(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電気端子、システム及び関連方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/59 20110101AFI20240717BHJP
H01R 12/67 20110101ALI20240717BHJP
H01R 24/50 20110101ALI20240717BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01R12/59
H01R12/67
H01R24/50
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575528
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022065603
(87)【国際公開番号】W WO2022258717
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ブイ-ヴァン, ハ
(72)【発明者】
【氏名】スクノールヒ, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】サルキス, レミ
【テーマコード(参考)】
5E223
5J046
【Fターム(参考)】
5E223AA30
5E223AB20
5E223AC01
5E223AC23
5E223BA17
5E223BA18
5E223BB11
5E223CA13
5E223CC09
5E223CD01
5E223CD02
5E223DB08
5E223GA08
5E223GA22
5E223GA33
5J046PA07
(57)【要約】
本発明は薄い支持体上に配置された電気回路、特にアンテナへケーブルを電気的に接続するための電気端子を開示し、本電気端子は、中心ピン及び周辺金属リングを含む接続部と、頂面及び底面を有する誘電体基板、周辺金属リングへ電気的に接続されたリング金属パッド、並びに中心ピンへ電気的に接続されかつリング金属パッドから電気的に絶縁されたピン金属パッドを含む基部とを含み、リング金属パッド及びピン金属パッドは底面上に配置され、接続部は基部の頂面上に配置されかつ頂面に対し略垂直に延伸する。基部は更に、薄い支持体を貫通するように設計されたリング貫通手段を含む。誘電体基板及びリング貫通手段は同一平面にない。本発明はまた、このような電気端子を含むシステムとこのようなシステム及び関連方法を含む車両に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い支持体上に配置された電気回路へケーブルを電気的に接続するための電気端子(1)であって、前記電気端子(1)が、
-中心ピン(3)及び周辺金属リング(4)を含む接続部と、
-頂面(2.1)及び底面(2.2)を有する誘電体基板(2)、前記周辺金属リングへ電気的に接続されたリング金属パッド(5)、並びに前記中心ピンへ電気的に接続されかつ前記リング金属パッドから電気的に絶縁されたピン金属パッド(6)を含む基部と
を含み、
前記リング金属パッド及び前記ピン金属パッドが前記底面上に配置され、前記接続部が前記基部の前記頂面上に配置されかつ前記頂面に対し略垂直に延伸するものにおいて、
前記基部が、前記薄い支持体を貫通するように設計されたリング貫通手段(8)を更に含むこと、及び
前記誘電体基板及び前記リング貫通手段が同一平面にないことを特徴とする電気端子。
【請求項2】
前記リング貫通手段は、前記リング金属パッドへ電気的に接続される、請求項1に記載の電気端子。
【請求項3】
前記基部は、前記薄い支持体を貫通するように設計されたピン貫通手段を更に含み、前記誘電体基板及び前記ピン貫通手段は、同一平面にない、請求項1又は2に記載の電気端子。
【請求項4】
前記ピン貫通手段は、前記ピン金属パッドへ電気的に接続される、請求項3に記載の電気端子。
【請求項5】
前記ピン貫通手段は、少なくともタインを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気端子。
【請求項6】
前記リング貫通手段は、少なくともタインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気端子。
【請求項7】
前記リング貫通手段は、曲げられる部分8.1を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の電気端子。
【請求項8】
薄い支持体、前記薄い支持体上に配置された電気回路、及びケーブルを前記電気回路へ電気的に接続するための電気端子を含むシステム(100)であって、前記電気端子が、
-中心ピン(3)及び周辺金属リング(4)を含む接続部と、
