(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/41 20060101AFI20240717BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240717BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240717BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240717BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240717BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20240717BHJP
A61K 9/52 20060101ALI20240717BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20240717BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61K31/41
A61P9/04
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/14
A61K47/12
A61K9/22
A61K9/52
A61K9/24
A61K31/216
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501915
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2022105144
(87)【国際公開番号】W WO2023284724
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110784642.5
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521504049
【氏名又は名称】上海雲晟研新生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】郭▲ゼェン▼
(72)【発明者】
【氏名】謝文鳳
(72)【発明者】
【氏名】肖小玲
(72)【発明者】
【氏名】王▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】応述歓
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA38
4C076AA63
4C076AA67
4C076BB01
4C076CC11
4C076DD23
4C076DD24
4C076DD28
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD46
4C076DD47H
4C076DD67
4C076EE03
4C076EE06H
4C076EE09
4C076EE16
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4C076EE32
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4C076EE38
4C076FF31
4C076FF53
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC62
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA36
4C206AA01
4C206AA10
4C206GA13
4C206GA28
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA12
4C206ZA36
(57)【要約】
サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物、その製造方法及び応用であって、当該組成物は24 h徐放性薬物であり、サクビトリル及びバルサルタンの溶出は、A)2 h以内に薬物活性成分の40%以下を溶出し、B)8 h以内に薬物活性成分の20%~75%を溶出し、C)24 h以内に薬物活性成分の65%以上を溶出する、という3つの特徴を同時に満たす。通常のゲル徐放性剤形と比較して、当該組成物中のサクビトリル及びバルサルタンは同期徐放を達成することができ、且つ薬物放出挙動は媒体環境のpH、胃腸運動、食物などの要因の影響を受けず、インビトロ-インビボ相関が良好であり、24 h以内に穏やかに放出され、治療効果が良好である。通常の即放性製剤と比較して、服薬回数を減少させ、患者のコンプライアンスを向上させ、老人又は子供などの飲み込みが困難な方に対して、その服薬コンプライアンスの向上に有利であり、投与が容易であり、毒性と副作用が比較的小さく、良好な市場見通しがある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
24 h徐放性薬物であるサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物であって、サクビトリル及びバルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の40%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の65%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
前記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であってもよく、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の70%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の15%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の30%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の15%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリル及びバルサルタンの溶出は同期放出である、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項2】
サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物であって、前記徐放性組成物は24 h徐放性薬物であり、サクビトリル及びバルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の40%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~75%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の65%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
前記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であってもよく、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の25%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の25%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の30%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の30%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリル及びバルサルタンの溶出は同期放出である、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項3】
サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物であって、前記組成物は、薬物含有層の片側に孔が開けられている薬物含有層コア及びコーティング膜を含み、前記薬物含有層コアは薬物活性成分及び担体を含み、前記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であり、前記担体は、浸透圧調整剤、膨潤剤、増粘剤、流動促進剤及び潤滑剤のうちの1種又は複数種であり、
前記徐放性組成物は更に、任意選択的にブースター層コアを含むか又は含まず、前記ブースター層コアは、浸透圧調整剤、膨潤剤、着色剤及び潤滑剤のうちの1種又は複数種を含み、前記コーティング膜は半透膜であり、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物は、請求項1又は2に記載の徐放性組成物であり、
好ましくは、前記薬物含有層コアは着色剤を更に含む、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項4】
前記薬物含有層コアにおいて、前記薬物活性成分はサクビトリルバルサルタンナトリウムであり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グルコース、フルクトース、スクロース及びラクトースのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、コポビドン、アラビアゴム、アルファ化デンプン及びポリビニルピロリドンのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記膨潤剤は、ポリオキシエチレン、カルボマー、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスポビドン及びアルギン酸ナトリウムのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記着色剤は、赤酸化鉄、黄酸化鉄及び黒酸化鉄から選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記流動促進剤は、タルク粉末、微粉末シリカゲル、コロイダルシリカのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記潤滑剤は、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸、タルク粉末、ステアリン酸エステル、ステアロイルフマル酸塩及び微粉末シリカゲルのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グルコース、フルクトース、スクロース及びラクトースのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記膨潤剤は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、カルボマー、カルボキシメチルデンプンナトリウム、アルギン酸ナトリウム及びポリオキシエチレンのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記着色剤は、赤酸化鉄、黄酸化鉄及び黒酸化鉄のうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記潤滑剤は、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸、タルク粉末、ステアリン酸エステル、ステアロイルフマル酸塩及び微粉末シリカゲルから選ばれる1種又は複数種であり、
好ましくは、前記ステアリン酸金属塩はステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウムであり、
及び/又は、
前記ステアリン酸エステルはステアリン酸グリセリドである、
ことを特徴とする請求項3に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項5】
前記薬物含有層コアにおいて、前記薬物活性成分の含有量は10.00%~80.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める薬物活性成分の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記浸透圧調整剤の含有量は1.00%~60.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める浸透圧調整剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記増粘剤の含有量は10.00%~70.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める増粘剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記膨潤剤の含有量は0.00%~70.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める膨潤剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記流動促進剤の含有量は0~5.00%、例えば0%~1.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める流動促進剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記潤滑剤の含有量は0.50%~60.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記着色剤の含有量は0%~5.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率である、
ことを特徴とする請求項3~4の何れか一項に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項6】
