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特表2024-527387自動車とモバイル電子識別送信機との間の瞬時距離を決定する方法及びアセンブリ
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  • 特表-自動車とモバイル電子識別送信機との間の瞬時距離を決定する方法及びアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】自動車とモバイル電子識別送信機との間の瞬時距離を決定する方法及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01S 11/02 20100101AFI20240717BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G01S11/02
E05B49/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501492
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022065535
(87)【国際公開番号】W WO2023285035
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021003617.4
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッツ コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ムトル オズギュル
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF25
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
本発明は、モバイル電子識別送信機によってロック解除できる自動車(1)に対する、この識別送信機の位置を特定する方法に関し、識別送信機(2)は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続(3b)の両方を介して自動車(1)とデータ伝送により通信することができ、第1の通信接続の最大通信距離は第2の通信接続の最大通信距離よりも小さい。本方法は、自動車(1)から第1の通信接続(3a)を介して識別送信機(2)に、少なくとも1つの信号(S)の発信時点が含まれる少なくとも1つの信号(S)を伝送する、好ましくは複数の信号(S)を連続的に伝送する手段a)と、識別送信機(2)により受信された少なくとも1つの信号(S)の発信時点及び受信時点を識別送信機(2)に記憶させる手段b)と、手段a)において伝送された信号(S)の記憶された発信時点及び受信時点が含まれるデータパケット(D)を識別送信機(2)から第2の通信接続(3b)を介して自動車(1)に伝送する手段c)と、を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル電子識別送信機(2)と、前記識別送信機(2)によってロック解除できる自動車(1)との間の瞬時距離を決定する方法であって、前記識別送信機(2)は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続(3b)の両方を介して前記自動車(1)とデータ伝送により通信することができ、殊に前記第1の通信接続(3a)の最大通信距離が前記第2の通信接続(3b)の最大通信距離よりも小さく、
前記方法が、
a)前記自動車(1)から前記第1の通信接続(3a)を介して前記識別送信機(2)に、少なくとも1つの信号(S)の発信時点が含まれる少なくとも1つの信号(S)を伝送する、好ましくは複数の信号(AS)を連続的に伝送する手段と、
b)前記識別送信機(2)により受信された前記少なくとも1つの信号(S)の発信時点及び受信時点を前記識別送信機(2)に記憶させる手段と、
c)前記手段a)において伝送された前記少なくとも1つの信号(S)の発信時点及び受信時点が含まれるデータパケット(D)を前記識別送信機(2)から前記第2の通信接続(3b)を介して前記自動車(1)に伝送する手段と、
を包含する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記手段c)に続いて、
前記手段c)において前記自動車(1)に伝送された前記データパケット(D)から、前記自動車(1)に対する前記識別送信機(2)の瞬時距離を決定する追加の手段d)を包含する
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手段a)及びb)を実行するために、ポーリング法が適用される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記手段b)において、
前記識別送信機(2)から前記第1の通信接続(3a)を介してポーリング信号(PS)が前記自動車(1)に送信され、
前記ポーリング信号(PS)に応答して、前記自動車(1)から前記第1の通信接続(3a)を介して応答信号(AS)の発信時点を含む少なくとも1つの応答信号(AS)が前記識別送信機(2)に伝送され、
前記識別送信機(2)から前記第2の通信接続(3b)を介して前記自動車(1)に伝送される前記データパケット(D)に、前記識別送信機(2)における前記応答信号(AS)の前記発信時点及び前記応答信号(AS)の受信時点が付加される
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記手段b)において、前記ポーリング信号(PS)に応答して、前記第1の通信接続(3a)を介して2つ以上の応答信号(AS)が前記識別送信機(2)に順次伝送され、
