(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】車両運転サイクル決定方法、機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
G08G1/01 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516533
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 CN2022131819
(87)【国際公開番号】W WO2023240919
(87)【国際公開日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】202210683799.3
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523089276
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】王偉
(72)【発明者】
【氏名】鄭宏
(72)【発明者】
【氏名】曲輔凡
(72)【発明者】
【氏名】李文博
(72)【発明者】
【氏名】李飛
(72)【発明者】
【氏名】王長青
(72)【発明者】
【氏名】張暁輝
(72)【発明者】
【氏名】劉楽
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181BB20
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF25
5H181FF33
(57)【要約】
本発明は自動車の分野に関し、車両運転サイクル決定方法、機器及び記憶媒体を開示する
。該方法は、地図アプリによって事前設定された開始点から事前設定された終了点までの
計画パス及びターゲット情報を取得するステップと、所定距離間隔に基づいて前記計画パ
スに従って車両の走行距離の座標を決定するステップと、サンプルデータ及びターゲット
情報から、事前設定された車両が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時
間を予測するステップと、少なくとも停車位置、前記停車時間及び運転者の運転スタイル
の特徴に基づいて、ニューラルネットワークモデルによって、前記事前設定された車両の
各交通区分における走行時のターゲット走行車速を予測するステップと、車両走行距離の
座標を横座標として、停車時間及びターゲット走行車速をそれぞれ縦座標として、車両運
転サイクル曲線を決定するステップと、を含む。本実施例は車両の実際走行状態をより反
映することができるシミュレーションサイクルを構築し、車両制御ポリシーの最適化及び
シミュレーション試験のための参考根拠を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転サイクル決定方法であって、
地図アプリによって、事前設定された開始点から事前設定された終了点までの計画パス及
び前記計画パスに関連付けられたターゲット情報を取得するステップと、
所定距離間隔に基づいて前記計画パスに従って車両の走行距離の座標を決定するステップ
と、
信号機を含む交通区分と信号機を含まない交通区分を含むサンプルデータに基づき特徴パ
ラメータ行列を決定するステップと、
前記特徴パラメータ行列における特徴パラメータに対して次元削減処理を行い、正規化行
列を得るステップと、
前記正規化行列に基づいて主成分分析を行い、複数の第1主成分を得るステップと、
前記複数の第1主成分に対してクラスタリング演算を行い、2つのクラスタリング中心を
得るステップと、
前記ターゲット情報中の交通区分に対して主成分分析を行い、複数の第2主成分を得るス
テップと、
前記複数の第2主成分及び前記2つのクラスタリング中心から、前記ターゲット情報中の
信号機を含むターゲット交通区分を決定するステップと、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、事前設定された車両
が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測するステップと、
履歴統計データと合わせて、各交通区分の第1平均加速度及び第1平均減速度を決定する
ステップと、
運転者が車両を運転する間の速度の速さを表す運転者の運転スタイルの特徴に基づき、前
記第1平均加速度及び第1平均減速度を修正し、第2平均加速度及び第2平均減速度を得
るステップと、
少なくとも前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度及び前記第2平均減速度に
基づいて、ニューラルネットワークモデルによって、前記事前設定された車両の各交通区
分における走行時のターゲット走行車速を予測するステップと、
前記車両走行距離の座標を横座標として、停車時間及びターゲット走行車速をそれぞれ縦
座標として、車両運転サイクル曲線を決定するステップと、を含むことを特徴とする車両
運転サイクル決定方法。
【請求項2】
前記サンプルデータに基づき特徴パラメータ行列を決定する前記ステップは、
前記サンプルデータ中の交通区分の長さ及び対応する渋滞係数に基づき、対応する交通区
分の第2通過時間を決定するステップと、
交通区分の長さ及び対応する第2通過時間に基づき、対応する交通区分の平均車速を決定
するステップと、
少なくとも交通区分の平均車速を対応する交通区分の特徴パラメータとするステップと、
前記特徴パラメータに基づいて、前記サンプルデータ中のすべての交通区分の特徴パラメ
ータ行列を構築するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度及び前記第2平均減速度に
基づいて、ニューラルネットワークモデルによって前記事前設定された車両の各交通区分
における走行時のターゲット走行車速を予測する前記ステップは、
前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度、前記第2平均減速度、各交通区分の
第2通過時間、各交通区分の第2長さ、各交通区分の平均車速、各交通区分の道路属性及
び各交通区分に対応する車両運転動作を前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前
記事前設定された車両の各交通区分における走行時のターゲット走行車速を得るステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
