であってよく、上記分離層の破断時の引張伸長率は360%以下であってよい。このような分離層を有する両面粘着テープは、分離層とフィルム状基材との界面を剥離する際に、剥離後の再接着が生じにくいため、界面全体をよりスムーズに剥離できる。
【0012】
一態様において、上記分離層は、上記顔料、バインダー樹脂及び硬化剤を含有する塗液の塗膜であって、上記顔料及び上記バインダー樹脂の硬化物を含有する層であってよい。このような分離層は、破断時の引張応力度が高く(例えば4MPa以上)なり、破断時の引張伸長率が低く(例えば360%以下)なる傾向がある。
【0013】
一態様に係る両面粘着テープは、上記第一の粘着剤層上に直接積層された補助層を更に備えていてよく、前記分離層は、前記補助層上に直接積層されていてよい。
【0014】
本発明の他の一側面は、第一の部材と、第二の部材と、上記第一の部材及び上記第二の部材を接合する接合部と、を備え、上記接合部が、分離層の破断時の引張応力度が4MPa未満の上記両面粘着テープで構成される第一の領域と、分離層の破断時の引張応力度が4MPa以上且つ分離層の破断時の引張伸長率が360%以下の上記両面粘着テープで構成される第二の領域と、を有する、物品に関する。
【0015】
上記物品は、第一の部材と第二の部材とが、第一の領域において、接着後の耐衝撃性に優れており、被着体をより強固に接着可能な両面粘着テープで接合されているため、衝撃による第一の部材と第二の部材との剥離が十分に抑制される。また、上記物品は、第一の部材と第二の部材とが、第二の領域において、より優れた易解体性を有する両面粘着テープで接合されているため、第二の領域を起点に解体することで、第一の部材と第二の部材とを容易に分離することができる。
【0016】
本発明の更に他の一側面は、上記両面粘着テープで接合された2以上の部材を解体する方法であって、上記両面粘着テープの側面から扁平状の器具を挿入し、上記分離層と上記フィルム状基材との界面を剥離させる工程を含む、解体方法に関する。
【0017】
上記解体方法によれば、部材同士を容易に分離し、解体することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高い接着力と優れた易解体性とを両立させた両面粘着テープが提供される。また本発明によれば、部材間の強固な接着と解体の容易さとを兼ね備えた物品が提供される。更に本発明によれば、上記両面粘着テープで接合された部材同士を容易に分離可能な、解体方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】両面粘着テープの一形態の概略を示す断面図である。
図2】両面粘着テープの他の一形態の概略を示す断面図である。
図3】(a)は物品の一形態の概略を示す断面図であり、(b)は(a)のA-A線に沿った断面を示す断面図である。
図4】両面粘着テープの解体方法の一形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
【0021】
(両面粘着テープ)
本実施形態の両面粘着テープは、第一の粘着剤層と、第一の粘着剤層上に設けられ、カーボンブラック、酸化チタン及びフタロシアニンブルーからなる群より選択される少なくとも一種の顔料を含有する分離層と、分離層上に直接積層されたフィルム状基材と、フィルム状基材上に設けられた第二の粘着剤層と、を備える。
【0022】
本実施形態の両面粘着テープによれば、第一の粘着剤層及び第二の粘着剤層によって2以上の被着体を強固に接着することができる。例えば、第一の粘着剤層及び第二の粘着剤層の各々に部材を接合させることで、2以上の部材を備える物品を容易に製造できる。
【0023】
また、本実施形態の両面粘着テープは、テープ側面から扁平状の器具を挿入して、分離層とフィルム状基材との界面を剥離することで、被着体同士を容易に分離し、解体することができる。すなわち、本実施形態の両面接着テープで接合された部材を備える物品は、両面接着テープの側面から扁平状の器具を挿入して分離層とフィルム状基材との界面を剥離することで、容易に部材を分離し、解体できる。
【0024】
第一の粘着剤層は、主に粘着剤から構成された層であり、粘着剤を含む層であってよい。第一の粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤等が挙げられる。第一の粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤であってよい。第一の粘着剤層は、一種の粘着剤を含む層又は二種以上の粘着剤を含む層であってよい。また、第一の粘着剤層は、一層又は二以上の層であってよい。
【0025】
第一の粘着剤層は、十分な接着力を維持しつつ、接着後の物品の解体がより容易となる観点から、発泡体であってよい。なお、第一の粘着剤層が発泡体であるとは、第一の粘着剤層の少なくとも一部が発泡体であることを意味する。第一の粘着剤層は、アクリル系粘着剤を含む発泡体であってよく、例えば、特許第5746828号に記載された技術が適用可能である。
【0026】
第一の粘着剤層は、例えば、市販のフォームテープを用いることができる。市販のフォームテープとしては、Y-4825、Y-4950、Y-4180、Y-4930、Y-4920、Y-4914、Y-4300、86425(全て3M社製)等が挙げられる。
【0027】
第一の粘着剤層の厚さ(第一の粘着剤層が二以上の層からなるときは、第一の粘着剤層全体の厚さ)は、例えば、0.15mm以上、0.2mm以上又は0.4mm以上であってよい。第一の粘着剤層の厚さが0.15mm以上であることにより、両面粘着テープの側面から扁平状の器具を挿入しやすくなり、両面粘着テープで接合された部材をより解体しやすくなる。第一の粘着剤層の厚さは、例えば、10mm以下、5mm以下、又は2mm以下であってよい。第一の粘着剤層の厚さが10mm以下であることにより、第一の粘着剤層による接合強度がより向上する傾向がある。
【0028】
分離層は、フィルム状基材の表面上に設けられ、フィルム状基材と接合する層である。また、分離層は、両面粘着テープで接合された物品を解体する際に、フィルム状基材の表面から剥離される層である。
【0029】
分離層は、顔料を含む層であり、当該顔料は、カーボンブラック、酸化チタン及びフタロシアニンブルーからなる群より選択される少なくとも一種を含む。
【0030】
本実施形態の両面粘着テープは、特定の顔料を含む分離層を備えることで、第一の粘着剤層及び第二の粘着剤層の接着力を阻害することなく、優れた易解体性を実現できる。この理由として、扁平状の器具の挿入時に上記顔料が剥離の開始点となることで、分離層とフィルム状基材とを容易に剥離できるためと考えられる。また、分離層が顔料を含むことで、テープ側面に扁平状の器具を挿入する際に、分離層の着色が挿入箇所の目安になり、
作業性が向上するという側面もある。
【0031】
