(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】地盤安定化における及び地盤安定化に関する改善
(51)【国際特許分類】
E02B 3/08 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
E02B3/08 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023568437
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 GB2022051136
(87)【国際公開番号】W WO2022234275
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2021/051111
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522445321
【氏名又は名称】ショア ディフェンス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHORE DEFENCE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,マルクス ポール
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ウィリアム ポール
【テーマコード(参考)】
2D118
【Fターム(参考)】
2D118AA10
2D118BA01
2D118CA02
2D118DA08
2D118FA06
2D118GA33
2D118GA55
(57)【要約】
地盤安定化システム、セルアセンブリ、及びそのようなシステムのための部品キット、並びにそのようなセルアセンブリを製造及び設置する方法が開示される。セルアセンブリ(1701)は、それぞれチェーンリンクワイヤメッシュから形成された底部、第1及び第2の側部、第1及び第2の端部、並びに頂部を有する岩石封じ込めセルを具備し、メッシュの第1の連続シート(1710)は、セルアセンブリの上面、下面、及び端面を包んで画定し、重なり合う接合部によって端から端まで接合される。第1の側面は、セルアセンブリの別の隣接する面を少なくとも部分的に包むチェーンリンクワイヤメッシュの連続長さによって画定され、セルアセンブリの第2の側面は、セルアセンブリの別の隣接する面を少なくとも部分的に包むチェーンリンクワイヤメッシュの連続長さによって画定される。第1の側面及び第2の側面を画定するメッシュは、単一の連続シート(1720)であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤保護システムのためのセルアセンブリであって、該セルアセンブリは、対向する上面及び下面、対向する第1及び第2の端面、並びに対向する第1及び第2の側面を有し、前記セルアセンブリは、岩石片を格納するための少なくとも1つのセルを備え、
第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュが、前記セルアセンブリの前記対向する上面及び下面、並びに前記対向する第1及び第2の端面の周囲を包んで画定し、前記第1の連続長さのワイヤメッシュは、前記セルアセンブリの前記上面、前記第1の端面、及び/又は前記第2の端面に配置された重なり合う接合部を形成するように重なり合って固定された第1の端部及び第2の端部を有する、チェーンリンクワイヤメッシュの単一の連続シートを含み、該単一の連続シートは、前記セルアセンブリの周囲を包んで、前記セルアセンブリの前記上面、前記下面、前記第1の端面、及び前記第2の端面の各々にまたがり、
前記セルアセンブリの前記第1の側面は、該第1の側面に隣接する前記セルアセンブリの面の周囲を少なくとも部分的に包む、第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記第1の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、チェーンリンクワイヤメッシュの単一の連続シートを含み、
前記セルアセンブリの前記第2の側面もまた、前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第2の連続長さの前記単一の連続シートは、前記第2の側面にまたがると共に、前記セルアセンブリの前記隣接する面にまたがり、
前記セルアセンブリの前記第2の側面は、該第2の側面に隣接する前記セルアセンブリの面の周囲を少なくとも部分的に包む、第3の連続長さもチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記第2の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、チェーンリンクワイヤメッシュの単一の連続シートを含むことを特徴とするセルアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートからなることを特徴する請求項1記載のセルアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、チェーンリンクワイヤメッシュの複数の単一の連続シートからなり、該シートの各々は、前記セルアセンブリの前記上面、前記下面、前記第1の端面、及び前記第2の端面のそれぞれにまたがる、側部対側部の接合部によって互いに固定され、例えば、各単一の連続シートの少なくとも一方の側部が、重なり合う側部対側部の接合部を形成するように、隣接するシートの側部に重なって固定されることを特徴する請求項1記載のセルアセンブリ。
【請求項4】
前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記第1及び第2の側面の双方を画定すると共に、前記セルアセンブリの前記下面を横切って延び、それによって前記セルアセンブリの前記下面上で前記第1の連続長さのワイヤメッシュと重なり、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートは、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面と前記下面とにまたがると共に、前記セルアセンブリの前記上面の少なくとも一部を横切って延びることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の連続長さの前記単一の連続シートは、第1の端部及び第2の端部を有し、該第1の端部及び第2の端部は、前記セルアセンブリの前記上面、前記第1の側面、及び/又は前記第2の側面、好ましくは前記上面に位置する、別の重なり合う接合部を形成するように、重なり合って互いに固定されることを特徴とする請求項4記載のセルアセンブリ。
【請求項6】
前記第2の側面は、前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第2の連続長さの前記単一の連続シート及び前記第3の連続長さの前記単一の連続シートの各々が、前記セルアセンブリの前記上面の少なくとも一部を横切って延びていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項7】
前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートからなり、前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、存在する場合には、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートからなることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項8】
前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記セルアセンブリの前記第1の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、側部対側部の接合部によって各々が互いに固定された、チェーンリンクワイヤメッシュの複数の単一の連続シートを含み、例えば、各単一の連続シートの少なくとも一方の側部が、隣接するシートの側部に重なって固定され、
前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、存在する場合には、前記セルアセンブリの前記第2の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、側部対側部の接合部によって互いに固定された、チェーンリンクワイヤメッシュの複数の単一の連続シートを含み、例えば、各単一の連続シートの少なくとも一方の側部が、隣接するシートの側部に重なって固定されることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項9】
ワイヤメッシュの前記第1の連続シートは、その長さに沿って少なくとも2kNまで張力がかけられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項10】
重なり合う接合部の各々の重なりは、少なくとも150mmなどの少なくとも80mmであり、及び/又は各重なりは、少なくとも2列のメッシュ開口部などの少なくとも1列のメッシュ開口部であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項11】
前記セルアセンブリは複数のセルを含み、1つ又は複数のチェーンリンクワイヤメッシュバッフルが、前記セルアセンブリを分割するように前記複数のセルに分離していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項12】
1つ又は複数のセル内に配置された強化グリッドを含み、該強化グリッドは、各々が少なくとも8mmの直径を有するステンレス鋼ロッドから形成された溶接ワイヤメッシュであり、前記強化グリッドは、前記セルの第1の内部幅の少なくとも75%を横切ると共に第2の内部幅の少なくとも75%を横切って延び、前記第1の内部幅は、前記セルの対向する端部間の距離であり、前記第2の内部幅は、前記セルの対向する側部間の距離であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項13】
前記ワイヤメッシュは、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm
2の引張強度を有する高張力ステンレス鋼ワイヤから形成され、
任意に、ワイヤメッシュのシートは、タイワイヤ及び/又は複数のクリップで互いに固定され、前記タイワイヤ及び/又は前記複数のクリップは、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm
2の引張強度を有する高張力ステンレス鋼ワイヤから形成されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項14】
前記連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するチェーンリンクワイヤメッシュの前記シートの各々は、対向する端縁に平行な方向に一方の側縁から対向する側縁まで延在する、組み合わされたワイヤから形成され、ワイヤの端部が、隣接するワイヤの端部の対応するループと連結するループに結ばれていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項15】
少なくとも1つのセルが、前記ワイヤメッシュの開口部の断面サイズよりも大きい断面サイズを全ての寸法で有する岩石片で充填され、任意に、前記セルアセンブリが6,000~10,000kgの質量を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項16】
少なくとも1つのセルが、粒状物質の通過を防止するための透水性微粉バリアを含み、該微粉バリアが、セルの頂部を形成するワイヤメッシュの下方に配置され、任意に、前記微粉バリアが、前記頂部を形成する前記ワイヤメッシュに隣接して前記セルの頂部に並び、
任意に、前記微粉バリアは、羊毛又はココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成され、
任意に、前記微粉バリアは、前記セル内を覆うバッグの形態であることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセルは、砂及び/又は土のような粒状材料、及び任意に、前記ワイヤメッシュの開口部の断面サイズよりも大きい断面サイズを全ての寸法で有する岩石片を含み、
前記粒状材料は、前記微粉バリアの下方に配置される、或いは前記微粉バリアによって囲まれた空間に配置され、
任意に、各セルは、生きたイネ科植物などの複数の生きた植物、及び/又はイネ科植物などの植物の種子を含み、前記複数の生きた植物が、少なくとも部分的に前記微粉バリアの下方に配置された根、又は少なくとも部分的に前記微粉バリアによって囲まれた空間に配置された根を有し、及び/又は、前記植物の種子が、前記微粉バリアの下方に配置される、又は前記微粉バリアによって囲まれた空間に配置されることを特徴とする請求項16記載のセルアセンブリ。
【請求項18】
前記セルアセンブリは、複数のリフトアセンブリを含み、該リフトアセンブリの各々が、前記セルアセンブリの前記下面の下方に配置されるリフトプレートと、該リフトプレートに固定され、前記セルアセンブリを通って上方にかつ前記上面から外側に延びるリフトケーブルとを含み、該リフトケーブルの各々が、吊り上げフレームなどの吊り上げ装置に取り付けるように構成されていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項19】
前記セルアセンブリは、
前記セルアセンブリの前記下面を横切って延びるワイヤメッシュを、前記セルアセンブリの前記上面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付ける複数の垂直ブレースアセンブリであって、該垂直ブレースアセンブリの各々が、前記セルアセンブリの前記下面のワイヤメッシュの下方に配置される下部ブレースプレートと、前記上面のワイヤメッシュの上方に配置される上部ブレースプレートと、前記下部ブレースプレートと前記上部ブレースプレートとを結合するテンション部材と、を含む垂直ブレースアセンブリ、及び/又は、
前記セルアセンブリの一方の側面又は端面を横切って延びるワイヤメッシュを、前記セルアセンブリの反対側の側面又は端面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付ける少なくとも1つの水平ブレースアセンブリであって、該水平ブレースアセンブリの各々が、前記セルアセンブリの前記一方の側面又は端面のワイヤメッシュの外側に配置される第1のブレースプレートと、前記反対側の側面又は端面のワイヤメッシュの外側に配置される第2のブレースプレートと、前記第1のブレースプレートと前記第2のブレースプレートとを結合するテンション部材と、を含む水平ブレースアセンブリ、
を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項20】
複数の前記テンション部材の各々が、アンカー装置及び/又は吊り上げ装置に取り付けるように構成され、例えば、前記セルアセンブリが、そのように構成されたテンション部材を有する少なくとも4つのブレースアセンブリを含むことを特徴とする請求項19記載のセルアセンブリ。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを複数含む地盤保護システムであって、前記セルアセンブリが互いに固定され、
任意に、各セルアセンブリが、他のセルアセンブリのブレースアセンブリに固定されたブレースアセンブリを有し、例えば、前記セルアセンブリが、請求項19又は20記載のセルアセンブリであり、各セルアセンブリの垂直又は水平ブレースアセンブリの少なくとも1つのテンション部材が、隣接するセルアセンブリの垂直又は水平ブレースアセンブリの対応するテンション部材に接続されていることを特徴とする地盤保護システム。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを形成するための部品を含む部品キットであって、該部品キットは、
前記セルアセンブリの前記下面、前記第1の端面、前記第2の端面、及び前記上面を画定するための、前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するための、少なくとも1枚のチェーンリンクワイヤメッシュシートと、
前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面を画定するための、前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ及び存在する場合には前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するための、少なくとも1枚の追加のチェーンリンクワイヤメッシュシートであって、各追加の連続チェーンリンクワイヤメッシュシートが、側面を画定し、前記セルアセンブリの別の隣接する面の周りに少なくとも部分的に巻き付くように配置される、チェーンリンクワイヤメッシュシートと、
シート間の重なり合う接合部を形成するための留め具と、
を含むことを特徴とする部品キット。
【請求項23】
前記セルアセンブリの、前記下面を横切って延びるワイヤメッシュを前記上面を横切って延びるワイヤメッシュに、及び/又は、前記第1の側面/端面を横切って延びるワイヤメッシュを前記第2の側面/端面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付けるための、複数の垂直及び/又は水平ブレースアセンブリを含み、
各ブレースアセンブリは、下部/第1のブレースプレートと、上部/第2のブレースプレートと、前記下部/第1のブレースプレートと前記上部/第2のブレースプレートとを結合するためのテンション部材と、任意に、前記上部/第2のブレースプレートを前記テンション部材上の位置に保持するためのリテーナと、を含み、
任意に、複数の前記ブレースアセンブリは、前記セルアセンブリが構築され、前記セルに充填材が充填されると、前記セルアセンブリを吊り上げフレームなどの吊り上げ装置から吊り下げるように構成され、例えば、前記ブレースアセンブリの各テンション部材は、吊り上げ装置に取り付けるように構成されることを特徴とする請求項22記載の部品キット。
【請求項24】
前記セルアセンブリが構築され、前記セルに充填材が充填されたら、前記セルアセンブリを吊り上げフレームなどの吊り上げ装置から吊り下げるための複数のリフトアセンブリを含み、各リフトアセンブリが、リフトプレートと、該リフトプレートに固定可能であり、前記吊り上げ装置に接続可能なリフトケーブルと、を含むことを特徴とする請求項22又は23記載の部品キット。
【請求項25】
前記セルアセンブリが構築され、前記セルに充填材が充填されたら、前記セルアセンブリが吊り上げフレームから吊り下げ可能である前記吊り上げフレームを含み、前記吊り上げフレームが、前記セルアセンブリのテンション部材及び/又はリフトケーブルに接続するための複数のセル取付点と、クレーンなどの吊り上げ装置に接続するための複数の装置取付点と、を含むことを特徴とする請求項23又は24記載の部品キット。
【請求項26】
構築中及び充填材での充填中に、前記セルアセンブリの前記側面及び前記端面を支持するための成形フレームを含み、該成形フレームは、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面並びに前記第1及び第2の端面の周囲に延びる大きさの上部開口フレームであることを特徴とする請求項22から25のいずれか1項記載の部品キット。
【請求項27】
前記セルアセンブリが複数のセルを含み、前記キットが、前記セルアセンブリを前記複数のセルに分割するバッフルを形成するための、少なくとも1つのチェーンリンクワイヤメッシュパネルを含むことを特徴とする請求項22から26のいずれか1項記載の部品キット。
【請求項28】
砂及び/又は土の通過を防止するための少なくとも1つの透水性微粉バリアを含み、該微粉バリアは、セル内部に配置するためのサイズ及び構成であり、任意に、前記微粉バリアは、セル内部に並ぶサイズ及び構成であり、任意に、各微粉バリアは、羊毛又はココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成され、任意に、前記部品キットは、生きたイネ科植物などの複数の生きた植物、及び/又はイネ科植物の種子などの植物の種子を更に含み、
任意に、前記セルアセンブリの下方に配置するための洗掘防止層を含むことを特徴とする請求項22から27のいずれか1項記載の部品キット。
【請求項29】
請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを構築する方法であって、
前記セルアセンブリの前記下面、前記第1及び第2の端面、及び前記上面を画定するための前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面を画定するための前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ、及び存在する場合には前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュに固定するステップであって、少なくとも1つのセルの上部が開口しているステップ、
