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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】マスク及びマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504152
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022069007
(87)【国際公開番号】W WO2023001582
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2107970
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524028821
【氏名又は名称】アップセル
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ビラール マティユ
(72)【発明者】
【氏名】ビラール ジャン-ピエール
(72)【発明者】
【氏名】メノール デニス
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァリエ ウーベール
(72)【発明者】
【氏名】ジュン フレデリク
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211CA01
3B211CC03
3B211CD02
3B211CE02
(57)【要約】
本発明はフェイスマスク製造方法に関するものであり、フィルタ材の第1のストリップ(21)と、フィルタ材の第2のストリップ(22,221)と、フィルタ材の第1のストリップとフィルタ材の第2のストリップとの間に挟まれた弾性ストリップ(26,27)と、それぞれ備えている重なり合った第1のストリップアセンブリ(40)及び第2のストリップアセンブリ(50)を準備するステップと、第1のストリップアセンブリと第2のストリップアセンブリとを切断して、トップ・トゥ・テイル・ポジションで、第1の溶着ラインに相当する中央ライン(183)と、ユーザの耳を受ける開口部(65,165,166)とを有する第1のフェイスマスクと、第2の溶着ラインに相当する中央ライン(183)と、ユーザの耳を受ける開口部(165,166)とを有する第2のフェイスマスクと、を形成するステップと、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重なり合った第1のストリップアセンブリ及び第2のストリップアセンブリを準備することと、ただし、前記第1のストリップアセンブリ(40)は、フィルタ材の第1のストリップ(21)と、フィルタ材の第2のストリップ(22,221)と、フィルタ材の前記第1のストリップ(21)とフィルタ材の前記第2のストリップ(22,221)との間に挟まれた第1の弾性ストリップ(26)と、を備えており、前記第2のストリップアセンブリ(50)は、フィルタ材の第3のストリップ(222)と、フィルタ材の第4のストリップ(23)と、フィルタ材の前記第3のストリップ(222)とフィルタ材の前記第4のストリップ(23)との間に挟まれた第2の弾性ストリップ(27)と、を備えており、フィルタ材の前記第1のストリップ(21)はフィルタ材の前記第4のストリップ(23)に重なっており、フィルタ材の前記第2のストリップ(22,221)はフィルタ材の前記第3のストリップ(222)に重なっていると共に、前記第1の弾性ストリップ(26)は前記第2の弾性ストリップ(27)に重なっており、
その後、フィルタ材の前記第1のストリップ(21)を第1の溶着ライン(60)に沿ってフィルタ材の前記第4のストリップ(23)に固定することと、
フィルタ材の前記第2のストリップ(22,221)を第2の溶着ライン(61)に沿ってフィルタ材の前記第3のストリップ(222)に固定することと、
その後、前記第1のストリップアセンブリと前記第2のストリップアセンブリとを切断して、トップ・トゥ・テイル・ポジションで、前記第1の溶着ライン(60)に相当する中央ライン(183)と、ユーザの耳を受ける開口部(65,165,166)とを有する第1のフェイスマスクと、前記第2の溶着ライン(61)に相当する中央ライン(183)と、前記ユーザの耳を受ける開口部(65,165,166)とを有する第2のフェイスマスクと、を形成するステップと、
を有することを特徴とするフェイスマスク製造方法。
【請求項2】
重なり合った前記第1のストリップアセンブリ及び前第2のストリップアセンブリは、フィルタ材の前記第1のストリップ(21)と、フィルタ材の前記第2のストリップ(22,221)及びフィルタ材の前記第3のストリップ(222)を形成するためのフィルタ材の中央ストリップ(24)と、フィルタ材の前記第4のストリップ(23)とを含む5つのストリップ(30)のアセンブリにより形成され、
前記第1の弾性ストリップ(26)はフィルタ材の前記第1のストリップ(21)とフィルタ材の前記中央ストリップ(24)との間に挟まれると共に、前記第2の弾性ストリップ(27)はフィルタ材の前記第4のストリップ(23)とフィルタ材の前記中央ストリップ(24)との間に挟まれ、
前記5つのストリップ(30)のアセンブリをフィルタ材の前記中央ストリップ(24)の中心(66)に沿って折り畳むことによりフィルタ材の前記第2のストリップ(22,221)とフィルタ材の前記第3のストリップ(222)とを形成すると共に、重なり合った前記第1のストリップアセンブリ(40)及び前記第2のストリップアセンブリ(50)を形成する、
請求項1記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項3】
フィルタ材の前記中央ストリップ(24)は、フィルタ材の前記第1のストリップ(21)の幅の少なくとも2倍の幅を有する、
請求項2記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項4】
重なり合った前記第1のストリップアセンブリ及び前記第2のストリップアセンブリは2つの別個のストリップアセンブリにより形成され、
