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特表2024-527393ベローズ及び冷却装置を有する搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】ベローズ及び冷却装置を有する搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/08 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
F04B43/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501692
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022068669
(87)【国際公開番号】W WO2023285219
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021003639.5
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】フランク バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA03
3H077BB10
3H077CC03
3H077DD15
3H077EE02
3H077EE30
3H077FF03
3H077FF12
3H077FF52
(57)【要約】
少なくとも1つのハウジング(10)と、ハウジング(10)内に移動可能に配置され、ハウジング(10)内の2つの流体領域(14、16)を互いに分離する分離要素からなる、特に圧縮機の形態の搬送装置であって、分離要素は、個別の蛇腹折り部(20)を有する分離ベローズ(18)から形成され、分離ベローズ(18)の動きを制御するために機械的作動装置が設けられ、作動装置によって分離ベローズ(18)の動きを介して発生した熱が、冷却装置によってハウジング(10)から少なくとも部分的に放散可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのハウジング(10)と、前記ハウジング(10)内に移動可能に配置され、前記ハウジング(10)内の2つの流体領域(14、16)を互いに分離する分離要素からなる、特に圧縮機の形態の搬送装置であって、前記分離要素は、個別の蛇腹折り部(20)を有する分離ベローズ(18)から形成され、前記分離ベローズ(18)の動きを制御するために機械的な作動装置が設けられ、前記作動装置によって前記分離ベローズ(18)の動きを介して発生した熱は、冷却装置(40)によって前記ハウジング(10)から少なくとも部分的に放散できることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記作動装置は、前記ハウジング(10)を少なくとも部分的に貫通し、前記分離ベローズ(18)の動きを制御するために、前記分離ベローズ(18)のベローズ基部(24)に当接させることができる駆動可能な作動ロッド(32)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記分離ベローズ(18)の前記ベローズ基部(24)は、前記作動ロッド(32)とは反対側で流体圧力によって制御することができ、流体圧力は、一方の前記流体領域(14)を貫通して前記分離ベローズ(18)を伸長させ、この点において、少なくとも部分的に力を受けずに保持されている作動ロッド(32)は後退することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
他方の前記流体領域(16)に封入された流体体積は、前記分離ベローズ(18)を伸長させる場合に、前記作動ロッド(32)が他方の前記流体領域(16)から後退することによって、同じ又は実質的に同じに維持されていることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ハウジング(10)の内部において、前記ベローズ基部(24)がベローズ保持具(30)に支承された状態で、前記ベローズ保持具(30)と前記ハウジング(10)との間の受容空間(54)に、好ましくは、互いに隣接する蛇腹折り部(20)が積み重ねられるように、前記ベローズ保持具(30)が配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