前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入するステップ、及び、
前記第1の連続長さを形成するチェーンリンクワイヤメッシュの各連続シートの端部同士を固定し、前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを、前記第1及び第2の側面を画定するための前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ、及び存在する場合は前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュに固定することにより、前記セルアセンブリの前記上面を横切って前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを固定し、これにより、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の端面及び前記上面を画定する前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュが、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面を画定する前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ、及び存在する場合は前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュと重なり、及び/又は重ねられるように、前記少なくとも1つのセルを閉じるステップ、を含み、
任意に、前記方法は、前記少なくとも1つのセルに充填するステップの間、前記セルアセンブリの形状を制御するために成形フレームを使用するステップであって、任意に、前記充填材が、前記少なくとも1つのセルを閉じるステップの前に圧縮されるステップ、を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入するステップの前に、1つ又は複数のブレースアセンブリの少なくとも一部を前記セルアセンブリ内に設置し、前記セルアセンブリの前記下面を横切って延びるワイヤメッシュを前記上面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付けるために、前記セルを閉じるステップの後に前記ブレースアセンブリを完成させるステップを含む、及び/又は、
前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入するステップの前に、複数のリフトアセンブリを前記セルアセンブリ内に設置するステップを含むことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのセルを閉じるステップの後に、前記セルアセンブリの、前記ブレースアセンブリ及び/又は前記リフトアセンブリの、前記テンション部材及び/又は前記リフトケーブルを、吊り上げ装置に接続するステップを含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記セルに充填材を挿入するステップの直前、最中、又は直後のいずれかに、砂及び/又は土の通過を防止するための透水性微粉バリアを、前記少なくとも1つのセルに挿入するステップを含み、任意に、各微粉バリアがバッグの形態であり、前記方法は、充填材を挿入するステップの前に、各微粉バリアをセルに挿入し、前記バッグの底部及び側部が前記セルの内側に並ぶように前記バッグを配置し、各バッグに充填材を充填してそれによって前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入し、そして、前記セルを閉じるステップの前に充填材の上で前記バッグの上部フラップを閉じるステップを含み、任意に、前記方法は、1)前記充填材に植物の種子を加えるステップ、及び/又は、2)前記セルを閉じるステップの前又は後に、生きたイネ科植物などの複数の生きた植物の根、及び/又はイネ科植物の種子などの植物の種子を、前記微粉バリアの上部の開口部から挿入するステップを更に含むことを特徴とする請求項29から31のいずれか1項記載の方法。
【請求項33】
地盤保護システムを構築する方法であって、請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを複数、各セルアセンブリをフレームのような吊り上げ装置から吊り下げることによって設置位置に吊り上げるステップと、各セルアセンブリの少なくとも1つのブレースアセンブリを別のセルアセンブリのブレースアセンブリに接続することなどによって、例えば前記ブレースアセンブリのテンション部材同士を接続することによって、セルアセンブリを互いに固定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤安定化/保護アセンブリ、並びにそのようなアセンブリの構築及び設置方法に関する。任意に、アセンブリは、例えば、海岸浸食、例えば、砂浜や砂丘の浸食、海底浸食、例えば、基礎などの人工施設の周囲の浸食、及び内陸浸食、例えば、川岸や湖岸の浸食などの、例えば水による地盤浸食を防止するために使用するための、浸食防止システムを提供する。加えて、又は代替的に、アセンブリは、基礎、堤防、坑口などの地盤を安定させ、保護し、及び/又は支持するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
地盤工事は、様々な人為的・自然的障害にさらされ、損傷や時期尚早の破損につながる虞がある。例えば、海岸浸食は、海岸線における波、潮流、暴風雨の作用により、海岸線から土砂、岩石、又は土砂が失われたり、変位したりすることである。沿岸の暴風雨は、堤防を崩し、海岸の一部を押し流し、重さ数トンにもなる大きな岩や巨石を移動させる強力な波を発生させるため、海岸線に特に被害を与える。海岸浸食は、土地や財産を海に流失させるため、沿岸地域社会に壊滅的な打撃を与え、経済的にも大きな影響を与える。海岸浸食はまた、淡水域への汽水流入などを通じて、地域の生態系に損害を与えることもある。緩和策を実施しなければ、気候変動によって暴風雨の激しさと頻度が増すにつれて、海岸浸食は増加すると予想される。同様に、河川の洪水は河岸浸食を引き起こし、堤防を弱体化させ、将来、洪水が繰り返される可能性を増大させる。河岸浸食は、いくつかの方法で発生する可能性がある。まず、河川水位と流速が過大になると、周辺地域に洪水が発生していなくても、河岸の側面が浸食される可能性がある。更に、周辺地域で洪水が発生した場合、洪水が河川に戻ると、その水が引く際に河岸が損傷することがある。河川堤防の上部又は背面に沿った柔らかい材料は、通常、河川が通常の水位にあるときには浸食から保護されているが、特に脆弱である。洪水が繰り返し発生すると、浸食によって局所的な地域の河岸水位が低下し、自然に被害箇所を越えて洪水が流れやすくなるという悪循環が生じる可能性がある。更に、河岸背後の軟弱な土砂の浸食が緩やかに進むと、時間の経過と共に河岸が弱体化し、最終的には崩壊を引き起こし、河川が河岸を決壊させることになる。浸食防止は、水中でも必要とされる場合があり、例えば、橋や港湾、風力タービンのフーチングなど、人工構造物の基礎を保護するためである。このような保護は、河床、湖底、又は海底を乱す可能性のある流れ(自然流又は船舶によるもの)がある場合に有効である。他の種類の地盤工事も、ある程度の支持及び/又は保護を必要とすることが多い。特に、基礎(建物、道路、鉄道など)、堤防、切土は、例えば、玉石、コンクリート、ガビオンなどを用いた何らかの構造的支持を利用することがある。通常、波浪の影響を受けないとしても、このような施設は、人工構造物/車両による荷重及び/又は地盤の動きから生じる外力に耐えなければならない。
【0003】
地盤保護(特に浸食防止)のために頻繁に使用されるのが岩石装甲(rock armour)であり、一般的に大きな岩で構成されるが、美観に欠け、環境になじまないことが多い。また、個々の巨石は、たとえ何トンもある巨石であっても、波の動きや地盤変動などの外力によって移動する可能性がある。巨石がずれると隙間ができ、弱い部分ができてしまう。岩石装甲の維持管理には費用と時間がかかる。また、海岸浸食対策に使用される場合、岩石装甲は固い岩肌を波浪にさらすことになり、大量の波しぶきが偏向されて他の被害を引き起こす可能性があるため、好ましくない。コンクリート構造物を使用することもできるが、多くの場合、同様の欠点があり、また、広範囲に設置するには法外な費用がかかり、時間の経過と共に自然劣化の影響を受けやすい。
【0004】
ロックガビオンは、地盤の安定化(浸食防止を含む)のために、いくつかの現場で使用されてきた。ガビオンは、金網の籠に小さな石を詰めたものである。ガビオンは、サイズ2m×1m×1m(すなわち2m
3)、質量(岩石を充填した場合)約3トンを与えることがある。
図1aは、これらの寸法の従来のガビオン101を示し、内部仕切り102によって細分されて、2つの1m
3のセル103a、103bを形成する。各セルは、ベース104、4つの側面105(
図1aでは1つの側面のみ表示)、及び蓋106を有する。蓋106とベース104は、両方のセル103a、103bを横切って延びている。ガビオンの岩のサイズが小さいと、波のエネルギーの消散に役立つが、個々のガビオンの質量が比較的小さいため、波によって移動されやすくなる。ガビオンは、より細長いデザイン(例えば、その高さよりもかなり大きな長さと幅を有する)で作ることができ、及び/又は、海岸浸食から堤防や崖を安定させるために使用される、保護構造又は「マットレス」を形成するために直列に取り付けることができる。
図1bは、より大きな横方向の断面積を持つ代替の、従来のガビオンデザイン110を示している。しかし、個々のガビオン間の結合部は、波の衝撃で破壊されやすい弱点である。ガビオン間の結合部の負荷は、個々のガビオンの比較的剛性と柔軟性のない構造によって増幅される。適切なメンテナンスが行われないと、これらの結合部に不具合が生じ、海の作用でマットレスが引き剥がされる虞がある。このようなガビオン構造は、大きな岩を運搬する必要がないため、設置は比較的簡単であるが、各ガビオンを組み立て、隣接する構造に溶接や着装などで接合する必要があるため、設置には非常に時間がかかる傾向がある。ガビオンマットレスは、織られたスチールワイヤメッシュ(wire mesh)から形成することができる。ガビオンとガビオンマットレスは、通常はワイヤメッシュから製造され、そのワイヤは、亜鉛、亜鉛/アルミニウム合金、及び/又はプラスチック(例えばポリ塩化ビニール)でコーティングされた軟鋼であり、2.0~3.0mmの直径及び350~550N/mm
2の引張強度を有する。ガビオンは、比較的低コストで海岸を保護することができるが、過酷な海洋環境にさらされると、5~10年と低い寿命を有することがある。ガビオンマットレスの例は、Maccaferri(登録商標)から入手可能なReno Mattress(登録商標)である。ガビオンの劣化は多くの問題を提示する。まず、防衛線の交換には費用がかかり、防衛線の故障は財産に甚大な被害をもたらす虞がある。また、メンテナンスにもコストがかかりがちで、侵襲的な対策が必要になることも多く、現場の生態系に大きな破壊とダメージを与える。最後に、ガビオン部材の分解によって汚染物質が放出され、自然環境を汚染する虞がある。
【0005】
河川堤防の保護には、海岸堤防で使用されるものと同様の浸食防止製品が採用されてきた。しかし、河岸がさらされる力は、沿岸の海岸線が経験する力よりも小さい傾向にあるものの、過剰な水流による洗掘や損壊の問題は依然として残っている。更に、多くの河岸は、海岸線よりもアクセスしにくく、生態学的にも脆弱であることが多い。そのため、メンテナンスはしばしば不可能である。浸食防止に使用される製品に類似した製品、特にガビオンは、他のタイプの地盤安定化にも考慮できる。陸上に設置された製品は、波や水流にさらされることはないが、その他の力によって同様の損傷を受ける可能性がある。更に、施工や設置の難しさは、どのような環境でもつきまとう。
【0006】
EP1308562A1は、PVCでコーティングされた二重撚りワイヤメッシュから作られたガビオンを開示しており、ガビオンの底部は、隣接するガビオンと重なる突出したスカートを有している。そのガビオンの蓋は、隣接するガビオンと重ならない。KR100755754B、KR101244710B、及びKR100950248B1は、重なり合うベーススカートを備えた類似のシステムを開示している。KR1020090086795Aは、溶接ワイヤメッシュのパネルから作られ、斜面に突出した拡張ベースを有するガビオンを開示しており;US5076735A、KR1020040038036A、JP2016084608A、及びJPH07189229Aは、斜面に突出する及び/又はオフセット積層セルの上部を覆う拡張ベースを有する、更なるガビオンシステムを開示している。US2015/0071708A1及びKR100666908B1には、二重撚りワイヤメッシュから構築されたガビオンも開示されており;US2008/0264546A1には、土壌、堆積物、又は水中の汚染物質を制御するためのガビオンシステムが開示されており、ガビオンが反応性ジオテキスタイルマットで裏打ちされており;GB845863A、KR101897064B1、及びJP2008180069Aは、チェーンリンクワイヤメッシュから形成されたガビオンを開示し、メッシュの各パネルが剛性のフレームワイヤによってバインドされており;これらの開示では、セルは蓋やベースが重ならない独立したユニットである。JP2016020577Aは、隣接するガビオンを互いに接続するための装置を開示している。このような既知のガビオンデザインで発生した問題には、ガビオン自体の早期構造破壊、及び/又はガビオン間の結合、及び厄介で時間のかかる建設現場(多くの場合、困難な環境)が含まれる。伝統的なガビオンのデザインは、ガビオンが完全にオフサイトで組み立てられるか、又は現場でテンプレートから折り畳むことができ、それらのガビオンが充填を容易にするために自立している必要がある。その結果、ガビオンは、硬い/弾力性のあるメッシュから構築されるか、又は硬いフレームワークのワイヤを利用し、パネルは事前に決められたサイズに作られている。メッシュは、交差部分の溶接(固有の弱点をもたらす)又は絡み合った(例えば二重撚り)メッシュ形状(比較的低強度で、可鍛性ワイヤを必要とし、破損に対してより脆弱である)によって硬くすることができる。プレサイズのガビオンを埋めるには注意が必要であり:過充填はガビオンを歪ませることがあり、それらを閉じて結合するのは難しく、充填不足は、設置後に不要な座屈/動きにつながる虞がある。更に、前もってサイズ調整されたガビオンは、不均等な地面に設置すること困難である。
【0007】
JP2012255308Aは、ワイヤメッシュから作られた別のガビオンを開示している。このガビオンの2つの本質的な特徴は、二重撚りメッシュを使用すること、及びワイヤとして合成樹脂モノフィラメントを使用することである。段落[0002]では合成樹脂モノフィラメントの重要性を説明し、段落[0026]及び[0030]では、ガビオンが充填される間、剛性を確保する方法で二重撚りメッシュが使用され、配置されることを明確にしている。また、
図7及び
図9を参照すると、所定の大きさのシートを用意し、現場外でガビオンを組み立てた後、未充填のガビオンを潰して丸めて運搬する製造方法が記載されている。従って、JP2012255308Aのガビオンは、充填を支援するために固有の剛性に依存し、従って慎重かつ正確な充填と現場での設置を必要とする、他の既知のガビオンデザインの欠点に苦慮している。類似のガビオンデザインが、CN213086712U及びEP188114A2に開示されている。
【0008】
それぞれ2020年5月14日及び202年10月30日に出願された英国特許出願第2007166.8号及び第27230.0号(ショアディフェンスリミテッド)には、ワイヤメッシュで構成された複数の岩石充填セルからなる浸食防止システムが記載されている。
【0009】
長期にわたり、環境に配慮し、メンテナンスの少ない地盤安定化及び保護製品を提供する必要性が残っている。本発明は、上記の欠点を緩和し、耐久性があり、費用効果が高く、目立たない地盤安定化アセンブリ、及びそのアセンブリの構築及び設置方法を提供しようとするものである。より詳細には、本発明は、迅速で便利かつ柔軟な設置、厳しい環境における長期的な回復力、及び自然環境に調和した目立たない外観を提供する、改良された地盤保護システムを提供することができる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、対向する上下の面、対向する第1及び第2の端面、並びに対向する第1及び第2の側面を有するセルアセンブリ(cell assembly)が提供される。任意に、セルアセンブリは、特許請求の範囲に記載のセルアセンブリである。セルアセンブリは、岩片を収容するための少なくとも1つのセルを備える。好ましくは、少なくとも1つのセルは、底部、第1及び第2の起立した側面、少なくとも第1の起立した端部、及び頂部を有する。セルアセンブリの面、及び任意にセルの底部、頂部、側面、及び端部は、チェーンリンクワイヤメッシュ(スチールワイヤメッシュなど、任意にステンレススチール)から形成される。チェーンリンクワイヤメッシュの第1の連続長さは、セルアセンブリの対向する上下の面及び対向する端面を画定する。セルアセンブリの第1の側面は、セルアセンブリの1つ又は2つの隣接する面を少なくとも部分的に包む、チェーンリンクワイヤメッシュの連続長さによって画定される。セルアセンブリの第2の側面は、セルアセンブリの1つ又は2つの隣接する面を少なくとも部分的に包む、チェーンリンクワイヤメッシュの連続長さによって画定される。任意に、第1の側面及び第2の側面は、セルアセンブリの下面、端面、上面(好ましくは下面)を横切って延びるチェーンリンクワイヤメッシュの第2の連続長さによって画定され、その面で第1の連続長さと重なる。或いは、第1の側面は第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、第2の側面は第2の連続長さとは別の第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定される。メッシュの長さがセルアセンブリの面全体を横切って延びている場合、メッシュの長さがセルアセンブリの面を「画定」することが理解されよう。連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュがセルアセンブリの下面、端面、上面を形成する場合、メッシュの長さはセルアセンブリの周囲を包囲し、特に強く効果的なセル構造を提供することが理解されよう。ワイヤメッシュの編まれたチェーンリンク構造が、メッシュの個々のワイヤを曲げることなく(従って弱くなる危険性もなく)、このような包囲構造を容易にすることが更に理解されよう。オプションとして、ワイヤメッシュの長さは、1つ以上のタイワイヤ及び/又は複数のクリップによって、セル組立面の端部で互いに固定される。チェーンリンクワイヤメッシュは、曲げたり変形したり、その結果応力下で弱くなるような硬い構造ではなく、凹凸があり時にはずれる地面を横切って伸びるときに強度を増す、柔軟で自己張力のある構造を提供する。メッシュのシート間を重ね合わせることで、各セルの正確な位置や、利用可能で設置場所に適した岩盤充填材の量や性質に合わせて、セルのサイズを調整することができる。
【0011】
ワイヤメッシュの各シートは、2つの対向する端部(端縁)と2つの対向する側部(側縁)を有することができ、チェーンリンクワイヤメッシュを形成するワイヤの切断端は側縁に位置することが理解されるであろう。チェーンリンクメッシュを形成する交差されたワイヤは、対向する端縁に平行な一般的な方向に、一方の側縁から対向する側縁まで、各シートの平面を横切って延びていることが更に理解されるであろう。任意に、切断端は、例えば、メッシュの各側縁に沿って連続するメッシュ開口部を閉じるために結び合わされる。任意で、各ワイヤの切断端は、隣接するワイヤの切断端の対応するループと組み合わさるループに結びつけられる。特に有用なワイヤメッシュは、GEOBRUGG(登録商標)社のTECCO(登録商標)ワイヤメッシュである。メッシュのロールを、端のワイヤを交差させることによってつなぎ合わせ、1枚の連続したメッシュシートを形成する場合、ワイヤの端を交差させる設備がない場合などに、交差させた端のワイヤの結び目ループを交差させるのではなく、クリップで留めることがある。このような配置でも、端部ワイヤがその長さ方向に沿って完全に交差しているため、シートの形状は変化しないことが理解されよう。
【0012】
好ましくは、ワイヤメッシュの第1の連続長さは、第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部及び第2の端部が、例えばセルアセンブリの上面、第1の端面、又は第2の端面に位置する接合部、好ましくは少なくとも部分的に上面(例えば上面)に位置する接合部で、互いに固定される。オプションとして、接合部は重なり合う接合部であり、第1の端部は第2の端部に重なる。好ましくは、第2及び/又は第3の連続長さの少なくとも一部(例えば、一方又は両方の端部)は、ワイヤメッシュの第1の連続長さの一部と重なり、例えば、連続長さは、隣接する面(複数可)に配置された重なり合う接合部によって互いに固定される。
