(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】マイクロ発光ダイオードのための光取り出し構成を用いたディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240717BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240717BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H01L33/58
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579021
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 US2022032125
(87)【国際公開番号】W WO2022271430
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルーグ,マイケル・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】シッソム,ブラッドリー・ジェイ
【テーマコード(参考)】
2H199
5F142
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA25
2H199CA36
2H199CA38
2H199CA42
2H199CA48
2H199CA50
2H199CA53
2H199CA58
2H199CA67
2H199CA70
2H199CA86
5F142AA04
5F142CB14
5F142CE06
5F142CE32
5F142DB12
5F142GA01
(57)【要約】
光出力を提供するためのエミッタシステムアセンブリを含むディスプレイシステムが開示される。エミッタシステムアセンブリは、第1の発光スペクトルを提供する第1のエミッタ、第1のエミッタを少なくとも部分的に取り囲む空洞、第1のエミッタからの第1の発光スペクトルのうちの少なくとも部分を透過させるように構成された第1のアパーチャ、および第1のアパーチャと光学的に連通した成形要素、を含む。空洞は、第1の発光スペクトルを空洞内でアパーチャに向けて反射する反射器を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
ディスプレイシステムを備え、
前記ディスプレイシステムは、
エミッタアレイとレンズレットアレイとを有するエミッタアレイパネルを含み、前記レンズレットアレイは、第1の軸に沿った屈折力を有する円柱レンズレットを含み、
前記ディスプレイシステムは、
前記第1の軸に対して実質的に垂直な第2の軸に沿った屈折力を有する投影レンズをさらに含み、
前記光学システムは、
インカップリング光学要素およびアウトカップリング光学要素を有する瞳複製導波路をさらに備える、光学システム。
【請求項2】
前記エミッタアレイは複数のマイクロLEDエミッタを含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記円柱レンズレットの少なくとも部分はおよそ500ミリメートル~無限遠の距離において前記エミッタアレイ内のエミッタの少なくとも部分の像を形成する、請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
複数のマイクロLEDエミッタが、ピクセルを形成するように前記エミッタアレイパネル内で互いにグループ化される、請求項2に記載の光学システム。
【請求項5】
前記ピクセルは前記エミッタアレイパネルの区域にわたってピッチで配設されている、請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記ピッチはおよそ25μmである、請求項5に記載の光学システム。
【請求項7】
前記円柱レンズレットは、前記第1の軸に沿った屈折力を介して、前記エミッタアレイからの光を、第1の焦点距離にある第1の焦点において集束させるように構成されており、前記第1の焦点距離は非無限遠である、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記第1の焦点距離はおよそ1メートルである、請求項7に記載の光学システム。
【請求項9】
前記投影レンズは、前記第2の軸に沿った屈折力を介して、前記レンズレットアレイからの光をコリメートするように構成されている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項10】
前記投影レンズは、前記コリメートされた光を瞳場所において収束させるようにさらに構成されている、請求項9に記載の光学システム。
【請求項11】
前記インカップリング光学要素は前記瞳場所に位置付けられている、請求項10に記載の光学システム。
【請求項12】
前記第1の焦点距離は、ユーザの眼に向かって前記導波路を通って反射する光の光路距離におよそ等しい、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
前記インカップリング光学要素は細長い、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記アウトカップリング光学要素は、単一の軸に沿って出射ビームを複製するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記投影レンズは、前記第2の軸に沿った屈折力を介して、前記レンズレットアレイからの光を、前記投影レンズから第2の焦点距離の第2の焦点において集束させるように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の焦点および前記第2の焦点は実質的に同じ位置に位置する、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年10月12日に出願された米国仮特許出願第63/254,967号、2021年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/213,566号、および2021年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/213,574号の優先権の利益を主張する。上述の出願の各々の全内容は本明細書において参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示の態様は、概して、発光ダイオード(LED:light emitting diode)に関し、より詳細には、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)からの光取り出しを向上させるアセンブリに関する。
【0003】
発光ダイオード(LED)技術における近年の進歩は、各マイクロLEDが数ミクロン~数分の1ミクロンほどのエミッタピッチを有する、マイクロLEDのアレイを組み込んだ高密度ディスプレイデバイスの形成を可能にした。例えば、付属書類Aは、マイクロLEDベースのライトフィールドディスプレイの様々な構成を開示している。
【0004】
従来のディスプレイとマイクロLEDベースのディスプレイとの対比を示すために、
図1は、差し込み
図130内でより良好に見られるように、発光要素125のアレイ120を有する従来のディスプレイ110を示す。上述されたように、従来のLEDであり得る発光要素125は、全てが、同じ波長における光を放出するか、または2つ以上の波長において放出するLEDのパターンで配列され得る。例えば、アレイ120は、可視スペクトル内の赤色、緑色、および青色波長において放出し、規則的パターンで配列されたLEDを含み得る。
【0005】
図1に示される例では、発光要素125はディスプレイ110の区域にわたるQ×Pアレイの形で配列され得る。ここで、Qはアレイ内の発光要素125の行の数であり、Pはアレイ内の発光要素125の列の数である。図示されていないが、従来のディスプレイ110は、発光要素125に加えて、電力を発光要素125のうちの1つまたは複数へ選択的に送るように構成された様々な電気トレースおよび接点を含むバックプレーンを含み得る。
【0006】
図2は、第1の差し込み
図230内に示されるように、スーパーラクセル225のアレイ220を有するライトフィールドディスプレイ210を示す。さらに、各スーパーラクセル225は、第2の差し込み
図240内に示されるように、サブラクセル245を含む。サブラクセル245の各々のものは、上述されたように、マイクロLEDであり得る。すなわち、各スーパーラクセル225は
図1の発光要素125とサイズが対応し得、その一方で、数ミクロン、またはさらに、数分の1ミクロンのエミッタピッチを有するマイクロLEDで形成された複数のサブラクセル245を含む。
図2に示される例では、各スーパーラクセル225は、各辺がスーパーラクセルピッチ227を有する概ね正方形の形状を有するように示されている。各スーパーラクセル225は、単一の波長範囲(例えば、赤色、緑色、または青色波長範囲)における、または複数色の範囲にわたる(例えば、可視電磁波長範囲の少なくとも部分にわたる)光を放出するように構成され得る。
【0007】
図2に示される例では、スーパーラクセル225はN×Mアレイに配列されている。ここで、Nはアレイ内のスーパーラクセル225の行の数であり、Mはアレイ内のスーパーラクセル225の列の数である。
図2に示されるように、スーパーラクセル225の各々のものは複数のサブラクセル245を含む。サブラクセル245の各々のものは、例えば、可視スペクトル内の赤色、緑色、または青色波長において放出し、規則的パターンで配列されたマイクロLEDを含み得る。一例では、様々な色のサブラクセル245が共通基板上にモノリシックに集積され得、サブラクセル245内のマイクロLEDの各々のものはサイズが数分の1ミクロン~およそ100ミクロンに及び得る。
【0008】
図3は、スーパーラクセル225の光ステアリングの態様を示す。差し込み
図330に示されるように、スーパーラクセル225の各々のものは、そのスーパーラクセル225から放出された光を所望の場所へ向けるための光ステアリング光学要素340を含み得る。
図3に示される例では、各光ステアリング光学要素340は、スーパーラクセル225のうちの1つのサイズほどのレンズピッチ345を有するように示されている。
【0009】