記ベローズ保持具(30)内に、一方の前記流体領域(14)へ開口する、少なくとも1つの流体管路(42)が配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ベローズ保持具(30)内に、前記分離ベローズ(18)の少なくとも1つの位置を監視するための近接センサ、特に近接スイッチ(64)が配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ハウジング(10)は、外周側に前記冷却装置(40)の部分を有する、又は、前記冷却装置(40)が前記ハウジング(10)の一体的な構成部分であることを特徴とする、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記冷却装置(40)は、冷媒が循環する冷却チャンバ(78)を有し、前記冷却チャンバは、前記ハウジング(10)を外周側において少なくとも部分的に同心状に取り囲むことを特徴とする、請求項1から請求項8の何れか1項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記冷却チャンバ(78)は、前記ハウジング(10)と、前記ハウジング(10)と共に受渡し可能な構造ユニットを構成する付加的なハウジング部品(72)とによって境界が画されていることを特徴とする、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのハウジングと、ハウジング内に移動可能に配置され、ハウジング内の2つの流体領域を互いに分離する分離要素とからなる、特に圧縮機の形態の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液圧システムのエネルギ効率を向上させるための搬送装置であって、一方の作動状態では液圧エネルギの消費機器として機能し、他方の作動状態では液圧エネルギの生成機器として機能するアクチュエータと、アクチュエータの一方の作動状態では、エネルギ貯蔵のためにアクチュエータによって充電され、他方の作動状態では、アクチュエータへのエネルギ供給のために放電できる液圧アキュムレータとを有する搬送装置を開示している。内部にアキュムレータピストンの流体側にあるサイズの異なる作用面に隣接する複数の圧力チャンバが形成された、不連続に調整可能な油圧空気圧式ピストン型アキュムレータが液圧アキュムレータとして機能する。更に、ピストン型アキュムレータの気体側及びアクチュエータにおけるそれぞれの圧力レベルに応じて、ピストン型アキュムレータの選択された1つの圧力チャンバ又は選択された複数の圧力チャンバをアクチュエータと接続する作動構成が設けられている。
【0003】
これにより、適切なサイズの作用面を選択することによって、充電又は放電のためにアキュムレータにおける各所望の圧力レベルを利用できることから、アキュムレータの気体側のプリチャージ圧力に依存することなく、かつ、それぞれの負荷圧力に依存することなく、エネルギ搬送が可能になる。このことは、全ての作動状態下で最適なエネルギ変換が可能にする。ピストン型アキュムレータのための既知のマルチピストン構成は、個々のピストンチャンバを互いに密閉するために、金属製ピストンリング又はゴム弾性プラスチックシールといったシールを必要とする。運転中は大きな力と圧力が発生するので、摩擦力をできるだけ低く抑えて、摩耗を減らし、かつ、可能な限り漏れのないシーリングを形成するために、通常は潤滑剤も追加的に使用することが必要である。それにもかかわらず、漏れは避けられず、摩擦によって個々のピストン及び付属のシール材に摩耗が生じる。これらの摩耗粒子は通常は小さいが、にもかかわらず、これらは、搬送される気体及び液体への汚染を引き起こし、気体及び液体の中には高純度のものもあるため、流体の流れにおける非常に精巧なフィルタ手段によってしか除去することができない。搬送装置の運転中の摩擦によって、予め設定可能な封入気体量によって搬送装置の気体側に熱が導入される限り、過剰な熱は、流体側を通過する流体量を介して搬送装置のハウジングから放散されるので、熱の導入による搬送装置への望ましくない更なる損傷が生じなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/079222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、この先行技術に基づいて、既知の解決策を改良し、水素ガスなどの気体による圧縮機の作動も可能にする漏れのない搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、請求項1の特徴を全体的に備えた搬送装置によって解決される。
