(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】インプラントと外部機器との間のワイヤレス・データ送信のための通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/372 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A61N1/372
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563319
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022065445
(87)【国際公開番号】W WO2023280495
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルスナー、ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ケッペル、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ビアーシュナイダー、エマヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ガルツ、ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】カメンツ、ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ステューマー、ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン、エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】グレツキ、グンナー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
4C053KK07
(57)【要約】
IMDエネルギー源の寿命を長くすることを目的とした、インプラント型医療機器IMD40と外部機器60との間のワイヤレス・データ送信のための通信システム10、及びそれぞれの通信方法が開示される。通信システムは通信ユニット62及びプロセッサ61を備える。IMD40は患者の身体パラメータをモニタするように構成され、及び/又は患者に療法信号を送達するように構成され、IMDはトランシーバ・モジュールを備え、トランシーバ・モジュールは、トランシーバ・モジュールから通信ユニットへのアップリンク方向、及び通信ユニットからトランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、外部機器の通信ユニットとデータを交換するように構成される。更に、それぞれのコンピュータ・プログラム製品及びコンピュータ可読データ・キャリアが説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント型医療機器(IMD、40)と、通信ユニット(62)及びプロセッサ(61)を備える外部機器(60)との間のワイヤレス・データ送信のための通信システム(10)であって、前記IMD(40)が患者(30)の身体パラメータをモニタするように構成され、及び/又は前記患者に療法信号を送達するように構成され、前記IMDがトランシーバ・モジュールを備え、前記トランシーバ・モジュールが、前記トランシーバ・モジュールから前記通信ユニットへのアップリンク方向、及び前記通信ユニットから前記トランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、前記外部機器の前記通信ユニットとデータを交換するように構成され、前記外部機器の前記プロセッサが、前記通信ユニットによって受け取られ、埋め込まれたIMDの前記トランシーバ・モジュールによって、所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケット(P1)の信号強度(C
E)を決定し、前記通信ユニットのノイズ・レベル(I
E)を決定するように構成され、前記プロセッサが、前記通信ユニットが前記トランシーバ・モジュールから受け取った前記少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの前記信号強度、及び前記通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、前記アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値(d
UL)、及び前記ダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値(d
DL)を決定するように更に構成される、通信システム(10)。
【請求項2】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、10
-1と10
-6との間のビット誤り率(BER)、好ましくは10
-2、10
-3又は10
-5のBERを考慮する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュールを考慮する、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、データ送信のための所定の周波数帯域を考慮する、請求項1から3までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記外部機器(60)の前記通信ユニット(62)が、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び前記可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を前記IMD(40)の前記トランシーバ・モジュールに送信するように更に構成され、前記IMDが、次に前記トランシーバ・モジュールによる使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を、前記通信ユニットから受け取ったデータ転送速度値に設定するように構成される、請求項1から4までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記外部機器(60)が、次に前記通信ユニット(62)による使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を、前記決定された可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値及び前記決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値に設定するように構成される、請求項1から5までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記外部機器(60)の前記プロセッサ(61)が、前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向の前記データ送信における信号損失(L)を決定するように構成され、及び/又は前記外部機器の前記プロセッサが、所定の時間期間にわたって前記通信ユニット(62)の前記ノイズ・レベルを観察し、それにより前記時間期間のうちの、前記ノイズ・レベルが他のサブセクションのノイズ・レベルより通常高いサブセクションを識別するように構成される、請求項1から6までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
インプラント型医療機器(IMD、40)と、通信ユニット(62)及びプロセッサ(61)を備える外部機器(60)との間のワイヤレス・データ送信のための通信方法(10)であって、前記IMD(40)が、患者(30)の身体内に埋め込まれた後、前記患者の身体パラメータをモニタし、及び/又は前記患者に療法信号を送達し、前記IMDがトランシーバ・モジュールを備え、前記トランシーバ・モジュールが、前記トランシーバ・モジュールから前記通信ユニットへのアップリンク方向、及び前記通信ユニットから前記トランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、前記外部機器の前記通信ユニットとデータを交換し、
・ 前記外部機器の前記プロセッサが、前記通信ユニットが受け取り、前記埋め込まれたIMDの前記トランシーバ・モジュールによって所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケット(P1)の信号強度(C
E)を決定するステップと、
・ 前記外部機器の前記プロセッサが前記通信ユニットのノイズ・レベル(I
E)を決定するステップと、
・ 前記プロセッサが、前記通信ユニットが前記トランシーバ・モジュールから受け取った前記少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの前記信号強度、及び前記通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、前記アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値(d
UL)、及び前記ダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値(d
DL)を決定するステップと
を含む通信方法。
【請求項9】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、10
-1と10
-6との間のビット誤り率(BER)、好ましくは10
-2、10
-3若しくは10
-5のBERを考慮し、及び/又は所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュール、及び/又はデータ送信のための所定の周波数帯域を考慮する、請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
前記外部機器(60)の前記通信ユニット(62)が、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び前記可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を前記IMD(40)の前記トランシーバ・モジュールに送信し、前記IMDが、次に前記トランシーバ・モジュールによる使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を前記送信されたデータ転送速度値に設定する、請求項8又は9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記外部機器(60)が、次に前記通信ユニット(62)による使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を、前記決定された可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値及び前記決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値に設定する、請求項8から10までのいずれかに記載の通信方法。
【請求項12】
前記外部機器(60)の前記プロセッサ(61)が、前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向の前記データ送信における信号損失(L)を決定し、及び/又は所定の時間期間にわたって前記通信ユニット(62)の前記ノイズ・レベルを観察し、それにより前記時間期間のうちの、前記ノイズ・レベルが、他のサブセクションのノイズ・レベルより通常高いサブセクションを識別する、請求項8から11までのいずれかに記載の通信方法。
【請求項13】
前記外部機器(60)の前記プロセッサ(61)によって実行されると、前記プロセッサに請求項8から12までのいずれかに記載の方法のステップを実施させる命令を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータ・プログラム製品を記憶するコンピュータ可読データ・キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント型医療機器(IMD:implantable medical device、インプラント)と外部機器との間のワイヤレス・データ送信のための通信システムを対象としており、IMDは、患者の健康ステータスをモニタするように構成され、及び/又は患者に療法信号を送達するように構成される。外部機器は少なくとも部分的に体外に配置される。本発明は、更に、ワイヤレス・データ送信のためのそれぞれの通信方法、それぞれのコンピュータ・プログラム製品、及びそれぞれのコンピュータ可読データ・キャリアを対象としている。
【背景技術】
【0002】
能動及び受動インプラント型医療機器(IMD、インプラント)、例えばペースメーカ(リード付き)、BioMonitor、インプラント型リードレス・ペーサ(ILP:Implantable Leadless Pacer)、インプラント型リードレス圧力センサ(ILPS:Implantable Leadless Pressure Sensor)、インプラント型心臓除細動器(ICD:Implantable Cardiac Defibrillator)又はShockboxは、患者の健康ステータスをモニタするために生理学的信号を収集し、通信ユニットを使用してそれらをデータとして外部機器(例えばスマートフォン、コンピュータ、リモート・サーバ)に送信するセンサを包含している。これらの様々なセンサから収集されたデータは、それらに限定されないが、ECG、インピーダンス、活動性、姿勢、心音、圧力、呼吸データ及び他のデータを含むことができる。能動IMD、例えばペースメーカ、ILP、ICD又はShockboxは、患者に療法信号、例えば心室又は心房内の電気刺激を提供することができる。
