(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】薄膜のエッチング又は堆積方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240717BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024500521
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 GB2022051740
(87)【国際公開番号】W WO2023281259
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507329985
【氏名又は名称】オックスフォード インストルメンツ ナノテクノロジー ツールス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ニュートン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】チョ ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴデー マシュー
(72)【発明者】
【氏名】グッドイヤー アンドリュー
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004BA20
5F004CA02
5F004CB02
5F004CB09
5F004CB15
5F004DB19
5F004EA28
5F045EH11
5F045GB11
5F045GB19
(57)【要約】
更なる材料層を含む試料中又は試料上に標的材料層をプラズマエッチング又はプラズマ堆積する方法であって、上記方法は、標的材料層をプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセス中に、試料に第1の波長の光を照射するステップと、試料によって反射された第1の波長の光の強度を測定するステップと、試料に第2の波長の光を照射するステップと、試料によって反射された第2の波長の光の強度を測定するステップと、を含み、試料によって反射された光の強度に基づいて、標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップと、決定されたエンドポイントに基づいて、標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了させるプロセスとを更に含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
更なる材料層を含む試料中又は試料上における標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積を行う方法であって、
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセス中に、
前記試料に第1の波長の光を照射するステップと、
前記試料によって反射された前記第1の波長の光の強度を測定するステップと、
前記試料に第2の波長の光を照射するステップと、
前記試料によって反射された前記第2の波長の光の強度を測定するステップと、
を含み、
前記試料によって反射された光の強度に基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップと、
決定された前記エンドポイントに基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了させるステップと、
を更に含む、方法。
【請求項2】
前記第1の波長が、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射率のピーク又はトラフにある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の波長が、280nmから340nmの範囲にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の波長が、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射率のピーク又はトラフにある、請求項1~3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2の波長が、340nmから390nmの範囲にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記第1の波長及び前記第2の波長における前記試料の反射率を決定するステップを含む、請求項1~5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の波長及び前記第2の波長における前記試料の反射率を決定するステップは、前記波長の各々について、前記試料によって反射された前記波長の光の強度と前記試料に照射された前記波長の光の強度との比をとるステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記第1の波長における前記試料の決定された反射率と前記第2の波長における前記試料の決定された反射率との比をとるステップを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、測定された2つの前記強度の比をとるステップを含む、請求項1~8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の波長及び前記第2の波長の一方又は両方が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスにおいて使用されるプラズマの発光スペクトルのトラフに対応する、請求項1~9の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記試料に照射される前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光の一方又は両方が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスで使用されるプラズマによって提供される、請求項1~10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスの開始時に、前記試料によって反射された前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光の強度を測定する較正ステップを含む、請求項1~11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記試料によって反射された前記光の強度に基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチングのプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記プラズマエッチングのプロセスの開始時における前記試料の標的材料層の厚さを決定するステップを含む、請求項1~12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記エンドポイントが、所定の残留厚さで前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了させるのに使用される、請求項1~13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
