(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】トランスジェニックマウス系統の方法および使用
(51)【国際特許分類】
A01K 67/0275 20240101AFI20240717BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240717BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240717BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240717BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240717BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A01K67/0275 ZNA
C12N15/09 Z
C12N5/10
C12Q1/02
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578878
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022034294
(87)【国際公開番号】W WO2022271664
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516008497
【氏名又は名称】フジフイルム アーバイン サイエンティフィック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 久美
(72)【発明者】
【氏名】トラン,アン チウ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2G045AA29
2G045BA13
2G045BB20
2G045DA36
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QR90
4B063QX01
4B063QX02
4B065AA93X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA46
(57)【要約】
本明細書で開示されるのは、特定の実施形態において、転写制御下でOCT4を含む融合タンパク質を発現するトランスジェニックマウスである。一部の実施形態において、また本明細書で開示されるのは、トランスジェニックマウスから得られた胚、幹細胞、および生殖系列細胞を含む。追加の実施形態において、本明細書で開示されるのは、トランスジェニックマウスを生成する方法、およびトランスジェニックマウスから得られた胚を使用して生成物を評価する方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写制御下における八量体結合転写因子4(OCT4)を含む融合タンパク質の安定な発現を含むトランスジェニックマウスであって、前記融合タンパク質の遺伝子発現は、生殖系列DNAを介して安定して受け継がれる、トランスジェニックマウス。
【請求項2】
前記融合タンパク質が、蛍光タグの付いたOCT4である、請求項1に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項3】
前記蛍光タグが、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)から選択される蛍光タンパク質である、請求項1または2に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項4】
前記蛍光タンパク質が、任意選択でA206K変異を含む、GFPまたは増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)である、請求項1から3のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項5】
前記蛍光タンパク質が、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性または類似性を含むか、またはその断片を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項6】
前記転写制御が、OCT4遺伝子座によって調節される、請求項1から5のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項7】
前記蛍光タンパク質が、前記OCT4遺伝子座のC末端に作動可能に連結されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項8】
前記OCT4遺伝子座が、近位エンハンサーエレメントの欠失をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項9】
前記OCT4が、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性または類似性を含むか、またはその断片を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項10】
前記生殖系列が、精液、卵母細胞、幹細胞、または接合体から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項11】
前記トランスジェニックマウスが、生存可能であり繁殖可能であり、前記融合タンパク質の遺伝子発現が、トランスジェニックマウス子孫に安定して組み込まれている、請求項1から10のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項12】
前記接合体における前記融合タンパク質の遺伝子発現が、2細胞期、3細胞期、または4細胞期の細胞の発生から始まる、請求項1から11のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウス。
【請求項13】
OCT4::EGFP融合タンパク質を発現する胚であって、
ここで、卵母細胞が、前記OCT4::EGFP融合タンパク質を含む精液と受精し、前記精液は、請求項1から12のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウスに由来する、胚。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウスに由来するOCT4::EGFP融合タンパク質を発現する、幹細胞。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載のトランスジェニックマウスに由来するOCT4::EGFP融合タンパク質を発現する、生殖系列細胞。
【請求項16】
トランスジェニックマウスを生産する方法であって、
前記方法は、接合体を細菌人工染色体(BAC)構築物でマイクロインジェクションするステップを含み、
ここで、前記構築物は、マウスOCT4遺伝子座に作動可能に連結したレポーター遺伝子を含み、前記接合体をサロゲートマウスの生殖器官に着床させ、それによってトランスジェニックマウスを生産する、方法。
【請求項17】
前記トランスジェニックマウスが、前記レポーター遺伝子を安定して発現する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記レポーター遺伝子の遺伝子座が、前記トランスジェニックマウスの生殖系列DNAを介して安定して受け継がれる、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記生殖系列が、精液、卵母細胞、幹細胞、または接合体から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記レポーター遺伝子が、蛍光タンパク質をコードする、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)から選択される、請求項16から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記蛍光タンパク質が、任意選択でA206K変異を含む、GFPまたは増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)から選択される、請求項16から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記レポーター遺伝子が、配列番号2と少なくとも70%の配列同一性または類似性を含む蛍光タンパク質をコードする核酸配列、またはその断片を含む、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記レポーター遺伝子が、配列番号1と少なくとも70%の配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列をコードするOCT4コード配列、またはその断片に作動可能に連結されている、請求項16から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記レポーター遺伝子および前記遺伝子コード配列が、リンカーによって隔てられており、前記リンカーは、SGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号3)を含むアミノ酸配列を含む、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記レポーター遺伝子が、前記OCT4遺伝子座のC末端に作動可能に連結されている、請求項16から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記蛍光タンパク質およびOCT4を含むポリペプチドが、配列番号4と少なくとも70%の配列同一性または類似性を含む、請求項16から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記構築物が、配列番号5と少なくとも70%の配列同一性または類似性を含む核酸配列を含む、請求項16から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記OCT4遺伝子座が、近位エンハンサーエレメントの欠失をさらに含む、請求項16から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記構築物が、OCT4::EGFP融合タンパク質の発現を媒介する、請求項16から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記OCT4::EGFP融合タンパク質が、前記接合体に安定して組み込まれる、請求項16から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
生殖補助医療(ART)、疾患の処置、薬物のスクリーニング、または免疫モジュレーションのために使用される生成物を評価するための方法であって、
(a)OCT4を含む融合タンパク質の安定な発現を含むトランスジェニック胚を得るステップ;
(b)前記トランスジェニック胚を培養するステップ;
(c)前記融合タンパク質の発現を評価するステップ;および
(d)前記生成物の容認性または失敗を決定するステップ
を含む、方法。
【請求項33】
前記融合タンパク質が、OCT4に融合した蛍光タンパク質である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記蛍光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)から選択される、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記蛍光タンパク質が、任意選択でA206K変異を含む、GFPまたは増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)から選択される、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
評価するステップが、前記融合タンパク質の核局在化または細胞質局在化を可視化することを含む、請求項32から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記核局在化が、前記融合タンパク質が核中のDNAに結合することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記評価するステップが、前記融合タンパク質の時間的および空間的な発現を決定することを含む、請求項32から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記評価するステップが、4細胞期、8細胞期、または胚盤胞期で行われ、好ましくは8細胞期で行われる、請求項32から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記融合タンパク質が、前記4細胞期で核において優勢に局在化または発現される、請求項32から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記融合タンパク質の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多くが、前記4細胞期で核において局在化または発現される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記融合タンパク質が、前記8細胞期で核において局在化または発現される、請求項32から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記融合タンパク質の少なくとも80%、90%、95%、またはそれより多くが、前記8細胞期で核において局在化または発現される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記融合タンパク質が、前記胚盤胞期で内部細胞塊(ICM)において局在化または発現される、請求項32から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記融合タンパク質の少なくとも80%、90%、95%、またはそれより多くが、前記胚盤胞期で前記ICMにおいて局在化または発現される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
