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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】凝縮熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/43 20220101AFI20240717BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20240717BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240717BHJP
【FI】
F24H1/43
F28D7/02
F24H9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502212
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069917
(87)【国際公開番号】W WO2023285682
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2107687
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515004821
【氏名又は名称】セルメタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ、ル、メール
【テーマコード(参考)】
3L036
3L103
【Fターム(参考)】
3L036AA04
3L036AA43
3L036AA46
3L103AA01
3L103BB05
3L103CC02
3L103CC24
3L103DD05
(57)【要約】
本発明は:-平面状の前面(71)及び平面状の後面(72)を有し且つケーシング(2)に収容されるらせん状巻線(70)の形態の少なくとも1つのチューブ(7)、-前記ケーシング内で高温ガスを発生させるための手段(5)、-周辺フランジ(823)が設けられ、そのフランジが連続する2つのターン間の間隙に挿入されるように、らせん状巻線(70)に配置される円板状デフレクター(8)を備え、燃焼チャンバー(25)及び凝縮チャンバー(26)がケーシング(2)に設けられる凝縮熱交換器(10)に関する。この交換器は、前記フランジ(823)の前面(8231)が、燃焼チャンバー(25)に位置する前記巻線(70)の最後のターン(702)の後面(72)に気密的に取り付けられている点、前記フランジ(823)の後面(8232)と凝縮チャンバー(26)に位置する最初のターン(703)の前面(71)との間に少なくとも1つの突出要素(8233)が配置され、ガスの循環のための間隙(73’)がそれらの間に設けられるようになっている点、及び円板状デフレクターの外径(D1)は、らせん状巻線(70)の内径(D2)よりも小さく、高温ガスの循環のための通路(27)を提供するようになっている点で注目に値する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮熱交換器(10)であって、
- らせん状巻線(70)を形成するようにらせん状に巻かれ且つその内側において水などの被加熱流体が循環する少なくとも1つのチューブ(7)であって、このチューブ(7)が、良好な熱伝導性の材料で作られ、且つ、互いに対向して前記らせん状巻線(70)の軸(X-X’)に対して垂直又はほぼ垂直な平面状又は実質的に平面状の前面(71)及び平面状又は実質的に平面状の後面(72)を有し、この巻線が、隣り合うターン間に間隙(73)を設けるように配置されている、少なくとも1つのチューブ(7)と、
- 前記少なくとも1つのチューブ(7)が内側に取り付けられる気密ケーシング(2)であって、このケーシング(2)が、底部(21)と、ドア(4)が取り付けられる正面部(22)とを備え、このケーシング(2)が、燃焼済みガスを排出するためのスリーブ(23)とともに設けられ、前記チューブ(7)の前記前面(71)は前記ケーシング(2)の前記正面部(22)に向けられ、前記チューブ(7)の前記後面(72)は前記ケーシング(2)の前記底部(21)に向けられる、気密ケーシング(2)と、
- 前記ドア(4)に取り付けられ、ガスバーナー又はオイルバーナー(50)などの、前記ケーシングの内側に高温ガスを供給するための及び/又は生成するための手段と(5)、
