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特表2024-527259p型半導体層の調製方法、p型半導体層、有機電子デバイス、ディスプレイデバイス、金属化合物、および前記金属化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】p型半導体層の調製方法、p型半導体層、有機電子デバイス、ディスプレイデバイス、金属化合物、および前記金属化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/17 20230101AFI20240717BHJP
   H10K 50/19 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 30/86 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20240717BHJP
   C07C 255/56 20060101ALI20240717BHJP
   C07C 311/48 20060101ALI20240717BHJP
   C07F 3/02 20060101ALI20240717BHJP
   C07F 5/06 20060101ALI20240717BHJP
   C07C 63/70 20060101ALI20240717BHJP
   C07C 311/53 20060101ALI20240717BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20240717BHJP
   C07D 209/88 20060101ALI20240717BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240717BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20240717BHJP
   C07F 15/02 20060101ALN20240717BHJP
   C07F 5/00 20060101ALN20240717BHJP
   C07F 1/02 20060101ALN20240717BHJP
   C07F 1/04 20060101ALN20240717BHJP
   C07F 1/00 20060101ALN20240717BHJP
   C07F 1/10 20060101ALN20240717BHJP
   C07F 1/08 20060101ALN20240717BHJP
   C07F 9/94 20060101ALN20240717BHJP
【FI】
H10K50/17
H10K50/19
H10K50/15
H10K71/16 164
H10K30/86
H10K30/50
C07C255/56
C07C311/48
C07F3/02 Z
C07F5/06 E
C07C63/70
C07C311/53
C07D307/91
C07D209/88
H10K59/10
H10K85/60
H10K85/30
C07F15/02
C07F5/00 F
C07F1/02
C07F1/04
C07F1/00 E
C07F1/10
C07F1/08 C
C07F9/94
C07F5/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577384
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022066346
(87)【国際公開番号】W WO2022263533
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21180259.0
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503180100
【氏名又は名称】ノヴァレッド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ウヴァロフ,ウラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】エッゲマン,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルマン,シュテフェン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H006
4H048
4H050
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC12
3K107CC14
3K107CC21
3K107CC45
3K107DD52
3K107DD72
3K107DD73
3K107DD78
3K107DD84
3K107FF14
3K107GG04
4H006AA03
4H006AB92
4H048AA03
4H048AB92
4H048VA50
4H048VA56
4H048VA57
4H048VA60
4H048VA70
4H048VA80
4H048VB10
4H050AA03
4H050AB92
5F251AA11
5F251XA01
5F251XA43
5F251XA55
5F251XA61
(57)【要約】
本発明は、p型半導体層の調製方法、前記方法により得られるp型半導体層、前記p型半導体層を含む有機電子デバイス、前記有機電子デバイスを含むディスプレイデバイス、金属化合物、および前記金属化合物のp型半導体層への使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の工程を含む、p型半導体層の調製方法:
(a) 表面を提供する工程;
(b) 金属化合物を含むp型半導体材料であって、前記金属化合物の吸湿率は≦4%である、p型半導体材料を提供する工程;
(c) 減圧下で前記金属化合物を蒸発させる工程;
(d) 蒸発させた金属化合物を前記表面に蒸着させる工程。
【請求項2】
前記金属化合物の収着による相対含水量が、≦4重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属化合物が、空気安定性である、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記金属化合物中に存在する末端原子の全体数の少なくとも20%が、独立して、F、Cl、Br、IおよびNから選択され、好ましくはFおよびNから選択され、ここで、前記末端原子は、隣接する1つの原子と共有結合している全ての原子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記金属化合物が、+Iの酸化状態の金属と、モノアニオン性リガンドとを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属化合物が、少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドは、H、F、Cl、Br、I、C、Si、O、S、NおよびPから選択される元素からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記p型半導体材料が、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法によって得られる、p型半導体層。
【請求項9】
前記p型半導体層が、正孔注入層、正孔輸送層または正孔発生層である、請求項8に記載のp型半導体層。
【請求項10】
陽極層と、陰極層と、請求項9に記載の少なくとも1つのp型半導体層と、少なくとも1つの光活性層とを含み、ここで、前記少なくとも1つの光活性層は、前記陽極層と前記陰極層との間に配置されている、有機電子デバイス。
【請求項11】
光活性層として第1の発光層と第2の発光層とを有し、前記p型半導体層が、前記第1の発光層と前記第2の発光層との間に配置された正孔発生層である、請求項10に記載の有機電子デバイス。
【請求項12】
前記有機電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンスデバイスまたは有機光起電力デバイスである、請求項10または11に記載の有機電子デバイス。
【請求項13】
請求項10または12に記載の少なくとも1つの有機電子デバイスを含む、ディスプレイデバイス。
【請求項14】
吸湿率が≦4%である、金属化合物;
ここで、前記吸湿率とは、真空乾燥させた金属化合物の試料を、23±2℃で70±4%の相対湿度に1時間暴露させたときの重量測定によって求めた相対重量増加率である。
【請求項15】
p型半導体層の調製のための、請求項14に記載の金属化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、p型半導体層の調製方法、前記方法により得られるp型半導体層、前記p型半導体層を含む有機電子デバイス、前記有機電子デバイスを含むディスプレイデバイス、金属化合物、および前記金属化合物のp型半導体層への使用に関する。
【0002】
[背景技術]
自発光デバイスである有機発光ダイオードOLEDなどの有機電子デバイスは、広視野角、優れたコントラスト、高速応答性、高輝度、優れた動作電圧特性、および色再現性を有する。一般的なOLEDは、陽極と、正孔輸送層HTLと、発光層EMLと、電子輸送層ETLと、陰極とを備えており、これらは、基板上に順次積層されている。このうち、HTL、EML、およびETLは、有機化合物から形成された薄膜である。
【0003】
陽極および陰極に電圧が印加されると、陽極から注入された正孔はHTLを介してEMLへ移動し、陰極から注入された電子はETLを介してEMLへ移動する。上記正孔および電子はEML内で再結合し、励起子を生成する。当該励起子が励起状態から基底状態に移行するときに、光が放出される。正孔および電子の注入および流れは、上述した構造を有するOLEDが、優れた効率および/または長い寿命を有するように、調和させるべきである。
【0004】
有機発光ダイオードの性能は、半導体層の特性に影響される場合があり、中でも半導体層に含まれる金属錯体の特性に影響される場合がある。
【0005】
有機電子デバイスの生産には、特にp型半導体層の調製が含まれる。前記層の調製は、p型半導体層に使用される化合物の特性によって影響を受ける可能性がある。
【0006】
特に、優れた特性を有する有機電子デバイスを大量生産するためのより堅牢なプロセスを実現するために、p型半導体層の調製方法を改善する必要性が残っている。
【0007】
[開示]
本発明の一態様は、p型半導体層の調製方法を提供し、当該方法は、少なくとも以下の工程を含む:
(a) 表面を提供する工程;
