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特表2024-527440レーザーレーダーのためのデータ処理方法及びレーザーレーダー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-24
(54)【発明の名称】レーザーレーダーのためのデータ処理方法及びレーザーレーダー
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4865 20200101AFI20240717BHJP
【FI】
G01S7/4865
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525756
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 CN2022081303
(87)【国際公開番号】W WO2023284317
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110806406.9
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ ▲帥▼▲騎▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 晋
(72)【発明者】
【氏名】章 洪燕
(72)【発明者】
【氏名】向 少▲卿▼
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084AD03
5J084BA03
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA32
5J084EA04
(57)【要約】
初期探知ウィンドウを用いてk回の探知走査を行い、第1組の探知データとしてk回の探知走査の結果を取得し、ここでkが整数であり、k≧1であるステップS101と、第1組の探知データに基づいて、エコーパルス到達時刻の初期探知ウィンドウにおける位置を確定するステップS102と、エコーパルスの位置に応じて探知ウィンドウを調整し、調整した探知ウィンドウがエコーパルスの位置を含むとともに初期探知ウィンドウよりも小さくなるようにするステップS103と、調整した探知ウィンドウを用いてn回の探知走査を行い、第2組の探知データとしてn回の探知走査の結果を取得し、ここでnが整数であり、n≧1であるステップS104と、第1組の探知データ及び第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定するステップS105と、を含む、レーザーレーダーのためのデータ処理方法(100)を提供する。レーザーレーダー及びコンピュータ可読記憶媒体を更に提供する。これにより、障害物のデータのみを精密に記憶し、元の信号を圧縮するとともに元の信号の波形を保存し、比較的少ない記憶空間を使用する上で、より高精度のレンジング能力が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーレーダーのためのデータ処理方法であって、前記データ処理方法は、
初期探知ウィンドウを用いてk回の探知走査を行い、第1組の探知データとして前記k回の探知走査の結果を取得し、ここでkが整数であり、k≧1であるステップS101と、
前記第1組の探知データに基づいて、エコーパルス到達時刻の前記初期探知ウィンドウにおける位置を確定するステップS102と、
エコーパルスの位置に応じて探知ウィンドウを調整し、前記調整した探知ウィンドウが前記エコーパルスの位置を含むとともに前記初期探知ウィンドウよりも小さくなるようにするステップS103と、
前記調整した探知ウィンドウを用いてn回の探知走査を行い、第2組の探知データとして前記n回の探知走査の結果を取得し、ここでnが整数であり、n≧1であるステップS104と、
前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、又は前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定するステップS105と、
を含む、データ処理方法。
【請求項2】
前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データは、探知走査において取得した時間情報及び前記時間情報に対応する強度情報を含み、前記ステップS102は、
前記第1組の探知データに基づいて第1のヒストグラムを生成するステップと、
前記第1のヒストグラムにおいて、振幅の最大値に対応する時刻を前記エコーパルスの位置として確定し、又は振幅が予め設定した閾値を超えた時間範囲を前記エコーパルスの位置として確定するステップと、
を更に含む、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
前記ステップS103は、前記エコーパルスの位置を中心として、前記探知ウィンドウを調整するステップを更に含む、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項4】
前記初期探知ウィンドウの範囲は、前記レーザーレーダーの予め設定した最大探知距離に関連し、前記ステップS104は、前記調整した探知ウィンドウの範囲外の探知データを記憶しないか、又は前記調整した探知ウィンドウの範囲外に受信ユニットをオフにし、探知を実行しないステップを更に含む、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項5】
前記ステップS105は、前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定し、且つ前記第2組の探知データに基づいて、前記目標物の距離及び/又は反射率を校正するステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理方法。
【請求項6】
前記第1組の探知データ及び第2組の探知データは、第1の記憶方式又は第2の記憶方式によって記憶され、ここで前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で前記時間情報の重みに応じて記憶することを含み、前記第2の記憶方式は、前記レーザーレーダーの時間分解能に応じて記憶することを含み、ここで前記第1の時間精度は、前記時間分解能のm倍であり、且つm>1である、請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項7】
前記第1組の探知データは、前記第1の記憶方式に従って記憶され、前記第2組の探知データは、前記第2の記憶方式に従って記憶される、請求項6に記載のデータ処理方法。
【請求項8】
前記重みは、第1の重み及び第2の重みを含み、前記第1の重みは、前記時間情報とその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第2の重みは、前記時間情報とその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で、それぞれ前記第1の重み及び第2の重みに応じて前記強度情報を記憶することを含む、請求項6又は請求項7に記載のデータ処理方法。
【請求項9】
前記k回の探知走査及びn回の探知走査はともに、3次元環境中の1点に対する1回の探知を完成し、k>nである、請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ処理方法。
【請求項10】
複数回の探知走査を実行するために3次元環境にレーザーパルスを発射できるように設定される発射ユニットと、
前記レーザーパルスが目標物において反射されたエコーパルスを受信し、且つ前記エコーパルスを電気信号に変換するように設定される受信ユニットと、
探知データを確定するために、前記発射ユニット及び前記受信ユニットに結合された時間デジタル変換器と、
前記時間デジタル変換器に結合されており、前記探知データを記憶するように設定されるメモリと、
前記時間デジタル変換器及びメモリに結合された処理ユニットであって、
前のk回の探知走査について、初期探知ウィンドウ内の第1組の探知データを取得して記憶し、ここでkが整数であり、k≧1であるステップS201と、
前記第1組の探知データに基づいて、エコーパルス到達時刻の前記初期探知ウィンドウにおける位置を確定するステップS202と、
エコーパルスの位置に応じて探知ウィンドウを調整し、前記調整した探知ウィンドウが前記エコーパルスの位置を含むとともに前記初期探知ウィンドウよりも小さくなるようにするステップS203と、
後のn回の探知走査について、前記調整した探知ウィンドウ内の第2組の探知データを取得して記憶し、ここでnが正数であり、n≧1であるステップS204と、
前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、又は前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定するステップS205と、の操作を実行する処理ユニットと、
を備える、レーザーレーダー。
【請求項11】
前記探知データは、探知走査ごとに取得した時間情報及び前記時間情報に対応する強度情報を含み、前記ステップS202は、
前記第1組の探知データに基づいて第1のヒストグラムを生成するステップと、
前記第1のヒストグラムにおいて、振幅の最大値に対応する時刻を前記エコーパルスの位置として確定し、又は振幅が予め設定した閾値を超えた時間範囲を前記エコーパルスの位置として確定するステップと、を更に含む、請求項10に記載のレーザーレーダー。
【請求項12】
前記ステップS203は、前記エコーパルスの位置を中心として、前記探知ウィンドウを調整するステップを含む、請求項10に記載のレーザーレーダー。
【請求項13】
