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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】個別化ワクチンの投与
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20240717BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240717BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240717BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61K39/00 Z
A61K48/00
A61K38/02
A61K31/711
A61K31/7105
A61P35/00
A61P37/04
A61K9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500482
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 IB2022056251
(87)【国際公開番号】W WO2023281418
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/218,896
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】坂口 奈央樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】寺居 和宏
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076CC07
4C076CC27
4C076FF68
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA03
4C084BA44
4C084DC50
4C084MA16
4C084MA66
4C084NA10
4C084ZB09
4C084ZB26
4C085AA03
4C085BA01
4C085BB01
4C085EE01
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA66
4C086NA10
4C086ZB09
4C086ZB26
(57)【要約】
本明細書では、対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造する方法が提供される。また、個別化ワクチンを対象に投与する方法が提供される。更に、点火器と取り外し可能なカートリッジとを有する注射器が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造する方法であって、
DNA、RNA、又はペプチドを含むワクチンを合成すること、及び
前記ワクチンを、注射器に装填されるように構成されたカートリッジに入れることを含む、方法。
【請求項2】
前記ワクチンが、ネオアンチゲンDNA、ネオアンチゲンRNA又はネオアンチゲンペプチドと、緩衝液とからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DNA、RNA又はペプチドが裸の核酸分子である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記DNA、RNA、又はペプチドが裸のRNAである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ワクチンが、合成後にそのままカートリッジにパッケージングされる、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記注射器が点火器を更に備え、前記点火器が点火すると、前記カートリッジの内容物が対象に注入される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
個別化されたワクチンを対象に投与する方法であって、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法に従って、前記対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造すること、前記カートリッジを前記注射器に装填すること、及び前記個別化ワクチンを前記注射器から前記対象に注入することを含む、方法。
【請求項8】
前記注射器が無針である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記注射器が点火器を更に備え、前記点火器が点火すると、前記カートリッジの内容物が対象に注入される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
対象における変異に関連する疾患を治療、改善又は予防する方法であって、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法に従って個別化ワクチンを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項11】
前記疾患が腫瘍(がん)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
点火器と取り外し可能なカートリッジとを備える注射器であって、前記取り外し可能なカートリッジが、DNA、RNA又はペプチドを含むワクチンを収容するように構成されている、注射器。
【請求項13】
前記ワクチンが、ナノ粒子、カチオン性脂質、脂質、アジュバント、免疫賦活遺伝子をコードするDNA、及びリポソームを含まない、請求項12に記載の注射器。
【請求項14】
前記DNA、RNA、又はペプチドが、裸の核酸分子である、請求項12又は13に記載の注射器。
【請求項15】
前記DNA、RNA、又はペプチドが、裸のRNAである、請求項12~14のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項16】
請求項7~11のいずれか一項に記載の方法に従って個別化ワクチンを対象に投与するための、請求項12~15のいずれか一項に記載の注射器の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ワクチン学における現在の医療慣行は、禁忌がない限り集団内の全ての人に同じワクチンセットを一様に投与するというものであり、このアプローチはいくつかの前提に基づいている。前提の1つは、原則的には誰もが抗体による防御レベル又は細胞性免疫を獲得し、関係のある副作用はほとんど生じさせずに同様に免疫応答する、というものである。このアプローチの大きな欠点は、疾患リスク、免疫応答における個人差や、反応原性についての何らかの遺伝的傾向、更には免疫形成に必要な投与量の差異を考慮していないことである。その一方で、免疫学、遺伝学、分子生物学、バイオインフォマティクスの進歩により、治療薬の選択と投与における個別化アプローチの価値が実証されてきている。
【0002】
また、ゲノミクス及びプロテオミクスにおける最近の進歩により、患者における疾患関連の変異が注目されている。例えば、腫瘍ミュータノームによって、全ての腫瘍が「ドライバー」変異及び「パッセンジャー」変異の固有のセットを有していることが明らかになっている。これらの観察は、個別化治療にユニークな機会をもたらしている。ネオアンチゲンなどの変異タンパク質を発現する腫瘍細胞は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に対して新しいエピトープを提示する。健常細胞と腫瘍細胞の両方で発現が見られる腫瘍関連抗原とは対照的に、ネオアンチゲンは腫瘍における変異から生じるため、全て腫瘍細胞に限定される。したがって、豊富なゲノムデータ及びプロテオミクスデータを活用して疾患に関連する変異に基づいた個別化戦略を開発する免疫療法は、健常組織を危険に曝すことなく、また免疫寛容メカニズムに制限されることなく、疾患に関与する細胞を高度に特異的に標的とすることを可能にする。
【0003】
過去数十年間で開発され、最適化された、DNAベースの遺伝子送達システムの報告に代表されるように、非ウイルス性遺伝子送達は、ウイルスベクターをベースとしたワクチンに伴う制限に、有望な解決策を提供する。マウスに、筋肉内経路、皮内経路、又は静脈内経路で裸のDNAプラスミドを直接注射することで、それぞれ筋肉組織、皮膚組織、及び肝臓組織に目的の遺伝子を導入することができるが、裸のDNAのin vivo導入の効率は、裸のDNAの化学的不安定性、ヌクレアーゼ作用に対する感受性、迅速なクリアランス、局所リンパ節への非効率的な送達によって制限される。リポソームとDNAとの複合体を形成させて導入を増加させるカチオン性脂質は広く使用されており、更に、経皮パッチのような新しいデリバリーシステムは、皮膚に存在する樹状細胞(skin-resident dendritic cells)を標的としたDNAプラスミドの送達を強化することができる。特にmRNAベースのワクチンでは、依然としてmRNAの化学的不安定性及び低い導入効率が治療効果の大きな障壁となっており、裸のmRNAのin vivoデリバリーは依然として困難である。
【発明の概要】
【0004】
DNA、RNA、ペプチド又はそれらのワクチンにおける不安定性の問題を解決するために、本開示は、一態様において、対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチン(packaged vaccine)を製造する方法であって、DNA、RNA又はペプチドを含むワクチンを合成すること、及び注射器に装填されるように構成されたカートリッジにワクチンを入れることを含む、方法を提供する。
【0005】
別の態様において、本開示はまた、本明細書に開示される方法に従って対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造すること、カートリッジを注射器に装填すること、及び個別化ワクチンを注射器から対象に注入することを含む、個別化ワクチンを対象に投与する方法を提供する。
【0006】
別の態様において、本開示は、本明細書に開示される方法に従って個別化ワクチンを対象に投与することを含む、対象における変異に関連する疾患を治療又は改善する方法を更に提供する。
【0007】
別の態様において、本開示は、点火器と取り外し可能なカートリッジとを備える注射器を更に提供する。いくつかの実施形態では、取り外し可能なカートリッジは、DNA、RNA又はペプチドを含むワクチンを収容するように構成されている。別の態様において、本開示は、本明細書に記載される方法に従って個別化ワクチンを対象に投与するための注射器の使用を提供する。別の態様において、本開示は、本明細書に記載される方法に従って、対象における腫瘍を治療又は改善するための注射器の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】例示的な注入圧力の推移を示す図である。
