(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】アンジオテンシノーゲン(AGT)関連障害を治療するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20240717BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240717BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240717BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240717BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240717BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240717BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240717BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240717BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240717BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240717BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240717BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240717BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240717BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240717BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20240717BHJP
A61K 31/41 20060101ALI20240717BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240717BHJP
A61K 31/4422 20060101ALI20240717BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240717BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240717BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20240717BHJP
【FI】
A61K31/7105 ZNA
A61K48/00
A61P9/12
A61K47/54
A61P13/12
A61P27/02
A61P9/04
A61P9/00
A61P9/10
A61P17/00
A61P3/04
A61P1/16
A61P3/06
A61P3/10
A61K45/00
A61K31/4178
A61K31/41
A61K31/4184
A61K31/4422
A61K31/404
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/04
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579695
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022035523
(87)【国際公開番号】W WO2023278576
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505369158
【氏名又は名称】アルナイラム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALNYLAM PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】フアン,スティーブン アルバート
(72)【発明者】
【氏名】フジタ,ケンジ ピー
(72)【発明者】
【氏名】リン,カン
(72)【発明者】
【氏名】メロトラ,ニティン
(72)【発明者】
【氏名】ロビー,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジョンテ
(72)【発明者】
【氏名】アガルワル,サガル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC10
4C076CC11
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4C086ZA36
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4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
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4C086ZC35
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、AGT遺伝子を標的とするRNAi剤、例えば二本鎖RNAi剤を使用した、対象におけるAGT遺伝子の発現を阻害する方法、ならびに高血圧症などのAGT関連障害を有する対象を治療する方法に関する。本発明はまた、こうしたRNAi剤を使用して、対象における血圧レベルを低下させて、AGT遺伝子の発現を阻害する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるアンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害する方法であって、前記方法が、約50MG~約800MGの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAI)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、
前記ヌクレオチド上の前記修飾のうちの少なくとも1つが、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによって前記対象における前記AGT遺伝子の発現を阻害する、方法。
【請求項2】
アンジオテンシノーゲン(AGT)発現の低減から利益を得るであろう対象を治療する方法であって、前記方法が、約50mg~約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、
前記ヌクレオチド上の前記修飾のうちの少なくとも1つが、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによってAGT発現の低減から利益を得るであろう前記対象を治療する、方法。
【請求項3】
アンジオテンシノーゲン(AGT)関連障害を有する対象を治療する方法であって、前記方法が、約50mg~約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、
前記ヌクレオチド上の前記修飾のうちの少なくとも1つが、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによって前記AGT関連障害を有する前記対象を治療する、方法。
【請求項4】
対象における血圧レベルを低下させる方法であって、前記方法が、約50mg~約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、
前記ヌクレオチド上の前記修飾のうちの少なくとも1つが、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによって前記対象における前記血圧レベルを低下させる、方法。
【請求項5】
前記固定用量が、月一回の間隔で前記対象に投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記固定用量が、6か月に一回の間隔で前記対象に投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記固定用量が、6か月に一回の間隔で前記対象に投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象が、約50mg~約200mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が、約200mg~約400mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、約400mg~約800mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、約100mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、約200mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、約300mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、約400mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、約500mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、約600mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象が、約700mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、約800mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、約6か月に一回、約150mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、約6か月に一回、約300mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象が、約3か月に一回、約300mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、約6か月に一回、約600mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、約3か月に一回、約800mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、約6か月に一回、約800mgの固定用量を投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、前記対象に皮下投与または静脈内投与される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記皮下投与が皮下注射である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記静脈内投与が静脈内注射である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも21の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも22の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)を含み、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記アンチセンス鎖が、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)からなり、前記センス鎖が、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)からなる、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記センス鎖の前記ヌクレオチドの実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記アンチセンス鎖の前記ヌクレオチドの実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記センス鎖の前記ヌクレオチドの全てが、修飾ヌクレオチドである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記アンチセンス鎖の前記ヌクレオチドの全てが、修飾ヌクレオチドである、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ヌクレオチド修飾のうちの少なくとも1つが、デオキシ-ヌクレオチド、3’-末端デオキシチミン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、アンロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束されたエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-ヒドロキシ修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホラミデート、ヌクレオチドを含む非天然の塩基、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-ホスフェートを含むヌクレオチド、5’-ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、熱不安定化ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ヌクレオチド修飾のうちの少なくとも1つが、デオキシ-ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記二本鎖領域が、19~23ヌクレオチド対の長さ、19~21ヌクレオチド対の長さ、21~23ヌクレオチド対の長さ、または21ヌクレオチド対の長さである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
各鎖が、独立に、19~23ヌクレオチドの長さ、19~25ヌクレオチドの長さ、または21~23ヌクレオチドの長さである、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記センス鎖が、21ヌクレオチドの長さであり、前記アンチセンス鎖が、23ヌクレオチドの長さである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つの鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングまたは少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、少なくとも1つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結をさらに含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結が、一方の鎖の3’末端にある、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記鎖が、前記アンチセンス鎖である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記鎖が、前記センス鎖である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結が、一方の鎖の5’末端にある、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記鎖が、前記アンチセンス鎖である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記鎖が、前記センス鎖である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結が、一方の鎖の5’末端および3’末端の両方にある、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
前記鎖が、前記アンチセンス鎖である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
対象におけるアンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害する方法であって、前記方法が、約50mg~約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、
aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェートであり、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェートであり、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェートであり、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェートであり、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェートであり、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェートであり、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェートであり、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェートであり、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体であり、sがホスホロチオエート連結であり、それによって前記対象における前記AGT遺伝子の発現を阻害する、方法。
【請求項53】
AGT発現の低減から利益を得るであろう対象を治療する方法であって、前記方法が、約50mg~約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、
aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェートであり、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェートであり、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェートであり、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェートであり、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェートであり、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェートであり、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェートであり、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェートであり、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体であり、sがホスホロチオエート連結であり、それによってAGT発現の低減から利益を得るであろう前記対象を治療する、方法。
【請求項54】
AGT関連障害を有する対象を治療する方法であって、約50mg~約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、
aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェートであり、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェートであり、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェートであり、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェートであり、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェートであり、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェートであり、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェートであり、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェートであり、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体であり、sがホスホロチオエート連結であり、それによってAGT関連障害を有する前記対象を治療する、方法。
【請求項55】
対象における血圧レベルを低下させる方法であって、約50mg~約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、
aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェートであり、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェートであり、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェートであり、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェートであり、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェートであり、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェートであり、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェートであり、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェートであり、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体であり、sがホスホロチオエート連結であり、それによって前記対象における前記血圧レベルを低下させる、方法。
【請求項56】
前記固定用量が、月一回の間隔で前記対象に投与される、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記固定用量が、3か月に一回の間隔で前記対象に投与される、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記固定用量が、6か月毎の間隔で前記対象に投与される、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、約50mg~約200mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、約200mg~約400mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、約400mg~約800mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、約100mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が、約200mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が、約300mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記対象が、約400mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、約500mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、約600mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、約700mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、約800mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記対象が、約6か月に一回、約150mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記対象が、約6か月に一回、約300mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記対象が、約3か月に一回、約300mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記対象が、約6か月に一回、約600mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記対象が、約3か月に一回、約800mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が、約6か月に一回、約800mgの固定用量を投与される、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、前記対象に皮下投与または静脈内投与される、請求項52~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記皮下投与が皮下注射である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記静脈内投与が静脈内注射である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む、請求項52~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも21の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む、請求項52~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも22の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む、請求項52~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)を含む、請求項52~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)からなり、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)からなる、請求項52~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、リガンドをさらに含む、請求項52~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記リガンドが、前記センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記リガンドが、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体である、請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
前記GalNAc誘導体は、一価、二価、または三価の分枝リンカーを介して結合した1つまたは複数のGalNAc誘導体を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記リガンドが以下である、請求項86に記載の方法。
【化1】
【請求項89】
前記センス鎖の3’末端が、以下の図式に示すように前記リガンドにコンジュゲートされ、
【化2】
式中、XはOもしくはSであるか、またはXはOである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記対象がヒトである、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記対象が、少なくとも130mmHgの収縮期血圧または少なくとも80mmHgの拡張期血圧を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記対象が、少なくとも140mmHgの収縮期血圧または少なくとも80mmHgの拡張期血圧を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記対象が、食塩感受性になりやすい群の一部であるか、過体重であるか、肥満であるか、妊娠しているか、妊娠を計画しているか、2型糖尿病を有するか、1型糖尿病を有するか、または腎機能低下を有する、請求項1~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
AGT発現の低減から利益を得るであろう前記障害が、AGT関連障害である、請求項2または53に記載の方法。
【請求項95】
前記AGT関連障害が、高血圧、高血圧症、境界域高血圧症、原発性高血圧症、二次性高血圧症、孤立性の収縮期または拡張期高血圧症、妊娠関連高血圧症、糖尿病性高血圧症、抵抗性高血圧症、難治性高血圧症、発作性高血圧症、腎血管性高血圧症、ゴールドブラット高血圧症、高眼圧症、緑内障、肺高血圧症、門脈圧亢進症、全身性静脈性高血圧症、収縮期高血圧症、動揺性高血圧症、軽度~中等度の高血圧症、高血圧性心疾患、高血圧性腎症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、脈管障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、慢性心不全、心筋症、糖尿病性心筋症、夜間低血圧症、糸球体硬化症、大動脈縮窄症、大動脈瘤、心室線維症、心不全、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、腎疾患、腎不全、全身性強皮症、子宮内胎児発育遅延(IUGR)、胎児発育不全、肥満、肝脂肪症/脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、耐糖能障害、2型糖尿病、およびメタボリックシンドロームからなる群から選択される、請求項3、54または94に記載の方法。
【請求項96】
前記血圧が、収縮期血圧および/または拡張期血圧を含む、請求項4または55に記載の方法。
【請求項97】
前記方法が、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%のAGT発現の減少をもたらす、請求項1~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記対象の血液または血清試料中のAGTタンパク質レベルが、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%減少する、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記方法が、収縮期血圧および/または拡張期血圧の低下をもたらす、請求項1~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記収縮期血圧および/または拡張期血圧が、少なくとも4mmHg、5mmHg、6mmHg、7mmHg、8mmHg、9mmHgまたは10mmHg低下する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
高血圧症の治療のための追加の治療薬を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記追加の治療薬が、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、ベータ遮断薬、血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、アルファ2-アゴニスト、レニン阻害剤、アルファ遮断薬、末梢作用性アドレナリン作動薬、選択性D1受容体部分作動薬、非選択性アルファアドレナリン遮断薬、合成物、ステロイド性鉱質コルチコイド受容体拮抗薬、CCB、チアジド利尿剤、および/またはチアジド様利尿剤、前述のいずれかの組み合わせ、ならびに薬剤の組み合わせとして製剤化された高血圧症治療薬からなる群から選択される、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記追加の治療薬が、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項104】
前記アンジオテンシンII受容体拮抗薬が、ロサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、およびアジルサルタンからなる群から選択される、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記追加の治療薬が、高血圧症治療薬を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項106】
前記高血圧症治療薬が、オルメサルタン、アムロジピン、およびインダパミドからなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記RNAi剤またはその塩が、医薬組成物中で投与される、請求項1~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記RNAi剤またはその塩が、非緩衝溶液中に存在する、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記非緩衝溶液が、生理食塩水または水である、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記RNAi剤またはその塩が、緩衝溶液中に存在する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記緩衝溶液が、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、もしくはリン酸塩、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記緩衝溶液が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
軽度~中等度の高血圧症を有する対象を治療する方法であって、前記方法が、6か月毎に約150mg、6か月毎に約300mg、3か月毎に約300mg、6か月毎に約600mg、3か月毎に約800mg、または6か月毎に約800mgの固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を前記対象に投与することを含み、
前記二本鎖RNAi剤またはその塩が、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
前記アンチセンス鎖が、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、前記センス鎖が、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、
aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェートであり、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェートであり、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェートであり、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェートであり、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェートであり、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェートであり、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェートであり、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェートであり、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体であり、sがホスホロチオエート連結であり、それによって軽度~中等度の高血圧症を有する前記対象を治療する、方法。
【請求項114】
前記対象における血漿レニン、アルドステロン、AngI、および/またはAngIIのレベルを測定することをさらに含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記二本鎖RNAi剤またはその塩の投与前に、前記対象が、降圧薬の投与を中止している、請求項113に記載の方法。
【請求項116】
前記対象が、前記二本鎖RNAi剤またはその塩の投与前の少なくとも2週間または4週間、降圧薬の投与を中止している、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記対象が、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、レニン阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、チアジド利尿薬、および/またはチアジド様利尿薬からなる群から選択される降圧薬で治療歴のある、請求項113に記載の方法。
【請求項118】
前記対象が、前記二本鎖RNAi剤またはその塩の投与の少なくとも4週間前に、ABPMで135mmHg以上かつ160mmHg以下の日中平均収縮期血圧(SBP)を有する、請求項113に記載の方法。
【請求項119】
前記対象が、二次性高血圧症または起立性低血圧症を有しない、請求項113に記載の方法。
【請求項120】
前記対象における血圧を決定することをさらに含む、請求項113に記載の方法。
【請求項121】
前記対象における、6か月後の血圧低減、血圧の時間調節された変化、および/または日中平均および夜間平均血圧の変化が決定される、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
血圧が標準治療の降圧薬によって適切に管理されていない対象を選択することをさらに含む、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
請求項1~122のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキットであって、
a)前記RNAi剤またはその塩と、
b)使用説明書と、
c)任意選択で、前記RNAi剤またはその塩を前記対象に投与するための手段と、を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/216,758号、および2021年11月8日に出願された米国仮特許出願第63/276,808号に対する優先権の利益を主張する。先述の出願の各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)は、血圧の調節において重要な役割を果たす。RAASカスケードは、腎臓の傍糸球体細胞による循環へのレニンの放出から始まる。レニン分泌は、遠位尿細管におけるNa+負荷、β交感神経刺激、または腎灌流の減少を含むいくつかの因子によって刺激される。血漿中の活性レニンは、アンジオテンシノーゲン(肝臓によって産生される)を切断してアンジオテンシンIにし、次いでアンジオテンシンIは循環および局所的に発現されたアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンIIに変換される。RAASに対するアンジオテンシンIIの効果のほとんどは、アンジオテンシンIIタイプ1受容体(AT1R)へのその結合によって発揮され、動脈血管収縮、尿細管および糸球体への作用、例えばNa+再吸収の増強または糸球体ろ過速度の調節をもたらす。さらに、副腎皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、カテコールアミン、エンドセリン、セロトニン、ならびにMg2+およびK+のレベルなどの他の刺激と共に、AT1R刺激はアルドステロン放出をもたらし、これが次に、腎遠位曲尿細管におけるNa+およびK+の排出を促進する。
【0003】
例えば、過剰なアンジオテンシンII産生またはAT1R刺激につながるRAASの調節異常は、高血圧症をもたらし、これは、例えば、酸化ストレスの増加、心臓、腎臓、および動脈における炎症、肥大、および線維症の促進をもたらし、例えば、左心室線維症、動脈リモデリング、および糸球体硬化症をもたらし得る。
【0004】
高血圧症は、先進国において最もよく見られる、管理可能な疾患であり、成人人口の20~50%が罹患している。高血圧症は、平均余命の短縮、慢性腎臓病、脳卒中、心筋梗塞、心不全、動脈瘤(例えば、大動脈瘤)、末梢動脈疾患、心臓の損傷(例えば、心臓の拡大または肥大)、および他の心血管関連の疾患、障害、または状態などの様々な疾患、障害、および状態の主要な危険因子である。さらに、高血圧症は、心血管罹患率および死亡率の重要な危険因子であり、全脳卒中の62%および心疾患の全症例の49%を占めるか、またはそれに寄与していることが示されている。2017年に、高血圧症の診断、予防、および治療に関するガイドラインの変更が策定され、高血圧症に関連する疾患および障害の発症リスクをさらに減少させるための、さらに低い血圧の目標が提供された(例えば、Reboussin et al. Systematic Review for the 2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines. J Am Coll Cardiol. 2017 Nov 7. pii: S0735-1097(17)41517-8. doi: 10.1016/j.jacc.2017.11.004、およびWhelton et al. (2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines. J Am Coll Cardiol. 2017 Nov 7. pii: S0735-1097(17)41519-1. doi: 10.1016/j.jacc.2017.11.006を参照)。
【0005】
高血圧症の治療に利用可能な降圧薬の数にもかかわらず、対象の3分の2以上は1つの降圧剤では管理されず、異なる薬物クラスから選択される2つ以上の降圧剤を必要とする。これは、薬物の数の増加とともに、アドヒアランスが低下し、副作用が増加するため、血圧が管理された対象の数をさらに減少させる。さらに、いくつかの研究では、降圧薬の慢性的な使用と腎機能低下との間の潜在的関係が示唆されており、血圧を管理するための降圧剤は、血圧に対するそれらの効果とは無関係に腎機能にも影響を与えることが分かっている(Tomlinson,et al (2013) PLoS ONE 8(11) Article ID e78465; The SPRINT Research Group (2015) NEJM 373(22):2103-2116, ClinicalTrials.gov number, NCT01206062; Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) CKD Work Group (2013) Kidney International Supplements 3:1-150; Kamaroff, et al. (2018( Hindawi International J Chron Dis Article ID 1382705 | https://doi.org/10.1155/2018/1382705)。
【0006】
したがって、当該技術分野では、高血圧症を有する対象を治療するための追加の方法および療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、アンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害するための方法および組成物、AGT発現の低減から利益を得るであろう障害を有する対象を治療するための方法および組成物、AGT関連障害を有する対象を治療するための方法および組成物、ならびに対象における血圧を低下させるための方法および組成物を提供する。方法は、対象に、AGT遺伝子を標的とする、例えば二本鎖RNAi剤などのRNAi剤の固定用量を投与することを含む。
【0008】
一態様では、本発明は、対象におけるアンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの修飾のうち少なくとも1つは、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによって、対象におけるAGT遺伝子の発現を阻害する。
【0009】
別の態様では、本発明は、アンジオテンシノーゲン(AGT)発現の低減から利益を得るであろう対象、例えば、AGT関連障害、例えば高血圧症を発症するリスクがある対象を治療するの方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの修飾のうち少なくとも1つは、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによって、AGT発現の低減から利益を得るであろう対象を治療する。
【0010】
一態様では、本発明は、アンジオテンシノーゲン(AGT)関連障害、例えば高血圧症を有する対象を治療するための方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの修飾のうち少なくとも1つは、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによって、AGT関連障害を有する対象を治療する。
【0011】
別の態様では、本発明は、対象、例えば高血圧症などのAGT関連障害を有する対象における血圧レベルを低下させるための方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、二本鎖RNAi剤またはその塩は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含み、ヌクレオチドの修飾のうち少なくとも1つは、熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、それによって、対象における血圧レベルを低下させる。
【0012】
一部の実施形態では、固定用量は、月一回の間隔で対象に投与される。他の実施形態では、固定用量は、四半期に一回の間隔で対象に投与される。一部の実施形態では、固定用量は、対象に年に二回の間隔で投与される。
【0013】
一部の実施形態では、対象は、約50mg~約200mgの固定用量を投与される。他の実施形態では、対象は、約200mg~約400mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約400mg~約800mgの固定用量を投与される。
【0014】
一部の実施形態では、対象は、約100mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約200mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約300mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約400mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約500mgの固定用量を投与される。他の実施形態では、対象は、約600mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約800mgの固定用量を投与される。
【0015】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約150mgの固定用量を投与される。
【0016】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約300mgの固定用量を投与される。
【0017】
一部の実施形態では、対象は、約3か月に一回、約300mgの固定用量を投与される。
【0018】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約600mgの固定用量を投与される。
【0019】
一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、対象に皮下投与または静脈内投与される。一部の実施形態では、皮下投与は、皮下注射、例えば皮下自己投与である。他の実施形態では、静脈内投与は静脈内注射である。
【0020】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
【0021】
他の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも21の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
【0022】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも22の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
【0023】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)を含み、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)を含む。
【0024】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)からなり、センス鎖は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)からなる。
【0025】
一部の実施形態では、センス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである。他の実施形態では、アンチセンス鎖のヌクレオチドの実質的に全てが、修飾ヌクレオチドである。
【0026】
一部の実施形態では、センス鎖の全てのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。一部の実施形態では、アンチセンス鎖の全てのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。
【0027】
一部の実施形態では、ヌクレオチド修飾の少なくとも1つは、デオキシ-ヌクレオチド、3’-末端デオキシチミン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、非ロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束されたエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-ヒドロキシル修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミデート、非天然塩基含有ヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-ホスフェートを含むヌクレオチド、5’-ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、熱的不安定化ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0028】
一部の実施形態では、ヌクレオチド修飾のうちの少なくとも1つは、デオキシ-ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
一部の実施形態では、二本鎖領域は、19~23ヌクレオチド対の長さ、19~21ヌクレオチド対の長さ、21~23ヌクレオチド対の長さ、または21ヌクレオチド対の長さである。
【0030】
一部の実施形態では、各鎖は、独立に、19~23ヌクレオチドの長さ、19~25ヌクレオチドの長さ、または21~23ヌクレオチドの長さである。一部の実施形態では、センス鎖は21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖は23ヌクレオチドの長さである。
【0031】
一部の実施形態では、少なくとも1つの鎖は、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングまたは少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
【0032】
一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、少なくとも1つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結をさらに含む。一部の実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の3’末端にある。一部の実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。他の実施形態では、当該鎖は、センス鎖である。
【0033】
一部の実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の5’末端にある。一部の実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。他の実施形態では、当該鎖は、センス鎖である。
【0034】
一部の実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の5’末端および3’末端の両方にある。一部の実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。
【0035】
一態様では、本発明は、対象におけるアンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAi剤またはその塩、は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体、sがホスホロチオエート連結として定義され、それによって対象におけるAGT遺伝子の発現を阻害する。
【0036】
別の態様では、本発明は、AGT発現の低減から利益を得るであろう対象、例えば、AGT関連障害、例えば高血圧症を発症するリスクがある対象を治療する方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAiまたはその塩、剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体、sがホスホロチオエート連結として定義され、それによってAGT発現の低減から利益を得るであろう対象を治療する。
【0037】
一態様では、本発明は、AGT関連障害、例えば高血圧症を有する対象を治療するための方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAi剤またはその塩、は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体、sがホスホロチオエート連結として定義され、それによってAGT関連障害を有する対象を治療する。
【0038】
別の態様では、本発明は、対象の血圧レベルを低下させるための方法を提供する。方法は、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量の二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を対象に投与することを含み、二本鎖RNAi剤またはその塩、は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体、sがホスホロチオエート連結として定義され、それによって対象における血圧レベルを低下させる。
【0039】
一部の実施形態では、固定用量は、月一回の間隔で対象に投与される。他の実施形態では、固定用量は、四半期に一回の間隔で対象に投与される。一部の実施形態では、固定用量は、対象に年に二回の間隔で投与される。
【0040】
一部の実施形態では、対象は、約50mg~約200mgの固定用量を投与される。他の実施形態では、対象は、約200mg~約400mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約400mg~約800mgの固定用量を投与される。
【0041】
一部の実施形態では、対象は、約100mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約200mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約300mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約400mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約500mgの固定用量を投与される。他の実施形態では、対象は、約600mgの固定用量を投与される。一部の実施形態では、対象は、約800mgの固定用量を投与される。
【0042】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約150mgの固定用量を投与される。
【0043】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約300mgの固定用量を投与される。
【0044】
一部の実施形態では、対象は、約3か月に一回、約300mgの固定用量を投与される。
【0045】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約600mgの固定用量を投与される。
【0046】
一部の実施形態では、対象は、約3か月に一回、約800mgの固定用量を投与される。
【0047】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約800mgの固定用量を投与される。
【0048】
一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、対象に皮下投与または静脈内投与される。一部の実施形態では、皮下投与は、皮下注射、例えば皮下自己投与である。他の実施形態では、静脈内投与は静脈内注射である。
【0049】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む。
【0050】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも21の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む。
【0051】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも22の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む。
【0052】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)を含む。
【0053】
他の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)からなり、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)からなる。
【0054】
一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、リガンドをさらに含む。他の実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる。
【0055】
一部の実施形態では、リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体である。他の実施形態では、GalNAc誘導体は、一価、二価、または三価の分枝リンカーを介して結合した1つまたは複数のGalNAc誘導体を含む。