マイクロLEDベースのディスプレイは新たな用途を可能にするが、各マイクロLED、および全体としてのディスプレイの性能を最大化するために、様々な改善が依然として可能である。特に、拡張現実/仮想現実(AR/VR:augmented reality/virtual reality)および他のニアアイディスプレイ用途のための小型マイクロLEDアレイは、高効率の光取り出しを有する高輝度光出力を必要とする。
【発明の概要】
【0010】
開示の概要
以下のことは、1つまたは複数の態様の単純化された概要を、このような態様の基本的理解をもたらすために提示する。本概要は全ての企図される態様の幅広い概説ではなく、全ての態様の枢要または重要な要素を特定することも、任意または全ての態様の範囲を明確にすることも意図されていない。その目的は、1つまたは複数の態様のいくつかの概念を、後に提示される、より詳細な説明への前置きとして、単純化された形態で提示することである。
【0011】
本開示の一態様では、光出力を提供するためのエミッタシステムアセンブリを含む、ディスプレイシステムが開示される。エミッタシステムアセンブリは、第1の発光スペクトルを提供する第1のエミッタ、第1のエミッタを少なくとも部分的に取り囲む空洞、および第1のエミッタからの第1の発光スペクトルのうちの少なくとも部分を透過させるように構成された第1のアパーチャ、を含む。エミッタシステムアセンブリは、第1のアパーチャと光学的に連通した成形要素をさらに含み、空洞は、第1の発光スペクトルを空洞内でアパーチャに向けて反射する反射器を含む。
【0012】
本開示の別の態様では、備えるエミッタアレイシステムが開示される。エミッタアレイシステムは、中心発光スペクトルを提供するように構成された中心エミッタ、周辺発光スペクトルを提供するように構成された周辺エミッタ、中心エミッタを少なくとも部分的に取り囲む中心空洞、および周辺エミッタを少なくとも部分的に取り囲む周辺空洞を含む。エミッタアレイシステムは、さらに、中心エミッタからの中心発光スペクトルの少なくとも部分を透過させるように構成された中心アパーチャと、周辺エミッタからの周辺発光スペクトルの少なくとも部分を透過させるように構成された周辺アパーチャと、中心アパーチャと光学的に連通した中心成形要素であって、中心発光スペクトルを第1の角度で方向付ける中心成形要素と、周辺アパーチャと光学的に連通した周辺成形要素であって、周辺発光スペクトルを第2の角度で方向付ける周辺成形要素と、を含む。
【0013】
添付の図面は一部の実装形態のみを示し、したがって、範囲の限定と考えられるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の態様に係る、複数のピクセルを有するディスプレイの一例を示す図である。
【
図2】本開示の態様に係る、複数のピクチャ要素を有するライトフィールドディスプレイの例を示す図である。
【
図3】本開示の態様に係る、複数のピクチャ要素を有するライトフィールドディスプレイの例を示す図である。
【
図4】本開示の態様に係る、LEDからの光取り出しのための全体的構成を示す図である。
【
図5】本開示の態様に係る、光取り出し構成の例を示す図である。
【
図6】本開示の態様に係る、光取り出し構成の例を示す図である。
【
図7】本開示の態様に係る、光取り出し構成の例を示す図である。
【
図8】本開示の態様に係る、マイクロLEDのアレイからの光取り出しのための構成の例を示す図である。
【
図9】本開示の態様に係る、マイクロLEDのアレイからの光取り出しのための構成の例を示す図である。
【
図10】本開示の態様に係る、マイクロLEDのアレイからの光取り出しのための構成の例を示す図である。
【
図11】本開示の態様に係る、マイクロLEDのための光取り出し構成を形成するためのプロセスを示すフローチャートである。
【
図12】本開示の態様に係る、ニアアイディスプレイシステムの上面概略図である。
【
図13】本開示の態様に係る、レンズレットを有するエミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図14】本開示の態様に係る、格子を有するエミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図15】本開示の態様に係る、プリズムを有するエミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図16A】本開示の態様に係る、エミッタアレイシステムの正面図である。
【
図16B】本開示の態様に係る、エミッタアレイシステムの正面図である。
【
図16C】本開示の態様に係る、エミッタアレイシステムの斜視図である。
【
図17】本開示の態様に係る、ニアアイディスプレイシステムの上面概略図である。
【
図18A】本開示の態様に係る、エミッタアレイシステムの正面図である。
【
図18B】本開示の態様に係る、エミッタアレイシステムの斜視図である。
【
図19】本開示の態様に係る、エミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図20】本開示の態様に係る、ニアアイディスプレイシステムの上面概略図である。
【
図21A】本開示の態様に係る、光吸収要素を有するエミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図21B】本開示の態様に係る、光吸収要素を有するエミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図22A】本開示の態様に係る、視差バリアを有するエミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図22B】本開示の態様に係る、シャッタを有するエミッタアレイシステムの上面概略図である。
【
図22C】本開示の態様に係る、可動シャッタを有するニアアイディスプレイシステムの上面概略図である。
【
図22D】本開示の態様に係る、可動シャッタを有するニアアイディスプレイシステムの上面概略図である。
【
図23】本開示の態様に係る、均一テレセントリックニアアイディスプレイの上面概略図および2つの詳細図である。
【
図24】本開示の態様に係る、均一主光線傾斜構成を有する光学システムの上面概略図である。
【
図25】本開示の態様に係る、ハイパーテレセントリック主光線傾斜構成を有する光学システムの上面概略図である。
【
図26】本開示の態様に係る、ハイパーテレセントリック主光線傾斜構成を有するエミッタアレイシステムの正面図である。
【
図27】本開示の態様に係る、ハイパーテレセントリック主光線傾斜構成を有するニアアイディスプレイシステムの上面概略図である。
【
図28】本開示の態様に係る、収束主光線傾斜構成を有する光学システムの上面概略図である。
【
図29】本開示の態様に係る、収束主光線傾斜構成を有するエミッタアレイシステムの正面図である。
【
図30】本開示の態様に係る、収束主光線傾斜構成を有するニアアイディスプレイシステムの上面概略図である。
【
図31A】本開示の態様に係る、不均一回折構造を有するエミッタアレイシステムの部分上面概略図である。
【
図31B】本開示の態様に係る、不均一回折構造を有するエミッタアレイシステムの部分上面概略図である。
【
図32A】本開示の態様に係る、ディスプレイシステムおよび導波路を有する光学システムの斜視概略図である。
【
図32B】本開示の態様に係る、ディスプレイシステムおよび導波路を有する光学システムの斜視概略図である。
【
図33A】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの正面図である。
【
図33B】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの上面図である。
【
図33C】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの正面図である。
【
図33D】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの上面図である。
【
図34A】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの中心詳細図である。
【
図34B】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの周辺詳細図である。
【
図34C】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの実施形態を示す図である。
【
図34D】本開示の態様に係る、エミッタアレイパネルの実施形態を示す図である。
【
図35】本開示の態様に係る、細長い投影レンズの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
以下において添付の図面に関して記載される詳細な説明は様々な構成の説明として意図され、本明細書において説明される概念が実施され得る構成のみを示すことを意図されない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を与えることを目的とする具体的詳細を含む。しかし、これらの概念はこれらの具体的詳細がなくても実施され得ることが当業者には明らかであろう。場合によっては、このような概念を不明瞭にすることを回避するために、よく知られた構成要素はブロック図の形で示される。
【0016】
マイクロLEDの小さいサイズおよび高い効率を有効に生かすには、各マイクロLEDによって生成された光のうちのできるだけ多くが取り出されなければならない。したがって、マイクロLEDによって生成された光の改善された取り出しのための新たな構成が望まれる。
【0017】
図4は、マイクロLEDなどの光エミッタからの改善された光取り出しのための例示的な構成を示す。
図4に示されるように、エミッタシステム400は、発光を生成するためのエミッタ410を含む。例えば、エミッタ410は、量子井戸(QW:quantum well)技術に基づく従来のLEDもしくはマイクロLED、または別の種類の小型光エミッタであり得る。エミッタ410はLED空洞420によって取り囲まれている。エタンデュゲート(etendue gate)430が、エミッタ410からの光がモード適合光学素子440に向けて放たれるための空間アパーチャを提供する。モード適合光学素子440は、LED空洞420からの光を、プロジェクタデバイスにおける使用など、特定の用途の要求に適合する出力450に成形するように構成されている。
【0018】