図1B】例示的な注入圧力の推移を示す図である。
図2】粉体燃焼に関連する燃焼圧力、密封された投与液にかかる圧力、及び注入圧力のそれぞれの推移を示す図である。
図3】本明細書に記載の注入による、GFPをコードする裸のmRNAの遺伝子発現亢進効果を示す図である。
図4】本明細書に記載の注入による、Lucをコードする裸のmRNAの遺伝子発現亢進効果を示す図である。
図5A】第1の変形例の注入圧力の推移を示す図である。
図5B】第1の変形例の注入圧力の推移を示す図である。
図6A】第2の変形例の注入圧力の推移を示す図である。
図6B】第2の変形例の注入圧力の推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の例示的な実施形態を詳細に説明する。ただし、本開示は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実施することができる。以下の実施形態は、当業者が本開示の実施形態を具体化し、実施することを可能にするために記載される。
【0010】
定義
【0011】
第1、第2などの用語は、多様な要素を説明するために使用され得るが、これらの要素は、これらの用語によって限定されない。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためにのみ使用される。例えば、例示的な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0012】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、例示的な実施形態を限定することを意図するものではない。単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。
【0013】
上記で使用した用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」及び/又は「含んでいる(including)」は、述べられた特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。技術用語及び科学用語を含む、本明細書で使用される全ての用語は、本発明の技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することができる。あらかじめ定義されている、一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味と同じ又は類似の意味を有することができ、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味に解釈されない。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、例えば、ヌクレオチド配列の長さ、誤差の程度、寸法、組成物中の原材料の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、及び圧力などの値、並びに、それらの範囲を修飾することを意味し、例えば、化合物、組成物、濃縮物又は使用製剤を作製するために使用される典型的な測定手順及び取り扱い手順;これらの手順における不注意による誤り;これらの方法を実施するために使用される出発物質又は原材料の製造、供給源、又は純度における差異;並びに同様の考慮事項によって生じ得る数量の変動を示す。「約」という用語はまた、例えば、特定の初期濃度又は混合物を有する組成物、製剤、又は細胞培養物のエイジングに起因して異なる量、及び特定の初期濃度又は混合物を有する組成物又は製剤の混合又は処理に起因して異なる量を包含する。「約」という用語によって修飾されるかどうかにかかわらず、本明細書に添付される特許請求の範囲は、これらの量の均等物を含む。「約」という用語は、記載された基準値に類似する値の範囲を更に指す場合がある。特定の実施形態では、「約」という用語は、記載された基準値から50%以下、25%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下の範囲内に含まれる値の幅を指す。
【0015】
概要
【0016】
添付図面を参照して、本開示の例示的な実施形態について以下に詳細に説明する。本開示の理解を助けるために、図の説明全体にわたって同様の参照数字は同様の要素を指し、同じ要素の説明は繰り返さない。
【0017】
一態様において、本開示は、対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造する方法であって、DNA、RNA又はペプチドを含むワクチンを合成すること、及び注射器に装填されるように構成されたカートリッジにワクチンを入れることを含む、方法を提供する。
【0018】
「ワクチン」という用語は、特定の疾患に対する免疫を誘導又は向上させる生物学的製剤を意味する。典型的には、ワクチンは、本発明の組成物が懸濁又は溶解されている従来の生理食塩水又は緩衝水溶液媒体を含む。この形態において、本発明の組成物は、感染症などの疾患又は障害を予防、改善、又は他の方法で治療するために好都合に使用することができる。宿主に導入されると、ワクチンは、抗体及び/若しくはサイトカインの産生、並びに/又はCD8+T細胞、抗原提示細胞、CD4+T細胞、及び/若しくは樹状細胞の活性化、並びに/又は他の細胞応答を含むがこれらに限定されない免疫応答を引き起こすことができる。
【0019】
特定の実施形態では、パッケージ化ワクチンとは、ワクチンが容器に入っていることを意味してもよく、容器は、ワクチンを対象に注射する注射器に後で接続することができる密封カートリッジであってもよい。特定の実施形態では、本明細書における「個別化」とは、ワクチンが特定の対象に適合化されて(tailored)おり、カートリッジ内のワクチンを当該特定の対象にデリバリーできるようにカートリッジにラベルが付されているか、又は構成されていることを意味する場合がある。「カートリッジ」という用語は、注射器に取り外し可能に取り付けられるように構成された注射器の要素を意味する。特定の実施形態では、注射器の可動部の機械的な動きは、カートリッジの外側、すなわち外部でカートリッジの動作を制御する。更なる実施形態では、カートリッジは、バルブの直線的な配置を備えており、このバルブは、針をカートリッジの膜分離要素に貫通させるか、又は気密接続を介するかのいずれかにより、注射器の別の部分を取り付けることができる開口形状を伴っている。バルブは、注射器の対応する可動ハンドルと嵌合する雄-雄部品接続を有してもよい。ハンドルの外部回転により、カートリッジが注射器に取り付けられたときにバルブの開閉を制御することができる。
【0020】
特定の実施形態では、本明細書のパッケージ化ワクチンは、密封され、投与時にのみ開封されてもよい。いくつかの実施形態では、ワクチンは、合成後にそのままカートリッジにパッケージングされる。いくつかの実施形態では、カートリッジは減圧されている。
【0021】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるワクチン中のDNA、RNA又はペプチドはDNAである。特定の実施形態では、本明細書に記載されるワクチンはDNAを含まず、ワクチンはDNA溶液ではない。
【0022】
DNAはデオキシリボ核酸の通常の略語である。DNAは、核酸分子、すなわちヌクレオチドからなるポリマーである。ヌクレオチドは、通常、デオキシアデノシン一リン酸、デオキシチミジン一リン酸、デオキシグアノシン一リン酸及びデオキシシチジン一リン酸のモノマーであり、これらのモノマー自体は糖部分(デオキシリボース)、塩基部分及びリン酸部分から構成され、重合して特徴的な骨格構造を形成する。骨格構造は、典型的には、第1のヌクレオチドの糖部分、すなわちデオキシリボースと、第2の隣接するモノマーのリン酸部分との間のホスホジエステル結合によって形成される。モノマーの具体的な順序、すなわち、糖/リン酸骨格に連結されている塩基の順序が、DNA配列と呼ばれる。DNAは、一本鎖又は二本鎖であってもよい。二本鎖形態では、第1の鎖のヌクレオチドは、典型的には、例えばA/T塩基対合及びG/C塩基対合によって、第2の鎖のヌクレオチドとハイブリダイズする。
【0023】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるDNA、RNA又はペプチドは、RNAである。RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー-基質RNA(Dicer-substrate RNA、dsRNA)、短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0024】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるDNA、RNA又はペプチドは、ペプチドである。ペプチド又はポリペプチドは、典型的には、アミノ酸モノマーがペプチド結合によって連結したポリマーである。ペプチドは、典型的には50未満のモノマー単位を含有する。しかしながら、ペプチドという用語は、50を超えるモノマー単位を有する分子を否定するものではない。長いペプチドはポリペプチドとも呼ばれ、典型的には50~600のモノマー単位を有する。
【0025】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるDNA、RNA又はペプチドは、RNAである。RNAは、リボ核酸の通常の略語である。RNAは、核酸分子、すなわちヌクレオチドからなるポリマーである。RNAのヌクレオチドは、通常、アデノシン一リン酸モノマー、ウリジン一リン酸モノマー、グアノシン一リン酸モノマー及びシチジン一リン酸モノマーであり、いわゆる骨格においてこれらのヌクレオチドが互いに連結されている。骨格は、第1の糖、すなわちリボースと、隣接する第2のモノマーのリン酸部分との間のホスホジエステル結合によって形成される。モノマーの特定の並びは、RNA配列と呼ばれる。通常、RNAは、例えば細胞内でのDNA配列の転写によって得ることができる。真核細胞では、転写は典型的には核又はミトコンドリア内で行われる。in vivoでは、DNAの転写により、通常、いわゆる未成熟RNAが生成され、この未成熟RNAがプロセシングを受けて、通常、mRNAと略されるいわゆるメッセンジャーRNAになる。例えば真核生物における未成熟RNAのプロセシングは、スプライシング、5’キャップの形成、及びポリアデニル化などの様々な異なる転写後修飾、核又はミトコンドリアからの輸送などを含む。これらのプロセスは、合わせて、RNAの成熟とも参照される。成熟メッセンジャーRNAは、通常、特定のペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列へと翻訳され得るヌクレオチド配列をもたらす。典型的には、成熟mRNAは、5’キャップ、5’-UTR、オープンリーディングフレーム、3’-UTR及びポリ(A)配列を含む。メッセンジャーRNAとは別に、転写及び/又は翻訳の調節に関与し得るノンコーディングRNAがいくつか存在する。