- 前記チューブの前記らせん状巻線(70)の内側に配置されている円板状デフレクター(8)であって、前記ケーシング(2)の内側に、一方では前記ドア(4)と前記デフレクター(8)との間に燃焼チャンバー(25)を設け、他方では前記デフレクター(8)と前記ケーシングの前記底部(21)との間に凝縮チャンバー(26)を設けるようになっており、このデフレクター(8)は、周辺フランジ(823、823’)とともに設けられるシートメタルフレーム(82’、82)によって担持される熱的絶縁材料で作られるディスク(81)を備え、このフランジは、前記巻線(70)の連続する2つのターン間の間隙に介在しており、前記円板状デフレクター(8)の前記外径(D1)が、そのターンの内輪端部(74)においてとらえられる前記らせん状巻線(70)の内径(D2)よりも小さく、前記円板状デフレクター(8)のエッジと、前記凝縮チャンバー(26)に位置する巻線の前記最初のターン(703)の内輪端部(74)との間に、「高温ガス循環」通路(27)と呼ばれる通路を設けるようになっている、円板状デフレクター(8)と、
を備え、
前記フランジ(823、823’)は、互いに反対側の前記ケーシング(2)の前記正面部(22)に向けられる前面(8231)と、前記ケーシング(2)の前記底部(21)に向けられる後面(8232)とを有し、前記前面(8231)が、前記燃焼チャンバー(25)に位置する前記巻線(70)の前記最後のターン(702)の前記後面(72)に対して気密的に位置付けられ、少なくとも1つのスペーサー要素(8233、770、91)が、前記フランジ(823、823’)の前記後面(8232)と、前記凝縮チャンバー(26)に位置する前記巻線(70)の前記最初のターン(703)の前記前面(71)との間に配置され、それらの間に「ガス循環」間隙(73’)と呼ばれる間隙を設けるようになっており、それによってこれらの高温ガスが放射状又はほぼ放射状に、前記ガス循環間隙(73’)を外側から内側に通過し、そして前記ガス循環通路(27)を前側から後側に、前記凝縮チャンバー(26)の方向へ軸方向に通過することを特徴とする、
凝縮熱交換器(10)。
【請求項2】
前記凝縮チャンバー(26)に位置する前記巻線(70)の前記最初のターン(703)の前記前面(71)は、このターンの前記内輪端部(74)から延びる環状ショルダー(77)とともに設けられこと、及び、前記少なくとも1つのスペーサー要素(8233、770)は、前記環状ショルダー(77)と前記フランジ(823、823’)の前記後面(8232)との間に延び、前記ガス循環間隙(73’)を形成するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項3】
前記燃焼チャンバー(25)に位置する前記巻線の前記最後のターン(702)の前記後面(72)は、このターンの前記内輪端部(74)から延びる環状ショルダー(78)とともに設けられること、及び、前記フランジ(823、823’)の前記前面(8231)はこの環状ショルダー(78)に対して気密的に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱交換器(10)。
【請求項4】
前記スペーサー要素は、前記フランジ(823、823’)の前記後面(8232)に形成されるスタンピングなどの突出要素(8233)を備え、この突出要素(8233)は、前記ガス循環間隙(73’)を設けるように、前記凝縮チャンバー(26)に位置する前記巻線の前記最初のターン(703)の前記前面(71)に対して又はこの前面(71)の前記環状ショルダー(77)に対してもたれることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の熱交換器(10)。
【請求項5】
前記スペーサー要素は、前記チューブ(7)の壁に形成されるボスなどの突出要素(770)を備え、この突出要素(770)は、前記凝縮チャンバー(26)に位置する前記巻線(70)の前記最初のターン(703)の前記前面(71)から又はこの前面(71)の前記環状ショルダー(77)から突出すること、及び、この突出要素(770)は、前記ガス循環間隙(73’)を設けるように、前記フランジ(823、823’)の前記後面(8232)に対してもたれていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の熱交換器(10)。
【請求項6】
前記スペーサー要素は、前記ガス循環間隙(73’)を設けるように、前記凝縮チャンバー(26)に位置する前記巻線(70)の前記最初のターン(703)の前記前面(71)と、前記フランジ(823、823’)の前記後面(8232)との間に介在する歯(91)を有するくし状部(9)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の熱交換器(10)。
【請求項7】
