(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】圧延機内のバッテリ駆動式スマートガイドノードネットワークからのデータ、問題、損傷、操縦、およびエラーの自動較正ならびにリアルタイム通信
(51)【国際特許分類】
B21B 39/14 20060101AFI20240717BHJP
B21B 39/16 20060101ALI20240717BHJP
B21C 51/00 20060101ALI20240717BHJP
B21B 38/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B21B39/14 E
B21B39/16
B21C51/00 R
B21B38/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575953
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 US2022031020
(87)【国際公開番号】W WO2022260865
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316012658
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Primetals Technologies USA LLC
【住所又は居所原語表記】5895 Windward Parkway,Alpharetta,Georgia 30005,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・レ
(57)【要約】
圧延機において使用するためのシステムが開示される。このシステムは、(a)複数のローラを収容するロールホルダと、(b)ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールと、を備える。スマートモジュールは、(1)スマートモジュールに給電する電源、(2)マイクロコントローラ、(3)マイクロコントローラからの命令に基づき、ロールホルダを移動することにより複数のローラの位置を制御するモータ、(4)ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、および(5)中央制御コンピュータとの間において通信を行うことにより、(i)中央制御コンピュータに対してロールホルダの位置および他のセンサデータを通信し、(ii)ロールホルダの位置を制御するための命令を中央制御コンピュータから受信する、通信モジュールを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機において使用するためのシステムであって、
(a)複数のローラを収容するロールホルダと、
(b)前記ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールであって、
(1)前記スマートモジュールに給電する電源、
(2)マイクロコントローラ、
(3)前記マイクロコントローラからの命令に基づき、前記ロールホルダを移動することにより前記複数のローラの位置を制御するモータ、
(4)前記ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、および
(5)中央制御コンピュータとの間において通信を行うことにより、(i)前記中央制御コンピュータに対して前記ロールホルダの前記位置を通信し、(ii)前記ロールホルダの前記位置を制御するための命令を前記中央制御コンピュータから受信する、通信モジュール、
を備える、スマートモジュールと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記スマートモジュールは、前記圧延機の状況に関する1つ以上の警告を通知するためのインジケータをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記インジケータは、多色発光ダイオード(LED)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の警告は、以下のもの、すなわち感知された前記ロールホルダの位置が較正された前記ロールホルダの位置と所定の閾値だけ異なる場合に発せられる第1の警告、圧延されている製品サイズが較正されたサイズと異なる場合に発せられる第2の警告、感知された前記ロールホルダの配向が較正された前記ロールホルダの配向と異なる場合に発せられる第3の警告、およびマイクロフォンを介して収集された音響データの音響スペクトル分析により前記圧延機の問題が示唆される場合に発せられる第4の警告のうちのいずれかである、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記通信モジュールは、前記中央制御コンピュータとの間において無線通信を行うことが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記スマートモジュールは、加速度計をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記スマートモジュールは、温度センサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電源は充電式バッテリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記スマートモジュールは、マイクロフォンをさらに備え、
前記マイクロフォンから音響データを収集し、
前記収集された音響データに対して音響スペクトル分析を実施し、
前記音響分析に基づき、前記圧延機に関する1つ以上の問題を特定し、
前記通信モジュールを介して前記中央制御コンピュータに対して前記1つ以上の問題を通信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記音響スペクトル分析は、高速フーリエ変換(FFT)により実施される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、使用前に較正され、かかる較正は、
オフラインアライメントステーションから前記複数のローラに関する位置データを受信することと、
前記受信した位置データに従って前記複数のローラの前記位置を調節することと、
前記較正の一部として、以下のデータ、すなわちローラ位置データ、製品サイズデータ、取付け側データ、スタンド個数データ、ユーザデータ、および日時データのうちの1つもしくは複数またはそれらの組合せを受信および記憶することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
圧延機において使用するためのシステムであって、
(a)複数のローラを収容するロールホルダと、
(b)前記ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールであって、
(1)前記スマートモジュールに給電する電源、
(2)マイクロコントローラ、
(3)前記マイクロコントローラからの命令に基づき、前記ロールホルダを移動することにより前記複数のローラの位置を制御するモータ、
