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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】燃料電池用バイポーラプレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0247 20160101AFI20240717BHJP
   H01M 8/0213 20160101ALI20240717BHJP
   H01M 8/0221 20160101ALI20240717BHJP
   H01M 8/0226 20160101ALI20240717BHJP
   H01M 8/0228 20160101ALI20240717BHJP
【FI】
H01M8/0247
H01M8/0213
H01M8/0221
H01M8/0226
H01M8/0228
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502531
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022070298
(87)【国際公開番号】W WO2023001870
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021207840.0
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522100316
【氏名又は名称】セルセントリック・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】594141406
【氏名又は名称】シュンク・コーレンストッフテヒニーク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ハオスマン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ヴァルトシュミット
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ヴィトカ
(72)【発明者】
【氏名】ハオケ・フォアマン
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・リン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA12
5H126DD04
5H126DD14
5H126GG05
5H126GG18
(57)【要約】
本発明は、2つのハーフプレート(2、3)からなる燃料電池用のバイポーラプレート(1)に関するものであり、互いに向かい合った表面(13、15)と、これらの表面(13、15)の領域内の、高さ(H)を有する凸部(14)および深さ(T)を有する対応する凹部(12)を備えた位置合せ要素(9)とを有する。本発明は、全ての凸部(14)および対応する凹部(12)が、横方向(Q)より長手方向(L)においてより大きい広がり(L1、L2)を有しており、各表面(13、15)に、位置合せ要素(9)の4つの対応する部分が配置されており、そのうち2つが共通の直線(10、11)上に位置して同じ方位で方向付けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのハーフプレート(2、3)からなる燃料電池用のバイポーラプレート(1)であって、互いに向かい合った表面(13、15)と、前記表面(13、15)の領域内の、高さ(H)を有する凸部(14)および深さ(T)を有する対応する凹部(12)を備えた位置合せ要素(9)とを有する、前記バイポーラプレート(1)において、
全ての前記凸部(14)および対応する前記凹部(12)が、横方向(Q)より長手方向(L)においてより大きい広がり(L1、L2)を有しており、各前記表面(13、15)に、前記位置合せ要素(9)の4つの対応する部分が配置されており、そのうち2つが共通の直線(10、11)上に位置して同じ方位で方向付けられていることを特徴とする、前記バイポーラプレート(1)。
【請求項2】
2つの前記位置合せ要素(9)の前記長手方向(L)が、同じ方位でそれぞれの前記直線(10、11)に沿って延在していることを特徴とする、請求項1に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項3】
前記直線(10、11)の少なくとも一方が、それぞれの前記ハーフプレート(2、3)の外形寸法の中間の対称線(S)と一致していないことを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項4】
