(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】有機電子デバイスにおいて使用するための式(I)の有機化合物、式(I)の化合物を含む有機電子デバイス、および該有機電子デバイスを含むディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
C07C 255/51 20060101AFI20240717BHJP
C07D 213/61 20060101ALI20240717BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240717BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240717BHJP
H10K 50/19 20230101ALI20240717BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240717BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240717BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20240717BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240717BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20240717BHJP
【FI】
C07C255/51
C07D213/61 CSP
C09K11/06 690
H10K85/60
H10K50/19
H10K50/15
H10K50/17
H10K50/18
H10K59/10
H10K101:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579678
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067684
(87)【国際公開番号】W WO2023275021
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503180100
【氏名又は名称】ノヴァレッド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ニュレン,マクス ペーター
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ,ベンヤミーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴダルチック,ヤーコプ ヤチェク
(72)【発明者】
【氏名】ロバスチク,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ランプレヒト,アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
3K107
4H006
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC24
3K107CC45
3K107DD52
3K107DD71
3K107DD78
3K107FF05
3K107FF18
3K107FF19
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB91
(57)【要約】
本発明は、式(I)の修飾化合物、および式(I)の化合物を含む半導体層を含む有機電子デバイス、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、A
1、A
2およびA
3は、それぞれ式(II)、(III)、(IV)で表され、
【化2】
Ar
1、Ar
2およびAr
3は、独立して、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のC
6~C
24アリール、置換もしくは非置換のヘテロアリールまたはC
2~C
24ヘテロアリールから選択され、前記Ar
1、Ar
2およびAr
3上の置換基は、独立して、電子吸引性基、NO
2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
12アルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
6アルコキシまたはDから選択され;
R’、R’’およびR’’’は、独立して、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のC
6~C
18アリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のC
2~C
18ヘテロアリール、電子吸引性基、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
6アルキル、ハロゲン、F、CN、およびNO
2から選択され;
式(II)~(IV)において、各々のAr
1、Ar
2およびAr
3は、対応するR’、R’’およびR’’’と共に、置換もしくは非置換の炭素環または、好ましくは置換もしくは非置換の複素環を形成し得、前記置換基は、電子吸引性基、F、CN、ペルフルオロ化されたC
1~C
8アルキル、置換もしくは非置換のC
6~C
18アリール、置換もしくは非置換のC
2~C
18ヘテロアリール、置換もしくは非置換のカルボシクレン、置換もしくは非置換のカルボシクリデン、置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のアルキリデンであり得;
前記式(I)の化合物は、10K/分で加熱中にDSCによって測定した場合には、ガラス転移温度を示さない、化合物。
【請求項2】
前記化合物が、≧150℃まで加熱されている、式(I)の化合物。
【請求項3】
プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G
*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された≦-4.5eVの真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、LUMOエネルギー準位を有する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、≧200℃の融解温度T
mを有する、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、≧30kJ/molの融解エンタルピーΔH
mを有する、請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、4~8個のCN-基を有する、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、≧380g/molの分子量を有する、請求項1~6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
前記R’、R’’およびR’’’の少なくとも1つがCNである、請求項1~7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
前記Ar
1、Ar
2およびAr
3の少なくとも1つが、式(V)から選択され:
【化3】
式中、X
1は、CR
1またはNから選択され;
X
2は、CR
2またはNから選択され;
X
3は、CR
3またはNから選択され;
X
4は、CR
4またはNから選択され;
X
5は、CR
5またはNから選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5は、独立して、電子吸引性基、NO
2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
10アルキル、CF
3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
6アルコキシ、DまたはHから選択され;
X
1~X
5の少なくとも2つは、独立して、CR
1~CR
5から選択され;かつ
前記アスタリスク「
*」は結合位置を示す、請求項1~8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
前記請求項1~9のいずれかに記載の式(I)の化合物を少なくとも1つ含む、有機半導体層。
【請求項11】
請求項10に記載の少なくとも1つの有機半導体層を含む、有機電子デバイス。
【請求項12】
前記有機電子デバイスは、陽極層、陰極層、少なくとも1つの光活性層および少なくとも1つの有機半導体層を含み、前記少なくとも1つの有機半導体層は、前記陽極層と前記少なくとも1つの光活性層との間に配置される、請求項11に記載の有機電子デバイス。
【請求項13】
前記有機電子デバイスは、少なくとも2つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層は、前記第1の光活性層と前記第2の光活性層との間に配置される、請求項11~12のいずれかに記載の有機電子デバイス。
【請求項14】
前記電子有機デバイスは、発光デバイス、薄膜トランジスタ、バッテリー、表示デバイスまたは光電池であり、好ましくは発光デバイス、好ましくは有機発光ダイオードである、請求項11~13のいずれかに記載の有機電子デバイス。
【請求項15】
請求項11~14のいずれかに記載の有機電子デバイスを含む、表示デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、有機電子デバイスにおいて使用するための式(I)の有機化合物、式(I)の化合物を含む有機電子デバイス、および該有機電子デバイスを含むディスプレイデバイスに関する。
【0002】
[背景技術]
自発光デバイスである有機発光ダイオードOLEDのような有機電子デバイスは、広視野角、優れたコントラスト、高速応答性、高輝度、優れた動作電圧特性、および色再現性を有する。一般的なOLEDは、陽極と、正孔輸送層HTLと、発光層EMLと、電子輸送層ETLと、陰極層とを備えており、これらは、基板上に順次積層されている。このうち、HTL、EML、およびETLは、有機化合物から形成された薄膜である。
【0003】
陽極および陰極に電圧が印加されると、陽極から注入された正孔はHTLを介してEMLへ移動し、陰極から注入された電子はETLを介してEMLへ移動する。上記正孔および電子はEML内で再結合し、励起子を生成する。当該励起子が励起状態から基底状態に移行するときに、光が放出される。正孔および電子の注入および流れは、上述した構造を有するOLEDが、優れた効率および/または長い寿命を有するように、調和させるべきである。
【0004】
OLEDの製造過程では、複数の昇華工程および熱分解工程が採用される。このため、有機電子デバイスの製造中の工具の汚染を避けるために、使用される化合物の加熱中の質量損失が低いことが特に重要である。
【0005】
その製造のためのこのような材料および/またはその製造方法を提供する必要性が残っている。
【0006】
[開示]
本発明の一態様は、式(I)の有機化合物を提供し:
【0007】
【0008】
式中、A1、A2およびA3は、それぞれ式(II)、(III)、(IV)で表され、
【0009】
【0010】
Ar1、Ar2およびAr3は、独立して、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のC6~C24アリール、置換もしくは非置換のヘテロアリールまたはC2~C24ヘテロアリールから選択され、Ar1、Ar2およびAr3上の置換基は、独立して、電子吸引性基、NO2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキルおよび部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C12アルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルコキシ、またはDから選択され;
R’、R’’およびR’’’は、独立して、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のC6~C18アリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のC2~C18ヘテロアリール、電子吸引性基、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルキル、ハロゲン、F、CN、およびNO2から選択され;
式(II)~(IV)において、各々のAr1、Ar2およびAr3は、対応するR’、R’’およびR’’’と共に、置換もしくは非置換の炭素環または、好ましくは置換もしくは非置換の複素環を形成し得、置換基は、電子吸引性基、F、CN、ペルフルオロ化されたC1~C8アルキル、置換もしくは非置換のC6~C18アリール、置換もしくは非置換のC2~C18ヘテロアリール、置換もしくは非置換のカルボシクレン、置換もしくは非置換のカルボシクリデン、置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のアルキリデンであり得;