前記ブースター層コアにおいて、前記浸透圧調整剤の含有量は1.00%~60.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める浸透圧調整剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記膨潤剤の含有量は0%~90.00%、例えば0%~80.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める膨潤剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記着色剤の含有量は0.10%~10.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める着色剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記潤滑剤の含有量は0.10%~10.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率である、
ことを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項7】
前記半透膜は、膜形成材料、孔形成剤及び可塑剤のうちの1種又は複数種を含み、好ましくは、前記コーティング膜において、前記膜形成材料は、酢酸セルロース、エチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂のうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記コーティング膜において、前記孔形成剤は、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン及びポリビニルアルコールのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記コーティング膜において、前記可塑剤は、三酢酸グリセリド、クエン酸グリセリド、グリセリド、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジエチルのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記コーティング膜は、カラコンが提供する酢酸セルロース完全配合コーティングプレミックスである、
ことを特徴とする請求項3~6の何れか一項に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項8】
前記薬物含有層コアは、
配合一、28.25%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、25.00%のソルビトール、21.25%のラクトース一水和物、2.50%の塩化ナトリウム、21.50%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.50%のコロイダルシリカ、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合二、56.50%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、20.00%のソルビトール、10.00%のラクトース一水和物、1.50%の塩化ナトリウム、10.50%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.50%のコロイダルシリカ、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合三、37.67%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、36.66%のソルビトール、3.67%の塩化ナトリウム、21.00%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合四、56.50%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、25.00%のソルビトール、2.50%の塩化ナトリウム、15.00%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合五、33.93%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、48.06%のポリオキシエチレン、3.00%の塩化ナトリウム、13.81%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合六、67.87%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、24.02%のポリオキシエチレン、1.5%の塩化ナトリウム、5.41%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合七、37.70%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、38.63%のコポビドン、18.67%のヒドロキシエチルセルロース、2.33%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合八、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、11.60%のコポビドン、8.33%のヒドロキシエチルセルロース、1.00%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、3.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合九、40.39%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、26.90%のコポビドン、27.00%のヒドロキシエチルセルロース、2.86%のタルク粉末、0.71%のコロイダルシリカ、2.14%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、19.93%のポリオキシエチレン、1.00%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、3.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十一、37.70%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、28.20%のコポビドン、28.66%のヒドロキシエチルセルロース、2.67%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.00%のステアリン酸マグネシウム、0.10%の黄酸化鉄であり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十二、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、6.83%のコポビドン、12.00%のヒドロキシエチルセルロース、2.67%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.33%のステアリン酸マグネシウム、0.10%の黄酸化鉄であり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という配合の何れか1つから選ばれ、
及び/又は、前記ブースター層コアは、
配合一、65.86%のポリオキシエチレン、31.74%の塩化ナトリウム、1.2%の赤酸化鉄、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合二、73.00%のポリオキシエチレン、20.00%のコポビドン、1.00%の赤酸化鉄、5.00%の塩化ナトリウム、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合三、60.83%のポリオキシエチレン、8.33%のコポビドン、29.17%の塩化ナトリウム、0.83%の赤酸化鉄、0.84%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合四、82.00%のポリオキシエチレン、10.00%のコポビドン、5.00%の塩化ナトリウム、1.00%の赤酸化鉄、2.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合五、63.00%のポリオキシエチレン、10.00%のコポビドン、25.00%の塩化ナトリウム、1.00%の赤酸化鉄、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という配合の何れか1つから選ばれ、
及び/又は、前記コーティングは、
コーティング一、9.00%の酢酸セルロース及び1.00%のポリエチレングリコール4000であり、前記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
コーティング二、7.20%の酢酸セルロース及び0.80%のポリエチレングリコール4000であり、前記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
コーティング三、6%の酢酸セルロース及び3%のポリエチレングリコール4000であり、前記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という組成の何れか1つであり、
前記錠剤コアは薬物含有層コア及びブースター層コアからなり、ブースター層コアを含まない場合、錠剤コアは薬物含有層コアとなる、
ことを特徴とする請求項3~7の何れか一項に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項9】
サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤であって、
請求項1~8の何れか一項に記載のサクビトリルバルサルタン徐放性組成物を含み、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤の剤形は、徐放錠、徐放性マイクロペレット又は徐放性カプセルである、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤。
【請求項10】
駆出率が低下した慢性心不全を治療及び/又は予防する薬物の製造における、請求項1~8の何れか一項に記載のサクビトリルバルサルタン徐放性組成物又は請求項9に記載のサクビトリルバルサルタン徐放性製剤の応用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は、2021年7月12日に中国国家知識産権局に提出された、特許出願番号が202110784642.5であり、発明名称が「サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物、その製造方法及び応用」である先行出願の優先権を主張する。上記先行出願は全体として援用により本願に組み込まれている。
【0002】
[技術分野]
本発明は、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物、その製造方法及び応用に関する。
【0003】
[背景技術]
サクビトリルバルサルタンナトリウムは、駆出率が低下した(HF-REF)慢性心機能不全の成年患者の治療に適応し、心血管死及び心不全入院のリスクを軽減する。サクビトリルはネプリライシン阻害剤であり、バルサルタンはアンジオテンシンII受容体遮断薬である。サクビトリルバルサルタンナトリウムは、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の代わりに使用でき、他の心不全治療薬と併用できる。
【0004】
心機能不全(heart failure)は心不全と略称され、心不全患者の心臓は全身に十分な血液を送り出すことができず、呼吸困難、倦怠感及び体液貯留の症状が起こる可能性があり、そして徐々に悪化して生活の品質に重大な影響を及ぼす。統計によると、世界では心不全に毎年1080億ドルが費やされ、2003年の大規模疫学調査では、中国本土における成人の心不全罹患率は0.9%に達し、心不全患者は約450万人であることが示されている。一方、高血圧は心機能不全(心不全)の最も主な病因の1つであり、世界中における重大な公衆衛生上の問題となっている。Framinghamの報告によると、高血圧は心不全疾患の75%を占めており、中国では60%~88.5%で、正常血圧の6倍であることが示されている。心機能不全発症後の5年死亡率は50%以上である。中国における高血圧発症率は現在約11.88%で、全国には約1億人近くの高血圧患者がいると推定されている。
【0005】
心不全患者の約半数は駆出率低下を伴う心不全であり、現在の抗心不全薬はRAAS系(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)の活性化によって引き起こされる有害作用を遮断するのみであり、これは攻撃する「矛」のみを持っており、心臓を守る「盾」がないのに相当し、治療後も患者の死亡率は依然として非常に高い。データによると、患者の50%は心不全と診断されてから5年以内に死亡することが示されている。
【0006】
2014年の欧州心臓病学会(ESC)総会で発表された心不全臨床研究(PARADIGM-HF)では、当該研究には世界中における8442例の患者が参加し、そのうち、353例は中国人患者であった。研究によると、エナラプリル治療群と比較して、ノバルティス社の革新的な心不全治療薬LCZ696の治療を受けた駆出率低下型心不全(HF-REF)患者は、心血管死のリスクが20%低下し、心不全入院のリスクが21%低下することが示されている。当該データは権威ある雑誌『ニューイングランド医学ジャーナル』にも掲載されている。
【0007】
サクビトリルバルサルタンナトリウムは、独自の複数の方式で作用しており、RAAS系の活性化によって引き起こされる有害作用を抑制すると同時に、更に心臓を保護する神経内分泌系(ナトリウム利尿ペプチド系)の作用を高めることもできる。これは「矛」と「盾」の両方を持っていることに相当する。新しい研究によると、LCZ696は耐性が良好であり、且つ副作用の管理が容易であり、有害事象による患者の研究からの離脱率が低いことが示されている。
【0008】
サクビトリルバルサルタンナトリウムの化学名は、オクタデカナトリウムヘキサキス(4-{[(1S,3R)-1-([1,1'-ビフェニル)-4-イルメチル)-4-エトキシ-3-メチル-4-オキソブチル]アミノ}-4-オキソブタノエート)ヘキサキス(N-ペンタノイル-N-{[2'-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-L-バリネート)-水(1/15)であり、その構造式は以下の通りである。
【0009】
【0010】
現在、ノバルティス社はサクビトリルバルサルタンナトリウムの通常の即放性錠剤を既に開発しており、その用量は50 mgから200 mgを1日2回であり、服薬量が大きく、且つ服薬回数が多い。
【0011】
