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特表2024-527290非鉄金属腐食防止剤及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】非鉄金属腐食防止剤及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 11/12 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
C23F11/12 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579246
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022073146
(87)【国際公開番号】W WO2022272299
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/215,392
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/228,567
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522352199
【氏名又は名称】ソリュゲン インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ドナルド,エー.
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジュン,スー
(72)【発明者】
【氏名】アルセオ,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ガリシア,ダーレン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ルーンジィ
(72)【発明者】
【氏名】ガウトウン,フレデリク
【テーマコード(参考)】
4K062
【Fターム(参考)】
4K062AA03
4K062BB06
4K062BB18
4K062FA05
4K062FA06
(57)【要約】
非鉄金属用の腐食防止剤は、(i)バイオキレート剤と、(ii)溶媒と、(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料とを含む。工業用水および金属表面を含むシステムにおける腐食を低減する方法は、腐食防止剤組成物をシステムに導入することを含み、腐食防止剤組成物は、(i)バイオキレート剤と、(ii)溶媒と、(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)バイオキレート剤と、
(ii)溶媒と、
(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料と
を含む、非鉄金属用の腐食防止剤。
【請求項2】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記バイオキレート剤が、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、グルコン酸酸化生成物、グルコン酸塩、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコース酸化生成物、ガラクトン酸、ガラクタル酸、グルタミン酸、グルコジアルドース、2-ケトグルコース、二糖、酸化二糖、n-ケト酸、CからCの二酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項3】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記バイオキレート剤が、グルコン酸ナトリウム、グルカル酸ナトリウムの酸化生成物、1種以上のそれらの塩、1種以上のそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項4】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記バイオキレート剤が、前記腐食防止剤の総重量に対して約0.5重量%から約70重量%である、腐食防止剤。
【請求項5】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記開環剤が、ランタノイド塩、アルミン酸塩、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項6】
請求項5に記載の腐食防止剤であって、
前記ランタノイド塩が、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項7】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記有機酸が、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項8】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記一般的な腐食防止剤が、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,4-チアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、ブチルベンゾトリアゾール、1,3,4-チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、2,4-トリルトリアゾール、(2-ピロールカルボニル)ベンゾトリアゾール、(2-チエニルカルボニル)ベンゾトリアゾール、アミノ-1,2,4-トリアゾール、ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール、メチル-2-フェニルイミダゾール、アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、フェニル-1-H-テトラゾール、1種以上のそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項9】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記一般的な腐食防止剤がモリブデン酸塩を含む、腐食防止剤。
【請求項10】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記一般的な腐食防止剤が、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、加水分解ポリマレイン酸無水物(HPMA)、2-ヒドロホスホノカルボン酸(HPAA)、ポリアミノポリエーテルホスホネート(PAPEMP)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、ジエチレントリアミンペンタ(DTPMP)、ビス(ヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))(BHMT)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(BTPMP)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、ポリマクリレート、マレイン酸、ポリアスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、ホスフィノカルボキシレート、アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AA-AMPS)、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項11】