より具体的には、LED空洞420は、例えば、エミッタ410によって生成された光を閉じ込めるための高反射率面を含み得る。LED空洞420の幾何学的形状は、特定の用途のために、エタンデュゲート430を通した光結合のための最適な幾何学的形状を提供するように調整され得る。「空洞」と呼ばれるものの、LED空洞420は、固体半導体(窒化ガリウムなど)、またはエミッタ410によって放出された光に対して実質的に透過性を有する別の材料(絶縁物など)などの、空気以外の材料を充填され得ることに留意されたい。
【0019】
エタンデュゲート430は、LED空洞420から出射した光をモード適合光学素子440に効率的に結合するための、固定された、または調整可能な空間アパーチャであり得る。エタンデュゲート430は、例えば、エタンデュゲート430において特定の範囲の入射角内で入射する光、偏光状態、波長、共振空洞モード、および他の光学特性などの、特定の特性を有する光を選択的に透過させるためのフィルタをさらに含み得る。例えば、エタンデュゲート430は、外部光の存在下で表示コントラストを向上させるための1つまたは複数の無反射、低反射、または反射防止層を含み得る。一例として、エミッタシステム400のアレイはディスプレイに形成され得、各エミッタシステムは、ディスプレイによって生成される像に寄与する光を生成する。このようなディスプレイでは、ディスプレイ内へ入り込んだ外部光が存在する場合には、各エタンデュゲート430は外部光を反射し得、これにより、ディスプレイによって生成される像を損なう。このような望ましくない効果は、エタンデュゲート430へ到達する任意の外部光がLED空洞420内に取り込まれ得るよう、エタンデュゲート430において1つまたは複数の無反射、低反射、または反射防止層を組み込むことによって低減され得る。
【0020】
モード適合光学素子440は、結像または非結像構成で配列された1つまたは複数の屈折、反射、または回折光学素子を含み得る。モード適合光学素子440は、特定の用途の受け入れ光照射野に適合する出力450を提供するように調整され得る。例えば、エミッタシステム400が、拡張現実(AR)または仮想現実(VR)ヘッドセットなどのための、プロジェクタにおける使用のための発光を提供することが意図されている場合には、このとき、モード適合光学素子440は、エタンデュゲート430を透過させられた光を、プロジェクタのための受け入れ基準に最適に適合する出力450に変換するように構成され得る。この場合も先と同様に、外部光がエミッタシステム400内へ入り込むことによる影響を低減するために、無反射、低反射、または反射防止層がモード適合光学素子440内に組み込まれ得る。
【0021】
代替的実施形態では、
図5に示されるように、エミッタシステム500のためのエタンデュゲート430およびモード適合光学素子440は、エミッタ410から放出された光を拡散するためのテクスチャ形成面530によって置換され得る。この場合には、LED空洞420は、コリメートされた光出力を必要としない用途における使用のために適した光出力を提供するべく、エミッタ410から放出された光をテクスチャ形成面に向けて効率的に方向付けさせるように構成され得る。
【0022】
特定の場合には、モード適合光学素子440のための適切な設計を用いることで、LED空洞420は縮小または除去され得る。例えば、
図6に示されるように、エミッタシステム600は、モード適合光学素子440の役割を果たす切頂複合放物曲線(CPC:compound parabolic curve)コリメータ620の頂点に位置付けられたエミッタ410を含み得る。エミッタシステム600の場合には、切頂CPCコリメータ620は特定の用途のための十分なモード適合および成形された光出力を提供し得る。代替的に、
図7に示されるように、非球面レンズ740が、エミッタ410に隣接して形成されたモード適合光学素子440として用いられ得る。非球面レンズ740は成形側壁760を含み得、これにより、成形側壁760の適切な設計を用いることで、空洞を有することなく、非球面レンズ740のみで、特定の用途のための適切に成形された光出力を提供することができる。
【0023】
図8は、一実施形態に係る、光取り出し機構を含むエミッタアレイシステム800の断面図を示す。エミッタアレイシステム800は、例えば、2次元アレイ状に配列された複数のエミッタ810A、810B、および810Cを支持するLED基板805を含む。一例として、エミッタ810Aは、赤色波長範囲内の光を放出するように構成された量子井戸ベースのマイクロLEDであり得、エミッタ810Bは、緑色波長範囲内の光を放出するように構成されたマイクロLEDであり得、エミッタ810Cは、青色波長範囲内の光を放出するように構成されたマイクロLEDであり得る。別の構成では、エミッタ810A、810B、および/または810Cは、同じ波長範囲内の光を放出するように構成され得る。一例では、エミッタ810A、810B、および810Cの各々のものは反射表面815によって取り囲まれており、これにより、そのエミッタによって放出された光は
図8において下方へ方向付けられる。反射表面815は、金属(例えば、アルミニウム、金、銀)、誘電体、誘電体材料の多層膜スタック、またはこれらの任意の組み合わせで形成され得る。
【0024】
引き続き
図8を参照すると、エミッタアレイシステム800は、エミッタ810A、810B、810Cにそれぞれ隣接したLED空洞820A、820B、および820Cをさらに含む。LED空洞820A、820B、および820Cは、例えば、所望の波長内の光透過に対応した半導体(GaNなど)あるいは他の材料(絶縁物または透明導電性酸化物など)によって形成され得る。LED空洞820A、820B、および820Cは、エミッタ810A、810B、および810Cから放出された光をそれぞれ閉じ込め、および/または成形するための反射表面825をそれらの内部に含む。反射表面825もまた、金属(例えば、アルミニウム、金、銀)、誘電体、誘電体材料の多層膜スタック、またはこれらの任意の組み合わせで形成され得る。例えば、LED空洞820Aは、エミッタ810Aによって放出された光をアパーチャ830Aに結合するために最適化された空洞形状によって画定され得、LED空洞820Bは、エミッタ810Bによって放出された光をアパーチャ830Bに結合するために最適化され得、LED空洞820Cは、アパーチャ830Cに結合されるべき、エミッタ810Cによって放出された光に最もうまく適合するように形成され得る。別の例では、LED空洞820A、820B、および820Cのうちの2つ以上は互いに同一であり得る。同様に、アパーチャ830Aはアパーチャ830Bおよび/または830Cと異なり得るか、あるいはアパーチャ830A、830B、および830Cは寸法が同一であり得る。アパーチャ830A、830B、および830Cは、一例では、ニアアイディスプレイグラスのための導波路の入力ポートの役割を果たすものなど、入力結合格子(ICG:input coupling grating)の平面と共役に形成され得る。他の種類のスループット制限アパーチャ構成も、モード結合光学素子、またはアパーチャから下流の他の光学素子の要求に従って実施され得る。さらに、任意選択的に、アパーチャ830A、830B、および/または830Cは、角度、波長、および/または偏光フィルタリング能力など、追加の光学特性を含み得る。
【0025】
アパーチャ830A、830B、および830Cを通ってそれぞれLED空洞820A、820B、および820Cから発した光は、
図8に示される例では、レンズレット840を通して方向付けられる。レンズレット840の各々のものは
図4のモード適合光学素子440に対応する。
図8に示される例では、各レンズレット840は、複数のエミッタ810A、810B、および810Cからの光を方向付けさせるように構成されている。レンズレット840の各々のものは、例えば、バックプレーン上に直接形成され得るか、あるいはレンズレットアレイが別個に形成され、次いで、アパーチャおよび吸収体コーティングの形成後にバックプレーンに取り付けられ得る。
【0026】
レンズレット840の各々のものは光バッフル吸収体845によってレンズレット840の他の各々のものと分離され得る。例えば、光バッフル吸収体845は、隣接したレンズレット840の間のクロストークを低減するように構成され得る。加えて、アパーチャ830A、830B、および830Cの間の区域は、レンズレット840を通って進む迷光をさらに低減するための吸収体材料847によって覆われ得る。例示的な実施形態では、線870は分界を表し、その上方では、(矢印872によって指示されるように)エミッタ810A、810B、および810C、反射器815、LED空洞820A、820B、および820Cの部分、ならびに反射器825の編成がマイクロLEDの製作の部分として形成され得る。線870の下方では、(矢印874によって指示されるように)マイクロLEDの製作が完了し、エミッタおよびLED空洞部分がバックプレーンウェーハに接合された後に遂行される加工中に、様々な構成要素が形成され得る。
【0027】
図9は、一実施形態に係る、エミッタアレイシステム900を示す。エミッタアレイシステム900は、
図8のエミッタアレイシステム800と同じマイクロLED製作側の構成要素を含む。しかし、アパーチャ830A、830B、および830Cの各々のものはその独自のレンズレット940A、940B、および940Cとそれぞれ結合されている。隣接したレンズレット940A、940B、および940Cは光バッフル吸収体945によって分離されており、アパーチャ830Aと830Bとの間、および830Bと830Cとの間の区域は吸収体材料947によって覆われ得る。この構成では、レンズレット940A、940B、および940Cの各々のものは、エミッタ810A、810B、および810Cのうちの対応するものによって放出された光の特定の波長および他の光特性と結合するように構成され得る。
【0028】
図10は、一実施形態に係る、エミッタアレイシステム1000を示す。エミッタアレイシステム1000は、
図8に示されるのと同じエミッタ810A、810B、および810Cを反射器815とともに支持するLED基板1005を含む。
図8のエミッタアレイシステム800と対照的に、エミッタアレイシステム1000はエミッタ810A、810B、および810Cのグループのための1つのLED空洞1020を含む。LED空洞1020の幾何学的形状および反射器1025の特性は、エミッタ810A、810B、および810Cから放出された光の、アパーチャ1030への、およびレンズレット1040内への最適な結合のために調整され得る。一例では、レンズレット1040は