CN105748420A特許文献では、心不全治療用徐放性マトリックス錠剤LCZ696の製造方法が提案されており、その徐放性剤形は薬物放出機序としてゲルマトリックスを使用し、徐放時間が比較的短く、活性成分が僅か8 h以内に完全に放出され、24 hの安定放出を達成できず、ゲルマトリックス錠剤はインビボで食物の押出などの要因の影響を受けやすく、その結果、薬物放出速度の異なる程度の増加をもたらし、徐放効果が比較的悪く、インビトロ-インビボ相関が比較的悪い。
【0012】
徐放効果が良好で、放出が穏やかであり、慢性心不全患者のコンプライアンスが良好である薬物剤形を見つけることは、解決すべき緊急の技術問題である。
【0013】
[発明の概要]
本発明は、24 h徐放性薬物であるサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物を提供しており、サクビトリル及びバルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の40%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の65%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
上記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の70%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の15%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たす。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の30%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たす。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の15%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する
という3つの特徴を同時に満たす。
【0017】
好ましくは、上記サクビトリル及びバルサルタンの溶出は同期放出である。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、上記徐放性組成物は24 h徐放性薬物であり、サクビトリル及びバルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の40%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~75%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の65%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
上記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であってもよい。
【0019】
一実施形態において、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たす。
【0020】
一実施形態において、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の25%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の25%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
一実施形態において、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の30%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の30%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、上記サクビトリル及びバルサルタンの溶出は同期放出である。
【0021】
そのうち、上記「溶出」は、サクビトリルの累積溶出率及びバルサルタンの累積溶出率などの、薬物活性成分の累積溶出率を指し、更に、上記累積溶出率はpH6.8のリン酸塩緩衝液において測定される。当業者であれば、時間が経過するにつれて、上記サクビトリルバルサルタンナトリウムの溶出率が徐々に増加することを理解できる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物は、薬物含有層の片側に孔が開けられている薬物含有層コア及びコーティング膜を含み、上記薬物含有層コアは薬物活性成分及び担体を含み、上記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であってもよく、上記担体は、例えば浸透圧調整剤、膨潤剤、増粘剤、流動促進剤及び潤滑剤のうちの1種又は複数種であり、上記コーティング膜は半透膜であり、
上記徐放性組成物は更に、任意選択的にブースター層コアを含むか又は含まず、上記ブースター層コアは、浸透圧調整剤、膨潤剤、着色剤及び潤滑剤のうちの1種又は複数種を含む。
【0023】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記薬物活性成分は、好ましくは、サクビトリルバルサルタンナトリウムである。
【0024】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記薬物活性成分の含有量は10.00%~80.00%であり、例えば28.25%、33.93%、37.67%、37.70%、40.39%、56.50%、67.87%、又は75.40%であり、上記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める薬物活性成分の質量百分率である。
【0025】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グルコース、フルクトース、スクロース及びラクトースから選ばれる1種又は複数種であってもよい。一実施形態において、上記ラクトースはラクトース一水和物である。例として、上記浸透圧調整剤は、ソルビトール、ラクトース一水和物及び塩化ナトリウムの混合物、ソルビトール及び塩化ナトリウムの混合物、又は塩化ナトリウムであってもよい。
【0026】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記浸透圧調整剤の含有量は1.00%~60.00%であり、例えば48.75%、40.34%、31.50%、27.50%、3.00%又は1.50%であり、上記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める浸透圧調整剤の質量百分率である。
【0027】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記増粘剤(懸濁剤又は結合剤とも呼ばれる)は分散媒体の粘度を増加させることにより、微粒子の沈降速度を低下させるか、又は微粒子の親水性を増加させることができる付加剤であり、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、コポビドン、アラビアゴム、アルファ化デンプン及びポリビニルピロリドンから選ばれる1種又は複数種である。例として、上記増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はコポビドンとヒドロキシエチルセルロースとの混合物から選ばれる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記増粘剤の含有量は10.00%~70.00%であり、例えば21.50%、10.50%、21.00%、15.00%、13.81%、57.30%、34.80%、25.00%、53.90%、56.87%、19.93%、18.83%、又は5.41%であり、上記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める増粘剤の質量百分率である。
【0029】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記膨潤剤(推進剤とも呼ばれる)は、溶媒を吸収して膨張する物質であってもよく、好ましくは、ポリオキシエチレン、カルボマー、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスポビドン及びアルギン酸ナトリウムのうちの1種又は複数種である。
【0030】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記膨潤剤の含有量は、好ましくは0.00%~70.00%、例えば48.06%、24.02%又は19.93%であり、上記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める膨潤剤の質量百分率である。
【0031】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアは更に着色剤を含んでもよい。
【0032】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記着色剤は着色の目的を達成できる物質であってもよく、好ましくは、赤酸化鉄、黄酸化鉄及び黒酸化鉄のうちの1種又は複数種である。
【0033】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記着色剤の含有量は0%~5.00%、例えば0.10%であり、上記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める着色剤の質量百分率である。
【0034】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記流動促進剤は、粒子間の摩擦力を低下させることにより粉末又は粒子の流動性を改善することができる補助剤であってもよく、好ましくは、タルク粉末、微粉末シリカゲル、コロイダルシリカのうちの1種又は複数種である。
【0035】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記流動促進剤の含有量は、好ましくは0%~5.00%、例えば0~1.00%であり、例示的な含有量としては、0.30%、0.50%、1.57%、1.67%、3.00%、3.54%又は3.57%であり、上記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める流動促進剤の質量百分率である。
【0036】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記潤滑剤は、潤滑作用を有する物質であってもよく、好ましくは、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸、タルク粉末、ステアリン酸エステル、ステアロイルフマル酸塩及び微粉末シリカゲルのうちの1種又は複数種である。例えば、上記ステアリン酸金属塩は、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウムである。例えば、上記ステアリン酸エステルは、好ましくは、ステアリン酸グリセリドである。
【0037】
本発明の実施形態によれば、上記薬物含有層コアにおいて、上記潤滑剤の含有量は、好ましくは0.50%~60.00%、例えば1.00%~30.00%であり、例示的な含有量としては、1.00%、1.20%、2.00%、2.14%、2.33%又は3.00%であり、上記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率である。
【0038】
上記薬物含有層コアにおいて、薬物活性成分及び担体の合計含有量は100%である。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、上記徐放性組成物がブースター層コアを含む場合、上記薬物含有層コアに浸透圧調整剤が含まれない。
【0040】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記浸透圧調整剤は、浸透作用を調整する物質であってもよく、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グルコース、フルクトース、スクロース及びラクトースのうちの1種又は複数種であり、例えば塩化ナトリウムである。一実施形態において、上記ラクトースはラクトース一水和物であってもよい。
【0041】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記浸透圧調整剤の含有量は1.00%~60.00%、例えば31.74%、29.17%、25.00%又は5.00%であり、上記含有量は、ブースター層コア総質量に占める浸透圧調整剤の質量百分率である。
【0042】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記膨潤剤(推進剤とも呼ばれる)は、溶媒を吸収して膨張する物質であってもよく、好ましくは、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、カルボマー、カルボキシメチルデンプンナトリウム、アルギン酸ナトリウム及びポリオキシエチレンのうちの1種又は複数種である。
【0043】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記膨潤剤の含有量は0.00%~90.00%、例えば0.00%~80.00%であり、実例としては、8.33%、10.00%、20.00%、65.87%、63.00%、73.00%、60.83%又は82.00%であり、上記含有量は、ブースター層コア総質量に占める膨潤剤の質量百分率である。
【0044】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記着色剤は、着色の目的を達成できる物質であってもよく、好ましくは、赤酸化鉄、黄酸化鉄及び黒酸化鉄のうちの1種又は複数種である。
【0045】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記着色剤の含有量は好ましくは0.10%~10.00%、例えば1.20%、1.00%又は0.83%であり、上記含有量は、ブースター層コア総質量に占める着色剤の質量百分率である。
