(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】微小電気機械システム流体制御
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20240717BHJP
F16K 7/12 20060101ALI20240717BHJP
B81B 7/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B81B3/00
F16K7/12 B
B81B7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023576351
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2022066267
(87)【国際公開番号】W WO2022263491
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523464761
【氏名又は名称】ウォーター、スタッフ、アンド、サン、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Water Stuff & Sun GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン、ベイェー
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA11
3C081BA11
3C081BA25
3C081BA45
3C081BA48
3C081CA32
3C081EA31
3C081EA33
(57)【要約】
流体制御デバイス(1)は、流れ構成要素(10A~D)が微小電気機械システム-MEMSとして提供されるウエハ(20)のスタックを含む。流れ構成要素(10A~D)は、流体制御構成要素(11A~C)および/または流体監視構成要素(12)から選択される。流体制御デバイス(1)は、ウエハのスタックの主平面内で、第2の流れ構成要素(10B)によって取り囲まれる第1の流れ構成要素(10A)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ構成要素(10、10A~F)が微小電気機械システム-MEMSとして提供されるウエハ(20)のスタックを含む流体制御デバイス(1)であって、前記流れ構成要素(10、10A~F)は、流体制御構成要素(11、11F)および流体監視構成要素(12)のうちの少なくとも1つから選択され、第1の前記流れ構成要素(10A)は、前記ウエハ(20)のスタックの主平面内で、第2の前記流れ構成要素(10B)によって取り囲まれ、
少なくとも2つの前記流れ構成要素(10A~F)は、それぞれの変形可能膜(32、38)を含む、ことを特徴とする、流体制御デバイス。
【請求項2】
第3の前記流れ構成要素(10C)は、前記ウエハ(20)のスタックの前記主平面内で、前記第2の前記流れ構成要素(10B)を取り囲む、ことを特徴とする、請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項3】
第4の前記流れ構成要素(10D)は、前記ウエハ(20)のスタックの前記主平面内で、前記第3の前記流れ構成要素(10C)を取り囲む、ことを特徴とする、請求項2に記載の流体制御デバイス。
【請求項4】
n個の前記流れ構成要素(10、10A~F)を特徴とし、nは4よりも大きい整数であり、第kの前記流れ構成要素(10E~F)は、前記ウエハ(20)のスタックの前記主平面内で、第(k-1)の前記流れ構成要素(10D~E)を取り囲み、kは、n以下であるが1よりも大きい整数である、請求項3に記載の流体制御デバイス。
【請求項5】
少なくとも2つの前記流れ構成要素(10、10A~F)は、直列に流体接続される、ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項6】
前記直列に流体接続された流れ構成要素のうちの2つは、幾何学的に隣接する流れ構成要素である、ことを特徴とする、請求項5に記載の流体制御デバイス。
【請求項7】
前記直列に流体接続された流れ構成要素のうちの2つは、幾何学的に隣接しない流れ構成要素である、ことを特徴とする、請求項5または6に記載の流体制御デバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの前記流れ構成要素(10、10A~F)は、流体制御構成要素(11、11A~F)である、ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの前記流体制御構成要素(11、11A~F)は、
-圧力調節器(30、30A~E)、
-弁(51)、および
-フィルタ(50)の群から選択される、ことを特徴とする、請求項8に記載の流体制御デバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの前記流れ構成要素(10、10A~F)は、流体監視構成要素(12)である、ことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの前記流体モニタ(12)は、
-圧力センサ(52)、および
-流れセンサの群から選択される、ことを特徴とする、請求項10に記載の流体制御デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの圧力調節器(30、30A~E)を含むことを特徴とし、前記圧力調節器(30、30A~E)は、変形されるとシート構成体(34)に対する密閉作用を可能にするように配置される高圧膜(32)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項13】
上記シート構成体(34)は、凹部(65)によって分離される複数のシート表面ループ(64)を含み、各シート表面ループ(64)が、閉構造を形成し、これに対して上記高圧膜(32)が密閉を形成することができる、ことを特徴とする、請求項12に記載の流体制御デバイス。
【請求項14】
前記圧力調節器(30、30A~E)は、調節圧膜(38)、および高圧入口(31)から前記高圧膜(32)と前記シート構成体(34)との間を通過し低圧出口(39)までの接続チャネル(40)を含む圧力調節器流路をさらに有し、前記調節圧膜(38)第1の側は、前記圧力調節器流路の前記低圧出口(39)と流体接触状態にある、ことを特徴とする、請求項12または13に記載の流体制御デバイス。
【請求項15】
前記調節圧膜(38)の前記第1の側と前記圧力調節器流路の前記低圧出口(39)との間の前記流体接触は、前記調節圧膜(38)と接触状態にある流出圧力空洞(41)を含み、前記流出圧力空洞(41)は、前記流出圧力空洞(41)の底部(68)から提供される距離要素(67)を有し、前記距離要素(67)は、前記調節圧膜(38)が前記底部(68)に到達することを妨げるように構成される、ことを特徴とする、請求項14に記載の流体制御デバイス。
【請求項16】
前記圧力調節器(30、30A~E)は、前記高圧膜(32)および前記調節圧膜(38)を接続するピストン構成体(36)をさらに有し、基準圧力チャンバ(37)が、前記高圧膜(32)と前記調節圧膜(38)との間に形成されて、前記ピストン構成体(36)を包囲する、ことを特徴とする、請求項14または15に記載の流体制御デバイス。
【請求項17】
前記ピストン構成体(36)は、前記高圧膜(32)または調節圧膜(38)の径方向内側の境界よりも、上記高圧膜(32)または調節圧膜(38)の径方向外側の境界の近くにそれぞれ位置付けられる、ことを特徴とする、請求項16に記載の流体制御デバイス。
【請求項18】
前記ピストン構成体(36)の半径よりも小さい半径に位置する前記調節圧膜(38)の面積は、前記ピストン構成体(36)の半径よりも大きい半径に位置する前記調節圧膜(38)の面積に等しい、および
前記ピストン構成体(36)の半径よりも小さい半径に位置する前記高圧膜(32)の面積は、前記ピストン構成体(36)の半径よりも大きい半径に位置する前記高圧膜(32)の面積に等しい、のうちの少なくとも1つである、ことを特徴とする、請求項17に記載の流体制御デバイス。
【請求項19】
2つの流れ構成要素(10F、10A)の間の流体接続(45b)は、前記基準圧力チャンバ(37)を通過する、ことを特徴とする、請求項16~18のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項20】
少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)を含むことを特徴とし、前記圧力調節器(30、30A~E)は、高圧側および低圧側を有することを特徴とする、請求項10~19のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)の前記高圧側は、前記流体制御デバイス(1)の第1の側の近くに提供される、ことを特徴とする、請求項20に記載の流体制御デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)のうちの1つの前記高圧側および前記少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)のうちの別のものの前記低圧側は、前記流体制御デバイス(1)の第1の側の近くに提供される、ことを特徴とする、請求項20に記載の流体制御デバイス。
【請求項23】
前記流体制御デバイス(1)への高圧入口(2)は、前記第1の流れ構成要素(10A)に対して中心に置かれる、ことを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項24】
前記流体制御デバイス(1)からの低圧出口(3)は、前記第1の流れ構成要素(10A)に対して中心に置かれる、ことを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項25】
前記流体制御デバイス(1)への高圧入口(2)は、前記第1の流れ構成要素(10A)の入口(31)に流体接続される、ことを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項26】
前記流体制御デバイス(1)からの低圧出口(3)は、前記第1の流れ構成要素(10A)の出口(39)に対して中心に流体接続される、ことを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概して、流体制御システムに関し、および特に、微小電気機械システムとして実現される流体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、今日、多くの異なる種類のマイクロアクチュエータまたはマイクロセンサを、費用対効果が高くかつ空間を節約する方式で実現するために使用される。MEMSがよく使用される1つの応用としては、マイクロ流体制御デバイスがある。異なるマイクロ流体応用の考察は、例えば、2020年12月10日のApplied Sciences 2020, 10, 8858におけるE. Chappelによる記事“A Review of Passive Constant Flow Regulators for Microfluidic Applications”に見ることができる。
【0003】