【0026】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるDNA、RNA又はペプチドは、mRNAである。mRNAは、天然若しくは非天然に存在する、あるいは修飾された、任意のペプチドなどの、目的の任意のペプチドをコードし得る。mRNAがコードするペプチドは、任意のサイズであってもよく、任意の二次構造又は活性を有していてもよい。更なる実施形態では、mRNAがコードするペプチドは、細胞内で発現したときに治療効果を有する場合がある。本明細書に記載されるRNA又はmRNAは、目的のペプチドをコードしているヌクレオシドが連結した第1の領域(例えば、コード領域)、第1の領域の5’末端に位置する第1のフランキング領域(例えば、5’-UTR)、第1の領域の3’末端に位置する第2のフランキング領域(例えば、3’-UTR)、少なくとも1つの5’キャップ領域、及び3’-安定化領域を含み得る。特定の実施形態では、RNA又はmRNAは、ポリ-A領域又はコザック配列を(例えば、5’-UTRに)更に含む。特定の実施形態では、RNA又はmRNAは、5’キャップ構造、鎖終結ヌクレオチド(chain terminating nucleotide)、ステムループ、ポリA配列、及び/又はポリアデニル化シグナルを含み得る。RNA又はmRNAの領域のいずれか1つは、1つ以上の代替成分(例えば、代替ヌクレオシド)を含んでもよい。例えば、3’-安定化領域は、L-ヌクレオシド、反転チミジン、若しくは2’-O-メチルヌクレオシドなどの代替ヌクレオシドを含有してもよく、かつ/又はコード領域、5’-UTR、3’-UTR、若しくはキャップ領域は、5-置換ウリジン(例えば、5-メトキシウリジン)、1-置換プソイドウリジン(例えば、1-メチル-プソイドウリジン若しくは1-エチル-プソイドウリジン)、及び/若しくは5-置換シチジン(例えば、5-メチル-シチジン)などの代替ヌクレオシドを含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるDNA、RNA又はペプチドは、裸の核酸分子である。「裸の」核酸分子とは、タンパク質、脂質、又は任意の他の、核酸分子を保護するのに役立つ分子、を伴わない核酸分子を指す。裸の核酸分子は、遺伝子工学に使用するために、又は遺伝子工学の結果として、実験室において産生され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるDNA、RNA又はペプチドは、裸のmRNAである。いくつかの実施形態では、カートリッジ中の裸のmRNAの量は、約0.1μg以上、約0.2μg以上、約0.3μg以上、約0.4μg以上、約0.5μg以上、約0.6μg以上、約0.7μg以上、約0.8μg以上、約0.9μg以上、約1μg以上、約5μg以上、約10μg以上、約20μg以上、約30μg以上、約40μg以上、約50μg以上又は約60μg以上である。更なる実施形態では、カートリッジ中の裸のmRNAの量は、約200μg以下、約190μg以下、約180μg以下、約170μg以下、約160μg以下、約150μg以下、約140μg以下、約130μg以下、約120μg以下、約110μg以下、約100μg以下、約90μg以下、約80μg以下、約70μg以下、約60μg以下、約50μg以下、約40μg以下、約30μg以下、約20μg以下、約10μg以下、約9μg以下、約8μg以下、約7μg以下、約6μg以下、約5μg以下、約4μg以下、約3μg以下、約2μg以下、約1μg以下である。更なる実施形態では、カートリッジ中の裸のmRNAの量は、約0.2μg~150μg、約50μg~100μg、約10μg~150μg、約30μg~100μg又は約20μg~110μgである。
【0028】
最近のワクチンデリバリーシステムの進歩にもかかわらず、ワクチンのin vivoデリバリーは依然として困難である。例えば、mRNAワクチンの場合、RNAのリボース(糖)骨格は、DNA中のデオキシリボース(糖)骨格とは異なり、加水分解されやすいため、循環血中におけるRNA分子の安定性は低下する。哺乳動物のmRNAは、平均して約2,000ヌクレオチド長であり、mRNAの骨格中に加水分解が1回生じるだけで、翻訳が妨げられる可能性がある。更に、体内に遍在するリボヌクレアーゼは、RNAの安定性を低下させ、また治療有効性を低下させる。しかしながら、本明細書に記載されるカートリッジを使用することにより、DNA、RNA若しくはペプチド、又はワクチン組成物に改変を加えなくても、個別化ワクチンが有効な(viable)状態で維持される可能性がある。いくつかの実施形態では、ワクチンはナノ粒子を含まない。いくつかの実施形態では、ワクチンはカチオン性脂質を含まない。いくつかの実施形態では、ワクチンはPEG脂質を含まない。いくつかの実施形態では、ワクチンはリン脂質を含まない。いくつかの実施形態では、ワクチンは脂質を含まない。いくつかの実施形態では、ワクチンはアジュバントを含む。いくつかの実施形態では、ワクチンはアジュバントを含まない。特定の実施形態では、アジュバントはポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリ(I.C))であってもよい。いくつかの実施形態では、ワクチンは、免疫賦活遺伝子をコードするDNAを含まない。いくつかの実施形態では、ワクチンはリポソームを含まない。いくつかの実施形態では、ワクチンは非ウイルス性である。いくつかの実施形態では、ワクチンは、DNA、RNA又はペプチドと、緩衝液とからなる。更なる実施形態では、緩衝液は生理食塩水であってもよい。
【0029】
特定の実施形態では、対象は、変異に関連する疾患を有する。本明細書における疾患は、遺伝子変異によって引き起こされる障害を含み得る。更なる実施形態では、本明細書に記載されるDNA、RNA又はペプチドは、変異を含む。
【0030】
本明細書に記載されるワクチンは、抗原DNA、抗原RNA又は抗原ペプチドを含む、治療ワクチンであってもよい。特定の実施形態において、本明細書に記載される抗原DNA又は抗原RNAは、抗原を発現する。本発明に関連して、「抗原」は、典型的には、免疫系によって、好ましくは適応免疫系によって認識され得、例えば、適応免疫応答の一部としての抗体及び/又は抗原特異的T細胞の形成による抗原特異的免疫応答を誘導することができる物質を指す。典型的には、抗原は、MHCによってT細胞に提示され得る、ペプチド若しくはタンパク質であってもよく、又はペプチド若しくはタンパク質を含んでもよい。本発明の意味では、抗原は、本明細書で定義されるようにもたらされた核酸分子の翻訳産物であってもよい。これに関連して、少なくとも1つのエピトープを含むペプチド及びタンパク質の断片、多様体、及び誘導体も抗原として理解される。特定の実施形態では、本明細書に記載される裸の核酸分子は、病原性抗原、腫瘍抗原、アレルゲン性抗原及び自己免疫抗原からなる群から選択される抗原を発現する。抗原は、感染症に関連する病原体由来であってもよい。抗原は、細菌、ウイルス、真菌及び原虫病原体からなる群から選択されてもよい。ワクチンは、例えば、国際公開第2022112498号、国際公開第2022049093号又は米国特許第15/304701号に開示されている方法に従って作製することができ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
いくつかの実施形態では、対象は腫瘍を有する。更なる実施形態では、DNA、RNA又はペプチドは、腫瘍特異的変異を含む。
【0032】
特定の実施形態では、抗原DNA、抗原RNA又は抗原ペプチドは、ネオアンチゲンDNA、ネオアンチゲンRNA又はネオアンチゲンペプチドであってもよい。腫瘍細胞の遺伝的不安定性により変異が発生する場合もあり、非同義変異が発現すると、ネオアンチゲンと呼ばれる腫瘍特異的抗原が産生される場合もある。ネオアンチゲンは正常組織では発現しないため、免疫原性が高い。ネオアンチゲンは、免疫応答を生じさせるCD4+及びCD8+T細胞の活性化能を有しており、腫瘍免疫療法の新たな標的として有望である。バイオインフォマティクス技術の発展により、ネオアンチゲンの同定が加速しており、様々なネオアンチゲンが同定されている。Castle, J. C. et al. Exploiting the Mutanome for Tumor Vaccination, Cancer Res. 72, 1081-1091 (2012); Yadav, M. et al. Predicting immunogenic tumour mutations by combining mass spectrometry and exome sequencing, Nature 515, 572-576 (2014); Gubin, M. M. et al. Checkpoint blockade cancer immunotherapy targets tumour-specific mutant antigens, Nature 515, 577-581 (2014); Kreiter, S. et al. Mutant MHC class II epitopes drive therapeutic immune responses to cancer, Nature 520, 692-696 (2015); Ott, P. A. et al. An immunogenic personal neoantigen vaccine for patients with melanoma, Nature 547, 217-221 (2017); Sahin, U. et al. Personalized RNA mutanome vaccines mobilize poly-specific therapeutic immunity against cancer, Nature 547, 222-226 (2017); Keskin, D. B. et al. Neoantigen vaccine generates intratumoral T cell responses in phase Ib glioblastoma trial, Nature 565, 234-239 (2019); Hilf, N. et al. Actively personalized vaccination trial for newly diagnosed glioblastoma, Nature 565, 240-245 (2019)。いくつかの実施形態では、抗原DNA、抗原mRNA又は抗原ペプチドは、ネオアンチゲンmRNAであってもよい。
【0033】
