(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】低速度の測定を改善するために温度を使用する流量センサー及び方法
(51)【国際特許分類】
G01F 1/684 20060101AFI20240717BHJP
G01F 1/00 20220101ALI20240717BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20240717BHJP
【FI】
G01F1/684 Z
G01F1/00 V
G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580350
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 DK2022050134
(87)【国際公開番号】W WO2023274474
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523162018
【氏名又は名称】レモニ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マドセン,ボ エスケロド
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CB03
2F030CC01
2F030CD01
2F035DA08
2F035DA09
2F035DA10
2F035DA14
2F035EA00
(57)【要約】
管状構造(2)を通って流れる流体(26)の流量(Q)を測定するように構成された流量センサー(1)が開示されている。流量センサー(1)は、第1の検出ユニット(34)を使用することによって測定できる最低流量(Q
A)を表す所定の低流量レベル(Q
A)を上回る流量(Q)を検出するように構成される第1の検出ユニット(34)を備える。流量センサー(1)は第2の検出ユニット(36)を備え、第2の検出ユニット(36)は、
-周囲の温度(周辺温度)(T
s)を検出するように配置及び構成された第1の温度センサー(12)と、
-流体(26)の温度(T
f)を検出するように配置及び構成された第2の温度(14)と、
-温度センサー(12、14)に接続されたデータプロセッサ(10)と、を備える。
第2の検出ユニット(36)は、周囲と流体(26)との温度差に基づいて、低流量レベル(Q
A)を下回る流量(Q)を推定するように構成される。その温度差は、第1の温度センサー(12)及び第2の温度センサー(14)によって測定される。第2の検出ユニット(36)は、流量エリア(B
2)で行われた1回以上の測定(M
1,M
2)に基づいて、低流量レベル(Q
A)を下回る流量(Q)を推定するように構成され、流量センサー(1)は流量(Q)を検出でき、流量(Q)は温度差(ΔT
sf)に依存する。流量較正エリア(B
2)で行われた1回以上の測定(M
1,M
2)を使用して、流量(Q)が、流量較正エリア(B
2)と、流量較正エリア(B
2)を下回る流量エリア(B
1)との温度差(ΔT
sf)にどのように依存するかを判定するために必要なパラメーターを決定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状構造(2)を通って流れる流体(26)の流量(Q)を測定するように構成された流量センサー(1)であって、前記流量センサー(1)は、第1の検出ユニット(34)を使用することによって測定できる最低流量(Q
A)を表す所定の低流量レベル(Q
A)を上回る流量(Q)を検出するように構成される第1の検出ユニット(34)を備え、前記流量センサー(1)は第2の検出ユニット(36)を備え、第2の検出ユニット(36)は、
-周囲の温度(周辺温度)(T
s)を検出するように配置及び構成された第1の温度センサー(12)と、
-前記流体(26)の温度(T
f)を検出するように配置及び構成された第2の温度センサー(14)と、
-前記温度センサー(12、14)に接続されたデータプロセッサ(10)と、を備え、
前記第2の検出ユニット(36)は、周囲と流体(26)との温度差(ΔT
sf)に基づいて、前記低流量レベル(Q
A)を下回る前記流量(Q)を推定するように構成され、前記温度差(ΔT
sf)は、前記第1の温度センサー(12)及び前記第2の温度センサー(14)によって測定され、前記第2の検出ユニット(36)は、流量較正エリア(B
2)で行われた1回以上の測定(M
1,M
2)に基づいて、前記低流量レベル(Q
A)を下回る前記流量(Q)を推定するように構成され、前記流量センサー(1)は、前記温度差(ΔT
sf)に依存する前記流量(Q)を検出でき、前記流量較正エリア(B
2)で行われた前記1回以上の測定(M
1,M
2)を使用して、前記流量(Q)が、前記流量較正エリア(B
2)と、前記流量較正エリア(B
2)を下回る前記流量エリア(B
1)との前記温度差(ΔT
sf)にどのように依存するかを判定するために必要な1つ以上のパラメーターを決定することを特徴とする、流量センサー(1)。
【請求項2】
前記第2の検出ユニット(36)は、流量較正エリア(B
2)で行われた2回以上の測定(M
1,M
2)に基づいて、低流量レベル(Q
A)を下回る前記流量(Q)を推定するように構成される、請求項1に記載の流量センサー(1)。
【請求項3】
前記流量センサー(1)は、定期的または連続的に、
-流量較正エリア(B
2)で前記1回以上の測定(M
1,M
2)を実行することと、
-前記流量(Q)が、流量較正エリア(B
2)と、前記流量較正エリア(B
2)を下回る流量エリア(B
1)との温度差(ΔT
sf)にどのように依存するかを判定するために必要なより多くのパラメーターを更新することと、
を行うように構成される、請求項1または2に記載の流量センサー(1)。
【請求項4】
前記流量(Q)と前記温度差(ΔT
sf)との間の依存関係は、以下の方程式によって定義され、
または
式中、C
1は一定であり、ΔT
Bは基本流量レベルに対応する温度差である、先行請求項の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項5】
前記第2の温度センサー(14)は、前記管状構造(2)の外側で温度を測定することによって、前記流体(26)の前記温度(T
f)を検出するように配置及び構成される、先行請求項の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項6】
前記データプロセッサ(10)及び前記第2の温度(14)センサーは、ハウジング(20)の内側に配置される、先行請求項の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項7】
前記第1の温度センサー(12)は前記ハウジング(20)内に配置される、請求項6に記載の流量センサー(1)。
【請求項8】
前記第1の温度センサー(12)は前記ハウジング(20)の外側に配置される、請求項6に記載の流量センサー(1)。
【請求項9】
前記第2の検出ユニット(36)は、
-前記ハウジング(20)の内側にある位置の中間温度(T
i)を検出するように配置及び構成された中間温度センサー(16)を備え、前記位置は、前記周辺温度(T
s)と、前記流体(26)の前記温度(T
f)との間の温度を有することが予想される、先行請求項の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項10】
前記流量センサー(1)は、前記管状構造(2)の外側からの前記流体(26)の前記流量(Q)を測定するように構成されたクランプオン流量センサー(1)である、先行請求項の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項11】
流量センサー(1)は超音波流量センサー(1)であり、前記第1の検出ユニット(34)は、超音波(6)を伝送するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサ(4,4’)と、超音波(8)を受信するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサ(4,4’)と、を備える、先行請求項の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項12】
前記流量センサー(1)は、
-前記超音波(6,8)の飛行時間(t,t
1,t
2)を決定し、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて音速の変化を計算することと、
-前記流体(26)の前記検出された温度(T
f)の関数として、前記予想された音速(c)の変化を計算することと、
-前記予想された音速(c)の変化が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に一致するかを判定することと、
を行うように構成される、請求項11に記載の流量センサー(1)。
【請求項13】