そのようなMEMS応用の共通した取り組みは、流体制御デバイスをできる限り小さくすること、および製造を容易にすることである。MEMSは、典型的には、ユニットとして一緒に接合される機械加工ウエハに基づく。その点で、流体制御動作を達成するために必要とされるウエハの数が重大なパラメータであることは通則である。必要とされるウエハが多いほど、接合はより困難になる。故に、一般的傾向は、ウエハの必要数を最小限にすることにある。
【0004】
典型的な流体制御デバイスは、いくつかの流れ構成要素を含む。そのような流れ構成要素は、例えば、フィルタ、弁、調節器などの流体制御構成要素、および/または圧力センサ、流れセンサなどの流体監視構成要素であり得る。そのような流れ構成要素は、要求される全体的な流れ機能性を達成するために、異なる構成で直列および/または並列に流体接続される。
【0005】
流体制御デバイスの一例は、高圧貯蔵タンクから低圧ガスの絶え間ない流れを提供するために設計される圧力調節器である。多くのソリューションが提案されるが、それらの大半は、いくつかの流れ構成要素、例えば、いくつかの減圧ステージを伴う。
【0006】
しかしながら、より多くの流れ構成要素の必要性が増加するとき、製造が容易である総合構成を達成するために、流れ構成要素を互いに対してどのように幾何学的に位置付けるかという問題が存在する。MEMSの厚さ方向に流れ構成要素を積層することは、おそらく、概念上は最も容易なソリューションであるが、上に示したように、要求されるウエハの数の増加に伴って接合複雑性が大きく増加する。
【0007】
代替の方式は、流れ構成要素をウエハの主平面内に横並びに位置付けることである。しかしながら、ここでも、流れ構成要素の数の増加は、流体制御デバイス全体がウエハの平面内で比較的大きな広がりを提示することを引き起こす。これは、一般的に、生産費を増加させ、また、例えば、機械的強度問題を引き起こし得る。
【0008】
公開された米国特許第5,839,467号には、微細加工された流体処理デバイスが開示される。異なる膜含有構成要素が横並びに位置付けられる。
【0009】
公開された特許出願米国第2017/01762677 A1号には、圧力センサチップが開示される。高差圧ダイアフラムが、いくつかの低差圧ダイアフラムと同じ表面に横並びに位置付けられる。
【0010】
更なる代替の方式は、流れ構成要素の数を低減するために、各流れ構成要素内に2つ以上の特定の機能性を統合しようとすることである。しかしながら、そのような手法は、しばしば相当な構築努力を必要とし、典型的には、非常に応用特有であるソリューションをもたらし得る。したがって、そのような手法は、多くの場合、時間および費用がかかる。
【発明の概要】
【0011】
ここに提示される技術の全般的な目的は、開発および製造が容易かつ安価である流体制御デバイスを構成するための、および特に、多くのステップまたは構成要素を必要とする流体制御デバイスのための、新規概念を見出すことである。
【0012】
上の目的は、独立クレームに従う方法およびデバイスによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項において規定される。
【0013】
一般的に言うと、第1の態様において、流体制御デバイスは、流れ構成要素が微小電気機械システム‐MEMSとして提供されるウエハのスタックを含む。流れ構成要素は、流体制御構成要素および/または流体監視構成要素から選択される。流体制御デバイスは、ウエハのスタックの主平面内で、第2の流れ構成要素によって取り囲まれる第1の流れ構成要素を有する。流れ構成要素のうちの少なくとも2つは、それぞれの変形可能膜を含む。
【0014】
提案された技術の1つの利点は、ウエハのスタックの主平面内の流体制御デバイスの広がりが小さく保たれ得ることである。他の利点は、詳細な説明を読むときに理解されるものとする。
【0015】
本発明は、更なる目的およびその利点と共に、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより最良に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】MEMS圧力調節器の実施形態の概略断面図である。
【
図2】2つの圧力調節器を有するMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図3】2つの圧力調節器を有するMEMS流れ制御デバイスの別の実施形態の概略断面図である。
【
図4】流れ構成要素を横並びに置いている概略図である。
【
図5】流れ構成要素を互いに取り囲んで置いている概略図である。
【
図6】2つの圧力調節器を有するMEMS流れ制御デバイスの更なる実施形態の概略断面図である。
【
図7】2つの圧力調節器を有するMEMS流れ制御デバイスの更なる実施形態の概略断面図である。
【
図8】2つの圧力調節器およびフィルタを有するMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図9】2つの圧力調節器およびフィルタを有するMEMS流れ制御デバイスの別の実施形態の概略断面図である。
【
図10A】流体制御構成要素および流体監視構成要素の両方を有するMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図11A】一連の流れ構成要素を通る異なる流路を概略的に例証する図である。
【
図11B】一連の流れ構成要素を通る異なる流路を概略的に例証する図である。
【
図11C】一連の流れ構成要素を通る異なる流路を概略的に例証する図である。
【
図12A】5つの圧力調節器および逆止弁を有するMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図13】ピストン構成体の実施形態の断面図である。
【
図14A】シート構成体の実施形態を例証する図である。
【
図14B】シート構成体の実施形態を例証する図である。
【
図14C】シート構成体の実施形態を例証する図である。
【
図15A】距離要素の配置の実施形態を例証する図である。
【
図15B】距離要素の配置の実施形態を例証する図である。
【
図15C】距離要素の配置の実施形態を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面全体を通して、同じ参照番号が、同様または対応する要素のために使用される。
【0018】
提案された技術のより良好な理解のため、MEMS配置に伴う利点および問題の簡単な議論から始めることが有用であろう。背景技術において簡単に触れたように、MEMSは、単流構成要素を提供するために非常に有利に使用される。しかしながら、より複雑なシステムの要求がなされるときには問題が生じる。互いに接合される2つまたは3つのウエハに基づいたウエハのMEMSスタックを使用することは、比較的容易であり、標準手順と見なされ得る。すでに4ウエハスタックは、追加の複雑性を作り出しており、非標準手順と見なされ得る。5ウエハスタックは、取り扱いがより困難になるが、多大な努力により依然として実現可能であり得る。6つ以上のウエハによるウエハスタックは、少なくとも今日利用可能な技術では、高度な特殊効果製造と見なされるべきである。故に、このような理由から、MEMS関連の仕事のほとんどは、低ウエハ数MEMSスタックに好適な設計を見出すことに費やされる。
【0019】
本開示におけるモデルシステムとして、圧力調節器システムが使用され得る。高貯蔵タンクからのガス圧力をより低い動作圧力へと調節することが必要とされる多くの応用が存在する。多くの応用において、調節器は、一定出力圧力を送達すれば十分であるが、他の応用は、出口圧力を変化させる可能性を必要とする。調節器は、受動または能動のいずれかである。能動圧力調節器は、センサから読み出す圧力を監視し、弁の位置を調整して所望の圧力を達成するためにエネルギーを必要とする。受動調節器は、通常、圧力を調節するために膜またはばねの張力に依拠する。これは、外側から供給されるいかなるエネルギーも必要としないため、多くの応用において好まれる。
【0020】
図1は、流体制御デバイス1の実施形態を概略的に例証する。この実施形態は、流れ構成要素10、この場合は流体制御構成要素11および特に圧力調節器30を提示する。流体制御デバイス1には、MEMS技術が設けられ、したがって、ウエハ20のスタック内の構造体によって作成される。この設計では、小さい面積を有する高圧膜32と大きい面積を有する調節圧膜38とのバランスが利用される。
【0021】
この実施形態において、調節器入口31は、高圧のガスが高圧膜密閉表面と接触状態になることを可能にする。高圧膜密閉表面35とシート構成体34との間には狭い流路33が存在する。ガスは、高圧膜32の片側と接触状態にある高圧側容積部44を介して接続チャネル40内へ流れ、最終的に調節器出口39を通る。狭い流路33は、流れ制限を引き起こし、したがって、高圧側容積部44および接続チャネル40内のガスは、低減された調節圧を有する。調節圧を有するこのガスは、調節圧膜38の片側と接触状態にある調節圧空洞41と流体連通される。調節圧膜38および高圧膜32は、基準圧力チャンバ37により包囲されるピストン構成体36によって接続される。流出圧力空洞41内の圧力が基準圧力チャンバ37内よりも高い場合、調節圧膜38は、図内上方へ曲がり、ピストン構成体36を上方へ押圧する傾向がある。しかしながら、高圧側容積部44と基準圧力チャンバ37との間の圧力差は、ピストン構成体36を下方へ押圧する傾向があるが、高圧膜の面積が調節圧膜38の面積よりもはるかに小さいことから、図内上方に向けられるピストン構成体36に対する合力が結果となる。高圧膜密閉表面35の中心部分に作用する高圧もまた、ピストン構成体36を下方へ押圧することを助ける。上方に向けられた力が優性である場合、高圧膜密閉表面35は、高圧膜密閉表面35とシート構成体34との間の狭い流路33を閉じるよう促される。
【0022】
故に、狭い流路33を通って流れるガスの間の平衡作用が存在し、以て、調節圧を構築し、調節圧空洞41内の圧力がピストン構成体36を図内上方へ動かして狭い流路33を閉じようとする。調節器出口39から外への流れが停止または制限される場合、狭い流路33が閉じられるまで調節圧が高まる。増加した調節圧は、高圧膜32の外側部分に対しても作用するが、増加した調節圧と接触状態にある調節圧膜38の面積の方が典型的には大きいことから、合力は、狭い流路33を閉じるように作用する。調節器出口39から外への流れが再び許されるとき、調節圧は降下し、狭い流路33が開かれる。
【0023】
ピストン構成体36の運動を制限するため、調節圧膜支持表面43が、低圧支持構造体42によって停止されるように配置される。Rによって示されるような回転対称は、接続チャネル40を除くすべての部材に当てはまり、接続チャネル40は、むしろ、中央構造体の周りに分布される1つまたは複数の別個のチャネルとして存在し得る。
【0024】
圧力調節器30の臨界寸法は、高圧膜32の半径、調節圧膜38の半径、および狭い流路33の弁間隙である。
【0025】
適度な圧力差が圧力調節器に要求される場合、特に、中圧の場合、上記概念は、ピストンの変位への高圧寄与が典型的には小さいことから、元の圧力に対して独立した一定出力流でほとんど動作するように設計され得る。しかしながら、高減圧および/または高入力圧力が必要とされる場合、元の高圧のレベルは、最終出力流を決定するのにより重要になる。したがって、多くの応用において、2段減圧、または多段減圧さえ使用することが要求され、この場合、圧力調節器は直列に提供され、2つ以上のステップで圧力を低減する。
【0026】
2段MEMS圧力調節器アセンブリ13の設計の1つの実施形態は、
