(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】圧縮ガスシリンダのガス密度測定
(51)【国際特許分類】
G01N 9/00 20060101AFI20240717BHJP
G01N 27/22 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
G01N9/00 B
G01N27/22 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501944
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022031716
(87)【国際公開番号】W WO2023287506
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バークス ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】エイフーセン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】オットー トロイ
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA01
2G060AB03
2G060AE19
2G060AF10
2G060AG03
2G060AG08
2G060BA09
2G060BD08
2G060KA01
(57)【要約】
圧力容器アセンブリ(28)は、圧力容器(10)と、ガス密度計器(30)と、を含む。当該圧力容器は、内部空隙(17)を規定している容器壁(15)を含む。当該ガス密度計器は、一対の板(34及び36)を有する平行板コンデンサ(32)を含む。当該板の対向する表面(38及び40)は、開放間隙(44)の幅の距離(d)だけ離されている。当該コンデンサの静電容量は、開放間隙内のガスの密度に関連している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器のボスのポートを封止するように構成された圧力容器プラグであって、
前記ポート内に受容されるように構成されたプラグ本体と、
前記プラグ本体によって支持され且つ開放間隙の幅の距離だけ離された対向する表面を有する一対の板を含む平行板コンデンサを備える、ガス密度計器と、
を備え、
前記コンデンサの静電容量は、前記開放間隙内のガスの密度に関連している、
圧力容器プラグ。
【請求項2】
前記プラグ本体は、近位端と、前記プラグ本体が前記ポート内に受容されたときに前記圧力容器の内部空隙に露出される遠位端と、を含み、
前記コンデンサは、前記遠位端において支持されている、
請求項1に記載のプラグ。
【請求項3】
前記ガス密度計器は、前記近位端において、一対の端子を有する端子ブロックを含み、前記端子の各々は、導電経路を介して前記板の一つに接続されている、請求項2に記載のプラグ。
【請求項4】
前記プラグは、バルブ系を含み、前記バルブ系を介して、ガスが前記内部空隙内へ注入され得る、又は、前記内部空隙から排出され得る、請求項1から3のいずれかに記載のプラグ。
【請求項5】
圧力容器アセンブリであって、
内部空隙を規定している容器壁を含む圧力容器と、
開放間隙の幅の距離だけ離された一対の板を含む平行板コンデンサを備えるガス密度計器と、
を備え、
前記対向する表面及び前記間隙が、前記内部空隙内のガスに露出されており、
前記コンデンサの静電容量は、前記ガスの密度に関連している、
圧力容器アセンブリ。
【請求項6】
前記容器壁によって支持されているとともに前記内部空隙へのポートを含む、ボスと、
前記ポート内に受容されたプラグ本体を備えるプラグと、
を含み、
前記平行板コンデンサは、前記プラグによって支持されている、
請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記プラグ本体は、近位端と、前記内部空隙に露出された遠位端と、を含み、
前記コンデンサは、前記遠位端において支持されている、
請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記プラグは、バルブ系を含み、前記バルブ系を介して、ガスが前記内部空隙内へ注入され得る、又は、前記内部空隙から排出され得る、請求項5から7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記コンデンサの前記静電容量と、前記ガスの前記密度と、に関連する静電容量信号を生成するように構成された静電容量測定回路を含む、請求項5から7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記板のうちの第1の板は、電気的グラウンドに接続されており、
