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特表2024-527368部分的に柔軟な造形プラットフォームを備えた付加製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】部分的に柔軟な造形プラットフォームを備えた付加製造システム
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/30 20210101AFI20240717BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240717BHJP
   B22F 10/38 20210101ALI20240717BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240717BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20240717BHJP
【FI】
B22F12/30
B22F10/28
B22F10/38
B33Y30/00
B22F10/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500580
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022037274
(87)【国際公開番号】W WO2023288052
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】17/376,291
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】カルナティ、スリーカル
(72)【発明者】
【氏名】スン、チャンジー
(72)【発明者】
【氏名】ポーリ、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】サッサテッリ、ジョン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】スワンナー、ジュニア アーチー リー
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA06
4K018AA08
4K018AA10
4K018AA15
4K018AA33
4K018AA40
4K018BA17
4K018BA20
4K018DA31
4K018DA32
(57)【要約】
【課題】部分的に柔軟な造形プラットフォームを備えた付加製造システムを提供する。
【解決手段】付加製造(AM)システム(100)は、調整可能なベース(110)と周辺領域(142)及び周辺領域の周縁(143)を含む造形プラットフォーム(104)であって、周縁部はベース及び中間領域に固定的かつ剛性的に結合されており、冶金的接続部(190)が周辺領域(142)の周縁(143)をベース(110)に固定的かつ剛性的に結合する、造形プラットフォーム(104)とを備える対象物(102)を造形するために、造形プラットフォーム(104)の上方にビルド材料(122)を堆積させるためのビルド材料アプリケータ(120)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造(AM)システム(100)であって、
調節可能なベース(110)と、
周辺領域(142)及び前記周辺領域の周縁(143)を含む造形プラットフォーム(104)であって、前記周縁部は前記ベース及び中間領域に固定的かつ剛性的に結合されており、冶金的接続部(190)が前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合している、前記造形プラットフォーム(104)と、
物体(102)を造形するための造形プラットフォーム(104)の上方にビルド材料(122)を堆積させるためのビルド材料アプリケータ(120)と、
を備える、AMシステム。
【請求項2】
前記冶金的接続部(190)が、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するための、溶接(191)、はんだ、ろう付け、又は固体接続のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のAMシステム。
【請求項3】
前記冶金的接続部(190)が、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するための少なくとも1つの溶接部(191)を含む、請求項1に記載のAMシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溶接(191)が、融接、タック溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接、ガス金属アーク溶接(GMAW)、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、棒状シールド金属アーク溶接(SMAW)、フラックス入りフラックス溶接、エネルギー・ビーム溶接(EBW)、原子状水素溶接(AHW)、プラズマアーク溶接、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つで、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合する、請求項3に記載のAMシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの溶接部(191)がタック溶接を含む、請求項3に記載のAMシステム。
【請求項6】
前記冶金的接続部(190)が、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するために、前記ビルド材料アプリケータ(120)によって提供される、請求項1に記載のAMシステム。
【請求項7】
前記冶金接続部(120)が、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料(122)を含む、請求項6に記載のAMシステム。
【請求項8】
前記ベース(110)が第1の材料を含み、前記冶金的接続部(190)が前記第1の材料を含む、請求項1に記載のAMシステム。
【請求項9】
前記ビルド材料(122)を堆積させるための前記ビルド材料アプリケータ(120)が、直接金属レーザ溶融、直接金属レーザ焼結、選択レーザ溶融、及び指向性エネルギー堆積のうちの少なくとも1つによって前記ビルド材料(122)を堆積させる、請求項1に記載のAMシステム。
【請求項10】
前記周辺領域(142)の前記周縁(143)が、前記造形プラットフォーム(104)のX軸を横切る第1の対向する周辺部と、前記造形プラットフォーム(104)のY軸を横切る第2の対向する周辺部とを含み、前記冶金的接続部(190)が、X軸及びY軸の少なくとも一方上に配置される、請求項1に記載のAMシステム。
【請求項11】
前記冶金的接続部(190)がX軸及びY軸上に配置される、請求項10に記載のAMシステム。
【請求項12】
付加製造(AM)システム(100)であって、
調整可能なベース(110)と、
周辺領域(142)及び周辺領域の周縁(143)を含む造形プラットフォーム(104)であって、前記周縁は、周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するように構成された冶金的接続部(190)によって前記ベースに固定的かつ剛性的に結合されている、前記造形プラットフォーム(104)と、
物体(102)を造形するために前記造形プラットフォーム(104)の上方にビルド材料(122)を堆積させるビルド材料アプリケータ(120)と、
を備えるAMシステム。
【請求項13】
前記冶金的接続部(190)が、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ堅固に結合するための溶接(190)、はんだ、ろう付け、又は固体接続のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のAMシステム。
【請求項14】
前記冶金的接続部(190)は、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するための少なくとも1つの溶接部(191)を含む、請求項12に記載のAMシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの溶接部(190)が、融接、タック溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接、ガス金属アーク溶接(GMAW)、タングステン不活性ガス(TIG)溶接)、棒状シールド金属アーク溶接(SMAW)、AMシステム、フラックス入りフラックス溶接、エネルギービーム溶接(EBW)、原子状水素溶接(AHW)、プラズマアーク溶接のうちの少なくとも1つを含み、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するためのものである、請求項14に記載のAMシステム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの溶接部(190)がタック溶接を含む、請求項15に記載のAMシステム。
【請求項17】
前記冶金的接続部(190)が、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ堅固に結合するために、前記ビルド材料アプリケータ(120)によって提供される、請求項13に記載のAMシステム。
【請求項18】
前記冶金的接続部(190)が、前記周辺領域(142)の前記周縁(143)を前記ベース(110)に固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料(122)を含む、請求項16に記載のAMシステム。
【請求項19】
前記ベース(110)が第1の材料を含み、前記冶金的接続部(190)が前記第1の材料を含む、請求項13に記載のAMシステム。
【請求項20】
