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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】マイクロ流体装置のための汎用設計
(51)【国際特許分類】
   B81C 1/00 20060101AFI20240717BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20240717BHJP
   B81B 1/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B81C1/00
B01J19/00 321
B81B1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575503
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2022055314
(87)【国際公開番号】W WO2022259160
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】2021/5457
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518463496
【氏名又は名称】ファーマフルーイディクス エヌブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デスメット,ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブズ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】オーピー デ ベーク,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】クラエルボウト,ボー
【テーマコード(参考)】
3C081
4G075
【Fターム(参考)】
3C081AA17
3C081BA23
3C081CA32
3C081CA45
3C081DA03
3C081DA06
3C081EA27
3C081EA28
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA27
4G075AA39
4G075AA56
4G075BA10
4G075BB03
4G075BB05
4G075DA02
4G075EB50
4G075EC09
4G075FA01
4G075FA12
4G075FB01
4G075FB06
(57)【要約】
1つ以上の設計制約に従って、マイクロ流体装置(100)を製造するための方法(200)である。この方法は、複数の流体チャネル(120)であって、チャネルが、入口(123)及び出口(124)を有する、複数の流体チャネル(120)を備える第1の基板(110)を提供すること(210)と、マイクロ流体装置(100)の指定された設計制約に応じて、少なくとも1つの第2の基板(140)上に接続チャネル(150)の構成を実装すること(220)と、を含み、そのため、第1の基板を少なくとも1つの第2の基板と位置合わせすること(230)によって、第1の基板の流体チャネルの少なくともいくつかの入口及び出口が接続チャネル(150)に接続され、1つ以上の設計制約に適合するマイクロ流体デバイス(100)が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の設計制約に従ってマイクロ流体装置を製造するための方法であって、当該方法は、
-複数の流体チャネルであって、前記流体チャネルは、入口及び出口を有する、複数の流体チャネルを備える、第1の基板を提供することと、
-前記マイクロ流体装置の指定された前記設計制約に応じて、少なくとも1つの第2の基板上に接続チャネルの構成を実装することと、を含み、
-前記第1の基板を前記少なくとも1つの第2の基板と位置合わせすることによって、前記第1の基板の前記流体チャネルの少なくともいくつかの入口及び出口が前記接続チャネルに接続され、前記1つ以上の設計制約に適合するマイクロ流体デバイスが得られる、
方法。
【請求項2】
前記第1の基板は、シリコンウエハである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2の基板は、ガラスウエハ又はシリコンウエハである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記接続チャネルは、前記第1の基板と接合する、前記第2の基板の側面上に実装される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