請求項1に記載の腐食防止剤であって、
前記溶媒が、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせを含む、腐食防止剤。
【請求項12】
工業用水と金属表面を含むシステムにおける腐食を低減する方法であって、
(i)バイオキレート剤と、
(ii)溶媒と、
(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料と
を含有する腐食防止剤を前記システムに導入することを含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記金属表面が、アルミニウム含有化合物、亜鉛含有化合物、またはそれらの組み合わせからなる、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記バイオキレート剤が、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、グルコース酸化生成物、グルコン酸酸化生成物、グルコン酸塩、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクトン酸、ガラクタル酸、グルタミン酸、グルコジアルドース、2-ケトグルコース、二糖、酸化二糖、n-ケト酸、CからCの二酸、1種以上のそれらの塩、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であって、
前記開環剤が、ランタノイド塩、アルミン酸塩、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法であって、
前記有機酸が、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法であって、
前記一般的な腐食防止剤が、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、2,4-トリルトリアゾール、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項18】
請求項12に記載の方法であって、
前記有機酸が、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項19】
請求項12に記載の方法であって、
前記溶媒が、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項20】
請求項12に記載の方法であって、
前記システムが、ボイラー、冷却塔、冷却システム、閉鎖再循環冷却システム、乾式冷却塔、開放再循環システム、または内燃機関を有する、方法。
【請求項21】
少なくとも1つの金属表面、腐食防止剤、および工業用水を含むシステムであって、
前記腐食防止剤が、前記腐食防止剤の総重量に対して約0.5重量%から約70重量%のバイオキレート剤を含み、
前記システムが、ボイラー、冷却塔、冷却システム、閉鎖再循環冷却システム、乾式冷却塔、開放再循環システム、または内燃機関を有する、システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、
前記金属表面が、アルミニウム含有化合物、亜鉛含有化合物、またはそれらの組み合わせからなる、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年6月25日に出願された「アルミニウム腐食防止剤及びその使用方法(ALUMINUM CORROSION INHIBITORS AND METHODS OF USING SAME)」の名称の米国仮特許出願第63/215,392号、および2021年8月2日に出願された「白錆を防止するための組成物及び方法(COMPOSITIONS AND METHODS FOR INHIBITING WHITE RUST)」の名称の米国仮特許出願第63/228,567号に基づく優先権を主張し、当該出願の全てがあらゆる目的のために参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
水は水素原子を放出する反応を起こしやすいため、もともと腐食性がある。水を利用するシステムでは、配管や導管などのシステムの構成部品の耐用年数を延ばすために、一般に腐食防止剤をシステムに導入している。
【0003】
腐食は複雑な一連の反応の結果である。例えば腐食は、水と金属表面(金属配管など)や、水が貯蔵または輸送される材料との間で発生する可能性がある。腐食プロセスは酸化・還元反応であり、その結果、精製または加工された金属をより安定した状態に変化させる。非鉄金属含有材料の2つの主要な種類は、アルミニウム含有材料と亜鉛含有材料である。
【0004】
アルミニウム含有材料(例えば、アルミニウム合金)の腐食は、通常、クローズドループ冷却システムに可溶性ケイ酸塩(無機酸技術-IAT)を使用することで対処される。IAT防止剤は、エンジンが主に鉄合金で構成されていた時代に設計された。鉄系金属の腐食を十分に抑制するため、IAT防止剤は通常、ホウ酸塩緩衝剤を用いてpHを10~11の範囲に緩衝させる。この範囲のpHはアルミニウムの腐食抑制には最適ではないため、このような防止剤には周知のアルミニウム腐食防止剤であるケイ酸塩が含まれることが多かった。しかし、これらの防止剤で処理された冷却システムに硬水が混入すると、カルシウムやマグネシウムのケイ酸塩が析出し、有害な沈殿物が生じて腐食抑制効果が失われる。現代の内燃エンジンは、旧世代のエンジンよりもアルミニウムの含有量が多く、鉄合金の含有量が少ないため、アルミニウム腐食抑制の重要性が相対的に高まっている。
【0005】
アルミニウム含有材料用の腐食防止剤のもう一つの種類は、クローズドループシステムで有機酸技術(OAT)を利用するものである。OATは、ベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、トリルトリアゾール、およびこれらの誘導体のような脂肪族の一塩基酸塩と二塩基酸塩の混合物であって、高用量で腐食防止剤として有効であることが判明しているものを使用する。これらの防止剤は、セバシン酸やヘプタン酸のような一塩基性と二塩基性の脂肪族酸の混合物で、組成物のpHを8~9の範囲に制御する緩衝剤を含む。OAT防止剤には、ケイ酸塩や亜硝酸塩のような無機成分を含んでもよく、これらは「ハイブリッド技術」と呼ばれている。しかし、これらのハイブリッド技術も、硬水の沈殿物や毒性の問題による悪影響を被っている。
【0006】
非鉄腐食のもう一つの形態は、亜鉛めっき鋼の亜鉛層の水性腐食で起こる。その結果、一般に「白錆」として知られる腐食生成物の破砕性層が大量に生じる。白錆は、亜鉛メッキ鋼のような亜鉛材料の表面に形成される白色のカルキ状の物質である。白錆の発生を緩和する一般的なメカニズムには、亜鉛めっき鋼に接触する水性流体の化学的性質を白錆の形成に適しない条件に調整することが含まれる。白錆の形成を緩和するこのメカニズムは、白錆の形成に不適な状態を確実に維持するために、流体組成の継続的な監視と調整の可能性が必要となるため、最適とは言えない。
【0007】
非鉄金属含有材料用の新規腐食防止剤であって、上記欠点が無いものに対する継続的な需要が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
開示された方法およびシステムの態様の詳細な説明のために、添付図面を参照されたい。
【0009】
図1図1は実施例1の試料の腐食速度を時間の関数として示したグラフである。
【0010】
図2図2は実施例2の試料に曝した試験片の写真である。
【発明の概要】
【0011】
