(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】宇宙ビークル用物体移送インターフェースならびに関連システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B64G 1/64 20060101AFI20240717BHJP
B64G 1/10 20060101ALI20240717BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20240717BHJP
F16L 37/12 20060101ALI20240717BHJP
F16L 37/38 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B64G1/64 600
B64G1/10 500
B64G1/66 Z
F16L37/12
F16L37/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501768
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022037019
(87)【国際公開番号】W WO2023287922
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522376793
【氏名又は名称】オービット ファブ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】デューイッチ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】スレッシュ スリニヴァサン エイ
(72)【発明者】
【氏名】フェッテス ローガン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC06
3J106BE01
3J106EA03
3J106EB05
3J106EC07
3J106ED09
3J106EF04
3J106GA01
3J106GA13
3J106GA27
3J106GB04
(57)【要約】
宇宙ビークル(宇宙船)用の物体移送インターフェースならびに関連システムみよび方法が開示される。代表的なシステムは、第1の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第1のカプラ、および第1のカプラによって担持された第1の弁装置を含む。このシステムは、第2の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第2のカプラ、および第2のカプラによって担持された第2の弁装置をさらに含む。第1のカプラは、第2のカプラに係合して結合するよう位置決めされる回転可能かつ並進可能なラッチアームを有する。第1の弁装置は、流体を第1の弁装置と第2の弁装置との間で移送するために第1のカプラのラッチアームが第2のカプラに連結される際に第2の弁装置中に挿入可能な可動プローブを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙ビークル用の流体移送システムであって、
第1の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第1のカプラと、
前記第1のカプラによって担持された第1の弁装置と、
第2の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第2のカプラと、
前記第2のカプラによって担持された第2の弁装置とを含み、
前記第1のカプラは、前記第2のカプラに係合して結合されるよう位置決めされる回転可能かつ並進可能なラッチアームを有し、
前記第1の弁装置は、流体を前記第1の弁装置と前記第2の弁装置の間で移送するために前記第1のカプラの前記ラッチアームが前記第2のカプラに連結される際に前記第2の弁装置中に挿入可能な可動プローブを有する、流体移送システム。
【請求項2】
前記回転可能かつ並進可能ラッチアームの全てに結合される単一のモータをさらに含み、個々の前記ラッチアームは、弾性要素と、閉鎖位置と開放位置との間で動くための固定的に可動の要素の両方に結合される、請求項1記載の流体移送システム。
【請求項3】
前記弾性要素は、前記個々のラッチアームを前記閉鎖位置に向かって付勢するように位置決めされたラッチアームスプリングを含み、前記固定的に可動要素は、前記個々のラッチアームを前記閉鎖位置に解除可能に保持するよう位置決めされた少なくともほぼ剛性のラッチアームガイドを含む、請求項2記載の流体移送システム。
【請求項4】
前記第1の弁装置の前記プローブは、少なくとも3つの位置、すなわち、閉鎖位置と、チェック位置と、開放位置との間で動くことができる、請求項1記載の流体移送システム。
【請求項5】
前記閉鎖位置では、前記第1の弁装置を通る流体経路が閉鎖される、請求項4記載の流体移送システム。
【請求項6】
前記開放位置では、前記第1の弁装置と前記第2の弁装置を通る流体経路が開いている、請求項4記載の流体移送システム。
【請求項7】
前記チェック位置では、流体経路が前記第1の弁装置を通って開いているが、前記第2の弁装置を通っては開いていない、請求項4記載の流体移送システム。
【請求項8】
前記プローブは、前記少なくとも3つの位置相互間で並進可能である、請求項4記載の流体移送システム。
【請求項9】
前記ラッチアームは、開放位置に動くよう構成されている、請求項1記載の流体移送システム。
【請求項10】
前記ラッチアームを前記開放位置と前記閉鎖位置との間で動かすよう前記ラッチアームに動作可能に結合されたアクチュエータと、前記アクチュエータが故障した場合に前記ラッチアームを前記開放位置に動かすよう前記ラッチアームに動作可能に結合されたスプリングモータとをさらに含む、請求項9記載の流体移送システム。
【請求項11】
前記ラッチアームは、閉鎖位置に動くよう構成されている、請求項1記載の流体移送システム。
【請求項12】
前記ラッチアームを前記開放位置と前記閉鎖位置との間で動かすよう前記ラッチアームに動作可能に結合されたアクチュエータと、前記アクチュエータが故障した場合に前記ラッチアームを前記閉鎖位置に動かすよう前記ラッチアームに動作可能に結合されたスプリングモータとをさらに含む、請求項11記載の流体移送システム。
【請求項13】
カムスロットを有するカムチューブをさらに有し、前記カムスロットは、前記カムチューブの少なくとも一部分周りに円周方向に延びるとともに、前記カムチューブの長さの少なくとも一部に沿って少なくとも部分的に軸方向に延び、
前記カムスロット内に位置決めされたカムフォロアを有するラッチアームキャリヤをさらに含み、前記ラッチアームは、前記ラッチアームキャリヤに回動可能に結合され、
前記カムチューブを回転させたり、前記ラッチアームキャリヤを並進させたりするよう前記カムチューブに動作可能に結合されたアクチュエータをさらに含む、請求項1記載の流体移送システム。
【請求項14】
前記カムチューブが回転するのを阻止する係合位置と、前記カムチューブが前記アクチュエータによって回転可能な係合離脱位置との間で前記カムチューブに対して動くよう位置決めされたカムチューブロックをさらに含む、請求項13記載の流体移送システム。
【請求項15】
前記カムチューブは、ギヤを担持し、前記カムチューブロックは、前記係合位置では前記ギヤに係合し、前記離脱位置では前記ギヤから離脱するよう位置決めされた歯を有する、請求項14記載の流体移送システム。
【請求項16】
前記カムチューブと前記ラッチアームキャリヤとの間で同心状に位置決めされた支持チューブをさらに含む、請求項13記載の流体移送システム。
【請求項17】
前記支持チューブによって担持されたラッチアームガイドをさらに含み、前記ラッチアームガイドは、前記少なくとも1本のラッチアームが並進しているときに前記ラッチアームのうちの前記少なくとも1つ表面に沿って転動するよう位置決めされたローラを含む、請求項16記載の流体移送システム。
【請求項18】
前記少なくとも1本のラッチアームは、回動可能であり、前記ラッチアームガイドに対する前記ラッチアームの並進運動経路は、少なくとも1本のラッチアームを回転させる、請求項17記載の流体移送システム。
【請求項19】
前記ラッチアームキャリヤは、
前記カムフォロアを連結する第1の要素と、
前記ラッチアームを連結する第2の要素と、
荷重を前記第1の要素と前記第2の要素との間で伝達するために、前記第1の要素と前記第2の要素との間に位置決めされた可撓性弾性の第3の要素とを含む、請求項13記載の流体移送システム。
【請求項20】
前記可動プローブは、プローブ軸線に沿って動くことができ、
第1の弁装置が位置決めブラケットによって担持され、
前記位置決めブラケットは、前記プローブ軸線に沿う場合よりも前記プローブ軸線に対して横方向に高い可撓性の度合いを有する、請求項1記載の流体移送システム。
【請求項21】
前記位置決めブラケットは、第1の位置合わせ特徴を有し、前記第2のカプラは、前記第1の位置合わせ特徴に係合可能な対応の第2の位置合わせ特徴を有し、前記プローブ軸線に対して横方向の前記位置決めブラケットの前記可撓性は、前記第1の位置合わせ特徴と前記第2の位置合わせ特徴との間の位置合わせ不良を許容する、請求項20記載の流体移送システム。
【請求項22】
前記第1の位置合わせ特徴は、タブを含み、前記第2の位置合わせ特徴は、凹部を含む、請求項21記載の流体移送システム。
【請求項23】
前記タブと前記凹部は、前記タブと前記凹部が係合すると、前記第1のカプラと前記第2のカプラとの間の6つの対応の点のところで6つの自由度を抑制するよう位置決めされる、請求項22記載の流体移送システム。
【請求項24】
前記第1のカプラまたは前記第2のカプラのうちの少なくとも一方は、前記第1のカプラと前記第2のカプラを互いに押し離すよう位置決めされたセパレータを有する、請求項1記載の流体移送システム。
【請求項25】
前記セパレータは、スプリングに結合されたプランジャを有し、前記スプリングは、前記第1のカプラおよび前記第2のカプラが前記ラッチアームによってラッチ止めされると、エネルギーを蓄え、前記ラッチアームが互いに離脱されると、エネルギーを放出するよう位置決めされている、請求項24記載の流体移送システム。
【請求項26】
前記セパレータは、前記第2のカプラが前記ラッチアームの把持範囲内にある時間の長さを延ばす、請求項24記載の流体移送システム。
【請求項27】
流体を2機の宇宙ビークル相互間で移送する方法であって、
前記第1の宇宙ビークルを前記第2の宇宙ビークルにラッチ止めすることによって、前記第1の宇宙ビークルと第2の宇宙ビークルを結合するステップを含み、前記ラッチ止めステップは、前記第1の宇宙ビークルによって担持された複数のラッチアームを回転させたり並進させたりして、前記第2の宇宙ビークルを前記第1の宇宙ビークルの方へ引き寄せるステップを含み、
前記第1の宇宙ビークルの前記第1の弁装置によって担持された可動プローブを、前記第2の宇宙ビークルによって担持された第2の弁装置中に挿入するステップを含み、
流体を前記第1および第2の弁装置経由で前記第1の宇宙ビークルと前記第2の宇宙ビークルとの間で移送するステップを含む、方法。
【請求項28】