【0046】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記潤滑剤は、当該分野における一般的な潤滑作用を有する物質であってもよく、好ましくは、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸、タルク粉末、ステアリン酸エステル、ステアロイルフマル酸塩及び微粉末シリカゲルのうちの1種又は複数種である。例えば、上記ステアリン酸金属塩は、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウムである。例えば、上記ステアリン酸エステルは、好ましくは、ステアリン酸グリセリドである。
【0047】
本発明の実施形態によれば、上記ブースター層コアにおいて、上記潤滑剤の含有量は好ましくは0.10%~10.00%、例えば2.00%、1.20%、1.00%又は0.84%であり、上記含有量は、ブースター層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率である。
【0048】
上記ブースター層コアにおいて、各組成の合計含有量は100%である。
【0049】
本発明の実施形態によれば、上記半透膜は、膜形成材料、孔形成剤及び可塑剤のうちの1種又は複数種を含む。
【0050】
本発明の実施形態によれば、上記コーティング膜において、上記膜形成材料は、固体の表面に分散され、固化して膜を形成することができる材料であってもよく、好ましくは、酢酸セルロース、エチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂のうちの1種又は複数種である。
【0051】
本発明の実施形態によれば、上記コーティング膜において、上記孔形成剤は、水にさらされると材料に細孔径を形成することができる物質であってもよく、好ましくは、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン及びポリビニルアルコールのうちの1種又は複数種である。
【0052】
本発明の実施形態によれば、上記コーティング膜において、上記可塑剤は、ポリマーの可塑性を増加させることができる物質であってもよく、好ましくは、三酢酸グリセリド、クエン酸グリセリド、グリセリド、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジエチルのうちの1種又は複数種である。
【0053】
一実施形態において、上記ポリエチレングリコールは、ポリエチレングリコール4000である。
【0054】
一実施形態において、上記コーティング膜は、酢酸セルロース及びポリエチレングリコール4000を含む。
【0055】
一実施形態において、上記コーティング膜は、カラコンが提供する酢酸セルロース完全配合コーティングプレミックス(Opadry(登録商標)CA)を選んでもよい。
【0056】
本発明の実施形態によれば、本発明のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物は、体積900 mLのpH6.8のリン酸塩緩衝液において、USP第2法を使用して回転速度50 rpmで溶出実験を行い、サクビトリル及びバルサルタンの24 h累積放出率は何れも85%以上に達することができる。
【0057】
本発明の例示的な実施形態によれば、上記薬物含有層コアは、
配合一、28.25%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、25.00%のソルビトール、21.25%のラクトース一水和物、2.50%の塩化ナトリウム、21.50%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.50%のコロイダルシリカ、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合二、56.50%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、20.00%のソルビトール、10.00%のラクトース一水和物、1.50%の塩化ナトリウム、10.50%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.50%のコロイダルシリカ、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合三、37.67%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、36.66%のソルビトール、3.67%の塩化ナトリウム、21.00%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合四、56.50%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、25.00%のソルビトール、2.50%の塩化ナトリウム、15.00%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合五、33.93%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、48.06%のポリオキシエチレン、3.00%の塩化ナトリウム、13.81%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合六、67.87%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、24.02%のポリオキシエチレン、1.5%の塩化ナトリウム、5.41%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合七、37.70%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、38.63%のコポビドン、18.67%のヒドロキシエチルセルロース、2.33%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合八、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、11.60%のコポビドン、8.33%のヒドロキシエチルセルロース、1.00%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、3.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合九、40.39%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、26.90%のコポビドン、27.00%のヒドロキシエチルセルロース、2.86%のタルク粉末、0.71%のコロイダルシリカ、2.14%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、19.93%のポリオキシエチレン、1.00%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、3.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十一、37.70%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、28.20%のコポビドン、28.66%のヒドロキシエチルセルロース、2.67%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.00%のステアリン酸マグネシウム、0.10%の黄酸化鉄であり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十二、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、6.83%のコポビドン、12.00%のヒドロキシエチルセルロース、2.67%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.33%のステアリン酸マグネシウム、0.10%の黄酸化鉄であり、上記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という配合の何れか1つであってもよい。
【0058】
本発明の例示的な実施形態によれば、上記ブースター層コアは、
配合一、65.86%のポリオキシエチレン、31.74%の塩化ナトリウム、1.20%の赤酸化鉄、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合二、73.00%のポリオキシエチレン、20.00%のコポビドン、1.00%の赤酸化鉄、5.00%の塩化ナトリウム、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合三、60.83%のポリオキシエチレン、8.33%のコポビドン、29.17%の塩化ナトリウム、0.83%の赤酸化鉄、0.84%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合四、82.00%のポリオキシエチレン、10.00%のコポビドン、5.00%の塩化ナトリウム、1.00%の赤酸化鉄、2.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合五、63.00%のポリオキシエチレン、10.00%のコポビドン、25.00%の塩化ナトリウム、1.00%の赤酸化鉄、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、上記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という配合の何れか1つである。
【0059】
本発明の例示的な実施形態によれば、上記コーティングは、
コーティング一、9.00%の酢酸セルロース、1.00%のポリエチレングリコール4000であり、上記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
コーティング溶媒はアセトン及び水であり、例えばアセトンと水との質量比は9:1であり、コーティング溶液の固形分は5%であり、上記固形分は、コーティング溶液総質量に占める固体物質総質量の百分率であり、
コーティング二、7.20%の酢酸セルロース及び0.80%のポリエチレングリコール4000であり、上記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
コーティング溶媒はアセトン及び水であり、例えばアセトンと水との質量比は9:1であり、コーティング溶液の固形分は5%であり、上記固形分は、コーティング溶液総質量に占める固体物質総質量の百分率である。
【0060】
コーティング三、6%の酢酸セルロース及び3%のポリエチレングリコール4000であり、上記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
コーティング溶媒はアセトン及び水であり、例えばアセトンと水との質量比は9:1であり、コーティング溶液の固形分は5%であり、上記固形分は、コーティング溶液総質量に占める固体物質総質量の百分率である、
という組成の何れか1つである。
【0061】
一実施形態において、上記コーティング溶液は、コーティング溶媒、酢酸セルロース及びポリエチレングリコール4000の混合溶液である。
【0062】
上記錠剤コアは薬物含有層コア及びブースター層コアからなり、ブースター層コアを含まない場合、錠剤コアは薬物含有層コアとなる。
【0063】
本発明は更に、上記徐放性組成物の製造方法であって、
薬物含有層コアの組成を単独で混合した後、加圧して薬物含有層コアを得る(製造プロセスは粉末直接加圧、乾式造粒、湿式造粒などであってもよい)ステップと、上記薬物含有層コアをコーティング(半透膜コーティング)した後に薬物含有層の片側に孔を開け、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
【0064】
一実施形態において、上記製造方法は、具体的には以下のステップを含む:
ステップ1)、薬物含有層コアの潤滑剤以外の組成をふるいにかけて混合した後、更に潤滑剤と混合し、薬物含有層混合物を得て、
或いは、薬物含有層コアの流動促進剤及び潤滑剤以外の組成をふるいにかけて混合した後、更に流動促進剤及び潤滑剤と混合し、薬物含有層混合物を得る。
【0065】
ステップ2)、ステップ1で得られた薬物含有層混合物と潤滑剤とを混合し、打錠し、薬物含有コアを得る。
【0066】
ステップ3)、ステップ2)で得られた薬物含有層コアをコーティングし、エージングし、コーティング錠剤を得る。
【0067】
ステップ4)、ステップ3)で得られたコーティング錠剤に孔を開け、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得る。
【0068】
本発明の実施形態によれば、ステップ1)において、上記ふるいかけは60メッシュのふるい又は40メッシュのふるいであってもよい。
【0069】
本発明の実施形態によれば、ステップ1)において、上記混合はミキサー、例えば混合タンクで行われてもよい。上記混合の速度は18 r/minであってもよく、上記混合の時間は1 min~2 h、例えば20 minであってもよい。
【0070】
本発明の実施形態によれば、ステップ2)において、上記薬物含有コアの硬度は100 N~160 Nである。
【0071】
本発明の実施形態によれば、ステップ3)において、上記コーティングの温度は、好ましくは25℃~45℃、例えば30℃である。
【0072】
本発明の実施形態によれば、ステップ3)において、上記コーティングは、好ましくは、コーティングの重量増加が6%~20%であり、上記百分率は、(サクビトリルバルサルタンナトリウムコーティング錠剤の重量-薬物含有層コアの重量)/薬物含有層コアの重量×100%である。
【0073】
本発明の実施形態によれば、ステップ3)において、上記エージングの温度は、好ましくは20℃~60℃、例えば45℃である。
【0074】
本発明の実施形態によれば、ステップ3)において、上記エージングの時間は、好ましくは10 h~30 h、例えば24 hである。
【0075】
本発明の実施形態によれば、ステップ4)において、上記孔開けは、薬物含有層の片側の中心位置に孔を開けてもよい。上記孔開けの孔径は0.4 mm~0.7 mmであってもよい。
【0076】
本発明は更に、徐放性組成物の製造方法であって、薬物含有層コアの組成及びブースター層コアの組成の両方を単独で混合した後、加圧して二重コアを得る(各層の混合粉末の製造プロセスは粉末直接加圧、乾式造粒、湿式造粒などであってもよい)ことと、上記二重コアをコーティング(半透膜コーティング)した後に薬物含有層の片側に孔を開け、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物を得ることと、を含む、製造方法を提供する。
【0077】
一実施形態において、上記製造方法は、具体的には以下のステップを含む:
ステップA1)、薬物含有層コアの潤滑剤以外の組成をふるいにかけて混合した後、更に潤滑剤と混合し、薬物含有層混合物を得る。
【0078】
ステップA2)、ブースター層コアの潤滑剤以外の組成をふるいにかけて混合した後、更に潤滑剤と混合し、ブースター層混合物を得る。
【0079】
ステップA3)、ステップA1)で得られた薬物含有層混合物及びステップA2)で得られたブースター層混合物を打錠し、薬物含有コアを得る。
【0080】
ステップA4)、ステップA3)で得られた薬物含有コアをコーティングし、エージングし、コーティング錠剤を得る。
【0081】
ステップA5)、ステップA4)で得られたコーティング錠剤の薬物含有層の片側に孔を開け、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得る。
【0082】
本発明の実施形態によれば、ステップA1)及びステップA2)において、上記ふるいかけは40メッシュ又は60メッシュのふるいであってもよい。
【0083】
本発明の実施形態によれば、ステップA1)及びステップA2)において、上記混合はミキサー、例えば混合タンクで行われてもよい。上記混合の速度は18 r/minであってもよく、上記混合の時間は1 min~2 h、例えば5 min、10 min又は15 minであってもよい。
【0084】
本発明の実施形態によれば、ステップA4)において、上記コーティングの温度は、好ましくは25℃~45℃、例えば30℃である。
【0085】
本発明の実施形態によれば、ステップA4)において、上記コーティングは、好ましくは、コーティングの重量増加が6%~20%であり、上記百分率は、(サクビトリルバルサルタンナトリウムコーティング錠剤の重量-薬物含有コアの重量)/薬物含有コアの重量×100%である。
【0086】
本発明の実施形態によれば、ステップA4)において、上記エージングの温度は、好ましくは20℃~60℃、例えば45℃である。
【0087】
本発明の実施形態によれば、ステップA4)において、上記エージングの時間は、好ましくは10 h~30 h、例えば24 hである。
【0088】
本発明の実施形態によれば、ステップA5)において、上記孔開けは、薬物含有面の中心位置に孔を開けてもよい。例えば、上記孔開けの孔径は0.4 mm~0.7 mmであってもよい。
【0089】
本発明は更に、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物を含むサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤を提供する。
【0090】
本発明の実施形態によれば、上記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤は徐放錠、徐放性マイクロペレット、徐放性カプセルなどであってもよい。
【0091】
本発明は更に、駆出率が低下した慢性心不全を治療及び/又は予防する薬物の製造における、上記サクビトリルバルサルタン徐放性組成物又は上記サクビトリルバルサルタン徐放性製剤の応用を提供する。
【0092】
本発明は更に、駆出率が低下した慢性心不全を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする患者に有効量の上記サクビトリルバルサルタン徐放性製剤を投与することを含む、方法を提供する。
【0093】
本発明に使用される試薬及び原料は、何れも市販されている。
【0094】
本発明の有益な効果:
本発明は、従来技術とは異なり、徐放効果が良好で、放出が穏やかであり、慢性心不全患者のコンプライアンスが良好であるサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物、その製造方法及び応用を提供する。本発明のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物は、その薬物放出挙動が媒体環境のpH、胃腸運動、食物などの要因の影響を受けず、インビトロ-インビボ相関が良好であり、サクビトリル及びバルサルタンナトリウムを24 h以内に同期、穏やかに放出することができ、比較的良い治療効果を達成することができる。通常の即放性製剤と比較して、その利点は以下の通りである:(1)服薬回数を減少させ、徐放作用により良好な治療効果を達成し、患者のコンプライアンスを向上させることができ、(2)老人又は子供などの飲み込みが困難な方に対して、その服薬コンプライアンスの向上に有利であり、(3)患者が服薬を随意に中断することを避け、疾患の再発及び悪性合併症の進行を予防し、(4)1日1回で、臨床症状に応じて適切な規格を選択し、投与回数が少なく、投与が容易であり、毒性と副作用が比較的小さい。
【0095】
[図面の簡単な説明]
[
図1]実施例I-1におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0096】
[
図2]実施例I-2におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0097】
[
図3]実施例I-3におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0098】
[
図4]実施例I-4におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0099】
[
図5]実施例I-5におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0100】
[
図6]実施例I-6におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0101】
[
図7]実施例II-1におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0102】
[
図8]実施例II-2におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0103】
[
図9]実施例II-3におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0104】
[
図10]実施例II-3におけるpH4.5の酢酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0105】
[
図11]実施例II-3における水溶液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0106】
[
図12]実施例II-4におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0107】
[
図13]実施例II-5におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0108】
[
図14]実施例II-6におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0109】
[
図15]実施例II-6におけるpH4.5の酢酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0110】
[
図16]実施例II-6における水溶液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0111】
[
図17]実施例II-7におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0112】
[
図18]実施例II-8におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【0113】
[発明を実施するための形態]
以下、具体的な実施例に合わせて、本発明の技術案を更に詳しく説明する。下記の実施例は、単に本発明を例示的に説明し解釈するものであり、本発明の請求範囲を限定するものとして解釈されるべきではないと理解すべきである。本発明の上記内容に基づいて実現される技術は、何れも本発明による請求範囲内に含まれる。
【0114】
特に説明のない限り、下記の実施例に使用される原料及び試薬は何れも市販品であり、又は既知の方法によって製造することができる。
【0115】
溶出実験:本発明のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物は、体積900 mLのpH6.8のリン酸塩緩衝液において、USP第2法を使用して回転速度50 rpmの溶出方法で溶出実験を行った。
【0116】
実施例I-1~2
【0117】
【0118】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理し、ソルビトール、コロイダルシリカを40メッシュのふるいにかけて凝集物を除去した。
【0119】
ステップ1:上記配合におけるサクビトリルバルサルタンナトリウム、ソルビトール、ラクトース一水和物、塩化ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0120】
ステップ2:ステップ1で得られた薬物含有層混合物とコロイダルシリカとを混合し、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、更にステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、次に回転式プレス機に置き、1錠400 mg、硬度100 N~160 N、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0121】
ステップ3:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~120 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0122】
ステップ2で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、コーティング釡を使用して8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、送風量を30 m3/h~120 m3/hに制御し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加がそれぞれ10.3%及び10.1%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0123】
ステップ4:ステップ3で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0124】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠の溶出データは表1及び
図1~2に示される。
【0125】
【0126】
実施例I-3~4
【0127】
【0128】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理し、ソルビトールを40メッシュのふるいにかけて凝集物を除去した。
【0129】
ステップ1:上記配合におけるサクビトリルバルサルタンナトリウム、ソルビトール、塩化ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に内部添加ステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0130】
ステップ2:ステップ1で得られた薬物含有層混合物を乾式造粒機に入れ、一定の硬度を有する大きな錠剤に加圧できるように設備パラメータを調整し、更に1.0 mmのふるいで整粒し、更にステアリン酸マグネシウムと混合し、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、次に回転式プレス機に置き、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0131】
ステップ3:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~120 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0132】
ステップ2で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、コーティング釡を使用して8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、送風量を30 m3/h~120 m3/hに制御し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加がそれぞれ7.9%及び8.2%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0133】
ステップ4:ステップ3で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0134】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠の溶出データは表2及び
図3~4に示される。
【0135】
【0136】
実施例I-5~6
【0137】
【0138】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0139】
ステップ1:上記配合における薬物含有層のサクビトリルバルサルタンナトリウム、ポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に薬物含有層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0140】
ステップ2:上記配合におけるブースター層のポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、赤酸化鉄を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、10 min混合し、更にブースター層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、ブースター層混合物を得た。
【0141】
ステップ3:ステップ1で得られた薬物含有層混合物及びステップ2で得られたブースター層混合物を回転式プレス機に置き、薬物含有層の重量を333 mg、ブースター層の重量を167 mg、総重量を500 mg、硬度を100 N~180 Nとするように設備パラメータを調整し、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0142】