(b) 金属化合物を含むp型半導体材料であって、前記金属化合物の吸湿率は≦4%である、p型半導体材料を提供する工程;
(c) 減圧下で前記金属化合物を蒸発させる工程;
(d) 蒸発させた金属化合物を前記表面に蒸着させる工程。
【0008】
本願明細書において、用語「吸湿率」は、乾燥試料、特に特定条件下での乾燥試料の水の収着による相対重量増加に関する。
【0009】
本明細書において、定義が別途規定されていない場合、「部分的にフッ素化された」は、水素原子の一部のみがフッ素原子で置換されたC~Cアルキル基を指す。
【0010】
本明細書において、定義が別途規定されていない場合、「ペルフルオロ化された」は、すべての水素原子がフッ素原子で置換されたC~Cアルキル基を指す。
【0011】
本明細書において、定義が別途規定されていない場合、「置換された」は、重水素、C~C12アルキルおよびC~C12アルコキシで置換されたものを指す。
【0012】
しかしながら、本明細書中にて、「アリール置換」は、1個以上のアリール基による置換を指し、アリール基自体は、1個以上のアリール基および/またはヘテロアリール基によって置換されてもよい。
【0013】
同様に、本明細書中にて、「ヘテロアリール置換」は、1個以上のヘテロアリール基による置換を指し、ヘテロアリール基自体は、1個以上のアリール基および/またはヘテロアリール基によって置換されてもよい。
【0014】
本明細書中にて、定義が別途規定されていない場合、「アルキル基」は、飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。アルキル基は、C~C12アルキル基であってもよい。より具体的には、アルキル基は、C~C10アルキル基またはC~Cアルキル基であってもよい。例えば、C~Cアルキル基は、アルキル鎖中に1個~4個の炭素を含み、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルより選択され得る。
【0015】
アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基を挙げることができる。
【0016】
用語「シクロアルキル」は、対応するシクロアルカンに含まれる環原子から1個の水素原子を形式的に引き抜く(formal abstraction)ことによってシクロアルカンより誘導される、飽和ヒドロカルビル基を指す。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基などを挙げることができる。
【0017】
用語「ヘテロ」は、共有結合した炭素原子によって形成することができる構造中の少なくとも1個の炭素原子が、別の多価原子によって置換された状態であることが理解される。好ましくは、ヘテロ原子は、B、Si、N、P、O、Sより選択され;より好ましくは、ヘテロ原子は、N、P、O、Sより選択される。
【0018】
本明細書中にて、「アリール基」は、対応する芳香族炭化水素中の芳香環から1個の水素原子を形式的に引き抜くことによって生成することができる、ヒドロカルビル基を指す。芳香族炭化水素は、少なくとも1個の芳香環または芳香環系を含む、炭化水素を指す。芳香環または芳香環系は、共有結合した炭素原子の平面環または環系を指し、当該平面環または環系は、ヒュッケル則を満たす非局在化電子の共役系を含む。アリール基の例には、単環式基(フェニルまたはトリルなど)、単結合によって連結された複数個の芳香環を含む多環式基(ビフェニルなど)、および、縮合環を含む多環式基(ナフチルまたはフルオレン-2-イルなど)が含まれる。
【0019】
同様に、ヘテロアリールの下で、少なくとも1個の当該環を含む化合物中の複素環式芳香族環から1個の環水素を形式的に引き抜くことによって誘導される基が、特に好適であることが理解される。
【0020】
ヘテロシクロアルキル下では、少なくとも1個の当該環を含む化合物中の飽和シクロアルキル環から1個の環水素を形式的に引き抜くことによって誘導される基が、特に好適であることが理解される。
【0021】
用語「縮合アリール環(fused aryl rings)」または「縮合アリール環(condensed aryl rings)」は、2個のアリール環が、少なくとも2個の共通sp混成炭素原子を共有する場合に、縮合(fused)または縮合(condensed)していると考えられる状態であることが理解される。
【0022】
本明細書中にて、単結合は直接結合を指す。用語「含まない(free of)」、「含まない(does not contain)」、「含まない(does not comprise)」は、蒸着前の化合物に存在し得る不純物を除外するものではない。不純物は、本発明によって達成される目的に関して、技術的な影響を有さない。
【0023】
用語「間に挟まれて接触している」は、中間の層が2層の隣接する層と直接接触する、3層の配置を指す。
【0024】
用語「光吸収層(light-absorbing layer)」および「光吸収層(light absorption layer)」は、同義的に使用される。
【0025】
用語「発光層(light-emitting layer)」、「発光層(light emission layer)」および「発光層(emission layer)」は、同義的に使用される。
【0026】
用語「OLED」、「有機発光ダイオード」、および「有機発光デバイス」は、同義的に使用される。
【0027】
用語「陽極」、「陽極層」、および「陽極電極」は、同義的に使用される。
【0028】
用語「陰極」、「陰極層」、および「陰極電極」は、同義的に使用される。
【0029】
本明細書中にて、正孔性能は、電場が印加された場合に電子を供与して正孔を形成する能力を指し、最高被占分子軌道(HOMO)準位に応じた導電性能によって、陽極に形成された正孔が発光層に注入されやすく、発光層中を輸送され易いことを指す。
【0030】
さらに、電子性能は、電場が印加された場合に電子を受領する能力を指し、最低被占有分子軌道(LUMO)準位に応じた導電性能によって、陰極に形成された電子が発光層に注入されやすく、発光層中を輸送され易いことを指す。
【0031】
〔有利な効果〕
驚くべきことに、本発明の方法は、優れた特性を有する有機電子デバイスを大量生産するための、より堅牢なプロセスを可能にすることにより、本発明の根底にある問題を解決することが見出された。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、金属化合物は、存在する場合、特定の電流密度で有機発光デバイスの電圧を低下させることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、金属化合物の吸湿率は、≦3%、より好ましくは≦2%、さらに好ましくは≦1%、さらにより好ましくは≦0.5%、最も好ましくは≦0.2%である。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、吸湿率は、真空乾燥させた金属化合物の試料を、23±2℃で70±4%の相対湿度に1時間暴露させたときの重量測定によって求めた相対重量増加率である。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、金属化合物の収着による相対含水量は、≦4重量%、好ましくは≦3重量%、より好ましくは≦2重量%、さらに好ましくは≦1重量%、さらにより好ましくは≦0.5重量%、最も好ましくは≦0.2重量%である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、収着による相対含水量は、カールフィッシャー滴定によって測定される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、23±2℃で70±4%の相対湿度に1時間暴露させた金属化合物の真空乾燥試料について含水量を測定する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、金属化合物は空気中で安定である。
【0039】
本明細書において、用語「空気中で安定である」は、湿度の高い空気にさらされたときに酸化および/または加水分解に対して安定である化合物を指す。酸化とは、金属化合物の金属の酸化数が増加することである。加水分解とは、錯体と水との化学反応によるリガンドの放出である。中性リガンドは変化することなく放出され得、アニオン性リガンドは共役酸の形で放出され得る。
【0040】
特に、金属化合物の酸化および/または加水分解の分析アッセイ法により、真空乾燥させた金属化合物と、23±2℃で70±4%の相対湿度に1時間暴露させた金属化合物との間の相対変化が、標準化吸湿性試験の開始時における試料の乾燥重量を基準として、≦0.5%、好ましくは≦0.3%、より好ましくは≦0.2%、さらにより好ましくは≦0.1%、最も好ましくは≦0.05%である場合に、本明細書の文脈において、金属化合物は空気中で安定であるとみなされる。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、金属化合物中に存在する末端原子の全体数のうち、少なくとも20%、あるいは少なくとも25%、あるいは少なくとも30%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも50%、あるいは少なくとも66%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは100%が、独立して、F、Cl、Br、IおよびN、好ましくはFおよびNから選択され、ここで、前記末端原子は、隣接する1つの原子と共有結合している全ての原子である。
【0042】
本出願の一実施形態によれば、金属化合物は、金属カチオンおよび少なくとも1つのリガンドを含む。
【0043】
本出願の一実施形態によれば、金属化合物は、+Iの酸化状態、+IIの酸化状態、+IIIの酸化状態または+IVの酸化状態の金属カチオンと、少なくとも1つのリガンドとを含む。
【0044】
本出願の一実施形態によれば、金属化合物は、+Iの酸化状態、+IIの酸化状態、+IIIの酸化状態または+IVの酸化状態の金属カチオンと、少なくとも1つのモノアニオン性リガンドとを含む。
【0045】
本出願の一実施形態によれば、金属化合物は、+Iの酸化状態の金属と、モノアニオン性リガンドとを含む。
【0046】
本明細書において、用語「リガンド」は、リガンドがアニオン性である場合、二価結合またはイオン相互作用のいずれか(好ましくは二価結合)によってカチオン性金属と結合するアニオン性または中性分子を指し、ここで、前記二価結合の性質は、共有結合からイオン結合までの範囲の特徴を有することができる。
