(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】速度最適化ベクトル処理システムを有する3次元プリントシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20240717BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240717BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20240717BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240717BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240717BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240717BHJP
B22F 10/85 20210101ALI20240717BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240717BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/153
B29C64/268
B33Y50/02
B33Y10/00
B33Y30/00
B22F10/85
B22F10/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577385
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022032758
(87)【国際公開番号】W WO2022271452
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520106345
【氏名又は名称】レイヤーワイズ エヌヴェ
【氏名又は名称原語表記】LayerWise NV
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】コーク,サム
(72)【発明者】
【氏名】ファン ファーレンベルク,ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】ライ,ナヒケタ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AP07
4F213AR08
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL45
4F213WL49
4F213WL78
4F213WL85
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
3次元プリントシステム(3D)は、プリントエンジンおよびコントローラを含む。プリントエンジンは、電動造形プラットフォームと、コーティング装置と、ビーム形成ユニットとを備える。コントローラは、以下の工程を実行するように構成される:(a)仮想3D体を受信する工程、(b)3D体を処理して複数のN個のスライスを画定する工程であって、N個のスライスが個々に3D体とスライスとの交点を表す、工程、(c)N個のスライスを処理してベクトルを用いて3D体の中実部分を表す工程であって、ベクトルが輪郭およびハッチングパターンを画定し、ベクトルが個々に2つの端点によって境界付けられる、工程、(d)個々のスライスについて、複数のベクトルのうちの1つまたは複数について走査速度誤差を分析する工程、および(e)個々のスライスについて、走査速度誤差が所定の閾値を超える場合に端点のうちのいくつかを移動させて、速度補正されたスライスを提供する工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントエンジン、および
コントローラ
を備える3次元(3D)プリントシステムであって、
前記プリントエンジンは、
電動造形プラットフォーム;
前記造形プラットフォーム上に造形材料の均一な層を形成するためのコーティング装置;および
前記造形プラットフォームの上方にある造形平面上でエネルギービームを走査するように構成されたビーム形成ユニット
を含み、
前記コントローラは、以下の工程:
(a)仮想3D体を受信する工程;
(b)前記3D体を処理して複数のN個のスライスを画定する工程であって、該N個のスライスが個々に前記3D物体とスライスとの交点を表す、工程;
(c)前記N個のスライスを処理してベクトルを用いて前記3D体の中実部分を表す工程であって、前記ベクトルが輪郭およびハッチングパターンを画定し、前記ベクトルが個々に2つの端点によって境界付けられる、工程;
(d)前記個々のスライスについて、前記複数のベクトルのうちの1つまたは複数について走査速度誤差を分析する工程;
(e)前記個々のスライスについて、前記走査速度誤差が所定の閾値を超える場合に端点のうちのいくつかを置換させて、速度補正されたスライスを提供する工程;および
(f)前記プリントエンジンを動作させて、前記速度補正されたスライスを用いて層ごとの態様で3次元物品を作製する工程
を実行するように構成される、3次元(3D)プリントシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前処理コントローラおよびプリントエンジンコントローラを含む少なくとも2つの別個のコントローラを含み、該2つの別個のコントローラは、互いに物理的に分離されることを特徴とする、請求項1に記載の3次元(3D)プリントシステム。