前記式(I)の化合物は、10K/分で加熱中にDSCによって測定した場合には、ガラス転移温度を示さない。
【0011】
本発明の異なる態様は、化合物が、≧10分間、≧150℃まで加熱されている、式(I)の有機化合物を提供する。
【0012】
以下において、用語「本発明の化合物」(または-それが自明である場合には-単に「化合物」と略される-)は、
a) 10K/分で加熱中にDSCによって測定した場合には、ガラス転移温度を示さない式(I)の化合物;または
b) 上記のように加熱した式(I)の化合物
のいずれかを指す。
【0013】
本出願および特許請求の範囲を通して、特に断りのない限り、An、Rnなどは常に同じ部位を指すことに留意されたい。
【0014】
本明細書において、他に定義がない場合には、「部分的にフッ素化された」とは、水素原子の一部のみがフッ素原子で置換されたC1~C8アルキル基を指す。
【0015】
本明細書において、他に定義がない場合には、「ペルフルオロ化された」とは、すべての水素原子がフッ素原子で置換されたC1~C8アルキル基を指す。
【0016】
本明細書において、他に定義がない場合には、「置換された」とは、重水素、C1~C12アルキル、およびC1~C12アルコキシで置換された1つを指す。
【0017】
しかしながら、本明細書において、「アリール置換された」は、1個以上のアリール基による置換を指し、アリール基自体は、1個以上のアリール基および/またはヘテロアリール基によって置換されてもよい。
【0018】
同様に、本明細書中において、「ヘテロアリール置換された」は、1個以上のヘテロアリール基による置換を指し、ヘテロアリール基自体は、1個以上のアリール基および/またはヘテロアリール基によって置換されてもよい。
【0019】
本明細書中にて、他に定義がない場合には、「アルキル基」とは、飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。アルキル基は、C1~C12アルキル基であってもよい。より具体的には、アルキル基は、C1~C10アルキル基、C1~C8アルキル基、C1~C6アルキル基、またはC1~C4アルキル基であってもよい。例えば、C1~C4アルキル基は、アルキル鎖中に1個~4個の炭素を含み、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルから選択され得る。
【0020】
アルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基であり得る。
【0021】
用語「シクロアルキル」は、対応するシクロアルカンに含まれる環原子から1個の水素原子を形式的に引き抜く(formal abstraction)ことによってシクロアルカンより誘導される、飽和ヒドロカルビル基を指す。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、アダマンチル基などであり得る。
【0022】
用語「ヘテロ」は、共有結合した炭素原子によって形成され得る構造中の少なくとも1個の炭素原子が、別の多価原子によって置換された状態であると理解されたい。好ましくは、ヘテロ原子は、B、Si、N、P、O、Sから選択され、より好ましくは、N、P、O、Sから選択される。
【0023】
本明細書において、「アリール基」とは、対応する芳香族炭化水素中の芳香族環から1個の水素原子を形式的に引き抜くことによって生成することができる、ヒドロカルビル基を指す。芳香族炭化水素は、少なくとも1個の芳香族環または芳香族環系を含む、炭化水素を指す。芳香族環または芳香族環系は、共有結合した炭素原子の平面環または環系を指し、当該平面環または環系は、ヒュッケル則を満たす非局在化電子の共役系を含む。アリール基の例として、フェニルまたはトリルのような単環式基、ビフェニルのような単結合によって連結された複数個の芳香族環を含む多環式基、ならびに、ナフチルまたはフルオレン-2-イルのような縮合環を含む多環式基が含まれる。
【0024】
同様に、ヘテロアリールの下では、少なくとも1個のそのような環を含む化合物中の複素環式芳香族環から1個の環水素を形式的に引き抜くことによって誘導される基が、特に好適であると理解される。
【0025】
ヘテロシクロアルキルの下では、少なくとも1個のそのような環を含む化合物中の飽和シクロアルキル環から1個の環水素を形式的に引き抜くことによって誘導される基が、特に好適であると理解される。
【0026】
用語「縮合アリール環(fused aryl rings)」または「縮合アリール環(condensed aryl rings)」は、2個のアリール環が、少なくとも2個の共通sp2混成炭素原子を共有する場合に、縮合(fused)または縮合(condensed)していると考えられる状態であると理解される。
【0027】
用語「NO2」は、-NO2を表し、すなわち、NO2は、その窒素部分によって結合されている。
【0028】
用語「塩」は、式(I)のラジカルアニオンの金属塩、アンモニウム塩、またはラジカルカチオン塩を指し、好ましくはラジカルカチオン塩を指す。
【0029】
用語「電子吸引性基」は、分子内の化学基を指し、分子の隣接部分から電子を引き離すことができる。電子吸引性基がその効果を発揮できる距離、すなわち電子吸引効果が及ぶ結合の数は、芳香族系のような共役π電子系によって拡張される。電子吸引性基の例には、NO2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキルおよび部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C12アルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルコキシが含まれる。
【0030】
本明細書中にて、単結合は直接結合を指す。
【0031】
用語「含まない(free of)」、「含まない(does not contain)」、「含まない(does not comprise)」は、蒸着前の化合物に存在し得る不純物を除外するものではない。不純物は、本発明によって達成される目的に関して、技術的な影響を有さない。
【0032】
用語「接触して挟まれる」は、2つの隣接層に直接接触する中間の層による3層の構成
を指す。
【0033】
用語「光吸収層(light-absorbing layer)」および「光吸収層(light absorption layer)」は、同義的に使用される。
【0034】
用語「発光層(light-emitting layer)」、「発光層(light emission layer)」および「発光層(emission layer)」は、同義的に使用される。
【0035】
用語「OLED」、「有機発光ダイオード」および「有機発光デバイス」は、同義的に使用される。
【0036】
用語「陽極」、「陽極層」および「陽極電極」は、同義的に使用される。
【0037】
用語「陰極」、「陰極層」および「陰極電極」は、同義的に使用される。
【0038】
本明細書において、正孔特性とは、電界が印加されたときに電子を供与して正孔を形成する能力を指し、陽極中に形成された正孔は、最高被占分子軌道(HOMO)準位に応じた導電特性により、発光層に注入されやすく、発光層中を輸送されやすいことを指す。
【0039】
また、電子特性は、電界が印加されたときに電子を受領する能力を指し、陰極中に形成された電子は、最低被占分子軌道(LUMO)準位に応じた導電特性により、発光層に注入され、発光層中を輸送されやすいことを指す。
【0040】
用語「ガラス転移」は特に、非晶質材料(または半結晶材料内の非晶質領域)において、温度が上昇するにつれて、硬くて比較的脆い「ガラス状」状態から粘性またはゴム状の状態へと徐々に、かつ、可逆的に転移することを意味する。次に、用語「ガラス転移温度」は特に、このガラス転移が起こる温度および/もしくは温度範囲を意味するか、ならびに/または前記温度および/もしくは前記温度範囲を含む。
【0041】
[有利な効果]
驚くべきことに、本発明の化合物は、加熱中の質量損失が低く、それゆえ、これらの化合物を使用するOLEDおよび他のデバイスの製造中の望ましくない汚染を低減できることが見出された。
【0042】
上述したように、本発明の一態様によれば、化合物は≧10分間、≧150℃まで加熱されている。この加熱は、本出願の文脈では「熱アニーリング」と称され、これが起こる温度は「アニーリング温度」と称される。
【0043】
「熱アニーリング」は、化合物が例えば昇華等により合成および/または精製された後に、特に行われることを留意されたい。本発明の一実施形態によれば、「熱アニーリング」は、純粋な化合物から出発する追加的な処理工程である。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧155℃、好ましくは≧160℃、より好ましくは≧165℃、さらに好ましくは≧170℃、さらにより好ましくは≧175℃、最も好ましくは≧180℃まで加熱されている。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≦300℃、より好ましくは≦250℃、最も好ましくは≦220℃まで加熱されている。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧Tm-60K~≦Tm-10Kの温度範囲で加熱されており、Tmは化合物の融解温度である。これは、化合物が半結晶である場合に特に好ましいことが、本発明における多くの適用において見出されている。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧Tm-50K~≦Tm-15Kの温度範囲で加熱されている。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧Tm-40K~≦Tm-20Kの温度範囲で加熱されている。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧Taub-60K~≦Tsub-10Kの温度範囲で加熱されており、Tsubは化合物の昇華温度である。これは、化合物が非晶質である、および/もしくは結晶化の程度が小さい場合には、ならびに/または化合物が定義された融点を有さない場合に特に好ましいことが、本発明における多くの適用で見出されている。
【0050】
本発明の文脈における昇華温度は、特に、以下の方法を用いて測定された温度を意味する、および/または以下の方法を用いて測定された温度を含む:
〔昇華温度〕
グローブボックス内、窒素雰囲気下で、0.5~5gの化合物を昇華装置の蒸発源に投入する。昇華装置は、直径3.5cmのガラス管内に設置された直径3cmの球状部からなる内側ガラス管で構成されている。昇華装置はチューブオーブン(Creaphys DSU 05/2.1)内に設置される。昇華装置は、メンブレンポンプ(Pfeiffer Vacuum MVP 055-3C)とターボポンプ(Pfeiffer Vacuum THM071 YP)とを介して排気される。圧力は、圧力計(Pfeiffer Vacuum PKR 251)を使用して昇華装置とターボポンプとの間で測定される。圧力が10-5mbarまで下がったら、昇華装置のハーベスティングゾーンに化合物が蒸着し始めるまで、温度を10~30Kずつ上昇させる。温度は、30分~1時間かけて装置中の化合物が目に見えて減少する昇華速度が達成され、かつ、相当量の化合物がハーベスティングゾーンに蓄積されるまで、10~30Kずつさらに上昇させる。昇華温度は、Tsublとも呼ばれ、化合物が目に見える速度でハーベスティングゾーンに蒸着される昇華装置内の温度であり、摂氏で測定される。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧Taub-50K~≦Tsub-15K、最も好ましくは≧Taub-40K~≦Tsub-20Kの温度範囲で加熱されている。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、熱アニーリングは、20分~≦3時間、より好ましくは≧30分~≦2時間、最も好ましくは45分~≦1時間30分行われる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、熱アニーリングは、減圧下、好ましくは≦10-1Pa、より好ましくは≦10-2Pa、さらに好ましくは≦10-3Pa、最も好ましくは≦10-4Paで行われる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された≦-4.5eVの真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、LUMOエネルギー準位を有する。好ましくは、LUMOエネルギー準位は、≦-4.6eV、好ましくは≦-4.7eV、≧より好ましくは≦-4.8eV、最も好ましくは≦-4.9eVである。