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特表2024-527341全固体二次電池用スラリー組成物及びこれを含む全固体電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】全固体二次電池用スラリー組成物及びこれを含む全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240717BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20240717BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20240717BHJP
   C08K 3/24 20060101ALI20240717BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240717BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240717BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20240717BHJP
【FI】
H01M4/139
C08L79/08
C08L101/12
C08K3/24
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0565
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023581062
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 KR2022009418
(87)【国際公開番号】W WO2023277612
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085320
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】324005879
【氏名又は名称】キム,ビョンジュ
(71)【出願人】
【識別番号】524004272
【氏名又は名称】キム,ビョンユ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンユ
【テーマコード(参考)】
4J002
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4J002BC032
4J002BG062
4J002BG092
4J002CH022
4J002CM041
4J002CM051
4J002CP032
4J002DE187
4J002ED016
4J002ED026
4J002EH006
4J002EH036
4J002EL066
4J002EL086
4J002FD202
4J002FD206
4J002FD207
4J002GQ00
5H029AJ06
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AM16
5H050AA12
5H050AA15
5H050BA17
5H050CA07
5H050DA10
5H050DA11
5H050DA13
5H050EA22
5H050EA23
5H050EA24
5H050HA01
5H050HA17
(57)【要約】
本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、バインダー及び有機電解質を含み、前記バインダーはポリイミド系化合物を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー及び有機電解質を含み、
前記バインダーはポリイミド系化合物を含む、全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項2】
前記ポリイミド系化合物は、フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)である、請求項1に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項3】
前記有機電解質は、線形又は環形のカーボネート、エステル、エーテル、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル及びポリシロキサンから選ばれるいずれか一つ以上である、請求項1に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項4】
前記全固体二次電池用スラリー組成物は無機電解質を含まない、請求項1に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項5】
前記全固体二次電池用スラリー組成物は、第1有機化合物、リチウム塩及び添加剤から選ばれるいずれか一つ以上をさらに含む、請求項1に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項6】
前記フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)は、全固体二次電池用スラリー組成物全体に対して1重量%乃至20重量%で含まれる、請求項2に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項7】
前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、PVdF)系列のバインダーを含まない、請求項1に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項8】
電極活物質及び導電材から選ばれる少なくとも一つ以上をさらに含む、請求項1に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項9】
イオン伝導度が2.0×10-2S/CM以上である、請求項1に記載の全固体二次電池用スラリー組成物。
【請求項10】
請求項1の全固体二次電池用スラリー組成物を含む、全固体二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体二次電池用スラリー組成物及びこれを含む全固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、単位体積当たりのエネルギー密度が他の電池システムに比べて遥かに高いので、現在、電子機器などに広く使用されており、小型電池の形態から脱皮し、自動車及びエネルギー貯蔵装置にその応用範囲を広げている。