【請求項3】
前記工程(d)および(e)は、前記複数のベクトルのうちの個々のベクトルについて、以下:
前記ベクトルについて平均走査速度を計算する工程;
前記平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程;および
前記走査速度誤差が所定の閾値よりも大きい場合、前記ベクトルの端点を移動させて前記走査速度誤差を低減または排除する工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の3次元(3D)プリントシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、関係ΔT
*V=ΔSを定義し、ΔTはビーム形成ユニットの時間的ステップサイズに等しく、ΔSはビーム形成ユニットの寸法的ステップサイズに等しく、V=デフォルト走査速度であり、ベクトルの端点を移動させてベクトルの長さを変化させ、ΔSの整数倍により近づけることを特徴とする、請求項3に記載の3次元(3D)プリントシステム。
【請求項5】
前記工程(d)および(e)は、前記複数のベクトルのうちの2つ以上の個々のベクトルのシーケンスについて、以下:
前記2つ以上のベクトルのシーケンスについての平均走査速度を計算する工程;
前記平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程;および
前記走査速度誤差が所定の閾値よりも大きい場合、前記2つ以上のベクトルの1つまたは複数の端点を移動させて前記走査速度誤差を低減または排除する工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の3次元(3D)プリントシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記電動造形プラットフォームを動作させて、前記造形平面に近接して前記電動造形プラットフォームまたは前記造形材料の上面を位置決めし;
前記コーティング装置を動作させて、前記電動造形プラットフォームまたは前記造形材料の上面上に造形材料の新しい層を形成し;かつ
前記速度補正されたスライスを利用して前記ビーム形成ユニットを動作させて、前記造形材料の新しい層を選択的に固化させる
ように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の3次元(3D)プリントシステム。
【請求項7】
3D物品を製造する方法であって、
電動造形プラットフォーム;
前記造形プラットフォーム上に造形材料の均一な層を形成するためのコーティング装置;および
前記造形プラットフォームの上方にある造形平面上でエネルギービームを走査するように構成されたビーム形成ユニット
を含むプリントエンジンを備える3Dプリントシステムを提供する工程;および
(a)仮想3D体を受信する工程;
(b)前記3D体を処理して複数のN個のスライスを画定する工程であって、該N個のスライスが個々に前記3D物体とスライスとの交点を表す、工程;
(c)前記N個のスライスを処理して、個々に端点によって境界付けられるベクトルを用いて前記3D体の中実部分を表す工程;
(d)前記個々のスライスについて、前記複数のベクトルのうちの1つまたは複数について走査速度誤差を分析する工程;
(e)前記個々のスライスについて、前記走査速度誤差が所定の閾値を超える場合に端点のうちのいくつかを置換させて、速度補正されたスライスを提供する工程;および
前記プリントエンジンを動作させて、前記速度補正されたスライスを用いて層ごとの態様で3次元物品を作製する工程
を含む、方法。
【請求項8】
前記3Dプリントシステムは、互いに物理的に分離される前処理コントローラおよびプリントエンジンコントローラを含む少なくとも2つの別個のコントローラをさらに含むコントローラを備えることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(d)および(e)は、前記複数のベクトルのうちの個々のベクトルについて、以下:
前記ベクトルについて平均走査速度を計算する工程;
前記平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程;および
前記走査速度誤差が所定の閾値よりも大きい場合、前記ベクトルの端点を移動させて前記走査速度誤差を低減または排除する工程
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
関係ΔT
*V=ΔSを定義する工程をさらに含み、ΔTはビーム形成ユニットの時間的ステップサイズに等しく、ΔSはビーム形成ユニットの寸法的ステップサイズに等しく、V=デフォルト走査速度であり、ベクトルの端点を移動させてベクトルの長さを変化させ、ΔSの整数倍により近づけることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記工程(d)および(e)は、前記複数のベクトルのうちの2つ以上の個々のベクトルのシーケンスについて、以下:
前記2つ以上のベクトルのシーケンスについての平均走査速度を計算する工程;
前記平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程;および
前記走査速度誤差が所定の閾値よりも大きい場合、前記2つ以上のベクトルの1つまたは複数の端点を移動させて前記走査速度誤差を低減または排除する工程
