IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インテグラ ミッション クリティカル,エルエルシーの特許一覧

特表2024-527284配電センタにおける冷却のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】配電センタにおける冷却のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20240717BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
H05K7/20 G
H05K7/20 W
H05K7/20 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579122
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022073099
(87)【国際公開番号】W WO2022272273
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/213,416
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/845,845
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523411134
【氏名又は名称】インテグラ ミッション クリティカル,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Integra Mission Critical, LLC
【住所又は居所原語表記】17000 Dallas Pkwy, Ste 200, Dallas, Texas 75248, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノイマン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コラール、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マクニール、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ムシッリ、ジュニア、ジョン エー.
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AB01
5E322AB06
5E322AB10
5E322AB11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322CA06
5E322DA01
5E322DA02
5E322DA04
5E322EA05
5E322EA11
(57)【要約】
配電センタ(130、300)は、複数の壁(202)及び複数の開口部(206~208、307、310、314)を含むハウジング(200)と、1つ以上のUPSモジュール(302)及びバッテリーラック(304)と、1つ以上のUPSモジュール及びバッテリーラックの上方に配置された少なくとも1つの排気ダクト(312)とを備えている。少なくとも1つの排気ダクトは、少なくとも1つの第1の開口部(314)と位置合わせされた出口を有する。配電センタは、配電センタの外部から冷却空気を受け取り、この冷却空気を1つ以上のUPSモジュール及びバッテリーラックに運ぶように構成されている。1つ以上のUPSモジュール及びバッテリーラックは、熱エネルギーを冷却空気に伝達し、これにより加熱排気を生じるように構成されている。少なくとも1つの排気ダクトは、加熱排気を受け取って少なくとも1つの第1の開口部へ運び、加熱排気を外部空間に排出するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電センタ(130、300)であって、
複数の壁(202)と、前記壁にある複数の開口部(206~208、307、310、314)とを含むハウジング(200)と、
前記ハウジング内に配置された1つ以上の無停電電源(UPS)モジュール(302)及び1つ以上のバッテリーラック(304)と、
前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックの上方に配置され、前記複数の開口部のうち少なくとも1つの第1の開口部(314)と位置合わせされた出口を有する少なくとも1つの排気ダクト(312)と、
を備え、
前記配電センタの外部から、前記複数の開口部のうち少なくとも1つの第2の開口部(314)を介して冷却空気を受け取り、前記冷却空気を前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックに運ぶように構成されており、
前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックは、動作時に熱エネルギーを前記冷却空気に伝達し、これにより加熱排気を生じるように構成されており、
前記少なくとも1つの排気ダクトは、前記加熱排気を外部空間に排出するために、前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックから前記加熱排気を受け取って前記加熱排気を前記少なくとも1つの第1の開口部へ運ぶように構成されている、
配電センタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの排気ダクトは、前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックの上方で高さが調節可能である、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの排気ダクトは、前記複数の壁のうちの少なくとも1つに配置された1つ以上の調節可能なスライドレール(316)に取り付けられており、前記1つ以上の調節可能スライドレールは、前記少なくとも1つの排気ダクトの高さを調節できるように構成されている、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項4】
前記冷却空気は、前記配電センタに隣接するデータセンタ(101)から受け取られる、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項5】
前記冷却空気は、前記データセンタと前記配電センタとの間の正の空気圧差によって前記データセンタから前記配電センタに流れる、請求項4に記載の配電センタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの排気ダクトの第1の排気ダクトと、前記1つ以上のUPSモジュールの第1のUPSモジュールとの間に配置され、前記第1のUPSモジュールの少なくとも1つの外面に密着するように構成された可撓性エアダム(318)をさらに備える、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2の開口部と位置合わせされ、前記冷却空気が前記配電センタ内に受け取られる際に前記冷却空気を冷却するように構成された冷却コイル(308)をさらに備える、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1の開口部に隣接して配置され、前記少なくとも1つの第1の開口部を通る前記加熱排気の移動を促すように構成された少なくとも1つのファン(320)をさらに備える、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの排気ダクトが断熱されている、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の開口部は、前記配電センタ内で前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックよりも垂直方向に高く配置されている、請求項1に記載の配電センタ。