前記超音波流量センサー(1)は、前記予想された音速(c)が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に一致しない場合、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に基づいて、前記流体(26)の密度(ρ)の変化の補正値を計算するように構成される、先行請求項の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項14】
前記超音波流量センサー(1)は、前記予想された音速(c)の変化が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に一致しない場合、前記密度(ρ)の前記補正値に基づいて、前記流体(26)の比熱容量(c
p)の補正値を計算するように構成される、請求項13に記載の流量センサー(1)。
【請求項15】
前記超音波流量センサー(1)は、前記予想された音速(c)の変化が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に一致しない場合、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に基づいて、前記流体(26)の前記流量(Q)の補正値を計算するように構成される、先行請求項13~14の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項16】
前記データプロセッサ(10)は、前記音速(c)の検出値に基づいて、前記伝送された超音波(6)及び受信された超音波(8)が前記流体(26)で進む距離(L)を自動的に計算するように構成される、先行請求項12~15の1項に記載の流量センサー(1)。
【請求項17】
第1の検出ユニット(34)を使用することによって、管状構造(2)を通って流れる流体(26)の流量(Q)を測定するための方法であって、前記第1の検出ユニット(34)は、第1の検出ユニット(34)を使用することによって測定できる最低流量(Q
A)を表す所定の低流量レベル(Q
A)を上回る流量(Q)を検出するように構成され、前記方法は、第2の検出ユニット(36)を利用して、
-第1の温度センサー(12)によって、周囲の温度(周辺温度)(T
s)を検出するステップと、
-第2の温度センサー(14)を用いて、前記流体(26)の温度(T
f)を検出するステップと、
-前記第1の温度センサー(12)及び前記第2の温度センサー(14)によって測定された前記周囲と流体(26)との温度差(ΔT
sf)に基づいて、前記低流量レベル(Q
A)を下回る前記流量(Q)を推定するステップと、を含み、
前記方法は、
a)流量較正エリア(B
2)で、前記第1の検出ユニット(34)を用いて1回以上の流量測定(M
1,M
2)を行うステップであって、前記流量較正エリア(B
2)では、前記流量センサー(1)は、前記温度差(ΔT
sf)に依存する前記流量(Q)を検出できる、ステップと、
b)流量較正エリア(B
2)で行われた1回以上の測定(M
1,M
2)を利用して、前記流量(Q)が、前記流量較正エリア(B
2)と、前記流量較正エリア(B
2)を下回る前記流量エリア(B
1)との前記温度差(ΔT
sf)にどのように依存するかを判定するために必要な1つ以上のパラメーターを決定するステップと、
c)流量較正エリア(B
2)で行われた2回以上の測定(M
1,M
2)に基づいて、低流量レベル(Q
A)を下回る前記流量(Q)を推定するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記方法は、前記流量較正エリアで2回以上の流量測定を行うステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、定期的または連続的に、
-流量較正エリア(B
2)で前記1回以上の測定(M
1,M
2)を実行するステップと、
-前記流量(Q)が、流量較正エリア(B
2)と、前記流量較正エリア(B
2)を下回る流量エリア(B
1)との温度差(ΔT
sf)にどのように依存するかを判定するために必要なより多くのパラメーターを更新するステップと、
を含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記流量(Q)と前記温度差(ΔT
sf)との間の依存関係は、以下の方程式によって定義され、
または
式中、C
1は一定であり、ΔT
Bは基本流量レベルに対応する温度差である、先行請求項17~19の1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の温度センサー(14)は、前記管状構造(2)の外側で温度を測定することによって、前記流体(26)の前記温度(T
f)を検出するように配置及び構成される、先行請求項17~20の1項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、前記第2の温度センサー(14)及び前記中間温度センサー(16)を収容するハウジング(20)の内側にある位置に配置された中間温度センサー(16)を用いて、中間温度(T
i)を検出するステップを含み、前記中間温度(T
i)は、前記周辺温度(T
s)と、前記流体(26)の前記温度(T
f)との間の値を有することが予想される、先行請求項17~21の1項に記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、前記流量(Q)を測定する前に、前記流体(26)の前記密度及び/または前記不均等性の推定値を測定するステップを含む、先行請求項17~22の1項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、
-前記超音波(6,8)の飛行時間(t,t
1,t
2)を決定するステップと、
-前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて音速の変化を計算するステップと、
-前記流体(26)の前記検出された温度(T
f)の関数として、前記予想された音速(c)の変化を計算するステップと、
-前記予想された音速(c)の変化が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速(c)の変化に一致するかを判定するステップと、
を含む、先行請求項17~23の1項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、前記予想された音速(c)が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に一致しない場合、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に基づいて、前記流体(26)の密度(ρ)の変化の補正値を計算するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は、前記予想された音速(c)の変化が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に一致しない場合、前記密度(ρ)の前記補正値に基づいて、前記流体(26)の比熱容量(c
p)の補正値を計算するように構成される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記方法は、前記予想された音速(c)の変化が、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に一致しない場合、前記飛行時間(t,t
1,t
2)に基づいて計算された前記音速の変化に基づいて、前記流体(26)の前記流量(Q)の補正値を計算するステップを含む、請求項24~26の1項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法は、前記管状構造(2)の外側からの前記流体(26)の前記流量(Q)を測定するように構成されたクランプオン流量センサー(1)を使用することによって実行される、先行請求項17~27の1項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法は超音波流量センサー(1)を用いて実行され、前記第1の検出ユニット(34)は、超音波(6)を伝送するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサ(4,4’)と、超音波(8)を受信するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサ(4,4’)と、を備える、先行請求項17~28の1項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法は、
-前記流体(26)の前記検出された温度(T
f)の関数として、前記予想された音速(c)の変化を計算するステップと、
-前記音速(c)の検出値に基づいて、前記伝送された超音波(6)及び受信された超音波(8)が前記流体(26)で進む距離(L)を自動的に計算するステップと、
を含む、先行請求項17~29の1項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、加熱システムまたは冷却システムで前記熱エネルギーを推定するステップを含む、先行請求項17~30の1項に記載の方法。
【請求項32】