履歴統計データと合わせて、各交通区分の第1平均加速度及び第1平均減速度を決定する
前記ステップは、
履歴統計データと合わせて、各交通区分の平均加速度の第1値範囲及び平均減速度の第2
値範囲を決定するステップと、
前記第1値範囲内の任意の値を前記第1平均加速度として決定するステップと、
前記第2値範囲内の任意の値を前記第1平均減速度として決定するステップと、を含むこ
とを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
運転者の運転スタイルの特徴に基づき、前記第1平均加速度及び第1平均減速度を修正し
、第2平均加速度及び第2平均減速度を得る前記ステップは、
運転者の運転スタイルの特徴に基づき、アグレッシブレベルを決定するステップと、
前記第1値範囲に応じて前記第1平均加速度を前記アグレッシブレベルに適合する第2平
均加速度に修正するステップと、
前記第2値範囲に応じて前記第1平均減速度を前記アグレッシブレベルに適合する第2平
均減速度に修正するステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
得られたn番目の交通区分が終わったときのターゲット走行車速とn+番目の交通区分が
始まったターゲット走行車速との差が所定値を超える場合、データ平滑化アルゴリズムを
用いて前記ターゲット走行車速を処理することを特徴とするステップをさらに含む請求項
1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲット情報は、前記計画パスの総長さ、前記計画パスを通過するのに要する総通
過時間、前記計画パスに含まれる各交通区画の第1長さと対応する第1通過時間、前記計
画パスに含まれる各交通区分の第2長さ、各交通区分に対応する渋滞係数、各交通区分の
道路属性、各交通区分に対応する車両走行動作及び前記計画パスに含まれる信号機の数の
うちの1つ又は複数を含み、前記計画パスは1つ又は複数の交通区画を含み、1つの交通
区画は1つ又は複数の交通区分を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項8】
前記ターゲット交通区分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、事前設定された車両
が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測する前記ステップは、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数が所定閾値よりも小さい場合、前記ターゲット交通区
分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、信号機の赤信号時間及び青信号時間を決定
するステップと、
前記ターゲット交通区分の第2通過時間及び前記設定周期から、前記事前設定された車両
が対応する信号機で停車するか否かを判定するステップと、
前記事前設定された車両が対応する信号機で停車すると判定する場合、対応する信号機の
青信号時間に基づき、前記事前設定された車両の対応する信号機での停車時間を決定する
ステップと、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数が所定閾値よりも大きい場合、前記ターゲット交通区
分に対応して設定された時間決定を停車時間、前記ターゲット交通区分の位置を停車位置
として決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項9】
電子機器であって、
プロセッサと、メモリと、を含み、
前記プロセッサは前記メモリに記憶されているプログラム又は命令を呼び出すことによっ
て、請求項1~8のいずれか1項に記載の車両運転サイクル決定方法のステップを実行す
ることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の車両運転サイクル決定方法のステップをコンピュー
タに実行させるプログラム又は命令を記憶することを特徴とするコンピュータ読み取り可
能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の技術分野に関し、特に車両運転サイクル決定方法、機器及び記憶媒体に
関する。
【背景技術】
【0002】
サイクルは車両の性能を向上させるための共通の基盤であり、車両のエネルギー消費の最
適化、制御ポリシーの校正及び新技術の開発にとって重要な意義がある。現在、自動車分
野に広く使用されている車両サイクルは標準サイクル、例えばWLTC(WorldLi
ght Vehicle Test Cycle、世界軽量型自動車試験サイクルサイク
ル)、WLTP(World Light VehicleTest Procedur
e、世界軽量型自動車試験手順)、CLTC(China Light-dutyveh
icleTestCycle-passenger、中国軽量型乘用車サイクル)などで
ある。
【0003】
しかし、地域の差、道路の差、運転スタイルの差などの原因により、車両のリアルタイム
サイクルと標準サイクルとの差が大きくなる。
以上に鑑み、本発明が提案される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、車両の実際走行状態をより反映すること
ができるシミュレーションサイクルを構築し、車両制御ポリシーの最適化及びシミュレー
ション試験のための参考根拠を提供する、車両運転サイクル決定方法、機器及び記憶媒体
を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、
地図アプリによって、事前設定された開始点から事前設定された終了点までの計画パス及
び前記計画パスに関連付けられたターゲット情報を取得するステップと、
所定距離間隔に基づいて前記計画パスに従って車両の走行距離の座標を決定するステップ
と、
信号機を含む交通区分と信号機を含まない交通区分を含むサンプルデータに基づき特徴パ
ラメータ行列を決定するステップと、
前記特徴パラメータ行列における特徴パラメータに対して次元削減処理を行い、正規化行
列を得るステップと、
前記正規化行列に基づいて主成分分析を行い、複数の第1主成分を得るステップと、
前記複数の第1主成分に対してクラスタリング演算を行い、2つのクラスタリング中心を
得るステップと、