【0007】
請求項1の特徴部によれば、分離要素は、個別の蛇腹折り部を有する分離ベローズから形成され、分離ベローズの動きを制御するために機械的作動装置が設けられ、分離ベローズの動きを介して作動装置によって発生した熱は、冷却装置によってハウジングから少なくとも部分的に放散することができるため、これによって、いかなる場合もこれ以上の漏れが生じ得ないことが保証される。個別の蛇腹折り部を有する分離ベローズは、ハウジング内の2つの流体領域の媒体密、特に気密の分離を形成し、侵入した粒子が流体領域間で不用意に交換されるないようにする。この点において、分離ベローズは媒体密閉型であるということができ、搬送装置は、水素ガスなどの気体の圧縮機としても使用することができる。
【0008】
分離ベローズ又はベローズを伸長させると、一方の流体領域の容積が増加し、搬送される流体が一方の流体領域に流入するが、同時に、他方の流体領域の容積は必然的に減少する。逆に、分離ベローズを収縮させると、一方の流体領域が同時に縮小する一方で、他方の流体領域の容積が増加し、吸引ストロークにおいてこの一方の流体領域にこれまでに収容された搬送量が、収縮する分離ベローズの圧力効果を受けて、1回の吐出ストロークの過程で搬送装置から排出される。分離ベローズは、好適には、搬送装置が流体伝導方式で接続されている流体供給回路からハウジングの入口側に所定の圧力で流入する吐出体積によって拡張される。
【0009】
一方、分離ベローズは、機械的な作動装置の作用により収縮し、この機械的な作動装置は、1つの流体領域に以前に取り込まれた流体量が、1つの流体領域に向かって下流の流体の供給が阻止された状態で、ハウジングから流体供給回路に圧力下で排出されるように、分離ベローズを制御する。
【0010】
しかしながら、分離ベローズを機械的作動装置に連結して、分離ベローズの伸長運動及び収縮運動の両方を機械的作動装置が独占的に又は少なくとも支配的に引き起こしてもよい。機械的作動装置により、分離ベローズの移動のための移動工程は、そこで迅速かつ連続的に開始することができる。多かれ少なかれ大量の液体は、液体を搬送するためのピストン駆動を最初に制御しなければならない先行技術とは対照的に、これらの量の液体が、可動ピストンを用いて、ハウジングに対して、最初に搬入または搬出されなければならない。このようにして、本発明による搬送装置は、関連する供給回路内の流動性流体の搬送に使用することができる。従って、純粋な液体に加えて、気体又は気体及び液体の混合物の輸送も可能である。
【0011】
近年、エネルギ源としての水素の利用が益々重要になっている。搬送する水素の体積を低く抑えるには、水素を接続された供給回路で搬送するだけでなく、搬送段階で水素を高圧に圧縮又は凝縮することが有効である。こうすることによって、搬送する水素の量を減らし、後で使用する水素を高圧で利用可能にすることができる。
【0012】
しかしながら、他のガスと同様に、水素を凝縮させると温度が著しく上昇し、一方では、ガスの膨張に伴う目標の圧縮を打ち消すことになり、他方では、この不要な熱の入力によって、場合によっては残存している必要なシールシステムを含む搬送装置の機械的構成部品の機能が損なわれたり、機械的構成部品が損傷したりする可能性がある。
【0013】
いずれにしても、好ましくは、ステンレス鋼製の分離ベローズは、特に、機械的作動装置から生じる望ましくない粒子状汚染が搬送装置のガス側に到達するのを防止する信頼性の高い媒体分離装置として適している。特に、燃料電池の運転中に水素が使用される場合、ガス流に微粒子が混入してはならない。さらに、ステンレス製の分離ベローズは、非常に冷たい水素ガスによる脆化を効果的に防止するのに適している。このように、先行技術には同等のものがない。
【0014】
本発明による搬送装置の好ましい実施形態では、作動装置は、少なくとも部分的にハウジングを貫通し、分離ベローズの動きを制御するために分離ベローズのベローズ基部と接触させることができる駆動可能な作動ロッドを備えることが提供される。作動装置の作動ロッドは、例えば、油圧作動シリンダを使用することにより、又は、必要に応じて、適切な中間ギヤを係合させることにより、両方向に作動可能な電気モータによって、油圧制御することができる。作動ロッドは頑丈に設計することができ、移動させる分離ベローズに大きな作動力を伝達することができる。
【0015】