1)前記融合タンパク質の核局在化もしくは発現がある、および/または2)前記ICMにおける前記融合タンパク質の局在化もしくは発現がある場合、前記生成物は容認される、請求項32から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記4細胞期または8細胞期における前記融合タンパク質の核局在化または発現が40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満の場合、前記生成物は容認されない、請求項32から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記8細胞期における前記融合タンパク質の核局在化または発現がない場合、前記生成物は容認されない、請求項32から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ICMにおける前記融合タンパク質の局在化または発現が40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満の場合、前記生成物は容認されない、請求項32から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記ICMにおける前記融合タンパク質の局在化または発現がない場合、前記生成物は容認されない、請求項32から46または49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記培養するステップが、インビトロである、請求項32から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記融合タンパク質が、
培養の約24時間~約96時間、約24時間~約72時間、約24時間~約48時間、約24時間~約36時間、約36時間~約96時間、約36時間~約72時間、約36時間~約48時間、約48時間~約72時間、もしくは約48時間~約96時間;または
培養の約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、もしくは約96時間
のあたりで検出可能である、請求項32から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記融合タンパク質が、前記2細胞期、3細胞期、4細胞期、8細胞期、16細胞期、桑実胚期、または胚盤胞期の細胞の発生において検出可能である、請求項32から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記生成物が、針、カテーテル、マイクロツール、実験器具、シリンジ、組織培養ディッシュ、組織培養プレート、ピペットチップ、ディッシュ、プレート、水、浄水システム、培地、培地サプリメント、または胚と物理的に接触した状態になる他のデバイスもしくは試薬から選択される、請求項32から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記生成物が、疾患に関連するタンパク質または遺伝子である、請求項32から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記疾患が、がんまたは自己免疫疾患である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記生成物が、胚の発生に関連するタンパク質または遺伝子である、請求項32から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記トランスジェニック胚から1つまたは複数の胚性幹細胞を得るステップ、および前記1つまたは複数の胚性幹細胞を培養して、複数の胚性幹細胞を生成するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項59】
前記複数の胚性幹細胞を薬物と共にインキュベートするステップ、前記融合タンパク質の発現を評価するステップ、および前記薬物の容認性または失敗を決定するステップをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記薬物が、疾患、任意選択でがんまたは自己免疫疾患の処置における使用のためのものである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記薬物が、免疫応答をモジュレートすることにおける使用のためのものである、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
請求項1から12に記載のトランスジェニックマウス、請求項13に記載の胚、請求項14に記載の幹細胞、または請求項15に記載の生殖系列細胞を含み、任意選択で使用のための説明書を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2021年6月22日に出願された米国仮出願第63/213,335号に対して合衆国法典第35巻第119条(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
遺伝子操作されたマウスモデルは、全動物のレベルで遺伝子の機能を研究するために重要である。遺伝子機能喪失戦略を代表する遺伝子ノックアウトマウスおよび機能獲得アプローチを代表するトランスジェニックマウスを利用して、目的の遺伝子またはタンパク質の分子および細胞機能を評価することができる。一般的に、トランスジェニックマウスは、受精卵(卵母細胞または接合体)にトランスジェニック構築物をマイクロインジェクションすることによって生成することができる。代替として、後続のトランスジェニックマウスの生成のために、導入遺伝子を含むレトロウイルスベクターを卵に導入してもよい。
【0003】
発生中の間、着床前胚は、わずか数日で、母体の転写物の遺伝学的制御下における代謝的に静止状態の未分化の単一細胞から、発達した恒常性維持機構とそれ自体の機能化したゲノムを有する動的な多細胞化した胚に急速に変化する(Leese 1991; Lane 2001; Gardner et al. 2005)。初期胚は、ピルビン酸ベースの代謝に依存しており、エネルギー生産に関してミトコンドリアの酸化的リン酸化のみに依存している;単細胞生物のように、初期胚は、pHおよび浸透圧制御に関する多くの主要な調節機能を欠いている。8~16細胞期へのコンパクションの後、高度に解糖系の代謝への代謝制御における変化がある。同時に、また胚の生理機能が体細胞の生理機能により近くなるにつれて、他の細胞メカニズムの機能的な複雑さにおいても著しい変遷がある。これは、初期胚における恒常性調節初期とそれに続く着床前発達の後期段階を介した発達のありのままの性質であり、これは、実験室において深刻な問題を引き起こす。特定には1つまたは複数の目的の遺伝子またはタンパク質のモジュレーションを用いた、好都合なインビトロ環境の維持が、生存率を最大化し、進行中の発達を促進するために必須である。
【0004】
生殖器官で遭遇する「通常の」条件に対して培養における発生中の胚周辺の環境への変動は、胚生存率の低減と発生の障害を引き起こす。したがって、胚発生および毒性を評価するための高感度で再現可能な方法およびアッセイへの必要性がある。
【0005】
発明の要旨
特定の実施形態において、本明細書で開示されるのは、転写制御下でOCT4を含む融合タンパク質を発現するトランスジェニックマウスである。一部の実施形態において、また本明細書で開示されるのは、トランスジェニックマウスから得られた胚、幹細胞、および生殖系列細胞を含む。追加の実施形態において、本明細書で開示されるのは、トランスジェニックマウスを生成する方法、およびトランスジェニックマウスから得られた胚を使用して生成物を評価する方法を含む。
【0006】
一部の実施形態において、本明細書で開示されるのは、転写制御下における八量体結合転写因子4(OCT4)を含む融合タンパク質の安定な発現を含むトランスジェニックマウスである。一部の場合において、前記融合タンパク質の遺伝子発現は、生殖系列DNA(germline DNA)を介して安定して受け継がれる(transmitted)。一部の場合において、OCT4::EGFP融合タンパク質を発現する胚を生成することができ、それにおいて、卵母細胞は、OCT4::EGFP融合タンパク質を含む精液と受精し、精液は、トランスジェニックマウスに由来する。一部の場合において、OCT4::EGFP融合タンパク質を発現する幹細胞は、トランスジェニックマウスに由来する。一部の場合において、OCT4::EGFP融合タンパク質を発現する生殖系列細胞は、トランスジェニックマウスに由来する。
【0007】
一部の実施形態において、また本明細書で開示されるのは、トランスジェニックマウスを生産する方法であって、その方法は、接合体を細菌人工染色体(BAC)構築物でマイクロインジェクションするステップを含み、構築物は、マウスOCT4遺伝子座に作動可能に連結したレポーター遺伝子を含み、接合体をサロゲートマウスの生殖器官に着床させ(implanted)、それによってトランスジェニックマウスを生産する、方法である。
【0008】
一部の実施形態において、加えて本明細書で開示されるのは、生殖補助医療(assistedreproductive technologies)(ART)、疾患の処置、薬物のスクリーニング、または免疫モジュレーションのために使用される生成物を評価するための方法であって、(a)OCT4を含む融合タンパク質の安定な発現を含むトランスジェニック胚を得るステップ;(b)トランスジェニック胚を培養するステップ;(c)融合タンパク質の発現を評価するステップ;および(d)生成物の容認性(acceptability)または失敗(failure)を決定するステップを含む、方法である。
【0009】
一部の実施形態において、さらに本明細書で開示されるのは、本明細書に記載されるトランスジェニックマウス、本明細書に記載される胚、本明細書に記載される幹細胞、または本明細書に記載される生殖系列細胞を含み、任意選択で使用のための説明書を含むキットである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1-1】
図1A~
図1Bは、48時間における本明細書に記載されるトランスジェニック胚および対照胚への最適未満の油曝露(suboptimal oil exposure)の作用を示す。
図1Aは、研究プロトコールを例示する。方法Aは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚を使用する研究プロトコールを指す。方法Bは、対照胚を使用する研究プロトコールを指す。
図1Bは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚と対照胚との検出された割球(blastomer)の比較を示す。
【
図1-2】
図1A~
図1Bは、48時間における本明細書に記載されるトランスジェニック胚および対照胚への最適未満の油曝露の作用を示す。
図1Aは、研究プロトコールを例示する。方法Aは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚を使用する研究プロトコールを指す。方法Bは、対照胚を使用する研究プロトコールを指す。
図1Bは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚と対照胚との検出された割球の比較を示す。
【
図2-1】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載される凍結保存されたトランスジェニック胚および対照胚における最適未満の条件の作用を示す。
図2Aは、研究設計を例示する。方法Aは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚を使用する研究プロトコールを指す。MEAは、対照胚を使用するマウス胚アッセイを指す。本明細書に記載されるトランスジェニック胚と対照胚との検出された割球の比較は、48時間(
図2B)および96時間(
図2C)で示される。
【
図2-2】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載される凍結保存されたトランスジェニック胚および対照胚における最適未満の条件の作用を示す。
図2Aは、研究設計を例示する。方法Aは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚を使用する研究プロトコールを指す。MEAは、対照胚を使用するマウス胚アッセイを指す。本明細書に記載されるトランスジェニック胚と対照胚との検出された割球の比較は、48時間(
図2B)および96時間(
図2C)で示される。
【
図2-3】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載される凍結保存されたトランスジェニック胚および対照胚における最適未満の条件の作用を示す。
