(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】金属基体をコーティングし、金属包装を作製する方法、コーティング金属基体、金属包装、及び粉末コーティング組成物システム
(51)【国際特許分類】
C23C 26/00 20060101AFI20240718BHJP
C09D 5/03 20060101ALI20240718BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240718BHJP
B65D 25/34 20060101ALI20240718BHJP
B65D 25/14 20060101ALI20240718BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20240718BHJP
B05B 7/06 20060101ALI20240718BHJP
B05C 1/08 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C23C26/00 A
C09D5/03
C09D201/00
B65D25/34 B
B65D25/14 A
C23C28/00 A
C23C28/00 C
B05B7/06
B05C1/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568249
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022030120
(87)【国際公開番号】W WO2022246120
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518155030
【氏名又は名称】エスダブリューアイエムシー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【氏名又は名称】中村 充利
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スキルマン、チャールズ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン、リチャード ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デソウサ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ロマニョーリ、ケヴィン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ステルター、エリック カール
【テーマコード(参考)】
3E062
4F033
4F040
4J038
4K044
【Fターム(参考)】
3E062AA04
3E062AB02
3E062AC03
3E062JA07
3E062JB23
3E062JC04
3E062JD03
4F033QA08
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB13Y
4F033QB16X
4F033QD02
4F033QD19
4F033QD24
4F040AA24
4F040AB15
4F040AC01
4F040BA23
4F040CB21
4F040CB36
4J038BA212
4J038CB142
4J038CG031
4J038DD001
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4J038KA03
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4J038KA08
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4J038PB04
4J038PC02
4K044AA02
4K044AA03
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4K044BA10
4K044BA21
4K044BB01
4K044BB03
4K044BC04
4K044CA16
4K044CA17
4K044CA18
4K044CA53
(57)【要約】
粉末コーティング組成物、特に金属包装粉末コーティング組成物をコーティングする方法、及び金属包装容器、その一部、又は容器用の金属クロージャ、並びにコーティングされた基体及び金属包装の作製方法、並びに粉末コーティング組成物システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ式送達システムであって、
複数のカートリッジであって、前記複数のカートリッジの各カートリッジは、以下:
金属包装粉末コーティング組成物を収容する密閉容積を画定する本体と、
前記カートリッジからの前記金属包装粉末コーティング組成物の分配中に、前記金属包装粉末コーティング組成物のための経路を提供するように配置された分配ポートと、
前記金属包装粉末コーティング組成物が前記分配ポートから分配される際に、補給空気が前記密閉容積に入ることを可能にするように構成された、任意選択の入口ポートと、
を含む、複数のカートリッジを備え、
前記金属包装粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、前記粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、
カートリッジ式送達システム。
【請求項2】
前記複数のカートリッジの各カートリッジの前記密閉容積が、0.001立方メートル以上の前記粉末コーティング組成物を収容する、請求項1に記載のカートリッジ式送達システム。
【請求項3】
各カートリッジが、前記密閉容積内に曝露された乾燥剤材料を含むことで、前記補給空気が、前記密閉容積に入る場合に前記乾燥剤材料を通過する、請求項1又は2に記載のカートリッジ式送達システム。
【請求項4】
前記粉末ポリマー粒子が、噴霧乾燥又は限定凝結によって調製された粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ式送達システム。
【請求項5】
前記粉末コーティング組成物が、前記粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は前記粉末ポリマー粒子と接触していてもいなくてもよい磁性キャリア粒子を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ式送達システム。
【請求項6】
金属包装の形成に使用するのに好適な金属基体をコーティングする方法であって、以下:
金属基体を提供することと、
複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、前記複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、
少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に堆積するように、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、前記金属基体の少なくとも一部に導くことと、
前記複数の粉末コーティング組成物が、前記金属基体の少なくとも一部の上に硬化した連続接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、
を含み、
金属包装粉末コーティング組成物の各々が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、前記粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、
方法。
【請求項7】
前記粉末ポリマー粒子が、噴霧乾燥又は限定凝結によって調製された粉末ポリマー粒子を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粉末コーティング組成物が、前記粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は前記粉末ポリマー粒子と接触していてもいなくてもよい磁性キャリア粒子を更に含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記複数の粉末コーティング組成物のうち少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、前記基体の前記少なくとも一部に導きながら、前記金属基体を電気的に接地することを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を前記金属基体の少なくとも一部に導く前に、前記複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させることを含み、前記少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電気的に接着させることが、前記少なくとも1つの粉末コーティング組成物を前記トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させる前に、前記トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の堆積した粉末コーティング組成物が、第1の極性であり、前記方法が、前記第1の堆積した粉末コーティング組成物の前記第1の極性を第2の極性に変更することと、前記第2の極性の第2のコーティング組成物を前記第1の堆積した粉末コーティング組成物に適用することと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
金属包装の形成に使用するのに好適な金属基体をコーティングする方法であって、以下:
金属基体を提供することと、
金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、前記粉末コーティング組成物が粉末ポリマー粒子を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、
前記粉末コーティング組成物を前記金属基体の少なくとも一部に選択的に適用して、パターン化コーティングを形成することと、
前記粉末コーティング組成物が、前記金属基体の少なくとも一部の上に硬化した接着性パターン化コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記粉末ポリマー粒子が、噴霧乾燥又は限定凝結によって調製された粉末ポリマー粒子を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粉末コーティング組成物が、前記粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は前記粉末ポリマー粒子と接触していてもいなくてもよい磁性キャリア粒子を更に含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、前記基体の前記少なくとも一部に前記粉末コーティング組成物を選択的に適用しながら、前記金属基体を電気的に接地することを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を前記金属基体の少なくとも一部に導く前に、前記複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させることを含み、前記少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電気的に接着させることが、前記少なくとも1つの粉末コーティング組成物を前記トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させる前に、前記トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1つの位置で、及び/又は1つの連続した製造ライン若しくはプロセスで金属包装を作製する方法であって、以下:
金属基体を提供することと、
金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、前記粉末コーティング組成物が粉末ポリマー粒子を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、
前記粉末コーティング組成物を前記金属基体の少なくとも一部に導くことと、
前記粉末コーティング組成物が、前記金属基体の少なくとも一部の上に硬化した連続接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、
前記少なくとも部分的にコーティングされた金属基体を、金属包装容器の少なくとも一部、その一部、又は金属クロージャに形成することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記粉末ポリマー粒子が、噴霧乾燥又は限定凝結によって調製された粉末ポリマー粒子を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記粉末コーティング組成物が、前記粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は前記粉末ポリマー粒子と接触していてもいなくてもよい磁性キャリア粒子を更に含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記粉末コーティング組成物を前記金属基体の少なくとも一部に導きながら、前記金属基体を電気的に接地することを含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年5月19日に出願された米国仮出願第63/190,768号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な液体適用コーティング組成物が、金属包装物品(例えば、食品及び飲料缶、金属クロージャ)の表面上に硬化コーティングを提供するために使用されてきた。例えば、金属缶は、「コイルコーティング」又は「シートコーティング」操作を用いて液体コーティング組成物でコーティングされることがあり、すなわち、好適な基体(例えば、鋼又はアルミニウム金属)の平面コイル又はシートが好適な液体コーティング組成物でコーティングされ、その後硬化される(hardened)(例えば、硬化(cured))。次いで、コーティングされた基体は、缶端部又は本体に形成される。あるいは、液体コーティング組成物は、形成された物品に適用され(例えば、噴霧、浸漬、ローリングなどによる)、次いで、硬化(hardened)(例えば、硬化(cured))されて、連続コーティングを形成し得る。
【0003】
金属包装コーティングは、好ましくは、基体に高速適用することができる必要があり、この要求の厳しい最終用途で機能するために硬化したときに必要な特性を提供しなければならない。例えば、硬化したコーティングは、好ましくは、食品接触に対して安全であり、包装された食品又は飲料製品の味に悪影響を及ぼさず、基体への優れた接着性を有し、汚染並びに「ポッピング」、「ブラッシング」及び/又は「ブリスタリング」などの他のコーティング欠陥に抵抗し、過酷な環境に曝露された場合であっても長期間にわたって劣化に抵抗する必要がある。加えて、硬化したコーティングは、一般に、製造中に好適なフィルムの完全性を維持することができ、缶が製品包装中に供され得る加工条件に耐えることができる必要がある。硬化コーティングは又、一般に、破裂又は亀裂なしに、下にある金属基体が窪む、日常的な缶の落下事象(例えば、商品棚から)を耐えることができるべきである。
【0004】
液体包装コーティングは今日の剛性金属包装市場のニーズを大きく満たしているが、それらの使用に関連したいくつかの顕著な欠点がある。液体コーティングは、輸送コストの一因になる大量の水及び/又は有機溶媒を含有する。次いで、液体コーティング組成物が適用された際、コーティング硬化プロセス中に水又は溶媒を除去するために、多くの場合化石燃料を燃焼させる形態で、かなりの量のエネルギーを消費しなければならない。有機溶媒が硬化フィルムから追い出されると、それは、揮発性有機成分(Volatile Organic Content:VOC)の生成の一因になるか、又は大きなエネルギー消費性の熱酸化剤によって軽減されなければならないかのいずれかである。加えて、これらのプロセスは、かなりの量の二酸化炭素を放出し得る。
【0005】
従来の液体包装コーティングの1つの代替案は、ラミネートコーティングの使用である。このプロセスでは、ラミネート又は押出プラスチックフィルムが加熱工程を介して金属に接着される。製品はコーティング金属基体であり、その後、様々な食品及び飲料缶部品を製造するために使用され得る。ラミネートフィルムを製造するのに必要なプロセスは、限られた数の熱可塑性材料(例えば、材料は、薄フィルムに引き伸ばすのに必要な引張強度を有しなければならない)とのみ適合する。又、そのようなフィルムを引き伸ばすことができる程度には限界があり、これは最終コーティングを基体上に適用することができる程度を制限する。又、既存の缶作製ラインを改造してラミネート鋼又はアルミニウムを受け入れるために必要である、多大な設備投資もあり得る。
【0006】
別の代替案である粉末コーティングは、剛性金属包装(例えば、溶接缶本体用の粉末化サイド・シーム・ストライプ)において狭い有用性が見られている。しかしながら、従来の粉砕粉末(30ミクロン超)の比較的大きな粒径は、コーティングを包装するために必要とされる低いフィルム厚さ(典型的には、10ミクロン未満)に適していないので、その使用は制限される。粉砕/製粉技術を用いてより小さい粒子(例えば、5ミクロン)を形成することができるが、これらのポリマー材料の低分子量(そのような強力な粉砕に必要な特性の制限)は、食品及び飲料産業に必要とされる金属包装コーティングに必要な性能基準を有するフィルムを形成するのに適しているとは考えられていない。例えば、米国特許第7,481,884号(Stelterら)及び米国特許第6,342,273号(Handelら)は、粉末コーティングを基体に適用する方法について開示しており、粉末粒子は粉砕/製粉によって形成される。
【0007】
粉砕などの機械的方法以外の、より微細な粒径(すなわち、化学的に生成された粉末)を生成するために利用可能な方法があるが、そのような微粉末の従来の粉末適用は、しばしば、一貫性のない又は他の低品質のフィルムをもたらす。
【0008】
必要とされているのは、剛性金属包装用途のための改善のコーティング組成物であり、これは、従来の液体、粉末、及びラミネート包装コーティング組成物に関連した上記の欠点を克服する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、粉末コーティング組成物、特に金属基体に対して金属包装粉末コーティング組成物をコーティングする方法、及び金属包装容器、その一部、又は容器用の金属クロージャ、並びにコーティング金属基体、金属包装の作製方法を提供する。本開示は又、粉末コーティングシステム、並びに金属基体をコーティングするために使用されるコーティング装置に粉末コーティング組成物を送達するための方法及び装置を提供する。
【0010】
全ての実施形態では、好ましい金属包装粉末コーティング組成物(金属基体と接触する前)は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、好ましくは、(i)粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は(ii)粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい1つ以上の磁性キャリア粒子を有する。粉末ポリマー粒子は、好ましくは、化学的に生成される。粉末ポリマー粒子は、好ましくは100~140(例えば、球形及びジャガイモ形)、より好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ形)の形状係数を有する。粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも40重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも50重量%、更により好ましくは少なくとも60重量%、又より好ましくは少なくとも70重量%、又より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0011】
粉末コーティング組成物は、液体コーティング組成物よりも有利であり、少なくとも、液体キャリアを揮発除去する必要がないことに起因してエネルギーコストを著しく低減することができ、輸送容積及び重量が減少することに起因して輸送コストを低減することができるためである。又、硬化中の溶媒ガス放出に起因して起こり得る、粉末コーティング中のブリスターなどのコーティング欠陥も少ない。
【0012】
本開示は更に、例えば金属包装などを作製するために使用され得る金属基体をコーティングするために使用されるコーティング装置に1つ以上の粉末コーティング組成物を送達するための方法及び装置を提供する。粉末コーティング組成物は、充填プロセス中、並びに輸送、保管、及び分配中に完全に封入され得る封止カートリッジを用いて輸送、保管、及び分配することができ、カートリッジからの粉末コーティング組成物の望ましくない漏れを制限する。カートリッジは、粉末コーティングが製造される現場で充填され、次いで、粉末コーティング組成物を、カートリッジが粉末コーティングプロセス及び機器で使用するための粉末コーティング組成物を分配するために使用される施設に輸送する(必要に応じて、例えば、道路/鉄道/水/空気)ために使用され得る。その中に含まれる粉末コーティング組成物を分配した後、カートリッジを、好ましくは再充填して廃棄物を減らしてもよい。いくつかの例では、カートリッジは、再充填の前に(必要に応じて)洗浄することができる粉末コーティング組成物製造業者に戻されてもよい。カートリッジの再充填は、粉末コーティング組成物の送達に関連する廃棄物を減らすために、送達プロセスを周期的にすることができる。廃棄物を減らすことに加えて、輸送、保管、及び分配中のカートリッジからの粉末コーティング組成物の望ましくない漏出を制限すること(又は防止すること)は、作業者の曝露の観点から有益であり得る。本明細書に記載の粉末コーティング組成物の少なくともいくつかの小さな粒径とは、吸入の危険性であり得る。本明細書に記載のカートリッジ式システムの使用は、任意のそのような危険を制限することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のカートリッジ式送達システム及び方法で使用されるカートリッジは、拡張構成(本明細書に記載の粉末コーティング組成物の送達及び分配に使用される)と、より小さい折り畳み構成(カートリッジの保管及び輸送に使用される)との間で変換可能であり得る。より小さい折り畳み構成は、本明細書に記載の粉末コーティング組成物を輸送及び使用するために必要なエネルギーを更に低減する(及び、使用間の保管空間要件を低減する)ために、例えば再充填のためにカートリッジを輸送するコストを低減するのに役立ち得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、粉末上に粉末をコーティングすることを含む、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、又は金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)の形成に使用するのに好適な金属基体をコーティングする方法が提供される。このパウダー・オン・パウダー(powder-on-powder)コーティング方法は、以下:金属基体を提供することと、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に製造された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結(limited coalescence)などによる)を含み、かつ複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に(1つ以上の異なる下地の粉末コーティング組成物を硬化させる前又は硬化させた後に)堆積されるように、複数の粉末コーティング組成物(好ましくは、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータ(例えば、金属ドラム)を含む適用プロセスを用いる)の各々を、金属基体の少なくとも一部に導くことと、複数の粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部の上に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、複数の金属包装粉末コーティング組成物であって、複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を含む、包装コーティングシステムが提供され、粉末コーティング組成物の各々は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、パターン化コーティングを形成することを含む、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)の形成に使用するのに好適な金属基体をコーティングする方法が提供される。このパターン化コーティング方法は、以下:金属基体を提供することと、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に製造された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結などによる)を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、粉末コーティング組成物を、金属基体の少なくとも一部に選択的に適用(好ましくは、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータを含む、適用プロセスを用いる)して、パターン化コーティングを形成することと、粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部に対して、硬化接着性パターン化コーティング(連続的であってもなくてもよい)を形成するのに有効な条件を提供することと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のパウダー・オン・パウダー及び/又はパターン化コーティング方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有するそのようなコーティング金属基体を含む、コーティング金属基体及び金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はプルタブなどの金属包装容器)が提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、又は金属包装容器若しくはガラスジャーなどのための金属クロージャなどの、金属包装容器)を、1つの位置で、及び/又は1つの連続製造ライン若しくはプロセスで作製する方法が提供される。本方法は、以下:金属基体を提供することと、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結などによって調製されたもの)を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、粉末コーティング組成物を(好ましくは、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータを含む適用プロセスを用いて)金属基体の少なくとも一部に導くことと、粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部上に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、少なくとも部分的にコーティングされた金属基体を、金属包装容器(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ))の少なくとも一部、それらの一部、又は金属クロージャ(例えば、金属包装容器又はガラスジャーの場合)に形成することと、を含む方法。そのような方法は、パターン化コーティングを形成することを伴い得る。そのような方法は、複数の異なる金属包装粉末コーティング組成物を用いることを伴い得る。
【0019】
本明細書において、「金属包装」コーティング組成物とは、基体の上にある自立フィルム(すなわち、ラミネートなどによって別の基体に適用される前に形成されたフィルム)に由来しない、前処理層又はプライマ層上に、直接又は間接的に、剛性金属上にコーティングするのに好適なコーティング組成物を指す。本開示の金属包装コーティング組成物は、金属基体の食品接触面に特に有用であるが、又、食品、飲料、又はガラス(例えば、ガラス瓶)、剛性及び屈曲性のプラスチック、箔、紙、ボール紙、又はそれらの組み合わせである基体などの他の製品を包装するための、他の種類の基体にも有用であり得る。金属包装は、典型的には、少なくとも10ミクロン厚の自立型プラスチックフィルム、紙若しくは他の繊維状材料、又は金属箔を含まず、したがって、剛性金属包装に適用される(例えば、接着される)。したがって、例としては、金属基体の上にある紙層又は金属基体の上にあるラミネートプラスチック層のいずれかへ適用される粉末コーティング組成物は、本明細書で使用されるような金属包装コーティング組成物ではない。
【0020】
本明細書で言及される粒径は、製造業者によって推奨されるように較正された、Beckman Coulter LS 230 Laser Diffraction Particle Size Analyzer又は同等物を用いて、出発物質(例えば、一次ポリマー粒子、電荷制御剤、潤滑剤など)のレーザ回折粒径分析によって決定してもよい。
【0021】
「D値」(D50、D90、D95、及びD99)とは、粒子が粒径の昇順に配置されている場合に、試料の体積を指定された割合に分割する粒径である。例えば、粒径分布の場合、中央値はD50(又は、特定のISOガイドラインに従う場合はx50)と呼ばれる。D50とは、この直径の上半分と下半分とで分布を分割するミクロン単位の粒径である。Dv50(又はDv0.5)とは、体積分布の中央値である。D90とは、分布の90パーセントがより小さい粒径を有し、10パーセントがより大きい粒径を有する、粒径について述べている。D95とは、分布の95パーセントがより小さい粒径を有し、5パーセントがより大きい粒径を有する、粒径について述べている。D99とは、分布の99パーセントがより小さい粒径を有し、1パーセントがより大きい粒径を有する、粒径について述べている。本明細書で特に指定しない限り、特定の材料の粒径はD50を指し、D50、D90、D95、及びD99は、それぞれ、Dv50、Dv90、Dv95、及びDv99を指す。本明細書で指定されるD値はレーザ回折粒径分析によって決定してもよい。