前記初期探知ウィンドウの範囲は、前記レーザーレーダーの予め設定した最大探知距離に関連し、前記ステップS204は、前記調整した探知ウィンドウの範囲外の探知データを記憶しないか、又は前記調整した探知ウィンドウの範囲外に前記受信ユニットをオフにし、探知を実行しないステップを更に含む、請求項10に記載のレーザーレーダー。
【請求項14】
前記ステップS205は、前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定し、且つ前記第2組の探知データに基づいて、前記目標物の距離及び/又は反射率を校正するステップを含む、請求項10から13のいずれか一項に記載のレーザーレーダー。
【請求項15】
前記第1組の探知データ及び第2組の探知データは、第1の記憶方式又は第2の記憶方式によって記憶され、ここで前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で前記時間情報の重みに応じて記憶することを含み、前記第2の記憶方式は、前記レーザーレーダーの時間分解能に応じて記憶することを含み、ここで前記第1の時間精度は、前記時間分解能のm倍であり、且つm>1である、請求項10に記載のレーザーレーダー。
【請求項16】
前記第1組の探知データは、前記第1の記憶方式に従って記憶され、前記第2組の探知データは、前記第2の記憶方式に従って記憶される、請求項15に記載のレーザーレーダー。
【請求項17】
前記重みは、第1の重み及び第2の重みを含み、前記第1の重みは、前記時間情報とその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第2の重みは、前記時間情報とその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で、それぞれ前記第1の重み及び第2の重みに応じて前記強度情報を記憶することを含む、請求項15又は請求項16に記載のレーザーレーダー。
【請求項18】
前記受信ユニットは、単一光子アバランシェダイオードアレイを含み、前記探知データは、前記単一光子アバランシェダイオードアレイが光子によって励起される時間及び励起された単一光子アバランシェダイオードの数を含む、請求項10から13のいずれか一項に記載のレーザーレーダー。
【請求項19】
プロセッサによって実行されると、請求項1から9のいずれか一項に記載のデータ処理方法が実施されるコンピュータ実行可能コマンドが記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電探知分野に関し、特にレーザーレーダーのためのデータ処理方法及びレーザーレーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーレーダーは、レーザービームを発して目標の位置、速度等の特徴量を探知するレーダーシステムであり、レーザー技術と光電探知技術を組み合わせた先進的な探知方式である。レーザーレーダーは分解能が高く、秘匿性が高く、アクティブ干渉防止性能が高く、低空探知性能に優れ、小型且つ軽量である等の強みがあるため、自動運転、交通通信、無人航空機、知能ロボット、資源探査等の分野に広く用いられている。
【0003】
レーザーレーダーは、通常、複数の探知チャネルを含み、それぞれの探知チャネルは、例えば、1つ又は複数のレーザー及び1つ又は複数の探知器を備え、1つのレーザーが探知レーザービームを発すると、その探知視野に対応する探知器は、予め設定した時間ウィンドウ内にオン又はアクティブ化され、エコーを探知できる状態になる。エコーが完全に探知されることを確保できるために、通常、時間ウィンドウを大きく設定し、例えば、レーザーレーダーの最大探知距離に応じて時間ウィンドウを設定する。しかし、実際の作動中に、探知器は非常に狭い時間範囲内にのみエコーを受信し、当該時間範囲の時間ウィンドウに占める割合が少ないため、当該時間ウィンドウのほとんどの時間において、探知器は有効なエコーではなく、周囲の雑音又は干渉信号を受信した。受信したエコー、周囲の雑音及び干渉信号は、いずれも信号処理回路によってサンプリングされ、記憶される。したがって、既存のレーザーレーダーの記憶及びレンジング方法では、非常に大きな容量を持つメモリが必要となり、且つ極めて多くの記憶空間が消費される。特に遠距離探知能力を向上させるために、1フレームの点群を取得するのに、繰り返して測定する回数を増加させなければならず、このようにして記憶空間への要求も高まっている。
【0004】
背景技術部分の内容は、開示者に知られている技術に過ぎず、当然ながら、本分野の従来技術を代表するものではない。
【発明の概要】
【0005】
従来技術の少なくとも1つの欠点を鑑みて、本発明は、
初期探知ウィンドウを用いてk回の探知走査を行い、第1組の探知データとして前記k回の探知走査の結果を取得し、ここでkが整数であり、k≧1であるステップS101と、
前記第1組の探知データに基づいて、エコーパルス到達時刻の前記初期探知ウィンドウにおける位置を確定するステップS102と、
エコーパルスの位置に応じて探知ウィンドウを調整し、前記調整した探知ウィンドウが前記エコーパルスの位置を含むとともに前記初期探知ウィンドウよりも小さくなるようにするステップS103と、
前記調整した探知ウィンドウを用いてn回の探知走査を行い、第2組の探知データとして前記n回の探知走査の結果を取得し、ここでnが整数であり、n≧1であるステップS104と、
前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、又は前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定するステップS105と、を含む、レーザーレーダーのためのデータ処理方法を提供する。
【0006】
本発明の一態様によれば、ここで前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データは、探知走査において取得した時間情報及び前記時間情報に対応する強度情報を含み、前記ステップS102は、
前記第1組の探知データに基づいて第1のヒストグラムを生成するステップと、
前記第1のヒストグラムにおいて、振幅の最大値に対応する時刻を前記エコーパルスの位置として確定し、又は振幅が予め設定した閾値を超えた時間範囲を前記エコーパルスの位置として確定するステップと、を更に含む。
【0007】
本発明の一態様によれば、ここで前記ステップS103は、前記エコーパルスの位置を中心として、前記探知ウィンドウを調整するステップを更に含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、ここで前記初期探知ウィンドウの範囲は、前記レーザーレーダーの予め設定した最大探知距離に関連し、前記ステップS104は、前記調整した探知ウィンドウの範囲外の探知データを記憶しないか、又は前記調整した探知ウィンドウの範囲外に受信ユニットをオフにし、探知を実行しないステップを更に含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、ここで前記ステップS105は、前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定し、且つ前記第2組の探知データに基づいて、前記目標物の距離及び/又は反射率を校正するステップを含む。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記第1組の探知データ及び第2組の探知データは、第1の記憶方式又は第2の記憶方式によって記憶され、ここで前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で前記時間情報の重みに応じて記憶することを含み、前記第2の記憶方式は、前記レーザーレーダーの時間分解能に応じて記憶することを含み、ここで前記第1の時間精度は、前記時間分解能のm倍であり、且つm>1である。
【0011】
本発明の一態様によれば、ここで前記第1組の探知データは、前記第1の記憶方式に従って記憶され、前記第2組の探知データは、前記第2の記憶方式に従って記憶される。
【0012】
本発明の一態様によれば、ここで前記重みは、第1の重み及び第2の重みを含み、前記第1の重みは、前記時間情報とその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第2の重みは、前記時間情報とその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で、それぞれ前記第1の重み及び第2の重みに応じて前記強度情報を記憶することを含む。
【0013】
本発明の一態様によれば、ここで前記k回の探知走査及びn回の探知走査はともに、3次元環境中の1点に対する1回の探知を完成し、k>nである。
【0014】
本発明は、
複数回の探知走査を実行するために3次元環境にレーザーパルスを発射できるように設定される発射ユニットと、
前記レーザーパルスが目標物において反射されたエコーパルスを受信し、且つ前記エコーパルスを電気信号に変換するように設定される受信ユニットと、
探知データを確定するために、前記発射ユニット及び前記受信ユニットに結合された時間デジタル変換器と、
前記時間デジタル変換器に結合されており、前記探知データを記憶するように設定されるメモリと、
前記時間デジタル変換器及びメモリに結合された処理ユニットであって、
前のk回の探知走査について、初期探知ウィンドウ内の第1組の探知データを取得して記憶し、ここでkが整数であり、k≧1であるステップS201と、
前記第1組の探知データに基づいて、エコーパルス到達時刻の前記初期探知ウィンドウにおける位置を確定するステップS202と、
エコーパルスの位置に応じて探知ウィンドウを調整し、前記調整した探知ウィンドウが前記エコーパルスの位置を含むとともに前記初期探知ウィンドウよりも小さくなるようにするステップS203と、
後のn回の探知走査について、前記調整した探知ウィンドウ内の第2組の探知データを取得して記憶し、ここでnが正数であり、n≧1であるステップS204と、