前記円板状デフレクター(8)の前記シートメタルフレーム(82)は円形の底部(820)を有し、当該円形の底部(820)はこの底部に垂直な環状リム(821)によって縁取られて、熱的絶縁材料で作られる前記ディスク(81)を受け入れるための円板状キャビティ(822)を設けるようになっていること、及び、前記周辺フランジ(823、823’)はこの環状リム(821)から外側に突出することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の熱交換器(10)。
【請求項8】
熱的絶縁材料で作られる前記ディスク(81)は、前記燃焼チャンバー(25)の内側に前記円板状キャビティ(822)から突出する突出端部(810)を有すること、及び、この突出端部(810)の直径(D3)は、前記チューブの前記ターンの前記内輪端部(74)でとらえられた前記チューブの前記らせん状巻線(70)の内径(D2)に等しく、それによってこの突出端部(810)の前記側方エッジ(811)は、前記燃焼チャンバー(25)に位置する前記チューブの前記最後のターン(702)の前記内輪端部(74)と気密的に接触し、それによってそれらの二つの間の高温ガスの通過を防ぐことを特徴とする、請求項7に記載の熱交換器(10)。
【請求項9】
それは前記らせん状巻線(70)を形成する単一のチューブ(7)を備えること、及び、前記デフレクター(8)の前記シートメタルフレーム(82)の前記周辺フランジ(823)はらせん状であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の熱交換器(10)。
【請求項10】
それは少なくとも2つの隣り合うらせん状巻線(70)を形成するようにらせん状に巻かれる少なくとも2つのチューブ(7)を備え、一方は前記燃焼チャンバー(25)に配置され、他方は前記凝縮チャンバー(26)に配置され、前記2つの隣り合う巻線(70)間に配置される前記デフレクターの前記シートメタルフレーム(82)の前記周辺フランジ(823’)は、環状であり且つ前記2つの隣り合うらせん状巻線(70)の軸(X-X’)に対して垂直であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の熱交換器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は凝縮熱交換器の分野にある。
【0002】
本発明は、より具体的には、この交換器の凝縮チャンバーと燃焼チャンバーとの間に配置されるデフレクターの構造と、このデフレクターを固定するやり方とに関する。
【発明の概要】
【0003】
技術水準
添付の図1は、技術水準に基づく凝縮熱交換器の例示的な実施形態の断面図を表す。
【0004】
この図において、凝縮熱交換器1は、ケーシング2、らせん状に巻かれたチューブ3、ドア4、高温ガスを供給又は生成する手段5、及びデフレクター6を備えることが分かる。
【0005】
この熱交換器1は、長手方向軸X-X’に沿って延びる。図1において、それは、その通常の使用の位置で表されている。
【0006】
ケーシング2は、軸X-X’のチューブ状本体20であって、その後端において底部21で閉じられ且つその前端において正面部(facade)22を有するチューブ状本体20を備える。慣習的に、明細書の残りの部分及び特許請求の範囲において、「前面」という用語は、交換器の前部に向けられる面、すなわち正面部22の方に向けられる面を指し、「後面」という用語は、交換器の後部に向けられる面、すなわち底部21の方に向けられる面を指す。
【0007】
ケーシング2は、燃焼済みガスを排出するためのスリーブ23を備える。さらに、ケーシング2の下部はわずかに傾斜しており、これらの凝縮物を排出するためのダクト240に接続された排出オリフィス24を介し、重力によって凝縮水の排出を可能にするようになっている。
【0008】
正面部22は、その周縁部においてリム220を有し、当該リム220は、チューブ状本体20の前エッジにおいて、気密的に固定され、好ましくは溶接又は圧着されている。正面部22は、ドア4によって塞がれることが可能な中央開口部221を備える。
【0009】
ドア4は、その中央部分において、例えばガスバーナー又はオイルバーナーなどのバーナー50を支持し、当該バーナー50は、高温ガス5を生み出すための手段の例示的な実施形態を構成する。このバーナー50は、ケーシング2の外側で生成され且つその内側で推進される高温ガスを供給するための手段、例えばファンを用いる手段、によって、置き換えられうる。
【0010】
チューブ3は、長手方向軸X-X’のらせん状巻線30を形成するように、それ自体にらせん状に巻かれている。それは、図では見えないが、入口部と出口部を形成する2つの端部を有する。
【0011】
それは、熱的に良好な伝導材料で作られ、特に金属で作られ、有利にはステンレス鋼で作られる。それは、水などの加熱される流体を受け入れることが意図される。
【0012】
