IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-527205グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス
<>
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図1
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図2
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図3
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図4
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図5
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図6
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図7
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図8
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図9
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図10
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図11
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図12
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図13
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図14
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図15
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図16
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図17
  • 特表-グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】グラフトポリマーネットワークに由来する眼科用装置、並びにそれらを調製及び使用するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20240717BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20240717BHJP
   A61F 2/14 20060101ALI20240717BHJP
   A61L 27/16 20060101ALI20240717BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20240717BHJP
   C08F 265/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G02C7/04
A61F2/16
A61F2/14
A61L27/16
A61L27/50
C08F265/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574758
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 IB2022055845
(87)【国際公開番号】W WO2023275683
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/216,586
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/662,916
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロペス・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フォード・ジェームズ・ディー
(72)【発明者】
【氏名】マハデバン・シブクマル
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン・ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア・アレハンドラ・イザベル
【テーマコード(参考)】
2H006
4C081
4C097
4J026
【Fターム(参考)】
2H006BB03
2H006BB06
4C081AB21
4C081AB22
4C081AB23
4C081CA02
4C081CC03
4C081CC05
4C081DA16
4C097AA25
4C097DD01
4C097EE03
4C097EE13
4C097MM04
4J026AA47
4J026AA49
4J026AA55
4J026AA76
4J026BA28
4J026BA30
4J026BB01
4J026DA03
4J026DA07
4J026DA15
4J026DB03
4J026DB08
4J026DB15
4J026DB36
4J026FA07
4J026GA02
(57)【要約】
眼科用装置を作製すためのプロセス、及びプロセスから得られる眼科用装置を提供する。プロセスは、(a)第1の反応性組成物を提供することであって、第1の反応性組成物が、(i)第1の活性化の際に、2つ又は3つ以上のフリーラジカル基を形成可能な重合開始剤であって、フリーラジカル基のうち少なくとも1つが後続の活性化により更に活性化可能である、重合開始剤、(ii)1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物、及び(iii)架橋剤を含有する、提供することと、(b)第1の反応性組成物を第1の活性化工程に通し、第1の反応性組成物がそこで重合して、共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を含有する架橋基材ネットワークを形成することと、(c)架橋基材ネットワークを、収縮剤及び1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物を含有するグラフト組成物と接触させることと、(d)架橋基材ネットワークの共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を活性化させて、そこでグラフト組成物を架橋基材ネットワークと重合させることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用装置を作製するためのプロセスであって、
(a)第1の反応性組成物を提供することであって、前記第1の反応性組成物が、(i)第1の活性化の際に、2つ又は3つ以上のフリーラジカル基を形成可能な重合開始剤であって、前記フリーラジカル基のうち少なくとも1つが後続の活性化により更に活性化可能である、重合開始剤、(ii)1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物、及び(iii)架橋剤を含有する、提供することと、
(b)前記第1の反応性組成物を第1の活性化工程に通し、前記第1の反応性組成物がそこで重合して、共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を含有する架橋基材ネットワークを形成することと、
(c)前記架橋基材ネットワークを、収縮剤、及び1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物を含有するグラフト組成物と接触させることと、
(d)前記架橋基材ネットワークの前記共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を活性化させて、そこで前記グラフト組成物を前記架橋基材ネットワークと重合させることと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記収縮剤が、アンモニウム塩、金属塩、又はそれらの2つ若しくは3つ以上の混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記収縮剤が、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はそれらの2つ若しくは3つ以上の混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記収縮剤が、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化カリウム、又はそれらの2つ若しくは3つ以上の混合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記グラフト組成物の前記エチレン性不飽和化合物が、前記架橋基材ネットワークの表面で、そのコアより濃縮される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
工程(a)の前記1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、及びC2~6アルケニルフェニル-C1~6アルキルから独立して選択される1つ又は2つ以上の重合性基を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
工程(c)の前記1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、及びC2~6アルケニルフェニル-C1~6アルキルから独立して選択される1つ又は2つ以上の重合性基を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記重合開始剤が、ビスアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスファンオキシド、ジアゾ化合物、ジペルオキシド化合物、アゾビス(モノアシルホスフィンオキシド)、アゾビス(モノアシルホスファンオキシド)、ペルオキシビス(モノアシルホスフィンオキシド)、ペルオキシビス(モノアシルホスファンオキシド)、アゾビス(アルファ-ヒドロキシケトン)、ペルオキシビス(アルファ-ヒドロキシケトン)、アゾビス(1,2-ジケトン)、ペルオキシビス(1,2-ジケトン)、ゲルマニウム系化合物、tert-ブチル7-メチル-7-(tert-ブチルアゾ)ペルオキシオクタノエート、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記重合開始剤が、ビスアシルホスフィンオキシド又はビス(アシル)ホスファンオキシドである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記眼科用装置がヒドロゲルの形態であり、前記第1の反応性組成物が、1つ又は2つ以上のシリコーン含有構成成分を含有し、前記グラフト組成物が、1つ又は2つ以上の親水性反応性構成成分を含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第1の反応性組成物、前記グラフト組成物、又は前記第1の反応性組成物及び前記グラフト組成物の両方が、UV吸収剤、HEV光吸収剤、光互変性化合物、薬学的化合物、栄養補助化合物、抗菌化合物、反応性着色料、顔料、共重合性染料、非重合性染料、剥離剤、湿潤剤、及び剥離剤から選択される1つ又は2つ以上の添加剤を含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記眼科用装置が、コンタクトレンズ、眼内レンズ、涙点プラグ、及び眼挿入物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセスによって作製された眼科用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年5月11日出願の米国特許出願第17/662,916号及び2021年6月30日出願の米国特許仮出願第63/216,586号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、グラフトポリマーネットワークを含有するコンタクトレンズなどの眼科用装置、並びに眼科用装置を調製及び使用するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
所望の性質に寄与する個々の構成成分から調製されるポリマー材料の開発は、多くの製品領域において進行中の目標である。例えば、酸素透過性及び親水性を示すポリマー材料は、眼科用装置などの医療装置分野内の多数の用途に望ましい。
【0004】
特性の組み合わせを試みるポリマー材料を形成するときに一般的に直面する課題は、多くの場合、最終材料が作製される個々の構成成分が、容易に適合しないことである。例えば、コンタクトレンズ分野において、シリコーンヒドロゲルは、著しく酸素透過性が増加したレンズを提供することが発見されており、それ故、場合により従来のヒドロゲルレンズに関係し得る角膜浮腫及び血管過多を低下させることができる。シリコーンヒドロゲルは、少なくとも1つのシリコーン含有モノマー又はシリコーン含有反応性マクロマーと少なくとも1つの親水性モノマーとを含む混合物を重合させることによって一般的に調製されてきた。しかし、シリコーン構成成分及び親水性構成成分が多くの場合、非相溶性であるため、シリコーンヒドロゲルレンズは、製造困難である場合がある。
【0005】
ポリマー材料を作製するための新しい技術は、眼科用装置を含む多くの分野において望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる構成成分のモノマー及びポリマーが一般に非相溶性である場合を含めて、多種多様な構成成分のモノマー及びポリマーに由来するポリマー組成物、及びそれらの調製のためのプロセスに関する。本発明のポリマー組成物は、様々な用途、例えば眼科用装置に使用される。
【0007】
したがって、本発明は、眼科用装置を作製するためのプロセスであって、(a)第1の反応性組成物を提供することであって、第1の反応性組成物が、(i)第1の活性化の際に、2つ又は3つ以上のフリーラジカル基を形成可能な重合開始剤であって、フリーラジカル基のうち少なくとも1つが後続の活性化により更に活性化可能である、重合開始剤、(ii)1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物、及び(iii)架橋剤を含有する、提供することと、(b)第1の反応性組成物を第1の活性化工程に通し、第1の反応性組成物が重合して、共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を含有する架橋基材ネットワークを形成することと、(c)架橋基材ネットワークを、収縮剤及び1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物を含有するグラフト組成物と接触させることと、(d)架橋基材ネットワークの共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を活性化させて、そこでグラフト組成物を架橋基材ネットワークと重合させることと、を含む。
【0008】
本発明はまた、本明細書に記載のプロセスによって作製された眼科用装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】mPEG500の塩溶液によるレンズ収縮を示す。
図2】実施例1のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図3】実施例2のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図4】実施例3のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図5】実施例4のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図6】実施例5のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図7】実施例6のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図8】実施例7レンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図9】実施例8のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図10】実施例9のレンズの表面にグラフトされたmPEG500の濃度を示す。
図11】実施例9のレンズの表面にグラフトされたMPCの濃度を示す。
図12】実施例9のレンズの表面上のHEMAグラフト化と一致するPVP/メタクリレートバンド比を示す。
図13】実施例9のレンズの表面上のHEMAグラフト化と一致するDMA/メタクリレートバンド比を示す。
図14】実施例9のレンズの表面上のHEMAグラフト化と一致するシリコーン/メタクリレートバンド比を示す。
図15】実施例10レンズの表面上のmPEG500グラフト化と一致するPEG/メタクリレートバンド比を示す。
図16】実施例10レンズの表面上のDMAグラフト化と一致するDMA/メタクリレートバンド比を示す。
図17】実施例11レンズの前面湾曲(FC)及び基部湾曲(BC)におけるグラフトPEGの重量パーセントを示す。
図18】実施例12レンズの前面湾曲(FC)及び基部湾曲(BC)におけるグラフトPEGの重量パーセントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記のように、本発明は、グラフトプロセス及びかかるプロセスによって調製された生成物に関する。本発明の特徴の中には、基材上にグラフトされる組成物中にアルカリ金属塩等の化合物を含めると、基材が収縮するという発見がある。この収縮は、基材を崩壊させ、したがって、基材のバルクへのエチレン性不飽和化合物の拡散を制限し、その結果、グラフト工程中に優先的な表面官能化をもたらす。加えて、収縮剤は、グラフトプロセスを容易にするのに役立つ。
【0011】
本開示において使用される用語に関しては、以下の定義が提供される。
【0012】
別段の定めがある場合を除き、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
別途記載のない限り、例えば、「2~10(from 2 to 10)」におけるような、又は「2~10(between 2 and 10)」におけるような数字範囲は、その範囲を規定する数字(例えば、2及び10)を含む。
【0014】
別途記載のない限り、比率、百分率、部などは重量による。
【0015】
「数平均分子量」という語句は、試料の数平均分子量(M)を指す。「重量平均分子量」という語句は、試料の重量平均分子量(M)を指す。「多分散指数」(PDI)という語句は、MをMで割った比を指し、試料の分子量分布を表す。「分子量」の種類が示されていない、又は文脈から明確でない場合、数平均分子量を意味することが意図される。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「約」とは、修飾されている数の、±10パーセントの範囲を意味する。例えば、「約10」という語句は、9及び11の両方を含むであろう。
【0017】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」という用語は、任意選択のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0018】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、構造が置換基R及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9通りの組み合わせが開示される。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0019】
ポリマー試料内における反復単位の平均数は、「重合度」として知られている。ポリマー試料の一般的な化学式、例えば[***が使用される場合、「n」はその試料の重合度を意味し、式は、ポリマー試料の数平均分子量を表すものと解釈されなければならない。
【0020】