【0056】
一部の実施形態では、リガンドは、次式である。
【化1】
【0057】
他の実施形態では、以下の図式に示すように、センス鎖の3’末端がリガンドにコンジュゲートされ、
【化2】
式中、XはOまたはSである。
【0058】
一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、対象は、少なくとも130mmHgの収縮期血圧または少なくとも80mmHgの拡張期血圧を有する。他の実施形態では、対象は、少なくとも140mmHgの収縮期血圧または少なくとも80mmHgの拡張期血圧を有する。
【0059】
一部の実施形態では、対象は、食塩感受性になりやすい群の一部であるか、過体重であるか、肥満であるか、妊娠しているか、妊娠を計画しているか、2型糖尿病を有するか、1型糖尿病を有するか、または腎機能低下を有する。
【0060】
一部の実施形態では、AGT発現の低減から利益を得るであろう障害は、AGT関連障害である。一実施形態では、AGT関連障害は高血圧症である。他の実施形態では、AGT関連障害は、高血圧、高血圧症、境界域高血圧症、原発性高血圧症、二次性高血圧症、孤立性の収縮期または拡張期高血圧症、妊娠関連高血圧症、糖尿病性高血圧症、抵抗性高血圧症、難治性高血圧症、発作性高血圧症、腎血管性高血圧症、ゴールドブラット高血圧症、高眼圧症、緑内障、肺高血圧症、門脈圧亢進症、全身性静脈性高血圧症、収縮期高血圧症、動揺性高血圧症、高血圧性心疾患、高血圧性腎症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、脈管障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、慢性心不全、心筋症、糖尿病性心筋症、夜間低血圧症、糸球体硬化症、大動脈縮窄症、大動脈瘤、心室線維症、心不全、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、腎疾患、腎不全、全身性強皮症、子宮内胎児発育遅延(IUGR)、胎児発育不全、肥満、肝脂肪症/脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、耐糖能障害、2型糖尿病、およびメタボリックシンドロームからなる群から選択される。一実施形態では、AGT関連障害は高血圧症である。一実施形態では、高血圧症は、高血圧、高血圧症、境界域高血圧症、原発性高血圧症、二次性高血圧症、孤立性の収縮期または拡張期高血圧症、妊娠関連高血圧症、糖尿病性高血圧症、抵抗性高血圧症、難治性高血圧症、発作性高血圧症、腎血管性高血圧症、ゴールドブラット高血圧症、高眼圧症、緑内障、肺高血圧症、門脈圧亢進症、全身性静脈性高血圧症、収縮期高血圧症、動揺性高血圧症、高血圧性心疾患、および高血圧性腎症からなる群から選択される。
【0061】
一部の実施形態では、血圧は、収縮期血圧および/または拡張期血圧を含む。
【0062】
一部の実施形態では、投与により、AGT発現が少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%減少する。一部の実施形態では、対象の血液または血清試料中のAGTタンパク質レベルは、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%低下する。
【0063】
一部の実施形態では、投与により、収縮期血圧および/または拡張期血圧が低下する。一部の実施形態では、収縮期血圧および/または拡張期血圧は、少なくとも4mmHg、5mmHg、6mmHg、7mmHg、8mmHg、9mmHg、10mmHgまたは20mmHg低下する。
【0064】
一部の実施形態では、方法は、高血圧症の治療のための追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、追加の治療薬は、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、ベータ遮断薬、血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、アルファ2-アゴニスト、レニン阻害剤、アルファ遮断薬、末梢作用性アドレナリン作動薬、選択性D1受容体部分作動薬、非選択性アルファアドレナリン遮断薬、合成物、ステロイド性鉱質コルチコイド受容体拮抗薬、前述のいずれかの組み合わせ、ならびに薬剤の組み合わせとして製剤化された高血圧症治療薬からなる群から選択される。一部の実施形態では、追加の治療薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬を含む。他の実施形態では、アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、ロサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、およびアジルサルタンからなる群から選択される。
【0065】
一部の実施形態では、追加の治療薬は、高血圧症治療薬を含む。一部の実施形態では、高血圧症治療薬は、オルメサルタン、アムロジピン、およびインダパミドからなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、約600mgの固定用量の本発明の二本鎖RNAi剤、例えば、AD-85481、ならびにオルメサルタン、アムロジピン、およびインダパミドからなる群から選択される高血圧症治療薬を対象に投与することを含む。
【0066】
一部の実施形態では、方法は、対象に、約600mgの固定用量のAD-85481、およびオルメサルタンを投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象に、約600mgの固定用量のAD-85481、およびアムロジピンを投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象に、約600mgの固定用量のAD-85481、およびインダパミドを投与することを含む。
【0067】
一部の実施形態では、方法は、血圧が標準治療の降圧薬によって適切に管理されていない対象を選択することをさらに含む。
【0068】
一部の実施形態では、RNAi剤は、医薬組成物として投与される。
【0069】
一部の実施形態では、RNAi剤は、非緩衝溶液中で投与される。一部の実施形態では、非緩衝溶液は、生理食塩水または水である。
【0070】
一部の実施形態では、RNAi剤は、緩衝溶液と共に投与される。一部の実施形態では、緩衝溶液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、もしくはリン酸塩、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。一部の実施形態では、緩衝溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0071】
本発明はまた、本明細書に記載されるように、本発明の方法を実施するためのキットを提供する。キットは、a)RNAi剤と、b)使用説明書と、c)随意に、RNAi剤を対象に投与するための手段とを含む。
【0072】
別の態様では、本発明はまた、アンジオテンシノーゲン(AGT)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を含む、AGT関連障害を治療するための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含むdsRNA剤を含み、アンチセンス鎖は、UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)のヌクレオチド配列の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)のヌクレオチド配列の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチドのうちの5つ以下は修飾を含まず、ヌクレオチド修飾のうちの少なくとも1つは熱的不安定化ヌクレオチド修飾であり、二本鎖RNAi剤は、少なくとも50mg/回の用量で1か月に一回以下、例えば約50mg~約800mgの用量で約1か月に一回、投与される(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)。
【0073】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、特定の実施形態では、センス鎖はさらに、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。
【0074】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも21の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、センス鎖はさらに、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)を含む。
【0075】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも22の連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を含み、特定の実施形態では、センス鎖はさらに、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)を含む。
【0076】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)を含む。特定の実施形態では、センス鎖はさらに、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)を含む。
【0077】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)からなる。特定の実施形態では、センス鎖のヌクレオチド配列はさらに、GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)からなる。
【0078】
特定の実施形態では、センス鎖の全てのヌクレオチドおよびアンチセンス鎖の全てのヌクレオチドは、ヌクレオチド修飾を含む。
【0079】
特定の実施形態では、ヌクレオチド修飾の少なくとも1つは、デオキシ-ヌクレオチド、3’-末端デオキシチミン(dT)ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックヌクレオチド、非ロックヌクレオチド、立体配座的に制限されたヌクレオチド、拘束されたエチルヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、2’-C-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-ヒドロキシル修飾ヌクレオチド、2’-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホロアミデート、非天然塩基含有ヌクレオチド、テトラヒドロピラン修飾ヌクレオチド、1,5-アンヒドロヘキシトール修飾ヌクレオチド、シクロヘキセニル修飾ヌクレオチド、ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、メチルホスホネート基を含むヌクレオチド、5’-ホスフェートを含むヌクレオチド、5’-ホスフェート模倣体を含むヌクレオチド、熱的不安定化ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、ヌクレオチド修飾のうちの少なくとも1つは、デオキシ-ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシ-修飾ヌクレオチド、グリコール修飾ヌクレオチド(GNA)、および2-O-(N-メチルアセトアミド)修飾ヌクレオチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0080】
特定の実施形態では、ヌクレオチド修飾は、2’-メトキシエチル、2’-フルオロ、2’-デオキシ修飾ヌクレオチド、およびGNA、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0081】
特定の実施形態では、二本鎖領域は、19~23ヌクレオチド対の長さ、19~21ヌクレオチド対の長さ、21~23ヌクレオチド対の長さ、21ヌクレオチド対の長さ、19~30ヌクレオチド対の長さ、19~25ヌクレオチド対の長さ、23~27ヌクレオチド対の長さから選択される長さである。特定の実施形態では、二本鎖領域は、19~21ヌクレオチド対の長さを有する。
【0082】
特定の実施形態では、二本鎖RNAiまたはその塩の各鎖は、独立して、19~30のヌクレオチドの長さ、19~23のヌクレオチドの長さ、および21~23のヌクレオチドの長さから選択される長さである。特定の実施形態では、各鎖は、独立して、長さが21~23ヌクレオチドである。特定の実施形態では、センス鎖は21ヌクレオチドの長さであり、アンチセンス鎖は23ヌクレオチドの長さである。
【0083】
特定の実施形態では、少なくとも1つの鎖が、少なくとも1ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの鎖が、少なくとも2ヌクレオチドの3’オーバーハングを含む。
【0084】
特定の実施形態では、当該剤は、少なくとも1つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結をさらに含む。特定の実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の3’末端にある。特定の実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。特定の実施形態では、当該鎖は、センス鎖である。
【0085】
特定の実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の5’末端にある。特定の実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。特定の実施形態では、当該鎖は、センス鎖である。
【0086】
特定の実施形態では、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結は、一方の鎖の5’末端および3’末端の両方にある。特定の実施形態では、当該鎖は、アンチセンス鎖である。
【0087】
本発明は、アンジオテンシノーゲン(AGT)の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(RNAi)剤またはその塩を含む、AGT関連障害を治療するための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、二本鎖領域を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖RNAi剤またはその塩、剤を含み、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、センス鎖は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含み、化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体、sがホスホロチオエート連結として定義され、医薬組成物は、少なくとも50mg/回の用量で1か月に一回以下投与される。
【0088】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、センス鎖はさらに、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む。
【0089】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも21の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、センス鎖はさらに、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)を含む。
【0090】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも22の連続するヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、センス鎖はさらに、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)を含む。
【0091】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)を含む。特定の実施形態では、センス鎖はさらに、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)を含む。
【0092】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖の修飾ヌクレオチド配列は、usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)からなる。特定の実施形態では、センス鎖の修飾ヌクレオチド配列は、gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)からなる。
【0093】
特定の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、リガンドをさらに含む。特定の実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる。特定の実施形態では、リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体である。特定の実施形態では、GalNAc誘導体は、一価、二価、または三価の分枝リンカーを介して結合した1つまたは複数のGalNAc誘導体を含む。
【0094】
特定の実施形態では、リガンドは以下である。
【化3】
【0095】
特定の実施形態では、以下の図式に示すように、センス鎖の3’末端がリガンドにコンジュゲートされ、
【化4】
式中、XはOまたはSである。特定の実施形態では、XはOである。
【0096】
特定の実施形態では、センス鎖は、ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguacaを含み、センス鎖の3’末端は、L96(N-[トリス(GalNAc-アルキル)-アミドデカノイル)]-4-ヒドロキシプロリノール Hyp-(GalNAc-アルキル)3)にコンジュゲートされ、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsaを含み、化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体、sがホスホロチオエート連結として定義される。
【0097】
特定の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、一回当たり50mg~500mgの用量で投与される。特定の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、一回当たり50~400mgの用量で投与される。特定の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、一回当たり50~300mgの用量で投与される。
【0098】
一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約50mg~約200mgの固定用量で投与される。他の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約200mg~約400mgの固定用量で投与される。一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約400mg~約800mgの固定用量で投与される。
【0099】
一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約100mgの固定用量で投与される。一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約200mgの固定用量で投与される。一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約300mgの固定用量で投与される。一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約400mgの固定用量で投与される。一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約500mgの固定用量で投与される。他の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約600mgの固定用量で投与される。一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤またはその塩は、約800mgの固定用量で投与される。
【0100】
特定の実施形態では、医薬組成物は、月一回~6か月に一回の頻度で投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は、月一回~3か月に一回の頻度で投与される。特定の実施形態では、医薬組成物は、3か月に一回~6か月に一回の頻度で投与される。
【0101】
一部の実施形態では、医薬組成物は、月一回の間隔で対象に投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、四半期に一回の間隔で対象に投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、対象に年に二回の間隔で投与される。
【0102】
特定の実施形態では、二本鎖RNAi剤は、一回当たり50~400mgの用量で、月一回~6か月に一回の頻度で投与される。
【0103】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約150mgの固定用量を投与される。
【0104】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約300mgの固定用量を投与される。
【0105】
一部の実施形態では、対象は、約3か月に一回、約300mgの固定用量を投与される。
【0106】
一部の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約600mgの固定用量を投与される。
【0107】
別の実施形態では、対象は、約3か月に一回、約800mgの固定用量を投与される。
【0108】
さらに別の実施形態では、対象は、約6か月に一回、約800mgの固定用量を投与される。
【0109】
特定の実施形態では、AGT関連障害は、高血圧、高血圧症、境界域高血圧症、原発性高血圧症、二次性高血圧症、孤立性の収縮期または拡張期高血圧症、妊娠関連高血圧症、糖尿病性高血圧症、抵抗性高血圧症、難治性高血圧症、発作性高血圧症、腎血管性高血圧症、ゴールドブラット高血圧症、高眼圧症、緑内障、肺高血圧症、門脈圧亢進症、全身性静脈性高血圧症、収縮期高血圧症、動揺性高血圧症、高血圧性心疾患、高血圧性腎症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、脈管障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、慢性心不全、心筋症、糖尿病性心筋症、夜間低血圧症、糸球体硬化症、大動脈縮窄症、大動脈瘤、心室線維症、心不全、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、腎疾患、腎不全、全身性強皮症、子宮内胎児発育遅延(IUGR)、胎児発育不全、肥満、肝脂肪症/脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、耐糖能障害、2型糖尿病、およびメタボリックシンドロームからなる群から選択される。
【0110】
特定の実施形態では、対象は、少なくとも130mmHgの収縮期血圧または少なくとも80mmHgの拡張期血圧を有する。特定の実施形態では、対象は、少なくとも140mmHgの収縮期血圧および少なくとも80mmHgの拡張期血圧を有する。
【0111】
特定の実施形態では、対象は、食塩感受性になりやすい群の一部であるか、過体重であるか、肥満であるか、妊娠しているか、妊娠を計画しているか、2型糖尿病を有するか、または1型糖尿病を有する。
【0112】
特定の実施形態では、対象は、AGT関連障害を有し、さらに食塩感受性になりやすい群の一部であるか、過体重であるか、肥満であるか、妊娠しているか、妊娠を計画しているか、2型糖尿病を有するか、または1型糖尿病を有する。
【0113】
特定の実施形態では、対象は、腎機能低下を有する。特定の実施形態では、対象は、AGT関連障害を有し、さらに腎機能低下を有する。
【0114】
特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0115】
特定の実施形態では、医薬組成物は、皮下注射または静脈内注射による投与用である。
【0116】
本発明はさらに、AGT関連障害を治療する方法におけるいずれかの医薬組成物の使用、またはAGT関連障害を治療する方法で使用するための医薬の調製方法における使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【
図1】
図1は、単回のプラセボ、10mg、25mg、50mg、100mg、または200mgのAD-85481の皮下投与後の、0日目のAGTベースラインに対する血清AGTの変化率を示すグラフである。
【
図2】
図2は、単回のプラセボ、10mg、25mg、50mg、100mg、または200mgのAD-85481の皮下投与後の、ベースラインに対する、8週目の収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の変化を示すグラフである。各群の対象の数をx軸に沿って示す。
【
図3】
図3は、第II相試験の試験デザインの概略図である。
【
図4】
図4は、AD-85481(ジレベシラン)の単回投与の6か月後の安全性および有効性を評価するための第I相臨床試験デザインの概略図である。
【
図5】
図5は、単回のプラセボ、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、400mg、または800mgのAD-85481の皮下投与後の、12週目および24週目のAGTベースラインに対する血清AGTの変化率を示すグラフである。
【
図6】
図6は、単回のプラセボ、200mg、400mg、または800mgのAD-85481の皮下投与後8週目、12週目、および24週目の収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の、ベースラインからの変化を示すグラフである。ベースラインのSBP/DBPの中央値は、200mgで139/83mmHg、400mgで138/90mmHg、800mgで142/88mmHgである。12週目より後は、プラセボを投与された患者を追跡する必要がなかった。200mg用量群の患者4人、400mgの患者1人、および800mgの患者2人が、アドオン降圧療法を受けた。
【
図7】
図7は、AD-85481の単回固定用量皮下投与後に達成された、24時間にわたる一貫した血圧低減を示すグラフである。左のグラフは、AD-85481の200mg、400mg、もしくは800mgの単回皮下投与またはプラセボ後、8週目の日中/夜間ABPMのベースラインからの変化を示す。8週目では全ての患者で、ジレベシランのみの投与であった(レスキュー降圧薬なし)。時間ごとの調節平均;日中〔午前9時~午後9時〕、夜間(午前1時~午前6時)。ベースラインのSBP/DBPの中央値は、200mgで139/83mmHg、400mgで138/90mmHg、800mgで142/88mmHgである。右側のグラフは、AD-85481の単回800mg用量の投与後8週目における、24時間収縮期血圧(SBP)を示す。
【
図8】
図8は、ナトリウム欠乏中のAD-85481(ジレベシラン)の忍容性を評価するための試験デザインの概略図である。
【
図9】
図9は、低塩食または高塩食に続いてAD-85481(ジレベシラン)またはプラセボを投与された患者における、示された時点でのベースラインに対する収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の変化を示すグラフである。
【
図10】
図10は、イルベサルタンの併用投与中のAD-85481(ジレベシラン)の安全性および忍容性を評価するための試験デザインの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0118】
本発明は、アンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。本発明はまた、AGT発現の低減から利益を得るであろう障害を有する対象を治療する方法、または対象におけるAGT関連障害を治療する方法を提供する。さらに、本発明は、対象の血圧レベルを低下させる方法を提供する。方法は、本明細書に記載されるように、AGTを標的とする、二本鎖RNAi剤またはその塩の固定用量、例えば約50mg~約800mgを、対象に投与することを含む。
【0119】
以下の詳細な説明は、AGTを標的とする二本鎖RNAi剤またはその塩を使用した、AGT遺伝子の発現を阻害する方法と、AGT遺伝子の発現の低減から利益を得るであろう対象、例えば高血圧症などのAGT関連障害になりやすいかそれと診断された対象を、治療する方法と、AGT遺伝子の発現を阻害するためのかかるRNAi剤またはその塩の固定用量を含む医薬組成物とを開示する。
【0120】
I.定義
本発明がより容易に理解できるように、特定の用語を、最初に定義する。加えて、パラメータの値または値の範囲が列記される場合にはいつでも、その列記された値の中間の値および範囲もまた、本発明の一部であることを意図していることを意図するものであるということに留意されたい。
【0121】
「a」および「an」という冠詞は、本明細書において、冠詞の文法上の対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を意味するために使用する。例えば、「ある要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素、例えば、複数の要素を意味する。
【0122】
「~を含むこと(including)」という用語は、「~を含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」という語句を意味するために本明細書において使用され、また当該語句と区別なく使用する。
【0123】
「または」という用語は、文脈において別途明示しない限り、「および/または」という用語を意味するために本明細書において使用され、また当該用語と区別なく使用する。例えば、「センス鎖またはアンチセンス鎖」は、「センス鎖もしくはアンチセンス鎖、またはセンス鎖およびアンチセンス鎖」として理解される。
【0124】
「約」という用語は、当技術分野において、典型的な許容誤差の範囲内であることを意味するために本明細書で使用する。例えば、「約」は、平均から約2の標準偏差として理解され得る。特定の実施形態では、約は、±10%を意味する。特定の実施形態では、約は、±5%を意味する。一連の数字または範囲の前に約がある場合、「約」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。ある数または一連の数の前にある「少なくとも」という用語は、文脈から明白な場合、「少なくとも」という用語に隣接する数、および論理的に含まれ得るそれに続く全ての数または整数を含むと理解される。例えば、ある核酸分子内のヌクレオチドの数は、整数であるはずである。例えば、「21ヌクレオチドの核酸分子のうちの少なくとも19ヌクレオチド」は、19、20、または21ヌクレオチドが、示した特性を有するということを意味する。連続する数字または範囲の前に少なくともがある場合、「少なくとも」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。
【0125】
本明細書において使用する場合、「~以下」または「未満」は、その語句に隣接する値と、文脈から論理的である場合はゼロまでのその値より論理的により小さい値または整数として理解される。例えば、「2ヌクレオチド以下」のオーバーハングを有する二重鎖は、2、1、または0ヌクレオチドのオーバーハングを有する。連続する数字または範囲の前に「~以下」がある場合、「~以下」は、その連続する数字または範囲のそれぞれを修飾し得ることが理解される。本明細書において使用する場合、範囲は、上限および下限の両方を含む。
【0126】
転写物または他の配列上の配列とその示した部位とが一致しない場合には、本明細書において列挙したヌクレオチド配列を優先する。
【0127】
化学構造と化学名称が一致しない場合、化学構造を優先する。
【0128】
本明細書において使用する場合、「AGT」という用語と互換的に使用される「アンジオテンシノーゲン」は、セルピンペプチダーゼ阻害剤、クレードA、メンバー8、アルファ-1アンチプロテイナーゼ、アンチトリプシン、SERPINA8、アンジオテンシンI、セルピンA8、アンジオテンシンII、アルファ-1アンチプロテイナーゼアンジオテンシノーゲン、アンチトリプシン、プレアンジオテンシノーゲン2、ANHU、セリンプロテイナーゼ阻害剤、およびシステインプロテイナーゼ阻害剤としても当技術分野で知られている周知の遺伝子およびポリペプチドを指す。
【0129】
「AGT」という用語は、アミノ酸および完全なコード配列を例えばGenBank受入番号GI:188595658(NM_000029.3、配列番号1)に見出すことができるヒトAGTと、アミノ酸および完全なコード配列を例えばGenBank受入番号GI:90075391(AB170313.1:配列番号3)に見出すことができるカニクイザル(Macaca fascicularis)AGTと、アミノ酸および完全なコード配列を例えばGenBank受入番号GI:113461997(NM_007428.3;配列番号5)に見出すことができるマウス(Mus musculus)AGTと、アミノ酸および完全なコード配列を例えばGenBank受入番号GI:51036672(NM_134432;配列番号7)に見出すことができるラットAGT(Rattus norvegicus)AGTとを含む。
【0130】
AGT mRNAA配列の追加の例としては、例えばGenBank、UniProt、OMIM、およびMacacaゲノムプロジェクトウェブサイトなどの公開されているデータベースを使用して容易に入手可能である。
【0131】
本明細書で使用される場合、「AGT」という用語はまた、AGT遺伝子中の一塩基多型(SNP)などのAGT遺伝子の天然に存在するDNA配列変異を指す。例示的なSNPは、www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp--_ref.cgi?geneId=183で利用可能なdbSNPデータベースで見出すことができる。AGT遺伝子内の配列変異の非限定的な例としては、例えば、米国特許第5,589,584号に記載されているものが挙げられ、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、AGT遺伝子内の配列変異は、(転写開始点に対して)-532位でのC→T、-386位でのG→A、-218位でのG→A、-18位でのC→T、-6位および-10位でのG→AおよびA→C、+10位(未翻訳)でのC→T、+521位でのC→T(T174M)、+597位でのT→C(P199P)、+704位でのT→C(M235T、例えば、Reference SNP(refSNP)Cluster Report:rs699も参照、www.ncbi.nlm.nih.gov/SNPで入手可能)、+743位でのA→G(Y248C)、+813位でのC→T(N271N)、+1017位でのG→A(L339L)、+1075位でのC→A(L359M)、および/または+1162位でのG→A(V388M)を含んでもよい。
【0132】
本明細書において使用する場合、「標的配列」は、例えば第一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAなどである、AGT遺伝子の転写中に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列における連続する部分を意味する。当該配列の標的部分は、少なくとも、AGT遺伝子の転写中に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の一部分またはその付近におけるiRNAが誘導する切断のための基質として機能するのに十分な長さとなる。一実施形態では、標的配列は、AGTのタンパク質コード領域内にある。
【0133】
標的配列は、長さが約19~36ヌクレオチド、例えば、好ましくは長さが約19~30ヌクレオチドであり得る。例えば、標的配列は、長さが約19~30ヌクレオチド、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または21~22ヌクレオチドであり得る。上記に列記した範囲および長さの間に存在する範囲および長さもまた、本発明の一部であることを意図している。
【0134】
本明細書において使用する場合、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチドの用語体系を使用して言及される配列によって説明するヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
【0135】
概して、「G」、「C」、「A」、「T」および「U」はそれぞれ、塩基としてのグアニン、シトシン、アデニン、チミジン、およびウラシルをそれぞれ含むヌクレオチドを表す。しかしながら、「リボヌクレオチド」または「ヌクレオチド」という用語は、以下においてより詳述されるような修飾ヌクレオチド、または代替置換部分(例えば、表2を参照)も指し得ることは理解されよう。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、およびウラシルは、そのような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変えることなく、他の部分で置換することができることを十分に認識している。例えば、これらに限定されるものではないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドは、アデニン、シトシンまたはウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合することができる。したがって、ウラシル、グアニンまたはアデニンを含むヌクレオチドは、本発明で取り上げるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えばイノシンを含むヌクレオチドで、置換することができる。別の実施例では、オリゴヌクレオチド内のいずれの箇所にあるアデニンおよびシトシンも、標的mRNAと対合するG-Uゆらぎ塩基対を形成するために、それぞれグアニンおよびウラシルで置換することができる。そのような置換部分を含む配列は、本発明で取り上げる組成物および方法に好適である。
【0136】
本明細書において区別なく使用する「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」という用語は、本明細書において用語が定義されるRNAを含有し、かつRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写の標的の切断を介在する薬剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として知られるプロセスを介してmRNAの配列特異的な分解を司る。iRNAは、細胞内、例えば哺乳類の対象、好ましくはヒト対象などの対象における細胞内で、AGT遺伝子の発現を調節、例えば阻害する。
【0137】
一実施形態では、本発明のRNAi剤は、標的RNA配列と、例えばAGT標的mRNA配列と相互作用して標的RNAの切断を司る、一本鎖RNAを含む。理論に束縛されることを望むものではないが、細胞内に導入された長い二本鎖RNAは、Dicer(ダイサー)として知られるIII型エンドヌクレアーゼによって、siRNAへと分解されると考えられている(Sharp et al. (2001) Genes Dev. 15:485)。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、このdsRNAを、特徴的な2つの塩基の3’オーバーハングを有する19~23塩基対の低分子干渉RNAへとプロセシングする(Bernstein, et al., (2001) Nature 409:363)。その後siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、そこで1つまたは複数のヘリカーゼがsiRNA二重鎖を解き、それによって相補的アンチセンス鎖に対して標的認識を誘導することが可能になる(Nykanen, et al., (2001) Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC内の1つまたは複数のエンドヌクレアーゼは、標的を切断してサイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。すなわち、一態様では、本発明は、細胞内で生成され、RISC複合体の形成を促進して、標的遺伝子、すなわちAGT遺伝子のサイレンシングをもたらす一本鎖RNA(siRNA)に関する。したがって、「siRNA」という用語はまた、上記において説明したiRNAを指すために本明細書において使用される。
【0138】
特定の実施形態では、RNAi剤は、細胞または有機体に導入されて標的mRNAを阻害する一本鎖siRNA(ssRNAi)であり得る。一本鎖RNAi剤は、RISCエンドヌクレアーゼであるアルゴノート2に結合し、それは次いで、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、概して、15~30ヌクレオチドであり、化学的に修飾されている。一本鎖siRNAの設計および試験は、米国特許第8,101,348号およびLima et al., (2012) Cell 150:883-894に記載されており、そのそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において記載するアンチセンスヌクレオチド配列はいずれも、本明細書において記載する一本鎖siRNAとして、またはLima et al., (2012) Cell 150:883-894に記載される方法によって化学的に修飾されるような一本鎖siRNAとして使用され得る。
【0139】
特定の実施形態では、本発明の組成物、使用および方法において使用する「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書においては「二本鎖RNA剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」、または「dsRNA」と称する。「dsRNA」という用語は、標的RNA、すなわちAGT遺伝子に関して「センス」または「アンチセンス」配向を有するとして言及する、2本の逆平行の実質的に相補的な核酸鎖を含む二重鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を指す。本発明の一部の実施形態では、二本鎖RNA(dsRNA)が、本明細書においてRNA干渉またはRNAiと称する転写後遺伝子サイレンシング機序を経て、標的RNAの、例えば、mRNAの分解を誘発する。
【0140】
一般的には、dsRNA分子の各鎖のヌクレオチドの大部分は、非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドである。加えて、本明細書において使用する場合、「iRNA」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含み得、iRNAは、複数のヌクレオチドにおける実質的な修飾を含み得る。本明細書において使用する場合、「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾された糖部分、修飾されたヌクレオチド間連結、または修飾された核酸塩基、またはそれらの任意の組み合わせを、独立して有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドなる用語は、ヌクレオシド間連結、糖部分、または核酸塩基に対する、例えば官能基または原子などの置換、付加、または除去を包含する。本発明の該剤で使用するのに好適な修飾は、本明細書において開示する修飾または当技術分野で公知の修飾の全てのタイプを包含する。siRNAタイプの分子において使用される場合、当該修飾はいずれも、本明細書および特許請求の範囲の目的のために「iRNA」または「RNAi剤」で包含される。
【0141】
二重鎖領域は、RISC経路を経て所望の標的RNAの特定の分解を可能にする任意の長さのものであり得、また長さが約19~36塩基対の範囲であり得、例えば長さが約19~30塩基対、例えば約19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、または36塩基対の長さであり、例えば、約19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、または約21~22塩基対などの長さであり得る。特定の実施形態では、二重鎖領域は、長さが19~21塩基対である。上記に列記した範囲および長さの間に存在する範囲および長さもまた、本発明の一部であることを意図している。
【0142】
二重鎖構造を形成する2本の鎖は、1つのより大きいRNA分子にのうちの異なる部分であり得るか、またはそれらは、別個のRNA分子であり得る。2本の鎖が、1つのより大きい分子のうちの部分であり、そのために二重鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端とそれに対応するもう一方の鎖の5’末端との間にある中断されないヌクレオチドの鎖でつながっている場合、その接続しているRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。ヘアピンループは、少なくとも1つの不対のヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、20、23またはそれ以上の不対のヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、10以下のヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、8以下の不対のヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、4~10の不対のヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、ヘアピンループは、4~8のヌクレオチドであり得る。
【0143】
dsRNAの実質的に相補的な2本の鎖が、別個のRNA分子で構成される場合、それら分子は必ずしもそうではないが、共有結合で結合することができる。2本の鎖が、二重鎖構造を形成する一方の鎖の3’末端とそれに対応するもう一方の鎖の5’末端との間にある中断されないヌクレオチドの鎖とは異なる手段で共有結合によりつながっている場合、その接続している構造を「リンカー」と称する。RNA鎖は、同数または異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖にあるヌクレオチドの数から二重鎖内に存在するあらゆるオーバーハングを引いた数である。二重鎖構造に加えて、RNAiは、1つまたは複数のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。
【0144】
特定の実施形態では、本発明のiRNA剤は、dsRNAであり、その各鎖は19~23ヌクレオチドを含み、標的RNA配列、例えばAGT遺伝子と相互作用して標的RNAの切断を司る。
【0145】
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、標的RNA配列、例えばAGT標的mRNA配列と相互作用して標的RNAの切断を司る24~30ヌクレオチドのdsRNAである。
【0146】
本明細書において使用する場合、「ヌクレオチド(の)オーバーハング」という用語は、二本鎖iRNAの二重鎖構造から突出する少なくとも1つの不対のヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの一方の鎖の3’末端が、もう一方の鎖の5’末端を越えて延びる場合、またはその逆の場合も同様に、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得、あるいはオーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つのヌクレオチド、またはそれ以上を含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドなどであるヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含み得るかまたは該類似体からなり得る。オーバーハングは、センス鎖上、アンチセンス鎖上、またはそれらのいずれかの組み合わせ上にあり得る。さらに、あるオーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端、または両末端上に存在し得る。
【0147】
特定の実施形態では、dsRNAのアンチセンス鎖が、3’末端または5’末端において1~10ヌクレオチドの、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの、オーバーハングを有する。特定の実施形態では、センス鎖またはアンチセンス鎖上またはその両鎖上のオーバーハングは、10ヌクレオチドより長い伸長した長さを含み得、例えば、長さが1~30ヌクレオチド、2~30ヌクレオチド、10~30ヌクレオチド、10~25ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド、または10~15ヌクレオチドである。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖上にある。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハングは、二重鎖のアンチセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態では、伸長したオーバーハング内のヌクレオチドの1つまたは複数が、ヌクレオシドチオホスフェートで置換される。特定の実施形態では、オーバーハングは、オーバーハングが生理学的条件下において安定なヘアピン構造を形成することができるような自己相補的部分を含む。
【0148】
「平滑」または「平滑末端」は、二本鎖RNA剤のその末端において不対のヌクレオチドがないこと、すなわち、ヌクレオチドオーバーハングがないことを意味する。「平滑末端である」二本鎖RNA剤は、その全長にわたって二本鎖であり、すなわち、当該分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングがない。本発明のRNAi剤は、一端にヌクレオチドオーバーハングがないRNAi剤(すなわち、1つのオーバーハングと1つの平滑末端とを有する剤)、またはいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングがないRNAi剤を含む。ほとんどの場合、こうした分子は、その全長にわたって二本鎖となることとなる。
【0149】
「アンチセンス鎖」または「ガイド鎖」という用語は、標的配列、例えばAGT mRNAに対して実質的に相補的である領域を含む、例えばdsRNAである、iRNAの鎖を指す。本明細書において使用する場合、「相補性の領域」という用語は、本明細書において定義されるように、配列、例えば標的配列、例えばAGTヌクレオチド配列に対して実質的に相補的であるアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性領域が、標的配列に対して完全に相補的でない場合、そのミスマッチは、分子の内部領域または末端領域内にあり得る。概して、最も許容できるミスマッチは、末端領域内にあり、例えば、iRNAの5’末端または3’末端の5、4または3ヌクレオチドの範囲内にある。一部の実施形態では、本発明の二本鎖RNA剤は、アンチセンス鎖内のヌクレオチドミスマッチを含む。一部の実施形態では、本発明の二本鎖RNA剤は、センス鎖内にヌクレオチドミスマッチを含む。一部の実施形態では、ヌクレオチドミスマッチは、例えば、iRNAの3’末端から5、4、3ヌクレオチドの範囲内にある。別の実施形態では、ヌクレオチドミスマッチは、例えば、iRNAの3’末端ヌクレオチド内にある。
【0150】
「センス鎖」または「パッセンジャー鎖」という用語は、本明細書において使用する場合、用語を本明細書において規定しているアンチセンス鎖の領域に対して実質的に相補的である領域を含むiRNAの鎖を指す。
【0151】
本明細書において使用する場合、「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾されている」は、広く修飾されているが全体が修飾されているものではなく、また5、4、3、2、もしくは1以下の未修飾のヌクレオチドを含み得る。
【0152】
本明細書において使用する場合、「切断領域」という用語は、切断部位に直接隣接して位置する領域を指す。切断部位は、切断が生じる箇所である標的上の部位である。一部の実施形態では、切断領域は、切断部位のどちらかの末端における直接隣接している3つの塩基を含む。一部の実施形態では、切断領域は、切断部位のどちらかの末端における直接隣接している2つの塩基を含む。一部の実施形態では、切断部位は、アンチセンス鎖のヌクレオチド10および11によって結合される部位において特異的に生じ、またこの切断領域は、ヌクレオチド11、12、および13を含む。
【0153】
iRNA内、例えば本明細書において記載するdsRNA内の相補的配列は、一方または両方のヌクレオチド配列の全長にわたって第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに対する、第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの塩基対合を含む。かかる配列は、本明細書において、互いに対して「完全に相補的」であると称し得る。しかしながら、本明細書において、第一の配列が第二の配列に対して「実質的に相補的」であるという場合、この2つの配列は、完全に相補的であり得るか、またはそれらはその最終的な用途、例えばRISC経路を経た遺伝子発現の阻害に最も関連した条件下でハイブリダイズする能力を維持しつつ、最大30塩基対の二重鎖についてのハイブリダイゼーションの際に、1つまたは複数であるが、概して5、4、3、または2以下である、ミスマッチ塩基対を形成し得る。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションの際に1つまたは複数の一本鎖のオーバーハングを形成するように設計される場合には、かかるオーバーハングは、相補性の判定に関してミスマッチとはみなさないものとする。例えば、長さが21ヌクレオチドである一方のオリゴヌクレオチドと長さが23ヌクレオチドであるもう一方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAであって、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含むようなdsRNAは、依然として、本明細書において記載する目的に関しては「完全に相補的」と称し得る。
【0154】
「相補的」配列は、本明細書において使用する場合、ハイブリダイズするそれらの能力に関する上記の要件を満足する限り、非ワトソン・クリック塩基対、または非天然の修飾ヌクレオチドから形成された塩基対も含み得るか、または全体的にそれらから形成され得る。そのような非ワトソン・クリック塩基対としては、これらに限定されるわけではないが、G:Uのゆらぎまたはフーグスティーン型の塩基対合が挙げられる。
【0155】
本明細書における「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」という用語は、それらの使用の文脈から理解されることとなるとおり、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間、または二本鎖RNA剤のアンチセンス鎖と標的配列との間における塩基マッチングに関連して使用され得る。
【0156】
本明細書において使用する場合、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部に対して実質的に相補的」であるポリヌクレオチドは、目的のmRNA(例えば、AGT遺伝子をコードするmRNA)の連続する部分に対して実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、配列が、AGT遺伝子をコードするmRNAの中断されていない部分に対して実質的に相補的である場合、AGT mRNAの少なくとも一部に対して相補的である。
【0157】
したがって、一部の実施形態では、本明細書において開示されるセンス鎖ポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドは、標的AGT配列に対して完全に相補的である。他の実施形態では、本明細書に開示されるセンス鎖ポリヌクレオチドまたはアンチセンスポリヌクレオチドは、標的AGT配列に対して実質的に相補的であり、配列番号1および2のうちのいずれか1つのヌクレオチド配列の等価領域に対して、または配列番号1および2のうちのいずれか1つの断片に対して、その全長にわたって少なくとも80%相補的、例えば少なくとも90%、もしくは95%相補的、または100%相補的な連続するヌクレオチド配列を含む。
【0158】
したがって、一部の実施形態では、本明細書において開示されるアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的AGT配列に対して完全に相補的である。他の実施形態では、本明細書に開示されるアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的AGT配列に対して実質的に相補的であり、配列番号1のヌクレオチド配列の等価領域に対して、または配列番号1の断片に対して、その全長にわたって少なくとも約90%相補的、例えば約90%、もしくは95%相補的な連続するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、配列番号1の断片は、配列番号1のヌクレオチド638~658である。
【0159】
特定の実施形態では、本発明のiRNAのアンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、本発明のiRNAは、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含むセンス鎖をさらに含む。
【0160】
特定の実施形態では、本発明のiRNAのアンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)を含む。特定の実施形態では、本発明のiRNAは、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)を含むセンス鎖をさらに含む。
【0161】
ある特定の実施形態では、本発明のiRNAのアンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、UGUACUCUCAUUGUGGAUGACGA(配列番号9)からなる。特定の実施形態では、本発明のiRNAは、センス鎖をさらに含み、当該鎖のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列GUCAUCCACAAUGAGAGUACA(配列番号10)からなる。
【0162】
