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特表2024-527378ヨウ化水素の流れからヨウ素を除去するためのシステム及び方法
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  • 特表-ヨウ化水素の流れからヨウ素を除去するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ヨウ化水素の流れからヨウ素を除去するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20240717BHJP
   C01B 7/13 20060101ALI20240717BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240717BHJP
   B01D 3/14 20060101ALI20240717BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B01D53/14 210
C01B7/13
B01D53/18 130
B01D53/18 150
B01D53/18 110
B01D3/14 A
B01D15/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501131
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022073602
(87)【国際公開番号】W WO2023288200
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,813
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ジュンゴン、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】チウ、ユオン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ハイユー
(72)【発明者】
【氏名】コプカリ、ハルク
【テーマコード(参考)】
4D017
4D020
4D076
【Fターム(参考)】
4D017AA20
4D017BA03
4D017BA11
4D017CA05
4D017CB01
4D017DA01
4D020AA10
4D020BA30
4D020BB10
4D020CB01
4D020CB08
4D020CB25
4D020CD10
4D076AA16
4D076AA24
4D076BB03
4D076BB23
4D076FA02
4D076FA15
4D076FA33
(57)【要約】
少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物からヨウ素含有種を除去するための方法、並びに少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物から元素状ヨウ素及び三ヨウ化水素を除去するための方法を含む、ヨウ化水素(HI)を生成及び/又は精製するためのプロセス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から前記少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、
前記混合物を含む供給原料を提供することと、
前記供給原料を少なくとも1つの気体-液体接触ユニットに通すことであって、前記供給原料が、ヨウ化水素を含む液体と接触する、通すことと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記供給原料を、カラム、反応器、圧縮機、脱昇華器、及び冷却器からなる群から選択される更なるユニットに送ることを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記気体-液体接触ユニットは、前記供給原料が前記気体-液体接触ユニットを通った後に、前記供給原料よりも高い濃度のヨウ素含有種を有する底部液体の流れを生成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記底部液体の流れの一部分を蒸発させて、気化リサイクルの流れ及び液体リサイクルの流れを生成することを更に含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記液体リサイクルの流れと前記供給原料とを組み合わせることと、前記気化リサイクルの流れを前記気体-液体接触ユニットに送ることと、を更に含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
前記更なるユニットが、蒸留カラムであり、前記気化リサイクルの流れが、前記蒸留カラムに送られる、請求項3に記載のプロセス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの気体-液体接触ユニットが、水中スパージャ、蒸留トレイ、シャワーカーテントレイ、傾斜トレイ、シェッドトレイ、ランダムパッキング、構造化パッキング、及び液体噴霧デバイス又はノズルのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記更なるユニットが、蒸留カラムであり、前記プロセスが、前記蒸留カラム内の前記供給原料を、水素を含むリサイクルの流れ、液体ヨウ化水素生成物の流れ、及びリサイクル液体ヨウ化水素の流れに分離する工程を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのヨウ素含有種が、元素状ヨウ素、ヨード炭化水素、ヨードケトン、ヨードアルデヒド、及びHIのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記更なるユニットが、第1の蒸留カラムであり、前記プロセスが、前記供給原料を第2の蒸留カラムに送る工程を更に含み、前記第1の蒸留カラムからの前記底部の流れが、前記液体-気体接触ユニットに戻される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記更なるユニットが、蒸留カラムであり、前記プロセスが、前記蒸留カラム内の前記供給原料を、水素を含むリサイクルの流れ、液体ヨウ化水素生成物の流れ、リサイクル液体ヨウ化水素の流れ、及び前記蒸留カラム供給物より高い濃度のヨウ素含有種を有する底部液体の流れに分離する工程を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、
前記混合物を含む供給原料を提供することと、
前記供給原料を、吸着性材料が充填された少なくとも1つのカラムに通して、前記供給原料中より低い濃度の前記少なくとも1つのヨウ素含有種を有する流れを取得することと、を含む、プロセス。
【請求項13】
前記供給原料を吸着性材料が充填された少なくとも1つのカラムに通すことが、前記供給原料を前記少なくとも1つのカラムに再循環させることを含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのカラムが、約-50℃~約120℃の温度及び約-10psig~約600psigの圧力で動作する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物から前記少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、
前記供給原料を、吸着カラム及び気体-液体接触器を含む少なくとも1つのヨウ素含有種除去ユニットに通すことを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月16日に出願された、特許仮出願第63/222,813号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、ヨウ化水素(hydrogen iodide、HI)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を生成するためのプロセスに関する。具体的には、本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物からヨウ素含有種を除去するための方法、並びに少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から元素状ヨウ素及び三ヨウ化水素を除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヨウ化水素は、還元剤として使用され、加えて、ヨウ化水素酸、有機及び無機ヨウ化物、ヨードアルカンの配合物の調製において使用される、重要な工業化学物質である。ヨウ化水素を調製するための様々な方法が報告されている。