前記第1のストリップアセンブリはそれぞれ、フィルタ材の前記第1のストリップ(21)と、フィルタ材の前記第2のストリップ(22)と、フィルタ材の前記第1のストリップ(21)とフィルタ材の前記第2のストリップ(22)との間に挟まれた前記第1の弾性ストリップ(26)と、により形成され、前記第1の弾性ストリップ(26)の両側にフィルタ材の前記第1のストリップ(21)とフィルタ材の前記第2のストリップ(22)とが固定されて前記第1のストリップアセンブリを形成し、
前記第2のストリップアセンブリはそれぞれ、フィルタ材の前記第3のストリップ(222)と、フィルタ材の前記第4のストリップ(23)と、フィルタ材の前記第3のストリップ(222)とフィルタ材の前記第4のストリップ(23)との間に挟まれた前記第2の弾性ストリップ(27)と、により形成され、前記第2の弾性ストリップ(27)の両側にフィルタ材の前記第3のストリップ(222)とフィルタ材の前記第4のストリップ(23)とが固定されて前記第2のストリップアセンブリを形成する、
請求項1記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項5】
フィルタ材の前記第1のストリップ(21)とフィルタ材の前記第2のストリップ(22,221)とフィルタ材の前記第3のストリップ(222)とフィルタ材の前記第4のストリップ(23)とのうち少なくとも1つのストリップは少なくとも2つの重なり合う層、好適には3つの重なり合う層を有する、
請求項1から4までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項6】
前記第1のストリップアセンブリと前記第2のストリップアセンブリとの切断の上流において、前記少なくとも2つの重なり合う層を互いに固定し、接続ゾーン(70)を介して、前記第1のフェイスマスクの第1の側部及び第2の側部の両方と、前記第2のフェイスマスクにおける前記ユーザの耳を受ける前記開口部(65)の一部と、をプリフォーミングするための接続ステップを行う、
請求項5記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項7】
前記第1の弾性ストリップ(26)の幅と前記第2の弾性ストリップ(27)の幅とは等しい、
請求項1から6までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項8】
前記第1の弾性ストリップ(26)及び前記第2の弾性ストリップ(27)はエラストマ材料を含む、
請求項1から7までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項9】
フィルタ材のロールが、長手方向を有するフィルタ材のメインストリップ(20)を提供し、
切断ステップにより、フィルタ材の前記メインストリップ(20)の前記長手方向に沿ってフィルタ材の前記メインストリップ(20)からフィルタ材の前記第1のストリップ(21)とフィルタ材の前記中央ストリップ(24)とフィルタ材の前記第4のストリップ(23)とを切り出す、
請求項1から8までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項10】
弾性材のロールが、長手方向を有する弾性材のメインストリップを提供し、
切断ステップにより、弾性材の前記メインストリップの前記長手方向に沿って弾性材の前記メインストリップから前記ストリップ第1の弾性ストリップ(26)と前記第2の弾性ストリップ(27)とを切り出す、
請求項1から9までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項11】
フィルタ材の前記第1のストリップ(21)を前記第1の溶着ライン(60)に沿ってフィルタ材の前記第4のストリップ(23)に固定すること、及び/又は、フィルタ材の前記第2のストリップ(22,221)を前記第2の溶着ライン(61)に沿ってフィルタ材の前記第3のストリップ(222)に固定することは、超音波溶着により行われる、
請求項1から10までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項12】
前記第1のストリップアセンブリ及び前記第2のストリップアセンブリの一部を切断することにより、前記第1のフェイスマスクと前記第2のフェイスマスクとを接続できる非切断ゾーン(34)を形成する、
請求項1から11までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項13】
前記非切断ゾーン(34)は前記第1の溶着ライン(60)と第2の溶着ライン(61)との間に位置する、
請求項12記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項14】
前記非切断ゾーン(34)は前記第1の溶着ライン(60)又は前記第2の溶着ライン(61)と前記接続ゾーン(70)との連結部に位置する、
請求項12又は13記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項15】
前記第1のフェイスマスクと前記第2のフェイスマスクとを軸まわりに巻き取ることにより、取出し可能なフェイスマスクのロールを形成するステップをさらに有する、
請求項12から14までのいずれか1項記載のフェイスマスク製造方法。
【請求項16】
ユーザの第1の耳を受ける第1の開口部(165)を有する第1の側部(80)と、
前記ユーザの第2の耳を受ける第2の開口部(166)を有する第2の側部(81)と、
前記第1の側部(165)と前記第2の側部(166)との間に挟まれ、前記ユーザの鼻及び口を覆う中央部(82)であって、中央ライン(183)を有し、フィルタ材により作製された中央部(82)と、
を備えたフェイスマスクであって、
前記第1の側部(80)及び前記第2の側部(81)はそれぞれ、弾性材から成るストリップにより提供された第1のゾーン(126,127)と、フィルタ材から成るストリップにより提供された第2のゾーン(121,122)と、により作製されており、
前記第1のゾーン(126,127)は前記中央部(82)と前記第2のゾーン(121,122)との間に位置し、
前記各第2のゾーン(121,122)はそれぞれ前記フェイスマスク(1)の一側端を画定し、