-頂面(2.1)及び底面(2.2)を有する誘電体基板(2)、前記周辺金属リングへ電気的に接続されたリング金属パッド(5)、並びに前記中心ピンへ電気的に接続されかつ前記リング金属パッドから電気的に絶縁されたピン金属パッド(6)を含む基部と
を含み、
前記リング金属パッド及び前記ピン金属パッドが前記底面上に配置され、前記接続部が前記基部の前記頂面上に配置されかつ前記頂面に対し略垂直に延伸するものにおいて、
前記基部が、前記薄い支持体を貫通するリング貫通手段(8)を更に含むこと、及び
前記誘電体基板及び前記リング貫通手段が同一平面にないことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記リング貫通手段は、前記リング金属パッドへ電気的に接続される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電気回路は、アンテナ、好適にはマルチバンドアンテナである、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つのシステムを含む車両。
【請求項12】
電気端子を有する薄い支持体上に配置された電気回路へケーブルを電気的に接続するためにケーブルを電気回路へ接続する方法であって、前記電気端子は、
-中心ピン(3)及び周辺金属リング(4)を含む接続部と、
-頂面(2.1)及び底面(2.2)を有する誘電体基板(2)、前記周辺金属リングへ電気的に接続されたリング金属パッド(5)、並びに前記中心ピンへ電気的に接続されかつ前記リング金属パッドから電気的に絶縁されたピン金属パッド(6)を含む基部と
を含み、
前記リング金属パッド及び前記ピン金属パッドが前記底面上に配置され、前記接続部が前記基部の前記頂面上に配置されかつ前記頂面に対し略垂直に延伸すること、
前記基部が、前記薄い支持体を貫通するように設計されたリング貫通手段(8)を更に含むこと、
前記誘電体基板及び前記リング貫通手段が同一平面にないこと、及び
前記方法が、前記中心ピン及び前記周辺金属リングを前記電気回路へ電気的に接続するために前記電気端子を押圧して前記リング貫通手段に前記電気回路の上の前記薄い支持体を貫通させる工程を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、薄い支持体上に配置された電気回路の供給を容易にするための電気端子に関する。本出願はまた、このような電気端子を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動データトラッフィックは、連続的に増加しており、そして5Gと共に大幅に急増することになり移動通信ネットワークオペレータをCAPEXプレッシャ下に置く。5Gのより高い周波数帯は、カバレッジ配備(特に、容量が必要とされることになり且つ厳しいEMF制限が適用される密な市街地における)のより多くの挑戦を意味する。小セルの配備は、電磁波送信及び受信を安定に行うために多数のアンテナを設置することを要する容量改善のための良い解決策として説明される。
【0003】
しかし、多くの欠点が小セルの配備を制限する。第1に、新しいアンテナのための場所を見出すことは非常に困難である。第2に、ファイバ及び電気を屋外へ持って来ることは高価である。最後に、都市規制が小セルの可能性を制限し得る。
【0004】
その上、コネクティッド自律走行車(connected and autonomous vehicle)の到来と共に、必要とされる搭載アンテナの数は絶えず増加しており、そして好適な場所を見出すことは特にWi-Fi、4G、5G及びDSRC、DTV、FM等々に関してますます複雑になる。
【0005】
車両では、アンテナは通常、ガラス窓上、又はシャークフィン若しくは屋根モジュール内側の屋根上に置かれる。
【0006】
機能システムへ接続するためにそしてアンテナを供給するために、端子がケーブルとアンテナとの間で使用される。
【0007】
市場の既存端子は、アンテナの端子への接続を行うための半田技術に基づく。かなり一般的な使用のうちの1つの使用は端子としてのU.FLコネクタの使用である。このような端子は端子を供給するためにアンテナ上に半田付けされる。
【0008】
アンテナはガラス又は薄い支持体などの基板上に配置され得る。
【0009】
しかし、薄い支持体などの耐寒性基板は半田付けの高温に耐えることができない。
【0010】
この耐寒性の薄い支持体の問題を回避するために、端子は導電性接着剤によりのり付けされ得る。しかし、この解決策は、機械的抵抗の課題(端子は支持体から取り除かれ得、断線及び品質課題、経年変化問題等々を引き起こす)を有する。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、第1の態様では、薄い支持体上に配置された電気回路へケーブルを電気的に接続するための電気端子に関し、本電気端子は:
-中心ピン(3)及び周辺金属リング(4)を含む接続部と;
-頂面(2.1)及び底面(2.2)を有する誘電体基板(2)、周辺金属リングへ電気的に接続されたリング金属パッド(5)、並びに中心ピンへ電気的に接続されかつリング金属パッドから電気的に絶縁されたピン金属パッド(6)を含む基部と
を含み、
リング金属パッド及びピン金属パッドは底面上に配置され;接続部は基部の頂面上に配置されかつ頂面に対し略垂直に延伸する。
【0012】
本発明は、第2の態様では、薄い支持体、薄い支持体上に配置された電気回路、及びケーブルを電気回路へ電気的に接続するための電気端子を含むシステムに関し、本システムは;
-中心ピン(3)及び周辺金属リング(4)を含む接続部と;
-頂面(2.1)及び底面(2.2)を有する誘電体基板(2)、周辺金属リングへ電気的に接続されたリング金属パッド(5)、並びに中心ピンへ電気的に接続されかつリング金属パッドから電気的に絶縁されたピン金属パッド(6)を含む基部と
を含み、
リング金属パッド及びピン金属パッドは底面上に配置され、接続部は基部の頂面上に配置されかつ頂面に対し略垂直に延伸する。
【0013】
本発明の第1の態様において及び第2の態様において定義された解決策は、基部が更に、薄い支持体を貫通するように設計されたリング貫通手段(8)を含むということに基づく。
【0014】
本発明の第1の態様において及び第2の態様において定義された解決策はまた、誘電体基板及びリング貫通手段が同一平面(coplanar)にないということに基づく。
【0015】
薄い支持体を貫通することにより、誘電体基板と同一平面にないリング貫通手段は、電気端子が電気回路へ電気的に接続されている間、電気端子を薄い支持体へ機械的に維持する。
【0016】
本発明は、第3の態様では、本発明の第2の態様によるシステムを含む車両に関する。
【0017】
本発明は、第4の態様では、電気端子を有する薄い支持体上に配置された電気回路へケーブルを電気的に接続するためにケーブルを電気回路へ接続する方法に関する。
【0018】
本発明の第4の態様において定義された解決策は、以下のことに基づく。本方法では、電気端子は:
-中心ピン(3)及び周辺金属リング(4)を含む接続部と;
-頂面(2.1)及び底面(2.2)を有する誘電体基板(2)、周辺金属リングへ電気的に接続されたリング金属パッド(5)、並びに中心ピンへ電気的に接続されかつリング金属パッドから電気的に絶縁されたピン金属パッド(6)を含む基部と
を含み、
リング金属パッド及びピン金属パッドは底面上に配置され、接続部は基部の頂面上に配置されかつ頂面に対し略垂直に延伸する。
【0019】
本方法は更に次のことを含む:基部は更に、薄い支持体を貫通するように設計されたリング貫通手段(8)を含む。誘電体基板及びリング貫通手段は同一平面にない。
【0020】
本発明の第4の態様において定義された解決策はまた、以下のことに基づく:本方法は、中心ピン及び周辺金属リングを電気回路へ電気的に接続するために電気端子を押圧してリング貫通手段に電気回路の上の薄い支持体を貫通させる工程を含む。
【0021】
驚いたことに、第1、第2、第3、及び第4の態様によるこの解決策は、電気端子の薄い支持体を貫通するリング貫通手段のおかげで、品質低下課題及び経年変化問題の対処を改善する一方で機械的抵抗を改善することを可能にする。
【0022】
従って、本発明による電気システムは、薄い支持体上に配置された電気回路へケーブルを簡単な、高速な、且つ耐久性のあるやり方で電気的に接続することを可能にする。
【0023】
本発明は第2の態様によるシステムの品質及び耐久性を高める。
【0024】
更に、本発明による電気端子は、電気回路面と接触することといかなる運動に対しても抵抗することとを助ける。
【0025】
従って、本発明は、より高い操作性及び品質を可能にする一方で、システムを置く新しい場所を見出す必要性を解決する。
【0026】
本発明は特許請求の範囲又は説明される実施形態において列挙された特徴のすべての可能な組み合わせに関係するということに留意されたい。
【0027】
以下の説明は車両用途に関係するが、本発明は輸送用途、他の道路使用者及び/又はサービス、並びに建築用途のような他の分野に適用可能であり得るということが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
次に、本発明のこれらの及び他の態様は、例示として提供されるのであり制限として提供されるのではない本発明の様々な例示的実施形態を示す添付図面を参照して詳細に説明されることになる。添付図面は概略図であり、原寸に比例していない。添付図面は本発明をいかなるやり方でも制限しない。より多くの利点がいくつかの例により説明されることになる。
【0029】
【
図1】本発明の第1の態様による電気端子の頂きからの概略3D図である。
【