【0004】
例えば、以下の式1に従って、元素状ヨウ素とヒドラジンとの反応からヨウ化水素が調製される、N.N.Greenwoodらの、The Chemistry of the Elements,2nd edition,Oxford:Butterworth-Heineman.p809-815,1997を参照されたい。
【0005】
【化1】
【0006】
別の実施例では、Textbook of Practical Organic Chemistry,3rd editionでは、A.I.Vogelは、ヨウ化水素が、以下の式2に従って硫化水素の流れをヨウ素と反応させることによって調製され得ることを教示している。
【0007】
【化2】
【0008】
上記の実施例の各々は、硫化水素又はヒドラジンなどの高価な出発材料を使用するが、これは、ヨウ化水素の大規模な経済的調製に対するそれらの適用を制限する。追加的に、ヨウ化水素の調製のためのヒドラジンの使用は、副生成物として窒素ガスの形成をもたらす。ヨウ化水素を精製するためのヨウ化水素からの窒素ガスの分離は困難かつ高価であり、したがって、製造コストを追加する。同様に、硫化水素の使用は硫黄の形成をもたらし、これは、未反応ヨウ素から分離することが困難であり、再び製造コストを追加する。硫黄は、使用されるいかなる触媒にとっても有害であり、更に製造コストを追加する。
【0009】
米国特許出願第16/849,213号に開示されているように、ヨウ化水素は、以下の式3に従って元素状ヨウ素及び水素ガスから調製され得る。
【0010】
【化3】

このような例によって、窒素又は硫黄が生成されないので、高純度のヨウ化水素がより容易に生成され得る。
【0011】
しかしながら、ヨウ化水素は、その不安定性及び反応性のために、取り扱いが非常に困難である。例えば、ヨウ化水素は、熱又は光の存在下で分解して、水素及びヨウ素を形成する。ヨウ素は、次にヨウ化水素と反応して、三ヨウ化水素を形成し得る。液相からの水素の漏出によって、ヨウ化水素の分解が更に促進され、元素状ヨウ素と水素がより多く生成される方向に平衡がシフトする。
【0012】
追加的に、水分の存在下で、ヨウ化水素は、ほとんどの金属を腐食させ得るヨウ化水素酸を形成する。ヨウ化水素の不安定性及び反応性により、保管及び輸送が困難になる。したがって、無水ヨウ化水素は、即時使用のために局所的に調製されることが多い。追加的に、ヨウ素中の有機不純物は、ヨウ化水素の調製中に反応して、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、及びヨウ化プロピルなどのヨードアルカンを形成し得る。ヨウ化水素の反応性に起因して、それは、ごく普通に分解からの元素状ヨウ素を含有し、これは、特にそれが長期間貯蔵されなければならない場合、純度に対して有害である。
【0013】
更に、I及びHIなどのヨウ素含有種の存在は、反応中に形成される追加のIと共に、機器の腐食の増加、並びに/又は流量、圧力制御、及び詰まりの問題を含む動作上の困難を引き起こし得る。これらの結果は、所望の生成物の生産性の低減及び動作コストの増加の観点から不利である。更に、ヨウ素は、ヨウ化水素を作製するために使用される供給原料の相対的に高価な成分であり得るので、ヨウ素を分離及びリサイクルする能力は、動作コストを低減させ得る。
【0014】
元素状ヨウ素及び他のヨウ素含有種をヨウ化水素から除去するための方法、特に、高純度ヨウ化水素が所望される用途、又はヨウ素がリサイクルされることが意図される用途のための方法を開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0015】
本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物からヨウ素含有種を除去するためのプロセスを提供する。具体的には、本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から元素状ヨウ素又は三ヨウ化水素を除去するためのプロセスに関する。
【0016】
一実施形態では、本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、混合物を含む供給原料を提供することと、供給原料を少なくとも1つの気体-液体接触ユニットに通すことであって、供給原料が、ヨウ化水素を含む液体と接触する、通すことと、供給原料を、カラム、反応器、圧縮機、脱昇華器、及び冷却器を含む群から選択される更なるユニットに送ることと、を含む、プロセスを提供する。別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、混合物を含む供給原料を提供することと、供給原料を、吸着性材料が充填された少なくとも1つのカラムに通して、供給原料中より低い濃度の少なくとも1つのヨウ素含有種を有する流れを取得することと、を含む、プロセスを提供する。
【0017】
別の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、供給原料を、少なくとも1つのヨウ素含有種の濃度を低減させるように構成された少なくとも1つのヨウ素含有種除去ユニットに通すことと、供給原料を、反応器、蒸留カラム、熱交換器、圧縮機、脱昇華器、及び冷却器を含む群から選択される更なるユニットに送ることと、を含む、プロセスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】精製されたヨウ化水素を作製するための簡略化されたプロセスフローダイアグラムである。
図2】ヨウ素含有種を、ヨウ化水素の流れから吸着系列を通して除去するためのプロセスフローダイアグラムである。
図3】ヨウ素含有種を、ヨウ化水素の流れからクエンチングを通して除去するためのプロセスフローダイアグラムの実施形態である。
図4】ヨウ素含有種を、ヨウ化水素の流れからクエンチングを通して除去するためのプロセスフローダイアグラムの実施形態である。
図5】ヨウ素含有種を、ヨウ化水素の流れからクエンチングを通して除去するためのプロセスフローダイアグラムの実施形態である。
図6】ヨウ素含有種を、ヨウ化水素の流れからクエンチングを通して除去するためのプロセスフローダイアグラムの実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
I.定義
本明細書で使用される場合、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、又はこれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていない、又はこのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含み得る。更に、反対のことが明示的に述べられていない限り、「又は」は、包含的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指さない。例えば、条件A又はBは、以下の、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)かつBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)、のうちのいずれかによって満たされる。
【0020】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載される要素及び成分を記載するために用いられる。これは、単に便宜上のためであり、本発明の範囲の一般的な意味を与えるためである。本明細書は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形はまた、それが他のことを意味することが明らかでない限り、複数形も含む。
【0021】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先される。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実施又は試験において使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載される。加えて、材料、方法、及び実施例は、例解にすぎず、限定することを意図しない。
【0022】