スルーホールが、前記第1の基板上の前記流体チャネルの入口及び出口を接続するように、前記第2の基板内に配置される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の設計制約のうちのある設計制約が、前記マイクロ流体装置の総チャネル長であり、かつ/又は前記1つ以上の設計制約のうちのある設計制約が、得られた前記マイクロ流体デバイスの入口と出口との間の流れ抵抗である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ピラーが、提供された前記第1の基板の流体チャネル内に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記提供された第1の基板の前記流体チャネルは、同じ形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記提供された第1の基板の前記流体チャネルは、実質的に互いに平行であり、かつ位置合わせされている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接続チャネルは、前記第1の基板の前記流体チャネルの少なくとも一部を直列に相互接続するように設計されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記接続チャネルは、前記第1の基板の前記流体チャネルの少なくとも一部を並列に相互接続するように設計されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記接続チャネルは、前記第1の基板の前記流体チャネルの少なくとも一部を並列に相互接続し、かつ前記流体チャネルの少なくとも一部を直列に相互接続するように設計されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
マイクロ流体装置であって、当該マイクロ流体装置は、
-複数の流体チャネルであって、前記流体チャネルは、入口及び出口を有する、複数の流体チャネルを備える、第1の基板と、
-少なくとも1つの第2の基板上の接続チャネルの構成と、を備え、
-前記第1の基板は、前記第1の基板の前記流体チャネルの少なくともいくつかの入口及び出口が前記接続チャネルと接合するように、前記少なくとも1つの第2の基板と位置合わせされている、
マイクロ流体装置。
【請求項14】
ピラーが、前記第1の基板の流体チャネル内に存在する、請求項13に記載のマイクロ流体装置。
【請求項15】
前記第1の基板は、シリコンウエハであり、前記第2の基板は、ガラスウエハ又はシリコンウエハである、請求項13又は14に記載のマイクロ流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、概して、マイクロ流体デバイスに関する。より詳細には、本発明は、様々な要件に適合しなければならないマイクロ流体装置をフレキシブルに作製するための方法、及びそのような方法によって得られるマイクロ流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体伝播を使用するマイクロ流体装置は、広範囲の用途を有する。例としては、化学成分の製造、ナノ粒子の合成、成分の分離及び/又は抽出などが挙げられる。
【0003】
例えば、混合物を正確に分析することができるように、混合物を分離するための分離技術の具体的な例としては、クロマトグラフィがある。クロマトグラフィの種々の形態には、ガスクロマトグラフィ、ゲルクロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、吸着クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、液体クロマトグラフィなどがある。
【0004】
液体クロマトグラフィは、典型的には、薬学及び化学において使用され、両者とも分析用途及び製造用途のためである。液体クロマトグラフィは、異なる物質の、移動相と固定相との親和性の差を利用する。各物質は、固定相に対してそれ独自の「粘着性」を有するため、それらは、移動相とともにより速く又はより遅く運ばれ、このようにして、特定の物質を、他の物質から分離することができる。この液体クロマトグラフィは、原理的に、任意の化合物に適用可能であり、材料の気化を必要としないという利点を有し、温度の変動が無視できるほどわずかな影響しか有さないという利点を有する。
【0005】
液体クロマトグラフィの効率的な形態は、高圧液体クロマトグラフィ(高性能液体クロマトグラフィとしても知られる)、すなわち、HPLCであり、高い圧力が、分離プロセスにおいて使用される。HPLCを行うための技術の具体例は、ピラーを介したクロマトグラフのカラムに基づく。
【0006】
液体クロマトグラフィに導入されて以来、ピラーを介したクロマトグラフのカラムは、充填層構造及び一体式システムに基づくシステムにとって、有用な代替物であることが実証されている。ピラーを高度な均一性で配置し、かつそれらを完璧に整列させるための選択肢により、流路内の差によって生じる分散、又は「渦分散」は、ほとんど完全に回避することができる。この原理は、より一般的には、液体プラグ伝播に基づく化学反応器において適用可能である。
