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特表2024-527262二重特異性抗MerTK及び抗PDL1抗体ならびにその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】二重特異性抗MerTK及び抗PDL1抗体ならびにその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20240717BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240717BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240717BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240717BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240717BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240717BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240717BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C07K16/18
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 P
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P1/00
A61P1/16
A61P15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577539
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022033632
(87)【国際公開番号】W WO2022266223
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,437
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517041235
【氏名又は名称】アレクトル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】リー スン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ニヴィチャニョン タランスリ
(72)【発明者】
【氏名】ホー ウェイ-シェン
(72)【発明者】
【氏名】リー ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ロール マリナ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】リャン スペンサー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA21
4C085BB11
4C085BB22
4C085BB33
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB43
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、概して、MerTKポリペプチド(例えば、哺乳類MerTKまたはヒトMerTK)及びPDL1ポリペプチド(例えば、哺乳類PDL1ポリペプチドまたはヒトPDL1ポリペプチド)に特異的に結合する二重特異性抗体、例えばモノクローナル抗体を含む、組成物、ならびにそれを必要とする個体の治療におけるそのような組成物の使用に関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトMerチロシンキナーゼ(MerTK)及びプログラム死リガンド1(PDL1)に結合する二重特異性抗体であって、ヒトMerTkに結合する第1の抗原結合ドメイン及びPDL1に結合する第2の抗原結合ドメインを含む、前記二重特異性抗体。
【請求項2】
前記第1の抗原結合ドメインが、MerTKタンパク質のIg1ドメインに結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体の、MerTKへの結合を競合的に阻害する、請求項1または2に記載の二重特異性抗体。
【請求項4】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体と同じMerTKエピトープに結合する、請求項1~3のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項5】
前記第1の抗原結合ドメインが、
配列番号9のアミノ酸31~35を含むHVR-H1、配列番号9のアミノ酸50~66を含むHVR-H2、配列番号9のアミノ酸99~109を含むHVR-H3、配列番号10のアミノ酸24~34を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸50~56を含むHVR-L2、及び配列番号10のアミノ酸89~97を含むHVR-L3
、請求項1~4のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項6】
前記第1の抗原結合ドメインが、16.2抗体のHVRを含み、任意選択で、前記HVRが、Kabat定義のHVR、Chothia定義のHVR、AbM定義のHVR、またはcontact定義のHVRである、請求項1~4のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項7】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項8】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項9】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び/または配列番号10のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項10】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体と同じMerTKエピトープに結合する、請求項1または2に記載の二重特異性抗体。
【請求項11】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体の、MerTKへの結合を競合的に阻害する、請求項1、2、及び10のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項12】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号13のアミノ酸31~35を含むHVR-H1、配列番号13のアミノ酸50~66を含むHVR-H2、配列番号13のアミノ酸99~108を含むHVR-H3、配列番号14のアミノ酸24~34を含むHVR-L1、配列番号14のアミノ酸50~56を含むHVR-L2、及び配列番号14のアミノ酸89~97を含むHVR-L3を含む、請求項1、2、10、及び11のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項13】
前記第1の抗原結合ドメインが、13.11抗体のHVRを含み、任意選択で、前記HVRが、Kabat定義のHVR、Chothia定義のHVR、AbM定義のHVR、またはcontact定義のHVRである、請求項1、2、10、及び11のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項14】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む、請求項1、2、及び10~13のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項15】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、請求項1、2、及び10~14のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項16】
前記第1の抗原結合ドメインが、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、請求項1、2、及び10~15のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項17】
前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号52のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号53のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体と同じPDL1エピトープに結合する、請求項1~16のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項18】
前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号52のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号53のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体の、PDL1への結合を競合的に阻害する、請求項1~17のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項19】
前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号52のアミノ酸31~35を含むHVR-H1、配列番号52のアミノ酸50~66を含むHVR-H2、配列番号52のアミノ酸99~107を含むHVR-H3、配列番号53のアミノ酸24~34を含むHVR-L1、配列番号53のアミノ酸50~56を含むHVR-L2、及び配列番号53のアミノ酸89~97を含むHVR-L3を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項20】
前記第2の抗原結合ドメインが、アテゾリズマブ抗体のHVRを含み、任意選択で、前記HVRが、Kabat定義のHVR、Chothia定義のHVR、AbM定義のHVR、またはcontact定義のHVRである、請求項1~18のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項21】
前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項22】
前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項23】
前記第2の抗原結合ドメインが、配列番号52のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号53のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項24】
IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項25】
IgGクラスのものであり、任意選択で、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを有する、請求項24に記載の二重特異性抗体。
【請求項26】
IgG1抗体である、請求項25に記載の二重特異性抗体。
【請求項27】
IgG4抗体である、請求項25に記載の二重特異性抗体。
【請求項28】
(i)異なる抗原結合ドメインを含む2つのアームを有するか、(ii)2つの異なるエピトープに対する特異性を有する一本鎖抗体であるか、(iii)化学的に結合された二重特異性(Fab’)2フラグメントであるか、(iv)標的抗原のそれぞれに対する2つの結合部位を有する4価の二重特異性抗体を生じさせる2つの一本鎖ダイアボディの融合体であるか、(v)多価分子を生じさせるダイアボディとscFvの組み合わせであるか、(vi)ヒトFabアームの両末端に融合した2つのscFvを含むか、または(vii)ダイアボディである、請求項1~27のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項29】
カッパ-ラムダボディ、二重親和性リターゲティング分子(DART)、ノブ・イン・ホール抗体、鎖交換操作ドメインボディ(strand-exchange engineered domain body(SEEDbody))、またはDuoBodyである、請求項1~27のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項30】
第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むFc領域を含み、ここで、
(a)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換T366Yを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換Y407Tを含む、
(b)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換T366Wを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換T366S、L368W、及びY407Vを含む、
(c)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換T366Wを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換T366S、L368W、及びY407Vを含む、
(d)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換T366W、及びS354Cを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換T366S、L368A、Y407V、及びY349Cを含む、
(e)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換T350V、L351Y、F405A、Y407Vを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換T350V、T366L、K392L、及びT394Wを含む、
(f)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換K360D、D399M、及びY407Aを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換E345R、Q347R、T366V、及びK409Vを含む、
(g)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換K409D及びK392Dを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換D399K及びE356Kを含む、
(h)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換K360E及びK409Wを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換Q347R、D399V及びF405Tを含む、
(i)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換L360E、K409W、及びY349Cを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換Q347R、D399V、F405T、及びS354Cを含む、または
(j)前記第1のポリペプチドが、アミノ酸置換K370E及びK409Wを含み、前記第2のポリペプチドが、アミノ酸置換E357N、D399V及びF405Tを含み、
ここで、前記置換がEU付番に従う、
請求項1~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項31】
ノブ変異及びホール変異を含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項32】
前記ノブ変異が、EU付番に従うアミノ酸置換T366Wを含む、請求項31に記載の二重特異性抗体。
【請求項33】
前記ホール変異が、EU付番に従うアミノ酸置換T366S、L368A、及びY407Vを含む、請求項31または32に記載の二重特異性抗体。
【請求項34】
ヘテロ二量体化を促進するアミノ酸置換、付加、または欠失を含むFc領域を含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項35】
EU付番に従うアミノ酸置換S228Pを含む、請求項1~25及び27~34のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項36】
EU付番に従うアミノ酸置換L234A、L235A、及びP331S(LALAPS)を含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項37】
EU付番に従うアミノ酸置換N325S及びL328F(NSLF)を含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項38】
配列番号17のアミノ酸1~449または配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項39】
配列番号18のアミノ酸1~449または配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、29、及び36のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項40】
配列番号19のアミノ酸1~449または配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、29、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項41】
配列番号20のアミノ酸1~446または配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~25、27、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項42】
配列番号32のアミノ酸1~453または配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~26、及び28~34のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項43】
配列番号33のアミノ酸1~449または配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~26、28~34、及び36のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項44】
配列番号34のアミノ酸1~449または配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~26、28~34、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項45】
配列番号35のアミノ酸1~446または配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~25、及び27~34のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項46】
配列番号36のアミノ酸1~446または配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~9、17~25、及び27~35のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項47】
配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、29、36、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項48】
配列番号22のアミノ酸1~448または配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項49】
配列番号23のアミノ酸1~448または配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、29、及び36のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項50】
配列番号24のアミノ酸1~448または配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、29、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項51】
配列番号25のアミノ酸1~445または配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~25、及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項52】
配列番号37のアミノ酸1~448または配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~26、及び28~34のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項53】
配列番号38のアミノ酸1~448または配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~26、28~34、及び36のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項54】
配列番号39のアミノ酸1~448または配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~26、28~34、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項55】
配列番号40のアミノ酸1~445または配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~25、及び27~34のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項56】
配列番号41のアミノ酸1~445または配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1、2、10~25、及び27~35のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項57】
配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、29、36、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項58】
配列番号27のアミノ酸1~447または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項59】
配列番号28のアミノ酸1~447または配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~26、28、29、及び36のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項60】
配列番号29のアミノ酸1~447または配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~26、28、29、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項61】
配列番号30のアミノ酸1~444または配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~25及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項62】
配列番号42のアミノ酸1~447または配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~26及び28~34のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項63】
配列番号43のアミノ酸1~447または配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~26、28~34、及び36のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項64】
配列番号44のアミノ酸1~447または配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~26、28~34、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項65】
配列番号45のアミノ酸1~444または配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~25及び27~34のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項66】
配列番号46のアミノ酸1~444または配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1~25及び27~35のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項67】
配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~26、28、29、36、及び37のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項68】
配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項1~26、28~34、36~37、47、57、及び67のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項69】
配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項1~26、28~34、36~37、47、57、及び67のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項70】
配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項1~26、28~34、36~37、47、57、及び67のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項71】
配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項1~26、28~34、36~37、47、57、及び67のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項72】
配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項1~26、28~34、36~37、47、57、及び67のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項73】
配列番号17のアミノ酸1~449または配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号27のアミノ酸1~447または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項74】
配列番号18のアミノ酸1~449または配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号28のアミノ酸1~447または配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項75】
配列番号19のアミノ酸1~449または配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号29のアミノ酸1~447または配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項76】
配列番号20のアミノ酸1~446または配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号30のアミノ酸1~444または配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~25、及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項77】
配列番号22のアミノ酸1~448または配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号27のアミノ酸1~447または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項78】
配列番号23のアミノ酸1~448または配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号28のアミノ酸1~447または配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項79】
配列番号24のアミノ酸1~448または配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号29のアミノ酸1~447または配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項80】
配列番号25のアミノ酸1~445または配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号30のアミノ酸1~444または配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~25、及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項81】
配列番号32のアミノ酸1~453または配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号42のアミノ酸1~447または配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項82】
配列番号33のアミノ酸1~449または配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号43のアミノ酸1~447または配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項83】
配列番号34のアミノ酸1~449または配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号44のアミノ酸1~447または配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項84】
配列番号35のアミノ酸1~446または配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号45のアミノ酸1~444または配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~25、及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項85】
配列番号36のアミノ酸1~446または配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号46のアミノ酸1~444または配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1~9、17~25、及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項86】
配列番号37のアミノ酸1~448または配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号42のアミノ酸1~447または配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項87】
配列番号38のアミノ酸1~448または配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号43のアミノ酸1~447または配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項88】
配列番号39のアミノ酸1~448または配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号44のアミノ酸1~447または配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~26、28、及び29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項89】
配列番号40のアミノ酸1~445または配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号45のアミノ酸1~444または配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~25、及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項90】
配列番号41のアミノ酸1~445または配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号46のアミノ酸1~444または配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1、2、10~25、及び27~29のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項91】
MerTK及びPDL1に同時に結合することができる、請求項1~90のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項92】
食細胞によるエフェロサイトーシスを低減する、請求項1~91のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項93】
約4nM~約16nMのIC50値でエフェロサイトーシスを低減する、請求項92に記載の二重特異性抗体。
【請求項94】
約4nM~約5nM、または約15nM~約16nMのIC50値でエフェロサイトーシスを低減する、請求項93に記載の二重特異性抗体。
【請求項95】
前記食細胞が、マクロファージ、腫瘍関連マクロファージ、または樹状細胞である、請求項93または49に記載の二重特異性抗体。
【請求項96】
前記食細胞がマクロファージである、請求項95に記載の二重特異性抗体。