量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は上方の好ましい値及び/若しくは下方の好ましい値との列挙のいずれかとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲又は上方の好ましい値と任意の下限範囲又は下方の好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙されている場合、別途明記されない限り、範囲は、その端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ヨウ素含有種」(iodine-containing species、ICS)という用語は、元素状ヨウ素、三ヨウ化水素、ヨード炭化水素、例えば、ヨードメタン、ヨードケトン、ヨードアルデヒドなどを意味する。
【0024】
「ヨウ素含有種除去ユニット」という用語は、プロセスの流れ中の少なくとも1つのICSの濃度を少なくとも部分的に低減させるように構成された分離ユニットを指す。ICS除去ユニットの例としては、液体-気体接触ユニット及び吸着カラムが挙げられる。
【0025】
「吸着剤」という用語は、その特性を変化させることなく物質を材料に付着させることによって、気体、液体、又は固体から物質を抽出する能力を有する材料を指す。本発明では、吸着剤は、ヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる気体又は液体の流れからヨウ素含有種を除去し得る材料である。吸着剤の例としては、活性炭、ゼオライト、シリカなどが挙げられる。
【0026】
II.全体の反応プロセス
本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物からヨウ素含有種を除去するための方法。具体的には、本開示は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から元素状ヨウ素及び三ヨウ化水素を除去するためのプロセスに関する。
【0027】
米国特許出願第16/849,213号に開示されているように、ヨウ化水素は、以下の式3に従って元素状ヨウ素及び水素ガスから調製され得る。
【0028】
【化4】
【0029】
一般的に言えば、無水ヨウ化水素は、水素(H)及びヨウ素(I)を含む反応物の流れから生成され得る。反応物の流れは、本質的に水素及びヨウ素からなり得る。反応物の流れは、水素及びヨウ素からなり得る。反応物の流れは、リサイクルされたヨウ化水素(HI)を含み得る。プロセスは、水素及びヨウ素を含む蒸気相反応物の流れを提供することと、反応物の流れを触媒の存在下で反応させて、ヨウ化水素及び未反応ヨウ素を含む生成物の流れを生成することとを含み得る。触媒は、ニッケル、コバルト、鉄、ヨウ化ニッケル(NiI)、ヨウ化コバルト(CoI)、ヨウ化鉄(FeI又はFeI)、酸化ニッケル、酸化コバルト、及び酸化鉄からなる群から選択される少なくとも1つを含み得る。触媒は、担体上に担持され得る。代替的に、本開示のプロセスのためのHIは、貯蔵タンクから、又はHIを精製するプロセス若しくは機器から得られ得る。
【0030】
例えば、本開示の実施形態は、本明細書に記載されるプロセスによって調製されるヨウ化水素生成物を、その中に存在し得る元素状ヨウ素及び/又は三ヨウ化水素の量を低減させることによって精製するためのプロセスに関する。これらの不純物は、三ヨウ化水素が形成され得、未変換の元素状ヨウ素が残り得る、HIを生成するプロセスから生じる。
【0031】
ヨウ化水素の製造効率は、反応物のリサイクルによって更に向上し得る。元素状ヨウ素は、高価な原材料であるため、元素状ヨウ素のリサイクルは、特に重要である。しかしながら、ヨウ素のリサイクルは、ヨウ素が113.7℃未満で固体であるため課題を示す。本開示はまた、効率的かつ連続的な方式でのヨウ素のリサイクルを含む、ヨウ化水素からの元素状ヨウ素の除去のためのプロセスも提供する。
【0032】
水素及びヨウ素は、無水であり得る。水分の存在は、腐食性であり、下流の機器及びプロセスラインに有害であり得るヨウ化水素酸の形成をもたらし得るため、反応物の流れ中の水の量は、最小化又は低減され得る。加えて、ヨウ化水素酸からのヨウ化水素の回収は、製造コストを追加する。
【0033】
水素は、実質的に水を含まない場合があり、重量で、約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、約10ppm未満、約5ppm未満、約2ppm未満、若しくは約1ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量で任意の水を含む。好ましくは、水素は、重量で約50ppm未満の量で任意の水を含む。より好ましくは、水素は、重量で約10ppm未満の量で任意の水を含む。最も好ましくは、水素は、重量で約5ppm未満の量で任意の水を含む。
【0034】
ヨウ素は、加熱されたヨウ素液化装置に連続的又は断続的に添加される固体ヨウ素から反応器に提供されて、液化装置中の液体ヨウ素の特定のレベルを維持し得る。液化装置内で正圧が維持されて、液体ヨウ素流量計を介して液体ヨウ素をヨウ素気化装置に供給し得る。ヨウ素液化装置内のヨウ素の温度は、温度がヨウ素を溶融するのに十分高いが、ヨウ素の気化を回避するのに十分低いように維持され得る。液体ヨウ素は、気化装置内で気化し得、気化装置を出るヨウ素蒸気は、次いで、水素供給源からの水素ガスと混合されて、反応物の流れを形成し得る。別の実施形態では、液体ヨウ素は、気化装置内で水素ガス及び/又はリサイクルHIと予備混合されて、一緒に気化して、反応物の流れを形成し得る。次いで、反応物の流れは、上に記載される触媒のうちのいずれかが予備充填され、反応温度に予備加熱された管状反応器に供給され得る。液化装置と気化装置との間のプロセスラインは、これらのラインにおいてヨウ素が液体のままであることを確実にするために、断熱され得、任意選択的に熱追跡され得る。ヨウ素蒸気及び水素/ヨウ素蒸気混合物を搬送するプロセスラインは、気相が維持されることを確実にするために、断熱され得、任意選択的に熱追跡され得る。
【0035】
ヨウ化水素、未反応水素、及び未反応ヨウ素を含む生成物の流れは、本明細書に記載されるように、反応器から1つ以上のヨウ素除去槽又はシステムに送られ得る。
【0036】
生成物カラムの底部の流れは、精製されたヨウ化水素を含み得る。精製されたヨウ化水素の純度を増加させるために、追加の生成物カラムが加えられ得る。精製されたヨウ化水素は、例えば、上で考察されたプロセスのうちのいずれかなどの後続のプロセスにおいて使用する前に、任意の残留水分を除去するために適切な乾燥剤に通され得る。精製されたヨウ化水素は、後続のプロセスに直接提供され得る。代替的に又は追加的に、精製されたヨウ化水素は、後続のプロセスで使用する前に、短期間貯蔵のために貯蔵タンク中に収集され得る。ヨウ素及び水素のリサイクルは、ヨウ化水素を生成するためのプロセスにおける効率を改善し得る。
【0037】
ヨウ素はまた、実質的に水を含まない場合があるか、又は無水であり得、重量で、約3000ppm未満、約2000ppm未満、約1000ppm未満、約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、若しくは約10ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量で任意の水を含む。好ましくは、ヨウ素は、重量で約100ppm未満の量で任意の水を含む。より好ましくは、ヨウ素は、重量で約30ppm未満の量で任意の水を含む。最も好ましくは、ヨウ素は、重量で約10ppm未満の量で任意の水を含む。
【0038】
固体形状の元素状ヨウ素は、例えば、SQM,Santiago,Chile、又はKanto Natural Gas Development Co.,Ltd,Chiba,Japanから市販されている。圧縮ガス形態の水素は、例えば、Airgas,Radnor,PAから市販されている。
【0039】
反応物の流れ中で、水素とヨウ素とのモル比は、約1:1、約1.5:1、約2:1、約2.5:1、約2.7:1、若しくは約3:1程度に低くあり得るか、又は約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、若しくは約10:1程度に高くあり得るか、又は、例えば、約1:1~約10:1、約2:1~約8:1、約3:1~約6:1、約2:1~約5:1、約2:1~約3:1、約2.5:1~約3:1、若しくは約2.7:1~約3.0:1などの、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内であり得る。好ましくは、水素とヨウ素とのモル比は、約2:1~約9:1である。より好ましくは、水素とヨウ素とのモル比は、約2.5:1~約8:1である。最も好ましくは、水素とヨウ素とのモル比は、約2.5:1~6:1である。