ステップ4:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~90 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0143】
ステップ3で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加が8.2%及び8.0%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0144】
ステップ5:ステップ4で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、穿孔面が薬物含有層(白色の対向面)であり、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0145】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠の溶出データは表1及び
図5~6に示される。
【0146】
【0147】
実施例II-1
【0148】
【0149】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0150】
ステップ1:上記配合における薬物含有層のサクビトリルバルサルタンナトリウム、コポビドン、ヒドロキシエチルセルロース、コロイダルシリカ、タルク粉末を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に混合材料を乾式造粒により整粒し、最後に薬物含有層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0151】
ステップ2:上記配合におけるブースター層のポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、コポビドン、赤酸化鉄を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、10 min混合し、更にブースター層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、ブースター層混合物を得た。
【0152】
ステップ3:ステップ1で得られた薬物含有層混合物及びステップ2で得られたブースター層混合物を回転式プレス機に置き、薬物含有層の重量を300 mg、ブースター層の重量を100 mg、総重量を400 mg、硬度を100 N~180 Nとするように設備パラメータを調整し、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0153】
ステップ4:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~90 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0154】
ステップ3で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加が8.0%~11.0%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0155】
ステップ5:ステップ4で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、穿孔面が薬物含有層(白色の対向面)であり、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0156】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩中の溶出データは表4及び
図7に示される。
【0157】
【0158】
実施例II-2
【0159】
【0160】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0161】
ステップ1:上記配合における薬物含有層の潤滑剤であるステアリン酸マグネシウム以外の原材料と補助材料を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に混合材料を乾式造粒により整粒し、最後に薬物含有層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0162】
ステップ2:上記配合におけるブースター層のポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、コポビドン、赤酸化鉄を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、10 min混合し、更にブースター層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、ブースター層混合物を得た。
【0163】
ステップ3:ステップ1で得られた薬物含有層混合物及びステップ2で得られたブースター層混合物を回転式プレス機に置き、薬物含有層の重量を280 mg、ブースター層の重量を120 mg、総重量を400 mg、硬度を100 N~180 Nとするように設備パラメータを調整し、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0164】
ステップ4:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~90 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0165】
ステップ3で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加が8.0%~11.0%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0166】
ステップ5:ステップ4で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、穿孔面が薬物含有層(白色の対向面)であり、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0167】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩中の溶出データは表5及び
図8に示される。
【0168】
【0169】
実施例II-3
【0170】
【0171】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0172】
ステップ1:上記配合における薬物含有層のサクビトリルバルサルタンナトリウム、コポビドン、ヒドロキシエチルセルロース、黄酸化鉄、コロイダルシリカ、タルク粉末を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に混合材料を乾式造粒により整粒し、最後に薬物含有層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0173】
ステップ2:上記配合におけるブースター層のポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、コポビドン、赤酸化鉄を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、10 min混合し、更にブースター層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、ブースター層混合物を得た。
【0174】
ステップ3:ステップ1で得られた薬物含有層混合物及びステップ2で得られたブースター層混合物を回転式プレス機に置き、薬物含有層の重量を300 mg、ブースター層の重量を100 mg、総重量を400 mg、硬度を100 N~180 Nとするように設備パラメータを調整し、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0175】
ステップ4:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~90 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0176】
ステップ3で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加が8.0%~14.0%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0177】
ステップ5:ステップ4で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、穿孔面が薬物含有層(白色の対向面)であり、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0178】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩、水及びpH4.5の酢酸塩媒体中の溶出データは表6及び
図9、
図11及び
図10に示される。
【0179】
【0180】
実施例II-4
【0181】
【0182】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0183】
ステップ1:上記配合における薬物含有層のサクビトリルバルサルタンナトリウム、コポビドン、ヒドロキシエチルセルロース、コロイダルシリカ、タルク粉末を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に混合材料を乾式造粒により整粒し、最後に薬物含有層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0184】
ステップ2:上記配合におけるブースター層のポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、コポビドン、赤酸化鉄を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、10 min混合し、更にブースター層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、ブースター層混合物を得た。
【0185】
ステップ3:ステップ1で得られた薬物含有層混合物及びステップ2で得られたブースター層混合物を回転式プレス機に置き、薬物含有層の重量を300 mg、ブースター層の重量を100 mg、総重量を400 mg、硬度を100 N~180 Nとするように設備パラメータを調整し、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0186】
ステップ4:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~90 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0187】
ステップ3で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加が8.0%~11.0%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0188】
ステップ5:ステップ4で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、穿孔面が薬物含有層(白色の対向面)であり、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0189】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩中の溶出データは表7及び
図12に示される。
【0190】
【0191】
実施例II-5
【0192】
【0193】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0194】
ステップ1:上記配合における薬物含有層の潤滑剤であるステアリン酸マグネシウム以外の原材料と補助材料を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に混合材料を乾式造粒により整粒し、最後に薬物含有層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0195】
ステップ2:上記配合におけるブースター層のポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、コポビドン、赤酸化鉄を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、10 min混合し、更にブースター層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、ブースター層混合物を得た。
【0196】
ステップ3:ステップ1で得られた薬物含有層混合物及びステップ2で得られたブースター層混合物を回転式プレス機に置き、薬物含有層及びブースター層の目標重量に従って打錠し、総重量を400 mg、硬度を100 N~180 Nとするように設備パラメータを調整し、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0197】
ステップ4:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~90 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0198】
ステップ3で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加が8.0%~11.0%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0199】
ステップ5:ステップ4で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、穿孔面が薬物含有層(白色の対向面)であり、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0200】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩中の溶出データは表8及び
図13に示される。
【0201】
【0202】
実施例II-6
【0203】
【0204】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0205】
ステップ1:上記配合における薬物含有層のサクビトリルバルサルタンナトリウム、コポビドン、ヒドロキシエチルセルロース、黄酸化鉄、コロイダルシリカ、タルク粉末を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に混合材料を乾式造粒により整粒し、最後に薬物含有層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、薬物含有層混合物を得た。
