(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】自動化された車両を試験するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G01M17/007 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580600
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022034152
(87)【国際公開番号】W WO2023278191
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517196535
【氏名又は名称】ホリバ インスツルメンツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HORIBA Instruments Incorporated
【住所又は居所原語表記】9755 RESEARCH DRIVE IRVINE, CALIFORNIA UNITED STATES 92618
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルトン,レオ アルフォンス ゲラルト
(57)【要約】
車両試験システムは、リム通過部を画定するリムを含むフリーホイーリング自動車用ホイールと、ベアリングがフリーホイーリング自動車用ホイールを支持するためにリムの外側にあるようにリム通過部を通して延在し、ベアリングがリムの内側にあるようにリム通過部を通して引き込まれるベアリングとを含む。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム通過部を画定するリムを含むフリーホイーリング自動車用ホイールと、
ベアリングであって、前記ベアリングが前記フリーホイーリング自動車用ホイールを支持するために前記リムの外側にあるように前記リム通過部を通して延在し、前記ベアリングが前記リムの内側にあるように前記リム通過部を通して引き込まれるように構成されたベアリングと
を備える、車両試験システム。
【請求項2】
前記リム上に取り付けられ、前記リム通過部と位置合わせされたタイヤ通過部を含む非空気入りタイヤをさらに備え、前記ベアリングが前記非空気入りタイヤの外側にあるように、前記ベアリングが前記タイヤ通過部を通して延在するようにさらに構成される、請求項1に記載の車両試験システム。
【請求項3】
前記フリーホイーリング自動車用ホイールとハブダイナモメータとの間に取り付けられるように構成された、その両端部に可変角度ジョイントを有する、テレスコープ式ドライブシャフトをさらに備える、請求項1に記載の車両試験。
【請求項4】
自動車用ホイール又はフリーホイーリング自動車用ホイールの外側に取り付けられるように構成された、その両端部に可変角度ジョイントを有する、テレスコープ式ドライブシャフトと、
固定可能な端部と、前記テレスコープ式ドライブシャフトに取り付けられて、前記テレスコープ式ドライブシャフトがその中で回転することを可能とするように構成されたマウントを含む可動部とを有する可変長アクチュエータと
を備え、
前記可変長アクチュエータが、前記テレスコープ式ドライブシャフトの縦軸と前記可変角度ジョイントの1つの中心軸との間に所定の角度を確立するために、前記テレスコープ式ドライブシャフトに並進力を加えるように構成される、
車両試験システム。
【請求項5】
前記マウントがベアリングマウントである、請求項4に記載の車両試験システム。
【請求項6】
前記所定の角度が180度である、請求項4に記載の車両試験システム。
【請求項7】
自動車用ホイールハブアダプタと、
前記可変角度ジョイントの1つを介して、自動車用ホイールハブアダプタと、自動車用ホイールハブアダプタの外側とに取り付けられるように構成された、可変角度ジョイントをその両端部に有するテレスコープ式ドライブシャフトと
を備える、車両試験システム。
【請求項8】
可変長アクチュエータであって、前記テレスコープ式ドライブシャフトに取り付けられ、(i)前記テレスコープ式ドライブシャフトが前記可変長アクチュエータに対して回転することを可能にし、(ii)前記テレスコープ式ドライブシャフトの縦軸と、前記可変角度ジョイントの少なくとも1つの中心軸との間に所定の角度を確立するために、前記テレスコープ式ドライブシャフトに並進力を加えるように構成された可変長アクチュエータを含む、請求項7に記載の車両試験システム。