本発明による搬送装置のさらに好ましい実施形態では、分離ベローズのベローズ基部は、作動ロッドに対向する側で、1つの流体領域を貫通する流体圧力によって制御することができ、その結果、分離ベローズが伸長され、この点に関して少なくとも部分的に力を受けないように保たれた作動ロッドが後退することが提供される。このようにして、分離ベローズは、伸長又は充填手順のために搬送される圧力媒体によって制御することができ、一方、吐出ストロークのために反対側に圧力的に作用する作動ロッドは、ハウジングの1つの流体領域内の容積を減少させながら、ベローズを容積減少方式で収縮させる。このような作動工程は、交互に連続して行われ、分離ベローズを吸引ストロークから吐出ストロークへ、そして、再び吸引ストロークから吐出ストロークへ、連続して移動させることが可能である。特に、水素ガスのような搬送される作動ガスは、分離ベローズによって、搬送装置を介して高圧縮比を達成することができ、その結果、搬送装置は、搬送機能付き圧縮機としても作動することができる。
【0016】
本発明による搬送装置のさらに好ましい実施形態では、ベローズが拡張されるときの動作の中断を防止するために、作動ロッドをこの他の流体領域から後退させることによって、分離ベローズが拡張されるときに、他の流体領域に封入される流体容積が同じ又は実質的に同じままであることが提供される。ベローズが拡張されると、他の流体領域で空気の体積が置換され、作動ロッドは、ベローズが拡張されるのと同程度に後退し、同時に部分的に搬送装置のハウジングの外に延びるので、他の流体領域に追加の自由体積が形成され、その中に分離ベローズが空気を置換することができ、搬送装置のさらなる流体領域に封入された空気の体積にもかかわらず、無制限の動作が可能になる。
【0017】
本発明による搬送装置のさらに好ましい実施形態では、ベローズ保持具がハウジングの内部に配置され、ベローズ基部がベローズ保持具に支承された状態で、ベローズ保持具とハウジングとの間の受容空間内に、好ましくは互いに対向する蛇腹折り部が積み重ねられることが提供される。蛇腹折り部を有する分離ベローズは、座屈や膨張応力の影響を受けやすいので、このようにして、受容空間を介して確実な折り目部の案内が達成され、特に、分離ベローズの収縮状態において、個々の折り目部が互いに突き当たるまで座屈や膨張しないことが保証される。さらに、このようにして、蛇腹折り部のための省スペースの受け皿が、搬送装置のハウジング内で達成される。蛇腹折り部を有する分離ベローズが受容空間に完全に積み重ねられると、ベローズ基部は、少なくとも内側でベローズ保持具上に平坦に横たわり、少なくとも円形の縁部領域でベローズ保持具の方を向くので、この点でも確実で座屈しにくい支持が達成され、搬送装置の1つの流体領域のための自由に変化する流体容積は、最大送出ストロークでゼロ又はほぼゼロになる。
【0018】
分離ベローズが吸引ストローク中に伸長する場合、ベローズ基部は、その一方の自由端面を作動ロッドの自由端面側端部上に静止させることができ、この点で、蛇腹折り部が所望しない過度に伸長することがなく、そうでなければベローズが使用不能になるおそれがあることを保証する。
【0019】
1つの流体領域において開口する少なくとも1つの流体ラインは、好ましくはベローズ保持具に配置される。搬送される流体体積のための吸引ストロークと、搬送装置の1つの流体領域からのこの体積のための吐出又は送出ストロークは、それぞれの流体ラインを介して行われる。
【0020】
分離ベローズの位置を監視するために、例えば、近接スイッチの形態の近接センサが、好ましくはベローズ保持具に設けられ、このセンサは、作動されると、分離ベローズが流体制御下で再び伸長運動を行うように、作動ロッドの伸長運動を制御することができる。
【0021】
本発明による搬送装置の特に好ましい実施形態によれば、ハウジングが外周に冷却装置の部品を有する、又は、冷却装置がハウジングの一体部品であることが提供される。冷却装置の部品は、実質的に、搬送装置のハウジングの外周に設けられた、冷却媒体のための流体ガイド、又は、この目的のための受容装備からなる。従って、冷却装置の部品は、ハウジングの外周に配置され、冷却のために中央冷却供給装置から来る冷たい冷却媒体を入力側に導入し、搬送装置の作動によって加熱された冷却媒体を出力側で中央冷却供給点に排出することができる冷却コイルで構成することができる。
【0022】