【請求項11】
配電センタ(130、300)の外部から、前記配電センタの複数の壁に配置された複数の開口部(206~208、307、310、314)のうち少なくとも1つの第2の開口部(307)を介して冷却空気を受け取り、前記配電センタ内に配置された1つ以上の無停電電源(UPS)モジュール(302)及び1つ以上のバッテリーラック(304)に前記冷却空気を運ぶ(1401)ことと、
前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックから前記冷却空気に熱エネルギーを伝達し、これにより加熱排気を生じる(1403)ことと、
前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックの上方に配置された少なくとも1つの排気ダクト(312)により、前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックから前記加熱排気を受け取る(1405)ことと、
前記加熱排気を外部空間に排出するために、前記複数の開口部のうち少なくとも1つの第1の開口部(314)と位置合わせされた出口に前記加熱排気を運ぶ(1405)ことと、
を含む方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの排気ダクトは、前記1つ以上のUPSモジュール及び前記1つ以上のバッテリーラックの上方で高さが調節可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの排気ダクトは、前記複数の壁のうちの少なくとも1つに配置された1つ以上の調節可能なスライドレール(316)に取り付けられており、前記1つ以上の調節可能スライドレールは、前記少なくとも1つの排気ダクトの高さを調節できるように構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却空気は、前記配電センタに隣接するデータセンタ(101)から受け取られる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記冷却空気は、前記データセンタと前記配電センタとの間の正の空気圧差によって前記データセンタから前記配電センタに流れる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は冷却システムに関し、特に配電センタにおける冷却のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタは、データセンタ施設の外側に位置するがデータセンタ施設に隣接する外部の配電センタを含むことが多い。このような配電センタは、無停電電源(UPS)モジュールなど、データセンタに電力を供給するための設備を収容している。このような設備によって大量の熱エネルギー(すなわち熱)が生じるため、配電センタは一般に機械的冷却を用いており、結果としてエネルギー使用量が多くなり、設置コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、配電センタにおける冷却のための制御システム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実施形態において、配電センタは、複数の壁と、壁にある複数の開口部とを含むハウジングを備えている。配電センタはさらに、ハウジング内に配置された1つ以上の無停電電源(UPS)モジュール及び1つ以上のバッテリーラックを含む。配電センタは、1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックの上方に配置され、複数の開口部のうち少なくとも1つの第1の開口部と位置合わせされた出口を有する少なくとも1つの排気ダクトをさらに含む。配電センタは、配電センタの外部から、複数の開口部のうち少なくとも1つの第2の開口部を介して冷却空気を受け取り、この冷却空気を1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックに運ぶように構成されている。1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックは、動作時に熱エネルギーを冷却空気に伝達し、これにより加熱排気を生じるように構成されている。少なくとも1つの排気ダクトは、加熱排気を外部空間に排出するために、1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックから加熱排気を受け取ってこの加熱排気を少なくとも1つの第1の開口部へ運ぶように構成されている。
【0005】
第2の実施形態において、方法は、配電センタの外部から、配電センタの複数の壁に配置された複数の開口部のうち少なくとも1つの第2の開口部を介して冷却空気を受け取り、配電センタ内に配置された1つ以上の無停電電源(UPS)モジュー及び1つ以上のバッテリーラックに冷却空気を運ぶことを含む。この方法はさらに、1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックから冷却空気に熱エネルギーを伝達し、これにより加熱排気を生じることを含む。この方法はさらに、1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックの上方に配置された少なくとも1つの排気ダクトにより、1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックから加熱排気を受け取ることと、加熱排気を外部空間に排出するために、複数の開口部のうち少なくとも1つの第1の開口部と位置合わせされた出口に加熱排気を運ぶこととを含む。
【0006】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明及び特許請求の範囲から、当業者に容易に明らかとなりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】配電センタ(PDC)における冷却のためのシステム及び方法を本開示に従って実施することのできる例示的なシステムを示している。
図2】本開示による例示的なPDCハウジングの等角図を示している。
図3】本開示による例示的なPDCを示している。
図4】本開示による例示的なPDCを示している。
図5】本開示による図3及び図4のPDCにおける空気流の例示的な動作を示している。
図6】本開示による図3及び図4のPDCにおける空気流の例示的な動作を示している。
図7】本開示による図3及び図4のPDCの追加の制御動作を示している。
図8】本開示による例示的なPDCの外側立面図を示している。