【0022】
「粉末コーティング組成物」とは、粉末粒子を含み、かつ液体キャリアを含まない組成物を指すが、粉末粒子の調製で使用され得る微量の水又は有機溶媒を含み得る。粉末コーティング組成物は、典型的には、微細に分割された自由流動性粉末ポリマー粒子の形態であり、これは凝集体の形態であってもなくてもよい。(金属基体と接触する前の)粉末コーティング組成物は、1つ以上の電荷制御剤、粒子の形態の1つ以上の磁性キャリア(すなわち、磁性キャリア粒子)、又はその両方を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0023】
「金属包装粉末コーティング組成物」という句は、コーティング組成物中に金属が含まれていることを必ずしも意味しない。すなわち、「金属」という用語は、金属包装コーティング組成物の文脈で使用される場合、包装の種類を指し、コーティング組成物中の金属の存在を一切必要としない。
【0024】
本明細書では、凝集体(又はクラスタ)は粒子のアセンブリであり、後者は一次粒子と称される。
【0025】
「硬化した」コーティングとは、粒子が、架橋反応(例えば、熱硬化性コーティング)を介して共有結合的に硬化されるか、又は粒子が、架橋反応(例えば、熱可塑性コーティング)の非存在下で単に融合され、金属基体に接着し、それによってコーティング金属基体を形成するものを指す。「硬化した」という用語は、コーティングの相対的な硬度又は柔軟性(Tg)に関連するものを一切意味しない。「硬化した」という用語は又、粉末が単に基体上に散布されることを指すものではない。
【0026】
「接着性」コーティングとは、好ましくは試験方法に記載の接着試験に従って、金属基体などの基体に接着する(すなわち、結合する)硬化コーティングを指す。好ましくは、9又は10、好ましくは10の接着性評点は、接着性であると考えられる。
【0027】
「連続」コーティングとは、曝露した基体(すなわち、硬化したコーティングを通して曝露した基体の領域)をもたらすコーティング欠陥)がない(好ましくは、ピンホールを含まない硬化コーティングを指す。このようなフィルムの不完全さ/破壊は、好ましくは、試験方法に記載のフラットパネル連続性試験を用いてミリアンペア(mA)で測定される電流によって示される。本出願の目的のために、連続コーティングは、好ましくはこの試験に従って評価した場合、200mA未満を通過する。連続コーティングは、基体を完全に覆う全面コーティングであってもよく、又は例えば、パターン化コーティングのように基体の一部のみを覆ってもよい。
【0028】
「パターン化された」コーティング(すなわち、複数部分コーティング)は、基体表面上の2つ以上の領域に印刷された硬化コーティングを指し、これは、印刷された(すなわち、コーティングされた)領域の間及び/又は周囲に「ブランク」領域を有しても有しなくてもよく、「ブランク」領域はその上にコーティングを有しない。「パターン化された」コーティングとは、以下のうち1つ以上を有する任意のコーティングを指す:(i)同じ化学組成物の2つ以上の硬化コーティング部分であって、これらは直接的に連続しておらず、同じ基体表面の異なる領域に配置され、同じ全体的な複数部分のコーティング中に存在する、硬化コーティング部分;(ii)同じ基体表面の異なる領域上に配置された、及び同じ全体的な複数部分コーティング中に存在する、異なる化学組成物(例えば、異なる色、光沢レベルなどを有する)の2つ以上の硬化コーティング部分;又は(iii)直接連続していてもいなくてもよく、同じ基体表面の異なる領域に配置され、同じ全体的な複数部分コーティングに存在する、異なる厚さ又はテクスチャの同じ化学組成物の2つ以上の硬化コーティング部分。パターン化コーティングは、全面コーティング(すなわち、典型的には基体の表面全体を覆う、実質的に均一/均質なコーティングを有する(従来のコーティングプロセスから生じる固有の厚さ変動を伴う)従来から適用されている液体又は粉末コーティング)とは異なる。パターン化コーティングのこの定義は又:(a)縁部のみでコーティングされた基体;(b)縁部以外の至る所にコーティングされた基体;及び、(c)(i)、(ii)、又は(iii)のいずれも呈しないコーティング、を除外する。パターン化コーティングは、様々な形状(例えば、ストリップ、ひし形、正方形、円形、楕円形)であり得る、コーティング領域の規則的又は不規則なパターンを含み得る。「パターン」及び「パターン化された」という用語は、設計要素においていかなる繰り返しも必要としないが、そのような繰り返しが存在してもよい。パターン化コーティングのコーティング領域は、下にあるコーティングが存在しない場合に曝露した基体をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥がないという点で、(パターンによってコーティングされることが意図された領域において)上記で定義されたように「連続的」であることが好ましい。
【0029】
特定の構成要素を「実質的に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化コーティングが、もしあれば、百万分の1,000部(parts per million:ppm)未満の列挙された構成要素を含有することを意味する。特定の構成要素を「本質的に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化コーティングが、もしあれば、百万分の100部(ppm)未満の列挙された構成要素を含有することを意味する。特定の構成要素を「本質的に完全に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化コーティングが、もしあれば、百万分の10部(ppm)未満の列挙された構成要素を含有することを意味する。特定の構成要素を「完全に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化コーティングが、もしあれば、十億分の20部(parts per billion:ppb)未満の列挙された構成要素を含有することを意味する。列挙された構成要素が含有され得る組成物又は硬化コーティングに関して使用される場合、この段落の前述の用語は、もしあれば、組成物又は硬化コーティングが、組成物又は硬化コーティング中の構成要素の文脈に関係なく、成分の該当するppm又はppbの最大閾値未満を含むことを意味する(例えば、化合物が未反応の形態で存在するか、別の材料の構造単位として反応した形態で存在するか、又はそれらの組み合わせで存在するかにかかわらない)。
【0030】
「ビスフェノール」という用語は、2つのフェニレン基を有する多価ポリフェノールであって、各々のフェニレン基が6炭素環と、環の炭素原子に結合したヒドロキシル基とを含み、2つのフェニレン基の環は、いかなる原子も共有しない、多価ポリフェノールを指す。例としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコールなどは、これらのフェノール化合物が1つのフェニレン環のみを含むので、ビスフェノールではない。
【0031】
「食品接触面」という用語は、食品製品との長期接触を意図した物品(例えば、食品缶又は飲料缶)の表面を指す。例えば、食品容器又は飲料容器(例えば、缶)の金属基体の文脈で使用される場合、この用語は、一般に、粉末コーティング組成物が適用されていない場合に食品製品又は飲料製品と接触するものと予想される容器の内部金属表面を指す。例としては、金属製の食品缶又は飲料缶の内面に適用されるベース層、中間層、及び/又はポリマートップコート層は、缶の食品接触面上に適用されると考えられる。
【0032】
「上に」という用語は、表面又は基体上に適用されるコーティングの文脈で使用される場合、表面又は基体に直接(例えば、未使用金属、又は電気めっき鋼などの前処理金属)又は間接的に(例えば、プライマ層上に)適用されるコーティングの両方を含む。したがって、例えば、前処理層(例えば、クロム又はクロムフリーの前処理から形成される)、又は基体の上にあるプライマ層に適用されたコーティングは、基体の上に適用された(又は配置された)コーティングを構成する。
【0033】
「ポリマー」及び「ポリマー材料」という用語は、有機ホモポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーなどのコポリマー、ターポリマーなど、並びにそれらのブレンド及び修飾物を含むが、これらに限定されない。更に、特に限定しない限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの立体配置は、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称を含むが、これらに限定されない。
【0034】
「アリール基」(例えば、アリーレン基)という用語は、閉芳香環又は環系(例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、フルオレニレン、及びインデニルなど)、及びヘテロアリーレン基(例えば、閉芳香環又は閉芳香様環炭化水素又は環系であって、その環中の原子のうちの1つ以上が、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄など)であるもの)を指す。好適なヘテロアリール基としては、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、プリニル、キナゾリニル、ピラジニル、1-オキシドピリジル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルなどが挙げられる。そのような基が二価である場合、それらは、典型的には、「アリーレン」又は「ヘテロアリーレン」基(例えば、フリレン、ピリジレンなど)と称される。
【0035】
本明細書で使用される「フェニレン」という用語は、任意の置換基(例えば、ハロゲン(これらは好ましくない)、炭化水素基、酸素原子、ヒドロキシル基などを含む)を有することができる、6個の炭素原子のアリール環(例えば、ベンゼン基におけるような)を指す。したがって、例えば、以下のアリール基は、各々フェニレン環である:-C6H4-、-C6H3(CH3)-、及び-C6H(CH3)2Cl-。加えて、例えば、ナフタレン基の各アリール環はフェニレン環である。
【0036】
「複数(multiple)」又は「複数(multi)」という用語は、参照される項目(例えば、材料、構成要素、組成物、コーティング部分)の2つ以上を意味する。
【0037】
粉末コーティング組成物の文脈において、「異なる」とは、粉末コーティング組成物が、1つ以上の化学的方法/物理的方法(例えば、モノマーの種類/量、ポリマーの分子量、コーティング組成物の色、添加剤の種類/量)で異なり(すなわち、非類似)、それによって、1つ以上の異なる機能(例えば、硬度、柔軟性、耐食性、審美性、触覚性)を提供することを意味する。
【0038】
「カートリッジ」という用語は、粉末コーティング組成物容器であり、これは、食品又は飲料包装容器とは異なり、かつサイズ又は形状によって限定されない。
【0039】
本明細書では、「含む」という用語及びその変形形態は、これらの用語が明細書及び実施形態に現れる場合には、限定的な意味を有するものではない。そのような用語は、記載された工程若しくは要素、又は工程若しくは要素の群を含むが、任意の他の工程若しくは要素、又は工程若しくは要素の群を除外しないことを意味するものと理解される。「からなること(consisting of)」とは、「からなること(consisting of)」という語句に続くあらゆるものを含み、及びこれに限定されることを意味する。したがって、「からなること(consisting of)」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になること(consisting essentially of)」とは、その語句の後に列挙された任意の要素を含むことを意味し、この列挙された要素について本開示で指定された活性又は作用に干渉又は寄与しない、他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になること(consisting essentially of)」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であることを示すが、しかし他の要素は任意選択であって、列挙された要素の活性又は作用に実質的に影響を及ぼすか否かに応じ、存在しても又は存在しなくてもよいことを示す。本明細書でオープンエンド語法(例えば、含む(comprise)及びその派生語)で列挙されている要素又は要素の組み合わせのいずれも、クローズドエンド語法(例えば、からなる(consist)及びその派生語)及び部分的なクローズドエンド語法(例えば、本質的になる(consist essentially)及びその派生語)で、追加的に列挙されているものと見なされる。
【0040】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、ある特定の状況下において、本開示のある特定の利益をもたらし得る実施形態を指す。しかしながら、同じか又は他の状況下では、他の実施形態が好ましい場合もあり得る。更に、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを暗示するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0041】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために特定の例が使用され得る一般的なクラスを含む。「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という用語と互換的に使用され、これらの用語が修飾する全ての項目を含む、1つ、2つ、3つなどを含む。リストが続く「のうち少なくとも1つ」及び「のうち少なくとも1つを含む」並びに「1つ以上」及び「1つ以上を含む」という句は、リスト内の項目のうちいずれか、及びリスト内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、一般に、内容が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含むその通常の意味で使用される。
【0043】
「及び/又は」という用語は、列挙された要素の1つ若しくは全て、又は列挙された要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0044】
本明細書では又、全ての数字は、「約(about)」という用語によって、及び特定の実施形態では、好ましくは「正確には(exactly)」という用語によって修飾されるものと仮定される。測定量に関連して本明細書で使用される場合、「約」という用語は、測定を行い、使用される測定機器の測定の目的及び精度に見合ったレベルの注意を払う当業者によって予想されるような測定量の変動を指す。本明細書では、「最大(up to)」の数字(例えば、最大50)とは、数字(例えば、50)を含む。
【0045】
本明細書では又、数の範囲を端点によって指定する場合には、その範囲内及び端点に属する全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)、及び任意の部分範囲(例えば、1~5は、1以下は、1~4、1~3、2~4などを含む)を含む。
【0046】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、20℃~25℃の温度を指す。
【0047】
「範囲中(in the range)」又は「範囲内(within a range)」という用語(及び同様の記述)は、記載された範囲の端点を含む。
【0048】
本明細書を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「ある特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」などへの言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構成、組成物、又は特性とは、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した様々な場所におけるそのような語句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すものではない。更に、特徴、構成、組成物、又は特性を含む特定の実施形態は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0049】
本開示の上記の「発明の概要」は、本開示の各開示された実施形態又は全実装形態を記載することを意図するものではない。以下の記載及び図面は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願全体にわたるいくつかの箇所では、実施例の一覧を通してガイダンスが提供され、これらの実施例は、様々な組み合わせで使用してもよい。いずれの場合にも、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ働き、排他的な一覧として解釈されるべきではない。したがって、本開示の範囲は、本明細書に記載された特定の例示的な構造に限定されるべきではなく、少なくとも実施形態の文言によって記載された構造、及びそれらの構造の均等物に及ぶ。本明細書において代替形態として積極的に列挙されている要素のいずれも、所望に応じて任意の組み合わせで、実施形態に明示的に含まれてもよく、又は実施形態から除外されてもよい。本明細書では様々な理論及び可能なメカニズムが議論されているが、いかなる場合でも、そのような議論が主張可能な主題を限定するのに役立つべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1A】電磁場で使用するには大きすぎ、かつ角度が大きすぎる、従来の製粉ポリエステル粉末コーティング粒子の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)画像である。
【
図1B】化学的に生成されたポリマー粒子のSEM画像である。
【
図1C】化学的に生成されたポリマー粒子のSEM画像である。
【
図1D】化学的に生成されたポリマー粒子を製造するために使用される、従来技術のプロセスの例である。
【
図1E】化学的に生成されたポリマー粒子を製造するために使用される、従来技術のプロセスの例である。
【
図1F】化学的に生成されたポリマー粒子を製造するために使用される、従来技術のプロセスの例である。
【
図2】噴霧乾燥装置の概略図(Buchi B290噴霧乾燥機製品の文献、BUCHI Labortechnik AG、Flawil,Switzerlandから再現された図で)である。
【
図3A】粉末コーティング組成物を基体に送達することができる、適用装置の線図である。
【
図3B】粉末コーティング組成物を基体に送達することができる、適用装置の線図である。
【
図3C】粉末コーティング組成物を基体に送達することができる、適用装置の線図である。
【
図3D】粉末コーティング組成物を基体に送達することができる、適用装置の線図である。
【
図3E】粉末コーティング組成物を基体に送達することができる、適用装置の線図である。
【
図4A】本明細書に記載の複数の適用装置を含む適用システムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図4B】本明細書に記載の複数の適用装置を含む適用システムの例示的な実施形態の概略図である。
【
図5】本明細書に記載の粉末コーティング組成物の輸送、保管、及び分配の1つの例示的なシステムの概略図である。
【
図6】本明細書に記載の粉末コーティング組成物を収容する、積み重ねられた対のカートリッジの1つの例示的な実施形態を示す。
【
図7】カートリッジの充填中の、本明細書に記載のカートリッジの1つの例示的な実施形態を示す。
【
図8】放電管がカートリッジの分配ポートに接続された、本明細書に記載のカートリッジの1つの例示的な実施形態を示す。
【
図9】本明細書に記載の折り畳み構成である、積み重ねられた変換可能カートリッジのセットの1つの例示的な実施形態を示す。
【
図10】拡張構成であるカートリッジの洗浄中における、変換可能カートリッジの1つの例示的実施形態を示す。
【
図11】剛性金属包装産業における多層コーティングを含むアセンブリの代表例の概略図を提示する。
【
図12】食品又は飲料缶端部上のエレクトログラフィックパターン化コーティングの概略図である。
【
図13】ラグキャップ上のエレクトログラフィックパターン化コーティングの概略図である。
【
図14】インデックス付き可変厚コーティングの概略図である。
【
図15】オール・イン・ワン位置(all-in-one-location)法を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、粉末コーティング組成物(すなわち、コーティング組成物)、特に金属基体に対して金属包装粉末コーティング組成物をコーティングする方法、及び金属包装容器、その一部、又は容器用の金属クロージャ、並びにコーティング金属基体及び金属包装の作製方法を提供する。本開示は又、異なる色、異なるコーティング性能特性などを達成するために使用される、粉末コーティング組成物システム(例えば、複数の異なる粉末コーティング組成物を収容するシステム)を提供する。
【0052】
そのような方法は、エレクトログラフィック粉末コーティング(electrographic powder coating:EPC)プロセスと称され得る。EPCプロセスでは、帯電した微粉末、及び典型的には摩擦電気的に帯電した微粉末が、基体に適用される。EPCプロセスは、典型的には、帯電した微粉末のために導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータを使用し、電場又は電磁場を利用するトランスポータから、基体に直接、又は別の画像形成部材に、又は一連の画像形成部材に、及び最終的に基体に、帯電した粉末を移動させる。エレクトログラフィとは、以下:光電導体に静電潜像を印刷する、電子写真方式又は乾式撮影法;イオンヘッドによって書き込まれた静電潜像を絶縁性又は半導電性の画像形成部材上に印刷する、イオノグラフィ;帯電した粉末を引き付けるために電気的にバイアス及び/又はデボス加工されているドラム又はベルトの部分に印刷する、静電マスタ印刷;帯電粉末がスクリーンを介して印刷される、静電スクリーン印刷;帯電粉末がステンシルを介して印刷される、静電ステンシル印刷;並びに、基体上に均一な粉末層を形成するための導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータからの粉末の静電バイアス現像を含む。
【0053】
エレクトログラフィック粉末コーティング法は、最終プロセス工程において中間転写部材又はトランスフューザ(transfuser)を用いて、又は用いずに、基体上に粉末を堆積させることができる。粒子の転写のために、粒子を基体に適用するための最終プロセスは、典型的には電場で行われる。粒子の移入のために、粒子を基体に適用するための最終プロセスは、典型的には、例えば米国特許第6,650,860号(Brodinら)に記載されているように、熱を用いて、場合によっては電場も又用いても行われる。
【0054】
導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータは、典型的には、金属ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含む。一般に、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータは、粉末コーティング組成物を輸送するために利用することができ、トランスポータから粉末粒子を移動させるために電場又は電磁場を適用するために利用することができる、任意の部材である。導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータは、その表面の全て又はその表面の一部に絶縁性コーティング又は半導電性コーティングを有することができる。導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータは、その表面全体又はその表面の一部のみにおいて導電性又は半導電性であり得る。トランスポータは、静止しているか又は回転する永久磁石を含んでもよい。
【0055】
導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータを形成するために使用することができる材料の例としては、米国特許第5,707,743号(Janesら)及び同第5,434,653(Takizawaら)に記載されているように、金属及び充填有機ポリマー(ポリウレタン又はポリイミドなど)が挙げられる。
【0056】
中間転写部材は、薄い屈曲性ベルト、又はエラストマーベルト、又はエラストマーローラの形態であってもよい。一般に、中間転写部材は、粉末コーティング組成物を輸送するために利用することができ、又、粉末粒子を基体に移動させるために電場又は電磁場を適用するために利用することもできる、任意の部材である。1つ以上のコンプライアントなバックアップローラを有するコンプライアントなローラ又はベルトが使用されることが好ましい。帯電粒子の転写に使用される電場又は電磁場は、コンプライアントローラ内、ベルト内、又は1つ以上のバックアップローラ内の電極から適用することができる。転写部材が基体と接触しているときに、転写のための電場又は電磁場がおよそ3ボルト/ミクロンの空気の絶縁破壊電圧を超えないように、中間転写システムの構成要素にはコンプライアンス及び半導電特性が必要である。
【0057】
その結果、多種多様な材料を中間転写部材に使用することができる。薄い屈曲性ベルトを用いる構成では、ポリイミド又は充填ポリイミドなどの絶縁又は半導電性ポリマー材料を、対応するコンプライアントな半導電性ローラ又は複数のローラと共に使用することができる。導電性金属ベルト上のコンプライアントなエラストマーベルト、又は導電性金属コア上の柔軟なエラストマーローラブランケットを用いる構成では、導電性粒子、帯電防止剤、又は電荷制御剤で充填されたポリウレタン又はシリコーンゴムなどの半導電性エラストマーが使用される。これらの構成の全ての中間転写部材は、剥離層として機能し、多くの場合フルオロカーボンを含有する、非導電性又は半導電性コーティングを有することができる。離型剤はコンプライアントなポリマー材料に直接組み込むことも又できる。逆に、中間転写部材の母材はフッ素化ポリマーであってもよい。
【0058】
米国特許第5,370,961号(Zaretskyら)には、ヤング率が107ニュートン/m2以下のベースと、ヤング率が5×107ニュートン/m2以上の薄いオーバーコート又はスキンと、を有する、使用可能な転写中間体(すなわち、中間転写部材)が記載されている。中間転写部材の表面の粗さ平均は、トナー粒子の平均直径の20%以下であることが好ましい。転写ローラ又はドラムは、アルミニウムベース上に形成された、充填又はドープされたポリウレタンの比較的厚い層、例えば0.6cmの厚さを有し、少なくとも中間の導電性を有するように適切な量の帯電防止材料を含有するものが使用され得る。0ボルトの画像形成部材上の正に帯電した粒子の場合、典型的には-400~-1,000ボルトの中間転写ドラムに適用される電気バイアスは、帯電した粒子の転写ドラムへの実質的な転写をもたらす。次いで、トナー像を基体上に転写するために、例えば-3,000ボルト以下のバイアス及び20psi又は138kPaの圧力を供給して、正に帯電した粒子を基体に転写させることができる。この例では、中間ドラムは、アルミニウムコア上に0.2インチ(0.5cm)のポリウレタンベースを有する。ポリウレタンベースは、ICI,Inc.の一部門であるPermuthane、Inc.によって商品名PERMUTHANEで販売されており、108ニュートン/平方メートルのヤング率及びおよそ1012オームcm又は1010オームmの体積抵抗率を有する、硬質ウレタン樹脂の5ミクロンコーティングでオーバーコーティングすることができる。
【0059】
米国特許第4,729,925号(Chenら)、米国特許第5,212,032号(Wilsonら)、米国特許第5,978,639号(Masudaら)、米国特許第8,668,976B2号(Wuら)、及び米国特許第10,125,218号(Wuら)には、中間転写部材の組成、オーバーコート、導電性ウレタン、ポリイミド、及びシリコーンゴム、並びにその他の特性が記載されている。
【0060】
電場は帯電した物体に力をもたらす。電場は、電荷、空間内の電圧差、及び時間変動磁場から生じる。電磁場とは磁場を伴う電場である。磁場は、電流、永久磁石材料、亜原子粒子スピン、及び時間変動電場から生じる。
【0061】
金属包装容器の例としては、食品、飲料、エアロゾル、一般的な金属包装容器が挙げられる。金属クロージャの例には、ボトルにクリンプされているねじ又はラグ及びクラウンを有するツイスト・オフ・キャップ又は蓋が含まれる。このようなクロージャは金属製であるが、金属製又は金属製の包装容器に有用である。金属包装は又、イージーオープン缶端部のためのプルタブを含む。
【0062】
金属包装粉末コーティング組成物は、そのような金属包装容器及び金属クロージャの食品接触面に特に有用であるが、そのような金属包装容器及び金属クロージャの外面にも又使用してもよい。本開示の金属包装粉末コーティング組成物は、金属基体の食品接触面に特に有用であるが、又、食品、飲料、又はガラス(例えば、ガラス瓶)、剛性及び屈曲性のプラスチック、箔、紙、ボール紙、又はそれらの組み合わせである基体などの他の製品を包装するための、他の種類の基体にも有用であり得る。
【0063】
本開示の金属包装容器及び金属クロージャの、得られたコーティングされた食品接触面は、液体含有製品を包装するために特に望ましい。本質的に少なくとも部分的に液体(例えば、湿潤)である被包装製品は、コーティングと密接に化学的に接触するので、コーティングに実質的な負担をかける。そのような密接な接触は、何か月にわたり、あるいは何年も続く場合がある。更に、コーティングは、製品の包装中の低温殺菌プロセス又は調理プロセスに抵抗する必要があるとされ得る。食品又は飲料の包装の範囲においては、そのような液体含有製品の例としては、ビール、アルコールシードル、アルコールミキサー、ワイン、清涼飲料、エナジードリンク、水、飲料水、コーヒー飲料、茶飲料、ジュース、肉ベースの製品(例えば、ソーセージ、肉ペースト、肉入りソース、魚、ムール貝、二枚貝など)、牛乳ベースの製品、フルーツベースの製品、野菜ベースの製品、スープ、マスタード、ピクルス、ザワークラウト、マヨネーズ、サラダドレッシング、及び調理用ソースが挙げられる。
【0064】
乾燥製品を包装するために使用される多くのコーティングは、上記の「湿潤」製品での使用に必要なコーティング特性の厳格なバランスを保有しない。例えば、個別に包装されたクッキー用の装飾用金属錫の内部に使用されるコーティングが、内部スープ缶コーティングとして使用するのに必要な特性を呈することは予想されない。
【0065】