先行請求項1~16の1項に記載のセンサー(1)を含む、熱エネルギー計測器(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、流量センサーに関し、具体的には、クランプオン超音波流量センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
流量測定は、工業、建物、及びユーティリティグリッドで流量を測定するために広範囲に使用されている。様々なタイプの流量センサーを使用することによって、流量を検出できる。先行技術の流量センサーは、機械式流量センサー及び超音波流量センサーを含む。超音波流量センサーは、主に、2つのバージョンで使用され、つまり、純粋な流体(水、ガス、工業用液体等)の測定には飛行時間差が使用され、多くの粒子(スラリー、気泡を伴う液体等)を含有する流体の測定にはドップラー効果が使用される。
【0003】
しかしながら、流量センサーを使用することによって測定できる最低流量を表す全ての先行技術の流量センサー所定のゼロ以外の低流量レベルを有する。低流量レベルを下回る場合、流量を検出できない。これは主な欠点である。したがって、この問題に対する解決策を提供することが可能であることが望ましいだろう。
【0004】
先行技術の流量センサーは低流量(別称、速度または体積)を検出できないため、多くの場合、比較的に低流量を検出することが困難または不可能である。同時に、先行技術の飛行時間差式流量センサーは、均質媒質の流量を検出するために設計され、媒質が不均質である場合、測定エラーにつながる。したがって、それは、例えば、以下のA~Cをもたらす。
A.測定エラー、
B.例えば、センサーが設置されている建物または製品に損傷をもたらす可能性がある小さな漏れ等を検出することに対する制限、
C.センサーのオフセットを識別することが必要である、流動しない状態(パイプ内の流体が静止する)の検出における困難。
【0005】
したがって、先行技術の上述の不利点を減らす、またはさらに、その不利点をなくす方法及び流量センサーの必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、請求項1に定義されるような流量センサー及び請求項15に定義されるような方法によって達成できる。好ましい実施形態は従属項に定義され、以下の「発明を実施するための形態」に説明され、添付図に図示される。
【0007】
本発明に従った流量センサーは、管状構造を通って流れる流体の流量を測定するように構成された流量センサーであり、流量センサーは、第1の検出ユニットを使用することによって測定できる最低流量を表す所定の低流量レベルを上回る流量を検出するように構成される第1の検出ユニットを備え、流量センサーは第2の検出ユニットを備え、第2の検出ユニットは、
-周囲の温度(周辺温度)を検出するように配置及び構成された第1の温度センサーと、
-流体の温度を検出するように配置及び構成された第2の温度センサーと、
-温度センサーに接続されたデータプロセッサと、を備え、
第2の検出ユニットは、周囲と流体との温度差に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するように構成され、温度差は、第1の温度センサー及び第2の温度センサーによって測定され、第2の検出ユニットは、流量較正エリアで行われた1回以上の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するように構成され、流量較正エリアでは、流量センサーは、温度差に依存する流量を検出でき、そして、流量較正エリアで行われた1回以上の測定を使用して、流量が、流量較正エリアを下回る流量エリアの温度差にどのように依存するかを判定するために必要な1つ以上のパラメーターを決定する。
【0008】
これによって、先行技術の流量センサーよりも大きい流量範囲の流量を検出できるセンサーを提供することが可能になる。本発明に従った流量センサーは、特に、低流量レベルを下回る流量を検出できる。
【0009】
本発明に従った流量センサーは、流体の流量を測定するように構成された流量センサーである。一実施形態では、流体は液体である。一実施形態では、流体は水含有液である。一実施形態では、流体はガスである。
【0010】
流体は、管状構造を通って流れる。一実施形態では、管状構造はパイプである。一実施形態では、管状構造はホースである。一実施形態では、管状構造はコンテナである。一実施形態では、管状構造はボックスである。
【0011】
流量センサーは、第1の検出ユニットを使用することによって測定できる最低流量を表す所定の低流量レベルを上回る流量を検出するように構成される第1の検出ユニットを備える。第1の検出ユニットは、流量測定を提供するために、流体が機械式流量検出ユニットの構成要素を機械的に変位させることを必要とする容積式流量計の構造であり得る。一実施形態では、第1の検出ユニットはタービンである。一実施形態では、第1の検出ユニットはインペラである。
【0012】
第1の検出ユニットは、超音波流量センサーの構造であり得る。一実施形態では、第1の検出ユニットは1つ以上の超音波トランスデューサを備える。
【0013】
一実施形態では、第1の検出ユニットは、1つ以上の超音波送信機及び1つ以上の超音波受信機を備える。
【0014】
流量センサーは第2の検出ユニットを備え、第2の検出ユニットは、
-周囲の温度(周辺温度)を検出するように配置及び構成された第1の温度センサーと、
-流体の温度を検出するように配置及び構成された第2の温度センサーと、
-温度センサーに接続されたデータプロセッサと、
を備える。
【0015】
データプロセッサはマイクロプロセッサであり得る。
【0016】
第2の検出ユニットは、周囲と流体との温度差に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するように構成され、その温度差は、第1の温度センサー及び第2の温度センサーによって測定される。
【0017】
一実施形態では、第2の検出ユニットは、流量較正エリアで行われた1回の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するように構成される。いくつかの状況では、1回の測定は、流量が、流量較正エリアを下回る流量エリアの温度差にどのように依存するかを判定するために必要な1つ以上のパラメーターを決定するのに十分であり得る。
【0018】
一実施形態では、第2の検出ユニットは、流量較正エリアで行われた2回以上の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するように構成される。
【0019】
一実施形態では、第2の検出ユニットは、流量が温度差にどのように依存するかに関する情報を含有するストレージを含有し、データプロセッサが該情報にアクセスして、その情報を使用するように構成されることにより、データプロセッサは、温度差に基づいて流量を決定できる。低流量レベルを下回る流量範囲では、第2の検出ユニットは、温度差の値に基づいて、流量を検出できる。これは、流量と温度差との関係が既知でありストレージに記憶されるときに達成できる。
【0020】
第2の検出ユニットは、流量較正エリアで行われた1回以上の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するように構成され、流量較正エリアでは、流量センサーは、温度差に依存する流量を検出でき、そして、流量較正エリアで行われた1回以上の測定を使用して、流量が、流量較正エリアを下回る流量エリアの温度差にどのように依存するかを判定するために必要な1つ以上のパラメーターを決定する。したがって、流量センサー自体を使用して、流量センサーが、検出された温度差に基づいて、低流量(低流量レベルを下回る流量)を推定することを可能にする1つ以上のパラメーターを計算する。
【0021】
ある実施形態では、流量センサーは、定期的または連続的に、
-流量較正エリアで1回以上の測定を実行することと、
-流量が、流量較正エリアと、流量較正エリアを下回る流量エリアとの温度差にどのように依存するかを判定するために必要なより多くのパラメーターを更新することと、
を行うように構成される。
【0022】
これによって、信頼性がある流量測定を提供して、周囲条件の変化(例えば、通気の増加)に応じて、定期的に、パラメーターを調整することが可能になる。流量センサーは、流量較正エリアで必要な数の測定を自動的に行って、流量較正エリアと、流量較正エリアを下回る流量エリアとの温度差にどのように依存するかを判定するために必要なより多くのパラメーターを計算及び更新するように構成される。
