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特表2024-527246有機デバイスをパターニングするための三層感光システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】有機デバイスをパターニングするための三層感光システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240717BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20240717BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 71/20 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 50/805 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 71/18 20230101ALI20240717BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F9/00 Z
H10K50/10
H10K71/20
H10K50/805
H10K50/12
H10K50/16
H10K50/15
H10K50/17
H10K71/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575951
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 CA2022051053
(87)【国際公開番号】W WO2023272400
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】63/217,776
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521093576
【氏名又は名称】アヴァロン ホログラフィックス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】バックマン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ワン キアンシュウ
(72)【発明者】
【氏名】マディ モハンマド
【テーマコード(参考)】
2H197
3K107
【Fターム(参考)】
2H197CE10
2H197HA04
2H197HA10
2H197JA15
2H197JA17
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB06
3K107CC35
3K107CC45
3K107DD72
3K107DD75
3K107FF06
3K107FF13
3K107FF15
3K107GG09
3K107GG12
3K107GG13
3K107GG15
3K107GG28
(57)【要約】
高精細光照射野ディスプレイに適した有機発光ダイオード(OLED)デバイスを含む有機デバイスをパターニングするための三層レジストシステム設計及び方法。三層レジストシステムは、フルオロポリマーベース層と、無機転写層と、基板上に形成された有機物を従来のフォトリソグラフィ技術で使用される放射線、現像液及び溶媒に起因する損傷から保護し、それによって高分解能の多色OLEDアレイをもたらす最上ポジ型フォトレジスト層とから構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機デバイスをパターニングするための方法において、
基板上に下部電極を堆積させるステップと、
前記基板上に三層レジストシステムを堆積させるステップであって、前記三層レジストシステムが、
フルオロポリマーベース層と、
中間無機転写層と、
最上ポジ型フォトレジスト層と、
を備える、ステップと、
少なくとも1つの有機デバイスを、
フォトリソグラフィを使用して前記最上ポジ型フォトレジスト層をパターニングして、前記下部電極と位置合わせされる画像層を形成するステップと、
前記画像層を通じて露出される前記中間無機転写層をエッチングするステップと、
前記無機転写層を通じて露出される前記フルオロポリマーベース層をエッチングして前記下部電極を露出させるステップと、
前記露出された下部電極の上方に少なくとも1つの有機層を堆積させるステップと、
前記三層レジストシステムの残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、
前記有機層上に上部電極を堆積させるステップと、
によって形成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記有機デバイスが有機発光ダイオードである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機デバイスは、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池、光電池デバイス、有機半導体、又は有機レーザである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記無機転写層を通じて露出される前記フルオロポリマーベース層をエッチングする前記ステップは、反応性イオンエッチングを使用して前記下部電極を露出させるステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フルオロポリマーベース層が95%以上の可視光透過率を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポジ型フォトレジスト層が約340~500nmの厚さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記パターニングされたポジ型フォトレジスト層を通じて前記無機転写層をエッチングすることにより、前記ポジ型フォトレジスト画像層と前記無機転写層との間にアンダーカット領域が形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フルオロポリマーベース層をエッチングすることにより、横方向アンダーカットプロファイル及び縦方向アンダーカットプロファイルが形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記横方向アンダーカットプロファイルの長さが≧0.25μmである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リフトオフ手順は、フッ素化溶媒を利用して前記フルオロポリマーベース層を溶解する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記無機転写層が金属及び誘電体材料のうちの1つ以上を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの有機層は、1つ以上の電子輸送層(ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、及び正孔注入層(HIL)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記発光層(EML)は、赤色、緑色、及び青色発光のうちの少なくとも1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記三層レジストシステムの堆積の前に、前記基板及び電極アレイの上に酸化物層が堆積される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化物層が透明導電性酸化物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有機デバイスアレイをパターニングするための方法において、
基板上に下部電極のアレイを堆積させるステップと、
三層レジスト堆積方法を使用して前記基板上に三層レジストシステムを堆積させるステップであって、前記三層レジストシステムが、
フルオロポリマーベース層と、
中間無機転写層と、
最上ポジ型フォトレジスト層と、
を備える、ステップと、
有機デバイス堆積方法を使用して有機デバイスの第1のセットのための複数の有機デバイスを形成するステップであって、前記有機デバイス堆積法が、
前記下部電極のアレイのセットと位置合わせされる画像層を形成するためにフォトリソグラフィを使用して前記最上ポジ型フォトレジスト層をパターニングするステップと、
前記画像層を通じて露出される前記中間無機転写層をエッチングするステップと、
前記無機転写層を通じて露出される前記フルオロポリマーベース層をエッチングして、前記下部電極のアレイのセットを露出させるステップと、
前記露出された下部電極のセットの上方に少なくとも1つの有機層を堆積させるステップと、
前記三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、
前記三層レジスト堆積方法を繰り返して、前記三層レジストシステムを前記基板上に堆積させるステップと、
を含む、ステップと、
下部電極の第2のセットと位置合わせされる有機デバイスの第2のセットを形成するために前記有機デバイス堆積方法を繰り返すステップと、
前記三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するために前記リフトオフ手順を繰り返すステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記有機デバイスのそれぞれの上に上部電極を堆積させるステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記有機デバイスがOLEDであり、前記有機デバイスの第1のセット及び前記有機デバイスの第2のセットが異なる色を発する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記パターニングされたポジ型フォトレジスト層を通じて前記無機転写層をエッチングすることにより、前記ポジ型フォトレジスト画像層と前記無機転写層との間にアンダーカット領域が形成される、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記フルオロポリマーベース層をエッチングすることにより、横方向アンダーカットプロファイル及び縦方向アンダーカットプロファイルが形成される、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記横方向アンダーカットプロファイルの長さが ≧ 0.25μmである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記リフトオフ手順は、フッ素化溶媒を利用して前記フルオロポリマーベース層と相互作用してこれを溶解する、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記無機転写層が1つ以上の金属又は誘電体材料を含む、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記有機層は、1つ以上の電子輸送層(ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、及び正孔注入層(HIL)を備える有機積層体である、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
有機デバイスアレイをパターニングするための方法において、
基板上に複数の下部電極を堆積させるステップと、
三層レジスト堆積方法を使用して前記基板上に三層レジストシステムを堆積させるステップであって、前記三層レジストシステムが、
フルオロポリマーベース層と、
中間無機転写層と、
最上ポジ型フォトレジスト層と、
を備える、ステップと、
有機デバイス堆積方法を使用して複数の有機デバイスを形成するステップであって、前記有機デバイス堆積方法が、
前記複数の下部電極と位置合わせされる画像層を形成するためにフォトリソグラフィを使用して前記最上ポジ型フォトレジスト層をパターニングするステップと、
前記画像層を通じて露出される前記中間無機転写層をエッチングするステップと、
前記無機転写層を通じて露出される前記フルオロポリマーベース層をエッチングして、前記複数の下部電極を露出させるステップと、
前記露出される下部電極のセットの上方に少なくとも1つの有機層を堆積させるステップと、
を含む、ステップと、
前記三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2021年7月2日に出願された米国特許出願第63/217,776号の優先権を主張し、この米国特許出願の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体処理技術に関し、より詳細には、有機デバイスをパターニングするためにフォトレジストシステムを使用するフォトリソグラフィ技術に関する。
【背景技術】
【0003】
温度及び他の材料に対する有機物の敏感性に起因して、有機発光ダイオード(OLED)は本質的にパターニングが困難である。これらの構造は、従来、シャドーマスクを介した蒸着を使用して堆積される。シャドーマスクを介した堆積は、一般に、OLED材料にとって望ましい堆積位置を除くあらゆる場所で基板をブロックするテンプレートを基板の前に配置することを含む。OLEDが有機材料で構成され、前記有機材料が従来のリソグラフィに見られるフォトレジスト技術に必要な溶媒によって溶解又は分解されやすいため、リソグラフィなどの従来のパターニング方法は一般に使用されない。この制限がなければ、従来のリソグラフィ方法は、OLED構造及び他の有機デバイスの製造において最も簡単な方法となる。
【0004】
有機デバイス、特にOLEDデバイスを堆積及びパターニングするために使用される一般的な堆積方法は、シャドーマスクの一種である微細金属マスクの使用を伴う。シャドーマスクは、一般に小さな孔で可能な限り薄く作られた大きなシートとすることができる。堆積は、有機物がマスク上に蒸着される点源を介して及びこれらの孔を介して行なわれ、次いで、この点源を通って来る有機物は、マスクによって決定付けられる適切な位置で基板上に行き着く。他の理由の中でもとりわけ、シャドーマスク内の孔をどれだけ小さくすることができるか、シャドーマスクをどれだけ薄くすることができるか、及びシャドーマスクを基板にどれだけ近づけて配置することができるかという制限に起因して、パターニングされた有機物の特徴サイズ及び密度を制限する分解能限界がある。シャドーマスクの物理的寸法によって生じる課題の中には、シャドーマスクのマスキングされた領域の下に材料が堆積され、マスキングクされていない領域が不均一な堆積を有するシャドーイング効果がある。シャドーイング効果は、蒸着された材料のオフノーマル到達角度に起因して、基板の物理的にマスキングされた領域の下で堆積中に生じる。シャドーマスクの厚さは、有機物をパターニングすることができる分解能限界につながる望ましくないシャドーイング効果が基板上にどれだけあるかを決定する1つの要因である。したがって、非常に薄いシャドーマスクを有することが望ましく、シャドーマスクが薄すぎる場合には、マスクの破損又は変形のリスクがある。明視野ディスプレイ技術のための高分解能OLEDの目標寸法に起因して、フォトリソグラフィは、成熟して、うまく開発され、半導体及び金属の小規模パターニングにしばしば使用されるため、理想的な堆積技術である。しかしながら、半導体及び特に金属の製造に一般的に使用される材料は、有機材料よりもプロセス感受性がはるかに低いことに留意すべきである。多くの場合のように、有機物は汚染物質と見なされるため、多くの微細加工プロセスは、現像によって有機物を除去するように設計される。特に、標準的なフォトリソグラフィ洗浄手順は、有機汚染物質を除去するように設計される。