前記識別送信機(2)から前記第2の通信接続(3b)を介して前記自動車(1)に伝送される前記データパケットに、受信された応答信号(AS)ごとに、前記応答信号(AS)のそれぞれの発信時点とそれぞれの受信時点が付加される
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記データパケット(D)に、前記ポーリング信号(PS)の発信時点及び受信時点も付加される
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記手段c)において実行される前記データパケット(D)の前記伝送が暗号化して行われる
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
先行する請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行するように設定/プログラミングされたワイヤレスデータ伝送(10)のための送受信システム(10)を含む自動車(1)と、
UWB規格による第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格による第2のワイヤレス通信接続(3b)を介して前記自動車(1)の前記送受信システム(10)と通信可能な、又は通信するモバイル電子識別送信機(2)と
を有する
ことを特徴とする、アセンブリ(20)。
【請求項9】
前記送受信システム(10)は、前記第1の通信接続(3a)を介してデータを送信及び受信するための第1の送受信装置(6a)と、前記第2の通信接続(3b)を介してデータを送信及び受信するための第2の送受信装置(6b)とを備え、
前記第1の送受信装置(6a)と前記第2の送受信装置(6b)は、殊に有線通信接続(8)を介してデータ伝送可能に互いに接続され、それにより前記送受信システム(10)の前記第2の送受信装置(6b)により受信されたデータパケット(D)が更なる処理のために前記第1の送受信装置(6a)に伝送され得る
ことを特徴とする、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記電子識別送信機(2)がスマートフォン(11)の一部であるか、又はスマートフォン(11)によって形成される
ことを特徴とする、請求項8又は9に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車とモバイル電子識別送信機との間の瞬時距離を決定する方法、及びこの方法を実行するように設定/プログラミングされた自動車と識別送信機とを有するアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル電子識別送信機は、機械式キーの代わりに自動車へのアクセスを許可することを可能にするために使用される。通常、識別送信機と自動車の通信には、低周波数帯域の無線システムが使用される。これによって、認証データをワイヤレスで伝送すること、特にアクセス権限を検査することができる。このことを背景として、いわゆるUWB(「Ultra-WideーBand」、超広帯域)規格による無線接続の使用が知られている。UWB規格によるこのような通信接続を用いると、識別送信機と自動車との間で許可データを伝送することが可能なだけではない。このようなUWB接続は、識別送信機と自動車との瞬時距離(瞬時の間隔、瞬間距離、現在の距離)を比較的高い精度で決定することも可能にする。
【0003】
このために、いわゆる「ポーリング」などの一般的な方法を適用することができる。これらの方法は、識別送信機から自動車へ、又はその逆に自動車から識別送信機へ送信される信号から信号伝送のために必要とされる信号伝搬時間を特定すること、及びこの信号伝搬時間から自動車と識別送信機との間の距離を計算することに基づいている。
【0004】
距離の決定を含むこのような許可方法は、独国特許出願公開第102017103187号明細書に記載されている。
【0005】
この場合、当該距離を特定するために、UWB信号の信号伝搬時間に関するデータを、典型的にはそれぞれのUWB信号の発信時点及び受信時点を特徴付けるいわゆるタイムスタンプの形式で、識別送信機から自動車に伝送しなければならないことが、不利な点として判明している。
【0006】
しかし、UWB接続を介して、これらすべてのタイムスタンプを伝送することは、結果的に生じるデータパケットのサイズにより問題があることが判明している。というのも、規制上の理由からデータ伝送のための「リンクバジェット」が制限されるため、識別送信機から自動車への送信電力をしばしば低減せざるを得ないからである。このことは、上記のデータが不完全に自動車に伝送されることにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述した問題を考慮した改良された方法を提供することである。
【0008】
上記目的は、独立請求項の主題によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0009】
したがって、本発明の基本的な考え方は、従来の方法から知られているように、上述した許可及び距離特定のために、自動車と識別送信機との間のUWB接続を介して信号伝搬時間の測定を実行すること、及びこのために必要な、当業者に「タイムスタンプ」としても知られている時点を識別送信機に記憶させるということである。
【0010】
しかしながら、本発明に必須であるのは、ここで提示される方法では、上記の信号が伝搬時間決定のためにUWB接続を介して伝送された後に、タイムスタンプを含むデータパケットを、UWB接続を介してではなく、追加的に設けられたBLE接続を介して自動車に伝送するということである。このようなBLE接続は、リンクバジェット及び送信容量に関してUWB接続の上述の制限を受けないため、上記のタイムスタンプを、比較的大きなデータパケットの形式でも識別送信機から自動車に確実かつ完全に伝送でき、またそこで距離を特定するために評価することが可能である。このようにして、識別送信機と自動車との間の距離を確実かつ高精度で決定することが可能になる。
