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特表2024-527423光干渉断層撮影を実施するための干渉計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】光干渉断層撮影を実施するための干渉計
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
G01N21/17 620
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503590
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022061548
(87)【国際公開番号】W WO2023001419
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118555.6
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519181641
【氏名又は名称】ハイデルベルク エンジニアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クッツナー リーザ
(72)【発明者】
【氏名】シュテンダー ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059AA06
2G059CC16
2G059EE09
2G059FF02
2G059JJ17
2G059JJ19
2G059JJ22
2G059JJ30
2G059KK04
(57)【要約】
本発明は、光干渉断層撮影を実施するための干渉計に関する。干渉計は、空間的に離れて配置されるか又は配置可能な少なくとも1つの第1の部分(13)及び第2の部分(14)を有し、2つの部分(13、14)は、少なくとも1つの光ファイバー(8)によって光学的に接続されている。本発明の目的は、少なくとも1つの光ファイバーによって光学的に接続され、互いに相対的に移動可能な部分を備える干渉計を提供することであり、これらの部分及び光ファイバーは、移動及び温度変化によって引き起こされる偏光変化を可能な限り受けにくい。本発明は、光ファイバー(8)が、設定された第1の偏光状態又は偏光モードを有する第1の光波の伝搬に有利であり、第1の光波の偏光状態又は偏光モードとは異なる偏光状態又は偏光モードを有する第2の光波の伝搬を妨げる偏光ファイバーとして設計されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層撮影を実施するための干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも1つの第1の部分(13)及び1つの第2の部分(14)を有し、前記第1の部分(13)及び前記第2の部分(14)は、互いに空間的に離れて配置されるか又は配置可能であり、前記第1の部分(13)及び前記第2の部分(14)は、少なくとも1つの導光性ファイバー(8)によって互いに光学的に接続されており、
接続する前記導光性ファイバー(8)は、偏光ファイバーとして設計されており、前記偏光ファイバーは、特定の偏光状態又は偏光モードの伝搬に有利であり、他の偏光状態又は偏光モードの伝搬を妨害又は抑制することを特徴とする、干渉計。
【請求項2】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じるボウタイ型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項3】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じるタイガー型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項4】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じる楕円型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項5】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じるパンダ型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項6】
第1のビームスプリッタ(1)が設けられており、前記第1のビームスプリッタ(1)を用いて、光源(11)の光を、参照アーム(2)の光とサンプルアーム(3)の光に分割することができることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の干渉計。
【請求項7】