前記所定の残留厚さが、10nm以下である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載の標的材料層を所定の残留厚さにエッチングする方法であって、前記方法が、前記標的材料層をエッチングするプロセスの前に、前記標的材料層を第1の残留厚さにエッチングする先行ステップを含む、方法。
【請求項17】
請求項1~16の何れかに記載の方法を実施するのに適したプラズマ処理装置であって、
プラズマ処理チャンバと、
少なくとも2つの光エミッタと、
少なくとも2つの光検出器と、
前記少なくとも2つの光エミッタ及び前記少なくとも2つの光検出器を前記プラズマ処理チャンバの内部に結合するための少なくとも1つの光ポートと、
を備える、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜をエッチング又は堆積する方法に関し、詳細には、プラズマエッチング及びその場(in situ)二波長反射率法を用いて、薄膜層を異種材料間の界面の定義距離内までエッチングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部分エッチングが所望されるドライエッチングプロセスを実施する場合、所望の程度のエッチングが達成されることを確実にするためにエッチングを監視することが有利である。これは、原子層エッチング(ALE)など、このようなプロセスの実施方法のばらつきが、これらのプロセスに悪影響を及ぼす可能性があるので、エッチングプロセスを高度に制御できる技術であっても同様である。例えば、エッチングされる材料の表面をドープするのに使用されるガスが、エッチングチャンバーから十分に排出されない場合には、残留ガスがエッチングプロセスを変質させる可能性が高くなり、又は部分的にエッチングされる層の初期厚さにばらつきが生じる可能性がある。
【0003】
エンドポイント検出技術は、エッチングプロセスが材料層界面に到達したことを検出するために広く使用されているが、界面より上方の層の定義された残留厚さを残して、界面の手前で正確にエッチングするために開発されたものはほとんどない。
【0004】
従来使用されてきたこのようなエンドポイント検出技術の例としては、エッチングプロセス中の試料の反射率の変化を監視することが挙げられる。エッチングされる層は典型的には、下にある材料とは異なる光学特性を有するので、エッチング中に試料の反射率が変化することになる。エッチングされる層又は下にある材料の何れかが反射率のピーク又はトラフを示す周波数を選択することによって、試料の反射率の変化がエッチング中に増加又は減少し、エッチングされる層が完全に除去されると平坦状態に達する。その結果、原理的には、エッチングプロセスを監視し、エッチングプロセスのエンドポイントを決定することが可能であることになる。
【0005】
しかしながら、この技術は、エッチングされる層の所定の残留厚さを残すために、エッチングされる層と下にある材料との間の界面の手間で正確にエッチングするには適していない。更に、単一波長の反射率を監視することには実用的な限界があり、そのため、エッチングプロセスが下にある材料との界面にいつ到達したかを正確に決定することが難しく、このため、オーバーエッチング又はアンダエッチングにつながる可能性がある。
【0006】
同様の問題は、例えば原子層堆積の際に、予め決められた厚さの材料層を基板上に堆積させようと試みる場合に直面する。堆積速度は推定できるが、堆積プロセス中に堆積された材料層の厚さを監視できれば好ましいことになる。
【0007】
従って、必要とされているのは、少なくとも1つの更なる材料層を含む試料中又は試料上に材料層をエッチング又は堆積するための、より正確な技術である。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、試料中の標的材料層をプラズマエッチングする方法又は試料上に標的材料層をプラズマ堆積する方法が提供され、試料は更なる材料層を含む。本方法は、標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセス中に、試料に第1の波長の光を照射するプロセスと、試料によって反射された第1の波長の光の強度を測定するステップと、試料に第2の波長の光を照射するステップと、試料によって反射された第2の波長の光の強度を測定するステップと、を含み、試料によって反射された光の強度に基づいて、標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のステップの端部を決定するステップと、決定された端部に基づいて、標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のステップを終了するステップと、を更に含む。
【0009】
「標的材料層」及び「標的層」という用語は、本明細書全体を通して、エッチング又は堆積される材料の層を指すのに使用される。標的材料層がエッチングされる試料又は標的材料層が堆積される試料は、更なる層を備え、すなわち、標的層に加えて少なくとも1つの更なる層を備える。「更なる層」とは、標的層の直下の層とすることができ、或いは、1又は2以上の中間層が存在してもよい。更なる層は、典型的には標的層とは異なる材料層とされる。
【0010】
従って、本明細書を通じて、「標的材料層」という表現は、エッチングプロセスの場合には「エッチングされる層」と同義であり、堆積プロセスの場合には「堆積される層」と同義とみなされるべきである。標的層は多くの場合、材料の上側の層であるが、この層の上側に設けられ、最初にエッチングされる層が存在してもよく、例えば、GaNの層上にAlGaNの層が設けられる場合、AlGaN層の上にGaNの「キャップ」層を設けることができる。しかしながら、理解を容易にするために、本明細書全体を通して、「上側層」という表現は、常に標的層を指す。
【0011】