前記第1の開口部(165)及び前記第2の開口部(166)はそれぞれ前記第1のゾーンと前第2のゾーンとを切り取ったものであり、前記第1のゾーン(126,127)と前記第2のゾーン(121,122)とに跨ぐように位置する
ことを特徴とするフェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保護フェイスマスク及びフェイスマスクの製造方法の分野に関するものである。
【0002】
かかる保護フェイスマスクは、当該保護フェイスマスクの装着者がウィルス若しくは細菌等の病原体、粉塵若しくは有害ガスを吸入しないように保護し、及び/又は、装着者から吐き出される病原体から第三者を保護することを目的とする。
【背景技術】
【0003】
フェイスマスク製造方法は先行技術から知られている。例えば、米国特許出願公開第20080035153号明細書に、フェイスマスクのロールを製造するための方法が開示されており、この方法では、1つ又は複数の布片を重ね合わせ、その後これらの布片を固定してフェイスマスクの一部をプリフォーミングする。その後、フェイスマスクを事前切断して巻き取り、ロールを形成する。しかし、かかる方法は、主に2つの隣り合うフェイスマスクの間のスペースにおいて材料の相当量の損失を引き起こす。また上記のフェイスマスク製造方法では、使用する材料をフェイスマスクのゾーンに応じて調整することもできない。
【0004】
従って、特に大規模な健康危機の際に、保護フェイスマスクを簡単に、大量かつ低コストで量産するとの実際の要請が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、実施が容易であり、低コストであると共に、有意に高い生産速度を可能にするフェイスマスク製造方法を提供するとの思想に基づくものである。
【0006】
本発明の特定の一側面は、高信頼性かつ再現可能なフェイスマスク製造方法に関するものである。
【0007】
本発明の特定の一側面は、フェイスマスクの製造の際に使用された材料の残渣廃棄量を削減できるフェイスマスク製造方法に関するものである。
【0008】
本発明はまた、ユーザに最適なフェイスマスクを提供するとの思想、すなわち、フェイスマスクが顔の使用位置にあるときに定位置に留まって鼻と口とを覆うフェイスマスクを提供するとの思想に基づくものである。さらに、フェイスマスクはユーザにとって快適なものであり、すなわち、ユーザの耳に過剰に食い込むことなく、耳の裏の領域に不快感を与えないものである。
【0009】
一実施形態では本発明はフェイスマスク製造方法を提供するものであり、当該方法は、重なり合った第1のストリップアセンブリ及び第2のストリップアセンブリを準備することと、ただし、前記第1のストリップアセンブリは、フィルタ材の第1のストリップと、フィルタ材の第2のストリップと、フィルタ材の前記第1のストリップとフィルタ材の前記第2のストリップとの間に挟まれた第1の弾性ストリップと、を備えており、前記第2のストリップアセンブリは、フィルタ材の第3のストリップと、フィルタ材の第4のストリップと、フィルタ材の前記第3のストリップとフィルタ材の前記第4のストリップとの間に挟まれた第2の弾性ストリップと、を備えており、フィルタ材の前記第1のストリップはフィルタ材の前記第4のストリップに重なっており、フィルタ材の前記第2のストリップはフィルタ材の前記第3のストリップに重なっていると共に、前記第1の弾性ストリップは前記第2の弾性ストリップに重なっており、その後、フィルタ材の前記第1のストリップを第1の溶着ラインに沿ってフィルタ材の前記第4のストリップに固定することと、フィルタ材の前記第2のストリップを第2の溶着ラインに沿ってフィルタ材の前記第3のストリップに固定することと、その後、前記第1のストリップアセンブリと前記第2のストリップアセンブリとを切断して、トップ・トゥ・テイル・ポジションで、前記第1の溶着ラインに相当する中央ラインと、ユーザの耳を受ける開口部とを有する第1のフェイスマスクと、前記第2の溶着ラインに相当する中央ラインと、前記ユーザの耳を受ける開口部とを有する第2のフェイスマスクと、を形成するステップと、を有する。
【0010】
かかる方法により複数のフェイスマスクが1つのピースで製造され、その後のユーザの耳を受けるための弾性スレッドを追加するステップが不要となる。さらに、トップ・トゥ・テイル・ポジションで切断を行うことにより材料の廃棄を抑えることができ、これにより、フェイスマスク製造方法により生じる廃棄量が抑えられる。
【0011】
一部の実施形態では、重なり合った前記第1のストリップアセンブリ及び前第2のストリップアセンブリは、フィルタ材の前記第1のストリップと、フィルタ材の前記第2のストリップ及びフィルタ材の前記第3のストリップを形成するためのフィルタ材の中央ストリップと、フィルタ材の前記第4のストリップとを含む5つのストリップのアセンブリにより形成され、前記第1の弾性ストリップはフィルタ材の前記第1のストリップとフィルタ材の前記中央ストリップとの間に挟まれると共に、前記第2の弾性ストリップはフィルタ材の前記第4のストリップとフィルタ材の前記中央ストリップとの間に挟まれ、前記5つのストリップのアセンブリをフィルタ材の前記中央ストリップの中心に沿って折り畳むことによりフィルタ材の前記第2のストリップとフィルタ材の前記第3のストリップとを形成すると共に、重なり合った前記第1のストリップアセンブリ及び前記第2のストリップアセンブリを形成する。
【0012】
かかる方法により、フェイスマスク製造方法を容易に産業化可能となる。その理由は、中央ストリップで折り畳むことにより、第1のストリップアセンブリと第2のストリップアセンブリとをより高精度で、より高信頼性かつより高い再現性で重ね合わせることが可能だからである。
【0013】
一実施形態では、フィルタ材の前記中央ストリップは、フィルタ材の前記第1のストリップの幅の少なくとも2倍の幅を有する。
【0014】