特定の実施形態では、抗原DNA、抗原RNA又は抗原ペプチドは、ネオアンチゲンDNA、ネオアンチゲンRNA又はネオアンチゲンペプチドであってもよく、カートリッジは、患者由来樹状細胞(DC)又は合成長鎖ペプチド(SLP)を含む追加のワクチンを更に収容してもよい。いくつかの実施形態では、抗原DNA、抗原RNA又は抗原ペプチドは、ネオアンチゲンmRNAであってもよい。腫瘍関連抗原(TAA)に暴露した患者由来DC(例えば、末梢血単球のex vivo分化から得られる)に基づく細胞療法では、該患者に該DCを注入して戻すことで、T細胞の活性化及び腫瘍細胞の殺傷を強化することができる。いくつかの実施形態では、カートリッジは、免疫チェックポイントタンパク質に特異的な遮断抗体を更に含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4)及び/又はプログラム細胞死受容体-1(PD-1)を含む。CTLA-4経路及びPD-1経路が介在する免疫抑制からT細胞を開放するよう設計されているこれらの抗体は、T細胞の強力かつ持続的(durable)な応答を促進することで腫瘍を排除し、がんを退縮させることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造する方法は、対象から採取された試料から変異を検出することを更に含む。更なる実施形態では、検出は、対象のゲノムDNA及び/又はゲノムRNAの全エクソームシーケンシングを含んでもよい。更なる実施形態では、検出は、対象のゲノム配列を、体細胞ゲノムの参照配列と比較することを含んでもよい。また更なる実施形態では、検出は、対象の腫瘍のDNA及び/又はRNAの全エクソームシーケンシングを含んでもよい。また更なる実施形態では、検出は、対象の腫瘍のゲノム配列を、体細胞ゲノムの参照配列と比較することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、試料は腫瘍生検試料である。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造する方法は、対象から採取された試料で検出された変異に基づいて、疾患に関連するDNA、RNA又はペプチドを同定することを更に含む。更なる実施形態では、同定は、プロテアソームによるプロセシングを予測することを含む。更なる実施形態では、同定は、MHCクラスI及びクラスII分子への結合親和性を予測することを含む。更なる実施形態では、同定は、免疫沈降させたペプチドの質量分析を含む。いくつかの実施形態では、試料は腫瘍生検試料である。
【0036】
例示的な検出及び同定方法は、Ott, P. A. et al. An immunogenic personal neoantigen vaccine for patients with melanoma, Nature 547, 217-221 (2017)、及び本明細書に引用される他の参考文献に記載されている。
【0037】
特定の実施形態では、対象は、感染症に対するワクチンを必要としている。いくつかの実施形態では、ワクチンは、Sars-CoV2を含むがこれに限定されないコロナウイルスに対する抗原特異的免疫応答を誘導する。特定の実施形態では、ワクチンは、例えば、John, S. et al. Multi-antigenic human cytomegalovirus mRNA vaccines that elicit potent humoral and cell-mediated immunity, Vaccine 36(12), 1689-1699 (2018)に記載されるmRNAを含むが、これらに限定されないサイトメガロウイルス(CMV)ワクチンである。
【0038】
特定の実施形態では、パッケージ化ワクチンは室温で保管される。更なる実施形態では、パッケージ化ワクチンは、2℃~8℃の温度で保管される。更なる実施形態では、パッケージ化ワクチンは、-10℃以下、-20℃以下、-30℃以下、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下、又は-70℃以下の温度で保管される。特定の実施形態では、パッケージ化ワクチンは、保管前又は保管後に、対象に投与される前に希釈されてもよい。
【0039】
一態様では、本開示は、本明細書に開示される方法に従って対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造すること、カートリッジを注射器に装填すること、及び個別化ワクチンを注射器から対象に注入することを含む、個別化ワクチンを対象に投与する方法を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される注射器は、カートリッジ及び点火器を備えてもよく、点火器が点火すると、カートリッジの内容物が対象に注入される。
【0041】
いくつかの実施形態では、注射器は無針である。特定の実施形態では、注射器は、無針注射器であってもよく、該無針注射器は、本明細書に記載されるカートリッジと、点火直後の燃焼時にはプラズマを発生させ、その後常温となり燃焼生成物が凝縮すると燃焼生成物に気体成分が含まれない、又は凝縮前と比べて燃焼生成物に含まれる気体成分量が減少することで発生圧力が低下する圧力特性を示す点火剤を含む点火器と、点火器での点火剤の燃焼により加圧されたワクチンが流れ、該ワクチンが注入対象領域に対して吐出される吐出口を有するノズル部と、を備える。更なる実施形態では、加圧時の燃焼生成物の温度は、ワクチンを吐出するための加圧プロセスにおいて、点火剤の燃焼によってワクチンに掛かる圧力が最初のピーク吐出力を迎えてから20msec以内に、常温近傍まで変化する。更なる実施形態では、加圧時の燃焼生成物の温度は、点火剤の燃焼によってDNA溶液に掛かる圧力が最初のピーク吐出力を迎えてから10msec以内に、常温近傍まで変化する。特定の実施形態では、注射器は、注射器本体から、所定の構造物が注入対象内に挿入された状態での所定の構造物を介した注入を行うことなく、ワクチンを注入対象に注入する注射器であってもよい。更なる実施形態では、注射器は、カートリッジと、生体分子含有溶液が流れて注入対象に注入される注入口を含むノズル部とを備え、溶液は、点火器における点火薬の燃焼によって加圧される。更なる実施形態では、生体分子含有溶液の注入開始時間から0.20msの時間までの生体分子含有溶液の最大注入速度は、75m/s~150m/sであり、75m/s~150m/sの生体分子含有溶液の注入速度は、0.11ms以上持続する。
【0042】
特定の実施形態では、例示的な注射器、及び該注射器を使用する方法は、米国特許出願公開第2018/0168789号、同第2018/0369484号、及び/又は同第2021/0023302号に記載されるものであってもよく、これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
特定の実施形態では、本明細書に記載される対象はヒトである。特定の実施形態では、本明細書に記載される対象はヒトではない。特定の実施形態では、本明細書に記載される対象はげっ歯類である。特定の実施形態では、本明細書に記載される対象は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、魚類、両生類、又は無脊椎動物である。
【0044】
本明細書に記載されるように、ワクチンの不安定性は、対象においてワクチンのDNA又はRNAを発現させる際の課題である。ワクチンを注入する方法により、対象への注入時にDNA又はRNAの発現を増加させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される注入は、2段階注入プロファイルを示す。本明細書における「2段階注入プロファイル」とは、注入時に、注入圧力の少なくとも2つの段階が経時的に測定されることを意味する。「2段階注入プロファイルの第1段階」は、測定された第1段階を指し、「2段階注入プロファイルの第2段階」は、第1段階の直後に測定された第2段階を指す。
【0045】
2段階注入プロファイルは、例えば、異なる圧力源によって得られてもよく、例示的な2段階注入プロファイルは、図1A及び図1Bに示される通りである。
【0046】
図1A及び図1Bは、本明細書に記載されるワクチンに加えることができる圧力(以下、単に「注入圧力」という)の例示的な推移を示す注入プロファイルである。図1A及び図1Bにおいて、横軸は経過時間をミリ秒(msec)で表し、縦軸は注入圧力をMPaで表している。また、注入圧力は、従来技術を使用して測定することができる。例えば、特開2005-21640号に記載された測定方法と同様に、ノズルの下流側に配置されたロードセルのダイアフラムに注入力を分散して加え、ロードセルからの出力を、検出アンプを介してデータサンプリング装置でサンプリングし、サンプリングした出力を、単位時間当たりの注入力(N)として記憶する方法により、注入力を測定することができる。このようにして測定された注入力を注射器の注入口の面積で割ることにより、注入圧力が算出される。
【0047】
特定の実施形態では、注入圧力の推移、したがって注入プロファイルは、点火器内に異なる点火薬材料を採用することによって変えることができる。例えば、点火薬材料としては、ジルコニウムと過塩素酸カリウムとを含有する火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムとを含有する火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムとを含有する火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムとを含有する火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスとを含有する火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンとを含有する火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅とを含有する火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄とを含有する火薬(AFO)、及びこれらの火薬のうち複数の組み合わせからなる火薬、を挙げることができる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させ、かつ燃焼生成物が常温に達して凝縮すると、該燃焼生成物はガス成分を有しないので、発生した圧力が直ちに低下するという特性を示し得る。適切な投与が可能であれば、上記以外の火薬を点火薬材料として使用してもよい。
【0048】
特定の実施形態では、点火器により燃焼生成物へと燃焼して気体を発生する、様々な気体発生剤を採用することで、注入圧力ひいては注入プロファイルの推移を調整することもできる。ガス発生剤は、点火器からの燃焼生成物に曝されてもよい。点火器の内部に配置されるガス発生剤は、国際公開第2001/031282号や特開2003-25950号に開示されているように、既に公知である。また、ガス発生剤の例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。更に、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。ガス発生剤を配置する際に、ガス発生剤の寸法や大きさ、形状、特に表面プロファイルを調整することにより、ガス発生剤の燃焼完了時間を変化させることができ、これにより、投与液にかかる圧力推移を調整して、投与液の所望の注入圧力推移を実現することができる。