【0023】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、1秒に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0024】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、5秒に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0025】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、10秒に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0026】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、30秒に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0027】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、1分に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0028】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、2分に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0029】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、5分に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0030】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、15分に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0031】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、30分に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0032】
一実施形態では、「定期的または連続的に」という用語は、1時間に1回、流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされることとして理解する必要がある。
【0033】
流量較正エリアで1回以上の測定を提供しようとする試みがなされるとき、
a)いくつかの状況では、有用な測定を提供することが可能である(これは、流量が流量較正エリア内にある場合に可能である)、または
b)いくつかの状況では、有用な測定を提供することが不可能である(これは、流量が流量較正エリア内にない場合に該当である)。
【0034】
ある実施形態では、流量(Q)と温度差(ΔTsf)との間の依存関係は、以下のいずれかの方程式によって定義される。
【0035】
【0036】
【0037】
式中、C
1は一定であり、ΔT
Bは基本流量レベルに対応する温度差である。
図8では、基本流量レベルQ
Bが示される。
【0038】
これらの方程式は以下の2つの未知数を有する。
-基本流量レベルQBに対応する温度差ΔTB、
-定数C1。
【0039】
したがって、流量較正エリアで行われた2つの測定は、流量(Q)と温度差(ΔTsf)との間の依存関係を決定するために十分な情報を提供する。
【0040】
ある実施形態では、第2の検出ユニットは第1の検出ユニットで統合される。ある実施形態では、第2の検出ユニットは、分離ユニットとして設けられる。
【0041】
一実施形態では、第2の検出ユニットは、流量が温度差にどのように依存するかに関する情報を含有するストレージまたは外部デバイスに通信可能に接続され、データプロセッサが該情報にアクセスして、その情報を使用するように構成されることにより、データプロセッサは、温度差に基づいて流量を決定できる。
【0042】
一実施形態では、第2の温度センサーは、管状構造の外側で温度を測定することによって、流体の温度を検出するように配置及び構成される。これによって、管状構造(例えば、パイプ)の外側に搭載できるクランプオンタイプ流量センサーとして流量センサーを提供することが可能になる。したがって、第2の温度センサーを流体と直接接触させる必要性がない。
【0043】
一実施形態では、データプロセッサ及び第2の温度センサーは、ハウジングの内側に配置される。これによって、単純で容易に搭載可能かつ頑強な流量センサーを提供することが可能になる。
【0044】
一実施形態では、第1の温度センサーはハウジング内に配置される。これによって、流量センサーの全ての構成要素は、単一のハウジングに設けることができる。
【0045】
一実施形態では、第1の温度センサーはハウジングの外側に配置される。これによって、対流によって生じた熱伝達を考慮することが可能になる。
【0046】
一実施形態では、第2の検出ユニットは、ハウジングの内側にある位置の中間温度を検出するように配置及び構成された中間温度センサーを備え、該位置は、周辺温度と、流体の温度との間の温度を有することが予想される。これによって、追加情報を提供すること、ひいては、低流量範囲の流量の推定の改善を提供することが可能になる。
【0047】
一実施形態では、流量センサーは、管状構造の外側からの流体の流量を測定するように構成されたクランプオン流量センサーである。
【0048】
一実施形態では、流量センサーは超音波流量センサーであり、第1の検出ユニットは、超音波を伝送するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサと、超音波を受信するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサと、を備える。
【0049】
一実施形態では、データプロセッサは、
-流体の検出温度の関数として予想された音速を計算することと、
-流体の検出温度の関数として予想された音速と、音速の検出値とを比較することと、
-音速の検出値が流体の検出温度の関数として予想された音速に一致しない場合、密度及び流量の補正値を計算することと、
を行うように構成される。
【0050】
これによって、低流量レベルを上回る流量範囲での流量測定精度を改善することが可能になる。
【0051】
予想された音速は、検出された流体の温度に依存し、流体の温度の関数として音速の所定の関係式を使用することによって計算できる。流体が純水である場合、例として、検出された流体の温度の関数として予想された音速の関係式は、
図7に示されるように定義されるだろう。
【0052】
流体が純水と異なる場合(例えば、塩分、糖類、または別の物質を含有する水である場合)、流体の検出温度の関数として予想された音速の異なる所定の関係式を使用できる。
【0053】
予想された音速は、音速を検出して、比較を行うことによって、簡単に、音速の検出値と比較できる。以下の公式(16)を使用することによって、検出を実行できる。
【0054】
【0055】
式中、cは音速度であり、Lは音信号が進む距離であり、t1及びt2は、各々、伝送及び反射された音信号の移動時間である。
【0056】
音速の検出値が予想された音速に一致しない場合、密度及び流量の補正値を計算する。以下の方程式(18)を使用することによって、密度の補正値を計算できる。
【0057】
【0058】
式中、Kは流体の体積弾性率であり、ρは流体の密度である。
【0059】
一実施形態では、流量センサーは、音速cの検出値が流体の検出温度の関数として予想された音速cに一致しない場合、流体の比熱容量の補正値を計算するように構成される。これによって、流量センサーを利用して、精度の改善をもたらす熱エネルギー計測器を提供することが可能になる。流体の比熱容量の補正値を使用することで、熱エネルギー計測器が最も正確な測定をもたらすことを確実にする。
【0060】
一実施形態では、データプロセッサは、
-流体の検出温度の関数として予想された音速を計算すること
を行うように構成される。
【0061】
一実施形態では、流量センサーは、音速cの検出値及び測定された飛行時間に基づいて、伝送された超音波及び受信された超音波が流体で進む距離Lを自動的に計算するように構成される。これによって、パイプの正確な寸法を知らなくても、パイプの流量を測定することが可能になる。また、沈殿物が経時的にパイプの内面にもたらされる場合でも、正確な測定を行うことも可能である。
【0062】
本発明に従った方法は、第1の検出ユニットを使用することによって、管状構造を通って流れる流体の流量を測定するための方法であり、第1の検出ユニットは、第1の検出ユニットを使用することによって測定できる最低流量を表す所定の低流量レベルを上回る流量を検出するように構成され、本方法は、第2の検出ユニットを利用して、
-第1の温度センサーによって、周囲の温度(周辺温度)を検出するステップと、
-第2の温度センサーを用いて、流体の温度を検出するステップと、
-第1の温度センサー及び第2の温度センサーによって測定された周囲と流体との温度差に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するステップと、
を含み、
本方法は、以下のステップ、すなわち、
a)流量較正エリアで、第1の検出ユニットを用いて1回以上の流量測定を行うステップであって、流量較正エリアでは、流量センサーは、流量が温度差に依存する流量を検出できる、ステップと、
b)1回以上の測定を利用して、流量が、流量較正エリアを下回る流量エリアの温度差にどのように依存するかを判定するために必要な1つ以上のパラメーターを決定するステップと、