一実施形態では、重なり合った前記第1のストリップアセンブリ及び前記第2のストリップアセンブリは2つの別個のストリップアセンブリにより形成され、前記第1のストリップアセンブリはそれぞれ、フィルタ材の前記第1のストリップと、フィルタ材の前記第2のストリップと、フィルタ材の前記第1のストリップとフィルタ材の前記第2のストリップとの間に挟まれた前記第1の弾性ストリップと、により形成され、前記第1の弾性ストリップの両側にフィルタ材の前記第1のストリップとフィルタ材の前記第2のストリップとが固定されて前記第1のストリップアセンブリを形成し、前記第2のストリップアセンブリはそれぞれ、フィルタ材の前記第3のストリップと、フィルタ材の前記第4のストリップと、フィルタ材の前記第3のストリップとフィルタ材の前記第4のストリップとの間に挟まれた前記第2の弾性ストリップと、により形成され、前記第2の弾性ストリップの両側にフィルタ材の前記第3のストリップとフィルタ材の前記第4のストリップとが固定されて前記第2のストリップアセンブリを形成する。
【0015】
一実施形態では、フィルタ材の前記第1のストリップとフィルタ材の前記第2のストリップとフィルタ材の前記第3のストリップとフィルタ材の前記第4のストリップとのうち少なくとも1つのストリップは少なくとも2つの重なり合う層、好適には3つの重なり合う層を有する。すなわち、上記の少なくとも1つのストリップは例えば2つ、3つ、4つ又は5つの重なり合う層を有する、ということである。
【0016】
一実施形態では、フィルタ材の前記第1のストリップと、フィルタ材の前記第2のストリップと、フィルタ材の前記第3のストリップと、フィルタ材の前記第4のストリップとは、不織布材製の少なくとも1つの層を有し、前記不織布材製の少なくとも1つの層は好適にはポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ポリエチレン及びポリアミドから選択されたものである。前記不織布材は例えば、乾式、溶融式又は湿式製造の結果物である。
【0017】
一実施形態では、前記少なくとも2つの重なり合う層は同一材料又は異なる材料により構成される。
【0018】
一実施形態では、前記少なくとも2つの重なり合う層の厚さは同一又は異なる。
【0019】
上記の方法によって複数の技術的基準を満たし又は種々の規格に準拠する幅広いフェイスマスクを実現することができ、特に、カテゴリ1及びカテゴリ2の代替フェイスマスク(masques alternatifs)、フランス規格NF EN 149の平均サイズ0.6μmのエアロゾル粒子の少なくとも80%をフィルタリングするFFP1タイプ、平均サイズ0.6μmのエアロゾル粒子の少なくとも94%をフィルタリングするFFP2タイプ、平均サイズ0.6μmのエアロゾル粒子の少なくとも99%をフィルタリングするFFP3タイプの呼吸保護フェイスマスク、フランス規格NF EN 14683及びNF EN14683+ACの平均サイズ3μmのエアロゾル粒子に対応する微生物フィルタリング効率95%超の I タイプ、平均サイズ3μmのエアロゾル粒子に対応する微生物フィルタリング効率98%超の II タイプ、平均サイズ3μmのエアロゾル粒子に対応する微生物フィルタリング効率98%超の IIR タイプの耐飛沫性の外科用フェイスマスク等を実現することができる。また、種々の国の規格に準拠したフェイスマスク、例えば米国国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health、NIOSH)の規格N95/R95/P95,N99/R99/P99,N100/R100/P100に準拠したフェイスマスクを実現することができる。
【0020】
一実施形態では、前記少なくとも2つの重なり合う層のうち少なくとも1つは抗生剤及び/又は抗ウィルス剤を含む。
【0021】
一実施形態では、前記第1のストリップアセンブリと前記第2のストリップアセンブリとの切断の上流において、前記少なくとも2つの重なり合う層を互いに固定し、接続ゾーンを介して、前記第1のフェイスマスクの第1の側部及び第2の側部の両方と、前記第2のフェイスマスクにおける前記ユーザの耳を受ける前記開口部の一部と、をプリフォーミングするための接続ステップを行う。
【0022】
かかる方法により、上記の重なり合う層が一緒に保持される。
【0023】
一実施形態では、前記接続ステップは溶着又はエンボス加工により行われる。前記接続ステップは好適には超音波溶着により行われる。超音波溶着により、材料の追加無しで、追加の接着剤を用いずに、迅速、正確かつ経済的な組付けを行うことができる。さらに、上記により得られる接続ゾーンはロバストである。
【0024】
一実施形態では、前記接続ステップは上記の折り畳みステップの上流で行われる。
【0025】
一実施形態では、前記接続ステップは前記第1のストリップアセンブリと前記第2のストリップアセンブリとの重ね合わせの上流で行われる。
【0026】
かかる方法により、重ね合わされたストリップも接続するリスクを冒すことなく、上記の少なくとも2つの重なり合う層が互いに接続される。
【0027】
一実施形態では、前記第1の弾性ストリップの幅と前記第2の弾性ストリップの幅とは等しい。
【0028】
一実施形態では、前記第1の弾性ストリップ及び前記第2の弾性ストリップはエラストマ材料を含む。
【0029】
一実施形態では、前記第1の弾性ストリップ及び前記第2の弾性ストリップはそれぞれ、前記エラストマ材料を挟む不織布材の2つのプライ(ply)を含む。不織布材のこれら2つのプライは、前記第1の弾性ストリップ及び前記第2の弾性ストリップの長手方向に対して垂直な方向のみに弾性を示すものである。一実施形態では、不織布材の前記2つのプライが前記長手方向に対して垂直な方向にのみ前記第1の弾性ストリップ及び前記第2の弾性ストリップの弾性変形を許容するため、不織布材の前記2つのプライは前記長手方向に対して平行なうねり山部を有する。一実施形態では、不織布材の前記2つのプライは非伸張性の不織布材であるか、又は一方向に伸張可能な不織布材である。非伸張性の不織布の場合、前記第1の弾性ストリップ及び前記第2の弾性ストリップに弾性能力を与えるために、伸張可能にしようとする方向において少なくとも抱合を低減することにより、又は繊維の一部を破壊することにより、前記第1の弾性ストリップ及び前記第2の弾性ストリップを「活性化」する必要がある。例えば、仏国特許出願公開第2893036号明細書に記載された弾性ストリップを使用することができる。
【0030】
一実施形態では、前記第1の弾性ストリップ及び前記第2の弾性ストリップは、フィルタ材の前記第1のストリップ、フィルタ材の前記第2のストリップ、フィルタ材の前記第3のストリップ、及びフィルタ材の前記第4のストリップとは異なる材料を含む。