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧200℃の融解温度Tmを有する。好ましくは、融解温度は、≧205℃および≦450℃であり、より好ましくは≧210℃および≦410℃であり、最も好ましくは≧210℃および≦380℃である。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、化合物の昇華温度Tsublは、≧165℃、好ましくは≧170℃、より好ましくは≧180℃、さらに好ましくは≧190℃、よりさらに好ましくは≧200℃、なおさらに好ましくは≧205℃、最も好ましくは≧210℃である。好ましくは、昇華温度は、≧165℃および≦450℃であり、より好ましくは≧170℃および≦410℃であり、よりさらに好ましくは≧180℃および≦400℃であり、なおさらに好ましくは≧190℃および≦395℃であり、より好ましくは≧200℃および≦390℃であり、なおより好ましくは≧205℃および≦385℃であり、最も好ましくは≧210℃および≦380℃である。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、≧30kJ/molの融解エンタルピーΔHmを有する。好ましくは、融解エンタルピーΔHmは≧35kJ/molであり、最も好ましくは≧40kJ/molである。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、化合物は4~8個のCN基、好ましくは5~8個のCN基を有する。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、化合物の分子量は、≧380g/molである。好ましくは、化合物の分子量は、≧400g/molおよび≦1200g/mol、より好ましくは≧500g/molおよび≦1100g/mol、最も好ましくは≧550g/molおよび≦1000g/molである。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、Ar1、Ar2およびAr3上の置換基は、独立して、NO2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキルおよび部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C12アルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルコキシ、またはDから選択される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、Ar1、Ar2およびAr3上の置換基は、独立して、NO2、CN、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキルおよび部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C12アルキル、CF3、またはDから選択される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、Ar1、Ar2およびAr3上の置換基は、独立して、NO2、CN、F、CF3、またはDから選択される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、R’、R’’およびR’’’は、独立して、電子吸引性基、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルキル、CF3、ハロゲン、F、CN、およびNO2から選択される。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、R’、R’’およびR’’’は、独立して、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルキル、CF3、ハロゲン、F、CN、およびNO2から選択される。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、R’、R’’およびR’’’は、独立して、CF3、F、CN、およびNO2から選択される。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、R’、R’’およびR’’’は、独立して、CF3、F、およびCNから選択される。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、R’、R’’およびR’’’は、CNである。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、Ar1、Ar2およびAr3の少なくとも1つは、式(V)から選択され、
【0069】
【0070】
式中、X1は、CR1またはNから選択され;
X2は、CR2またはNから選択され;
X3は、CR3またはNから選択され;
X4は、CR4またはNから選択され;
X5は、CR5またはNから選択され;
R1、R2、R3、R4、およびR5は、独立して、電子吸引性基、NO2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C10アルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルコキシ、DまたはHから選択され;
X1~X5の少なくとも2つは、独立して、CR1~CR5から選択され;かつ
前記アスタリスク「*」は結合位置を示す。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、R1、R2、R3、R4、およびR5は、独立して、NO2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C10アルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルコキシ、DまたはHから選択される。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、R1、R2、R3、R4、およびR5は、独立して、NO2、CN、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C10アルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C6アルコキシ、DまたはHから選択される。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、R1、R2、R3、R4、およびR5は、独立して、NO2、CN、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC1~C10アルキル、CF3、DまたはHから選択される。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、R1、R2、R3、R4、およびR5は、独立して、NO2、CN、F、CF3、DまたはHから選択される。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、4個以下の水素原子を含む。本発明の一実施形態によれば、化合物は少なくとも8個のフッ素原子、好ましくは少なくとも10個のフッ素原子を含む。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、Ar1、Ar2、およびAr3のうちの少なくとも1つは、CF3、CNおよびFから選択される少なくとも1つの部位を含み、より好ましくはCF3およびCNから選択される少なくとも1つの部位を含む。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、Ar1、Ar2およびAr3のうちの少なくとも1つ、好ましくはAr1、または少なくともAr1は、以下の部位の1つから選択される:
【0078】
【0079】
本発明の一実施形態によれば、A1、A2、およびA3のうち少なくとも2つは、同一である。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、A2およびA3は、同一である。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、A1、A2、およびA3は、同一である。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、A2は、以下から選択される
【0083】
【0084】
本発明の一実施形態によれば、A2および/またはA3は、独立して、以下から選択される
【0085】
【0086】
本発明の一実施形態によれば、化合物は、式(VI)から選択される。
【0087】
【0088】
本発明はさらに、式(VI)の化合物と、式(VIa)~(VId)のうちの少なくとも1つの化合物とを含む組成物に関する。
【0089】
【0090】
本発明の別の態様は、本発明による化合物を少なくとも1つ含む、有機半導体層に関する。
【0091】
本発明はまた、本発明による化合物を少なくとも1つ含む、有機電子デバイスに関する。
【0092】
本発明の別の態様は、有機半導体層を含む、有機半導体層に関する。
【0093】
本発明はさらに、陽極層、陰極層、および少なくとも1つの有機半導体層を含む有機電子デバイスに関し、前記少なくとも1つの有機半導体層は、本発明による化合物を含む。
【0094】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは、陽極層、陰極層を含む。
【0095】
一実施形態によれば、有機電子デバイスはさらに、光活性層を含む。
【0096】
一実施形態によれば、有機電子デバイスは、陽極層、陰極層、および少なくとも1つの有機半導体層を含み、前記少なくとも1つの有機半導体層は、前記陽極層と前記陰極層との間に配置され;前記少なくとも1つの有機半導体層は、本発明による化合物を含む。
【0097】
一実施形態によれば、有機半導体層は、上述した式(VI)の化合物と、式(VIa)~(VId)の化合物の少なくとも1つとを含む組成物を含む。
【0098】
有機半導体層がこのような組成物を含む場合には、本願明細書全体を通して、用語「本発明による化合物」は、上述した組成物を含むことも意図する。
【0099】
本発明の別の態様は、陽極層、陰極層、少なくとも1つの有機半導体層、および少なくとも1つの光活性層を含み、前記半導体層は、前記陰極層と前記少なくとも1つの光活性層との間に配置され;前記少なくとも1つの有機半導体層は、本発明による化合物を含む、有機電子デバイスを提供する。
【0100】
本発明の別の態様は、陽極層、陰極層、および電荷発生層を含み、前記電荷発生層は、p型電荷発生層およびn型電荷発生層を含み、前記p型電荷発生層は、本発明による化合物を含む、有機電子デバイスを提供する。
【0101】
本発明の一実施形態によれば、有機半導体層および/または本発明による化合物は、非発光性である。
【0102】
本明細書の文脈において、用語「実質的に非発光性」または「非発光性」は、デバイスからの可視発光スペクトルに対する化合物または層の寄与が、可視発光スペクトルに対して10%未満、好ましくは5%未満であることを意味する。可視発光スペクトルは、約≧380nmから約≦780nmの波長を有する発光スペクトルである。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの有機半導体層は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む。好ましくは、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む、少なくとも1つの半導体層は、陽極層に隣接して配置および/または提供される。
【0104】
本発明の異なる態様によれば、本発明の化合物の調製方法が提供され、該方法は、
a) 式(I)の化合物を提供する工程
b) 式(I)の化合物を≧165Kの温度範囲で≧10分間加熱する工程
を含む。
【0105】
好ましくは、工程b)は、≧Tm-50K~≦Tm-10Kの温度範囲で≧10分間行われ、Tmは式(I)の化合物の融解温度であり、より好ましくは、≧Tm-40K~≦Tm-20Kの温度範囲で行われる。
【0106】
好ましくは、工程b)は、≧Tsubl-50K~≦Tsubl-10Kの温度範囲で≧10分間行われ、Tsublは式(I)の化合物の昇華温度であり、より好ましくは、≧Tsubl-40K~≦Tsubl-20Kの温度範囲で行われる。
【0107】
好ましくは、工程b)は、≧30分~≦2時間行われる。
【0108】
好ましくは、工程b)は減圧下、好ましくは≦10-1Pa、より好ましくは≦10-2Pa、さらにより好ましくは≦10-3Pa、最も好ましくは≦10-4Paで行われる。
【0109】
〔実質的に共有結合性のマトリックス化合物〕