【0047】
本出願の一実施形態によれば、金属化合物は、少なくとも1つのリガンドを含み、当該リガンド、好ましくは全てのリガンドは、H、F、Cl、Br、I、C、Si、O、S、NおよびPから選択される元素からなる。
【0048】
本出願の一実施形態によれば、金属化合物は、以下の構造E1~E32から選択される。
【0049】
【表1】







【0050】
本発明の一実施形態によれば、工程(c)における金属化合物の蒸発は、≧100℃および好ましくは≦300℃、より好ましくは≧110℃、より好ましくは≧120℃、より好ましくは≧130℃、より好ましくは≧140℃、より好ましくは≧150℃、より好ましくは≧160℃、最も好ましくは≧165℃の蒸発温度で行われる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、工程(c)における金属化合物の蒸発は、≦10-1Pa、より好ましくは≦10-2Pa、さらにより好ましくは≦10-3Pa、最も好ましくは≦10-4Paの減圧にて行われる。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、工程(c)における金属化合物の蒸発は、≧100時間、好ましくは≧150時間、より好ましくは≧200時間行われる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、工程(a)における表面は、陽極層、光活性層もしくは発光層、または正孔輸送層である。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、工程(a)における表面は、陽極層または正孔輸送層である。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、工程(a)における表面は、陽極層である。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、陽極層は、第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、ここで
- 前記第1の陽極副層は、≧4eVおよび≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、および
- 前記第2の陽極副層は、透明導電性酸化物を含み;および
- 前記第2の陽極副層は、正孔注入層により近い位置に配置される。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、第1の陽極副層の第1の金属は、Ag、Mg、Al、Cr、Pt、Au、Pd、Ni、Nd、Ir、好ましくはAg、AuまたはAl、より好ましくはAgを含む群から選択され得る。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、第1の陽極副層の厚さは、5~200nm、あるいは8~180nm、あるいは8~150nm、あるいは100~150nmの範囲である。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、第1の陽極副層は、真空熱蒸発によって第1の金属を蒸着させることによって形成される。
【0060】
第1の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、第2の陽極副層の透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物またはインジウム亜鉛酸化物、より好ましくはインジウムスズ酸化物を含む群から選択される群から選択される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、第2の陽極副層の厚さは、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲であり得る。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、第2の陽極副層は、透明導電性酸化物のスパッタリングによって形成され得る。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスの陽極層はさらに、透明導電性酸化物を含む第3の陽極副層を含み、当該第3の陽極副層は、基板と第1の陽極副層との間に配置される。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、第3の陽極副層は、好ましくは、インジウムスズ酸化物またはインジウム亜鉛酸化物、より好ましくはインジウムスズ酸化物を含む群から選択される群の透明酸化物を含む。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、第3の陽極副層の厚さは、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲であり得る。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、第3の陽極副層は、透明導電性酸化物のスパッタリングによって形成され得る。
【0068】
第3の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、陽極層は、Agを含む第1の陽極副層と、透明導電性酸化物、好ましくはITOを含む第2の陽極副層と、透明導電性酸化物、好ましくはITOを含む第3の陽極副層とを含み;ここで、第1の陽極副層は、第2の陽極副層と第3の陽極副層との間に配置される。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体材料は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む。
【0071】
〔実質的に共有結合性のマトリックス化合物〕
p型半導体材料は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含み得る。一実施形態によれば、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つの有機化合物から選択され得る。実質的に共有結合性のマトリックスは、共有結合したC、H、O、N、Sから実質的に構成され得、当該実質的に共有結合性のマトリックスは任意に、共有結合したB、P、Asおよび/またはSeをさらに含む。
【0072】
一実施形態によれば、有機半導体層は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含み、前記実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、共有結合したC、H、O、N、Sから実質的に構成される有機化合物から選択され得、当該実質的に共有結合性のマトリックスは任意に、共有結合したB、P、Asおよび/またはSeをさらに含む。
【0073】
共有結合した炭素-金属を含む有機金属化合物、有機リガンドを含む金属錯体、および有機酸の金属塩は、正孔注入層の実質的に共有結合性のマトリックス化合物として機能し得る有機化合物のさらなる例示である。
【0074】
一実施形態では、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、C、O、S、Nから選択され得る。あるいは、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、CおよびNから選択され得る。
【0075】
一実施形態によれば、実質的に共有結合性のマトリックス化合物の分子量Mwは≧400および≦2000g/mol、好ましくは、分子量Mwは≧450および≦1500g/mol、より好ましくは、分子量Mwは≧500および≦1000g/mol、さらに好ましくは、分子量Mwは≧550および≦900g/mol、よりさらに好ましくは、分子量Mwは≧600および≦800g/molであり得る。
【0076】
好ましくは、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つのアリールアミン部位、あるいはジアリールアミン部位、あるいはトリアリールアミン部位を含む。
【0077】
好ましくは、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、金属および/またはイオン結合を含まない。
【0078】
〔式(VI)の化合物または式(VII)の化合物〕
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのマトリックス化合物(「実質的に共有結合性のマトリックス化合物」とも称される)は、少なくとも1つのアリールアミン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物、式(VI)の化合物または式(VII)の化合物を含み得:
【0079】
【化1】
【0080】
式中、
、T、T、TおよびTは、独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され、好ましくは単結合またはフェニレンから選択され;
は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンであり:
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは、独立して、置換もしくは非置換のC~C20アリール、または置換もしくは非置換のC~C20ヘテロアリーレン、置換もしくは非置換のビフェニレン、置換もしくは非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、置換もしくは非置換のナフタレン、置換もしくは非置換のアントラセン、置換もしくは非置換のフェナントレン、置換もしくは非置換のピレン、置換もしくは非置換のペリレン、置換もしくは非置換のトリフェニレン、置換もしくは非置換のテトラセン、置換もしくは非置換のテトラフェン、置換もしくは非置換のジベンゾフラン、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン、置換もしくは非置換のキサンテン、置換もしくは非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、置換もしくは非置換のアゼピン、置換もしくは非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、置換もしくは非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、置換もしくは非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]、または置換もしくは非置換の非ヘテロ、置換もしくは非置換のヘテロ5員環、置換もしくは非置換の6員環、および/または置換もしくは非置換の7員環を含む群から選択される少なくとも3つの置換もしくは非置換の芳香族環を含む、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、置換もしくは非置換のフルオレン、または2~6個の置換もしくは非置換の5~7員環を含む縮合環系から選択され、当該環は、(i)不飽和5~7員環の複素環、(ii)5~6員の芳香族複素環、(iii)不飽和5~7員環の非複素環、(iv)6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され;