少なくとも1つのサーキュレータ(4、4b)が設けられており、前記サーキュレータを用いて、前記サンプルアーム(3)の光をサンプル(5)の方向に導くことができる、及び/又は、前記サーキュレータを用いて、前記参照アーム(2)の光を参照点(2b)及び/又は第2のビームスプリッタ(9)に導くことができることを特徴とする、請求項6に記載の干渉計。
【請求項8】
2つの偏光設定ユニット(7、10)が設けられており、前記偏光設定ユニット(7、10)の各々を用いて、前記参照アーム(2)の光及び前記サンプルアーム(3)の光を同一の偏光光波に変換可能又は転換可能であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の干渉計。
【請求項9】
前記サンプルアーム(3)の光波及び前記参照アーム(2)の光波を干渉させるために、第2のビームスプリッタ(9)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の干渉計。
【請求項10】
偏光設定ユニット(7)が、前記偏光ファイバー(8)の前に及び前記シングルモードファイバー(6)の途中に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の干渉計。
【請求項11】
偏光設定ユニット(7)が、前記偏光ファイバー(8)の前に及び前記シングルモードファイバー(3)、詳細には前記サンプルアーム(3)の前記シングルモードファイバー(3)の途中に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の干渉計。
【請求項12】
前記シングルモードファイバー(6)は、一端が特殊な前記偏光ファイバー(8)で終端し、他端が第1のビームスプリッタ(1)で終端していることを特徴とする、請求項10又は11に記載の干渉計。
【請求項13】
前記シングルモードファイバー(6)は、一端が特殊な前記偏光ファイバー(8)で終端氏、他端がサーキュレータ(4)で終端していることを特徴とする、請求項10又は11に記載の干渉計。
【請求項14】
前記ファイバー(8)は、前記第1の部分(13)と前記第2の部分(14)との間に延びる可撓性チューブケーブル(15)に収容されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の干渉計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の干渉計に関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層撮影(一般にOCTと略称される)という用語は、画像診断法として理解される。この方法を用いて、光散乱構造体から2次元及び3次元画像を得ることができる。この方法では、ある帯域幅を有する光は、通常ビームスプリッタで2つの部分ビームに分割される。第1の部分ビームは検査されるサンプルに入射し、第2の部分ビームは参照セクションを通過する。サンプルからの反射光は参照ビームと干渉する。
【0003】
サンプルは、干渉からの信号により、深さ分解能で、従って第1の部分ビームの光軸の深さで検査することができる。第1の部分ビームを用いてサンプルを水平に又は横方向にも走査すると、サンプルの3次元画像、いわゆるOCT画像が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ごく一般的に、光干渉断層撮影を実施するための干渉計は、互いに関連して移動可能な2つの部分に分けることができる。従来のシングルモードファイバーを用いて2つの部分を接続した場合、ファイバーの屈曲によって干渉計に予測できない偏光変化が生じる場合がある。これは、サンプル光と参照光は同じ偏光をもつ場合にのみ干渉できるので、信号対雑音比(SNR)の大幅な悪化、従ってOCT画像の画質の悪化を伴う可能性がある。
【0005】
冒頭で述べたタイプの干渉計、すなわちOCT干渉計は、通常、2つの干渉計アーム、すなわちサンプルアーム及び参照アームを有する。同じ偏光状態を有する光だけが干渉できるように、2つの干渉計アームの光の偏光は同じ状態にする必要がある。現在、このようなファイバー式のOCT干渉計は「シングルモードファイバー」を用いて構成されている。
【0006】
干渉計がシングルモードファイバーの使用に基づく限り、そのようなファイバーの移動又は加熱によってOCT干渉計内で予測不可能な偏光変化が引き起こされ、その結果、妨害がなくなるまで信号対雑音比が悪化する可能性がある。従って、一般的に、干渉計は、モノリシックに、すなわち、ファイバーを互いに相対的に移動させることなく、干渉計全体の温度をできるだけ一定に保つように構成されている。しかしながら、状況によっては、可動サンプルファイバー(可動ハンドピース、顕微鏡アームへの取り付けなど)のように、可動部分又は温度勾配を許容する必要がある。干渉計の露出部分は、干渉計の他の部分とは異なる温度にさらされる可能性がある。
【0007】