乾燥粉末製品用の容器は、市場においてより大量に必要であることに起因して、本開示の容器は、包装コーティングに対する腐食性が本質的に低い傾向がある乾燥粉末製品(例えば、粉末牛乳、粉末粉ミルク、粉末クリーマー、粉末コーヒー、粉末洗浄製品、粉末の薬剤など)を包装するために使用され得る。しかし、より典型的には、本コーティングは、本質的に少なくともいくらか「湿潤」である、より腐食性の高い製品と共に使用される。したがって、本開示の粉末コーティング組成物から形成された包装コーティングは、好ましくは、過酷な環境条件下も含めて、1つ以上の困難な化学的特徴を有する被包装製品と、長期的に及び密接に接触することができる。他方で、コーティングの下にある金属基体を腐食から保護し、被包装製品が不適切に分解劣化するの(例えば、見苦しい色の変化又は臭気の導入又は風味が抜けることなど)を回避する。上記のような困難な化学的特徴の例としては、水、酸性度、脂肪、塩分、強力な溶媒(例えば、洗浄製品、燃料安定剤、又は一部特定の塗料製品)、腐食性噴射剤(例えば、一部特定のジメチル-エーテル含有噴射剤などのエアロゾル噴射剤)、染色特性(例えば、トマト)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
したがって、好ましくは、本開示の金属包装粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない;本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を本質的に含まない;本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を本質的に完全に含まない;又は、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を完全に含まない。
【0067】
より好ましくは、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない;本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を本質的に含まない;本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を本質的に完全に含まない;又は、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を完全に含まない。
【0068】
好ましくは、テトラメチルビスフェノールF(TMBPF)は、本開示の粉末コーティング組成物又は硬化コーティングから除外されない。TMBPFは、以下の反応によって作られる、以下に示す4-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-2,6-ジメチルフェノールである:
【0069】
【0070】
例えば、粉末コーティング組成物は、ビスフェノールA及びBADGEが反応した形態若しくは未反応の形態で組成物中に存在するか、又はそれらの組み合わせにかかわらず、600ppmのビスフェノールA及び600ppmのビスフェノールAのジグリシジルエーテル(BADGE)を含むビスフェノールAを実質的に含まない。
【0071】
ビスフェノール化合物(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS)の量は、出発成分に基づいて決定することができる。これらの化合物が少量であることを考慮して、便宜上、重量パーセントの代わりに、試験方法は不要であり、百万分率(ppm)を使用することができる。
【0072】
TMBPFの顕著な例外を除いて、多くのビスフェノール化合物の意図的な添加は、現在、消費者の認識に起因して一般的に望ましくないが、例えば環境汚染に起因して、意図しない微量のビスフェノールAが本開示の組成物又はコーティング中に潜在的に存在し得ることを理解されたい。
【0073】
現在までに入手可能な科学的証拠のバランスは、既存のコーティングから放出され得るビスフェノールAなどの微量のビスフェノール化合物がヒトに健康上のリスクを一切もたらさないことを示しているが、それでもなお、これらの化合物はヒトの健康に潜在的に有害であると一部の人々に認識されている。その結果、食品接触面のコーティングからこれらの化合物を排除することが一部に望まれている。
【0074】
又、味、毒性、又は他の政府規制要件などの要因に起因してそのような表面に適していない構成要素の使用を回避することが望ましい。
【0075】
例えば、コーティングが食品接触面を構成する好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は「PVCフリー」である。すなわち、粉末コーティング組成物は、もしあるならば、2重量%未満の塩化ビニル材料及びその他のハロゲン化ビニル材料、より好ましくは0.5%未満の塩化ビニル材料及びその他のハロゲン化ビニル材料、更により好ましくは1ppm未満の塩化ビニル材料及びその他のハロゲン化ビニル材料を、もしある場合は含有する。
【0076】
潜在的な、例えば、味及び毒性に対する懸念を最小限に抑えるための一般的なガイドとして、好ましくは粉末コーティング組成物から形成された硬化コーティングは、もし何らかの検出可能な量で含む場合には、試験方法に記載のグローバル抽出試験に従って試験して、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満の抽出物を含む。これらの試験条件の例は、硬化コーティングを10重量%のエタノール溶液に121℃で2時間曝露し、続いて40℃で溶液中に10日間曝露するというものである。
【0077】
そのような低いグローバル抽出値は、硬化コーティング中の移動種又は潜在的な移動種の量を制限することによって得ることができる。これに関連して、「移動性」とは、試験方法のグローバル抽出試験に従って硬化コーティングから抽出され得る材料を指す。これは、例えば、不純物の混じった反応物質ではなく純粋な反応物質を使用すること、加水分解性成分又は結合の使用を回避すること、コーティングに効率的に反応して取り込まれない可能性のある低分子量添加剤の使用を回避するか又は制限すること、及び任意選択で、1つ以上の硬化用添加剤と組み合わせて、最適化された硬化条件を使用することによって、達成することができる。これにより、本明細書に記載された粉末コーティング組成物から形成された硬化コーティングは、食品接触面での使用に特に望ましいものとなる。
【0078】
粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも40重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも50重量%、更により好ましくは少なくとも60重量%、又より好ましくは少なくとも70重量%、又より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは最大100重量%、より好ましくは最大99.99重量%、更により好ましくは最大95重量%、最も好ましくは最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。様々な任意選択の添加剤(例えば、電荷制御剤、潤滑剤、顔料、磁性キャリア粒子など)は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大50重量%までの量で存在することができる。食品との接触を考慮して好ましくない場合、粉末ポリマー粒子への添加剤は、電子写真用の乾式トナーに使用される添加剤と同様であってもよい。P.Julien及びR.GruberによるHandbook of Imaging Materials注の「Dry Toner Technology」、A.Diamond及びD.Weiss編、第2版(2002年)第173~205頁を参照されたい。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態では、粉末ポリマー粒子は、好ましくは1つ以上の電荷制御剤と接触している。より好ましくは、1つ以上の電荷制御剤が粉末ポリマー粒子の表面上にある。更により好ましくは、1つ以上の電荷制御剤が粉末ポリマー粒子の表面に接着される。
【0080】
使用される場合、1つ以上の電荷制御剤が、好ましくは、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量パーセント(重量%)、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在する。更に、好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で存在する。
【0081】
本開示のいくつかの実施形態では、粉末ポリマー粒子は、好ましくは1つ以上の磁性キャリア(すなわち、磁性キャリア粒子)と接触している。磁性キャリア粒子は、粉末コーティング組成物中に設けられていてもよく、又は粉末コーティング粒子とは別に設けられていてもよい。
【0082】
使用される場合、1つ以上の磁性キャリアは、好ましくは、粉末コーティング組成物(例えば、粉末ポリマー粒子、磁性キャリア粒子、任意選択では電荷制御剤、及び他の任意選択の添加剤)の総重量に基づいて、少なくとも70重量パーセント(重量%)、少なくとも80重量%、又は少なくとも97重量%の量で存在する。更に、好ましくは、1つ以上の磁性キャリアは、粉末コーティング組成物(例えば、粉末ポリマー粒子、磁性キャリア粒子、任意選択的な電荷制御剤、及び他の任意選択の添加剤)の総重量に基づいて、最大75重量%、最大80重量%、最大90重量%、又は最大95重量%の量で存在する。
【0083】
本明細書における粉末コーティング組成物の構成要素の全ての他の量は、存在し得るいかなる磁性キャリア粒子も存在しないコーティング組成物の総重量に対する割合で報告される。したがって、硬化コーティング中の様々な構成要素の濃度は、存在し得る磁性キャリア粒子が一切存在しない場合、粉末コーティング組成物中のそれぞれの出発物質の濃度と同等である。
【0084】
本明細書における好ましい粉末コーティング組成物は、「乾燥」粉末コーティング組成物である。すなわち、粉末粒子は液体キャリア中に分散されず、むしろ乾燥粉末形態で存在する。しかしながら、乾燥粉末は、最小限の量の水又は有機溶媒(例えば、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満など)を含有し得ることを理解されたい。乾燥プロセスに供される場合であっても、粉末は、典型的には例えば大気湿度から存在し得るようなものなどの、少なくともいくらかの残留液体を含む。
【0085】
粉末コーティング組成物及び作製方法
本開示によれば、金属包装(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶若しくはカップ)粉末コーティング組成物(すなわち、自由流動性粉末の形態のコーティング組成物)が提供される。そのような組成物は、金属基体などの基体上に硬化接着性コーティングを形成することができる。特に、そのような組成物は、食品、飲料、又はエアロゾル缶、一般的な金属包装缶若しくは他の容器、その一部、又は金属包装容器若しくは他の容器用の金属クロージャ(例えば、ガラスジャー用のクロージャ)のコーティングにも又有用であり得る。金属基体への適用前の粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子、好ましくは(i)粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤(例えば、粉末ポリマー粒子の表面上に存在し、典型的には、粉末ポリマー粒子の表面に接着している)、及び/又は(ii)磁性キャリア粒子を含む。
【0086】
本明細書において、磁性キャリア粒子が使用される場合、基体への適用前の粉末コーティング組成物の議論は、磁性キャリア粒子を含んでも含まなくてもよいことが理解される。しかしながら、好ましくは、粉末コーティング組成物は磁性キャリア粒子を含むであろう。しかしながら、磁性キャリア粒子が使用される場合、磁性キャリアは、金属基体への適用後、本明細書に記載の粉末コーティング組成物の一部であるとは見なされない。すなわち、磁性キャリア粒子は、金属基体上への堆積後に粉末コーティング組成物中に残存せず、硬化コーティングは磁性キャリア粒子を含まない。
【0087】
ポリマー粒子
粉末コーティング組成物中のポリマーの分子量は、典型的なポリマーがある範囲の分子量をカバーすることを考えると、いくつかの重要な測定基準によって記載され得る。数平均分子量(Mn)は、試料の総重量を、その試料中の分子の総数で割ることによって決定される。重量平均分子量(Mw)は、試料中の各別個の分子量の合計に、その分子量における試料の重量分率を乗算することによって決定される。多分散性指数(Mw/Mn)は、試料の分子量範囲がどの程度広いかを表すために使用される。多分散性指数が高いほど、分子量範囲は広くなる。Mn、Mw、及びMw/Mnは全て、様々な分子量のポリスチレン標準のセットに対して測定されるゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)によって決定することができる。
【0088】
粉末粒子のポリマーのMnは、少なくとも2,000ダルトン、好ましくは少なくとも5,000ダルトン、より好ましくは少なくとも10,000ダルトン、更により好ましくは少なくとも15,000ダルトンである。粉末粒子のポリマーのMnは、乳化重合アクリルポリマー又は特定の他の乳化重合ラテックスポリマーで起こり得るなどのように、数百万(例えば、1000万ダルトン)であり得るが、Mnは、最大10,000,000ダルトン、又は最大1,000,000ダルトン、又は最大100,000ダルトン、又は更には最大20,000ダルトンであり得る。特定の実施形態では、ポリマー粒子のポリマーのMnは、少なくとも2,000ダルトン~最大10,000,000ダルトン、又は少なくとも5000ダルトン~最大1,000,000ダルトン、又は少なくとも10,000ダルトン~最大100,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトン~最大20,000ダルトンである。
【0089】
粉末ポリマー粒子は、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散性指数を有するポリマーから作製されてもよい。しかしながら、ポリマーが前述の範囲外の多分散性指数を有することが有利であり得る。例えば、理論に拘束されることを意図するものではないが、同じ材料において、高分子量(例えば、柔軟性及び他の機械的特性のため)及び低分子量(例えば、流れ及びレベリングのため)の両方の利点を達成するために、より高い多分散性指数を有することが望ましい場合がある。
【0090】
好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン未満、更により好ましくは10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。より好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。更により好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0091】
好ましくは、粉末コーティング組成物は、全体として(すなわち、全体的な粉末コーティング組成物又は全体的な組成物の粒子の全て)、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は、全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。より好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は、全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。更により好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は、全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0092】
本明細書に記載される粒径分布(例えば、D50、D90、D95、D99など)は、粒径の下限に制限されない。しかしながら、D50(好ましい実施形態では、D90、D95、又はD99)は、1ミクロン超、2ミクロン超、3ミクロン超、又は4ミクロン超であってもよい。
【0093】
上記の粒径分布(例えば、D50、D90、D95、及びD99)は、ポリマー粒子の一部又は全部の表面上に存在していてもよい任意選択の追加の材料を考慮するものと解釈されるべきである。したがって、例としては、ポリマー粒子が、任意選択の電荷制御剤の適用前に6.5ミクロンのD50を有し、任意選択の電荷制御剤の適用後に7ミクロンのD50を有する場合、並びに完全に配合された粉末コーティング組成物において、7ミクロンが最終ポリマー粒子に適切なD50である。
【0094】
1つ以上の電荷制御剤がポリマー粒子の表面上に存在する好ましい実施形態では、上記粒径分布(例えば、レーザ回折粒径分析によって決定される場合、D50、D90、D95、及びD99)は、ポリマー粒子上に存在する電荷制御剤を含むポリマー粒子全体に適用される。
【0095】
粉末ポリマー粒子、及び任意選択的にコーティング組成物全体(すなわち、粉末コーティング組成物全体)は又、好ましくは、(例えば、オレンジの皮のような外観とは対照的に)非常に滑らかなコーティングを得るために、並びに適用されるコーティング材料の量、したがってコストを最小限に抑えるために、狭い又は非常に狭い粒径分布を有するが、本開示の粉末コーティング組成物は、上述の粒径パラメータ以外の粒径を有するポリマー粒子を含んでもよいものと考えられる。好ましくは、粉末コーティング組成物中に含まれるこのような任意選択の「より大きい」及び/若しくは「より小さい」ポリマー粒子又は他の粒子の総量は、粉末コーティング組成物及び/又は硬化コーティングの所望の特性(例えば、粉末コーティング組成物の所望の適用特性;硬化したコーティングの所望の接着性、屈曲性、耐薬品性、コーティング審美性など)が実質的に保持されるように、充分に低い。このような実施形態では、好ましくは、粉末コーティング組成物中に存在する全粒子の体積%での実質的な大部分(例えば、65%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上など)が、上記の粒径パラメータに従った粒径を呈する。
【0096】
レーザサイズ回折分析は、凝集前の一次ポリマー粒子及び他の出発物質(例えば、電荷制御剤、潤滑剤など)、凝集していてもいなくてもよい粉末ポリマー粒子、又は粉末コーティング組成物の粒径を決定するための有用な方法である。そのような分析のための例示的な装置は、製造業者によって推奨されるように較正された、Beckman Coulter LS 230 Laser Diffraction Particle Size Analyzer又は同等物である。この分析装置の粒径分析は、国際規格ISO13320:2009(E)の原理を具体化するものと考えられる。
【0097】
レーザ回折粒径分析のための試料は、例えば、試料を実質的に非膨潤溶媒(シクロヘキサノン又は2-ブトキシエタノールなど)で希釈し、均一に分散するまで振盪することによって調製することができる。好適な溶媒の選択は試験される特定の粒子に依存する。好適な実質的に非膨潤溶媒を同定するために、溶媒スクリーニング試験を行う必要があり得る。例としては、ポリマー粒子が約1%以下膨潤する溶媒(レーザ回折粒径分析によって決定される)は、実質的に非膨潤溶媒と考えられる。
【0098】
一次粒子の粒径は、コーティングプロセスの前に測定することができるが、凝集物が形成されると容易に決定することはできないことが当業者によって理解されるであろう。すなわち、凝集体を形成する一次粒子の粒径は、出発物質に基づいて決定される。更に、凝集物の粒径を測定するために、凝集物の試料をコーティング生成プロセス中(例えば、噴霧乾燥プロセス中)に収集する。コーティングが形成されると、凝集体の粒径の正確な決定は容易に決定することができない。
【0099】
本開示の粉末ポリマー粒子は、例えばフレーク、シート、ロッド、球状(globular)、ジャガイモ形、球形(spherical)、又はそれらの混合物を含む、任意の好適な形状であってもよい。例えば、沈殿したポリマー粒子は、典型的には球形である。好ましくは、粒子は、ジャガイモ形若しくは球形、又はそれらの混合物である。
【0100】
任意の好適な粉末ポリマー粒子を使用することができるが、好ましいポリマー粒子は、化学的に生成されたポリマー粒子であり得る。化学的に生成された粉末は、一般に、機械的処理以外の方法(例えば、従来の粉砕以外)によって調製された微粉末として定義することができる。そのようなポリマー粒子は、機械的処理手段(例えば、粉砕、製粉など)によって典型的に達成されるものとは異なる、表面形態及び/又は粒子形状を有する。そのような機械的技術は、ポリマー材料のより大きなサイズの固体質量を取得し、何らかの様式でそれらを分解してより小さなサイズのポリマー粒子を生成することを伴う。しかしながら、そのようなプロセスは、典型的には、不規則な角度のある粒子形状及び粗い不規則な表面形態をもたらし、広い粒径分布をもたらし、それによって、所望の粒径分布を達成するために追加のフィルタリングを必要とし、その結果、無駄及び追加のコストが生じる。このような機械的プロセスから生じるポリマー粒子は、「微粉砕された」又は「粉砕された」(従来通りに調製された)粒子と呼ばれることが多い。例としては、角度がついており、不規則であり、かつ広い粒径分布を有する従来の製粉ポリエステル粉末コーティング粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す、
図1Aを参照されたい。
【0101】
対照的に、化学的に生成されたポリマー粒子は、より規則的で滑らかな表面形態、並びにより規則的で一貫した粒子形状及びサイズを有する傾向にある。加えて、かなりの廃棄物を発生させることなく、粒径分布をより正確に標的化及び制御することができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、機械的に生成された粒子と比較して、化学的に生成された粒子(例えば、形状、表面形態、及び粒径分布に関して)の均一性及び規則性の向上は、基体上へのより良好で予測可能かつ効率的な転写及び適用、並びに最終的には、そこから生成された硬化した接着性包装コーティングのより良好なコーティング性能特性をもたらすものと考えられる。例としては、
図1B(一般に、ジャガイモ形の粒子)及び
図1C(一般に、球形の粒子)を参照されたく、これらは、一般に狭い粒径分布を有する化学的に生成されたポリマー粒子を示す。
【0102】
ポリマー粒子を生成するための化学プロセスの例としては、界面重合、有機溶液中での重合、水性媒体中での乳化又は分散重合などの重合;低分子量又はポリマー性の親水性、疎水性、又は親フッ素性界面活性剤を用いた界面活性剤(例えば、分散相又は連続相で)中のポリマーの分散;制御沈殿などのポリマーの沈殿;溶融ブレンドポリマー;粒子凝集;マイクロカプセル化;再結晶;コアシェル形成;並びに限定凝結、及び「複合」粉末ポリマー粒子を形成する他のプロセス、が挙げられる。ポリマー粒子の形成に使用するための溶融ブレンド手法の一例は、米国特許第8,349,929号(Kainzら)、同第9,598,601号(Malotkyら)、及び同第9,416,291号(Wilburら)に教示されている溶融ブレンド分散技術である。限定凝結の実施において、米国特許第4,833,060号(Nair)に記載されているような分散助剤及びナノスケール無機コロイド、又は米国特許第4,965,131号(Nair)に記載されているようなナノスケール無機コロイドは、高揮発性及び水不混和性溶媒を利用する有機ポリマー溶液を、水性媒体中に目標粒径まで分散させるために使用される。標的粒径はこの分散液中の様々な構成要素の濃度によって制御される。次いで、揮発性物質を、溶液から、加熱、ウォーターフォール蒸発器(waterfall evaporator)などの任意の数の加熱及び蒸発プロセスで除去する。有機溶媒の除去後、粒子組成物に好適な手段を介して、粒子を濾過、洗浄、乾燥する。任意選択的には、必要に応じて、粒子を処理して、無機コロイドを少なくとも部分的に除去することも又できる。
【0103】
粒子形状、形態、サイズ、及び分布に関して、粉末コーティング用に作製されたポリマー粒子は、電子写真用に作製された化学的生成トナー(chemically produced toner:CPT)と同様であってもよく、かつ同様のプロセスで作製され得る。化学的生成トナーは又、化学的調製トナー、化学的トナー、重合トナー、ポリマートナー、インサイチュ重合トナー、懸濁重合トナー、乳化重合トナー、乳化凝集トナー、制御凝集、カプセルトナー、マイクロカプセルトナー、カプセル化トナー、マイクロカプセルトナー、マイクロカプセル化トナー、コアシェルトナーとも呼ばれ、他の名称でも又呼ばれる。制御されたサイズのポリマー粒子の生成に関する研究は、米国特許第2,108,044号(Crawfordら)を含む特許文献において1930年まで遡ることができる。
【0104】
CPTの基本的な製造方法は、懸濁重合(キヤノン及びゼオンによって使用)、乳化凝集(コニカミノルタ、ゼロックス/富士ゼロックス、三菱、及び富士フイルムが使用)、及び溶媒法であり、これらはその数多くの変形が存在する(リコー、ゼロックス、及びKodakを含む企業によって使用)。従来技術における3種類のプロセスの各々の例を、
図1D(懸濁重合プロセスを示す)、
図1E(乳化凝集プロセスを示す)及び
図1F(溶媒法、溶液反転プロセスを示す)に示す。CPT製造方法は、典型的には、ある種の液体中での成長によるトナー粒子の生成に基づいており、典型的には、洗浄、脱水、及び乾燥の同様の最終段階を含む。更なる情報は、Graham Galliford、「Manufacturing Color Toner」、Imaging World中、第119感(2021年)第33~37頁、2021年6月、Comexposium Recycling Times Exhibition Services Limitedより、から得ることができる。
【0105】
図1Dは、モノマー、開始剤、及び顔料を有機相容器1002内に配置することと、又、水及び乳化剤を水相容器1004内に配置することとを含む、従来技術の懸濁重合プロセスを示す。定量供給ポンプを使用して、有機相容器1002及び水相容器1004の内容物を分散機1006に送達し、そこで、乳化によってモノマー液滴が形成される。分散機1006の内容物は、フリーラジカル重合が起こる反応器1008に送達される。反応器1008の内容物は、洗浄機1010に送達され、続いて脱水機1012に送達され、最後に乾燥機1014に送達される。
【0106】
図1Eは、モノマー、水、水溶性開始剤、及び界面活性剤(例えば、1ミクロン未満で調製されたラテックス)を容器1102内に配置することと、又、水性顔料分散物及びワックス分散物を容器1104内に配置することと、を含む、乳化重合を含む先行技術の乳化凝集プロセスを示す。容器1102及び容器1104の内容物は、混合及び凝集のために容器1106に送達され、(化学的に制御された)トナーサイズの粒子を形成する。容器1106の内容物は、(樹脂の流れ及び粒子の固化を可能にする)Tgの温度でのトナーの融着のために、容器1108に送達される。容器1108の内容物は、洗浄機1110に送達され、続いて脱水機1112に送達され、最後に乾燥機1114に送達される。
【0107】
図1Fは、反応部位を有するウレタン変性ポリエステルプレポリマーの溶液中に分散された顔料を容器1202内に配置することと、ワックス分散物を容器1204内に配置することと、を含む、CPTを調製するための溶媒(「リコーPxP」と称されることもある)を用いる、従来技術の溶液反転法を示す。水及びサイズ制御剤が容器1206に入れられる。容器1202、容器1204、及び容器1206の内容物は、高剪断反応器容器1208に送達され、そこで、溶媒が除去され、粒子が、同時融着及びエステル伸長を伴いエマルジョン中に形成される。容器1208の内容物は、分散剤を除去するための濾過及び洗浄のために、容器1210に送達される。容器1210の内容物は濾過のために容器1212に送達され、容器1212の内容物は乾燥のために容器1214に送達される。
【0108】
CPTの基本的な製造方法は又、トナーに使用される典型的なバインダと共に示される、以下の表のカテゴリに要約することができる。
【0109】
様々な種類のCPTプロセス及びバインダの選択:
【0110】
【0111】
溶媒ベースのプロセスは、ポリエステルだけでなく、多種多様な材料から粉末コーティング粒子を製造することができるという利点を提供する。例えば、Kodak限定凝結(LC)プロセスは、任意の可溶性ポリマーをトナー樹脂として使用することができ、又は直鎖若しくは架橋トナーを作製するための更なる重合に好適なモノマーを使用することができるという利点を有する。この粒子製造プロセスはいかなる加熱も必要としない。したがって、プロセスは、材料のTg、又は水溶液若しくは溶媒の沸点によって制約されない。このプロセス及び同様の溶媒ベースのプロセスは、典型的な低分子量ポリエステル電子写真トナーとは著しく異なる材料を用いて、粉末コーティング粒子を作製することができる。更なる情報は、Dinesh Tyagi、「Polyester-Based Chemically Prepared Toner for High-Speed Digital Production Printing」、NIP23 and Digital Fabrication 2007 Final Program and Proceedings中、第270~273頁、The Society for Imaging Science and Technology,IS&Tから得ることができる。
【0112】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、粉末コーティング組成物全体の全粒子)は、少なくとも100、又は少なくとも120の形状係数を有し得る。例として、粉砕又は微粉砕された粒子を用いて、形状係数は、最大165、又は最大155、又は最大140であってもよい。したがって、粒子は、球形(100~120未満の形状係数を有する)、又はジャガイモ形(少なくとも120~最大140の形状係数を有する)、又は球形とジャガイモ形の混合物であり得る。対照的に、従来の機械的に生成されたポリマー粒子は、典型的には、145を超える形状係数を有する。粉末ポリマー粒子は、好ましくは、ジャガイモ形である。形状係数は以下の式を用いて決定することができる:
形状係数=((ML)2/A)×(π/4))×100
式中:ML=粒子の最大長(球=2r);及び、
A=投影面積(球=πr2)。
【0113】
形状係数は、フロー式粒子動態画像分析装置CAMSIZER X2を用いた動態画像分析(dynamic image analysis:DIA)を用いて決定することができる。粒子形状パラメータには、凸性、真球度、対称性、及びアスペクト比(長さと幅との比率)が含まれる。
【0114】
形状分析のために、典型的には、粒径が1ミクロン未満の粒子は、典型的には無視される。理論に束縛されるものではないが、そのような小さい粒子は、大きい粒子と同様の形状を有し、及び/又は大きい粒子の形状は、形成される最終的なコーティングの性能を制御するものと考えられる。