前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、又は前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定するステップS205と、の操作を実行する処理ユニットと、を備える、レーザーレーダーを更に提供する。
【0015】
本発明の一態様によれば、ここで前記探知データは、探知走査ごとに取得した時間情報及び前記時間情報に対応する強度情報を含み、前記ステップS202は、
前記第1組の探知データに基づいて第1のヒストグラムを生成するステップと、
前記第1のヒストグラムにおいて、振幅の最大値に対応する時刻を前記エコーパルスの位置として確定し、又は振幅が予め設定した閾値を超えた時間範囲を前記エコーパルスの位置として確定するステップと、を更に含む。
【0016】
本発明の一態様によれば、ここで前記ステップS203は、前記エコーパルスの位置を中心として、前記探知ウィンドウを調整するステップを含む。
【0017】
本発明の一態様によれば、ここで前記初期探知ウィンドウの範囲は、前記レーザーレーダーの予め設定した最大探知距離に関連し、前記ステップS204は、前記調整した探知ウィンドウの範囲外の探知データを記憶しないか、又は前記調整した探知ウィンドウの範囲外に前記受信ユニットをオフにし、探知を実行しないステップを更に含む。
【0018】
本発明の一態様によれば、ここで前記ステップS205は、前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定し、且つ前記第2組の探知データに基づいて、前記目標物の距離及び/又は反射率を校正するステップを更に含む。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記第1組の探知データ及び第2組の探知データは、第1の記憶方式又は第2の記憶方式によって記憶され、ここで前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で前記時間情報の重みに応じて記憶することを含み、前記第2の記憶方式は、前記レーザーレーダーの時間分解能に応じて記憶することを含み、ここで前記第1の時間精度は、前記時間分解能のm倍であり、且つm>1である。
【0020】
本発明の一態様によれば、ここで前記第1組の探知データは、前記第1の記憶方式に従って記憶され、前記第2組の探知データは、前記第2の記憶方式に従って記憶される。
【0021】
本発明の一態様によれば、ここで前記重みは、第1の重み及び第2の重みを含み、前記第1の重みは、前記時間情報とその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第2の重みは、前記時間情報とその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で、それぞれ前記第1の重み及び第2の重みに応じて前記強度情報を記憶することを含む。
【0022】
本発明の一態様によれば、ここで前記受信ユニットは、単一光子アバランシェダイオードアレイを含み、前記探知データは、前記単一光子アバランシェダイオードアレイが光子によって励起される時間及び励起された単一光子アバランシェダイオードの数を含む。
【0023】
本発明は、更に、プロセッサによって実行されると、上記のデータ処理方法が実施されるコンピュータ実行可能コマンドが記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0024】
本発明の技術的解決手段では、障害物のデータのみを精密に記憶することにより、元の信号を圧縮するとともに、元の信号のパルス波形を保存することができ、比較的少ない記憶空間を基礎に、より高精度のレンジング能力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の一部を構成する図面は、本開示を更に理解するために提供されるものであり、本開示の例示的な実施例及びその説明は本開示を解釈するためのものであり、本開示を不当に限定するものではない。図面の説明を次に記載する。
図1】レーザーレーダーの複数回の探知走査プロセスにおける単一光子アバランシェダイオードのトリガー模式図である。
図2】レーザーレーダーが複数回探知走査して累積してなるヒストグラムである。
図3】本発明の一実施例のデータ処理方法のフローチャートである。
図4】本発明の一実施例のレーザーレーダーの探知モジュールを示す図である。
図5】従来技術によるデータ記憶方法の模式図である。
図6】本発明の好ましい一実施例の記憶方式の模式図である。
図7】本発明の好ましい一実施例の記憶方式の模式図である。
図8】本発明の一実施例の記憶効果の模式図である。
図9】本発明の一実施例のデータ処理方法の模式図である。
図10】本発明の一実施例のレーザーレーダーのモジュール図である。
図11】本発明の一実施例のデータ処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下において、いくつかの例示的な実施例のみを簡単に説明する。当業者であれば認識できるように、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、説明された実施例を様々な方式で修正することが可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、実質的に例示的なものであると考えられる。
【0027】
本発明の記述では、理解すべきところとして、用語の「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「逆時計回り」等で示す方位又は位置関係は、図面に基づくものであり、本発明を容易に説明し記述を簡略化するためのものに過ぎず、記載される装置又は素子は必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作されたりすることを明示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものと理解してはならない。また、用語の「第1」、「第2」は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対的重要性を明示又は暗示したり、説明される技術的特徴の数を暗示したりするものと理解してはならない。したがって、「第1」、「第2」と限定される特徴は1つ又は複数の前記特徴を含むことを明示又は暗示することが可能である。本発明の記述では、明確且つ具体的に限定しない限り、「複数」は2つ又は2つ以上を意味する。
【0028】
本発明の記述では、説明すべきところとして、別に明確に規定、限定しない限り、用語の「取り付ける」、「連結する」、「接続する」を広義的に理解すべきである。例えば、固定的に接続してもよく、取り外し可能に接続してもよく、又は、一体的に接続してもよい。機械的に接続してもよく、電気的に接続してもよく、又は、相互に通信してもよい。直接接続してもよく、更に中間媒介を介して間接的に接続してもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解してもよい。
【0029】
本発明においては、別に明確に規定、限定しない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるというのは、第1と第2特徴が直接接触する場合を含んでもよいし、第1と第2特徴が直接接触せず、それらの間の別の特徴を介して接触する場合を含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上方にある場合を含み、又はただ第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことを意味する。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるというのは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上方にある場合を含み、又はただ第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことを意味する。
【0030】
以下の開示は、本発明の異なる構造を実現するために、非常に多くの異なる実施形態又は例を提供する。本発明の開示を簡略化するために、以下において、特定の例の部品及び配置を説明する。当然ながら、それらは例示的なものに過ぎず、本発明を制限することを目的とするものではない。また、本発明は、異なる例において参照数字及び/又は参照アルファベットを重複することができ、このような重複は簡略化及び明確化のためのものであり、それ自体は検討された各種の実施形態及び/又は配置の間の関係を示すものではない。なお、本発明は各種の特定のプロセス及び材料の例を提供するが、当業者であれば、他のプロセスの応用及び/又は他の材料の使用を想到し得る。
【0031】
単一光子アバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode,SPAD)は、ガイガーモードの状態で作動し、単一光子検出を実行できるアバランシェフォトダイオード(Avalanche Photo Diode,APD)である。光子検出プロセスは、具体的には以下のとおりである。アバランシェフォトダイオードに所定の逆方向バイアスVbiasを印加し、エネルギーを持つ光子がP-N接合に入射し、エネルギーが共有結合での電子に伝達され、電子が共有結合から逸脱して、光生成キャリアとも呼ばれる電子正孔対を形成する。逆方向バイアスVbiasが十分に大きい場合、空乏層の光生成キャリアは十分に高い運動エネルギーを得ることができ、更に格子と衝突する時に、共有結合を破壊してより多くの電子正孔対を生成することができ、当該プロセスは、衝突電離とも呼ばれる。新たなキャリアはまた新たな衝突電離を発生させ続け、このように連鎖効果が生じ、キャリアのアバランシェ増幅効果をもたらし、更にmAレベルのような検出できるほど大きなパルス電流が得られ、これにより、単一光子の検出が実現される。光子検出効率(Photon Detection Efficiency,PDE)は、SPADの重要なパラメータであり、光子がSPADに入った後にアバランシェを励起し且つ検出され得る平均確率を特徴づけ、以下の式1で表すことができる。