(4)前記ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、
(5)音響データを収集するためのマイクロフォンであって、前記収集した音響データに対して音響スペクトル分析を実施し、前記音響分析に基づき前記圧延機に関する1つ以上の問題を特定する、マイクロフォン、および
(6)中央制御コンピュータとの間において通信を行うことにより、(i)前記中央制御コンピュータに対して前記ロールホルダの前記位置および他のセンサデータを通信し、(ii)前記ロールホルダの前記位置を制御するための命令を前記中央制御コンピュータから受信し、(iii)音響分析に基づき特定された1つ以上の問題を中央制御コンピュータに対して通信する、通信モジュール、
を備える、スマートモジュールと、
を備える、システム。
【請求項13】
前記音響スペクトル分析は、高速フーリエ変換(FFT)を利用する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記スマートモジュールは、前記圧延機の状況に関する1つ以上の警告を通知するためのインジケータをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記インジケータは、多色発光ダイオード(LED)である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上の警告は、以下のもの、すなわち感知された前記ロールホルダの位置が較正された前記ロールホルダの位置と所定の閾値だけ異なる場合に発せられる第1の警告、圧延されている製品サイズが較正されたサイズと異なる場合に発せられる第2の警告、感知された前記ロールホルダの配向が較正された前記ロールホルダの配向と異なる場合に発せられる第3の警告、およびマイクロフォンを介して収集された音響データの音響スペクトル分析により前記圧延機の問題が示唆される場合に発せられる第4の警告のうちのいずれかである、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記通信モジュールは、前記中央制御コンピュータとの間において無線通信を行うことが可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記スマートモジュールは、加速度計をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記スマートモジュールは、温度センサをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記電源は充電式バッテリである、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、使用前に較正され、かかる較正は、
オフラインアライメントステーションから前記複数のローラに関する位置データを受信することと、
前記受信した位置データに従って前記複数のローラの前記位置を調節することと、
前記較正の一部として、以下のデータ、すなわちローラ位置データ、製品サイズデータ、取付け側データ、およびスタンド個数データの1つもしくは複数またはそれらの組合せを受信および記憶することと、
を含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には圧延機の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、バッテリ駆動式スマートガイドノードネットワークを利用した圧延機のローラガイドにおけるデータ、問題、損傷、操縦、およびエラーの自動較正ならびにリアルタイム通信に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラガイドは、ミスにより誤った側へと(もしくは不正確な側へと、LHもしくはRHにおいて)較正される場合があり、または(それぞれの側の各ストランド上にスタンドが位置して対向し合う2ストランド圧延機の場合に)誤った側のスタンド上に設置される場合がある。この状況は、目視検査による検出が不可能であり、ガイドは、オペレータにより認識されないままに作動される場合がある。この欠陥状況において圧延機で作動させることにより、ガイドの早期エラー、計画外の圧延機のダウンタイム、および/または最終製品品質の低下が生じる場合がある。本開示の方法は、リアルタイムフィードバックを提供し、ガイドが誤って位置決めされた場合にオペレータに対して警告を行う。
【0003】
ローラガイドは、較正後に、圧延機上への設置前にアイドリング状態にある状況において、手動による操縦が可能である。この状況は、良い運用ではないが、他のオペレータにとって容易に判別できるものではない。この操縦による調節は、ガイドの早期エラー、計画外の圧延機のダウンタイム、および/または最終製品品質の低下をもたらし得る。本開示の方法は、リアルタイムフィードバックを提供し、ガイドが較正後に操縦されたまたは手動調節された場合にオペレータに対して警告を行う。
【0004】
ローラガイドまたは圧延機内の他の装置は、最初に音の変化として現れる問題を有することが時としてある。こういった問題の一部は、これらの音の変化の判別に経験を有するオペレータによって検出される場合もあるが、しかし他のものは聞き逃される場合が、または単純に不明瞭なものである場合がある。本開示の方法は、後にオペレータに対して警告を与える、問題のリアルタイム音判別のための解決策を提供する。
【0005】
ローラガイドは、不注意により、誤った仕上がり製品サイズへと設定される場合がある。この状況は、オペレータにとって常に容易に判別できるものであるとは限らず、識別するためには非常に注意深い検査が必要となる。この状況において圧延機で作動させることにより、ガイドの早期エラー、計画外の圧延機のダウンタイム、および/または最終製品品質の低下がもたらされる場合がある。本開示の方法は、圧延機の作動前に、誤った製品へと設定されたガイドが使用選択または使用される場合に、オペレータに対してリアルタイムフィードバックを提供する。
【0006】
ローラガイドの調節および較正を行うには、ガイドを正確な配向へと物理的に調節するためにかなりの肉体的労力が必要となる。このプロセスは、多大な時間を要し、不注意、失敗、および人によってまたはガイドごとによって様々なムラが生じてしまう場合がある。本開示の方法は、自動較正および自動調節をローラガイドに提供する。
【0007】
これらのそれぞれの問題は、現行においては手作業により実施され、オペレータによる注意深い配慮および個別検査のみによって判別され得る。
【0008】
Bradshawの特許文献1は、圧延機のロールパス内に加工物を案内するためのローラガイドアセンブリを開示している。