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記電動造形プラットフォームを動作させて、前記造形平面に近接して前記電動造形プラットフォームまたは前記造形材料の上面を位置決めする工程;
前記コーティング装置を動作させて、前記電動造形プラットフォームまたは前記造形材料の上面上に造形材料の新しい層を形成する工程;および
前記速度補正されたスライスを利用して前記ビーム形成ユニットを動作させて、前記造形材料の新しい層を選択的に固化させる工程
をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
3Dプリントシステムを制御するためのソフトウェア命令を記憶する非一時的記憶媒体であって、前記3Dプリントシステムは、
電動造形プラットフォーム;
前記造形プラットフォーム上に造形材料の均一な層を形成するためのコーティング装置;および
前記造形プラットフォームの上方にある造形平面上でエネルギービームを走査するように構成されたビーム形成ユニット
を含むプリントエンジンを備え、
プロセッサによって実行されると、前記ソフトウェア命令は、以下の工程:
(a)仮想3D体を受信する工程;
(b)前記3D体を処理して複数のN個のスライスを画定する工程であって、該N個のスライスが個々に前記3D物体とスライスとの交点を表す、工程;
(c)前記N個のスライスを処理してベクトルを用いて前記3D体の中実部分を表す工程であって、前記ベクトルが輪郭およびハッチングパターンを画定し、前記ベクトルが個々に2つの端点によって境界付けられる、工程;
(d)前記個々のスライスについて、前記複数のベクトルのうちの1つまたは複数について走査速度誤差を分析する工程;
(e)前記個々のスライスについて、前記走査速度誤差が所定の閾値を超える場合に端点のうちのいくつかを置換させて、速度補正されたスライスを提供する工程;および
(f)前記プリントエンジンを動作させて、前記速度補正されたスライスを用いて層ごとの態様で3次元物品を作製する工程
を実行する、非一時的記憶媒体。
【請求項14】
前記3Dプリントシステムは、互いに物理的に分離される前処理コントローラおよびプリントエンジンコントローラを含む2つのコントローラを備えることを特徴とする、請求項13に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項15】
前記工程(d)および(e)は、前記複数のベクトルのうちの個々のベクトルについて、以下:
前記ベクトルについて平均走査速度を計算する工程;
前記平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程;および
前記走査速度誤差が所定の閾値よりも大きい場合、前記ベクトルの端点を移動させて前記走査速度誤差を低減または排除する工程
を含むことを特徴とする、請求項13に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項16】
前記工程が、関係ΔT
*V=ΔSを定義する工程をさらに含み、ΔTはビーム形成ユニットの時間的ステップサイズに等しく、ΔSはビーム形成ユニットの寸法的ステップサイズに等しく、V=デフォルト走査速度であり、ベクトルの端点を移動させてベクトルの長さを変化させ、ΔSの整数倍により近づけることを特徴とする、請求項15に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項17】
前記工程(d)および(e)は、前記複数のベクトルのうちの2つ以上の個々のベクトルのシーケンスについて、以下:
前記2つ以上のベクトルのシーケンスについての平均走査速度を計算する工程;
前記平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程;および
前記走査速度誤差が所定の閾値よりも大きい場合、前記2つ以上のベクトルの1つまたは複数の端点を移動させて前記走査速度誤差を低減または排除する工程
を含むことを特徴とする、請求項13に記載の非一時的記憶媒体。
【請求項18】
前記工程が、
前記電動造形プラットフォームを動作させて、前記造形平面に近接して前記電動造形プラットフォームまたは前記造形材料の上面を位置決めする工程;
前記コーティング装置を動作させて、前記電動造形プラットフォームまたは前記造形材料の上面上に造形材料の新しい層を形成する工程;および
前記速度補正されたスライスを利用して前記ビーム形成ユニットを動作させて、前記造形材料の新しい層を選択的に固化させる工程
を含むことを特徴とする、請求項13に記載の非一時的記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この非仮特許出願は、35 U.S.C.119(e)の下で参照により本明細書に組み込まれる、「Three Dimensional Printing System with Speed Optimized Vector Processing System」と題されたSam Coeckらによる2021年6月25日出願の米国仮特許出願第63/215,155号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ポリマー粉末、金属粉末、および光硬化性樹脂などの材料の層のエネルギービーム固化による3次元(3D)物品の層ごとの製造のための装置および方法に関する。より詳細には、本開示は、動作の再現性および整合性に悪影響を及ぼし得る走査速度または実行時間誤差を補正する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3次元(3D)プリントシステムは、プロトタイピングおよび製造などの目的のために急速に使用が増加している。