本明細書において、用語「個体」には、人間及び脊椎動物が含まれる。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「眼科用装置」とは、眼の表面を含む、眼内若しくは眼上、又は眼の任意の一部にある、任意の装置である。これらのデバイスは、光学補正、外見向上、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼科用装置の例としては、限定されるものではないが、レンズ、光学及び眼挿入物(限定されるものではないが、涙点プラグを含む)などが挙げられる。「レンズ」としては、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、並びにインレー及びオーバーレイレンズが挙げられる。眼科用装置は、コンタクトレンズを含むのが好ましい場合がある。
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「コンタクトレンズ」とは、個人の眼の角膜上に配置可能な眼科用装置を意味する。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の供給、診断的評価若しくは監視、紫外線遮断、可視光線若しくはグレアの抑制、又はこれらの組み合わせを含む、矯正的、美容的、治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、技術分野で既知の任意の適切な材料であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は弾性率、含水率、光透過、若しくはこれらの組み合わせなどの、異なる物理、機械、若しくは光学特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0023】
本発明の眼科用装置及びコンタクトレンズは、シリコーンヒドロゲルで構成され得る。これらのシリコーンヒドロゲルは通常、硬化装置内で互いに共有結合した、少なくとも1つの親水性モノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有構成成分を含有する。本発明の眼科用装置及びコンタクトレンズはまた、従来のヒドロゲル、又は従来のヒドロゲルとシリコーンヒドロゲルとの組み合わせで構成され得る。
【0024】
「高分子」は、1500を超える数平均分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても、非反応性であってもよい。
【0025】
本明細書で使用する場合、「標的巨大分子」とは、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、反応開始剤、添加剤、希釈剤などを含む反応性組成物から合成されている、目的の巨大分子である。
【0026】
本明細書で使用する場合、「モノマー」とは、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受けて、標的巨大分子の化学構造内に反復単位を作り出すことが可能な、単官能性分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」はまた、5重量パーセントの濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。「親水性成分」は、5重量パーセントの濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られる、モノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。
【0027】
本明細書で使用する場合、「マクロモノマー」又は「マクロマー」は、連鎖成長重合、具体的にはフリーラジカル重合を受けることができる、少なくとも1つの重合性基を有する直鎖又は分岐巨大分子である。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「重合性」とは、化合物が少なくとも1つの重合性基を含むことを意味する。「重合性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合、例えばラジカル重合開始条件に通されたときに重合することができる炭素-炭素二重結合基などの、連鎖成長重合を受けることができる基である。重合性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル基が挙げられる。好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル官能基、又は前述のもののうちのいずれかの混合物を含む。重合性基は、非置換であってもよく、又は置換されていてもよい。例えば、(メタ)アクリルアミド中の窒素原子は、水素に結合されてもよく、又は水素は、アルキル若しくはシクロアルキル(それ自体が更に置換されてもよい)で置換されてもよい。「重合性」とは対照的に、用語「非重合性」とは、化合物が、かかるフリーラジカル重合性基を含まないことを意味する。
【0029】
前述の例としては、置換又は非置換C1~6アルキル(メタ)アクリレート、C1~6アルキル(メタ)アクリルアミド、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、C2~6アルケニルフェニルC1~6アルキルが挙げられ、当該C1~6アルキル上の好適な置換基としては、エーテル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
限定されるものではないが、バルク、溶液、懸濁液、及びエマルジョンを含む、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合などの、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0031】
「エチレン性不飽和化合物」は、少なくとも1つの重合性基を含有するモノマー、マクロマー、又はプレポリマーである。エチレン性不飽和化合物は、1つの重合性基からなるのが好ましい場合がある。
【0032】
「収縮剤」は、架橋基材ネットワークの物理的サイズの減少を引き起こすことが可能な材料を指す。例えば、架橋基材ネットワークがコンタクトレンズの形状である場合、レンズの直径は、収縮剤に曝露された後に減少する。適用可能な薬剤の濃度を含む、材料が収縮剤として機能する能力を決定することは簡単であり、例えば、以下の実施例によって実証される。
【0033】
本明細書で使用する場合、「シリコーン含有構成成分」又は「シリコーン構成成分」とは、通常は、シロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する、反応性組成物中のモノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、反応開始剤、添加剤、又はポリマーである。本発明において有用なシリコーン含有構成成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び欧州特許第080539号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
「ポリマー」とは、重合中に使用するモノマー及びマクロマーの反復単位で構成される標的巨大分子である。
【0035】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーであり、「コポリマー」は、2つ又は3つ以上のモノマーから作製したポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマーから作製したポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントからなる。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製される。
【0036】
「繰り返し単位」は、特定のモノマー又はマクロマーの重合に対応する、ポリマー内の原子の最小の基である。
【0037】
「反応開始剤」とは、モノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるフリーラジカル基に分解可能な分子である。熱開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型例は、1,1’-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)などのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドなどのペルオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、並びに様々な酸化還元系である。光開始剤は、光化学プロセスにより分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0038】
「フリーラジカル基」とは、重合性基と反応してフリーラジカル重合反応を開始することができる、不対価電子を有する分子である。
【0039】
「架橋剤」(cross-linking agent又はcrosslinker)とは、分子の2つ又は3つ以上の場所にてフリーラジカル重合を受けることにより、分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことが可能な二官能性又は多官能性モノマーである。架橋剤に存在する2つ又は3つ以上の重合性官能基は同じでも異なっていてもよく、例えば、ビニル基(アリルを含む)、(メタ)アクリレート基、及び(メタ)アクリルアミド基から独立して選択することができる。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0040】
「プレポリマー」とは、更に反応を受けてポリマーを形成可能な、残存している重合性基を含有するモノマー(又はマクロマー)の反応生成物である。
【0041】
「ポリマーネットワーク」とは、架橋巨大分子の形態であるポリマーの一種である。一般的に、ポリマーネットワークは膨潤する場合があるが、溶媒には溶解できない。例えば、本発明の架橋基材ネットワークは、溶解することなく膨潤可能な材料である。
【0042】
「ヒドロゲル」とは、通常、(25℃で)少なくとも10重量パーセントを吸収しながら、水中又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分と共に少なくとも1つのシリコーン含有構成成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0043】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しないモノマーから製造されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N、N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルなどの親水性モノマーを主として含む反応性組成物から調製される。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「反応性組成物」とは、(2つ以上が存在する場合に)共に混合され、重合条件に通された場合にポリマー組成物を形成する1つ又は2つ以上の反応性構成成分(そして場合により、無反応性構成成分)を含有する組成物を意味する。1つを超える構成成分が存在する場合、反応性組成物は本明細書においてはまた、「反応性混合物」又は「反応性モノマー混合物」(又はRMM)と呼ぶこともできる。反応性組成物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び反応開始剤などの反応性構成成分、並びに、湿潤剤、剥離剤、染料、光吸収性化合物(例えばUV-VIS吸収剤)、顔料、染料、及び光互変性化合物などの任意の添加剤(これらのいずれかは反応性又は無反応性であり得、好ましくは得られるポリマー組成物、並びに、薬学的化合物及び栄養補助化合物内で保持されることが可能であることが好ましい)、並びに任意の希釈剤を含む。作製される最終生成物、及びその使用目的に基づいて、幅広い添加剤を添加してもよいことが理解されよう。反応性組成物の構成成分の濃度は、希釈剤を除いて、反応組成物中の全ての構成成分の重量百分率として表される。希釈剤を使用する場合、濃度は、反応組成物中の全ての構成成分、及び希釈剤の量に基づいて重量百分率として表される。
【0045】
「反応性構成成分」とは、共有結合、水素結合、静電相互作用、相互侵入ポリマーネットワークの形成、又は任意の他の方法により、得られる材料の化学構造の一部となる、反応性組成物の構成成分である。例としては、限定されるものではないが、シリコーン反応性構成成分(例えば、下記のシリコーン含有構成成分)及び親水性反応性構成成分(例えば、下記の親水性モノマー)が挙げられる。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」とは、少なくとも1つのシリコーンヒドロゲルを含むコンタクトレンズを意味する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは全般的に、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含水量及びポリマー含有量の両方を機能させて酸素を眼に送る。
【0047】
「多官能性」という用語は、2つ以上の重合性基を有する成分を指す。「単官能性」という用語は、1つの重合性基を有する成分を指す。
【0048】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、示された数の炭素原子を含有する非置換又は置換直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。数が示されていない場合、アルキル(アルキル上の任意の置換基を任意に含む)は、1~16個の炭素原子を含有してもよい。好ましくは、アルキル基は、1~10個の炭素原子、代替的に1~7個の炭素原子、又は代替的に1~4個の炭素原子を含有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが挙げられる。アルキル上の置換基の例としては、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アルキレン」は、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCH(CH)CH-、及び-CHCHCHCH-等の二価のアルキル基を意味する。
【0050】
「ハロアルキル」は、1個又は2個以上のハロゲン原子で置換された上で定義されるアルキル基を指し、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、Br、又はIである。好ましいハロゲンは、Fである。好ましいハロアルキル基は、1~6個の炭素、より好ましくは1~4個の炭素、更により好ましくは1~2個の炭素を含有する。「ハロアルキル」は、-CF-又は-CFCF-等のペルハロアルキル基を含む。「ハロアルキレン」は、-CHCF-等の二価ハロアルキル基を意味する。
【0051】
「シクロアルキル」は、示された数の環炭素原子を含有する非置換又は置換環状炭化水素を指す。数が示されていない場合、シクロアルキルは、3~12個の環炭素原子を含有してもよい。好ましくは、C~Cシクロアルキル基、より好ましくはC~Cシクロアルキル、更により好ましくはC~Cシクロアルキルである。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「シクロアルキレン」は、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-シクロヘキシレンなどの二価シクロアルキル基を意味する。
【0052】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環炭素が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている、上で定義されるシクロアルキル環又は環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意に、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環及び/又はフェニル環に縮合しているか、又は他の方法で結合される。好ましいヘテロシクロアルキル基は、5~7員を有する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、5又は6員を有する。ヘテロシクロアルキレンは、二価ヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0053】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する非置換又は置換芳香族炭化水素環系を指す。アリール基は、示された数の環炭素原子を含有する。数が示されていない場合、アリールは、6~14個の環炭素原子を含有してもよい。芳香環は、任意に、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環に縮合していてもよく、又は他の方法で結合されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルが挙げられる。アリール上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アリーレン」は、二価アリール基、例えば1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、又は1,4-フェニレンを意味する。
【0054】
「ヘテロアリール」は、上で定義したように、少なくとも1つの環炭素原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されているアリール環又は環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ又は2つ以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合していてもよく、又は別の方法で結合されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、及びチエニルが挙げられる。「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基を意味する。
【0055】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられる。「アリールオキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。例としては、フェノキシが挙げられる。「環状アルコキシ」は、酸素架橋を介して親部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
【0056】
「アルキルアミン」は、-NH架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルキレンアミンは、-CHCHNH-等の二価アルキルアミン基を意味する。
【0057】
「シロキサニル」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を有する構造を指す。したがって、例えば、シロキサニル基は、少なくとも1つのSi-O-Si基(すなわち、シロキサン基)を有する基を意味し、シロキサニル化合物は、少なくとも1つのSi-O-Si基を有する化合物を意味する。「シロキサニル」は、モノマー(例えば、Si-O-Si)並びにオリゴマー/ポリマー構造(例えば、-[Si-O]-であって、式中、nは2又は3以上である)を包含する。シロキサニル基中の各ケイ素原子は、それらの原子価を完全なものにするために、独立して選択されるR基(Rは、式Aの選択肢(b)~(i)で定義される通りである)で置換されている。
【0058】
「シリル」は、式RSiの構造を指し、「シロキシ」は、式RSi-O-の構造を指し、シリル又はシロキシ中の各Rは、トリメチルシロキシ、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはエチル又はメチル)、及びC~Cシクロアルキルから独立して選択される。
【0059】
「アルキレンオキシ」は、一般式-(アルキレン-O-)-又は-(O-アルキレン)-の基を指し、ここで、アルキレンは、上で定義した通りであり、pは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20、又は1~10であり、各アルキレンは、独立して、ヒドロキシル、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されている。pが1より大きい場合、各アルキレンは、同じであっても異なっていてもよく、アルキレンオキシは、ブロック又はランダム構成であってもよい。アルキレンオキシが分子中に末端基を形成する場合、アルキレンオキシの末端は、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ(例えば、HO-[CHCHO]-又はCHO-[CHCHO]-)であってもよい。アルキレンオキシの例としては、ポリメチレンオキシ、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ、及びポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)が挙げられる。
