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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】耐摩擦性複合材料
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20240717BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20240717BHJP
   C09D 179/08 20060101ALI20240717BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240717BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240717BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20240717BHJP
   B60R 19/03 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/40
C09D179/08 B
C09D7/61
C09D7/65
C09D7/20
B60R19/03 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579522
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022073074
(87)【国際公開番号】W WO2022272256
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/213,833
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523238852
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ プロダクツ ユーエスエー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(71)【出願人】
【識別番号】519454187
【氏名又は名称】ディーディーピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス ナイン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハウ-ナン リー
(72)【発明者】
【氏名】ゲリー ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー.カニングハム
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ヴェイル
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CD122
4J038DJ021
4J038HA036
4J038HA316
4J038HA356
4J038JB08
4J038KA08
4J038KA20
4J038MA07
4J038MA09
4J038NA11
4J038PA06
4J038PB07
4J038PC08
(57)【要約】
(A)ポリイミド基板と、(B)バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含むコーティング層とを有する耐摩擦性複合材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリイミド基板と、
(B)バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含むコーティング層と
を含み、
前記ポリイミド基板の表面の少なくとも一部が、前記コーティング層で覆われている複合材料。
【請求項2】
前記バインダー樹脂が、ポリアミドイミドを含む請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記固体潤滑剤が、二硫化モリブデン、フッ素樹脂、及びグラファイトから選択される請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記コーティング層が、硬質粒子を更に含む請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
前記固体潤滑剤の量が、前記コーティング層の重量を基準として50~90重量%である請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記コーティング層の厚さが、5~100マイクロメーターである請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
請求項1に記載の複合材料を調製する方法であって、
(i)ポリイミド基板を調製するステップ
(ii)バインダー樹脂、固体潤滑剤及び溶媒を含むコーティング組成物を前記ポリイミド基板に塗布するステップ、及び
(iii)前記コーティング組成物を硬化するステップ
を備える方法。
【請求項8】
前記コーティング組成物が、15~95重量%のバインダー樹脂、5~85重量%の固体潤滑剤及び25~85重量%の溶媒を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチルピロリドン、N,N,-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンから選択される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング組成物が、スプレーコーティングにより、前記ポリイミド基板に塗布される請求項7に記載の方法。