特定の3Dプリントシステムは、金属粉末、プラスチック粉末、および光硬化性樹脂であり得る様々な材料から3D物品を形成するために層ごとのプロセスを利用する。各材料層は、レーザビーム、電子ビーム、または粒子ビームであり得るエネルギービームで選択的に硬化される。層ごとのプロセスは、CADファイルなどの仮想3D体から開始する。仮想3D体は、層に対応する仮想水平スライスでスライスされる。仮想スライスは、3D体の表面とスライスとの交点である輪郭または境界を個別に定義する。仮想スライスは、エネルギービームの運動を制御するために使用することができるベクトル形式に変換される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この変換に伴う課題は、仮想スライスのベクトル形式をエネルギービームシステムに適用することから生じる走査速度および実行時間誤差である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある態様では、3次元(3D)プリントシステムは、3D物品を作製または製造するために構成される。3Dプリントシステムは、プリントエンジンおよびコントローラを含む。プリントエンジンは、電動造形プラットフォームと、造形プラットフォーム上に造形材料の均一な層を形成するためのコーティング装置と、造形プラットフォームの上方にある造形平面上でエネルギービームを走査するように構成されたビーム形成ユニットとを含む。コントローラは、以下の工程を実行するように構成される:(a)仮想3D体を受信する工程、(b)3D体を処理して複数のN個のスライスを画定する工程であって、N個のスライスが個々に3D体とスライスとの交点を表す、工程、(c)N個のスライスを処理してベクトルを用いて3D体の中実部分を表す工程であって、ベクトルが輪郭およびハッチングパターンを画定し、ベクトルが個々に2つの端点によって境界付けられる、工程、(d)個々のスライスについて、複数のベクトルのうちの1つまたは複数について走査速度誤差を分析する工程、および(e)個々のスライスについて、走査速度誤差が所定の閾値を超える場合に端点のうちのいくつかを置換または移動させて、速度補正されたスライスを提供する工程。工程(d)および(e)により、走査速度誤差が排除または低減される。これにより、作製の全体的な速度が最大化され、低い走査速度で生じ得る潜在的な過熱または過硬化が低減または排除される。
【0006】
一実装形態では、コントローラは、互いに物理的に分離された前処理コントローラおよびプリントエンジンコントローラを含む少なくとも2つの別個のコントローラを含む。
【0007】
別の実装形態では、工程(c)および(d)は、複数のベクトルの個々のベクトルについて、以下を含む:ベクトルの平均走査速度を計算する工程、平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程、および、走査速度誤差が所定の閾値より大きい場合、ベクトルの端点を移動させて走査速度誤差を低減または排除する工程。コントローラは、関係ΔT*V=ΔSを定義することができ、ΔTはビーム形成ユニットの時間的ステップサイズに等しく、ΔSはビーム形成ユニットの寸法的ステップサイズに等しく、V=デフォルト走査速度であり、ベクトルの端点を移動させてベクトルの長さを変化させ、ΔSの整数倍により近づけることができる。
【0008】
さらに別の実装形態では、工程(d)および(e)は、複数のベクトルのうちの2つ以上の個々のベクトルのシーケンスについて、以下を含むことができる:2つ以上のベクトルのシーケンスについての平均走査速度を計算する工程、平均走査速度をデフォルト走査速度と比較して走査速度誤差を決定する工程、および、走査速度誤差が所定の閾値よりも大きい場合、2つ以上のベクトルの1つまたは複数の端点を移動させて走査速度誤差を低減または排除する工程。
【0009】
さらなる実装形態では、コントローラは、以下を行うようにさらに構成される:電動造形プラットフォームを動作させて、造形平面に近接して電動造形プラットフォームまたは造形材料の上面を位置決めし、コーティング装置を動作させて、電動造形プラットフォームまたは造形材料の上面上に造形材料の新しい層を形成し、速度補正されたスライスを利用してビーム形成ユニットを動作させて、造形材料の新しい層を選択的に固化させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】3D物品を形成するための3次元(3D)プリントシステムの概略図である。
【
図2】様々なソフトウェアモジュールを含むコントローラの一実施形態の概略図である。
【
図3A】直円筒の形状を有する仮想3D体の概略図である。
【
図3B】
図3Aの仮想3D体に作用するスライサーモジュールによって画定される仮想断面スライスの概略図である。
【
図3C】
図3Bの単一の仮想断面スライスに作用するベクトル発生器モジュールによって定義されるベクトルスライスの概略図である。
【
図3D】
図3Cのベクトルスライスに作用する速度補正モジュールによって画定される速度補正されたベクトルスライスの概略図である。
【
図4A】前処理コントローラによって実行される方法のフローチャートである。
【
図4B】プリントエンジンコントローラによって実行される方法のフローチャートである。
【
図5】
図4Bの方法のサブセットである、プリントエンジンコントローラによって実行される方法の第1の実施形態のフローチャートである。
