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特表2024-527383絶縁サンプリング回路、その制御方法、耐電圧試験方法及び電力消費機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】絶縁サンプリング回路、その制御方法、耐電圧試験方法及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/00 20060101AFI20240717BHJP
   G01R 31/396 20190101ALI20240717BHJP
   G01R 31/54 20200101ALI20240717BHJP
   H03K 17/10 20060101ALN20240717BHJP
   H03M 1/12 20060101ALN20240717BHJP
【FI】
H03K17/00 D
G01R31/396
G01R31/54
H03K17/10
H03M1/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501263
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2022121858
(87)【国際公開番号】W WO2023078002
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111306494.2
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王興昌
(72)【発明者】
【氏名】田偉
(72)【発明者】
【氏名】顔志偉
(72)【発明者】
【氏名】馬行
(72)【発明者】
【氏名】盧方友
【テーマコード(参考)】
2G014
2G216
5J022
5J055
【Fターム(参考)】
2G014AA17
2G014AA33
2G014AB27
2G014AB29
2G014AB61
2G014AC18
2G216AB01
2G216BB16
5J022AA01
5J022CA10
5J022CD02
5J022CF07
5J055AX34
5J055BX17
5J055CX28
5J055DX22
5J055DX72
5J055EY03
5J055EZ24
5J055EZ29
5J055EZ39
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX03
5J055GX09
(57)【要約】
絶縁サンプリング回路、その制御方法、耐電圧試験方法及び電力消費機器を提供する。この絶縁サンプリング回路は、第1のサンプリングモジュール(120)、第1の抵抗(R1)及び第1のスイッチモジュール(110)で構成された第1のサンプリング回路(100)と、第2のサンプリングモジュール(220)、第2の抵抗(R2)及び第2のスイッチモジュール(210)で構成された第2のサンプリング回路(200)と、耐電圧モジュール(300)とを含む。第1の抵抗(R1)は、第1のサンプリングモジュール(120)に並列接続され、第1のスイッチモジュール(110)は、第1のサンプリングモジュール(120)及び/又は第1の抵抗(R1)を正極母線(P+)と接地線(GND)との間に接続するように制御するために用いられ、第2の抵抗(R2)は、第2のサンプリングモジュール(220)に並列接続され、第2のスイッチモジュール(210)は、第2のサンプリングモジュール(220)及び/又は第2の抵抗(R2)を負極母線(P-)と接地線(GND)との間に接続するように制御するために用いられ、耐電圧モジュール(300)は、接地線(GND)を切断するように接地線(GND)に設置され、正極母線(P+)と接地線(GND)との間/負極母線(P-)と接地線(GND)との間の耐電圧能力を効果的に向上させ、高電圧の耐電圧試験の需要を満たすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁サンプリング回路であって、
第1のサンプリングモジュール、第1の抵抗及び第1のスイッチモジュールを含む第1のサンプリング回路であって、前記第1の抵抗が前記第1のサンプリングモジュールに並列接続され、前記第1のスイッチモジュールが前記第1のサンプリングモジュール及び/又は前記第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続するように制御するために用いられる第1のサンプリング回路と、
第2のサンプリングモジュール、第2の抵抗及び第2のスイッチモジュールを含む第2のサンプリング回路であって、前記第2の抵抗が前記第2のサンプリングモジュールに並列接続され、前記第2のスイッチモジュールが前記第2のサンプリングモジュール及び/又は前記第2の抵抗を負極母線と前記接地線との間に接続するように制御するために用いられる第2のサンプリング回路と、
前記接地線を切断するための、前記接地線に設置される耐電圧モジュールと、
を含む、絶縁サンプリング回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチモジュールは、第1のスイッチ及び第3のスイッチを含み、前記第2のスイッチモジュールは、第2のスイッチ及び第4のスイッチを含み、
前記第1の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第1の抵抗の他端は、第1のスイッチによって前記接地線に接続され、
前記第1のサンプリングモジュールの一端は、前記正極母線に接続され、前記第1のサンプリングモジュールの他端は、前記第3のスイッチによって前記接地線に接続され、
前記第2の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第2の抵抗の他端は、第2のスイッチによって前記接地線に接続され、
前記第2のサンプリングモジュールの一端は、前記正極母線に接続され、前記第2のサンプリングモジュールの他端は、前記第4のスイッチによって前記接地線に接続される、請求項1に記載の絶縁サンプリング回路。
【請求項3】
前記第1のサンプリングモジュールは、第3の抵抗及び第5の抵抗を含み、前記第2のサンプリングモジュールは、第4の抵抗及び第6の抵抗を含み、
前記第3の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第3の抵抗の他端は、前記第5の抵抗の一端に接続され、前記第5の抵抗の他端は、前記第3のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第3の抵抗と前記第5の抵抗との間の接続ノードは、第1の電圧サンプリングポイントを形成し、
前記第4の抵抗の一端は、前記負極母線に接続され、前記第4の抵抗の他端は、前記第6の抵抗の一端に接続され、前記第6の抵抗の他端は、前記第4のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第4の抵抗と前記第6の抵抗との間の接続ノードは、第2の電圧サンプリングポイントを形成する、請求項1又は2に記載の絶縁サンプリング回路。
【請求項4】
前記耐電圧モジュールは、前記接地線に設置された制御可能なスイッチを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路に用いられる耐電圧試験方法であって、
前記絶縁サンプリング回路に接続された正極母線と接地線との間に予め設定される電圧を印加するとともに、前記絶縁サンプリング回路に接続された負極母線と接地線との間に予め設定される電圧を印加することを含み、
前記絶縁サンプリング回路の耐電圧モジュールは、前記接地線を切断したままにする、耐電圧試験方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路の制御方法であって、
前記絶縁サンプリング回路の前記耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、前記第1のサンプリングモジュールを正極母線と前記接地線との間に接続するように前記絶縁サンプリング回路の前記第1のスイッチモジュールを制御するとともに、前記第2のサンプリングモジュールを負極母線と前記接地線との間に接続するように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
前記第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得することと、
前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断することと、
前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うことと、
前記接地線が切断された場合、故障情報を出力することと、
を含む、制御方法。
【請求項7】
前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断することは、
前記耐電圧モジュールが前記接地線に繋がってから前記第2のサンプリング電圧が安定になった時までの経過時間を取得することと、
前記経過時間が予め設定される時間閾値を満たすかどうかを判断することと、
満たす場合、前記接地線が導通したと確定することと、
を含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御する前に、前記方法は、
前記絶縁サンプリング回路の前記第1のサンプリングモジュール及び第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続し、また前記第2のサンプリングモジュール及び第2の抵抗を負極母線と接地線との間に接続することと、
前記第1のサンプリングモジュール又は前記第2のサンプリングモジュールで形成された電圧信号を取得することと、
前記電圧信号に基づき、前記第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断することと、
故障がある場合、故障情報を出力することと、
故障がない場合、前記耐電圧モジュールが前記接地線に繋がるように制御し、前記第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間から切断するように前記第1のスイッチモジュールを制御するとともに、前記第2の抵抗を負極母線と接地線との間から切断するように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
をさらに含む、請求項6又は7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記電圧信号に基づき、前記第1のサンプリング回路と前記第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断することは、
前記電圧信号に基づき、前記正極母線と負極母線との間の理論電圧差を計算することと、
前記理論電圧差と、前記正極母線と負極母線との間の実電圧差との差分値を計算することと、
前記理論電圧差と前記実電圧差との差分値の絶対値と実電圧差との比が予め設定される差異閾値よりも小さいかどうかを判断することと、
そうである場合、前記第1のサンプリング回路と前記第2のサンプリング回路に故障がないと確定することと、
そうではない場合、前記第1のサンプリング回路と前記第2のサンプリング回路に故障があると確定することと、
を含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うことは、
前記第1のサンプリングモジュールで形成された第1のサンプリング電圧と前記第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧をそれぞれ取得することと、
前記第1のサンプリング電圧が前記第2のサンプリング電圧以上である場合、前記第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間に接続するように制御することと、
前記第1の抵抗が接続された後、前記第1のサンプリングモジュールで形成された第3のサンプリング電圧と、第2のサンプリングモジュールで形成された第4のサンプリング電圧と、を取得することと、
前記第1のサンプリング電圧、前記第2のサンプリング電圧、前記第3のサンプリング電圧及び前記第4のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗、及び、負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算することと、
前記第1のサンプリング電圧が前記第2のサンプリング電圧よりも小さい場合、前記第2の抵抗を前記負極母線と接地線との間に接続するように制御することと、
前記第2の抵抗が接続された後、前記第1のサンプリングモジュールで形成された第5のサンプリング電圧と、第2のサンプリングモジュールで形成された第6のサンプリング電圧と、を取得することと、
前記第1のサンプリング電圧、前記第2のサンプリング電圧、前記第5のサンプリング電圧及び前記第6のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗、及び、負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算することと
を含む、請求項5~8のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路の制御装置であって、
前記絶縁サンプリング回路の前記耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、前記第1のサンプリングモジュールを正極母線と前記接地線との間に接続するように前記絶縁サンプリング回路の前記第1のスイッチモジュールを制御するとともに、前記第2のサンプリングモジュールを負極母線と前記接地線との間に接続するように前記第2のスイッチモジュールを制御するためのスイッチ制御ユニットと、