図2】本発明の第1の態様による電気端子の底からの概略3D図である。
【
図3】本発明の第2の態様によるシステムの頂きからの概略3D図である。
【
図4】本発明の第2の態様によるシステムの底からの概略3D図である。
【
図5】本発明の第2の態様によるシステムの片側からの概略的図である。
【
図6】本発明による薄い支持体上に配置された電気回路を貫通する本発明の第1の態様による電気端子の頂きからの概略3D図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書では、特定実施形態は対応実施形態の様々な変更、等価及び/又は置換を含む。同じ参照番号が、同じ又は同様な部分を参照するために添付図面を通して使用される。
【0031】
本明細書で使用されるように、「内側」、「外側」、「の上に」、「の下に」「頂き」、「底」等々などの空間用語又は方向用語は描写図に示されるような発明に関する。しかし、本発明は様々な代替配向を想定し得るということを理解すべきであり、従ってこのような用語は制限するものと考えてはならない。更に、本明細書及び特許請求の範囲において使用される寸法、物理的特徴、処理パラメータ、成分の量、反応条件等々を表現するすべての数字は、用語「約」によりすべてのインスタンスにおいて修正されると理解されるべきである。従って、別段の指示がない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲に記載の数値は、本発明により取得することが求められる所望特性に依存して変動し得る近似である。以下の説明では、別途規定されない限り、表現「略」は10%以内、好適には5%以内であることを意味する。
【0032】
更に、本明細書において開示されるすべての範囲は、開始範囲値及び終了範囲値を含み且つその中に包含されるあらゆる部分範囲を包含するものと理解されるべきである。例えば、「1~10」の陳述された範囲は、最小値1と最大値10との間の(そしてそれらの値を包含した)あらゆる副範囲(すなわち、最小値1以上で始まるすべて副範囲(例えば1~6.1)及び最大値10以下で終わるすべての副範囲(例えば5.5~10))を含むと考えられるべきである。更に、本明細書で使用されるように、用語「の上に配置された(deposited over)」又は「の上に設けられた(provided over)」は、上に配置された(deposited on)又は上に設けられた(provided on)を意味するが必ずしも~と表面接触している(in surface contact with)必要はない。例えば、基板「の上に配置された」被覆は、配置された被覆と基板との間に置かれる同じ又は異なる構成の1つ又は複数の他の被覆膜の存在を排除しない。
【0033】
用語「含む」が本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、用語「含む」は他の要素又は工程を排除しない。不定詞又は定冠詞(例えば「1つの(a)」又は「1つの(an)」「その(the)」)が単数名詞を参照する際に使用される場合、これは別途具体的に述べない限り当該名詞の複数を含む。本明細書では、「するように構成された(又は設定された)」は、状況に従って、例えば「するように適合化された」、「する能力を有する」、「するように変更された」、「するようにされた」、「することができる」又は「するように設計された」とハードウェア及びソフトウェアにおいて交換可能に使用され得る。いかなる状況においても、表現「行うように構成されたデバイス」は、デバイスが別のデバイス又は部品と一緒に「行い得る」ということを意味し得る。
【0034】
更に、本明細書内及び特許請求の範囲内の用語:第1、第2等々は、同様な要素間を識別するために使用されており、従って必ずしも順序を時間的に、空間的に、序列的に、又は任意の他のやり方でのいずれでも説明するために使用されない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であるということと、本明細書において説明される本発明の実施形態は本明細書において説明又は示されるものとは別の順序での動作が可能であるということとを理解すべきである。構成要素(例えば第1の構成要素)が別の構成要素(例えば第2の構成要素)「へ(機能的に又は通信可能に)結合される」又は「へ接続される」ということが説明された場合、構成要素は、別の構成要素へ直接接続され得る、又は別の構成要素(例えば第3の構成要素)を介し別の構成要素へ接続され得るということが理解されるべきである。
【0035】
本発明の第1の態様によると、
図1及び2に示すように、薄い支持体上に配置された電気回路へケーブルを電気的に接続するための電気端子1は接続部C及び基部Bを含む。接続部がケーブルを電気端子へ接続することを可能にする一方で、電気回路との接続は頂面2.1及び底面2.2を有する誘電体基板2を含む基部の一部によって与えられる。