ここで、Ar、Ar、Ar、ArおよびArの置換基は、H、D、F、C(=O)R2 2、CN、Si(R、P(=O)(R、OR、S(=O)R、S(=O)、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖アルキル、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の分岐アルキル、3~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環状アルキル、2~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルケニル基またはアルキニル基、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルコキシ基、6~40個の芳香族環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族環系、および5~40個の芳香族環原子を有する置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環系、非置換のC~C18アリール、非置換のC~C18ヘテロアリール、2~6個の非置換の5~7員環を含む縮合環系を含む群から選択され、同一であるかまたは異なり、当該環は、不飽和5~7員環の複素環、5~6員の芳香族複素環、不飽和5~7員環の非複素環、および6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され、
ここで、Rは、H、D、1~6個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~6個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~6個の炭素原子を有する環状アルキル、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基もしくはアルキニル基、C~C18アリールまたはC~C18ヘテロアリールから選択され得る。
【0081】
一実施形態によれば、T、T、T、TおよびTは、独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得る。一実施形態によれば、T、T、T、TおよびTは、独立して、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T、T、T、TおよびTは、独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T、T、T、TおよびTは、独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T、T、T、TおよびTのうちの2つは、単結合である。
【0082】
一実施形態によれば、T、TおよびTは、独立して、フェニレンから選択され得、T、TおよびTのうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T、TおよびTは、独立して、フェニレンから選択され得、T、TおよびTのうちの2つは、単結合である。
【0083】
一実施形態によれば、Tは、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンであり得る。一実施形態によれば、Tは、フェニレンであり得る。一実施形態によれば、Tは、ビフェニレンであり得る。一実施形態によれば、Tは、テルフェニレンであり得る。
【0084】
一実施形態によれば、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは、独立して、D1~D16から選択され得:
【0085】
【化2】
【0086】
アスタリスク「」は、結合位置を示す。
【0087】
一実施形態によれば、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは、独立して、D1~D15から選択され得;あるいは、D1~D10およびD13~D15から選択され得る。
【0088】
一実施形態によれば、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは、独立して、D1、D2、D5、D7、D9、D10、D13~D16からなる群から選択され得る。
【0089】
Ar、Ar、Ar、ArおよびArがこの範囲で選択される場合、速度開始温度は、大量生産に特に適した範囲にあり得る。
【0090】
「式(VI)のマトリックス化合物または式(VII)のマトリックス化合物」は、「正孔輸送化合物」とも称することができる。
【0091】
一実施形態によれば、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つのナフチル基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基および/または置換フルオレニル基を含み、ここで、置換基は、独立して、メチル、フェニルまたはフルオレニルから選択される。
【0092】
電子デバイスの実施形態によれば、式(VI)または式(VII)のマトリックス化合物は、F1~F18から選択される。
【0093】
【化3】


【0094】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体材料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニンおよび亜鉛フタロシアニンのいずれも含まない。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体材料は、ジチオレン、特にモリブデントリス-[1,2-ビス(トリフルオロメチル)エタン-1,2-ジチオレン]を含まない。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体材料は、アルミニウム-トリス(8-ヒドロキシキノリン)(Alq3)を含まない。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体材料は、金属ホウ酸塩を含まない。
【0098】
本発明はさらに、本発明による方法によって得られるp型半導体層に関する。
【0099】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体層は非発光性である。
【0100】
本明細書の文脈において、用語「実質的に非発光性」または「非発光性」は、デバイスからの可視発光スペクトルに対する化合物または層の寄与が、可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルは、約≧380nmから約≦780nmの波長を有する発光スペクトルである。
【0101】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体層は、正孔注入層、正孔輸送層または正孔発生層である。
【0102】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体層は、陽極と発光層との間に配置される。特に、本発明の一実施形態によれば、p型半導体層は正孔注入層である。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体層は、陰極と発光層との間に配置される。特に、本発明の一実施形態によれば、p型半導体層は、電荷発生層であり、好ましくはp型電荷発生層である。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、p型半導体層は、第1の発光層と第2の発光層との間に配置される。特に、p型半導体層は、正孔発生層である。
【0105】
本発明はさらに、陽極層、陰極層、本発明による少なくとも1つのp型半導体層、および少なくとも1つの光活性層を含み、当該少なくとも1つの光活性層は、陽極層と陰極層との間に配置される、有機電子デバイスに関する。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのp型半導体層は、陽極層と少なくとも1つの光活性層との間に配置される。
【0107】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、光活性層として第1の発光層と第2の発光層とを含み、p型半導体層は、第1の発光層と第2の発光層との間に配置された正孔発生層である。
【0108】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、有機エレクトロルミネッセンスデバイスまたは有機光起電力デバイスであり、好ましくは有機発光ダイオード、有機トランジスタ、または有機ダイオードである。
【0109】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの有機電子デバイス、好ましくは少なくとも2つの有機電子デバイスを含むディスプレイデバイスに関する。
【0110】
本発明はさらに、吸湿率が≦4%である金属化合物に関する。
【0111】
本発明の一実施形態によれば、金属化合物は、存在する場合、特定の電流密度で有機発光デバイスの電圧を低下させることができる。
【0112】
本発明の一実施形態によれば、金属化合物の吸湿率は、≦3%、より好ましくは≦2%、さらに好ましくは≦1%、さらにより好ましくは≦0.5%、最も好ましくは≦0.2%である。
【0113】
本発明の一実施形態によれば、吸湿率は、真空乾燥させた金属化合物の試料を、23±2℃で70±4%の相対湿度に1時間暴露させたときの重量測定によって求めた相対重量増加率である。
【0114】
