(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】超音波溶着装置に関する、例えば摩耗関連情報などの状態関連情報を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B23K20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501822
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021070017
(87)【国際公開番号】W WO2023284981
(87)【国際公開日】2023-01-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522080546
【氏名又は名称】シュンク ソノジステム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フェイ, マニュエル
【テーマコード(参考)】
4E167
【Fターム(参考)】
4E167AA01
4E167BE02
4E167BE03
4E167BE04
4E167BE06
4E167BE07
4E167BE10
4E167BE11
4E167DC05
4E167DC06
4E167DC13
(57)【要約】
超音波溶着装置(1)についての状態情報を決定するための方法が記載される。状態情報は、超音波溶着装置の少なくとも1つの構成要素(2)の現在の状態についての情報を詳細に特定している。超音波溶着装置は、構成要素として、ソノトロード(3)、アンビル(5)、接触要素(7)及び/又は横方向スライド(9)並びに構成要素によって確定された受容チャンバ(11)を備える。方法は、(a)互いに対して第1の構成要素(33)及び第2の構成要素(35)を変位し、第1の変位方向(21)で初期位置から出発し、変位中に第1の構成要素に作用する反力が所定の最大力に達する第1の停止位置を検出するステップ、(b)互いに対して第2の変位方向(23)で第1の構成要素及び第2の構成要素を変更位置に変位するステップ、(c)互いに対して第1の構成要素及び第2の構成要素を再び変位し、第1の変位方向で変更位置から出発し、変位中に第1の構成要素に作用する反力が所定の最大力に達する第2の停止位置を検出するステップ、(d)検出された第1の停止位置及び第2の停止位置に基づき、状態情報を決定するステップ、を含む。方法は、例えば、構成要素のうちの1つにおいて、局所凹部(36、37)などの摩耗兆候を検出するために使用され得る。
【選択図】
図1(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波溶着装置(1)についての状態情報を決定するための方法であって、
前記状態情報が、前記超音波溶着装置(1)の少なくとも1つの構成要素(2)の現在の状態についての情報を詳細に特定し、
前記超音波溶着装置(1)が、
複数の構成要素(2)であって、
ソノトロード(3)、及び/又は
アンビル(5)、及び/又は
接触要素(7)、及び/又は
横方向スライド(9)を備える、複数の構成要素(2)と、
接合相手が受容される受容チャンバ(11)と、を有し、
前記受容チャンバ(11)が、前記構成要素(2)のうちの第1の構成要素(33)、特に前記ソノトロード(3)の面(13)によって第1の側面で画定され、且つ、前記構成要素(2)のうちの第2の構成要素(35)、特に前記アンビル(5)の面(15)によって前記第1の側面とは反対の第2の側面で画定され、
前記受容チャンバ(11)が、任意選択で、更に、前記構成要素(2)のうちの第3の構成要素、特に前記接触要素(7)の面(17)によって第3の側面で画定され、且つ、前記構成要素(2)のうちの第4の構成要素、特に前記横方向スライド(9)の面(19)によって前記第3の側面とは反対の第4の側面で画定され、
前記構成要素(2)のうちの少なくとも前記第1の構成要素(33)、及び前記構成要素(2)のうちの前記第1の構成要素(33)に対向する前記第2の構成要素(35)が、互いに向かって第1の変位方向(21)において互いに対して変位可能であり、かつ前記第1の変位方向(21)とは横向きの方向に向けられた第2の変位方向(23)において互いに対して変位可能であり、
前記第1の構成要素(33)及び前記第2の構成要素(35)が、前記第1の変位方向(21)とは逆に前記第1の構成要素(33)に作用する反力が所定の最大力に到達するように、前記第1の変位方向(21)に互いに対して変位可能であり、
前記方法が、以下の方法ステップを含む方法。
(a)前記第1の変位方向(21)において前記第1の構成要素(33)及び前記第2の構成要素(35)を、初期位置から出発させて互いに対して変位させ、変位中に前記第1の構成要素(33)に作用する前記反力が前記所定の最大力に達する第1の停止位置を検出するステップ、
(b)前記第2の変位方向(23)において前記第1の構成要素(33)及び前記第2の構成要素(35)を互いに対して変更位置に変位させるステップ、
(c)前記第1の変位方向(21)において前記第1の構成要素(33)及び前記第2の構成要素(35)を、前記変更位置から出発させて互いに対して再び変位させ、変位中に前記第1の構成要素(33)に作用する前記反力が前記所定の最大力に達する第2の停止位置を検出するステップ、
(d)検出された前記第1の停止位置及び前記第2の停止位置に基づき、前記状態情報を決定するステップ。
【請求項2】
前記方法ステップ(b)及び(c)が、前記第2の構成要素(35)に対する前記第1の構成要素(33)の種々の位置について複数の第2の停止位置を検出するために複数回繰り返され、
方法ステップ(d)では、前記状態情報が、検出された前記第1の停止位置及び前記複数の第2の停止位置に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法ステップ(a)及び(c)では、前記第1の構成要素(33)及び前記第2の構成要素(35)が、前記第2の構成要素(35)に対向する前記第1の構成要素(33)の面が前記第2の構成要素(35)に接触するまで、互いに対して変位される、請求項1及び2のうちの一項に記載の方法。
【請求項4】
前記方法ステップ(a)及び/又は前記方法ステップ(c)を実行する前に、マトリックス要素(39)が前記受容チャンバ(11)へと導入され、
前記方法ステップ(a)及び(c)では、前記マトリックス要素(39)が、前記第1の構成要素(33)に向けられた面と前記第1の構成要素(33)とが接触し、かつ前記第2の構成要素(35)に向けられた面と前記第2の構成要素(35)とが接触するまで、前記第1の構成要素(33)及び前記第2の構成要素(35)が、互いに対して変位される、請求項1及び2のうちの一項に記載の方法。
【請求項5】
前記マトリックス要素(39)が、前記第1の構成要素(33)又は前記第2の構成要素(35)のいずれかに取り付けられている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マトリックス要素(39)の、前記第1の構成要素(33)又は前記第2の構成要素(35)に向けられている側面の幅が、前記マトリックス要素(39)によって接触される前記第1の構成要素(33)又は前記第2の構成要素(35)の前記面よりも小さい、
請求項4及び5のうちの一項に記載の方法。
【請求項7】
前記マトリックス要素(39)の、前記第1の構成要素(33)に向けられた側面、又は前記第2の構成要素(35)に向けられた側面の幅が、それとは反対の側面の幅よりも大きい、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アンビル(5)が、第1の方向(29)で前記ソノトロード(3)に対して、第2の方向(31)で前記ソノトロード(3)に対して横向きに、変位可能であり、
前記接触要素(7)が、前記第1の方向(29)で前記アンビル(5)に固定され、前記第2の方向(31)で前記アンビル(5)に対して変位可能であり、
前記横方向スライド(9)が、前記第1の方向(29)で前記ソノトロード(3)に対して静止して保持され、前記第2の方向(31)で前記ソノトロード(3)に対して変位可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
方法ステップ(a)では、前記アンビル(5)が、前記初期位置から出発して、前記ソノトロード(3)に向かって前記第1の方向(29)で変位され、
方法ステップ(b)では、前記アンビル(5)が、前記第2の方向(31)で前記変更位置に変位され、
方法ステップ(c)では、前記アンビル(5)が、前記変更位置から出発して、前記ソノトロード(3)に向かって前記第1の方向(29)で変位される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法ステップ(a)及び/又は前記方法ステップ(c)を実行する前に、マトリックス要素(39)が、前記受容チャンバ(11)へと導入され、
方法ステップ(a)では、前記横方向スライド(9)が、前記初期位置から出発して、前記接触要素(7)に向かって前記第2の方向(31)で変位され、
方法ステップ(b)では、前記接触要素(7)が、前記第1の方向(29)で前記変更位置に変位され、
方法ステップ(c)では、前記横方向スライド(9)が、前記変更位置における前記接触要素(7)に向かって前記第2の方向(31)で変位される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
決定された前記状態情報が、前記構成要素(2)のうちの少なくとも1つの予め知られている状態を示す典型的な特性について試験され、
