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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ニッケル基合金
(51)【国際特許分類】
   C22C 19/03 20060101AFI20240717BHJP
   C22C 19/05 20060101ALI20240717BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20240717BHJP
   C22F 1/10 20060101ALN20240717BHJP
【FI】
C22C19/03 H
C22C19/05 C
C22F1/00 601
C22F1/00 602
C22F1/00 621
C22F1/00 622
C22F1/00 623
C22F1/00 624
C22F1/00 628
C22F1/00 630A
C22F1/00 630C
C22F1/00 630K
C22F1/00 630M
C22F1/00 640B
C22F1/00 650A
C22F1/00 651A
C22F1/00 651B
C22F1/00 682
C22F1/00 683
C22F1/00 684C
C22F1/00 685Z
C22F1/00 686B
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/10 A
C22F1/10 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500274
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022072520
(87)【国際公開番号】W WO2023283507
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/220,057
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501187033
【氏名又は名称】エイティーアイ・プロパティーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】ジャンコウスキー,ジョセフ・エイ
(57)【要約】
ニッケル基合金は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3.0%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~4%のタンタル;およびニッケルを含む。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3.0%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;および
ニッケル
を含む、ニッケル基合金。
【請求項2】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~2.7%のアルミニウムを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項3】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.4%のアルミニウムを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項4】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.4%~1.4%のチタンを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項5】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.5%~1.3%のチタンを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項6】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のタンタルを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項7】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.9%のタンタルを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項8】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
0~1.2%のニオブ;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項9】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
0~1.2%のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.1%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項10】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.7%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
1.6%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
5%~10%のモリブデン;
0~3%のタングステン;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項11】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.7%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
1.6%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
5%~10%のモリブデン;
0~3%のタングステン;
0~0.9%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~3%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項12】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項13】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
0~0.5%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項14】
ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
を充足することを条件とする、
請求項8に記載のニッケル基合金。
【請求項15】
ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
5%<{[Mo]+0.52×[W]}<10%
を充足することを条件とする、
請求項8に記載のニッケル基合金。
【請求項16】
ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
0.8%<{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4%
を充足することを条件とする、
請求項8に記載のニッケル基合金。
【請求項17】
ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
0~1.2%のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.1%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;および
ニッケル
を含み;
前記ニッケル基合金の組成が下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
を充足することを条件とする、
ニッケル基合金。
【請求項18】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
0~0.5%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;および
チタン
を含む、請求項17に記載のニッケル基合金。
【請求項19】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
を充足することを条件とする、請求項18に記載のニッケル基合金。
【請求項20】
ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
0~1.2%のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.1%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
からなる、ニッケル基合金。
【請求項21】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
を充足することを条件とする、請求項20に記載のニッケル基合金。
【請求項22】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、アルミニウムの含有量が1.6%~2.7%である、請求項20に記載のニッケル基合金。
【請求項23】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、チタンの含有量が0.4%~1.4%である、請求項20に記載のニッケル基合金。
【請求項24】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、タンタルの含有量が1.6%~3%である、請求項20に記載のニッケル基合金。
【請求項25】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.7%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
1.6%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
5%~10%のモリブデン;
0~3%のタングステン;
0~0.9%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~3%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
からなる、請求項20に記載のニッケル基合金。
【請求項26】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
を充足することを条件とする、請求項25に記載のニッケル基合金。
【請求項27】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
0~0.5%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
からなる、請求項20に記載のニッケル基合金。
【請求項28】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5
を充足することを条件とする、請求項27に記載のニッケル基合金。
【請求項29】
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~1.2%のニオブ;
0~5%のタングステン;
ニッケル;および
不純物
を含むニッケル基合金を含む、製造品。
【請求項30】
箔、シート、板、ワイヤー、ビレット、スラブ、鋳造物、粉末、熱交換器、ガスタービン移行ダクト、および積層造形部品からなる群から選択される、請求項29に記載の製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年7月9日に出願された、同時係属中の米国仮特許出願第63/220,057号の優先権を主張し、その開示内容の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、ニッケル基合金に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ニッケル基合金は、例えば、ガスタービン、超臨界二酸化炭素デバイス、集光型太陽熱発電所、および極超臨界水蒸気用途を含む、航空宇宙、航空、防衛、海洋、エネルギー、自動車用途に用いられている。これらの用途は、ニッケル基合金に求められ得るものであり、1400°F(760℃)を超える温度での強度、溶接性、成形性、耐酸化性、および微細構造の安定性の有利な組み合わせを要求し得る。1400°F(760℃)超の温度で強度、耐クリープ性、溶接性、成形性、耐酸化性、および微細構造の安定性の有利な組み合わせを示すニッケル基合金を開発することは、一定の困難を示す。
【0004】