【0003】
しかし、一般的に知られているリチウムイオン電池においては、基本的に液体電解質を使用しているので、爆発又は発火と関連した安全性の問題が持続的に発生している。
【0004】
このような液体電解質の代替材として、硫化物系、高分子系、及び酸化物系の3つの種類に大きく分類される固体電解質が提案されている。しかし、硫化物系固体電解質の場合は、大気及び/又はLiCoOなどの酸化物系正極活物質との反応性が高いので、それ自体が取り扱いにくい物質であり、高分子系固体電解質の場合は、熱的安定性が脆弱であるので、高い温度で劣化するという短所があり、酸化物系固体電解質の場合は、10-6S/cm乃至10-5S/cmと比較的低いイオン伝導度を示すという問題がある。
【0005】
したがって、中大型リチウムイオン電池の商用化のためには、液体電解質の安全性問題を解消しながら、一般的に知られている固体電解質の高い反応性又は低いイオン伝導度の短所を克服する必要があるが、これに対する研究が未だに不足している実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、無機物を除去した全固体電解質組成物に、難燃性効果及び接着力を増加させた特定のバインダーを適用することによって、液体電解質の安全性問題を解消しながら、イオン伝導度及び電気化学的安定性が著しく改善された全固体二次電池用スラリー組成物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、バインダー及び有機電解質を含み、前記バインダーはポリイミド系化合物を含む。
【0008】
前記ポリイミド系化合物は、フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)であり得る。
【0009】
前記有機電解質は、線形又は環形のカーボネート、エステル、エーテル、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル及びポリシロキサンから選ばれるいずれか一つ以上であり得る。
【0010】
前記全固体二次電池用スラリー組成物は、無機電解質を含まない場合がある。
【0011】
前記全固体二次電池用スラリー組成物は、第1有機化合物、リチウム塩及び添加剤から選ばれるいずれか一つ以上をさらに含むことができる。
【0012】
前記フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)は、全固体二次電池用スラリー組成物全体に対して1重量%乃至20重量%で含まれ得る。
【0013】
前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、PVdF)系列のバインダーを含まない場合がある。
【0014】
本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、電極活物質及び導電材から選ばれる少なくとも一つ以上をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、イオン伝導度が2.0×10-2S/CM以上であり得る。
【0016】
本発明の実施例による全固体二次電池は、前記全固体二次電池用スラリー組成物を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の全固体二次電池用スラリー組成物を全固体電池に適用することによって、液体電解質の安全性問題を解消しながら、イオン伝導度及び電気化学的安定性を著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例及び比較例による固体電解質のイオン伝導度を測定した結果を示す図である。
図2】本発明の実施例及び比較例による固体電解質の電池化学的安定性の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、詳細に後述している実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、ここで説明する各実施例に限定されるものではなく、他の形態に具体化される場合もある。
【0020】
本明細書で使用される「含む」などの表現は、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)と理解しなければならない。
【0021】
本明細書で使用される「好ましい」及び「好ましく」は、所定の環境下で所定の利点を提供できる本発明の実施形態を称する。しかし、同一の環境又は異なる環境下で、他の実施形態が好ましい場合もある。さらに、一つ以上の好ましい実施形態の言及は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、本発明の範疇から他の実施形態を排除しようとするものではない。
【0022】
本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、バインダー及び有機電解質を含み、前記バインダーはポリイミド系化合物を含む。
【0023】
本発明において、「全固体」は、気体及び液体でない状態を意味するものであって、一般的な固体状態又はゲル状態を全て含む意味であり得る。
【0024】
本発明は、全固体二次電池用スラリー組成物として、有機電解質及びポリイミド系化合物を含むことによって、電気化学的安定性及びイオン伝導度が向上するという効果を導出した。
【0025】
より好ましい一例として、前記バインダーは、全固体二次電池用スラリー組成物全体に対して8重量%乃至16重量%で含まれ得る。
【0026】
より好ましい一例として、前記ポリイミド系化合物は、フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)であり得る。
【0027】
本発明は、有機電解質とフッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)バインダーを共に適用することによって、電気化学的安定性及びイオン伝導度が向上するという効果を導出した。
【0028】