カーボンブラックは、黒色顔料としてのカーボンブラックを特に制限なく用いることができる。カーボンブラックの平均粒子径は、例えば0.008μm以上であってよく、0.01μm以上であってもよい。カーボンブラックの平均粒子径は、例えば0.1μm以下であってよく、0.04μm以下であってもよい。カーボンブラックの平均粒子径の測定方法は特に限定されないが、例えば電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径が上記範囲内であってよい。
【0032】
カーボンブラックは、例えば、市販のカーボンブラックを用いることができる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、三菱カーボンブラックRCF♯85(三菱ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
【0033】
酸化チタンは、白色顔料としての酸化チタンを特に制限なく用いることができる。酸化チタンの平均粒子径は、例えば0.1μm以上であってよく、0.15μm以上であってもよい。酸化チタンの平均粒子径は、例えば0.8μm以下であってよく、0.35μm以下であってもよい。なお、酸化チタンの平均粒子径の測定方法は特に限定されないが、例えば電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径が上記範囲内であってよい。
【0034】
酸化チタンとしては、例えば、市販の酸化チタンを用いることができる。市販の酸化チタンとしては、例えばJR-805(テイカ株式会社製)等が挙げられる。
【0035】
フタロシアニンブルーとしては、例えば、銅フタロシアニンのα型、β型、ε型等が挙げられ、例えばピグメントブルー15であってよい。
【0036】
フタロシアニンブルーとしては、例えば、市販のフタロシアニンブルーを用いることができる。市販のフタロシアニンブルーとしては、例えばシアニンブルー4920(大日精化工業株式会社製)等が挙げられる。
【0037】
分離層は、カーボンブラック、酸化チタン及びフタロシアニンブルー以外の顔料(その他の顔料)を少量含んでよい。その他の顔料としては、水酸化アルミニウム、シリカ、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青等の無機顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、縮合多環顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0038】
分離層における顔料の含有量は、より優れた剥離特性が得られる観点から、分離層の全質量を基準として、例えば1質量%以上であってよく、10質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。また、分離層における顔料の含有量は、製造過程で他の材料、製造機械等に顔料が付着することを防ぐ観点から、分離層の全質量を基準として、例えば85質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
【0039】
分離層におけるその他の顔料の含有量は、上述の効果をより顕著に得る観点から、顔料の全質量を基準として、例えば50質量%未満であってよく、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下であり、10質量%以下、5質量%以下、又は1質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
【0040】
分離層は、樹脂成分を更に含んでいてよく、例えば、樹脂成分中に顔料が分散された層であってよい。樹脂成分は、分離層を形成するための塗液に含まれるバインダー樹脂又はその硬化物であってよい。バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂)、ポリウレア樹脂、アクリル樹脂(ポリアクリレート樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの硬化物等が挙げられる。市場で流通しているインキにはウレタン樹脂が含まれていることが多い。
【0041】
バインダー樹脂の硬化物を含む分離層は、バインダー樹脂及び硬化剤を含む塗液を用いて形成できる。硬化剤は、バインダー樹脂の種類によって適宜選択してよい。例えば、バインダー樹脂がウレタン樹脂を含む場合、硬化剤としては、コロネートL等を用いることができる。
【0042】
バインダー樹脂は、フィルム状基材との接着力をより向上させる観点から、ガラス転移温度は、例えば0℃以下であってもよく、-10℃以下であってもよく、-20℃以下であってもよく、-30℃以下であってもよい。バインダー樹脂のガラス転移温度は、例えば-70℃以上であってよく、-60℃以上であってもよい。
【0043】
分離層は、顔料を含む市販のインキ、又は、当該インキに硬化剤を添加した塗液を用いて形成することができる。カーボンブラックを含む市販のインキとしては、Lamiall Mark III シリーズ(サカタインクス株式会社製)のR墨1000、Lamicシリーズ(大日精化工業株式会社製)のF220 795墨等が挙げられる。酸化チタンを含む市販のインキとしては、Lamiall Mark III シリーズ(サカタインクス株式会社製)のR白110、Lamicシリーズ(大日精化工業株式会社製)のF220 701白、Lamistarシリーズ(東洋インキ株式会社製)のR61S白等が挙げられる。フタロシアニンブルーを含む市販のインキとしては、Lamiall Mark III シリーズ(サカタインクス株式会社製)のR藍800、Lamicシリーズ(大日精化工業株式会社製)のF220 739藍等が挙げられる。
【0044】
分離層の厚さは、例えば、0.01μm以上であってよく、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよい。分離層の厚さは、例えば、5μm以下であってよく、3μm以下であってもよく、2μm以下であってもよい。
【0045】
好適な一態様において、分離層は、破断時の引張応力度は4MPa未満の層(以下、分離層(A)ともいう。)であってよい。このような分離層を有する両面粘着テープは、接着後の耐衝撃性に優れており、被着体をより強固に接着できる。
【0046】
分離層は、例えば、顔料及びバインダー樹脂を含有する塗液(以下、塗液(a)ともいう。)の塗膜であって、顔料及びバインダー樹脂を含有する層であってよい。このような分離層は、破断時の引張応力度が低く(例えば4MPa未満)なるため、上述の分離層(A)として好適に用いることができる。
【0047】
塗液(a)中の顔料の含有量は、固形分の全量基準で、例えば1質量%以上であってよく、10質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。また、塗液(a)中の顔料の含有量は、固形分の全量基準で、例えば85質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
【0048】