典型的な特性の検出時に、
前記超音波溶着装置(1)の維持管理を開始すること、
前記超音波溶着装置(1)の前記構成要素(2)のうちの少なくとも1つの交換を開始すること、
前記超音波溶着装置(1)の少なくとも1つの構成要素(2)の残りの耐用年数を算出し、任意選択で、検出された前記典型的な特性を考慮すること、
前記予め知られている状態の存在を示す信号を発すること、
前記超音波溶着装置(1)で用いられる前記構成要素(2)の正確な使用を検証すること、
前記超音波溶着装置(1)の少なくとも1つの構成要素(2)のカメラ画像を撮像すること、
を含む群から選択される作業が開始される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記状態情報が、前記超音波溶着装置(1)の作業中に連続期間に複数回決定され、決定された前記状態情報が、前記構成要素(2)のうちの少なくとも1つの予め知られている状態を示す典型的な変化について比較され、
典型的な変化の検出時に、
前記超音波溶着装置(1)の維持管理を開始すること、
前記超音波溶着装置(1)の前記構成要素(2)のうちの少なくとも1つの交換を開始すること、
前記超音波溶着装置(1)の少なくとも1つの構成要素(2)の残りの耐用年数を算出し、任意選択で、検出された前記典型的な特性を考慮すること、
予め知られている状態の存在を示す信号を発すること、
前記超音波溶着装置(1)で用いられる前記構成要素(2)の正確な使用を検証すること、
-前記超音波溶着装置(1)の少なくとも1つの構成要素(2)のカメラ画像を撮像すること、を含む群から選択される作業が開始される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
超音波溶着装置(1)であって、
複数の構成要素(2)であって、
ソノトロード(3)及び/又は
アンビル(5)及び/又は
接触要素(7)及び/又は
横方向スライド(9)を備える、複数の構成要素(2)と、
接合相手が受容される受容チャンバ(11)と、を有し、
前記受容チャンバ(11)が、前記構成要素(2)のうちの第1の構成要素(33)、特に前記ソノトロード(3)の面(13)によって第1の側面で画定され、且つ、前記構成要素(2)のうちの第2の構成要素(35)、特に前記アンビル(5)の面(15)によって前記第1の側面とは反対の第2の側面で画定され、
前記受容チャンバ(11)が、前記構成要素(2)の第3の構成要素、特に前記接触要素(7)の面(17)によって第3の側面で画定され、且つ、前記構成要素(2)の第4の構成要素、特に前記横方向スライド(9)の面(19)によって前記第3の側面とは反対の第4の側面で更に任意選択で画定され、
前記構成要素(2)のうちの少なくとも第1の構成要素(33)及び前記第1の構成要素(33)に対向する前記構成要素(2)のうちの第2の構成要素(35)が、互いに向かって第1の変位方向(21)に互いに対して変位可能であり、前記第1の変位方向(21)に対して横方向に向けられた第2の変位方向(23)に互いに対して変位可能であり、
前記第1の構成要素(33)及び前記第2の構成要素(35)が、前記第1の変位方向(21)とは逆に前記第1の構成要素(33)に作用する反力が所定の最大力を超えないように、前記第1の変位方向(21)で互いに対して変位可能であり、
前記超音波溶着装置(1)が、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実行又は制御するように構成されている、超音波溶着装置(1)。
【請求項14】
請求項13に記載の超音波溶着装置(1)にて、プロセッサ上での実行時に、前記プロセッサに、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実行又は制御するように指示する命令を含む、コンピュータ・プログラム・プロダクト。
【請求項15】
記憶された請求項14に記載のコンピュータ・プログラム・プロダクトを有する、機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば摩耗情報など、超音波溶着装置に関する状態情報を決定するための方法に関する。本発明は、当該方法を実施するように構成されている超音波溶着装置並びに対応するコンピュータ・プログラム・プロダクト及びこれを記憶する機械可読媒体に更に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波溶着は、機械的にしっかり固定する様式及び/又は導電性を有する様式で、2つの構成要素を接合して一体化するために使用され得る。例えば、種々の目的のために、機械的及び導電性様式でともにケーブルのストランドを接合することが必要な場合がある。こうすることで、例えば車両内部で、導電性様式により、例えば電気消耗品を互いに接続したり、エネルギー源に接続したり、及び/又は制御システムに接続したりするために使用され得る配線用ハーネス又はケーブル配線を製造することが可能となる。
【0003】
超音波溶着は、溶着される構成要素同士を接合相手として互いに面接触した状態にし、低圧かつ高周波機械振動の下で互いに接触させながら動かす、摩擦溶着の特殊形態である。振動は、典型的には20kHz~50kHzの周波数を有する超音波振動が生成されて接合相手のうちの少なくとも1つに伝わるソノトロードアセンブリによる支援の下で生成され得る。続いて塑性流動により、接合相手の材料が溶融する必要なく、面近くで接合相手同士が互いに浸透し合い、又は互いに結合することが可能となる。したがって、超音波溶着は、影響が少なく、迅速かつ経済的に、接合相手同士を結合して一体化するために使用され得る。
【0004】
超音波溶着はまた、複数のケーブルのストランドを接合して一体化するために、例えば、一本のストランド内部にある個別の導体同士を溶着圧縮するために、1つ以上のストランドを接触要素に接合するために、及び/又は金属シート同士を溶着するためになど、金属の接合相手を溶着するために特に使用され得る。この目的のために、接合相手は、一般には超音波溶着装置の受容チャンバ内へと挿入され、次いで超音波振動ソノトロードのソノトロードヘッドとアンビルとの間で溶着されて一体化される。この場合、受容チャンバは、接触要素及び横方向スライドなどの更なる構成要素により、対向する側面で画定され得る。
【0005】
超音波溶着では、摩耗は典型的には、超音波溶着装置の構成要素に生じる。例えば、摩擦により引き起こされる、超音波溶着装置内部の構成要素のうちの1つの表面で摩耗が生じることによって、元々提供された質感が丸みを帯び、それ以外の場合には変質するようになり、その結果、例えば、超音波振動が接合相手にあまり効率的ではない形で伝わり得る。摩耗によって、溶着継手がもはや特定の要件を満たさなくなる可能性がある。したがって、超音波溶着装置の構成要素の状態は、とりわけ、こうした摩耗を適時検出するためにモニタリングされなければならない。介入限界又は摩耗限界もまた定義され得る。これは、こうした限界に達したときに検出され得、それに従って維持管理措置が開始される。
【0006】
他の影響もまた、超音波溶着装置の動作モード及び/又は性能に影響を及ぼし得る。例えば、異なる種類の構成要素、すなわち異なるように設計されたソノトロード、アンビルなどは例えば、異なる用途要件に適合させるために超音波溶着装置に使用され得る。こうした構成要素の種類の正確な使用に関しては、超音波溶着装置の状態をモニタリングすることも有利であり得る。
【0007】
従来、超音波溶着装置のモニタリングは、通常は、人間である装置オペレータ又は保守技術者により実施される。この場合、技術的に訓練された者は、例えば過度の摩耗兆候を検出し得、この結果、例えば超音波溶着装置の維持管理及び/又は摩耗した構成要素の交換の準備を整え得る。こうした人員はまた、所望の構成要素の種類が超音波溶着装置に使用されているかどうかを識別し得る。ただし、人間により実施される必要があるこうしたモニタリングは、非常に高い人員コストを必要とし、かつ/又はヒューマンエラーの危険性にさらされる。更に、摩耗兆候の検出は例えば、関与する人間の一部に高度な資質を必要とする。ただし、経験者であっても、通常は摩耗兆候の段階的な違いを正確に識別することができない。このことは、摩耗段階について正確に条件を満たした結論を引き出すことが通常は不可能であることを意味する。したがって、摩耗にさらされる構成要素は、多くの場合、予防措置として早期に交換される。あるいは、維持管理措置の実施が遅すぎる場合があり、その結果、部分的に摩耗した超音波溶着装置を用いて製造された溶着継手が、所定の品質基準をもはや満たさない場合がある。大半の場合、構成要素の考えられる残存耐用年数について説明することもまたほとんど不可能である。
【発明の概要】
【0008】
したがって、超音波溶着装置の状態情報を決定するための方法が必要とされ得る。この方法は、上述の欠陥のうち、少なくとも一部を解消又は緩和するために使用され得る。特に、構成要素の摩耗について、及び/又は超音波溶着装置の現在の構造について、容易に、確実に、正確に、かつ/又は費用対効果が得られるように結論を引き出すことを可能にする状態情報を決定するために使用され得る方法が必要とされ得る。特に、好ましくは、自動的に状態情報を決定することが可能でなければならない。更に、こうした方法を実施するように構成されている超音波溶着装置が必要とされ得る。更には、こうした方法を実行するため、超音波溶着装置に命令するために使用され得るコンピュータ・プログラム・プロダクト、及びこうしたコンピュータ・プログラム・プロダクトが記憶される機械可読媒体が必要とされ得る。
【0009】