図2Aは、研究設計を例示する。方法Aは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚を使用する研究プロトコールを指す。MEAは、対照胚を使用するマウス胚アッセイを指す。本明細書に記載されるトランスジェニック胚と対照胚との検出された割球の比較は、48時間(
図2B)および96時間(
図2C)で示される。
【
図3】
図3は、48時間における期限切れのART培地A(expired ART medium A)中で培養された本明細書に記載されるトランスジェニック胚および対照胚におけるOCT4-GFPの異常な発現を示す。方法Aは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚の使用を指す。MEAは、対照胚を使用するマウス胚アッセイ(mouse embryo assay)を指す。
【
図4】
図4は、96時間における期限切れのART培地A中で培養された本明細書に記載されるトランスジェニック胚および対照胚におけるOCT4-GFPの異常な発現を示す。方法Aは、本明細書に記載されるトランスジェニック胚の使用を指す。MEAは、対照胚を使用するマウス胚アッセイを指す。
【0011】
詳細な説明
定義
以下で本発明の開示による実施形態をより詳細に説明する。しかしながら、本開示の態様は、様々な形態で具体化することができ、本明細書に明示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろこれらの実施形態は、この開示が徹底的で十分なものであり、当業者に開示の範囲を十分伝えるように提供される。本明細書における説明で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、限定することは意図されない。
【0012】
別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての用語(専門用語や科学用語を含む)は、この開示が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。用語、例えば一般的に使用される辞書で定義された用語は、本出願の文脈や関連技術におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書においてそのように明示的に定義されない限り、理想的な、または過剰に形式的な意味で解釈されるべきではないことがさらに理解されるであろう。以下で明示的に定義されていないが、このような用語は、それらの一般的な意味に従って解釈されるべきである。
【0013】
本明細書における説明で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、開示を限定することは意図されない。本明細書で述べられた全ての公報、特許出願、特許および他の参考文献は、参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる。
【0014】
本発明の技術の実施は、別段の指定がない限り、当業者の技術の範囲内の、組織培養、有機化学 薬理学、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および組換えDNAの従来の技術を採用することになる。例えば、Sambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition (1989); Current Protocols In Molecular Biology (F. M. Ausubel, et al. eds., (1987)); the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.): PCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds. (1995)), Harlow and Lane, eds. (1988) Antibodies, a Laboratory Manual, and Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed. (1987))を参照されたい。
【0015】
文脈上別段の指定がない限り、本明細書に記載される開示の様々な特徴は、あらゆる組合せで使用できることが具体的に意図される。さらに、本開示はまた、一部の実施形態において、本明細書に明示されるあらゆる特徴または特徴の組合せは、排除または省略できることも予期する。例示するために言えば、複合体が構成要素A、BおよびCを含むと明細書で述べられる場合、A、BまたはCのいずれか、またはそれらの組合せを、単独で、またはあらゆる組合せで省略したり排除したりすることができることが具体的に意図される。
【0016】
全ての数の表示、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、範囲を含めて、必要に応じて1.0または0.1の増加量で、または代替として+/-15%の変動で、もしくは代替として10%、もしくは代替として5%、もしくは代替として2%の変動で(+)または(-)に変化する近似値である。必ずしも明示的に述べられているとは限らないが、全ての数の表示は、用語「約」が前につくと理解されるものとする。また、必ずしも明示的に述べられているとは限らないが、本明細書に記載される試薬は単なる例示であり、このようなものの均等物は当該分野において公知であることも理解されるものとする。
【0017】
本開示の説明および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の形態を同様に含むことが意図される。
【0018】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、測定可能な値、例えば量または濃度などを指し、特定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%の変動、またはさらには0.1%の変動を包含することを意味する。
【0019】
用語「含む」は、本明細書で使用される場合、組成物および方法が列挙された要素を含むが、それ以外のものを除外しないことを意味することが意図される。本明細書で使用される場合、用語「から本質的になる」は、組成物および方法を定義するのに使用される場合、組合せにとって何らかの本質的な重要性を有する他の要素を除外することを意味するものとする。例えば、本明細書において定義される要素から本質的になる組成物または方法は、特許請求された発明の基礎となる新規の特徴に実質的に影響を与えない他の要素は除外されないであろう。「からなる」は、本明細書で使用される場合、微量を超える他の成分や列挙された実質的な方法のステップを除外することを意味するものとする。これらの移行句のそれぞれによって定義される実施形態は、この開示の範囲内である。
【0020】
用語「容認される」、「有効な」、または「十分な」は、本明細書で使用される場合、本明細書で開示されるいずれかの成分、範囲、用量の形態などの選択が、前記成分、範囲、用量の形態などが開示された目的に好適であることが意図されることを指す。
【0021】
「および/または」は、本明細書で使用される場合、関連する列挙された項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せ、加えて、どちらか一方として解釈される場合(「または」)、組合せの除外を指し、それらを包含する。
【0022】
用語「核酸配列」、「核酸分子」、または「ポリヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、同義的に使用され、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態を指し、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかを指す。したがって、この用語は、これらに限定されないが、単鎖、二本鎖、もしくは多重鎖DNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッドを含むか、またはプリンおよびピリミジン塩基、または他の天然、化学的もしくは生化学的に改変された、非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基を含む、または代替としてそれから本質的になる、またはさらにはそれからなるポリマーを含む。
【0023】
用語「エンハンサー」は、本明細書で使用される場合、標的配列の発現を増加させる調節エレメントをコードするDNA配列の領域を指す。「プロモーター/エンハンサー」は、プロモーターおよびエンハンサーの機能の両方を提供することが可能な配列を含有するポリヌクレオチドである。例えば、レトロウイルスのロングターミナルリピートは、プロモーターおよびエンハンサーの機能の両方を含有する。エンハンサー/プロモーターは、「内因性」または「外因性」または「異種」であってもよい。「内因性」エンハンサー/プロモーターは、ゲノム中の所与の遺伝子と天然に連結されたものである。「外因性」または「異種」エンハンサー/プロモーターは、遺伝子操作の手段(すなわち、分子生物学的な技術)によって遺伝子と並んで配置されたものであり、その遺伝子の転写が、連結されたエンハンサー/プロモーターによって指示されるようになっている。用語「プロモーター」は、本明細書で使用される場合、RNAポリメラーゼ結合部位、転写開始部位、および/またはTATAボックスを含有し、関連する転写可能なポリヌクレオチド配列および/または遺伝子の転写および発現を補助または促進するDNA配列を指す。
【0024】
「転写制御下で」は、本明細書で使用される場合、当該分野においてよく理解されている用語であり、ポリヌクレオチド配列の転写、通常はDNA配列の転写が、転写の開始に寄与するか、または転写を促進するエレメントにそれが動作可能に連結されていることに依存することを示す。
【0025】
用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つの共有結合で連結されたアミノ酸の鎖を指す。ポリペプチドは、本明細書で提供されるポリヌクレオチドによってコードされ得る。本明細書で提供されるタンパク質は、本明細書で提供される核酸配列によってコードされ得る。タンパク質は、本明細書で提供されるポリペプチドまたはアミノ酸配列を含んでいてもよい。「タンパク質」は、本明細書で使用される場合、細胞に構造または酵素活性を提供することが可能なアミノ酸残基の鎖を指す。「コード配列」は、本明細書で使用される場合、タンパク質をコードする核酸配列を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「コードする」は、それが核酸配列に適用される場合、ポリヌクレオチドが、その天然状態において、または当業者周知の方法によって操作された場合、転写および/または翻訳されてポリペプチドおよび/またはその断片のためのmRNAを生産できる場合、ポリペプチドを「コードする」と称されることを指す。アンチセンス鎖は、このような核酸の相補物であり、コードされている配列は、それから推測できる。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「同等の(equivalent)」または「生物学的な均等物(biological equivalent)」または「類似の(similar)」は、特定の分子、生物学的な、または細胞性の材料に対して述べられる場合、同義的に使用され、最小限の相同性を有しながらもなお望ましい構造または機能性を維持するものを意図する。同等のポリペプチドの非限定的な例としては、所定のポリペプチドに対して、もしくはポリペプチド配列に対して、少なくとも60%、または代替として少なくとも65%、または代替として少なくとも70%、または代替として少なくとも75%、または代替として80%、または代替として少なくとも85%、または代替として少なくとも90%、または代替として少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、またはこのようなポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドに、高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドまたはその相補物によってコードされるポリペプチドが挙げられる。高いストリンジェンシーの条件は本明細書に記載され、参照により本明細書に組み入れられる。代替として、それらの均等物は、参照ポリヌクレオチドに対して、例えば野生型ポリヌクレオチドに対して、少なくとも70%、または代替として少なくとも75%、または代替として80%、または代替として少なくとも85%、または代替として少なくとも90%、または代替として少なくとも95%の同一性、または少なくとも97%の配列同一性を有するポリヌクレオチドまたはその相補物によってコードされたポリペプチドである。
【0028】
用語「動作可能に連結された」または「作動可能に連結した」は、本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドが、細胞中でそれらを機能化できるような方式で配置されていることを意図する。
【0029】
また用語「遺伝子」は、本明細書で使用される場合、転写され翻訳された後に特定のポリペプチドまたはタンパク質をコードすることが可能な少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含有するポリヌクレオチドも指す。「遺伝子産物」または代替として「遺伝子発現生成物」は、遺伝子が転写され翻訳されると生成するアミノ酸(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)を指す。