本発明による搬送装置のさらに好ましい実施形態では、冷却装置は、冷却媒体が流れる冷却チャンバを有し、この冷却チャンバは、外周上でハウジングを少なくとも部分的に包囲するように同心状に配置されていることが提供される。有利には、冷却チャンバが、ハウジングと、ハウジングと共に取引可能な構造ユニットを構成する付加的なハウジング部分とによって境界を画されていることがさらに提供される。あるいは、搬送装置のハウジング上の外周に、複数の個別の冷却チャンバを配置することもでき、又は、ハウジングには、ハウジングからの放熱を目的として、好ましくはファン装置を介して外部から吹き付けられる冷却フィンが設けられる。さらに、冷却装置を実施するために、搬送装置のハウジングに直接冷却ダクトを設置することも可能であり、この冷却ダクトを通して、冷却供給装置から冷却媒体を流すことができる。
【0023】
以下に、本発明による搬送装置を図面に基づいてより詳細に説明する。図面は原理的な図であって、縮尺どおり表現されていない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、図2の線X-Xに沿った縦断面の態様における搬送装置の主要構成要素の一実施形態の斜視図を示す。
図2図2は、図1による搬送装置の矢印Y方向で見た端面図を示す。
図3図3は、図1及び図2による搬送装置を冷却するための冷媒供給機器の主要構成部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示す搬送装置は、ハウジング基部12を備えたポット形状のハウジング10を有する。ハウジング10内、好ましくは中空の円筒形ハウジング10内には、2つの流体領域14、16を互いに分離する分離要素として、分離ベローズ18が配置されている。分離ベローズ18は、通常の方法で、図1に示す実施形態によれば、上方に移動したときに連続して互いに突き当たる、複数の個別の相互接続された蛇腹折り部20を有する。このような分離ベローズシステムは、例えば、独国特許出願公開第102009060852号明細書に示されているように、油圧アキュムレータのサブグループとしてのベローズアキュムレータから特に知られている。自由端面における積み重ね順序の最後の蛇腹折り部20は、保持リング22に溶接され、対向する他の蛇腹折り部20は、この点でさらに自由端面上のベローズ基部24に溶接される。ベローズ基部24は、平坦なエンドプレートとして構成され、外周に、より詳細には図示されていないシールリング及び/又はガイドリングを受容するための環状溝26を有し、この環状溝26を介してベローズ基部24がハウジング10の内周28に沿って長手方向に移動可能に案内される。
【0026】
図1に示す実施形態によれば、ベローズ基部24は、ねじ込み部品として設計され、一方の側に向かって開いているハウジングポットの自由端に面一にねじ込まれているベローズ保持具30にまたがっている。ベローズ基部24の対向側には、軸方向に距離を置いて、機械的作動装置の一部としての作動ロッド32が保持されている。作動ロッド32は、より詳細には図示されていないアクチュエータ装置、例えば、油圧作動シリンダの形態を介して、所定の距離にわたって前後に移動させることができる。さらに、作動ロッド32は、ハウジング10の長手方向軸線34に対して同心に見て、この点で、そうでなければ閉鎖されたハウジング基部12を通過する。さらなる環状溝36は、作動ロッド32の任意の移動位置において、さらなる流体領域16の形態でハウジング10の内部を環境から密封するためのガイド及び/又は密封装置(図示せず)を受容する目的で、ハウジング基部12に導入される。このさらなる流体領域16は、好ましくは空気で充填されるが、必要に応じて、窒素ガスなどの別の充填ガスを導入することもできる。さらに、全体として40(図3)で示される冷却装置の部品38がハウジング10の外周に取り付けられており、これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0027】
図1からさらに分かるように、ベローズ保持具30は、ダクト状の流体管路42によって貫通しており、このダクト状の流体管路42は、その一方の自由端で1つの流体領域14内に開口しており、他方の自由端で、対応する接続点を介して、慣用的な先行技術に適合すべき慣用の流体供給回路44に接続されている。好ましくは同じ設計の2つの逆止弁46、48が、関連回路44に接続され、これらの弁は、又、必要に応じて、ばね荷重の下でその図示された閉鎖位置に保持され得る。この場合、逆止弁46は流体流入路50に関連し、逆止弁48は流体流出路52に関連する。流入路50と流出路52は、ベローズ保持具30内の流体管路42に開口するT字形接続片の一部である。