こうした要件は、独立請求項のうちの1つの主題によって充足され得る。有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明に定義され、図に示されている。
【0010】
本発明の第1の態様は、超音波溶着装置についての状態情報を決定するための方法に関する。この場合、状態情報は、超音波溶着装置の少なくとも1つの構成要素の現在の状態についての情報を詳細に特定している。超音波溶着装置は、複数の構成要素及び受容チャンバを備える。構成要素は、ソノトロード、及び/又はアンビル、及び/又は接触要素、及び/又は横方向スライドを備える。接合相手は、受容チャンバに収容される。受容チャンバは、構成要素のうちの第1の構成要素、特にソノトロードの面によって第1の側面で画定され、かつ構成要素のうちの第2の構成要素、特にアンビルの面によって第1の側面とは反対の第2の側面で画定される。受容チャンバは、任意選択で、第3の構成要素、特に接触要素の面によって第3の側面で更に画定され、かつ第4の構成要素、特に横方向スライドの面によって第3の側面とは反対の第4の側面で更に画定される。少なくとも、第1の構成要素及び第1の構成要素に対向する第2の構成要素は、互いに向かって第1の変位方向で互いに対して変位可能であり、第1の変位方向とは横向きの第2の変位方向で互いに対して変位可能である。第1の構成要素及び第2の構成要素は、第1の変位方向とは逆に第1の構成要素に作用する反力が所定の最大力に達するように、第1の変位方向で互いに対して変位可能である。その方法は、好ましくは指定された順序で、少なくとも以下の方法ステップを含む。
(a)第1の変位方向において第1の構成要素及び第2の構成要素を、初期位置から出発させて、互いに対して変位させ、変位中に第1の構成要素に作用する反力が所定の最大力に達する第1の停止位置を検出するステップ、
(b)第2の変位方向において第1の構成要素及び第2の構成要素を互いに対して変更位置に変位させるステップ、
(c)第1の変位方向において第1の構成要素及び第2の構成要素を、変更位置から出発させて、再び互いに対して変位させ、変位中に第1の構成要素に作用する反力が所定の最大力に達する第2の停止位置を検出するステップ、
(d)検出された第1の停止位置及び第2の停止位置に基づき、状態情報を決定するステップ。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様について既に記載した構造的特徴及び機能的特徴を備え、本発明の第1の態様の一実施形態による方法を実行又は制御するように構成されている、超音波溶着装置が記載されている。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第2の態様の一実施形態による超音波溶着装置において、プロセッサ上での実行時に本発明の第1の態様による方法の一実施形態を実行又は制御するように当該プロセッサに指示する命令を含む、コンピュータ・プログラム・プロダクトが記載されている。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、保存された、本発明の第3の態様によるコンピュータ・プログラム・プロダクトを格納する機械可読媒体が記載されている。
【0014】
簡潔かつ大まかに要約すると、本明細書に記載のアイデアに関する基本的な考えは、超音波溶着装置の受容チャンバを画定する構成要素の変位可能性が、これらの構成要素の現在の状態、特に摩耗状態についての情報を決定できるように使用されるという事実において見られ得る。この場合、それぞれの場合において、構成要素のうちの2つは、受容チャンバを画定する面で互いに対向する。構成要素のうちの少なくとも2つは、第1の方向において互いに向かっていき、かつ互いに離間し得るだけでなく、それとは横向きの方向、好ましくはそれと垂直な第2の方向においても互いに向かっていき、且つ互いに離間し得る。第1の方向では、2つの構成要素が、互いに直接又は間接的に停止接触した状態になるまで変位され得る。こうした停止接触が生じ、所定の最大力が2つの構成要素間に作用する位置は、停止位置として検出され得る。第2の方向に関しては、2つの構成要素の、少なくとも2つの、好ましくは複数の異なる位置づけのために停止位置を決定することで、第2の方向において、2つの構成要素の、互いに対する異なる位置づけのために第1の方向にて停止位置を反映する、ある種類の高さプロファイル又は表面プロファイルを決定することが可能である。こうした高さプロファイル又は表面プロファイルから、構成要素の現在の状態についての情報、特に両方の構成要素の互いに対向する面のうち、少なくとも1つの面の現在の状態についての情報を決定することが可能である。
【0015】
本明細書で提案される方法及びその実行のために構成された超音波溶着装置の実施形態の可能な詳細は、以下に説明される。
【0016】
本明細書に記載の超音波溶着装置は、超音波エネルギーを接合相手に伝えることで、受容チャンバに収容されている接合相手を溶着して一体化するように構成されている。この場合、受容チャンバは、少なくとも2つの対向する側面から、好ましくは環形状の4つの側面から一様に、超音波溶着装置の構成要素で囲まれている。このようにすることで、構成要素は、少なくとも2つの側面、好ましくは4つの側面で、典型的に、直方体の受容チャンバを画定する。それから、接合相手は、典型的には、開放状態を維持している2つの側面から受容チャンバへと挿入され得る。
【0017】
具体的には、少なくとも1つのソノトロードと、特にアンビル、接触要素及び横方向スライドなどの更なる構成要素とは、受容チャンバの周囲の構成要素として機能する。ソノトロードは、振動発生器で超音波的に振動され得る。受容チャンバに面するソノトロードの表面には、接合相手に超音波振動を効果的に伝えられるように質感が付与され、すなわちプロファイルが施され得る。このようなソノトロードの表面は、本明細書に使用されている定義によれば、第1の側面で受容チャンバを画定する。アンビルは、一般には、ソノトロードに対向して配置されている。これは、受容チャンバの第2の側面で接合相手のカウンターベアリングとして機能し、その結果、接合相手が溶着作業中にソノトロードとアンビルの間にクランプされ得る。受容チャンバに面するアンビルの表面にもまた、質感が付与される。典型的には、ソノトロードとアンビルとが互いに向かい合う方向に対して垂直に、接触要素及び横方向スライドが互いに向かい合い、定義によれば、これらの表面により、第3の側面及び第4の側面で受容チャンバを画定する。「接触要素」という用語は、本文脈では広範に解釈されるべきであり、その側面から受容チャンバ内に収容された接合相手を規制するため、このような方法で受容チャンバの幅を狭めるように第1の横方向スライドが移動され得る面に向かう、接触プレート及び更なる横方向スライドの両方を指し得る。受容チャンバに面する接触要素及び横方向スライドの表面は、典型的には滑らかであるが、用途によっては、波形などの表面テクスチャを有し得る。
【0018】
受容チャンバを画定する構成要素は、所定の自由度内で互いに対して変位可能である。例えば、典型的にはソノトロード及びアンビルは、互いに向かって、又は互いに離間して互いに対して移動され得る。この場合、ソノトロードは静止したままであり得、アンビルは移動され得る。あるいは、アンビルは静止したままであり得、ソノトロードは移動され得る。又は更に代替的にはソノトロードとアンビルとの両方が移動され得る。更には、典型的には接触要素及び横方向スライドは、互いに向かって、又は互いに離間して互いに対して移動され得る。ここでも、2つの構成要素のうちの1つは静止したままで、もう一方は変位され得る。あるいは、両方の構成要素は変位され得る。
【0019】
2つの対向する構成要素が、互いに向かって、又は互いに離間して変位される変位方向は、本明細書では概して第1の変位方向と称される。アンビルに対するソノトロードの変位に関する第1の変位方向は、横方向スライドに対する接触要素の変位に関する第1の変位方向とは横向きの方向、好ましくは垂直に延在する。受容チャンバは、それぞれの第1の変位方向で対向する構成要素を変位させることで狭くなったり、又は幅広くなったりし得る。
【0020】
この場合、超音波溶着装置は、変位中に第1の変位方向とは逆に構成要素に作用する反力が所定の最大力に達するが、好ましくは所定の最大力を超えないように、第1の構成要素及びこれに対向する第2の構成要素が、第1の変位方向で互いに対して変位可能であるように構成されている。言い換えれば、2つの構成要素は、互いに直接に、又は間接的に停止接触した状態になるまで変位され得る。停止にいつ到達したか、及び本プロセス中の推測される構成要素の位置を検出することが可能である。これは、例えば構成要素の一方又は両方を変位させるために使用され得る駆動装置が、少なくとも所定の最大力を行使可能であり、好ましくは最大で所定の最大力を行使可能であるという点で達成され得る。あるいは、反力を測定するために使用され得、所定の最大力を超えると駆動装置が制限又は停止されるセンサシステムが設けられ得る。停止に到達したと想定される位置は、例えば、構成要素の駆動装置を制御する制御システムから読み出され得るか、又は、位置センサによって記録され得る。
【0021】
構成要素のうちの少なくとも1つ、又は幾つかは、第1の変位方向で変位可能であることに加え、第1の変位方向を横切る、好ましくは垂直に延在している第2の変位方向にも変位可能である。言い換えれば、こうした構成要素は、受容チャンバを画定する面が対向する構成要素に向いた状態で、すなわちこの面に直交して変位可能であるだけではなく、横方向、特にそれに対して垂直な方向にも変位可能である。この場合、第2の変位方向は、好ましくは受容チャンバを画定するという問題を抱えた構成要素の面に平行に延在し得る。
【0022】