図9】本開示による図8のPDCの上面図及び複数の垂直断面図を示している。
図10】本開示による図8のPDCの一部の3次元ブロック図を示している。
図11A】開示される実施形態のいずれにも使用できるダンパの例を示している。
図11B】開示される実施形態のいずれにも使用できるダンパの例を示している。
図12A】本開示による排気ダクトの例示的な設置のさらなる詳細を示している。
図12B】本開示による排気ダクトの例示的な設置のさらなる詳細を示している。
図13】本開示による冷却システムにおいて使用する計算装置の例を示している。
図14】本開示の種々の実施形態による、PDCにおいて冷却動作を実行するための例示的な方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
後述する図1図14、及び本特許文献において本開示の原理を説明するために使用される種々の実施形態は説明のためのものにすぎず、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、適切に配置されたいずれのシステム又はデバイスにおいても本開示の原理が実施可能であることを理解するであろう。
【0009】
簡略化及び明瞭化のために、いくつかの特徴及び構成要素は、他の図面に関連して示されるものを含め、全ての図面に明示的に示されているわけではない。図面に示す全ての特徴を、説明する実施形態のいずれにも使用できることが理解されるであろう。特定の図面からの特徴又は構成要素の省略は簡略化及び明瞭化のためであり、その特徴又は構成要素を、その図面に関連して説明される実施形態において使用できないことを意味するものではない。本開示の実施形態は、本明細書に記載する特徴のうち任意の1つ、2つ以上、又は全てを含むことができることが理解されよう。また、本開示の実施形態は、これに加えて又はこれに代えて、本明細書に列挙していない他の特徴を含むことができる。
【0010】
データセンタ施設において、配電センタ(PDC)は無停電電源(UPS)モジュール及びバッテリーを収容する電気室である。従来のPDCは一般に、設置されるバッテリー及びUPSモジュールのタイプに応じて室内の周囲温度を77°Fから104°Fの間に保つ特殊な追加の冷却システム(例えば、スプリットシステム冷却とも呼ばれるDX(直接膨張)冷却)を用いている。この冷却設備には、さらなる設計努力、床面積、資本支出及び保守が必要である。UPS設備の設計に固有の寄生負荷を冷却すべく7×24時間体制で冷却設備を動作させるのに必要なエネルギーコストはかなり大きい。
【0011】
アクティブ空調は通常、周囲温度に関係なく行われる。従来のPDC及び電気モジュールにより、熱生産設備(UPS、充電/放電バッテリー、スイッチギア及び変圧器を含む)からの給気及び排気は、分離又は隔離することなくPDC内で混合することができる。この混合では、所定の設備入気温度(EAT)に達するために熱い排気を冷たい給気で希釈することが必要となる。この標準的な業界条件では、所定のEATを満たすために温度を下げた状態で少なくとも200%の風量が必要となる。
【0012】
これらの問題及び他の問題に対処するために、本開示の実施形態はPDCにおける冷却のためのシステム及び方法を提供する。
【0013】
図1は、PDCにおける冷却のためのシステム及び方法を本開示に従って実施することのできる例示的なシステム100を示している。図1に示すシステム100の実施形態は説明のためのものにすぎない。システム100の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0014】
図1に示すように、システム100はデータセンタ101を含む。データセンタ101の内部には複数のデータホール110がある。各データホール110は、実質的に別個の密閉空間を形成する、データセンタ101の少なくとも一部分を表している。各データホール110は、ラックに配置された複数のサーバ及び/又は他の計算装置を収容している。当技術分野で知られているように、サーバはかなりの量の熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーはデータホール110内の空間を加熱する傾向にある。したがって、各データホール110では、サーバが適切に動作し、データホール110内にいるいずれの従業員も快適に過ごせるように、データホール110の温度を適切なレベルに保つための冷却が必要である。いくつかの実施形態において、各データホール110は、冷却空気を生成する1つ以上の専用の企業用冷却ユニット(ECU)120を含む。ECU120は、データホール110を冷却する冷却空気を生成する任意の適切なシステム又はデバイス(冷却水、間接蒸発式冷却、トリミングコイルによる直接外気などを含む)を表している。いくつかの実施形態において、ECU120は直接蒸発式冷却ユニットである。
【0015】
各データホール110は1つ以上のPDC130にも関連づけられている。各PDC130は、データホール110内の構成要素に電力を供給するための電力設備及び他の関連設備を収容している。通常、各PDC130は、1つのデータホール110による使用のために専用の設備を収容している。しかしながら、いくつかの実施形態において、PDC130は複数のデータホール110のための設備を収容することができる。各PDC130は、幅約9.5フィート×長さ45フィート×高さ9フィートであるが、PDC130は、より大きい又はより小さいサイズを含む任意の適切なサイズとすることが可能である。PDC130は単一のエンクロージャでもよいし、並列、直線、正方形、長方形、ハブ及びスポーク、スタックなどに構成されたブロックで接続されたエンクロージャのグループでもよい。ECU120及びPDC130は、データセンタ101を含む建物の外部に位置する。
【0016】
データホール110の内部では、ECU120からの冷却空気が通気孔又はダクトを通って入り、データホール110の内部空間を冷却し、使用済みの空気は吊り天井のプレナムなどを通ってデータホール110の外部に排出される。さらに、冷却空気の一部をファンアシストでPDC130に引き込むことができる。いくつかの実施形態では、追加のバイパス冷却空気を供給するように1つ以上のECU120を構成し、この冷却空気を展開してPDC130のうちの1つ以上の中にある電気設備を冷却することができる。図1は2つのデータホール110を有するデータセンタ101を示しており、各データホールは2つのECU120と1つのPDC130を有するが、これは一例にすぎない。他の実施形態において、データセンタ101は、他の数のデータホール110、ECU120及びPDC130を含むことができる。
【0017】
図2は、本開示による例示的なPDCハウジング200の等角図を示している。いくつかの実施形態において、PDCハウジング200は、図1のPDC130のうち1つのためのハウジングを表している。図2に示すPDCハウジング200の実施形態は説明のためのものにすぎない。PDCハウジング200の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0018】