図2に例証される。ここでは、第1の圧力調節器30Aの調節器出口39は、第2の圧力調節器30Bの調節器入口31に接続される。しかしながら、そのような設計は、ウエハ20のスタック内へと互いに接続されるべき多くのウエハの使用を要求するということを直ちに認識されたい。したがって、そのようなデバイスの製造は、可能であるとしても、非常に困難である。
【0027】
2段MEMS圧力調節器アセンブリ13の設計の別の実施形態は、
図3に例証される。ここでは、圧力調節器30Aおよび30Bは、流体的に見て直列様式で依然として提供される。各調節器30A、30Bは、いくつかの接続通路を除き、それぞれの線Rの周りに独自の回転対称を有する。しかしながら、物理的に、調節器は、ウエハ20のスタック内に横並びに置かれる。これは、スタック内のウエハの必要数を低減し、圧力調節器30Aと30Bとの間の接続通路45に起因して、単一圧力調節器と比較して1つのみの追加ウエハが必要とされると現在考えられている。しかしながら、横方向の占有空間は、単一圧力調節器と比較して2倍になる。故に、この実施形態は、より魅力的であるが、その更なる流れ構成要素の観点では、流体制御構成要素、例えば、追加の減圧ステップ、弁、またはフィルタ、および流体監視構成要素、例えば、流れ圧力センサの両方が、異なる応用において必要とされ得、全システムの横方向の広がりは、不都合に大きくなり得る。
【0028】
大半の流れ構成要素、少なくとも、膜の動作に基づいた流れ構成要素は、円対称性を有する。
図4は、第1の流れ構成要素10Aへの主要入口2を有する流体制御デバイス1を概略的に例証する。これは、ウエハ20スタックの主平面を示して、すなわち、MEMSを作成するために使用されるウエハの延長平面に垂直に、例証される。後続の流れ構成要素10B~Dは、次いで、主要出口3(ウエハ20のスタックの裏側における)に到達するまで直列に接続される。そのような設計の幾何学的寸法は、単流構成要素設計の場合よりもはるかに大きくなる。
【0029】
しかしながら、本技術によると、流れ構成要素、また膜ベースの流れ構成要素も、円形形状で、しかしながら“受動的な”中心部分を伴って、設計することが可能であると結論付けられている。すなわち、能動的な構造体は、内半径および外半径によって画定される空間内に設計され得る。言い換えると、能動的な構造体は、環状に対称の形状の中心まで到達する必要はない。対称軸の周りの空間は、必ずしも使用されない。
【0030】
このような識見は、2つ以上の流れ構成要素を有する流れ制御デバイスを設計する新規概念をもたらす。
図5は、
図4に例証されるものと機能が同様の、流体制御デバイス1の実施形態の概略図である。これはまた、ウエハ20のスタックの主平面を示して例証される。ここでは、第1の流れ構成要素10Aが中央に提供される。この第1の流れ構成要素10Aの周りに、第2の流れ構成要素10Bが提供される。流れ構成要素10Bの作用面積は、流れ構成要素10Aの作用面積に等しいが、それがより大きい半径で提供されることから、作用面積の幅は、より小さい。流れ構成要素10Aおよび10Bは、以て、利用可能な領域を効率的に利用して、能動的に利用される領域部分の密度を増加させる。さらに2つの流れ構成要素10Cおよび10Dが、次いで、内側のものの外側に同心円状に提供される。流れ構成要素が変形可能膜を伴う場合、起こり得る最も内側のものを除くすべての流れ構成要素は、リング形状の膜を利用した。リング形状は、図内では円形リングである。しかしながら、リング形状は、任意の閉じた幾何形状、例えば、楕円形または多角形のものであり得る。
【0031】
作用面積をあまり狭くすることができない場合にさえ、正確に合致する流れ構成要素10A~Dを互いの外側に同心円状に置くことによって得られる空間節約は明白である。外側の流れ構成要素は、内側の流れ構成要素を取り囲む。言い換えると、内側の流れ構成要素は、外側の流れ構成要素によって完全に包囲される領域内に完全に提供される。多くの応用において、流れ構成要素間の接続路は、既存のウエハスタック厚さ内に提供され得、そのような応用において、余分のウエハが接続路を確実にするために必要とされない。
【0032】
故に、言い換えると、1つの実施形態において、流れ構成要素がMEMSとして提供されるウエハのスタックを含む流体制御デバイス、第1の流れ構成要素は、ウエハのスタックの主平面内で、第2の流れ構成要素によって取り囲まれる。流れ構成要素の各々は、流体制御構成要素または流体監視構成要素のいずれかである。
【0033】
更なる実施形態において、第3の流れ構成要素が、ウエハのスタックの主平面内で、第2の流れ構成要素を取り囲む。
【0034】
依然として更なる実施形態において、第4の流れ構成要素が、ウエハのスタックの主平面内で、第3の流れ構成要素を取り囲む。
【0035】
一般化した実施形態において、これは、任意の数nの流れ構成要素の場合、n個の流れ構成要素を有する流体制御デバイスとして表現され得る。第kの流れ構成要素は、ウエハのスタックの主平面内で、第(k-1)の流れ構成要素を取り囲み、kは、n以下であるが1よりも大きい整数である。数nは、4よりも大きくてもよい。
【0036】
これらの考えは、圧力調節器の応用例に有利に適用され得る。
【0037】
図6は、流体制御デバイス1、この実施形態では圧力調節器システム、の実施形態の断面を概略的に例証する。流体制御デバイス1は、2つの流れ構成要素10を含み、それらの両方は、流体制御構成要素11、ならびに特に第1の圧力調節器30Aおよび第2の圧力調節器30Bである。第2の圧力調節器30Bがウエハ20のスタックの主平面内で第1の圧力調節器30Aを取り囲むことから、第2の圧力調節器30Bの部分は、図内で第1の調節器30Aの両側に現れるということに留意されたい。第1および第2の調節器30A、30Bは、高圧側と低圧側との間の接続チャネル40および調節器30A、30Bの間の接続通路45を除く大半の部分では共通対称軸Rを有する。流体制御デバイス1は、横並びの圧力調節器を用いた設計よりも小さい合計半径を有し、単一圧力調節器と同じ数のウエハで実現することが可能である。
【0038】
故に、第2の圧力調節器30Bは、内部が他の目的のために使用される余地を残して、略円筒形状を有する。この場合、第1の圧力調節器30Aは、この容積部を占有し、故に、第2の圧力調節器30Bによって取り囲まれる。上に説明されたものと類似して、および他の流れ構成要素と共通して、第2の圧力調節器30Bは、変形可能膜を含む。第2の圧力調節器30Bは、変形されるとシート構成体34に対する密閉作用を可能にするように配置される高圧膜32を有する。
【0039】
第2の圧力調節器30Bは、調節圧膜38、および高圧入口61から、高圧膜32とシート構成体34との間を通過する、すなわち、狭い流路33を通って、低圧出口までの接続チャネル40を含む圧力調節器流路をさらに有する。調節圧膜38の図内下方を向く第1の側は、圧力調節器流路の低圧出口62と流体接触状態にある。
【0040】
調節圧膜38の上で述べた第1の側と圧力調節器流路の低圧出口61との間の流体接触は、流出圧力空洞41を含む。流出圧力空洞41は、調節圧膜38と接触状態にある。
【0041】
第2の圧力調節器30Bは、第1の圧力調節器30Aと類似して、高圧膜32および調節圧膜38を接続するピストン構成体36をさらに有する。以て、基準圧力チャンバ37が、高圧膜32と調節圧膜38との間に形成されて、ピストン構成体36を包囲する。言い換えると、少なくとも2つの流れ構成要素10は、それぞれの変形可能膜32、38を含む。
【0042】
図6において、第1の圧力調節器30Aは、対称軸内まで作用部分を有する円形対称を伴う“従来の”タイプのものであったが、第2の圧力調節器30Bは、代わりに、非作用中心容積部を伴う円筒形状を有する。対称軸Rの周りの容積部は、しばしば多くの他の機能のために有用であり、また、この容積部の少なくとも一部は未使用のままにしておくことが有利であり得る。言い換えると、円筒形状で実装することが可能である構成要素は、さらに外へ置かれ得、中心の容積部を、そこに置かれることを必要とし得る構成要素または接続のために取っておく。
図7は、そのような実施形態の断面図を概略的に例証する。ここでは、第1の圧力調節器30Aおよび第2の圧力調節器30Bの両方が、それぞれの内部容積部を未使用のままにした円筒タイプのものである。
【0043】
上の実施形態において、少なくとも1つの流れ構成要素は、流体制御構成要素である。更なる実施形態において、流体制御構成要素は、圧力調節器、弁、またはフィルタであるように選択される。
【0044】
図8に概略的に例証される1つの実施形態において、フィルタ50の機能にある第1の流体制御構成要素11Aは、対称線Rの周りにウエハ20のスタックの中心容積部内に提供される。第1の圧力調節器30Aの形態にある第2の流体制御構成要素11Bは、フィルタ50を取り囲んで提供される。第2の圧力調節器30Bの形態にある第3の流体制御構成要素11Cは、第1の圧力調節器30Aを取り囲んで提供される。
【0045】
図8の実施形態は、故に、2つの圧力調節器30Aおよび30Bを含む。圧力調節器30A、30Bは、高圧側および低圧側を有する。2つの圧力調節器30A、30Bの高圧側は、流体制御デバイス1の第1の側の近くに提供される。
【0046】
図9は、流体制御デバイス1のさらに別の実施形態を例証する。ここでは、2つの圧力調節器30Aおよび30Bの高圧側は、ウエハ20のスタックの反対側に近接して提供される。言い換えると、2つの圧力調節器のうちの一方の高圧側および2つの圧力調節器のうちの他方の低圧側は、流体制御デバイス1の第1の側の近くに提供される。高圧側と低圧側との間の接続チャネル40および調節器30A、30Bの間の接続通路45は、このとき、異なって配置され得、これにより設計をより柔軟にする。
【0047】
図10Aは、流体制御デバイス1の別の実施形態を例証する。ここでは、デバイスの約半分のみが例証され、対称線Rは図内の最も左に位置するということに留意されたい。この実施形態において、流体制御デバイス1は、4つの流れ構成要素10A~10Dを含む。流れ構成要素10Aは、第1の圧力調節器30Aの形態にある第1の流体制御構成要素11Aである。流れ構成要素10Bは、第2の圧力調節器30Bの形態にある第2の流体制御構成要素11Bである。流れ構成要素10Cは、圧力センサ52の形態にある流体監視構成要素12である。流れ構成要素10Dは、逆止弁51の形態にある第3の流体制御構成要素11Cである。
【0048】
図10Bは、ウエハ10のスタックの主平面内の
図10Aの流れ構成要素10A~Dの広がりを例証する。
【0049】
1つの実施形態において、少なくとも1つの流れ構成要素は、流体監視構成要素である。更なる実施形態において、その流体監視構成要素は、圧力センサまたは流れセンサであるように選択される。
【0050】
図内で、主要入口および主要出口は、ウエハのスタックの反対側に位置するように例証される。これが、MEMSベースの流体制御デバイスを配置する典型的な方式であるのは、それが、流体制御デバイスを通過する前後のガス容積部をウエハのスタック自体によって分離するからである。しかしながら、特定の応用では、ウエハのスタックの同じ側にある入口および出口が有益であり得、本技術は、そのような設計を実装することにも十分に適応される。
【0051】
当業者は、変異形が原則的に無制限であり、様々な種類の異なる流れ構成要素が互いに対して同心円形形状で位置付けられ得ることを認識する。多くの応用において、異なる流れ構成要素が、上記実施形態の場合のように、直列に流体接続される。しかしながら、並列分岐を伴う流体制御デバイスを設計する可能性も存在する。