【0005】
有機材料にとって安全な溶媒を利用する特別に配合されたレジストシステムがある。これらの特別に配合されたシステムは、一般に、2層フォトリソグラフィリフトオフ方式を利用し、最下フォトリソグラフィ層が犠牲層として使用され、最上層が感光性レジスト層である。1つの技術において、最下層は、最上層がスピンされ、ベークされ、パターニングされる前にウェハ上でスピンされ、ベークされる。このタイプのフォトレジストシステムの基礎は、最上層及び最下層が異なる溶媒中で又は同じ溶媒中で少なくとも異なる速度で溶解し、2つの層のそれぞれの選択的エッチング又は除去を可能にすることである。有機物をパターニングするために、リフトオフ技術が利用されることが多く、この技術では、感光性レジスト層にアンダーカットプロファイルが作成され、レジストの最上層がレジストの最下層の開口にオーバーハングしているキャビティ構造が作成される。次いで、リフトオフされるべき材料が開口を通じて堆積され、オーバーハングレジストプロファイルの下方のキャビティは、所望の材料の堆積後にレジストシステムに溶媒がアクセスするための追加の空間を残し、それにより、堆積された材料をパターニングされた開口に残す。
【0006】
これらの特別に配合されたレジストシステムと共に使用されるフォトリソグラフィープロセスに必要な紫外線(UV)光への曝露は、OLED構造に損傷を与える場合があることが実証されている。幾つかの有機安全レジストシステムは、パターニング中にUV光に暴露されなければならないネガ型フォトレジスト最上層を使用する。ネガ型フォトレジストはフォトレジストの一種であり、光に晒されるフォトレジストの領域はフォトレジスト現像液に対して不溶性になる。具体的には、ネガ型感光性レジスト材料は、UV光の存在下で、重合又は架橋によって強化される。本明細書でフォトマスクとも呼ばれる光マスクを介してネガ型フォトレジストを光に暴露した後、現像液は、光に暴露されなかった領域を溶解し、UV光に暴露されなかったネガ型フォトレジスト層の領域にレジストのコーティングを残す。フォトマスクは、不透明領域及び透明領域を有し、UV光が通過できるようにして、フォトレジストに所望のパターンを形成する。次いで、フォトレジストの未露光領域は、フォトレジスト現像液、例えば緩衝KOH現像液によって溶解される。ネガ型フォトレジストとは対照的に、ポジ型フォトレジストは、UV光に曝露されたフォトレジストの領域がフォトレジスト現像液に対して可溶性になるタイプのフォトレジストである。ポジ型フォトレジストの場合、感光性材料が光によって変化し、現像液がフォトマスクの透明領域を介して光に暴露された領域を溶解し、フォトマスクの不透明領域(すなわち、UV光に曝露されない領域)の下方にフォトレジスト材料が残る。フォトレジストの未露光領域は、フォトレジスト現像液に対して不溶性のままであり、フォトリソグラフィープロセスにおいて保護層として機能する。ポジ型フォトレジストは、当技術分野で周知であり、高度に制御可能であるが、有機材料に対するそれらの現像液の損傷の性質に起因して、OLED構造をパターニングするときに従来使用することができなかった。
【0007】
Lin(多層レジストシステム、顕微鏡写真の序論第6章、287~350頁、1983年)によれば、三層レジストの歴史は、1970年初期のマイクロエレクトロニクスのリフトオフ時代に始まる。その時点でマイクロエレクトロニクス製造のためのリフトオフを実施したいという要望があり、三層レジストシステムが有力な候補であることが判明した。このレジストシステムの基本要素は、撮像層、無機転写層、及び最下犠牲層を含む。最下犠牲層は、一般にハードベークされたフォトレジストであり、一方、無機転写層は金属又は誘電体材料であり、撮像層は従来のフォトレジストである。ウェハを3層レジストにコーティングした後、撮像層が露光及び現像され、次いで無機転写層がエッチングされる。次いで、システムを酸素プラズマに暴露して、パターンを犠牲層に転写する。酸素プラズマは、レジストにアンダーカットを生成して理想的なリフトオフプロファイルのために撮像層を除去するように設計され得る。投影リソグラフィでは、撮像層が全て同一平面内にあることが重要である。このとき、化学機械研磨などの平坦化技術が利用できなかったため、トポグラフィ上でリソグラフィを行った。
【0008】
半導体処理のための三層レジストの使用の一例では、Sankarapandianらの米国特許第10,049,876号明細書は、中間層が最上層と最下層との間に配置された三層レジスト構造を形成することを含む方法について記載する。この三層レジスト法は、近傍の同様のトランジスタを損傷することなく、特殊なタイプのトランジスタから方向性を持って材料を除去するために使用される。この三層レジストの機能は、まず表面を平坦化し、次いでエッチングプロセスのためのハードマスクとして作用することである。レジストの中間層を除去するために、三層レジスト構造の最下層と同様又は同じ材料を塗布して、化学機械研磨(CMP)層を平坦化し、レジストの中間層の下方のレベルまでエッチバックする。次いで、中間層は、通常は基板の残りの部分に害を与えるエッチング手順によって除去することができるが、更なる平坦化層に起因して、基板は、覆われて、中間層を除去するエッチングから保護される。残りの平坦化層は、乾式又は湿式ストリッピングプロセスを使用して最終的に除去される。
【0009】
有機物をパターニングするための従来の二重層フォトレジストシステムにおいて、最下層又はベース層は、OLEDをパターニングするのに望ましいアンダーカットプロファイルを作成するのに役立つ犠牲層である。有機安全レジストシステムのベース層に従来のレジストを使用するためには、堆積された有機物を損傷することなく除去され得るレジストを使用してアンダーカットプロファイルを最初に作成する現像液が必要である。前述のように、従来のフォトリソグラフィープロセスに(すなわち、ポジ型フォトレジストに)使用される化学フォトリソグラフィ現像液は、一般に有機材料に有害である。したがって、小規模有機デバイス、具体的には高分解能ディスプレイ用途に適したナノスケールOLEDデバイスを製造するためのフォトリソグラフィ技術の開発に対する障壁があった。
【0010】
この背景情報は、本発明に関連する可能性があると出願人が考える既知の情報を作る目的で提供される。前述の情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも意図しておらず、そのように解釈すべきでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第10,049,876号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、有機発光ダイオード(OLED)をパターニングするために使用され得る三層フォトリソグラフィ技術を提供することである。
【0013】
本発明の一態様では、有機デバイスをパターニングするための方法において、基板上に下部電極を堆積させるステップと、基板上に三層レジストシステムを堆積させるステップであって、三層レジストシステムが、フルオロポリマーベース層と、中間無機転写層と、最上ポジ型フォトレジスト層とを備える、ステップと、少なくとも1つの有機デバイスを、フォトリソグラフィを使用して最上ポジ型フォトレジスト層をパターニングして、下部電極と位置合わせされる画像層を形成するステップと、画像層を通じて露出される中間無機転写層をエッチングするステップと、無機転写層を通じて露出されるフルオロポリマーベース層をエッチングして下部電極を露出させるステップと、露出された下部電極の上方に少なくとも1つの有機層を堆積させるステップと、三層レジストシステムの残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、有機層上に上部電極を堆積させるステップとによって形成するステップとを含む方法が提供される。
【0014】
方法の一実施形態では、有機デバイスが有機発光ダイオードである。
【0015】
方法の他の実施形態において、有機デバイスは、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池、光電池デバイス、有機半導体、又は有機レーザである。
【0016】
方法の他の実施形態において、無機転写層を通じて露出されるフルオロポリマーベース層をエッチングするステップは、反応性イオンエッチングを使用して下部電極を露出させるステップを含む。
【0017】
方法の他の実施形態では、フルオロポリマーベース層が95%以上の可視光透過率を有する。
【0018】
方法の他の実施形態では、ポジ型フォトレジスト層が約340~500nmの厚さを有する。
【0019】
方法の他の実施形態では、パターニングされたポジ型フォトレジスト層を通じて無機転写層をエッチングすることにより、ポジ型フォトレジスト画像層と無機転写層との間にアンダーカット領域が形成される。
【0020】
方法の他の実施形態では、フルオロポリマーベース層をエッチングすることにより、横方向アンダーカットプロファイル及び縦方向アンダーカットプロファイルが形成される。
【0021】
方法の他の実施形態では、横方向アンダーカットプロファイルの長さが≧0.25μmである。
【0022】
方法の他の実施形態において、リフトオフ手順は、フッ素化溶媒を利用してフルオロポリマーベース層を溶解する。
【0023】
方法の他の実施形態において、無機転写層は、金属及び誘電体材料のうちの1つ以上を含む。
【0024】
方法の他の実施形態において、少なくとも1つの有機層は、1つ以上の電子輸送層(ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、及び正孔注入層(HIL)を備える。
【0025】
方法の他の実施形態において、発光層(EML)は、赤色、緑色、及び青色発光のうちの少なくとも1つである。
【0026】
方法の他の実施形態では、三層レジストシステムの堆積の前に、酸化物層が基板及び電極アレイの上に堆積される。方法の他の実施形態では、酸化物層が透明導電性酸化物を含む。
【0027】
他の態様では、有機デバイスアレイをパターニングするための方法において、基板上に下部電極のアレイを堆積させるステップと、三層レジスト堆積方法を使用して基板上に三層レジストシステムを堆積させるステップであって、三層レジストシステムが、フルオロポリマーベース層と、中間無機転写層と、最上ポジ型フォトレジスト層とを備える、ステップと、有機デバイス堆積方法を使用して有機デバイスの第1のセットのための複数の有機デバイスを形成するステップであって、有機デバイス堆積法が、下部電極のアレイのセットと位置合わせされる画像層を形成するためにフォトリソグラフィを使用して最上ポジ型フォトレジスト層をパターニングするステップと、画像層を通じて露出される中間無機転写層をエッチングするステップと、無機転写層を通じて露出されるフルオロポリマーベース層をエッチングして、下部電極のアレイのセットを露出させるステップと、露出された下部電極のセットの上方に少なくとも1つの有機層を堆積させるステップと、三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、三層レジスト堆積方法を繰り返して、三層レジストシステムを基板上に堆積させるステップとを含む、ステップと、下部電極の第2のセットと位置合わせされる有機デバイスの第2のセットを形成するために有機デバイス堆積方法を繰り返すステップと、三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を繰り返すステップとを含む方法が提供される。
【0028】
一実施形態において、方法は、有機デバイスのそれぞれの上に上部電極を堆積させるステップを更に含む。
【0029】
方法の他の実施形態では、有機デバイスがOLEDであり、有機デバイスの第1のセット及び有機デバイスの第2のセットが異なる色を発する。
【0030】
一実施形態において、方法は、三層レジスト堆積方法を繰り返して三層レジストシステムを基板上に堆積させるステップと、下部電極の第3のセットと位置合わせされる第3の複数の有機デバイスを形成するために有機デバイス堆積方法を繰り返すステップと、三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップとを更に含む。
【0031】
方法の他の実施形態では、パターニングされたポジ型フォトレジスト画像層を通じて無機転写層をエッチングすることにより、ポジ型フォトレジスト画像層と無機転写層との間にアンダーカット領域が形成される。
【0032】
方法の他の実施形態では、フルオロポリマーベース層をエッチングすることにより、横方向アンダーカットプロファイル及び縦方向アンダーカットプロファイルが形成される。
【0033】
方法の他の実施形態では、横方向アンダーカットプロファイルの長さが≧0.25μmである。
【0034】
方法の他の実施形態において、リフトオフ手順は、フルオロポリマーベース層と相互作用してこれを溶解するフッ素化溶媒を利用する。
【0035】
方法の他の実施形態において、有機デバイスの第1のセット及び有機デバイスの第2のセットはそれぞれ、赤色、緑色、又は青色発光のうちの少なくとも1つのためのものである。
【0036】
方法の他の実施形態において、無機転写層は、1つ以上の金属又は誘電体材料を含む。
【0037】
方法の他の実施形態において、有機層は、1つ以上の電子輸送層(ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、及び正孔注入層(HIL)を含む有機積層体である。
【0038】
他の態様では、有機デバイスアレイをパターニングするための方法において、基板上に複数の下部電極を堆積させるステップと、三層レジスト堆積方法を使用して基板上に三層レジストシステムを堆積させるステップであって、前記三層レジストシステムが、フルオロポリマーベース層と、中間無機転写層と、最上ポジ型フォトレジスト層とを備える、ステップと、有機デバイス堆積方法を使用して複数の有機デバイスを形成するステップであって、有機デバイス堆積方法が、複数の下部電極と位置合わせされる画像層を形成するためにフォトリソグラフィを使用して最上ポジ型フォトレジスト層をパターニングするステップと、画像層を通じて露出される中間無機転写層をエッチングするステップと、無機転写層を通じて露出されるフルオロポリマーベース層をエッチングして、複数の下部電極を露出させるステップと、露出される下部電極のセットの上方に少なくとも1つの有機層を堆積させるステップとを含む、ステップと、三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップとを含む方法が提供される。
【0039】
他の態様では、有機発光ダイオード(OLED)アレイをパターニングする方法において、アレイ内の基板上に複数の下部電極を堆積させるステップと、三層レジストシステムを堆積させるステップであって、三層レジストシステムが、フルオロポリマーベース層と、無機転写層と、ポジ型フォトレジスト画像層とを備える、ステップと、ポジ型フォトレジスト画像層を紫外線に曝露することによってポジ型フォトレジスト画像層をパターニングし、紫外線に曝露されたパターニングされたポジ型フォトレジスト画像層をエッチングによって除去することによって、OLEDデバイスのアレイを形成するステップと、パターニングされたポジ型フォトレジスト画像層を通じて無機転写層をエッチングするステップと、反応性イオンエッチングを使用して無機転写層を通じて露出されるフルオロポリマーベース層をエッチングして、複数の下部電極の少なくとも一部を露出させるステップと、露出される下部電極のそれぞれの上に有機積層体を堆積させるステップと、三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、有機積層体上に上部電極を堆積させるステップとを含む方法が提供される。