【0007】
用途に応じて、マイクロ流体装置は、様々な要件に適合しなければならない。これらの要件は、例えば、流量、流速、流れ抵抗、分析時間などに関係し得る。
【0008】
要件が変化すると、マイクロ流体装置のための新しい設計が必要となる。このことは、今日、典型的には、新しいマスク設計に続く、リソグラフ及びエッチングプロセスの開発、並びにそれに関連するコストにつながる。
【0009】
その結果、1つ以上の設計制約に適合するマイクロ流体装置を効率的に設計及び製造するための方法が必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態の目的は、マイクロ流体装置を製造するための良好な方法を提供すること、及びそのような方法に従って得られるマイクロ流体装置を提供することである。
【0011】
上述の目的は、本発明による装置、デバイス、及び/又は方法によって達成される。
【0012】
第1の態様では、本発明は、1つ以上の設計制約に従ってマイクロ流体装置を製造するための方法に関する。
【0013】
本方法は、
-複数の流体チャネルであって、チャネルが、入口及び出口を有する、複数の流体チャネルを備える第1の基板を提供するステップと、
-マイクロ流体装置の指定された設計制約に応じて、少なくとも1つの第2の基板上に接続チャネルの構成を実装するステップと、を含み、
-そのため、第1の基板を少なくとも1つの第2の基板と位置合わせすることによって、第1の基板の流体チャネルの少なくともいくつかの入口及び出口が接続チャネルに接続され、1つ以上の設計制約に適合するマイクロ流体デバイスが得られる。
【0014】
本発明の実施形態の利点は、流体チャネルを有する基板の単一の設計を使用して、異なる設計制約に適合する複数のマイクロ流体装置を得ることができることである。
【0015】
本発明の実施形態では、第1の基板は、シリコンウエハである。
【0016】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの第2の基板は、ガラスウエハ又はシリコンウエハである。第2の基板がガラスウエハである場合、その利点は、そのようなウエハとの位置合わせがシリコンウエハとの位置合わせよりも容易に達成することである。
【0017】
本発明の実施形態では、接続チャネルは、第1の基板と接合する、第2の基板の側面上に提供され、外部器具を第1の基板上の流体チャネルの入口及び出口に接続するためのスルーホールが第2の基板に提供される。外部器具は、例えば、マイクロチャネル又は別のマイクロ流体装置であり得る。
【0018】
本発明の実施形態では、1つ以上設計制約のうちのある設計制約は、マイクロ流体装置の総チャネル長である。
【0019】
本発明の実施形態では、設計制約は、得られたマイクロ流体デバイスの入口と出口との間の流れ抵抗である。本発明の実施形態の利点は、マイクロ流体装置が特定の流量を得るように設計され得ることである。
【0020】
本発明の実施形態では、ピラーが、提供された第1の基板の流体チャネル内に配置される。
【0021】
本発明の実施形態では、提供された第1の基板の流体チャネルは、同じ形状を有する。
【0022】
本発明の実施形態では、提供された第1の基板の流体チャネルは、実質的に互いに平行であり、かつ位置合わせされている。
【0023】
本発明の実施形態では、接続チャネルは、第1の基板の流体チャネルの少なくとも一部を直列に相互接続するように設計されている。
【0024】
本発明の実施形態では、接続チャネルは、第1の基板の流体チャネルの少なくとも一部を並列に相互接続するように設計されている。
【0025】
本発明の実施形態では、接続チャネルは、第1の基板の流体チャネルの少なくとも一部を並列に相互接続し、かつ流体チャネルの少なくとも一部を直列に相互接続するように設計されている。
【0026】
第2の態様では、本発明は、マイクロ流体装置に関する。本マイクロ流体装置は、
-複数の流体チャネルであって、チャネルが、入口及び出口を有する、複数の流体チャネルを備える第1の基板と、
-少なくとも1つの第2の基板上の接続チャネルの構成と、を備え、
-第1の基板は、第1の基板の流体チャネルの少なくともいくつかの入口及び出口が接続チャネルと接合するように、少なくとも1つの第2の基板と位置合わせされている。本発明の実施形態の利点は、異なるマイクロ流体装置を、第1の基板を修正する必要なしに得ることができることである。得られたマイクロ流体装置が設計制約に適合するように、新しい接続チャネルを設計することは、十分足りる。
【0027】
本発明の実施形態では、ピラーが、第1の基板の流体チャネル内に存在する。
【0028】
本発明の実施形態では、第1の基板は、シリコンウエハであり、第2の基板は、ガラスウエハ又はシリコンウエハである。