【0052】
直列に流体接続された流れ構成要素の場合、しばしば、それらを幾何学的に隣接する流れ構成要素として置くことも簡便である。これは、例えば、上に提示した実施形態の場合であった。しかしながら、さらに下のいくつかの実施形態における場合のように、いくつかの応用において、直列に流体接続された流れ構成要素のうちの2つ以上は、幾何学的に隣接しない流れ構成要素であり得る。これは、例えば、いくつかの流れ構成要素が、同じデバイス内の他の流れ構成要素よりも、より有利には小さい半径で提供される、またはより有利には大きい半径で提供される場合であり得る。
【0053】
図11Aは、流体制御デバイス1のウエハ20のスタックの実施形態の概略図である。いくつかの流れ構成要素10A~10Gが、対称軸Rの周りに互いを取り囲んで提供される。矢印は、異なる流れ構成要素間の流体接続を例証している。ここでは、流れは、中心流れ構成要素10A内へ入り始め、その後、円筒形状の流れ構成要素10B~10Gを連続して通り抜け続け、最終的に流れ構成要素10Gから出るということが分かる。
【0054】
図11Aの実施形態において、流体制御デバイス1への高圧入口、すなわち主要入口2は、第1の流れ構成要素10Aに対して中心に置かれる。
【0055】
流体制御デバイス1への高圧入口は、ここでは、第1の流れ構成要素10Aの入口に流体接続される。
【0056】
図11Bにおいて、別の実施形態の類似した図が示される。ここでは、流れは、流れ構成要素10B内で開始し、流れ構成要素10Gへと連続して続いた後、流れは、中心流れ構成要素10Aへと戻り、そこから最終的に出る。
【0057】
この実施形態において、流体制御デバイスからの低圧出口、すなわち主要出口3は、第1の流れ構成要素10Aに対して中心に位置する。
【0058】
流体制御デバイス1からの低圧出口は、ここでは、第1の流れ構成要素10Aの出口に流体接続される。
【0059】
代替の実施形態において、実際の高圧入口は、第1の流れ構成要素10Aの容積部内にも提供され得るが、しかしながら、第1の作用構成要素として流れ構成要素10Bに接続される。
【0060】
図11Cにおいて、さらにより変則的な実施形態が例証される。ここでは、流体接続は、流れ構成要素10Gと10Fとの間のみの近隣流れ構成要素に対してなされる。直列に流体接続された流れ構成要素の大半は、幾何学的に隣接しない流れ構成要素である。
【0061】
幾何学的に非近隣の順序にある流れ構成要素の流体接続は、1つまたは複数のウエハをウエハのスタックに追加することによって、提供され得る。しかしながら、特定の応用において、他のソリューションも可能であり得る。
【0062】
図12Aは、5つの圧力調節器30A~30Eおよび逆止弁51を有する流体制御デバイス1の実施形態を例証する。図は、2つの部分に分けられ、左部分は上部に、右部分は下部に例証される。この実施形態において、流れ構成要素10A~Fの幾何学的順序は、中心から開始し、外側へ進む。しかしながら、主要入口2、またはむしろ複数の主要入口2が、第1の圧力調節器30A、すなわち流れ構成要素10Bに接続される。流体接続は、このとき、流れ構成要素の番号に関しては、10B、10C、10D、10E、10F、および10Aの順にあり、これは、圧力調節器30A、30B、30C、30D、30E、および最後に逆止弁51に対応する。
【0063】
1:3程度の圧力調節が5つの圧力調節器の各ステージで容易に達成され得、圧力調節は、下方絶対圧力ではさらに大きくなり得るということが分かっている。これは、250倍超の合計圧力調節が、そのような配置によって達成され得ることを意味する。
【0064】
圧力調節器30Eと逆止弁51との間には接続通路45Bが存在する。この接続通路45Bは、この実施形態においては、圧力調節器30A~Dの基準圧力チャンバ37を通過するように設計される。圧力調節器30A~Dの動作は、接続通路45B内の圧力が、この実施形態においては、ほぼ大気圧にあることが意図され、動作中にそれほど変化しないことから、少しも影響を及ぼされない。しかしながら、この設計は、追加のウエハの使用を省く。
【0065】
図12Bは、
図12Aの接続通路45、接続通路45B、および接続チャネル40の横分布の概略図である。この実施形態において、各流れ構成要素のための各接続通路および各接続チャネルの5つの事例が存在する。
【0066】
言い換えると、1つの実施形態において、2つの流れ構成要素の間の流体接続は、基準圧力チャンバを通過する。
【0067】
流れ構成要素の円筒形状もまた、設計の好ましい詳細事項に影響を及ぼし得る。圧力調節器の場合、ピストン構成体が基準圧力チャンバの径方向外側の壁と径方向内側の壁との間にちょうど半分提供される場合、(円筒)ピストンの径方向外側の膜の領域は、ピストンの径方向内側の膜の領域よりもわずかに大きい。径方向外側の膜領域に印加される合力は、以て、径方向内側の膜領域に印加される合力よりも高くなる。そのような力の不均等な分布は、異なる応用において利用され得るが、他の場合には望ましくない場合がある。
【0068】
しかしながら、これは、ピストン構成体を、高圧膜または調節圧膜の径方向内側の境界よりも高圧膜または調節圧膜の径方向外側の境界の近くにそれぞれ位置付けることによって軽減され得る。1つの好ましい構成は、ピストン構成体の半径よりも小さい半径に位置する調節圧膜の面積が、ピストン構成体の半径よりも大きい半径に位置する調節圧膜の面積に等しいことである。別の好ましい構成は、ピストン構成体の半径よりも小さい半径に位置する高圧膜の面積が、上記ピストン構成体の半径よりも大きい半径に位置する高圧膜の面積に等しいことである。
【0069】
図13は、ピストン構成体36、高圧膜32、および調節圧膜38の実施形態の断面図の一部を例証する。半径は、図内右側に向かって増加する。膜の中間点は、矢印で示される。この実施形態において、ピストン構成体36は中心において膜に装着される必要がないことに気付かれたい。高圧側へのピストン構成体36は、低圧側へのピストン構成体36と同じ幅を有するべきではない。これは、膜の剛性を微調整するために使用され得る別の設計パラメータである。さらには、ピストン構成体の異なる部分は、それらのそれぞれの中心で合流すべきではない。この特定の実施形態において、高圧膜32および調節圧膜38は、同じ厚さを有する。しかしながら、代替の実施形態において、それは、異なる厚さを有し得る。また、これは、正しい膜剛性を達成するために使用されることになる設計パラメータである。
【0070】
特定の実施形態において、ピストン構成体は、高圧ピストン部分と低圧ピストン部分とに分割され、これらは、弛緩状態では、小さい距離だけ分離される。これは、動作中、2つの部分が実際に機械的に接触する前に、調節圧膜のわずかな曲げが発生しなければならないことを意味する。動作の点では、これは、高圧膜の制御がいくらか遅延されることを意味する。
【0071】
圧力降下を適応させるために使用され得る圧力調節器の別の詳細事項は、シート構成体および高圧膜密閉表面の設計および寸法である。
【0072】
高減圧が取り扱われることになるとき、ピストン構成体、高圧膜、およびシート構成体に対する力はかなりのものになり得る。変形を回避するため、負荷を支えるシート構成体の領域は増加され得る。
【0073】
シート構成体の設計に関する1つの更なる懸念は、破片粒子が、時として、ガス流の後に続き、シート構成体と高圧膜密閉表面との間に詰まり得、これにより圧力調節器内の狭い流路の完全な閉塞を妨げることである。より幅広のシート構成体の使用は、シート構成体と高圧膜密閉表面との間に粒子を捕捉するリスクを増加させる。
【0074】
そのようなリスクを軽減するために設計される1つの実施形態において、シート構成体は、凹部によって分離される複数のシート表面ループを含む。以て、各シートループが、閉構造を形成し、これに対して高圧膜が密閉を形成し得る。粒子が高圧膜密閉表面とシート表面ループのうちの1つとの間に詰まったとしても、高圧膜密閉表面は、依然として、他のシート表面ループに対して密閉することができる。さらには、粒子はまた、シート表面ループ間の空間内へ押圧され得る。複数のシート表面ループはまた、合計接触面積を増加させ、以て、接触圧力をさらに下げる。
【0075】
図14Aは、圧力調節器30のためのシート構成体を提供することが意図されるウエハの一部を例証する。シート構成体34は、凹部65によって分離されるいくつかのシート表面ループ64を含む。シート表面ループ64は、全周を構成し、以て、各々がシート表面ループ64に対して外側の容積部から内側の容積部を密閉することができる。接続通路45は、いくつかの角度で提供され、最も内側のシート表面ループ64に至るまでガスを提供する。接続チャネル40も同様に、最も外側のシート表面ループ64の外側に提供される。シート表面ループ64の数は、密閉を提供することが意図される高圧膜の性質および寸法に適応され得る。接続チャネル40は、接続通路45と同じ角度に必ずしも提供されない。さらには、代替の実施形態において、流れ方向は、反対であってもよく、すなわち、接続通路45が外側に、および接続チャネル40が内側に提供される。
【0076】
図14Bは、
図14Aに例証されるような構造体に基づいた流体制御デバイス1の実施形態の断面図の一部を例証する。断面は、
図14A内の矢印によって示される方向に取られる。高圧膜密閉表面35は、シート構成体34の方を向いて提供され、それらを分離する狭い流路33を伴う。
図14Cは、高圧膜32にわたる圧力差が変形を引き起こし、以て、高圧膜密閉表面35とシート構成体34との接触を引き起こし、以て、密閉作用を提供する状況を例証する。概念粒子66は、凹部65に捕捉され、密閉粒子に影響を及ぼさないということに留意されたい。
【0077】
上にさらに述べられるように、さらに、調節圧膜は、好ましくは、相互作用するための固体構造を有する。高圧膜における圧力と調節圧膜における圧力との間の高い圧力差では、調節圧膜は、それが調節圧空洞の底部において固体構造に到達するほど変形され得る。膜は、次いで、この表面に対して密閉し得、流出圧力空洞は、条件が再び変化されるとき、正しい圧力基準を提供することができない。調節圧膜は、したがって、調節圧空洞にくっつき得る。この問題を解決するために、調節圧空洞は、好ましくは、空洞の底部から提供される距離要素を有する。これらの距離要素は、調節圧膜が底部に到達することを妨げるように構成される。同時に、距離要素は、ガスが調節圧空洞内を連続して流れることを可能にし、正しい圧力基準を提供する。
【0078】
それは、別途膜内のひびのリスクを増加させ得る大きすぎる変形を伴わずに、調節圧膜67の停止位置を提供するのにも有益である。
【0079】
図15Aは、圧力調節器30のための低圧支持構造体42を提供することが意図されるウエハの一部を概略的に例証する。いくつかの距離要素67が、調節圧空洞41の底部68から提供される。接続チャネル40は、調節された圧力のガスを提供する役割を果たす。調節圧膜が距離要素67と接触状態にあるときにもガスを分布させるために、距離要素は、いくつかの場所では破断され、シート構成体とは対照的に、全360度を取り囲まない。
【0080】
距離要素67は、異なって、例えば、異なる種類の形状の柱として、設計され得る。距離要素67は、それらが調節圧膜のための支持を提供すると同時に、距離要素67の間にガスを流すように画定されるべきである。低密度表面、すなわち、支持構造体の間のより大きい空間、を提示する支持もまた、調節圧膜の大部分が調節圧のために利用可能であることを確実にすることに貢献する。
【0081】
図15Bは、
図15Aに例証されるような構造体に基づいた流体制御デバイス1の実施形態の断面図の一部を例証する。断面は、