上述の作用に対処するため、偏光は、干渉計アームの1つで能動的に再調整することができるが、そのためには追加のハードウェア及びソフトウェアが必要となる。さらに、この調整は、干渉計の使用中にデッドタイムを引き起こすことになる。
【0008】
上述の負の偏光作用に対処する又はそれを回避するさらなる可能性は、偏光保持ファイバー、例えばいわゆる「パンダファイバー」を使用することである。このファイバーでは、光又は光波はファイバーの長さにわたって偏光状態を維持する。しかしながら、光又は光波は、伝播時間差(偏光モード分散)を有する2つの異なる軸上を進むため、2つの干渉信号が発生する。これらの干渉信号は画像アーチファクトの原因となる可能性がある。
【0009】
上述の伝播時間差を回避するために、光の各部分がファイバーの高速軸及び低速軸を合計で同じ量だけ通過するように、偏波保持ファイバーの同じ長さの2つの部分を互いに90°の角度で接合することが可能である。しかしながら、接合角度のごくわずかな不正確さでも2軸間の光クロストークが発生し、OCT信号に側波帯が生じるため、このようなファイバー組立体を構築するのは容易ではない。
【0010】
この点で、現在のところ、信号対雑音比及び/又は画質の損失を受け入れることなく、移動及び温度に依存しない干渉計の複数の部分を構成するための、信頼できる及び明白な可能性はない。
【0011】
従って、本発明は、少なくとも1つファイバーによって光学的に接続され、互いに相対的に移動可能な部分を有する干渉計であって、偏光状態がこの部分及びファイバーの移動及び温度変化にできるだけ依存しない干渉計を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、請求項1の特徴によって上述の目的を達成する。
【0013】
第1に、OCT干渉計の必要性が認識されており、このOCT干渉計は、そのファイバーの少なくとも1つの移動又は加熱時に、これらのファイバー内を導光する光波の予測できない、信号対雑音比の悪化をもたらす可能性がある偏光変化を示さない。
【0014】
さらに、干渉計は、ファイバーの移動又は加熱に伴う影響を受けないことが必要であることが認識されており、これによって、画質に影響を与えることなく、最適な信号対雑音比が実質的に常に維持される。
【0015】
本発明の範囲で提案される干渉計構造は、干渉計を、本質的に互いに独立した、好ましくは互いに相対的に移動可能な部分に分離し、特異的性質、すなわち極端な複屈折の光ファイバーを用いてこれらを接続する。この複屈折は、ファイバー内の様々な幾何学形状(例えば、ボウタイ、タイガー、楕円)を有する特殊構造によって発生する機械的張力によって生じる。
【0016】
本発明によれば、使用される特殊ファイバーでは、直線偏光された光又は光波のみがファイバーの軸に沿って伝搬することができ、従ってファイバー全体を通して安定した偏光状態で導光される。別の偏光状態又は別の偏光方向を有する光波は、大きな光学的損失を受けるため、特殊ファイバーによって全く又はほとんど伝搬されない。この場合、これらは偏光ファイバーと呼ばれる。
【0017】
本発明によれば、結果として、可撓性ファイバーガイドによって接続された、互いに空間的に分離されたOCT干渉計の2つの部分を、干渉計のファイバー又は各部分が移動又は温度変化によって影響を受けた場合でも、この場合に良好な信号対雑音比を失うことなく又は画像アーチファクトを受け入れることなく、作動させることができる可能性が生まれる。
【0018】
従って、干渉計の特定の部分は、必要に応じて特にコンパクトにすることができる。干渉計の各部分は、可撓性ファイバーガイドによって接続するだけで、様々な場所に配置することができる。
【0019】
この特殊ファイバーが干渉計の2つの部分の間に接続され、伝送される光の偏光が言及されるファイバーの導光軸上で直線的に設定される場合、ファイバーの出口での、従って干渉計の第2の部分における、適切に偏光された光波の偏光状態は、このファイバーの移動及び温度変化に完全に無関係である。従って、OCT画像の信号対雑音比は影響を受けない。
【0020】
可撓性部分を有する様々なOCT干渉計の実装が考えられる。
【0021】
光源の光を参照アームの光とサンプルアームの光とに分割する第1のビームスプリッタを設けることができる。
【0022】
少なくとも1つのサーキュレータを設けることができ、このサーキュレータを用いて、サンプルアームの光は、サンプルの方向に導くことができる、及び/又は、このサーキュレータを用いて、参照アームの光は、参照点及び/又は第2のビームスプリッタに導くことができる。光の信号方向は、サーキュレータによって分けること又は設定することができる。サーキュレータは、光学部品又は光学回路として設計することができる。
【0023】