[0004]直面される困難のうちの1つは、析出硬化を通じてこれらの高温で所望の強度を達成するために、溶接性および成形性が低下することである。これは例えば、いずれも急速な時効硬化を示すRene41およびWaspaloy合金に関連する公知の成形加工問題により実証されており、結果として、形成および溶接が困難であり得る。この成形加工問題に対処するため、報告によればUNS N07208は、ひずみ時効割れ性、微細構造の安定性、およびクリープ破壊強度を同時に最適化するために設計された。UNS N07208について、好適な性質の組み合わせが報告されている一方で、これは(Rene41合金と比較した)クリープ破壊および(Nimonic 263合金と比較した)ひずみ時効割れ性を犠牲にしていた。従って、クリープ破壊、微細構造の安定性、および耐ひずみ時効割れ性のさらなる改良が高く望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本開示のニッケル基合金は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~2.4%のタンタル;ニッケル;および不純物を含む。
【0006】
[0006]本開示のニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~4%のタンタル;16%~23%のクロム;5%~20%のコバルト;4%~10%のモリブデン;0~5%のタングステン;ニッケル;および不純物を含む。ニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
のうちの1つまたは複数による組成を有する。
【0007】
[0007]本開示のニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~4%のタンタル;16%~23%のクロム;5%~20%のコバルト;4%~10%のモリブデン;0~5%のタングステン;0~1.2%のニオブ;0~0.5%の炭素;0~0.1%のホウ素;0~5%の鉄;0~2%のマンガン;0~2%のバナジウム;0~2%の銅;0~1%のケイ素;0~1%のジルコニウム;0~1%のハフニウム;0~1%のレニウム;合計で0~1%の希土類元素;ニッケル;および不純物を含む。
【0008】
[0008]本開示のニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~2.7%のアルミニウム;0.4%~1.4%のチタン;1.6%~3%のタンタル;17%~21%のクロム;6%~19%のコバルト;5%~10%のモリブデン;0~3%のタングステン;ニッケル;および不純物を含む。ニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、下記式:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
のうちの1つまたは複数による組成を有する。
【0009】
[0009]本開示のニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~2.7%のアルミニウム;0.4%~1.4%のチタン;1.6%~3%のタンタル;17%~21%のクロム;6%~19%のコバルト;5%~10%のモリブデン;0~3%のタングステン;0~0.9%のニオブ;0~0.2%の炭素;0~0.05%のホウ素;0~3%の鉄;0~2%のマンガン;0~2%のバナジウム;0~2%の銅;0~1%のケイ素;0~1%のジルコニウム;0~1%のハフニウム;0~1%のレニウム;合計で0~1%の希土類元素;チタン;および不純物を含む。
【0010】
[0010]本開示のニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.4%のアルミニウム;0.5%~1.3%のチタン;1.7%~2.9%のタンタル;17%~21%のクロム;7%~18%のコバルト;6%~9.5%のモリブデン;0~1%のタングステン;ニッケル;および不純物を含む。ニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、下記式:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5
のうちの1つまたは複数による組成を有する。
【0011】
[0011]本開示のニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.4%のアルミニウム;0.5%~1.3%のチタン;1.7%~2.9%のタンタル;17%~21%のクロム;7%~18%のコバルト;6%~9.5%のモリブデン;0~1%のタングステン;0~0.5%のニオブ;0~0.2%の炭素;0~0.05%のホウ素;0~1.5%の鉄;0~2%のマンガン;0~2%のバナジウム;0~2%の銅;0~1%のケイ素;0~1%のジルコニウム;0~1%のハフニウム;0~1%のレニウム;合計で0~1%の希土類元素;チタン;および不純物を含む。
【0012】
[0012]本明細書中に提示される例示の特徴および利点、ならびにそれらを達成する手法は、より明らかとなり、例示は、添付の図面と共に下記明細書を参照してより深く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図2】[0014]本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図3】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図4】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図5】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図6】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図7】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図8】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図9】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図10】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図11】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図12】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図13】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図14】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図15】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図16】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図17】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図18】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図19】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図20】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図21】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図22】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図23】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図24】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図25】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図26】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図27】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図28】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図29】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図30】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図31】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図32】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図33】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図34】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図35】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図36】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図37】比較の合金の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
図38】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図39】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図40】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図41】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図42】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図43】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図44】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
図45】本開示によるニッケル基合金の非限定的な実施形態のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0015]本明細書中で提示される例示は、ある形態で、ある特定の実施形態を説明するものであり、そのような例示は、いかなる手法で添付の特許請求の範囲を限定すると解釈されることはない。
【0015】
[0016]読者は、本開示による、非限定的かつ網羅的ではない各種実施形態の下記詳細の記載を考慮した上で、前述の詳細、ならびにその他を十分に理解するであろう。
【0016】
[0017]非限定的な各種実施形態は、開示された発明の全体的な理解を供するため、本明細書中に記載、および図示される。本明細書中に記載され、図示される非限定的な各種実施形態は非限定的かつ網羅的ではないことは理解される。このように、本発明は、本明細書中に開示された非限定的かつ網羅的ではない各種実施形態の記載により限定されることはない。むしろ、特許化を求める発明は、特許請求の範囲のみにより定義される。非限定的な各種実施形態に関連して図示および/または記載される特徴および特性は、他の非限定的な実施形態の特徴および特性と組み合わせることができる。そのような変更および改変は、本明細書の範囲内に含まれることが意図される。このように、上記特許請求の範囲は、本明細書中に明示的にまたは本質的に記載されたいずれかの特徴または特性を記載するために補正または補充され得る、またはそうでなければ本明細書により明示的に、または本質的にサポートされ得る。さらに、出願人は、先行技術において存在し得る特徴または特性を肯定的に放棄するために特許請求の範囲を補正する権利を有する。本明細書中に開示され、記載されている非限定的な各種実施形態は、本明細書中に様々に記載されたとおりの特徴および特性を含む、それらからなる、または本質的にそれらからなることができる。
【0017】
[0018]合金組成について本明細書中に供される全てのパーセンテージおよび比率は、本明細書中に特に断りがない限り、特定の合金組成の総重量を基準とするものである。
【0018】
[0019]本明細書中に参照として、全体的にまたは部分的に組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、または他の開示材料は、組み込まれる材料が本開示中で説明されている既存の定義、言及、または他の開示材料と衝突しない程度においてのみ本明細書中に組み込まれる。このように、および必要な範囲で、本明細書中に説明される本開示は、本明細書中に参照により組み込まれるあらゆる衝突する材料に取って代わる。本明細書中に参照により組み込まれると言及されるが、本開示中で説明されている既存の定義、言及、または他の開示材料と衝突するあらゆる材料、またはそれらの一部は、組み込まれる材料と既存の開示材料との間に衝突が生じない程度にのみ組み込まれる。
【0019】
[0020]本明細書において、別段の指示がある場合を除き、全ての数値パラメーターは、全ての例において用語「約(about)」により前置きおよび変更されると理解され、数値パラメーターは、パラメーターの数値を決定付けるために用いられる基本的な測定技術の本来の変動特性を有する。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みではないが、本明細書に記載されている各数値パラメーターは、少なくとも、報告されている有効数字の桁数を考慮し、通常の四捨五入技術を適用して解釈されるべきである。