【0003】
通常、このようなIMDは、データ処理のためのプロセッサ、及び、例えば患者の身体内に埋め込まれた場合に、外部機器の通信ユニットと双方向でメッセージを交換するように構成されたトランシーバ・モジュールを備えている。少なくとも部分的に体外に配置される外部機器の通信ユニットは、IMDのトランシーバ・モジュールを使用して双方向でデータを送信するように構成されている。通信ユニットは、例えば患者の健康ステータス若しくはIMDステータスに関するデータをIMDから受け取るため、又はプログラミングするために(適切な療法を患者に適用するようにIMDを構成するために)、メッセージを生成し、リクエストの形態でIMDのトランシーバ・モジュールにそのメッセージを送る。
【0004】
文書米国特許出願公開第2018/0152972(A1)号はデータ送信のための方法及びシステムを記述しており、通信リンクは外部器具とIMDとの間で開始される。
【0005】
第1の接続インターバルでは、データ・パケットは外部器具とIMDとの間で運ばれ、データ・スループット要求事項のうちの少なくとも1つを含む接続基準がモニタされる。更に、通信リンクは、IMDの寿命を長くするために、接続基準に基づいて第1の接続インターバルから第2の接続インターバルに変更され、第2の接続インターバルは第1の接続インターバルより長くすることができ、変更動作は、データ・スループット要求事項がデータ閾値未満に低下した場合の第2の接続インターバルへの変更を含む。
【0006】
上記文書によれば、IMDバッテリの不適切な消耗を回避するためには通信のパラメータを考慮しなければならないことが示されている。患者の身体に埋め込まれた場合のIMDと外部機器との間の遠隔測定通信の場合はとりわけそうである。このような遠隔測定通信は、しばしば、いくつかのデータ・パケットの交換を含む短い通信接続として実現されており、データ・パケットの交換は、予め定義された、大抵は一定のタイム・インターバルで繰り返される。
【0007】
通常、IMDと外部機器との間の遠隔測定通信には低リンク・マージンを使用する。このような場合、速いデータ転送速度は通信損失の原因になり、潜在的に、高い反復率はエネルギー消費の増加をもたらす。短時間通信接続はいくつかのデータ・パケットしか包含していないため、通信相手間の最適データ転送速度の通常の「ネゴシエーション」はエネルギー消費をも増加させることになる。サービス応答時間、損失、信号対雑音比、漏話、エコー、割込み、周波数応答、ラウドネス・レベル、等などの接続のすべての態様に関する要求事項を含むデータ送信サービスの総合性能を決定するための通常のサービス品質(QoS:quality of service)方法は、遠隔測定通信の場合、IMDと外部機器通信などの短い通信にとっては効果的な方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0009204(A1)号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0152972(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがってIMDバッテリエネルギーを使い切らない通信システム及び方法を提供し、少なくとも1つの最適通信パラメータに関する速やかな結果を提供して寿命を長くすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題は、請求項1の特徴を有する、IMDと外部通信ユニットとの間のワイヤレス・データ送信のための通信システムによって、請求項8の特徴を有するそれぞれの通信方法によって、請求項13の特徴を有するコンピュータ・プログラム製品によって、及び請求項14の特徴を有するコンピュータ可読データ・キャリアによって解決される。
【0011】
上記の問題は、とりわけ、IMDと、通信ユニット及びプロセッサを備える外部機器との間のワイヤレス・データ送信のための通信システムによって解決され、IMDは患者の身体パラメータをモニタするように構成され、及び/又は患者に療法信号を送達するように構成され、IMDはトランシーバ・モジュールを備え、トランシーバ・モジュールは、トランシーバ・モジュールから通信ユニットへのアップリンク方向、及び通信ユニットからトランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、外部機器の通信ユニットとデータを交換するように構成され、外部機器のプロセッサは、通信ユニットによって受け取られた、及び、埋め込まれたIMDのトランシーバ・モジュールによって、所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケットの信号強度を決定し、通信ユニットのノイズ・レベルを決定するように構成され、プロセッサは、通信ユニットがトランシーバ・モジュールから受け取った少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの信号強度、及び通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値、及びダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を決定するように更に構成される。
【0012】
IMDは、上で定義した、患者の健康ステータスをモニタするように構成され、及び/又は患者に療法信号を送達するように構成されたインプラント型医療機器、例えばILP、ILPS又はICDである。上記主題を実現することができるIMDのための他の実例は、上で言及したIMD、SCS機器、薬剤送達機器又は蝸牛インプラントである。IMDは、少なくとも部分的に患者の身体内に埋め込むことができる。埋め込んだ後、IMDは外部機器との遠隔測定通信を提供する。
【0013】
IMDは、データ処理のためのプロセッサと、メッセージ(即ち通信信号)を通信ユニットに送る及び送信する、且つ、通信ユニットからメッセージを受け取るためのトランシーバ・モジュール(例えばアンテナ)とを備える。IMDのプロセッサはトランシーバ・モジュールに電気的に接続され、外部機器のプロセッサは通信ユニットに電気的に接続される。別法としては、トランシーバ・モジュール又は通信ユニットは、それぞれIMDのプロセッサ又は外部機器のプロセッサ内に統合することも可能である。トランシーバ・モジュール及び通信ユニットは、信号/メッセージをデータ・パケットの形態でそれぞれの他のモジュール/ユニットに送るように構成される。一般に、このようなデータ・パケットは、それぞれのアルゴリズム及びデータ構造の中で表される通信プロトコルの中で定義される構文規則及び意味論規則のシステムの中に埋め込まれるビット・ストリングである。トランシーバ・モジュールによって受け取られたメッセージは、データ処理のためにそれぞれのプロセッサに送信される。同様に、プロセッサは、トランシーバ・モジュール又は通信ユニットによってそれぞれの相手に送信される信号/メッセージの内容を生成する。
【0014】
IMDのメモリ・モジュールは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、読み出し専用メモリ(ROM:read-only memory)、不揮発性RAM(NVRAM:non-volatile RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM:electrically-erasable programmable ROM)、フラッシュ・メモリ又は任意の他のメモリ・デバイスなどの任意の揮発性媒体、不揮発性媒体、磁気媒体又は電気媒体を含むことができる。
【0015】
IMDは、バッテリなどの電源、患者から生理学的信号を検索するための少なくとも1つのセンサ、及び/又は例えば患者に療法を提供するために電気又は電磁気療法信号を生成するための信号発生器などの更なるモジュールを備えることができる。トランシーバ・モジュール、メモリ・モジュール、電源、少なくとも1つのセンサ及び/又は信号発生器はプロセッサに電気的に接続することができる。IMDの構成要素は気密封止ハウジング内に配置することができる。
【0016】
外部機器は、とりわけIMDが患者の身体に埋め込まれる状況では常に、少なくとも部分的に体外に配置される。外部機器は、コンピュータ、スマートフォン、サーバ、又は通信ユニット及びプロセッサを備えた同様の計算デバイスであってもよい。外部機器は、IMDとリモート・モニタ・サーバとの間の通信を経路指定するトランシーバとして働くことができるいわゆる患者リモート・デバイス(PR:patient remote)であってもよい。PRは、IMDの能動療法プログラムを変更し、その刺激振幅を制御し、刺激をターン・オン/オフし、バッテリ・ステータスを観察する能力を患者又はHCPに与えることができる。したがって外部機器は、IMDのための外部プログラマとしても働くことができる。外部機器の説明されている機能性及び以下の方法は、対応するアプリケーションによって実現することができる。
【0017】
通信ユニットは、IMDのトランシーバ・モジュールとの双方向通信のために構成され、したがってメッセージ(信号)のためのトランシーバ、例えばアンテナを備えている。
【0018】
データ/信号処理のために、外部機器及びIMDの各々は、一般に、命令制御ユニット並びに算術及び論理ユニットを含む命令を解釈し、実行する、外部機器又はIMDの機能ユニットとみなされる専用プロセッサを備えているか、又は備えることができる。プロセッサは、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、現場で書替え可能ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate array)、離散論理回路又はそれらの任意の組合せを備えることができる。別法又は追加として、プロセッサは、とりわけIMDの場合、サイズが小さく、また、電力が極端に制限されるため、集積専用ハードウェア論理回路を使用して実現することも可能である。プロセッサは複数の処理サブユニットを備えることができる。
【0019】
通信ユニットとIMDのトランシーバ・モジュールのワイヤレス通信は、電磁波を使用した、空中(配線がない)を介した通信、例えばラジオ周波数領域におけるMedRadio/MICS/MEDS、EDGE、EV-DO、Flash-OFDM、GPRS、HSPA、LoRaWAN、RTT、UMTS、Narrowband IoT、Bluetooth、WLAN(WiFi)、ZigBee、NFC、LTE、ワイヤレスUSB、Wibree(BLE)、Ethernet(登録商標)又はWiMAX、或いは赤外線又は光周波数領域におけるIrDA又は自由空間光通信(FSO:free-space optical)を含む。したがって同じ名称(即ち、通信システムの2つ以上の実体が物理量、定義規則、構文、通信の意味論及び同期化、並びに可能な誤り回復方法のある種の変形形態を介して情報を送信することができ、ハードウェア、ソフトウェア又はその両方の組合せによって実施される規則のシステム)を有することがしばしばあるそれぞれの通信プロトコル、又は協同プロトコル(プロトコル・スイート)を使用することができ、例えばTLS又はSSL、IPX/SPX、X.25、AX.25、ebXML、Apple Talk、Bluetoothプロトコル(例えばBR/EDR)、Bluetooth 4.0(BLE)、ZigBeeプロトコル、NFCプロトコル、IEEE802.11及び802.16プロトコル等と共にTCP/IPプロトコル・スイート(例えばIPv6、TCP、UDP、SMTP、HTTP/2)をも使用することができる。IMDを埋め込んだ後、通信経路は患者の身体の組織内に経路セクションを含む。
【0020】
上で示したように、通信ユニットとトランシーバ・モジュールの通信はMedRadio/MICS/MEDS仕様を使用することができる。医療機器無線通信サービス(MedRadio)は、診断及び治療的IMD並びに身体着用医療機器の通信ニーズのために、米国連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)のために作成された仕様及び通信スペクトルである。カバーされているスペクトルは、401MHzから406MHz、及び413MHzから457MHzの範囲、並びに2360MHzから2400MHzの範囲の周波数帯域を含む。欧州遠隔通信規格協会(ETSI:European Telecommunications Standards Institute)によって仕様及びほとんど同じスペクトルも作成されており、この仕様は、欧州及び世界の他の部分では広くMICS/MEDS(Medical Data Service)と呼ばれている。MICS帯域は25kHzチャネルに分割することができ、IMDトランシーバは300kHzまで使用することができる。この場合、800キロビット/秒までのデータ転送速度が可能である。送信される出力は極めて低く、干渉を回避するために25μW EIRP(-16dBm)である。
【0021】
したがって通信モジュール及びトランシーバ・モジュールは、使用される通信技法/通信プロトコルに適合されたそれぞれのハードウェア及びソフトウェアを備えている。
【0022】