2つの偏光設定ユニットを設けることができ、偏光設定ユニットの各々を用いて、参照アームの光及びサンプルアームの光は、同一の偏光された光波に変換可能又は転換可能である。第1の偏光設定ユニットは、特殊ファイバーの導光軸上で直線偏光される光波の任意の偏光を設定するために、特殊ファイバーの前のシングルモードファイバーに配置することができる。参照アームの光波の偏光は、第2の偏光設定ユニットにより、サンプルアームの直線偏光された光波の偏光状態に適応させることができ、2つの干渉計アームの光波は、可能な限り完全に干渉させることができる。
【0024】
このような背景から、サンプルアーム及び参照アームの光波を干渉させるために、第2のビームスプリッタを設けることができる。これらの光波は、1つの光学部品、すなわち第2のビームスプリッタだけで干渉状態にされる。従って、干渉信号を検出するための単一の検出器は、第2のビームスプリッタに結合することができる。
【0025】
偏光設定ユニットは、特殊ファイバーの前に及びシングルモードファイバーの途中に配置することができる。従って、サンプルアームの光は、特定の偏光を維持することなく、シングルモードファイバーによって一定の距離だけ導光され、偏光設定ユニットを通過する際に、最初に、特殊ファイバーの入力にある特殊偏光面を用いて、可能な限り直線偏光の光波に変換され、特殊ファイバーの導光軸に結合される。
【0026】
シングルモードファイバーは、偏光設定ユニットを通過し、そこから第1のビームスプリッタに導かれる。このように、サンプルアーム又は参照アームの光は、ビームスプリッタで生成された直後にシングルモードファイバーに結合され、そこから偏光設定ユニットに導かれる。
【0027】
シングルモードファイバーは偏光設定ユニットを通過することができ、そこからサーキュレータに導かれる。従って、サンプルアーム又は参照アームの光は、ビームスプリッタで生成された直後にサーキュレータに導くことができる。それぞれの光は、サーキュレータからシングルモードファイバーに導入され、シングルモードファイバーを介して偏光設定ユニットに導かれる。
【0028】
特殊ファイバーは、2つの部分の間に延びる可撓性チューブケーブルに収容することができる。従って、第1の部分は、例えば電子機器の重要な部分を有する、固定された大きな部分として設計することができ、第2の部分は、例えばカメラヘッド又はハンドピースを含む、サンプルに良好に供給できる小さな部分として設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】参照アーム及びサンプルアームを有する干渉計の概略図を示し、サンプルアームの光はサーキュレータによって特殊ファイバーに導かれる。
図2】参照アーム及びサンプルアームを有する干渉計の概略図を示し、サンプルアームの光はビームスプリッタ/ファイバーカプラによって特殊ファイバーに導かれる。
図3】参照アーム及びサンプルアームを有する干渉計の概略図を示し、サンプルアームの光はサーキュレータによって特殊ファイバーに導かれ、参照アームの光はサーキュレータによって参照ミラーに導かれる。
図4】参照アーム及びサンプルアームを有する干渉計の概略図を示し、サンプルアームの光はビームスプリッタ/ファイバーカプラによって特殊ファイバーに導かれ、参照アームの光は同じビームスプリッタ/ファイバーカプラによって参照ミラーに導かれる。
図5】参照アーム及びサンプルアームを有する干渉計の概略図を示し、サンプルアームの光は、ビームスプリッタ/ファイバーカプラによって特殊ファイバーに導かれ、サンプル上に導かれ、サンプルから直接第2のビームスプリッタに導かれる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
各図面には光干渉断層撮影を実施するための干渉計が概略的に示されている。「シングルモードファイバー」に言及する場合、これは典型的なシングルモードファイバーを意味し、英語では「single-mode fibers」と呼ばれ、SMFと略される。
【0031】
典型的な導光性シングルモードファイバ(SMFで略記)は、伝搬方向に対して横方向に配向された光ビームの成分のみを導光する。
【0032】
以下、サンプルアーム3に特殊ファイバー8を有する干渉計構成の様々な例示的実施形態について説明する。特殊ファイバー8を使用する原理は、図1に基づいて説明される。しかしながら、この原理は、図2から図5による他の例示的な実施形態にも転用することができる。
【0033】
図1は、本質的な光学配置に限定して、光干渉断層撮影を実施するための干渉計を概略的に示し、干渉計は、互いに空間的に離間して配置された少なくとも1つの第1の部分13と1つの第2の部分14とを有する。
【0034】
2つの部分13、14は、少なくとも1つの導光性ファイバー8によって互いに光学的に接続されている。導光性ファイバー8は、設定された第1の偏光状態又は偏光モードを有する第1の光波の伝搬に有利であり、第1の光波と比較して異なる偏光状態又は偏光モードを有する第2の光波の伝搬を妨害する特殊な偏光ファイバー8として設計されている。特殊ファイバー8は一様に形成され、2つのファイバーから構成されない。