超音波溶着装置の1つ以上の構成要素の現在の状態について所望の情報を得るために、既に記載された構成要素の変位能力、及び互いに対して互いに向かって移動する構成要素同士の間の直接的、又は間接的な停止接触を検出する能力を使用することが可能である。
【0023】
この目的のために、第1の構成要素及び第2の構成要素は、第1の変位方向で互いに向かって移動される。例えば、第1の構成要素としてのアンビルは、第2の構成要素としてのソノトロードに向かって移動され得る。アンビルは、例えば、第1の変位方向が下向きに垂直に延在するように、ソノトロード上方に配置され得る。この場合の変位移動は、第1の構成要素及び第2の構成要素が最初に位置づけられる初期位置から開始し得る。2つの構成要素は、反力が変位とは逆の方向に蓄積されるように構成要素同士が直接的に、又は間接的に互いに接触した状態となるまで、第1の変位方向で互いに向かって移動される。この反力が所定の最大力に達するとすぐに、2つの構成要素が互いに停止接触状態となると想定される。このうち、2つの構成要素のうちの1つによって、又は両方の構成要素によって想定されている位置又は相対的位置が検出され、第1の停止位置として登録される。
【0024】
第1の停止位置を登録した後、第2の停止位置が決定される。この目的のために、2つの構成要素は、予め想定された停止接触を解放するため、第1の変位方向で互いから僅かに離間して最初に移動され得る。その後、2つの構成要素は、変更位置と想定されるまで、第2の変位方向で互いに対して変位され得る。言い換えれば、2つの構成要素は、横方向に、すなわち好ましくは、それらの対向する面とは平行に、互いに対してオフセットされ得る。変更位置又は相対的な位置づけから出発し、2つの構成要素は、反力が所定の最大力に達し、その結果、停止接触が検出されるまで、更なる変位作業において第1の変位方向で互いに向かって再び移動される。構成要素のうちの1つによって想定された位置、又は両方の構成要素の相対的位置が検出され、第2の停止位置として登録される。
【0025】
このように登録された第1の停止位置及び第2の停止位置に基づき、決定されるべき状態情報についての結論を引き出すことが可能である。例えば、以下により詳細に記載されるように、第1の停止位置が第2の停止位置に対してどこに配置されるかを検出すること、及びこの相対的な位置づけから、超音波溶着装置内部の構成要素の状態についての結論を引き出すことが可能である。あるいは、これも以下により詳細に記載されるが、何らかの変化によってそれまでの間に生じる摩耗についての結論を引き出すために、複数の状態情報は経時的に決定され得、互いに比較され得る。
【0026】
例えば、第1の変位方向に関して第2の停止位置が第1の停止位置から大きく異なるかどうかが検出され得、高低差の存在についての指標として検出され得る。高低差は、例えば、接触状態になる第1の構成要素及び/又は第2の構成要素の面のうちの1つに配置されている段差又は凹部から生じ得る。こうした段差又は凹部は、摩耗効果の結果であり得、段差の高さ又は凹部の深さによって、存在する何らかの局所摩耗についての結論を引き出すことが可能であり得る。このようにすることで、状態情報の一回の決定に基づき、過度な摩耗の存在についての結論を引き出すことが予め可能であり得る。
【0027】
あるいは、又は更に、時間が経過するとどのように2つの停止位置が変化するかを観察し、ここから構成要素の現在の状態について結論を引き出すことが可能である。例えば、1つ若しくは複数の停止位置が経時的にシフトすること、及び/又は互いに対するそれらの相対的位置が経時的に変化することが検出され得る。これは、接触状態になった2つの構成要素の表面が、例えば摩耗が原因で経時的に変化するという指標として解釈され得る。この場合、経時的な停止位置の変化は、既に発生した摩耗についてのゲージを提供し得る。例えば、現在決定されている状態情報は、予め知られている初期状態、特に新たな状態、又は過度な摩耗が超えたと想定されている限界状態と比較され得る。
【0028】
本発明の第1の態様による方法における一実施形態によれば、方法ステップ(b)及び(c)は、第2の構成要素に対する第1の構成要素の種々の位置について複数の第2の停止位置を検出するために、複数回繰り返される。方法ステップ(d)では、状態情報は次いで、検出された第1の停止位置及び複数の第2の停止位置に基づいて決定される。
【0029】
言い換えれば、第1の構成要素及び第2の構成要素は、好ましくは第2の変位方向で変更位置へと複数回変位され、続いて停止位置は、それぞれの場合において、両方の構成要素が停止に達するまで第1の変位方向でこれらを移動させることで決定される。この様式では、第1の構成要素及び第2の構成要素が、それらの側面が互いに向かい合った状態で集まる表面に沿って複数の点にて停止位置を決定することが可能である。全体として、このことによって、ある種の高さプロファイル又は表面プロファイルをこうした面に沿って記録することが可能になる。こうした高さプロファイル又は表面プロファイルは、関係する面の摩耗、又はより一般には、こうした面の形状について結論を引き出すことが可能となる情報を含む。その結果、関係する構成要素の現在の状態についての定性的又は定量的結論を引き出すことが可能である。
【0030】
一実施形態によれば、方法ステップ(a)及び(c)では、第1の構成要素及び第2の構成要素は、第2の構成要素に対向する第1の構成要素の表面が第2の構成要素に接触するまで、互いに対して変位される。
【0031】
言い換えれば、停止位置を決定するためには、2つの構成要素は、直接接触するまで互いに向かって移動され得る。次いで、両方の構成要素の対向する面間で生じた直接接触は、著しい反力が第1の変位方向に沿って更なる変位を打ち消すことを意味し、その結果、この反力が所定の最大力に達するとすぐに、対応する停止位置が検出され得る。
【0032】
あるいは、一実施形態によれば、マトリックス要素が、方法ステップ(a)及び/又は方法ステップ(c)を実行する前に受容チャンバに導入され得る。方法ステップ(a)及び(c)では、続いて第1の構成要素及び第2の構成要素は、マトリックス要素が、第1の構成要素に向けられた表面で第1の構成要素と接触し、かつ第2の構成要素に向けられた表面で第2の構成要素と接触するまで、互いに対して変位され得る。
【0033】
マトリックス要素は、受容チャンバに嵌合し、受容チャンバの部分容積を満たす物体である。マトリックス要素は、テンプレートとも称され得る。マトリックス要素は、例えば、オペレータ又は機械が開放された側面のうちの1つから受容チャンバにマトリックス要素を押し込むことによって、本明細書に記載の方法を実行するための受容チャンバに一時的に導入され得る。この場合、マトリックス要素は、好ましくは、少なくとも所定の最大力まではマトリックス要素に作用する力の下で変形しない、又は著しく変形しないように、寸法的に十分安定している。例えば、マトリックス要素は、例えば、金属など機械的応力に耐えることが可能である材料から作製された、中実体又は中空体であり得る。したがって、第1の構成要素及び第2の構成要素は、これらが互いに向かって移動するとき、その間にマトリックス要素をクランプし得る。すなわち、第1の構成要素及び第2の構成要素は、マトリックス要素を介して互いに間接的に停止接触した状態であり得る。続いてここで作用する反力は、マトリックス要素を介してそれぞれの他の構成要素に伝わる。反力が所定の最大力に達するとすぐに、それぞれの停止位置が検出される。この場合、停止位置は、2つの構成要素の間に配置されたマトリックス要素に対する、2つの構成要素の位置を指す。マトリックス要素の寸法が非常に正確に測定され得る、又は予め知られていることから、停止位置は、両方の構成要素について正確に決定され得る。
【0034】
詳細な実施形態によれば、マトリックス要素は、第1の構成要素又は第2の構成要素のいずれかに取り付けられ得る。
【0035】
言い換えれば、マトリックス構成要素は、本明細書に記載の方法が実行されている間に互いに向かって変位される構成要素のうちの1つに一時的に取り付けられ得る。この結果、マトリックス要素は、この構成要素とともに位置づけられ、又はこの構成要素とともに変位される。例えば、マトリックス要素は、アンビルに向けられたソノトロードの表面から、アンビルに向かって突出するように、ソノトロードに取り付けられ得る。結果として、マトリックス要素がソノトロードと対応する位置に固定されるが、アンビルはソノトロードに対して、その結果としてマトリックス要素に対して、第2の変位方向で移動され得る。特に、マトリックス要素は、解放可能に、及び/又はツールなしで構成要素に取り付けられ得るように構成され得る。
【0036】
更なる詳細な実施形態によれば、マトリックス要素は、第1の構成要素又は第2の構成要素に向けられている側面では、マトリックス要素によって接触された第1の構成要素又は第2の構成要素の表面に比べて、より小さな幅を有する。
【0037】
言い換えれば、マトリックス要素は、どの停止位置が決定されるべきかという点に関して、構成要素のうちの1つに向いている側面で、マトリックス要素が接触される対応する構成要素の表面よりも、狭い幅を有する。例えば、受容チャンバに向けられているソノトロードの表面が走査されることを活用して、マトリックス要素は、ソノトロードに向けられている側面では、走査されるソノトロードの表面よりも狭くなり得る。このようにすることで、第1の構成要素及び第2の構成要素が互いに向かって移動されるときには、マトリックス要素は、構成要素が互いに直接接触状態となる場合よりも、実質的に狭い面領域にわたって対向する構成要素と接触した状態となり得る。このため、マトリックス要素の狭い側は、センサ又はプローブと同様に、小さな領域にわたって第1の構成要素又は第2の構成要素の表面を「走査」し得る。