【0040】
反応物の流れは、反応器内に含有される触媒の存在下で反応して、上記の式3に従って無水ヨウ化水素を含む生成物の流れを生成し得る。反応器は、触媒を含有する管を含む、固定床管状反応器などの加熱管反応器であり得る。管は、ステンレス鋼、ニッケル、及び/又はニッケル合金、例えば、ニッケル-クロム方金、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-クロム-モリブデン合金、ニッケル-鉄-クロム合金、又はニッケル-銅合金などの金属から作製され得る。管反応器は、加熱され得、したがって、触媒も加熱する。供給材料は、反応器に入る前に予備加熱され得る。代替的に、反応器は、例えば、触媒が管内に充填され、熱伝達媒体が管の外側と接触している多管式反応器(例えば、シェルアンドチューブ反応器)などの任意のタイプの充填反応器であり得る。反応器は、等温的又は断熱的に動作し得る。
【0041】
HIの生成物の流れは、約30重量%以下のヨウ素含有種を含有し得、これは、経済的考慮によってのみ限定される。次いで、HIの生成物の流れは、別の生成物、例えば、ヨウ化トリフルオロアセチル(trifluoroacetyl iodide、TFAI)、CFI、又はKIを生成するための反応器供給原料として使用され得る。
【0042】
任意選択的に、HIの生成物の流れは、実質的に水を含まない場合があるか、又は無水であり得、重量で、約1,000ppm未満、約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、若しくは約10ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量で任意の水を含む。好ましくは、HIの生成物の流れは、重量で約100ppm未満の量で任意の水を含む。より好ましくは、HIの生成物の流れは、重量で約30ppm未満の量で任意の水を含む。最も好ましくは、HIの生成物の流れは、重量で約10ppm未満の量で任意の水を含む。別の言い方をすれば、水は、0.1重量%未満、0.01重量%未満、0.001重量%未満、又はこれらの値のうちの任意の2つを終点として含む任意の範囲の量で生成物の流れ中に存在し得る。
【0043】
III.ヨウ素の除去/分離
本明細書に記載されるようなプロセスは、HIの流れからヨウ素含有種(ICS)を除去又は分離するように構成された少なくとも1つのシステム、方法、及び/又はユニットを含む。本明細書に記載されるように、HIからヨウ素を除去するために、複数の異なるユニット及びその構成が使用され得る。
【0044】
図1は、HIの流れからヨウ素を除去するための簡略化されたプロセスフローダイアグラムを例解する。供給原料又は反応物の流れ(試薬、例えば、水素及びヨウ素、並びに任意の他の担体流体及び/又は副生成物若しくは不純物を含む)は、反応器10に供給される。反応器10は、上に記載されるように機能し、概して、触媒上で水素及びヨウ素をHIに変換するように構成されている。反応器に供給される前に、供給原料はまた、任意選択的なリサイクルの流れ16と混合され得る。リサイクルの流れ16は、反応器流出物の流れ12からの未反応試薬、例えばヨウ素及び/又は水素、並びにヨウ化水素を含み得る。
【0045】
反応器流出物は、流出物の流れ12において反応器10を出て、次いでICS除去システムに入る。ICS除去システム14のための様々なユニット、構成、及び動作パラメータが本明細書に記載される。反応器流出物の流れ12内のICSの少なくとも一部分は、ICS除去システム14内で除去され、HI生成物の流れ18は、任意選択的な廃棄物の流れ8a及び任意選択的なリサイクルの流れ(図示せず)と同様に、ICS除去システム14を出る。次いで、HI生成物の流れ18は、別の反応器、カラム、又は他のプロセスユニットに送られて、更に反応又は精製され得る。本明細書に記載されるように、ICS除去システム14は、吸着カラム、クエンチングユニット、蒸留カラム、冷却器、又は他の分離ユニット、及びこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの分離ユニットを備える。
【0046】
本明細書で示されるような「流れ」は、複数の流れが明示的に示されない場合であっても、成分の単一の流れ、又は複数の流れを指し得る。例えば、1つのHI生成物の流れのみが図1に示されているが、プロセス全体は、複数の他のユニットに供給し得る複数のHI生成物の流れを含有し得る。任意の数の供給原料の流れ、生成物の流れ、反応器流出物リサイクルの流れ、廃棄物の流れ、又は任意の中間体の流れが使用され得る。任意の流れは、任意の好適なパイプ、コンベヤ、又は他の搬送システム内に含有され得る。使用されるパイプはまた、プロセス材料に熱を提供するための微量加熱素子を含有し得、様々な化合物の固化の量を低減させ得る。任意の所与の流れ内の材料は、気体、蒸気、液体、スラリー、固体、超臨界流体、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0047】
追加的に、流れは、「流れ#」と称され得るが、簡略化のために「S#」と略記され得る。例えば、HI生成物の流れ18は、S18とも称され得る。
【0048】
本明細書に示され、記載されるユニットに加えて、プロセスは、好適な動作条件を達成するために、例解又は明示的に記載されない場合があるが、当業者によって存在することが容易に理解され得る他の標準的なユニット/システムを含み得る。例えば、プロセスは、任意の数のポンプ、圧縮機、バルブ、フラッシュタンク、タンク、熱交換器、ミキサ、フィルタ、又は任意の他の標準的なプロセスユニット、及びこれらの組み合わせを含み得る。これらのユニットは、温度、圧力、状態(例えば、蒸気、液体など)、流量、又はプロセス材料の任意の他の特性を変更するために使用され得る。本明細書に記載されるようなプロセス及びシステムはまた、不純物を制御及びバランスさせ、システム内の不純物の周期的蓄積を潜在的に低減させるために、任意の数の流れ位置にパージ及び出口を含み得る。
【0049】
更に、プロセスは、プロセス材料の特性を測定するための任意の数の測定デバイスを含み得る。例えば、プロセスは、任意の数の流量計、温度センサ、圧力センサ、ゲージ、分析器、又は任意の他の好適な測定デバイス、及びこれらの組み合わせを含み得る。プロセスの動作パラメータのうちのいずれも、フィードバックループなどの任意の標準的な制御システム又は方法によって制御され得、PID制御器などの任意の数の制御器を含み得る。
【0050】
プロセスの流れからICSを分離、除去、及び/又はリサイクルするための、本明細書に記載されるような分離ユニット、システム、及び方法のうちのいずれも、プロセス内の任意の場所、及び/又はプロセス内の複数の点に位置付けられ得る。例えば、少なくとも1つの分離ユニットは、HIを生成するように構成された第1の反応器からの流出物の流れ中で、CFI又は例えばヨウ化トリフルオロアセチルなどの任意の他のヨウ素化化合物を生成するように構成された別の反応器の前に位置付けられ得る。少なくとも1つの分離ユニットは、反応器の前及び/又は後に配置されて、それぞれ、反応器供給原料及び/又は反応器流出物からヨウ素含有化合物を除去し得る。いくつかの実施形態では、複数の分離ユニット及び/又はシステムは、直列及び/又は並列で使用され得る。追加的に、任意のユニットは、追加の余剰又は重複ユニットを備え得る。追加のユニットを有することによって、例えば触媒又は吸着剤の交換など、洗浄又は他の保守を可能にするために、複数のユニット間で、プロセスを切り替えることが可能になり得る。ユニットはまた切り替えられて、連続プロセス及び半連続プロセス及び/又はバッチプロセスの間で交互に行われ得る。複数のユニットを有することによってまた、機器故障の場合に、生成における追加的な安全性及び/又は信頼性が可能になり得る。
【0051】
任意選択的に、プロセス中の任意の流れは、実質的に水を含まない場合があるか、又は無水であり得、重量で、約1,000ppm未満、約500ppm未満、約300ppm未満、約200ppm未満、約100ppm未満、約50ppm未満、約30ppm未満、約20ppm未満、若しくは約10ppm未満、又は前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の値未満の量で任意の水を含む。好ましくは、任意の所与の流れは、重量で約300ppm未満の量で任意の水を含む。より好ましくは、任意の所与の流れは、重量で約200ppm未満の量で任意の水を含む。最も好ましくは、任意の所与の流れは、重量で約100ppm未満の量で任意の水を含む。別の言い方をすれば、水は、0.1重量%未満、0.01重量%未満、0.001重量%未満、又はこれらの値のうちの任意の2つを終点として含む任意の範囲の量で任意の所与の流れ中に存在し得る。