【0040】
一実施形態では、三層レジストシステムの堆積前に酸化物層が基板上に堆積される。
【0041】
他の実施形態では、酸化物層が透明導電性酸化物である。
【0042】
他の実施形態では、フルオロポリマーベース層が95%以上の可視光透過率を有する。
【0043】
他の実施形態では、フルオロポリマーベース層が光吸収性色素を更に含む。
【0044】
他の実施形態では、ポジ型フォトレジスト画像層の厚さが400~600nmである。
【0045】
他の実施形態では、パターニングされたポジ型フォトレジスト画像層を通じて無機転写層をエッチングすることにより、ポジ型フォトレジスト画像層と無機転写層との間にアンダーカット領域が形成される。
【0046】
他の実施形態では、フルオロポリマーベース層をエッチングすることにより、横方向アンダーカットプロファイル及び縦方向アンダーカットプロファイルが形成される。
【0047】
他の実施形態では、横方向アンダーカットプロファイルの長さが≧0.25μmである。
【0048】
他の実施形態において、リフトオフ手順は、フルオロポリマーベース層と相互作用してこれを溶解するフッ素化溶媒を利用する。
【0049】
他の実施形態では、無機転写層が1つ以上の金属又は誘電体材料を含む。
【0050】
他の実施形態において、誘電材料は、SiO2又はアルミニウムであるか、又はそれらを含む。
【0051】
他の実施形態において、フォトリソグラフィ技術は、転写層を貫通しない現像液を使用することを含む。
【0052】
他の実施形態では、現像液が緩衝KOH現像液である。
【0053】
他の実施形態において、有機積層体は、赤色、緑色、又は青色発光のうちの少なくとも1つのためのものである。
【0054】
他の実施形態では、無機転写層をエッチングした後、又はフルオロポリマーベース層をエッチングした後、露光後ベークプロセスが必要である。
【0055】
他の実施形態では、露光後ベーク処理が≦120℃の温度で実行される。
【0056】
他の実施形態において、リフトオフ手順は、フルオロポリマーベース層と相互作用してこれを溶解するが有機積層体とは相互作用しないように基板をフルオロ溶媒に浸漬することを含む。
【0057】
他の態様では、多色有機発光ダイオード(OLED)アレイをパターニングするための方法において、第1の一連の下部電極及び第2の一連の下部電極をアレイ内の基板上に堆積するステップと、三層レジストシステムを堆積させるステップであって、三層レジストシステムが、フルオロポリマーベース層と、無機転写層と、ポジ型フォトレジスト画像層とを備える、ステップと、ポジ型フォトレジスト画像層を紫外線に曝露することによって第1の一連の下部電極の上方の位置でポジ型フォトレジスト画像層をパターニングし、紫外線に曝露されたパターニングされたポジ型フォトレジスト画像層をエッチングによって除去することによってOLEDデバイスの多色アレイを作成するステップと、パターニングされたポジ型フォトレジスト画像層を通じて無機転写層をエッチングするステップと、反応性イオンエッチングを使用して無機転写層を通じて露出されるフルオロポリマーベース層をエッチングして、第1の一連の下部電極の少なくとも一部を露出させるステップと、露出した第1の一連の下部電極上に第1の色の有機積層体を堆積させるステップと、三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、三層レジストシステムを堆積させるステップと、ポジ型フォトレジスト画像層を紫外線に曝露することによって第2の一連の下部電極の上方でポジ型フォトレジスト画像層をパターニングし、紫外線に曝露されたパターニングされたポジ型フォトレジスト画像層をエッチングによって除去するステップと、パターニングされたポジ型フォトレジスト画像層を通じて無機転写層をエッチングするステップと、反応性イオンエッチングを使用して無機転写層を通じて露出されたフルオロポリマーベース層をエッチングして、第2の一連の下部電極の少なくとも一部を露出させるステップと、露出した第2の一連の下部電極のそれぞれの上に第2の色の有機積層体を堆積させるステップと、三層レジストシステムの任意の残りの構成要素を除去するためにリフトオフ手順を実行するステップと、第1の色の有機積層体上及び第2の色の有機積層体上に一連の上部電極を堆積させるステップとを含む方法が提供される。
【0058】
一実施形態では、三層レジストシステムの堆積前に酸化物層が基板上に堆積される。
【0059】
他の実施形態では、酸化物層が透明導電性酸化物である。
【0060】
他の実施形態では、パターニングされたポジ型フォトレジスト画像層を通じて無機転写層をエッチングすることにより、ポジ型フォトレジスト画像層と無機転写層との間にアンダーカット領域が形成される。
【0061】
他の実施形態では、フルオロポリマーベース層をエッチングすることにより、横方向アンダーカットプロファイル及び縦方向アンダーカットプロファイルが形成される。
【0062】
他の実施形態では、横方向アンダーカットプロファイルの長さが≧0.25μmである。
【0063】
他の実施形態において、リフトオフ手順は、フルオロポリマーベース層と相互作用してこれを溶解するフッ素化溶媒を利用する。
【0064】
他の実施形態において、第1の色の有機積層体は、赤色、緑色、又は青色発光のうちの少なくとも1つのためのものである。
【0065】
他の実施形態において、第2の色の有機積層体は、赤色、緑色、又は青色発光のうちの少なくとも1つのためのものである。
【0066】
他の実施形態において、第1の色の有機積層体は、第2の色の有機積層体とは異なる。
【0067】
他の実施形態では、無機転写層をエッチングした後、又はフルオロポリマーベース層をエッチングした後、露光後ベークプロセスが必要である。
【0068】
他の実施形態では、露光後ベーク処理が≦120℃の温度で実行される。
【0069】
他の実施形態において、リフトオフ手順は、フルオロポリマーベース層と相互作用してこれを溶解するが第1の色の有機積層体又は第2の色の有機積層体とは相互作用しないように基板をフルオロ溶媒に浸漬することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明においてより明らかになる。
【0071】
図1A】フルオロポリマーベース層の堆積後の基板の断面を示す。
【0072】
図1B】無機転写層の堆積後の基板の断面を示す。
【0073】
図1C】ポジ型レジスト画像層の堆積により三層レジストシステムを形成した後の電極基板を伴う基板の断面を示す。
【0074】
図2A】ポジ型フォトレジスト画像層のフォトリソグラフィ後の電極及び三層レジストシステムを伴う基板の断面を示す。
【0075】
図2B】無機転写層のエッチング後の電極及び三層レジストシステムを伴う基板の断面を示す。
【0076】
図2C】フルオロポリマーベース層のエッチング後の電極及びレジストシステムを伴う基板の断面を示す。
【0077】
図2D】有機積層体の堆積後の電極及びレジストシステムを伴う基板の断面を示す。
【0078】
図2E】リフトオフ手順後の電極及び有機積層体を伴う基板の断面を示す。
【0079】
図2F】電極、有機積層体、及びカソードが堆積された基板の断面を示す。
【0080】
図3】第1の色のOLED構造が堆積された基板上の開示された三層レジストシステムの断面を示す。
【0081】
図4】三層レジストシステムが堆積された、OLED積層体が第1の電極上に堆積され且つOLED積層体を伴わない第2の電極を伴う電極を有する基板の断面を示す。
【0082】
図5A】第1の色のOLED構造が堆積された基板上に開示された三層レジストシステムを使用して第2の色のOLEDをパターニングするためのフォトリソグラフィのUV露光段階の断面を示す。
【0083】
図5B】ポジ型フォトレジスト画像層のパターニングに続く、第1の電極、第2の電極及び三層レジストシステムの上に第1の色の有機積層体がパターニングされた基板の断面を示す。
【0084】
図5C】無機転写層のエッチングに続く、三層レジストシステムを伴う第2の電極、第1の電極上にパターニングされた第1の色の有機積層体を伴う基板の断面を示す。
【0085】
図5D】フルオロポリマーベース層のエッチングに続く、レジストシステムを伴う第2の電極、第1の電極上に第1の色の有機積層体がパターニングされた基板の断面を示す。
【0086】
図5E】第2の有機積層体の熱蒸着に続く、第2の有機積層体がその上に堆積された第2の電極、第1の電極上にパターニングされた第1の色の有機積層体を伴う基板の断面を示す。
【0087】
図5F】リフトオフ手順後の第2の有機積層体を伴う第2の電極及び第1の電極上にパターニングされた第1の色の有機積層体を伴う基板の断面を示す。
【0088】
図5G】第2の電極上にパターニングされた第2の色のOLED及び第1の電極上にパターニングされた第1の色のOLEDを含む基板上の多色OLEDアレイの断面を示す。
【0089】
図6A】三層レジストシステムの現像後に第1のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0090】
図6B】三層レジストシステムの現像後に第2のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0091】
図6C】三層レジストシステムの現像後に第3のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面図画像を示す。
【0092】
図7】エッチング前後の無機転写層を示す。
【0093】
図8A】無機転写層のウェットエッチング後に第1のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0094】
図8B】無機転写層のウェットエッチング後に第2パターンの光学顕微鏡を用いて捕捉された上面画像を示す。
【0095】
図8C】無機転写層のウェットエッチング後に第3パターンの光学顕微鏡を用いて捕捉された上面画像を示す。
【0096】
図9A】フルオロポリマーベース層のドライエッチング後に第1のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0097】
図9B】フルオロポリマーベース層のドライエッチング後に第2のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0098】
図9C】フルオロポリマーベース層のドライエッチング後に第3のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0099】
図10】フルオロポリマーベース層におけるアンダーカットの電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)によって捕捉されたプロファイル図画像を示す。
【0100】
図11A】第1のパターンのための三層レジストシステムのパターニングに成功した後に電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)によって捕捉された上面図画像を示す。
【0101】
図11B】第1パターンのベース層に形成されたアンダーカットのサイドプロファイルを更に示すFESEMで捕捉されたサイドプロファイル図画像である。
【0102】
図11C】第1のパターンのための三層レジストシステムのパターニングに成功した後にFESEMによって捕捉された等角図画像を示す。
【0103】
図12】第2のパターンのための三層レジストシステムのパターニングに成功した後にFESEMによって捕捉された上面図画像を示す。
【0104】
図13A】第3のパターンのための三層レジストシステムのパターニングに成功した後にFESEMによって捕捉された上面図画像を示す。
【0105】
図13B】第3のパターンのための三層レジストシステムのパターニングに成功した後にFESEMによって捕捉された等角図画像を示す。
【0106】
図14A】フルオロポリマーベース層のリフトオフ後に第1のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0107】
図14B】フルオロポリマーベース層のリフトオフ後に第2のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0108】
図14C】フルオロポリマーベース層のリフトオフ後に第3のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面図画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
本開示は、一般に、有機デバイス、例えばOLEDデバイスをパターニング及び製造するための三層フォトレジストシステム及び方法に関する。本方法は、OLEDアレイをパターニングする際にも使用することができ、高分解能、高密度、全視差3次元(3D)光照射野ディスプレイ用のOLEDデバイス及びOLEDアレイを製造するために使用することができる。
【0110】
本発明の様々な特徴は、図面の例示と共に以下の詳細な説明から明らかになる。ここで説明する三層フォトレジストシステム及び有機デバイスの製造方法の設計パラメータ、設計方法、構成、及び使用、並びに本明細書に開示されるマイクロキャビティOLED設計プロセス及び構造は、本明細書に記載及び特許請求される本発明の範囲を限定することを意図しない実施形態を表す様々な例を参照して説明される。本発明が関係する分野の当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく本開示の教示に従って実施することができる、本明細書に開示されていない本発明の他の変形、例、及び実施形態があり得ることを理解し得る。
定義
【0111】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0112】
「備える(comprising)」という用語と組み合わせて本明細書で使用される場合の「a」又は「an」という単語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」の意味とも一致する。
【0113】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語及びそれらの文法的変形は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素及び/又は方法ステップを排除しない。「から本質的になる」という用語は、組成物、装置、物品、システム、使用又は方法に関連して本明細書で使用される場合、追加の要素及び/又は方法ステップが存在し得るが、これらの追加は、列挙された組成物、装置、物品、システム、方法又は使用機能の様式に実質的に影響を及ぼさないことを示す。特定の要素及び/又はステップを含むものとして本明細書に記載される組成物、装置、物品、システム、使用又は方法はまた、特定の実施形態では、これらの実施形態が具体的に言及されているか否かにかかわらず、これらの要素及び/又はステップから本質的になることができ、他の実施形態では、これらの要素及び/又はステップからなり得る。