チューブ3は、オーバル状(oval)の直線セクション(このケースは図に表されていない)、又は、長手方向の2つの辺が平らにされ且つ長軸がらせん状巻線の軸X-X’に垂直である又はほぼ垂直である長方形の直線部を有する。従って、チューブ3は前面31及び後面32を有する。これらの面31、32は、断面に応じて平面又は実質的に平面である。
【0013】
チューブ3の隣り合う2つのターン間には、較正された値の間隙33がある。この間隙33は、例えば、チューブ3の2つの平面のうちの一方に、ここでは例えば前面31に、形成されたボス34を用いて、得られることができる。これらのボスは添付の図2においてより良く見える。
【0014】
デフレクター6は、軸X-X’に対して垂直に、チューブ3のらせん状巻線30の内側に配置され、ケーシング2の内側に、一方では、ドア4とデフレクター6との間に延び且つバーナー50を含む燃焼チャンバー25を提供し、他方では、デフレクター6とケーシング2の底部21との間に延びる凝縮チャンバー26を提供するようになっている。
【0015】
慣習的に、燃焼チャンバー25に位置するチューブ3のらせん状巻線の部分の最初のターンは、正面部22に接触して位置するものであり、それは35によって参照され、その一方でこの同じ部分の最後のターンは36によって参照される。同様に、凝縮チャンバー26に位置するチューブ3のらせん状巻線の部分の最後のターンは、底部21と接触して位置するものであり、それは38によって参照され、その一方でこの同じ部分の最初のターンは37によって参照される。
【0016】
デフレクター6は、熱的に絶縁する材料で作られるディスク61を有し、それは薄いシートメタルフレーム62によって支持され、後者は半径方向の周辺フランジ63が設けられる。
【0017】
デフレクター6はチューブ3の巻線30の内側に取り付けられ、それによってそのフランジ63が、燃焼チャンバー25に位置するチューブ3の最後のターン36と、凝縮チャンバー26に位置するチューブ3の最初のターン37との間に存在する間隙33において、気密的に挿入され且つ位置づけられるようになっている。
【0018】
この熱交換器1の動作は以下の通りである。加熱される流体(水)は、高温ガスと対向流で循環する。それは、最後のターン38に導入され、最初のターン35を通ってらせん状巻線から出る。
【0019】
バーナー50によって燃焼チャンバー25の内側で生み出される高温ガスは、内側から外側に、間隙33を通過することによってのみ、後者から出ることができる(矢印i)。そうすることで、それはチューブ3の壁を加熱し、したがってそこにおいて循環する水を加熱する。高温ガスがケーシング2の本体20に接触する場合、それは凝縮チャンバー26に向けて方向付けられ(矢印j)、その後、それは今度は外側から内側に、間隙33を通過することによって、凝縮チャンバー26の内側に戻る(矢印k)。
【0020】
図1において分かるように、デフレクター6を取り付けるやり方を考慮すると、最後のターン36とフランジ63との間又は最初のターン37とフランジ63との間には、高温ガスの通路がない。
【0021】
したがって高温ガスと、最初のターン37において及び最後のターン36において循環する水との間の熱交換は良好ではなく、したがって交換器1の全体的な効率は低くなる。
【0022】
さらに、2つのターン36及び37間の通路のこの閉塞は、ケーシング2において循環する高温ガスの圧力損失を発生させる。
発明の開示
したがって、発明の1つの目的は、前述の欠点を解決することであり、特に、凝縮チャンバー側のチューブの最初のターンにおいて及び燃焼チャンバー側の最後のターンにおいて循環する水と高温ガスとの間の熱交換を改善すること、及び、ターン間の通路の数を増やすことである。
【0023】
発明の他の目的は、チューブのターン間の間隙において循環する高温ガスの圧力損失を低減することである。
【0024】
この目的のために、発明は、以下を備える凝縮熱交換器に関する:
- らせん状巻線を形成するようにらせん状に巻かれ且つその内側において水などの被加熱流体が循環する少なくとも1つのチューブであって、このチューブが、良好な熱伝導性の材料で作られ、且つ、互いに対向して前記らせん状巻線の軸に対して垂直又はほぼ垂直な平面状又は実質的に平面状の前面及び後面を有し、この巻線が、隣り合うターン間に間隙を設けるように配置されている、少なくとも1つのチューブ、
- 前記少なくとも1つのチューブが内側に取り付けられる気密ケーシングであって、このケーシングが、底部と、ドアが取り付けられる正面部とを備え、このケーシングが、燃焼済みガスを排出するためのスリーブとともに設けられ、チューブの前面がケーシングの正面部に向けられており、チューブの後面がケーシングの底部に向けられている、気密ケーシング、
- 前記ドアに取り付けられるガスバーナー又はオイルバーナーなどの、前記ケーシング内に高温ガスを供給するため及び/又は生成するための手段、