【
図5A】スライス、輪郭、および、まだ速度補正されていない点P1~P6の連続セットの概略図である。これは、ベクトル生成モジュール36(
図2)の出力、
図3C、および
図4Aの方法60の出力の1つのスライスnに対応する。図示のスライスでは、M(n)は5に等しく、言い換えれば、5つのベクトルが存在する。各連続する点の対はベクトルを表す。第1のベクトルテールは点P1にあり、第1のベクトルヘッドはP2にある(以下同様)。
【
図5B】新しい連続する点に対する補正された点位置Q2の決定を示す。半径ΔSの円の中心はP1であり、新たな第1点Q1となる。円と元のベクトル経路または輪郭83との交点は、第2の新しい点Q2を画定する。第1速度補正されたベクトルは、Q1にテールを有し、Q2にヘッドを有する。
【
図5C】新しい連続する点に対する補正された点位置Q3の決定を示す。半径ΔSの円の中心はQ2である。円と元のベクトル経路または輪郭83との交点は、第3の新しい点Q3を画定する。第2の速度補正されたベクトルは、Q2にテールを有し、Q3にヘッドを有する。
【
図5D】連続する点に対する補正された点位置Q4の決定を示す。半径ΔSの円の中心はQ3である。円と元のベクトル経路または輪郭83との交点は、第4の新しい点Q4を画定する。第3の速度補正されたベクトルは、Q3にテールを有し、Q4にヘッドを有する。
【
図5E】連続する点に対する補正された点位置Q5の決定を示す。半径ΔSの円の中心はQ4である。円と元のベクトル経路または輪郭83との交点は、第5の新しい点Q5を画定する。第4の速度補正ベクトルは、Q4にテールを有し、Q5にヘッドを有する。
【
図5F】連続する点に対する補正された点位置Q6の決定を示す。半径ASの円の中心はQ5である。円と元のベクトル経路または輪郭83との交点は、第6の新しい点Q6を画定する。第5の速度補正ベクトルは、Q5にテールを有し、Q6にヘッドを有する。
【
図5G】スライス、輪郭、および、速度補正された点Q1~Q7の連続セットの概略図である。Q1~Q7によって画定されるベクトルは、速度補正モジュール38(
図2)、
図3D、
図4Bの方法70の工程72~76の出力の1スライスn、および
図5の方法80の出力に対応する。各連続する点の対は、速度補正されたベクトルを表す。
【
図6】
図4Bの方法のサブセットである、プリントエンジンコントローラによって実行される方法の第2の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、3D物品4を形成するための3次元(3D)プリントシステム2の概略図である。3Dプリントシステム2を説明する際に、互いに直交する軸X、Y、およびZを使用することができる。軸XおよびYは、概して水平な横軸である。軸Zは、重力基準と概ね位置合わせされた垂直軸である。「概して」とは、設計によってそのように意図されるが、製造公差または他の変動源に起因して変動し得る。
【0012】
3Dプリントシステム2は、コントローラ8に結合された3Dプリントエンジン6を含む。コントローラ8は、プリントエンジン6と同じ位置に配置された単一のコンピュータを含むことができるか、または2つ以上のコンピュータを含むことができ、そのいくつかは、プリントエンジン6から物理的に分離されるか、または遠隔に配置される。図示の実施形態では、コントローラ8は、第1のコントローラ8Aおよび第2のコントローラ8Bを含む2つのコントローラを含む。第1のコントローラ8Aは、プリントエンジン6から物理的に分離されるか、または遠隔に配置されることさえ可能である。第2のコントローラ8Bは、プリントエンジン6に物理的に接続されるか、またはより密接に関連付けられる。
【0013】
コントローラ8は、情報記憶装置(少なくとも1つの非一時的または不揮発性デバイス)に結合されたプロセッサ(少なくとも1つのCPU)を含む。情報記憶装置は、命令を個別に含むソフトウェアモジュールを記憶する。情報記憶装置は、不揮発性または非一時的コンピュータメモリ、フラッシュメモリ、およびディスクドライブのうちの1つまたは複数を含むことができる。コントローラ8は、プロセッサが命令を実行するときにプリントエンジン6の様々な部分を動作させるように構成される。図示される実施形態では、第1のコントローラ8Aは、仮想3D体を処理し、プリントエンジン6を制御するためにコントローラ8Bによって使用される断面「スライス」を生成する。
【0014】
プリントエンジン6は、電動造形プラットフォーム12を収容する造形コンテナ10を含む。電動造形プラットフォーム12は、上面14と、造形プラットフォーム12を正確に垂直に位置決めするための機構(詳細は図示せず)とを有する。機構は、ラック・アンド・ピニオン、親ねじ、または他の駆動システムなどの機械的駆動を含むことができる。親ねじ駆動システムは、固定モータに連結された親ねじを含むことができる。親ねじは、造形プラットフォーム12に結合されたねじ付きナットに受け入れることができる。コントローラ8の命令の下で、モータは、造形プラットフォーム12を垂直に位置決めするために親ねじを回転させることができる。
【0015】
プリントエンジン6は、電動造形プラットフォーム12上に金属粉末などの材料18の均一な層を形成するように構成されたコーティング装置16を含む。新しい均一な材料層18が形成されるとき、新しい均一な材料層18の上面20は、「造形平面22」を部分的に画定するものとして言及され得る。コーティング装置16は、材料18を分配するためのディスペンサと、平坦で均一な表面20を確保するためのワイパーブレードとを含むことができる。分配およびワイピング中のコーティング装置16の運動は、電動親ねじ、電動ベルト、または他の電動運動機構によって付与することができる。分配装置は、新しい材料層18の均一性を確保するために制御されたまたは充分な量の材料18を計量するための電動ローラまたはバルブ機構を含むことができる。