特定の実施形態では、本発明のiRNAのアンチセンス鎖の修飾ヌクレオチド配列は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)の少なくとも19の連続するヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、本発明のiRNAは、gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)の少なくとも19の連続ヌクレオチドを含む修飾ヌクレオチド配列を含むセンス鎖をさらに含む。化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Tgn)がチミジン-グリコール核酸(GNA)S-異性体、sがホスホロチオエート連結として定義され、センス鎖の3’末端は、任意選択で、リガンド、例えば、N-[トリス(GalNAc-アルキル)-アミドデカノイル)]-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-(GalNAc-アルキル)3またはL96とも呼ばれる)に共有結合している。
【0163】
特定の実施形態では、本発明のiRNAのアンチセンス鎖の修飾ヌクレオチド配列は、修飾ヌクレオチド配列usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)を含む。特定の実施形態では、本発明のiRNAは、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)を含むセンス鎖をさらに含む。
【0164】
特定の実施形態では、本発明のiRNAのアンチセンス鎖の修飾ヌクレオチド配列は、usGfsuac(Tgn)cucauugUfgGfaugacsgsa(配列番号11)からなる。特定の実施形態では、本発明のiRNAは、センス鎖をさらに含み、センス鎖の修飾ヌクレオチド配列は、修飾ヌクレオチド配列gsuscaucCfaCfAfAfugagaguaca(配列番号12)からなる。
【0165】
概して、「iRNA」は、化学修飾を有するリボヌクレオチドを含む。かかる修飾は、本明細書に開示される、または当技術分野で公知の全ての種類の修飾を含み得る。こうした修飾はいずれも、dsRNA分子において使用される場合、本明細書および特許請求の範囲の目的のために「iRNA」で包含される。
【0166】
本発明の一態様では、本発明の方法および組成物で使用するための薬剤が、アンチセンス阻害機構を介して標的mRNAを阻害する一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子である。 一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、標的mRNA内の配列に対して相補的である。 一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAと塩基対形成し、翻訳機構を物理的に妨害することによって、化学量論的に翻訳を阻害することができる。Dias, N. et al ., (2002) Mol Cancer Ther 1:347-355を参照。 一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、約14~約30ヌクレオチド長であってもよく、標的配列に相補的な配列を有してもよい。 例えば、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド分子は、本明細書に記載されるアンチセンス配列のいずれか1つから少なくとも約14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の連続するヌクレオチドである配列を含んでもよい。
【0167】
dsRNAなどの「iRNAと細胞を接触させること」なる語句は、本明細書において使用される場合、任意の可能な手段によって細胞を接触させることを包む。細胞をiRNAと接触させることは、インビトロで細胞をiRNAと接触させること、またはインビボで細胞をiRNAと接触させることを含む。接触させることは、直接的または間接的に行われ得る。したがって、例えば、iRNAは、方法を個別に実施することで細胞と物理的に接触させ得るか、あるいはiRNAは、その後に細胞と接触することを可能するまたは接触させることとなるような状況に置かれ得る。
【0168】
細胞をインビトロで接触させることは、例えば、細胞をiRNAと共にインキュベートすることによってなされ得る。細胞をインビボで接触させることは、例えば該細胞が存在している組織内へもしくはその付近にiRNAを注入することによって、または別の領域内に、例えば、血流内または皮下腔内にiRNAを注入して、それによって当該剤がその後に、接触させようとする細胞が存在している組織に到達することとなるようにすることによって、なされ得る。例えばiRNAは、例えば、肝臓などである対象部位に向けてiRNAを誘導するリガンド、例えば、GalNAc、を含有し得るまたは当該リガンドに結合され得る。インビトロおよびインビボでの接触方法の組み合わせもまた可能である。例えば細胞を、インビトロでiRNAと接触させて、その後に対象に移植することもできる。
【0169】
特定の実施形態では、細胞をiRNAと接触させることは、細胞内への取込みまたは吸収を促進するまたは生じさせることによって「導入すること」または「iRNAを細胞内に送達すること」を含む。iRNAの吸収または取込みは、自発的な拡散もしくは活性な細胞内プロセスを介して、または補助の薬剤もしくはデバイスによって、生じ得る。iRNAの細胞内への導入は、インビトロまたはインビボにおいてであり得る。例えば、インビボでの導入の場合、iRNAは、組織部位に注入され得るかまたは全身的に投与され得る。インビトロでの細胞内への導入としては、当技術分野で公知の方法、例えばエレクトロポレーション法およびリポフェクション法などが挙げられる。さらなるアプローチは、本明細書の下記において説明されるか、または当技術分野で公知である。
【0170】
「脂質ナノ粒子」または「LNP」という用語は、例えば核酸分子など、薬学的に活性な分子を封入する脂質層を含むベシクルであり、例えば、iRNAまたはiRNAの転写元のプラスミドなどである。LNPは、例えば米国特許第6,858,225号、第6,815,432、第8,158,601号、および第8,058,069号に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0171】
本明細書において使用する場合、「対象」は、内因性または異種性のいずれかで標的遺伝子を発現する、霊長類(例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類、例えばサルおよびチンパンジー)、または非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、またはマウス)を含む哺乳類などの動物である。ある実施形態では、対象はヒトであり、例えばAGT発現の低減により利益を得るであろう疾患または障害に関して治療または評価されるヒト、AGT発現の低減により利益を得るであろう疾患または障害のリスクがあるヒト、AGT発現の低減により利益を得るであろう疾患または障害を有するヒト、または本明細書に記載されるAGT発現の低減により利益を得るであろう疾患または障害が治療されるヒトなどである。AGT関連障害、例えば高血圧症の診断基準を以下に提供する。一部の実施形態では、対象は、女性であるヒトである。他の実施形態では、対象は、男性であるヒトである。特定の実施形態では、対象は、食塩感受性になりやすい集団の一部、例えば、黒人または高齢者(65歳以上)である。特定の実施形態では、対象は、過体重または肥満、例えば、中心性肥満に罹患している対象である。特定の実施形態では、対象はほとんど体を動かさない。特定の実施形態では、対象は妊娠しているか、または妊娠を計画している。特定の実施形態では、対象は、腎機能低下を有する。特定の実施形態では、対象は1型糖尿病を有する。特定の実施形態では、対象は2型糖尿病を有する。
【0172】
本明細書において使用する場合、「治療する」または「治療」という用語は、対象におけるAGT関連障害、例えば高血圧症の少なくとも1つの兆候または症状を低減することなど、有益または望ましい転帰を指す。治療はまた、検出可能であるか検出不能であるかに関わらず、望ましくないAGT発現に関連する1つまたは複数の徴候または症状(例えば、アンジオテンシンIIタイプ1受容体活性化(AT1R)(例えば、高血圧症、慢性腎臓病、脳卒中、心筋梗塞、心不全、動脈瘤、末梢動脈疾患、心疾患、酸化ストレスの増加(例えば、スーパーオキシド形成、炎症、血管収縮、ナトリウムおよび水の貯留、カリウムおよびマグネシウムの損失、レニン抑制、筋細胞および平滑筋の肥大の増加)、コラーゲン合成の増加、血管線維症、心筋線維症および腎線維症の刺激、心臓収縮の速度と力の増加、心拍数の変化(例えば、不整脈の増加)、プラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI1)の刺激、交感神経系の活性化、およびエンドセリン分泌の増加)、子宮内胎児発育遅延(IUGR)または胎児発育不全を含むがこれらに限定されない妊娠関連高血圧症(例えば、子癇前症および子癇)、悪性高血圧症に関連する症状、高アルドステロン症に関連する症状と、望ましくないAT1R活性化の程度の低減と、慢性AT1R活性化の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと)と、望ましくないAT1R活性化(例えば、高血圧症、慢性腎臓病、脳卒中、心筋梗塞、心不全、動脈瘤、末梢動脈疾患、心疾患、酸化ストレスの増加(例えば、スーパーオキシド形成、炎症、血管収縮、ナトリウムおよび水の貯留、カリウムおよびマグネシウムの損失、レニン抑制、筋細胞および平滑筋の肥大の増加)、コラーゲン合成の増加、血管線維症、心筋線維症および腎線維症の刺激、心臓収縮の速度と力の増加、心拍数の変化、(例えば、不整脈の増加)、プラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI1)の刺激、交感神経系の活性化、エンドテリン分泌の増加)の改善または緩和と、を含む。AGT関連障害はまた、肥満、肝脂肪症/脂肪肝、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、耐糖能障害、2型糖尿病、およびメタボリックシンドロームを含み得る。「治療」はまた、治療が行われない場合に予想される生存時間と比較して、生存時間を延ばすことも意味し得る。
【0173】
本明細書において使用する場合、「腎機能低下」などは、いくつかの認識された基準、例えば、糸球体ろ過速度(GFR)、アルブミン尿、クレアチニン、またはBUNのいずれかを使用して診断することができる。本明細書において使用する場合、腎機能低下は、一過性または慢性であり得る。少なくとも60のGFRが、正常であるとみなされる。60以下のGFRは、腎機能低下を示し、GFR15~60超は、腎疾患を示し、15未満のGFRは、腎不全を示す。GFRは、典型的には、尿中クレアチニンレベルに基づいて決定され、クレアチニンのレベルが高いほど、腎機能が低いことを示す。尿中のアルブミンの存在もまた、腎機能低下を示す。アルブミンの絶対レベルを決定して、腎機能低下を診断することができる。アルブミン・クレアチニン比を決定して、腎機能を評価することもできる。30mg/g以下の尿アルブミン・クレアチニン比は、正常な腎機能を示す。30mg/gより高い尿アルブミン・クレアチニン比は、腎機能低下を示す。
【0174】
対象におけるAGT遺伝子発現またはagtタンパク質産生のレベル、または疾患マーカーもしくは症状の文脈での「低下させる」という用語は、こうしたレベルの統計学的に有意な減少を指す。減少は、例えば、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%であるか、または関連する細胞もしくは組織、例えば、肝細胞または他の対象試料、例えば、血液もしくはそれに由来する血清、尿における検出方法の検出レベルを下回ることができる。特定の実施形態では、「低下させる」は、本明細書に提供されるiRNA剤の任意の用量の投与前の血清中のAGTタンパク質レベルに対する、本明細書に提供されるiRNA剤の1回以上の用量の投与後の血清中のAGTタンパク質の低減である。
【0175】
本明細書において使用する場合、「予防」または「予防すること」は、例えば、加齢、遺伝子要因、ホルモン変化、食生活、および座ることの多い生活などに起因してAGT関連障害になりやすい対象におけるAGT遺伝子の発現またはagtタンパク質の産生の低減から利益を得るであろう疾患または障害に関して使用されるとき、対象はAGT関連障害に対する診断基準をまだ満たしていない。本明細書において使用する場合、予防は、AGT関連障害の診断基準をまだ満たしていない対象への、対象がAGT関連障害を発症する可能性を遅延または低減するための薬剤の投与として理解され得る。本薬剤は医薬品であるため、投与は通常、AGT関連障害の診断基準をまだ満たしていない対象を、AGT関連障害を発症しやすいと特定することができる、医療従事者の指示下にあることが理解される。高血圧症の診断基準および高血圧症の危険因子を以下に示す。特定の実施形態では、疾患または障害は、例えば、望ましくないAT1R活性化の症状、例えば、高血圧症、慢性腎臓病、脳卒中、心筋梗塞、心不全、動脈瘤、末梢動脈疾患、心疾患、酸化ストレスの増加(例えば、スーパーオキシド形成、炎症、血管収縮、ナトリウムおよび水の貯留、カリウムおよびマグネシウムの損失、レニン抑制、筋細胞および平滑筋の肥大の増加)、コラーゲン合成の増加、血管線維症、心筋線維症および腎線維症の刺激、心臓収縮の速度と力の増加、心拍数の変化(例えば、不整脈の増加)、プラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI1)の刺激、交感神経系の活性化、およびエンドセリン分泌の増加)を含む。AGT関連障害はまた、肥満、肝脂肪症/脂肪肝、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、耐糖能障害、2型糖尿病、およびメタボリックシンドロームを含み得る。例えば、高血圧症の1つまたは複数の危険因子を有する個体が、高血圧症を発症しないか、または本明細書に記載されるのと同じ危険因子を有するが治療を受けていない集団と比較して、重症度が低い高血圧症を発症するかのいずれかである場合、例えば、高血圧症を発症する可能性は低減される。AGT関連障害、例えば、高血圧症を発症しないこと、または高血圧症を発症する時間の数か月もしくは数年の遅延は、有効的な予防とみなされる。iRNA剤の場合、予防には2回以上の用量の投与を必要とし得る。上記のAGT関連疾患のいずれかを発症するリスクがある対象を特定するための適切な方法が提供され、本明細書に提供されるiRNA剤は、AGT関連疾患の予防のための、またはその方法における、医薬品として使用することができる。様々なAGT関連疾患の危険因子を以下に記載する。
【0176】
本明細書において使用する場合、「アンジオテンシノーゲン関連疾患」または「AGT関連疾患」という用語は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)活性化によって引き起こされるか、もしくはこれに関連する、疾患もしくは障害であるか、またはその症状もしくはその進行がRAAS不活性化に応答する疾患もしくは障害である。「アンジオテンシノーゲン関連疾患」という用語は、AGT発現の低減から利益を得るであろう疾患、障害、または状態を含む。こうした疾患は、典型的には、高血圧に関連する。アンジオテンシノーゲン関連疾患の非限定的な例としては、高血圧症、例えば、境界域高血圧症(高血圧前症としても知られる)、原発性高血圧症(本態性高血圧症または特発性高血圧症としても知られる)、二次性高血圧症(非本態性高血圧症としても知られる)、孤立性収縮期または拡張期高血圧症、妊娠関連高血圧症(例えば、子癇前症、子癇、および分娩後子癇前症)、糖尿病性高血圧症、抵抗性高血圧症、難治性高血圧症、発作性高血圧症、腎血管性高血圧症(腎性高血圧症としても知られる)、ゴールドブラット高血圧症、高眼圧症、緑内障、肺高血圧症、門脈圧亢進症、全身性静脈高血圧症、収縮期高血圧症、動揺性高血圧症、高血圧性心疾患、高血圧性腎症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、脈管障害(末梢血管疾患を含む)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、慢性心不全、心筋症、糖尿病性心筋症、糸球体硬化症、大動脈狭窄症、大動脈瘤、心室線維症、睡眠時無呼吸、心不全(例えば、左心室収縮機能障害、駆出率の低下を伴う心不全)、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、腎疾患、例えば、任意選択で妊娠の状況での慢性腎臓病または糖尿病性腎症、腎不全、例えば、慢性腎不全、および全身性強皮症(例えば、強皮症腎クリーゼ)が挙げられる。特定の実施形態では、AGT関連疾患は、子宮内胎児発育遅延(IUGR)または胎児発育不全を含む。特定の実施形態では、AGT関連障害はまた、肥満、肝脂肪症/脂肪肝、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、耐糖能障害、2型糖尿病、およびメタボリックシンドローム、および夜間低血圧症を含み得る。
【0177】
高血圧の閾値および高血圧症のステージを、以下で詳細に論じる。
【0178】
一実施形態では、アンジオテンシノーゲン関連疾患は原発性高血圧症である。「原発性高血圧症」は、環境的または遺伝的原因の結果(例えば、明らかな基礎疾患の原因がない結果)である。
【0179】
一実施形態では、アンジオテンシノーゲン関連疾患は二次性高血圧症である。「二次性高血圧症」は、腎臓、血管および内分泌性の原因、例えば、腎実質性疾患(例えば、多発性嚢胞腎、糸球体または間質性疾患)、腎血管性疾患(例えば、腎動脈狭窄症、線維筋性異形成症)、内分泌障害(例えば、副腎皮質ステロイドまたはミネラルコルチコイド過剰、褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症、成長ホルモン過剰、副甲状腺機能亢進症)、大動脈狭窄症、経口避妊薬の使用を含む、複数の病因であり得る識別可能な基礎疾患を有する。
【0180】
一実施形態では、アンジオテンシノーゲン関連疾患は、妊娠関連高血圧症、例えば、妊娠慢性高血圧症、妊娠高血圧症、妊娠高血圧腎症、子癇、慢性高血圧症加重型妊娠高血圧腎症、ヘルプ症候群、および妊娠高血圧症(妊娠一過性高血圧症、妊娠後半で特定された慢性高血圧症、および妊娠高血圧症候群(PIH)としても知られる)である。妊娠関連高血圧症の診断基準を以下に示す。
【0181】
一実施形態では、アンジオテンシノーゲン関連疾患は、抵抗性高血圧症である。「抵抗性高血圧症」は、そのうちの1つがチアジド利尿薬である、異なるクラスの3つの降圧剤の同時使用にもかかわらず、目標を超えた(例えば、収縮期130mmHg超または拡張期90mm超)ままである血圧である。4種以上の薬剤で血圧が管理されている対象も、抵抗性高血圧症を有するとみなされる。
【0182】
「治療有効量」または「予防有効量」はまた、任意の治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比においていくつかの所望の効果を生じるRNAi剤の量も含む。本発明の方法において用いるiRNAは、そうした治療に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比を生じるのに十分な量で投与され得る。
【0183】
「薬学的に許容される」という語句は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、合理的なベネフィット/リスク比に見合う、健全な医学的判断の範囲内でのヒト対象および動物対象の組織との接触での使用に好適であるそれら化合物、材料、組成物または剤形を指す。
【0184】
「薬学的に許容される担体」という語句は、本明細書において使用する場合、1つの臓器または身体の部分から、別の臓器または身体の部分への主題化合物の運搬または輸送に関与する、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルであって、例えば液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒封入材料など、を意味する。各担体は、製剤の他の原材料に対して適合性であり、かつ治療される対象に対して有害であってはならないという意味において「許容される」ものでなければならない。こうした担体は、当技術分野で公知である。薬学的に許容される担体には、注射による投与のための担体が含まれる。
【0185】
「試料」という用語は、本明細書において使用する場合、対象から単離された同様の体液、細胞、または組織、および対象内に存在する体液、細胞、または組織の採取物を包含する。生体液の例としては、血液、血清、および漿液、血漿、髄液、眼液、リンパ液、尿、唾液などが挙げられる。組織試料は、組織、臓器、または局所領域からの試料を含み得る。例えば、試料は、特定の臓器、臓器の部分、またはそれら臓器内の体液もしくは細胞に由来するものであり得る。特定の実施形態では、試料は、肝臓(例えば、肝全体または肝臓の特定のセグメント、または肝臓内の特定のタイプの細胞、例えば、肝細胞など)に由来するものであり得る。一部の実施形態では、「対象に由来する試料」は、対象から取得した尿を指す。「対象に由来する試料」は、対象からの血液または血液由来の血清もしくは血漿を指すこともある。
【0186】
II.本発明の方法
本発明は、アンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。本発明はまた、AGT発現の低減から利益を得るであろう対象(例えば、AGT関連障害、例えば、高血圧症を発症するリスクがある対象)を治療する方法、または対象におけるAGT関連障害、例えば、高血圧症を治療する方法を提供する。さらに、本発明は、対象、例えば高血圧症などのAGT関連障害を有する対象における血圧レベルを低下させる方法を提供する。方法は、本明細書に記載されるように、AGTを標的とする二本鎖RNAi剤の固定用量、例えば、約50mg~約800mgを対象に投与することを含む。
【0187】
したがって、一態様では、本発明は、対象におけるアンジオテンシノーゲン(AGT)遺伝子の発現を阻害する方法を提供する。方法は、対象に、AGTの発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)剤の約50mg~約800mg、例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mgの固定用量を投与することを含む。前述の列挙された値の中間の値および範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0188】
「阻害すること」という用語は、本明細書で使用する場合、「低減すること」、「サイレンシングすること」、「下方制御すること」、「抑制すること」および他の同様の用語と区別なく使用され、任意のレベルの阻害を含む。
【0189】
「AGTの発現を阻害すること」という語句は、任意のAGT遺伝子(例えば、マウスAGT遺伝子、ラットAGT遺伝子、サルAGT遺伝子、またはヒトAGT遺伝子)、ならびにAGT遺伝子のバリアントまたは変異体の発現の阻害を指すことが意図されている。したがって、AGT遺伝子は、遺伝子操作された細胞、細胞の群または生物の文脈で、野生型AGT遺伝子、変異AGT遺伝子、または遺伝子導入AGT遺伝子であり得る。
【0190】
「AGT遺伝子の発現を阻害すること」は、任意のレベルでのAGT遺伝子の阻害、例えばAGT遺伝子の発現の少なくとも部分的抑制を含む。AGT遺伝子の発現は、AGT遺伝子発現と関連する任意の変数、例えばAGT mRNAレベルもしくはAGTタンパク質レベルなどの、レベル、またはレベルの変化に基づいて評価され得る。このレベルは、例えば対象に由来する試料を含めた、個々の細胞または細胞群において評価され得る。AGTは主に肝臓で発現されるが、脳、胆嚢、心臓、および腎臓でも発現され、循環中に存在することが理解される。
【0191】
阻害は、対照レベルと比較した、AGT発現と関連する1つまたは複数の変数の絶対レベルまたは相対レベルの低下によって評価され得る。対照レベルは、当技術分野で利用される任意の種類の対照レベルであり得、例えば、投与前ベースラインレベル、または未処理であるかもしくは対照(例えば、緩衝剤のみの対照または不活性薬剤対照など)で処理された同様の対象、細胞もしくは試料から決定されるレベルであり得る。
【0192】
本発明の方法の一部の実施形態では、AGT遺伝子の発現は、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、またはアッセイの検出レベルを下回るまで阻害される。好ましい実施形態では、AGT遺伝子の発現は、少なくとも50%阻害される。さらに、例えば、脳などの他の組織中での発現の有意な阻害を伴うことのない、例えば、肝臓中などの特定の組織中でのAGT発現の阻害が所望される場合があることが理解される。好ましい実施形態では、発現レベルは、PCT出願第PCT/US2019/032150号の実施例2に提供されるアッセイ方法を使用して、適切な種に合致した細胞株において10nMのsiRNA濃度で決定される。
【0193】
特定の実施形態では、インビボでの発現の阻害は、例えば、RNA発現の最低値で3mg/kgで単回投与として投与した場合に、ヒト遺伝子を発現するげっ歯類において、例えばヒト標的遺伝子(すなわち、AGT)を発現するAAV感染マウスにおいて、ヒト遺伝子をノックダウンすることによって決定される。例えば、RNA発現の最低値では3mg/kgで単回投与として投与後に、モデル動物系における内因性遺伝子の発現のノックダウンも判定することができる。該系は、ヒト遺伝子とモデル動物遺伝子の核酸配列が十分に近いことによりヒトiRNAがモデル動物遺伝子の効果的なノックダウンをもたらす場合に有用である。肝臓におけるRNA発現は、PCT出願第PCT/US2019/032150号の実施例2に提供されるPCR法を使用して判定される。
【0194】
AGT遺伝子の発現の阻害は、第一の細胞または細胞の群と実質的に同一であるが、そのように処理されていない第二の細胞または細胞の群(iRNAで処理されていない、または目的の遺伝子を標的とするiRNAで処理されていない対照細胞)と比較して、AGT遺伝子が転写され、AGT遺伝子の発現が阻害されるように処理(例えば、細胞を本発明のiRNAと接触させることによって、または本発明のiRNAを、細胞が存在しているもしくは存在していた対象に投与することによって)されている第一の細胞または細胞の群(このような細胞は、例えば、対象に由来する試料中に存在し得る)によって発現されるmRNAの量の低減によって現れ得る。好ましい実施形態では、阻害は、種が一致する細胞株において例えば10nMのsiRNA濃度を使用して、および以下の式を使用して処理細胞中のmRNAのレベルを対照細胞中のmRNAのレベルの百分率として表現することによって、PCT出願第PCT/US2019/032150号の実施例2に提供される方法によって評価される:
【数1】
【0195】
他の実施形態では、AGT遺伝子の発現の阻害は、例えば対象からの血液または血清中のAGTタンパク質レベルなど、AGT遺伝子発現に機能的に結びついたパラメータの低減の観点から評価され得る。AGT遺伝子サイレンシングは、発現コンストラクトからの内因性または異種性いずれかのAGTを発現する任意の細胞において、当技術分野で公知の任意のアッセイによって決定され得る。
【0196】
AGTタンパク質の発現の阻害は、細胞または細胞の群によって、または対象の試料中において発現されるAGTタンパク質のレベル(例えば、対象に由来する血液試料中のタンパク質のレベル)の低減によって現れ得る。上記において説明したように、mRNA抑制の評価のために、処理した細胞または細胞の群におけるタンパク質発現レベルの阻害を、同様に、対照の細胞または細胞の群におけるタンパク質のレベルの、または例えば、対象由来の血液または血清である対象の試料中のタンパク質レベルの変化の百分率として表すことができる。
【0197】
AGT遺伝子の発現の阻害を評価するために使用できる対照の細胞、細胞の群、または対象の試料には、本発明のRNAi剤とまだ接触していない細胞、細胞の群または対象の試料が含まれる。例えば、対照の細胞、細胞の群、または対象の試料は、RNAi剤を用いる対象の処理の前の個々の対象(例えば、ヒトまたは動物対象)またはある適切に合致する集団の対照に由来し得る。
【0198】
細胞または細胞の群によって発現されるAGT mRNAのレベルは、mRNA発現を評価するための当技術分野で公知の任意の方法を使用して決定できる。一実施形態では、試料中のAGTの発現のレベルは、転写されたポリヌクレオチド、またはその一部を、例えばAGT遺伝子のmRNAを検出することによって決定される。RNAは、例えば酸フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B; Biogenesis社)、RNeasy(商標)RNA調製キット(Qiagen(登録商標)社)またはPAXgene(商標)(PreAnalytix(商標)社、スイス国)を使用することを含む、RNA抽出技術を使用して細胞から抽出され得る。リボ核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的なアッセイ形式としては、核ラン-オンアッセイ、RT-PCR、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ、ノーザンブロッティング、インサイツハイブリダイゼーションおよびマイクロアレイ分析が挙げられる。
【0199】
一部の実施形態では、AGTの発現のレベルは、核酸プローブを使用して決定される。「プローブ」という用語は、本明細書において使用する場合、特定のAGTに選択的に結合可能である任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成できる、または適切な生物学的調製物から誘導できる。プローブは、標識されるように特異的に設計してもよい。プローブとして利用できる分子の例としては、これに限定されないが、RNA、DNA、タンパク質、抗体および有機分子が挙げられる。
【0200】
単離されたmRNAは、これに限定されるものではないが、サザン分析またはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析およびプローブアレイをはじめとする、ハイブリダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイにおいて使用することができる。mRNAレベルを決定する方法の1つとしては、単離されたmRNAを、AGT mRNAとハイブリダイズできる核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。一実施形態では、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲルにかけてmRNAをゲルから膜へ、例えばニトロセルロースに移行させることによって、mRNAを固体表面上に固定化し、プローブと接触させる。代替的な実施形態では、例えばAffymetrix(登録商標)遺伝子チップアレイにおいて、プローブを固体表面に固定化して、mRNAをプローブと接触させる。当業者ならば、公知のmRNA検出方法を、AGT mRNAのレベルを決定する際に使用するために容易に適応させることができる。
【0201】
試料中のAGTの発現レベルを決定する代替的な方法は、例えば、RT-PCR(Mullisによる1987年の米国特許第4,683,202号に記載の試験的実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193)、自家持続配列複製法(Guatelli et al . (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅システム(Kwoh et al . (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardi et al . (1988) Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiらによる米国特許第5,854,033号)、または任意の他の核酸増幅法と、その後の当業者に周知の技術を使用した増幅分子の検出を行うことなどの、試料中の例えばmRNAの核酸増幅または反転転写(cDNAを調製するための)のプロセスを伴う。これら検出スキームは、特に、核酸分子が非常に少ない数で存在する場合に該核酸分子の検出のために有用である。本発明の特定の態様では、AGTの発現レベルは、定量的な蛍光RT-PCR(すなわち、TaqMan(商標)システム)によって決定される。好ましい実施形態では、発現レベルは、その種に一致した細胞株において、10nMのsiRNA濃度を使用する、PCT出願第PCT/US2019/032150号の実施例2に提供される方法によって決定される。
【0202】
AGTタンパク質発現のレベルは、タンパク質レベルの測定のための当技術分野で公知の任意の方法を使用して決定され得る。こうした方法としては、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、吸収分光法、比色分析法、分光学的定量法、フローサイトメトリー、免疫電気泳動、ウエスタンブロッティング、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、電気化学発光アッセイなどが挙げられる。
【0203】
一部の実施形態では、本発明の方法の有効性は、AGTのmRNAまたはタンパク質レベル(例えば、肝生検において)の減少によって評価される。特定の実施形態では、穿刺肝生検試料が、AGT遺伝子またはタンパク質の発現の低減をモニタリングするための組織材料として機能する。他の実施形態では、血液試料が、agtタンパク質発現の低減をモニタリングするための対象の試料として機能する。
【0204】
本発明の方法の一部の実施形態では、iRNAは、iRNAが、対象内の特定の部位に送達されるように対象に投与される。AGTの発現の阻害は、対象(例えば、肝臓または血液)内の特定の部位から流体または組織に由来する試料中のAGT mRNAまたはAGTタンパク質のレベルの測定値または該レベルの変化を使用して評価され得る。
【0205】
本明細書において使用する場合、分析物のレベルを検出することまたは決定することという用語は、物質が、例えば、タンパク質、RNAが存在するか否かを決定する工程を実施することを意味すると理解される。本明細書において使用する場合、検出するまたは決定する方法は、使用する方法の検出のレベルを下回る分析物のレベルの検出または決定を含む。
【0206】
別の態様では、本発明は、AGT関連障害、例えば、高血圧、例えば、高血圧症を有する対象を治療する方法を提供する。方法は、AGTの発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)剤の約50mg~約800mg、例えば、約50~200mg、約200~400mg、約400~800mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mgの固定用量を対象に投与することを含む。前述の列挙された値の中間の値および範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0207】
一部の実施形態では、AGT関連障害は、高血圧、高血圧症、境界域高血圧症、原発性高血圧症、二次性高血圧症、孤立性の収縮期または拡張期高血圧症、妊娠関連高血圧症、糖尿病性高血圧症、抵抗性高血圧症、難治性高血圧症、発作性高血圧症、腎血管性高血圧症、ゴールドブラット高血圧症、高眼圧症、緑内障、肺高血圧症、門脈圧亢進症、全身性静脈性高血圧症、収縮期高血圧症、動揺性高血圧症、高血圧性心疾患、高血圧性腎症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、脈管障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、慢性心不全、心筋症、糖尿病性心筋症、夜間低血圧症、糸球体硬化症、大動脈縮窄症、大動脈瘤、心室線維症、心不全、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、腎疾患、腎不全、全身性強皮症、子宮内胎児発育遅延(IUGR)、胎児発育不全、肥満、肝脂肪症/脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、耐糖能障害、2型糖尿病、およびメタボリックシンドロームからなる群から選択される。
【0208】
一実施形態では、AGT関連障害は高血圧症である。一実施形態では、高血圧症は、境界域高血圧症、原発性高血圧症、二次性高血圧症、孤立性の収縮期または拡張期高血圧症、妊娠関連高血圧症、糖尿病性高血圧症、抵抗性高血圧症、難治性高血圧症、発作性高血圧症、腎血管性高血圧症、ゴールドブラット高血圧症、高眼圧症、緑内障、肺高血圧症、門脈圧亢進症、全身性静脈性高血圧症、収縮期高血圧症、動揺性高血圧症、高血圧性心疾患、または高血圧性腎症である。
【0209】
さらなる態様では、本発明は、AGT発現の低減から利益を得るであろう対象を治療する方法を提供する。方法は、AGTの発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)剤の約50mg~約800mg、例えば、約50~200mg、約200~400mg、約400~800mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mgの固定用量を対象に投与することを含む。前述の列挙された値の中間の値および範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0210】
さらなる態様では、本発明は、対象における血圧レベル、例えば、収縮期血圧および/または拡張期血圧を低下させる方法を提供する。方法は、AGTの発現を阻害する二本鎖リボ核酸(RNAi)剤の約50mg~約800mg、例えば、約50~200mg、約200~400mg、約400~800mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mgの固定用量を対象に投与することを含む。前述の列挙された値の中間の値および範囲も、本発明の一部であることが意図される。
【0211】
本発明の方法では、細胞、例えばヒト対象(例えば、AGT関連障害を有する対象など、それを必要とする対象)などの対象内の細胞を、インビトロまたはインビボでsiRNAと接触させてもよく、すなわち、細胞は対象内にあってもよい。
【0212】
本発明の方法を使用する治療に適した細胞は、AGT遺伝子を発現する任意の細胞、例えば、肝細胞、脳細胞、胆嚢細胞、心臓細胞、または腎細胞、であり得るが、好ましくは肝細胞である。本発明の方法での使用に適した細胞は、哺乳類細胞、例えば、霊長類細胞(キメラ非ヒト動物中のヒト細胞をはじめとするヒト細胞、または非ヒト霊長類細胞、例えば、サル細胞もしくはチンパンジー細胞など)、または非霊長類細胞であり得る。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト肝細胞である。本発明の方法においては、AGT発現は、細胞内で、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%、またはアッセイの検出レベルを下回るレベルまで阻害される。
【0213】
一実施形態では、AGTを標的とするdsRNA剤は、例えば、対象の細胞、組織、血液、尿、または他の組織もしくは流体中のAGTレベルが少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、62%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%以上減少するように、対象に投与される。
【0214】
別の実施形態では、AGTを標的とするdsRNA剤は、対象の血圧レベル、例えば、収縮期血圧および/または拡張期血圧が少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10mmHg以上低下するように、対象に投与される。
【0215】
本発明の方法および使用によるdsRNA剤の投与は、原発性高シュウ酸尿症を有する患者においてこのような疾患または障害の重症度、徴候、症状、および/またはマーカーの低減をもたらし得る。この文脈での「低減」とは、かかるレベルの統計学的に有意な減少を意味する。低減は、例えば少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または約100%であり得る。
【0216】
疾患の治療または予防の有効性は、例えば疾患進行、疾患緩解、症状の重症度、疼痛の低減、生活の質、処置効果を持続するために必要とされる投薬の用量、疾患マーカーまたは治療されているまたは予防のために標的とされる所与の疾患に適切な任意の他の測定可能なパラメータのレベルを測定することによって評価できる。このようなパラメータのうちいずれか1つまたはパラメータのいずれかの組み合わせを測定することによって、治療または予防の有効性をモニタリングすることは、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、原発性高シュウ酸尿症の治療の有効性は、例えば、治療される対象におけるシュウ酸塩のレベルの定期的なモニタリングによって評価され得る。後の測定値を、最初の測定値と比較することによって、治療が有効であるか否かの指標が医師に提供される。このようなパラメータ、またはパラメータの任意の組み合わせを測定することによって、治療または予防の有効性をモニタリングすることは、十分に当業者の能力の範囲内である。AGTを標的とするdsRNA剤またはその医薬組成物の投与に関連して、原発性高シュウ酸尿症「に対して有効な」は、臨床的に適切な様式での投与が、少なくとも統計的に有意な割合の患者にとって有益な効果が、例えば症状の改善、治癒、疾患の低減、余命の延長、生活の質の改善または原発性高シュウ酸尿症および関連原因の治療に精通している医師によって肯定的であると通常認識される他の効果が結果的に生じることを示す。
【0217】
治療または予防的効果は、疾患状態の1つまたは複数のパラメータにおいて統計学的に有意な改善がある場合に、または悪化しなかったもしくはそうでなければ予測される症状を発症しなかったときに、明白である。例として、疾患の測定可能なパラメータが少なくとも10%好ましく変化すること、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%またはそれ以上好ましく変化することが、有効な治療の指標であり得る。所与のdsRNA剤の薬物またはその薬物の製剤の有効性はまた、当技術分野で公知のように所与の疾患の実験動物モデルを使用して判断できる。実験動物モデルを使用する場合には、治療の有効性は、マーカーまたは症状の統計学的に有意な低減が観察されたときに明白である。
【0218】
例えば、適切なスケールを使用して測定される疾患の重症度の減少をもたらす任意の肯定的な変化は、本明細書において記載するようなdsRNA剤またはdsRNA剤製剤を使用する妥当な治療を表している。
【0219】
本発明のインビボでの方法は、対象に、iRNAを含有する組成物を投与することを含み得、該iRNAは、RNAi剤を投与しようとする哺乳類のAGT遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部と相補的であるヌクレオチド配列を含む。組成物は、これに限定されるものではないが、経口、腹腔内、または頭蓋内(例えば、脳室内、実質内および髄腔内)、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアロゾル)、経鼻、直腸および局所(頬および舌下を含む)の投与を含む非経口経路を含む、当技術分野で公知の任意の手段によって投与され得る。特定の実施形態では、組成物は、静脈内への注入または注射によって投与される。特定の実施形態では、組成物は、皮下注射によって投与される。特定の実施形態では、組成物は、筋肉内注射によって投与される。
【0220】
一部の実施形態では、投与は、蓄積注射による。蓄積注射は、長時間にわたり一定してdsRNA剤を放出し得る。したがって、蓄積注射は、所望の効果、例えば所望のAGT阻害または治療的もしくは予防的な効果を得るために必要とされる投薬の回数を減らすことができる。蓄積注射はまた、より一貫した血清濃度を提供することもできる。蓄積注射は、皮下注射または筋肉内注射を含み得る。好ましい実施形態では、蓄積注射は、皮下注射である。
【0221】
一部の実施形態では、投与は、ポンプによる。該ポンプは、外部ポンプまたは外科的に植え込んだポンプであり得る。特定の実施形態では、ポンプは、皮下に植え込んだ浸透圧ポンプである。他の実施形態では、ポンプは、注入ポンプである。注入ポンプは、静脈内、皮下、動脈性または硬膜外注入のために使用され得る。好ましい実施形態では、注入ポンプは、皮下注入ポンプである。他の実施形態では、ポンプは、dsRNA剤を肝臓に送達する外科的に植え込まれたポンプである。
【0222】
他の投与様式としては、硬膜外、脳内、脳室内、鼻腔内投与、動脈内、心臓内、骨内注入、髄腔内、および硝子体内、ならびに肺が挙げられる。投与様式は、局所的な治療または全身的な治療のいずれが望まれるかに応じて、また処理しようとする領域に基づいて選択され得る。投与の経路および部位は、ターゲティングを増強するように選択され得る。
【0223】
iRNAは、好ましくは皮下に、すなわち、皮下注射によって投与される。所望の用量のiRNAを対象に送達するために、1回または複数回の注射を使用してもよい。一定期間にわたって、注射を反復してもよい。
【0224】
投与を定期的に反復し得る。特定の実施形態では、iRNAは、約1か月に一回~約四半期に一回、すなわち約3か月毎、または約四半期に一回~約年に二回、すなわち約6か月毎に一回投与される。特定の実施形態では、iRNAは、月一回投与される。他の実施形態では、iRNAは、3か月毎、または四半期に一回投与される。さらに別の実施形態では、iRNAは、6か月に一回または年に二回投与される。
【0225】
本発明のdsRNA剤は、「裸の」形態で、または「遊離dsRNA剤」として投与され得る。裸のdsRNA剤は、医薬組成物の不在下で投与される。裸のdsRNA剤は、適切な緩衝溶液中にあってもよい。該緩衝溶液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、またはリン酸塩、またはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。一実施形態では、緩衝溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。dsRNA剤を含有する緩衝溶液のpHおよび浸透圧は、対象への投与に好適であるように調整され得る。
【0226】
あるいは、本発明のiRNAは、医薬組成物として、例えばdsRNAリポソーム製剤として、投与され得る。RNAi剤は、非緩衝溶液中の医薬組成物として投与され得る。非緩衝溶液は、生理食塩水または水を含み得る。あるいは、RNAi剤は、緩衝溶液中の医薬組成物として投与されてもよい。緩衝溶液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、またはリン酸塩、またはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。一実施形態では、緩衝溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0227】
AGT遺伝子発現の阻害から利益を得るであろう対象は、AGT関連疾患もしくは障害、例えば、高血圧、例えば、高血圧症になりやすいか、またはそれを有すると診断された対象である。対象は、少なくとも130、135、140、145、150、155、もしくは160mmHgの収縮期血圧、または少なくとも80、85、90、95、100、105、110mmHgの拡張期血圧を有し得る。対象は、食塩感受性になりやすいか、過体重、肥満、妊娠、または妊娠計画中であり得る。対象は、2型糖尿病、1型糖尿病を有し得るか、または腎機能低下を有し得る。
【0228】
方法は、高血圧症の治療のための追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。併用療法として使用するための例示的な治療薬としては、以下に限定されるわけではないが、利尿剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、ベータ遮断薬、血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断薬、アルドステロンアンタゴニスト、アルファ2-アゴニスト、レニン阻害剤、アルファ遮断薬、末梢作用性アドレナリン作動薬、選択性D1受容体部分作動薬、非選択性アルファアドレナリン遮断薬、合成物、ステロイド性鉱質コルチコイド受容体拮抗薬、前述のいずれかの組み合わせ、ならびに薬剤の組み合わせとして製剤化された高血圧症治療薬が挙げられる。一部の実施形態では、追加の治療薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、例えば、ロサルタン、バルサルタン、オルメサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、およびアジルサルタンを含む。
【0229】
一部の実施形態では、追加の治療薬は、高血圧症治療薬を含む。一部の実施形態では、高血圧症治療薬は、オルメサルタン、アムロジピン、およびインダパミドからなる群から選択される。一部の実施形態では、方法は、約600mgの固定用量の本発明の二本鎖RNAi剤、例えば、AD-85481、ならびにオルメサルタン、アムロジピン、およびインダパミドからなる群から選択される高血圧症治療薬を対象に投与することを含む。
【0230】
一部の実施形態では、方法は、対象に、約600mgの固定用量のAD-85481、およびオルメサルタンを投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象に、約600mgの固定用量のAD-85481、およびアムロジピンを投与することを含む。一部の実施形態では、方法は、対象に、約600mgの固定用量のAD-85481、およびインダパミドを投与することを含む。
【0231】
本発明の方法によるiRNAの投与は、AGT関連障害、例えば高血圧、例えば高血圧症の予防または治療をもたらし得る。様々なタイプの高血圧の診断基準を以下に提供する。
【0232】
III.高血圧症の診断基準、危険因子、および治療
近年、高血圧症の予防および治療に関するガイドラインが改定された。広範囲にわたる報告が、Reboussin et al. (Systematic Review for the 2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines. J Am Coll Cardiol. 2017 Nov 7. pii: S0735-1097(17)41517-8. doi: 10.1016/j.jacc.2017.11.004.)およびWhelton et al. (2017 ACC/AHA/AAPA/ABC/ACPM/AGS/APhA/ASH/ASPC/NMA/PCNA Guideline for the Prevention, Detection, Evaluation, and Management of High Blood Pressure in Adults: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Task Force on Clinical Practice Guidelines. J Am Coll Cardiol. 2017 Nov 7. pii: S0735-1097(17)41519-1. doi: 10.1016/j.jacc.2017.11.006.)により発表された。この新しいガイドラインのいくつかの要点を以下に示す。しかしながら、このガイドラインは、本出願の出願時の高血圧症の診断およびモニタリング基準ならびに治療に関する当業者の知識を提供するものとして理解されるべきであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0233】
A.診断基準
血圧の高さと心血管疾患リスクの増加との間には連続的な関連性が存在するが、臨床的および公衆衛生上の意思決定のために血圧レベルを分類することは有用である。血圧は、以下の表に示すように、医療現場で測定された平均血圧(診察室血圧)に基づいて、正常、高値、およびステージ1または2の高血圧症の4つのレベルに分類することができる(Whelton et al.,2017より)。
【表1】
【0234】
血圧は、2回以上で取得された2以上の注意深い読取値の平均に基づく血圧を示す。注意深い血圧読取値を得るためのベストプラクティスはWhelton et al.,2017に詳述されており、当該技術分野で公知である。
【0235】
この分類は、JNC7の報告(Chobanian et al; the National High Blood Pressure Education Program Coordinating Committee. Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure. Hypertension. 2003;42:1206-52)で以前に推奨されたものとは異なり、ここでステージ1の高血圧症は、収縮期血圧(SBP)130~139または拡張期血圧80~89mmHgと定義され、本文書のステージ2の高血圧症は、JNC7の報告の中のステージ1および2に対応する。この分類の設定根拠は、SBP/DBPと心血管疾患リスクとの間の相関に関する観察データ、血圧を低下させるための生活習慣の修正の無作為化臨床試験、および心血管疾患を予防するための降圧薬による治療の無作為化臨床試験に基づく。
【0236】
ステージ2の高血圧症を有する成人における心血管疾患のリスクの増加は十分に確立されている。正常な血圧から高値血圧およびステージ1高血圧症にかけて、次第に高くなる心血管疾患リスクの勾配を報告している個々の研究および観察データのメタ分析の数が増加している。これらのメタ分析の多くでは、冠動脈心疾患および脳卒中のハザード比は、SBP/DBPが120~129/80~84mmHgと120/80mmHg未満との比較で1.1~1.5であり、SBP/DBPが130~139/85~89mmHgと120/80mmHg未満との比較で1.5~2.0であった。このリスク勾配は、性別および人種/民族で定義されたサブグループで一貫していた。高齢者では、高血圧に伴う心血管疾患リスクの相対的な増加は減弱したが、依然として存在した。高値血圧、ならびにステージ1および2の高血圧症を有する個体には、生活様式の修正および薬理学的降圧治療が推奨される。血圧が治療によって正常化されない場合でも、高値血圧のステージの低減により、臨床的有用性を得ることができる。
【0237】
B.危険因子
高血圧症は、遺伝学、生活習慣、食生活、および二次的危険因子を含むがこれに限定されない、因子の組み合わせから生じる複雑な疾患である。高血圧症は、妊娠とも関連し得る。高血圧症のこの複雑な性質のため、高血圧症の治療には複数の介入が必要とされ得ることが理解される。さらに、食生活および生活習慣の修正を含む非薬理学的な介入は、高血圧症の予防および治療に有用であり得る。さらに、介入は、個体の血圧を完全に正常化しなくても、臨床的有用性を提供し得る。
【0238】
1.遺伝的危険因子
糖質コルチコイド反応性アルドステロン症、リドル症候群、ゴードン症候群、および単一遺伝子変異が高血圧症の病態生理を完全に説明しているその他のものなど、いくつかの単一遺伝子形態の高血圧症が特定されているが、これらの障害は稀である。血圧および高血圧症に寄与する既知の遺伝的バリアントの現在の表には、25を超える希少変異および120を超える一塩基多型が含まれる。しかしながら、一部の個体においては遺伝的因子が高血圧症に寄与している可能性があるものの、遺伝的変異は、血圧変動の約3.5%を説明するのみであると推定される。
【0239】
2.食生活およびアルコール摂取
高血圧症につながる一般的な環境的および生活習慣上の危険因子には、不適切な食事、不十分な身体活動、および過剰なアルコール摂取が含まれる。これらの因子は過体重または肥満につながり、高血圧症を発症または悪化させる可能性をさらに高める可能性がある。血圧の上昇は、ウエスト・ヒップ比またはその他の中央脂肪分布の尺度の増加とさらに強く相関する。若い時期の肥満および継続的な肥満は、その後の高血圧症と強く相関する。正常な体重を達成することで、高血圧を発症するリスクを、肥満になったことがない人と同程度まで低減させることができる。
【0240】
ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの摂取も、血圧に有意な効果を有し得る。ナトリウム摂取量は血圧と正に相関し、加齢に伴う血圧の上昇の大部分を占める。特定の群は、黒人および高齢者(65歳以上)、ならびにより高いレベルの血圧、または慢性腎臓病、糖尿病、もしくはメタボリックシンドロームなどの併存疾患を有する群を含む他の群よりも、ナトリウム消費量の増加に対してより感受性が高い。全体として、これらの群は米国の全ての成人の半分超を構成する。食塩感受性は、血圧とは無関係に、心血管疾患および全死因死亡率の増加のマーカーであり得る。現在、食塩感受性を認識する技術は、臨床現場において実用的ではない。したがって、食塩感受性は、群の特性として考慮するのが最善である。
【0241】
カリウム摂取量は血圧および脳卒中と負の相関があり、カリウムのレベルが高いほど、血圧に対するナトリウムの効果が鈍くなるようである。より低いナトリウム-カリウム比は、対応するナトリウムまたはカリウムそれ自体のレベルに対して記録される血圧よりも低い血圧と関連する。心血管疾患のリスクでも同様の観察がなされている。
【0242】
アルコール消費は、長い間、高血圧と関連づけられている。米国では、アルコール消費は高血圧症の人口負担の約10%を占め、負担は女性よりも男性で大きいと推定されている。
【0243】
食生活またはアルコール消費の変化が、高血圧症の予防または治療の一態様であり得ることが理解される。
【0244】
3.身体活動
身体活動/体力と血圧レベルとの間には負の相関があることが十分に確立されている。中程度の身体活動レベルであっても、高血圧症の減少に有益であることが実証されている。
【0245】
身体活動の増加が、高血圧症の予防または治療の一態様であり得ることが理解される。
【0246】
4.二次的危険因子
二次性高血圧症は、血圧の重度の上昇、薬理学的に抵抗性の高血圧症、高血圧症の突然の発症、薬物療法で以前管理されていた高血圧症を有する患者の血圧上昇、高齢者の拡張期高血圧症の発症、および高血圧症の持続期間または重症度に不釣り合いな標的臓器損傷の根底にあり得る。二次性高血圧症は、高値血圧を伴う若年患者(30歳未満)で疑われるべきであるが、原発性高血圧症が若年者、特に黒人において現れることはまれではなく、また、腎血管性疾患などの二次性高血圧症のいくつかの形態は、高齢(65歳以上)ではより一般的である。二次性高血圧症の原因の多くは、特定の障害を示唆する臨床的所見または所見群と強く関連している。このような場合、基礎疾患の治療により、高血圧症の治療に典型的に使用される薬剤を投与することなく、高値血圧の所見を解決し得る。
【0247】
5.妊娠
妊娠は高血圧の危険因子であり、妊娠中の高血圧は、後の心血管疾患および高血圧症の危険因子である。妊娠関連高血圧症に関する報告書が、2013年にAmerican College of Obstetrics and Gynecology (ACOG)から公開された(American College of Obstetricians and Gynecologists, Task Force on Hypertension in Pregnancy. Hypertension in pregnancy. Report of the American College of Obstetricians and Gynecologists’ Task Force on Hypertension in Pregnancy. Obstet Gynecol. 2013;122:1122-31)。報告書の要点を以下に示す。しかしながら、この報告書は、本出願の出願時の妊娠中の高血圧症の診断およびモニタリング基準ならびに治療に関する当業者の知識を提供するものとして理解されるべきであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0248】
妊娠高血圧腎症の診断基準を、以下の表に提供する(ACOG報告書の表1、2013年)。
【表2】
【0249】