前記静電容量測定回路は、前記板のうちの第2の板に接続されているとともに前記静電容量に関連する周波数を有する前記静電容量信号を出力するように構成された、タイマ回路を備えている、
請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記静電容量測定回路は、コントローラを含み、前記コントローラは、
前記静電容量信号に基づいて、前記コンデンサの前記静電容量を判定し、
前記静電容量と、前記対向する表面が離れている距離と、前記対向する表面の表面積と、自由空間の誘電率と、に基づいて、前記ガスの比誘電率を算出し、
前記比誘電率、及び、前記ガスの前記比誘電率と前記ガスの密度との間の関係、に基づいて、前記ガスの前記密度を判定し、
前記ガスの前記密度に関連する値を表す信号を生成する、
ように構成されている、
請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項12】
圧力容器内のガスの密度を測定する方法であって、
容器壁によって規定された前記圧力容器の内部空隙内に、ガスを収容することと、
平行板コンデンサの一対の板の間の間隙を、前記内部空隙に露出させることと、
静電容量測定回路を使用して、前記コンデンサの静電容量を示す静電容量信号を生成することと、
を含み、
前記静電容量信号は、前記ガスの密度に関連している、
方法。
【請求項13】
前記圧力容器は、前記容器壁によって支持されるとともに前記内部空隙へのポートを有する、ボスを含み、
前記方法は、
プラグ本体を有するプラグを提供することと、
前記ポート内に前記プラグ本体を受容することを含む、前記ポートを封止することと、
を含み、
前記平行板コンデンサは、前記プラグ本体によって支持されている、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記板のうちの第1の板を電気的グラウンドに接続することと、
前記板のうちの第2の板を、前記静電容量測定回路のタイマ回路に接続することと、
前記タイマ回路を使用して、前記静電容量信号を生成することと、
を含み、
前記静電容量信号は、前記静電容量に関連する周波数を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
コントローラを使用して実行される処理ステップを含み、前記処理ステップは、
前記静電容量信号に基づいて、前記コンデンサの前記静電容量を判定するステップと、
前記静電容量と、前記対向する表面が離れている距離と、前記対向する表面の表面積と、自由空間の誘電率と、に基づいて、前記ガスの比誘電率を計算するステップと、
前記比誘電率、及び、前記ガスの前記比誘電率と前記ガスの密度との間の関係、に基づいて、前記ガスの前記密度を判定するステップと、
前記ガスの前記密度に関連する値を表す信号を生成するステップと、
を含む、
請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景]
圧力容器は、例えば、水素、酸素、窒素、プロパン、メタン、及び、他の燃料といった多様な流体を圧力下で収容するために、一般的に使用されている。概して、圧力容器は、あらゆるサイズ又は構成を有することができる。これらの容器は、例えば、重いか又は軽いこと、一回のみ使用される(例えば、使い捨てである)こと、再使用可能であること、高圧(例えば、50ポンド毎平方インチ(psi)(344,738パスカル)よりも大きい)を受けること、低圧(例えば、50psi又は344,738パスカル未満)を受けること、あるいは、高温又は極低温で流体を貯蔵するために使用されること、が可能である。
【0002】
好適な圧力容器シェル材料は、鋼といった金属、又は、複合材を含み、複合材は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂により結合した、巻付け式の繊維ガラスフィラメント又は他の合成フィラメントの積層を含み得る。繊維は、繊維ガラス、アラミド、炭素、グラファイト、又は、あらゆる他の一般的に知られている繊維性の、強化材料であり得る。使用される樹脂材料は、繊維同士の接着、繊維層同士の接着、及び、容器が使用されるべき特定用途に必要とされる耐破砕性、をもたらすことが可能な、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、熱可塑性の、又は、あらゆる他の好適な樹脂性の、材料であり得る。これらの容器の複合材の構築により、重量の軽さ、並びに、腐食、疲労、及び、壊損に対する耐性、といった多数の利点がもたらされる。これらの特性は、強化繊維又は強化フィラメントの高い比強度によるものである。
【0003】