本明細書では、非鉄金属用の腐食防止剤であって、(i)バイオキレート剤、(ii)溶媒、および(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む腐食防止剤が開示される。
【0012】
本明細書では、工業用水および金属表面を有するシステムにおける腐食を低減する方法であって、(i)バイオキレート剤、(ii)溶媒、および(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む腐食防止剤組成物を前記システムに導入することを含む方法も開示される。
【0013】
また、本明細書では、少なくとも1つの金属表面、腐食防止剤、および工業用水を含むシステムであって、前記腐食防止剤が、前記腐食防止剤の総重量に対して約0.5重量%~約70重量%のバイオキレート剤を含み、前記システムが、ボイラー、冷却塔、冷却システム、閉鎖循環冷却システム、乾式冷却塔、開放循環システム、または内燃機関を含むシステムが開示される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義を提供する。特に断らない限り、以下の定義は本開示に適用される。ある用語が本開示で使用されているが本明細書中で具体的に定義されていない場合、その定義が本明細書で適用される他の開示または定義に抵触しない限り、またはその定義が適用される請求項を不明確または利用不能にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology, 2nd Ed (1997)の定義を適用することができる。
【0015】
周期表の元素群は、Chemical and Engineering News, 63(5), 27, 1985に掲載された元素周期表のバージョンに示された番号付与の方法を用いて表示される。例えば、アルカリ金属は第1族元素、アルカリ土類金属は第2族元素、遷移金属は第3~12族元素、ハロゲンは第17族元素などである。
【0016】
請求項の移行の用語又は語句について、「含む」、「含有する」、「備える」、又は「~を特徴とする」と同義である移行句「有する」は、包括的又はオープンエンドであり、追加の、引用されていない要素又は方法の工程を除外するものではない。移行句「~のみからなる(consisting of)」は、請求項で特定されていない要素、工程、又は成分を除外する。移行句「基本的に~からなる(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を、特定された材料又は工程、及び請求項に記載された発明の基本的かつ新規な特徴に重大な影響を与えないものに限定する。「基本的に~からなる」の請求項は、「~のみからなる」形式で記載された閉じた請求項と、「有する」形式で作成された完全に開いた請求項の中間を占める。反対の指定がない限り、化合物又は組成物を記載する場合、「基本的に~からなる」は「有する」と解釈されるものではなく、その用語が適用される組成物又は方法を著しく変更しない材料を含む記載成分を指すことを意図している。組成物および方法が様々な成分またはステップを「有する」という用語で記載されている場合、組成物および方法は様々な成分またはステップから「基本的になる」または「なる」こともできる。
【0017】
本明細書に開示されるのは、水性流体などの流体に曝される非鉄金属含有材料用の腐食防止剤である。ある態様では、本明細書に開示される組成物は一般に、金属含有表面上への物質の沈着量および/または金属含有表面の化学的変質を低減する。1つまたは複数の態様において、金属含有表面は機器の構成要素であり、腐食は機器および/または機器を利用する方法に有害である。
【0018】
ある態様では、金属含有表面は亜鉛を含む。別の態様では、金属含有表面はアルミニウムを含む。ここで、亜鉛含有表面(例えば、亜鉛メッキ鋼)の腐食を低減するように配合された腐食防止剤組成物は、亜鉛用腐食防止剤組成物と呼ばれ、CIC-Znと称される。ここで、アルミニウム含有表面(例えば、アルミニウム合金)の腐食を低減するように配合された腐食防止剤組成物は、アルミニウム用腐食防止剤組成物と呼ばれ、CIC-Alと称される。
【0019】
ある態様において、本明細書に開示される腐食防止剤は、水性流体に曝された金属含有表面の腐食を低減する。ある態様において、水性流体は工業用水を含む。本明細書において、「工業用水」とは、製品の製造、加工、洗浄、希釈、冷却、若しくは輸送、製品への水の組み込み、または衛生上の必要性などの工業的作業で使用される水を指す。ある態様では、工業用水は給水である。ここで、給水とは、ボイラーや冷却塔で使用される水のことであり、効率の確保や向上、ボイラーやシステムの寿命の最大化、メンテナンスコストの削減、運転性能の維持などを目的とする。1つまたは複数の態様において、工業用水は、貫流冷却システム、閉鎖循環冷却システム、乾式冷却塔などの冷却システム、または湿式冷却塔や蒸発冷却塔などの開放循環システム内に存在する。別の態様では、工業用水は最新の内燃機関の冷却を促進する。
【0020】
ある態様において、CIC-AlおよびCIC-Znはキレート剤を含む。ここで、キレート剤とは、封鎖剤、キレート薬または封鎖薬とも呼ばれ、金属と結合または錯体を形成することができる分子を指す。キレート剤は、2つ以上の電子供与性基を含む配位子として特徴付けられ、配位子の各電子供与性基上の原子と金属との間に複数の結合が形成される。この結合は配位結合または配位共有結合とすることもでき、これは各電子陰性原子が両方の電子を提供して金属中心への結合を形成することを意味する。ある態様では、キレート剤はバイオキレート剤である。ここで「バイオキレート剤」という用語は、上述のように金属をキレートすることができる分子を指し、(i)天然資源から供給される、(ii)生分解性である、またはその両方である。
【0021】
ある態様において、バイオキレート剤は、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、またはそれらの組み合わせと、対カチオンとを含有する。例えばバイオキレート剤は、アルダル酸、ウロン酸、およびそれぞれの対カチオンの混合物であってもよい。
【0022】
別の態様において、バイオキレート剤は、グルコース酸化生成物、グルコン酸酸化生成物、グルコン酸塩、またはそれらの組み合わせからなる。グルコース酸化生成物、グルコン酸酸化生成物、またはそれらの組み合わせは、適切なpHに緩衝化されていてもよい。
【0023】
更にまたは或いは、1つまたは複数の態様において、バイオキレート剤は、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコース酸化生成物、グルコン酸酸化生成物、またはそれらの組み合わせを含有する。更にまたは或いは、1つまたは複数の態様において、バイオキレート剤は、二糖、酸化二糖、ウロン酸、アルダル酸、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0024】
更に又は或いは、1つまたは複数の態様において、バイオキレート剤は、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、n-ケト酸、CからCの二酸、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0025】
更にまたは或いは、1つまたは複数の態様において、バイオキレート剤は、ガラクトン酸、ガラクタル酸、ガラクトン酸および/またはガラクタル酸を主成分(例えば、約50重量%より多い)とし且つn-ケト酸、CからCの二酸、またはそれらの組合せを副成分とする酸化生成物を含有する。更にまたは或いは、1つまたは複数の態様において、バイオキレート剤はグルタミン酸を含む。更にまたは或いは、1つまたは複数の態様において、バイオキレート剤は、グルコジアルドース、2-ケトグルコース、またはそれらの組み合わせを含有する。