【0060】
「オキサアルキレン」は、-CHCHOCH(CH)CH-等の1つ又は2つ以上の非隣接CH基が酸素原子で置換されている、上で定義されるアルキレン基を指す。「チアアルキレン」は、-CHCHSCH(CH)CH-等の1つ又は2つ以上の非隣接CH基が硫黄原子で置換されている、上記に定義されるアルキレン基を指す。
【0061】
用語「連結基」は、重合性基を親分子に連結する部分を指す。連結基は、それが一部である化合物の重合に不必要に干渉しない任意の部分であってもよい。例えば、連結基は、結合であってもよく、又は1つ若しくは2つ以上のアルキレン、ハロアルキレン、アミド、アミン、アルキレンアミン、カルバメート、カルボキシレート(-CO-)、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレン、チアアルキレン、ハロアルキレンオキシ(1つ又は2つ以上のハロ基で置換されたアルキレンオキシ(例えば、-OCF-、-OCFCF-、-OCFCH-)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。連結基は、1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されてもよい。好適な置換基としては、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、HO-アルキレンオキシ、MeO-アルキレンオキシ、シロキサニル、シロキシ、シロキシ-アルキレンオキシ-、シロキシ-アルキレン-アルキレンオキシ-(1つを超えるアルキレンオキシ基が存在してもよく、アルキレン及びアルキレンオキシ中の各メチレンは、独立して、ヒドロキシルで任意に置換されている)、エーテル、アミン、カルボニル、カルバメート、及びこれらの組み合わせから独立して選択されるものを挙げることができる。連結基はまた、(メタ)アクリレートなどの重合性基で置換されてもよい。
【0062】
好ましい連結基には、C~Cアルキレン(好ましくはC~Cアルキレン)及びC~Cオキサアルキレン(好ましくはC~Cオキサアルキレン)が含まれ、これらはそれぞれ、ヒドロキシル及びシロキシから独立して選択される1又は2個の基で任意に置換されている。好ましい連結基としては、カルボキシレート、アミド、C~Cアルキレンカルボキシレート-C~Cアルキレン、又はC~Cアルキレンアミド-C~Cアルキレンが挙げられる。
【0063】
連結基が上述のような部分(例えば、アルキレン及びシクロアルキレン)の組み合わせからなる場合、部分は任意の順序で存在してもよい。例えば、下記の式Eにおいて、Lが、-アルキレン-シクロアルキレン-であると示されている場合、Rg-Lは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-、又はRg-シクロアルキレン-アルキレン-のいずれかであってもよい。これにかかわらず、列記する順序は、連結基が結合している末端重合性基(Rg)から始まって、部分が化合物中に現れる好ましい順序を表す。例えば、式E中、L及びLが、両方ともアルキレン-シクロアルキレンであるとして示されている場合、Rg-Lは、好ましくは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-であり、-L-Rgは、好ましくは、-シクロアルキレン-アルキレン-Rgである。
【0064】
上述のように、本発明は、眼科用装置を作製するためのプロセスを提供する。プロセスは、(a)第1の反応性組成物を提供することであって、第1の反応性組成物が、(i)第1の活性化の際に、2つ又は3つ以上のフリーラジカル基を形成可能な重合開始剤であって、フリーラジカル基のうち少なくとも1つが後続の活性化により更に活性化可能である、重合開始剤、(ii)1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物、及び(iii)架橋剤を含有する、提供することと、(b)第1の反応性組成物を第1の活性化工程に通し、第1の反応性組成物が重合して、共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を含有する架橋基材ネットワークを形成することと、(c)架橋基材ネットワークを、収縮剤及び1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物を含有するグラフト組成物と接触させることと、(d)架橋基材ネットワークの共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を活性化させて、そこでグラフト組成物を架橋基材ネットワークと重合させることと、を含む。
【0065】
重合開始剤は、2つ又は3つ以上の個別の活性化工程にてフリーラジカル基を生成する能力を有する、任意の組成物であってもよい。使用する重合開始剤の種類、又は活性化機構に関しては、第1の活性化及び第2の活性化を連続して行うことが可能であれば、本発明では特定の必要条件は存在しない。したがって、好適な重合開始剤は、例えば、熱により、可視光により、紫外線により、電子ビーム照射により、γ線照射により、又はこれらの組み合わせにより活性化することができる。本発明で使用され得る重合開始剤の例としては、限定されるものではないが、ビスアシルホスフィンオキシド(「BAPO」)、ビス(アシル)ホスファンオキシド(例えば、ビス(メシトイル)ホスフィン酸)、アゾ化合物、ペルオキシド、アルファ-ヒドロキシケトン、アルファ-アルコキシケトン、1,2-ジケトン、ゲルマニウム系化合物(ビス(4-メトキシベンゾイル)ジエチルゲルマニウムなど)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
BAPO反応開始剤が好ましい。好適なBAPO反応開始剤の例としては、限定されるものではないが、式Iの化学構造:
【0067】
【化1】

(式中、Ar及びArは独立して置換又は非置換のアリール基、通常置換フェニル基であり、置換基は直鎖、分岐、又は環状アルキル基(例えばメチル基)、直鎖、分岐、又は環状アルコキシ基(例えばメトキシ基)、及びハロゲン原子であり、好ましくは、Ar及びArは同一の化学構造を有し、Rは、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基である、あるいは、Rは1~10個の炭素原子を有するフェニル基、ヒドロキシル基、又はアルコキシ基である)を有する化合物が挙げられる。
【0068】
また、最初の活性化及び後続の活性化において、異なる種類のエネルギーにより活性化が可能である重合開始剤を使用してもよい。例えば、第1の熱活性化及び第2の照射による活性化を受ける材料は、本発明の範囲内である。かかる混合活性化材料の例としては、式II、III、IV、及びVの化合物:
【0069】
【化2】

(式中、Ar及びArは独立して置換又は非置換のアリール基、通常置換フェニル基であり、置換基は直鎖、分岐、又は環状アルキル基(例えばメチル基)、直鎖、分岐、又は環状アルコキシ基(例えばメトキシ基)、及びハロゲン原子であり、好ましくは、Ar及びArは同一の化学構造を有し、Rは1~10個の炭素原子を有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基であり、Rは、1~10個の炭素原子を有するメチレン鎖に沿ってエーテル、ケトン、又はエステル基を更に含んでもよい二官能性メチレン連結基であり、Rは水素原子、ヒドロキシル基、あるいは1~10個の炭素原子を有する直鎖、分岐、又は環状アルコキシ基である)が挙げられる。更なる例は、tert-ブチル7-メチル-7-(tert-ブチルアゾ)ペルオキシオクタノエートである。
【0070】
更に、2つの異なる分解温度を示すジアゾ化合物、ジペルオキシ化合物、又はアゾペルオキシ化合物を、本発明で使用することができる。
【0071】
好ましくは、重合開始剤は光重合開始剤、好ましくはビスアシルホスフィンオキシドである。異なる波長で連続活性化を受けることができ、それ故使用が簡単であるため、ビスアシルホスフィンオキシドが望ましい。より長波長において、ビスアシルホスフィンオキシドは2つのフリーラジカル基を形成することができ、これらのうち1つはモノアシルホスフィンオキシドである。モノアシルホスフィンオキシド(MAPO)は次に、通常より短波長での第2の活性化を受けることができる。特に好ましいビスアシルホスフィンオキシドは、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドであり、この物質に対する長波長は通常、420nmより上(例えば、435nm以上)であり、短波長は通常、420nm以下である。帯域幅が相対的に、放射線源程度に狭いLED又は等価な光を使用して、架橋基材ネットワーク内のMAPO基のいくつか、又は大部分を保護しながら、最初の照射を可能にするのが好ましい場合がある。
【0072】
使用可能な、他の例示的なビスアシルホスフィンオキシド化合物としては、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、若しくは、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸、又はこれらの塩が挙げられる。
【0073】
本発明において、重合開始剤、1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物、及び架橋剤を含有する第1の反応性組成物は、重合開始剤に最初の活性化を引き起こさせる条件下にて、第1の活性化工程に通される。例えば、重合開始剤がBAPOであれば、第1の反応性組成物は、適切な光源を使用して435nm以上で照射されることができる。第1の反応性組成物は結果的に重合し、架橋基材ネットワークを形成する。架橋基材ネットワークは、共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤としての重合開始剤の残留物を含有する。
【0074】
第1の反応性組成物の活性化及び重合は、当業者に既知の技術を使用して実行することができる。例えば、第1の反応性組成物の反応性構成成分は、容器内で混合することができる。希釈剤を場合により使用して、混合を促進してもよい。混合物を濾過、脱気、及び所望の温度まで加熱した後、重合開始剤の最初の活性化、及び結果的な架橋基材ネットワークの形成を引き起こす条件下にて照射してもよい。重合容器は、例えば生成物が特定の形状を有することが所望される場合は、成形型であってもよい。例えば、第1の反応性組成物は、成形型対(例えば、前側及び後側成形型)の空洞内に投入され重合され得る。好ましくは、本発明の眼科用装置で使用するための第1の架橋基材ネットワークは、従来のもの又はシリコーンヒドロゲルである。シリコーンヒドロゲルがより好ましい。
【0075】
本発明によれば、上述のように形成された架橋基材ネットワークをグラフト組成物と接触させる。グラフト組成物は、1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物を含有する。更に、グラフト組成物は、収縮剤を含有する。上述のように、収縮剤は、架橋基材ネットワークを有利に収縮させ、それにより、収縮剤が存在しない場合に起こるであろう架橋基材ネットワークの膨潤の一部を相殺する。この収縮は、架橋基材ネットワークのバルクへのエチレン性不飽和化合物の拡散を制限し、それにより、プロセスの工程(d)の重合中に優先的に表面官能化をもたらす。更に、収縮剤は、グラフトプロセスを容易にするのに役立つ。
【0076】
本発明で使用するための収縮剤としては、例えば、アンモニウム塩、又は金属塩、例えばアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩を挙げることができる。「アルカリ金属」という用語は、周期表の1族元素を指し、「アルカリ土類金属」という用語は、周期表の2族元素を指す。アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、式MAのものであってもよく、式中、Mは、1つ若しくは2つ以上アンモニウム、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属カチオンであり、Aは、1つ若しくは2つ以上の対イオン(原子の群であってもよい)である。Mの例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムが挙げられる。Aの例としては、ハロゲン化物、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、アルコキシド、硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、チオシアン酸塩等が挙げられる。Aの更なる例としては、塩化物、炭酸塩及び硫酸塩が挙げられる。好ましくは、Mはアルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウム又はカリウム、より好ましくはナトリウムである。好ましくは、Aは塩化物等のハロゲン化物であるか、又は炭酸塩である。本発明において収縮剤として使用するための例示的な塩としては、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム及び塩化カリウムが挙げられる。好ましい収縮剤は塩化ナトリウムである。
【0077】
架橋基材ネットワークへの移動を容易にするために、収縮剤はグラフト組成物中に可溶性であることが好ましい。可溶性は、例えば、適切な溶媒の使用によって提供されてもよい。例えば、収縮剤が塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩である場合、グラフト組成物は、収縮剤を溶解するのに十分な量の水を含有する溶媒に分散又は溶解され得る。好ましくは、グラフト組成物は水性組成物の形態である。
【0078】
架橋基材ネットワークとグラフト組成物との接触は、好ましくは、架橋基材ネットワークの最大サイズ縮小を可能にするのに十分な時間、グラフト組成物(収縮剤を含む)を含有する液体又は溶液に架橋基材ネットワークを浸漬すること、並びにグラフト組成物が基材に部分的に浸透することを可能にすることによって行われる。例として、かかる接触は、1分以上、又は5分以上行われてもよい。更なる例として、かかる接触は、最大250分間、又は最大120分間、又は最大60分間、又は最大30分間、又は最大15分間行われてもよい。典型的な接触時間は、例えば、1分~30分、又は5分~15分を含んでもよい。
【0079】
架橋基材ネットワークのグラフト組成物との接触に続いて、架橋基材ネットワークの活性化可能なフリーラジカル開始剤のうちの少なくとも一部は活性化される。例えば、プロセスの工程(a)で使用される重合開始剤がBAPOである場合、架橋基材ネットワーク(この例ではモノアシルホスフィンオキシド)に共有結合したフリーラジカル開始剤のうちの少なくとも一部は、適切な光源を使用して、420nm以下の照射により活性化することができる。次いで、グラフト組成物中のエチレン性不飽和化合物は重合を受け、基材中のフリーラジカル開始剤を介して架橋基材ネットワークと共有結合的にグラフトする。したがって、生成物は、グラフトポリマーネットワークで構成される眼科用装置である。好ましくは、眼科用装置が、例えば30~300マイクロメートルの中心厚を有するソフトヒドロゲルコンタクトレンズである場合、グラフト組成物(硬化後)は、中心厚の最大30%まで、好ましくは中心厚の最大20%まで、より好ましくは中心厚の最大10%、最も好ましくは中心厚の最大5%までの最大深さまで浸透しているか、あるいは、硬化グラフト組成物層は、最大90マイクロメートル、好ましくは9~90マイクロメートル、より好ましくは6~60マイクロメートル、最も好ましくは3~30マイクロメートルのレンズの中心での厚さを有してもよい。浸透の程度を決定するための方法は公知であり、例えば、米国特許第10961341号に記載されているような共焦点顕微鏡法が挙げられる。
【0080】
追加の任意のグラフト工程を追加してもよい。例えば、上述のグラフト化に続いて、グラフト架橋基材ネットワークを、1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物を含有する第2のグラフト組成物と接触させてもよい。かかる第2の組成物は、基材が、残留する共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を含有する場合、基材上にグラフトしてもよい。
【0081】
架橋基材ネットワークに共有結合したフリーラジカル開始剤は、活性化する際に2つのフリーラジカル基を形成し、フリーラジカル基のうち1つは基材に共有結合していなくてもよいことに留意すべきである。結果的に、グラフト組成物中の反応性構成成分の一部は、未結合のフリーラジカル基を介して重合して、ネットワークと共有結合していないポリマーを形成することができる。かかるポリマーは本明細書において、「副生物のポリマー」と呼ばれる。この副生物のポリマーは、グラフト組成物に架橋剤を含めることにより、グラフトポリマーネットワークとの共有結合を誘発することができる。組成物は、グラフトポリマーネットワークに共有結合していない副生物のポリマーの少なくとも一部を含有してもよい。これを達成するために、グラフト組成物の重合は、架橋剤が実質的に存在しない中で行われる。「架橋剤が実質的な存在しない」とは、グラフト組成物に使用される架橋剤が、化学量論量未満で幾分か(すなわち、副生成物のポリマーがネットワーク内で完全に架橋するのに必要な量未満)で存在することを意味する。いくつかの実施形態では、架橋剤は、グラフト組成物中に存在しない。
【0082】
グラフト組成物及び架橋基材ネットワークの活性化及び重合は、例えば、容器内で反応性構成成分と基材とを混合することにより実行することができる。希釈剤を場合により使用して、混合を容易にし、基材の膨潤を補助することができる(例えば、既に膨潤又は水和していない場合)。混合物を、共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤の活性化を引き起こす条件下にて、脱気、加熱、平衡化、及び照射してもよい。
【0083】
本発明の第1の反応性組成物及びグラフト組成物(複数可)は、反応性構成成分としてエチレン性不飽和化合物を含有する。エチレン性不飽和化合物は重合を受けて、本明細書に記載するポリマー組成物を形成する。理解されるように、様々なエチレン性不飽和化合物を本発明で使用することができる。
【0084】
エチレン性不飽和化合物は、第1の反応性組成物とグラフト組成物との間で同じであっても異なっていてもよいが、いくつかの実施形態では、各組成物中のエチレン性不飽和化合物のうちの少なくとも一部は異なっていることが好ましい。グラフト組成物とは異なる材料を、第1の反応性組成物に使用することにより、容易に相溶性ではない場合がある材料の所望の特性を組み合わせた眼科用装置を設計することが可能になる。これは本発明の利点の1つである。
【0085】
第1の反応性組成物及び/又はグラフト組成物に含めるためのエチレン性不飽和化合物は、独立して選択されるシリコーン含有構成成分を含み得る。
【0086】
シリコーン含有構成成分は、モノマー又はマクロマーから選択される1つ又は2つ以上の化合物を含み得、各化合物が、独立して、少なくとも1つの重合性基、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基(複数可)をシロキサン基(複数可)に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。シリコーン含有構成成分は、例えば、下記に定義される基などの1~220個のシロキサン繰り返し単位を含有してもよい。シリコーン含有構成成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。
【0087】
シリコーン含有構成成分は、上で定義された1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意に繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。シリコーン含有構成成分は、独立して、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又は前述のものの混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意に繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0088】