- チューブのらせん状巻線の内側に配置されている円板状デフレクターであって、ケーシング内に、一方ではドアと前記デフレクターとの間に燃焼チャンバーを提供し、他方では前記デフレクターとケーシングの底部との間に凝縮チャンバーを提供するようになっており、このデフレクターが、周辺フランジとともに設けられるシートメタルフレームによって担持された熱的に絶縁された材料で作られるディスクを備え、このフランジが、前記巻線の連続する2つのターン間の間隙に配置されており、円板状デフレクターの外径が、そのターンの内輪端部(intrados ends)においてとらえられたらせん状巻線の内径よりも小さく、前記円板状デフレクターのエッジと、凝縮チャンバーに位置する巻線の最初のターンの内輪端部との間に、「高温ガス循環」通路と呼ばれる通路を設けるようになっている、円板状デフレクター。
【0025】
発明によれば、前記フランジは、互いに反対側のケーシングの正面部に向けられた前面と、ケーシングの底部に向けられた後面とを有し、前記前面が、燃焼チャンバーに位置する巻線の最後のターンの後面に対して気密なやり方で配置されており、少なくとも1つのスペーサー要素が、前記フランジの後面と、凝縮チャンバーに位置する前記巻線の最初のターンの前面との間に配置されて、それらの間に「ガス循環」間隙と呼ばれる間隙を設けるようになっており、それによってこれらの高温ガスが半径方向又はほぼ半径方向に、前記ガス循環間隙を外側から内側に通過し、その後、前記ガス循環通路を前側から後側に、凝縮チャンバーの方向へ軸方向に通過する。
【0026】
発明の特徴のおかげで、高温ガスは燃焼チャンバー側の最後のターンと、凝縮チャンバー側のチューブの最初のターンとの間で循環することができる。それにより熱交換が改善される。したがって、図1及び図3に表される例示的な実施形態において、凝縮チャンバーに4つのターンがあり、技術水準(図1参照)ではこれら4つのターン間に高温ガスのための通路が3つのみある一方で、発明の解決策(図3参照)によれば4つの通路があり、すなわち高温ガスの通路の33%の増大がある。
【0027】
さらに、前記ガス循環間隙及び前記高温ガス循環通路を作りだすことは、循環ガスの圧力損失を低減することを可能にする。従って、空気/ガスミクスチャー(mixture)をバーナー50内に送り込むことを可能にするファン(図には表されていない)又は高温ガス供給手段5のファンは、技術水準のものほど強力である必要はなく、その電気消費量はより低い。
【0028】
発明の有利で非限定的な他の特徴によれば、以下が単独で又は組み合わされて取り込まれる:
- 凝縮チャンバーに位置する巻線の最初のターンの前面は、このターンの内輪端部から延びる環状ショルダーとともに設けられ、前記少なくとも1つのスペーサー要素は、前記環状ショルダーとフランジの前記後面との間に延び、前記循環間隙を形成するようになっている;
- 燃焼チャンバーに位置する巻線の最後のターンの後面は、このターンの内輪端部から延びる環状ショルダーとともに設けられ、フランジの前面はこの環状ショルダーに対して気密なやり方で配置される;
- 前記スペーサー要素は、フランジの後面に形成されたスタンピングなどの突出要素によって構成され、この突出要素は、前記ガス循環間隙を提供するように、凝縮チャンバーに位置する巻線の最初のターンの前面に対して又はこの前面の環状ショルダーに対してもたれる;
- 前記スペーサー要素は、チューブの壁に形成されたボスなどの突出要素によって構成され、この突出要素は、凝縮チャンバーに位置する巻線の最初のターンの前面から又はこの前面の環状ショルダーから突出し、この突出要素は、前記ガス循環間隙を提供するように、フランジの前記後面に対してもたれている。
【0029】
- 前記スペーサー要素は、前記ガス循環間隙を提供するように、凝縮チャンバーに位置する巻線の最初のターンの前面と、前記フランジの後面との間に介在する歯を有するくし状部によって構成される;
- 円板状デフレクターの前記シートメタルフレームは円形の底部を有し、当該円形の底部はこの底部に垂直な環状リムによって縁取られて、熱的に絶縁された材料で作られるディスクを受け入れるための円板状キャビティを提供するようになっており、周辺フランジはこの環状リムから外側に突出している;
- 熱的に絶縁された材料で作られたディスクは、燃焼チャンバーの内側に円板状キャビティから突出する突出端部を有し、この突出端部の直径は、チューブのターンの内輪端部でとらえられたチューブのらせん状巻線の内径に等しく、それによってこの突出端部の側方エッジは、燃焼チャンバーに位置するチューブの最後のターンの内輪端部と気密的に接触し、したがってそれらの二つの間の高温ガスの通過を防止する;