【0013】
底面、端面、又は上面を横切って延びるチェーンリンクワイヤメッシュの第2の長さによって第1及び第2の側面が画定される場合、メッシュの二重層は、第1及び第2の長さが重なるその面に形成される。このような一方の面のメッシュの二重層は、強度を増すことが分かっており、底部の強度を増すことは、セルが吊り上げを必要とする場合に特に有用である(例えば、設置が、組立現場や浮き船上など、ある場所でセルを充填して閉じ、その後、水中など、最終的な場所にセルを吊り上げ/吊り下げることを含む場合)。任意に、第2の連続長さの一端又は両端は、少なくとも部分的に、第1及び第2の対向する面の間の更なる面に巻き付き、再び第1の連続長さに重なり、例えば、第2の連続長さの対向する端部が端から端まで接合される。端から端への接合は、第1の連続長さに関連して説明したような任意の接合であってよく、及び/又はその接合は、任意の面(例えば、側面、端面、及び上面のうちの1つ以上、好ましくは上面)に位置してよいことが理解されよう。任意に、第1の接合部で端から端まで接合された少なくとも1枚の単一シートから形成された第1の連続したチェーンリンクワイヤメッシュが、セルアセンブリの底面、対向する端面、及び上面を画定し、第2の接合部で端から端まで接合された少なくとも1枚の単一シートから形成された第2の連続したチェーンリンクワイヤメッシュが、セルアセンブリの対向する側面を画定する。任意に、第1及び第2の接合部は、それぞれ重なり合う接合部であり、及び/又はセルアセンブリの対向する端面及び/又は上面、例えば上面などの同じ面に配置される。任意に、第2(及び存在する場合は任意に第3)の連続長さは、第1の連続長さの内側に配置されるか(第2/第3の連続長さが内側メッシュ層を形成する)、外側に配置されるか(外側メッシュ層を形成する)、或いは、一方の面では第1の連続長さの内側に配置され、別の対向する面では第1の連続長さの外側に配置される。このような内側/外側の覆いにより、特に高いセル強度が得られることが判明している。「内側」及び「外側」は、セルアセンブリの内部に対する用語であることが理解されよう。
【0014】
好ましくは、セルアセンブリを形成するワイヤメッシュは、緊張(tensioned)ワイヤメッシュである。ワイヤメッシュは、例えば、セルアセンブリが構築される際に、充填材の周囲にワイヤメッシュを引き伸ばすことによって緊張させることができることが理解されよう。このような緊張は、輸送中/設置中及び使用中の両方で、セルアセンブリの形状を安定させ、設計寿命を延ばすのに役立つことが分かっている。このように緊張されたメッシュからなるセルアセンブリは、特に充填材が大きな岩片を含む場合、充填材の形状に合わせて歪む傾向があることが理解されよう。任意で、ワイヤメッシュの第1の連続シートは、その長さ(端から端までの長さ)に沿って、少なくとも1kN、例えば少なくとも2kN、例えば少なくとも5kNに緊張される。メッシュは、シートの対向する端部を連結するか部を形成する前に、充填材の周囲にメッシュをきつく引き寄せることによって、このように張力をかけられることが理解されよう。好ましくは、セルアセンブリの第1及び第2の側面を形成する連続チェーンリンクワイヤメッシュも、長手方向に少なくとも1kN、例えば少なくとも2kN、例えば少なくとも5kNに張力をかけられる。前記メッシュは、メッシュの対向する端部同士を締結する前に(例えば、第1及び第2の側面が、端部同士を結合するようにセルアセンブリの周囲に巻き付けられるメッシュの第2の連続シートによって形成される場合)、及び/又はメッシュをメッシュの第1の連続シートに締結する前に、メッシュを充填材の周囲にきつく引き寄せることによって、そのように張力を与えられてもよいことが理解されよう。メッシュのシート間のいくつかの固定は、充填材を挿入する前、従って張力をかける前に行ってもよいことが理解されよう(例えば、セルアセンブリの端部でシートの側面同士を結合する固定)。メッシュの張力は、1つ又は複数のブレースアセンブリ(brace assemblies)(本明細書で後述する)の設置によって更に増大させることができることが理解されよう。任意に、このように張力をかけられた各チェーンリンクワイヤメッシュ(例えば、セルアセンブリの面を形成する各チェーンリンクワイヤメッシュ)は、その長さの少なくとも一部に沿って、1kN~150kN、例えば2kN~75kN、例えば5kN~25kNの張力を有する。メッシュの張力は、輸送/設置時などに、セルアセンブリが持ち上げられる(例えば吊り下げられる)と増加する可能性があることが理解されよう。上記の張力値は、セルアセンブリが静止している(例えば地面に置かれている)ときのワイヤメッシュの張力を指している。
【0015】
任意に、連続長さのワイヤメッシュは、チェーンリンクワイヤメッシュの1つ以上の単一の連続シートから形成され、各単一のシートが、端から端まで連続した長さの全体に沿って延びる。任意に、各単一の連続シートは、対向する第1及び第2の端部を有し、上面及び下面、並びに第1及び第2の側面又は端部にまたがるセルアセンブリの少なくとも一部に、各シートが巻き付けられるように、端部同士が接合される。オプションとして、連続長さのワイヤメッシュは、例えば、シートの対向する端部が端部と端部とで接合された、ワイヤメッシュの単一の連続シートから形成される。或いは、連続長さのワイヤメッシュは、複数の単一のシートから形成され、例えば、長さを構成するシートが側部と側部とで接合され、任意に、各シートの少なくとも1つの側部が重なり、隣接するシートの側部に固定される。端から端までメッシュの長さに沿って延びる単一のシートは、端から端まで一貫したメッシュ形状を提供し(例えば、メッシュパターンの過度のずれを回避する)、設置を単純化し、構造的完全性を向上させることが見出されている。チェーンリンクワイヤメッシュの単一の連続シートでは、メッシュ本体の各ワイヤ(すなわち、シートの対向する端部のワイヤを除いた全てのワイヤ)は、2本の隣接するワイヤ(両側に1本ずつ)と交差している。通常、チェーンリンクワイヤメッシュは、予め製造されたロールとして提供される。メッシュのロールが必要な連続長さのワイヤメッシュを形成するには長さが足りない場合、2つ以上のロールを端のワイヤを交差させることによって繋ぎ合わせて、単一の連続したワイヤメッシュのシートを形成してもよい。端部ワイヤを互いに直接交差させてもよく(例えば、少なくとも1つのシート(任意に両方のシート)から端部ワイヤを解列/解織し、次いで端部ワイヤを両方のシートに再び束縛/織込する)、或いは、形状、材質、及び寸法の点でロールのものと実質的に同一のチェーンリンクワイヤの1本以上(好ましくは2本)のストランドを挿入することによってでもよい。このような配置の場合、ワイヤが交錯すると、ロール間の接続はメッシュ全体で識別できなくなり、メッシュパターンにも、メッシュを形成するワイヤの形状/寸法にも差異がなくなる。これとは対照的に、例えばループやスパイラル(ヘリコイルファスナーなど)で端から端まで、又は側部から側部まで結合されたメッシュの別々のシートは、単一の連続シートとはみなされない。
【0016】
或いは、連続長さのワイヤメッシュは、複数の別々のワイヤメッシュのシートから形成され、各シートは端から端まで接合される(すなわち、あるシートの端が別のシートの端に接合される)。ワイヤメッシュの別々のシートは、シートが同じ方向を有するとき、例えば、メッシュシートが第1のメッシュの端縁と第2のメッシュの端縁とを平行にして接合されるとき、連続長さのワイヤメッシュを形成することが理解されるであろう。第1及び第2のチェーンリンクワイヤメッシュシートは、第1のシートの平面を横切って交差したワイヤが延びる接合された一般的な方向が、第2のシートの平面を横切って交差したワイヤが延びる一般的な方向と平行であるとき、同じ方向を有する。
【0017】
好ましくは、第1の連続長さの各シートは、セルアセンブリの周囲を包み、セルアセンブリの上側、下側、並びに第1及び第2の端面のそれぞれにまたがっている。好ましくは、第2の連続長さの各シートは、第1の側面にまたがり、前記隣接する面の少なくとも一部にわたって延びる。好ましくは、第3の連続長さの各シートは、存在する場合、第2の側面にまたがり、前記隣接する面の少なくとも一部にわたって延びる。任意に、第2の連続長さの各シートは、セルアセンブリの第1及び第2の側面と別の面(例えば、下面)とにまたがり、任意に、更なる面(例えば、上面)にわたって延びるか、又はまたがる。メッシュのシートがセルアセンブリの面を「またがる(spans)」のは、シートが面の一方の端から面の対向する端まで延びている場合であることが理解されよう。従って、シートは面を横切って一方向(例えば全幅、全長)に完全に延びるが、面を横切って全方向に完全に延びてもよく、延びなくてもよい。従って、シートは面にまたがるが、当該面の一部のみを横切ることもある。例えば、面を画定するメッシュの長さが2枚以上のシートから構成される場合、各シートは当該面をまたがってもよい。
【0018】
任意で、シート端部間の端部対端部接合部の1つ以上、又は全ては、セルアセンブリ面間の端部、任意で、上面と端面との間に位置する端部に配置される。付加的又は代替的に、1つ又は複数、或いは全ての端部対端部接合部は、セルアセンブリの端から間隔をあけて離すなど、セルアセンブリの面に配置される。セルの面上に接合部を配置することで、組み立て中のセルのより便利な閉鎖を可能にすることができる。任意に、1つ以上の、或いは全ての接合部は、セルアセンブリの上面に配置される。任意に、1つ以上の、又はそれぞれの、端部対端部の接合は、例えば、1つのシート端が別のシート端に重なるオーバーラップ接合である。オーバーラップ接合は、シート間のより強固な固定を促進することができる。加えて又は代替的に、オーバーラップ接合は、セル組立中により便利な締結を提供し、例えば、充填中のセル寸法のばらつきに対してより良い許容を提供し、及び/又はメッシュのシートが引っ張られることを可能にし、セルアセンブリの強度及び弾力性を更に改善することができる。オーバーラップ接合は、セルアセンブリの面全体に配置してもよく、隣接する2つの面の少なくとも一部にわたってオーバーラップ接合が延びるように縁にまたがって配置してもよいことが理解されよう。オプションとして、オーバーラップは少なくとも80mm、例えば少なくとも150mm、例えば少なくとも200mmである。オーバーラップは、シートの端縁を分離するオーバーラップを横切る距離であることが理解されよう。任意に、オーバーラップは少なくとも1列のメッシュ開口部、例えば少なくとも2列のメッシュ開口部、例えば少なくとも3列のメッシュ開口部である。一方のシート端部の開口部のx列が他方のシート端部の開口部のx列と重なるとき、オーバーラップはメッシュ開口部のx列であることが理解されよう。
【0019】
任意に、セルアセンブリはほぼ立方体の形状を有する。任意に、セルの側面は対向する起立側面であり、セルは第1の起立端に対向する第2の起立端を含んでいる。例えば、少なくとも1つのセルはほぼ立方体の形をしている。少なくとも1つのセルは、例えば三角形の断面を有するなど、どのような形状であってもよいことが理解されよう。好ましくは、セルの底面はセルアセンブリの下面の少なくとも一部と整列し、及び/又はセルアセンブリの下面の少なくとも一部によって形成される。加えて又は代替的に、セルの少なくとも一端は、セルアセンブリの端面の少なくとも一部と整列し、及び/又はセルアセンブリの端面の少なくとも一部によって形成される。加えて又は代替的に、セルの少なくとも一側部は、セルアセンブリの側面の少なくとも一部と整列し、及び/又はセルアセンブリの側面の少なくとも一部によって形成される。
【0020】
好ましくは(例えばメッシュの連続長さがそれぞれ1枚の単一連続シートから形成される場合)、セルアセンブリは、1~5m(例えば2~4m)の幅、1~5m(例えば2~4m)の長さ、及び0.15~1.5m(例えば0.4~0.8m)の高さを有する。このようなサイズ、特に例示的なサイズを有するセルアセンブリは、製造/輸送の容易さと設置後の安定性との間で、特に有用なバランスを提供することが見出されている。任意に(例えば、1つ以上の連続長メッシュが複数の単一連続シートから形成される場合)、セルアセンブリは、1~25m(例えば2~20m)の幅、1~25m(例えば2~20m)の長さ、及び0.15~2m(例えば0.4~1m)の高さを有する。高質量構造が必要な場合は、より大きなサイズが特に有用である。追加的又は代替的に、セルアセンブリは、少なくとも0.15m3、例えば少なくとも0.4m3、例えば少なくとも1.5m3、任意で少なくとも2.5m3の総内容積を有する。追加的又は代替的に(例えば、連続した長さのメッシュがそれぞれ1枚の単一連続シートから形成されている場合)、セルアセンブリは、最大で40m3、例えば最大で20m3、例えば最大で10m3の総内容積を有する。加えて又は代替的に(例えば、1つ又は複数の連続した長さのメッシュが、複数の単一連続シートから形成されている場合)、セルアセンブリは、最大で1250m3、例えば最大で800m3、例えば最大で400m3の総内容積を有する。一旦構築されると、セルアセンブリは、岩石片を封じ込めるための密閉された内容積を有し、全ての面がワイヤメッシュによって画定される。
【0021】
任意に、セルアセンブリは複数のセルから構成される。好ましくは、各セルは、底部、第1及び第2の起立した側部、少なくとも第1の起立した端部(例えば、第1及び第2の起立した端部)、及び頂部を有し、底部、側部、端部、及び頂部は、チェーンリンクワイヤメッシュから形成される。複数のセルを設けることにより、特定の高質量のセルアセンブリを形成することができ、同時にセルアセンブリ内の材料の不当な移動を避けることができる。オプションとして、各セルの少なくとも1つの側部は、隣接するセルの側部を画定するチェーンリンクワイヤメッシュのサイドパネルによって画定される。加えて又は代替的に、各セルの少なくとも1つの端部は、隣接するセルの端部を画定するチェーンリンクワイヤメッシュの端部パネルによって画定される。従って、セルアセンブリは、任意に、横並び(side-by-side)、及び/又は、端と端を並べて(end-on-end)配置された複数のセルを含んでもよいことが理解されよう。複数のセルを設けることで、密接かつ弾力的に連結されたセルを有するマルチセル構造を提供することができる。端と端を合わせて配置されたセルは、任意に、2つ以上のセルに共通するサイドパネル(すなわち、2つの隣接するセルの側部を画定する1つのサイドパネル)によって画定された側部を有してもよいことが理解されよう。同様に、横並びに配置されたセルは、2つ以上のセルに共通する端部パネル(すなわち、隣接する2つのセルの端部を画定する1つの端部パネル)によって画定される端部を任意に有することができる。任意に、複数のセルの各々は、ほぼ立方体の形状を有する。任意に、各セルの側部は対向する起立側部であり、各セルは第1の起立端部に対向する第2の起立端部を備える。例えば、各セルは立方体形状を有していてもよい。好ましくは、各セルの底部は、セルアセンブリの下面の少なくとも一部と整列しており、及び/又はセルアセンブリの下面の少なくとも一部によって形成されている。加えて又は代替的に、各セルの少なくとも一端は、セルアセンブリの端面の少なくとも一部と整列し、及び/又はセルアセンブリの端面の少なくとも一部によって形成される。加えて又は代替的に、各セルの少なくとも1つの側部は、セルアセンブリの側面の少なくとも一部と位置合わせされ、及び/又はセルアセンブリの側面の少なくとも一部によって形成される。セルアセンブリ内のセルの側部及び/又は端部を形成するパネルは、セルアセンブリを分割するバッフル(baffles)と呼んでもよいことが理解されよう。バッフルは、セルアセンブリを、例えば三角形、正方形、又は長方形の断面を有するセルなど、任意の都合の良い形状及びサイズのセルに分割するために使用されてもよく、同じセルアセンブリ内のセルが異なるサイズ及び/又は形状を有してもよいことが理解されよう。好ましくは、各パネルは、セルアセンブリの面を画定するシートを形成するのに使用されるのと同じワイヤメッシュ材料から形成される。
【0022】
好ましくは、分割されたセルアセンブリの各セルは、0.2~2mの長さ(例えば0.5~1m)、0.2~2mの幅(例えば0.4~1m)、0.15~1.5mの高さ(例えば0.4~0.8m)、任意で0.01~4m3の内部容積(例えば0.1~0.8m3)を有する。セルの内部容積が全てワイヤメッシュで囲まれるように、セルの全ての面をワイヤメッシュで画定してもよい。本明細書では、セルは分割されていない内部容積を有することができる。例えば、各セルは、セルを複数のサブセルに分割するワイヤメッシュパネルから自由であってもよい。セル内に配置されたブレースアセンブリは、存在するとしても、その内部容積を分割しないことが理解されよう。オプションとして、セルアセンブリは1つのセルからなる単一のセルアセンブリである。セルアセンブリが単一セルアセンブリである場合、セルアセンブリの下面、端面、上面を画定する連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュが、セルの底部、端部、頂部を形成することが理解されよう。
【0023】
ワイヤメッシュシートは、任意の適切な接続システムによって互いに固定することができる。接続システムは、連続的(複数の点接続が単一の器具によって形成される)であってもよく、不連続的(点接続がそれぞれ個別の器具によって形成される)であってもよい。点接続とは、あるワイヤメッシュのワイヤが別のワイヤメッシュのワイヤに固定される単一の位置のことである。適切な連続固定器具には、タイワイヤが含まれる。好適なタイワイヤの例には、可撓性ワイヤ(例えば、被締結パネルのメッシュ開口部を通してジグザグパターンで織られたもの)、及び剛性ワイヤ(例えば、被締結シートのワイヤメッシュを縫い合わせるように構成されたジグザグ又はヘリコイル形状の剛性ワイヤ)が含まれる。連続接続器具は、器具の長さに沿って、メッシュ開口部ごとに少なくとも1つの点接続を提供することができる。好適な離散的固定器具には、ワイヤクリップなどのクリップが含まれる。例示的なワイヤクリップには、隣接するシートのワイヤの周りを閉じることができるCクリップが含まれ、好ましくは、前記ワイヤは互いに対向する。更に例示的なワイヤクリップには、プレスされた爪クリップ(Geobrugg(登録商標)から入手可能なT1プレスされた爪クリップなど)及びスプリングクリップ(Geobrugg(登録商標)から入手可能なT3スプリングクリップなど)が含まれる。
【0024】
任意に、シートは、1つ以上のタイワイヤ及び/又は複数のクリップによって、セルエッジで一緒に固定される。任意に、シートは、セルエッジに沿って、エッジの長さの50%以上、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも90%に沿って延びる連続的な固定器具によって固定される。追加的又は代替的に、シートは、複数の離散的な固定器具によってセルエッジに沿って固定され、任意に、固定器具は、隣接する固定器具間及びエッジの各端部と最も近い固定器具との間の間隔が、エッジの長さの30%以下、例えば25%以下、例えば20%以下となるように、エッジに沿って間隔をあけて配置される。加えて又は代替的に、離散的な固定器具は、メッシュ開口部の長さ及び/又は幅に等しい距離だけ離間される。セルエッジの大部分に沿って配された点結合を提供するように配置された固定器具は、特に強力な結合を提供する。連続的な固定器具と離散的な固定器具との組み合わせが、同じエッジ上で使用されてもよいことが理解されよう。
【0025】
任意に、重なり合うシートは、1つ以上のタイワイヤ及び/又は複数のクリップによって互いに固定される。任意で、このような連続的な固定器具は、重なり部分の幅の50%以上、例えば少なくとも75%、例えば90%にわたって延びている。加えて又は代替的に、重なり合うシートは、複数の離散的な固定器具によって固定され、任意に、固定器具は、隣接する固定器具間及びオーバーラップ領域の対向するエッジと最も近い固定器具との間の間隔が、重なり部分の幅の30%以下、例えば25%以下、例えば20%以下となるように、オーバーラップ領域の幅にわたって間隔をあけて配置される。オーバーラップ領域の幅の大部分に沿って配された点接続を提供するように配置された固定器具は、特に強力な結合を提供する。任意で、少なくとも2つのこのような連続的な固定器具、又は少なくとも2列のこのような離散的な固定器具によってシートを重ね合わせ、任意で、少なくとも2つの連続的な固定器具、又は少なくとも2列のこのような固定器具は、オーバーラップ領域の長さを横切って間隔を置いて配置される。点接続の間隔を空けた平行な配列を設けると、点接続の数が増えるだけでなく、間隔を空けた配列が、1つの点接続配列に沿って一方のシートが他方のシートからねじれるのを避けるのに役立つため、結合が強化される。同じオーバーラップ領域に、連続的な固定器具と離散的な固定器具とを組み合わせて使用してもよいことは理解されよう。
【0026】