図5は、Bradshawによるローラガイドアセンブリ18を示す。このガイドアセンブリは、剛性ハウジング構造体と、加工物の意図される移動方向の両側においてハウジング構造体の長さ方向に延在する1対のローラホルダ26であって、圧縮ばね32がローラホルダ26中のボア内に配置される(これらのばねはカバープレート34を介して各ボア内に捕捉され、ハウジング構造体は鉛直方向ピボット30をさらに備える)1対のローラホルダ26と、ローラホルダ26上に回転可能に支承されたガイドローラ28であって、ガイドローラ28同士の間に間隙を画成し、圧延機のロールパス内に加工物を係合および案内するように構成された、ガイドローラ28と、ガイドローラの回転軸に対して略平行に延在する軸を中心として移動するようにハウジング構造体上にローラホルダを取り付けるためのピボットと、ガイドローラ同士を離すように付勢する方向へと各軸を中心としてローラホルダを回転させるためにローラホルダに対して力を印加するためのばねと、ローラホルダの回転に抵抗するためのハウジング構造体上のストッパであって、これらのストッパのうちの少なくとも1つが、各ローラホルダに対して印加される力の指標を与えるために力センサを介して作動する、ストッパと、を備える。ロールホルダ26のばね誘発される回転は、荷重感知センサ38により接触されるように位置決めされた調節ねじ36を備えるストッパによる抵抗を受ける。駆動箇所48aは、ガイドのオフライン設定のために一般的に利用される、手動調節のためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,209,378号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、先行技術のシステムおよび方法の改良である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、本発明は、圧延機において使用するためのシステムを提供する。このシステムは、(a)複数のローラを収容するロールホルダと、(b)ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールと、を備える。このスマートモジュールは、(1)スマートモジュールに給電する電源、(2)マイクロコントローラ、(3)マイクロコントローラからの命令に基づき、ロールホルダを移動することにより複数のローラの位置を制御するモータ、(4)ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、および(5)中央制御コンピュータとの間において通信を行うことにより、(i)中央制御コンピュータに対してロールホルダの位置および他のセンサデータを通信し、(ii)ロールホルダの位置を制御するための命令を中央制御コンピュータから受信する、通信モジュールを備える。
【0012】
他の実施形態では、本発明は、圧延機において使用するためのシステムを提供する。このシステムは、(a)複数のローラを収容するロールホルダと、(b)ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールと、を備える。このスマートモジュールは、(1)スマートモジュールに給電する電源、(2)マイクロコントローラ、(3)マイクロコントローラからの命令に基づき、ロールホルダを移動することにより複数のローラの位置を制御するモータ、(4)ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、(5)音響データを収集するためのマイクロフォンであって、収集した音響データに対して音響スペクトル分析を実施し、音響分析に基づき圧延機に関する1つ以上の問題を特定する、マイクロフォン、および(6)中央制御コンピュータとの間において通信を行うことにより、(i)中央制御コンピュータに対してロールホルダの位置および他のセンサデータを通信し、(ii)ロールホルダの位置を制御するための命令を中央制御コンピュータから受信する、(iii)音響分析に基づき特定された1つ以上の問題を中央制御コンピュータに対して通信する、通信モジュールを備える。
【0013】
1つ以上の様々な例により、添付の図面を参照として本開示を詳細に説明する。これらの図面は、もっぱら例示を目的として提示されるものであり、本開示の例を示すにすぎない。これらの図面は、本開示の読者の理解を促すために提示されるものであり、本開示の領域、範囲、または適用性を限定するものとみなされるべきではない。これらの図面は、例示の明瞭化および簡略化を目的として、必ずしも縮尺どおりに示されるとは限らない点に留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ローラガイドに対する「スマートモジュール」の追加を示す図である。
【
図2】本発明のシステムが圧延機においてどのように設定されるかを示す全体構成図である。
【
図3】ローラガイドに関連する較正プロセスを示す図である。
【
図5】先行技術のローラガイドアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、好ましい一実施形態において図示および説明されるが、多数の様々な構成において作製することができる。本発明の好ましい一実施形態が、図面に示され、本明細書において詳細に説明されるが、これは、本開示が、本発明の原理および構成するための関連する機能的詳細の例示としてみなされるべきであり、例示する実施形態に本発明を限定するようには意図されないという理解のもとにおいてなされる。本発明の範囲内において、多数の他の可能な変形例が当業者には予期されよう。
【0016】
本説明では、「一実施形態」という語が示すものは、言及される特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態の中に含まれるということを意味する。さらに、本説明において、「一実施形態」という語が示すそれぞれ別個のものが、同一の実施形態を必ずしも指すわけではなく、明記されない限りにおいてはおよび当業者に容易に明らかとなる場合を除いては、それらのいずれも相互に排他的な実施形態ではない。したがって、本発明は、本明細書において説明される実施形態の任意の多様な組合せおよび/または一体物を含み得る。
【0017】
これらの問題はそれぞれ、ローラガイドに対して「スマートモジュール」を追加することで解決される。
図1は、本発明の教示によるローラガイドのためのスマートコントローラを示す。このスマートモジュールは、マイクロコントローラ102と、無線通信モジュール104と、ローラホルダ110を移動することによりローラ108の位置を制御するためのモータ106(例えばステップモータ)と、加速度および配向を検出する加速度計120と、ローラホルダの位置を感知するための位置センサ112と、ローラガイド内の1つ以上の位置における温度を測定するための温度センサと、マイクロフォン114と、を備える。加速度計は、3軸方向において重力に起因する加速度を測定することによって空間内におけるローラガイドの配向を判定するために使用される。z軸が水平方向に設定された場合に、このz軸は、ガイドが一方の側に傾いたときに完全な重力影響を示すことになる。他の軸のうちの1つは、部分的な重力影響を示し始める。このデータは、ガイドの角度位置を算出するために使用される。また、加速度計は、概してX軸、Y軸、およびZ軸に関して加速度振幅を測定し、そのことにより、振動の増加として現れる問題が生じているか否かを判定することができる。
【0018】
また、一実施形態では、加速度計データは、圧延の最中にローラガイドの取付けに緩みが生じたことを検出するためにも使用される点を指摘しておく。このシナリオでは、動作中には圧延機のカバーが閉じられているため、オペレータは取付けに緩みが生じている状況に気づかない。動作中に、加速度計が配向の変化を示すと、中央制御コンピュータは、ガイドがその取付け部から緩んでいる可能性があるという警告をオペレータに対して行う。