前記直線(10、11)の少なくとも一方が、前記長手方向(L)における前記位置合せ要素(9)の寸法(L1、L2)の2倍よりも短い距離だけ前記対称線(S)から平行に離間していることを特徴とする、請求項3に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項5】
前記凸部(14)および前記凹部(12)が同じ形状を有しており、前記凸部(14)が、前記長手方向(L)、前記横方向(Q)、および前記高さ(H)において前記凹部(12)の対応する寸法よりも小さく形成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項6】
前記凸部(14)の前記表面(13、15)に対して横向きに延在する面が、前記表面(12、13)に対して前記凹部(12)の対応する面と同じ角度で延在していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項7】
前記横方向(Q)における広がり(Q1、Q2)が、前記長手方向(L)における広がり(L1、L2)の3分の1より小さく、前記高さ(H)および前記深さ(T)が、前記横方向(Q)における前記広がり(Q1、Q2)の半分よりも小さいことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項8】
前記長手方向(L)における前記広がり(L1、L2)が、2~10mm、好適には5~7mmであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項9】
前記ハーフプレート(2、3)が、プラスチック母材に分散して配置された炭素含有材料から形成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項10】
前記位置合せ要素(9)が、流れ案内領域(6)とそれぞれの前記ハーフプレート(2、3)の外縁(8)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載のバイポーラプレート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのハーフプレートからなり、これらが特に互いに接着される、請求項1の前文により詳しく定義されている種類による燃料電池用バイポーラプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のバイポーラプレートは、基本的に特許文献1から公知である。この場合、バイポーラプレートは、材料接続的に互いに結合される、例えば金属バイポーラプレートの場合には上記のドイツ公報に記載されているように溶接される、2つのハーフ部材または層からなる。
両方のハーフプレートまたは層の互いに対する可能な限り効率的な方向付けを可能にするために、この場合、ハーフプレートの互いに向かい合った表面に位置合せ要素が設けられている。位置合せ要素は、高さを有する凸部と深さを有する対応する凹部とからなる。両方のハーフプレートまたは層が重なり合って位置決めされると、凸部が凹部に係合することによってこれらの部材の互いに対する方向付けに役立つ。上記のドイツ公報には、これが図4以降の実施例において相応に記載されている。この場合、1つの方向において1つの要素を介して位置決めが行われ、別の方向において2つの要素を介して位置決めが行われるような構造となっている。そのために、プレートの一方では凹部が他方のプレートの凸部よりもかなり大きく形成されており、しかもこの凸部は凹部とは異なる形状を有している。これは比較的複雑である。さらに、方向付けのための要素が本来の流れ場の隣に設けられており、バイポーラプレートの外形に好ましくない影響が及ぼされるか、または、これらの要素を後になって切り離さなければならない場合に相当な追加の製造コストが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE102009036039A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、ここでの本発明の課題は、請求項1の前文により詳しく定義されている種類による、2つのハーフプレートからなる改良されたバイポーラプレートを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、請求項1、ここでは特に請求項1の特徴部分の特徴を備えたバイポーラプレートによって解決される。このバイポーラプレートの有利な形態および発展形態は、請求項1に従属する下位請求項から明らかになる。
【0006】