容器を封止するとともに、内部の流体が複合材料に接触することを防止するために、複合材シェル内には、高分子性又は他の非金属性の、弾性ライナ又は内袋が配設されていることが多い。ライナは、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、又は、あらゆる他の一般的に知られている技術により、製造することができる。代替的に、ライナは、鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、白金、金、銀、ステンレス鋼、及び、それらのあらゆる合金を含む、他の材料で製作することができる。このような材料は、概して、高い弾性率を有するものとして特徴付けることができる。1つの実施形態において、ライナは、ブロー成形された高密度ポリエチレン(HDPE)で形成されている。
【0004】
図1は、各々が参照により本明細書に援用されている、「Pressure vessel with damage mitigating system」と題された米国特許第5,476,189号と、「Pressure Indicator」と題された国際出願公開番号WO2019/070409と、に開示されているような、先行技術に従った細長い圧力容器10を例示している。
図2は、
図1の線2-2に沿って切断した部分断面図を例示しており、参照により本明細書に援用されている、「Boss for a filament wound pressure vessel」と題された米国特許第5,429,845号に開示されているような特徴を例示している。
【0005】
圧力容器10は、本体部12と、実質的に半球状又はドーム形状の端部14と、を有する。ボス16は、典型的にアルミニウムで構築されており、圧力容器10の一方端又は両端に設けられて、圧力容器10の内部環境又は内部空隙17と外部環境19との間の連通用のポートを提供する。
図2に示されるように、圧力容器10は、シェル18により被覆された(内側ポリマーライナのような)ライナ20を用いて形成された容器壁体15を有する。1つの例において、シェル18は、フィラメント巻付け式複合材シェルであり得る。シェル18が、圧力容器10にかかる構造負荷を解消する一方で、ライナ20は、ガス障壁をもたらす。
【0006】
ボス16は、外部表面23を有する頸部22と、ポート26と、を含み得る。ポート26は概して、ボス16の外部表面23を横切って、圧力容器10の外部環境19と内部環境17との間の流体連通を許容する。ボス16は、頸部22から半径方向外方に延在するフランジ24(環状フランジとして描く)も含み得る。フランジ24は、ライナ20の一部分と一部分との間に収容され得、及び/又は、ライナ20とシェル18との間に挟まれ得る。この構造により、ボス16が圧力容器10に固定され、ボス16とライナ20との間の境界面において封止がもたらされる。
【0007】
圧力容器を特定の体積のガスで充填しようと試みるとき、又は、圧力容器がいつ補充を必要とするのかを推定するとき、のように、当該圧力容器の既知の体積の内部空隙17内に収容されたガスの量(例えば、比密度又は比重量)を知得していることが望ましいことが多い。
【0008】
圧力容器内に収容されたガスの量を測定するために使用され得る1つの技術は、内部圧力に基づく。この目的に好適な圧力測定デバイスが、広く利用可能である。
【0009】
圧力測定に基づいた、圧力容器内のガスの量の推定についての1つの課題は、この圧力測定が、温度に依存していることである。圧力容器内のガスの温度が定常温度にあるとき、このことに対処するのは容易であり得る。しかしながら、圧力容器へのガスの充填中には、ガスの成層及び乱流混合によって容器内の温度が大きく変化し、圧力容器内のガスの量を、その時々で正確に計測することが極めて困難になる。
【0010】
[概要]
本開示の実施形態は、圧力容器の内部空隙内に収容されたガスの密度を、ガスの温度に非反応で測定するための、デバイス、圧力容器アセンブリ、システム、及び、方法、に関する。1つのデバイスは、圧力容器のボスのポートを封止するように構成された圧力容器プラグである。当該プラグは、ポート内に受容されるように構成されたプラグ本体と、ガス密度計器と、を含む。当該ガス密度計器は、プラグ本体によって支持された平行板コンデンサを含む。当該コンデンサは、開放間隙の幅の距離だけ離された対向する表面を有する一対の板を含む。コンデンサの静電容量は、開放間隙内のガスの密度に関連している。
【0011】
圧力容器アセンブリの1つの例は、圧力容器と、ガス密度計器と、を含む。当該圧力容器は、内部空隙を規定する容器壁を含む。当該ガス密度計器は、一対の板を有する平行板コンデンサを含む。当該板の対向する表面は、開放間隙の幅の距離だけ離されている。コンデンサの静電容量は、開放間隙内のガスの密度に関連している。