【請求項97】
腫瘍の成長を抑制する、請求項1~96のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項98】
MerTKへのProSの結合を低減する、請求項1~97のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項99】
MerTKへのGas6の結合を低減する、請求項1~98のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項100】
MerTKへのProSの結合を低減し、かつMerTKへのGas6の結合を低減する、請求項1~99のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項101】
約2nM~約30nMの結合親和性でヒトMerTKに結合し、任意選択で、約2nMまたは約30nMの結合親和性でヒトMerTKに結合する、請求項1~100のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項102】
カニクイザルMerTkにも結合する、請求項1~101のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項103】
約2nM~約30nMの結合親和性でカニクイザルMerTKに結合し、任意選択で、約2nMまたは約30nMの結合親和性でカニクイザルMerTKに結合する、請求項102に記載の二重特異性抗体。
【請求項104】
マウスMerTKにも結合する、請求項1~103のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項105】
約40nMの結合親和性でマウスMerTKに結合する、請求項104に記載の二重特異性抗体。
【請求項106】
マウスMerTKに結合しない、請求項1~103のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項107】
AKTのGas6媒介リン酸化を低減する、請求項1~106のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項108】
約9nM~約13nMのIC50値でAKTのGas6媒介リン酸化を低減し、任意選択で、約9nMまたは約13nMのIC50値でAKTのGas6媒介リン酸化を低減する、請求項1~107のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項109】
マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲートされた抗体、またはキメラ抗体である、請求項1~108のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項110】
請求項1~109のいずれか1項に記載の二重特異性抗体のヒト化形態。
【請求項111】
組換え抗体である、請求項1~110のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項112】
単離された抗体である、請求項1~111のいずれか1項に記載の二重特異性抗体。
【請求項113】
請求項1~112のいずれか1項に記載の二重特異性抗体をコードする核酸配列を含む、単離された核酸。
【請求項114】
請求項113に記載の核酸を含むベクター。
【請求項115】
請求項113に記載の核酸または請求項114に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項116】
(i)請求項1~112のいずれか1項に記載の二重特異性抗体の前記第1の抗原結合ドメインの前記可変重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(ii)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合ドメインの前記可変軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(iii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合ドメインの前記可変重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、及び(iv)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合ドメインの前記可変軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸
を含む、単離された宿主細胞。
【請求項117】
(i)請求項1~112のいずれか1項に記載の二重特異性抗体の前記第1の抗原結合ドメインの前記可変重鎖を含む重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(ii)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合ドメインの前記可変軽鎖を含む軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(iii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合ドメインの前記可変重鎖を含む重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、及び(iv)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合ドメインの前記可変軽鎖を含む軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸
を含む、単離された宿主細胞。
【請求項118】
ヒトMerTK及びPDL1に結合する二重特異性抗体を産生する方法であって、前記二重特異性抗体が産生されるように、請求項115~117のいずれか1項に記載の細胞を培養することを含む、前記方法。
【請求項119】
前記細胞によって産生された前記二重特異性抗体を回収することをさらに含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
請求項118または119に記載の方法によって産生される二重特異性抗体。
【請求項121】
請求項1~112または120のいずれか1項に記載の二重特異性抗体及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項122】
個体におけるがんを治療する方法であって、治療有効量の請求項1~112もしくは120のいずれか1項に記載の二重特異性抗体または請求項121に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、前記方法。
【請求項123】
前記がんが、大腸癌、卵巣癌、肝臓癌、または子宮体癌である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記投与が、前記個体において網膜病理を生じさせない、請求項122または123に記載の方法。
【請求項125】
試料を、請求項1~112または120のいずれか1項に記載の二重特異性抗体と接触させることを含む、前記試料中のMerTKを検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月16日に出願された米国仮出願第63/211,437号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容は、その全体が参照により本明細書に援用される:コンピュータ可読形式(CRF)の配列表(ファイル名:4503_020PC01_Seqlisting_ST25.txt、サイズ:163,928バイト、及び作成日:2022年6月14日)。
【0003】
本開示の分野
本開示は、二重特異性抗MerTK抗体及び抗PDL1抗体、ならびにそのような抗体の使用(例えば、治療的使用)に関する。
【背景技術】
【0004】
Merチロシンキナーゼ(MerTK)は、受容体チロシンキナーゼのTAM(Tyro3、Axl、及びMerTK)ファミリーに属する。MerTKは、2つの免疫グロブリン(Ig)様及び2つのフィブロネクチン(FN)III型モチーフを有する細胞外ドメインを有する1回膜貫通型1型膜貫通タンパク質である(Graham et al,2014,Nat Rev Cancer,14:769-785(非特許文献1);Rothlin et al,2015,Annu Rev Immunol,33:355-391(非特許文献2))。
【0005】
プロテインS(ProSまたはProS1)、Growth arrest specific gene6(Gas6)、Tubby、Tubby様タンパク質1(TULP-1)、及びガレクチン3を含む、MerTKのいくつかのリガンドが同定されている。MerTKは、リガンド結合とその後の活性化を介して細胞外空間からのシグナルを伝達し、MerTKチロシン自己リン酸化(Cummings et al,2013,Clin Cancer Res,19:5275-5280(非特許文献3);Verma et al,2011,Mol Cancer Ther,10:1763-1773(非特許文献4))ならびにその後のERK及びAKT関連シグナル伝達を生じさせる。
【0006】
MerTKは、細胞の生存、遊走、及び分化を含む様々な生理学的プロセスを調節する。MerTKリガンドであるProS及びGas6は、細胞の生存、侵入、遊走、化学耐性、及び転移などのいくつかの発がんプロセスに寄与し、それらの発現は多くの場合、不十分な臨床転帰と相関する。さらに、MerTKは多くのがんに関係しており、MerTKまたはProSの欠損は抗腫瘍効果に関連している(Cook et al,2013,J Clin Invest,123:3231-3242(非特許文献5);Ubil et al,2018,J Clin Invest,128:2356-2369(非特許文献6);Huey et al,2016,Cancers,8:101(非特許文献7))。しかしながら、MerTKは、網膜色素上皮細胞にも発現しており、眼の脱落した視細胞外節を除去する上で重要な役割を果たし、MerTKの機能喪失変異は、網膜色素変性症及び他の網膜ジストロフィーを引き起こす(例えば、Al-khersan et al,Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol,2017,255:1613-1619(非特許文献8);Lorach et al,Nature Scientific Reports,2018,8:11312(非特許文献9);Audo et al,Human Mutation,Wiley,2018,39:997-913(非特許文献10);LaVail et al,Adv Exp Med Biol,2016,854:487-493(非特許文献11)を参照のこと)。
【0007】
MerTKは、食細胞によるアポトーシス細胞の食作用(エフェロサイトーシス)において重要な役割を果たし、M2様マクロファージ分極、抗炎症性サイトカインの産生、及び免疫抑制性腫瘍微小環境の促進を引き起こす。食細胞によるエフェロサイトーシスの減少により、M1様マクロファージの分極が増加し、炎症誘発性サイトカイン及び免疫活性環境の産生が生じる。エフェロサイトーシスを調節することにより、抗腫瘍活性に有効な手段を提供することができる。
【0008】
抗MerTK抗体は、以前に、例えば、国際特許出願公開第WO2020/214995号(特許文献1)、第WO2020/076799号(特許文献2)、第WO2020/106461号(特許文献3)、第WO2020/176497号(特許文献4)、第WO2019/084307号(特許文献5)、第WO2019/005756号(特許文献6)、第WO2016/106221号(特許文献7)、第WO2016/001830号(特許文献8)、第WO2009/062112号(特許文献9)、及び第WO2006/058202号(特許文献10)、国際特許出願第PCT/US2020/064640(WO2021/119508)号(特許文献11)、ならびに例えばDayoub and Brekken,2020,Cell Communications and Signaling,18:29(非特許文献12);Zhou et al,2020,Immunity,52:1-17(非特許文献13);Kedage et al,2020,MABS,12:e1685832(非特許文献14);Cummings et al,2014,Oncotarget,5:10434-10445(非特許文献15)に記載されている。
【0009】
がんなどの疾患の治療に有効な新規治療用抗MerTK抗体が必要とされている。
【0010】
特許出願及び刊行物を含む本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】第WO2020/214995号
【特許文献2】第WO2020/076799号
【特許文献3】第WO2020/106461号
【特許文献4】第WO2020/176497号
【特許文献5】第WO2019/084307号
【特許文献6】第WO2019/005756号
【特許文献7】第WO2016/106221号
【特許文献8】第WO2016/001830号
【特許文献9】第WO2009/062112号
【特許文献10】第WO2006/058202号
【特許文献11】第PCT/US2020/064640(WO2021/119508)号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Graham et al,2014,Nat Rev Cancer,14:769-785
【非特許文献2】Rothlin et al,2015,Annu Rev Immunol,33:355-391
【非特許文献3】Cummings et al,2013,Clin Cancer Res,19:5275-5280
【非特許文献4】Verma et al,2011,Mol Cancer Ther,10:1763-1773
【非特許文献5】Cook et al,2013,J Clin Invest,123:3231-3242
【非特許文献6】Ubil et al,2018,J Clin Invest,128:2356-2369
【非特許文献7】Huey et al,2016,Cancers,8:101
【非特許文献8】Al-khersan et al,Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol,2017,255:1613-1619
【非特許文献9】Lorach et al,Nature Scientific Reports,2018,8:11312
【非特許文献10】Audo et al,Human Mutation,Wiley,2018,39:997-913
【非特許文献11】LaVail et al,Adv Exp Med Biol,2016,854:487-493
【非特許文献12】Dayoub and Brekken,2020,Cell Communications and Signaling,18:29
【非特許文献13】Zhou et al,2020,Immunity,52:1-17
【非特許文献14】Kedage et al,2020,MABS,12:e1685832
【非特許文献15】Cummings et al,2014,Oncotarget,5:10434-10445
【発明の概要】
【0013】
国際特許出願第PCT/US2020/064640号(WO2021/119508)では、マウス腫瘍モデルにおいて、抗MerTK抗体と抗PDL1抗体の併用投与により、抗体単独の投与と比較して腫瘍体積がより大幅に減少したことが開示されたが、これは、併用療法によってより良好な効力が得られることを示している。しかしながら、2つの別個の抗体の投与は、臨床医及び患者の双方に負担を与える。本開示は、抗腫瘍免疫を媒介する際の効力を向上させた二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を提供することにより、このニーズを満たす。
【0014】
本明細書に記載される様々な実施形態の特性のうちの1つ、一部、または全部を組み合わせて、本開示の他の実施形態を形成し得ることが理解されるべきである。本開示のこれらの及び他の態様は、当業者に明らかになるであろう。本開示のこれらの及び他の態様を、以下の詳細な記載によってさらに説明する。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書において、ヒトMerチロシンキナーゼ(MerTK)及びプログラム死リガンド1(PDL1)に結合する二重特異性抗体を提供し、この二重特異性抗体は、ヒトMerTkに結合する第1の抗原結合ドメイン及びPDL1に結合する第2の抗原結合ドメインを含む。
【0016】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、MerTKタンパク質のIg1ドメインに結合する。
【0017】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体の、MerTKへの結合を競合的に阻害する。
【0018】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号10のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体と同じMerTKエピトープへ結合する。
【0019】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、
配列番号9のアミノ酸31~35を含むHVR-H1、配列番号9のアミノ酸50~66を含むHVR-H2、配列番号9のアミノ酸99~109を含むHVR-H3、配列番号10のアミノ酸24~34を含むHVR-L1、配列番号10のアミノ酸50~56を含むHVR-L2、及び配列番号10のアミノ酸89~97を含むHVR-L3 。
【0020】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、16.2抗体のHVRを含み、任意選択で、HVRは、Kabat定義のHVR、Chothia定義のHVR、AbM定義のHVR、またはcontact定義のHVRである。
【0021】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む。
【0022】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。
【0023】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号9のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び/または配列番号10のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。
【0024】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体と同じMerTKエピトープへ結合する。
【0025】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体の、MerTKへの結合を競合的に阻害する。
【0026】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号13のアミノ酸31~35を含むHVR-H1、配列番号13のアミノ酸50~66を含むHVR-H2、配列番号13のアミノ酸99~108を含むHVR-H3、配列番号14のアミノ酸24~34を含むHVR-L1、配列番号14のアミノ酸50~56を含むHVR-L2、及び配列番号14のアミノ酸89~97を含むHVR-L3を含む。
【0027】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、13.11抗体のHVRを含み、任意選択で、HVRは、Kabat定義のHVR、Chothia定義のHVR、AbM定義のHVR、またはcontact定義のHVRである。
【0028】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む。
【0029】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。
【0030】
いくつかの態様では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。
【0031】
いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号52のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号53のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体と同じPDL1エピトープへ結合する。
【0032】
いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号52のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号53のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む抗体の、PDL1への結合を競合的に阻害する。
【0033】
いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号52のアミノ酸31~35を含むHVR-H1、配列番号52のアミノ酸50~66を含むHVR-H2、配列番号52のアミノ酸99~107を含むHVR-H3、配列番号53のアミノ酸24~34を含むHVR-L1、配列番号53のアミノ酸50~56を含むHVR-L2、及び配列番号53のアミノ酸89~97を含むHVR-L3を含む。
【0034】
いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、アテゾリズマブ抗体のHVRを含み、任意選択で、HVRは、Kabat定義のHVR、Chothia定義のHVR、AbM定義のHVR、またはcontact定義のHVRである。
【0035】
いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む。
【0036】
いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。
【0037】
いくつかの態様では、第2の抗原結合ドメインは、配列番号52のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号53のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む。
【0038】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスのものである。
【0039】
いくつかの態様では、二重特異性抗体はIgGクラスのものであり、任意選択で、二重特異性抗体は、IgG1、IgG2、またはIgG4アイソタイプを有する。
【0040】
いくつかの態様では、二重特異性抗体はIgG1抗体である。
【0041】
いくつかの態様では、二重特異性抗体はIgG4抗体である。
【0042】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、(i)異なる抗原結合ドメインを含む2つのアームを有するか、(ii)2つの異なるエピトープに対する特異性を有する一本鎖抗体であるか、(iii)化学的に結合された二重特異性(Fab’)2フラグメントであるか、(iv)標的抗原のそれぞれに対する2つの結合部位を有する4価の二重特異性抗体を生じさせる2つの一本鎖ダイアボディの融合体であるか、(v)多価分子を生じさせるダイアボディとscFvの組み合わせであるか、(vi)ヒトFabアームの両末端に融合した2つのscFvを含むか、または(vii)ダイアボディである。
【0043】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、カッパ-ラムダボディ、二重親和性リターゲティング分子(DART)、ノブ・イン・ホール抗体、鎖交換操作ドメインボディ(strand-exchange engineered domain body(SEEDbody))、またはDuoBodyである。
【0044】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むFc領域を含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換T366Yを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換Y407Tを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換T366Wを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換T366S、L368W、及びY407Vを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換T366Wを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換T366S、L368A、及びY407Vを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換T366W、及びS354Cを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換T366S、L368A、Y407V、及びY349Cを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換T350V、L351Y、F405A、Y407Vを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換T350V、T366L、K392L、及びT394Wを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換K360D、D399M、及びY407Aを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換E345R、Q347R、T366V、及びK409Vを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換K409D及びK392Dを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換D399K及びE356Kを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換K360E及びK409Wを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換Q347R、D399V、及びF405Tを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換L360E、K409W、及びY349Cを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換Q347R、D399V、F405T、及びS354Cを含む。いくつかの態様では、第1のポリペプチドは、アミノ酸置換K370E及びK409Wを含み、第2のポリペプチドは、アミノ酸置換E357N、D399V、及びF405Tを含む。いくつかの態様では、置換は、EU付番に従う。
【0045】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、ノブ変異及びホール変異を含む。
【0046】
いくつかの態様では、ノブ変異は、EU付番に従うアミノ酸置換T366Wを含む。
【0047】
いくつかの態様では、ホール変異は、EU付番に従うアミノ酸置換T366S、L368A、及びY407Vを含む。
【0048】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、ヘテロ二量体化を促進するアミノ酸の置換、付加、または欠失を含むFc領域を含む。
【0049】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、EU付番に従うアミノ酸置換S228Pを含む。
【0050】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、EU付番に従うアミノ酸置換L234A、L235A、及びP331S(LALAPS)を含む。
【0051】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、EU付番に従うアミノ酸置換N325S及びL328F(NSLF)を含む。
【0052】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号17のアミノ酸1~449または配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0053】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号18のアミノ酸1~449または配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0054】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号19のアミノ酸1~449または配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0055】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号20のアミノ酸1~446または配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0056】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号32のアミノ酸1~453または配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0057】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号33のアミノ酸1~449または配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0058】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号34のアミノ酸1~449または配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0059】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号35のアミノ酸1~446または配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0060】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号36のアミノ酸1~446または配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0061】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0062】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号22のアミノ酸1~448または配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0063】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号23のアミノ酸1~448または配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0064】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号24のアミノ酸1~448または配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0065】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号25のアミノ酸1~445または配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0066】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号37のアミノ酸1~448または配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0067】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号38のアミノ酸1~448または配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0068】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号39のアミノ酸1~448または配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0069】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号40のアミノ酸1~445または配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0070】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号41のアミノ酸1~445または配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0071】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0072】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号27のアミノ酸1~447または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0073】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号28のアミノ酸1~447または配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0074】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号29のアミノ酸1~447または配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0075】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号30のアミノ酸1~444または配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0076】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号42のアミノ酸1~447または配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0077】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号43のアミノ酸1~447または配