【0036】
用語薄い支持体は、5mm以下(好適には3mm以下)の厚さを有する支持体を意味する。
【0037】
誘電体基板は、その上に接続部を収容することができる任意の誘電材料で作成され得る。「誘電体」は基板が非導電性であるということを意味するということが理解される。
【0038】
本発明によると、誘電体基板は、FR4(エポキシガラス)、ガラス又はセラミックで充填されたPTFE、ベークライト、高周波数回路ラミネート、PPE及びPPOなどの熱可塑性物質、セラミックフィラーを備えた炭化水素ベース材料、液晶ポリマー(LCP:liquid-crystalline-polymer)材料、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyetheretherketone)熱可塑性物質、又は薄い支持体上に固定されることができる一方でケーブルを接続するための接続部をその上に取り付けるのに好適な任意の他の誘電材料であり得る。
【0039】
接続部は中心ピン3及び周辺金属リング4を含む。
【0040】
図1に示すように、接続部は基部の頂面上に配置されそして頂面に対し略垂直に延伸する。このことは次のことを意味する:中心ピン3及び周辺金属リング4は基部Bの第1の表面2.1から反対方向の第2の表面2.2へ延伸する(第1の表面2.1に対し略垂直に)。
【0041】
用語中心ピン及び周辺金属リングは、接続部の要素間を識別するために使用されるのであり、必ずしも特定設計を説明するために又はいかなる他のやり方で説明するためにも使用されない。中心ピン及び周辺金属リングは接続部(ケーブルがその上に組み立てられる)へ差し込まれるように構成されたコネクタを接続するために任意の3D形状を有し得るということが理解される。好ましいが制限されないそして添付図面に示されるような実施形態では、中心ピンは3D形状を有し、そして周辺金属リングは中心ピンを囲む3D形状を有する。
【0042】
基部Bは更に、周辺金属リング4へ電気的に接続されたリング金属パッド5と、中心ピン3へ電気的に接続されかつリング金属パッド5から電気的に絶縁されたピン金属パッド6とを含む。
【0043】
リング金属パッド及びピン金属パッドは底面上に配置される。リング金属パッド5及びピン金属パッド6は電気回路へ電気的に接続するように基部2の底面2.2から延伸する。
【0044】
いくつかの実施形態では、基部は2つのリング金属パッド5を含み得る。
【0045】
ケーブルを電気回路へ電気的に接続するために、中心ピン、周辺金属リング、リング金属パッド及びピン金属パッドは少なくともそれらの表面上に導電性材料を含むということが理解される。好適には、中心ピン、周辺金属リング、リング金属パッド及びピン金属パッドは、アルミニウム、銅合金;ベリリウム銅;リン青銅;真鍮;金;ニッケル及びニッケル合金、銀又はニッケルメッキステンレス鋼、又はこのような用途のための好適な任意の導電性材料などの導電性材料で作成される。
【0046】
本発明によると、基部は更に、薄い支持体を貫通するように設計されたリング貫通手段8を含む。誘電体基板及びリング貫通手段は薄い支持体上に電気端子を維持することを可能にするために同一平面にない。
【0047】
リング貫通手段はまた、薄い支持体上に配置された電気回路と薄い支持体とを貫通し得るということが理解される。
【0048】
本発明によるいくつかの実施形態では、リング貫通手段は誘電体基板へ直接固定される。このような実施形態では、リング貫通手段は好適には非導電性である。電気回路の電気的接続は電気回路とリング金属パッドとピン金属パッドとの間の物理的接触によりなされる。
【0049】
本発明による他のいくつかの実施形態では、リング貫通手段はリング金属パッドへ直接固定される。
【0050】
図1及び2に示すように、リング貫通手段8はリング金属パッド5へ直接固定され得る。リング貫通手段はリング金属パッドの細長い部分であり得る。
【0051】
好適には、このような実施形態では、リング貫通手段はリング金属パッドへ電気的に接続され得、そしてリング貫通手段8は導電性である。電気回路はリング貫通手段8及びリング金属パッド5を同時に介し周辺金属リング4へ接続され得る。
【0052】
リング貫通手段は、導電体メッキ材料(すなわちプラスチックベースでない材料)で作成され得る、又はアルミニウム;銅合金;ベリリウム銅;リン青銅;真鍮;金;ニッケル及びニッケル合金、銀又はニッケルメッキステンレス鋼、又は薄い支持体を貫通し得る一方で導体として働くために好適な任意の導電性材料などの導電性ベース材料で作成され得る。リング貫通手段はまた、導電率及び/又は機械的抵抗を改善するために被覆又は表面処理され得る。好適には、いくつかの実施形態では、リング貫通手段はリング金属パッドと同じ材料組成を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、リング金属パッドの各々はリング貫通手段を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、リング貫通手段は少なくとも薄い支持体を貫通するためのタイン(tine)を含む。より好適には、リング貫通手段は、少なくとも薄い支持体貫通することを容易にするために複数のタインを含む。