本発明に関して、各プロセッサは、それぞれ、命令制御ユニット並びに算術及び論理ユニットを含む命令を解釈し、実行する、IMD及び外部機器の機能ユニットとみなされる。リモート・コンピュータは、人間が介在することなく、多くの算術演算及び論理演算を含む実質的な計算を実施することができる、例えばパーソナル・モバイル機器(PMD:personal mobile device)、デスクトップ・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、クラスタ/ウェアハウス・スケール・コンピュータ又は埋め込み型システムなどの機能ユニットである。
【0023】
上記通信システムは、予め定義されたビット誤り率(BER:bit-error rate)、例えばBER=10-5又はBER=10-3に対する可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値が、外部機器の決定された値のみに基づいて決定される利点を有している。IMD内で必要な何らかの値の(追加)決定は存在しない。更に、可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値は、通信ユニットがIMDから、ただ1つのデータ・パケットを受け取った後に決定することができ、したがって決定が極めて速くなり、IMDのエネルギー消費の低減をもたらし、したがって寿命が長くなる。
【0024】
一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は10-3のBERを考慮している。
【0025】
本発明者らは、所与のBER及び通信接続に対する可能な最高データ転送速度は、ノイズ比測度に対する受け取ったキャリアに依存することを認識した。したがって本発明者らは、可能な最高データ転送速度に対する値を受け取るために、外部機器の通信ユニットが受け取る信号及び干渉レベルを決定している。
図2は、異なるタイプのビット誤り率試験(BERT:bit error rate tests)に対する、Eb/N0(ビット当たりのエネルギー対ノイズ・パワー・スペクトル密度比)で表された正規化キャリア対ノイズ比測度に対して引かれたBERを示す。このグラフから、例えば、FSK変調及びBER=10
-5に対して、Eb/N0>14dBである場合、帯域幅、延いてはデータ転送速度を速くすることができることを引き出すことができる。
【0026】
可能な最高アップリンク・データ転送速度及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度の決定は、更に、IMDの使用されるトランシーバ・モジュールに基づくことができる。各トランシーバ・チップ・タイプは、熱ノイズNに対する関係で、データ転送速度毎に特定の感度を実現している。実例として、以下の表(表1)は、典型的なトランシーバ・チップに対する、データ転送速度に対する感度を列挙したものである。
【表1】
【0027】
したがって一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は、所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュールを考慮している。
【0028】
本発明者らは、通信ユニットによって受け取られ、予め定義された初期データ転送速度を使用してトランシーバ・モジュールによって送られる1つのデータ・パケットの信号強度CEは、
CE=TXI+L (式0)
を仮定しており、ここでTXI(dBm単位)はIMDのトランシーバ・モジュールの送信機パワー出力であり、Lは送信経路の全損失である。送信経路の対称性を更に仮定すると、トランシーバ・モジュールによって受け取られ、通信ユニットによって送られるデータ・パケットの信号レベルCIは、
CI=TXE+L=CE+TXE-TXI (式I)
であり、ここでTXEは(dBm単位)は外部機器の通信ユニットの送信機パワー出力であり、Lは送信経路の(全)損失である。上記の式は、更に、アップリンク・データ送信及びダウンリンク・データ送信に同じ周波数が使用される仮定に基づいており、これは、例えばMICS帯域がデータ送信に使用される場合がそうである。したがって一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は、データ送信のための所定の周波数帯域を考慮している。
【0029】
受け取った少なくとも1つのデータ・パケットの信号の信号強度CEの測定後、及びそれぞれのデータ・パケットの内容からのTXIの決定後、外部機器のプロセッサは、式Iを使用して信号レベルCIを決定する。TXEは、予め定義された初期データ転送速度に対して、外部機器から分かる。
【0030】
上で示したように、アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値、及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値の決定に関して第2の重要な値は、外部機器で受け取る現在のノイズ・レベルである。この現在のノイズ・レベルIE(dBm単位)は、外部機器のプロセッサによって、使用される送信チャネルに対して、予め定義された帯域幅B(Hz単位)を使用して、予め定義された時間期間にわたって、例えば数秒にわたって、移動算術平均値として決定される。移動幾何学平均値又は調和平均値を使用することも可能である。ノイズ・レベルIEは連続的に決定することができるか、又は予め定義されたタイム・インターバルで、5分から20分毎に、予め定義されたタイム・インターバル、例えば1秒から60秒にわたって決定することができる。現在のノイズ・レベルIEは、上記方法によれば最も新しく決定されたノイズ・レベルである。
【0031】
図3に示されているように、干渉源I(dBm単位)70は、距離x(m単位)におけるIMD40のトランシーバ・モジュールの中でノイズ・レベルI
Iを生成している。I
IはI
I=I-D
x-D
Kとして計算され、ここでD
x(dB単位)は自由経路損失であり、D
Kは患者の組織の減衰であり、患者30の組織は通信経路の一部である。I
Eは、距離y(m単位)における外部機器60の中の干渉源Iによって生成されるノイズ・レベル(dBm単位)であり、等方性アンテナは0dBmのアンテナ利得を有することが仮定されている。D
KはD
xと比較すると長いという発見に基づいて、及び、干渉源は、通常、IMDまで25cmより近くには配置されない(x>0.25m)こと、及び、外部機器は、通常、IMDまで2m以内の近さに配置される(z<=2m)ことの仮定に基づいて、以下の計算が提供される。
I
I=I-D
x-D
K及びI
E=I-D
y
D
y/x=D
y-D
x=20*log
10(y/x)
y/x<(z+x)/x
したがってD
y/x<20*log10((z+x)/x)=20*log
10((2m+0.25m)/0.25m)=19
したがってD
y/x<19である。したがって19はD
y/xの上限である。
したがってノイズ・レベルI
Iは以下のように計算することができる。
I
I=I
E-D
K+19 (式II)
【0032】
式IIは、IMDで期待される干渉IIに対する有用、且つ、十分に正確な(「鋭い」)値を与える。
【0033】
この値は干渉源Iの位置に依存せず、IMD内における干渉の実際の測定を必要とすることなく決定され、測定は外部機器においてのみ実施されるため、IMDにおけるエネルギーを節約する。
【0034】
干渉に対するこの値を使用して、ダウンリンク方向におけるデータ転送速度dDLを調整することができる。IMDを使用した遠隔測定の場合、DK>>Dy/x(=19)であり、したがってII<<IEであり、これは、IMD内における干渉は外部機器内における干渉よりもはるかに小さいことを意味していることに留意されたい。これは、データ転送速度が干渉によってほとんど決定される場合、dDL>dULを選択することになることを示唆している。
【0035】
アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dULは、決定された値CE、IE及びNに基づいて外部機器のプロセッサによって決定され、アップリンク方向におけるデータ転送速度を表し、外部機器の通信ユニットは、受け取った信号をこのデータ転送速度で、予め定義されたBER(例えば10-3又は10-5)で復号することができる。同様に、ダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLは、計算された値CI、II及びNに基づいて外部機器のプロセッサによって決定され、ダウンリンク方向におけるデータ転送速度を表し、IMDのトランシーバ・モジュールは、受け取った信号をこのデータ転送速度で、予め定義されたBER(例えば10-3又は10-5)で復号することができる。Nは、通信ユニット又はトランシーバ・モジュールの中の熱ノイズ床であり、ボルツマン定数kB(J/K単位)、帯域幅B(Hz単位)及び温度T(°K単位)から、N=10*log10(kB*T*B)+30から引き出すことができる。
【0036】
パラメータN、TXE、DK及びBは、特定の通信チャネル及び使用される特定の帯域毎に知られる。
【0037】
例えばMICS帯域(402Hzから405Hz)の場合、以下のパラメータを仮定することができる。
TXE(dBm単位)=-16;DK(dB単位)=31.5;B(Hz単位)=00,000;N(dBm単位)=-119
【0038】
これらの値は、研究ITU-SA-1346によって決定されるパラメータに近い(以下の表2参照)。
【表2】
【0039】
表1に列挙されているトランシーバ・チップの感度は熱ノイズNにおいて提供されているため、これらの値は、干渉源Iのノイズ・レベルに関して、I/N(dB単位)によって適合しなければならない。更に、TXI、TXE、CE、IEに関しては許容範囲値を考慮しなければならず、この許容範囲値は、IMD及び外部機器信号送信経路に関する使用のために約6dBに決定される。したがって表1に列挙されている感度は、以下の値Δだけ小さくしなければならない。
ΔI=max(II/N,0)+6=max(II+125,6) (式IIIa)
ΔE=max(IE/N,0)+6=max(IE+125,6) (式IIIb)
【0040】
式IIIa、bから、
CIeff(dBm単位)=CI-ΔI (式IVa)
CEeff(dBm単位)=CE-ΔE (式IVb)
が得られる。
【0041】
次に、プロセッサによって、CEeffに基づいて表1(プロセッサ又は接続されているデータ・メモリに記憶されている)から、アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dULを引き出すことができ、CIeffに基づいて表1から、ダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLを引き出すことができる。したがって可能な最高アップリンク・データ転送速度値dUL及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLは、外部機器のプロセッサによって、直前に終わる予め定義された時間期間内に通信ユニットが受け取った1つのデータ・パケット又はいくつかのデータ・パケットの直前に決定された信号強度CE、及び通信ユニットの決定された現在のノイズ・レベルIEを使用して決定される。すべての他のパラメータ及び仮定は、概ね知られているか、又は通信ユニットに自動的に提供される(第1のデータ・パケットの内容からのTXI)。したがってIMDのトランシーバ・モジュールによる測定は不要である。
【0042】
一実施例では、外部機器の通信ユニットは、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値dUL及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLをIMDのトランシーバ・モジュールに送信するように更に構成され、IMDは、次にトランシーバ・モジュールによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、通信ユニットから受け取ったデータ転送速度値に設定するように構成される。通信ユニットは、第1のデータ・パケットの受け取りに続いて、第2のデータ・パケットを使用してこれらのデータ転送速度値dUL及びdDLをIMDのトランシーバ・モジュールに送ることができる。
【0043】
一実施例では、外部機器は、例えば決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を、例えば第2のデータ・パケットを使用してトランシーバ・モジュールに送った後に、次に通信ユニットによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、これらの値に設定するように構成される。
【0044】
一実施例では、外部機器のプロセッサは、アップリンク方向及びダウンリンク方向のデータ送信における信号損失Lを決定するように構成され、信号損失Lは、外部機器のプロセッサによって、上記の式0に基づいて決定することができる。IMD TXIのトランシーバ・モジュールの送信機パワー出力は、外部機器によって受け取られるIMDの送信データ信号によって受け取られる。TXIに関する情報はデータ信号内に含まれている。したがってL=CE-TXIであり、ここで信号レベルCEは、上で説明したように通信ユニットによって決定される。
【0045】