本発明の第1の態様の実施形態に従って実施される方法は、プラズマエッチング又は堆積プロセス中に、試料中の標的材料層の厚さを正確に監視することを可能にし、これによって、プラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを正確に決定することを可能にする。明確にするために、「プラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイント」とは、プラズマエッチング又は堆積プロセスが終了する時点を指す。本発明の第1の態様の好ましい適用であるプラズマエッチングプロセスの場合、これは、標的材料層が試料の少なくとも1つの領域において完全に除去された時、標的材料層が試料の1つの領域において部分的にエッチングされた時、又はこれらの組み合わせとすることができる。同様に、プラズマ堆積プロセスは、標的材料層が試料全体にわたって堆積された時、又は標的材料層が試料の少なくとも1つの領域に堆積された時に終了することができる。
【0012】
プラズマエッチングプロセスに適用する場合、本方法は、正確に制御された残留厚さを有するプラズマエッチングを可能にする。具体的には、本方法は、±0.5nmの精度及び±0.2nmの再現性で厚みを制御することができる。これら両方は、エンハンスメントモード(ノーマリーオフ)の高電子移動度トランジスタ(HEMT)など、電気的特性が密接にグループ化されたデバイスを製造する際に、良好な歩留まりを可能にする。特に、このようなデバイスを製造する場合、残存する残留層への損傷を最小限に抑えることが重要であり、これは、本発明の第1の態様の実施形態において可能である。
【0013】
これらの利点は、2つの波長で試料によって反射された光の強度を監視することによって部分的に実現され、これにより、ウィンドウの曇り、ウェーハの傾き、又は迷光反射等による信号レベルのランツーラン変動等、1つの波長のみを監視した場合に存在するであろう困難を克服することが可能になる。
【0014】
本方法は、ALEプロセスに適用された場合に特に有益であり、純粋に表面限定領域で実行されるALEは極めて均一であり、プラズマエッチングの典型的な不均一性を補償することができるからである。残留層の厚さの均一性は、元のエピタキシャル成長薄膜に固有の不均一性に近づき、試料中の標的材料層厚さの変化を正確に監視することと相まって、正確に制御された残留厚さで高度に均一なエッチングを行うことができる。ALEはまた、エッチングされる層のスパッタ閾値エネルギーに近くで動作するので有利であり、従って、残留層への損傷を最小限に抑えるのに好適である。
【0015】
しかしながら、本発明の第1の態様の実施形態はまた、低バイアスの従来のプラズマエッチング又は従来のプラズマエッチングとALEの組み合わせを使用できる点に留意すべきである。例えば、本方法は、連続プラズマエッチングとALEの間の移行を制御するために、時限エッチング又は測定、及び当該層における最小限の損傷で最終的な残留厚さを制御するためにエンドポイント法を使用することができる。この組み合わせの方法は、原子層エッチングを使用するよりも高いスループットを有する。
【0016】
同様に、本発明の第1の態様の利点は、プラズマ堆積プロセスに適用した場合にも達成される。この場合、試料の標的層(この場合、堆積された材料層を指す)を高精度に監視することにより、正確に制御された厚さを有する層を堆積させることができる。
【0017】
以下でより詳細に説明するように、本発明の第1の態様の方法は、標的層の厚さが変化するにつれて試料の光学的特性が変化するという現象を利用するものであり、標的層が厚い場合には試料の光学的特性は標的層の光学的特性によって制御され、標的層が薄い又は存在しない場合には下にある材料の光学的特性によって制御される。反射率は、試料表面から反射される光の強度を測定する方法であるため、最も関心のある光学特性である。
【0018】
従って、この効果を最大限に利用するために、第1の波長は通常、標的層の反射率のピーク又はトラフにて選択される。標的層がAlGaNから作られている場合など、本方法の好ましい用途では、第1の波長は280nm~340nmの範囲であり、より好ましくは320nm~340nmの範囲である。
【0019】
同様に、第2の波長は、典型的には、更なる材料層の反射率のピーク又はトラフに位置することになり、これは、上述したように、標的層の直下の材料層とすることができる。下にある材料がGaNで作られている場合など、本方法の好ましい用途では、第2の波長は340nm~390nmの範囲であり、より好ましくは360nm~370nmの範囲である。
【0020】
上述のように、第1の波長又は第2の波長を、ピーク又はトラフのないそれぞれ標的層又は下にある材料の反射スペクトルの領域において選択することが有利であることを実証することができ、これにより、他方の波長で反射された光の強度と比較するための基準信号を提供することができる。
【0021】
本発明の第1の態様の好ましい実施形態において、プラズマエッチング又は堆積プロセスのエンドポイントを決定するステップは、第1及び第2の波長における試料の反射率を決定するステップを含み、典型的には、各波長について、試料に照射された波長の光の強度に対する試料によって反射された長の光の強度の比をとることによって行われる。
【0022】
試料の反射率は、エッチング又は堆積プロセス中に容易に測定され、従って、プラズマエッチング又は堆積プロセスを停止する時点、又は従来のプラズマエッチング又は堆積から原子層エッチング又は堆積に移行する時点の決定のベースとなる特に好適な特性である。
【0023】
更に好ましい実施形態では、プラズマエッチング又は堆積プロセスのエンドポイントを決定するステップは、第1の波長における試料の反射率と第2の波長における試料の反射率との比をとるステップを含む。
【0024】
2つの反射率測定値の比をとることにより、ウィンドウの曇り、ウェーハの傾き、又は迷光反射等に起因する信号レベルのランツーラン変動等、1つの波長のみが監視される場合に存在するであろう困難を克服することが可能である。
【0025】
多くの場合、プラズマエッチング又は堆積プロセスを終了させる時点の決定は、標的層の厚さを決定するために2つの反射率測定値の比を使用し、標的層が所望の厚さに達したときにプラズマエッチング又は堆積プロセスを終了させるステップに基づくことになる。しかしながら、比率傾向の形態は、プラズマエッチング又は堆積プロセス全体を通して単純な線形(又は線形に近い)関係でない場合があり、その場合、プラズマエッチング又は堆積プロセスの一部からの比率傾向の傾きは、エッチング速度又は堆積速度を計算するために使用することができ、プラズマエッチング又は堆積プロセスを終了する時点は、所望の残留厚さを残すために、このエッチング速度又は堆積速度に基づいて計算される。
【0026】
単純な線形関係からの逸脱は、量子サイズ効果、下にある材料の近接による光学バンドギャップのシフト、及び温度又は歪みの影響の1又は2以上に起因するものとすることができる。このように、これらの効果は、標的層の残留厚さの精度を向上させるために、プラズマエッチング又は堆積プロセスのエンドポイントを決定するための薄膜厚さのモデルに含めることができる。
【0027】