前記周辺領域(142)が、前記造形プラットフォーム(104)のX軸を横切る第1の対向する周辺領域と、前記造形プラットフォーム(104)のY軸を横切る第2の対向する周辺領域とを含み、前記冶金的接続部(190)が、X軸及びY軸の少なくとも一方上に配置される、請求項12に記載のAMシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して付加製造に関し、より詳細には、部分的に柔軟な造形プラットフォームを有する付加製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造(AM:Additive manufacturing)には、材料のブロックから材料を除去するのではなく、造形プラットフォーム(build platform)上に材料を連続的に積層して物体を製造する多種多様なプロセスが含まれる。特定の付加製造プロセスでは、物体が構築されるにつれて、造形プラットフォームに応力を加える(apply a stress:ストレスを与える)ことができる。例えば、選択的レーザ溶融(SLM:selective laser melting)AMプロセスでは、造形プラットフォームの面積に比べて溶接面積が大きい(large weld areas)大型部品は、熱収縮によって造形プラットフォームが変形したり反ったりする可能性がある。造形プラットフォームがAMシステムのベース(基部)に完全に剛性的に拘束されている場合、熱応力が部品に残って欠陥の原因となることがある。あるいは、造形プラットフォームとベース間の接続部が応力によって損傷することもある。修正アプローチの1つは、変形を許容するコンプライアントサポートを対象物に追加するものであるが、このサポートは製作にコストと時間がかかり、対象物の製造を複雑にする。他のアプローチでは、ベースと造形プラットフォームの間に複雑なスプリングシステム(spring systems)を実装し、造形プラットフォーム全体が撓むようにする。スプリングシステムは、そこに材料が蓄積して詰まることがあり、不利なことに、造形プラットフォームに対するベースの独立した移動を必要とすることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許出願公開WO2019/074827号
【発明の概要】
【0004】
以下に述べるすべての態様、実施例及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0005】
本開示の一態様は、付加製造(AM:dditive manufacturing)システムであって、調整可能なベースと該ベースに固定的かつ剛性的に(fixedly and rigidly)結合された周辺領域及び中間領域を含む造形プラットフォームであって、該造形プラットフォームの周辺領域を該ベースに固定的かつ剛性的に結合する冶金的接続部(metallurgical connection)と該造形プラットフォームの上方に造形物を作成するための造形物を堆積させるための造形物アプリケータとを備える、付加製造(AM)システムを提供する。
【0006】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺中間領域の周辺部をベースに固定的かつ剛性的に結合するための溶接、はんだ、ろう付け、又は固体接続(a weld, solder, braze, or solid-state connection)のうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺領域の周縁部をベースに固定的かつ剛性的に結合するための少なくとも1つの溶接部を含む。
【0008】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、少なくとも1つの溶接は、融接、タック溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接、ガス金属アーク溶接(GMAW)、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、スティック・シールド金属アーク溶接(SMAW)、フラックス入りフラックス溶接、エネルギービーム溶接(EBW)、原子状水素溶接(AHW)、プラズマアーク溶接、及びこれらの組み合わせ(at least one of a fusion weld, a tack weld, a metal inert gas (MIG) weld, a gas metal arc weld (GMAW), a tungsten inert gas (TIG) weld, a gas tungsten arc weld (GTAW), a stick-shielded metal arc weld (SMAW), a flux-cored-flux weld, an energy beam weld (EBW), an atomic hydrogen weld (AHW), a plasma arc weld, and combinations thereof )のうちの少なくとも1つにより、周辺領域の周縁部をベースに固定的かつ堅固に結合する。
【0009】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、少なくとも1つの溶接部はタック溶接部を含む。
【0010】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺領域の周辺部をベースに固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料アプリケータによって提供される。
【0011】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺領域の周辺部をベースに固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料を含む。
【0012】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、ベースは第1の材料から形成され、冶金的接続部は前記第1の材料を含む。
【0013】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、ベースは、造形プラットフォームに直接接触する。
【0014】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、直接金属レーザ溶融、直接金属レーザ焼結、選択的レーザ溶融、及び指向性エネルギー堆積(direct metal laser melting; direct metal laser sintering; selective laser melting; and directed energy deposition)のうちの少なくとも1つによってビルド材料を堆積させるビルド材料アプリケータとを含む。
【0015】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、周辺領域の周辺部は、造形プラットフォームのX軸を横切る第1の対向する周辺部と、造形プラットフォームのY軸を横切る第2の対向する周辺部とを含み、冶金接続部は、X軸及びY軸の少なくとも一方上に位置決めされる。
【0016】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金接続部は、X軸及びY軸上に配置される。
【0017】
本開示の一態様は、付加製造(AM)システムであって、調整可能なベースと、中間領域及び周縁部を含む周縁領域を含む造形プラットフォームであって、周縁領域の周縁部をベースに固定的かつ剛性的に結合するように構成された冶金的接続部によって、周縁領域の周縁部をベースに固定的かつ剛性的に結合する、造形プラットフォームと、対象物を作成するために造形プラットフォームの上方に構築材料を堆積させるための構築材料アプリケータとを備える、付加製造(AM)システムを提供する。
【0018】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺領域の周縁部をベースに固定的かつ堅固に結合するための溶接、はんだ、ろう付け、又は固体接続のうちの少なくとも1つを含む。
【0019】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺領域の周縁部をベースに固定的かつ剛性的に結合するための少なくとも1つの溶接部を含む。
【0020】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、少なくとも1つの溶接は、溶融溶接、タック溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接、ガスメタルアーク溶接(GMAW)、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、スティックシールドメタルアーク溶接(SMAW)、フラックス入りフラックス溶接、エネルギービーム溶接(EBW)、原子状水素溶接(AHW)、プラズマアーク溶接のうちの少なくとも1つ(at least one of a fusion weld, a tack weld, a metal inert gas (MIG) weld, a gas metal arc weld (GMAW), a tungsten inert gas (TIG) weld, a stick-shielded metal arc weld (SMAW), a flux-cored-flux weld, an energy beam weld (EBW), an atomic hydrogen weld (AHW), and a plasma arc weld)を含む。
【0021】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、少なくとも1つの溶接部はタック溶接部を含む。
【0022】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺領域の周辺部をベースに固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料アプリケータによって提供される。
【0023】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、冶金的接続は、周辺領域の周辺部をベースに固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料を含む。
【0024】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、ベースは第1の材料から形成され、冶金的接続部はこの第1の材料を含む。