【0029】
本発明の特定の好ましい態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に含まれる。従属請求項の特徴は、特許請求の範囲に明示的に提示される場合だけでなく、適宜、独立請求項の特徴と組み合わせることができ、他の従属請求項の特徴と組み合わせることができる。
【0030】
本発明のこれら及び他の態様は、以下で説明される実施形態から明らかになり、かつそれらを参照して明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の概略図を示しており、流体チャネルは、直列に相互接続されている。
図2】本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の概略図を示しており、流体チャネルは、並列に相互接続されている。
図3】本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の概略図を示しており、接続チャネルのいくつかが、アクセスチャネルとして機能する。
図4】本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の例を示しており、単位構造は、複数の相互連結された流体チャネルからなる。
図5】本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の例を示しており、単位構造は、直列に結合されている。
図6図1に示されたマイクロ流体装置に好適なガラス基板に作製された接続チャネル及び貫通開口部の例を示す。
図7図3に示されたマイクロ流体装置に好適なガラス基板内に作製された接続チャネルの例を示す。
図8】本発明の実施形態によるマイクロ流体装置のいくつかの断面図、及び上面図を示す。
図9】キャピラリがアクセスチャネル内に配置されている本発明の実施形態を示す。
図10】第2の基板内の入口又は出口と接合する、第2の基板内のスルーホールの概略図を示す。
図11】本発明の実施形態による、互いの上部に積層された2つのマイクロ流体デバイスの概略図を示す。
図12】本発明の実施形態による、いくつかの接続チャネルが配置されている第2の基板を示す。
図13図12の細部「A」の拡大図を示す。
図14】典型的な位置合わせ構造の概略図を示す。
図15】本発明の実施形態による典型的な方法のフロー図を示す。
【0032】
図面は概略的なものに過ぎず、限定するものではない。各図において、いくつかの部分の寸法は、例証的な目的のために、誇張される場合があり、縮尺通りではない場合がある。
【0033】
特許請求の範囲における参照番号は、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。様々な図において、同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、個別の実施形態に関して、特定の図面を参照して説明される。しかしながら、本発明は、それに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。説明される図面は、概略的なものに過ぎず、限定するものではない。図面において、例証的な目的のために、いくつかの要素の寸法は、拡大される場合があり、縮尺通りには描かれない場合がある。寸法及び相対的な寸法は、本発明の実際の実用的な実施態様に対応しない場合がある。
【0035】
更に、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、類似の要素を区別するために、説明の中及び特許請求の範囲の中で使用されており、時間的、空間的、等級的、又は任意の他の方法にかかわらず、必ずしも順序について説明するためのものではない。このように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であること、及び本明細書に説明される本発明の実施形態は、本明細書に説明又は記述される順序とは異なる順序で動作するために適切であることを理解されたい。
【0036】
更に、説明及び特許請求の範囲の中の「上部」、「下部」、「上方」、「前方」などの用語は、解説的な目的のために採用されており、必ずしも相対的な位置を説明するために採用されているわけではない。このように採用される用語は、所与の状況下で交換可能であり得ること、及び本明細書で説明される本発明の実施形態はまた、本明細書で説明又は記述される配向とは異なる配向に従って動作するためにも適切であることを理解されたい。
【0037】