【0011】
本発明による方法は、モバイル電子識別送信機を用いてロック解除できる自動車に対する、この識別送信機の距離を特定するために用いられる。識別送信機は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続、及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続の両方を介して自動車とデータ伝送により通信する。好ましくは、第1の通信接続の最大通信距離は、第2の通信接続の最大通信距離よりも小さい。
【0012】
本発明による方法は、3つの手段a)、b)及びc)を包含する。手段a)において、少なくとも1つの信号の発信時点が含まれる少なくとも1つのこの信号が自動車から第1の通信接続を介して識別送信機に伝送され、好ましくは、複数のそのような信号を連続的に伝送することができる。手段b)において、識別送信機により受信された信号若しくは識別送信機により受信された複数の信号のそれぞれの発信時点及び受信時点が識別送信機に記憶される。次の手段c)において、手段a)において伝送された信号若しくは手段a)において伝送された複数の信号の記憶された発信時点及び受信時点を含むデータパケットが、識別送信機から第2の通信接続を介して自動車に伝送される。これらの情報は、後から信号伝送の時点に識別送信機と自動車の間の距離を計算するために使用できる。これは基本的に、受信時点と発信時点との差を形成することによって行われる。この差は、信号の伝送のために必要とされる時間に相当する。この時間から、信号伝送の時点の自動車に対する識別送信機の距離を簡単に計算することができる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、本発明による方法は、手段c)に続く追加の手段d)を包含し、それによれば、手段c)において自動車に伝送されたデータパケットから自動車に対する識別送信機の瞬時距離が決定される。したがって、本発明による方法を用いて、識別送信機と自動車との間の距離を非常に高い精度で決定することができる。
【0014】
手段a)及びb)を実行するために、「ポーリング」法を使用できることが合目的的である。このようなポーリング法を用いて、第1の通信接続を介して識別送信機と自動車との間で伝送される信号の信号伝搬時間を簡単に特定することができる。これらの信号伝搬時間もまた、後から識別送信機と自動車との間の距離を決定するために考慮に入れることができる。
【0015】
このようなポーリング法を実行するために、手段b)において、識別送信機から第1の通信接続を介してポーリング信号を自動車に送信できることが特に実用的である。このポーリング信号に応答して、自動車から、同様に第1の通信接続を介して少なくとも1つの応答信号が、この応答信号の発信時点と共に識別送信機に伝送される。応答信号が受信される受信時点は、識別送信機によって記憶されることができる。したがって、両方の時点、すなわち発信時点と受信時点を、自動車に伝送されるデータパケットに付加することができる。したがって、識別送信機から第2の通信接続を介して自動車に伝送されるデータパケットは、応答信号の発信時点と受信時点を含む。
【0016】
ポーリング信号に応答して応答信号が1つだけ伝送される場合、この手順は「ピンポン」法という名称でも知られている。
【0017】
しかし、特に好ましくは、手段b)において、ポーリング信号に応答して、第1の通信接続を介して2つ以上の応答信号が順次識別送信機に伝送される。この変形形態では、識別送信機から自動車に第2の通信接続を介して伝送されるデータパケットに、応答信号ごとに、応答信号のそれぞれの発信時点とそれぞれの受信時点が付加される。2つ以上のそのような応答信号をそれぞれのタイムスタンプと共に送信することによって、識別送信機から自動車への信号伝送のために必要とされる伝送時間を特に正確に特定することができる。したがって、自動車と識別送信機との間の距離も特に正確に計算することができる。
【0018】
本発明による方法の有利な発展形態では、ポーリング信号の発信時点及び受信時点もデータパケットに付加することができる。このようにして、後の距離計算のためにポーリング信号の信号伝搬時間も考慮に入れることができる。このようにして、識別送信機と自動車との間の距離を決定できる精度が更に高められる。
【0019】
手段c)において実行される第2の通信接続を介したデータパケットの伝送は、殊に暗号化して行うことができる。したがって、自動車へのアクセスを許可するために用いられるセーフティクリティカルな許可データもこのデータパケットに付加することができる。
【0020】
本発明は、更に、自動車と、UWB規格による第1のワイヤレス通信接続及びBLE規格による第2のワイヤレス通信接続を介して自動車と通信可能な、又は通信するモバイル電子識別送信機とを有するアセンブリに関する。このために、自動車は、識別送信機との2つの通信接続を介したワイヤレスデータ伝送のための送受信システムを含み、送受信システムは、本発明による方法を実行するように設定/プログラミングされている。したがって、本発明による方法の上述した利点は、本発明によるアセンブリにも適用される。
【0021】
好ましい実施形態によれば、送受信システムは、第1の通信接続を介してデータを送信及び受信するための第1の送受信装置と、第2の通信接続を介してデータを送信及び受信するための第2の送受信装置とを備える。その場合、第1の送受信装置と第2の送受信装置は、適切な、好ましくは有線の通信接続を介してデータ伝送可能に互いに接続され、それにより第2の送受信装置により受信された信号伝搬時間を更なる処理のために第1の送受信装置に伝送することができる。