別の実施例では、所定の、より長い時間期間(例えば数日又は数週間)にわたって通信ユニットのノイズ・レベルIE(dBm単位)を観察することができ、それによりこの時間期間のうちの、ノイズ・レベルIE(dBm単位)が他のサブセクションのノイズ・レベルIE(dBm単位)より通常高い、少なくとも1つのサブセクションを識別することができる。そのために、ノイズ・レベルが所定の時間期間全体にわたって連続的に、又は所定のタイム・インターバルでモニタされる。次に、パターンが識別され、所定の時間期間のそれぞれのサブセクションが決定される。ノイズ・レベルIEが常により高い、少なくとも1つのサブセクションが存在していることが検出されると、遠隔測定通信のためにこの少なくとも1つのサブセクションを回避するために、このようなサブセクションの時間仕様が通信ユニットによってIMDに送信される。これは、遠隔測定通信は、ノイズ・レベルIEがより高い、決定されたサブセクションの外側で提供されることが好ましいことを意味している。
【0046】
上記の問題は、例えば、IMDと、通信ユニット及びプロセッサを備えた外部機器との間のワイヤレス・データ送信のための通信方法(これはコンピュータ実現方法である)によって更に解決され、IMDは、患者の身体内に埋め込まれた後、患者の身体パラメータをモニタし、及び/又は患者に療法信号を送達し、IMDはトランシーバ・モジュールを備え、トランシーバ・モジュールは、トランシーバ・モジュールから通信ユニットへのアップリンク方向、及び通信ユニットからトランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、外部機器の通信ユニットとデータを交換し、以下のステップを含む。
・ 外部機器のプロセッサが、通信ユニットが受け取った、埋め込まれたIMDのトランシーバ・モジュールによって所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケットの信号強度を決定する。
・ 外部機器のプロセッサが通信ユニットのノイズ・レベルを決定する。
・ プロセッサが、通信ユニットがトランシーバ・モジュールから受け取った少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの信号強度、及び通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dUL、及びダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLを決定する。
【0047】
より詳細には方法は以下のステップを含み、方法の多くの特徴については、通信システムに関連して上で既に説明した。したがって通信方法に関しても上記説明が参照される。
【0048】
最初に、少なくとも1つの第1のデータ・パケットがIMDのトランシーバ・モジュールによって、所定の初期データ転送速度で外部機器の通信ユニットに送られ、トランシーバ・モジュールの送信パワー出力に関する情報は、少なくとも1つの第1のデータ・パケットの内容の中で提供される。更に、外部機器の通信ユニットは、受け取った少なくとも1つの第1のデータ・パケットの信号強度CE(dBm単位)を決定する。2つ以上の単一のデータ・パケットが使用される場合、信号強度CE(dBm単位)は、外部機器の通信ユニット又はプロセッサによって、少なくとも2つのデータ・パケットの平均値(即ち算術平均)又は中央値として決定される。しかしながらほとんどの場合、IMDからパックされた単一の受信データのみで十分である。次に、式Iを使用して、外部機器のプロセッサによって信号強度CI(dBm単位)が決定され、TXEは外部機器の通信ユニットのパラメータから分かり、TXIは少なくとも1つのデータ・パケットの内容から引き出される。
【0049】
更に、上記ステップの前、ステップの間又はステップの後に、通信ユニットの実際のノイズ・レベルIE(dBm単位)が外部機器のプロセッサによって、例えば移動算術平均値として決定される。検出された異なるノイズ・レベル値の平均値を決定する他の方法を代わりに使用することも可能である。ノイズ・レベルIEは、予め定義されたタイム・インターバルの間、連続的に又は予め定義されたタイム・インターバルで決定することができる。患者の組織の既知の減衰DK、例えばDK=31.5dBに基づいて、IMDのトランシーバのノイズ・レベルII(dBm単位)が外部機器のプロセッサによって式IIを使用して決定される。上記の実例のようにDK=31.5dBである場合、IIは次のように計算することができる。
II=IE-12.5
【0050】
その後、外部機器のプロセッサによって、上記の式IIIa及びIIIbを使用してΔE及びΔIが決定される。次のステップで、式IVa及びIVbに記述されているようにCEeff及びCIeffが決定される。次に、プロセッサは、CEeffに基づいて表1(プロセッサ又は接続されているデータ・メモリに記憶されている)から、アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dULを決定し、CIeffに基づいて表1から、ダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLを決定する。上記方法及び仮定の詳細については、上で詳細に説明されている。
【0051】
一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は10-2、10-3又は10-5のビット誤り率(BER)、並びに/又はデータ送信のための所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュール及び/若しくは所定の周波数帯域を考慮している。原理的には、方法/システムは、すべての選択されたビット誤り率(BER)に適用し、10-3は、正規のリンクを有する通信システムにおける有用な実例である。他の有用な実例は、良好なリンクを有する通信システムにおける10-5のBERであり、不良リンクを有する通信システムにおける10-2のBERである。したがって好ましくは10-1と10-6との間、とりわけ好ましくは10-2と10-5との間のBERが、したがって選択される。
【0052】
方法の一実施例では、外部機器の通信ユニットは、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値をIMDのトランシーバ・モジュールに送信し、IMDは、次にトランシーバ・モジュールによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、通信ユニットから受け取ったデータ転送速度値に設定する。
【0053】
方法の一実施例では、外部機器は、上で示したように、次に通信ユニットによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、決定された可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値及び決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値に設定する。
【0054】
方法の一実施例では、外部機器のプロセッサは、上で説明したようにアップリンク方向及びダウンリンク方向のデータ送信における信号損失を決定する。
【0055】
上記方法は、例えば、コンピュータ・ハードウェアによる計算機能及び制御機能の実施を可能にする、上で明記した、及び以下で明記されるコンピュータ命令とデータ定義との組合せであるか、或いは特定のプログラミング言語の規則を遵守し、且つ、上で明記した、及び以下で明記される機能、タスク又は問題解決のために必要な宣言及びステートメント又は命令から構成される構文単位であるコンピュータ・プログラム(通信機器及び/又はIMDで実行され、具体的にはそれらのプロセッサで実行される)として実現される。
【0056】
更に、プロセッサによって実行されると、そのプロセッサに上で定義した方法のステップを実施させる命令を含んだコンピュータ・プログラム製品が開示される。したがってこのようなコンピュータ・プログラム製品を記憶するコンピュータ可読データ・キャリアが説明される。
【0057】
次に、本発明について、添付の略図を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】インプラント型リードレス・ペースメーカ(ILP:implantable leadless pacemaker)及び通信ユニットを備える通信システムの実施例を示す図であり、ILPは患者の心臓の断面内に示されている。
【
図2】ビット当たりのエネルギー対ノイズ・パワー・スペクトル密度比E
b/N
0(dB単位)に対する典型的な受信機のBER(dB単位)を示すグラフである。
【
図3】
図1のシステム及び干渉源Iを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、実例通信システム10及び患者30の心臓20(右心室21及び右心房22を有する)を示したものである。システム10は、IMD及び外部機器60のための実例としてリードレス心室ペースメーカ機器40(以下、「ILP40」)を備えている。ILP40は、(
図1に示されているように)心臓の右心室21内に埋め込まれるように、且つ、この心室のペーシングを実施し、内在する心室脱分極及びインピーダンスを感知して、検出された心室脱分極に応答して心室ペーシングを抑制するように構成することができる。ILP40は、外部機器60の通信ユニット62にメッセージを送る、及び外部機器60の通信ユニット62から信号を受信するためのトランシーバ・モジュールを更に備えている。トランシーバ・モジュールは例えばトランシーバ・チップを備えている。ILP40は、患者の姿勢を測定するために、加速度計センサを更に備えることができる。ILP40は、プロセッサ、データ・メモリ・モジュール、治療信号(例えばペーシング信号)を提供するための信号発生器ユニット、ECG測定ユニットを備えた測定ユニット及びDCインピーダンス・センサなどのモジュールを備えている。更に、ILP40は電源を備えており、上記モジュールは互いに電気的に接続されている。電源は、バッテリ、例えば充電式又は非充電式バッテリを含むことができる。データ・メモリ・モジュールは、上で言及した任意のメモリ・タイプを含むことができる。
【0060】
スマートフォン、コンピュータ又はプログラマなどの外部機器60は身体の外部に配置されており、その通信ユニット62を使用してILP40と双方向で通信するように適合されている。携帯型患者機器であってもよい外部機器60は、プロセッサ61と、データ・パケットの形態でILP40のトランシーバ・モジュールとメッセージを交換するためのトランシーバ・チップを包含している通信ユニット62とを備えており、プロセッサ61及び通信ユニット62は互いに電気的に接続されている。ILP40とのメッセージ(データ・パケット)の双方向交換は、
図1に両矢印50の記号で表されている。ILP40と外部機器60のワイヤレス通信は、例えばRF帯域、例えば402MHzから405MHzまでの範囲のMICS帯域を使用したラジオ周波数範囲の電磁波によって容易にすることができる。そのために、通信ユニット62及びILP40はそれぞれトランシーバ・チップを備えている。
【0061】
ILP40と外部機器60の双方向通信は、例えば遠距離電磁界遠隔測定通信を含み、例えばILPに記録された不整脈情報を含むいくつかのデータ・パケットのみが、外部機器60の通信ユニット62とILP40のトランシーバ・モジュールとの間で交換される。
【0062】
ILP40の寿命を長くするためには、アップリンク方向及びダウンリンク方向で、可能な最高データ転送速度で通信する必要があり、アップリンク方向は、ILP40のトランシーバ・モジュールから外部機器60の通信ユニット62への方向であり、また、その逆の方向がダウンリンク方向である。第1のステップで、どのような場合においても通信ユニット62に復号させるために、1つの単一の初期データ・パケットP1がILP40のトランシーバ・モジュールによって、低データ転送速度、例えば4kb/sで、MICS帯域の予め定義されたチャネルを介して外部機器60の通信ユニット62に送られる。送信機パワー出力TXIの情報は、外部機器に予め分かっている(即ちこの情報は、既知のタイプ又は等級のIMDに対して常に同じである)か、又はデータ・パケットP1の内容の中で提供される、例えばTXI=0dBmであるかのいずれかである。通信ユニット62及び/又はプロセッサ61は、この第1のデータ・パケットP1の信号強度CEを決定し、例えばCE=-87dBmであり、これは、MICS帯域で動作しているIMDのトランシーバの典型的な値である。MICS通信のほぼ75%はより高い信号強度で動作し、一方、25%はより低い信号強度で動作する。
【0063】
更に、通信ユニット62の送信機パワー出力TXEは約-16dBmであることが分かっており、したがって上記の式Iに従って、トランシーバ・モジュールの信号強度に関して、プロセッサ61によって以下のように計算される。
CI=CE+TXE-TXI=-87dBm-16dBm-0dBm=-103dBm
【0064】
上で説明した第1のステップに先だって、ノイズ・レベルIEが外部機器のプロセッサ61によって、例えば5秒の時間期間にわたって決定され、約IE=-109dBmである。これは、家庭アプリケーションに対する典型的な値である(Nに対してほぼ10、表1参照)。診療所で使用するために、Nに対してほぼ20dBの値を測定することができる。
【0065】
式IIでは、この特定の配置に対する値DK(dB単位)は31.5であることが更に分かっており、したがってノイズ・レベルは、
II=IE-DK+19=-109dBm-31.5dBm+19=-121.5dBm
である。この実例では患者の身体30は干渉を減衰させ、したがってノイズ・レベルは、熱ノイズNと比較すると無視することができるようになる。
【0066】
次のステップで、Δ値が外部機器60のプロセッサ61によって、式IIIa及びIIIbに基づいて決定される。
ΔE=max(-109+125,6)=16及び
ΔI=max(-121.5+125,6)=6
【0067】