【0016】
プリントエンジン6は、造形平面22にわたって1つまたは複数のエネルギービーム26を形成し走査するためのビーム形成ユニット24を含む。ビーム形成ユニット24の横方向走査限界は、ビーム形成ユニット24の横方向範囲を画定することができる。例示的な実施形態では、ビーム形成ユニットは、レーザビーム発生器と、それぞれX軸およびY軸に沿って造形平面を横切るレーザビームの運動を提供するXミラーおよびYミラーを含む2つの走査ミラーとを含む。
【0017】
コントローラ8は、プリントエンジン6の部分を動作させて3D物品4を製造または作製するように構成される。コントローラは、以下のように構成される:(a)3D物品4を画定するデータファイルを受信し、(b)データファイルを処理して、プリントエンジン6を動作させるための準備をし、(c)電動造形プラットフォームを動作させて、造形平面22に近接して上面14または20を位置決めし、(c)コーティング装置を動作させて、造形材料の新しい層18を上面14または20に塗布し、(d)ビーム形成ユニット24を動作させて、造形材料の新しい層を選択的に硬化させ、(c)~(d)を繰り返して物品4の製造または作製を完了する。
【0018】
図2は、コントローラ8の概略図である。より詳細には、
図2は、ソフトウェアモジュールの動作を実行するためにコントローラ8の1つまたは複数のプロセッサによって記憶および実行されるソフトウェア命令を含むソフトウェアモジュールを示すことを意図している。図示の実施形態では、コントローラ8は、前処理コントローラ8Aおよびプリントエンジンコントローラ8Bを含む。前処理コントローラ8Aは、プリントエンジン6に対して物理的に分離されるか、または遠隔に配置されることも可能である。プリントエンジンコントローラ8Bは、プリントエンジン6と部分的または全体的に同じ位置に配置されてもよく、またはプリントエンジン6内にあってもよい。別の実施形態では、コントローラ8は、1つの物理的に統合されたユニットとすることができる。ソフトウェアモジュール間の他の物理的分割を有する他の実施形態も可能である。
【0019】
コントローラ8は、製造される3D物品4を画定するCADファイルなどの仮想3D物体32を受信する。スライサーモジュール34は、3D仮想体32を受け取り、仮想的かつ水平にスライスする。これにより、3D仮想体32の仮想断面スライスを画定するファイルが得られる。仮想断面スライスは、3D仮想体32の1つまたは複数の2次元境界および立体断面を個別に画定する。個々のスライスについて、2次元境界は、水平スライスと固形物32との間の交点を画定する。仮想断面スライスはまた、スライスの中実断面部分の表現を含む。
【0020】
スライスは、スライスの中実部分に対応する一連の線形走査を定義するベクトル生成モジュール36(ハッチャモジュールと呼ばれることもある)に送られる。これらの走査は、各ベクトルの開始および終了を定義する端点を有する線形ベクトルとして表される。その結果、造形平面22上を走査するエネルギービーム26に対応する複数のベクトルを個別に有する複数のベクトルスライスが得られる。
【0021】
複数のベクトルスライスは、速度補正モジュール38に送られる。速度補正モジュール38は、個々のベクトルまたはベクトルのグループに対する走査速度誤差を計算する。速度補正モジュール38は、1つまたは複数の速度および/または時間誤差が所定の閾値を超えたときに、ベクトルの端点を移動または置換することによって速度および/または時間誤差を補正する。図示の実施形態では、速度補正モジュール38は、プリントエンジンコントローラ8Bに組み込まれる。あるいは、前処理モジュール8Aの一部として組み込むことができる。
【0022】
その結果、走査ドライバモジュール40に送られる補正ベクトルを有する複数の補正ベクトルスライスが得られる。走査ドライバモジュール40は、補正されたベクトルスライスを使用してビーム形成ユニット24を動作させる。個々のスライスを使用して、堆積材料18の1つの新しい層を選択的に硬化させる。上記において、「スライス」は、ソフトウェアモジュール34~40のうちの1つまたは複数の後の任意の段階における仮想3D体32の水平スライスを表すデータとして解釈され得る。
【0023】
図3Aは、垂直軸Zと軸方向に位置合わせされた直円筒シリンダである非常に単純な3D仮想体32の図である。スライサーモジュール34の動作は、水平仮想断面スライス42の垂直配置を画定することである。
【0024】
図3Bは、スライサーモジュール34によって画定される仮想断面スライス42の概略図である。仮想断面スライス42は、外側境界44および外側境界44内の固化領域46を画定するデータを含む。
【0025】
図3Cは、
図3Bの仮想断面スライス42に作用するベクトル生成モジュール36によって画定されるベクトルスライス48の概略図である。ここで、外側境界44は、輪郭50を画定するために始点-終点(head-to-tail)に配置される一連のベクトル52(一部のみ図示される)を含む輪郭50によって置換される。いくつかの実施形態では、輪郭50は、輪郭50の周りを2回以上通過するベクトル52の2つ以上のシーケンスを含み、輪郭50を広げることができる。輪郭50のベクトル52は、輪郭50を「周回」して輪郭50を形成する。輪郭50は固化領域46を取り囲み、外側境界44を画定する。