前記ターゲット情報中の交通区分に対して主成分分析を行い、複数の第2主成分を得るス
テップと、
前記複数の第2主成分及び前記2つのクラスタリング中心から、前記ターゲット情報中の
信号機を含むターゲット交通区分を決定するステップと、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、事前設定された車両
が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測するステップと、
履歴統計データと合わせて、各交通区分の第1平均加速度及び第1平均減速度を決定する
ステップと、
運転者が車両を運転する間の速度の速さを表す運転者の運転スタイルの特徴に基づき、前
記第1平均加速度及び第1平均減速度を修正し、第2平均加速度及び第2平均減速度を得
るステップと、
少なくとも前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度及び前記第2平均減速度に
基づいて、ニューラルネットワークモデルによって前記事前設定された車両の各交通区分
における走行時のターゲット走行車速を予測するステップと、
前記車両走行距離の座標を横座標として、停車時間及びターゲット走行車速をそれぞれ縦
座標として、車両運転サイクル曲線を決定するステップと、を含む車両運転サイクル決定
方法を提供する。
【0006】
本発明の実施例は、
プロセッサと、メモリと、を含み、
前記プロセッサは前記メモリに記憶されているプログラム又は命令を呼び出すことによっ
て、実施例の何れかに記載の車両運転サイクル決定方法のステップを実行する電子機器を
提供する。
【0007】
本発明の実施例は、
実施例のいずれかに記載の車両運転サイクル決定方法のステップをコンピュータに実行さ
せるプログラム又は命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施例は以下の技術的効果を有する。
【0009】
地図アプリによって、事前設定された開始点から事前設定された終了点までの計画パス及
び前記計画パスに関連付けられたターゲット情報を取得し、所定距離間隔に基づいて前記
計画パスに従って車両の走行距離の座標を決定し、信号機を含む交通区分と信号機を含ま
ない交通区分を含むサンプルデータ及び前記ターゲット情報に基づき、事前設定された車
両が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測し、少なくとも前記
停車位置、前記停車時間及び運転者の運転スタイルの特徴に基づいて、ニューラルネット
ワークモデルによって、前記事前設定された車両の各交通区分における走行時のターゲッ
ト走行車速を予測し、前記車両走行距離の座標を横座標として、停車時間及びターゲット
走行車速をそれぞれ縦座標として、車両運転サイクル曲線を決定する。地図アプリによっ
て提供されるターゲット情報が限られる場合、交通シーンを復元して、実際の交通を反映
するシミュレーションサイクルを自動的に構築し、自動車のエネルギー消費の最適化及び
シミュレーション試験のための根拠を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、具
体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面について簡単に説明するが、明らかに、
以下で説明する図面は本発明の実施形態の一部であり、当業者にとっては、創造的な努力
を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【
図1】本発明の実施例による車両運転サイクル決定方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例による計画パス、交通区画及び交通区分の間の関係の概略図である。
【
図3】本発明の実施例による距離横座標の概略図である。
【
図4】本発明の実施例による電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、本発明の技術案を明
確かつ完全に説明する。明らかに、説明する実施例は本発明の実施例の一部であり、すべ
ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得
る他の全ての本発明の特許範囲に属する。
【0012】
本発明の実施例は、運転者の運転スタイルの特徴とリアルタイムな交通データを融合して
、車両リアルタイム運転サイクルを構築する車両運転サイクル決定方法を提供する。車両
リアルタイム運転サイクルと構築した標準サイクルとの差が大きいという問題をある程度
解決する。
【0013】
本発明の実施例による車両運転サイクル決定方法は車両運転サイクル決定装置によって実
行されてもよく、該装置は電子機器に集積されてもよい。
【0014】
図1は本発明の実施例による車両運転サイクル決定方法のフローチャートである。
図1に
示すように、該車両運転サイクル決定方法は、具体的には、S110~S230を含む。
【0015】
S110、地図アプリによって、事前設定された開始点から事前設定された終了点までの
計画パス及び前記計画パスに関連付けられたターゲット情報を取得する。
【0016】
具体的には、地図アプリの入力インターフェースを介して開始点(該開始点は前記事前設
定された開始点)と終了点(該終了点は前記事前設定された終了点)を入力し、地図アプ
リは現在のリアルタイム道路状況に基づいて最適な計画パス、例えばかかる時間が最も短
い計画パスや距離が最短の計画パスなどを与え、ユーザは自分のニーズに応じてこれらか
ら1つを選択することができる。又は、地図アプリは1つの最適なデフォルト計画パスを
与えてもよい。
【0017】
事前設定された開始点から事前設定された終了点までの計画パスに加えて、地図アプリの
API(Application Programming Interface、アプ
リケーションプログラミングインターフェイス)から計画パスに関連付けられたターゲッ
ト情報を取得することもできる。
【0018】
一例として、前記ターゲット情報は、前記計画パスの総長さ、前記計画パスを通過するの
に要する総通過時間、前記計画パスに含まれる各交通区画の第1長さと対応する第1通過
時間、前記計画パスに含まれる各交通区分の第2長さ、各交通区分に対応する渋滞係数、
各交通区分の道路属性、各交通区分に対応する車両走行動作及び前記計画パスに含まれる
信号機の数のうちの1つ又は複数を含み、これらのうち、前記計画パスは、1つ又は複数