【0025】
本開示の別の態様は、先行する態様のいずれかを含み、周辺領域は、造形プラットフォームのX軸を横切る第1の対向する周辺領域と、造形プラットフォームのY軸を横切る第2の対向する周辺領域とを含み、冶金接続部は、X軸及びY軸の少なくとも一方上に位置決めされる。
【0026】
本開示において説明される2つ以上の態様は、本要約において説明されるものを含め、本明細書において特に説明されない実施態様を形成するために組み合わされ得る。
【0027】
1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面と併せて取られる本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から、より容易に理解されるであろう。
図1】本開示の実施形態による、非屈曲状態の部分的に柔軟な造形プラットフォーム(partially flexible build platform:局所的に可撓性のビルドプラットフォーム)を含む付加製造(AM)システムの断面図を示す。
図2】本開示の実施形態による、部分的に柔軟な造形プラットフォームを含むAMシステムの平面図を示す。
図3】本開示の他の実施形態による、部分的に柔軟な造形プラットフォームを含む付加製造(AM)システムの平面図を示す。
図4】本開示のさらなる実施形態による、部分的に柔軟な造形プラットフォームを含むAMシステムの平面図を示す。
図5】本開示のさらなる実施形態による、部分的に柔軟な造形プラットフォームを含むAMシステムの平面図を示す。
図6】本開示の実施形態による、造形プラットフォームとベースとの間の冶金的接続を有する造形プラットフォーム及びベース上の矩形の付加製造物体のブロック図を示す。
図7】本開示の実施形態による、AMシステム及び方法のブロック図を示す。
図8A】本開示のより多くの実施形態による、1以上の分離制限器の正面図の概略図を示す。
図8B】本開示のより多くの実施形態による、1以上の分離制限器の上面図の概略図を示す。
図9】本開示の実施形態による、AMシステムベースに少なくとも1つのスロットを含む柔軟なベースの代替実施形態の概略正面図を示す。
図10】本開示の実施形態による、構築される物体とAMシステムベースとの間の低減されたインターフェース領域を含む柔軟なベースの追加の代替実施形態の概略正面図を示す。
図11】本開示の実施形態による、構築される対象物及びベースにおける低減された面積の接続を含む、AMシステムによって構築される対象物を有する柔軟なベースの代替の実施形態を示す。
図12】本開示の実施形態による、造形プラットフォームとベースとの間の細長い冶金的接続を有する造形プラットフォーム及びベース上に矩形の付加製造物体を有する柔軟なベースの追加の代替実施形態のブロック図を示す。
図13】本開示の実施形態による、造形プラットフォームとベースとの下及び間に配置された冶金的接続部を有する造形プラットフォームとベース上に矩形の付加製造物体を有する柔軟なベースの追加の代替実施形態のさらなるブロック図を示す。
図14】本開示の実施形態による、造形プラットフォームとベースとの間の冶金的接続を有する造形プラットフォーム及びベース上に矩形の付加製造物体を有する柔軟なベースの追加の代替実施形態のブロック図を示す。
【0029】
本開示の図面は必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを描写することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。図面において、同様の番号(like numbering)は、図面間の同様の要素(like elements)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初の問題として、本開示の主題を明確に説明するために、付加製造システム内の関連する機械オブジェクトを参照し説明する際に、特定の用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な業界用語が使用され、その受け入れられた意味と一致する方法で採用される。特に断らない限り、このような用語は、本出願の文脈及び添付の特許請求の範囲と一致する広範な解釈を与えられるべきである。当業者であれば、特定の対象が複数の異なる用語又は重複する用語を用いて言及されることが多いことを理解するであろう。本明細書において単一の部品であると説明されるものは、別の文脈では複数の部品から構成されるものを含み、参照される場合がある。あるいは、本明細書において複数の部品を含むものとして説明されているものが、別の場所では単一の部品として言及されている場合もある。
【0031】
本明細書では、以下に説明するように、いくつかの説明用語が規則的に使用される場合がある。用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、1つの物体を別の物体から区別するために互換的に使用されることができ、個々の物体の位置又は重要性を意味することを意図していない。
【0032】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的だけのためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、本明細書において使用される場合、用語“含む:comprises“及び/又は“含んでいる:comprising“は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は物体の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、物体、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことが理解されるであろう。“任意の:Optional“又は“任意に:optionally“とは、その後に記述される事象又は状況が発生してもしなくてもよいこと、又はその後に記述されるオブジェクト又は要素が存在してもしなくてもよいこと、及びその記述が、事象が発生する、又はオブジェクトが存在する事例と、それが発生しない、又は存在しない事例とを含むことを意味する。
【0033】
要素又は層が、他の要素又は層に「載っている」、「係合している」、「接続している」、又は「結合している」と称される場合、他の要素又は層に直接載っている、係合している、接続している、又は結合している可能性があり、又は介在する要素又は層が存在する可能性がある。対照的に、ある要素が他の要素や層の上に「直接載っている」、「直接係合」、「直接接続」、「直接結合」されていると呼ばれる場合、介在する要素や層が存在しないこともある。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「間」対「直接間」、「隣接」対「直接隣接」など)。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ又は複数の任意の及びすべての組み合わせを含む。
【0034】
上記に示したように、本開示は、部分的に柔軟な造形プラットフォームを含む付加製造(AM)システムを提供する。より詳細には、AMシステムは、(特に、制御された環境が望まれる付加製造プロセスのための)ビルドチャンバ(build chamber:造形チャンバ)と、(設けられている場合にはビルドチャンバに結合された)調整可能なベースと、対象物を作成するための造形プラットフォームの上方にビルド材料を堆積させるためのビルド材料アプリケータとを含むことができる。すなわち、1以上の周辺領域、例えば造形プラットフォームの1つ以上の外側部分には、1以上の対象物(object(s):物体)が冷えて造形プラットフォームを「引っ張る:pull」際に撓んだり丸まったりする柔軟性が与えられる。部分的な柔軟性は、プリントプロセス中の造形プラットフォームの熱歪みによる変形を許容し、最終的な対象物の応力を低減する。制限の少ない造形プラットフォームにより、少なくとも対象物の下部では応力を低減でき、応力による欠陥のリスクを低減できる。したがって、AMシステムは、亀裂が生じやすい材料から、より大きな付加製造物体を製造することができる。加えて、部分的な可撓性により、過度に複雑な配置をすることなく、造形プラットフォーム及び/又はベースの損傷を防ぐことができる。
【0035】
本開示の実施形態は、任意のタイプの付加製造システムに適用することができる。付加製造技術は、典型的には、形成される物体の3次元コンピュータ支援設計(CAD:computer aided design)ファイルを取り込み、物体を例えば18~102マイクロメートルの厚さの層に電子的にスライスし、ベクトル、画像、又は座標を含む各層の2次元画像を有するファイルを作成することを含む。その後、このファイルを準備ソフトウェアシステムに読み込ませ、そのファイルを解釈して、さまざまな種類の付加製造システムで物体を造形できるようにすることができる。
【0036】
3D印刷では、指向性エネルギー堆積(DED:directed energy deposition)技術は、レーザ、電子ビーム、又はガス-タングステンアークなどの集束された熱源を使用して溶融プールを形成し、溶融プールに粉末状又はワイヤ状の1以上の充填材を添加することを含むが、これらに限定されない。DEDプロセスは、CAD形状から直接作成されたツールパスに従うことができ、連続する層で部品を構築する。実施形態の特定の態様では、DEDは、エネルギーを窮屈で集中した領域に向け、基板と溶融材料とを同時に加熱することができる。DEDヘッドのすべての経路は、固化した材料から軌道を形成することができ、層は連続した材料線によって作成することができる。
【0037】
付加製造の3D印刷、ラピッドプロトタイピング(RP:rapid prototyping)、及び直接デジタル製造(DDM:direct digital manufacturing)の形態では、材料層は、選択的に吐出され、焼結され、形成され、堆積されるなどして、対象物を形成する。直接金属レーザ溶融(DMLM:direct metal laser melting)(選択的レーザ溶融(SLM:selective laser melting)とも呼ばれる)などの金属粉末付加製造技術では、金属粉末層を順次溶融させて対象物を形成する。より具体的には、微細な金属粉末層は、金属粉末ベッドの形態の造形プラットフォーム上にアプリケータを使用して均一に分散された後、順次溶融される。
【0038】