【請求項9】
ばねであって、前記テレスコープ式ドライブシャフトに取り付けられ、(i)前記テレスコープ式ドライブシャフトが前記ばねに対して回転することを可能にし、(ii)前記テレスコープ式ドライブシャフトの縦軸と前記可変角度ジョイントの少なくとも1つの中心軸との間に所定の角度を確立するために、前記テレスコープ式ドライブシャフトに並進力を加えるように構成されたばねを含む、請求項7に記載の車両試験システム。
【請求項10】
前記可変角度ジョイントの1つに取り付けられ、前記テレスコープ式ドライブシャフトの回転速度を制御するように構成されたモータをさらに備える、請求項7に記載の車両試験システム。
【請求項11】
前記可変角度ジョイントの1つに取り付けられ、前記テレスコープ式ドライブシャフトに加えられる回転トルクを制御するように構成されたダイナモメータをさらに備える、請求項7に記載の車両試験システム。
【請求項12】
第2の自動車用ホイールハブアダプタと、前記第2の自動車用ホイールハブアダプタに取り付けられ、前記第2の自動車用ホイールハブアダプタの外側にあるように構成されたドライブシャフトと、前記自動車用ホイールハブアダプタの回転速度を同期させるように構成されたリンクとをさらに備える、請求項7に記載の車両試験システム。
【請求項13】
前記リンクがベルト又はチェーンである、請求項12に記載の車両試験システム。
【請求項14】
前記リンクが電子的リンクである、請求項12に記載の車両試験システム。
【請求項15】
ホイールをさらに備え、前記テレスコープ式ドライブシャフトが、前記テレスコープ式ドライブシャフトが前記自動車用ホイールハブアダプタとホイールとの間にあるように、前記可変角度ジョイントの他方を介して前記ホイールに取り付けられるようにさらに構成される、請求項7に記載の車両試験システム。
【請求項16】
前記ホイールを支持して、前記ホイールが回転することを可能にするために、地面及び前記ホイールに取り付けられるように構成されたブラケット装置をさらに備える、請求項15に記載の車両試験システム。
【請求項17】
前記ブラケット装置が、前記地面の方に向けられた前記ホイールに可変力を加えるように構成されたストラットを含む、請求項16に記載の車両試験システム。
【請求項18】
固定可能な端部と、前記テレスコープ式ドライブシャフトに取り付けられて、前記テレスコープ式ドライブシャフトがその中で回転することを可能とするように構成されたマウントを含む可動部とを有する可変長アクチュエータをさらに備え、前記可変長アクチュエータが、前記テレスコープ式ドライブシャフトの縦軸と前記可変角度ジョイントの少なくとも1つの中心軸との間に所定の角度を確立するために、前記テレスコープ式ドライブシャフトに並進力を加えるように構成される、請求項15に記載の車両試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月1日に出願された米国特許出願第63/217,610号の利益を主張し、そのすべての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、自律型車両の場合に車両が自身を操縦すること、又は、非自律型車両若しくは自律的な特徴が無効にされた自律型車両の場合に試験中、車両が操縦されることが望ましい任意の車両の実験室での試験に関する。車両タイプは、自律型車両、コネクテッド自律型車両(CAV)、及び、いくつかの自律型制御特徴又は機能を有する半自律型車両を含む。車両パワートレインタイプに応じて、本開示は、自動車排気ガス放出物測定及び分析(内燃機関自動車)、自動車の燃費又はエネルギー効率の測定、並びに、自動車のための自律制御システムの制御又は評価に関してもよい。より詳細には、本開示は、自動化された操縦機能又は緊急操縦機能を取り外すことなく、自律型又は半自律型車両を試験すること、自律型車両システム及び機能の効率又は性能、車両の燃費、エネルギー効率、又は排気性能への自律型特徴又は非自律型車両の操縦の影響に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
実験室での試験中に、完全な車両に負荷をかけるためのシャーシロールダイナモメータは、数十年にわたって利用可能であり、個々の駆動ホイール、車軸、又はハブに負荷をかけるためのパワートレインダイナモメータも利用可能である。そのようなダイナモメータは、伝統的に、非自律型又は自律型車両の場合に、それぞれ、車両の操縦又は自動操縦をすることが可能ではなかった。
【0004】