図2に示すように、PDCハウジング200は、PDCハウジング200を含むエンクロージャを形成する複数の壁202を含んでいる。図2には具体的に示していないが、PDCハウジング200は通常、壁202の下に配置された床と、壁202の上に配置された屋根(ルーフ)とを含み、実質的に囲まれた空間を形成している。1つの壁202には出入口204があり、従業員はこの出入口を通ってPDCハウジング200に入ることができる。また、壁202は、PDCハウジング200に空気流を出入りさせることができる複数の開口部206~208を含んでいる。いくつかの実施形態において、開口部206はPDCハウジング200への空気流を可能にし、開口部207~208はPDCハウジング200からの空気流を可能にする。もちろん、これは一例にすぎない。他の実施形態において、1つ以上の開口部206がPDCハウジング200からの空気流を可能にすることができ、及び/又は開口部207~208の1つ以上がPDCハウジング200への空気流を可能にすることができる。開口部206~208及び対応する空気流に関するさらなる詳細は、他の図面に関連して後述する。
【0019】
図3及び図4は、本開示による例示的なPDC300を示している。具体的に、図3はPDC300の側面図を示しており、図4はPDC300の上面図を示している。いくつかの実施形態において、PDC300は図1のPDC130のうちの1つを表しており、PDCハウジング200内に収容されている。図3及び図4に示すPDC300の実施形態は説明のためのものにすぎない。PDC300の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0020】
図3及び図4に示すように、PDC300は、1つ以上のUPSバッテリーラック304及び1つ以上の変圧器305に電気的に結合された1つ以上のUPSモジュール302を収容している。データホール110の通常運転時、UPSモジュール302及び変圧器305は大きな熱を発生する実質的にアクティブな状態にある一方で、UPSバッテリーラック304は実質的に休止状態にあり、大きな熱を発生しない。データホール110における停電又は故障の場合、UPSモジュール302はモードを変更して大きな熱を発生し続け、UPSバッテリーラック304はオンラインになり、データホール110のための電力を生成しながら、放電を開始し、大きな熱を発生する。UPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304は、UPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304を所定の温度範囲内に保つために排除しなければならない大量の熱を発生する。UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305は、これらの構成要素を冷却するために冷却空気がUPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305に流入できるよう外面に配置された1つ以上の給気口306を含む。
【0021】
PDC300の一端には1つ以上の開口部307があり、これらは図2の開口部206を表すことができる。図3は壁における1つの開口部307を示しているが、1つ以上の開口部307は、これに加えて又はこれに代えて、天井又は床システムにおける開口部を含むことができる。壁に取り付けられた1つ以上の冷却コイル308が開口部307に隣接している。開口部307を通ってPDC300に入る空気は、冷却コイル308の上又は冷却コイル308を通って流れることができる。いくつかの実施形態では、冷却コイル308の上流又は下流に配置された1つ以上のファンが活発な空気の流れを促すことができる。
【0022】
PDC300の他端には1つ以上の開口部310があり、これらは図2の開口部207を表すことができる。加熱排気のようなPDC300内の空気の一部を、開口部310を通して排出することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の排気ファンを開口部310に隣接して配置し、空気の移動を促すことができる。いくつかの実施形態において、開口部310は、空気流が存在する際に開く動力式又は重力式ダンパを含むことができる。
【0023】
UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305の上方には、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305によって生じ、排出される加熱排気を受け取る排気ダクト312が配置されている。排気ダクト312はPDC300の壁、屋根、床又は下面の開口部314に排気を運び、ここで排気をPDC300から外部に排出することができる。いくつかの実施形態において、開口部314は図2の開口部208を表すことができる。いくつかの実施形態において、排気ダクト312は断熱され、排気ダクト312の壁を通じる熱伝導を最小限に抑える。いくつかの実施形態では、排気ファン320が開口部314に隣接して配置され、開口部314を通る空気の移動を促す。
【0024】
いくつかの実施形態において、排気ダクト312は、PDC300の壁に配置された調整可能なダクトスライドレール316に取り付けられている。スライドレール316によって排気ダクト312は必要に応じて上下に移動し、加熱排気が排出されるUPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305の上面の横に密着することができる。UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305の異なるモデルは異なる垂直寸法を有することができるため、スライドレール316は排気ダクト312をUPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305に柔軟に接続することができる。
【0025】
空気ダクトを通して効率的かつ効果的に空気を移動させる(ダクトからバイパスする又は漏れる空気の量をゼロ又はほぼゼロに低減する)ために、特殊なフランジ、クランプ、ねじ、ナット及びボルト、接続シールテープ、ガスケット、封止化合物などを、ダクトの製造業者によって精密に設計、加工及び施工されたダクト接続の内外点で使用し、漏れのない接続を実現することができる。殆どの場合、UPS及びバッテリーラックの製造業者は、予め加工され、予め製造されたエアダクト接続点をそれぞれの設備に提供していない。このタイプの設備及びラッキングの製造業者は、UPS、バッテリーキャビネット又は変圧器のケースを改造した場合、設備の保証が無効になる可能性があると述べることで、従来のネジ、ナット及びボルトでダクトを取り付けるために製造業者の表面又は構成要素を改造することを設備の所有者に思いとどまらせたり、改造する気を設備の所有者からなくさせたりしている。
【0026】