前記第1の宇宙ビークルと前記第2の宇宙ビークルを結合する前記ステップは、各ラッチアームにつき、該ラッチアームを弾性要素と固定的に可動の要素の両方の力を受けて前記ラッチアームを動かすステップを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記弾性要素は、スプリングを含み、前記固定的に可動要素は、少なくともほぼ剛性のラッチアームガイドを含み、前記結合ステップは、前記スプリングを前記ラッチアームの閉鎖位置に向かって付勢するステップおよび前記剛性ラッチアームガイドを前記ラッチアームに当てた状態で動かして前記ラッチアームを前記閉鎖位置に保持するステップを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記可動プローブを挿入する前記ステップは、
前記可動プローブを前記閉鎖位置から中間位置に動かすステップと、
前記可動プローブが前記中間位置にある間に、前記第1の弁装置を通るが前記第2の弁装置全体を通ることはない流路に沿って漏れがあるかどうかをチェックするステップと、
前記可動プローブを前記中間位置から開放位置に動かすステップと、
前記可動プローブが前記開放位置にある間に、前記第1および前記第2の弁装置を通って流体を前記第1の宇宙ビークルと前記第2の宇宙ビークルとの間で移送するステップとを含む、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記ラッチアームは、アクチュエータにより開放位置と閉鎖位置との間で動くことができ、前記方法は、前記アクチュエータが故障した場合に前記ラッチアームを前記開放位置に推し進めるステップをさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記ラッチアームは、アクチュエータにより開放位置と閉鎖位置との間で動くことができ、前記方法は、前記アクチュエータが故障した場合に前記ラッチアームを前記閉鎖位置に推し進めるステップをさらに含む、請求項27記載の方法。
【請求項33】
前記ラッチアームは、カムフォロアを有するラッチアームキャリヤによって担持され、前記ラッチアームを並進させる前記ステップは、前記カムフォロアをはめ込むカムスロットを有するカムチューブを回転させるステップを含む、請求項27記載の方法。
【請求項34】
個々のラッチアームは、対応のラッチアームガイドに当接し、前記ラッチアームを回転させる前記ステップは、前記ラッチアームが並進しているときに前記ラッチアームを前記ラッチアームガイドに対して動かすステップを含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記第1の宇宙ビークルと前記第2の宇宙ビークルを、前記第1の宇宙ビークルによって担持されたタブおよび前記第2の宇宙ビークルに設けられた凹部により位置合わせするステップをさらに含み、前記タブの位置は、第2の方向よりも第1の方向においていっそう抑制され、前記第1の方向は、前記ラッチアームの前記並進運動と合わせられ、前記第2の軸線は、前記第1の軸線に対して横方向である、請求項27記載の方法。
【請求項36】
前記第1の宇宙ビークルと前記第2の宇宙ビークルが結合されているときに、かつ前記流体を移送する前に、前記第1の宇宙ビークルおよび前記第2の宇宙ビークルの互いに向かう運動によって生じたエネルギーを貯蔵するステップと、
前記前記貯蔵したエネルギーの少なくとも一部分を放出して、前記第1の宇宙ビークルと前記第2の宇宙ビークルを前記流体の移送後に互いに離すステップとをさらに含む、請求項27記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、一般に宇宙ビークル(宇宙船)のための物体移送インターフェース並びに関連システムおよび方法に関する。
【0002】
〔関連出願の引照〕
本願は、2021年7月14日に出願された米国特許仮出願第63/221,841号の優先権主張出願であり、その米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
既存の宇宙システムにはいくつかの欠点がある。例えば、打ち上げビークルは、体積および質量に関する能力が制限されている場合がある。宇宙航空機、例えば人工衛星および/または宇宙空間を移動する他のマシーンは、特定のミッションに合わせて宇宙航空機を設計する際にバランスが取られなければならないサイズおよび/またはコストの制約に起因して、船内に限定された量の燃料を積んだ状態で軌道に向けて打ち上げられる場合が多い。したがって、宇宙探査ミッションは、燃料の制限に起因して、寿命および/または有用性が制限される場合がある。同様に、宇宙航空機の特徴および機能、例えば、宇宙航空機それ自体が運搬できるペイロードの種類および量は、宇宙航空機がその寿命全体にわたって必要とするたっぷりの燃料で一杯にした状態で打ち上げられる必要があるので、制限を受けるとともに/あるいは妥協点を見出される場合がある。したがって、宇宙航空機、特に長期間にわたって軌道上にあることが意図された長いライフサイクルを持つ宇宙航空機に燃料補給するシステムおよび方法が要望されている。
【0004】
人工衛星に燃料補給することは、既存のシステムでは困難または不可能である。例えば、既存のドッキングシステムおよび手順は、複雑であり、しかも2機の人工衛星またはビークルのドッキングシステムは不適合な場合があり、あるいはこれらにドッキングシステムが存在しない場合がある。既存のドッキングシステムは、自律的に用いるのも困難または不可能である。既存のドッキングシステムはまた、適当なドッキング機能と物体移送インターフェース(例えば、充填および/または排出のため)を同時には提供しない。したがって、宇宙空間内で物体を移送するシステムおよび方法であって、既存の宇宙システムの欠点を解決するシステムおよび方法が要望されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一観点によれば、宇宙ビークル用の流体移送システムであって、第1の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第1のカプラと、第1のカプラによって担持された第1の弁装置と、第2の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第2のカプラと、第2のカプラによって担持された第2の弁装置とを含み、第1のカプラは、第2のカプラに係合して結合されるよう位置決めされる回転可能かつ並進可能なラッチアームを有し、第1の弁装置は、流体を第1の弁装置と第2の弁装置の間で移送するために第1のカプラのラッチアームが第2のカプラに連結される際に第2の弁装置中に挿入可能な可動プローブを有することを特徴とする流体移送システムが提供される。
【0006】
本発明のもう1つの観点によれば、流体を2機の宇宙ビークル相互間で移送する方法であって、第1の宇宙ビークルを第2の宇宙ビークルにラッチ止めすることによって、第1の宇宙ビークルと第2の宇宙ビークルを結合するステップを含み、ラッチ止めステップは、第1の宇宙ビークルによって担持された複数のラッチアームを回転させたり並進させたりして、第2の宇宙ビークルを第1の宇宙ビークルの方へ引き寄せるステップを含み、本方法は、第1の宇宙ビークルの第1の弁装置によって担持された可動プローブを、第2の宇宙ビークルによって担持された第2の弁装置中に挿入するステップと、流体を第1および第2の弁装置経由で第1の宇宙ビークルと第2の宇宙ビークルとの間で移送するステップとをさらに含むことを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本技術の実施形態に従って結合して物体を移送する準備状態にある2つの宇宙ビークルの部分概略等角図である。
【
図2A-2D】
図2A~2Dは、本技術の実施形態に従って2つの宇宙ビークルを連結するシーケンスの部分概略断面図である。
【
図3】本技術の実施形態に従って第1の宇宙ビークルを第2の宇宙ビークルに結合するために用いられる第1のカプラの部分概略等角図である。
【
図4A-4B】
図4A、
図4Bは、
図2A~
図2Dに示すシーケンスとほぼ同じシーケンスの部分概略断面図であり、本技術の実施形態に従って構成された別のシステムの細部を示す図である。
【
図4C-4D】
図4C、
図4Dは、
図2A~
図2Dに示すシーケンスとほぼ同じシーケンスの部分概略断面図であり、本技術の実施形態に従って構成された別のシステムの細部を示す図である。
【
図5】本技術の実施形態に従って、ラッチアームの運動を制御する集成体の部分概略側面図である。
【
図6】2つの宇宙ビークルを互いに結合するときにエネルギーを貯蔵するために用いられるプランジャの部分概略部分断面組立分解図である。
【
図7】本技術の実施形態に従って構成された第1のカプラ内に設けられた種々の要素の部分概略分解組立図である。
【
図8】本技術の実施形態に従ってカプララッチアームを動かすために構成された
図7の組み立て状態の要素の一部分の部分概略断面図である。
【
図9】本技術の実施形態に従って構成された弁駆動組立体内に設けられた種々の要素の部分概略部分分解組立図である。
【
図10】本技術の実施形態に従って宇宙ビークル用に構成された弁装置の部分概略等角図である。
【
図12】本技術の実施形態に従って、弁装置を開いたり閉じたりするための弁装置・駆動装置集成体の部分概略断面図である。
【
図13A-13B】
図13A、
図13Bは、本技術の実施形態に従って、弁駆動装置を開放位置にロックする集成体を示す図である。
【
図14】本技術の実施形態に従ってハウジングが弁装置を固定するために位置決めされた状態で取付けフランジ上に位置決めされた弁駆動組立体の部分概略分解組立図である。
【
図15】本技術の実施形態に従って第2の宇宙航空機によって担持されるよう構成され、かつ第1の宇宙航空機によって担持された第1のカプラと合体するよう構成された第2のカプラの部分概略等角図である。
【
図16】
図15に示す第2のカプラの部分概略部分分解組立図である。
【
図17A】本技術の実施形態に従って、弁カバーを備えた閉鎖位置にある状態の代表的な第2の弁装置を示す図である。
【
図17B】本技術の実施形態に従って、弁カバーを備えた開放位置にある状態の代表的な第2の弁装置を示す図である。
【
図19】本技術の実施形態に従って構成された弁カバー装置の部分分解組立図である。
【
図20】本技術の実施形態に従って構成された第2の弁装置の部分概略等角図である。
【
図22】合体前の上遺体で示された第1および第2の弁装置の部分略図である。
【
図23A-23C】
図23A~
図23Cは、本技術の実施形態に従って、第1の宇宙ビークルによって担持された第1の弁装置を第2の宇宙ビークルによって担持された第2の弁装置に結合するシーケンスを示す図である。
【
図24】本技術の実施形態に従って、2つの宇宙航空機を互いに結合して物体をこれら宇宙航空機相互間で移送するプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術のいくつかの実施形態は、宇宙空間中および/または惑星表面上および/または月面上において物体(例えば、液体、気体、固体、および/または他の物質)を移送するシステムおよび方法に関する。代表的なシステムは、第1の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第1のカプラと、第1のカプラによって担持された第1の弁装置とを含む。本システムは、第2の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第2のカプラと、第2のカプラによって担持された第2の弁装置とをさらに含む。第1のカプラは、第2のカプラに係合して結合されるよう位置決めされる回転可能かつ並進可能なラッチアームを有する。第1の弁装置は、流体を第1の弁装置と第2の弁装置の間で移送するために第1のカプラのラッチアームが第2のカプラに連結される際に第2の弁装置中に挿入可能な可動プローブを有する。