- 交換器は、らせん状巻線を形成する単一のチューブを備え、デフレクターのシートメタルフレームの周辺フランジはらせん状になっている;
- 交換器は、少なくとも2つの隣り合うらせん状巻線を形成するようにらせん状に巻かれた少なくとも2つのチューブを備え、一方は燃焼チャンバーに配置され、他方は凝縮チャンバーに配置され、前記2つの隣り合う巻線間に配置されたデフレクターのシートメタルフレームの周辺フランジは、環状であり、2つの隣り合うらせん状巻線の軸に対して垂直である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
発明の他の特徴、目的及び利点は以下の説明から明らかになり、当該以下の説明は、単なる例示であって限定的なものではなく、添付図面との関連で読まれるべきであり、当該添付図面において:
図1図1は、技術水準による凝縮熱交換器の例示的な実施形態の縦断面図である。
図2図2は、図1の熱交換器チューブの一部の斜視図である。
図3図3は、発明による凝縮熱交換器の第1実施形態の縦断面図である。
図4図4は、発明による熱交換器の凝縮チャンバーに位置する交換器のチューブの一部の斜視図である。
図5図5は、発明による熱交換器に位置することが意図されるデフレクターの第1実施形態の斜視図である。
図6図6は、発明による熱交換器に位置することが意図されるデフレクターの第2実施形態の斜視図である。
図7図7は、図3の凝縮熱交換器の下部の詳細図であり、デフレクターの一部を示し、チューブの最後の2つのターンが燃焼チャンバーに位置しており、チューブの最初の2つのターンが凝縮チャンバーに位置している。
図8図8は、図7と同様であるが、発明による凝縮熱交換器の第2実施形態を表す詳細図である。
図9図9は、図7と同様であるが、発明による凝縮熱交換器の第3実施形態を表す詳細図である。
図10図10は、図7と同様であるが、発明による凝縮熱交換器の第4実施形態を表す詳細図である。
図11図11は、図7と同様であるが、発明による凝縮熱交換器の第5実施形態を表す詳細図である。
図12図12はスペーサー要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
次に、10によって参照される発明による熱交換器が、図3を参照してより詳細に説明される。図1及び図2に関連して先に説明された、技術水準の交換器1と共通する要素には、同じ数値参照を付し、再度詳細に説明されることはない。
【0032】
熱交換器10は、デフレクター近傍におけるチューブの構造によって且つこのデフレクターの構造によって、先のものとは異なる。この交換器10において、チューブは参照7を有し、デフレクターは参照8を有する。
【0033】
図3に表されるように、熱交換器10は、らせん状巻線70を形成するように、軸X-X’を中心にらせん状に巻かれた単一のチューブ7を備えることができる。それは、図では見えない入口部及び出口部を形成する2つの端部を有する。それは、熱的に良好な伝導性の材料で作られ、特に金属で、有利にはステンレス鋼で、作られる。加熱されることになる流体はそこで循環する。
【0034】
チューブ7は、(例えばオーバル(oval)形状の、又は、平坦化された2つの長手方向の辺を有するオーバル形状の又は長方形の直線セクションの)直線状断面、好ましくは細長形状(oblong)断面を有し、それによって2つの対向する側方面を有するようになっており、当該2つの対向する側方面は、したがってそれぞれ平面状又は実質的に平面状の前面71及び後面72であり、これらの面は巻線70の軸X-X’に対して垂直又はほぼ垂直である。
【0035】
チューブ7の異なるターンは、較正された幅Lの間隙73によって互いに離間している。
【0036】
らせん状巻線70の各ターンの内輪端部(つまり、巻線の内側に位置する端部)は、74で参照され、円の直線的な弧の形状を有する。75によって参照される反対の外輪端部に関しても、同じことが言える。
【0037】
間隙73は、スペーサー要素を用いて較正される。
【0038】
有利には、間隙73は、チューブ7の平坦面のうちの一つ(例えばここでは前面71)に形成されたボス76(又は波形部)を用いて、このチューブ7の壁で、較正されることができる。これらのボス76は、軸X-X’に対して実質的に放射状に配置されている。それらはチューブ3のボス34と同じである。各ボス76は、隣り合うターンの面(ボスが設けられていない)にもたれる。これらのボスは明確に決められた高さを有し、間隙73の幅を正確に較正することを可能にする。
【0039】
間隙73は、また、図10及び図11に表されるものなどのくし状部9とともに、形成されることもできる。そのようなくし状部は、中央バー90及び複数の垂直タブ91(くし状部の歯)を有する。このくし状部9は、巻線70の連続する2つのターン間に各歯91が挿入されるように、巻線70に対して配置されている。好ましくは、巻線70の両側に配置された少なくとも2つのくし状部9が使用される。