製造業者の保証損失のほかに、金属キャビネットに穴を開けたり、UPSバッテリーキャビネット及び/又は変圧器のエンクロージャにねじナットやボルトを落としたりすることを含むあらゆる作業から、UPS回路、構成要素、電気接続、短絡故障などへの設備損傷の重大なリスクがある。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つ以上の可撓性エアダム318が、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び/又は変圧器305、ならびにこれらの対応する排気ダクト312との間に配置されている。可撓性エアダム318は、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び/又は変圧器305、ならびに対応する排気ダクト312との間により気密性の高いインターフェースを生じるために、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び/又は変圧器305、ならびに対応する排気ダクト312の1つ以上の外面に(ハードウェアを取り付けることなく)密着している。いくつかの実施形態では、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び/又は変圧器305、ならびに対応する排気ダクト312との間の密着をさらに促すために、可撓性エアダム318は重み付きスカート又は磁気エッジを含む。いくつかの実施形態において、可撓性エアダム318は、2%未満の漏れ又はバイパス混合基準を満たすか又はこれにまさるシールを生じることができる。
【0028】
より詳しく後述するように、PDC300は、データホール110内の計算装置を冷却するために生成される高効率で大容量の蒸発冷却又は機械的冷却を利用するアクティブ及び/又はパッシブな冷却技術を実施することができる。データセンタの要件に従って、冷却された給気は、72°F~104°Fの範囲の温度で、1日24時間、週7日データホール110のために利用可能である。データホール110をサポートする冷却システム(例えばECU120)は、その内部構成要素を冷却するためにコンピュータ装置が必要とするよりも多くの空気量を加えることにより、データホール110内のコンピュータ設備の給気側を加圧する。この追加の空気量は、コンピュータ設備の供給口における熱風と冷風の混合を防止するために必要である。この加圧給気は、暖気通路の空気の冷気通路への侵入又はバイパスを防止する。専用の制御装置は、給気通路と戻り空気通路との間の圧力差を決定し、データホール110においてわずかに正の圧力を保つようにシステムのファン速度を制御する。
【0029】
この高効率冷却ソリューションの給気を、データホール110からデータホール110とPDC300との間の直接通気口を通って掃気することができる。各通気口は開口部307のうちの1つと一致し、データホール110からPDC300への直接的な空気流の連通を可能にする。この空気流は、データホール110とPDC300との間の正の空気圧差によってデータホール110からPDC300へ方向づけられる。この給気は、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305に冷却給気として利用可能であり、この冷却給気はUPS製造業者指定の設備冷却経路に引き込まれてこれを通り、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305の内部構成要素を冷却し、これにより加熱排気を生じることができる。
【0030】
前述のように、従来のPDCシステムでは、加熱排気はPDCの密閉空間内へ直接廃棄される。加熱排気は、UPS、他の電気室設備及びバッテリーの所定の給気要件を超える温度にある。加熱排気を冷却するか、又はアクティブな電気設備空間から空気を除去する方法がないと、UPSモジュールは所定の動作熱エンベロープの上限を超えてしまい、容量の低下や保護されていない供給源へのクリティカル電力の伝達を生じてしまう。
【0031】
対照的に、本開示によると、PDC300は、クリティカルな空間又は空間内の個々の対象構成要素にアクセス可能な2つ以上の個別の冷却システムを通してクリティカルな設備の冷却をもたらす冷却ソリューションを含んでいる。これらの冷却システムは、空間の所定の熱要件を満たすために任意の集熱ソリューション及び排熱ソリューションを個々に、又は任意の組み合わせで利用することができる。実施形態に応じて、個別の冷却システムに対し、PDC300は、多様な又は共通の電源、多様な又は共通の制御パネル、制御への多様な又は共通のセンサ入力、及び多様な又は共通の構成要素のうちの1つ以上を含むことができる。
【0032】
例えば、PDC300は、排気ダクト312及び開口部314を介して加熱排気を外部に排出することができる。いくつかの実施形態において、PDCは、費用効果が高く、エネルギー効率が高く、空間効率が高いパッシブ冷却技術を特徴としている。パッシブ冷却技術は、より詳しく後述するように、ルーバー、ダンパ、及び壁又は屋根に取り付けられたウェザーフードを含む1つ以上のパッシブ空気移動構成要素を組み込んでいる。いくつかの実施形態において、PDC300は、より詳しく後述するように、データホール110からPDC300に入る空気をさらに冷却するためのアクティブ冷却特徴も含んでいる。このようなアクティブ冷却特徴は、供給ファン、排気ファン、冷却コイル、プレート熱交換器、直接液体冷却機能などを含むことができる。これは、インフラ設計要件を満たすために独立したクリティカルな冷却冗長性が必要とされる実施において重要となりうる。クリティカルな冷却システムの真の冗長性を維持するために、アクティブ技術及びパッシブ技術を含む物理的構成要素及び制御は完全に分離したシステムを表すことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、共通の構成要素(例えば金属ダクト)を共有してもよい。
【0033】
図5及び図6は、本開示によるPDC300における空気流の例示的な動作を示している。図5及び図6に示すPDC300における空気流の動作の実施形態は説明のためのものにすぎない。空気流の動作の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0034】
図5及び図6に示すように、データホール110又は外気からの冷却空気は、開口部307を通ってPDC300に入る。データホール110から冷却空気が受け取られる際、開口部307とデータホール110内の1つ以上の出口とを接続する1つ以上の通気路又は空気ダクトは空気の流れを促進することができる。
【0035】
実施形態に応じて、冷却空気はパッシブな手段又はアクティブな手段によってPDC300に入ることができる。パッシブな実施形態では、冷却空気はデータホール110とPDC300との間の圧力差によって流れる。すなわち、データホール110をPDC300よりも高圧状態にし、冷却空気をパッシブに流すことができる。あるいは、任意の排気プロセスによってより低い圧力をPDC300内に生じることにより、外気をPDC300内に引き込むことができる。アクティブな実施形態では、開口部307に隣接して配置された1つ以上のファンが冷却空気をPDC300内に押し込むか又は引き込むことができる。
【0036】