【0206】
ステップ2:上記配合におけるブースター層のポリオキシエチレン、塩化ナトリウム、コポビドン、赤酸化鉄を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、10 min混合し、更にブースター層のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、ブースター層混合物を得た。
【0207】
ステップ3:ステップ1で得られた薬物含有層混合物及びステップ2で得られたブースター層混合物を回転式プレス機に置き、薬物含有層の重量を300 mg、ブースター層の重量を100 mg、総重量を400 mg、硬度を100 N~180 Nとするように設備パラメータを調整し、軽弧円形の薬物含有コアを加圧した。
【0208】
ステップ4:
下記ステップに従って徐放性コーティング溶液を調製する:精製水をフラスコに加え、磁気撹拌機で撹拌し、撹拌プロセスにおいてアセトンを加え、全部加えた後に5 min撹拌して均一に混合し、更にOpadry(登録商標)CAを徐々に加え、30 min~90 min撹拌し続けて完全に溶解し、徐放性コーティング溶液を得た。
【0209】
ステップ3で得られた薬物含有コアを上記徐放性コーティング溶液でコーティングし、8 rpm~15 rpmの回転速度で回転し、ベッド温度を25℃~35℃に制御し、噴出速度を5 rpm~20 rpmの範囲に設定して噴出し、コーティングを継続してコーティングの重量増加が8.0%~14.0%になるまで噴出を停止し、更にベッド温度30℃~35℃で5 min~10 min乾燥し、錠剤を取り出し、次に設定温度45℃の送風乾燥箱に入れ、エージングを行い、24 h後にコーティング錠剤を得た。
【0210】
ステップ5:ステップ4で得られたコーティング錠剤に対してレーザーによる穿孔を行い、穿孔面が薬物含有層(白色の対向面)であり、細孔のサイズが0.4 mm~0.7 mmであり、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠を得た。
【0211】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩緩衝液、水及びpH4.5の酢酸塩媒体中の溶出データは表9及び
図14、
図16及び
図15に示される。当該徐放錠は正常な生理条件で環境媒体の影響を受けずに放出されることが示唆された。
【0212】
【0213】
実施例II-7
サクビトリルバルサルタンナトリウムを胃滞留性徐放錠剤に製造し、配合は以下の通りに設計された。
【0214】
【0215】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0216】
ステップ1:上記配合における潤滑剤以外の原材料と補助材料を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に配合量のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、材料混合物を得た。
【0217】
ステップ2:ステップ1で得られた混合物を回転式プレス機に置き、設備パラメータを調整し、錠剤重量を1000 mg、硬度を140 N~220 Nとするように打錠した。
【0218】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩緩衝液中の溶出データは表10及び
図17に示される。
【0219】
【0220】
実施例II-8
サクビトリルバルサルタンナトリウムを通常のゲルマトリックス徐放錠に製造し、配合は以下の通りに設計された。
【0221】
【0222】
製造プロセス:
上記サクビトリルバルサルタンナトリウムを60メッシュのふるいにかけて処理した。
【0223】
ステップ1:上記配合における潤滑剤以外の原材料と補助材料を混合釡に入れ、混合速度を18 r/minに設定し、20 min混合し、更に配合量のステアリン酸マグネシウムを加え、混合速度を18 r/minに設定し、5 min混合し、材料混合物を得た。
【0224】
ステップ2:ステップ1で得られた混合物を回転式プレス機に置き、設備パラメータを調整し、錠剤重量を500 mg、硬度を100 N~180 Nとするように打錠した。
【0225】
以上のステップで製造したサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠のpH6.8のリン酸塩緩衝液中の溶出データは表11及び
図18に示される。
【0226】
【0227】
実施例II-7~実施例II-8の結果から、胃滞留性徐放錠及び通常のゲルマトリックス徐放錠は、インビトロ溶出において、サクビトリル及びバルサルタンの放出速度に比較的大きい差があり、同期放出を達成することができないことが分かった。
【0228】
実施例I-1~実施例I-6及び実施例II-1~実施例II-6の結果から、インビトロ溶出において、本発明により開発された浸透圧ポンプ剤形では、サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放錠におけるサクビトリル及びバルサルタンが長時間で同期放出され、1日1回の投与要求を満たし、且つ薬物放出挙動が媒体環境のpHの影響を受けないことが分かった。
【0229】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の精神及び原則の範囲内でなされた何れの修正、同等置換、改良なども、本発明の請求範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【
図1】実施例I-1におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図2】実施例I-2におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図3】実施例I-3におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図4】実施例I-4におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図5】実施例I-5におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図6】実施例I-6におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図7】実施例II-1におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図8】実施例II-2におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図9】実施例II-3におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図10】実施例II-3におけるpH4.5の酢酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図11】実施例II-3における水溶液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図12】実施例II-4におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図13】実施例II-5におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図14】実施例II-6におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図15】実施例II-6におけるpH4.5の酢酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図16】実施例II-6における水溶液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図17】実施例II-7におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【
図18】実施例II-8におけるpH6.8のリン酸塩緩衝液中のサクビトリル及びバルサルタンの溶出曲線図を示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
24 h徐放性薬物であるサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物であって、サクビトリル及びバルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の40%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の65%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
前記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であってもよく、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の70%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の15%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の30%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の10%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)1 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)6 h以内に薬物活性成分の15%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリル及びバルサルタンの溶出は同期放出である、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項2】
サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物であって、前記徐放性組成物は24 h徐放性薬物であり、サクビトリル及びバルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の40%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~75%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の65%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
前記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であってもよく、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の35%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の20%~70%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の25%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の25%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の75%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物におけるサクビトリルの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の30%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
バルサルタンの溶出は、
A)2 h以内に薬物活性成分の25%以下を溶出し、
B)8 h以内に薬物活性成分の30%~65%を溶出し、
C)24 h以内に薬物活性成分の80%以上を溶出する、
という3つの特徴を同時に満たし、
好ましくは、前記サクビトリル及びバルサルタンの溶出は同期放出である、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項3】
サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物であって、前記組成物は、薬物含有層の片側に孔が開けられている薬物含有層コア及びコーティング膜を含み、前記薬物含有層コアは薬物活性成分及び担体を含み、前記薬物活性成分は、サクビトリルバルサルタンナトリウム、又はその薬学的に許容される他の塩形、溶媒和物及び水和物から選ばれる1種、2種又は複数種であり、前記担体は、浸透圧調整剤、膨潤剤、増粘剤、流動促進剤及び潤滑剤のうちの1種又は複数種であり、
前記徐放性組成物は更に、任意選択的にブースター層コアを含むか又は含まず、前記ブースター層コアは、浸透圧調整剤、膨潤剤、着色剤及び潤滑剤のうちの1種又は複数種を含み、前記コーティング膜は半透膜であり、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物は、請求項1又は2に記載の徐放性組成物であり、
好ましくは、前記薬物含有層コアは着色剤を更に含む、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項4】