前記第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得し、前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断するための接地線検出ユニットと、
前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うための絶縁検出ユニットと、
前記接地線が切断された場合、故障情報を出力するための故障報告ユニットと、
を含む、制御装置。
【請求項12】
電池管理システムであって、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリにコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令は、前記プロセッサによって呼び出される時、前記プロセッサに請求項5~9のいずれか1項に記載の制御方法を実行させる、電池管理システム。
【請求項13】
電力消費機器であって、請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路、電池、負荷及び請求項12に記載の電池管理システムを含み、前記電池は、前記電池管理システムに接続され、前記負荷に給電する、電力消費機器。
【請求項14】
コンピュータ記憶媒体であって、コンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令は、プロセッサによって呼び出される時、前記プロセッサに請求項6~9のいずれか1項に記載の制御方法を実行させる、コンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月05日に提出された、名称が「絶縁サンプリング回路、その制御方法、耐電圧試験方法及び電力消費機器」である中国特許出願202111306494.2の優先権を主張し、当該出願の内容の全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、絶縁検出分野に関し、具体的には、絶縁サンプリング回路、その制御方法、耐電圧試験方法及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0003】
絶縁検出は、電気自動車、ハイブリッド自動車や充電パイルなどの様々なシナリオに用いられる、高圧正極対地、高圧負極対地の絶縁抵抗を検出して絶縁性能を判断するための方法である。これは、電気安全を確保し、高圧による人体の直接傷害を回避するために用いられる。しかしながら、現在の絶縁検出回路は、サンプリング回路の耐電圧能力が制限されるという問題を解決できない。
【発明の概要】
【0004】
上記問題に鑑み、本出願は、絶縁検出を行うサンプリング回路の耐電圧能力が制限されるという問題を解決できる絶縁サンプリング回路、その制御方法、耐電圧試験方法及び電力消費機器を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、本出願は、絶縁サンプリング回路を提供する。この絶縁サンプリング回路は、第1のサンプリング回路、第2のサンプリング回路及び耐電圧モジュールを含む。この第1のサンプリング回路は、第1のサンプリングモジュール、第1の抵抗及び第1のスイッチモジュールを含み、前記第1の抵抗は、前記第1のサンプリングモジュールに並列接続され、前記第1のスイッチモジュールは、前記第1のサンプリングモジュール及び/又は前記第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続するように制御するために用いられ、この第2のサンプリング回路は、第2のサンプリングモジュール、第2の抵抗及び第2のスイッチモジュールを含み、前記第2の抵抗は、前記第2のサンプリングモジュールに並列接続され、前記第2のスイッチモジュールは、前記第2のサンプリングモジュール及び/又は前記第2の抵抗を負極母線と接地線との間に接続するように制御するために用いられる。耐電圧モジュールは、前記接地線に設置され、前記接地線を切断するために用いられる。
【0006】
本出願の実施例の技術案では、接地線を切断したままにすることができる耐電圧モジュールを接地線に増設することにより、正極母線と接地線との間/負極母線と接地線との間の耐電圧能力を効果的に向上させ、高電圧の耐電圧試験の需要を満たすことができる。そして、接地線に耐電圧モジュールを設置することにより、耐電圧モジュールの実際運行状態の検出にも役立ち、異なる試験要求を両立させ満たすことができる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記第1のスイッチモジュールは、第1のスイッチ及び第3のスイッチを含み、前記第2のスイッチモジュールは、第2のスイッチ及び第4のスイッチを含む。前記第1の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第1の抵抗の他端は、第1のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第1のサンプリングモジュールの一端は、前記正極母線に接続され、前記第1のサンプリングモジュールの他端は、第3のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第2の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第2の抵抗の他端は、第2のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第2のサンプリングモジュールの一端は、前記正極母線に接続され、前記第2のサンプリングモジュールの他端は、前記第4のスイッチによって前記接地線に接続される。本出願の実施例のスイッチモジュールは、それぞれがサンプリングモジュールと既知抵抗を接続するかどうかを独立制御して、異なる検出ステップを実現するために用いられる二つのスイッチで構成される。
【0008】
いくつかの実施例において、前記第1のサンプリングモジュールは、第3の抵抗及び第5の抵抗を含み、前記第2のサンプリングモジュールは、第4の抵抗及び第6の抵抗を含む。前記第3の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第3の抵抗の他端は、前記第5の抵抗の一端に接続され、前記第5の抵抗の他端は、前記第3のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第3の抵抗と前記第5の抵抗との間の接続ノードは、第1の電圧サンプリングポイントを形成し、前記第4の抵抗の一端は、前記負極母線に接続され、前記第4の抵抗の他端は、前記第6の抵抗の一端に接続され、前記第6の抵抗の他端は、前記第4のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第4の抵抗と前記第6の抵抗との間の接続ノードは、第2の電圧サンプリングポイントを形成する。本出願の実施例は、二つの直列抵抗で構成されたサンプリングモジュールを提供し、抵抗の抵抗値を調整することにより実際の応用状況の需要を満たすことができる。
【0009】
いくつかの実施例において、前記耐電圧モジュールは、接地線に設置された制御可能なスイッチを含む。このような設計により、必要な時に接地線を切断し、高い耐電圧能力を提供し、耐電圧試験の需要を満たすことができるとともに、耐電圧試験が終了した後に接地線を再導通させ、絶縁試験の要求を満たすことができる。
【0010】
第2の態様によれば、本出願は、耐電圧試験方法を提供する。この耐電圧試験方法は、上記のような絶縁サンプリング回路に用いられる。この耐電圧試験方法は、前記絶縁サンプリング回路に接続された正極母線と接地線との間に予め設定される電圧を印加するとともに、前記絶縁サンプリング回路に接続された負極母線と接地線との間に予め設定される電圧を印加することを含んでもよく、前記絶縁サンプリング回路の耐電圧モジュールは、前記接地線を切断したままにする。
【0011】
本出願の実施例の技術案では、正極母線と接地線との間/負極母線と接地線との間には、スイッチモジュールに加え、接地線を切断する耐電圧モジュールも設置される。これにより、絶縁サンプリング回路は、高い耐電圧能力を有し、高電圧の耐電圧試験を完成させることができる。
【0012】
第3の態様によれば、本出願は、上記のような絶縁サンプリング回路の制御方法を提供する。この制御方法は、前記絶縁サンプリング回路の耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、第1のサンプリングモジュールを正極母線と前記接地線との間に接続するように前記絶縁サンプリング回路の第1のスイッチモジュールを制御するとともに、第2のサンプリングモジュールを負極母線と前記接地線との間に接続するように第2のスイッチモジュールを制御することと、第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得することと、前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断することと、前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うことと、前記接地線が切断された場合、故障情報を出力することと、を含む。
【0013】
本出願の実施例の技術案では、検出したサンプリング電圧の変化傾向に従って接地線が導通したかどうかを検出し確定することにより、耐電圧モジュールが故障又は無効になった状況を検出し判定することができ、絶縁検出結果の信頼性を向上させた。
【0014】
いくつかの実施例において、前記の前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断することは、具体的には、前記耐電圧モジュールが前記接地線に繋がってから前記第2のサンプリング電圧が安定になった時までの経過時間を取得することと、前記経過時間が予め設定される時間閾値を満たすかどうかを判断し、満たす場合、前記接地線が導通したと確定することと、を含む。このような設計は、接地線が導通した時に通常存在するコンデンサ(例えば、このコンデンサは、高圧電池システムが装着された新エネルギー車両の本体にあるコンデンサであってもよい)充電過程を利用して耐電圧モジュールが接地線に正常に繋がったかどうかを検出することにより、絶縁検出結果の正確さを確保することができる。
【0015】
いくつかの実施例において、前記耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御する前に、前記方法は、前記絶縁サンプリング回路の第1のサンプリングモジュールと第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続し、また第2のサンプリングモジュールと第2の抵抗を負極母線と接地線との間に接続することと、前記第1のサンプリングモジュール又は第2のサンプリングモジュールで形成された電圧信号を取得することと、前記電圧信号に基づき、前記第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断することと、故障がある場合、故障情報を出力することと、故障がない場合、前記耐電圧モジュールが前記接地線に繋がるように制御し、前記第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間から切断するように第1のスイッチモジュールを制御するとともに、前記第2の抵抗を負極母線と接地線との間から切断するように第2のスイッチモジュールを制御することと、をさらに含む。このような設計は、絶縁検出前に、追加的な検出プログラムを設定することにより、サンプリング回路が正常の作動状態にあることを確保する。
【0016】
いくつかの実施例において、前記電圧信号に基づき、前記第1のサンプリング回路と前記第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断することは、具体的には、前記電圧信号に基づき、前記正極母線と負極母線との間の理論電圧差を計算することと、前記理論電圧差と、前記正極母線と負極母線との間の実電圧差との差分値を計算することと、前記理論電圧差と前記実電圧差との差分値の絶対値と実電圧差との比が予め設定される差異閾値よりも小さいかどうかを判断することと、そうである場合、前記第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障がないと確定することと、そうではない場合、前記第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障があると確定することと、を含む。
【0017】
本出願の実施例の技術案では、サンプリングした電圧信号に従って正極母線と負極母線との間の理論電圧を推算した後、サンプリング結果に従って推算した理論電圧と実電圧との差異の大きさに応じて第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを確定することを設計し、絶縁検出の信頼性を向上させた。
【0018】