したがって外部機器60のプロセッサ61は、式IVa及びIVbを使用して更に計算する。
CEeff=-87-16=-103
CIeff=-103-6=-109
【0068】
表1を使用して、可能な最高データ転送速度がプロセッサ61によって計算され、dUL=200kb/s及びdDL=32kb/sである。表1の内容は、プロセッサ61又はプロセッサ61に接続されている外部機器60のデータ・メモリにルックアップ・テーブルとして保存される。診療所で使用するために、熱ノイズより約20dB高いIEを使用して同じ式を適用すると、CEeff=-113及びCIeff=-116.5が得られることに留意されたい。この場合、表1を使用して、可能な最高データ転送速度がプロセッサ61によって決定され、dUL=4kb/s及びdDL=4kb/sである。
【0069】
アップリンク通信及びダウンリンク通信のための上記可能な最高データ転送速度が、第2の(応答)データ・パケットP2を使用して、外部機器60のプロセッサ61から送信され、通信ユニット62によってILP40のトランシーバ・モジュールに送られる(
図1参照)。P2を送った後、通信ユニット62は、トランシーバ・モジュールとの通信のために、上記の決定された可能な最高データ転送速度d
UL及びd
DLに切り換える。データ・パケットP2を受け取り、決定された可能な最高データ転送速度が明らかになると、更なるデータ・パケットを通信ユニット62に送信する際に、トランシーバ・モジュールがこれらの新しいデータ転送速度に切り換えられ、それらで動作する。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラント型医療機器(IMD:implantable medical device、インプラント)と外部機器との間のワイヤレス・データ送信のための通信システムを対象としており、IMDは、患者の健康ステータスをモニタするように構成され、及び/又は患者に療法信号を送達するように構成される。外部機器は少なくとも部分的に体外に配置される。本発明は、更に、ワイヤレス・データ送信のためのそれぞれの通信方法、それぞれのコンピュータ・プログラム製品、及びそれぞれのコンピュータ可読データ・キャリアを対象としている。
【背景技術】
【0002】
能動及び受動インプラント型医療機器(IMD、インプラント)、例えばペースメーカ(リード付き)、BioMonitor、インプラント型リードレス・ペーサ(ILP:Implantable Leadless Pacer)、インプラント型リードレス圧力センサ(ILPS:Implantable Leadless Pressure Sensor)、インプラント型心臓除細動器(ICD:Implantable Cardiac Defibrillator)又はShockboxは、患者の健康ステータスをモニタするために生理学的信号を収集し、通信ユニットを使用してそれらをデータとして外部機器(例えばスマートフォン、コンピュータ、リモート・サーバ)に送信するセンサを包含している。これらの様々なセンサから収集されたデータは、それらに限定されないが、ECG、インピーダンス、活動性、姿勢、心音、圧力、呼吸データ及び他のデータを含むことができる。能動IMD、例えばペースメーカ、ILP、ICD又はShockboxは、患者に療法信号、例えば心室又は心房内の電気刺激を提供することができる。
【0003】
通常、このようなIMDは、データ処理のためのプロセッサ、及び、例えば患者の身体内に埋め込まれた場合に、外部機器の通信ユニットと双方向でメッセージを交換するように構成されたトランシーバ・モジュールを備えている。少なくとも部分的に体外に配置される外部機器の通信ユニットは、IMDのトランシーバ・モジュールを使用して双方向でデータを送信するように構成されている。通信ユニットは、例えば患者の健康ステータス若しくはIMDステータスに関するデータをIMDから受け取るため、又はプログラミングするために(適切な療法を患者に適用するようにIMDを構成するために)、メッセージを生成し、リクエストの形態でIMDのトランシーバ・モジュールにそのメッセージを送る。
【0004】
文書米国特許出願公開第2003/0009204(A1)号は、インプラント型医療機器と、外部プログラマ又はリモート・モニタなどの外部機器との間の短距離及び長距離遠隔測定通信を最適化するためのシステム及び方法を記述している。本発明によれば、データは、より速いデータ転送速度又はより遅いデータ転送速度のいずれかで、インプラント型機器から外部機器へ送信される。
【0005】
文書米国特許出願公開第2018/0152972(A1)号はデータ送信のための方法及びシステムを記述しており、通信リンクは外部器具とIMDとの間で開始される。第1の接続インターバルでは、データ・パケットは外部器具とIMDとの間で運ばれ、データ・スループット要求事項のうちの少なくとも1つを含む接続基準がモニタされる。更に、通信リンクは、IMDの寿命を長くするために、接続基準に基づいて第1の接続インターバルから第2の接続インターバルに変更され、第2の接続インターバルは第1の接続インターバルより長くすることができ、変更動作は、データ・スループット要求事項がデータ閾値未満に低下した場合の第2の接続インターバルへの変更を含む。
【0006】
上記文書によれば、IMDバッテリの不適切な消耗を回避するためには通信のパラメータを考慮しなければならないことが示されている。患者の身体に埋め込まれた場合のIMDと外部機器との間の遠隔測定通信の場合はとりわけそうである。このような遠隔測定通信は、しばしば、いくつかのデータ・パケットの交換を含む短い通信接続として実現されており、データ・パケットの交換は、予め定義された、大抵は一定のタイム・インターバルで繰り返される。
【0007】
通常、IMDと外部機器との間の遠隔測定通信には低リンク・マージンを使用する。このような場合、速いデータ転送速度は通信損失の原因になり、潜在的に、高い反復率はエネルギー消費の増加をもたらす。短時間通信接続はいくつかのデータ・パケットしか包含していないため、通信相手間の最適データ転送速度の通常の「ネゴシエーション」はエネルギー消費をも増加させることになる。サービス応答時間、損失、信号対雑音比、漏話、エコー、割込み、周波数応答、ラウドネス・レベル、等などの接続のすべての態様に関する要求事項を含むデータ送信サービスの総合性能を決定するための通常のサービス品質(QoS:quality of service)方法は、遠隔測定通信の場合、IMDと外部機器通信などの短い通信にとっては効果的な方法ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0009204(A1)号
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0152972(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがってIMDバッテリエネルギーを使い切らない通信システム及び方法を提供し、少なくとも1つの最適通信パラメータに関する速やかな結果を提供して寿命を長くすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題は、請求項1の特徴を有する、IMDと外部通信ユニットとの間のワイヤレス・データ送信のための通信システムによって、請求項8の特徴を有するそれぞれの通信方法によって、請求項13の特徴を有するコンピュータ・プログラム製品によって、及び請求項14の特徴を有するコンピュータ可読データ・キャリアによって解決される。
【0011】
上記の問題は、とりわけ、IMDと、通信ユニット及びプロセッサを備える外部機器との間のワイヤレス・データ送信のための通信システムによって解決され、IMDは患者の身体パラメータをモニタするように構成され、及び/又は患者に療法信号を送達するように構成され、IMDはトランシーバ・モジュールを備え、トランシーバ・モジュールは、トランシーバ・モジュールから通信ユニットへのアップリンク方向、及び通信ユニットからトランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、外部機器の通信ユニットとデータを交換するように構成され、外部機器のプロセッサは、通信ユニットによって受け取られた、及び、埋め込まれたIMDのトランシーバ・モジュールによって、所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケットの信号強度を決定し、通信ユニットのノイズ・レベルを決定するように構成され、プロセッサは、通信ユニットがトランシーバ・モジュールから受け取った少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの信号強度、及び通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値、及びダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を決定するように更に構成される。
【0012】
IMDは、上で定義した、患者の健康ステータスをモニタするように構成され、及び/又は患者に療法信号を送達するように構成されたインプラント型医療機器、例えばILP、ILPS又はICDである。上記主題を実現することができるIMDのための他の実例は、上で言及したIMD、SCS機器、薬剤送達機器又は蝸牛インプラントである。IMDは、少なくとも部分的に患者の身体内に埋め込むことができる。埋め込んだ後、IMDは外部機器との遠隔測定通信を提供する。
【0013】
IMDは、データ処理のためのプロセッサと、メッセージ(即ち通信信号)を通信ユニットに送る及び送信する、且つ、通信ユニットからメッセージを受け取るためのトランシーバ・モジュール(例えばアンテナ)とを備える。IMDのプロセッサはトランシーバ・モジュールに電気的に接続され、外部機器のプロセッサは通信ユニットに電気的に接続される。別法としては、トランシーバ・モジュール又は通信ユニットは、それぞれIMDのプロセッサ又は外部機器のプロセッサ内に統合することも可能である。トランシーバ・モジュール及び通信ユニットは、信号/メッセージをデータ・パケットの形態でそれぞれの他のモジュール/ユニットに送るように構成される。一般に、このようなデータ・パケットは、それぞれのアルゴリズム及びデータ構造の中で表される通信プロトコルの中で定義される構文規則及び意味論規則のシステムの中に埋め込まれるビット・ストリングである。トランシーバ・モジュールによって受け取られたメッセージは、データ処理のためにそれぞれのプロセッサに送信される。同様に、プロセッサは、トランシーバ・モジュール又は通信ユニットによってそれぞれの相手に送信される信号/メッセージの内容を生成する。
【0014】
IMDのメモリ・モジュールは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、読み出し専用メモリ(ROM:read-only memory)、不揮発性RAM(NVRAM:non-volatile RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM:electrically-erasable programmable ROM)、フラッシュ・メモリ又は任意の他のメモリ・デバイスなどの任意の揮発性媒体、不揮発性媒体、磁気媒体又は電気媒体を含むことができる。
【0015】
IMDは、バッテリなどの電源、患者から生理学的信号を検索するための少なくとも1つのセンサ、及び/又は例えば患者に療法を提供するために電気又は電磁気療法信号を生成するための信号発生器などの更なるモジュールを備えることができる。トランシーバ・モジュール、メモリ・モジュール、電源、少なくとも1つのセンサ及び/又は信号発生器はプロセッサに電気的に接続することができる。IMDの構成要素は気密封止ハウジング内に配置することができる。
【0016】
外部機器は、とりわけIMDが患者の身体に埋め込まれる状況では常に、少なくとも部分的に体外に配置される。外部機器は、コンピュータ、スマートフォン、サーバ、又は通信ユニット及びプロセッサを備えた同様の計算デバイスであってもよい。外部機器は、IMDとリモート・モニタ・サーバとの間の通信を経路指定するトランシーバとして働くことができるいわゆる患者リモート・デバイス(PR:patient remote)であってもよい。PRは、IMDの能動療法プログラムを変更し、その刺激振幅を制御し、刺激をターン・オン/オフし、バッテリ・ステータスを観察する能力を患者又はHCPに与えることができる。したがって外部機器は、IMDのための外部プログラマとしても働くことができる。外部機器の説明されている機能性及び以下の方法は、対応するアプリケーションによって実現することができる。
【0017】
通信ユニットは、IMDのトランシーバ・モジュールとの双方向通信のために構成され、したがってメッセージ(信号)のためのトランシーバ、例えばアンテナを備えている。
【0018】
データ/信号処理のために、外部機器及びIMDの各々は、一般に、命令制御ユニット並びに算術及び論理ユニットを含む命令を解釈し、実行する、外部機器又はIMDの機能ユニットとみなされる専用プロセッサを備えているか、又は備えることができる。プロセッサは、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、現場で書替え可能ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate array)、離散論理回路又はそれらの任意の組合せを備えることができる。別法又は追加として、プロセッサは、とりわけIMDの場合、サイズが小さく、また、電力が極端に制限されるため、集積専用ハードウェア論理回路を使用して実現することも可能である。プロセッサは複数の処理サブユニットを備えることができる。