ワイヤメッシュシートの形成には、任意の適切なワイヤを使用することができる。オプションとして、ワイヤは高張力鋼線などの高張力ワイヤである。パネルを互いに固定するためのタイワイヤ及び/又はクリップを形成するために使用されるワイヤは、任意に、高張力鋼線などの高張力ワイヤである。本明細書で使用する高張力鋼線は、少なくとも1,000N/mm2、任意で少なくとも1,500N/mm2、例えば少なくとも1,650N/mm2、少なくとも2,200N/mm2、又は少なくとも2,700N/mm2の引張強度を有する。オプションとして、高張力鋼線は最大3,200N/mm2の引張強度を有する。任意で、高張力ワイヤは、少なくとも2mm、例えば少なくとも3mm、例えば少なくとも4mmの直径を有する。オプションとして、高張力ワイヤは、8mm以下、例えば6mm以下、例えば5mm以下の直径を有する。このようなワイヤは、強度と柔軟性との効果的なバランスを提供する。任意で、パネルを形成するために使用されるワイヤメッシュは、少なくとも75kN/m、例えば少なくとも100kN/m、例えば少なくとも130kN/mの引張強度を有する。メッシュの引張強度は、欧州評価文書(European Assessment Document)230025-00-0106に記載されているように測定される。好ましくは、高張力ワイヤは耐腐食性鋼線である。オプションとして、高張力ワイヤは、ステンレス鋼、例えばオーステナイト系、フェライト系、又は二相ステンレス鋼、好ましくは二相ステンレス鋼から形成される。ステンレス鋼は、少なくとも約11重量%のクロム含有量を有する鉄ベースの合金であることが理解されよう。二相ステンレスは、オーステナイト系とフェライト系との混合組織を有し、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて降伏強度が向上する。オプションとして、ワイヤメッシュパネル及び/又はタイワイヤ/ワイヤクリップの高張力ワイヤは、AISI 316又はAISI 318ステンレス鋼から形成される。任意で、高張力鋼線は、耐食性コーティング、例えばアルミニウム-亜鉛合金コーティング、例えば約95%の亜鉛と5%のアルミニウムからなるコーティングを有する。オプションとして、このようなコーティングは、少なくとも90g/m2、例えば少なくとも100g/m2、例えば少なくとも125g/m2の量で存在する。耐食性ワイヤ、特にステンレス鋼ワイヤは、過酷な屋外環境、例えば沿岸地帯で特に有用である。ステンレス鋼製部品は、卓越した耐久性を提供し、浸食防止システムの環境への影響を軽減する。特に、ステンレス鋼は長寿命であるため、浸食防止インフラの頻繁なメンテナンスや交換を避けることができ、従って自然環境の撹乱を避けることができる。更に、ステンレス鋼の耐食性は、従来の建設材料(コンクリートや従来の鋼材など)の分解時に放出される汚染物質による自然環境の汚染を回避するのにも役立つ。
【0027】
オプションとして、ワイヤメッシュは、幅40~120mm、長さ60~200mm、例えば幅60~100mm、長さ80~150mmの開口部を有する。開口部の長さは開口部の最大直径を横切って測定され、幅はメッシュの平面を横切る長さに垂直に測定される。
【0028】
好ましくは、ワイヤメッシュは織網又は編網である。溶接メッシュとは対照的に、織網や編網は、より大きな内部柔軟性を提供する。従来のガビオンバスケットを形成するために使用される溶接メッシュでは、メッシュを形成するワイヤが格子状に配置され、重なりごとに溶接される傾向がある。このようなメッシュシートの剛性は非常に高い。その結果、個々のガビオンバスケットを複数の点で結合しても、個々の剛性ブロックとして動作することが判明している。より柔軟なメッシュを使用すると、浸食防止システムが外力を受けたときに、セルの形状が多少歪むことがあることが判明した。より詳細には、織網や編網を使用してセルを形成した場合、含まれる岩片及び/又はその下の地面の動きによるセルの歪みが、システム全体のメッシュ全体の張力を増加させ、更なる外力に対する強度と弾力性を高めることが判明した。浸食防止システムの強度と弾力性が高ければ高いほど、より効果的で、メンテナンスも少なくて済む。メンテナンスの軽減は、コストの節約になり、設置場所の生態系を乱して損傷させる侵略的介入を減らすのに役立つ。好ましくは、ワイヤメッシュはチェーンリンクワイヤメッシュである。チェーンリンクワイヤメッシュは、ダイヤモンドパターン織ワイヤメッシュとも呼ばれ、メッシュの平面を横切って同じ方向に延びる複数の交差したワイヤで構成されている。ワイヤはジグザグパターンに曲げられており、各「ジグ」はすぐ一方の側のワイヤと引っ掛かり、各「ザグ」はすぐ他方のワイヤと引っ掛かり、四辺形状の開口部を形成する。交差したワイヤの各対は、メッシュの幅を横切って延びるメッシュ開口部の列を画定することが理解されよう。オプションとして、開口部は細長いダイヤモンド又は菱形の形状をしている。チェーンリンクワイヤメッシュは、ワイヤが各交差点で1回以上完全に回転することによって互いに巻き付くように撚り合わされている、他のタイプの織網とは異なる。このようなメッシュの例としては、六角形模様のメッシュがあり、一般に「チキンワイヤ」と呼ばれるメッシュに構造が似ている。このようなメッシュの例としては、Maccaferri(登録商標)社から入手可能なPVC被覆スチールワイヤメッシュがある。このような六角形模様のメッシュを本発明のセルを形成するメッシュとして使用してもよいが、チェーンリンクメッシュの方がシート内の柔軟性に優れ、高張力ワイヤからより簡単に作ることができることが判明している。任意に、メッシュが織物又は編物のワイヤメッシュである場合、各ワイヤの切断端は、例えば、メッシュの縁に沿って延びるメッシュ開口部の列を閉じるために結び合わされる。オプションとして、各ワイヤの切断端は、隣接するワイヤの切断端の対応するループと連動するループに結びつけられる。オプションとして、セルのサイドパネルを形成するメッシュは、サイドパネルと蓋パネルの間、及びサイドパネルとベースパネルの間の縁に沿って延びる、結ばれたワイヤの端を有するメッシュの縁を持つように配向される。特に有用なワイヤメッシュは、GEOBRUGG(登録商標)社により提供されるTECCO(登録商標)ワイヤメッシュである。
【0029】
オプションとして、セルアセンブリは、セルアセンブリの下面を横切って延びるワイヤメッシュを、セルアセンブリの上面を横切って延びるワイヤメッシュに結びつける、複数のブレースアセンブリを含む(例えば垂直ブレースアセンブリ)。追加的又は代替的に、各セルは、セルの底部を横切って延びるワイヤメッシュをセルの頂部を横切って延びるワイヤメッシュに結びつける、少なくとも1つのブレースアセンブリ(例えば垂直ブレースアセンブリ)を任意に含む。オプションとして、このようなブレースアセンブリはそれぞれ、底部のワイヤメッシュの下方に配置された下部ブレースプレートと、頂部のワイヤメッシュの上方に配置された上部ブレースプレートと、下部ブレースプレートと上部ブレースプレートとを結合するテンション部材(例えばテンションケーブル)とを備える。好ましくは、ブレースアセンブリは、部材を緊張させることができるように構成され、ブレースプレートを一緒に引っ張る正の力を提供する。好ましくは、部材は、任意の適切な固定手段によって下部ブレースプレートにしっかりと取り付けられる。好ましくは、各ブレースプレートは、少なくとも5mm、例えば少なくとも8mmの厚さ、及び少なくとも150mm、例えば少なくとも200mmの最小直径(例えば、プレートは、少なくとも8mm×少なくとも200mm×少なくとも200mmの平らな正方形プレートであるか、又はプレートは、少なくとも8mm×200mmの平らな円形プレートである)、任意に、500mm以下、例えば400mm以下の最大直径を有する、鋼(例えばステンレス鋼)プレートなどの金属プレートである。オプションとして、テンション部材は、上部ブレースプレートの穴を通過し、上部プレートの上方で部材に固定されたリテーナ(例えばクリップやナット)によって所定の位置に保持される(リテーナは穴を通過できないような大きさである)。オプションとして、各セルは、セルアセンブリ(又はセル)の対向する第2の側を横切って延びるワイヤメッシュに、第1の側を横切って延びるワイヤメッシュを結びつける、少なくとも1つの対応する水平ブレースアセンブリを含む。いずれのブレースアセンブリのクリップも、上側/第2プレートが下側/第1プレートに向かって押されると、クリップがテンションケーブルに沿って下/内側にスライドし、上側/第2プレートを押す力がなくなると、クリップがケーブルに沿って上/外側に戻るのを防ぐ、ワンウェイクリップであってもよい。どのようなブレースアセンブリの両方のブレースプレートも、テンション部材がブレースプレートの穴を通り、リテーナ(例えば、ワンウェイクリップ又はナット)で所定の位置に保持されるように配置されてもよいことが理解されるであろう。このような配置では、部材は、セルの上部と下部、又は対向する両側面から外側に延びることがある。テンション部材は、ケーブルであってもよく、ケーブルを含んでもよい。加えて又は代替的に、テンション部材は、ねじ付きバー(例えば、テンション部材を上部/第2ブレースプレートに連結するための保持ナットを有する)を含むか、又はねじ付きバーであってもよい。テンション部材が1本以上のケーブルとねじ付きバーの両方を含む場合、ケーブルの一端は下部/第1ブレースプレートに取り付けられ、他端はねじ付きバーの一端をねじ込み可能に受ける大きさのねじ付きソケットに取り付けられ、上部/第2ブレースプレートは、上部/第2ブレースプレートの外側でバーにねじ込まれたときに、保持ナットの通過を許すことなくねじ付きバーの他端を受ける大きさの貫通穴を含む。適切なブレースアセンブリには、Platipus(登録商標)及びTecni(登録商標)製のものがある。オプションとして、1つ以上のブレースアセンブリは、アンカー装置(グランドアンカー及び/又は別の対応するセルアセンブリなど)及び/又は吊り上げ装置(クレーンアタッチメントなど)に取り付けるように構成され、例えば、セルの便利な吊り上げ及び/又はアンカーポイントを提供する。セルが対応するセルに固定される場合、セルのブレースアセンブリは、例えば、セルの便利な固定を可能にする(例えば、セルが水中の場所に設置される場合)、互いに取り付けられるように構成されていてもよい。任意に、セルは、部分的に又は完全に岩片で充填されたときに、1つ又は複数のブレースアセンブリによって吊り下げ可能及び/又は固定可能である。任意で、テンション部材の端部(例えば、ブレースプレートの穴を通して突出するように構成された端部)は、アンカー装置及び/又は吊り上げ装置に取り付けられるか、又は取り付けられるように構成される。加えて又は代替的に、テンション部材がねじ付きバーを含む場合、テンション部材は、ねじ付きバーに、例えばケーブルに固定された別のねじ付きソケットによって取り付けられた追加のケーブルを含んでもよく、このケーブルは、アンカーケーブル及び/又は吊り上げケーブルとして機能し得る。このようなケーブルは、アンカー装置及び/又は吊り上げ装置に取り付けるように構成されていてもよい。別のセルアセンブリがアンカー装置として機能してもよいことは理解されよう。
【0030】
好ましくは、セルアセンブリは、吊り上げ装置(例えば、吊り上げフレーム)からの吊り下げのために構成される。オプションとして、複数のブレースアセンブリ(例えば垂直ブレースアセンブリ)のテンション部材は、吊り上げ装置に取り付けるように構成される。加えて又は代替的に、セルアセンブリは、複数のリフトアセンブリを含む。オプションとして、各リフトアセンブリは、セルアセンブリの下面の下に配置されたリフトプレートと、リフトプレートに固定され、セルアセンブリを通って上方に延び、上面から外側に延びるリフトケーブルとを含む。好ましくは、各リフトケーブルは、吊り上げフレームのような吊り上げ装置に取り付けるように構成されている。ケーブルは、例えば、セルアセンブリの重量に耐えるのに十分な集合的強度を有することにより、吊り上げフレームに取り付けるための少なくとも1つのコネクタを備えることにより、吊り上げフレームに取り付けるように構成され得る。リフトアセンブリは、2枚のブレースプレートのうちの1枚が省略されていることを除いて、ブレースアセンブリと実質的に同一であってもよいことが理解されよう。リフトアセンブリはより少ない構成部品を有するかもしれないが、例えば、第2のブレースプレートがブレースアセンブリを固定された位置及び向きに保持するのに役立つので、ブレースアセンブリはより高い安定性を提供できることが判明している。好ましくは、セルアセンブリは、少なくとも4つ、例えば少なくとも8つ、例えば少なくとも12個の、垂直ブレースアセンブリ及び/又はリフトアセンブリを含み、それらの各々が、吊り上げフレームのような吊り上げ装置に取り付けるように構成され、例えば、セルアセンブリが岩石片のような充填物で充填されたときに、前記ブレースアセンブリ及び/又はリフトアセンブリのみによって、セルアセンブリが吊り上げ装置から吊り下げ可能になる。任意に、充填されたセルアセンブリは、少なくとも2,000kg、例えば少なくとも4,000kg、好ましくは少なくとも6,000kgの総質量を有する。任意に、充填されたセルアセンブリは、1,000kgから20,000kg、例えば2,000kgから15,000kg、好ましくは6,000kgから10,000kgの質量を有する。このような吊り上げ配置は、特に便利な輸送と設置を容易にし得る。ねじ付きバーのような棒が、ブレースアセンブリ又はリフトアセンブリにおいて、ケーブルと共に又はケーブルの代わりに使用され得ることが理解されよう(例えば、そのような棒は、同じ機能を提供するケーブルと同等であってもよい)。
【0031】
好ましくは、各セルは、ワイヤメッシュの開口部の断面サイズよりも大きい断面サイズを全ての寸法で有する岩石片などの岩石片で充填される。岩石片は、不規則な形状を有することが多いので、岩石片で充填された場合でも、セルの内部には岩石間の多数の空隙が含まれる場合があることが理解されよう。このような空隙は、より小さな岩石片、及び/又は、砂及び/又は土のような粒状物質で充填することができる。加えて又は代替的に、例えばコンクリート片を再利用するために、各セルをコンクリート片で充填することもできる(そのような材料が設置場所での使用に適している場合)。岩片間の空隙、及び任意でより小さな岩片及び粒状材料の間の空隙は、波のエネルギーが散逸する多孔質構造を提供することができる。例えば、波が浸食防止システムに衝突すると、水は岩石及び粒状材料の間の空隙に落ちることができる。これにより、浸食防止システムによって偏向される水の量を減らすことができ、例えば、浸食防止システムの上部を越えて/後方に偏向され、その結果、水がその源に逆流することによって引き起こされる洗掘の量を減らすことができる。この多孔性により、浸食防止システムは、自然の構造物と同様の挙動を示し、自然環境に溶け込むことができる。高い柔軟性(ワイヤメッシュがチェーンリンクメッシュである場合は特に強化される)及び耐久性(ワイヤメッシュがステンレス鋼ワイヤで形成されている場合は特に顕著)を有するワイヤメッシュの使用との組み合わせにより、岩石片がセルに充填されるため、浸食防止システムは時間の経過と共に移動・沈降し、自然環境と一体化し、植生や砂などの粒状物質が堆積して構造を補完することができる。
【0032】
任意に、各セルは、土及び/又は砂などの粒状物質の通過を防止するための透水性微粉バリア(water permeable fines barrier)を含む。任意に、微粉バリアは、5mm未満、例えば2mm未満、例えば1mm未満の直径を有する粒状物質を保持するように構成される。任意選択で、微粉バリアは、少なくとも0.07mm、例えば少なくとも0.1mmの直径を有する粒状物質を保持するように構成される。任意選択で、微粉バリアは、より小さい材料が通過することを許容する。従って、微粉バリアは、土及び/又は砂バリアであってもよく、任意にシルトバリアでなくてもよい。微粉バリアが存在する場合、微粉バリアはセル内部に位置し、セルの上部と底部との中間の位置でセルの断面全体にわたって延びている。従って、任意の微粉バリアは、各セルの蓋パネルの下に配置される。好ましくは、存在する場合、微粉バリアは、セル上部のワイヤメッシュのすぐ下に配置される。微粉バリアは、砂及び/又は土のような粒状物質をセル内に保持するのに役立つことが判明している。砂及び/又は土を含むセルは、浸食防止を必要とする現場での要求に応じて、砂及び/又は土だけでなく、任意に岩片を含むことができる。任意選択で、各セルは、砂及び/又は土のような粒状材料、並びに任意選択で、ワイヤメッシュ開口部の断面サイズよりも大きい断面サイズを全ての寸法で有する岩片のような岩片を含み、粒状材料は、微粉バリアの下方に配置されるか、又は微粉バリアによって囲まれた空間に配置される。微粉バリアがセルを横切って上部に向かって延びる層の形態である場合、微粉はバリアの下に配置されてもよいことが理解されよう。微粉バリアが例えばバッグ状である場合、微粉は微粉バリアによって囲まれた空間(従ってバッグの内側)に配置される。任意に、微粉バリアは、ワイヤメッシュに隣接する前記セルの側部及び端部、及び任意にワイヤメッシュに隣接する前記セルの底部に並ぶ。微粉バリアがセルの上部、下部、側部、及び端部に並ぶことで、粒状物質がセル間を移動して、時間の経過と共に浸食防止システムの局所的な部分に微粉が集中する可能性があるのを防ぐことができる。オプションとして、微粉バリアは、前記セルの底部を裏打ちする底部、前記セルの側部及び端部を裏打ちする側部、及び前記セルの頂部を裏打ちする頂部フラップを有するバッグの形態である。頂部フラップは、セルアセンブリの使用目的に応じて任意であることが理解されよう。バッグは、セル内に配置し、一旦所定の位置に置いたら材料を充填するのに特に便利であることが判明している。好ましくは、蓋はバッグの両側に、例えば少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm、重なるような大きさ及び構成になっている。オプションとして、蓋はセルの上部より大きく、蓋の縁を側面伝いに押し下げることができる。追加で又はその代わりに、バッグの側面はセルの側面及び端面よりも高く、セルの上部に折り重ねることができる。好ましくは、微粉バリアは、合成又は天然の生分解性材料のような生分解性材料から形成される。適切な合成生分解性材料には、生分解性プラスチックが含まれる。好ましいのは天然生分解性材料であり、一般的に環境への影響が低い。好適な天然生分解性材料としては、ジュート繊維、麻繊維、ココナッツ繊維、わら、及び羊毛などが挙げられる。任意で、生分解性材料は羊毛からなる。或いは、微粉バリアは、任意に、コンクリートブランケットのような非生分解性材料から形成されてもよい。任意選択で、微粉バリアはジオテキスタイル材料から形成される。任意選択で、各セルは、生きたイネ科(grass)植物などの複数の生きた植物、及び/又はイネ科植物などの植物の種子を含む。生きた植物の選択は、システムが配置される環境に依存することが理解されるであろう。特に有用な植物は、比較的短時間で広範な根系を確立できる植物である。広範な根系は、例えば人工的な砂丘及び/又は河岸を確立するのに役立つなど、設置物を安定させるのに役立つと考えられている。セルが生きた植物を含む場合、生きた植物は、好ましくは、根が少なくとも部分的に微粉バリアの下に配置されるか、又は微粉バリアによって囲まれた空間に配置される。例えば、そのような根は、最初はそのように設置又は配置されてもよいが、時間の経過と共に、植物が成長するにつれて根がバリアを貫通してもよいことが理解されよう。好ましくは、微粉バリアは、根がバリアを貫通できるように構成される。好適な植物の例としては、アンモフィラ(マラムグラスとして知られるイネ科の植物)のようなハーブやイネ科の植物が挙げられる。任意に、微粉バリアは、生きた植物を挿入できる複数の開口部、好ましくはスリット開口部を含む。このようなスリット開口部は、閉じ込まれて(filed)閉じた後のセルに植物を加える便利な方法を提供することができる。細胞が植物の種子を含む場合、種子は好ましくは微粉バリアの下に配置される。付加的又は代替的に、種子を微粉バリア自体に組み込んでもよく、例えば微粉バリアに種子を植え付ける。浸食防止システムに植物及び/又は種子を供給することにより、浸食防止システムを覆う自然な保護被覆の形成が促進される。生分解性の微粉バリアが利用される場合、植物が定着している間は、微粉バリアが粒状充填物を保持する働きをするので、バリアが自然に崩壊する頃には、植物が細胞内に粒状物質を保持する役割を引き継ぐ。このようなシステムは、環境的に敏感な場所で砂丘の形成を促進するのに特に効果的である。浸食防止システムが、ステンレス鋼ワイヤメッシュ、天然の生分解性微粉バリア、及び生きた植物/植物の種子の組み込みの組み合わせで構成されている場合、このシステムは、特に環境に優しく、長持ちする形態の浸食バリアとなる。
【0033】
任意に、各セルは複数の異なる充填材を含む。例えば、各セルは、第1の充填材の第1の層と、第2の充填材の第2の層とを含み、第2の層が第1の層の上に配置される。任意に、第1及び第2の充填材は岩石片(例えば骨材)であり、例えば異なるサイズの岩石片(例えば骨材)である。任意選択で、第1及び第2の充填材は岩石片であり、第2の充填材の岩石片は第1の充填材の岩石片よりも小さい最大直径を有する。任意に、各セルは、第1の充填材を第2の充填材から分離する仕切り膜を含み、例えば、仕切り膜はジオテキスタイル材料である。任意選択で、各セルは更に、本明細書に記載されるような少なくとも1つの微粉バリアを含み、例えば、第1及び第2の充填材、並びに存在する場合には仕切り膜は、任意選択で、セルを裏打ちする微粉バリアバッグ内に配置される。岩石片(例えば骨材)の選択は、セルアセンブリの意図する機能及び設置場所に依存し得ることが理解されよう。
【0034】