図15A内の矢印によって示される方向に取られる。ここでは、個々の距離要素67の間にガスのための空間が存在することが分かる。
図15Cは、調節圧膜38が変形され、距離要素67に対して支持している状況を例証する。調節圧膜38と接触状態にある調節圧空洞41は、依然として、接続チャネル40と流体接触状態にある。
【0082】
上に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例証的な例と理解されるべきである。様々な修正形態、組み合わせ、および変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対してなされ得ることは、当業者により理解されるものとする。特に、異なる実施形態内の異なる部分ソリューションは、技術的に可能な場合には、他の構成において組み合わされ得る。しかしながら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概して、流体制御システムに関し、および特に、微小電気機械システムとして実現される流体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、今日、多くの異なる種類のマイクロアクチュエータまたはマイクロセンサを、費用対効果が高くかつ空間を節約する方式で実現するために使用される。MEMSがよく使用される1つの応用としては、マイクロ流体制御デバイスがある。異なるマイクロ流体応用の考察は、例えば、2020年12月10日のApplied Sciences 2020, 10, 8858におけるE. Chappelによる記事“A Review of Passive Constant Flow Regulators for Microfluidic Applications”に見ることができる。
【0003】
そのようなMEMS応用の共通した取り組みは、流体制御デバイスをできる限り小さくすること、および製造を容易にすることである。MEMSは、典型的には、ユニットとして一緒に接合される機械加工ウエハに基づく。その点で、流体制御動作を達成するために必要とされるウエハの数が重大なパラメータであることは通則である。必要とされるウエハが多いほど、接合はより困難になる。故に、一般的傾向は、ウエハの必要数を最小限にすることにある。
【0004】
典型的な流体制御デバイスは、いくつかの流れ構成要素を含む。そのような流れ構成要素は、例えば、フィルタ、弁、調節器などの流体制御構成要素、および/または圧力センサ、流れセンサなどの流体監視構成要素であり得る。そのような流れ構成要素は、要求される全体的な流れ機能性を達成するために、異なる構成で直列および/または並列に流体接続される。
【0005】
流体制御デバイスの一例は、高圧貯蔵タンクから低圧ガスの絶え間ない流れを提供するために設計される圧力調節器である。多くのソリューションが提案されるが、それらの大半は、いくつかの流れ構成要素、例えば、いくつかの減圧ステージを伴う。
【0006】
しかしながら、より多くの流れ構成要素の必要性が増加するとき、製造が容易である総合構成を達成するために、流れ構成要素を互いに対してどのように幾何学的に位置付けるかという問題が存在する。MEMSの厚さ方向に流れ構成要素を積層することは、おそらく、概念上は最も容易なソリューションであるが、上に示したように、要求されるウエハの数の増加に伴って接合複雑性が大きく増加する。
【0007】
代替の方式は、流れ構成要素をウエハの主平面内に横並びに位置付けることである。しかしながら、ここでも、流れ構成要素の数の増加は、流体制御デバイス全体がウエハの平面内で比較的大きな広がりを提示することを引き起こす。これは、一般的に、生産費を増加させ、また、例えば、機械的強度問題を引き起こし得る。
【0008】
公開された米国特許第5,839,467号には、微細加工された流体処理デバイスが開示される。異なる膜含有構成要素が横並びに位置付けられる。
【0009】
公開された特許出願米国第2017/01762677 A1号には、圧力センサチップが開示される。高差圧ダイアフラムが、いくつかの低差圧ダイアフラムと同じ表面に横並びに位置付けられる。
【0010】
更なる代替の方式は、流れ構成要素の数を低減するために、各流れ構成要素内に2つ以上の特定の機能性を統合しようとすることである。しかしながら、そのような手法は、しばしば相当な構築努力を必要とし、典型的には、非常に応用特有であるソリューションをもたらし得る。したがって、そのような手法は、多くの場合、時間および費用がかかる。
【発明の概要】
【0011】
ここに提示される技術の全般的な目的は、開発および製造が容易かつ安価である流体制御デバイスを構成するための、および特に、多くのステップまたは構成要素を必要とする流体制御デバイスのための、新規概念を見出すことである。
【0012】
上の目的は、独立クレームに従う方法およびデバイスによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項において規定される。
【0013】
一般的に言うと、第1の態様において、流体制御デバイスは、流れ構成要素が微小電気機械システム‐MEMSとして提供されるウエハのスタックを含む。流れ構成要素は、流体制御構成要素および/または流体監視構成要素から選択される。流体制御デバイスは、ウエハのスタックの主平面内で、第2の流れ構成要素によって取り囲まれる第1の流れ構成要素を有する。第1および第2の流れ構成要素は、それぞれの変形可能膜を含む。
【0014】
提案された技術の1つの利点は、ウエハのスタックの主平面内の流体制御デバイスの広がりが小さく保たれ得ることである。他の利点は、詳細な説明を読むときに理解されるものとする。
【0015】
本発明は、更なる目的およびその利点と共に、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより最良に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
従来技術のMEMS圧力調節器の実施形態の概略断面図である。
【
図2】2つの圧力調節器を有する
従来技術のMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図3】2つの圧力調節器を有する
従来技術のMEMS流れ制御デバイスの別の実施形態の概略断面図である。
【
図4】
文字通り、本特許請求の範囲には含まれない、流れ構成要素を横並びに置いている概略図である。
【
図5】流れ構成要素を互いに取り囲んで置いている概略図である。
【
図6】2つの圧力調節器を有するMEMS流れ制御デバイスの更なる実施形態の概略断面図である。
【
図7】2つの圧力調節器を有するMEMS流れ制御デバイスの更なる実施形態の概略断面図である。
【
図8】2つの圧力調節器およびフィルタを有するMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図9】2つの圧力調節器およびフィルタを有するMEMS流れ制御デバイスの別の実施形態の概略断面図である。
【
図10A】流体制御構成要素および流体監視構成要素の両方を有するMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図11A】一連の流れ構成要素を通る異なる流路を概略的に例証する図である。
【
図11B】一連の流れ構成要素を通る異なる流路を概略的に例証する図である。
【
図11C】一連の流れ構成要素を通る異なる流路を概略的に例証する図である。
【
図12A】5つの圧力調節器および逆止弁を有するMEMS流れ制御デバイスの実施形態の概略断面図である。
【
図13】ピストン構成体の実施形態の断面図である。
【
図14A】シート構成体の実施形態を例証する図である。
【
図14B】シート構成体の実施形態を例証する図である。
【
図14C】シート構成体の実施形態を例証する図である。
【
図15A】距離要素の配置の実施形態を例証する図である。
【
図15B】距離要素の配置の実施形態を例証する図である。
【
図15C】距離要素の配置の実施形態を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面全体を通して、同じ参照番号が、同様または対応する要素のために使用される。
【0018】
提案された技術のより良好な理解のため、MEMS配置に伴う利点および問題の簡単な議論から始めることが有用であろう。背景技術において簡単に触れたように、MEMSは、単流構成要素を提供するために非常に有利に使用される。しかしながら、より複雑なシステムの要求がなされるときには問題が生じる。互いに接合される2つまたは3つのウエハに基づいたウエハのMEMSスタックを使用することは、比較的容易であり、標準手順と見なされ得る。すでに4ウエハスタックは、追加の複雑性を作り出しており、非標準手順と見なされ得る。5ウエハスタックは、取り扱いがより困難になるが、多大な努力により依然として実現可能であり得る。6つ以上のウエハによるウエハスタックは、少なくとも今日利用可能な技術では、高度な特殊効果製造と見なされるべきである。故に、このような理由から、MEMS関連の仕事のほとんどは、低ウエハ数MEMSスタックに好適な設計を見出すことに費やされる。
【0019】
本開示におけるモデルシステムとして、圧力調節器システムが使用され得る。高貯蔵タンクからのガス圧力をより低い動作圧力へと調節することが必要とされる多くの応用が存在する。多くの応用において、調節器は、一定出力圧力を送達すれば十分であるが、他の応用は、出口圧力を変化させる可能性を必要とする。調節器は、受動または能動のいずれかである。能動圧力調節器は、センサから読み出す圧力を監視し、弁の位置を調整して所望の圧力を達成するためにエネルギーを必要とする。受動調節器は、通常、圧力を調節するために膜またはばねの張力に依拠する。これは、外側から供給されるいかなるエネルギーも必要としないため、多くの応用において好まれる。
【0020】
図1は、
文字通り、本特許請求の範囲には含まれない、従来技術の流体制御デバイス1の実施形態を概略的に例証する。この実施形態は、流れ構成要素10、この場合は流体制御構成要素11および特に圧力調節器30を提示する。流体制御デバイス1には、MEMS技術が設けられ、したがって、ウエハ20のスタック内の構造体によって作成される。この設計では、小さい面積を有する高圧膜32と大きい面積を有する調節圧膜38とのバランスが利用される。
【0021】
この実施形態において、調節器入口31は、高圧のガスが高圧膜密閉表面と接触状態になることを可能にする。高圧膜密閉表面35とシート構成体34との間には狭い流路33が存在する。ガスは、高圧膜32の片側と接触状態にある高圧側容積部44を介して接続チャネル40内へ流れ、最終的に調節器出口39を通る。狭い流路33は、流れ制限を引き起こし、したがって、高圧側容積部44および接続チャネル40内のガスは、低減された調節圧を有する。調節圧を有するこのガスは、調節圧膜38の片側と接触状態にある調節圧空洞41と流体連通される。調節圧膜38および高圧膜32は、基準圧力チャンバ37により包囲されるピストン構成体36によって接続される。流出圧力空洞41内の圧力が基準圧力チャンバ37内よりも高い場合、調節圧膜38は、図内上方へ曲がり、ピストン構成体36を上方へ押圧する傾向がある。しかしながら、高圧側容積部44と基準圧力チャンバ37との間の圧力差は、ピストン構成体36を下方へ押圧する傾向があるが、高圧膜の面積が調節圧膜38の面積よりもはるかに小さいことから、図内上方に向けられるピストン構成体36に対する合力が結果となる。高圧膜密閉表面35の中心部分に作用する高圧もまた、ピストン構成体36を下方へ押圧することを助ける。上方に向けられた力が優性である場合、高圧膜密閉表面35は、高圧膜密閉表面35とシート構成体34との間の狭い流路33を閉じるよう促される。