図8のレンズレット840と同一であり得る。隣接したレンズレット1040は光バッフル吸収体1045によって分離され得、アパーチャ1030間の区域は吸収体材料1047でコーティングされ得る。
【0029】
図11は、一実施形態に係る、以上において開示されたエミッタアレイシステムを形成するための例示的なプロセスを示す。プロセス1100は、エミッタアレイをエミッタ基板上に形成するステップ1110から開始する。ステップ1110は、
図8を参照すると、基板805上または基板805内に支持されたエミッタ810A、810B、および810Cを形成することと、エミッタ810A、810B、および810Cを取り囲む反射器815を形成することと、LED空洞820A、820B、および820CのマイクロLED側、ならびに反射器825の部分を形成することと、を含み得る。
【0030】
プロセス1100は、エミッタアレイをバックプレーンに取り付けるステップ1120へ進み、次いで、LED空洞の残りの部分、およびアパーチャを形成するステップ1130へ進む。例えば、エミッタアレイがバックプレーンに取り付けられ得、その後、エミッタアレイを支持するエミッタ基板が除去され得る。最後に、プロセス1100は、レンズレットを取り付け、例えば、
図8~
図10に示される構造を形成する、ステップ1140へ進む。
【0031】
上述されたように、エミッタアレイシステムは種々の光学およびディスプレイシステム内に含まれ得る。例えば、
図12は、左の四角い差し込み図内の詳細図に示されるように、エミッタアレイシステム1201を有するニアアイディスプレイシステム1200の、上面図を示す。エミッタアレイシステム1201は、LED基板1205上または内に配設された複数のエミッタ1210(例えば、マイクロLED)を含む。システム1201は、
図8に関して上述された空洞820と同様であり、エミッタ1210からの光を受光するように構成された複数の空洞1220をさらに含む。複数のレンズレット1240、または他の光学素子が空洞1220を覆って配設され得、これにより、エミッタ1220によって放出された光は光ビーム1250aとしてエミッタアレイシステム1201から出射する。ビーム1250aは、ビームの最も外側の光線間の角度Ωによって規定された円錐1252として成形される。エミッタアレイシステム1201は、バックプレーンディスプレイ床1272ならびに/あるいはバックプレーンドライバおよびバッファ1274など、1つまたは複数バックエンド構成要素と結合され得る。
【0032】
エミッタアレイシステム1201から放出された光ビーム1250aはエミッタアレイシステム1201と投影レンズ1256との間のインターフェース領域1254を通って進み得る。インターフェース領域1254は、空隙、または設計上の選択事項として選択された屈折率を有する材料の層であり得る。光が投影レンズ1256に到達すると、その内部に配設された複数の光学要素1258が光を成形し、ビーム1250bを、1つまたは複数の導波路1260上または内に配設されたインカップリング要素1262に向けて出力し得る。インカップリング要素1262はビーム1250bからの光の部分の方向を変え得、これにより、光1250cの部分は、それがアウトカップリング要素1264へ到達するまで(例えば、内部全反射を介して)導波路1260内を進む。アウトカップリング要素1264は光1250cの部分の方向を変え、これにより、それはユーザの眼1268に向かって光1250dとして導波路1260から出射する。それゆえ、発光アレイ1201によって放出された光はニアアイディスプレイシステムを通して中継され、ユーザに見える。加えて、導波路1260が透明である場合、ユーザには、それを通過する世界光1266も見え得る。それゆえ、世界光、およびエミッタアレイシステムからの光の少なくとも部分(例えば、拡張現実ビュー)がユーザに提示され得る。システム1200は、上述されたように、エミッタに隣接した空洞によってもたらされる改善された光取り出しから利益を得ることができる。
【0033】
図12は、レンズレット1240が、エミッタ1210によって放出された光を成形するために用いられ得ることを示しているが、他の構成も可能である。
図13~
図15は、エミッタ1310によって生成され、空洞1320およびアパーチャ1330を通過させられた光を成形するための代替的選択肢を示す。
図13は、光バッフル吸収体1345によって側面を取り囲まれたレンズレット1340を示す。レンズレット1340の基部と空洞1320との間に、光がアパーチャ1330を通過することを可能にするための開口部を有する追加の光吸収材料が配置され得る。吸収体材料は、隣接したレンズレット間のクロストークを防止するのに役立つ。
図14および
図15は、レンズレット1340は回折要素1440(例えば、回折レンズまたはメタマテリアルレンズ)あるいはプリズム1540と置換され得ることを示す。レンズレット1340、回折要素1440、および/またはプリズム1540は、エミッタ1310からの光を集束させ、および/または方向を変えるために用いられ得る。
図12~
図15に示される構成の各々は、エミッタと空洞、およびエミッタと光成形要素(例えば、レンズレット、回折要素、プリズム、メタレンズ)との間の1対1の関係を示しているが、複数のエミッタからの光は、後述されるように、単一の光成形要素によって成形され得る。
【0034】
図16Aを参照すると、後述されるように、レンズレット1640の六角形充填構成に対応するための断続的な間隙1611を有する六角形充填構成で配列された発光要素1610a~cが示されている。発光要素1610は、同じ、または異なる波長を有する光を各々放出し得る。例えば、全ての発光要素1610a~cは同じ色の光を放出し得、代替的に、1610aは第1の色の光(例えば、赤色光)を放出し得、1610bは第2の色の光(例えば、緑色光)を放出し得、1610cは第3の色の光(例えば、青色光)を放出し得る。要素1610は六角形として示されているが、それらは、円、正方形、または他の形状を設計上の選択事項として含む任意の形状であり得る。
【0035】
複数の発光要素1610a~cは図示のように単一のレンズレット1640によって覆われ得る。レンズレット1640は、六角形のフットプリントを形成するために外周の周りを(例えば、円形状から)面取りされ得る。
図16Bおよび
図16Cの正面図および斜視図にそれぞれ示されるように、六角形のレンズレットは、隣接したレンズレットが、発光要素1610a~cと同様の六角形充填構成に入れ子になることを有利に可能にする。他のレンズレット形状も設計上の選択事項として選択され得るが、六角形は、最も大きいレンズレットおよび/または最も高密度に充填されたレンズレット配列を可能にし得る。加えて、3つの発光要素が各レンズレットの下に示されているが、レンズレットごとにより多数またはより少数の要素が用いられ得る。
【0036】
図17を参照すると、ニアアイディスプレイシステム1700の、上面図が示されている。エミッタアレイシステム1701の詳細図が左の円内に示されている。エミッタアレイシステム1701は、光を、それぞれのアパーチャ1730a~cを通って単一のレンズレット1740へ至るよう方向付けさせるように構成された複数の発光要素1710a~cを含む。光吸収体またはバッフル1745が、隣接したレンズレット1740間に配設され得る。レンズレット1740は、球面、非球面、円柱、または他の外形のレンズレットであり得る。各エミッタからの光はレンズレット1740に対する発光要素の位置に応じて異なって方向付けられる。例えば、エミッタ1710aからの光(例えば、点線で示される光錐)はレンズレット1740によって下向きの角度で方向付けられ、第1の角度で第1のビーム1712aとしてシステム1701から出射する。エミッタ1710bからの光(例えば、鎖線で示される光錐)はレンズレット1740に対して中心に位置付けられ得、(例えば、レンズレット1740の平坦な後面に対して垂直な)第2の角度で第2のビーム1712bとしてシステム1701から出射する。エミッタ1710cからの光(例えば、実線で示される光錐)はレンズレット1740によって上向きの角度で方向付けられ、第3の角度で第3のビーム1712cとしてシステム1701から出射する。3つのエミッタ1710a~cからの光路が説明されているが、アレイ1701はxおよびy方向に延びており、多くの光ビームが、以上においてビーム1712a~cに関して説明されたのと実質的に同じ仕方でアレイから出射し得る。実施形態によっては、発光要素は、
図17の、右側のシステム図において示されるように、第1の波長を有する全ての光は第1の角度でアレイシステムから出射し、第2の波長を有する全ての光は第2の角度でアレイシステムから出射し、第3の波長を有する全ての光は第3の角度でアレイシステムから出射するように配列され得る。
【0037】
エミッタアレイシステム1701内の活性化されたエミッタ1710の各々からの光はそのそれぞれのアパーチャおよびレンズレットを通って進み、そこで、ビームは、図示のように、投影レンズ1756に向かってエミッタアレイシステムから出射する前に角度を付けられる。第1の角度で投影レンズ1756に入る光ビーム1712a(例えば、点線によって表されたビーム)は全て、同じ第1の色の光(例えば、赤色光)を搬送し得る。ビーム1712aは投影レンズ1756を通過し、第1の座標場所(x1,y1,z1)に中心を有する第1の場所1714aにおいて第1の光瞳(light pupil)を形成する。同様に、ビーム1712bおよび1712c(例えば、鎖線および実線によってそれぞれ表されたビーム)は投影レンズ1756を通過し、第2および第3の場所1714b、1714cにおいてそれぞれ集束させられる。第2および第3の場所は第2および第3の座標場所(x2,y2,z2)および(x3,y3,z3)をそれぞれ有する。それゆえ、投影レンズ1756から出射する光は色によって空間的に分離され得る。
【0038】