【0031】
一実施形態では、フィルタ材のロールが、長手方向を有するフィルタ材のメインストリップを提供し、切断ステップにより、フィルタ材の前記ストリップロールの前記長手方向に沿ってフィルタ材の前記メインストリップからフィルタ材の前記第1のストリップとフィルタ材の前記中央ストリップとフィルタ材の前記第4のストリップとを切り出す。
【0032】
一実施形態では、弾性材のロールが、長手方向を有する弾性材のメインストリップを提供し、切断ステップにより、弾性材の前記メインストリップの前記長手方向に沿って弾性材の前記メインストリップから前記第1の弾性ストリップと前記第2の弾性ストリップとを切り出す。
【0033】
一実施形態では、前記第1の弾性ストリップの両側に、例えば超音波溶着等の溶着によって、フィルタ材の前記第1のストリップとフィルタ材の前記第2のストリップとを固定する。
【0034】
一実施形態では、前記第2の弾性ストリップの両側に、例えば超音波溶着等の溶着によって、フィルタ材の前記第3のストリップとフィルタ材の前記第4のストリップとを固定する。
【0035】
一実施形態では、フィルタ材の前記第1のストリップを前記第1の溶着ラインに沿ってフィルタ材の前記第4のストリップに固定すること、及び/又は、フィルタ材の前記第2のストリップを前記第2の溶着ラインに沿ってフィルタ材の前記第3のストリップに固定することは、超音波溶着により行われる。すなわち、前記第1の溶着ライン及び/又は前記第2の溶着ラインは溶着によって、好適には超音波溶着によって形成されるものである。一変形形態では、前記第1の溶着ライン及び/又は前記第2の溶着ラインは接着剤接合又は融解によって形成されるものである。
【0036】
一実施形態では、前記第1のストリップアセンブリ及び前記第2のストリップアセンブリの一部を切断することにより、前記第1のフェイスマスクと前記第2のフェイスマスクとを接続できる非切断ゾーンを形成する。前記非切断ゾーンはユーザによって切り離すことができ、これにより、切断用の専用の器具を用いる必要なく前記第1のフェイスマスクを前記第2のフェイスマスクから外すことができる。
【0037】
一実施形態では、前記非切断ゾーンはマイクロメートルスケールの寸法を有し、好適には10μm~500μm、例えば100μm等の寸法を有する。
【0038】
一実施形態では、複数の前記非切断ゾーンは互いに等間隔に離隔している。
【0039】
一実施形態では、前記非切断ゾーンは前記第1の溶着ラインと前記第2の溶着ラインとに配される。
【0040】
一実施形態では、前記非切断ゾーンは前記第1の溶着ライン又は前記第2の溶着ラインと前記接続ゾーンとの連結部に位置する。
【0041】
他の一実施形態では、前記切断ステップの際に前記第1のフェイスマスク及び前記第2のフェイスマスクがそれぞれ完全に切断される、すなわち、前記第1のフェイスマスクと前記第2のフェイスマスクとは繋がっていない。
【0042】
一実施形態では本方法は、前記第1のフェイスマスクと前記第2のフェイスマスクとを軸まわりに巻き取ることにより、取出し可能なフェイスマスクのロールを形成するステップをさらに有する。
【0043】
一実施形態では、前記第1のフェイスマスクと前記第2のフェイスマスクとを切り出すステップは、前記第1の溶着ラインの輪郭を切り出すことと、前記第2の溶着ラインの輪郭を切り出すことと、前記接続ゾーンの輪郭を切り出すことと、前記ユーザの耳を受ける開口部を切り出すことと、を含む。
【0044】
一実施形態では、前記第1のフェイスマスクと前記第2のフェイスマスクとを切り出すステップは、前記第1のフェイスマスクを切り出すことにより、その隣の前記第2のフェイスマスクの一部を切り出すことができるように行われる。
【0045】
第1のフェイスマスク及び第2のフェイスマスクはトップ・トゥ・テイル・ポジションで隣り合って形成されるので、第1のフェイスマスクと第2のフェイスマスクとの間で材料の廃棄部分が無くなる。
【0046】
一実施形態では、前記第1の溶着ラインと前記第2の溶着ラインと、前記ユーザの耳を受ける前記開口部とは、同時に切り出される。この実施形態は特に、取出し可能なフェイスマスクのロールを形成するために適している。というのも、第1のフェイスマスクと第2のフェイスマスクとを軸まわりに巻き取ることにより、重なり合った第1,2のストリップアセンブリにおける張力を維持し、これら重なり合った第1,2のストリップアセンブリに折り目をつけたり損傷を与えることなく各ステップを迅速かつ高信頼性で繰り返すことができるからである。
【0047】
本発明の特定の一側面は、複数のフェイスマスクの連続製造に関するものである。
【0048】
「連続」との用語は本願明細書では、中断無しで、各製造ステップの合間に作業員がシステム介入する必要なく、各ステップを互いに続けて繰り返すプロセスを実現できることをいう。
【0049】
他の一側面では、本発明はフェイスマスクに関するものであり、当該フェイスマスクは、
ユーザの第1の耳を受ける第1の開口部を有する第1の側部と、
前記ユーザの第2の耳を受ける第2の開口部を有する第2の側部と、
前記第1の側部と前記第2の側部との間に挟まれ、前記ユーザの鼻及び口を覆う中央部であって、中央ラインを有し、フィルタ材により作製された中央部と、
を備えたフェイスマスクであって、
前記第1の側部及び前記第2の側部はそれぞれ、弾性材から成る第1のゾーンと、フィルタ材から成る第2のゾーンと、により作製されており、
前記第1のゾーンは前記中央部と前記第2のゾーンとの間に位置し、
前記各第2のゾーンはそれぞれ前記フェイスマスクの一側端を画定し、
前記第1の開口部及び前記第2の開口部はそれぞれ前記第1のゾーンと前記第2のゾーンとに跨ぐように位置する。
【0050】
かかる構成により、第1のゾーンと第2のゾーンとが相乗効果を奏するように働き、ユーザの顔にマスクを装着した状態に維持すると共に、弾性材がユーザの耳の裏の領域を擦ることにより生じる当該ユーザの耳の裏の領域における不快感のリスクを抑えることができる。上記の構成により、ユーザの耳の裏の領域にかかってしまう食い込み力の一部が第1のゾーンに伝達される。これにより、フェイスマスクはユーザの装着に快適なものとなる。
【0051】