ACE阻害薬およびARBを含む一般的に使用される降圧薬の多くが、胎児に有害である可能性があるために、妊娠中に禁忌であることから、妊娠中の血圧管理は複雑である。妊娠中の降圧治療の目標には、重度高血圧症の予防と、胎児が分娩前に成熟する時間を増やすための在胎期間の延長可能性とが含まれる。妊娠に関連する重度高血圧症の治療のレビューでは、特定の薬剤を推奨するためのエビデンスが不十分であることが見出された。むしろ、この状況では臨床医の経験が推奨される(Duley L, Meher S, Jones L. Drugs for treatment of very high blood pressure during pregnancy. Cochrane Database Syst Rev. 2013;7:CD001449.)。
【0250】
C.治療
高血圧の治療は、しばしば腎機能低下を含む他の併存疾患を伴うことが多く、対象がその治療を受けている場合もあるため、複雑である。高血圧を有する成人を管理する臨床医は、患者の全体的な健康に焦点を当てるべきであり、特に、将来の有害な心血管疾患の転帰のリスクを低減することに重点を置くべきである。全ての患者の危険因子は、包括的な非薬理学的および薬理学的戦略により統合的に管理される必要がある。患者の血圧および将来の心血管疾患事象のリスクが増加するにつれて、血圧管理が強化されるべきである。
【0251】
血圧レベルのみに基づいて血圧低下薬を用いる高血圧の治療は、費用効果が高いと考えられるが、このような治療の指針として絶対的な心血管疾患リスクと血圧レベルとを組み合わせて使用することは、血圧レベルのみを使用するよりも、心血管性疾患のリスクを低減するのに効率的かつ費用対効果が高い。単一の薬剤で開始された多くの患者は、その後、血圧の目標を達成するために、異なる薬理学的クラスから2種以上の薬物を必要とする。各薬剤の薬理学的作用機序に関する知識が重要である。相補的な活性を有する薬物レジメンでは、最初の薬剤に対する代償反応を遮断するために、または異なる昇圧機構に影響を与えるために、第二の降圧剤が使用され、相加的な血圧低下をもたらし得る。例えば、チアジド利尿薬は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を刺激し得る。ACE阻害薬またはARBをチアジドに添加することによって、相加的な血圧低下効果を得ることができる。併用療法の使用は、アドヒアランスも改善し得る。降圧薬療法には、利用可能な2種および3種固定用量薬物の組み合わせが数種類あり、成分間には相補的な作用機序を有する。
【0252】
経口降圧薬を列挙したWhelton et al.2017の表18を以下に提供する。高血圧の治療のための治療薬のクラス、およびそのクラスに含まれる薬剤が提供される。用量範囲、頻度、および備考も提供される。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0253】
IV.本発明の方法で使用するためのiRNA剤の送達
本発明の方法で使用するための、細胞、例えばヒト対象(例えば、AGT関連障害、例えば、高血圧症を有する対象などの、それを必要とする対象)などの対象内の細胞へのiRNA剤の送達は、いくつかの異なる方法で達成され得る。例えば、送達は、細胞をインビトロまたはインビボのいずれかで本発明のiRNAと接触させることによって実施され得る。インビボでの送達はまた、iRNA、例えば、dsRNA、を含む組成物を対象に投与することによって直接的に実施され得る。あるいは、インビボでの送達は、iRNAをコードしてその発現を誘導する1つまたは複数のベクターを投与することによって間接的に実施し得る。これら選択肢は、下記においてさらに説明される。
【0254】
概して、核酸分子を送達(インビトロまたはインビボで)する任意の方法は、本発明のiRNAで使用するのに適合させることができる(例えば、Akhtar S. and Julian RL. (1992) Trends Cell. Biol. 2(5):139-144および国際公開第94/02595号を参照。これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)。インビボでの送達の場合、iRNA分子を送達するために考慮するファクターとしては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的な影響の防止、および標的組織内での送達される分子の蓄積が挙げられる。iRNAの非特異的効果は、局所投与によって、例えば組織への直接注入もしくは移植または調製物の局所投与によって最小限に抑えることができる。処置部位への局所投与は、薬剤の局所濃度を最大化して、さもなくば薬剤によって害され得るかまたは薬剤を分解し得る全身組織への薬剤の曝露を制限し、投与しようとするiRNA分子のより少ない投与総量を可能にする。いくつかの研究では、iRNAが局所的に投与された場合の、遺伝子産物のノックダウンの成功が示されている。例えば、カニクイザルにおける硝子体内への注入によるVEGF dsRNAの眼内送達(Tolentino,MJ.et al.,(2004)Retina 24:132-138)およびマウスにおける網膜下への注入(Reich,SJ.et al.(2003)Mol.Vis.9:210-216)がいずれも、加齢黄斑変性症の実験モデルにおいて、新生血管形成を予防することを示した。加えて、マウスにおけるdsRNAの直接の腫瘍内注入が、腫瘍体積を減少させ(Pille,J.,et al.(2005)Mol.Ther.11:267-274)、また腫瘍を有するマウスの生存を長引かせることができる(Kim,WJ.,et al.,(2006)Mol.Ther.14:343-350、Li,S.,et al.,(2007)Mol.Ther.15:515-523)。RNA干渉は、直接注入によるCNSへの局所送達によって成功することがわかっており(Dorn, G., et al. (2004) Nucleic Acids 32:e49; Tan, PH., et al (2005) Gene Ther. 12:59-66; Makimura, H., et al (2002) BMC Neurosci. 3:18; Shishkina, GT., et al (2004) Neuroscience 129:521-528; Thakker, ER., et al (2004) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 101:17270-17275; Akaneya,Y., et al (2005) J. Neurophysiol. 93:594-602)、また肺に対しては鼻腔内投与によって成功することがわかっている(Howard, KA., et al (2006) Mol. Ther. 14:476-484; Zhang, X., et al (2004) J. Biol. Chem. 279:10677-10684; Bitko, V., et al (2005) Nat. Med. 11:50-55)。疾患の処置のためにiRNAを全身投与する場合、RNAを修飾するか、または代替として、薬物送達システムを使用して送達することができ、いずれの方法も、インビボでのエンドヌクレアーゼおよびエクソヌクレアーゼによってdsRNAの急速な分解を防ぐように機能する。RNAまたは医薬担体の修飾もまた、iRNA組成物の標的組織への標的化を可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避させることができる。iRNA分子は、細胞取込みを強化し、分解を防止するために、例えばコレステロールなどの親油性基への化学コンジュゲーションによって修飾され得る。例えば、親油性コレステロール部分にコンジュゲートさせたApoBへと誘導されるiRNAは、マウスに全身的に注射されたところ、結果として肝臓および空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを生じた(Soutschek, J., et al (2004) Nature 432:173-178)。アプタマーへのiRNAのコンジュゲーションは、前立腺がんのマウスモデルにおいて腫瘍の成長を阻害し、腫瘍縮小を媒介することが分かっている(McNamara, JO., et al (2006) Nat. Biotechnol. 24:1005-1015)。代替的な実施形態では、iRNAは、例えばナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、またはカチオン性送達系などである薬剤送達システムを使用して送達可能である。正に荷電したカチオン性の送達系は、iRNA分子(負に荷電した)の結合を促進し、また負に荷電した細胞膜での相互作用も高め、それにより細胞によるiRNAの効率的な取込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、またはポリマーは、iRNAに結合することができるか、またはiRNAを封入するベシクルまたはミセルを形成するように誘導することができる(例えば、Kim SH., et al (2008) Journal of Controlled Release 129(2):107-116を参照)。小胞またはミセルの形成はさらに、全身投与したときのiRNAの分解を防止する。カチオン性のiRNA複合体を作製および投与する方法は、十分に当業者の能力の範囲内である(例えば、Sorensen, DR., et al (2003) J. Mol. Biol 327:761-766; Verma, UN., et al (2003) Clin. Cancer Res. 9:1291-1300; Arnold, AS et al (2007) J. Hypertens. 25:197-205を参照されたく、これらは参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen, DR., et al (2003)、同上、Verma, UN, et al., (2003)、同上)、オリゴフェクタミン、「固体核酸脂質粒子(solid nucleic acid lipid particle)」(Zimmermann, TS, et al., (2006) Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien, PY, et al., (2005) Cancer Gene Ther. 12:321-328; Pal, A, et al.,(2005) Int J. Oncol. 26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME, et al., (2008) Pharm. Res. Aug 16 Epub ahead of print、Aigner, A. (2006) J. Biomed. Biotechnol. 71659)、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド(Liu, S. (2006) Mol. Pharm. 3:472-487)、およびポリアミドアミン(Tomalia, DA, et al.,(2007) Biochem. Soc. Trans. 35:61-67、Yoo, H., et al., (1999) Pharm. Res. 16:1799-1804)が挙げられる。一部の実施形態では、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンと複合体を形成する。投与の方法およびiRNAとシクロデキストリンとによる医薬組成物は、米国特許第7,427,605号に見ることができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0255】
A.本発明の方法で使用するためのベクターコード化iRNA
【0256】
AGT遺伝子を標的とするiRNAは、DNAベクターまたはRNAベクターに挿入された転写ユニットから発現され得る(例えば、Couture, A, et al., TIG. (1996), 12:5-10、Skillern, A, et al.、PCT国際公開第00/22113号、Conrad、PCT国際公開第00/22114号、およびConrad、米国特許第6,054,299号を参照されたい)。発現は、使用される特定の構築物および標的組織または細胞型に応じて、一過性的(数時間から数週間のオーダー)または持続的(数週間から数か月またはそれ以上)であり得る。これら導入遺伝子は、直鎖状の構築物、環状プラスミド、または統合ベクターもしくは非統合ベクターであり得るウイルスベクターとして導入することができる。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継代されることを可能にするように構築することもできる(Gassmann, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92:1292)。
【0257】
iRNAの個々の鎖は、発現ベクター上のプロモーターから転写することができる。2つの別々の鎖が、例えば、dsRNAを生成するように発現される場合、2つの別々の発現ベクターを、標的細胞内に同時導入することができる(例えば、トランスフェクションまたは感染によって)。あるいはdsRNAのそれぞれ個別の鎖を、それらのいずれもが同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写することができる。一実施形態では、dsRNAは、dsRNAがステム-アンド-ループ構造を有するようにリンカーポリヌクレオチド配列によって連結された逆方向反復ポリヌクレオチドとして発現される。
【0258】
iRNA発現ベクターは、概して、DNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核細胞に適合性がある発現ベクター、好ましくは脊椎動物細胞に対して適合性がある発現ベクターを使用することにより、本明細書において記載するiRNAの発現のための組換え構築物を産生することができる。真核細胞発現ベクターは、当該技術分野で周知であり、多数の商業的供給源から入手可能である。典型的には、このようなベクターは、所望の核酸セグメントの挿入のための便利な制限部位を含有して提供される。iRNA発現ベクターの送達は、例えば静脈内または筋肉内投与によって、患者から取り出された標的細胞への投与とその後の患者への再導入によって、または所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段によって、全身的になされ得る。
【0259】
iRNA発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えば、オリゴフェクタミン)または非カチオン性脂質系担体(例えば、Transit-TKO(商標))との複合体として標的細胞にトランスフェクトされ得る。一週間以上にわたって標的RNAの異なる領域を標的とするiRNA介在性ノックダウンのための複数の脂質トランスフェクションも、本発明により企図される。宿主細胞へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を使用してモニタリングすることができる。例えば、一過性トランスフェクションは、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光マーカーなどのレポーターを用いてシグナル伝達することができる。エクスビボでの細胞の安定なトランスフェクションは、ハイグロマイシンB耐性などの特定の環境因子(例えば、抗生物質および薬物)に対する耐性をトランスフェクト細胞に提供するマーカーを使用して確保することができる。
【0260】
本明細書において記載する方法および組成物と共に用いることができるウイルスベクターシステムとしては、これらに限定されるものではないが、(a)アデノウイルスベクター、(b)レトロウイルスベクター、例えばこれに限定されるものではないが、レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなど、(c)アデノ随伴ウイルスベクター、(d)単純ヘルペスウイルスベクター、(e)SV40ベクター、(f)ポリオーマウイルスベクター、(g)パピローマウイルスベクター、(h)ピコルナウイルスベクター、(i)ポックスウイルスベクター、例えばオルソポックスなどであり、例えば、ワクシニアウイルスベクターなど、またはトリポックスであり、例えば、カナリアポックスもしくは鶏痘など、ならびに(j)ヘルパー依存性アデノウイルスまたはガットレス(gutless)アデノウイルスが挙げられる。複製欠損ウイルスもまた有利であり得る。異なるベクターは、細胞のゲノムの中に組み込まれるようになるかまたは組み込まれるようにならないであろう。当該構築物は、所望の場合、トランスフェクションのためのウイルス配列を含めることができる。あるいは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター内に、例えば、EPVベクターおよびEBVベクター内に、組み込むことができる。iRNAの組換え発現のための構築物は、概して、標的細胞におけるiRNAの発現を確実にするために、調節要素を、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを、必要とするであろう。ベクターおよび構築物を検討するための他の態様を、以下でさらに述べる。
【0261】
iRNAの送達に有用なベクターには、所望の標的細胞または組織におけるiRNAの発現に十分な調節要素(プロモーター、エンハンサーなど)が含まれる。調整要素は、構成的または調整/誘導的発現のいずれかを提供するように選択され得る。
【0262】
iRNAの発現は、例えば、特定の生理学的調節因子、例えば、循環グルコースレベル、またはホルモンに感受性のある誘導性調節配列を使用することによって、正確に調節され得る(Docherty et al.,1994,FASEB J.8:20-24)。細胞または哺乳動物におけるdsRNA発現の制御に適したそのような誘導性発現系としては、例えば、エクジソンによる調節、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量体化の化学誘導物質、およびイソプロピル-ベータ-D1-チオガラクトピラノシド(IPTG)による調節が挙げられる。当業者であれば、iRNA導入遺伝子の意図される使用に基づいて、適切な調整/プロモーター配列を選択することができるであろう。
【0263】
iRNAをコードする核酸配列を含有するウイルスベクターが使用され得る。例えば、レトロウイルスベクターを使用することができる(Miller et al., Meth. Enzymol. 217:581-599 (1993)参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正しいパッケージングおよび宿主細胞DNAへの統合に必要な構成要素を含有する。iRNAをコードする核酸配列は、1つまたは複数のベクターにクローニングされ、これは患者への核酸の送達を促進する。レトロウイルスベクターについてのより詳細は、例えば、幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、mdr1遺伝子を造血幹細胞に送達するためのレトロウイルスベクターの使用を記載する、Boesen et al.,Biotherapy 6:291-302(1994)に見出すことができる。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を示す他の参考文献は、以下のとおりである: Clowes et al., J. Clin. Invest. 93:644-651 (1994); Kiem et al., Blood 83:1467-1473 (1994); Salmons and Gunzberg, Human Gene Therapy 4:129-141 (1993); および Grossman and Wilson, Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3:110-114 (1993)。使用が企図されるレンチウイルスベクターとしては、例えば、米国特許第6,143,520号、第5,665,557号、および第5,981,276号に記載されるHIVベースのベクターが挙げられ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0264】
アデノウイルスも、本発明のiRNAの送達における使用が企図される。アデノウイルスは、特に、例えば、呼吸上皮に遺伝子を送達するための魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、軽度の疾患を引き起こす呼吸上皮に自然に感染する。アデノウイルスベースの送達系の他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染することができるという利点を有する。Kozarsky and Wilson, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503 (1993)は、アデノウイルスベースの遺伝子療法のレビューを提示している。Bout et al., Human Gene Therapy 5:3-10 (1994) は、アデノウイルスベクターを使用して、アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を移すことを実証した。遺伝子療法におけるアデノウイルスの使用の他の例は、Rosenfeld et al., Science 252:431-434 (1991); Rosenfeld et al., Cell 68:143-155 (1992); Mastrangeli et al., J. Clin. Invest. 91:225-234 (1993); PCT Publication WO94/12649; and Wang, et al., Gene Therapy 2:775-783 (1995)に見出される。本発明で特徴づけられるiRNAを発現するための好適なAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、およびベクターを標的細胞に送達するための方法は、Xia H et al. (2002), Nat. Biotech. 20: 1006-1010に記載される。
【0265】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使用して、本発明のiRNAを送達することもできる(Walsh et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289-300(1993);米国特許第5,436,146号)。一実施形態では、iRNAは、例えば、U6またはH1 RNAプロモーター、またはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組み換えAAVベクターから、2つの別個の相補的な一本鎖RNA分子として発現させることができる。本発明で特徴付けられるdsRNAを発現するための好適なAAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、およびベクターを標的細胞に送達するための方法は、Samulski R et al. (1987), J. Virol. 61: 3096-3101; Fisher K J et al. (1996), J. Virol, 70: 520-532; Samulski R et al. (1989), J. Virol. 63: 3822-3826;米国特許 第5,252,479;米国特許 第5,139,941号、国際特許出願第94/13788号、および国際特許出願第 93/24641号に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0266】
本発明のiRNAの送達に適した別のウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば改変ウイルスアンカラ(MVA)またはNYVACなどの弱毒化ワクシニア、鶏痘またはカナリア痘ウイルスなどの鳥ポックス、などのポックスウイルスである。
【0267】
ウイルスベクターの指向性は、ベクターをエンベロープタンパク質または他のウイルス由来の表面抗原でシュードタイピングすることによって、または必要に応じて異なるウイルスキャプシドタンパク質を置換することによって、改変することができる。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病、エボラ、モコラなどの表面タンパク質でシュードタイプ化することができる。AAVベクターは、異なるキャプシドタンパク質血清型を発現するようにベクターを操作することによって、異なる細胞を標的とするように作製することができる、例えば、Rabinowitz J E et al. (2002), J Virol 76:791-801を参照、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0268】
ベクターの医薬調製物は、許容可能な希釈剤中にベクターを含むことができ、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれた徐放性マトリクスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターは、レトロウイルスベクターなどの組換え細胞から完全な状態で産生され、医薬調製物は、遺伝子送達システムを生成する1つまたは複数の細胞を含むことができる。
【0269】
V.本発明の方法で使用するための二本鎖iRNA剤
本発明の方法で使用するのに適した二本鎖RNAi剤は、AGT遺伝子の発現で形成されるmRNAの少なくとも一部に対して相補的である相補的領域を有するアンチセンス鎖を含む。相補性領域は、長さが約19~30ヌクレオチド(例えば、長さが約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、または19ヌクレオチド)である。iRNAは、AGT遺伝子を発現する細胞と接触させると、AGT遺伝子(例えば、ヒト、霊長類、非霊長類、またはラットのAGT遺伝子)の発現を少なくとも50%阻害するが、これは例えばPCRまたは分枝DNA(bDNA)による方法によって、またはタンパク質による方法、例えば免疫蛍光分析などによって、例えばウエスタンブロット法またはフローサイトメトリー技術を使用して、検定した場合である。好ましい実施形態では、発現の阻害は、実施例、特に、その中に提供される適切な生物細胞株中で10nMの濃度でのsiRNAを用いた、PCT出願第PCT/US2019/032150号の実施例2に提供されるqPCR方法によって決定される。好ましい実施形態では、インビボでの発現の阻害は、例えばRNA発現の最低値では3mg/kgで、単回投与として投与した場合に、ヒト遺伝子を発現するげっ歯類、例えばヒト標的遺伝子を発現するマウスまたはAAV感染マウスにおいて、ヒト遺伝子をノックダウンすることによって決定される。肝臓におけるRNA発現は、PCT出願第PCT/US2019/032150号の実施例2に提供されるPCR法を使用して判定される。
【0270】
dsRNAは、2本のRNA鎖を含み、それらは、相補的であり、またdsRNAが使用されることとなる条件下においてハイブリダイズして二重鎖構造を形成する。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列に対して、実質的に相補的であり、また概して完全に相補的である、相補性領域を含む。標的配列は、AGT遺伝子の発現中に形成されたmRNAの配列から得られ得る。もう一方の鎖(センス鎖)は、アンチセンス鎖に対して相補的である領域を含むため、当該2本の鎖は、好適な条件下で組み合わされた場合に、ハイブリダイズして二重鎖構造を形成する。本明細書の他の箇所で説明され、また当技術分野で公知であるように、dsRNAの相補配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上に存在するのに対して、単一の核酸分子の自己相補領域として含有され得る。
【0271】
概して、二重鎖構造は、19~30塩基対の長さである。同様に、標的配列に対する相補性領域は、長さが19~30ヌクレオチドである。
【0272】
一部の実施形態では、dsRNAは、長さが約19~約23ヌクレオチド、または長さが約25~約30ヌクレオチドである。概して、dsRNAは、Dicer酵素のための基質として機能するのに十分に長い。例えば、長さが約21~23ヌクレオチドより長いdsRNAが、Dicerのための基質として機能することができることは、当技術分野において周知である。当業者も認識することとなるように、切断のために標的とされるRNAの領域は、ほとんどの場合、より長いRNA分子、多くの場合mRNA分子の一部である。関連する場合、mRNA標的の「一部」は、RNAi依存性切断(すなわち、RISC経路を経る切断)のための基質となることを可能にさせるのに十分な長さのmRNA標的の連続する配列である。
【0273】
当業者であれば、二重鎖領域が、dsRNAの主要な機能性部分であり、例えば約19~約30塩基対、例えばabout 19-30, 19-29, 19-28, 19-27, 19-26, 19-25, 19-24, 19-23, 19-22, 19-21, 19-20, 20-30, 20-29, 20-28, 20-27, 20-26, 20-25, 20-24,20-23, 20-22, 20-21, 21-30, 21-29, 21-28, 21-27, 21-26, 21-25, 21-24, 21~23または21~22塩基対の二重鎖領域であることも認識するであろう。特定の実施形態では、二重鎖領域は、19~21塩基対である。すなわち、一実施形態では、切断のために所望のRNAを標的とする、例えば、15~30塩基対の機能性二重鎖へとプロセシングされる限り、30超の塩基対の二重鎖領域を有するRNA分子またはRNA分子の複合体は、dsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態では、miRNAがdsRNAであることを認識するであろう。別の実施形態では、dsRNAは、天然に生じるmiRNAではない。別の実施形態では、AGT遺伝子発現を標的とするのに有用なiRNA剤は、より大きなdsRNAの切断により標的細胞中で生成されない。
【0274】
本明細書において記載するdsRNAは、1または複数の一本鎖のヌクレオチドオーバーハングをさらに含み得、例えば1~4、2~4、1~3、2~3、1、2、3、または4ヌクレオチドである。少なくとも1のヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、それらの平滑末端の相手方と比較して、優れた阻害特性を有し得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドなどであるヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含み得るかまたは該類似体からなり得る。オーバーハングは、センス鎖上、アンチセンス鎖上、またはそれらのいずれかの組み合わせ上にあり得る。さらに、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖またはセンス鎖の5’末端、3’末端、または両末端上に存在し得る。
【0275】
オーバーハングは、一方の鎖がもう一方よりも長い結果、または同一の長さの2本の鎖がねじれている結果であり得る。このオーバーハングは、標的mRNAとミスマッチを形成し得る、または標的とする遺伝子配列に対して相補的であり得る、または別の配列であり得る。第一および第二の鎖を、例えば、ヘアピンを形成する追加の塩基によって、または他の非塩基リンカーによって、連結することもできる。
【0276】
一実施形態では、RNAi剤のオーバーハング領域内のヌクレオチドは、それぞれ独立して、例えば、2-F、2’-O-メチルの、チミジン(T)、2`-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン(Teo)、2`-O-メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2`-O-メトキシエチル-5-メチルシチジン(m5Ceo)、およびこれらの任意の組み合わせを含む、修飾された2’-糖を含むが、これに限定されない、修飾または未修飾のヌクレオチドであり得る。例えばTTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のためのオーバーハング配列であり得る。このオーバーハングは、標的mRNAとミスマッチを形成し得る、または標的とする遺伝子配列に対して相補的であり得る、または別の配列であり得る。
【0277】
RNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の5’-または3’-オーバーハングは、リン酸化され得る。一部の実施形態では、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチドの間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含有し、当該2つのヌクレオチドは、同一であり得るか、または異なり得る。一実施形態では、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の3’末端に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングは、アンチセンス鎖内に存在する。一実施形態では、この3’-オーバーハングは、センス鎖内に存在する。
【0278】
RNAi剤は、その安定性全体に影響を及ぼすことなくRNAiの干渉活性を強化できる単一のオーバーハングのみを含有し得る。例えば、一本鎖オーバーハングは、センス鎖の3’末端に、あるいはアンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiはまた、アンチセンス鎖の5’末端(またはセンス鎖の3’末端)に位置する平滑末端を有してもよく、または逆も同様である。概して、RNAiのアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、そして5’末端は平滑である。理論に拘束されることを望むものではないが、こうしたアンチセンス鎖の5’末端にある平滑末端とアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングとが非対称であることが、RISCプロセスへのガイド鎖挿入に好都合である。
【0279】
一部の実施形態では、本発明の方法で使用するための二本鎖RNAi剤は、修飾されていない。他の実施形態では、本発明の方法で使用するための二本鎖RNAi剤は、修飾されており、例えば、インビボでの標的遺伝子(すなわち、AGT遺伝子)の発現を阻害することができる化学修飾、または薬剤の安定性もしくは他の有益な特徴を強化することができる化学修飾を含む。一部の実施形態では、二本鎖RNAi剤は、熱的不安定化ヌクレオチド修飾を含む。
【0280】
以下でより詳細に述べるように、本発明の特定の態様では、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全てが修飾される。本発明の他の実施形態では、本発明のiRNAのヌクレオチドの全てが修飾されている。「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾されている」本発明のiRNAは、全体ではないが大部分が修飾されており、5、4、3、2、または1つ以下の非修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0281】
dsNAは、当技術分野で公知の標準的な方法で合成することができる。本発明の二本鎖RNAi化合物は、二段階手法を使用して調製され得る。最初に、二本鎖RNA分子の個々の鎖が、別個に調製される。次いで、当該構成要素の鎖がアニーリングされる。siRNA化合物の個々の鎖は、溶液相または固相の有機合成またはその両方を使用して調製することができる。有機合成は、非天然のヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖を容易に調製することができるという利点を提供する。同様に、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、溶液相または固相の有機合成またはその両方を使用して調製することができる。
【0282】
VI.本発明の修飾iRNA
特定の実施形態では、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、未修飾であり、また例えば、当技術分野において公知で本明細書に記載の化学修飾またはコンジュゲーションを含まない。他の実施形態では、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、安定性または他の有益な特徴を増強するように化学修飾される。本発明の特定の実施形態では、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全てが修飾される。本発明の他の実施形態では、iRNAのヌクレオチドの全て、またはiRNAのヌクレオチドの実質的に全てが修飾され、すなわち5以下、4以下、3以下、2以下、または1以下の未修飾ヌクレオチドがiRNAの鎖内に存在する。
【0283】
本発明において取り上げる核酸は、参照によってその全文が本明細書に組み込まれる、例えば「Current protocols in nucleic acid chemistry」, Beaucage, S.L. et al (Edrs.), John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, USA、に記載された方法などによって合成または修飾することが可能であり、当該文献は参照により本明細書に組み込まれる。修飾としては、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲーション、逆方向連結)または3’末端修飾(コンジュゲーション、DNAヌクレオチド、逆方向連結など)や、塩基修飾、例えば、安定化塩基、不安定化塩基、もしくは伸長したレパートリーのパートナーと塩基対合する塩基での置換、塩基除去(脱塩基ヌクレオチド)もしくはコンジュゲートされた塩基や、糖修飾(例えば、2’位または4’位における)もしくは糖の置換や、またはホスホジエステル連結の修飾もしくは置換をはじめとする骨格修飾が挙げられる。本明細書において記載する実施形態において有用なiRNA化合物の具体例としては、これに限定されないが、修飾された骨格を含有する、または非天然のヌクレオシド間連結を含有するRNAが挙げられる。修飾骨格を有するRNAとしては、中でも、骨格内にリン原子を有しないものが挙げられる。本明細書の目的上、時には当技術分野で言及されるように、そのヌクレオシド間骨格内にリン原子を有さない修飾RNAもまた、オリゴヌクレオシドであるとみなされ得る。一部の実施形態では、修飾iRNAは、そのヌクレオシド間骨格内にリン原子を有することとなる。
【0284】
修飾RNA骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルのホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに通常の3’-5’連結を有するボラノホスフェート、これらの2’-5’連結類似体、およびヌクレオシド単位の隣接する対が連結された3’-5’と5’-3’または2’-5’と5’-2’であるものである反転した極性を有するものが挙げられる。様々な塩、例えば、ナトリウム塩、混合塩および遊離酸の形態も挙げられる。
【0285】
上記したリン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許としては、以下に限定されないが、米国特許第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,195号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,316号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、第5,625,050号、第6,028,188号、第6,124,445号、第6,160,109号、第6,169,170号、第6,172,209号、第6,239,265号、第6,277,603号、第6,326,199号、第6,346,614号、第6,444,423号、第6,531,590号、第6,534,639号、第6,608,035号、第6,683,167号、第6,858,715号、第6,867,294号、第6,878,805号、第7,015,315号、第7,041,816号、第7,273,933号、第7,321,029号および米国特許第RE39464号が挙げられ、このそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0286】
骨格内にリン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルのヌクレオシド間連結または1もしくは複数の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環のヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ連結を有するもの(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格、スルホネートおよびスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびにN、O、SおよびCH2の混合した構成要素部分を有する他のものが挙げられる。
【0287】
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、米国特許第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,64,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、および第5,677,439号が挙げられ、このそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0288】
ヌクレオチド単位の、糖およびヌクレオシド間連結の両方が、すなわち、その骨格が、新規の基と置換されている、本明細書で提供するiRNAにおいて使用するのに好適なRNA模倣体が考察される。この塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。RNA模倣体が優れたハイブリダイゼーション特性を有するとわかっているものである1つのこのようなオリゴマー化合物は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物においては、RNAの糖骨格は、アミド含有骨格で、特にアミノエチルグリシン骨格で置換されている。核酸塩基が、保持されて、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されないが、米国特許第5,539,082号、第5,714,331号および第5,719,262号が挙げられ、このそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明のiRNAにおける使用に好適であるさらなるPNA化合物は、例えばNielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500に記載されている。
【0289】
本発明で取り上げる一部の実施形態には、ホスホロチオエート骨格をもつRNAおよびヘテロ原子骨格をもつオリゴヌクレオシドが挙げられ、特に上記で参照した米国特許第5,489,677号の、--CH2--NH--CH2-、--CH2--N(CH3)--O--CH2--(メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られる)、--CH2--O--N(CH3)--CH2--、--CH2--N(CH3)--N(CH3)--CH2--、および--N(CH3)--CH2--CH2--(天然のホスホジエステル骨格を--O--P--O--CH2--として表す)、および上記で参照した米国特許第5,602,240号のアミド骨格、が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書において取り上げるRNAは、上記で参照した米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有する。
【0290】
修飾RNAはまた、1つまたは複数の置換された糖部分を含有し得る。本明細書において取り上げられるiRNA、例えば、dsRNAは、2’位に以下のうちの1つを含み得る:OH、F、O-、S-またはN-アルキル、O-、S-またはN-アルケニル、O-、S-またはN-アルキニル、またはO-アルキル-O-アルキルであって、式中アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換されたまたは非置換のC1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニルおよびアルキニルであり得る。例示的な好適な修飾としては、O[(CH2)nO] mCH3、O(CH2).nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2) nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2が挙げられ、式中、nおよびmは、1~約10である。他の実施形態では、dsRNAは、2’位において以下のうちの1つを含む:C1~C10低級アルキル、置換された低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、干渉物質、iRNAの薬物動態特性を改善するための基またはiRNAの薬力学的特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。一部の実施形態では、修飾は、2’-メトキシエトキシ(2’-O--CH2CH2OCH3、2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても知られる)(Martin et al., Helv. Chim. Acta, 1995, 78:486-504)、すなわちアルコキシ-アルコキシ基、が挙げられる。別の例示的な修飾には、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、本明細書において以下の実施例において記載されるような、2’-DMAOEとしても知られる、O(CH2)2ON(CH3)2基、および2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野で2’-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’-DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’-O--CH2--O--CH2--N(CH2)2、がある。さらなる例示的な修飾としては、5’-Me-2’-Fヌクレオチド、5’-Me-2’-OMeヌクレオチド、5’-Me-2’-デオキシヌクレオチド、(これら3つのファミリー内のRおよびS異性体の両方)、2’-アルコキシアルキル、および2’-NMA(N-メチルアセトアミド)が挙げられる。
【0291】
他の修飾としては、2’-メトキシ(2’-OCH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)および2’-フルオロ(2’-F)が挙げられる。同様の修飾はまた、iRNAのRNA上の他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上または2’-5’結合dsRNA中の糖の3’位および5’末端ヌクレオチドの5’位においてもなされ得る。iRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有し得る。
【0292】
iRNAはまた、核酸塩基(当技術分野では単に「塩基」と称することも多い)の修飾または置換を含み得る。本明細書において使用する場合、「未修飾の(修飾されていない)」または「天然の」核酸塩基としては、プリン塩基のアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が挙げられる。修飾核酸塩基としては、他の合成核酸塩基および天然核酸塩基が挙げられ、例えばデオキシチミン(dT)、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよび他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニルウラシルおよびシトシン、6-アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよび他の8-置換のアデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよび他の5-置換のウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニンならびに3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンなどである。さらなる核酸塩基としては、米国特許第 3,687,808号に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry, Biotechnology and Medicine, Herdewijn, P. ed. Wiley-VCH, 2008に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. L, ed. John Wiley & Sons, 1990に開示されるもの、Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613に開示されるもの、およびSanghvi, Y S., Chapter 15, dsRNA Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., Ed., CRC Press, 1993に開示されるもの、が挙げられる。これら核酸塩基のうちの一部は、特に本発明で取り上げるオリゴマー化合物の結合親和性を増大するのに有用である。これらには、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンを含む、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンおよびN-2、N-6および0~6置換プリンが挙げられる。5-メチルシトシン置換は、核酸の二重鎖安定性を0.6~1.2℃高めることが示されており(Sanghvi, Y. S., Crooke, S. T. and Lebleu, B., Eds., dsRNA Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, pp. 276-278)、特に2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合には、さらに例示的な塩基置換である。
【0293】
上述の修飾核酸塩基ならびに他の修飾核酸塩基の一部の調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されるものではないが、上述の米国特許第3,687,808号、第4,845,205号、第5,130,30号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、第5,681,941号、第5,750,692号、第6,015,886号、第6,147,200号、第6,166,197号、第6,222,025号、第6,235,887号、第6,380,368号、第6,528,640号、第6,639,062号、第6,617,438号、第7,045,610号、第7,427,672号および第7,495,088号が挙げられ、それら各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0294】
iRNAのRNAはまた、1つまたは複数のロック核酸(LNA)を含むように修飾できる。ロック核酸は、リボース部分が2’および4’炭素を接続する追加の架橋を含むものである、修飾リボース部分を有するヌクレオチドである。この構造は、3’-endo構造立体配座内にリボースを効率的に「ロックする」。siRNAへのロック核酸の付加により、血清中でのsiRNA安定性が増大し、オフターゲット効果が低減するとわかっている(Elmen, J. et al., (2005) Nucleic Acids Research 33(1):439-447、Mook, OR. et al., (2007) Mol Canc Ther 6(3):833-843、Grunweller, A. et al., (2003) Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。
【0295】
ロック核酸ヌクレオチドの調製を教示するさらなる代表的な米国特許としては、限定するものではないが、米国特許第6,268,490号、同第6,670,461号、同第6,794,499号、同第6,998,484号、同第7,053,207号、同第7,084,125号、および同第7,399,845号が挙げられ、これらの各々の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0296】
一部の実施形態では、iRNAのRNAはまた、1つまたは複数の二環式糖部分を含むように修飾されてもよい。「二環式の糖」は、2つの原子を架橋することによって修飾されたフラノース環である。「二環式のヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の二つの炭素原子を接続し、それによって二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドである。特定の実施形態では、架橋が、糖環の4’-炭素と2’-炭素を接続する。したがって、一部の実施形態では、本発明の剤は、1つまたは複数のロック核酸(LNA)を含み得る。ロック核酸は、リボース部分が2’および4’炭素を接続する追加の架橋を含むものである、修飾リボース部分を有するヌクレオチドである。言い換えれば、LNAは、4’-CH2-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、3’-endo構造立体配座内にリボースを効率的に「ロックする」。siRNAへのロック核酸の付加により、血清中でのsiRNA安定性が増大し、オフターゲット効果が低減するとわかっている(Elmen, J. et al., (2005) Nucleic Acids Research 33(1):439-447、Mook, OR. et al., (2007) Mol Canc Ther 6(3):833-843、Grunweller, A. et al., (2003) Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。本発明のポリヌクレオチドで使用するための二環式ヌクレオシドの例としては、これに限定するものではないが、4’および2’のリボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。特定の実施形態では、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤としては、4’から2’への架橋を含む1または複数の二環式ヌクレオシドが挙げられる。かかる4’から2’の架橋された二環式ヌクレオシドの例としては、これに限定するものではないが、4’-(CH2)-O-2’(LNA)、4’-(CH2)-S-2’、4’-(CH2)2-O-2’(ENA)、4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束されたエチル」または「cEt」とも称される)および4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(およびその類似体、例えば米国特許第7,399,845号を参照)、4’-C(CH3)(CH3)-O-2’(およびその類似体、例えば米国特許第8,278,283号を参照)、4’-CH2-N(OCH3)-2’(およびその類似体、例えば米国特許第8,278,425号を参照)、4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば米国特許出願公開第2004/0171570号を参照)、4’-CH2-N(R)-O-2’であって式中RはH、C1~C12アルキルまたは保護基(例えば米国特許第7,427,672号を参照)、4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えばChattopadhyaya et al., J. Org. Chem., 2009, 74, 118-134を参照)、および4’-CH2-C(=CH2)-2’(およびその類似体、例えば米国特許第8,278,426号を参照)、が挙げられる。
【0297】
例えばα-L-リボフラノースおよびβ-D-リボフラノースをはじめとする1または複数の立体化学的な糖立体配座を有する前述の二環式ヌクレオシドのいずれもが、調製可能である(国際公開第99/14226号を参照)。
【0298】
iRNAのRNAはまた、1つまたは複数の拘束されたエチルヌクレオチドを含むように修飾され得る。本明細書において使用される場合、「拘束されたエチルヌクレオチド」または「cEt」は、4’-CH(CH3)-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むロック核酸である。一実施形態においては、拘束されたエチルヌクレオチドは、S立体配座であり、本明細書において「S-cEt」と称する。
【0299】
本発明のiRNAはまた、1つまたは複数の「立体配座的に制限されたヌクレオチド」(「CRN」)を含み得る。CRNは、リボースのC2’炭素およびC4’炭素を、またはリボースのC3炭素および-C5’炭素を接続するリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を安定な立体配座にロックして、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性を増大する。リンカーは、酸素を安定性および親和性にとって最適な位置に配置するのに十分な長さのものであり、その結果、リボース環のパッカリングを減少させる。
【0300】
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、UNA(アンロック核酸)ヌクレオチドである1つまたは複数のモノマーを含む。UNAは、アンロック非環式核酸であり、その糖の結合のいずれもが除去されていて、アンロック「糖」残基を形成しているものである。一実施例では、UNAはまた、C1’-C4’間の結合が除去されているモノマーも包含する(すなわち、C1’炭素とC4’炭素との間の共有結合による炭素-酸素-炭素間結合)。別の実施例では、糖のC2’-C3’結合(すなわち、C2’炭素とC3’炭素との間の共有結合による炭素-炭素間結合)が除去されている(Nuc. Acids Symp. Series, 52, 133-134 (2008)およびFluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0301】
RNA分子の末端に対する安定化修飾として可能性があるものとしては、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-0-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3’’-ホスフェート、逆位塩基(inverted base)dT(idT)およびその他などが挙げられ得る。この修飾の開示内容は、PCT国際公開第2011/005861号に見ることができる。
【0302】
本発明のiRNAのヌクレオチドの他の修飾としては、5’ホスフェートまたは5’ホスフェート模倣体、例えば、iRNAのアンチセンス鎖上の5’末端ホスフェートまたはホスフェート模倣体、が挙げられる。好適なホスフェート模倣体は、例えば米国特許出願公開第2012/0157511号に開示されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0303】