いくつかの実施例において、前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うことは、具体的には、第1のサンプリングモジュールで形成された第1のサンプリング電圧及び第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧をそれぞれ取得することと、前記第1のサンプリング電圧が前記第2のサンプリング電圧以上である場合、前記第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間に接続するように制御することと、前記第1の抵抗が接続された後、前記第1のサンプリングモジュールで形成された第3のサンプリング電圧及び第2のサンプリングモジュールで形成された第4のサンプリング電圧を取得することと、前記第1のサンプリング電圧、第2のサンプリング電圧、第3のサンプリング電圧及び第4のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗と負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算することと、前記第1のサンプリング電圧が前記第2のサンプリング電圧よりも小さい場合、前記第2の抵抗を前記負極母線と接地線との間に接続するように制御することと、前記第2の抵抗が接続された後、前記第1のサンプリングモジュールで形成された第5のサンプリング電圧と第2のサンプリングモジュールで形成された第6のサンプリング電圧を取得することと、前記第1のサンプリング電圧、第2のサンプリング電圧、第5のサンプリング電圧及び第6のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗と負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算することと、を含む。
【0019】
本出願の実施例の技術案では、第1のサンプリング電圧及び第2のサンプリング電圧の大きさに従って、第1の抵抗又は第2の抵抗を接続するように対応して制御することにより絶縁検出を行うことで、誤差を減少させるとともに、より正確な絶縁抵抗を計算し取得することができる。
【0020】
第4の態様によれば、本出願は、上記のような絶縁サンプリング回路の制御装置を提供する。この制御装置は、前記絶縁サンプリング回路の耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、第1のサンプリングモジュールを正極母線と前記接地線との間に接続するように前記絶縁サンプリング回路の第1のスイッチモジュールを制御するとともに、第2のサンプリングモジュールを負極母線と前記接地線との間に接続するように第2のスイッチモジュールを制御するためのスイッチ制御ユニットと、第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得し、前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断するための接地線検出ユニットと、前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うための絶縁検出ユニットと、前記接地線が切断された場合、故障情報を出力するための故障報告ユニットと、を含む。
【0021】
本出願の実施例の技術案では、耐電圧モジュールを制御することにより、絶縁検出に適するように接地線を導通させることができるとともに、サンプリング電圧の変化傾向に従って、接地線が本当に導通したかどうかを検出し確定することができる。
【0022】
第5の態様によれば、本出願は、電池管理システムを提供する。この電池管理システムは、上記のような絶縁サンプリング回路、プロセッサ及びメモリを含む。前記メモリにコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令は、前記プロセッサによって呼び出される時、前記プロセッサに上記のような制御方法を実行させる。
【0023】
本出願の実施例の技術案では、電池管理システムは、耐電圧試験が終了した後に、耐電圧モジュールを制御することにより、絶縁検出に適するように接地線を導通させることができる。また、サンプリング電圧の変化傾向に従って、接地線が本当に導通したかどうかを検出し確定することもできる。
【0024】
第6の態様によれば、本出願は、電力消費機器を提供する。この電力消費機器は、電池、負荷及び上記のような電池管理システムを含む。前記電池は、前記電池管理システムに接続され、前記負荷に給電する。
【0025】
本出願の実施例の技術案では、電力消費機器の電池管理システムは、高い耐電圧能力を有し、耐電圧試験が終了した後に耐電圧モジュールを制御することにより、絶縁検出に適するように接地線を導通させることができるとともに、接地線が本当に導通したかどうかを検出し、絶縁検出結果の正確さを確保することができる。
【0026】
第7の態様によれば、本出願は、コンピュータ記憶媒体を提供する。ここで、前記コンピュータ記憶媒体にはコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令は、プロセッサによって呼び出される時、前記プロセッサに上記のような制御方法を実行させる。
【0027】
本出願の実施例の技術案では、このコンピュータ記憶媒体は、電池管理システムなどの電子機器に設置することができ、これにより、耐電圧試験が終了した後に耐電圧モジュールを制御することにより、絶縁検出に適するように接地線を導通させることができるとともに、接地線が本当に導通したかどうかを検出することができる。
【0028】
上記の説明は、本出願の技術案の概要に過ぎず、本出願の技術的手段をより明確に理解し、明細書の内容に基づいて実施できるようにし、本出願の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明らかで理解しやすくするために、以下、本出願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことによって、当業者にとって、様々な他の利点及び有益点が明らかになる。図面は、好ましい実施形態を示すためにのみ用いられ、本出願を制限するものとはみなされない。そして、図面全体において、同じ部品は、同じ図面記号で表されている。
図1a】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図である。
図1b】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、正極母線と負極母線に増設される耐電圧能力を向上させるためのスイッチが示されている。
図2】本出願のいくつかの実施例による車両の概略図である。
図3】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、接地線に増設される耐電圧能力を向上させるための耐電圧モジュールが示されている。
図4】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、耐電圧モジュールとして使用される制御可能なスイッチが示されている。
図5】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の制御方法の方法フローチャートである。
図6】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の制御方法の方法フローチャートであり、接地線が導通したかどうかを判断するステップが示されている。
図7】本出願の別のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の制御方法の方法フローチャートである。
図8】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の制御方法の方法フローチャートであり、第1のサンプリング回路と第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断するステップが示されている。
図9】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の制御方法の方法フローチャートであり、第1の絶縁抵抗と第2の絶縁抵抗を計算するステップが示されている。
図10a】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、耐電圧検出時のスイッチ状態が示されている。
図10b】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、第1のサンプリング回路と第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを検出する時のスイッチ状態が示されている。
図10c】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、制御可能なスイッチが接地線に正常に繋がったかどうかを検出する時のスイッチ状態が示されている。
図10d】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、絶縁検出を行った結果、第1のサンプリング電圧が第2のサンプリング電圧以上である時のスイッチ状態が示されている。
図10e】本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の概略図であり、絶縁検出を行った結果、第1のサンプリング電圧が第2のサンプリング電圧よりも小さい時のスイッチ状態が示されている。
図11】本出願のいくつかの実施例による制御装置の概略図である。
図12】本出願の別のいくつかの実施例による制御装置の概略図である。
図13】本出願のいくつかの実施例による電池管理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例を詳しく説明する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明確に説明するためのものであり、例示に過ぎず、これによって本出願の保護範囲が制限されるものではない。
【0031】
特に定義がない限り、本文に使用されるすべての技術と科学用語は、本出願の当業者に一般的に理解される意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためにのみ用いられ、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における「含む」、「有する」という用語及びこれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。
【0032】
本出願の実施例の説明では、技術用語「第1」、「第2」などは、異なる対象を区別する目的だけに用いられ、相対的な重要性を明示又は示唆する、又は指示された技術的特徴の数、特定の順序又は主副関係を暗黙的に示すと理解されない。本出願の実施例の説明では、特に具体的な限定が明確化されない限り、「複数」は二つ以上を意味する。
【0033】
本明細書に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて説明された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記載の実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的かつ非明示的に理解することができる。
【0034】
本出願の実施例の説明において、用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本文における「/」という文字は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0035】
本出願の実施例の説明において、「複数」という用語は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数のグループ」は、二つ以上のグループ(二つのグループを含む)を指し、「複数の片」は、二つ以上の片(二つの片を含む)を指す。
【0036】
本出願の実施例の説明において、技術用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語によって示された方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、本出願の実施例の説明の便宜又は説明の簡略化を図るためのものであり、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作される必要があることを指示又は暗示するものではなく、本出願の実施例を限定するものと理解されるべきでない。
【0037】
本出願の実施例の説明において、特に明確に規定、限定されていない限り、技術用語「装着」、「繋がる」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、又は一体化であってもよいし、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよいし、直接接続であってもよいし、中間媒体を介した間接的接続であってもよいし、両素子の内部の連通又は両素子の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0038】
現在、高圧電池システムは、使用時に、高圧による人体の直接傷害を防止するために絶縁検出を行う必要がある。絶縁検出の方法は、リレー、制御可能なスイッチ又は他のタイプの電子スイッチで既知抵抗の接続を制御することにより、高圧正極対地と高圧負極対地の絶縁抵抗を計算することである。
【0039】
図1aを参照すると、図1aは、本出願の実施例による絶縁サンプリング回路の概略図である。
【0040】
これは、主に、電池正極母線と電池負極母線に接続された第1のサンプリング回路100及び第2のサンプリング回路200で構成される。電池管理システムは、スイッチをオンにするように制御することにより、抵抗値既知の抵抗(第1の抵抗R1又は第2の抵抗R2)を接続し、その後、抵抗を接続する前と接続した後に取得したサンプリング電圧に基づいて方程式を連立させ、高圧正極対地及び高圧負極対地の絶縁抵抗(図1aにおいてそれぞれ抵抗Rpと抵抗Rnで示される)を計算することができる。