PDE=εgeo*QE*εtrigger (式1)
式中、εgeoは幾何学的曲線因子、QEは量子効率、即ち電子正孔対を生成する確率、εtriggerは電子正孔対がアバランシェを更に励起する確率を特徴づける。
【0032】
また、PDEはSPADが単一光子信号を探知する能力も表し、探知された光子の数/入射された光子の総数として表すことができる。
【0033】
レーザーレーダーの探知プロセスにおいて、単一光子アバランシェダイオードSPAD(s)で構成された探知器アレイを例とする場合、SPADはガイガーモードで作動し、単一光子によってアバランシェ効果がトリガーされ得るため、周囲の光・騒音によって影響されやすい。一方、レーザーレーダーの一般的な探知光波長帯に対するSPAD(s)の光子検出効率PDEが低く、1回の探知で取得する信号強度が比較的に弱い。
【0034】
信号対雑音比を高めるために、SPADsアレイを用いたレンジング装置では、通常、時間相関単一光子計数法(TCSPC,Time correlated single photon counting)によりレンジングを行う。光子時間情報を測定する基本的な考え方は、光子を1つのランダムイベントとしてみなし、光子に対して複数のサイクルの測定を繰り返して統計することである。
【0035】
図1に示すように、任意の1点に対して、1回の探知(点群における1点の距離及び反射率等のデータ情報を取得する)プロセスにおいて、探知時間ウィンドウ(SPADは予め設定した時間ウィンドウ内にのみ作動モード、即ち光子によってアバランシェ効果がトリガーされ得る状態になり、当該時間ウィンドウは「探知時間ウィンドウ」と呼ばれる)内にいくつかのトリガー(図1では2回のトリガー)のみが発生し、且つ目標物から反射されたエコー信号によってトリガーされたか、周囲の光・騒音によってトリガーされたかを区別できない場合がある。レーザーレーダーの遠距離探知性能及び信号対雑音比を向上させるために、図1に示すように、レーザーレーダーは同じ視野範囲内の任意の1つの目標物の点に対して行う1回の探知(又は測定)プロセスにおいて、複数回の繰り返し探知走査(sweep,繰り返し回数が400~500回に達することができ、それ以上の回数又はそれ以下の回数であってもよい)を行うことができ、複数回の探知走査(sweep)の結果を累積すると、ヒストグラムが得られ、当該ヒストグラムに対して更なる計算及び処理を行うことにより、距離が測定され、更にレーザーレーダー点群内の1点の距離及び反射率情報が取得される。
【0036】
各回の探知走査では、レーザーレーダーのコントローラーは発光時刻t1に発光端の光源が探知用の光パルスを発射するようにトリガーして制御し、且つ当該発光時刻t1を記録し、当該光パルスが外界の障害物にあたると、障害物によって反射され且つレーザーレーダーに戻し、受信端の光電探知器によって時刻t2に受信される。光電探知器がSPAD(s)アレイである場合、SPADは周囲の光によりアバランシェがトリガーされる可能性もある。SPADが光子を受信すると、アバランシェ電気信号を生成し、時間デジタル変換器TDCに伝送し、TDCにより、SPADがトリガーされた時間信号及び同じ時刻t2にトリガーされたSPADの数信号(これは、1つの画素に複数のSPADsが含まれる場合のことであり、1つの画素に1つのSPADしか有さない場合、この数信号がなくなり、トリガーされたかトリガーされていないかの2つの状態しかない)を出力し、後続のメモリはSPADのトリガー時間t2から発光時刻t1を引いたタイムスタンプtimestamp(図1及び2の横軸に示す時間情報に相当する)及び当該タイムスタンプtimestampでのトリガー数(以下、cntと略称する)信号を記憶する。
【0037】
探知走査ごとに取得したトリガー数cntをタイムスタンプtimestampに応じてメモリにおける対応する位置に記憶し、あるタイムスタンプtimestampに対応する位置において新たなトリガー数cntが到達する場合、記憶された元の値と新たなトリガー数cntを加算して当該位置に更新し、複数回探知走査して累積すると、メモリ内に保存されたデータはヒストグラムを構成し、図2に示すように、ヒストグラムは、複数回の探知走査の統計で示された、時間軸における異なるタイムスタンプtimestampに対応するトリガー数cntの合計を反映しており、このように、ヒストグラムを用いて重心を算出する等の操作によりエコーパルスに対応する飛行時間を取得し、そしてレンジング結果を得る。
【0038】
したがって、上記実施例によれば、レーザーレーダーによる1つの視野範囲内の各点の距離又は反射率情報の1回の測定において、レーザーレーダーは実際に複数回の探知走査(複数の発光から受信までのサイクル)を実行しており、走査の数は数十回から数百回であってもよく、1つの時間帯内に1つの視野範囲内の任意の1点に対して複数回の走査を行い、複数回の走査において探知器が同じ時間情報に受信した強度情報の曲線を重ね合わせて前記強度情報-時間情報曲線とする。例えば、図1に示すように、1回目、2回目、…、i回目の走査において、各回の走査では非常に限られた数のエコー又は光子のみが受信されているが、i回の走査の探知結果を累積すると、当該視野範囲で1回の飛行時間に測定された光子数のヒストグラムが得られ、図2に示すように、ここで横座標のスケールは時間情報であり、時間軸におけるスケール幅は、通常、レーザーレーダーにおける時間デジタル変換器の分解能、つまりレーザーレーダーの探知時間の分解能に相当する。
【0039】
本発明の文脈では、「測定」(又は「探知」)と「探知走査」(又は「走査」)を区別している。具体的には、1回の「測定」は、レーザーレーダーの1つの探知期間内(即ち1フレームの点群を生成する期間内)において、ある視野範囲に対して飛行時間の測定を行い、1フレームの点群図における1つ又は複数(1列又は複数列又は1ブロック)の「点」を生成し、すべての視野範囲の測定が終わると、1フレームの完全な点群を得ることに相当する。一方、「探知走査」とは、1つの測定プロセスにおいて、1つの探知チャネル内のレーザーが1回の発光を完了し、探知器が対応する受信を完了するプロセスを指す。1回の「測定」は1回の「探知走査」を含んでもよく、同じ目標点に対する複数回、例えば、数百回の「探知走査」を含んでもよい。
【0040】
以下において、図面を参照しながら本発明の好ましい実施例を説明する。本明細書に記載された好ましい実施例は本発明を説明及び解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0041】
本発明は、レーザーレーダーのためのデータ処理方法に関し、図3に示すように、前記データ処理方法100は、以下のステップS101~ステップS105を含む。
【0042】
ステップS101では、初期探知ウィンドウを用いてk回の探知走査(sweep)を行い、第1組の探知データとしてk回の探知走査の結果を取得し、ここでkは整数であり、k≧1である。
【0043】
図4は、本発明の一実施例に係る探知モジュール22を示し、レーザーレーダーに適用可能である。探知モジュール22は、複数の探知ユニット221-1、221-2……221-nを備える。それぞれの探知ユニット(1つの画素に対応する)は複数の(例えば、図示の9個であり、3個、4個、……であってもよく、具体的にはp個を含んでもよく、pは≧1の正の整数である)SPAD(s)を備え、各探知ユニットのSPAD(s)の出力端はTDCに接続され、各探知ユニットの探知ウィンドウ(即ちSPADが入射された光子を検知できる時間帯)の範囲は個別に調整可能であり、即ち各探知ユニットがアクティブ状態(SPADはガイガーモードであり、即ちSPADに降伏電圧よりも大きい逆方向バイアスを印加し、SPADが光子を受信するとアバランシェ効果をトリガーできるようにする)又は非アクティブ状態(光子によってアバランシェをトリガーすることができない状態)になることを個別に制御することができる。
【0044】
光子が探知ユニット221-1、221-2、……及び221-nに入射されると、SPADはトリガーされて電気信号が生成される。それぞれの探知ユニットはTDCに結合され、TDCは光子の到達時間を確定することができる。TDCに接続されたデータ処理装置(図5では図示せず)は、探知レーザービームの発光時間を取得又は提供することができ、このため、TDCは、光子の到達時間と探知レーザービームの発光時間との間の時間差を時間情報として確定し、且つメモリに記憶することができる。
【0045】
図4に示す探知ユニット22を例として、k回の探知走査プロセスにおいて取得した第1組の探知データは、探知走査ごとに取得した時間情報及び前記時間情報に対応する強度情報を含み、ここで前記時間情報は、探知ユニットにおける1つ又は複数のSPADのトリガー時刻timestampであり、即ちレーザーから発光した時間とSPADがトリガーされた時間との間の時間差であり、前記強度情報は、当該トリガー時間にトリガーされたSPADの数であり、即ちトリガーされたSPADの数によって光信号の強度を特徴づける。前記第1組の探知データは、例えば、図1に示すように、そのうち、探知走査ごとにも、SPADのトリガー時刻及び毎回トリガーされたSPADの数を知ることができる。
【0046】
初期探知ウィンドウの範囲は、例えば、レーザーレーダーの予め設定した最も遠い探知距離に関連し、例えば、最も遠い探知距離に対応する時間に等しくまたはやや小さくなるように設定することができ、又はメモリの容量に関連する。本発明の一実施例によれば、光子トリガーが存在するトリガー時刻の範囲は、図2における初期探知ウィンドウWin-ORiに示すように、初期探知ウィンドウと見なしてもよい。