特許請求の範囲で使用される場合、「備える(comprises)」という用語は、その後に説明される手段に限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。この用語は、他の要素又はステップを排除しない。したがって、それは、参照して指示された特徴、値、ステップ、又は構成要素の存在を指定するものとして解釈されるべきであり、1つ以上他の特徴、値、ステップ、又は構成要素、あるいはそれらの群の存在又は追加を排除しない。したがって、「手段A及び手段Bを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素A及び構成要素Bのみからなるデバイスに限定されるべきではない。それは、本発明に関して、A及びBがそのデバイスの単なる関連した構成要素であることを意味する。
【0038】
本明細書を通じた「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じた様々な場所での「一実施形態において(in one embodiment)」又は「一実施形態において(in an embodiment)」という表現の出現は、必ずしも常に同じ実施形態を指す必要はないが、そうする場合もある。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、本開示に基づいて当業者にとっては明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0039】
同様に、本発明の典型的な実施形態の説明において、本発明の様々な特徴は、本開示を合理化し、かつ様々な発明の態様のうちの1つ以上の理解を支援する目的のために、それらの特徴の1つの単一の実施形態、図、又は説明にともにグループ化される場合があることを理解されたい。いずれにしても、開示する本方法は、本発明が、各請求項において明示的に記述されている特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。逆に、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、以前に開示された単一の実施形態の全ての特徴未満で見出される。したがって、「発明を実施するための形態」に続く特許請求の範囲は、本明細書によって、この「発明を実施するための形態」に明示的に含まれ、各独立請求項は、本発明の別個の実施形態である。
【0040】
更に、本明細書に説明される実施形態は、他の実施形態に含まれる、他の特徴ではない、いくつかの特徴を備えるが、当業者によって理解されるように、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあり、かつこれらの異なる実施形態を構成することが意図される。例えば、後続の特許請求の範囲では、記載された実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0041】
多数の具体的な詳細については、ここに提供される説明に記述される。いずれにしても、本発明の実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施することができることを理解されたい。他の場合では、既知の方法、構造、及び技術については、本説明を明快に保つために、詳細には示されていない。
【0042】
第1の態様では、本発明は、1つ以上の設計制約に従ってマイクロ流体装置100を製造するための方法200に関する。この設計制約は、例えば、以下の非限定的な列挙、すなわち、総チャネル長、流れ抵抗、流量、流速、分析時間から選択することができる。
【0043】
図15は、本発明の実施形態による典型的な方法のフロー図を示している。
【0044】
第2の態様では、本発明は、マイクロ流体装置に関する。そのようなマイクロ流体装置は、本発明による方法を行うことによって得ることができる。図1図5は、本発明の実施形態によるマイクロ流体装置、又はその部分の概略図を示している。
【0045】
本発明の実施形態による方法200は、複数の流体チャネル120であって、チャネルが、入口123及び出口124を有する、複数の流体チャネル120を備える第1の基板110を提供すること210を含む。
【0046】
この方法は、マイクロ流体装置100の指定された設計制約に応じて、少なくとも1つの第2の基板140上に接続チャネル150の構成を実装すること220を更に含む。
【0047】
本方法は、第1の基板を少なくとも1つの第2の基板と位置合わせすること230を更に含む。流体チャネル及び接続チャネルは、第1の基板が少なくとも1つの第2の基板と位置合わせされた後に、第1の基板の流体チャネルの少なくともいくつかの入口及び出口が接続チャネル150に接続され、1つ以上設計制約に適合するマイクロ流体デバイス100が得られるように設計されている。位置合わせの後、第1の基板及び第2の基板は、ともに接合される。
【0048】
本発明の実施形態によるマイクロ流体装置は、複数の流体チャネル120であって、チャネルが、入口123及び出口124を有する、複数の流体チャネル120を備える第1の基板110と、
-少なくとも1つの第2の基板140上の接続チャネル150の構成と、を備え、