【0012】
圧力容器内のガスの密度を測定するためのシステムの1つの例は、圧力容器アセンブリと、静電容量測定回路と、を含む。当該アセンブリは、圧力容器と、ガス密度計器と、を含む。当該圧力容器は、内部空隙を規定する容器壁を含む。当該ガス密度計器は、開放間隙の確定された幅の距離だけ離された一対の板を有する平行板コンデンサを含む。対向する表面及び間隙は、内部空隙内のガスに露出されている。当該静電容量測定回路は、コンデンサの静電容量と、内部空隙内のガスの密度と、に関連する静電容量信号を生成するように構成されている。
【0013】
圧力容器内のガスの密度を測定する方法の1つの例においては、ガスが、容器壁によって規定された圧力容器の内部空隙内に収容される。平行板コンデンサの一対の板間の間隙が、内部空隙に露出される。静電容量測定回路を使用して、コンデンサの静電容量を示す静電容量信号が生成される。当該静電容量信号は、ガスの密度に関連している。
【0014】
この開示は、装置の形であっても方法の形であっても、その様々な組み合わせにおいて、以下に列挙する項目によっても特徴付けられ得る。
1.圧力容器のボスのポートを封止するように構成された圧力容器プラグであって、
前記ポート内に受容されるように構成されたプラグ本体と、
前記プラグ本体によって支持され且つ開放間隙の幅の距離だけ離された対向する表面を有する一対の板を含む平行板コンデンサを備える、ガス密度計器と、
を備え、
前記コンデンサの静電容量は、前記開放間隙内のガスの密度に関連している、
圧力容器プラグ。
2.前記プラグ本体は、近位端と、前記プラグ本体が前記ポート内に受容されたときに前記圧力容器の内部空隙に露出される遠位端と、を含み、
前記コンデンサは、前記遠位端において支持されている、
請求項1に記載のプラグ。
3.前記ガス密度計器は、前記近位端において、一対の端子を有する端子ブロックを含み、前記端子の各々は、導電経路を介して前記板の一つに接続されている、請求項2に記載のプラグ。
4.前記プラグは、バルブ系を含み、前記バルブ系を介して、ガスが前記内部空隙内へ注入され得る、又は、前記内部空隙から排出され得る、請求項1から3のいずれかに記載のプラグ。
5.圧力容器アセンブリであって、
内部空隙を規定している容器壁を含む圧力容器と、
開放間隙の幅の距離だけ離された一対の板を含む平行板コンデンサを備えるガス密度計器と、
を備え、
前記対向する表面及び前記間隙は、前記内部空隙内のガスに露出されており、
前記コンデンサの静電容量は、前記ガスの密度に関連している、
圧力容器アセンブリ。
6.前記容器壁によって支持されているとともに前記内部空隙へのポートを含む、ボスと、
前記ポート内に受容されたプラグ本体を備えるプラグと、
を含み、
前記平行板コンデンサは、前記プラグによって支持されている、
請求項5に記載のアセンブリ。
7.前記プラグ本体は、近位端と、前記内部空隙に露出された遠位端と、を含み、
前記コンデンサは、前記遠位端において支持されている、
請求項6に記載のアセンブリ。
8.前記プラグは、バルブ系を含み、前記バルブ系を介して、ガスが前記内部空隙内へ注入され得る、又は、前記内部空隙から排出され得る、請求項5から7のいずれかに記載のアセンブリ。
9.前記コンデンサの前記静電容量と、前記ガスの前記密度と、に関連する静電容量信号を生成するように構成された静電容量測定回路を含む、請求項5から7のいずれかに記載のアセンブリ。
10.前記板のうちの第1の板は、電気的グラウンドに接続されており、
前記静電容量測定回路は、前記板のうちの第2の板に接続されているとともに前記静電容量に関連する周波数を有する前記静電容量信号を出力するように構成された、タイマ回路を備えている、
請求項9に記載のアセンブリ。
11.前記静電容量測定回路は、コントローラを含み、前記コントローラは、
前記静電容量信号に基づいて、前記コンデンサの前記静電容量を判定し、
前記静電容量と、前記対向する表面が離れている距離と、前記対向する表面の表面積と、自由空間の誘電率と、に基づいて、前記ガスの比誘電率を算出し、
前記比誘電率、及び、前記ガスの前記比誘電率と前記ガスの密度との間の関係、に基づいて、前記ガスの前記密度を判定し、
前記ガスの前記密度に関連する値を表す信号を生成する、
ように構成されている、
請求項9に記載のアセンブリ。
12.圧力容器内のガスの密度を測定する方法であって、
容器壁によって規定された前記圧力容器の内部空隙内に、ガスを収容することと、
平行板コンデンサの一対の板の間の間隙を、前記内部空隙に露出させることと、
静電容量測定回路を使用して、前記コンデンサの静電容量を示す静電容量信号を生成することと、
を含み、
前記静電容量信号は、前記ガスの密度に関連している、
方法。
13.前記圧力容器は、前記容器壁によって支持されるとともに前記内部空隙へのポートを有する、ボスを含み、