【0047】
本発明では、各回の測定は、例えば、k+n回の探知走査を含む。k+nの値は、最後の探知結果に影響を与え、例えば、所定の範囲内で、k+nの値が大きいほど、探知結果の精度は高くなるが、必要な計算量及び記憶空間も大きくなる。
【0048】
図5の実施例では、SPADを例として時間情報及び強度情報について説明しているが、当業者であれば容易に理解するように、本発明はこれらに限定されず、他のタイプの光電探知器を採用してもよく、アバランシェフォトダイオードAPD、シリコン光電子増倍管SiPM等を含むが、これらに限定されない。異なる光電探知器に対して、異なるパラメータを用いて強度情報を特徴づけることができる。例えば、光電探知器がSPADアレイである場合、対応する時間情報と同時にトリガーされたSPADの数を強度情報として用いることができる。光電探知器がSiPMである場合、対応する時間情報での出力レベル/電流強度を光信号強度情報として用いることができる。
【0049】
ステップS102では、第1組の探知データに基づいて、エコーパルス到達時刻の初期探知ウィンドウにおける位置を確定する。
【0050】
具体的には、図1に示す方式に従って、k回の探知走査を実行して第1組の探知データを取得し、第1組の探知データに基づいて第1のヒストグラムを生成する。図2に示すように、第1のヒストグラムからエコーパルスの到達時刻をおおよそ確定し、且つ周囲の光によるトリガー時刻と区別することができる。
【0051】
本発明の一実施例によれば、第1のヒストグラムでは、振幅又はトリガー数の最大値に対応する時刻を、エコーパルス到達時刻の初期探知ウィンドウにおける位置として確定する。又は、図2におけるウィンドウWin-Modに示すように、振幅又はトリガー数が予め設定した閾値(図2における破線に示すように)を超えた時間範囲を、エコーパルス到達時刻の初期探知ウィンドウにおける位置として確定する。本発明では、ステップS102で確定したエコーパルスの位置は、「おおよその位置」と呼ばれてもよい。これは、今回の測定では、前のk回の探知走査のみが実行され、まだ終了しておらず、前のk回の探知走査の探知結果に基づいてエコーパルスのおおよその位置が確定されたからである。
【0052】
ステップS103では、エコーパルスの位置に応じて探知ウィンドウを調整し、調整した探知ウィンドウがエコーパルスの位置を含むとともに初期探知ウィンドウよりも小さくなるようにする。
【0053】
ステップS102でエコーパルスのおおよその位置を確定した後、今回の測定の次の走査プロセスにおいても、エコーパルスは、通常、当該おおよその位置又はその付近に位置する。したがって、ステップS103では、当該おおよその位置に基づいて探知ウィンドウを調整することができ、これにより、次の走査プロセスにおいて初期探知ウィンドウの範囲全体に受信及びデータ処理を行う必要がなくなり、調整した小さな探知ウィンドウ内に受信及びデータ処理を行うだけでよい。探知ウィンドウを調整する場合、エコーパルスの当該おおよその位置が調整した探知ウィンドウ内にあると同時に、調整した探知ウィンドウが初期の探知ウィンドウよりも小さくなり得ることを確保する必要がある。
【0054】
ステップS102で確定したエコーパルスの位置は、1つの具体的なトリガー時刻であることがあり、1つの時間範囲であることもある。エコーパルスの位置が1つ又は複数のトリガー時刻である場合、各トリガー時刻を中心として、1つの予め設定したウィンドウを重ね合わせ、即ち、トリガー時刻前後の一定の時間帯を、調整した探知ウィンドウとすることができる。
【0055】
好ましくは、トリガー時刻を中心としなくてもよく、重ね合わせる予め設定したウィンドウが当該トリガー時刻を含めばよい。エコーパルスの位置が1つ又は複数の時間範囲である場合、当該時間範囲を、調整した探知ウィンドウとすることができる。又は、代替的に、各時間範囲を中心として、1つの予め設定したウィンドウを重ね合わせ、即ち、時間範囲及びその前後の一定の時間帯を、調整した探知ウィンドウとすることができる。又は、トリガー時刻を中心としなくてもよく、重ね合わせる予め設定したウィンドウが当該時間範囲を含めばよい。本発明の一実施例によれば、エコーパルスの位置が1つ又は複数の時間範囲である場合、当該時間範囲をそれぞれ左及び右に一定の比率、例えば、10%又は20%伸長させ、調整した探知ウィンドウとすることができる。
【0056】
ステップS104では、調整した探知ウィンドウを用いてn回の探知走査を行い、第2組の探知データとしてn回の探知走査の結果を取得し、ここでnは整数であり、n≧1である。
【0057】
ステップS103で探知ウィンドウを調整した後、今回の測定における残りのn回の探知走査について、調整した探知ウィンドウを用いて測定し、第2組の探知データを取得する。前記第2組の探知データは、例えば、探知走査ごとに取得した時間情報及び前記時間情報に対応する強度情報を含む。
【0058】
本発明の好ましい一実施例によれば、k回の探知走査及びn回の探知走査はともに、3次元環境中の1点に対する1回の測定を完成する。つまり、1回の測定を完成するために、k回の探知走査を実行して第1組の探知データとして記憶してから、n回の探知走査を実行して第2組の探知データとして記憶する必要がある。レンジング精度を向上させるために、好ましくはk>nであり、即ち、k≦nの場合に対して、レンジングの精度を向上させることができる。
【0059】
本発明の好ましい一実施例によれば、n回の探知走査において、調整した探知ウィンドウの範囲外の探知データに対して、一定の措置を講じることができ、例えば、計算量及び記憶空間を低減するために、調整した探知ウィンドウの範囲を超えたデータを記憶しない。なぜなら、エコーパルスのおおよその位置を確定して探知ウィンドウを調整した場合、探知ウィンドウの範囲外の探知データを周囲の雑音又は干渉信号として扱うことに対して、これらのデータを記憶しないことにより、探知効率及び信号対雑音比を高めることができるからである。又は、システムの電力消費を低減するために、調整した探知ウィンドウの範囲外に受信ユニット(例えば、光電探知器又はTDC等)をオフにし、探知を実行しない。
【0060】
ステップS105では、第1組の探知データ及び第2組の探知データに基づいて、又は第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定する。
【0061】
具体的には、第1組の探知データ及び第2組の探知データに基づいて、図2と類似する第2のヒストグラムを生成し、これにより、第2のヒストグラムからエコーパルスの飛行時間を算出して、目標物の距離を確定することができ、目標物の反射率を確定することもできる。又は、代替的に、第2組の探知データにより生成したヒストグラムのみに基づいてエコーパルスの飛行時間を算出して、目標物の距離を確定することもできる。
【0062】
本発明の好ましい一実施例によれば、第1組の探知データ及び第2組の探知データに基づいて目標物の距離及び反射率を確定し、そして第2組の探知データに基づいて目標物の距離及び反射率を校正する。2組の探知データを組み合わせて用いることにより、目標物のより精確な情報を取得する。例えば、第1組の探知データに基づいて目標物のおおよその位置を確定してから、第2組のデータに基づいて校正して、より精確な位置を取得する。
【0063】
また、例えば、2組の探知データを組み合わせて、目標物の精確な位置を取得する。更に、例えば、2組の探知データを組み合わせて、目標物のおおよその位置を取得してから、第2組のデータに基づいて校正する。当業者であれば、1回の探知を2組又は複数組の探知走査に分け、前の走査データを用いて、後の探知走査のパラメータを指導又は調整し、更に2組又は複数組の探知データを取得し、そして2組又は複数組の探知データに基づいて目標物の距離を確定することが理解可能であり、これらは全て本発明の保護範囲内のものとする。
【0064】
以上に記載されている実施例において、各回の測定は、例えば、k+n回の探知走査を含み、k+n回の探知走査を、前のk回の探知走査と後のn回の探知走査との2組に分け、ここで前のk回の探知走査によってエコーパルスのおおよその位置を取得することができ、そして当該おおよその位置を用いて後のn回の探知走査を指導する。具体的には、当該おおよその位置に基づいて後のn回の探知走査の探知ウィンドウを調整し、これにより、後のn回の探知走査プロセスにおいて、初期探知ウィンドウ全体に信号の受信及び出力処理を実行する必要がなくなり、調整した探知ウィンドウに信号の受信及び/又はデータ処理を実行するだけでよく、このため、レーザーレーダーの電力消費、記憶量及びデータ処理量を節約することができる。
【0065】
いくつかのレーザーレーダーの時間デジタル変換器TDCにおいて、時間分解能の時間スケールごとに1つの対応する記憶位置を必要とし、複数回の探知走査で取得したすべてのトリガーされたSPADの数cntは、いずれも時刻に対応する記憶位置に記憶され、一方、TDCの時間分解能がピコ秒psレベルに達し得るため、非常に大きな空間のあるレジスタを必要とする。
【0066】
図5は従来技術によるデータ記憶方法を示す。ここで、トリガー時刻timestampごとに、メモリR1、R2、…、R16のように、1つのメモリが設けられている。以下において、図4及び図5を参照しながら当該記憶方法を詳細に説明する。
【0067】
図4は本発明の一実施例のレーザーレーダーの探知モジュールを示す。探知モジュール22は複数の探知ユニットを備え、図4では探知ユニット221-1、221-2及び221-nと示される。各探知ユニットは複数の(例えば、図示の9個であり、3個、4個、……であってもよく、具体的にはp個を含んでもよく、pは≧1の正の整数である)単一光子アバランシェダイオードSPADを備え、各探知ユニットの単一光子アバランシェダイオードの出力端は時間デジタル変換器(time to digital converter,TDC)に接続され、各探知ユニットの探知ウィンドウ(即ちSPADが入射された光子を検知できる時間帯)の範囲は個別に調整可能であり、即ち各探知ユニットがアクティブ状態(SPADはガイガーモードであり、即ちSPADに降伏電圧よりも大きい逆方向バイアスを印加し、SPADが光子を受信するとアバランシェ効果をトリガーできるようにする)又は非アクティブ状態(光子によってアバランシェをトリガーすることができない状態)になることを個別に制御することができる。光子が探知ユニット221-1、221-2及び221-nに入射されると、単一光子アバランシェダイオードSPADはトリガーされて電気信号が生成される。