冷却空気は、PDC300の内部空間に入ると、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305の給気口306に流入する。冷却空気は発熱構成要素を取り囲む熱エネルギー(熱)を除去し、これによってUPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305を冷却する。冷却空気は熱エネルギーを吸収することによって加熱され、加熱排気となる。加熱排気は、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305から上方に流れて排気ダクト312に入り、開口部314を通ってPDC300から排出される。UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305内、又はこれらに隣接して配置された1つ以上のファン502は、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305を通って排気ダクト312に入る空気の流れを促進することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、PDC300は、開口部307に隣接して配置された冷却コイル308を含む。冷却コイル308は、いずれの適切なサイズ、量及び位置であってもよい。いくつかの実施形態において、冷却コイル308をPDC300の1つ以上の壁、屋根、床又は下面に取り付けることができる。冷却流体が冷却コイル308を通って循環し、これによって冷却コイル308の温度を低下させる。PDC300に入るデータホール110(又は他の低温空間又は外気)からの空気が冷却コイル308の上を流れると、空気は冷却された冷却コイル308によってさらに冷却される。
【0038】
冷却流体は、流体ライン504、熱交換器506、ポンプ508及び冷却液サンプ510を含むことができるループを通って流れる。動作時、冷却流体は冷却コイル308から流体ライン504を通り、任意の排熱システム511を通って冷却液サンプ510に流れ、ここで、冷却コイル308において冷却流体が受け取った熱エネルギーを排熱システム511に放出することができる。排熱システム511は、熱エネルギーを受け取るか又は吸収する任意の適切なシステム又は構造を含む。いくつかの実施形態において、排熱システム511は、冷却水、相変化材料(PCM)、直接又は間接蒸発式冷却、直接又は間接断熱冷却、直接外気、他の空調空間又は冷却空間から掃気された給気、地表水(例えば池又は湖)、地域冷房システムなどのうちの1つ以上を含むことができる。
【0039】
図5に示すように、PDC300には、センサ、弁、ダンパ、ポンプ、ファンなどを含む複数の制御デバイスも含まれている。センサは、PDC300の内部及び外部の状態を識別する複数の入力及び監視センサを含むことができる。センサを、隣接する建物もしくは部屋の内部に、及び/又は外部周囲環境に曝されたPDC300の周囲の周りに配置することができる。いくつかの実施形態において、センサは、気温、気圧、空気流、流体温度、流体流量などのうちのいずれか又は全てを測定することができる。特に、センサは、構成要素の状態(すなわち、アクティブ、非アクティブ、故障、エラーなど)、開閉範囲の位置(0%~100%)、パーセント又はRPMとしての速度、流体レベル(液面レベル)などを測定又は識別することができる。
【0040】
動作の一態様において、センサ及び制御デバイスは、進入空気温度(EAT)が要件を満たさない制御条件に対して以下のように動作する。温度センサT1及びT2は、開口部307を通ってPDC300に入る給気がUPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304を冷却温度範囲外であることを確認する。不具合の通知がオペレーションに送られる。サンプ流体レベルセンサS1は、冷却コイル308に結合された冷却ループ内の流体レベルを識別する。流体レベルが許容できる場合、制御弁V1は開くように命じられる。ポンプ508を始動するためのコマンドが送られる。冷却流体サンプ510からの冷却流体が、冷却コイル308、熱交換器506、又は双方に直接送られる。そして、ポンプ508は、サンプ流体レベルが仕様値を下回る、温度センサT1が少なくとも基準継続時間の間に仕様値内の給気を識別する、ポンプ508の電源が切れる、又は制御弁V1が閉じる、といった条件のうち1つ以上が存在するまで動作し続ける。
【0041】
図7は、本開示によるPDC300の追加の制御動作を示している。図7に示すPDC300における制御動作の実施形態は説明のためのものにすぎない。制御動作の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0042】
図7に示すように、PDC300は任意選択で1つ以上のタイダクト702を含む。各タイダクト702は、UPSモジュール302の上方にある排気ダクト312とUPSバッテリーラック304の上方にある排気ダクト312との間に配置されている。各タイダクト702内には、手動又は自動で制御されるダンパD1がある。ダンパD1は、手動で、又はセンサからの入力、プログラムされた応答などを受信する制御インターフェースを介して操作可能である。
【0043】
各タイダクト702は、取り付けられた全てのシステムの空気流に対応するための冗長性の尺度として設けられている。各タイダクト702の目的は、保守又は(例えば、クリティカルなアクティブ排気システムの予定外の損失による)緊急事態時に空気流路を提供することである。各タイダクト702は、変更された空気量を収容すべく、対応する排気ファンと連携した容量を有するように設計することができる。
【0044】
動作の一態様において、PDC300のセンサ及び制御デバイスは、PDC300の内部の空気圧がPDC300の外部よりも大きい制御条件に対して以下のように動作する。圧力センサP1とP2との間の測定値の差は、PDC300が外部に対して正の内部空気圧を有することを示している。PDC300の外面上の1つ以上の排気ダンパは開くように命じられる。1つ以上のファンF1、F2又はシステムファンSF1、SF2を始動するためのコマンドが送られる。次に、PDC300内でマイナス0.15~0.5水柱インチ(in WC)の所定の圧力差を保つように、(例えばプログラミング又は制御によって)各ファンの速度が調整される。
【0045】
動作の別の態様において、センサ及び制御デバイスは、システムファンSF1が所定の速度で動作していない制御条件に対して以下のように動作する。ファン速度センサS1は、システムファンSF1のファンの動作異常を識別する。ファン故障の通知がオペレーションに送られる。制御プログラムは、タイダクト702の内部に位置する制御ダンパD1を開く。もう一方のシステムファンSF2は、追加の排気量を補うために速度を上げる。
【0046】
図8は、本開示による例示的なPDC800の外側立面図を示している。いくつかの実施形態において、PDC800は、図1のPDC130、又は図3図7のPDC300のうちの1つを表している。図8に示すPDC800の実施形態は説明のためのものにすぎない。PDC800の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0047】
図8に示すように、PDC800は、後壁801、左壁802、前壁803及び右壁804を含む。壁801~804は、図2のPDCハウジング200の壁202を表すことができる。左壁802及び右壁804は、それぞれ壁802、804の上部外縁又はその付近に配置され、壁802、804から外方に延びる少なくとも1つのフード805を含んでいる。いくつかの実施形態において、各フード805は外壁802、804に直接留められて(又は別の態様で取り付けられて)いる。各フード805は、壁802、804の開口部(図示せず)、例えば図2の開口部208又は図3図7の開口部314のうちの1つを覆っている。フード805は、埃、雨、風、昆虫、げっ歯類などの外部要素から開口部を保護し、このような要素が開口部を通ってPDC800内に入るのを防ぐ。