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0078】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号44のアミノ酸1~447または配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0079】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号45のアミノ酸1~444または配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0080】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号46のアミノ酸1~444または配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0081】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0082】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0083】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0084】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0085】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0086】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0087】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号17のアミノ酸1~449または配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号27のアミノ酸1~447または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0088】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号18のアミノ酸1~449または配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号28のアミノ酸1~447または配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0089】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号19のアミノ酸1~449または配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号29のアミノ酸1~447または配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0090】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号20のアミノ酸1~446または配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号30のアミノ酸1~444または配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0091】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号22のアミノ酸1~448または配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号27のアミノ酸1~447または配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0092】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号23のアミノ酸1~448または配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号28のアミノ酸1~447または配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0093】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号24のアミノ酸1~448または配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号29のアミノ酸1~447または配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0094】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号25のアミノ酸1~445または配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号30のアミノ酸1~444または配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0095】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号32のアミノ酸1~453または配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号42のアミノ酸1~447または配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0096】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号33のアミノ酸1~449または配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号43のアミノ酸1~447または配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0097】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号34のアミノ酸1~449または配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号44のアミノ酸1~447または配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0098】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号35のアミノ酸1~446または配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号45のアミノ酸1~444または配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0099】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号36のアミノ酸1~446または配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号46のアミノ酸1~444または配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0100】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号37のアミノ酸1~448または配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号42のアミノ酸1~447または配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0101】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号38のアミノ酸1~448または配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号43のアミノ酸1~447または配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0102】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号39のアミノ酸1~448または配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号44のアミノ酸1~447または配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0103】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号40のアミノ酸1~445または配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号45のアミノ酸1~444または配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0104】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、配列番号41のアミノ酸1~445または配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖、配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖、配列番号46のアミノ酸1~444または配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0105】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、MerTK及びPDL1に同時に結合することができる。
【0106】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、食細胞によるエフェロサイトーシスを減少させる。
【0107】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、約4nM~約16nMのIC50値でエフェロサイトーシスを減少させる。
【0108】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、約4nM~約5nM、または約15nM~約16nMのIC50値でエフェロサイトーシスを減少させる。
【0109】
いくつかの態様では、食細胞は、マクロファージ、腫瘍関連マクロファージ、または樹状細胞である。
【0110】
いくつかの態様では、食細胞はマクロファージである。
【0111】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、腫瘍の成長を抑制する。
【0112】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、MerTKへのProSの結合を減少させる。
【0113】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、MerTKへのGas6の結合を減少させる。
【0114】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、MerTKへのProSの結合を減少させ、MerTKへのGas6の結合を減少させる。
【0115】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、約2nM~約30nMの結合親和性でヒトMerTKに結合し、任意選択で、二重特異性抗体は、約2nMまたは約30nMの結合親和性でヒトMerTKに結合する。
【0116】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、カニクイザルMerTkにも結合する。
【0117】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、約2nM~約30nMの結合親和性でカニクイザルMerTKに結合し、任意選択で、二重特異性抗体は、約2nMまたは約30nMの結合親和性でカニクイザルMerTKに結合する。
【0118】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、マウスMerTKにも結合する。
【0119】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、約40nMの結合親和性でマウスMerTKに結合する。
【0120】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、マウスMerTKに結合しない。
【0121】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、AKTのGas6媒介リン酸化を減少させる。
【0122】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、約9nM~約13nMのIC50値でAKTのGas6媒介リン酸化を減少させ、任意選択で、二重特異性抗体は、約9nMまたは約13nMのIC50値でAKTのGas6媒介リン酸化を減少させる。
【0123】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲートされた抗体、またはキメラ抗体である。
【0124】
いくつかの態様では、本明細書において、本明細書に記載の二重特異性抗体のいずれかのヒト化形態を提供する。
【0125】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は組換え抗体である。
【0126】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は、単離された抗体である。
【0127】
いくつかの態様では、本明細書において、本明細書に記載の二重特異性抗体のいずれかをコードする核酸配列を含む単離された核酸を提供する。いくつかの態様では、本明細書において、核酸を含むベクターを提供する。
【0128】
いくつかの態様では、本明細書に記載の核酸または本明細書に記載のベクターを含む単離された宿主細胞を提供する。
【0129】
いくつかの態様では、単離された宿主細胞は、(i)本明細書に記載の二重特異性抗体のいずれかの第1の抗原結合ドメインの可変重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(ii)二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインの可変軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(iii)二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインの可変重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、及び(iv)二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインの可変軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸を含む。
【0130】
いくつかの態様では、単離された宿主細胞は、(i)二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインの重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(ii)二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメインの軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸、(iii)本明細書に記載の二重特異性抗体のいずれかの第2の抗原結合ドメインの重鎖をコードする核酸配列を含む核酸、及び(iv)二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメインの軽鎖をコードする核酸配列を含む核酸を含む。
【0131】
いくつかの態様では、本明細書において、ヒトMerTK及びPDL1に結合する二重特異性抗体を産生する方法を提供し、方法は、二重特異性抗体が産生されるように本明細書に記載の細胞のいずれかを培養することを含む。
【0132】
いくつかの態様では、方法は、細胞によって産生された二重特異性抗体を回収することをさらに含む。
【0133】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法によって産生される二重特異性抗体を提供する。
【0134】
いくつかの態様では、本明細書において、本明細書に記載の二重特異性抗体のいずれか及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0135】
いくつかの態様では、本明細書において、個体におけるがんを治療する方法を提供し、方法は、治療有効量の本明細書に記載の二重特異性抗体のいずれかまたは本明細書に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む。いくつかの態様では、がんは、大腸癌、卵巣癌、肝臓癌、または子宮体癌である。
【0136】
いくつかの態様では、投与は、個体において網膜病理を生じさせない。
【0137】
いくつかの態様では、本明細書において、試料を本明細書に記載の二重特異性抗体のいずれかと接触させることを含む、前記試料中のMerTKを検出する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0138】
図1A】ヒトPDL1を過剰発現するCHO細胞に対する本開示の特定の抗MerTK:抗PDL1二重特異性抗体の結合を示すデータを示す。
図1B】ヒトMerTKを過剰発現するCHO細胞に対する本開示の特定の抗MerTK:抗PDL1二重特異性抗体の結合を示すデータを示す。
図1C】M2c分化ヒトマクロファージに対する本開示の特定の抗MerTK:抗PDL1二重特異性抗体の結合を示すデータを示す。
図2】食細胞によるエフェロサイトーシスの、本開示の様々な二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体による減少を示すデータを示す。
図3】本開示の様々な二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体で処置した細胞におけるpAKT/tAKTレベルを示すデータを示す。
図4】MerTKリガンドであるヒトGas6の非存在下での本開示の様々な二重特異性抗MerTK:抗PDL1で処置された細胞におけるpAKT活性の倍率変化を示すデータを示す。
図5】二価抗PDL1抗体と、二価抗MerTK抗体MTK-16.2または抗MerTK抗体MTK-33.11のいずれかとの組合せを用いて処置した動物と比較した、二価抗PDL1抗体を用いて処置した動物において観察されたin vivoでの腫瘍体積の減少を示すデータを示す。
図6】対照抗体、二価抗PDL1抗体、及び二価抗PDL1抗体と二価抗MerTK抗体MTK-16.2または二価抗MerTK抗体MTK-33.11のいずれかとの組合せを投与した個々のマウスにおける腫瘍体積の変化を示すデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0139】
本開示の詳細な説明
本開示は、抗MerTK抗体(例えば、モノクローナル抗体)、そのような抗体の作製方法及び使用方法、そのような抗体を含む医薬組成物、そのような抗体をコードする核酸、ならびにそのような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞に関する。
【0140】
本明細書に記載または参照される技術及び手順は、当業者には一般に十分に理解されており、広く利用されている方法論、例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)などの従来の方法論を使用して一般的に使用される。
【0141】
I. 定義
用語「MerTK」または「MerTKポリペプチド」または「MerTKタンパク質」は、本明細書では同じ意味で使用され、特に断りのない限り、哺乳類、例えば、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル(cynos))及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のMerTKを指す。MerTKは、c-mer、MER、がん原遺伝子c-Mer、受容体チロシンキナーゼMerTK、チロシンリン酸化酵素Mer、STKキナーゼ、RP38、及びMGC133349とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、この用語には、野生型配列と、天然のバリアント配列、例えば、スプライスバリアントまたは対立遺伝子バリアントの双方が含まれる。いくつかの実施形態では、この用語は、「全長」の非プロセス型MerTK、ならびに細胞内プロセシングによって生じるMerTKの任意の形態を包含する。いくつかの実施形態では、MerTKはヒトMerTKである。本明細書で使用される場合、用語「ヒトMerTK」とは、配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。
【0142】
用語「抗MerTK抗体」、「MerTKに結合する抗体」、及び「MerTKに特異的に結合する抗体」とは、抗体がMerTKを標的とする際に診断薬及び/または治療薬として有用であるように、十分な親和性でMerTKに結合することができる抗体を指す。一実施形態では、無関係の非MerTKポリペプチドへの抗MerTK抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合に、MerTKへのこの抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、MerTKに結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗MerTK抗体は、異なる種由来のMerTK間で保存されているMerTKのエピトープに結合する。
【0143】
抗体の標的分子への結合に関して、特定のポリペプチド標的上の特定のポリペプチドもしくはエピトープに対する用語「特異的結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」とは、非特異的相互作用とはある程度異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を対照分子の結合と比較して決定することによって測定することができる。例えば、標的に類似の対照分子、例えば、過剰量の非標識標的との競合によって、特異的結合を測定することができる。この場合、プローブへの標識された標的の結合が過剰量の非標識標的によって競合的に阻害される場合に特異的結合が示される。特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに対して本明細書中で使用される用語「特異的結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」とは、例えば、標的に対して約10-4M以下、10-5M以下、10-6M以下、10-7M以下、10-8M以下、10-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下のKD、または10-4M~10-6Mもしくは10-6M~10-10Mもしくは10-7M~10-9MのKDを有する分子によって表され得る。当業者には理解されるように、親和性及びKDの値は、逆相関している。抗原に対する高い親和性は、低いKD値によって測定される。一実施形態では、用語「特異的結合」とは、ある分子がいずれの他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく特定のポリペプチド上の特定のポリペプチドまたはエピトープに結合する結合を指す。
【0144】
用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書において、「抗体」と同じ意味で使用される。本明細書における用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成された抗体を含む多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び所望の生物学的活性を呈する限りにおいて抗原結合抗体の断片を具体的に包含する。
【0145】
「天然抗体」とは、通常、2つの同一の軽(「L」)鎖及び2つの同一の重(「H」)鎖からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つのジスルフィド共有結合により重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で様々に異なる。各重鎖及び軽鎖は、規則的な間隔を置いた鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(V)を有し、これにいくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(V)を有し、その他方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと並んで配置され、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並んで配置される。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
【0146】
異なる抗体クラスの構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Ed.,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton & Lange,Norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。
【0147】
任意の脊椎動物種に由来する軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なる型のうちの1つに割り当てられ得る。免疫グロブリンは、その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つのクラスがあり、それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)、及びミュー(「μ」)と表記される重鎖を有する。γ及びαのクラスは、CH配列及び機能の相対的にわずかな相違に基づいて、サブクラス(アイソタイプ)にさらに分類され、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。異なる免疫グロブリンクラスのサブユニット構造及び三次元構成は既知であり、例えば、Abbas et al.,Cellular and Molecular Immunology,4th ed.(W.B.Saunders Co.,2000)に大まかに記載されている。
【0148】
本開示の抗MerTK抗体などの抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「V」及び「V」と称され得る。これらのドメインは、一般に、可変性の最も高い抗体部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含有する。
【0149】
用語「可変」とは、可変ドメインの特定のセグメントが、本開示の抗MerTK抗体などの抗体間で配列が大幅に異なるという事実を指す。可変ドメインは、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインにおいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々、3つのHVRによって接続されたβシート立体配置を主とする4つのFR領域を含み、これらのHVRは、βシート構造を接続し、いくつかの場合ではβシート構造の一部を形成するループを形成する。各鎖中のHVRは、FR領域によって極めて近接して一緒に保持され、他方の鎖に由来するHVRと共に、その抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照のこと)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害への関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
【0150】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体、例えば、本開示の抗MerTKモノクローナル抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、微量で存在し得る天然に発生し得る変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化など)を除き、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位を対象としている。異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象としている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリンが混入されていないという点で、有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特性を示しており、任意の特定の方法による抗体の作製を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体を、以下の方法の1つ以上を含むがこれらに限定されない様々な技法、すなわち、1つ以上のDNA(複数可)、ウイルス様粒子、ポリペプチド(複数可)、及び/または細胞(複数可)によるラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスター、及び/またはニワトリを含むがこれらに限定されない動物の免疫法、ハイブリドーマ法、B細胞クローニング法、組換えDNA法、ならびにヒト免疫グロブリン遺伝子座またはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部または全部を有する動物におけるヒト抗体またはヒト様抗体の産生技法によって作製してもよい。
【0151】
用語「全長抗体」、「インタクトな抗体」、または「全抗体」は、同じ意味で使用され、抗体断片とは対照的に、実質的にインタクトな形態の抗体、例えば抗MerTK抗体を指す。具体的には、全抗体には、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有する抗体が含まれる。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであってもよい。いくつかの場合では、インタクトな抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
【0152】
用語「一価抗体」または「モノアーム抗体」とは、標的抗原に特異的な単一の抗原結合ドメインを有する抗体を指す(すなわち、抗体は1つ以下の抗原結合ドメインを含む)。いくつかの実施形態では、単一の抗原結合ドメインは、単一の可変領域重鎖ポリペプチド及び単一の可変領域軽鎖ポリペプチドを含む。標的に対して「一価」である抗体は、その標的に対して1つ以下の抗原結合ドメインを含む。
【0153】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体の一部を含み、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)及びFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)を参照のこと);一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0154】
本明細書で使用される場合、用語「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合部位」、及び類似の用語は、抗体分子において抗原に対するその特異性を付与するアミノ酸残基を含む抗体分子の部分(例えば、超可変領域(HVR))を指す。
【0155】
抗体(例えば、本開示の抗MerTK抗体)をパパイン消化すると、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される1つの残余の「Fc」フラグメントとが生成される。Fabフラグメントは、軽鎖全体に加えて、重鎖の可変領域ドメイン(V)、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(C1)からなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関しては一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体をペプシン処理すると、単一の大型のF(ab’)フラグメントが生じ、これは、異なる抗原結合活性を有するジスルフィド結合した2つのFabフラグメントにほぼ対応し、依然として抗原を架橋することができる。Fab’フラグメントは、C1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含むいくつかの追加の残基を有することにより、Fabフラグメントとは異なっている。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を有している、Fab’の本明細書における呼称である。F(ab’)抗体フラグメントは、元来、間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントのペアとして産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
【0156】
Fcフラグメントは、ジスルフィドによって一緒に保持された両方の重鎖のカルボキシ末端を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域はまた、特定の細胞型に認められるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0157】
抗体(例えば、本開示の抗MerTK抗体)の「機能性断片」は、インタクトな抗体の部分を含み、一般に、インタクトな抗体の抗原結合領域もしくは可変領域、またはFcR結合能力を保持するか、もしくは改変されたFcR結合能力を有する抗体のFc領域を含む。抗体断片の例としては、直鎖抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0158】
用語「ダイアボディ」とは、鎖内ではなく鎖間の可変ドメイン対合を達成し、それによって二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VドメインとVドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFvフラグメントを構築することによって調製される小型の抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVドメイン及びVドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在している、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。