【0115】
DIAは、照射された背景の前にあるカメラシステムを通過する粒子の流れを使用する。動的画像分析システムは、自由落下する粒子及び懸濁液を測定し、又、凝集するように傾斜している粒子の空気圧による分散も特徴とする。広範囲の形状パラメータは粒子画像を用いて測定される。
【0116】
DIAのための粉末試料は、例えば、測定対象の粉末の試料を適切な流体に分散させることによって調製することができる。次いで、調製された試料は、動的撮像技術を使用するCAMSIZER X2などの動的画像分析装置で測定することができる。試料は、加圧空気によって分散され、2つの明るいパルスLED光源によって照明されるギャップを通過する。次いで、分散粒子(より具体的には、それらの影、又は突起)の画像を、2つのデジタルカメラによって記録し、必要に応じて、例えば、ISO試験方法13322-2(2006年)によって(動的画像化による粒径分析で)、粒子の様々な長さ及び幅記述子を決定するために形状について分析する。
【0117】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、粉末コーティング組成物全体の全粒子)は、好ましくは少なくとも1の圧縮性指数を有し、特定の実施形態では、最大50、又は最大30、又は最大20の圧縮性指数を有する。より好ましくは、特定の実施形態では、圧縮性指数は、1~10、11~15、又は16~20であり得る。圧縮性指数は、以下の式を用いて決定することができる:
圧縮性指数=((タップ密度-バルク密度)/(タップ密度))×100
式中、タップ密度及びバルクは、各々ASTM D7481-18(2018年)に準拠して決定される。
【0118】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、粉末コーティング組成物全体の全粒子)は、好ましくは少なくとも1.00のハウスナー比を有し、特定の実施形態では、最大2.00又は最大1.25のハウスナー比を有する。より好ましくは、特定の実施形態では、ハウスナー比は、1.00から1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25である。ハウスナー比は以下の式を用いて決定することができる。
ハウスナー比=タップ密度/バルク密度
式中、タップ密度及びバルク密度は、上で定義/決定されたとおりである。
【0119】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、少なくとも公平な流れ特性(例えば、16~20の圧縮性指数を有し、ハウスナー比は1.19~1.25である)、又は少なくとも良好な流れ特性(例えば、11~15の圧縮性指数を有し、ハウスナー比は1.12から1.18である)、又は優れた流れ特性(例えば、圧縮性指数が1~10であり、ハウスナー比が1.00~1.11である)を有する。
【0120】
粉末ポリマー粒子について上述した粒径分布(例えば、D50など)と同様に、形状係数、圧縮性指数、及びハウスナー比は、磁性キャリア粒子を除いて、それらが粉末コーティング組成物中に存在する場合、最終粉末コーティング組成物中のポリマー粒子の表面上に任意選択的に存在してもよい任意の追加の材料(例えば、電荷制御剤)を含むべきである。すなわち、磁性キャリア粒子が粉末コーティング組成物中に存在する場合、これらの特性の目的のために、これらは計算から省略される。例としては、ポリマーコーティング組成物が磁性キャリア粒子を含む場合、ポリマーコーティング組成物について述べられたD50は、磁性キャリア粒子の粒径を含まない。磁性キャリア粒子が測定される粉末試料中にある場合、測定は、2つのD50、すなわち粉末ポリマー粒子についてのものと磁性キャリア粒子についてのものとに起因する二峰性粒径分布を示すが、粉末ポリマー粒子についてのD50のみが、粉末コーティング組成物についての粒径分布を記述するために使用される。
【0121】
好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物全体は、粉末ポリマー粒子について上に開示された範囲内にある、D50、D90、D95、D99、形状係数、圧縮性指数、及びハウスナー比のうち、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、好ましくは全てを呈する。これらの範囲は、磁性キャリア粒子が粉末コーティング組成物中に存在する場合、磁性キャリア粒子を含まない粉末コーティング組成物についてのものである。
【0122】
好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、凝集物(すなわち、一次ポリマー粒子のアセンブリ)の形態である。凝集体(すなわち、クラスタ)は、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大15ミクロン、又は最大10ミクロンの粒径を有し得る。凝集体粒径のより低いサイズ範囲は限定されないが、典型的には、粒径は、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンである。好ましくは、一次ポリマー粒子は、少なくとも0.05ミクロン、最大8ミクロン、最大5ミクロン、最大3ミクロン、最大2ミクロン、又は最大1ミクロンの一次粒径を有する。一次粒径は、出発物質のレーザ回折粒径分析によって決定されてもよく、ポリマー凝集体(例えば、噴霧乾燥プロセス中に収集された凝集体)の粒径は又、レーザ回折粒径分析によって決定されてもよい。
【0123】
凝集粒子は、典型的には、噴霧乾燥によって形成される。凝集体は一次粒子のアセンブリであり、一次粒子のアセンブリは重合プロセスによって形成される。噴霧乾燥プロセスは、典型的には、液滴を形成することを伴い、各液滴は、噴霧ノズルを用いてその中に一次粒子を含む。次いで、液滴を乾燥させて、凝集物を形成する(すなわち、その各々は、各液滴中に存在した一次粒子のクラスタ又はアセンブリである)。凝集体の粒径は、二次粒径と呼ばれてもよく、凝集体内の一次粒子の数によって決定される。これは、液滴のサイズ、及び/又は各液滴内の一次粒子の濃度によって制御することができる。例えば、噴霧ノズルの圧力を高めて、小さな液滴の微細なミストを形成することにより、小さな凝集体を形成してもよい。又、液体中の一次粒子の濃度を低下させるが、より低い噴霧ノズル圧力を使用し、より大きな液滴を形成することによって、小さな凝集体を形成してもよい。
【0124】
各粉末ポリマー粒子は、単一の種類のポリマー材料から形成されてもよく、又は2つ以上の異なる種類のポリマー材料を含んでもよい。1つ以上の種類のポリマー材料に加えて、所望であれば、凝集していてもいなくてもよい粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、最大50重量%の1つ以上の任意選択的な添加剤を組み込むことができる。したがって、好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも40重量%の量の1つ以上のポリマーを含む。より好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は100重量%の量の1つ以上のポリマーを含む。
【0125】
そのような任意選択的な添加剤としては、例えば、潤滑剤、接着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、接着促進剤、無機充填剤、金属ドライヤ、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。そのような任意選択の添加剤は、追加的に又は代替的に、粉末ポリマー粒子に加えて粉末コーティング組成物に含まれる他の粒子中に存在してもよい。
【0126】
ポリマー粒子は、1つ以上の熱可塑性ポリマー、1つ以上の熱硬化性ポリマー、又はそれらの組み合わせの任意の好適な組み合わせを含み得る。特定の好ましい用途のために、ポリマー粒子は、1つ以上の熱可塑性ポリマーの任意の好適な組み合わせを含み得る。「熱可塑性」という用語は、充分に加熱された場合に溶融して形状を変化させ、充分に冷却された場合に硬化する材料を指す。そのような材料は、典型的には、顕著な化学変化を呈することなく溶融及び硬化を繰り返すことができる。対照的に、「熱硬化性」とは、架橋され、「溶融」しない材料を指す。
【0127】
ポリマー材料は、好ましくは、15グラム/10分を超える、50グラム/10分を超える、又は100グラム/10分を超えるメルトフローインデックスを有する。ポリマー材料は、好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有する。粉末コーティング組成物は、全体として、このようなメルトフローインデックスを呈し得る。本明細書で言及される「メルトフローインデックス」とは、ASTM D1238-13(2013年)に準拠して、190℃で2.16キログラムの重量にて測定される。
【0128】
特定の実施形態では、ポリマー粒子は、半結晶性、結晶性ポリマー、非晶質ポリマー、又はそれらの組み合わせから作製される。好適な半結晶性又は結晶性ポリマーは、任意の好適なパーセント結晶化度を呈し得る。いくつかの実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、(重量基準で)少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも20%のパーセント結晶化度を有する、少なくとも1つの半結晶性又は結晶性ポリマーを含む。例としては、所与のポリマーの結晶化度パーセントは、以下の式を用いて、示差走査熱量測定(DSC)試験によって評価してもよい:
パーセント結晶化度(%)=[A/B]×100
式中、「A」とは、グラム当たりのジュール(J/g)での所与のポリマー(すなわち、DSC曲線の溶融部分の「下」の総面積)の融解熱であり;又、
「B」とは、ポリマーの100%結晶性についてのJ/g単位の融解熱である。
【0129】
多くのポリマーについて、理論B値が科学文献において利用可能であり得、そのような値が使用され得る。ポリエステルポリマーの場合、例えば、文献でそのようなB値が入手できない場合、したがって145J/gのB値を近似値として使用されてもよく、これは、100%結晶性ポリブチレンテレフタレート(PBT)での融解熱であり、以下に報告されるとおりである:Cheng,Stephen;Pan,Robert;及びWunderlich,Bernard;「Thermal analysis of poly(butylene terephthalate)for heat capacity,rigid-amorphous content,and transition behavior」、Macromolecular Chemistry and Physics、第189巻、第10集(1988年):第2443~2458頁。
【0130】
好ましくは、ポリマー粒子(より好ましくは、ポリマー粒子中に存在するポリマー材料の実質的に全部又は全部)の少なくとも1つのポリマー材料は、少なくとも半結晶性(例えば、半結晶性又は結晶性)である。ポリマー粒子は、非晶質ポリマー材料、又は少なくとも半結晶性ポリマー材料と非晶質ポリマー材料とのブレンドを含み得る。ASTM-D3418-15(2015年)は、ポリマーの結晶化特性(結晶化ピーク温度)を評価するための有用な方法の例である。
【0131】
使用されるポリマーは、任意の好適なガラス遷移温度(Tg)又はTgの組み合わせを呈し得る。粉末ポリマー粒子は、好ましくは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス遷移温度(Tg)、及び最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有するポリマーから作製される。
【0132】
いくつかの実施形態では、より高いTg(例えば、少なくとも40℃)を有する少なくとも1つのポリマーを粒子が含む限り、本明細書で使用される粉末ポリマー粒子を作製する際に、より低いTgのポリマー(例えば、少なくとも0℃又は少なくとも30℃のTgを有するものなど、40℃未満のTgを有する)を使用してもよい。あるいは、より低いTgポリマー及びより高いTgポリマーは、本開示の他の箇所の多層説明に記載されているように、異なる層にあってもよい。
【0133】
ポリマー粒子は、その上、コアシェル形態(すなわち、ポリマー粒子の外側部分又はシェルは、内側部分又はコアとは異なる組成である)であってもよい。そのような場合、シェルは理想的には総ポリマー粒子の10%以上を構成し、上記のTg優先性はポリマー粒子のシェルにのみ適用される。言い換えれば、ポリマー粒子のシェルは、好ましくは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のTg、及び最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有するポリマーから作製される。
【0134】
結晶性ポリマー又は半結晶性ポリマーを組み込む実施形態では、粉末ポリマー粒子は、好ましくは、少なくとも40℃の融点、及び最大300℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーから作製される。
【0135】
好ましい実施形態では、ポリマー粒子のポリマー材料の実質的に全て(すなわち、50重量%超)が、そのような融点又はTgを呈する。従来の非晶質ポリマーは、例えば、認識可能な融点(例えば、DSC溶融ピークを呈しない)を一切示さず、結晶性領域も一切含まない。したがって、このような古典的な非晶質ポリマーは、0%のパーセント結晶化度を呈すると予想される。したがって、本開示の粉末コーティング組成物は、0%又は実質的に0%のパーセント結晶化度を有する、1つ以上の非晶質ポリマーを含んでもよい。しかしながら、所望であれば、本開示の粉末コーティング組成物は、0(例えば、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満など)以外のパーセント結晶化度を有する、1つ以上の「非晶質」ポリマーを含んでもよい。
【0136】
ポリマー粒子の1つ以上のポリマーは、脂肪族若しくは芳香族、又は1つ以上の脂肪族ポリマーと1つ以上の芳香族ポリマーとの組み合わせであってもよい。同様に、1つ以上のポリマーは、飽和若しくは不飽和であってもよく、又は1つ以上の飽和ポリマーと1つ以上の不飽和ポリマーとの組み合わせであってもよい。
【0137】
好適なポリマー粒子は、水(例えば、ラテックスポリマー)から、若しくは有機溶媒(例えば、ノナン、デカン、ドデカン、又はイソヘキサデカン)から、又はそれらの組み合わせから調製することができる。コストを考慮して、加工中のVOCレベルを低く保ち、かつ残留有機溶媒を粉末コーティング組成物から遠ざけるために、水系ポリマーが好ましい。
【0138】
粉末ポリマー粒子は、エマルジョン、懸濁液、溶液、又は分散重合ポリマー粒子(すなわち、エマルジョン、懸濁液、溶液、又は分散重合プロセスから作製された粒子)であり得る。典型的には、水分散性ポリマーは、自己乳化性基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、又はそれらの塩)を含むが、これは必須ではない。中和剤(例えば、アミン、アンモニア、又は水酸化アンモニウム)、特に揮発性のものも又、当業者に周知であるように、そのようなポリマー粒子の作製に使用することができる。逆に、所望であれば、酸で中和された塩基基も又使用され得る。非イオン性極性基も又代替的又は追加的に使用されてもよい。
【0139】
粉末ポリマー粒子は、沈殿ポリマー粒子(すなわち、沈殿プロセスから作製された粒子)であってもよい。粉末ポリマー粒子は、液体媒体中での重合と、それに続く好適な乾燥プロセス(例えば、噴霧乾燥、真空乾燥、流動床乾燥、放射乾燥、フラッシュ乾燥など)によって形成することができる。粉末ポリマー粒子は又、乳化に使用されるようなディスペンサに任意選択的に連結された溶融ブレンド(例えば、ニーダ、ミキサ、押出機などを用いる)によって形成することもできる(例えば、そのようなプロセス機器の記載については、米国特許第6,512,024号(Pateら))。しかしながら、好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉砕ポリマー粒子、又は他の同様の破損又は微粉砕プロセスから形成されたポリマー粒子ではない。より好ましくは、粉末ポリマー粒子は噴霧乾燥粒子である。
【0140】
粉末ポリマー粒子のポリマーは、ポリアクリル酸(すなわち、アクリル、又はアクリレート、又はポリアクリレート)(例えば、溶液重合アクリル系ポリマー、乳化重合アクリルポリマー、又はそれらの組み合わせ)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、コポリマー又はその混合物、例えば、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなど)であってもよい。ポリマーはエンジニアリングプラスチックであってもよい。エンジニアリングプラスチックは、より広く使用されている汎用プラスチック(ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)よりも良好な、機械的及び/又は熱的特性を有する熱可塑性材料の群である。エンジニアリングプラスチックの例には、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、及びポリアミドが含まれる。好ましくは、粉末ポリマー粒子のポリマーは、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせ(例えば、ポリエーテル-アクリレートコポリマー、ポリエステル-アクリレートコポリマーなど)である。
【0141】
個々の粒子は、1つのポリマー、又は2つ以上のポリマーから作製され得る。個々の粒子は、全体にわたって均一であり得るか、又は1、2、3、若しくはそれ以上の「シェル」層を有する「コアシェル」構成を有し得るか、又はグラデーション構築物(例えば、連続的に変化する構築物)を有し得る。そのような「コアシェル」粒子は、例えば、2つ以上の異なる段階の乳化重合、ポリマー界面活性剤を用いて行われる乳化重合、又はそれらの組み合わせを介して作製された、多段階ラテックスを含み得る。粒子の集団は、均一なコアシェル粒子の混合物を含むポリマーの混合物を含み得る。
【0142】
好ましい実施形態では、ポリマー中に充分な数の環式基、好ましくはアリール基及び/又はヘテロアリール基(例えば、フェニレン基)を含むことは、特に包装される製品がいわゆる「持ちにくい」食品又は飲料製品である場合に、食品接触包装コーティングのための好適なコーティング性能を達成するための重要な因子である。ザワークラウトは、持ちにくい製品の一例である。そのような性能を提供する環式基は、アリール基又はヘテロアリール基であることが多いが、例えば、脂肪族架橋二環式(例えば、ノルボルナン又はノルボルネン基)、脂肪族架橋三環式基(例えば、トリシクロデカン基)、シクロブタン基(例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから誘導される構造単位を用いて提供される場合)、シクロブテン基、又はスピロ二環式基(例えば、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(PSG))などの好適な脂肪族環式基が、そのような性能を提供し得る。
【0143】
例えば、ポリマー粒子が特定のポリエーテル又はポリエステルポリマーから形成される場合、環式基、より好ましくはアリール基及び/又はヘテロアリール基は、好ましくは、そのようなポリマーの少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、更により好ましくは少なくとも35重量%、最適には少なくとも45重量%を構成する。環式基(例えば、アリール基/ヘテロアリール基)の上限濃度は特に限定されないが、好ましくは、かかる基の量は、ポリマーのTgが本明細書で論じられたTg範囲内にあるよう構成される。そのようなポリマー中の環式基(例えば、アリール基及び/又はヘテロアリール基)の総量は、典型的には、ポリエーテルポリマーの、約80重量%未満、より好ましくは75重量%未満、更により好ましくは約70重量%未満、最適には60重量%未満を構成する。このような重合体中の環式基(例えば、アリール基及び/又はヘテロアリール基)の総量は、ポリマーに組み込まれた環式基含有重合性化合物(例えば、アリール又はヘテロアリール含有重合性化合物)の重量と、このような環式基を構成する重合性化合物(例えば、アリール基又はヘテロアリール基)の重量分率と、に基づいて決定することができる。
【0144】
好ましいアリール基又はヘテロアリール基は、20個未満の炭素原子、より好ましくは11個未満の炭素原子、更により好ましくは8個未満の炭素原子を含む。アリール基又はヘテロアリール基は、好ましくは少なくとも4個の炭素原子(例えば、フラニレン基)、より好ましくは少なくとも5個の炭素原子、更により好ましくは少なくとも6個の炭素原子を有する。置換又は非置換フェニレン基は、好ましいアリール基又はヘテロアリール基である。
【0145】
あるいは、環式基の少なくとも一部又は更には全てが、多環式基(例えば、4個以上の環を有する二環式基、三環式基、又は多環式基)である。
【0146】
粉末ポリマー粒子は、ポリエステルポリマーを含んでもよい。好適なポリエステルには、1つ以上の好適なポリカルボン酸構成要素(例えば、ジカルボン酸成分、トリカルボン酸成分、テトラカルボン酸成分など)、及び1つ以上の好適なポリオール成分(例えば、ジオール成分、トリオール成分、4つのヒドロキシル基を有するポリオールなど)から形成されるポリエステルが含まれる。必要に応じて、1つ以上の他のコモノマーを任意選択的に使用してもよい。ジカルボン酸構成要素及びジオール構成要素が好ましい。
【0147】
好適なジカルボン酸構成要素としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸)、フランジカルボン酸(例えば、2,5-フランジカルボン酸)などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの、脂肪族ジカルボン酸;無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和酸;及びそれらの混合物が挙げられる。他の好適なポリカルボン酸(又は無水物)の例としては、ベンゼン-ペンタカルボン酸;メリト酸;1,3,5,7ナフタレン-テトラカルボン酸;2,4,6ピリジン-トリカルボン酸;ピロメリット酸;トリメリット酸;トリメシン酸;3,5,3’,5’-ビフェニルテトラカルボン酸;3,5,3’,5’-ビピリジルテトラカルボン酸;3,5,3’,5’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸;1,3,6,8-アクリジンテトラカルボン酸;1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸;無水ナジック酸;無水トリメリット酸;無水ピロメリット酸、及びその混合物が挙げられる。前述した酸の無水物又はエステル及びそのような酸、無水物又はエステルの混合物も又使用され得る。
【0148】
好適なジオール構成要素としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及びデカメチレングリコールなどの、式HO-(CH2)n-OH(式中、nは約2~10である)によって表されるポリメチレングリコール;ネオペンチルグリコールなどの式HO-CH2-C(R2)-CH2-OH(式中、Rは1~4個の炭素原子数のアルキル基)で表される分岐グリコール;ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;シクロヘキサンジメタノール(CHDM)などのシクロヘキサン環を有するジオール;2-メチル-1,3プロパンジオール;2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールなどの、シクロブタン環を有するジオール;イソソルビド;トリシクロデカンジメタノール;スピロ脂環式ジオール(例えば、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(PSG));及びこれらの混合物が挙げられる。グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、及び他の好適な三官能性以上のポリオールも又、単独で、又は任意の他の好適なポリオールと組み合わせて使用してもよい。
【0149】
ポリエステルポリマー粒子は、好ましくは半結晶性又は結晶性ポリマーから作製される。好適な例示的な結晶性及び半結晶性ポリエステルポリマーには、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、PET/IなどのPETのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(「PBT」)、ポリエチレンナフタレート(「PEN」)、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、並びにコポリマー及びそれらの組み合わせが含まれる。ポリエステル材料は、ダイマー脂肪酸を含む成分から形成されてもよい。有用な市販のポリエステル材料の非限定的な例としては、例えば、DYNAPOL L912(トリシクロデカンジメタノールから誘導される多環式基を含む)、DYNAPOL L952、DYNAPOL P1500、DYNAPOL P1500 HV(融点温度約170℃、ガラス遷移温度約20℃、及び数平均分子量約20,000)、DYNAPOL P1510、及びDYNAPOL P1550(HiilsAGから各々入手可能であり、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むモノマーに基づく)などの商品名DYNAPOLで市販されているポリエステルと;TRITANの商品名(Eastman Chemical Companyから入手可能であり、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールを含むモノマーに基づく)で市販されている、ポリエステル材料と;例えば、GRILTEX DD2267EG及びGRILTEX D2310EG(EMS-Chemieから各々入手可能であり、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むモノマーに基づく)などの商品名GRILTEXで市販されている、ポリエステル材料と、が挙げられ得る。
【0150】
好適な粉末ポリマー粒子を作製する際に使用され得る例示的なポリエステルポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2014/0319133号(Castelbergら)、米国特許出願公開第2015/0344732号(Witt-Sansonら)、米国特許出願公開第2016/0160075号(Senekerら)、国際出願第PCT/US2018/051726号(Matthieuら)、米国特許第5,464,884号(Nieldら)、米国特許第6,893,678号(Hiroseら)、米国特許第7,198,849号(Stapperfenneら)、米国特許第7,803,415号(Kiefer-Liptakら)、米国特許第7,981,515号(Ambroseら)、米国特許第8,133,557号(Parekhら)、米国特許第8,367,171号(Stensonら)、米国特許第8,574,672号(Doreauら)、米国特許第9,096,772号(Lespinasseら)、米国特許第9,011,999号(Cavallinら)、米国特許第9,115,241号(Gaoら)、米国特許第9,187,213号(Prouvostら)、米国特許第9,321,935号(Senekerら)、米国特許第9,650,176号(Cavallinら)、米国特許第9,695,264号(Lockら)、米国特許第9,708,504号(Singerら)、米国特許第9,920,217号(Skillmanら)、米国特許第10,131,796号(Martinoniら)、米国特許出願公開第2020/0207516号(Senekerら)、及び国際公開第2021/105970号(Riazziら)に記載されている。
【0151】
C4環を有するポリエステルポリマーを使用してもよく、例えば、シクロブタンジオール型化合物(例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールを含む)から誘導される特定の構造セグメント中に存在する。そのようなC4環を含む例示的なそのようなポリエステルは、例えば、国際公開第2014/078618号(Knottsら)、米国特許第8,163,850号(Marshら)、米国特許第9,650,539号(Kuoら)、米国特許第9,598,602号(Kuoら)、米国特許第9,487,619号(Kuoら)、米国特許第9,828,522号(Argyropoulosら)、及び米国特許出願公開第2020/0207516号(Senekerら)に記載される。
【0152】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、ポリエーテルポリマーを含んでもよい。ポリエーテルポリマーは、複数の芳香族セグメント、より典型的には芳香族エーテルセグメントを含有し得る。ポリエーテルポリマーは、任意の好適な反応物、及び任意の好適な重合プロセスを用いて形成され得る。ポリエーテルポリマーは、例えば、エクステンダー化合物(例えば、ジオール、好ましくは多価フェノール、より好ましくは二価フェノール;)二酸;又はフェノール性水酸基及びカルボン酸基の両方を有する化合物)、及びポリエポキシドを含む反応物から形成されてもよい。好ましい実施形態では、ポリエポキシドは、多価フェノール(より典型的には、例えば、二価フェノールのジグリシジルエーテルのジエポキシド)のポリエポキシドである。好ましくは、(i)多価フェノール化合物は、オルト置換ジフェノール(例えば、テトラメチルビスフェノールF)であり、(ii)ジエポキシドは、オルト置換ジフェノール(例えば、テトラメチルビスフェノールF)のジエポキシドであり、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である。
【0153】
ポリエーテルポリマーは、オルト置換ジフェノールのジエポキシド(例えば、テトラメチルビスフェノールFのジグリシジルエーテル)、及び1つのフェノール環のみを有する二価フェノール(例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、又はその置換変異体)を含む反応物から形成され得る。
【0154】