【0022】
故に、狭い流路33を通って流れるガスの間の平衡作用が存在し、以て、調節圧を構築し、調節圧空洞41内の圧力がピストン構成体36を図内上方へ動かして狭い流路33を閉じようとする。調節器出口39から外への流れが停止または制限される場合、狭い流路33が閉じられるまで調節圧が高まる。増加した調節圧は、高圧膜32の外側部分に対しても作用するが、増加した調節圧と接触状態にある調節圧膜38の面積の方が典型的には大きいことから、合力は、狭い流路33を閉じるように作用する。調節器出口39から外への流れが再び許されるとき、調節圧は降下し、狭い流路33が開かれる。
【0023】
ピストン構成体36の運動を制限するため、調節圧膜支持表面43が、低圧支持構造体42によって停止されるように配置される。Rによって示されるような回転対称は、接続チャネル40を除くすべての部材に当てはまり、接続チャネル40は、むしろ、中央構造体の周りに分布される1つまたは複数の別個のチャネルとして存在し得る。
【0024】
圧力調節器30の臨界寸法は、高圧膜32の半径、調節圧膜38の半径、および狭い流路33の弁間隙である。
【0025】
適度な圧力差が圧力調節器に要求される場合、特に、中圧の場合、上記概念は、ピストンの変位への高圧寄与が典型的には小さいことから、元の圧力に対して独立した一定出力流でほとんど動作するように設計され得る。しかしながら、高減圧および/または高入力圧力が必要とされる場合、元の高圧のレベルは、最終出力流を決定するのにより重要になる。したがって、多くの応用において、2段減圧、または多段減圧さえ使用することが要求され、この場合、圧力調節器は直列に提供され、2つ以上のステップで圧力を低減する。
【0026】
文字通り、本特許請求の範囲には含まれない、従来技術の2段MEMS圧力調節器アセンブリ13の設計の1つの実施形態は、
図2に例証される。ここでは、第1の圧力調節器30Aの調節器出口39は、第2の圧力調節器30Bの調節器入口31に接続される。しかしながら、そのような設計は、ウエハ20のスタック内へと互いに接続されるべき多くのウエハの使用を要求するということを直ちに認識されたい。したがって、そのようなデバイスの製造は、可能であるとしても、非常に困難である。
【0027】
文字通り、本特許請求の範囲には含まれない、従来技術の2段MEMS圧力調節器アセンブリ13の設計の別の実施形態は、
図3に例証される。ここでは、圧力調節器30Aおよび30Bは、流体的に見て直列様式で依然として提供される。各調節器30A、30Bは、いくつかの接続通路を除き、それぞれの線Rの周りに独自の回転対称を有する。しかしながら、物理的に、調節器は、ウエハ20のスタック内に横並びに置かれる。これは、スタック内のウエハの必要数を低減し、圧力調節器30Aと30Bとの間の接続通路45に起因して、単一圧力調節器と比較して1つのみの追加ウエハが必要とされると現在考えられている。しかしながら、横方向の占有空間は、単一圧力調節器と比較して2倍になる。故に、この実施形態は、より魅力的であるが、その更なる流れ構成要素の観点では、流体制御構成要素、例えば、追加の減圧ステップ、弁、またはフィルタ、および流体監視構成要素、例えば、流れ圧力センサの両方が、異なる応用において必要とされ得、全システムの横方向の広がりは、不都合に大きくなり得る。
【0028】
大半の流れ構成要素、少なくとも、膜の動作に基づいた流れ構成要素は、円対称性を有する。
図4は、
文字通り、本特許請求の範囲には含まれない、従来技術の、第1の流れ構成要素10Aへの主要入口2を有する流体制御デバイス1を概略的に例証する。これは、ウエハ20スタックの主平面を示して、すなわち、MEMSを作成するために使用されるウエハの延長平面に垂直に、例証される。後続の流れ構成要素10B~Dは、次いで、主要出口3(ウエハ20のスタックの裏側における)に到達するまで直列に接続される。そのような設計の幾何学的寸法は、単流構成要素設計の場合よりもはるかに大きくなる。
【0029】
しかしながら、本技術によると、流れ構成要素、また膜ベースの流れ構成要素も、円形形状で、しかしながら“受動的な”中心部分を伴って、設計することが可能であると結論付けられている。すなわち、能動的な構造体は、内半径および外半径によって画定される空間内に設計され得る。言い換えると、能動的な構造体は、環状に対称の形状の中心まで到達する必要はない。対称軸の周りの空間は、必ずしも使用されない。
【0030】
このような識見は、2つ以上の流れ構成要素を有する流れ制御デバイスを設計する新規概念をもたらす。
図5は、
図4に例証されるものと機能が同様の、流体制御デバイス1の実施形態の概略図である。これはまた、ウエハ20のスタックの主平面を示して例証される。ここでは、第1の流れ構成要素10Aが中央に提供される。この第1の流れ構成要素10Aの周りに、第2の流れ構成要素10Bが提供される。流れ構成要素10Bの作用面積は、流れ構成要素10Aの作用面積に等しいが、それがより大きい半径で提供されることから、作用面積の幅は、より小さい。流れ構成要素10Aおよび10Bは、以て、利用可能な領域を効率的に利用して、能動的に利用される領域部分の密度を増加させる。さらに2つの流れ構成要素10Cおよび10Dが、次いで、内側のものの外側に同心円状に提供される。流れ構成要素が変形可能膜を伴う場合、起こり得る最も内側のものを除くすべての流れ構成要素は、リング形状の膜を利用した。リング形状は、図内では円形リングである。しかしながら、リング形状は、任意の閉じた幾何形状、例えば、楕円形または多角形のものであり得る。
【0031】
作用面積をあまり狭くすることができない場合にさえ、正確に合致する流れ構成要素10A~Dを互いの外側に同心円状に置くことによって得られる空間節約は明白である。外側の流れ構成要素は、内側の流れ構成要素を取り囲む。言い換えると、内側の流れ構成要素は、外側の流れ構成要素によって完全に包囲される領域内に完全に提供される。多くの応用において、流れ構成要素間の接続路は、既存のウエハスタック厚さ内に提供され得、そのような応用において、余分のウエハが接続路を確実にするために必要とされない。
【0032】
故に、言い換えると、1つの実施形態において、流れ構成要素がMEMSとして提供されるウエハのスタックを含む流体制御デバイス、第1の流れ構成要素は、ウエハのスタックの主平面内で、第2の流れ構成要素によって取り囲まれる。流れ構成要素の各々は、流体制御構成要素または流体監視構成要素のいずれかである。
【0033】
更なる実施形態において、第3の流れ構成要素が、ウエハのスタックの主平面内で、第2の流れ構成要素を取り囲む。
【0034】
依然として更なる実施形態において、第4の流れ構成要素が、ウエハのスタックの主平面内で、第3の流れ構成要素を取り囲む。
【0035】
一般化した実施形態において、これは、任意の数nの流れ構成要素の場合、n個の流れ構成要素を有する流体制御デバイスとして表現され得る。第kの流れ構成要素は、ウエハのスタックの主平面内で、第(k-1)の流れ構成要素を取り囲み、kは、n以下であるが1よりも大きい整数である。数nは、4よりも大きくてもよい。
【0036】
これらの考えは、圧力調節器の応用例に有利に適用され得る。
【0037】
図6は、流体制御デバイス1、この実施形態では圧力調節器システム、の実施形態の断面を概略的に例証する。流体制御デバイス1は、2つの流れ構成要素10を含み、それらの両方は、流体制御構成要素11、ならびに特に第1の圧力調節器30Aおよび第2の圧力調節器30Bである。第2の圧力調節器30Bがウエハ20のスタックの主平面内で第1の圧力調節器30Aを取り囲むことから、第2の圧力調節器30Bの部分は、図内で第1の調節器30Aの両側に現れるということに留意されたい。第1および第2の調節器30A、30Bは、高圧側と低圧側との間の接続チャネル40および調節器30A、30Bの間の接続通路45を除く大半の部分では共通対称軸Rを有する。流体制御デバイス1は、横並びの圧力調節器を用いた設計よりも小さい合計半径を有し、単一圧力調節器と同じ数のウエハで実現することが可能である。
【0038】
故に、第2の圧力調節器30Bは、内部が他の目的のために使用される余地を残して、略円筒形状を有する。この場合、第1の圧力調節器30Aは、この容積部を占有し、故に、第2の圧力調節器30Bによって取り囲まれる。上に説明されたものと類似して、および他の流れ構成要素と共通して、第2の圧力調節器30Bは、変形可能膜を含む。第2の圧力調節器30Bは、変形されるとシート構成体34に対する密閉作用を可能にするように配置される高圧膜32を有する。
【0039】
第2の圧力調節器30Bは、調節圧膜38、および高圧入口61から、高圧膜32とシート構成体34との間を通過する、すなわち、狭い流路33を通って、低圧出口までの接続チャネル40を含む圧力調節器流路をさらに有する。調節圧膜38の図内下方を向く第1の側は、圧力調節器流路の低圧出口62と流体接触状態にある。
【0040】
調節圧膜38の上で述べた第1の側と圧力調節器流路の低圧出口61との間の流体接触は、流出圧力空洞41を含む。流出圧力空洞41は、調節圧膜38と接触状態にある。
【0041】
第2の圧力調節器30Bは、第1の圧力調節器30Aと類似して、高圧膜32および調節圧膜38を接続するピストン構成体36をさらに有する。以て、基準圧力チャンバ37が、高圧膜32と調節圧膜38との間に形成されて、ピストン構成体36を包囲する。言い換えると、少なくとも2つの流れ構成要素10は、それぞれの変形可能膜32、38を含む。
【0042】
図6において、第1の圧力調節器30Aは、対称軸内まで作用部分を有する円形対称を伴う“従来の”タイプのものであったが、第2の圧力調節器30Bは、代わりに、非作用中心容積部を伴う円筒形状を有する。対称軸Rの周りの容積部は、しばしば多くの他の機能のために有用であり、また、この容積部の少なくとも一部は未使用のままにしておくことが有利であり得る。言い換えると、円筒形状で実装することが可能である構成要素は、さらに外へ置かれ得、中心の容積部を、そこに置かれることを必要とし得る構成要素または接続のために取っておく。
図7は、そのような実施形態の断面図を概略的に例証する。ここでは、第1の圧力調節器30Aおよび第2の圧力調節器30Bの両方が、それぞれの内部容積部を未使用のままにした円筒タイプのものである。
【0043】
上の実施形態において、少なくとも1つの流れ構成要素は、流体制御構成要素である。更なる実施形態において、流体制御構成要素は、圧力調節器、弁、またはフィルタであるように選択される。
【0044】
図8に概略的に例証される1つの実施形態において、フィルタ50の機能にある第1の流体制御構成要素11Aは、対称線Rの周りにウエハ20のスタックの中心容積部内に提供される。第1の圧力調節器30Aの形態にある第2の流体制御構成要素11Bは、フィルタ50を取り囲んで提供される。第2の圧力調節器30Bの形態にある第3の流体制御構成要素11Cは、第1の圧力調節器30Aを取り囲んで提供される。
【0045】
図8の実施形態は、故に、2つの圧力調節器30Aおよび30Bを含む。圧力調節器30A、30Bは、高圧側および低圧側を有する。2つの圧力調節器30A、30Bの高圧側は、流体制御デバイス1の第1の側の近くに提供される。
【0046】