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明の特定の態様においては、本発明の二本鎖RNA剤としては、例えば国際公開第2013/075035号において開示されるような化学修飾を有する剤が挙げられ、当該公報は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。国際公開第2013/075035号は、特に切断部位またはその近傍において、dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖内への3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフを提供する。一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、別様に完全に修飾され得る。これらモチーフの導入は、存在する場合にはセンス鎖またはアンチセンス鎖の修飾パターンを中断する。このdsRNAi剤は、随意に、例えばセンス鎖上で、GalNAc誘導体リガンドとコンジュゲートし得る。
【0304】
より具体的には、二本鎖RNA剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖が、dsRNAi剤の少なくとも一方の鎖の切断部位またはその近傍において、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾のうちの1つまたは複数のモチーフを有するように完全に修飾された場合に、dsRNAi剤の遺伝子サイレンシング活性が観察された。
【0305】
したがって、本発明は、インビボで標的遺伝子(すなわち、AGT遺伝子)の発現を阻害可能な二本鎖RNA剤を提供する。このRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む。RNAi剤の各鎖は、例えば、長さが17~30ヌクレオチド、長さが25~30ヌクレオチド、長さが27~30ヌクレオチド、長さが19~25ヌクレオチド、長さが19~23ヌクレオチド、長さが19~21ヌクレオチド、長さが21~25ヌクレオチド、または長さが21~23ヌクレオチドであり得る。
【0306】
センス鎖およびアンチセンス鎖は、典型的には、本明細書において「dsRNAi剤」とも称する二重鎖の二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成する。dsRNAi剤の二重鎖領域は、例えば、長さが27~30ヌクレオチド対、長さが19~25ヌクレオチド対、長さが19~23ヌクレオチド対、長さが19~21ヌクレオチド対、長さが21~25ヌクレオチド対、または長さが21~23ヌクレオチド対とすることができる二重鎖領域であり得る。別の実施例では、二重鎖領域は、長さが19、20、21、22、23、24、25、26および27ヌクレオチドから選択される。
【0307】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、一方の鎖または両鎖の3’末端、5’末端または両末端において1つまたは複数のオーバーハング領域またはキャッピング基を含有し得る。オーバーハングは、独立的に、長さが1~6ヌクレオチド、例えば2~6ヌクレオチドの長さ、1~5ヌクレオチドの長さ、2~5ヌクレオチドの長さ、1~4ヌクレオチドの長さ、2~4ヌクレオチドの長さ、1~3ヌクレオチドの長さ、2~3ヌクレオチドの長さ、または1~2ヌクレオチドの長さであり得る。特定の実施形態では、オーバーハング領域は、上述のように、伸長したオーバーハング領域を含み得る。オーバーハングは、一方の鎖がもう一方よりも長い結果、または同一の長さの2本の鎖がねじれている結果であり得る。このオーバーハングは、標的mRNAとミスマッチを形成し得る、または標的とする遺伝子配列に対して相補的であり得る、または別の配列であり得る。第一および第二の鎖を、例えば、ヘアピンを形成する追加の塩基によって、または他の非塩基リンカーによって、連結することもできる。
【0308】
特定の実施形態では、dsRNAi剤のオーバーハング領域内のヌクレオチドは、それぞれ独立して、例えば、2’-F、2’-O-メチルの、チミジン(T)、2`-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン(Teo)、2`-O-メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2`-O-メトキシエチル-5-メチルシチジン(m5Ceo)、およびこれらの任意の組み合わせを含む、2’-糖修飾を含むが、これに限定されない、修飾または未修飾のヌクレオチドであり得る。例えばTTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のためのオーバーハング配列であり得る。このオーバーハングは、標的mRNAとミスマッチを形成し得る、または標的とする遺伝子配列に対して相補的であり得る、または別の配列であり得る。
【0309】
dsRNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の5’-または3’-のオーバーハングは、リン酸化され得る。一部の実施形態では、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチドの間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含有し、当該2つのヌクレオチドは、同一であり得るか、または異なり得る。一部の実施形態では、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の3’末端に存在する。一部の実施形態では、この3’-オーバーハングは、アンチセンス鎖内に存在する。一部の実施形態では、この3’-オーバーハングは、センス鎖内に存在する。
【0310】
dsRNAi剤は、その全体的な安定性に影響を及ぼすことなく、RNAiの干渉活性を強化することができる単一のオーバーハングのみを含有し得る。例えば、一本鎖のオーバーハングは、センス鎖の3’末端に、あるいはアンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiはまた、アンチセンス鎖の5’末端(またはセンス鎖の3’末端)に位置する平滑末端を有してもよく、または逆も同様である。概して、dsRNAi剤のアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、また5’末端は平滑である。理論に拘束されることを望むものではないが、こうしたアンチセンス鎖の5’末端にある平滑末端とアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングとが非対称であることが、RISCプロセスへのガイド鎖挿入に好都合である。
【0311】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、長さが19ヌクレオチドで両末端が平滑末端(bluntmer)であるものであり、センス鎖が、5’末端から7、8、9位において3つの連続するヌクレオチド上に3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11、12、13位において3つの連続するヌクレオチド上に3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0312】
他の実施形態では、dsRNAi剤は、長さが20ヌクレオチドで両末端が平滑末端であるものであり、センス鎖が、5’末端から8、9、10位において3つの連続するヌクレオチド上の3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11、12、13位において3つの連続するヌクレオチド上に3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0313】
さらに他の実施形態では、dsRNAi剤は、長さが21ヌクレオチドで両末端が平滑末端であるものであり、センス鎖が、5’末端から9、10、11位において3つの連続するヌクレオチド上の3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。アンチセンス鎖は、5’末端から11、12、13位において3つの連続するヌクレオチド上に3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0314】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、21ヌクレオチドのセンス鎖および23ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含むものであり、センス鎖が、5’末端から9、10、11位において3つの連続するヌクレオチド上の3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含有し、アンチセンス鎖が、5’末端から11、12、13位において3つの連続するヌクレオチド上の3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有し、RNAi剤の一方の末端が平滑であり、もう一方の末端が2ヌクレオチドのオーバーハングを含む。好ましくは、2ヌクレオチドのオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にある。
【0315】
2ヌクレオチドのオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある場合には、末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結があり得るものであり、該3つのヌクレオチドのうち2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、3番目のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合したヌクレオチドである。一実施形態では、RNAi剤は、さらに、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方において末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を有する。特定の実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含むdsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖内の全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。特定の実施形態では、各残基は独立に、例えば、交互モチーフで、2’-O-メチルまたは3’-フルオロで修飾されている。随意に、dsRNAi剤は、リガンド(例えば、GalNAc3)をさらに含む。
【0316】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、長さが25~30ヌクレオチド残基であり、5’末端ヌクレオチド(1位)から開始して、第一の鎖の1位~23位が、少なくとも8リボヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖は、長さが36~66ヌクレオチド残基であり、また3’末端ヌクレオチドから開始して、センス鎖の1~23位と対合した位置において少なくとも8リボヌクレオチドを含んで二重鎖を形成し、アンチセンス鎖の少なくとも3’末端ヌクレオチドは、センス鎖と対合せず、また最大6の連続する3’末端ヌクレオチドはセンス鎖と対合せず、それによって1~6ヌクレオチドの3’単一鎖のオーバーハングを形成し、アンチセンス鎖の5’末端は、センス鎖と対合しない10~30の連続するヌクレオチドを含み、それによって10~30ヌクレオチドの単一鎖の5’オーバーハングを形成し、少なくともセンス鎖5’末端および3’末端ヌクレオチドは、センス鎖およびアンチセンス鎖が最大の相補性で整列する場合にアンチセンス鎖のヌクレオチドと塩基対合し、それによってセンス鎖およびアンチセンス鎖間に実質的に二重鎖の領域を形成し、またアンチセンス鎖は、二本鎖核酸が哺乳動物細胞に導入されたときに標的遺伝子発現を低減させるのに十分、アンチセンス鎖長の少なくとも19リボヌクレオチドに沿って標的RNAに対して相補的であり、またセンス鎖は、3つの連続するヌクレオチド上に3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、モチーフのうちの少なくとも1つは、切断部位またはその近傍において生じる。アンチセンス鎖は、切断部位においてまたはその近傍で3つの連続するヌクレオチド上の3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含有する。
【0317】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、該dsRNAi剤は、少なくとも25ヌクレオチドであり最大でも29ヌクレオチドの長さを有する第一の鎖、および5’末端から11、12、13位において3つの連続するヌクレオチド上の3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフをもつ最大でも30ヌクレオチドの長さを有する第二の鎖を含み、第一の鎖の3’末端および第二の鎖の5’末端は平滑末端を形成し、また第二の鎖は、その3’末端において第一の鎖よりも1~4ヌクレオチド長く、二重鎖領域は長さが少なくとも25ヌクレオチドであり、第二の鎖は、RNAi剤が哺乳動物細胞に導入されたときに標的遺伝子発現を低減するように、第二の鎖の長さ少なくとも19ヌクレオチドに沿って標的mRNAに対して十分に相補的であり、またdsRNAi剤のDicer切断は、好ましくは第二の鎖の3’末端を含むsiRNAを結果として生じ、それによって哺乳動物において標的遺伝子の発現が低減する。随意に、dsRNAi剤は、リガンドをさらに含む。
【0318】
特定の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖は、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含有し、該モチーフのうち1つは、センス鎖中の切断部位において生じる。
【0319】
特定の実施形態では、dsRNAi剤のアンチセンス鎖はまた、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含有することができるものであり、当該モチーフのうち1つが、アンチセンス鎖内の切断部位においてまたはその近傍で生じる。
【0320】
長さが19~23ヌクレオチドである二重鎖領域を有するdsRNAi剤については、アンチセンス鎖の切断部位は通常、5’末端からおよそ10、11および12位にある。したがって、3つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の、9、10、11位、10、11、12位、11、12、13位、12、13、14位、または13、14、15位において生じ得、これら数字はアンチセンス鎖の5’末端から1つ目のヌクレオチドから開始するか、またはこれら数字はアンチセンス鎖の5’末端から二重鎖領域内の1つめの対合したヌクレオチドから開始する。アンチセンス鎖内の切断部位はまた、5’末端からのdsRNAi剤の二重鎖領域の長さに応じて変わり得る。
【0321】
dsRNAi剤のセンス鎖は、鎖の切断部位において3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含有し得、またアンチセンス鎖は、鎖の切断部位においてまたはその近傍において3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを有し得る。センス鎖およびアンチセンス鎖がdsRNA二重鎖を形成する場合には、センス鎖およびアンチセンス鎖は、センス鎖上の3つのヌクレオチドの1つのモチーフおよびアンチセンス鎖上の3つのヌクレオチドの1つのモチーフが、少なくとも1つのヌクレオチドオーバーラップを有するように、すなわち、センス鎖内のモチーフの3つのヌクレオチドの少なくとも1つが、アンチセンス鎖内のモチーフの3つのヌクレオチドの少なくとも1つと塩基対合を形成するように、整列され得る。あるいは、少なくとも2つのヌクレオチドが重複してもよく、または3つのヌクレオチドの全てが重複してもよい。
【0322】
一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖は、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含有し得る。第一のモチーフは、鎖の切断部位においてまたはその近傍に生じ得、またその他のモチーフが、ウイング修飾であり得る。本明細書において「ウイング修飾」という用語は、同一の鎖の切断部位においてまたはその近傍においてのモチーフから分離されている鎖の別の部分において生じるモチーフを指す。ウイング修飾は、第一のモチーフに隣接しているか、または少なくとも1つもしくは複数のヌクレオチドで分離されている。モチーフが互いにすぐ隣に隣接する場合には、モチーフの化学的性質は、互いに別個であり、またモチーフが1つまたは複数のヌクレオチドで分離されている場合には、その化学的性質は、同一であっても異なっていてもよい。2つ以上のウイング修飾が存在する場合もある。例えば、2つのウイング修飾が存在する場合には、各ウイング修飾は、切断部位またはその近傍において第一のモチーフに対して一方の末端において、またはリードモチーフのいずれかの側で生じ得る。
【0323】
センス鎖と同様に、dsRNAi剤のアンチセンス鎖は、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含有する場合があり、該モチーフの少なくとも1つは鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じる。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖上に存在し得るウイング修飾と同様のアラインメント内に1つまたは複数のウイング修飾を含有し得る。
【0324】
一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖上のウイング修飾は、典型的には、鎖の3’末端、5’末端または両末端において最初の1つまたは2つの末端ヌクレオチドを含まない。
【0325】
他の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖上のウイング修飾は、典型的には、鎖の3’末端、5’末端または両末端において二重鎖領域内の最初の1つまたは2つの対合したヌクレオチドを含まない。
【0326】
dsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖が各々、少なくとも1つのウイング修飾を含有する場合には、ウイング修飾は、二重鎖領域の同一末端に入り得、また1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複部分を有する。
【0327】
dsRNAi剤のセンス鎖またはアンチセンス鎖が各々、少なくとも2つのウイング修飾を含有する場合には、センス鎖およびアンチセンス鎖は、それぞれの一本鎖からの2つの修飾が、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複部分を有する二重鎖領域の一方の末端に入り、それぞれの一本鎖からの2つの修飾が、1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複部分を有する二重鎖領域のもう一方の末端に入り、それぞれの一本鎖からの2つの修飾が、二重鎖領域内の1つ、2つまたは3つのヌクレオチドの重複部分を有するリードモチーフの両側に入るように、整列され得る。
【0328】
一部の実施形態では、モチーフの一部であるヌクレオチドを含むdsRNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖内のどのヌクレオチドも、修飾され得る。各ヌクレオチドは、同一または異なる修飾で修飾され得、当該修飾としては、非連結ホスフェート酸素の一方もしくは両方の、または連結ホスフェート酸素の1つもしくは複数のうちの1つまたは複数の変更、リボース糖の構成成分の変更、例えば、リボース糖上の2’ヒドロキシルの変更、ホスフェート部分の「脱リン酸化」リンカーでの大規模な置換、天然に存在する塩基の修飾または置換、およびリボースホスフェート骨格の置換または修飾が挙げられ得る。
【0329】
核酸はサブユニットのポリマーであるので、修飾の多くは、核酸内で反復される位置で生じ、例えば、塩基またはホスフェート部分、またはホスフェート部分の非連結のOの修飾である。一部の場合においては、修飾は、核酸中の対象位置の全てにおいて生じることとなるが、多くの場合、生じることとならない。例として、修飾は、3’末端または5’末端の位置においてのみ生じ得、末端領域においてのみ生じ得、例えば、鎖の末端ヌクレオチド上の位置、または鎖の最後の2、3、4、5もしくは10ヌクレオチドにおいて生じ得る。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域または両方において生じ得る。修飾は、RNAの二本鎖領域内においてのみ生じ得、またはRNAの一本鎖領域内においてのみ生じ得る。例えば、非連結性O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方または両方の末端においてのみ生じ得、末端領域においてのみ生じ得、例えば、鎖の末端ヌクレオチド上の位置または鎖の最後の2、3、4、5もしくは10ヌクレオチド内において生じ得、または二本鎖内および一本鎖領域において、特に末端で、生じ得る。5’末端をリン酸化することが可能である。
【0330】
それにより、例えば、安定性を増強すること、オーバーハング内に特定の塩基を含めること、または一本鎖のオーバーハング内、例えば、5’オーバーハングもしくは3’オーバーハング内、または両オーバーハング内に、修飾ヌクレオチドもしくはヌクレオチド代替物を含めることが可能であり得る。例えば、オーバーハング内にプリンヌクレオチドを含めることが望ましいものであり得る。一部の実施形態では、3’オーバーハングまたは5’オーバーハング内の塩基の全てまたは一部が、例えば、本明細書において記載する修飾で修飾され得る。修飾は、例えば、当技術分野で公知である修飾でのリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりに修飾された、デオキシリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F)または2’-O-メチルの使用、およびホスフェート基における修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾、を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
【0331】
一部の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、LNA、CRN、cET、UNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、または2’-フルオロで独立的に修飾される。鎖は、2つ以上の修飾を含有し得る。一実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の各残基は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで独立的に修飾される。
【0332】
少なくとも2つの異なる修飾が、典型的には、センス鎖およびアンチセンス鎖上に存在する。それら2つの修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾などであり得る。
【0333】
特定の実施形態では、NaまたはNbは、交互パターンの修飾を含む。「交互モチーフ」という用語は、本明細書で使用する場合、1つまたは複数の修飾を有するモチーフを指し、各修飾が、一本鎖の交互ヌクレオチド上で生じる。交互ヌクレオチドとは、1つ置きのヌクレオチド毎に1つまたは3つのヌクレオチド毎に1つまたは類似のパターンを指し得る。例えばA、BおよびCが各々、ヌクレオチドに対する1タイプの修飾を表す場合、交互モチーフは、「ABABABABABAB…」、「AABBAABBAABB…」、「AABAABAABAAB…」、「AAABAAABAAAB…」、「AAABBBAAABBB…」または「ABCABCABCABC…」などであり得る。
【0334】
交互モチーフ内に含有されるこのタイプの修飾は、同一である場合も、異なっている場合もある。例えば、A、B、C、Dが各々、ヌクレオチド上の1タイプの修飾を表す場合、交互パターン、すなわち、1つ置きのヌクレオチド上の修飾は、同一であり得るが、センス鎖またはアンチセンス鎖の各々は、例えば「ABABAB…」、「ACACAC…」、「BDBDBD…」、または「CDCDCD…」などの交互モチーフの内のいくつかの可能性のある修飾から選択され得る。
【0335】
一部の実施形態では、本発明のdsRNAi剤は、アンチセンス鎖上の交互モチーフの修飾パターンに対して相対的にシフトされているセンス鎖上の交互モチーフの修飾パターンを含む。当該移動は、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なるように修飾された基に対応するようになされたものであり得、逆もまた同様である。例えば、センス鎖は、dsRNA二重鎖内のアンチセンス鎖と対合する場合、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へ「ABABAB」で開始し得、またアンチセンス鎖内の交互モチーフは、二重鎖領域内の鎖の5’から3’へ「BABABA」で開始し得る。別の例として、センス鎖内の交互モチーフは、鎖の5’から3’へ「AABBAABB」で開始し得、またアンチセンス鎖内の交互モチーフは、二重鎖領域内の鎖の5’から3’へ「BBAABBAA」で開始し得、その結果、センス鎖およびアンチセンス鎖間の修飾パターンの完全なシフトまたは部分的なシフトが存在するようになる。
【0336】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、センス鎖上の2’-O-メチル修飾と2’-F修飾の交互モチーフのパターンを含み、最初に、アンチセンス鎖上の2’-O-メチル修飾と2’-F修飾の交互モチーフのパターンに対して相対的なシフトを有し、すなわち、センス鎖の塩基対上の2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、アンチセンス鎖上の2’-F修飾ヌクレオチドを含み、その逆もまた同様である。センス鎖の1位は、2’-F修飾で開始し得、またアンチセンス鎖の1位は、2’-O-メチル修飾で開始し得る。
【0337】
センス鎖またはアンチセンス鎖への3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つまたは複数のモチーフの導入は、センス鎖またはアンチセンス鎖内に存在する最初の修飾パターンを中断する。センス鎖またはアンチセンス鎖への3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つまたは複数のモチーフを導入することによるセンス鎖またはアンチセンス鎖の修飾パターンの中断は、標的遺伝子に対する遺伝子サイレンシング活性を増強し得る。
【0338】
一部の実施形態では、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフが鎖のいずれかに導入される場合、該モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、そのモチーフの修飾とは異なる修飾である。例えば、モチーフを含有する配列の部分は、「…NaYYYNb…」であり、ここで「Y」は3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、また「Na」および「Nb」は、Yの修飾とは異なるモチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドに対する修飾を表し、NaおよびNbは同一または異なる修飾であり得る。あるいは、ウイング修飾が存在する場合、NaまたはNbは存在してもよく、または存在しなくてもよい。
【0339】
iRNAは、少なくとも1つのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結をさらに含み得る。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾は、鎖の任意の位置においてセンス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の任意のヌクレオチド上で生じ得る。例えば、ヌクレオチド間連結修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上の全てのヌクレオチド上でも生じ得、各ヌヌクレオチド間連結修飾は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上で交互パターンで生じ得、またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互パターンで両方のヌクレオチド間連結修飾を含み得る。センス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖と同一または異なり得、またセンス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンは、アンチセンス鎖上のヌクレオチド間連結修飾の交互パターンに対してシフトを有し得る。一実施形態では、二本鎖RNAi剤は、6~8のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、5’末端において2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結と、3’末端において2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結とを含み、またセンス鎖は、5’末端または3’末端のいずれかに少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。
【0340】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、オーバーハング領域内にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結を有する2つのヌクレオチドを含有し得る。ヌクレオチド間連結修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを二重鎖領域内の末端の対合したヌクレオチドと連結するようになされ得る。例えば、少なくとも2、3、4または全てのオーバーハングヌクレオチドは、ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結によって連結され得、随意に、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドと隣接する対合したヌクレオチドと連結するさらなるホスホロチオエートまたはメチルホスホネートのヌクレオチド間連結が存在し得る。例えば、3つのヌクレオチドの2つがオーバーハングヌクレオチドであり、3番目が、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合したヌクレオチドである、末端の3つのヌクレオチド間に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在し得る。これら末端の3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、またはアンチセンス鎖の5’末端にあり得る。
【0341】
一部の実施形態では、2-ヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結が存在し、該3つのヌクレオチドの2つは、オーバーハングヌクレオチドであり、また3番目のヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合したヌクレオチドである。随意に、dsRNAi剤は、さらに、センス鎖の5’末端およびアンチセンス鎖の5’末端の両方において末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結を有し得る。
【0342】
一実施形態では、dsRNAi剤は、標的との、二重鎖内のミスマッチまたはその組み合わせを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域内または二重鎖領域内に生じ得る。塩基対は、解離または融解を促進するそれらがもつ傾向に基づいて格付けされ得る(例えば、特定の対合の会合または解離の自由エネルギーに基づくものであり、最も単純なアプローチとしては、個々の対ごとに対を調べることであるが、次に、隣接するまたは同様の分析も使用可能である)。解離の促進の点では、A:UはG:Cより好ましく、G:UはG:Cより好ましく、またI:CはG:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非標準の対合または標準以外の対合(本明細書において別の箇所に記載される)が、標準(A:T、A:U、G:C)の対合より好ましく、またユニバーサル塩基を含む対合が、標準の対合より好ましい。
【0343】
特定の実施形態では、dsRNAi剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立的に選択されるアンチセンス鎖の5’末端から二重鎖領域内の最初の1、2、3、4または5塩基対、および例えば、非標準の対合または標準以外の対合またはユニバーサル塩基を含む対合であるミスマッチ対のうちの少なくとも1つを含み、二重鎖の5’末端においてアンチセンス鎖の解離を促進する。
【0344】
特定の実施形態では、アンチセンス鎖内の5’末端から二重鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、UおよびdTから選択される。あるいは、アンチセンス鎖の5’末端から二重鎖領域内の最初の1、2または3の塩基対のうち少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端から二本鎖領域内の最初の塩基対は、AU塩基対である。
【0345】
他の実施形態では、センス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシチミン(dT)であるか、またはアンチセンス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシチミン(dT)である。例えば、デオキシチミンヌクレオチドの短配列、例えば2つのdTヌクレオチドが、センス鎖、アンチセンス鎖または両鎖の3’末端上に存在する。
【0346】
特定の実施形態では、センス鎖配列は、式(I):
5’ np-Na-(X X X )i-Nb-Y Y Y -Nb-(Z Z Z )j-Na-nq 3’ (I)
で表され得、
式中、
iおよびjは各々独立に、0または1であり、
pおよびqは各々独立に、0~6であり、
各Naは独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表すものであって、各配列は少なくとも2つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各Nbは独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
各npおよびnqは独立に、オーバーハングヌクレオチドを表すものであり、
式中、NbおよびYは、同一の修飾を有さず、ならびに
XXX、YYYおよびZZZは各々独立して、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す。好ましくは、YYYは、すべて2’-F修飾ヌクレオチドである。
【0347】
一部の実施形態では、NaまたはNbは、交互パターンの修飾を含む。
【0348】
一部の実施形態では、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じる。例えば、dsRNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二重鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じ得(例えば、6、7、8位、7、8、9位、8、9、10位、9、10、11位、10、11、12位、または11、12、13位において生じ得る)、この数字は、5’末端から、第一のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二重鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始する。
【0349】
一実施形態では、iは1であり、かつjは0であり、またはiは0であり、かつjは1であり、またはiおよびjの両方が1である。したがって、センス鎖は、以下の式:
5’ np-Na-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq 3’ (Ib)、
5’ np-Na-XXX-Nb-YYY-Na-nq 3’ (Ic)、または
5’ np-Na-XXX-Nb-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq 3’(Id)で表され得る。
【0350】
センス鎖が式(Ib)で表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは独立的に、2~20、2~15または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0351】
センス鎖が式(Ic)で表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは独立的に、2~20、2~15または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0352】
センス鎖が式(Id)で表される場合、各Nbは独立に、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5、または6である。各Naは独立して、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0353】
X、YおよびZの各々は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
【0354】
他の実施形態では、iは0であり、かつjは0であり、またセンス鎖は、式:
5’ np-Na-YYY- Na-nq 3’(Ia)で表され得る。
【0355】
センス鎖が、式(Ia)で表される場合、各Naは独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
【0356】
一実施形態では、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II):
5’ nq’-Na’-(Z’Z’Z’)k-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’-(X’X’X’)l-N’a-np’3’ (II)、で表され得、
式中、
kおよびlは各々独立に、0または1であり、
p’およびq’は各々独立に、0~6であり、
各Na’は独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表すものであり、各配列は、少なくとも2つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各Nb’は独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
各np’およびnq’は独立に、オーバーハングヌクレオチドを表し、
式中、Nb’およびY’は、同一の修飾を有さず、ならびに
X’X’X’、Y’Y’Y’およびZ’Z’Z’は各々独立的に、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す。
【0357】
一部の実施形態では、Na’またはNb’は、交互パターンの修飾を含む。
【0358】
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位においてまたはその近傍において生じる。例えば、dsRNAi剤が、17~23ヌクレオチドの長さの二本鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の9、10、11位、10、11、12位、11、12、13位、12、13、14位、または13、14、15位において生じ得、この数字は、5’末端から、最初のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二本鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始する。好ましくは、Y′Y′Y′モチーフは、11、12、13位で生じる。
【0359】
特定の実施形態では、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’-OMe修飾ヌクレオチドである。
【0360】
特定の実施形態では、kは1であり、かつlは0であるか、またはkは0であり、かつlは1であるか、またはkおよびlは両方とも1である。
【0361】
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式
5’ nq’-Na’-Z’Z’Z’-Nb’-Y’Y’Y’-Na’-np’ 3’ (IIb)、
5’ nq’-Na’-Y’Y’Y’-Nb’-X’X’X’-np’ 3’ (IIc)、または
5’ nq’-Na’- Z’Z’Z’-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’- X’X’X’-Na’-np’ 3’ (IId)で表され得る。
【0362】
アンチセンス鎖が、式(IIb)で表される場合、Nb
’は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0363】
アンチセンス鎖が、式(IIc)で表される場合、Nb’は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0364】
アンチセンス鎖が、式(IId)で表される場合、各Nb’は独立的に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5または6である。
【0365】
他の実施形態では、kは0であり、かつlは0であり、またアンチセンス鎖は、式
5’ np’-Na’-Y’Y’Y’- Na’-nq’ 3’ (Ia)で表され得る。
【0366】
アンチセンス鎖が、式(IIa)で表される場合、各Na’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
X’、Y’およびZ’の各々は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0367】
センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立的に、LNA、CRN、UNA、cEt、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-ヒドロキシルまたは2’-フルオロで独立的に修飾され得る。例えば、センス鎖およびアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、2’-O-メチルまたは2’-フルオロで独立的に修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’およびZ’は、特に2’-O-メチル修飾または2’-フルオロ修飾を表し得る。
【0368】
一部の実施形態では、dsRNAi剤のセンス鎖は、二重鎖領域が21nt(ヌクレオチド)である場合に鎖の9、10および11位において生じるYYYモチーフを含有し得、この数字は、5’末端から、最初のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二重鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始し、またYは、2’-F修飾を表す。センス鎖は、二重鎖領域の対向する側の末端においてウイング修飾としてXXXモチーフまたはZZZモチーフをさらに含有し得、またXXXおよびZZZは各々独立的に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
【0369】
一部の実施形態では、アンチセンス鎖は、鎖の11、12、13位において生じるY’Y’Y’モチーフを含有し得、この数字は、5’末端から、最初のヌクレオチドから開始し、または随意に、この数字は、5’末端から、二重鎖領域内の最初の対合したヌクレオチドにおいて開始し、またY’は、2’-O-メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二重鎖領域の対向する側の末端においてウイング修飾としてX’X’X’モチーフまたはZ’Z’Z’モチーフをさらに含有し得、またX’X’X’およびZ’Z’Z’は各々独立に、2’-OMe修飾または2’-F修飾を表す。
【0370】
上記の式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)のいずれか1つで表されるセンス鎖は、それぞれ式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId)のいずれか1つで表されるアンチセンス鎖と二重鎖を形成する。
【0371】
したがって、本発明の方法において使用するdsRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み得、各鎖は、14~30ヌクレオチドを有し、iRNA二重鎖は、以下の式(III):
センス: 5’ np -Na-(X X X)i -Nb- Y Y Y -Nb -(Z Z Z)j-Na-nq 3’
アンチセンス: 3’ np
’-Na
’-(X’X’X’)k-Nb
’-Y’Y’Y’-Nb
’-(Z’Z’Z’)l-Na
’-nq
’ 5’
(III)で表され、
式中、
i、j、kおよびlは各々独立に、0または1であり、
p、p’、qおよびq’は各々独立に、0~6であり、
各NaおよびNa
’は独立に、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列は、少なくとも2つの異なるように修飾されたヌクレオチドを含み、
各NbおよびNb
’は独立に、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、
式中、各np’、np、nq’およびnqは、それらの各々が、存在していても存在していなくてもよく、オーバーハングヌクレオチドを独立的に表し、
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’およびZ’Z’Z’は各々独立的に、3つの連続するヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す。
【0372】
一実施形態では、iは0であり、かつjは0であり、またはiは1であり、かつjは0であり、またはiは0であり、かつjは1であり、またはiおよびjは両方とも0であり、またはiおよびjは両方とも1である。別の実施形態では、kは0であり、かつlは0であり、またはkは1であり、かつlは0であり、kは0であり、かつlは1であり、またはkおよびlは両方とも0であり、またはkおよびlは両方とも1である。
【0373】
iRNA二重鎖を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖の例示的な組み合わせとしては、以下の式が挙げられる:
5’ np - Na -Y Y Y -Na-nq 3’
3’ np
’-Na
’-Y’Y’Y’-Na
’nq
’ 5’
(IIIa)
5’ np-Na-Y Y Y-Nb-Z Z Z-Na-nq 3’
3’ np
’-Na
’-Y’Y’Y’-Nb
’-Z’Z’Z’-Na
’nq
’ 5’
(IIIb)
5’ np-Na-X X X-Nb-Y Y Y-Na-nq 3’
3’ np
’-Na
’-X’X’X’-Nb
’-Y’Y’Y’-Na
’-nq
’ 5’
(IIIc)
5’ np-Na-X X X-Nb-Y Y Y-Nb-Z Z Z-Na-nq 3’
3’ np
’-Na
’-X’X’X’-Nb
’-Y’Y’Y’-Nb
’-Z’Z’Z’-Na-nq
’ 5’
(IIId)
【0374】
dsRNAi剤が式(IIIa)で表される場合、各Naは独立的に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0375】
dsRNAi剤が式(IIIb)で表される場合、各Nbは独立的に、1~10、1~7、1~5、または1~4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0376】
dsRNAi剤が式(IIIc)で表される場合、各Nb、Nb’は独立的に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
【0377】
dsRNAi剤が式(IIId)で表される場合、各Nb、Nb’は独立に、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2、または0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na、Na
’は独立に、2~20、2~15、または2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。Na、Na’、Nb、およびNb
’の各々は独立的に、交互パターンの修飾を含む。
【0378】
式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)の中のX、Y、およびZの各々は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0379】
dsRNAi剤が式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、および(IIId)で表される場合、Yヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、Y’ヌクレオチドのうちの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、少なくとも2つのYヌクレオチドが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し、または3つのYヌクレオチド全てが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0380】
dsRNAi剤が式(IIIb)または(IIId)で表される場合、Zヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、Z’ヌクレオチドのうちの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、少なくとも2つのZヌクレオチドが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し、または3つのZヌクレオチド全てが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0381】
dsRNAi剤が式(IIIc)または(IIId)で表される場合、Xヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、X’ヌクレオチドのうちの1つと塩基対を形成し得る。あるいは、Xヌクレオチドのうちの少なくとも2つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し、またはXヌクレオチドのうちの3つ全てが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
【0382】
特定の実施形態では、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾とは異なるか、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾とは異なるか、またはXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾とは異なる。
【0383】
特定の実施形態では、dsRNAi剤が式(IIId)で表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾である。他の実施形態では、RNAi剤が式(IIid)で表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、またnp’>0および少なくとも1つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結する。さらに他の実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)で表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0および少なくとも1つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結し、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカー(以下に記載する)を介して結合される1つまたは複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。他の実施形態では、RNAi剤が、式(IIId)で表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0および少なくとも1つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結し、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含み、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカーを介して結合される1つまたは複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
【0384】
一部の実施形態では、dsRNAi剤が、式(IIIa)で表される場合、Na修飾は、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ修飾であり、np’>0および少なくとも1つのnp’は、ホスホロチオエート連結を介して隣接するヌクレオチドに連結し、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含み、またセンス鎖は、二価または三価の分枝リンカーを介して結合される1つまたは複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
【0385】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)で表される少なくとも2つの二重鎖を含有する多量体であり、該二重鎖は、リンカーで接続される。該リンカーは、切断可能である場合も、切断可能でない場合もある。随意に、多量体は、リガンドをさらに含む。二重鎖の各々は、同一の遺伝子または2つの異なる遺伝子を標的にし得、または二重鎖の各々は、2つの異なる標的部位における同一の遺伝子を標的とし得る。
【0386】
一部の実施形態では、dsRNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)で表される3、4、5、6、またはそれ以上の二重鎖を含有する多量体であり、該二重鎖は、リンカーで接続される。該リンカーは、切断可能である場合も、切断可能でない場合もある。随意に、多量体は、リガンドをさらに含む。二重鎖の各々は、同一の遺伝子または2つの異なる遺伝子を標的にし得、または二重鎖の各々は、2つの異なる標的部位における同一の遺伝子を標的とし得る。
【0387】
一実施形態では、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)および(IIId)のうちの少なくとも1つで表される2つのdsRNAi剤は、5’末端において、また3’末端の一方または両方において、互いに連結され、随意に、リガンドにコンジュゲートされる。当該剤は各々、同一の遺伝子または2つの異なる遺伝子を標的とし得、または当該剤の各々は、2つの異なる標的部位において同一の遺伝子を標的にし得る。
【0388】
特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有する少数のヌクレオチド、例えば2’-フルオロ修飾を有する10以下のヌクレオチド、を含有し得る。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する10、9、8、7、6、5、4、3、2、1または0のヌクレオチドを含有し得る。特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する10ヌクレオチド、例えば、センス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する4ヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する6ヌクレオチド、を含有する。別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する6ヌクレオチド、例えば、センス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する4ヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する2ヌクレオチド、を含有する。
【0389】
他の実施形態では、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有する極めて少数のヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ修飾を含有する2以下のヌクレオチド、を含有し得る。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する2、1または0のヌクレオチドを含有し得る。特定の実施形態では、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する2ヌクレオチド、例えば、センス鎖内に2-フルオロ修飾を有する0ヌクレオチド、およびアンチセンス鎖内に2’-フルオロ修飾を有する2ヌクレオチド、を含有し得る。
【0390】
種々の公開公報には、本発明の方法において使用され得る多量体iRNAが記載されている。当該公開公報としては、国際公開第2007/091269号、米国特許第7,858,769号、国際公開第2010/141511号、国際公開第2007/117686号、国際公開第2009/014887号、および国際公開第2011/031520号が挙げられ、それら各々の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0391】
以下により詳細に記載するように、iRNAへの1つまたは複数の炭水化物部分のコンジュゲーションを含有するiRNAは、iRNAの1つまたは複数の特性を最適化できる。多くの場合、炭水化物部分は、iRNAの修飾サブユニットに結合することとなる。例えば、iRNAの1つまたは複数のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖を、別の部分で、例えば、炭水化物リガンドが結合する非炭水化物(好ましくは、環式の)の担体で置換することができる。該サブユニットのリボース糖がそのように置換されているリボヌクレオチドのサブユニットは、本明細書においては、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と称する。環式担体は、炭素環系であり得、すなわち、全ての環原子が炭素原子であるか、または複素環系であり得、すなわち、1つまたは複数の環原子が例えば、窒素、酸素、硫黄であるヘテロ原子であり得る。環式担体は、単環式環系であり得、または2つ以上の環、例えば、縮合環、を含有し得る。環式担体は、完全に飽和の環系であり得、または1つもしくは複数の二重結合を含有し得る。