試料の光学特性における非線形変化の別の例は、ALE中の反射率の変化である。以下に詳しく説明するように、ALEは、例えば塩素原子の単原子層で試料の表面をドーピングし、次に試料の単原子層をエッチング除去するサイクルを含む。ドーピング段階では反射率はほぼ安定し、エッチング段階では反射率が変化する。試料の反射率の変化は、1サイクル当たりのエッチング速度を決定するために使用することができ、その後、適切な数のALEサイクルの後にエッチングを停止することができる。
【0028】
プラズマエッチング又は堆積プロセスのエンドポイントを決定するために反射率測定間の比を取るステップは、プラズマエッチング又は堆積プロセスにおける様々な時点で予想される比の一貫性を可能にし、これにより、この比の値又は傾きをプラズマエッチング又は堆積プロセスの進行を推測するために使用することを可能にする。しかしながら、プラズマエッチング又は堆積プロセスを終了させる時点の決定は、多くの場合、比がプラトーに達したとき、又は比の傾きがインバーターになったときの観察に基づいて行われる。このような場合、反射率測定値の比をとる必要はなく、プラズマエッチング又は堆積プロセスのエンドポイントを決定するステップは、測定された2つの強度の比をとるステップを含むことができる。これにより、反射率測定値の比がプラズマエッチングのエンドポイントを決定するのに使用される好ましい実施形態の利点の多くが依然として可能になるが、多くの場合、より簡単である。
【0029】
上述したプロセスは、標的層の上に設けられた更なる層に適用されて、標的材料層のプラズマエッチングを開始するタイミングを決定することができ、AlGaN層上に設けられたGaNのキャップ層の場合、これはAlGaN層のエッチングを開始するタイミングであろう。このような場合、二波長反射率計を使用して標的層のエッチング開始を決定するために、光強度又は反射率測定における転換点又は他の認識可能な特徴を使用することができる。第1の波長及び第2の波長は、理想的には、各層スタックのタイプ又は組成に対して特別に選択されるので、第1の態様の方法を実施するのに使用される装置は、好ましくは、最大限の柔軟性を与えるために、広帯域光源又は調整可能なレーザーを備える。
【0030】
典型的には、外部光源が、第1及び第2の波長の光を生成するために使用され、この場合、第1及び第2の波長の一方又は両方が、プラズマエッチング又は堆積プロセスにおいて使用されるプラズマの発光スペクトルにおける特性波長に対応しないことが好ましい。これにより、試料によって反射された光と、プラズマエッチング又は堆積ステップで使用されるプラズマによって放出された光とを区別するステップが簡略化される。
【0031】
しかしながら、試料に向けられる第1の波長の光及び第2の波長の光の一方又は両方は、プラズマエッチング又は堆積プロセスにおいて使用されるプラズマによって提供することができる。
【0032】
第1の態様の方法は、プラズマエッチング又は堆積プロセスの開始時に、試料によって反射された第1及び第2の波長の光の強度を測定する較正ステップを含むことができる。これにより、光強度又は反射率の測定値の基準値を決定することができ、この基準値は、本方法を実施するのに使用される装置を較正するために使用することができる。また、較正ステップは、プラズマエッチング又は堆積プロセスにおける他の識別可能な任意の時点で行うこともできる。例えば、プラズマエッチングプロセスは、材料のキャッピング層が試料の上部から除去される上述の例のように、異なる材料のエッチング層間の移行を含むことができる。この移行は、試料によって反射された第1及び第2の波長の光の強度の測定において識別可能である可能性があり、このことは、この遷移において測定された測定値が、方法を較正するために使用できることを意味する。
【0033】
本方法を実施するのに使用される装置の較正に適するだけでなく、プラズマエッチングプロセスの開始時に行われる測定は、プラズマエッチングプロセスの開始時における試料の標的層の厚さを決定するために使用することができ、次いで、プラズマエッチングプロセスがどのくらいの時間実施されるべきかを決定するために使用することができる。標的材料層の上に1又は2以上の更なる層が設けられている場合には、この決定は、それらの層が除去された後に行われ得る。
【0034】
エンドポイントは、典型的には、所定の残留厚さ、好ましくは10nm以下で、標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了するのに使用される。標的材料層が所定の残留厚さまでエッチングされるべき本発明の好ましい実施形態では、標的材料層をプラズマエッチングするステップの前に、方法は、標的材料層を第1の残留厚さまでエッチングする先行ステップを更に含む。これらの実施形態において、所定の残留厚さは、第1の残留厚さよりも小さい第2の残留厚さである。例えば、第1の残留厚さは25nmであり、及び第2の残留厚さは10nmとすることができる。第1のエッチングステップは、第2のエッチングステップほど正確に定義されたエンドポイントを有する必要はなく、従って、第1の態様の実施形態に従って実施される必要はない。この多段エッチングステップは、ALEのような比較的低速のエッチングステップを第2エッチングステップで使用する場合にも有利である。ALEは極めて精密であり、標的層への損傷を最小限に抑えることができるが、誘導結合プラズマ(ICP)エッチングのような従来のエッチング方法よりも遅い。そのため、多段階プロセスでは、エッチングの大部分をより高速な従来のプラズマエッチングプロセスで実施し、最終的な残留膜厚をALEのようなより精密なエッチングプロセスで達成することができる。
【0035】
これらの実施形態は、標的層が正確に定義された残留厚さまでエッチングされる必要があるデバイスの製造に適しており、及び製造時間を短縮することを可能にし、それによりデバイスを製造することができる速度を向上させる。
【0036】
プラズマエッチングは通常、約1mTorrから100mTorrの圧力で行われ、プラズマ堆積は通常、約10mTorrから3000mTorrの圧力で行われる。
【0037】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の何れかの実施形態の方法を実施するのに適したプラズマ処理装置が提供され、本装置は、プラズマ処理チャンバ;少なくとも2つの光エミッタ;少なくとも2つの光検出器;及び少なくとも2つの光エミッタ及び少なくとも2つの光検出器をプラズマ処理チャンバの内部に結合するための少なくとも1つの光ポートを備える。
【0038】
典型的な処理装置は、プラズマ処理チャンバへのガス状反応体の流れを制御するためのガス供給システム、プラズマ処理チャンバの一部を形成することができるプラズマ源、処理される試料のためのプラズマ処理チャンバ内の支持体、プラズマ処理チャンバ内の圧力を所望の範囲内に維持するための圧力制御手段、及び制御システムを備える。支持体は通常、温度制御され、及びプラズマ処理室の壁から電気的に絶縁され、電界を発生させるためにRF電源が支持体に接続される。圧力制御手段には、自動圧力制御及びプラズマ処理室をエッチングの場合は約1mTorr~100mTorr、又は成膜の場合は約10mTorr~3000mTorrに排気する手段が含まれる。