シリコーン含有構成成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル、又は前述の混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意に繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0089】
シリコーン含有構成成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又は前述の混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意に繰り返しシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0090】
式A.シリコーン含有構成成分は、式Aの1つ又は2つ以上のシロキサンモノマー又はマクロマーを含んでもよく、
【0091】
【化3】

式中、
少なくとも1つのRは、式R-L-の基であり、Rは、重合性基であり、Lは、連結基であり、残りのRは、それぞれ独立して、
(a)R-L-、
(b)1つ又は2つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意に置換されているC~C16アルキル、
(c)1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバマート、カルボナート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意に置換されているC~C12シクロアルキル、
(d)1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバマート、カルボナート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意に置換されているC~C14アリール基、
(e)ハロ、
(f)アルコキシ、環状アルコキシ、又はアリールオキシ、
(g)シロキシ、
(h)ポリエチレンオキシアルキル、ポリプロピレンオキシアルキル、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル)などのアルキレンオキシ-アルキル又はアルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、あるいは
(i)アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロ又はこれらの組み合わせで任意に置換されている1~100個のシロキサン繰り返し単位を含む一価シロキサン鎖であり、
nは、0~500、又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される。nが2以上であるとき、SiO単位は、同じ又は異なるR置換基を担持してもよく、異なるR置換基が存在する場合、n基は、ランダム又はブロック構成であってもよい。
式Aにおいて、3つのRは、それぞれ重合性基を含んでもよく、代替的に2つのRは、それぞれ重合性基を含んでもよく、又は代替的に1つのRは、重合性基を含んでもよい。
式B.式Aのシリコーン含有構成成分は、式Bの単官能性化合物であってもよく、
【0092】
【化4】

式中、
Rgは、重合性基であり、
Lは、連結基であり、
j1及びj2は、それぞれ独立して、0~220の整数であり、但し、j1及びj2の合計は1~220であり、
A1、RA2、RA3、RA4、RA5、及びRA7は独立して、それぞれの出現において、C~Cアルキル、C~C12シクロアルキル、C~Cアルコキシ、C~C12環状アルコキシ、アルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、アリール(例えば、フェニル)、アリール-アルキル(例えば、ベンジル)、ハロアルキル(例えば、部分的な若しくは完全なフッ素化アルキル)、シロキシ、フルオロ、又はこれらの組み合わせであり、前述の基の各アルキル基は、任意に1つ又は2つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、又はベンジルで置換されており、各シクロアルキルは任意に、1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、又はベンジルで置換されており、各アリールは任意に、1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、又はベンジルで置換されており、
A6は、シロキシ、C~Cアルキル(例えば、C~Cアルキル、又はブチル、又はメチル)、又はアリール(例えば、フェニル)であり、アルキル及びアリールは、1つ又は2つ以上のフッ素原子で任意に置換されていてもよい。
式B-1.式Bの化合物は、式B-1の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j1が0であり、j2が1~220であるか、又はj2が1~100であるか、又はj2が1~50であるか、又はj2が1~20であるか、又はj2が1~5であるか、又はj2が1である、式Bの化合物である。
B-2.式Bの化合物は、式B-2の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j1及びj2が、独立して4~100、又は4~20、又は4~10、又は24~100、又は10~100である、式Bの化合物である。
B-3.式B、B-1、及びB-2の化合物は、式B-3の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA1、RA2、RA3、及びRA4が、独立してそれぞれの出現において、C~Cアルキル又はシロキシである、式B、B-1、又はB-2の化合物である。好ましいアルキルは、C~Cアルキル、又はより好ましくはメチルである。好ましいシロキシは、トリメチルシロキシである。
B-4.式B、B-1、B-2、及びB-3の化合物は、式B-4の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA5及びRA7が、独立して、アルコキシ-アルキレンオキシ-アルキルであり、好ましくは、それらが独立して、式CHO-[CHCHO]-CHCHCH(式中、pは1~50の整数である)のメトキシでキャップされたポリエチレンオキシアルキルである、式B、B-1、B-2、又はB-3の化合物である。
B-5.式B、B-1、B-2、及びB-3の化合物は、式B-5の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA5及びRA7が、独立して、トリメチルシロキシ等のシロキシである、式B、B-1、B-2、又はB-3の化合物である。
B-6.式B、B-1、B-2、及びB-3の化合物は、式B-6の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA5及びRA7が、独立して、C~Cアルキル、代替的にC~Cアルキル、又は代替的にブチル若しくはメチルである、式B、B-1、B-2、又はB-3の化合物である。
B-7.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、及びB-6の化合物は、式B-7の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA6が、C~Cアルキル、好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル又はn-ブチル)である、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、又はB-6の化合物である。より好ましくは、RA6はn-ブチルである。
B-8.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、及びB-7の化合物は、式B-8の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリル、ビニルカーボネート、ビニルエーテル、ビニルカルバメート、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、(メタ)アクリレート、又は(メタ)アクリルアミドを含む、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、又はB-7の化合物である。好ましくは、Rgは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又はスチリルを含む。より好ましくは、Rgは、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリルアミドを含む。Rgが(メタ)アクリルアミドであるとき、窒素基は、RA9で置換されてもよく、RA9は、H、C~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、例えばn-ブチル、n-プロピル、メチル、若しくはエチル)、又はC~Cシクロアルキル(好ましくはC~Cシクロアルキル)であり、アルキル及びシクロアルキルは、ヒドロキシル、アミド、エーテル、シリル(例えば、トリメチルシリル)、シロキシ(例えば、トリメチルシロキシ)、アルキル-シロキサニル(アルキルは、それ自体がフルオロで任意に置換されている)、アリール-シロキサニル(アリールは、それ自体がフルオロで任意に置換されている)、及びシリル-オキサアルキレン(オキサアルキレンは、それ自体がヒドロキシルで任意に置換されている)から独立して選択される1つ又は2つ以上の基で任意に置換されている。
B-9.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、及びB-8の化合物は、式B-9の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン(好ましくはC~Cアルキレン)、シクロアルキレン(好ましくはC~Cシクロアルキレン)、アルキレンオキシ(好ましくはエチレンオキシ)、ハロアルキレンオキシ(好ましくはハロエチレンオキシ)、アミド、オキサアルキレン(好ましくは3~6個の炭素原子を含有する)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、カルバメート、アルキレンアミン(好ましくはC~Cアルキレンアミン)、又はこれらの2つ若しくは3つ以上の組み合わせを含み、連結基が、アルキル、ヒドロキシル、エーテル、アミン、カルボニル、シロキシ、及びカルバメートから独立して選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されている、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、又はB-8の化合物である。
B-10.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-10の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-シロキサニル-アルキレン-アルキレンオキシ-、又はアルキレン-シロキサニル-アルキレン-[アルキレンオキシ-アルキレン-シロキサニル]-アルキレンオキシ-(ここで、qは1~50である)である、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。
B-11.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-11の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、C~Cアルキレン、好ましくはC~Cアルキレン、より好ましくはn-プロピレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。
B-12.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-12の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-カルバメート-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。好ましくは、連結基はCHCHN(H)-C(=O)-O-CHCH-O-CHCHCHである。
B-13.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-13の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。好ましくは、連結基はCHCH-O-CHCHCHである。
B-14.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-14の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-[シロキサニル-アルキレン]-である(式中、qは1~50である)、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の例は、-(CH-[Si(CH-O-Si(CH-(CH-である。
B-15.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-15の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレンオキシ-カルバメート-アルキレン-シクロアルキレン-カルバメート-オキサアルキレンであり、シクロアルキレンが、1つ、2つ、又は3つの独立して選択されたアルキル基(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはメチル)で任意に置換されている、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の例は、-[OCHCH-OC(=O)-NH-CH-[1,3-シクロヘキシレン]-NHC(=O)O-CHCH-O-CHCH-であり、式中、シクロヘキシレンは、1位及び5位で3個のメチル基で置換されている。
B-16.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-16の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、アルキレンオキシであり、アルキレンオキシ中の各アルキレンが、独立して、ヒドロキシルで任意に置換されている、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の例は、-O-(CH-である。かかる連結基の別の例は、-O-CHCH(OH)CH-O-(CH-である。
B-17.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-17の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、アルキレンアミンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の例は、-NH-(CH-である。
B-18.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-18の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、ヒドロキシル、シロキシ、又はシリル-アルキレンオキシで任意に置換されているオキサアルキレンである(アルキレンオキシは、それ自体がヒドロキシルで任意に置換されている)、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の例は-CHCH(G)CH-O-(CH-(式中、Gはヒドロキシルである)である。別の例では、GはRSiO-であり、2つのR基はトリメチルシロキシであり、3番目はC~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはメチル)であるか、又は3番目はC~Cシクロアルキルである。更なる例では、GはRSi-(CH-O-CHCH(OH)CH-O-であり、2つのR基はトリメチルシロキシであり、3番目はC~Cアルキル(好ましくはC~Cアルキル、より好ましくはメチル)であるか、又はC~Cシクロアルキルである。なおも更なる例では、Gは、(メタ)アクリレートなどの重合性基である。そのような化合物は、架橋剤として機能し得る。
B-19.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-19の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、ヒドロキシルで任意に置換されているアミン-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の別の例は、-NH-CHCH(OH)CH-O-(CH-である。
B-20.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-20の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rgが、スチリルを含み、連結基が、アルキレンオキシ-カルバメート-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の例は、-O-(CH-N(H)C(=O)O-(CH-O-(CH-である。
B-21.式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、及びB-9の化合物は、式B-21の化合物を含んでもよく、これらは、式中、連結基が、アルキレン-カルバメート-オキサアルキレンである、式B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、又はB-9の化合物である。かかる連結基の例は、-(CH-N(H)C(=O)O-(CH-O-(CH-である。
式C.式A、B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、B-9、B-10、B-11、B-12、B-13、B-14、B-15、B-18、及びB-21のシリコーン含有構成成分としては、式Cの化合物を含んでもよく、これらは、次の構造を有する式A、B、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5、B-6、B-7、B-8、B-9、B-10、B-11、B-12、B-13、B-14、B-15、B-18、又はB-21の化合物であり、
【0093】
【化5】

(式中、
A8は水素又はメチルであり、
Zは、O、S、又はN(RA9)であり、
L、j1、j2、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、RA6、RA7、及びRA9は、式B又はその様々な下位式(例えば、B-1、B-2等)で定義される通りである)。
C-1.式Cの化合物は、式C-1の(メタ)アクリレートを含んでもよく、これらは、式中、ZがOである、式Cの化合物である。
C-2.式Cの化合物は、式C-2の(メタ)アクリルアミドを含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9がHである、式Cの化合物である。
C-3.式Cの化合物は、式C-3の(メタ)アクリルアミドを含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9が非置換であるか、又は上述のように任意に置換されているC~Cアルキルである、式Cの化合物である。RA9の例としては、CH、-CHCH(OH)CH(OH)、-(CH-シロキサニル、-(CH-SiR、及び-CHCH(OH)CH-O-(CH-SiRが挙げられ、上記の基の各Rは、トリメチルシロキシ、C-Cアルキル(好ましくはC-Cアルキル、より好ましくはメチル)、及びC~Cシクロアルキルから独立して選択される。RA9の更なる例としては、-(CH-Si(Me)(SiMe、及び-(CH-Si(Me)-[O-SiMe1-10-CHが挙げられる。
式D.式Cの化合物は、式Dの化合物を含んでもよい:
【0094】
【化6】

(式中、
A8は水素又はメチルであり、
は、O又はN(RA9)であり、
は、1~8個の炭素原子を含有するアルキレン、又は3~10個の炭素原子を含有するオキサアルキレンであり、Lは、ヒドロキシルで任意に置換されており、
j2、RA3、RA4、RA5、RA6、RA7、及びRA9は、式B又はその様々な下位式(例えば、B-1、B-2等)で定義される通りである)。