塗液(a)中のバインダー樹脂の含有量は、固形分の全量基準で、例えば15質量%以上であってよく、20質量%以上であってもよく、25質量%以上であってもよい。また、塗液(a)中のバインダー樹脂の含有量は、固形分の全量基準で、例えば99質量%以下であってよく、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよく、60質量%以下であってもよい。
【0049】
塗液(a)の溶媒は特に限定されず、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などの公知の有機溶剤を使用でき、これらを混合して使用してもよい。
【0050】
好適な他の一態様において、分離層は、破断時の引張応力度が4MPa以上、且つ、破断時の引張伸長率が360%以下の層(以下、分離層(B)ともいう。)であってよい。このような分離層を有する両面粘着テープは、分離層とフィルム状基材との界面を剥離する際に、剥離後の再接着が生じにくいため、界面全体をよりスムーズに剥離できる。
【0051】
分離層は、例えば、顔料、バインダー樹脂及び硬化剤を含有する塗液(以下、塗液(b)ともいう。)の塗膜であって、顔料及びバインダー樹脂の硬化物を含有する層であってよい。このような分離層は、破断時の引張応力度が高く(例えば4MPa以上)なり、破断時の引張伸長率が低く(例えば360%以下)なるため、上述の分離層(B)として好適に用いることができる。
【0052】
塗液(b)中の顔料の含有量は、固形分の全量基準で、例えば1質量%以上であってよく、10質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。また、塗液(b)中の顔料の含有量は、固形分の全量基準で、例えば85質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
【0053】
塗液(b)中のバインダー樹脂の含有量は、固形分の全量基準で、例えば15質量%以上であってよく、20質量%以上であってもよく、25質量%以上であってもよい。また、塗液(b)中のバインダー樹脂の含有量は、固形分の全量基準で、例えば99質量%以下であってよく、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよく、60質量%以下であってもよい。
【0054】
塗液(b)中の硬化剤の含有量は、バインダー樹脂の種類に応じて適宜調整してよく、例えば、上述の破断時の引張応力度及び破断時の引張伸長率の数値を満たすように適宜調整してよい。塗液(b)中の硬化剤の含有量は、固形分の全量基準で、例えば、0.01質量部以上であってよく、0.03質量部以上であってもよく、0.05質量部以上であってもよい。また、塗液(b)中の硬化剤の含有量は、固形分の全量基準で、例えば、15質量部以下であってよく、10質量部以下であってもよい。
【0055】
塗液(b)の溶媒は特に限定されず、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等のエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などの公知の有機溶剤を使用でき、これらを混合して使用してもよい。
【0056】
本実施形態の両面粘着テープにおいて、第一の粘着剤層とフィルム状基材との間に位置する層を中間層と総称してよい。中間層は、分離層のみの単層構造であってもよく、分離層及び分離層以外の層(例えば後述の補助層)を有する多層構造であってもよい。
【0057】
本実施形態の両面粘着テープは、分離層のフィルム状基材と反対側の面(すなわち、第一の粘着剤層側の面)上に、補助層を更に備えていてもよい。補助層は、第一の粘着剤層と分離層との接着性を高めるための層であってよい。
【0058】
補助層は、第一の粘着剤層上に直接積層された層であってよい。また、補助層上には、分離層が直接積層されていてよい。
【0059】
補助層は、例えば、樹脂成分を含有する層であってよい。補助層における樹脂成分としては、分離層における樹脂成分として例示されたものと同じものが例示できる。
【0060】
補助層における樹脂成分は特に限定されないが、引張せん断力が優れる観点からはバインダー樹脂の硬化物が好ましい。
【0061】
補助層は、例えば、顔料を含有する層であってよく、樹脂成分及び顔料を含有する層であってもよい。補助層における顔料としては、分離層における顔料として例示されたものと同じものが例示できる。両面粘着テープの解体時には、分離層とフィルム状基材との界面が剥離されるように、テープ側面から扁平状の器具を挿入する必要があるが、両面粘着テープが分離層の近傍に顔料を含有する補助層を備えていると、補助層が器具の挿入箇所の目安となり、解体が一層容易となる。
【0062】
補助層における顔料は特に限定されず、カーボンブラック、酸化チタン及びフタロシアニンブルーからなる群より選択される少なくとも一種であってよく、上述のその他の顔料であってもよい。
【0063】
補助層の厚さは、例えば0.01μm以上であってよく、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよい。補助層の厚さは、例えば、5μm以下であってよく、3μm以下であってもよく、2μm以下であってもよい。
【0064】
中間層の全体の厚さは、例えば0.02μm以上であってよく、0.2μm以上であってもよく、1.0μm以上であってもよい。中間層の全体の厚さは、10μm以下であってよく、6μm以下であってもよく、4μm以下であってもよい。
【0065】
フィルム状基材は、分離層と第二の粘着剤層との間に設けられる層であり、分離層上に直接積層されている。フィルム状基材と分離層とは接しており、この界面が、後述する解体時に剥離される。
【0066】
フィルム状基材は、第二の粘着剤層と接していてもよい。フィルム状基材の、第二の粘着剤層と接合する面は、コロナ処理されていてもよい。
【0067】
フィルム状基材の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリル、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂であってよい。
【0068】
フィルム状基材の厚さは、例えば、10μm以上であってよく、12μm以上であってよく、25μm以上であってよく、38μm以上であってもよい。フィルム状基材の厚さは、例えば、100μm以下であってよく、75μm以下であってよく、50μm以下であってもよい。
【0069】
第二の粘着剤層は、主に粘着剤から構成される層であり、粘着剤を含む層であってよい。第二の粘着剤層を構成する粘着剤は、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ブロックコポリマー系粘着剤等であってよく、好ましくはアクリル系粘着剤である。第二の粘着剤層は、第一の粘着剤層と同一の構成を有するものであってよく、異なる構成を有するものであってもよい。第二の粘着剤層は、一種の粘着剤を含む層であってもよく、二種以上の粘着剤を含む層であってもよい。第二の粘着剤層は発泡体であってもよい。第二の粘着剤層は、一層又は二以上の層であってよい。