本発明によるバイポーラプレートでは、当分野に応じた従来技術と同様に、バイポーラプレートが2つのハーフプレートから構成されていることが企図されている。両方のハーフプレートは、少なくとも互いに向かい合ったそれらの表面に、表面領域内の位置合せ要素を有しており、この位置合せ要素は、高さを有する凸部と深さを有する対応する凹部とからなる。本発明によれば、全ての凸部および対応する凹部は、第2の横方向より第1の長手方向においてより大きい広がりを有し、長手方向および横方向は互いに対して直角であり、同じ平面に位置している。ここで、各々の表面には4つの位置合せ要素が配置されている。この場合、位置合せ要素の2つが共通の直線上に位置して同じ方位を有している。つまりこれは、共通の直線上に位置する両方の位置合せ要素の長手方向が、例えばハーフプレートの外縁またはハーフプレートの中央の対称線に対して同様に方向付けられており、一方、第1の直線と好適には交差する第2の直線上に位置する他の両方の位置合せ要素は、同様に同じ方位を有していることを意味する。このように、方位は対ごとに同じであるが、両対の間では好適には異なっている。これによって、両方のハーフプレートの相応に容易で効率的な位置決めが可能になり、次いでこれらのハーフプレートを容易に形状接続的に結合する、特に互いに接着することが可能になる。この接着は、この場合好適には、挿入された、またはハーフプレートの一方に適用された封止および接着剤を介して行うことができる。
【0007】
本発明によるバイポーラプレートの格別に好ましい一発展形態によれば、この場合、両方の位置合せ要素の長手方向が同じ方位で直線に沿って延在していることが企図されている。つまり、長手方向は、両方のそれぞれの位置合せ要素を接続する直線に沿って、またはこの直線と一致するように配置されている。その結果、この直線および長手方向に沿った位置の調節がある程度までさらに可能になる。この「ある程度」は、一方では凹部と他方ではこれに対応する凸部との間の不可避的な最小限の大きさの違いから生じるものであるが、ここではほんの10分の数ミリの範囲の公差が補償されるので、この「大きさの違い」は実際には非常に小さい。
【0008】
本発明によるバイポーラプレートのさらなる非常に有利な一形態によれば、この場合、直線の少なくとも一方がハーフプレートの外形寸法の中間の対称線と一致していない。原則的に、2つの位置合せ要素は対応するハーフプレートの中央で同一の直線上に位置付けることができる。ただし、直線が偏心して延在し、構造の中央のそのような対称線からずれていれば有利であることが証明されている。この直線は特に対称線に対して傾斜して延在していてもよく、その結果、同じ方位で配置された位置合せ要素が、例えばそれぞれのハーフプレートの対角線上の角部に配置されることになる。
【0009】
ただし、さらなる非常に好ましい一形態によれば、対称線からずれている直線が、対称線に対して平行に方向付けられ、長手方向の寸法の2倍よりも短い距離だけこの対称線から平行にずれていることがさらに企図されていてもよい。このように、この特に好ましい形態では、直線が対称線に対して「少し」だけずらされていることによって、方向付けおよび接着の前に起こり得るハーフプレートの互いに対する回転が効率的に阻止される。そのため、製造時の誤差が非常に起こりにくくなる。
【0010】
ここで本発明によるバイポーラプレートのさらなる非常に有利な一形態では、さらに、凸部および対応する凹部が同じ形状を有することをさらに企図していてもよい。この場合、凸部は長手方向、横方向、およびそれらの高さにおいて、長手方向、横方向、およびそれらの深さにおける凹部よりも小さく形成されている。形状が同じであること、および3つの空間方向全てにおいて凸部が凹部と比較して最小限にのみより小さく構成されていることによって、それぞれの凸部をそれぞれの凹部によって効率的に受け入れることが可能になり、こうして安定した確実な方向付けが達成される。そのため、両方のハーフプレートを互いに対して非常に僅かな公差で方向付けすることが可能になり、同時に、プレートにおける最小限の製造公差を効率的に補償することが可能になる。
【0011】
この場合、本発明によるバイポーラプレートの有利な一形態によれば、ハーフプレートが、炭素含有材料がその中に分散して配置されたプラスチック母材から形成される。この種のバイポーラプレートは、しばしば黒鉛板または炭素複合材製バイポーラプレートとも称され、通常は適宜の型枠で製造される。そのため、型枠によって僅かな公差で強制的に形状を実現することができるので、このようなバイポーラプレートは製造公差が比較的僅かである。したがって、凸部および対応する凹部を同じ形状とすることは、この種のプレート同士を最適に互いに接続するために理想的に適用することができる。その点、例えば冒頭で述べた従来技術に記載された金属バイポーラプレートは異なっており、溶接の際に相応に膨張するため、凸部および対応する凹部の外形を同一にすることがほぼ不可能である。
【0012】