【0040】
燃焼チャンバー25に位置するらせん状巻線70の部分の最初のターン及び最後のターンは、それぞれ数値参照701及び702を有し、凝縮チャンバー26に位置する巻線70の部分の最初のターン及び最後のターンは、それぞれ数値参照703及び704を有する(図3参照)。
【0041】
デフレクター8は、薄いシートメタルフレーム82によって支持される熱的に絶縁された材料で作られるディスク81を備える。図5及び図6においてより良く分かるように、フレーム82は、底部に垂直な環状リム821によって縁取られた円形の底部820を有する。底部820及びリム821はともに、ディスク81を受け入れて保持するように寸法決めされる円板状キャビティ822を画成する。
【0042】
熱交換器10が単一のらせん状に巻かれたチューブ7を備える場合において、フレーム82は、図5に表されるような形状であり、リム環状体821から実質的に半径方向外側に延びるフランジ823を有し、このフランジ823はらせん状である。したがってこのフランジ823は、同じチューブの連続する2つのらせん状のターン間に挿入されることができる。
【0043】
交換器10は複数のチューブ7を備えることもでき、当該複数のチューブ7は、各々が軸X-X’を中心にらせん状に巻かれ、それらの軸が同軸となるように並んで配置される。従って、例えば、凝縮チャンバー26に配置され且つその内側に加熱されることになる第1流体が循環する第1チューブ巻線を有すること、及び、燃焼チャンバー25において第2チューブ巻線を有することが可能であり、当該燃焼チャンバー25の内側で同じ第1流体が、場合によっては加熱されることになる第2流体が、循環する。
【0044】
熱交換器10が、並んで配置された少なくとも2本のらせん状に巻かれたチューブ7を備える場合、デフレクターのフレームは先のものとは若干異なる。それは参照82’を有し、図6に示されている。それはフランジ823’を有し、当該フランジ823’は、環状であり、且つ、環状リム821から半径方向外側に延びる。そして、このリム821は一定の高さを持つ。フランジ823’は軸X-X’に対して垂直である。
【0045】
次に、デフレクター8をチューブ7に配置することを可能にする一方で、このデフレクターと、凝縮チャンバー26に位置するチューブ7の最初のターンとの間に、気体の通過のためのスペースを設ける発明のさまざまな実施形態について説明する。
【0046】
これらの様々な実施形態は、簡略化の目的のために、図5に表されるように、熱交換器10が単一の巻線70を備え且つデフレクター8がフレーム82を備える場合についてのみ説明されている。しかしながら、これら全ての実施形態は、ひいては図6に表されているようなフレーム82’を備えるデフレクター8の両側において、一方が燃焼チャンバー25に取り付けられ且つ他方が凝縮チャンバー26に取り付けられた少なくとも2つの異なる巻線とともに実施されることも可能である。
【0047】
次に、デフレクター8のフランジの及びチューブ7の第1実施形態について、図3図5及び図7を参照してより詳細に説明される。
【0048】
最初のターン703の前面71は、環状ショルダー77を有する。このショルダーは、それが最初のターン703の周囲に延びる点で環状である(図4参照)。
【0049】
この環状ショルダー77は、内輪端部74から、好ましくは前記最初のターン703の高さHの3分の1~2分の1において、延びる。したがって、ショルダー77のレベルでとらえられる最初のターン703の前面71と最後のターン702の後面72との間の幅L1は、間隙73の幅Lよりも大きい。
【0050】
このショルダー77の存在により、最初のターン703の前面71に設けられたボスは、ショルダー77のないターンの外側に向かってわずかにオフセットされ、参照76’が付されている。切断面の関係で、これらのボス76’は図7において見えないが、図3及び図4において見える。ボス76’は、最後のターン702の後面72に対してもたれている。
【0051】
チューブ7は、有利にはハイドロフォーミング(hydroforming)によって得られ、それはショルダー77とボス76、76’を正確に位置決めすることを可能にする。
【0052】
フレーム82のフランジ823は、正面部22側に向けられた前面8231と、反対の後面8232とを有する。後面8232は、例えばピン状の、好ましくは複数のピン状の、少なくとも1つの突出要素8233を有する。これらのピンは、有利には、前面8231のスタンピング(stamping)によって得られる。それらは、フランジ823の外周全体にわたって、好ましくは均一に、分布し、スペーサーの役割を果たす。
【0053】