複数の導波路1760a~cが、空間的に分離された光ビームを受光するように構成され得る。例えば、第1の導波路1760aは、その上のインカップリング要素1762aが第1の座標場所(x1,y1,z1)またはその付近に位置付けられるように配置され得る。第1の波長を有する光は第1のインカップリング要素によって第1の導波路にインカップリングされ、第1の導波路内に入り、そこで、それは内部全反射(「TIR(total internal reflection)」)によって導波路を通って第1のアウトカップリング要素1764aに向かって進み得る。同様に、第2および第3の導波路1760b、1760cは、第2および第3の導波路1760b、1760c上の第2および第3のインカップリング要素1762b、1762cが第2および第3の座標場所(x2,y2,z2)および(x3,y3,z3)あるいはその付近にそれぞれ位置するように位置付けられ得る。第2および第3の波長を有する光は第2および第3の導波路内にそれぞれインカップリングされ、そこで、それらはTIRによって第2および第3のアウトカップリング要素1764b、1764cに向かって進む。第1、第2、および第3のアウトカップリング要素1764a~cは視軸1765に対して実質的に位置合わせされ得、これにより、光の全ての波長は実質的に同じ場所内でアウトカップリングされる。第1、第2、および第3のアウトカップリングされたビームは光錐1750a~cとして表されており、実質的に重なり合い得、これにより、ユーザの眼1768は全ての異なる波長の光を受光する。それゆえ、ユーザはフルカラー像を知覚し得る。
【0039】
光を異なる導波路内にインカップリングする前に色によって入力光を空間的に分離することは、導波路ごとに、インカップリング要素、およびアウトカップリング要素が光の各特定の波長のために設計されることを可能にし得る。それゆえ、全体的な光学システムは、より高品質の像(例えば、より明るい、より鮮明、より均一、より少数のアーチファクト)を生成し得、広い範囲の波長を単一の導波路内にインカップリングするシステムと比べて、電力効率がより高くなり得る。システムは3つの波長に関して説明されたが、レンズレットアレイに対するエミッタアレイの配列を調整することによって光のより多数またはより少数の波長が空間的に分離され得る。
【0040】
図18A~Bはエミッタアレイシステム1801の正面図および斜視図を示す。エミッタアレイシステム1801内の発光要素1810は、
図16に関して説明されたものと同様の六角形充填構成で配列され得るが、エミッタアレイシステム1801はエミッタ1810間に間隙を有してはならない。発光要素1810とレンズレット1840との間に空洞構造1870がある。空洞構造1870は、複数(例えば、トライアド)のエミッタ(例えば、赤色、緑色、および青色エミッタ)を覆い、取り囲むように構成された不透明材料から形成され得る。空洞構造1870は、エミッタ1810の各々によって放出された光の実質的に等しい部分がアパーチャ1871を通過するよう、複数のエミッタの中心付近に位置し得るアパーチャ1871を含む。複数のエミッタからの光はアパーチャ1871において組み合わせられ、実施形態によっては、白色光、またはエミッタの活性化に依存した様々な色の光がアパーチャの出力において作り出され得る。アパーチャ1871は六角形として示されているが、円などの、他の形状も設計上の選択事項として用いられ得る。空洞構造を形成する不透明材料は、内側に反射材料および外側に吸収材料(例えば、散乱およびクロストークを低減するための)の二重層であり得る。金属、炭素系、および誘電体材料を含む種々の材料が用いられ得る。
【0041】
複数のレンズレット1840が空洞上に配設されており、アパーチャ1871を通して放出された光を受光するように構成されている。
図18Aに示されるように、各レンズレット1840は2つの隣接したアパーチャ1871を通して光を受光し得る。レンズレット1840は、2つのアパーチャの各々が、レンズレット1840を二等分する第1の軸1843上に位置合わせするよう、且つ2つのアパーチャの各々が、第1の軸と直交する方向にレンズレット1840を二等分する第2の軸1847から等距離の所にあるよう、アレイ状に配列された、(例えば、円形状から)面取りされた球面レンズレットである。第1および第2の軸の交点は球面レンズレットの頂点であり得る。
【0042】
図19は、エミッタアレイシステム1801と同様の構造を有するエミッタアレイシステム1901の上面断面図を示す。システム1901は、エミッタ1910、空洞構造1970、アパーチャ1930、およびレンズレット1940を含む。2つのアパーチャから出射する光の第1の光ビーム1950aと第2の光ビーム1950bとの間のクロストークを低減するために、光バッフル吸収体1945がアパーチャ1930とレンズレット1940との間に配設され得る。アパーチャ1930はレンズレット1940の軸1947から等距離の所にあり得、レンズレットの頂点に対してオフセットし得る。このような位置は、レンズレット1940と相互作用した後、第1のアパーチャからの第1の光ビーム1950aが第1の角度で方向付けられること、および第2のアパーチャからの第2の光ビーム1950bが第2の角度で方向付けられることを可能にする。それゆえ、システム1901は隣接した発光要素グループからの光を空間的に分離し得る。このようなシステムは、
図20に示されるように、利点を有し得る。
図19に示されるように、エミッタアレイシステム1901を有するニアアイディスプレイシステム2000が示されている。単一のレンズレットからの第1および第2のビーム1950a、1950bが示されており、その一方で、アレイ内の他のレンズレットからの光は、明確にするために図から省略されている。ビーム1950a、1950bは、第1および第2の場所2014a、2014bにおいて第1および第2の瞳をそれぞれ形成する投影レンズ2056に向かって進む。第1および第2の場所はx方向において横方向にオフセットしている。第1および第2のインカップリング要素2062a、2062bを有する第1および第2の導波路2060a、2060bが、第1および第2のインカップリング要素が第1および第2のビームをそれぞれ受光するよう構成されるように位置付けられ得る。第1のビーム1950aからの光は第1の導波路内にインカップリングされ、アウトカップリング要素に向かって(例えば、TIRによって)進み、そこで、それは導波路から取り出され、ユーザの右眼2068aに向けて方向付けられる。同様に、第2のビーム1950bからの光は第2の導波路内にインカップリングされ、アウトカップリング要素に向かって(例えば、TIRによって)進み、そこで、それは導波路から取り出され、ユーザの左眼2068bに向けて方向付けられる。それゆえ、レンズレットごとに発光要素の一方のグループを、右像光を表示するために作動させることによって、および同じレンズレットに関連付けられた発光要素の他方のグループを、左像光を表示するために作動させることによって、システム1901は別個の左像および右像を同時に生成することができる。左像および右像は、同じ、または異なる像であり得る。第1のビームからの光が第2の導波路に到達すること、およびその逆を防止するために、光吸収体2045が第1の導波路と第2の導波路との間に配設され得る。
【0043】
2つの異なる像(例えば、左眼用に1つ、および右眼用に1つ)を作り出すことは、拡張現実(「AR」)ニアアイディスプレイシステムを作成するために重要になり得る。システムによっては、異なる像は、2つの別個のエミッタアレイおよび投影レンズアセンブリを用いることによって作り出される。このアプローチはシステム全体のサイズ、重量、およびコストを増大させる。代替的に、(例えば、以下において
図22C、
図22Dを参照して説明されるようなシステムを用いて)単一のエミッタアレイおよび投影レンズアセンブリのみが用いられる場合には、エミッタアレイは、左像用の光および右像用の光を投影することを交互に行い得る。生成される光のうちの半分のみが各眼へ方向付けられるため、このアプローチは、システムフレームレートの知覚される低減をもたらし得る。エミッタアレイシステム1901は空間節減という利益をもたらす。2つの別個の像を生成するために2倍の数のエミッタグループが用いられるものの、六角形充填構成による発光要素の配列は、(例えば、直交格子と比べて)より高密度に充填されたエミッタを可能にし、これにより、2倍の数のエミッタグループを包含するにもかかわらず、区域全体の大きさは2倍未満になる。さらに、各エミッタグループは、2つの別個の像のうちの一方のみのための光を生成することに特化しているため、システムのフレームレートは低減されない。単一のバックプレーンおよびドライバ電子装置のセットはシステムの電力消費を低減し得る。最小限の追加処理が、左および右のインタリーブされた像をまとめるために必要とされ得る。
【0044】
図21Aおよび
図21Bは、エミッタアレイシステム2101a、2101bの、上から見下ろした断面図をそれぞれ示す。システム2101a、2101bは、
図19に示されるシステム1901と類似しているが、異なるクロストーク軽減構成が実施される。
図21Aでは、外周吸収体2145a、2145bが空洞構造2170の最上部から延び、レンズレット2140の側面を覆っている。中心吸収体2145cが空洞構造2170の最上部からレンズレット2140を通ってその頂点まで延びている。中心吸収体2145cは、第1のビームからの光がレンズを通って進み、第2のビームとアウトカップリングすること、およびその逆を防止する。
図21Bでは、外周吸収体2145d、2145eおよび中心吸収体2145fが空洞構造2170の最上部からレンズレット2140の最下部まで延びている。追加の吸収体2147が外周吸収体2145d~fに対して実質的に垂直にあり得、第1および第2のビームを狭めるためのアパーチャの役割を果たし得、これにより、ビームは、それらがレンズレット2140を通過する際にさらに分離される。この第2のアパーチャは2つの光ビームの間のクロストークの抑制に役立ち得る。
図21Aおよび
図21Bに示される変形例は組み合わせられてもよく、第1のビームと第2のビームとの間の分離を維持するために、他のバッファおよび光吸収体が、空洞構造およびレンズレットの周り、またはそれらの内部に配置されてもよい。加えて、球面レンズレットがこの構成で説明されているが、円柱レンズが、この構成、および本開示において説明される他の構成で用いられてもよい。円柱レンズの使用は、球面レンズレットにおいて発生する回折を有利に低減または解消し得るが、円柱レンズは1つのマイクロディスプレイ軸における光の集中の喪失をももたらし得る。
【0045】
図22Aおよび
図22Bは、光ビームを空間的に分離するためにレンズレットに依存しない光学システム2200aおよび2200bをそれぞれ示す。その代わりに、両システムでは、隣り合うエミッタグループ(または構成によっては、単一のエミッタ)からの光が下流の投影レンズ(図示せず)への対向する入力角上に中心を有するようにエミッタ2210によって生成された放出錐をサンプリングするために、アパーチャ2231が用いられる。レンズレットを省略することによって、システム2200a、2200bは、レンズレット内のTIR反射に起因して発生するアーチファクトの低減、エッジ散乱の低減、および回折の低減から利益を得ることができる。