【0019】
通信ユニットとIMDのトランシーバ・モジュールのワイヤレス通信は、電磁波を使用した、空中(配線がない)を介した通信、例えばラジオ周波数領域におけるMedRadio/MICS/MEDS、EDGE、EV-DO、Flash-OFDM、GPRS、HSPA、LoRaWAN、RTT、UMTS、Narrowband IoT、Bluetooth、WLAN(WiFi)、ZigBee、NFC、LTE、ワイヤレスUSB、Wibree(BLE)、Ethernet(登録商標)又はWiMAX、或いは赤外線又は光周波数領域におけるIrDA又は自由空間光通信(FSO:free-space optical)を含む。したがって同じ名称(即ち、通信システムの2つ以上の実体が物理量、定義規則、構文、通信の意味論及び同期化、並びに可能な誤り回復方法のある種の変形形態を介して情報を送信することができ、ハードウェア、ソフトウェア又はその両方の組合せによって実施される規則のシステム)を有することがしばしばあるそれぞれの通信プロトコル、又は協同プロトコル(プロトコル・スイート)を使用することができ、例えばTLS又はSSL、IPX/SPX、X.25、AX.25、ebXML、Apple Talk、Bluetoothプロトコル(例えばBR/EDR)、Bluetooth 4.0(BLE)、ZigBeeプロトコル、NFCプロトコル、IEEE802.11及び802.16プロトコル等と共にTCP/IPプロトコル・スイート(例えばIPv6、TCP、UDP、SMTP、HTTP/2)をも使用することができる。IMDを埋め込んだ後、通信経路は患者の身体の組織内に経路セクションを含む。
【0020】
上で示したように、通信ユニットとトランシーバ・モジュールの通信はMedRadio/MICS/MEDS仕様を使用することができる。医療機器無線通信サービス(MedRadio)は、診断及び治療的IMD並びに身体着用医療機器の通信ニーズのために、米国連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)のために作成された仕様及び通信スペクトルである。カバーされているスペクトルは、401MHzから406MHz、及び413MHzから457MHzの範囲、並びに2360MHzから2400MHzの範囲の周波数帯域を含む。欧州遠隔通信規格協会(ETSI:European Telecommunications Standards Institute)によって仕様及びほとんど同じスペクトルも作成されており、この仕様は、欧州及び世界の他の部分では広くMICS/MEDS(Medical Data Service)と呼ばれている。MICS帯域は25kHzチャネルに分割することができ、IMDトランシーバは300kHzまで使用することができる。この場合、800キロビット/秒までのデータ転送速度が可能である。送信される出力は極めて低く、干渉を回避するために25μW EIRP(-16dBm)である。
【0021】
したがって通信モジュール及びトランシーバ・モジュールは、使用される通信技法/通信プロトコルに適合されたそれぞれのハードウェア及びソフトウェアを備えている。
【0022】
本発明に関して、各プロセッサは、それぞれ、命令制御ユニット並びに算術及び論理ユニットを含む命令を解釈し、実行する、IMD及び外部機器の機能ユニットとみなされる。リモート・コンピュータは、人間が介在することなく、多くの算術演算及び論理演算を含む実質的な計算を実施することができる、例えばパーソナル・モバイル機器(PMD:personal mobile device)、デスクトップ・コンピュータ、サーバ・コンピュータ、クラスタ/ウェアハウス・スケール・コンピュータ又は埋め込み型システムなどの機能ユニットである。
【0023】
上記通信システムは、予め定義されたビット誤り率(BER:bit-error rate)、例えばBER=10-5又はBER=10-3に対する可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値が、外部機器の決定された値のみに基づいて決定される利点を有している。IMD内で必要な何らかの値の(追加)決定は存在しない。更に、可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値は、通信ユニットがIMDから、ただ1つのデータ・パケットを受け取った後に決定することができ、したがって決定が極めて速くなり、IMDのエネルギー消費の低減をもたらし、したがって寿命が長くなる。
【0024】
一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は10-3のBERを考慮している。
【0025】
本発明者らは、所与のBER及び通信接続に対する可能な最高データ転送速度は、ノイズ比測度に対する受け取ったキャリアに依存することを認識した。したがって本発明者らは、可能な最高データ転送速度に対する値を受け取るために、外部機器の通信ユニットが受け取る信号及び干渉レベルを決定している。
図2は、異なるタイプのビット誤り率試験(BERT:bit error rate tests)に対する、Eb/N0(ビット当たりのエネルギー対ノイズ・パワー・スペクトル密度比)で表された正規化キャリア対ノイズ比測度に対して引かれたBERを示す。このグラフから、例えば、FSK変調及びBER=10
-5に対して、Eb/N0>14dBである場合、帯域幅、延いてはデータ転送速度を速くすることができることを引き出すことができる。
【0026】
可能な最高アップリンク・データ転送速度及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度の決定は、更に、IMDの使用されるトランシーバ・モジュールに基づくことができる。各トランシーバ・チップ・タイプは、熱ノイズNに対する関係で、データ転送速度毎に特定の感度を実現している。実例として、以下の表(表1)は、典型的なトランシーバ・チップに対する、データ転送速度に対する感度を列挙したものである。
【表1】
【0027】
したがって一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は、所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュールを考慮している。
【0028】
本発明者らは、通信ユニットによって受け取られ、予め定義された初期データ転送速度を使用してトランシーバ・モジュールによって送られる1つのデータ・パケットの信号強度CEは、
CE=TXI+L (式0)
を仮定しており、ここでTXI(dBm単位)はIMDのトランシーバ・モジュールの送信機パワー出力であり、Lは送信経路の全損失である。送信経路の対称性を更に仮定すると、トランシーバ・モジュールによって受け取られ、通信ユニットによって送られるデータ・パケットの信号レベルCIは、
CI=TXE+L=CE+TXE-TXI (式I)
であり、ここでTXEは(dBm単位)は外部機器の通信ユニットの送信機パワー出力であり、Lは送信経路の(全)損失である。上記の式は、更に、アップリンク・データ送信及びダウンリンク・データ送信に同じ周波数が使用される仮定に基づいており、これは、例えばMICS帯域がデータ送信に使用される場合がそうである。したがって一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は、データ送信のための所定の周波数帯域を考慮している。
【0029】
受け取った少なくとも1つのデータ・パケットの信号の信号強度CEの測定後、及びそれぞれのデータ・パケットの内容からのTXIの決定後、外部機器のプロセッサは、式Iを使用して信号レベルCIを決定する。TXEは、予め定義された初期データ転送速度に対して、外部機器から分かる。
【0030】
上で示したように、アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値、及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値の決定に関して第2の重要な値は、外部機器で受け取る現在のノイズ・レベルである。この現在のノイズ・レベルIE(dBm単位)は、外部機器のプロセッサによって、使用される送信チャネルに対して、予め定義された帯域幅B(Hz単位)を使用して、予め定義された時間期間にわたって、例えば数秒にわたって、移動算術平均値として決定される。移動幾何学平均値又は調和平均値を使用することも可能である。ノイズ・レベルIEは連続的に決定することができるか、又は予め定義されたタイム・インターバルで、5分から20分毎に、予め定義されたタイム・インターバル、例えば1秒から60秒にわたって決定することができる。現在のノイズ・レベルIEは、上記方法によれば最も新しく決定されたノイズ・レベルである。
【0031】
図3に示されているように、干渉源I(dBm単位)70は、距離x(m単位)におけるIMD40のトランシーバ・モジュールの中でノイズ・レベルI
Iを生成している。I
IはI
I=I-D
x-D
Kとして計算され、ここでD
x(dB単位)は自由経路損失であり、D
Kは患者の組織の減衰であり、患者30の組織は通信経路の一部である。I
Eは、距離y(m単位)における外部機器60の中の干渉源Iによって生成されるノイズ・レベル(dBm単位)であり、等方性アンテナは0dBmのアンテナ利得を有することが仮定されている。D
KはD
xと比較すると長いという発見に基づいて、及び、干渉源は、通常、IMDまで25cmより近くには配置されない(x>0.25m)こと、及び、外部機器は、通常、IMDまで2m以内の近さに配置される(z<=2m)ことの仮定に基づいて、以下の計算が提供される。
I
I=I-D
x-D
K及びI
E=I-D
y
D
y/x=D
y-D
x=20*log
10(y/x)
y/x<(z+x)/x
したがってD
y/x<20*log10((z+x)/x)=20*log
10((2m+0.25m)/0.25m)=19
したがってD
y/x<19である。したがって19はD
y/xの上限である。
したがってノイズ・レベルI
Iは以下のように計算することができる。
I
I=I
E-D
K+19 (式II)
【0032】
式IIは、IMDで期待される干渉IIに対する有用、且つ、十分に正確な(「鋭い」)値を与える。
【0033】
この値は干渉源Iの位置に依存せず、IMD内における干渉の実際の測定を必要とすることなく決定され、測定は外部機器においてのみ実施されるため、IMDにおけるエネルギーを節約する。
【0034】
干渉に対するこの値を使用して、ダウンリンク方向におけるデータ転送速度dDLを調整することができる。IMDを使用した遠隔測定の場合、DK>>Dy/x(=19)であり、したがってII<<IEであり、これは、IMD内における干渉は外部機器内における干渉よりもはるかに小さいことを意味していることに留意されたい。これは、データ転送速度が干渉によってほとんど決定される場合、dDL>dULを選択することになることを示唆している。
【0035】
アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dULは、決定された値CE、IE及びNに基づいて外部機器のプロセッサによって決定され、アップリンク方向におけるデータ転送速度を表し、外部機器の通信ユニットは、受け取った信号をこのデータ転送速度で、予め定義されたBER(例えば10-3又は10-5)で復号することができる。同様に、ダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLは、計算された値CI、II及びNに基づいて外部機器のプロセッサによって決定され、ダウンリンク方向におけるデータ転送速度を表し、IMDのトランシーバ・モジュールは、受け取った信号をこのデータ転送速度で、予め定義されたBER(例えば10-3又は10-5)で復号することができる。Nは、通信ユニット又はトランシーバ・モジュールの中の熱ノイズ床であり、ボルツマン定数kB(J/K単位)、帯域幅B(Hz単位)及び温度T(°K単位)から、N=10*log10(kB*T*B)+30から引き出すことができる。
【0036】
パラメータN、TXE、DK及びBは、特定の通信チャネル及び使用される特定の帯域毎に知られる。
【0037】
例えばMICS帯域(402Hzから405Hz)の場合、以下のパラメータを仮定することができる。
TXE(dBm単位)=-16;DK(dB単位)=31.5;B(Hz単位)=00,000;N(dBm単位)=-119
【0038】
これらの値は、研究ITU-SA-1346によって決定されるパラメータに近い(以下の表2参照)。
【表2】
【0039】
表1に列挙されているトランシーバ・チップの感度は熱ノイズNにおいて提供されているため、これらの値は、干渉源Iのノイズ・レベルに関して、I/N(dB単位)によって適合しなければならない。更に、TXI、TXE、CE、IEに関しては許容範囲値を考慮しなければならず、この許容範囲値は、IMD及び外部機器信号送信経路に関する使用のために約6dBに決定される。したがって表1に列挙されている感度は、以下の値Δだけ小さくしなければならない。
ΔI=max(II/N,0)+6=max(II+125,6) (式IIIa)
ΔE=max(IE/N,0)+6=max(IE+125,6) (式IIIb)
【0040】
式IIIa、bから、
CIeff(dBm単位)=CI-ΔI (式IVa)
CEeff(dBm単位)=CE-ΔE (式IVb)
が得られる。
【0041】