D-1.式Dの化合物は、式D-1の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Lが、ヒドロキシルで任意に置換されているC~Cアルキレンである、式Dの化合物である。好ましくは、Lは、ヒドロキシルで任意に置換されているn-プロピレンである。
D-2.式Dの化合物は、式D-2の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Lが、ヒドロキシルで任意に置換されている4~8個の炭素原子を含有するオキサアルキレンである、式Dの化合物である。好ましくは、Lは、ヒドロキシルで任意に置換されている5又は6個の炭素原子を含有するオキサアルキレンである。例としては、-(CH-O-(CH-及び-CHCH(OH)CH-O-(CH-が挙げられる。
D-3.式D、D-1、及びD-2の化合物は、式D-3の化合物を含んでもよく、これらは、式中、ZがOである、式D、D-1、又はD-2の化合物である。
D-4.式D、D-1、及びD-2の化合物は、式D-4の化合物を含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9がHである、式D、D-1、又はD-2の化合物である。
D-5.式D、D-1、及びD-2の化合物は、式D-5の化合物を含んでもよく、これらは、式中、ZがN(RA9)であり、RA9が、ヒドロキシル、シロキシ、及びC~Cアルキル-シロキサニル-から選択される1つ又は2つの置換基で任意に置換されているC~Cアルキルである、式D、D-1、又はD-2の化合物である。
D-6.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、及びD-5の化合物は、式D-6の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j2が1である、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、又はD-5の化合物である。
D-7.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、及びD-5の化合物は、式D-7の化合物を含んでもよく、これらは、式中、j2が2~220、又は2~100、又は10~100、又は24~100、又は4~20、又は4~10である、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、又はD-5の化合物である。
D-8.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6、及びD-7の化合物は、式D-8の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA3、RA4、RA5、RA6、及びRA7が独立して、C~Cアルキル又はシロキシである、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6、又はD-7の化合物である。好ましくは、RA3、RA4、RA5、RA6、御飛びRA7は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル及びトリメチルシロキシから独立して選択される。より好ましくは、RA3、RA4、RA5、RA6、及びRA7は、メチル、n-ブチル及びトリメチルシロキシから独立して選択される。
D-9.式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6、及びD-7の化合物は、式D-9の化合物を含んでもよく、これらは、式中、RA3 及びRA4が、独立してC~Cアルキル(例えば、メチル又はエチル)又はシロキシ(例えば、トリメチルシロキシ)であり、RA5、RA6、及びRA7が独立して、C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル又はn-ブチル)である、式D、D-1、D-2、D-3、D-4、D-5、D-6、又はD-7の化合物である。
式E.本発明で使用するシリコーン含有構成成分は、多官能性シリコーン含有構成成分を含んでもよい。したがって、例えば、式Aのシリコーン含有構成成分は、式Eの二官能性材料を含んでもよく、
【0095】
【化7】

(式中、
Rg、L、j1、j2、RA1、RA2、RA3、RA4、RA5、及びRA7は、式B又はその様々な下位式(例えば、B-1、B-2等)について上に定義される通りである)。
は、連結基であり、
Rgは、重合性基である)。
E-1.式Eの化合物は、式E-1の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rg及びRgがそれぞれ、構造CH=CH-O-C(=O)-O-又は構造CH=C(CH)-O-C(=O)-O-のビニルカーボネートである、式Eの化合物である。
E-2.式Eの化合物は、式E-2の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rg及びRgがそれぞれ、(メタ)アクリレートである、式Eの化合物である。
E-3.式Eの化合物は、式E-3の化合物を含んでもよく、これらは、式中、Rg及びRgが、それぞれ(メタ)アクリルアミドであり、窒素基が、RA9で置換されてもよい(RA9は上で定義される通りである)、式Eの化合物である。
E-4.式E、E-1、E-2、及びE-3の好適な化合物は、式E-4の化合物を含み、これらは、式中、j1が0であり、j2が1~220であるか、又はj2が1~100であるか、又はj2が1~50であるか、又はj2が1~20である、式E、E-1、E-2、又はE-3の化合物である。
E-5.式E、E-1、E-2、及びE-3の好適な化合物は、式E-5の化合物を含み、これらは、式中、j1及びj2が、独立して、4~100である、式E、E-1、E-2、又はE-3の化合物である。
E-6.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、及びE-5の好適な化合物は、式E-6の化合物を含み、これらは、式中、RA1、RA2、RA3、RA4、及びRA5が、独立して、それぞれの出現において、C~Cアルキルであり、好ましくは、それらが、独立して、C~Cアルキルであるか、又は好ましくは、それぞれがメチルである、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、又はE-5の化合物である。
E-7.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、及びE-6の好適な化合物は、式E-7の化合物を含み、これらは、式中、RA7が、アルコキシ-アルキレンオキシ-アルキルであり、好ましくは、式CHO-[CHCHO]-CHCHCH(式中、pは、1~50、又は1~30、又は1~10、又は6~10の整数である)のメトキシキャップされたポリエチレンオキシアルキルである、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、又はE-6の化合物である。
E-8.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、及びE-7の好適な化合物は、式E-8の化合物を含み、これらは、式中、Lが、アルキレン、カルバメート、シロキサニル、シクロアルキレン、アミド、ハロアルキレンオキシ、オキサアルキレン、又はこれらの2つ又は3つ以上の組み合わせを含み、連結基が、アルキル、ヒドロキシル、エーテル、アミン、カルボニル、及びカルバメートから独立して選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されている、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、又はE-7の化合物である。
E-9.式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、E-7、及びE-8の好適な化合物は、式E-9の化合物を含み、これらは、式中、Lが、アルキレン、カルバメート、シロキサニル、シクロアルキレン、アミド、ハロアルキレンオキシ、オキサアルキレン、又はこれらの2つ又は3つ以上の組み合わせを含み、連結基が、アルキル、ヒドロキシル、エーテル、アミン、カルボニル、及びカルバメートから独立して選択される1つ又は2つ以上の置換基で任意に置換されている、式E、E-1、E-2、E-3、E-4、E-5、E-6、E-7、又はE-8の化合物である。
【0096】
本発明での使用に好適なシリコーン含有構成成分の例としては、限定するものではないが、表Aに列挙される化合物が挙げられる。表Aの化合物がポリシロキサン基を含有する場合、このような化合物におけるSiO繰り返し単位の数は、別途記載のない限り、好ましくは3~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~20である。
【0097】
【表1-1】
【0098】
【表1-2】
【0099】
好適なシリコーン含構成有成分の更なる非限定的な例は、表Bに列挙されている。別途記載のない限り、適用可能であるj2は、好ましくは1~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。j1又はj2を含有する化合物において、j1とj2の合計は、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。
【0100】
【表2-1】
【0101】
【表2-2】
【0102】
第1の反応性組成物及び/又はグラフト組成物に含めるためのエチレン性不飽和化合物は、独立して選択される親水性構成成分を含み得る。親水性構成成分としては、残りの反応性構成成分と組み合わせた際に、得られた組成物に対して少なくとも約20%又は少なくとも約25%の含水量を付与することが可能なものが挙げられる。好適な親水性構成成分としては、親水性モノマー、プレポリマー、及びポリマーが挙げられる。好ましくは、親水性構成成分は、少なくとも1つの重合性基、及び少なくとも1つの親水性官能基を有する。重合性基の例としては、アクリル、メタクリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、フマル酸、マレイン酸、スチリル、イソプロペニルフェニル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、アリル、O-ビニルアセチル及びN-ビニルラクタム及びN-ビニルアミドの二重結合が挙げられる。
【0103】
「ビニル型」又は「ビニル含有」モノマーという用語は、ビニル基(-CH=CH)を有するモノマーを意味し、一般的に反応性が高い。そのような親水性ビニル含有モノマーは、比較的容易に重合することが知られている。
【0104】
「アクリル系」モノマー又は「アクリル含有」モノマーは、アクリル基(CH=CRCOX)を含有するモノマーであり、Rは、H又はCHであり、Xは、O又はNであり、そのモノマーはまた、容易に重合することが知られており、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、これらの混合物等である。
【0105】
少なくとも1つのヒドロキシル基(ヒドロキシアルキルモノマー)を有する親水性モノマーが使用され得る。ヒドロキシルアルキル基は、C~Cモノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1~10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され得るか、又は2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、若しくは2-ヒドロキシプロピル、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0106】
ヒドロキシアルキルモノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシプロピル2-(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0107】
ヒドロキシアルキルモノマーはまた、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0108】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート又はグリセロールメタクリレートを含んでもよい。
【0109】
約3重量%超の量の親水性ポリマーが所望されるとき、ヒドロキシル含有(メタ)アクリルアミドは、概して、過度に親水性であるため、ヒドロキシアルキルモノマーを相溶化する際に含まれることができず、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートは、反応性組成物中に含まれてもよく、より少ない量のヒドロキシアルキルモノマーが、最終的なレンズに約50%未満又は約30%未満のヘイズ値を提供するように選択されてもよい。
【0110】
ヒドロキシル成分の量は、ヒドロキシアルキルモノマーにおけるヒドロキシル基の数、シリコーン含有構成成分における親水性官能基の量、分子量及び存在を含む多数の要因に依存して変動することが理解されよう。親水性ヒドロキシル構成成分は、約15%以下、約10重量%以下、約3~15重量%、又は約5~15重量%の量で反応性組成物中に存在し得る。
【0111】
ポリマー組成物に組み込まれ得る親水性ビニル含有モノマーとしては、親水性N-ビニルラクタム及びNビニルアミドモノマー等のモノマーが挙げられ、これらは、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチルウレア、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-カルボキシビニル-β-アラニン(VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン、N-ビニルイミダゾール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0112】
本発明で使用され得る親水性O-ビニルカルバメート及びO-ビニルカーボネートモノマーとしては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示され、親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0113】
使用され得るビニルカルバメート及びカーボネートの例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステル、他の親水性ビニルモノマー(ビニルイミダゾール、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、2-エチルオキサゾリン、ビニルアセテート、アクリロニトリルを含む)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0114】
(メタ)アクリルアミドモノマーもまた、親水性モノマーとして使用され得る。例としては、N-N-ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、アクリロニトリル、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、上で列挙されたヒドロキシル官能性(メタ)アクリルアミドのいずれかが挙げられる。
【0115】
本明細書に開示されるポリマー中に組み込まれてもよい親水性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N--ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ビスヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルメタアセトアミド(VMA)及びポリエチレングリコールモノメタクリレートから選択されてもよい。
【0116】
親水性モノマーは、DMA、NVP、VMA、NVA及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0117】
親水性モノマーは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの、直鎖又は分岐ポリ(エチレン)グリコール、ポリ(プロピレングリコール)、あるいは統計的にランダム又はブロックコポリマーのマクロマーであってもよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの重合性基を有する。かかる重合性基の非限定的な例としては、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、及び他のビニル化合物が挙げられる。これらのポリエーテルのマクロマーは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びこれらの混合物を含んでもよい。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0118】
親水性モノマーはまた、限定されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、3-アクリルアミドプロピオン酸(ACA1)、4-アクリルアミド酪酸、5-アクリルアミドペタノン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチル酪酸(AMBA)、N-ビニルオキシカルボニル-α-アラニン、N-ビニルオキシカルボニル-β-アラニン(VINAL)、2-ビニル-4,4-ジメチル-2-オキサゾリン-5-オン(VDMO)、反応性スルホン酸塩(例えば、ナトリウム-2-(アクリルアミド)-2-メチルプロパンスルホン酸塩(AMPS)、3-スルホプロピル(メタ)アクリレートカリウム塩、3-スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム塩、ビス3-スルホプロピルイタコネート二ナトリウム、ビス3-スルホプロピルイタコネート二カリウム、ビニルスルホネートナトリウム塩、ビニルスルホネート塩、スチレンスルホネート、スルホエチルメタクリレート、これらの組み合わせなど)を含む荷電モノマーを含むことができる。
【0119】
親水性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N-ビニルメタセトアミド(VMA)、及びN-ビニルN-メチルアセトアミド(NVA)、N-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、モノ-グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ビスヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0120】
親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0121】
親水性モノマー(複数可)(ヒドロキシルアルキルモノマーを含む)は、全ての反応性構成成分の重量に基づいて、最大約60重量%まで、約1~約60重量%、約5~約50重量%、又は約5~約40重量%の量で存在し得る。
【0122】
採用され得る他の親水性モノマーとしては、末端ヒドロキシル基のうちの1つ又は2つ以上が重合性基で置き換えられているポリオキシエチレンポリオールが挙げられる。例としては、末端ヒドロキシル基のうちの1つ又は2つ以上が重合性基で置き換えられているポリエチレングリコールが挙げられる。例としては、イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」)、メタクリル酸無水物、塩化メタクリロイル、塩化ビニルベンゾイルなどのエンドキャッピング基1モル当量以上と反応して、カルバメート又はエステル基などの結合部分によってポリエチレンポリオールに結合した1個又は2個以上の末端重合性オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを生成する、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0123】
更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、及び米国特許第4,190,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0124】
本明細書に開示されているポリマー組成物に組み込まれ得る親水性モノマーとしては、親水性モノマー、例えばN,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルメタクリルアミド、HEMA、及びポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(mPEG)が挙げられる。