代替的に、及びこれに加えて、付加製造プロセス及びシステムには、例えば、限定されないが、バット光重合、粉末床融合、バインダ噴射、材料噴射、シート積層、材料押出、指向性エネルギー堆積、及びハイブリッドシステム(vat photopolymerization, powder bed fusion, binder jetting, material jetting, sheet lamination, material extrusion, directed energy deposition and hybrid systems)が含まれる。これらのプロセス及びシステムには、例えば、限定されないが、以下が含まれる。ステレオリソグラフィ装置(SLA)、デジタル光処理(DLP)、スキャン、スピン、選択的光硬化(3SP)、液体界面製造(CLIP)、選択的レーザ焼結(SLS)、直接金属レーザ溶融(DMLM)、選択的レーザ溶解(SLM)、電子ビーム溶解(EBM)、選択的熱焼結(SHS)、マルチジェット融合(MJF)、3Dプリンティング、ボクセルジェット、ポリジェット、平滑曲面プリンティング(SCP)、マルチジェットモデリングプロジェット(MJM)、積層造形物製造(LOM)、選択蒸着積層(SDL)、超音波付加製造(UAM)、溶融フィラメント製造(FFF)、溶融堆積モデリング(FDM)、レーザ金属堆積(LMD)、レーザエンジニアードネットシェーピング(LENS)、直接金属堆積(DMD)、ハイブリッドシステム、これらのプロセス及びシステムの組み合わせ、ならびに現在知られている又は今後開発される他の付加製造システム及びプロセス(stereolithography apparatus (SLA); digital light processing (DLP);scan, spin, and selectively photocure (3SP);liquid interface production (CLIP); selective laser sintering (SLS); direct metal laser melting (DMLM);, or direct metal laser sintering (DMLS); selective laser melting (SLM); electron beam melting (EBM); selective heat sintering (SHS); multi-jet fusion (MJF); 3D printing, voxeljet, polyjet; smooth curvatures printing (SCP); multi-jet modeling projet (MJM); laminated object manufacture (LOM); selective deposition lamination (SDL); ultrasonic additive manufacturing (UAM); fused filament fabrication (FFF); fused deposition modeling (FDM); laser metal deposition (LMD); laser engineered net shaping (LENS); direct metal deposition (DMD); hybrid systems; combinations of these processes and systems; and other additive manufacturing systems and processes now known or hereinafter developed)が含まれる。これらのプロセス及びシステムは、例えば、限定するものではないが、あらゆる形態の電磁放射、加熱、焼結、溶融、硬化、結合、圧密、プレス、埋め込み、及びこれらの組み合わせ(all forms of electromagnetic radiation, heating, sintering, melting, curing, binding, consolidating, pressing, embedding, and combinations thereof)を用いることができる。
【0039】
図1は、1つ又は複数の物体(one or more objects :対象物)102を造形するための付加製造システム100の概略断面図を示し、図2は、平面図を示す。説明の目的のために、コンピュータ化された金属粉末付加製造システムの形態のDED付加製造システム(以下、「AMシステム100」とする)などの付加製造システム100が参照されるが、これに限定されない。
【0040】
図1及び図2を参照すると、AMシステム100は、中間プレート又は造形プラットフォーム104(以下、「造形プラットフォーム104」とする)上に物体102を生成している。AMシステム100は、物体102を生成することができ、この物体102は、1つの大きな物体又は図2に単一の層のみが示されている複数の物体102を含むことができる。物体102は矩形要素として図示されているが、付加製造プロセスは、造形プラットフォーム104上で任意の形状の物体、多種多様な物体、及び多数の物体を製造するために容易に適合させることができることが理解される。
【0041】
いずれにしても、AMシステム100は、ビルドチャンバ108(特に、制御された環境が望まれる付加製造プロセスの場合)、調整可能にベース、及びビルドチャンバ108(ビルドチャンバが設けられている場合)に調整可能に結合されたベース110を含むことができる。ビルドチャンバ108は、提供される場合、Y方向及びX方向が造形プラットフォーム104及びベース110と実質的に同一平面上にあり、Z方向が造形プラットフォーム104及びベース110と実質的に垂直であるように配置され得る。ビルドチャンバ108は、物体102のプリントのために制御された雰囲気、例えば、レーザのための設定された圧力及び温度、又は電子ビーム溶融のための真空を提供することができる。
【0042】
AMシステム100は、物体102を作成するための造形プラットフォーム104の上方にビルド材料122を堆積させるためのビルド材料堆積システム119を含み得る。造形材料堆積システム119は、現在知られている又は後に開発される任意の材料供給システムを含むことができる。指向性エネルギー堆積(DED)システムの例では、システム119は、1以上の物体102を作成するための造形プラットフォーム104の上にビルド材料122を堆積させるためのビルド材料アプリケータ又はビルド材料アプリケータヘッド120(「アプリケータ120」)を含み得る。金属粉末用途において、アプリケータ120は、材料122の層を、すなわち、1以上の物体102の下層の上に堆積させる。アプリケータ120は、金属粉末ビルド材料122の新しい層を供給し、平滑化する(図1)。
【0043】
一旦層が形成されると、溶接システム123が材料の層122の一部を溶接する。例示的なAMシステム100では、溶接システム123は、100ワットの1以上のイッテルビウムレーザ124などの1以上の高出力溶融ビームを含み、ビルド材料122の層の一部を溶融又は焼結し、後に固化(solidify)して物体102を形成することができる。レーザ124及び/又は造形プラットフォーム104はX-Y方向に移動する。一旦、物体102の層が形成されると、ベース110は垂直調整システム134によって下げられる。垂直調整システム134はまた、AMシステム100の他の部分の位置を垂直に調整して、各新しい層の追加に対応することができる。例えば、各層が形成された後に、造形プラットフォーム104が下降し、及び/又はビルドチャンバ108及び/又はアプリケータ120が上昇してもよい。
【0044】
垂直調整システム、水平調整システム、組み合わされた垂直及び水平調整システム、及び/又は回転能力を有する組み合わされた垂直及び水平調整システムなどの調整システム134は、本明細書の他の箇所に記載されているAM制御システム200(図7)の制御下にある、そのような調整を提供するための現在知られている又は後に開発される任意のリニアアクチュエータを含むことができる。調整システム134は、必要に応じて付加製造システムに設けられてもよいが、DEDを含む付加製造システムは、本明細書で説明されるような調整システム134から利益を得なくてもよい。一旦下降すると、プロセスは、次に、アプリケータ120が、今や下降した1以上の物体102を横切ってビルド材料122の層を向けることから開始し、繰り返される。ベース110上の造形プラットフォーム104は、各後続の二次元層のために下げられてもよく、プロセスは、物体102が完全に形成されるまで繰り返される。
【0045】
形成中、熱応力は、ビルド中に1以上の物体102に生成されることがあり、この熱応力は、1以上の物体102に保持され、及び/又は造形プラットフォーム104に印加されることがある。本開示の実施形態に従って、造形プラットフォーム104は、中間領域140と、ベース110に固定的かつ剛性的に結合された周辺領域142の周縁(periphery)143とを含む。保持された応力は、造形プラットフォーム104の周辺領域142の周縁143の撓みを含む、造形プラットフォーム104の望ましくない撓みを引き起こす可能性がある。図1は、本開示によって具体化される、撓みを防止する前の物体102及び造形プラットフォーム104を示す。造形プラットフォーム104は、ベース110に調整可能に結合されてもよい。
【0046】
造形プラットフォーム104は、例えば、周辺領域142の周縁143がベース110から離れて撓んだり分離したりするのを防止するために、少なくとも1つの撓み又は分離制限器(以下「分離制限器」という)によってベース110に結合され得る。本開示によって具体化される1つの態様において、少なくとも1つの分離制限器は、冶金的接続部190又は溶接部191を含む。
【0047】
実施形態の特定の態様において、冶金的接続部190は、周辺領域142の周縁143をベース110に固定的かつ剛性的に(fixedly and rigidly)結合するための溶接部191、はんだ、ろう付け、又は固体接続部のうちの少なくとも1つを含む。代替的に、又はそれに加えて、冶金的接続部190は、周辺領域142の周縁143をベース110に固定的かつ剛性的に結合するための少なくとも1つの溶接部191を含む。実施形態の特定の態様において、少なくとも1つの溶接部191は、造形プラットフォーム104の周辺領域142の周縁143に配置され、ベース110上に延びることができる。したがって、本開示によって具体化されるように、少なくとも1つの溶接部191のような冶金的接続部は、周辺領域142の周縁143に固定されたベース110に造形プラットフォーム104を固定的かつ剛性的に結合することができる。したがって、造形プラットフォーム104は、周辺領域142の周縁143においてベース110と常に直接接触している。従って、周辺領域142の周縁143はベース110から完全に独立して動くことはできない。