【0159】
本明細書中で使用する場合、「キメラ抗体」とは、抗体(免疫グロブリン)、例えば、本開示のキメラ抗MerTK抗体であって、重鎖及び/または軽鎖の部分が、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同であり、かつ、その鎖(複数可)の残りが、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同である抗体、ならびにそのような抗体の断片(ただし、所望の生物活性を呈する場合に限る)を指す。本明細書中で対象とするキメラ抗体には、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれ、その場合、抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルに目的の抗原を免疫することによって産生される抗体に由来する。本明細書中で使用する場合、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0160】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態、例えば、本開示の抗MerTK抗体のヒト化形態は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基とヒトFR由来のアミノ酸残基を含むキメラ抗体である。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、そのHVR(例えば、CDR)の全部または実質的に全部が非ヒト抗体のHVRに対応し、FRの全部または実質的に全部がヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は任意選択で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含み得る。抗体、例えば非ヒト抗体の、「ヒト化形態」とは、ヒト化された抗体を指す。
【0161】
「ヒト抗体」とは、ヒトによって産生された抗体、例えば、本開示の抗MerTK抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製する技法のうちのいずれかを使用して作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義からは、特に、非ヒト抗原結合残基を有するヒト化抗体が除外される。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリ及び酵母ディスプレイライブラリを含む、当技術分野で公知の様々な技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、そのような抗体を抗原チャレンジに応答して産生するように改変されているがその内在性遺伝子座が無効化されているトランスジェニック動物、例えば、免疫化異種マウスに抗原を投与することにより調製することができ、同様に、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成することができる。
【0162】
本明細書中で使用する場合、用語「超可変領域」、「HVR」、または「HV」とは、配列が超可変性であり、及び/または構造的に定義されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域、例えば、本開示の抗MerTK抗体の抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、6つのHVR(V(H1、H2、H3)に3つ、V(L1、L2、L3)に3つ)を含む。天然抗体において、H3及びL3が6つのHVRのうちで最も高い多様性を呈し、特にH3が抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられる。重鎖のみからなる天然のラクダ抗体は、軽鎖の非存在下で機能的かつ安定している。
【0163】
いくつかのHVR描写が本明細書で使用されており、本明細書に包含される。いくつかの実施形態では、HVRは、配列可変性に基づくKabatによる相補性決定領域(CDR)であってもよく、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,上記)。いくつかの実施形態では、HVRは、Chothia CDRであってもよい。Chothiaは、むしろ、構造的ループの位置に言及する(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。いくつかの実施形態では、HVRは、AbM HVRであってもよい。AbM HVRは、Kabat CDRとChothia構造的ループとの間の妥協案を示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。いくつかの実施形態では、HVRは、「contact」HVRであってもよい。「contact」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらのHVRの各々に由来する残基を以下に記載する。
【0164】
HVRは、以下の「伸長HVR」を含み得る:VL中の24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)及び89~97または89~96(L3)、ならびにVH中の26~35(H1)、50~65または49~65(好ましい実施形態)(H2)及び93~102、94~102または95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの伸長HVR定義の各々に対して、Kabatら(上記)に従って付番される。
【0165】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0166】
本明細書中で使用する「アクセプターヒトフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するVフレームワークまたはVフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、そのフレームワークと同じアミノ酸配列を含んでいてもよいし、既存のアミノ酸配列変化を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、または2個以下である。既存のアミノ酸変化がVHに存在する場合、好ましいそれらの変化は、位置71H、73H及び78Hのうちの3つ、2つ、または1つにのみ生じ、例えば、それらの位置のアミノ酸残基は、71A、73T、及び/または78Aであってもよい。一実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列において、Vヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0167】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVまたはVフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンのV配列またはV配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから選択される。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)などのサブグループである。例として、Vに関するものを挙げると、サブグループは、Kabat et al.(上記)におけるようなサブグループκI、κII、κIII、またはκIVであってもよい。さらに、Vについては、サブグループは、Kabat et al.(上記)におけるようなサブグループI、サブグループII、またはサブグループIIIであってもよい。
【0168】
例えば、本開示の抗MerTK抗体の、指定位置における「アミノ酸改変」は、指定残基の置換もしくは欠失、または少なくとも1つのアミノ酸残基の指定残基に隣接する挿入を指す。指定残基に「隣接する」挿入とは、その1~2残基内への挿入を意味する。挿入は、指定残基のN末端側またはC末端側であってよい。本明細書における好ましいアミノ酸改変は、置換である。
【0169】
「Fv」とは、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。抗原結合のためのアミノ酸残基を提供すると共に抗原結合特異性を抗体に付与する6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が、これらの2つのドメインの折り畳みによって生じる。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性であるが、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半体)でさえも、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0170】
「sFv」または「scFv」と略記されることもある「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖の状態に連結された、VH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VドメインとVドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、このリンカーにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能となっている。
【0171】
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に帰属する生物活性を指し、抗体のアイソタイプに応じて様々である。
【0172】
本明細書における用語「Fc領域」とは、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用され、天然配列のFc領域及びバリアントFc領域が含まれる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、アミノ酸残基の位置Cys226またはPro230から、そのカルボキシル末端まで及ぶものと定義される。Fc領域のC末端リジン(EU付番方式によると残基447)を、例えば、抗体の産生もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え改変することによって除去してもよい。したがって、インタクトな抗体の組成は、すべてのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有していない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本開示の抗体における使用に好適な天然配列のFc領域には、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が含まれる。
【0173】
「天然配列Fc領域」は、天然で見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ)、天然配列ヒトIgG2 Fc領域、天然配列ヒトIgG3 Fc領域、及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびにそれらの天然のバリアントが含まれる。
【0174】
「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変、好ましくは1つ以上のアミノ酸置換(複数可)により、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域中または親ポリペプチドのFc領域中に約1~約10個のアミノ酸置換、及び好ましくは約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書におけるバリアントFc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも80%の相同性、最も好ましくは、それらと少なくとも90%の相同性、より好ましくは、それらと少なくとも95%の相同性を保有する。
【0175】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(γ受容体)と結合するFcRであり、これには、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIのサブクラスの受容体(これらの受容体のアレルバリアント及び選択的スプライシング形態を含む)が含まれる。FcγRII受容体には、同様のアミノ酸配列を有し、主にその細胞質ドメインが異なるFcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「抑制性受容体」)が含まれる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容活性化チロシンモチーフ(「ITAM」)を含有する。抑制性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容抑制性チロシンモチーフ(「ITIM」)を含有する。今後同定されるFcRを含む他のFcRは、本明細書における用語「FcR」に包含される。FcRはまた、抗体の血清中半減期を延長させることができる。
【0176】
本明細書で使用する場合、ペプチド、ポリペプチド、または抗体配列に関する「アミノ酸配列同一性の割合(%)」及び「アミノ酸配列相同性の割合(%)」とは、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大の配列同一性の割合を達成した後の、配列同一性の一部としてあらゆる保存的置換を考慮しない、指定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の割合を指す。アミノ酸配列同一性の割合を決定するためのアラインメントは、当技術分野の技術範囲内である様々な方法、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの一般に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされる当技術分野で公知の任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを評価するための適切なパラメータを決定することができる。
【0177】
用語「競合する」とは、同じエピトープまたは重複エピトープについて競合する抗体に関して使用される場合、被験抗体が共通抗原(例えば、MerTKまたはその断片)に対する参照分子(例えば、リガンドまたは参照抗体)の特異的結合を防止または阻害(例えば、低減)するアッセイによって測定される抗体間の競合を意味する。多種の競合的結合アッセイを使用して、抗体が別の抗体と競合するか否かを判定することができ、例えば、固相直接または間接放射免疫測定法(RIA)、固相直接または間接酵素免疫測定法(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253を参照のこと)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619を参照のこと)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照のこと)、1-125標識を使用する固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec. Immunol.25:7-15を参照のこと)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552を参照のこと)、及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand. J.Immunol.32:77-82を参照のこと)。通常、そのようなアッセイは、固体表面に結合した精製された抗原、または非標識の被験抗体及び標識された参照抗体のいずれかを有する細胞の使用を含む。競合阻害は、被験抗体の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を測定することによって測定される。通常、被験抗体を過剰に存在させる。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)には、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、及び参照抗体によって結合したエピトープに十分に近接する隣接エピトープに結合して立体障害を生じさせる抗体が含まれる。通常、競合抗体が過剰に存在する場合、競合抗体は、共通の抗原に対する参照抗体の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、及び/または100%近くの特異的結合を阻害する(例えば、減少させる)であろう。
【0178】
本明細書中で使用する場合、MerTKポリペプチドと第2のポリペプチドとの間の「相互作用」は、限定するものではないが、タンパク質-タンパク質相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、及びイオン結合を包含する。本明細書中で使用する場合、抗体が2つのポリペプチド間の相互作用を中断、低減または完全に排除する場合、その抗体は、2つのポリペプチド間の「相互作用を阻害する」。本開示の抗体は、その抗体が2つのポリペプチドのうちの1つに結合する場合、その抗体は、2つのポリペプチド間の「相互作用を阻害する」。いくつかの実施形態では、相互作用を、少なくとも、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、及び/または100%近くのいずれかで阻害することができる。
【0179】
用語「エピトープ」には、抗体が結合することができる任意の決定基が含まれる。エピトープとは、抗原を標的とする抗体が結合する抗原の領域であり、抗原がポリペプチドである場合、抗体と直接接触する特定のアミノ酸を含む。最も多くの場合、エピトープはポリペプチド上に存在するが、いくつかの場合では、核酸などの他の種類の分子に存在し得る。エピトープ決定基には、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基が含まれ得、特定の三次元構造特徴及び/または特定の電荷特徴を有し得る。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、ポリペプチド及び/または高分子の複合混合物中の標的抗原上のエピトープを優先的に認識するであろう。
【0180】
「単離された」抗体、例えば、本開示の単離された抗MerTK抗体は、その産生環境(例えば、天然または組換え)の成分から同定、分離、及び/または回収された抗体である。好ましくは、単離された抗体は、その産生環境に由来する他のすべての夾雑成分との会合がない。その産生環境に由来する夾雑成分、例えば、組換えトランスフェクション細胞に起因する夾雑成分は、通常、抗体の研究、診断、または治療における使用を妨げる物質であり、これらには、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。好ましい実施形態では、抗体を、(1)例えばローリー法による測定における95重量%超の、及びいくつかの実施形態では、99重量%超の抗体に、(2)スピニングカップシーケネーターを使用して、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度に、または(3)クーマシーブルー、好ましくは銀染色を用いた非還元もしくは還元条件下でのSDS-PAGEにおいて均一となるように精製する。単離された抗体には、組み換えT細胞内でのin situ抗体が含まれるが、これは、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在していないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドまたは抗体を、少なくとも1つの精製ステップによって調製する。
【0181】
抗体(例えば、本開示の抗MerTK抗体)をコードする「単離された」核酸分子は、その核酸分子が生成された環境において通常会合している少なくとも1つの夾雑核酸分子から同定及び分離された核酸分子である。好ましくは、単離された核酸は、産生環境に関連するすべての成分との会合を含まない。本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする単離された核酸分子は、それが天然に認められる形態または設定以外の形態である。したがって、単離された核酸分子は、細胞中に天然に存在する本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする核酸とは区別される。
【0182】
用語「ベクター」とは、本明細書中で使用する場合、ベクターに連結させた別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの一種には「プラスミド」があり、これは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の種類はファージベクターである。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムへとライゲーションされ得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞内で自己複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳類ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それにより、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結する遺伝子の発現を誘導することができる。そのようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」、または単に「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技法において利用される発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、同じ意味で使用され得る。
【0183】
本明細書中で同義に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドもしくは塩基及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼによりまたは合成反応により重合体中に組み込まれ得る任意の基質であり得る。
【0184】
「宿主細胞」には、ポリヌクレオチド挿入物を組み込むためのベクター(複数可)のレシピエントになり得るか、またはレシピエントになっている個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、天然の、突発的、または意図的変異が生じるため、子孫は必ずしも元の親細胞と(形態においてまたはゲノムDNA相補鎖において)完全に同一でなくてもよい。宿主細胞には、本発明のポリヌクレオチド(複数可)を用いてin vivoでトランスフェクトされた細胞が含まれる。
【0185】
本明細書で使用される「担体」には、使用される用量及び濃度で、その担体に曝露される細胞または哺乳類に対して非毒性である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤が含まれる。
【0186】
本明細書中で使用する場合、用語「治療」とは、臨床的病理の経過中に、治療中の個体の自然経過を改変するように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果には、特定の疾患、障害、または病態の進行速度の低下、疾患状態の回復または緩和、及び寛解または予後の改善が含まれる。例えば、特定の疾患、障害、または病態に関連する1つ以上の症状が軽減または排除される場合、個体は成功裏に「治療」される。
【0187】
「有効量」とは、必要な用量及び期間において、所望の治療結果を達成するために少なくとも有効な量を指す。有効量は、1回以上の投与で提供され得る。有効量はまた、治療上有益な効果が治療の任意の毒性効果または有害効果を上回る量でもある。治療的使用の場合、有益なまたは所望の結果には、疾患に起因する1つ以上の症状の減少、疾患に罹患している者の生活の質の向上、疾患の処置に必要な他の薬剤の用量の減少、別の薬剤の効果の増強、例えば、標的化を介した、疾患の進行の遅延、及び/または生存期間の延長などの臨床結果が含まれる。薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、直接的または間接的のいずれかの治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床的状況において理解されるように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて達成されてもよいし、そうでなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療薬の投与に関連して考慮してもよく、単一の剤は、1つ以上の他の剤と併せると望ましい結果が達成され得るか、または達成される場合、有効量で与えられるとみなされ得る。
【0188】
治療目的のための「個体」は、ヒト、飼育動物及び家畜、ならびに動物園、競技用または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどを含む、哺乳類に分類される任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。
【0189】
本明細書中で使用する場合、別の化合物または組成物との「併用」または「複合」投与には、同時投与及び/または異なる時点での投与が含まれる。併用投与または複合投与はまた、合剤としての投与または別個の組成物としての投与を包含し、異なる投与頻度または間隔で、かつ同じ投与経路または異なる投与経路を使用することを含む。いくつかの実施形態では、併用投与を、同じ治療レジメンの一部として投与する。
【0190】
本明細書で使用される用語「約」とは、本技術分野の当業者に容易に理解される、各値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
【0191】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形を含む。例えば、「抗体」への言及は、モル量などの1つ~多数の抗体への言及であり、これには当業者に公知のその均等物などが含まれる。
【0192】
本明細書に記載される本開示の態様及び実施形態は、態様及び実施形態を「含む」、態様及び実施形態「からなる」、ならびに態様及び実施形態「から本質的になる」を含むことを理解されたい。
【0193】
II. 二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体
本明細書において、二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を提供する。本明細書で提供される抗体は、例えば、MerTK関連障害の治療に有用である。
【0194】
一態様では、本開示は、本開示のMerTKタンパク質またはポリペプチド内のエピトープに結合する単離された(例えば、モノクローナル)抗体を提供する。本開示のMerTKタンパク質またはポリペプチドには、哺乳類MerTKタンパク質またはポリペプチド、ヒトMerTKタンパク質またはポリペプチド、マウス(ネズミ)MerTKタンパク質またはポリペプチド、及びカニクイザルMerTKタンパク質またはポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。本開示のMerTKタンパク質及びポリペプチドには、MerTKの天然のバリアントが含まれる。いくつかの実施形態では、本開示のMerTKタンパク質及びポリペプチドは膜結合型である。いくつかの実施形態では、本開示のMerTKタンパク質及びポリペプチドは、MerTKの可溶性細胞外ドメインである。
【0195】
いくつかの実施形態では、MerTKを、細胞内で発現させる。いくつかの実施形態では、MerTKを、限定されないが、マクロファージ及び樹状細胞を含む食細胞中で発現させる。いくつかの実施形態では、MerTKを、単球、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞、ミクログリア、内皮細胞、巨核球、及び血小板で発現させる。いくつかの実施形態では、高レベルのMerTK発現が、卵巣、前立腺、精巣、肺、網膜、及び腎臓においても認められる。さらに、MerTKは、多数のがんにおいて異所性発現または過剰発現を示す(Linger et al,2008,Adv Cancer Res,100:35-83)。
【0196】
III. MerTK結合パートナー
本開示のMerTKタンパク質は、タンパク質S(ProSまたはProS1)、Growth arrest specific gene6(Gas6)、Tubby、Tubby様タンパク質1(TULP-1)、及びガレクチン3を含むがこれらに限定されない、1つ以上のリガンドまたは結合パートナーと(例えば、結合)相互作用する。本開示の抗MerTK抗体は、MerTKとその様々なリガンド及び結合パートナーの1つ以上との相互作用に影響を及ぼすことができる。特に、親マウス抗MerTK抗体MTK-16及び親マウス抗MerTK抗体MTK-33は、国際特許出願第PCT/US2020/064640号(WO2021/119508)に開示されるように、MerTKに対するGas6リガンド及びProSリガンドの両方の結合を遮断するのに有効である。
【0197】
IV. pAKT
AKT活性は、MerTK、Axl、またはTyro-3受容体に結合するGas6の下流の標的である。例えば、MerTKリガンドGas6とMerTKとの結合は、AKTリン酸化(pAKT)を誘導する(例えば、Angelillo-Scherrer et al,2008,J Clin Invest,118:583-596;Moody et al,2016,Int J Cancer,139:1340-1349を参照のこと)。本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトマクロファージ(例えば、M2c分化ヒトマクロファージ)におけるGas6媒介リンAKT(pAKT)活性を用量依存的に低減するのに有効であった。したがって、本開示の抗MerTK:抗PDL1抗体は、pAKTレベルの減少により証明されるように、Gas6媒介MerTKシグナル伝達を減少させるのに有効であった。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、in vitroでGas6媒介pAKT活性を阻害または低減する。
【0198】
IC50値を測定することにより、細胞内のpAKT活性を低下させた際の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の相対的有効性を判定することができる。Gas6媒介pAKT活性の低下に関するIC50値は、当業者に公知の方法、例えば本明細書において以下の実施例13に記載の方法を使用して測定することができる。
【0199】
V. エフェロサイトーシス
エフェロサイトーシスとは、瀕死細胞またはアポトーシス細胞の食細胞クリアランスを指す。エフェロサイトーシスは、プロフェッショナル食細胞(例えば、マクロファージ、樹状細胞、ミクログリア)、非プロフェッショナル食細胞(例えば、上皮細胞、線維芽細胞、網膜色素上皮細胞)、または専門食細胞によって達成することができる。(Elliott et al,2017,J Immunol,198:1387-1394)。エフェロサイトーシスは、死細胞または瀕死細胞を、その膜の完全性が損なわれ、その細胞内容物が周囲の組織に漏出する前に取り除き、それによって毒性を有する酵素、酸化剤、及び他の細胞内成分への組織の曝露を防ぐ。
【0200】
アポトーシス細胞は、食細胞上の受容体によって認識される様々な分子をその細胞表面上に露出させる(「eat-me」シグナル)。そのような「eat me」シグナル伝達分子の1つは、ホスファチジルセリン(PtdSer)であり、これは通常は細胞膜の内葉に限定される。アポトーシスの際に、PtdSerは細胞膜の外葉に露出する。MerTKリガンドProS及びGas6は、N末端ドメイン付近にγ-カルボキシル化グルタミン酸残基を含み、このグルタミン酸残基のγ-カルボキシル化により、ホスファチジルセリンへの結合が可能になる。Gas6またはProSがアポトーシス細胞上のPtdSerに結合し、同時に食細胞上のMerTKに結合する。MerTKとのそのようなリガンドの結合は、エフェロサイトーシスを活性化する。
【0201】
以下の実施例12に示すように、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、食細胞によるエフェロサイトーシス活性を低減するのに有効であった。
【0202】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、食細胞によるエフェロサイトーシスを低減する。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、マクロファージによるエフェロサイトーシスを低減する。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、樹状細胞によるエフェロサイトーシスを低減する。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、骨髄由来マクロファージによるエフェロサイトーシスを低減する。エフェロサイトーシスの減少は、本明細書において実施例12に記載されているような、当業者に公知の標準的な方法を用いて判定することができる。
【0203】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、実施例12に記載の方法によって評価されるように、約0.13nM~約30nMの範囲のIC50で、食細胞(例えば、ヒトマクロファージ)によるエフェロサイトーシスを低減する。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、およそ4.4nM~およそ15.68nMの範囲のIC50値で、食細胞によるエフェロサイトーシスを低減する。
【0204】
エフェロサイトーシスの遮断は、M1様マクロファージの分極を引き起こし、炎症促進性サイトカイン(例えば、TNF、IFN、IL-12)の産生の増加、ならびに細胞傷害性細胞、例えばCD8+T細胞及びナチュラルキラー細胞の動員をもたらし、これらは抗腫瘍免疫を媒介する。したがって、食細胞によるエフェロサイトーシスを低減することによって、本開示の抗MerTK:抗PDL1抗体は、M1様マクロファージ分極を増加させる際、ならびにTNF、IFN、IL-6、IL-1、IL-12、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド1(CXCL-1、KC)、単球化学誘引性タンパク質1(MCP1、CCL2)、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1α、CCL3、及び/またはマクロファージ炎症性タンパク質1β(MIP-1β、CCL4)を含む炎症促進性サイトカイン/ケモカインの産生、発現、及び/または分泌を増加させる際に効果的である。
【0205】