【0038】
更なる詳細な実施形態によれば、マトリックス要素は、第1の構成要素に向けられた側面又は第2の構成要素に向けられた側面で、その反対の側面よりも大きな幅を有し得る。
【0039】
言い換えれば、マトリックス要素は、1つの広い側面と1つの狭い側面を有し得る。例えば、狭い側面は、広い側面の幅の50%未満の幅、好ましくは20%未満の幅、又は更には10%未満の幅を有し得る。言い換えれば、マトリックス要素の狭い側面は、例えば、マトリックス要素が置かれる表面の幅の半分未満、好ましくは幅の20%未満、又は更には幅の10%未満であり得る。例えば、狭い側面は、狭い突出部として、狭い出っ張りとして、又はマトリックス要素上の点として構成され得る。例えば、広い側面については、マトリックス要素は、第1の構成要素又は第2の構成要素に対向して存在してその上に置かれ、その構成要素に取り付けられる可能性がある。狭い側面は、対応する他の構成要素の表面に向けられ、小さな領域にわたって、この表面に接触して停止位置を検出し得る。したがって、狭い側面によって、例えば、マトリックス要素もまた小さな又は狭い局所凹部に貫入され、その結果、停止位置がこうした凹部に対して検出され得る。
【0040】
以前には、超音波溶着装置内部の種々の構成要素の変位可能性は、非常に一般的な用語で記載された。原則として、2つの対向する構成要素のうちの少なくとも1つを、それと対応する第1の変位方向において、対向する構成要素に向けて変位することが可能でなければならない。すなわち、ソノトロードなどの対向する構成要素の上方に配置されているアンビルなどの構成要素を、第1の変位方向で下向きに垂直に変位することが可能でなければならず、かつ/又は他の構成要素を上向きに垂直に変位することが可能でなければならない。接触要素などの対向する構成要素に隣接して横向きに配置されている横方向スライドなどの構成要素を、他の構成要素に向かって第1の変位方向で水平に変位することが可能でなければならない。更に、構成要素のうちの少なくとも1つ、又は好ましくは2つ以上の構成要素は、構成要素もまた第2の変位方向で変位され得るという効果に対して、動きの更なる自由度を有し得る。この場合、構成要素は、例えばサーボモータにより変位され、制御システムにより制御され得る。
【0041】
ただし、超音波溶着装置の特定の設計では、こうした一般的な変位可能性は制限され得る。すなわち、構成要素のすべては、他の構成要素すべてと独立して変位可能でない場合がある。代わりに、構成要素のうちの個々のものは、互いに協力し、少なくとも個々の変位方向でともに変位され得る。
【0042】
一実施形態によれば、例えば、アンビルは、第1の方向でソノトロードに対して、第2の方向でソノトロードに対して横方向に変位可能であり、接触要素は、第1の方向でアンビルに固定され、第2の方向でアンビルに対して変位可能であり得、横方向スライドは、第1の方向でソノトロードに対して静止して保持され得、第2の方向でソノトロードに対して変位可能であり得る。
【0043】
言い換えれば、超音波溶着装置内部の種々の構成要素はそれぞれ、サーボモータなどの1つ以上のアクチュエータによって異なる方法で変位され得、異なる方法でそれらの動きを案内され得る。記載の実施形態では、アンビルは、第1の方向及び第2の方向の両方で変位され得る。特に、アンビルは、ソノトロードの位置とは独立して、かつ横方向スライドの位置とは独立して変位され得る。ただし、接触要素は、第1の方向でアンビルに固定され、そうすることで第1の方向でアンビルとともに移動のみを行い得るように、アンビルと協働する。しかしながら、第2の方向では、接触要素はアンビルに対して変位され得る。続いて横方向スライドは、ソノトロードに対して静止したままであるように、ソノトロードに対して保持され得る。ソノトロード自体が静止状態で固定される場合には、そうすることで、横方向スライドは第1の方向に対しても静止したままである。ただし、横方向スライドは、ソノトロードに対して第2の方向で、それとは横向きに変位され得る。
【0044】
記載の構成要素の構成及び動きの自由度は、例えば、アンビルがソノトロードの上方に配置されており、2つのアクチュエータによって第1の方向及び第2の方向で移動され得るという点で、有利な様式にて超音波溶着装置で実装され得る。この場合、第1の方向は垂直方向に対応し、第2の方向は水平方向に対応する。接触要素はアンビルに取り付けられ、第1の方向でアンビルとともに移動される。ただし、更には、それ自体のアクチュエータによるアンビルの移動とは独立して、第2の方向、すなわち水平に変位され得る。ソノトロードは、超音波溶着装置において静止して保持され得るため、変位アクチュエータを有する必要がない。横方向スライドは、第2の方向にソノトロードに対して変位され得、この目的のためにアクチュエータを有し得る。
【0045】
超音波溶着装置のこうした構成では、詳細な実施形態によれば、方法ステップ(a)では、アンビルは、初期位置から出発して、ソノトロードに向かって第1の方向で変位され得、方法ステップ(b)では、アンビルは、変更位置に第2の方向で変位され得、方法ステップ(c)では、アンビルは、変更位置から出発して、ソノトロードに向かって第1の方向で変位され得る。
【0046】
全体として、アンビルは、異なる横方向位置、すなわち、第2の方向に沿った異なる位置づけ点での位置に移動され得る。それぞれの場合において、ソノトロードと停止接触状態となるまで変位され得る。この様式では、ソノトロードとアンビル間で重なり合う領域は、漸進的に走査され得る。本プロセスで記録された停止位置は、この重なり合う領域にて、ソノトロード及び/又はアンビルの高さプロファイルを再現し得る。この高さプロファイルは、ソノトロード及び/又はアンビルにおける面幾何学的形状についての情報を含み得る。こうすることで、これらの構成要素の状態についての情報を決定することが可能となる。
【0047】
あるいは、詳細な実施形態によれば、マトリックス要素は、方法ステップ(a)及び/又は方法ステップ(c)を実行する前に受容チャンバに導入され得る。方法ステップ(a)では、横方向スライドは、初期位置から出発して、接触要素に向かって第2の方向で変位され得、方法ステップ(b)では、接触要素は、変更位置まで第1の方向で変位され得、方法ステップ(c)では、横方向スライドは、変更位置の接触要素に向かって第1の方向で変位され得る。
【0048】
全体として、横方向スライドは、接触要素に対して、異なる高さ位置、すなわち第1の方向に沿った異なる位置づけ点での位置に移動され得る。それぞれの場合において、横方向スライドは、接触要素と間接的に停止接触状態となるまで第2の方向で変位され得る。すなわち、横方向スライドは、間に配置されたマトリックス要素に当接するまで、接触要素に向かって一定地点まで変位され得る。この様式では、横方向スライドと接触要素との間の重なり合う領域は、漸進的に走査され得る。
【0049】
この場合、マトリックス要素は、すなわち、例えば接触要素に向けられた突出部が設けられ、接触要素のいくらかの不均一さが小さな領域にわたって検出され得るように、有利に構成され得る。本プロセスで記録された停止位置は、重なり合う領域にて、接触要素及び/又は横方向スライドの表面プロファイルを再現し得る。この表面プロファイルは、接触要素における、又は横方向スライドにおける面幾何学的形状についての情報を含み得る。こうすることで、これらの構成要素の状態についての情報を決定することが可能となる。
【0050】
一実施形態によれば、本方法で決定された状態情報は、構成要素のうちの少なくとも1つの予め知られている状態を指す典型的な特性について試験される。典型的な特性を検出する際には、
-超音波溶着装置の維持管理を開始すること、
-超音波溶着装置の構成要素のうちの少なくとも1つの交換を開始すること、
-超音波溶着装置の少なくとも1つの構成要素の残りの耐用年数を算出し、任意選択で、検出された典型的な特性を考慮すること、
-予め知られている状態の存在を示す信号を発すること、
-超音波溶着装置で用いられる構成要素の正確な使用を検証すること、
-超音波溶着装置の少なくとも1つの構成要素のカメラ画像を撮像すること、を含む群から選択される作業が開始される。
【0051】
言い換えれば、検出された少なくとも2つの停止位置から既に決定された状態情報は、停止位置が、構成要素のうちの1つの所定の状態の特徴である、典型的な値を有するかどうかを決定するために分析され得る。この場合、その値は、絶対値又はそれぞれの停止位置間の相対値であり得る。例えば、停止位置の絶対値が所定の制限値を超えているか、あるいは、これに及ばないかが分析され得る。特に、当該絶対値は、例えば所定の参照値と比較され得る。例えば、当該絶対値の挙動は、構成要素におけるある特定の摩耗兆候、及び/又は構成要素のある特定の幾何学的特性を特徴とし得る。あるいは、停止位置間、特に隣接する停止位置間の差が分析され得る。このような差は、決定される構成要素のある特定の状態、特にある特定の摩耗兆候及び/又は構成要素の幾何学的特性を特徴とし得る。
【0052】
こうした分析に基づき、例えば、構成要素上に過度な摩耗が生じた可能性が非常に高いと識別された場合には、1つ以上の作業が開始され、すなわち好適な測定を進行させ得る。
【0053】
例えば、技術者が超音波溶着装置を維持管理するように構成され得る。この場合、技術者は、提示された方法の過程において超音波溶着装置を現場で検査することで決定された状態情報を確認し得る。例えば、過度な摩耗が検出される場合、又は所定の摩耗限界に達したと識別される場合、例えば、摩耗した構成要素が再度動作され得る過程で、正確な維持管理が実行され得る。
【0054】
あるいは、構成要素のうちの1つ以上もまた、決定された状態情報に対する応答として交換され得る。