-第1の基板は、第1の基板の流体チャネルの少なくともいくつかの入口及び出口が接続チャネル150と接合するように、少なくとも1つの第2の基板と位置合わせされている。
【0049】
図1は、本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の概略図を示している。この図では、流体チャネル120の一部が、接続チャネル150によって直列に相互接続されている。この例では、接続チャネル150は、第1の基板と接触している第2の基板のその側面に位置する。この例では、スルーホール151が提供され、スルーホール151は、一方の側面では入口123又は出口124と直接的又は間接的に接合し、もう一方の側面では外部器具に接合され得る。スルーホールは、例えば、入口123又は出口124と接合する接続チャネルと接合することができる。スルーホールの直径は、例えば、10μm~1000μm、例えば、20μm~500μmとすることができる。スルーホールは、例えば、40μmの直径を有することができる。
【0050】
本発明の実施形態では、接続チャネルは、第1の基板の流体チャネルの少なくとも一部を並列に相互接続するように設計されている。接続チャネルは、例えば、別の接続チャネルの異なる入口に各々つながるいくつかの接続チャネルに分割することができる。これに対して、各々が異なる出口に接続されているいくつかの接続チャネルは、共通のチャネルに集中することができる。
【0051】
図2は、本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の概略図を示している。この図では、接続チャネル150は、第1の基板の流体チャネル120を並列に相互接続するように設計されている。この例では、全ての流体チャネル120は、並列に相互接続されている。ただし、これは、必ずしも厳密にそうである必要はない。また、流体チャネルの一部が並列に相互接続されることも可能である。直列接続及び並列接続の組み合わせもまた、可能である。
【0052】
図3は、本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の概略図を示している。この図では、流体チャネルは、直列に相互接続されている。更に、接続チャネル150もまた、存在して、入口123又は出口124へのアクセスチャネルとして機能する。例えば、図3の上部右隅の接続チャネル、及び(上から数えて)第3の流体チャネル120の出口124に接続された接続チャネル150を参照されたい。これらのアクセスチャネルは、例えば、「ダイシング」によって開けられてもよい。これは、例えば、ダイヤモンドソーを用いてソーイングすることによって、又はレーザ切断することによって行うことができる。図3の左側及び右側の垂直の点線は、例えば、切断線を位置しようとする場所を示している。接続チャネル150へのアクセスは、点線に沿って切断/ソーイングすることによって提供される。これはまた、冷却剤及び破片が側方チャネルに導入されるのを防止するように、部分的にソーイングし、次いで破壊することによって行うこともできる。
【0053】
本発明の実施形態では、提供される第1の基板の流体チャネルは、実質的に互いに平行であり、かつ位置合わせされている。流体チャネルは、例えば、それらの長さの大部分にわたって、互いに平行である。側壁又は中央シャフトは、例えば、互いに平行である。
【0054】
図1図5の例は、直列の平行な流体チャネルが配置されている第1の基板を提供することによって得られる。第2の基板上には、接続チャネル150が、基板の一方の側に配置されている。第1の基板を第2の基板に対して位置合わせし、かつ2つの基板を互いに対抗するように配置させることによって、平行な流体チャネルは、その接続チャネルによって相互接続される。
【0055】
図4及び図5は、本発明の実施形態によるマイクロ流体装置100を示しており、単位構造170は、複数の相互連結された流体チャネル120からなる。図4において、下部単位構造及び上部単位構造170は、同一である。これらの単位構造は、第1の基板内に形成され、接続チャネル150は、第2の基板内に形成されている。単位構造の流体チャネル間の連結チャネル121は、第1の基板内に形成されている。いくつかの接続チャネル150は、流体チャネル120の入口123に接続され、いくつかの接続チャネル150は、流体チャネルの出口124に接続される。図4の左側及び右側の垂直の点線は、ソーイング線を示している。
【0056】
図5において、2つの上部単位構造170は、接続チャネル150によって直列に相互接続されている。本発明の他の実施形態では、単位構造はまた、並列に相互接続することもできる。直列結合された単位構造の入口123は、接続チャネル150に接続され、直列結合された単位構造の出口124は、接続チャネル150に接続されている。連結チャネル121は、単位構造120の流体チャネル120を接続する。図5の右側の垂直の点線は、ソーイング線を示している。
【0057】