【0009】
特定の実施形態では、ラッチ機構体は、アンダーアクチュエーション(underactuation)され、このことは、それによりこの機構体の多数のラッチアームを単一のアクチュエータによって駆動することができるので有利である。個々のラッチアームは、個々のラッチアームが閉じているときに別個独立に動くことができる一方で、閉鎖がいったん完了するとラッチアームを閉鎖位置に保持することができるような仕方で、閉鎖位置と開放位置との間を動くように弾性要素と固定可動要素の両方に結合されるのがよい。別の実施形態では、弁は、これらの弁が流体の移送前に正しく位置合わせされていて封止されていることを確認するために、「チェック」形態に位置決めされるのがよい。ラッチ機構体は、電力喪失の場合に標的状態/位置まで動くよう構成されているのがよく、標的状態は、多数のオプション、例えば、ラッチ外し状態またはラッチ止め状態から予め選択できる。他の代表的な特徴は、弁が互いにいったん連結されると、宇宙ビークルが外れるのを阻止するためのロック、結合プロセス中に小規模な位置合わせ不良を許容する可撓性インターフェース、および/または移送プロセスがいったん完了すると宇宙ビークルを押し離す分離装置を含む。
【0010】
本技術のいくつかの実施形態の多くの特定の細部がこれら実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明および
図1~
図24に記載されている。かかる実施形態と関連する場合が多いが、本発明のいくつかの重要な観点を不必要にぼかす場合のある周知の構造、システム、および方法は、説明を分かりやすくするために以下の本文中には記載されていない。さらに、以下の開示は、本技術のいくつかの実施形態を記載しているが、本技術の他の実施形態は、本明細書において説明する実施形態とは異なる構成および/または異なるコンポーネントを有することができる。したがって、本技術は、追加の要素を含む実施形態、および/または
図1~
図24を参照して以下に説明する要素のうちのいくつかを備えない状態の実施形態を含むことができる。
【0011】
以下に説明する技術のいくつかの実施形態は、プログラマブルコンピュータまたはコントローラによって実行されるルーチンを含むコンピュータまたはコントローラによる実行可能な命令の形態をとることができる。当業者であれば、本技術を図示するとともに以下に説明するコンピュータ/コントローラシステム以外のコンピュータ/コントローラシステムで実施できることが理解されよう。本技術は、以下に説明するコンピュータにより実行可能な命令のうちの1つ以上を実行するよう特別にプログラムされ、設定され、または構成された特殊目的のコンピュータ、コントローラまたはデータプロセッサで具体化できる。したがって、本明細書において一般的に用いられる「コンピュータ」および「コントローラ」という用語は、任意のデータプロセッサを意味し、そしてインターネットアプライアンスおよび手持ち型デバイス(パームトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、セルラーフォン、携帯電話、マルチプロセッサシステム、プロセッサ利用またはプログラマブル家庭用電化製品、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータなどを含む)を含むことができる。これらコンピュータによって取り扱われる情報を、LCDを含む任意の適切なディスプレイ媒体で提示できる。
【0012】
本技術はまた、タスクまたはモジュールが通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理デバイスによって実行される分散型環境でも具体化できる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールおよび/またはサブルーチンをローカルおよび遠隔記憶装置内に格納することができる。以下において説明する本技術の諸観点は、磁気的または光学的に読み取り可能なまたは取り外し可能なコンピュータディスクを含むコンピュータ可読媒体上に記憶可能であるとともに/あるいは分散可能であるとともに、ネットワークにより電子的に分散可能である。本技術の諸観点に特有のデータ構造およびデータの伝送もまた、本技術の実施形態の範囲に含まれる。
【0013】
本明細書において「宇宙(空間)」への言及がなされる。宇宙空間は、地球、月、または別の惑星体の近傍またはその周りの軌道空間を含む。当業者であれば、本技術の実施形態を他の惑星表面もしくは月面の近くで実施できることもまた理解されよう。また、本明細書では、燃料および推進剤について言及する。当業者であれば、宇宙航空機に動力供給するとともに/あるいは推進する物体または物質について言及する場合には、燃料という用語と推進剤という用語は、互換的に使用でき、そしてこれらの用語は、燃料と組み合わせたときに推進剤として機能する酸化剤を含む場合があることが理解されよう。また、当業者であれば、燃料または推進剤の移送への言及がなされる場合、対応の実施形態が2機のビークルおよび/または他のコンテナ相互間で移送できる他の物体、例えば、加圧剤、水、冷却剤、廃棄物、および/または他の物体を移送するために使用できることは理解されよう。加うるに、当業者であれば理解されるように、宇宙航空機は、宇宙空間における任意の人工物体を含むことができる。
【0014】
A.システム概観
本開示は、地球外環境、例えば宇宙空間内、または地球外天体、例えば月、惑星、および/または小惑星上、および/または地球上または地球の大気圏内において、コンテナ(例えば、宇宙航空機に載せて運ばれているコンテナ)相互間で物体(例えば流体、これには燃料、推進剤、および/または他の物質が含まれる)の移送を容易にするよう構成されたシステムおよび/または物体移送インターフェースを含む装置について説明している。本技術はまた、宇宙航空機を例えばランデブーおよび/またはドッキング操縦の際に互いに連結する結合システムを含む。したがって、本技術の実施形態は、利点のうちとりわけ、燃料を補給するとともに有効寿命を延ばすとともに/あるいは廃棄物を排出する能力を備えた宇宙航空機を提供する。いくつかの実施形態は、自律型物体移送活動に関するが、本明細書において開示するシステムおよび/または宇宙航空機によって遂行される活動は、半自律型または非自律型であり、しかもロボット、人工知能(AI)、および/または人間による支援を含むのがよい。
【0015】
図1は、第1の宇宙ビークル101(例えば、第1の宇宙航空機)が第2の宇宙ビークル201(例えば、第2の宇宙航空機)とドッキングして物体をこれら2機の宇宙ビークル相互間で移送するよう位置決めされた状態の部分概略等角図である。特定の実施形態では、第1の宇宙ビークル101は、サービスビークル、例えば、スペースタグ、または燃料移送ビークルでありまたはこのサービスビークルを含む。第2の宇宙ビークル201は、物体の送り先でありかつ/あるいは物体の受取先である人工衛星、または別の宇宙ビークルであるのがよくまたはこの人工衛星または別の宇宙ビークルを含むのがよい。物体を2機の宇宙ビークル相互間で移送するため、各宇宙ビークルは、全体的移送インターフェースシステム100の一部分を含む。したがって、第1の宇宙ビークル101は、第1のカプラ150を有するのがよく、第2の宇宙ビークル201は、第2のカプラ210を有するのがよい。多くの場合において、流体が、第1の宇宙ビークル101と第2の宇宙ビークル201との間で移送される。例えば、上述したように、適当な流体としては、第2の宇宙ビークル201が別のミッションを遂行することができるようにするために、第1の宇宙ビークル101から第2の宇宙ビークル201に移送される推進流体が挙げられる。したがって、第1のカプラ150は、第1の弁装置160を有するのがよく、第2のカプラ210は、第2の弁装置220を有するのがよい。2つのカプラ150,210を互いに連結すると、2つの弁装置160,220は、流体および/または他の物体を2つのビークル相互間で移送することができる。ビークルを結合し、そして特に、流体をビークル相互間で移送する代表的なシステムの更なる詳細について以下において説明する。
【0016】
移送インターフェースシステム100は、人間の支援の有無にかかわらず、2つの宇宙ビークル101,201を結合するとともに/あるいは物体を2つの宇宙ビークル相互間で移送する作業を指図するコントローラシステム103を含むのがよい。したがって、コントローラシステム103は、第1の宇宙ビークル101によって担持された第1のコントローラ102、および第2の宇宙ビークル201によって担持された第2のコントローラ202を含むのがよい。コントローラシステム103は、第1の宇宙ビークル101によっても第2の宇宙ビークル201によっても担持されないが、その代わりに外部に配置される船外コントローラ104をさらに含むのがよい。例えば、船外コントローラ104は、地球上に設置されまたは位置決めされるのがよい。
【0017】
図2Aは、
図1に示す第1の宇宙ビークル101によって担持された第1のカプラ150、およびこれまた
図1に示す第2の宇宙ビークル201によって担持された第2のカプラ210の部分概略断面略図である。第1のカプラ150は、1本以上のラッチアーム151(
図2Aには2本が示されている)を有するのがよく、これらラッチアーム151は、第2のカプラ210によって担持された対応のアーム受け入れ部211内に受け入れられるよう構成されている。2つのカプラ150,210を連結するプロセスは、「ソフトラッチ(soft latch)」プロセスと「ハードラッチ(hard latch)」プロセスを含むのがよい。ソフトラッチプロセスは、2つのカプラ150,210を互いに近接して位置決めするが、いずれの宇宙航空機によっても生じうる少なくとも幾分かの運動についての許容差が設けられる。ハードラッチプロセスは、2つの宇宙ビークル相互間の相対運動をなくし、または少なくとも著しく減少させ/最小限に抑える。ハードラッチ方式では、2つのカプラ150,210は、流体移送プロセスを開始するよう十分にラッチ止めされる。
【0018】
図2Bでは、ラッチアーム151は、矢印Aで示すように、アーム受け入れ部211に向かって回動し始めている。
図2Cでは、2本のラッチアーム151は、2つのカプラ150,210をソフトラッチ方式に配置するために対応のアーム受け入れ部211内に受け入れられている。この方式では、各カプラ150,210は、互いに対してわずかに動くことができるが、ラッチアーム151は、いずれかのカプラも他方から完全には離脱しないようにしている。
【0019】
ラッチアーム151がソフトラッチ操作をいったん完了すると、ラッチアームは、矢印Bによって指示するように第1のカプラ150に向かって下方に動く。
図2Dに示すように、ラッチアーム151は、完全下方位置まで移動しており、したがって、ハードラッチ方式における第1のカプラ150と第2のカプラ210との間のそれ以上の運動が阻止される。この時点で、2つのカプラ150,210は、流体移送プロセスを開始するよう互いに十分にラッチ止めされる。このプロセスの詳細については
図23A~
図23Cを参照して後で説明する。
【0020】
B.