【0035】
第1のビームスプリッタ1が設けられており、これを用いて光源11の光を参照アーム2の光とサンプルアーム3の光に分割することができる。少なくとも1つのサーキュレータ4が設けられており、これによってサンプルアーム3の光をサンプル5の方向に導くことができる。
【0036】
サンプル5自体は干渉計の一部ではなく、検査対象の構造体、例えば眼球、特に人間の眼球の組織である。
【0037】
2つの偏光設定ユニット7、10が設けられており、偏光設定ユニット7、10の各々を用いて、参照アーム2の光及びサンプルアーム3の光は、同一の偏光された光波に変換可能又は転換可能である。第2のビームスプリッタ9は、検出器12での信号を得るために、サンプルアーム3と参照アーム2の光波を干渉させるために設けられている。
【0038】
第1の偏光設定ユニット7が、特殊ファイバー8とシングルモードファイバー6との間に配置されている。シングルモードファイバー6は、一端が第1の偏光設定ユニット7で終端し、他端がサーキュレータ4で終端する。
【0039】
ファイバー8は、2つの部分13、14の間に延びる可撓性チューブケーブル15に収容されている。
【0040】
図1は、光源11の光が第1のビームスプリッタ1を介して参照アーム2とサンプルアーム3に分割されることを明確に示している。サンプルアーム3の光は、サーキュレータ4を用いてサンプル5の方向に導光される。サンプルアーム3の光は、最初に、特殊ファイバー8の導光軸上に光の偏光を直線的に設定するために、第1の偏光設定ユニット7を有するシングルモードファイバー6の一部を通過する。従って、特定の偏光面で振動する直線偏光の光波のみが通過する。
【0041】
特殊ファイバー8は、直ちに直線偏光した光波をサンプル5上に導光し、その特異的性質に起因して、移動及び温度変化を受けることができる。
【0042】
これは概略的に示されており、干渉計の第1の部分13及び第2の部分14は、互いに対して移動可能であり、2つの部分13、14は、特殊ファイバー8によって互いに光学的に、従って導光様式で接続されている。光学的接続に加えて、さらに別の結線、例えば、結線としてデータ線又は電気線を設けることもできる。
【0043】
光波は、検査されるサンプル5からサーキュレータ4に戻る同じ経路をたどり、それによって第2のビームスプリッタ9に導光され、これは、参照アーム2及びサンプルアーム3の光波を互いに統合して干渉させる。
【0044】
従って、参照アーム2には第2の偏光設定ユニット10が配置され、この第2の偏光設定ユニット10を用いて参照アーム2の光の偏光が設定されるので、参照アーム2の光波とサンプルアーム3の光波が互いに干渉し、検出器12での信号を生成することができる。互いに干渉する2つの光波は、同一偏光であり、すなわち同一偏光面内で振動する。検出器12は、いわゆる「バランス検出器」である。
【0045】
図2は、さらなる実施形態に基づき、光源11の光が第1のビームスプリッタ1を介して参照アーム2とサンプルアーム3に分割されることを示している。サンプルアーム3の光は、図1によるサーキュレータ4なしで、サンプル5の方向に導光される。サンプルアーム3の光は、最初に、特殊ファイバー8の導光軸上に光の偏光を直線的に設定するために、第1の偏光設定ユニット7を有するシングルモードファイバー6の一部を通過する。
【0046】
第1の偏光設定ユニット7に隣接する特殊ファイバー8は、直ちに特殊ファイバー8を介して特殊な直線偏光の光波をサンプル5上に導光し、その特異的性質に起因して、移動及び温度変化を受けることができる。
【0047】
光波は、サンプル5から第1のビームスプリッタ1へ戻る同じ経路をたどり、それにより、特殊ファイバー8と同一ではないバイパスライン3aを介して、第2のビームスプリッタ9に導光され、これは、参照アーム2及びサンプルアーム3の光波を互いに統合して干渉させる。
【0048】
従って、参照アーム2には第2の偏光設定ユニット10が配置され、この第2の偏光設定ユニット10を用いて参照アーム2の光の偏光が設定されるので、直線偏光された参照アーム2の光波及びサンプルアーム3の光波は互いに干渉し、検出器12での信号を生成することができる。互いに干渉する2つの光波は同一偏光であり、すなわち同一偏光面内で振動する。検出器12は、いわゆる「バランス検出器」である。
【0049】
図3は、光源11の光が第1のビームスプリッタ1を介して参照アーム2とサンプルアーム3に分割されることを示している。サンプルアーム3の光は、サーキュレータ4を用いてサンプル5の方向に導光される。サンプルアーム3の光は、最初に、特殊ファイバー8の導光軸上に光の偏光を直線的に設定するために、第1の偏光設定ユニット7を有するシングルモードファイバー6の一部を通過する。
【0050】