【0055】
更には、状態情報の典型的な特性についての知識もまた、超音波溶着装置の1つ以上の構成要素の残りの耐用年数を決定するために使用され得る。この場合、検出された典型的な特性は、必要に応じて考慮され得る。例えば、決定された状態情報に基づき、構成要素にて既に生じた摩耗についての結論が引き出され得る。この摩耗が状態情報から定量的に得られ得る場合、将来的に可能性のある更なる摩耗についての結論を引き出すこと、及び、それによって、影響を受けた構成要素が交換又は修理されなければならなくなる前に、正常に動作する状態を維持していると依然として予想され得る期間を分析することが可能である。こうした情報は、例えば、予見可能な維持管理の文脈で使用され、予め維持管理作業を計画することを可能なものとし得る。
【0056】
更に、対応する信号は、状態情報を分析することで予め知られている特徴的な状態が検出される場合に発せられ得る。例えば、この信号は、超音波溶着装置のオペレータ又は技術者に、検出された状態について警告する情報を提供し得る。例えば、信号は、オペレータ又は技術者に、超音波溶着装置がメンテナンスされなければならない、又はこうした維持管理が差し迫っていることを知らせるために、視覚的様式及び/又は音響的様式で発せられ得る。あるいは、又は更に、信号は、別の機械又はモニタリングセンタに伝送され得る。
【0057】
典型的な特性の検出に対する更に想定され得る応答として、超音波溶着装置で使用された構成要素の正確な使用を検出することが可能である。例えば、様々な構成要素が様々な用途目的のために超音波溶着装置で使用されることとする。例えば、ある特定の溶着用途のために、用途特有の形状を有する、例えばいわゆるDombieノーズの形状である、ある特定のソノトロード及び/又はアンビルを使用することが可能である。この形状は、停止位置及びそれから得られる高さプロファイル又は表面プロファイルを決定するときに検出され得る。この結果、所望のプロファイルを有する構成要素は、超音波溶着装置に実際に組み込まれていたかどうかが自動的に決定され得る。
【0058】
更に、典型的な特性を検出することで、カメラの起動によって超音波溶着装置の構成要素のうちの少なくとも1つの画像を取り込ませ得る。カメラは超音波溶着装置内に組み込まれてもよく、好適には、例えば摩耗にさらされる可能性がある構成要素の面の画像を撮像可能であるように構成され得る。カメラで撮像された画像は、構成要素の外観検査のために使用され得る。例えば、画像の補足分析は、本明細書に提示された方法の範囲内で可能性があると識別された構成要素の状態、特に構成要素の摩耗を検証し得る。必要に応じて、画像は、補足的様式で、文書で記録若しくはアーカイブ化及び/又は分析され得る。
【0059】
更なる実施形態によれば、状態情報は、上述の典型的な特性の存在についての検査の代替として、あるいは、当該検査に加えて、超音波溶着装置の作業中に連続期間で複数回決定され得る。決定された状態情報の一部は、構成要素のうちの少なくとも1つの予め知られている状態を指す典型的な変化について比較される。典型的な変化を検出する際には、先行する実施形態について既に説明された可能性の群から選択され得る作業が開始される。
【0060】
言い換えれば、状態情報は、それぞれの場合において異なる時間にて、少なくとも2つの停止位置を検出することで、連続して複数回決定され得る。停止位置が検出される観点では、構成要素の表面及び/又は位置が経時的に変化する場合、停止位置もまたそれに応じて変化する。現在記録された停止位置と既に記録された停止位置とを比較することで、こうした変化についての結論を引き出すことが可能である。例えば、ここから、合間に生じた何らかの摩耗についての情報を得ることが可能である。
【0061】
本発明の第2の態様に記載の超音波溶着装置の実施形態は、本明細書に記載の方法を実行又は制御するように構成されている。この目的のために、超音波溶着装置は、例えば目的とされ、かつ制御された様式で、第1の及び/又は第2の変位方向に超音波溶着装置の構成要素を変位するために使用され得るアクチュエータを制御する制御システムを備え得る。アクチュエータは、例えば正確に変位可能なアクチュエータ、サーボモータ、空気圧式駆動装置、油圧式駆動装置などの種々の手段で構成され得る。制御システムは、制御信号を生成し、アクチュエータにこれを伝送するために使用され得る超小型電子回路を備え得る。特に、制御システムはプログラム可能であり得る。この目的のために、制御システムは、プロセッサ及びデータ記憶装置を有し得る。コントローラは、更にはセンサを有し得、センサと通信し得る。
【0062】
制御システムは、本発明の第3の態様によれば、超音波溶着装置で本明細書に記載の方法を実行又は制御するために、コンピュータ・プログラム・プロダクトを使用してプログラムされ得る。コンピュータ・プログラム・プロダクトは、いずれかのコンピュータ言語でプログラムされ得る。
【0063】
コンピュータ・プログラム・プロダクトは、本発明の第4の態様による機械可読媒体に記憶され得る。こうした機械可読媒体は、例えば可搬電子媒体であり得る。これは、好ましくは、不揮発性メモリにデータを記憶し得る。例えば、媒体は、フラッシュメモリ、CD、DVD、ROM、EPROMなどであり得る。あるいは、媒体はコンピュータの一部又はサーバであり得る。特に、媒体はクラウドの一部であり得る。したがって、コンピュータ・プログラム・プロダクトは、例えばインターネットなどのネットワークを介して、機械可読媒体から読み取り、又はダウンロードされ得る。
【0064】
本発明の実施形態の可能な特徴及び利点は、超音波溶着装置を参照して本明細書にて部分的に、かつ超音波溶着装置についての作業方法を参照して部分的に説明される。当業者は、個々の実施形態について記載された特徴が同様の好適な様式で他の実施形態に移行され得ること、本発明の更なる実施形態及び場合によっては相乗効果に到達するように適合及び/又は交換され得ることを理解するだろう。
【0065】
本発明の有利な実施形態は、添付の図面を参照して以下にて更に説明されるが、図面も説明も両方とも、いかなる方法によっても本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1(a)】ソノトロード及び/又はアンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成における超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図1(b)】ソノトロード及び/又はアンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成における超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図1(c)】ソノトロード及び/又はアンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成における超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図1(d)】ソノトロード及び/又はアンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成における超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図1(e)】ソノトロード及び/又はアンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成における超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図1(f)】ソノトロード及び/又はアンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成における超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図2(a)】アンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成で受容チャンバに挿入されたマトリックス要素を含む超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図2(b)】アンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成で受容チャンバに挿入されたマトリックス要素を含む超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図2(c)】アンビルにおける高さプロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成で受容チャンバに挿入されたマトリックス要素を含む超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態による方法によって記録される高さプロファイルを示す。
【
図4(a)】接触要素における表面プロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成で受容チャンバに挿入されたマトリックス要素を含む超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図4(b)】接触要素における表面プロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成で受容チャンバに挿入されたマトリックス要素を含む超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図4(c)】接触要素における表面プロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成で受容チャンバに挿入されたマトリックス要素を含む超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【