【0049】
本明細書に記載される2段階注入プロファイルは、点火によって生成される注入圧力プロファイルに限定されない。本明細書に記載される2段階注入プロファイルは、他の方法によって、例えば、ワクチンにかかるガス体積及び/又は速度を制御することによって達成され得る。
【0050】
例えば、図1A及び図2Bに示される注入プロファイルは、点火薬材料の最初の点火に基づく第1段階と、上述のガス発生剤に基づく1つのピークを有する第2段階とを示す。本実施例における第1段階は、4つの振動要素(vibration element)(すなわち、S1~S4)を含み、各振動要素は、振動ピークの前後に2つの極小値を有する。1つの振動要素は、振動ピーク後にある、後方の極小値で終了する。
【0051】
いくつかの実施形態では、2段階注入プロファイルは、注入から約15msec以内、約14msec以内、約13msec以内、約12msec以内、約11msec以内、約10msec以内、約9msec以内、約8msec以内、約7msec以内、約6msec以内、約5msec以内、約4.5msec以内、約4msec以内、約3.5msec以内、約3msec以内、約2.5msec以内、約2msec以内、約1.5msec以内、約1msec以内又は約0.5msec以内に少なくとも2つのピークを有する。本明細書における「注入から」という用語は、ワクチンに圧力を加え始めた時点から、及び/又はワクチンに対する圧力の増加が検出された時点から開始することを意味し得る。特定の実施形態では、2段階注入プロファイルは、注入から約5msec以内、約4msec以内、約3msec以内、約2msec以内、約1msec以内、約0.9msec以内、約0.8msec以内、約0.7msec以内、約0.6msec以内、約0.5msec以内、約0.4msec以内、約0.3msec以内、約0.2msec以内又は約0.1msec以内に第1のピークを有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される2段階注入プロファイルは、複数の振動要素を含む第1段階を含んでもよく、各振動要素は、振動ピーク、及び振動ピークの前後における2つの極小値を有する。いくつかの実施形態では、振動要素の全振幅は時間とともに減少する。いくつかの実施形態では、上述の少なくとも2つのピークは振動ピークである。いくつかの実施形態では、上述の2段階注入プロファイルの第1のピークは、振動ピークである。
【0053】
図1Aは、注射器のスタートボタンが押された時点での燃焼開始から約40msecの間の注入圧力の推移を示す例示的な注入プロファイルを示し、図1Bは、図1Aに示す圧力推移のうち最初(原点から約10msec)の注入圧力の推移を拡大して示している。また、注入圧力の立ち上がりは原点ではなく、5msec付近で発生している。これは、点火薬材料が燃焼し、点火薬の燃焼エネルギーによってピストンが押し出され、ワクチンが加圧されるのに一定の時間が必要なためである。図1A及び図1Bに示される例示的な注入圧力の推移では、立ち上がりタイミングT0からその後約2msecまでの所定の時間Δtに複数の圧力振動要素S1~S4が存在し、所定の時間Δtが経過すると圧力振動は概ね収束する。また、本実施形態では、圧力振動における注入圧力の上昇と下降の1サイクルを1つの圧力振動要素として扱うこととする。
【0054】
特定の実施形態では、2段階注入プロファイルは、約15msec以内、約14msec以内、約13msec以内、約12msec以内、約11msec以内、約10msec以内、約9msec以内、約8msec以内、約7msec以内、約6msec以内、約5msec以内、約4msec以内、約3msec以内、約2msec以内、約1.9msec以内、約1.8msec以内、約1.7msec以内、約1.6msec以内、約1.5msec以内、約1.4msec以内、約1.3msec以内、約1.2msec以内、約1.1msec以内、約1.0msec以内、約0.9msec以内、約0.8msec以内、約0.7msec以内、約0.6msec以内、約0.5msec以内、約0.4msec以内、約0.3msec以内、約0.2msec以内又は約0.1msec以内に第1段階を完了する(例えば、第1段階は、例えば、最後の振動要素の後の極小値において、及び/又は第2段階の開始時に完了する)。
【0055】
図1A及び図1Bにおいて、立ち上がりタイミングT0から所定の時間Δtの間に、最初に圧力振動要素S1(以下、「第1の振動要素S1」という)が発生し得る。第1の振動要素S1は、立ち上がりタイミングT0における注入圧力(本実施例では、約0MPa)から開始して次の極小値が到来するまでの、ピーク値Px1(本実施例では、約45MPa)を含む期間の注入圧力推移である。また、第1の振動要素S1の全振幅は、本実施例では約45MPaである。第1の振動要素S1の後には、更に第2の振動要素S2、第3の振動要素S3、第4の振動要素S4が続く。立ち上がりタイミングT0から振動要素の最後の極小値(例えば、最後の振動要素終了時にある、後方の極小値)が到達するまでを「第1段階」と呼ぶ。第2の振動要素S2は、第1の振動要素S1が終了したタイミングから次の極小値が到来するまでの、ピーク値Px2(本実施例では約37MPa)を含む期間の注入圧力推移である。第1の振動要素終了時の極小値の最後から次の極小値が到来するまでの、ピーク値Px2を含む期間を「第2の振動要素」と呼ぶ。また、第2の振動要素S2の最小の極小値から第2の要素のピークまでの全振幅は、本実施例では約10MPaである。第3の振動要素S3及び第4の振動要素S4についても、各振動要素を画定する期間及び各振動要素の全振幅は第2の振動要素S2と同様であり、その詳細な説明は省略するが、第3の振動要素S3の全振幅及び第4の振動要素S4の全振幅は、時間の経過とともに減少している。すなわち、所定の時間Δtの間は、圧力推移は時間の経過とともに減衰振動となり、所定の時間Δtの経過後は、圧力推移は振動が多少収束した状態となる。
【0056】
いくつかの実施形態では、2段階注入プロファイルの少なくとも1つの段階における振動要素の全振幅は、経時的に減少する。いくつかの実施形態では、2段階注入プロファイルにおける第1段階の振動要素の全振幅は、経時的に減少する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される2段階注入プロファイルの第1のピークは、約0.5MPa以上、約1MPa以上、約2MPa以上、約3MPa以上、約4MPa以上、約5MPa以上、約6MPa以上、約7MPa以上、約8MPa以上、約9MPa以上、約10MPa以上、約11MPa以上、約12MPa以上、約13MPa以上、約14MPa以上、約15MPa以上又は約16MPa以上である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される2段階注入プロファイルの第1のピークは、約50MPa未満、約49MPa未満、約48MPa未満、約47MPa未満、約46MPa未満、約45MPa未満、約44MPa未満、約43MPa未満、約42MPa未満、約41MPa未満、約40MPa未満、約39MPa未満、約38MPa未満、約37MPa未満、約36MPa未満、又は約35MPa未満である。
【0058】
2段階注入プロファイルの第1のピークは、2段階注入の第1段階における最も高いピークであってもよい。2段階注入プロファイルの第1のピークは、2段階注入の第1段階における最も高い振動ピークであってもよく、第1段階の後の振動要素は、例えば、図1A及び図1Bに示されるように、高さがより低いピークを有してもよい。2段階プロファイルにおける第1段階の最も高いピークの高さ及び/又は第1のピークの高さは、ワクチンが投与される対象組織に応じてあらかじめ決定又は調整することができる。臓器及び脆弱病変への直接投与の場合、例えば、2段階注入プロファイルにおいて、第1段階の最も高いピーク及び/又は第1のピークは約0.5MPa以上、約1MPa以上、約2MPa以上、約3MPa以上、約4MPa以上又は約5MPa以上であってもよい。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第1段階の最も高いピーク及び/又は第1のピークは約20MPa未満、19MPa未満、18MPa未満、17MPa未満、16MPa未満、15MPa未満、14MPa未満、13MPa未満、12MPa未満、11MPa未満、10MPa未満、9MPa未満、8MPa未満、7MPa未満、6MPa未満、又は5MPa未満である。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第1段階の最も高いピーク及び/また第1のピークは0.5MPa~20MPa、0.5MPa~15MPa、又は0.5MPa~5MPaである。経皮注射の場合、例えば、2段階注入プロファイルにおいて、最も高いピーク及び/又は第1のピークは約15MPa以上、約16MPa以上、約17MPa以上、約18MPa以上、約19MPa以上、約20MPa以上、約21MPa以上、約22MPa以上、約23MPa以上、約24MPa以上、約25MPa以上、約26MPa以上、約27MPa以上、約28MPa以上、約29MPa以上、約30MPa以上、約31MPa以上、約32MPa以上、約33MPa以上、約34MPa以上、約35MPa以上、約36MPa以上、約37MPa以上、約38MPa以上、約39MPa以上、約40MPa以上、約41MPa以上、約42MPa以上、約43MPa以上、約44MPa以上又は約45MPa以上である。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第1段階の最も高いピーク及び/又は第1のピークは約50MPa未満、約49MPa未満、約48MPa未満、約47MPa未満、約46MPa未満、約45MPa未満、約44MPa未満、約43MPa未満、約42MPa未満、約41MPa未満、約40MPa未満、約39MPa未満、約38MPa未満、約37MPa未満、約36MPa未満、又は約35MPa未満である。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第1段階の最も高いピーク及び/又は第1のピークは、15MPa~50MPa、30MPa~36MPa、又は20MPa~36MPaである。
【0059】