【0048】
本開示の特定の態様に従って、冶金的接続は、少なくとも1つの溶接部191を含み得る。各少なくとも1つの溶接部191は、融接、タック溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接、ガスメタルアーク溶接(GMAW)、タングステン不活性ガス(TIG)溶接、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、スティックシールドメタルアーク溶接(SMAW)、フラックス入りフラックス溶接、エネルギービーム溶接(EBW)、原子状水素溶接(AHW)、プラズマアーク溶接、及びこれらの組み合わせ(a fusion weld, a tack weld, a metal inert gas (MIG) weld, a gas metal arc weld (GMAW), a tungsten inert gas (TIG) weld, a gas tungsten arc weld (GTAW), a stick-shielded metal arc weld (SMAW), a flux-cored-flux weld, an energy beam weld (EBW), an atomic hydrogen weld (AHW), a plasma arc weld, and combinations thereof)のうちの少なくとも1つを含み得る。少なくとも1つの溶接部191は、周辺領域142の周縁143に固定されたベース110に造形プラットフォーム104を固定的かつ堅固に結合する。さらに、本開示によって具体化されるように、冶金的接続部190は、現在知られている又は今後開発される任意の溶接と同様に、溶接191の組み合わせを含むことができる。
【0049】
本開示のさらなる態様では、冶金的接続部190はタック溶接(tack weld:鋲溶接)191である。タック溶接191に限定されないが、少なくとも1つの溶接部は、周辺領域142の少なくとも1つの側部又は周縁(以下「周縁」という)143に固定することができる。代替的に、又はそれに加えて、タック溶接部191は、周辺領域142の複数の周縁143に固定され得る。本開示によって具体化されるように、1つ以上の溶接部191を周辺領域142の各周縁143に固定することができる。
【0050】
溶接191に限定されないような冶金的接続は、造形プラットフォーム104を周辺領域142の周縁143に固定されたベース110に固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料アプリケータ120によって提供され得る。この場合、AMシステム100は、アプリケータ120に、ベース110と造形プラットフォーム104との間に、すなわち、物体102の一部として、冶金的接続部190を形成させるために、物体コード204Oを提供することができる。
【0051】
本開示によって具体化される追加の態様において、冶金的接続部(metallurgical connection)190は、周辺領域142の周縁143に固定されたベース110に造形プラットフォーム104を固定的かつ剛性的に結合するためのビルド材料122を含み得る。さらに、本開示の別の態様において、ベース110は第1の材料から形成され得、少なくとも1つの溶接部191であり得る冶金的接続部190は第1の材料を含む。
【0052】
使用時には、図1及び図3に示すように、例えばDED又は他の付加製造システム又はプロセスに限定されないが、任意の付加製造プロセスを使用して、1以上の物体102が造形プラットフォーム104上に造形される。ベース110は、造形プラットフォーム104に直接接触する。図1に示すように、1以上の物体102が撓むのに十分な力を造形プラットフォーム104に及ぼさない場合、造形プラットフォーム104はベース110と実質的に同一平面のままである。しかしながら、物体102が造形プラットフォーム104に撓むのに十分な力(F)を及ぼす場合、造形プラットフォーム104は1以上の周辺領域142で撓み、ベース110と直接接触しなくなる可能性がある。しかしながら、造形プラットフォーム104の中間領域140は、造形プラットフォーム104の中間領域140をベース110と接触した状態に維持するために、物体102が造形プラットフォーム104に十分な重量を与えるので、ベース110と実質的に同一平面関係を維持したまま、ベース110と直接接触している可能性がある。
【0053】
撓みを生じさせるのに必要な力及び力の位置は、任意の課題、例えば、割れやすい物体102、造形プラットフォーム-ベース接続の破損などに対処するようにカスタマイズすることができる。より詳細には、中間領域140及び周辺領域142の周縁143の位置、形状、サイズ及び/又は数は、多くの要因に応じて、造形(ビルド)の課題に対処するように調整することができる。例えば、図2に示されるように、構築される物体102は寸法(D)を有することができる。図2及び図3に示される例では、周辺領域142の周縁143は、物体102の外側端部148の下に配置される。
【0054】
割れやすい材料(crack-prone material)が物体102に使用される場合には、より大きな周辺領域142又はより多数の周辺領域142が望ましい場合がある。図2に示す例では、中間領域140が造形プラットフォーム104の全長(L)にわたって延び、2つの長さ方向(L)の周辺領域142が中間領域140を挟む。ここで、周辺領域142の周縁143は、造形プラットフォーム104のY軸を横切って配置された第1の対向する周辺側面142A、142Bを含む。
【0055】
図3~5の平面図に示されているように、中間領域140及び/又は周辺領域142の周縁143の位置、形状、サイズ及び/又は数は、多種多様に変化し得る。図3の例では、中間領域140は、周辺領域142の周縁143を1つ取り囲む状態で、造形プラットフォーム104上の幅方向(W)及び長さ方向(L)の中央に配置されている。ここで、周辺領域142の周縁143は、造形プラットフォーム104のY軸を横切って位置する第1の対向する周縁側面と、造形プラットフォーム104のX軸を横切って位置する第2の対向する周縁側面とを含む。図4の実施例では、中間領域140は、周辺領域142の周縁143が中間領域140の両側に2つの側面を有する状態で、造形プラットフォーム104上で斜めに延びている。1以上の中間領域140及び1以上の周辺領域142の配置の特定の例が提供されてきたが、多種多様な配置が可能であることが強調される。
【0056】
図5において、造形プラットフォーム104は、ベース110によって物体102に課される応力及び拘束を緩和するように構成され、ベース110に接続されている。したがって、造形プラットフォーム104及びベース110の構成は、物体102の熱収縮を緩和することによって熱亀裂リスクの低減を強化することができる。したがって、本開示の一態様によって具体化されるように、造形プラットフォーム104をベース110に固定する1つの位置は、図5に図示されるように、物体102のベースの軸X及びYによって定義される重心に近い領域であり得る。この重心(セントロイド:centroid)の位置は、造形プラットフォーム104とベース110との間の界面の内部であってもよい。したがって、実施形態のさらなる態様において、造形プラットフォーム104をベース110に固定するさらなる効果的な方法は、冶金的接続部190を提供し、造形プラットフォーム104のエッジと主軸との間の交差点に近接して溶接、クランプ、又はボルト締めを実施することである。造形プラットフォーム104上のこの交点は、物体102のベース領域の最大の慣性モーメントに対応することができ、これは図5の点C及びDに図示されている)。
【0057】
付加製造プロセス中の物体102の熱変形に起因して、造形プラットフォーム104は、付加製造処理においてベース110に対して適度な上方へのたわみを経験することがある。このようなたわみは、付加製造プロセスに影響を与えることができるほど重大ではないことが多い。本開示によって具体化されるように、ベース110に対する造形プラットフォーム104の上方への偏向を制限するために、造形プラットフォーム104の領域に冶金的接続部190(1つ又は複数の分離制限部として)を追加して、ベース110からの分離を制限することができる。本開示の実施形態の特定の態様において、そのような位置は、図5の点A又は点Bに近接し得る。点A及びBは、物体102のベースの最小慣性モーメント(minimum moment of inertia)に対応する主軸Xとの交点において、造形プラットフォーム104の縁部に近接して位置する。
【0058】
図6は、物体102のベース形状が矩形である場合を示している。前述の方法によれば、造形プラットフォーム104の長辺の中点を固定して、ベース110の剛体運動を除去し、物体102の撓みによる熱亀裂を除去することができる。実施形態の特定の態様によれば、造形プラットフォーム104の長辺の中点をベース110に固定することができる。ベース110に対する造形プラットフォーム104の固定は、ベース110に対する造形プラットフォーム104の動きを低減又は除去することができる。代替的に又はそれに加えて、ベース110に対する造形プラットフォーム104の固定は、物体102の熱亀裂を低減又は除去することができる。造形プラットフォーム104は、例えば溶接などの冶金的接続部190によって、2箇所以上でベース110に固定することができるが、これに限定されない。
【0059】
したがって、図1図6の実施形態では、周辺領域142は、造形プラットフォーム104とベース110との間の冶金的接続部190によってある程度まで撓むことが許容されない。
【0060】
本開示の実施形態は、本明細書に記載されるように、AMシステム100によって物体を付加製造する方法も含み得る。
【0061】