自体車両の自動化された操縦、又は、車両の運転者によって入力された舵角に少なくとも部分的に基づく、パワートレインの自動化された制御を含む自律的な特徴を有する車両の人気が高まるのに伴い、実験室に基づいたダイナモメータ試験の間に、手動又は自動での車両の操縦を可能にすることは、ますます重要になってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャーシダイナモメータ試験中に車両の操縦を可能にするための多数の構想が、さまざまなダイナモメータ供給業者によって調査されている。しかしながら、その構想は、非常に複雑で高価な傾向があり、既存のダイナモメータに後付けすることができない。既存のシャーシ及びパワートレインダイナモメータデザイン上での車両操縦を可能にするための、並びに、既存のダイナモメータに後付けするための、低コストの装置及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
ここで、いくつかの実施形態は、車両舵角が車両制御システムへの入力である車両、たとえば、別の車両又は物体が車両の経路にあるかどうかを判定するために舵角を使用する縦速度制御を有する車両の実験室での試験を行うことに関するものであり得る。他の実施形態は、舵角が車両制御システムへの出力である車両、たとえば、自動車線変更機能、レーンキープアシスト(LKA)機能、又は、緊急障害物回避のための自動化された操縦を有する自律型車両の試験に関するものであり得る。本明細書の例示的な実施形態は、排出物質及びエネルギー効率の影響、並びに、自律型制御車両機能の自動又は緊急操縦動作の性能の正確な測定を可能にする装置及び方法を示す。制御された環境で実世界の交通イベントのシミュレーション又は繰り返しとともに使用されるとき、排出物質、エネルギー効率、システム、及び安全システム性能は、較正、評価、及び改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な説明
【
図1A】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の正面図を示す。
【
図1B】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の側面図を示す。
【
図1C】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の底面図を示す。
【
図1D】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の上面図を示す。
【
図1E】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の上面図を示す。
【
図2A】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための代替的な手段を備える、
図1A~1Eに示される装置の変形形態の正面図を示す。
【
図2B】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための代替的な手段を備える、
図1A~1Eに示される装置の変形形態の側面図を示す。
【
図2C】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための代替的な手段を備える、
図1A~1Eに示される装置の変形形態の上面図を示す。
【
図3A】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための別の代替的な手段を備える、
図1A~1Eに示される装置の別の変形形態の正面図を示す。
【
図3B】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための別の代替的な手段を備える、
図1A~1Eに示される装置の別の変形形態の側面図を示す。
【
図3C】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための別の代替的な手段を備える、
図1A~1Eに示される装置の別の変形形態の上面図を示す。
【
図3D】従来の車両パワートレイン又はアクスルシャフトダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための別の代替的な手段を備える、
図1A~1Eに示される装置の別の変形形態の側面図を示す。
【