【0020】
[0021]また、本明細書に記載されたあらゆる数値範囲は、記載された範囲内に包含される同一の数値精度の全ての部分範囲を含むことが意図される。例えば、「1~10」の範囲は、記載された最小値である1と記載された最大値である10との間(当該値を含む)、すなわち、例えば、2.4~7.6等の、1以上の最小値および10以下の最大値を有する全ての部分範囲を含むことが意図される。本明細書に記載されているいずれの最大の数値限定も、それに包含される全ての下位の数値限定を含むことが意図されており、また、本明細書に記載されているいずれの最小の数値限定も、それに包含される全ての上位の数値限定を含むことが意図されている。従って、出願人は、本明細書中で明示的に記載された範囲内に包含されるあらゆる部分範囲を明示的に記載するために、特許請求の範囲を含め、本明細書を補正する権利を有する。全ての上記の部分範囲は、いずれかの上記の部分範囲を明示的に記載するための補正が35米国C.§§112および132(a)の要件に沿い得るように、本明細書に本質的に記載されると意図される。加えて、元素組成範囲を参照した場合に本明細書中で用いられるとおり、用語「最大(up to)」は、特定の元素が不可避不純物でない限り、0を含む。
【0021】
[0022]本明細書中で用いられる冠詞「1つの(one)」、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に断りがない限り、「少なくとも一つ」または「1つまたは複数」を含むと意図される。このように、冠詞は、上記冠詞の1または1超(すなわち、「少なくとも1つ」)の目的語を言及するために本明細書において用いられる。例示としてのみ、「構成要素」は、1つまたは複数の構成要素を意味するため、場合によっては、1を超える構成要素が企図され、記載された実施形態の実装において採用または使用され得る。さらに、使用の文脈により要求されない限り、単数形の名詞の使用には複数形が含まれ、複数形の名詞の使用には単数形が含まれる。
【0022】
[0023]特定の組成を「含む(comprising)」ニッケル基合金に対する本明細書中の参照は、所定の組成「から本質的になる(consisting essentially of)」またはそれ「からなる(consisting of)」合金を包含すると意図される。特定の組成を「からなる」またはそれ「から本質的になる」、本明細書中に記載されたニッケル基合金組成物は、不純物も含み得ることが理解される。
【0023】
[0024]本開示において、[Nb]、[Ta]、[Co]、[W]、[Al]、[Ti]、および[Mo]は、それぞれ、合金中のニオブ、タンタル、コバルト、タングステン、アルミニウム、チタン、およびモリブデンの重量パーセンテージ濃度を指し、上記重量パーセンテージ濃度は、上記合金の総重量を基準とするものである。
【0024】
[0025]強度(例えば、クリープ、降伏強さ、および/または引張強度)、溶接性、成形性(例えば、硬度および/または伸び)、耐酸化性、および微細構造の安定性の有利な組み合わせを示すニッケル基合金を配合することは困難であり得る。例えば、ある性質の向上が別の性質の低下を伴うように、ニッケル基合金配合物において強度、溶接性、成形性、耐酸化性、および微細構造の安定性の間にトレードオフが存在し得る。例えば、耐クリープ性を向上させるためにニッケル基合金を配合することは、合金の溶接性および/または成形性の低下を伴い得ることが過去に観測されていた。
【0025】
[0026]当技術において理解されるとおり、「クリープ」は、例えば、負荷を受けている状態の高温時等の材料の降伏強さよりも低い、連続的な応力下で生じる時間依存性ひずみを指す。クリープと関連して、本明細書中で用いられるとおり、「高温」は、約200°F(93.3℃)を超える温度を指す。「応力破壊」は、所定の温度で所定の長期負荷に付した場合の金属性製品が破壊する時間である。「クリープ強度」、「クリープ限界」としても知られるが、材料のクリープに対する耐性の測定値である。それは、特定のクリープ速度をもたらす特定の条件下の応力としても表現される。言い換えると、クリープ強度は、クリープまたは破壊の特定のパーセンテージを達成するために必要とされる応力、温度、および時間の組み合わせと考えることもできる。合金製品の応力破壊は、通常、そのクリープ強度の指標である。合金製品に関し、高い応力破壊値は、高いクリープ強度を示唆する。
【0026】
[0027]ニッケル系超合金を含む金属性製品の高温での応力破壊特性は、マトリックスの組成および微細構造特徴を含む多くの因子に依存し得る。ニッケル基合金の微細構造は、例えば、面心立方晶系を有するガンマ(γ)-相、および単純立方晶系を有するガンマプライム(γ’)-相等の各種相を含み得る。上記γ-相は、γ’-相が析出するマトリックスを形成する。
【0027】
[0028]本明細書中に示されるニッケル基合金の実施形態は、強度、溶接性、成形性、耐酸化性、および微細構造の安定性の有利な組み合わせを含み得る。例えば、本明細書中に示されるニッケル基合金の実施形態は、強化された応力破壊寿命を示しながら、ニッケル基合金の溶接性および/または成形性が維持および/または向上し得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~4%のタンタル;ニッケル;および不純物を含む。本開示によるニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~4%のタンタル;~23%のクロム;5%~20のニッケル;4%~10%のモリブデン;0~5%のタングステン;0~1.2%のニオブ;ニッケル;および不純物を含む。
【0028】
[0029]本発明者は、タンタルおよび、もし存在する場合、ニオブの本開示の合金中への添加は、二次炭化物の析出を阻害し得ることを観測した。炭化物(例えば、タンタル炭化物、ニオブ炭化物)を形成する濃度を超える濃度でのタンタルおよび/またはニオブの添加は、ニッケル基合金内の各種炭化物の安定性を上昇させ得る。例えば、ニオブおよびタンタルは、一次炭化物(すなわち、MC炭化物)を形成し、結晶粒界での、および結晶粒内の二次炭化物の析出を阻害し得る。タンタルおよび、もし存在する場合、ニオブの添加によりもたらされる向上した微細構造の安定性は、例えば、上昇した応力破壊寿命等の向上した長期高温特性に繋がり得る。
【0029】
[0030]本開示によるニッケル基合金の組成は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で下記式:
0.8%≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4%
を充足する量のニオブおよび/またはタンタルを含み得る。
【0030】
[0031]例えば、本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、下記式:
0.8%≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7%
を充足する濃度のニオブおよび/またはタンタルを含み得、上記濃度は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度である。
【0031】
[0032]加えて、本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、下記式:
0.8%≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5%
を充足する濃度のニオブおよび/またはタンタルを含み得、上記濃度は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度である。
【0032】
[0033]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、1.5%~4%のタンタル、例えば、1.5%~3.9%、1.6%~3.5%、1.6%~3%、1.6%~2.6%、1.7%~2.4%、1.7%~2.9%、1.8%~2.6%、1.8%~3%、1.9%~3%、2%~4%、または2%~3%等のタンタルを含み得る。
【0033】
[0034]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~1.2%のニオブ、例えば、0.75%~1.2%、0.8%~1.2%、0.8%~1.1%、0.8%~1.0%、0.9%~1.2%、0.9%~1.1%、0.95%~1.2%、1%~1.2%、0~0.9%、または0~0.5%等のニオブを含み得る。
【0034】
[0035]本開示によるニッケル基合金の実施形態において、アルミニウムとチタンの濃度は、所望の溶接性、γ’-相の安定性、および強度を供するようにニッケル基合金中のγ’-相の含有量を制御するために、タンタルの含有量と、もし存在する場合、ニオブ含有量との関係性においてバランス化される。合金中のアルミニウムの濃度は、合金の総重量を基準として少なくとも1.6重量パーセントであることが好ましい。チタンの濃度は、合金強度を高めるために高めることができるが、合金中のチタンの濃度は、γ’-相の安定性を制御するために、ニッケル基合金の総重量を基準として1.5重量パーセント以下であることが好ましい。アルミニウムの含有量も合金強度に影響を与え、チタン、ニオブ、およびタンタルの含有量に対するアルミニウムの含有量は、γ’-相の安定性に影響を与えて合金中のガンマプライムの相分率を制限し得る。合金のある特定の実施形態において、望ましい強度だけでなく、γ’-相含有量を制御し、所望の溶接性およびγ’-相の安定性を供するために、元素の添加は、タンタル、アルミニウム、および、もし存在する場合、ニオブの濃度との関係性でチタンの濃度が減少するようにバランス化される。
【0035】
[0036]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、1.6%~3%のアルミニウム、例えば、1.6%~2.7%、1.6%~2.5%、1.7%~2.4%、1.7%~2.7%、1.8%~3%、1.9%~3%、2%~3%、2%~2.7%、または1.7%~2.5%等のアルミニウムを含み得る。
【0036】
[0037]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0.3%~1.5%のチタン、例えば、0.4%~1.4%、0.6%~1.3%、0.4%~1.4%、0.5%~1.5%、0.3%~1.3%、または0.5%~1.3%等のチタンを含み得る。
【0037】
[0038]本開示によるニッケル基合金の溶接性は、合金中のアルミニウム、チタン、タンタルおよび、もし存在する場合、ニオブの含有量により影響を受けることがある。ある特定の非限定的な実施形態において、好適な溶接性を有する本開示によるニッケル基合金は、下記式:
2.5%<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4%
を充足する濃度のアルミニウム、チタン、タンタルおよび、もし存在する場合、ニオブを含みし得、上記濃度は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度である。
【0038】
[0039]好適な溶接性を有する本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、下記式:
2.7%<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3%
を充足する濃度のアルミニウム、ニオブ、チタン、タンタルおよび、もし存在する場合、ニオブを含みし得、上記濃度は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度である。
【0039】
[0040]コバルト、クロム、およびモリブデンは、固溶体である場合にニッケル基合金の強度を高めることを可能とするだけでなく、高温での長いホールドの後、合金中の位相最密充填(TCP)相(例えば、μ-相、σ-相)の形成を促進し得る。TCP相の形成を阻害することは、ニッケル基合金の展延率を高め得る。合金のコバルトの濃度は、ニッケル基合金の展延率および応力破壊寿命に影響を与え得る。例えば、コバルトの濃度を上昇させることはニッケル基合金のクリープ強度を上昇させ得る。クロムおよびモリブデンの濃度は、γ-相の安定性を低下させ得るが、それらは高温での応力破壊特性を向上させ得る。クロムは、ニッケル基合金の高温腐食および耐酸化性を向上させ得る。
【0040】
[0041]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、5%~20%のコバルト、例えば、5%~16%、6%~20%、6%~19%、7%~18%、10%~20%、5%~15%、または10%~15%等のコバルトを含み得る。
【0041】
[0042]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、16%~23%のクロム、例えば、17%~23%、18%~23%、16%~21%、17%~21%、18%~21%、または18%~20%等のクロムを含み得る。
【0042】
[0043]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、4%~10%のモリブデン、例えば、5%~10%、4%~9%、5%~9%、4%~8%、6%~9.5%、または5%~8%等のモリブデンを含み得る。