前記薬物含有層コアにおいて、前記薬物活性成分はサクビトリルバルサルタンナトリウムであり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グルコース、フルクトース、スクロース及びラクトースのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、コポビドン、アラビアゴム、アルファ化デンプン及びポリビニルピロリドンのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記膨潤剤は、ポリオキシエチレン、カルボマー、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスポビドン及びアルギン酸ナトリウムのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記着色剤は、赤酸化鉄、黄酸化鉄及び黒酸化鉄から選ばれる1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記流動促進剤は、タルク粉末、微粉末シリカゲル、コロイダルシリカのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記潤滑剤は、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸、タルク粉末、ステアリン酸エステル、ステアロイルフマル酸塩及び微粉末シリカゲルのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記浸透圧調整剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グルコース、フルクトース、スクロース及びラクトースのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記膨潤剤は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、コポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アラビアゴム、カルボマー、カルボキシメチルデンプンナトリウム、アルギン酸ナトリウム及びポリオキシエチレンのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記着色剤は、赤酸化鉄、黄酸化鉄及び黒酸化鉄のうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記潤滑剤は、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸、タルク粉末、ステアリン酸エステル、ステアロイルフマル酸塩及び微粉末シリカゲルから選ばれる1種又は複数種であり、
好ましくは、前記ステアリン酸金属塩はステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸カルシウムであり、
及び/又は、
前記ステアリン酸エステルはステアリン酸グリセリドである、
ことを特徴とする請求項3に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項5】
前記薬物含有層コアにおいて、前記薬物活性成分の含有量は10.00%~80.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める薬物活性成分の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記浸透圧調整剤の含有量は1.00%~60.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める浸透圧調整剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記増粘剤の含有量は10.00%~70.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める増粘剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記膨潤剤の含有量は0.00%~70.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める膨潤剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記流動促進剤の含有量は0~5.00%、例えば0%~1.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める流動促進剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記潤滑剤の含有量は0.50%~60.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記薬物含有層コアにおいて、前記着色剤の含有量は0%~5.00%であり、前記含有量は、薬物含有層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率である、
ことを特徴とする請求項
3に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項6】
前記ブースター層コアにおいて、前記浸透圧調整剤の含有量は1.00%~60.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める浸透圧調整剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記膨潤剤の含有量は0%~90.00%、例えば0%~80.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める膨潤剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記着色剤の含有量は0.10%~10.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める着色剤の質量百分率であり、
及び/又は、
前記ブースター層コアにおいて、前記潤滑剤の含有量は0.10%~10.00%であり、前記含有量は、ブースター層コア総質量に占める潤滑剤の質量百分率である、
ことを特徴とする請求項
3に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項7】
前記半透膜は、膜形成材料、孔形成剤及び可塑剤のうちの1種又は複数種を含み、好ましくは、前記コーティング膜において、前記膜形成材料は、酢酸セルロース、エチルセルロース、フタル酸酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂のうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記コーティング膜において、前記孔形成剤は、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン及びポリビニルアルコールのうちの1種又は複数種であり、
及び/又は、
前記コーティング膜において、前記可塑剤は、三酢酸グリセリド、クエン酸グリセリド、グリセリド、フタル酸ジブチル及びフタル酸ジエチルのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、前記コーティング膜は、カラコンが提供する酢酸セルロース完全配合コーティングプレミックスである、
ことを特徴とする請求項
3に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項8】
前記薬物含有層コアは、
配合一、28.25%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、25.00%のソルビトール、21.25%のラクトース一水和物、2.50%の塩化ナトリウム、21.50%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.50%のコロイダルシリカ、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合二、56.50%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、20.00%のソルビトール、10.00%のラクトース一水和物、1.50%の塩化ナトリウム、10.50%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.50%のコロイダルシリカ、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合三、37.67%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、36.66%のソルビトール、3.67%の塩化ナトリウム、21.00%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合四、56.50%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、25.00%のソルビトール、2.50%の塩化ナトリウム、15.00%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合五、33.93%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、48.06%のポリオキシエチレン、3.00%の塩化ナトリウム、13.81%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合六、67.87%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、24.02%のポリオキシエチレン、1.5%の塩化ナトリウム、5.41%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合七、37.70%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、38.63%のコポビドン、18.67%のヒドロキシエチルセルロース、2.33%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合八、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、11.60%のコポビドン、8.33%のヒドロキシエチルセルロース、1.00%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、3.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合九、40.39%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、26.90%のコポビドン、27.00%のヒドロキシエチルセルロース、2.86%のタルク粉末、0.71%のコロイダルシリカ、2.14%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、19.93%のポリオキシエチレン、1.00%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、3.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十一、37.70%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、28.20%のコポビドン、28.66%のヒドロキシエチルセルロース、2.67%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.00%のステアリン酸マグネシウム、0.10%の黄酸化鉄であり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合十二、75.40%のサクビトリルバルサルタンナトリウム、6.83%のコポビドン、12.00%のヒドロキシエチルセルロース、2.67%のタルク粉末、0.67%のコロイダルシリカ、2.33%のステアリン酸マグネシウム、0.10%の黄酸化鉄であり、前記百分率は、薬物含有層コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という配合の何れか1つから選ばれ、
及び/又は、前記ブースター層コアは、
配合一、65.86%のポリオキシエチレン、31.74%の塩化ナトリウム、1.2%の赤酸化鉄、1.20%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合二、73.00%のポリオキシエチレン、20.00%のコポビドン、1.00%の赤酸化鉄、5.00%の塩化ナトリウム、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合三、60.83%のポリオキシエチレン、8.33%のコポビドン、29.17%の塩化ナトリウム、0.83%の赤酸化鉄、0.84%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合四、82.00%のポリオキシエチレン、10.00%のコポビドン、5.00%の塩化ナトリウム、1.00%の赤酸化鉄、2.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
配合五、63.00%のポリオキシエチレン、10.00%のコポビドン、25.00%の塩化ナトリウム、1.00%の赤酸化鉄、1.00%のステアリン酸マグネシウムであり、前記百分率は、ブースター層コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という配合の何れか1つから選ばれ、
及び/又は、前記コーティングは、
コーティング一、9.00%の酢酸セルロース及び1.00%のポリエチレングリコール4000であり、前記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
コーティング二、7.20%の酢酸セルロース及び0.80%のポリエチレングリコール4000であり、前記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率であり、
コーティング三、6%の酢酸セルロース及び3%のポリエチレングリコール4000であり、前記百分率は、錠剤コア総質量に占める各組成の質量百分率である、
という組成の何れか1つであり、
前記錠剤コアは薬物含有層コア及びブースター層コアからなり、ブースター層コアを含まない場合、錠剤コアは薬物含有層コアとなる、
ことを特徴とする請求項
3に記載のサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性組成物。
【請求項9】
サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤であって、
請求項
3に記載のサクビトリルバルサルタン徐放性組成物を含み、
好ましくは、前記サクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤の剤形は、徐放錠、徐放性マイクロペレット又は徐放性カプセルである、
ことを特徴とするサクビトリルバルサルタンナトリウム徐放性製剤。
【請求項10】
駆出率が低下した慢性心不全を治療及び/又は予防する薬物の製造における、請求項
3に記載のサクビトリルバルサルタン徐放性組成
物の応用。
【国際調査報告】