図4A】固定ロールを有する従来のシャーシダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の正面図を示す。
【
図4B】固定ロールを有する従来のシャーシダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の側面図を示す。
【
図4C】固定ロールを有する従来のシャーシダイナモメータとともに動的な車両操縦を可能にするための装置の上面図を示す。
【
図5A】従動及び非従動ホイールハブ速度を同期させるために電子的リンクを使用する装置の上面図を示す。
【
図5B】従動及び非従動ホイールハブ速度を同期させるために電子的リンクを使用する装置の側面図を示す。
【
図6】従動及び非従動ホイールハブ速度を同期させるために機械的リンクを使用する装置の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
実施形態が本明細書に記載されている。しかしながら、開示されている実施形態は単なる例にすぎず、他の実施形態がさまざまな且つ代替的な形態を有し得ることが理解されるべきである。図面は必ずしも原寸に比例したものではない。いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張又は極小化される可能性がある。したがって、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的詳細は、限定として解釈すべきではなく、当業者に教示するための代表的な基礎としてのみ解釈すべきである。
【0009】
図の任意のものを参照して図示及び記述されているさまざまな特徴は、明示的に図示又は記述されていない実施形態を生成するために、1つ又は複数の他の図において示されている特徴と組み合わされ得る。図示されている特徴の組合せは、典型的な用途の代表的な実施形態を提供している。しかしながら、本開示の教示と一致する特徴のさまざまな組合せ及び変更が、特定の用途又は実施態様のために望ましい可能性がある。
【0010】
いくつかの実施形態は、車両の実験室での試験中にダイナモメータが車両に負荷をかける間に、車両が、運転者によって操縦される、又は、自動化された車両の場合には車両の自律制御システムによって自動操縦されることを可能にする。試験は、自律制御システム若しくはアルゴリズムの性能又は機能を検証するためのもの、自律運転制御下で車両の排気物質若しくはエネルギー効率を測定するためのもの、又は、試験中、車両の舵角が変わること若しくは変わることを可能にすることが必要である若しくは有利である任意の他の目的のためのものであり得る。
【0011】
第1の実施形態は、パワートレインダイナモメータ11とともに使用される、
図1A~1Eに示される装置である。所望の負荷を各従動アクスルシャフトにかけるための1つ又は複数のパワートレインダイナモメータ11による試験の前に、車両1の従動ホイール(図示せず)はそれぞれ、取り外されて、特別な自動車フリーホイーリングベアリングホイール6と交換される。ベアリングホイール6は、リム60と、ハブベアリング53と、伸縮自在のフロアベアリング9と、フロアベアリング9が通過するリム通過部55と、フロアベアリング9が通過するタイヤ通過部12と、フロアベアリング引込みロッド57と、非空気入りタイヤ59とを備える。ハブベアリング53は、ベアリングホイール6の内側で、(図ではブレーキディスク19に隠れている)車両1の従動ハブと結合し、ホイール又は非空気入りタイヤ59とは独立して、従動ハブがフリーホイーリングハブベアリング53とともに回転することを可能にする。ブレーキキャリパ21も参考のために示されている。
【0012】
各ベアリングホイール6のフロアベアリング9は、車両1が試験のために適切な位置に移動される又は転がされる前に、リム60を通して引き込まれる。フロアベアリング9の引込みは、ベアリングホイール6ハブの近くに接近できるフロアベアリング引込みロッド57を調整することによって実現され、フロアベアリング9を、タイヤ通過部12及びホイール通過部55を通して、非空気入りタイヤ59の外面の下に移動させる。フロアベアリング9が、ベアリングホイール6内に、すなわち、リム60の内側に適切に引き込まれ、非空気入りタイヤ59の外面の下に置かれると、車両は、試験のために、所望の位置まで押す又は転がすことができ、それにより、リム60は、車両ホイールハブ及び他の車両パワートレイン構成要素とは独立して回転する。
【0013】