の交通区画を含み、1つの交通区画は1つ又は複数の交通区分を含む。
図2に示す1つの
計画パス、交通区画及び交通区分の間の関係の概略図を参照して、計画パスAは1つ又は
複数の交通区画Bを含み、交通区画Bはそれぞれ1つ又は複数の交通区分Cを含む。地図
アプリが現在の交通道路状況に基づき推定した、車両が交通区画Bを通過するのに要する
時間は交通区画Bに対応する第1通過時間であり、交通区画Bの総長さは対応する第1長
さであり、地図アプリが現在の交通道路状況に応じて推定した、車両が交通区分Cを通過
するのに要する時間は交通区分Cに対応する第2通過時間であり、交通区分Cの総長さは
対応する第2長さである。
【0019】
具体的には、交通区画は以下のように定義される。計画パスが地図アプリに組み込まれた
ルールに従って複数のセグメントに分けられ(この組み込みルールは、例えば、隣接する
任意の2つの赤信号と青信号との間のパスを1つの交通区画とすることであってもよいが
、もちろん、他の分割ルールであってもよい)、これらのセグメントはそれぞれ交通区画
と呼ばれ、セグメントごとの長さは交通区画の長さ(すなわち前記第1長さ)とし、セグ
メントごとの通過時間は交通区画通過時間(すなわち前記第1通過時間)、交通区画の長
さを交通区画通過時間で割ると、交通区画の平均車速が得られる。
【0020】
同様に、交通区分は以下のように定義される。各交通区画は地図アプリに組み込まれるル
ールに従って複数のセグメントに分けられ(この組み込みルールは、例えば交通区画内の
いずれかの車両の車頭と車尾との間のパス距離と、信号機を中点として信号機が配置され
た位置の前後方向における事前設定された長さとによってカバーされたパスを交通区分と
することであり、もちろん、他の分割ルールであってもよい)、それぞれのセグメントは
交通区分とし、セグメントごとの長さは交通区分の長さ(すなわち前記第2長さ)とする
。
【0021】
さらに、地図アプリはまた、交通区分渋滞係数と呼ばれる各交通区分の渋滞係数を与え、
地図アプリは交通区画通過時間、交通区分の長さと交通区画長さとの比、渋滞係数に基づ
いて、それぞれの交通区分の通過時間(第2通過時間とも呼ばれる)を得ることができる
。具体的には、交通区分の通過時間は、交通区分の長さと渋滞係数を加重することにより
得られ、例えば長さがL
1の交通区画にはm個の交通区分が含まれており、各交通区分の
長さはそれぞれl
1、l
2……l
mである場合、l
1+l
2+……l
m=L
1になり、交
通区画L
1の通過時間をT
1、各交通区分の渋滞係数をそれぞれk
1、k
2……k
mとす
る場合、交通区分iの通過時間t
iは以下の式(1)により求められる。
(1)
【0022】
以下の式(2)に示す交通区分iの平均車速v
iの計算式のように、交通区分の通過時間
が得られると、交通区分の長さを交通区分の通過時間で割ることによって、各交通区分の
平均車速が得られ得る。なお、交通区分の長さは0よりも大きい自然数である。
(2)
【0023】
道路属性は、都市の主要幹線道路、補助道路、省道、国道や高速道路などのタイプを含む
、道路のタイプを定義するものである。
【0024】
車両走行動作は、車両の次の走行方向、例えば直進、右折、左折などを記述するものであ
る。
【0025】
なお、本発明の実施例では、計画パスの総長さとは、地図アプリの入力インターフェース
に開始点と終了点の位置が入力されると、地図アプリが当時の交通道路状況に応じて自動
的に生成する計画パスの長さを指し、構築した車両運転サイクルの総距離制約である。
【0026】
計画パスの総通過時間とは、地図アプリの入力インターフェースに開始点と終了点の位置
が入力されると、地図アプリが自動的に推定する通過時間であり、構築した車両運転サイ
クルの総時間制約である。
【0027】
S120、所定距離間隔に基づいて前記計画パスに従って車両の走行距離の座標を決定す
る。
【0028】
具体的には、計画パスの開始点を0点、計画パスの終了点を終了点、所定距離間隔(例え
ば1m)で割り出し、計画パスの開始点から終了点までの距離の座標を構築し、該座標を
車両のシミュレーション運転サイクル曲線の横座標とする。距離横座標において各交通区
分の位置を表し、例えば、計画パスの総長さをL、各交通区分の長さをそれぞれl
1、l
2、l
3……l
nとする場合、1番目の交通区分の座標位置は0~l
1、2番目の交通区
分の座標位置はl
1~l
2であり、このようにすれば、
図3に示すように、n番目の交通
区分の距離横座標での座標位置はl
n-1~lnである。
【0029】
S130、信号機を含む交通区分と信号機を含まない交通区分を含むサンプルデータに基
づき特徴パラメータ行列を決定する。
【0030】
S140、前記特徴パラメータ行列における特徴パラメータに対して次元削減処理を行い
、正規化行列を得る。
【0031】
S150、前記正規化行列に基づいて主成分分析を行い、複数の第1主成分を得る。
【0032】
S160、前記複数の第1主成分に対してクラスタリング演算を行い、2つのクラスタリ
ング中心を得る。
【0033】
S170、前記ターゲット情報中の交通区分に対して主成分分析を行い、複数の第2主成
分を得る。
【0034】
S180、前記複数の第2主成分及び前記2つのクラスタリング中心から、前記ターゲッ
ト情報中の信号機を含むターゲット交通区分を決定する。
【0035】
S190、前記ターゲット交通区分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、事前設定
された車両が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測する。
【0036】
事前設定された車両が前記計画パスに従って走行するときに、信号機に出会うため停車し
たり、道路の渋滞により停車したりする場合がある。このため、停車位置を決定するに先
立って信号機の位置及び渋滞区間位置を決定する必要がある。信号機位置の決定方法では
、上記のターゲット情報中の道路属性、交通区画長さと通過時間、交通区分長さと渋滞係
数、車両走行動作などのデータに基づき、主成分分析法及びクラスタリング法によって、
交通灯の位置を認識することができ、これによって、地図アプリのAPIから信号機位置
を取得できないという問題を解決する。渋滞区間位置は交通区分の渋滞係数によって認識
される。前記停車時間の決定には、加重係数法によって車両の停車点での停車時間を求解
することができる。
【0037】
