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  • 特表-淡水を再循環させる水産養殖施設 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】淡水を再循環させる水産養殖施設
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/76 20230101AFI20240717BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C02F1/76 C
C02F1/76 Z
A01K63/04 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576041
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 ES2022070354
(87)【国際公開番号】W WO2023281138
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】U202131422
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523462066
【氏名又は名称】アプリア システムズ,エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス ロドリゲス,ペドロ マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】アイバニーズ メンディサバル,ラケル
(72)【発明者】
【氏名】ウルティアガ メンディア,アナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】オルティス ウリベ,インマキュラーダ
【テーマコード(参考)】
2B104
4D050
【Fターム(参考)】
2B104AA03
2B104CA01
2B104EA01
2B104EF01
2B104EF09
4D050AA08
4D050AB06
4D050AB12
4D050AB34
4D050AB35
4D050AB37
4D050AB45
4D050BB06
4D050BD02
4D050BD04
4D050BD06
4D050CA20
(57)【要約】
水産養殖槽からの水を事前処理するための、事前処理モジュール;汚染物質を排除するための酸化モジュール;及び事後処理モジュールを通過する前に、処理された淡水を養殖槽に再循環させるためのライン、を含むタイプの、淡水を再循環させるシステムが開示される。このシステムは、電気化学的に酸化剤を生成するモジュールをさらに含み、それは、処理された淡水を再循環させるための主なラインの外側における補助ラインに配置される。処理された淡水は、事後処理モジュールの出口から来た水を再循環させるためのラインによって供給される。電気化学的に酸化剤を生成するモジュールは、酸化モジュールから分離されるが、電気生成された酸化剤を供給するラインによって、酸化モジュールと流体連結される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産養殖槽(1)からの水を事前処理するための事前処理モジュール(2)と、汚染物質を排除するための酸化モジュール(3)と、処理された淡水の、事後処理モジュール(5)を通過した後の、前記養殖槽(1)への再循環路(4)と、を含むタイプの、淡水を再循環させるための施設であって、
処理された淡水を再循環させるための主なライン(4)の外側における補助ラインに配置された、電気化学的に酸化剤を生成するモジュール(7)をさらに備え、処理された淡水は、水再循環ライン(6)によって前記事後処理モジュール(5)の出口から供給され、前記電気化学的に酸化剤を生成するモジュール(7)は、前記酸化モジュール(3)から分離され、かつ電気生成された酸化剤を供給するライン(11)を通して、前記酸化モジュール(3)と流体連通することを特徴とする、淡水を再循環させるための施設。
【請求項2】
前記酸化剤を生成するモジュール(7)は、塩水槽(8)、ならびに電気化学的反応器(10)に関連付けられた静的混合器(9)を含み、電気化学的反応器(10)は、前記酸化モジュール(3)に、電気生成された酸化剤を提供することを特徴とする、請求項1に記載の淡水を再循環させるための施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、淡水水産養殖の分野、すなわち魚または他の淡水生物を育てる施設であって、その中で養殖用の水が処理後に再使用される施設、に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、再循環で淡水を処理するための施設を提供する。この施設は、養殖槽からの水を前処理するためのモジュールと、汚染物質を排除するために酸化剤を電気化学的に生成するモジュールと、処理された水を養殖槽に戻す再循環路と、を含む。電気化学的に酸化剤を生成するモジュールは、主なプロセスである水の再循環ラインの外側における補助ラインに配置される。すなわち電気化学的に酸化剤を生成するモジュールは、水の主な循環路から分離される。
【背景技術】
【0003】
再循環水産養殖システム(RAS)は、養殖用の水が、物理的、化学的、及び/または生物学的な方法で処理された後に再利用される、様々な水生生物を養殖するためのシステムとして、良く知られている。
【0004】
これらのシステムのいくつかは、水産養殖槽からの水を事前処理するモジュールと、処理されることになる水の塩分が酸化剤を生成して電気化学的に酸化を実施する、汚染物質を除去するための電気化学的な酸化モジュールと、処理された水を水産養殖槽に戻す再循環路と、から基本的に構成される。
【0005】
RASシステムは、水産養殖の生産強化の促進を提示するが、それらは2つの主な制約を呈する。すなわち、i)水中で新陳代謝された毒性化合物の急速な蓄積、及びii)従来の処理システムにおける、水を新しくする必要条件による、廃水の大容量の排出、である。これらの不利点を回避するために、養殖用の水のために処理ステーションは、養殖用の水を再循環させる前に、これらの処理システムで必要な手段が与えられる。これらの処理ステーションの例は、電気化学的な酸化反応器を含んだステーションであり、そこで水の処理は、酸化剤の形成を通して間接的に酸化することによって実施される。これに関して、例えば欧州特許出願公開第3225597号明細書を参照されたい。