【0043】
[0044]タングステンは、ニッケル基合金の応力破壊性能を高めることを可能とする。タングステンは、γ-γ’-界面でビルドアップ(build-up)でき、γ-γ’-界面からガンママトリックスへのタングステンの低速な拡散に起因し、γ’-相析出物の粗大化率を低速化させ得る。タングステンはまた、高温でのγ-相を通じた転位運動における溶質ドラッグに貢献し得る。非限定的な各種実施形態において、ニッケル基合金の熱膨張係数(CTE)は、タングステンおよびチタンの濃度が増加し、アルミニウム濃度が減少する場合に低下し得る。非限定的な各種実施形態において、ニッケル基合金中のタングステンおよびコバルトの濃度は、TCP相の形成を制限するためにバランス化させることができる。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~5%のタングステン、例えば、0超~5%、0超~4%、0.1%~5%、1%~5%、1.5%~3%、1.5%~2.5%、3%~5%、2%~3.5%、または3.5%~4.5%等のタングステンを含み得る。
【0044】
[0045]炭素およびホウ素の濃度は、溶接性を維持しながら、ニッケル基合金の応力破壊特性を高めることを可能とする。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~0.5%の炭素、例えば、0超~0.5%、0超~0.4%、0~0.2%、0~0.1%、0.01%~0.5%、0.01%~0.2%、0.01%~0.1%、0~0.2%、0.02~0.5%、0.02~0.3%、0.02~0.1%、0.03~0.5%、0.03~0.3%、0.03~0.1%、または0.04%~0.5%等の炭素を含み得る。また、本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~0.1%のホウ素、例えば、0超~0.1%、0超~0.05%、0~0.05%、0~0.01%、0.001%~0.1%、0.001%~0.05%、または0.001%~0.01%等のホウ素を含み得る。
【0045】
[0046]ケイ素およびマンガンは、本開示によるニッケル基合金の酸化、特に酸化性環境を向上させ得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~1%のケイ素、例えば、0超~1%、0超~0.5%、0~0.5%、0~0.25%、0.1%~1%、0.1%~0.5%、0.25%~1.0%、または0.25%~0.75%等のケイ素を含み得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~2%のマンガン、例えば、0超~0.5%、0超~1%、0超~1.5%、0~1.5%、0~0.1%、0.1~2%、0.1%~1%、0.25%~1.5%、または1%~2%等のマンガンを含み得る。
【0046】
[0047]ジルコニウム、ハフニウム、およびレニウムは、本開示によるニッケル基合金の応力破壊寿命を向上させ得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0~1%のジルコニウム、例えば、0超~1%、0超~0.5%、0~0.5%、0~0.25%、0.1%~1%、0.1%~0.5%、0.25%~1.0%、または0.25%~0.75%等のジルコニウムを含み得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~1%のハフニウム、例えば、0超~1%、0超~0.5%、0~0.5%、0~0.25%、0.1%~1%、0.1%~0.5%、0.25%~1.0%、または0.25%~0.75%等のハフニウムを含み得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~1%のレニウム、例えば、0超~1%、0超~0.5%、0~0.5%、0~0.25%、0.1%~1%、0.1%~0.5%、0.25%~1.0%、または0.25%~0.75%等のレニウムを含み得る。
【0047】
[0048]バナジウムは、本開示によるニッケル基合金の実施形態の固溶体強化を高めることを可能とする。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~2%のバナジウム、例えば、0超~0.5%、0超~1%、0超~1.5%、0~1.5%、0~0.1%、0.1~2%、0.1%~1%、0.25%~1.5%、または1%~2%等のバナジウムを含み得る。
【0048】
[0049]銅は、例えば、溶質溶解度を低減させ、ある環境において耐腐食性を高めるために、本開示による合金の非限定的な各種実施形態に含まれることができる。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、0~2%の銅、例えば、0超~0.5%、0超~1%、0超~1.5%、または0.5%~1.5%、0~1.5%、0~0.1%、0.1~2%、0.1%~1%、0.25%~1.5%、または1%~2%等の銅を含み得る。ある特定の非限定的な実施形態において、本開示によるニッケル基合金は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、銅を含み得る。
【0049】
[0050]希土類元素は、ニッケル基合金の耐酸化性を高めることを可能とする。非限定的な各種実施形態において、本開示によるニッケル基合金は、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、およびイッテルビウムから選択される1つまたは複数の希土類元素を含み得る。ある特定の非限定的な実施形態において、本開示によるニッケル基合金は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、合計で0~1%の希土類元素を含み得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で合計で0超~1%、0超~0.5%、0~0.5%、0~0.25%、0.1%~1%、0.1%~0.5%、0.25%~1.0%、または0.25%~0.75%の希土類元素を含み得る。
【0050】
[0051]本開示による合金の実施形態のニッケル含有量は、合金の総重量を基準として45重量パーセント超であってもよく、または、少なくとも48重量パーセントもしくは50重量パーセント超であってもよい。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態において、ニッケルの含有量は、48~62重量パーセントであり、または、一部の実施形態において、合金の総重量を基準として48~60、48~55、50~62、55~62、または50超~62重量パーセントである。
【0051】
[0052]本開示によるニッケル基合金は、付加的な不純物を含み得る。不純物は、例えば、出発材料中の不純物(例えば、再生されたスクラップ材料)および/または製造中の合金の加工の結果として、合金中に存在し得る。本開示による合金の非限定的な各種実施形態において、下記元素:硫黄、リン、マグネシウム、カルシウム、酸素、窒素、ビスマス、鉛、スズ、アンチモン、セレン、ヒ素、銀、テルル、タリウム、亜鉛、ルテニウム、白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、金、フッ素、および塩素のうちの1つまたは複数は、偶発的な不純物として存在し得る。付加的な不純物元素は、もし存在する場合、通常、約0.1重量パーセント以下の個々の濃度で存在し、上記不純物の総含有量は通常、5.0重量パーセント以下である。前述の付加的な不純物元素のリストが本開示による合金中に不純物として存在し得る全ての元素を必ずしも含むわけではないことは理解され得る。
【0052】
[0053]本開示のニッケル基合金は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~2.4%のタンタル;ニッケル、および不純物を含み得る。
【0053】
[0054]本開示によるニッケル基合金のある特定のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~4%のタンタル;16%~23%のクロム;5%~20%のコバルト;4%~10%のモリブデン;0~5%のタングステン;ニッケル;および不純物を含み得る。本開示による特定の合金において、合金の組成は、合金の特定の機械的性質を最適化または向上させるように1つまたは複数の下記化学的な制限:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
を充足するような組成である。
【0054】
[0055]本開示によるニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のアルミニウム;0.3%~1.5%のチタン;1.5%~4%のタンタル;16%~23%のクロム;5%~20%のコバルト;4%~10%のモリブデン;0~5%のタングステン;0~1.2%のニオブ;0~0.5%の炭素;0~0.1%のホウ素;0~5%の鉄;0~2%のマンガン;0~2%のバナジウム;0~2%の銅;0~1%のケイ素;0~1%のジルコニウム;0~1%のハフニウム;0~1%のレニウム;合計で0~1%の希土類元素;ニッケル;および不純物を含み得る。
【0055】
[0056]本開示によるニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~2.7%のアルミニウム;0.4%~1.4%のチタン;1.6%~3%のタンタル;17%~21%のクロム;6%~19%のコバルト;5%~10%のモリブデン;0~3%のタングステン;ニッケル;および不純物を含み得る。本開示による特定の合金において、合金の組成は、合金の特定の機械的性質を最適化または向上させるように1つまたは複数の下記化学的な制限:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
を充足するような組成である。
【0056】
[0057]本開示によるニッケル基合金のさらなる実施形態は、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.4%のアルミニウム;0.5%~1.3%のチタン;1.7%~2.9%のタンタル;17%~21%のクロム;7%~18%のコバルト;6%~9.5%のモリブデン;0~1%のタングステン;ニッケル;および不純物を含み得る。本開示による特定の合金において、合金の組成は、合金の特定の機械的性質を最適化または向上させるように1つまたは複数の下記化学的な制限:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5
を充足するような組成である。
【0057】
[0058]非限定的な各種実施形態において、本開示によるニッケル基合金は、例えば、1300°F(704℃)~1800°F(982℃)等の1200°F(649℃)~2000°F(1093℃)での範囲内の温度で、例えば1時間~12時間等の0.1時間~24時間の範囲内の時間、時効され得る。上記時効は、1段階熱処理または多段階熱処理であってもよい。時効のパラメーターは、所望される熱処理後のニッケル基合金の性質に基づいて選択され得る。
【0058】
[0059]本開示によるニッケル基合金に適用され得る可能な熱処理の非限定的な例としては、1段階熱処理、2段階熱処理、および3段階熱処理が挙げられる。ある特定の非限定的な実施形態において、本開示によるニッケル基合金に適用され得る1段階熱処理は、例えば、1400°F~1600°F(760℃~871℃)、例えば、おおよそ1500°F(816℃)の温度で、1~24時間、例えば、6~12時間、または約8時間の1段階のサブソルバス時効熱処理ステップを含み得る。ある特定の非限定的な実施形態において、本開示によるニッケル基合金に適用され得る2段階熱処理は、サブソルバス熱処理ステップ(例えば、約1850°F~1950°F(1010℃~1038℃)で、例えば、おおよそ1900°F(1038℃)で)、続いて1~24時間のサブソルバス熱処理ステップ(例えば、約1400°F~1600°F(760℃~871℃)で、例えば、おおよそ1450°F(788℃)またはおおよそ1500°F(816℃)で)を含み得る。本開示によるニッケル基合金に適用され得る2段階熱処理の各種実施形態において、例えば、より高いサブソルバス温度(例えば、1500°F~1800°F(816℃~982℃)で)でのステップと、より低いサブソルバス温度(例えば、1400°F~1600°F(760℃~871℃)で)でのステップ等の2段階のサブソルバス熱処理ステップが使用され得る。ある特定の非限定的な実施形態において、本開示によるニッケル基合金に適用され得る3段階熱処理は、サブソルバス熱処理ステップ(例えば、約1850°F~1900°F(1010℃~1038℃)で)、続いて2段階のサブソルバス熱処理ステップ(例えば、より高いサブソルバス温度(例えば、1500°F~1800°F(816℃~982℃)で)でのステップと、より低いサブソルバス温度(例えば、1400°F~1600°F(760℃~871℃)で)でのステップを含み得る。
【0059】