【0026】
固化領域46は、ベクトル56の領域ハッチパターン54で置換される(一部のみ図示される)。隣接するベクトル56は、ハッチパターン54上で反対方向を有することができる。いくつかの実施形態では、レーザがハッチングプロセス中にオンのままであるように、追加のベクトルが隣接するベクトル56の始点および終点を取り付けてもよい。
【0027】
図3Dは、補正されたベクトルスライス49の概略図である。速度補正モジュール38は、補正されたベクトルスライス49を提供するためにベクトルスライス48を処理する。補正されたベクトルスライス49は、ベクトル52および56の始点および終点の補正された位置を有することによって、ベクトルスライス48とは異なり、それぞれベクトル53および57を提供する。速度補正ベクトル53および57は、粉末の層18上のエネルギービーム26の走査に対応する。
【0028】
図4Aは、コントローラ8によって実行される動作方法60の実施形態のフローチャートである。コントローラ8は、
図2のソフトウェアモジュール34および36を実行することによって方法60を実行する。
【0029】
62によれば、コントローラ28は、3D仮想体32を受信する。64によれば、コントローラ28は、モジュール36を実行して、3D仮想体32をN個の仮想断面スライス42にスライスする。66によれば、コントローラ28は、モジュール26を実行して、N個の個々のスライスの端点を有する走査ベクトル52および56を画定する。その結果、まだ速度補正されていないベクトル52および56を有するN個の個々のベクトルスライスが得られる。
【0030】
図4Bは、コントローラ8によって、より詳細にはプリントエンジンコントローラ30によって実行される動作方法70の実施形態のフローチャートである。プリントエンジンコントローラ30は、
図2のソフトウェアモジュール38および40を実行することによって方法70を実行する。
【0031】
72によれば、コントローラ30は、コントローラ28から前述のN個のベクトルスライス42を受信する。74によれば、スライス(N個のうちのスライスn)は、閾値条件に基づいて走査速度誤差を補正するために処理される。工程74により、速度補正されたベクトルスライスnが得られる。76によれば、速度補正されたベクトルスライスは、レーザ走査ドライバモジュールに転送される。78によれば、ビーム形成ユニット24は、3D物品4の速度補正されたベクトルスライスnを選択的に融合するように動作される。示されるように、工程72~78は、全てのN個のスライスを選択的に融合するために繰り返される。
【0032】
留意すべきこととして、方法60および70から欠落した特定のプロセスステップが存在し得る。例えば、無関係なベクトルを除去するためにデータをフィルタリングしてもよい。また、方法70の一部として、コントローラ30は、造形平面22の適切な高さを維持するように電動造形プラットフォーム12を動作させ、スライスnごとにコーティング装置16を動作させて材料の新しい層18をコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、ビーム形成ユニット24の動作の間に材料の複数の層を適用することができる。
【0033】
別の実装形態では、工程74-速度誤差補正は、方法70の一部としてではなく、方法60の一部として実行することができる。したがって、速度誤差補正は、プリントエンジンコントローラ30がスライスを受信するときにベクトルに組み込まれているであろう。さらに他の実装形態では、方法60および62の工程の分割は、異なる方法で異なるコントローラ間で分割され得る。
【0034】
図5は、コントローラ8によって実行される動作方法80の第1の実施形態のフローチャートである。コントローラ8は、
図2のソフトウェアモジュール38を実行することによって方法80を実行する。特に、方法80は、方法70の工程74のより詳細な実施形態であるが、単一のスライスnについてである。
【0035】
82によれば、スライスnがソフトウェアモジュール38によって受信される。スライスnはM(n)個のベクトルを有する。示されるように、Mはnに依存する変数である。84によれば、ベクトルm(mは1からMまで変化する)の速度が測定される。
【0036】
速度測定を理解するために、いくつかのパラメータが定義される必要がある。ビーム形成モジュール24は、デフォルト走査速度V、実際の走査速度v、標準分解能ステップサイズΔS、実際のステップサイズΔS、および時間的ステップサイズまたは時間ベース分解能ΔTを有する。時間的ステップサイズΔTは固定され、変化しない。したがって、走査速度は、vに従って変化し、ステップサイズΔsを時間的ステップサイズΔTで割ったものに等しい(v=Δs/ΔT)。しかし、ΔsがΔSに等しい場合、走査速度はデフォルト走査速度Vに等しい。そうでない場合、実際の走査速度vはデフォルト走査速度Vとは異なる。
【0037】
スライスのためのベクトルは、非整数のステップ数ΔSを定義する長さを有することができる。したがって、ベクトルは、長さΔSのステップ数に加えて、長さΔs<ΔSのより短いステップを含むことができる。ΔTは固定されているので、より短いステップは時間ΔTで実行され、したがってより低い走査速度を有する。ベクトルの平均速度は、ベクトルを走査するための総時間をベクトルの長さで割ることによって求められる。ベクトルを走査するための総時間は、実際のステップ数に時間ΔTをかけたものに等しい。
【0038】