次に、プロセッサによって、CEeffに基づいて表1(プロセッサ又は接続されているデータ・メモリに記憶されている)から、アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dULを引き出すことができ、CIeffに基づいて表1から、ダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLを引き出すことができる。したがって可能な最高アップリンク・データ転送速度値dUL及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLは、外部機器のプロセッサによって、直前に終わる予め定義された時間期間内に通信ユニットが受け取った1つのデータ・パケット又はいくつかのデータ・パケットの直前に決定された信号強度CE、及び通信ユニットの決定された現在のノイズ・レベルIEを使用して決定される。すべての他のパラメータ及び仮定は、概ね知られているか、又は通信ユニットに自動的に提供される(第1のデータ・パケットの内容からのTXI)。したがってIMDのトランシーバ・モジュールによる測定は不要である。
【0042】
一実施例では、外部機器の通信ユニットは、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値dUL及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLをIMDのトランシーバ・モジュールに送信するように更に構成され、IMDは、次にトランシーバ・モジュールによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、通信ユニットから受け取ったデータ転送速度値に設定するように構成される。通信ユニットは、第1のデータ・パケットの受け取りに続いて、第2のデータ・パケットを使用してこれらのデータ転送速度値dUL及びdDLをIMDのトランシーバ・モジュールに送ることができる。
【0043】
一実施例では、外部機器は、例えば決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を、例えば第2のデータ・パケットを使用してトランシーバ・モジュールに送った後に、次に通信ユニットによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、これらの値に設定するように構成される。
【0044】
一実施例では、外部機器のプロセッサは、アップリンク方向及びダウンリンク方向のデータ送信における信号損失Lを決定するように構成され、信号損失Lは、外部機器のプロセッサによって、上記の式0に基づいて決定することができる。IMD TXIのトランシーバ・モジュールの送信機パワー出力は、外部機器によって受け取られるIMDの送信データ信号によって受け取られる。TXIに関する情報はデータ信号内に含まれている。したがってL=CE-TXIであり、ここで信号レベルCEは、上で説明したように通信ユニットによって決定される。
【0045】
別の実施例では、所定の、より長い時間期間(例えば数日又は数週間)にわたって通信ユニットのノイズ・レベルIE(dBm単位)を観察することができ、それによりこの時間期間のうちの、ノイズ・レベルIE(dBm単位)が他のサブセクションのノイズ・レベルIE(dBm単位)より通常高い、少なくとも1つのサブセクションを識別することができる。そのために、ノイズ・レベルが所定の時間期間全体にわたって連続的に、又は所定のタイム・インターバルでモニタされる。次に、パターンが識別され、所定の時間期間のそれぞれのサブセクションが決定される。ノイズ・レベルIEが常により高い、少なくとも1つのサブセクションが存在していることが検出されると、遠隔測定通信のためにこの少なくとも1つのサブセクションを回避するために、このようなサブセクションの時間仕様が通信ユニットによってIMDに送信される。これは、遠隔測定通信は、ノイズ・レベルIEがより高い、決定されたサブセクションの外側で提供されることが好ましいことを意味している。
【0046】
上記の問題は、例えば、IMDと、通信ユニット及びプロセッサを備えた外部機器との間のワイヤレス・データ送信のための通信方法(これはコンピュータ実現方法である)によって更に解決され、IMDは、患者の身体内に埋め込まれた後、患者の身体パラメータをモニタし、及び/又は患者に療法信号を送達し、IMDはトランシーバ・モジュールを備え、トランシーバ・モジュールは、トランシーバ・モジュールから通信ユニットへのアップリンク方向、及び通信ユニットからトランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、外部機器の通信ユニットとデータを交換し、以下のステップを含む。
・ 外部機器のプロセッサが、通信ユニットが受け取った、埋め込まれたIMDのトランシーバ・モジュールによって所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケットの信号強度を決定する。
・ 外部機器のプロセッサが通信ユニットのノイズ・レベルを決定する。
・ プロセッサが、通信ユニットがトランシーバ・モジュールから受け取った少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの信号強度、及び通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dUL、及びダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLを決定する。
【0047】
より詳細には方法は以下のステップを含み、方法の多くの特徴については、通信システムに関連して上で既に説明した。したがって通信方法に関しても上記説明が参照される。
【0048】
最初に、少なくとも1つの第1のデータ・パケットがIMDのトランシーバ・モジュールによって、所定の初期データ転送速度で外部機器の通信ユニットに送られ、トランシーバ・モジュールの送信パワー出力に関する情報は、少なくとも1つの第1のデータ・パケットの内容の中で提供される。更に、外部機器の通信ユニットは、受け取った少なくとも1つの第1のデータ・パケットの信号強度CE(dBm単位)を決定する。2つ以上の単一のデータ・パケットが使用される場合、信号強度CE(dBm単位)は、外部機器の通信ユニット又はプロセッサによって、少なくとも2つのデータ・パケットの平均値(即ち算術平均)又は中央値として決定される。しかしながらほとんどの場合、IMDからパックされた単一の受信データのみで十分である。次に、式Iを使用して、外部機器のプロセッサによって信号強度CI(dBm単位)が決定され、TXEは外部機器の通信ユニットのパラメータから分かり、TXIは少なくとも1つのデータ・パケットの内容から引き出される。
【0049】
更に、上記ステップの前、ステップの間又はステップの後に、通信ユニットの実際のノイズ・レベルIE(dBm単位)が外部機器のプロセッサによって、例えば移動算術平均値として決定される。検出された異なるノイズ・レベル値の平均値を決定する他の方法を代わりに使用することも可能である。ノイズ・レベルIEは、予め定義されたタイム・インターバルの間、連続的に又は予め定義されたタイム・インターバルで決定することができる。患者の組織の既知の減衰DK、例えばDK=31.5dBに基づいて、IMDのトランシーバのノイズ・レベルII(dBm単位)が外部機器のプロセッサによって式IIを使用して決定される。上記の実例のようにDK=31.5dBである場合、IIは次のように計算することができる。
II=IE-12.5
【0050】
その後、外部機器のプロセッサによって、上記の式IIIa及びIIIbを使用してΔE及びΔIが決定される。次のステップで、式IVa及びIVbに記述されているようにCEeff及びCIeffが決定される。次に、プロセッサは、CEeffに基づいて表1(プロセッサ又は接続されているデータ・メモリに記憶されている)から、アップリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値dULを決定し、CIeffに基づいて表1から、ダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値dDLを決定する。上記方法及び仮定の詳細については、上で詳細に説明されている。
【0051】
一実施例では、アップリンク方向及びダウンリンク方向におけるデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値は10-2、10-3又は10-5のビット誤り率(BER)、並びに/又はデータ送信のための所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュール及び/若しくは所定の周波数帯域を考慮している。原理的には、方法/システムは、すべての選択されたビット誤り率(BER)に適用し、10-3は、正規のリンクを有する通信システムにおける有用な実例である。他の有用な実例は、良好なリンクを有する通信システムにおける10-5のBERであり、不良リンクを有する通信システムにおける10-2のBERである。したがって好ましくは10-1と10-6との間、とりわけ好ましくは10-2と10-5との間のBERが、したがって選択される。
【0052】
方法の一実施例では、外部機器の通信ユニットは、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値をIMDのトランシーバ・モジュールに送信し、IMDは、次にトランシーバ・モジュールによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、通信ユニットから受け取ったデータ転送速度値に設定する。
【0053】
方法の一実施例では、外部機器は、上で示したように、次に通信ユニットによる使用が可能なアップリンク・データ転送速度及びダウンリンク・データ転送速度を、決定された可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値及び決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値に設定する。
【0054】
方法の一実施例では、外部機器のプロセッサは、上で説明したようにアップリンク方向及びダウンリンク方向のデータ送信における信号損失を決定する。
【0055】
上記方法は、例えば、コンピュータ・ハードウェアによる計算機能及び制御機能の実施を可能にする、上で明記した、及び以下で明記されるコンピュータ命令とデータ定義との組合せであるか、或いは特定のプログラミング言語の規則を遵守し、且つ、上で明記した、及び以下で明記される機能、タスク又は問題解決のために必要な宣言及びステートメント又は命令から構成される構文単位であるコンピュータ・プログラム(通信機器及び/又はIMDで実行され、具体的にはそれらのプロセッサで実行される)として実現される。
【0056】
更に、プロセッサによって実行されると、そのプロセッサに上で定義した方法のステップを実施させる命令を含んだコンピュータ・プログラム製品が開示される。したがってこのようなコンピュータ・プログラム製品を記憶するコンピュータ可読データ・キャリアが説明される。
【0057】
次に、本発明について、添付の略図を参照して更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】インプラント型リードレス・ペースメーカ(ILP:implantable leadless pacemaker)及び通信ユニットを備える通信システムの実施例を示す図であり、ILPは患者の心臓の断面内に示されている。
【
図2】ビット当たりのエネルギー対ノイズ・パワー・スペクトル密度比E
b/N
0(dB単位)に対する典型的な受信機のBER(dB単位)を示すグラフである。
【
図3】
図1のシステム及び干渉源Iを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、実例通信システム10及び患者30の心臓20(右心室21及び右心房22を有する)を示したものである。システム10は、IMD及び外部機器60のための実例としてリードレス心室ペースメーカ機器40(以下、「ILP40」)を備えている。ILP40は、(
図1に示されているように)心臓の右心室21内に埋め込まれるように、且つ、この心室のペーシングを実施し、内在する心室脱分極及びインピーダンスを感知して、検出された心室脱分極に応答して心室ペーシングを抑制するように構成することができる。ILP40は、外部機器60の通信ユニット62にメッセージを送る、及び外部機器60の通信ユニット62から信号を受信するためのトランシーバ・モジュールを更に備えている。トランシーバ・モジュールは例えばトランシーバ・チップを備えている。ILP40は、患者の姿勢を測定するために、加速度計センサを更に備えることができる。ILP40は、プロセッサ、データ・メモリ・モジュール、治療信号(例えばペーシング信号)を提供するための信号発生器ユニット、ECG測定ユニットを備えた測定ユニット及びDCインピーダンス・センサなどのモジュールを備えている。更に、ILP40は電源を備えており、上記モジュールは互いに電気的に接続されている。電源は、バッテリ、例えば充電式又は非充電式バッテリを含むことができる。データ・メモリ・モジュールは、上で言及した任意のメモリ・タイプを含むことができる。
【0060】
スマートフォン、コンピュータ又はプログラマなどの外部機器60は身体の外部に配置されており、その通信ユニット62を使用してILP40と双方向で通信するように適合されている。携帯型患者機器であってもよい外部機器60は、プロセッサ61と、データ・パケットの形態でILP40のトランシーバ・モジュールとメッセージを交換するためのトランシーバ・チップを包含している通信ユニット62とを備えており、プロセッサ61及び通信ユニット62は互いに電気的に接続されている。ILP40とのメッセージ(データ・パケット)の双方向交換は、