結合/ラッチ止め要素‐第1のビークル
図3は、代表的な第1のカプラ150の全体的レイアウトの部分概略等角図である。第1のカプラ150は、内部の機械的コンポーネントおよび電子的コンポーネントを包囲したハウジング153を有するのがよい。ハウジング153は、取り付けフランジ154に取り付けられ、取り付けフランジ154は、第1の宇宙ビークル101(
図1)に取り付けられる。ハウジング153は、多数のハウジングスロット152を有するのがよく、各ハウジングスロットは、ラッチアーム151が矢印Aで示すように、内方に回動して互いに近づいたり、外方に回動して互いに遠ざかったりすることができるような仕方で対応のラッチアーム151を受け入れるよう構成されている。図示の構成例では、第1のカプラ150は、かかる運動を行うよう構成された4本のラッチアーム151を有する。他の実施形態は、他の適当な数のラッチアームを含むことができる。また
図3に示すように、第1のカプラ150は、1つ以上のセパレータ、例えば接触プランジャ155(
図3には4つが示されている)を有するのがよい。接触プランジャ155(および/または他の適当に構成されたセパレータ)は、2つの宇宙ビークルが結合されたときにエネルギーを貯蔵することができ、そして、これらが結合解除されたときには宇宙ビークルの分離を助けるようエネルギーを放出することができる。例えば、セパレータは、第1のカプラ150がその対応の第2のカプラに連結されるときに圧縮されるのがよく、流体移送プロセスが完了したときに2つのカプラの分離を助けるためにエネルギーを貯蔵するのがよい(例えば、圧縮スプリングを介して)。さらなる詳細については、
図4A~
図4Dおよび
図6を参照して以下において説明する。
【0021】
図4A~
図4Dは、
図2A~
図2Dを参照して上述したのと同一の仕方で第1のカプラ150を第2のカプラ210に連結するシーケンスを断面図で示しているが、作動のそれ以上の細部が含まれている。
図4Aで始まって、第1のカプラ150は、
図3に示す4本のラッチアームを有し、この図が断面図であることにより、これらのうちの3本だけが
図4Aで見える。同様に、4つの接触プランジャ155のうちの3つだけが
図4Aに見える。
図4Aはまた、第2のカプラ210を、第1のカプラ150によって担持されたラッチアーム151を受け入れる位置で示している。ラッチアーム151の運動は、以下にさらに詳細に説明するようにアームガイド156によって制御されるのがよい。ラッチアームは、対応のスプリング(例えば、アームスプリング178)および/または他の適当な装置によって解放位置または閉鎖位置に向かって付勢されるのがよい(設計上の検討事項に応じて)。ラッチアーム151は、ラッチアームキャリヤ157によって担持され、これらラッチアームは、ラッチアームキャリヤ157の運動により回転したり並進したりするよう駆動される。ラッチアームキャリヤ157は、2つのカムフォロア158を有し、カムフォロア158は、カムチューブ170の対応のスロット171中に外方に延びている。カムチューブ170が回転しているとき、カムフォロア158とカムスロット171との相互作用により、ラッチアームキャリヤ157が下方に駆動され、ラッチアーム151が閉鎖され、そして第2のカプラ210が第1のカプラ150に向かって引き寄せられる。
【0022】
支持チューブ130がカムチューブ170とラッチアームキャリヤ157との間の中央に位置決めされている。支持チューブ130は、回転カムチューブ170および並進ラッチアームキャリヤ156に対して固定された位置を有する。したがって、支持チューブ130は、アームガイド156を担持し(ラッチアーム151の並進運動を制御するために)、また支持チューブスロット131を有する。支持チューブスロット131により、カムフォロア158(支持チューブ130から半径方向内方に位置決めされている)がカムスロット171(支持チューブ130から半径方向外方に位置決めされている)に接近することができる。
【0023】
図4Aはまた、接触プランジャ155のうちの代表的な1つについて、結合プロセス中に圧縮されたときにエネルギーを貯蔵するプランジャスプリング159を示している。このエネルギーは、2機の宇宙ビークルの分離を助けるために、第1のカプラ150と第2のカプラ210が離脱されたときに放出されるのがよい。
【0024】
図4Bでは、ラッチアームキャリヤ157は、矢印Bで示すように、その下方運動を開始したところであり、ラッチアーム151は、対応のアームガイド156との接触関係に起因して、矢印Aで示すように互いに向かって内方に回転させられるようになっている。以下にさらに説明するように、ラッチアーム151の運動は、完全に抑制された状態よりも全く完全ではない程度に抑制されるのがよく、ラッチアーム151は、これらが互いに向かって接近するにつれてアームガイド156に近づいたり遠ざかったりすることができる。すなわち、ラッチアーム151は、この作動部分において少なくとも1つの無制限の自由度を有することができる。特定の実施形態では、アームガイド156は、対応するラッチアーム151の外方に向いた表面に接触するローラを有する。他の実施形態では、アームガイド156は、他の適当な形態のものであってよい。
図4Cでは、ラッチアーム151は、これらの内方回転を完了しており、今や、ソフトラッチ操作を完了している。したがって、ラッチアーム151は、第2のカプラ210のアーム受け入れ部211内に完全に受け入れられている。この時点で、ラッチアーム151は、それ以上回転するよう作動されることはないが、ラッチアームキャリヤ157が下方に動くにつれて、矢印Bで示すように下方に動き続ける。加うるに、ラッチアーム151は、第1のカプラ150と第2のカプラ210との幾分かの相対的横方向運動を依然として可能にするが、これまた以下にさらに説明するように、2つのカプラを互いに対して心出しするとともに/あるいは、かかる相対運動を減衰させまたは減少させるよう作用することができる。
【0025】
図4Dでは、ラッチアームキャリヤ157は、その下方運動を完了しており、かくしてこれまた、ハードラッチ操作が完了している。この位置では、第2のカプラ210は、第1のカプラ150にしっかりと係合し、接触プランジャ155は、今や、第1および/または第2のカプラ150,210が互いに引き寄せられた結果として、圧縮されている。各接点プランジャ155は、プランジャスプリング159に圧接する。したがって、接触プランジャ155を完全に押し下げると、エネルギーがプランジャスプリング159に蓄えられる。第2のカプラ210が第1のカプラ150から放されると、プランジャスプリング159の貯蔵エネルギーは、接触プランジャ155を上方に押しがちであり、それにより第2のカプラ210(およびこれが取り付けられている第2の宇宙ビークル)を第1のカプラ150(およびこれが取り付けられている第1の宇宙ビークル)から押し離すのを助ける。
【0026】
図5は、ラッチアーム151のうちの一本の一部分の部分概略側面図であり、ラッチアーム151とアームガイド156との相互作用を示している。ラッチアーム151は、アームスプリング178に結合され、アームスプリング178は、ラッチアーム151を矢印D1で示すようにその閉鎖位置に向かって付勢しようとする。ラッチアーム151は、ラッチアーム151の回転を制限する停止タブ175を有する。例えば、ラッチアーム151をその完全開放位置まで時計回り(矢印D2)に回転させると、停止タブ175は、対応の完全開放停止面176に係合する。ラッチアーム151を開くため、ラッチアーム151を矢印Bで示すように下方に動かし、その結果、ラッチ開放タブ174がアームガイド156に係合するようする。この接触により、ラッチアーム151は、矢印D2で示すように時計回りに回転させられ、それによりラッチアーム151は、対応の第2のカプラから離脱して、
図4Bに示す位置から
図4Aに示す位置にうつる。上述したように、第1の宇宙ビークルから遠ざかる第2の宇宙ビークルの運動は、接触プランジャによって開始されるとともに/あるいは加速されるのがよい。
【0027】
上述の機構の実施形態の1つの特徴は、この機構をアンダーアクチュエーションすることができ、かつ/あるいはラッチアーム151の運動をいくつかの位置において他の位置よりもいっそう抑制することができるということにある。例えば、ラッチアーム151を開放位置および閉鎖位置にあるときには完全に抑制することができるが、これらの位置相互間にあるときにはそれほど抑制することができない。具体的に説明すると、アームスプリング178は、ラッチアーム151を閉鎖位置に向かって付勢することができるが、この閉鎖位置まで完全に付勢することはできない。この力は、弾性である。剛性(または少なくともほぼ剛性)であるアームガイド156は、ラッチ開放タブ174に作用することによってラッチアーム151を開放位置に保持する。ラッチアームガイド156は、ラッチアーム151の後面151aに作用することによってラッチアーム151を閉鎖位置に保持する。ラッチアーム151が中間位置にあるとき、アームスプリング178もラッチアームガイド156もラッチアーム151を特定の位置に拘束することはない。したがって、ラッチアームスプリング178は、2つの宇宙ビークルおよびこれらの対応のカプラが、当初完全には位置合わせされていない場合であっても、かつ/あるいは、結合プロセスが進行するにつれて、ラッチアーム151を第2の宇宙ビークルの対応の受け入れ部211に押し付ける(例えば、
図4Bを参照されたい)。このやり方により、ラッチアーム151は、2つの宇宙ビークル相互間の相対運動を束縛するとともに、その運動を減少させるようアームスプリング178を介してエネルギーを吸収することができる。
【0028】
図6は、接触プランジャ155を担持するとともに展開する集成体の部分分解組立図であり、これら接触プランジャのうちの1つが
図6に示されている。具体的に説明すると、接触プランジャ155は、プランジャハウジング183によって担持されるのがよく、プランジャハウジング183はまた、プランジャスプリング159を担持する。プランジャハウジング183は、ブラケット184に対して位置決めされるのがよく、ブラケット184は、運動中の接触プランジャ155に対して固定された位置を有する。接触プランジャ155を押し下げると、接触プランジャ155は、プランジャスプリング159内にエネルギーを蓄える。
図4A~
図5を参照して上述したラッチアーム151が第2のカプラ210から離脱すると、プランジャスプリング159は、接触プランジャ155を上方に押し上げ、したがって、そしてまた、第2のカプラおよび第2の宇宙ビークルを押し離す。接触プランジャの位置(例えば、伸長位置、押し下げ位置、および/または中間位置)は、接触プランジャ155によって担持された第1のセンサ素子177a、およびブラケット184によって担持された第2のセンサ素子177b(例えば、1つ以上のスイッチ)を介して検出されるのがよい。
【0029】