c)流量較正エリアで行われた2回以上の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するステップと、
を含む。
【0063】
これによって、本方法は、流量測定が低流量範囲で実行されることを可能にする。
【0064】
一実施形態では、流体は液体である。一実施形態では、流体は水含有液である。一実施形態では、流体はガスである。
【0065】
一実施形態では、本方法は、流量較正エリアで行われた1回の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するステップを含む。いくつかの状況では、1回の測定は、流量が、流量較正エリアを下回る流量エリアの温度差にどのように依存するかを判定するために必要な1つ以上のパラメーターを決定するのに十分であり得る。
【0066】
一実施形態では、本方法は、流量較正エリアで行われた2回の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するステップを含む。
【0067】
一実施形態では、本方法は、流量較正エリアで行われた2回以上の測定に基づいて、低流量レベルを下回る流量を推定するステップを含む。
【0068】
一実施形態では、本方法は、以下のステップ、すなわち、
-流量が温度差にどのように依存するかに関する情報を記憶するステップと、
-該情報を使用して、温度差に基づいて流量を決定するステップと、
を含む。
【0069】
これによって、記憶された情報を使用して、単純で信頼性がある方式で流量の推定を提供できる。情報は外部デバイスに記憶され得る。一実施形態では、情報はウェブベースサービスに記憶される。
【0070】
一実施形態では、本方法は、定期的または連続的に、
-流量較正エリアで1回以上の測定を実行するステップと、
-流量が、流量較正エリアと、流量較正エリアを下回る流量エリアとの温度差にどのように依存するかを判定するために必要なより多くのパラメーターを更新するステップと、
を含む。
【0071】
これによって、信頼性がある流量測定を提供して、周囲条件の変化(例えば、通気の増加)に応じて、定期的に、パラメーターを調整することが可能になる。流量較正エリアで必要な数の測定を自動的に行って、そして、流量較正エリアと、流量較正エリアを下回る流量エリアとの温度差にどのように依存するかを判定するために必要なより多くのパラメーターを計算及び更新することによって、方法の改善を提供することが可能になる。
【0072】
一実施形態では、流量(Q)と温度差(ΔTsf)との間の依存関係は、以下のいずれかの方程式によって定義される。
【0073】
【0074】
【0075】
式中、C1は一定であり、ΔTBは基本流量レベルに対応する温度差である。
【0076】
一実施形態では、本方法は、以下のステップ、すなわち、
-流量が温度差にどのように依存するかに関する情報を第2の検出ユニットに記憶するステップと、
-該情報を使用して、温度差に基づいて流量を決定するステップと、
を含む。
【0077】
これによって、記憶された情報を使用して、単純で信頼性がある方式で流量の推定を提供できる。
【0078】
一実施形態では、第2の温度センサーは、管状構造の外側で温度を測定することによって、流体の温度を検出するように配置及び構成される。これによって、温度センサーを流体と接触させる必要性をなくすことができる。
【0079】
一実施形態では、本方法は、データプロセッサを含む流量センサーを用いて実行され、データプロセッサ及び第2の温度センサーは、ハウジングの内側に配置される。
【0080】
一実施形態では、本方法は流量センサーを使用することによって実行され、第1の温度センサーはハウジング内に配置される。
【0081】
一実施形態では、本方法は流量センサーを使用することによって実行され、第1の温度センサーはハウジングの外側に配置される。
【0082】
一実施形態では、本方法は、第2の温度センサー及び中間温度センサーを収容するハウジングの内側にある位置に配置された中間温度センサーを用いて、中間温度を検出するステップを含み、中間温度は、周辺温度と、流体の温度との間の値を有することが予想される。
【0083】
一実施形態では、本方法は、流量を測定する前に、流体の密度及び/または不均等性の推定値を測定するステップを含む。
【0084】
これによって、流量測定を改善し、流体の密度及び/または不均等性を考慮することが可能になる。
【0085】
一実施形態では、本方法は、以下のステップ、すなわち、
-流体の試料に対して1回以上の測定を行うステップと、
-1回以上の測定を利用して、流量を測定する前に、流体の密度及び/または不均等性の推定値を計算するステップと、
を含む。
【0086】
一実施形態では、流体の不均等性の推定値は、流体中の1つ以上の基質の含有量に一致する。基質は、以下のより多くの物質、すなわち、糖類、塩分、エチレングリコール、グリセロール、またはプロピレングリコールのうちの1つであり得る。
【0087】
一実施形態では、本方法は、管状構造の外側からの流体の流量を測定するように構成されたクランプオン流量センサーを使用することによって実行される。
【0088】
一実施形態では、本方法は超音波流量センサーを用いて実行され、第1の検出ユニットは、超音波を伝送するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサと、超音波を受信するように配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサと、を備える。
【0089】
一実施形態では、本方法は、以下のステップ、すなわち、
-流体の検出温度の関数として予想された音速を計算するステップと、
-流体の検出温度の関数として予想された音速と、音速の検出値とを比較するステップと、
-音速の検出値が流体の検出温度の関数として予想された音速に一致しない場合、密度及び流量の補正値を計算するステップと、
を含む。
【0090】
これによって、低流量レベルを上回る流量範囲での流量測定精度を改善することが可能になる。
【0091】
一実施形態では、本方法は、音速cの検出値が流体の検出温度の関数として予想された音速cに一致しない場合、流体の比熱容量の補正値を計算するステップとを含む。これによって、流量センサーを利用して、精度の改善をもたらす熱エネルギー計測器を提供することが可能になる。流体の比熱容量の補正値を使用することで、熱エネルギー計測器が最も正確な測定をもたらすことを確実にする。
【0092】
一実施形態では、本方法は、音速cの検出値及び測定された飛行時間に基づいて、距離L(伝送された超音波及び受信された超音波が流体で進む距離)を自動的に計算するステップを含む。これによって、パイプの正確な寸法を知らなくても、パイプの流量を測定することが可能になる。また、沈殿物が経時的にパイプの内面にもたらされる場合でも、正確な測定を行うことも可能である。
【0093】
一実施形態では、本方法は、加熱システムまたは冷却システムで熱エネルギーを推定するステップを含む。これによって、加熱システムまたは冷却システムで熱エネルギーを検出する方法の改善(より正確にすること)を提供することが可能になる。
【0094】
本発明に従った熱エネルギー計測器は、本発明に従ったセンサーを含む熱エネルギー計測器である。
【0095】
本発明は、本明細書で下記に与えられる「発明を実施するための形態」からより十分に理解されることになる。添付図は単に例示として与えられ、ひいては、それらの図は本発明に限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1A】パイプを通る流量の関数として、周囲と、パイプを通る流体との温度差を表すグラフを示す。
【
図2A】本発明による、クランプオンタイプの流量センサーの概略図を示す。
【
図2B】本発明による、別のクランプオンタイプの流量センサーの概略図を示す。
【
図3A】本発明による、流量センサーの概略図を示す。
【
図3B】本発明による、別の流量センサーの概略図を示す。
【
図4A】パイプの外側に搭載された本発明による、クランプオンタイプの流量センサーの概略図を示す。
【
図4B】本発明による、別の流量センサーの概略図を示す。
【
図5A】本発明による、流量センサーの概略図を示す。
【
図5B】本発明による、別の流量センサーの概略図を示す。
【
図6A】本発明による、流量センサーの概略図を示す。
【
図6B】本発明による、別の流量センサーの概略図を示す。
【
図7】水の温度の関数として、水中の音速を表すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
ここで、本発明の好ましい実施形態を示す目的のために詳細に図面を参照すると、
図1Aに図示されるパイプを通る流量Qの関数として、周囲と、パイプを通る流体との温度差ΔT
sfを表すグラフ28を示す。
【0098】
グラフ28(実線で示される)が低流量レベルQAを上回って伸びることが確認できる。低流量レベルQAは、先行技術の流量センサーを使用することによって測定できる最低流量を表す。しかしながら、この低流量レベルQAを下回る場合、グラフ28は外挿される。この下側エリア30は点線の楕円で図示される。
【0099】
図1Bは、
図1Aに示されるグラフ28の低流量部30を示す。先行技術の流量センサーは低流量レベルQ