【0030】
用語「レポーター遺伝子」は、本明細書で使用される場合、生存マーカーの調節領域に作動可能に連結することができ、その発現を決定するために、可視化できる、またはそれ以外の方法で評価できる遺伝子を含む。好ましい実施形態において、レポーター遺伝子は、蛍光または発光タンパク質である。蛍光タンパク質としては、これらに限定されないが、青色/UVタンパク質、例えばTagBFP、mTagBFP2、アジュライト、EBFP2、mKalama1、シリウス、サファイア、およびT-サファイア;シアンタンパク質、例えばECFP、セルリアン、SCFP3A、mTurquoise、mTurquoise2、モノマーミドリイシ-シアン(Midoriishi-Cyan)、TagCFP、およびmTFP1;緑色タンパク質、例えばEGFP、エメラルド、スーパーフォルダーGFP、モノマーアザミグリーン(Azami Green)、TagGFP2、mUKG、mWasabi、またはクローバー;黄色蛍光タンパク質、例えばEYFP、シトリン、ビーナス、SYFP2、ZsYellow1、およびTagYFPを挙げることができる;レポーター遺伝子として使用するためのオレンジ色タンパク質としては、モノマークサビラオレンジ(Kusabira-Orange)、mKOk、mKO2、mOrange、およびmOrange2;赤色タンパク質、例えばHcRed1、mRaspberry、mCherry、mStrawberry、mTangerine、tdTomato、TagRFP、mApple、mRuby、およびmRuby2を挙げることができる;遠赤色タンパク質としては、これらに限定されないが、mPlum、HcRed-Tandem、mKate2、mNeptune、およびNirFPが挙げられる。一部の実施形態において、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YPE)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)から選択される。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、抗体によって認識されるエピトープタグ(例えばHIS、FLAG、HA)であってもよいし、または例えばそれを含んでいてもよい。
【0031】
用語「リンカー」は、本明細書で使用される場合、アミノ酸またはペプチド模倣配列を指す。一部の実施形態において、リンカーは、フレキシブルなコンフォメーション、秩序だった二次構造を形成できないこと、または各ドメインの活性を促進したりもしくはそれと相互作用したりすることができる疎水性の、もしくは電荷を有するフレキシブルな特徴などの1つまたは複数の特性を有する。典型的にはフレキシブルなタンパク質領域に見出されるアミノ酸としては、これらに限定されないが、Gly、Asn、およびSerが挙げられる。リンカー配列の長さは、機能または活性に著しい影響を及ぼすことなく変更することができる。
【0032】
用語「融合タンパク質」は、本明細書で使用される場合、単一のタンパク質として転写され翻訳されるように一体化した、別々にコードされる少なくとも2つのドメインを有するタンパク質を指す。
【0033】
用語「変異」は、本明細書で使用される場合、生物のゲノム、ウイルス、または染色体外DNAのヌクレオチド配列における変更を指す。
【0034】
用語「安定して発現する(stably expresses)」または「安定して発現する(stably express)」は、本明細書で使用される場合、ゲノムへの外来遺伝子の組込みを指す。
【0035】
用語「C末端」、「カルボキシル末端」、「カルボキシ末端」、「C末端テール」、「C末端の最末端」、または「COOH末端」は、本明細書で使用される場合、遊離のカルボキシル基(-COOH)によって終結したアミノ酸鎖の末端を指す。用語「N末端」、「アミノ末端」、「NH2末端」、「N末端」、または「アミン末端」は、本明細書で使用される場合、遊離のアミン基(-NH2)に関するアミノ酸鎖の開始部分を指す。タンパク質がメッセンジャーRNAから翻訳される場合、翻訳はN末端からC末端になされる。
【0036】
用語「細菌人工染色体構築物」または「BAC構築物」は、本明細書で使用される場合、細菌における形質転換やクローニングのために使用されるDNA構築物を指す。
【0037】
用語「生殖系列」は、本明細書で使用される場合、その遺伝物質が後代に継承される多細胞生物細胞の集団を指す。一部の実施形態において、生殖系列は、卵、精液および受精卵を形成する細胞である。
【0038】
用語「培養する」は、本明細書で使用される場合、様々な種類の培地上または培地中での細胞または生物のインビトロにおける増殖を指す。培養中に増殖した細胞の子孫(descendant)は、親細胞と完全には同一でない可能性がある(すなわち、形態学的に、遺伝学的に、または表現型的に)ことが理解される。
【0039】
用語「哺乳動物」は、本明細書で使用される場合、哺乳綱に分類されたあらゆる種を指す。
【0040】
用語「マウス」は、本明細書で使用される場合、ハツカネズミ(Mus musculus)を指す。
【0041】
用語「生存可能な」は、本明細書で使用される場合、動物または細胞が特定の環境条件下で生き残るかまたは生きることができることを指す。
【0042】
用語「繁殖可能な(fertile)」は、本明細書で使用される場合、子孫(offspring)をもたらすことができる能力を指す。
【0043】
用語「子孫(offspring)」または「後代(progeny)」は、本明細書で使用される場合、生物から産まれた若い世代を指す。
【0044】
用語「生殖器官」または「生殖系」は、本明細書で使用される場合、生殖プロセスに寄与し、それに役立つ一連の臓器を指す。
【0045】
用語「サロゲート」は、本明細書で使用される場合、別の動物の代わりに子孫をもたらすために胚移植または人工授精によって妊娠させられる雌性動物を指す。
【0046】
用語「トランスジェニック」は、本明細書で使用される場合、宿主ゲノムに取り込まれたDNAのセグメント、または宿主細胞中での複製が可能であり、1種または複数の細胞生成物を発現させることが可能であるDNAのセグメントを指す。例示的な導入遺伝子は、対応する形質転換されていない細胞または動物と比べて、新規の表現型を有する宿主細胞またはそれから発達した動物を提供することができる。用語「トランスジェニック動物」は、本明細書で使用される場合、その細胞の少なくとも一部において染色体外エレメントとして存在する、またはその生殖系列DNAに安定して組み込まれた非内因性核酸配列を有する非ヒト動物、通常は哺乳動物を指す。一部の実施形態において、トランスジェニック動物は、トランスジェニックマウスである。
【0047】
遺伝子導入は、目的の遺伝子に連結されたレポーター遺伝子と共に、トランスジェニック哺乳動物、例えばマウスを作り出すのに使用される。分子遺伝学および遺伝子工学における方法は、一般的に、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, (Sambrook et al.); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed.); Animal Cell Culture (R. I. Freshney, ed.); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Miller & Calos, eds.); Current Protocols in Molecular Biology and Short Protocols in Molecular Biology, 3.sup.rd Edition (F. M. Ausubel et al., eds.);およびRecombinant DNA Methodology (R. Wu ed., Academic Press)の最新版で説明されている。したがって、トランスジェニック技術は、十分に確立されている。例えば、Transgenic Mouse: Methods and Protocols (M. Hofker and J. Deursen, Eds.) in Methods in Molecular Biology (Vol. 209)(その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照されたい。
【0048】
用語「マイクロインジェクション」は、本明細書で使用される場合、顕微鏡レベルで物質を注射するためのガラスマイクロピペットの使用を指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「生殖補助医療」または「ART」は、本明細書で使用される場合、雌性配偶子(卵または卵母細胞)と雄性配偶子(精液)の両方が取り扱われるあらゆる妊娠のための処置を含む。体外受精(IVF)は、子供を儲けることにおいて不妊のカップルを支援するために使用される数々の生殖補助技術の1つである。IVFは、女性の卵巣から卵を取り出し、実験的手順で精液と受精させる手順を指す。受精卵(胚)は、将来の使用のために凍結保存してもよいし、または子宮に移してもよい。
【0050】
「桑実胚」は、本明細書で使用される場合、透明帯内に含有される固体の球体の形状の約16個の細胞を含む早期段階の胚を指す。桑実胚はまた、割球とも称される。
【0051】
「胚盤胞」は、本明細書で使用される場合、胎盤を形成することになる周囲の壁(栄養外胚葉またはTE)、羊膜腔を形成することになる流体で満たされた空孔(割腔)、およびそこから胎児が発生する内部細胞塊(ICM)と呼ばれる細胞の内部クラスターを有する、細胞の球体からなる初期胚発生における構造を指す。
【0052】
八量体結合転写因子4(Oct-4またはOCT4;POUドメイン、クラス5、転写因子1(POU5F1)とも称される)は、本明細書で使用される場合、未分化胚性幹細胞の自己再生に関与するタンパク質である。OCT4は、3つのドメイン、すなわちN末端ドメイン、POUドメイン、およびC末端ドメインを含有する。N末端およびC末端ドメインの両方はトランス活性化に関与するが、C末端ドメインの活性は細胞型特異的であり、リン酸化を介して調節される。POU-ドメインは、細胞型特異的な調節因子による結合のための相互作用部位として機能する。
【0053】
マウス胚アッセイ(MEA)は、毒性および最適未満の化合物を検出するのに利用される機能的および毒物学的なバイオアッセイである。MEAは、ヒト材料を関与させることなく培養培地および環境の適応性を検査するためのゴールドスタンダードであり続けている。MEAを実行するために採用される基礎技術およびプロトコールは、In Vitro Fertilization and Embryo Transfer: A Manual of Basic Techniques (Don P. Wolf, Editor), 1988, pages 57-75;および米国食品医薬品局によって発行された、Mouse Embryo Assay for Assisted Reproduction Technology Devices: Guidance for Industry and Food and Drug Administration Staffに記載されており、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。簡単に言えば、このアッセイは、妊馬血清ゴナドトロピン(PMSG)およびヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)と共に雌マウスの過剰排卵を含む。マウスをhCG注射のときに雄と共に配置し、hCGの24時間後に致死させて、1細胞胚を得るか、または注射の36時間後に2細胞胚を得る。1細胞胚は、目に見える2つの極体を有する場合、使用のために選択され;2細胞胚は、形態学的に正常に見える場合、使用のために選択される。試験物品がマウス胚に対して何らかの毒性を提示する可能性があるかどうかを検査するために、通常の培養条件(例えば、37℃および5%CO2)下で、1細胞系が使用される場合は約96時間、または2細胞系の場合は72時間、胚を試験物品中でインキュベートすることができる。代替として、培養はまた、5日、6日、またはそれより長く延長してもよい。胚の培養が完了したら、胚は、発生(例えば、胚盤胞の発生)に関して評価することができる。容認は、80%またはそれより多くの胚が拡張期胚盤胞(expanded blastocysts)に発達した場合を含む場合がある。
【0054】
トランスジェニックマウス
特定の実施形態において、本明細書で開示されるのは、八量体結合転写因子4(OCT4)を含む融合タンパク質の安定な発現を含む、それから本質的になる、またはそれからなるトランスジェニックマウスである。一部の場合において、融合タンパク質は、転写制御下にある。一部の場合において、融合タンパク質の遺伝子発現は、生殖系列DNAを介して安定して受け継がれる。
【0055】
一部の実施形態において、OCT4タンパク質は、マウスOCT4である。OCT4タンパク質は、全長OCT4、またはその断片、例えば、その機能的な断片を含んでいてもよい。用語「機能的な断片」は、本明細書で使用される場合、野生型OCT4と同等の機能、例えばトランス活性化、未分化胚性幹細胞の自己再生、および/または胚細胞の多能性などの同等の機能を誘導することが可能なOCT4断片を指す。一部の場合において、OCT4タンパク質は、タンパク質内のN末端、C末端、および/または内部領域に、欠失(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50個、またはそれより多くの残基の欠失)を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、ドメインの欠失を含み、例えば、N末端ドメイン、C末端ドメイン、および/またはPOUドメインの欠失を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、野生型OCT4タンパク質を含む。他の場合において、OCT4タンパク質は、1つまたは複数の変異、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くの変異を含む。