より好ましい一例として、前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、PVdF)系列のバインダーを含まない場合がある。一例として、前記バインダーは、ポリ(フッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン(Poly(vinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)(PVdF-HFP))を含まない場合がある。
【0029】
ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、PVdF)系列のバインダーは、既存のバインダーとして広く使用されるバインダーであって、本発明は、前記ポリフッ化ビニリデン系列のバインダーの代わりに、フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)を有機電解質と共に全固体二次電池に適用することによって、電気化学的安定性及びイオン伝導度で著しく改善された効果を導出した。
【0030】
また、前記フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)を適用することによって、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、PVdF)に比べて熱安定性が高いので、難燃効果が上昇するという効果を導出した。また、電極の亀裂形成が抑制されるという効果を導出した。また、均一なSEI形成及び金属溶出の抑制を通じて、電池の寿命特性が向上するという効果を導出した。
【0031】
より好ましい一例として、前記フッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)は、全固体二次電池用スラリー組成物全体に対して1重量%乃至20重量%、又は5重量%乃至10重量%で含まれ得る。
【0032】
また、より好ましい一例として、前記フッ素化ポリイミドは、前記バインダー全体に対して50重量%乃至80重量%、又は60重量%乃至70重量%で含まれ得る。
【0033】
より好ましい一例として、前記バインダーは、ヒドロキシプロピルセルロース(Hydroxypropyl cellulose)をさらに含むことができる。
【0034】
より好ましい一例として、前記ヒドロキシプロピルセルロースは、前記バインダー全体に対して20重量%乃至50重量%、又は30重量%乃至40重量%で含まれ得る。
【0035】
本発明の一実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、有機電解質を含む。
【0036】
一例として、前記有機電解質は、有機溶媒として含まれて製造される線形又は環形のカーボネート、エステル、及びエーテルから選ばれるいずれか一つ以上であり得る。
【0037】
一例として、カーボネートは、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート及びエチルプロピルカーボネートから選ばれるいずれか一つ以上であり得る。
【0038】
一例として、エステルは、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、σ-バレロラクトン、及びε-カプロラクトンから選ばれるいずれか一つ以上であり得る。
【0039】
一例として、エーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル及びエチルプロピルエーテルから選ばれるいずれか一つ以上であり得る。
【0040】
より好ましくは、高誘電率を有するエチレンカーボネートと、エチレンカーボネートに比べて相対的に低融点を有するプロピレンカーボネートとの混合溶媒を含むことができる。
【0041】
また、前記有機電解質は、高分子として、ポリスチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル及びポリシロキサンから選ばれるずれか一つ以上を含むことができる。
【0042】
より好ましい一例として、前記有機電解質は、全固体二次電池用スラリー組成物全体に対して40重量%乃至65重量%、又は50重量%乃至60重量%で含まれ得る。
【0043】
より好ましい一例として、前記全固体二次電池用スラリー組成物は、無機電解質を含まない場合がある。
【0044】
多様な形態の固体電解質のうち、現在、高分子マトリックスに活性無機充填材が含まれている複合固体電解質は、イオン伝導度に優れ、電極との卓越した界面接触をなすのに最も有利なものとして知られている。
【0045】
しかし、本発明は、有無機複合固体電解質から無機物を除去し、ポリフッ化ビニリデン系列のバインダーを共に適用することによって、有・無機物のイオン伝導度の差及び界面抵抗の問題を解消し、円滑なイオン移動性の確保でイオン伝導性が著しく改善されるという効果を導出した。
【0046】
本発明は、無機物を除去することによって、既存の硫化物系固体電解質が有する大気及び/又は酸化物系正極活物質との反応性が高いので取り扱いが難しい点、及び既存の酸化物系固体電解質が低いイオン伝導度を有する点などの短所を除去しながらも、ポリフッ化ビニリデン系列のバインダーを共に適用することによって電気化学的安定性を向上させることができる。
【0047】
一例として、本発明の全固体二次電池用スラリー組成物は、酸化物系、リン酸塩系、窒化物系及び硫化物系無機電解質などを含まない場合がある。
【0048】
一例として、前記含まれない無機電解質として、酸化物系電解質は、リチウムランタンジルコニウムオキシド(LLZO)又はリチウムランタンチタンオキシド(LLTO)であり得、リン酸塩系電解質は、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LATP)、リチウムアルミニウムゲルマニウムホスフェート(LAGP)又はリチウムシリコンチタンホスフェート(LSTP)であり得、窒化物系電解質は、リチウムホスホラスオキシニトリド(LiPON)であり得、硫化物系電解質はチオ(thio)-LISICONであり得る。
【0049】
前記全固体二次電池用スラリー組成物は、第1有機化合物、リチウム塩及び添加剤から選ばれるいずれか一つ以上をさらに含むことができる。
【0050】