【0028】
図2の図が示すように、複数の、本実施例では3つの流体管路42をベローズ保持具30内に配置することができ、これにより、1つの流体領域14を介した流体の流入時及び流出時の両方において、ベローズ基部24は、例えば、流入工程中又は流出工程中に、その内側で均一に加圧される。この点においても、さらに2つの流体管路42は、対応するライン案内を介して供給回路44にも接続される。しかしながら、より詳細には図示されていない実施形態では、ベローズ保持具30内の独立した流体管路42を介して、流出路52から、一つの流体領域14に向かって開口する逆止弁46を有する流入路50を分離する選択肢もあり、この端部に対する逆止弁48は、本実施例のように逆止弁46と反対方向に開口する。このようにして、1つの流体領域14には、互いに独立した流体経路を介して、独立した入口と独立した出口とが設けられる。図3に示された第3の流体管路42は、それに応じて省略することができる。しかしながら、好ましくは、各場合において、それぞれの流体管路42は、省スペース収容のためにハウジング10の長手方向軸線34の周りに等しい間隔を有するグループを形成し、さらに、個々の流体管路42は、互いに同じ半径方向距離を有する(図2)。
【0029】
逆止弁46が開いた状態で、加圧された流体が、図示された流入路50及び関連する流体管路42を介して1つの流体領域14に導入されると、ベローズ基部24はこの程度まで加圧され、個々の蛇腹折り部20が引き離される伸長運動を行う。この点で、ベローズ基部24は、図1の方向から見て右から左に移動し、所定の移動経路の後に作動ロッド32の自由端面と接触する。作動ロッド32は、その後所定位置にロックされ、この点で、ベローズ基部24のリミットストップを形成することができるが、作動ロッド32がベローズ基部24によって左方向に沿って運ばれ、作動ロッド32がハウジング10のさらなる流体領域16からできるだけ小さな力で押し出されるという選択肢もある。しかしながら、作動ロッド32が最初からベローズ基部24に対向し、この範囲において、分離ベローズ18の伸長運動中に左への変位運動を共に行うことも可能である(図示せず)。この吸引ストロークの間、流出路52の逆止弁48は、既に搬送された流体が供給回路44から不用意に逆流しないように閉じたままである。
【0030】
図1に示す実施形態によれば、座屈や膨張の影響を受けやすい蛇腹折り部20は、ベローズ保持具30の環状肩部56によって内側に向かって境界を付けられ、ハウジング10の内周側面28又は内壁によって外側に向かって境界を付けられた環状の受容空間54に収容される。ベローズ基部24も同様にハウジング10の内周側面28に案内されるため、ベローズが伸びているときでも蛇腹折り部20の所望しない膨らみや座屈はなく、この点で、分離ベローズ18が完全に伸びているときであっても、蛇腹折り部20は、保持リング22の領域内の脚端で、受容空間54に安定するように案内される。保持リング22は、その一方の自由端面をベローズ保持具30の環状肩部56に載せ、他方の自由端面をハウジング10の内周側面28の突出部58に載せて外周に配置される。このようにして、分離ベローズ18は、その保持リング22と共に、組立て操作のためにベローズ保持具30の肩部56上に緩く配置され、後者と共に、ねじ込み操作の一部として、ねじ部60を介してハウジング10の突出部58上の所定位置にもたらされ得る。保持リング22の軸受とねじ部60との間には、さらに、1つの流体領域14をハウジング10の環境から密封する目的で、より詳細には図示されていない密封リングを受容するための第3の環状溝62が存在する。
【0031】
1つの流体領域14内の流体の体積が最小であるときに分離ベローズ18を図1に示す初期位置又はホームポジションへ戻すために、作動ロッド32はベローズ基部24に接触し、動力作動によってベローズ基部24を図示の初期位置へ戻している。この左から右へのベローズ基部24の動力作動による変位移動の間、逆止弁46を閉じながら吸引ストロークで1つの流体領域14内に以前に貯蔵された流体量は、この結果、逆止弁48が開いた状態で流出路52を介した圧力下で搬送装置から排出される。搬送体積が水素ガスのような気体であれば、関連する送出ストロークの動きの間に、より高い圧力レベルまで圧縮される。従って、例えば、段階的な圧力上昇の過程で、図1に示す3つの搬送装置が連続して3段階の全体的な圧縮機を形成し、これにより、入口圧力15バール(15,00kPa)の水素ガスを最後の圧縮機段において500から600バール(50,000kPaから60,000kPa)の圧力レベルまで上昇させ、さらに使用することが容易に可能となる。