【0022】
好ましい実施形態によれば、電子識別送信機は、スマートフォンの一部であるか、又はスマートフォンによって形成される。そのようなスマートフォンには、多くの場合、UWB規格ベース及びBLE規格ベースの送受信ユニットがすでに標準装備されている。
【0023】
本発明の他の重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面をもとにした関連する図の説明から明らかになる。
【0024】
上記に挙げた特徴、及び以下において更に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ示された組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、他の組み合わせにおいても又は単独でも使用可能であると解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるアセンブリの一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい実施例は、図面に示され、以下の記載において詳しく説明され、その際、同じ参照符号は、同じ若しくは類似の、又は機能的に同じ部品を示す。
【0027】
唯一の図1は、本発明によるアセンブリ20の一例を上面図で示す。アセンブリ20は、車両ドア4を有する自動車1を含み、この車両ドアを介して、自動車1の車両内部空間へのアクセスが可能である。自動車1は、本発明による方法を実行するように設定/プログラミングされた、ワイヤレスデータ伝送のための送受信システム10を含む。ワイヤレスデータ伝送のための送受信システム10は、例えばLINバス又はCANバスなどの自動車1に存在するフィールドバスに接続される制御装置であり得る。アセンブリ20は、モバイル電子識別送信機2を更に含む。電子識別送信機2は、スマートフォン11の一部であってもよいし、スマートフォン11によって形成されてもよい。識別送信機2は、識別送信機2が自動車1に接近する過程において、自動車1へのアクセスを自動的に許可することを可能にする。特に、許可が行われた後に車両ドア4を解錠することができる。
【0028】
モバイル電子識別送信機2は、UWB規格による第1のワイヤレス通信接続3a及びBLE規格による第2のワイヤレス通信接続3bを介して自動車1の送受信システム10と通信することができる。このために、自動車1に送受信システム10の一部として第1の送受信装置6aを設けることができ、これは第1の通信接続3aを介して、識別送信機2に設けられた対応する第1の送受信装置7aとデータ伝送により通信することができる。それに対応して、自動車1に第2の送受信装置6bを設けることができ、これは、第2の通信接続3bを介して、識別送信機2に設けられた対応する第2の送受信装置7bとデータ伝送により通信することができる。
【0029】
この例では、自動車1から測定された、自動車1から識別送信機2までの第1の通信接続3aの第1の最大通信距離は、同じく自動車1から測定された第2の通信接続3bの第2の最大通信距離よりも小さい。自動車1の第1の送受信装置6aと第2の送受信装置6bを、有線通信接続8を介してデータ転送可能に相互に接続することができる。
【0030】
本発明による方法を、図1をもとに以下に例示的に説明する。
【0031】
この方法は、3つの手段a)、b)及びc)を包含する。手段a)において、それぞれの信号Sの発信時点が含まれる複数の信号Sが自動車1から第1の通信接続3aを介して識別送信機2に連続的に伝送される。
【0032】
手段b)によれば、識別送信機2によって受信された信号Sのそれぞれの発信時点と、識別送信機2によって特定されたこれらの信号Sの受信時点とが識別送信機2に記憶される。
【0033】
手段b)において記憶され、手段a)において伝送された信号Sの送受信時点が含まれたデータパケットDが、手段c)において第2の通信接続3bを介して識別送信機2から自動車1に伝送される。
【0034】
手段a)及びb)を実行するために、いわゆる「ポーリング」法を適用することができる。このために、手段b)において、識別送信機2の第1の送受信装置7aから第1の通信接続3aを介してポーリング信号PSが自動車1の第1の送受信ユニット6aに伝送される。このポーリング信号PSに応答して、自動車1の第1の送受信ユニット6aは、同様に第1の通信接続3aを介して識別送信機2の第1の送受信ユニット7aに複数の応答信号ASをそれぞれの応答信号ASの発信タイムスタンプと共に順次伝送する。
【0035】
この場合、識別送信機2の第2の送受信ユニット7bから第2の通信接続3bを介して自動車1の第2の送受信ユニット6bに送信されるデータパケットDに、応答信号ASごとに、応答信号ASのそれぞれの発信時点とそれぞれの受信時点が付加される。したがって、識別送信機2から第2の通信接続3bを介して自動車1に伝送されるデータパケットDには、生成された応答信号ASごとに、そして更に応答信号ASをトリガするポーリング信号PSごとに、関連する発信時点及び関連する受信時点が含まれている。
【0036】
手段c)に続く追加の手段d)において、自動車1から、自動車1に対する識別送信機2の瞬時距離が、手段c)において自動車1に伝送され、発信時点と受信時点を含むデータパケットDから計算される。この計算は、第1の送受信ユニット6aにおいて行うことができる。このために、自動車1の送受信システム10の第2の送受信ユニット6bによって受信されたデータパケットDを、有線通信接続8を介して送受信システム10の第1の送受信装置6aに伝送することができ、そこで識別送信機2と自動車1との間の求められる距離を計算するために更に処理することができる。
【0037】