有機半導体層は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含み得る。一実施形態によれば、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つの有機化合物から選択され得る。実質的に共有結合性のマトリックスは、共有結合したC、H、O、N、Sから実質的に構成され得、該実質的に共有結合性のマトリックスは任意に、共有結合したB、P、Asおよび/またはSeをさらに含む。
【0110】
有機電子デバイスの一実施形態によれば、有機半導体層は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含み、前記実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、共有結合したC、H、O、N、Sから実質的に構成される有機化合物から選択され得、該実質的に共有結合性のマトリックスは任意に、共有結合したB、P、Asおよび/またはSeをさらに含む。
【0111】
共有結合した炭素-金属を含む有機金属化合物、有機リガンドを含む金属錯体、および有機酸の金属塩は、正孔注入層の実質的に共有結合性のマトリックス化合物として機能し得る有機化合物のさらなる例示である。
【0112】
一実施形態では、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、C、O、S、Nから選択され得る。あるいは、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は金属原子を欠き、その骨格原子の大部分は、CおよびNから選択され得る。
【0113】
一実施形態によれば、実質的に共有結合のマトリックス化合物の分子量Mwは≧400および≦2000g/mol、好ましくは、分子量Mwは≧450および≦1500g/mol、より好ましくは、分子量Mwは≧500および≦1000g/mol、さらに好ましくは、分子量Mwは≧550および≦900g/mol、よりさらに好ましくは、分子量Mwは≧600および≦800g/molであり得る。
【0114】
好ましくは、実質的に共有結合性のマトリックス化合物は、少なくとも1つのアリールアミン部位、あるいはジアリールアミン部位、あるいはトリアリールアミン部位を含む。
【0115】
好ましくは、実質的に共有結合のマトリックス化合物は、金属および/またはイオン結合を含まない。
【0116】
〔式(IX)の化合物または式(X)の化合物〕
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのマトリックス化合物(「実質的に共有結合のマトリックス化合物」とも称される)は、少なくとも1つのアリールアミン化合物、ジアリールアミン化合物、トリアリールアミン化合物、式(IX)の化合物または式(X)の化合物を含み得:
【0117】
【0118】
式中、
T1、T2、T3、T4およびT5は、独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンから選択され、好ましくは単結合またはフェニレンから選択され;
T6は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンまたはナフテニレンであり:
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、独立して、置換もしくは非置換のC6~C20アリール、または置換もしくは非置換のC3~C20ヘテロアリーレン、置換もしくは非置換のビフェニレン、置換もしくは非置換のフルオレン、置換の9-フルオレン、置換の9,9-フルオレン、置換もしくは非置換のナフタレン、置換もしくは非置換のアントラセン、置換もしくは非置換のフェナントレン、置換もしくは非置換のピレン、置換もしくは非置換のペリレン、置換もしくは非置換のトリフェニレン、置換もしくは非置換のテトラセン、置換もしくは非置換のテトラフェン、置換もしくは非置換のジベンゾフラン、置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン、置換もしくは非置換のキサンテン、置換もしくは非置換のカルバゾール、置換の9-フェニルカルバゾール、置換もしくは非置換のアゼピン、置換もしくは非置換のジベンゾ[b,f]アゼピン、置換もしくは非置換の9,9’-スピロビ[フルオレン]、置換もしくは非置換のスピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]、または置換もしくは非置換の非ヘテロ、置換もしくは非置換のヘテロ5員環、置換もしくは非置換の6員環、および/または置換もしくは非置換の7員環を含む群から選択される少なくとも3つの置換もしくは非置換の芳香族環を含む、置換もしくは非置換の芳香族縮合環系、置換もしくは非置換のフルオレン、または2~6個の置換もしくは非置換の5~7員環を含む縮合環系から選択され、当該環は、(i)不飽和5~7員環の複素環、(ii)5~6員の芳香族複素環、(iii)不飽和5~7員環の非複素環、(iv)6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され;
ここで、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5の置換基は、H、D、F、C(=O)R2、CN、Si(R2)3、P(=O)(R2)2、OR2、S(=O)R2、S(=O)2R2、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の直鎖アルキル、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の分岐アルキル、3~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換の環状アルキル、2~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルケニル基またはアルキニル基、1~20個の炭素原子を有する置換もしくは非置換のアルコキシ基、6~40個の芳香族環原子を有する置換もしくは非置換の芳香族環系、および5~40個の芳香族環原子を有する置換もしくは非置換のヘテロ芳香族環系、非置換のC6~C18アリール、非置換のC3~C18ヘテロアリール、2~6個の非置換の5~7員環を含む縮合環系を含む群から選択され、同一であるかまたは異なり、当該環は、不飽和5~7員環の複素環、5~6員の芳香族複素環、不飽和5~7員環の非複素環、および6員環の芳香族非複素環を含む群から選択され、
ここで、R2は、H、D、1~6個の炭素原子を有する直鎖アルキル、1~6個の炭素原子を有する分岐アルキル、3~6個の炭素原子を有する環状アルキル、2~6個の炭素原子を有するアルケニル基もしくはアルキニル基、C6~C18アリールまたはC3~C18ヘテロアリールから選択され得る。
【0119】
一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は、独立して、単結合、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得る。一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は、独立して、フェニレン、ビフェニレンまたはテルフェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は、独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T1、T2、T3、T4およびT5は、独立して、フェニレンまたはビフェニレンから選択され得、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの2つは、単結合である。
【0120】
一実施形態によれば、T1、T2およびT3は、独立して、フェニレンから選択され得、T1、T2およびT3のうちの1つは、単結合である。一実施形態によれば、T1、T2およびT3は、独立して、フェニレンから選択され得、T1、T2およびT3のうちの2つは、単結合である。
【0121】
一実施形態によれば、T6は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレンであり得る。一実施形態によれば、T6は、フェニレンであり得る。一実施形態によれば、T6は、ビフェニレンであり得る。一実施形態によれば、T6は、テルフェニレンであり得る。
【0122】
一実施形態によれば、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は独立して、D1~D16から選択され得:
【0123】
【0124】
アスタリスク「*」は、結合位置を示す。
【0125】
一実施形態によれば、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、独立して、D1~D15から選択され得;あるいは、D1~D10およびD13~D15から選択され得る。
【0126】
一実施形態によれば、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5は、独立して、D1、D2、D5、D7、D9、D10、D13~D16からなる群から選択され得る。
【0127】
Ar1、Ar2、Ar3、Ar4およびAr5がこの範囲で選択される場合には、速度開始温度は、大量生産に特に適した範囲にあり得る。
【0128】
「式(IX)または式(X)のマトリックス化合物」は、「正孔輸送化合物」とも称することができる。
【0129】
一実施形態によれば、実質的に共有結合のマトリックス化合物は、少なくとも1つのナフチル基、カルバゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基および/または置換フルオレニル基を含み、ここで、置換基は独立して、メチル、フェニルまたはフルオレニルから選択される。
【0130】
電子デバイスの実施形態によれば、式(IX)または式(X)のマトリックス化合物は、F1~F18から選択される。
【0131】
【0132】
〔有機半導体層〕
有機半導体層は、陽極層または陰極層上に、真空蒸着、スピンコーティング、印刷、キャスティング、スロット-ダイコーティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって形成され得る。有機半導体層が真空蒸着を使用して形成される場合には、蒸着条件は、層を形成するために使用される化合物、ならびに層の所望の構造および熱特性に従って変化し得る。しかし、通常、真空蒸着のための条件は、100℃~350℃の蒸着温度、10-8~10-3トール(1トールは133.322Paに等しい)の圧力、および0.1~10nm/秒の蒸着速度を含み得る。
【0133】
有機半導体層がスピンコーティングまたは印刷を用いて形成される場合には、コーティング条件は、層を形成するために使用される化合物、ならびに有機半導体層の所望の構造および熱特性に従って変化し得る。例えば、コーティング条件は、約2000rpm~約5000rpmのコーティング速度、および約80℃~約200℃の熱処理温度を含み得る。コーティングが行われた後は、熱処理によって溶剤が除去される。
【0134】
有機半導体層の厚さは、約1nm~約20nm(例えば、約2nm~約15nm、あるいは約2nm~約12nm)の範囲であり得る。
【0135】
有機半導体層の厚さがこの範囲内にある場合には、有機半導体層は、駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた正孔注入特性および/または正孔発生特性を有することができる。
【0136】
本発明の一実施形態によれば、有機半導体層は、以下を含むことができる:
-少なくとも約≧0.5重量%~約≦30重量%、好ましくは約≧0.5重量%~約20重量%、より好ましくは約≧1重量%~約≦15重量%の本発明による化合物、および
-少なくとも約≧70重量%~約≦99.5重量%、好ましくは約≧80重量%~約≦99.5重量%、より好ましくは約≧85重量%~約≦99重量%の実質的に共有結合性のマトリックス化合物;好ましくは、本発明による化合物の重量%は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物の重量%よりも低く;成分の重量%は、有機半導体層の総重量に基づいている。
【0137】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つの光活性層を含み、光活性層は陽極層と陰極層との間に配置される。
【0138】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層は、陽極と少なくとも1つの光活性層との間に配置される。
【0139】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層は、陽極と少なくとも1つの光活性層との間に配置される。
【0140】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層は、陽極と少なくとも1つの光活性層との間に配置される。