【0052】
所与の実施形態に関して本明細書で記載される特徴のうちのいずれかはまた、本明細書で記載されるような任意の他の実施形態において使用され得るか、又はそれに応用され得る。
【0053】
A.吸着剤分離
吸着剤の使用は、ヨウ化水素からのヨウ素含有種の除去の調製に関して例解されるが、他の分離技術、システム、及び/又はユニットが、本明細書に開示されるように使用され得る。このような吸着剤の使用は、ヨウ化水素からのヨウ素含有種の効率的な除去を提供し得る。
【0054】
ヨウ化水素(HI)を含有する流れは、HIを生成するように構成された反応器などの反応器を出た後に、吸着性材料が充填された少なくとも1つのカラムを通り得る。HIは、液体形態、蒸気形態、又はこれら2つの任意の組み合わせであり得る。好ましくは、HIは、液体形態である。吸着カラムは、約-50℃、約-40℃、約-30℃、約-20℃、約-10℃、約0℃、約10℃、約20℃、約30℃、若しくは約40℃のような低い温度、又は約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約110℃、若しくは約120℃のような高い温度、又は例えば、約-50℃~約120℃、約-30℃~約110℃、約0℃~約100℃、約10℃~約90℃、約20℃~約80℃、約30℃~約70℃、約40℃~約60℃、約50℃~約70℃、約40℃~約50℃、約60℃~約90℃、約0℃~約60℃、若しくは約20℃~約40℃などの、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内の温度で動作する。好ましくは、吸着カラムは、約0℃~約60℃の温度で動作する。より好ましくは、吸着カラムは、約20℃~約50℃の温度で動作する。
【0055】
吸着カラムは、プロセス中の次のユニットの圧力よりわずかに高い圧力、又は約-10psig、0psig、約5psig、約20psig、約50psig、約70psig、若しくは約100psigのような低い圧力、又は約150psig、約200psig、約250psig、約300psig、約400psig、約500psig、若しくは約600psigのような高い圧力、又は例えば、約-10psig~約600psig、約0psig~約500psig、約0psig~約400psig、約5psig~約250psig、約20psig~約200psig、約50psig~約150psig、約5psig~約100psig、約20psig~約70psig、若しくは約150psig~約250psigなどの、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内の圧力で動作し得る。好ましくは、吸着カラムは、約5psig~約250psigの圧力で動作する。より好ましくは、吸着カラムは、約10psig~約200psigの圧力で動作する。
【0056】
好適な吸着材料の非限定的な例としては、シリカライト(Al不含ZSM-5)、変性シリカライト、及びアルミノシリケートモレキュラーシーブが挙げられる。ZSM-5、ゼオライトSocony Mobil-5(ZSM-5(5)からの骨格タイプMFI)は、ゼオライトのペンタシル族に属するアルミノシリケートゼオライトである。変性シリカライトの非限定的な例としては、遷移金属変性シリカライト、アルカリ金属変性シリカライト、アルカリ土類金属変性シリカライト、希土類金属変性シリカライト、金属酸化物変性シリカライト、及び金属ハロゲン化物変性シリカライトが挙げられる。
【0057】
シリカライトは、二酸化ケイ素のいくつかの形態(多形体)のうちの1つである。それは、白色固体である。それは、四面体ケイ素中心及び二配位酸化物からなる。それは、水酸化テトラプロピルアンモニウムを使用して水熱反応させ、続いて焼成して、残留アンモニウム塩を除去することによって調製され得る。この化合物は、33%の多孔性であることが注目に値する。
【0058】
生成物の流れは、約0.1秒、約2秒、約4秒、約6秒、約8秒、約10秒、約15秒、約20秒、約25秒、若しくは約30秒のような短い接触時間、又は約40秒、約50秒、約60秒、約70秒、約80秒、約100秒、約120秒、約1,800秒、約3,600秒、約1時間、約5時間、約10時間、約24時間、約48時間、約72時間、約144時間、若しくは約168時間、若しくは約240時間のような長い接触時間、吸着剤と接触し得る。生成物の流れは、数時間又は更には数日間の接触時間にわたって吸着剤と接触する可能性があり、滞留時間は、経済的考慮によってのみ限定される。例えば、生成物の流れは、約0.1秒~約240時間、約0.1秒~約3,600秒、約2秒~約120秒、約4秒~約100秒、約6秒~約80秒、約8秒~約70秒、約10秒~約60秒、約15秒~約50秒、約20秒~約40秒、約20秒~約30秒、約10秒~約20秒、又は約100秒~約120秒などの、前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内の接触時間、吸着剤と接触し得る。
【0059】
追加的に、吸着はまた、高純度HIを作製するための最終処理工程として、蒸留又は他の分離ユニット若しくはシステムと組み合わされ得る。
【0060】
図2は、ヨウ素含有種及びヨウ化水素の混合物から、吸着を通して、ヨウ素含有種を除去するためのプロセスを示すプロセスフローダイアグラムである。混合物S22は、購入されたHIから、HI生成反応器流出物から、かつ/又はHI生成から得られた精製されたHIからのものであり得る。S22は、ヨウ素除去系列30に流入する。例解される実施形態では、ヨウ素除去系列30は、直列に位置付けられた2つの吸着カラム24及び26を含む。ヨウ素除去系列30は、上に記載されるように、HI生成物S34からICSを少なくとも部分的に除去するように構成されている。ICSの一部分が混合物から除去されると、HI生成物の流れ34は、ICS除去系列30を出て、更なる反応器、カラム、又は他のユニットに供給され得る。
【0061】
ヨウ素除去系列30は、直列配置で動作する2つのヨウ素除去槽からなるが、ヨウ素除去系列30は、並列配置で動作する2つ以上のヨウ素除去槽、直列配置で動作する3つ以上のヨウ素除去槽、及びこれらの任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。ヨウ素除去系列30は、単一のヨウ素除去槽からなり得ることも理解されたい。
【0062】
第1の吸着カラム24内で収集されたヨウ素は除去されて、第1のヨウ素リサイクルの流れ28を形成し得る。同様に、第2の吸着カラム26内で収集されたヨウ素は除去されて、第2のヨウ素リサイクルの流れ32を形成し得る。第1のヨウ素リサイクルの流れ28及び第2のヨウ素リサイクルの流れ32の各々は、HI生成用にリサイクルするために、ヨウ素液化装置20に提供され得る。
【0063】
B.クエンチング分離
ICS除去システム14の他の実施形態は、HI、未反応ヨウ素、未反応水素、及び潜在的な副生成物、少量の水などを含む反応器流出物がHI液体でクエンチングされる、クエンチングユニットを備える。HI液体は、流入ICSを捕捉し得る。動作条件に応じて、捕捉されたICSは、1つの液相を形成するHI液体と完全に混和性であり得るか、又はICSは、HI液体とスラリーを形成する固体であり得る。ICS含有HIは、部分的に蒸発して、HIの一部を除去し得、残りのHI及びICSは、反応器にリサイクルされ得る。クエンチングユニットは、流入する反応器流出物(典型的には蒸気)を、クエンチング液体HIと、任意の液体-気体接触デバイスを通して、例えば、HI液体中に浸漬されたスパージャ若しくは複数のスパージャ、蒸留トレイ、シャワーカーテントレイ、傾斜トレイ、シェッドトレイ、ランダムパッキング、構造化パッキング、液体噴霧デバイス若しくはノズル、又は任意の他の好適なシステム/デバイス、又はこれらの組み合わせを通して接触させ得る。クエンチング分離システムの複数の実施形態が図3図6に示される。
【0064】
まず図3を参照すると、HIからICSを分離するための例示的なクエンチングシステムが示されている。クエンチングシステムは、液体-気体接触器として概して記載され得るクエンチャ44を備える。システムはまた、蒸発器50、第1の蒸留カラム60(冷却器64及び再沸器62を有する)、及び第2の蒸留カラム70も備える。
【0065】