車両1が試験のために適切な位置に置かれたあと、フロアベアリング9が、実験室の床2に近接し、実験室の床2に対して略中央に位置合わせされるまで、リム60のそれぞれは回転する。次いで、各ベアリング9と関連する引込みロッド57を調整することによって、フロアベアリング9は、リム60の外側にあるように、リム通過部55を通して半径方向外向きに延ばされ、実験室の床2に対して通常の車高が実現されるまで、リム通過部55と整列された又は位置合わせされたタイヤ通過部12を通して、非空気入りタイヤ59の表面から外へ突出し、それによって、実験室の床2から非空気入りタイヤ59を持ち上げ、ベアリングホイール6は、フロアベアリング9を介してのみ実験室の床2に接触する。このようにして、各リム60は、実験室の床2又はテストセルベッドプレートに対して自由に操縦され、床2又はベッドプレート表面に対してほとんど摩擦はない。2つのフロアベアリング9の組合せは、試験中にリム60がホイールハブとともに回転することを防ぐ、各リム60に対する安定したプラットフォームも提供する。
【0014】
図1A~1Eを参照すると、テレスコープ式ドライブシャフト13は、その両端部の、可変角度ジョイント、たとえば、等速ジョイント又はユニバーサルジョイントと、自動車用ホイール又はフリーホイーリング自動車用ホイールの外側に取り付けられるように構成された、たとえば、スプラインを使用する、ドライブシャフトへの摺動接続とを備える。テレスコープ式ドライブシャフト13は、固定可能な端部と、テレスコープ式ドライブシャフトに取り付けられて、テレスコープ式ドライブシャフトがその中で回転することを可能とするように構成されたマウントを含む可動部とを有する、可変長リンケージ、たとえば、ばね、又はアクチュエータも備えてもよく、可変長リンケージは、他のステアリング力がない場合に、テレスコープ式ドライブシャフトの縦軸と可変角度ジョイントの1つの中心軸との間に所定の角度を確立するために、テレスコープ式ドライブシャフトに並進力を加えるように構成される。
【0015】
図1A~1Eに示される実施形態は、内部にスプラインが付けられたドライブシャフト27と、内側等速ジョイント(CVJ)外歯スプライン29を有する内側CVJ23と、内側ハブフランジアダプタ31と、外側CVJ外歯スプライン30を有する外側CVJ25と、外側シャフトアダプタ33とを備えるテレスコープ式ドライブシャフト13である。内側CVJ外歯スプライン29は、内部にスプラインが付けられたダイナモメータドライブシャフト27の内側端部の内歯スプライン(図示せず)と結合し、それによって、滑りばめを提供する。外側CVJ外歯スプライン30は、内部にスプラインが付けられたダイナモメータドライブシャフト27の外側端部の内歯スプライン(図示せず)と結合し、それによって、追加の滑りばめを提供する。2セットのスプラインの滑りばめは、舵角が変化したときの車両ハブ端部の接続点とダイナモメータとの間の距離の動的な変化を自動的に補償する、可変長さ又はテレスコープ式ドライブシャフト13を効率的に作成する。
【0016】
ベアリングホイール6の外側は、内側ハブフランジアダプタ31を介して、内側CVJ23又はユニバーサルジョイントに結合される。外側CVJ25は、シャフトアダプタ33を介して、ダイナモメータシャフトフランジ35と結合し、それによって、車両1及びダイナモメータ11の運転モードに応じて、ダイナモメータシャフト37を駆動する、又は、ダイナモメータシャフト37によって駆動される。
【0017】
ベアリングホイール6を車両1に取り付け、上記のように、ベアリングホイール組立体をダイナモメータ11に接続し、通常の慣行に従って車両1を固定することによって、車両1は、ダイナモメータ試験の準備がされ、それによって、ダイナモメータ11は、ベアリングホイール6自体の転がり回転を引き起こすことなく、ベアリングホイール6を通して、車両パワートレインに負荷をかける。車両は、フロアベアリング9の作用のために、床2の表面に対してほとんど摩擦なく、簡単に操縦することができる。さらに、内側CVJ23、外側CVJ25、ドライブシャフト27内で摺動するスプラインシャフト29の組合せにより、ダイナモメータへの摺動接続を、ハブ19舵角に対応する必要とされるシャフト長さの変化に対して調整することが可能になる。
図1D及び1Eの上面図は、直進と、ステアリングシステムタイロッド14の作用のために、ボールジョイント15を中心として車両1のハブが回転している右折とのダイナモメータシャフト27のジオメトリを示す。
【0018】