【0114】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、所与の値からの約+/-10%の変動を指す。そのような変動は、具体的に言及されているか否かにかかわらず、本明細書で提供される任意の所与の値に常に含まれることを理解されたい。
【0115】
本明細書における範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、範囲及び範囲内に入る個々の値の両方を、範囲を示すために使用される数字と同じ場所の値に伝えることを意図している。
【0116】
任意の例又は例示的な言語、例えば「など(such as)」、「例示的な実施形態(exemplary embodiment)」、「例示的な実施形態(illustrative embodiment)」及び「例えば(for example)」の使用は、本発明に関連する態様、実施形態、変形形態、要素、又は特徴を例示又は示すことを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0117】
本明細書で使用される場合、「接続する」及び「接続された」という用語は、本開示の要素又は特徴間の任意の直接的又は間接的な物理的関連を指す。したがって、これらの用語は、接続されていると記載された要素又は特徴の間に他の要素又は特徴が介在している場合であっても、互いに部分的又は完全に含まれ、取り付けられ、結合され、配置され、共に接合され、通信し、動作可能に関連付けられるなどの要素又は特徴を示すと理解され得る。
【0118】
本明細書で使用される場合、「透明導電性酸化物」又はTCOという用語は、光学的に透明で導電性の材料の薄膜である透明導電膜(TCF)の種類を指す。特にTCOは、光電子デバイスに一般的に使用されるドープ金属酸化物である。TCO材料の幾つかの例には、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、及びガリウムドープ酸化亜鉛(ZnO)が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書で使用される場合、「ITO」という用語は、インジウムスズ酸化物を指し、インジウム、スズ、及び酸素の様々な割合の組成物であり、一般に、重量で74%In、18%O2、及び8%Snの配合物を有する酸素飽和組成物として遭遇する。ITOは、その適切な導電率及び確立された方法によって堆積される能力のために、OLED構造のアノード材料として一般的に使用される。ITOもほぼ透明で無色である。ITOは、本開示によるOLEDにおいてアノード層を構築するために使用することができる。
【0120】
本明細書で使用される場合、「有機デバイス」という用語は、有機層を備える電子デバイスを指す。本明細書で使用される場合、「有機デバイス」という用語は、有機発光ダイオード、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池、光電池デバイス、有機半導体、及び有機レーザを含むが、これらに限定されない。
【0121】
本明細書で使用される場合、「OLED」という用語は、有機発光ダイオード、外部電圧の印加時に光を発する光電子デバイスを指す。
【0122】
本明細書で使用される場合、「有機層」という用語は、炭素系有機材料、分子、又は構造を備える有機デバイス内の層を指す。有機材料は、フォトリソグラフィに使用される放射波長及び強度の下での劣化に敏感であり得る。
【0123】
本明細書で使用される場合、「マイクロキャビティ」という用語は、例えばOLEDなどのスペーサ層又は光学媒体の両側の面を反射することによって形成された構造を指す。
【0124】
本明細書で使用される場合、「マイクロキャビティOLED」(MCOLED)という用語は、2つの反射面によって画定されたマイクロキャビティ内に結合された、前述のOLEDを指す。MCOLEDの反射面は、例えば、金属材料、特定の範囲内の光を反射するように配置された誘電材料、誘電材料と金属材料との組み合わせ、又は任意の他の反射面とすることができる。
【0125】
本明細書で使用される場合、「パターニング」という用語は、表面の中又は上にパターンを化学的に転写するために使用される技術を指す。フォトリソグラフィは、放射線又は光を使用してリソグラフィ層の特性を変更するパターニング技術の一例である。本明細書で言及されるパターニングという用語は、ポジ型フォトレジストをある波長の放射線に曝露してフォトレジストを分解し、現像液に可溶にするフォトリソグラフィステップを含む。
【0126】
本明細書で使用される場合、「フォトマスク」という用語は、フォトリソグラフィ中に前記フォトレジスト材料のパターニングに使用される下地のフォトレジスト材料へのプレートを通る放射(例えば、UV光)の透過率を可能にするか又は阻止する複数の領域を有する薄いプレート又はシートを指す。
【0127】
本明細書で使用される場合、「ブランケット堆積」という用語は、パターニング技術を使用せずに材料を堆積することを指す。
【0128】
本明細書で使用される場合、「波長」という用語は、光又は音などの移動エネルギーの繰り返しパターンである波の2つの同一のピーク(高い点)又はトラフ(低い点)間の距離の尺度である。フォトリソグラフィで使用される光の波長は、一般に紫外線領域(約10~450nm)にあり、より好ましくは深紫外線領域(約200~300nm)又は300nm未満の波長にある。極端な紫外線放射(約10~125nm)及びX線光(10ピコメートル~10ナノメートル)もまた、フォトリソグラフィの幾つかの用途において使用される。
【0129】
本明細書に開示される組成物、装置、物品、方法及び使用の任意の実施形態は、当業者によって、そのままで、又は本発明の範囲から逸脱することなくそのような変形又は等価物を作成することによって実施することができると考えられる。
【0130】
本開示は、半導体処理及び製造技術に関し、より詳細には、有機発光ダイオード(OLED)及びOLEDアレイを含む有機デバイスをパターニングするためのフォトレジストシステムを使用するフォトリソグラフィ技術に関する。
【0131】
フォトレジストは、フォトリソグラフィにとって基本的な感光性犠牲材料である。フォトレジストシステムは、一般に、ポリマー、増感剤、及び溶媒から構成される。UV放射線などの放射線源に曝露されると、フォトレジスト材料のポリマー構造が変化する。溶媒成分は、フォトレジストを回転させ、ウェハ又は基板表面上に薄層を形成することを可能にする。最後に、増感剤又は阻害剤は、ポリマー相における光化学反応を制御する。フォトレジストは、ポジ型フォトレジスト(ポジ型フォトレジスト)又はネガ型フォトレジスト(ネガ型フォトレジスト)として分類することができる。放射線源への曝露中にポジ型フォトレジストに対して生じる光化学反応は、ポリマーを弱め、現像液に対してより可溶性にし、ポジ型パターンをもたらす。したがって、ポジ型フォトレジストの場合、使用されるフォトマスクは、半導体層上のパターニングに所望されるパターンと同じパターンを有する。或いは、ネガ型フォトレジストの場合、UV放射線源への曝露はポリマーの重合を引き起こす。この重合により、UV光に曝露されたネガ型フォトレジスト層領域がフォトレジスト現像液に対して不溶性になる。放射線源に曝露されたネガ型フォトレジスト領域は、現像液による化学処理後にウェハ又は基板の表面上に残る。したがって、ネガ型フォトレジストに使用されるマスクは、転写されるパターンの逆又は写真上の「ネガ」を含む。
【0132】
マスク又はフォトマスクは、フォトマスクを通る放射線の下層のフォトレジスト材料への透過率を許容又は遮断することによって、半導体ウェハ又は基板が放射線に曝される場所を制御する。放射線の透過性を可能にするフォトマスク構造の領域は、下層のポジ型フォトレジスト材料の劣化又は下層のネガ型フォトレジスト材料層の重合をもたらす(工業用途向けのスマートデバイスを作成するために使用される微細加工技術。Jose M.Quero,Carmen Aracil,in Smart Sensors and MEMs(Second Edition)、Woodhead Publishing Series in Electronic and Optical Materials,2018,Pages291-311)。フォトリソグラフィに使用される放射線は、一般に紫外線(UV)又は極UVであるが、X線も使用することができる。使用される光の波長は、フォトレジストに印加することができる最小特徴サイズを決定する。UV放射は、本明細書では一般にフォトリソグラフィ光源と呼ばれるが、所望のプロセス材料及び結果に従って様々な波長の光が使用され得ることが理解される。フォトマスクは、特定のパターンの所定の位置で光を照らす(透過させる)ことができる穿孔又は透明領域を有する不透明プレートを備える。フォトマスク材料は、例えば、クロム製のコーティングパターンを有する溶融シリカ(石英ガラス)を含むことができる。場合によっては、フォトマスクは、テフロン(登録商標)又は他の低摩擦、低スティックコーティングで更にコーティングされ、接触フォトリソグラフィ中の吸着の問題を防止するのに役立つ。フォトマスクをフォトレジストとポジ型フォトレジスト中のポリマーを分解することができる光源との間に配置することによって、フォトマスク上のパターンの正確なコピーは、フォトマスクパターンの孔又は透明部分でフォトレジストを分解することによって作成することができる。前述のように、ネガ型フォトレジストの場合、フォトマスクは所望のパターンの逆を有する。ネガ型及びポジ型の両方のフォトレジストは、利点及び欠点を有する。ネガ型フォトレジストの利点は、シリコンへの良好な接着、低コスト、及び短い処理時間を含む。更に、ポジ型フォトレジストのより望ましい利点は、制御性の向上、良好な分解能、及び良好な熱安定性を含む。
【0133】
ポジ型フォトレジストは、露光時に架橋又は更に重合せず、したがってフォトレジスト層の軟化点を約110~130℃の範囲の値に維持するので、リフトオフプロセスには限定された範囲で適している。架橋とは、ポリマー鎖又はポリマーネットワークを形成するための1つのポリマー鎖の別のポリマー鎖への重合又は結合を指す。化学的用途では、架橋を使用してポリマーの物理的特性の変化を促進することができる。110~130℃の範囲の温度は、半導体デバイスの製造における典型的なコーティングプロセス中にしばしば使用される。レジストフィーチャは全体的にコーティングされ、ポジ型フォトレジストが110~130℃の温度範囲内で重合した場合、リフトオフが困難又は不可能になる。半導体製造のためにポジ型フォトレジストを使用することの更なる利点は、ポジ型フォトレジストが一般に現像中に膨潤せず、より微細な分解能が可能であり、プラズマプロセスに対して適度に耐性があることを含む。ネガ型フォトレジストは、一般に、これらのポリマーが製造層において再現可能なアンダーカットを達成することができるので、リフトオフプロセスのためのより良い選択であると考えられる。このアンダーカットは、一般的なネガ型レジストのポリマー樹脂の架橋がアンダーカットを維持し、犠牲層のその後のリフトオフを容易にするため、フォトレジスト側壁がコーティングされるのを防ぐのに役立つ。
【0134】
本明細書では、三層フォトレジスト構造及びその使用方法について説明する。三層システムは、フォトリソグラフィ技術を使用してOLEDなどのナノスケール有機構造をパターニングするために使用することができるフルオロポリマーベース層、中間無機層、及び最上ポジ型フォトレジスト層から構成される。開示された三層レジストシステムは、ポジ型フォトレジスト層とも呼ばれる最上ポジ型フォトレジストとフルオロポリマーベース層との間に中間無機転写層を含むことによって、従来のフォトレジストを使用したフォトリソグラフィーパターニングの利点を利用する。パターニング時に画像層を形成する最上層としてポジ型フォトレジストを実装することにより、三層フォトレジスト構造を介してより微細なパターンを製造することが可能になり、結果として得られる有機デバイスの分解能が向上し、より制御可能なフォトリソグラフィープロセスがもたらされる。前述のように、ポジ型フォトレジストを有するフォトマスクを使用する場合、放射線(UV光)はマスク内の透明領域を通過し、ポジ型フォトレジスト材料がその後現像液で除去される領域を画定する。フォトマスクと共にポジ型フォトレジストを使用することは、既に堆積された有機物を有する下地基板上の領域がフォトマスクの不透明領域によって後続のOLED色のパターニング中に紫外線から遮蔽されるので、高密度OLEDアレイをパターニングするときに特に有利である。特に、ポジ型フォトレジストと不透明フォトマスクとの組み合わせは、フォトリソグラフィ放射がフォトマスクの下から、放射に敏感な有機材料を含む基板及び有機デバイスの領域に侵入するのを阻止する。比較すると、ネガ型フォトレジスト二重層システムを使用して、例えばフォトリソグラフィ及びフォトマスクを使用して有機物をパターニングすると、ネガ型フォトレジスト層の下の基板が、ネガ型フォトレジスト領域を重合又は硬化するために使用される放射線に曝される。したがって、その上に堆積された既存の有機層を有する下にある基板上のネガ型フォトレジストの下の任意の構造もまた、任意の後続の有機積層体(すなわち、追加のOLED色)のパターニング中に放射線(UV光)に曝露され、有機層を損傷する可能性がある。したがって、ネガ型フォトレジスト処理における硬化又は重合ステップに必要な放射線露光は、ネガ型フォトレジストの下の層に浸透し、それによって下にある有機層を損傷する可能性がある。
【0135】
記載された三層レジストシステムは、最下フルオロポリマーベース層、無機転写層、及び画像層を形成する最上ポジ型レジストを備える。中間無機転写層は、フルオロポリマーベース層の保護バリアとして作用する。この保護無機転写層の存在は、最上ポジ型レジスト画像層の実装を容易にする。次いで、ポジ型フォトレジストのための従来のフォトリソグラフィ技術を使用してポジ型フォトレジスト画像層をパターニングすることができ、それにより、UV露光によって引き起こされる基板上の以前に堆積した有機材料の劣化を回避する。フルオロポリマーベース層は、リフトオフプロセス中に有機材料に有害ではない過フッ素化溶媒を使用して現像し、基板から持ち上げることができる。
【0136】
OLEDデバイスに関して使用される「有機積層体」という用語は、光ビームが2つの電極間に形成される有機層を含むOLED内の層を指す。これらの層は、1つ以上の電子輸送層、発光層、正孔輸送層、及び正孔注入層を含むことができ、発光層は有機層であり、他の層は無機、有機、又は有機と無機の組み合わせのいずれかであり得る。他の有機デバイス、例えば有機太陽電池では、これらの層のそれぞれの1つ以上は、フォトリソグラフィに使用される放射線に感受性の有機材料を含むことができる。したがって、「有機積層体」という用語は、1つ以上の層を指し、その1つは有機材料から形成された層であり、本開示の代替の実施形態(すなわち、代替的な有機デバイス)では単一の有機層で置き換えることができる。
【0137】
開示された三層レジストシステムの中間無機転写層は、最上ポジ型フォトレジスト材料をパターニングするために使用される有害な現像液が、下層のフルオロポリマーベース層及び前記ベース層の下に存在する任意の有機材料に浸透するのを防止することによって、重要なバリア層として作用する。
【0138】
フルオロポリマーベース層は、有機デバイス、特にOLEDデバイスのためのパターニングのための所望のアンダーカットプロファイルを形成するように機能する犠牲層である。本明細書に記載の三層システムは、中間無機転写層を介して露光した後、酸素プラズマ又は反応性イオンエッチング(RIE)でエッチングされて、好ましくはアンダーカットを有するマイクロキャビティを形成するフルオロポリマーベース層を使用し、それを通して有機積層体を堆積させることができる。