本発明はさらに、p型半導体層の調製のための本発明による金属化合物の使用に関する。
【0115】
〔さらなる層〕
本発明によれば、有機電子デバイスは、上述の層に加えて、さらなる層を含んでもよい。それぞれの層の例示的な実施形態を、以下に記載する:
〔基板〕
基板は、有機発光ダイオードなどの電子デバイスの製造において、一般的に使用される任意の基板であり得る。光が基板を通して放射される場合、基板は透明または半透明の材料、例えば、ガラス基板または透明プラスチック基板であるべきである。光が上面を通って放射される場合、基板は透明材料および非透明材料の両方、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、シリコン基板、またはバックプレーンであり得る。
【0116】
〔陽極層〕
陽極層は、陽極層を形成するために使用される材料を蒸着またはスパッタリングすることによって形成され得る。陽極層を形成するために使用される材料は、正孔注入を容易にするために、高仕事関数材料であり得る。陽極材料はまた、低仕事関数材料(すなわち、アルミニウム)から選択され得る。陽極電極は、透明または反射電極であり得る。透明導電性酸化物(酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、二酸化スズ(SnO2)、酸化アルミニウム亜鉛(AlZO)および酸化亜鉛(ZnO)など)は、陽極電極を形成するために使用され得る。陽極層はまた、金属、典型的には銀(Ag)、金(Au)、または金属合金を使用して形成され得る。
【0117】
〔正孔注入層〕
正孔注入層(HIL)は、陽極層上に、真空蒸着、スピンコーティング、印刷、キャスティング、スロット-ダイコーティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって形成され得る。HILが真空蒸着を使用して形成される場合には、蒸着条件は、HILを形成するために使用される化合物、ならびにHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。しかし、通常、真空蒸着のための条件は、100℃~500℃の蒸着温度、10-8~10-3トール(1トールは133.322Paに等しい)の圧力、および0.1~10nm/秒の蒸着速度を含み得る。
【0118】
HILがスピンコーティングまたは印刷を用いて形成される場合には、コーティング条件は、HILを形成するために使用される化合物、ならびにHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。例えば、コーティング条件は、約2000rpm~約5000rpmのコーティング速度、および約80℃~約200℃の熱処理温度を含み得る。コーティング後は、熱処理によって溶剤が除去される。
【0119】
HILは、HILを形成するために一般的に使用される任意の化合物で形成され得る。
【0120】
HILは、p型ドーパントを含み得るか、またはそれからなり得る。
【0121】
p型ドーパントの濃度は、1重量%~20重量%、より好ましくは3重量%~10重量%から選択することができる。
【0122】
p型ドーパントの濃度は、1体積%~20体積%、より好ましくは3体積%~10体積%から選択することができる。
【0123】
〔正孔輸送層〕
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは正孔輸送層を含み、当該正孔輸送層は、正孔注入層と少なくとも1つの第1の発光層との間に配置される。
【0124】
正孔輸送層(HTL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって、HIL上に形成され得る。HTLが真空蒸着またはスピンコーティングによって形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、真空または溶液蒸着のための条件は、HTLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0125】
HTLは、HTLを形成するために一般的に用いられる任意の化合物から形成され得る。好適に用いられる化合物は、例えばYasuhiko Shirota and Hiroshi Kageyama, Chem. Rev. 2007, 107, 953-1010に開示されており、これは参照により本願に含まれる。前記HTLを形成するのに用いてよい化合物の例は:N-フェニルカルバゾールもしくはポリビニルカルバゾールのようなカルバゾール誘導体;N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(TPD)もしくはN,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(アルファ-NPD)のような、ベンジジン誘導体;および4,4’,4’’-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)のような、トリフェニルアミンベースの化合物である。これらの化合物のうち、TCTAは、正孔を輸送し、励起子がEMLに拡散するのを抑制することができる。
【0126】
本発明の一実施形態によれば、正孔輸送層は、上述の実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含み得る。
【0127】
本発明の一実施形態によれば、正孔輸送層は、上述の式(VI)または式(VII)の化合物を含み得る。
【0128】
本発明の一実施形態によれば、正孔注入層および正孔輸送層は、同じ上述の実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含む。
【0129】
本発明の一実施形態によれば、正孔注入層および正孔輸送層は、同じ上述の式(VI)の化合物または式(VII)の化合物を含む。
【0130】
HTLの厚さは、約5nm~約250nm、好ましくは約10nm~約200nm、さらに約20nm~約190nm、さらに約40nm~約180nm、さらに約60nm~約170nm、さらに約80nm~約160nm、さらに約100nm~約160nm、さらに約120nm~約140nmの範囲であり得る。HTLの好ましい厚さは、170nm~200nmであり得る。
【0131】
HTLの厚さがこの範囲内である場合には、HTLは駆動電圧を大きく損なうことなく、優れた正孔輸送特性を有することができる。
【0132】
〔電子阻止層〕
電子阻止層(EBL)の機能は、電子が発光層から正孔輸送層に移動することを防ぎ、それによって電子を発光層に閉じ込めることである。これにより、効率、動作電圧および/または寿命が改善され得る。典型的には、電子阻止層はトリアリールアミン化合物を含む。トリアリールアミン化合物は、正孔輸送層のLUMO準位よりも真空準位により近いLUMO準位を有し得る。電子阻止層は、正孔輸送層のHOMO準位と比較して、真空準位からさらに離れたHOMO準位を有し得る。電子阻止層の厚さは、2~20nmの間で選択され得る。
【0133】
電子阻止層が高い三重項準位を有する場合には、それはまた三重項制御層として記載され得る。
【0134】
三重項制御層の機能は、リン光緑色発光層またはリン光青色発光層が使用される場合に、三重項の消光を低減することである。これにより、リン光発光層からの発光効率を高めることができる。三重項制御層は、隣接する発光層におけるリン光発光体の三重項準位より高い三重項準位を有するトリアリールアミン化合物から選択される。三重項制御層に適した化合物、特にトリアリールアミン化合物は、EP2722908A1に記載されている。
【0135】
〔発光層(EML)〕
EMLは、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などによってHTL上に形成され得る。EMLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、EMLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0136】
本発明の一実施形態によれば、発光層は、本発明の金属化合物を含まない。
【0137】
発光層(EML)は、ホストドーパントと発光体ドーパントとの組み合わせで形成されてもよい。
【0138】
発光体ドーパントは、リン光発光体または蛍光発光体であり得る。リン光発光体および熱活性化遅延蛍光(TADF)機構を介して光を放出する発光体は、それらの効率がより高いため好ましい場合がある。発光体は、小分子またはポリマーであり得る。
【0139】
赤色発光体ドーパントの例は、PtOEP、Ir(piq)3、およびBtp2lr(acac)であるが、これらに限定されない。これらの化合物はリン光発光体であるが、蛍光赤色発光体ドーパントを使用することもできる。
【0140】
リン光緑色発光体ドーパントの例は、Ir(ppy)3(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)2(acac)、Ir(mpyp)3である。
【0141】
リン光青色発光体ドーパントの例は、F2Irpic、(F2ppy)2Ir(tmd)およびIr(dfppz)3ならびにter-フルオレンである。4.4’-ビス(4-ジフェニルアミオスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(TBPe)は、蛍光青色発光体ドーパントの例である。
【0142】
発光体ドーパントの量は、ホスト100重量部に対して、約0.01重量部から約50重量部までの範囲であり得る。あるいは、発光層は、発光ポリマーからなり得る。EMLの厚さは、約10nm~約100nm、例えば、約20nm~約60nmであり得る。EMLの厚さがこの範囲内である場合には、EMLは、駆動電圧を大きく損なうことなく、優れた発光を有し得る。
【0143】
〔正孔阻止層(HBL)〕
ETLへの正孔の拡散を防止するために、正孔阻止層(HBL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などを用いることによって、EML上に形成され得る。EMLがリン光ドーパントを含む場合には、HBLはまた、三重項励起子阻止機能を有することができる。
【0144】
HBLはまた、補助ETLまたはa-ETLとも呼ばれ得る。
【0145】
HBLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、HBLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。HBLを形成するために一般的に使用される任意の化合物を使用することができる。HBLを形成するための化合物の例には、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびアジン誘導体が含まれ、好ましくは、トリアジン誘導体またはピリミジン誘導体である。