具体的には、前記サンプルデータ中の交通区分の長さ及び対応する渋滞係数に基づき、対
応する交通区分の第2通過時間を決定し、交通区分の長さ及び対応する第2通過時間に基
づき、対応する交通区分の平均車速を決定し、少なくとも交通区分の平均車速を対応する
交通区分の特徴パラメータとし、前記特徴パラメータに基づいて、前記サンプルデータ中
のすべての交通区分の特徴パラメータ行列を構築する。
【0038】
サンプルデータに信号機を有する交通区分がN個含まれており、信号機を含まない交通区
分がM個含まれているとすれば、交通区分ごとに、交通区分の長さ、すなわち第2長さ、
平均車速(平均車速を決定する方法は上記の式(1)及び式(2)を参照)、第2通過時
間、渋滞係数、道路属性及び車両走行動作などの特徴パラメータがある。渋滞係数の値は
通常1、2、3、4であり、ここでは、1は渋滞なし、2は徐行、3は渋滞、4は非常渋
滞を表す。
【0039】
道路属性は通常幹線道路、補助道路、省道、国道及び高速道路であり、主成分分析におい
ては、これらはそれぞれ1、2、3、4、5で表される。
車両運転動作は通常直進、右折、左折であり、主成分分析においては、これらはそれぞれ
1、2、3で表される。
【0040】
交通区分の各特徴パラメータ同士は所定の相関性を持ち、これらにより反映される交通情
報には重なりがあり、直接クラスタリングすると計算量が膨大であり、クラスタリング効
果が悪いという問題が生じるので、特徴パラメータに対する次元削減が必要である。
【0041】
サンプルデータには合計N+M個の交通区分があり、すべての区分の特徴パラメータは表
現式(3)のように特徴パラメータ行列Xとする。式(4)を用いて行列Xに正規化処理
を行い、処理後の正規化行列Sには各パラメータの間の相関性が変わらない。
(3)
(4)
【0042】
式中、x
kjはk番目の交通区分のj番目の特徴パラメータであり、kの値の範囲は1…
…nであり、
はj列目の平均値、jの値の範囲は1……pであり、pは各交通区分の特徴パラメータの
総数を表し、S
ijは正規化行列Sのi行目かつj列目の要素である。
【0043】
具体的には、行列Sに従って相関係数行列及び相関係数行列の特徴値と特徴パラメータを
算出し、特徴値に基づいて累積寄与率を算出する。特徴値が1よりも大きく、かつ累積寄
与率が80%以上である主成分(すなわち第1主成分)を選択して運転サイクルの構築に
用いる。以上のデータに対して主成分分析を行うと、m個の主成分M1、M2……Mmが
得られる。次に、クラスタリング分析法によってデータにクラスタリング分析を行う。k
平均クラスタリング法によってデータをクラスタリングすることができ、分類数は2つで
あり、それぞれ信号機を含むことと、信号機を含まないことを表す。次に、各サンプル(
すなわち各交通区分)からクラスタリング中心までの距離を算出し、距離が小さいものを
1つのクラスにし、ユークリッド距離の計算式は以下の式(5)に示される。
(5)
式中、d
ijはi番目のサンプルからクラスタリング中心jまでの距離、x
ikはi番目
のサンプルのk番目の主成分、x
jkはクラスタリング中心jのk番目の主成分を表し、
pは主成分の数を表し、その値の範囲は1……mである。
【0044】
計算により各クラスの中心の位置を決定し、この位置を新しいクラスタリング中心として
決定し、新しいクラスタリング中心に従って改め分類し、上記の操作を繰り返し、繰り返
し回数が増えるに伴い、クラスタリング中心には大きなズレがなくなり、クラスタリング
の結果が安定になる傾向を示し、これによって、クラスタリング中心の最終的な位置が得
られ、クラスタリング中心が2つ得られ、それぞれは信号機を含むことと、信号機を含ま
ないことを示す。
【0045】
同様に、上記の方法に従って、計画パスにおける交通区分に対して主成分分析を行い、同
様にm個の主成分(すなわち第2主成分)を得た後、各交通区分の主成分とサンプルデー
タのクラスタリング中心とのユークリッド距離を算出し、昇順で並べ替えることによって
、信号機を含むターゲット交通区分を決定する。
【0046】
信号機を含むターゲット交通区分を決定した後、さらに車両が信号機まで走行したと予測
したときに青信号か赤信号かを予測し、青信号であれば、停車する必要がなく、赤信号で
あれば、停車する必要があり、停車時間を決定する。
【0047】
具体的には、各信号機の位置にある交通区分の渋滞係数及び各信号機の周期に基づき、各
信号機の赤信号時間と青信号時間を得る。まず、信号機ごとに、該信号機の位置にある複
数の異なる交通区分の渋滞係数と、複数の異なる青信号時間計算係数k1及び複数の異な
る赤信号時間計算係数k2との間の1対1対応関係を設定し、次に、信号機の周期Tと青
信号時間計算係数k1との積を求めることで、信号機の青信号時間(すなわち青信号持続
時間)を得るとともに、信号機の周期Tと赤信号時間計算係数k2との積を求めることで
、信号機の赤信号時間(すなわち赤信号持続時間)を得る。
【0048】
例えば、信号機の周期はすべてT(Tの値は60s、70s又は100sなど)であると
する。信号機の位置にある交通区分の渋滞係数に基づき、信号機の青信号時間と赤信号時
間の表を構築し、青信号時間をk1*T、赤信号時間をk2*Tとし、ここではk1+k
2=1であり、k1とk2は1よりも小さく0よりも大きい自然数である。
【0049】
各信号機の位置にある交通区分の通過時間を該信号機の周期で割り、余数を得て、次に、
該余数を該信号機の青信号時間と比較し、余数が信号機の青信号時間よりも大きい場合、
車両が信号機に走行するときに停車すると判断し、余数と青信号時間との差を車両の信号
機での停車時間とし、そうではない場合、車両が信号機に走行するときに停車しない(す
なわち信号機での停車時間が存在しない)と判断する。これによって、信号機による停車
時間が得られる。
交通区分の渋滞状態として深刻な渋滞が発生した場合、渋滞が深刻な交通区分について停
車時間tだけ追加し、tは該交通区分の通過時間を超えてはいけない。渋滞が深刻な区間
の位置に停車を必要とする信号機があれば、該位置には停車時間を追加しない。以上のよ
うに、停車を必要とするすべての位置及び停車時間が得られ得る。
【0050】
要するに、前記ターゲット交通区分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、事前設定
された車両が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測する前記ス