Aを下回る流量を検出することが不可能であるが、本発明に従った流量センサー及び方法は、この低流量レベルQ
Aを下回る流量測定を提供することが可能になる。
【0100】
基本流量レベルQBを上回る場合、グラフ28は、温度差ΔTsfが一定であり、ひいては、流量Qから独立していることを示す。
【0101】
低流量レベルQAと基本流量レベルQBとの間の流量較正エリアB2では、温度差ΔTsfは、流量Qの関数として増加する。この流量較正エリアB2では、第1の流量センサー測定M1及び第2の流量センサー測定M2が図示される。
【0102】
流量較正エリアB2で行われた流量センサーによる1回以上の測定を使用して、流量Qが、流量較正エリアB2と、流量較正エリアB2を下回る流量エリアB1との温度差ΔTsfにどのように依存するかを判定するために必要なパラメーターを決定することが可能である。
【0103】
温度差ΔTsfは、流量Qの関数として、以下の方程式(1)によって与えられる。
【0104】
【0105】
式中、ΔTBは基本流量レベルQBに対応する温度差であり、C1は一定である。
【0106】
2つの測定M1及びM2を行うことによって、2つの未知数のΔTB及びC1を方程式(1)から決定することが可能になる。
【0107】
したがって、流量センサーが任意の測定を提供できない流量エリアB1の流量QM3を決定することが可能になる。流量QM3は、流量センサーによって検出された温度差ΔTM3の測定値に基づいて決定できる。流量QM3は、方程式(1)、または検出された温度差ΔTsfの関数として流量Qを定義する以下の方程式(2)を使用することによって決定できる。
【0108】
【0109】
式中、C1は一定であり、ΔTBは基本流量レベルQBに対応する温度差である。
【0110】
本発明に従った流量センサー及び方法は、周囲と、パイプを通る流体との温度差ΔTsfを測定することによって、低流量レベルQAを下回る流量Qを推定する。流量較正エリアB2で行われた1回以上の流量測定M1,M2を使用して、方程式(1)または方程式(2)で未知数を決定するため、推定は可能になる。したがって、方程式(2)を使用することによって、流量エリアB1の任意の流量Qを計算できる。
【0111】
図1Bでは、第1の流量Q
1が第1の温度差ΔT
1の測定値に基づいて検出されることが確認できる。同様に、
図1Bは、第2の流量Q
2が第2の温度差ΔT
2の測定値に基づいて検出されることを示す。
【0112】
低流量レベルQAは温度差ΔTAの測定値に対応する。同様に、基本流量レベルQBは、温度差ΔTBのより高い測定値に対応する。
【0113】
本発明に従ったセンサーの温度センサーを使用することによって、温度差を検出できる。これは、
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、及び
図4Bに示され、それらの図を参照して説明される。
【0114】
一例では、流量較正エリアB2では、20℃で水を測定するために使用された本発明に従った流量センサーを利用して、2ml/s(0.000002m3/sである)の流量QM2及び10℃の温度差ΔTM2に対応する測定点M2が作られる。
【0115】
周囲と、流体及び流量Qとの温度差ΔTsfの関係式は方程式(2)によって与えられる。
【0116】
【0117】
【0118】
及びdtB=10.02℃である場合、以下の値を計算できる。
【0119】
【0120】
別の例では、低流量レベルQAを下回る場合、温度差ΔTsfと流量Qとの関係式は、方程式(2)によって与えられ、式中、C1=4.88及びdtB=12.54℃として、以下の値を計算できる。
【0121】
【0122】
図2Aは、本発明による、クランプオンタイプの流量センサー1の概略図を図示する。流量センサー1は、パイプ2の流体26(例えば、液体)の流量を検出するように配置される。流量センサー1はデータプロセッサ10を備える。
【0123】
流量センサー1は、パイプ2の周辺温度(周囲の温度)を検出するように配置された第1の温度センサー12を備える。流量センサー1は、流体26の温度を検出するように配置された第2の温度センサー14を備える。流量センサー1は、第1の超音波発生器4及び第2の超音波発生器4’を備える。波発生器は、流量Qの方向に対して傾斜して流体26中に導入される超音波を生成するように配置及び構成された圧電トランスデューサ4,4’として形成される。流量センサー1は、ドップラー効果タイプの流量センサー1または伝搬時間時間測定タイプの流量センサー1のいずれか一方であり得る。超音波6,8の両方とも距離1/2L進んでいることが図示される。したがって、進行距離の合計はLである。
【0124】
圧電トランスデューサ4,4’は、トランスデューサとして動作し、音波6,8を使用することによって、パイプを通る流量Qを検出する。一実施形態では、流量センサー1は、パイプ2の流量Qのプロファイルに依存しなくするために、いくつかの圧電トランスデューサ4,4’を備える。動作周波数は用途によって決まり、ガスの場合、100~200kHzの周波数範囲であり、液体の場合、より高いMHzの周波数範囲であり得る。
【0125】
一実施形態では、流量センサー1はドップラー効果型流量センサー1である。本実施形態では、流量センサー1は、単一の圧電トランスデューサだけを備える。この場合、第2の圧電トランスデューサ4’を省略でき、そして、超音波6を送信することと、超音波8を受信することとの両方のために、第1の圧電トランスデューサ4を使用する。ドップラー効果タイプの流量センサー1では、伝送波6が流体の粒子または泡によって反射されるとき、その周波数は粒子の相対速度に起因して偏移する。液体の流動速度が高くなるにつれて、放射波と反射波との間の周波数偏移が高くなる。
【0126】
一実施形態では、流量センサー1は、いくつかの圧電トランスデューサ4,4’を備えるドップラー効果の流量センサー1である。この場合、1つの圧電トランスデューサ4を使用して、超音波6を伝送できる一方、他の圧電トランスデューサ4’を使用して、反射超音波8を受信できる。
【0127】
一実施形態では、流量センサー1は伝搬タイプ流量センサー1である。本実施形態では、流量センサー1は、流量Qの方向に対して斜めに配置された送信機及び受信機の両方として動作する2つの圧電トランスデューサを利用する。流動媒質の超音波の伝送により、音伝搬速度及び流動速度の重なりが生じる。流動速度は、流量Qの方向及び反対方向に伝搬時間の差の逆数に比例する。音伝搬タイプの測定方法は、音伝搬速度から独立し、ひいては媒質からも独立している。したがって、同じ設定を用いて異なる液体またはガスを測定することが可能である。
【0128】
温度センサー12、14及び圧電トランスデューサ4,4’は、データプロセッサ10に接続される。したがって、データプロセッサ10は、温度センサー12、14及び圧電トランスデューサ4,4’からのデータを処理することによって、そのデータに基づいて、流量を検出できる。
【0129】
図2Aでは、第2の温度センサー14は、パイプ2の外側に配置される。第2の温度センサー14は、パイプ2に熱的に接続される。したがって、第2の温度センサー14は、パイプ2の温度を測定することが可能である。パイプ2の温度は、通常、パイプ2の流体26の温度に一致する、または非常に近くなる。
【0130】
流量センサー1の低流量レベルを下回る低流量エリアでは、流量センサー1は、第1の温度センサー12及び第2の温度センサー14によって行われた温度測定に基づいて、流量を決定する。実際に、流量センサー1の低流量レベルを下回る場合、流量センサー1は、第1の温度センサー12及び第2の温度センサー14によって検出された温度差として定義された温度差ΔTsfに基づいて、流量を決定する。
【0131】
(9)ΔTsf=|Ts-Tf|
式中、Tsは第1の温度センサー12によって測定された周囲の温度であり、Tfは第2の温度センサー14によって測定された流体26の温度である。
【0132】
図2Bは、本発明による、クランプオンタイプの流量センサー1の概略図を図示する。
図2Bに示される流量センサー1は、基本的に、
図2Aに示されるものに対応する。しかしながら、温度センサー14は、パイプ2の内側に流体26と接触する。構造はパイプ2の壁を通って延在する。温度センサー14は、該構造を通って延在するワイヤを介して、データプロセッサ10に接続される。超音波6,8の両方とも距離1/2L進んでいることが図示される。したがって、進行距離の合計はLである。
【0133】
図3Aは、本発明による、熱エネルギー計測器5の概略図を図示する。熱エネルギー計測器5は、本発明に従った流量センサー1を備える。流量センサー1は、パイプ2に取り付けられるハウジング20を備える。流量センサー1は、パイプ2の流体26(例えば、水分含有液)の流量Qを検出するように配置及び構成される。
【0134】
流量センサー1は、周囲の温度Ts(例えば、周辺温度)を検出するように配置された第1の温度センサー12を備える。流量センサー1は、パイプ2内の流体26の温度Tfを検出するように配置された第2の温度センサー14を備える。流量センサー1は、中間温度Tiを検出するように配置された第3の温度センサー16を備え、中間温度Tiは、周辺温度Tsと、流体26の温度Tfとの間の値を有することが予想される。
【0135】