【0070】
第二の粘着剤層の厚さ(第二の粘着剤層が複数の層からなるときは、第二の粘着剤層全体の厚さ)は、特に限定されず、例えば、10μm以上又は20μm以上であってよい。第二の粘着剤層の厚さは、例えば、100μm以下、80μm以下又は60μm以下であってよい。
【0071】
図1は、両面粘着テープの一形態の概略を示す断面図である。図1の両面粘着テープ100は、第一の粘着剤層10と、分離層20と、フィルム状基材30と、第二の粘着剤層40と、を備えている。両面粘着テープ100において、分離層20は第一の粘着剤層10上に直接積層されており、フィルム状基材30は分離層20上に直接積層されており、第二の粘着剤層40はフィルム状基材30上に直接積層されている。
【0072】
両面粘着テープ100において、第一の粘着剤層10と分離層20との間には他の層が介在していてもよい。また、フィルム状基材30と第二の粘着剤層40との間には他の層が介在していてもよい。
【0073】
図2は、両面粘着テープの他の一形態の概略を示す断面図である。図2の両面粘着テープ101は、第一の粘着剤層11と、補助層51及び分離層21からなる中間層と、フィルム状基材31と、第二の粘着剤層41と、を備えている。両面粘着テープ101において、補助層51は第一の粘着剤層11上に直接積層されており、分離層21は補助層51上に直接積層されており、フィルム状基材31は分離層21上に直接積層されており、第二の粘着剤層41はフィルム状基材31上に直接積層されている。
【0074】
両面粘着テープ101において、第一の粘着剤層11と補助層51との間には他の層が介在していてもよい。また、補助層51と分離層21との間には他の層が介在していてもよい。また、フィルム状基材31と第二の粘着剤層41との間には他の層が介在していてもよい。
【0075】
(物品)
本実施形態の物品は、第一の部材と、第二の部材と、第一の部材及び第二の部材を接合する接合部と、を備える。接合部は、上述の分離層(A)を備える第一の両面粘着テープで構成される第一の領域と、上述の分離層(B)を備える第二の両面粘着テープで構成される第二の領域と、を有する。第一の両面粘着テープと第二の両面粘着テープとを併用することで、優れた耐衝撃性と優れた易解体性とを両立できる。
【0076】
本実施形態の物品は、第一の部材と第二の部材とが、第一の領域において、接着後の耐衝撃性に優れ、被着体をより強固に接着可能な第一の両面粘着テープで接合されているため、衝撃による第一の部材と第二の部材との剥離が十分に抑制される。また、本実施形態の物品は、第一の部材と第二の部材とが、第二の領域において、より優れた易解体性を有する第二の両面粘着テープで接合されているため、第二の領域を起点に解体することで、第一の部材と第二の部材とを容易に分離することができる。
【0077】
接合部が角部(エッジ)を有する場合、当該角部は第一の領域であることが好ましい。これにより剥離し易い角部が第一の両面粘着テープにより強固に接着され、接着後の耐衝撃性がより向上する。
【0078】
図3(a)は、物品の一形態の概略を示す断面図であり、図3(b)は、図3(a)のA-A線に沿った断面を示す断面図である。
【0079】
図3(a)に示す物品500は、第一の部材80と、第二の部材90と、第一の部材80及び第二の部材90を接合する接合部110とを備える。接合部110は、第一の両面粘着テープで構成される第一の領域200と、第二の両面粘着テープで構成される第二の領域300とを有する。
【0080】
図3(b)に示すとおり、物品500の接合部110は矩形枠状に形成されており、角部に第一の領域200が形成されており、角部の間(辺部)に第二の領域300が形成されている。物品500は、四隅が第一の領域200で強固に接着されているため、優れた耐衝撃性を有する、また、物品500は、第二の領域300に対して扁平部を有する器具を挿入することで、第一の部材80と第二の部材90とを容易に分離し、解体することができる。
【0081】
物品500において接合部110は矩形枠状としたが、本実施形態の物品において接合部の形状はこれに限定されない。
【0082】
物品500において、第一の領域200と第二の領域300とは互いに隣接して配置されているが、本実施形態の物品において、第一の領域と第二の領域とは互いに離間して配置されていてよく、その一部が重なるように配置されていてもよい。
【0083】
本実施形態の物品は、例えば、パソコン等のモニター、電子基板、センサー等であってよい。すなわち、本実施形態の両面粘着テープは、これらの物品を構成する部材の固定に用いられてよい。
【0084】
(両面粘着テープの製造方法)
本実施形態の両面粘着テープは、例えば、フィルム状基材上の一方の面上に直接、顔料を含有する塗液を塗布して、顔料を含有する分離層を形成する分離層形成工程と、分離層上に第一の粘着剤層を積層する第一の粘着剤層形成工程と、を含む製造方法により製造してよい。
【0085】
上記製造方法において、分離層形成工程は、フィルム状基材の一方の面上に分離層形成用の塗液を直接、塗液を塗布して、分離層を形成する工程であってよい。なお、第二の粘着剤層は、分離層形成工程の前にフィルム状基材上に形成されてよく、分離層形成工程の後にフィルム状基材上に形成されてもよい。また、第一の粘着剤層形成工程は、第二の粘着剤層を形成する工程の前に実施してもよく、後に実施してもよい。
【0086】
第二の粘着剤層は、例えば、第二の粘着剤層形成用の粘着剤溶液を基材の面上に直接塗布して形成することができる。第二の粘着剤層形成用の粘着剤溶液を基材の面上に塗布する際の塗布装置は、例えば、バーコータ、ナイフコータ、ロールコータ、ダイコータ等のコータであってよい。フィルム状基材の一方の面が表面処理(例えば、コロナ処理)されている場合、フィルム状基材と第二の粘着剤層とは、フィルム状基材のコロナ処理されている面が第二の粘着剤層側になるように接合されることが好ましい。
【0087】
分離層は、例えば、分離層形成用の塗液を、フィルム状基材の一方の面上(例えば、第二の粘着剤層と接合していない面上)に塗布し、乾燥及び固化させることにより形成できる。塗液の塗布方法は特に限定されず、グラビアコータ等のコータにより塗布してよく、塗液の吹きつけ等により塗布してもよい。塗液は、上述したインキ又はインキと硬化剤との混合物であってよく、インキ等を希釈溶媒と混合して粘度を調整したものであってもよい。
【0088】
上記製造方法は、第一の粘着剤層形成工程の前に、分離層上に補助層を形成する補助層形成工程を更に含んでいてもよい。この場合、第一の粘着剤層形成工程は、補助層上に第一の粘着剤層を積層する工程であってよい。
【0089】
補助層は、例えば、補助層形成用の塗液を分離層上に塗布し、乾燥・固化することにより形成することができる。塗液の塗布方法は特に限定されず、グラビアコータ等のコータにより塗布してよく、塗液の吹きつけ等により塗布してもよい。塗液は、上述したインキ又はインキと硬化剤との混合物であってよく、インキ等を希釈溶媒と混合して粘度を調整したものであってもよい。
【0090】