【0039】
次に、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】2つの異なる組成のAlGaNについて、本発明の実施形態に従って提供されるAlGaN/GaNエッチングの開始時の反射率を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に従って提供されるエッチングプロセスの前後の試料の反射率スペクトルを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に従って提供されるエッチングプロセス中の試料の320nm/365nm反射率比の変化を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に従って提供されるプロセスにおいてエッチングすることができるデバイスの一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に従って提供される較正プロセス中の反射率計からの反射率の出力を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に従って提供されるALEプロセス中の試料の反射率の変化を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に従って提供されるエッチングプロセス中の2つの異なる波長における試料の反射率の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明では、エッチングプロセスに対する本発明の適用に焦点を当てている。しかしながら、これらの論評はまた堆積プロセスにも適用される点に留意されたい。
【0042】
試料という用語は、エンドデバイスを形成する際に使用されることになるエッチング(又は堆積)プロセスの前の異なる材料の1又は2以上の層のスタックを指すものと解釈されるべきである。試料は、エッチング(又は堆積)プロセスの前に1又は2以上の処理段階を受ける場合があり、また、エッチング(又は堆積)プロセスの後に1又は2以上の処理段階を受ける場合がある。
【0043】
異なる材料の層を備える試料をエッチングする場合、試料の光学特性がエッチング中に変化することが観察されている。例えば、試料の上側表面の反射率は、試料の上側層の厚さに伴って変化することになり、つまり、試料の上側層が除去されると、試料の反射率が変化することになる。光学特性はまた、上側層と下にある材料との間の界面における相互作用、特に上側層の10nm以下の厚さに起因して変化する。
【0044】
これは、試料の異なる層が異なる光学特性を有する結果として理解することができ、エッチングプロセスの開始時には試料の上側層の光学特性が制御的であり、エッチングプロセスが完了すると下にある層の光学特性が試料の全体の光学特性を制御する。上述したように、このことはまた、2つの材料層の間の界面に近接して起こる複雑な相互作用の結果である。例えば、上側層が特定の波長の光を少なくとも部分的に透過し、少なくとも1つの下にある層との界面が、当該波長の光を少なくとも部分的に反射する場合、試料全体によって反射される光の強度は、最上表面における反射と埋もれた界面の1又は2以上との間の干渉に依存することになる。特に上側層の厚さが10nm以下の場合、支配的になる可能性のある他の作用としては、量子サイズ効果、下にある材料の近接に起因する光学バンドギャップのシフト、並びに温度又は歪みの影響が挙げられる。
【0045】
従って、エッチング中の試料の光学特性を監視することにより、エッチングの進行状況を決定し、エッチングプロセス全体を制御することが可能となる。試料の光学特性を監視する際に最も重要な課題は試料の反射率であり、エッチングプロセスを制御する1つの実施可能な方法は、試料の上側層又は下にある材料の何れかの材料の反射率における特性ピーク又はトラフの位置を監視することを含む。これにより、上側層の特性ピークが監視される場合には上記ピーク又はトラフが消失するときを観察し、又は下にある材料に特性ピークが監視される場合には極大に達するときを観察することによって、エッチングのエンドポイントを決定することができる。
【0046】
しかしながら、上側層に対して特性ピーク又はトラフがエッチングの中間点で消失するか、二重ピーク又は二重トラフとなり、エッチングのエンドポイントを正確に決定することが困難になる可能性がある。同様に、下にある材料に特性ピーク又はトラフを監視する場合にも同様のことが起こる可能性がある。また、とりわけ、ウィンドウの曇り、ウェーハの傾き、又は迷走反射等に起因する信号レベルのランツーラン変動等、この方法の精度に悪影響を及ぼす可能性がある他の困難を提示する可能性もある。
【0047】
これらの問題は、試料の上側層がいつ完全に除去されたかを決定することを困難にする可能性があり、このことは、上側層の所定の厚さを残すようにエッチングを制御しようとする場合に特に問題となる。
【0048】
この問題に対処するため、本発明では、2つの異なる波長で試料の光学特性を監視する。
【0049】
図1は、バルクGaN基板上に設けられたAlGaN層の反射率を示す。このグラフは、2つの異なる試料の上側基板の反射率(y軸)を波長(x軸)の関数として示しており、上側の線は20%Al層の反射率特性を示し、下側の線は23%Al層の反射率特性を示している。これらの線は各々、280nmから340nmの波長範囲において反射率のピークを示している。このピークの位置は、層のAl含有量に依存し、Al含有量が多いほど280nm側にピークを示し、Al含有量が少ないほど340nm側にピークを示す。
【0050】
例えば、AlGaN層の場合、280nmから340nmの波長範囲の特性ピークにおける試料の反射率の変化を監視して、これを用いてAlGaN層が完全に又は部分的にエッチングされた時点を決定することができる。しかしながら、上記で説明したように、この波長を監視するだけでは、エッチングプロセスを終了する時点を正確に決定するには困難である。
【0051】
バルクGaN基板上にAlGaN層が設けられた実施例を引き続き説明すると、AlGaN層は280nm~340nmの波長範囲に反射率のピークを示し、365nm付近で反射率のトラフを示すが、GaN基板の反射率は280nm~370nmの範囲でほぼ一定である。AlGaN層の特性ピークで測定された試料の反射率と、AlGaN層の特性トラフで測定された試料の反射率との比をとり、その比が予め決められた閾値を通過したときを特定することにより、エッチングのエンドポイントをより正確に及び改善された感度で決定することができる。
【0052】
GaN基板と比較したAlGaN層の特性を
図2に示す。この図は、GaN基板上に設けられたAlGaN層を備える試料のエッチングプロセスの開始時及び終了時の反射スペクトルを示している。波長325nm付近にピーク及び365nm付近にトラフを有するトレースは、AlGaN層が存在するときのエッチングプロセス開始時の試料の反射率を示し、他方のトレースは、AlGaN層が除去されたときのエッチングプロセス終了時の試料の反射率を示している。図から分かるように、エッチングプロセス中のこれら2つの波長における試料の反射率に大きな変化がある。