【0146】
HBLの厚さは、約5nm~約100nm、例えば、約10nm~約30nmの範囲のであり得る。HBLの厚さがこの範囲内である場合に、HBLは、駆動電圧を大きく損なうことなく、優れた正孔阻止特性を有することができる。
【0147】
〔電子輸送層(ETL)〕
本発明による有機電子デバイスは、電子輸送層(ETL)をさらに含み得る。
【0148】
本発明の別の実施形態によれば、電子輸送層は、アジン化合物、好ましくはトリアジン化合物をさらに含み得る。
【0149】
一実施形態では、電子輸送層は、アルカリ有機錯体から選択されるドーパント、好ましくはLiQをさらに含み得る。
【0150】
ETLの厚さは、約15nm~約50nmの範囲、例えば、約20nm~約40nmの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合には、ETLは、駆動電圧を大きく損なうことなく、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0151】
本発明の別の実施形態によれば、有機電子デバイスは、正孔阻止層および電子輸送層をさらに含み得、正孔阻止層および電子輸送層はアジン化合物を含む。好ましくは、アジン化合物は、トリアジン化合物である。
【0152】
〔電子注入層(EIL)〕
陰極からの電子の注入を容易にし得る任意のEILは、ETL上に、好ましくは電子輸送層上に直接、形成され得る。EILを形成するための材料の例には、当技術分野で公知のリチウム8-ヒドロキシキノリノレート(LiQ)、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、Ca、Ba、Yb、Mgが含まれる。EILを形成するための蒸着条件およびコーティング条件は、HILの形成のためのものと同様であるが、蒸着条件およびコーティング条件はEILを形成するために使用される材料に応じて変動し得る。
【0153】
EILの厚さは、約0.1nm~約10nmの範囲、例えば、約0.5nm~約9nmの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合に、EILは、駆動電圧を大きく損なうことなく、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0154】
〔陰極層〕
陰極層は、ETLまたは任意のEIL上に形成される。陰極層は、金属、合金、導電性化合物、またはそれらの混合物から形成され得る。陰極電極は、低仕事関数を有し得る。例えば、前記陰極層は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)-リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、マグネシウム(Mg)-インジウム(In)、マグネシウム(Mg)-銀(Ag)などから形成され得る。あるいは、陰極電極は、透明導電性酸化物(ITOまたはIZOなど)から形成され得る。
【0155】
陰極層の厚さは、約5nm~約1000nmの範囲、例えば、約10nm~約100nmの範囲であり得る。陰極層の厚さが約5nm~約50nmの範囲である場合に、陰極層は、金属または金属合金から形成されていても、透明または半透明であり得る。
【0156】
陰極層は、電子注入層または電子輸送層のいずれの一部でもないことを理解されたい。
【0157】
〔有機発光ダイオード(OLED)〕
本発明による有機電子デバイスは、有機発光デバイスであってもよい。
【0158】
本発明の一態様によれば、基板;当該基板上に形成された陽極電極;本発明の金属化合物を含む正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および陰極電極を含む、有機発光ダイオード(OLED)が提供される。
【0159】
本発明の別の態様によれば、基板;当該基板上に形成された陽極電極;本発明の金属化合物を含む正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層および陰極電極を含む、OLEDが提供される。
【0160】
本発明の別の態様によれば、基板;当該基板上に形成された陽極電極;本発明の金属化合物を含む正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、および陰極電極を含む、OLEDが提供される。
【0161】
本発明の様々な実施形態によれば、上記の層の間、基板上または上部電極上に配置されたOLED層が提供され得る。
【0162】
一態様によれば、OLEDは、陽極電極に隣接配置される基板の層構造を含むことができ、前記陽極電極は第1の正孔注入層に隣接配置され、前記第1の正孔注入層は第1の正孔輸送層に隣接配置され、前記第1の正孔輸送層は第1の電子阻止層に隣接配置され、前記第1の電子阻止層は第1の発光層に隣接配置され、前記第1の発光層は第1の電子輸送層に隣接配置され、前記第1の電子輸送層はn型電荷発生層に隣接配置され、前記n型電荷発生層は正孔発生層に隣接配置され、前記正孔発生層は第2の正孔輸送層に隣接配置され、前記第2の正孔輸送層は第2の電子阻止層に隣接配置され、前記第2の電子阻止層は第2の発光層に隣接配置され、前記第2の発光層と陰極電極との間には任意の電子輸送層および/または任意の注入層が配置される。
【0163】
本発明による有機半導体層は、第1の正孔注入層および/またはp型電荷発生層であってもよい。
【0164】
〔有機電子デバイス〕
本発明による有機電子デバイスは、発光デバイスであってもよく、光電池であってもよく、好ましくは発光デバイスである。
【0165】
本発明の別の態様によれば、有機電子デバイスを製造する方法が提供され、この方法は、以下を使用する:
-少なくとも1つの蒸着源、好ましくは2つの蒸着源、より好ましくは少なくとも3つの蒸着源。
【0166】
好適であり得る蒸着方法は、以下を含む:
- 真空熱蒸発による蒸着;
- 溶液処理による蒸着、好ましくは、当該処理は、スピンコーティング、印刷、キャスティングから選択される;および/または
- スロット-ダイコーティング。
【0167】
本発明の様々な実施形態によれば、以下を使用する方法が提供される:
- 本発明による金属化合物を放出するための第1の蒸着源、および
- 実質的に共有結合性のマトリックス化合物を放出するための第2の蒸着源;
p型半導体層を形成する工程と、それによって有機発光ダイオード(OLED)を形成する工程と、を含む方法:
- p型半導体層は、本発明による金属化合物を第1の蒸着源から放出し、実質的に共有結合性のマトリックス化合物を第2の蒸着源から放出することによって形成される。
【0168】
本発明の様々な実施形態によれば、前記方法は、陽極電極上に、正孔輸送層の形成または正孔阻止層の形成からなる群から選択される少なくとも1つの層、および陽極電極と第1の電子輸送層との間の発光層、を形成することをさらに含み得る。
【0169】
本発明の様々な実施形態によれば、前記方法は、有機発光ダイオード(OLED)を形成するための工程をさらに含み得、
- 基板上に陽極電極が形成され、
- 前記陽極電極上に本発明の金属化合物を含む正孔注入層が形成され、
- 前記本発明の金属化合物を含む正孔注入層上に正孔輸送層が形成され、
- 前記正孔輸送層上に発光層が形成され、
- 前記発光層上に電子輸送層が形成され、任意で前記発光層上に正孔阻止層が形成され、
- そして最後に、陰極電極が形成され、
- 任意に正孔阻止層が第1の陽極電極と発光層との間にこの順で形成され、
- 任意に電子注入層が電子輸送層と陰極電極との間に形成される。
【0170】
様々な実施形態によれば、OLEDは以下の層構造を有することができ、当該層は以下の順序を有する:
陽極、本発明による金属化合物を含む正孔注入層、第1の正孔輸送層、第2の正孔輸送層、発光層、任意の正孔阻止層、電子輸送層、任意の電子注入層、および陰極。
【0171】
本発明の別の態様によれば、本出願全体を通じて記載されるいずれかの実施形態による少なくとも1つの有機発光デバイスを含む電子デバイスが提供され、好ましくは、当該電子デバイスは、本出願全体を通じて記載される実施形態の1つにおける有機発光ダイオードを含む。より好ましくは、電子デバイスはディスプレイデバイスである。
【0172】
以下、実施例を参照して、実施形態をより詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。以下、例示的な態様を詳細に参照する。
【0173】
[図面の説明]
前述の構成要素、ならびに請求された構成要素および記載された実施形態において本発明に従って使用される構成要素は、それらのサイズ、形状、材料選択、および技術的概念に関していかなる特別な例外も受けず、その結果、関連分野において知られている選択基準を限定なしに適用することができる。
【0174】
本発明の目的のさらなる詳細、特性、および利点は、従属請求項、および例示的な様式で本発明による好ましい実施形態を示すそれぞれの図面の以下の説明において開示される。しかし、いかなる実施形態も必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲および本明細書を参照する。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【0175】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、有機電子デバイスの概略断面図であり;
図2は、本発明の例示的な実施形態による、有機発光ダイオード(OLED)の概略断面図であり;
図3は、本発明の例示的な実施形態による、OLEDの概略断面図である。
【0176】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、OLEDの概略断面図である。
【0177】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、OLEDの概略断面図である。
【0178】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、電荷発生層を含むOLEDの概略断面図である。
【0179】
図7は、本発明の例示的な実施形態による、電荷発生層を含む積層OLEDの概略断面図である。
【0180】
以下、図面について、実施例を参照しながらより詳細に示す。ただし、本開示は以下の図面に限定されるものではない。
【0181】