【0026】
このような態様において、緩衝化グルコース酸化生成物、緩衝化グルコン酸酸化生成物、またはそれらの組み合わせは、適切なpHに緩衝化されている。例えば、グルコース酸化生成物、グルコン酸酸化生成物、またはそれらの組み合わせは、約1から約5のpHに緩衝化されてもよい。キレート剤の緩衝化は、任意の適切な酸、塩基、またはそれらの組み合わせを使用して実施され得る。
【0027】
1つまたは複数の態様において、本明細書に開示される任意のバイオキレート剤またはバイオキレート剤の組合せは、第1族アルカリ金属、第2族アルカリ土類金属、第8族金属、第11族金属、第12族金属、またはそれらの組合せなどの対カチオンをさらに含んでもよい。例えば対カチオンは、ケイ酸塩、ホウ酸塩、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ストロンチウム、亜鉛、銅、第二鉄、第一鉄、またはそれらの組み合わせを含有してもよい。
【0028】
ある態様において、バイオキレート剤は、グルコース酸化生成物、グルコン酸酸化生成物、グルコン酸塩、グルカル酸、酸化グルクロノラクトン、ウロン酸酸化生成物、またはそれらの組み合わせを含有する。あるいは、バイオキレート剤は、緩衝化グルコース酸化生成物、緩衝化グルコン酸酸化生成物、またはそれらの組み合わせを含有する。そのような態様において、緩衝化グルコース酸化生成物、緩衝化グルコン酸酸化生成物、またはそれらの組み合わせは、水酸化ナトリウムなどの任意の適切な酸または塩基を用いて本明細書に開示の範囲のpHに緩衝化される。このような態様の一例では、バイオキレート剤はグルコン酸とグルカル酸の混合物を含有し、n-ケト酸、CからCの二酸またはそれらの組み合わせからなる副成分を更に含有する。ある態様では、バイオキレート剤は、テキサス州ヒューストンのソリュゲン社からBIOCHELATE(商標)として市販されている金属キレート製品からなる。
【0029】
様々な態様において、キレート剤は、本明細書に開示するタイプの腐食防止剤組成物(例えば、CIC-AlまたはCIC-Zn)中に、腐食防止剤組成物の総重量に対して約0.5重量%(wt%)~約70重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、約0.5重量%~約10重量%、または約20重量%~約70重量%の量で存在してもよい。ここで、全ての重量%は、特に記載がない限り、記載される組成物の総重量に基づいている。
【0030】
1つ又は複数の態様において、本開示の腐食防止剤組成物は、本明細書においてバイオキレート剤として開示されるもの以外のキレート剤の使用を除外してもよい。さらに、1つ又は複数の他の態様において、本開示の腐食防止剤は、腐食防止剤として機能することが知られている他の化合物(本明細書において「一般的な腐食防止剤」と称される)の使用を除外する。
【0031】
ある態様では、一般的な腐食防止剤は複素環式有機化合物、モリブデン酸塩、リン酸塩、またはそれらの組み合わせからなる。
【0032】
ある態様において、一般的な腐食防止剤は、複素環式有機化合物、チアゾール、トリアゾール、またはそれらの組み合わせからなる。チアゾールおよびトリアゾールは、5原子の芳香族環分子であり、環の一部として窒素原子と少なくとも1つの他の窒素、酸素、または硫黄原子とを含む。アゾール系化合物は、N-、N&O-、N&S-含有アゾールセットの3つに大別される。
【0033】
ある態様において、従来の腐食防止剤は、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,4-チアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、ブチルベンゾトリアゾール、1,3,4-チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、(2-ピロールカルボニル)ベンゾトリアゾール、(2-チエニルカルボニル)ベンゾトリアゾール、アミノ-1,2,4-トリアゾール、ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール、メチル-2-フェニルイミダゾール、アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、フェニル-1-H-テトラゾール、クロロトリルトリアゾール、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0034】
ある態様において、一般的な腐食防止剤はモリブデン酸塩を含む。例えば、一般的な腐食防止剤は、モリブデン酸塩(ヘテロポリモリブデン酸塩を含む)を含んでもよい。ある態様では、一般的な腐食防止剤はモリブデン酸のアルカリ金属塩を含む。
【0035】
ある態様において、一般的な腐食防止剤はリン含有化合物である。本開示における使用に好適なリン含有化合物の非限定的な例としては、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、加水分解ポリマレイン酸無水物(HPMA)、2-ヒドロホスホノカルボン酸(HPAA)、ポリアミノポリエーテルホスホネート(PAPEMP)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、ジエチレントリアミンペンタ(DTPMP)、ビス(ヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))(BHMT)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(BTPMP)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、ポリマー鎖にリン官能基を組み込んだアニオン性ポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0036】
ある態様において、本開示の腐食防止剤組成物は、本明細書にバイオキレート剤として開示されるキレート剤と任意の一般的な腐食防止剤を組み合わせて使用することを含んでもよい。いくつかの態様において、一般的な腐食防止剤は、約0.5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約60重量%、または約0.5重量%~約10重量%の量で腐食防止剤組成物中に存在する。
【0037】
ある態様では、腐食防止剤はCIC-Alであり、アルミニウムおよび/またはアルミニウム合金からなる表面に生じる腐食の量を減少させる。そのような態様では、バイオキレート剤および任意に選択される一般的な腐食防止剤に加えて、CIC-Alは、溶媒と、開環剤、有機酸、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料とをさらに含む。
【0038】
ある態様において、本開示のCIC-Alは開環剤を含む。理論によって限定されることを望むものではないが、本明細書に開示されるバイオキレート剤は、開示される化合物のカルボン酸型とラクトン型との間の平衡状態で存在する。開示されるバイオキレート剤のカルボン酸型は、本明細書に開示するタイプの金属表面を腐食するよう作用する金属イオンをキレートする役割を担う。開環剤は、直鎖型のバイオキレート剤に結合すると、直鎖型のバイオキレート剤を保持し、ラクトン型のバイオキレート剤を減少または最小化するように平衡をシフトさせる。開環剤が引き起こす平衡のシフトは、腐食に寄与する陽イオンを配位するために利用可能なバイオキレート剤の量を増加させる。
【0039】