【0055】
リング貫通手段はまた、一般的三角形状、フック形状、歯形状、又は少なくとも薄い支持体を貫通し得る(より好適には、薄い支持体上に配置された薄い支持体及び電気回路を貫通し得る)任意の形状であり得る。リング貫通手段の両側の少なくとも一部は貫通を容易にするために先鋭化され得る。
【0056】
本発明によると、リング貫通手段は、サブミリメートル(略0.1mm)~10cmの範囲の幅及び0.1mm~10cmの範囲の高さの寸法を有し得る。この寸法はまた、電気回路の必要動作周波数だけでなく電気回路への電気的接続点の寸法にも適合化され得る。
【0057】
本発明によるいくつかの実施形態では、基部は更に、薄い支持体を貫通するように設計されたピン貫通手段9を含み得る。誘電体基板2及びピン貫通手段9は電気端子を薄い支持体上に維持することを可能にするために同一平面にない。
【0058】
「同一平面にない」とは、リング貫通手段及び基部はリング貫通手段が底面上で少なくとも部分的に折り重ねられたとしても同じ平面内にないということと、ピン貫通手段及び基部は、ピン貫通手段が底面上で少なくとも部分的に折り重ねられたとしても同じ平面内にないということとを意味する。
【0059】
ピン貫通手段はまた薄い支持体上に配置された電気回路と薄い支持体とを貫通し得るということが理解される。
【0060】
本発明によるいくつかの実施形態では、ピン貫通手段は誘電体基板へ直接固定される。このような実施形態では、ピン貫通手段は好適には非導電性である。電気回路の電気的接続は電気回路とピン金属パッドとピン貫通手段との間の物理的接触によりなされる。
【0061】
本発明による他のいくつかの実施形態では、ピン貫通手段はピン金属パッドへ直接固定される。
【0062】
図1及び2に示すように、ピン貫通手段9はピン金属パッド6へ直接固定され得る。ピン貫通手段はピン金属パッドの細長い部分であり得る。
【0063】
好適には、このような実施形態では、ピン貫通手段はリング金属パッドへ電気的に接続され得、そしてリング貫通手段8は導電性である。電気回路はリング貫通手段8及びリング金属パッド5を同時に介し周辺金属リング4へ接続され得る。
【0064】
ピン貫通手段は、導電体メッキ材料(すなわちプラスチックベースでない材料)で作成され得る、又は、アルミニウム;銅合金;ベリリウム銅;リン青銅;真鍮;金;ニッケル及びニッケル合金、銀又はニッケルメッキステンレス鋼、又は薄い支持体を貫通し得る一方で導体として働くために好適な任意の導電性材料などの導電性ベース材料で作成され得る。ピン貫通手段はまた、導電率及び/又は機械的抵抗を改善するために被覆又は表面処理され得る。好適には、いくつかの実施形態では、ピン貫通手段はピン金属パッドと同じ材料組成を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、ピン貫通手段は少なくとも薄い支持体を貫通するためのタインを含む。より好適には、ピン貫通手段は、少なくとも薄い支持体貫通することを容易にするために複数のタインを含む。
【0066】
ピン貫通手段はまた、一般的三角形形状(切断された角を有する又は有しない)、ノッチを有する又は有しない形状、フック状、歯形状、又は少なくとも薄い支持体を貫通し得る(より好適には、薄い支持体上に配置された薄い支持体及び電気回路を貫通し得る)任意の形状であり得る。リング貫通手段の側の少なくとも一部は貫通を容易にするために先鋭化され得る。
【0067】
本発明によると、ピン貫通手段は、サブミリメートル(略0.1mm)~10cmの範囲の幅及び0.1mm~10cmの範囲の高さの寸法を有し得る。この寸法はまた、電気回路の必要動作周波数だけでなく電気回路への電気的接続点の寸法にも適合化され得る。
【0068】
図3に示すように、本発明は、薄い支持体12と薄い支持体上に配置された電気回路10及び11とを含むシステム100に関係する。
【0069】
薄い支持体は様々な形式及び形状を取り得、その寸法(長さ及び/又は幅)は変動されそしてミリメートル~数メートルの間にあり得る。
【0070】
用途に依存して、薄い支持体は10μm~3mmの厚さ(Tts)を有する(0.01mm≦Tts≦3mm)。用途に依存して、厚さは20μm、50μm、75μm、75μm、100μm、125μm、150μm又は任意の特定値であり得る。
【0071】
いくつかの好ましい実施形態では、薄い支持体の厚さは20μm~250μmである(0.02mm≦Tts≦0.25mm)。