[0060]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、時効された条件において室温で少なくとも85ksi(586.1MPa)の降伏強さを示し得、ある特定の実施形態において時効された条件において室温で90ksi(620.5MPa)超または95ksi(655.0)超の降伏強さを示し得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の実施形態は、時効された条件において室温で少なくとも85ksiの降伏強さ、および室温で少なくとも23%のパーセント伸びを示し得る。例えば、各種実施形態において、上記ニッケル基合金は、時効された条件において室温で少なくとも90ksi(620.5MPa)の降伏強さ、および、室温で少なくとも25%のパーセント伸びを示し得、または室温で少なくとも95ksi(655.0MPa)の降伏強さ、および、室温で少なくとも27%のパーセント伸びを示し得る。ある特定の非限定的な実施形態において、ニッケル基合金は、室温で少なくとも99ksi(682.6MPa)の降伏強さ、室温で少なくとも28%のパーセント伸びを示し得る。室温での引張特性は、ASTM E8/E8M-16に従って測定され得る。
【0060】
[0061]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、アニールされた条件において91ksi(627.4MPa)未満の降伏強さを示し得、ある特定の実施形態において、アニールされた条件において86ksi(592.9MPa)未満、または81ksi(558.5MPa)未満の降伏強さを示し得る。
【0061】
[0062]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、1400°F(760℃)で少なくとも86ksi(592.9MPa)の降伏強さ、および1400°F(760℃)で少なくとも10%のパーセント伸びを示し得る。例えば、ニッケル基合金の各種実施形態は、1400°F(760℃)で少なくとも86ksi(592.9MPa)の降伏強さ、および1400°F(760℃)で少なくとも15%のパーセント伸び、またはニッケル基合金は、1400°F(760℃)で少なくとも86ksi(592.9MPa)の降伏強さ、および1400°F(760℃)で少なくとも18%のパーセント伸びを示し得る。非限定的な各種実施形態において、ニッケル基合金は、1400°F(760℃)で少なくとも94ksi(648.1MPa)の降伏強さ、および1400°F(760℃)で少なくとも23%のパーセント伸びを示し得る。本開示において、降伏強さおよび伸びは、規格ASTM E21-20に従って測定された。
【0062】
[0063]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、全て1500°F(816℃)で35ksi(241.3MPa)の応力下で、例えば、120時間超、140時間超、または180時間超等、1500°F(816℃)で35ksi(241.3MPa)の応力下で100時間超の応力破壊寿命を有し得る。本開示によるニッケル基合金の各種実施形態は、全て1700°F(927℃)で13ksi(89.6MPa)の応力下で、例えば、50時間超、60時間超、または80時間超等、1700°F(927℃)で13ksi(89.6MPa)の応力下で40時間超の応力破壊寿命を有し得る。応力破壊特性は、規格ASTM E139-11(2018)に従って測定され得る。
【0063】
[0064]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、1500°F(816℃)での制御型加熱速度試験(CHRT)後に7%超の減面率を有し得、一部の実施形態において、それらの条件下で測定された8%超または10%超の減面率を有し得る。本開示によるニッケル基合金の非限定的な各種実施形態は、1600°F(871℃)での制御型加熱速度試験(CHRT)後に9%~30%、例えば、9%~25%、13%~25%、15%~25%、18%~25%、10%~20%、10%~25%、または20%~25%等の範囲内の減面率を有し得る。本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、1600°F(871℃)での制御型加熱速度試験(CHRT)後に少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、または少なくとも20%の減面率を有し得る。本明細書中で用いられるGleeble制御型加熱速度試験は、固定された加熱傾斜速度(30°F/min)を用いてGleebleにおいて試料を標的温度に加熱する。その後、試料は、標的温度で10-3-1のひずみ速度で引っ張られて破断する。Gleeble制御型加熱速度試験は、溶接物の熱影響領域をシミュレートする。より大きな試料の減面率は、展延率のより良い保持およびひずみ時効割れ性に対して向上した耐性を示唆し得る。
【0064】
[0065]本開示によるニッケル基合金のある特定の非限定的な実施形態は、例えば、180~250、または200~250等の180~350の範囲内の平均ビッカース硬度(HV)を有し得る。本明細書中で用いられるビッカース硬度は、ASTM E92-17に従って測定される。
【0065】
[0066]本開示によるニッケル基合金の非限定的な各種実施形態は、過時効された条件において15%超の破断伸びを示し得、一部の実施形態において、18%超、または一部の実施形態において20%超の破断伸びを示し得る。この場合において、上記過時効された条件は、下記に記載された手順1の熱処理のステップに起因するものであり得る。
【0066】
[0067]以下の実施例は、本発明の範囲を制限することなく、特定の非限定的な実施形態をさらに説明することを意図している。当業者であれば、本発明の範囲内で以下の実施例の変形が可能であることを理解するであろう。
【実施例
【0067】
[0068]一連の22.68kg(50ポンド)の実験例のニッケル基合金ヒートおよび22.68kg(50ポンド)の比較の合金ヒートを真空誘導溶解(VIM)により準備した。表1は、実験例のヒートAからヒートOの重量パーセンテージでの元素組成を示し、比較のヒート(「比較」)は下記表1に示されている。表1で報告されている含有物に加え、各ヒートは不純物も含み、低濃度のケイ素、窒素および酸素の不純物を含むものであったが、それらに必ずしも限定されなかった。
【0068】
【表1】
【0069】
[0069]VIMの後、上記ヒートは均一化され、熱間圧延され、アニールされ、水でクエンチされ、冷間圧延され、アニールされ、そして以下に記載された3つの加熱シーケンスのうちの1つにより加工された。ヒートから冷間圧延され、アニールされた材料は、降伏強さについて試験された。冷間圧延され、アニールされた材料はまた、1500°F(816℃)でグリーブル制御型加熱速度試験(CHRT)において展延率(減面率)について試験された。結果は表2に示されている。
【0070】
【表2】
【0071】
[0070]ヒートから冷間圧延され、アニールされた材料はまた、1400°F(760°F)および1600°F(871℃)でのグリーブル制御型加熱速度試験(CHRT)の後にASTM結晶粒径、硬度(HV)、伸び、および展延率が評価され、それらの結果は表3で報告されている。硬度データは、冷間圧延され、アニールされた材料の降伏強さが成形性のより良い指標であると考えられたため、全てのヒートについて収集されなかった。結晶粒径は、本明細書中の表中で支配的な結晶粒径および「可能な限り低い(as low as)」(ALA)結晶粒径として報告されている。下記表中で報告されている結晶粒径は、ASTM E112-13(2021)のとおりの光学的比較法を用いて測定された。下記表において、「NM」は、性質が測定されなかったことを示している。
【0072】
【表3】
【0073】
[0071]表4に列記された、手順1、2、および3として特定される3つの時効シーケンスのうちの1つを用いて、ヒートAからヒートOからの冷間圧延され、アニールされた試料および比較のヒートを熱処理した。手順1は2段階時効熱処理(1900°F(1038℃)で2時間、続いて1450°F(788℃)で16時間)を含むものであった。手順2は、1段階時効(1500°F(816℃)を8時間)が関与するものであった。手順3は、2段階時効熱処理(1800°F(982℃)を2時間、続いて1500°Fを8時間)を含むものであった。時効ステップが実施され、時効された材料が試験された後、上記時効された材料は、過時効ステップに付され、ここで時効された材料は1400°F(760℃)で1000時間維持され、微細構造の安定性が評価された。このように、ヒート試料は、3つの「時効された」条件で、すなわち、手順1、2、および3のとおりに時効されて準備され、さらに、3つの「過時効された」条件、すなわち、手順1、2、および3のそれぞれのとおりに時効されて準備された後、1400°F(760℃)で1000時間加熱された。
【0074】
【表4】
【0075】
[0072]時効され、過時効された各種試料は、降伏強さ、減面率、応力破壊、および伸びを含む性質について試験された。硬度は、空冷されたアニールされた条件において試験された。硬度は、合金の、シートおよび他の平坦な製品形態への生産に対する適合性を示唆し得る。多くのγ’-強化型ニッケル系超合金は、冷却により急速に硬化し、結果として大量生産には適していない。従って、本開示による合金は、空冷された条件において硬度が低いことが好ましい。
【0076】
[0073]上記のシーケンスにより作製され、手順1のシーケンスを用いて熱処理された、時効された試料の特定の機械的性質の試験の結果は、下記表5および表6に示されている。伸びおよび降伏強さもまた、手順1の熱処理の後に試料を1400°F(760℃)で1000時間加熱させた、過時効された試料について評価された。
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
[0074]上記のシーケンスにより作製され、手順2のシーケンスを用いて熱処理された試料の特定の機械的性質の試験の結果は、下記表7および表8に示されている。伸びおよび降伏強さもまた、手順2の熱処理の後に試料を1400°F(760℃)で1000時間加熱させた、過時効された試料について評価された。
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
[0075]上記のシーケンスにより作製され、手順3のシーケンスを用いて熱処理された試料の特定の機械的性質の試験の結果は、下記表9および表10に示されている。伸びおよび降伏強さもまた、手順3の熱処理の後に試料を1400°F(760℃)で1000時間加熱させた、過時効された試料について評価された。
【0083】
【表9】
【0084】
【表10】
【0085】
[0076]表7および表9に示されるとおり、1500°F(816℃)および35ksi(241MPa)で評価された場合に、実験例のヒートAからヒートDの合金試料は、比較の合金ヒートの試料の概ね2倍の破壊寿命を示した。表5および表6に示されるとおり、実験例のヒートAからヒートDの時効され、過時効された試料は、過時効された条件において比較の合金よりも優れた展延率(例えば、伸び)を示した。
【0086】
[0077]表1において列記された比較の合金ヒートおよび実験例のヒートAからヒートDの試料はまた、炭化物形成およびγ’-相の分布を評価するために、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて特性化された。冷間圧延され、アニールされた条件の合金のSEM顕微鏡写真は、図1から図5に示されている。時効された条件の合金のSEM顕微鏡写真は、図6から図25に示されている。過時効された条件の合金のSEM顕微鏡写真は、図26から図45に示されている。冷間圧延され、アニールされた条件は、均一化、熱間圧延、アニール、水クエンチ、冷間圧延、およびアニールにより達成された。時効された条件の試料はさらに手順2(1500°F(816℃)を8時間)の1段階時効処理または手順3(1800°F(982℃)の2段階時効処理に2時間、続いて1500°Fを8時間)に付された。過時効された条件の試料はさらに表2に列記された過時効ステップ(1400°F(760℃)を1000時間)に付された。
【0087】
[0078]比較の合金は、図1の冷間圧延され、アニールされた条件に、図6および図16の時効された条件(手順2の1段階時効)に、図7および図17の時効された条件(手順3の2段階時効)に、図26および図36の過時効された条件(手順2の時効および過時効ステップ)に、および図27および図37の過時効された条件(手順3の時効および過時効ステップ)に示されている。
【0088】
[0079]実験例のヒートAは、図2の冷間圧延され、アニールされた条件に、図8および図18の時効された条件(手順2の1段階時効)に、図9および図19の時効された条件(手順3の2段階時効)に、図28および図38の過時効された条件(手順2の時効および過時効ステップ)に、および図29および図39の過時効された条件(手順3の時効および過時効ステップ)に示されている。
【0089】
[0080]実験例のヒートBは、図3の冷間圧延され、アニールされた条件に、図10および図20の時効された条件(手順2の1段階時効)に、図11および図21の時効された条件(手順3の2段階時効)に、図30および図40の過時効された条件(手順2の時効および過時効ステップ)に、および図31および図41の過時効された条件(手順3の時効および過時効ステップ)に示されている。
【0090】
[0081]実験例のヒートCは、図4の冷間圧延され、アニールされた条件に、図12および図22の時効された条件(手順2の1段階時効)に、図13および図23の時効された条件(手順3の2段階時効)に、図32および図42の過時効された条件(手順2の時効および過時効ステップ)に、および図33および図43の過時効された条件(手順3の時効および過時効ステップ)に示されている。