【0046】
図22Aにおけるシステム2200aは、2つの隣接した空洞アパーチャ2230間の視差バリア2233を含む。視差バリア2233は、光ビーム2212a、2212bの各々の部分を遮蔽する役割を果たし得、これにより、アパーチャ2231を通過する光の部分は角度を付けられる。実施形態によっては、光ビーム2212a、2212bの各々のおよそ半分は視差バリア2233によって遮蔽される。光のこの空間分離は、2つの異なる像(例えば、左眼のための第1の像および右眼のための第2の像)を同時に作り出すために用いられ得る。
【0047】
図22Bにおけるシステム2200bは、ビーム2212a、2212bの部分を選択的に遮蔽するための、液晶、またはさもなければ可動物理バリアMEMSシャッタ2235を含む。上部のパネルでは、第1の時点において、光ビーム2212a、2212bの第1の部分がシャッタ2235によって遮蔽され、下部のパネルでは、第2の時点において、光ビーム2212a、2212bの第2の部分がシャッタ2235によって遮蔽される。遮蔽される光の部分は交互に入れ替わり得、これにより、光は反対の角度に交互に方向付けられる。この時間的および空間的分離は、2つの異なる像(例えば、左眼のための第1の像および右眼のための第2の像)を作り出すために用いられ得る。
【0048】
図22Cおよび
図22Dは、導波路2260a、2260b上のインカップリング要素2262a、2262bの前方の、可動の、または他の様態で動的なシャッタ2237を含むシステム2200cを示す。シャッタ2237は液晶または可動MEMSシャッタを含み得る。第1の時点において、
図22Cに示されるように、シャッタ2237は第1の位置にあり得、これにより、投影レンズ2256によって投影された光の第1の部分は遮蔽され、その一方で、光の第2の部分はそれを透過し、第2のインカップリング要素2262bに衝突する。光の第2の部分は第2の導波路2260bにインカップリングし、ユーザの左眼2268bに向かってアウトカップリングされるまでTIRによって導波路を通って伝搬する。第2の時点において、
図22Dに示されるように、シャッタ2237は第2の位置へ移動させられ、これにより、投影レンズによって投影された光の第2の部分は遮蔽され、その一方で、光の第1の部分は開いたシャッタを透過し、第1のインカップリング要素2262aに衝突する。光の第1の部分は第1の導波路2260a内にインカップリングし、ユーザの右眼2268aに向かってアウトカップリングされるまでTIRによって導波路を通って伝搬する。それゆえ、投影レンズ2256からの光は空間的および時間的に変調され、2つの異なる像を作り出し得る。
図22C~Dに示される可動シャッタ構成は、
図21A~Bおよび
図22A~Bに示されるエミッタアレイシステムと組み合わせて用いられ得る。
【0049】
発光要素をレンズレット、回折要素、プリズム、メタレンズ、視差バリア、またはシャッタに対して均一に位置付けることによって出力ビームを空間的に変調することに加えて、投影レンズから出射する光瞳(light pupil)の場所は、アレイの中心からの距離の関数としてエミッタアレイシステムから出射する光の角度をもつことによって、漸進的に変更され得る。エミッタアレイシステムによって光が放出される角度を調整することは、投影レンズによって形成される瞳の場所の変更をもたらし得る。実施形態によっては、瞳の場所の変更は投影レンズの作動距離(すなわち、投影レンズ出力ベゼルと光の焦点との間の距離)の変更をもたらし得る。他の実施形態では、エミッタアレイからの光の放出角の変更は、投影レンズによって形成される瞳の横方向の移動をもたらし得る。
【0050】
図23を参照すると、ニアアイディスプレイシステム2300が示されている。システム2300は、エミッタアレイシステム2301、投影レンズ2356、ならびにインカップリング要素2362およびアウトカップリング要素2364を有する導波路2360を含む。投影レンズのベゼルと、放出された光の焦点との間に作動距離d
1が示されている。
【0051】
エミッタアレイシステム2301の中心部分2303の第1の詳細図が
図23における下の円内に示されている。中心エミッタ2310a、および空洞2320aの関連アパーチャ2330aは中心レンズレット2340aの対称軸2309aと位置合わせされている。それゆえ、エミッタ2310aからアパーチャ2330aを通して、およびレンズレット2340aを通して放出された光は、レンズレット2340aの軸2309aに沿って方向付けられた主光線を有する。エミッタアレイシステム2301の周辺部分2305の第2の詳細図が上の円内に示されている。周辺エミッタ2310b、および空洞2320bの関連アパーチャ2330bもまた、中心エミッタが位置合わせしているのと同様の様態で周辺レンズレット2340bの対称軸2309bと位置合わせしている。中心から周辺までのアレイシステム2301内の全てのエミッタおよびレンズレットは同じ様態で位置合わせしており、これにより、システム2301からの全ての発光錐は均一であり、互いに実質的に平行である主光線を有する。全ての主光線はまた、エミッタアレイシステムパネルに対して実質的に垂直である。この構成はテレセントリック放出構成と考えられ、図示のように、作動距離d
1、および座標場所(x
0,y
0,z
0)に中心を有する瞳をもたらす。
【0052】
図24は、エミッタアレイシステム2401にわたって均一な主光線傾斜を有する光学システム2400を示す。点線で示される光錐は、
図23に関して説明されるように均一なテレセントリック放出であり、実線で示される主光線傾斜構成のための基準の役割を果たす。全エミッタアレイシステム2401にわたって各発光錐の角度を(例えば、y-z平面内で角度θだけ)均一に変更することによって、投影レンズ2456から出射する光の瞳場所(pupil location)を、図示のように、+y方向に調整することができる。このような均一な角度シフトは、レンズレットアレイ全体をエミッタアパーチャアレイに対して横方向に移動させることによって達成することができる。それゆえ、光錐が投影レンズ2456に角度θで入る場合、投影レンズからの射出瞳(exit pupil)の座標場所は(x
0,y
0+y,z
0)になる。角度θはy-z平面内に示されているが、投影レンズ内への光の入力角は、瞳のx場所に影響を及ぼすために、x-z平面内で調整され得るか、あるいは射出瞳のx場所およびy場所の両方に影響を及ぼすために、x-z平面およびy-z平面の両方内で同時に調整され得る。
【0053】
射出瞳の場所を+/-z方向に調整することは、光学システムの作動距離を変更する効果を有する。光学システム内の特定のフォームファクタまたは他の幾何制約に適合するために作動距離をカスタマイズすることができることは有利である。
図25は、エミッタアレイシステム2501および投影レンズ2556を有するハイパーテレセントリック光学システム2500を示す。システムがハイパーテレセントリックと考えられる理由は、実線によって示される放出された光錐の主光線(ここで、点線は参照のために均一なテレセントリック円錐を表す)は、エミッタアレイパネルの中心においてエミッタアレイパネルに対して実質的に垂直であり、エミッタアレイパネルの中心からの距離が増大するにつれて、プロジェクタ2556の中心線2511から遠ざかる方へ漸進的に角度が増大するからである。この概念は、エミッタアレイシステム2501の正面図を示す
図26に概略的に示されている。エミッタアレイシステム内のレンズレットアレイは、アレイの中心において実質的に紙面外へ方向付けられた主光線を有する光を放出し、アレイの周辺においてエミッタアレイシステム2501の中心から遠ざかる方へ最も傾斜した主光線を有する光を放出する。それゆえ、放出された光錐内の主光線の角度はエミッタアレイシステム2501内のエミッタの(x,y)場所の関数である。最大主光線角(すなわち、エミッタアレイシステムの周辺における主光線角)は+z方向における瞳場所の変化の大きさを決定し得る。実施形態によっては、像の縁部における口径食を最小限に抑えるべくエミッタアレイシステムからの全ての光を取り込むために投影レンズサイズが増大させられなければならないほど十分に大きい主光線角が存在し得る。
【0054】
図25を再び参照すると、投影レンズ2556の出口において形成された瞳は均一なテレセントリックの場合と比べて+z方向に移動させられ、(x
0,y
0,z
0+z)の座標場所を有する。
図27は、上述された光学システム2500を含むニアアイディスプレイシステム2700を示す。システム2700は、インカップリング要素2762およびアウトカップリング要素2764を有する導波路2760をさらに含む。投影レンズ2556の出口において形成された瞳は座標場所(x
0,y
0,z
0+z)にある。ここで、zは正の数であるため、投影レンズ出口と瞳との間の作動距離d
2は均一テレセントリック構成(
図23)のための作動距離d
1よりも大きい。それゆえ、瞳を受光し、光を導波路2760にインカップリングするように構成されたインカップリング要素2762は、均一テレセントリックエミッタアレイシステム2301を有するニアアイディスプレイシステム2300と比べたとき、投影レンズ2556の出口からさらに遠くに配置され得る。
【0055】
エミッタアレイ2501にわたる主光線の変更された角度は、エミッタとレンズレットとの間の相対位置を変更することによって達成され得る。例えば、中心アパーチャ2730aおよび中心エミッタ2710aは、左下の円内の詳細図に示されるように、中心レンズレット2740aの中心軸2709aと位置合わせされ得る。エミッタアレイ2501の周辺におけるエミッタとレンズレットとの間の位置は異なり得る。例えば、
図27の上の円内の詳細図に示されるように、周辺アパーチャ2730bおよび周辺エミッタ2710bは周辺レンズレット2740bの中心軸2709bに対してある距離だけオフセットし得、これにより、レンズレット2740bの中心はエミッタ2710bの中心よりもアレイシステムの周辺に近くなっている。周辺エミッタ2710bからの光が、オフセットした周辺レンズレット2740bを通過したとき、それは、光錐の主光線が、エミッタアレイシステム2501の中心から遠ざかる方へ方向付けられた角度を有するように、方向を変えられる。エミッタとレンズレットとの間のオフセットは、瞳場所の+z方向における変化を達成するために、エミッタアレイシステム2501の中心からの距離の増大とともに漸次増大させられ得る。レンズレットごとに単一のエミッタが示されているが、