図9は、流体制御デバイス1のさらに別の実施形態を例証する。ここでは、2つの圧力調節器30Aおよび30Bの高圧側は、ウエハ20のスタックの反対側に近接して提供される。言い換えると、2つの圧力調節器のうちの一方の高圧側および2つの圧力調節器のうちの他方の低圧側は、流体制御デバイス1の第1の側の近くに提供される。高圧側と低圧側との間の接続チャネル40および調節器30A、30Bの間の接続通路45は、このとき、異なって配置され得、これにより設計をより柔軟にする。
【0047】
図10Aは、流体制御デバイス1の別の実施形態を例証する。ここでは、デバイスの約半分のみが例証され、対称線Rは図内の最も左に位置するということに留意されたい。この実施形態において、流体制御デバイス1は、4つの流れ構成要素10A~10Dを含む。流れ構成要素10Aは、第1の圧力調節器30Aの形態にある第1の流体制御構成要素11Aである。流れ構成要素10Bは、第2の圧力調節器30Bの形態にある第2の流体制御構成要素11Bである。流れ構成要素10Cは、圧力センサ52の形態にある流体監視構成要素12である。流れ構成要素10Dは、逆止弁51の形態にある第3の流体制御構成要素11Cである。
【0048】
図10Bは、ウエハ10のスタックの主平面内の
図10Aの流れ構成要素10A~Dの広がりを例証する。
【0049】
1つの実施形態において、少なくとも1つの流れ構成要素は、流体監視構成要素である。更なる実施形態において、その流体監視構成要素は、圧力センサまたは流れセンサであるように選択される。
【0050】
図内で、主要入口および主要出口は、ウエハのスタックの反対側に位置するように例証される。これが、MEMSベースの流体制御デバイスを配置する典型的な方式であるのは、それが、流体制御デバイスを通過する前後のガス容積部をウエハのスタック自体によって分離するからである。しかしながら、特定の応用では、ウエハのスタックの同じ側にある入口および出口が有益であり得、本技術は、そのような設計を実装することにも十分に適応される。
【0051】
当業者は、変異形が原則的に無制限であり、様々な種類の異なる流れ構成要素が互いに対して同心円形形状で位置付けられ得ることを認識する。多くの応用において、異なる流れ構成要素が、上記実施形態の場合のように、直列に流体接続される。しかしながら、並列分岐を伴う流体制御デバイスを設計する可能性も存在する。
【0052】
直列に流体接続された流れ構成要素の場合、しばしば、それらを幾何学的に隣接する流れ構成要素として置くことも簡便である。これは、例えば、上に提示した実施形態の場合であった。しかしながら、さらに下のいくつかの実施形態における場合のように、いくつかの応用において、直列に流体接続された流れ構成要素のうちの2つ以上は、幾何学的に隣接しない流れ構成要素であり得る。これは、例えば、いくつかの流れ構成要素が、同じデバイス内の他の流れ構成要素よりも、より有利には小さい半径で提供される、またはより有利には大きい半径で提供される場合であり得る。
【0053】
図11Aは、流体制御デバイス1のウエハ20のスタックの実施形態の概略図である。いくつかの流れ構成要素10A~10Gが、対称軸Rの周りに互いを取り囲んで提供される。矢印は、異なる流れ構成要素間の流体接続を例証している。ここでは、流れは、中心流れ構成要素10A内へ入り始め、その後、円筒形状の流れ構成要素10B~10Gを連続して通り抜け続け、最終的に流れ構成要素10Gから出るということが分かる。
【0054】
図11Aの実施形態において、流体制御デバイス1への高圧入口、すなわち主要入口2は、第1の流れ構成要素10Aに対して中心に置かれる。
【0055】
流体制御デバイス1への高圧入口は、ここでは、第1の流れ構成要素10Aの入口に流体接続される。
【0056】
図11Bにおいて、別の実施形態の類似した図が示される。ここでは、流れは、流れ構成要素10B内で開始し、流れ構成要素10Gへと連続して続いた後、流れは、中心流れ構成要素10Aへと戻り、そこから最終的に出る。
【0057】
この実施形態において、流体制御デバイスからの低圧出口、すなわち主要出口3は、第1の流れ構成要素10Aに対して中心に位置する。
【0058】
流体制御デバイス1からの低圧出口は、ここでは、第1の流れ構成要素10Aの出口に流体接続される。
【0059】
代替の実施形態において、実際の高圧入口は、第1の流れ構成要素10Aの容積部内にも提供され得るが、しかしながら、第1の作用構成要素として流れ構成要素10Bに接続される。
【0060】
図11Cにおいて、さらにより変則的な実施形態が例証される。ここでは、流体接続は、流れ構成要素10Gと10Fとの間のみの近隣流れ構成要素に対してなされる。直列に流体接続された流れ構成要素の大半は、幾何学的に隣接しない流れ構成要素である。
【0061】
幾何学的に非近隣の順序にある流れ構成要素の流体接続は、1つまたは複数のウエハをウエハのスタックに追加することによって、提供され得る。しかしながら、特定の応用において、他のソリューションも可能であり得る。
【0062】
図12Aは、5つの圧力調節器30A~30Eおよび逆止弁51を有する流体制御デバイス1の実施形態を例証する。図は、2つの部分に分けられ、左部分は上部に、右部分は下部に例証される。この実施形態において、流れ構成要素10A~Fの幾何学的順序は、中心から開始し、外側へ進む。しかしながら、主要入口2、またはむしろ複数の主要入口2が、第1の圧力調節器30A、すなわち流れ構成要素10Bに接続される。流体接続は、このとき、流れ構成要素の番号に関しては、10B、10C、10D、10E、10F、および10Aの順にあり、これは、圧力調節器30A、30B、30C、30D、30E、および最後に逆止弁51に対応する。
【0063】
1:3程度の圧力調節が5つの圧力調節器の各ステージで容易に達成され得、圧力調節は、下方絶対圧力ではさらに大きくなり得るということが分かっている。これは、250倍超の合計圧力調節が、そのような配置によって達成され得ることを意味する。
【0064】
圧力調節器30Eと逆止弁51との間には接続通路45Bが存在する。この接続通路45Bは、この実施形態においては、圧力調節器30A~Dの基準圧力チャンバ37を通過するように設計される。圧力調節器30A~Dの動作は、接続通路45B内の圧力が、この実施形態においては、ほぼ大気圧にあることが意図され、動作中にそれほど変化しないことから、少しも影響を及ぼされない。しかしながら、この設計は、追加のウエハの使用を省く。
【0065】
図12Bは、
図12Aの接続通路45、接続通路45B、および接続チャネル40の横分布の概略図である。この実施形態において、各流れ構成要素のための各接続通路および各接続チャネルの5つの事例が存在する。
【0066】
言い換えると、1つの実施形態において、2つの流れ構成要素の間の流体接続は、基準圧力チャンバを通過する。
【0067】
流れ構成要素の円筒形状もまた、設計の好ましい詳細事項に影響を及ぼし得る。圧力調節器の場合、ピストン構成体が基準圧力チャンバの径方向外側の壁と径方向内側の壁との間にちょうど半分提供される場合、(円筒)ピストンの径方向外側の膜の領域は、ピストンの径方向内側の膜の領域よりもわずかに大きい。径方向外側の膜領域に印加される合力は、以て、径方向内側の膜領域に印加される合力よりも高くなる。そのような力の不均等な分布は、異なる応用において利用され得るが、他の場合には望ましくない場合がある。
【0068】
しかしながら、これは、ピストン構成体を、高圧膜または調節圧膜の径方向内側の境界よりも高圧膜または調節圧膜の径方向外側の境界の近くにそれぞれ位置付けることによって軽減され得る。1つの好ましい構成は、ピストン構成体の半径よりも小さい半径に位置する調節圧膜の面積が、ピストン構成体の半径よりも大きい半径に位置する調節圧膜の面積に等しいことである。別の好ましい構成は、ピストン構成体の半径よりも小さい半径に位置する高圧膜の面積が、上記ピストン構成体の半径よりも大きい半径に位置する高圧膜の面積に等しいことである。
【0069】
図13は、ピストン構成体36、高圧膜32、および調節圧膜38の実施形態の断面図の一部を例証する。半径は、図内右側に向かって増加する。膜の中間点は、矢印で示される。この実施形態において、ピストン構成体36は中心において膜に装着される必要がないことに気付かれたい。高圧側へのピストン構成体36は、低圧側へのピストン構成体36と同じ幅を有するべきではない。これは、膜の剛性を微調整するために使用され得る別の設計パラメータである。さらには、ピストン構成体の異なる部分は、それらのそれぞれの中心で合流すべきではない。この特定の実施形態において、高圧膜32および調節圧膜38は、同じ厚さを有する。しかしながら、代替の実施形態において、それは、異なる厚さを有し得る。また、これは、正しい膜剛性を達成するために使用されることになる設計パラメータである。
【0070】
特定の実施形態において、ピストン構成体は、高圧ピストン部分と低圧ピストン部分とに分割され、これらは、弛緩状態では、小さい距離だけ分離される。これは、動作中、2つの部分が実際に機械的に接触する前に、調節圧膜のわずかな曲げが発生しなければならないことを意味する。動作の点では、これは、高圧膜の制御がいくらか遅延されることを意味する。
【0071】
圧力降下を適応させるために使用され得る圧力調節器の別の詳細事項は、シート構成体および高圧膜密閉表面の設計および寸法である。
【0072】
高減圧が取り扱われることになるとき、ピストン構成体、高圧膜、およびシート構成体に対する力はかなりのものになり得る。変形を回避するため、負荷を支えるシート構成体の領域は増加され得る。
【0073】
シート構成体の設計に関する1つの更なる懸念は、破片粒子が、時として、ガス流の後に続き、シート構成体と高圧膜密閉表面との間に詰まり得、これにより圧力調節器内の狭い流路の完全な閉塞を妨げることである。より幅広のシート構成体の使用は、シート構成体と高圧膜密閉表面との間に粒子を捕捉するリスクを増加させる。
【0074】
そのようなリスクを軽減するために設計される1つの実施形態において、シート構成体は、凹部によって分離される複数のシート表面ループを含む。以て、各シートループが、閉構造を形成し、これに対して高圧膜が密閉を形成し得る。粒子が高圧膜密閉表面とシート表面ループのうちの1つとの間に詰まったとしても、高圧膜密閉表面は、依然として、他のシート表面ループに対して密閉することができる。さらには、粒子はまた、シート表面ループ間の空間内へ押圧され得る。複数のシート表面ループはまた、合計接触面積を増加させ、以て、接触圧力をさらに下げる。
【0075】
図14Aは、圧力調節器30のためのシート構成体を提供することが意図されるウエハの一部を例証する。シート構成体34は、凹部65によって分離されるいくつかのシート表面ループ64を含む。シート表面ループ64は、全周を構成し、以て、各々がシート表面ループ64に対して外側の容積部から内側の容積部を密閉することができる。接続通路45は、いくつかの角度で提供され、最も内側のシート表面ループ64に至るまでガスを提供する。接続チャネル40も同様に、最も外側のシート表面ループ64の外側に提供される。シート表面ループ64の数は、密閉を提供することが意図される高圧膜の性質および寸法に適応され得る。接続チャネル40は、接続通路45と同じ角度に必ずしも提供されない。さらには、代替の実施形態において、流れ方向は、反対であってもよく、すなわち、接続通路45が外側に、および接続チャネル40が内側に提供される。
【0076】
図14Bは、
図14Aに例証されるような構造体に基づいた流体制御デバイス1の実施形態の断面図の一部を例証する。断面は、