【0091】
[0082]実験例のヒートDは、図5の冷間圧延され、アニールされた条件に、図14および図24の時効された条件(手順2の1段階時効)に、図15および図25の時効された条件(手順3の2段階時効)に、図34および図44の過時効された条件(手順2の時効および過時効ステップ)に、および図35および図45の過時効された条件(手順3の時効および過時効ステップ)に示されている。
【0092】
[0083]SEM特性評価に基づき、ヒートAからヒートDの合金が比較の合金ヒートよりも低減した二次炭化物の形成を示したことが観察された。
【0093】
[0084]図1に示された比較の合金ヒートのSEM画像において現れる暗色部は、支配的にチタンおよびモリブデンの一次炭化物であることが決定付けられた。図2図3図4、および図5に示される実験例のヒートAからヒートDのSEM画像において現れる明色部は、支配的にタンタル、チタン、およびモリブデンの一次炭化物であることが決定付けられ、それらの画像の暗色部は、酸化物、研磨に由来するホール、または表面汚染物であると決定付けられた。これは、タンタルの添加が、実験例のヒート中にタンタル一次炭化物の形成をもたらしたことを確実にする。
【0094】
[0085]図6に示された比較の合金ヒートのSEM画像中に現れる暗色部は、主にチタンおよびモリブデンの炭化物であることが決定付けられ、その画像中の「針状様の(needle-like)」相は、クロムを豊富に含有する二次炭化物であることが決定付けられた。図8図10図12、図および14に示された実験例のヒートAからヒートDのSEM画像に現れる明色部は、支配的にタンタル、チタン、およびモリブデンの一次炭化物であると決定付けられ、結晶粒界に沿って、第二クロムを豊富に含有する僅かな二次炭化物の析出も認められる。これは、タンタルの添加が実験例のヒート内の二次炭化物の形成を阻害し得ることを確実にする。
【0095】
[0086]図7に示された比較の合金ヒートのSEM画像中に現れる暗色部は、主にチタンおよびモリブデンの炭化物であることが決定付けられ、上記画像中の広範囲にわたる「針状様の(needle-like)」相は、クロムを豊富に含有する二次炭化物であることが決定付けられた。図9図11図13、図および15に示された実験例のヒートAからヒートDのSEM画像に現れる明色部は、支配的にタンタル、チタン、およびモリブデンの一次炭化物であると決定付けられ、結晶粒界に沿って、第二クロムを豊富に含有する僅かな二次炭化物の析出も認められ、より分散的に形成されている。これは、タンタルの添加が二次炭化物の形成を阻害し得ることを確実にする。
【0096】
[0087]図16および図17に示されるSEM画像は、時効された条件における比較の合金ヒート中のγ’-相の分布を示す。それらの画像中の暗い粒子はγ’-相である。図17を参照すると、比較的大きな暗い粒子は、高温時効ステップ中に形成された可能性があり、比較的小さな暗い粒子は、低温時効ステップに形成された可能性がある。図18から図25に示されるSEM画像は、それぞれ、時効された条件における実験例のヒートAからヒートD中のγ’-相の分布を図示している。図18から図20および図23から図24の画像は、二次電子検出器を用いてキャプチャーされ、一方で図21から図22および図25の画像はインレンズ(すなわち、イマージョンレンズ)検出器を用いて撮影された。従って、コントラストはそれらの画像の間で異なる。
【0097】
[0088]図26および図27のSEM画像は、クロムを豊富に含有する二次炭化物の広範囲にわたる結晶粒界析出物と共に、過時効された条件における比較の合金ヒート中のクロムを豊富に含有する二次炭化物の結晶粒内析出物を図示している。図28から図35のSEM画像は、過時効された条件における実験例のヒートAからヒートD中のクロムを豊富に含有する二次炭化物の僅かな形成を図示している。これは、タンタルが二次炭化物の形成を阻害し得ることを確実にする。ニオブの添加が合金中の二次炭化物の形成を同様に阻害し得ると考えられている。
【0098】
[0089]図36および図37のSEM画像は、過時効された条件における比較の合金ヒート中のγ’-相の分布を図示している。それらの画像中の暗い粒子は、合金中のγ’-相である。
【0099】
[0090]図38から図45のSEM画像は、過時効された条件における実験例のヒートAからヒートD中のγ’-相の分布を図示している。
【0100】
[0091]実験例の合金ヒートの試料および市販のUNS N07208合金の耐酸化性が評価された。研究所を流通する乾燥した循環空気における1800°F(982℃)の炉温度での酸化に対する耐性を測定した。酸化試験前に、全ての試料を400グリット仕上げで準備した。試料を炉内に144時間置いた後、炉から取り出し、室温まで空冷した。毎144時間サイクル後の全ての試料の総重量が計測された。144時間サイクルを合計で7回実行した。酸化物層の破砕を示唆する、質量増加が質量減少に転じたサイクルは、全ての実験例の合金ヒート試料について、および市販のUNS 07208合金試料について計測された。全ての試料は、熱処理された条件で試験された。表11は、質量増加から質量減少へ転じた際のそれぞれの合金の3つの試料の平均サイクル数を列記している。1つまたは2つのみが質量減少なく試験終了を達成した場合において、質量減少のない試料は、質量減少に転じる前に7サイクルを経たものとして扱われた。表11に示されるとおり、1つの実験例の合金を除く全ての実験例の合金が、UNS N07208試料よりも優れた耐酸化性を示した。
【0101】
【表11】
【0102】
[0092]本発明者は、表7に列記された機械的性質のしきい値の組み合わせが、本開示による合金が使用され得る特定の用途に好ましい、より好ましい、そして最も好ましいと考える。しかし、本開示の範囲は、表12に列記された機械的性質の値を示す合金に必ずしも限定されないと理解される。表12に示された性質の組み合わせは、本開示の範囲内に包含される、市販の有用な合金の非限定的な例を対象とする。
【0103】
【表12】
【0104】
[0093]本開示による合金の1つの非限定的な実施形態は、表13に列記された各種元素の含有量を有する。本開示の範囲は、表13に列記された元素の含有量を含む合金に必ずしも限定されないことは理解される。
【0105】
【表13】
【0106】
[0094]表13の合金組成のある特定の非限定的な実施形態において、合金は、表12に列記された「好ましい性質」を示す。表13の合金組成のある特定の非限定的な実施形態において、上記合金組成は、下記化学的な制限:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
のうちの1つまたは複数を充足する。
【0107】
[0095]本開示による合金の別の非限定的な実施形態は、表14に列記された各種元素の含有量を含む。本開示の範囲は、表14に列記された元素の含有量を含む合金に必ずしも限定されないことは理解される。
【0108】
【表14】
【0109】
[0096]表14の合金組成のある特定の非限定的な実施形態において、合金は、表12に列記された「より好ましい性質」を示す。表14の合金組成のある特定の非限定的な実施形態において、上記合金組成は、下記化学的な制限:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
のうちの1つまたは複数を充足する。
【0110】
[0097]本開示による合金のさらに別の非限定的な実施形態は、表15に列記された各種元素の含有量を含む。本開示の範囲は、表15に列記された元素の含有量を含む合金に必ずしも限定されないことは理解される。
【0111】
【表15】
【0112】
[0098]表15の合金組成のある特定の非限定的な実施形態において、合金は、表12に列記された「さらにより好ましい性質」を示す。表15の合金組成のある特定の非限定的な実施形態において、上記合金組成は、下記化学的な制限:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5
のうちの1つまたは複数を充足する。
【0113】
[0099]下記の付番された項目は、本開示による非限定的な各種実施形態を対象とする:
項目1. ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3.0%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
ニッケル;および
不純物
を含む、ニッケル基合金。
項目2. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~2.7%のアルミニウムを含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目3. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.4%のアルミニウムを含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目4. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.4%~1.4%のチタンを含む、項目1~3のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目5. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.5%~1.3%のチタンを含む、項目1~3のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目6. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のタンタルを含む、項目1~5のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目7. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.9%のタンタルを含む、項目1~5のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目8. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
ニッケル;および
不純物
を含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目9. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
0~1.2%のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.1%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
を含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目10. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.7%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
1.6%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
5%~10%のモリブデン;
0~3%のタングステン;
ニッケル;および
不純物
を含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目11. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.7%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
1.6%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
5%~10%のモリブデン;
0~3%のタングステン;
0~0.9%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~3%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
を含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目12. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
ニッケル;および
不純物
を含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目13. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
0~0.5%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
を含む、項目1に記載のニッケル基合金。
項目14. ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
0~1.2%のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.1%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
からなる、ニッケル基合金。
項目15. ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.7%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