図16~
図22に関して説明されたように、レンズレットごとにエミッタのグループを有する構成も可能である。レンズレットの焦点距離および表面外形は放出立体角オメガ内の光の集中を決定することができる。加えて、レンズレット2740が示されているが、格子、メタレンズ、プリズム、または他のマイクロ光学素子が、主光線角を変更するために組み込まれてもよい。
図31Aおよび
図31Bに、回折構造3140のピッチが不均一であり、主光線が法線ベクトル3143に対して角度を付けられるよう、光錐を回折する、軸外回折構造3140の一例が示されている。
【0056】
図28は、エミッタアレイシステム2801および投影レンズ2856を有する収束主光線傾斜光学システム2800の一例を示す。システムが収束主光線傾斜と考えられる理由は、実線によって示される放出された光錐の主光線(ここで、点線は参照のために均一なテレセントリック円錐を表す)はエミッタアレイパネルの中心においてエミッタアレイパネルに対して実質的に垂直であり、エミッタアレイパネルの中心からの距離が増大するにつれて、プロジェクタ2856の中心線2811に向かう方へ漸進的に角度が増大するからである。この概念は、エミッタアレイシステム2801の正面図を示す
図29に概略的に示されている。エミッタアレイシステム内のレンズレットアレイは、アレイの中心においてz方向に(すなわち、実質的に紙面外へ)方向付けられた主光線を有する光を放出し、アレイの周辺においてアレイの中心に向かう方へ最も傾斜した主光線を有する光を放出する。それゆえ、各々の放出された光錐内の主光線の角度はエミッタアレイシステム2801内のエミッタの(x,y)場所の関数である。最大主光線角(すなわち、エミッタアレイシステムの周辺における主光線角)は-z方向における瞳場所の変化の大きさを決定し得る。エミッタアレイの周辺における光は中心に向けて内向きに角度を付けられるため、光を遮断したり像の口径食を生じたりすることなく投影レンズ2856のサイズを減少させることが可能になり得る。代替的に、投影レンズのサイズを減少させる代わりに、より多くのエミッタおよびレンズレットがアレイ内に含まれるようにエミッタアレイシステムのサイズが増大させられてもよい。この構成では、より多くの角度の光が投影レンズ2856内に送り込まれ得、これにより、光学システム2800によってサポートされる視野を増大させ得る。
【0057】
図28を再び参照すると、投影レンズ2856の出口において形成された瞳は均一なテレセントリックの場合と比べて-z方向に移動させられ、(x
0,y
0,z
0-z)の座標場所を有する。
図30は、上述された光学システム2800を含むニアアイディスプレイシステム3000を示す。システム3000は、インカップリング要素3062およびアウトカップリング要素3064を有する導波路3060をさらに含む。投影レンズ2856の出口において形成される瞳は、投影レンズ出口と瞳との間の作動距離d
3に関連する座標場所(x
0,y
0,z
0-z)にある。距離d
3は均一テレセントリック構成(
図23)のための作動距離d
1よりも小さい。それゆえ、瞳を受光し、光を導波路3060にインカップリングするように構成されたインカップリング要素3062は、均一テレセントリックエミッタアレイシステム2301を有するニアアイディスプレイシステム2300と比べたとき、投影レンズ2856の出口により接近して配置され得る。
【0058】
エミッタアレイ2801にわたる主光線の変更された角度は、エミッタとレンズレットとの間の相対位置を変更することによって達成され得る。例えば、中心アパーチャ3030aおよび中心エミッタ3010aは、左下の円内の詳細図に示されるように、中心レンズレット3040aの中心軸3009aと位置合わせされ得る。エミッタアレイ2801の周辺におけるエミッタとレンズレットとの間の位置は異なり得る。例えば、
図30の上の円内の詳細図に示されるように、周辺アパーチャ3030bおよび周辺エミッタ3010bは周辺レンズレット3040bの中心軸3009bに対してある距離だけオフセットし得、これにより、レンズレット3040bの中心はエミッタ3010bの中心よりもアレイシステムの中心に近くなっている。周辺エミッタ3010bからの光が、オフセットした周辺レンズレット3040bを通過したとき、それは、光錐の主光線が、エミッタアレイシステム2801の中心に向かう方へ方向付けられた角度を有するように、方向を変えられる。エミッタとレンズレットとの間のオフセットは、瞳場所の-z方向における変化を達成するために、エミッタアレイシステム2801の中心と周辺との間で漸次増大させられ得る。レンズレットごとに単一のエミッタが示されているが、
図16~
図22に関して説明されたように、レンズレットごとにエミッタのグループを有する構成も可能である。加えて、レンズレット3040が示されているが、格子、メタレンズ、プリズム、または他のマイクロ光学素子が、主光線角を変更するために組み込まれてもよい。
図31Aおよび
図31Bに軸外回折構造3140の一例が示されており、そこでは、回折構造3040のピッチが不均一であり、主光線が法線ベクトル3143に対して角度を付けられるよう、光錐を回折する。
【0059】
図32Aを参照すると、例示的な光学システム3200が示されている。以下においてより詳細に説明されるように、光の方向付けおよび成形が複数の段において行われるため、ならびに2つの屈折力軸のために異なる光形態が用いられるため、システム3200は、ディスプレイ3202からの光をアイピース3204内へ伝達するための「スプリット」システムと考えられ得る。ディスプレイシステム3202はエミッタアレイパネル3206および投影レンズ3208を含む。エミッタアレイパネル3206は、光エミッタ(例えば、マイクロLED)のアレイ、およびエミッタを覆うレンズレット(例えば、対称もしくは非対称であり得る、図示されない、円柱レンズレット)のアレイを含み得る。エミッタとレンズレットとの間の位置付けは、いくつかの点では、収束主光線傾斜システム2800(
図28~
図30)内のエミッタアレイ2801に関して説明された構成と同様であり得る。しかし、エミッタアレイパネル3206は若干の点でエミッタアレイ2801とは異なり得る。例えば、エミッタアレイパネル3202によって放出された光線は、2次元ではなく、1次元のみにおいて(例えば、x軸に沿って)傾斜し得る。加えて、実施形態によっては、エミッタアレイパネルは、(例えば、高さ寸法hよりも大きい幅寸法wを有する)細長い形状を有する。実施形態によっては、幅wと高さhとの比はおよそ4:1であり得る。実施形態によっては、エミッタアレイパネルの幅wはおよそ20mmであり得、エミッタアレイパネルの高さhはおよそ5mmであり得る。ただし、本出願の範囲から逸脱することなく他の寸法および比率も設計上の選択事項として可能である。
【0060】
エミッタアレイパネルの正面図および上面図をそれぞれ示す
図33Aおよび
図33Bに、エミッタアレイパネル3206の細長い形状がさらに示されている。エミッタアレイパネル3206は、それから放出された光線が傾斜しているのと同じ軸(例えば、x軸)に沿って細長いものであり得る。1次元の傾斜は、
図34Aおよび
図34Bに示されるように、円柱レンズレットのアレイを、下に横たわる光エミッタに対してオフセットすることによって達成され得る。円柱レンズレットの中心軸3234と、光エミッタ、または光エミッタのグループに関連付けられた下に横たわるアパーチャの中心軸3236との間のオフセットは漸進的であり得、これにより、
図34Aに示されるように、傾斜はエミッタアレイパネルの中心線3212に沿って最小(例えば、およそ0)である。これは、エミッタアレイパネルの中心から放出された主光線3218がエミッタアレイパネルに対して実質的に垂直に進むことを可能にする。傾斜角は、
図34Bに示されるように、エミッタアレイパネルの左および右縁部における最大オフセットd
o,maxまでエミッタアレイパネルの+/-x軸に沿って漸進的に増大する。エミッタアレイパネルの縁部付近に位置する主光線3210は、オフセットd
o,maxの関数であるθ
1の最大傾斜角を有する。
図34Aおよび
図34Bにおける点線は、各主光線に関連付けられた光錐を表す。鎖線は、光錐に関連付けられた像焦点を示す。光錐は、レンズレットから距離d
fに位置する焦点3238において集束させられ得る。距離d
fは円柱レンズレットの特定の設計によって決定される。焦点距離d
fはエミッタアレイパネル3206と導波路3204との間の距離よりも大きいものであり得る。例えば、実施形態によっては、焦点距離はおよそ1メートルであり得る。ただし、本出願の範囲から逸脱することなく他の距離も設計上の選択事項として選択され得る。一例では、円柱レンズレットの少なくとも部分はおよそ500ミリメートル~無限遠の距離においてエミッタアレイ内のエミッタの少なくとも部分の像を形成する。
【0061】
図33Aおよび
図33Bにも主光線の1次元の傾斜が示されている。ここで、矢印は、光エミッタによって放出され、エミッタアレイパネル内の円柱レンズによって方向付けられた主光線を表す。エミッタアレイパネル3206の中心線3212から最も遠い主光線3210は、エミッタアレイパネルの前面(例えば、円柱レンズレットの前面)に対して垂直な線から測定された第1の角度θ
1で中心線3212に向かう方へ角度を付けられる。第1の角度θ
1は、光線3214、3216にそれぞれ関連付けられた第2および第3の角度θ
2およびθ
3よりも大きいものであり得る。光線3214および3216は、光線3210よりもx方向において中心線3212により近い位置から発する。実質的に中心線3212上の場所から放出された主光線3218は、エミッタアレイパネルの前面に対して垂直な線と実質的に平行な軌跡を有し得、したがって、およそ0の傾斜を有する。実施形態によっては、エミッタアレイパネル3206から放出された全ての主光線は、エミッタアレイパネルの前面から距離d
xに位置するx方向の焦点3220に向かって方向付けられる。ただし、各主光線は、非無限遠距離(例えば、ユーザの眼が位置する視点からおよそ1メートル以上)において集束させられる光錐(
図34A、34B)を表す。それゆえ、距離d
xにおける光は、小さい焦点の代わりに、より広いビームウェスト3240(
図32)を形成し得る。
【0062】
図32Aを再び参照すると、エミッタアレイパネル3206から延びる破線は、
図33A~