代替的に、図5A図5B図6A及び図6Bに示されるように、2段階注入プロファイルにおける最も高いピークは、2段階注入の第2段階にあってもよい。2段階プロファイルにおける第1段階及び第2段階の最も高いピークの高さは、ワクチンが投与される対象組織に応じてあらかじめ決定又は調整することができる。例えば、2段階注入プロファイルにおいて、第1段階の最も高いピークは、約0.5MPa以上、約1MPa以上、約2MPa以上、約3MPa以上、約4MPa以上、約5MPa以上、約6MPa以上、約7MPa以上、約8MPa以上、約9MPa以上、約10MPa以上、約11MPa以上、約12MPa以上、約12MPa以上、約14MPa以上、又は約15MPa以上であってもよい。また、第1段階の最も高いピークは、50MPa未満、45MPa未満、40MPa未満、39MPa未満、38MPa未満、37MPa未満、36MPa未満、又は35MPa未満であってもよい。更に、2段階注入プロファイルにおいて、第2段階の最も高いピークは、約10MPa以上、約12MPa以上、約14MPa以上、約16MPa以上、約20MPa以上、約21MPa以上、約22MPa以上、約23MPa以上、約24MPa以上、約25MPa以上、約26MPa以上、又は約27MPa以上であってもよい。また、第1段階の最も高いピークは、80MPa未満、75MPa未満、70MPa未満、68MPa未満、66MPa未満、65MPa未満、64MPa未満、63MPa未満、62MPa未満、61MPa未満、又は60MPa未満であってもよい。
【0060】
特定の実施形態では、第1の振動要素S1のピーク値から第2の振動要素S2のピーク値までの算出された期間は、約1msec以内、約0.9msec以内、約0.8msec以内、約0.7msec以内、約0.6msec以内、約0.5msec以内、約0.4msec以内、又は約0.3msec以内である。特定の実施形態では、第2の振動要素S2のピーク値から第3の振動要素S3のピーク値までの算出された期間は、約1.1msec以内、約1msec以内、約0.9msec以内、約0.8msec以内、約0.7msec以内、約0.6msec以内、約0.5msec以内、約0.4msec以内、又は約0.3msec以内である。収束状態に達する直前の周期は若干短くてもよいが、注入圧力の推移は、所定の時間Δt内において概ね一定の周期で起こり得る。特定の実施形態では、所定の時間Δtにおける注入圧力の推移は、約2200Hz以下、約2100Hz以下、約2000Hz以下、約1900Hz以下、約1800Hz以下又は約1700Hz以下の周波数の圧力振動であってもよい。特定の実施形態では、圧力振動は、約1500Hz以上、約1600Hz以上、約1700Hz以上、約1800Hz以上、約1900Hz以上、又は約2000Hz以上の周波数の振動であってもよい。2段階注入プロファイルの第2段階が第1段階よりも高い場合、2段階プロファイルの第1段階中に注入圧力の振動がある必要はない場合がある。例えば、第2段階の最も高いピークにおける圧力が、第1段階の最も高いピークにおける圧力の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、又は7倍である場合、ワクチンの注射に第1段階の振動は必要ない。同様に、第1段階が第2段階よりも高いピークを有する場合、2段階注入プロファイルの第1段階中に注入圧力の振動がある必要はない場合がある。
【0061】
特定の実施形態では、所定の時間Δtにおける圧力変動は、本明細書に記載される点火器の点火薬材料の燃焼に起因し得る。また、所定の時間Δtが経過したタイミング付近では、点火薬材料の燃焼生成物によって注射器内のガス発生剤の燃焼が開始し、その燃焼エネルギーが更にワクチンに作用し始める場合がある。その結果、図1Aに示す例では、所定の時間Δt経過後に注入圧力が再び上昇し、約18msecのタイミングで「第2段階の最も高いピーク」と呼ばれるピーク値Pvが到来する。また、その後、注入圧力は時間の経過とともに徐々に低下する。ガス発生剤の燃焼速度は、点火薬材料の燃焼速度よりも遅い場合があるため、ガス発生剤の燃焼による注入圧力の上昇速度も相対的に遅くなる場合がある。特定の実施形態では、ガス発生剤の燃焼は、注入から約8msec前、約7.5msec前、約7msec前、約6.5msec前、約6msec前、約5.5msec前、約5msec前、約4.5msec前、約3msec前、約3.5msec前、約3msec前、約2.5msec前、約2msec前、約1.5msec前又は約1msec前に開始してもよい。特定の実施形態では、ガス発生剤の燃焼のピークPy又は第2段階の最も高いピークは、注入から約30msec前、約29msec前、約28msec前、約27msec前、約26msec前、約25msec前、約24msec前、約23msec前、約22msec前、約21msec前、約20msec前、約19msec前、約18msec前、約17msec前、約16msec前、約15msec前、約14msec前、約13msec前、約12msec前、約11msec前、又は約10msec前に現れてもよい。特定の実施形態では、ガス発生剤の燃焼のピークPy又は第2段階の最も高いピークは、注入から約7msec後、約8msec後、約9msec後、約10msec後、約11msec後、約12msec後、約13msec後、約14msec後、約15msec後、約16msec後、約17msec後、約18msec後、約19msec後又は約20msec後に現れてもよい。特定の実施形態では、2段階注入プロファイルは、注入から約30msec前、約29msec前、約28msec前、約27msec前、約26msec前、約25msec前、約24msec前、約23msec前、約22msec前、約21msec前、約20msec前、約19msec前、約18msec前、約17msec前、約16msec前、約15msec前、約14msec前、約13msec前、約12msec前、約11msec前、約10msec前、約9msec前、約8msec前、約7msec前、約6msec前、約5msec前又は約4msec前に第2段階の少なくとも1つのピークを有する。特定の実施形態では、2段階注入プロファイルは、注入から約7msec後、約8msec後、約9msec後、約10msec後、約11msec後、約12msec後、約13msec後、約14msec後、約15msec後、約16msec後、約17msec後、約18msec後、約19msec後又は約20msec後に第2段階の少なくとも1つのピークを有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、2段階注入プロファイルは、1つのピークのみを有する第2段階を含んでもよい。
【0063】
2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークの高さは、ワクチンが投与される対象組織に応じてあらかじめ決定又は調整することができる。特定の実施形態では、臓器及び脆弱病変への直接投与の場合、2段階注入プロファイルにおいて、第2段階の最も高いピークは、約0.1MPa以上、約0.2MPa以上、約0.3MPa以上、約0.4MPa以上、約0.5MPa以上、約0.6MPa以上、約0.7MPa以上、約0.8MPa以上、約0.9MPa以上、約1MPa以上、約2MPa以上、約3MPa以上、約4MPa以上、約5MPa以上、約6MPa以上、約7MPa以上、約8MPa以上、約9MPa以上、又は約10MPa以上である。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第2段階の最も高いピークは、約15MPa未満、約14MPa未満、約13MPa未満、約12MPa未満、約11MPa未満、約10MPa未満、約9MPa未満、約8MPa未満、約7MPa未満、約6MPa未満、約5MPa未満、約4MPa未満、約3MPa未満、2MPa未満又は約1MPa未満である。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第2のピークは、約0.1MPa~約15MPa、約1MPa~約10MPa、又は約3MPa~約6MPaである。特定の実施形態では、経皮注射の場合、2段階注入プロファイルにおいて、第2段階の最も高いピークは、約20MPa以上、約21MPa以上、約22MPa以上、約23MPa以上、約24MPa以上、約25MPa以上、約26MPa以上、約27MPa以上、約28MPa以上、約29MPa以上、約30MPa以上、約31MPa以上、約32MPa以上、約33MPa以上、約34MPa以上又は約35MPa以上である。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第2段階の最も高いピークは、約45MPa未満、約44MPa未満、約43MPa未満、約42MPa未満、約41MPa未満、約40MPa未満、約39MPa未満、約38MPa未満、約37MPa未満、約36MPa未満、約35MPa未満、約34MPa未満、約33MPa未満、約32MPa未満、約31MPa未満、約30MPa未満又は約29MPa未満である。更なる実施形態では、2段階注入プロファイルにおいて、第2段階の最も高いピークは、30MPa~40MPa、30MPa~36MPa、又は20MPa~36MPaである。更なる実施形態では、第1段階の最も高いピークは、10.0MPa~38.0MPaの範囲であってもよく、第2段階の最も高いピークは、25.0MPa~64.0MPaの範囲であってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークは、2段階プロファイルの第1段階の最も高いピークよりも低い。特定の実施形態において、2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークは、2段階プロファイルの第1段階の第1のピークよりも低い。いくつかの実施形態では、2段階プロファイルの第1段階の最も高いピークは、2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークよりも低い。特定の実施形態において、2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークは、2段階プロファイルの第1段階の第1のピークよりも高い。
【0065】
特定の実施形態では、注射は、注入から約400msec以内、約450msec以内、約300msec以内、約250msec以内、約200msec以内、約150msec以内、又は約100msec以内に完了する。
【0066】
いくつかの実施形態では、注射は経皮注射である。いくつかの実施形態では、注入は経皮注射を含まない。
【0067】
いくつかの実施形態では、注射は筋肉注射である。いくつかの実施形態では、注射は皮下注射である。いくつかの実施形態では、注射は皮内注射である。いくつかの実施形態では、注射は病巣内注射である。特定の実施形態では、ワクチンは、例えば手術中に、目的の特定の臓器に注射され得る。いくつかの実施形態では、注射は腫瘍内注射である。いくつかの実施形態では、注射は節内注射である。いくつかの実施形態は、節内注射を含まない。いくつかの実施形態では、注射はリンパ内注射である。
【0068】