【請求項11】
ポリイミドを含む物品であって、前記物品の表面の少なくとも一部が、バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含む耐摩擦性コーティングで覆われている物品。
【請求項12】
前記物品が、ウェアリング、ブッシング、スラストワッシャー、バンパー、ウェアパッド、ウェアストリップ、チューブクランプ、ベアリング、絶縁体、バルブシート、シール、及びシュラウドから選択される請求項11に記載の物品。
【請求項13】
ポリイミド製の第1の部材と、金属製の第2の部材とを含む摺動構造物であって、前記第1の部材と前記第2の部材が、互いに接触しており、前記の2つの部材の表面の少なくとも1つが、コーティング層で覆われ、前記コーティング層が、(A)ポリイミド基板と(B)バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含むコーティング層とを含む摺動構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月23日に出願された米国仮特許出願第63/213833号の利益を主張するものであり、その開示は、その全体が参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ポリイミド基板と、バインダー樹脂及び固体潤滑剤を有するコーティング層との耐摩擦性複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
低摩擦特性及び低摩耗特性は、自動車産業又は航空宇宙産業で使用される構成部品に必要とされることがある。例えば、金属又はセラミック材料は、ポリマーの耐摩擦性コーティングで被覆することができる。通常、耐摩擦性コーティング(AFC)は、固体潤滑剤及びマトリックス樹脂を含有し、物品上にコーティング層を形成することができる。固体潤滑剤は、より低摩擦性の面を提供するのに役立つ。グラファイト、二硫化モリブデン、及びPTFEなどのフロウオロポリマー(flouoropolymer)粒子は、固体潤滑剤として知られている。本発明が関係する技術分野をより詳細に説明するために、いくつかの特許及び刊行物が本明細書で引用される。米国特許出願公開第20120106882A号明細書は、摩擦低減層を有し、その層がブッシングの表面にキャストされるブッシングを開示する。国際公開第2014/021477A号パンフレットは、ポリアミドイミドバインダー樹脂、固体潤滑剤及び特定の溶媒を含むコーティング組成物を開示する。
【0004】
耐摩擦特性を有する材料を組み合わせて複合材料を形成するには、これらの材料を作り出す際の接着特性を認識する必要がある。個々の構成部品の特性及び接着性の問題を理解して新規の構成材料を形成することにより、相乗効果のある耐摩擦品質を提供することとなる。
【0005】
ポリイミド部材(より良好な熱的/機械的特性)に、より低い熱的及び機械的特性を有するポリマーコーティングを塗布して、優れた耐摩擦性の性能を有する新規の材料を生み出すことは、一般的ではないが、複数の産業で必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
優れた耐摩擦性品質及び耐久性を有するポリマーコーティングで被覆したポリイミドの複合材料のための材料及びプロセスが、本明細書において提供される。
【0007】
一実施形態においては、本発明は、(A)ポリイミド基板と、(B)バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含むコーティング層とを含む複合材料であって、ポリイミド基板の表面の少なくとも一部が、コーティング層により覆われている複合材料に関する。
【0008】
別の実施形態においては、本発明は、複合材料を調製するプロセスであって、(i)ポリイミド基板を調製するステップ、(ii)バインダー樹脂、固体潤滑剤及び溶媒を含むコーティング組成物をポリイミド基板に塗布するステップ、並びに(iii)コーティング組成物を硬化するステップを備えるプロセスに関する。
【0009】
更なる実施形態においては、本発明は、上述の組成物で形成される物品に関する。
【0010】
更なる実施形態では、本発明は、ポリイミド製の第1の部材と、金属製の第2の部材とを含む摺動構造物であって、第1の部材と第2の部材は互いに接触しており、2つの部材の表面の少なくとも1つが、コーティング層で覆われ、コーティング層が、(A)ポリイミド基板と(B)バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含むコーティング層とを含む摺動構造物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(A)ポリイミド基板と、(B)バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含むコーティング層とを含む複合材料が、本明細書に開示される。
【0012】
(A)ポリイミド基板
ポリイミドは、熱安定性、機械的靭性、及び耐薬品性の卓越した組み合わせを示す高温エンジニアリングポリマーである。それらは、優れた誘電特性及び固有に低い熱膨張係数を有する。それらは、ジアミン又はジイソシアネート及び二無水物から形成される。DuPont Vespel(登録商標)製品は、卓越した耐熱性、低摩耗性及び/又は低摩擦性、強度、並びに耐衝撃性がカスタム部品又はストック形状として所望される厳しい用途で使用される非常に高い耐久性のあるポリイミドである。これらのポリイミドは、本発明のポリイミド基板として使用される。ポリイミド基板は、固体潤滑剤、補強性充填剤又は任意の他の機能性充填剤などの添加剤を含み、熱的、機械的、電気的、及び/又はトライボロジー特性を向上させることができる。ポリイミド基板は、射出成形又は圧縮成形などの広範囲の形態により加工できる。