【0068】
各探知ユニットは時間デジタル変換器TDCに結合され、時間デジタル変換器TDCは、光子の到達時間を確定することができる。TDCに接続されたデータ処理装置(図示せず)は探知光の発光時間を取得し、光子の到達時間と探知光の発光時間との時間差を確定し、結果をメモリに記憶することができる。
【0069】
図4に示す探知モジュール22を例として、複数のSPADの出力端は同じTDCに接続され、1つのマクロ画素(pixel)とし、時間情報はマクロ画素における1つ又は複数の単一光子アバランシェダイオードSPADがトリガーされた時間であり、強度情報は当該トリガー時間にトリガーされた単一光子アバランシェダイオードSPADの数であり、即ちトリガーされた単一光子アバランシェダイオードSPADの数により光信号の強度を特徴づける。
【0070】
図4の実施例では、単一光子アバランシェダイオードSPADを例として説明しているが、当業者であれば容易に理解するように、本発明はこれらに限定されず、他のタイプの光電探知器を採用してもよく、アバランシェフォトダイオードAPD、シリコン光電子増倍管SiPM等を含むが、これらに限定されない。
【0071】
図4に示す探知モジュール22によれば、1回の探知走査について、レーザーレーダーのコントローラーは、SPADに高圧を供給するように一部(1行又は1列又は任意の関心のある形状)のマクロ画素をストローブさせ、そして、同期信号を送信して発光端のレーザーに発光できることを知らせ、発光端のレーザーは時刻t(aはa回目の探知走査を表す)に探知用の光パルスを発射し、当該光パルスが外界の障害物に当たると、障害物によって反射され且つレーザーレーダーに戻し、受信端の光電探知器によって受信され得る。
【0072】
光電探知器がSPAD(S)アレイである場合、SPADが光子を受信すると、アバランシェ電気信号を生成し、TDCに伝送し、TDCにより、SPADがトリガーされた時間信号t1a及び同じ時刻にトリガーされたSPADの数信号cnt1a(ここで1aは即ちa回目の探知走査の1回目のトリガーを表す)を出力し、減算プログラムを経てt1a-tのトリガー時刻timestamp1a(以下、tp1aと略称する)を算出し、tp1a及び当該トリガー時刻でのトリガー数cnt1a信号を伝送してメモリに記憶する。1つのマクロ画素には複数のSPADが含まれ、且つSPADはデッドタイム後に再び探知可能であり、このため、1回の探知走査において、別の時刻にまたSPADのトリガーが発生することがあり、メモリはこのトリガーのtp2a及びcnt2a(2aは即ちa回目の探知走査の2回目のトリガーを表す)を記憶する。1回の探知走査における複数回のトリガーは、いずれも時間情報に基づいて記憶する必要がある。
【0073】
次回の探知走査bにおいて、レーザーレーダーのコントローラーは予め設定したプログラムに従って、再び信号を送信して発光端がt時刻に探知光パルスを発射するように制御する。SPADが光子を受信すると、アバランシェ電気信号をTDCに伝送し、TDCにより、SPADがトリガーされた時間信号t1b及び同じ時刻にトリガーされたSPADの数信号cnt1b(b回目の探知の1回目のトリガー)を出力し、後続のメモリがSPADのトリガー時間t1b-tのトリガー時刻timestamp1b(以下、tp1bと略称する)及び当該トリガー時刻でのトリガー数cnt1b信号を記憶する。1つのマクロ画素には複数のSPADが含まれ、且つSPADはデッドタイム後に再び探知可能であり、このため、1回の探知走査において、別の時刻にまたSPADのトリガーが発生することがあり、メモリはこのトリガーのtp2b及びcnt2bを記憶する。
【0074】
何百回の探知走査において、探知走査ごとに取得したトリガー数cntをトリガー時刻timestampに応じてメモリにおける対応する位置に記憶し、同じトリガー時刻timestampに対応する位置において新たなトリガー数cntが到達する場合、記憶された元の値と新たなトリガー数cntを加算して当該位置に更新し、n回探知走査して累積すると、メモリ内には1つのヒストグラムが保存されており、図2に示すように、ヒストグラムは、時間軸における異なるトリガー時刻timestampに対応するトリガー数cntの合計を反映しており、このように、ヒストグラムを用いて重心又は立ち上がり時間を算出する等の操作により、距離算出のための飛行時間としてエコーに対応する時間情報を取得し、点群での1点を生成する。
【0075】
図5のデータ記憶方法において、横座標は時間tであり、横座標のスケール間隔はTDCの時間分解能であり、時間スケールごとに1つの記憶位置R(レジスタ)が対応している。例えば、ある探知走査aでは、時間スケール0にSPADのトリガーが発生し、発光時間及びTDCから伝送されたトリガー時間に基づいてトリガー時刻tp(トリガー時間-今回の発光時間)及びトリガー数情報cnt1aを算出し、cnt1aをtp時刻に対応する記憶位置R1に記憶し、時間スケール4にSPADのトリガーが発生した場合、時間情報tp及びcnt5aを取得し、cnt5aをtpに対応する記憶位置R5に記憶する。別の探知走査bにおいても、時間スケール4にSPADのトリガーが発生した場合、時間情報tp及びcnt5bを取得し、cnt5bも記憶位置R5に対応し、この時cnt5aを読み出してから、cnt5bとcnt5aを加算した値をR5に更新する。aはa回目の探知走査を表し、bはb回目の探知走査を表し、数字は対応する時間スケール及び対応する記憶位置を表す。記憶位置Rは時間スケールと一対一に対応し、メモリはトリガー数cntのみを記憶し、データ処理回路はデータを読み出す時に記憶位置に基づいてトリガー数cntに対応する時間を知ることができる。
【0076】
図2及び図5を参照してわかるように、1つのヒストグラムは複数回の探知走査(400~500回)のデータを累積して得られたものであり、数百回の探知走査の結果をヒストグラムとなるように累積し、点群における1点を得るプロセスにおいて、ある時間スケールに対応する記憶位置に記憶されているのは、当該時刻にトリガーが発生したすべてのトリガー数cntを加算した合計である。1回の探知走査ではすべての時間スケールにもSPADのトリガーが発生するわけではないが、図1に示すように、1つのヒストグラムにおけるデータは複数回の探知結果を累積してなるものであり、時間スケールのそれぞれにも、ある1回の探知走査プロセスにおいてSPADのトリガーが発生する可能性があり、メモリは対応するデータを受信する。したがって、1つのTDCは、時間スケールのそれぞれにも1つの対応する記憶位置を必要とし、複数回の探知走査で取得したすべてのトリガー数cntは、いずれも時刻に対応する記憶位置に記憶され、tpの時間間隔、即ちTDCの分解能がpsレベルに達し、非常に大きな空間のあるレジスタを必要とする。
【0077】
このような記憶及びレンジング方法では、トリガー時刻timestampの精度単位がpsレベルであるため、長いtof探知が必要である場合、1つの完全なヒストグラムを記憶するのに非常に大きなメモリを消費し、極めて大きな記憶空間を消費する必要がある。特に遠距離探知能力を向上させるために、探知の時間及び繰り返し探知走査の回数を増加させる必要があり、記憶空間への要求も高まっている。
【0078】
本開示の一実施例によれば、「加重合計」のデータ記憶方法を採用し、レンジング精度を保持したまま元の信号を圧縮し、ヒストグラムを記憶するのに必要な記憶空間を大幅に低減した。目標物のおおよその範囲を確定した後、ズームイン測定によって、目標物の観測を維持する上でヒストグラムを生成するのに必要な計算量を低減し、システムの電力消費を低下させることができる。
【0079】
図6では、横座標は飛行時間であり、横座標の時間スケールの間隔は、例えば、レーザーレーダーの時間分解能であり、例えば、TDCの時間分解能は、ピコ秒psレベルに達することができる。図6に示すように、レーザーレーダーの時間分解能を基礎として第1の時間スケールが設定され、図6におけるA及びA+1に示すように、隣接する2つの第1の時間スケールの間に16個のレーザーレーダーの時間分解能の間隔が跨る。時刻xに光子を探知した(例えば、図4に示す受信ユニット22における1つの探知ユニット中の1つ又は複数のSPADがトリガーされた)場合、前記時刻xの重みに応じて探知した強度値を記憶する。時刻xは、当該時刻とその左側の隣接する第1の時間スケールAとの時間間隔がx倍の時間分解能であることを表す。
【0080】
当業者であれば容易に理解するように、レーザーレーダーの時間分解能が小さく、第1の時間スケールの間隔が大きいため、レーザーレーダーの時間分解能に対応する時間スケールは、「細かいスケール」と呼ばれてもよく、第1の時間スケールは、「粗いスケール」と呼ばれてもよい。
【0081】
図6に示すように、前記時刻xの重みは、第1の重み及び第2の重みを含み、第1の重みは前記時刻xとその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、第2の重みは前記時刻xとその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられる。第1の重み及び第2の重みを確定した後、第1の時間精度で、それぞれ前記第1の重み及び第2の重みに応じて前記強度情報を記憶する。
【0082】