手段c)において実行される第2の通信接続3bを介したデータパケットDの伝送は暗号化して行うことができる。したがって、データパケットDに、識別送信機2によって自動車1へのアクセスを許可するために用いられるセーフティクリティカルな許可データも付加することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017103187号明細書
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル電子識別送信機(2)と、前記識別送信機(2)によってロック解除できる自動車(1)との間の瞬時距離を決定する方法であって、前記識別送信機(2)は、UWB規格で動作する第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格で動作する第2のワイヤレス通信接続(3b)の両方を介して前記自動車(1)とデータ伝送により通信することができ、殊に前記第1の通信接続(3a)の最大通信距離が前記第2の通信接続(3b)の最大通信距離よりも小さく、
前記方法が、
a)前記自動車(1)から前記第1の通信接続(3a)を介して前記識別送信機(2)に、少なくとも1つの信号(S)の発信時点が含まれる少なくとも1つの信号(S)を伝送する、好ましくは複数の信号(AS)を連続的に伝送する手段と、
b)前記識別送信機(2)により受信された前記少なくとも1つの信号(S)の発信時点及び受信時点を前記識別送信機(2)に記憶させる手段と、
c)前記手段a)において伝送された前記少なくとも1つの信号(S)の発信時点及び受信時点が含まれるデータパケット(D)を前記識別送信機(2)から前記第2の通信接続(3b)を介して前記自動車(1)に伝送する手段と、
を包含する
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記手段c)に続いて、
前記手段c)において前記自動車(1)に伝送された前記データパケット(D)から、前記自動車(1)に対する前記識別送信機(2)の瞬時距離を決定する追加の手段d)を包含する
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手段a)及びb)を実行するために、ポーリング法が適用される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記手段b)において、
前記識別送信機(2)から前記第1の通信接続(3a)を介してポーリング信号(PS)が前記自動車(1)に送信され、
前記ポーリング信号(PS)に応答して、前記自動車(1)から前記第1の通信接続(3a)を介して応答信号(AS)の発信時点を含む少なくとも1つの応答信号(AS)が前記識別送信機(2)に伝送され、
前記識別送信機(2)から前記第2の通信接続(3b)を介して前記自動車(1)に伝送される前記データパケット(D)に、前記識別送信機(2)における前記応答信号(AS)の前記発信時点及び前記応答信号(AS)の受信時点が付加される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
記手段b)において、前記ポーリング信号(PS)に応答して、前記第1の通信接続(3a)を介して2つ以上の応答信号(AS)が前記識別送信機(2)に順次伝送され、
記識別送信機(2)から前記第2の通信接続(3b)を介して前記自動車(1)に伝送される前記データパケットに、受信された応答信号(AS)ごとに、前記応答信号(AS)のそれぞれの発信時点とそれぞれの受信時点が付加される
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記データパケット(D)に、前記ポーリング信号(PS)の発信時点及び受信時点も付加される
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記手段c)において実行される前記データパケット(D)の前記伝送が暗号化して行われる
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
行する請求項1に記載の方法を実行するように設定/プログラミングされたワイヤレスデータ伝送(10)のための送受信システム(10)を含む自動車(1)と、
WB規格による第1のワイヤレス通信接続(3a)及びBLE規格による第2のワイヤレス通信接続(3b)を介して前記自動車(1)の前記送受信システム(10)と通信可能な、又は通信するモバイル電子識別送信機(2)と
を有する
ことを特徴とする、アセンブリ(20)。
【請求項9】
記送受信システム(10)は、前記第1の通信接続(3a)を介してデータを送信及び受信するための第1の送受信装置(6a)と、前記第2の通信接続(3b)を介してデータを送信及び受信するための第2の送受信装置(6b)とを備え、
記第1の送受信装置(6a)と前記第2の送受信装置(6b)は、殊に有線通信接続(8)を介してデータ伝送可能に互いに接続され、それにより前記送受信システム(10)の前記第2の送受信装置(6b)により受信されたデータパケット(D)が更なる処理のために前記第1の送受信装置(6a)に伝送され得る
ことを特徴とする、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記電子識別送信機(2)がスマートフォン(11)の一部であるか、又はスマートフォン(11)によって形成される
ことを特徴とする、請求項8又は9に記載のアセンブリ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
手段c)において実行される第2の通信接続3bを介したデータパケットDの伝送は暗号化して行うことができる。したがって、データパケットDに、識別送信機2によって自動車1へのアクセスを許可するために用いられるセーフティクリティカルな許可データも付加することができる
【国際調査報告】