ある態様において、開環剤はランタノイド含有化合物である。本開示における使用に好適なランタノイドは、ランタノイド系の任意のメンバー、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、およびルテチウム(Lu)である。ある態様において、本明細書に記載のランタノイドの酸化状態は+3、例えば、Nd(II)、Pm(II)、Eu(II)、Gd(II)、Tb(II)、Dy(II)、Ho(II)、Er(II)、Tm(II)、Yb(II)、またはLu(II)である。ある態様において、本明細書に記載のランタノイドの酸化状態は+3、例えば、Nd(III)、Pm(III)、Eu(III)、Gd(III)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Tm(III)、Yb(III)、またはLu(III)である。ある態様では、ランタノイドはアニオンと会合してランタノイド塩を形成する。
【0040】
ある態様では、開環剤はアルミン酸(AlO )である。1つ又は複数の態様において、開環剤はアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩などのアルミン酸塩である。
【0041】
ある態様では、開環剤は、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約80重量%、約10重量%~約80重量%、約5重量%~約20重量%、または約0.01重量%~約5重量%の量でCIC-Al中に存在する。
【0042】
ある態様において、本開示のCIC-Alは有機酸を含む。ここで有機酸とは、弱酸性であり、水中で完全に解離しない有機化合物を指す。一般に、CIC-Alの他の成分と相性がよく、酸性種を提供できる任意の有機酸を利用可能である。本開示における使用に適した有機酸の非限定的な例としては、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
ある態様では、有機酸は約0.01重量%~約70重量%%、約0.1重量%~約70重量%、約0.1重量%~約15重量%、または約0.01重量%~約2.5重量%の量でCIC-Al中に存在する。
【0044】
ある態様において、本開示のCIC-Alは溶媒をさらに含む。一般に、CIC-Alおよび/または企図される活性に適合する任意の溶媒が利用可能である。ある態様において、溶媒は、水、アルコール、および/またはポリオールを含む。ある態様では、ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせなどの脂肪族ポリオールであってもよい。溶媒として利用できる適切なアルコールの非限定的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、シクロヘキサノールなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ある態様において、溶媒は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0045】
ある態様において、溶媒は、組成物の全体積に対して約10%~約100%の量で存在してもよい。別の態様において、溶媒は、他の全ての成分が判明すると、組成物の残りを構成する量でCIC-Al中に存在してもよい。
【0046】
ある態様において、CIC-Znは、バイオキレート剤、金属対イオン、1種以上の一般的な腐食防止剤、および溶媒を含む。バイオキレート剤、金属対イオン、および一般的な腐食防止剤は、本明細書に開示されたタイプのものであってもよい。ある態様において、これらの材料は、CIC-Alについて本明細書で先に開示した量でCIC-Zn中に存在してもよい。
【0047】
ある態様では、CIC-Znはさらに溶媒を含む。一般に、CIC-Znおよび/または企図される活性に適合する任意の溶媒を利用することができる。ある態様では、溶媒は水、アルコール、ポリオール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0048】
ある態様において、溶媒はポリオールである。ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせなどの脂肪族ポリオールであってもよい。
【0049】
ある態様において、溶媒はアルコールである。溶媒として利用可能な適切なアルコールの非限定的な例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェノール、シクロヘキサノールなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ある態様において、溶媒は、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0050】
ある態様において、溶媒は、CIC-Znの全体積に対して約10%~約100%の量で存在してもよい。別の態様では、溶媒は、他の全ての成分が判明すると組成物の残りを構成する量でCIC-Zn中に存在してもよい。
【0051】
1つ又は複数の態様において、本明細書に開示されるタイプの腐食防止剤組成物(例えば、CIC-Al、CIC-Znなど)は、任意の適切な方法により調製することができる。例えば、腐食防止剤組成物の2つ以上の成分(例えば、バイオキレート剤および溶媒)は、適切な器(例えば、容器、ブレンダーなど)中でブレンドまたは混合され得る。ある態様において、腐食防止剤組成物の成分は混合され、その後、腐食抑制を促進するためにシステムに導入可能な均質な混合物を形成する。
【0052】
腐食防止剤組成物は、使用者および/または方法が目標とする活性(例えば、腐食抑制)を促進するのに有効な量で水系システムに導入することができる。例えば、腐食を効果的に抑制するために、腐食防止剤組成物は、一定の濃度以上で存在しなければならない場合がある。腐食を防止するために必要な阻害剤の最小量は、一般に「最小阻害濃度」(MIC)または「最小有効濃度」(MEC)と呼ばれる。1つ又は複数の態様において、腐食防止剤組成物が導入されたシステムは、腐食防止剤組成物の量がその特定のシステムに対してMICまたはMECを保持することを確実にするために監視されてもよい。
【0053】
ある態様において、CIC-Znおよび/またはCIC-Alの活性成分(例えば、溶媒以外の成分)のMICまたはMECは、システム内の水性流体中に重量で、約1ppm~約100ppm、約5ppm~約50ppm、または約10ppm~約30ppmの範囲であってもよい。
【0054】
1つまたは複数の態様において、本明細書に開示されるタイプの腐食防止剤組成物は、スケールの形成を抑制するように機能することもできる。ここで、スケールとは、配水システム、配管、貯水槽および導水管の表面または内部に集積する固形物および沈殿物からなる硬い鉱物被膜および腐食沈殿物を指す。ある態様において、本明細書に開示されるタイプの腐食防止剤組成物は、工業用水を含むシステムにおいて、本明細書に開示されるタイプの腐食防止剤組成物がない場合に形成されるスケールの量の約10%~約90%、約20%~約80%、または約30%~約80%の量までスケールを低減し得る。
【0055】
腐食防止剤組成物が導入され得る水系システムは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、またはその両方をさらに含んでもよい。ある態様において、腐食防止剤組成物は、任意の適切な方法を用いてシステムに導入される。例えば、CIC-Znおよび/またはCIC-Alは、CIC-Znおよび/またはCIC-Alを水系システムと接触させるポートまたはバルブなどの適切なシステムの入口から注入されてもよい。ある態様において、本開示の方法は、システム中の組成物の量を、使用者および/または方法が求める範囲に維持するために、腐食防止剤組成物の量を監視および調整することをさらに含む。ある態様において、本明細書に開示されるタイプの腐食防止剤組成物は、システムに手動で導入されてもよい。別の態様において、腐食防止剤組成物の導入は自動化されてもよい。システム中の腐食防止剤組成物の濃度を監視する方法を開発してもよい。システムにおける腐食防止剤組成物の投与量の監視は、連続的、半連続的、不連続、自動、手動、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0056】