エフェロサイトーシスとがんの進行との関連性は、説明されている。例えば、アネキシンVを用いたエフェロサイトーシスの遮断は、PtdSerが食細胞のエフェロサイトーシス機構と相互作用することを遮断し、腫瘍の進行及び転移を十分に低下させる(Stach et al,2000,Cell Death Diff,7:911;Bondanza et al,2004,J Exp Med,200:1157;Werfel and Cook,2018,Sem Immunopathology,40:545-554)。さらに、MerTKは、そのPtdSer架橋リガンドGas6と同様に、多数のヒトのがんにおける予後不良及び生存率と相関している(Graham et al,2014,Nat Rev Cancer,14:769;Linger et al,2010,Expert Opin Ther Targets,14:1073-1090;Wang et al,2013,Oncogene,32:872;Jansen et al,2011,J Proteome Res,11:728-735;Tworkoski et al,2011,Mol Cancer Res,p.molcanres-0512;Graham et al,2006,Clin Cancer Res,12:2662-2669;Keating et al,2006,Oncogene,25:6092)。したがって、食細胞によるエフェロサイトーシスを低減する本開示の抗MerTK抗体は、腫瘍の進行及び転移を低下させるのに有効である。
【0206】
カニクイザルの実験は、いくつかの例において、Gas6とProSとの結合を遮断する二価抗MerTK抗体(例えば、抗MerTK抗体MTK-16)が、ProSとMerTKとの結合を遮断するがGas6とMerTKとの結合を遮断しない二価の抗MerTK抗体を投与したカニクイザルにおいて観察される毒性(例えば、体重減少)と比べて、in vivoにおいてより低い毒性を示したことを示唆した。したがって、いくつかの実施形態では、MerTKに対して一価であり、かつGas6及びProSの両方のMerTKへの結合を遮断する本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ProSとMerTKとの結合を遮断するが、Gas6とMerTKとの結合を遮断しない本開示の抗MerTK抗体と比較して、より低い全身性のin vivo毒性を示し得る。抗MerTK抗体MTK-16及び抗MerTK抗体MTK-33(両方ともGas6及びProSの両方のMerTKへの結合を遮断する)は、MerTKタンパク質のIg1ドメインに結合し、一方、抗MerTK抗体MTK-15(ProSのMerTKへの結合を遮断するが、Gas6のMerTKへの結合を遮断しない)は、MerTKタンパク質のIg2及びFN1ドメインの双方に結合する(国際特許出願第PCT/US2020/064640号(WO2021/119508)を参照のこと)。したがって、いくつかの実施形態では、MerTKのIg1ドメインに結合する二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体(例えば、二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体MTK-16、MTK-16.2、MTK-33、及びMTK-33.11)は、MerTKのIg2及びFN1ドメインの双方に結合する抗MerTK抗体に比べて、より低い全身性のin vivo毒性を示し得る。さらに、いくつかの実施形態では、MerTK(例えば、二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体MTK-16、MTK-16.2、MTK-33、及びMTK-33.11)のIg1ドメインに結合し、かつ(一部は、その一価の構成に起因した)低いpAKT活性を示す二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、MerTKのIg2及びFN1ドメインの双方に結合する二価抗MerTK抗体に比べて、より低い全身性のin vivo毒性を示し得る。
【0207】
二重特異性抗体の構成
二重特異性抗体の多くの異なるフォーマット及び使用は当技術分野で公知である(例えば、Kontermann;Drug Discov Today,2015 July;20(7):838-47;MAbs,2012 March-April;4(2):182-97に概説されている)。本発明による二重特異性抗体は、任意の特定の二重特異性フォーマットまたはその製造方法に限定されない。したがって、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合する第1の抗原結合ドメイン及びPDL1に結合する第2の抗原結合ドメインを有する二重特異性抗体の様々な構成を含み得る。
【0208】
本開示で使用し得る二重特異性抗体分子の例としては、(i)異なる抗原結合ドメインを含む2つのアームを有する単一の抗体、(ii)例えば、余分のペプチドリンカーによってタンデムに連結された2つのscFvを介して、2つの異なるエピトープに対する特異性を有する一本鎖抗体、(iii)各軽鎖と重鎖が短いペプチド結合を介して2つの可変ドメインを直列に含む二重可変ドメイン抗体(DVD-Ig)(Wu et al.,Generation and Characterization of a Dual Variable Domain Immunoglobulin(DVD-Ig(商標))Molecule,In:Antibody Engineering,Springer Berlin Heidelberg(2010))、(iv)化学的に結合した二重特異性(Fab’)2フラグメント、(v)標的抗原のそれぞれに対して2つの結合部位を有する四価の二重特異性抗体を生じさせる2つの一本鎖ダイアボディの融合体であるTandab、(vi)多価分子を生じさせるダイアボディとscFvの組み合わせであるフレキシボディ、(vii)Fabに適用した場合に2つの同一のFabフラグメントが異なるFabフラグメントに結合した三価の二重特異性結合タンパク質が得られるプロテインキナーゼAの「二量体化及びドッキングドメイン」に基づく、いわゆる「dock and lock」分子、(viii)例えば、ヒトFabアームの両末端に融合した2つのscFvを含む、いわゆるスコーピオン分子、ならびに(ix)ダイアボディが挙げられる。
【0209】
いくつかの態様では、アミノ酸の変異、置換、付加、または欠失を含むFc領域によって本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の二量体化したFc領域を形成させてヘテロ二量体化を促進し、その場合、異なるFc領域を含む異なるポリペプチドが二量体化してヘテロ二量体構成が生じ得る。一態様では、本開示の二重特異性抗体は、第1のCH3領域を含む第1のFc配列及び第2のCH3領域を含む第2のFc配列を含み、第1及び第2のCH3領域の配列は異なり、前記第1及び第2のCH3領域間のヘテロ二量体の相互作用が、前記第1及び第2のCH3領域の各ホモ二量体の相互作用よりも強い。
【0210】
Fc領域のヘテロ二量体化を促進する方法には、例えば、一連の「ノブ・イントゥ・ホール」欠失、付加、もしくは置換を含めることによるか、または異なるポリペプチド鎖間の誘引性の相互作用を促進するために、Fcの静電的ステアリングに影響を与えるアミノ酸の欠失、付加、または置換を含めることによって、Fc領域のアミノ酸配列のアミノ酸を欠失、付加、または置換することが含まれる。相補的Fcポリペプチドのヘテロ二量体化を促進する方法は、例えば、Ridgway et al,1996,Protein Eng,9:617-621;Merchant et al,1998,Nature Biotechnol,16:677-681;Moore et al,2011,MAbs,3:546-557;Von Kreudenstein et al,2013,5:646-654;Gunasekaran et al,2010,J Biol Chem,285:19637-19464;Leaver-Fay et al,2016,Structure,24:641-651;Ha et al,2016,Frontiers in Immunology,7:1;Davis et al,2010,Protein Eng Des Sel,23:195-202;WO1996/027011;WO1998/050431;WO2006/028936;WO2009/089004;WO2011/143545;WO2014/067011;WO2012/058768;WO2018/027025;US2014/0363426;US2015/0307628;US2018/0016354;US2015/0239991;US2017/0058054;USPN5731168;USPN7183076;USPN9701759;USPN9605084;USPN9650446;USPN8216805;USPN8765412;及びUSPN8258268に以前に記載されている。
【0211】
例えば、いくつかの実施形態では、Fcヘテロ二量体の相補的なFcポリペプチドは、Fc二量体の界面にわたる電荷極性を改変する変異を含み、その結果、静電的に適合するFc領域の共発現が、好ましい誘引性相互作用をサポートし、それによって望ましいFcヘテロ二量体形成が促進され、一方、望ましくない反発電荷相互作用が、望ましくないFcホモ二量体形成を抑制する(Guneskaran et al,2010,J Biol Chem,285:19637-19646)。細胞内で共発現する場合、ポリペプチド鎖間の会合は可能であるが、電荷反発のために鎖は実質的に自己会合しない。
【0212】
さらに、Fcヘテロ二量体の相補的なFcポリペプチドは、2つのFcポリペプチドのヘテロ二量体化を促進するための「ノブ・イントゥ・ホール」配置を含む。「ノブ・イントゥ・ホール」技術については、例えば、米国特許第5,731,168号、第7,695,936号、第8,216,805号、第8,765,412号、Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)、及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載されている。一般に、この方法は、突起(「ノブ」)を第1のポリペプチドの界面に、対応する空洞(「ホール」)を第2のポリペプチドの界面に導入することを含み、その結果、突起を空洞内に配置することができ、それによってヘテロ二量体の形成が促進され、ホモ二量体の形成が妨げられる。第1のポリペプチドの界面にある小さなアミノ酸側鎖をより大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)に置き換えることによって、突起を構築する。第2のポリペプチドの界面に、突起と同一または同様のサイズの補償的な空洞を、大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)に置き換えることによって作成する。突起及び空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を改変することによって、例えば、部位特異的変異によって、またはペプチド合成によって作成することができる。特定の実施形態では、ノブの改変は、Fcドメインの2つのサブユニットの一方におけるアミノ酸置換T366Wを含み、ホールの改変は、Fcドメインの2つのサブユニットの他方におけるアミノ酸置換T366S、L368A、及びY407Vを含む。さらなる特定の実施形態では、ノブの改変を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換S354Cをさらに含み、ホールの改変を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換Y349Cをさらに含む。これらの2つのシステイン残基の導入により、Fc領域の2つのサブユニット間にジスルフィド架橋が形成され、したがって二量体がさらに安定化する(Carter,J Immunol Methods 248,7-15(2001))。したがって、そのような構成においては、第1のFc領域ポリペプチドは、「ノブ」を形成するようにアミノ酸改変を含み、第2のFc領域ポリペプチドは、「ホール」を形成するようにアミノ酸改変を含み、そのようにして相補的なFcポリペプチドを含むFcヘテロ二量体を形成させる。
【0213】
Fcヘテロ二量体配置の相補的なFcポリペプチドの例示的なアミノ酸改変のペアを以下の表Aに記載する(EU付番)。
【0214】
(表A)
【0215】
「ノブ・イントゥ・ホール」配置の特定の一実施形態では、Fcヘテロ二量体構成の第1のFcポリペプチドは、T366Yアミノ酸置換を含み、Fcヘテロ二量体構成の第2のFcポリペプチドは、Y407Tアミノ酸置換を含む(EU付番)。「ノブ・イントゥ・ホール」配置の特定の別の実施形態では、Fcヘテロ二量体構成の第1のFcポリペプチドは、T366Wアミノ酸置換を含み、Fcヘテロ二量体構成の第2のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vアミノ酸置換を含む(EU付番)。
【0216】
A. 例示的な抗体及び特定の他の抗体の実施形態
本開示は、ヒトMerTKに結合する第1の抗原結合ドメイン及びPDL1に結合する第2の抗原結合ドメインを含む二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を提供する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、野生型IgG Fcアミノ酸配列を含む抗MerTK抗体重鎖、及び野生型IgG Fcアミノ酸配列を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、野生型IgG1 Fcアミノ酸配列を含む抗MerTK抗体重鎖、及び野生型IgG1 Fcアミノ酸配列を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、LALAPSアミノ酸置換を有するIgG Fc領域を含む抗MerTK抗体重鎖、LALAPSアミノ酸置換を有するIgG Fc領域を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、LALAPSアミノ酸置換を有するIgG1 Fc領域を含む抗MerTK抗体重鎖、LALAPSアミノ酸置換を有するIgG1 Fc領域を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、NSLFアミノ酸置換を有するIgG Fc領域を含む抗MerTK抗体重鎖、NSLFアミノ酸置換を有するIgG Fc領域を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、NSLFアミノ酸置換を有するIgG1 Fc領域を含む抗MerTK抗体重鎖、NSLFアミノ酸置換を有するIgG1 Fc領域を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、野生型IgG4 Fcアミノ酸配列を含む抗MerTK抗体重鎖、及び野生型IgG4 Fcアミノ酸配列を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、上記のアミノ酸置換のいずれかを有し、さらにS228Pアミノ酸置換を含むIgG4 Fcアミノ酸配列を含む抗MerTK抗体重鎖と、上記のアミノ酸置換のいずれかを有し、さらにS228Pアミノ酸置換を含むIgG4 Fcアミノ酸配列を含むPDL1抗体重鎖を有する。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示の抗MerTK:抗PDL1抗体は、Fc領域に「ノブ」アミノ酸置換を含む抗MerTK抗体重鎖、及びFc領域に「ホール」アミノ酸置換を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本開示の抗MerTK:抗PDL1抗体は、Fc領域に「ホール」アミノ酸置換を含む抗MerTK抗体重鎖、及びFc領域に「ノブ」アミノ酸置換を含む抗PDL1抗体重鎖を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号53のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号20のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号32のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号36のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号52のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号53のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号28のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号30のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号44のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号40のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号17のアミノ酸1~449を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号27のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号18のアミノ酸1~449を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号28のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号19のアミノ酸1~449を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号29のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号20のアミノ酸1~446を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号30のアミノ酸1~444を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号32のアミノ酸1~453を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号42のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号33のアミノ酸1~449を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号43のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号34のアミノ酸1~449を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号44のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号35のアミノ酸1~446を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号45のアミノ酸1~444を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号36のアミノ酸1~446を含む重鎖、及び配列番号21のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号46のアミノ酸1~444を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号22のアミノ酸1~448を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号27のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号23のアミノ酸1~448を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号28のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号24のアミノ酸1~448を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号29のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号25のアミノ酸1~445を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号30のアミノ酸1~444を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号37のアミノ酸1~448を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号42のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号38のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号43のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号39のアミノ酸1~448を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号44のアミノ酸1~447を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号40のアミノ酸1~445を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号45のアミノ酸1~444を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、ヒトMerTKに結合し、配列番号41のアミノ酸1~445を含む重鎖、及び配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合ドメイン、ならびにPDL1に結合し、配列番号46のアミノ酸1~444を含む重鎖、及び配列番号31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第2の抗原結合ドメインを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、上記の実施形態のいずれかによる二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体には、以下の1~7節に記載される特徴のうちのいずれかが、単独または組み合わせで組み込まれ得る。
【0258】
(1) 抗MerTK抗体結合親和性
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(K)を有する。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えばForteBioによるOctet Systemを参照のこと)、等温滴定熱量測定(ITC)、示差走査熱量測定(DSC)、円二色性(CD)、ストップフロー分析、及び比色分析または蛍光タンパク質融解分析などの任意の生化学的または生物物理学的技術を含む、任意の分析技術によって決定してもよい。一実施形態では、Kdを、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定する。いくつかの実施形態では、RIAを、例えば、Chen et al. J.Mol.Biol.293:865-881(1999)に記載されているように、目的の抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて実施する。いくつかの実施形態では、BIACORE表面プラズモン共鳴アッセイを使用してKを測定する。例えば、BIACORE-2000またはBIACORE-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイを、固定化抗原CM5チップを約10レスポンスユニット(RU)で使用して25℃にて実施する。いくつかの実施形態では、一価抗体(例えば、Fab)または全長抗体を使用してKを決定する。いくつかの実施形態では、一価形態の全長抗体を使用してKを決定する。
【0259】
いくつかの実施形態では、本開示の抗MerTK抗体はヒトMerTKに結合し、ヒトMerTKに結合するKは、約1.4nM~約81nMである。いくつかの実施形態では、抗MerTK抗体はカニクイザルMerTKに結合し、カニクイザルMerTKへの結合のKは、約1.6nM~約107nMである。いくつかの実施形態では、本開示の抗MerTK抗体はマウスMerTKに結合し、マウスMerTKへの結合のKは、約30nM~約186nMである。
【0260】
(2) 抗体断片
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は抗体断片である。抗体断片には、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、Fv、及びscFvフラグメント、ならびに以下に記載される他の断片が含まれるが、これらに限定されない。特定の抗体断片の総説については、Hudson et al. Nat.Med.9:129-134(2003)を参照のこと。scFvフラグメントの総説については、例えば、WO93/16185、及び米国特許第5571894号及び第5587458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivo半減期が延長されたFab及びF(ab’)フラグメントの考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0261】
ダイアボディは、2つの抗原結合部位を有する抗体断片であり、二価または二重特異性であり得る。例えば、EP404097、WO1993/01161、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディもHudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む、抗体断片である。特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6248516号を参照のこと)。
【0262】
抗体断片は、本明細書に記載される、インタクトな抗体のタンパク質分解、ならびに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)またはファージ)の産生を含むが、これらに限定されない、様々な技法によって作製され得る。
【0263】
(3) キメラ抗体及びヒト化抗体
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体である。特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)、及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した「クラススイッチされた」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合断片を含む。
【0264】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。通常、非ヒト抗体は、親の非ヒト抗体の特異性及び親和性を保持する一方で、ヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化される。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である。特定の実施態様では、ヒト化抗体は、ヒト化抗体が由来する別の種由来の抗体と実質的に同じ親和性を標的に対して有する。例えば、米国特許第5530101号、第5693761号、第5693762号、及び第5585089号を参照のこと。特定の実施形態では、抗原性を低下させる一方で、抗原結合ドメインの天然の親和性を低下させることなく改変することができる抗体可変ドメインのアミノ酸を同定する。例えば、米国特許第5766886号及び第5869619号を参照のこと。一般に、ヒト化抗体は、HVR(またはそれらの部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはそれらの部分)がヒト抗体配列に由来する、1つ以上の可変ドメインを含む。任意選択で、ヒト化抗体はまた、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基を、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となった抗体)に由来する対応する残基で置換して、例えば、抗体特異性または親和性を復元または向上させる。
【0265】
ヒト化抗体及びそれらの作製方法は、例えば、Almagro et al.Front. Biosci.13:161 9-1633(2008)に概説されており、さらに例えば、米国特許第5821337号、第7527791号、第6982321号、及び第7087409号に記載されている。ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては:「最良適合(best-fit)」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照のこと)、軽鎖または重鎖可変領域の特定の下位集団のヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照のこと)、ヒト成熟(体細胞変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照のこと)、及びFRライブラリのスクリーニングから得られるフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0266】
(4) ヒト抗体
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、一般に、van Dijk et al. Curr.Opin. Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg Curr.Opin. Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0267】
抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を含むインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって、ヒト抗体を調製してもよい。そのようなマウスがマウス抗体の非存在下でヒト抗体を産生することを期待して、ヒトIg遺伝子座の大断片を有するマウス抗体産生欠損マウス系統を設計することが可能である。ヒトIgの大断片は、抗体の産生及び発現を適切に制御するだけでなく、大きな可変遺伝子の多様性を保存することができる。抗体の多様化及び選択のためのマウス機構、ならびにヒトタンパク質に対する免疫寛容の欠如を利用することにより、これらのマウス系統で再現されたヒト抗体レパートリーから、ヒト抗原を含む任意の目的の抗原に対する高親和性の完全ヒト抗体を産生することができる。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを作製し、選択することができる。特定の例示的な方法は、米国特許第5545807号、第EP546073号、及び第EP546073号に記載されている。例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載した米国特許第6075181号及び第6150584号、HUMAB(登録商標)技術について記載した米国特許第5770429号、K-M MOUSE(登録商標)技術について記載した米国特許第7041870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載した米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。そのような動物によって生成されるインタクトな抗体由来のヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに改変してもよい。
【0268】
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するための、ヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が記載されている(例えば、Kozbor J.Immunol.133:3001(1984)及びBoerner et al. J.Immunol.147:86(1991)を参照のこと)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)に記載されている方法が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(Trioma technology)はまた、Vollmers et al. Histology and Histopathology 20(3):927-937(2005)及びVollmers et al. Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185-91(2005)にも記載されている。ヒト抗体はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成してもよい。そのような可変ドメイン配列を、次いで所望のヒト定常ドメインと組み合わせてもよい。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技法を、以下に記載する。
【0269】