【0006】
養殖用の水を電気化学的に酸化処理することで、全アンモニア性窒素(TAN)、亜硝酸塩、分解した有機物、ならびに、バクテリア及びウィルスなどの病原性物、などの汚染物質を含まない、処理された水を得ることを可能にする。この電気化学的な酸化が、十分な塩濃度の水の存在が必要である場合、この処理は、塩水における水産養殖のみに限って適用可能である。塩水は、電極を構成する材料の触媒機能のために、電気を加えることによって純化でき、この純化された塩水は、次に再循環されてシステムの中に戻される。
【0007】
これを実施するために、平坦形状の電極のパッケージによって形成された、アノード酸化反応器が使用される。この電極の活性アノードは、DSA(Dimensionally Stable Anodes:寸法的に安定したアノード)タイプであり、主に以下のプロセスが行われる:
・酸化剤の、オンラインすなわち「直結式」生成。海水中、したがって主に海水に存在する塩の塩化物イオン(Cl)の酸化-塩素ガスの生成(Cl)を生成。それは次に水溶液中で、次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO)との混合物である、活性塩素または遊離塩素として知られているものを形成する。
・NATの排除:遊離塩素は全アンモニア性窒素と反応-窒素は、アンモニア(NH)及びアンモニウム(NH )の両方によって水中に存在する-主に窒素ガス(N)を形成し、それは完全に無害であり、遊離塩素を塩化物に変換して戻し、それは水の塩分を維持することを可能にする。
・亜硝酸塩の除去:亜硝酸塩が存在する場合、それらも硝酸塩に酸化され、硝酸塩はカソードにおけるアンモニア性窒素に還元され、後に塩素を介して再びNに酸化される。
・生成された酸化剤を通した有機物の排除:海洋養殖用の水に有機物が存在する場合、この有機物は非常に急速な酸化反応を受け、COD及びTOCなどの、関連付けられた特定の品質パラメータにおける値の改善をもたらし、さらには有機負荷の無機化にまで至る。
【0008】
養殖槽の水中における塩化物の存在は、これらの既知のシステムで必要であるので、それらは海洋水産養殖及び高塩分養殖にのみ適用可能である。この理由のため、前述の原理を使用し得る、淡水を再循環させるための、水産養殖施設を実現することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3225597号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明は、独立請求項によって定義及び特徴付けられ、その一方で従属請求項は、他の特徴を説明する。
【0011】
本発明は、水産養殖槽からの水を事前処理するためのモジュールと、汚染物質を除去して、処理された水を水産養殖槽に再循環させるための酸化モジュールと、を含むタイプの淡水再循環施設を提供する。この施設は、主なプロセスの淡水再循環ラインの外側における補助ラインに配置された、自動で電気化学的に酸化剤を生成するモジュールも含む。すなわち電気化学的に酸化剤を生成するモジュールは、酸化モジュールから分離されるが、酸化モジュールと流体連通する。
【0012】
この施設において、酸化剤の非直結式生成は、塩水を、再循環ラインを通して循環させることを不要にする。したがって、電気化学的方法による酸化剤の生成は、既知のシステムにおける主な再循環ラインから分離された、補助ラインとなる。酸化剤の生成が別個に実施されるので、この補助ラインのみが塩分を必要とする。したがって、淡水は主なラインを通して循環でき、養殖媒体に内在する塩分は保存される。
【0013】
この記載は、本発明の実施液体の例示した、図1を用いて補足される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による、淡水再循環施設を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
言及したように、かつ図1を参照すると、本発明の淡水再循環施設は、水産養殖槽(1)からの水を事前処理するための事前処理モジュール(2)と、汚染物質を排除するための酸化モジュール(3)と、処理された淡水の、事後処理モジュール(5)を通過した後の、水産養殖槽(1)への再循環路(4)と、を含むタイプであり、処理された淡水を再循環させるための主なライン(4)の外側における補助ラインに配置された、酸化剤を生成するモジュール(7)をさらに備え、処理された淡水は、水再循環ライン(6)によって事後処理モジュール(5)から供給され、酸化剤を生成するモジュール(7)は、酸化モジュール(3)から分離され、かつ電気生成された酸化剤を供給するライン(11)を通して、酸化モジュール(3)と流体連通することを、特徴とする。
【0016】
確認できるように、酸化剤を生成するモジュール(7)は、塩水槽(8)、ならびに電気化学的反応器(10)に関連付けられた静的混合器(9)を含む。電気化学的反応器(10)は、酸化モジュール(3)に、電気生成された酸化剤を提供する。
【0017】
汚染負荷の処理または低下の、後続の段階は、電気生成された酸化剤を投薬した後に再循環ライン(4)で行われ、その反応は、試薬が酸化モジュール(3)を通過する際に、試薬との密接な接触によって促進される。
【0018】
本明細書で説明した施設において、酸化剤の投薬量は、不連続点塩素処理として知られる量まで調整され、それは、プロセス中に形成され得る全NAT(全アンモニア性窒素)及び副産物(クロラミン)を酸化させるのを可能にするような、塩素投与に相当する。換言すると、主な汚染物質を排除するために必要な酸化剤量は、説明した酸化剤を生成するモジュール(7)によって生成され、それによって水の中の残留塩素を最小限に抑え、潜在的に副産物の形成を減少させる。主なラインにおける塩分の増加は、事前処理モジュール及び事後処理モジュールを浄化するよう意図された、淡水の供給及び除去の流れを導入することによって、補われる。
【0019】
他方で、非直結式で酸化剤を生成することは、生成する量を最適にすることを可能にする。なぜならそれは、制御された環境で行われ、同様に、処理されるラインの淡水に存在する汚染負荷に対して投与量を調整するからである。
図1
【国際調査報告】