【0392】
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合し得る。キャリアは、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは2つの「骨格結合点」と、(ii)少なくとも1つの「係留結合点」を含む。「骨格結合点」とは、本明細書で使用する場合、例えば、ヒドロキシル基である官能基を指し、または概して結合であって、リボ核酸の骨格、例えば、ホスフェート、もしくは例えば、硫黄含有である修飾ホスフェートの骨格である骨格内にキャリアを組み込むために利用可能であり好適である結合を指す。一部の実施形態における「係留結合点」(TAP)とは、選択された部分を接続する環式担体の構成環原子、例えば、炭素原子またはヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子とは別の)を指す。この部分は、例えば、炭水化物であり得、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖または多糖であり得る。随意に、選択部分は、介在する係留によって環式担体に接続される。したがって環式担体は、しばしば、例えば、アミノ基である官能基を含む、または概して結合であって、構成する環への、例えば、リガンドである別の化学的実体の組み込みもしくは係留に適している結合を提供することとなる。
【0393】
iRNAは、キャリアを介してリガンドにコンジュゲートされ得るものであり、キャリアは、環式基または非環式基であり得、好ましくは環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリルおよびデカリンから選択され、好ましくは非環式の基は、セリノール骨格またはジエタノールアミン骨格である。
【0394】
本発明の別の実施形態では、iRNA剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、各鎖は14~40ヌクレオチドを有する。RNAi剤は、以下の式(L)
【化5】
(L)、で表され得る。
式(L)中、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’は各々独立的に、2’-O-アルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、およびBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含有するヌクレオチドである。一実施形態では、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’はそれぞれ、2’-OMe修飾を含有する。一実施形態では、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’はそれぞれ、2’-OMe修飾または2’-F修飾を含有する。一実施形態では、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、およびB4’のうちの少なくとも1つは、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾を含有する。
【0395】
C1は、アンチセンス鎖のシード領域に対向する部位(すなわち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)に配置された熱的不安定化ヌクレオチドである。例えば、C1は、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位におけるヌクレオチドと対合するセンス鎖の位置にある。一実施例では、C1は、センス鎖の5’末端から15位にある。C1ヌクレオチドは、脱塩基修飾、二重鎖における対向するヌクレオチドとのミスマッチ、および糖修飾、例えば2’-デオキシ修飾または非環式ヌクレオチド、例えばアンロック核酸(UNA)またはグリセロール核酸(GNA)など、を含み得る熱的不安定化修飾を保持する。一実施形態では、C1は、i)アンチセンス鎖内の対向するヌクレオチドとのミスマッチ、ii)以下からなる群から選択される脱塩基修飾、
【化6】
、およびiii)以下からなる群から選択される糖修飾であって、
【化7】
式中、Bは、修飾または未修飾の核酸塩基であり、R
1およびR
2は独立に、H、ハロゲン、OR
3、またはアルキルであり、R
3はH、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または糖である糖修飾、からなる群から選択される熱的不安定化修飾を有する。一実施形態では、C1における熱的不安定化修飾は、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、およびU:Tからなる群から選択されるミスマッチであり、随意に、ミスマッチ対内の少なくとも1つの核酸塩基が、2’-デオキシ核酸塩基である。一実施例では、C1における熱的不安定化修飾は、GNAまたは
【化8】
である。
【0396】
T1、T1’、T2’、およびT3’はそれぞれ独立的に、2’-OMe修飾の立体的嵩高さと等しいかまたはそれ以下の立体的嵩高さをヌクレオチドに提供する修飾を含むヌクレオチドを表す。立体的嵩高さは、修飾の立体効果の総和を指す。ヌクレオチドの修飾の立体効果を決定する方法は、当業者に公知である。修飾は、ヌクレオチドのリボース糖の2’位にあり得る、または非リボースヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、もしくはリボース糖の2’位と類似もしくは同等であるヌクレオチドの骨格に対する修飾であり得、そしてヌクレオチドに、2’-OMe修飾の立体的嵩高さ以下の立体的嵩高さを提供する。例えば、T1、T1’、T2’、およびT3’は、それぞれ独立的に、DNA、RNA、LNA、2’-F、および2’-F-5’-メチルから選択される。一実施形態では、T1はDNAである。一実施形態では、T1’はDNA、RNA、またはLNAである。一実施形態では、T2’はDNA、またはRNAである。一実施形態では、T3’はDNA、またはRNAである。
n1、n3、およびq1は独立的に、4~15ヌクレオチドの長さである。
n5、q3、およびq7は独立的に、1~6ヌクレオチドの長さである。
n4、q2、およびq6は独立的に、1~3ヌクレオチドの長さであり、あるいはn4は0ヌクレオチドの長さである。
q5は独立的に、0~10ヌクレオチドの長さである。
n2、およびq4は独立的に、0~3ヌクレオチドの長さである。
【0397】
あるいは、n4は、0~3ヌクレオチドの長さである。
【0398】
一実施形態では、n4は、0であり得る。一実施例では、n4は0であり、またq2およびq6は1である。別の例では、n4は0であり、またq2およびq6は1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数える)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖(アンチセンス鎖の5’末端から数える)の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う。
【0399】
一実施形態では、n4、q2、およびq6はそれぞれ1である。
【0400】
一実施形態では、n2、n4、q2、q4、およびq6はそれぞれ1である。
【0401】
一実施形態では、C1は、センス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつn4が1であるとき、センス鎖の5’末端の14~17位にある。一実施形態では、C1は、センス鎖の5’末端の15位にある。
【0402】
一実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位において開始する。一実施例では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、またq6が1に等しい。
【0403】
一実施形態では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位において開始する。一実施例では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、またq2が1に等しい。
【0404】
例示的な実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位から開始し、またT1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位から開始する。一実施例では、T3’はアンチセンス鎖の5’末端から2位から開始し、またq6が1に等しく、またT1’はアンチセンス鎖の5’末端から14位から開始し、またq2が1に等しい。
【0405】
一実施形態では、T1’およびT3’は、11ヌクレオチドの長さ(すなわち、T1’およびT3’ヌクレオチドは数えない)だけ分離される。
【0406】
一実施形態では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にある。一実施例では、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、またq2が1に等しく、また非リボースの非環式または骨格における2’位にある修飾は、2’-OMeリボースよりも少ない立体的嵩高さである。
【0407】
一実施形態では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にある。一実施例では、T3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、またq6が1に等しく、また非リボースの非環式または骨格における2’位における修飾は、2’-OMeリボースよりも少ないまたは同等の立体的嵩高さである。
【0408】
一実施形態では、T1はセンス鎖の切断部位にある。一実施例では、T1は、センス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつn2が1であるとき、センス鎖の5’末端から11位にある。例示的な実施形態では、T1は、センス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつn2が1であるとき、センス鎖の5’末端から11位にあるセンス鎖の切断部位にある。
【0409】
一実施形態では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6位において開始する。一実施例では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6~10位にあり、またq4が1である。
【0410】
例示的な実施形態では、T1は、センス鎖の切断部位にあり、例えばセンス鎖が19~22ヌクレオチドの長さ、かつn2が1のとき、センス鎖の5’末端から11位にあり、T1’は、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、またq2が1に等しく、そしてT1’に対する修飾は、リボース糖の2’位、または2’-OMeリボースよりも立体的嵩高さが少ない非リボースの非環式または骨格内の位置にあり、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から6~10位にあり、またq4が1であり、ならびにT3’は、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、またq6が1に等しく、またT3’に対する修飾は、2’位にあるか、または2’-OMeリボースよりも立体的嵩高さが少ない非リボースの非環式または骨格内の位置にある。
【0411】
一実施形態では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から8位において開始する。一実施例では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から8位において開始し、またq4が2である。
【0412】
一実施形態では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から9位において開始する。一実施例では、T2’は、アンチセンス鎖の5’末端から9位にあり、またq4が1である。
【0413】
一実施形態では、B1’は2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0414】
一実施形態では、n4は0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0415】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。
【0416】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0417】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が6であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が7であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。
【0418】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が6であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が7であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0419】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。
【0420】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0421】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が5であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、随意に、アンチセンス鎖の3’末端において少なくとも2のさらなるTTを伴う。
【0422】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が5であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、随意に、これらはアンチセンス鎖の3’末端において少なくとも2のさらなるTTを伴い、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0423】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。
【0424】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。
【0425】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。
【0426】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。
【0427】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。
【0428】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、を伴う。
【0429】
RNAi剤は、センス鎖またはアンチセンス鎖の5’末端においてリン含有基を含み得る。5’末端リン含有基は、5’末端ホスフェート(5’-P)、5’末端ホスホロチオエート(5’-PS)、5’末端ホスホロジチオエート(5’-PS
2)、5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)、5’末端メチルホスホネート(MePhos)、または5’-デオキシ-5’-C-マロニル(
【化9】
)であり得る。5’末端リン含有基が5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)である場合、5’-VPは、5’-E-VP異性体(すなわち、トランス-ビニルホスフェート、
【化10】
)、5’-Z-VP異性体(すなわち、シス-ビニルホスフェート、
【化11】
)、またはそれらの混合物のいずれかであり得る。
【0430】
一実施形態においては、RNAi剤は、センス鎖の5’末端においてリン含有基を含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’末端においてリン含有基を含む。
【0431】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-Pを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-Pを含む。
【0432】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-PSを含む。
【0433】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-VPを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-VPを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-E-VPを含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-Z-VPを含む。
【0434】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-PS2を含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-PS2を含む。
【0435】
一実施形態では、RNAi剤は、5’-PS2を含む。一実施形態では、RNAi剤は、アンチセンス鎖内に5’-デオキシ-5’-C-マロニルを含む。
【0436】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0437】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0438】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0439】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-PS2も含む。
【0440】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0441】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0442】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0443】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0444】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2も含む。
【0445】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0446】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0447】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。dsRNA剤はまた、5’-PSも含む。
【0448】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0449】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-PS2も含む。
【0450】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0451】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0452】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0453】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0454】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2も含む。
【0455】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0456】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0457】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0458】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0459】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。dsRNAi RNA剤はまた、5’-PS2も含む。
【0460】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0461】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0462】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0463】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0464】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2も含む。
【0465】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0466】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0467】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0468】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0469】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-PS2も含む。
【0470】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1である。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0471】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pも含む。
【0472】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSも含む。
【0473】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0474】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2も含む。
【0475】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
【0476】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0477】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0478】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、およびターゲティングリガンドも含む。
【0479】
一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0480】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0481】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0482】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0483】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0484】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0485】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0486】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0487】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0488】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0489】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0490】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0491】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0492】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-Pおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0493】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PSおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0494】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、またはそれらの組み合わせ)、およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0495】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-PS2およびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0496】
一実施形態では、B1が2’-OMeまたは2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が2’-OMeまたは2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、またq7が1であり、これらはセンス鎖の1~5位(センス鎖の5’末端から数えて)の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾と、アンチセンス鎖の1位および2位における2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾ならびに18~23位の範囲内にある2つのホスホロチオエートヌクレオチド間連結修飾とを伴う(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)。RNAi剤はまた、5’-デオキシ-5’-C-マロニルおよびターゲティングリガンドも含む。一実施形態では、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、またターゲティングリガンドは、センス鎖の3’末端にある。
【0497】
特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、および
(iii) 1位、3位、5位、7位、9位から11位、13位、17位、19位、および21位における2’-F修飾、および2位、4位、6位、8位、12位、14位から16位、18位、および20位における2’-OMe修飾(5’末端から数えて)、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位、5位、9位、11位から13位、15位、17位、19位、21位および23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、6位から8位、10位、14位、16位、18位、20位および22位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチド21位と22位の間、およびヌクレオチド22位と23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
dsRNA剤が、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0498】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位、3位、5位、7位、9位から11位、13位、15位、17位、19位、および21位における2’-F修飾、および2位、4位、6位、8位、12位、14位、16位、18位、および20位における2’-OMe修飾(5’末端から数えて)、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位、5位、7位、9位、11位から13位、15位、17位、19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、6位、8位、10位、14位、16位、18位、および20位における2’F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0499】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位から6位、8位、10位、および12位から21位における2’-OMe修飾、7位および9位における2’-F修飾、および11位におけるデオキシ-ヌクレオチド(例えば、dT)(5’末端から数えて)、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位、7位、9位、11位、13位、15位、17位、および19位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位から6位、8位、10位、12位、14位、16位、および18位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0500】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位から6位、8位、10位、12位、14位、および16位から21位における2’-OMe修飾、および7位、9位、11位、13位、および15位における2’-F修飾、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、5位、7位、9位、11位、13位、15位、17位、19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位から4位、6位、8位、10位、12位、14位、16位、18位、および20位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0501】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位から9位、12位から21位における2’-OMe修飾、および10位および11位における2’-F修飾、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位、5位、7位、9位、11位から13位、15位、17位、19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、6位、8位、10位、14位、16位、18位、および20位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0502】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位、3位、5位、7位、9位から11位、および13位における2’-F修飾、および2位、4位、6位、8位、12位、および14位から21位における2’-OMe修飾、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位、5位から7位、9位、11位から13位、15位、17位から19位、および21位から23位における2’-OMe修飾、および2位、4位、8位、10位、14位、16位、および20位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0503】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位、2位、4位、6位、8位、12位、14位、15位、17位、および19位から21位における2’-OMe修飾、および3位、5位、7位、9位から11位、13位、16位、および18位における2’-F修飾、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 25ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、4位、6位、7位、9位、11位から13位、15位、17位、および19位から23位における2’-OMe修飾、2位、3位、5位、8位、10位、14位、16位、および18位における2’-F修飾、および24位および25位におけるデオキシ-ヌクレオチド(例えば、dT)(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤が、アンチセンス鎖の3’末端において4つのヌクレオチドのオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0504】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位から6位、8位、および12位から21位における2’-OMe修飾、および7位、および9位から11位における2’-F修飾、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位から5位、7位、8位、10位から13位、15位、および17位から23位における2’-OMe修飾、および2位、6位、9位、14位、および16位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0505】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii) 1位から6位、8位、および12位から21位における2’-OMe修飾、および7位、および9位から11位における2’-F修飾、および
(iv) ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b) 以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 23ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位から5位、7位、10位から13位、15位、および17位から23位における2’-OMe修飾、および2位、6位、8位、9位、14位、および16位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii) ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの21位と22位の間、およびヌクレオチドの22位および23位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0506】
別の特定の実施形態では、本発明のRNAi剤は、
(a) 以下を有するセンス鎖:
(i) 19ヌクレオチドの長さ、
(ii) 3’末端に結合したASGPRリガンドであって、三価分枝リンカーを介して結合した三つのGalNAc誘導体を含む、ASGPRリガンド、
(iii)1位から4位、6位、および10位から19位における2’-OMe修飾、および5位、および7位から9位における2’-F修飾、および
(iv)ヌクレオチドの1位と2位の間、およびヌクレオチドの2位と3位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結、
かつ
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i) 21ヌクレオチドの長さ、
(ii) 1位、3位から5位、7位、10位から13位、15位、および17位から21位における2’-OMe修飾、および2位、6位、8位、9位、14位、および16位における2’-F修飾(5’末端から数えて)、および
(iii)ヌクレオチドの1位と2位の間、ヌクレオチドの2位と3位の間、ヌクレオチドの19位と20位の間、およびヌクレオチドの20位および21位の間(5’末端から数えて)のホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、
RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端において2つのヌクレオチドオーバーハングを有し、またアンチセンス鎖の5’末端において平滑末端を有する。
【0507】
特定の実施形態では、本発明の方法で使用するiRNAは、表3、表5、または表6に列挙された剤から選択される剤である。これら剤は、リガンドをさらに含み得る。
【0508】
VII.リガンド
本発明の方法で使用するための二本鎖RNAi剤は、任意選択で、iRNAの活性、細胞分布、または例えば細胞内への細胞取込みを強化する1つまたは複数のリガンド、部分、またはコンジュゲートにコンジュゲートされ得る。リガンドは、3’末端、5’末端、または両方の末端で、センス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖に結合できる。例えば、リンカーは、センス鎖にコンジュゲートされ得る。一部の実施形態では、リガンドは、センス鎖の3’末端にコンジュゲートされる。
【0509】
かかる部分としては、コレステロール部分などの脂質部分が挙げられるが、これらに限定されない(Letsinger et al., Proc. Natl. Acid. Sci. USA, 1989, 86: 6553-6556)。他の実施形態では、リガンドは、コール酸(Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1994, 4:1053-1060)、チオエーテル、例えば、ベリル-S-トリチルチオール(beryl-S-tritylthiol)(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306-309、Manoharan et al., Biorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533-538)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオール残基またはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J, 1991, 10:1111-1118、Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327-330、Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49-54)、リン脂質、例えば、ジヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム 1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654、Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777-3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229-237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923-937)である。一実施形態では、リガンドは、GalNAcリガンドである。特に一部の実施形態では、リガンドはGalNAc3である。リガンドは、直接的、または介在する係留を介して間接的に、好ましくは共有結合で結合される。
【0510】
特定の実施形態では、リガンドは、それが組み込まれるiRNA剤の分布、ターゲティング、または寿命を変化させる。好ましい実施形態では、リガンドは、例えば、このようなリガンドが存在しない種と比較した場合に、選択された標的に対する、例えば、分子、細胞または細胞型、例えば、細胞または臓器のコンパートメントなどのコンパートメント、組織、身体の器官または領域に対する、親和性の増強をもたらす。好ましいリガンドは、二重鎖核酸において二重鎖対合に関与しない。
【0511】
リガンドとしては、天然に存在する物質、例えばタンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低密度リポタンパク質(LDL)またはグロブリン)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミンまたはヒアルロン酸)、または脂質等を挙げることができる。リガンドはまた、組換え分子または合成分子、例えば合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-無水マレイン酸共重合体、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド(L-lactide-co-glycolied))共重合体、ジビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共重合体(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸(poly(2-ethylacryllic acid))、N-イソプロピルアクリルアミドポリマーまたはポリホスファジンであるポリアミノ酸が挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩またはαヘリックスペプチドが挙げられる。
【0512】
リガンドはまた、ターゲティング基、例えば、細胞または組織ターゲティング剤、例えば、腎細胞など特定の細胞型に結合するレクチン、糖タンパク質、脂質、または例えば、抗体などのタンパク質、を含み得る。ターゲティング基は、甲状腺刺激ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤プロテインA、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣体であり得る。特定の実施形態では、リガンドは、多価ガラクトース、例えば、N-アセチル-ガラクトサミンである。
【0513】
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラーレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン(texaphyrin)、サフィリン(Sapphyrin))、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレンブタン酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)およびペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進物質(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRPまたはAPが挙げられる。
【0514】
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、共リガンド(co-ligand)に対して特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、肝細胞などである特定の細胞型に結合する抗体、であり得る。リガンドにはまた、ホルモンおよびホルモン受容体が含まれ得る。それらにはまた、非ペプチド種、例えば脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補助因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン多価マンノースまたは多価フコース、が含まれ得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38 MAPキナーゼのアクチベーターまたはNF-κBのアクチベーターであり得る。
【0515】
リガンドは、例えば、細胞の細胞骨格系を破壊することによって、例えば、細胞の微小管、微小線維または中間径線維を破壊することによって、細胞内へのiRNA剤の取込みを増大し得る物質、例えば薬物であり得る。薬物は、例えば、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド(japlakinolide)、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA(swinholide A)、インダノシン(indanocine)またはミオセルビン(myoservin)であり得る。
【0516】
一部の実施形態では、本明細書において記載するiRNAに結合するリガンドは、薬物動態モジュレーター(PKモジュレーター)として作用する。PKモジュレーターとしては、親油性物質、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的PKモジュレーターとしては、これに限定されないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。いくつかのホスホロチオエート連結を含むオリゴヌクレオチドはまた、血清タンパク質に結合することがわかっており、したがって骨格中に複数のホスホロチオエート連結を含む短いオリゴヌクレオチド、例えば、約5塩基、10塩基、15塩基または20塩基のオリゴヌクレオチドもまた、リガンドとして(例えば、PK調節リガンドとして)本発明に適している。さらに、血清成分(例えば、血清タンパク質)を結合するアプタマーもまた、本明細書において記載する実施形態においてPK調節リガンドとして使用するのに適している。
【0517】
本発明のリガンドがコンジュゲートしたiRNAは、反応性官能性ペンダント側鎖を有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成でき、例えば該ペンダント側鎖は該オリゴヌクレオチド(以下に記載される)上への連結分子の結合に由来するものなどである。この反応性オリゴヌクレオチドを、市販のリガンド、種々の保護基のいずれかを有する合成されたリガンド、またはそれに結合する連結部分を有するリガンドと、直接反応させてもよい。
【0518】
本発明のコンジュゲートにおいて使用するオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって好都合に、ごく普通に作製できる。
【0519】
本発明のリガンドがコンジュゲートしたiRNAおよびリガンド分子を保有する配列特異的な連結ヌクレオシドにおいて、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシドは、標準ヌクレオチドまたはヌクレオシドの前駆体を利用する好適なDNAシンセサイザー、または連結部分を既に保有するヌクレオチドもしくはヌクレオシドのコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に保有するリガンドヌクレオチドもしくはリガンドヌクレオシドのコンジュゲート前駆体、または非ヌクレオシドリガンド保有構成単位上において組み立てられ得る。
【0520】
連結部分を既に保有するヌクレオチド-コンジュゲート前駆体を使用する場合には、典型的に、配列特異的に連結されるヌクレオシドの合成が完了してから、次いで、リガンド分子が連結部分と反応して、リガンドがコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを形成する。一部の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドまたは連結ヌクレオシドは、市販の、オリゴヌクレオチド合成でごく普通に使用する標準ホスホラミダイトおよび非標準ホスホラミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシドコンジュゲートから誘導したホスホラミダイトを使用して、自動化シンセサイザーによって合成される。
【0521】
A.脂質コンジュゲート
特定の実施形態では、リガンドまたはコンジュゲートは、脂質または脂質系分子である。このような脂質または脂質系分子は、好ましくは血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、に結合する。HSA結合性リガンドは、標的組織への、例えば、身体の腎臓でない標的組織への、コンジュゲートの分布を可能にする。例えば標的組織は、肝臓の実質細胞を含めた肝臓であり得る。HSAを結合可能である他の分子もまた、リガンドとして使用できる。例えば、ナプロキセンまたはアスピリンを使用できる。脂質または脂質系リガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大できる、(b)標的の細胞もしくは細胞膜内への標的化もしくは輸送を増大できる、または(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するために使用できる。
【0522】
脂質系リガンドを使用して、標的組織へのコンジュゲートの結合を阻害する、例えば、制御することができる。例えば、より強力にHSAに結合する脂質または脂質系リガンドは、腎臓を標的とする可能性が低く、したがって身体から排除される可能性が低くなる。コンジュゲートが腎臓を標的とするように、あまり強力にHSAに結合しない脂質または脂質系リガンドを使用することができる。
【0523】
特定の実施形態では、脂質系リガンドは、HSAを結合する。好ましくは、それはコンジュゲートが好ましくは非腎臓組織に分布されることとなるように、十分な親和性でHSAを結合する。しかしながら、この親和性は、HSA-リガンド間結合を元に戻すことができないほど強力ではないことが好ましい。
【0524】
他の実施形態では、脂質系リガンドは、HSAに弱く結合するか、全く結合せず、その結果コンジュゲートは好ましくは腎臓に分布するであろう。脂質系リガンドの代わりに、またはそれに加えて、腎臓細胞を標的とする他の部分も使用できる。
【0525】
別の態様では、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖性細胞によって取り込まれる、例えば、ビタミンである部分である。これらは、例えば、悪性または非悪性種の、例えば、がん細胞の望まれない細胞増殖を特徴とする障害の治療に特に有用である。例示的ビタミンとしては、ビタミンA、EおよびKが挙げられる。他の例示的ビタミンとしては、ビタミンB、例えば葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール、または肝細胞等の標的細胞によって取り込まれる他のビタミンまたは栄養素が挙げられる。HSAおよび低比重リポタンパク(LDL)もまた挙げられる。
【0526】
B.細胞透過剤
別の態様では、リガンドは、細胞透過剤、好ましくはヘリックス細胞透過剤などである。薬剤は両親媒性であることが好ましい。例示的な細胞透過剤としては、例えばタット(tat)またはアンテノペディア(antennopedia)などのペプチドがある。該細胞透過剤がペプチドである場合、それは修飾可能であり、これにはペプチジル模倣体、逆転異性体、非ペプチドまたはシュードペプチドの連結およびD-アミノ酸の使用が挙げられる。ヘリックス剤は、好ましくは親油性相および疎油性相を有するアルファヘリックス剤であることが好ましい。
【0527】
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体とも称する)は、天然ペプチドと類似する規定された3次元構造にフォールディング可能な分子である。ペプチドおよびペプチド模倣体のiRNA剤への結合は、細胞認識および吸収を増強することなどによって、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチドまたはペプチド模倣体部分は、約5~50アミノ酸長であり得、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸長である。
【0528】
ペプチドまたはペプチド模倣体は、例えば、細胞透過ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチドまたは疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、TrpまたはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束されたペプチドまたは架橋されたペプチドであり得る。別の選択肢としては、ペプチド部分は、疎水性の膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドとしては、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号13)を有するRFGFがある。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号14)はまた、ターゲティング部分であり得る。ペプチド部分は「送達」ペプチドであり得、これはペプチド、オリゴヌクレオチド、および細胞膜横断タンパク質を含む大きな極性分子を担持することができる。例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号15))およびDrosophila Antennapediaタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号16))よりの配列は、送達ペプチドとして機能する能力があることが見出されている。ペプチドまたはペプチド模倣体は、DNAのランダム配列によってコードされ得、例えばファージディスプレイライブラリーまたはone-bead-one化合物(OBOC)コンビナトリアルライブラリー(Lam et al., Nature, 354:82-84, 1991)から特定されるペプチドなどである。細胞標的化の目的のために組み込まれた単量体ユニットを介してdsRNA剤に係留したペプチドまたはペプチド模倣体の例としては、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドまたはRGD模倣体がある。ペプチド部分は、長さが、約5アミノ酸~約40アミノ酸の範囲であり得る。ペプチド部分は、例えば安定性を増大させるまたは立体配座特性を司るなどの構造的な修飾を有し得る。以下に記載する構造的な修飾のいずれもが利用可能である。
【0529】
本発明の組成物および方法において使用するためのRGDペプチドは、直鎖状であっても環状であってもよく、また特定の組織へのターゲティングを促進するように修飾、例えば、グリコシル化またはメチル化、されてもよい。RGD含有ペプチドおよびペプチジオ模倣体(peptidiomimemtic)は、D-アミノ酸ならびに合成RGD模倣体を含み得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用可能である。このリガンドの好ましいコンジュゲートは、PECAM-1またはVEGFを標的とする。
【0530】
「細胞透過ペプチド」は、細胞に、例えば、バクテリア細胞もしくは真菌細胞などである微生物細胞、または例えばヒト細胞などである哺乳動物細胞に、透過可能である。微生物細胞透過性ペプチドは、例えばα-ヘリックス直鎖ペプチド(例えば、LL-37またはセロピン(Ceropin)P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシンまたはバクテネシン(bactenecin))または1つもしくは2つの支配的なアミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR-39またはインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核移行シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV-1 gp41とSV40ラージT抗原のNLSとの融合ペプチドドメインに由来する、例えばMPGなどである、二部分の両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al., Nucl. Acids Res. 31:2717-2724, 2003)。
【0531】
C.炭水化物コンジュゲート
本発明の組成物および方法の一部の実施形態では、iRNAは、炭水化物をさらに含む。炭水化物をコンジュゲートしたiRNAは、本明細書に記載するように、核酸のインビボでの送達に有利であると同時にインビボでの治療的使用に適した組成物である。本明細書において使用する場合、「炭水化物」とは、各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子とともに少なくとも6個の炭素原子を有する1つもしくは複数の単糖単位で構成されている炭水化物自体(直鎖状、分枝または環状であり得る)、またはその一部として、各炭素原子に結合した酸素、窒素もしくは硫黄原子とともに各々が少なくとも6個の炭素原子を有する1つまたは複数の単糖単位で構成されている炭水化物部分(直鎖状、分枝または環状であり得る)を有する化合物、のいずれかである化合物を指す。代表的な炭水化物としては、糖(単糖、二糖、三糖、および約4、5、6、7、8または9の単糖単位からなるオリゴ糖)ならびに多糖、例えばデンプン、グリコーゲン、セルロースおよび多糖類樹脂、が挙げられる。特定の単糖としては、C5、および上記の(例えば、C5、C6、C7またはC8)糖が挙げられ、二糖および三糖としては、二または三の単糖単位(例えば、C5、C6、C7またはC8)を有する糖が挙げられる。
【0532】
特定の実施形態では、本発明の組成物および方法において使用する炭水化物コンジュゲートは、単糖である。
【0533】
一実施形態では、本発明の組成物および方法において使用するための炭水化物コンジュゲートは、以下からなる群から選択される:
【化12】
式II、
【化13】
式III、
【化14】
式IV、
【化15】
式V、
【化16】
式VI、
【化17】
式VII、
【化18】
式VIII、
【化19】
式IX、
【化20】
式X、
【化21】
式XI、
【化22】
式XII、
【化23】
式XIII、
【化24】
式XIV、
【化25】
式XV、
【化26】
式XVI、
【化27】
式XVII、
【化28】
式XVIII、
【化29】
式XIX、
【化30】
式XX、
【化31】
式XXI、
【化32】
式XXII、
【化33】
式XXIII、
【化34】
式中、YはOまたはSであり、nは3~6であり(式XXIV)、
【化35】
式中、YはOまたはSであり、nは3~6であり(式XXV)、
【化36】
式XXVI、
【化37】
式中、XはOまたはSであり(式XXVII)、
【化38】
式XXVII、式XXIX、
【化39】
式XXX、式XXXI、
【化40】
式XXXII、式XXXIII、
【化41】
式XXXIV。
【0534】