前記方法は、
プラグ本体を有するプラグを提供することと、
前記ポート内に前記プラグ本体を受容することを含む、前記ポートを封止することと、
を含み、
前記平行板コンデンサは、前記プラグ本体によって支持されている、
請求項12に記載の方法。
14.前記板のうちの第1の板を電気的グラウンドに接続することと、
前記板のうちの第2の板を、前記静電容量測定回路のタイマ回路に接続することと、
前記タイマ回路を使用して、前記静電容量信号を生成することと、
を含み、
前記静電容量信号は、前記静電容量に関連する周波数を有する、
請求項12に記載の方法。
15.コントローラを使用して実行される処理ステップを含み、前記処理ステップは、
前記静電容量信号に基づいて、前記コンデンサの前記静電容量を判定するステップと、
前記静電容量と、前記対向する表面が離れている距離と、前記対向する表面の表面積と、自由空間の誘電率と、に基づいて、前記ガスの比誘電率を計算するステップと、
前記比誘電率、及び、前記ガスの前記比誘電率と前記ガスの密度との間の関係、に基づいて、前記ガスの前記密度を判定するステップと、
前記ガスの前記密度に関連する値を表す信号を生成するステップと、
を含む、
請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【0015】
この概要は、詳細な説明において以下にさらに記載される概念の精選を、簡略化された形で導入するために提供されている。この概要は、請求された主題の、鍵となる特徴又は本質的な特徴を識別するために意図されているのではなく、請求された主題の範囲を特定する補助として使用されることが意図されているのでもない。具体的には、1つの実施形態に関して本明細書において開示された特徴は、別の実施形態にも等しく適用可能であり得る。さらに、この概要は、請求された主題の範囲を特定する補助として使用されることが意図されているのではない。この説明の進展に伴い、多くの他の新規の利点、特徴、及び、関係が明らかになるであろう。以下に続く図及び説明は、例示的実施形態を、より特定的に例証している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【0017】
【
図2】
図1の線2-2に沿って切断した、
図1の圧力容器の一方の端部の部分断面図であって、典型的なボス、ライナ、及び、シェルの一例を示す、部分断面図である。
【0018】
【
図3】本開示の実施形態に係る圧力容器アセンブリの簡略化された断面図である。
【0019】
【
図4】本開示の実施形態に係る圧力容器内のガスの密度を測定するためのシステムの概略図である。
【0020】
【
図5】様々な温度において得られた水素ガスの比誘電率と当該ガスの密度との間の関係を例示しているチャートである。
【0021】
【
図6】本開示の実施形態に係る静電容量測定回路の図である。
【0022】
【
図7】本開示の実施形態に係る圧力容器内のガスの密度を測定する方法を例示しているフローチャートである。
【0023】
上記の図は、開示された主題の1つ以上の実施形態を明記しているが、この開示に注記されるように、他の実施形態も熟考されている。全ての場合において、この開示は、限定としてではなく代表として、開示された主題を提示している。理解されるべきこととして、この開示の原理の範囲内に入る多数の他の変更例及び実施形態が、当業者により考案されることが可能である。
【0024】
これらの図は、縮尺通りに描かれていないことがある。特に、いくつかの特徴は、明瞭にするために、他の特徴に対して拡大されていることがある。また、よりも上に、よりも下に、の上方に、の下に、頂部、底部、側部、右、左、垂直の、水平の、等といった用語が使用される場合、理解され得ることとして、それらは、説明を容易に理解するためにのみ使用されている。構造物は、その他の態様で配向され得ることが企図される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[例示的実施形態の詳細な説明]
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、以降により充分に説明されている。同じ又は同様の参照文字を使用して識別される要素は、同じ又は同様の要素を指す。しかしながら、本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形で具現化されてよく、本明細書において明記された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が包括的であって完全なものとなるように、且つ、本開示の範囲を当業者に充分に伝えるように、提供されている。
【0026】