【0041】
絶縁検出に加え、高圧電池システムは、出荷前に一般的に一回の耐電圧試験を行う必要がある。この耐電圧試験中に、正極母線P+とグランド/負極母線P-とグランドGNDの間に高い電圧が印加される。
【0042】
理解できるように、図1aに示す絶縁サンプリング回路において、耐電圧試験中に印加されるこの電圧は、絶縁サンプリング回路で使用されたスイッチ(例えば、スイッチS3又はスイッチS4)の耐電圧値を超えてはならない。耐電圧試験の要求を満たすために、高い耐電圧値を有するスイッチを選択してもよい。しかしながら、スイッチの耐電圧値には一定の上限がある(例えば、フォトカプラドライブMOSトランジスタの耐電圧限界は一般的に1600Vである)。そのため、よく使用されたスイッチの耐電圧上限に達すると、より高い電圧の耐電圧試験を満たし続けることが困難である。
【0043】
図1bを参照すると、図1bは、本出願の実施例による絶縁サンプリング回路の概略図である。図1aに示す絶縁サンプリング回路に比べて、その正極母線P+及び負極母線P-にはスイッチS+及びスイッチS-がそれぞれ増設される。耐電圧試験を行う時、スイッチS+及びスイッチS-を切断したままにすることにより、絶縁サンプリング回路の耐電圧能力を向上させる。
【0044】
しかしながら、出願人は、研究により、正極母線と、グランド/負極母線とグランドの間にコンデンサ(例えば、高圧電池システムが装着された新エネルギー車両の本体にあるコンデンサ)があるため、サンプリング回路で形成されたサンプリング電圧の傾向に従って耐電圧モジュールの検出を実現でき、これにより、接地線に設置されるようにスイッチを調整し、接地線を切断することにより回路の耐電圧能力を向上させる効果を達成することを発見した。
【0045】
図1bに示す正極母線及び負極母線にスイッチを設置する方式に対し、接地線に耐電圧装置を設置する時、一つのスイッチを使用するだけでよく、使用されたスイッチ数を減少させることができる。
【0046】
スイッチ数を減少させることは、一方では、材料コストを低下させることができ、他方では、スイッチが電子デバイスとして、常に一定の無効確率を有するため、スイッチ数を減少させることは、スイッチの無効確率も低下させ、回路の信頼性を向上させることができる。
【0047】
本出願の実施例に開示された電池管理システムは、車両、船舶又は航空機などの電力消費機器に用いられてもよいが、これらに限定されない。この電力消費機器は、電気エネルギーを消費する負荷、負荷に給電する電池、電圧サンプリングを行うための絶縁サンプリング回路及び電池を管理するための電池管理システムを含む。操作中に、本出願の実施例に開示された電池管理システムは、正常の使用過程において電力消費機器に対して絶縁検出を行うように絶縁サンプリング回路を制御し、これにより電力消費機器の絶縁状況を確定する。
【0048】
以下の実施例は、説明の便宜上、本出願の一実施例の電力消費機器が車両10であることを例にして、説明する。図2を参照すると、図2は、本出願のいくつかの実施例による車両10の構造概略図である。
【0049】
車両10は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、二次電池式電気自動車、ハイブリッド電気自動車や航続距離延長型電気自動車などであってもよい。車両10の内部に電池11が設置されており、電池11は、車両10の底部又は前部又は後部に設置されてもよい。電池11は、車両10への給電に用いられてもよく、例えば、電池11は、車両10の操作電源として用いられてもよい。車両10は、コントローラ12と、モータ13とをさらに含んでもよく、コントローラ12は、電池11がモータ13に給電し、例えば、車両10の始動、ナビゲーション及び走行時の作動電力需要に用いるように制御するためのものである。
【0050】
本出願のいくつかの実施例において、電池11は、車両10の操作電源として用いることができるだけでなく、車両10の駆動電源として、燃料油又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両10に駆動動力を提供することもできる。
【0051】
電池11は、電気エネルギーを貯蔵するための任意のタイプのエネルギー貯蔵アセンブリを指す。例えば、単一の電池セルであってもよく、複数の電池セルで構成された電池モジュールであってもよく、一つ以上の電池モジュールを含む電池パックであってもよい。電池11の外形は、実際の状況の需要に応じて対応する形状、例えば、円筒体、直方体などを有してもよい。
【0052】
いくつかの実施例において、電池モジュールにおける複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、直並列接続は、複数の電池セルに直列接続も並列接続も含まれることを意味する。電池パックを構成する電池モジュールの間も直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよい。電池パック又は電池モジュールには電池セル以外の他の構造、例えば、複数の電池セル間の電気的接続を実現するためのバスバー部品がさらに含まれてもよい。
【0053】
コントローラ12には一つの電池管理システムが少なくとも含まれる。この電池管理システムは、電池11を管理し、電池11の正常運行を確保するための電子システムを指す。電池管理システムはさらに、絶縁サンプリング回路に接続されてもよく、絶縁サンプリング回路で形成されたサンプリング信号に従って電池の高圧正極と車両の本体接地との間/高圧負極と車両の本体接地との間の絶縁抵抗を確定する。
【0054】
電池出荷前に、絶縁サンプリング回路は、接地線が切断された状態にあり、耐電圧試験をサポートするための高い耐電圧能力を有する。耐電圧試験が終了した後、絶縁サンプリング回路は、接地線が導通した状態に切り替えられ、電池管理システムの制御下で、電池11の高圧正極/高圧負極と本体接地との間の絶縁状況に対して絶縁検出を行うことにより、車両使用者の人身安全を確保する。
【0055】
本出願のいくつかの実施例によれば、図3を参照すると、図3は、本出願の実施例による絶縁サンプリング回路の構造概略図である。正極母線P+とグランドGNDとの間に第1の絶縁抵抗Rp及びコンデンサCがあり、負極母線P-とグランドGNDとの間に第2の絶縁抵抗Rn及びコンデンサCがある。この絶縁サンプリング回路は、第1のサンプリング回路100、第2のサンプリング回路200及び耐電圧モジュール300を含む。
【0056】
ここで、第1のサンプリング回路100は、第1のスイッチモジュール110、第1の抵抗R1及び第1のサンプリングモジュール120を含む。この第1のサンプリング回路100は、正極母線P+とグランドGNDとの間に接続されたサンプリング回路である。これは、第1のスイッチモジュール110によって第1のサンプリングモジュール120及び/又は第1の抵抗R1を正極母線P+とグランドGNDとの間に接続するかどうかを制御する。第2のサンプリング回路200は、第2のスイッチモジュール210、第2の抵抗R2及び第2のサンプリングモジュール220を含む。この第2のサンプリング回路200は、負極母線P-と接地線との間に接続されたサンプリング回路である。これは、同様に第2のスイッチモジュール210によって第2のサンプリングモジュール220及び/又は第2の抵抗R2を負極母線P-とグランドGNDとの間に接続するかどうかを制御する。
【0057】
第1のサンプリングモジュール120と第1の抵抗R1との間は並列接続関係である。第2のサンプリングモジュール220と第2の抵抗R2との間も並列接続関係である。第1のサンプリングモジュール120及び第2のサンプリングモジュール220は、電圧サンプリングポイントを形成する機能モジュールである。電池管理システムは、第1及び第2のサンプリングモジュールの電圧サンプリングポイントに接続されることにより、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路で収集され取得された電圧信号を対応して取得することができる。第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2はいずれも抵抗値既知の外付け抵抗である。電池管理システムは、第1の抵抗R1と第2の抵抗R2を接続するか又は切断するようにスイッチモジュールを制御することにより、絶縁検出過程を完成させることができる。
【0058】
この耐電圧モジュール300は、接地線に設置され、第1/第2のサンプリング回路と接地線の接地端との間にある部品である。これは、接地線を切断する部品により、絶縁サンプリング回路の耐電圧能力を向上させる効果を達成する。耐電圧モジュール300は、具体的には、接地線を切断して耐電圧を向上させることができるとともに接地線を再導通させる能力を備えれば、任意の適切なタイプのデバイスを使用してもよい。
【0059】
いくつかの実施例において、この耐電圧モジュール300は、一回だけオンになる能力を備えたデバイスであってもよい。その初期状態は切断であり、一旦トリガーされて繋がり状態に切り替えられると、復旧不能となる。
【0060】
実際の使用過程において、耐電圧モジュール300が非アクティブ化状態で接地線を切断したままにすることにより、絶縁サンプリング回路は、高い耐電圧能力を有し、電圧要求の高い耐電圧試験を完成させることができる。耐電圧試験が終了した後、繋がり状態に切り替え、電池管理システムの制御下で絶縁検出を行う。
【0061】
説明すべきこととして、上記の「第1」及び「第2」は、機能モジュールの接続位置が異なることを区別して説明するためのものだけであり、具体的な機能モジュールを限定するためのものではない。第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路は、同じ回路構造設計を使用してもよく、実際の状況の需要に応じて異なる回路構造設計を使用してもよい。
【0062】
本出願の実施例による絶縁サンプリング回路の一つのメリットは、接地線を切断するための一つの耐電圧モジュールを増設するだけで、正極母線と接地線との間/負極母線と接地線との間の耐電圧能力を効果的に向上させ、高電圧の耐電圧試験の需要を満たすことができることである。
【0063】
本出願のいくつかの実施例によれば、引き続き図3を参照すると、この第1のスイッチモジュール110は、第1のスイッチS1及び第3のスイッチS3を含む。この第2のスイッチモジュール210は、第2のスイッチS2及び第4のスイッチS4を含む。
【0064】
ここで、第1の抵抗R1の一端は、正極母線P+に接続され、第1の抵抗R1の他端は、第1のスイッチS1によってグランドGNDに接続される。第1のサンプリングモジュール120の一端は、正極母線P+に接続され、第1のサンプリングモジュール120の他端は、第3のスイッチS3によってグランドGNDに接続される。
【0065】
これにより、電池管理システムは、第1のスイッチS1及び第3のスイッチS3のオンオフを制御することにより、第1の抵抗R1及び第1のサンプリングモジュール120を検出回路(即ち正極母線P+とグランドGNDとの間)に接続するかどうかを独立制御することができる。
【0066】
第2の抵抗R2の一端は、負極母線P-に接続され、第2の抵抗R2の他端は、第2のスイッチS2によってグランドGNDに接続される。第2のサンプリングモジュール220の一端は、負極母線P-に接続され、第2のサンプリングモジュール220の他端は、第4のスイッチS4によってグランドGNDに接続される。
【0067】
これにより、電池管理システムは、第2のスイッチS2及び第4のスイッチS4のオンオフを制御することにより、第2の抵抗R2及び第2のサンプリングモジュール220を検出回路(即ち負極母線P-とグランドGNDとの間)に接続するかどうかを独立制御することができる。
【0068】
本出願の実施例のスイッチモジュールは、サンプリングモジュールと外付け抵抗を検出回路に接続するかどうかを独立制御して、異なる検出ステップを実現するための二つのスイッチで構成される。
【0069】
本出願のいくつかの実施例によれば、引き続き図3を参照すると、この第1のサンプリングモジュール120は、第3の抵抗R3及び第5の抵抗R5を含む。第2のサンプリングモジュール220は、第4の抵抗R4及び第6の抵抗R6を含む。
【0070】
ここで、第3の抵抗R3の一端は、正極母線P+に接続され、第3の抵抗R3の他端は、前記第5の抵抗R5の一端に接続される。第5の抵抗R5の他端は、第3のスイッチS3によってグランドGNDに接続される。
【0071】
これにより、直列接続された第3の抵抗R3と第5の抵抗R5との間の接続ノードは、第1の電圧サンプリングポイントP1を形成する。電池管理システムは、第1の電圧サンプリングポイントP1に接続されることにより、第1のサンプリング回路の電圧信号を取得し、対応するデータ処理を行うことができる。
【0072】
また、第4の抵抗R4の一端は、負極母線P-に接続され、第4の抵抗R4の他端は、第6の抵抗R6の一端に接続される。第6の抵抗R6の他端は、第4のスイッチS4によってグランドGNDに接続される。
【0073】
これにより、直列接続された第4の抵抗R4と第6の抵抗R6との間の接続ノードは、第2の電圧サンプリングポイントP2を形成する。電池管理システムは、第2の電圧サンプリングポイントP2に接続されることにより、第2のサンプリング回路の電圧信号を取得し、対応するデータ処理を行うことができる。このような設計において、二つの直列分圧抵抗は、サンプリングモジュールを構成しているが、直列抵抗の抵抗値を調整することにより異なる状況の需要を満たし、電池管理システムに適切な電圧信号を提供することができる。
【0074】