さらなる非常に有利な一形態は、さらに、表面に対して横向きに延在する凸部の面が、表面に対して凹部の対応する面と同じ角度で配置されていることを企図する。つまり、位置合せ要素内において、凸部および凹部の両方が表面に対して横向きに延在するそれらの領域において同じ角度を有していれば、特に好ましい。この角度は例えば約5~15°であってよく、それによって、両方のハーフプレートをそれらの位置合せ要素の領域において確実に互いに進入させると同時に、両方のハーフプレートを接着するために一方のハーフプレートの位置を他方のハーフプレートに対して方向付けることが可能になる。
【0013】
非常に有利な一形態によれば、この場合、目標とする好適な方向を確実に定めるために、位置合せ要素の横方向における広がりが長手方向における広がりの3分の1より小さくてもよい。この場合、高さおよび深さは横方向における広がりの半分よりも小さい。それによって、凸部が凹部の底に当接することが確実に防止され、接合および封止が、本来のハーフプレートおよびこれらのハーフプレートの表面の間の、そのために設けられた領域における接着によって行われる。
【0014】
この場合、通常のバイポーラプレートの場合、長手方向は、例えば2~10mm、好適には5~7mmの広がりを有していてもよい。このような構造は、この構造をハーフプレートの流れ案内領域と外縁との間に配置できる程度に小さく、同時に、ハーフプレートの互いに対する確実な位置決めが可能である程度に大きい。そうすれば、冒頭で言及した従来技術とは異なり、方向付けのための要素を適切に位置決めするための、例えば突出部または突起のような追加の要素が不要になる。このような要素は次いで、後の使用時に不必要に空間を占めて不必要な重量をもたらすか、または完成したバイポーラプレートから相応な手間をかけて除去しなければならない。
【0015】
本発明によるバイポーラプレートのさらなる有利な形態は、以下に図面を参照しながらより詳しく説明される実施例からも明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術によるバイポーラプレートを分解して表す概略図である。
図2】本発明によるバイポーラプレートのハーフプレートの第1の可能な実施形態の上面図である。
図3】本発明によるバイポーラプレートのハーフプレートの第2の可能な実施形態の上面図である。
図4】位置合せ要素の凹部の縦断面図および横断面図である。
図5図4による凹部の上面図である。
図6】本発明による位置合せ要素の凸部の横断面図および縦断面図である。
図7図6による凸部の上面図である。
図8】本発明によるバイポーラプレートのハーフプレートの第3の可能な実施形態の上面図である。
図9】本発明によるバイポーラプレートのハーフプレートの第4の可能な実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1の描写には、分解図で概略的に示唆されたバイポーラプレート1が見られる。バイポーラプレート1は、2つのハーフプレート2、3からなり、この図示の実施例では、ハーフプレート2、3は封止および接着剤4を介して互いに接続される。この場合、上方に表された表面には、このようなバイポーラプレート1を用いて組み立てられる燃料電池の遊離体の1つ、特に大気酸素または水素のための流れ場5が、それ自体は公知の方法によって設けられている。両方のハーフプレート2、3の間には、通常、冷媒流れ場が包囲されており、そのうち一方の半分、すなわち下方のハーフプレート3に位置する半分のみが見分けられる。この冷媒流れ場には符号6が付されている。その他、バイポーラプレート1には、媒体を供給および排出するための、それ自体は公知の方法によって形成されている開口部7が設けられている。詳細な図示は、ここでの本発明にとってあまり重要ではなく、当業者に周知の全ての任意の方法において形成し得るであろうことから、ここでは省略する。さて、図2の描写には、例えば下方のハーフプレート3およびそれに対応する冷媒のための流れ場6の図が再び示されている。流れ場6は、既に言及した開口部7とともにそれぞれのハーフプレート2、3、および後ほどこれらのハーフプレート2、3から接着によって形成されるバイポーラプレート1の外側の周縁部8の内側に位置している。各ハーフプレート2、3は、この場合、プレス型から生じており、例えば黒鉛等の炭素含有材料と適宜のプラスチック母材とからの混合物からなる。この場合、完成したハーフプレート2、3は、燃料電池の積層体全体を超えて大部分が同一に形成されている。燃料電池の周縁領域の、インターフェース・プレートとも称される両方のバイポーラプレート1のみについては、ハーフプレート2、3の一方のみが必要であり、代替のインターフェース・ハーフプレートと組み合わされるか、または2つの適合するハーフプレートが使用される。ただし、これらの要素については、以下に詳細に説明されるバイポーラプレート1のハーフプレート2、3と同じことが当てはまる。
【0018】