【0141】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層の少なくとも1つは、陽極と少なくとも1つの光活性層の少なくとも1つとの間に配置される。
【0142】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層の少なくとも1つは、陽極と少なくとも1つの光活性層との間に配置される。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも1つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層は、陽極と少なくとも1つの光活性層との間に配置される。
【0144】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも2つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層は、第1の光活性層と第2の光活性層との間に配置される。
【0145】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも2つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層の少なくとも1つは、第1の光活性層と第2の光活性層との間に配置される。
【0146】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスは、少なくとも2つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層のうちの1つは、第1の光活性層と第2の光活性層との間に配置され、少なくとも1つの有機半導体層のうちの1つは、陽極層と第1の光活性層との間に配置される。
【0147】
本発明の一実施形態によれば、電子有機デバイスはエレクトロルミネッセンスデバイスであり、好ましくは有機発光ダイオードである。
【0148】
本発明はさらに、本発明による有機電子デバイスを含む表示デバイスに関する。
【0149】
〔さらなる層〕
本発明によれば、有機電子デバイスは、上述の層に加えて、さらなる層を含んでもよい。それぞれの層の例示的な実施形態を、以下に説明する:
基板
基板は、電子デバイス(有機発光ダイオードなど)の製造において、一般的に使用される任意の基板であり得る。光が基板を通して放射される場合には、基板は透明または半透明の材料、例えば、ガラス基板または透明プラスチック基板であるべきである。光が上面を通って放射される場合には、基板は透明材料および非透明材料の両方、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、またはシリコン基板であり得る。
【0150】
陽極層
陽極層は、陽極層を形成するために使用される材料を蒸着またはスパッタリングすることによって形成され得る。陽極層を形成するために使用される材料は、正孔注入を容易にするために、高仕事関数材料であり得る。
陽極材料はまた、低仕事関数材料(すなわち、アルミニウム)から選択され得る。陽極電極は、透明電極または反射電極であり得る。透明導電性酸化物(酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、二酸化スズ(SnO2)、酸化アルミニウム亜鉛(AlZO)および酸化亜鉛(ZnO)など)は、陽極電極を形成するために使用され得る。陽極層はまた、金属、典型的には銀(Ag)、金(Au)、または金属合金を使用して形成され得る。
【0151】
好ましい実施形態によれば、有機電子デバイスは陽極層を含み、陽極層は第1の陽極副層および第2の陽極副層を含み、
-第1の陽極副層は、≧4および≦6eVの範囲の仕事関数を有する第1の金属を含み、かつ
-第2の陽極副層は、透明導電性酸化物を含み;かつ
-第2の陽極副層は、正孔注入層により近い位置に配置される。
【0152】
本発明の一実施形態によれば、第1の陽極副層の第1の金属は、Ag、Mg、Al、Cr、Pt、Au、Pd、Ni、Nd、Ir、好ましくはAg、AuまたはAl、より好ましくはAgを含む群から選択され得る。
【0153】
本発明の一実施形態によれば、第1の陽極副層は、5~200nm、あるいは8~180nm、あるいは8~150nm、あるいは100~150nmの範囲の厚さを有する。
【0154】
本発明の一実施形態によれば、第1の陽極副層は、真空熱蒸発を介して第1の金属を蒸着させることによって形成され得る。
【0155】
第1の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0156】
本発明の一実施形態によれば、第2の陽極副層の透明導電性酸化物は、インジウムスズ酸化物またはインジウム亜鉛酸化物、より好ましくはインジウムスズ酸化物を含む群から選択される。
【0157】
本発明の一実施形態によれば、第2の陽極副層は、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲の厚さを有し得る。
【0158】
本発明の一実施形態によれば、第2の陽極副層は、透明導電性酸化物をスパッタリングすることによって形成され得る。
【0159】
本発明の一実施形態によれば、有機電子デバイスの陽極層は、透明導電性酸化物を含む第3の陽極副層をさらに含み、第3の陽極副層は、基板と第1の陽極副層との間に配置される。
【0160】
本発明の一実施形態によれば、第3の陽極副層は、好ましくはインジウムスズ酸化物またはインジウム亜鉛酸化物を含む群から選択される、透明酸化物、より好ましくはインジウムスズ酸化物を含む。
【0161】
本発明の一実施形態によれば、第3の陽極副層は、3~200nm、あるいは3~180nm、あるいは3~150nm、あるいは3~20nmの範囲の厚さを有し得る。
【0162】
本発明の一実施形態によれば、第3の陽極副層は、透明導電性酸化物をスパッタリングすることによって形成され得る。
【0163】
第3の陽極層は、基板の一部ではないことを理解されたい。
【0164】
本発明の一実施形態によれば、正孔注入層は陽極層と直接接触している。
【0165】
正孔注入層
正孔注入層(HIL)は、真空蒸着、スピンコーティング、印刷、キャスティング、スロット-ダイコーティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって、陽極層上に形成され得る。HILが真空蒸着を使用して形成される場合には、蒸着条件は、HILを形成するために使用される化合物、ならびにHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。しかし、通常、真空蒸着のための条件は、100℃~500℃の蒸着温度、10-8~10-3トール(1トールは133.322Paに等しい)の圧力、および0.1~10nm/秒の蒸着速度を含み得る。
【0166】
HILがスピンコーティングまたは印刷を用いて形成される場合には、コーティング条件は、HILを形成するために使用される化合物、ならびにHILの所望の構造および熱特性に従って変化し得る。例えば、コーティング条件は、約2000rpm~約5000rpmのコーティング速度、および約80℃~約200℃の熱処理温度を含み得る。コーティング後は、熱処理によって溶剤が除去される。
【0167】
HILは、HILを形成するために一般的に使用される任意の化合物で形成され得る。HILを形成するために使用され得る化合物の例には、フタロシアニン化合物(銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、TDATA、2T-NATA、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、およびポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)など)が含まれる。
【0168】
HILは、p型ドーパントを含むか、またはp型ドーパントから成り得、p型ドーパントは、テトラフルオロ-テトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)、2,2’-(ペルフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリル、または2,2’,2’’-(シクロプロパン-1,2,3-トリイリデン)トリス(2-(p-シアノテトラフルオロフェニル)アセトニトリル)から選択され得るが、これらに限定されない。HILは、p型ドーパントでドープされた正孔輸送マトリックス化合物から選択され得る。公知のドープされた正孔輸送材料の典型的な例は、LUMO準位が約-5.2eVであるテトラフルオロ-テトラシアノキノンジメタン(F4TCNQ)でドープされた、HOMO準位が約-5.2eVである銅フタロシアニン(CuPc);F4TCNQでドープされた亜鉛フタロシアニン(ZnPc)(HOMO=-5.2eV);F4TCNQでドープされたα-NPD(N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン)である。2,2’-(ペルフルオロナフタレン-2,6-ジイリデン)ジマロノニトリルでドープされたα-NPD。p型ドーパント濃度は、1重量%から20重量%まで、より好ましくは3重量%から10重量%まで、から選択することができる。
【0169】
HILの厚さは、約1nmから約100nmまでの範囲内、例えば、約1nmから約25nmの範囲内であり得る。HILの厚さがこの範囲内にある場合には、HILは、駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた正孔注入特性を有し得る。
【0170】
正孔輸送層
正孔輸送層(HTL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、Langmuir-Blodgett(LB)蒸着などによって、HIL上に形成され得る。HTLが真空蒸着またはスピンコーティングによって形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、真空蒸着または溶液蒸着のための条件は、HTLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0171】
HTLは、HTLを形成するために一般的に使用される任意の化合物で形成され得る。好適に使用できる化合物は、例えば、Yasuhiko Shirota and Hiroshi Kageyama, Chem.Rev. 2007, 107, 953-1010に開示されており、参照によって組み込まれる。HTLを形成するために使用され得る化合物の例は、以下の通りである:カルバゾール誘導体(N-フェニルカルバゾールまたはポリビニルカルバゾールなど);ベンジジン誘導体(N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(TPD)、またはN,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(α-NPD)など);およびトリフェニルアミンベースの化合物(4,4’,4’’-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)など)。これらの化合物のうち、TCTAは正孔を輸送し、励起子がEMLに拡散するのを抑制することができる。
【0172】
本発明の一実施形態によれば、正孔輸送層は、本発明の有機半導体層と同じ実質的に共有結合性のマトリックス化合物を含み得る。
【0173】
HTLの厚さは、約5nm~約250nm、好ましくは約10nm~約200nm、さらに約20nm~約190nm、さらに約40nm~約180nm、さらに約60nm~約170nm、さらに約80nm~約160nm、さらに約100nm~約160nm、さらに約120nm~約140nmの範囲であり得る。HTLの好ましい厚さは、170nm~200nmであり得る。
【0174】
HTLの厚さがこの範囲内である場合には、HTLは、駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた正孔輸送特性を有し得る。
【0175】
電子阻止層
電子阻止層(EBL)の機能は、電子が発光層から正孔輸送層に移動するのを防ぎ、それによって電子を発光層に閉じ込めることである。これにより、効率、動作電圧および/または寿命が改善される。典型的には、電子阻止層はトリアリールアミン化合物を含む。トリアリールアミン化合物は、正孔輸送層のLUMO準位よりも真空準位により近いLUMO準位を有し得る。電子阻止層は、正孔輸送層のHOMO準位に比べて真空準位から離れたHOMO準位を有し得る。電子阻止層の厚さは、2~20nmの間で選択され得る。
【0176】
電子阻止層が高い三重項準位を有する場合には、それはまた三重項制御層として記載され得る。
【0177】