本明細書中で提供する抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、in vitro法、及び/または所望の活性を有する抗体に関するコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離されたヒト抗体である。好適な例としては、ファージディスプレイ(CAT,Morphosys,Dyax,Biosite/Medarex,Xoma,Symphorgen,Alexion(以前のProlipon),Affimed)リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイ(Adimab)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定のファージディスプレイ法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングし、ファージライブラリ中でランダムに組み換えて、それを次いで、Winter et al. Ann.Rev.Immunol.12:433-455(1994)に記載されるように抗原結合ファージとしてスクリーニングすることができる。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、そのようなライブラリを、所望の結合特性を保有する抗体についてスクリーニングするための多様な方法が当技術分野で公知である。Sidhu et al. J.Mol.Biol.338(2):299-310,2004、Lee et al. J.Mol.Biol.340(5):1073-1093,2004、Fellouse Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004)、及びLee et al. J.Immunol.Methods 284(-2):119-132 (2004)も参照のこと。ファージは通常、一本鎖Fv(scFv)フラグメントまたはFabフラグメントのいずれかとして、抗体断片を提示する。免疫された供給源由来のライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とせずに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J.12:725-734(1993)により記載されるように、ナイーブレパートリーを、クローニングし(例えば、ヒトから)、いかなる免疫化も伴わずに、幅広い非自己抗原また自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供することができる。最後に、ナイーブライブラリはまた、Hoogenboom et al. J.Mol.Biol.,227:381-388,1992に記載されているように、幹細胞由来の再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含むPCRプライマーを使用して高度可変HVR3領域をコードし、in vitroで再配列を達成することによって、合成的に作製することができる。ヒト抗体ファージライブラリを記載する特許刊行物としては、例えば、米国特許第5750373号、ならびに米国特許公開第2007/0292936号及び第2009/0002360号が挙げられる。ヒト抗体ライブラリから単離された抗体は、本明細書でヒト抗体またはヒト抗体断片とみなされる。
【0270】
(5) Fc領域を含む定常領域
本明細書で提供する抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、Fcを含む。いくつかの実施形態では、Fcは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及び/またはIgG4アイソタイプである。いくつかの実施形態では、抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスの抗体である。
【0271】
本明細書で提供する抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。いくつかの実施形態では、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体への結合とは独立して、1つ以上のMerTK活性を誘導する。いくつかの実施形態では、抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0272】
本明細書で提供する抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。いくつかの実施形態では、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0273】
本明細書で提供する抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、IgG4アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。いくつかの実施形態では、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、阻害性Fc受容体に結合する。特定の実施形態では、阻害性Fc受容体は、阻害性Fcγ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0274】
本明細書で提供する抗体のいずれかの特定の実施形態では、抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトIgG2のアミノ酸118~260(EU付番に従う)と、ヒトIgG4のアミノ酸261~447(EU付番に従う)とを含むアミノ酸配列を含む(WO1997/11971、WO2007/106585)。
【0275】
いくつかの実施形態では、アミノ酸置換を含まないFc領域を含む対応する抗体と比べて、Fc領域は、補体を活性化することなくクラスター化を増加させる。いくつかの実施形態では、抗体は、抗体が特異的に結合する標的の1つ以上の活性を誘導する。いくつかの実施形態では、抗体は、MerTKに結合する。
【0276】
また、抗体のエフェクター機能を改変し、及び/または血清中半減期を延長するために、本開示の抗MerTK抗体を改変することが望ましい場合がある。例えば、定常領域上のFc受容体結合部位を改変または変異させて、特定のFc受容体、例えば、FcγRI、FcγRII、及び/またはFcγRIIIに対する結合親和性を除去または低減して、抗体依存性細胞傷害を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、抗体のFc領域(例えば、IgGのCH2ドメイン中)のN-グリコシル化を除去することによって、エフェクター機能を低下させる。いくつかの実施形態では、WO99/58572及びArmour et al. Molecular Immunology 40:585-593(2003)、Reddy et al. J.Immunology 164:1925-1933(2000)に記載されているように、ヒトIgGの233~236、297、及び/または327~331などの領域を改変することによって、エフェクター機能を低下させる。他の実施形態では、本開示の抗MerTK抗体を改変してエフェクター機能を改変して、ITIMを含有するFcgRIIb(CD32b)に対する発見選択性を向上させて、抗体依存性細胞傷害及び抗体依存性細胞貪食を含む体液性反応を活性化することなく、隣接細胞上でMerTK抗体のクラスター化を増加させることも望ましい場合がある。
【0277】
抗体の血清半減期を延長するために、例えば、米国特許第5739277号に記載されるようなサルベージ受容体結合エピトープを抗体(特に、抗体断片)中に組み込んでもよい。本明細書で使用する場合、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、IgG分子のin vivo血清半減期を延長させるのに貢献するIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、またはIgG)のFc領域のエピトープを指す。他のアミノ酸配列改変
【0278】
(6) 抗体バリアント
本明細書中で提供する抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。
【0279】
(i) 置換、挿入、及び欠失バリアント
本明細書中で提供する抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントを提供する。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な改変を導入することによって、またはペプチド合成によって調製してもよい。そのような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列からの残基の欠失、及び/またはそこへ残基の挿入、及び/または残基の置換が含まれる。
【0280】
(表A)アミノ酸置換
【0281】
抗体の生物学的特性の実質的な改変は、置換を選択することにより達成され、これらは、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、シートもしくはヘリックス立体配座、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクの維持に対するそれらの影響が有意に異なる。天然の残基は、一般的な側鎖特性に従って分類される:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro、及び
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0282】
例えば、非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを含み得る。そのような置換残基を、例えば、非ヒト抗体と相同なヒト抗体の領域に、または分子の非相同領域に導入することができる。
【0283】
本明細書に記載のポリペプチドまたは抗体に変更を加える際に、特定の実施形態によれば、アミノ酸の親水性指標を考慮することができる。各アミノ酸には、その疎水性及び電荷特性に基づいて親水性指標が割り当てられている。それらは、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(-0.4)、スレオニン(-0.7)、セリン(-0.8)、トリプトファン(-0.9)、チロシン(-1.3)、プロリン(-1.6)、ヒスチジン(-3.2)、グルタミン酸(-3.5)、グルタミン(-3.5)、アスパラギン酸(-3.5)、アスパラギン(-3.5)、リジン(-3.9)、及びアルギニン(-4.5)である。
【0284】
タンパク質にインタラクティブな生物学的機能を付与する際の親水性アミノ酸指標の重要性は、Kyte et al. J.Mol.Biol.,157:105-131(1982)の技術分野で理解されている。特定のアミノ酸を、同様の親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸の代わりに使用することができ、それでも同様の生物学的活性を保持することが知られている。親水性指標に基づいて変更する場合に、特定の実施形態では、親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。特定の実施形態では、±1の範囲内にある置換が含まれ、特定の実施形態では、±0.5の範囲内にある置換が含まれる。
【0285】
同様のアミノ酸の置換が、親水性に基づいて効果的に行うことができることも当技術分野では理解されており、特に、それによって作製される生物学的機能を有するタンパク質またはペプチドは、本明細書の場合のように、免疫学的実施形態における使用が意図されている。特定の実施形態では、タンパク質の最大の局所平均親水性は、その隣接アミノ酸の親水性に左右され、その免疫原性及び抗原性、すなわちタンパク質の生物学的特性と相関する。
【0286】
これらのアミノ酸残基には以下の親水性の値が割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0±1)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(-0.4)、プロリン(-0.5±1)、アラニン(-0.5)、ヒスチジン(-0.5)、システイン(-1.0)、メチオニン(-1.3)、バリン(-1.5)、ロイシン(-1.8)、イソロイシン(-1.8)、チロシン(-2.3)、フェニルアラニン(-2.5)、及びトリプトファン(-3.4)。同様の親水性の値に基づく変更の際に、特定の実施形態では、親水性の値が±2以内のアミノ酸の置換が含まれ、特定の実施形態では、±1以内のアミノ酸の置換が含まれ、特定の実施形態では、±0.5以内のアミノ酸の置換が含まれる。また、親水性に基づいて第一級アミノ酸配列からエピトープを同定することもできる。これらの領域は、「エピトープ性コア領域」とも呼ばれる。
【0287】
上記に示したバリアントVH及びVL配列の特定の実施形態では、各HVRは、未変更である。
【0288】
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基~100残基またはそれ以上を含むポリペプチドの範囲である、アミノ末端及び/またはカルボキシル末端への融合、ならびに単一のまたは多数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入型バリアントには、酵素(例えば、ADEPT用の)または抗体の血清半減期を延長させるポリペプチドへの抗体のN末端またはC末端への融合が含まれる。
【0289】
HVRの外側にあり、抗体の適切な立体配座の維持に関与しない任意のシステイン残基も一般にセリンに置換して、分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋を阻止してもよい。逆に、システイン結合(複数可)を抗体に付加して、その安定性を向上させてもよい(具体的には、抗体がFvフラグメントなどの抗体断片である場合)。
【0290】
(ii) グリコシル化バリアント
本明細書に提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように抗体を改変する。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作り出されるか、または除去されるように、アミノ酸配列を改変することによって簡便に遂行され得る。
【0291】
抗体のグリコシル化は、通常、N結合またはO結合のいずれかである。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド内でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合グリコシル化とは、糖類であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用され得る。
【0292】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、(N結合型グリコシル化部位のための)上述のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を改変することにより簡便に達成される。改変はまた、元の抗体の配列に1つ以上のセリン残基もしくはスレオニン残基を付加するか、これらの残基で置換することによっても行ってもよい(O結合型グリコシル化部位の場合)。
【0293】
抗体がFc領域を含む場合、そこに結合した炭水化物を改変してもよい。哺乳類細胞によって産生される天然抗体は、通常、一般にN-結合によって、Fc領域のCH2ドメインのAsn297(Kabat付番に従う)に結合される、分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖類構造の「ステム」においてGlcNAcに結合したフコースが含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の抗体中におけるオリゴ糖の修飾を、特定の特性の改善を有する抗体バリアントを作製するために行ってもよい。
【0294】
一実施形態では、Fc領域に(直接的または間接的に)結合したフコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントを提供する。例えば、米国特許公開第2003/0157108号及び第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体バリアントに関連する刊行物の例としては、US2003/0157108、US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、Okazaki et al. J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004)、Yamane-Ohnuki et al. Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することが可能な細胞株の例としては、タンパク質フコシル化が欠損したLed3 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986)、US2003/0157108)、及びα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株が挙げられる(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech.Bioeng.87:614(2004)及びKanda et al. Biotechnol.Bioeng.94(4):680-688(2006)を参照のこと)。
【0295】
(iii) 改変された定常領域
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体Fcは、抗体Fcのアイソタイプ及び/または改変型である。いくつかの実施形態では、抗体Fcアイソタイプ及び/または改変型は、Fcγ受容体に結合することができる。
【0296】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、改変型抗体Fcは、IgG1改変型Fcである。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、1つ以上の改変を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、1つ以上のアミノ酸置換を含む(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、N297A(Bolt S et al.(1993)Eur J Immunol 23:403-411)、D265A(Shields et al.(2001)R.J.Biol.Chem.276,6591-6604)、L234A、L235A(Hutchins et al.(1995)Proc Natl Acad Sci USA,92:11980-11984;Alegre et al.,(1994)Transplantation 57:1537-1543.31;Xu et al.,(2000)Cell Immunol,200:16-26)、G237A(Alegre et al.(1994)Transplantation 57:1537-1543.31;Xu et al.(2000)Cell Immunol,200:16-26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchern et al.,(2007)Blood,109:1185-1192)、P331S(Sazinsky et al.,(2008)Proc Natl Acad Sci USA 2008,105:20167-20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択される(アミノ酸の位置は、EU付番規則に従う)。
【0297】
IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うN297A変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うD265A及びN297A変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うD270A変異を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従うL234A及びL235A変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うL234A及びG237A変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うL234A、L235A、及びG237A変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うP238D、L328E、E233、G237D、H268D、P271G、及びA330R変異のうちの1つ以上(すべてを含む)を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うS267E/L328F変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うP238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及びA330R変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うP238D、L328E、G237D、H268D、P271G、及びA330R変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うP238D、S267E、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、及びA330R変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うP238D、S267E、L328E、G237D、H268D、P271G、及びA330R変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うC226S、C229S、E233P、L234V、及びL235A変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うL234F、L235E、及びP331S変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うS267E及びL328F変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うN325S及びL328F変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うS267E変異を含む。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、κ軽鎖と共に、IgG1の定常重鎖1(CH1)及びヒンジ領域から、IgG2のCH1及びヒンジ領域(EU付番に従うIgG2のアミノ酸118~230)への置換を含む。
【0298】
IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、2つ以上のアミノ酸置換を含まないFc領域を有する対応する抗体と比較して、補体を活性化することなく、抗体のクラスター化を増加させる2つ以上のアミノ酸置換を含む。したがって、IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、Fc領域を含む抗体であり、この抗体は、位置E430Gのアミノ酸置換と、EU付番に従うL234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、及びこれらの任意の組み合わせから選択される残基位置においてFc領域内に1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従う位置E430G、L243A、L235A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従う位置E430G及びP331Sにアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従う位置E430G及びK322Aにアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従う位置E430G、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従う位置E430G、K322A、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従う位置E430G、K322A、及びA330Sにアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従う位置E430G、K322A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。
【0299】
IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、補体活性化を排除するために、本明細書において、EU付番規則に従うA330L変異(Lazar et al. Proc Natl Acad Sci USA,103:4005-4010(2006))、またはL234F、L235E、及び/またはP331S変異(Sazinsky et al. Proc Natl Acad Sci USA,105:20167-20172(2008))のうちの1つ以上を組み合わせてさらに含み得る。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、EU付番に従うA330L、A330S、L234F、L235E、及び/またはP331Sのうちの1つ以上をさらに含み得る。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、ヒト血清中の抗体半減期を延長させる1つ以上の変異(例えば、EU付番規則に従うM252Y、S254T、及びT256Eのうちの1つ以上(すべてを含む)の変異)をさらに含み得る。IgG1改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、IgG1改変型Fcは、E430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及び/またはS440Wのうちの1つ以上をさらに含み得る。
【0300】
本開示の他の態様は、改変された定常領域(すなわち、Fc領域)を有する抗体に関する。標的とされた受容体を活性化するためにFcgR受容体に対する結合に依存する抗体は、FcgR結合を排除するように改変された場合、そのアゴニスト活性を喪失し得る(例えば、Wilson et al. Cancer Cell 19:101-113(2011);Armour at al. Immunology 40:585-593(2003);及びWhite et al. Cancer Cell 27:138-148(2015)を参照されたい)。したがって、正しいエピトープ特異性を有する本開示の抗MerTK抗体は、その抗体がヒトIgG2アイソタイプ由来のFcドメイン(CH1及びヒンジ領域)または阻害性FcgRIIB r受容体に優先的に結合することができる別のタイプのFcドメイン、またはそのバリアントを有する場合、最小限の副作用で標的抗原を活性化することができると考えられる。
【0301】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、改変型抗体Fcは、IgG2改変型Fcである。いくつかの実施形態では、IgG2改変型Fcは、1つ以上の改変を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IgG2改変型Fcは、1つ以上のアミノ酸置換を含む(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、EU付番規則に従うV234A(Alegre et al. Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al. Cell Immunol,200:16-26(2000));G237A(Cole et al. Transplantation,68:563-571(1999));H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167;Armour et al. Eur J Immunol 29:2613-2624(1999);Armour et al. The Haematology Journal 1(Suppl.1):27(2000);Armour et al. The Haematology Journal 1(Suppl.1):27(2000))、C219S、及び/またはC220S(White et al. Cancer Cell 27,138-148(2015));S267E、L328F(Chu et al. Mol Immunol,45:3926-3933(2008));ならびにM252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択される。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置V234A及びG237Aにアミノ酸置換を含む。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置C219S及びC220Sにアミノ酸置換を含む。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置A330S及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置S267E及びL328Fにアミノ酸置換を含む。
【0302】
IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番規則に従うC127Sアミノ酸置換を含む(White et al.,(2015)Cancer Cell 27,138-148;Lightle et al. Protein Sci.19:753-762(2010);及びWO2008/079246)。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、κ軽鎖定常ドメインと共にIgG2アイソタイプを有し、EU付番規則に従うC214Sアミノ酸置換を含む(White et al.Cancer Cell 27:138-148(2015);Lightle et al.Protein Sci.19:753-762(2010);及びWO2008/079246)。
【0303】
IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番規則に従うC220Sアミノ酸置換を含む。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、κ軽鎖定常ドメインと共にIgG2アイソタイプを有し、EU付番規則に従うC214Sアミノ酸置換を含む。
【0304】
IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番規則に従うC219Sアミノ酸置換を含む。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は、κ軽鎖定常ドメインと共にIgG2アイソタイプを有し、EU付番規則に従うC214Sアミノ酸置換を含む。
【0305】
IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、IgG2アイソタイプ重鎖定常ドメイン1(CH1)及びヒンジ領域を含む(White et al. Cancer Cell 27:138-148(2015))。IgG2改変型Fcのいずれかの特定の実施形態では、IgG2アイソタイプCH1及びヒンジ領域は、EU付番に従う118~230のアミノ酸配列を含む。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、抗体Fc領域は、EU付番規則に従うS267Eアミノ酸置換、L328Fアミノ酸置換、もしくはその両方、及び/またはN297AもしくはN297Qアミノ酸置換を含む。
【0306】
IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、及びS440Wにおいて1つ以上のアミノ酸置換をさらに含む。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、ヒト血清中の抗体半減期を延長させる1つ以上の変異(例えば、EU付番規則に従うM252Y、S254T、及びT256Eのうちの1つ以上(すべてを含む)の変異)をさらに含み得る。IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、A330S及びP331Sをさらに含み得る。
【0307】
IgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、FcはIgG2/4ハイブリッドFcである。いくつかの実施形態では、IgG2/4ハイブリッドFcは、IgG2のアミノ酸118~260及びIgG4のアミノ酸261~447を含む。任意のIgG2改変型Fcのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置H268Q、V309L、A330S、及びP331Sに1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0308】
IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うA330L、L234F、L235E、またはP331S、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の追加のアミノ酸置換を含む。
【0309】
IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかの特定の実施形態では、Fcは、EU付番に従うC127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、及びこれらの任意の組み合わせから選択される残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G、L243A、L235A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G及びK322Aにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G、K322A、A330S、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G、K322A、及びA330Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G、K322A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置S267E及びL328Fにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置C127Sにアミノ酸置換を含む。IgG1及び/またはIgG2改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E345R、E430G、及びS440Yにアミノ酸置換を含む。
【0310】
本明細書で提供される抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、改変型抗体Fcは、IgG4改変型Fcである。いくつかの実施形態では、IgG4改変型Fcは、1つ以上の改変を含む。例えば、いくつかの実施形態では、IgG4改変型Fcは、1つ以上のアミノ酸置換を含む(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域と比較して)。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、EU付番規則に従うL235A、G237A、S229P、L236E(Reddy et al. J Immunol 164:1925-1933(2000))、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、及び/またはT256Eから選択される。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番規則に従うL235A、G237A、及びE318Aをさらに含み得る。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番規則に従うS228P及びL235Eをさらに含み得る。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、IgG4改変型Fcは、EU付番規則に従うS267E及びL328Fをさらに含み得る。