反応器流出物S40は、クエンチャ44内で、HI液体S42でクエンチングされる。HI液体又は接触液体は、プロセスから生成されたHIであり得、続いてプロセスS42から生成されたHIによって補充され得るか、又はHI還流S66を増加させることによって部分的又は全体的に補充され得、これは、以下の蒸留60に記載されるように、S56の増加した流量をもたらす。HI補充液はまた、S74を介して蒸留カラム70から供給され得る。更に、HIは、反応器流出物に添加されて、クエンチングHI液体に供給される蒸気の流れ中のヨウ素濃度を希釈するのを支援し得、これによって、HI液体と最初に接触する場合に局所的な固体形成が低下し得る。クエンチングHI液体は、クエンチ44の下流に導入され得、これは、最終的にクエンチ44に還流する。
【0066】
高温の反応器流出物蒸気とHI液体との間のエネルギー交換は、HI液体の一部分を蒸発させることをもたらし得る。この蒸発したHI S54は、クエンチングプール混合物からの潜在的に非常に少量のIと共に、残留ヨウ素からHIを除去するのに十分な精留段及びオーバーヘッド冷却器64を有する多段蒸留カラム60に送られる。Iの分圧は、クエンチングプール混合物から出てくるHIに対して低いので、Iは、HI液体中でいくらかの溶解度を示すため、蒸気含有量又はIの量は、主要な固体堆積物なしに蒸留カラム内で管理され得る。この予備調整工程は、その後のいかなる面倒な固体の堆積の発生を排除し得、圧縮機及び蒸留の動作などの信頼できる下流処理を可能にする。蒸発したHI蒸気の一部分は、オーバーヘッド冷却器64によって液化し、S66を介して蒸留カラムに還流されて、この残留I2を溶解する。
【0067】
残留ヨウ素及びHI液体を含有する蒸留カラム底部S56は、蒸発するHI液体を補充するために、クエンチャ44に戻される。クエンチャ44は、蒸留カラム60と直接一体化され得、これによって、システム内の配管の必要量が低減し得る。
【0068】
次いで、クエンチプール内の収集されたICSは、蒸発器50に送られて、HIの大部分を蒸発させ、ヨウ素及びいくらかのHIをS52内に残して、収集されるか又はHI生成のために反応器にリサイクルされる。この蒸発器からのS48におけるいくらかのICSを含有する蒸発したHIは、蒸留60及び/又はクエンチングプール44に戻されて、先に記載されるものと同じ方式でHI及びICSを再び分離する。
【0069】
上に記載されるヨウ素収集方法の代替として、HI液体プールが十分な量のICSを収集した後、高温の反応器流出物蒸気は、別のクエンチャに切り替えられて、他のクエンチャにおいてICS収集モードを継続し得る。次いで、ICSを含有するHI液体プールを蒸発させて、上に記載されるようにHIの大部分を除去し、蒸留及び/又は新規なクエンチプールに戻して、先に記載されるものと同じ方式でHI及びICSを再び分離する。残りのI2及びいくらかのHIは、反応器にリサイクルされ得る。HI液体プール/クエンチャの2つのセットは、交互のICS収集モード及びICSリサイクルモードで構成及び配列され得る。交互の、複数の、又は余剰のICS収集機器を有する利点は、ヨウ素によって引き起こされるプラグゲージ、又は他の機器の故障若しくは保守の場合に、サービスのために機器を容易に隔離する能力を提供し得る。この構成はまた、ICSリサイクルモード中に必要な動作圧力を高めるための固体処理ポンプの必要性を排除又は低減させ得る。複数の機器50を有することによって、より高い圧力は、単に槽を加熱してその動作圧力を増加させることによって達成され得、固体を含有する液体を圧送する動作を回避し得る。
【0070】
HIは、蒸留カラム内でICSから精製され分離されたS68内のHと共に、蒸留60のオーバーヘッドから出る。次いで、それは、更に処理されて、Hの流れからHIを分離して、反応器にリサイクルさせるためのHを含むリサイクルの流れS72を得る。液化HI S74の一部分は、先に記載されるようにクエンチング動作を補充するために使用され得る。残りの液化HI部分S76は、精製されたHI生成物であり、これは次いで、更なる使用又は処理のために別のユニットに送られ得る。
【0071】
ここで図4を参照すると、別の例示的なクエンチング分離システムが示されている。クエンチングシステムは、図3に示されるクエンチングシステムと同様であるが、蒸留カラム60の代わりに別のクエンチングユニット94を有する。クエンチングユニット94は、44と同様に機能し得、クエンチング液体を蒸気/気体と接触させるために、任意の好適な気体-液体接触法/デバイス/システムも使用し得る。94は、44とは異なる動作条件で動作し得る。
【0072】
蒸発したHIは、クエンチャ44からのいくらかのICS S90と共に、HI液体中の別のクエンチングユニット94又は一連のクエンチングユニットに送られて、残留ICSを累進的に捕捉し、流れ中のICSの量を、最終段階後のHI中で本質的に無視できるレベルまで潜在的に低減させる。この予備調整工程は、その後のいかなる面倒な固体の堆積の発生を排除し得、圧縮機及び蒸留の動作などの信頼できる下流処理を可能にする。
【0073】
クエンチングの最終段階から出てくるHI蒸気S96は、オーバーヘッド冷却器100によって部分的に液化する。次いで、HI及び残留ICSを含有する液化された液体S98は、前の段階などにカスケードされて戻される。このカスケード液体流動S92は、第1の段階のクエンチプールから蒸発しているHI液体を補充し、全てのICSを第1の段階のクエンチプール44において収集することを可能にする。
【0074】
冷却器100の代わりに、後続のクエンチング段階(例えば94)は、冷却器の機能を模倣するためにジャケット付き冷却を備え得るか、又は冷却器100は、特定の動作条件下で排除され得る。図4に示されるシステムの他の態様(例えば、クエンチャ44、蒸発器50、蒸留カラム70の動作)は、全て、図3に関して記載されるような対応する要素と同じ又は同様であり得る。
【0075】
ここで図5を参照すると、別の例示的なICS除去システムが示されている。図5に示されるシステムは、図4のシステムと同様であるが、第2のクエンチャ94がなく、代わりに任意選択的な冷却器100を含む。
【0076】
クエンチャ44からの蒸発蒸気S120は、オーバーヘッド冷却器100によって部分的に液化する。次いで、HI及び残留ICSを含有する液化された液体S122は、クエンチング44にカスケードされて戻される。この構成は、任意選択的な冷却器100なしで動作し得る。HI蒸気S120は、その後のいかなる固体堆積物の発生を排除するように既に十分に調整され得、圧縮機及び蒸留の動作などの信頼できる下流処理を可能にする。図5に示される他のユニットの動作及び機能は、他の実施形態における対応するユニットと同様又は同じである。
【0077】
ここで図6を参照すると、ICS除去システムの別の実施形態が示されている。図6に示されるシステムは、図5と同様であるが、クエンチャ44に戻る代わりに、蒸発器50を第2の蒸留カラム70に接続する流れがある。
【0078】
クエンチャ44からの蒸気S146は、任意選択的なオーバーヘッド冷却器100によって部分的に液化する。次いで、HI及び残留ICSを含有する液化された液体S148は、クエンチング44にカスケードされて戻される。この構成は、この任意選択的な冷却器100なしで動作し得る。HI蒸気S146は、その後のいかなる固体堆積物の発生を排除するように既に調整され得、圧縮機又は蒸留の動作などの信頼できる下流処理を可能にする。
【0079】
次いで、クエンチプール内の収集されたICSは、蒸発器50に送られて、HIの大部分を蒸発させ、ICS及びいくらかのHI S156を残して、反応器にリサイクルされる。この蒸発器からのいくらかのICSを含有する蒸発したHI S152は、HIを更に精製するために蒸留カラム70に送られる。
【0080】
上に記載される方法の代替として、HI液体プールが十分な量のICSを収集した後、反応器流出物蒸気は、別のクエンチャと蒸発器とのセットに切り替えられて、ICS収集モードを継続し得る。次いで、ICSを含有するこのHI液体プールが蒸発して、HIの大部分を除去し得、蒸留カラム70に送って、先に記載されるものと同じ方式でHIを更に精製する。残りのICS及びいくらかのHI S156は、反応器にリサイクルされる。重質パージは、不純物の蓄積を制御するためにS156又はS154から採取され得る。
【0081】
HI液体プール/クエンチャの2つのセットは、交互のICS収集モード及びICSリサイクルモードで構成及び配列され得る。交互の、複数の、又は余剰のICS収集機器を有することは、ヨウ素によって引き起こされるプラグゲージの場合に、HIの生成を中断することなく、サービスのために機器を容易に隔離する能力を提供し得る。この構成はまた、ICSリサイクルモード中に必要な動作圧力を高めるための固体処理ポンプの使用を排除し得る。複数の蒸発器50を有することによって、槽を単に加熱してその動作圧力を増加させることによって、より高い圧力が達成されることが可能になり得、固体を含む流れを圧送する必要性を低減させ得る。