圧縮ガスの産業においては、圧縮ガスに関して存在する温度圧力依存性により、シリンダ又は圧力容器を完全に充填する能力に課題が生じている。世界中のほとんどの行政区域は、高圧シリンダ又は容器が、規定された温度で所与の圧力まで充填されることを許容している。圧力容器を充填するより効果的な手段は、シリンダをある重量まで充填することであろう。多くの圧力容器の用途(例えば、自動車、トレーラー等内へ搭載される容器)にとって、容器をある重量まで充填することは、実現可能ではない、又は、費用対効果が高くない。
【0027】
本開示の実施形態は、圧力容器10の内部空隙17内に収容されたガスの密度を、ガスの温度に実質的に反応しない様態で測定するための、デバイス、圧力容器アセンブリ、システム、及び、方法、に関する。圧力容器を或る重量まで充填するような方法での圧力容器の充填がともすればできないときに、そのような方法での圧力容器の充填を行うために、これらの実施形態を使用することができる。したがって、本開示の実施形態は、自動車の燃料計器が、単に圧力推定値に依拠することとは対照的に、燃料コンテナ(圧力容器)内で利用可能なエネルギの量をより正確に知得できるようすること、及び、圧力容器の全容積までの安全且つ正確な充填を可能にすること、を含む、広範囲の利益をもたらす。
【0028】
図3は、本開示の実施形態に係る圧力容器アセンブリ28の簡略化された断面図である。一般的に、アセンブリ28は、ガス密度計器30と、圧力容器10と、を含む。計器30は、一対の平行板34及び36を有する平行板コンデンサ32を含む。板34及び36は、距離dだけ互いから離れており且つ概ね一致する表面積を有する、対向する表面38及び40を有する。距離dは、実質的に固定されていてもよい。しかしながら、距離dは、板34及び36の変形により変動してもよい。一般に、距離dは、既知のパラメータであり、当該パラメータは、好適な技術を使用して判定され得る。板34及び36は、板34及び36の非露出部分を周囲の材料から電気的に絶縁するとともに、板34及び36の相対位置を固定する、例えば、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)といった好適な電気絶縁材料42内、及び/又は、別の好適な誘電性若しくは電気絶縁性材料内において、支持され得る。
【0029】
分離距離dに対応する間隙44は、板34及び36の表面38及び40間に延在する。コンデンサ32は、間隙44が圧力容器10の内部空隙17に向けて開放しているように支持される。よって、圧力容器10の内部空隙17内のガスは、間隙44を充填しており、コンデンサ32に対する誘電体として機能する。以下に論じるように、非誘電率(したがって、コンデンサ32の静電容量)と内部空隙17内に収容されたガスの密度との間には、ある関係が存在する。よって、計器30を使用して測定された静電容量が使用されて、内部空隙17内に収容されたガスの密度及びガスの量が判定され得る。
【0030】
間隙44が圧力容器10の内部空隙17に向けて開放するように、アセンブリ28の計器30は、あらゆる好適な態様で支持され得る。1つの実施形態において、計器30は、圧力容器10の壁15(
図2)によって支持されている。より具体的な一例において、コンデンサ32は、プラグ50に取り付けられており、プラグ50は、
図3に示されるように、ボス16を介して、圧力容器10の壁によって支持され得る。
【0031】
プラグ50は、あらゆる好適な形を呈してよく、
図3に示されるように、圧力容器のボス16を封止するように動作し得る。Oリングといった従来の封止コンポーネントは、図面を簡略化するために示していない。プラグ50は、近位端56における肩部分54と、遠位端60に向けて延在するシリンダ部分58と、を有するプラグ本体52を含み得る。シリンダ部分58は、ボス16内に受容されるように構成されており、ボス16のねじ山付き内部表面64と協働してプラグ50をボス16に固定するねじ山付き外部表面62を含み得る。プラグ50をボス16に固定するための他の従来の技術が使用されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、プラグ50は、従来のバルブ系66を含み、バルブ系66は、圧力容器10の内部空隙17からのガスの退出及び内部空隙17へのガスの進入を促進し得る。
【0033】
1つの実施形態において、
図3に示されるように、コンデンサ32は、間隙44が内部空隙17に露出された状態で、プラグ本体52の遠位端60において支持される。或いは、コンデンサ32は、内部空隙17への開放通路が間隙44に向けて延在するという前提で、プラグ本体52のより内部の箇所において支持されていてよい。
【0034】