【0056】
OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約70%の配列同一性または類似性を含んでいてもよい。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または類似性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約80%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約90%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約95%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約96%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約97%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約98%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約99%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1に記載の配列を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1からなる。
【0057】
一部の実施形態において、融合タンパク質は、蛍光タグの付いたOCT4タンパク質である。一部の場合において、蛍光タグは、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)を含む蛍光タンパク質である。一部の場合において、蛍光タンパク質は、GFPまたは増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)である。一部の場合において、蛍光タンパク質は、野生型タンパク質、例えば、野生型GFPまたはeGFPである。他の場合において、蛍光タンパク質は、1つまたは複数の変異を含み、例えば、GFPまたはeGFP内に1つまたは複数の変異を含む。
【0058】
一部の実施形態において、蛍光タンパク質は、GFP(例えば、eGFP)である。一部の場合において、GFP(例えば、eGFP)は、全長GFPである。他の例において、GFP(例えば、eGFP)は、その断片であり、例えば、その機能的な断片である。用語「機能的な断片」は、本明細書で使用される場合、蛍光を生じさせることが可能なGFP断片を指す。一部の場合において、GFP(例えば、eGFP)は、タンパク質内のN末端、C末端、および/または内部領域に、欠失(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50個、またはそれより多くの残基の欠失)を含む。一部の場合において、GFP(例えば、eGFP)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くの変異を含む。一部の場合において、GFP(例えば、eGFP)は、A206K変異を含む。
【0059】
一部の場合において、蛍光タンパク質は、配列番号2と、少なくとも、または約70%の配列同一性または類似性を含むGFPである。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または類似性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約80%の配列同一性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約90%の配列同一性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約95%の配列同一性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約96%の配列同一性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約97%の配列同一性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約98%の配列同一性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2と、少なくとも、または約99%の配列同一性を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2に記載の配列を含む。一部の場合において、GFPは、配列番号2からなる。
【0060】
蛍光タンパク質(例えば、GFPまたはeGFP)は、OCT4タンパク質のN末端、C末端、または内部部位に作動可能に連結されていてもよい。一部の場合において、蛍光タンパク質(例えば、GFPまたはeGFP)は、OCT4タンパク質のC末端に作動可能に連結されている。
【0061】
一部の実施形態において、生殖系列は、これらに限定されないが、精液、卵母細胞、幹細胞、または接合体から選択される。一部の場合において、生殖系列は、精液から選択される。一部の場合において、生殖系列は、卵母細胞から選択される。一部の場合において、生殖系列は、幹細胞から選択される。一部の場合において、生殖系列は、接合体から選択される。
【0062】
一部の場合において、トランスジェニックマウスは、生存可能であり繁殖可能なマウスである。一部の場合において、トランスジェニックマウスは、子孫に安定して組み込まれる融合タンパク質を含む、子孫をもたらすことが可能な生存可能な雄である。他の例において、トランスジェニックマウスは、子孫に安定して組み込まれる融合タンパク質を含む、子孫をもたらすことが可能な生存可能な雌である。
【0063】
一部の場合において、接合体における融合タンパク質の遺伝子発現は、2細胞期、3細胞期、または4細胞期の細胞の発生から始まる。
【0064】
特定の実施形態において、本明細書で開示されるのは、上述したトランスジェニックマウスを生産する方法である。一部の実施形態において、本方法は、接合体を、マウスOCT4遺伝子座に作動可能に連結したレポーター遺伝子を含む、または代替としてそれから本質的になる、またはさらにはそれからなる構築物でマイクロインジェクションするステップを含み、または代替としてそれから本質的になり、またはさらにはそれからなり、接合体をサロゲートマウスの生殖器官に着床させ、それによってトランスジェニックマウスを生産する。一部の場合において、構築物は、細菌人工染色体(BAC)構築物であり、構築物は、マウスOCT4遺伝子座に作動可能に連結したレポーター遺伝子を含む、または代替としてそれから本質的になる、またはさらにはそれからなる。一部の場合において、トランスジェニックマウスは、レポーター遺伝子を安定して発現する。
【0065】
一部の実施形態において、レポーター遺伝子座は、トランスジェニックマウスの生殖系列DNAを介して安定して受け継がれる。生殖系列は、精液、卵母細胞、幹細胞、または接合体から選択することができる。
【0066】
一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、蛍光タンパク質は、これらに限定されないが、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)から選択される。一態様において、GFPは、増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)である。一態様において、eGFPは、A206K変異を含む、または代替としてそれから本質的になる、またはさらにはそれからなる。
【0067】
一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、配列番号2と、少なくとも、または約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または類似性を含む蛍光タンパク質をコードする核酸配列を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約80%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約85%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約90%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約95%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約96%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約97%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約98%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2と、少なくとも、または約99%の配列同一性を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2を含む蛍光タンパク質をコードする。一部の場合において、核酸配列は、配列番号2からなる蛍光タンパク質をコードする。
【0068】
一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、コード配列に作動可能に連結されている。一態様において、コード配列は、OCT4タンパク質をコードする。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または類似性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約80%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約90%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約95%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約96%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約97%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約98%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1と、少なくとも、または約99%の配列同一性を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1に記載の配列を含む。一部の場合において、OCT4タンパク質は、配列番号1からなる。
【0069】
一部の実施形態において、レポーター遺伝子および遺伝子コード配列(例えば、OCT4)は、リンカーによって隔てられている。一態様において、リンカーは、複数のAla、Gly、またはそれらの組合せを含むアミノ酸配列をコードする。一態様において、リンカーは、(Gly4Ser)nリンカーを含むアミノ酸配列をコードしており、nは、1~10から選択される整数であり;任意選択で、1~6、1~4、および1~3から選択される整数であり;さらに任意選択で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10から選択される整数である。一態様において、リンカーは、SGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号3)を含むアミノ酸配列をコードする。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、コード配列(例えば、OCT4)のN末端、C末端、または内部領域に作動可能に連結されている。一態様において、リンカーは、レポーター遺伝子をコード配列(例えば、OCT4)のC末端に接続する。
【0070】
一部の実施形態において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約70%の配列同一性または類似性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または類似性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約80%の配列同一性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約90%の配列同一性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約95%の配列同一性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約96%の配列同一性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約97%の配列同一性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約98%の配列同一性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4と、少なくとも、または約99%の配列同一性を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4に記載の配列を含む。一部の場合において、蛍光タンパク質およびOCT4タンパク質を含むポリペプチドは、配列番号4からなる。