図7は、ラッチアーム151を駆動する集成体の部分分解組立図である。ラッチアーム151は、上述したように、ラッチアームキャリヤ157に回動可能に結合されている。ラッチアームキャリヤ157は、半径方向外方に延びる1つ以上のカムフォロア158を有する。ラッチアームキャリヤ157は、支持チューブ130およびカムチューブ170の環状開口部中にはまり込み、カムフォロア158は、カムチューブ170の対応の円周方向に延びるカムスロット171内に受け入れられる。各カムスロット171は、第1の(例えば、平坦な)部分173および第2の(例えば、傾斜した)部分172を有する。第1の部分173は、軸方向成分なしで円周方向に延び、第2の部分172は、軸方向成分を有する。すなわち、第2の部分172は、カムチューブ170の回転軸線と整列した成分を含む方向に延びている。カムチューブ170は、リングギヤ179をさらに有し、リングギヤ179は、対応の駆動ギヤ181と噛み合っている。駆動ギヤ181は、電気モータ(または他の適当なアクチュエータ)180、およびスプリングモータ182に結合されている。アクチュエータ180と駆動ギヤ181を駆動すると、駆動ギヤは、リングギヤ179を回転させ、リングギヤ179とカムチューブ170は、矢印Cで示すようにラッチアームキャリヤ157に対して一緒に回転する。カムチューブ170が反時計回りの方向に回転すると、カムフォロア158は、カムスロット171の傾斜部分172に入る。この運動により、ラッチアームキャリヤ157が下方に(矢印B)押しやられ、それにより、ラッチアーム151を閉じ(矢印A)、そしてこれらラッチアームを、
図4A~
図4Dを参照して上述した仕方で下方に引き下げる。スプリングモータ182および対応の巻き取りスプール182aは、アクチュエータ180が動力を失った場合にはラッチアーム151を予め選択された標的形態に配置するようエネルギーを蓄える。標的形態は、閉鎖(結合)可能でありあるいは開放(結合解除)可能であり、かかる標的形態は、特定のビークルおよび/またはミッションの要件に基づいて選択されるのがよい。
【0030】
また、2つのカムチューブロック135が
図7に示されている。各カムチューブロック135は、カムチューブ170がアクチュエータ180の動力を受けて自由に回転することができる第1の(例えば、ロック解除または係合解除)位置から、カムチューブが動くのが阻止されまたは少なくとも著しく妨げられる第2の(例えば、ロックまたは係合)位置に動くことができまたは違ったやり方で変化することができる。例えば、カムチューブロック135は、1組のロック歯136を有するのがよく、1組のロック歯は、リングギヤが例えば対応の弁を互いに係合させたときに偶発的に回されて流体または他の物体を2つの宇宙ビークル相互間で運ぶのを阻止するようリングギヤ179と噛み合う。カムチューブロック135は、弁結合部分137をさらに含む。弁結合部分137は、第1の弁装置160(
図1)が開いていて流体を運ぶよう構成されている場合には、カムチューブ170を定位置にロックするよう第1の弁装置160に動作可能に結合されるのがよい。
【0031】
図8は、
図7に示す集成体の一部分の断面非分解組立図である。
図8に示すように、カムチューブ170は、アームガイド156(
図7)を担持した支持チューブ130から半径方向外方に位置決めされている。ラッチアーム151は、支持チューブ130から半径方向内方に位置決めされた状態でラッチアームキャリヤ157によって担持されている。駆動ギヤ181は、リングギヤ179と噛み合い、スプリングモータ182は、電気モータが電力を喪失した場合には、ラッチアーム151を結合(または結合解除)位置に付勢するための戻し力をもたらす。
【0032】
また、
図8に示すように、ラッチアームキャリヤ157は、互いに対して動くことができる多数の要素を有するのがよい。例えば、ラッチアームキャリヤ157は、カムフォロア158(
図7に示す)を担持した第1の要素157aを有するのがよく、カムフォロア158は、カムスロット171に嵌合している。ラッチアームキャリヤ157は、第2の要素157bをさらに有するのがよく、第2の要素157bは、ラッチアーム151に連結されている。第3の要素157c(例えば、スプリングまたは他の弾性要素)が、第1の要素157aと第2の要素157bとの間に位置決めされている。第1の要素157aがカムフォロアとカムスロット171との相互作用によって下方に押し下げられると、第1の要素157aは、第3の要素157cに当接し、すると、第3の要素157cは、第2の要素157bに当接する。第2の要素157bの下方運動により、ラッチアーム151が下方に引き下げられる。第3の要素157cが可撓性かつ弾性である特性により、もしそのように構成されていなければラッチアーム151の最終的な動きを制限する恐れのある考えられる位置合わせ不良が許容される。かかる位置合わせ不良は、製造公差、熱膨張率の差、および/または他の作用効果の結果として生じる場合がある。第3の要素157cはまた、少なくとも最小限のクランプ荷重(ラッチアーム151と第2の宇宙ビークルとの間の)を標的公差範囲にわたって達成されるようにする仕方でラッチアーム151に荷重を伝達することができる。
【0033】
C.
弁動作‐第1のビークル
先の見出しセクションは、2つの宇宙航空機を解除可能に互いに結合して物体(例えば、流体)を宇宙航空機相互間で移送する代表的なシステムおよび対応の方法について説明した。
図9~
図14を参照して行う以下の説明は、第1の宇宙ビークルによって担持された弁集成体に関する。
図9で始まって、第1のカプラ150は、弁駆動組立体186を有するのがよい。弁駆動組立体186は、1つ以上の第1の弁装置160(
図9では2つが示されている)を駆動するために使用されるのがよい。
図9に示すように、弁駆動組立体186は、2つの駆動モータ187を含むのがよく、駆動モータの各々は、中間ギヤ193と噛み合う駆動モータギヤ192を有する。各中間ギヤ193は、これまたスクリューまたはウォーム194を担持した対応のシャフトに連結されている。したがって、駆動モータ187を作動させると、駆動モータは、スクリュー194を回転させる。スクリュー194は、
図12を参照して後で説明する仕方で、ナット195に係合しており、ナット195は、対応の第1の弁装置160と係合している。
【0034】
第1の弁装置160は各々、弁ハウジング191、第1ポート164a、および第2ポート164bを有する。第1の弁装置160を閉じると、第1のポート164aと第2のポート164bとの間の流体連通は存在しない。第1の弁装置160が開かれると、2つのポート164a,164bは、互いに流体連通関係をなす。第1の弁装置160は、弁ハウジング191から外方に突き出たプローブ163を動かすことによって、開き(開放)位置形態と閉じ(閉鎖)位置形態との間で変わる。
【0035】
駆動モータ187に連続的に動力供給する必要を回避するため、駆動モータが第1の弁装置160を適正な位置までいったん動かすと、対応の弁ロック装置188が弁を定位置にロックするために用いられるのがよく、モータ187への動力供給を止めるのがよく。したがって、弁ロック装置188は、ロック要素144を有するロックアーム142を有するのがよく、ロック要素144は、ピボット継手143回りに回動して第1の弁装置160をその開放位置に駆動する機構体と係合する。この動作のそれ以上の詳細については、
図12を参照して後で説明する。
【0036】
弁ハウジング191は、対応の弁位置決めブラケット161に取り付けられるのがよい。弁位置決めブラケット161は、第1の位置合わせ特徴149を有するのがよい。特定の実施形態では、第1の位置合わせ特徴149は、位置決めタブ162を含む。他の実施形態では、位置合わせ特徴149は、他の形態を含むことができるが、これら実施形態のうちの任意のものにおいて、第1の位置合わせ特徴は、第2の弁装置によって担持された対応の第2の位置合わせ特徴とインターフェースしており、これについては以下においてさらに説明する。
【0037】
図10は、上述した第1の第1の弁装置160の拡大図であり、プローブ163、弁ハウジング191、および第1のポート164a、および第2のポート164bを示している。上述したように、第1の弁装置160は、1つ以上の第1の位置合わせ特徴149を備えた位置決めラケット161をさらに有する。位置合わせ特徴149は、「カヌー球形(canoe sphere)」またはその他の尖ったもしくは傾斜した形状を有する位置決めタブ162を含むのがよい。この形状は、第2の宇宙航空機によって担持された対応の位置合わせ特徴に係合してこれと整列するよう特に選択されており、これについては、
図15を参照してさらに説明する。
【0038】
特定の実施形態では、各位置決めタブ162の2つの対向する傾斜主要面は、単一の場所で第2の宇宙航空機の位置合わせ特徴の対応の表面に接触し、それにより、6本の軸線における2つの組をなす位置合わせ特徴間の相対運動が正確に拘束される。特定の実施形態では、位置決めブラケット161(および/または位置決めタブ162または他の位置合わせ特徴)は、1本の軸線において別の軸線よりも高い可撓性(または減少した剛性)を有するのがよい。例えば、位置決めブラケット161は、横方向軸線よりも長手方向軸線に沿った方が剛性を有し、長手方向軸線は、プローブ163の運動および/またはラッチアームの並進運動に全体として平行であり、横方向軸線は、長手方向軸線に対して横方向である。この特徴により、2機の宇宙ビークルが結合する際にこれら宇宙ビークル相互間の小規模な位置合わせ不良を計算に入れることができる。2機の宇宙ビークルが互いにいったん結合されると、プローブ163は、軸方向に動いて第1のポート164aと第2のポート164bとの連通を開閉し、これについては、
図11A~
図11Cを参照して以下においてさらに説明する。
【0039】
図11A~
図11Cは、3つの位置における第1の弁装置160の断面図である。
図11Aは、第1の弁装置160をその閉鎖位置で示している。プローブ163は、弁孔166を有し、弁孔166は、弁が開かれると、フローチャネル165を介して第1のポート164aと第2のポート164bとの流体連通を可能にする。
図11Aに示す閉鎖形態では、弁孔166は、かかる流体連通をもたらさない。また、一連のシール189が
図11Aに示されており、これらシール189は、プローブ163と1つ以上の外方に位置決めされたシール支持体198との流体密な結合をもたらす。シール支持体198はまた、全体的な流体密構造を提供するために、弁ハウジング191の内部に密着した1つ以上のOリング190を担持している。
【0040】
図11bは、第1の弁装置160を「チェック」形態で示している。この形態では、第1の弁装置160は、第2の宇宙ビークル201の対応の第2の弁装置220(その一部分が概略的に示されている)と接触状態にある。特に、プローブ163は、第2の弁装置220中に部分的に挿入されるよう動いたところである(例えば、並進したところである)。この位置では、(a)第1および第2の弁装置160,220内の圧力を等しくすることができ、しかも(b)流体は、第1のポート164aから第2のポート164bに流れ、そして第2の弁装置220の一部分中に流れるようになっているが、第2の弁装置220は、完全には開かれない。その結果、オペレータ(または自動システム)は、適正な結合が第2の弁装置220の完全開放前に第1の弁装置160と第2の弁装置220との間で行われたかどうかをチェックすることができる。この形態では、弁孔166は、第1のポート164aとも連通しているチェックスロット168と整列する。したがってこの形態では、少量の流体が、流路の矢印FPによって示すように、第1のポート164aからチェックスロット168および弁孔166を通って第2のポート164bに流れることができ、そして部分的に第2の弁装置220を通過することができる。流体の量は、最小限であり、それによりオペレータは、弁装置が正しく結合されていない場合でも多量の流体を不注意で損失することなく、連結の連続性をチェックすることができる。