1つの実施形態において、計器30は、プラグ本体52の近位端56において、端子ブロック68を含む。端子ブロック68は、好適な導体74及び76を介して板34及び36にそれぞれ接続された端子70及び72を含み得る。1つの代替例において、ガス密度計器30は、コンデンサ32の静電容量を、処理のための外部回路に無線送信するように構成されてもよい。
【0035】
図4は、本開示の実施形態に係る圧力容器の内部内のガスの密度を測定するためのシステム80の簡略ブロック図である。システム80は、本明細書において開示された1つ以上の実施形態に従って形成された圧力容器アセンブリ28と、静電容量測定回路82と、を含み得る。上述したように、
図4に示すように、一般的に、アセンブリ28の実施形態は、圧力容器10と、容器10の壁体15によって支持されたガス密度計器30と、を含む。これは、
図3の構成を含み、当該構成においては、計器30がプラグ50によって支持され、そして、プラグ50が、圧力容器10の壁15に取り付けられたボス16によって支持されている。
【0036】
静電容量測定回路82は、計器30の端子ブロック68を介するようにコンデンサ32に接続されており、コンデンサ32の静電容量(CMEAS)の測定(例えば、検知又は検出)と、コンデンサ32の測定された静電容量を示す又は関連する静電容量信号84の生成と、を行うように構成されている。
【0037】
1つの実施形態において、回路82は、当該静電容量信号に基づいて、内部空隙17内のガスの比誘電率を算出することと、当該比誘電率に基づいて、ガスの密度を判定することと、を行うように構成されたコントローラ90を含む。以下に述べるように、いくつかのガスについて、容器10内のガスの量のこの計算は、ガスの温度から独立して実行され得る。
【0038】
コントローラ90は、回路82のコンポーネントを制御して、及び/又は、例えば静電容量信号84等の信号を処理して、例えば、容器10内のガスの密度の判定又は算出のような本明細書に記載された1つ以上の機能を実行する、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理装置)を表し得る。コントローラ90は、命令の実行に応じてこれらの制御機能を実行する。当該命令は、ローカルの及び/又は遠隔のメモリ又はコンピュータ可読媒体を表すメモリ92内に記憶され得る。このようなメモリ92は、例えば、ハードディスク、CD-ROM、光学記憶デバイス、及び/又は、磁気記憶デバイスのような、一時的な波動又は信号を含まない、特許の主題として適格なあらゆる好適なコンピュータ可読媒体を含む。コントローラ90の1つ以上のプロセッサは、1つ以上のコンピュータベースのシステムのコンポーネントであり得、1つ以上の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム、及び/又は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)といった、1つ以上のプログラマブルハードウェアコンポーネント、を含み得る。1つの好適なコントローラ90は、ARM7 32ビット縮小命令セットコンピュータ(RISC)マイクロコントローラ、又は、同様のコントローラである。
【0039】
コントローラ90は、以下に示す式1を使用して、内部空隙17内のガスの比誘電率κを算出し得る。
【数1】
式中、dは、板34及び36間の距離、Aは、板間の断面積(例えば、表面38及び40の面積)、ε
0は、自由空間の誘電率である。したがって、コントローラ90は、静電容量信号により示された、測定又は検出された静電容量と、コンデンサ32の既知の形状寸法と、に基づいて、方程式1を使用して、ガスの比誘電率を算出する。
【0040】
さらに、ガスの誘電体とその密度との間には、既知の関係が存在する。よって、圧力容器10の内部空隙17が既知のガスで充填されているとき、コントローラ90により計算された比誘電率を使用し、密度に対するガスの比誘電率のマッピングに基づいて、ガスの対応する密度が判定され得る。当該マッピングは、回路82のメモリ92内に収容されていてもよい。その後、コントローラ90又は別の演算デバイスを使用して、ガスの判定された密度を使用し、内部空隙17の体積に基づいて、圧力容器10の内部空隙17内のガスの重量又は質量が算出され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、圧力容器10の内部空隙17内に水素ガス(H
2)が収容されており、メモリ92は、密度に対する水素ガスの比誘電率の関係のマッピングを格納している。