道路上を移動している車両は、運転者によって又は自動化されたステアリングシステムによって外力が加えられていないとき、舵角をゼロに戻すステアリングセンタリング力を体験する。実験室での試験中に、このセンタリング力をシミュレートするために、外部アクチュエータ39は、示されるように、一端で、実験室ベッドプレート又は床2に接続され、他端で、アクチュエータロッド43及びロッドジョイント45によって固定ドライブシャフトベアリングマウント47に接続される。次いで、外部アクチュエータ39は、センタリング力をダイナモメータドライブシャフト27に加え、中心に置かれたままであるように、又は、内側CVJ23及び車両ホイールハブに対して直線のままであるように、ドライブシャフト27を付勢する。外部アクチュエータ39によって及ぼされる力は、一定とすることができる、又は、試験の要求に応じて、舵角に依存するようにすることができる。
【0019】
第2の実施形態は、
図2A~2Cに示される装置である。それは、車両駆動ホイール67が、取り外される、又は、専用ホイールと交換されることを必要としない。駆動ホイール67を回転させて、舵角を変えることを可能にするために、一対の回転可能なロール63を採用するターンテーブルアセンブリ61が、各車両駆動ホイール67の下に置かれる。内側CVJ223は、ハブアダプタ231を通過する延在されたラグを使用して、車両ホイールハブに取り付けられる。それ以外は、装置は上述の第1の装置と同じである。ホイールスピンは、自由に回転するロール63に吸収され、動的な舵角は、ターンテーブルアセンブリ61の回転可能なテーブル73によって吸収される。ばね接続機構69は、回転可能なテーブル73をターンテーブルフレーム71に柔軟に固定し、回転可能なロール63を備えるターンテーブルロールアセンブリ73が、舵角が変化したときに、すなわち、舵角の変化を吸収するために、結合する駆動ホイール67の移動に応答して平面内で移動することを可能にし、同時に、駆動ホイール67自体の中心からの操縦回転軸のオフセットによって引き起こされる駆動ホイール67位置の任意のオフセットの補償も行う。ばね接続機構69又は類似の機構の圧縮又は伸張が、ステアリング力が運転者又は自律型車両システムによって加えられていないときはいつでも車両1の縦軸と一致するようにロールアセンブリ73を戻すステアリングセンタリング力を作りだす。
【0020】
第3の実施形態は、
図3A~3Dに示される装置である。それは、車両駆動ホイールが、取り外されて、ホイール60、タイヤ159、及び、内側ベアリングレース162を有するハブベアリング153を備える専用フリーホイールハブホイールアセンブリ167と交換されることを必要とする。ハブベアリング153は、ホイール160及びタイヤ159から、内側ベアリングレース162の回転を分離する、すなわち、ハブアダプタ31を介して車両従動ハブに取り付けられたとき、それは、ホイール160自体の任意の回転を引き起こすことなく、車両従動ハブが、接続されたパワートレインダイナモメータ11とともに回転することを可能にする。ターンテーブルアセンブリ381は、それ自体が各タイヤ159の下に置かれた一対の固定された非回転ホイール止め383を備えるホイール止めアセンブリ392を備え、ホイール止め383はタイヤを抱えて、車両1の重量を支持する。手動の又は自動化された運転状況下での舵角変化は、ホイール止めアセンブリ392を支持する回転可能なテーブル393によって吸収される。ばね接続機構389は、回転可能なテーブル393をターンテーブルフレーム391に柔軟に固定し、ホイール止めアセンブリ392が、舵角が変化したときに、すなわち、舵角の任意の変化、及び、ホイールアセンブリ167自体の最も低い接触点から移動された操縦回転軸によって引き起こされるフリーホイールハブホイールアセンブリ位置の動的なオフセットを吸収するために、抱えられたタイヤ159の移動に応答して平面内で移動することを可能にする。ばね接続機構389又は類似の機構の圧縮又は伸張が、回転可能なテーブル393をその元の位置に戻すステアリングセンタリング力を作りだし、それによって、ステアリング力が運転者又は自律型車両システムによって加えられていないときはいつでも車両1の縦軸と一致するように、ホイール止め383及び抱えられたタイヤ159を戻す。内側CVJ23は、ハブアダプタ31によってホイールアセンブリ167に取り付けられる。それ以外は、装置及びその機能は上述の装置と同じである。
【0021】
第4の実施形態は、