接続チャネル150は、様々なタイプの基板内に作製することができる。接続チャネル150は、例えば、ガラス基板140内に作製することができる。前述したように、これらは、流体チャネルを相互接続するチャネルであってもよく、また、マイクロ流体装置の流体チャネルへのアクセスを提供するアクセスチャネルであってもよい。ガラス基板内に作製された接続チャネル150及び貫通開口部151の例が、図6に示されている。この構成は、図1に示すようなマイクロ流体装置を得るのに好適である。図7は、図3に示されたマイクロ流体装置にとって好適なガラス基板内に作製された接続チャネル150の例を示している。
【0058】
接続チャネルは、例えば、リソグラフィ及びエッチングの組み合わせによって、第2の基板内に作製することができる。この場合のエッチングは、湿式条件で行うことができる。このエッチングは、典型的には、等方性であり、これは、チャネルの下面が半円筒形の断面を有することを意味する。代替的に、ドライエッチングを適用することができる。これらのチャネルは、典型的には、長方形の断面を有することになる。
【0059】
接続チャネルはまた、任意選択的に、選択的レーザ誘起エッチングによっても作製することができる。ガラスの特性は、ガラスが選択的に化学エッチングされ得るように、レーザを用いて局所的に変質(軟化)される。これにより、チャネル形状に対して高度に制御することができる。
【0060】
本発明の更なる別の実施形態では、接続チャネルは、「フェムト秒レーザ直接描画」(femtosecond laser direct writing、FsLDW)によって形成することができる。
【0061】
スルーホールを同じ方法で作製することができる。任意選択的に、レーザアブレーション(ただし、精度は、より低い)、サンドブラスト(精度は、更に低い)、又はマイクロウォータージェットアブレーションもまた、スルーホールを作製するための技術として使用することができる。
【0062】
図8は、本発明の実施形態によるマイクロ流体装置の概略図を示している。マイクロ流体装置は、第2の基板140内に配置され、かつ流体チャネルの入口123又は出口124と接合する、接続チャネル150を備える。
【0063】
図8の上の図は、マイクロ流体装置の断面AA及び断面BBを示している。これらの断面の位置は、下の図に示されている。この図は、平行な断面CCを示している。左上の図は、第1の基板上の入口123/出口124、及びアクセスチャネル150を示している。両者とも、互いに対して位置合わせされている。右上の図は、アクセスチャネル内に更にあり、アクセスチャネル150のみを示している。
【0064】
図9は、キャピラリ160がアクセスチャネル150内に配置されている実施形態を示している。キャピラリは、例えば、石英ガラス(「溶融石英」)で作製することができる。この例では、アクセスチャネル150の幅、並びに入口123及び出口124の幅は、75μmに等しい。ただし、本発明は、それに限定されない。概して、その幅は、例えば、5~1000μmであってもよい。入口/出口及びアクセスチャネルの全高さ、アクセスチャネルのみが存在する更に下方の位置におけるアクセスチャネルの高さとは、この例では同じである。この例では、高さは、125μmである。ただし、本発明は、それに限定されない。アクセスチャネルの高さ、又は入口/出口及びアクセスチャネルの全高さは、概して、例えば、100~1500μmであってもよい。
【0065】
図10は、第2の基板110内の入口123又は出口124と接合する、第2の基板141内のスルーホール151の断面の概略図を示している。
【0066】
図11は、スルーホール151が互いに接合する2つのマイクロ流体デバイスの概略図を示している。この図では、2つのマイクロ流体装置は、互いの上部で積層されている。封止材152が、一方のマイクロ流体装置の第2の基板140と、他方のマイクロ流体装置の第2の基板140との間に存在する。これは、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、テフロン(登録商標)、又はポリイミドで作製された、例えば、可逆封止材とすることができる。両方のマイクロ流体デバイスの第1の基板110は、例えば、シリコン基板であってもよい。
【0067】
本発明の実施形態による方法では、第1の基板及び第2の基板は、第1の基板の流体チャネル120の少なくともいくつかの入口123及び出口124が接続チャネル150に接続されるように、互いに対して位置合わせされる。第1の基板及び第2の基板は、例えば、光学的位置合わせを使用して、互いに対して位置合わせされてもよい。図12は、この例ではガラスウエハである第2の基板140を示している。接続チャネル150は、この基板内に存在する。この図の中のセクションAは、位置合わせ構造を含む。その拡大が、図13に示されている。この例では、位置合わせ構造は、パターン状に配置されたいくつかのホール180を含む。この図面には、図面に記載され過ぎないように、限定された数の基準線180のみが提供されている。本発明の実施形態では、このパターンはまた、両方の基板が互いに位置合わせされることができるように、第1の基板内にも配置されている。この例では、形成されたパターンは、T字パターンである。この図に示された寸法は、mm単位で表されている。