ポリエーテルポリマーは、多価フェノールに由来せず、1つ以上の骨格又はペンダントアリール又はヘテロアリール基を含むジエポキシド(典型的にはジグリシジルエーテル又はジグリシジルエステル)を含む反応物から調製してもよい。このような芳香族ジエポキシドは、例えば、ジオール、二酸、ジアミンなどの2つ以上の反応性基を有する芳香族化合物から調製してもよい。芳香族ジエポキシドの形成に使用するのに好適なそのような例示的な芳香族化合物としては、1-フェニル-1,2-プロパンジオール;2-フェニル-1,2-プロパンジオール;1-フェニル-1,3-プロパンジオール;2-フェニル-1,3-プロパンジオール;1-フェニル-1,2-エタンジオール;バニリルアルコール;1,2-、1,3-、又は1,4-ベンゼンジメタノール;フランジメタノール(例えば、2,5-フランジメタノール);テレフタル酸;イソフタル酸;などが挙げられる。
【0155】
ポリエーテルポリマーは、典型的には脂肪族ジエポキシド、より典型的には脂環式ジエポキシドである1つ以上の脂肪族ポリエポキシドを含む反応物から調製され得る。例示的な脂肪族ジエポキシドには、シクロブタンジオール(例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)、イソソルビド、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル1,3-プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2、4,8,10テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(PSG)、及びそれらの混合物のジエポキシド(典型的なジグリシルエーテルである)が含まれる。
【0156】
好適な粉末粒子の作製に使用され得る例示的な反応物、重合プロセス、及びポリエーテルポリマーは、米国特許第7,910,170号(Evansら)、米国特許第9,409,219号(Niederstら)、米国特許出願公開第2013/0280455号(Evansら)、米国特許出願公開第2013/0316109号(Niederstら)、米国特許出願公開第2013/0206756号(Niederstら)、米国特許出願公開第2015/0021323号(Niederstら)、国際公開第2015/160788号(Valspar Sourcing)、国際公開第2015/164703号(Valspar Sourcing)、国際公開第2015/057932号(Valspar Sourcing)、国際公開第2015/179064号(Valspar Sourcing)、国際公開第2018/125895号(Valspar Sourcing)、及び国際公開第2021/105970号(SWIMC LLC)に記載される。
【0157】
あるいは、ポリエーテルポリマーは、ビスフェノール又はビスフェノールのエポキシドを一切含まない成分から形成されてもよいが、意図的ではないが、例えば環境汚染に起因して微量が存在する可能性がある。そのようなビスフェノールを含まないポリエーテルポリマーを形成するための好適な反応物の例には、前段落で参照された特許文献に記載されたビスフェノール以外の材料から誘導されたジエポキシドのいずれか、及びそのような特許文献に開示されたビスフェノール以外のエクステンダー化合物のいずれかが含まれる。ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、及びそれらの置換変異体は、そのようなビスフェノールを含まないポリエーテルポリマーの作製に使用するのに好適な増量剤化合物の非限定的な例である。
【0158】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合によって形成されたポリマーを含んでもよく、アクリル系ポリマーがそのようなポリマーの好ましい例である。そのようなポリマーは、そのようなポリマーが典型的には(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸から選択される1つ以上のモノマーを含むことを考慮して、便宜上、本明細書では「アクリル系ポリマー」と呼ばれる。好ましいアクリル系ポリマーには、有機溶液重合アクリル系ポリマー、及び乳化重合アクリルラテックスポリマーが含まれる。好適なアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル、任意選択のエチレン性不飽和一官能性又は多官能性酸、及び任意選択のビニル化合物を含む構成要素の反応生成物を含む。例えば、アクリレートフィルム形成ポリマーは、エチルアクリレート及び/又はブチルアクリレート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、並びにスチレン及び/又はシクロヘキシルメタクリレート(好ましくは、2,2’-アゾビス(2-メチル-ブチロニトリル)及びtert-ブチルペルオキシベンゾアート遊離ラジカル開始剤の存在下における)を含む構成要素の反応生成物であり得る。
【0159】
好適な(メタ)アクリル酸エステル(すなわち、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル)の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、及びノニル(メタ)アクリレートが挙げられる。上記の任意の好適な異性体又は異性体の組み合わせを使用してもよい。例としては、「ブチル(メタ)アクリレート」の開示は、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートなどの、全ての異性体を開示することを意図している。一般に、本明細書に開示されるように、特に反対のことが示されない限り、所与のモノマーの全ての異性体の開示が意図される。
【0160】
好適なエチレン性不飽和一官能性又は多官能性酸の例としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、及びフマル酸が挙げられる。
【0161】
好適なビニル化合物の例としては、スチレン、ハロスチレン、イソプレン、共役ブタジエン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、塩化ビニル(これは好ましくない)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン、ビニルシクロヘキセン、及びステアリン酸ビニルが挙げられる。
【0162】
市販のアクリル系ポリマーの例としては、商品名VIACRYL SC 454/50BSNB、VIACRYL SC383w/50WA、及びVANCRYL 2900 DEV(全てCytec Industries Inc.、West Patterson,NJ製)で入手可能なもの、並びにNEOCRYL A-639、NEOCRYL XK-64、URACON CR203 M3、及びURACON CS113 S1G(全てDSM Neoresins BV、5140 AC Waalwijk,Netherlands)が挙げられる。
【0163】
好適な粉末粒子の作製に使用され得る例示的なアクリル系ポリマーは、米国特許第8,168,276号(Cleaverら)、米国特許第7,189,787号(O’Brien)、米国特許第7,592,047号(O’Brienら)、米国特許第9,181,448号(Liら)、米国特許第9,394,456号(Rademacherら)、米国特許出願公開第2016/0009941号(Rademacherら)、米国特許出願公開第US2016/0376446号(Gibanelら)、米国特許出願公開第2017/0002227号(Gibanelら)、米国特許出願公開第2018/0265729号(Gibanelら)、国際公開第2016/196174号(Singerら)、国際公開第2016/196190号(Singerら)、国際公開第2017/112837号(Gibanelら)、国際公開第2017/180895号(O’Brienら)、国際公開第2018/085052号(Gibanelら)、国際公開第2018/075762号(Gibanelら)、国際公開第2019/078925号(Gibanelら),国際公開第2019/046700号(O’Brienら)、及び国際公開第2019/046750号(O’Brienら)が挙げられる。
【0164】
粉末ポリマー粒子は、ポリエーテルポリマーとアクリル系ポリマーの両方を含む乾燥ラテックス粒子を含み得る。そのようなラテックス粒子の例は、例えば、国際公開第2017/180895号(O’Brienら)及び国際出願公開第2019046700号(O’Brienら)に記載されている。
【0165】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、ポリオレフィンポリマーを含み得る。好適なポリオレフィンポリマーの例としては、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、プロピレンアクリル酸コポリマー、プロピレンメタクリル酸コポリマー、及びエチレンビニルアルコールコポリマーが挙げられる。
【0166】
市販のポリオレフィンポリマーの例としては、DOW PRIMACOR 5980i、DUPONT NUCREL、POLYBOND 1103、NIPPON SOARNOL(EVOH)、ARKEMA OREVAC 18751、及びARKEMA OREVAC 18360の商品名で入手可能なものが挙げられる。好適な粉末粒子を作製する際に使用され得る例示的なポリオレフィンポリマーは、米国特許第9,000,074号(Choudhery)、米国特許第8,791,204号(Choudhery)、国際公開第2014/140057号(Akzo Nobel)、米国特許第8,722,787号(Romickら)、米国特許第8,779,053号(Lundgardら)、及び米国特許第8,946,329号(Wilburら)に記載されている。
【0167】
好適なポリオレフィン粒子は、ポリオレフィンポリマーの水性分散液から調製され得る。例えば、このような水性ポリオレフィン分散物を生成するための好適なプロセスの説明については、米国特許第8,193,275号(Monclaら)を参照されたい。市販の水性ポリオレフィン分散物の例としては、例えば、CANVERA 1110製品、CANVERA 3110シリーズ及びCANVERA 3140シリーズを含む、Dowから入手可能なCANVERAの製品ラインが挙げられる。本明細書に開示される仕様の乾燥粉末ポリマー粒子は、例えば噴霧乾燥などの本明細書に開示される好適なプロセスのいずれかを含む、任意の好適なプロセスを用いて達成することができる。好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝結などの化学プロセスを使用して、本明細書に開示される仕様の乾燥粉末ポリマー粒子が形成される。
【0168】
粉末ポリマー粒子は、エーテル構成要素又は金属ドライヤの一方又は両方と組み合わせて不飽和ポリマーを含んでもよい。エーテル構成要素は不飽和ポリマー自体に存在していてもよい。理論に拘束されることを意図するものではないが、好適な量のエーテル構成要素又は金属ドライヤ(例えば、アルミニウム、コバルト、銅、それらの酸化物、それらの塩)と組み合わせた好適な量の不飽和(例えば、ノルボルネン基及び無水マレイン酸、イタコン酸、官能化ポリブタジエンなどから誘導される不飽和構造単位中に存在するような脂肪族又は脂環式炭素-炭素二重結合)の存在は、硬化したコーティングを形成するための粉末コーティング組成物の熱硬化中の分子量構築をもたらし得るものと考えられる。例えば、そのような反応機構、並びに好適な材料及び濃度の更なる考察については、米国特許第9,206,332号(Cavallinら)を参照されたい。粉末ポリマー粒子のポリマーは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも35、又は少なくとも50のヨウ素価を有し得る。好適なヨウ素価の範囲の上限は特に限定されないが、ほとんどの実施形態では、ヨウ素価は、典型的には、約100又は約120を超えない。前述したヨウ素価は、材料1グラム当たりのヨウ素のセンチグラムを単位として表される。ヨウ素価は、例えば、「Standard Test Method for Determination of Iodine Values of Tall Oil Fatty Acids」というタイトルのASTMのD5768-02(2006年に再度認可)を用いて決定され得る。
【0169】
任意選択の電荷制御剤
本開示の粉末コーティング組成物のある好ましい実施形態では、1つ以上の電荷制御剤が、コーティング組成物に含まれる。すなわち、このような好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、1つ以上の電荷制御剤と接触している。
【0170】
好ましくは、1つ以上の電荷制御剤が、粉末ポリマー粒子の表面に配置される。ポリマー粒子は、好ましくは、1つ以上の電荷制御剤で少なくとも実質的にコーティングされているか、又は完全にコーティングされている。粉末ポリマー粒子の表面には、1つ以上の電荷制御剤が接着していることがより好ましい。
【0171】
電荷制御剤は、粉末コーティング粒子が、電荷(好ましくは、摩擦電気電荷)を効率的に受け取り、基体(例えば、本明細書に記載のもののいずれかなどの導電性又は半導電性トランスポータ、例えば金属ドラムを介する)への静電適用をより容易にすることを可能にする。電荷制御剤は又、粉末コーティング粒子がより長期間にわたって潜在的な摩擦電気電荷をより良好に維持することを可能にし、静電適用特性の経時的な劣化を回避する。1つ以上の電荷制御剤を組み込むことによって達成される利点に加えて、薬剤は、システムに悪影響を及ぼすべきではない。例えば、電荷制御剤は、適用装置の任意の構成要素(定着器など)の機能、又は硬化コーティング(接着性、発色性、透明性、耐製品性など)の性能に対する、任意の有害な方法で干渉するべきではない。
【0172】
したがって、粒子と電荷制御剤とのそのような組み合わせは、本明細書では、「摩擦帯電性粉末ポリマー粒子」(又は単に「帯電性ポリマー粒子」若しくは「帯電性粒子」)と称される。粉末ポリマー粒子に対する電荷制御剤の使用及び配向は、トナー印刷業界のものに周知である。
【0173】
基体への適用中、電荷制御剤は、摩擦によって粉末ポリマー粒子に電荷を提供し、それによって帯電した(すなわち、摩擦電気的に帯電している)粉末ポリマー粒子を形成することが好ましい。
【0174】
電荷制御剤は、正帯電性粉末コーティング組成物と共に使用するためのものであってもよい。あるいは、電荷制御剤は、負に帯電した粉末コーティング組成物と共に使用するためのものであってもよい。
【0175】
電荷制御剤は、無機粒子、有機粒子、又はその両方(例えば、無機修飾有機粒子若しくは有機金属粒子)を含んでいてもよい。好ましくは、電荷制御剤は、無機粒子を含むことが好ましい。無機粒子は又、粉末の流動性を高め、かつ表面力を低減するための流動助剤として機能することができ、並びに噴霧乾燥のためのプロセス助剤として作用することができる。しかしながら、流動助剤は、典型的には電荷制御剤として機能することができない。電荷制御剤は、正に帯電していても、又は負に帯電していても、いずれでもよい。
【0176】
電荷制御剤粒子は任意の好適なサイズであってもよい。典型的には、電荷制御剤粒子は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有するが、任意の好適なサイズを使用してもよい。好ましくは、電荷制御剤粒子の粒径は0.001ミクロン~0.10ミクロンである。電荷制御剤粒子の粒径を決定するための有用な方法は、粉末ポリマー粒子について本明細書に記載されるようなレーザ回折粒径分析である。
【0177】
好適な電荷制御剤の例としては、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈降ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属性カルボキシレート及びスルホネート粒子、四級アンモニウム塩粒子(例えば、四級アンモニウムサルフェート又はスルホネート粒子)、ペンダント第四級アンモニウム塩粒子を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属元素粒子、ニトロシン又はアジン染料粒子、銅フタロシアニン顔料粒子、粒子の形態であるクロム、ジンク、アルミニウム、ジルコニウム、若しくはカルシウムの金属性錯体、又はこれらの組み合わせを含む。
【0178】
任意選択のキャリア粒子
特定の好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は、1つ以上の電荷制御剤に加えて、又はその代わりに、1つ以上のキャリア(すなわち、キャリア粒子)を含む。
【0179】
キャリア(すなわち、キャリア粒子)を使用して、粉末ポリマー粒子を輸送し、粉末ポリマー粒子を堆積に必要な極性に摩擦帯電させる。キャリアは、典型的には粒状であり、粉末ポリマー粒子よりもおよそ1.5倍~100倍以上大きくてもよい。砂、ガラス、アルミニウム、鉄、鋼、ニッケル、マグネタイト、及びフェライトは、全てキャリアとして使用することができる。
【0180】
好適な非磁性キャリア粒子には、ガラス、非磁性金属、ポリマー、及びセラミック材料が含まれる。これらの粒子は、様々な形状、例えば、不規則又は規則的な形状、及びサイズ(例えば、粉末ポリマー粒子の粒径と同様)であり得るが、球形、実質的に球形、又はジャガイモ形が好ましい。
【0181】
磁性キャリア粒子が好ましい。好適な磁性キャリア粒子は、例えば、鉄、鋼、ニッケル、マグネタイト、γ-Fe2O3、又は特定のフェライト、例えばCuZn、NiZn、MnZn、及びバリウムフェライトなどのコアを有する。磁性キャリアは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリフッ化ビニリデン(PVF)などの電荷制御剤で溶媒コーティング若しくは粉末コーティングされていてもよく、又はコーティングされておらず、かつ球形又は不規則な形状であってもよい。磁性キャリアは、ローラ内部の永久磁石によって容易に輸送されるという利点を有する。これは、ポリマー粉末粒子を摩擦帯電させ、堆積のためにそれらを感光体又は他のエレクトログラフィック画像形成部材に近接させるための両方のために行われる。磁性キャリアとしては、球状鉄粉、球状フェライト、マグネタイト、不規則鉄粉などが挙げられる。
【0182】
キャリアに関する更なる情報は、L.Jonesによる「Carrier Materias for Imaging」、Handbook of Imaging Materials編、A.Diamond、D.Weiss、第2版(2002年)第209~238頁に見出される。
【0183】
粉末ポリマー粒子と混合する場合、全てのキャリア粒子の表面積が、全てのポリマー粉末粒子が少なくとも1つのキャリア粒子と接触するのに充分な大きさであるのに充分なキャリアが使用される。換言すれば、ポリマー粉末粒子は、大量の過剰なトナー粒子なしに全てのキャリアをコーティングするはずである。適切な摩擦帯電に必要なポリマー粉末粒子の重量パーセントは、実際には、キャリア粒子の単位重量あたりの表面積及び粒子の密度に依存する。
【0184】
任意選択の添加剤
本開示の粉末コーティング組成物は、所望の効果を得るために、1つ以上の他の任意選択的な添加剤を含んでいてもよい。例えば、そのような任意選択の添加剤は、組成物の美観を向上させるため、組成物の製造、加工、取り扱い、又は適用を容易にするため、及びコーティング組成物又はその硬化したコーティングの特定の機能的特性を更に改善するために、コーティング組成物に含まれ得る。1つ以上の任意選択の添加剤は、化学的に生成された(例えば、噴霧乾燥)粒子の一部など、粒子自体の一部を形成してもよい。
【0185】
本開示の硬化コーティングは、好ましくは食品接触面に使用されるので、味、毒性、又は他の政府規制要件などの要因に起因するそのような表面に適さない添加剤の使用を回避することが望ましい。
【0186】
このような任意選択の添加剤、特に食品接触面に使用されるコーティングに使用するのに好適な添加剤の例としては、潤滑剤、接着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、艶消し剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、接着促進剤、無機充填剤、金属ドライヤ、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。粉末コーティング組成物は、1つ以上の潤滑剤、顔料、架橋剤、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0187】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、例えば柔軟性のために、1つ以上の潤滑剤を含む。これに関連して、潤滑剤とは、完成したコーティング金属基体に耐摩耗性を付与するために、コーティングの表面での摩擦を低減する化合物である。これは、コーティング組成物の流れ及び金属基体へのコーティングの適用を助ける流動性向上剤とは異なる。
【0188】
好適な潤滑剤の例としては、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュ・ワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粒子化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、これらの組み合わせ、及びこれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)が挙げられる。潤滑剤は、任意選択的には球形であってもよい、微粒子化ワックスであってもよい。潤滑剤は、コーティング金属基体のシートに潤滑性を付与し、それによって柔軟性を付与することによって、金属缶、特に金属リベット缶端部及びプルタブの製造を容易にする。
【0189】
1つ以上の潤滑剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在し得る。更に、1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で存在していてもよい。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。
【0190】
潤滑剤は、粉末ポリマー粒子中、粉末ポリマー粒子上、粉末コーティング組成物を形成するために使用される別の成分中、又はそれらの組み合わせ中に存在し得る。潤滑剤は又、別個の粉末層で適用される第2の粉末コーティング組成物で適用されてもよい。例えば、潤滑剤は、ベース粉末層の硬化の前に、本開示の粉末ポリマー粒子を含むベース粉末層上に「ダスト・オン・ダスト(dust-on-dust)」手法で適用されてもよい。
【0191】
好適な市販の潤滑剤の例としては、MunzingのCERETAN製品ライン(例えば、CERETAN MA 7020、MF 5010、MM 8015、MT 9120、及びMXD 3920製品);MunzingのLUBA-PRINT製品ライン(例えば、LUBA-PRINT 255/B、276/A(ND)、351/G、501/S-100、749/PM、及びCA30製品);ShamrockのSST-52、S-483、FLUOROSLIP 893-A、TEXTURE 5347W、及びSPP-10製品;BYKのCERAFLOUR製品ライン(例えば、CERAFLOUR 981、988、996、258、及び970製品);並びに、BYKのCERACOL 607製品が挙げられる。いくつかの実施形態では、PTFEを含まない潤滑剤(すなわち、ポリテトラフルオロエチレンを含有しないもの)が好ましい。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、フッ素含有成分を用いて作製された潤滑剤を一切含まない。
【0192】
これらの潤滑剤のいくつかの粒径、及び供給業者によって同定されるような粒径を決定するために使用される方法(ただし、本明細書では、このような潤滑剤粒径は、レーザ回折粒径分析によって測定され得る)を、以下の表に示す。
【0193】
【0194】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の架橋剤及び/又は触媒を含む。それに加えて、又は代替的に、粉末コーティング組成物は、1つ以上の自己架橋性ポリマーを含んでいてもよい。
【0195】
「架橋剤」という用語は、ポリマー間又は同じポリマーの2つの異なる領域間に共有結合を形成することができる分子を指す。好適な架橋剤の例としては、ベータ-ヒドロキシアルキル-アミド架橋剤が、好ましいそのような架橋剤(例えば、EMS-Griltech(例えば、PRIMID XL-552及びPRIMID QM-1260製品)から商品名PRIMIDで市販)である、カルボキシル反応性硬化樹脂、並びに例えばフェノール系架橋剤、ブロック化イソシアネート架橋剤、及びアミノプラスト架橋剤などのヒドロキシル硬化樹脂が挙げられる。他の好適な硬化剤としては、例えば、ベンゾオキサジンベースのフェノール樹脂又はヒドロキシアルキル尿素などのベンゾオキサジン硬化剤が挙げられ得る。ベンゾオキサジンベースの硬化剤の例は、米国特許出願公開第2016/0297994号(Kuoら)に提示されている。ヒドロキシアルキル尿素の例は、米国特許出願公開第2017/0204289号(Kurtzら)に提示されている。
【0196】
フェノール系架橋剤は、アルデヒドとフェノールとの縮合生成物を含む。ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは、好ましいアルデヒドである。フェノール、クレゾール、p-フェニルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-tert-アミルフェノール、及びシクロペンチルフェノールなどの、様々なフェノールを使用することができる。
【0197】
アミノプラスト架橋剤は、典型的には、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、及びベンズアルデヒドなどのアルデヒドの、例えば、尿素、メラミン、及びベンゾグアナミンなどのアミノ基含有物質又はアミド基含有物質との縮合生成物である。好適なアミノプラスト架橋樹脂の例としては、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、エーテル化メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素-ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。好適なアミノプラスト架橋剤の1つの具体例は、Cytec Industries,Inc.からCYMEL 303の商品名で市販されている完全アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂である。
【0198】
他の好適な架橋剤(例えば、フェノール系架橋剤、アミノ架橋剤、又はそれらの組み合わせ)及び触媒(例えば、チタン含有触媒、ジルコニウム含有触媒、又はそれらの組み合わせ)の例は、米国特許第8,168,276号(Cleaverら)に記載されている。
【0199】
好ましくは、粉末コーティング組成物は、添加される架橋剤を一切含まない。そのような実施形態では、粉末粒子のポリマーは、選択されたポリマーの化学的性質及び所望のコーティング特性に応じて、自己架橋ポリマーであってもよく、又はそうでなくてもよい。
【0200】
1つ以上の架橋剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも8重量%の量で存在し得る。1つ以上の架橋剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。
【0201】
1つ以上の触媒は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の量で存在し得る。1つ以上の触媒は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大5重量%の量で存在し得る。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。
【0202】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、顔料及び/又は染料などの1つ以上の着色剤を含む。粉末コーティング組成物における使用に好適な着色剤の例としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、及び酸化鉄が挙げられ、有機染料及び顔料も又挙げられ得る。
【0203】
1つ以上の着色剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング組成物全体の総重量に基づいて、例えば、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%の量で存在し得る。1つ以上の着色剤は、粉末コーティング組成物の総重量又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、又は最大約20%の量で存在してもよい。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。より高い着色剤濃度の使用は、より薄いコーティングで良好なコーティング率を達成するのに有利であり得る。
【0204】
本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の無機充填剤を含んでいてもよい。本開示の粉末コーティング組成物に使用される例示的な無機充填剤としては、例えば、クレー、マイカ、ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化亜鉛アルミニウム、酸化マグネシウムチタン、酸化鉄チタン、酸化カルシウムチタン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0205】
無機充填剤は、好ましくは非反応性であり、好ましくは1つ以上の粉末ポリマー粒子のブレンドの粒径分布と同じ又はそれより小さい粒径分布を有する粉末の形態で、粉末コーティング組成物に組み込まれてもよい。
【0206】
1つ以上の無機充填剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%の量で存在していてもよい。1つ以上の無機充填剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。
【0207】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の流動制御剤を含む。流動制御剤は、均一な薄フィルムを達成するのを助けることができ、そうでなければ微粉末粒子で起こり得る塊状化及びダストの問題を低減するのを更に助けることができる。
【0208】
流動制御剤の例は、シリカ粒子(例えば、疎水性ヒュームドシリカ粒子、親水性ヒュームドシリカ粒子、疎水性沈降シリカ粒子、親水性沈降シリカ粒子)などの無機粒子、及びポリアクリル酸などの有機樹脂である。
【0209】