ここで、両方のハーフプレート2、3の互いに対する方向付けを容易にするために、ハーフプレート2、3の互いに向かい合った表面に位置合せ要素9が設けられている。この位置合せ要素9は、それぞれハーフプレート2、3の一方における隆起部または凸部14(図6参照)と、それぞれの他方のハーフプレート3、2の同じ領域における対応する凹部12(図4参照)とから形成されている。図2の描写では、2つの位置合せ要素9が、この場合流れ場6に対してほぼ中央に、ここでは貫流される流路の主方向に対して直角形成されている。位置合せ要素9は、この図示の実施例では、角が丸められた2つの長方形の外形に形成されており、10が付された破線で描かれた直線を介して互いに接続されるように配置されている。位置合せ要素9は、ハーフプレート3の外側の周縁部8の内側であって本来の流れ場6の外側に位置している。また、別の一対の位置合せ要素9が、外側の周縁部8と開口部7との間に位置しており、別の直線11を介して互いに接続することができる。これら両対の位置合せ要素9は、それぞれが同じ方位に配置されている。この方位は、図2に表された実施例では、下記の図4以降でさらに解説されるそれぞれの位置合せ要素9の長手方向とともに直線11または10と一致するか、またはその直線に沿うように方向付けられている。この場合、直線10、11はほぼ直角に交差しているので、それぞれ対をなす位置合せ要素9の長手方向もそれに対応して互いに直角を成している。直線の少なくとも一方、ここでは直線11が、この場合ハーフプレート3の対称線Sに対して平行にずらされて配置されていることによって、ハーフプレート2、3が回転した状態で取り付けられることが安定して防止される。この場合対称線Sと直線11との間のずれは、位置合せ要素9の長手方向における広がりの2倍よりも小さく、したがって、ハーフプレート3またはバイポーラプレート1全体の寸法に対して比較的小さい。
【0019】
図3の描写には、個々の位置合せ要素9の代替の配置が描かれている。直線10および11はここでは対角線上にそれぞれ一方の角部から他方の角部へ延在するように形成されており、ハーフプレート3のほぼ中心で交差している。ここでもそれぞれの直線10または11を介して互いに接続された両方の位置合せ要素9は再びそれぞれ同じ方位で形成されているが、図3の描写において見分けられるように、それぞれの直線10、11に対して一致するように方向付けられていなくてもよい。それぞれの直線10、11を介して互いに接続されているそれぞれの対の位置合せ要素9の方位の方向付けは、例えば両方の直線10、11の間の交差角度よりも大きい角度であってもよく、その結果、方位が例えば互いに対して80~100°の間の角度範囲内になる。
【0020】
さて、図4以降の描写には、位置合せ要素9の凹部12および凸部14の可能な構成の拡大図が見られる。図4の描写には、図1の描写において上方のハーフプレートに、純粋な例として陽極板に相当する、ここでは例えばハーフプレート2が表されている。左側の図面では長手方向Lに沿った縦断面において、およびその隣の右側に示された横方向Qに沿った横断面において、凹部12が見られる。凹部12は、長手方向Lに沿って、例えばハーフプレート2の表面13の方を向いた領域において、長手方向Lにおける第1の広がりL1および横方向Qにおける第1の広がりQ1を有している。この場合、表面13と凹部12の最深点との間の深さはTである。
【0021】
例として、長手方向における広がりL1は、例えば約6mmであってよく、一方、深さTは0.5mm、および横方向Qにおける広がりはQ1=1.5mmとして実現可能である。凹部12は、この場合、図5の描写において図4の矢印Vに応じた視線方向で表されているように、角が丸められた長方形の外形、または直線状の辺によって接続された2つの半円の外形を有していてもよい。
【0022】
さて、図6の描写には、図4の描写における凹部12に対応する凸部14が示されており、ここでも左側に縦断面が、右側に横断面が見られる。この場合凸部14は、第2のハーフプレート3の表面15に相応に突出している。凸部14は、長手方向Lにおいて、やはり表面15との交線の領域に寸法L2を、横方向Qにおいて寸法Q2を有している。凸部14は、表面15に対して高さHを有している。図6の矢印VIIに応じた図7の図示から示すように、この場合形状は凹部12の構成と同様である。ただし、寸法はやや小さいので、L2はL1より小さく、例えばL1=6mmの場合、L2=5.8mmである。Q2はQ1より相応に小さく、例えばQ1=0.5mm、およびQ2=0.135~0.145mmである。高さHも深さTより相応に小さいので、センタリングを達成しつつ、表面13、15の互いに対する接合、またはこれらの間に配置される接着および封止剤4に対する接合に支障を来さない。そのために、高さHが0.45mmのみであるのに対して、深さTが例えば上で既に言及した0.5mmであってもよい。
【0023】