工程84について上述したように、走査速度v(m)は、ベクトルmについて計算または決定される。86によれば、v(m)がデフォルト走査速度Vのある所定の許容範囲内にあるかどうかに関して判定が行われる。一実施形態では、分数速度誤差である[V-v(m)]/Vの値が計算される。v(m)がデフォルトVの所定の許容値または分数範囲内にある場合、プロセスは工程84にループバックする。
【0039】
工程86に従って、v(m)が所定の範囲内にない場合、工程88に従ってベクトルmの長さが長さΔSの整数に近いかまたは等しくなるように、ベクトルmの点位置が修正される。ある実施形態では、これは、長さがΔSの整数倍になるまでベクトルを長くすることによって達成される。あるいは、これは、長さがΔSの整数倍になるまでベクトルを短くすることによって達成することができる。
図5に示すように、この処理方法は、スライスnのすべてのM(n)個のベクトルに対して実行される。このプロセスの結果として、スライスnは、M(n)に等しいかまたはより大きいまたはより小さくなり得るR(n)ベクトルを有するであろう。
【0040】
図5A~Gは、
図5の方法80の特定の実施形態の例示である。方法80の工程82は、
図5Aによって表される。ロードされたスライスnは、走査レーザ(例えば、レーザ+電動Xミラーおよび電動Yミラー)の移動ベクトルの連続的な端点である点P1~P6によって表される。したがって、この例におけるM(n)は5に等しい。第1の移動ベクトルは、P1からP2までである。第2の移動ベクトルは、P2からP3までであり、これは、P5からP6までの第5の移動ベクトルに続く。速度補正モジュールがなければ、上述したように速度誤差が生じる。P1からP6までのシーケンスの破線は、まだ速度補正されていない「未補正輪郭」83と呼ぶことができる。
【0041】
図5Aおよび
図5Bは、m=1の場合のステップを示す。84によれば、第1のセグメント(P1~P2)にわたる移動の速度が計算される。86によれば、測定された速度vは、許容範囲外であることが見出される。88によれば、点位置が修正され、これが
図5Bに示されている。点P1上に半径ΔSの円が置かれ、経路全体(破線)との交点Q2が決定される。これが新たな第2の点Q2となり、P2を「置換」する。
【0042】
ここで方法80は工程84にループバックし、mはm=2にインデックスされる。ここで、速度は、Q2とP3(元の輪郭83上の次の点)との間のセグメントについて計算され、86に従って許容範囲外であることが見出される。m=2の場合、点位置は、
図5Cに示すように再び修正される。
【0043】
方法80は、m=3(
図5C/5D)、m=4(
図5D/5E)およびm=5(
図5E/5F)について継続する。最後のセグメント(Q6~Q7)に関して、この図示の実施形態では、Q7が点P6と一致するので、セグメントは標準分解能ステップサイズΔSの非整数倍である。
【0044】
要約すると、
図5Aの要素83は、方法80が実行される前の初期点P1~P6によって画定される補正されていない輪郭を指す。
図5Gの要素89は、方法80が実行された後に点Q1~Q7によって画定される速度補正された輪郭を指す。したがって、
図5Aの点P1~P6は、補正されていないスライスを示し、
図5Gの点Q1~Q7は、速度補正されたスライスを示す。
図5Aの図示された補正されていないスライスでは、M(n)=5である。
図5Gの速度補正されたスライスでは、R(n)=6である。言い換えれば、速度補正の結果、端点のシーケンスに端点が追加された。
【0045】
図6は、コントローラ8によって、より詳細にはプリントエンジンコントローラ30によって実行される動作方法90の第2の実施形態のフローチャートである。プリントエンジンコントローラ30は、
図2のソフトウェアモジュール38を実行することによって方法80を実行する。特に、方法90は、方法70の工程74のより詳細な実施形態であるが、単一のスライスnについてである。方法90は、一度に1つのベクトルではなく、P個のベクトルのグループについて、v(m)の平均値が計算され、応答される点で方法80とは異なる。Pは2以上であってもよい。
【0046】
92によれば、スライスnがソフトウェアモジュール38によって受信される。モジュール38は、M(n)個のベクトルを有する。示されるように、Mはnに依存する変数である。94によれば、P個のセグメントのグループについて走査速度が測定される。例えば、一度に2つのセグメントのグループを測定することができる。工程94は、全てのセグメントに対して実行される。残りのセグメントがある場合、このプロセスは残りについても実行することができる。測定方法は、計算がセグメントの長さの合計をセグメントの総時間で割ったものを計算することであることを除いて、1つのセグメントを測定する方法と同様である。
【0047】
96によれば、ベクトルのどのグループが許容範囲外であるか-Pセグメントのどのグループが所定の閾値を超える速度パーセンテージ誤差を有するか-に関する決定が行われる。
【0048】
98によれば、許容範囲外であるベクトルの任意のグループに対して点位置が修正される。例えば、これは、セグメントの個々の長さが個々に距離ΔSの整数に近づくように、2つのセグメント間の接続点を移動させることによって達成することができる。
【0049】
第3の実施形態では、方法70の工程74は、方法70および80の両方を利用することができる。上述の特定の実施形態およびその適用は、例示のみを目的としており、添付の特許請求の範囲によって包含される修正および変形を排除するものではない。
【国際調査報告】