三重項制御層の機能は、リン光緑色発光層またはリン光青色発光層が使用される場合に、三重項の消光を低減することである。これにより、リン光発光層からの発光効率を高めることができる。三重項制御層は、隣接する発光層におけるリン光発光体の三重項準位より高い三重項準位を有するトリアリールアミン化合物から選択される。三重項制御層に適した化合物、特にトリアリールアミン化合物は、EP2722908A1に記載されている。
【0178】
光活性層(PAL)
光活性層は、電流を光子に、または光子を電流に変換する。
【0179】
PALは、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などによってHTL上に形成され得る。PALが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、PALを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0180】
本発明の一実施形態によれば、光活性層は本発明による化合物を含まない。
【0181】
光活性層は、発光層または光吸収層、好ましくは発光層であり得る。
【0182】
発光層(EML)
EMLは、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などによってHTL上に形成され得る。EMLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、EMLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。
【0183】
本発明の一実施形態によれば、発光層は本発明による化合物を含まない。
【0184】
発光層(EML)は、ホストドーパントと発光体ドーパントとの組み合わせで形成されてもよい。ホストの例は、Alq3,4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(CBP)、ポリ(n-ビニルカルバゾール)(PVK)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(ADN)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(TPBI)、3-tert-ブチル-9,10-ジ-2-ナフチルアントラセン(TBADN)、ジスチリルアリーレン(DSA)およびビス(2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾ-チアゾレート)亜鉛(Zn(BTZ)2)である。
【0185】
発光体ドーパントは、リン光発光体または蛍光発光体であり得る。リン光発光体および熱活性化遅延蛍光(TADF)機構を介して光を放出する発光体は、それらのより高い効率のために好ましい場合がある。発光体は、小分子またはポリマーであり得る。
【0186】
赤色発光体ドーパントの例は、PtOEP、Ir(piq)3、およびBtp2lr(acac)であるが、これらに限定されない。これらの化合物はリン光発光体であるが、蛍光赤色発光体ドーパントを使用することもできる。
【0187】
リン光緑色発光体ドーパントの例は、Ir(ppy)3(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)2(acac)、Ir(mpyp)3である。
【0188】
リン光青色発光体ドーパントの例は、F2Irpic、(F2ppy)2Ir(tmd)およびIr(dfppz)3ならびにter-フルオレンである。4.4’-ビス(4-ジフェニルアミオスチリル)ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(TBPe)は、蛍光青色発光体ドーパントの例である。
【0189】
発光体ドーパントの量は、ホスト100重量部に対して、約0.01重量部から約50重量部までの範囲であり得る。あるいは、発光層は、発光ポリマーからなり得る。EMLは、約10nm~約100nm、例えば、約20nmから約60nmまでの厚さを有し得る。EMLの厚さがこの範囲内である場合には、EMLは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた発光を有し得る。
【0190】
正孔阻止層(HBL)
ETLへの正孔の拡散を防止するために、正孔阻止層(HBL)は、真空蒸着、スピンコーティング、スロット-ダイコーティング、印刷、キャスティング、LB蒸着などを用いることによって、EML上に形成され得る。EMLがリン光ドーパントを含む場合には、HBLはまた、三重項励起子阻止機能を有することができる。
【0191】
HBLはまた、補助ETLまたはa-ETLとも呼ばれ得る。
【0192】
HBLが真空蒸着またはスピンコーティングを用いて形成される場合には、蒸着およびコーティングのための条件は、HILの形成のための条件と同様であり得る。しかし、蒸着およびコーティングのための条件は、HBLを形成するために使用される化合物に応じて変化し得る。HBLを形成するために一般的に使用される任意の化合物を使用することができる。HBLを形成するための化合物の例としては、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体およびアジン誘導体、好ましくはトリアジン誘導体またはピリミジン誘導体が含まれる。
【0193】
HBLは、約5nmから約100nmまで、例えば、約10nmから約30nmまでの範囲の厚さを有し得る。HBLの厚さがこの範囲内である場合には、HBLは、駆動電圧の実質的なペナルティなしに、優れた正孔阻止特性を有することができる。
【0194】
電子輸送層(ETL)
本発明による有機電子デバイスは、電子輸送層(ETL)をさらに含み得る。
【0195】
本発明の別の実施形態によれば、電子輸送層は、アジン化合物、好ましくはトリアジン化合物をさらに含み得る。
【0196】
一実施形態では、電子輸送層は、アルカリ有機錯体から選択されるドーパント、好ましくはLiQをさらに含み得る。
【0197】
ETLの厚さは、約15nmから約50nmまでの範囲、例えば、約20nmから約40nmまでの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合には、ETLは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0198】
本発明の別の実施形態によれば、有機電子デバイスは、正孔阻止層および電子輸送層をさらに含み得、正孔阻止層および電子輸送層はアジン化合物を含む。好ましくは、アジン化合物はトリアジン化合物である。
【0199】
電子注入層(EIL)
陰極からの電子の注入を容易にし得る任意のEILは、ETL上に、好ましくは直接電子輸送層上に、形成され得る。EILを形成するための材料の例としては、当技術分野で公知のリチウム8-ヒドロキシキノリノレート(LiQ)、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、Ca、Ba、Yb、Mgが含まれる。EILを形成するための蒸着およびコーティング条件は、HILの形成のためのものと同様であるが、蒸着およびコーティング条件は、EILを形成するために使用される材料に応じて変動し得る。
【0200】
EILの厚さは、約0.1nmから約10nmまでの範囲、例えば、約0.5nmから約9nmまでの範囲であり得る。EILの厚さがこの範囲内である場合には、EILは駆動電圧の実質的なペナルティなしに、満足のいく電子注入特性を有することができる。
【0201】
陰極層
陰極層は、ETLまたは任意のEIL上に形成される。陰極層は、金属、合金、導電性化合物、またはそれらの混合物で形成され得る。陰極電極は、低い仕事関数を有し得る。例えば、陰極層は、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)-リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、イッテルビウム(Yb)、マグネシウム(Mg)-インジウム(In)、マグネシウム(Mg)-銀(Ag)などで形成され得る。あるいは、陰極電極は、透明導電性酸化物(ITOまたはIZOなど)で形成され得る。
【0202】
陰極層の厚さは、約5nmから約1000nmの範囲、例えば、約10nmから約100nmまでの範囲であり得る。陰極層の厚さが約5nmから約50nmまでの範囲である場合には、陰極層は、金属または金属合金から形成されていても、透明または半透明であり得る。
【0203】
陰極層は、電子注入層または電子輸送層の一部ではないことを理解されたい。
【0204】
〔半導体層〕
一実施形態によれば、半導体層は、本発明による少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの実質的に共有結合性のマトリックスと、を含む。
【0205】
一実施形態によれば、本発明による少なくとも1つの化合物を含む半導体層は、正孔注入層である。
【0206】
〔電荷発生層〕
用語「n型電荷発生層」は、当技術分野ではn-CGLまたは電子発生層とも呼ばれることがあり、その両方を含むことを意図している。
【0207】
用語「p型電荷発生層」は、当技術分野ではp-CGLまたは正孔発生層とも呼ばれることがあり、その両方を含むことを意図している。
【0208】
本発明の一実施形態によれば、p型および/またはn型電荷発生層および/または本発明による化合物は、非発光性である。
【0209】
本発明の一実施形態によれば、p型電荷発生層は、n型電荷発生層よりも陰極層の近くに配置される。
【0210】
本発明の一実施形態によれば、p型電荷発生層は、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらに含む。
【0211】
有機発光ダイオード(OLED)
本発明による有機電子デバイスは、有機発光デバイスであり得る。
【0212】
本発明の一態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極電極と;本発明による化合物、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および陰極電極を含む有機半導体層と;を含む有機発光ダイオード(OLED)が提供される。
【0213】
本発明の別の態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極電極と;本発明による化合物、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、および陰極電極を含む有機半導体層と;を含むOLEDが提供される。
【0214】
本発明の別の態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極電極と;本発明による化合物、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、および陰極電極を含む有機半導体層と;を含むOLEDが提供される。
【0215】
本発明の別の態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極層と;本発明による電荷発生層と、少なくとも1つの発光層と、陰極層と、を含む有機発光ダイオード(OLED)が提供される。
【0216】
本発明の一態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極層と;本発明による電荷発生層と、少なくとも第1および第2の発光層と、陰極層とを含み、電荷発生層が第1および第2の発光層の間に配置されている、有機発光ダイオード(OLED)が提供される。
【0217】
本発明の一態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極層と;n型電荷発生層と、本発明による化合物、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および陰極層を含むp型電荷発生層と;を含む有機発光ダイオード(OLED)が提供される。
【0218】
本発明の別の態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極層と;n型電荷発生層と;本発明による化合物、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、および陰極層を含むp型電荷発生層と;を含むOLEDが提供される。
【0219】
本発明の別の態様によれば、基板と;基板上に形成された陽極電極と;n型電荷発生層と、本発明による化合物、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、および陰極電極を含むp型電荷発生層と;を含むOLEDが提供される。
【0220】
本発明の様々な実施形態によれば、上記の層の間、基板上または上部電極上に配置されたOLED層が提供され得る。
【0221】