いくつかの実施形態では、対象に注射される個別化ワクチン中のmRNAの量は、約0.1μg以上、約0.2μg以上、約0.3μg、約0.4μg以上、約0.5μg以上、約0.6μg以上、約0.7μg以上、約0.8μg以上、約0.9μg以上、約1μg以上、約5μg以上、約10μg以上、約20μg以上、約30μg以上、約40μg以上、約50μg以上又は約60μg以上である。更なる実施形態では、対象に注射される個別化ワクチン中のmRNAの量は、約200μg以下、約190μg以下、約180μg以下、約170μg以下、約160μg以下、約150μg以下、約140μg以下、約130μg以下、約120μg以下、約110μg以下、約100μg以下、約90μg以下、約80μg以下、約70μg以下、約60μg以下、約50μg以下、約40μg以下、約30μg以下、約20μg以下、約10μg以下、約9μg以下、約8μg以下、約7μg以下、約6μg以下、約5μg以下、約4μg以下、約3μg以下、約2μg以下、約1μg以下である。更なる実施形態では、対象に注射される個別化ワクチン中のmRNAの量は、約0.2μg~約150μg、約50μg~約100μg、約10μg~約150μg、約30μg~約100μg、又は約20μg~約110μgである。
【0069】
一態様において、本開示は、本明細書に開示される方法に従って対象に個別化ワクチンを投与することを含む、対象における変異に関連する疾患を治療又は改善する方法を更に提供する。いくつかの実施形態では、疾患は腫瘍(がん)である。
【0070】
一態様において、本開示は、点火器と取り外し可能なカートリッジとを備える注射器を更に提供する。注射器は、上述の注射器であってもよい。いくつかの実施形態では、取り外し可能なカートリッジは、本明細書に記載されるワクチン、又はDNA、RNA若しくはペプチドを収容するように構成されている。いくつかの実施形態では、注射器は針を備えない。いくつかの実施形態では、注射器はばねを備えない。いくつかの実施形態では、注射器は細胞内への運搬用に構成される。
【0071】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載される方法に従って個別化ワクチンを対象に投与するための該注射器の使用を提供する。別の態様において、本開示は、本明細書に記載される方法に従って、対象における腫瘍を治療又は改善するための注射器の使用を提供する。
【実施例
【0072】
材料
ダルベッコ-リン酸緩衝水溶液(ナカライテスク社製、D-PBS)
TE緩衝液pH8.0(ナカライテスク社製)
PBS-Tablet(タカラバイオ社製)
水(ナカライテスク社製)
裸のmRNA GFP(CleanCap(登録商標)EGFP mRNA、TriLink社製)
裸のmRNA_Luc(TriLink社製、CleanCap(登録商標)FLuc mRNA)
裸のmRNA_U修飾_Luc(TriLink社製、CleanCap(登録商標)FLuc mRNA(5 MoU))
Passive Lysis Buffer 5X(Promega社製)
ルシフェラーゼアッセイ(Promega社製、ルシフェラーゼアッセイシステム)
C57BL/6マウス及びBALB/cマウスは、Claire Japanから購入した。
【0073】
使用した機器
冷却遠心機(Tomy社製MDX-300)
オートクレーブ(Tomy社製、LSX-700)
8mm生検トレパン(biopsy pouch)(カイインダストリーズ社製、8mm生検トレパン)
ルミノメーター(キッコーマン社製、C-100N)
【0074】
まず、本発明のデバイス(the device)を用いてmRNAを生体に投与して、投与したmRNAの遺伝子発現が亢進するか否かを、GFPをコードするmRNA(裸のmRNA GFP)により評価した。投与には10週齢の雄性BALB/cマウスを用い、投与6時間後に安楽死させデータ収集を行った。投与には、ノズル径0.1mmの容器にZPP点火材30mg、GGガス発生材30mgを入れたデバイスを使用した。1回の投与量は20μLとし、mRNAは0.01~0.5mg/mL(0.2~10μg/ショット)とした。投与部位の皮膚を松浪硝子工業製ガラスボトムディッシュに貼り付け、KEYENCE社製蛍光顕微鏡BZ-X710により遺伝子発現を観察した。
【0075】
その結果、30Gの注射針を用いて投与した場合、いずれのmRNAの量においても、わずかな量の遺伝子発現しか得られなかった。一方、デバイスを用いて投与した場合には、0.01~0.5mg/mLのいずれのmRNA量においても、投与皮膚において遺伝子発現が確認された(図3)。使用したmRNAの量に応じて、遺伝子発現レベルに対応する蛍光強度が増加し、投与したmRNAが遺伝子発現していることが確認された。デバイスでは、わずか0.01mg/mLという少量でも裸のmRNAの遺伝子発現が確認されたことから、デバイスを用いた効率的なmRNA細胞質導入とその後の遺伝子発現が得られた。
【0076】
30Gの注射針とデバイスとでGFPの蛍光強度を比較すると、デバイスを用いたものは、0.01~0.5mg/mLのいずれのmRNA量においても明らかに強い蛍光を示した(図3)。これらの結果から、デバイスは、裸のmRNAの遺伝子発現を注射針よりも誘導しやすいことが確認され、デバイスを用いた遺伝子発現亢進効果が確認された。
【0077】
(2)LucをコードするmRNAに対する、デバイスによる遺伝子発現亢進効果
【0078】
異なるタンパク質であるLucをコードするmRNA(裸のmRNA Luc)について、デバイスによる遺伝子発現亢進効果を評価した。投与には10週齢の雄性BALB/cマウスを用い、投与6時間後に安楽死させデータ収集を行った。投与には、ノズル径0.1mmの容器にZPP点火材30mg、GGガス発生材30mgを入れたデバイスを使用した。1回の投与量は20μLとし、mRNAは0.01~0.1mg/mL(0.2~2μg/ショット)とした。遺伝子発現のために、8mm生検トレパンを使用して投与部位の皮膚をサンプリングし、5倍希釈したPassive Lysis Buffer 5Xを使用してライセートを調製した。次いで、Promega社製ルシフェラーゼアッセイシステムとキッコーマン社製ルミノメーターC-100Nを用いて、10秒間に発光したルシフェラーゼ量を測定し、遺伝子発現を評価した。
【0079】
その結果、GFPの場合と同様、30Gの注射針を用いて投与した場合、いずれのmRNA量においても、わずかな量の遺伝子発現しか得られなかった。一方、デバイスを用いて投与したものでは、高い遺伝子発現が確認された(図4)。デバイスによる遺伝子発現亢進効果を評価するために、30Gの注射針とデバイスとで遺伝子発現レベルを比較したところ、0.01mg/mL mRNAではデバイスの方が約2,300倍、0.1mg/mL mRNAではデバイスの方が約300倍高かった(図4)。LucをコードするmRNAにおいても、デバイスを用いることによる遺伝子発現亢進効果が確認された。
【0080】
このように、GFPやLucなどの複数のレポータータンパク質においてデバイスによる遺伝子発現亢進効果が確認されたことから、デバイスによる遺伝子発現はmRNAにコードされている遺伝子配列に依存しないことが明らかになった。このことから、任意の遺伝子をコードするmRNAで、デバイスによる遺伝子発現亢進効果を得ることができると考えられる。
【0081】
(3)注射器の代替注入圧力プロファイル-実施例1
【0082】
ノズル径0.5mmの注射器に水150μLを充填し、点火薬燃焼による水への加圧時から注射後までの注射器内注入圧力を評価した。爆薬には、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含有する爆薬(ZPP)55mgを使用し、ガス発生剤は、シングルベース無煙爆薬(以下、「GG」という場合がある)40mgを使用した。
【0083】
注入圧力の測定は、特開2005-21640号の測定方法のように、注入力を、ノズルの下流側に配置されたロードセルのダイアフラムに分散して加えるようにし、ロードセルからの出力は、検出増幅器を介してデータ採取表示装置にて採取されて、時間毎の注入力(N)として表示・記憶する方法を用いて測定し、注入力(N)をノズルポートの面積で割ることにより、注入圧力を算出した。東京計器研究所製のCLS-2NAを用いて測定値を得た。合計30回の測定を行った。
【0084】
30回の測定のうち、2段階プロファイルの第2段階の最も高いピーク及び最も低いピークが検出された2回の測定を図5A及び図5Bに示す。全30回の測定において第2段階のピークがより高く、第1段階及び第2段階の平均ピーク圧力はそれぞれ4.574MPa及び9.598MPaであった。平均して、第1段階及び第2段階のピークは、点火後5.230msec及び24.150msecで検出された。
【0085】
(3)注射器の代替注入圧力プロファイル-実施例2
【0086】
ZPP及びGGの量を両方とも55mgから65mgに増加させたこと以外は、上記実施例1で使用したのと同じ条件を繰り返した。合計30回の測定を行い、2段階プロファイルの第2段階の最も高いピーク及び最も低いピークが検出された2回の測定を図6A及び図6Bに示す。全30回の測定において第2段階のピークがより高く、第1段階及び第2段階の平均ピーク圧力はそれぞれ6.102MPa及び12.562MPaであった。平均して、第1段階及び第2段階のピークは、点火後5.243msec及び21.957msecで検出された。
【0087】
以下に、本開示のいくつかの例示的な実施形態を示す。
実施形態1 対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造する方法であって、DNA、mRNA又はペプチドを含むワクチンを合成すること、及び注射器に装填されるように構成されたカートリッジにワクチンを入れることを含む、方法。
実施形態2 対象が腫瘍を有し、DNA、mRNA又はペプチドが腫瘍特異的変異を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態3 対象が腫瘍を有し、DNA、mRNA又はペプチドがネオアンチゲンDNA、ネオアンチゲンmRNA又はネオアンチゲンペプチドである、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態4 対象から採取された試料から変異を検出することを更に含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5 検出が、対象のゲノムDNA及び/又はゲノムRNAの全エクソームシーケンシングを含む、実施形態4に記載の方法。
実施形態6 検出が、対象のゲノム配列を、体細胞ゲノムの参照配列と比較することを含む、実施形態4又は5に記載の方法。
実施形態7 検出が、対象の腫瘍のDNA及び/又はRNAの全エクソームシーケンシングを含む、実施形態4~6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8 検出が、対象の腫瘍ゲノム配列を、体細胞ゲノムの参照配列と比較することを含む、実施形態4~7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9 対象から採取された試料で検出された変異に基づいて、疾患に関連するDNA、mRNA又はペプチドを同定することを更に含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10 同定が、プロテアソームによるプロセシング並びにMHCクラスI及びクラスII分子への結合親和性を予測することを含む、実施形態9に記載の方法。