【0139】
本明細書に記載の三層レジストシステムは、最上ポジ型レジスト画像層として高度に制御可能なフォトレジストを用いて、サブ10μmスケールで有機デバイス及び有機発光ダイオードをパターニングするためのフォトリソグラフィ技術の実装を可能にする。記載された三層レジストシステムは、信頼性の高い方法で有機物を更にリフトオフすることができ、標的サブ10μm寸法でOLEDをパターニングするために現在可能ではない基板サイズに拡張可能な高密度OLEDアレイを提供する。これに対して、シャドーマスクを使用する現在のOLEDデバイスは、フラットパネルディスプレイにスケーラブルではない。本明細書では、本三層フォトレジストシステムをどのように使用することができるかの例としてOLED製造が提供されているが、同じ三層フォトレジスト製造システム及び方法を使用して、有機半導体層を備える他のデバイス、例えば有機系電界効果トランジスタ、有機系太陽電池、光電池デバイス、他の有機系半導体デバイス、及び有機レーザデバイスを製造することができることが理解される。
【0140】
OLEDは、一般に2つの主要なクラス、すなわち有機小分子で構成されるものと有機ポリマーで構成されるものに分けられる。OLEDは、発光性エレクトロルミネセンス層が、電流に応答して光を放出する有機化合物又は有機成分の膜を備える発光ダイオードである。一般に、OLEDは、アノードとカソードとの間に配置され、それらに電気的に接続された少なくとも1つの導電性有機層を有する固体半導体デバイスである。電流が印加されると、アノードは正孔を注入し、カソードは有機層に電子を注入し、注入された正孔及び電子はそれぞれ反対に帯電した電極に向かって移動する。電子と正孔が同一分子上に局在すると、励起エネルギー状態を有する局在電子-正孔対である励起子が形成される。光放出機構を介して励起子が緩和すると、光が放出される。OLEDの種類には、アクティブマトリクスOLED(AMOLED)、最上発光OLED、及び最下発光OLEDが含まれるが、これらに限定されない。AMOLEDは、カソード、有機分子、及びアノードの全層を有する。アノード層は、マトリックスを形成するためにそれに平行な薄膜トランジスタ(TFT)平面を有する。これは、所望に応じて各画素をそのオン又はオフ状態に切り替えるのに役立ち、したがって画像を形成する。したがって、画素は、必要とされないとき、又はディスプレイ上に黒い画像があるときはいつでもオフになり、デバイスのバッテリ寿命を延ばす。これは、最も電力消費の少ないタイプのOLEDであり、ビデオに適したより速いリフレッシュレートを有する。AMOLEDの幾つかの用途は、コンピュータモニタ、大画面TV、及び電子看板又は広告板である。最上発光OLEDは、不透明又は反射性のいずれかである基板を有する。最上発光OLEDは、非透明トランジスタバックプレーンとより容易に統合することができるため、アクティブマトリクス用途により適している。製造業者は、スマートカードなどのデバイスで最上発光OLEDディスプレイを使用している。発光された光が透明又は半透明の下部電極及び基板を通過する場合、OLEDは最下発光である。
【0141】
一般に、有機デバイスの製造において、有機層は、微細金属マスク(FMM)、又はシャドーマスクを介して有機デバイス上に堆積され、これは、より大きな画素(10sのμmスケール)を作成するために許容される。しかしながら、高精細光照射野ディスプレイに必要な画素密度を達成するためには、サブ10μmの範囲でなければならない。本開示の三層レジストシステムは、従来のフォトリソグラフィープロセスを使用して有機層をはるかに微細な分解能でパターニングすることを可能にする。更に、本三層システムは、単一のデバイス上で複数回反復して使用することができ、同じ基板上に複数の独立した有機積層体構造を製造することを可能にする。先に堆積された有機層は、最初に、ポジ型フォトレジストの最上層(不透明フォトマスク)の使用による放射線によって、及び最上層のポジ型フォトレジスト材料をパターニングするために使用される有害な現像液が下層のフルオロポリマーベース層及び前記ベース層の下に存在する任意の有機材料に浸透するのを防止することによって重要なバリア層として作用する中間無機転写層によって、劣化から保護される。
【0142】
フォトマスクを使用するフォトリソグラフィ技術を使用して三層レジストシステムをパターニングする際に、有機積層体又は1つ以上の有機層の堆積のために少なくとも1つの電極が露出される。例えば、OLEDデバイス(又はOLEDアレイ)をパターニングする際に、活性領域は、三層フォトレジストシステムの適用前にアレイで基板上に堆積された露出下部電極を備える領域として定義される。一般に、活性領域は、有機デバイスのパターン形状及び分解能を予め決定しながら、第1レベルの電気接続が行われる境界を画定する。したがって、活性領域からの三層レジストシステムの水平オフセットも有機物のシャドーイングに影響を及ぼし、オフセットが大きいほどシャドーイングが少なくなると予想される。
【0143】
或いは、開示された三層レジストシステムでは、マスクレスフォトリソグラフィ(物理マスクなし)を使用したパターニングも選択肢であり、そうでなければ直接書き込みリソグラフィとして知られている。直接書き込みリソグラフィは、所定のレイアウト又はパターンに従って異なる表面上に様々な種類の材料を堆積、除去、分配、化学変化、又は処理することができる任意の技術を指す。本出願では、例えば、直接書き込みリソグラフィを使用して、基板又は下部電極上に有機層を堆積するために所望のパターンでポジ型フォトレジスト最上層を露出させることができる。
【0144】
図1A図1Cは、電極を備える基板上への三層ポリマーレジストシステムの堆積を示す。図1Aは、フルオロポリマーベース層の堆積後の基板の断面を示す。基板10は、この実施形態では、その上に酸化物層12、下部電極14、及び本明細書ではフルオロポリマーベース層16と呼ばれるフルオロポリマーレジストの第1の層が堆積されている。下部電極14は、インジウムスズ酸化物(ITO)などの透明材料、又は例えばドープされたポリアニリンなどの導電性ポリマー、Ag、AuもしくはAlなどの金属の薄層、又はそれらの組み合わせとすることができる。下部電極材料層の厚さは、例えば、10~100nmの範囲であり得、下部電極材料全体の厚さは100±10nmであり得る。単一の下部電極が示されているが、有機デバイスは、パターニングされていなくてもよいし、行もしくは列、又は他の幾何学的もしくは規則的に離間した配置などにパターニングされてもよい複数の下部電極から構成されてもよいことが理解される。任意の酸化物層12は、基板10と下部電極14との間の改善された接着を達成するために使用され、例えば、導電性透明酸化物材料で形成することができる。透明導電性酸化物(TCO)材料の例には、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、及びアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)が含まれるが、これらに限定されない。TCOは、比較的低い抵抗率及び比較的高い透過率を有する導電性材料である。本明細書に記載の三層システムの使用において、フルオロポリマーベース層16は、製造中にOLED又は他の有機積層体を受け入れるためのアンダーカットを有するキャビティ内にエッチングすることができる。本明細書では「有機積層体」及び「有機層」という用語が使用されているが、感光性材料の1つ以上の層を含む任意の半導体デバイスが、本フォトリソグラフィ方法から利益を得ることができることが理解される。
【0145】
フルオロポリマーベース層16に使用されるフルオロポリマーは、一般に、複数の炭素-フッ素結合を有するフルオロカーボンベースのポリマーである。フルオロポリマー材料は、溶媒、酸、及び塩基に対する高い耐性を特徴とするが、酸素プラズマ又は反応性イオンエッチングを使用してエッチングすることができる。幾つかの適切なフルオロポリマーベース層材料は、非晶質フルオロポリマーを含む。本システムで使用されるフルオロポリマーベース層16の材料は、フォトリソグラフィ中の位置合わせに光透過性が必要とされる場合があるため、非常に高い透明性(すなわち、可視光透過率が95%以上)を有することが好ましい。フルオロポリマーベース層に適した材料の一例は、AGC Chemicalsによって製造されたCYTOP(登録商標)であり、これはその独特のアモルファス構造によって分類される。CYTOP(登録商標)は、特定のフッ素化溶媒で溶解することができ、サブミクロンの厚さを達成するために薄膜コーティングに使用することができる。フルオロポリマーベース層16に適したフルオロポリマーの別の例は、テフロン(登録商標)AF1600X(AF)である。好ましくは、フルオロポリマーを持ち上げるために使用されるプロセスは、以前に堆積されたOLED積層体又は有機層を損傷してはならないため、フルオロポリマーはOLEDデバイスの有機材料と負に化学的に相互作用しない。スピンコーティングを使用して、本方法においてフルオロポリマーを塗布することができる。製造において、スピンコーティングを使用して、揮発性溶媒中で膜材料を塗布し、遠心力を使用して膜を表面上に広げることによって、固体表面上に均一な薄膜(420±20nm)を塗布することができる。スピンの角速度が高いほど、フィルムは薄くなる。典型的なスピンコーティング手順では、液体を円形表面の中心に置き、表面を急速に回転させて厚さ1~10μmの均一な膜を生成する。一例では、フルオロポリマーベース層16は、スピンコーティングによって塗布され、約20~25秒間、4000RPMの速度で340~500nmの厚さにスピンされる。フルオロポリマーベース層16の厚さは、後に堆積される有機材料の厚さの1.25倍であることが好ましいことに留意すべきである。スピンプロセスに続いて、フルオロポリマーベース層16が硬化される。一例の硬化プロセスでは、第1の段階(プリベーク)は、室温で5~30分間のフルオロポリマーベース層16の乾燥であり、気泡を除去する。フルオロポリマーベース層16を更に脱気するために、50℃で10~30分間の任意のベーキングにより、残留気泡を除去する。次の段階は、フルオロポリマーベース層16中の残りの溶媒を除去するための、80~100℃で30~60の焼成を伴う別のプリベークである。最終段階は、基板10へのフルオロポリマーベース層16の接着性を改善するための180~250℃の温度で30~60分間の最終ベークである。フルオロポリマーベース層の他の硬化プロセスも、ベース層材料に応じて使用して、脱気し、溶媒を除去し、基板の接着を改善することができる。図1Aは、酸化物層によって覆われた基板を示しているが、前記酸化物層12の存在は、開示された三層レジストシステムに影響を与えず、フルオロポリマーベース層16を基板上に直接堆積させることもできることに留意すべきである。塗布方法の例としてスピンコーティングが提供されているが、フルオロポリマーを塗布するために他の塗布方法、例えばスプレーコーティング又は他の堆積方法を使用することができ、フルオロポリマーベース層の堆積は、物理的堆積及び全ての処理段階(プリベーク及び最終ベークステップ)を含むことにも留意されたい。
【0146】
本方法におけるフルオロポリマーベース層16の厚さは、好ましくは100nm~2μmであり、フルオロポリマーベース層16を通して堆積される有機OLED材料の厚さに基づいて選択することができる。フルオロポリマーベース層16の厚さもまた、所望の平坦化を提供するのに十分でなければならない。OLEDアレイを考慮する場合、フルオロポリマーは、OLED材料と非常に弱く相互作用しない又は相互作用しない溶媒を使用すべきである。これは、OLEDデバイスを備える基板10上にOLEDデバイスの第2のアレイをパターニングするときに特に重要である。好ましくは、フルオロポリマーベース層の最小厚さ又は高さは、リフトオフのためにベース層の上に堆積する有機物の厚さの約1.25倍であるべきである。堆積した積層体よりもわずかに高くなるようにフルオロポリマーベース層の高さを設計することにより、フルオロポリマーベース層のアンダーカットの下に全ての層を収容するのに十分な空間を有する三層システムを介した積層体層の堆積が可能になる。例えば、OLEDでは、赤色有機積層体の1.25×高さは308±30.5nm、1.25×緑色有機積層体の高さは258±30(12%)nm、又は1.25×青色有機積層体の高さは238±35(15%)であり、それぞれ385nm、322.5nm、及び297.5nmのフルオロポリマーベース層16の最小厚さを示唆している。フルオロポリマーベース層16の最大厚さ及び三層レジストシステム積層体全体の高さは、シミュレーション及び/又は実験によって決定することができる。三層システムの層が厚すぎる場合、及び/又は所望のアンダーカットがフルオロポリマーベース層16に適切に形成されない場合、シャドーイング効果が発生する可能性がある。このシャドーイング効果は、フルオロポリマーベース層16の側壁からの不均一な有機層厚さをもたらし、下部電極46の活性領域を遮断又は「シャドーイング」し、それによって均一な堆積を防止することができる。一般に、有機堆積物の均一性を普遍的に改善し、シャドーイング効果を低減するために、三層レジスト積層体の全高は可能な限り最小化されることが好ましい。本開示の一実施形態によれば、フッ素ポリマーベース層16の高さは、ポジ型レジスト画像層及び無機転写層がそれぞれ500nm及び100nmの厚さに制限されると仮定して、530nmを超えてはならない。また、1.25×有機積層体の高さの比を維持しながら、実際の最小フルオロポリマーベース層16の厚さは340~400nmの範囲であることが好ましい。
【0147】
図1Aは、例示の目的のために基板10上の単一の下部電極14を示しているが、基板10は、図1Aの拡大プロファイル図には示されていない追加の有機又はOLEDデバイス及びその上に堆積された複数の電極を有してもよいことが理解される。有機層及び他の層の堆積後にリフトオフを使用して三層レジストシステムが除去されるので、三層フォトレジストシステムのリフトオフ方法は、堆積した有機層又はOLED構造又は他の化学的に敏感な構造の損傷を回避することが不可欠である。
【0148】
図1Bは、無機転写層の堆積後の基板の断面を示す。図示の基板10は、その上に、酸化物層12及び下部電極14、フルオロポリマーベース層16、並びにフルオロポリマーベース層16上に直接堆積された無機転写層18を順に積層している。無機転写層18は、三層レジストシステムの最上層からフルオロポリマーベース層16へのパターンのマスキングを担う。中間無機転写層18の適切な材料として使用することができる様々な誘電体及び金属がある。酸素プラズマに対するフォトレジスト層材料に対するこれらの材料の選択性は強く、中間無機転写層18を比較的薄くすることも可能にする。酸素プラズマエッチングに対してフルオロポリマーフィルムよりも選択的であるフィルムは、中間無機転写層18での使用に適した材料である。これらには、アルミニウムなどの金属、又は二酸化ケイ素などの誘電体が含まれるが、これらに限定されない。膜は、蒸着又はスパッタリングなどの物理的気相成長技術、プラズマ強化化学気相成長などの化学気相成長技術、又はスピンコーティングプロセスを使用して堆積されてもよい。好ましくは、堆積に関与する温度は、有機材料への損傷を避けるために約120℃を超えてはならない。
【0149】