【0013】
(B)コーティング層
コーティング層は、(B-1)バインダー樹脂及び(B-2)固体潤滑剤を含む。
【0014】
(B-1)バインダー樹脂
バインダー樹脂は、バインダーとして働いて固体潤滑剤を、場合により任意の他の追加の成分をコーティング層に分散させる。任意の樹脂を使用することができる。バインダー樹脂の例としては、ポリアミドイミド、エポキシ、フェノール樹脂、ポリウレタン、チタン酸ポリブチル、又は前記樹脂のブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。バインダー樹脂がポリアミドイミドであるのが好ましい。ポリアミドイミドは、卓越した機械的特性、耐熱性及び耐薬品性を有する熱硬化性又は熱可塑性のどちらかの非晶質ポリマーである。ポリアミドイミドは、コーティングとして広範囲に使用され、イソシアネート及びTMA(無水トリメリット酸)のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶液から調製される。ポリアミドイミドは、高強度、良好な潤滑性、溶融加工性、卓越した高耐熱性、及び幅広い耐薬品性などのポリアミドとポリイミドの両方からの特性の組み合わせを示す。
【0015】
(B-2)固体潤滑剤
固体潤滑剤は、コーティング層の摩擦を改善する機能を有する。固体潤滑剤の例としては、二硫化モリブデン、グラファイト、並びにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、及びテトラフルオロエチレンヘキサフルオリプロピメン(tetrafluoroethylenehexafluoripropymene)コポリマーなどのフッ素樹脂、そしてこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。固体潤滑剤の平均一次粒子径は、好ましくは0.1~20マイクロメートル、特に好ましくは0.1~10マイクロメートルである。固体潤滑剤の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いての観察、又はレーザー回析及び散乱法で測定できる。コーティング層における固体潤滑剤の含有量は、コーティング層の重量を基準として、好ましくは5~90重量%、より好ましくは15~50重量%である。
【0016】
(B-3)他の添加剤
コーティング層は、硬質粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤、及びレベリング剤などの他の追加の成分を更に含むことができる。硬質粒子の例としては、二硫化タングステン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、並びにポリエチレン粒子及びポリアミド粒子などのポリマー粒子が挙げられるが、これらに限定されない。固体粒子の平均一次粒子径は、好ましくは0.1~20マイクロメートル、そしてより好ましくは0.1~10マイクロメートルである。固体粒子の平均一次粒子径は、固体潤滑剤に関して上述したのと同じ方法により測定できる。コーティング層が固体潤滑剤を含有する場合には、固体潤滑剤と固体粒子の総含有量は、コーティング層の重量を基準として5~90重量%の範囲内である。
【0017】
(C)複合材料を調製するプロセス
コーティング層は、バインダー樹脂、固体潤滑剤及び溶媒を含むコーティング組成物をポリイミド基板の表面上に塗布することにより加工できる。バインダー樹脂及び固体潤滑剤は、既に開示されているので、これらの記載をここに組み込むことができる。溶媒は、バインダー樹脂を溶解するのと同様に固体潤滑剤及び他の追加の成分を組成物中に分散させるのにも使用される。溶媒の例としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン(NEP)、N,N,-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)が挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミドイミドの著名な供給業者は、商標名Molykote(登録商標)を使用するDuPontである。ポリアミドイミド耐摩擦性コーティング(PAI AFCs)は、DuPont USA Incから商品名Molykote(登録商標)で入手可能である。
【0018】
コーティング組成物は、ポリイミド基板の表面の少なくとも一部に幅広い様々な形態で塗布することができる。コーティング組成物を塗布する方法の例としては、浸漬法、スピンコート法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法などが挙げられるが、これらに限定されない。塗布したコーティング組成物の厚みは、特に限定されないが、その厚みは、5~25マイクロメートルであるのが好ましい。コーティング組成物を塗布した後、塗布した組成物を乾燥して、溶媒を除去し、且つ必要ならば、更に硬化して安定なコーティング層を形成する。
【0019】
AFC層をポリイミド基板へ塗布する例示的なプロセスでは:コーティング組成物を0.8~1.5mmのオリフィス直径及び10~75psiの圧力を利用するHVLP(高容量/低圧)スプレー装置によって基材に塗布する。通常、コーティングの塗布前及び溶媒洗浄後に部材を予熱して、表面上の全ての溶媒と残留油を除去する。コーティングは、一般的に、所定の用途に必要である所望の乾燥膜厚(通常10~30マイクロメートル)を実現するために、薄く均一な塗膜で基板に塗布される。