流量センサー1は、第1の超音波発生器4及び第2の 超音波発生器4’を備え、これらの超音波発生器は、流量Qの方向に対して傾斜して流体26中に伝送された超音波を生成するように配置及び構成される圧電トランスデューサ4,4’として形成される。圧電トランスデューサ4,4’は、
図2A及び
図2Bに示されるものと同じ方式で使用され、それらの図を参照して説明される。
【0136】
流量センサー1は、圧電トランスデューサ4,4’及び温度センサー12、14、16に接続されたデータプロセッサ10を備える。したがって、データプロセッサ10は、温度センサー12、14及び圧電トランスデューサ4,4’からのデータを処理することによって、そのデータに基づいて、流量を検出できる。
【0137】
第3の温度センサー16は、流量センサー1の低流量レベルを下回る流量の推定の改善を提供するために利用できる温度測定を提供するように配置される。以下の2つの温度差を使用することによって、推定の改善を達成できる。
-周囲と流体26との差ΔTsf:
(10)ΔTsf=|Ts-Tf|、
-ハウジング20の中間点と、流体26との温度差ΔTif:(11)ΔTif=|Ti-Tf|。
【0138】
熱エネルギー計測器5は、パイプ3に熱的に接続された外部温度センサー17を備える。供給パイプ3の流体の温度及び戻りパイプ2の流体26の温度を測定することによって、消費熱量(熱エネルギー)を計算することが可能になる。外部温度センサー17は、
図3Aに示されるような有線接続によって、または
図3Aに示されるような無線接続によって、データプロセッサ10に接続され得る。
【0139】
図3Bは、本発明による、熱エネルギー計測器5の別の概略図を図示する。熱エネルギー計測器5は、本発明に従った流量センサー1を備える。流量センサー1は、基本的に、
図3Aに示されるものに対応する。しかしながら、第1の温度センサー12は、ハウジング20の外側表面上に設置される。熱エネルギー計測器5は、パイプ3の外側表面に取り付けられる外部温度センサー17を備える。したがって、温度センサー17は、供給パイプ3に熱的に接続される。供給パイプ3の流体の温度及び戻りパイプ2の流体26の温度を測定することによって、消費熱量(熱エネルギー)を計算することが可能になる。
【0140】
図4Aは、本発明による、クランプオンタイプの流量センサー1の概略図を図示する。流量センサー1はパイプ2の外側に搭載される。流量センサー1は、パイプ2の外側ジオメトリに一致する接点構造を有するハウジング20を備える。熱的接続構造(例えば、金属層)は、接点構造に取り付けられる。これによって、熱的接続構造は熱抵抗を減らし、ひいては、パイプ2と、流量センサー2の温度センサー(示されない)との間の熱伝達を改善して効果的にする。
【0141】
一実施形態では、熱的接続構造は、各面上に熱接着剤でコーティングされた金属箔である。そのような熱的接続構造は、永久接合を提供して、接触面で微小空隙を満たすことによって、熱抵抗を減らすことが可能である。一実施形態では、熱的接続構造は、熱伝導性アルミニウムテープである。一実施形態では、熱的接続構造は、熱伝導性両面構造接着アルミニウムテープであり得る。
【0142】
図4Bは、本発明による、流量センサー2の概略図を図示する。流量センサー2は、パイプ3の内側に配置され、ひいては流体26中に沈む機械式流量検出ユニット24を備える。
【0143】
流量センサー1は、流量測定を提供するために、流体が機械式流量検出ユニット24の構成要素を機械的に変位させることを必要とする容積式流量計である。機械式流量検出ユニット24はタービンまたはインペラであり得る。タービンまたはインペラのアクティビティ及び回転速度は、データプロセッサ10への直接接続を使用することによって、またはタービンもしくはインペラの角速度を測定するように配置及び構成された検出部材(示されない)を用いて、のいずれか一方で測定できる。流量センサー1は、例として、タービン流量計、単一噴流計、またはパドルホイール流量計であり得る。機械式流量検出ユニット24は第1の検出ユニット34を構成する。データプロセッサ10及び温度センサー12、14は、第2の検出ユニット36を構成する。
【0144】
流量センサー1は、周囲の温度(周辺温度)を検出するように配置及び構成された第1の温度センサー12を備える。流量センサー1は、流体3の内側の流体26の温度を検出するように配置及び構成された第2の温度センサー14を備える。第2の温度センサー14は、パイプ3の壁の外部に対して支える。別の実施形態では、しかしながら、第2の温度センサー14は、パイプ3の内側に配置され得る。さらなる実施形態では、第2の温度センサー14は、パイプ3の壁の外部に統合され得る。
【0145】
流量センサー1は、第1のフランジ18及び第2のフランジ18’が設けられたパイプ3を備える。これらのフランジ18,18’は、2つのパイプ2,2’の対応するフランジ19,19’に機械的に接続されるように構成される。一実施形態では、フランジ18,18’は、流量センサー1をパイプ2,2’に取り付けように設計された同様の取付構造と置き換えられる。
【0146】
一実施形態では、パイプ2,2’の遠位部は外側ねじ山に設けられる一方、流量センサー3のパイプ3の遠位部は、パイプ3をパイプ2,2’上にねじ込むことを可能にする対応する内側ねじ山が設けられている。
【0147】
一実施形態では、パイプ2,2’の遠位部は内側ねじ山に設けられる一方、流量センサー3のパイプ3の遠位部は、パイプ3をパイプ2,2’上にねじ込むことを可能にする対応する外側ねじ山が設けられている。
【0148】
図5Aは、本発明による、流量センサー1の概略図を図示する。流量センサー1は、基本的に、
図3Aに示されるものに対応する。
【0149】
図5Bは、本発明による、流量センサー1の概略図を図示する。流量センサー1は、基本的に、
図3Bに示されるものに対応する。
【0150】
図5A及び
図5Bでは、しかしながら、ハウジング20は、パイプ2に対して支える部分を備える一方、第2の温度センサー14及び圧電トランスデューサ4,4’は、流量センサー1がパイプ2に取り付けられるとき、パイプ2の外部に直接に接続するために、ハウジング20の該部分を通って延在する。ケーブルタイまたはホースクランプ等のクランプ構造を利用して、流量センサーをパイプ2にクランプで締めることが可能になる。
【0151】
圧電トランスデューサ4,4’は、第1の検出ユニット34を構成する。データプロセッサ10及び温度センサー12、14、16は、第2の検出ユニット36を構成する。
【0152】
本発明に従った流量センサー1について、ほとんどの場合、流体26がその流体が流れる物理ゾーンの間に熱を輸送し、これらの物理ゾーンが異なる温度を有するという事実が生かされている。これらのゾーンの温度差を検出することによって、代替の流量の測定を提供することが可能になる。
【0153】
したがって、流量センサー1及び本発明に従った方法は低流量範囲で流量を検出でき、低流量範囲では、先行技術の流量センサーは任意の流量を検出できない。
【0154】
さらに、流量センサー1及び本発明に従った方法は、一般に、上述のゾーンの温度差を使用することによって、流量検出の改善(より正確にすること)を提供できる。
【0155】
流体から周囲への熱伝達速度q(E/tに対応する速度)は、以下の方程式(12)で定義される。
(12)q=UAΔTsf
ΔTsfは、周囲と流体26との温度差であり、Aは熱伝達が行われる表面積であり、Uは熱伝達係数である。
【0156】
熱伝達係数Uは以下の方程式(13)で定義される。
【0157】
【0158】
式中、kは熱伝達が行われる物質の熱伝導率であり、sは熱伝達が行われる物質の厚さである。
【0159】
ドップラー効果型流量センサー1の動作原理は、
図6Aに示され、
図6Aを参照して簡潔に説明される。ドップラー効果型流量センサーは、流体26の音速の変化の影響を受ける。したがって、ドップラー効果型流量センサーは、流体26の密度及び温度の変化を検知できる。したがって、多くの先行技術のドップラー効果型流量センサーは、高度に正確な測定用途に不適切である。しかしながら、本発明は、流体26の温度及び音速を検出して、温度及び流体(密度)の変化を補償し、ひいては、精度の改善を提供することを可能にする。同様に、本発明は、(流体26の試料に対して行われた測定によって)流体26の密度を検出して、流量センサー1の精度をさらに改善するために、温度及び/または流体(密度)の変化を補償することを可能にする。
【0160】
ドップラー効果型流量センサー1は、音が送信機4と受信機4’との間で進む時間を測定する飛行時間型超音波流量センサーである。典型的な設定では、
図6Aに示されるものと同様に、2つのトランスデューサ(送信機/受信機)4,4’は、流量Qが測定されるパイプ2の各側に設置される。送信機4,4’は、一方の側から他方の側に、所定周波数で脈動超音波6を伝送する。平均流速Vは周波数の差に比例する。
【0161】
したがって、流速Vは、(14)として表すことができる。
【0162】
【0163】
t1は下流方向の伝送時間の伝送時間であり、t2は上流方向の伝送時間であり、Lは複数のトランスデューサ間の距離であり、φは、伝送された超音波ビーム6と流量Qとの間の相対角度である。
【0164】
流量Qは、(15)を用いて、流速Vと、パイプ2の断面積Apipeとの積として計算できる。