【0071】
一部の実施形態において、構築物は、OCT4::EGFP融合タンパク質をコードする。一部の場合において、構築物は、配列番号5と、少なくとも、または約70%の配列同一性または類似性を含む核酸配列を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または類似性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約80%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約85%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約90%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約95%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約96%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約97%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約98%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5と、少なくとも、または約99%の配列同一性を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5に記載の配列を含む。一部の場合において、核酸配列は、配列番号5からなる。
【0072】
一部の場合において、構築物は、OCT4::EGFP融合タンパク質の発現を媒介する。一部の場合において、OCT4::EGFP融合タンパク質は、接合体に安定して組み込まれている。
【0073】
一部の場合において、構築物内のOCT4遺伝子座は、近位エンハンサーエレメントの欠失を含む。
【0074】
一部の実施形態において、本明細書で開示されるのは、OCT4::EGFP融合タンパク質を発現する胚であって、卵母細胞は、OCT4::EGFP融合タンパク質を含む精液と受精し、精液は、上述したトランスジェニックマウスに由来する、胚である。
【0075】
一部の実施形態において、本明細書で開示されるのは、上述したトランスジェニックマウスに由来するOCT4::EGFP融合タンパク質を発現する幹細胞である。
【0076】
一部の実施形態において、本明細書で開示されるのは、上述したトランスジェニックマウスに由来するOCT4::EGFP融合タンパク質を発現する生殖系列細胞である。
【0077】
生成物評価の方法
特定の実施形態において、本明細書で開示されるのは、生殖補助医療(ART)、疾患の処置、薬物のスクリーニング、または免疫モジュレーションのために使用される生成物を評価するための方法である。一部の場合において、本方法は、(a)OCT4を含む融合タンパク質の安定な発現を含むトランスジェニック胚を得るステップ;(b)トランスジェニック胚を培養するステップ;(c)融合タンパク質の発現を評価するステップ;および(d)生成物の容認性または失敗を決定するステップを含む。
【0078】
一部の実施形態において、融合タンパク質は、OCT4タンパク質に融合した蛍光タンパク質である。一部の場合において、蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)から選択される。一部の場合において、蛍光タンパク質は、GFPまたは増強緑色蛍光タンパク質(eGFP)から選択される。一部の場合において、eGFPは、変異を含み、例えば、A206K変異を含む。
【0079】
一部の実施形態において、評価するステップは、融合タンパク質の時間的および/または空間的な発現パターンを決定することを含む。評価するステップは、融合タンパク質の核局在化および/または細胞質局在化を可視化することを含んでいてもよい。核局在化は、核への融合タンパク質のシャトリング、加えて、核中の融合タンパク質によるDNAの結合を包含していてもよい。評価するステップは、融合タンパク質の時間的および/または空間的な発現パターンを対照と比較して、胚発生に異常が生じたかどうかを決定することをさらに含んでいてもよい。対照は、本明細書で使用される場合、胚が正常な発生を経た同等の胚からの、融合タンパク質の時間的および/または空間的な発現パターンを指す。
【0080】
一部の場合において、評価するステップは、4細胞または8細胞期で行われる。一部の場合において、融合タンパク質が、4細胞期で核において優勢に局在化される。用語「優勢に(predominately)」は、本明細書で使用される場合、核において局在化される融合タンパク質の、少なくとも、または約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多くを指す。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約50%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約60%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約70%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%が、核において局在化される。
【0081】
一部の場合において、評価するステップは、4細胞期または8細胞期での融合タンパク質の発現の場所を決定することを含む。一部の場合において、融合タンパク質が、4細胞期で核において優勢に発現される(例えば、核において発現される融合タンパク質の、少なくとも、または約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多く)。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約50%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約60%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約70%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%が、核において発現される。
【0082】
一部の場合において、評価するステップは、8細胞期で行われる。一部の場合において、融合タンパク質の、少なくとも、または約80%、90%、95%、99%、またはそれより多くが、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%が、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の約100%が、核において局在化される。
【0083】
一部の場合において、評価するステップは、8細胞期での融合タンパク質の発現の場所を決定することを含む。一部の場合において、融合タンパク質の、少なくとも、または約80%、90%、95%、99%、またはそれより多くが、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%が、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の約100%が、核において発現される。
【0084】
一部の場合において、評価するステップは、桑実胚期で行われる。一部の場合において、融合タンパク質の、少なくとも、または約80%、90%、95%、またはそれより多くが、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%またはそれより多くが、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%またはそれより多くが、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%またはそれより多くが、核において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の約100%が、核において局在化される。
【0085】
一部の場合において、評価するステップは、桑実胚期での融合タンパク質の発現の場所を決定することを含む。一部の場合において、融合タンパク質の、少なくとも、または約80%、90%、95%、またはそれより多くが、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%またはそれより多くが、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%またはそれより多くが、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%またはそれより多くが、核において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の約100%が、核において発現される。
【0086】
一部の場合において、評価するステップは、胚盤胞期で行われる。一部の場合において、融合タンパク質の、少なくとも、または約60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多くが、内部細胞塊(ICM)において局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約70%またはそれより多くが、ICMにおいて局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%またはそれより多くが、ICMにおいて局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%またはそれより多くが、ICMにおいて局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%またはそれより多くが、ICMにおいて局在化される。一部の場合において、融合タンパク質の約100%が、ICMにおいて局在化される。一部の場合において、融合タンパク質は、栄養膜において局在化されない。
【0087】
一部の場合において、評価するステップは、胚盤胞期での融合タンパク質の発現の場所を決定することを含む。一部の場合において、融合タンパク質の、少なくとも、または約60%、70%、80%、90%、95%、またはそれより多くが、内部細胞塊(ICM)において発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約70%またはそれより多くが、ICMにおいて発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約80%またはそれより多くが、ICMにおいて発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約90%またはそれより多くが、ICMにおいて発現される。一部の場合において、融合タンパク質の少なくとも、または約95%またはそれより多くが、ICMにおいて発現される。一部の場合において、融合タンパク質の約100%が、ICMにおいて発現される。一部の場合において、融合タンパク質は、栄養膜において発現されない。
【0088】
一部の実施形態において、融合タンパク質は、培養の約24時間~約96時間、約24時間~約72時間、約24時間~約48時間、約24時間~約36時間、約36時間~約96時間、約36時間~約72時間、約36時間~約48時間、約48時間~約72時間、または約48時間~約96時間のあたりで検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約36時間~約96時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約36時間~約72時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約36時間~約48時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約48時間~約96時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約48時間~約72時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、目視検査を介して検出され、例えば、蛍光タンパク質の蛍光に基づいて検出される。他の例において、融合タンパク質は、核酸発現分析を介して検出される。追加の例において、融合タンパク質は、タンパク質発現分析を介して検出される。
【0089】
一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、または約96時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約36時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約48時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約72時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、培養の約96時間において検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、目視検査を介して検出され、例えば、蛍光タンパク質の蛍光に基づいて検出される。他の例において、融合タンパク質は、核酸発現分析を介して検出される。追加の例において、融合タンパク質は、タンパク質発現分析を介して検出される。