一実施形態では、前記中央部は前記ユーザの口の下方に配される下部ラインと、前記ユーザの鼻に配される上部ラインと、を有する。
【0052】
一実施形態では前記フェイスマスクは、当該フェイスマスクの前記中央部の前記上部ラインの近傍に位置する半剛性の鼻クリップを備えている。鼻クリップは、マスクを使用位置に維持するためにユーザの鼻をクリッピングするものである。鼻クリップは、例えば縫合又は接着剤接合により固定されている。
【0053】
一実施形態では、前記鼻クリップは可撓性の舌片又はロッドの形態である。
【0054】
一実施形態では前記鼻クリップは、アルミニウム、プラスチック、又はユーザにより手動で曲げ角を調整できる他の材料から選択された材料から作製されたものである。
【0055】
一実施形態では、前記第1のゾーンは前記フェイスマスクの前記第1の側部及び/又は前記第2の側部の全高にわたって延在する。
【0056】
一実施形態では、前記第1のゾーンは6cm~12cmの高さを有し、好適には9cmの高さを有する。
【0057】
一実施形態では、前記第1のゾーンは4cm~10cmの幅、好適には7cmの幅を有する。
【0058】
一実施形態では、前記第1のゾーンの全体形状は矩形であり、この矩形から前記第1の開口部の一部及び/又は前記第2の開口部の一部が切り出される。
【0059】
一実施形態では、前記第1の開口部の一部及び/又は前記第2の開口部の一部は前記第1のゾーンから少なくとも3cmの幅にわたって、好適には5cmの幅にわたって切り出される。
【0060】
一実施形態では、前記第1の開口部及び/又は前記第2の開口部の少なくとも50%、好適には少なくとも70%、例えば80%が、前記第1のゾーンから切り出される。上記開口部の残りの部分は、前記第2のゾーンから切り出される。
【0061】
一実施形態では、前記第1の開口部及び/又は前記第2の開口部のうち50%未満、好適には30%未満、例えば20%が、前記第2のゾーンから切り出される。
【0062】
一実施形態では、前記第1の開口部及び/又は前記第2の開口部は前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンでのみ切り出されて存在する。
【0063】
本発明の他の一側面では、本発明は上記のフェイスマスクを使用するための方法を提供するものであり、前記フェイスマスクはユーザの鼻及び口を覆うように当該ユーザの顔に配置され、前記ユーザの耳を受ける前記開口部に当該耳を係合することにより前記マスクを定位置に保持する。
【0064】
一実施形態では、前記マスクは10時間未満の持続時間にわたって、例えば1時間~5時間、好適には4時間未満にわたって、顔に装着される。
【0065】
本発明の特定の側面の出発点は、フェイスマスクの製造者と消費者の要請を満たすように産業機械で産業化可能なプロセスを提供するという思想である。
【0066】
添付の図面を参照して、本発明の複数の特定の実施形態についての以下の説明を読めば、本発明をより良好に理解できると共に、本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより明らかとなる。以下の説明の特定の実施形態はあくまで例示であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明の方法の主なステップを含む図である。
図2】一実施形態のフェイスマスク製造方法の上から見た機能ブロック図である。
図3】一実施形態の重なり合ったストリップの2つのアセンブリの展開図である。
図4】一実施形態の重なり合ったストリップの2つのアセンブリの展開図である。
図5】一実施形態の切断ステップ後のトップ・トゥ・テイル・ポジションの複数のフェイスマスクを示す図である。
図6】一実施形態のフェイスマスクの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、本発明のフェイスマスク製造方法の主なステップを示す図である。フェイスマスク製造方法は、重なり合った2つのストリップアセンブリを準備する第1のステップ100と、上記の重なり合った2つのストリップアセンブリを互いに固定する第2のステップ101と、トップ・トゥ・テイル・ポジションでフェイスマスクを切り出す第3のステップ102と、を有する。フェイスマスク製造方法の各種ステップについて、下記にて詳細に説明する。
【0069】
図2は、一実施形態のフェイスマスク製造方法を概略的に示す図である。矢印19は、本方法を実施する順序を示しており、本方法は左から右に実施され、一連の複数のステップを含む。
【0070】
第1のステップは、長手方向19を有するフィルタ材のメインストリップ20を提供するものである。メインストリップ20は例えばフィルタ材のロールで提供される。フィルタ材は、ユーザが適正に呼吸できるように、気体に対して透過性である。
【0071】
第2のステップは、重なり合った第1のストリップアセンブリと第2のストリップアセンブリとを形成するものである。こうするために、ナイフ25を用いてメインストリップ20をフィルタ材の3つのストリップ21,24,23に切断し、フィルタ材の第1のストリップ21と、フィルタ材の第2のストリップ及びフィルタ材の第3のストリップを形成するための中央ストリップ24と、フィルタ材の第4のストリップ23と、を形成する。上記のナイフ25の配置によりストリップ21,24,23の幅が定められる。フィルタ材の第1のストリップ21の寸法とフィルタ材の第4のストリップ23の寸法とは等しく、フィルタ材の中央ストリップ24の幅はフィルタ材の第1のストリップ21又はフィルタ材の第4のストリップ23の幅より大きく、例えば2倍である。
【0072】
その後、フィルタ材の第1のストリップ21とフィルタ材の中央ストリップ24との間に第1の弾性ストリップ26が配置されると共に、フィルタ材の中央ストリップ24とフィルタ材の第4のストリップ23との間に第2の弾性ストリップ27が配置される。フィルタ材の第1のストリップ21とフィルタ材の中央ストリップ24とが第1の弾性ストリップ26の両側に固定され、同様に、フィルタ材の中央ストリップ24と第4のストリップ23とが第2の弾性ストリップ27の両側に固定されている。上記の固定は好適には、溶着ゾーン28において超音波溶着によって行われる。上記のようにして、5つのストリップ30アセンブリが形成される。