【0020】
乾燥/硬化は、80℃以下の温度で5~10分間、低温フラッシュで、大部分の溶媒を除去する2工程プロセスである。このフラッシュプロセス後に、目標の膜厚を実現するために、追加の塗膜を部材に塗布することができる。最終の熱硬化は、必要とされ、それぞれのコーティングの樹脂化学に基づいて若干異なるが、概して言えば、ポリイミド基板に塗布されるこれらのコーティングの一般的な硬化プロファイルは230℃、60分間である。
【0021】
(D)物品
本発明の物品は、ポリイミドを含み、その物品の表面の少なくとも一部は、既に開示したバインダー樹脂及び固体潤滑剤を含む耐摩擦性コーティングで覆われている。このような物品の例としては、ウェアリング、ブッシング、スラストワッシャー、バンパー、ウェアパッド、ウェアストリップ、チューブクランプ、ベアリング、絶縁体、バルブシート、シール、及びシュラウドなどが挙げられる。本発明の物品は、航空宇宙産業及び自動車をはじめとする輸送産業に使用することができる。
【0022】
(E)摺動構造物
本発明の別の実施形態においては、コーティング組成物は、例えば、自動車産業及び航空宇宙産業における本発明を含むシステムにおいて、一般的には金属製の「カウンター」表面にも塗布することができる。したがって、本発明の別の実施形態は、ポリイミド製の第1の部材と金属製の第2の部材とを含む摺動構造物であって、第1の部材と第2の部材が、互いに接触しており、2つの部材の少なくとも1つ表面が、コーティング層で覆われており、コーティング層が、(A)ポリイミド基板と、(B)バインダー樹脂及び固体潤滑剤を含むコーティング層を含む摺動構造物である。
【0023】
接着性
これらの2つの材料間の接着メカニズムは、主に機械的であり、露出する表面積が多いほど、PAI樹脂がポリイミドに結合する接着部位が多くなる。これは、主に圧縮成形の製造方法と、より高い表面積接触率を可能にし得るポリイミドに固有の微細孔によるものである。微細孔に閉じ込められた全ての溶媒をコーティング前に蒸発させることが重要であり、蒸発させないならばコーティング表面に膨れをもたらすことがある。これは、脱脂するのに使用する溶媒の引火点を超えるまで又は100Cを超えるまでの高い方まで、ポリイミド部材を予熱して、いかなる残留水分も除去することで達成される。硬化後、部材は、取り扱い前に周囲温度まで冷却することができる。PAIコーティングの硬化温度は、クロスカットテープ剥離試験、鉛筆硬度試験、及びウォータージェット圧力試験による接着試験結果に基づく。
【実施例
【0024】
材料
ポリイミド基板(SP21):DuPontにより供給されるVespel(登録商標)SP21を使用した。DuPont(商標)Vespel(登録商標)SP-21は、グラファイト強化され、低摩擦で、様々な用途において潤滑の有無にかかわらず使用される。Vespel(登録商標)SP-21は、最大の物理的強度、伸び、及び靭性を有する。カスタム部品又はストック形状として入手可能。
【0025】
実施例で使用するコーティング組成物の配合を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
コーティング方法
表1のコーティング組成物A~DをPI基材又は金属カウンター物品にスプレー塗布により20+/-2マイクロメートルの厚さで塗布した。次に、基板/金属カウンター物品をオーブンに入れて、PI基板/金属カウンター物品を80℃で10分間加熱した。その後、組成物を220℃下で60分間、硬化した。次に、体積損失及び摩擦係数(COF)を評価した。
【0028】
実施例1~3
ASTM D3702に従ってスラストワッシャーのセットアップを用いて摩擦及び摩耗試験を行った。6061アルミニウムに対して、圧力1.75MPa、速度0.7m/sで24時間、試料を試験した。試料の高さの変化によって、被覆したPI基板の摩耗を測定し、試験中に失われた体積を計算する。体積損失が小さいほど、摩耗が低いことを意味する。
【0029】
コーティング組成物Aで被覆した場合、被覆されたSP21の体積損失は、46.1mmから30.1mmに改善した。コーティング組成物Bで被覆されたSP21は、29.5mmの体積損失を有した。
【0030】
【表2】
【0031】
実施例4~6
ASTM D3702に従ってスラストワッシャーのセットアップを用いて摩擦及び摩耗試験を行った。7075アルミニウムに対して、圧力1.75MPa、速度0.7m/sで24時間、試料を試験した。試料の高さの変化によって、被覆したポリマーのワッシャーの摩耗を測定し、試験中に失われた体積を計算する。体積損失が小さいほど、摩耗が低いことを意味する。非被覆のSP21は、激しい摩耗のため24時間の試験を完了することができなかった:コーティング組成物AとBの両方とも、試験を完了まで実行することが可能であった。
【0032】
アルミニウム表面をコーティング組成物Aで被覆した場合、SP21の体積損失は、8時間で145.8mmから24時間で5.14mmに改善した。コーティング組成物Bで被覆されたSP21は、24時間で0.27mmの体積損失を有した。
【0033】
【表3】
【0034】
実施例7~11
ASTM G137に従って、ブロックオンリング試験機を用いて摩擦及び摩耗試験を行った。7075アルミニウムリングに対して、圧力1.29MPa、速度0.68m/sで24時間、試料を試験した。試料の高さの変化によって、ポリマーブロックの摩耗を測定し、試験中に失われた体積を計算する。体積損失が小さいほど、摩耗が低いことを意味する。
【0035】
アルミニウムリングをコーティング組成物A~Dで被覆した場合、SP21の体積損失及びアルミニウムリングの摩耗は、表4に示す通り、かなり改善した。
【0036】
【表4】
【国際調査報告】