この方法は、ポンプのような装置にプログラムして、その特定のシステムに対して少なくともMICまたはMECである予め設定された用量となる量の腐食防止剤組成物を供給してもよい。この方法は、材料供給装置のような適切な供給装置やプログラム可能なポンプのようなポンプを使用することにより自動化することができる。ポンプなどの装置は、処理中の水に腐食防止剤組成物を維持する量だけ添加するために、特定の実行時間間隔で特定回数だけ作動するようにプログラムすることができる。
【0057】
ある態様において、本開示の腐食防止剤組成物は驚くべきことに、一般的な腐食防止剤と比較して腐食抑制が向上している。例えば、バイオキレート剤、有機酸、および一般的な腐食防止剤(例えば、トリアゾール)を含有するCIC-Alは、一般的な腐食防止剤単独で見られる腐食抑制と比較して、約10%~約100%、約70%~約90%、または約90%~約99%の予想外に有益な腐食抑制の向上を示す。
【0058】
ある態様において、本明細書に開示されるタイプの腐食防止剤組成物を一般的な腐食防止剤(例えば、トリアゾール)と組み合わせて利用すると、相乗効果が見られる。この結果、腐食の問題に効果的に対処するために必要な一般的な腐食防止剤の最小濃度が低下できる場合がある。つまり、本明細書に開示されるタイプの腐食防止剤組成物の添加により、同レベルの腐食抑制を達成するのに必要な一般的な腐食防止剤の量は、約10%以上、約15%以上、または約20%以上低減できる場合がある。その結果、一般的な腐食防止剤の使用量が減少し、それに伴って、これらの化合物の製造および使用に関連するコストおよび環境への影響も減少する。
【0059】
実施例
本開示の主題を全体的に説明したが、以下の実施例は主題の特定の態様として、またその実施および利点を示すために提示される。実施例は説明のために提示されるものであり、いかなる態様によっても本明細書または特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0060】
実施例1
腐食防止剤組成物の有効性を評価した。具体的には、(1)食塩水のみを含むブランク試料(無添加)、(2)84%のグルカル酸溶液と16%のLaCl塩を含有するCIC-Al、(3)53.6%のグルカル酸水溶液を含有するCIC-Al、(4)31.4%のアルミン酸ナトリウム水溶液、53.6%のグルカル酸水溶液、および15%の水酸化ナトリウム水溶液を含有するCIC-Al、および(5)4ppmのトリルトリアゾールナトリウム(TTA)に対して、アルミニウム試験片の腐食速度を1年当たりのミル(mpy)で測定した。腐食速度は、アルミニウム試験片を用いて、100%含水率、3%NaCl食塩水、回転速度100rpm、pH8、反応時間24時間の試験条件で測定した。
【0061】
表1は、24時間後に観察されたmpyでの腐食量の実験結果を示しており、図1は試料における時間の関数としての腐食速度を示している。
【表1】
【0062】
その結果、驚くべきことに、本明細書に開示したタイプの腐食防止剤組成物は、錯体化されていない酸および他の化合物よりも有意に優れたアルミニウム合金の腐食抑制をもたらすことが実証された。アルミニウム錯体またはランタン錯体を含む本明細書に開示したタイプの腐食防止剤組成物は、最高レベルの腐食抑制を示した。
【0063】
実施例2
亜鉛めっき鋼板の腐食防止剤としてのCIC-Znの有効性を評価した。具体的には、複数の亜鉛メッキ試験片に対して、塩化物含有量が多く低アルカリ性である厳しい腐食条件を模した1週間の腐食試験を実施した。具体的な条件は、亜鉛めっき試験片をエアパージした後に、25ppmのアルカリ性、2000ppmの塩化物、8から8.5のpH、40℃の温度の条件に1週間曝した。試験前後に試験片の重量を測定し、腐食速度を計算した。試験結果を表2に示す。
【表2】
【0064】
表2に見られるように、TTAにグルカル酸を加えると性能が向上する(6.28MPY対3.54MPY)。さらに、ケイ酸塩やアルミン酸塩のような陽イオンを使用すると、アゾールの有無にかかわらず、腐食速度はそれぞれ0.29MPYと0.36MPYと劇的に低下する。
【0065】
試験1~5の試験片の画像を図2に示す。図2に見られるように、TTA単独(試験1)ではかなりの量の白錆が発生し、腐食速度も高かった。CIC-Zn単独またはTTA存在下(No4、No5)では、腐食速度が最も低く、試験片は最も綺麗であった。
【0066】
追加の開示
本開示の以下の列挙された態様は、非限定的な例として提供される。
【0067】
第1の態様は非鉄金属用の腐食防止剤であって、(i)バイオキレート剤、(ii)溶媒、および(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0068】
第2の態様は第1の態様の腐食防止剤であって、バイオキレート剤は、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、グルコン酸酸化生成物、グルコン酸塩、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコース酸化生成物、ガラクトン酸、ガラクタル酸、グルタミン酸、グルコジアルドース、2-ケトグルコース、二糖、酸化二糖、n-ケト酸、C~Cの二酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0069】
第3の態様は第1又は第2の態様の腐食防止剤であって、バイオキレート剤が、グルコン酸ナトリウム、グルカル酸ナトリウムの酸化生成物、それらの塩、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0070】
第4の態様は第1から第3の態様のいずれかの腐食防止剤であって、バイオキレート剤が、腐食防止剤の総重量に対して約0.5重量%~約70重量%の量である。
【0071】
第5の態様は第1から第4の態様のいずれかの腐食防止剤であって、開環剤が、ランタノイド塩、アルミン酸塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0072】
第6の態様は第5の態様の腐食防止剤であって、ランタノイド塩が、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0073】
第7の態様は第1から第6の態様のいずれかの腐食防止剤であって、有機酸が、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、またはこれらの組み合わせを含む。
【0074】
第8の態様は第1から第7の態様のいずれかの腐食防止剤であって、一般的な腐食防止剤が、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,4-チアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、ブチルベンゾトリアゾール、1,3,4-チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、2,4-トリルトリアゾール、(2-ピロールカルボニル)ベンゾトリアゾール、(2-チエニルカルボニル)ベンゾトリアゾール、アミノ-1,2,4-トリアゾール、ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール、メチル-2-フェニルイミダゾール、アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、フェニル-1-H-テトラゾール、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0075】