【0048】
前述のように、UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305からの加熱排気は、図9に矢印で示すように、壁の開口部及びフード805の底部の開口部を通ってPDC800から排出されることが可能である。
【0049】
図9は、本開示によるPDC800の上面図及び複数の垂直断面図を示している。図9の矢印で示すように、冷却空気は開口部206を通ってPDC800に流入し、それからUPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305を通ってこれらの構成要素を冷却する。UPSモジュール302、UPSバッテリーラック304及び変圧器305からの熱は空気を加熱し、この空気は次に排気ダクト312、開口部208及びフード805を通って外部に加熱空気として排出される。さらに、一部の空気はPDC800から開口部207を通って排出されることが可能である。
【0050】
図10は、本開示によるPDC800の一部の3次元ブロック図を示している。図10に示すように、UPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304はPDC800の床に配置されている。排気ダクト312は、UPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304の上方に配置されている。フード805はPDC800の壁の開口部(図示せず)を覆っているが、加熱空気が排気ダクト312及び壁の開口部を通って流れることができるように底が開いている。
【0051】
いくつかの実施形態において、開口部206~208のうちの1つ以上は、空気流が存在すると開く動力式又は重力式のダンパを含むことができる。ダンパは、雨、埃、風などに対してさらなる保護層をもたらしている。いくつかの実施形態では、ダンパをフード805の下に設置することができる。図11A及び図11Bは、開示される実施形態のいずれにも使用できるダンパの例を示している。図11Aに示すように、重力式ダンパ1102は、重力によって閉じた位置になるダンパブレードを含む。空気が開口部を通って排出される際、空気はダンパブレードを強制的に開く。図11Bに示すように、動力式ダンパ1104は、必要に応じて制御可能に開閉されるダンパブレードを含む。
【0052】
図12A及び図12Bは、本開示による排気ダクト312の例示的な設置のさらなる詳細を示している。図12Aに示すように、各排気ダクト312は、金属、ガラス繊維、プラスチック又はこれらの組み合わせなど、任意の適切な材料で形成されている。排気ダクト312からダクトの壁を介する熱伝導を最小限に抑えるために、排気ダクト312は断熱層1202によって囲まれている。排気ダクト312は、1つ以上のスライドナット1204を有する壁固定又は取付用スロット付きブラケットを含むことのできるスライドレール316を介してPDCの壁に接続することができる。これに加えて又はこれに代えて、排気ダクト312は、天井取付ブラケット1208に結合する1つ以上の長さ調整可能なロッド1206を介してPDCの天井に接続することができる。図12Bは、長さ調整可能なロッド1206と、天井取付ブラケット1208への1つの実施可能な接続をさらに拡大した図を示している。
【0053】
図1図12BはPDCにおける冷却のためのシステム及び方法の例を示しているが、図1図12Bに対して種々の変更を行うことができる。例えば、開示されるシステム及び方法において種々の構成要素の組み合わせ、さらなる細分化、複製、再構成又は省略を行うことができ、特定のニーズに従って追加の構成要素を追加することができる。さらに、図1図12BはPDCの冷却に使用する例示的なシステム及び方法を示しているが、説明した機能を任意の他の適切なデバイス又はシステムに使用することができる。
【0054】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、種々の動作を制御するために1つ以上の計算装置を含むことができる。いくつかの実施形態では、各計算装置は、人又は会社などの第三者によって運営されるサービスであってもよい。システムfの残りがある場所とは異なる場所に各計算装置を収容して操作することができる。すなわち、各計算装置は特定の場所に縛られない。
【0055】
図13は、本開示による冷却システムで使用する計算装置1300の例を示している。計算装置1300は、開示されるシステム及び方法の種々の構成要素において動作を制御するように構成可能である。例えば、計算装置1300は、図5で説明した種々の制御デバイス(センサ、弁、ダンパ、ポンプ、ファンなどを含む)に関連する動作を制御又は監視することができる。
【0056】
図13に示すように、計算装置1300は、プロセッサ1310、記憶装置1315、通信インターフェース(又は回路)1320及び入力/出力(I/O)ユニット1325間の通信をサポートするバスシステム1305を含んでいる。プロセッサ1310は、メモリ1330にロードすることのできる命令を実行する。プロセッサ1310は、任意の好適な数及びタイプのプロセッサ、又は任意の適切な構成の他のデバイスを含むことができる。プロセッサ1310のタイプの例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路及びディスクリート回路が挙げられる。
【0057】
メモリ1330及び永久記憶装置1335は、情報(一時的又は永久的に、データ、プログラムコード及び/又は他の適切な情報など)を記憶し、その検索を容易にすることができる任意の構造を表す記憶デバイス1315の例である。メモリ1330は、ランダムアクセスメモリ、又は任意の他の適切な揮発性もしくは不揮発性の記憶装置を表すことができる。永久記憶装置1335は、読取専用メモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ又は光ディスクなど、データの長期記憶をサポートする1つ以上のコンポーネント又はデバイスを含むことができる。例えば、永久記憶装置1335は、データ、標準データ、結果データ、クライアントアプリケーションなどのうち1つ以上のデータベースを記憶することができる。
【0058】
通信インターフェース1320は、他のシステム又はデバイスとの通信をサポートする。例えば、通信インターフェース1320は、本明細書で開示されるシステムのいずれかを介した通信を容易にするネットワークインターフェースカード又はワイヤレストランシーバを含むことができる。通信インターフェース1320は、(1つ以上の)任意の適切な物理的又はワイヤレス通信リンクを介した通信をサポートすることができる。I/Oユニット1325はデータの入出力を可能にする。例えば、I/Oユニット1325は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン、又は他の適切な入力デバイスを介してユーザ入力のための接続を提供することができる。また、I/Oユニット1325は、ディスプレイ、プリンタ又は他の適切な出力デバイスに出力を送ることもできる。
【0059】