別の実施形態では、本発明の組成物および方法において使用するための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。一実施形態では、単糖は、N-アセチルガラクトサミンであり、例えば
【化42】
式IIである。
【0535】
本明細書において記載する実施形態において使用するための別の代表的な炭水化物コンジュゲートとしては、これに限定されないが、
【化43】
(式XXXVI)、
XまたはYのうち一方がオリゴヌクレオチドである場合、もう一方は、水素である。
【0536】
一部の実施形態では、適したリガンドは、国際公開第2019/055633号において開示されるリガンドであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、リガンドは、以下の構造を含む:
【化44】
【0537】
本発明の特定の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、一価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。一部の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、二価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。本発明のさらに他の実施形態では、GalNAcまたはGalNAc誘導体は、三価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合する。
【0538】
一実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、例えば、dsRNA剤のセンス鎖の5’末端、または本明細書に記載される二重標的化RNAi剤の一方もしくは両方のセンス鎖の5’末端など、iRNA剤に結合された1つのGalNAcまたはGalNAc誘導体を含む。別の実施形態では、本発明の二本鎖RNAi剤は、複数の(例えば、2、3、4、5または6の)GalNAcまたはGalNAc誘導体を含み、この各々は、独立して、複数の一価リンカーを介して二本鎖RNAi剤の複数のヌクレオチドに結合する。
【0539】
一部の実施形態では、例えば、本発明のiRNA剤の2本の鎖が、複数の対合しないヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する、一方の鎖の3’末端と、対応するもう一方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの中断されない鎖によって接続した1つのより大きな分子の一部である場合には、該ヘアピンループ内の対合しないヌクレオチドは各々、一価リンカーを介して結合したGalNAcまたはGalNAc誘導体を独立に含み得る。
【0540】
一部の実施形態では、炭水化物コンジュゲートは、これに限定されないがPKモジュレーターまたは細胞透過ペプチドなどである、上記のような1つまたは複数のさらなるリガンドをさらに含む。
【0541】
本発明において使用するのに適したさらなる炭水化物コンジュゲートおよびリンカーとしては、PCT公開公報である国際公開第2014/179620号および国際公開第2014/179627号に記載されるものが挙げられ、当該公報は各々の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0542】
D.リンカー
一部の実施形態では、本明細書において記載するコンジュゲートまたはリガンドを、切断可能である場合も切断可能でない場合もある種々のリンカーを用いてiRNAオリゴヌクレオチドに結合させることができる。
【0543】
「リンカー」または「連結基」という用語は、化合物の2つの部分を接続する、例えば、化合物の2つの部分を共有結合で結合させる、有機部分を意味する。典型的には、リンカーは、直接結合、または酸素もしくは硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどのユニット、または原子の鎖であって、例えばこれに限定されるものではないが、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘレロシクリルアルキニル(alkylhererocyclylalkynyl)、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘレロアリール(alkynylhereroaryl)など、を含み、1つもしくは複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、または置換もしくは非置換複素環によって中断または終結され得、式中、R8は、水素、アシル、脂肪族、または置換された脂肪族である。一実施形態では、リンカーは、約1~24原子、2~24、3~24、4~24、5~24、6~24、6~18、7~18、8~18、7~17、8~17、6~16、7~17、または8~16原子である。
【0544】
切断可能な連結基とは、細胞の外部で十分に安定であるが、標的細胞内に入ると、切断されて、リンカーが一緒に保持している2つの部分を放出する基である。好ましい実施形態では、切断可能な連結基は、対象の血液中で、または第二の参照条件下(例えば血液または血清中で見られる条件を模倣または表すように選択され得る)においてよりも、標的細胞中で、または第一の参照条件下(例えば、細胞内条件を模倣または表すように選択され得る)において、少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、またはそれ以上、または少なくとも100倍速い速度で切断される。
【0545】
切断可能な連結基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位または分解性分子の存在、の影響を受け易い。概して切断剤は、血清または血液中においてよりも、細胞の内部で、より広範に広がっているかまたはより高いレベルもしくは活性で見られる。このような分解剤の例としては、特定の基質のために選択される、または基質特異性を有さない酸化還元剤、例えば還元によって酸化還元切断可能な連結基を分解できる、細胞中に存在する、例えば、メルカプタンなどの酸化酵素もしくは還元酵素または還元剤や、エステラーゼや、エンドソームまたは酸性環境を作出できる試薬、例えば、5以下のpHをもたらす試薬や、一般酸、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)およびホスファターゼとして作用することによって酸切断可能な連結基を加水分解もしくは分解できる酵素が挙げられる。
【0546】
切断可能な連結基、例えばジスルフィド結合などは、pHの影響を受け易い場合がある。ヒト血清のpHは7.4であるが、平均細胞内pHはわずかに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームは、5.5~6.0の範囲のより酸性のpHであり、またリソソームは、およそ5.0のさらにより酸性のpHである。いくつかのリンカーは、好ましいpHで切断され、それによって、リガンドからのカチオン性脂質を細胞の内側または細胞の所望のコンパートメント内に放出する切断可能な連結基を有することとなる。
【0547】
リンカーは、特定の酵素によって切断可能である切断可能な連結基を含み得る。リンカー中に組み込まれる切断可能な連結基の種類は、標的にする細胞に左右され得る。例えば、肝臓標的化リガンドは、エステル基を含むリンカーを介してカチオン性脂質に連結できる。肝細胞は、エステラーゼが豊富であるため、リンカーは、肝細胞中では、エステラーゼが豊富でない細胞型においてよりも効率的に切断されることとなる。エステラーゼが豊富な他の細胞型としては、肺、腎皮質および精巣の細胞が挙げられる。
【0548】
肝細胞および滑膜細胞などのペプチダーゼが豊富な細胞型を標的とする場合には、ペプチド結合を含有するリンカーを使用することができる。
【0549】
概して、候補の切断可能な連結基の適合性は、分解剤が候補連結基を切断する能力(または条件)を試験することによって評価可能である。また、血液中で、または他の非標的組織と接触したときに、切断に抵抗する能力について候補の切断可能な連結基を試験することもまた望ましいであろう。したがって、第一および第二の条件の間での切断に対する相対的な感受性を決定することができるものであり、ここで第一の条件は、標的細胞において切断を示すように選択され、第二の条件は、他の組織または生物学的流体中で、例えば、血液もしくは血清中で、切断を示すように選択される。評価は、無細胞系において、細胞において、細胞培養液において、臓器または組織の培養液において、または動物全身において、実施され得る。無細胞条件または培養条件において最初の評価を行うことおよび動物全身におけるさらなる評価によって確認することが、有用であり得る。好ましい実施形態では、有用な候補化合物は、血液または血清(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100倍速い速度で切断される。
【0550】
i. 酸化還元切断可能な連結基
特定の実施形態では、切断可能な連結基は、還元または酸化の際に切断される酸化還元切断可能な連結基である。還元的に切断可能な連結基の例としては、ジスルフィド連結基(-S-S-)が挙げられる。候補の切断可能な連結基が、適した「還元的に切断可能な連結基」であるか、または例えば、特定のiRNA部分および特定のターゲティング剤とともに使用するのに適しているか否かを決定するために、本明細書において記載する方法に目を向けることができる。例えば、細胞中であって、例えば、標的細胞中で観察されるであろう切断の速度を模倣する、当技術分野で公知の試薬を使用してジチオスレイトール(DTT)または他の還元剤とともにインキュベートすることによって、候補を評価することができる。候補はまた、血液または血清条件を模倣するように選択された条件下で評価することもできる。ある条件においては、候補化合物は、血液中で最大約10%切断される。他の実施形態では、有用な候補化合物は、血液中(または細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90または約100倍速い速度で分解される。候補化合物の切断の速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下での標準酵素動態アッセイを用いて決定され、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較され得る。
【0551】
ii. ホスフェート系の切断可能な連結基
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、ホスフェート系の切断可能な連結基を含む。ホスフェート系の切断可能な連結基は、ホスフェート基を分解または加水分解する試薬により切断される。細胞内においてホスフェート基を切断する試薬の例としては、細胞中のホスファターゼなどの酵素がある。ホスフェート系連結基の例としては、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-、-O-P(S)(Rk)-S-がある。好ましい実施形態としては、O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、-O-P(S)(H)-S-がある。好ましい実施形態としては、-O-P(O)(OH)-O-がある。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0552】
iii. 酸切断可能な連結基
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、酸切断可能な連結基を含む。酸切断可能な連結基は、酸性条件下で切断される連結基である。好ましい実施形態では、酸切断可能な連結基は、pHが約6.5以下である酸性環境(例えば、約6.0、5.5、5.0以下)において、または一般酸として作用できる酵素などの薬剤によって、切断される。細胞においては、特定の低pHオルガネラ、例えばエンドソームおよびリソソームは、酸切断可能な連結基のための切断環境をもたらすことができる。酸切断可能な連結基の例としては、これに限定されないが、ヒドラゾン、エステルおよびアミノ酸のエステルが挙げられる。酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)O、または-OC(O)を有し得る。好ましい実施形態では、エステル(アルコキシ基)の酸素に結合する炭素は、アリール基、置換アルキル基または第三級アルキル基、例えばジメチルペンチルもしくはt-ブチルである。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0553】
iv.エステル系連結基
他の実施形態では、切断可能なリンカーは、エステル系の切断可能な連結基を含む。エステル系の切断可能な連結基は、細胞中でエステラーゼおよびアミダーゼなどの酵素によって切断される。エステル系の切断可能な連結基の例としては、これに限定されないが、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基のエステルが挙げられる。エステルの切断可能な連結基は、一般式-C(O)O-または-OC(O)-を有する。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0554】
v.ペプチド系切断基
さらに他の実施形態では、切断可能なリンカーは、ペプチド系の切断可能な連結基を含む。ペプチド系の切断可能な連結基は、細胞中でペプチダーゼおよびプロテアーゼなどの酵素によって切断される。ペプチド系の切断可能な連結基は、アミノ酸の間で形成されて、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)およびポリペプチドが得られるペプチド結合である。ペプチド系の切断可能な基は、アミド基(-C(O)NH-)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレンまたはアルキネレンの間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸の間で形成されて、ペプチドおよびタンパク質が得られるアミド結合の特殊な型である。ペプチド系の切断基は、概して、アミノ酸の間で形成されてペプチドおよびタンパク質が得られるペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定されて、全てのアミド官能基を含むものではない。ペプチド系の切断可能な連結基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-を有するものであり、式中、RAおよびRBは、2つの隣接するアミノ酸のR基である。これら候補は、上述のものと類似した方法を使用して評価することができる。
【0555】
一部の実施形態では、本発明のiRNAは、リンカーを介して炭水化物にコンジュゲートされる。本発明の組成物および方法のリンカーを有するiRNA炭水化物コンジュゲートの限定されない例としては、これに限定されないが、
【化45】
(式XXXVII)、
【化46】
(式XXXVIII)、
【化47】
(式XXXIX)、
【化48】
(式XL)、
【化49】
(式XLI)、
【化50】
(式XLII)、
【化51】
(式XLIII)、および
【化52】
(式XLIV)が挙げられ、XまたはYの一方がオリゴヌクレオチドである場合、もう一方は、水素である。
【0556】
本発明の組成物および方法の特定の実施形態では、リガンドは、二価または三価の分枝リンカーを介して結合した1つまたは複数の「GalNAc」(N-アセチルガラクトサミン)誘導体である。
【0557】
一実施形態では、本発明のdsRNAは、以下の式(XLV)~(XLVI)のいずれかに示す構造の群から選択される二価または三価の分枝リンカーにコンジュゲートされる:
【化53】
式中、
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5Bおよびq5Cは、出現ごとに独立に、0~20を表し、また繰り返し単位は、同一である場合も、異なる場合もあり、
P
2A、P
2B、P
3A、P
3B、P
4A、P
4B、P
5A、P
5B、P
5C、T
2A、T
2B、T
3A、T
3B、T
4A、T
4B、T
4A、T
5B、T
5Cは、出現ごとに独立的に、存在しない、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NH、またはCH
2Oであり、
Q
2A、Q
2B、Q
3A、Q
3B、Q
4A、Q
4B、Q
5A、Q
5B、Q
5Cは、出現ごとに独立的に、存在しない、アルキレン、置換アルキレンであり、式中1つまたは複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO
2、N(R
N)、C(R’)=C(R’’)、C≡CまたはC(O)のうち1つまたは複数によって中断または終結され得、
R
2A、R
2B、R
3A、R
3B、R
4A、R
4B、R
5A、R
5B、R
5Cは、出現ごとにそれぞれ独立に、存在しない、NH、O、S、CH
2、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R
a)C(O)、-C(O)-CH(R
a)-NH-、CO、CH=N-O、
【化54】
またはヘテロシクリルであり、
L
2A、L
2B、L
3A、L
3B、L
4A、L
4B、L
5A、L
5B、およびL
5Cはリガンドを表し、すなわち、出現ごとにそれぞれ独立的に、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、または多糖であり、またR
aはHまたはアミノ酸側鎖である。三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、標的遺伝子の発現を阻害するRNAi剤と共に使用するのに特に有用であり、例えば以下の式(XLIX)のものなどであり、
式XLIX
【化55】
式中、L
5A、L
5B、およびL
5Cは、単糖、例えばGalNAc誘導体を表す。
【0558】
GalNAc誘導体をコンジュゲートする二価および三価の分枝のリンカー基の例としては、これに限定されないが、式II、VII、XI、XおよびXIIIとして上記で列記した構造が挙げられる。
【0559】
RNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許としては、これに限定されないが、米国特許第4,828,979号、第4,948,882号、第5,218,105号、第5,525,465号、第5,541,313号、第5,545,730号、第5,552,538号、第5,578,717号、第5,580,731号、第5,591,584号、第5,109,124号、第5,118,802号、第5,138,045号、第5,414,077号、第5,486,603号、第5,512,439号、第5,578,718号、第5,608,046号、第4,587,044号、第4,605,735号、第4,667,025号、第4,762,779号、第4,789,737号、第4,824,941号、第4,835,263号、第4,876,335号、第4,904,582号、第4,958,013号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,245,022号、第5,254,469号、第5,258,506号、第5,262,536号、第5,272,250号、第5,292,873号、第5,317,098号、第5,371,241号、第5,391,723号、第5,416,203号、第5,451,463号、第5,510,475号、第5,512,667号、第5,514,785号、第5,565,552号、第5,567,810号、第5,574,142号、第5,585,481号、第5,587,371号、第5,595,726号、第5,597,696号、第5,599,923号、第5,599,928;5,688,941号、第6,294,664号、第6,320,017号、第6,576,752号、第6,783,931号、第6,900,297;7,037,646号、および第8,106,022号が挙げられ、それらの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0560】
所与の化合物において全ての位置について均一に修飾される必要はなく、実際には、先述の修飾のうち2つ以上を単一の化合物内に、またはさらにiRNA内の単一のヌクレオシドにおいて組み込むことができる。本発明はまた、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
【0561】
本発明の文脈で、「キメラの」iRNA化合物または「キメラ」は、iRNA化合物、好ましくはdsRNAi剤であり、これは2つ以上の化学的に別個の領域を含有し、そのそれぞれが少なくとも1つのモノマーユニットから、すなわち、dsRNA化合物の場合ではヌクレオチドから、構成される。これらiRNAは、典型的には、少なくとも1つの領域であって、そこでRNAが、iRNAに対してヌクレアーゼ分解に対する耐性の増大、細胞取込みの増大または標的核酸に対する結合親和性の増大を付与するように修飾されるものである、少なくとも1つの領域を含有する。iRNAの追加的な領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAの複合型を切断可能である酵素のための基質として機能し得る。例として、リボヌクレアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがって、リボヌクレアーゼHの活性化が、RNA標的の切断をもたらし、それによって遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大きく増強する。結果的に、これに匹敵する結果は、しばしば、同一の標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、キメラdsRNAを使用する場合により短いiRNAで得ることができる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって、また必要に応じて、当技術分野で公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、ごく普通に検出可能である。
【0562】
特定の例では、iRNAのRNAは、非リガンドの基によって修飾できる。iRNAの活性、細胞分布または細胞取込みを増強するために、いくつかの非リガンドの分子がiRNAにコンジュゲートされてきたので、当該コンジュゲーションを実施するための手順は、科学文献において利用可能である。こうした非リガンドの部分には、脂質部分、例えばコレステロール(Kubo, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm., 2007, 365(1):54-61、Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86:6553)、コール酸(Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1994, 4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(hexyl-S-tritylthiol)(Manoharan et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660:306; Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20:533)、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオール残基またはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10:111、Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259:327、Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75:49)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651、Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18:3777)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14:969)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264:229)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277:923)、が含まれてきた。このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許は、上記で列挙している。典型的なコンジュゲーションプロトコールは、配列の1つまたは複数の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を伴う。次いで、アミノ基が、適切なカップリングまたは活性化試薬を使用することによってコンジュゲートされている分子と反応する。コンジュゲーション反応は、RNAがまだ固体支持部に結合している状態で、または溶液相でRNAが切断された後で実施可能である。典型的には、HPLCによるRNAコンジュゲートの精製によって、純粋なコンジュゲートが得られる。
【0563】
VIII.本発明の医薬組成物
本発明はまた、本発明の方法で使用するためのiRNAを含む医薬組成物および製剤も含む。一実施形態では、本明細書において説明されるiRNAと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が本明細書において提供される。iRNAを含有する医薬組成物は、AGT関連障害、例えば高血圧症の予防または治療に有用である。こうした医薬組成物は、送達の態様に基づいて製剤化される。
【0564】
本発明のRNAi剤を含む医薬組成物は、例えば、緩衝剤を含む溶液もしくは含まない溶液、または薬学的に許容される担体を含む組成物であり得る。このような組成物としては、例えば、水性または結晶性の組成物、リポソーム製剤、ミセル製剤、エマルション、および遺伝子治療ベクターが挙げられる。
【0565】
本発明の方法では、RNAi剤は溶液で投与され得る。遊離RNAi剤は、非緩衝溶液で、例えば、生理食塩水または水で投与され得る。あるいは、遊離siRNAはまた、好適な緩衝溶液で投与され得る。該緩衝溶液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、またはリン酸塩、またはそれらのいずれかの組み合わせを含み得る。一実施形態では、緩衝溶液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。RNAi剤を含有する緩衝溶液のpHおよび浸透圧は、対象への投与に好適であるように調整できる。
【0566】
一部の実施形態では、緩衝溶液は、浸透圧が所望の値、例えばヒト血漿の生理学的値に維持されるように、溶液の浸透圧を制御するための薬剤をさらに含む。浸透圧を制御するために緩衝溶液に添加され得る溶質としては、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、非代謝ポリマー、ビタミン、イオン、糖、代謝産物、有機酸、脂質、または塩が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、溶液の浸透圧を制御するための薬剤は塩である。特定の実施形態では、溶液の浸透圧を制御するための薬剤は、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである。
【0567】
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、発熱物質を含まないか、または非発熱性である。
【0568】
本発明の医薬組成物は、局所処置または全身処置のどちらが所望されるか、ならびに処置される面積に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、局所(例えば、経皮貼布による)であり、例えば、ネブライザーなどによる散剤またはエアロゾル剤の吸入または吹送によって肺内であり、気管内、鼻腔内、表皮および経皮、経口または非経口であり得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内の注射または注入、例えば植込みデバイスによる皮下への投与、または例えば実質内、髄腔内、または脳室内の投与による脳内への投与を含む。
【0569】
一例としては、非経口送達により、例えば、皮下(SC)、筋肉内(IM)、または静脈内(IV)の送達により、全身投与用に製剤化される組成物である。本発明の医薬組成物は、AGT遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与され得る。
【0570】
本発明の医薬組成物は、AGT遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与され得る。一部の実施形態では、約50mg~約800mg(例えば、約50~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約800mg、約100mg~約500mg、約100mg~約300mg、約200mg~約300mg、約200mg~約400mg、約200mg~約500mg、約200mg~約800mg、約300mg~約800mg、約300mg~約500mg、約300mg~約4000mg、約400mg~約800mg、約400mg~約500mg、例えば、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、または約800mg)の固定用量のiRNA剤が対象に投与される。
【0571】
反復投与レジメンとしては、例えば1か月に一回、2か月に一回、3か月に一回、4か月に一回、5か月に一回、6か月に一回、3~6か月に一回、または1年に一回など、治療量のiRNAの定期的な投与を含み得る。特定の実施形態では、iRNAは、約1か月に一回~約四半期に一回~約6か月に一回投与される。
【0572】
初回治療レジメンの後、治療は、少ない頻度で施与することができる。投与期間は、疾患の重症度に基づいて決定することができる。
【0573】
他の実施形態では、医薬組成物の単回投与が、長期にわたってもよく、その投与は、1か月以下、2か月以下、3か月以下、4か月以下、5か月以下、または6か月以下の間隔で投与される。本発明の一部の実施形態では、本発明の医薬組成物の単回投与が、およそ月一回投与される。本発明の他の実施形態では、本発明の医薬組成物の単回投与が、年に四回(すなわち、およそ3か月に一回)投与される。本発明の他の実施形態では、本発明の医薬組成物の単回投与が、年に二回(すなわち、およそ6か月に一回)投与される。
【0574】
当業者は、例えばこれらに限定されるものではないが、対象に存在する変異、過去の治療、対象の健康全般または年齢、および存在する他の疾患などである特定のファクターが、対象を効果的に治療するために必要な投薬量および投薬のタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するであろう。その上、必要に応じて予防的に有効な量または治療有効量の組成物での対象の治療には、単回治療または一連の治療が含まれ得る。
【0575】
iRNAは、特定の組織(例えば、肝細胞)を標的とする様式で送達され得る。
【0576】
本発明の医薬組成物としては、これに限定されるものではないが、溶液、エマルション、およびリポソーム含有製剤を含む。これら組成物は、予め形成した液体、自己乳化型固体、および自己乳化型半固体を含めるがこれらに限定されない様々な構成要素から生成することができる。製剤としては、肝臓を標的とするものが挙げられる。
【0577】
本発明の医薬製剤は、単位剤形で簡便に存在し得るものであるが、製薬産業において周知の従来技術に従って調製することができる。こうした技術としては、活性成分を医薬担体または賦形剤と会合させる工程を含む。概して、製剤は、活性成分を液体担体と均一にかつ密に会合させることによって調製される。
【0578】
IX.キット
本発明はまた、本明細書に記載されるように、本発明の方法を実施するためのキットを提供する。こうしたキットには、1つまたは複数の二本鎖RNAi剤および使用説明書、例えば、二本鎖RNAi剤の固定用量を投与するための説明書が含まれる。二本鎖RNAi剤は、バイアル瓶または予め充填された注射器内にあり得る。キットは、随意に、二本鎖RNAi剤を投与するための手段(例えば、予め充填された注射器などの注入デバイス)、またはAGTの阻害を測定するための手段(例えば、AGT mRNA、AGTタンパク質、および/もしくはAGT活性の阻害を測定するための手段)をさらに含んでもよい。こうしたAGTの阻害を測定する手段は、対象からの試料、例えば血漿試料を得るための手段を含み得る。本発明のキットは、随意に、治療有効量または予防有効量を決定するための手段をさらに含み得る。
【0579】
別段の定義がない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似または同等の方法および材料を、本発明において取り上げるiRNAおよび方法の実施または試験において使用できるが、適した方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及する全ての公開公報、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて、本明細書が統制することとなる。さらに、材料、方法および実施例は、単に例示的なものであり、限定となることを意図するものではない。
【0580】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、これらは限定するものとして解釈されるべきではない。本願全体を通して引用される全ての参考文献、特許公報、および公開された特許出願の内容全体、ならびに配列表が、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0581】
核酸配列の表現で使用されるヌクレオチドモノマーの略語。これらのモノマーは、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、別段の指示がない限り、5’-3’-ホスホジエステル結合によって相互に結合されることが理解されよう。
【表4-1】
【表4-2】
【0582】
実施例1.AGT dsRNAの第I相臨床試験
多施設、無作為化、二重盲検、実薬対照単回投与および反復投与臨床試験を、高血圧症患者へのAD-85481の皮下投与(SC)の安全性、忍容性、薬物動態(PK)、および薬力学(PD)効果を評価するようにデザインした。
【0583】
この試験には次の4パートが含まれる。
パートA:高血圧症患者における単回漸増用量(SAD)期。
パートB:食塩摂取を管理された高血圧症患者における単回投与(SD)。
パートC:高血圧症患者における反復投与(MD)期。
パートD:肥満である高血圧症患者における反復投与(MD)期。
【0584】
安全性、忍容性、ならびに利用可能なPDおよびPKデータの継続的なレビューを、試験の全ての部分で収集した。
【0585】
診断および主要な適格基準
この試験には、高血圧症(平均座位収縮期血圧[SBP]が130超かつ159mmHg以下)を有する18~65歳の成人が含まれた。二次性高血圧症または平均座位拡張期血圧[DBP]が100mmHg以上の患者は除外した。試験のコンプライアンスもしくはデータ解釈を妨げる臨床的に重大な医学的状態または併存疾患を有する患者(糖尿病または心血管系事象の既往を含む)、または血圧に影響を及ぼすことが知られている薬物を現在服用しているかもしくは使用予定の患者も除外した。
【0586】
被験薬、用量、および投与方法
高血圧症を有する個体の血圧を低下させるための戦略としてアンジオテンシノーゲン(AGT)の産生を抑制するようにデザインされた、化学修飾されたN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)コンジュゲート低分子干渉RNA(siRNA)である被験薬AD-85481を、単回皮下注射(パートAおよびB)、または1週目に一回および12週目に一回の、2回の皮下注射(パートCおよびD)のいずれかとして投与した。
【表5】
【0587】
化学修飾は、aが2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスフェート、cが2’-O-メチルシチジン-3’-ホスフェート、gが2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスフェート、uが2’-O-メチルウリジン-3’-ホスフェート、Afが2’-フルオロアデノシン-3’-ホスフェート、Cfが2’-フルオロシチジン-3’-ホスフェート、Gfが2’-フルオログアノシン-3’-ホスフェート、Ufが2’-フルオロウリジン-3’-ホスフェート、(Ggn)がグアノシン-グリコール核酸(GNA)、sがホスホロチオエート連結として定義される。センス鎖の3’末端は、N-[トリス(GalNAc-アルキル)-アミドデカノイル)]-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-(GalNAc-アルキル)3またはL96とも呼ばれる)リガンドに共有結合している。
【0588】
プラセボ対照、用量、および投与方法
パートAおよびBでは、AD-85481の対照薬物はプラセボ(皮下投与用生理食塩水0.9%)であった。
【0589】
パートCおよびDでは、AD-85481のダミー治療は、皮下投与用生理食塩水0.9%である。イルベサルタンのダミー治療は、イルベサルタンの外観に合わせた不活性ダミー錠剤である。
【0590】
実薬対照薬対照、用量、および投与方法
本試験のパートCおよびDでは、150mgのイルベサルタンの一日一回の経口(PO)用量を、実薬対照として使用する。
【0591】
投与期間および試験参加期間
単回皮下用量のAD-85481を、パートAおよびBで投与した。パートCおよびDでは、被験薬の2回の皮下用量を、12週間にわたって投与する。
【0592】
統計手法
サンプルサイズは実用的な考慮事項に基づいており、このタイプの初期段階試験と一致している。
【0593】
最大の解析対象集団(FAS)には、無作為化された治療に従ってグループ化された、任意の量の被験薬を投与された全ての患者を含めた。PK解析セットには、被験薬を少なくとも1回投与され、かつAD-85481濃度を決定するための少なくとも1つの投与後血液試料を有し、評価可能なPKデータを有する、全ての患者が含まれた。PD解析セットには、少なくとも1回分の被験薬を投与され、かつ血清AGTを決定するための少なくとも1つの投与後血液試料を有する、全ての患者が含まれた。
【0594】
AD-85481の活性をFASを使用して解析した。PKおよびPDの解析セットを使用して、それぞれPKおよびPD解析を実施した。
【0595】
統計解析は、性質上、主に記述的である。記述統計量(例えば、平均値、標準偏差、中央値、最小値、および最大値)は、連続変数で表す。頻度およびパーセンテージは、カテゴリー変数および順序変数で表す。記述統計量は、臨床検査データ、心電図(ECG)、およびバイタルサインデータについて提供される。
【0596】
試験デザインの根拠
AD-85481の第I相、多施設、無作為化、二重盲検試験は、高血圧症患者に皮下投与(SC)された。本試験の主要目的は、高血圧症患者におけるAD-85481の単回投与または反復投与の安全性および忍容性を評価することであった。本試験は、単回漸増用量(SAD)期(パートA)、食塩摂取が管理されている患者における単回投与(SD)期(パートB)、反復投与(MD)期(パートC)、および肥満患者におけるMD期(パートD)の4つのパートで実施した。
【0597】
本試験は、AD-85481の安全性および忍容性について初期の洞察を提供するようにデザインした。承認されている降圧薬の既知の安全性プロファイルに基づき、本試験は、AGTの最低値が予測される間(AD-85481投与後4~6週間と推定される)に頻繁にデータを収集し、血圧、血清電解質、およびクレアチニンを注意深くモニタリングするようにデザインした。臨床検査評価および血圧データを、AGT最低値に対応するように、被験薬投与後に定期的に収集した。
【0598】
AD-85481の安全性に加えて、本試験は、以下の副次的または探索的研究の疑問に対する洞察を可能にするようにデザインした。
【0599】
AD-85481の薬力学(PD): PD効果は、血清AGTを連続測定して血漿AGTのレベルのベースラインからの変化を決定することによって、直接実証された。AGTの下流エフェクター(血漿レニン濃度、血漿レニン活性、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アルドステロン)も、探索的バイオマーカーとして血液および尿検体で測定することができる。
【0600】
AD-85481の薬物動態(PK):AD-85481のPKパラメータを、AD-85481および潜在的代謝物の血漿および尿中レベルの決定によって、例えばqPCRによって評価した。
【0601】
血圧低減:この試験は、治療的血圧低減の評価を可能にするために、高血圧症を有する患者(最初はESC/ESH基準によるグレード1に対応)を登録した。単回投与期(パートAおよびB)は短期間であり、不活性プラセボ群を使用する。最良の倫理基準を遵守するために、より長いMD期(パートCおよびD)では、AD-85481治療に対する実薬対照薬として確立されたアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)(イルベサルタン)を使用する。AD-85481の探索的評価には、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)で評価されたSBPおよびDBPのベースラインからの変化、ならびに振動式自動外来血圧(AOBP)および振動式家庭血圧測定(HBPM)で評価されたSBPおよびDBPのベースラインからの変化が含まれる。
【0602】
現行のガイダンスで推奨されているように、患者は、被験薬投与前約3~4週間、以前の降圧薬を中止し、自動外来血圧(AOBP)測定値および外来患者の24時間自由行動下血圧測定(ABPM)の両方を用いて血圧をモニタリングした。後者の方法は、より精度が高いことに加えて、ピーク-トラフ血圧比および概日リズム(高血圧症患者の24~35%で失われる正常な夜間血圧下降パターンの回復の可能性を含む)を評価する。第3の方法である振動式家庭血圧測定(HBPM)を介してより頻繁に(毎日)測定値を収集することで、漸進的なPD効果を特徴付け、クリニックにいない間の潜在的な低血圧症に対する緊密な安全性モニタリングを提供する。
【0603】
AD-85481に対する血圧応答に及ぼす低塩摂取の影響:一部の患者では高血圧症は食塩感受性であるため、全ての試験患者は、スクリーニングから治療終了(EOT)までナトリウム消費を一日当たり約2.0gに制限するよう指示された、食生活に関する教材を受け取る。注目すべきことに、これは、2018年ESC/ESHガイドラインで、高血圧症患者および一般集団の両方に対して推奨されているナトリウム摂取量である。
【0604】
さらに、食塩摂取量が管理された患者のパートB試験1コホートを試験して、他のRAAS阻害薬物で先に実証されている、低塩状態(1.15gナトリウム/日)における薬理作用および安全性の増強の可能性を評価する。パートBの患者は、食塩感受性血圧応答を直接試験するためにナトリウム消費を変化させる2週間の食事性サブプロトコルを完了する。パートBでは、食事は一般的なプロトコルに従って研究用/代謝用キッチンで用意され、患者に提供される。患者は、2週間のサブプロトコルの最初の週は入院して、低塩食の順守を促進し、塩分欠乏の導入時のAD-85481薬理作用の増強の可能性のモニタリングを強化する。AGT低下および塩欠乏の後、高い食塩摂取量のみに対する血圧応答を特徴づける。AD-85481の効果に関する探索的評価項目には、低塩条件下と高塩条件下でABPMおよびAOBPによって評価したSBPおよびDBPのベースラインからの変化の決定が含まれる。
【0605】
肥満:高血圧症患者の大部分は過体重または肥満であると予想される。さらに、増加した脂肪症は高血圧症と因果関係がある可能性がある。パートDでは、クラスI~IIIの肥満範囲のボディマス指数(BMI)を有する患者の1コホートを研究し、PKおよびPDパラメータに対する体重の影響を評価する。
【0606】
前臨床試験では、AGTが、古典的なRAAS経路とは別の機構を介して、食餌誘発性肥満および脂肪肝の両方に寄与していることが示唆されているため、体重減少を探索的評価項目として評価する。体重変化が体脂肪喪失に起因するかどうかを決定するために、人体測定(腹囲、ウエスト・ヒップ比)および体組成の放射線評価(二重エネルギーX線吸収測定法、DEXA)を収集する。体重低減と共に改善する脂質およびグルコース代謝の生化学的パラメータ(脂質プロファイル、HbA1c、空腹時グルコース)を、約3か月毎に測定する。注目すべきことに、パートA、B、およびCでは、正常~過体重、および軽度(クラスI)肥満範囲(BMI18kg/m2以上かつ35kg/m2以下)の患者を登録している。パートDの単一コホートは、肥満患者に限定されている(BMI30kg/m2超かつ50kg/m2以下)。AD-85481の効果に関する探索的評価項目には、肥満患者における体重、腹囲、ウエスト・ヒップ比、および体組成(二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)によって評価される)のベースラインからの変化の決定が含まれる。
【0607】
試験全体のさらなる探索的目的には、HbA1c、空腹時血漿グルコース、および血清脂質プロファイルのベースラインからの変化を決定することによる、メタボリックシンドロームパラメータに対するALN-AD-85481の効果の評価と、に血漿レニン濃度、血漿レニン活性、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、およびアルドステロンのベースラインからの変化を決定することによる、RAASの探索的バイオマーカーに対するAD-85481の効果の評価とが含まれる。
【0608】
被験薬の投与および経過
パートAの用量は、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、および400mg未満である。6つのコホート(用量反応または安全性および忍容性をより良好に特徴付けるために、中間用量レベル、より低い用量レベル、または以前のコホートの拡大の評価のための3つの任意選択のコホートをパートAに登録し得る)のそれぞれに12人の患者がおり、AD-85481:プラセボを2:1として無作為割付けした。最低用量は、血圧低下に効果があるとは期待されない。血圧低下活性は、血清AGTの少なくとも80%の低下を伴って、50mg用量で最初に観察されると予想された。
【0609】
第I相-パートA
パートAのベースラインからの血清AGTの低下。選択基準および除外基準を満たした対象に、1日目にAD-85481またはプラセボの単回用量を投与した。血液試料は、AD-85481またはプラセボの投与前、投与後6週間は毎週、治療後8週目および12週目、その後追跡期間中は3か月毎に採取した。血清AGTレベルを固相サンドイッチELISA法によって決定し、各時点におけるベースラインからのAGTの低下を決定した。
【0610】
計60人の高血圧症患者が、試験のパートAの治療を完了した。患者には、プラセボ(コホート当たりn=4)またはAD-85481(コホート当たりn=8)のいずれかを投与した。パートAに参加した対象の人口統計学的特性およびベースライン特性を以下の表に示す。
【表6】
【0611】
パートAにおける安全性プロファイル。本試験の主要目的は、高血圧症患者におけるAD-85481の単回投与の安全性および忍容性を評価することであった。以下の表に示すように、AD-85481の安全性プロファイルは許容範囲内であり、安全性に関する懸念はなかった。ほとんどの有害事象は重症度が軽度または中等度であり、介入することなく消失した。死亡または試験中止に至る有害事象も、治療に関連する重篤な有害事象(SAE)もなかった。200mgを投与された1人の患者において、スクリーニング期間中に実施され、投与後陽性として報告された生検に基づいて、前立腺癌の重度のSAEが報告された。試験期間中、低血圧に対する介入を必要とした患者はおらず、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、血清クレアチニン、または血清カリウムの臨床的に有意な上昇は観察されなかった。5人の患者で、軽度の注射部位反応が報告された。
【表7】
【0612】
AD-85481の単回投与の、血清AGTのレベルに対する効果を
図1に示す。
【0613】
10mg用量で54%の平均最大AGT低下が観察され、4週目の平均低下は10mg単回投与で52%であった。
【0614】
25mg用量で69%の平均最大AGT低下が観察され、4週目の平均低下は25mg単回投与で69%であった。
【0615】
50mg用量で74%の平均最大AGT低下が観察され、4週目の平均低下は50mg単回投与で68%であった。
【0616】
100mg用量で94%の平均最大AGT低下が観察され、4週目の平均低下は100mg単回投与で92%であった。
【0617】
200mg用量で96%の平均最大AGT低下が観察され、4週目の平均低下は200mg単回投与で95%であった。
【0618】
これらのデータは、AD-85481の単回投与による治療後の血清AGTの持続的な用量依存的な低減を示している。さらに、高用量のAD-85481の単回投与を受けた対象では、血清AGTレベルの90%超の低減が観察され、AGTの低減は3か月超持続し、例えば、少なくとも四半期に一回の継続投与間隔が有効であることを示した。
【0619】
パートAのベースラインからの血圧の調節。AD-85481の評価には、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)で評価されたSBPおよびDBPのベースラインからの変化、ならびに振動式自動外来血圧(AOBP)および振動式家庭血圧測定(HBPM)で評価されたSBPおよびDBPのベースラインからの変化が含まれた。
【0620】
図2に示すように、AD-85481の単回100mg投与は、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)で決定された場合、プラセボと比較して、8週目で収縮期血圧および拡張期血圧をそれぞれ約10.1mmHgおよび約5.5mmHg低下させた。AD-85481の単回200mg投与後、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)で決定された場合、プラセボと比較して、8週目でそれぞれ約11mmHgおよび約7.7mmHgの収縮期および拡張期血圧の低減が観察された。
【0621】
これらのデータは、AD-85481の単回投与を受けた対象で、SBPおよびDBPが用量依存的に低減したことを示している。具体的には、AD-85481の単回投与(例えば、100mgまたは200mg)後8週目に、24時間SBPの10mmHgを超える低減が観察された。
【0622】
要約
要約すると、この単回投与用量漸増試験は、AD-85481の最大効果を特徴付け、AD-85481による治療が3か月を超える期間にわたって持続することを示した。これらのデータは、AD-85481(ALN-AGT01とも呼ばれる)の単回皮下投与が、軽度から中等度の高血圧症を有する患者において忍容性良好であり、治療に関連した重篤な有害事象はなかったことを示している。AD-85481の投与によって、血清AGTは用量依存的かつ持続的に低減した。高用量のAD-85481を単回投与した後に90%を超えるAGT低減が観察され、これが3か月間以上持続したことから、低い頻度の投与間隔が必要であることが示された。
【0623】
血圧の低減は、AD-85481の単回固定用量投与後のAGTノックダウンを反映しており、100mg以上の単回投与の8週間後で、24時間SBPの10mmHgを超える低減が観察された。
【0624】
高血圧症を治療するための現在の方法および治療薬の多くが腎機能への悪影響を伴うのと比較して、これらのデータはさらに、AGTの肝臓特異的サイレンシングが効果的であり、したがって、腎臓の安全性を改善することを実証している。AD-85481の長い作用持続時間は、一貫性した持続的な血圧応答をもたらし、BPの日内変動を鈍化させ、投薬頻度が低く全体的な服薬負担が低減するためアドヒアランスを向上させることができるという点で、現在の治療薬よりもさらに優れている。
【0625】
実施例2. AGT dsRNAの第II相臨床試験
無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量範囲、多施設共同試験を、軽度から中等度の高血圧症患者において、皮下投与(SC)されたALN-AGT01の安全性、有効性、および薬力学(PD)を評価するようにデザインした。無作為化の前に、少なくとも4週間のウォッシュアウト期間の間、患者は以前の降圧薬(服用している場合)を中止する。スクリーニング期間を完了し、登録のための全ての選択/除外基準を満たす患者は、12か月間の二重盲検(DB)投与期間の最初の6か月間、ALN-AGT01またはプラセボを投与される。
【0626】
診断および主要な適格基準
この試験には、未治療の高血圧症を有する成人(18歳以上75歳以下)、または以下のクラスのうちの1つまたは複数の降圧薬による安定した療法を受けている成人(18以上75歳以下)が含まれる:アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、レニン阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、チアジド利尿薬、および/またはチアジド様利尿薬。患者は、バックグラウンドの降圧薬のウォッシュアウトの少なくとも4週間後に、ABPMによる日中平均収縮期血圧(SBP)が135mmHg以上かつ160mmHg以下である必要がある。二次性高血圧症または起立性低血圧症を有する患者は除外する。
【0627】
被験薬、用量、および投与方法
AD-85481としても知られるALN-AGT01は、アンジオテンシノーゲン(AGT)の肝臓で発現するメッセンジャーRNAを標的とする、皮下投与されるN-アセチルガラクトサミンコンジュゲート低分子干渉RNAである。ALN-AGT01の非修飾および修飾ヌクレオチド配列は、上記に提供されている。
【0628】
ALN-AGT01を投与するよう無作為化された患者には、12か月のDB期間およびDB継続期間の間、150mgのALN-AGT01 SCを6か月に一回、300mgのALN-AGT01 SCを6か月に一回、300mgのALN-AGT01 SCを3か月に一回、または600mgのALN-AGT01 SCを6か月に一回、投与される。プラセボを投与するよう無作為化された患者は、6か月目からALN-AGT01の4つの初回投与レジメンのうちの1つに無作為化される。
【0629】
参照治療、用量、および投与方法
プラセボ(塩化ナトリウム0.9% w/v、SC投与用)は、3か月に一回、被験薬と同量投与される。6か月に一回投与される患者
ALN-AGT01レジメンは、盲検を維持するため、ALN-AGT01を投与されない投与来院時にはプラセボSCを投与される。
【0630】
投与期間および試験参加期間
ALN-AGT01を用いた治療の期間は、最大24か月である。各患者の合計推定試験期間は、最大2か月のスクリーニング、その後最大24か月の投与期間、および最大18か月の追跡期間を含む、最大44か月である。
試験の設定根拠
【0631】
ALN-AGT01-002試験(KARDIA-1)は、軽度から中等度の高血圧症患者に皮下投与されたALN-AGT01の安全性、有効性、および薬力学(PD)を評価するようデザインされた無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量範囲、多施設第II相試験である。患者は、12か月間の二重盲検(DB)期間のうち最初の6か月間、4つのALN-AGT01治療レジメンのうちの1つ、またはプラセボに無作為化される。DB期間の最初の6か月終了後、プラセボ群の患者は、DB期間の残りの6か月間、4つの最初のALN-AGT01レジメンのうちの1つに再無作為化され、
【0632】
一方、ALN-AGT01に無作為化された患者は、最初に割り当てられたレジメンを継続する。12か月間のDB期間の完了後、患者はALN-AGT01非盲検継続(OLE)試験に参加するのに適格であり得る。個々の患者がOLE試験が利用可能になる前に12か月前に到達した場合、OLE試験がオープンになるまで、DB継続期間の現在の盲検投与をさらに最大12か月間継続し、その後移行してもよい。
【0633】
本試験の主要目的は、自由行動下血圧測定(ABPM)で評価される、ベースラインから3か月目までの収縮期血圧(SBP)への影響を評価することによって、高血圧症の治療に対するALN-AGT01の有効性を評価することである。試験の副次的および探索的目的には、血圧応答の他の尺度に対するALN-AGT01の有効性を評価すること、および循環AGT濃度の低減を含むALN-AGT01のPD効果を評価することが含まれる。
【0634】
【0635】
試験デザインの概要
これは、軽度から中等度の高血圧症患者で、SC投与されたALN-AGT01の安全性、有効性、およびPDを評価するようにデザインされた、第II相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量範囲、多施設共同試験である。試験デザインの概略図を
図3に提供する。
【0636】
無作為化の前に、少なくとも4週間のウォッシュアウト期間の間、患者は以前の降圧薬(服用している場合)を中止する。
【0637】
スクリーニング期間を完了し、登録のための全ての選択/除外基準を満たす患者は、12か月間のDB投与期間にわたって以下のレジメンのうちの1つを受けるように1:1:1:1:1で無作為に割り付けられる。無作為化は、人種(黒人対他の全ての人種)およびベースライン血圧(平均24時間SBP145mmHg未満または145mmHg以上)で階層化される。
・ プラセボSCを3か月に一回し、6か月目に最初の4つのALN-AGT01レジメンのうちの1つに再無作為化(1:1:1:1)
・ 150mgのALN-AGT01 SCを6か月に一回
・ 300mgのALN-AGT01 SCを6か月に一回
・ 300mgのALN-AGT01 SCを3か月に一回
・ 600mgのALN-AGT01 SCを6か月に一回
【0638】
6か月に一回のALN-AGT01レジメンを受けている患者は、盲検性を維持するため、ALN-AGT01を投与されない投与来院時にはプラセボSCを投与される。
【0639】
3か月時点で、ABPMによる日中平均SBPが135mmHg以上の場合、従来の経口降圧剤を追加し得る。3か月以降、目標値(外来SBPが140mmHg未満、家庭血圧測定[HBPM]SBPが
135mmHg未満、またはABPMによる日中平均SBPが135mmHg未満として定義される目標値)を上回って血圧が持続的に上昇している場合にも、経口降圧薬が追加され得る。適切な患者(経口降圧剤を1つ使用している場合は5か月目の外来SBPが
155mmHg未満、または2つ使用している場合は外来SBPが150mmHg未満)では、経口降圧薬(服用している場合)を5か月目から6か月目まで一時的に中止して、
6か月目のALN-AGT01単独の効果(プラセボと比較)をABPMにより評価する。この4週間の間、毎日のHBPMによって血圧を注意深くモニタリングし、170mmHg超の外来SBPを確認した(または症状を伴う160mmHg超の外来SBPを確認した)場合には、経口降圧薬を再開した。
【0640】
患者は、12か月目の投与前評価の完了時、ALN-AGT01 OLE試験に参加するのに適格であり得る。個々の患者がOLE試験が利用可能になる前に12か月前に到達した場合、OLE試験がオープンになるまで、DB継続期間の現在の盲検投与をさらに最大12か月間継続し、その後移行してもよい。OLE試験の登録が開始すると、適格な患者は、12、18、または24か月目(いずれか最初の来院時)に、OLE試験にロールオーバーされ得る。
【0641】
DB継続期間では、血圧を厳密にモニタリングし、血圧を目標範囲内に維持するように降圧療法を個別に修正することが可能になる。
【0642】
選択基準
患者は、以下の基準全てに該当する場合、試験に参加するのに適格である。
【0643】
年齢と性別
1.18歳以上75歳以下
2.男性または女性
患者および疾患の特性