一態様によれば、OLEDは、陽極電極に隣接して配置される基板の層構造を含み得、陽極電極は、第1の正孔注入層に隣接して配置され、第1の正孔注入層は、第1の正孔輸送層に隣接して配置され、第1の正孔輸送層は、第1の電子阻止層に隣接して配置され、第1の電子阻止層は、第1の発光層に隣接して配置され、第1の発光層は、第1の電子輸送層に隣接して配置され、第1の電子輸送層は、n型電荷発生層に隣接して配置され、n型電荷発生層は、正孔発生層に隣接して配置され、正孔発生層は、第2の正孔輸送層に隣接して配置され、第2の正孔輸送層は、第2の電子阻止層に隣接して配置され、第2の電子阻止層は、第2の発光層に隣接して配置され、第2の発光層と陰極電極の間には、任意の電子輸送層および/または任意の注入層が配置される。
【0222】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの半導体層は、陽極層に隣接して配置および/または設けられる。
【0223】
本発明の一実施形態によれば、本発明の少なくとも1つの半導体層は正孔注入層である。
【0224】
別の態様によれば、少なくとも1つの半導体層は、少なくとも約≧0.5nm~約≦10nm、好ましくは約≧2nm~約≦8nm、さらに好ましくは約≧3nm~約≦5nmの層の厚さを有し得る。
【0225】
本発明による有機半導体層は、第1の正孔注入層および/またはp型電荷発生層であり得る。
【0226】
例えば、
図2によるOLEDは、基板(110)上に、陽極層(120)、正孔注入層(130)、正孔輸送層(140)、電子阻止層(145)、発光層(150)、正孔阻止層(155)、電子輸送層(160)、電子注入層(180)、および陰極層(190)がこの順に続いて形成されるプロセスによって形成され得る。
【0227】
〔有機電子デバイス〕
本発明による有機電子デバイスは、発光デバイス、薄膜トランジスタ、バッテリー、ディスプレイデバイスまたは光電池、好ましくは発光デバイスまたは光電池、最も好ましくは発光デバイスであり得る。
【0228】
本発明の別の態様によれば、有機電子デバイスを製造する方法が提供され、この方法は、以下を使用する:
-少なくとも1つの蒸着源、好ましくは2つの蒸着源、より好ましくは少なくとも3つの蒸着源。
【0229】
好適であり得る蒸着方法は、以下を含む:
-真空熱蒸発による蒸着;
-溶液処理による蒸着、好ましくは、当該処理は、スピンコーティング、印刷、キャスティングから選択される;および/または
-スロット-ダイコーティング。
【0230】
本発明の様々な実施形態によれば、以下を使用する方法が提供される:
-本発明に従って本発明に記載の化合物を放出するための第1の蒸着源、および
-実質的に共有結合性のマトリックス化合物を放出するための第2の蒸着源;
有機半導体層を形成する工程と、それによって有機発光ダイオード(OLED)を形成する工程と、を含む方法:
-有機半導体層は、本発明に従って本発明に記載の化合物を第1の蒸着源から放出し、実質的に共有結合性のマトリックス化合物を第2の蒸着源から放出することによって形成される。
【0231】
本発明の様々な実施形態によれば、本方法は、陽極電極上に、正孔輸送層の形成または正孔阻止層の形成からなる群から選択される少なくとも1つの層、および陽極電極と第1の電子輸送層との間の発光層、を形成することをさらに含み得る。
【0232】
本発明の様々な実施形態によれば、本方法は、有機発光ダイオード(OLED)を形成するための工程をさらに含み得、
-基板上に陽極電極が形成され、
-陽極電極上に本発明による化合物を含む有機半導体層が形成され、
-本発明による化合物を含む有機半導体層上に正孔輸送層が形成され、
-正孔輸送層上に発光層が形成され、
-発光層上に電子輸送層が形成され、任意に発光層上に正孔阻止層が形成され、
-最後に陰極電極が形成され、
-任意に正孔阻止層が、第1の陽極電極と発光層との間にこの順で形成され、
-任意に電子注入層が、電子輸送層と陰極電極との間に形成される。
【0233】
本発明の様々な実施形態によれば、以下を使用する方法が提供される:
-本発明に従って本発明による化合物を放出するための第1の蒸着源、および
-実質的に共有結合性のマトリックス化合物を放出するための第2の蒸着源;
-n-CGLマトリックス化合物を放出するための第3の蒸着源;
-n-CGLドーパントを放出するための第4の蒸着源;
p型電荷発生層を形成する工程と、それによって有機発光ダイオード(OLED)を形成する工程と、を含む方法:
-p型電荷発生層は、本発明に従って本発明による化合物を第1の蒸着源から放出し、実質的に共有結合性のマトリックス化合物を第2の蒸着源から放出することによって形成され;
n型電荷発生層を形成する工程と、それによって有機発光ダイオード(OLED)を形成する工程と、を含む方法:
-n型電荷発生層は、本発明によるn-CGLマトリックス化合物を第3の蒸着源から放出し、n-CGLドーパントを第4の蒸着源から放出することによって形成される。
本発明の一実施形態によれば、以下の工程による有機電子デバイスの製造方法が提供される:
(i)表面を提供すること;
(ii)本発明による化合物を提供すること;
(iii)本発明による化合物を放出するための1つの蒸着源を提供すること;
(iv)本発明による化合物を、高温かつ減圧で蒸発させ、気相中の有機化合物を形成すること;かつ
(v)前記気相中の有機化合物を前記表面上に蒸着させること。
本発明の一実施形態によれば、以下の工程による有機電子デバイスの製造方法が提供される:
(i)表面を提供すること;
(ii)本発明による化合物を提供すること;
(iii)本発明による化合物を放出するための1つの蒸着源を提供すること;
(iv)本発明による化合物を、高温かつ減圧で蒸発させ、気相中の有機化合物を形成すること;
(v)前記気相中の有機化合物を前記表面上に蒸着させること;かつ
(vi)有機半導体層を形成すること。
【0234】
本発明の一実施形態によれば、以下の工程による有機電子デバイスの製造方法が提供される:
(i)表面を提供すること;
(ii)本発明による化合物を提供すること;
(iib)実質的に共有結合性のマトリックス化合物を提供すること;
(iii)本発明による化合物を放出するための1つの蒸着源を提供すること;
(iiib)実質的に共有結合性のマトリックス化合物を放出するためのさらなる蒸着源を提供すること;
(iv)本発明による化合物および実質的に共有結合性のマトリックス化合物を、高温かつ減圧で蒸発させ、気相中の有機化合物を形成すること;かつ
(v)前記気相中の有機化合物を前記表面上に蒸着させること。
【0235】
本発明の一実施形態によれば、以下の工程による有機電子デバイスの製造方法が提供される:
(i)表面を提供すること;
(ii)本発明による化合物を提供すること;
(iib)実質的に共有結合性のマトリックス化合物を提供すること;
(iii)本発明による化合物を放出するための1つの蒸着源を提供すること;
(iiib)実質的に共有結合性のマトリックス化合物を放出するための第2の蒸着源を提供すること;
(iv)本発明による化合物および実質的に共有結合性のマトリックス化合物を、高温かつ減圧で蒸発させ、気相中の有機化合物を形成すること;
(v)前記気相中の有機化合物を前記表面上に蒸着させること;かつ
(vi)有機半導体層を形成すること、当該有機半導体層は、本発明に従って本発明による化合物を蒸着源から放出すること、および、実質的に共有結合性のマトリックス化合物をさらなる蒸着源から放出することによって形成される。
【0236】
本発明の一実施形態によれば、工程(iv)における蒸発温度は、≧100℃、≧110℃、≧120℃、≧130℃、≧140℃、好ましくは≧150℃、より好ましくは160℃、最も好ましくは165℃であり得る。
【0237】
本発明の一実施形態によれば、工程(iv)における蒸発温度は、100℃~300℃の範囲、110℃~300℃の範囲、120℃~300℃の範囲、130℃~300℃の範囲、140℃~300℃の範囲、好ましくは150℃~300℃の範囲、より好ましくは160℃~300℃の範囲、さらにより好ましくは165℃~300℃の範囲であり得る。
【0238】
本発明の一実施形態によれば、工程(iv)における圧力は、好ましくは10-1Pa未満、より好ましくは10-2Pa未満、さらにより好ましくは10-3Pa未満、最も好ましくは10-4Pa未満である。
【0239】
本発明の一実施形態によれば、蒸発工程(iv)の持続時間は、好ましくは、100時間より長く、より好ましくは150時間より長く、さらにより好ましくは200時間より長い。様々な実施形態によれば、OLEDは以下の層構造を有することができ、前記層は以下の順序を有する:
陽極、本発明に従って本発明による化合物を含む有機半導体層、第1の正孔輸送層、第2の正孔輸送層、発光層、任意の正孔阻止層、電子輸送層、任意の電子注入層、および陰極。
【0240】
本発明の様々な実施形態によれば、本方法は、正孔輸送層の形成または正孔阻止層の形成からなる群から選択される少なくとも1つの層、発光層、および、陽極電極と陰極層との間のn型電荷発生層を陽極電極上に形成することをさらに含み得る。
【0241】
本発明の別の態様によれば、本出願全体を通して説明されるいずれかの実施形態による少なくとも1つの有機発光デバイスを含む電子デバイスが提供され、好ましくは、前記電子デバイスは、本出願全体を通して説明される実施形態の1つにおいて有機発光ダイオードを含む。より好ましくは、電子デバイスはディスプレイデバイスである。
【0242】
以下、実施例を参照して、実施形態をより詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。以下、例示的な態様を詳細に参照する。
【0243】
[図面の説明]
前述の構成要素、ならびに請求された構成要素および記載された実施形態において本発明に従って使用される構成要素は、それらのサイズ、形状、材料選択、および技術的概念に関していかなる特別な例外も受けず、その結果、関連分野において知られている選択基準を限定なしに適用することができる。
【0244】
本発明の目的のさらなる詳細、特性、および利点は、従属請求項、および例示的な様式で本発明による好ましい実施形態を示すそれぞれの図面の以下の説明において開示される。しかし、いかなる実施形態も必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲および本明細書を参照する。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載の本発明のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【0245】
図1は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である;
図2は、本発明の例示的な実施形態による有機発光ダイオード(OLED)の概略断面図である;
図3は、本発明の例示的な実施形態によるOLEDの概略断面図である。
【0246】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるOLEDの概略断面図である。
【0247】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるOLEDの概略断面図である。
【0248】
以下、実施例を参照して、図をより詳細に説明する。ただし、本開示は以下の図に限定されるものではない。
【0249】
本明細書では第1の要素が第2の要素の「上(on)」または「上(onto)」に形成されるか、または配置されると言及される場合には、第1の要素は第2の要素の上に直接配置され得るか、または1つ以上の他の要素がそれらの間に配置され得る。第1の要素が第2の要素の「上に直接(directly on)」または「上に直接(directly onto)」形成されるか、または配置されると言及される場合には、他の要素はそれらの間に配置されない。
【0250】
図1は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス100の概略断面図である。有機電子デバイス100は、基板110と、陽極層120と、本発明による化合物を含み得る正孔注入層(HIL)130とを含む。HIL130は、陽極層120上に配置される。HIL130上には、光活性層(PAL)170および陰極層190が配置される。
【0251】
図2は、本発明の例示的な実施形態による有機発光ダイオード(OLED)100の概略断面図である。OLED100は、基板110と、陽極層120と、本発明による化合物を含み得る正孔注入層(HIL)130とを含む。HIL130は、陽極層120上に配置される。HIL130上には、正孔輸送層(HTL)140と、発光層(EML)150と、電子輸送層(ETL)160と、電子注入層(EIL)180と、陰極層190とが配置される。単一の電子輸送層160の代わりに、任意で電子輸送層スタック(ETL)を使用することもできる。
【0252】
図3は、本発明の別の例示的な実施形態によるOLED100の概略断面図である。
図3は、
図3のOLED100が電子阻止層(EBL)145および正孔阻止層(HBL)155を含む点で、
図2と異なる。
【0253】
図3を参照すると、OLED100は、基板110と、陽極層120と、本発明による化合物を含み得る正孔注入層(HIL)130と、正孔輸送層(HTL)140と、電子阻止層(EBL)145と、発光層(EML)150と、正孔阻止層(HBL)155と、電子輸送層(ETL)160と、電子注入層(EIL)180と、陰極層190とを含む。