【0082】
本質的に全てのICSを除去した後、HIを含むS152は、H及びHIを含むS150と共に、次いで、カラム70内で更に処理されて、HからHIを分離して、反応器にリサイクルするためのHを含むリサイクルの流れS158を得る。液化HI S160の一部分は、先に記載されたようにクエンチング動作を補充するために使用される。残部の液化HI部分S162は、精製されたHI生成物である。主に50から来る回収されたICS及びいくらかのHIを含有する、HI蒸留カラム底部S154は、ICS回収のための更なる再蒸発のために50にリサイクルされる。
【0083】
上記のプロセス又はその変形のうちのいずれかからの生成物HIの流れは、追加の処理及び/又は反応のための更なるユニットに送られ得る。例えば、HI生成物は、トリフルオロヨードメタン(CFI)又は任意の他のヨウ素化化合物を生成するために更なる反応器に提供され得、これはまた、次いで、更に処理され得る。生成物HIの流れは、圧縮機、バルブ、フラッシュタンク、タンク、液体-気体接触ユニット、カラム、ポンプ、熱交換器、分離ユニット、又はこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、生成物HIの流れのプロセス条件(例えば、温度、圧力、相、濃度、流量など)を変更するための任意のユニットに提供され得る。
【0084】
本発明は、例示的な設計に対するものとして説明されてきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲内で更に修正することができる。更に、本出願は、本発明が関連する技術分野における既知の又は慣習的な実践に属する本開示からのそのような逸脱を網羅することが意図されている。
【0085】
本明細書で使用する場合、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれか2つから選択され得ることを意味する。例えば、一対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択され得る。
【実施例
【0086】
実施例1:シリカライトを使用したHIからのIの除去
ヨウ化水素(HI)を本明細書に記載されるプロセスに従ってベンチスケールで調製し、シリカライトを含有するカラムを通して循環させた。具体的には、約3kgのHIを、150gのシリカライトを含有するカラムを通して室温で循環させた。カラムの寸法は、1インチOD×20インチLであった。材料を、ダイヤフラムポンプを使用して循環させた。表1は、出発試料及び6日後に採取された試料の酸/塩基及び酸化還元滴定を示す。結果は、元素状ヨウ素及び不揮発性残留物の濃度の有意な低減を示す。元素状ヨウ素の濃度は、762ppm~87ppmに88.5%低減した。
【0087】
【表1】
【0088】
シリカライトを使用することによって、HI中の元素状ヨウ素のレベルが低減することが実証されている。しかしながら、正確なHIアッセイの決定は、付随するヨウ素が酸-塩基滴定中に苛性アルカリと反応するため困難である。酸化還元滴定によって決定される遊離ヨウ素濃度は、HI及び元素状ヨウ素の両方についての合計数であることに留意されたい。HIアッセイのより正確な決定は、H NMRによって達成され得る。その趣旨で、シリカライトの試料を粗HIに曝露し、所定の時間後にH NMRによって分析して、HI、HI、及び水素ガスの濃度を決定した。具体的には、シリカライト試料を130℃で乾燥させ、150mL試料シリンダーに充填した。試料シリンダーを250psigで加圧チェックし、排気し、次いで粗HIを充填した。別の試料シリンダーには、シリカライトなしで粗HIのみを充填した。10日後、シリンダーからのHI試料をH NMRによって分析した。
【0089】
HI及びその分解生成物に関連するシグナルの相対強度に基づいて、溶液中に存在する各化学種のモル%を決定して、HIの純度の推定値を得ることが可能である。HI及びHIは平衡状態にあるため、濃度及び温度などのいくつかの要因に基づいてシフトすることが理解される。Hガスは、これらの条件下でのその溶解度に基づいて、液相と気相との間で分配されることも理解される。それにもかかわらず、HI試料の相対純度の推定をNMRデータに基づいて行い、表2に示す。結果は、シリカライトがHI試料中のHI濃度を低減させるのに非常に有効であることを実証している。遊離Hの対応する減少は、この発見を支持する。
【0090】
【表2】
【0091】
室温及び大気圧でのシリカライトのヨウ素吸着容量を推定するために、シリカライトが充填されたカラムをヨウ素収集器の後に設置して、HIが生成物収集シリンダー中に回収される前に、収集器からの流出物の流れ中の同伴ヨウ素を除去した。約150gのシリカライトをカラムに充填した。カラムの寸法は、1インチOD×20インチLである。表3に示されるように、468時間後、シリカライトの重量は、150g~262.5gに112.5g増加し、これは約75%の容量に対応する。使用済みシリカライト試料は、高温不活性ガスでパージするか、又はヨウ素種を溶解する好適な溶媒で洗浄することによって再生され得る。溶媒の非限定的な例としては、エタノール、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、及びヘキサンが挙げられる。
【0092】
【表3】
【0093】
実施例2(比較例):活性炭を使用したHIからのIの除去
ヨウ化水素を上記実施例1に従って調製し、活性炭(OLC12×30)を含有するカラムを通して循環させた。具体的には、約469.6gのHIを、14.9gの活性炭を含有するカラムを通して室温で循環させた。ダイヤフラムポンプを使用して、閉ループで材料を24時間循環させた。表4に示されるように、出発試料及び循環後に収集された試料の酸/塩基及び酸化還元滴定は、元素状ヨウ素の濃度の有意な増加を明らかにする。元素状ヨウ素の濃度は、822ppm~5315ppmに546.5%増加した。追加的に、活性炭の重量は、約119%(24g)増加した。これは、活性炭がHIからヨウ素及びHIを選択的に除去しないことを示す。むしろ、それは、両方の化学種を吸着し、有意な重量増加をもたらす。したがって、活性炭は、HI中の元素状ヨウ素の濃度を低減させるために使用するには、好適な吸着剤ではない。報告された遊離ヨウ素の酸化還元滴定値は、付随する元素状ヨウ素とHIとの合計値であることに留意されたい。
【0094】
【表4】
【0095】
実施例3:クエンチング分離のための物質収支
本実施例では、例示的な物質収支(material balance、MB)を、図3図6に示される4つの異なるクエンチングシステムについて計算した。計算をASPEN Plusシミュレーションソフトウェアを使用して完了した。シミュレーションは、ヨウ素、水素、HI、及び微量の水を用いて実行され、反応器流出物の流れからの1,000lb/時の流量の基準に依存した。結果を以下の表5~8に要約し、流れ番号は、図に示されるものと同じラベルに対応する。
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
【表10】
【0102】
【表11】
【0103】
【表12】
【0104】
表5~8に示されるように、クエンチングヨウ素除去システムは、反応器流出物から本質的に全ての流入ヨウ素を除去するように構成されている(S9は、無視できるIを含有することを参照されたい)。更に、本質的に全てのヨウ素は、反応器にリサイクルされ、廃棄されるヨウ素の量を低減させ、潜在的な供給原料コストを低減させる。
【0105】
態様
態様1は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスである。本プロセスは、混合物を含む供給原料を提供することと、供給原料を少なくとも1つの気体-液体接触ユニットに通すことであって、供給原料が、ヨウ化水素を含む液体と接触する、通すことと、を含む。
【0106】
態様2は、供給原料が、蒸気、部分蒸気、及び部分脱昇華化合物のうちの少なくとも1つを含む、態様1に記載のプロセスである。
【0107】
態様3は、供給原料が、供給原料の総重量に基づいて、30重量%未満の量でヨウ素を含む、態様1又は2に記載プロセスである。
【0108】
態様4は、気体-液体接触ユニットが、供給原料が気体-液体接触ユニットを通った後に、供給原料よりも高い濃度のヨウ素含有種を有する底部液体の流れを生成する、態様1~3のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0109】
態様5は、底部液体の流れの一部分を蒸発させて、気化リサイクルの流れ及び液体リサイクルの流れを生成することを更に含む、態様4に記載のプロセスである。
【0110】