本出願のいくつかの実施例によれば、図4を参照すると、この耐電圧モジュールは、制御可能なスイッチSGNDを含んでもよい。耐電圧試験と絶縁検出の二つの状況の需要に適するように切断と繋がりの二つの状態の間に切り替えることができる。ここで、切断状態では、耐電圧モジュールは、絶縁サンプリング回路の耐電圧能力を向上させる作用を果たすことができる。繋がり状態では、電池管理システムによる絶縁検出をサポートすることができる。
【0075】
このような設計により、必要な時に接地線を切断し、高い耐電圧能力を提供し、耐電圧試験の需要を満たすことができるとともに、耐電圧試験が終了した後に接地線を再導通させ、絶縁試験の要求を満たすことができる。
【0076】
説明すべきこととして、本実施例において、「スイッチ」という用語を使用して導通と切断の二つの状態の間に切り替え可能なデバイスを表す。これは、具体的には、実際の状況の需要に応じて適切な電子部品、例えばMOSトランジスタ、リレー又は他のタイプの電子スイッチを選択し使用することにより実現することができる。
【0077】
本出願のいくつかの実施例によれば、耐電圧試験方法は、一般的に製品が正式に使用される前に一回実行することができ、これにより、製品が耐電圧標準に適合することを確保する。本出願の実施例は、耐電圧試験方法を提供する。図3を参照すると、耐電圧試験を行う時、それぞれ、前記絶縁サンプリング回路に接続された正極母線P+とグランドGNDとの間、及び絶縁サンプリング回路に接続された負極母線P-とグランドGNDとの間に予め設定される電圧を印加する。この時、耐電圧モジュールが接地線を切断したままにすることにより、絶縁サンプリング回路は、使用要求を満たす耐電圧能力を有することができる。
【0078】
ここで、この予め設定される電圧は、実際に行った耐電圧試験に従って決定された電圧値であり、具体的には実際の状況の需要に応じて確定することができる。
【0079】
本出願の実施例による耐電圧試験方法の一つのメリットは、接地線を切断する耐電圧モジュールを設計し、絶縁サンプリング回路の耐電圧能力を向上させ、超高電圧の耐電圧試験を行うことができ、実際の使用状況の需要を満たすことである。
【0080】
本出願のいくつかの実施例によれば、図5は、本出願のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の制御方法である。この制御方法は、電池管理システムにより実行されてもよく、耐電圧モジュールが正常に繋がったかどうかを検出し、これに対応して絶縁検出を行うためのものである。図5を参照すると、これは、以下のステップを含んでもよい。
【0081】
S501:耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、第1のサンプリングモジュールを正極母線と接地線との間に接続するように第1のスイッチモジュールを制御するとともに、第2のサンプリングモジュールを負極母線と接地線との間に接続するように第2のスイッチモジュールを制御する。
【0082】
ここで、図4を参照すると、電池管理システムは、対応する制御信号を提供し、第1のスイッチS1、第2のスイッチS2及び制御可能なスイッチSGNDをオンにするように同時に制御することにより、第1及び第2のサンプリングモジュールが接続され、耐電圧モジュールが接地線に繋がった状態を達成することができる。具体的に使用された制御信号は、実際の状況(例えば、スイッチモジュールに具体的に使用されたスイッチ素子)に応じて確定することができる。
【0083】
S502:第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得する。
【0084】
ここで、検出回路に接続された第2のサンプリングモジュールは、対応する電圧信号を形成する。本実施例において、第2のサンプリングモジュールが負極母線と接地線に接続された後に発生する電圧信号を「第2のサンプリング電圧」で表す。
【0085】
S503:第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、接地線が導通したかどうかを判断する。導通した場合、ステップS504を実行し、導通していない場合、ステップS505を実行する。
【0086】
ここで、「変化傾向」は、一定の時間帯内の第2のサンプリング電圧の電圧値の変動状況を指す。これは、具体的には、様々な方式、例えば上昇又は降下の速度、安定値に上昇又は降下した時間などで特徴付けることができる。
【0087】
実際の使用過程において、耐電圧モジュールは、様々な原因で接地線に繋がることができず、これにより接地線が依然として切断状態にある可能性がある。これにより、サンプリング電圧の変化傾向を利用して耐電圧モジュールが無効又は故障になったかどうかについての検出及び判断を助ける必要がある。
【0088】
S504:絶縁検出を行う。
【0089】
ここで、接地線の導通は、この時、耐電圧モジュールが故障になっておらず、絶縁サンプリング回路が正常であることを表す。これにより、電池管理システムは、引き続き後続の絶縁検出を行い、絶縁抵抗を計算することができる。
【0090】
S505:故障情報を出力する。
【0091】
ここで、接地線の切断は、この時、耐電圧モジュールが故障になっており、引き続き絶縁検出を行うことができないことを表す。これにより、故障情報を出力することにより故障をタイムリーに排除するように保守者又は操作者に提示する。この故障情報は、具体的には、任意の適切なタイプの形式で実現することができる。
【0092】
本出願の実施例による制御方法の一つのメリットは、第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って接地線が導通したかどうかについての検出を実現し、耐電圧モジュールが無効又は故障になった状況をタイムリーに発見することができ、これにより、絶縁検出の信頼性を効果的に向上させることである。
【0093】
本出願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、図6を参照すると、電池管理システムが変化傾向に従って接地線が導通したかどうかを判断する時、具体的には、以下のステップを含む。
【0094】
S5031:前記耐電圧モジュールが前記接地線に繋がってから第2のサンプリング電圧が安定になった時までの経過時間を取得する。
【0095】
ここで、耐電圧モジュールが接地線に繋がった後、正極母線と、グランド/負極母線とグランドの間にあるコンデンサへの充電過程がある。これにより、第2のサンプリング電圧は、安定になるまで一定の時間を要する。
【0096】
図4に示す絶縁サンプリング回路を例とすると、第1のスイッチS1、第2のスイッチS2及び制御可能なスイッチSGNDが正常にオンになる場合、正極母線とグランド/負極母線とグランドの間にあるコンデンサCへの充電過程がある。これにより、第2の電圧サンプリングポイントで形成された第2のサンプリング電圧は、第1のスイッチS1、第2のスイッチS2及び制御可能なスイッチSGNDが繋がった時刻から対応して変化し、コンデンサ充電過程が終了すると、安定になる。図4において、上記の正極母線/負極母線とグランドとの間にあるコンデンサを等価コンデンサCで表す。
【0097】
S5032:前記経過時間が予め設定される時間閾値を満たすかどうかを判断する。そうである場合、ステップS5033を実行し、そうではない場合、ステップS5034を実行する。
【0098】
ここで、予め設定される時間閾値は、予め設定される数値であり、具体的には、実際の回路状況に応じて確定することができ、上記の母線コンデンサへの充電過程があるかどうかについての確定を助けるために用いられる。
【0099】
S5033:接地線が導通したと確定する。
【0100】
ここで、第2のサンプリング電圧が安定になるまで経過する必要のある時間が長い場合、コンデンサCへの充電過程があると考えることができる。そのため、耐電圧モジュールが接地線に正常に繋がることができ、接地線が導通状態であると確定することができる。
【0101】
S5034:接地線が導通していないと確定する。
【0102】
逆に、第2のサンプリング電圧が安定になるまで経過する必要のある時間が短い場合、コンデンサへの充電過程がないことが示されている(正常の状況と合致しない)。そのため、耐電圧モジュールが接地線に正常に繋がっていないことが示され、接地線が非導通状態にあると確定することができる。
【0103】
本出願の実施例による接地線が導通したかどうかについての判断方法の一つのメリットは、正極母線/負極母線とグランドとの間にあるコンデンサへの充電過程を革新的に利用して接地線に設けられた耐電圧モジュールの検出を実現し、絶縁検出時に接地線が正常の導通状態にあることを確保することである。
【0104】
本出願のいくつかの実施例によれば、図7は、本出願のいくつかの実施例による制御方法の概略図である。電池管理システムは、耐電圧モジュールが接地線に繋がる前に、図7に示す方法ステップを実行してサンプリング回路自体に故障又は無効の状況があるかどうかを検出することができる。図7を参照すると、この制御方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0105】
S701:第1のサンプリングモジュール及び第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続し、また第2のサンプリングモジュール及び第2の抵抗を負極母線と接地線との間に接続する。
【0106】
ここで、耐電圧モジュールが接地線に繋がる前に、電池管理システムは、対応する制御信号を送信してスイッチモジュールをオンにするように制御することにより、サンプリング回路で並列接続された抵抗及びサンプリングモジュールの両方を検出回路(正極母線/負極母線と接地線との間)に接続し、サンプリング回路に故障があるかどうかを検出することができる。
【0107】
S702:第1のサンプリングモジュール又は第2のサンプリングモジュールで形成された電圧信号を取得する。
【0108】
ここで、この電圧信号は、第1のサンプリングモジュールで形成された電圧信号であってもよいし、第2のサンプリングモジュールで形成された電圧信号であってもよい。
【0109】
S703:前記電圧信号に基づき、第1のサンプリング回路及び/又は第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断する。そうである場合、ステップS704を実行し、そうではない場合、ステップS705を実行する。
【0110】
ここで、絶縁サンプリング回路の具体的な回路構造が既知である場合、電圧信号を基礎として、この時の正極母線と負極母線との間の電圧を概ね推算することができる。これにより、推算した理論結果と実測結果との間に大きな差があるかどうかに応じてサンプリング回路に故障があるかどうかを判断することで、信頼性を向上させる。
【0111】
S704:故障情報を出力する。
【0112】
ここで、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路に故障があると検出した場合、対応する故障情報を出力して使用者に提示する必要がある。電池管理システムは、具体的には、任意の適切な形式でこの故障情報を出力することができる。
【0113】
S705:耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、第1の抵抗を正極母線と接地線との間から切断するように第1のスイッチモジュールを制御するとともに、第2の抵抗を負極母線と接地線との間から切断するように第2のスイッチモジュールを制御する。
【0114】
ここで、故障がないと検出した場合、電池管理システムは、第1の抵抗及び第2の抵抗を検出回路から切断するようにスイッチモジュールを制御し、絶縁検出の操作ステップを準備しておくことができる。
【0115】
本出願の実施例による制御方法の一つのメリットは、絶縁検出前に、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを検出し、絶縁検出結果の信頼性を確保することができることである。
【0116】
本出願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、引き続き図8を参照すると、電池管理システムが電圧信号に従ってサンプリング回路に故障があるかどうかを判断する時、具体的には、以下のステップを含む。
【0117】
S7031:電圧信号に基づき、正極母線と負極母線との間の理論電圧差を計算する。
【0118】
ここで、この理論電圧値は、電池管理システムがサンプリングモジュールで取得されたサンプリング電圧に基づき逆推算することにより得られた理論値を指す。具体的な推算過程は、絶縁サンプリング回路の具体的な回路構造に基づいて決定され得る。
【0119】
S7032:理論電圧差と、正極母線と負極母線との間の実電圧差との差分値を計算する。
【0120】
ここで、この実電圧値は、正極母線と負極母線との間に印加された既知の電圧を指す。例えば、この正極母線及び負極母線に接続された電池パックの電圧である。
【0121】
図3を参照すると、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路がいずれも正常である場合、推算した理論電圧値が概ね実電圧値に相当すべきであり、両者の差異が大きくないことを予想できる。これにより、両者の差異に基づいてサンプリング回路が正常であるかどうかを判断することができる。
【0122】
S7033:理論電圧差と実電圧差との差分値の絶対値と実電圧差との比が予め設定される差異閾値よりも小さいかどうかを判断する。そうである場合、ステップS7034を実行し、そうではない場合、ステップS7035を実行する。
【0123】
ここで、この差異閾値は、具体的には、実際の状況の需要に応じて確定することができ、実際に使用された抵抗の抵抗値と電池電圧などのパラメータに関連する。この判断方式は、両者の差異が実電圧値に占める比例の大きさを判断標準として、理論電圧差と実電圧差との差異を特徴付ける。
【0124】