【0125】
親水性モノマーとしては、DMA、NVP、HEMA、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0126】
第1の反応性組成物及び/又はグラフト組成物は、1つ又は2つ以上の独立して選択される、エチレン性不飽和ベタインなどのエチレン性不飽和双性イオン化合物を含有してもよい。好ましくは、双性イオン化合物は、グラフト組成物中に存在する。好適な化合物の例としては、N-(2-カルボキシエチル)-N,Nジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-1-プロパンアミニウム分子内塩(CAS79704-35-1、3-アクリルアミド-N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミニウム又はCBTとしても知られている);3-メタクリルアミド-N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミニウム;N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]3-スルホ-1-プロパンアミニウム分子内塩(CAS80293-60-3、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオプロパン-1-スルホネート又はSBTとしても知られている);3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン1-スルホネート;3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ分子内塩4-オキシド(CAS 163674-35-9、「PBT」);2-(アクリルアミドエトキシ)-(2-(トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェート;2-(メタクリルアミドエトキシ)-(2-(トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェート;4-ヒドロキシ-N,N,N,10-テトラメチル-9-オキソ-3,5,8-トリオキサ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム分子内塩4オキシド(CAS67881-98-5、2-(メタクリロイルオキシ)エチル(2-トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェート又はMPCとしてもまた知られている);又は2-(アクリルオキシ)エチル(2-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが挙げられる。
【0127】
第1の反応性組成物及び/又はグラフト組成物は、1つ又は2つ以上の独立して選択されるエチレン性不飽和四級アンモニウム塩を含有し得る。好ましくは、四級アンモニウム塩は、グラフト組成物中に存在する。好適な化合物の例としては、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド;2-(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド;3-メタクリルアミド-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウムクロリド;又は3-アクリルアミド-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウムクロリドが挙げられる。
【0128】
第1の反応性組成物及び/又はグラフト組成物は、1つ又は2つ以上の独立して選択されるエチレン性不飽和活性薬学的成分を含有し得る。好ましくは、活性薬学的化合物は、グラフト組成物中に存在する。好適な化合物の例としては、シクロスポリン又はサリチレートモノマーが挙げられる。
【0129】
第1の反応性組成物及び/又はグラフト組成物は、1つ又は2つ以上の独立して選択されるエチレン性不飽和ペプチドを含有し得る。好ましくは、ペプチドは、グラフト組成物中に存在する。例示的な化合物としては、例えば、ペプチドのアミノ末端が、既知の共試薬及び触媒と共に、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル無水物、イソプロペニルα,α-ジメチルベンジルイソシアネート、及び2-イソシアナトエチルメタクリレートなどのアシル化剤でアシル化されて、本発明の反応性組成物に組み込むのに好適なモノマーを形成することができるものが挙げられる。
【0130】
本発明の第1の反応性組成物は架橋剤を含有する。架橋剤は、任意にグラフト組成物中に存在し得る。シリコーン含有及び非シリコーン含有架橋剤、及びこれらの混合物を含む、様々な架橋剤を使用してもよい。好適な架橋剤の例としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、2,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(methacryloxyethyl vinylcarbonate、HEMAVc)、アリールメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(methylene bisacrylamide、MBA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコールは、好ましくは、5,000ダルトンまでの分子量を有する)が挙げられる。架橋剤は、当業者に既知の典型的な量、例えば、反応組成物中の反応性構成成分100g当たり約0.000415~約0.0156モルで使用される。
【0131】
親水性モノマー又はシリコーン含有モノマーなどのエチレン性不飽和化合物が、例えば二官能性又は多官能性に起因して架橋剤として作用する場合、別の架橋剤を反応組成物に添加することは任意である。この場合、エチレン性不飽和化合物もまた架橋剤であると考えられる。架橋剤として作用可能であり、存在する場合、反応組成物に追加の架橋剤を添加する必要のない親水性モノマーの例としては、2つ又は3つ以上の末端メタクリレート部分を含有する、上述したポリオキシエチレンポリオールが挙げられる。架橋剤として作用することができ、存在する場合、反応組成物に架橋モノマーを添加する必要のないシリコーン含有モノマーの例としては、α、ω-ビスメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンが挙げられる。更に、上で開示された多官能性シリコーン含有構成成分のいずれかは、架橋剤として使用され得る。
【0132】
第1の反応性組成物及びグラフト組成物のうちのいずれか又は両方は、限定されるものではないが、UV吸収剤、高エネルギー可視光(HEV)吸収剤、光互変性化合物、薬学的化合物及び栄養補助化合物、抗菌化合物、反応性着色料、顔料、共重合性及び非重合性染料、剥離剤、並びにこれらの組み合わせ等の追加の構成成分を含有してもよい。第1及び/又はグラフト組成物中に存在し得る他の構成成分としては、米国特許第6,367,929号、国際公開第03/22321号、同第03/22322号に開示のものなどの湿潤剤、米国特許出願公開第2003/162862号及び同第2003/125498号に開示のものなどの相溶性化構成成分が挙げられる。添加構成成分の総量は約20重量%までであってもよい。反応性組成物は、最大約18重量%までの湿潤剤、又は約5~約18重量%の湿潤剤を含み得る。
【0133】
本明細書で使用する場合、湿潤剤は、約5,000ダルトン超、約150,000ダルトン~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトン、又は約500,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有する親水性ポリマーである。
【0134】
本発明の第1の反応性組成物及び/又はグラフト組成物に添加され得る任意の湿潤剤の量は、使用する他の構成成分、及び得られる生成物の所望の性質に応じて変動し得る。存在するとき、反応性組成物中の内部湿潤剤は、全て反応性成分の全ての総重量に基づいて、約1重量パーセント~約20重量パーセント、約2重量パーセント~約15パーセント、又は約2~約12パーセントの量で含まれ得る。好ましくは、湿潤剤は、使用されるとき、第1の反応性組成物中に存在する。
【0135】
湿潤剤としては、限定されるものではないが、ホモポリマー、統計的ランダムコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、セグメント化ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。内部湿潤剤の非限定的例は、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、ポリエーテル、ポリ酸ホモポリマー、並びにアクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル化合物を含む好適なモノマーのフリーラジカル重合によって調製されたコポリマーである。湿潤剤は、本明細書に列挙されたものを含む、任意の親水性モノマーから製造され得る。
【0136】
湿潤剤は、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である非環状ポリアミドを含み得る。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、またヒドロキシル基との会合が可能である。
【0137】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式XXIX又は式XXX:
【0138】
【化8】

(式中、Xは、直接結合、-(CO)-若しくは-(CO)-NHR-であり、R26及びR27は、H若しくはメチル基であり、RはC~Cアルキル基であり、Rは、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換のC~Cアルキル基から選択され、Rは、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換のC~Cアルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され、Rは、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換のC~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル及びヒドロキシメチルから選択され、Rは、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換のC~Cアルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、RとRを合わせた炭素原子の数は、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下であり、RとRを合わせた炭素原子の数は、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下である)の繰り返し単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられる。RとRを合わせた炭素原子の数は、合計で6以下又は4以下であってもよい。RとRを合わせた炭素原子の数は、合計で6以下であってもよい。本明細書で使用する場合、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基又はこれらの組み合わせにより置換されたアルキル基を含む。
【0139】
及びRは、独立して、H、置換又は非置換のC~Cアルキル基から選択することができる。Xは、直接結合であってもよく、R及びRは、独立して、H、置換又は非置換のC~Cアルキル基から選択され得る。
【0140】
及びRは、独立して、H、置換又は非置換のC~Cアルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル及びヒドロキシメチルから選択することができる。
【0141】
本発明の非環状ポリアミドは、式XXIX又は式XXXの反復単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%を含む、少なくとも50モル%の式XXIX又は式XXXの反復単位を含み得る。
【0142】
式XXIX及び式XXXの反復単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチルウレア、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに式XXXI及びXXXIIの非環状アミド由来の反復単位が挙げられる。
【0143】
【化9】
【0144】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式XXXIII:
【0145】
【化10】

(式中、fは1~10の数であり、Xは直接の結合、-(CO)-、又は-(CO)-NH-R-であり、RはC~Cアルキル基であり、R28は水素原子又はメチル基である)の反復単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられる。式XXXIII中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式XXXIIIにおいて、fは6以下であってもよく、5、4、3、2、又は1を含む、あるいは、2~8であってもよく、2、3、4、5、6、7、又は8を含み、あるいは、2又は3であってもよい。
【0146】
Xが直接結合のとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)であり得る。
【0147】
環状ポリアミドは、50モル%以上の式XXXIIIの反復単位を含むことができ、又は、環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも約80モル%を含む、少なくとも約50モルの式XXXIIIの反復単位を含むことができる。
【0148】
式XXXIIIの反復単位の具体例としては、PVPホモポリマー、及びビニルピロリドンコポリマー又はホスホリルコリンなどの親水性置換基と置換されたN-ビニルピロリドンを形成する、N-ビニルピロリドン由来の反復単位が挙げられる。
【0149】
ポリアミドはまた、環状アミド、非環状アミド反復単位を含むコポリマー、又は環状及び非環状アミド反復単位の両方を含むコポリマーであり得る。追加の反復単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、又は他の親水性モノマー及びシロキサン置換アクリレート若しくはメタクリレートから選択されたモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の反復単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート及びヒドロキシブチルメタクリレート、GMMA、PEGSなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-(dimethyl(4-vinylbenzyl)ammonio)propane-1-sulfonate、DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-((3-acrylamidopropyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-((3-methacrylamidopropyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-((3-(acryloyloxy)propyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(methacryloyloxy)propyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、MAPDAPS)が挙げられる。
【0150】
反応性組成物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方、又はこれらのコポリマーを含み得る。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。
【0151】
湿潤剤は、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの組み合わせから製造され得る。湿潤剤はまた、例えば、内部湿潤剤のHEMA反復単位上のペンダントヒドロキシル基とメタクリロイルクロリド又はメタクリロイル無水物との間のアシル化反応によって作製される、重合性基を有することによって、本明細書に定義される、反応性構成成分でもあり得る。官能化の他の方法が当業者にとって明らかであろう。
【0152】
かかる内部湿潤剤は、米国特許第6367929号、同第6822016号、同第7,052,131号、同第7666921号、同第7691916号、同第7786185号、同第8022158号、及び同第8450387号に開示されている。
【0153】
一般に、反応性組成物中の反応性構成成分は、希釈剤中に分散又は溶解していてもよい。好適な希釈剤は、当技術分野において既知である、又は、当業者により容易に決定することができる。例えば、シリコーンヒドロゲルが調製される際、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6,020,445号(その開示は、本明細書に参照により組み込まれる)に開示されている。
【0154】
シリコーンヒドロゲル反応混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミン由来の10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が含まれる。一級及び二級アルコールが好ましい。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。
【0155】
使用することができる具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0156】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0157】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、これらの混合物などが挙げられる。
【0158】
非シリコーン含有反応組成物のための好適な希釈剤には、グリセリン、エチレングリコール、エタノール、メタノール、酢酸エチル、塩化メチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、限定されるものではないが二価アルコールのホウ酸エステルなど、並びにこれらの組み合わせなどの米国特許第4,018,853号、同第4,680,336号、及び同第5,039,459号において開示されるような、低数平均分子量ポリビニルピロリドン(PVP)などが含まれる。
【0159】
希釈剤の混合物を使用してもよい。希釈剤は、反応性組成物中の全構成成分の合計の、約55重量%までの量で使用してもよい。更に好ましくは、反応性組成物中の全成分の合計の約45重量%未満の量、更に好ましくは、約15~約40重量%の量で使用される。
【0160】
好ましい態様では、本発明の架橋基材ネットワークは、シリコーンヒドロゲル(MAPO基等の共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を含有する)であり得、グラフト組成物は、重合に続いて、例えば、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)(PDMA)、重合ポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、約300~約1000の数平均分子量を有する)(ポリ(mPEG))、2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマー、2-(メタクリロイルオキシ)エチル(2-(トリメチルアンモニオ)エチル)ホスフェート(MPC)を含む、親水性グラフト材料(任意に帯電していてもよい)を提供し得る。かかるグラフトポリマーネットワークは、眼科用装置で使用するとき、改善された生体適合性及び生物測定を示すことができる。
【0161】