図4A~4Cに示される装置であり、それは、シャーシロールダイナモメータ62とともに使用される。駆動ホイールを介して車両パワートレインに負荷をかけるシャーシロールダイナモメータ62とともに車両1を試験する前に、車両1は、通常の方法で、シャーシダイナモメータ62上に置かれ、ダイナモメータロール64で接触を避けるように戦略的に置かれたジャッキデバイス又は一組のジャッキ80によって支持される。次いで、車両1の従動ホイール(図示せず)のそれぞれが取り外される。タイヤ78が取り付けられたディープウェル専用ホイール66は、外側シャフトアダプタ33を介して、ホイール取付けアームブラケット74ベアリングフランジ72と結合される。タイヤ78は、ダイナモメータロール64と転がり接触して置かれ、ブラケット取付けアーム68は、元の車両ホイールによって通常支持される重量と等しいディープウェルホイール66上の下方力を維持するように調整される。下方力はストラット70によって維持され、同時に、ストラット70は、ブラケット74と取付けアーム68との間の若干の垂直移動も可能にし、タイヤ78の圧力及び速度の変化、並びに、ロール64及びホイール66のジオメトリの不完全性による、タイヤ78の直径の小さな変化を補償する。
【0022】
内側CVJ23は、シャフトフランジアダプタ31を介して、ブレーキディスク19又はブレーキドラムの内側に配置された車両1ホイールハブ(図示せず)にも結合し、それによって、ダイナモメータロール64をタイヤ78を介して車両1パワートレインに接続する。上記のように、車両1従動ハブ又は軸のそれぞれとダイナモメータロール64との間にディープウェルホイール66を設置することによって、車両1は、シャーシロールダイナモメータ試験の準備がされ、それによって、シャーシロールダイナモメータ62は、ディープウェルホイールを通して、車両パワートレインに負荷をかける。車両1は、ダイナモメータロール64上でのタイヤ78の回転を引き起こすことなく、簡単に操縦又は自動操縦することができる。車両ハブが舵角の変化とともに回転すると、ハブの回転運動は、内側CVJ23、外側CVJ25、及び摺動スプラインシャフト29を備えるドライブシャフトアセンブリのジオメトリ変化及び全長変化によって抑制され、ディープウェルホイール66又はタイヤ78に伝達されない。
図4Cの上面図は、ステアリングシステムタイロッド14の作用のために、制御アーム17上のボールジョイント15を中心として車両ハブ及び結合されたブレーキディスク19が回転している右折中の操縦に対するダイナモメータドライブシャフト27のジオメトリを示す。舵角変化は、ディープウェルホイールに伝達されない。
【0023】
上記のように、道路上を移動している車両は、運転者によって又は自動化されたステアリングシステムによって外力が加えられていないとき、舵角をゼロに戻すステアリングセンタリング力を体験する。再度、実験室での試験中に、このセンタリング力をシミュレートするために、外部アクチュエータ39が使用される。アクチュエータ39は、示されるように、一端で、アクチュエータブラケット41によって、実験室ベッドプレート又は床2に接続され、他端で、アクチュエータロッド43及びロッドジョイント45によって、ドライブシャフトベアリングマウント47に接続される。次いで、外部アクチュエータは、センタリング力をダイナモメータドライブシャフト27に加え、中心に置かれたままであるように、又は、内側CVJ23及び車両ホイールハブに対して直線のままであるように、ドライブシャフト27を付勢する。外部アクチュエータ39によって及ぼされる力は、一定とすることができる、又は、試験の要求に応じて、舵角に依存するようにすることができる。
【0024】
図5A及び5Bは、
図1A~1Eに示される実施形態と比較して、簡略化された、より低コストの実施形態を示す。それは、車両のパワートレインに外部負荷を加える必要がないが、車両ホイールのすべてが車両の制御システムにとって容認できる方法で回転している必要があるとき、たとえば、1つ又は複数の許容できないホイール速度を有することによる不具合の検出を避けるために、自律型車両制御システムを試験するためのものである。
【0025】
車両1は、車両の重量を支持するために、テストセル床2又はベッドプレート上のジャッキ又はジャッキスタンド4上に置かれ、次いで、ホイールのすべてが取り外され、車両ホイールハブ(図示せず)のそれぞれに装着されたブレーキディスク19(又は、ブレーキドラム)を露出させる。テレスコープ式ドライブシャフト13は、ブレーキディスク19を通して、車両ハブに内側ハブフランジアダプタ31(
図1A~1E)を取り付けることによって、各ホイールハブの外側に取り付けられる。外部アクチュエータ39、ばね復帰アクチュエータ22、又はその両方は、操縦可能ホイールハブに取り付けられたテレスコープ式ドライブシャフト13ごとに、ベアリングマウント47を使用して、一端でドライブシャフト27(