実施形態11 同定が、免疫沈降させたペプチドの質量分析を含む、実施形態9又は10に記載の方法。
実施形態12 試料が、腫瘍生検試料である、実施形態3~11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13 ワクチンがナノ粒子を含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14 ワクチンがカチオン性脂質を含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15 ワクチンが脂質を含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16 ワクチンがアジュバントを含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17 ワクチンが、免疫賦活遺伝子をコードするDNAを含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18 ワクチンがリポソームを含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19 ワクチンが非ウイルス性である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20 ワクチンが、ネオアンチゲンDNA、ネオアンチゲンmRNA又はネオアンチゲンペプチドと、緩衝液とからなる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21 DNA、mRNA又はペプチドが裸の核酸分子である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22 DNA、mRNA又はペプチドが裸のmRNAである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23 カートリッジ中の裸のmRNAの量が、少なくとも0.2μgである、実施形態22に記載の方法。
実施形態24 ワクチンが、合成後にそのままカートリッジにパッケージングされる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25 カートリッジが減圧されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26 ワクチンが、コロナウイルスに対する抗原特異的免疫応答を誘導する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27 カートリッジが、免疫チェックポイントタンパク質に特異的な遮断抗体を更に含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28 免疫チェックポイントタンパク質が、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4)及び/又はプログラム細胞死受容体-1(PD-1)を含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態29 注射器が点火器を更に備え、点火器が点火すると、カートリッジの内容物が対象に注入される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30 個別化ワクチンを対象に投与する方法であって、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法に従って、対象に対して個別化されたパッケージ化ワクチンを製造すること、カートリッジを注射器に装填すること、及び個別化ワクチンを注射器から対象に注入することを含む、方法。
実施形態31 注入が、第1段階及び第2段階を含む2段階注入プロファイルを示し、第2段階が第1段階の後である、実施形態30に記載の方法。
実施形態32 2段階注入プロファイルが、注入から15msec以内に少なくとも2つのピークを有する、実施形態31に記載の方法。
実施形態33 2段階注入プロファイルが、注入から1.5msec以内に少なくとも2つのピークを有する、実施形態31又は32に記載の方法。
実施形態34 2段階注入プロファイルが、5msec以内に第1のピークを有する、実施形態31~33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35 第1段階が、各々が振動ピークを有する複数の振動要素を含む、実施形態31~34のいずれか1つに記載の方法。
実施形態36 少なくとも2つのピークが、振動要素の振動ピークである、実施形態35に記載の方法。
実施形態37 振動要素の全振幅が経時的に減少する、実施形態35又は36に記載の方法。
実施形態38 第1のピークが少なくとも2MPaである、実施形態31~37のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39 第1のピークが少なくとも15MPaである、実施形態31~38のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40 2段階注入プロファイルの第2段階の最も高いピークが、注入から30msec以内にある、実施形態31~39のいずれか1つに記載の方法。
実施形態41 2段階注入プロファイルの第2段階の最も高いピークが、注入から15msec以内にある、実施形態31~40のいずれか1つに記載の方法。
実施形態42 2段階注入プロファイルが、1つのピークのみを有する第2段階を含む、実施形態31~41のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43 2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークが少なくとも0.1MPaである、実施形態31~42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態44 2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークが少なくとも10MPaである、実施形態31~43のいずれか1つに記載の方法。
実施形態45 2段階プロファイルの第2段階の最も高いピークが、2段階プロファイルの第1段階の最も高いピークよりも低い、実施形態31~44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46 注射が経皮注射である、実施形態30~45のいずれか1つに記載の方法。
実施形態47 注入が経皮注射を含まない、実施形態30~45のいずれか1つに記載の方法。
実施形態48 注射が筋肉注射、皮下注射、又は皮内注射である、実施形態30~47のいずれか1つに記載の方法。
実施形態49 注射が病巣内注射である、実施形態30~47のいずれか1つに記載の方法。
実施形態50 注射が腫瘍内注射である、実施形態30~47のいずれか1つに記載の方法。
実施形態51 注射が節内注射又はリンパ内注射である、実施形態30~47のいずれか1つに記載の方法。
実施形態52 注射が節内注射を含まない、実施形態30~50のいずれか1つに記載の方法。
実施形態53 対象に注射される個別化ワクチン中のmRNAの量が少なくとも0.2μgである、実施形態30~52のいずれか1つに記載の方法。
実施形態54 注射器が無針である、実施形態30~53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態55 注射器が点火器を更に備え、点火器が点火すると、カートリッジの内容物が対象に注入される、実施形態30~54に記載の方法。
実施形態56 対象における変異に関連する疾患を治療、改善又は予防する方法であって、実施形態30~55のいずれか1つに記載の方法に従って個別化ワクチンを対象に投与することを含む、方法。
実施形態57 疾患が腫瘍(がん)である、実施形態56に記載の方法。
実施形態58 点火器と取り外し可能なカートリッジとを備える注射器であって、取り外し可能なカートリッジが、DNA、mRNA又はペプチドを含むワクチンを収容するように構成されている、注射器。
実施形態59 注射器が針を備えない、実施形態58に記載の注射器。
実施形態60 注射器がばねを備えない、実施形態58又は59に記載の注射器。
実施形態61 ワクチンがナノ粒子を含まない、実施形態58~60のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態62 ワクチンがカチオン性脂質を含まない、実施形態58~61のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態63 ワクチンが脂質を含まない、実施形態58~62のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態64 ワクチンがアジュバントを含まない、実施形態58~63のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態65 ワクチンが、免疫賦活遺伝子をコードするDNAを含まない、実施形態58~64のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態66 ワクチンがリポソームを含まない、実施形態58~65のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態67 ワクチンが非ウイルス性である、実施形態58~66のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態68 ワクチンが、ネオアンチゲンDNA、ネオアンチゲンmRNA又はネオアンチゲンペプチドと、緩衝液とからなる、実施形態58~67のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態69 DNA、mRNA又はペプチドが裸の核酸分子である、実施形態58~68のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態70 DNA、mRNA又はペプチドが裸のmRNAである、実施形態58~69のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態71 カートリッジ内の裸のmRNAの量が少なくとも0.2μgである、実施形態70に記載の注射器。
実施形態72 注射器が細胞内への運搬用に構成されている、実施形態58~71のいずれか1つに記載の注射器。
実施形態73 実施形態30~45のいずれか1つに記載の方法に従って個別化ワクチンを対象に投与するための、実施形態30~55のいずれか1つに記載の注射器の使用。
実施形態74 実施形態46又は47に記載の方法に従って対象における腫瘍を治療又は改善するための、実施形態55~57のいずれか1つに記載の注射器の使用。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】