図1に両矢印50の記号で表されている。ILP40と外部機器60のワイヤレス通信は、例えばRF帯域、例えば402MHzから405MHzまでの範囲のMICS帯域を使用したラジオ周波数範囲の電磁波によって容易にすることができる。そのために、通信ユニット62及びILP40はそれぞれトランシーバ・チップを備えている。
【0061】
ILP40と外部機器60の双方向通信は、例えば遠距離電磁界遠隔測定通信を含み、例えばILPに記録された不整脈情報を含むいくつかのデータ・パケットのみが、外部機器60の通信ユニット62とILP40のトランシーバ・モジュールとの間で交換される。
【0062】
ILP40の寿命を長くするためには、アップリンク方向及びダウンリンク方向で、可能な最高データ転送速度で通信する必要があり、アップリンク方向は、ILP40のトランシーバ・モジュールから外部機器60の通信ユニット62への方向であり、また、その逆の方向がダウンリンク方向である。第1のステップで、どのような場合においても通信ユニット62に復号させるために、1つの単一の初期データ・パケットP1がILP40のトランシーバ・モジュールによって、低データ転送速度、例えば4kb/sで、MICS帯域の予め定義されたチャネルを介して外部機器60の通信ユニット62に送られる。送信機パワー出力TXIの情報は、外部機器に予め分かっている(即ちこの情報は、既知のタイプ又は等級のIMDに対して常に同じである)か、又はデータ・パケットP1の内容の中で提供される、例えばTXI=0dBmであるかのいずれかである。通信ユニット62及び/又はプロセッサ61は、この第1のデータ・パケットP1の信号強度CEを決定し、例えばCE=-87dBmであり、これは、MICS帯域で動作しているIMDのトランシーバの典型的な値である。MICS通信のほぼ75%はより高い信号強度で動作し、一方、25%はより低い信号強度で動作する。
【0063】
更に、通信ユニット62の送信機パワー出力TXEは約-16dBmであることが分かっており、したがって上記の式Iに従って、トランシーバ・モジュールの信号強度に関して、プロセッサ61によって以下のように計算される。
CI=CE+TXE-TXI=-87dBm-16dBm-0dBm=-103dBm
【0064】
上で説明した第1のステップに先だって、ノイズ・レベルIEが外部機器のプロセッサ61によって、例えば5秒の時間期間にわたって決定され、約IE=-109dBmである。これは、家庭アプリケーションに対する典型的な値である(Nに対してほぼ10、表1参照)。診療所で使用するために、Nに対してほぼ20dBの値を測定することができる。
【0065】
式IIでは、この特定の配置に対する値DK(dB単位)は31.5であることが更に分かっており、したがってノイズ・レベルは、
II=IE-DK+19=-109dBm-31.5dBm+19=-121.5dBm
である。この実例では患者の身体30は干渉を減衰させ、したがってノイズ・レベルは、熱ノイズNと比較すると無視することができるようになる。
【0066】
次のステップで、Δ値が外部機器60のプロセッサ61によって、式IIIa及びIIIbに基づいて決定される。
ΔE=max(-109+125,6)=16及び
ΔI=max(-121.5+125,6)=6
【0067】
したがって外部機器60のプロセッサ61は、式IVa及びIVbを使用して更に計算する。
CEeff=-87-16=-103
CIeff=-103-6=-109
【0068】
表1を使用して、可能な最高データ転送速度がプロセッサ61によって計算され、dUL=200kb/s及びdDL=32kb/sである。表1の内容は、プロセッサ61又はプロセッサ61に接続されている外部機器60のデータ・メモリにルックアップ・テーブルとして保存される。診療所で使用するために、熱ノイズより約20dB高いIEを使用して同じ式を適用すると、CEeff=-113及びCIeff=-116.5が得られることに留意されたい。この場合、表1を使用して、可能な最高データ転送速度がプロセッサ61によって決定され、dUL=4kb/s及びdDL=4kb/sである。
【0069】
アップリンク通信及びダウンリンク通信のための上記可能な最高データ転送速度が、第2の(応答)データ・パケットP2を使用して、外部機器60のプロセッサ61から送信され、通信ユニット62によってILP40のトランシーバ・モジュールに送られる(
図1参照)。P2を送った後、通信ユニット62は、トランシーバ・モジュールとの通信のために、上記の決定された可能な最高データ転送速度d
UL及びd
DLに切り換える。データ・パケットP2を受け取り、決定された可能な最高データ転送速度が明らかになると、更なるデータ・パケットを通信ユニット62に送信する際に、トランシーバ・モジュールがこれらの新しいデータ転送速度に切り換えられ、それらで動作する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント型医療機器(IMD、40)と、通信ユニット(62)及びプロセッサ(61)を備える外部機器(60)との間のワイヤレス・データ送信のための通信システム(10)であって、前記システムが前記IMD(40)及び前記外部機器(60)を備え、前記IMD(40)が患者(30)の身体パラメータをモニタするように構成され、及び/又は前記患者に療法信号を送達するように構成され、前記IMDがトランシーバ・モジュールを備え、前記トランシーバ・モジュールが、前記トランシーバ・モジュールから前記通信ユニットへのアップリンク方向、及び前記通信ユニットから前記トランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、前記外部機器の前記通信ユニットとデータを交換するように構成され、前記外部機器の前記プロセッサが、前記通信ユニットによって受け取られ、埋め込まれたIMDの前記トランシーバ・モジュールによって、所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケット(P1)の信号強度(C
E)を決定し、前記通信ユニットのノイズ・レベル(I
E)を決定するように構成され、前記プロセッサが、前記通信ユニットが前記トランシーバ・モジュールから受け取った前記少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの前記信号強度、及び前記通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、前記アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値(d
UL)、及び前記ダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値(d
DL)を決定するように更に構成される、通信システム(10)。
【請求項2】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、10
-1と10
-6との間のビット誤り率(BER)、好ましくは10
-2、10
-3又は10
-5のBERを考慮する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュールを考慮する、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、データ送信のための所定の周波数帯域を考慮する、請求項1から3までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記外部機器(60)の前記通信ユニット(62)が、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び前記可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を前記IMD(40)の前記トランシーバ・モジュールに送信するように更に構成され、前記IMDが、次に前記トランシーバ・モジュールによる使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を、前記通信ユニットから受け取ったデータ転送速度値に設定するように構成される、請求項1から4までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記外部機器(60)が、次に前記通信ユニット(62)による使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を、前記決定された可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値及び前記決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値に設定するように構成される、請求項1から5までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記外部機器(60)の前記プロセッサ(61)が、前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向の前記データ送信における信号損失(L)を決定するように構成され、及び/又は前記外部機器の前記プロセッサが、所定の時間期間にわたって前記通信ユニット(62)の前記ノイズ・レベルを観察し、それにより前記時間期間のうちの、前記ノイズ・レベルが他のサブセクションのノイズ・レベルより通常高いサブセクションを識別するように構成される、請求項1から6までのいずれかに記載の通信システム。
【請求項8】
インプラント型医療機器(IMD、40)と、通信ユニット(62)及びプロセッサ(61)を備える外部機器(60)との間のワイヤレス・データ送信のための通信方法であって、前記IMD(40)が、患者(30)の身体内に埋め込まれた後、前記患者の身体パラメータをモニタし、及び/又は前記患者に療法信号を送達し、前記IMDがトランシーバ・モジュールを備え、前記トランシーバ・モジュールが、前記トランシーバ・モジュールから前記通信ユニットへのアップリンク方向、及び前記通信ユニットから前記トランシーバ・モジュールへのダウンリンク方向で、前記外部機器の前記通信ユニットとデータを交換し、
・ 前記外部機器の前記プロセッサが、前記通信ユニットが受け取り、前記埋め込まれたIMDの前記トランシーバ・モジュールによって所定の初期データ転送速度で送られた少なくとも1つのデータ・パケット(P1)の信号強度(C
E)を決定するステップと、
・ 前記外部機器の前記プロセッサが前記通信ユニットのノイズ・レベル(I
E)を決定するステップと、
・ 前記プロセッサが、前記通信ユニットが前記トランシーバ・モジュールから受け取った前記少なくとも1つのデータ・パケットの、決定されたばかりの前記信号強度、及び前記通信ユニットの現在のノイズ・レベルに基づいて、前記アップリンク方向のデータ送信のための可能な最高アップリンク・データ転送速度値(d
UL)、及び前記ダウンリンク方向のデータ送信のための可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値(d
DL)を決定するステップと
を含む通信方法。
【請求項9】
前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向におけるデータ送信のための前記可能な最高アップリンク・データ転送速度値が、10
-1と10
-6との間のビット誤り率(BER)、好ましくは10
-2、10
-3若しくは10
-5のBERを考慮し、及び/又は所定のタイプのIMDトランシーバ・モジュール、及び/又はデータ送信のための所定の周波数帯域を考慮する、請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
前記外部機器(60)の前記通信ユニット(62)が、決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値及び前記可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値を前記IMD(40)の前記トランシーバ・モジュールに送信し、前記IMDが、次に前記トランシーバ・モジュールによる使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を前記送信されたデータ転送速度値に設定する、請求項8又は9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記外部機器(60)が、次に前記通信ユニット(62)による使用が可能な前記アップリンク・データ転送速度及び前記ダウンリンク・データ転送速度を、前記決定された可能な最高ダウンリンク・データ転送速度値及び前記決定された可能な最高アップリンク・データ転送速度値に設定する、請求項8から10までのいずれかに記載の通信方法。
【請求項12】
前記外部機器(60)の前記プロセッサ(61)が、前記アップリンク方向及び前記ダウンリンク方向の前記データ送信における信号損失(L)を決定し、及び/又は所定の時間期間にわたって前記通信ユニット(62)の前記ノイズ・レベルを観察し、それにより前記時間期間のうちの、前記ノイズ・レベルが、他のサブセクションのノイズ・レベルより通常高いサブセクションを識別する、請求項8から11までのいずれかに記載の通信方法。
【請求項13】
前記外部機器(60)の前記プロセッサ(61)によって実行されると、前記プロセッサに請求項8から12までのいずれかに記載の方法のステップを実施させる命令を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータ・プログラム製品を記憶するコンピュータ可読データ・キャリア。
【国際調査報告】