図34Bに関して説明されたように、x軸に沿ったエミッタの位置とともに変化する量だけ内向きに角度を付けられたエミッタアレイパネル3206によって放出された光線3222(例えば、主光線3210、3214、3216、3218、および関連光錐)のグループを表す。光線の軌跡はエミッタアレイパネルのy次元に沿って変化しない。エミッタアレイパネル上の共通のx座標を共有するが、異なるy座標を有する、エミッタから発した光線は実質的に平行な軌跡をたどり得る。それゆえ、エミッタアレイパネルから放出された光は、投影レンズ3208を用いなければ、y次元において焦点に収束しないであろう。
【0063】
エミッタアレイパネルからの光線3222は投影レンズ3208に衝突する。
図35に、投影レンズ3208の構成要素の一例が詳細に示されている。投影レンズは、レンズ3224など、1つまたは複数の光学要素を含み得る。各レンズ3224は、投影レンズ内の他のレンズと異なる、または同じである形状を有し得る。実施形態によっては、レンズは円柱またはトロイダルレンズであり得、これにより、y-z平面内で見た断面形状はx次元にわたって一定のままであり、その一方で、x-z平面内で見た断面形状はy次元に沿って変化する。投影レンズはx軸に沿って屈折力を全く有してはならない。それゆえ、投影レンズ3208に入った光線3222の軌跡は、各光線が光学素子3208に入るy座標場所の関数として変更され得る。実施形態によっては、投影レンズ3208は、光錐をy方向にコリメートし、主光線を、投影レンズ構成要素から距離d
yに位置するy方向焦点(または焦線)3228においてy方向に収束させる役割を果たし得る。実施形態によっては、光線は、光線がx方向に収束するかまたはビームウェストを形成する場所とは異なる場所において、y方向に収束し得る。
図32に示される例示的なシステムでは、y方向における収束は、x方向における収束よりもエミッタアレイパネルに近い光路に沿った点において生じる。
【0064】
点線3226によって表された、投影レンズ3208から出射した主光線は、それらが、導波路3204上または内に配設されたインカップリング光学要素3230に衝突する際に、x方向およびy方向の両方において、収束する軌跡上にある。各主光線に関連付けられた光錐はy方向にコリメートされ、x方向に何らかの長い距離dfにおいて集束させられる。エミッタアレイパネルと成形光学素子とインカップリング光学要素との間の間隔、ならびにエミッタアレイパネルおよび投影レンズにおいて作り出される光路角度は、光線3226が、y方向収束場所3228において、およびx方向収束場所より前にインカップリング光学要素3230に衝突するように選択され得る。光線がインカップリング光学要素を介して導波路内にインカップリングすると、光の少なくとも部分は回折され、および/または(例えば、内部全反射「TIR」によって)導波路3204内で反射され、アウトカップリング光学要素3232へ到達する。導波路3204内の光の光路はインカップリング光学要素3230とアウトカップリング光学要素3232との間の鎖線によって表されている。アウトカップリング光学要素は、光が-y次元に進み、アウトカップリング光学要素3232と相互作用するのに従って、光の方向を変え、これにより、光の部分は、(アウトカップリング光学要素3232から遠ざかる方に向いた鎖線の矢印によって表されるように)ユーザの眼に向かって導波路3204から出射し、その一方で、残りの部分は-y次元に進み続ける。それゆえ、アウトカップリング光学要素3232は、3228において形成された瞳を複製し、アイボックス(例えば、視認者の眼が、アウトカップリング光学要素から出射した光によって表現される像を観察し得る領域)をy次元において拡大する。インカップリング光学要素から視認者の眼までの光の経路の長さは2本の鎖線として表され、leと印付けされている。実施形態によっては、距離leは距離lcと実質的に同じである。ここで、距離lcは導波路3204のインカップリング光学要素とビームウェスト3240との間の距離である。それゆえ、光が導波路3204を通って進むのに従って、それは、ビームウェストの場所が視認者の眼の場所と一致するよう、収束および集束し続ける。
【0065】
図32Bに、光学システム3201の別の実施形態が示されている。システム3200と同様に、システム3201は、ディスプレイ3202’からの光をアイピース3204’内へ伝達するための「スプリット」システムと考えられ得る。ディスプレイシステム3202’はエミッタアレイパネル3206’および投影レンズ3208を含む。エミッタアレイパネル3206’は、光エミッタ(例えば、マイクロLED)のアレイ、およびエミッタを覆って配設されたレンズレット(例えば、対称もしくは非対称であり得る、図示されない、円柱レンズレット)のアレイを含み得る。光エミッタのアレイとレンズレットのアレイとの間の位置付けは、投影レンズ3208’に向かってレンズレットから出射する光がx方向に沿って傾斜しないようになっている。それゆえ、光はx次元において収束しない。
図33Cおよび
図33Dに示されたエミッタアレイパネル3206’の正面図および上面図のそれぞれに、これが示されている。エミッタアレイパネル3206’から出射した主光線3210’、3214’、3216’、3218’はx次元およびy次元の両方において互いに実質的に平行である。エミッタアレイとアパーチャとレンズレットアレイとの間の関係はエミッタアレイパネル3206’全体にわたって一定であり得、
図34Aに示される関係と同様であり得る。
【0066】
エミッタアレイパネル3206’の他の構成も可能である。例えば、最初に
図34Cを参照すると、複数のマイクロLEDエミッタ3402が単一のアパーチャ3236’および単一のレンズレット3404に関連付けられ得る。レンズレット3404は、レンズレットの中心線3234’がx次元においてアパーチャ3236’の中心と位置合わせするように位置付けられ得る。主光線(例えば、光線3210’)がエミッタアレイパネル3206’に対して実質的に垂直な角度でレンズレットから放出され得る。点線によって示されるように、各主光線に関連付けられた光錐も放出され得、レンズレット3404によって、鎖線によって示されるように、レンズレットから距離d
fにおいて焦点が作り出されるように成形され得る。実施形態によっては、距離d
fはおよそ1メートルであり得るが、レンズレット設計に応じて他の距離も可能である。さらに、主光線はエミッタアレイパネル3206’の前面に対して実質的に垂直な方向に進み得る。複数のエミッタ3402はピッチpでエミッタアレイパネル内に配設され得、ピッチはおよそ25μmであり得る。レンズレット3404の幅寸法はピッチpとおよそ等しいものであり得る。
【0067】
次に
図34Dを参照すると、エミッタアレイパネル3206’’の別の実施形態が示されている。複数のマイクロLEDエミッタ3402が複数のアパーチャ3236’’に関連付けられ得、複数のアパーチャ3236’’の各々は単一のレンズレット3406に関連付けられ得る。レンズレット3406は、各レンズレット3406の中心線3234’’がx次元においてアパーチャ3236’’の中心と位置合わせするように位置付けられ得る。主光線が各レンズレット3406から異なる角度で放出され得る。3つのレンズレットが示された、図示の実施形態では、中心レンズレットを通過する光は、エミッタアレイパネル3206’’に対して実質的に垂直に方向付けられた主光線を有し得る。中心レンズレットの左および右のレンズレットは、中心レンズレットから遠ざかる方へ角度を付けられた主光線を有し得る。各レンズレットは、焦点がレンズレットから距離d
fにおいて形成されるように成形された、点線によって表された、光錐を放出する。マイクロLEDエミッタからの光を成形し、方向付けるために、複数のアパーチャおよび複数のレンズレットが用いられるため、複数の焦点が形成される。実施形態によっては、マイクロLEDアレイのピッチp’はおよそ25μmであり得る。マイクロLEDエミッタの各グループに関連付けられた複数のレンズレットの幅寸法はピッチp’と等しいものであり得る。それゆえ、システム3206’におけるレンズレット3404と比べて、レンズレット3406はより小さい幅を有し得る。より小さい幅を有するレンズレット3406は、単一のより大きいレンズレット3404よりも高い忠実度のピクセル像を提供し得る。
【0068】
点線3222’、3206’によって表された、エミッタアレイシステムからの光が投影レンズ3208へ到達すると、投影レンズ3208は、点線3226’によって表されるように、光をy次元内で収束させ、および/またはコリメートする役割を果たし得る。光は投影レンズから距離dyにおけるy次元焦点へ到達し得る。導波路アイピース3204’が、インカップリング光学要素3228’が焦点に位置するように配置され得、光は次いでアイピースにインカップリングされる。アイピース内にインカップリングされた光は回折し、および/または-y次元に沿ってアイピース内で反射し、これにより、それはアウトカップリング光学要素3232’に遭遇する。光がアウトカップリング光学要素3232’と相互作用し、-y次元に進むのに従って、光の複数の瞳が導波路3204’から出射することになり、これにより、光によって表現された像を視認者が観察し得るアイボックスを形成する。
【0069】
システム3200および3201はいくつかの利点をもたらす。具体的には、スプリットシステムは、最小限に抑えられた眉装着ディスプレイおよびプロジェクタのための実用的フォームファクタを可能にする。このようなフォームファクタは、かさばるフレームを必要とすることなく、ユーザの眉の付近で1組のメガネ内に容易に統合され得る。加えて、システム3200は、ディスプレイおよびプロジェクタからの多量の光をインカップリングするように構成された大きなICGを含む。このような大量の光をインカップリングすることは、ユーザによる視認のためにアウトカップリング光学要素から出射する像の輝度および効率の改善をもたらす。さらに、エミッタアレイパネル、プロジェクタ、およびインカップリング光学要素の細長い形状のおかげで、アイピースは光瞳を1つの方向(例えば、y方向)において複製するだけでよい。アウトカップリング光学要素の要件を減らすことは導波路アイピースの効率を改善し、光学設計および製作要求を単純化する。
【0070】
したがって、本開示は図示の実装形態に従って提供されたが、当業者は、実施形態の変形が存在し得、それらの変形は本開示の範囲内に含まれるであろうことを容易に認識するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの変更が当業者によって行われ得る。
【国際調査報告】