【0041】
図11Cでは、プランジャ163は、その完全開放位置まで動いている。この位置では、弁孔166は全て、流体結合チャンバ169と整列しており、流体結合チャンバ169は、弁孔166を円周方向に包囲するとともに第1の流体ポート164aと流体連通状態にある。この形態では、流体は、流路矢印FPで示すように、2つのポート164a,164b相互間で自由に流れることができる。この位置では、プランジャ163もまた、第2の流体ポート164bからの完全流出を可能にするよう、第2の宇宙ビークルに設けられた対応する弁を完全に開いている。これとは対照的に、
図11Bに示すチェック形態では、ほんのわずかな数の弁孔166が対応のチェックスロット168と流体連通状態にあり、第2の弁装置220は、完全には開かれない。
【0042】
さらに
図11Cに示すように、プローブ163は、接触面167を有するのがよく、この接触面は、駆動組立体186(
図9に示す)によって駆動され、これについては、
図12を参照して以下においてさらに説明する。特定の実施形態では、接触面167は、プローブ163と対応の駆動機構体とのなんらかの位置合わせ不良を許容するよう、極めてなだらかに湾曲した(すなわち、半径が大きい)球面を有する。
【0043】
図12は、弁駆動組立体186に結合された第1の弁装置160のうちの1つの部分概略断面図である。弁駆動組立体186は、プローブ163を矢印Xで示すように前後に駆動して第1の弁装置160を開閉する。図示の弁駆動組立体186は、2つの第1の弁装置160を作動させるよう構成されているが、以下における説明の目的上、第1の弁装置160のうちの1つだけについて詳細に説明する。
【0044】
弁駆動組立体186は、上述したスクリュー194を含み、このスクリューは、中間ギヤ193によりモータ駆動される。スクリュー194は、対応のナット195に螺合し、ナット195は、プローブ駆動装置196に連結されている。したがって、中間ギヤ193が回転すると、中間ギヤは、スクリュー194を回転させ、それによりナット195およびかくしてプローブ駆動装置196が矢印Xで示すように軸方向に並進する。プローブ駆動装置196は、駆動装置接触面197を有し、駆動装置接触面197は、プローブ163によって担持されかつ
図11Cを参照して上述した対応のプローブ接触面167に係合する。また、上述したように、プローブ接触面167は、プローブ駆動装置196とプローブ163との小規模な位置合わせ不良を考慮にいれるとともに、これら2つの要素相互間の駆動力のずれを回避するよう極めて大きな半径の球面を有するのがよい。
【0045】
プローブ駆動装置196は、1つ以上のラチェット歯を備えたラック140を担持しており、これらラチェット歯のうちの2つが第1および第2のラチェット歯141a,141bとして
図12に示されている。ラチェット歯は、第1の弁装置160を所望の位置に維持するために駆動モータ187(
図9)への依存を回避するよう、ロック装置188と係合するのがよい。特に、プローブ駆動装置196がプローブ163を弁チェック位置に駆動した場合、ロック装置188は、第1のラチェット歯141aと係合することができる。プローブ163を開放位置に駆動すると、弁ロック装置188は、ラック140の第2のラチェット歯141bと係合することができる。いずれの場合も、ロック装置188は、プローブ駆動装置196が不注意に後退するのを阻止する。このように、(a)モータは、プローブ駆動装置196を図示の位置に維持するために電流を連続して供給する必要がなく、しかも(b)モータが故障した場合、弁は、その開放位置に維持される。
【0046】
図9を参照して上述したように、ロック装置188は、ロックアーム142を有するのがよく、ロックアーム142は、ピボット継手143回りに回動し、このロックアームは、ロック要素144を担持している。ロック要素144が1つまたは複数のラチェット歯141と係合すると、プローブ駆動装置196は定位置にロックされる。ロック要素144がラチェット歯から離脱すると、プローブ駆動装置196は、開放位置と閉鎖位置との間で自由に動くことができる。
【0047】
図13Aおよび13Bは、ロック装置188をロック解除位置(
図13A)およびロック位置(
図13B)で示している。
図13Aで始まって、ロックアーム142は、アームリテーナ146のスロット147中に対応関係をなして延びる横方向部分を有する。アームリテーナ146は、スプリングまたは一連のワッシャ145によって下方に付勢されている。したがって、ロックアーム142に加わるアームリテーナ146の下向きの力は、ロック要素144が回転してラック140内に入るのを阻止する。
【0048】
アームリテーナ146は、アクチュエータ148(例えば、ワックスモータおよび/または他の適当な装置)と係合し、アクチュエータを148は、例えば、ピストン148aを駆動する。アクチュエータ148は、作動時、ピストン148aを伸長させ、このピストンは、
図13Bに示すように、スプリング145の力に抗して、アームリテーナ146を上方に動かす。この運動により、ロックアーム142が回転し、その結果、ロック要素144がラック140と係合するようになる。付勢スプリング139が、今や解除されたロックアーム142をラック140に向かって、そして歯141a,141bのうちの一方に係合するよう付勢する。この位置では、ラック140(およびかくして
図12を参照して上述した対応のプローブ駆動装置196およびプローブ163)は、定位置にロックされる。
【0049】
図14は、取り付けフランジ154によって担持された上述の弁駆動組立体186の部分分解組立図である。弁駆動組立体186は、ラッチアームキャリヤ157および構造チューブ130から半径方向内方におさまる。
図14はまた、弁駆動組立体186上に位置決めされ、かつ、ラッチアーム、弁装置、および接触プランジャに適したスロットを有する上側構造体138を示している。さらに、接近開口部が支持チューブスロット131を含み、それにより、カムフォロワー158(
図14には図示せず)は、外側に伸長し、そしてカムチューブ170(これも
図14には図示せず)に係合することができる。
【0050】
D.
弁動作‐第2のビークル
2つの宇宙ビークルを互いに結合するとともに、第1の宇宙ビークルの弁を開閉する機構について説明した。以下の説明は、第2の宇宙ビークルの弁に関する。
図15で始まって、
図1を参照して上述した第2の宇宙ビークルによって担持された第2のカプラ210は、1つ以上の第2の弁装置220を担持したハウジング214を有するのがよい。
図15に示す実施形態では、ハウジング214は、第1の宇宙ビークルによって担持された2つの第1の弁装置に対応した2つの第2の弁装置220を担持している。第2の弁装置220は各々、第2の弁装置が開いているときには互いに流体連通状態にあり、第2の弁装置が閉じているときに互いに流体連通状態から隔離される第1のポート221aおよび第2ポート221bを有するのがよい。第2のカプラ210は、第1のカプラ150によって担持され、かつ、
図9~
図11Aを参照して上述した第1の位置合わせ特徴149と合体するよう位置決めされるとともに構成された第2の位置合わせ特徴212をさらに有するのがよい。この特定の実施形態では、第2の位置合わせ特徴212は、カヌー球形を有する凹部213を有するのがよく、この凹部213は、上述の第1の位置合わせ特徴の対応した形状のタブを受け入れるようになっている。
【0051】
図16は、2つの第2の弁装置220の部分分解組立図であり、ハウジング214および対応のハウジングカバー215を示している。ハウジング214もまた、2つの弁カバー装置216を担持し、これら弁カバー装置の各々は、弁が第1の宇宙ビークルから流体を受け入れる準備が整うまで、対応の第2の弁装置220の対応の第2のポート221bを覆うよう構成されている。
【0052】
図17Aは、組立て状態の第2の弁装置220、および対応の弁カバー装置216の拡大図である。弁カバー装置216の各々は、1つ以上の接触要素219(これらのうちの2つが
図17Aに示されている)を担持するのがよい。接触要素219を第1の宇宙ビークルとの接触に起因して互いに係合して押し下げたとき(
図17Aに示すように)、弁カバー217(これらは、
図17Aに閉鎖位置で示されている)は、
図17Bに示すように開放位置に動く。したがって、接触要素219は、弁カバー装置216のアクチュエータ218として動作する。
【0053】
図17Bは、弁カバー217を接触要素219が押し下げられた結果として生じる開放または引っ込み位置で示している。この位置では、弁カバー217は、対応の第2のポート221bから引っ込めて遠ざけられており、それにより、これらのポートを通る流体連通が可能になる。接触要素219は、第2の位置合わせ特徴212を第1の宇宙ビークルの対応の第1の位置合わせ特徴に係合させる同一の運動の一部として押し下げられるのがよく、ただし、これらの動作は、同時に行われる必要はない。
【0054】
図18A~
図18Cは、弁カバー217の動作のさらなる細部を示している。
図18Aで始まって、弁カバー装置216は、弁カバー217を対応の第2ポート221bに近づけたりこれから遠ざけたりするリンケージ集成体222(例えば、四節回転機構)を有するのがよい。特定の実施形態では、カバー217は、第1のリンク222aとして動作し、このカバーは、第2のリンク222bに回動可能に連結されている。第2のリンク222bは、第3のリンク222cに回動可能に連結され、第3のリンク222cは、対応のブラケット223に連結されている。ブラケット223は、第4のリンクとして動作し、リンケージ集成体222は、接触要素219によって駆動される。したがって、接触要素219が
図18Bの矢印Eで示されるように下方に駆動されると、弁カバー217は、矢印Fで示すように、右側に引っ込み、それにより第2ポート221bを露出させる。
図18Cは、弁カバー217をその閉鎖位置で示し、さらにまた、ブラケット223内に位置決めされるとともに弁カバー217をその閉鎖(例えば、常閉)位置に付勢するよう構成された閉鎖スプリング224を示している。
図19は、上述の弁カバー装置のコンポーネントの部分分解組立図である。
【0055】
図20は、第2の弁装置220の部分概略等角図であり、第1のポート221a、第2のポート221b、カバーハウジング214、および対応の弁ハウジング225を示している。
【0056】
図21は、後述の主要コンポーネントを備えた第2の弁装置220の分解組立図である。
図21は、第1のポート221aを備えた弁ハウジング225を示している。弁要素またはピントル226が弁ハウジング225内で往復動し、または軸方向に動く(例えば、長手方向軸線に沿って)。弁要素226は、弁が開いているときに第1のポート221aと第2のポート221bとの流体連通を可能にし、弁が閉じられているときにはかかる流体連通を阻止する弁ポート228を含む。シールリテーナ229が1つ以上の内部シールを支持し、このシールリテーナは、内側スプリング227aと外側スプリング227bを収容している。内側および外側スプリング227a,227bは、弁要素226をその閉鎖位置に付勢するとともに、互いの干渉を回避するよう互いに反対側の巻き方向/向きを有する余力を提供し、かかる余力は、弁要素を以下に説明する仕方で付勢する。
【0057】
E.