【0053】
2つの波長を監視する場合に、エンドポイント検出の精度及び感度が向上する理由は幾つかあるが、そのうちの1つは、2つの波長における反射率の比をとることによって、絶対反射率の較正不良に起因する誤差が排除されることである。実際に、2つの波長における入射光の強度がエッチングプロセス全体を通じて一定である場合、単純に、2つの波長で試料から反射された光の強度を測定し、これら2つの測定値の比を取ることにより、この比を決定することが可能である。
【0054】
この方法によって提供される改善のもう一つの理由は、測定プロセス中の監視信号の変化が最大になるという事実を利用していることである。
【0055】
測定が、上側層又は下にある層の単一の特性波長における反射率の変化を監視することに基づいている場合、測定プロセスに誤差がない理想的な場合であっても、測定される信号は、試料の上側層の特性ピークにおける反射率の減少(又は逆に、試料の上側層の特性トラフにおける反射率の増加)しか示さないことになる。同様に、下にある層の単一の特性波長が測定される場合、測定される信号は、試料の下側層の特性ピークにおける反射率の増加(又は逆に、試料の下層の特性トラフにおける反射率の減少)のみを示す。
【0056】
しかしながら、その代わりに2つの特性波長における反射率(又は実際には光強度)の比が用いられる場合、両波長における反射率の変化が考慮される。バルクGaN基板上のAlGaN層の場合、280nmから340nmの範囲で測定される反射率は低下し、365nm付近で測定される反射率は上昇することになり、これらの測定値の両方の振れが考慮される。バルクGaN基板上のAlGaN層の場合、上側層の反射率スペクトルに特性的な2つの波長を用いるのが好都合であるが、それ以外の場合には、下にある層の反射率スペクトルに特性的な2波長を用いるか、又は上側層の反射率スペクトルに特性的な1波長と下にある層の反射率スペクトルに特性的な1つの波長を用いるのが好都合とすることができる。
【0057】
2つの波長を監視することの更なる利点は、2つの波長の一方又は両方における反射率の振れが小さくなっても、両方の波長の比の振れが依然として大きい可能性があるので、2つの波長を試料の上側層及び下側層の特性ピーク又は特性トラフに正確に一致させる必要がないことである。例えば、AlGaN層の特性反射率ピークは、当該層のアルミニウム含有量に依存するが、280nmから340nmの範囲であれば、どの波長でも十分な比率の振れを生じる。従って、この範囲の中間のどこか、例えば320nm付近の波長を選択することができ、これによりエッチングされる特定のAlGaN層に応じて標的閾値比が適宜調整される限り、様々なアルミニウム含有量のAlGaN層をエッチングする際にエンドポイント検出が可能になる。
【0058】
図3は、2nmGaN/20nmAl
20GaN/2nmAlNからエッチング速度2nm/minでGaN基板までエッチングした際の320nm~365nmの反射率比の変化を示しており、Al
20GaNは20%AL含有量を有する。図から分かるように、GaNの2nm層が除去されるにつれて一時的に増加した後、比率はエッチング開始時の約1.15の値から、AlGaN層が完全に除去されたときの約1の値まで減少すると予測される。この比の値の閾値に基づいてエンドポイントを調整することにより、所望の標的厚さまでエッチングすることが可能となる。
【0059】
従って、エッチングのエンドポイントを決定する1つの方法は、試料のフルエッチングを実施して、2つの波長における反射率測定値の比の値の関係を決定し、この関係を使用して、その後の部分エッチングにおけるエンドポイントを決定することである。
【0060】
もう一つの選択肢は、2つの波長における反射率測定値の比を、この比の予想される変化のモデルと比較することである。
【0061】
エッチングプロセス前の試料の例を
図4に示す。バルクGaNの下面/裏面にSiC基板がTi/Wスパッタリングされている。バルクGaNの上部にAlGaNの厚さ約20nmの層が設けられ、AlGaN層の上に厚さ約2nm厚のGaNのキャップ層が設けられている。パターン化されたフォトレジストPRが、GaNキャップの領域に設けられ、エッチングプロセスのマスクとして機能する。
【0062】
エッチングプロセスを実施するのに使用される装置を較正するために、
図4に示すような試料に対して較正エッチングが実施され、標的層の完全な除去を検出し、その後の部分エッチングのための基準結果を得る。その後、エッチングはGaNバルクに続く。エッチングを通じた365nmでの反射率測定が
図5に示される。プロセス開始時の反射率上昇の遅れは、GaNキャップ層の除去を示し、その後、反射率測定値の比が、膝(ニー)とも呼ばれるプラトーに達するまで、実質的に直線的に上昇する。ニーは、AlGaN層の完全なエッチングを示す。この例では、エッチングは下層のGaN層まで続いており、それによって約22でプラトーが確認された(反射光強度の任意の単位A.U.が
図5に示されている)。同様の較正エッチングを第2の波長でも行うことができる。
【0063】
本発明は、ALEサイクルの異なる段階を監視するのに特に適しており、
図6は、ALEプロセス中の340nmにおけるプラズマ放射カウント(強度の計数検出器を備えた分光計からの)と比較した340nmで測定された反射率測定値を示している。図に示すように、340nmのプラズマからの放射には顕著なスパイクがあり、これは塩素ガス流の短いパルスと一致する。1390カウント付近のプラズマからの放射のプラトーは、修正表面層が取り除かれたときに、テーブルにRFバイアスが加えられたことと一致する。グラフの左から右に向かって段階的に増加する中央の実線は、波長340nmにおける試料の反射率であり、層の除去と同時に反射率が段階的に増加することを示している。点線は層厚変化のシミュレーションであり、340nmにおける試料の反射率と365nmにおける試料の反射率を比較することで決定できる。
【0064】
上側の層の厚さの変化を監視するもう一つの方法は、
図7に示すように、界面での反射率の振動を観察することである。この図は、
図4に示したような試料のALEの別の例における340nmでの反射率及び365nmでの反射率を示している。エッチング中の小さな振動は、ALEサイクルに起因するものである。AlGaN層とGaNバルクの界面近くでは、365nmにおける振動の振幅が著しく大きくなっており、これはAlGaN層の歪みに起因すると考えられる。この振動の振幅を検出することで、界面の接近を検出することができる。この場合、365nmの反射率は振動の振幅の基準として機能し、例えばこれら2つの反射率測定値の比に現れる。
【0065】
本発明に従って提供される方法では、反射率の比は約±0.001の精度で測定することができ、上記の通り、反射率の比は20nmの層の完全なエッチングの間に約20%変動することができる(