態様6は、液体リサイクルの流れと供給原料とを組み合わせることと、気化リサイクルの流れを気体-液体接触ユニットに送ることと、を更に含む、態様4又は5に記載のプロセスである。
【0111】
態様7は、更なるユニットが、蒸留カラムであり、気化リサイクルの流れが、蒸留カラムに送られる、態様4~6のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0112】
態様8は、少なくとも1つの気体-液体接触ユニットが、水中スパージャ、蒸留トレイ、シャワーカーテントレイ、傾斜トレイ、シェッドトレイ、ランダムパッキング、構造化パッキング、及び液体噴霧デバイス又はノズルのうちの少なくとも1つを備える、態様1~7のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0113】
態様9は、更なるユニットが、蒸留カラムであり、プロセスが、蒸留カラム内の供給原料を、リサイクル水素の流れ、液体ヨウ化水素生成物の流れ、及びリサイクル液体ヨウ化水素の流れに分離する工程を更に含む、態様1~8のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0114】
態様10は、少なくとも1つのヨウ素含有種が、元素状ヨウ素、ヨード炭化水素、ヨードケトン、ヨードアルデヒド、及びHIのうちの少なくとも1つを含む、態様1~9のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0115】
態様11は、更なるユニットが、第1の蒸留カラムであり、プロセスが、供給原料を第2の蒸留カラムに送る工程を更に含み、第1の蒸留カラムからの底部の流れが、液体-気体接触ユニットに戻される、態様1~10のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0116】
態様12は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスである。本プロセスは、混合物を含む供給原料を提供することと、供給原料を、吸着性材料が充填された少なくとも1つのカラムに通して、供給原料中より低い濃度の少なくとも1つのヨウ素含有種を有する流れを取得することと、を含む。
【0117】
態様13は、供給原料を吸着性材料が充填された少なくとも1つのカラムに通すことが、供給原料を少なくとも1つのカラムに再循環させることを含む、態様12に記載のプロセスである。
【0118】
態様14は、少なくとも1つのカラムが、約-50℃~約120℃の温度及び約-10psig~約600psigの圧力で動作する、態様12又は13に記載のプロセスである。
【0119】
態様15は、少なくとも12つのヨウ素含有種が、元素状ヨウ素、ヨード炭化水素、ヨードケトン、ヨードアルデヒド、及びHIのうちの少なくとも1つを含む、態様12~14のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0120】
態様16は、吸着性材料が、シリカライトを含む、態様12~15のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0121】
態様17は、シリカライトが、少なくとも2Åの細孔径を有し、シリカライトの表面積が、約50m/g~約3000m/gの範囲である、態様16に記載のプロセスである。
【0122】
態様18は、少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスである。本プロセスは、供給原料を、少なくとも1つのヨウ素含有種の濃度を低減させるように構成された少なくとも1つのヨウ素含有種除去ユニットに通すことと、供給原料を、反応器、蒸留カラム、熱交換器、圧縮機、脱昇華器、及び冷却器からなる群から選択される更なるユニットに送ることと、を含む。
【0123】
態様19は、供給原料を通すことが、供給原料を更なるユニットに送る前に、少なくとも1つのヨウ素含有種除去ユニットを通して供給原料の少なくとも一部分をリサイクルすることを含む、態様18に記載のプロセスである。
【0124】
態様20は、少なくとも1つのヨウ素含有種除去ユニットが吸着カラムを含む、態様18又は19に記載のプロセスである。
【0125】
態様21は、吸着カラムが吸着性材料で充填されている、態様20に記載のプロセスである。
【0126】
態様22は、吸着性材料が、シリカライトを含む、態様21に記載のプロセスである。
【0127】
態様23は、少なくとも1つのヨウ素含有種除去ユニットが気体-液体接触ユニットを備える、態様18又は19に記載のプロセスである。
【0128】
態様24は、気体-液体接触ユニットが、供給原料が気体-液体接触ユニットを通った後に、供給原料よりも高い濃度のヨウ素含有種を有する底部液体の流れを生成する、態様23に記載のプロセスである。
【0129】
態様25は、蒸発器内の底部液体の流れの一部分を蒸発させて、気化リサイクルの流れ及び液体リサイクルの流れを生成することを更に含む、態様24に記載のプロセスである。
【0130】
態様26は、液体リサイクルの流れと供給原料とを組み合わせることと、気化リサイクルの流れを気体-液体接触ユニットに送ることと、を更に含む、態様24又は25に記載プロセスである。
【0131】
態様27は、更なるユニットが、蒸留カラムであり、気化リサイクルの流れが、蒸留カラムに送られる、態様24~26のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0132】
態様28は、少なくとも1つの気体-液体接触ユニットが、水中スパージャ、蒸留トレイ、シャワーカーテントレイ、傾斜トレイ、シェッドトレイ、ランダムパッキング、構造化パッキング、及び液体噴霧デバイス又はノズルのうちの少なくとも1つを備える、態様23~26のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0133】
態様29は、更なるユニットが、蒸留カラムであり、プロセスが、蒸留カラム内の供給原料を、リサイクル水素の流れ、液体ヨウ化水素生成物の流れ、及びリサイクル液体ヨウ化水素の流れに分離する工程を更に含む、態様18~28のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0134】
態様30は、少なくとも1つのヨウ素含有種が、元素状ヨウ素、ヨード炭化水素、ヨードケトン、ヨードアルデヒド、及びHIのうちの少なくとも1つを含む、態様18~29のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0135】
態様31は、更なるユニットが、トリフルオロヨードメタンを生成するように構成された1つ以上の反応器である、態様1~11又は態様18~29のいずれか1つに記載のプロセスである。
【0136】
態様32は、供給原料を、カラム、反応器、圧縮機、脱昇華器、及び冷却器からなる群から選択される更なるユニットに送ることを更に含む、態様1に記載のプロセスである。
【0137】
態様33は、更なるユニットが、蒸留カラムであり、プロセスが、蒸留カラム内の供給原料を、水素を含むリサイクルの流れ、液体ヨウ化水素生成物の流れ、リサイクル液体ヨウ化水素の流れ、及び蒸留カラム供給物より高い濃度のヨウ素含有種を有する底部液体の流れに分離する工程を更に含む、態様1に記載のプロセスである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から前記少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、
前記混合物を含む供給原料を提供することと、
前記供給原料を少なくとも1つの気体-液体接触ユニットに通すことであって、前記供給原料が、ヨウ化水素を含む液体と接触する、通すことと、を含む、プロセス。
【請求項2】
少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素からなる混合物から少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、
前記混合物を含む供給原料を提供することと、
前記供給原料を、吸着性材料が充填された少なくとも1つのカラムに通して、前記供給原料中より低い濃度の前記少なくとも1つのヨウ素含有種を有する流れを取得することと、を含む、プロセス。
【請求項3】
少なくとも1つのヨウ素含有種及びヨウ化水素を含む混合物から前記少なくとも1つのヨウ素含有種を除去するためのプロセスであって、
前記供給原料を、吸着カラム及び気体-液体接触器を含む少なくとも1つのヨウ素含有種除去ユニットに通すことを含む、プロセス。
【国際調査報告】