3.未治療の高血圧症(降圧薬を使用していない)を有するか、または以下のクラスのうちの1つまたは複数の降圧薬による安定した療法を受けている:ACE阻害薬、ARB、レニン阻害剤、CCB、チアジド利尿薬、および/もしくはチアジド様利尿薬。概して、安定した療法とは、スクリーニング前30日以内に降圧薬または用量に変化がないことと定義される。
4.ABPMによる日中平均SBPが135mmHg以上かつ160mmHg以下で、降圧薬を使用していない。以前に高血圧症の薬物を使用していた患者は、このABPMの前の4週間以上、降圧薬を使用してはならない。
【0644】
除外基準:
以下の基準のいずれかに該当する場合、患者は本試験から除外される。
【0645】
疾患特有の状態
1.二次性高血圧症
2.起立性低血圧症(症候性または無症候性)は、外来血圧で、座位から立ち上ってから約1~3分以内にSBPが20mmHg以上またはDBPが10mmHg以上低下するものとして定義される。
【0646】
臨床検査評価
3.少なくとも4週間のウォッシュアウト後に、以下の臨床検査パラメータ評価のいずれかを有する:
a.ALTまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が基準値上限(ULN)の2倍を超える
b.総ビリルビンがULNの1.5倍を超える。記録されたジルベール症候群に続発する総ビリルビン上昇を有する患者は、総ビリルビンがULNの2倍未満である場合に適格である
c.国際標準化比(INR)が2.0超(経口抗凝固薬[例えば、ワルファリン]を使用中でINRが3.5未満の患者は許容される)
d.カリウムの上昇が5mEq/L超
e.eGFRが30mL/分/1.73m2以下(Modification of Diet in Renal Diseaseの式に基づいて計算)
【0647】
前治療/併用療法
4.無作為化前の過去30日以内に治験剤を投与されたか、または試験登録前の別の臨床試験の追跡調査中である。現地または地域の規制当局による保健機関の認可(緊急使用を含む)を受けている薬剤は、治験剤とはみなされない。
5.血圧に著しい影響を及ぼすことが知られている薬剤または薬草サプリメントを、現在使用しているか、無作為化前30日以内に使用したか、または試験期間中に投与が予測される(本態性高血圧症の治療のための薬物を除く)。高血圧症クリーゼに関連するモノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤などの薬物を必要とする患者は除外すべきである。Whelton PK, Hypertension. 2018 Jun;71(6):e13-e115
6.ベータ遮断薬を、現在使用しているか、または無作為化前30日以内に使用した
7.ナトリウム-グルコースコトランスポーター2(SGLT2)阻害剤を、現在使用しているか、無作為化前の30日以内に使用したか、または試験期間中に投与が予測される
8.非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の処方は認められない。さらに、市販のNSAIDの慢性的/継続的な使用は認められない。鎮痛のためのParacetamol/アセトアミノフェン(一日当たり最大2g)は許容される。
9.試験期間中、有機硝酸塩調製物(ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、ペンタエリスリトールなど)の使用が予測される
10.無作為化前の6か月以内にRNAi治療薬(承認薬または治験薬)の投与を受けた
【0648】
医学的状態
11.ARB、ACE阻害薬(咳以外)、または直接レニン阻害剤に対する不耐症の、現在または過去の既往歴
12.RAAS阻害剤による治療を必要とする、高血圧症以外の医学的状態
13.多剤アレルギー歴、またはオリゴヌクレオチド薬もしくはGalNAcに対するアレルギー反応歴
14.1型糖尿病、管理不良の2型糖尿病(ヘモグロビンA1c[HbA1c]が8.0%超)、新たに診断された2型糖尿病(無作為化前6か月以内)、または糖尿病と診断されていないスクリーニング中の糖尿病の臨床検査的エビデンス(空腹時血漿グルコース126mg/dL[7.0mmol/L]以上、ランダム血漿グルコース200mg/dL[11.1mmol/L]以上、またはHbA1c6.5%以上)
15.アルブミン尿の重度の増加歴(尿アルブミン:クレアチニン比が300mg/g超、もしくは、300mg/日超)、またはスクリーニング時のこの診断と一致する検査結果
16.ヒト免疫不全ウイルス、または現在のもしくは慢性的なC型肝炎ウイルス(HCV)もしくはB型肝炎ウイルス(HBV)感染のエビデンスがある
17.無作為化前の6か月以内の、心血管系イベント(脳卒中、一過性虚血性発作、心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈バイパスグラフト、経皮的冠動脈インターベンション、心不全による入院など)の既往歴
18.臨床的に有意な心臓弁膜症
19.ニューヨーク心臓協会のII~IVの心不全
20.無作為化前の3か月以内の、再発性で高度に症候性の心室頻拍、急速な心室反応を伴う心房細動、または上室性頻拍として定義される、管理不良の重篤な心不整脈
21.肝臓移植を受けたことがある、または試験の投与期間中に有効な肝臓移植の待機リストに記載されることが予測される
22.腎臓移植の既往がある、または免疫抑制療法を受けている
23.治験責任医師の見解により、試験のコンプライアンスまたはデータ解釈を妨げるであろう、または治験責任医師の見解により、試験に参加すると患者の安全性を危険にさらすであろう、他の医学的状態または併存疾患を有する
24.無作為化前7日以内に治験責任医師が判断した、臨床的に重大な疾患
25.スクリーニング前の過去6か月間に体重の10%超の変化があったことが分かっている
26.被験薬の投与または局所忍容性の評価を妨げる可能性があるSC注射に対する不耐性の既往歴
27.試験期間中に大手術または全身麻酔が計画されている
【0649】
避妊、妊娠、授乳
28.試験期間中、避妊要件を遵守する意思がない
29.女性患者が妊娠しているか、妊娠を計画しているか、または授乳中である。
【0650】
アルコールまたはニコチンの使用および物質の乱用
30.試験期間中、アルコール消費を制限する意思がない、または制限することができない。試験中、2単位/日超のアルコール摂取量は除外される(単位:ワイン1杯〔約125mL]=スピリッツ1尺度〔約1液量オンス]=ビール1/2パイント〔約284mL])。
31.治験責任医師の意見による、スクリーニング前の過去12か月以内のアルコールまたは物質の乱用歴(合法薬物または違法薬物)
32.外来血圧測定前30分以内にニコチンまたはたばこ含有製品(嗅ぎたばこ、噛みたばこ、葉巻、紙巻たばこ、パイプ、ニコチンパッチ、または電子たばこを含むがこれに限定されない)の使用を控える意思がない、または控えることができない
【0651】
その他の制限
33.3交代勤務または夜勤労働者
34.腕の周囲が、スポンサーが提供する血圧計の最大カフサイズを超えている
35.HBPMを指定されたとおりに実施することができない、または実行する意思がない
【0652】
有効性の解析
主要評価項目は、ABPMによって評価された3か月目のSBPの、ベースラインからの変化である。ALN-AGT01の用量およびプラセボにおける主要評価項目の用量反応関係の主要な仮説は、
【0653】
多重比較モデリング(MCP Mod)法を用いて試験される。[Bretz F, Pinheiro JC,Branson M. Combining multiple comparisons and modeling techniques in dose-response studies. Biometrics. 2005 Sep;61(3):738-48]用量反応傾向の存在は、まず予め指定された用量反応モデルのセットに対して試験され、両側有意水準0.05とし、多重性の調整が行われる(MCPステップ)。いくつかの候補モデルがSAPで事前に指定される。次に、「最良」に適合された用量反応モデルに基づいて、用量反応曲線がさらに推定される(モデリングステップ)。さらに、各ALN-AGT01投与群を、ダネット検定を使用してプラセボと比較する。
【0654】
副次的評価項目である、3か月目のABPMにより評価されたDBPの変化、および6か月目のABPMにより評価されたSBPおよびDBPの変化については、各ALN-AGT01投与群をプラセボと比較する。外来SBPおよびDBPの変化については、各ALN-AGT01投与群を、3か月目および6か月目でプラセボと比較し、また1か月目から3か月目まで、および1か月目から6か月目までの時間調整平均も使用する。
【0655】
主要評価項目および副次評価項目には多重性の調整は適用されない。
【0656】
薬力学的解析
薬力学的解析には、血清AGTおよびRAAS経路の他の探索的バイオマーカーのレベルの変化の評価が含まれる。全ての測定されたバイオマーカーについて、観察されたレベルおよびベースラインからの相対的変化についての記述統計量が、投与後の各時点について提示される。
治療群間のバイオマーカーレベル(絶対値および/またはベースラインからの変化)の統計学的比較を探索し得る。解析の詳細はSAPで指定される。
【0657】
集団PK/PD解析を実施して、ALN-AGT01投与後のPD低下の用量反応関係を評価し得る。さらに、血清AGTの低下と血圧との間の関係は、モデリングフレームワーク内で探索され得る。実施される場合、これらの解析はファーマコメトリクス解析計画に記載され、結果は別のレポートに提示される。
【0658】
薬物動態解析
ALN-AGT01およびその代謝物AS(N-1)3’ ALN-AGT01の血漿中濃度は、記述統計量を使用して要約される。
【0659】
集団PK解析は、本試験からのPKデータに対して実施され得る。実施される場合、解析方法はファーマコメトリクス解析計画に記載され、結果は別のレポートに提示される。
【0660】
安全性の解析
主要パラメータは、治療下発現AE(以下、単にAEと呼ぶ)の頻度である。安全性パラメータには、バイタルサイン、ECG、臨床検査測定機関評価、および身体検査も含まれる。曝露の程度を要約する。
【0661】
前治療薬および併用薬は、世界保健機関薬物辞典を使用してコード化される。結果は、解剖治療化学分類システムおよび基本語(PT)によって表にまとめられる。
【0662】
有害事象は、ICH国際医薬用語集(MedDRA)器官別大分類(SOC)およびPTに従って分類される。有害事象、SAE、関連するAE、被験薬中止に至るAE、および死亡に至るAEは、各治療群についてSOCおよびPTによって要約される。死亡、SAE、および被験薬の中止に至るAEについては、患者別リストが提供される。
【0663】
臨床検査パラメータ、ECG、およびバイタルサインについて、観察された値およびベースラインからの経時的な変化を要約する記述統計量が提供される。ベースラインのグレード(またはカテゴリー)からベースライン後の最も悪いグレード(またはカテゴリー)への臨床検査シフトテーブルを、グレードまたはカテゴリー分けされた臨床検査パラメータについて提示する。身体検査の異常所見はリストに提示される。
【0664】
実施例3. 高血圧症患者におけるAD-85481(ジレベシラン)の単回投与の6か月後の循環AGTおよび血圧の持続的低減
多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単回漸増固定用量試験を実施して、高血圧症を有する対象への単回固定用量投与後6か月時点でのAD-85481(ジレベシラン)の安全性および有効性を評価した。ClinicalTrials.gov識別子:NCT03934307、パートA)。
【0665】
この試験には、降圧薬を用いていない、高血圧症を有し(収縮期血圧(SBP)が130mmHg超かつ165mmHg以下の対象)、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)が130mmHg以上であり、BMIが18以上かつ35kg/m2以下である、18~65歳の成人が含まれた。二次性高血圧症を有する患者は除外された。患者は未治療であったか、または以前に降圧薬を使用していた場合は、スクリーニング前に2週間以上ウォッシュアウトされた。
【0666】
合計84人の高血圧症患者が、この最大800mgのジレベシランの漸増単回固定用量試験に登録された。対象の人口統計学的特性およびベースライン特性を以下の表に示す。
【表9】
【0667】
患者には、プラセボ、または10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、400mg、もしくは800mgの単回固定用量のAD-85481が皮下投与された(
図4)。
【0668】
安全性および忍容性、血清AGTのベースラインからの変化、ならびに血漿および尿の薬物動態パラメータを評価した。血圧のベースラインからの変化も、24時間ABPMによって評価した。具体的には、ベースラインの血圧からの変化を、8週目、12週目、および24週目で、自由行動下血圧測定(ABPM)によって測定した。8週目以降、患者に臨床的に有意な血圧上昇が生じた場合、アドオン治療を開始した。患者は、12週目以降盲検解除された。AD-85481を投与された患者は追跡期間に入り、プラセボを投与された患者は安全性追跡期間を完了する必要はなかった。
【0669】
安全性および忍容性は、二重盲検期(12週時点)にプロトコルに従って評価された。AD-85481の投与は概して忍容性良好であり、治療に関連した重篤な有害事象(SAE)はなかった。ほとんどの有害事象(AE)は、重症度が軽度または中等度であり、介入することなく消散した。死亡または試験中止につながるAEは報告されなかった。AD-85481を200mg投与された1人の患者において、スクリーニング期間中に実施され、投与後陽性として報告された生検に基づいて、前立腺癌の重症かつ重篤なAEが報告された。プラセボを投与された患者1人に、視神経虚血性ニューロパチーの重度かつ重篤なAEが報告された。24週目まで追加のSAEは観察されなかった。患者は、低血圧に対する介入を必要としなかった。血清ALT、血清クレアチニン、または血清カリウムの臨床的に有意な上昇は報告されなかった。AD-85481を投与された5人の患者は注射部位反応を有したが、いずれも軽度かつ一過性であった。
【0670】
血清AGTの濃度は、AD-85481の単回投与後に測定された。
図5に示すように、AD-85481の100mg以上の単回投与で、ベースラインからの血清AGTの90%以上の低減が3週目から観察され、これは12週目まで持続した。AD-85481の単回800用量を投与された全ての患者は、24週目まで血清AGTの90%超の低減を維持した。
【0671】
AD-85481の評価には、24時間の自由行動下血圧測定(ABPM)で決定されたSBPおよびDBPの、ベースラインからの変化も含まれた。AD-85481の単回用量投与による持続的な降圧効果が示された。
図6に示されるように、200mg以上の固定用量を投与された用量群全体で、8週目で平均24時間SBPの10mmHg超の低減が達成され、BPの臨床的に意味のある低減が24週目まで維持された。800mgのAD-85481を単回投与した後、24週目に20mmHg超の平均24時間SBPの低減が観察された。この群(800mg)の患者8人のうち6人は、アドオン降圧薬なしで、24週目で平均24時間SBPの20mmHg超の低減を達成した。さらに、血清AGTの低減は、複数の用量にわたって24時間SBPの低減と相関があった。
【0672】
24時間にわたる一貫した血圧低減も観察された。8週目に、AD-85481の用量が200mg以上で、日中SBPおよび夜間SBPの両方の顕著な低減が実証された(
図7)。このような日中SBPおよび夜間SBPの低減は、その後の時点(12週目および24週目、データは示さず)まで持続した。DBPについても、日中および夜間で同様の改善が見られた(データは示さず)。
【0673】
結論として、AD-85481の単回皮下投与固定用量は、軽度から中等度の高血圧症患者において忍容性良好であり、高血圧症患者におけるその継続的な発症を裏付けるものであった。AD-85481の単回800mg固定用量投与後、血清AGTの90%超の持続的な低減、および24時間SBPの20mmHg超の平均低減量が観察された。AD-85481は、200mg以上の用量群で、8週目で24時間SBPの10mmHg超の低減をもたらし、臨床的に意味のあるBPの低減は24週目まで維持された。AD-85481は、日中および夜間の両方で、一貫した持続的なBP低減をもたらした。これらのデータは、高血圧症におけるAD-85481の年四回の用量投与および年二回の用量投与の両方のさらなる評価を裏付けるものである。
【0674】
実施例4.ナトリウム欠乏中の高血圧症患者におけるAD-85481(ジレベシラン)の安全性および忍容性
高血圧症を有する対象への単回固定用量投与後のAD-85481(ジレベシラン)の安全性および有効性を評価する多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単回漸増固定用量試験(ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03934307、パートA)において、ナトリウム消費量を変化させた2週間の食事性サブスタディ(NCT03934307、パートB)を実施した。本試験の目的は、AD-85481治療に対する食塩感受性血圧応答の可能性を特定することであった(
図8)。簡潔に述べると、低塩食(一日当たり0.23gのナトリウム)を、投与前の-22日目~-15日目、および投与後の43日目~50日目に対象に与えた。高塩食(一日当たり5.75gのナトリウム)を、投与前の-15日目~-8日目、および投与後の50日目~57日目に対象に与えた。
【0675】
プラセボ(コホート当たりn=4)または800mgの固定用量のAD-85481の単回皮下投与(コホート当たりn=8)のいずれかを患者に投与した。対象の人口統計学的特性およびベースライン特性を以下の表に示す。
【表10】
【0676】
安全性および忍容性、血清AGTのベースラインからの変化、ならびに血漿および尿の薬物動態パラメータを評価した。血圧のベースラインからの変化も、低塩および高塩条件下で評価した。
【0677】
試験開始から85日目まで安全性が報告された。AD-85481の安全性プロファイルは許容範囲内であり、安全性に関する懸念はなかった。有害事象の重症度は全て軽度であり、介入することなく消散した。死亡も重篤な有害事象(SAE)も報告されず、試験中止に至る有害事象(AE)も無かった。注射部位反応または低血圧症のAEはなく、ナトリウム欠乏期間中を含め、低血圧に対する介入を必要とした患者はいなかった。AD-85481投与群では、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、血清クレアチニン、または血清カリウムの臨床的に有意な上昇は報告されなかった。プラセボ投与患者1名に、アルコール消費に起因する、基準値上限(ULN)の3倍を超える一過性のALT上昇があった。
【0678】
AD-85481の評価には、24時間の自由行動下血圧測定(ABPM)で決定されたSBPおよびDBPの、ベースラインからの変化も含まれた。800mgのAD-85481単独の単回投与後、血清AGTレベルの90%超の低減が達成され、2週目から12週目まで維持された(データはここで示されている)。
図9に示すように、低塩食後の全ての患者について、投与前に24時間SBPおよびDBPの低減が観察された。高塩食に切り替えると血圧は上昇した。AD-85481またはプラセボを投与した後、AD-85481治療患者ではプラセボ治療患者と比較して、低塩食後の血圧変化がより顕著であったが、高塩食はAD-85481の血圧低下効果を和らげた。
【0679】
実施例5.イルベサルタン併用投与中の高血圧症患者におけるAD-85481(ジレベシラン)の安全性および忍容性
高血圧症を有する対象への単回固定用量投与後のAD-85481(ジレベシラン)の安全性および有効性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単回漸増固定用量試験(ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03934307、パートA)では、イルベサルタン併用投与中の高血圧症患者におけるAD-85481(ジレベシラン)の安全性および忍容性を評価するために、サブスタディ(NCT03934307、パートE)を実施した。簡潔に述べると、全ての患者は、1日目に皮下投与により、非盲検の単回800mgのAD-85481固定用量を投与された。41日目に24時間平均収縮期血圧(SBP)が120mmHg以上であった患者(N=10)は、43日目から57日目まで14日間、一日一回のイルベサルタン(300mg経口)の投与へと移った(
図10)。
【0680】
対象の人口統計学的特性およびベースライン特性を以下の表に示す。
【表11】
【0681】
安全性および忍容性、血清AGTのベースラインからの変化、ならびに血漿および尿の薬物動態パラメータを評価した。血圧のベースラインからの変化も、24時間ABPMによって評価した。
【0682】
試験開始から85日目まで安全性が報告された。AD-85481の安全性プロファイルは概して忍容性良好であり、薬物に関連した重篤な有害事象(SAE)はなかった。全ての有害事象の重症度は軽度であった。イルベサルタンアドオン群に急性貧血の軽度のSAEが一例あったが、ジレベシランの投与前のスクリーニング中に生検を実施した食道胃十二指腸検査による合併症であり、被験薬とは関連しないと考えられた。イルベサルタン投与中に低血圧症イベントの懸念のあるAEはなかった。また、低血圧に対する介入が必要な患者もいなかった。血清ALT、血清クレアチニン、または血清カリウムの臨床的に有意な上昇は報告されなかった。
【0683】
AD-85481の評価には、24時間の自由行動下血圧測定(ABPM)で決定されたSBPおよびDBPの、ベースラインからの変化も含まれた。800mgのAD-85481単独の単回投与後、血清AGTレベルの90%超の低減が達成され、2週目から12週目まで維持された(データはここで示されている)。アドオンのイルベサルタン300mgを一日一回経口投与しても、血清AGTレベルに追加的な効果はなかった。以下の表に示されるように、800mgの固定用量のジレベシランの単回皮下投与により、収縮期および拡張期BPの両方が低下し(1~41日目)、アドオンのイルベサルタンを一日一回2週間投与すると、収縮期および拡張期BPがさらに低下した(43~57日目)。
【表12】
【0684】
実施例4および5の概要
800mgの固定用量のジレベシランの単回皮下投与は、軽度~中等度の高血圧症患者において概して忍容性良好であり、低塩食中またはイルベサルタンとの併用投与中に、低血圧症のAEは報告されなかった。さらに、高塩食がジレベシランのBP低下効果を和らげることが示され、標準的な介入が潜在的な低血圧症有害事象を治療するのに有効である可能性があるというエビデンスが提供された。ジレベシランに追加のイルベサルタンを投与するとBPはさらに低下し、クレアチニンまたはカリウムには臨床的に有意な変化はなかった。
【0685】
均等物
当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態および方法に対する多くの均等物を認識するか、または通例の実験のみを使用して確認することができるであろう。こうした均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
非公式配列表
配列番号1
>gi|188595658|ref|NM_000029.3|ヒト(Homo sapiens)アンジオテンシノーゲン(セルピンペプチダーゼ阻害剤、クレードA、メンバー8)(AGT)、mRNA
ATCCCATGAGCGGGCAGCAGGGTCAGAAGTGGCCCCCGTGTTGCCTAAGCAAGACTCTCCCCTGCCCTCT
GCCCTCTGCACCTCCGGCCTGCATGTCCCTGTGGCCTCTTGGGGGTACATCTCCCGGGGCTGGGTCAGAA
GGCCTGGGTGGTTGGCCTCAGGCTGTCACACACCTAGGGAGATGCTCCCGTTTCTGGGAACCTTGGCCCC
GACTCCTGCAAACTTCGGTAAATGTGTAACTCGACCCTGCACCGGCTCACTCTGTTCAGCAGTGAAACTC
TGCATCGATCACTAAGACTTCCTGGAAGAGGTCCCAGCGTGAGTGTCGCTTCTGGCATCTGTCCTTCTGG
CCAGCCTGTGGTCTGGCCAAGTGATGTAACCCTCCTCTCCAGCCTGTGCACAGGCAGCCTGGGAACAGCT
CCATCCCCACCCCTCAGCTATAAATAGGGCATCGTGACCCGGCCGGGGGAAGAAGCTGCCGTTGTTCTGG
GTACTACAGCAGAAGGGTATGCGGAAGCGAGCACCCCAGTCTGAGATGGCTCCTGCCGGTGTGAGCCTGA
GGGCCACCATCCTCTGCCTCCTGGCCTGGGCTGGCCTGGCTGCAGGTGACCGGGTGTACATACACCCCTT
CCACCTCGTCATCCACAATGAGAGTACCTGTGAGCAGCTGGCAAAGGCCAATGCCGGGAAGCCCAAAGAC
CCCACCTTCATACCTGCTCCAATTCAGGCCAAGACATCCCCTGTGGATGAAAAGGCCCTACAGGACCAGC
TGGTGCTAGTCGCTGCAAAACTTGACACCGAAGACAAGTTGAGGGCCGCAATGGTCGGGATGCTGGCCAA
CTTCTTGGGCTTCCGTATATATGGCATGCACAGTGAGCTATGGGGCGTGGTCCATGGGGCCACCGTCCTC
TCCCCAACGGCTGTCTTTGGCACCCTGGCCTCTCTCTATCTGGGAGCCTTGGACCACACAGCTGACAGGC
TACAGGCAATCCTGGGTGTTCCTTGGAAGGACAAGAACTGCACCTCCCGGCTGGATGCGCACAAGGTCCT
GTCTGCCCTGCAGGCTGTACAGGGCCTGCTAGTGGCCCAGGGCAGGGCTGATAGCCAGGCCCAGCTGCTG
CTGTCCACGGTGGTGGGCGTGTTCACAGCCCCAGGCCTGCACCTGAAGCAGCCGTTTGTGCAGGGCCTGG
CTCTCTATACCCCTGTGGTCCTCCCACGCTCTCTGGACTTCACAGAACTGGATGTTGCTGCTGAGAAGAT
TGACAGGTTCATGCAGGCTGTGACAGGATGGAAGACTGGCTGCTCCCTGATGGGAGCCAGTGTGGACAGC
ACCCTGGCTTTCAACACCTACGTCCACTTCCAAGGGAAGATGAAGGGCTTCTCCCTGCTGGCCGAGCCCC
AGGAGTTCTGGGTGGACAACAGCACCTCAGTGTCTGTTCCCATGCTCTCTGGCATGGGCACCTTCCAGCA
CTGGAGTGACATCCAGGACAACTTCTCGGTGACTCAAGTGCCCTTCACTGAGAGCGCCTGCCTGCTGCTG
ATCCAGCCTCACTATGCCTCTGACCTGGACAAGGTGGAGGGTCTCACTTTCCAGCAAAACTCCCTCAACT
GGATGAAGAAACTATCTCCCCGGACCATCCACCTGACCATGCCCCAACTGGTGCTGCAAGGATCTTATGA
CCTGCAGGACCTGCTCGCCCAGGCTGAGCTGCCCGCCATTCTGCACACCGAGCTGAACCTGCAAAAATTG
AGCAATGACCGCATCAGGGTGGGGGAGGTGCTGAACAGCATTTTTTTTGAGCTTGAAGCGGATGAGAGAG
AGCCCACAGAGTCTACCCAACAGCTTAACAAGCCTGAGGTCTTGGAGGTGACCCTGAACCGCCCATTCCT
GTTTGCTGTGTATGATCAAAGCGCCACTGCCCTGCACTTCCTGGGCCGCGTGGCCAACCCGCTGAGCACA
GCATGAGGCCAGGGCCCCAGAACACAGTGCCTGGCAAGGCCTCTGCCCCTGGCCTTTGAGGCAAAGGCCA
GCAGCAGATAACAACCCCGGACAAATCAGCGATGTGTCACCCCCAGTCTCCCACCTTTTCTTCTAATGAG
TCGACTTTGAGCTGGAAAGCAGCCGTTTCTCCTTGGTCTAAGTGTGCTGCATGGAGTGAGCAGTAGAAGC
CTGCAGCGGCACAAATGCACCTCCCAGTTTGCTGGGTTTATTTTAGAGAATGGGGGTGGGGAGGCAAGAA
CCAGTGTTTAGCGCGGGACTACTGTTCCAAAAAGAATTCCAACCGACCAGCTTGTTTGTGAAACAAAAAA
GTGTTCCCTTTTCAAGTTGAGAACAAAAATTGGGTTTTAAAATTAAAGTATACATTTTTGCATTGCCTTC
GGTTTGTATTTAGTGTCTTGAATGTAAGAACATGACCTCCGTGTAGTGTCTGTAATACCTTAGTTTTTTC
CACAGATGCTTGTGATTTTTGAACAATACGTGAAAGATGCAAGCACCTGAATTTCTGTTTGAATGCGGAA
CCATAGCTGGTTATTTCTCCCTTGTGTTAGTAATAAACGTCTTGCCACAATAAGCCTCCAAAAAAAA
配列番号2
配列番号1の逆相補体
TTTTTTTTGGAGGCTTATTGTGGCAAGACGTTTATTACTAACACAAGGGAGAAATAACCAGCTATGGTTCCGCATTCAAACAGAAATTCAGGTGCTTGCATCTTTCACGTATTGTTCAAAAATCACAAGCATCTGTGGAAAAAACTAAGGTATTACAGACACTACACGGAGGTCATGTTCTTACATTCAAGACACTAAATACAAACCGAAGGCAATGCAAAAATGTATACTTTAATTTTAAAACCCAATTTTTGTTCTCAACTTGAAAAGGGAACACTTTTTTGTTTCACAAACAAGCTGGTCGGTTGGAATTCTTTTTGGAACAGTAGTCCCGCGCTAAACACTGGTTCTTGCCTCCCCACCCCCATTCTCTAAAATAAACCCAGCAAACTGGGAGGTGCATTTGTGCCGCTGCAGGCTTCTACTGCTCACTCCATGCAGCACACTTAGACCAAGGAGAAACGGCTGCTTTCCAGCTCAAAGTCGACTCATTAGAAGAAAAGGTGGGAGACTGGGGGTGACACATCGCTGATTTGTCCGGGGTTGTTATCTGCTGCTGGCCTTTGCCTCAAAGGCCAGGGGCAGAGGCCTTGCCAGGCACTGTGTTCTGGGGCCCTGGCCTCATGCTGTGCTCAGCGGGTTGGCCACGCGGCCCAGGAAGTGCAGGGCAGTGGCGCTTTGATCATACACAGCAAACAGGAATGGGCGGTTCAGGGTCACCTCCAAGACCTCAGGCTTGTTAAGCTGTTGGGTAGACTCTGTGGGCTCTCTCTCATCCGCTTCAAGCTCAAAAAAAATGCTGTTCAGCACCTCCCCCACCCTGATGCGGTCATTGCTCAATTTTTGCAGGTTCAGCTCGGTGTGCAGAATGGCGGGCAGCTCAGCCTGGGCGAGCAGGTCCTGCAGGTCATAAGATCCTTGCAGCACCAGTTGGGGCATGGTCAGGTGGATGGTCCGGGGAGATAGTTTCTTCATCCAGTTGAGGGAGTTTTGCTGGAAAGTGAGACCCTCCACCTTGTCCAGGTCAGAGGCATAGTGAGGCTGGATCAGCAGCAGGCAGGCGCTCTCAGTGAAGGGCACTTGAGTCACCGAGAAGTTGTCCTGGATGTCACTCCAGTGCTGGAAGGTGCCCATGCCAGAGAGCATGGGAACAGACACTGAGGTGCTGTTGTCCACCCAGAACTCCTGGGGCTCGGCCAGCAGGGAGAAGCCCTTCATCTTCCCTTGGAAGTGGACGTAGGTGTTGAAAGCCAGGGTGCTGTCCACACTGGCTCCCATCAGGGAGCAGCCAGTCTTCCATCCTGTCACAGCCTGCATGAACCTGTCAATCTTCTCAGCAGCAACATCCAGTTCTGTGAAGTCCAGAGAGCGTGGGAGGACCACAGGGGTATAGAGAGCCAGGCCCTGCACAAACGGCTGCTTCAGGTGCAGGCCTGGGGCTGTGAACACGCCCACCACCGTGGACAGCAGCAGCTGGGCCTGGCTATCAGCCCTGCCCTGGGCCACTAGCAGGCCCTGTACAGCCTGCAGGGCAGACAGGACCTTGTGCGCATCCAGCCGGGAGGTGCAGTTCTTGTCCTTCCAAGGAACACCCAGGATTGCCTGTAGCCTGTCAGCTGTGTGGTCCAAGGCTCCCAGATAGAGAGAGGCCAGGGTGCCAAAGACAGCCGTTGGGGAGAGGACGGTGGCCCCATGGACCACGCCCCATAGCTCACTGTGCATGCCATATATACGGAAGCCCAAGAAGTTGGCCAGCATCCCGACCATTGCGGCCCTCAACTTGTCTTCGGTGTCAAGTTTTGCAGCGACTAGCACCAGCTGGTCCTGTAGGGCCTTTTCATCCACAGGGGATGTCTTGGCCTGAATTGGAGCAGGTATGAAGGTGGGGTCTTTGGGCTTCCCGGCATTGGCCTTTGCCAGCTGCTCACAGGTACTCTCATTGTGGATGACGAGGTGGAAGGGGTGTATGTACACCCGGTCACCTGCAGCCAGGCCAGCCCAGGCCAGGAGGCAGAGGATGGTGGCCCTCAGGCTCACACCGGCAGGAGCCATCTCAGACTGGGGTGCTCGCTTCCGCATACCCTTCTGCTGTAGTACCCAGAACAACGGCAGCTTCTTCCCCCGGCCGGGTCACGATGCCCTATTTATAGCTGAGGGGTGGGGATGGAGCTGTTCCCAGGCTGCCTGTGCACAGGCTGGAGAGGAGGGTTACATCACTTGGCCAGACCACAGGCTGGCCAGAAGGACAGATGCCAGAAGCGACACTCACGCTGGGACCTCTTCCAGGAAGTCTTAGTGATCGATGCAGAGTTTCACTGCTGAACAGAGTGAGCCGGTGCAGGGTCGAGTTACACATTTACCGAAGTTTGCAGGAGTCGGGGCCAAGGTTCCCAGAAACGGGAGCATCTCCCTAGGTGTGTGACAGCCTGAGGCCAACCACCCAGGCCTTCTGACCCAGCCCCGGGAGATGTACCCCCAAGAGGCCACAGGGACATGCAGGCCGGAGGTGCAGAGGGCAGAGGGCAGGGGAGAGTCTTGCTTAGGCAACACGGGGGCCACTTCTGACCCTGCTGCCCGCTCATGGGAT
配列番号3
>gi|90075391|dbj|AB170313.1|カニクイザル(Macaca fascicularis)脳cDNAクローン:QmoA-10278、ヒトアンジオテンシノーゲンに類似(セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害剤、クレードA(アルファ-1抗プロテイナーゼ、アンチトリプシン)、メンバー8)(AGT)、mRNA、RefSeq: NM_000029.1
AAGAAGCTGCCATTGTTCTGGGTACTACAGCAGAAGGGTATGCAGAAGCGAGCACCCCAGTCCGAGATGG
CTCCTGCCAGCGTGAGCCTGAGGGCCACCATCCTCTGCCTCCTGGCCTGGGCTGGCCTGGCCACAGGTGA
CCGGGTGTACATACACCCCTTCCACCTCGTCATCCACAATGAGAGTACCTGTGAGCAGCTGGCAAAGGCC
GATGCTGGGAAGCCCAAAGATCCCACCTTCACACCTGTTCCGATACAGGCCAAGACGTCTCCTGTGGATG
AAAAGGCCCTGCAGGACCAGCTAGTGCTGGTTGCCGCAAAACTCGACACCGAGGACAAGTTGAGAGCCGC
GATGGTCGGGATGCTGGCCAACTTCTTGGGCTTCCGTATATATGGCATGCACAGTGAGCTATGGGGCGTG
GTCCATGGGGCCACCATCCTCTCCCCAACGGCTGTCTTTGGCACCCTGGCCTCTCTCTACCTGGGAGCGT
TGGACCACACAGCCGACAGGCTACAGGCAATCCTGGGCGTCCCTTGGAAGGACAAGAACTGCACCTCCCG
GCTGGATGCGCACAAGGTCCTCTCTGCCCTGCAGGCTGTACAGGGCCTGCTGGTGGCCCAGGGCAGGGCT
GACGGCCAGTCCCAGCTGCTGTTGTCCACAGTGGTGGGTCTCTTCACAGCCCCAGATCTGCACCTGAAGC
AGCCGTTTGTGCAGGGCCTGGCTCTCTATGCCCCTGTGGTCCTCCCACGCTCTCTGGACTTCACAGACCT
GGAAGTCGCTGCTGAGAAGATTGACAGGTTCATGCAGGCTGTGACAGGATGGAAGATTAGCAGCCCCCTG
ACGGGAGCCAGTGCGGACAGCACCCTGGTTTTCAACACCTACGTCCATTTCCAAGGGAAGATGAGGGACT
TCTTCCTGCTGGCTGAGCCCCAGGAGTTCTGGGTGGACAACAGCACCTCAGTGTCTGTCCCCATGCTGTC
TGGCGTGGGCACCTTCCAGCACTGGAGCGACGCCCAGGACAACTTCTCAGTGACTCAAGTGCCCTTTACT
GAGAGCGCCTGCTTGCTGCTGATTCAGCCTCACTACGCCTCTGACCTGGACAAGGTGGAGGGTCTCACTT
TCCAGCAAAACTCCCTCAACTGGATGAAGAAACTGTCTCCCCGGGCCATCCACCTGACCATGCCCCGACT
GGTGCTGCGAGGATCTTATGACCTGCAGGACCTGCTTGCCCAGGCTGAGCTGCCCGCCATTCTGGGCACC
GAGCTGAACCTGCAAAAATTGAGCAATGACAACCTCAGGGTGGGGAAGGTGCTGAACAGCATTCTTTTTG
AACTCGAAGCGGATGAGAGAGAGCCCACAGAGTCTACCCGACAGCTGAACAGGCCTGAGTTCTTGGAGGT
GACCCTGGACCGCCCATTCCTGTTTGCTGTGTATGATCAAAGTGCCACTGCCCTGCACTTCCTGGGCCGT
GTGGCCAACCCGCTGAGCCCAGCATGAGGCCAGGGCCCCAGAACACAGCGCCTGGCAAGGCCTCTGCCCC
TGGCCTTTGAGGCGAAGGCCAGCAGCAGATATGTAACTCTGGAAAAACCAGCGATTTGTCACCCCCAGTC
TCCCACCTTTTCTTCTAATGAGTCAACTTCGAGCTGGAAAGCAGTCGTTTCTCCTTGGTCTAAGTGGTGC
TGCGTGAGCAGTAAGAAACCTGTGGCAGCACAAATGCGCCTCCCAGGTTGCTGGGTTTATTTTAGAGAAT
GGGGGTGGGGAGGCAAGAACCAGTGTTTAGCGCGGGACCACCGTTCCAAAAAGAATTCCAACCGACCAGC
TTGTTTGTGAAACA
配列番号4
配列番号3の逆相補体
TGTTTCACAAACAAGCTGGTCGGTTGGAATTCTTTTTGGAACGGTGGTCCCGCGCTAAACACTGGTTCTTGCCTCCCCACCCCCATTCTCTAAAATAAACCCAGCAACCTGGGAGGCGCATTTGTGCTGCCACAGGTTTCTTACTGCTCACGCAGCACCACTTAGACCAAGGAGAAACGACTGCTTTCCAGCTCGAAGTTGACTCATTAGAAGAAAAGGTGGGAGACTGGGGGTGACAAATCGCTGGTTTTTCCAGAGTTACATATCTGCTGCTGGCCTTCGCCTCAAAGGCCAGGGGCAGAGGCCTTGCCAGGCGCTGTGTTCTGGGGCCCTGGCCTCATGCTGGGCTCAGCGGGTTGGCCACACGGCCCAGGAAGTGCAGGGCAGTGGCACTTTGATCATACACAGCAAACAGGAATGGGCGGTCCAGGGTCACCTCCAAGAACTCAGGCCTGTTCAGCTGTCGGGTAGACTCTGTGGGCTCTCTCTCATCCGCTTCGAGTTCAAAAAGAATGCTGTTCAGCACCTTCCCCACCCTGAGGTTGTCATTGCTCAATTTTTGCAGGTTCAGCTCGGTGCCCAGAATGGCGGGCAGCTCAGCCTGGGCAAGCAGGTCCTGCAGGTCATAAGATCCTCGCAGCACCAGTCGGGGCATGGTCAGGTGGATGGCCCGGGGAGACAGTTTCTTCATCCAGTTGAGGGAGTTTTGCTGGAAAGTGAGACCCTCCACCTTGTCCAGGTCAGAGGCGTAGTGAGGCTGAATCAGCAGCAAGCAGGCGCTCTCAGTAAAGGGCACTTGAGTCACTGAGAAGTTGTCCTGGGCGTCGCTCCAGTGCTGGAAGGTGCCCACGCCAGACAGCATGGGGACAGACACTGAGGTGCTGTTGTCCACCCAGAACTCCTGGGGCTCAGCCAGCAGGAAGAAGTCCCTCATCTTCCCTTGGAAATGGACGTAGGTGTTGAAAACCAGGGTGCTGTCCGCACTGGCTCCCGTCAGGGGGCTGCTAATCTTCCATCCTGTCACAGCCTGCATGAACCTGTCAATCTTCTCAGCAGCGACTTCCAGGTCTGTGAAGTCCAGAGAGCGTGGGAGGACCACAGGGGCATAGAGAGCCAGGCCCTGCACAAACGGCTGCTTCAGGTGCAGATCTGGGGCTGTGAAGAGACCCACCACTGTGGACAACAGCAGCTGGGACTGGCCGTCAGCCCTGCCCTGGGCCACCAGCAGGCCCTGTACAGCCTGCAGGGCAGAGAGGACCTTGTGCGCATCCAGCCGGGAGGTGCAGTTCTTGTCCTTCCAAGGGACGCCCAGGATTGCCTGTAGCCTGTCGGCTGTGTGGTCCAACGCTCCCAGGTAGAGAGAGGCCAGGGTGCCAAAGACAGCCGTTGGGGAGAGGATGGTGGCCCCATGGACCACGCCCCATAGCTCACTGTGCATGCCATATATACGGAAGCCCAAGAAGTTGGCCAGCATCCCGACCATCGCGGCTCTCAACTTGTCCTCGGTGTCGAGTTTTGCGGCAACCAGCACTAGCTGGTCCTGCAGGGCCTTTTCATCCACAGGAGACGTCTTGGCCTGTATCGGAACAGGTGTGAAGGTGGGATCTTTGGGCTTCCCAGCATCGGCCTTTGCCAGCTGCTCACAGGTACTCTCATTGTGGATGACGAGGTGGAAGGGGTGTATGTACACCCGGTCACCTGTGGCCAGGCCAGCCCAGGCCAGGAGGCAGAGGATGGTGGCCCTCAGGCTCACGCTGGCAGGAGCCATCTCGGACTGGGGTGCTCGCTTCTGCATACCCTTCTGCTGTAGTACCCAGAACAATGGCAGCTTCTT
配列番号5
>gi|113461997|ref|NM_007428.3|マウス(Mus musculus)アンジオテンシノーゲン(セルピンペプチダーゼ阻害剤、クレードA、メンバー8)(Agt)、mRNA
GATAGCTGTGCTTGTCTAGGTTGGCGCTGAAGGATACACAGAAGCAAATGCACAGATCGGAGATGACTCC
CACGGGGGCAGGCCTGAAGGCCACCATCTTCTGCATCTTGACCTGGGTCAGCCTGACGGCTGGGGACCGC
GTATACATCCACCCCTTCCATCTCCTTTACCACAACAAGAGCACCTGCGCCCAGCTGGAGAACCCCAGTG
TGGAGACACTCCCAGAGTCAACGTTCGAGCCTGTGCCCATTCAGGCCAAGACCTCCCCTGTGAATGAGAA
GACCCTGCATGATCAGCTCGTGCTGGCCGCCGAGAAGCTAGAGGATGAGGACCGGAAGCGGGCTGCCCAG
GTCGCAATGATCGCCAACTTCGTGGGCTTCCGCATGTACAAGATGCTGAATGAGGCAGGAAGTGGGGCCA
GTGGGGCCATCCTCTCACCACCAGCTCTCTTTGGCACCCTGGTCTCTTTCTACCTTGGATCCTTAGATCC
CACGGCCAGCCAGCTGCAGACGCTGCTGGATGTCCCTGTGAAGGAGGGAGACTGCACCTCCCGACTAGAT
GGACACAAGGTCCTCGCTGCCCTGCGGGCCATTCAGGGCTTGCTGGTCACCCAGGGTGGGAGCAGCAGCC
AGACACCCCTGCTACAGTCCATTGTGGTGGGGCTCTTCACTGCTCCAGGCTTTCGTCTAAAGCACTCATT
TGTTCAGAGCCTGGCTCTCTTTACCCCTGCCCTCTTCCCACGCTCTCTGGATTTATCCACTGACCCAGTT
CTTGCCACTGAGAAAATCAACAGGTTCATAAAGGCTGTGACAGGGTGGAAGATGAACTTGCCACTGGAGG
GGGTCAGTACAGACAGCACCCTACTTTTCAACACCTACGTTCACTTCCAAGGAACGATGAGAGGTTTCTC
TCAGCTGCCTGGAGTCCATGAATTCTGGGTGGACAACAGCATCTCGGTGTCTGTGCCCATGATCTCCGGC
ACTGGCAACTTCCAGCACTGGAGTGACACCCAGAACAACTTCTCCGTGACGTGCGTGCCCCTAGGTGAGA
GAGCCACCCTGCTGCTCATCCAGCCCCACTGCACCTCAGATCTCGACAGGGTGGAGGCCCTCATCTTCCG
GAACGACCTCCTGACTTGGATAGAGAACCCGCCTCCTCGGGCCATCCGCCTGACTCTGCCCCAGCTGGAA
ATCCGAGGATCCTACAATCTGCAGGACCTGCTGGCTGAGGACAAGCTGCCCACCCTTTTGGGTGCGGAGG
CAAATCTGAACAACATTGGTGACACCAACCCCCGAGTGGGAGAGGTTCTCAATAGCATCCTCCTCGAACT
CAAAGCAGGAGAGGAGGAACAGCCGACCACGTCTGTCCAGCAGCCTGGCTCACCGGAGGCACTGGATGTG
ACCCTGAGCAGCCCCTTCCTGTTCGCCATCTACGAGCAGGACTCAGGCACGCTGCACTTTCTGGGCAGAG
TGAATAACCCCCAGAGTGTGGTGTGAGGCCTTGTGCCTAGCCATGGAGACAAGGCCGGTGTCGGAGAACC
GTTCTGGGCAAAACTCAGTGCTGTCACCCCTGGCTCCCCATCACGCCTTGTAGCGCGGCAGAGGCCGTCT
CCTTGGAGACTGCGCTGACCGAGAATAAATGATGAGCAGCAGAGCCTCCTGGGATGTGGGTTTGTTTGGA
TACTGGGGTGACAGCCAGAAGCTGGCACTCTGCACAGGACTGCCACTCTGGAAGAAATTTGGACCAAAAA
ACTGTTTGTGACACCAAAAAGCACCCCCCCTTTTTTTTATTTGAGGACAGAAATTGGGTTTTAACATTAA
AATGCACATTATCCCCTTAAAAAAAAAAAAAAAAAA
配列番号6
配列番号5の逆相補体
TTTTTTTTTTTTTTTTTTAAGGGGATAATGTGCATTTTAATGTTAAAACCCAATTTCTGTCCTCAAATAAAAAAAAGGGGGGGTGCTTTTTGGTGTCACAAACAGTTTTTTGGTCCAAATTTCTTCCAGAGTGGCAGTCCTGTGCAGAGTGCCAGCTTCTGGCTGTCACCCCAGTATCCAAACAAACCCACATCCCAGGAGGCTCTGCTGCTCATCATTTATTCTCGGTCAGCGCAGTCTCCAAGGAGACGGCCTCTGCCGCGCTACAAGGCGTGATGGGGAGCCAGGGGTGACAGCACTGAGTTTTGCCCAGAACGGTTCTCCGACACCGGCCTTGTCTCCATGGCTAGGCACAAGGCCTCACACCACACTCTGGGGGTTATTCACTCTGCCCAGAAAGTGCAGCGTGCCTGAGTCCTGCTCGTAGATGGCGAACAGGAAGGGGCTGCTCAGGGTCACATCCAGTGCCTCCGGTGAGCCAGGCTGCTGGACAGACGTGGTCGGCTGTTCCTCCTCTCCTGCTTTGAGTTCGAGGAGGATGCTATTGAGAACCTCTCCCACTCGGGGGTTGGTGTCACCAATGTTGTTCAGATTTGCCTCCGCACCCAAAAGGGTGGGCAGCTTGTCCTCAGCCAGCAGGTCCTGCAGATTGTAGGATCCTCGGATTTCCAGCTGGGGCAGAGTCAGGCGGATGGCCCGAGGAGGCGGGTTCTCTATCCAAGTCAGGAGGTCGTTCCGGAAGATGAGGGCCTCCACCCTGTCGAGATCTGAGGTGCAGTGGGGCTGGATGAGCAGCAGGGTGGCTCTCTCACCTAGGGGCACGCACGTCACGGAGAAGTTGTTCTGGGTGTCACTCCAGTGCTGGAAGTTGCCAGTGCCGGAGATCATGGGCACAGACACCGAGATGCTGTTGTCCACCCAGAATTCATGGACTCCAGGCAGCTGAGAGAAACCTCTCATCGTTCCTTGGAAGTGAACGTAGGTGTTGAAAAGTAGGGTGCTGTCTGTACTGACCCCCTCCAGTGGCAAGTTCATCTTCCACCCTGTCACAGCCTTTATGAACCTGTTGATTTTCTCAGTGGCAAGAACTGGGTCAGTGGATAAATCCAGAGAGCGTGGGAAGAGGGCAGGGGTAAAGAGAGCCAGGCTCTGAACAAATGAGTGCTTTAGACGAAAGCCTGGAGCAGTGAAGAGCCCCACCACAATGGACTGTAGCAGGGGTGTCTGGCTGCTGCTCCCACCCTGGGTGACCAGCAAGCCCTGAATGGCCCGCAGGGCAGCGAGGACCTTGTGTCCATCTAGTCGGGAGGTGCAGTCTCCCTCCTTCACAGGGACATCCAGCAGCGTCTGCAGCTGGCTGGCCGTGGGATCTAAGGATCCAAGGTAGAAAGAGACCAGGGTGCCAAAGAGAGCTGGTGGTGAGAGGATGGCCCCACTGGCCCCACTTCCTGCCTCATTCAGCATCTTGTACATGCGGAAGCCCACGAAGTTGGCGATCATTGCGACCTGGGCAGCCCGCTTCCGGTCCTCATCCTCTAGCTTCTCGGCGGCCAGCACGAGCTGATCATGCAGGGTCTTCTCATTCACAGGGGAGGTCTTGGCCTGAATGGGCACAGGCTCGAACGTTGACTCTGGGAGTGTCTCCACACTGGGGTTCTCCAGCTGGGCGCAGGTGCTCTTGTTGTGGTAAAGGAGATGGAAGGGGTGGATGTATACGCGGTCCCCAGCCGTCAGGCTGACCCAGGTCAAGATGCAGAAGATGGTGGCCTTCAGGCCTGCCCCCGTGGGAGTCATCTCCGATCTGTGCATTTGCTTCTGTGTATCCTTCAGCGCCAACCTAGACAAGCACAGCTATC
配列番号7
>gi|51036672|ref|NM_134432.2|ラット(Rattus norvegicus)アンジオテンシノーゲン(セルピンペプチダーゼ阻害剤、クレードA、メンバー8)(Agt)、mRNA
CCTTGCTCCATCTTGGCTAAGCCTGGATTCCCATGGTCCCCCGACCTGGGTCCTCCCCCAGCCTCTGTAC
AGAGTAGCCTGGGAATAGATCCATCTTCACCCCCTCGAGTATAAATAAGGCTGCTTGGTTCACCAGGGGA
TAGCTGTGCTTGTCTGGGCTGGAGCTAAAGGACACACAGAAGCAAGTCCACAGATCCGTGATGACTCCCA
CGGGGGCAGGCCTGAAGGCCACCATCTTCTGCATCCTGACCTGGGTCAGCCTGACAGCTGGGGACCGCGT
ATACATCCACCCCTTTCATCTCCTCTACTACAGCAAGAGCACCTGCGCCCAGCTGGAGAACCCCAGTGTG
GAGACGCTCCCAGAGCCAACCTTTGAGCCTGTGCCCATTCAGGCCAAGACCTCCCCCGTGGATGAGAAGA
CCCTGCGAGATAAGCTCGTGCTGGCCACTGAGAAGCTAGAGGCTGAGGATCGGCAGCGAGCTGCCCAGGT
CGCGATGATTGCCAACTTCATGGGTTTCCGCATGTACAAGATGCTGAGTGAGGCAAGAGGTGTAGCCAGT
GGGGCCGTCCTCTCTCCACCGGCCCTCTTTGGCACCCTGGTCTCTTTCTACCTTGGATCGTTGGATCCCA
CGGCCAGCCAGTTGCAGGTGCTGCTGGGCGTCCCTGTGAAGGAGGGAGACTGCACCTCCCGGCTGGACGG
ACATAAGGTCCTCACTGCCCTGCAGGCTGTTCAGGGCTTGCTGGTCACCCAGGGTGGAAGCAGCAGCCAG
ACACCCCTGCTACAGTCCACCGTGGTGGGCCTCTTCACTGCCCCAGGCTTGCGCCTAAAACAGCCATTTG
TTGAGAGCTTGGGTCCCTTCACCCCCGCCATCTTCCCTCGCTCTCTGGACTTATCCACTGACCCAGTTCT
TGCTGCCCAGAAAATCAACAGGTTTGTGCAGGCTGTGACAGGGTGGAAGATGAACTTGCCACTAGAGGGG
GTCAGCACGGACAGCACCCTATTTTTCAACACCTACGTTCACTTCCAAGGGAAGATGAGAGGCTTCTCCC
AGCTGACTGGGCTCCATGAGTTCTGGGTGGACAACAGCACCTCAGTGTCTGTGCCCATGCTCTCGGGCAC
TGGCAACTTCCAGCACTGGAGTGACGCCCAGAACAACTTCTCCGTGACACGCGTGCCCCTGGGTGAGAGT
GTCACCCTGCTGCTGATCCAGCCCCAGTGCGCCTCAGATCTCGACAGGGTGGAGGTCCTCGTCTTCCAGC
ACGACTTCCTGACTTGGATAAAGAACCCGCCTCCTCGGGCCATCCGTCTGACCCTGCCGCAGCTGGAAAT
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CCTGAGCAGTCCGTTCCTGTTCGCCATCTACGAGCGGGACTCAGGTGCGCTGCACTTTCTGGGCAGAGTG
GATAACCCCCAAAATGTGGTGTGATGCCTCCTGTGTAGCCATGGAGACAAGGCCAGCGTCAGAGAGCTAT
CCTGGGCAAAAATCAGTGCCTTCACCCCTGGCTTCCCGTCACTCCTTCCAGCAAGGCAGAGGCCGTCTCC
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GGGGTGAGAGCCAGGAGCTGGCACTCTGTATAGGAGGACTGCCATCCTGGAAAAAAAAAATGGACCAAAC
AACTGTTTGTGAAATAAAAAAAAAAAAATTCCCTTTTTATTTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
配列番号8
配列番号7の逆相補体
TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAAATAAAAAGGGAATTTTTTTTTTTTTATTTCACAAACAGTTGTTTGGTCCATTTTTTTTTTCCAGGATGGCAGTCCTCCTATACAGAGTGCCAGCTCCTGGCTCTCACCCCAGTGTCCAAACAAACCCACACCCCAGGAGGCTGCTGCTCATCATTTATTCTCAGTTAGCGCCATCTCCAAGGAGACGGCCTCTGCCTTGCTGGAAGGAGTGACGGGAAGCCAGGGGTGAAGGCACTGATTTTTGCCCAGGATAGCTCTCTGACGCTGGCCTTGTCTCCATGGCTACACAGGAGGCATCACACCACATTTTGGGGGTTATCCACTCTGCCCAGAAAGTGCAGCGCACCTGAGTCCCGCTCGTAGATGGCGAACAGGAACGGACTGCTCAGGGTCACGTCCAGCACCTCGGGTGAGCCAGGCTGCTGGGCAGACTCTGTGGGCTGCTCCTCCTCGCCTGCTTGGAGTTCAAGGAGGATGCTGTTGAGAACCTCTCCCACTCGGGGGTTGGTGTCACCCATCTTGCCCAGATTTGCCTCAGCACCCAAAAGGGTAGACAGCTTGGCCTGAGCCAGCAGGTCCTGCAGGTTGTAGGATCCCCGAATTTCCAGCTGCGGCAGGGTCAGACGGATGGCCCGAGGAGGCGGGTTCTTTATCCAAGTCAGGAAGTCGTGCTGGAAGACGAGGACCTCCACCCTGTCGAGATCTGAGGCGCACTGGGGCTGGATCAGCAGCAGGGTGACACTCTCACCCAGGGGCACGCGTGTCACGGAGAAGTTGTTCTGGGCGTCACTCCAGTGCTGGAAGTTGCCAGTGCCCGAGAGCATGGGCACAGACACTGAGGTGCTGTTGTCCACCCAGAACTCATGGAGCCCAGTCAGCTGGGAGAAGCCTCTCATCTTCCCTTGGAAGTGAACGTAGGTGTTGAAAAATAGGGTGCTGTCCGTGCTGACCCCCTCTAGTGGCAAGTTCATCTTCCACCCTGTCACAGCCTGCACAAACCTGTTGATTTTCTGGGCAGCAAGAACTGGGTCAGTGGATAAGTCCAGAGAGCGAGGGAAGATGGCGGGGGTGAAGGGACCCAAGCTCTCAACAAATGGCTGTTTTAGGCGCAAGCCTGGGGCAGTGAAGAGGCCCACCACGGTGGACTGTAGCAGGGGTGTCTGGCTGCTGCTTCCACCCTGGGTGACCAGCAAGCCCTGAACAGCCTGCAGGGCAGTGAGGACCTTATGTCCGTCCAGCCGGGAGGTGCAGTCTCCCTCCTTCACAGGGACGCCCAGCAGCACCTGCAACTGGCTGGCCGTGGGATCCAACGATCCAAGGTAGAAAGAGACCAGGGTGCCAAAGAGGGCCGGTGGAGAGAGGACGGCCCCACTGGCTACACCTCTTGCCTCACTCAGCATCTTGTACATGCGGAAACCCATGAAGTTGGCAATCATCGCGACCTGGGCAGCTCGCTGCCGATCCTCAGCCTCTAGCTTCTCAGTGGCCAGCACGAGCTTATCTCGCAGGGTCTTCTCATCCACGGGGGAGGTCTTGGCCTGAATGGGCACAGGCTCAAAGGTTGGCTCTGGGAGCGTCTCCACACTGGGGTTCTCCAGCTGGGCGCAGGTGCTCTTGCTGTAGTAGAGGAGATGAAAGGGGTGGATGTATACGCGGTCCCCAGCTGTCAGGCTGACCCAGGTCAGGATGCAGAAGATGGTGGCCTTCAGGCCTGCCCCCGTGGGAGTCATCACGGATCTGTGGACTTGCTTCTGTGTGTCCTTTAGCTCCAGCCCAGACAAGCACAGCTATCCCCTGGTGAACCAAGCAGCCTTATTTATACTCGAGGGGGTGAAGATGGATCTATTCCCAGGCTACTCTGTACAGAGGCTGGGGGAGGACCCAGGTCGGGGGACCATGGGAATCCAGGCTTAGCCAAGATGGAGCAAGG
【配列表】
【国際調査報告】