デフレクター8は、フランジ823が最後のターン702の後面72と最初のターン703のショルダー77との間に挿入されるように、且つ、1又は複数の突出要素8233がこのショルダー77にもたれるように、巻線70の内側に取り付けられ、したがってショルダー77と最後のターン702の後面72との間に、「ガス循環」間隙と呼ばれる間隙73’を提供する。さらに、フランジ823の挿入は、その前面8231が最後のターン702の平面状の後面72に対して気密的に位置決め(押圧)されるように、行われる。こうしてフランジ823は、連続する2つのターン702とターン703との間に挟み込まれる。高温ガスは、この間隙73’において巻線70の外側から内側に向かって放射状に循環する(図3の矢印m参照)。
【0054】
さらに、デフレクター8の外径D1、より具体的には、ここではリム821の外面のレベルでとらえられるフレーム82の円板状キャビティ822の外径は、リム821と最初のターン703の内輪端部との間に「ガス循環通路」27と呼ばれる軸方向環状通路を提供するように、ターンの内輪端部74で測定されたらせん状巻線70の内径D2よりも小さい。高温ガスは、この通路27において前方から後方へと軸方向に循環する(図3の矢印n参照)。
【0055】
このガス循環通路27は、ガス循環間隙73’を凝縮チャンバー26と連通させる。従って、技術水準における場合とは逆に、高温のガスは最後のターン702と最初のターン703との間を循環することができ、それによって、チューブ7内を循環する被加熱流体(例えば水)との熱交換が増加する。
【0056】
有利には、熱的に絶縁された材料で作られるディスク81は、環状リム821よりも厚く、それによってそれが燃焼チャンバー25の方向に突出する突出端部810を有する(図3参照)。有利には、この突出端部810は、らせん状巻線70の内径D2と等しい直径D3を有し、それによって、この端部810の側方エッジ811は、最後のターン702の内輪端部74と接触し、その結果、この位置での高温ガスの通過が防止される。
【0057】
さらに、フランジ823に面して配置されたショルダー77が、最後のターン702で一定の圧延空間を、フランジ823のシートメタルの厚さによって減少されることなく、得ることを可能にすることに留意される。
【0058】
次に、デフレクター8のフランジとチューブ7の第2実施形態について、図8を参照してより詳細に説明する。
【0059】
この実施形態は、フランジ823がいかなる突出要素も有していない点、及び、最初のターン703が他方で環状ショルダー77に形成された少なくとも1つの突出要素770(スペーサー)、好ましくは複数のもの、を有する点で、第1のものと異なる。これらの突出要素770は、好ましくはショルダー77上に放射状に均等に配置される。上記のように、フランジ823の前面8231は、最後のターン702の平面状の後面72に対して気密的に位置決め(押圧)される。さらに、突出要素770(好ましくはボスである突出要素770)は、フランジ823の後面8232に当接し、それは、ガス循環間隙73’を設けることを可能にする。
【0060】
次に、デフレクター8のフランジ823及びチューブ7の第3実施形態について、図9を参照して説明する。それは、単に、燃焼チャンバー側の最後のターン702の後面72が環状のショルダー78を有する点で、図7に関連して説明した第1実施形態とは異なる。好ましくは、この環状ショルダー78は、内輪端部74から、最後のターン702の高さHの3分の1~2分の1において延びる。フランジ823の前面8231は、この環状ショルダー78に対して気密的に配置され、突出要素8233の高さは、ショルダー77に接触するように適宜適合される。
【0061】
次に、図10を参照して、デフレクター8のフランジ及びチューブ7の第4実施形態について説明する。
【0062】
それは、図9の第3実施形態とは、フランジ823が突出要素8233を含まない点で、最初のターン703がショルダー77を含まないが他方で突出要素770を含む点で、異なる。
【0063】
循環空間73’が設けられている限り、ショルダー77及び/又はショルダー78と、様々なスペーサー要素8233及び/又は770とを設けることによって、異なる実施形態を組み合わせることができることを理解するのは容易である。
【0064】
最後に、第5実施形態について、図11及び図12を参照して説明する。前述のくし状部9は、ガス循環間隙73’を形成するためにも使用される。この場合、その歯91のうちの1つが、凝縮チャンバー側26において、フランジ823の後面8232と最初のターン703の前面71との間に介在(挟持)され、その一方で、フランジ823は、最後のターン702の後面72に対して気密的に置かれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】