【0254】
図4は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス100の概略断面図である。有機電子デバイス100は、基板110と、第1の陽極副層121、第2の陽極副層122および第3の陽極副層123を含む陽極層120と、正孔注入層(HIL)130とを含む。HIL130は陽極層120上に配置される。HIL130上には、正孔輸送層(HTL)140、第1の発光層(EML)150、正孔阻止層(HBL)155、電子輸送層(ETL)160、および陰極層190が配置される。正孔注入層130は、本発明による化合物を含み得る。
【0255】
図5は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイス100の概略断面図である。有機電子デバイス100は、基板110と、第1の陽極副層121、第2の陽極副層122および第3の陽極副層123を含む陽極層120と、正孔注入層(HIL)130とを含む。HIL130は陽極層120上に配置される。HIL130上には、正孔輸送層(HTL)140、電子阻止層(EBL)145、第1の発光層(EML)150、正孔阻止層(HBL)155、電子輸送層(ETL)160、電子注入層(EIL)180および陰極層190が配置される。正孔注入層130は、本発明による化合物を含み得る。
【0256】
図1~
図5には示されていないが、有機電子デバイス100を封止するために、陰極層190上にキャッピング層および/または封止層がさらに形成され得る。さらに、様々な他の修飾が施され得る。
【0257】
以下、本発明の1つまたは複数の例示的な実施形態について、以下の実施例を参照して詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明の1つまたは複数の例示的な実施形態の目的および範囲を限定することを意図するものではない。
【0258】
[詳細な説明]
本発明はさらに、以下の実施例によって説明されるが、これらの実施例は例示的なものに過ぎず、これに限定されない。
【0259】
〔熱アニーリング〕
最大15gの化合物を昇華装置の蒸発源に投入する。昇華装置は、直径50mmのガラス管内に配置された直径46mmのバルブからなる内部ガラス管で構成されている。昇華装置は、管状オーブン(Creaphys社製 DSU20)内に設置される。昇華装置は、一次ポンプ(Vacuubrand Type MD12C NT)およびターボ分子ポンプ(Pfeiffer Vacuum Type HiPace 80)を介して排気される。昇華装置およびターボ分子ポンプの間の圧力は、フルレンジ圧力計(Pfeiffer Vacuum Type PKR 251)を使用して測定する。圧力が10-5mbarまで下がったら、温度を2K/分で所望のアニール温度まで上昇させる。この条件に達すると、材料は最低1時間放置され、その後、管状オーブンは停止する。室温まで冷却した後、昇華装置を乾燥窒素で常圧まで排気する。昇華装置の蒸発源から材料を採取する。
【0260】
〔DSC〕
ガラス転移温度(Tg)がないことは、2010年3月に発行されたDIN EN ISO 11357に記載されているように、窒素下、Mettler Toledo DSC 822e示差走査熱量計で毎分10Kの加熱速度で測定される。
【0261】
〔HV-TGA 5%質量減少温度〕
10mgの化合物を2ccmのAl2O3のるつぼに充填し、高真空-熱重量分析(HV-TGA)セットアップに取り付けた。HV-TGAセットアップは、蒸発源(Creaphys DE-2-CF40)、るつぼ内に設置された熱電対(Thermo Sensor GmbH NiCr-Ni、Typ K)、および水晶振動子マイクロバランス(QCM、Inficon 750-1000-G10、6MHz)で構成されている。HV-TGAセットアップは、スクロールポンプ、ターボ分子ポンプ、マスフローコントローラー付き窒素注入口、およびスクロールポンプとターボ分子ポンプとの間のプログレッシブバルブを備えた真空チャンバーシステムの一部である。窒素注入口およびポンプバルブの組み合わせにより、1e 2mbar~1e-6mbarの圧力が可能であるのに対し、標準的な操作圧力は1e-4mbarで、±10%の安定性がある。所望の圧力に達した後、蒸発源温度を室温から600℃まで10℃/分の速度で上昇させる。化合物は完全に蒸発し、QCMによって検出される。全温度上昇中のQCMの周波数シフトは、100%の質量損失に相当する。
【0262】
ドーパント材料の基準温度は、得られた値が量産時のリニア蒸発源における処理温度に最も近いため、質量損失5%としている。
【0263】
〔発明の技術的効果〕
以下では、いくつかの比較化合物および本発明の化合物について検討した。比較化合物の構造を付表1に示し、これらは、例えばEP2180029A1およびWO2016097017A1に記載されているような標準的な手順を用いて調製した。
【0264】
【0265】
これらの比較例から、上述した一般的な方法を用いて、本発明例を以下のように調製した。
【0266】
【0267】
いずれの化合物についても、実質的な昇華は観察されなかった。
【0268】
表3に、比較例および本発明例のいくつかの物理的特性を示す、
【0269】
【0270】
比較化合物と比較して、HV-TGA5%が改善されていることが明らかである。このように、本発明による化合物は、有機電子デバイスの製造時のツール汚染の低減に有益であると考えられる。
【0271】
前述の詳細な実施形態における要素および特徴の特定の組み合わせは例示的なものに過ぎず、これらの教示を、この教示と、参照によって組み込まれる特許/出願とにおける他の教示と交換し、置き換えることも、明示的に企図される。当業者が認識するように、本明細書に記載される変形、修正、および他の実装形態は、特許請求される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、一般的な当業者に想起され得る。したがって、前述の説明は単なる例であり、限定することを意図するものではない。特許請求の範囲において、用語「含む(comprising)」は他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物において定義される。さらに、説明および特許請求の範囲で使用される参照符号は、特許請求される本発明の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0272】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態による有機電子デバイスの概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施形態による有機発光ダイオード(OLED)の概略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の例示的な実施形態によるOLEDの概略断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の例示的な実施形態によるOLEDの概略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の例示的な実施形態によるOLEDの概略断面図である。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、A
1、A
2およびA
3は、それぞれ式(II)、(III)、(IV)で表され、
【化2】
Ar
1、Ar
2およびAr
3は、独立して、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のC
6~C
24アリール、置換もしくは非置換のヘテロアリールまたはC
2~C
24ヘテロアリールから選択され、前記Ar
1、Ar
2およびAr
3上の置換基は、独立して、電子吸引性基、NO
2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
12アルキル、CF3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
6アルコキシまたはDから選択され;
R’、R’’およびR’’’は、独立して、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のC
6~C
18アリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のC
2~C
18ヘテロアリール、電子吸引性基、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
6アルキル、ハロゲン、F、CN、およびNO
2から選択され;
式(II)~(IV)において、各々のAr
1、Ar
2およびAr
3は、対応するR’、R’’およびR’’’と共に、置換もしくは非置換の炭素環または、好ましくは置換もしくは非置換の複素環を形成し得、前記置換基は、電子吸引性基、F、CN、ペルフルオロ化されたC
1~C
8アルキル、置換もしくは非置換のC
6~C
18アリール、置換もしくは非置換のC
2~C
18ヘテロアリール、置換もしくは非置換のカルボシクレン、置換もしくは非置換のカルボシクリデン、置換もしくは非置換のアルキレン、置換もしくは非置換のアルキリデンであり得;
前記式(I)の化合物は、10K/分で加熱中にDSCによって測定した場合には、ガラス転移温度を示さない、化合物。
【請求項2】
前記化合物が、≧150℃まで加熱されている、式(I)の化合物。
【請求項3】
プログラムパッケージTURBOMOLE V6.5に実装されるGaussian6-31G
*基底関数系と共に混成汎関数B3LYPを使用して計算された≦-4.5eVの真空エネルギー準位がゼロであることを参照して絶対スケールで表される、LUMOエネルギー準位を有する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、≧200℃の融解温度T
mを有する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、≧30kJ/molの融解エンタルピーΔH
mを有する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、4~8個のCN-基を有する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、≧380g/molの分子量を有する、請求項
1に記載の化合物。
【請求項8】
前記R’、R’’およびR’’’の少なくとも1つがCNである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項9】
前記Ar
1、Ar
2およびAr
3の少なくとも1つが、式(V)から選択され:
【化3】
式中、X
1は、CR
1またはNから選択され;
X
2は、CR
2またはNから選択され;
X
3は、CR
3またはNから選択され;
X
4は、CR
4またはNから選択され;
X
5は、CR
5またはNから選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5は、独立して、電子吸引性基、NO
2、CN、ハロゲン、Cl、F、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルキル、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
10アルキル、CF
3、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたアルコキシ、部分的にフッ素化もしくはペルフルオロ化されたC
1~C
6アルコキシ、DまたはHから選択され;
X
1~X
5の少なくとも2つは、独立して、CR
1~CR
5から選択され;かつ
前記アスタリスク「
*」は結合位置を示す、請求項
1に記載の化合物。
【請求項10】
前記請求項
1に記載の式(I)の化合物を少なくとも1つ含む、有機半導体層。
【請求項11】
請求項10に記載の少なくとも1つの有機半導体層を含む、有機電子デバイス。
【請求項12】
前記有機電子デバイスは、陽極層、陰極層、少なくとも1つの光活性層および少なくとも1つの有機半導体層を含み、前記少なくとも1つの有機半導体層は、前記陽極層と前記少なくとも1つの光活性層との間に配置される、請求項11に記載の有機電子デバイス。
【請求項13】
前記有機電子デバイスは、少なくとも2つの光活性層を含み、少なくとも1つの有機半導体層は、前記第1の光活性層と前記第2の光活性層との間に配置される、請求項1
1に記載の有機電子デバイス。
【請求項14】
前記電子有機デバイスは、発光デバイス、薄膜トランジスタ、バッテリー、表示デバイスまたは光電池であり、好ましくは発光デバイス、好ましくは有機発光ダイオードである、請求項1
1に記載の有機電子デバイス。
【請求項15】
請求項1
1に記載の有機電子デバイスを含む、表示デバイス。
【国際調査報告】