【0019】
温度センサは、取付け位置に応じて、スマートモジュール内部の全体雰囲気温度またはガイド自体のバルク温度の測定を行い得る。ガイドがある種の問題を有し、ガイドまたは雰囲気空気のバルク温度が上昇し始めると、温度センサは、この変化を検出し、必要に応じてオペレータに対して警告を行う。これは、問題が何であるかの判定を、および調査のために圧延機の一時停止を行うに十分な重大事象か否かの判定を支援するために、例えばマイクロフォンおよび加速度計などの他のセンサデータと組み合わせて使用される。
【0020】
スマートモジュールは、充電式バッテリ116により給電され、これにより圧延機内において完全な無線動作が可能となる。また、スマートモジュールは、様々な警告またはステータスを示唆するために、多色LED118を取り付けられる。
【0021】
図4は、1対のローラホルダを示す。典型的には、1対のローラが標準であり、この場合には1つのローラが各ロールホルダ内に保持される。場合によっては、各ロールホルダに対して2つのローラが使用されてもよい。
【0022】
加速度計は、空間内におけるガイドの配向を検出するために使用され、具体的にはガイドが正確な側(LHまたはRH)のスタンド上に取り付けられているか否かを検出するため使用される。これらのスタンドは、相互に対して90度の角度で配向され、一般的には地表に対して45度の角度をなして配向される。そのため、加速度計からの信号は、ガイドがLHスタンドまたはRHスタンドのいずれに対して取り付けられているかを検出するために使用される。また、加速度計は、ガイドにおける振動を検出するために使用され、具体的にはローラ/軸受にエラーが生じているか否かの判定を行うためにローラ/軸受からの振動を検出するために使用される。
【0023】
図2では、かかるシステムを圧延機にどのように設置するかという全体的な構成を示す。スマートモジュール202A~202Cを取り付けられた複数のガイドが、圧延機200上に定位置に取り付けられる。これらのスマートモジュールは、付近の中央制御コンピュータ204との間において同時に通信を行う。中央コンピュータは、各スマートモジュールの動作モードを設定することが可能であり、ガイドローラを移動させるための命令を送信し、センサデータ、警告、および一般情報を含むデータをスマートモジュールから受信することが可能である。
【0024】
ローラガイドは、圧延機への設置前に、オフラインアライメントステーション206上で較正される。このオフラインアライメントステーション206もまた、コンピュータ制御されるシステムである。オフラインアライメントステーションもまた、スマートモジュールとの間で通信を行い得る。
【0025】
図3は、較正プロセスを示す。オフラインアライメントステーション302が、スマートモジュール304に対して位置情報を送信し、次いでスマートモジュール304が、ガイドローラの位置を正確な位置へと自動調節する。較正が完了すると、オフラインアライメントステーションは、ローラ位置、製品サイズ、取付け側、スタンド個数、等を含む様々な設定情報をスマートモジュールに対して通信し、スマートモジュールは、メモリにこのデータを保存する。
【0026】
一実施形態では、本発明は、圧延機において使用するためのシステムを提供する。このシステムは、(a)複数のローラを収容するローラホルダと、(b)ローラホルダに対して結合されたスマートモジュールと、を備える。このスマートモジュールは、(1)スマートモジュールに給電する電源、(2)マイクロコントローラ、(3)マイクロコントローラからの命令に基づきローラホルダを移動することにより複数のローラの位置を制御するモータ、(4)ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、および(5)中央制御コンピュータとの間で通信を行うことにより(i)中央制御コンピュータに対してロールホルダの位置および他のセンサデータを通信し、(ii)ロールホルダの位置を制御するための命令を中央制御コンピュータから受信する、通信モジュールを備える。
【0027】
他の実施形態では、本発明は、圧延機において使用するためのシステムを提供する。このシステムは、(a)複数のローラを収容するロールホルダと、(b)ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールと、を備える。このスマートモジュールは、(1)スマートモジュールに給電する電源、(2)マイクロコントローラ、(3)マイクロコントローラからの命令に基づきロールホルダを移動することにより複数のローラの位置を制御するモータ、(4)ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、(5)音響データを収集するためのマイクロフォンであって、マイクロコントローラが、収集された音響データに関する音響スペクトル分析を実施し、音響分析に基づき圧延機に関連する1つ以上の問題を特定する、マイクロフォン、および(6)中央制御コンピュータとの間で通信を行うことにより(i)中央制御コンピュータに対してロールホルダの位置および他のセンサデータを通信し、(ii)ロールホルダの位置を制御するための命令を中央制御コンピュータから受信し、(iii)音響分析に基づき特定された1つ以上の問題を中央制御コンピュータに対して通信する、通信モジュールを備える。
【0028】
ローラの位置は、位置センサを介してスマートモジュールメモリ上に記憶される。それにより、スマートモジュールは、較正後に変化が生じた場合にこれをオペレータに通知することが可能となる。スマートモジュールがオンに切り替えられると、マイクロコンピュータは、記憶された数値に対して位置センサの現在出力値を継続的に比較する。変化(規定の閾値を上回る)が検出されると、スマートモジュールは、内蔵LEDを赤色点滅させるなどの示唆を与える。
【0029】
各ガイドに設定される製品サイズは、較正プロセスに基づきスマートモジュールメモリ上に記憶される。ガイドが圧延機において使用されることが可能になるためには、その前に、ガイドは、中央制御コンピュータとの間におけるハンドシェイクにより同期されなければならない。このハンドシェイクは、スマートモジュールメモリ内に記憶されたデータを中央コンピュータへ転送し、ガイドを「使用可能」モードへと設定する。オペレータは、任意のガイドを圧延期間に対して同期させる前に、中央コンピュータ上において圧延されることとなる製品を選択しなければならない。オペレータが異なる製品向けに設定されたガイドを追加しようとする場合は、オペレータは、この問題についての警告を受ける。
【0030】
較正された側は、圧延機にガイドが取り付けられる側と一致しなければならないため、取付け側が記憶される。ローラガイドが圧延機上に設置可能な状態になると、スマートモジュールに対する電源がオンに切り替えられる。マイクロコントローラは、給電されると、加速度計からの配向データを継続的に読み取り、このデータを較正された側に対して比較する。この配向が、較正された側と一致する場合には、スマートモジュールは、内蔵LEDを緑色点灯させるなどの示唆を与える。配向が、較正された側とは逆である場合には、スマートモジュールは、内蔵LEDを赤色点滅させるなどの示唆を与える。