組み合わせ弁動作‐第1および第2のビークル
図22は、第2の弁装置220と対応関係をなして合体するよう位置決めされた一対の第1の弁装置160の拡大図である。いったん合体すると、流体は、第1の弁装置160を通り、そして第2の弁装置220に至り、そしてこれを通って流れることができ(矢印Y)、またはこの逆の関係が成り立つ。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の弁装置160,220は、考えられる位置合わせ不良を考慮して、ある程度の横方向撓みを許容するが、軸方向に剛直である特徴を有する。例えば、第1の弁装置160によって担持された弁位置決めブラケット161は、かかる形態を有することができる。
【0058】
図23A~
図23Cは、第1の宇宙ビークルによって担持された第1の弁装置160を第2の宇宙ビークルによって担持された第2の弁装置220に係合させる代表的なプロセス、および2機の宇宙ビークル相互間の流体連通を可能にするよう両方の弁装置を開く操作を示している。
図23Aで始まって、各宇宙ビークルによって担持されたカプラを互いに係合させると、第1の弁装置160によって担持された第1の位置合わせ特徴139は、第2の弁装置220によって担持された第2の位置合わせ特徴212に係合する。位置合わせ特徴139,212をいったん係合させると、第1の弁装置160によって担持されたプローブ163は、
図23Bに示すように右から左に前進を開始する。プローブ163の運動は、オペレータおよび/または自動システムが第2の弁装置220を完全に開いて2つの宇宙ビークル相互間の流体連通を可能にする前に流体の漏れがあるかどうかについてチェックすることができるようにするよう、チェック位置(
図23Bに示す)で一時停止する。チェックにいったん合格すると、プローブ163は、
図23Cに示すように左側への駆動を続けて第2の弁装置220を開き、それにより、双方向であるのがよい流路FPに沿う2つの弁装置相互間の流体連通が可能になる。各弁装置160,220は、移送された流体を収容するために、対応の宇宙ビークルによって担持された流体容器(例えば、流体源および/または流体シンク)に結合されている。
【0059】
図24は、流体を2つの宇宙ビークルまたは宇宙航空機相互間で結合して移送する代表的なプロセスを示す流れ図である。プロセス300は、ブロック302で始まり、ブロック302では、機械的合体または結合を完了させてチェックする。ブロック304では、結合プロセス中の障害が検出された場合、プロセスは、ブロック308に進み、このブロック308では、2機のビークルを離脱させてこれらビークルを安全な場所に移動させる。ブロック310では、障害を管理して是正する。プロセスは、次に、ブロック302に戻って宇宙ビークルを再合体/再結合させる。障害が是正された場合、プロセスは、ブロック306に進んで流体移送インターフェースを作動させる。弁を互いに係合させて、例えば上述の
図23Bに示すように、試験位置またはチェック位置に動かす。試験により良好なシールが立証された場合、プロセスは、続いてブロック318に進む。もしそうでなければ、シールをブロック314で再び試み、そしてブロック316で再びチェックする。良好なシールが依然として得られない場合、宇宙航空機を離脱させ、安全な場所に動かし、そしてプロセスを再開するのがよい。
【0060】
ブロック318から進んで、弁がいったん適切に位置合わせされてチェックされると、ブロック320において、流体を移送する。これは、例えば、推進剤を適切に受け取るよう第2の宇宙ビークルの推進システムの参与を含むのがよい。
【0061】
ブロック322では、弁を試験/チェック位置に動かし、この試験/チェック位置では、弁を外部から封止するが、内部を清浄化するのがよい。このプロセスにより、移送された流体が宇宙ビークルのいずれか一方に滴下して光学的に敏感な表面を閉塞させたり、かつ/あるいは宇宙ビークルに損傷を与える恐れを減少させまたはなくすことができる。加うるに、この操作によって弁を清浄化することができ、弁のいずれの中にも流体が残ることなく、それにより、後に残留流体が弁から漏れる恐れを回避する。
【0062】
ブロック324では、要素を上述したようにカス抜きしまたはパージし、そして、ブロック326では、結合部を互いに離脱させ、すなわち、弁を閉じる。ブロック328では、2機のビークル相互間の機械的結合を解除し、または外す。このプロセスは、プランジャが2機のビークルを互いに押しまたは加速して互いに引き離すステップを含むのがよい。ブロック330では、宇宙ビークルを安全な場所に動かし、そこから各宇宙ビークルは、次のミッションを実行する。
【0063】
上記プロセスのうちのいくつかまたは全てを、例えば、
図1を参照して上述したコントローラにより自動的にまたは半自動的に完了させることができる。いくつかの実施形態では、プロセス全体を自動化することができ、他の実施形態では、人間のオペレータが上記プロセスのうちの1つ以上を見張るとともに/あるいは制御することができ、そして、自動システムが望ましくない行為を生じさせた場合にはプロセスを中断することができる。
【0064】
上記実施形態のうちの任意のものに関し、2機の宇宙ビークルをいったん結合すると、流体を移送することができる(上述したように)が、ビークルが互いに結合された状態で他のデータまたは情報もまた転送することができる。例えば、インターフェース装置は、一方のビークルから他方のビークルへの迅速なデータ転送を可能にする電気インターフェースを含むのがよい。他の実施形態では、他の適当な連結方式もまた可能である。例えば、データに加えて、電力を各宇宙ビークルによって担持された対応のインターフェース要素経由で伝えることができる。
【0065】
F.結論
本技術に関する実施形態のさらなる詳細が、2021年3月24日に出願された米国特許出願公開第2021/0300602号明細書に含まれており、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。参照により引用したどの文献であっても、本開示と相反する範囲では、本発明が優先する。
【0066】
上記内容から、本技術のいくつかの実施形態を例示目的で本明細書において説明したが、本技術から逸脱することなく種々の改造を行うことができることが理解されよう。例えば、上述のアクチュエータのうちのいくつかは、明示的に説明したアクチュエータとは異なる形態を有することができる。移送される流体は、液体および/または気体であるのがよく、推進剤以外の流体を含むことができ、かつ/あるいはビークル相互間のいずれの方向にも移送することができる。いくつかの実施形態では、本技術の要素の1つ以上の表面は、静電気の堆積に抵抗する導電性表面または皮膜を有するのがよい。
【0067】
さらに、本技術のいくつかの実施形態と関連した利点をこれら実施形態の関連で説明したが、いくつかの実施形態もまた、かかる利点を奏することができ、必ずしも全ての実施形態が本技術の範囲に属するようかかる利点を奏する必要はない。したがって、本発明および関連の技術は、明示的に説明せずまたは本願において図示しなかった他の実施形態を含むことができる。
【0068】
本明細書で用いられる「および/または」という用語は、「Aおよび/またはB」という表現で用いられる場合、「AまたはB、あるいは、AとBの両方」を意味している。類似の解釈の仕方は、3つ以上の用語のリストで用いられる場合、「および/または」という表現に当てはまる。本明細書で用いられる「約」および「ほぼ」という用語は、記載された値の10%の範囲内の値を指している。
【0069】
以下の実施態様は、本技術の追加の実施形態を含む。
実施態様
〔実施態様項1〕 宇宙ビークル用の流体移送システムであって、
第1の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第1のカプラと、
上記第1のカプラによって担持された第1の弁装置と、
第2の宇宙ビークルによって担持されるよう構成された第2のカプラと、
上記第2のカプラによって担持された第2の弁装置とを含み、
上記第1のカプラは、上記第2のカプラに係合して結合されるよう位置決めされる回転可能かつ並進可能なラッチアームを有し、
上記第1の弁装置は、流体を上記第1の弁装置と上記第2の弁装置の間で移送するために上記第1のカプラの上記ラッチアームが上記第2のカプラに連結される際に上記第2の弁装置中に挿入可能な可動プローブを有する、流体移送システム。
〔実施態様項2〕 上記回転可能かつ並進可能ラッチアームの全てに結合される単一のモータをさらに含み、個々の上記ラッチアームは、弾性要素と、閉鎖位置と開放位置との間で動くための固定的に可動の要素の両方に結合される、実施態様項1記載の流体移送システム。
〔実施態様項3〕 上記弾性要素は、上記個々のラッチアームを上記閉鎖位置に向かって付勢するように位置決めされたラッチアームスプリングを含み、上記固定的に可動要素は、上記個々のラッチアームを上記閉鎖位置に解除可能に保持するよう位置決めされた少なくともほぼ剛性のラッチアームガイドを含む、実施態様項2記載の流体移送システム。
〔実施態様項4〕 上記第1の弁装置の上記プローブは、少なくとも3つの位置、すなわち、閉鎖位置と、チェック位置と、開放位置との間で動くことができる、実施態様項1~3のうちいずれか一に記載の流体移送システム。
〔実施態様項5〕 上記閉鎖位置では、上記第1の弁装置を通る流体経路が閉鎖される、実施態様項4記載の流体移送システム。
〔実施態様項6〕 上記開放位置では、上記第1の弁装置と上記第2の弁装置を通る流体経路が開いている、実施態様項4記載の流体移送システム。
〔実施態様項7〕 上記チェック位置では、流体経路が上記第1の弁装置を通って開いているが、上記第2の弁装置を通っては開いていない、実施態様項4記載の流体移送システム。
〔実施態様項8〕 上記プローブは、上記少なくとも3つの位置相互間で並進可能である、実施態様項4記載の流体移送システム。