図4(d)】接触要素における表面プロファイルを記録するための本発明の一実施形態による方法の連続ステップ中の、種々の構成で受容チャンバに挿入されたマトリックス要素を含む超音波溶着装置の構成要素の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図は単に概略的なものであり、縮尺通りではない。種々の図面での同一の参照番号は、同一の特徴又は同一の効果を有する特徴を示す。
【0068】
図1は、本発明の一実施形態による状態情報を決定するための方法の実施中の種々の段階での、超音波溶着装置1を示す。
【0069】
超音波溶着装置1は、互いに対して変位可能である複数の構成要素2を備える。特に、超音波溶着装置1は、ソノトロード3、アンビル5、接触要素7及び横方向スライド9を備える。これらの構成要素2は、接合相手同士をその後に溶着して一体化するために、接合相手(図示せず)を収容し得る受容チャンバ11を取り囲む。この場合、受容チャンバ11は、ソノトロード3の面13によって下方から第1の側面で規定され、且つ、アンビル5の面15によって上方から第1の側面とは反対の第2の側面で画定される。受容チャンバ11は、右から、接触要素7の面17によって第3の側面で画定され、及び左では、横方向スライド9の面19によって第3の側面とは反対の第4の側面で更に画定される。
【0070】
少なくともいくつかの構成要素2は、構成要素2のうちの他の構成要素に対して変位可能である。この目的のために、関連する構成要素2は、例えば、制御システムによって制御される駆動装置を調節することで駆動され得る(それぞれの場合においては図示せず)。
【0071】
示された例では、アンビル5は、第1の変位方向21に、ソノトロード3に対して垂直に変位され得る。
図1に示された構成では、垂直な第1の変位方向21は、第1の方向29とも称される。更に、アンビル5は、ソノトロード3に対して第2の変位方向23に変位され得る。水平な第2の変位方向23は、示された構成では第2の方向31とも称される。接触要素7は、第1の方向29においてアンビル5に固定されるが、アンビル5に対して第2の方向31に変位され得る。横方向スライド9は、第1の方向29においてソノトロード3に対して静止して保持されるが、ソノトロード3に対して第2の方向31に変位され得る。この場合、横方向スライド9は、水平な第1の変位方向25において、これに対向する接触要素7に対して移動され得る。更に、アンビル5とともに接触要素7を垂直方向29に変位することで、横方向スライド9及び接触要素7は、第2の変位方向27において、互いに対して移動され得る。
【0072】
ここで、互いに対向する構成要素2は、構成要素2が直接的、又は間接的に互いに停止接触するようになったときに生成され、これらの構成要素2間に作用する反力が最大力に達し得るように、互いに対して変位され得る。こうした最大力に達するとき、結果として、関連する構成要素2が互いに接触状態になると結論づけられ得る。このプロセスで構成要素2の一方又は両方によって想定される位置は、停止位置として検出され得る。
【0073】
図1(a)~
図1(f)に関して言うと、構成要素2の少なくとも1つの現在の状態についての情報を提供する状態情報が決定され得る一連の方法ステップが、ここで説明される。示された例では、アンビル5に向けられたソノトロード3の面13及び/又はソノトロード3に向けられたアンビル5の面15の幾何学的形状についての情報は、状態情報として決定されなければならない。この場合、アンビル5は第1の構成要素33と称される一方で、対向するソノトロード3は第2の構成要素35と称される。
【0074】
図1(a)に示されるように、初期構成では、構成要素2は、面15を有するアンビル5が面13を有するソノトロード3から一定の距離にあり、面17を有する接触要素7が、面19を有する横方向スライド9から一定の距離にあるように配置されており、結果、受容チャンバ11は相対的に大きい。
【0075】
この構成から出発して、
図1(b)に示されるように、アンビル5は、その上に保持された接触要素7とともに、両方の構成要素2が互いに停止接触した状態となるまでソノトロード3に向かって垂直に第1の変位方向21に変位される。すなわち、この場合には両方の構成要素2が直接接触し、その結果、反力はアンビル5の更なる変位を打ち消す。この反力が所定の最大力に達するとすぐに、アンビル5による本プロセスで想定された位置は、第1の停止位置として記録される。
【0076】
次いで、
図1(c)に示されるように、アンビル5は、ソノトロード3から再び取り外される。その後、アンビル5は、ソノトロード3に対し、水平な第2の変位方向23で変更位置に変位される。この目的のために、横方向スライド9は、接触要素7に向かって第2の変位方向23で移動され得る。
【0077】
この変更位置から出発して、次いでアンビル5は、
図1(d)に示されるように、ソノトロード3に向かって垂直に変位方向21にもう一度変位される。両方の構成要素2が停止接触状態となり、反力が所定の最大力に達するとすぐに、第2の停止位置が検出される。
【0078】
図1(c)及び
図1(d)に示された方法ステップは複数回繰り返され得、必要に応じて、このプロセスでは、アンビル5は、水平な第2の変位方向23に更に段階的に変位され、かつそれぞれの場合において決定された位置に停止し得る。
【0079】
図1(e)及び
図1(f)は、アンビル5の面15及びソノトロード3の面13が横方向にわずかに重なり合うのみであるように、アンビル5が水平な第2の変位方向23で一定地点まで予め変位された構成を示す。この構成では、結果として受容チャンバ11は、狭い幅のみを有する。その幅は、接合相手同士の溶着中、典型的には占有されている幅におおよそ対応することが可能である。溶着中に、本プロセスで生じた圧力及び摩擦が原因で、摩耗が構成要素2に発生し得る。
図1(a)~
図1(f)に示されるように、例えば、こうした摩耗が原因で、凹部36若しくはノッチはソノトロードの面13に現れ得、かつ/又は凹部37若しくはノッチはアンビル5の面15に現れ得る。示された構成では、アンビル5及びソノトロード3が、これらの凹部36、37のうちの少なくとも1つが配置されている一領域でのみ重なり合うことから、アンビル5とソノトロード3との間の接触は、以前の構成(
図1(a)~
図1(d)に示される)の場合を除いて、わずかに異なる停止位置で生じる。その結果、測定された停止位置でのこうした差によって、摩耗により生成された1つ又は2つの凹部36、37に関する情報がもたらされ得る。
【0080】
図2(a)~
図2(c)は、マトリックス要素39が超音波溶着装置1の構成要素2間の受容チャンバ11に挿入される、本明細書に記載の方法の代替的実施形態を示す。示された例では、マトリックス要素39は、例えばソノトロード3に取り付けられ得る。例えば、マトリックス要素39は、横方向スライド9から最も離間しているソノトロード3の縁部に配置され得る。この場合、マトリックス要素39は、摩耗により引き起こされる凹部36の領域において、ソノトロードの面13に配置され得る。ここで、マトリックス要素39は、アンビル5に向かってソノトロード3の面13の上方で、上向きに突出し得る。マトリックス要素39は、好ましくは、これが狭い領域にてアンビル5の対向する面15に局所的に接触又は走査することを可能にするために、小さい幅を有する。特に、マトリックス要素39の幅は、これと接触されるアンビル5の面15の幅よりも小さいものであり得る。
【0081】
図2に示された代替的実施形態では、アンビル5及びソノトロード3は、
図1に示された実施形態と同様に、複数回互いに向かって垂直に移動され、それぞれの場合において、それらの間にある異なる位置へと水平に互いに対して変位される。ただしこの場合、面15を有するアンビル5は、ソノトロード3の面13と直接接触した状態にはならない。代わりに、両方の構成要素2が互いに近づくと、マトリックス要素39は構成要素2間でクランプされ、その上端及び下端が、ソノトロード3及びアンビル5の互いに対向する面13、15に接触する。マトリックス要素39のクランプによって、2つの構成要素2が互いに近づくときに引き起こされた反力の増加がもたらされ、所定の最大力を超えると、この場合であっても停止位置が正確に決定され得る。特に
図2(c)に見られ得るように、この場合、マトリックス要素39の幅が狭いことが原因で、接触状態になった面13、15上で狭い凹部36、37でさえも検出することが可能である。
【0082】
図3は、本明細書に記載の方法を使用して記録され得る高さプロファイルを示す。ここで、停止位置a、b、cは、水平変位方向23に沿って種々の位置で対応する高さhにて決定されたものである。この場合、種々の位置は、
図1(b)、
図1(d)、
図1(f)又は
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)のそれぞれに示される構成に対応する。最後に記録されたデータポイントcは、先行するデータポイントa、bよりも低い高さを示すことがわかるだろう。ここから、データポイントcが記録されたときには、アンビル5及びソノトロード3は、他のデータポイントが記録されたときよりも互いに向かって更に移動され得る。これは、位置(c)周囲の領域において、局所的な凹部37の形態で、例えばアンビル5などの構成要素2のうちの1つでよく見られる状態の典型的な特性として識別され得る。このような状態は予め知られており、超音波溶着装置1に生じ得る典型的な摩耗兆候である。