1.6%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
5%~10%のモリブデン;
0~3%のタングステン;
0~0.9%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~3%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
からなる、ニッケル基合金。
項目16. ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
0~0.5%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
チタン;および
不純物
からなる、ニッケル基合金。
項目17. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
を充足することを条件とする、項目1~9、および14のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目18. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
5%<{[Mo]+0.52×[W]}<10%
を充足することを条件とする、項目1~9、および14のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目19. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
0.8%<{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4%
を充足することを条件とする、項目1~9、および14のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目20. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
を充足することを条件とする、項目1~11、14および15のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目21. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
6%<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5%
を充足することを条件とする、項目1~11、14および15のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目22. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
0.8%<{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7%
を充足することを条件とする、項目1~11、14および15のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目23. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
を充足することを条件とする、項目1~16のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目24. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
6%<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5%
を充足することを条件とする、項目1~16のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目25. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
0.8%<{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5%
を充足することを条件とする、項目1~16のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目26. ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3.0%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
0~1.2%のニオブ;
0~5%のタングステン;および
ニッケル
を含み;
前記ニッケル基合金の組成が下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
の少なくとも1つを充足することを条件とする、ニッケル基合金。
項目27. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~2.7%のアルミニウムを含む、項目26に記載のニッケル基合金。
項目28. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.4%のアルミニウムを含む、項目26に記載のニッケル基合金。
項目29. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.4%~1.4%のチタンを含む、項目26~28のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目30. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.5%~1.3%のチタンを含む、項目26~28のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目31. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.6%~3%のタンタルを含む、項目26~30のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目32. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.9%のタンタルを含む、項目26~30のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目33. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
を充足することを条件とする、項目26~30のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目34. ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
を充足することを条件とする、項目26~30のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目35. ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~3%のアルミニウム;
0.3%~1.5%のチタン;
1.5%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
4%~10%のモリブデン;
0~5%のタングステン;
0~1.2%のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.1%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;および
ニッケル
を含み;
前記ニッケル基合金の組成が下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
を充足することを条件とする、ニッケル基合金。
項目36. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
0~0.5%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;および
チタン
を含む、項目35に記載のニッケル基合金。
項目37. ニッケル基合金の組成が下記式:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
を充足することを条件とする、項目35および36のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目38. ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
1.7%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%~9.5%のモリブデン;
0~1%のタングステン;
0~0.5%のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;および
チタン
を含む、項目35~37のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目39. ニッケル基合金の組成が下記式:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5
を充足することを条件とする、項目35~38のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目40. アニールされた状態において室温で91ksi(627.4MPa)未満の降伏強さを示すことを条件とする、項目1~39のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目41. アニールされた状態において室温で86ksi(592.9MPa)未満の降伏強さを示すことを条件とする、項目1~39のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目42. アニールされた状態において室温で81ksi(558.5MPa)未満の降伏強さを示すことを条件とする、項目1~39のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目43. 7%超の1500°F(816℃)CHRT展延率(%減面率)を示すことを条件とする、項目1~42のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目44. 8%超の1500°F(816℃)CHRT展延率(%減面率)を示すことを条件とする、項目1~42のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目45. 10%超の1500°F(816℃)CHRT展延率(%減面率)を示すことを条件とする、項目1~42のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目46. 1500°F(816℃)で35ksi(241.3MPa)の応力下で試験した場合に、100時間超の応力破壊寿命を示すことを条件とする、項目1~45のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目47. 1500°F(816℃)で35ksi(241.3MPa)の応力下で試験した場合に、140時間超の応力破壊寿命を示すことを条件とする、項目1~45のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目48. 1500°F(816℃)で35ksi(241.3MPa)の応力下で試験した場合に、180時間超の応力破壊寿命を示すことを条件とする、項目1~45のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目49. 1700°F(927℃)で13ksi(89.6MPa)の応力下で試験した場合に、40時間超の応力破壊寿命を示すことを条件とする、項目1~48のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目50. 1700°F(927℃)で13ksi(89.6MPa)の応力下で試験した場合に、60時間超の応力破壊寿命を示すことを条件とする、項目1~48のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目51. 1700°F(927℃)で13ksi(89.6MPa)の応力下で試験した場合に、80時間超の応力破壊寿命を示すことを条件とする、項目1~48のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目52. 時効された条件において室温で85ksi(586.1MPa)超の降伏強さを示し、時効が、合金を1900°F(1038℃)で2時間維持するステップ、続いて合金を1450°F(788℃)で16時間維持するステップを含むことを条件とする、項目1~51のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目53. 時効された条件において室温で90ksi(620.5MPa)超の降伏強さを示し、時効が、合金を1900°F(1038℃)で2時間維持するステップ、続いて合金を1450°F(788℃)で16時間維持するステップを含むことを条件とする、項目1~51のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目54. 時効された条件において室温で95ksi(655.0MPa)超の降伏強さを示し、時効が、合金を1900°F(1038℃)で2時間維持するステップ、続いて合金を1450°F(788℃)で16時間維持するステップを含むことを条件とする、項目1~51のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目55. 過時効された条件において15%超の引張破断伸びを示し、過時効された材料が1900°F(1038℃)で2時間、続いて1450°F(788℃)で16時間時効され、その後に1400°F(760℃)で1000時間の過時効ステップが続くことを条件とする、項目1~53のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目56. 過時効された条件において18%超の引張破断伸びを示し、過時効された材料が1900°F(1038℃)で2時間、続いて1450°F(788℃)で16時間時効され、その後に1400°F(760℃)で1000時間の過時効ステップが続くことを条件とする、項目1~53のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