架橋基材ネットワークは、従来のヒドロゲル(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマーを含み、MAPO基を含有する)であってもよく、グラフト組成物は、重合に続いて、ポリアミドなどの親水性グラフト材料(任意に帯電していてもよい)を提供する。例としてはPDMA、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(N-ビニルN-メチルアセトアミド)(PVMA)、及びこれらのコポリマーが挙げられる。かかるグラフトポリマーネットワークは、例えば、眼科用装置で使用する場合に、改善された生体適合性及び生物測定を示すことができる。
【0162】
架橋基材ネットワークは、従来のヒドロゲル(例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸とのコポリマーであり、MAPO基を含有する)であってもよく、グラフト組成物は、重合に続いて、疎水性シロキサン含有材料を提供する。かかるグラフトポリマーネットワークは、所望の物理的及び機械的特性、例えば酸素ガス透過性(Dk)及び弾性率、並びに改善された生体適合性及び取り扱い性を示すことができる。
【0163】
1つ又は2つ以上のシリコーン含有構成成分を含有するコンタクトレンズなどの眼科用装置に関して、シリコーン含有構成成分は好ましくは、第1の反応性組成物及び反応性の第2の組成物を含む、存在する全ての反応性構成成分を基準にして、約95重量%以下、又は約10~約80、又は約20~約70重量%で存在することができる。好適な親水性構成成分は、好ましくは、第1の反応性組成物及びグラフト組成物を含む、存在する全ての反応性構成成分に基づいて、約10~約60重量%、又は約15~約50重量%、又は約20~約40重量%の量で存在してもよい。
【0164】
本発明のポリマー組成物作製するためのプロセスには、追加の任意の工程が含まれてもよいことに留意すべきである。例えば、工程(b)の後に、インク又は染料を架橋基材ネットワークに添加してもよい。次に、残りの工程(工程(c)など)を実行してもよい。これにより、インク又は染料がグラフトポリマーネットワーク内に挟まれることが可能となる。
【0165】
更に、前述のプロセスによって形成される眼科用装置は、グラフト組成物と他の試薬との間の1つ又は2つ以上の化学反応によって更に修飾されて、他の機能性を導入するか、又は表面特性を改変することができる。例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)を架橋基材ネットワーク上にグラフトすることにより、グラフト組成物及び/又は最終物品に追加の特色を提供する他の分子と(例えば、アシル化反応によって)更に反応させることができるヒドロキシ基を提供する。かかる分子は、UV-VIS遮断剤、染料、顔料、ペプチド、プロドラッグなどの生物活性化合物であり得る。架橋基材ネットワーク上にポリアクリル酸をグラフトすることにより、既に上述したように、他の分子と(例えば、活性エステル方法論によって)更に反応させることができるカルボキシレート基を提供する。更に、架橋基材ネットワークとしてシリコーンヒドロゲル、及び次いでポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(グリシジルメタクリレート)、又はこれらのコポリマーでグラフトされたコンタクトレンズの場合、得られるポリ(酸/エポキシ)コーティング又は下塗りされたコンタクトレンズは、コンタクトレンズの表面特性を改変するための層コーティング技術による様々な層で使用することができる。
【0166】
コンタクトレンズなどの眼科用装置では、架橋基材ネットワークは、その装置を所望のものにする特性をバランスよく備えたシリコーンヒドロゲルであるのが好ましい。これらの性質としては、含水量、ヘイズ、接触角、弾性率、酸素透過性、液体の取り込み、リゾチームの取り込み、及びPQ1の取り込みが挙げられる。好ましい性質の例を、以下に示す。全ての値の前には「約」が付き、眼科用装置は列挙する性質の任意の組み合わせを有することができる。
含水量:少なくとも20%、又は少なくとも25%
ヘイズ:30%以下、又は10%以下
動的接触角(Dynamic contact angle)DCA(°):100°以下、又は50°以下
弾性率(psi):120以下、又は80~120
酸素透過性(Dk(バレル)):少なくとも80、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200
破断伸び:少なくとも100
イオン性シリコーンヒドロゲルに関しては、(前述したものに加えて)以下の性質もまた好ましい場合がある:
リゾチーム取り込み(μg/レンズ):少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも500、又は少なくとも700
ポリクオタニウム-1(Polyquaternium-1、PQ1)取り込み(%):15以下、又は10以下、又は5以下
【0167】
最終の眼科用装置は、様々な技術により製造することができる。例えば、ヒドロゲルコンタクトレンズの場合、上述した第1の反応性組成物は、成形型内で硬化される、又は回転成形若しくは静的成形により形成することができる。回転成形の方法は、米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示され、静的成形の方法は、米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。一実施形態では、本発明のコンタクトレンズは、ヒドロゲルの直接成形により形成され、これは、経済的であり、水和コンタクトレンズの最終形状に対する正確な制御を可能にするものである。本方法に関して、第1の反応性組成物が、所望の形状を有する成形型に配置され、反応性組成物が上述した条件に通され、これにより、反応性構成成分が重合して、適切な形状を有する最終の所望の生成物内に架橋基材ネットワークを作製する。
【0168】
かかる硬化後に形成された架橋基材ネットワークは、成形型から機械的に解放されてもよい。次いで、架橋基材ネットワークをグラフト組成物(任意に希釈剤を含有してもよい)中に浸漬し、反応性組成物を架橋基材ネットワーク内に所望のレベルまで行き渡らせるのに十分な時間が許容され得る。その後、懸濁液を照射してグラフト生成物を形成し、次いでコンタクトレンズを抽出して未反応の構成成分を除去してもよい。
【0169】
架橋基材ネットワーク及びコンタクトレンズの抽出は、従来の抽出用流体(そのような有機溶媒は例えばアルコール)を使用して行うことができる、又は、水溶液を使用して抽出することができる。水溶液は、水を含む溶液である。水溶液は、少なくとも約30重量%の水、又は少なくとも約50重量%の水、少なくとも約70%の水、又は少なくとも約90重量%の水を含んでいてもよい。水性抽出のための例示的な溶液としては、水(脱イオン水を含む)、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、又はそれらの2つ若しくは3つ以上の混合物を挙げることができる。
【0170】
抽出は、例えば、架橋基材ネットワーク若しくはコンタクトレンズを水溶液中に浸漬すること、又は材料を水溶液の流れに曝露することにより達成することができる。抽出はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型助剤の濃度を、架橋基材ネットワークの成形型からの離型が生じるのに十分な濃度にまで増大すること、機械的又は超音波撹拌すること、少なくとも1つの浸出助剤を水溶液に組み込んで、未反応の構成成分を、架橋基材ネットワーク又はコンタクトレンズから十分除去することを容易にするのに十分な濃度にすること、のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われてもよい。
【0171】
いくつかの実施形態は、物理的撹拌を加えて、浸出及び離型を容易にすることもまた含むことができる。例えば、架橋基材ネットワークが接着する架橋基材ネットワークの成形型部分は、振動できる、又は水溶液中で前後に移動することが可能であってもよい。他の実施形態には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0172】
コンタクトレンズは、限定されるものではないが、高圧蒸気滅菌など周知の手段により消毒されることができる。
【0173】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例にて詳細に記述する。
【実施例
【0174】
コンタクトレンズ径(DM)は、Nikon Elements分析ソフトウェアを使用して、較正されたNikon Stereo Microscopeで測定した。較正は、固定倍率で既知の寸法の円形較正測定ツールを使用して行った。コンタクトレンズを凹面を下にして、図1に列挙したそれぞれの塩溶液を完全に満たした結晶セルに入れた。キャップを、空気がその下にトラップされないように留意して、セルの上に配置した。次いで、細胞を顕微鏡ステージ上に置き、レンズ像に焦点を合わせて直径を測定した。測定を既知の標準に対して較正した。典型的には、2つの直径測定を行い、平均値を図1に示すグラフで使用する。
【0175】
フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを、Thermo Scientific Nicolet iS50の計器を使用して測定した。透過FTIRスペクトルは、ビームがレンズの中心を通過し、それによって、「バルク」又は全体の組成情報を得るように、レンズを試料チャンバーに搭載することによって測定された。全反射測定法(ATR)FTIRスペクトルを、標準的なダイヤモンドATR結晶(45°入射角)を使用して測定し、それによって「表面」組成情報を得た。ピーク高さ分析は、Thermo Scientific OMNIC(商標)ソフトウェアを使用して行った。
【0176】
試料の調製:透過又はATR FTIR分析のいずれかを行う前に、試験レンズを重水素化生理食塩水に1時間浸漬する。水を酸化重水素と交換して、FTIRスペクトル内の水帯域をシフトさせて、スペクトルのアミドカルボニル領域を観察するための透明なスペクトル領域をもたらす。重水素化生理食塩水は、水の代わりに酸化重水素を使用して、ISO-10344に従って調製される。重水素化生理食塩水から除去した後、試験レンズは、透過又はATR分析のいずれかによって分析される。透過分析のために、生検パンチを使用して4mmディスクをレンズの中心から切断する(厚さ約100μm)。切除されたレンズの切片を、(2.5mmの)ダイヤモンド圧縮セルに配置し、固定して試料を薄くし、それによって、材料を通したFTIRビームの透過を可能にする。圧縮度は、対象とするスペクトルのピークが2未満の吸光度の単位を有するものである。ビーム凝縮器は、狭いビームのくびれを形成するために使用され、それによって、FTIRビームのより大きな部分が試料に浸透することを可能にする。ATR分析のために、アンカットレンズ(uncut lens)の中心をダイヤモンドATR結晶上に置き、デジタル力アダプタを備えた圧力クランプで所定の位置に保持して、加えられた力(約0.5kgf)を監視する。
【0177】
データの取得:分析前、背景のスキャンを、レンズ試料なしの空の圧縮セル又はクリーンなATRの結晶のいずれかを使用して実行した。全てのコンタクトレンズのスペクトルが、通常の補正手順を使用して、これらの背景の吸収について補正された。スペクトルは、4cm-1の解像度を用いて波数範囲400から4000cm-1にわたる16スキャンを平均することによって獲得されている。
【0178】
以下の官能基について赤外吸収バンドを同定した:1715cm-1のエステルカルボニル(メタクリレート又はアクリレートに対応)、1657cm-1の環状アミドカルボニル(PVPに対応)、1618cm-1の非環状アミドカルボニル(DMAに対応)、796cm-1の直鎖シリコーン(mPDMSに対応)、970cm-1のホスホリル基(MPCに対応)、及び1350cm-1で変動するCH(mPEG500に対応)。一般に、吸収バンドを内部標準として選択した。例えば、1618cm-1の非環式アミドカルボニルバンドを選択してもよく、又は1715cm--1の(メタ)アクリレート吸収バンドを選択してもよい。次いで、重合反応性モノマー混合物の構成成分又はポリマー成分の濃度変化の代理として官能基の濃度変化を、試料から試料までの内部標準帯域の帯域高さで割った官能基(又は構成成分)帯域の帯域高さの比率を比較することによって、測定することができる。例えば、PVP体メタクリレートのFTIR吸収バンド比(図ではPVP/メタクリレートバンド比として示され、モル比を表す)を使用して、試料間のPVPの相対濃度を比較することができる。HEMAグラフト化の場合、グラフトされたHEMAはPVPシグナルよりもメタクリレートFTIR吸収バンドにはるかに大きく寄与することから、PVP/メタクリレートバンド比の減少をHEMAグラフト化の成功の間接的な証拠として使用することが可能であった。
【0179】
あるいは、既知濃度の2つの重合反応性モノマー混合物の構成成分を有する較正標準のセットを使用することによって、より正確な定量を達成することができる。例えば、mPEG500対DMAのFTIR吸収バンド比を、DMA中に様々な濃度のmPEG500を含有する標準のセットで測定した。次いで、これら2つの構成成分の吸収バンド比の観察された変化を、試料中の濃度の関連する変化と関連付けることが可能であった。グラフトされたmPEG500及びMPCのレンズ(DMAを含有する)上の濃度(重量百分率)を測定することができるように、DMA中のmPEG500及びMPCの検量線を作成した。
【0180】
以下の略語は、実施例をとおして使用され、以下の意味を有する。
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax又はEvonik)
MAA:メタクリル酸(Acros)
MPC:3,5,8-トリオキサ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム4-ヒドロキシN,N,N,10-テトラメチル-9-オキソ分子内塩4-オキシド、CAS67881-98-5
mPEG500:ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(Aldrich)(M=500g/mol)
PVP K90:ポリ(N-ビニルピロリドン)(ISP Ashland)
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(Esstech)
TEGDMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(M=800~1500g/mol)(Gelest)
Omnirad 403:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド
Omnirad 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IGM Resins)
Omnirad 1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン(IGM Resins)
Omnirad 1870:70重量%Omnirad 403と30重量%Omnirad 1173との混合物(IGM Resins)
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
Blue HEMA:1-アミノ-4-[3-(4-(2-メタクリロイルオキシ-エトキシ)-6-クロロトリアジン-2-イルアミノ)-4-スルホフェニルアミノ]アントラキノン-2-スルホン酸(米国特許第5,944,853号に記載)
ホスホエタノールアミン、ナトリウム塩
DIW:脱イオン水
PS:ホウ酸塩緩衝パッケージ溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、十分な脱イオン水に溶解させて、2リットルメスフラスコを満たした。
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
3E3P:3-エチル3-ペンタノール
BAGE:ホウ酸グリセロールエステル(ホウ酸対グリセロールのモル比は1:2:299.3グラム(3.25mol)のグリセロール及び99.8グラム(1.61mol)のホウ酸を、好適な反応器内で1247.4グラムの5%(重量/重量)エチレンジアミン四酢酸水溶液に溶解させた後、適度な減圧下(2~6トル)にて4~5時間撹拌しながら90~94℃まで加熱し、室温まで冷却した。
BC:PP、TT、Z、又はこれらのブレンドから作製された基部又は背面が湾曲したプラスチック成形型
FC:PP、TT、Z、又はこれらのブレンドから作製された前面が湾曲したプラスチック成形型
OZ:レンズの光学ゾーン
PP:プロピレンのホモポリマーであるポリプロピレン
TT:水添スチレンブタジエンブロックコポリマーであるTuftec(Asahi Kasei Chemicals)
Z:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマーであるZeonor(Nippon Zeon Co Ltd)
RMM:反応性モノマー混合物
CSN:架橋基材ネットワーク(複数可)
LED:発光ダイオード
rpm:毎分回転数
m:メートル
mm:ミリメートル
cm:センチメートル
μm:マイクロメートル
nm:ナノメートル
mL:ミリリットル
mW:ミリワット
kgf:キログラム力又は9.806ニュートン又は9.802kg-m/s
s:秒
min:分
g:グラム
kg:キログラム
トル:1mmHg又は133.32パスカル。
FTIR:フーリエ変換赤外分光法
24ウェルプレート:CoStar(登録商標)組織培養処理非発熱原性ポリスチレンプレート(Corning)
【0181】
架橋基材ネットワーク(CSN1~3)
配合構成成分を表1に列挙した希釈剤と混合することによって、反応性モノマー混合物(第1の反応性組成物の代表)を形成した。粘度に応じて、加熱済み又は未加熱のステンレス鋼又はガラスシリンジを使用して、これらの配合物を3μmフィルターに通して濾過し、約10分間周囲温度にて真空を適用(約650mmHg)することにより、脱気した。窒素ガス雰囲気及び約0.5~1.0パーセントの酸素ガスを用いて、75μLの反応性混合物をFC内に投入した。その後、BCをFC上に置いた。8つのレンズモールドアセンブリを含むパレットを、パレット位置で約6mW/cmの強度を有する435nmのLED光を使用して60℃又は70℃で約10分間照射した。得られたコンタクトレンズを暗所で調製した状態で保存し、例えばアルミニウム箔で包むことによって更なる光への曝露から保護した。
【0182】
CSN1~3で作製されたコンタクトレンズは、第2の活性化源として機能し、420nmで照射されると放射状に分解するモノアシルホスフィンオキシド末端基を含有することから、後続のグラフト反応に適した架橋基材ネットワークである。CSN1で作製したコンタクトレンズを、グラフト実験の直前に成形型から機械的に解放した。CSN2で作製したコンタクトレンズを、レンズを70パーセントIPA中に1時間浸漬し、続いて、新しい70パーセントIPA中に少なくとも30分間更に2回浸漬し、次いで、新しいDIW中に少なくとも30分間浸漬することによって成形型から解放した。CSN3で作製したコンタクトレンズを、60℃~70℃に加熱したDIWに少なくとも1時間浸漬することによって成形型から解放した。CSN2及びCSN3で作製されたコンタクトレンズの両方について、レンズを48時間真空乾燥し、使用前に窒素充填グローブボックス内で保存した。
【0183】
図1は、典型的な架橋基材ネットワーク、この場合はCSN1が、塩水溶液、又はモノマー及びmPEG500のようなマクロマー等の重合性構成成分を含有する塩水溶液に懸濁したときにサイズがどのように縮小するかを示す。収縮は最初の5分間にわたって急速に起こる。レンズは更に15~20分間収縮したままであり、その後ゆっくりと膨張する。結果として、約5~約15分の間に好ましいグラフトウインドウが存在し、その間、収縮した架橋基材ネットワークレンズ上でグラフト化を最も良好に行うことができ、レンズの表面改質をもたらす。
【0184】
【表3】
【0185】
(実施例1)
3つの個々のRMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製し、RMM1~3と標識した。DIW中5%(重量/重量)のmPEG500のみからなる対照溶液も調製した。表2に示すように、これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30~60分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたシェーカー上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして(基部湾曲が上/前面湾曲が下)配置した。各ウェルは、RMM又は対照溶液1.5mLを含有していた。12分間の平衡時間の後、プレート位置で6mW/cmの強度を有する420nmのLED光をウェルに4分間照射した。実施例1C及び1Dでは、シェーカーは、表2に列挙したように照射中に動作可能であった。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図2に示されるように、塩モノマー溶液のみが、これらの実験条件下でレンズの前面及び背面上に任意の有意なmPEG500グラフト化を生じる。