【0083】
実施例で示された3つ以上のデータポイントが記録される場合には、データポイントは、状態情報として1つ又は2つの凹部36、37の位置、幅、深さ及び/又は幾何学的形状についての情報を得ることが可能である十分に高解像度の高さプロファイルをも示し得る。
【0084】
あるいは、又は更に、状態情報は連続した時点で記録され得る。例えば、本明細書に記載の方法は、所定の間隔で定期的に、又は状態情報として記憶された所定の作業期間及び停止位置に従って実行され得る。あるいは、方法は、所定の数の溶着作業が完了した後、又は合間に実施された溶着作業によって所定の量のエネルギーが消費されたと決定された後に周期的に実行され得、停止位置が状態情報として記憶され得る。現在記録された状態情報は、本プロセスにおいて、予め記憶された状態情報と比較され得る。この場合、観察された変化から、超音波溶着装置1内部の構成要素2についてモニタリングされる状態についての結論を引き出すことが可能である。
【0085】
必要に応じて、本明細書に記載の方法は、マトリックス要素39なし、すなわち
図1で示すように1回実行され得、マトリックス要素39あり、すなわち
図2で示すように1回実行され得る。受容チャンバ11にマトリックス要素39が一切収容されていない方法が実施されるとき、この場合、アンビル5及びソノトロード3がそれぞれの凹部36、37の領域でのみ重なり合う(
図1(f)を参照されたい)場合では、高さ情報は、ソノトロード3上及びアンビル5上の両方での2つの凹部36、37の合計によって影響を受ける停止位置への到達時に生成される。対照的に、受容チャンバ11にマトリックス要素39が収容される方法が実施されるとき、アンビル5及びソノトロード3がそれぞれの凹部36、37の領域でのみ重なり合う場合では、高さ情報は、示された例では、アンビル5上の凹部37によってのみ影響を受ける停止位置への到達時に生成される。両方の高さ情報を互いに差し引くことで、最終的には、ソノトロード3上の凹部36を反映する高さ情報を生成することが可能である。マトリックス要素39をソノトロード3に固定する代わりに、
図2に示されるように、マトリックス要素39もまた、代替的にはアンビルに固定され得る。結果、この場合には、ソノトロード3上の凹部36が検出され得る。
【0086】
状態情報における典型的な特性又は時間的に連続して記録された状態情報間の典型的な変化を検出する際には、これは、構成要素2のうちの1つ以上における変化についての指標として使用され得、好適な応答が開始され得る。例えば、参照値又は参照高さプロファイルは、比較のために使用され得る。この場合、摩耗限界を実証することが可能であり得る。摩耗限界を超える場合には、維持管理が構成され得る。例えば、現在決定されている状態情報に基づき、近い将来に過度な摩耗が予測される場合には、予防保全もまた予定され得る。例えば、所定の数の溶着作業を実行した後、状態情報は本発明に従って決定され得、次いで構成要素2が依然として使用される期間に関して推定を行い得る。中間ステップはまた、一種の予測を作るために実行され得る。欠陥のある構成要素2は、適時識別され得る。
【0087】
全体として、過剰な期間のツール使用を防止することが可能である。摩耗限界は適時識別され得る。点検整備及びツール変更は、より適切に計画され得る。人間の影響は最小化され得る。調整されたワークフロー及び維持管理計画については、ツールは適時交換又は作り直され得る。任意の注目に値する問題は、追跡調査に関連し得る。例えば、超音波溶着装置1の構成要素2上で過度な摩耗を検出した際には、超音波溶着装置1を用いて最後に接合された接合相手が適切に溶着されたかどうかを確認することも可能である。決定された状態情報が目標値から大きく逸脱する場合には、超音波溶着装置は、必要に応じて作業から完全に外され得、かつ/又はオペレータ及び/若しくはモニタリングシステムに、検出された逸脱についての情報を提供するために好適な信号が発せられ得る。例えば信号機警告システム上で、例えば、音響アラートが発せられ得、かつ/又は警告灯が起動され得る。
【0088】
ことによると、本明細書に記載の状態情報の決定に補足して、構成要素2のうちの1つで検出された局所摩耗などの状態における検出された変化は、統合又は外部カメラシステムを介して更に検証され得る。例えば、限界に達さない場合、例えばアンビル5の面15のプロファイルの画像が生成され得る。このような更なる視覚的検査は、更なる摩耗パターンを文書で記録する、又は更にはこれらを評価するためにも使用され得る。
【0089】
あるいは、又は更に、状態情報は、例えば、正確な構成要素2、すなわち所望の幾何学的形状を有するアンビル5(すなわち、例えば、Dombieノーズ)が超音波溶着装置1に組み込まれているかどうかを検出するために使用され得る。構成要素2が超音波溶着装置1で交換されたとしても、正確な構成要素2が交換されたかどうか、及び/又は適切に嵌合されたかどうかを検出することが可能である。
【0090】
図4(a)~
図4(d)は、代替的実施形態による方法の一連のステップを示す。この場合、方法は、特に接触要素7上の摩耗が検出され得ることに基づいて状態情報を決定するように適合されている。この場合、横方向スライド9は第1の構成要素33と称される一方で、対向する接触要素7は第2の構成要素35と称される。
【0091】
記載の実施形態では、マトリックス要素39は、既に記載の実施形態のものと類似した様式で受容チャンバ11へと挿入される。マトリックス要素39は、横方向スライド9に向けられた側面において、それとは反対で接触要素7に向けられた側面の幅B2よりも大きい幅B1を有する。この場合、「幅」という用語は、第1の変位方向21と直交する方向の寸法として理解されるべきである。「第1の変位方向」21は、互いに対して移動される第1の構成要素33及び第2の構成要素35の動きの方向として、すなわち、この場合、横方向スライド9又は接触要素7の動きの方向として本明細書で一般に定義されている。結果、この場合、第1の変位方向は水平に向けられている。
【0092】
示された特定の実施例では、マトリックス要素39は、受容チャンバ11に向けられている横方向スライド9の面19上にて相対的に大きな領域にわたって置かれ、好ましくは横方向スライド9に取り付けられるような様式で構成されている。反対の側面に配置された突出部41が存在し、その側面は、受容チャンバ11に向けられた接触要素7の面17に向けられている。突出部41は、より狭い幅B2を有するか、先細りしているか、若しくは尖っている。したがって、突出部41を備えたマトリックス要素39もまた、接触要素7上に存在する可能性がある小さな凹部37に係合し得る。
【0093】
図4(a)は、マトリックス要素39が十分な横方向の隙間を設けて受容チャンバ11に挿入され得るように、構成要素2が互いに十分離間している初期構成を示す。
【0094】
この構成から、
図4(b)に示されるように、マトリックス要素39と一体化した横方向スライド9は、マトリックス要素39の突出部41が接触要素7の面17に接触するまで接触要素7に向かって水平な第1の変位方向21に移動され得、反力は、最大力に達するまで蓄積する。したがって、第1の停止位置が検出される。
【0095】
横方向スライド9を後方に移動することで、この第1の停止接触が再び解放された後、
図4(c)に示されるように、接触要素7が、アンビル5とともに下向きに垂直に移動される。言い換えれば、マトリックス要素39と一体化した横方向スライド9、及び接触要素7は、互いに対して垂直な第2の変位方向23で変更位置に変位される。
【0096】
この変更位置から出発して、
図4(d)に示されるように、マトリックス要素39と一体化した横方向スライド9は次いで、水平な第1の変位方向21において、右へと再び変位される。その結果、その突出部41にて、マトリックス要素39は、凹部37の領域にて接触要素7の面17と停止接触した状態となり得る。言い換えれば、局所突出部41を有するマトリックス要素39の特定の設計が原因で、接触要素7の面17は微細に走査され得、いずれかの摩耗により引き起こされる凹部37又は粗さが、例えば検出され得る。方法ステップが、
図4(c)及び
図4(d)に示されるように、複数回繰り返され、第2の変位方向23での垂直変位が小ステップで発生する場合、十分高解像度である接触要素7の面17の表面プロファイルが記録され得る。これは、この接触要素7の現在の状態についての詳細な情報を得るために使用され得る。
【0097】
最終的に、「有する」、「含む」などといった用語は、任意の他の要素又はステップを排除するものではなく、「1つ」又は「1つの(a)」は複数を排除するものではないことに留意されたい。上記例示的実施形態のうちの1つを参照して記載された特徴又はステップはまた、上記の例示的実施形態の他の特徴又はステップと組み合わせて使用され得ることが更に指摘されなければならない。特許請求における参照番号は、限定とみなされるべきではない。
【符号の説明】
【0098】
1 超音波溶着装置
2 構成要素
3 ソノトロードアセンブリ
5 アンビル
7 接触要素
9 横方向スライド
11 受容チャンバ
13 ソノトロードの面
15 アンビルの面
17 接触要素の面
19 横方向スライドの面
21 ソノトロードに対するアンビルの第1の変位方向
23 ソノトロードに対するアンビルの第2の変位方向
25 接触要素に対する横方向スライドの第1の変位方向
27 接触要素に対する横方向スライドの第2の変位方向
29 第1の方向
31 第2の方向
33 第1の構成要素
35 第2の構成要素
36 凹部
37 凹部
39 マトリックス要素
41 突出部
【国際調査報告】