図7は、例示的なAMシステム100の概略ブロック図である。図7のAMシステム100は、一般に、金属粉末付加製造制御システム200(「制御システム」)及びAMプリンタ202を含む。制御システム200は、物体コード204Oを実行して、1つ又は複数の溶融ビーム源、例えばレーザ124を用いて物体102を生成する。本開示の教示は、任意の溶融ビーム源、例えば、電子ビーム、レーザなどに適用可能である。制御システム200は、コンピュータプログラムコードとしてコンピュータ206上で実施されることが示されている。この限りにおいて、コンピュータ206は、メモリ208及び/又は記憶システム(ストレージシステム)210、プロセッサユニット(PU)212、入出力(I/O)インターフェース214、及びバス216を含んで示されている。
さらに、コンピュータ206は、外部I/Oデバイス/リソース220及び記憶システム210と通信するように示されている。一般に、プロセッサユニット(PU)212は、メモリ208及び/又は記憶システム210に格納されているコンピュータプログラムコード204を実行する。コンピュータプログラムコード204を実行している間、プロセッサユニット(PU)212は、メモリ208、記憶システム210、I/Oデバイス220及び/又はAMプリンタ202との間でデータを読み書きすることができる。バス216は、コンピュータ206内の各オブジェクト間の通信リンクを提供し、I/Oデバイス220は、ユーザがコンピュータ206と対話することを可能にする任意のデバイス(例えば、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイなど)を構成することができる。コンピュータ206は、ハードウェアとソフトウェアの様々な可能な組み合わせの代表的なものに過ぎない。例えば、プロセッサユニット(PU)212は、単一の処理ユニットから構成されてもよいし、1つ又は複数の場所、例えばクライアント及びサーバ上の1つ又は複数の処理ユニットに分散されてもよい。同様に、メモリ208及び/又は記憶システム210は、1つ又は複数の物理的位置に存在し得る。メモリ208及び/又は記憶システム210は、磁気媒体、光学媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)等を含む、様々なタイプの非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の任意の組み合わせから構成することができる。コンピュータ206は、産業用コントローラ、ネットワークサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ハンドヘルドデバイスなどの任意のタイプのコンピューティングデバイスで構成することができる。
【0062】
前述のように、AMシステム100、特に制御システム200は、1以上の物体102を生成するためにプログラムコード204を実行し、実施形態の特定の態様では、プログラムコード204は、造形プラットフォーム104とベース110との間の少なくとも1つの冶金的接続部190を生成するコードを含み得る。システム100及びプログラムコード204は、造形プラットフォーム104とベース110との間に少なくとも1つの冶金的接続部190を作成するようにアプリケータ120に指示する。造形プラットフォーム104とベース110との間の少なくとも1つの冶金的接続部190の作成は、物体102の付加製造の開始前に起こり得る。造形プラットフォーム104とベース110との間の少なくとも1つの冶金的接続部190は、アプリケータ120によって、物体102の付加製造のステップ中に、造形プラットフォーム104の撓みが生じる前、及び/又は付加製造されることから物体102に応力が生じる前に、作成され得る。
【0063】
プログラムコード204は、とりわけ、AMプリンタ202又は他のシステム部分を動作させるためのコンピュータ実行可能命令のセット(本明細書では「システムコード204S」と呼ぶ)、及びAMプリンタ202によって物理的に生成される1以上の物体102を定義するコンピュータ実行可能命令のセット(本明細書では「物体コード204O」と呼ぶ)を含み得る。本明細書で説明するように、付加製造方法は、プログラムコード204を格納する非一過性のコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ208、記憶システム210など)から始まる。AMプリンタ202を動作させるためのシステムコード204Sは、AMプリンタ202を動作させることができる現在知られている又は後に開発される任意のソフトウェアコードを含むことができる。
【0064】
1以上の物体102を定義する物体コード204Oは、オブジェクトの正確に定義された3Dモデルを含むことができ、AutoCAD(登録商標)、TurboCAD(登録商標)、DesignCAD 3D Max(AutoCAD(登録商標), TurboCAD(登録商標), DesignCAD 3D Ma)などの多種多様な周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムのいずれかから生成することができる。この点で、物体コード204Oは、現在知られている又は後に開発された任意のファイル形式を含むことができる。さらに、1以上の物体102を代表する物体コード204Oは、異なるフォーマット間で変換することができる。例えば、物体コード204Oは、3D SystemsのステレオリソグラフィCADプログラム用に作成された標準テッセレーション言語(STL)ファイル、又は、任意のAMプリンタで製造される任意の三次元オブジェクトの形状及び構成を任意のCADソフトウェアが記述できるように設計された拡張可能マークアップ言語(XML)ベースのフォーマットである米国機械学会(ASME)標準である付加製造ファイル(AMF)を含むことができる。1以上の物体102を代表する物体コード204Oも、必要に応じて、データ信号のセットに変換して送信したり、データ信号のセットとして受信してコードに変換したり、保存したりすることができる。いずれにせよ、物体コード204Oは、AMシステム100への入力であってよく、部品設計者、知的財産(IP)プロバイダ、設計会社、AMシステム100のオペレータ、又は所有者、又は他のソース(a part designer, an intellectual property (IP) provider, a design company, the operator, or owner of AM system 100, or from other sources)から来ることができる。いずれにせよ、制御システム200は、システムコード204S及び物体コード204Oを実行し、1以上の物体102を、材料の連続する層でAMプリンタ202を使用して組み立てられる一連の薄片(a series of thin slices)に分割する。
【0065】
1つ以上の溶融ビーム源、例えばレーザ124は、造形物102を生成するために造形プラットフォーム104上の金属粉末の層を溶融するように構成される。
【0066】
図7を続けると、アプリケータ120は、造形プラットフォーム104とベース110との間の少なくとも1つの冶金的接続部190を作成することができる。造形プラットフォーム104とベース110との間の少なくとも1つの冶金的接続部190の作成は、物体102の付加製造の開始前に起こり得る。造形プラットフォーム104とベース110との間の少なくとも1つの冶金的接続部190は、アプリケータ120によって、物体102の付加製造のステップ中に、しかし造形プラットフォーム104の撓みが生じる前、及び/又は付加製造されることから物体102に応力が生じる前に、作成され得る。
【0067】
また、アプリケータ120は、最終物体の各連続するスライスが作成されるブランクキャンバス(blank canvas)として広がる材料122の薄い層を作成してもよい。アプリケータ120は、リニア輸送システム230の制御下で移動してもよい。リニア輸送システム230は、アプリケータ120を移動させるための現在知られている又は後に開発される任意の配置を含み得る。一実施形態では、リニア輸送システム230は、造形プラットフォーム104の対向する側に延びる一対の対向するレール232、234と、レール232、234に沿ってアプリケータ120を移動させるためにアプリケータ120に結合された電気モータのようなリニアアクチュエータ236とを含み得る。リニアアクチュエータ236は、アプリケータ120を動かすために制御システム200によって制御される。他の形態のリニア輸送システムも採用され得る。
【0068】
アプリケータ120は様々な形態をとる。一実施形態では、アプリケータ120は、対向するレール232、234に沿って移動するように構成された本体238と、造形プラットフォーム104、すなわち造形プラットフォーム104又は。1以上の物体102の以前に形成された層上に金属粉末を均一に広げて原料の層を形成するように構成された先端、ブレード又はブラシの形態のアクチュエータ要素(図7には図示せず)とを含み得る。アクチュエータ要素は、任意の数の方法でホルダ(図示せず)を使用して本体(ボディ)238に結合され得る。プロセスは、金属粉末の形態の異なる原材料を使用してもよい。原料は、多数の方法でアプリケータ120に供給され得る。図7に示される1つの実施形態において、原料のストックは、アプリケータ120によってアクセス可能なチャンバの形態の原料源(raw material source:原料供給源)240に保持されてもよい。他の配置において、材料122は、アプリケータ120を通して、例えば、そのアプリケータ要素の前で本体238を通して、そして造形プラットフォーム104上に送達され得る。いずれにしても、オーバーフローチャンバ241は、造形プラットフォーム104上に積層されなかった原料の任意のオーバーフローを捕捉するために、アプリケータ120の遠い側に提供され得る。
【0069】
一実施形態では、1以上の物体102は、純金属または合金を含む金属で作られることがある。一例では、金属は、実質的に任意の非反応性金属粉末、すなわち、非爆発性粉末又は非導電性粉末を含むことができ、例えば、コバルトクロムモリブデン(CoCrMo)合金、ステンレス鋼、ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金(NiCrMoNb)(例えば、インコネル625又はインコネル718)、ニッケル-クロム-鉄-モリブデン合金(NiCrFeMo)(例えば、Haynes International, Inc.から入手可能なHastelloy X(登録商標))、又はニッケル-クロム-コバルト-モリブデン合金(NiCrCoMo)(例えば、Haynes International, Inc.から入手可能なHaynes 282)などである。別の例では、金属は、工具鋼(例えば、H13)、チタン合金(例えば、Ti6Al4V)、ステンレス鋼(例えば、316L)コバルトクロム合金(例えば、CoCrMo)、及びアルミニウム合金(例えば、AlSi10Mg)などの実質的に任意の金属を含み得るが、これらに限定されない。