本発明の一実施例による全固体二次電池用スラリー組成物に含まれて製造され得る第1有機化合物は、ヘキサンなどの直鎖脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環形脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチルメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル、n-ブチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド類であり得る。
【0051】
より好ましい一例として、前記第1有機化合物は、N-メチル-2-ピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone、NMP)を含むことができる。本発明は、無機物が除去された電解質及びN-メチル-2-ピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone、NMP)を、ポリイミド系列のバインダー、特にフッ素化ポリイミド(flurinated polyimide、FPI)と共に適用することによって、全固体電池の性能を向上させることができる。
【0052】
より好ましい一例として、前記第1有機化合物は、ケトンをさらに含むことができる。この場合、前記ケトンはアセトンであり得る。
【0053】
より好ましい一例として、前記第1有機化合物は、全固体二次電池用スラリー組成物全体に対して20重量%乃至50重量%、又は30重量%乃至40重量%で含まれ得る。
【0054】
本発明の一実施例による全固体二次電池用スラリー組成物に含まれて製造され得るリチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCHCO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiAlO、LiCHSO、LiFSI(lithium fluorosulfonyl imide、LiN(SOF))、LiTFSI(lithium(bis)trifluoromethanesulfonimide、LiN(SOCF)及びLiBETI(lithium bisperfluoroethanesulfonimide、LiN(SO)、LiPF、LiBF、LiCHCO、LiCFCO、LiCHSO、LiFSI、LiTFSI及びLiN(CSOから選ばれるいずれか一つ以上であり得る。より好ましい一例として、LiPF及び/又はLiFSiが使用される場合、本発明の全固体電池の性能を向上させることができる。
【0055】
本発明の一実施例による全固体二次電池用スラリー組成物に含まれ得る添加剤は、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate、FEC)及びビニレンカーボネート(vinylidene carbonate、VC)、プロパンスルトン(propanesultone、PS)、プロペンスルトン(propanyl sultone、PRS)及びホスファゼン化合物から選ばれる少なくともいずれか一つ以上であり得るが、これに特に限定されるものではない。
【0056】
本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、固体電解質層の形成に使用される場合、電極活物質及び導電材を含まない場合がある。
【0057】
ただし、本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物が電極合材層に使用される場合は、電極活物質及び/又は導電材をさらに含むことができる。
【0058】
一例として、前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーション(Intercalation)及びデインターカレーション(Deintercalation)が可能な化合物として、リチウム含有遷移金属酸化物を使用できるが、特にこれに限定されるものではない。
【0059】
一例として、前記負極活物質としては、リチウムイオンの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションが可能な物質、リチウムイオンとの反応によって可逆的にリチウム含有化合物を形成できる物質であればいずれも使用可能である。
【0060】
本発明の全固体二次電池用スラリー組成物が含まれて形成された電極合材層に導電材が含まれ得るが、導電材は、電極活物質同士の電気的接触を確保するためのものである。導電材を含む場合、電極合材層の電気抵抗を良好に低減させることができる。本発明の実施例による全固体二次電池用スラリー組成物は、イオン伝導度が2.0×10-2S/CM、2.5×10-2S/CM以上、3.0×10-2S/CM以上又は3.5×10-2S/CM以上であり得る。
【0061】
本発明の実施例による全固体二次電池は、前記全固体二次電池用スラリー組成物を含む。
【0062】
前記全固体二次電池は、正極、固体電解質層、及び負極を含み、正極の正極合材層、負極の負極合材層及び固体電解質層のうち少なくともいずれか一つ以上が、本発明の実施例による前記全固体二次電池用スラリー組成物に含まれ得る。
【0063】
前記全固体二次電池は、通常使用される全固体二次電池の構造、材料、及び製造方法を全て採用可能なものであって、特別な制限があるものではない。
【0064】
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0065】
<比較例及び実施例>
【0066】
まず、バインダー及び第1有機化合物を下記の表1の組成で撹拌し、バインダーソリューションを準備した後、下記の表1の組成の電解質を入れて撹拌することによって固体電解質を合成した。
【0067】
下記の表において、有機電解質として、LiPF/LiFSi 0.5/0.5M in EC/PC 1/2(v/v)+VC 2%を使用した。
【0068】
また、無機電解質として、LSTP(Lithium Silicon Titanium Phosphate)を使用した。
【0069】
【表1】
【0070】
<実験例>
【0071】
前記製造された固体電解質に対する総イオン伝導度(total ion conductivity)及び電気化学的安定性を測定し、その結果を図1図2及び下記の表2に示した。
【0072】
【表2】
【0073】
図1図2及び前記表2を参照すると、本発明の実施例は、比較例に比べてイオン伝導度及び電気化学的安定性が著しく改善されることを確認することができる。
図1
図2
【国際調査報告】