図1Cは、ポジ型フォトレジスト画像層の堆積に続いて電極基板の断面を示し、それによって三層レジストシステムを形成する。図示の基板10は、酸化物層12、下部電極14、フルオロポリマーベース層16、中間無機転写層18、及び本明細書ではポジ型フォトレジスト層20と呼ばれるポジ型フォトレジスト最上層をこの順に積層し、無機転写層18上に直接堆積させている。ポジ型のフォトレジスト層20は、リソグラフィに用いられるフォトマスクの画像を記録する役割を担う。UV光でパターニングされると、ポジ型フォトレジスト層20は画像層と呼ばれる。前述のように、フォトレジストはポジ型又はネガ型に分類される。ポジ型フォトレジストは、UV光に曝露されると化学的に変換し、エッチングに可溶性になる。したがって、フォトレジストの露光領域のみがエッチングによって除去され、フォトレジストの未露光領域は不溶性のままである。或いは、ネガ型フォトレジストの場合、UV光又はフォトリソグラフィ放射に晒されるフォトレジストの領域は、エッチングに対して不溶性になる。本明細書では、フォトリソグラフィーパターニングに使用することができる放射線の例としてUV光が使用されているが、フォトレジスト層の特性に基づいて様々な波長を使用することができることが理解される。ポジ型フォトレジストは、一般にそれらのサイズを維持し、放射パターンを受けることができ、より良好なエッチング耐性を有し、優れた分解能を有し、良好な熱安定性を有するので、フォトリソグラフィ中の制御がより容易である。フォトレジスト層は、化学エッチングによって除去することができる。化学エッチング技術には、現像液、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、及びイオンビームミリングの使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0150】
開示された三層レジストシステムでは、ポジ型フォトレジスト層20は、無機転写層18のエッチングのためのマスクとして機能するのに十分な厚さである必要があり、他のフォトリソグラフィシステムで必要とされるものと比較して薄い。ポジ型フォトレジスト層20はまた、好ましくは平面上、この場合は平面無機転写層18上に堆積され、したがって、堆積されるトポグラフィによって決定される最小厚さによって制限されない。これらの要因は、最上ポジ型フォトレジスト層20が単層レジストシステムで可能であるよりもはるかに薄くなることを可能にし、それによってより高い分解能のパターンをその上に画像化することを可能にし、本システムがより高い分解能及びより小さい有機デバイスを堆積する能力をもたらす。ポジ型フォトレジスト層20は、様々な技術を使用して、例えばスピンコーティング技術、スプレーオン技術、又は浸漬塗布を使用して堆積させることができる。スピンコーティングは、塗布中のより微細な制御及び層厚の減少を可能にするので、好ましい方法である。ポジ型フォトレジスト層20の膜は、10ナノメートル~数マイクロメートルの厚さと同じくらい薄くすることができる。コーティングプロセス中に使用される焼付け手順は、ポジ型フォトレジストの硬化を可能にしながら有機材料の熱損傷を回避するように慎重に制御されるべきである。この場合、ポジ型フォトレジスト最上層20の焼成温度限界は120℃を超えないことが許容されることが分かった。最上ポジ型フォトレジスト層20の堆積への言及は、フォトレジストの物理的堆積、並びに乾燥、硬化、脱気、及び焼成ステップを含む全ての処理段階を含むことが理解される。
【0151】
ポジ型フォトレジスト層20の材料選択基準は、レジスト材料が無機転写層18に強力な接着を提供し、ポジ型フォトレジスト層20がフッ素ポリマーベース層エッチングステップ中に酸素プラズマによって完全に除去されるのに十分に薄いように考慮されるべきである。ポジ型フォトレジスト層20に適した材料には、一般的な現像液及び適切な膜厚の剥離剤と互換性のある市販のポジ型フォトレジストが含まれるが、これらに限定されない。一例では、ポジ型フォトレジストは、フェノール-ホルムアルデヒドノボラック樹脂から配合することができる。適切なポジ型フォトレジストの具体例は、Micro Chemicals製のAZ(登録商標)1500ファミリーのポジ型フォトレジストである。
【0152】
図2A図2Fは、三層フォトレジストシステムをパターニングし、本方法による露出電極上に有機層を堆積する方法を示す。有機層は、有機積層体、又は複数の層であってもよく、少なくとも1つの層は有機材料から構成される。図2Aは、ポジ型フォトレジスト画像層のフォトリソグラフィ後の電極及び三層レジストシステムを有する基板の断面を示す。図示されている基板10は、その上に順に酸化物層12及び下部電極14が積層されており、開示されている三層レジストシステムは、フルオロポリマーベース層16、無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20を備える。フォトリソグラフィ技術を使用してポジ型フォトレジスト層20をパターニングして、有機層が堆積される下部電極14の上に無機転写層18を露出させる。ポジ型のフォトレジスト層20の現像には、フォトマスクを用いることができる。パターニングの一例では、フォトマスクを介してポジ型フォトレジスト層20に所望のパターンでUV光が照射され、フォトマスクのUV透過領域の下のポジ型フォトレジスト層20の露光領域がエッチングに可溶性になる。次いで、エッチングプロセスは、所望のパターンをポジ型フォトレジスト層20に転写するポジ型フォトレジスト層20の可溶性領域を除去する。この実施形態では、エッチングは、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム、又は他の適切な材料などの水酸化物で構成され得る現像液を使用して行われる。現像液は、一般に、限られた範囲の有用な希釈を有する。高度に濃縮された希釈物は、高い感度を有し、より速い写真速度を可能にするが、高い暗膜損失及びコントラストの低下によって制限される。より希薄な濃度は、高いコントラストを可能にし、露光レジストと未露光レジストとの間のより大きな選択性を提供する。これらは、より長い現像時間又は増加した露光エネルギーを必要とし、単色露光からの定在波の影響に対してより高い感度を有する。ナトリウム系緩衝現像液は、アルミニウム表面への攻撃を最小限に抑えながら最適なプロセス制御を提供する。カリウム系緩衝現像液は、移動性の低いカリウムイオンを使用することによって汚染リスクを最小限に抑えながら、最適なプロセス制御を提供する。プロセスの一例では、現像液は、約1:4の希釈比、約15~25秒の現像時間及び約55~65秒の水リンス時間を有することができる。ポジ型フォトレジスト層20は、フォトマスクを介してUV光を露光した後、現像液が無機転写層18と反応しないか、又は限定的に反応するように注意して、現像液で現像されるべきである。ポジ型フォトレジスト層20が溶剤を更に除去するために露光後ベークプロセスが望ましい場合、温度は、有機材料を不安定化又は損傷する温度、例えば120℃を超えてはならない。
【0153】
図2Bは、無機転写層18のエッチング後の基板、電極及び三層レジストシステムの断面を示す。図示されている基板10は、その上に順に酸化物層12及び下部電極14が積層されており、開示されている三層レジストシステムは、フルオロポリマーベース層16、無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20を備える。最上ポジ型のフォトレジスト層20に形成されたパターンは、ウェットエッチング処理により無機転写層18に転写される。
化学エッチング剤を使用するウェットエッチング、及びプラズマエッチングとも呼ばれるプラズマを使用するドライエッチングを含む、様々なエッチング技術がある。プラズマエッチングは、微細なスケールで原料の表面が粗くなる加工技術である。これは、酸素などの反応性ガスを使用して達成され、それによってエッチングされるソース材料の化学的及び物理的特性の両方を変化させる。この化学的効果は、エッチングされる材料の表面分子と着実に反応して結合する反応性ガスによって付与される。高エネルギーイオンは、ソース材料の表面原子に物理的に衝突し、それによってそれらを気相に移動させるので、物理的効果を担う。理想的には、プラズマレシピは、アンダーカットを生成することができるように、比較的高圧及び低出力でなければならない。本実施形態では、無機転写層18をエッチングして、最上ポジ型フォトレジスト層20に形成されたパターンを無機転写層18に転写する。この転写は、好ましくはアンダーカット領域22を形成すべきである。高圧及び低電力レシピを使用した無機転写層18のエッチングは、所望のアンダーカット領域22を生成する。例えば、フルオロポリマーベース層16の厚さ340~400nm及び100nmの無機転写層18の厚さの場合、約0.33~0.35μmの最小オフセット又はアンダーカット長さが、下部電極活性領域46上の有機層のシャドーイング及び不均一な堆積を防止することが分かった。好ましくは、エッチングプラズマ及びポジ型フォトレジスト層20によって生成されたパターンの下の無機転写層18を除去するために使用される条件は、ポジ型フォトレジスト層20又はその下のフルオロポリマーベース層16に損傷を与えない。ウェット又はドライエッチングを使用して、開示された三層レジストシステムの無機転写層18をエッチングすることができる。好ましくは、ポジ型フォトレジスト層20によって生成されたパターン内の無機転写層18を除去するために使用されるエッチングプラズマ及びドライエッチング中の条件、又はウェットエッチング中の化学的相互作用は、ポジ型フォトレジスト層20又はその下のフルオロポリマーベース層16に損傷を与えない。無機転写層18をエッチングする方法の選択に応じて、理想的には処理中に最小化される小さなアンダーカット22が形成され得る。
【0154】
図2Cは、酸素プラズマ又はフルオロ溶媒を用いたフルオロポリマーベース層のエッチング後の基板、電極及びレジストシステムの断面を示す。図示の基板10は、無機転写層18からフルオロポリマーベース層16へのパターンの転写に続いて、酸化物層12及び下部電極14、フルオロポリマーベース層16及び無機転写層18を順に積層している。パターン転写手順は、例えば、フルオロポリマーベース層16の領域を除去して、有機積層体又は有機層が堆積される電気的に活性な領域である下部電極14を露出させるための酸素プラズマエッチングなどの反応性イオンエッチング(RIE)プロセスを使用することができる。理想的には、反応性イオンエッチングは、悪影響を及ぼさないか、又はOLEDもしくは有機デバイス動作に使用される下にある酸化物層12、下部電極14、もしくは基板10に損傷を引き起こさない。更に、好ましくは、フルオロポリマーベース層16のパターニングエッチングは、残りの無機転写層18の下でわずかに横方向に進行し、リフトオフ手順に理想的な横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38を生成する。一例では、横方向アンダーカットプロファイル24は、長さ≧0.25μmに制限することができる。下地の下部電極14はまた、三層レジストの開口パターンを通してアクセス可能にすることができ、有機物の堆積前に処理することができる。基板10の法線に対する縦方向アンダーカットプロファイルの角度の程度は変化し得る。好ましい例では、基板10に対する縦方向アンダーカットプロファイル38の角度は、好ましくは、横方向アンダーカットプロファイルから少なくとも30度である。フルオロポリマーベース層のエッチング及びアンダーカットの作成は、例えばUVオゾン又は酸素プラズマを使用するなどのエッチング処理を使用して行うことができる。横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38は、無機転写層18に形成されるのと同様の方法でエッチングプロセスを使用して形成することができる。遮光を防止するために必要な最小オフセットである横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38、並びにオーバーレイ精度は全て、フルオロポリマーベース層16及び無機転写層18の高さに固有のものであり、有機積層体の高さが変化すると変化する。一般に、フルオロポリマーベース層16の高さを530nmを超えて拡大することは、水平方向のオフセットを拡大すること、側壁角度を下げること、及び/又は他の層の厚さを下げることによって考慮されない限り、避けるべきである。フルオロポリマーベース層16の側壁角度を維持及び最小化することにより、無機転写層18上の最上縁部の制限要因に起因する過度のシャドーイングが回避されることが分かった。電極14の上方のフルオロポリマーベース層16のエッチングもまた、残りのポジ型レジスト画像層20を実質的に除去することに留意されたい。
【0155】
好ましくは、底部フルオロポリマーベース層16は、基板上に堆積した材料を除去するために、酸素プラズマ又は反応性プラズマを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によってエッチングされる。したがって、フルオロポリマーベース層16は、酸素又は反応性イオンエッチングプロセスにおいて良好な選択性を有するべきである。エッチング選択性は、材料間のエッチング速度の比として説明することができる。エッチング選択性の式は、
【数1】

である。
【0156】
選択的エッチングは、第1の材料が第2の材料よりも迅速にエッチングするプロセスを記載する。結果は、特定の期間に除去される各材料の量の差である。例えば、マスク材料に対する選択的エッチングは、マスクがわずかに薄くされるだけであり、エッチングされる対象の材料はより多くの材料が除去されることを意味する。マスクの選択的エッチングは、マスクをはるかに薄くすることを可能にし、エッチングされた材料においてより垂直なプロファイルを達成する能力を高める。材料の層からなる他の例では、1つの材料を選択的にエッチングし、下にある材料上で選択的に停止することが有用であり得る。中間無機転写層18に適した材料として作用する様々な誘電体及び金属がある。酸素プラズマに対する典型的な第1のレジスト層材料に対するこれらの材料の選択性は強く、これはまた、この層を比較的薄くすることを可能にする。光リソグラフィでは、別の考慮事項は、基板10上のフィーチャへのマスクパターンの位置合わせである。この中間無機転写層18は、10ナノメートル~100ナノメートルの厚さのように薄くすることができる。膜としては、アルミニウム、クロム等の金属、二酸化ケイ素等の誘電体を用いることができる。酸素プラズマエッチングに対してフルオロポリマーフィルムよりも高度に選択的である任意のフィルムが好適であることに留意すべきである。膜は、蒸着又はスパッタリングなどの物理的気相成長技術、プラズマ強化化学気相成長などの化学気相成長技術、又はスピンコーティングプロセスを使用して堆積されてもよい。好ましくは、堆積に関与する温度は、有機材料への損傷を避けるために約120℃を超えてはならない。無機転写層18は、配向に用いる光の波長に対して透明であることが一般的に好ましい。無機転写層18は、理想的には、酸素プラズマエッチングプロセスが実行されてパターンを無機転写層18からフルオロポリマーベース層16に転写するので、酸素プラズマに対して良好な選択性を有する。透明又は半透明の材料選択は、整列目的に有益であり、したがって、SiO2も無機転写層材料の候補である。1つの考慮事項は、最上ポジ型フォトレジスト画像層の堆積を維持するためにSiO2が低応力であることである。
【0157】