【0031】
ローラガイドが圧延機に取り付けられる場合に、オペレータは、中央コンピュータを介して音響を使用した問題検出を開始させるための命令を送信することができる。スマートモジュールは、マイクロフォンから音響データを収集し、高速フーリエ変換による音響スペクトル分析を実施する。スマートモジュールは、スペクトル成分データを中央コンピュータへ送信し、中央コンピュータは、潜在的問題に関してこのデータの分析を行う。問題が特定されると、オペレータに通知される。
【0032】
図1では、位置センサ112が示されるが、位置センサ112に加えて他のセンサもまた予期される。例えば、一実施形態では、加速度計ブロック120または位置センサブロック112が、圧延機における問題を特定するために使用され得る温度センサをさらに備えることが可能である。代替的には、この温度センサは、
図1に示す構造体のいずれかの位置に取り付けられる独立センサであることが可能である。
【0033】
本発明の利点としては、先行技術の解決策と比較した場合の、ガイドエラーの減少、仕上がり製品品質の高さ、圧延機ダウンタイムの短縮、ガイド設備の耐用寿命の長寿命化、ならびにローラガイドの維持およびモニタリングに必要な人力の削減が含まれる。
【0034】
具体的には、内臓センサおよび中央コンピュータとの無線通信を備えたガイドに対してスマートモジュールを追加するという特徴により、上述の利点の実現が可能になる。
【0035】
本発明の他の利点は、既存の圧延機の改造またはアップグレードが可能になるという点である。
【0036】
異なる構成のセンサおよびアクチュエータにより、これらの問題を解決することも場合によっては可能である。さらに、通信は、無線ではなく完全に有線化することが可能であり、スマートモジュールは、個々のバッテリではなく幹線電源により給電することが可能である。
【0037】
一実施形態では、スマートモジュールは、相互におよび中央制御コンピュータとの間で通信を行う。いくつかの状況では、これにより、エラー事象下において対処を行うようにガイド同士が相互に指示を出すことが可能となり、または中央制御コンピュータを介さないある特定の適用が可能となり、またはシステム効率が単純に全体的に改善される。
【0038】
他の実施形態では、中央制御コンピュータが不要となる。なぜならば、スマートモジュールは、それ自体において調節および判定を行い、自律動作を行い、任意に他のスマートモジュールとの間で依然として通信を行うことも可能であるからである。この構成もまた、スマートモジュールからの情報を表示する中央ディスプレイ画面を有することが依然として可能である。スマートモジュールは、中央制御コンピュータに対して通信を行うのと同一方法で無線通信を介して相互に通信することができる。また、これは有線接続を介して行うことも可能である。スマートモジュール同士の間における通信が有利となり得る複数の状況が存在する。かかる状況の一例は、スマートモジュール同士の間の距離が比較的遠く(スマートガイドが利用される複数の圧延機位置を有する圧延機において)、ガイドと中央制御コンピュータとの間の直接的な通信が不可能となり得る場合である。この例では、命令カスケードは、1つのスマートモジュールに対して通信を行うことにより実現されることが可能であり、次いでこのスマートモジュールは、対処を行うように他のスマートモジュールに対して指示する。直接的な通信が有利となるもう1つの例は、中央制御コンピュータとガイドとの間において必要な通信を簡素化する場合である。例えば、圧延機のすべての5つのガイドが作動されるべき場合に、中央制御コンピュータに対するセンサデータの送信を開始するようにガイドを作動させるために、命令が各ガイドに送信され得る。ガイドのうちの1つが「マスター」として規定されるシナリオでは、その1つのガイドに対して作動命令を送信することが可能であり、さらにこのガイドは、圧延機の他の4つのガイド(「スレーブ」)に対して作動命令を送信する。理想的には、システムは、中央コンピュータ-ガイド間通信とガイド-ガイド間通信との両方の組合せを有することになる。スマートモジュール同士の間の通信は、同一の設備により行うことが可能である。
【0039】
上述の特徴および適用は、コンピュータ可読記憶媒体(コンピュータ可読媒体とも呼ばれる)上に記録された命令セットとして指定されるソフトウェアプロセスとしての実装が可能である。これらの命令が、1つ以上の処理ユニット(例えば1つ以上のプロセッサ、プロセッサのコア、あるいは他の処理ユニットなど)により実行されると、これらの命令は、処理ユニットに、命令中に示唆される動作を実施させる。また、本開示の範囲内に含まれる実施形態は、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造を搬送するためのまたは格納された、有形および/または非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えてもよい。かかる非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、汎用コンピュータまたは任意の特定用途プロセッサの機能設計を有する専用コンピュータによるアクセスが可能な、任意の利用可能な媒体であることが可能である。例えば、限定するものではないが、かかる非一時的コンピュータ可読記憶媒体としては、フラッシュメモリ、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、またはコンピュータ実行可能命令、データ構造、もしくはプロセッサチップ設計の形態の所望のプログラムコード手段を搬送もしくは格納するために使用され得る任意の他の媒体が含まれ得る。コンピュータ可読媒体には、無線もしくは有線接続を介して送られる搬送波および電子信号は含まれない。
【0040】
コンピュータ実行可能命令としては、例えば汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理デバイスにある特定の機能または機能群を実施させる命令およびデータが含まれる。また、コンピュータ実行可能命令としては、スタンドアローンまたはネットワーク環境でコンピュータにより実行されるプログラムモジュールが含まれる。一般的に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実施するもしくは特定の抽象データタイプを実装する、特定用途プロセッサ設計に固有のルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造、オブジェクト、およびファンクション等が含まれる。コンピュータ実行可能命令、関連データ構造、およびプログラムモジュールは、本明細書において開示される方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の例に相当する。かかる実行可能命令または関連データ構造の特定のシーケンスは、かかるステップに記述される機能を実現するための対応する動作の例に相当する。
【0041】