第1の偏光設定ユニット7に隣接する特殊ファイバー8は、直ちに直線偏光した光波をサンプル5に導光し、その特異的性質に起因して、移動及び温度変化を受けることができる。
【0051】
直線偏光された光波は、サンプル5からサーキュレータ4に戻る同じ経路をたどり、それによって第2のビームスプリッタ9に導光され、これは、同様に直線偏光された参照アーム2及びサンプルアーム3の光波を互いに統合する。
【0052】
第2の偏光設定ユニット10は、このために参照アーム2に配置され、第2の偏光設定ユニット10を用いて参照アーム2の光波の偏光が設定されるので、参照アーム2及びサンプルアーム3の光波は、互いに干渉し、検出器12での信号を生成できる。互いに干渉する2つの光波は、同一偏光であり、すなわち同一偏光面内で振動する。検出器12は、いわゆる「バランス検出器」である。
【0053】
参照アーム2の光は、第2のサーキュレータ4bによって第2の偏光設定ユニット10の方向に導光され、そこから直線偏光された光波が参照点2bに到達する。
【0054】
参照点2bから、参照アーム2の光波は、第2の偏光設定ユニット10を通り、次に第2のサーキュレータ4bを通って第2のビームスプリッタ9に戻り、そこでサンプルアーム3の同一偏光の光波と干渉し、検出器12での信号を生成することができる。
【0055】
図4は、光源11の光が第1のビームスプリッタ1を介して参照アーム2とサンプルアーム3に分割されることを示している。サンプルアーム3の光は、サーキュレータ4なしでサンプル5の方向に導光される。サンプルアーム3の光は、最初に、特殊ファイバー8の導光軸上に光の偏光を直線的に設定するために、第1の偏光設定ユニット7を有するシングルモードファイバー6の一部を通過する。
【0056】
第1の偏光設定ユニット7に隣接する特殊ファイバー8は、直ちに特殊に直線偏光された光波をサンプル5上に導光し、その特異的性質に起因して、移動及び温度変化を受けることができる。
【0057】
特殊に直線偏光された光波は、サンプル5から第1のビームスプリッタ1に戻る同じ経路をたどり、それによって第2のビームスプリッタ9に導光され、これは、同様に偏光された参照アーム2及びサンプルアーム3の光波を互いに統合する。
【0058】
第2の偏光設定ユニット10は、このために参照アーム2に配置され、第2の偏光設定ユニット10を用いて参照アーム2の光の偏光が設定されるので、参照アーム2及びサンプルアーム3の光波は、互いに干渉し、検出器12での信号を生成できる。互いに干渉する2つの光波は、同一偏光であり、すなわち同一偏光面内で振動する。検出器12は、いわゆる「バランス検出器」である。
【0059】
参照アーム2の光は、このために、第1のビームスプリッタ1によって第2の偏光設定ユニット10の方向に導光され、そこから直線偏光された光波が参照点2bに到達する。参照点2bから、参照アーム2のこの光波は、第2の偏光設定ユニット10を通って戻り、第1のビームスプリッタ1を通って第2のビームスプリッタ9に至り、そこでサンプルアーム3の直線偏光された光波と干渉し、検出器12での信号を生成することができる。検出器12は第2のビームスプリッタ9の後方に配置されている。
【0060】
図5は、光源11の光が第1のビームスプリッタ1を介して参照アーム2とサンプルアーム3に分割されることを示している。サンプルアーム3の光は、サーキュレータ4なしでサンプル5の方向に導光される。
【0061】
サンプルアーム3の光は、最初に、特殊ファイバー8の導光軸上に光の偏光を直線的に設定するために、第1の偏光設定ユニット7を有するシングルモードファイバー6の一部を通過する。
【0062】
第1の偏光設定ユニット7に隣接する特殊ファイバー8は、直ちに特殊に直線偏光された光波をサンプル5に導光し、その特異的性質に起因して、移動及び温度変化を受けることができる。
【0063】
特殊に直線偏光された光波は、サンプル5から、特殊ファイバー8と同一ではない別のライン3bを介して、第2のビームスプリッタ9に至る経路をたどり、これは、特殊に直線偏光された参照アーム2及びサンプルアーム3の光波を互いに統合する。
【0064】
第2の偏光設定ユニット10は、このために参照アーム2に配置され、第2の偏光設定ユニット10を用いて参照アーム2の光の偏光が設定されるので、参照アーム2及びサンプルアーム3の光波は、互いに干渉し、検出器12での信号を生成できる。互いに干渉する2つの光波は、同一偏光であり、すなわち同一偏光面内で振動する。検出器12は、いわゆる「バランス検出器」である。
【0065】
参照アーム2の光は、このために、第1のビームスプリッタ1によって第2の偏光設定ユニット10の方向に導光される。第2の偏光設定ユニット10から、参照アーム2の直線偏光された光波は、第2のビームスプリッタ9に到達し、そこで、これと同一に直線偏光され、別のライン3bを介して供給されるサンプルアーム3の光波と干渉し、検出器12での信号を生成することができる。検出器12は、第2のビームスプリッタ9の後方に配置されている。