第一の粘着剤層は、例えば、ライナーの剥離面上に形成した粘着剤層を、分離層又は補助層上に積層することで形成することができる。また、第一の粘着剤層は、市販のフォームテープを分離層又は補助層上に積層することで形成してもよい。
【0091】
(両面粘着テープの解体方法)
本実施形態の両面粘着テープは、部材を接合後、例えば、以下の方法で解体することができる。
【0092】
図4は、両面粘着テープの解体方法の一形態を説明するための図である。両面粘着テープ100で接合された第一の部材50と第二の部材60とを分離する方法(第一の部材50及び第二の部材60を備える物品を解体する方法ということもできる。)は、例えば、第一の部材50と第二の部材60とを接合している両面粘着テープ100の側面から、扁平状の器具70を挿入し、分離層20とフィルム状基材30との界面を剥離させる工程を含む。
【0093】
扁平状の器具70は、扁平部を有する器具であればよく、例えばスクレーパー、ナイフ等が挙げられる。扁平部の材質は特に限定されず、金属製、樹脂製等であってよい。
【0094】
解体される物品は、2部材から構成されるものに限定されず、3部材以上で構成されていてもよい。各部材は、全て同じ材質であってもよく、いずれか又は全てが異なる材質であってもよい。
【0095】
両面粘着テープ100の側面に、扁平状の器具70の扁平部を分離層20とフィルム状基材30との界面と略平行にして挿入した後、例えば、扁平状の器具70の扁平部を分離層20とフィルム状基材30との界面に沿って動かすことで、分離層20とフィルム状基材30とを効率よく剥離することができる。また、挿入した扁平部を回転させることで、分離層20とフィルム状基材30との剥離面を広げて剥離することもできる。
【0096】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例
【0097】
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
(実施例1-1)
顔料(酸化チタン)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R61S白)80質量部、及び、顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R墨1000)20質量部を混合して、インキの混合物100質量部を得た後、ザーンカップ(Zahn-cup)No.3による粘度測定において、混合液のオリフィスからの定常流れが20秒で途切れる粘度となるように希釈溶媒(メチルエチルケトン60質量部、トルエン30質量部、イソプロピルアルコール10質量部の混合物)を加え攪拌し、分離層形成用の塗液を調整した。
【0099】
顔料(酸化チタン)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 701 白)100質量部と、硬化剤(東ソー株式会社製、コロネートL-45)3質量部と、を混合して混合物を得た後、ザーンカップ(Zahn-cup)No.3による粘度測定において、混合液のオリフィスからの定常流れが20秒で途切れる粘度となるように希釈溶媒(メチルエチルケトン60質量部、トルエン30質量部、イソプロピルアルコール10質量部の混合物)を加え撹拌し、補助層形成用の塗液を調整した。
【0100】
分離層と補助層用の各グラビアロール(ピラミッド型、150線、版深40μm)を備えたグラビア印刷機(多色刷り機、各グラビア塗工後のドライヤー内側長2m)に、上記で調整した分離層形成用の塗液及び補助層形成用の塗液を、塗工順が分離層、補助層となるようにセットした。フィルム状基材として、片側の面のみをコロナ処理した厚み50μmのPETフィルム(ユニチカ株式会社社製、EMBLET S-50)を用い、分離層形成用の塗液をライン速度50m/分でフィルム状基材のコロナ未処
理面に塗布し、温度80℃のドライヤーで乾燥後、連続して補助層形成用の塗液をライン速度50m/分で分離層の上に塗布し、温度80℃のドライヤーで乾燥させ、各層の厚みが0.8~1.5μmの中間層(分離層及び補助層)を形成した。その後、塗工後のロールを40℃で24時間養生した。
【0101】
粘着剤(綜研化学株式会社製、SK-Dyne1503)100質量部に、硬化剤(東ソー株式会社製、コロネートL-45)3質量部を加え攪拌し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を、フィルム状基材のコロナ処理した面(分離層と反対側の面)にナイフコータで塗布し、65℃の乾燥装置内で3分間乾燥させた。これにより、厚さ40μmの第二の粘着剤層、フィルム状基材、分離層及び補助層がこの順で積層された積層体を得た。次いで、第二の粘着剤層を保護するため、シリコーン処理したPETフィルム(東洋紡フィルムソリューション株式会社、Purex A50)を第二の粘着剤層上にラミネートした。
【0102】
得られた積層体の補助層上に、厚さ0.8mmのフォームテープ(3M社製、Y-4825K-08)の粘着剤層を気泡が入らないように被せて第一の粘着剤層を形成し、スクイージーを用いて圧着して両面粘着テープを作製した。
【0103】
(実施例2-1)
分離層形成用の塗液を調整する際のインキとして、顔料(フタロシアニンブルー)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R藍800)100質量部を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を1質量部にしたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0104】
(実施例2-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例2-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0105】
(実施例2-3)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例2-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0106】
(実施例3-1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(フタロシアニンブルー)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R藍800)100質量部を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を2質量部にしたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0107】
(実施例3-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例3-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0108】