【0072】
本発明によると、薄い支持体は、電気回路がその上に配置され得る同じ又は様々な材料の単一層構造又は多層構造であり得る。薄い支持体は電気回路の誘電体基板として機能するということが理解される。
【0073】
薄い支持体は好適には薄いプラスチック支持体である。薄い支持体は、プリント回路において使用される任意の誘電材料のものであり得る、又はフレキシブル基板として使用されるより柔軟な材料(ポリマー、プラスチック、積層材料、又はポリエチレン(Polyethylene)-PE、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)-PET、ポリスチレン(polystyrene)-PS、ポリアミド(polyamide)-PA、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride)-PVC、ポリカーボネート(polycarbonate)-PC、ポリプロピレン(Polypropylene)-PP、ポリエチレンフラノエート(polyethylene furanoate)-PEFなどの任意の他の好適な材料)であり得る。好適には、薄い支持体は、PETを含むが、用途、薄い支持体を対象物上に固定するやり方、太陽、温度などの外部露出に起因する必要な耐久性に依存して任意の他のプラスチック材料のものであり得る。
【0074】
本発明によると、薄い支持体及び電気回路は、標準的PCB技術、薄膜上の金属被覆のスクリーン印刷、薄膜上の金属被覆のインクジェット印刷、又は薄い支持体を金属化する(電気回路を薄い支持体上に置くことを意味する)ための任意の他の既知技術を使用することにより生成され得る。
【0075】
電気回路は2つの部分10及び11を含み得る。これらの2つの部分は電気的に絶縁される。中心ピンは2つの部分のうちの1つへ接続されそして周辺金属リングは2つの部分の他の部分へ接続される。
【0076】
電気回路は薄い支持体上に配置される。用語「上に配置された」は、電気回路が、印刷された導電層、スクリーン印刷された導電層、インクジェット印刷された導電層、配置された導電層、又は薄い支持体上に電気回路を配置するのに好適な他の同様な方法で作成された導電性層であり得るということを意味する。電気回路はまた、非導電性エリアを生成することにより電気回路を設計するためにエッチング技術又はレーザ剥離技術を使用することにより実現され得る。電気回路はまた、電気回路体又はプリント回路を形成するいくつかの薄い接続配線から成る金属メッシュ膜で作成され得る。
【0077】
本発明によると、電気回路は導電性材料で作成される。電気回路を作成するための材料は、制限しないが銅、銀、銅インクなどの任意の高導電率材料であり得る。
【0078】
いくつかの好ましい実施形態では、電気回路はアンテナであり得る。アンテナは好適には、Wi-Fi、FM、AM、TV、リモートキーエントリ(RKE:remote key entry)、2G、3G、4G、5G、衛星、GPSナビゲーション、V2X、DSRCなどのテレマティック/セル電気回路、又は任意の他の無線放送用途などの通信のために使用されるマルチバンドアンテナである。マルチバンドアンテナの実施形態では、アンテナは次の2つの部分10、11を含み得る:放射素子として働くように設計された放射部10及び接地板として働くように設計された接地部11。アンテナの動作周波数範囲はアンテナの設計に依存するということが理解される。
【0079】
一実施形態によると、薄い支持体は50μmの厚さを有するPENフィルムであり、電気回路はマルチバンドアンテナ(特に4G及び/又は5Gアンテナ)を形成する薄い支持体の表面上に配置された10μm~50μmの厚さを有する銅層である。
【0080】
一実施形態によると、薄い支持体は約50μmの厚さを有するPETフィルムであり、電気回路はマルチバンドアンテナ(特に4G及び/又は5Gアンテナ)を形成する薄い支持体の表面上に配置された10μm~50μmの厚さを有する銅層である。
【0081】
一実施形態によると、薄い支持体は約50μmの厚さを有するPIフィルムであり、電気回路はマルチバンドアンテナ(特に4G及び/又は5Gアンテナ)を形成する薄い支持体の表面上に配置された10μm~50μmの厚さを有する銅層である。
【0082】
いくつかの実施形態によると、電気回路は約18μm又は約35μmの銅層である。
【0083】
このような実施形態では、ケーブル(示されない)が接続部Cへ電気的に接続される。次に、中心ピン3が放射部10へ電気的に接続されそして周辺金属リング4は接地板11へ電気的に接続される。
【0084】
図4及び5に示すように、本システムは、2つのリング貫通手段と、電気回路及び薄い支持体を貫通するピン貫通手段とを含み得る。これらの2つのリング貫通手段は各々、異なるリング金属パッドへ接続され得る。
【0085】