(15)Q=VApipe
【0165】
同時に、音速cは、以下の方程式(16)によって与えられる。
【0166】
【0167】
図6Aに示される流量センサー1は、パイプ2の周辺温度(周囲の温度)を検出するように配置された第1の温度センサー12を備える。流量センサー1は、流体26の温度を検出するように配置された第2の温度センサー14を備える。流量センサー1はデータプロセッサ10を備える。
図6Bに示されないけれども、温度センサー12、14及び2つのトランスデューサ4,4’は、データプロセッサ10に接続される。したがって、データプロセッサ10は、温度センサー12、14及び2つのトランスデューサ4,4’からのデータを処理して、そのデータに基づいて、流量Qを計算できる。
【0168】
粒子32の流体を含有する流体の流量を測定するドップラー効果型流量センサー1の動作原理は、
図6Bに示され、
図6Bを参照して簡潔に説明される。
【0169】
以下の方程式(17)を使用することによって、流速Vを計算できる。
【0170】
【0171】
frは受信波の周波数であり、ftは伝送波の周波数である。φは、伝送された超音波ビームと流量Qとの間の相対角度であり、cは流体26の音速である。
【0172】
流量Qは、(15)を用いて、流速Vと、パイプ2の断面積A
pipeとの積として計算できる。
(15)Q=VA
pipe
また、
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Bに示される流量センサーを使用することによって、流量を計算するとき、方程式15及び16も使用できる。
【0173】
図7は、水の温度Tの関数として、水中の音速cを表すグラフを示す。しかしながら、同様のグラフは、他の液体に関して作成できる。以下では、水は、単に、可能な流体を表しており、水は別の液体と置き換えられ得る。
【0174】
管状構造(例えば、水の流量Qが流れるパイプ)の寸法は既知ではなく、音が水中で進む距離Lの推定は必要である。この問題は、具体的には、超音波クランプオンセンサーに関連する。経時的に、沈殿物は、パイプの内面にもたらされ得る。これにより、距離Lは徐々に減少する。したがって、本発明は、そのような条件下で、距離Lの推定を可能にする。
【0175】
水中の音速cを決定することによって、距離Lを推定することが可能になることにより、検出された速度V及び水の流量Qの精度を改善する。したがって、水中の音速cの変化はかなり関連がある。
【0176】
音速cが検出されるとき、音が水中で進む距離Lを計算することが可能になる。
【0177】
同時に、音速cは、以下の方程式(12)によって与えられる。
【0178】
【0179】
式中、Kは体積弾性率であり、ρは密度である。
【0180】
水の密度が温度Tに依存するため、音速cは温度Tに依存する。さらに、音速cは水中の物質(例えば、グリコール)の濃度に依存する。
【0181】
傾斜角度αが既知であるとき、以下の方程式(19)を使用することによって、(飛行時間の差分によって測定された管内の)水の平均速度Vを求めることができる。
【0182】
【0183】
音速cが既知であるとき、以下の方程式(16)を使用することによって、(t1及びt2が測定されてから)Lを計算または推定できる。
【0184】
【0185】
したがって、流量Qは、(15)を用いて、水の平均速度Vと、パイプ2の断面積Apipeとの積として計算できる。
(15)Q=VApipe
【0186】
流体温度Tの測定値及び飛行時間の測定値を使用して、密度ρを決定でき、そして、方程式(18)を使用することによって、音速cを求める。
【0187】
流量センサーが26℃の温度T
2において純水で較正される場合、
図7は、音速c(T
2)が1500m/sであることを示す。21.5℃の低温T
1が検出される場合、音速c(T
1)は1485m/sである。したがって、既知の温度T及び密度ρで流体(例えば、水等の液体)を使用することによって、流量センサーを較正することによって、単純な温度測定は、方程式(18)を使用することによって、音速cを検出するのに十分である。
【0188】
【0189】
流体(例えば、水)の比熱容量は、追加物質(例えば、糖類、塩分、エチレングリコール、グリセロール、またはプロピレングリコール)の含有量に依存する。
【0190】
音速cが既知であるとき、検出された流体の密度に基づいて追加物質を有する流体(例えば、水)の比熱容量を計算することが可能になる。これによって、本発明に従った流量センサー1を有する熱エネルギー計測器をより正確にする。
【0191】
追加物質(例えば、糖類、塩分、エチレングリコール、グリセロール、またはプロピレングリコール)の含有量を測定するのに有利になり得る。これによって、測定に基づいて、流量センサーを較正することが可能になるだろう。
【0192】
実施例1
純水で使用される流量センサーが26℃の温度T
2において1リットル/分の流量Qを検出する場合、
図7は、音速c(T
2)が1500m/sであることを示す。
【0193】
音速c(1500m/s)が既知であるとき、以下の方程式(16)を使用することによって、(t1及びt2が流量センサーによって検出されてから)Lを計算または推定できる。
【0194】
【0195】
流量センサーが後の時点で使用されるとき、予想された音速cは、26℃の同じ温度T2で、1500m/sになるだろう。しかしながら、検出された音速cは1485m/sである場合、これは方程式(16)及び既知のLを使用することによって計算され、音速の減少は約1%である。これは、水の密度ρの変化によって生じ得る。体積弾性率Kが一定であることを仮定する場合、方程式(18)により、密度ρが約2%増加する結果になる(これは、方程式18を使用する)。
【0196】
熱エネルギー計測器で流量センサーを使用する場合、検出された水の密度に基づいて、水の比熱容量を補正することが可能であるだろう。追加物質(例えば、糖類、塩分、エチレングリコール、グリセロール、またはプロピレングリコール)の含有量が増加しているという結論になる可能性がある。したがって、熱エネルギー計測器の精度を改善することが可能になる。これは、追加物質(例えば、糖類、塩分、エチレングリコール、グリセロール、またはプロピレングリコール)の含有量が時間関数として変わり得るため、関連がある。流量センサーが流体の密度の変化を自動的に検出するように構成される場合、流量センサーは熱エネルギー計測器で使用され、追加物質の含有量が経時的に変わるときでさえ、高精度を提供することが可能になる。
【0197】
図8は、温度差ΔT
sfの関数として、本発明に従った流量センサーの手段によって検出された流量Qを表すグラフを示す。
【0198】
低流量レベルQAは、先行技術の流量センサーを使用することによって測定できる最低流量を表す。先行技術の流量センサーは低流量レベルQAを下回る流量を検出することが不可能であるが、本発明に従った流量センサー及び方法は、この低流量レベルQAを下回る流量測定を提供することが可能になる。
【0199】
基本流量レベルQBを上回る場合、グラフは、温度差ΔTsfが一定であり、ひいては、流量Qから独立していることを示す。
【0200】
低流量レベルQAと基本流量レベルQBとの間の流量較正エリアB2では、温度差ΔTsfは、流量Qの関数として増加する。この流量較正エリアB2では、第1の流量センサー測定M1及び第2の流量センサー測定M2が図示される。
【0201】
これらの流量センサーによる測定M1及びM2は、流量較正エリアB2で行われ、これは、流量Qが、流量較正エリアB2と、流量較正エリアB2を下回る流量エリアB1との温度差ΔTsfにどのように依存するかを判定するために必要なパラメーターを決定するために行われる。流量Qと温度差ΔTsfとの関係式は、方程式(2)によって与えられる。
【0202】
【0203】
温度差ΔT1、ΔTM3、及びΔT2を測定して、方程式(2)を使用することによって、流量Qを計算することが可能になる。
【符号の説明】
【0204】
1 流量センサー
2,2’,3 パイプ
4,4’ 超音波トランスデューサ(圧電トランスデューサ)
5 熱エネルギー計測器
6 超音波振動波
8 反射超音波振動波
10 データプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)
12 温度センサー
14 温度センサー
16 温度センサー
17 温度センサー
18,18’ フランジ
19,19’ フランジ
20 ハウジング
22 熱的接続構造(例えば、金属層)
24 機械式流量検出ユニット
26 流体
28 グラフ
30 低流量エリア
32 粒子
34,36 検出ユニット
Ts 周囲温度
Tf 流体温度
ΔT 温度差
ΔTsf 周囲と流体との温度差
ΔT1,ΔT2 温度差
ΔTA,ΔTB 温度差
T1,T2 温度
M1,M2,M3 流量測定
B1 流量エリア
B2 流量較正エリア
cp 比熱容量
k 熱伝導率
U 熱伝達係数
A 表面積
W 体積
t 飛行時間
t’ 温度補償飛行時間
Δt 飛行時間の差
t1,t2 飛行時間
ΔT1,ΔT2 温度差
ΔTA,ΔTB 温度差
ΔTM1,ΔTM2 温度差
ΔTM3 温度差
d 厚さ
Q 流量
Q1,Q2 流量
QA,QB 流量
QM1,QM2 流量
QM3 流量
V 流速
α 角度
L 距離
【国際調査報告】