(実施例3-3)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例3-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0109】
(実施例4-1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(フタロシアニンブルー)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R藍800)と顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R墨1000)とを75:25(質量比)の割合で混合したインキの混合物100質量部を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0110】
(実施例4-2)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施4-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0111】
(実施例5-1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(フタロシアニンブルー)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R藍800)と顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R墨1000)とを75:25(質量比)の割合で混合したインキの混合物100質量部を用いたこと、補助層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R墨1000)を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0112】
(実施例5-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施5-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0113】
(実施例6-1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 795墨)100質量部を用いたこと、補助層を形成しなかったこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0114】
(実施例7-1)
分離層形成用の塗液として、顔料(フタロシアニンブルー)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 739藍)100質量部、硬化剤(東ソー株式会社製、コロネートL-45)1質量部、希釈溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=2:1(質量比)の混合物)100質量部を加え攪拌して得た混合物を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を1質量部にしたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0115】
(実施例8-1)
補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を2質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0116】
(実施例9-1)
分離層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0117】
(実施例9-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例9-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0118】
(実施例9-3)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例9-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0119】
(実施例10-1)
分離層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を2質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0120】
(実施例10-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例10-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0121】
(実施例10-3)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例10-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0122】
(実施例11-1)
分離層形成用の塗液中の硬化剤の量を3質量部にしたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を3質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0123】
(実施例11-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例11-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0124】
(実施例11-3)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例11-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0125】
(実施例12-1)
分離層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を3質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0126】
(実施例13-1)
分離層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと、補助層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(フタロシアニンブルー)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R藍800)を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を3質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0127】