項目57. 過時効された条件において20%超の引張破断伸びを示し、過時効された材料が1900°F(1038℃)で2時間、続いて1450°F(788℃)で16時間時効され、その後に1400°F(760℃)で1000時間の過時効ステップが続くことを条件とする、項目1~53のいずれか一項に記載のニッケル基合金。
【0114】
[0100]本開示による合金の実施形態は、例えば、箔、シート、板、ワイヤー、ビレット、スラブ、鋳造物、粉末、および他の形態を含む形態に作製され得る。本開示による合金の実施形態は、例えば、熱交換器、ガスタービン移行ダクト、および積層造形部品(additively manufactured part)を含む用途において、それらを有用とする性質を有し得る。
【0115】
[0101]当業者であれば、本明細書に記載した合金および方法、ならびにそれらに付随する考察は、概念の明確化のために例として用いられており、様々な改変が企図されていることを認識するであろう。その結果、本明細書中で用いられるとおり、記載された特定の例/実施形態および付随する考察は、より一般的なクラスの代表であることが意図される。一般に、いずれの特定の例示の使用も、そのクラスの代表であることを意図しており、限定的であると見なされるべきではない。本開示は、本開示の各種態様および/またはその潜在的な用途を説明する目的で、特定の各種実施形態の説明を提供するが、当業者には、変形および改変が生じることが理解される。従って、本明細書中に記載される発明は、少なくとも特許請求の範囲と同程度に広範であり、本明細書中に提示される特定の例および例示的な実施形態によってより狭く定義されるものではないと理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
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図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.3%~1.4%のチタン;
2.2%~4%のタンタル;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.05%のホウ素;および
ニッケル
を含む、ニッケル基合金。
【請求項2】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、1.7%~2.4%のアルミニウムを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項3】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.4%~1.4%のチタンを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項4】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、0.5%~1.3%のチタンを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項5】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、2.2%~3%のタンタルを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項6】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、2.2%~2.9%のタンタルを含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項7】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.3%~1.4%のチタン;
2.2%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0~0.05%のホウ素
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項8】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.3%~1.4%のチタン;
2.2%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項9】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
2.2%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.05%のホウ素;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項10】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
2.2%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~3%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項11】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
2.2%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%より多く9.5%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.05%のホウ素;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項12】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
2.2%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%より多く9.5%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
を含む、請求項1に記載のニッケル基合金。
【請求項13】
ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
を充足することを条件とする、
請求項7に記載のニッケル基合金。
【請求項14】
ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
5%<{[Mo]+0.52×[W]}<10%
を充足することを条件とする、
請求項7に記載のニッケル基合金。
【請求項15】
ニッケル基合金の組成が、ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージ濃度で、下記式:
0.8%<{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4%
を充足することを条件とする、
請求項7に記載のニッケル基合金。
【請求項16】
ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.3%~1.4%のチタン;
2.2%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;および
ニッケル
を含み;
前記ニッケル基合金の組成が下記式:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
を充足することを条件とする、
ニッケル基合金。
【請求項17】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
2.2%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%より多く9.5%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;および
ニッケル
を含む、請求項16に記載のニッケル基合金。
【請求項18】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
を充足することを条件とする、請求項17に記載のニッケル基合金。
【請求項19】
ニッケル基合金であって、
前記ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.3%~1.4%のチタン;
2.2%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.5%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
からなる、ニッケル基合金。
【請求項20】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.5<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.4
5<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦2.4
を充足することを条件とする、請求項19に記載のニッケル基合金。
【請求項21】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、チタンの含有量が0.4%~1.4%である、請求項19に記載のニッケル基合金。
【請求項22】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、タンタルの含有量が1.6%~2.2%である、請求項19に記載のニッケル基合金。
【請求項23】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.4%~1.4%のチタン;
2.2%~3%のタンタル;
17%~21%のクロム;
6%~19%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~3%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
からなる、請求項19に記載のニッケル基合金。
【請求項24】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.6<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<10
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.7
を充足することを条件とする、請求項23に記載のニッケル基合金。
【請求項25】
ニッケル基合金の総重量を基準とする重量パーセンテージで、
1.7%~2.4%のアルミニウム;
0.5%~1.3%のチタン;
2.2%~2.9%のタンタル;
17%~21%のクロム;
7%~18%のコバルト;
6%より多く9.5%以下のモリブデン;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0~0.2%の炭素;
0~0.05%のホウ素;
0~1.5%の鉄;
0~2%のマンガン;
0~2%のバナジウム;
0~2%の銅;
0~1%のケイ素;
0~1%のジルコニウム;
0~1%のハフニウム;
0~1%のレニウム;
合計で0~1%の希土類元素;
ニッケル;および
不純物
からなる、請求項19に記載のニッケル基合金。
【請求項26】
ニッケル基合金の組成が下記:
2.7<{[Al]+0.56×[Ti]+0.29×[Nb]+0.15×[Ta]}<3.3
6<{[Mo]+0.52×[W]}<9.5
0.8≦{[Nb]+0.51×[Ta]}≦1.5
を充足することを条件とする、請求項25に記載のニッケル基合金。
【請求項27】
1.6%~2.5%のアルミニウム;
0.3%~1.4%のチタン;
2.2%~4%のタンタル;
16%~23%のクロム;
5%~20%のコバルト;
6%より多く10%以下のモリブデン;
0以上0.5%未満のニオブ;
0より多く0.5%未満のタングステン;
0~0.05%のホウ素
ニッケル;および
不純物
を含むニッケル基合金を含む、製造品。
【請求項28】
箔、シート、板、ワイヤー、ビレット、スラブ、鋳造物、粉末、熱交換器、ガスタービン移行ダクト、および積層造形部品からなる群から選択される、請求項27に記載の製造品。
【国際調査報告】