任意に、セルアセンブリは、1つ以上のセル内、例えば各セル内に配置された強化グリッドを含む。任意選択で、強化グリッドは、溶接ワイヤメッシュ(例えば、一般に補強メッシュと呼ばれるもの)などの剛性ワイヤメッシュである。好ましくは、剛性メッシュは、平行に間隔をあけて配置されたロッド(「縦ワイヤ」)の第1層に、平行に間隔をあけて配置されたロッド(「横ワイヤ」)の第2層が重なった、スチールロッド(リブ付きスチールロッドなど)のグリッドであり、第2層のロッドは、第1層のロッドに対して垂直に配向され、各交差点で第1層のロッドに溶接されている。好ましくは、ロッドは少なくとも8mm、例えば少なくとも10mm、例えば少なくとも12mmの直径を有し、及び/又は平行なロッドは250mm以下、例えば200mm、例えば150mm、任意に100mmの間隔を有する。適切なワイヤメッシュの例は、A393メッシュである。好ましくは、ワイヤメッシュはステンレス鋼(例えばオーステナイト系ステンレス鋼)ワイヤメッシュである。強化グリッドは、セルアセンブリを補強するのに役立ち、例えば、岩石片で完全に又は部分的に充填されたセルアセンブリを、より便利に持ち上げることを可能にする。任意選択で、強化グリッドは、セルアセンブリの内部の少なくとも一部を横切って、例えば底面に平行な面内に延びる。オプションとして、強化グリッドは、セルの第1及び/又は第2の幅の少なくとも50%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも90%にわたって延び、第1の内部幅はセルの対向する端面間の距離であり、第2の内部幅はセルの対向する側面間の距離である。加えて又は代替的に、強化グリッドは、セルアセンブリの底面に平行な面において、セルの内部面積の少なくとも25%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも90%を横切って延びている。オプションとして、強化グリッドは、セルアセンブリの上面及び/又は下面から間隔をあけて配置され、例えば、充填材(例えば岩片)によって、セルアセンブリの上面及び/又は下面から、セルアセンブリの上面及び下面を隔てる平均距離の少なくとも25%、例えば少なくとも40%、例えば約50%だけ隔てられている。或いは、強化グリッドは、セルアセンブリの底面又は上面(好ましくは底面)の内側に対して配置される。任意に、セルアセンブリは単一セルを含む。任意に、セルアセンブリは、1つ以上(例えば少なくとも2つ)のブレースアセンブリ、例えば本明細書に記載されているような垂直及び/又は水平ブレースアセンブリを更に含み、例えば各ブレースアセンブリは、例えば本明細書に記載されているようなセル吊り上げ装置(クレーンなど)に取り付けるように構成されている。任意に、セルアセンブリは、強化グリッドの下方(例えば直下)に配置されるか、強化グリッドを貫通するように通された1つ以上(例えば少なくとも2つ)の水平ブレースアセンブリと、強化グリッドを貫通するように配置された1つ以上(例えば少なくとも2つ)の垂直ブレースアセンブリとを含む。強化グリッドは、セルアセンブリのたるみ/歪みの傾向を低減することによって、岩片で完全に又は部分的に充填されたときに、ブレースアセンブリによってセルアセンブリを持ち上げることを都合よく容易にし得ることが見出されている。加えて又は代替的に、各ブレースアセンブリは、隣接するセルアセンブリのブレースアセンブリに取り付けるように構成することができ、セルを互いに固定する別の手段を提供する(例えば、セルパネルが隣接するセルのパネルと重ならない場合に特に有用)。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による複数のセルアセンブリを含む地盤保護システムが提供される。例えば、浸食防止システムは、第1のセルアセンブリ及び第2のセルアセンブリを含む。任意選択で、第1のセルアセンブリを形成するセルの1つ以上が、第2のセルアセンブリを形成する1つ以上のセルと並んで配置され、例えば、第1のセルアセンブリの側面又は端面が、隣接するセルアセンブリの側面又は端面に接する。好ましくは、セルアセンブリは互いに固定される。どのような適当な留め具でも、アセンブリ同士を固定することができることは理解されよう。隣接するセルアセンブリは、互いに隣接して配置されてもよく、離間して配置されてもよいことが理解されよう。任意に、隣接するセルアセンブリの前記サイドパネルは、1つ以上のタイワイヤ及び/又は複数のクリップによって互いに固定される。任意に、隣接するセルアセンブリは、各セルアセンブリの1つ以上のブレースアセンブリを、隣接するセルアセンブリのブレースアセンブリに接続することによって互いに固定される。例えば、第1のセルアセンブリのブレースアセンブリのテンション部材は、第2のセルアセンブリのブレースアセンブリに固定される。どのような適切な固定方法を用いてもよい。例えば、そのように固定された1つ又は両方のテンション部材は、別のテンション部材への接続を容易にするコネクタで終端してもよく、及び/又は、ケーブルクランプ又はクリンプのような1つ又は複数の別個の固定器具が、前記ケーブルを接続するために使用されてもよい。加えて又は代替的に、隣接するセルアセンブリは、各セルアセンブリをチェーンリンクワイヤメッシュのようなメッシュの連続シート、好ましくはセルアセンブリを形成するワイヤメッシュと同じ種類の材料で形成されたワイヤメッシュに固定することによって結合される。例えば、チェーンリンクワイヤメッシュの一枚の連続シートを、第1のセルアセンブリの上部及び第2のセルアセンブリの上部に固定することができる。本明細書に記載されている1つ以上のタイワイヤ、クリップ、及び/又はヘリコイル留め具のような、任意の適切な留め具を使用することができる。加えて又は代替的に、隣接するセルアセンブリ(特にセルアセンブリが互いに隣接する場合)は、隣接するアセンブリの周囲に1つ又は複数のタイワイヤをループ状に巻き付けることによって一緒に固定され、任意に、そのようなタイワイヤはセルアセンブリにクリップで固定され、及び/又は1つ又は複数のブレースアセンブリに接合される。好ましくは、地盤保護システムは、特許請求の範囲による地盤保護システムである。
【0036】
オプションとして、地盤保護システムは浸食防止システムである。浸食防止システムの一例は、海岸浸食防止システムであり、例えば、海岸に設置するように構成されるなど、浸食防止を必要とする海岸線に設置するように構成される。別の例としては、水路の側部に沿って設置するように構成された水路浸食防止システムなどがあり、例えば、河川、運河、河口に隣接する、河岸及び/又は堤防に沿って設置するように構成されている。別の例としては、水中浸食防止システムがあり、例えば、河床、湖底、又は海底に設置するように構成される。本発明のセルアセンブリは、多種多様な用途に有用であることが判明している。特に、例えば、基礎、堤防、切土、及び/又は他の土工における、構造的支持を提供するなど、あらゆる地盤保護の役割に使用するのに適していると考えられる。セルアセンブリは、路面、鉄道の軌道敷、建物又は他の構造物の基礎を形成する舗装材などの、他の材料で覆われてもよいことが理解されよう。任意選択で、例えば、地盤保護システムが浸食防止に使用される場合、システムは、セルの下に配置された少なくとも1つの洗掘防止層を更に含むことができる。任意選択で、洗掘防止層はジオテキスタイル材料を含む。例えば、このようなジオテキスタイル材料は、セルと保護が必要な地盤表面との間に挟み込むことができる。洗掘防止層と地面との間には、1つ以上の付加的な構造物を配置してもよいことが理解されよう。例えば、このシステムは、1つ以上のジオチューブのような既存の浸食制御構造物の上に敷設することができる。システムのセルの下にジオテキスタイル材料の層を組み込むことで、水がセルを通って、及び/又はセルの上を流れるときに、セルの下から地面が洗掘されるのを避けるのに役立つことが分かっている。透水性ジオテキスタイル材料は水を通すが、ジオテキスタイル材料の上に落ちる大量の水は、ジオテキスタイルを通るというよりむしろ横切って流れる傾向があり、土、砂、小さな岩や礫などの地盤材料を洗い流すことなく、セル下の地盤から水を遠ざける。透水性ジオテキスタイル材料は、織物やニードルパンチ加工が施され、水を通す孔が設けられている。
【0037】
オプションとして、例えば地盤保護システムが浸食防止に使用される場合、システムは更に、セルの下に配置される遮水層を含むことができる。任意に、遮水層は、半透水性又は不透水性のバリア材料を含む。オプションとして、バリア材料は、不透水性ジオテキスタイル材料を含む。追加的又は代替的に、遮水層は、ジオテキスタイル材料の層の間に挟まれた粘土層などの粘土層を含む。適切な粘土の例はベントナイトである。粘土層と組み合わせて使用されるジオテキスタイル材料は、それ自体が透水性であってもよい。遮水層は、浸食防止システムが河川や運河などの水路で使用される場合に、特に有用であることが分かっている。このような環境では、このシステムは、堤防を浸食から保護するのと同時に、水路の内張りを防水するという二重の機能を提供する。
【0038】
ジオテキスタイル材料層を地盤保護システムに組み込む場合、任意の適切なジオテキスタイル材料を使用することができる。例えば、例えばポリプロピレンなどのポリオレフィン、又はポリエステルをベースとする材料などのポリマー材料である。オプションとして、ジオテキスタイル材料は透水性ジオテキスタイルである。透水性ジオテキスタイル材料は、土、砂、小さな岩や礫、又は他の微細な材料を保持するために使用することができる織物であるが、水は通過させることができる。不透水性ジオテキスタイル材料は、水の通過を防ぐ織物である。適切なジオテキスタイル材料は、Geosynthetics(登録商標)社から入手可能である。
【0039】
本発明の第2の態様の地盤保護システムは、本発明の他の態様に関連して記載された任意の特徴を組み込んでもよく、その逆も同様であることが理解されよう。例えば、隣接するセルの重なり合うシートは、例えば本発明の第1の態様に関連して上述したように、少なくとも1つの連続的な固定器具、及び/又は少なくとも1列の離散的な固定器具によって固定することができる。
【0040】
第3の態様によれば、本発明の第1の態様のセルアセンブリのようなセルアセンブリを形成するための部品を含む部品キットが提供される。部品キットは、セルアセンブリの下面、端面、及び上面を画定するための第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するための1枚以上のチェーンリンクワイヤメッシュシートと、セルアセンブリの第1及び第2の側面を画定するための1枚以上の追加の連続チェーンリンクワイヤメッシュシート(複数可)とを含む。例えば、1枚以上の追加シートは、本発明の第1の態様のセルアセンブリの、第2(及び任意に第3)の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するためのものである。好ましくは、各追加の連続チェーンリンクワイヤメッシュシートは、側面を画定し、セルアセンブリの別の隣接する面の周りに少なくとも部分的に巻き付けるために配置される。任意選択で、部品キットは、ワイヤメッシュシート同士を固定するための留め具を含み、例えば、タイワイヤ及び/又はクリップを含む。任意選択で、部品キットは、セルアセンブリを形成する1つ以上のセルの側面、端面、上面、及び/又は底面(好ましくは側面及び/又は端面)を画定するための、複数のワイヤメッシュパネル(例えばバッフル)を含む。例えば、パネルは、セルアセンブリを複数のセルに分割するように構成することができる。好ましくは、部品キットは、特許請求の範囲に従った部品キットである。
【0041】
オプションとして、部品キットは、セルアセンブリの下面を形成するワイヤメッシュを、セルアセンブリの上面を形成するワイヤメッシュに結びつけるための、複数のブレースアセンブリ(例えば垂直ブレースアセンブリ)を含んでいる。追加的又は代替的に、部品キットは、底面を形成するワイヤメッシュを各セルの上面を形成するワイヤメッシュに結びつけるための複数のブレースアセンブリを含む。オプションとして、セルアセンブリの部品キットは、セルアセンブリの側面又は端面を形成するワイヤメッシュを、セルアセンブリの対向する側面又は端面を形成するワイヤメッシュに結束するための、複数のブレースアセンブリ(例えば水平ブレースアセンブリ)を含む。オプションとして、各ブレースアセンブリは、一対のブレースプレート(例えば、ワイヤメッシュのシートの外側に位置決めするためのもの)と、ブレースプレート同士を結合するためのテンション部材と、オプションとして、ブレースプレート(複数可)をテンション部材上の所定の位置に保持するための1つ以上のリテーナ(例えば、ワンウェイクリップやナットなど)とを含む。例えば、各垂直ブレースアセンブリは、下部ブレースプレートと、上部ブレースプレートと、下部ブレースプレートを上部ブレースプレートに結合するためのテンション部材と、任意に、上部ブレースプレートをテンション部材上の所定の位置に保持するためのリテーナ(ワンウェイクリップなど)とを含むことができる。各ブレースアセンブリは、任意に、本発明の第1の態様のブレースアセンブリに関連して説明した任意の特徴を含み得ることが理解されよう。例えば、複数のブレースアセンブリは、任意選択で、本発明の第1の態様に関連して説明したように、セルアセンブリが構築され、セル(複数可)に充填材が充填されると、セルアセンブリを吊り上げフレームなどの吊り上げ装置から吊り下げるように構成することができる。任意に、部品キットは、一旦充填材が充填されると、セルアセンブリを吊り上げフレームのような吊り上げ装置から吊り下げるための複数のリフトアセンブリを含む。任意選択で、各リフトアセンブリは、リフトプレートと、リフトプレートに固定可能で、吊り上げ装置に接続可能なリフトケーブルとを含む。例えば、各リフトケーブルは、セルアセンブリが構築され、セル(複数可)が充填材で充填されると、セルアセンブリを通って上方に延び、上面から外側に延びるのに十分な長さを有する。好ましくは、各リフトケーブルは、吊り上げフレームなどの吊り上げ装置に取り付けるように構成される。各リフトアセンブリは、本発明の第1の態様のリフトアセンブリに関連して記載された任意の特徴を組み込むことができる。
【0042】
オプションとして、部品キットは、セルアセンブリが構築され、セル(複数可)に充填材が充填されると、セルアセンブリが吊り上げフレームから吊り下げ可能になる吊り上げフレームを含んでいる。好ましくは、フレームは、セルアセンブリのテンション部材及び/又はリフトケーブルに接続するための複数のセル取付点を備える。好ましくは、セル取付点は、セルアセンブリのテンション部材/リフトケーブルと協働するように配置される。好ましくは、フレームは、クレーンのような吊り具に接続するための複数の装置取付点を含む。例えば取付ブラケット及び/又は取付ケーブル/チェーンを含む、任意の形態の適切な取付点が使用され得ることが理解されよう。好ましくは、フレームは、任意の適切な方法(例えば、ボルト締め及び/又は溶接接合)で一緒に固定された、圧延鋼製根太などの金属梁から作られる。このようなリフトフレームは、セルアセンブリを持ち上げるための特に安定したバランスのとれた機構を提供し、便利な輸送及び/又は設置を可能にすることが見出されている。例えば、フレームは、テンション部材/リフトケーブルがセルアセンブリの上面から互いにほぼ平行に離れるように延び、セルアセンブリの過度の歪みを回避するのに役立つことがある。更に、このようなフレームは、セルアセンブリを水平に対して斜めに持ち上げるために使用することができ、傾斜地での便利な位置決めを可能にすることが判明している。
【0043】
オプションとして、部品キットは、構築中及び充填材充填中にセルアセンブリの側面及び端面を支持するための成形フレームを含む。好ましくは、成形フレームは、セルアセンブリの第1及び第2の側面、並びに第1及び第2の端面の周囲に延びる大きさの上部開口フレームである。例えば、フレームは任意に、1~5m(例えば2~4m)の幅、1~5m(例えば2~4m)の長さ、及び0.15~1.5m(例えば0.4~0.8m)の高さを有する内部空洞を含む。オプションとして、フレームは開底フレームである。好ましくは、フレームは矩形の内部空洞を画定する。このようなフレームは、セルアセンブリの組み立てと充填を便利かつ確実に容易にすることが分かっている。例えば、組み立ての際、セルアセンブリのシートは、セル(複数可)の上部が開いた状態で(すなわち、セルアセンブリを形成するシートの端部がフレームの側面上に折り畳まれた状態で)フレーム内に敷かれ、その後、一緒に固定される。充填材を開いた上部から挿入し、シートの端部を上部に引き寄せてセルアセンブリを閉じる。その後、セルアセンブリをフレームから持ち上げて、輸送や設置の準備ができる。
【0044】
任意選択で、部品キットは、砂及び/又は土の通過を防止するための少なくとも1つ(例えば複数)の透水性微粉バリアを含み、微粉バリアは、セル内部に配置するためのサイズ及び構成であり、任意選択で、各微粉バリアは、セルの上部、下部、側部、及び/又は端部(複数可)に並ぶサイズ及び構成であり、任意選択で、各微粉バリアは、羊毛、又はココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成され、任意選択で、部品キットは、更に、生きたイネ科の植物などの複数の生きた植物、及び/又はイネ科の種子などの植物の種子を含む。任意選択で、部品キットは、セルアセンブリの下方に配置するための洗掘防止層を含む。
【0045】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様によるセルアセンブリのようなセルアセンブリを構築する方法が提供される。任意選択で、本方法は、セルアセンブリの下面、端面、及び上面を画定するための第1の連続長さのワイヤメッシュを、セルアセンブリの側面を画定するための連続長さのワイヤメッシュシートに、任意選択で、各セルの側部及び/又は端部を形成するための複数のワイヤメッシュパネル(例えばバッフル)に、少なくとも1つのセルが開放された頂部を有するように固定することを含む。本方法は更に、少なくとも1つのセルに充填材を挿入することと、第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュシートの端部同士を締結することにより、セルアセンブリの上面を横切って第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを固定することと、連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを前記連続長さのワイヤメッシュシートに締結することとを含み、それにより少なくとも1つのセルを閉鎖する。オプションとして、第1及び第2の側面がチェーンリンクワイヤメッシュの第2の連続シートによって画定される場合、本方法は、ワイヤメッシュの第2の連続シートの端部同士を締結することを含む。好ましくは、ワイヤメッシュシートは、複数のクリップ及び/又はタイワイヤを用いて互いに固定される。任意に、本方法は、シートを互いに固定するステップの前に、ワイヤメッシュシートを成形フレームに位置決めすることを含み、例えば、シートの自由端が成形フレームの側面の上に折り畳まれる。オプションとして、この方法は、充填中にセルアセンブリの形状を制御するために成形フレームを使用することを含む。任意選択で、本方法は、少なくとも1つのセルを閉じるステップの前に、少なくとも1つのセル内の充填材を圧縮することを含む。成形フレームは、例えば充填物が圧縮される際に、セルアセンブリの形状を制御するのに役立つことが分かっている。
【0046】
任意に、メッシュの第1の連続シートは、端部が一緒に固定されるときに張力がかけられ、及び/又は、第1及び第2の側面を形成するメッシュは、第1の連続シートに固定されるときに張力がかけられ、及び/又は、第1及び第2の側面を形成するチェーンリンクワイヤメッシュの第2の連続シートは、端部が一緒に固定されるときに張力がかけられる。セルアセンブリのシート(複数可)は、例えば、本発明の第1の態様に関連して説明したように張力をかけることができる。
【0047】
任意選択で、本方法は、セル内に充填材を挿入するステップの前に、1つ以上のブレースアセンブリの少なくとも一部を少なくとも1つのセル内に設置することと、底部を画定するワイヤメッシュを少なくとも1つのセルの頂部を画定するワイヤメッシュに結びつけるようにセルを閉じるステップの後に、ブレースアセンブリを完成させることとを含む。任意選択で、本方法は、少なくとも1つのセルに充填材を挿入するステップの前に、セルアセンブリに複数のリフトアセンブリを設置することを含む。任意選択で、本方法は、充填材を少なくとも1つのセルに挿入するステップの前に、複数のリフトアセンブリをセルアセンブリ内に設置することを含む。任意選択で、本方法は、少なくとも1つのセルを閉じるステップの後に、セルアセンブリのブレースアセンブリ及び/又はリフトアセンブリのテンション部材及び/又はリフトケーブルを、吊り上げフレームなどの吊り上げ装置に接続することを含む。
【0048】
任意選択で、本方法は、充填材をセルに挿入するステップの直前、最中、又は直後のいずれかに、砂及び/又は土の通過を防止するための透水性微粉バリアを少なくとも1つの前記セルに挿入することを含む。任意選択で、各微粉バリアはバッグの形態であり、本方法は、充填材を挿入するステップの前に、各微粉バリアをセル内に挿入することと、バッグの底部及び側部がセルの底部及び側部に並ぶようにバッグを配置することと、各バッグに充填材を充填してそれによって充填材を少なくとも1つのセル内に挿入することと、セルを閉じるステップの前に、充填材の上でバッグの上部フラップを閉じることとを含む。任意に、本方法は、1)充填材に植物種子を加えること、及び/又は、2)セルを閉じるステップの前又は後に、生きたイネ科植物などの複数の生きた植物の根、及び/又はイネ科植物などの植物種子を、微粉バリアの上部の開口部から挿入することを含む。