(実施例13-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例13-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0128】
(実施例13-3)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例13-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0129】
(実施例14-1)
分離層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと、補助層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R墨1000)を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を3質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0130】
(実施例14-2)
厚さ0.2mmのフォームテープ(3M社製、Y-4914)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例14-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0131】
(実施例14-3)
厚さ0.25mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例14-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0132】
(実施例15-1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(酸化チタン)とウレタン樹脂とを含むインキ(東洋インキ株式会社製、Lamistar R61S白)100質量部を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと、補助層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R墨1000)を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を3質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0133】
(実施例16-1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(酸化チタン)とウレタン樹脂とを含むインキ(東洋インキ株式会社製、Lamistar R61S白)100質量部を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと、補助層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(酸化チタン)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 701白)を用いたこと、補助層形成用の塗液中の硬化剤の量を3質量部にしたこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0134】
(実施例17-1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(カーボンブラック)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 795墨)100質量部を用いたこと、分離層形成用の塗液中の硬化剤の量を5質量部にしたこと、補助層を形成しなかったこと以外は実施例7-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0135】
(実施例17-2)
厚さ0.23mmのフォームテープ(3M社製、86425)を用いて第一の粘着剤層を形成したこと以外は実施例18-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0136】
(比較例1)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(主にクロロ銅フタロシアニン)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 779草)100質量部を用いたこと、補助層を形成しなかったこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0137】
(比較例2)
分離層形成用の塗液に硬化剤(東ソー株式会社製、コロネートL-45)5質量部を含有させたこと以外は比較例1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0138】
(比較例3)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(モノアゾ系顔料)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 950朱)100質量部を用いたこと以外は比較例1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0139】
(比較例4)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(モノアゾ系顔料)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 950朱)100質量部を用いたこと、補助層形成用の塗液に硬化剤(東ソー株式会社製、コロネートL-45)5質量部を含有させたこと以外は比較例1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0140】
(比較例5)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料((ジスアゾ系顔料)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R紅赤365)100質量部を用いたこと以外は比較例1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0141】
(比較例6)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(ジスアゾ系顔料)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R紅赤365)100質量部を用いたこと、補助層形成用の塗液に硬化剤(東ソー株式会社製、コロネートL-45)5質量部を含有させたこと以外は比較例1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0142】