【0073】
さらに一変形形態では、フィルタ材の第1のストリップ21と、フィルタ材の中央ストリップ24と、フィルタ材の第4のストリップ23とが、溶着ゾーン28において溶着により互いに接続された複数の重なり合う層を含む。この溶着は、第1のフェイスマスクの第1の側部と第2の側部とをプリフォーミングすると共に、第2のフェイスマスクのユーザの耳を受けるための開口部の一部をプリフォーミングする。
【0074】
次のステップは、5つのストリップ30のアセンブリをフィルタ材の中央ストリップ24の中心に沿って折り畳むことによりフィルタ材の第2のストリップとフィルタ材の第3のストリップとを形成すると共に、3つの重なり合ったストリップの第1のストリップアセンブリ及び第2のストリップアセンブリ(不図示)を形成する折り畳みステップ29に相当する。
【0075】
このようにして形成された3つのストリップの第1のアセンブリは、フィルタ材のストリップ21に相当するフィルタ材の第1のストリップと、フィルタ材の中央ストリップ24の半分に相当するフィルタ材の第2のストリップと、フィルタ材の第1のストリップ21とフィルタ材の中央ストリップ24との間に挟まれた第1の弾性ストリップ26に相当する第1の弾性ストリップと、を有する。
【0076】
また、上述のように形成された3つのストリップの第2のアセンブリは、フィルタ材の中央ストリップ24のもう半分に相当するフィルタ材の第3のストリップと、フィルタ材の第4のストリップ23に相当するフィルタ材の第4のストリップと、フィルタ材の中央ストリップ24の上記のもう半分とフィルタ材の第4のストリップ23との間に挟まれた第2の弾性ストリップ27に相当する第2の弾性ストリップと、を有する。
【0077】
その後、3つのストリップの2つの重なり合ったアセンブリを固定ステップ31で、例えば超音波溶着処理を用いて互いに固定する。このステップにより、第1のストリップアセンブリのフィルタ材製の第1のストリップ21を、下記にて詳細に説明する第1の溶着ラインに沿って第2のストリップアセンブリのフィルタ材製の第4のストリップ23に固定できると共に、第1のストリップアセンブリのフィルタ材製の第2のストリップを、同様に下記にて詳細に説明する第2の溶着ラインに沿って第2のストリップアセンブリのフィルタ材製の第3のストリップに固定することができる。
【0078】
続いて、ナイフを用いて第1の切断ステップ32を行ってユーザの耳を受けるための開口部を形成し、この開口部を切り出すことにより生じた廃棄物を除去する。最後に、フェイスマスクの輪郭を切り出す第2の切断ステップ33を行ってフェイスマスクを形成し、フィルタ材のストリップの残りのフィルタ材の廃棄物を除去する。ストリップは好適には、フェイスマスク製造方法全体を通じてストリップ緊張ユニットにより緊張状態に維持される。上記のストリップ緊張ユニットによってフェイスマスク製造方法を適正に進行することができ、特に、フェイスマスクの製造中にメインストリップ20、フィルタ材の中央ストリップ24、フィルタ材の第1のストリップ21、フィルタ材の第4のストリップ23、5つのストリップ30のアセンブリ、及び3つのストリップの2つの重なり合ったアセンブリの不所望のオフセット又は折り畳みを低減することができる。さらに、上記のフェイスマスク製造方法の実施中、メインストリップ20、フィルタ材の中央ストリップ24、フィルタ材の第1のストリップ21、フィルタ材の第4のストリップ23、5つのストリップ30のアセンブリ、そして3つのストリップの2つの重なり合ったアセンブリは、好適にはストリップ案内装置67により案内される。このストリップ案内装置によりストリップを案内して、フェイスマスク製造方法の信頼性を低下することなく生産速度を上昇させることができる。
【0079】
図3は、図2と同様の一実施形態のフェイスマスクの輪郭を切り出すための第2の切断ステップ33の前の2つの重なり合ったストリップアセンブリ40及び50の一部を概略的に示す、折り畳みライン66に沿って展開した図である。図3を参酌すると本発明が理解しやすくなるが、かかる展開状態は、フェイスマスク製造方法のステップの実際の状態に相当するものではない。
【0080】
第1のストリップアセンブリ40は、フィルタ材の第1のストリップ21と、第1の弾性ストリップ26と、中央ストリップ24を折り畳むことにより得られるフィルタ材の第2のストリップ221と、により構成される。第2のストリップアセンブリ50は、中央ストリップ24を折り畳むことにより得られるフィルタ材の第3のストリップ222と、第2の弾性ストリップ27と、フィルタ材の第4のストリップ23と、により構成される。隣り合うストリップは溶着によって互いに固定され、これにより溶着ゾーン62が形成される。本実施形態では、フィルタ材のストリップ21,221,222,23は複数の重なり合う層を有する。本実施形態では、上記の複数の重なり合う層を互いに固定するため、切断ステップの前にこれら複数の重なり合う層を接続するステップが行われる。このステップにより、フェイスマスクを切り出すステップの終了の際に複数の重なり合う層が浮いた状態になるのを回避することができる。具体的には、上記の重なり合う層が浮いた状態であると、これにより開口が形成されて不所望の空気通過ゾーンが形成され、これによりフェイスマスクの空気フィルタリング品質が低下するおそれがある。このようにして、フィルタ材のストリップを構成する重なり合う層の全部を空気が通ることなくフェイスマスクを通過するおそれがある。上記の接続ステップにより接続ゾーン70も形成され、これにより複数のフェイスマスクの側部がプリフォーミングされ、ユーザの耳を受けるための開口部65の一部がプリフォーミングされる。一実施形態では、上記の接続ステップは溶着ステップ、好適には超音波溶着ステップである。これに代えて、上記の接続ステップはコールドエンボス処理により行うこともできる。
【0081】
さらに図3には、第1のストリップアセンブリ40を第2のストリップアセンブリ50に固定することにより形成される第1の溶着ライン60及び第2の溶着ライン61が示されており、これらは、図2のステップ31において形成されるものと同様である。これらの溶着ライン60及び61はそれぞれ、フェイスマスクの中央ラインを形成するものであり、略アーチ状となっている。溶着ライン60及び61の形状は、ユーザの顔に最もフィットするように変えることができる。