【0311】
IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、抗体の安定化を高めるために、IgG4改変型Fcは、EU付番規則(Angal et al. Mol Immunol.30:105-108(1993))に従うS228P変異、及び/または(Peters et al. J Biol Chem.287(29):24525-33(2012))に記載されている1つ以上の変異と組み合わせて含む。
【0312】
IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、IgG4改変型Fcは、ヒト血清中の抗体半減期を延長させる1つ以上の変異(例えば、EU付番規則に従うM252Y、S254T、及びT256Eのうちの1つ以上(すべてを含む)の変異)をさらに含み得る。
【0313】
IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従うL235Eを含む。IgG4改変型Fcのいずれかの特定の実施形態では、Fcは、EU付番に従うC127S、F234A、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、E345R、E430G、S440Y、及びこれらの任意の組み合わせから選択される残基位置に1つ以上のアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G、L243A、L235A、及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G及びP331Sにアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430G及びK322Aにアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E430にアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fc領域は、EU付番に従う位置E430G及びK322Aにアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置S267E及びL328Fにアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置C127Sにアミノ酸置換を含む。IgG4改変型Fcのいずれかのいくつかの実施形態では、Fcは、EU付番に従う位置E345R、E430G、及びS440Yにアミノ酸置換を含む。
【0314】
他の抗体改変
抗体のいずれかのいくつかの実施形態では、抗体は誘導体である。用語「誘導体」とは、アミノ酸(または核酸)の挿入、欠失、または置換以外の化学的修飾を含む分子を指す。特定の実施形態では、誘導体は、ポリマー、脂質、または他の有機部分もしくは無機部分との化学結合を含むが、これらに限定されない共有結合修飾を含む。特定の実施形態では、化学的に修飾された抗原結合タンパク質は、化学的に修飾されていない抗原結合タンパク質よりも高い循環半減期を有し得る。特定の実施形態では、化学的に修飾された抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、及び/または器官に対する標的化能力を向上させることができる。いくつかの実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールを含むがこれらに限定されない1つ以上の水溶性ポリマー結合剤を含むように共有結合により修飾される。例えば、米国特許第4640835号、第4496689号、第4301144号、第4670417号、第4791192号、及び第4179337号を参照のこと。特定の実施形態では、誘導体抗原結合タンパク質には、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)及びポリビニルアルコール、ならびにそのようなポリマーの混合物を含むがこれらに限定されない、1つ以上のポリマーが含まれる。
【0315】
特定の実施形態では、誘導体を、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットを用いて共有結合で修飾する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーを、誘導体の1つ以上の特定の位置、例えばアミノ末端に結合する。特定の実施形態では、1つ以上の水溶性ポリマーを、誘導体の1つ以上の側鎖にランダムに結合する。特定の実施形態では、PEGを使用して、抗原結合タンパク質の治療能力を向上させる。特定の実施形態では、PEGを使用して、ヒト化抗体の治療能力を向上させる。そのような特定の方法は、例えば米国特許第6133426号に記載されており、任意の目的のために参照により本明細書に援用される。
【0316】
ペプチド類似体は一般的に、鋳型ペプチドの特性に類似した特性を有する非ペプチド薬として製薬産業において使用される。これらの種類の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物」または「ペプチド模倣薬」と呼ばれる。Fauchere,J.Adv.Drug Res.,15:29(1986)、及びEvans et al. J.Med.Chem.,30:1229(1987)、これは任意の目的で参照により本明細書に援用される。そのような化合物は、多くの場合、コンピュータ分子モデルの支援を借りて開発される。治療的に有用なペプチドと構造的に類似しているペプチド模倣物を使用して、同様の治療的効果を生み出すことができる。一般的に、ペプチド模倣薬は、ヒト抗体などのパラジウムポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に類似しているが、任意選択で、1つ以上のペプチド結合が、当技術分野で周知の方法によって、-CHNH-、-CHS-、-CH-CH-、-CH=CH-(シス及びトランス)、-COCH-、-CH(OH)CH-、ならびに-CHSO-から選択される結合に置換されている。特定の実施形態では、同一の種類のD-アミノ酸(例えば、L-リジンの代わりにD-リジン)による、コンセンサス配列の1つ以上のアミノ酸の系統的な置換を使用して、より安定なペプチドを生成することができる。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列バリアントを含む拘束されたペプチドを、当技術分野で公知の方法によって、例えば、ペプチドを環化させる分子内ジスルフィド架橋を形成可能な内部システイン残基を付加することによって生成することができる(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.,61:387(1992)、任意の目的のために参照により本明細書に援用される)。
【0317】
薬物コンジュゲーションは、生物活性細胞傷害性(抗がん)ペイロードまたは薬物を、特定の腫瘍マーカー(例えば、理想的には、腫瘍細胞内または腫瘍細胞上にのみ認められるポリペプチド)を特異的に標的とする抗体にカップリングすることを伴う。抗体は、身体内でこれらのタンパク質を見つけ出し、それ自体をがん細胞の表面に結合させる。抗体と標的タンパク質(抗原)との生化学反応により腫瘍細胞内でシグナルが誘起され、次いで、細胞毒素と一緒に抗体が吸収または内在化される。ADCが内在化した後に細胞傷害薬が放出され、がんを死滅させる。この標的化により、理想的には、薬物は、他の化学療法剤よりも低い副作用を有し、より広い治療ウインドウを提供する。抗体をコンジュゲートする技法は、当技術分野において開示されており、公知である(例えば、Jane de Lartigue OncLive July 5,2012;ADC Review on antibody-drug conjugates;及びDucry et al. Bioconjugate Chemistry 21(1):5-13(2010)を参照のこと。
【0318】
VI. 核酸、ベクター、及び宿主細胞
本開示の抗MerTK抗体は、例えば、米国特許第4816567号に記載の組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗MerTK抗体のいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸を提供する。そのような核酸は、抗MerTK抗体のVを含むアミノ酸配列及び/またはVを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードしていてもよい。いくつかの実施形態では、そのような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。いくつかの実施形態では、そのような核酸を含む宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVを含むアミノ酸配列及び抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらを形質導入されている)。
【0319】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体の軽鎖(軽鎖はVを含む)を含むアミノ酸配列をコードする核酸、及び(2)抗体の重鎖(重鎖はVを含む)を含むアミノ酸配列をコードする核酸を含み、その場合、VLとVHは、MerTKに結合する抗原結合ドメインを形成する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体の軽鎖(軽鎖はVを含む)を含むアミノ酸配列をコードする核酸、(2)抗体の重鎖(重鎖はVを含む)を含むアミノ酸配列をコードする核酸、及び(3)重鎖(重鎖はVを含まない)の断片(例えば、CH2及びCH3ドメインを含む重鎖の断片)をコードする核酸を含み(例えば、それらを形質導入されており)、VとVは、MerTKに結合する抗原結合ドメインを形成する。核酸は、同じベクター内にあってもよいし、異なるベクター内にあってもよい。
【0320】
いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。本開示の宿主細胞にはまた、限定されないが、単離された細胞、in vitro培養細胞、及びex vivo培養細胞が含まれる。
【0321】
本開示の抗MerTK抗体の作製方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、抗MerTK抗体をコードする核酸を含む本開示の宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。いくつかの実施形態では、抗体を、その後、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収する。
【0322】
本開示の抗MerTK抗体を組み換え生成するには、抗MerTK抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞におけるさらなるクローニング及び/または発現のために1つ以上のベクター中に挿入する。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定することができる。
【0323】
本開示の抗MerTK抗体、または本明細書に記載のその細胞表面発現断片もしくはポリペプチド(抗体を含む)のうちのいずれかをコードする核酸配列を含む好適なベクターとしては、限定されないが、クローニングベクター及び発現ベクターが挙げられる。好適なクローニングベクターは、標準的技術に従って構築することができ、あるいは当技術分野において入手可能な多数のクローニングベクターから選択してもよい。選択されるクローニングベクターは、使用予定の宿主細胞に応じて変わり得るが、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製能を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼの単一の標的を有していてもよく、及び/またはベクターを含むクローンの選択に用いることができるマーカーの遺伝子を保持していてもよい。好適な例としては、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えばpSA3及びpAT28が挙げられる。これら及び多くの他のクローニングベクターは、BioRad、Strategene、及びInvitrogenなどの市販ベンダーから入手可能である。
【0324】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞としては、原核生物細胞または真核生物細胞が挙げられる。例えば、本開示の抗MerTK抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合には、細菌において産生してもよい。細菌における抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号、第5789199号、及び第5840523号を参照されたい。発現後、抗体を、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離してもよく、さらに精製することができる。
【0325】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物もまた、抗体をコードするベクターに好適なクローニング宿主または発現宿主であり、これらには、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の生成をもたらす、真菌株及び酵母株が含まれる(例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004);及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006))。
【0326】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)から得ることもできる。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。昆虫細胞と共に、特に、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用することができる、多数のバキュロウイルス株が同定されている。植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる(例えば、米国特許第5959177号、第6040498号、第6420548号、第7125978号、及び第6417429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載されている))。
【0327】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用してもよい。例えば、懸濁液中で増殖するように適合される哺乳類細胞株は、有用であり得る。有用な宿主哺乳類細胞株の他の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚性腎臓株(293細胞または例えばGraham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA)、イヌ科腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞、MRC5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な宿主哺乳類細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0,NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適な特定の宿主哺乳類細胞株の総説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0328】
VII. 医薬組成物/製剤
本明細書において、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物及び/または医薬製剤を提供する。
【0329】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、好ましくは、使用する用量及び濃度においてレシピエントに対して無毒性である。in vivo投与に使用する医薬組成物及び/または医薬製剤は、無菌であり得る。これは、例えば、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
【0330】
本明細書で提供する医薬組成物及び/または医薬製剤は、例えばがんを治療するための医薬品として有用である。
【0331】
VIII. 治療用途
本明細書に開示されるように、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、疾患及び障害の治療に使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示は、治療有効量の本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を個体に投与することを含む、がんを有する個体の治療方法を提供する。
【0332】
MerTKの異所性または発現は様々な腫瘍で観察されており、MerTKの過剰発現及び活性化は、リンパ性白血病、リンパ腫、腺腫、黒色腫、胃癌、前立腺癌、及び乳癌に関係しており、そしてMerTKの過剰発現は転移と関連している。(Schlegel et al,2013,J Clin Invest,123:2257-2267;Tworkoski et al,2013,Pigment Cell Melanoma,26:527-541;Yi et al,2017,Oncotarget,8:96656-96667;Linger et al,2013,Blood,122:1599-1609;Lee-Sherick et al,2013,Oncogene,32:5359-5368;Brandao et al,2013,Blood Cancer,3:e101;Xie et al,2015,Oncotarget,6:9206-9219;Shi et al,2018,J Hematology & Oncology,11:43)。したがって、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を用いてMerTKの活性を調節することは、がん治療の有効な手段である。
【0333】
特定の態様では、本明細書において、治療を必要とする対象におけるがんの治療方法を提供し、この方法は、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体、または本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象におけるがんの治療方法を提供し、この方法は、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を対象に投与することを含み、二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、食細胞によるエフェロサイトーシスを低減する。
【0334】
いくつかの実施形態では、がんは、肉腫、膀胱癌、乳癌、結腸癌、子宮体癌、腎臓癌、腎癌、白血病、肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、リンパ腫、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌、胃癌、甲状腺癌、子宮癌、肝臓癌、子宮頸癌、精巣癌、扁平上皮癌、神経膠腫、神経膠芽腫、腺腫、及び神経芽腫から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、多形神経膠芽腫、膀胱癌、及び食道癌から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、三種陰性乳癌である。いくつかの実施形態では、がんは、原発性腫瘍であってもよい。いくつかの実施形態では、がんは、上記がん種のいずれかに由来する、第2部位の転移性腫瘍であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、治療を必要とする対象におけるがんの治療に有用であり、その場合、がんはMerTKを発現している。
【0335】
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、チェックポイント阻害剤として作用する1つ以上の治療剤と併せて投与してもよい。いくつかの実施形態では、方法は、抑制性免疫チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を個体に投与し、及び/または別の標準的もしくは治験中の抗がん療法を実施することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抑制性チェックポイント分子は、PD1、PDL1、及びPD-L2から選択され、いくつかの実施形態では、抑制性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を、本開示の抗MerTK抗体と組み合わせて投与する。
【0336】
いくつかの実施形態では、抑制性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗PDL1抗体、抗PD-L2抗体、及び抗PD-1抗体から選択される。
【0337】
いくつかの実施形態では、対象または個体は哺乳類である。哺乳類には、限定されないが、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれる。いくつかの実施形態では、対象または個体はヒトである。
【0338】
IX. 製品
本明細書において、本明細書に記載の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体を含む製品(例えば、キット)を提供する。製品は、本明細書に記載の抗体を含む1つ以上の容器を含み得る。容器は、バイアル、ボトル、瓶、可撓性パッケージング(例えば、密封マイラーまたはプラスチック袋)などを含むが、これらに限定されない任意の好適なパッケージングであり得る。容器は、単位用量、バルク包装(例えば、複数回用量包装)または分割単位用量でもよい。
【0339】
いくつかの実施形態では、キットはさらに第2の剤を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の剤は、以下を含む、薬学的に許容される緩衝剤または希釈剤である。いくつかの実施形態では、第2の剤は、薬学的に活性な剤である。
【0340】
製品のいずれかのいくつかの実施形態では、製品は、本開示の方法に従って使用するための説明書をさらに含む。説明書は、一般に、目的の治療のための用量、投与計画、及び投与経路に関する情報を含む。いくつかの実施形態では、これらの説明書は、本開示の任意の方法に従って、疾患、障害、または損傷を有する個体を治療するための、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体)の投与の説明を含む。いくつかの実施形態では、説明書は、二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体及び第2の剤(例えば、第2の薬学的に活性な剤)を使用するための説明を含む。
【0341】
本開示は、以下の実施例を参照することによって、より十分に理解されるであろう。しかしながら、それらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示全体におけるすべての引用文献は、参照により本明細書に明示的に援用される。
【実施例
【0342】
実施例1:Hisとコンジュゲートされた及びマウスFcとコンジュゲートされた、MerTKポリペプチドの産生
本開示の抗MerTK抗体の生成及び特徴決定に使用するためのポリHisまたはTEVS/トロンビン/マウスIgG2a-Fcタグ付き融合タンパク質を含むヒト、カニクイザル、及びマウスMerTKポリペプチドを以下のように生成した。ヒトMerTK(配列番号2)、カニクイザルMerTK(配列番号3)、及びマウスMerTK(配列番号4)の細胞外領域(ECD)をコードする核酸を、異種シグナルペプチドをコードする核酸、及びポリHis FcタグまたはTEVS/トロンビン/マウスIgG2a Fcタグのいずれかを含む哺乳類発現ベクターにクローニングした。
【0343】
ヒトMerTK、ヒトMerTK細胞外ドメイン、カニクイザルMerTK細胞外ドメイン、及びマウスMerTK細胞外ドメインのアミノ酸配列を以下に記載する。
【0344】
ヒトMerTKアミノ酸配列(配列番号1):
mgpaplplllglflpalwrraiteareeakpyplfpgpfpgslqtdhtpllslphasgyqpalmfsptqpgrphtgnvaipqvtsveskplpplafkhtvghiilsehkgvkfncsisvpniyqdttiswwkdgkellgahhaitqfypddevtaiiasfsitsvqrsdngsyickmkinneeivsdpiyievqglphftkqpesmnvtrntafnltcqavgppepvnifwvqnssrvneqpekspsvltvpgltemavfsceahndkgltvskgvqinikaipspptevsirnstahsiliswvpgfdgyspfrncsiqvkeadplsngsvmifntsalphlyqikqlqalanysigvscmneigwsavspwilasttegapsvaplnvtvflnessdnvdirwmkpptkqqdgelvgyrishvwqsagiskelleevgqngsrarisvqvhnatctvriaavtrggvgpfsdpvkifipahgwvdyapsstpapgnadpvliifgcfcgfiliglilyislairkrvqetkfgnafteedselvvnyiakksfcrraieltlhslgvseelqnkledvvidrnllilgkilgegefgsvmegnlkqedgtslkvavktmkldnssqreieeflseaacmkdfshpnvirllgvciemssqgipkpmvilpfmkygdlhtyllysrletgpkhiplqtllkfmvdialgmeylsnrnflhrdlaarncmlrddmtvcvadfglskkiysgdyyrqgriakmpvkwiaiesladrvytsksdvwafgvtmweiatrgmtpypgvqnhemydyllhghrlkqpedcldelyeimyscwrtdpldrptfsvlrlqleklleslpdvrnqadviyvntqllesseglaqgstlapldlnidpdsiiasctpraaisvvtaevhdskphegryilnggseewedltsapsaavtaeknsvlpgerlvrngvswshssmlplgsslpdellfaddssegsevlm
【0345】
ヒトMerTK ECDアミノ酸配列(配列番号2):
MGPAPLPLLLGLFLPALWRRAITEAREEAKPYPLFPGPFPGSLQTDHTPLLSLPHASGYQPALMFSPTQPGRPHTGNVAIPQVTSVESKPLPPLAFKHTVGHIILSEHKGVKFNCSISVPNIYQDTTISWWKDGKELLGAHHAITQFYPDDEVTAIIASFSITSVQRSDNGSYICKMKINNEEIVSDPIYIEVQGLPHFTKQPESMNVTRNTAFNLTCQAVGPPEPVNIFWVQNSSRVNEQPEKSPSVLTVPGLTEMAVFSCEAHNDKGLTVSKGVQINIKAIPSPPTEVSIRNSTAHSILISWVPGFDGYSPFRNCSIQVKEADPLSNGSVMIFNTSALPHLYQIKQLQALANYSIGVSCMNEIGWSAVSPWILASTTEGAPSVAPLNVTVFLNESSDNVDIRWMKPPTKQQDGELVGYRISHVWQSAGISKELLEEVGQNGSRARISVQVHNATCTVRIAAVTRGGVGPFSDPVKIFIPAHGWVDYAPSSTPAPGNADPVLII
【0346】
カニクイザルMerTK ECDアミノ酸配列(配列番号3):
MGLAPLPLPLLLGLFLPALWSRAITEAREEAKPYPLFPGPLPGSLQTDHTSLLSLPHTSGYQPALMFSPTQPGRPYTGNVAIPRVTSAGSKLLPPLAFKHTVGHIILSEHKDVKFNCSISVPNIYQDTTISWWKDGKELLGAHHAITQFYPDDEVTAIIASFSITSVQRSDNGSYICKMKINNEEIVSDPIYIEVQGLPHFTKQPESMNVTRNTAFNLTCQAVGPPEPVNIFWVQNSSRVNEQPEKSPSVLTVPGLTEMAVFSCEAHNDKGLTVSKGVQINIKAIPSPPTEVSIHNSTAHSILISWVPGFDGYSPFRNCSVQVKEVDPLSNGSVMIFNTSASPHMYQIKQLQALANYSIGVSCMNEIGWSAVSPWILASTTEGAPSVAPLNVTVFLNESRDNVDIRWMKPLTKRQAGELVGYRISHVWQSAGISKELLEEVGQNNSRAQISVQVHNATCTVRIAAVTKGGVGPFSDPVKIFIPAHGWVDHAPSSTPAPGNADPVLII
【0347】
マウスMerTK ECDアミノ酸配列(配列番号4):
MVLAPLLLGLLLLPALWSGGTAEKWEETELDQLFSGPLPGRLPVNHRPFSAPHSSRDQLPPPQTGRSHPAHTAAPQVTSTASKLLPPVAFNHTIGHIVLSEHKNVKFNCSINIPNTYQETAGISWWKDGKELLGAHHSITQFYPDEEGVSIIALFSIASVQRSDNGSYFCKMKVNNREIVSDPIYVEVQGLPYFIKQPESVNVTRNTAFNLTCQAVGPPEPVNIFWVQNSSRVNEKPERSPSVLTVPGLTETAVFSCEAHNDKGLTVSKGVHINIKVIPSPPTEVHILNSTAHSILVSWVPGFDGYSPLQNCSIQVKEADRLSNGSVMVFNTSASPHLYEIQQLQALANYSIAVSCRNEIGWSAVSPWILASTTEGAPSVAPLNITVFLNESNNILDIRWTKPPIKRQDGELVGYRISHVWESAGTYKELSEEVSQNGSWAQIPVQIHNATCTVRIAAITKGGIGPFSEPVNIIIPEHSKVDYAPSSTPAPGNTDSM
【0348】
ヒト、カニクイザル、及びマウスMerTK核酸融合構築物を、HEK293細胞に一過性にトランスフェクトした。組換え融合ポリペプチドを、製造業者の指示に従ってMabselect樹脂(GE Healthcare、カタログ番号17519902)を使用して、細胞の上清から精製した。さらに、市販のDDDDKタグ付きヒトMerTK融合ポリペプチド(Sino Biological,Wayne,PA,カタログ番号10298-HCCH)またはヒトIgG1 Fcタグ付きマウスMerTK融合タンパク質(R&D systems,Minneapolis,MA,カタログ番号591-MR-100)を、以下に記載されるように抗MerTK抗体を特徴決定するためにも使用した。
【0349】
実施例2:ヒト及びマウスMerTK過剰発現CHO細胞株の生成
ヒトMerTK及びマウスMerTK過剰発現CHO細胞株を以下のように調製した。ヒトMerTK過剰発現CHO-K1及びマウスMerTK過剰発現CHO-K1の安定細胞株を調製するために、それぞれ、ヒトMerTKオープンリーディングフレーム(ORF)クローンのレンチウイルス粒子(カタログ番号RC215289L4V)、及びマウスMerTK ORFクローンのレンチウイルス粒子(カタログ番号MR225392L4V)(Origene,Rockville,MD)(双方ともmGFPタグ付き)を使用した。
【0350】
CHO細胞を、>80%のコンフルエントまで10%FBS(Gibco)を含有するF12-K培地(ATCC、カタログ番号ATCC 30-2004)中で培養した。次いで、細胞をトリプシン緩衝液(0.25%のEDTA/トリプシン、Gibco、カタログ番号25200056)で解離し、ヒトまたはマウスのMerTKレンチウイルス構築物のいずれかによる形質導入の24時間前に、6ウェルプレート内に70~80%の培養密度で播種した。翌日、細胞をレンチウイルス粒子と共に4℃で2時間インキュベートし、次いで、プレートを5%CO中、37℃でインキュベートした。2日後、ピューロマイシン(Invivogen,San Diego,CA,カタログ番号ant-pr-1)を選択のために添加し、選択されたピューロマイシン耐性細胞を、引き続き使用するためにCell Recovery Freezing Medium(Gibco,カタログ番号12648010)中で凍結させた。
【0351】
これらの細胞株のFACS分析のために、上記のように生成したヒトMerTK過剰発現CHO細胞(CHO-ヒトMerTK OE細胞)及びマウスMerTK過剰発現CHO細胞(CHO-マウスMerTK OE細胞)を、96ウェルUボトムプレート内に1~2×10細胞/ウェルで播種し、市販のマウス抗ヒトMerTKモノクローナル抗体(BioLegend,クローン:590H11G1E3、カタログ番号367608、San Diego,CA)または市販のラット抗マウスMerTKモノクローナル抗体(ThermoFisher,クローン:DS5MMER,カタログ番号12-5751-82)と共に、氷上で30分間インキュベートした。細胞を氷冷FACS緩衝液(2%のFBS+PBS)で2回濯ぎ、次いでAPCとコンジュゲートされたヤギ抗マウス抗体(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA,カタログ番号115-606-071)またはヤギ抗ラット抗体(Jackson ImmunoResearch,カタログ番号112-606-071)と共に氷上で30分間インキュベートした。二次抗体インキュベーションの後、細胞を氷冷FACS緩衝液で洗浄し、次いで0.25μl/ウェルのヨウ化プロピジウム(BD,カタログ番号556463)を含有する最終容量50~200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。FACS CantoIIシステム(BD Biosciences)を使用して分析を実施した。
【0352】
得られたヒトMerTK及びマウスMerTK過剰発現(OE)CHO細胞株を、以下に記載するように抗MerTK抗体を特徴決定するための後続の試験に使用した。
【0353】
実施例3:抗MerTKハイブリドーマ抗体の生成
抗MerTKハイブリドーマを生成するために、以下の実験を行った。BALB/cマウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)またはMerTKノックアウト(KO)マウス(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)を、アジュバントの存在下または非存在下で、ヒト、カニクイザル、及びマウスMerTKの精製細胞外ドメインポリペプチド(上記の実施例1で得られたもの)の皮下または腹腔内注射により週2回免疫した。計8回の注射を4週間にわたって実施した。最終注射の3日後に、ハイブリドーマ細胞株を生成するためにマウスから脾臓及びリンパ節を採取した。
【0354】