図2Dは、有機積層体の堆積後の電極及びレジストシステムを有する基板の断面を示す。図示の基板10は、その上に、酸化物層12及び下部電極14、横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38を有するフルオロポリマーベース層16、並びに無機転写層18からフルオロポリマーベース層16へのパターンの転写に続く無機転写層18を順に積層している。図2Dは、下部電極14の活性領域46上に有機積層体26を堆積した後の本開示の一実施形態を更に示す。この実施形態では、有機積層体26は、OLEDデバイスを作成するのに適した有機材料の少なくとも1つの層を備える。有機デバイスの代替実施形態では、有機積層体26は単一の有機層であってもよい。一例では、有機積層体26の層は、熱蒸着を使用して堆積される。蒸着堆積は、ソース材料を真空中で蒸発させる薄膜堆積の方法として定義することができる。真空は、蒸気粒子がターゲット物体(基板10)に直接移動することを可能にし、そこで蒸気粒子は凝縮して固体状態に戻る。
【0158】
シャドーマスクを蒸着に使用することができ、蒸着ガスはシャドーマスクの開口を通って下部電極14上に移動し、開口の下部の幅に対応する有機積層体26が下部電極14上に形成される。これにより、蒸着中の有機積層体26のシャドー効果の発生又は内側及び外側のシャドーの幅の減少を防止することができる。シャドーマスクは、一般に、堆積、エッチング、又は基板の処理に適した様々な用途のために、デバイス領域を正確に画定するために使用される微細構造又はステンシルである。シャドーイング効果を回避するために有機積層体26を下部電極14上に堆積させる場合、精度が特に重要である。シャドーイング効果により、有機積層体26が下部電極46の活性領域を完全には覆わなくなる可能性があり、その結果、下部電極活性領域46の周囲における有機積層体26の層の厚さが減少するため、下部電極活性領域の周囲に対する性能及びエッジ効果が減少する。これは更に、OLEDデバイスにおいて最適でない電気的特性及び光学特性をもたらす可能性がある。シャドーイング効果は、正確な堆積のためにシャドーマスクを使用することによって、及びエッチング中にフルオロポリマーベース層に横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38を形成することによって低減することができる。横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38は、有機積層体26を、下部電極活性領域46の幅を延長する画定されたデバイス領域上に堆積させることを可能にする。有機積層体26の厚さは、フルオロポリマーベース層16内に最適な横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38を形成するために、フルオロポリマーベース層16の厚さよりも小さいことが好ましい。
【0159】
OLEDデバイスの場合、有機積層体26の有機層は、これらに限定するものではないが、1つ以上の電子輸送層(ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、及び正孔注入層(HIL)を含むことができる。下部電極14上に堆積された少なくとも単一の有機層を備える有機積層体26によって部分的に作成された有機デバイスは、マイクロキャビティOLED(MCOLED)デバイスであってもよい。マイクロキャビティ有機発光ダイオード(MCOLED)は、OLEDの材料が、特定の範囲内の光、又は誘電材料と金属材料との何らかの組み合わせを反射するように配置された2つの反射面によって画定されたマイクロキャビティ内に結合されているデバイスである。MCOLEDデバイスでは、有機積層体26を構成する有機材料は、Ljの光路長を有する材料厚さdjで配置され、Lj=nj×djであり、njはOLED材料の屈折率である。反射面間の材料の光路長の合計は
【数2】
に等しくなるように設計され、ここで、λiは、MCOLEDのピーク設計波長である。MCOLEDにおける光路長は、反射面間の1つ以上の材料の厚さを変更することによって、又は1つ以上の追加の充填材料層を追加することによって変更することができる。OLED構造におけるマイクロキャビティの使用は、OLEDのスペクトル幅を減少させ、角度出力を減少させ、全体的な効率を増加させる。
【0160】
図2Eは、三層レジストシステムを除去するためのリフトオフ手順後の電極及び有機積層体を有する基板の断面を示す。有機積層体26は、リフトオフ手順後に基板10上の下部電極14及び酸化物層12上に堆積されて示されている。フルオロポリマーベース層、残りの無機転写層、及びフォトレジスト画像層のリフトオフは、フルオロポリマーベース層と相互作用してこれを溶解するが、有機積層体26の材料とは相互作用しないか、又は非常に弱く相互作用するフッ素化溶媒又はフルオロ溶媒に基板10及びその後続の層を浸漬することによって達成される。リフトオフ後、有機積層体26の材料は、所望のパターンで基板10上に残る。表面張力が低いため、フルオロ溶媒(フッ素化溶媒とも呼ばれる)は、基板10の表面に穏やかなままで、フルオロポリマーベース層16の表面に浸透することができる。フルオロ溶媒は、有機積層体26に有害ではなく、フルオロポリマーベース層及びその適合性フルオロ溶媒を形成し、有機積層体26の堆積後の三層レジストシステムのフルオロポリマーベース層のリフトオフに理想的である。リフトオフ手順で使用することができるフッ素化溶媒の例には、92~97%の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル/3~8%エタノール、100%の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、46~54%のトランス-1,2-ジクロロエチレン/43~52%の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、及び46~55%のトランス-1,2-ジクロロエチレン/43~52%の1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2-トリフルオロエチルエーテル/1~3%エタノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0161】
図2Fは、電極、有機積層体、及びカソードが堆積された基板の断面を示す。有機積層体26は、基板10上の下部電極14及び酸化物層12の上に堆積され、堆積後の上部電極28を更に示す。この構成では、上部電極28がカソードであり、下部電極14がアノードであり、その結果、直接OLEDデバイスが得られることに留意すべきである。電極を反転させることもでき、開示された三層レジストシステムを直接及び反転OLED構成の両方で使用することもできることが理解される。OLEDデバイスが反転された場合、下部電極14はカソードであり、上部電極28はアノードである。上部電極28は、インジウムスズ酸化物(ITO)などの透明材料、又は例えばドープポリアニリンなどの導電性ポリマー、又はAg、AuもしくはAlなどの金属の薄層、又はそれらの組み合わせとすることができ、熱蒸着によって堆積することができる。
【0162】
図3は、第1の下部電極14a及びその上に堆積された第1の色のOLED有機積層体26aを有する基板10上の開示された三層レジストシステムの断面を示す。複数色のOLED有機積層体を有する多色OLEDアレイの構築では、有機積層体の各色を基板上の異なる一連の又は一組の下部電極上に積層することができる。開示された三層システムは、フルオロポリマーベース層16、無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20を有する三層構造を有する。図示のように、基板10は、その上に複数の下部電極が堆積されている。第1の色の塗布では、第1の下部電極14aが三層レジストシステムを通して露出され、その上に第1の色のOLED有機積層体26aが堆積され、残りの三層レジストがフルオロ溶媒を使用して除去される。第2又はそれ以上の色のOLEDのための基板及びアレイを調製するために、第1の色のOLED有機積層体26a、露出基板10、及び他の下部電極(その一例は14bである)は、フルオロポリマーベース層16、無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20を備える第2の三層レジストシステムで完全に覆われる。次いで、第2の、又は連続する色のパターンをポジ型フォトレジスト層20に塗布して無機転写層18を露出させ、前述のように第2の、又は連続する下部電極14b上の第2の色のOLED有機積層体をパターニングする。第1及び第2の色のOLEDデバイス(それぞれ14a及び14b)用の単一の下部電極が図3に示されているが、この方法の一実施形態は、一連又は複数の下部電極14a及び一連又は複数の下部電極14bを含むことが理解される。
【0163】
図4は、OLED積層体が第1の電極上に堆積され且つOLED積層体を伴わない第2の電極14bを伴う電極を備えるOLEDデバイスを有する基板の断面を示す。この実施形態では、OLED積層体26aは、基板10の上部に配置された第1の下部電極14a上に堆積され、正孔注入層(HIL)50、正孔輸送層(HTL)52、発光層(EML)54、電子輸送層(ETL)56、及び電子注入層(EIL)58の各層のうちの1つ以上を備える。発光層54に加えて、正孔注入層(HIL)50、正孔輸送層(HTL)52、電子輸送層(ETL)56、及び電子注入層(EIL)58のうちの1つ以上もまた、有機材料又は有機分子から構成することができ、有機層と見なすことができる。電子輸送層(ETL)56は、関連する電極から発光層への電子輸送を容易にすることができる任意の実質的に透明な材料とすることができる。ETL56に使用することができる材料の例には、2-(4-ビフェニル)-5-フェニル-1、3,4-オキサジアゾール(PBD)、ブチルPBD、及びポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はポリ(カーボネート)などの不活性ポリマー中にドープされたPBD又はブチルPBDが含まれるが、これらに限定されない。発光層は、正孔注入層(HIL)50を介して電極層から電子を受け取る有機分子又はポリマーから構成される。発光層(EML)は、Alq(トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム)、芳香族炭化水素、ポリ(フェニレンビニレン)、オキサジアゾール及びスチルベン誘導体を含むことができるがこれらに限定されない1つ以上の有機材料を含む有機層54である。EML54材料は、任意選択的に、EML54の一次成分材料のエネルギーギャップよりも小さいエネルギーギャップを有する発光性材料でドープされた安定な非発光性ホスト一次成分材料を含むことができる。正孔輸送層(HTL)52は、電子-正孔再結合が起こるEML層54への正孔の輸送を容易にすることができる任意の実質的に透明な材料とすることができる。HTL52に適した材料の例としては、ジアミン(例えば、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン)及びポリ(フェニレンビニレン)などの有機材料を挙げることができるが、これらに限定されない。フルオロポリマーベース層16、中間無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20は、OLED積層体26a並びに第2の電極14bの上に堆積されて示されている。示されているデバイス構成は、中間製造であり、第2のOLED積層体の堆積のために第2の電極14bを露出させるための第2のフォトリソグラフィ及びエッチングシーケンスの準備ができている。
【0164】
三層システムの製造のために、一例では、CYTOP(登録商標)フルオロポリマーベース層をCT-Solve180で希釈し、撹拌による気泡を真空チャンバを使用して除去した。スピンコーティング技術を使用してベース層を基板に塗布して、約420±20nmの膜を得た。ベース層の厚さは、Filmetrics測定ツールを用いて測定した。次いで、フルオロポリマーベース層を室温で15分間ベークし、続いて105℃で30分間ベークした。次いで、無機転写層を、マグネトロンスパッタリングを使用して、50~100nmの厚さで、室温でCYTOPベース層の上に堆積させた。次いで、基板、ベース層及び無機転写層を、AZ(登録商標)1505のポジ型レジスト(ポジ型レジスト画像層)で500~600nmの厚さにスピンコーティングし、したがって三層レジストシステムの堆積を完了した。次いで、レジストを100℃で2分間ベークし、5分間再水和した。続いて、三層系を直接書き込みリソグラフィを使用してUV光に露光し、次いでAZ(登録商標)400K現像液を使用して現像した。
【0165】
図5Aは、既に堆積された第1の色のOLED構造を伴う基板上に開示された三層レジストシステムを使用して第2の色のOLEDをパターニングするためのフォトリソグラフィのUV露光段階の断面を示す。図示の基板10は、その上に、任意選択の酸化物層12、第1の下部電極14a上の第1の色のOLED有機積層体26a、及びフルオロポリマーベース層16、無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20を備える三層レジストシステムを順に堆積させた。次いで、三層レジストシステムは、第2の下部電極14b上に第2の色のOLED有機積層体をパターニングするために使用される。三層レジスト方式では、フォトリソグラフィープロセスを用いてポジ型のフォトレジスト層20をパターニングする。フォトマスク34は、紫外線が透過可能な透明領域42と、紫外線がポジ型のフォトレジスト層20に到達することを阻止する不透明領域44とを有する。フォトマスク34の透明領域42は、紫外線が下層のポジ型フォトレジスト層20材料まで透過することを可能にする。逆に、フォトマスク34の不透明領域44は、紫外線がフォトマスク34の下の材料に透過するのを防ぎ、有機積層体26aを下に保護し、電極の上の領域のみを露出させ、その上に第2の色の有機積層体が堆積されるべきである。開示された三層レジストシステムの場合、フォトマスク34の不透明領域44は、第1の色のOLED有機積層体26aの上の材料を覆う。ポジ型フォトレジストは、ポジ型フォトレジスト層20中のポジ型レジストが紫外線により劣化した後に、露光されたフォトレジストの領域がフォトレジスト現像液に可溶となるフォトレジストの一種である。一般に、UV光は、好ましくは100~450nm、より好ましくは300~450nmの波長を有する。フォトマスク34の不透明領域44の下のポジ型フォトレジストの未露光領域は、フォトレジスト現像液に対して不溶性のままである。ポジ型フォトレジストは当技術分野において周知であり、高度に制御可能であるが、有機材料に対する現像液の損傷の性質のために、従来、有機デバイスをパターニングするときに使用することができなかった。この場合、UV光に晒されたポジ型フォトレジストの一部を溶解するために使用される現像液は、無機転写層18を貫通せず、したがって、その下の有機積層体を保護する。ネガ型フォトレジストは、溶媒の取り込みによって引き起こされる露出した架橋領域の膨潤のために分解能が制限されるため、一般的には使用されない。三層レジストシステムにおけるポジ型フォトレジストの使用は、ポジ型フォトレジストの耐エッチング性、優れた分解能、及び熱安定性から利益を得ることができる。本三層システムにおけるフォトマスクを有するポジ型フォトレジストの実装の更なる利点は、第2の色のOLED構造をパターニングするときに第1の色のOLED有機積層体26aがUV露光から保護されることである。ポジ型フォトレジスト層20の現像中、無機転写層18はバリア層として作用し、有機材料に非常に有害である現像液から有機積層体26aを保護する。三層レジストシステムは、単一の基板10上に複数の有機デバイス、具体的には多色OLEDアレイをパターニングするのに特に有利である。これは、第1の色用のOLEDのアレイをパターニングし、次いで、必要に応じて第2の色、次いで第3の色をパターニングし、フォトマスクが有機積層体堆積に望ましい下部電極のみを露出させることによって達成される。