【0049】
オプションとして、この方法は、例えば、セルに充填材を充填する途中で、少なくとも1つのセルに強化グリッドを挿入することを含む。
【0050】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第2の態様による地盤保護システムのような地盤保護システムを構築する方法が提供される。任意選択で、本方法は、本発明の第1の態様による複数のセルアセンブリを、保護されるべき地面上に配置することを含む。任意選択で、本方法は、セルアセンブリを一緒に固定することを含む。任意選択で、アセンブリを一緒に固定するステップは、各セルアセンブリの少なくとも1つのブレースアセンブリを、別のセルアセンブリのブレースアセンブリに、例えば前記ブレースアセンブリのテンション部材同士を連結することにより連結することを含む。好ましくは、地盤保護システムを構築する方法は、特許請求の範囲に記載の方法である。
【0051】
任意に、例えば地盤保護システムが浸食防止システムである場合、本方法は、保護を必要とする地盤上に洗掘防止層及び/又は遮水層を敷設し、その上にセルアセンブリを配置することを含む。オプションとして、本方法は、(存在する場合には)洗掘防止層/遮水層を敷設する前に、保護すべき地盤を整地することを含む。
【0052】
任意に、この方法は、例えば、本発明の先行する態様に関連して記載されたような吊り上げ装置から各セルアセンブリを吊り下げることによって、各セルアセンブリを所定の位置に吊り上げることを含む。
【0053】
本発明の任意の態様は、本発明の別の態様に関連して記載された任意の特徴を任意に組み込むことができることが理解されよう。例えば、本発明の第6、第7、第8、第9、及び第10の態様のセル/セル部分のベースパネル及び少なくとも1つのサイドパネルは、任意選択で、本発明の第1、第2、第3、及び第4の態様に関連して説明したように、連続した長さのワイヤメッシュから形成されてもよい。任意選択で、前記セル/セル部分の上面パネルも、底面パネル及び少なくとも1つのサイドパネルを形成する連続長さのワイヤメッシュから形成することができる。同様に、本発明の第6の態様のセルの底部及び少なくとも1つの側部(及び任意選択で頂部)を形成するワイヤメッシュパネルは、任意選択で、本発明の第1、第2、第3、及び第4の態様に関連して説明したように、連続した長さのワイヤメッシュから形成することができる。更に、本発明の第1の態様のセルアセンブリは、任意選択でセルのスタックの一部を形成してもよく、例えば、セルアセンブリが、スタックの最上層より下の層の各セルの上部がすぐ上のセルの底部を形成するメッシュによって閉鎖される、セルのスタックの上に配置されることが理解されるであろう。同様に、セルアセンブリは任意に複数層の積層セルを含んでもよく、例えば、セルアセンブリの下面及び上面を画定するメッシュの連続長さが、スタックの最下層にあるセル(複数可)の底面及びスタックの最上層にあるセル(複数可)の上面を形成することが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
以下、本発明の実施形態を、添付の概略図面を参照して例示的にのみ説明する:
【
図1a】
図1a及び
図1bは、先行技術のガビオンデザインを示している。
【
図1b】
図1a及び
図1bは、先行技術のガビオンデザインを示している。
【
図2a】
図2a~
図2cは、組立中のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図2b】
図2a~
図2cは、組立中のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図2c】
図2a~
図2cは、組立中のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図3a】
図3a~
図3eは、組立中及び組立後のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図3b】
図3a~
図3eは、組立中及び組立後のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図3c】
図3a~
図3eは、組立中及び組立後のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図3d】
図3a~
図3eは、組立中及び組立後のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図3e】
図3a~
図3eは、組立中及び組立後のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図4a】
図4a~
図4eは、組立中及び組立後の別のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図4b】
図4a~
図4eは、組立中及び組立後の別のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図4c】
図4a~
図4eは、組立中及び組立後の別のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図4d】
図4a~
図4eは、組立中及び組立後の別のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図4e】
図4a~
図4eは、組立中及び組立後の別のセルアセンブリの様々な図を示している。
【
図5a】
図5aは、本発明の組み立てに使用するワイヤメッシュの平面図を示している。
【
図6a】
図6aは、ワイヤメッシュのパネル同士を固定するためのヘリコイル留め具を示している。
【
図6b】
図6bは、ワイヤメッシュのパネル同士を固定するためのCクリップを示している。
【
図6c】
図6cは、ワイヤメッシュのパネル同士を固定するのに適したスプリングクリップを示している。
【
図7】
図7は、透過性バリアを装着したセルアセンブリの側断面図を示している。
【
図8】
図8は、砂、土、岩石、又はそれらの混合物を充填した微粉バリアバッグを装着したセルアセンブリの透視図を示している。
【
図9】
図9は、垂直方向及び水平方向のブレースを有するセルアッセンブリの透視図を示している。
【
図10】
図10は、地面に置かれたセルアセンブリの側断面図を示している。
【
図11】
図11は、別のセルアセンブリの
図10と同じ側断面図を示しているが、水平方向のブレースアセンブリを含む点が異なっている。
【
図12】
図12は、3つの
図10のセルアセンブリが互いに隣接して配置され、ブレースアセンブリによって接合された状態を示す側断面図である。
【
図13】
図13は、2つの
図11のセルアセンブリが互いに隣接して配置され、ブレースアセンブリによって接合された状態を示す側断面図である。
【
図14】
図14は、2つの
図10のセルアセンブリが互いに隣接して配置され、ブレースアセンブリによって接合された状態を示す上面透視図である。
【
図15】
図15は、2つの
図11のセルアセンブリが互いに隣接して配置され、ブレースアセンブリによって接合された状態を示す上面透視図である。
【
図16a】
図16a及び16bは、開閉式構成のセルアセンブリ用の微粉バリアバッグを示している。
【
図16b】
図16a及び16bは、開閉式構成のセルアセンブリ用の微粉バリアバッグを示している。
【
図17a】
図17a~
図17gは、セルアセンブリが組み立てられて吊り上げられる様子を示す様々な透視図である。
【
図17b】
図17a~
図17gは、セルアセンブリが組み立てられて吊り上げられる様子を示す様々な透視図である。
【
図17c】
図17a~
図17gは、セルアセンブリが組み立てられて吊り上げられる様子を示す様々な透視図である。
【
図17d】
図17a~
図17gは、セルアセンブリが組み立てられて吊り上げられる様子を示す様々な透視図である。
【
図17e】
図17a~
図17gは、セルアセンブリが組み立てられて吊り上げられる様子を示す様々な透視図である。
【
図17f】
図17a~
図17gは、セルアセンブリが組み立てられて吊り上げられる様子を示す様々な透視図である。
【
図17g】
図17a~
図17gは、セルアセンブリが組み立てられて吊り上げられる様子を示す様々な透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図2a~
図2cは、本発明によるセルアセンブリ201の分解及び部分構成図である。セルアセンブリ201は、1つのセルを含む単一セルアセンブリである。セルアセンブリ201は、下面202、2つの対向する側面203b及び203d、並びに2つの対向する端面203a及び203cを有する。セルアセンブリ201は、
図2a及び
図2bにそれぞれ別々に示される、2つの重なり合う連続長さのワイヤメッシ210、220から形成されている。第1の長さのメッシュは、重なり合う接合部230aによって側部と側部とが合わされて接合された2枚の単一連続シート210a、210bから形成され、第2の長さのメッシュは、重なり合う接合部230bによって側部と側部とが合わされて接合された2枚の単一連続シート220a、220bから形成される。2枚のシート210、220を合わせてセルアセンブリ201を形成すると、シート210は下面202と2つの対向する側面203b、203dとを包囲し、シート220は下面202と2つの端面203a、203cとを包囲する。長さ210のシート210a、210bはそれぞれ、下面202と2つの対向する側203b、203dの周囲を包んでまたがり、各シートは重なり合う接合部によって端から端までそれ自体に接合されている。同様に、長さ220のシート220a、220bはそれぞれ、下面202と2つの対向する端面203a、203cの周囲を包んでまたがり、各シートは重なり合う接合部によって端から端までそれ自体に接合されている。セルアセンブリ201は、
図2cに部分的に組み立てられた状態で示されており、セルの上部が開いている。セルを閉じるために、シート210の端部214a、214bとシート220の端部224a、224bとは、シート210と220の対向する端部が中央で重なるようにして、セルの上面の上に折り込まれる。一旦閉じられると、セルアセンブリ201は、下面202を横切ると共に上面を横切る、少なくとも二重のメッシュ層を完全に有する。留め具、例えばヘリコイル留め具を、セルの端縁においてシートの側部間に使用することができる。
図2a~
図2cにおいて、セルを形成するワイヤメッシュは、ダイヤモンドパターンのチェーンリンクワイヤメッシュであり、明確にするために端部203aと側部203dにのみ示されている。各シート210a、210b、220a、220bは、互いに平行でシートの端部に平行な一般的な方向に、シートの一方の側から他方の側へ延びる、複数の交差したジグザグ形状のワイヤで構成されている。
【0056】
図3a~
図3cは、本発明によるセルアセンブリ301の分解及び部分構成斜視図である。
図3dは、セルアセンブリ301の平面図であり、
図3eは、完成時のセルアセンブリ301の透視図である(但し、明瞭にするために、岩石充填は図示されていない)。セルアセンブリ301は、1つのセルを含む単一セルアセンブリである。セルアセンブリ301は、下面302、2つの対向する側面303b及び303d、並びに2つの対向する端面303a及び303cを有する。セルアセンブリ301は、
図3a及び
図3bにそれぞれ別個に示される、2枚の重なり合う連続したワイヤメッシュのシート310、320から形成される。2枚のシート310、320を合わせてセルアセンブリ301を形成すると、シート310は下面302と2つの対向する側面303b、303dとを包囲し、シート320は下面302と2つの端面303a、303cとを包囲する。セルアセンブリ301は、
図3cに部分的に組み立てられた状態で示されており、セルの上部が開いている。セルを閉じるには、シート310の端部314a、314bとシート320の端部324a、324bとを、シート310及び320の対向する端部が中央で重なるようにして、セルの上面の上に折り込む。シート310は、シート320の内側に配置されてもよく、シート320の外側に配置されてもよく、下面ではシート320の内側に、上面ではシート320の外側に配置されてもよい(逆も同様)ことが理解されよう。セル301の構造は、下面302にわたってメッシュの二重層を有し、上面にわたって少なくとも二重層を有する(上面の少なくとも一部にわたってメッシュの四重層を有する)。
図3dは、セルの上部を閉じて重なり合う接合部330を形成する際に生じる4方向の重なりを示しており、重なり合うシートは、ヘリコイルファスナーなどの適切な留め具によって接合される。留め具、例えばヘリコイル留め具を、セルの端縁においてシートの側部間に使用してもよい。ブレースアセンブリ340は、四方で重なり合う接合部330を通過するように配置され、重なり合う接合部を強化する。
図3a~
図3eは、セルの上面に両方の連続シートを重ね合わせたセル301を示している。2枚のシートが同じ面で重なる必要はないことが理解されよう。例えば、シート間の重なりは、代わりに側面又は端面に形成され得る。
図3a~
図3eにおいて、セルを形成するワイヤメッシュは、ダイヤモンドパターンのチェーンリンクワイヤメッシュであり、明確化のために端部303aと側部303dにのみ示されている。各シートは、シートの一方の側から他方の側へ、互いに平行でシートの端部に平行な一般的な方向に延びる、ジグザグ形状の複数のワイヤが交錯したものである。メッシュの菱形の開口部は、その幅よりも大きな長さを有し、細長い菱形を形成している。
図3a~
図3eでは、両シート310、320のメッシュが、菱形の長軸がセルの底面に平行になるように配向されている。他のメッシュ形状を使用することもでき、例えば
図5aのメッシュを使用した場合のように、菱形の長軸をセルの底面に垂直にすることもできる。
図3a~
図3eは、シート310、320がセルの下面と上面に二重層を形成しているセル301を示す。代替的な構造としては、メッシュ310を下面と側面(上面ではなく)のみに延在させること、及び/又はメッシュ310を下面、側面、及び上面ではなくセルの側面及び端面を包むように回転させることが挙げられる。例えばシート310の対向する端部は互いに重なる必要はなく、例えば他のシート320と重なる(逆も同様)ことを条件とすることが理解されよう。4つのブレースアセンブリ340が、セルアセンブリが構築された後の位置の指標を与えるために
図3d~
図3eに示されている。
【0057】
図4a~
図4eは、本発明による別のセルアセンブリ401の様々な図である。セルアセンブリ401は、
図4a及び
図4bにそれぞれ別個に示されている、ワイヤメッシュ410a、410b、及び420の3枚の重なり合う連続シートから形成されている点を除いて、
図3a~
図3eのセルアセンブリ301と同様である。
図3a~
図3eと同じ特徴には、対応する参照符号が付され、「3」の代わりに「4」が前置されている。3枚のシート410a、410b、420を合わせてセルアセンブリ401を形成すると、シート410aは第1の側面403bを画定し、シート410bは第2の側面403dを画定し、シート420は下面402と2つの端面403a、403cとを包囲する。セルアセンブリ401は、
図4cに部分的に組み立てられた状態で示されており、セルの上部が開いている。セルを閉じるために、シート410a、410bの端部414a、414bとシート420の端部424a、424bとがセルの上面の上に折り込まれ、シート410a、410bの端部414a、414bとシート420の対向する端部とが中間で重なる。シート410a、410bは、上面でシート420の内側に位置しても外側に位置してもよいことが理解されよう。セル401の構造は、下面402にわたって単層のメッシュを有し、上面にわたって少なくとも二層を有する(上面の少なくとも一部にわたって四層のメッシュを有する)。
図4dは、セルの上部を閉じて重なり合う接合部430を形成する際に生じる4方向の重なりを示しており、重なり合うシートはヘリコイルファスナーなどの適切な留め具によって接合される。留め具、例えばヘリコイル留め具を、セルの端縁においてシートの側部間に使用してもよい。ブレースアセンブリ440は、四方で重なり合う接合部430を通過するように配置され、重なり合う接合部を強化する。
図4a~
図4eは、セルの上面に3枚のシートが全て重ね合わされたセル401を示している。セルを形成するワイヤメッシュは、ダイヤモンドパターンのチェーンリンクワイヤメッシュであり、分かりやすくするために端部403a及び側面403dにのみ示されている。
【0058】
図3a~
図3e及び
図4a~
図4eのセルアセンブリはそれぞれ、幅3.25m、長さ3.25m、高さ0.75mのセルの底部及び側部を画定するのに適している。パネルを形成するワイヤメッシュは、AISI 318ステンレス鋼から形成された、ワイヤ直径3.0mm、ワイヤ引張強度少なくとも1,650N/mm
2を有する、Geobrugg(登録商標)社のTECCO(登録商標)高張力鋼ワイヤメッシュG65/3ステンレスである。メッシュの引張強度は、少なくとも140kN/mである。ダイヤモンドの開口部は、長さ143mm、幅83mmである。他のGeobrugg(登録商標)社TECCO(登録商標)製品のようなAl/Znコーティング鋼ワイヤメッシュなど、他のワイヤメッシュを使用することもできる。
【0059】
図5aは、本発明のセルアセンブリに使用するのに適したワイヤメッシュの平面図である。
図5aに示されているのは、Geobrugg(登録商標)社のTECCO(登録商標)メッシュである。オプションとして、メッシュはG65/3ステンレスTECCO(登録商標)メッシュである。このメッシュは、ダイヤモンドパターンを有するチェーンリンク織メッシュであり、各ダイヤモンド開口部は幅Wよりも大きい長さLを有する。
図5aに示すメッシュ部分は、6本のジグザグに交差したワイヤ501~506で構成されている。各ワイヤ501a、502bの切断端は、隣接するワイヤ502a、502bの結び目のある切断端と結び目で連結されている。
図5bは、
図5aのワイヤメッシュの側面図である。
【0060】
図6aは、ワイヤメッシュのパネルを連結するのに適したヘリコイル留め具601を示している。使用時、ヘリコイル留め具601は、隣接する2つのメッシュパネルのワイヤに巻き付けられ、パネル同士を連結する。
図6bは、ワイヤメッシュのパネル同士を留めるのに適したCクリップ602を示している。Cクリップは、開いた状態(パネル同士を固定するために使用される前、クリップが「C」の形状を有する場合)と、閉じた状態(ワイヤ同士を固定するために隣接する一対のワイヤの周囲に固定された後、クリップがそれ自体に重なって「O」の形状を形成する場合)との、2つの構成で示されている。
図6bでは、クリップの端部が重なっていることを示すため、閉じた状態のクリップが平面図及び側面図で示されている。
図6cは、ワイヤメッシュのパネル同士を固定するのに適したスプリングクリップ603を示している。図示のクリップは、Geobrugg(登録商標)社から入手可能なT3クリップである。
【0061】
図7は、透水性微粉バリア720が装着されたセルアセンブリ701の側断面図である。微粉バリアは、セル701の底面、側面、上面に並ぶバッグの形をしている。微粉バリアバッグ720は生分解性で、羊毛材料から形成されているが、他の生分解性材料を使用することもできる。設置場所によっては、非生分解性の微粉バリアバッグが適切な場合もあることが理解されよう。微粉バリアバッグ720には砂が充填され、バッグはセルの底部及び側部を規定するパネルに対してバッグが押し出される。
図7は、単一のセル701の概略図であり、分かりやすくするために浸食防止システム内の位置に示されている。また、
図7には、(生分解性又は非生分解性)ジオテキスタイル材料を含む洗掘防止層703が示されている。洗掘防止層703は任意であるが、水が微粉バリアバッグ720の下のセルの底部に沿って追跡する場合に、セルの損壊を回避するのを助けることができる。洗掘防止層703は、セル701と浸食防止を必要とする地面704との間に挟まれている。ワイヤメッシュの第1の連続シートがセルの底部、両端部、及び上部を包み込み、ワイヤメッシュの第2の連続シートがセルの底部、両側部、及び上部を包み込む。セル701は、セルの上部と下部を互いに位置合わせ状態に保つのに役立つ複数のブレースアセンブリ707を含んでいる。
図7は、樹立された多数の生きた植物708を有するセル701を示している。セルが陸上に設置される場合、適切な植物の例としては、マラムグラス植物(セル全体、隣接するセル(
図7には示されていない)、及び/又は地面704に伸びる重要な根系を成長させる)が挙げられる。セルを水中に設置する場合などには、他の植物を使用してもよい。植物の根系は、セルを満たす砂を安定させ、微粉バリアバッグ720が自然に劣化するにつれて、それを所定の位置に保持することができる。マラムグラス植物は、例えば、浸食防止システムによって提供される基盤にわたって砂丘システムの形成を刺激することができる。
【0062】
図8は、セルアセンブリ801が、砂、土、岩又はそれらの混合物で充填された微粉バリアバッグ820を備えていることを除いて、
図3及び
図4のセルアセンブリ301及び401と同様のセルアセンブリ801の透視図である。セルアセンブリ301と同等のセルアセンブリ801の特徴には、
図3で使用したのと同じ参照符号が付され、「3」の代わりに「8」が前置されている。