いくつかの実施例において、他の適切な統計方式を使用して両者の差異を具現化してもよい。
【0125】
S7033:第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路に故障がないと確定する。
【0126】
ここで、差分値の絶対値と電圧信号の除算結果がこの予め設定される閾値よりも小さい場合、この時、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路の状況がいずれも予想の状況と一致し、故障がないことを示す。
【0127】
S7034:第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路に故障があると確定する。
【0128】
ここで、除算結果が予め設定される閾値を超える場合、第1のサンプリング回路又は第2のサンプリング回路のうちのいずれか一つが予想の状況と一致しないことを示す。これにより、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路における少なくとも一部の電子部品に故障があり、故障情報を報告する必要があることを説明した。
【0129】
このような設計において、サンプリングした電圧信号に従って正極母線と負極母線との間の理論電圧差を計算し、この理論電圧差と電池パックにより提供された実電圧差との比較結果に従って第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路が予想の正常状況と一致するかどうかを確定することにより、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路の故障検出を実現することができる。
【0130】
本出願のいくつかの実施例によれば、図9を参照すると、図9は、本出願のいくつかの実施例による絶縁検出方法である。この絶縁検出方法は、電池管理システムにより実行されてもよく、正極母線と接地線との間/負極母線と接地線との間の絶縁抵抗を検出するために用いられる。以下のステップを含んでもよい。
【0131】
S901:第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールを接続するように制御するとともに、耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御する。
【0132】
ここで、電池管理システムは、スイッチモジュールに対して対応する制御信号を提供することにより、第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールを接続するとともに、耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御することができる。
【0133】
S902:第1のサンプリングモジュールで形成された第1のサンプリング電圧及び第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧をそれぞれ取得する。
【0134】
ここで、第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールが接続されるにつれて、図3を参照すると、これらは、対応する電圧サンプリングノードで電圧信号を形成して電池管理システムに提供する。
【0135】
S903:第1のサンプリング電圧が第2のサンプリング電圧以上であるかどうかを判断する。そうである場合、ステップS904を実行し、そうではない場合、ステップS905を実行する。
【0136】
ここで、第1のサンプリング電圧が大きい場合、これに対応する側の等価絶縁抵抗がより大きいことを示す。これにより、ステップS904を実行し、第1の抵抗R1を接続して絶縁抵抗を計算することにより計算の正確さを向上させることができる。逆に、第2のサンプリング電圧が大きい場合、第2の抵抗R2を接続して計算を行う必要がある。
【0137】
S904:第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間に接続するように制御する。
【0138】
ここで、図3を参照すると、電池管理システムは、第1のスイッチS1をオンにするように制御することにより、第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続することができる。この時、接続された第1の抵抗は、第1のサンプリングモジュールに並列接続される。
【0139】
S906:前記第1の抵抗が接続された後、前記第1のサンプリングモジュールで形成された第3のサンプリング電圧と第2のサンプリングモジュールで形成された第4のサンプリング電圧を取得する。
【0140】
ここで、第1の抵抗が接続された後、第1のサンプリング回路に一つの並列接続された抵抗が増加した。そのため、第1のサンプリングモジュール及び第2のサンプリングモジュールの電圧値が対応して変化する。本実施例において、第1の抵抗が接続された後、第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールとで検出され取得された電圧値をそれぞれ第3のサンプリング電圧と第4のサンプリング電圧と呼ぶことにより、第1の抵抗が接続される前に、第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールで検出され取得された第1のサンプリング電圧と第2のサンプリング電圧と区別する。
【0141】
S908:第1のサンプリング電圧、第2のサンプリング電圧、第3のサンプリング電圧及び第4のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗及び負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算する。
【0142】
ここで、図3を参照すると、絶縁検出で計算する必要のあるものは、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗RPと、負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗Rnとの二つの未知量である。第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路の具体的な構成が既知である場合、第1の抵抗が接続される前と第1の抵抗が接続された後の二つの式を連立させることにより第1の絶縁抵抗及び第2の絶縁抵抗の二つの未知量を解くことができる。
【0143】
S905:第2の抵抗を負極母線と接地線との間に接続するように制御する。
【0144】
ここで、図3を参照すると、電池管理システムは、第2のスイッチS2をオンにするように制御することにより、第2の抵抗R2を正極母線と接地線との間に接続することができる。この時、接続された第2の抵抗は、第2のサンプリングモジュールに並列接続される。
【0145】
S907:第2の抵抗が接続された後、第1のサンプリングモジュールで形成された第5のサンプリング電圧と、第2のサンプリングモジュールで形成された第6のサンプリング電圧とを取得する。
【0146】
ここで、第2の抵抗が接続された後、第2のサンプリング回路に一つの並列接続された抵抗が増加した。そのため、第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールの電圧値が対応して変化する。本実施例において、第2の抵抗が接続された後、第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールとで検出された電圧値をそれぞれ第5のサンプリング電圧と第6のサンプリング電圧と呼ぶことにより、第2の抵抗が接続される前に、第1のサンプリングモジュールと第2のサンプリングモジュールとで検出された第1のサンプリング電圧と第2のサンプリング電圧と区別する。
【0147】
S909:第1のサンプリング電圧、第2のサンプリング電圧、第5のサンプリング電圧及び第6のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗及び負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算する。
【0148】
ここで、上記ステップS908と同様に、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路の具体的な構成が既知である場合、第2の抵抗が接続される前と第2の抵抗が接続された後との二つの式を連立させることにより第1の絶縁抵抗Rp及び第2の絶縁抵抗Rnの二つの未知量を解くことができる。
【0149】
本出願の実施例の絶縁検出方法の一つのメリットは、第1のサンプリング電圧と第2のサンプリング電圧の大きさ関係に従って第1の抵抗を接続するか、それとも第2の抵抗を接続するかを決定することにより、より正確な絶縁抵抗を計算し取得することができる。
【0150】
本出願のいくつかの実施例によれば、図10a~10eは、使用過程における本出願の実施例による絶縁サンプリング回路の概略図である。図10a~10eを参照すると、この絶縁サンプリング回路は、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2、第3の抵抗R3、第4の抵抗R4、第5の抵抗R5、第6の抵抗R6、第1のスイッチS1、第2のスイッチS2、第3のスイッチS3、第4のスイッチS4及び制御可能なスイッチSGNDを含む。第1の抵抗R1及び第2の抵抗R2は、同じ抵抗値を有し、第5の抵抗R5及び第4の抵抗R4は、同じ抵抗値を有する。
【0151】
ここで、第1の抵抗R1、第3の抵抗R3、第5の抵抗R5、第1のスイッチS1及び第3のスイッチS3は、第1のサンプリング回路100を構成する。第1の抵抗R1の一端は、正極母線P+に接続され、第1の抵抗R1の他端は、第1のスイッチS1によってグランドGNDに接続される。第3の抵抗R3の一端は、正極母線P+に接続され、第3の抵抗R3の他端は、第5の抵抗R5の一端に接続される。第5の抵抗R5の他端は、第3のスイッチS3によって前記グランドGNDに接続される。直列接続された第3の抵抗R3と第5の抵抗R5との間の接続ノードは、第1の電圧サンプリングポイントP1を形成する。
【0152】
いくつかの実施例において、第1の電圧サンプリングポイントP1は、アナログ-デジタル変換チップADCに接続されてもよい。アナログ-デジタル変換チップADCは、アナログ電圧信号をデジタル信号に変換した後、通信遮蔽チップによってデジタル信号形式の電圧値をマイクロコントローラMCUに提供することができる。
【0153】
第2の抵抗R2、第4の抵抗R4、第6の抵抗R6、第2のスイッチS2及び第4のスイッチS4は、第2のサンプリング回路を構成する。第2の抵抗R2の一端は、負極母線P-に接続され、第2の抵抗R2の他端は、第2のスイッチS2によってグランドGNDに接続される。第4の抵抗R4の一端は、負極母線P-に接続され、第4の抵抗R4の他端は、第6の抵抗R6の一端に接続される。第6の抵抗R6の他端は、第4のスイッチS4によって前記グランドGNDに接続される。直列接続された第4の抵抗R4と第6の抵抗R6との間の接続ノードは、第2の電圧サンプリングポイントP2を形成する。
【0154】
いくつかの実施例において、第2の電圧サンプリングポイントP2は、アナログ-デジタル変換チップADCに接続されてもよい。アナログ-デジタル変換チップADCは、アナログ電圧信号をデジタル信号に変換した後、通信遮蔽チップによってデジタル信号形式の電圧値をマイクロコントローラMCUに提供することができる。
【0155】
制御可能なスイッチSGNDは、グランドGNDに設置され、第1/第2のサンプリング回路と接地ノード3との間に位置し、接地線の切断又は接地線の導通を制御するために用いられる。
【0156】
図10aを参照すると、初期状態で、制御可能なスイッチSGNDは、接地線を切断したままにする。絶縁サンプリング回路は、高い耐電圧能力を有する。これにより、耐電圧試験の時、高圧正極1と接地ノード3との間に印加された電圧Vh、及び高圧負極2と接地ノード3との間に印加された電圧Vhを満たす。
【0157】
図10bを参照すると、電池管理システムは、車両の低電圧パワーオン(例えば12V)を検出しており、絶縁検出を準備しておく時、第1のスイッチS1、第2のスイッチS2、第3のスイッチS3及び第4のスイッチS4をオンに、制御可能なスイッチSGNDをオフにするように制御することにより、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路の故障検出を実行する。
【0158】
故障検出ステップを実行する時、電池管理システムは、第2のサンプリング回路で収集された第2のサンプリング電圧に基づき、下記式(1)によって高圧正極1と高圧負極2との間の理論電圧値U3を計算することができる。
【0159】
【数1】
【0160】
ここで、Uadcは、アナログ-デジタル変換チップADCが第2の電圧サンプリングポイントでサンプリングした電圧値であり、r1は、第1の抵抗R1の抵抗値であり(これは第2の抵抗R2の抵抗値と同じである)、r3は、第3の抵抗R3の抵抗値であり、r4は、第4の抵抗R4の抵抗値であり(これは第5の抵抗R5の抵抗値と同じである)、r6は、第6の抵抗R6の抵抗値である。
【0161】
その後、下記式(2)によって理論電圧値U3と、高圧正極1と高圧負極2との間の実電圧値U4との差異Xを計算する。
【0162】
【数2】
【0163】
両者の差異Xが予め設定される閾値よりも小さい場合、電池管理システムは、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路が正常状態にあり、故障がないことを確定することができる。両者の差異Xが予め設定される閾値以上である場合、電池管理システムは、第1のサンプリング回路と第2のサンプリング回路に故障があり、故障情報を出力してタイムリーに処理するように使用者に提示する必要があると判定することができる。