【0166】
図5Bは、ポジ型フォトレジスト画像層のパターニングに続く、第1の電極、第2の電極及び三層レジストシステムの上に第1の色の有機積層体がパターニングされた基板の断面を示す。第1の色の有機積層体26aを備える既存の第1の色のOLED構造は、第1の下部電極14a上に既に形成されており、第2の色は、同じ基板10上の第2の下部電極14b上に形成されている。フルオロポリマーベース層16、無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20を有する三層システムは、基板並びにその上の電極及び有機積層体を覆っている。第2の色のOLEDのためのパターニングプロセスの次のステップにおいて、所望のパターンは、フォトマスクを使用してポジ型フォトレジスト層20に転写され、次いで現像液を使用して現像される。無機転写層18はバリアとして作用し、有機積層体26aを現像液から保護する。過剰な溶媒を除去するために露光後ベークプロセスが必要とされる場合、温度は、有機体26a内の有機層を損傷する可能性がある温度を超えてはならない。
【0167】
図5Cは、無機転写層のエッチングに続く、三層レジストシステムを伴う第2の電極、第1の電極上にパターニングされた第1の色の有機積層体を伴う基板の断面を示す。基板10は、その上に酸化物層12と、同じ基板10上の第1の下部電極14a上に形成された第1の色の有機積層体26aと、第2の下部電極14bとを備える既存の第1の色のOLED構造と、フルオロポリマーベース層16、無機転写層18、及びポジ型フォトレジスト層20を有する三層系とを有する。第2の色のOLEDをパターニングするためのプロセスの次のステップでは、次いで、ポジ型フォトレジスト層20に形成されたパターンは、ポジ型フォトレジスト層20の開口を通る第1の転写手順を使用して無機転写層18に転写される。ポジ型フォトレジスト層20の開口の下の無機転写層18をエッチングする転写手順は、湿式化学エッチング又は反応性イオンエッチング(RIE)技術などのドライエッチング技術であり得るが、これらに限定されない。第1の転写手順は、アンダーカット領域22が形成され、無機転写層18の残りのパターニングされていない領域40が残るように無機転写層18をパターニングすることになる。アンダーカット領域22は、フォトリソグラフィを使用してポジ型レジスト画像層20に形成されたパターンを複製するために無機転写層18の制御されたエッチングを通して形成することができ、次いで所望のアンダーカット22を形成するために追加のエッチング時間を可能にする。好ましくは、ポジ型レジスト画像層20の無機転写層18に対するエッチング選択性は、約0.78~0.82の間である。
【0168】
図5Dは、フルオロポリマーベース層のエッチングに続く、レジストシステムを伴う第2の電極、第1の電極上に第1の色の有機積層体がパターニングされた基板の断面を示す。基板10は、任意選択の酸化物層12と、同じ基板10上の第1の下部電極14a上に形成された第1の色の有機積層体26aと、第2の下部電極14bと、三層レジストシステムの残りの層、すなわち無機転写層18及びフルオロポリマーベース層16とを備える既存の第1の色のOLED構造とを有する。第2の色のOLEDをパターニングする際に、パターンは、酸素プラズマエッチング手順などの反応性イオンエッチング(RIE)手順であり得るがこれに限定されない第2の転写手順を使用して無機転写層18からフルオロポリマーベース層16に転写される。第2の転写手順は、横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38が形成され、無機転写層の残りのパターニングされていない領域40が残るように、フルオロポリマーベース層16をパターニングすることをもたらす。オフセット値は、横方向アンダーカット24を決定する。例えば、340~400nmのフルオロポリマーベース層16の厚さ及び100nmの無機転写層18の厚さの場合、下部電極活性領域46b上の有機積層体のシャドーイング及び不均一な堆積を防止するために、約0.33~0.35μmの最小オフセットが望ましい。残りのポジ型フォトレジスト画像層は、図5Cのフルオロポリマーベース層16をエッチングする現像プロセスによって除去され、三層レジストシステムのパターニング開口が形成されている。
【0169】
図5Eは、第2の有機積層体の熱蒸着に続く、第2の有機積層体がその上に堆積された第2の電極、第1の電極上にパターニングされた第1の色の有機積層体を伴う基板の断面を示す。基板10は、その上に堆積された任意選択の酸化物層12と、下部電極14a及び第1の色の有機積層体26aを備える第1の色のOLED構造とを有し、その上に保護フルオロポリマーベース層16及び無機転写層18がパターニングされていない領域40の下にある。三層レジストシステムを使用して第2の色のOLEDデバイスをパターニングする際に、第2の色の有機積層体26bが、第2の色の下部電極14bの上に、無機転写層18及びフルオロポリマーベース層16のパターニング開口を通して堆積される。フルオロポリマーベース層16の横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38は、蒸着堆積を使用して有機物を堆積させることを可能にする。一例では、第2の色の有機積層体26bは、点源からの熱蒸着によって堆積される。蒸着蒸着のためにシャドーマスクを使用することができ、蒸着ガスはシャドーマスクの開口を通って下部電極14b上に移動し、開口の下部の幅に対応する有機積層体26bが下部電極14b上に形成される。これにより、蒸着時の有機積層体26bのシャドー効果の発生や、内側及び外側のシャドーの幅の縮小を抑制することができる。シャドーマスクは、一般に、堆積、エッチング、又は基板の処理に適した様々な用途のために、デバイス領域を正確に画定するために使用される微細構造又はステンシルである。シャドーイング効果を回避するために有機積層体26bを下部電極14b上に堆積させる場合、精度が特に重要である。シャドーイング効果は、有機積層体26bが下部電極活性領域46を完全に覆わない結果となり得るものであり、その結果、下部電極活性領域46の周囲における有機積層体26b層の厚さの減少に起因して、その周囲における性能及びエッジ効果の減少をもたらし得る。これは更に、OLEDデバイスの最適でない電気的特性及び光学特性をもたらし得る。シャドーイング効果は、正確な堆積のためにシャドーマスクを使用することによって、並びにフルオロポリマーベース層に横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38を形成することによって低減することができる。横方向アンダーカットプロファイル24及び縦方向アンダーカットプロファイル38は、有機積層体26を、下部電極活性領域46の幅を延長する画定されたデバイス領域上に堆積させることを可能にする。
【0170】
図5Fは、リフトオフ手順後の第2の有機積層体を伴う第2の電極及び第1の電極上にパターニングされた第1の色の有機積層体を伴う基板の断面を示す。三層レジストシステムの残りの層、具体的には、フルオロポリマーベース層、無機転写層、及び無機転写層の上に形成された有機積層体を除去するために、リフトオフ手順が実行され、結果として得られる2色の有機積層体アレイは図示の通りである。リフトオフは、フルオロポリマーベース層と相互作用してこれと溶解するが、相互作用しないか、または有機積層体26a、26bと非常に弱く相互作用する溶媒に基板10を浸漬することによって達成される。有機積層体26a、26bのOLED材料は、リフトオフ後に所望のパターンで酸化物層12と共に基板10上に残される。
図5Gは、第2の電極上にパターニングされた第2の色のOLED及び第1の電極上にパターニングされた第1の色のOLEDを含む基板上の多色OLEDアレイの断面を示す。最終製造ステップは、有機積層体26a、26bの上に上部電極28a、28bを堆積することを含み、結果として得られるOLEDアレイは図示の通りである。有機積層体26a、26bは、それぞれ下部電極14a、14b上に形成される。下部電極14a、14bは、酸化物層12を備える基板10上に形成され、上部電極28a、28bは、この実施形態ではカソードである。上部電極28a、28bは、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)もしくはアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)及びインジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、又はGaドープ酸化亜鉛(ZnO)などの反射金属、半透明薄膜金属、又は透明導電性酸化物を備えることができる。下部電極14a、14bは、例えば、スパッタリング、蒸着、又はスピンコーティング技術を用いて堆積させることができる。
【0171】
図6Aは、3層レジストシステムのポジ型フォトレジスト層のフォトリソグラフィ現像後の第1パターンの光学顕微鏡を用いて捕捉された上面画像を示す。図6Bは、3層レジストシステムのポジ型フォトレジスト層のフォトリソグラフィ現像後に第2パターンの光学顕微鏡を用いて捕捉された上面画像を示す。図6Cは、3層レジストシステムのポジ型フォトレジスト層のフォトリソグラフィ現像後に第3パターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0172】
次に、図7に示すように、ウェットエッチング技術を用いて無機転写層をエッチングした。図7は、エッチング前のウェハ60及びエッチングプロセス後の同じウェハ上の無機転写層62を示す。一実施形態では、エッチング液は、例えば、リン酸、硝酸、酢酸及び/又は水のうちの1つ以上であり得る。第1の転写層のウェットエッチングステップと第2の転写層のウェットエッチングステップとで異なるエッチング方法を用いて、追加の中間エッチングステップを行うことができる。
【0173】
図8Aは、無機転写層のウェットエッチング後の第1パターンの光学顕微鏡を用いて捕捉された上面画像を示す。図8Bは、無機転写層のウェットエッチング後の第2パターンの光学顕微鏡を用いて捕捉された上面画像を示す。図8Cは、無機転写層のウェットエッチング後の第3パターンの光学顕微鏡を用いて捕捉された上面画像を示す。
【0174】
図9Aは、フルオロポリマーベース層のドライエッチング後に第1のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。フルオロポリマーベース層を、ドライエッチング技術を使用してO2プラズマでエッチングした。図9Bは、フルオロポリマーベース層のドライエッチング後に第2のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。図9Cは、フルオロポリマーベース層のドライエッチング後に第3のパターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された上面画像を示す。
【0175】
図10は、フルオロポリマーベース層のアンダーカットの電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)によって捕捉されたプロファイル図画像を示す。CYTOPベース層のリフトオフを容易にするためのアンダーカットを、高圧-低出力O2プラズマプロセスを用いて30分間生成した。より低い圧力及び高出力での垂直O2プラズマエッチングによるCYTOPベース層のドライエッチング中に、図10に示すように、ストランド48が形成され、無機転写層の側壁から垂れ下がり、アンダーカット領域22に向かって屈曲することが発見された。これらのストランド48はCYTOPであり、リフトオフの問題は生じないが、ベース層のエッチングに対するわずかな修正がそれらを除去するのに成功したことが決定された。図11Aは、第1のパターンのための三層レジストシステムのパターニングに成功した後に電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)によって捕捉された上面図画像を示す。図11Bは、第1パターンのCYTOPベース層に形成されたアンダーカットのサイドプロファイルを更に示す、FESEMで捕捉されたサイドプロファイル図画像である。図11Cは、第1のパターンのための三層レジストシステムのパターニングの成功後にFESEMによって捕捉された等角図画像を示す。
【0176】
図11Aは、第1のパターンのための有機層の堆積前の、三層レジストシステムのパターニングに成功した後に電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)によって捕捉された上面図画像を示す。図11Bは、FESEMによって捕捉された側面プロファイル図画像を示し、第1のパターンの、有機層の堆積前の、フルオロポリマーベース層に形成されたアンダーカットの側面プロファイルを更に示す。図11Cは、第1のパターンのための有機層の堆積前の、三層レジストシステムのパターン形成に成功した後のFESEMによって捕捉された等角図画像を示す。
【0177】
図12は、第2のパターンのための有機層の堆積前の、三層レジストシステムのパターン形成に成功した後のFESEMによって捕捉された上面画像を示す。
【0178】
図13Aは、第3のパターンのための、有機層の堆積前の、三層レジストシステムのパターン形成に成功した後のFESEMによってキャプチャされた上面図画像を示す。図13Bは、第3のパターンのための有機層の堆積前の、三層レジストシステムのパターン形成に成功した後のFESEMによって捕捉された等角図画像を示す。
【0179】
三層フォトレジストシステムの残りの構成要素の全てのリフトオフを達成するために、基板をCT-Solve100Eに浸漬し、超音波処理を行った。図14Aは、フルオロポリマーベース層のリフトオフ後に光学顕微鏡を使用して捕捉された第1のパターンの上面画像を示し、有機デバイスの堆積の準備ができた清浄な下部電極のアレイのパターニングの成功を示す。図14Bは、フルオロポリマーベース層のリフトオフに続いて光学顕微鏡を使用して捕捉された第2のパターンの画像を示し、有機デバイスの堆積の準備ができた清浄な下部電極のアレイのパターニングの成功を示す。図14Cは、フルオロポリマーベース層のリフトオフに続く第3パターンの光学顕微鏡を使用して捕捉された画像を示し、有機デバイスの堆積の準備ができた清浄な下部電極のアレイのパターニングの成功を示す。
【0180】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示し、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における任意の先行技術への言及は、そのような先行技術が共通の一般知識の一部を形成することの承認又は任意の形態の示唆ではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0181】
このように説明されている本発明は、多くの方法で変更することができることは明らかであろう。そのような変形は、本発明の範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、当業者に明らかであるような全てのそのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
【国際調査報告】