コンピュータプログラムを実行するために適したプロセッサとしては、例えば、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが含まれる。一般的に、プロセッサは、リードオンリーメモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実施または実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般的に、コンピュータは、例えば磁気ディスク、磁気光学ディスク、もしくは光学ディスクなどの、データを格納するための1つ以上の大容量記憶デバイスをさらに備えることになる、またはそのような大容量記憶デバイスとの間におけるデータの送信、受信、もしくはその両方を行うために動作結合されることになる。しかし、コンピュータは、かかるデバイスを有することを必須としない。さらに、コンピュータは、別のデバイスにおいて具現化することが可能である。
【0042】
本明細書において、「ソフトウェア」という用語は、リードオンリーメモリ内に存在するファームウェアか、または例えばプロセッサによる処理を行うためにメモリ内に読み込み可能なソリッドステートデバイスなどの、磁気ストレージもしくはフラッシュストレージに格納されたアプリケーションを含むことを意味する。また、いくつかの実装形態では、複数のソフトウェア技術は、別個のソフトウェア技術でありながら、より大きなプログラムのサブパーツとして実装されることが可能である。いくつかの実装形態では、複数のソフトウェア技術が、それぞれ別個のプログラムとして実装されることも可能である。最後に、本明細書において説明されるソフトウェア技術を共に実装する別個のプログラム同士の任意の組合せが、対象技術の範囲内に含まれる。いくつかの実装形態では、これらのソフトウェアプログラムは、1つ以上の電子システム上において動作するように設置された場合に、ソフトウェアプログラムのオペレーションを実行および実施する1つ以上の専用マシン実装形態を構成する。
【0043】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型言語またはインタプリタ型言語、宣言型原語または手続き型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述することが可能であり、スタンドアローンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、もしくはコンピューティング環境における使用に適した他のユニットとしての形態を含む、任意の形態で展開することが可能である。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応するものであってもよいが、必須ではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えばマーク付き言語ドキュメント内に格納された1つ以上のスクリプトなど)を保持するファイルの一部分に、当該プログラム専用の単一ファイル内に、あるいは複数連携ファイル(例えば1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を格納するファイルなど)内に格納することが可能である。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上において、または1つのサイトに位置するもしくは複数のサイトにわたって分散され通信ネットワークにより相互接続された複数のコンピュータ上において実行されるように展開することが可能である。
【0044】
上述のこれらの機能は、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアにおいて実装することが可能である。これらの技術は、1つ以上のコンピュータプログラム製品を利用して実装することが可能である。プログラマブルプロセッサおよびプログラマブルコンピュータは、モバイルデバイス内に備えられるまたはモバイルデバイスとしてパッケージングされることが可能である。これらのプロセスおよび論理フローは、1つ以上のプログラマブルプロセッサおよび1つ以上のプログラマブル論理回路により実施することが可能である。汎用コンピューティングデバイスおよび専用コンピューティングデバイス、ならびにストレージデバイスは、通信ネットワークを経由して相互接続することが可能である。
【0045】
いくつかの実装形態は、機械可読媒体またはコンピュータ可読媒体(代替的にはコンピュータ可読記憶媒体、機械可読媒体、または機械可読記憶媒体と呼ばれる)にコンピュータプログラム命令を格納する、例えばマイクロプロセッサ、ストレージおよびメモリなどの電子コンポーネントを備える。かかるコンピュータ可読媒体のいくつかの例としては、RAM、ROM、リードオンリーコンパクトディスク(CD-ROM)、レコーダブルコンパクトディスク(CD-R)、リライタブルコンパクトディスク(CD-RW)、リードオンリーデジタルヴァーサタイルディスク(例えばDVD-ROM、デュアルレイヤーDVD-ROMなど)、様々なレコーダブル/リライタブルDVD(例えばDVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWなど)、フラッシュメモリ(例えばSDカード、mini-SDカード、micro-SDカードなど)、磁気ハードドライブもしくはソリッドステートハードドライブ、リードオンリーBlu-Ray(登録商標)ディスクおよびレコーダブルBlu-Ray(登録商標)ディスク、超高密度光ディスク、任意の他の光学媒体もしくは磁気媒体、ならびにフロッピーディスクが含まれる。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つの処理ユニットにより実行可能であり、様々な動作を実施するための命令セットを含む、コンピュータプログラムを格納することが可能である。コンピュータプログラムまたはコンピュータコードの例としては、例えばコンパイラなどにより生成される機械コードと、インタプリタを利用してコンピュータ、電子コンポーネント、またはマイクロプロセッサにより実行される高水準コードを含むファイルとが挙げられる。
【0046】
上記で論じたことは、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサまたはマルチコアプロセッサを主に参照とするものであるが、いくつかの実装形態は、例えば特定用途集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ以上の集積回路により実施される。いくつかの実装形態では、かかる集積回路は、回路自体上に格納される命令を実行する。
【0047】
本明細書および本願の任意の請求項において、「コンピュータ」、「サーバ」、「プロセッサ」、および「メモリ」という用語はいずれも、電子デバイスまたは他の技術によるデバイスを示す。これらの用語は、人間または人間のグループを含まない。本明細書の目的において、表示または表示するという用語は、電子デバイス上における表示を意味する。本願の本明細書および任意の請求項において使用される場合、「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータによる読取りが可能な形態で情報を格納する有形の物理的物体のみに限定される。これらの用語は、任意の無線信号、有線ダウンロード信号、および任意の他の一過性信号を含まない。
【0048】