図8は、16本の植物808の位置を示している(
図8には植物の頂部のみが示されている)。植物は、微粉バリアバッグ820の上部のスリット(
図8には示されていない)から突き出ている。
【0063】
図9は、垂直ブレースアセンブリ(
図9では940と符号付けされている)に加えて、セルアセンブリ901が、対向する側面903b及び903dを結び付けている水平ブレースアセンブリ941を含むことを除いて、
図3及び
図4のセルアセンブリ301及び401に類似した別のセルアセンブリ901の透視図である。セルアセンブリ301と同等のセルアセンブリ901の特徴には、
図3で使用したのと同じ参照符号が付され、「3」の代わりに「9」が前置されている。
【0064】
図10は、地面1020上に配置された、
図3及び
図4のセルアセンブリ301及び401と類似のセルアセンブリ1001の側断面図である。セルアセンブリ301と同等のセルアセンブリ1001の特徴には、
図3で使用したのと同じ参照符号が付され、「3」の代わりに「10」が前置されている。垂直ブレースアセンブリ1040はそれぞれ、セルアセンブリ1001の底部1002を形成するメッシュの下方に配置された下部ブレースプレート1040aに一端が固定され、セルアセンブリ1001の頂部1004を形成するメッシュの上方に配置された上部ブレースプレート1004bを貫通する長さの、ケーブル1040cを含む。セルアセンブリが組み立てられると、ケーブル1040cはきつく引っ張られ、上部ブレースプレート1040bはセルアセンブリ1001の上部1004に対して押し下げられ、ワンウェイクリップ(
図10には図示せず)で固定される。
図10において、ケーブル1040cの自由端は、隣接するセルアセンブリのそのようなケーブルの端部の対応するコネクタに接続するように構成されたコネクタ1040dで終端して示されている。或いは、例えばケーブル端部間の重複結合を可能にするために、単一のコネクタを自由端に後から追加してもよい。
【0065】
図11は、セルアセンブリが水平ブレースアセンブリ1141も含んでいることを除いて、地面1120に設置された
図10のセルアセンブリ1001と同一の別のセルアセンブリ1101の側断面図である。水平ブレースアセンブリ1141は、セルアセンブリ1101の第1の側面1103bを形成するメッシュの外側に配置された第1の側部ブレースプレート1141aを通り、セルアセンブリ1101の第2の側面1103dを形成するメッシュの外側に配置された第2の側部ブレースプレート1141bを通る長さの、ケーブル1141cを含む。セルが組み立てられると、ケーブル1141cがきつく引っ張られ、第1及び第2の側部ブレースプレート1141a、1141bがそれぞれセルアセンブリ1001の第1及び第2の側面1103b、1103dに押し付けられ、ワンウェイクリップ(
図11には示されていない)で合わせて保持される。
図11において、ケーブル1141cの自由端は、隣接するセルアセンブリのそのようなケーブルの端部の対応するコネクタに接続するため、及び/又はアンカー装置(例えば、グラウンドアンカー)に接続するために構成された、オプションのコネクタ1141dで終端するように示されている。
図11では、明瞭化のために垂直ブレースアセンブリ1140の符号は省略されている。
【0066】
図12は、地面1220上に互いに隣接して配置された3つの
図10のセルアセンブリ1001(
図12では1001a~1001cと符号付けされている)の側断面図である。セルアセンブリ1001は、ケーブル端部コネクタ1040dを用いてブレースアセンブリ1040のケーブル1040cの自由端を接続することにより、互いに結合される。任意の適切なケーブル接続器具を使用することができる。2つの外側のセルアセンブリ1001a及び1001cのブレースアセンブリのケーブルの自由端は、更なるセルアセンブリに接続できる状態で示されている。
【0067】
図13は、地面1320上に互いに隣接して配置された2つの
図11のセルアセンブリ1101(
図13では1101a~1101bと符号付けされている)の側断面図である。セルアセンブリ1101は、ケーブル端コネクタ1140dを用いて垂直ブレースアセンブリ1140のケーブル1140cの自由端を接続することにより、互いに接合されている。また、セルアセンブリ1101は、ケーブル端コネクタ1141dを用いて水平ブレースアセンブリ1141のケーブル1141cの自由端を接続することによっても、互いに結合されている。任意の適切なケーブル接続器具を使用することができる。2つのセルアセンブリ1101a及び1101bの他の垂直ブレースアセンブリのケーブルの自由端、及び水平ブレースアセンブリの自由端は、更なるセルアセンブリに接続する準備ができた状態で示されている。セルアセンブリ1101a~1101bは、水平及び垂直ブレースアセンブリの両方のケーブルの自由端を使用して接続されて示されているが、隣接するアセンブリは、水平ブレースアセンブリのみ、垂直ブレースアセンブリのみ、及び/又は水平及び垂直ブレースアセンブリを結合することによって、代わりに接続され得ることが理解されるであろう。
【0068】
図14は、2つの
図10のセルアセンブリ1001(
図14では1001a~1001bと符号付けされている)の上面透視図である。セルアセンブリ1001は、ケーブル端部コネクタ1040dを用いてブレースアセンブリ1040のケーブル1040cの自由端を接続することにより、互いに結合されている。任意の適切なケーブル接続器具を使用することができる。接続に使用されないブレースアセンブリのケーブルの自由端は、明確にするために省略されている。
【0069】
図15は、2つの
図11のセルアセンブリ1101(
図15では1101a~1101bと符号付けされている)の上面透視図である。セルアセンブリ1101は、ケーブル端部コネクタ1140dを用いて垂直ブレースアセンブリ1140のケーブル1140cの自由端を接続することにより、及びケーブル端部コネクタ1141dを用いて水平ブレースアセンブリ1141のケーブル1141cの隣接する自由端を接続することにより、互いに接合されている。任意の適切なケーブル接続器具を使用することができる。接続に使用されないブレースアセンブリのケーブルの自由端は、明確にするために省略されている。
【0070】
例えば、2つ以上のアセンブリにまたがるワイヤメッシュのシートにアセンブリを固定したり、1つ以上のセルアセンブリの周りにタイワイヤを巻いたりすることによって、セルアセンブリを他の方法で一緒に固定してもよいことが理解されよう。
【0071】
図16aは、セル内に挿入される前の、上部フラップが開いた状態の、
図7の微粉バリアバッグ720を示している。バッグ720は、底部722、4つの起立した側部723、及び上部フラップ724を含んでいる。上部フラップ724は、閉じたときにフラップ724がバッグの側部723の下に折り畳まれるように、バッグの上部開口部よりも大きい。バッグ720はセル部分にぴったりと収まる大きさである。セルのパネルの圧力により、バッグ自体に留め具を必要とせずにバッグを閉じることができる。好適なバッグは、全体が羊毛などの生分解性材料で作られている。
図16bは、上部フラップ724が閉じられて側部723の上に折り畳まれた、
図16aのバッグ720を示している。
図16bに示すように、上部フラップ724には複数のスリット725を設けることができ、このスリット725を通して、バッグがセル内に充填されて閉じられたときに、生きた植物及び/又は植物の種子を挿入することができる。任意で、バッグの内部は、例えば、大きい/粗い充填材の第1の下層を、より細かい充填材の第2の上層から分離するために、ジオテキスタイル材料の層(
図16aには示されていない)によって分割されてもよい。例えば、第1の充填材は、最大直径75mm、任意で最小直径50mmを有する岩片であってもよく、第2の充填材は、最大直径40mmを有する岩片であってもよい。セルアセンブリの使用目的によっては、バッグの蓋を省略することもできる。
【0072】
図17a~
図17gは、本発明によるセルアセンブリ1701が構築され、所定の位置に吊り上げられる様子を示す様々な透視図であり、これらの図は、セルアセンブリを構築し、設置するための一連のステップを集合的に示している。
図17aは、地面1703に置かれたオープントップの矩形成形フレーム1702を示しており、その中に12個のブレースアセンブリの下部ブレースプレート1704及びテンションケーブル1705が配されている。成形フレームは、3.5m×2m×0.5m(幅×長さ×高さ)の内部空洞を画定し、角で溶接された4つの鋼鉄梁から形成されている。各ブレースプレート1704は、8mm×250mm×250mmのステンレス鋼板で、その中心にテンションケーブル1705が取り付けられている。各テンションケーブル1705は、吊り上げ装置に取り付けるための接続ループ1706で終端している。
図17bは、フレーム1702及び部分的に形成されたブレースアセンブリに、チェーンリンクワイヤメッシュの第1シート1710及び第2シート1720を重ね合わせた状態を示している。各ワイヤメッシュシートは、Geobrugg(登録商標)社のTECCO(登録商標)高張力鋼ワイヤメッシュG65/3ステンレスである。図では、分かりやすくするため、シートの一部でメッシュダイヤモンドが省略されている(メッシュパターンが省略されている部分では、各シートの全体的な輪郭が点ダッシュ線で示されている)。他のGeobrugg(登録商標)社製TECCO(登録商標)メッシュ製品のような、Al/Zn被覆鋼ワイヤメッシュを含む他のワイヤメッシュを使用することもできる。第1のシート1710は幅3.5m、長さ6mで、第2シート1720は幅2m、長さ9mである。各シートは、シートの端部に平行な一般的な方向で片側から反対側へ延びる複数の平行なジグザグ形状の絡み合わされたステンレス鋼ワイヤから形成され、それにより、個々のワイヤを曲げることなく、シートをセルアセンブリの面に巻き付けることができる。
図17bでは、各シート1710、1720の自由端は、フレーム1702の側面の上に折り畳まれている。ブレースアセンブリのブレースプレート1704は、シート1710、1720の下に横たわり、テンションケーブル1705は、メッシュ開口部を通して上に突出している。シート1710、1720は、セルアセンブリの下面(フレーム1702内の地面1703)で重なるように互い違いに敷かれ、ステンレス鋼製ヘリコイル留め具(
図17bには図示せず)によりセルアセンブリの垂直縁1707(フレーム1702の内部)で互いに固定される。
図17cは、セルアセンブリの内部容積を12個のセルに小分けするバッフルを形成する、セルアセンブリに挿入されたワイヤメッシュパネル1730(シート1710、1720と同じメッシュ材料から作られる)を示している。この図では、セルは異なる大きさで示されているが、各セルはほぼ同じ大きさであってもよい。
図17cでは、フレーム1702の内側にあるシート1710、1720のメッシュのダイヤモンドパターンは、明確化のために省略されている。パネル1730は、ステンレス鋼製のヘリコイル留め具を用いて、交差するところで、互いに及びシート1710、1720に固定されている。また、
図17cには、ブレースアセンブリのテンションケーブル1705の上に配置された支持チューブ1708が示されている(セルが充填されたときにケーブルを直立に保つために設けられている)。
図17dは、セルに挿入された充填材1740(メッシュ開口部より大きなサイズの岩片からなる)を示している。充填材は、掘削機(
図17dには示されていない)などの便利な機器によって追加され、圧縮されてもよい。
図17dには、シート1710、1720の自由端をセルの上部に折り曲げて、セルアセンブリを閉じることができることを示す矢印も示されている。支持チューブ1708は、充填材がセルに加えられたら、そのままであってもよく、取り外されてもよいことが理解されよう。
図17eは、シート1710の一方の自由端がセル上部を横切って引かれている状態を示している。シートの端線は、一連のフック1751によってドローバー1750に取り付けられ、ドローバーは、4本のチェーン1752によって吊り上げ装置(掘削機やクレーンなど、
図17dには図示せず)に連結されている。
図17eにおいて、セルアセンブリの上部を横切って引かれるシート1710の端部は、分かりやすくするために(ワイヤメッシュの開口部を通してシートの下にある特徴が見えないように)、見かけ上無垢(solid)のシートとして示されている。各自由端は順番に横方向に引かれ、まず第1のシート1710の自由端が横方向に引かれ、第1の重なり合う接合部(重なりの長さは約1m)によって接合され、次に第2のシート1720の自由端が横方向に引かれ、第2の重なり合う接合部(重なりの長さは約1m)によって接合される。シートは、ステンレス鋼製のヘリコイルファスナー(
図17eには示されていない)を使って互いに接合される。必要なワイヤメッシュの量を減らすために、もっと短い重なりを使用できることは理解されよう。ドローバー1750は、各シート端に15kNの張力を加えながら、セルの上面にわたってシートを張るために使用される。シート端部同士を固定した後、各シートの長さに沿った張力は約2.5kNであった。任意に、各シート1710、1720の第1(下)端部は、重なり合う接合によって各シートの第2(上)端部が第1端部に横方向に引き伸ばされ固定される間に、そこへ保持されるようにバッフルパネル1730の1つ以上に張力をかけられ固定されてもよい。或いは、各シート1710、1720の第1の端部は、シートの第2の端部が横方向に伸ばされて固定される前に、横方向に引き伸ばされ、固定されることなくセルアセンブリの上部に敷設されてもよい。シート1710、1720の4つの自由端が全て横に折りたたまれ、固定され、上部ブレースプレート(それぞれ8mm×250mm×250mmのステンレス鋼プレートで、テンションケーブル1705を受けるための中央貫通穴があり、ケーブルのワンウェイクリップによって所定の位置に保持される;
図17eには示されていない)を固定することによってブレースアセンブリが完成すると、セルアセンブリは完成し、フレーム1702から分離する準備が整う。セルアセンブリのサイズとブレースアセンブリの間隔によっては、より大きなブレースプレートが望ましい場合があることが理解されよう。セルアセンブリ1701は、その上部の全てにわたって(第1及び第2のシート1710、1720がそれぞれ端と端を接合されているため)少なくとも二重層のワイヤメッシュを有するが、比較的小さな領域だけが四重層のウェアメッシュを有する(すなわち、シート端部間の2つの重なり合う接合部が互いに重なり合う部分)。12個のブレーシングアセンブリのほとんどは、二重構造の部分に配置されている。
図17fは、完成したセルアセンブリ1701を吊り上げフレーム1760から吊り下げた状態を示している。吊り上げフレーム1760は、6本の圧延鋼製根太1761を溶接したもので、ブラケット1762の形で12個の取付点が設けられている。ブレースアセンブリのテンションケーブル1705は、エンドループ1706を使用してブラケット1762に取り付けられ、セルアセンブリ1701は、ブレースアセンブリによって吊り上げフレーム1760から吊り下げられる。吊り上げフレーム1760は、チェーン1763によって吊り上げ装置(クレーン、
図17fには図示せず)に取り付けられる。
図17fに示すように、セルアセンブリ1701のワイヤメッシュは、充填物の周りにきつく引っ張られ、アセンブリの形状を歪ませる。ブレースアセンブリの代わりにリフトアセンブリが使用され得ることが理解されよう。
図17gは、セルアセンブリ1701を斜面に置くことができるように、セルアセンブリ1701を斜めに持ち上げている状態を示している。セルアセンブリは、吊り上げフレーム1760の角度を調節することにより斜めに傾けられ、このフレーム1760は、フレーム1760をリフト装置に連結するチェーン1763の長さを変えることにより斜めにされる。セルアセンブリを制御された方法で傾斜させる能力は、本発明のセルアセンブリのリフト配置によって促進される特に有用な利点であることが判明している。
図17gでは、セルアセンブリ1701がブレースアセンブリではなくリフトアセンブリを装着して示されている(すなわち、上部ブレースプレートは使用されていない)。
図17f~
図17gは、メッシュが充填材の周囲に張力をかけられると、特に充填材として岩石が使用される場合には、セルアセンブリの各面が歪む可能性があることを示している。特に、セルアセンブリの全ての角及び/又は縁が丸くなり、及び/又は面が湾曲及び/又は起伏することがある。それにも関わらず、セルアセンブリは、対向する上下の面、対向する端面、及び対向する側面の面を有し、その全体形状を保持する。
図17A~
図17gに図示されたステップの順序は任意であり、図示されたステップの1つ以上が異なる順序で実行されてもよいことが理解されよう。例えば、シートが成形フレームに配置された後に、ブレースアセンブリを所定の位置に移動させてもよい。
図17a~
図17gにおいて、連続長さ1720、1720の各々は、メッシュの単一の連続シートから作られる。より大きなアセンブリは、2枚の単一の連続シートを並べて接合することによって、好ましくは重なり接合によって形成され得る(例えば、3.5m以上、例えば5m以上の幅を有する)ことが理解されよう。2枚のシートが並んで接合されると、より広い連続長さが得られ、より広いセルアセンブリの形成が可能になることが理解されよう。結び目のある端部を有するチェーンリンクメッシュの2枚のシートを重ね合わせ接合によって横に並べて接合すると、一方のシートの結び目のある端部は、隣接するシートのメッシュの上又は下に位置することが理解されよう。
【0073】
図に描かれたセルデザインは、対向する側面/端面を結合するための1つ又は複数の水平ブレースアセンブリ、及び/又は補強メッシュ、例えばA393メッシュのような溶接補強メッシュパネルの形態の補強メッシュなど、本明細書に記載された追加の特徴を任意に含み得ることが理解されよう。
【0074】
海岸浸食防止システムは、しばしば極端な力にさらされ、岩石装甲に一般的に使用される大きな岩石でさえも移動が引き起こされる。従来の防潮堤では、このような力は損傷を与える傾向があり、時間の経過と共にシステムを弱体化させる。しかし、本発明のシステムの完全に統合された構造の結果、システムの歪みがワイヤメッシュの張力を増加させ、構造を強化する。これは、メッシュが高張力の(ステンレス)スチールワイヤで形成されている場合に特に当てはまる。
【0075】
本発明を特定の実施形態を参照して説明及び図示したが、本発明は、本明細書に具体的に図示されていない多くの異なる変形に適していることが、当業者には理解されるであろう。前述の説明において、既知、自明、又は予見可能な等価物を有する完全体(integers)又は要素が言及されている場合、そのような等価物は、個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するために特許請求の範囲を参照すべきであるが、特許請求の範囲は、そのような等価物を包含するように解釈されるべきである。また、好ましい、有利である、便利であるなどと記載されている本発明の完全体又は特徴は、任意であり、独立請求項の範囲を限定するものではないことも、読者には理解されよう。更に、そのような任意的な完全体又は特徴は、本発明のいくつかの実施形態では有益である可能性がある一方で、他の実施形態では望ましくなく、従って存在しない可能性があることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤保護システムのためのセルアセンブリであって、該セルアセンブリは、対向する上面及び下面、対向する第1及び第2の端面、並びに対向する第1及び第2の側面を有し、前記セルアセンブリは、岩石片を格納するための少なくとも1つのセルを備え、
第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュが、前記セルアセンブリの前記対向する上面及び下面、並びに前記対向する第1及び第2の端面の周囲を包んで画定し、前記第1の連続長さのワイヤメッシュは、前記セルアセンブリの前記上面、前記第1の端面、及び/又は前記第2の端面に配置された重なり合う接合部を形成するように重なり合って固定された第1の端部及び第2の端部を有する、チェーンリンクワイヤメッシュの単一の連続シートを含み、該単一の連続シートは、前記セルアセンブリの周囲を包んで、前記セルアセンブリの前記上面、前記下面、前記第1の端面、及び前記第2の端面の各々にまたがり、
前記セルアセンブリの前記第1の側面は、該第1の側面に隣接する前記セルアセンブリの面の周囲を少なくとも部分的に包む、第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記第1の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、チェーンリンクワイヤメッシュの単一の連続シートを含み、
前記セルアセンブリの前記第2の側面もまた、前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第2の連続長さの前記単一の連続シートは、前記第2の側面にまたがると共に、前記セルアセンブリの前記隣接する面にまたがり、