本発明の好ましい一実施例によれば、前記第1の重みは前記時刻xとその左側の隣接する第1の時間スケールAとの間の時間間隔に関連付けられ、第1の重みは、例えば、(16-x)となり、前記第2の重みは前記時刻xとその右側の隣接する第1の時間スケールA+1との間の時間間隔に関連付けられ、第2の重みは、例えば、xとなる。このため、時刻xを、その隣接する2つの粗いスケール(A,A+1)での重みで置き換えて表し、ここでxの粗いスケールAでの重みは(16-x)となり、粗いスケールA+1での重みはxとなり(xは当該時刻にAから離れた距離を特徴づける)、このように当該時刻xの細かいスケールに等価する。換言すれば、スケールxそのものを記憶するのではなく、xを重みとして、細かいスケールでのデータを隣接する2つの粗いスケールに対応するアドレスに記憶することにより、スケールxの値を表す。このプロセスは、式を用いて次のように表す。
A*(16-x)+(A+1)*x=A*16+x (式2)
式2において、等号の左側は、粗いスケールで記憶した、粗いスケールの開始値及び終了値に重みを加えた和であり、等号の右側は、トリガー時刻の具体的な値である。粗いスケール+重みの記憶方法によりトリガー時刻の具体的な値を特徴づけることができる。
【0083】
同様に、トリガーで取得した信号が、トリガー時刻の他に、トリガーの数又は強度等の情報を示すトリガー数cntも含む場合、粗いスケールAに追加された強度情報はcnt*(16-x)となり、粗いスケールA+1に追加された強度情報はcnt*xとなり、複数回の走査においてそれぞれ加算すればよい。図7を参照しながら詳細に説明する。細かいスケールは時間デジタル変換器TDCの時間分解能を表す。あるトリガー時刻timestampに対して、その粗いスケールの開始値はAであり、その細かいスケールはその粗いスケールにおける対応する0~15の細かい尺度のxスケールにある。
【0084】
図7を参照すると、粗いスケールごとに1つのレジスタが割り当てられ、横座標の粗いスケールの間隔は16倍のTDC分解能であり、粗いスケールごとに1つのレジスタが対応する。ある探知走査aのプロセスでは、時間スケール0にSPADのトリガーが発生し、時間情報tp(対応するx1a=0)及びトリガー数情報cnt1aを取得し、それぞれ粗いスケールAに対応するレジスタAにcnt1a*(16-x1a)を記憶し、粗いスケールA+1に対応するレジスタA+1にcnt1a*x1aを記憶する。別の時間スケール5に時間情報tp(対応するx6a=5)及びトリガー数情報cnt6aを取得し、粗いスケールAに対応するレジスタA内に記憶されたデータを読み出し、cnt6a*(16-x6a)を加算してからレジスタAに記憶し、粗いスケールA+1に対応するレジスタA+1のデータを読み出し、cnt6a*x6aを加算してからレジスタA+1に再度記憶する。1つの粗いスケール時間(細かいスケール0~15)内において、すべてのトリガー数情報cntに重みを加え、元のデータと合計した後、記憶位置A及びA+1に対応するレジスタ内に記憶する。次の粗いスケール時間内のトリガー数情報cntに重みを加えてから粗いスケールA+1及びA+2に対応するレジスタに記憶する。例えば、時刻2′にSPADのトリガーが発生し、時間情報tp′及びcnt3a′を取得した場合、粗いスケールA+1に対応するレジスタA+1内に記憶されたデータにcnt3a′*(16-x3a′)を加算し、粗いスケールA+2に対応するレジスタA+2内にcnt3a′*x3a′を記憶する。
【0085】
次回の探知走査bのプロセスにおいて、受信された信号tp及びcnt2bは、それぞれ粗いスケールA及びA+1に重みcnt2b*(16-x2b)及びcnt2b*x2bが割り当てられ、それぞれ元の記憶データと合計した後、粗いスケールA及びA+1に対応するレジスタに記憶する。1つのヒストグラムは複数回の走査のデータを累積して得られたものであり、いくつかの走査において、時刻0~15に対応してトリガーが発生したすべてのトリガー数cntは、いずれも粗いスケールA及びA+1に対応するレジスタに記憶されている。
【0086】
粗いスケールと細かいスケールの比較関係は図8に示すとおりである。細かいスケールごとにデータを記憶する1つのレジスタを必要とする解決手段に対して、本発明の実施例は加重合計の記憶方法を採用しており、図8の0~n+1の粗いスケールに対応してレジスタを設けるだけでよく、必要とされるレジスタの数は元の1/16に低減され、各レジスタが記憶するビット幅が増加し、占める空間が大きくなるが、割り当てる記憶位置が大幅に低減されるため、加重合計のデータ記憶方法では記憶空間全体を元の1/10の範囲に低減することができる。
【0087】
図6図8の実施例では、隣接する第1の時間スケール(粗いスケール)の時間間隔はレーダー探知データの時間分解能(細かいスケール)の16倍であり、即ち16を重みとしてデータを圧縮する。当業者であれば容易に理解するように、本発明はこれらに限定されず、ここでの重みは任意の大きな正の整数であってもよく、好ましくは2であり、mは正の整数であり、これによりFPGA又はASICにおいて容易に実現できる。
【0088】
上記実施例では、前記第1の重みは(16-x)であり、前記第2の重みはxであるが、本発明はこれらに限定されず、前記第1の重みがxであり、前記第2の重みが(16-x)であるようにしてもよく、又は前記第1の重みが1-(x/n)であり、前記第2の予め設定した重みがx/nであるようにしてもよく、第1の重みが前記時刻xとその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、第2の重みが前記時刻xとその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられればよい。
【0089】
図5図8に示す記憶方法は、上記データ処理方法100における第1組の探知データ及び第2組の探知データの記憶に適用可能である。
【0090】
本発明の好ましい一実施例によれば、第1組の探知データ及び第2組の探知データは第1の記憶方式又は第2の記憶方式によって記憶される。具体的には、第1の記憶方式は、第1の時間精度(即ち、図6における粗いスケールに対応する精度)で時間情報の重みに応じて記憶することを含み、第1の時間精度はレーザーレーダーの時間分解能の倍数とすることができ、例えば、m倍とし、且つmは1よりも大きい整数である。所定の範囲内で、mの値が小さいほど、探知結果の精度が高くなり、必要とされる計算量及び記憶空間も大きくなる。第2の記憶方式は、レーザーレーダーの時間分解能(即ち、図5における細かいスケール)に基づいて記憶することを含む。レーザーレーダーの時間分解能、即ちTDCの時間分解能は、TDCの作動時に識別できる最小の時間間隔である。つまり、測定される一定の時間帯を時間間隔が小さな基準信号で表し、基準信号の時間間隔は測定精度であり、その値が小さいほど、TDCの時間分解能が高くなる。
【0091】
第1の記憶方式は第1の時間精度で記憶し、第2の記憶方式は第2の時間精度で記憶し、第1の時間精度は第2の時間精度よりも低いため、第1の記憶方式は第2の記憶方式に対してより少ない記憶空間を使用する。
【0092】
本発明の好ましい一実施例によれば、第1組の探知データは第1の記憶方式に従って記憶され、第2組の探知データは第2の記憶方式に従って記憶される。第1の記憶方式は第2の記憶方式に対してより少ない記憶空間を使用するため、第1組の探知データのデータ量がより少なく、計算量がより少なく、第1組の探知データに基づいて取得した目標物の位置もおおよそのものである。
【0093】
本発明の好ましい一実施例によれば、第1の記憶方式は重みにも関し、前記重みは第1の重み及び第2の重みを含み、第1の重みは時間情報とその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、第2の重みは時間情報とその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられる。
【0094】
図9は本発明の一実施例のデータ処理方法の模式図を示す。ここで図(a)の座標系の横軸は時間であり、各時間スケールの間隔はTであり、縦軸はトリガーしたSPADの数(強度情報に対応)であり、示される波形は、k=300である場合、即ち前の300回の探知走査を実行して累積してなるヒストグラムに対応する。図(b)の座標系の横軸も時間であり、各時間スケールの間隔はT’であり、縦軸はSPADのトリガー数であり、示される波形は、n=100である場合、即ち後の100回の探知走査を実行して累積してなるヒストグラムに対応する。図(a)の座標系の1つのスケールは、図(b)の座標系の16個のスケールを含んでもよく、これは、1つの高精度のトリガー時刻tpの値は、その2進数が多くのビット幅を占めることを示し、図(a)でそれが圧縮され、記憶した単位時間は図(b)の16倍であるからである。図面では4bitのビット幅で記憶して例示するが、実際のビット幅は、システムの要求に応じて他の任意の値に置き換えてもよい。
【0095】
4bitビット幅の粗いスケールは16個の細かいスケールを含み、図8に示す粗いスケールと細かいスケールの比較関係を参照されたい。縦軸から見れば、図(a)は、加重合計のデータ記憶方法を採用して圧縮されたヒストグラムであり、図(b)は、すべてのSPADのトリガー数を加算して生成した生データのヒストグラムである。図(a)では、図(b)における16個の細かいスケールを1つの粗いスケールとして寄せ集め、A個目からA+1個目の粗いスケールでのx個目の細かいスケールに到達する光子のトリガー時刻及びSPADのトリガー数に対して異なる(加重合計)記憶方法を採用する。
【0096】
具体的には、前の300回の探知走査を実行する時に、メモリはいずれも加重合計の方法に従って第1組の探知データを記憶し、探知データはトリガー時刻tp及びトリガー数cntを含み、例えば、1つの探知ユニットには9個のSPADsが対応する場合、cnt∈(0,9)であり、つまり最大で合計9個のSPADが励起され、最低では1つのSPADも励起されない。300回の走査の後に、メモリ内のデータを読み出し、初期のヒストグラムを得ることができ、図9の(a)に示すように、このヒストグラムの時間分解能が低く、0.8nsである。次に初期のヒストグラムから、エコーパルスの可能なおおよその位置を取得することができる。縦座標に対して、ある閾値を設定することができ、当該閾値を超えた対応する横座標の時間範囲を、エコーパルスの対応するおおよその位置として確定する。又は、閾値を設定せず、最大値をエコーパルスの可能なおおよその位置として直接使用する。