【0186】
【表4】
【0187】
(実施例2)
表3に列挙されるように、18~20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び3~7%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で3つの個々のRMMを調製した。DIW中5%(重量/重量)のmPEG500のみからなる対照溶液も調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650mmHg)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたシェーカー上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。各ウェルは、RMM又は対照溶液1.5mLを含有していた。12分間の平衡時間の後、実施例に応じて、プレート位置で6mW/cmの強度を有する420nmのLED光をウェルに3~5分間照射した。全ての実験において、シェーカーは120rpmでの照射中に作動可能であった。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図3に示されるように、実施例2C及び2Dのグラフト条件は、光学ゾーン及び周縁における位置を含むレンズの前面及び背面上に最も有意な量のmPEG500グラフト化をもたらした。
【0188】
【表5】
【0189】
(実施例3)
RMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。12分の平衡時間の後、実験に応じて表4に列挙した強度及び持続時間を有する420nmのLED光をウェルに照射した。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図4に示されるように、実施例3C~3Gのグラフト条件は、レンズの前面及び背面上に20重量パーセントを超えるグラフトされたmPEG500をもたらした。実施例3B及び3Cでは、mPEG500の表面濃度はバルク濃度の約2~3倍であると測定された。
【0190】
【表6】
【0191】
(実施例4)
表5に列挙されるように、5~25%(重量/重量)塩化ナトリウム及び2.5~25%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で7つの個々のRMMを調製した。DIW中5%(重量/重量)のmPEG500のみからなる対照溶液も調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。平衡時間12分後、4mW/cmの頂部強度及び2mW/cmの底部強度を有する420nmのLED光をウェルに1.5分間照射した。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。一部のレンズがわずかに歪んでいる実施例4Eを除いて、全てのレンズは円形であった。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図5に示すように、実施例4B及び4Eのグラフト条件は、バルク中で測定されたものよりも高い濃度のmPEG500を有する表面を生じた。RMMにおけるより高い塩濃度対より低い塩濃度は表面グラフト化に有利であるが、mPEG500濃度は有効な表面グラフト化には低すぎるか又は高すぎる可能性がある。
【0192】
【表7】
【0193】
(実施例5)
RMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。12分の平衡時間の後、実験に応じて表6に列挙した強度を有する420nmのLED光をウェルに照射した。照射時間は1.5分で一定に保った。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図6に示されるように、実施例5E~5Gのグラフト条件は、レンズの前面及び背面上に20重量パーセントを超えるグラフトされたmPEG500をもたらした。特に差が中程度である場合(頂部が底部よりも2倍高い)、両面の硬化条件の違いを使用することによって表面グラフト化が増加すると思われる。実施例5A~5Dは円形のレンズであったが、実施例5E~5Gはわずかに歪んでいた。
【0194】
【表8】
【0195】
(実施例6)
RMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。表7に列挙した様々な平衡時間の後、4mW/cmの頂部強度及び2mW/cmの底部強度を有する420nmのLED光をウェルに1.5分間照射した。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図7に示されるように、実施例6B~6Hのグラフト条件は、レンズの前面及び背面上に20重量パーセントを超えるグラフトされたmPEG500をもたらした。一方、実施例6A及び6Bのみが実質的に円形のレンズを生成した。他の全てのレンズはある程度歪んでいた。結果として、実施例6Bのグラフト条件は、CSN1へのmPEG500表面グラフト化に最適のようである。
【0196】
【表9】
【0197】
(実施例7)
表8に示すように、15%(重量/重量)塩及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で7つの個々のRMMを調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。12分間平衡化した後、4mW/cmの頂部強度及び2mW/cmの底部強度を有する420nmのLED光をウェルに2分間照射した。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図8に示すように、実施例7A~7Dのグラフト条件は、様々な程度で成功した。グラフトされたレンズは全て円形であった。
【0198】
【表10】
【0199】
(実施例8)
表9に示すように、様々な塩及び濃度、並びに5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で7つの個々のRMMを調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。6分間平衡化した後、4mW/cmの頂部強度及び2mW/cmの底部強度を有する420nmのLED光をウェルに2分間照射した。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図9に示すように、実施例8A、8C及び8Eのグラフト条件は成功し、バルクグラフト化よりも表面グラフト化に有利であった。グラフトされたレンズは全て円形であった。
【0200】
【表11】
【0201】
(実施例9)
RMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製した。DIW中5%(重量/重量)のmPEG500のみからなる対照溶液(A又はB)も調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、表10に列挙される4つのCSN1レンズ又は4つのCSN2レンズのいずれかを、窒素ガス雰囲気を有する35℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。7分間平衡化した後、4mW/cmの頂部強度及び2mW/cmの底部強度を有する420nmのLED光をウェルに5分間照射した。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図10に示すように、mPEG500をCSN1及びCSN2にグラフトした。しかし、これらの条件下では、CSN2よりも多くのmPEG500がCSN1にグラフトされた。対照溶液ではグラフト化はほとんど起こらなかった。
【0202】
【表12】
【0203】
RMMが20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)MPCで構成されたことを除いて、実施例9A及び9Bを繰り返した。実施例9CはCSN1を使用し、実施例9DはCSN2を使用した。図11に示すように、MPCは、CSN1及びCSN2にグラフトされたが、これらの条件下では、ほとんどが基部湾曲側にグラフトされた。
【0204】
RMMが20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)HEMAで構成されたことを除いて、実施例9A及び9Bを繰り返した。実施例9EはCSN1を使用し、実施例9FはCSN2を使用した。この場合、HEMA標準から構築された検量線がなければ、グラフトされたHEMAはPVP、DMA又はシリコーンシグナルよりもメタクリレートFTIR吸収バンドにはるかに大きく寄与するため、それらのバンド比の減少をHEMAグラフト化の成功の間接的な証拠として使用することが可能であった。PVP、DMA及びシリコーンシグナルを希釈することに加えて、グラフトされたHEMAはバンド比の分母に寄与し、それにより、これらのバンド比を更に減少させる。図12図14に示すように、実施例9E及び9Fは、HEMAグラフト化と一致して、CSNと比較してPVP/メタクリレート、DMA/メタクリレート及びシリコーン/メタクリレートバンド比の減少を示した。
【0205】
(実施例10)
実施例10A:RMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製した。DIW中5%(重量/重量)のmPEG500のみからなる対照溶液も調製した。これらの溶液を、使用直前に静的真空(約650トル)を適用することによって30分間脱気した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN3レンズを、窒素ガス雰囲気を有する35℃に維持されたグローブボックス内に配置されたスタンド上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして配置した。スタンドは、プレートの上下から照射できるように構成されていた。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。7分間平衡化した後、4mW/cmの頂部強度及び2mW/cmの底部強度を有する420nmのLED光をウェルに5分間照射した。照射後、グラフトされたレンズをDIWで水和し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、次いで新しいDIWを含むバイアルに入れ、122℃で30分間オートクレーブ処理した。図15に示されるように、HEMAグラフト化に使用される方法と同様の方法を使用して、CSN3上のPEGグラフト化を検出するために、PEG対メタクリレートのバンド比を使用することが可能であった。対照溶液ではPEGグラフト化は測定されなかった。
【0206】
実施例10B:実施例10Aを繰り返したが、RMMは20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)DMAで構成された。図16に示されるように、HEMAグラフト化に使用される方法と同様の方法を使用して、CSN3上の低レベルのDMAグラフト化を検出するために、DMA対メタクリレートのバンド比を使用することが可能であった。
【0207】
(実施例11)
実施例11で使用したRMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製した。これらの溶液を、窒素を満たしたグローブボックスに入れたロータリーエバポレーターを用いて50mbarで30分間脱気した。脱気後、RMMに蓋をし、第2の窒素充填グローブボックスに輸送して、実施例11のグラフト実験を準備した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたシェーカー上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして(基部湾曲が上/前面湾曲が下)配置した。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。6分間の平衡の開始時に、グローブボックスの酸素濃度を測定した。平衡化の後、グローブボックスの酸素濃度を2回目に測定し、4mW/cmの頂部強度及び2mW/cmの底部強度を有する420nmのLED光をウェルに1.5分間照射した。実施例11Aでは、照射後レンズを窒素グローブボックス内に保持した時間量は、24ウェルプレートをDIWに浸漬する前の窒素グローブボックスの外側に放置した時間量に等しかった。実施例11B及び11Cでは、15秒間のクエンチ時間を、窒素グローブボックス内(実施例11Bで105秒まで)、又は窒素グローブボックス外(実施例11Cで105秒まで)のいずれかで増加させた後、24ウェルプレートをDIWに浸漬した。24ウェルプレートをDIWに浸漬した後、レンズを新しいDIWに移し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、パッケージ溶液を含むバイアルに入れ、121℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたPEGの濃度をFTIRを用いて測定した。図17に示されるように、BCはFCより遅れ、BC及びFCは、平均してそれぞれおよそ25及び30重量%である。照射後の窒素グローブボックスの内側又は外側のいずれかの余分な時間にかかわらず、クエンチ時間は、グラフトされたPEGの量にほとんど影響しなかった。
【0208】
【表13】
【0209】
(実施例12)
実施例12で使用したRMMを、20%(重量/重量)塩化ナトリウム及び5%(重量/重量)mPEG500で構成されるDIW中で調製した。これらの溶液を、窒素を満たしたグローブボックスに入れたロータリーエバポレーターを用いて50mbarで30分間脱気した。脱気後、RMMに蓋をし、第2の窒素充填グローブボックスに輸送して、実施例12のグラフト実験を準備した。各実施例について、黄色光下で作業し、早期露光を防止するために、4つのCSN1レンズを、窒素ガス雰囲気を有する30℃に維持されたグローブボックス内に配置されたシェーカー上の24ウェルプレートの中央ウェルに凹面を上にして(基部湾曲が上/前面湾曲が下)配置した。各ウェルは1.5mLのRMMを含有していた。6分間の平衡の開始時に、グローブボックスの酸素濃度を測定した。平衡化の後、グローブボックス酸素濃度を2回目に測定した。ウェルを、全照射時間の半分の間、それぞれ4及び2mW/cmの頂部及び底部強度を有する420nmのLED光で照射し、続いて、全照射時間の残りの半分の間、それぞれ2及び4mW/cmとなるように頂部及び強度を反転させた。実施例12A、12B、及び12Cでは、2ステップ硬化プロセスの総時間は、それぞれ90、60、及び30秒であった。照射後、24ウェルプレートを窒素グローブボックスの外側に取り出し、DIWに浸漬した。24ウェルプレートをDIWに浸漬した後、レンズを新しいDIWに移し、DIW中で少なくとも12時間平衡化させ、パッケージ溶液を含むバイアルに入れ、121℃で30分間オートクレーブ処理した。グラフトされたmPEG500の濃度をFTIRを用いて測定した。図18に示すように、PEGの重量%は時間の関数として低下する。90秒の合計時間で、BCはFCより遅れる(約28対32重量%PEG)。より低い総時間(60秒及び30秒の総時間)ではあるが、FC及びBCの両方におけるおよその重量%PEGは同等に近づき、また両方の曲線においてグラフト化されたより少ない総PEGを生成する。
【0210】
【表14】
【0211】
〔実施の態様〕
(1) 眼科用装置を作製するためのプロセスであって、
(a)第1の反応性組成物を提供することであって、前記第1の反応性組成物が、(i)第1の活性化の際に、2つ又は3つ以上のフリーラジカル基を形成可能な重合開始剤であって、前記フリーラジカル基のうち少なくとも1つが後続の活性化により更に活性化可能である、重合開始剤、(ii)1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物、及び(iii)架橋剤を含有する、提供することと、
(b)前記第1の反応性組成物を第1の活性化工程に通し、前記第1の反応性組成物がそこで重合して、共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を含有する架橋基材ネットワークを形成することと、
(c)前記架橋基材ネットワークを、収縮剤、及び1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物を含有するグラフト組成物と接触させることと、
(d)前記架橋基材ネットワークの前記共有結合した活性化可能なフリーラジカル開始剤を活性化させて、そこで前記グラフト組成物を前記架橋基材ネットワークと重合させることと、を含む、プロセス。
(2) 前記収縮剤が、アンモニウム塩、金属塩、又はそれらの2つ若しくは3つ以上の混合物である、実施態様1に記載のプロセス。
(3) 前記収縮剤が、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はそれらの2つ若しくは3つ以上の混合物である、実施態様1に記載のプロセス。
(4) 前記収縮剤が、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化カリウム、又はそれらの2つ若しくは3つ以上の混合物である、実施態様1に記載のプロセス。
(5) 前記グラフト組成物の前記エチレン性不飽和化合物が、前記架橋基材ネットワークの表面で、そのコアより濃縮される、実施態様1に記載のプロセス。
【0212】
(6) 工程(a)の前記1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、及びC2~6アルケニルフェニル-C1~6アルキルから独立して選択される1つ又は2つ以上の重合性基を含む、実施態様1に記載のプロセス。
(7) 工程(c)の前記1つ又は2つ以上のエチレン性不飽和化合物が、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル、ビニル、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、及びC2~6アルケニルフェニル-C1~6アルキルから独立して選択される1つ又は2つ以上の重合性基を含む、実施態様1に記載のプロセス。
(8) 前記重合開始剤が、ビスアシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスファンオキシド、ジアゾ化合物、ジペルオキシド化合物、アゾビス(モノアシルホスフィンオキシド)、アゾビス(モノアシルホスファンオキシド)、ペルオキシビス(モノアシルホスフィンオキシド)、ペルオキシビス(モノアシルホスファンオキシド)、アゾビス(アルファ-ヒドロキシケトン)、ペルオキシビス(アルファ-ヒドロキシケトン)、アゾビス(1,2-ジケトン)、ペルオキシビス(1,2-ジケトン)、ゲルマニウム系化合物、tert-ブチル7-メチル-7-(tert-ブチルアゾ)ペルオキシオクタノエート、又はこれらの組み合わせである、実施態様1に記載のプロセス。
(9) 前記重合開始剤が、ビスアシルホスフィンオキシド又はビス(アシル)ホスファンオキシドである、実施態様1に記載のプロセス。
(10) 前記眼科用装置がヒドロゲルの形態であり、前記第1の反応性組成物が、1つ又は2つ以上のシリコーン含有構成成分を含有し、前記グラフト組成物が、1つ又は2つ以上の親水性反応性構成成分を含有する、実施態様1に記載のプロセス。
【0213】
(11) 前記第1の反応性組成物、前記グラフト組成物、又は前記第1の反応性組成物及び前記グラフト組成物の両方が、UV吸収剤、HEV光吸収剤、光互変性化合物、薬学的化合物、栄養補助化合物、抗菌化合物、反応性着色料(reactive tints)、顔料、共重合性染料、非重合性染料、剥離剤、湿潤剤、及び剥離剤から選択される1つ又は2つ以上の添加剤を含有する、実施態様1に記載のプロセス。
(12) 前記眼科用装置が、コンタクトレンズ、眼内レンズ、涙点プラグ、及び眼挿入物からなる群から選択される、実施態様1に記載のプロセス。
(13) 実施態様1~12のいずれかに記載のプロセスによって作製された眼科用装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】