テップは、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数が所定閾値よりも小さい場合、前記ターゲット交通区
分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、信号機の赤信号時間及び青信号時間を決定
するステップと、前記ターゲット交通区分の第2通過時間及び前記設定周期から、前記事
前設定された車両が対応する信号機で停車するか否かを判定するステップと、前記事前設
定された車両が対応する信号機で停車すると判定する場合、対応する信号機の青信号時間
に基づき、前記事前設定された車両の対応する信号機での停車時間を決定するステップと
、を含む。
【0051】
前記ターゲット交通区分の渋滞係数が所定閾値よりも大きい場合、前記ターゲット交通区
分に対応して設定された時間決定を停車時間、前記ターゲット交通区分の位置を停車位置
として決定する。
【0052】
S200、履歴統計データと合わせて、各交通区分の第1平均加速度及び第1平均減速度
を決定する。
【0053】
具体的には、履歴統計データと合わせて、各交通区分の平均加速度の第1値範囲及び平均
減速度の第2値範囲を決定し、前記第1値範囲内の任意の値を前記第1平均加速度として
決定し、前記第2値範囲内の任意の値を前記第1平均減速度として決定する。
【0054】
統計の法則によれば、前記第1値範囲及び前記第2値範囲は実際の運転行動の統計値によ
って決定され、例えば第1値範囲は一般にはa∈(0.5、2.5)m/s2、第2値範
囲は一般にはd∈(-0.5、-2.5)m/s2である。
【0055】
S210、運転者が車両を運転する間の速度の速さを表す運転者の運転スタイルの特徴に
基づき、前記第1平均加速度及び第1平均減速度を修正し、第2平均加速度及び第2平均
減速度を得る。
【0056】
運転者の運転スタイルがアグレッシブであり、すなわち運転者が車両を運転するときの速
度が速い場合や、加速や減速が速い場合、加速度や減速度を速くし、運転者の運転スタイ
ルがやわらかく、すなわち運転者が車両を運転するときの速度が遅い場合や、加速や減速
が速い場合、加速度や減速度を遅くし、運転者の運転スタイルが標準的なものである場合
、加速度や減速度を中程度にする。
【0057】
好ましくは、運転者の運転スタイルの特徴に基づき、前記第1平均加速度及び第1平均減
速度を修正し、第2平均加速度及び第2平均減速度を得る前記ステップは、
【0058】
運転者の運転スタイルの特徴に基づき、アグレッシブレベルを決定するステップと、前記
第1値範囲に応じて前記第1平均加速度を前記アグレッシブレベルに適合する第2平均加
速度に修正するステップと、前記第2値範囲に応じて前記第1平均減速度を前記アグレッ
シブレベルに適合する第2平均減速度に修正するステップと、を含む。例えば第1平均加
速度が0.5m/s2であり、運転者の運転スタイルのアグレッシブレベルが高い場合、
第1平均加速度0.6m/s2を第2平均加速度2.4m/s2に修正する。また、例え
ば、第1平均加速度が2.3m/s2であり、運転者の運転スタイルのアグレッシブレベ
ルが低い場合、第1平均加速度2.3m/s2を第2平均加速度0.6m/s2に修正す
る。すなわち、運転者の運転スタイルのアグレッシブレベルが高いほど、修正後の第2平
均の加速度が速く、運転者の運転スタイルのアグレッシブレベルが低いほど、修正後の第
2平均加速度が遅い。同様に、第1平均減速度を修正する方法は第1平均加速度の修正プ
ロセスを参照する。
【0059】
S220、少なくとも前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度及び前記第2平
均減速度に基づいて、ニューラルネットワークモデルによって、前記事前設定された車両
の各交通区分における走行時のターゲット走行車速を予測する。
【0060】
一例として、少なくとも前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度及び前記第2
平均減速度に基づいて、ニューラルネットワークモデルによって、前記事前設定された車
両の各交通区分における走行時のターゲット走行車速を予測する前記ステップは、
前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度、前記第2平均減速度、各交通区分の
第2通過時間、各交通区分の第2長さ、各交通区分の平均車速、各交通区分の道路属性及
び各交通区分に対応する車両運転動作を前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前
記事前設定された車両の各交通区分における走行時のターゲット走行車速を得るステップ
を含む。
【0061】
具体的には、多目的制約ニューラルネットワークモデルを作成する。次に、各交通区分の
長さ、平均車速、通過時間、交通区分停車位置と停車時間、交通区分道路属性、車両運転
動作、平均加速度、平均減速度などのパラメータを多目的制約ニューラルネットワークモ
デルに入力し、車両の各交通区分でのターゲット走行車速を取得する。すなわち、多目的
制約ニューラルネットワークアルゴリズムによって、各交通区分のターゲット走行車速を
取得する。これによって、本発明は、交通区分における総通過時間を一定に維持しつつ、
交通区分の走行距離を一定に維持することができる。
【0062】
ここで、多目的制約ニューラルネットワークモデルを作成するステップは、具体的には、
以下の操作を含む。
【0063】
まず、MATLABアルゴリズムを利用して、3層又は4層のBPニューラルネットワー
クモデルを作成して訓練を行い、訓練ターゲットを0.01としてもよい。BPニューラ
ルネットワークモデルは、入力層と、出力層と、隠れ層と、を含み、隠れ層は入力層と出
力層との間に位置する。
【0064】
次に、正接S字形TansIg関数を入力層から隠れ層への活性化関数とし、入力層を隠
れ層に付加する非線形要素に用いて、入力信号を十分にフィッティングするとともに、P
urelIn関数を隠れ層から出力層への活性化関数とし、隠れ層から出力層へのデータ
の線形マッピングに用いて、BPニューラルネットワークモデルを訓練し、ここでは、訓
練回数を100回、学習速度を0.01に設定する。TansIg関数は以下の計算式(
6)に示される。
(6)
ここで、PurelIn関数の一般表現式は以下の(7)に示される。
(7)
ここで、k及びbは定数である。
【0065】
次に、訓練後、BPニューラルネットワークモデルは前記訓練ターゲット(すなわち0.