【0097】
エコーパルスのおおよその位置を取得した後、後続の探知走査の探知ウィンドウを調整し、調整した探知ウィンドウ内に、図5に示す方式に従って探知情報を累積して記憶する。
【0098】
具体的には、図9を参照すると、図(a)に示すように、前の300回の探知走査の結果によれば、エコーのおおよその位置の座標が100~103の間であり、具体的な時間が100×0.8ns~103×0.8ns内であることを確定でき、このため、後の100回の探知走査において、100×0.8ns~103×0.8nsの範囲内にズームイン(zoom in)を実行し、この時間範囲内のデータ(トリガー時刻tpに基づいてウィンドウの範囲内にあるか否かを判断する)に対して、図5に示す方式に従ってより精密な時間スケールでデータを記憶し、即ちcnt値を累積して保存し、元の信号のヒストグラムを生成することができ、具体的には図5を参照すると、横座標は時間tであり、横座標のスケール間隔はTDCの時間分解能であり、時間スケールごとに1つの記憶位置R(レジスタ)が対応している。例えば、ある1回の探知では、時刻0にSPADのトリガーが発生し、TDCは時間情報tp1及びトリガー数情報cnt1を伝送し、cnt1をtp1時刻に対応する記憶位置R1に記憶し、時刻15にSPADのトリガーが発生した場合、TDCは時間情報tp16及びcnt16を伝送し、cnt16をtp16に対応する記憶位置R16に記憶する。1つのヒストグラム(点群における1点に対応)は100回の探知走査のデータを累積して得られたものであり、100回の探知走査において、時刻0にトリガーが発生したすべてのcntの合計はR1に記憶され、1つのTDCは、時間スケールのそれぞれにも1つの対応する記憶位置を必要とし、100回の探知走査で取得したすべてのcnt情報はいずれも時刻に対応する記憶位置に記憶される。
【0099】
次に前の300回の探知走査で取得した加重合計のヒストグラムと後の100回の探知走査で取得したヒストグラムとを重ね合わせ、セントロイド法又は前縁法を採用して、飛行時間tof、目標物距離及び目標物反射率等の情報を確定する。そして、好ましくは、後の100回の探知走査において記憶した元のパルス信号の一部のヒストグラムを用いて、飛行時間tof、目標物距離及び目標物反射率等の情報を校正する。
【0100】
図9の実施例では、前の300回の探知走査のデータを加重合計して記憶し、目標物のおおよその位置情報を確定し、次に調整した探知ウィンドウ内に、後の100回の探知走査のデータを精密に記憶し、更に目標物情報を校正する。他の変化実施例があってもよく、例えば、前の300回の探知走査のデータを加重合計して記憶し、目標物のおおよその位置を確定し、次に調整した探知ウィンドウ内に、後の100回の探知走査のデータを精密に記憶し、目標物の情報を確定する。更に、又は、400回の探知走査のデータを加重合計して記憶し、目標物のおおよその情報を確定し、そのうち後の100回の探知走査のデータを同時に精密に記憶し、最後に目標物のおおよその情報を校正する。当業者であれば、1回の探知を2組又は複数組の探知走査に分け、異なる組に対して異なる記憶方法を採用することが理解可能であり、これらは全て本発明の保護範囲内のものとする。
【0101】
以上から、本発明で設計した加重合計のデータ記憶方法により、レンジング精度を保持したまま元の信号を圧縮し、ヒストグラムを記憶するのに必要な記憶空間を大幅に低減した。且つズームインによって後続の処理に移行するトリガー時刻を制限し、不要な計算量を低減し、システムの電力消費を低減することができる。更に、加重合計のFPGA実現又はIC実現における計算量がトリガー数によって決められるため、目標物のおおよその範囲を確定した後続の測定において、ズームイン測定では目標物の観測を維持する上でヒストグラムを生成するのに必要な演算を低減し、更にシステムの電力消費を低減することができる。
【0102】
本発明は、レーザーレーダーを更に提供し、図10に示すように、レーザーレーダー10は、
複数回の探知走査を実行するために3次元環境にレーザーパルスを発射できるように設定される発射ユニット11と、
前記レーザーパルスが目標物において反射されたエコーパルスを受信し、且つ前記エコーパルスを電気信号に変換するように設定される受信ユニット12と、
探知データを確定するために、前記発射ユニット11及び前記受信ユニット12に結合された時間デジタル変換器13と、
前記時間デジタル変換器13に結合されており、前記探知データを記憶するように設定されるメモリ14と、
前記時間デジタル変換器13及びメモリ14に結合された処理ユニット15であって、図11に示すフローチャートに従って、方法200を以下のステップS201~ステップS205で実行する処理ユニット15と、を備える。
【0103】
ステップS201では、前のk回の探知走査について、初期探知ウィンドウ内の第1組の探知データを取得して記憶し、ここでkは整数であり、k≧1である。
【0104】
ステップS202では、前記第1組の探知データに基づいて、エコーパルス到達時刻の前記初期探知ウィンドウにおける位置を確定する。
【0105】
ステップS203では、エコーパルスの位置に応じて探知ウィンドウを調整し、前記調整した探知ウィンドウが前記エコーパルスの位置を含むとともに前記初期探知ウィンドウよりも小さくなるようにする。
【0106】
ステップS204では、後のn回の探知走査について、前記調整した探知ウィンドウ内の第2組の探知データを取得して記憶し、ここでnは正数であり、n≧1である。
【0107】
ステップS205では、前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定する。
【0108】
本発明の一実施例によれば、ここで前記探知データは、探知走査ごとに取得した時間情報及び前記時間情報に対応する強度情報を含み、前記ステップS202は、
前記第1組の探知データに基づいて第1のヒストグラムを生成するステップと、
前記第1のヒストグラムにおいて、振幅の最大値に対応する時刻又は振幅が予め設定した閾値を超えた時間範囲を、前記エコーパルス到達時刻の前記初期探知ウィンドウにおける位置として確定するステップと、を更に含む。
【0109】
本発明の一実施例によれば、ここで前記ステップS203は、前記エコーパルス到達時刻の前記初期探知ウィンドウにおける位置を中心として、前記探知ウィンドウを調整するステップを更に含む。
【0110】
本発明の一実施例によれば、ここで前記初期探知ウィンドウの範囲は前記レーザーレーダー10の予め設定した最大探知距離に関連し、前記ステップS204は、前記調整した探知ウィンドウの範囲外の探知データを記憶しないか、又は前記調整した探知ウィンドウの範囲外に前記受信ユニット12をオフにし、探知を実行しないステップを更に含む。
【0111】
本発明の一実施例によれば、ここで前記ステップS205は、前記第1組の探知データ及び前記第2組の探知データに基づいて、目標物の距離及び/又は反射率を確定し、且つ前記第2組の探知データに基づいて校正するステップを更に含む。
【0112】
本発明の一実施例によれば、前記第1組の探知データ及び第2組の探知データは、第1の記憶方式又は第2の記憶方式によって記憶され、ここで前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で前記時間情報の重みに応じて記憶することを含み、前記第2の記憶方式は、前記レーザーレーダーの時間分解能に応じて記憶することを含み、ここで前記第1の時間精度は、前記時間分解能のm倍であり、且つm>1である。
【0113】
本発明の一実施例によれば、ここで前記第1組の探知データは、前記第1の記憶方式に従って記憶され、前記第2組の探知データは、前記第2の記憶方式に従って記憶される。
【0114】
本発明の一実施例によれば、ここで前記重みは、第1の重み及び第2の重みを含み、前記第1の重みは、前記時間情報とその一方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第2の重みは、前記時間情報とその他方の隣接する第1の時間スケールとの間の時間間隔に関連付けられ、前記第1の記憶方式は、第1の時間精度で、それぞれ前記第1の重み及び第2の重みに応じて前記強度情報を記憶することを含む。
【0115】
本発明の一実施例によれば、ここで前記受信ユニットは、単一光子アバランシェダイオードアレイを含み、前記探知データは、前記単一光子アバランシェダイオードアレイが光子によって励起される時間及び励起された単一光子アバランシェダイオードの数を含む。
【0116】
本発明は、更に、プロセッサによって実行されると、上記のデータ処理方法が実施されるコンピュータ実行可能コマンドが記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0117】
最後に説明すべきことは、以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、上記実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として上記各実施例に記載された技術的解決手段を修正し、又はその一部の技術的特徴に対して同等な置換を行うことができる点である。本発明の趣旨及び原則内になされた任意の修正、同等な置換、改良等は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0118】
10 レーザーレーダー
11 発射ユニット
12 受信ユニット
13 時間デジタル変換器
14 メモリ
15 処理ユニット
22 探知ユニット
22 受信ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】