〔実施態様項9〕 上記ラッチアームは、開放位置に動くよう構成されている、実施態様項1~8のうちいずれか一に記載の流体移送システム。
〔実施態様項10〕 上記ラッチアームを上記開放位置と上記閉鎖位置との間で動かすよう上記ラッチアームに動作可能に結合されたアクチュエータと、上記アクチュエータが故障した場合に上記ラッチアームを上記開放位置に動かすよう上記ラッチアームに動作可能に結合されたスプリングモータとをさらに含む、実施態様項9記載の流体移送システム。
〔実施態様項11〕 上記ラッチアームは、閉鎖位置に動くよう構成されている、実施態様項1~10のうちいずれか一に記載の流体移送システム。
〔実施態様項12〕 上記ラッチアームを上記開放位置と上記閉鎖位置との間で動かすよう上記ラッチアームに動作可能に結合されたアクチュエータと、上記アクチュエータが故障した場合に上記ラッチアームを上記閉鎖位置に動かすよう上記ラッチアームに動作可能に結合されたスプリングモータとをさらに含む、実施態様項11記載の流体移送システム。
〔実施態様項13〕 カムスロットを有するカムチューブをさらに有し、上記カムスロットは、上記カムチューブの少なくとも一部分周りに円周方向に延びるとともに、上記カムチューブの長さの少なくとも一部に沿って少なくとも部分的に軸方向に延び、
上記カムスロット内に位置決めされたカムフォロアを有するラッチアームキャリヤをさらに含み、上記ラッチアームは、上記ラッチアームキャリヤに回動可能に結合され、
上記カムチューブを回転させたり、上記ラッチアームキャリヤを並進させたりするよう上記カムチューブに動作可能に結合されたアクチュエータをさらに含む、実施態様項1~12のうちいずれか一に記載の流体移送システム。
〔実施態様項14〕 上記カムチューブが回転するのを阻止する係合位置と、上記カムチューブが上記アクチュエータによって回転可能な係合離脱位置との間で上記カムチューブに対して動くよう位置決めされたカムチューブロックをさらに含む、実施態様項13記載の流体移送システム。
〔実施態様項15〕 上記カムチューブは、ギヤを担持し、上記カムチューブロックは、上記係合位置では上記ギヤに係合し、上記離脱位置では上記ギヤから離脱するよう位置決めされた歯を有する、実施態様項14記載の流体移送システム。
〔実施態様項16〕 上記カムチューブと上記ラッチアームキャリヤとの間で同心状に位置決めされた支持チューブをさらに含む、実施態様項13記載の流体移送システム。
〔実施態様項17〕 上記支持チューブによって担持されたラッチアームガイドをさらに含み、上記ラッチアームガイドは、上記少なくとも1本のラッチアームが並進しているときに上記ラッチアームのうちの上記少なくとも1つ表面に沿って転動するよう位置決めされたローラを含む、実施態様項16記載の流体移送システム。
〔実施態様項18〕 上記少なくとも1本のラッチアームは、回動可能であり、上記ラッチアームガイドに対する上記ラッチアームの並進運動経路は、少なくとも1本のラッチアームを回転させる、実施態様項17記載の流体移送システム。
〔実施態様項19〕 上記ラッチアームキャリヤは、
上記カムフォロアを連結する第1の要素と、
上記ラッチアームを連結する第2の要素と、
荷重を上記第1の要素と上記第2の要素との間で伝達するために、上記第1の要素と上記第2の要素との間に位置決めされた可撓性弾性の第3の要素とを含む、実施態様項13記載の流体移送システム。
〔実施態様項20〕 上記可動プローブは、プローブ軸線に沿って動くことができ、
第1の弁装置が位置決めブラケットによって担持され、
上記位置決めブラケットは、上記プローブ軸線に沿う場合よりも上記プローブ軸線に対して横方向に高い可撓性の度合いを有する、実施態様項1~19のうちいずれか一に記載の流体移送システム。
〔実施態様項21〕 上記位置決めブラケットは、第1の位置合わせ特徴を有し、上記第2のカプラは、上記第1の位置合わせ特徴に係合可能な対応の第2の位置合わせ特徴を有し、上記プローブ軸線に対して横方向の上記位置決めブラケットの上記可撓性は、上記第1の位置合わせ特徴と上記第2の位置合わせ特徴との間の位置合わせ不良を許容する、実施態様項20記載の流体移送システム。
〔実施態様項22〕 上記第1の位置合わせ特徴は、タブを含み、上記第2の位置合わせ特徴は、凹部を含む、実施態様項21記載の流体移送システム。
〔実施態様項23〕 上記タブと上記凹部は、上記タブと上記凹部が係合すると、上記第1のカプラと上記第2のカプラとの間の6つの対応の点のところで6つの自由度を抑制するよう位置決めされる、実施態様項22記載の流体移送システム。
〔実施態様項24〕 上記第1のカプラまたは上記第2のカプラのうちの少なくとも一方は、上記第1のカプラと上記第2のカプラを互いに押し離すよう位置決めされたセパレータを有する、実施態様項1~23のうちいずれか一に記載の流体移送システム。
〔実施態様項25〕 上記セパレータは、スプリングに結合されたプランジャを有し、上記スプリングは、上記第1のカプラおよび上記第2のカプラが上記ラッチアームによってラッチ止めされると、エネルギーを蓄え、上記ラッチアームが互いに離脱されると、エネルギーを放出するよう位置決めされている、実施態様項24記載の流体移送システム。
〔実施態様項26〕 上記セパレータは、上記第2のカプラが上記ラッチアームの把持範囲内にある時間の長さを延ばす、実施態様項24記載の流体移送システム。
〔実施態様項27〕 流体を2機の宇宙ビークル相互間で移送する方法であって、
上記第1の宇宙ビークルを上記第2の宇宙ビークルにラッチ止めすることによって、上記第1の宇宙ビークルと第2の宇宙ビークルを結合するステップを含み、上記ラッチ止めステップは、上記第1の宇宙ビークルによって担持された複数のラッチアームを回転させたり並進させたりして、上記第2の宇宙ビークルを上記第1の宇宙ビークルの方へ引き寄せるステップを含み、
上記第1の宇宙ビークルの上記第1の弁装置によって担持された可動プローブを、上記第2の宇宙ビークルによって担持された第2の弁装置中に挿入するステップを含み、
流体を上記第1および第2の弁装置経由で上記第1の宇宙ビークルと上記第2の宇宙ビークルとの間で移送するステップを含む、方法。
〔実施態様項28〕 上記第1の宇宙ビークルと上記第2の宇宙ビークルを結合する上記ステップは、各ラッチアームにつき、該ラッチアームを弾性要素と固定的に可動の要素の両方の力を受けて上記ラッチアームを動かすステップを含む、実施態様項27記載の方法。
〔実施態様項29〕 上記弾性要素は、スプリングを含み、上記固定的に可動要素は、少なくともほぼ剛性のラッチアームガイドを含み、上記結合ステップは、上記スプリングを上記ラッチアームの閉鎖位置に向かって付勢するステップおよび上記剛性ラッチアームガイドを上記ラッチアームに当てた状態で動かして上記ラッチアームを上記閉鎖位置に保持するステップを含む、実施態様項28記載の方法。
〔実施態様項30〕 上記可動プローブを挿入する上記ステップは、
上記可動プローブを上記閉鎖位置から中間位置に動かすステップと、
上記可動プローブが上記中間位置にある間に、上記第1の弁装置を通るが上記第2の弁装置全体を通ることはない流路に沿って漏れがあるかどうかをチェックするステップと、
上記可動プローブを上記中間位置から開放位置に動かすステップと、
上記可動プローブが上記開放位置にある間に、上記第1および上記第2の弁装置を通って流体を上記第1の宇宙ビークルと上記第2の宇宙ビークルとの間で移送するステップとを含む、実施態様項27~29のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項31〕 上記ラッチアームは、アクチュエータにより開放位置と閉鎖位置との間で動くことができ、上記方法は、上記アクチュエータが故障した場合に上記ラッチアームを上記開放位置に推し進めるステップをさらに含む、実施態様項27~321のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項32〕 上記ラッチアームは、アクチュエータにより開放位置と閉鎖位置との間で動くことができ、上記方法は、上記アクチュエータが故障した場合に上記ラッチアームを上記閉鎖位置に推し進めるステップをさらに含む、実施態様項27~31のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項33〕 上記ラッチアームは、カムフォロアを有するラッチアームキャリヤによって担持され、上記ラッチアームを並進させる上記ステップは、上記カムフォロアをはめ込むカムスロットを有するカムチューブを回転させるステップを含む、実施態様項27~32のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項34〕 個々のラッチアームは、対応のラッチアームガイドに当接し、上記ラッチアームを回転させる上記ステップは、上記ラッチアームが並進しているときに上記ラッチアームを上記ラッチアームガイドに対して動かすステップを含む、実施態様項33記載の方法。
〔実施態様項35〕 上記第1の宇宙ビークルと上記第2の宇宙ビークルを、上記第1の宇宙ビークルによって担持されたタブおよび上記第2の宇宙ビークルに設けられた凹部により位置合わせするステップをさらに含み、上記タブの位置は、第2の方向よりも第1の方向においていっそう抑制され、上記第1の方向は、上記ラッチアームの上記並進運動と合わせられ、上記第2の軸線は、上記第1の軸線に対して横方向である、実施態様項27~34のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項36〕 上記第1の宇宙ビークルと上記第2の宇宙ビークルが結合されているときに、かつ上記流体を移送する前に、上記第1の宇宙ビークルおよび上記第2の宇宙ビークルの互いに向かう運動によって生じたエネルギーを貯蔵するステップと、
上記上記貯蔵したエネルギーの少なくとも一部分を放出して、上記第1の宇宙ビークルと上記第2の宇宙ビークルを上記流体の移送後に互いに離すステップとをさらに含む、実施態様項27~34のうちいずれか一に記載の方法。
【国際調査報告】