本開示のプロセスにおけるステップの特定の順序または階層はいずれも、アプローチの一例であることが理解される。設計の嗜好に基づき、これらのプロセスにおけるステップの特定の順序または階層は変更されてもよいことが、または例示のステップがすべて実施されてもよいことが理解される。これらのステップのうちのいくつかが、同時に実施されてもよい。例えば、いくつかの環境では、マルチタスキングおよび並列処理が有利である場合がある。さらに、上記に示す様々なシステムコンポーネントの分離は、かかる分離が必要であるものとして理解されるべきではなく、既述のプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般的には単一のソフトウェア製品において共に一体化され得る以上のソフトウェア製品にパッケージングされ得るものであることを理解されたい。
【0049】
これらの態様に対する様々な修正は、容易に認識され、本明細書に示される一般原理は、他の態様に対しても適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書において示す態様に限定されるようには意図されず、特許請求の範囲の表現に一致する全範囲が付与される。この場合に、単数形で示される要素への言及は、明示されない限りは「1つおよび1つのみ」を意味するものとしては意図されず、「1つ以上」を意味するものとして意図される。別様のことが具体的に示されない限り、「いくつかの」という用語は、1つ以上を示す。男性代名詞(例えば彼の(his))は、女性および中性(例えば彼女の(her)およびその(its))を含み、またその逆も真となる。表題および副題がある場合には、これらは便宜上の目的のみにおいて使用されるものであり、対象の技術を限定するものではない。
【0050】
例えば「態様」などの表現は、その態様が対象技術にとって必要不可欠なものであることを示唆せず、またはその態様が対象技術のあらゆる構成に適用されることを示唆しない。一態様に関連する開示は、あらゆる構成に、あるいは1つ以上の構成に適用され得る。例えば一態様という表現は、1つ以上の態様を示し得るものであり、その逆も真となる。例えば「構成」という表現は、かかる構成が対象技術にとって必要不可欠なものであることを示唆せず、またはかかる構成が対象技術のあらゆる構成に適用されることを示唆しない。一構成に関連する開示は、あらゆる構成に、あるいは1つ以上の構成に適用され得る。例えば一構成という表現は、1つ以上の構成を示し得るものであり、その逆も真となる。
【0051】
上述の様々な実施形態は、もっぱら例として提示されるものであり、本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではない。本明細書において図示および説明される実施形態および適用の例に倣うことなく、ならびに本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において説明される原理に対して行い得る様々な修正および変更が、当業者には容易に認識されよう。
【0052】
本明細書は、多数の具体的な実装の詳細を含むが、これらは、発明の範囲または特許請求され得るものの範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施形態に特有となり得る特徴の説明として解釈されるべきである。それぞれ別個の実施形態のコンテクストにおいて本明細書で説明されるいくつかの特徴が、単一の実施形態において組み合わされて実装されることもまた可能である。対照的に、単一の実施形態のコンテクストにおいて説明される様々な特徴は、複数の実施形態において別個に、または任意の適切な下位組合せにおいて実装されることもまた可能である。さらに、上記において特徴がいくつかの組合せにおいて作動するものとして説明される場合があり、さらにはそのようなものとして最初に特許請求される場合があるが、特許請求されるある組合せのうちの1つ以上の特徴は、いくつかの例では、その組合せから削除することが可能であり、特許請求されるこの組合せは、下位組合せまたは下位組合せの変形例を対象とし得る。
【0053】
同様に、動作が、図面ではある特定の順序で図示されるが、これは、所望の成果を達成するために、かかる動作が図示するその特定の順序もしくは連続順序で実施されることを必要とするものとして理解されるべきではなく、または図示するすべての動作が実施されることを必要とするものとして理解されるべきではない。いくつかの状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利である場合がある。さらに、上述の実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、あらゆる実施形態においてかかる分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般的には単一のソフトウェア製品に共に一体化され得る以上のソフトウェア製品にパッケージングされ得るものであることを理解されたい。
【0054】
上記のように、対象の特定の実施形態を説明したが、他の実施形態もまた、添付の特許請求の範囲に含まれる。例えば、請求項に記載される動作が、異なる順序で実施され、なおかつ依然として所望の成果を達成することができる。一例としては、添付の図面に示すプロセスは、所望の成果を達成するために、図示する特定の順序または連続順序を必ずしも必要とはしない。いくつかの実装形態では、マルチタスキングおよび並列処理が有利である場合がある。
【0055】
結言
上記の実施形態では、圧延機内のバッテリ駆動式スマートガイドノードネットワークを利用したデータ、問題、損傷、操縦、およびエラーの自動較正ならびにリアルタイム通信を効果的に実装するためのシステムおよび方法を示した。様々な好ましい実施形態を図示および説明したが、かかる開示により本発明を限定することを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の趣旨および範囲内に含まれるすべての修正を対象として含むように意図するものである点を理解されたい。
【符号の説明】
【0056】
102 マイクロコントローラ
104 無線通信モジュール
106 モータ
108 ローラ
110 ローラホルダ
112 位置センサ、位置センサブロック
114 マイクロフォン
116 充電式バッテリ
118 多色LED
120 加速度計、加速度計ブロック
200 圧延機
202A スマートモジュール
202B スマートモジュール
202C スマートモジュール
204 中央制御コンピュータ
206 オフラインアライメントステーション
302 オフラインアライメントステーション
304 スマートモジュール
【手続補正書】
【提出日】2024-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機において使用するためのシステムであって、
(a)複数のローラを収容するロールホルダと、
(b)前記ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールであって、
(1)前記スマートモジュールに給電する電源、
(2)マイクロコントローラ、
(3)前記マイクロコントローラからの命令に基づき、前記ロールホルダを移動することにより前記複数のローラの位置を制御するモータ、