01)まで収束しており、このとき、BPニューラルネットワークモデルの訓練は完了し
、訓練を完了したBPニューラルネットワークモデルは多目的制約ニューラルネットワー
クモデルである。
【0066】
ここでは、BPニューラルネットワークモデルでは、入力層のノード数はMであり、Mは
交通区分の車速の相関要素の数であり、交通区分の車速の相関要素は交通区分の長さ、平
均車速、通過時間、交通区分停車時間、交通区分道路属性、車両運転動作、平均加速度、
平均減速度及び停車位置などを含んでもよい。
【0067】
出力層のノード数はLであり、Lは交通区分の車速の相関制御要素の数であり、相関制御
要素は具体的には、交通区分長さ、交通区分通過時間及び交通区分のターゲット走行車速
を含んでもよい。隠れ層の層数はN1であり、N1は1又は2である。各層隠れ層のノー
ド数はN2であり、N2は5又は6である。これによって、各交通区分のターゲット走行
車速が得られる。
【0068】
n番目の交通区分が終わったときのターゲット走行車速とn+番目の交通区分が始まった
ターゲット走行車速が一致しないことがあるため、ターゲット走行車速にステップが存在
することを引き起こす場合があり、このとき、データ平滑化アルゴリズムを用いて処理し
、車速を滑らかに変更する。これによって、ターゲット走行車速が得られる。要するに、
得られたn番目の交通区分が終わったときのターゲット走行車速とn+番目の交通区分が
始まったターゲット走行車速との差が所定値を超える場合、データ平滑化アルゴリズムを
用いて前記ターゲット走行車速を処理する。
【0069】
S230、前記車両走行距離の座標を横座標として、停車時間及びターゲット走行車速を
それぞれ縦座標として、車両運転サイクル曲線を決定する。
【0070】
本実施例は以下の技術的効果を有する。車両の実際走行状態を反映するシミュレーション
サイクルを構築することができ、地図アプリのAPIによって提供されるデータが限られ
る場合、交通シーンを復元して、実際の交通を反映するシミュレーションサイクルを構築
し、自動車のエネルギー消費の最適化やシミュレーション試験のための根拠を提供するこ
とができる。具体的には、計画パスリアルタイムによって地図アプリAPIのデータを読
み取り、クラスタリング方法によって信号機の位置を認識し、多目的制約ニューラルネッ
トワークアルゴリズムによってターゲット走行車速を計算して認識し、ターゲット走行車
速に基づいて車両運転サイクル曲線を構築する。
【0071】
図4は本発明の実施例による電子機器の構造概略図である。
図4に示すように、電子機器
400は1つ又は複数のプロセッサ401とメモリ402を含む。
【0072】
プロセッサ401は、中央処理ユニット(CPU)、又はデータ処理能力及び/又は命令
実行能力を有する他の形態の処理ユニットであってもよく、所望の機能を実行するように
電子機器400の他のコンポーネントを制御してもよい。
【0073】
メモリ402は、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリなどの様々な形態のコンピュー
タ読み取り可能な記憶媒体を含むことができる1つ又は複数のコンピュータプログラム製
品を含んでもよい。前記揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及
び/又はキャッシュメモリ(キャッシュ)などを含んでもよい。前記不揮発性メモリは、
例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含ん
でもよい。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、1つ又は複数のコンピュータ
プログラム命令が記憶されてもよく、プロセッサ401は、前記プログラム命令を実行し
て上記した本発明の任意の実施例の車両運転サイクル決定方法及び/又は他の所望の機能
を実行することができる。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、初期外部パラ
メータ、閾値などの様々なコンテンツも記憶することができる。
【0074】
一例では、電子機器400は、バスシステム及び/又は他の形態の接続機構(図示せず)
を介して相互接続された入力装置403及び出力装置404をさらに含んでもよい。該入
力装置403は、例えば、キーボード、マウスなどを含んでもよい。この出力装置404
は、警報提示情報やブレーキ力などの各種情報を外部に出力することができる。この出力
装置404は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ、及び通信ネットワーク及び
それに接続された遠隔出力装置などを含んでもよい。
【0075】
もちろん、簡略化のために、
図4には、本発明に関連する電子機器400のコンポーネン
トの一部のみが示されており、バス、入出力インターフェースなどのコンポーネントは省
略されている。さらに、特定のアプリケーションに応じて、電子機器400は、他の任意
の適切なコンポーネントを含むことができる。
【0076】
上記の方法及び機器に加えて、本発明の実施例は、プロセッサによって実行されると、本
発明の任意の実施例による車両運行サイクル決定方法のステップをプロセッサに実行させ
るコンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品であってもよい。
【0077】
前記コンピュータプログラム製品は、本発明の実施例の動作を実行するためのプログラム
コードを、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述することができ
、前記プログラミング言語には、Java、C++などのオブジェクト指向プログラミン
グ言語が含まれ、「C」言語などの従来の手続き型プログラミング言語や類似のプログラ
ミング言語も含まれる。プログラムコードは、完全にユーザ計算機器で、部分的にユーザ
計算機器で、独立したソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザ計算機器で、部分
的に遠隔計算機器で、又は完全に遠隔計算装置又はサーバで実行することができる。
【0078】
さらに、本発明の実施例は、プロセッサによって実行されるときに、本発明の任意の実施
例による車両運転サイクル決定方法のステップをプロセッサに実行させるコンピュータプ
ログラム命令を記憶するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。
【0079】
なお、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、
「外」などによって示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基
づいており、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化することのみを目的とするものであ
って、特定の方位を有したり、特定の方位で構成、操作動作しなければならないことを指
示又は暗示するものではなく、本発明を限定するものと理解することはできない。別段の
明示的な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」等の用語は、広義
に理解されるべきであり、例えば、固定的な接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接
続であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接連結、又は中間媒体を
介した間接連結、又は2つのコンポーネントの内部の連通であってもよい。本発明におけ
る上記の用語の具体的な意味は、当業者にとっては、状況に応じて理解することができる
。
【0080】
なお、上記の各実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ使用されており、これら