【0032】
図示されていない実施形態では、作動ロッド32をベローズ基部24に直接しっかりと連結し、吸引ストロークと送出ストロークの両方を機械的作動装置の一部として作動ロッド32によって実行させるというオプションもある。図1からさらに分かるように、ベローズ保持具30の中央には、ハウジング10の長手方向軸線34と同心に近接スイッチ64の形態の近接センサが配置されており、当該近接スイッチは、ベローズ基部24の位置、又は、それぞれ、それに付随する分離ベローズ18の機能状態を監視することができる。このような位置監視は、作動ロッド32を、特に送出ストロークを実行するために、より詳細には図示しない中央制御装置によって感覚的に制御できるようにするために必要である。ベローズ基部24の内側は、外周縁領域66においてベローズ保持具30の関連する突出環状表面上に載り、ベローズ保持具30における端面上のこの環状接触面内には小さな谷状のくぼみ68が設けられ、このくぼみ内に残留流体が留まるので、分離ベローズ18の伸長運動中に、ベローズ基部24とベローズ保持具30の関連する壁部間に伸長プロセスを損なう可能性のある真空が発生することはない。
【0033】
円筒形ハウジングの外壁には、円周方向に壁凹部70が設けられており、この壁凹部70は、ねじ接続部74によってハウジング基部12に基端側でねじ止めされるハウジングポットの一部である薄肉円筒形ハウジング部品72によって外周側で重ねられている。さらに、ハウジング部品72は、両側で壁凹部70を越えてはみ出し、このはみ出しの領域には、ハウジング10の壁には、それぞれ更に第4の凹部76が存在し、この凹部は、図示しないリングシールを受ける役割を果たし、この点で、冷却チャンバ78を環境から遮断し、この冷却室は、この点で、ハウジング10とハウジング部品72とによって境界を接している。この冷却チャンバ78は、図3により詳細に示されるように、全体として40で示される冷却ユニットの一部である。
【0034】
図3の方向から見て、図1及び図2による搬送装置は、ハウジング10と、その上方に配置されたハウジング部品72、及び、その間に位置する冷却チャンバ78が右上隅に概略的にのみ示されており、この冷却チャンバ78は、2つの流体接続点80を介して冷却装置40の冷却回路82に接続されている。冷却装置40は一種の半閉鎖式冷却回路82を形成し、そのために貯蔵タンク84は、特別に構成された通気換気装置を除いて大気から密閉されている。貯蔵タンク84の存在により、供給ポンプとして浸漬ポンプ86を使用する可能性が開かれ、そのポンプ入口は貯蔵タンク84の液面88の下に沈められる。言及された通気/換気装置は、ブリーザフィルタ90上に設けられ、所定のタンク内圧で外側に開き、所定のタンク負圧で内側に開く、より詳細には図示されていないバルブによって形成される。
【0035】
浸漬ポンプ86は電気モータ92によって駆動され、作動中の浸漬ポンプ86は、冷却回路82の一部として冷却媒体を、流路を介して矢印の方向に、ここでは搬送装置用冷却チャンバ78の形態で消費者に搬送する。冷却媒体として従来の冷却剤を使用することができ、この具体的なケースでは、水とグリコールの混合物が使用されている。搬送装置によって発生した圧縮熱は、特にその圧縮機の特性上、分離ベローズ18及びハウジング10の内部を経由して、冷却媒体を含む冷却チャンバ78に導入される。その際、加熱され、戻りライン94及び熱交換器96又は98を介してタンク84に戻される。熱交換器は、液体冷却媒体によって冷却媒体への熱交換が行われるプレート式熱交換器96であってもよいし、モータ作動ファン100によって冷却空気によって冷却されるフィン付き冷却器98であってもよい。図3に示す冷却装置40は例示的なものに過ぎず、もちろん他の適切な冷却装置、例えば、完全に閉じた冷却回路誘導又は開いた冷却回路誘導を有する冷却装置をここで使用することもできる。
【0036】
図示の冷却チャンバ78を、搬送装置のハウジング10の外周を取り囲むように配置された冷却コイルに置き換えることも、やはり本発明の範囲内である。この点で、接続点80は、冷却媒体案内用コイルの流体入口および流体出口をそれぞれ形成する。ジャケットのようにハウジング10の周囲を巡る冷却チャンバ78は、小区画に分割することもでき、又は、適宜供給される冷却ダクトをハウジング10自体に導入することもできる(図示せず)。
図1
図2
図3
【国際調査報告】