支持体を貫通した2つのリング貫通手段の部分8.1及びピン貫通手段の部分9.1は貫通手段の反対側の面から出て来る。このような部分は電気端子が引き抜かれるのを防ぐためにノッチ又はフック形状を有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、支持体を貫通した部分8.1及び9.1は、システムの機械的強度を保証するために薄い支持体の貫通部の対向面の上で曲げられ得る。いくつかの部分が曲げられたとしても、リング貫通手段及びピン貫通手段は誘電体基板と同一平面にない。
【0087】
少なくとも1つのリング貫通手段とピン貫通手段(存在すれば)は、リング金属パッドと接地部との間の電気的接続を保証するためにそしてピン金属パッドと放熱部との間の電気的接続を保証するために電気回路を電気端子と薄い支持体との間にクランプすることを可能にする。
【0088】
本発明の第3の態様によると、本発明はまた、設置するのが困難だった場所に電気回路を設置するために少なくとも1つのシステム(特にマルチバンドアンテナ)を含む車両に関係する。
【0089】
本システムは、薄い支持体上に配置される電気回路を設置する必要がある任意の他の場所(特にアンテナ)に設置され得る。本システムは、(スポイラ、Bピラー、バンパー等々などの)車両のプラスチック部上のフロントガラス、側面窓、屋根、後部窓などのガラス窓パネルの表面上に置かれ得る。本システムはまた、このような要素の表面上に直接固定することを回避するためにこのような要素の前に置かれ得る。
【0090】
一実施形態は、本発明の第2の態様によるシステム100を生成するために、薄い支持体12上に配置された電気回路へケーブルを本発明の第1の態様による電気端子1により電気的に接続するために電気回路10及び11へケーブル(示されない)を接続する方法を提供する。
【0091】
図6に示すように、本方法は、中心ピン及び周辺金属リングを電気回路へ電気的に接続するために少なくとも1つのリング貫通手段に電気回路の上の薄い支持体を貫通させるように電気端子を押圧する押圧工程を含む。
【0092】
この押圧工程は、電気回路と電気端子の接続部との間の電気的接続を生成するために少なくとも1つのリング貫通手段及びピン貫通手段(存在すれば)が薄い支持体と最終的に電気回路とを穿孔すること8.3、9.3を可能にする。
【0093】
ピン貫通手段が存在すればこの押圧工程はまたピン貫通手段に薄い支持体を貫通させるということが理解される。
【0094】
本方法は、支持体を貫通した部分8.1、9.1が貫通手段の反対側の面から出て来るように部分8.1、9.1を曲げる曲げ工程を含み得る。この工程は押圧工程中に又は押圧工程後に行われ得る。
【0095】
曲げ工程は、特殊ストレインレリーフを使用することを回避することを可能にするとともに、電気回路へ電気的に接続されそして薄い支持体へ取り付けられた電気端子を維持することを可能にする。
【0096】
本方法は押圧工程後にオーバーモールディング工程を含む。この工程は、本システムを2つの成型部を有する金型内に置く副工程、本システムの周囲の閉鎖空間を形成するためにこれらの2つの成型部を閉じる副工程、及び本システムの少なくとも一部分の上に(好適には少なくとも一部分の上に)オーバーモールド要素を形成するためにプラスチックベース材料を閉鎖空間内へ注入する副工程を含む。
【0097】
オーバーモールディング部分は、引き抜け(pulling out)課題を低減する一方で経年変化課題を低減することと本システムの密集度を増加させることとを可能にする。
【0098】
プラスチックベース材料は、熱可塑性物質、ポリウレタン(PU:polyurethane)、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM:polyoxymethylene)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS:Acrylonitrile butadiene styrene)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU:thermoplastic polyurethane)、熱可塑性ゴム(TPR:thermoplastic rubber)、エポキシ、アクリル樹脂、又は金型へ注入される任意の好適な材料で作成され得る。温度及び圧力は特定実施形態へ適合化されるように適合化される。
【0099】
本方法はケーブルを電気端子へ接続する接続工程を含み得る。この工程は、オーバーモールドされるシステムのいくつかの部分に依存してオーバーモールディング工程(存在すれば)の前に又はそのオーバーモールディング工程全体に渡って行われ得る。
【0100】
一実施形態は、ユーザ又は車両にその環境と通信させるために第2の態様によるシステムの使用を提供する。
【国際調査報告】