図13は計算装置1300の一例を示しているが、図13には種々の変更を加えることができる。例えば、図13の種々の構成要素を組み合わせたり、さらに細分したり、省略したりすることができ、特定のニーズに従って追加の構成要素を追加することができる。特定の例として、計算装置1300は1つの装置として示されているが、遠隔配置が可能な複数の計算装置又は計算システムを含むことができる。別の例では、異なる計算システムが、本開示による処理、記憶及び/又は通信リソースの一部又は全部を提供することができる。
【0060】
図14は、本開示の種々の実施形態による、PDCにおいて冷却動作を実行するための例示的な方法1400を示している。説明を簡単にするために、方法1400は、図3のPDC300を用いて実行されるものとして説明される。しかしながら、方法1400を任意の他の適切なデバイス又はシステムとともに使用することができる。図14に示す実施形態は説明のためのものにすぎない。方法1400の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0061】
図14を参照すると、動作1401において、配電センタの外部からの冷却空気が、配電センタの複数の壁に配置された複数の開口部のうち少なくとも1つの第2の開口部を介して受け取られる。冷却空気は、配電センタ内に配置された1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックに運ばれる。これは、例えば、開口部307を通ってPDC300に入り、UPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304の給気口306に流入する、データホール110又は外気からの冷却空気を含むことができる。
【0062】
動作1403において、熱エネルギーが1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックから冷却空気に伝達され、これにより加熱排気が生じる。これは、例えば、冷却空気がUPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304の発熱構成要素を取り囲む熱エネルギー(熱)を除去することを含むことができ、これによりUPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304が冷却される。冷却空気は、熱エネルギーを吸収することによって加熱され、加熱排気となる。
【0063】
動作1405において、1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上のバッテリーラックからの加熱排気は、1つ以上のUPSモジュール及び1つ以上の電池ラックの上方に配置された少なくとも1つの排気ダクトによって受け取られる。加熱排気を外部空間に排出するために、加熱排気は複数の開口部のうち少なくとも1つの第1の開口部と位置合わせされた出口に運ばれる。これは、例えば、加熱排気がUPSモジュール302及びUPSバッテリーラック304から上方に流れて排気ダクト312に入り、次に開口部314を通ってPDC300から排出されることを含むことができる。
【0064】
方法1400は、本開示の原理に従って実施することのできる例示的な動作を示している。本明細書に例示される方法に対して種々の変更を行うことができる。例えば、方法1400における種々のステップは一連のステップとして示されているが、重複していたり、並行して生じたり、異なる順序で生じたり、複数回生じたりしていてもよい。別の例では、ステップを省略してもよいし、他のステップによって置き換えられてもよい。
【0065】
本特許文書全体を通して使用される一定の語句の定義を記載することが好都合である。「結合する」という用語とその派生語は、2つ以上の要素が互いに物理的に接触しているかどうかにかかわらず、それらの要素間の任意の直接的又は間接的な連絡を指す。「送信する」、「受信する」及び「通信する」という用語、ならびにこれらの派生語は、直接的な通信及び間接的な通信の双方を包含する。「含む(include)」及び「含む/備える(comprise)」という用語、ならびにこれらの派生語は、限定されない包含を意味する。「又は」という用語は包括的であり、及び/又はを意味する。「~に関連する」という語句とその派生語句は、~を含む、~内に含まれる、~と相互接続する、~を含有する、~内に含有される、~に接続する、~に結合する、~に伝達可能である、~と協働する、~とインターリーブする、~と並置する、~と近接する、~に結合される、~を有する、~の特性を有する、~と関係がある等を意味する。「~など」という語句は、用語の間に使用される場合、その後に列挙される用語が先に列挙された用語の例であり、これ(ら)を限定するものではないことを意味する。「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用される場合、列挙された項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせを使用することができ、リスト中の1つの項目のみを必要とする場合があることを意味する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、ならびにA及びB及びCの組み合わせのうちのいずれかを含む。
【0066】
さらに、各々がコンピュータ可読プログラムコードから形成され、コンピュータ可読媒体内で実施される1つ以上のコンピュータプログラムにより、本明細書で説明した種々の機能を実施又はサポートすることができる。「アプリケーション」及び「プログラム」という用語は、1つ以上のコンピュータプログラム、ソフトウェアコンポーネント、命令のセット、手順、関数、オブジェクト、クラス、インスタンス、関連データ、又は適切なコンピュータ可読プログラムコードにおける実施のために構成されたその一部分を指す。「コンピュータ可読プログラムコード」という語句は、ソースコード、オブジェクトコード及び実行可能コードを含む、任意のタイプのコンピュータコードを含む。「コンピュータ可読媒体」という語句は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、又は任意の他のタイプのメモリなど、コンピュータによるアクセスが可能な任意のタイプの媒体を含む。「非一時的な」コンピュータ可読媒体は、一時的な電気信号又は他の信号を伝送する有線、無線、光又は他の通信リンクを除外する。非一時的なコンピュータ可読媒体は、データを永久的に記憶することのできる媒体と、書き換え可能光ディスクや消去可能なメモリデバイスなど、データを記憶して後で上書きすることのできる媒体とを含む。
【0067】
他の特定の語句の定義が本特許文書全体を通して提供される。当業者は、殆どとは言わないまでも多くの場合において、このような定義された語句の先の使用及び後の使用にこのような定義を適用することを理解すべきである。例示的な実施形態を用いて本開示を説明したが、種々の変更及び修正を当業者に示唆することができる。本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るような変更及び修正を包含するように意図される。本願の説明のいずれも、特定の要素、ステップ又は機能が特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素であることを意味するものとして解釈されるべきではない。特許対象の主題の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
【国際調査報告】