図5は、このような関係を例示するチャートであり、ここでは、水素ガスの比誘電率が、様々な温度において得られている。このチャートに示されるように、水素ガスの比誘電率は、処理容器10の広範囲の運転温度(例えば、-40℃~85℃)にわたり、温度から実質的に独立している。その結果、本開示に係る密度測定は、圧力容器10の空隙17内に収容された水素ガスの密度の判定に有用であり得る。したがって、内部空隙17内に収容されており、且つ、容器10の運転温度の範囲にわたって温度から実質的に独立している比誘電率を有する、水素又は別のガスの密度は、温度センサの使用を介した温度補償を提供する必要なく、コントローラ90により判定され得る。
【0042】
1つの実施形態において、コントローラ90は、内部空隙17内におけるガスの判定された密度に関連する値を表す信号94を出力する。よって、信号94により表された値は、ガスの密度を直接的に表し得る。或いは、コントローラ90は、判定された密度を処理して、当該密度及び内部空隙17の既知の体積に基づいて、空隙17内に収容されたガスの質量又は重量を表す信号94を生成し得る。
【0043】
回路82は、あらゆる好適な技術を使用して、静電容量信号84を生成してもよい。1つの例において、
図4に示されるように、回路82はタイマ回路86を含み、回路82は、板36を、回路82の電気的グラウンド又は電気的コモン88に接続する。1つの実施形態において、タイマ回路86は、コンデンサ32の静電容量を示すか又はコンデンサ32の静電容量に関連する周波数を有する静電容量信号84を出力するように構成されている。
【0044】
図6は、本開示の実施形態に係るタイマ回路86の一例を含む静電容量測定回路82の概略図である。1つの例において、タイマ回路86は、NE555タイマ集積回路チップ96、又は、同様のコンポーネント、を含む。
図6に示されるタイマ回路86の構成については、チップ96のピン6におけるC
MEASが、コントローラ90により、式2を使用して算出され得る。式中、f
OUTは、ピン3においてチップ96から出力された静電容量信号86のパルスの周波数である。
【数2】
コントローラは、式2を使用してコンデンサ32の静電容量C
MEASを算出又は判定した後、式1を使用して比誘電率を算出する。その後、コントローラ90は、内部空隙17内のガスの密度を、当該比誘電率、及び、当該比誘電率とガスの密度との間の関係(例えば、
図5)に基づき、メモリ92内に記憶されているルックアップテーブルといった好適なマッピングを使用して、判定することができる。その後、コントローラ90は、ガスの密度を表す密度信号94を生成し得る。
【0045】
例えば、密度信号94により表された密度値及び内部空隙17の既知の体積に基づき、内部空隙17内のガスの重量の算出のような信号94のさらなる処理を行うために、1つ以上のプロセッサ又は演算デバイスを表す追加的な処理回路98を使用してよい。いくつかの実施形態において、
図4に示されるように、処理回路98は、システム80のユーザに対し、ディスプレイ100上において、ガスの密度値、ガスの重量、及び/又は、他の情報、を提示する。提示された情報は、ユーザが圧力容器10の内部空隙17を、選択されたガスで所望の密度又は重量まで充填することを補助し得る。
【0046】
図7は、本開示の実施形態に係る圧力容器10の内部空隙17内のガスの密度を測定する方法を例示するフローチャートである。この方法の102においては、容器壁15によって規定された圧力容器10の内部空隙17内に、ガスが収容される(
図1及び
図2)。104においては、
図3及び
図4に示されるような手法で、平行板コンデンサ32の一対の板34及び36間の間隙44が、内部空隙に露出される。この方法の106においては、本明細書に記載された技術に係る静電容量測定回路82(
図4)を使用して、コンデンサ32の静電容量の値を示す又は表す静電容量信号84が生成される。
【0047】
上述したように、測定された静電容量は、ガスの密度に関連する。この方法のいくつかの実施形態において、コントローラ90は、108において示されるように、上述した式2を使用するような手法で、静電容量信号84に基づいて、コンデンサ32の静電容量を判定又は算出する。1つの実施形態において、コントローラ90は、この方法の110において示されるように、上述したように、当該静電容量と、板34と板36が離れている距離dと、板34及び板36の対向する表面38及び表面40の表面積と、自由空間の誘電率と、に基づいて、ガスの比誘電率を算出する。コントローラ90はその後、112において、当該比誘電率、及び、当該比誘電率とガスの密度との間の関係に基づいて、ガスの密度を判定してもよく、114において、ガスの密度に関連する値を表す信号94を生成してもよい。
【0048】
本開示の実施形態を好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、形及び詳細において変更が行われてもよいことを認識するであろう。
【国際調査報告】