【0070】
ビルドチャンバ108内の雰囲気は、使用される特定のタイプの付加製造及び/又は溶融ビーム源に合わせて制御することができる。例えば、レーザ124の場合、ビルドチャンバ108は、アルゴン又は窒素のような不活性ガスで満たされ、酸素を最小化又は除去するように制御され得る。ここで、制御システム200は、不活性ガス源244からのビルドチャンバ108内の不活性ガス混合物242の流れを制御するように構成される(提供される場合)。この場合、制御システム200は、ポンプ246、及び/又は不活性ガス用フローバルブシステム248を制御して、ガス混合物242の含有量を制御することができる。フローバルブシステム248は、特定のガスのフローを正確に制御することができる、1つ以上のコンピュータ制御可能なバルブ、フローセンサ、温度センサ、圧力センサなどを含むことができる。ポンプ246は、バルブシステム248とともに設けてもよいし、バルブシステム248なしで設けてもよい。ポンプ246が省略される場合、不活性ガスは、ビルドチャンバ108に導入される前に、単に導管又はマニホールドに入ることができる。不活性ガス244の供給源は、その中に含まれる材料のための任意の従来の供給源、例えば、タンク、リザーバ、又は他の供給源の形態をとることができる。ガス混合物242を測定するのに必要な任意のセンサ(図示せず)を設けてもよい。ガス混合物242は、従来の方法でフィルタ250を用いて濾過することができる。あるいは、電子ビームの場合、ビルドチャンバ108は真空を維持するように制御されてもよい。ここで、制御システム200は、真空を維持するためにポンプ246を制御してもよく、フローバルブシステム248、不活性ガス源244及び/又はフィルタ250は省略してもよい。真空を維持するのに必要なセンサ(図示せず)は、採用してもよい。
【0071】
調整システム134は、各新しい層の追加に対応するようにAMプリンタ202の様々な部分の位置を調整するために提供されてもよく、例えば、造形プラットフォーム104が各層の後に下降してもよく、及び/又はチャンバ108及び/又はアプリケータ120が上昇してもよい。調整システムは、垂直調整、水平調整、垂直及び水平調整の組み合わせ、ならびに垂直調整、水平調整、及び/又は垂直及び水平の組み合わせを伴う回転調整を提供し得る。調整システム134は、制御システム200の制御下にあるそのような調整を提供するために、現在知られている又は後に開発される任意のリニアアクチュエータを含んでもよい。
【0072】
動作において、その上に金属粉末を有する造形プラットフォーム104は、ビルドチャンバ108内に提供され(提供される場合、上述したように)、制御システム200は、ビルドチャンバ108内の雰囲気を制御する。制御システム200はまた、AMプリンタ202、特に、アプリケータ120(例えば、リニアアクチュエータ236)及び溶融ビーム源(例えば、レーザ124)を制御して、本開示の実施形態に従って、造形プラットフォーム104上の金属粉末の層を順次溶融させて、1以上の物体102を生成する。
【0073】
前述のように、AMプリンタ202の様々な部分は、各新しい層の追加に対応するために調整システム134を介して垂直に移動してもよく、例えば、造形プラットフォーム104が下降してもよく、及び/又はチャンバ108及び/又はアプリケータ120が各層の後に上昇してもよい。1以上の物体102が造形プラットフォーム104の1以上の周辺領域142に力Fを及ぼす傾向がある場合(図1)、造形プラットフォーム104の1以上の周辺領域142は、周辺領域142の周縁143をベース110に固定的かつ剛性的に結合するように構成された冶金的接続部190によって、上方に撓むのを抑制される。一方、中間領域140は、造形プラットフォーム上の物体102の重量に一部起因して、ベース110に直接接触したままである。本明細書では特定のAMシステムを説明したが、本開示の教示は、DMLM以外の多種多様な付加製造プロセスに適用可能であることが強調される。
【0074】
AMシステム100の実施形態は、付加製造プロセス中に高い熱応力を有する可能性があり、その応力を低減することによって通常クラックが入る可能性がある大型付加オブジェクト(large additive objects:大きな付加製造対象物)の開発を可能にし、したがって、生産性及び/又は部品歩留まりを改善する。また、本開示によって具体化されるシステムは、おそらくよりクラックが発生しやすい1以上の材料を用いた、より大きな付加製造対象物(larger additively manufactured objects)の製造を可能にする。提供されるフレックスリミッタは、造形プラットフォーム内、すなわち造形プラットフォームの上や下、あるいは造形プラットフォームとベースとの間ではなく、保護された方法で配置される。図8図11のAMシステム100の造形プラットフォーム104及び/又はベース110は、付加製造物体102の応力を低減する曲げ制限及び制限機能(flex limiting and restricting features)を提供し、したがって、その中の応力を低減することによって、生産性及び/又は部品の歩留まりを向上させることができる。
【0075】
本開示によって具体化されるように、冶金的接続部190は、ベース110に対する造形プラットフォーム104の上方への撓み及び/又は分離(upward deflection and/or separation)を制限するために提供され得る。本開示の実施形態のさらなる態様では、ベース110に対する造形プラットフォーム104の撓み及び/又は分離を制限するために、造形プラットフォーム104の領域に1つ又は複数の分離制限器を追加することができる。
【0076】
図8A及び図8Bは、1以上の分離制限器(分離リストリクタ:separation restrictor(s))290の正面図及び上面図の概略図を示す。実施形態の一態様では、分離制限器290はベース110に組み込まれている。分離制限器290は、ベース110から第1の距離dだけ延びる第1の脚292を含む。距離dは、造形プラットフォーム104の高さより大きい。分離制限器290はまた、第1の脚部292から、ベース110と平行に、造形プラットフォーム104上に延びる第2の脚部294を含む。したがって、付加製造処理中に造形プラットフォーム104がベース110から撓み、偏向し、及び/又は分離する(flexes, deflects, and/or separates)場合、第2の脚部294は、ベース110に対する造形プラットフォーム104の撓み、偏向及び/又は分離を制限する。
【0077】
図9は、分離を制限するための制限器構成(Restrictor configuration)390を有する柔軟なベースの代替実施形態の概略正面図を示す。制限器構成390は、ベース110に対する造形プラットフォーム104の撓み及び/又は分離を制限するために組み込むことができる。分離制限器(Separation restrictor)390は、ベース110に形成された少なくとも1つのスロット392を含み、こうして造形プラットフォーム104’を形成する。少なくとも1つのスロット392は、ベース110の剛性が低下するように、ベース110に切り込まれてもよい。従って、物体102に亀裂を誘発する過度の拘束は、本明細書に記載されるように偏向する少なくとも1つのスロット392を購入する製造中に実質的に緩和される。
【0078】
少なくとも1つのスロット392は、第1のスロット394及び第2のスロット396を含む。第1のスロット304は、付加製造によって形成される物体102の下からベース110に概ね平行に延びる。第2のスロット396は、第1のスロット394から、物体102が構築されているベース110の表面まで延びている。従って、本開示のこの態様によって具体化されるように、第1のスロット394及び第2のスロット396は、ベース110から造形プラットフォーム104’を形成するために組み合わされる。したがって、造形プラットフォーム104’は、中央支持部分107から延びる片持ち梁部分(cantilevered portions)105を含む。片持ち梁部分105及び中央支持部分107を含む造形プラットフォーム104’を有する図9の構成は、付加製造によって引き起こされる力F(図1)によって引き起こされる撓みとは反対の「下方」方向CFへの物体102の質量による造形プラットフォーム104’の撓みを可能にし得る。したがって、実施形態のこの態様に従って、図9の撓み制限構成は、物体102における応力を回避又は低減し得る。
【0079】
図10に図示されているように、物体102は、物体102とベース110の基礎部分( underlying portion)との間のインターフェース領域(interface area)492を縮小して形成することができる。本開示によって具体化されるように、図10は、分離を制限するための制限器構成490を有する柔軟なベースの更なる代替実施形態を図示する。制限器構成490は、ベース110に対するたわみ及び/又は分離を制限するために、付加製造中に物体102に組み込むことができる。図10に従って、制御システム200は、物体コード204O(図7)を実行して、低減されたインターフェース領域492において低減された固体接続を有する物体102のベース102’を有する。1以上の物体102を生成する。実施形態のある非限定的な態様において、1以上の物体102のベース102は、低減された固体接続領域(reduced solid connection areas)を提供するために、任意のプログラム可能な形状に形成され得る。特定の態様において、低減された固体接続領域492は均一な形状とすることができる。低減された固体接続領域492は多様な構成を含むことができる。例えば、実施形態を限定する意図はないが、物体102の低減された固体接続領域492は、アーチ状又は湾曲した空隙、三角形の(arched or curved voids, triangular)低減された固体接続領域494、多角形の低減された固体接続領域495、及び/又は現在知られている、又は以下に開発される低減された固体接続領域の他の構成を含むことができる。
【0080】