図14A内の矢印によって示される方向に取られる。高圧膜密閉表面35は、シート構成体34の方を向いて提供され、それらを分離する狭い流路33を伴う。
図14Cは、高圧膜32にわたる圧力差が変形を引き起こし、以て、高圧膜密閉表面35とシート構成体34との接触を引き起こし、以て、密閉作用を提供する状況を例証する。概念粒子66は、凹部65に捕捉され、密閉粒子に影響を及ぼさないということに留意されたい。
【0077】
上にさらに述べられるように、さらに、調節圧膜は、好ましくは、相互作用するための固体構造を有する。高圧膜における圧力と調節圧膜における圧力との間の高い圧力差では、調節圧膜は、それが調節圧空洞の底部において固体構造に到達するほど変形され得る。膜は、次いで、この表面に対して密閉し得、流出圧力空洞は、条件が再び変化されるとき、正しい圧力基準を提供することができない。調節圧膜は、したがって、調節圧空洞にくっつき得る。この問題を解決するために、調節圧空洞は、好ましくは、空洞の底部から提供される距離要素を有する。これらの距離要素は、調節圧膜が底部に到達することを妨げるように構成される。同時に、距離要素は、ガスが調節圧空洞内を連続して流れることを可能にし、正しい圧力基準を提供する。
【0078】
それは、別途膜内のひびのリスクを増加させ得る大きすぎる変形を伴わずに、調節圧膜67の停止位置を提供するのにも有益である。
【0079】
図15Aは、圧力調節器30のための低圧支持構造体42を提供することが意図されるウエハの一部を概略的に例証する。いくつかの距離要素67が、調節圧空洞41の底部68から提供される。接続チャネル40は、調節された圧力のガスを提供する役割を果たす。調節圧膜が距離要素67と接触状態にあるときにもガスを分布させるために、距離要素は、いくつかの場所では破断され、シート構成体とは対照的に、全360度を取り囲まない。
【0080】
距離要素67は、異なって、例えば、異なる種類の形状の柱として、設計され得る。距離要素67は、それらが調節圧膜のための支持を提供すると同時に、距離要素67の間にガスを流すように画定されるべきである。低密度表面、すなわち、支持構造体の間のより大きい空間、を提示する支持もまた、調節圧膜の大部分が調節圧のために利用可能であることを確実にすることに貢献する。
【0081】
図15Bは、
図15Aに例証されるような構造体に基づいた流体制御デバイス1の実施形態の断面図の一部を例証する。断面は、
図15A内の矢印によって示される方向に取られる。ここでは、個々の距離要素67の間にガスのための空間が存在することが分かる。
図15Cは、調節圧膜38が変形され、距離要素67に対して支持している状況を例証する。調節圧膜38と接触状態にある調節圧空洞41は、依然として、接続チャネル40と流体接触状態にある。
【0082】
上に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例証的な例と理解されるべきである。様々な修正形態、組み合わせ、および変更が、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対してなされ得ることは、当業者により理解されるものとする。特に、異なる実施形態内の異なる部分ソリューションは、技術的に可能な場合には、他の構成において組み合わされ得る。しかしながら、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ構成要素(10、10A~F)が微小電気機械システム-MEMSとして提供されるウエハ(20)のスタックを含む流体制御デバイス(1)であって、前記流れ構成要素(10、10A~F)は、流体制御構成要素(11、11F)および流体監視構成要素(12)のうちの少なくとも1つから選択され、第1の前記流れ構成要素(10A)は、前記ウエハ(20)のスタックの主平面内で、第2の前記流れ構成要素(10B)によって取り囲まれ、
少なくとも
第1および第2の前記流れ構成要素(10A、10B)は、それぞれの変形可能膜(32、38)を含む、ことを特徴とする、流体制御デバイス。
【請求項2】
第3の前記流れ構成要素(10C)は、前記ウエハ(20)のスタックの前記主平面内で、前記第2の前記流れ構成要素(10B)を取り囲む、ことを特徴とする、請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項3】
第4の前記流れ構成要素(10D)は、前記ウエハ(20)のスタックの前記主平面内で、前記第3の前記流れ構成要素(10C)を取り囲む、ことを特徴とする、請求項2に記載の流体制御デバイス。
【請求項4】
n個の前記流れ構成要素(10、10A~F)を特徴とし、nは4よりも大きい整数であり、第kの前記流れ構成要素(10E~F)は、前記ウエハ(20)のスタックの前記主平面内で、第(k-1)の前記流れ構成要素(10D~E)を取り囲み、kは、n以下であるが1よりも大きい整数である、請求項3に記載の流体制御デバイス。
【請求項5】
少なくとも2つの前記流れ構成要素(10、10A~F)は、直列に流体接続される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項6】
前記直列に流体接続された流れ構成要素のうちの2つは、幾何学的に隣接する流れ構成要素である、ことを特徴とする、請求項5に記載の流体制御デバイス。
【請求項7】
前記直列に流体接続された流れ構成要素のうちの2つは、幾何学的に隣接しない流れ構成要素である、ことを特徴とする、
請求項5に記載の流体制御デバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの前記流れ構成要素(10、10A~F)は、流体制御構成要素(11、11A~F)である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの前記流体制御構成要素(11、11A~F)は、
-圧力調節器(30、30A~E)、
-弁(51)、および
-フィルタ(50)の群から選択される、ことを特徴とする、請求項8に記載の流体制御デバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの前記流れ構成要素(10、10A~F)は、流体監視構成要素(12)である、ことを特徴とする、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの前記流体モニタ(12)は、
-圧力センサ(52)、および
-流れセンサの群から選択される、ことを特徴とする、請求項10に記載の流体制御デバイス。
【請求項12】
少なくとも1つの圧力調節器(30、30A~E)を含むことを特徴とし、前記圧力調節器(30、30A~E)は、変形されるとシート構成体(34)に対する密閉作用を可能にするように配置される高圧膜(32)を有する、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項13】
上記シート構成体(34)は、凹部(65)によって分離される複数のシート表面ループ(64)を含み、各シート表面ループ(64)が、閉構造を形成し、これに対して上記高圧膜(32)が密閉を形成することができる、ことを特徴とする、請求項12に記載の流体制御デバイス。
【請求項14】
前記圧力調節器(30、30A~E)は、調節圧膜(38)、および高圧入口(31)から前記高圧膜(32)と前記シート構成体(34)との間を通過し低圧出口(39)までの接続チャネル(40)を含む圧力調節器流路をさらに有し、前記調節圧膜(38)第1の側は、前記圧力調節器流路の前記低圧出口(39)と流体接触状態にある、ことを特徴とする、
請求項12に記載の流体制御デバイス。
【請求項15】
前記調節圧膜(38)の前記第1の側と前記圧力調節器流路の前記低圧出口(39)との間の前記流体接触は、前記調節圧膜(38)と接触状態にある流出圧力空洞(41)を含み、前記流出圧力空洞(41)は、前記流出圧力空洞(41)の底部(68)から提供される距離要素(67)を有し、前記距離要素(67)は、前記調節圧膜(38)が前記底部(68)に到達することを妨げるように構成される、ことを特徴とする、請求項14に記載の流体制御デバイス。
【請求項16】
前記圧力調節器(30、30A~E)は、前記高圧膜(32)および前記調節圧膜(38)を接続するピストン構成体(36)をさらに有し、基準圧力チャンバ(37)が、前記高圧膜(32)と前記調節圧膜(38)との間に形成されて、前記ピストン構成体(36)を包囲する、ことを特徴とする、
請求項14に記載の流体制御デバイス。
【請求項17】
前記ピストン構成体(36)は、前記高圧膜(32)または調節圧膜(38)の径方向内側の境界よりも、上記高圧膜(32)または調節圧膜(38)の径方向外側の境界の近くにそれぞれ位置付けられる、ことを特徴とする、請求項16に記載の流体制御デバイス。
【請求項18】
前記ピストン構成体(36)の半径よりも小さい半径に位置する前記調節圧膜(38)の面積は、前記ピストン構成体(36)の半径よりも大きい半径に位置する前記調節圧膜(38)の面積に等しい、および
前記ピストン構成体(36)の半径よりも小さい半径に位置する前記高圧膜(32)の面積は、前記ピストン構成体(36)の半径よりも大きい半径に位置する前記高圧膜(32)の面積に等しい、のうちの少なくとも1つである、ことを特徴とする、請求項17に記載の流体制御デバイス。
【請求項19】
2つの流れ構成要素(10F、10A)の間の流体接続(45b)は、前記基準圧力チャンバ(37)を通過する、ことを特徴とする、
請求項16に記載の流体制御デバイス。
【請求項20】
少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)を含むことを特徴とし、前記圧力調節器(30、30A~E)は、高圧側および低圧側を有することを特徴とする、請求項10~19のいずれか一項に記載の流体制御デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)の前記高圧側は、前記流体制御デバイス(1)の第1の側の近くに提供される、ことを特徴とする、請求項20に記載の流体制御デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)のうちの1つの前記高圧側および前記少なくとも2つの圧力調節器(30、30A~E)のうちの別のものの前記低圧側は、前記流体制御デバイス(1)の第1の側の近くに提供される、ことを特徴とする、請求項20に記載の流体制御デバイス。
【請求項23】
前記流体制御デバイス(1)への高圧入口(2)は、前記第1の流れ構成要素(10A)に対して中心に置かれる、ことを特徴とする、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項24】
前記流体制御デバイス(1)からの低圧出口(3)は、前記第1の流れ構成要素(10A)に対して中心に置かれる、ことを特徴とする、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項25】
前記流体制御デバイス(1)への高圧入口(2)は、前記第1の流れ構成要素(10A)の入口(31)に流体接続される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【請求項26】
前記流体制御デバイス(1)からの低圧出口(3)は、前記第1の流れ構成要素(10A)の出口(39)に対して中心に流体接続される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の流体制御デバイス。
【国際調査報告】