【0164】
図10cを参照すると、電池管理システムは、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路に故障がないと検出し確定する場合、第3のスイッチS3、第4のスイッチS4及び制御可能なスイッチSGNDをオンにするように制御することができる。
【0165】
電池管理システムは、第2のサンプリング回路により提供された第2のサンプリング電圧が第3のスイッチS3、第4のスイッチS4及び制御可能なスイッチSGNDをオンにするように制御する時刻から、安定になるまで、電圧の上昇傾向と降下傾向が正極母線/負極母線とグランドとの間にあるコンデンサC充電過程と一致するかどうかに応じて制御可能なスイッチSGNDが成功にオンになったかどうかを検出することができる。
【0166】
制御可能なスイッチSGNDが成功にオンになっていないと確定する場合、対応する故障情報を出力して早急に処理するように使用者に提示することができる。制御可能なスイッチSGNDが成功にオンになったと確定する場合、引き続き後続の絶縁検出ステップを実行することができる。
【0167】
図10cのスイッチ状態で、電池管理システムは、第1の電圧サンプリングポイントP1の第1のサンプリング電圧V1及び第2の電圧サンプリングポイントP2の第2のサンプリング電圧V2をそれぞれ取得する。
【0168】
図10dを参照すると、第1のサンプリング電圧V1が第2のサンプリング電圧V2以上である場合、電池管理システムは、第1のスイッチS1をオンにするように制御することにより、第1の抵抗R1を接続することができる。その後、第1の電圧サンプリングポイントP1のこの時の第3のサンプリング電圧V3及び第2の電圧サンプリングポイントP2のこの時の第4のサンプリング電圧V4をそれぞれ取得する。
【0169】
最後に、下記式(3-1)と(3-2)によって高圧正極1と接地ノード3との間の第1の絶縁抵抗Rpと、高圧負極2と接地ノード3との間の第2の絶縁抵抗Rnをそれぞれ計算することができる。
【0170】
【数3】
【0171】
【数4】
【0172】
ここで、r1は、第1の抵抗R1の抵抗値であり(これは第2の抵抗R2の抵抗値と同じである)、r3は、第3の抵抗R3の抵抗値であり、r4は、第4の抵抗R4の抵抗値であり(これは第5の抵抗R5の抵抗値と同じである)、r6は、第6の抵抗R6の抵抗値である。
【0173】
図10eを参照すると、第1のサンプリング電圧V1が第2のサンプリング電圧V2よりも小さい場合、電池管理システムは、第2のスイッチS2をオンにするように制御することにより、第2の抵抗R2を接続することができる。その後、第1の電圧サンプリングポイントP1のこの時の第5のサンプリング電圧V5及び第2の電圧サンプリングポイントP2のこの時の第6のサンプリング電圧V6をそれぞれ取得する。
【0174】
最後に、下記式(4-1)と(4-2)によって高圧正極1と接地ノード3との間の第1の絶縁抵抗Rpと、高圧負極2と接地ノード3との間の第2の絶縁抵抗Rnをそれぞれ計算することができる。
【0175】
【数5】
【0176】
【数6】
【0177】
ここで、r1は、第1の抵抗R1の抵抗値であり(これは第2の抵抗R2の抵抗値と同じである)、r3は、第3の抵抗R3の抵抗値であり、r4は、第4の抵抗R4の抵抗値であり(これは第5の抵抗R5の抵抗値と同じである)、r6は、第6の抵抗R6の抵抗値である。
【0178】
本出願のいくつかの実施例によれば、図11を参照すると、図11は、本出願の実施例による絶縁サンプリング回路の制御装置である。この制御装置は、電池管理システムによって実現されてもよい。これは、スイッチ制御ユニット1110、接地線検出ユニット1120、絶縁検出ユニット1130及び故障報告ユニット1140を含んでもよい。
【0179】
ここで、スイッチ制御ユニット1110は、耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、第1のサンプリングモジュールを正極母線と接地線との間に接続するように第1のスイッチモジュールを制御するとともに、第2のサンプリングモジュールを負極母線と接地線との間に接続するように第2のスイッチモジュールを制御するために用いられる。接地線検出ユニット1120は、第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得し、そして、第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断するために用いられる。絶縁検出ユニット1130は、接地線が導通した場合、絶縁検出を行うために用いられる。故障報告ユニット1140は、前記接地線が切断された場合、故障情報を出力するために用いられる。
【0180】
本出願の実施例による制御方法の一つのメリットは、第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って接地線が導通したかどうかについての検出を実現することができ、耐電圧モジュールが無効又は故障になった状況をタイムリーに発見することができ、これにより、絶縁検出の信頼性を効果的に向上させることである。
【0181】
本出願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、絶縁検出ユニット1130は、具体的には、耐電圧モジュールが接地線に繋がってから第2のサンプリング電圧が安定になった時までの経過時間を取得し、経過時間が予め設定される時間閾値を満たすかどうかを判断し、満たす場合、接地線が導通したと確定するために用いられる。このような設計は、正極母線/負極母線とグランドとの間にあるコンデンサへの充電過程を革新的に利用して耐電圧モジュールの検出を実現し、絶縁検出時、接地線が正常の導通状態にあることを確保することができる。
【0182】
本出願のいくつかの実施例によれば、図12を参照すると、図12は、本出願の別のいくつかの実施例による絶縁サンプリング回路の制御装置である。この制御装置は、図11に示す機能モジュール以外、検出トリガーユニット1150、信号収集ユニット1160及び故障検出ユニット1170をさらに含む。
【0183】
ここで、検出トリガーユニット1150は、スイッチモジュールを制御することにより、絶縁サンプリング回路の第1のサンプリングモジュール及び第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続し、また第2のサンプリングモジュール及び第2の抵抗を負極母線と接地線との間に接続するために用いられる。信号収集ユニット1160は、第1のサンプリングモジュール又は第2のサンプリングモジュールで形成された電圧信号を取得するために用いられる。
【0184】
故障検出ユニット1170は、前記電圧信号に基づき、第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断するために用いられる。故障報告ユニット1140はさらに、故障がある場合、故障情報を出力するために用いられる。絶縁検出ユニット1130はさらに、故障がない場合、耐電圧モジュールが前記接地線に繋がるように制御し、第1の抵抗を正極母線と接地線との間から切断するように第1のスイッチモジュールを制御するとともに、第2の抵抗を負極母線と接地線との間から切断するように第2のスイッチモジュールを制御し、絶縁検出を準備しておくために用いられる。
【0185】
このような設計は、絶縁検出前に、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを検出するステップを増設することにより、絶縁検出結果の信頼性を確保する。
【0186】
本出願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、故障検出ユニット1170は、具体的には、前記電圧信号に基づき、正極母線と負極母線との間の理論電圧差を計算し、理論電圧差と、正極母線と負極母線との間の実電圧差との差分値を計算し、そして、理論電圧差と実電圧差との差分値の絶対値と実電圧差との比が予め設定される差異閾値よりも小さいかどうかを判断し、そうである場合、第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障がないと確定し、そうではない場合、第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障があると確定するために用いられる。
【0187】
このような設計において、サンプリングした電圧信号に従って正極母線と負極母線との間の理論電圧差を計算し、この理論電圧差及び電池パックにより提供された実電圧差との比較結果に従って第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路が予想の正常状況と一致するかどうかを確定することにより、第1のサンプリング回路及び第2のサンプリング回路の故障検出を実現することができる。
【0188】
本出願のいくつかの実施例によれば、任意選択的に、絶縁検出ユニット1130は、具体的には、第1のサンプリングモジュールで形成された第1のサンプリング電圧及び第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧をそれぞれ取得し、そして、第1のサンプリング電圧及び第2のサンプリング電圧の大きさの比較結果に従って、対応する絶縁検出ステップを実行するために用いられる。
【0189】
一方では、第1のサンプリング電圧が第2のサンプリング電圧以上である場合、絶縁検出ユニット1130は、第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間に接続するように制御し、第1の抵抗が接続された後、第1のサンプリングモジュールで形成された第3のサンプリング電圧及び第2のサンプリングモジュールで形成された第4のサンプリング電圧を取得し、そして、第1のサンプリング電圧、第2のサンプリング電圧、第3のサンプリング電圧及び第4のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗と、負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算するために用いられてもよい。
【0190】
他方では、第1のサンプリング電圧が前記第2のサンプリング電圧よりも小さい場合、絶縁検出ユニット1130は、第2の抵抗を前記負極母線と接地線との間に接続するように制御し、第2の抵抗が接続された後、第1のサンプリングモジュールで形成された第5のサンプリング電圧と、第2のサンプリングモジュールで形成された第6のサンプリング電圧を取得し、そして、第1のサンプリング電圧、第2のサンプリング電圧、第5のサンプリング電圧及び第6のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗と、負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算するために用いられてもよい。
【0191】
このような設計は、第1のサンプリング電圧と第2のサンプリング電圧の大きさ関係に従って第1の抵抗を接続するか、それとも第2の抵抗を接続するかを決定することができ、これによって計算し取得した絶縁抵抗結果をより正確にすることができる。
【0192】
説明すべきこととして、本出願の実施例において、実行する方法ステップに応じて絶縁サンプリング回路の制御装置の機能ユニットを区分する。いくつかの実施例において、実際の状況の需要に応じて、本出願の実施例の制御装置における一つ以上の機能ユニット(スイッチ制御ユニット、接地線検出ユニット、絶縁検出ユニット及び故障報告ユニット、検出トリガーユニット、信号収集ユニット及び故障検出ユニット)をより多くの機能ユニットに分割することにより、対応する方法ステップを実行することができる。別のいくつかの実施例において、本出願の実施例の制御装置における一つ以上の機能ユニットをより少ない機能ユニットに整合することにより、対応する方法ステップを実行することもできる。
【0193】
本出願のいくつかの実施例によれば、図13を参照すると、図13は、本出願の実施例による電池管理システムの構造概略図である。この電池管理システムは、任意のタイプの電池又は電力消費機器に用いられてもよい。ここではその具体的な実現を限定しない。
【0194】
図13に示すように、この電池管理システムは、プロセッサ1310、通信インターフェース1320、メモリ1330及び通信バス1340を含んでもよい。
【0195】
ここで、プロセッサ1310、通信インターフェース1320及びメモリ1330は、通信バス1340を介して相互間の通信を完成させる。通信インターフェース1320は、他の機器に通信可能に接続される(例えば、絶縁サンプリング回路に接続され、第1のサンプリングモジュール及び第2のサンプリングモジュールの電圧信号を取得する)ために用いられる。プロセッサ1310は、プログラム1350を呼び出して、上記実施例における絶縁サンプリング回路の制御方法における一つ以上の方法ステップを実行するために用いられる。具体的には、プログラム1350は、プログラムコード又はコンピュータ操作命令を含んでもよい。
【0196】
本実施例において、使用されたハードウェアのタイプに従って、プロセッサ1310は、中央処理ユニット、他の汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアアセンブリなどであってもよい。
【0197】
メモリ1330は、プログラム1350を記憶するために用いられる。メモリ1330は、高速RAMメモリを含む可能性があり、不揮発性メモリ、例えば少なくとも一つの磁気ディスクメモリを含む可能性もある。
【0198】