【符号の説明】
【0066】
1 第1のビームスプリッタ
2 参照アーム
2b 参照ミラー
3 サンプルアーム
3a 3のバイパスライン
3b 3の別のライン
4 サーキュレータ
4b 第2のサーキュレータ
5 サンプル
6 シングルモードファイバー
7 第1の偏光設定ユニット
8 特殊ファイバー
9 第2のビームスプリッタ
10 第2の偏光設定ユニット
11 光源
12 検出器
13 OCT干渉計の第1の部分
14 OCT干渉計の第2の部分
15 チューブケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光干渉断層撮影を実施するための干渉計であって、前記干渉計は、少なくとも1つの第1の部分(13)及び1つの第2の部分(14)を有し、前記第1の部分(13)及び前記第2の部分(14)は、互いに空間的に離れて配置されるか又は配置可能であり、前記第1の部分(13)及び前記第2の部分(14)は、少なくとも1つの導光性ファイバー(8)によって互いに光学的に接続されており、
接続する前記導光性ファイバー(8)は、偏光ファイバーとして設計されており、前記偏光ファイバーは、特定の偏光状態又は偏光モードの伝搬に有利であり、他の偏光状態又は偏光モードの伝搬を妨害又は抑制することを特徴とする、干渉計。
【請求項2】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じるボウタイ型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項3】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じるタイガー型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項4】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じる楕円型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項5】
前記偏光ファイバー(8)は、複屈折を生じるパンダ型構造を有するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項6】
第1のビームスプリッタ(1)が設けられており、前記第1のビームスプリッタ(1)を用いて、光源(11)の光を、参照アーム(2)の光とサンプルアーム(3)の光に分割することができることを特徴とする、請求項に記載の干渉計。
【請求項7】
少なくとも1つのサーキュレータ(4、4b)が設けられており、前記サーキュレータを用いて、前記サンプルアーム(3)の光をサンプル(5)の方向に導くことができる、及び/又は、前記サーキュレータを用いて、前記参照アーム(2)の光を参照点(2b)及び/又は第2のビームスプリッタ(9)に導くことができることを特徴とする、請求項6に記載の干渉計。
【請求項8】
2つの偏光設定ユニット(7、10)が設けられており、前記偏光設定ユニット(7、10)の各々を用いて、前記参照アーム(2)の光及び前記サンプルアーム(3)の光を同一の偏光光波に変換可能又は転換可能であることを特徴とする、請求項に記載の干渉計。
【請求項9】
前記サンプルアーム(3)の光波及び前記参照アーム(2)の光波を干渉させるために、第2のビームスプリッタ(9)が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の干渉計。
【請求項10】
偏光設定ユニット(7)が、前記偏光ファイバー(8)の前に及び前記シングルモードファイバー(6)の途中に組み込まれていることを特徴とする、請求項に記載の干渉計。
【請求項11】
偏光設定ユニット(7)が、前記偏光ファイバー(8)の前に及び前記シングルモードファイバー(3)の途中に組み込まれていることを特徴とする、請求項に記載の干渉計。
【請求項12】
前記シングルモードファイバー(6)は、一端が特殊な前記偏光ファイバー(8)で終端し、他端が第1のビームスプリッタ(1)で終端していることを特徴とする、請求項10に記載の干渉計。
【請求項13】
前記シングルモードファイバー(6)は、一端が特殊な前記偏光ファイバー(8)で終端氏、他端がサーキュレータ(4)で終端していることを特徴とする、請求項10に記載の干渉計。
【請求項14】
前記ファイバー(8)は、前記第1の部分(13)と前記第2の部分(14)との間に延びる可撓性チューブケーブル(15)に収容されていることを特徴とする、請求項に記載の干渉計。
【請求項15】
偏光設定ユニット(7)が、前記偏光ファイバー(8)の前に及び前記サンプルアームの前記シングルモードファイバー(3)の途中に組み込まれていることを特徴とする、請求項6に記載の干渉計。
【国際調査報告】