【0068】
この例では、第2の基板は、ホウ珪酸ガラスで作製されたウエハである。その直径は、4インチ、かつ厚さは、700μmである。ただし、本発明は、それに限定されない。
【0069】
概して、第2の基板のためのウエハの直径は、例えば、5cm~30cmであってもよく、厚さは、例えば、0.2mm~5mmであってもよい。
【0070】
概して、第1の基板のウエハ直径は、例えば、5cm~30cmであってもよく、厚さは、例えば、0.2mm~2mmであってもよい。
【0071】
光学的ウエハ間位置合わせ方法は、産業界で知られている(例えば、参考文献:「Wafer-to-wafer Alignment for Three-Dimensional Integration:A Review」,Journal of Microelectromechanical Systems,Vol.20,No.4,2011年8月):光学顕微鏡ベースアライナ。
【0072】
図14は、典型的な位置合わせ構造の概略図を示している。上部の位置合わせ構造は、例えば、第1の基板内に配置され、下部の位置合わせ構造は、第2の基板内に配置される。
【0073】
任意選択的に、第1の基板と第2の基板との間の位置合わせはまた、機械的に行うこともできる。
【0074】
本発明の実施形態では、第1の基板内の流体チャネル120は、ピラーベースの分離チャネルである。
【0075】
第1の基板は、例えば、シリコン基板であってもよい。それは、例えば、ドープされた又はドープされていないシリコン基板であってもよい。それは、例えば、高ドープされたp++基板であってもよい。
【0076】
第2の基板は、一方では、チャネルがその中に作製されることができ、他方では、第1の基板との接合が信頼性の高い方法で行われることができるように選択される。
【0077】
第2の基板は、例えば、ガラスで作製されてもよい。より具体的には、それは、例えば、ホウ珪酸で作製されてもよい。本発明の他の実施形態では、第2の基板は、シリコン基板であってもよい。その場合、第1の基板との接合は、例えば、直接ウエハ接合(「溶融接合」)によって行われてもよく、その場合、第1の基板及び第2の基板は、追加の中間層なしで接合されるが、第1の基板の材料と、第2の基板の材料との間の化学的な結合力によって接合される。
【0078】
本発明の実施形態の利点は、非常に多くの異なる製品がたった一度の、又は限定された回数のみの設計で作製することができることである。例えば、同じウエハが、流体チャネルを有する第1の基板に対して毎回使用することができ、したがって、ウエハ当たりのコストを低減することができる。
【0079】
本発明の実施形態では、複数の流体チャネル120(例えば、分離チャネル)が、第1の基板上に作製されている。これらの流体チャネルは、例えば、全て互いに平行であってもよく、流体チャネルの端部は、各側面上で一列になっている。これらの流体チャネルは、例えば、全て同じ形状を有してもよい。その場合、それらの流体チャネルはまた、単位構造とも呼ばれる。単位構造は、1つの流体チャネルからなってもよく、又は第1の基板内で相互接続された複数の流体チャネルからなってもよい。複数の同一の単位構造が、第1の基板上に存在してもよい。単位構造間の接続は、第2の基板内の接続チャネルによって作製されてもよい。
【0080】
流体チャネル120の長さは、例えば、5~30cmであってもよい。
【0081】
流体チャネル120の幅は、例えば、100μm~5,000μm、又は、例えば、500μm~10,000μmで変化してもよい。
【0082】
流体チャネルの最も接近して離間された壁の間の距離は、例えば、50μm~1000μmで変化してもよい。本発明の実施形態では、2つの単位構造の間の距離は、最も接近して離間された流体チャネルの、最も接近して離間された壁の間で測定される。この距離は、例えば、50μm~1000μmで変化し得る。
【0083】
本発明の実施形態による方法を使用すると、流体チャネル120へのアクセスを提供し、接続チャネルによって接続流体チャネル120を相互接続することが可能である。第1の場合、これらの接続チャネルは、アクセスチャネルである。第2の場合、流体チャネルは、並列にかつ/又は直列に相互接続される。例えば、最大50個の入口、及び最大50個の出口が、並列に相互接続することができる。言い替えると、この例では、第1の基板の流体チャネルの1つの設計は、毎回接続チャネルの設計を変更するのみによって、非常に多くの異なる製品を作り出すのに十分である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】