免疫したマウスの脾臓及びリンパ節からリンパ球を単離し、次いでエレクトロフュージョン(Hybrimmune,BTX,Holliston,MA)を介してP3X63Ag8.653(CRL-1580,American Type Culture Collection,Rockville,MD)またはSP2/mIL-6(CRL-2016,American Type Culture Collection,Rockville,MD)マウスミエローマ細胞と融合させ、37℃、5%COにて、Clonacell-HY Medium C(STEMCELL Technologies,Vancouver,BC,Canada,カタログ番号03803)中で一晩インキュベートした。翌日、融合細胞を遠心分離し、抗マウスIgG Fc-FITC(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)で10mlのClonaCell-HY Medium Cに再懸濁し、次いでHAT成分を含有する90mlのメチルセルロース系ClonaCell-HY Medium D(STEMCELL Technologies,カタログ番号03804)と穏やかに混合した。細胞をNunc OmniTray(Thermo Fisher Scientific,Rochster,NY)に播種し、37℃、5%COにて7日間にわたって増殖させた。次いで、蛍光コロニーを選択し、Clonelpix 2(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用してClonacell-HY Medium E(STEMCELL Technologies,カタログ番号03805)を含有する96ウェルプレートに移した。培養6日後、以下に記載するようにヒトMerTKまたはマウスMerTKへの結合特異性について、ハイブリドーマ由来の組織培養上清をFACS分析によりスクリーニングした。
【0355】
実施例4:FACSによる抗MerTK抗体ハイブリドーマ上清のスクリーニング
上記のようにして得られたハイブリドーマ培養上清を、ヒトMerTKを安定に過剰発現するCHO細胞(CHO-ヒトMerTK OE細胞)またはマウスMerTKを安定に過剰発現するCHO細胞(CHO-マウスMerTK OE細胞)(上記のように生成した)、及びCHO親細胞;U937細胞(ATCC CRL-1593.2)、SK-MEL-5細胞(ATCC HTB-70)(ヒトMerTKを内在的に発現する)、J774A.1細胞(ATCC TIB-67)(マウスMerTKを内在的に発現する)、及びA375細胞(ATCC CRL-1619)を含む様々な細胞型上のMerTKに結合する能力についてスクリーニングした。MerTKの発現を示さないかまたは最小限しか示さないTHP-1細胞(ATCC TIB-202)は、これらの実験においてMerTKを発現しない陰性対照細胞として機能した。
【0356】
ハイブリドーマ細胞培養上清のスクリーニングのために、多重FACS実験設計を利用して、これらの多重細胞株への抗MerTK抗体の結合を測定した。簡潔に述べると、細胞を、CellTrace細胞増殖色素CFSE及びViolet(それぞれ、ThermoFisher、カタログ番号C34554及びカタログ番号34557)の様々な濃度及び組合せで染色して、一意的なバーコード付き細胞集団を作製した。各バーコード付き細胞型の細胞70,000個を96ウェルU底プレートにアリコートし、ハイブリドーマ細胞培養上清50μlまたは5μg/mlの市販の精製マウス抗ヒトMerTKモノクローナル抗体(BioLegend,カタログ番号367602;陽性抗MerTK抗体として役立つ)と共に氷上で30分間インキュベートした。この一次抗MerTKハイブリドーマ上清を様々なMerTK発現細胞型と共にインキュベートした後、上清を遠心分離により除去し、175μlの氷冷FACS緩衝液(PBS+1%FBS+2mM EDTA)で2回洗浄し、次いで抗マウスIgG Fc-アロフィコシアニン(APC)(Jackson Labs,カタログ番号115-136-071)(希釈1:1000)と共に、氷上で20分間、さらにインキュベートした。この二次抗体インキュベーションの後、細胞を再度氷冷FACS緩衝液で2回洗浄し、0.25μl/ウェルのヨウ化プロピジウム(BD Biosciences,カタログ番号556463)を含有する最終容量30μlのFACS緩衝液に再懸濁した。FACS Cantoシステム(BD Biosciences)を使用して細胞への結合強度を分析し、ソーティングゲートを抜き出して、死(すなわち、ヨウ化プロピジウム陽性)細胞を除外した。各バーコード付き細胞集団に対するAPC平均蛍光強度(MFI)の比を、試験した抗MerTKハイブリドーマ上清ごとに測定した。
【0357】
この特異的なハイブリドーマ上清スクリーニングから、ヒトまたはマウスMerTKを安定に過剰発現するまたは内在的に発現する細胞への結合(MFIにより測定)において、親または陰性対照の細胞型で観察される結合と比較して2倍超の差を示す抗MerTKハイブリドーマクローンを同定した。このスクリーニングを用いて同定された抗MerTK抗体について、さらに以下に記載するように特徴決定した。
【0358】
実施例5:組換えMerTKタンパク質結合アッセイによる抗MerTK抗体ハイブリドーマ上清のスクリーニング
上記のようにして得られたハイブリドーマ培養上清を、無関係なHisタグ付き対照タンパク質への結合と比較して、ポリHisタグ付きのヒト、カニクイザル、及びマウスMerTK(実施例1において、上記のように調製した)に結合するそれらの能力についてスクリーニングした。簡潔に述べると、96ウェルポリスチレンプレートを、コーティング緩衝液(0.05Mカーボネート緩衝液,pH9.6,Sigma,カタログ番号C3041)中の1μg/mlのヒト、カニクイザル、またはマウスポリHisタグ付きMerTKポリペプチドと共に4℃で一晩コーティングした。次いで、コーティングしたプレートをELISA希釈剤(PBS+0.5%BSA+0.05%Tween20)で1時間ブロッキングし、300μlのPBST(PBS+0.05%Tween20,Thermo28352)で3回洗浄した。ハイブリドーマ細胞培養上清または2つの市販の精製マウス抗ヒトMerTKモノクローナル抗体(BioLegend カタログ番号367602;R&Dカタログ番号MAB8912)を各ウェルに添加した(50μl/ウェル)。30分間のインキュベーション(室温、振盪)後、プレートを300μlのPBSTで3回洗浄した。抗マウスIgG Fc-HRP(Jackson Immunoresearch,カタログ番号115-035-071)二次抗体をELISA希釈液で1:5000に希釈し、各ウェルに50μl/ウェルで添加し、振盪しながら室温で30分間インキュベートした。最後の一連の洗浄(PBST中3×300μl)の後に、50μl/ウェルのTMB基質(BioFx,カタログ番号TMBW-1000-01)をウェルに添加した。次いで、5~10分後に50μl/ウェルの停止液(BioFx,カタログ番号BSTP-1000-01)で反応をクエンチした。クエンチした反応ウェルを、GEN5 2.04ソフトウェアを用いたBioTek Synergy Microplate Readerで650nmでの吸光度について検出した。このハイブリドーマ上清スクリーニングから、バックグラウンドに対して組換えMerTKとの結合に10倍超の差を示す抗MerTKハイブリドーマクローンを同定した。このスクリーニングを用いて同定された抗MerTK抗体について、さらに以下に記載するように特徴決定した。
【0359】
実施例6:抗MerTK抗体の分子クローニング
上記のハイブリドーマ由来の抗MerTK抗体を以下のようにサブクローニングした。5x10ハイブリドーマ細胞を採取し、PBSで洗浄し、次いで細胞ペレットをドライアイス中でフラッシュ凍結し、-20℃で保存した。RNeasy Mini Kit(QIAGEN,カタログ番号74104)を使用して、製造業者のプロトコルに従って全RNAを抽出した。ClontechのSMARTer RACE 5’/3’キット(Takara Bio USA,カタログ番号634859)を使用して、製造業者のプロトコルに従ってcDNAを生成した。可変重鎖及び軽鎖の免疫グロブリン領域を、RACEキットに付属の5’UPMプライマーと、重鎖及び軽鎖定常領域を認識するリバースプライマーとを使用したタッチダウンPCRによって個別にクローニングした。得られたPCR産物を精製し、pCR2.1-TOPOクローニングベクター(TOPO TAクローニングキット,Invitrogenカタログ番号450641)にライゲートし、大腸菌(Escherichia coli;E.coli)細胞に形質転換した。形質転換コロニーを単離し、それぞれの対応するハイブリドーマ細胞株について、可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)の核酸を配列決定した。配列決定に続いて、可変重鎖領域及び可変軽鎖領域を、エンドヌクレアーゼ制限酵素部位を含むプライマーを用いたPCRにより増幅し、次いでヒトIgG1-Fc-LALAPS(EU付番に従うアミノ酸置換L234A、L235A、及びP331Sを含むヒトIgG1 Fc)およびIgGκをコードするpLEV-123(LakePharma,San Carlos,CA)哺乳類発現ベクターにサブクローニングした。上記のように得られる本開示の抗MerTK抗体としては、抗MerTK抗体MTK-16、MTK-33、及びMTK-15が挙げられる。
【0360】
実施例7:マウス抗MERTK抗体のヒト化及び親和性成熟
本開示の特定の親マウス抗MerTK抗体のヒト化バリアントを以下のように生成した。
【0361】
非ヒト抗体をヒト化する方法のうちの1つは、非ヒト(例えば、マウス)抗体由来のCDRをヒト抗体アクセプターフレームワークに移植することである。そのようなCDR移植は、そのフレームワークにおける擾乱に起因して、その標的に対するヒト化抗体の親和性が減弱するかまたは完全に失われる場合がある。その結果、ヒト化の結果として減弱または失われた親和性を回復するためには、ヒトフレームワーク内の特定のアミノ酸残基を、マウス抗体フレームワークの対応する位置にあるアミノ酸残基で置き換える必要がある(逆変異と呼ばれる)。したがって、選択されたヒト抗体生殖細胞系列アクセプターフレームワークに関して置換されるべきアミノ酸残基は、ヒト化抗体が機能及びパラトープを実質的に保持するように決定されなければならない。さらに、熱安定性及び溶解性の保持または改善が、良好な生産性及び下流の開発のためには望ましい。
【0362】
簡潔に述べると、ヒト化しようとするマウス抗MerTKモノクローナル抗体のVH及びVLアミノ酸配列を、IMGT(http://www.imgt.org/)から取得したヒトVL、VH、LJ、及びHJ機能的生殖細胞系列アミノ酸配列と比較した。偽遺伝子及びオープンリーディングフレームをこれらの解析から除外した。マウスモノクローナル抗体(クエリ)1つあたり、最も類似したVHのうちの1つまたは2つ、及び最も類似したVLゲノム配列のうちの1つを選択し、最も類似したVJ及びHJ遺伝子と組み合わせて、1つまたは2つのヒト化アミノ酸配列を生成した。ヒトフレームワークに移植されるべきCDRをAbM定義に従って定義した。
【0363】
クエリ及びヒト化アミノ酸配列を使用して、MOE(Molecular Operating Environment,Chemical Computing Group,Montreal,Canada)のBioMOEモジュールまたはAntibody Modelerモジュールを使用してFv相同性モデルを作製した。抗体ホモロジーモデリングプロセス全体を通したエネルギー最小化のために、AMBER10:EHT力場分析を使用した。得られたFv相同性モデルに基づいて、VLとVHとの間の相互作用エネルギー、座標ベース等電点(3D pI)、疎水性パッチ、及び荷電表面積などの分子記述子を、MOEによって提供されるスコアリング測定基準によって計算、分析及び分類した。これらの分子記述子を、タンパク質の発現、精製、結合親和性試験、及び機能的アッセイを含む、下流の実験手順に関して、ヒト化モノクローナル抗体の優先順位を付けるために利用した。
【0364】
MOEのBioMOEモジュールは、逆変異の可能性のある残基を可視化及び分類するためのツールであるMutation Site Propertiesを提供する。これに関して、逆変異は、元のクエリアミノ酸配列に戻すようなアミノ酸置換と定義され、それによりヒト化アミノ酸配列を置き換える。このツールを用いて、元のクエリ(参照)を、3D Fvホモロジーモデルの第一級アミノ酸配列及び3D構造の両方について選択されたヒト化バリアントと個々に比較した。
【0365】
参照(すなわち、親)抗体とヒト化バリアントとの間の変化を、アミノ酸の種類の違い、CDR残基との相互作用ポテンシャル、VL/VH対合に対する衝突ポテンシャル、及びCDR内及びCDR近位の疎水性及び荷電表面積のポテンシャル変化に基づいて分類した。
【0366】
有意な電荷差を有するかまたは強いH結合相互作用を含むCDRまたはVL/VH界面付近の変異を個々に評価し、有意に妨害する変異を元のクエリ残基に戻した。
【0367】
ヒト化抗MerTK抗体MTK-33及びMTK-16の親和性成熟を実施した。簡潔に述べると、重鎖または軽鎖中の特定のアミノ酸残基を選択的に変異誘発し、結合が改善されたバリアントを、スクリーニングの追加ラウンドによって選択した。このプロセスは、特異性、種の交差反応性、及び開発特性を同時に改善した。本明細書に記載の親和性成熟抗MerTK抗体の特徴決定には、Carterra LSA上のSPR親和性測定とヒトマクロファージ上のエフェロサイトーシス遮断アッセイが含まれていた。複数回の親和性成熟の後に、所望の親和性を有する抗MerTK抗体が得られた。
【0368】
本開示の抗MerTK抗体の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)のアミノ酸配列を、以下の表1に示す。表1では、親マウス抗MerTK抗体には、MTK-15、MTK-16、及びMTK-33が含まれ、MTK-16及びMTK-33のヒト化及び親和性成熟バリアントは、それぞれ、MTK-16.2及びMTK-33.11である。表1では、各抗体鎖における超可変領域(HVR)に下線を引いている。
【0369】
(表1)
【0370】
実施例8:本開示の抗MerTK抗体及び二重特異性抗体構築物において使用するための様々なFc領域を含む抗PDL1抗体
様々なIgG Fc領域:野生型ヒトIgG1、LALAPS改変を含むヒトIgG1(L234A、L235A、P331S;EU付番)、NSLFを含むヒトIgG1(N325S、L328F;EU付番)、及び野生型ヒトIgG4に重鎖抗体可変配列を導入した。ヒトIgG軽鎖定常領域に軽鎖抗体可変配列を導入した。得られた抗MerTk抗体配列を、以下の表2に示す。
【0371】
(表2)
【0372】
上記の表2はまた、ヒトIgG1 Fc野生型、ヒトIgG1 Fc LALAPS、ヒトIgG1 Fc NSLF、ヒトIgG4、及びヒトIgG軽鎖をそれぞれ含む抗PDL1抗体アテゾリズマブ由来の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗PDL1抗体のアミノ酸配列も含む。
【0373】
実施例9:抗MerTK抗体の産生
抗MerTKハイブリドーマクローンを無血清ハイブリドーマ培地中で培養し、上清中の抗MerTK抗体を、Hamilton STARプラットフォーム(Hamilton Company,Reno,NV)上で、プロテインAチップ(Phynexus Inc,San Jose,CA)を用いて精製した。また、ヒトFcドメインを含むキメラ抗体(上記のLALAPSアミノ酸置換を含むヒトIgG1)を産生するために、ハイブリドーマから得られた可変遺伝子領域を、組換え発現プラスミドへ直接クローニングすることによって、抗MerTK抗体を産生した。Tuna293(商標)Process(LakePharma,San Carlos,CA)を使用して、HEK293細胞を振盪フラスコに播種し、無血清の化学的に定義された培地を使用して増殖させた。発現プラスミドを細胞に一過性にトランスフェクトし、7日後に培養上清を回収した。遠心分離及び濾過による清澄化後、上清中の抗MerTK抗体をプロテインAクロマトグラフィーにより精製した。
【0374】
実施例10:二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体配列
表3は、Fc領域のヘテロ二量体化に関連して、重鎖抗MerTK抗体配列のFc領域に「ノブ」アミノ酸改変を含み、かつ重鎖抗PDL1アミノ酸配列のFc領域に「ホール」アミノ酸改変を含む、本開示の様々な抗MerTK:抗PDL1二重特異性抗体のアミノ酸配列を示す。表3では、「ノブ」配置に関するIgG1及びIgG4 Fc領域改変は、アミノ酸置換T366W(EU付番)を含み、「ホール」配置は、アミノ酸置換T366S、L368A、及びY407Vを含む。特定のIgG4配置には、Fabアーム交換を防ぐためのアミノ酸置換S228P(EU付番)を含むFc領域ヒンジ改変も含まれる(Silva et al,(2015),J Biol Chem,290:5462-5469を参照のこと)。具体的には、ヒトIgG4の野生型ヒンジ領域は、アミノ酸配列
を含み、一方、IgG4ヒンジ領域のS228Pアミノ酸置換は、アミノ酸配列
を含む。
【0375】
(表3)
【0376】
(表4)
【0377】
実施例11:CHO-ヒトMerTK OE細胞、CHO-ヒトPDL1 OE細胞、及びM2c分化ヒトマクロファージに対する二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の結合活性
本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体が異なる細胞型に結合するかどうかを判定するために、以下の実験を行った。これらの試験で使用した細胞は、ヒトMerTK過剰発現CHO細胞(CHO-ヒトMerTK OE細胞)、ヒトPDL1過剰発現CHO細胞(CHO-ヒトPDL1 OE細胞)、及びM2c分化ヒトマクロファージを含んでいた。
【0378】
ヒトマクロファージをヒトM-CSFの存在下で7日間ヒト単球から分化させ、M2c分化ヒトマクロファージを得た。7日後に、分化ヒトマクロファージを回収し(掻き取ることにより)、PBSに再懸濁し、使用するために96ウェルプレート上に播種した。ヒトMerTK(CHO-ヒトMerTK OE)過剰発現CHO細胞、ヒトPDL1(CHO-ヒトPDL1 OE)過剰発現CHO細胞、及びM2c分化ヒトマクロファージを、Dylight650とコンジュゲートされた二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体、または二価抗MerTK抗体で氷上30分間染色した。これらの試験では、様々な抗体濃度を使用して結合曲線を得た。これらの試験における被験抗体はすべて、LALAPS変異を含むFc領域を有するIgG1であった。細胞を固定し、次いでBD FACS Canto IIサイトメーターで取得した。FlowJoソフトウェアを使用して平均蛍光強度(MFI)を計算し、Prismソフトウェアを使用してKd値を計算した。これらの結果におけるKd値は、EC50値と同様であったが、FACS分析によって生成されたデータからPrismソフトウェアによって計算された。Kd値の低下は、細胞への抗体の結合の増加を反映する。
【0379】
図1Aは、二重特異性抗MerTKであるMTK-16.2:抗PDL1抗体、二重特異性抗MerTKであるMTK-33.11:抗PDL1抗体、二価抗MerTK抗体MTK-16.2(全長IgG)、二価抗MerTK抗体MTK33.11(全長IgG)、一価抗PDL 1抗体、及びIgG1-Fc LALAPS対照抗体の、CHO-ヒトPDL1 OE細胞に対する結合曲線を示す。
【0380】
図1Bは、二重特異性抗MerTKであるMTK-16.2:抗PDL1抗体、二重特異性抗MerTKであるMTK-33.11:抗PDL1抗体、二価抗MerTK抗体MTK-16.2、二価抗MerTK抗体MTK33.11、及び一価(モノアーム)抗PDL1抗体の、CHO-ヒトMerTK OE細胞に対する結合曲線を示す。
【0381】
図1Aに示すように、二重特異性抗MerTKであるMTK-16.2:抗PDL1抗体、及び二重特異性抗MerTKであるMTK-33.11:抗PDL1抗体は、ヒトPDL1過剰発現CHO細胞に対して同様の結合を示した。さらに、これらの2つの二重特異性抗体は、抗PDL1抗体の一価(モノアーム)配置としてヒトPDL1発現CHO細胞に対して同様の結合を示した。これらのデータは、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体が、細胞内で発現させたヒトPDL1に結合するそれらの能力を維持することを示している。
【0382】
図1Bに示すように、二重特異性抗MerTK-MTK-33.11:抗PDL1抗体は、ヒトMerTK過剰発現CHO細胞に、二価(全長IgG)抗MerTK抗体MTK-33.11で観察された結合と同程度に結合した。さらに、二重特異性抗MerTK-MTK-16.2:抗PDL1抗体は、二価(全長IgG)抗MerTK抗体MTK-16.2で観察される結合と同程度にヒトMerTK過剰発現CHO細胞に結合した。予想通り、一価(モノアーム)抗PDL1抗体は、ヒトMerTK過剰発現CHO細胞への結合を示さなかった。
【0383】
図1Cは、M2c分化ヒトマクロファージにおける本開示の二重特異性抗体の結合を示す。
【0384】
以下の表5は、FACS分析から得られたKd値(nM)をまとめたものである。図1A及び図1Bならびに表5に示すように、一価抗MerTK抗体MTK-16.2及び二価抗MerTK抗体MTK-16.2の双方が、およそ40~43nMの範囲内の同様の親和性でCHO-ヒトMerTK OE細胞に結合することを示した。一価抗MerTK抗体MTK-16.2及び二価抗MerTK抗体MTK-16.2は、本アッセイによる測定でそれぞれおよそ78nM及び52nMの親和性でM2c分化ヒトマクロファージに匹敵する結合を示した。これらの結果は、抗MerTK抗体MTK-16.2が、抗体が有する結合アームが1本であるか2本であるかに関わらず、同様の親和性でMerTKに結合することを示した。
【0385】
二価の抗MerTK抗体MTK-33.11は、一価の抗MerTK抗体MTK-33.11と比較して、CHO-ヒトMerTK OE細胞及びM2c分化ヒトマクロファージの双方に対して高い結合親和性を示し、その一価形態と比較して、CHO-ヒトMerTK OE細胞に対しておよそ10倍高い親和性、及びM2c分化ヒトマクロファージに対しておよそ5倍高い親和性を示す。予想通り、対照抗体である一価抗PDL1は、CHO-ヒトMerTK OE細胞への結合を示さなかったが、M2c分化ヒトマクロファージには結合した。
【0386】
(表5)
【0387】
一価抗PDL1抗体及び二重特異性抗体は、同様のKd値でCHO-ヒトPDL1 OE細胞に結合した。興味深いことに、二重特異性抗MerTK抗体MTK-16.2:抗PDL1は、M2c分化ヒトマクロファージに対して、一価抗MerTK抗体MTK-16.2または二価抗MerTK抗体MTK-16.2よりも強い結合活性を示し、二重特異性抗MerTK抗体MTK-16.2:抗PDL1が、MerTK及びPDL1を介してヒトマクロファージに対して相乗的に結合し得ることが示唆された。この結果はさらに、二重特異性抗MerTK抗体MTK-33.11:抗PDL1が、MerTKに対する親和性が比較的強いために、結合に関して二価性により依存的である一方で、二重特異性抗MerTK抗体MTK-16.2:抗PDL1の結合は、MerTKに対するその親和性が弱いために、PDL1結合に依存し得ることを示唆した。
【0388】
実施例12:二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体によるエフェロサイトーシスの低減
食細胞(例えば、ヒトマクロファージ)によるエフェロサイトーシスを低減するための本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の能力を、以下のように評価した。上記のように、ヒトマクロファージをヒトM-CSFの存在下で7日間ヒト単球から分化させ、M2c分化ヒトマクロファージを得た。7日後に、M2c分化ヒトマクロファージを回収し(掻き取ることにより)、PBSに再懸濁し、96ウェルプレート上に播種した。エフェロサイトーシスのIC50を測定するために、細胞を1時間飢餓状態とし、続いて37℃で30分間にわたり各ウェルに抗MerTK抗体を添加した。
【0389】
Jurkat細胞を1μMスタウロスポリン(SigmaAldrich)で37℃にて3時間処理し(アポトーシスを誘導するために)、室温で30分間、pHrodo(ThermoFisher)で標識した。PBSで洗浄後、ヒトマクロファージを1:4の比率(1個のマクロファージ:4個のJurkat細胞)で含有する各ウェルに、pHrodo標識Jurkat細胞を1時間添加した。これらのプレートをPBSで洗浄し、次いで細胞を、APCとコンジュゲートされた抗ヒトCD14と共に暗所にて氷上で30分間染色した。細胞を固定し、次いでBD FACS Canto IIサイトメーターで取得した。FlowJoソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0390】
これらの実験では、pHrodo CD14二重陽性細胞を分析ゲートとして設定し、次いでこの正確なゲートをすべての試料に適用することによって、エフェロサイトーシス陽性マクロファージを同定した。培地のみを用いて培養したマクロファージを使用してベースラインのエフェロサイトーシスのレベルを確認し、これを100%のエフェロサイトーシス活性に設定した。相対的なエフェロサイトーシスのレベルを、抗MerTK抗体で処理した細胞において観察されたエフェロサイトーシスに対する、培地のみで処理した細胞において観察されたエフェロサイトーシスの百分率として計算した。これらの試験の結果を、図2及び以下の表6に示す。
【0391】
(表6)
【0392】
表6に示すように、本開示の一価抗MerTK抗体は、一価抗MerTK抗体MTK-33.11及びMTK-16.2について、それぞれおよそ4.4nM及び37.9nMのIC50でM2c分化ヒトマクロファージによるエフェロサイトーシスを遮断することができた。これらのデータからは、一価抗MerTK抗体MTK-16.2及びMTK-33.11が、それらの二価抗体と比較して比較的弱いエフェロサイトーシス低減活性を示し、二価抗MTK-33.11抗体が、0.341nMのIC50値を示した一方で、一価抗MerTK抗体MTK-33.11が、約4.4MのIC50値を有し、さらに二価抗MTK-16.2抗体が、0.436nMのIC50値を有していた一方で、一価抗MerTK抗体MTK-16.2が、37.86nMのIC50値を有していたことも示された。一価の抗PDL1抗体は、エフェロサイトーシスの抑制活性を示さなかった(図2を参照のこと)。
【0393】
これらのデータからは、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体が、食細胞によるエフェロサイトーシスを低減するのに有効であることが示された。
【0394】
実施例13:二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体のpAKT活性
MerTKリガンドGas6の非存在下または存在下でpAKTシグナル伝達を増加または減少させるための本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の能力を以下のように調べた。(上記のように生成された)M2c分化ヒトマクロファージを、様々な抗MerTK抗体(10μg/ml)で37℃にて30分間処理し、続いて200nMの組換えヒトGas6またはPBSを添加した。さらに30分間のインキュベーション後、細胞を溶解させ、均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイを用いて、細胞内でのpAKTレベルについて、全AKTと比較して分析した。pAKTシグナルを全AKTシグナルに対して正規化することにより、最終的なpAKT活性測定を定量化した。これらの試験の結果を、図3及び表7に示す。図4は、ヒトGas6の非存在下でのpAKT活性の倍率変化を示す。
【0395】
(表7)
【0396】
図3及び表7に示すように、一価の抗MerTK抗体MTK-16.2及びMTK-33.11は、MerTKリガンドGas6の非存在下で、pAKT/tAKTにおいて、二価の同抗体と比較してより低い倍率変化を示した。このデータからは、本開示の一価の抗MerTK抗体が、MerTKリガンドGas6(例えば、リガンド非依存的pAKT活性)の非存在下で、ヒトマクロファージ中のpAKTレベルを増加させる場合に、本開示の二価の抗MerTK抗体によって観察される有効性と比較して、有効性がより低いことが示された。抗MerTK抗体MTK-15は、pAKT活性の増大に有効な陽性対照抗体として使用した。抗MerTK抗体投与と関連するpAKT活性がより少ないことが望ましい場合があることから、これらのデータからは、二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の使用が、治療環境において二価抗MerTK抗体と二価抗PDL1抗体の組み合わせを使用することと比較して、より安全な毒性を提供し得ることが示唆された。
【0397】
上述したように、Gas6は、MerTKに対するリガンドであり、MerTKとの相互作用に基づいてpAKT活性化を増加させる。本試験ではまた、MerTKリガンドGas6の存在下でのpAKTに対する本開示の一価対二価抗MerTK抗体の効果も比較した。以下の表8に、本開示の一価及び二価の抗MerTK抗体によるヒトGas6を介したpAKT低減活性のIC50値を示す。表8に示すように、一価の抗MerTK抗体MTK-16.2及びMTK-33.11は、Gas6の存在下でpAKT活性に影響を及ぼす際に、それらの二価の同抗体に比べてより高いIC50値を示した。一価抗MerTK抗体MTK-16.2及びMTK-33.11は、このアッセイで測定した場合に、およそ15.35nM~17.85nMの範囲のIC50値でヒトGas6媒介(例えば、リガンド依存性)pAKT活性を低下させた一方で、本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体は、およそ12.26nM~9.027nMの範囲のIC50値でリガンド依存性pAKT活性を低下させた。これらのデータからは、本開示の二価抗MerTK抗体が、一価及び二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体と比較して、Gas6媒介pAKT活性をより効果的に低減することが示された。
【0398】
(表8)
【0399】
実施例14:二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の結合速度
本開示の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体のヒト、カニクイザル、及びマウスMerTKへの結合速度を、Carterra LSA機器を使用して評価した。簡潔に述べると、10mMの酢酸塩、pH4.25(Carterra)中で10μg/mlまで希釈することによって、抗MerTK抗体を調製した。HC30センサチップ(Carterra)を、100mM MES pH5.5、100mM スルホ-NHS、400mM EDCの1:1:1混合物(すべて、MES pH5.5で再構成し、ランニングアッセイ直前に各100μlをバイアル中で混合)の7分間注入によってシングルチャネルフローセルを使用して活性化した。マルチチャネルアレイフローセルに切り替えた後、活性化されたチップ上で抗体を96スポットアレイに15分間注入した。チップの第2のブロックに抗体を2つ組で注入し、前述のようにスポットした。次いで、シングルチャネルフローセルを用いて1MエタノールアミンpH8.5(Carterra)を7分間注入することにより、チップ上の残りの非コンジュゲート活性基をブロックした。
【0400】
0.5mg/mlのBSA(Sigma)を含むランニング緩衝液(HBS-TE,Carterra)でプライミングした後に、固定化された抗MerTK抗体を、上記のヒト、カニクイザル、及びマウスオーソログを含むいくつかの形態の組換えMerTK細胞外ドメインに結合する能力について試験した。親和性の推定は、シングルチャネルフローセルを使用して抗体アレイ全体にわたって各分析物を注入することによって生成した。MerTK分析物(ヒトMerTK 1.2mM~4.9nM;カニクイザル及びマウスMerTK 3~1.2nM)の6つの3倍連続希釈物をランニング緩衝液中で調製し、最低濃度から最高濃度まで連続して300秒間にわたって注入した。10mMグリシンpH2.5を2×30秒間、それぞれ注入した後、再生させる前に解離を300秒間追跡した。各シリーズ間で3つのバッファーブランクを実行した(シリーズごとに1種)。MerTKの3種すべての濃度を注入した後、3種すべての各濃度が間隔をあけて2回ずつ注入されるように2回の注入セットを実施した。データを処理し、NextGenKIT高スループット速度分析ソフトウェア(Carterra)を使用して分析した。すべての試料について2回の注入はほぼ完全に重なったが、これは実験中に表面が劣化しなかったことを示している。
【0401】
次いで、本開示の抗MerTK抗体について、フィッティングした結合速度定数及び解離速度定数(k-on及びk-off)から平衡解離定数(K)を計算した。一般に、抗体の結合特性は複雑であり、1:1モデルに理想的にフィットしなかったため、K値を、以下の表9にまとめるが、これは抗体と抗原の間の比較のための推定値を表す。
【0402】
(表9)
【0403】
表9に示すように、試験した一価または二価の抗MerTK抗体について、親和性の差は観察されなかったが、これは、一価及び二価の抗MerTK抗体が一価の結合特性を維持することを示している。
【0404】
実施例15:MC38マウス腫瘍モデルにおける二価抗MerTK抗体治療の効果
本開示の二価抗MerTK抗体がin vivoでMC38腫瘍増殖を遅延させる能力を以下のように調べた。MC38細胞を、ヒトMerTKノックイン(KI)マウスに皮下移植した。腫瘍サイズがおよそ80~100mmの容量に達した時点で、10mg/kgの二価抗MerTK抗体MTK-33.11+3mg/kgの二価抗PDL1抗体、二価抗MerTK抗体MTK-16.2+3mg/kgの二価抗PDL1抗体、3mg/kgの抗PDL1のみ、または10mg/kgの対照抗体で、週2回、3週間にわたってマウスを処置した。腫瘍体積を週3回測定した。
【0405】
図5は、二価抗PDL1抗体と、二価抗MerTK MTK-33.11抗体または二価抗MerTK抗体MTK-16.2のいずれかとの併用により、マウスにおける腫瘍成長速度(経時的な腫瘍体積の変化によって測定される)が、二価抗PDL1抗体のみで処置したマウスで観察された速度と比較して、より低下したことを示している。図6は、各群(対照抗体、二価抗PDL1抗体、二価抗PLD1抗体+二価抗MerTK抗体MTK-33.11、及び二価抗PLD1抗体+二価抗MerTK抗体MTK-16.2)の個々のマウスの腫瘍成長を示す。これらの結果は、二価抗PDL1抗体と組み合わせた本開示の二価抗MerTK抗体が、腫瘍成長の抑制において、二価抗PLD1抗体のみで観察される抑制と比較してより効果的であることを示している。
【0406】
実施例16:特定の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体の構成
以下の表10及び表11は、本開示の特定の二価抗MerTK:抗PDL1抗体の構成を示す。
【0407】
(表10)
【0408】
(表11)
【0409】
以下の表12及び表13は、抗MerTK重鎖アームのFc領域内に重鎖「ノブ」アミノ酸置換を含み、抗PDL1重鎖アームのFc領域内に重鎖「ホール」アミノ酸置換を含む、特定の二重特異性抗MerTK:抗PDL1抗体構成を示す。
【0410】
(表12)
【0411】
(表13)
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2024527262000001.app
【国際調査報告】