(比較例7)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(主にクロロ銅フタロシアニン)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 779草)100質量部を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0143】
(比較例8)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(モノアゾ系顔料)とウレタン樹脂とを含むインキ(大日精化工業株式会社製、Lamic F220 950朱)100質量部を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0144】
(比較例9)
分離層形成用の塗液を調製する際のインキとして、顔料(ジスアゾ系顔料)とウレタン樹脂とを含むインキ(サカタインクス株式会社製、Lamiall Mark III R紅赤365)100質量部を用いたこと以外は実施例1-1と同様にして両面粘着テープを作製した。
【0145】
得られた両面粘着テープについて、以下の方法で、剥離特性、剥離力(接着面に対して垂直方向の接着強度)、引張せん断力、分離層の破断時の引張応力度及び引張伸長率、耐衝撃性、再接着性を評価した。
【0146】
<剥離特性>
53mm×100mmの厚さ1mmのステンレス鋼板(SUS304 BA)と53mm×100mmの厚さ1.75mmのガラス板を準備した。作製した両面粘着テープを4mm×100mmに切り取り、第二の粘着剤層側の面をガラス板の長辺側の端辺に沿うように貼り付けた。次いで、ガラス板とステンレス鋼板とが重なるように、両面粘着テープの第一の粘着剤層側の面と、ステンレス鋼板とを貼り付けた。20分以上放置した後、スクレーパー(はがしヘラR40mm、井上工具株式会社製)を用いてステンレス鋼板とガラス板とを解体し、剥離特性を評価した。両面粘着テープが、分離層とフィルム状基材との界面で容易に剥離する場合は「A」、分離層とフィルム状基材との界面で剥離する場合は「B」、分離層とフィルム状基材との界面で剥離しない場合は「C」と評価した。
【0147】
<剥離力>
被着面が25mm×25mm、被着面から垂直に伸びる摘み部が20mm、各部の厚みが5mmのステンレス(SUS304)製のT字型ブロックを2個準備し、15×15mmの両面粘着テープを一方のT字型ブロックの中央に貼り付けた。両面粘着テープのT字型ブロックに貼りついていない面に、もう一方のT字型ブロックをブロックの各摘み部が十字にクロスするようにして貼り付けた。24℃の環境下で、摘み部に5kgのおもりを1分間置いて圧着後、72時間放置し、T字ブロック同士を引き剥がすときの剥離力の最大値を測定した。また、第一の粘着剤層がY-4825K、Y-4914、86425のときの剥離力の最大値はそれぞれ112N/15×15mm、121N/15×15mm、88N/15×15mmであった。
【0148】
<引張せん断力>
24℃の環境下で、JIS Z 1541(2009年)に準拠して、ステンレス鋼板(SUS304 BA)に15mm×15mmの両面粘着テープを貼り付け、引張速度50mm/分で引張せん断力の最大値を測定した。また、第一の粘着剤層がY-4825K、Y-4914、86425のときの引張せん断力の最大値はそれぞれ210N/15×15mm、374N/15×15mm、199N/15×15mmであった。
【0149】
<引張応力度及び引張伸長率>
ライナー(王子エフテックス株式会社製、75RL-07)に分離層形成用の塗液をコンマコーターにより塗布して、65℃で1時間乾燥させた後、50℃で3日間養生(熱硬化)して、ライナー上に厚さ7~13μmの分離層を形成したフィルムを作製した。作製したフィルムをライナーごと15mm幅の短冊状に切り取った後、ライナーから剥がしたフィルムに25mmの間隔で粘着性セルローステープ(15mm幅、ニチバン株式会社製)をフィルムの表裏に貼り付けた。分離層にタックが残って取り扱い困難な場合は、タルクを分離層の表層に塗布して作業を行った。引張試験機(株式会社オリエンテック社製、テンシロン万能型試験機RTG-1225、ロードセルUR250N D)掴み幅25mm、引張速度50mm/分)を用いて、セルローステープで覆われた箇所をつかみ、引張試験を行った。分離層が破断した際の引張応力度及び引張伸長率を測定した。
【0150】
<耐衝撃性>
作製した両面粘着テープを外枠側の形状が29mm×29mm(角は3rで湾曲)であり、内枠側の形状が19mm×19mm(角を2rで湾曲)である矩形枠状の抜型で第一粘着面側から打抜いて、幅5mmの矩形枠状の両面粘着テープを得た。同様にして幅5mmの矩形枠状の両面粘着テープをさらに得た。一方の矩形枠状の両面粘着テープの第一の粘着剤層と、中央に16Φの穴を有するステンレス鋼板(55mm×55mm、厚さ1mm)と、を両面粘着テープの中央が、ステンレス鋼板の中央と一致するようにして貼り合わせた。次いで、ステンレス鋼板に貼り付けた両面粘着テープを分離層とフィルム状基材との界面でスクレーパーを用いて剥離してフィルム状基材から第二粘着面の部分を取り除いた。もう一方の矩形枠状の両面粘着テープの第二の粘着剤層と、アクリル板(30mm×30mm、厚さ2mm)と、を貼り合わせた。次いで、アクリル板に貼り付けた両面粘着テープをフィルム状基材と分離層との界面でスクレーパーを用いて剥離して第一粘着材から分離層の部分を取り除いた。ステンレス鋼板に貼り付けて残した両面粘着テープの剥離面(分離層)と、アクリル板に貼り付けて残した両面粘着テープの矩剥離面(フィルム状基材)とを重ね合わせて、10kgのローラーを矩形枠状の両面粘着テープの枠に沿った縦横二方向にそれぞれ一往復圧着させて貼り合わせた。ステンレス鋼板の両面粘着テープとは反対側の面上に内径24mm、長さ400mmの筒部を有する治具をステンレス鋼板の中心と、治具の筒部の中心とが一致するように配置した。50g又は100gの円錐状の重りをステンレス鋼板に貼り付けたアクリル板上に落ちるように、筒部に沿わせて自然落下させた。50g、100gの重りをそれぞれ3回ずつ繰り返して(合計6回)アクリル板上に落下させて、アクリル板がステンレス鋼板から脱落するか確認した。アクリル板が脱落しなかったものを「A」、脱落したものを「B」として評価した。
【0151】
各実施例、比較例の評価結果を表1に示す。なお、表中の「-」は未測定又は測定不可であることを意味する。
【0152】
【表1】
【符号の説明】
【0153】
10,11…第一の粘着剤層、20,21…分離層、30,31…フィルム状基材、40,41…第二の粘着剤層、50…第一の部材、51…補助層、60…第二の部材、70…扁平状の器具、80…第一の部材、90…第二の部材、100,101…両面粘着テープ、110…接合部、200…第一の領域、300…第二の領域、500…物品。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】