前記セルアセンブリの前記第2の側面は、該第2の側面に隣接する前記セルアセンブリの面の周囲を少なくとも部分的に包む、第3の連続長さもチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記第2の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、チェーンリンクワイヤメッシュの単一の連続シートを含むことを特徴とするセルアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートからなることを特徴する請求項1記載のセルアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、チェーンリンクワイヤメッシュの複数の単一の連続シートからなり、該シートの各々は、前記セルアセンブリの前記上面、前記下面、前記第1の端面、及び前記第2の端面のそれぞれにまたがる、側部対側部の接合部によって互いに固定され、例えば、各単一の連続シートの少なくとも一方の側部が、重なり合う側部対側部の接合部を形成するように、隣接するシートの側部に重なって固定されることを特徴する請求項1記載のセルアセンブリ。
【請求項4】
前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記第1及び第2の側面の双方を画定すると共に、前記セルアセンブリの前記下面を横切って延び、それによって前記セルアセンブリの前記下面上で前記第1の連続長さのワイヤメッシュと重なり、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートは、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面と前記下面とにまたがると共に、前記セルアセンブリの前記上面の少なくとも一部を横切って延びることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の連続長さの前記単一の連続シートは、第1の端部及び第2の端部を有し、該第1の端部及び第2の端部は、前記セルアセンブリの前記上面、前記第1の側面、及び/又は前記第2の側面、好ましくは前記上面に位置する、別の重なり合う接合部を形成するように、重なり合って互いに固定されることを特徴とする請求項4記載のセルアセンブリ。
【請求項6】
前記第2の側面は、前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュによって画定され、前記第2の連続長さの前記単一の連続シート及び前記第3の連続長さの前記単一の連続シートの各々が、前記セルアセンブリの前記上面の少なくとも一部を横切って延びていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項7】
前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートからなり、前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、存在する場合には、チェーンリンクワイヤメッシュの前記単一の連続シートからなることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項8】
前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、前記セルアセンブリの前記第1の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、側部対側部の接合部によって各々が互いに固定された、チェーンリンクワイヤメッシュの複数の単一の連続シートを含み、例えば、各単一の連続シートの少なくとも一方の側部が、隣接するシートの側部に重なって固定され、
前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュは、存在する場合には、前記セルアセンブリの前記第2の側面にまたがると共に前記隣接する面の少なくとも一部を横切って延びる、側部対側部の接合部によって互いに固定された、チェーンリンクワイヤメッシュの複数の単一の連続シートを含み、例えば、各単一の連続シートの少なくとも一方の側部が、隣接するシートの側部に重なって固定されることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項9】
ワイヤメッシュの前記第1の連続シートは、その長さに沿って少なくとも2kNまで張力がかけられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項10】
重なり合う接合部の各々の重なりは、少なくとも150mmなどの少なくとも80mmであり、及び/又は各重なりは、少なくとも2列のメッシュ開口部などの少なくとも1列のメッシュ開口部であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項11】
前記セルアセンブリは複数のセルを含み、1つ又は複数のチェーンリンクワイヤメッシュバッフルが、前記セルアセンブリを分割するように前記複数のセルに分離していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項12】
1つ又は複数のセル内に配置された強化グリッドを含み、該強化グリッドは、各々が少なくとも8mmの直径を有するステンレス鋼ロッドから形成された溶接ワイヤメッシュであり、前記強化グリッドは、前記セルの第1の内部幅の少なくとも75%を横切ると共に第2の内部幅の少なくとも75%を横切って延び、前記第1の内部幅は、前記セルの対向する端部間の距離であり、前記第2の内部幅は、前記セルの対向する側部間の距離であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項13】
前記ワイヤメッシュは、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm
2の引張強度を有する高張力ステンレス鋼ワイヤから形成され、
任意に、ワイヤメッシュのシートは、タイワイヤ及び/又は複数のクリップで互いに固定され、前記タイワイヤ及び/又は前記複数のクリップは、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm
2の引張強度を有する高張力ステンレス鋼ワイヤから形成されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項14】
前記連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するチェーンリンクワイヤメッシュの前記シートの各々は、対向する端縁に平行な方向に一方の側縁から対向する側縁まで延在する、組み合わされたワイヤから形成され、ワイヤの端部が、隣接するワイヤの端部の対応するループと連結するループに結ばれていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項15】
少なくとも1つのセルが、前記ワイヤメッシュの開口部の断面サイズよりも大きい断面サイズを全ての寸法で有する岩石片で充填され、任意に、前記セルアセンブリが6,000~10,000kgの質量を有することを特徴とする請求項1から14のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項16】
少なくとも1つのセルが、粒状物質の通過を防止するための透水性微粉バリアを含み、該微粉バリアが、セルの頂部を形成するワイヤメッシュの下方に配置され、任意に、前記微粉バリアが、前記頂部を形成する前記ワイヤメッシュに隣接して前記セルの頂部に並び、
任意に、前記微粉バリアは、羊毛又はココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成され、
任意に、前記微粉バリアは、前記セル内を覆うバッグの形態であることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのセルは、砂及び/又は土のような粒状材料、及び任意に、前記ワイヤメッシュの開口部の断面サイズよりも大きい断面サイズを全ての寸法で有する岩石片を含み、
前記粒状材料は、前記微粉バリアの下方に配置される、或いは前記微粉バリアによって囲まれた空間に配置され、
任意に、各セルは、生きたイネ科植物などの複数の生きた植物、及び/又はイネ科植物などの植物の種子を含み、前記複数の生きた植物が、少なくとも部分的に前記微粉バリアの下方に配置された根、又は少なくとも部分的に前記微粉バリアによって囲まれた空間に配置された根を有し、及び/又は、前記植物の種子が、前記微粉バリアの下方に配置される、又は前記微粉バリアによって囲まれた空間に配置されることを特徴とする請求項16記載のセルアセンブリ。
【請求項18】
前記セルアセンブリは、複数のリフトアセンブリを含み、該リフトアセンブリの各々が、前記セルアセンブリの前記下面の下方に配置されるリフトプレートと、該リフトプレートに固定され、前記セルアセンブリを通って上方にかつ前記上面から外側に延びるリフトケーブルとを含み、該リフトケーブルの各々が、吊り上げフレームなどの吊り上げ装置に取り付けるように構成されていることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項19】
前記セルアセンブリは、
前記セルアセンブリの前記下面を横切って延びるワイヤメッシュを、前記セルアセンブリの前記上面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付ける複数の垂直ブレースアセンブリであって、該垂直ブレースアセンブリの各々が、前記セルアセンブリの前記下面のワイヤメッシュの下方に配置される下部ブレースプレートと、前記上面のワイヤメッシュの上方に配置される上部ブレースプレートと、前記下部ブレースプレートと前記上部ブレースプレートとを結合するテンション部材と、を含む垂直ブレースアセンブリ、及び/又は、
前記セルアセンブリの一方の側面又は端面を横切って延びるワイヤメッシュを、前記セルアセンブリの反対側の側面又は端面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付ける少なくとも1つの水平ブレースアセンブリであって、該水平ブレースアセンブリの各々が、前記セルアセンブリの前記一方の側面又は端面のワイヤメッシュの外側に配置される第1のブレースプレートと、前記反対側の側面又は端面のワイヤメッシュの外側に配置される第2のブレースプレートと、前記第1のブレースプレートと前記第2のブレースプレートとを結合するテンション部材と、を含む水平ブレースアセンブリ、
を含むことを特徴とする請求項1から18のいずれか1項記載のセルアセンブリ。
【請求項20】
複数の前記テンション部材の各々が、アンカー装置及び/又は吊り上げ装置に取り付けるように構成され、例えば、前記セルアセンブリが、そのように構成されたテンション部材を有する少なくとも4つのブレースアセンブリを含むことを特徴とする請求項19記載のセルアセンブリ。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを複数含む地盤保護システムであって、前記セルアセンブリが互いに固定され、
任意に、各セルアセンブリが、他のセルアセンブリのブレースアセンブリに固定されたブレースアセンブリを有し、例えば、前記セルアセンブリが、請求項19又は20記載のセルアセンブリであり、各セルアセンブリの垂直又は水平ブレースアセンブリの少なくとも1つのテンション部材が、隣接するセルアセンブリの垂直又は水平ブレースアセンブリの対応するテンション部材に接続されていることを特徴とする地盤保護システム。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを形成するための部品を含む部品キットであって、該部品キットは、
前記セルアセンブリの前記下面、前記第1の端面、前記第2の端面、及び前記上面を画定するための、前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するための、少なくとも1枚のチェーンリンクワイヤメッシュシートと、
前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面を画定するための、前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ及び存在する場合には前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを形成するための、少なくとも1枚の追加のチェーンリンクワイヤメッシュシートであって、各追加の連続チェーンリンクワイヤメッシュシートが、側面を画定し、前記セルアセンブリの別の隣接する面の周りに少なくとも部分的に巻き付くように配置される、チェーンリンクワイヤメッシュシートと、
シート間の重なり合う接合部を形成するための留め具と、
構築中及び充填材での充填中に、前記セルアセンブリの前記側面及び前記端面を支持するための成形フレームであって、該成形フレームが、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面並びに前記第1及び第2の端面の周囲に延びる大きさの上部開口フレームである前記成形フレームと、
を含むことを特徴とする部品キット。
【請求項23】
前記セルアセンブリの、前記下面を横切って延びるワイヤメッシュを前記上面を横切って延びるワイヤメッシュに、及び/又は、前記第1の側面/端面を横切って延びるワイヤメッシュを前記第2の側面/端面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付けるための、複数の垂直及び/又は水平ブレースアセンブリを含み、
各ブレースアセンブリは、下部/第1のブレースプレートと、上部/第2のブレースプレートと、前記下部/第1のブレースプレートと前記上部/第2のブレースプレートとを結合するためのテンション部材と、任意に、前記上部/第2のブレースプレートを前記テンション部材上の位置に保持するためのリテーナと、を含み、
任意に、複数の前記ブレースアセンブリは、前記セルアセンブリが構築され、前記セルに充填材が充填されると、前記セルアセンブリを吊り上げフレームなどの吊り上げ装置から吊り下げるように構成され、例えば、前記ブレースアセンブリの各テンション部材は、吊り上げ装置に取り付けるように構成されることを特徴とする請求項22記載の部品キット。
【請求項24】
前記セルアセンブリが構築され、前記セルに充填材が充填されたら、前記セルアセンブリを吊り上げフレームなどの吊り上げ装置から吊り下げるための複数のリフトアセンブリを含み、各リフトアセンブリが、リフトプレートと、該リフトプレートに固定可能であり、前記吊り上げ装置に接続可能なリフトケーブルと、を含むことを特徴とする請求項22又は23記載の部品キット。
【請求項25】
前記セルアセンブリが構築され、前記セルに充填材が充填されたら、前記セルアセンブリが吊り上げフレームから吊り下げ可能である前記吊り上げフレームを含み、前記吊り上げフレームが、前記セルアセンブリのテンション部材及び/又はリフトケーブルに接続するための複数のセル取付点と、クレーンなどの吊り上げ装置に接続するための複数の装置取付点と、を含むことを特徴とする請求項23又は24記載の部品キット。
【請求項26】
前記セルアセンブリが複数のセルを含み、前記キットが、前記セルアセンブリを前記複数のセルに分割するバッフルを形成するための、少なくとも1つのチェーンリンクワイヤメッシュパネルを含むことを特徴とする請求項22から
25のいずれか1項記載の部品キット。
【請求項27】
砂及び/又は土の通過を防止するための少なくとも1つの透水性微粉バリアを含み、該微粉バリアは、セル内部に配置するためのサイズ及び構成であり、任意に、前記微粉バリアは、セル内部に並ぶサイズ及び構成であり、任意に、各微粉バリアは、羊毛又はココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成され、任意に、前記部品キットは、生きたイネ科植物などの複数の生きた植物、及び/又はイネ科植物の種子などの植物の種子を更に含み、
任意に、前記セルアセンブリの下方に配置するための洗掘防止層を含むことを特徴とする請求項22から
26のいずれか1項記載の部品キット。
【請求項28】
請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを構築する方法であって、
前記セルアセンブリの前記下面、前記第1及び第2の端面、及び前記上面を画定するための前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面を画定するための前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ、及び存在する場合には前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュに固定するステップであって、少なくとも1つのセルの上部が開口しているステップ、
前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入するステップ、及び、
前記第1の連続長さを形成するチェーンリンクワイヤメッシュの各連続シートの端部同士を固定し、前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを、前記第1及び第2の側面を画定するための前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ、及び存在する場合は前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュに固定することにより、前記セルアセンブリの前記上面を横切って前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュを固定し、これにより、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の端面及び前記上面を画定する前記第1の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュが、前記セルアセンブリの前記第1及び第2の側面を画定する前記第2の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュ、及び存在する場合は前記第3の連続長さのチェーンリンクワイヤメッシュと重なり、及び/又は重ねられるように、前記少なくとも1つのセルを閉じるステップ、を含み、
任意に、前記方法は、前記少なくとも1つのセルに充填するステップの間、前記セルアセンブリの形状を制御するために成形フレームを使用するステップであって、任意に、前記充填材が、前記少なくとも1つのセルを閉じるステップの前に圧縮されるステップ、を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入するステップの前に、1つ又は複数のブレースアセンブリの少なくとも一部を前記セルアセンブリ内に設置し、前記セルアセンブリの前記下面を横切って延びるワイヤメッシュを前記上面を横切って延びるワイヤメッシュに結び付けるために、前記セルを閉じるステップの後に前記ブレースアセンブリを完成させるステップを含む、及び/又は、
前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入するステップの前に、複数のリフトアセンブリを前記セルアセンブリ内に設置するステップを含むことを特徴とする請求項
28記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのセルを閉じるステップの後に、前記セルアセンブリの、前記ブレースアセンブリ及び/又は前記リフトアセンブリの、前記テンション部材及び/又は前記リフトケーブルを、吊り上げ装置に接続するステップを含むことを特徴とする請求項
29記載の方法。
【請求項31】
前記セルに充填材を挿入するステップの直前、最中、又は直後のいずれかに、砂及び/又は土の通過を防止するための透水性微粉バリアを、前記少なくとも1つのセルに挿入するステップを含み、任意に、各微粉バリアがバッグの形態であり、前記方法は、充填材を挿入するステップの前に、各微粉バリアをセルに挿入し、前記バッグの底部及び側部が前記セルの内側に並ぶように前記バッグを配置し、各バッグに充填材を充填してそれによって前記少なくとも1つのセルに充填材を挿入し、そして、前記セルを閉じるステップの前に充填材の上で前記バッグの上部フラップを閉じるステップを含み、任意に、前記方法は、1)前記充填材に植物の種子を加えるステップ、及び/又は、2)前記セルを閉じるステップの前又は後に、生きたイネ科植物などの複数の生きた植物の根、及び/又はイネ科植物の種子などの植物の種子を、前記微粉バリアの上部の開口部から挿入するステップを更に含むことを特徴とする請求項
28から
30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
地盤保護システムを構築する方法であって、請求項1から20のいずれか1項記載のセルアセンブリを複数、各セルアセンブリをフレームのような吊り上げ装置から吊り下げることによって設置位置に吊り上げるステップと、各セルアセンブリの少なくとも1つのブレースアセンブリを別のセルアセンブリのブレースアセンブリに接続することなどによって、例えば前記ブレースアセンブリのテンション部材同士を接続することによって、セルアセンブリを互いに固定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【国際調査報告】