【0082】
プリフォーミングされた隣り合うフェイスマスクはトップ・トゥ・テイル・ポジションとなっており、互いに隣接している。かかる配置は、切断ステップによって第1のフェイスマスクの側部と当該第1のフェイスマスクの隣の第2のフェイスマスクの側部とを同時に切り出せる点で特に有利である。これによってフェイスマスク製造方法が効率的となり、材料の損失を削減しつつ大量のフェイスマスクを量産することができる。
【0083】
図3に示されている有利な一変形形態では、3つのストリップの2つのアセンブリを切断するための切断ステップ33を部分的とすることにより、切り離し可能な非切断ゾーン34が形成され、隣り合うフェイスマスクを接続することができる。非切断ゾーン34は好適には溶着ゾーン62に配され、特に、溶着ライン60,61と接続ゾーン70との連結部に配される。上記の非切断ゾーン34は、隣り合うフェイスマスクの接続を提供することができ、その包装を容易にする点で特に有利である。これにより、例えば取出し可能なフェイスマスクのロール又は取出し可能なフェイスマスクのバッチを作製することができる。
【0084】
図3には4つのフェイスマスクの製造が示されている。一実施形態では相当数のフェイスマスクの製造も提供され、例えば2~1000個のフェイスマスク、例えば50個又は100個の製造が提供される。こうするためには、第1のストリップアセンブリ40の長さと第2のストリップアセンブリ50の長さとを合わせる必要がある。
【0085】
図4は他の一実施形態を示しており、ストリップアセンブリを示している。ストリップアセンブリは、弾性ストリップ26の両側にフィルタ材の第1のストリップ21とフィルタ材の第2のストリップ22とを溶着することにより作製され、これにより2つの溶着ゾーン62が形成される。フィルタ材の第1のストリップ21及びフィルタ材の第2のストリップ22はそれぞれ複数の重なり合う層を含むので、図3に示されている実施形態と同様、上記の重なり合う層を接続するために接続ステップが行われる。この接続ステップは例えば超音波溶着によって行われ、接続ステップにより、接続ゾーン70によってフィルタ材のストリップ21及び22にフェイスマスクの一部をプリフォーミングすることができる。一実施形態のフェイスマスク製造方法は、3つの重なり合ったストリップのアセンブリを2つ設けることにより行われる。
【0086】
図5は、トップ・トゥ・テイル・ポジションの複数の隣り合うフェイスマスク1が示されており、これらは非切断ゾーン34を介して互いに接続されている。非切断ゾーンはユーザによって容易に切り離すことができ、使用面でフェイスマスク1の有効性を損なうものではない。図3と同様、非切断ゾーン34は溶着ゾーン62に配され、溶着ライン60,61と接続ゾーン70との連結部に配される。
【0087】
このようにして得られたフェイスマスク1は2つの側部80及び81を有し、図5には各フェイスマスクについて1つの側部のみ示されている。2つの各側部80,81はそれぞれ開口部65を有し、この開口部65は例えば角が丸められた三角形状であり、ユーザの耳を受けるためのものである。
【0088】
図6は一実施形態のフェイスマスク1を描写する図である。フェイスマスク1は図5と同様、第1の開口部165を有する第1の側部80と、第2の開口部166を有する第2の側部81と、を有する。開口部165,166は、エッジが丸められた矩形状となっている。開口部の形状は丸形、楕円状、多角形状、その他フェイスマスクをユーザの耳に快適に保持できる形状とすることができる。フェイスマスク1は、上記の側部80,81間に配された中央部82を有する。中央部は中央ライン183を有する。中央ライン183は、特に図2のステップ31にて説明した固定により形成された第1の溶着ライン60又は第2の溶着ライン61によって形成される。さらに中央部は、ユーザの口の下方、特に顎の下に配される下部ライン184と、ユーザの眼の下であってユーザの鼻に配される上部ライン185と、を有する。第1の側部80は、フェイスマスク製造方法の弾性ストリップにより提供される第1の弾性ゾーン126と、当該方法のフィルタ材のストリップにより提供されるフィルタ材から成る第2のゾーン122と、により構成される。第2の側部81も第1の側部80と同様、上記の方法の他の弾性ストリップにより提供される第1の弾性ゾーン127と、当該方法のフィルタ材の他のストリップにより提供されるフィルタ材から成る第2のゾーン121と、により構成される。第1の開口部165は第1のゾーン126と第2のゾーン122とを跨ぐように配置されると共に、第2の開口部166は第1のゾーン127と第2のゾーン121とを跨ぐように配置される。
【0089】
第1の側部80の第1の弾性ゾーン126又は第2の側部81の第1の弾性ゾーン127は、約9cmの高さと約7cmの幅とを有する。
【0090】
第1の弾性ゾーン126及び127の切断前の全体形状は矩形状であり、この中に開口部165及び166の一部が形成される。
【0091】
一実施形態では、開口部165又は166の60%が第1の弾性ゾーン126又は127から切り出され、当該開口部165又は166の40%が第2のゾーン121又は122から切り出される。
【0092】
フェイスマスクの寸法は、ユーザの頭部の寸法に合わせて変更することができ、例えばユーザが子供、青年又は成人である場合に変更することができる。
【0093】
複数の特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの特定の実施形態に何ら限定されず、上記の手段の技術的均等物や、上記の手段の技術的に均等な組み合わせは全て、本発明の範囲に属するものであれば本発明に含まれることが明らかである。
【0094】
動詞「有する」、「含む」又は「備える」(have, comprise, include)及びその共役形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。
【0095】
特許請求の範囲において、いかなる括弧書きの符号も、特許請求の範囲の限定と解すべきものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】