流動制御剤として使用するための市販材料の例としては、EvonikのAEROSIL、AEROXIDE、及びSIPERNAT製品ライン(例えば、AEROSIL R972、R816、200、及び380製品);AEROXIDE Alu C生成物;並びにSIPERNAT D 17、820A、22S、50S、340製品);Orient Corporation of AmericaのBONTRON製品シリーズ(例えば、BONTRON Eシリーズ、Sシリーズ、Nシリーズ、及びPシリーズの製品ライン);及びWacker(例えば、HDK H1303VP、H2000/4、H2000T、及びH3004製品)の発熱原性シリカ生成物のHDKラインが挙げられる。
【0210】
粉末コーティング組成物に使用するための例示的な流動制御剤は、Henkel Corporation(RockyHill,CT)からPERENOLの商品名で市販されているポリアクリレートである。加えて、有用なポリアクリレート流動制御剤は、Protex Franceから商品名ACRYLON MFPで市販されており、BYK-Chemie GmbH,Germanyから市販されている。当業者に公知の多数の他の化合物も又、流動制御剤として使用され得る。
【0211】
1つ以上の流動制御剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.2重量%の量で存在し得る。1つ以上の流動制御剤は、粉末コーティング組成物の総重量又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大5重量%、又は最大1重量%の量で存在していてもよい。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。
【0212】
特定の好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の艶消し剤を含む。艶消し剤は、光を散乱させて反射率を低下させる(すなわち、光沢)コーティングの表面上に微細な粗さを形成することによって、表面全体にわたって均一に、又はパターンで選択的に、艶消し又は平坦な外観(すなわち、光沢がほとんどないか、又は全くないように見える)を形成するのを助け得る。好適な艶消し剤の例としては、シリカ、ワックス、及び充填剤が挙げられる。
【0213】
艶消し剤として使用するための市販の材料の例としては、旭硝子製のSUNSPHERE L-121、SUNSPHERE L-31、及びSUNSPHERE L-51;DOG Chemie製のDEOCOAT 3100、DEOCOAT 3412、DEOCOAT 3500及びDEOCOAT 3607;Arkem製のCRAYVALLAC WN-1110及びCRATVALLAC WN-1135;BYK製のCERAFLOUR 913、CERAFLOUR 928、及びCERAFLOUR 968;並びに、DSM製のURANOX P 7150の商品名称で入手可能なものが挙げられる。
【0214】
1つ以上の艶消し剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも1重量%又は少なくとも2重量%の量で存在し得る。1つ以上の艶消し剤は、粉末コーティング組成物の総重量又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大15重量%、又は最大10重量%の量で存在してもよい。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。
【0215】
特定の好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、表面全体にわたって均一に、又はパターンで選択的に、コーティングの微細粗さを減少させることによって、光沢のある(すなわち、反射性が高い)外観を達成するように配合される。この光沢のある外観は、微細粗さを増加させる任意の添加剤、特に艶消し剤の存在を低減又は排除することによって達成され得る。あるいは、同じコーティングされた物品の異なる領域は、パターン化された様式で同じコーティングされた物品上に高光沢の領域及び高艶消しの領域を有してもよい。
【0216】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の界面活性剤を含む。粉末コーティング組成物に使用するのに好適な界面活性剤の例としては、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、分散剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤の1つ以上は、ポリマー界面活性剤(例えば、アルカリ可溶性樹脂)であってもよい。コーティング組成物に使用するのに好適な界面活性剤の例としては、非イオン性及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0217】
1つ以上の界面活性剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%又は少なくとも0.2重量%の量で存在し得る。1つ以上の界面活性剤は、粉末コーティング組成物の総重量又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大10重量%、又は最大5重量%の量で存在してもよい。硬化コーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発物質の濃度と同等である。
【0218】
粒状形態の添加剤(例えば、潤滑剤)の場合、粒子は粉末ポリマー粒子以下の粒径を有する。典型的には、これらは、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)であるが、任意の好適なサイズを使用してもよい。任意選択の添加剤(例えば、潤滑剤)の粒径を決定するための有用な方法は、レーザ回折粒径分析である。
【0219】
粉末コーティング組成物の作製方法
金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器、その一部、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物は、以下のようにして作製することができる。最初の工程では、本明細書に記載の粉末ポリマー粒子が提供される。次いでこれらを、好ましくは、本明細書に記載の1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性キャリア粒子と組み合わせる。これらの粒子は、好ましくは1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性キャリア粒子と接触して、そのまま又は1つ以上の任意選択の添加剤と共に、本明細書に記載の金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器、その一部、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物としての使用に好適な粉末コーティング組成物として使用される。
【0220】
ポリマー粒子は、例えば、沈殿したポリマー粒子、沈殿以外の方法によって形成されたポリマー粒子、又は沈殿したポリマー粒子と沈殿していないポリマー粒子との組み合わせを含む、任意の好適なポリマー粒子であり得る。任意の好適な方法を使用して、本開示の好適なサイズの沈殿粒子を形成してもよい。この方法は、好ましくは、その中に分散された、好ましくはその中に溶解されたポリマー材料を有するキャリア(例えば、溶媒)を提供することと、キャリア(例えば、キャリアの温度を冷却することによって、キャリアの組成を変化させることによって、又はキャリア中のポリマーの濃度を変化させることによって)中のポリマー材料の溶解度を低下させて、沈殿粒子を形成することと、を含む。好ましくは、本方法は、有機溶媒と、固体結晶性ポリマーとの混合物を調製することと、混合物を、固体結晶性ポリマーを有機溶媒中に分散させる(及び好ましくは溶解させる)が、溶融させないのに充分な温度まで加熱することと、混合物を冷却して、沈殿したポリマー粒子を形成することと、を含む。
【0221】
粉末ポリマー粒子は、当業者に周知のエマルジョン、懸濁液、溶液、又は分散重合法を用いて調製され得る。例えば、ポリマーは、標準的な技術を用いて水性エマルジョン、懸濁液、溶液、又は分散液の形態で調製され、続いて、例えばとりわけ、噴霧乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、放射乾燥、凍結乾燥、及びフラッシュ乾燥を含む様々な技術のいずれかを用いて粒子を形成するために乾燥され得る。好ましくは、乾燥は噴霧乾燥を伴う。乳化/懸濁/分散/溶液重合を用いて生成されたポリマー粒子は、典型的には、沈殿粒子とは見なされない。
【0222】
粉末ポリマー粒子は、好ましくはポリマーを粉砕して、粉砕ポリマー粒子を形成することによって調製されない(すなわち、粒子は粉砕粒子として提供されない)。
【0223】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、当業者に周知の標準的な技術を用いて調製され得る、本明細書に記載の一次ポリマー粒子の凝集体として提供される。例えば、ポリマーは、水性エマルジョン/分散液/懸濁液/溶液技術の形態で調製され、続いて、例えば噴霧乾燥技術を用いて乾燥され得る。噴霧乾燥は凝集体を直接形成し得る。噴霧乾燥は、液体供給原料を液滴の噴霧に霧化し、乾燥チャンバ内で液滴を高温空気と接触させることを伴う。噴霧は、典型的には、回転式(ホイール)又はノズルアトマイザのいずれかによって生成される。液滴からの水分の蒸発、及び乾燥粒子の形成は、制御された温度及び空気流条件下において進行する。粉末粒子は、典型的には、乾燥チャンバから実質的に連続して排出される。運転条件及び乾燥機の設計は、製品仕様の乾燥特性に従って選択される。
【0224】
図2は、圧縮空気又は窒素などの加圧ガス1を使用して、ステンレス鋼ノズル2を介して液体生成物のエアロゾル化噴霧を生成する、好適な噴霧乾燥装置(例えば、Buchi B290実験室規模の噴霧乾燥機)を示す。この噴霧は、実験室空気又は窒素3などの乾燥ガスでガラス乾燥塔4に共溶出され、そこで、液体生成物の液滴が、加熱された空気/ガスによって脱水/脱溶媒され、その結果、元の溶媒又は分散剤をほとんど含まない固体粉末粒子が得られる。次いで、ガラスサイクロン6が、加熱された溶媒蒸気から粉末を分離する。粒径及び形状を決定するために試料を収集する場合、試料は、典型的には、タワー4及びサイクロン6の底部の収集ジャー5で収集される。最後に、水/溶媒蒸気は、蒸気が排出又は収集される前に任意の微粒子を除去するように、微粒子フィルタ7を通過する。
【0225】
典型的には、噴霧乾燥技術から形成された凝集粒子は、球形、又は実質的に球形(例えば、ジャガイモ形)である。凝集体の粒径は、典型的には、エマルジョン/分散液/懸濁液/溶液の固形分含有量が高いほど、及び/又は噴霧乾燥ノズル内の霧化圧力が低いほど大きくなる。所望であれば、凝集体から結合水を除去するために、二次乾燥(例えば、流動床を用いる)を行うことができる。
【0226】
あるいは、一次粒子は、例えば、乳化/分散/懸濁/溶液重合によって、又は沈殿によって形成され、続いて凝集及び/又は融着して、例えば、化学的凝集又は機械的融合(例えば、ポリマーのTgを超えて加熱して、一次粒子を凝集粒子に融合させること)を用いて凝集粒子を形成してもよい。添加剤(例えば、顔料、潤滑剤、界面活性剤)の有無にかかわらず、任意の好適な凝集プロセスを使用して凝集した分散粒子を形成してもよい。
【0227】
粒子凝集プロセスの一例は、米国特許第9,547,246号(Klierら)に記載され、かつ熱可塑性ポリマーと、安定した分散物又はエマルジョンの形成を促進することができる安定化剤(例えば、界面活性剤)と、任意選択的な添加剤と、錯化を引き起こすことができる凝集剤(例えば、アルカリ土類金属塩又は遷移金属塩)と、を含む、水性分散物を容器内で形成することを含む。次いで、混合物を均質化されるまで撹拌し、例えば約50℃の温度まで加熱する。混合物は、粒子を所望のサイズまで凝集させることを可能にする時間にわたって、そのような温度で保持され得る。凝集粒子の所望のサイズが達成されると、更なる凝集を阻害するために混合物のpHを調整してもよい。粒子を、例えば約90℃の温度まで更に加熱し、粒子が癒合し、球状化することができるようにpHを下げてもよい。次いで、ヒータをオフにし、反応器混合物を室温まで冷却させ、その時点で、凝集し癒合した粒子を回収し、任意選択てきには洗浄し、乾燥させる。粒子凝集プロセスは又、熱硬化性ポリマーを含む水性分散物から出発して使用されてもよい。
【0228】
又、本開示の粉末ポリマー粒子は、G.E.Kmiecik-Lawrynowicz、「DPP2003:IS&Ts International Conference on Digital Production Printing and Industrial Applications」、第211~213頁に記載されたエマルジョン凝集プロセスを用いて、高品質デジタルカラー印刷のためのトナー粒子を作製するために作製され得る。
【0229】
粉末ポリマー粒子は、好ましくは、本明細書に記載されるように、1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性キャリア粒子と組み合わされて、帯電性粉末ポリマー粒子を形成する。好ましくは、本開示の粉末コーティング組成物を作製する方法は、1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性キャリア粒子を粉末ポリマー粒子に適用することと、粉末コーティング組成物を形成することと、を含む。電荷制御剤及び/又は磁性キャリア粒子(本明細書に記載の任意選択の添加剤のいずれかと同様)は、それらの形成中(例えば、噴霧乾燥プロセスの場合)又はその後に、粉末ポリマー粒子に添加され得る。
【0230】
1つ以上の電荷制御剤は、ポリマー液滴、又は新生形成粒子が電荷制御剤と接触するように、噴霧乾燥プロセス中、スプレー乾燥プロセス前、又はスプレー乾燥プロセス中及びスプレー乾燥プロセス前の両方に導入されてもよい。理論に拘束されることを意図するものではないが、噴霧乾燥プロセス中の電荷制御剤の存在は、粉末ポリマー粒子の移動度を向上させ、粉末ポリマー粒子の凝集を回避又は阻害し、及び/又はプロセス機器上の粉末ポリマー粒子の付着を回避又は阻害する目的に有利であり得る。
【0231】
1つ以上の電荷制御剤を、乾燥粒子に(例えば、噴霧乾燥プロセスの後に)添加してもよい。例えば、1つ以上の電荷制御剤を、粉末ポリマー粒子の表面に適用してもよい。これは、ポリマー粒子を1つ以上の電荷制御剤で完全にコーティングすることを伴ってもよい。これは、追加的又は代替的に、粉末ポリマー粒子の表面に1つ以上の電荷制御剤を接着させることを伴ってもよい。
【0232】
電荷制御剤と粉末ポリマー粒子とのこの組み合わせは、帯電可能な粒子を形成する。例えば、粉末粒子の、例えば摩擦又は誘導による帯電は、光複写技術又はレーザプリンタ技術で一般的に知られているプロセスを用いて影響を受ける可能性がある(このプロセスは、例えば、L.B.Schein、「Electrophotography and Development Physics」、第32~244頁、第14巻、Springer Series in Electrophysics(1988年)に記載されている)。
【0233】
1つ以上の任意選択的な添加剤が帯電性粒子と共に使用される場合、混合の標準的な方法を使用してもよく、これは、当業者に周知である。1つ以上の任意選択の添加剤は、粉末ポリマー粒子、電荷制御剤、又はその両方と組み合わせてもよい。このような任意選択の添加剤は、粉末ポリマー粒子の調製中、又はそれに続いて添加されてもよい。特定のこのような添加剤は、粉末ポリマー粒子に組み込まれてもよく、粉末ポリマー粒子上にコーティングされてもよく、又は粉末ポリマー粒子とブレンドされてもよい。
【0234】
本開示は又、金属包装の金属基体上に金属包装粉末コーティング組成物を使用させることを含む方法を提供する。複数の当事者が関与するいくつかの場合、第1の当事者(例えば、金属包装粉末コーティング組成物を製造及び/又は供給する当事者)は、金属包装粉末コーティング組成物の最終用途に関する説明書、推奨、又はその他の情報開示を、第2の当事者(例えば、金属コーティング業者(例えば、飲料缶端部用のコイルコーター)、缶のメーカ、又はブランド所有者)に提供し得る。そのような情報開示は、例えば、金属基体をコーティングし、その後に包装容器又はその部分を形成するために使用すること、予め形成された容器又はその一部の金属基体をコーティングすること、そのような使用法のために粉末コーティング組成物を調製すること、そのようなコーティングのための硬化条件若しくは処理に関連する条件、又は得られるコーティングと共に使用するための好適な種類の被包装製品、に関連する指示、推奨、又はその他の情報開示を含み得る。そのような情報開示は、例えば、技術データシート(TDS)、安全データシート(SDS)、規制開示、保証若しくは保証制限のステートメントにより、マーケティング文献若しくはプレゼンテーション内で、又は会社ウェブサイト上で行われる。第2の当事者に対するそのような開示を行う第1の当事者者は、実際に組成物を商業的に金属基体に適用し、そのようなコーティングされた基体を商業的に、包装容器の金属基体に使用し、かつ/又はそのようなコーティングされた容器を製品で充填するのが第2の当事者であっても、金属包装粉末コーティング組成物を、金属包装(例えば、容器又はクロージャ)の金属基体上に使用させたものと見なされることになる。
【0235】
コーティング金属基体及び一般的なコーティング方法
本開示は又、コーティング金属基体を提供する。金属基体は、金属食品又は飲料容器(例えば、缶)、エアロゾル容器(例えば、缶)、一般的な包装容器(例えば、缶)、又はクロージャ(例えば、ガラスジャーの場合)を形成するのに好適な厚さであることが好ましい。金属基体は、最大635ミクロン、好ましくは最大375ミクロンの平均厚さを有する。好ましくは、金属基体は、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する。金属箔基体が、例えば包装物品を形成するのに使用される実施形態では、金属箔基体の厚さは、上述の厚さよりも更に薄くてもよい。
【0236】
そのような金属基体は、その表面の少なくとも一部に配置された硬化接着性コーティングを有する。硬化接着性コーティングは、1つ以上の任意選択の添加剤を含む又は含まない、本明細書に記載の金属包装(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶)粉末コーティング組成物から形成される。
【0237】
本開示の硬化(hardened)(例えば、硬化(cured))コーティングは、好ましくは、前処理されてもされなくてもよい、金属(例えば、鋼、ステンレス鋼、電気亜鉛めっき鋼、錫無し鋼板(TFS)、錫めっき鋼板、電解錫めっき板(ETP)、アルミニウムなど)によく接着する。それらは又、例えば食品、飲料、又はエアロゾル製品への長期間の曝露によって引き起こされ得る、腐食又は劣化に対する高レベルの抵抗性を提供する。
【0238】
したがって、本明細書で有用な金属基体には、鋼、ステンレス鋼、電気亜鉛めっき鋼、錫無し鋼板(TFS)、錫めっき鋼板、電解錫めっき板(ETP)、アルミニウムなどが含まれる。本明細書で有用な金属基体には又、飲料缶端部(飲料缶端部の内面若しくは外面、又はその両方に適用された、硬化したコーティング)を作製するための、タブストック及びアルミニウムコイルも含まれる。本明細書の金属基体は、コイル又はシート形態で提供されてもよい。本明細書の金属基体は、予備成形容器(例えば、缶又はカップ)として提供されてもよい。金属基体が予め形成された缶又はカップである場合、これは、例えば、スピニングマンドレル上に配置し、スピニング中に粉末コーティング組成物を缶又はカップに導くことによってコーティングすることができる。本開示のコーティング組成物から利益を得ることができる金属カップの例は、米国特許第10,875,076号(Scott)及び米国特許出願公開第2019/0112100号(Scott)に記載されたものである。硬化接着性コーティングが表面又は基材「上」に配置される状況では、表面又は基体上に適用されるコーティングの文脈で使用される場合、表面又は基体に直接(例えば、未使用金属、若しくは電気めっき鋼などの前処理された金属)又は間接的に(例えば、プライマ層上に)適用される両方のコーティングが含まれる。したがって、例えば、前処理層(例えば、クロム又はクロムフリーの前処理から形成される)、又は基体の上にあるプライマ層に適用されたコーティングは、基体の上に適用された(又は配置された)コーティングを構成する。
【0239】
金属基体として鋼板を用いる場合、表面処理としては、亜鉛めっき、錫めっき、ニッケルめっき、電解クロメート処理、クロメート処理、及びリン酸塩処理などの、1つ、2つ、又はそれ以上の表面処理が含まれ得る。金属基体としてアルミニウム板を用いる場合、表面処理としては、リン酸クロム処理、リン酸ジルコニウム処理、又はリン酸塩処理などの無機化成処理;アクリル樹脂又はフェノール樹脂などの水溶性樹脂、及びタンニン酸に例示されるような、無機化学処理と有機構成要素との組み合わせに基づいた有機/無機複合化学処理;又は、アクリル樹脂などの水溶性樹脂と、ジルコニウム塩との組み合わせに基づいた適用型処理が挙げられ得る。
【0240】
金属基体は極低温洗浄されてもよい。極低温洗浄された金属基体として提供されてもよく、又は方法コーティングは、粉末コーティング組成物を金属基体の少なくとも一部に導く前に、金属基体を極低温洗浄することを含んでもよい。例示的なプロセスでは、液体窒素の高圧流(5,000~50,000psiの間、及び-150°F~-250°Fの間)を金属表面に向けることによって、極低温洗浄を達成してもよい。金属表面の温度は急速に低下し、任意の汚染物質の破損を引き起こす。次いで、破損された汚染物質は、高圧流によって金属表面から離れるように導かれ、洗浄された基体を残す。
【0241】
好ましい実施形態では、硬化接着性コーティングは連続的である。したがって、曝露した基体をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥がなく、これは、(i)基体の許容できない腐食、更には潜在的に基体の穴及び製品の漏れにつながる可能性、並びに/又は(ii)包装された生成物の不純物混入につながる可能性がある。コーティングの粗さ又はテクスチャが望ましい実施形態(例えば、審美的目的のための特定の外装缶コーティングの場合)を除いて、硬化した連続コーティングは、特にほとんどの内部缶コーティングについて、好ましくは滑らかである。
【0242】
特定の実施形態では、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングは、最大100ミクロン(特に、コーティングがテクスチャを有する場合)の平均総厚、又は最大100ミクロンの最大総厚を有する。しかしながら、典型的には、最大及び平均総厚の一方又は両方は、100ミクロンよりもかなり薄い。好ましくは、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングは、最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロン、更により好ましくは最大20ミクロン、又より好ましくは最大15ミクロン、最も好ましくは最大10ミクロン、又は特定の状況では最大5ミクロンの平均総厚を有する。内部缶コーティングは、典型的には、平均で10ミクロン(合計)未満の厚さである。好ましくは、硬化接着性コーティングは、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロンの平均総厚又は最小コーティング厚を有する。
【0243】
硬化コーティングは、金属包装容器(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶本体、例えば3ピースのエアロゾル缶又はアルミニウムモノブロックエアロゾル缶、並びに2ピース及び3ピースの食品又は飲料缶など)の内面、そのような容器本体の外面、リベット缶端部、プルタブ、及びそれらの組み合わせを含む、任意の好適な表面のコーティングとして使用され得る。硬化コーティングは又、他の包装容器又はその一部の内面又は外面、ボトルクラウンを含む金属クロージャ(例えば、ガラス容器用)、Ball Corporationから市販されているものなどのリサイクル可能なアルミニウム飲料カップ、又は定量吸入器(MDI)缶に使用されてもよい。内部食品接触面、リベット缶端部、及びプルタブを有するそのような特定の缶、カップ、及び他の容器は、特定の柔軟性要件、並びに味、毒性、及び他の政府規制要件を有する。
【0244】
本開示の粉末コーティング組成物は又、食品、又は飲料製品、又は他の製品を包装するのに使用するための基体を含む、剛性金属基体以外の基体にも使用され得る。例えば、粉末コーティング組成物は、金属、又はプラスチックパウチ、又は他の屈曲性包装の内面又は外面をコーティングするために使用されてもよい。粉末コーティング組成物は又、繊維板若しくは板紙(例えば、テトラパック容器などに使用されるもの);様々なプラスチック容器(例えば、ポリオレフィン)、ラップ、若しくはフィルム;金属箔;又はガラス(例えば、スクラッチを防止するため、又は所望の色若しくは他の審美的効果を提供するためのガラス瓶の外装)をコーティングするために使用されてもよい。
【0245】
硬化コーティングは、好ましくは、試験方法に記載されているグローバル抽出試験に従って試験した場合、もしあれば、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満の抽出物を含む。重要なことに、このようなコーティングは、食品接触面での使用に好適である。したがって、そのようなコーティング金属基体を含む金属包装容器(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶)が提供され、特に、金属基体のコーティングされた表面は、容器本体(食品、飲料、又はエアロゾル製品と接触する)の内面を形成する。あるいは、コーティングされた表面は、リベット缶端部及び/又はプルタブの表面である。
【0246】
特定の実施形態では、金属基体は平面コイル又はシートの形態であるが、缶が既に形成されているサイド・シーム・ストライプ又は他の用途では、金属基体は平面でなくてもよい(例えば、円筒形であってもよい)。
【0247】
シートコーティングは、正方形又は長方形の「シート」に予め切断されている、基体片を分離するためのコーティング組成物を適用することを伴う。コイルコーティングは、コイル状の金属ストリップ(例えば、アルミニウム)を巻き出し、次いで前処理、コーティング、及び乾燥機器を通過させた後、最終的に巻き戻す特殊な適用方法である。本開示の好ましい粉末コーティング組成物の使用は、従来の液体コーティングを用いる場合に使用される前処理工程の必要性を排除することができ、それによって、適用プロセスを単純化し、コストを削減するものと考えられる。コイルコーティングは、高いスループットで短時間で大きな表面積の非常に効率的なコーティングを可能にする。
【0248】
例えば、連続プロセスにおけるコイル基体の移動表面は、好ましくは、少なくとも50メートル/分、少なくとも100メートル/分、少なくとも200メートル/分、又は少なくとも300メートル/分のライン速度で移動する。典型的には、ライン速度は毎分400メートル未満である。コイルコーティング適用コーティング組成物の硬化時間は、好ましくは、少なくとも0.5秒、少なくとも3秒、少なくとも6秒、少なくとも10秒、又は少なくとも12秒、及び最大20秒、最大約25秒、又は最大約30秒である。コイルコーティングを硬化させるための熱焼付けの文脈において、そのような硬化時間は、オーブン内での滞留時間を指す。そのような実施形態では、硬化プロセスは、典型的には、200℃~260℃のピーク金属温度を達成するために行われる。
【0249】
したがって、本開示による粉末コーティング組成物を基体に適用するプロセスは、好ましくは、コイル・コーティング・プロセス又はシート・コーティング・プロセスにおいて使用される。
【0250】
硬化したコーティングは、1つ以上の任意選択の添加剤、特に本明細書に記載の粉末ポリマー粒子及び潤滑剤を含むものを含む又は含まない、本明細書に記載の金属包装粉末コーティング組成物から形成され得る。潤滑剤は、粉末ポリマー粒子の硬化コーティング中、粉末ポリマー粒子上、粉末コーティング組成物を形成するために使用される別の成分(若しくはそれから形成された硬化コーティング)中、又はそれらの組み合わせ中に存在し得る。代替的又は追加的に、本明細書に記載の潤滑剤(例えば、カルナウバワックス、合成ワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、又はそれらの組み合わせ)は、硬化コーティングに適用されてもよく、又は硬化したコーティングの表面に配置されてもよい(例えば、別の粉末組成物の適用を介する)。同様に、潤滑剤は、コーティング硬化(すなわち、いわゆる「ダスト・オン・ダスト」適用技術における)の前に、本開示のポリマー粒子を含む第1の粉末層に適用された別個の粉末層に適用されてもよい。しかしながら、それが硬化コーティングの中へ又は上に組み込まれる場合、潤滑剤は、好ましくは、粉末コーティング組成物(又はそれから形成された硬化したコーティング)の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%(又は少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%)の量で存在し、潤滑剤は、好ましくは最大4重量%(又は最大3重量%、又は最大2重量%)の量で存在する。
【0251】
好ましくは、非晶質ポリマー(及び/又は非晶質部分を有する半結晶性ポリマー)を含む硬化コーティングは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス遷移温度(Tg)、及び最大150℃、最大130℃、最大110℃、又は最大100℃のTgを有する。多くの包装技術、特により攻撃的な製品の内装缶コーティングの場合、より高いTgコーティングが耐食性に好ましい。
【0252】
硬化コーティングは検出可能なTgを一切有しなくてもよい。
【0253】
好ましくは、粉末コーティング組成物の好ましい実施形態から生成された硬化コーティングは、従来のアルミニウム飲料缶端部ストック上に配置された場合、内部飲料缶コーティングの従来の平均乾燥フィルムコーティング重量(例えば、内部ソーダ飲料缶コーティングの場合、約2.3グラム/平方メートル)で4T T曲げ試験に合格することができる。有用なT曲げ試験手順は、ASTM D4145-10(2010年、2018年に再承認)に記載されている。
【0254】
柔軟性は、リベット缶端部又はプルタブなどの、金属包装容器(例えば、食品、飲料、若しくはエアロゾル缶)又は容器の一部(例えば、缶)に製造される金属基体上の硬化コーティングにとって特に重要である。柔軟性は、後硬化製造工程(例えば、ネッキング及びドームの改質、若しくはリベットの形成)中に、又は輸送中若しくは使用中に缶が妥当な高さから落下した場合に、コーティングが金属基体と共に撓むことができるように重要である。
【0255】