本出願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。このコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。このコンピュータ読み取り可能な記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されている。
【0199】
ここで、コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記実施例における絶縁サンプリング回路の制御方法における一つ以上の方法ステップを実現する。完全なコンピュータプログラム製品は、本出願の実施例に開示されたコンピュータプログラムを有する一つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に具現化される(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)。
【0200】
最後に説明すべきこととして、上記の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのみに用いられ、これを制限するものではなく、前述した各実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、前述した各実施例に記載の技術案を依然として変更し、又はそのうちの一部又は全部の技術的特徴を同等に置換することが可能であり、これらの変更又は置換は、対応する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させないものであり、本出願の請求の範囲及び明細書の範囲に包含されるべきである。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本出願は、本明細書に開示される特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる全ての技術案を含む。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁サンプリング回路であって、
第1のサンプリングモジュール、第1の抵抗及び第1のスイッチモジュールを含む第1のサンプリング回路であって、前記第1の抵抗が前記第1のサンプリングモジュールに並列接続され、前記第1のスイッチモジュールが前記第1のサンプリングモジュール及び/又は前記第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続するように制御するために用いられる第1のサンプリング回路と、
第2のサンプリングモジュール、第2の抵抗及び第2のスイッチモジュールを含む第2のサンプリング回路であって、前記第2の抵抗が前記第2のサンプリングモジュールに並列接続され、前記第2のスイッチモジュールが前記第2のサンプリングモジュール及び/又は前記第2の抵抗を負極母線と前記接地線との間に接続するように制御するために用いられる第2のサンプリング回路と、
前記接地線を切断するための、前記接地線に設置される耐電圧モジュールと、
を含む、絶縁サンプリング回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチモジュールは、第1のスイッチ及び第3のスイッチを含み、前記第2のスイッチモジュールは、第2のスイッチ及び第4のスイッチを含み、
前記第1の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第1の抵抗の他端は、第1のスイッチによって前記接地線に接続され、
前記第1のサンプリングモジュールの一端は、前記正極母線に接続され、前記第1のサンプリングモジュールの他端は、前記第3のスイッチによって前記接地線に接続され、
前記第2の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第2の抵抗の他端は、第2のスイッチによって前記接地線に接続され、
前記第2のサンプリングモジュールの一端は、前記正極母線に接続され、前記第2のサンプリングモジュールの他端は、前記第4のスイッチによって前記接地線に接続される、請求項1に記載の絶縁サンプリング回路。
【請求項3】
前記第1のサンプリングモジュールは、第3の抵抗及び第5の抵抗を含み、前記第2のサンプリングモジュールは、第4の抵抗及び第6の抵抗を含み、
前記第3の抵抗の一端は、前記正極母線に接続され、前記第3の抵抗の他端は、前記第5の抵抗の一端に接続され、前記第5の抵抗の他端は、前記第3のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第3の抵抗と前記第5の抵抗との間の接続ノードは、第1の電圧サンプリングポイントを形成し、
前記第4の抵抗の一端は、前記負極母線に接続され、前記第4の抵抗の他端は、前記第6の抵抗の一端に接続され、前記第6の抵抗の他端は、前記第4のスイッチによって前記接地線に接続され、前記第4の抵抗と前記第6の抵抗との間の接続ノードは、第2の電圧サンプリングポイントを形成する、請求項2に記載の絶縁サンプリング回路。
【請求項4】
前記耐電圧モジュールは、前記接地線に設置された制御可能なスイッチを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路。
【請求項5】
請求項1に記載の絶縁サンプリング回路に用いられる耐電圧試験方法であって、
前記絶縁サンプリング回路に接続された正極母線と接地線との間に予め設定される電圧を印加するとともに、前記絶縁サンプリング回路に接続された負極母線と接地線との間に予め設定される電圧を印加することを含み、
前記絶縁サンプリング回路の耐電圧モジュールは、前記接地線を切断したままにする、耐電圧試験方法。
【請求項6】
請求項1に記載の絶縁サンプリング回路の制御方法であって、
前記絶縁サンプリング回路の前記耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、前記第1のサンプリングモジュールを正極母線と前記接地線との間に接続するように前記絶縁サンプリング回路の前記第1のスイッチモジュールを制御するとともに、前記第2のサンプリングモジュールを負極母線と前記接地線との間に接続するように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
前記第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得することと、
前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断することと、
前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うことと、
前記接地線が切断された場合、故障情報を出力することと、
を含む、制御方法。
【請求項7】
前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断することは、
前記耐電圧モジュールが前記接地線に繋がってから前記第2のサンプリング電圧が安定になった時までの経過時間を取得することと、
前記経過時間が予め設定される時間閾値を満たすかどうかを判断することと、
満たす場合、前記接地線が導通したと確定することと、
を含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
前記耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御する前に、前記方法は、
前記絶縁サンプリング回路の前記第1のサンプリングモジュール及び第1の抵抗を正極母線と接地線との間に接続し、また前記第2のサンプリングモジュール及び第2の抵抗を負極母線と接地線との間に接続することと、
前記第1のサンプリングモジュール又は前記第2のサンプリングモジュールで形成された電圧信号を取得することと、
前記電圧信号に基づき、前記第1のサンプリング回路及び前記第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断することと、
故障がある場合、故障情報を出力することと、
故障がない場合、前記耐電圧モジュールが前記接地線に繋がるように制御し、前記第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間から切断するように前記第1のスイッチモジュールを制御するとともに、前記第2の抵抗を負極母線と接地線との間から切断するように前記第2のスイッチモジュールを制御することと、
をさらに含む、請求項6に記載の制御方法。
【請求項9】
前記電圧信号に基づき、前記第1のサンプリング回路と前記第2のサンプリング回路に故障があるかどうかを判断することは、
前記電圧信号に基づき、前記正極母線と負極母線との間の理論電圧差を計算することと、
前記理論電圧差と、前記正極母線と負極母線との間の実電圧差との差分値を計算することと、
前記理論電圧差と前記実電圧差との差分値の絶対値と実電圧差との比が予め設定される差異閾値よりも小さいかどうかを判断することと、
前記比が前記差異閾値よりも小さい場合、前記第1のサンプリング回路と前記第2のサンプリング回路に故障がないと確定することと、
前記比が前記差異閾値よりも小さくない場合、前記第1のサンプリング回路と前記第2のサンプリング回路に故障があると確定することと、
を含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うことは、
前記第1のサンプリングモジュールで形成された第1のサンプリング電圧と前記第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧をそれぞれ取得することと、
前記第1のサンプリング電圧が前記第2のサンプリング電圧以上である場合、前記第1の抵抗を前記正極母線と接地線との間に接続するように制御することと、
前記第1の抵抗が接続された後、前記第1のサンプリングモジュールで形成された第3のサンプリング電圧と、第2のサンプリングモジュールで形成された第4のサンプリング電圧と、を取得することと、
前記第1のサンプリング電圧、前記第2のサンプリング電圧、前記第3のサンプリング電圧及び前記第4のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗、及び、負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算することと、
前記第1のサンプリング電圧が前記第2のサンプリング電圧よりも小さい場合、前記第2の抵抗を前記負極母線と接地線との間に接続するように制御することと、
前記第2の抵抗が接続された後、前記第1のサンプリングモジュールで形成された第5のサンプリング電圧と、第2のサンプリングモジュールで形成された第6のサンプリング電圧と、を取得することと、
前記第1のサンプリング電圧、前記第2のサンプリング電圧、前記第5のサンプリング電圧及び前記第6のサンプリング電圧に基づき、正極母線と接地線との間の第1の絶縁抵抗、及び、負極母線と接地線との間の第2の絶縁抵抗を計算することと
を含む、請求項のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路の制御装置であって、
前記絶縁サンプリング回路の前記耐電圧モジュールが接地線に繋がるように制御し、前記第1のサンプリングモジュールを正極母線と前記接地線との間に接続するように前記絶縁サンプリング回路の前記第1のスイッチモジュールを制御するとともに、前記第2のサンプリングモジュールを負極母線と前記接地線との間に接続するように前記第2のスイッチモジュールを制御するためのスイッチ制御ユニットと、
前記第2のサンプリングモジュールで形成された第2のサンプリング電圧を取得し、前記第2のサンプリング電圧の変化傾向に従って、前記接地線が導通したかどうかを判断するための接地線検出ユニットと、
前記接地線が導通した場合、絶縁検出を行うための絶縁検出ユニットと、
前記接地線が切断された場合、故障情報を出力するための故障報告ユニットと、
を含む、制御装置。
【請求項12】
電池管理システムであって、プロセッサ及びメモリを含み、前記メモリにコンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令は、前記プロセッサによって呼び出される時、前記プロセッサに請求項~9のいずれか1項に記載の制御方法を実行させる、電池管理システム。
【請求項13】
電力消費機器であって、請求項1~のいずれか1項に記載の絶縁サンプリング回路、電池、負荷及び請求項12に記載の電池管理システムを含み、前記電池は、前記電池管理システムに接続され、前記負荷に給電する、電力消費機器。
【請求項14】
コンピュータ記憶媒体であって、コンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令は、プロセッサによって呼び出される時、前記プロセッサに請求項6~9のいずれか1項に記載の制御方法を実行させる、コンピュータ記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
【数3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0171
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0171】
【数4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0175
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0175】
【数5】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
【数6】
【国際調査報告】