図3aでは約1.1及び0.9の間で変動)。これは、この技術によって標的層の残留厚さを±0.1nmの精度で決定できることを意味する。
【0066】
エッチング速度と停止精度との間のトレードオフを最小化するために、エッチング速度が3秒で0.1nm未満、又は2nm/分未満である場合、時間積分平滑化を使用して低ノイズ反射率比を生成するのに最大3秒かかる可能性があるので有利である。一般に、0.1nmの残留厚さ精度が望まれる場合、エッチング速度は、ノイズ平滑化時間で0.1nm未満、すなわち典型的には3秒で0.1nm未満であることが望ましい。精度の向上は、エンドポイント信号遅延によるオーバーエッチングの予測に対して標的エンドポイントを調整することによって得ることができる。
【0067】
低残留厚さ(10nm以下を意味する)に層をエッチングする場合、ALEのような高精度のエッチング方法を上述のエンドポイント検出と組み合わせて使用することが有利である。しかしながら、ALEの欠点は、誘導結合プラズマ(ICP)エッチングのような従来のエッチングプロセスと比較して、エッチング速度が遅いことである。そのため、多段エッチングプロセスを使用するのが有利であり、このプロセスでは、第1の段階で従来のエッチングを使用して標的層を第1の厚さまでエッチングした後、第2の段階でALEを使用して標的層を所望の残留厚さまでエッチングする。これにより、エッチング後の残留膜厚を高精度に維持しながら、エッチングプロセスをより迅速に完了することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
更なる材料層を含む試料中又は試料上における標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積を行う方法であって、
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセス中に、
前記試料に第1の波長の光を照射するステップと、
前記試料によって反射された前記第1の波長の光の強度を測定するステップと、
前記試料に第2の波長の光を照射するステップと、
前記試料によって反射された前記第2の波長の光の強度を測定するステップと、
を含み、
前記試料によって反射された光の強度に基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップと、
決定された前記エンドポイントに基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了させるステップと、
を更に含
み、
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、測定された2つの前記強度の比をとるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の波長が、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射率のピーク又はトラフにある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の波長が、280nmから340nmの範囲にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の波長が、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射率のピーク又はトラフにある、請求項1~3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2の波長が、340nmから390nmの範囲にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記第1の波長及び前記第2の波長における前記試料の反射率を決定するステップを含む、請求項1~5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の波長及び前記第2の波長における前記試料の反射率を決定するステップは、前記波長の各々について、前記試料によって反射された前記波長の光の強度と前記試料に照射された前記波長の光の強度との比をとるステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記第1の波長における前記試料の決定された反射率と前記第2の波長における前記試料の決定された反射率との比をとるステップを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の波長及び前記第2の波長は、他方の波長で反射された光の強度と比較するための基準信号を提供する、請求項1~8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1の波長又は前記第2の波長は、ピーク又はトラフのない、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射スペクトルの領域に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の波長及び前記第2の波長の一方又は両方が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスにおいて使用されるプラズマの発光スペクトルのトラフに対応する、請求項1~
10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記試料に照射される前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光の一方又は両方が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスで使用されるプラズマによって提供される、請求項1~
11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスの開始時に、前記試料によって反射された前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光の強度を測定する較正ステップを含む、請求項1~
12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記試料によって反射された前記光の強度に基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチングのプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記プラズマエッチングのプロセスの開始時における前記試料の標的材料層の厚さを決定するステップを含む、請求項1~
13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
前記エンドポイントが、所定の残留厚さで前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了させるのに使用される、請求項1~