第9の態様は第1から第8の態様のいずれかの腐食防止剤であって、一般的な腐食防止剤がモリブデン酸塩を含む。
【0076】
第10の態様は第1から第9の態様のいずれかの腐食防止剤であって、一般的な腐食防止剤が、アミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、加水分解ポリマレイン酸無水物(HPMA)、2-ヒドロホスホノカルボン酸(HPAA)、ポリアミノポリエーテルホスホネート(PAPEMP)、アミノエチルエタノールアミン(AEEA)、ジエチレントリアミンペンタ(DTPMP)、ビス(ヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))(BHMT)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(BTPMP)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、ポリマクリレート(polymacrylates)、マレイン酸、ポリアスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、ホスフィノカルボキシレート、アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AA-AMPS)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0077】
第11の態様は第1から第10の態様のいずれかの腐食防止剤であって、溶媒が、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0078】
第12の態様は、工業用水と金属表面とを有するシステムにおける腐食を低減する方法であって、(i)バイオキレート剤、(ii)溶媒、および(iii)基本的に開環剤、有機酸、一般的な腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む腐食防止剤組成物をシステムに導入することを含む。
【0079】
第13の態様は第12の態様の方法であって、金属表面が、アルミニウム含有化合物、亜鉛含有化合物、またはそれらの組み合わせからなる。
【0080】
第14の態様は第12又は第13の態様の方法であって、バイオキレート剤が、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、グルコース酸化生成物、グルコン酸酸化生成物、グルコン酸塩、グルカル酸、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクトン酸、ガラクタル酸、グルタミン酸、グルコジアルドース、2-ケトグルコース、二糖、酸化二糖、n-ケト酸、CからCの二酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0081】
第15の態様は第12から第14の態様のいずれかの方法であって、開環剤が、ランタノイド塩、アルミン酸塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0082】
第16の態様は第12から第15の態様のいずれかの方法であって、有機酸が、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、またはそれらの組み合わせを含む。
【0083】
第17の態様は第12から第16の態様のいずれかの方法であって、一般的な腐食防止剤が、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、2,4-トリルトリアゾール、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0084】
第18の態様は第12から第17の態様のいずれかの方法であって、有機酸が、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、またはそれらの組み合わせを含む。
【0085】
第19の態様は第12から第18の態様のいずれかの方法であって、溶媒が、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0086】
第20の態様は第12から第19の態様のいずれかの方法であって、システムが、ボイラー、冷却塔、冷却システム、閉鎖再循環冷却システム、乾式冷却塔、開放再循環システム、または内燃機関を含む。
【0087】
第21の態様は、少なくとも1つの金属表面、腐食防止剤、および工業用水を含むシステムであって、腐食防止剤が、腐食防止剤の総重量に対して約0.5重量%~約70重量%のバイオキレート剤を含み、システムが、ボイラー、冷却塔、冷却システム、閉鎖再循環冷却システム、乾式冷却塔、開放再循環システム、または内燃機関を備える。
【0088】
第22の態様は第21の態様のシステムであって、金属表面が、アルミニウム含有化合物、亜鉛含有化合物、またはそれらの組み合わせからなる。
【0089】
第23の態様は、バイオキレート剤と、溶媒と、基本的に開環剤、有機酸、従来の腐食防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料とのうち少なくとも2つを含む腐食防止剤である。
【0090】
第24の態様は第23の態様の腐食防止剤であって、バイオキレート剤が、単糖類もしくは多糖類のような天然に存在する分子または天然に存在する分子から誘導されたものである。
【0091】
第25の態様は第23又は第24の態様の腐食防止剤であって、バイオキレート剤が、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、それらの塩、それらの誘導体、またはそれらの組合せを含む。
【0092】
第26の態様は第23から第25の態様のいずれかの腐食防止剤であって、バイオキレート剤が、グルコン酸ナトリウム、グルカル酸ナトリウムの酸化生成物、1種以上のそれらの塩、1種以上のそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0093】
第27の態様は第26の態様の腐食防止剤であって、バイオキレート剤が、約50重量%未満の量のn-ケト酸およびCからCの二酸をさらに含む。
【0094】
第28の態様は第23から第27の態様のいずれかの腐食防止剤であって、開環剤が、ランタノイド塩、アルミン酸塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0095】
第29の態様は第23から第28の態様のいずれかの腐食防止剤であって、従来の腐食防止剤が、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0096】
第30の態様は第23から第29の態様のいずれかの腐食防止剤であって、有機酸が、クエン酸、乳酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、酒石酸、またはそれらの組み合わせを含む。
【0097】
第31の態様は第23から第30の態様のいずれかの腐食防止剤であって、溶媒が、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0098】