【0090】
一部の実施形態において、融合タンパク質は、2細胞期、3細胞期、4細胞期、8細胞期、16細胞期、桑実胚期、または胚盤胞で検出可能である。一部の実施形態において、融合タンパク質は、2細胞期、3細胞期、4細胞期、または8細胞期の細胞の発生で検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、4細胞期の細胞の発生で検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、8細胞期の細胞の発生で検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、16細胞期の細胞の発生で検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、桑実胚期の細胞の発生で検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、胚盤胞期の細胞の発生で検出可能である。一部の場合において、融合タンパク質は、目視検査を介して検出され、例えば、蛍光タンパク質の蛍光に基づいて検出される。他の例において、融合タンパク質は、核酸発現分析を介して検出される。追加の例において、融合タンパク質は、タンパク質発現分析を介して検出される。
【0091】
一部の場合において、評価するステップは、1日1回、1日2回、1日3回、1日おき、または培養プロセス中の連続する各日に行われる。一部の場合において、1回または複数の評価するステップは、培養プロセスの開始から、約24時間~約96時間、約24時間~約72時間、約24時間~約48時間、約24時間~約36時間、約36時間~約96時間、約36時間~約72時間、約36時間~約48時間、約48時間~約72時間、または約48時間~約96時間行われる。
【0092】
一部の実施形態において、評価するステップは、例えば、a)特定の発生段階で、トランスジェニック胚の少なくとも1つの画像を取り込むこと、b)画像に基づいて、融合タンパク質の場所を決定すること;およびc)融合タンパク質の場所を対照と比較することのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。対照は、特定の発生段階における同等のトランスジェニック胚における融合タンパク質の場所であってもよく、同等のトランスジェニック胚は、正常な胚発生を経ている。
【0093】
一部の実施形態において、評価するステップは、対照と共に融合タンパク質の発現レベルを決定することをさらに含む。一部の場合において、発現レベルは、核酸発現を決定することによって、またはタンパク質発現を決定することによって、視覚的に、またはそのためのデバイスを使用して、光の放出および/または強度を測定することによって決定される。
【0094】
一部の場合において、例えば、4細胞期、8細胞期、または桑実胚期で融合タンパク質の核局在化または発現がある場合、その生成物は容認される。一部の場合において、胚盤胞期中にICMにおける局在化または発現がある場合、その生成物は容認される。
【0095】
一部の場合において、4細胞期または8細胞期における融合タンパク質の核局在化または発現が40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満の場合、その生成物は容認されない。一部の場合において、8細胞期で融合タンパク質の核局在化または発現がない場合、その生成物は容認されない。
【0096】
一部の場合において、桑実胚期における融合タンパク質の核局在化または発現が40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満の場合、その生成物は容認されない。一部の場合において、桑実胚期において融合タンパク質の核局在化または発現がない場合、その生成物は容認されない。
【0097】
一部の場合において、胚盤胞期でのICMにおける融合タンパク質の局在化または発現が40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満の場合、その生成物は容認されない。一部の場合において、胚盤胞期でのICMにおける融合タンパク質の局在化または発現がない場合、その生成物は容認されない。一部の場合において、胚盤胞期で、栄養膜において融合タンパク質の局在化または発現がある場合、その生成物は容認されない。
【0098】
一部の実施形態において、生成物は、生殖補助医療(ART)と共に使用するためのものである。生成物としては、消耗品が挙げられ、消耗品としては、これらに限定されないが、培地、培地サプリメント、プラスチック製品、管材料、ピペット、ピペットチップなど、または卵または胚と接触した状態になるあらゆる材料が挙げられる。プラスチックおよびガラス製品としては、生殖補助用の針、実験用グローブ、生殖補助用のカテーテル、および生殖補助用のマイクロツール、例えばピペット、または胚を露出させる、顕微操作する、保持する、もしくは移動させるために実験室で使用される他のデバイスを挙げることができる。IVF消耗品としてはさらに、生殖補助用の実験器具が挙げられ、このような実験器具としては、これらに限定されないが、シリンジ、IVF組織培養ディッシュ、IVF組織培養プレート、ピペットチップ、ディッシュ、プレート、および配偶子、胚、または組織培養培地と物理的に接触した状態になる他の容器が挙げられる。IVF消耗品としては、本明細書で使用される場合、生殖補助用の水や、IVFまたは他の生殖補助処置のための胚の吸引、インキュベーション、移動または貯蔵に使用される培地を再構成させるための、加えて胚と接触すると予想される実験器具または他の生殖補助デバイスのための最終的な濯ぎとして使用するための高品質の滅菌パイロジェンフリー水を生成することを意図した浄水システムを挙げることができる。一部の場合において、生成物は、針、カテーテル、マイクロツール、実験器具、シリンジ、組織培養ディッシュ、組織培養プレート、ピペットチップ、ディッシュ、プレート、水、浄水システム、培地、培地サプリメント、または胚と物理的に接触した状態になる他のデバイスもしくは試薬を含む。
【0099】
一部の実施形態において、生殖補助医療(ART)のために使用される生成物を評価するための方法は、形態学ベースの胚の格付けのばらつきを低減することができる。一部の場合において、本方法は、任意選択で胚培養の48時間後における、融合タンパク質の核局在化の可視化を可能にする。一部の場合において、本方法は、同等のアッセイ、例えばマウス胚アッセイ(MEA)と比較して、偽陽性を低減することができる。
【0100】
一部の実施形態において、生成物は、疾患に関連するタンパク質または遺伝子である。生成物はまた、マウスモデルとして使用するためのタンパク質または遺伝子を含むトランスジェニックマウスも包含する。疾患は、がんであってもよい。一部の場合において、がんは、固形腫瘍である。他の場合において、がんは、血液系腫瘍である。タンパク質または遺伝子は、がんに関連するものであってもよく、任意選択で固形腫瘍または血液系腫瘍に関連するものであってもよい。タンパク質または遺伝子は、腫瘍関連抗原であってもよい。例示的な腫瘍関連抗原としては、これらに限定されないが、CD19;CD20;CD22(シグレック2);CD37;CD123;CD22;CD30;CD171;CS-1;上皮増殖因子受容体(EGFR);上皮増殖因子受容体バリアントIII(EGFRvIII);ヒト上皮増殖因子受容体(HER1);ガングリオシドG2(GD2);TNF受容体ファミリーメンバーB細胞成熟(BCMA);前立腺特異的膜抗原(PSMA);受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1);Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3);または腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)が挙げられる。タンパク質または遺伝子はまた、正常な対象におけるタンパク質または遺伝子の発現と比較して、がん対象において過剰発現または抑制されたタンパク質または遺伝子であってもよい。
【0101】
一部の場合において、生成物は、自己免疫疾患に関連するタンパク質または遺伝子であるか、および/またはマウスモデルとして使用するためのタンパク質または遺伝子を含むトランスジェニックマウスである。タンパク質または遺伝子は、自己免疫疾患に罹っている対象において、正常な対象におけるタンパク質または遺伝子の発現と比較して過剰発現または抑制されていてもよい。
【0102】
一部の実施形態において、生成物は、胚の発生に関連するタンパク質または遺伝子である。タンパク質または遺伝子は、タンパク質-タンパク質相互作用もしくは遺伝子発現、代謝プロセス、細胞形態形成、細胞分裂、細胞増殖、DNA複製、細胞分化、またはDNA修復および転写を調節することに関連するものであってもよい。タンパク質または遺伝子は、細胞のコミュニケーション、アポトーシス、免疫応答、ハウスキーピング、または組織特異的な機能に関連するものであってもよい。例示的なタンパク質または遺伝子としては、これらに限定されないが、多能性幹細胞(PS)特異的なマーカー、例えばSox遺伝子のファミリー(例えば、Sox1、Sox2、Sox3、Sox15、およびSox18);Klf遺伝子のファミリー、例えばKlf4およびKlf5;またはNanog遺伝子のファミリー、例えばNANOG;TGF-ベータスーパーファミリーおよびそれらそれぞれの受容体に関連するマーカー;クリプティックタンパク質ファミリーに関連するマーカー(例えば、クリプト-1(Cripto-1));インテグリンファミリーに関連するマーカー(例えば、インテグリンアルファ6(CD49f)およびインテグリンベータ1(CD29));ポドカリキシンファミリー(PODX-1)、FGFファミリー(例えば、FGF4およびFGF-5)、フォークヘッドボックス転写因子ファミリー(例えば、FoxD3)、転写因子のT-ボックスファミリー(例えば、TBX3およびTBX5)、発生多能性関連分子のファミリー(例えば、Dppa2、Dppa3/Stella、Dppa4およびDppa5/ESG1)、LRRファミリー(例えば、5T4)、カドヘリンファミリー(例えば、E-カドヘリン)、膜貫通タンパク質のコネクシンファミリー(例えば、コネクシン-43およびコネクシン-45)、「他の」カテゴリーのF-ボックスファミリー(例えば、FBOXO15)、ケモカイン/ケモカイン受容体のファミリー(例えば、CCR4およびCXCR4)、またはATP結合カセット輸送体(例えば、ABCG2)に関連するマーカーを挙げることができる。
【0103】
一部の実施形態において、1つまたは複数の胚性幹細胞はさらに、トランスジェニック胚から得ることもできる。1つまたは複数の胚性幹細胞を培養して、複数の胚性幹細胞を生成することができる。複数の胚性幹細胞は、その後、薬物と共に培養してもよい。融合タンパク質の発現を評価して、薬物の容認性または失敗を決定することもできる。一部の場合において、薬物は、疾患、任意選択でがんまたは自己免疫疾患の処置における使用のためのものである。一部の場合において、薬物は、免疫応答をモジュレートすることにおける使用のためのものである。
【0104】
胚発生の定性的な分析は、視覚的に、例えば、蛍光タンパク質発現を可視化するための紫外線を含み得る光学顕微鏡法を用いて、色、光の強度または蛍光を評価することによって発生中の胚を分析することによって達成することができる。また共焦点顕微鏡法も、発生中の胚を評価するために利用することができる。一部の場合において、胚発生は、胚子鏡(例えば、EmbryoScope(登録商標)タイムラプスシステム、Unisense Fertilitech A/S)を介して観察され、この場合、発生中の胚の写真を、要求に応じて、例えばおよそ5、10、20、30秒毎に、またはそれより長い数分毎に撮影することができ、胚発生の全ての段階を追跡するためにタイムラプスビデオを作成することができる。
【0105】
キットおよび製造品(articles of manufacture)
特定の実施形態において、本発明の開示は、この開示の方法を実行するためのキット、加えて、本発明の開示の方法を行うための説明書を提供する。キットは、上述した融合タンパク質を導入するための構築物、改変された卵(例えば、卵母細胞および/または接合体)、トランスジェニック胚、および/または上述したトランスジェニックマウス、および使用のための説明書の1つまたは複数を含む、または代替としてそれから本質的になる、またはさらにはそれからなる。
【0106】
キットは、この開示の方法との使用のための培養培地および/またはサプリメントを含んでいてもよい。一部の場合において、培養培地としては、これらに限定されないが、生殖補助手順に使用される生殖培地およびサプリメントが挙げられる。培地は、調製、維持、移動、または貯蔵の目的のための、胚と直接的に物理的に接触することになる様々な物質(例えば水、配偶子または胚を処置するのに使用される酸溶液、濯ぎ溶液、試薬、精液分離培地、または培地を覆うのに使用される油)の液体および粉末バージョンを含んでいてもよい。サプリメントは、培地の具体的な特性を増強するために培地に添加される具体的な試薬、例えばタンパク質、血清、抗生物質などを含んでいてもよい。適宜、これらの示唆されたキット成分は、当業者による使用にとって慣例的な方式でパッケージ化されていてもよい。
【0107】
部分的な配列表
OCT4タンパク質配列-配列番号1
【0108】
【0109】
GFPタンパク質配列-配列番号2
【0110】
【0111】
OCT4::EGFP融合タンパク質配列-配列番号4