(4)前記ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、および
(5)中央制御コンピュータとの間において通信を行うことにより、(i)前記中央制御コンピュータに対して前記ロールホルダの前記位置を通信し、(ii)前記ロールホルダの前記位置を制御するための命令を前記中央制御コンピュータから受信する、通信モジュール、
を備える、スマートモジュールと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記スマートモジュールは、前記圧延機の状況に関する1つ以上の警告を通知するためのインジケータをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記インジケータは、多色発光ダイオード(LED)である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の警告は、以下のもの、すなわち感知された前記ロールホルダの位置が較正された前記ロールホルダの位置と所定の閾値だけ異なる場合に発せられる第1の警告、圧延されている製品サイズが較正されたサイズと異なる場合に発せられる第2の警告、感知された前記ロールホルダの配向が較正された前記ロールホルダの配向と異なる場合に発せられる第3の警告、およびマイクロフォンを介して収集された音響データの音響スペクトル分析により前記圧延機の問題が示唆される場合に発せられる第4の警告のうちのいずれかである、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記通信モジュールは、前記中央制御コンピュータとの間において無線通信を行うことが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記スマートモジュールは、加速度計をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記スマートモジュールは、温度センサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電源は充電式バッテリである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記スマートモジュールは、マイクロフォンをさらに備え、
前記マイクロフォンから音響データを収集し、
前記収集された音響データに対して音響スペクトル分析を実施し、
前記音響
スペクトル分析に基づき、前記圧延機に関する1つ以上の問題を特定し、
前記通信モジュールを介して前記中央制御コンピュータに対して前記1つ以上の問題を通信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記音響スペクトル分析は、高速フーリエ変換(FFT)により実施される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、使用前に較正され、かかる較正は、
オフラインアライメントステーションから前記複数のローラに関する位置データを受信することと、
前記受信した位置データに従って前記複数のローラの前記位置を調節することと、
前記較正の一部として、以下のデータ、すなわちローラ位置データ、製品サイズデータ、取付け側データ、スタンド個数データ、ユーザデータ、および日時データのうちの1つもしくは複数またはそれらの組合せを受信および記憶することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
圧延機において使用するためのシステムであって、
(a)複数のローラを収容するロールホルダと、
(b)前記ロールホルダに対して結合されたスマートモジュールであって、
(1)前記スマートモジュールに給電する電源、
(2)マイクロコントローラ、
(3)前記マイクロコントローラからの命令に基づき、前記ロールホルダを移動することにより前記複数のローラの位置を制御するモータ、
(4)前記ロールホルダの位置を検出する1つ以上の位置センサ、
(5)音響データを収集するためのマイクロフォンであって、前記収集した音響データに対して音響スペクトル分析を実施し、前記音響
スペクトル分析に基づき前記圧延機に関する1つ以上の問題を特定する、マイクロフォン、および
(6)中央制御コンピュータとの間において通信を行うことにより、(i)前記中央制御コンピュータに対して前記ロールホルダの前記位置および他のセンサデータを通信し、(ii)前記ロールホルダの前記位置を制御するための命令を前記中央制御コンピュータから受信し、(iii)音響
スペクトル分析に基づき特定された1つ以上の問題を中央制御コンピュータに対して通信する、通信モジュール、
を備える、スマートモジュールと、
を備える、システム。
【請求項13】
前記音響スペクトル分析は、高速フーリエ変換(FFT)を利用する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記スマートモジュールは、前記圧延機の状況に関する1つ以上の警告を通知するためのインジケータをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記インジケータは、多色発光ダイオード(LED)である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上の警告は、以下のもの、すなわち感知された前記ロールホルダの位置が較正された前記ロールホルダの位置と所定の閾値だけ異なる場合に発せられる第1の警告、圧延されている製品サイズが較正されたサイズと異なる場合に発せられる第2の警告、感知された前記ロールホルダの配向が較正された前記ロールホルダの配向と異なる場合に発せられる第3の警告、およびマイクロフォンを介して収集された音響データの音響スペクトル分析により前記圧延機の問題が示唆される場合に発せられる第4の警告のうちのいずれかである、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記通信モジュールは、前記中央制御コンピュータとの間において無線通信を行うことが可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記スマートモジュールは、加速度計をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記スマートモジュールは、温度センサをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記電源は充電式バッテリである、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、使用前に較正され、かかる較正は、
オフラインアライメントステーションから前記複数のローラに関する位置データを受信することと、
前記受信した位置データに従って前記複数のローラの前記位置を調節することと、
前記較正の一部として、以下のデータ、すなわちローラ位置データ、製品サイズデータ、取付け側データ、およびスタンド個数データの1つもしくは複数またはそれらの組合せを受信および記憶することと、
を含む、請求項12に記載のシステム。
【国際調査報告】