本明細書では第1の要素が第2の要素の「上(on)」または「上(onto)」に形成されるか、または配置されると言及される場合には、前記第1の要素は前記第2の要素の上に直接配置され得るか、または1つ以上の他の要素がそれらの間に配置され得る。第1の要素が第2の要素の「上に直接(directly on)」または「上に直接(directly onto)」形成されるか、または配置されると言及される場合には、他の要素はそれらの間に配置されない。
【0182】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、有機電子デバイス100の概略断面図である。当該有機電子デバイス100は、基板110と、陽極層120と、正孔注入層(HIL)130とを含み、当該正孔注入層(HIL)130は、本発明の金属化合物を含み得る。HIL130は、陽極層120上に配置される。HIL130上には、光活性層(PAL)170および陰極層190が配置される。
【0183】
図2は、本発明の例示的な実施形態による有機発光ダイオード(OLED)100の概略断面図である。当該OLED100は、基板110と、陽極層120と、正孔注入層(HIL)130とを含み、当該正孔注入層(HIL)130は、本発明の金属化合物を含み得る。HIL130は、陽極層120上に配置される。HIL130上には、正孔輸送層(HTL)140、発光層(EML)150、電子輸送層(ETL)160、電子注入層(EIL)180、および陰極層(190)が配置される。単一の電子輸送層160の代わりに、任意で電子輸送層スタック(ETL)を使用することもできる。
【0184】
図3は、本発明の別の例示的な実施形態によるOLED100の概略断面図である。図3は、図3のOLED100が電子阻止層(EBL)145および正孔阻止層(HBL)155を含む点で、図2とは異なる。
【0185】
図3を参照すると、OLED100は、基板110と、陽極層120と、正孔注入層(HIL)130(本発明の金属化合物を含み得る)と、正孔輸送層(HTL)140と、電子阻止層(EBL)145と、発光層(EML)150と、正孔阻止層(HBL)155と、電子輸送層(ETL)160と、電子注入層(EIL)180と、陰極層190とを含む。
【0186】
図4は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス100の概略断面図である。当該有機電子デバイス100は、基板110と、第1の陽極副層121、第2の陽極副層122、および第3の陽極副層123を含む陽極層120と、正孔注入層(HIL)130とを含む。HIL130は、陽極層120上に配置される。HIL130上には、正孔輸送層(HTL)140、第1の発光層(EML)150、正孔阻止層(HBL)155、電子輸送層(ETL)160、および陰極層190が配置される。前記正孔注入層130は、本発明の金属化合物を含み得る。
【0187】
図5は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス100の概略断面図である。当該有機電子デバイス100は、基板110と、第1の陽極副層121、第2の陽極副層122および第3の陽極副層123を含む陽極層120と、正孔注入層(HIL)130とを含む。HIL130は、陽極層120上に配置される。HIL130上には、正孔輸送層(HTL)140、電子阻止層(EBL)145、第1の発光層(EML)150、正孔阻止層(HBL)155、電子輸送層(ETL)160、電子注入層(EIL)180、および陰極層190が配置される。前記正孔注入層130は、本発明の金属化合物を含み得る。
【0188】
図6を参照すると、有機電子デバイス100は、基板110と、陽極層120と、正孔注入層(HIL)130と、第1の正孔輸送層(HTL1)140と、電子阻止層(EBL)145と、発光層(EML)150と、正孔阻止層(HBL)155と、電子輸送層(ETL)160と、n型電荷発生層(n-CGL)185と、p型電荷発生層(p-GCL)135(本発明の金属化合物を含み得る)と、第2の正孔輸送層(HTL2)141と、電子注入層(EIL)180と、陰極層190とを含む。前記HILはまた、本発明の金属化合物を含み得る。
【0189】
図7を参照すると、有機電子デバイス100は、基板110と、陽極層120と、正孔注入層(HIL)130と、第1の正孔輸送層(HTL)140と、第1の電子阻止層(EBL)145と、第1の発光層(EML)150と、任意に第1の正孔阻止層(HBL)155と、第1の電子輸送層(ETL)160と、n型電荷発生層(n-CGL)185と、p型電荷発生層(p-GCL)135(本発明の金属化合物を含み得る)と、第2の正孔輸送層(HTL)141と、第2の電子阻止層(EBL)146と、第2の発光層(EML)151と、任意に第2の正孔阻止層(HBL)156と、第2の電子阻止層(ETL)161と、電子注入層(EIL)180と、陰極層190とを含む。
【0190】
図1図7には示されていないが、有機電子デバイス100を封止するために、陰極層190上にキャッピング層および/または封止層がさらに形成されてもよい。さらに、これに様々な他の修飾が施されてもよい。
【0191】
以下、本発明の1つ以上の例示的な実施形態について、以下の実施例を参照して詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明の1つ以上の例示的な実施形態の目的および範囲を限定することを意図するものではない。
【0192】
[詳細な説明]
〔重量測定による吸湿性の測定〕
100mlの脱イオン水に40gのNaClが含まれる飽和溶液を入れた試験チャンバーに、温度計および湿度計を接続する。試験チャンバー内の温度および湿度と、実験室内で試験チャンバー外の温度および湿度と、を記録する。試験チャンバー内の飽和NaCl溶液による湿度は、70±4%RH(相対湿度)に達した。実験室の温度は、23±2℃に維持されていた。
【0193】
基準として空のAlパンを計量した。さらに、空のパンを計量し、当該パンの中に10,000~14,000mgの昇華させた金属化合物の粉末を入れた。試料をパンの中で均一に広げた。
【0194】
NaCl溶液に浮く小さなプラスチックトレイを使用して、空のパンおよび試料が入ったパンの両方を試験チャンバーに暴露させた。
【0195】
1時間後、両方のパンを取り出して直ちに計量し、その質量を記録した。基準となる空のパンは、実験中にその質量が有意に変化しないはずである。試験チャンバーへの暴露前の試料パンの質量と、暴露後の試料パンの質量との差を記録し、w%の変化として表した。
【0196】
備考:吸湿性試験用の材料は、それぞれの有機金属錯体を高真空で昇華させて調製した乾燥材料であった。昇華させた材料は、ドライボックスに収集され、吸湿性試験の前に空気および水分と接触することを防いだ。
【0197】
表1は、比較化合物C1およびC2、ならびに本発明の化合物E1~E32について測定した吸湿率を示す。化合物はいずれも、存在する場合、特定の電流密度で有機発光デバイスの電圧を低下させることができる。
【0198】
化合物E1~E32は、C1またはC2と比較した場合、このような低い吸湿率を有することにより、優れた特性を有する有機電子デバイスを調製するための、より堅牢なプロセスを可能にした。
【0199】
【表2】









【0200】
〔OLEDの製造のための一般的手順〕
本発明による実施例、および比較例について、8nmのITOの第1の陽極副層、120nmのAgの第2の陽極副層、および10nmのITOの第3の陽極副層を含む陽極層を有するガラス基板を、50mm×50mm×0.7mmのサイズに切断し、水で60分間超音波洗浄し、次いでイソプロパノールで20分間洗浄した。窒素気流中で液膜を除去した後、表2を参照してプラズマ処理を行い、陽極層を作製した。プラズマ処理は、97.6体積%の窒素および2.4体積%の酸素を含む雰囲気中で行った。
【0201】
次に、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンを、表1による化合物と真空蒸着させて、10nmの厚さを有する正孔注入層を形成した。
【0202】
次に、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンを真空蒸着させて、121nmの厚さを有する第1の正孔輸送層を形成した。
【0203】
次に、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジフェニル-N-(4-(トリフェニルシリル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンをHTL上に真空蒸着させて、5nmの厚さを有する電子阻止層(EBL)を形成した。
【0204】
次いで、EMLホストとしての97体積%H09(Sun Fine Chemicals、韓国)および蛍光青色ドーパントとしての3体積%BD200(Sun Fine Chemicals、韓国)をEBL上に蒸着させて、20nmの厚さを有する第1の青色発光EMLを形成した。
【0205】
次に、2-(3’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンを真空蒸着させて、5nmの厚さを有する正孔阻止層を形成した。
【0206】
次に、50重量%の4’-(4-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル)ナフタレン-1-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボニトリルおよび50重量%のLiQを、第2の正孔阻止層上に蒸着させることによって、31nmの厚さを有する第2の電子輸送層を形成した。
【0207】
次に、Ybを10-7mbarで0.01~1A/sの速度で蒸発させ、電子輸送層上に2nmの厚さを有する電子注入層を形成した。
【0208】
Ag/Mg(90:10体積%)を、10-7mbarで、0.01~1A/sの速度で蒸発させて、13nmの厚さを有する陰極を形成した。
【0209】
次に、N-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミンを陰極層上に真空蒸着させて、75nmの厚さを有するキャッピング層を形成した。
【0210】
OLEDスタックは、ガラススライドでデバイスを封入することによって周囲条件から保護される。それによって、さらなる保護のためのゲッター材料を含むキャビティが形成される。
【0211】