【0112】
【0113】
構築物配列-配列番号5
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【実施例】
【0122】
これらの実施例は、単に例示的な目的で提供され、本明細書で提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
【0123】
実施例1 OCT4-GFPトランスジェニックマウスの生産
材料および方法
BACクローニングおよびマイクロインジェクション
細菌人工染色体(BAC)構築物を、Oct4融合タンパク質の発現のために使用した。モノマーEGFPを、Oct4(Pou5f1)遺伝子座に組換え処理した(recombineered)。EGFPをOCT4のC末端に挿入した。レポータータンパク質とOCT4との間の立体障害を最小化するために、フレキシブルなアミノ酸リンカーコード配列(S(GGGGS)3;配列番号3)を遺伝子コード配列とレポーター遺伝子との間に挿入した。
【0124】
B6SJLF1(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)雌卵ドナーを使用した。PMSG(回収の3日前、正午に、動物1匹当たり5U:Prospec、Rehovot、Israel、#HOR-272)およびhCGホルモン(回収の1日前、正午に、動物1匹当たり5U、SIGMA、 St. Louis MO、#CG5-1VL)の逐次的な注射の後に。回収の前日に雌をB6SJLF1雄と交配させた。B6SJLF2胚をE0.5に回収し、各導入遺伝子に対するBAC構築物を前核に注射した。注射された胚を、偽妊娠したサロゲートマザーの生殖器官に着床させた(ICR:Charles River、Wilmington、MA)。着床の20日後、新生仔の数を計数し、7~10日齢に足指の生検を実行して、PCR遺伝子型解析のためのDNAを抽出した。
【0125】
遺伝子型解析
遺伝子型解析のための2つのPCR方法、従来のPCRおよびqPCRを利用した。従来のPCRの場合、アニーリング温度は58℃であった。eGFP配列を検出するために以下のプライマーを使用した。
【0126】
eGFP(生成物サイズ=227bp)
【0127】
TMF738フォワード:5’-ATCTTCTTCAAGGACGACGGCAAC-3’(配列番号6)
【0128】
TMF739リバース:5’-TCCTCGATGTTGTGGCGGATCTTG-3’(配列番号7)
【0129】
内部対照(マウスFndc3a遺伝子:生成物サイズ=400bp)
【0130】
TMF725フォワード:5’-GAGCTTCTGGTATTAGCGTTAGGT-3’(配列番号8)
【0131】
TMF726リバース:5’-TCCACAATGACAAAGACATGAGGT-3’(配列番号9)。
【0132】
CFX-BioRAD qPCRのセットアップに、Taqman qPCRプロトコールを使用した。EGFP導入遺伝子の遺伝子型を、公知のホモ接合型(HO)およびヘミ接合型(HEMI)対照および内因性参照(ApoB遺伝子)に対してEGFPのδCt値を比較することによって決定した。
【0133】
以下のPCR条件を使用した:95℃で3分間->(95℃で15秒間->60℃30秒間)×40サイクル。
【0134】
表1は、使用されるqPCRプライマーおよびプローブを例示する。
【0135】
【0136】
G0戻し交配
トランスジェニック対立遺伝子を単離するために、PCR陽性G0ファウンダーをB6SJLF1動物に戻し交配した。Oct4-GFP子孫をG3世代まで戻し交配して、導入遺伝子のコピー数を安定化した。
【0137】
画像化のための胚の回収
ヘミ接合型(HEMI)雄をB6J雌と交雑し、HEMI雌をB6J雄またはTg(Pou5f1-EGFP)2Mnn/J(Jackson Laboratory、カタログ番号004654:TgOG2)HO雄と交雑した。B6J雌およびTgOG2雌を、後続のホルモン注射(PMSG:交配の3日前、および5UのhCG:交配の1日前に)によって過剰排卵させた。動物を、一晩(1細胞胚回収のために)または2日(2細胞期胚回収)一緒に格納した。胚を回収し、PLANER BT-37インキュベーター(Origio、Malov、Denmark)において、37℃、5%CO2、5%O2、90%N2で、平衡化した鉱油を上に積層したKSOM液滴中で培養した。
【0138】
画像化
Nikonの顕微鏡を使用した。倍率を11.5×に設定した。同腹子間または各胚間でシグナル強度を比較するために、蛍光画像化パラメーターを同じゲイン/露出時間で固定した。明視野画像を自動露出曝露設定で撮影した。
【0139】
精液の凍結保存
精液の凍結保存を、Nakagata, N. (2011) Cryopreservation of Mouse Spermatozoa and In Vitro Fertilization. In: Hofker M., van Deursen J. (eds) Transgenic Mouse Methods and Protocols. Methods in Molecular Biology (Methods and Protocols), vol 693. Humana Pressで例示されるような確立されたプロトコールを用いて実行した。
【0140】
結果
ドナー株としてB6SJLF2受精卵母細胞を使用して、マイクロインジェクションを実行した。142個の胚を注射し、36匹の仔が産まれ、7G0動物が導入遺伝子を有することを確認した。
【0141】
トランスジェニック対立遺伝子を単離するために、7匹の陽性G0動物をそれぞれ野生型B6SJLF1動物と戻し交配した。7匹のファウンダーのうち5匹が、生殖系列を介して導入遺伝子アレイを受け継いだ(5匹のファウンダーからの後続の系統または子孫を、それぞれA系統、B系統、C系統、D系統、またはE系統と名付けた)。最初に、従来のPCRによって遺伝子型解析を実行して、マウスゲノムにおけるmEGFP挿入を検出した。各系統でmEGFP発現強度の差が観察された後、qPCR-dCTアッセイを展開して、各系統におけるmEGFPの相対的なコピー数を測定した。
【0142】
独立した系統を生じさせるための繁殖中に、B系統における導入遺伝子のコピー数の異常な変動が世代間で観察された。G2世代でさえも、同腹子内でmEGFPコピー数の変化が観察された。導入遺伝子コピー数変動の原因は不明なままである。しかしながら、少なくとも2世代にわたる各系統におけるB6SJL F1野生型マウスへの導入遺伝子の戻し交配後、コピー数の変動はなくなった。変動は、導入遺伝子アレイを含む染色体内組換えによって起こった可能性がある。
【0143】
相対的なmEGFPコピー数を、内部対照(ApoB遺伝子の二倍体コピー)に対してmEGFPシグナルを正規化することによって決定した。
【0144】
HOマウスが生存可能であり繁殖可能であるかどうかを決定するために、さらに、OCT4-mEGFPシグナルの増加を試みるために、G3 HEMI雄をG3 HEMI雌と交雑した。遺伝子型を、qPCR-dCT方法によって決定した:HO遺伝子型を、各系統のHEMI対照と比べて、GFP導入遺伝子の二重の投与量によって決定した。HO動物は、A系統、B系統、C系統、およびE系統で生存可能であると確認された。カイ二乗分析は、C系統のHEMI異種交配からの子孫の遺伝子型が、予想されるメンデル比に従っていることを示す。結果から、A系統のHO胚が、HEMIおよびWTと比較して生存率を増加させたこと、B系統のHO胚が、生存率を減少させたこと、A系統およびC系統のHOは繁殖可能であることが確認された。B系統のHOは交配して胚を生産できるが、B系統のHO雌は、B系統のHOまたはHEMI雄と交雑した場合、仔をまったく産まなかった。
【0145】
HEMIまたはHO雄を、過剰排卵されたB6J雌(父系統)と交雑した。胚を回収し、従来の蛍光立体顕微鏡、または共焦点蛍光顕微鏡によってmEGFPシグナルを観察した。5つの系統から胚を回収した。Nikonの立体顕微鏡下でのGFP発現を検査した。胚を、1細胞期から胚盤胞期まで培養し、毎日観察した。発現を、8細胞期(96時間)から胚盤胞期(120時間)まで観察した。これは、OG2のGFP発現と類似していた。各系統における発現レベルは、それらのmEGFPコピー数と比例していた。B系統は、最大のGFP発現レベルを有し、D系統は、最も低い発現レベルを有していた。mEGFP発現は、各細胞において斑点状のパターンで観察された。このパターンは、OG2GFPと明らかに異なっていた。これは、OG2系統の場合のようにmEGFPが単にOct4プロモーターから生産されたのではなく、IS構築物がOCT4に融合したmEGFPを有することに起因した。
【0146】
実施例2 生殖補助医療のための定量的なバイオアッセイの開発
GFPタグの付いたPOU5F1を発現するPou5f1-GFPトランスジェニックマウス系統(transgenic mouse lines)を生成して、POU5F1の核局在化を利用し、着床前の期間中に有害な培養条件およびエピジェネティックな欠陥を検出した。またPou5f1-GFP発現を使用して、生細胞における細胞計数のために割球の核も可視化した。Pou5f1-GFP胚を、最適な、または最適未満の油を上に積層して96時間培養して、POU5F1-GFP発現を、マウス胚発生の異なる段階で(2PNから拡張期/孵化中の胚盤胞(expanded/hatching blastocyst)まで)観察した。(実験、n>3)。
【0147】
Pou5f1-GFPの1細胞胚(新鮮な、または凍結した)を、コンティニュアスシングルカルチャーメディウムコンプリート(Continuous Single Culture Medium-Complete;CSCM-C、FUJIFILM Irvine Scientific)中で、96時間まで中断されない試験条件で、対照または最適未満の油(5、7.5、または10%の不純物を含む油)を上に積層して胚盤胞まで培養し、毎日観察した。標準的なマウス胚アッセイ(MEA)で典型的に使用されるB6の1細胞胚も平行して培養した。これらの胚を48時間(8細胞以上の%)および96時間(胚盤胞の%)で評価した。
【0148】
Pou5f1-GFPを発現するトランスジェニックマウスは生存可能であり、繁殖可能であり、生殖系列受継の成功および時間的および空間的に調節された遺伝子発現が確認された。接合体のPou5f1-GFP遺伝子発現は4細胞期周辺で始まり、72時間培養した後にピークに達した。マウス胚におけるPOU5F1-GFPの核局在化は、4細胞期あたりでGFP発現が検出されたらすぐに、生細胞において割球の核を可視化し細胞を数えることを可能にした。最適未満の油を上に積層して培養したPou5f1-GFP胚は、発生の著しい遅延を示した(48時間および96時間において、対照油グループと比較して)。最適未満の油を上に積層して培養した一部の胚では、POU5F1-GFPのモザイクパターン化された発現が観察された。Pou5f1-GFP胚培養は、統計的有意性を有する5、7.5、および10%の最適未満の条件を検出し、一方で標準的なMEA(≧80%の合格基準)は、28.3%の割合で5%の最適未満の条件を合格させた。
図1A~1Bおよび
図2A~2Cを参照されたい。新鮮な、および凍結したPou5f1-GFP胚との間で性能における差はなかった。有害な培養条件で培養されたPou5f1-GFP胚は、有害なエピジェネティックな作用を引き起こす胚の格付けの主観性の低減をもたらした。
図3および
図4を参照されたい。
【0149】
別段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての専門用語や科学用語は、この技術が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0150】
本明細書に例証として記載される本発明の技術は、本明細書で具体的に開示されていないいずれの要素または複数の要素、1つまたは複数の限定の非存在下でも、好適に実施することができる。したがって、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する」などは、拡大的に、制限なく理解されるものとする。加えて、本明細書において採用される用語および表現は、限定のためではなく説明のための用語として使用され、このような用語および表現の使用において、示される特徴や記載される特徴のあらゆる均等物またはそれらの一部を除外する意図はないが、特許請求された本発明の技術の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。
【0151】
したがって、本明細書において提供される材料、方法、および例は、好ましい態様の代表であり、例示的であり、本発明の技術の範囲への限定としての意図はないことが理解されるものとする。
【0152】
本発明の技術は、本明細書において広義的かつ一般的に説明された。包括的な開示の範囲内に含まれるより狭義の種および下位に属する群のそれぞれもまた、本発明の技術の一部を構成する。これには、本発明の技術の包括的な説明が含まれるが、但し書きまたは否定的限定により、切り出された物質が本明細書で具体的に列挙されているかどうかにかかわらず、類概念からいずれかの主題が除外される。
【0153】
加えて、本発明の技術の特徴または態様がマーカッシュ群の単位で記載される場合、当業者は、それによって本発明の技術が、マーカッシュ群のいずれか個々のメンバーまたはメンバーの下位群の単位でも記載されることを認識しているであろう。
【0154】
本明細書で述べられた全ての公報、特許出願、特許、および他の参考文献は、それぞれが個々に参照により組み入れられるのと同程度に明示的に参照によりそれら全体が本明細書に組み入れられる。矛盾がある場合、定義を含め本明細書を優先させる。
【0155】
他の態様は、以下の特許請求の範囲で明示される。
【国際調査報告】