上記の寸法は純粋に例として理解すべきであり、適宜に変更可能であることは、当業者には当然明らかである。この場合、特に深さTは、ハーフプレート2の安定性が不必要に低下することを避けるために、ハーフプレート2、3全体の厚さの3分の1より小さく設計されているのが望ましい。
【0024】
図8には、図2による実施形態の変形例が示されている。図2による位置合せ要素9の配置は、十字型と呼ぶことができるであろう。図8による位置合せ要素9の配置は、それと類似して、同様に十字型と呼ぶことができるであろうが、図8の十字は図2と比べて側方に傾けられているか、または45°回転されている。
【0025】
図9による実施形態は、位置合せ要素9の配置を十字型と呼ぶことができるであろう図3による実施形態、および図8による実施形態の設計要素を組み合わせたものである。つまり、左下および右上の両方の位置合せ要素9は、図3のように配置されており、左上および右下の両方の位置合せ要素9は図9のように配置されている。
【0026】
当然ながら、他の形状、同様に逆の配置、すなわちハーフプレート3に凹部12がありハーフプレート2に凸部14がある構成も可能である。当然ながら、設けられる4つの位置合せ要素9の各々についても、凹部12および対応する凸部14のそれぞれのハーフプレート2、3における位置を適宜に入れ替えることが可能である。このように、各対の位置合せ要素9が、例えばそれぞれのハーフプレート2、3上にそれぞれ凹部12および凸部14を含むことも可能であろう。これらの対の構成を互いに異ならせることも考えられるであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのハーフプレート(2、3)からなる燃料電池用のバイポーラプレート(1)であって、互いに向かい合った表面(13、15)と、前記表面(13、15)の領域内の、高さ(H)を有する凸部(14)および深さ(T)を有する対応する凹部(12)を備えた位置合せ要素(9)とを有する、前記バイポーラプレート(1)において、
全ての前記凸部(14)および対応する前記凹部(12)が、横方向(Q)より長手方向(L)においてより大きい広がり(L1、L2)を有しており、各前記表面(13、15)に、前記位置合せ要素(9)の4つの対応する部分が配置されており、そのうち2つが共通の直線(10、11)上に位置して同じ方位で方向付けられており、前記直線(10、11)の少なくとも一方が、それぞれの前記ハーフプレート(2、3)の外形寸法の中間の対称線(S)と一致しておらず、前記直線(10、11)の少なくとも一方が、前記長手方向(L)における前記位置合せ要素(9)の寸法(L1、L2)の2倍よりも短い距離だけ前記対称線(S)から平行に離間している、前記バイポーラプレート(1)。
【請求項2】
2つの前記位置合せ要素(9)の前記長手方向(L)が、同じ方位でそれぞれの前記直線(10、11)に沿って延在していることを特徴とする、請求項1に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項3】
前記凸部(14)および前記凹部(12)が同じ形状を有しており、前記凸部(14)が、前記長手方向(L)、前記横方向(Q)、および前記高さ(H)において前記凹部(12)の対応する寸法よりも小さく形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項4】
前記凸部(14)の前記表面(13、15)に対して横向きに延在する面が、前記表面(12、13)に対して前記凹部(12)の対応する面と同じ角度で延在していることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項5】
前記横方向(Q)における広がり(Q1、Q2)が、前記長手方向(L)における広がり(L1、L2)の3分の1より小さく、前記高さ(H)および前記深さ(T)が、前記横方向(Q)における前記広がり(Q1、Q2)の半分よりも小さいことを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項6】
前記長手方向(L)における前記広がり(L1、L2)が、2~10mm、好適には5~7mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項7】
前記ハーフプレート(2、3)が、プラスチック母材に分散して配置された炭素含有材料から形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(1)。
【請求項8】
前記位置合せ要素(9)が、流れ案内領域(6)とそれぞれの前記ハーフプレート(2、3)の外縁(8)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイポーラプレート(1)。
【国際調査報告】