14の何れかに記載の方法。
【請求項16】
前記所定の残留厚さが、10nm以下である、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
請求項
15又は請求項
16に記載の標的材料層を所定の残留厚さにエッチングする方法であって、前記方法が、前記標的材料層をエッチングするプロセスの前に、前記標的材料層を第1の残留厚さにエッチングする先行ステップを含む、方法。
【請求項18】
請求項1~
17の何れかに記載の方法を実施するのに適したプラズマ処理装置であって、
プラズマ処理チャンバと、
少なくとも2つの光エミッタと、
少なくとも2つの光検出器と、
前記少なくとも2つの光エミッタ及び前記少なくとも2つの光検出器を前記プラズマ処理チャンバの内部に結合するための少なくとも1つの光ポートと、
を備える、プラズマ処理装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
更なる材料層を含む試料中又は試料上における標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積を行う方法であって、
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセス中に、
前記試料に第1の波長の光を照射するステップと、
前記試料によって反射された前記第1の波長の光の強度を測定するステップと、
前記試料に第2の波長の光を照射するステップと、
前記試料によって反射された前記第2の波長の光の強度を測定するステップと、
を含み、
前記試料によって反射された光の強度に基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップと、
決定された前記エンドポイントに基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了させるステップと、
を更に含み、
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、測定された2つの前記強度の比をとるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の波長が、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射率のピーク又はトラフにある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の波長が、280nmから340nmの範囲にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の波長が、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射率のピーク又はトラフにある、請求項1~3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記第2の波長が、340nmから390nmの範囲にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記第1の波長及び前記第2の波長における前記試料の反射率を決定するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の波長及び前記第2の波長における前記試料の反射率を決定するステップは、前記波長の各々について、前記試料によって反射された前記波長の光の強度と前記試料に照射された前記波長の光の強度との比をとるステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記第1の波長における前記試料の決定された反射率と前記第2の波長における前記試料の決定された反射率との比をとるステップを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の波長及び前記第2の波長は、他方の波長で反射された光の強度と比較するための基準信号を提供する、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の波長又は前記第2の波長は、ピーク又はトラフのない、前記標的材料層又は前記更なる材料層の反射スペクトルの領域に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の波長及び前記第2の波長の一方又は両方が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスにおいて使用されるプラズマの発光スペクトルのトラフに対応する、請求項
1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料に照射される前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光の一方又は両方が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスで使用されるプラズマによって提供される、請求項
1に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスの開始時に、前記試料によって反射された前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光の強度を測定する較正ステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項14】
前記試料によって反射された前記光の強度に基づいて、前記標的材料層のプラズマエッチングのプロセスのエンドポイントを決定するステップが、前記プラズマエッチングのプロセスの開始時における前記試料の標的材料層の厚さを決定するステップを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項15】
前記エンドポイントが、所定の残留厚さで前記標的材料層のプラズマエッチング又はプラズマ堆積のプロセスを終了させるのに使用される、請求項
1に記載の方法。
【請求項16】
前記所定の残留厚さが、10nm以下である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の標的材料層を所定の残留厚さにエッチングする方法であって、前記方法が、前記標的材料層をエッチングするプロセスの前に、前記標的材料層を第1の残留厚さにエッチングする先行ステップを含む、方法。
【請求項18】
請求項
1に記載の方法を実施するのに適したプラズマ処理装置であって、
プラズマ処理チャンバと、
少なくとも2つの光エミッタと、
少なくとも2つの光検出器と、
前記少なくとも2つの光エミッタ及び前記少なくとも2つの光検出器を前記プラズマ処理チャンバの内部に結合するための少なくとも1つの光ポートと、
を備える、プラズマ処理装置。
【国際調査報告】