第32の態様は第23から第31の態様のいずれかの腐食防止剤であって、溶媒が、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせを含む。
【0099】
第33の態様は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面を有するシステムにおける腐食を低減する方法であって、第23から第32の態様のいずれかの腐食防止剤を含む水溶液を導入することを含む。
【0100】
第34の態様は、亜鉛または亜鉛メッキ鋼を含む水系システムにおける白錆の防止剤であって、バイオキレート剤、対イオン、従来の腐食防止剤、および溶媒を含む。
【0101】
第35の態様は第34の態様の防止剤であって、バイオキレート剤が、単糖もしくは多糖のような天然に存在する分子または天然に存在する分子から誘導されたものである。
【0102】
第36の態様は第34又は第35の態様の防止剤であって、バイオキレート剤が、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、それらの塩、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0103】
第37の態様は第34から第36の態様のいずれかの防止剤であって、バイオキレート剤が、グルコン酸ナトリウム、グルカル酸ナトリウムの酸化生成物、1種以上のそれらの塩、1種以上のそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0104】
第38の態様は第37の態様の防止剤であって、バイオキレート剤が、約50重量%未満の量のn-ケト酸およびCからCの二酸をさらに含む。
【0105】
第39の態様は第34から第38の態様のいずれかの防止剤であって、従来の腐食防止剤が、チアゾール、トリアゾール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0106】
第40の態様は第34から第39の態様のいずれかの防止剤であって、従来の腐食防止剤が、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,4-チアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、ブチルベンゾトリアゾール、1,3,4-チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、(2-ピロールカルボニル)ベンゾトリアゾール、(2-チエニルカルボニル)ベンゾトリアゾール、アミノ-1,2,4-トリアゾール、ジアミノ-1,2,4-トリアゾール、メルカプト-1H-1,2,4-トリアゾール、メチル-2-フェニルイミダゾール、アミノ-3-ヒドラジノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、フェニル-1-H-テトラゾール、1種以上のそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0107】
第41の態様は第34から第40の態様のいずれかの防止剤であって、従来の腐食防止剤がモリブデン酸塩を含む。
【0108】
第42の態様は第34から第41の態様のいずれかの防止剤であって、従来の腐食防止剤が、ATMP(アミノトリメチレンホスホン酸)、HEDP(1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸)、HPMA(加水分解ポリマレイン酸無水物)、HPAA(2-ヒドロホスホノカルボン酸)、PAPEMP(ポリアミノポリエーテルホスホネート)、AEEA(アミノエチルエタノールアミン)、DTPMP(ジエチレントリアミンペンタはホスホン酸である)、BHMT(ビス(ヘキサメチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))、BTPMP(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))、PBTC(2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸)、ポリマクリレート、マレイン酸、ポリアスパラギン酸、アスパラギン酸ナトリウム、ホスフィノカルボキシレート、AA-AMPS(アクリル酸-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0109】
第43の態様は第34から第42の態様のいずれかの防止剤であって、溶媒が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、グリセロール、2,2-ジメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,4-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0110】
第44の態様は第34から第43の態様のいずれかの防止剤であって、溶媒が、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0111】
第45の態様は第34から第44の態様のいずれかの防止剤であって、水系システムが銅イオンを含む。
【0112】
第46の態様は第34から第45の態様のいずれかの防止剤であって、対イオンが、ケイ素、シリカケイ素(silica silicon)、ケイ酸塩、アルミニウム、ランタン、ナトリウム、カルシウム、カリウム、アンモニウム、ホウ素、インジウム、またはそれらの組み合わせを含む。
【0113】
本開示の主題の態様を示して説明したが、当業者であれば、本主題の精神および教示から逸脱することなく、その改変が可能である。本明細書に記載された態様は例示的なものであり、限定することを意図するものではない。本明細書に開示された主題の多くの変更および改変が可能であり、それらは開示された主題の範囲内である。数値範囲または数値限定が明示的に記載されている場合、そのような明示的な範囲または限定は、明示的に記載された範囲または限定に該当する同様の大きさの反復的な範囲または限定を含む(例えば、約1から約10までには、2,3,4などが含まれ、0.10より大きいには、0.11、0.12、0.13などが含まれる)と理解されなければならない。請求項の任意の要素に関する「任意に」という用語の使用は、対象の要素が必須であること、または必須でないことを意味することを意図している。いずれの選択肢も請求の範囲に含まれることが意図されている。含有する(comprises)、含む(includes)、有する(having)等のより広い用語の使用は、からなる(consisting of)、基本的に~からなる(consisting essentially of)、ほぼ~からなる(consisting substantially of)等のより狭い用語のサポートを提供するものと理解されなければならない。
【0114】
従って、保護範囲は上記の説明によって限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は特許請求の範囲の主題の全ての均等物を含む。各請求項は、本開示の態様として明細書に組み込まれる。従って、特許請求の範囲は更なる説明であり、本発明の態様の追加である。本明細書における参考文献、特に、本出願の優先日以降の公開日を有する参考文献の記述は、それが本開示の主題に対する先行技術であることを認めるものではない。本明細書において引用される全ての特許、特許出願、および刊行物の開示内容は、それらが本明細書における記載を補足する例示的、手順的、または他の詳細を提供する範囲において、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
【国際調査報告】