柔軟性は、試験方法に記載されている柔軟性試験を用いて決定することができ、これは、リベット締め飲料缶端部を生成するのに必要な形成プロセスを受けるときに、コーティングされた基体がその完全性を保持する能力を測定する。それは、形成された端部における亀裂又は破損の有無の尺度である。好ましくは、本明細書に記載のコーティング組成物から形成された硬化コーティングは、この柔軟性試験に合格する。より好ましくは、粉末コーティング組成物は、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(peak metal temperature:PMT)及びおよそ7.5ミリグラム/平方インチの乾燥フィルム厚を達成するために適切な期間にわたり硬化焼成に供され、完全に変換された202標準開口飲料缶端部に形成される場合、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露されながら、5ミリアンペア未満の電流を通過する。
【0256】
金属基体をコーティングする一般的な方法
金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶)などの金属包装容器、又はその一部、若しくは金属クロージャ)の形成に使用するのに好適な金属基体をコーティングする一般的な方法も又、提供される。そのような方法は、本明細書に記載の粒子(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粒子を含む)を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、好ましくは電場、電磁場、又は任意の他の好適な種類の印加電場によって、金属基体(例えば、コイル又はシート)の少なくとも一部に粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)を導くことと、粉末コーティング組成物が金属基体の少なくとも一部に硬化した、好ましくは連続的なコーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、を含む。
【0257】
粉末コーティング組成物を金属基体の少なくとも一部に導くことは、好ましくは、粉末コーティング組成物を導電性又は半導電性トランスポータに供給することと、電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適な種類の印加電場によって、トランスポータから金属基体の少なくとも一部に粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)を導くことと、を含む。粉末コーティング組成物を導くことは、より好ましくは、トランスポータと金属基体との間の電場によって、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータから金属基体の少なくとも一部に直接粉末コーティング組成物を導くことを含む。
【0258】
粉末コーティング組成物を導くことは、好ましくは、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータと転写部材との間の電場、電磁場、又は任意の他の好適な種類の印加電場によって、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータから転写部材に粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)を導くことと、粉末コーティング組成物を転写部材から金属基体の少なくとも一部に転写することと、を含む。転写は、例えば、熱エネルギー(熱処理技術を用いる)、又は電気的、静電的、若しくは機械的な力などの他の力を加えて転写を行うことによって行ってもよい。
【0259】
このプロセスは、従来のエレクトログラフィック印刷プロセスと同様であるが、印刷プロセスとは対照的に、完全にコーティングされた基体(例えば、90%超)を連続的に生成するために必要とされてもよく、コーティング率は、典型的には、基体のはるかに少ない(例えば、わずか10%)。例えば、摩擦又は誘導による粉末粒子の帯電(摩擦帯電として知られている)、並びに輸送又は搬送及び基体への適用は、電子写真、光複写技術、又はレーザプリンタ技術において一般的に知られているプロセスを用いて行うことができる。特に、電圧供給又はコロナ放電などの従来の方法を用いて電場を適用して、移動又は固定された対向電極を生成することができる。そのようなプロセスは、例えば、米国特許第6,342,273号(Handelsら)及びL.B.Schein、「Electrophotography and Development Physics」、第32~244頁、第14巻、Springer Series in Electrophysics(1988年)に記載されている。
【0260】
例えば、半導電性又は絶縁性ドラム又はベルトを含む転写部材を使用してもよい。転写ベルト及びドラムは、通常、コンプライアントであるか、又はコンプライアントな裏当てローラを有し、導電性添加剤を含有するポリウレタン又はポリイミドで作製される。例えば、米国特許第8,119,719号(Parkら)は、転写ベルトが、108~1013オームcmの体積抵抗率、105~113°の接触角、及び0.8~4.5GPaの弾性率を有し得ることを開示している。導電性又は半導電性ベルトは、フルオロポリマー放出面などの非導電性コーティングを有してもよい。転写ベルト及びドラムは同様に機能し、同様の組成を有する。転写は、複数の転写部材を用いて1つ以上の工程で行うことができる。
【0261】
粉末コーティング組成物は、好ましくは磁性キャリア粒子を含むが、本明細書に記載されるように非磁性粒子も又使用され得る。
【0262】
好ましくは、トランスポータは磁気ローラを含み、磁性キャリア粒子を含有する粉末コーティング組成物は、例えば、米国特許第4,460,266号(Koppら)に記載されているように、磁気ローラよって運ばれる。磁気ローラは固定磁気コア又は回転磁気コアを有し得る。粉末コーティング組成物には磁性キャリア粒子が用いられることが好ましいが、磁性キャリア粒子の実質的に全てがトランスポータに滞留する。いくつかの磁性キャリア粒子は、基体上に堆積されてもよいが、金属基体上に最終コーティングの一部を形成することは意図されていない。通常、このような磁性キャリア粒子は、遷移性であり、強力な磁石によって除去される。磁気ローラ又はブラシ装置に加えて、本開示のプロセスにおいても有用であるのは又、例えば非磁気カスケード現像プロセスである。加えて、例えば米国特許第2,725,304号(Landriganら)に記載されているように、空気による輸送、例えば、粉末雲現像を使用してもよい。
【0263】
図3Aは、磁性キャリア粒子を用いずに、粉末コーティング組成物13を基体11に送達することができる適用装置10の線図を提供する。
図3Bは、磁性キャリアを用いて粉末コーティング組成物13’を基体11’に送達することができる適用装置10’の線図を提供する。
図3A及び
図3Bは、導電性又は半導電性ドラムの形態のトランスポータ15/15’を使用しているが、ドラムの代わりに他のトランスポータ構造(例えば、ベルトなど)を使用してもよい。例示的なプロセスの間、コロナ帯電器又はローラ帯電器16/16’によって感光ドラム15/15’(すなわち、その上に光導電性コーティングを有するドラム)の表面34/34’に、均一な電圧(正又は負のいずれかであるが、この例では負であると仮定される)が誘起され、これにより、感光ドラム15/15’の表面に均一な負電荷が適用される。走査光源17/17’(例えば、レーザ及びミラーアセンブリ又は発光ダイオード(LED)アレイのいずれか)は、コンピュータ生成画像をドラム15/15’上の対応するパターンに変換する。ドラム15/15’の表面は、例えば位置36/36’において、光源17/17’がドラム15/15’の表面に当たる場所ではどこでも負電荷を失う。同時に、粉末コーティング組成物は、一連のオーガを通る移動及び/又はバイアスされた帯電部材によって摩擦電気的に帯電され、粉末コーティング組成物をホッパ/リザーバ18/18’からドラム15/15’に運ぶ、通常は現像剤ロール19/19’の形態のトランスポータに適用される。ポリマー粉末上の静電荷及びトランスポータ38/38’上の電圧は、負に帯電した粉末(ドラム15/15’に一度密着させた)が、曝露されたドラムの領域に静電的に接着し、正に帯電した粉末が、曝露されなかったドラムの領域に静電的に接着するようなものである。排出された領域への粉末の接着は、排出領域開発(DAD)と呼ばれる。放電されずに高い電荷を保持した領域への粉末の接着は、正現像法(Charged Area Development:CAD)と呼ばれる。
【0264】
場合によっては、
図3Aによって実証されるように、磁性キャリア粒子が必要とされないように粉末コーティング配合物が開発される。これは、典型的には、本明細書の他の箇所で論じられている電荷制御剤及び流動制御剤の慎重な選択によって、並びに帯電部材20を用いた摩擦帯電、誘導、又はコロナ帯電によって行われ、帯電部材は又、粉末コーティングガン、帯電流動床などであってもよい。場合によっては、
図3Bに実証するように、磁性キャリア粒子(一般に、ドラム又は基体に転写されない)を使用して、粉末コーティング粒子を静電的に帯電させ、それらをドラム15’と並置するように移動させる。
【0265】
図3A及び
図3Bに示すように、1つ以上の電気的アース12/12’は、走査光源17/17’がドラム15/15’上に作製したパターンで、ドラム15/15’から基体11/11’に粉末コーティング粒子を転写するために、金属基体11/11’を0ボルト(0V)の電気的アースに保つ。次いで、金属基体11/11’上の粉末コーティング粒子の得られたパターンは、粒子を互いに融合させて連続コーティングを形成させる熱、放射線、又は誘導定着器14/14’を通過する。金属基体11/11’の表面40/40’は、コーティングされていない金属であるか、導電性若しくは半導電性コーティングを有するか、又は非導電性絶縁性コーティングを有することができる。
【0266】
基体11/11’を接地電位(0V)にバイアスすることは、基体11/11’への粉末の転写に悪影響を及ぼし得る基体11/11’上の任意の電荷を排除又は低減することによって、基体への粉末の転写を助ける。各堆積又は転写工程について、少なくとも50V、好ましくは少なくとも200V、より好ましくは少なくとも400V以上の大きさの電位差が必要である。電位差の上限の1つは、およそ3V/ミクロンの空気の絶縁破壊電圧である。粒子電荷は、一般に、10~50マイクロクーロン/グラム(μC/g)の大きさである。
【0267】
負に帯電した粒子及びDADの場合、基体11/11’が接地電位0Vにあると仮定すると、感光体導電層30/30’は、少なくとも-200V、好ましくは少なくとも-400V以上であるべきであり、帯電器16/16’は、位置34/34’でドラム15/15’の表面を好ましくは少なくとも-1200Vの電位に帯電させるべきであり(その結果、ドラム上の曝露領域36/36’は少なくともおよそ-450V以上の負電圧である)、現像剤ローラ19/19’は、少なくとも-1100VDCの大きさ、又はDCVがより負であるべきである。
【0268】
正に帯電した粒子及びCADの場合、基体11/11’が接地電位0Vにあると仮定すると、感光体導電層30/30’は少なくとも200V、好ましくは少なくとも400V以上であるべきであり、帯電器16/16’は位置34/34’でドラム15/15’の表面を好ましくは少なくとも-400Vの電位まで帯電させるべきであり(その結果、ドラム上の曝露領域36/36’は電圧がおよそ350V以上正である)、現像剤ローラ19/19’はDCVが少なくとも250VDC以上であるべきである。非接触現像を行う場合は、現像ローラ直流電圧に交流電圧を加える。
【0269】
バイアス電圧の説明における重要な点は、接地された基体への帯電した粉末コーティング粒子の堆積を可能にするために、感光体導電層が好ましくは非ゼロ電圧にバイアスされる(従来技術により接地に保持されない)ことである。電圧は例として与えられている。範囲は、当技術分野で周知のように、画像形成部材の正確な幾何学的形状、分離距離、及び組成に依存する。感光体導電層をバイアスすることで、単一バイアスの転写ローラを用いることができる。感光体導電層が接地電位にある場合、感光体から転写ベルトに粉末コーティング粒子を転写し、続いて転写ベルトから基体に粉末コーティング粒子を転写するために、反対極性の裏当てローラと共に転写ベルトを使用しなければならず、これも又接地電位が0ボルトであることが好ましい。
【0270】
図3A及び
図3Bのシステムは、トナー供給及び洗浄システムを含む、当技術分野で知られている追加のサブシステムを有する電子写真オフィス用レーザプリンタとして使用される。電子写真オフィス用レーザプリンタの場合、基体は通常紙である。粉末コーティング金属の場合、基体は金属であり、感光体表面を引っ掻いたり、摩耗させたりすることができる。互いに接触する2つの移動する硬質表面を回避することは、良好な設計慣行である。ポリマーローラ19又は磁気ブラシ19’は両方とも、隣接する硬質表面と共に使用することができる。
図3Cは、ポリマーローラ19又は磁気ブラシ19’から基体11への直接堆積を示す。適切なバイアス電圧を19/19’と11との間で適用して、粉末コーティング組成物を基体11に適用する。
図3Dは、米国特許第5,450,789(ハセガワ)と同様のポリマーローラ19又は磁気ブラシ19’からの可動ステンシル42を介した直接堆積を示す。
【0271】
ポリマー転写ローラ又はベルトは又、硬質表面と接触して使用することもできる。
図3Eは、電子写真ドラム50からの、電子写真マスタドラム52からの、又はエレクトログラフィックマスタドラム54からの、ポリマー転写部材60を用いた基体11上への堆積を示す。電子写真ドラム50は、光導電性であり、その表面のどこにでも帯電及び曝露することができる。電子写真マスタドラム52は、常に接地電位又は絶縁された領域のいずれかと、帯電及び曝露が可能な他の領域とを有する。荷電粒子パターンは、DAD又はCADを用いて電子写真用マスタドラム50上に生成される。電子写真マスタドラム54は、高電位の領域と、低電位の他の領域とを有する。この電位パターンを生成する手段は、絶縁性パターンを有する導電性ドラムを用いることと、絶縁性パターンをコロナ帯電させることと、ドラムをバイアス又は接地することと、を含む。電子写真マスタドラム54上に電位のパターンを生成する別の手段は、高電位にバイアスされた導電性領域及び低電位にバイアスされた相補的導電性領域を有するドラムを作製することであり、高電位導電性領域は、低電位導電性領域から電気的に絶縁される。帯電粒子パターンは、DAD又はCADを用いて電子写真マスタドラム54上に生成される。電子写真マスタドラム56は、基体11上に静電的に堆積された荷電粒子でコーティングされたデボス領域を有する半導電性ポリマーで作製されている。画像形成部材50/52/54/56を適合させることができる場合、転写部材60は必要とされず、コーティング粒子を画像形成部材50/52/54/56から基体11に直接適用することができる。粉末コーティング組成物が金属基体の少なくとも一部に硬化コーティングを形成するのに有効な条件は、好ましくは、熱エネルギー(例えば、対流式オーブン又は誘導コイルを用いる)、UV照射、IR照射、又は電子ビーム照射を粉末コーティング組成物に適用することを含む。そのようなプロセスは、1つ以上の個別の又は組み合わせた工程で実行することができる。条件は熱エネルギーを適用することを含んでもよい。熱エネルギーを適用することは、少なくとも100℃又は少なくとも177℃のオーブン温度を用いることを含み得る。熱エネルギーを適用することは、最大300℃又は最大250℃のオーブン温度を用いることを更に含んでもよい。熱エネルギーを適用することは、好適な期間にわたってコーティング金属基体を、少なくとも177℃のピーク金属温度(PMT)まで加熱することを含んでもよい。好ましくは、熱エネルギーを適用することは、好適な期間にわたってコーティング金属基体を、少なくとも218℃のピーク金属温度(PMT)まで加熱することを含む。期間は、コイルコーティングを形成するために、0.5秒もの短さ、又は1秒未満、又は3秒未満、又は5秒未満、又は15分もの長さであってもよく、好ましくは、12分未満、10分未満、8分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、又は1分未満であってもよい。好ましくは、これは連続プロセスで行われる。
【0272】
本開示のコーティング金属基体は、延伸及び再延伸されてもよい。重要なことに、得られた薄化金属基体上のコーティングは、連続的で接着性のままである。
【0273】
複数の適用装置を含む適用システムを用いて、複数の粉末コーティング層及びパターンを基体に送達することができる。例えば、
図3A~
図3Eの適用装置を直列に使用して、連続した荷電粒子パターンで導電性金属基体をコーティングすることができる。又、1つ以上の適用装置を使用して、荷電粒子パターンを転写装置上に順次堆積させ、導電性金属基体に転写するために複数の荷電粒子パターンを蓄積することができる。転写装置は、典型的には、半導電性又は絶縁性のベルトからなる。
【0274】
第1のパターンで基体に適用される粒子の極性を第2のパターンで適用される粒子と同じ極性に変えるために、コロナ帯電器が適用装置又は適用システム間で使用される場合、正に荷電した粒子を用いる帯電粒子パターンと、負に荷電した粒子を用いる別個の帯電粒子パターンとを、同じ導電性金属基体上に堆積させることができる。例えば、正に荷電したベース層を導電性金属基体に適用し、コロナを負に荷電させてコーティング粒子の極性を負に変化させることができ、その結果、電子写真カラートナーの負に帯電した層を続いて適用することができる。
【0275】
図4Aは、一対の適用装置110を含む適用システム100の概略図であり、その各々は、転写装置120(例えば、半導電性又は絶縁性ベルトなど)を用いて粉末コーティング組成物を基体111に送達するように構成されている。図示された実施形態は転写装置120を含むが、1つ以上の代替的な実施形態では、粉末コーティング組成物を同じ基体111に送達するように2つ以上の適用装置110を配置することができる。転写装置120の有無にかかわらず、異なる適用装置110を用いて送達される粉末コーティング組成物は同じであっても異なっていてもよい。
【0276】
適用システム100に関連して
図4Aに示される別の特徴は、各カートリッジ130が適用装置110のうち1つに接続されたカートリッジ130である。カートリッジ130は、本明細書に記載の一定量の粉末コーティング組成物を収容し、カートリッジ130が接続された適用装置110に粉末コーティング組成物を分配するように構成されている。
【0277】
本明細書に記載のカートリッジ式送達システム及び方法で使用されるカートリッジは、例えば
図4Aに別々に示されているが、1つ以上の実施形態では、2つ以上のカートリッジを接続(例えば、連結など)して、マルチリザーバカートリッジを形成してもよく、接続されたカートリッジの異なる密閉容積は、本明細書に記載の同じ又は異なる粉末コーティング組成物を収容する。
【0278】
図4Bは、適用装置110’の後に連続的に使用される適用システム100を示し、コロナ帯電器140は、適用装置110’によって適用された粉末パターンを再帯電させるために適用装置110’の後に使用される。例えば、本明細書のシステムを使用して、正に荷電したベース層を金属基体上に堆積させ、コロナ帯電器を用いてベース層の極性を変更し、かつ少なくとも1つの負に荷電した従来のカラー画像化トナーをベース層上に堆積させることができる。このカラー画像化トナーは、基層の高い耐久性及び高分子量を有する必要はない。
図4Bに示すプロセスの単純な拡張では、基体上の負に帯電した層は、コロナ帯電した正であり、別の正の保護コーティングでコーティングすることができる。
【0279】
図3A~
図3E及び
図4A~
図4Bは、各適用装置を当業者に説明するのに必要な構成要素のみを示す。電源、電気的アース、電圧、帯電器、掃除機、デジタルコンピュータ、及び動作に必要な他の構成要素は、従来技術に従って使用される。
【0280】
本明細書に記載の金属基体をコーティングする特定の実施形態では、本方法は、複数の粉末コーティング組成物のうち少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、基体の少なくとも一部に導きながら、金属基体を電気的に接地することを含む。好ましくは、本方法は、複数の粉末コーティング組成物の各々を金属基体の少なくとも一部に導く前に、複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させることを含み、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電気的に接着させることは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物をトランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させる前に、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む。ある特定の好ましい方法では、加えて、第1の堆積した粉末コーティング組成物は、第1の極性であり、本方法は、第1の堆積した粉末コーティング組成物の第1の極性を第2の極性に変更することと、第2の極性の第2のコーティング組成物を第1の堆積した粉末コーティング組成物に適用することと、を更に含む。
【0281】
カートリッジ式送達システム及び方法
カートリッジは、本明細書に記載の粉末コーティング組成物を輸送、保管、及び分配するシステムの一部である。システムのカートリッジは、本明細書に記載のコーティングを形成するために粉末コーティング組成物が必要とされる場合以外に、本明細書に記載の粉末コーティング組成物の望ましくない分配を制限及び/又は防止するために完全に封入される。カートリッジは、必要に応じて再充填のために粉末コーティング組成物供給業者に戻されるように構成されることが好ましい。その再充填プロセスは、本明細書に記載されるように、空のときに輸送のためのサイズを小さくするためにカートリッジを折り畳むことを含み、必要に応じて再充填の前に洗浄して、送達プロセスを周期的にし、それによってカートリッジに関連する廃棄物を減らしてもよい。そのプロセスは、
図5に概略的に示されており、各カートリッジの使用は、充填位置1302でカートリッジに粉末コーティング組成物を充填することと、その後、充填されたカートリッジを充填位置から分配位置1306に送達及び/又は保管1304することとを含み、カートリッジ内の粉末コーティング組成物は、本明細書に記載のコーティングを提供するために必要に応じて分配される。
【0282】
カートリッジ内の粉末コーティング組成物が空(例えば、完全に又は部分的に、のいずれか(分配位置への送達時にカートリッジ内の粉末コーティング組成物の大部分による))になった後、このプロセスは、「使用済み」カートリッジ1308を、同じ粉末コーティング組成物又は異なる粉末コーティング組成物で再充填するためにカートリッジが受け入れられる充填位置(カートリッジが以前に充填されたのと同じ充填位置又は異なる充填位置のいずれか)に戻すことを含む。
【0283】
図示のプロセスは、充填位置1302で再充填のために受け入れられたカートリッジの内部容積が、それらが充填/再充填される前に洗浄され得る、任意選択の洗浄プロセス1310を含む。カートリッジに以前に収容されていたものと同じ又は異なる粉末コーティング組成物をカートリッジに充填する場合、洗浄を行ってもよい。
【0284】
図5には示されていないが、このプロセスは、粉末コーティング組成物を分配した後にカートリッジを折り畳むことを伴ってもよく、その結果、折り畳まれたカートリッジは、折り畳み内部容積を有し、充填/再充填位置への輸送中に占める全体容積が少なくなる。そのような場合、折り畳まれたカートリッジは、典型的には、粉末コーティング組成物で再充填する前に、折り畳み内部容積から充填された内部容積まで拡張される。カートリッジの適切な洗浄を確実にするために、カートリッジの内部を洗浄する前に任意のそのような拡張を実行することが好ましい場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、折り畳まれたカートリッジは、充填/再充填プロセス中に拡張してもよい。
【0285】
図6~
図7は、本明細書に記載のカートリッジ式送達システムで使用され得るカートリッジの1つの例示的な実施形態を示す。図示のカートリッジ230は、密閉容積234を画定する本体232を含む。密閉容積234には、本明細書に記載の粉末コーティング組成物235が充填されている。1つ以上の実施形態では、カートリッジ230は、密閉容積が本明細書に記載の粉末コーティング組成物の任意の好適な容積を保持することができるようなサイズであってもよい。
【0286】
カートリッジ230は又、カートリッジ230に収容された粉末コーティング組成物の分配中にカートリッジ230の密閉容積234から出る経路を提供するように、構成された分配ポート236を含む。分配ポート236は、好ましくは、粉末コーティング組成物の望ましくない分配を回避するために、充填されたカートリッジ230の輸送及び保管中に封止され、閉じられるなどする。カートリッジ230は又、粉末コーティング組成物235が分配ポート238から分配されるときに、補給空気がカートリッジ230の密閉容積234に入ることを可能にするように構成された入口ポート236を含む。キャップ239は、
図7に示すように、カートリッジ230が粉末コーティング組成物235で充填されているときに、入口ポート238から取り外してもよい。
【0287】
カートリッジ230の図示された例示的な実施形態は、別個の入口ポート238及び分配ポート236を含むが、カートリッジの代替的な実施形態は、入口ポートと分配ポートの両方の機能を実行するように構成された単一のポートを含むことができる。
【0288】
カートリッジ230は又、粉末コーティング組成物の分配中に密閉容積234に入る補給空気が乾燥剤材料を通過してカートリッジ230の密閉容積234に入ることができる水蒸気の量を制御するように、カートリッジ230の内部容積内に曝露した乾燥剤材料を含む。1つ以上の実施形態では、任意のヘッドスペース(すなわち、粉末コーティング組成物によって占められていない密閉容積の一部)を、乾燥空気、1つ以上の不活性ガス(例えば、窒素など)のうち1つ以上で充填され得る。図示した実施形態では、乾燥剤材料は、入口ポート238の上に設けられたキャップ239内に配置されてもよい。任意の好適な乾燥剤材料は、シリカゲル、ボーキサイト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硫酸マグネシウム、モンモリロナイトクレー、活性アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミノシリケートモレキュラーシーブなどを示す、例えばシリカゲル(又は二酸化ケイ素)を使用してもよい。乾燥剤材料は、本明細書に記載のカートリッジ式送達システム及び方法に関連した廃棄物を制限するために、例えば加熱などによって再生及び再利用が可能であることが好ましい場合がある。
【0289】
本明細書に記載のカートリッジの1つ以上の実施形態の別の特徴は、例えば
図6に示すように、カートリッジ230を互いに積み重ねることを可能にするように構成されたカートリッジ230上の積み重ね特徴233である。積み重ね特徴233は様々な異なる形態を取り得る。図示された積み重ね特徴233は、カートリッジ230の底部に配置されているが、積層機構は、カートリッジ230の積み重ねを容易にするために、カートリッジの上部の相補的な構造を代替的に含んでもよい。それらの具体的な形態にかかわらず、積み重ね特徴は、積み重ねられたカートリッジが垂直方向に積み重ねられる場合に、積み重ねられたカートリッジ230の互いに対する横方向(すなわち、水平)の移動を防止するように構成されてもよい。
【0290】
カートリッジ230の図示の実施形態では、入口ポート238及びキャップ239は、カートリッジ230の中心から横方向/水平方向にオフセットされている。そのオフセット位置は、カートリッジ230の底部の対応する隙間と結合される場合、入口ポート238及びキャップ239からの干渉なしにカートリッジ230の積み重ねを容易にすることができる。図示した実施形態では、積み重ねられたカートリッジ230間のクリアランスは又、カートリッジ230内の粉末コーティング組成物235の分配を又容易にするために底面が分配ポート236に向かって傾斜するように、カートリッジの底面を成形することによって容易してもよく、分配ポート236は、図示した実施形態では、カートリッジ230の傾斜した底部床237の最下部に位置する。
【0291】
図7を参照すると、粉末コーティング組成物235をカートリッジ230の密閉容積234に送達するために使用される装置の例示的な一実施形態が示されている。図示した実施形態では、入口ポート238は、粉末コーティング組成物235をカートリッジ230の密閉容積234に送達する間に、粉末コーティング組成物235を受容するように構成されている。
【0292】
粉末コーティング組成物235をカートリッジ230内に送達するために使用される図示の装置は、(キャップ239の取り外し後に)入口ポート238に接続された送達パイプ250の形態である。送達パイプ250は、粉末コーティング組成物235がカートリッジ230の密閉容積234内に送達されるときに、カートリッジ230の密閉容積234から空気を除去するように任意選択的に構成されてもよい。
【0293】
図示した送達パイプ250は、送達ルーメン252及び戻りルーメン254を含む。送達ルーメン252は、粉末コーティング組成物235を密閉容積234内に送達するように構成されており、戻りルーメン254は、密閉容積234から空気を除去するように構成されている。図示した実施形態では、送達ルーメン252及び戻りルーメン254は、送達パイプ250に沿って同軸に配置される。特に、送達ルーメン252は、戻りルーメン254内に位置するか、又はそれによって囲まれている。戻りルーメンは、補給空気を除去するための通気口256を含む。図示されていないが、通気口256には、内部容積234から除去された任意の粉末コーティング組成物235を補給空気で捕捉するように構成された、フィルタアセンブリ又は他の構造/装置が設けられてもよい。
【0294】
図7に示されている本明細書に記載のカートリッジ式送達システムの例示的な実施形態の追加の任意選択の特徴は、充填プロセス中にカートリッジ230を支持するように構成された基部240と、粉末コーティング組成物235による(例えば、粉末コーティング組成物235の沈降を促進することによる)密閉容積234の適切な充填を促進するために、充填プロセス中にカートリッジの本体232の一部又は全部をセトリングモードで振動又は振動させるために使用される揺動機構260と、を含む。図示した実施形態では、揺動機構260は基部240に取り付けられている(例えば、配置されている)が、代替的な実施形態では、1つ以上の揺動機構がカートリッジ230自体に設けられてもよい。加えて、図は横方向の振動運動を示しているが、好ましい揺動機構260は、任意の空間軸に沿って、又は複数の空間軸に沿って、例えば垂直方向の突き又は円運動などの運動を生成し得る。好ましい揺動機構は又、その周波数及び/又は周期的性質が変化してもよい。図示した実施形態の基部240は、例えば、揺動機構260によってカートリッジ230に送達される振動エネルギーに起因する基部上のカートリッジ230の望ましくない移動を制限するために、カートリッジ230を基部240上の選択された位置に保持するように構成された座部242を含む。