図1A~1E)に取り付けられる。他端は、上記のように、実験室の床2又はテストセルベッドプレートに取り付けられる。操縦不可能なホイールハブは、外部アクチュエータ39又はばね復帰アクチュエータ22を必要としない。
【0026】
従動ホイールハブに取り付けられる各テレスコープ式ドライブシャフト13の外側端部は、従動ホイールのそれぞれの速度を測定するために、エンコーダを有するマスタモータ18(又は、単にエンコーダ)に取り付けられている。電子的リンク、たとえば、速度制御信号は、マスタモータ18によって生成され、対応するスレイブモータ20の速度を制御し、接続されたホイールハブの回転速度を同期させる。
【0027】
非従動ホイールハブに取り付けられた各テレスコープ式ドライブシャフト13の外側端部は、その対応する従動ホイールハブの速度を等しくするために、対応する非従動ホイールハブの速度を制御して、同期させるスレイブモータ20に取り付けられる。このようにして、静的車両試験中の、許容できないホイール速度による車両故障コードの生成が防止される。
【0028】
舵角の動的な変化を引き起こすものを含む、車両の自律制御システムが試験されているとき、車両操縦システム24は、車両の自律制御システムの制御下で自由に移動することができ、同時に、従動ホイールハブの回転速度は、車両の自律制御システムによって制御される。
【0029】
代替の実施形態が
図6に示されている。この実施形態は、従動及び非従動ホイールハブの速度を同期させるために、電子的リンクではなく機械的リンクを使用する。たとえば、前述の実施形態に記載されたようなマスタ及びスレイブモータを使用するのではなく、示されるように、ベルト26又はチェーンが、車両1の左右両側で、前後の外側CVジョイント取付けフランジを接続する。
【0030】
本明細書に開示されるアルゴリズム、方法、又はプロセスは、コンピュータ、制御装置、若しくは処理デバイスに提供可能、又は、コンピュータ、制御装置、若しくは処理デバイスで実行可能であり、それは、任意の専用電子制御ユニット又はプログラム可能な電子制御ユニットを含むことができる。同様に、アルゴリズム、方法、又は工程は、コンピュータ又は制御装置で実行可能なデータ及び命令として、多くの形態で保存することができ、その形態は、読み出し専用メモリデバイスなどの書き込み不能記憶媒体上に永久的に保存された情報、並びに、コンパクトディスク、ランダムアクセスメモリデバイス、又は、他の磁気媒体及び光媒体などの書き込み可能な記憶媒体上に変更可能に保存された情報を含むがこれらに限定されない。アルゴリズム、方法、又はプロセスは、ソフトウェア実行可能物体内に実装することもできる。或いは、アルゴリズム、方法、又はプロセスは、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、状態機械、又は、他のハードウェアコンポーネント若しくはデバイス、或いは、ファームウェア、ハードウェア、及びソフトウェアコンポーネントの組合せなどの適切なハードウェアコンポーネントを使用して、全体的に又は部分的に具現化することができる。
【0031】
本明細書において使用されている用語は、限定ではなく、説明の用語であり、且つ、本開示及び請求項の精神及び範囲を逸脱することなく、さまざま変更が実施され得ることを理解されたい。上述のように、さまざまな実施形態の特徴は、明示的に記述又は図示されていないことがあるさらなる実施形態を形成するために組み合わせることができる。
【0032】
さまざまな実施形態が、1つ又は複数の望ましい特性に関して、他の実施形態又は従来技術の実施態様を上回る利点を提供するものとして又は好ましいものとして記述されていることがあるが、当業者は、1つ又は複数の特徴又は特性が、特定の用途及び実施態様に依存した望ましい全体的なシステム属性を実現するために損なわれることがあることを認識している。これらの属性は、費用、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、販売可能性、外観、パッケージング、サイズ、サービス可能性、重量、製造可能性、組立の容易性などを含むが、これらに限定されない。したがって、1つ又は複数の特性に関して、他の実施形態又は従来技術の実施態様より望ましくないものとして記述されている実施形態も、本開示の範囲に含まれており、且つ、特定の用途の場合に望ましいものであることがある。
【国際調査報告】