付加製造的に物体102を製造し、ベース110に対する物体102の撓み、偏向、及び/又は分離(flexing, deflection, and/or separation)を抑制するための別の更なるアプローチが、図11に図示されている。図11に示されるように、物体102の製造は、物体102の逐次形成を含む。第1の製造ステップは、ベース110上に物体102の垂直な細長い部分1を付加的に製造することである。図11に関して、制御システム200は、部分(図1-8、図11)を生成するために物体コード204O(図7)を実行する。制御システム200は、物体コード204O(図7参照)を実行して、ベース110を90°又は180°回転させる。物体102の製造は、垂直な細長い部分1の側方表面上に材料を順次付加製造して堆積させることによって継続される。
【0081】
図11において、物体102の部分上の数字は、物体102の対応する部分の製造順序を示す。図示されているように、図11の物体102の部分は、垂直な細長い部分1の反対側にある。従って、ベース110の180oの回転は、物体102の各部分(1~5)が所望の部分に堆積されて物体102を作製した後に起こる。さらに、物体コード204Oによって指示されるように、物体102の所望の構造を可能にするために、ベース110の90oの回転後に部分6を追加してもよい。
【0082】
図11のこの付加製造プロセスは、ベース110と接触している物体102の単一の垂直で細長い部分1として、ベース110と物体102との間の亀裂を誘発する過剰拘束の緩和を提供することができる。本開示によって具体化されるように、物体102は、付加製造プロセスによって可能にされる複数の構成で形成され得る。さらに、図11の付加製造プロセスは、DED AMの利点を利用する。例えば、DED AM付加製造プロセスは、付加製造中にベース110の回転を可能にする。粉末床式付加製造(powder-bed additively manufacturing)に限定されないが、他の付加製造プロセスでは、ビルドプレート又はベースを含む付加製造システムの回転を可能にすることは困難又は不可能である。
【0083】
図12は、本開示の実施形態による、造形プラットフォームとベースとの間の細長い冶金的接続を有する造形プラットフォーム及びベース上の矩形の付加製造物体のブロック図を示す。図12において、物体102のベース形状は長方形である。前述の方法によれば、造形プラットフォーム104の長辺の中点は、ベース110の剛体運動を除去し、物体102の撓みによる熱亀裂を除去するために固定されるべきである。実施形態の特定の態様によれば、造形プラットフォーム104の長辺の中点をベース110に固定することができる。造形プラットフォーム104は、例えば溶接に限定されない細長い冶金的接続部190によって、2箇所以上でベース110に固定することができる。ベース110に対する造形プラットフォーム104の固定は、ベース110に対する造形プラットフォーム104の動きを低減又は除去することができる。代替的に又はそれに加えて、ベース110に対する造形プラットフォーム104の固定は、物体102の熱割れを低減又は除去することができる。
【0084】
図13は、本開示の実施形態による、造形プラットフォームの下及び造形プラットフォームとベースとの間に配置された冶金接続部を有する、造形プラットフォーム及びベース上の長方形の付加製造物体のさらなるブロック図を示す。図13において、物体102のベース形状は長方形である。前述の方法によれば、造形プラットフォーム104の長辺の中点は、ベース110の剛体運動を除去(remove rigid body motion)し、物体102の撓みによる熱割れを除去するために固定されるべきである。実施形態の図13の態様によれば、造形プラットフォーム104にスロット199を形成することができる。スロット199は、造形プラットフォーム104の中央に位置するように図13に図示されている。しかしながら、本開示によって具体化されるように、スロット199は、溶接部191が物体102を造形プラットフォーム104に保持及び固定して、動きを低減又は除去することができる造形プラットフォーム104の任意の位置に配置することができる。
【0085】
図14は、本開示の実施形態による、造形プラットフォームとベースとの間の冶金的接続を有する造形プラットフォーム及びベース上の矩形の付加製造物体のブロック図を示す。図14は、物体102のベース形状が矩形である場合を示している。前述の方法によれば、造形プラットフォーム104の長辺の中点を固定して、ベース110の剛体運動を除去し、物体102の撓みによる熱割れをなくすことができる。実施形態のある態様によれば、実施形態の図14の態様において、造形プラットフォーム104にスロット199を形成することができる。スロット199は、図14では、造形プラットフォーム104の中央に位置するように図示されている。しかしながら、本開示によって具体化されるように、スロット199は、造形プラットフォーム104の任意の位置に配置され得る。本開示によって具体化されるように、図14の実施形態は、造形プラットフォーム104上に配置された少なくとも1つのペグ又は突出部(peg or protrusion)195を含む。少なくとも1つの突出部195は、物体102が形成され、付加製造プロセスにおいて任意の熱変形を受ける際に、造形プラットフォーム104上での物体102の回転を防止する形状及び向きに構成される。
【0086】
図14に関して、少なくとも1つの突出部195を造形プラットフォーム104上に配置することができ、物体102を少なくとも1つの突出部195の周りに付加製造することができる。本開示の別の態様に従って、少なくとも1つの突出部195は、造形プラットフォーム104に設けられたスロット199内に配置され得る。本開示の別の態様に従って、少なくとも1つの突出部195は、物体の形成前に付加製造プロセスによって形成され得る。代替的に、少なくとも1つの突出部195は、実施形態の付加製造プロセスとは別に形成され、造形プラットフォーム104に取り付けられ得る。
【0087】
図14では、少なくとも1つの突出部195は、楕円体及び多角形(三角形)のペグ又は突出部として図示されている。これらの構成は、造形プラットフォーム104に対する物体102の回転を防止するであろう。本開示によって具体化されるように、多角形としての少なくとも1つの突出部195は、任意の数の辺を有する任意の多角形として形成され得る。
【0088】
突出部195に関して、物体102が形成され、付加製造プロセスにおいて任意の熱変形を受けるときに、造形プラットフォーム104上での物体102の回転を防止するために、複数の突出部195を設けることができる。複数の突出部195が設けられる場合、突出部195は、2つ以上の円形突出部が造形プラットフォーム104に対する物体102の回転を防止するので、円形突出部(a circular protrusion)として形成することができる。
【0089】
前述の図面は、本開示のいくつかの実施形態に従って関連する処理の一部を示す。図面又は説明において指摘された行為は、指摘された順序から外れて発生する可能性があり、又は例えば、関連する行為に応じて、実際には実質的に同時又は逆の順序で実行される可能性がある。本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される近似語は、それが関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」、「凡そ」、「実質的に」などの用語によって修正される値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似的な表現は、値を測定するための機器の精度に対応することがある。本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、範囲の限定は組み合わされ、及び/又は入れ替えられてもよい。このような範囲は、文脈上又は文言上そうでない場合を除き、特定され、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含む。範囲の特定の値に適用される“実質的に”は、両端値に適用され、値を測定する計器の精度に依存しない限り、記載された値の±5%を示す場合がある。
【0090】
以下の特許請求の範囲における全ての手段又はステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為、及び等価物は、具体的に特許請求されるように、他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、又は行為を含むことを意図している。本開示の説明は、例示及び説明の目的で提示されたが、開示された形態での開示について網羅的又は限定的であることを意図するものではない。本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。実施形態は、本開示の原理及び実際的な適用を最もよく説明するために、また、当業者であれば、企図される特定の用途に適するように様々な変更を伴う様々な実施形態について本開示を理解することができるように、選択され、説明された。
【符号の説明】
【0091】
100:付加製造システム 102:物体 104:中間プレート/造形プラットフォーム 105:片持ち梁部分 107:中央支持部分 108:ビルドチャンバ 110:ベース 119:ビルド材料堆積システム 120:アプリケータ 122:金属粉末ビルド材料 123:溶接システム 124:イッテルビウムレーザ 134:調整システム 140:中間領域 142:周辺領域 143:周辺領域の周縁 190:冶金学的接続部 191:溶接部 195:ペグ/突起 199:スロット 200:AM制御システム 202:AMプリンタ 204:コンピュータプログラムコード 204S:システムコード 204O:物体コード 206:コンピュータ 208:メモリ 210:記憶システム 212:プロセッサユニット 214:入出力(I/O)インターフェース 216:バス 220:入出力(I/O)装置 230:リニア搬送システム 232、234:レール 236:リニアアクチュエータ 238:本体 240:原料供給源 241:オーバーフローチャンバ 242:不活性ガス混合物 244:不活性ガス 246:ポンプ 248:フローバルブシステム 250:フィルタ 290:分離制限器 292:第1の脚部 294:第2の脚部 390、490:分離制限構成 392:スロット 394:第1のスロット 396:第2のスロット 492:インターフェース領域 494、495:固体接続領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】