実施例の性能を評価するために、電流効率を20℃で測定する。電流-電圧特性は、Keithley 2635 source measure unitを使用して、電圧をVで供給し、被試験デバイスを流れるmAの電流を測定することによって決定される。デバイスに印加される電圧は、0V~10Vの範囲で0.1Vの工程で変化する。同様に、輝度-電圧特性およびCIE座標は、それぞれの電圧値について、Instrument Systems CAS-140CTアレイ分光計(Deutsche Akkreditierungsstelle(DAkkS)によって較正された)を使用して、cd/m単位で輝度を測定することによって決定される。10mA/cm2におけるcd/A効率は、輝度-電圧特性および電流-電圧特性をそれぞれ補間することによって決定される。
【0212】
ボトムエミッションデバイスにおいては、発光は主としてLambertianであり、百分率の外部量子効率(EQE)で定量化される。前記効率EQE(単位:%)を決定するために、較正されたフォトダイオードを使用し、10mA/cmでデバイスの光出力が測定される。
【0213】
トップエミッションデバイスにおいては、発光は前方方向に放射され、非Lambertianであり、微小な空洞に大きく依存する。したがって、ボトムエミッションデバイスと比較して、効率EQEは高くなる。効率EQE(単位:%)を決定するために、較正されたフォトダイオードを使用し、10mA/cmでデバイスの光出力が測定される。
【0214】
デバイスの寿命LTは、周囲条件(20℃)および30mA/cmで、Keithley 2400 source meterを使用して測定し、時間単位で記録される。
【0215】
デバイスの輝度は、較正されたフォトダイオードを用いて測定される。寿命LTは、デバイスの輝度がその初期値の97%に低下するまでの時間として定義付けされる。
【0216】
動作電圧における増加ΔUは、デバイスの動作電圧安定性の尺度として使用される。こ
の増加は、LT測定中に、デバイスの動作開始の100時間後の動作電圧から、デバイスの動作開始の1時間後の動作電圧を差し引くことによって決定される。
【0217】
ΔU=[U(50h)-U(1h)]
または、デバイスの動作開始の100時間後の動作電圧から、デバイスの動作開始の1時間後の動作電圧を差し引くことによって決定される。
【0218】
ΔU=[U(100h)-U(1h)]
ΔUの値が小さいほど、動作電圧安定性が良好である。
【0219】
結果を表2に示す。特にこの装置では、同じ構造を有するが異なる吸湿率を有する化合物を使用した。異なる吸湿率は、例えば、化合物の別の精製方法を使用することによって達成された。
【0220】
【表3】
【0221】
例えば、同じ構造であるが吸湿率が6.4%の化合物と比較して、吸湿率が3%のE11を使用した場合に、OLEDデバイスにおける挙動の違いによって、異なる層が示されるように、本発明の方法に従って製造された層は、吸湿率が異なる化合物を使用した場合とは異なる層であることがわかる。
【0222】
本発明のデバイス(発明の実施例)は、比較デバイスと比較して低い動作電圧を示す。したがって、本発明のデバイスの動作電圧は、それぞれの比較デバイスの動作電圧よりもはるかに低い。
【0223】
本発明のデバイスは、比較デバイスと比較して経時的な電圧上昇が低い。したがって、本発明のデバイスは、比較デバイスと比較して、はるかに低い経時的な電圧上昇を示す。
【0224】
本発明のデバイスは、比較デバイスよりも高い電流効率を示す。
【0225】
本発明のデバイスは、比較デバイスよりも高い外部量子効率(EQE)を示す。
【0226】
動作電圧が低いことは、有機電子デバイス、特にモバイルデバイスの電池寿命にとって重要であり得る。
【0227】
高い効率は、特にモバイルデバイスにおいて、消費電力の削減とバッテリ寿命の向上とに有益であり得る。
【0228】
経時的な電圧上昇を低く抑えることにより、電子デバイスの長期安定性が向上され得る。
【0229】
動作電圧が低いことは、特にモバイルデバイスにおいて、消費電力の削減と、バッテリ寿命の向上とに有益であり得る。
【0230】
EQEが高いことは、特にモバイルデバイスにおいて、消費電力の削減とバッテリ寿命の向上とに有益であり得る。
【0231】
前述の詳細な実施形態における要素および特徴の特定の組み合わせは例示的なものに過ぎず;これらの教示を、この教示と、参照によって組み込まれる特許/出願とにおける他の教示と交換し、置き換えることも、明示的に企図される。当業者が認識するように、本明細書に記載される変形、修正、および他の実装形態は、特許請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、一般的な当業者に想起され得る。したがって、前述の説明は単なる例であり、限定することを意図するものではない。特許請求の範囲において、用語「含む(comprising)」は他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物において定義される。さらに、説明および特許請求の範囲で使用される参照符号は、特許請求される本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0232】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態による、有機電子デバイスの概略断面図である。
図2図2は、本発明の例示的な実施形態による、有機発光ダイオード(OLED)の概略断面図である。
図3図3は、本発明の例示的な実施形態による、OLEDの概略断面図である。
図4図4は、本発明の例示的な実施形態による、OLEDの概略断面図である。
図5図5は、本発明の例示的な実施形態による、OLEDの概略断面図である。
図6図6は、本発明の例示的な実施形態による、電荷発生層を含むOLEDの概略断面図である。
図7図7は、本発明の例示的な実施形態による、電荷発生層を含む積層OLEDの概略断面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の工程を含む、p型半導体層の調製方法:
(a) 表面を提供する工程;
(b) 金属化合物を含むp型半導体材料であって、前記金属化合物の吸湿率は≦4%である、p型半導体材料を提供する工程;
(c) 減圧下で前記金属化合物を蒸発させる工程;
(d) 蒸発させた金属化合物を前記表面に蒸着させる工程。
【請求項2】
前記金属化合物の収着による相対含水量が、≦4重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属化合物が、空気安定性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属化合物中に存在する末端原子の全体数の少なくとも20%が、独立して、F、Cl、Br、IおよびNから選択され、ここで、前記末端原子は、隣接する1つの原子と共有結合している全ての原子である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属化合物中に存在する末端原子の全体数の少なくとも20%が、独立して、FおよびNから選択され、ここで、前記末端原子は、隣接する1つの原子と共有結合している全ての原子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属化合物が、+Iの酸化状態の金属と、モノアニオン性リガンドとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属化合物が、少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドは、H、F、Cl、Br、I、C、Si、O、S、NおよびPから選択される元素からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記p型半導体材料が、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
吸湿率が≦4%である金属化合物を含有するp型半導体材料を含む、p型半導体層。
【請求項10】
前記金属化合物の収着による相対含水量が、≦4重量%である、請求項9に記載のp型半導体層。
【請求項11】
前記金属化合物が、空気安定性である、請求項9に記載のp型半導体層。
【請求項12】
前記金属化合物中に存在する末端原子の全体数の少なくとも20%が、独立して、F、Cl、Br、IおよびNから選択され、ここで、前記末端原子は、隣接する1つの原子と共有結合している全ての原子である、請求項9に記載のp型半導体層。
【請求項13】
前記金属化合物中に存在する末端原子の全体数の少なくとも20%が、独立して、FおよびNから選択され、ここで、前記末端原子は、隣接する1つの原子と共有結合している全ての原子である、請求項9に記載のp型半導体層。
【請求項14】
前記金属化合物が、+Iの酸化状態の金属と、モノアニオン性リガンドとを含む、請求項9に記載のp型半導体層。
【請求項15】
前記金属化合物が、少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドは、H、F、Cl、Br、I、C、Si、O、S、NおよびPから選択される元素からなる、請求項9に記載のp型半導体層。
【請求項16】
前記p型半導体材料が、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む、請求項9に記載のp型半導体層。
【請求項17】
前記p型半導体層が、正孔注入層、正孔輸送層または正孔発生層である、請求項に記載のp型半導体層。
【請求項18】
陽極層と、陰極層と、請求項9に記載の少なくとも1つのp型半導体層と、少なくとも1つの光活性層とを含み、ここで、前記少なくとも1つの光活性層は、前記陽極層と前記陰極層との間に配置されている、有機電子デバイス。
【請求項19】
光活性層として第1の発光層と第2の発光層とを有し、前記p型半導体層が、前記第1の発光層と前記第2の発光層との間に配置された正孔発生層である、請求項18に記載の有機電子デバイス。
【請求項20】
前記有機電子デバイスが、有機エレクトロルミネッセンスデバイスまたは有機光起電力デバイスである、請求項18に記載の有機電子デバイス。
【請求項21】
請求項18~20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの有機電子デバイスを含む、ディスプレイデバイス。
【請求項22】
吸湿率が≦4%である、金属化合物;
ここで、前記吸湿率とは、真空乾燥させた金属化合物の試料を、23±2℃で70±4%の相対湿度に1時間暴露させたときの重量測定によって求めた相対重量増加率である。
【請求項23】
p型半導体層の調製のための、請求項22に記載の金属化合物の使用。
【国際調査報告】