を限定するものではなく、前述の各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者
は、前述の各実施例に記載された技術案を修正したり、その一部若しくは全部の技術的特
徴を均等に置換したりすることができることを理解すべきであり、これらの修正又は置換
は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案から逸脱させるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転サイクル決定方法であって、
地図アプリによって、事前設定された開始点から事前設定された終了点までの計画パス及
び前記計画パスに関連付けられたターゲット情報を取得するステップと、
所定距離間隔に基づいて前記計画パスに従って車両の走行距離の座標を決定するステップ
と、
信号機を含む交通区分と信号機を含まない交通区分を含むサンプルデータに基づき特徴パ
ラメータ行列を決定するステップと、
前記特徴パラメータ行列における特徴パラメータに対して次元削減処理を行い、正規化行
列を得るステップと、
前記正規化行列に基づいて主成分分析を行い、複数の第1主成分を得るステップと、
前記複数の第1主成分に対してクラスタリング演算を行い、2つのクラスタリング中心を
得るステップと、
前記ターゲット情報中の交通区分に対して主成分分析を行い、複数の第2主成分を得るス
テップと、
前記複数の第2主成分及び前記2つのクラスタリング中心から、前記ターゲット情報中の
信号機を含むターゲット交通区分を決定するステップと、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、事前設定された車両
が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測するステップと、
履歴統計データと合わせて、各交通区分の第1平均加速度及び第1平均減速度を決定する
ステップと、
運転者が車両を運転する間の速度の速さを表す運転者の運転スタイルの特徴に基づき、前
記第1平均加速度及び第1平均減速度を修正し、第2平均加速度及び第2平均減速度を得
るステップと、
少なくとも前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度及び前記第2平均減速度に
基づいて、ニューラルネットワークモデルによって、前記事前設定された車両の各交通区
分における走行時のターゲット走行車速を予測するステップと、
車両走行距離の座標を横座標として、停車時間及びターゲット走行車速をそれぞれ縦座標
として、車両運転サイクル曲線を決定するステップと、を含むことを特徴とする車両運転
サイクル決定方法。
【請求項2】
前記サンプルデータに基づき特徴パラメータ行列を決定する前記ステップは、
前記サンプルデータ中の交通区分の長さ及び対応する渋滞係数に基づき、対応する交通区
分の第2通過時間を決定するステップと、
交通区分の長さ及び対応する第2通過時間に基づき、対応する交通区分の平均車速を決定
するステップと、
少なくとも交通区分の平均車速を対応する交通区分の特徴パラメータとするステップと、
前記特徴パラメータに基づいて、前記サンプルデータ中のすべての交通区分の特徴パラメ
ータ行列を構築するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度及び前記第2平均減速度に
基づいて、ニューラルネットワークモデルによって前記事前設定された車両の各交通区分
における走行時のターゲット走行車速を予測する前記ステップは、
前記停車位置、前記停車時間、前記第2平均加速度、前記第2平均減速度、各交通区分の
第2通過時間、各交通区分の第2長さ、各交通区分の平均車速、各交通区分の道路属性及
び各交通区分に対応する車両運転動作を前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前
記事前設定された車両の各交通区分における走行時のターゲット走行車速を得るステップ
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
履歴統計データと合わせて、各交通区分の第1平均加速度及び第1平均減速度を決定する
前記ステップは、
履歴統計データと合わせて、各交通区分の平均加速度の第1値範囲及び平均減速度の第2
値範囲を決定するステップと、
前記第1値範囲内の任意の値を前記第1平均加速度として決定するステップと、
前記第2値範囲内の任意の値を前記第1平均減速度として決定するステップと、を含むこ
とを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
運転者の運転スタイルの特徴に基づき、前記第1平均加速度及び第1平均減速度を修正し
、第2平均加速度及び第2平均減速度を得る前記ステップは、
運転者の運転スタイルの特徴に基づき、アグレッシブレベルを決定するステップと、
前記第1値範囲に応じて前記第1平均加速度を前記アグレッシブレベルに適合する第2平
均加速度に修正するステップと、
前記第2値範囲に応じて前記第1平均減速度を前記アグレッシブレベルに適合する第2平
均減速度に修正するステップと、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
得られたn番目の交通区分が終わったときのターゲット走行車速とn+番目の交通区分が
始まったターゲット走行車速との差が所定値を超える場合、データ平滑化アルゴリズムを
用いて前記ターゲット走行車速を処理することを特徴とするステップをさらに含む請求項
1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ターゲット情報は、前記計画パスの総長さ、前記計画パスを通過するのに要する総通
過時間、前記計画パスに含まれる各交通区画の第1長さと対応する第1通過時間、前記計
画パスに含まれる各交通区分の第2長さ、各交通区分に対応する渋滞係数、各交通区分の
道路属性、各交通区分に対応する車両走行動作及び前記計画パスに含まれる信号機の数の
うちの1つ又は複数を含み、前記計画パスは1つ又は複数の交通区画を含み、1つの交通
区画は1つ又は複数の交通区分を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項8】
前記ターゲット交通区分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、事前設定された車両
が前記計画パスに従って走行するときの停車位置と停車時間を予測する前記ステップは、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数が所定閾値よりも小さい場合、前記ターゲット交通区
分の渋滞係数及び信号機の設定周期に基づき、信号機の赤信号時間及び青信号時間を決定
するステップと、
前記ターゲット交通区分の第2通過時間及び前記設定周期から、前記事前設定された車両
が対応する信号機で停車するか否かを判定するステップと、
前記事前設定された車両が対応する信号機で停車すると判定する場合、対応する信号機の
青信号時間に基づき、前記事前設定された車両の対応する信号機での停車時間を決定する
ステップと、
前記ターゲット交通区分の渋滞係数が所定閾値よりも大きい場合、前記ターゲット交通区
分に対応して設定された時間決定を停車時間、前記ターゲット交通区分の位置を停車位置
として決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項9】
電子機器であって、
プロセッサと、メモリと、を含み、
前記プロセッサは前記メモリに記憶されているプログラム又は命令を呼び出すことによっ
て、請求
項8に記載の車両運転サイクル決定方法のステップを実行することを特徴とする
電子機器。
【請求項10】
請求
項8に記載の車両運転サイクル決定方法のステップをコンピュータに実行させるプロ
グラム又は命令を記憶することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【国際調査報告】