【0295】
本明細書に記載のカートリッジ式送達システムで使用することができるカートリッジ330の一代替実施形態を
図8に示す。カートリッジ330は密閉容積334を画定する本体332を含む。カートリッジ330は又、分配ポート336及び入口ポート338を含み、入口ポート338は、図示の実施形態ではキャップ339によって閉じられている。カートリッジ330に関連して図示される他の特徴は、カートリッジ330の底部(カートリッジ330上の積み重ね特徴333を含む)を受け入れるように構成された座部342を含む基部340を含む。揺動機構360も又ベース340に取り付けられている。分配プロセス中、揺動機構360は、ブリッジ及びラットホールが形成して粉末の分配を妨げるのを防ぐために、沈降した粉末コーティング組成物を破壊するために撹拌モードで作動される。図示した実施形態では、揺動機構360は基部340に取り付けられている(例えば、配置されている)が、代替的な実施形態では、特にカートリッジ本体332を折り畳み、拡張、又は揺動させて架橋及び脱輪を防止するために、カートリッジ330自体に1つ以上の揺動機構が設けられてもよい。この場合も、図は横方向の振動運動を示しているが、好ましい揺動機構360は、任意の空間軸に沿って、又は複数の空間軸に沿って、例えば垂直方向の突き又は円運動などの運動を生成し得る。好ましい揺動機構は又、その周波数及び/又は周期的性質が変化してもよく、揺動機構360は、揺動機構260からの動き、性質及び/又は位置が変化してもよい。
【0296】
図8は又、カートリッジ上の分配ポート336に取り付けられた放電管370を示し、放電管370は、カートリッジ330の内部容積334から、例えば、本明細書に記載の適用装置10、10’、110、及び110’などの適用装置に粉末コーティング組成物を分配するために使用される。図示した実施形態は又、カートリッジ330内の粉末コーティング組成物の分配を制御するために使用することができるバルブ380を含む。バルブ380は、粉末コーティング組成物の分配に適合する任意の好適な形態、例えばシャッターバルブ、ブレードバルブ、ボールバルブ、スクリューコンベヤなどをとることができる。バルブ380は、好ましくは、
図8に見られるように、カートリッジ330の側面などのユーザが利用可能な位置から制御され得る。
【0297】
カートリッジ330の傾斜した底部床337は、分配ポート336を通るカートリッジ330からの粉末コーティング組成物の流れを促進するように成形されてもよい。
図8に示されるように、分配ポート336は、カートリッジ330内の粉末コーティング組成物の排出を容易にするために、傾斜した底部床337上の最も下の位置に配置される。
【0298】
図9に示すカートリッジ430は、本明細書に記載のカートリッジ式送達システム及び方法の1つ以上の実施形態で使用されるカートリッジに設けられ得る、更に任意選択的な特徴を含む。
図9~
図10のカートリッジ430に示される任意選択の特徴は、カートリッジ430が、折り畳み構成(
図9に見られる)と、拡張構成(
図10に見られる)との間で変換可能であることである。
【0299】
カートリッジ430の図示する実施形態では、伸縮継手490は、カートリッジ430の底部パネル492と頂部パネル494との間に延在する。伸縮継手490は、底部パネル492と頂部パネル494とを接続して封止するように構成され、その結果、底部パネル492と頂部パネル494とは、(拡張構成に関連する)拡張距離と(折り畳み構成に関連する)折り畳み距離との間で互いに対して移動することができる。底部パネル492及び頂部パネル494は、必要に応じて分配ポート436及び入口ポート438を支持することができる比較的剛性の材料で構成し得る。入口ポート438はキャップ439によって閉じられてもよい。底部パネル492と頂部パネル494とが折り畳み距離だけ互いに分離されている場合、カートリッジ430は折り畳み構成にあり、底部パネル492と頂部パネル494とが拡張距離だけ互いに分離されている場合、カートリッジ430は拡張構成にある。
【0300】
1つ以上の実施形態では、底部パネル492と頂部パネル494とが折り畳み距離の分だけ互いに離間している場合、底部パネル492と頂部パネル494とが折り畳み距離の分だけ互いに離間している場合よりも、底部パネル492が頂部パネル494の近くに配置されるように、底部パネル492と頂部パネル494との間の折り畳み距離は拡張距離よりも小さい。1つ以上の実施形態では、折り畳み距離と拡張距離との比率は、0.5:1以下、0.4:1以下、又は0.3:1以下である。
【0301】
容積に関して、本明細書に記載の折り畳み式カートリッジは、折り畳み構成にある場合、拡張密閉容積の60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、又は20%以下の折り畳み密閉容積を有し得る。絶対容積に関して、本明細書に記載の折り畳み式カートリッジは、折り畳み構成にある場合、0.5立方メートル以下、0.4立方メートル以下、又は0.3立方メートル以下、0.2立方メートル以下、0.1立方メートル以下、0.05立方メートル以下、0.01立方メートル以下、0.005立方メートル以下、0.001立方メートル以下の折り畳み密閉容積(上端)を有し得る。折り畳み式カートリッジは、拡張構成にある場合、0.001立方メートル以上、0.005立方メートル以上、0.01立方メートル以上、0.05立方メートル以上、0.1立方メートル以上、0.2立方メートル以上、0.3立方メートル以上、0.4立方メートル以上、0.5立方メートル以上、0.75立方メートル以上、又は1立方メートル以上の拡張密閉容積(下端)を有してもよい。好ましくは、本明細書に記載のカートリッジは、充填された場合に典型的なフォークリフト車がカートリッジを輸送するのを防ぐほど大きくない。1つ以上の実施形態では、カートリッジ及び/又はカートリッジが配置され得るベースは、フォークリフト車による輸送を容易にするためにフォークリフト車の歯部を受け入れるように構成されてもよい。
【0302】
これらの折り畳み/拡張距離及び折り畳み/拡張密閉容積は、1つ以上の実施形態では、折り畳み構成にある場合にカートリッジの運送及び保管を容易にする折り畳み容積と、分配中に粉末の撹拌を助けるための屈曲性側壁とのバランスがとれた、本明細書に記載のコーティングプロセスにおいて経済的に有用である拡張構成の充分な容積の有益な組み合わせを提供し得るので、運送/補完及び分配の両方において利点を提供し得る。
【0303】
図9に示すカートリッジ430の積み重ねられたセットは全て、カートリッジ430の底部パネル492及び頂部パネル494が、互いに折り畳み距離だけ離れている折り畳み構成にある。
図10に示すカートリッジ430は、カートリッジ430の底部パネル492及び頂部パネル494が、拡張距離だけ互いに分離されるように拡張構成にある。カートリッジ430を折り畳み構成に置くことは、例えば、再充填のために戻される場合、又は使用の間に単に保管される場合にカートリッジ430のサイズを縮小するのに有用である。
【0304】
伸縮継手490の構造は任意の好適な形態を取り得る。1つ以上の実施形態では、伸縮継手490は、屈曲性ポリマーリング及び屈曲性アコーディオン型蛇腹の一方又は両方を含み得る。伸縮継手490は、ゴム、LDPE、ポリウレタン、ネオプレンなどのような1つ以上の屈曲性材料で構成してもよい。伸縮継手490及び/又はカートリッジ430は、カートリッジ430を拡張構成に保持する支柱又は他の構造を含んでもよく、カートリッジ430の支持されていない状態は、折り畳み構成である。1つ以上の実施形態では、カートリッジは、カートリッジ内に粉末コーティング組成物を収容するために使用される折り畳み式バッグ又はブラダーを含み得る。
【0305】
カートリッジ430が拡張構成にあり、ベース440上に設置されている
図10を参照すると、本明細書に記載のカートリッジ式送達システムの別の特徴は、カートリッジ430が再充填される前にカートリッジ430を洗浄するためにカートリッジの密閉容積に導入することができる洗浄装置482を含み得る。必須ではないが、折り畳み式カートリッジの場合、カートリッジがそれらの拡張構成に拡張された後に洗浄が実行され得ることが好ましい。洗浄装置は、洗浄プロセス中に1つ以上の液体でカートリッジ430の内面を洗浄/すすぐように構成されたスプレーヘッドの形態であってもよい。洗浄装置は、図示した実施形態では、入口ポート438を通して導入されるが、カートリッジの代替の実施形態は、分配ポート436を通して、又は任意の他の好適なアクセスポイント(例えば、専用の洗浄ポートなど)を通して洗浄装置を導入することを可能にし得る。カートリッジ430は、分配ポート336に取り付けられた放電管370を含み得る。
【0306】
金属包装及び一般的な作製方法
本開示は又、本明細書に記載のコーティング金属基体を含む金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)などの金属包装容器、その一部、又は金属クロージャ)を提供する。金属基体のコーティングされた表面は、好ましくは、容器(例えば、缶若しくはカップ)又はクロージャの内面を形成する(ただし、外面を形成し得る)。金属基体のコーティングされた表面は、好ましくは、リベット缶端部、プルタブ、及び/又は缶/カップ本体の表面である。金属包装容器(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶)には、食品、飲料又はエアロゾル製品が充填されていてもよい。
【0307】
金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)などの金属包装容器、その一部、又は金属缶若しくはガラスジャーなどの容器用の金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)を作製する一般的な方法が提供される。本方法は、表面の少なくとも一部に配置された硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを有する金属基体(例えば、コイル又はシート)を提供することであって、金属基体が、最大635ミクロンの平均厚さを有し;硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングは、金属包装粉末コーティング組成物から形成され;粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、基体(例えば、スタンピングによる)を、金属包装容器(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装缶)の少なくとも一部若しくはその一部、又は容器用の金属クロージャ(例えば、金属缶又はガラスジャー)に形成することと、を含む。
【0308】
例えば、本明細書に記載の粉末コーティング組成物から形成された硬化コーティングがその上に配置された、2ピース缶若しくは3ピース缶又はその一部、例えばリベット締め飲料缶端部(例えば、ソーダ缶又はビール缶)などは、このような方法を用いて形成することができる。標準的な製造技術、例えばスタンピングを使用してもよい。
【0309】
金属基体のコーティングされた表面は、好ましくは缶又はカップの内面を形成する。金属基体のコーティングされた表面は、好ましくは、リベット缶端部、プルタブ、及び/又は缶/カップ本体の表面である。缶は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填されてもよい。
【0310】
いくつかの実施形態では、金属へのコーティングの適用は、最終包装の生成の様々な段階で行うことができる。サイド・シーム・ストライプの場合、粉末は、オーガ又は他の機構を介して、ブームを介して適用機構に移動することができる。サイド・シーム・ストライプは、典型的には、3ピース缶の側壁、内部又は外部の溶接部を覆うものである。様々な形態のエレクトログラフィ(例えば、電子写真、静電マスタ印刷、静電スクリーン印刷、静電ステンシル印刷など)を利用して、形成された缶の特定の領域に好適なコーティングを堆積させることができる。この手法は、より薄いフィルム及びオーバースプレーの低減を可能にするので、現在の粉末ストライプよりも有利である。
【0311】
パウダー・オン・パウダー・コーティング法、システム、及び結果として得られる生成物
本開示は又、本明細書に開示される粉末コーティング組成物の層を一般に形成するパウダー・オン・パウダーコーティングを伴う、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)の形成に使用するのに好適な金属基体を適用する方法を提供する。これに関連して、パウダー・オン・パウダーコーティングは、粉末コーティング組成物を粉末コーティング組成物に適用することと、粉末コーティング組成物を硬化粉末コーティングに適用することと、を伴う。この方法は、ポリマー粒子及び添加剤を含む様々な粉末コーティング組成物のいずれか、並びに本明細書に記載の一般的なカートリッジ式システム及び方法のいずれかを使用する。コーティングの一般的な説明は又、この方法から生じるコーティングにも当てはまる。
【0312】
本開示の粉末コーティング組成物を含有する層は、得られた硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、様々な比率で、任意の所望の順序で組み合わされてもよい。例えば、第1の非類似粉末コーティング組成物及び第2の非類似粉末コーティング組成物は、99重量%~1重量%の第1の粉末コーティング組成物及び1重量%~99重量%の第2の粉末コーティング組成物、95重量%~5重量%の第1の粉末コーティング組成物及び5重量%~95重量%の第2の粉末コーティング組成物、90重量%~10重量%の第1の粉末コーティング組成物及び10重量%~90重量%の第2の粉末コーティング組成物、又は80重量%~20重量%の第1の粉末コーティング組成物及び20重量%~80重量%の第2の粉末コーティング組成物などを含有する、硬化コーティングを形成するために使用されてもよい。
【0313】
3つ以上(例えば、3つ以上、4つ以上、又は5つ以上)の非類似粉末コーティング組成物を適用して、硬化多層コーティングを作製してもよい。非類似粉末コーティング組成物は、典型的には、少なくとも1つの物理的又は化学的特性に関して異なる。代表的なそのような特性は、ポリマー粒子特性、例えば分子量、密度、ガラス遷移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、固有粘度(IV)、溶融体粘度(MV)、メルトインデックス(MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配置、反応部位の利用可能性、反応性、酸価など、並びにコーティング組成物特性、例えば表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、熱抵抗性、日光又は紫外線エネルギーに対する抵抗性、金属への接着性、色又は他の視覚効果、及びリサイクル性などを含み得る。絶対スケールで測定された特性について、非類似特性(すなわち、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性)は、例えば、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なっていてもよい。
【0314】
したがって、一実施形態では、本開示は、金属包装の形成で使用するのに好適な金属基体をコーティングする方法であって、金属基体を提供することと、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に製造された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結などによる)を含み、かつ複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に(コーティングを形成するための、下地の粉末コーティング組成物を硬化させる前又は硬化させた後のいずれかで)堆積されるように、複数の粉末コーティング組成物(例えば、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータを用いる)の各々を、金属基体の少なくとも一部に導くことと、複数の粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部の上に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、を含む方法を提供する。
【0315】
本方法は、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを伴い得るが、好ましくは、本方法は、異なる粉末コーティング組成物の全ての層を堆積させた後に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを伴う。剛性金属包装産業におけるこのエレクトログラフィック粉末コーティングプロセスの重要な利点は、コーティングが硬化剤又は融着工程を経る前に、パウダー・オン・パウダー形式で複数の層を適用できることである。業界で現在使用されている液体コーティングプロセスでは、後続のコーティング層は、典型的には、第1の層が少なくとも部分的に硬化ベーキングを受けた後にのみ適用することができる。この中間硬化工程は、第1の適用されたコーティング中に依然として存在する溶媒(有機又は水性)を除去し、続いて、適用される層中に存在する溶媒のいかなる衝撃にも耐える硬化フィルムを形成するために必要である。この追加の中間硬化工程は、コーティングプロセスに時間を追加し、コーティング/硬化機器の設置面積の大幅な増加を必要とする。
【0316】
着色トナー粉末の連続層を適用するレーザプリンタの動作(続いて、単一の熱融着工程)と同様に、EPCを使用して、任意の硬化の前に連続層間の密接な接触によって引き起こされる有害な影響を回避しながら、粉末コーティングの複数の層を適用することができる。各個々のコーティング層は、必要に応じて硬化/融着することができるが、好ましくは、全てのコーティング層が適用されると、単一の硬化剤/融着工程を使用して、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成することができる。
【0317】
複数の異なる金属包装粉末コーティング組成物を適用することの特定の利点は、各組成物が化学的に異なっていてもよく、及び/又は物理的に異なっていてもよく、そうでなければ単一の材料で達成するのが困難な特定の機能を提供することである。例えば、硬度及び柔軟性は、コーティングのポリマー骨格に異なる官能性及び構築物を組み込むことによって達成されるので、単一のコーティング組成物で達成するのは非常に困難であり得る。更に、従来の多層包装コーティング手法(例えば、ロールコーティング、噴霧コーティングなどの、従来の液体適用コーティング手法を各層に用いる)と比較して、性能向上及び/又はコスト節約は、その特定の層が所望される場合(例えば、所与の層の「全面コーティング」とは対照的)にのみ、多層粉末コーティングシステムにおいて1つ以上の粉末層を選択的に適用することによって実現することができる。
【0318】
図11は、剛性金属包装産業における多層コーティングを含むアセンブリの代表例の概略図を提示する。
図11の基体511の左側に示すように、この方法を用いて、基体511上のベース粉末層512上の第2の粉末コーティング組成物中に潤滑剤513を適用し、その後にベース粉末層を硬化させてもよく、必要な場合にのみ、それにより、コーティング表面全体にわたって、又は512粉末コーティング組成物の添加剤構成要素として潤滑剤を適用する必要がなくなる。ほとんどの場合、この潤滑剤層は、ベース粉末層の50%以下しか覆わないように、及び/又は典型的には適用される潤滑剤の粒径より厚くないように、パターン化された形式で選択的に適用される。
【0319】
複数の粉末コーティング組成物を含む特定の実施形態では、組成物の各々は、潤滑剤を含まない。
【0320】
図11の基体511の中央部分に示されるように、2つの化学的に異なる粉末コーティング組成物が適用されてもよく、第1の粉末コーティング組成物514が適用されて着色コーティングを形成し、次いで、第2の(異なる)粉末コーティング組成物515が適用されて着色コーティング514の上に最も外側の(すなわち、上部)透明コーティングを形成してもよい。これにより、着色端部/タブコーティングに関する工具摩耗の問題を排除することができる。
【0321】
図11の基体511の右側に示すように、第1の粉末コーティング組成物516を適用して、比較的柔らかいコーティング層を提供することができ、第2の粉末コーティング組成物517を適用(すなわち、堆積)して、比較的硬い最上部(すなわち、最も外側)コーティング層を提供することができる。これに関連して、軟質及び硬質とは、(「硬化した」コーティングとは対照的に)得られた第1のコーティング及び第2のコーティングの相対的な硬度又は柔軟性(Tg)を説明するための用語として使用される。より柔らかいコーティング516は、硬質上部コーティング層517の接着性を高める柔軟性及びプライマ層を提供し、一方で、より硬いコーティング517は、耐摩耗性上部コーティングを提供する。
【0322】
パウダー・オン・パウダー構築物の別の例は、新しい色を生成するためにカラー・オン・カラー印刷で使用することができる複数の異なる色の粉末コーティング組成物の使用を含む。したがって、複数の粉末コーティング組成物は、他の色を形成するために混合することができる色の基本セットを含むことができる。デスクトッププリンタが機能する方法と同様に、マルチカラー+ブラック方式(好ましくは、3色+ブラック方式)を使用して、わずか4つの粉末(又はトナー)供給源、典型的にはマゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックから無限アレイの色を印刷することができる。先行層又は後続層が金属基体の上及び/又は発色層の上に連続的な保護層を提供している発色層の場合、無限の色アレイを達成するための画素手法を使用してもよい。このようにして、個々のピクセル又は点(ヒトの目によって検出されないほど充分に小さい)は、基体上の画素又は点のアレイが人間の目にはそれらの色のブレンドの結果であるように見えるように、基体上に印刷することができる。例えば、シアン画素と黄色画素との1:1ブレンドは、肉眼では緑色に見える。
【0323】
機械的には、この色のアレイは、4つのトランスポータ、レーザアセンブリ、及びトナーカートリッジ(各色1つ)のバンクを一列に配置することによって達成することができ、その結果、各1つは基体上に所定量の粉末を堆積させ、各1つが前の層の上に粉末を堆積させる。
【0324】
加えて、4つの適用ユニットの各々から粉末を収集するために転写ベルトを使用することができ、次いでベルトは、一度に全ての色の収集物を基体上に転写することができた。
【0325】
剛性金属包装産業において有用であり得るパウダー・オン・パウダー構築物の更に別の例は、前処理ベース層の使用を含む。従来の非クロムアルミニウム前処理は、保護コーティングの前に非常に薄い(サブミクロン)層でコーティングされた、モリブデン及び/又はジルコニウム化合物(多くの場合、ポリアクリル酸マトリックス中)からなる。いくつかの用途では、ポリアクリル酸シーラ層は、前処理性能の利点のかなりの割合を提供する。この前処理プロセスはしばしば複雑で面倒である。粉末コーティング組成物を前処理金属化合物シーラの非常に薄い層に、又は潜在的にシーラ単独で使用することが有益であろう。
【0326】
パウダー・オン・パウダー構築物は、テクスチャ表面(例えば、補助されないヒトの感覚によって視覚的に及び/又は触覚によって検出可能)を形成する様式で堆積された、複数の粉末コーティング組成物を含み得る。テクスチャは滑らかな/平坦な金属基体に適用されたコーティングから生じる。あるいは、パウダー・オン・パウダー構築物は、滑らかな/平坦な表面を形成するような様式で堆積された複数の粉末コーティング組成物を含んでもよい。滑らかな/平坦な表面は、コーティングが滑らかな/平坦な金属基体又はテクスチャ加工された基体に適用されることから生じる。テクスチャ加工された表面又は滑らかな表面は、ヒトの目及び/又はヒトの触感に対して検出可能であってもよく、あるいは、テクスチャは、算術平均粗さ(Ra)として測定及び報告することができる。算術平均粗さは、サンプリング長さに沿った絶対値の平均を示し、例えば、Keyence VK-X3000などの3D表面プロファイラで測定することができる。
【0327】
パウダー・オン・パウダー構築物は、パターン化コーティング方法について説明したように、マーキングを形成する硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングをもたらし得る。
【0328】
パウダー・オン・パウダー構築物は、粉末コーティング組成物が異なる量で堆積される結果として、コーティングされた表面にわたって異なる厚さを有する硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングをもたらし得る。例えば、硬化接着性コーティングは、最大100ミクロンの平均総厚、又は最大100ミクロンの最大総厚を有し得る。しかしながら、典型的には、最大及び平均総厚の一方又は両方は、100ミクロンよりもかなり薄い。コーティングは、粉末コーティング組成物の複数の層を有してもよく、それによってコーティング全体にわたって異なる厚さを提供し得る。コーティングの断面の最高ピークは、顕微鏡(例えば、光学顕微鏡法)を用いて測定し得る。
【0329】
本開示の方法では、複数の粉末コーティング組成物が使用され、複数の粉末コーティング組成物の各々を導くことは、電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適な種類の印加電場によって、複数の粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の各々を金属基体の少なくとも一部に導くことを含む。一般的な方法で記載されるように、これは、複数の粉末コーティング組成物の各々を1つ以上のトランスポータ(例えば、1つ以上の現像剤ローラ)に供給することと、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上のトランスポータと金属基体との間の電場又は電磁場によって、1つ以上のトランスポータから金属基体の少なくとも一部に導くこととを伴い得る。このような方法では、トランスポータは、粉末コーティング組成物の各々に同じであっても異なっていてもよい。このような方法では、2つ以上のトランスポータを直列で使用して、1つ以上の粉末コーティング組成物を金属基体の少なくとも一部に適用してもよい。
【0330】
トランスポータの使用を伴う特定の方法では、複数の粉末コーティング組成物の各々を1つ以上のトランスポータから導くことは、以下:1つ以上のトランスポータと1つ以上の転写部材との間の電場によって、1つ以上のトランスポータから1つ以上の転写部材に複数の粉末コーティング組成物の各々を導くことと、1つ以上の転写部材から金属基体の少なくとも一部に複数の粉末コーティング組成物の各々を転写することと、を含む。このような方法では、転写部材は、粉末コーティング組成物の各々に同じであっても異なっていてもよい。例えば、ドラムトランスポータは、転写部材(例えば、ベルト)に電場によって粉末を適用することができ、転写部材は次に、粉末コーティング組成物を金属基体の少なくとも一部に適用する。
【0331】
本開示は又、複数の粉末コーティング組成物が使用される本開示の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する、コーティング金属基体、及びそのようなコーティング金属基体を含む金属包装を提供する。そのような金属包装は、上記の一般的な方法によって作製された本明細書に記載のものと類似している。そのような包装は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填されてもよい。
【0332】
本開示は又、包装コーティングシステムであって、複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を含む、包装コーティングシステムを提供し、各粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、粉末ポリマー粒子は、粉砕粒子とは異なり、好適な規則的粒子形状及び形態を有するように、例えば、噴霧乾燥又は限定凝結によって形成されることが好ましい。そのようなシステムは、好ましくは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に(適用される粉末コーティング組成物を硬化させる前又は硬化させた後に)堆積されるように、複数の粉末コーティング組成物の各々を、金属基体の少なくとも一部に導くことと、複数の粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部の上に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、含む、説明書を更に含む。
【0333】
好ましくは、そのようなシステムでは、金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つは、1つ以上の化学的特性又は物理的特性において異なる。そのような特性は、ポリマー粒子特性(例えば、分子量、密度、ガラス遷移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、固有粘度(IV)、溶融体粘度(MV)、メルトインデックス(MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配置、モノマー組成物、反応部位の利用可能性、反応性、及び酸価など)、並びにコーティング組成物特性(例えば、表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、熱抵抗性、日光又は紫外線エネルギーに対する抵抗性、金属への接着性、色又は他の視覚効果、及びリサイクル性など)を含む。好ましくは、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性は、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なる。
【0334】
そのようなシステムでは、複数の粉末コーティング組成物は、典型的には、複数のカートリッジに収容され、システムは、複数のカートリッジを含み、複数のカートリッジの各カートリッジは、粉末コーティング組成物を収容し、複数のカートリッジのうち少なくとも2つのカートリッジは、異なる粉末コーティング組成物(例えば、異なる色の粉末コーティング組成物)を収容する。好ましくは、そのようなカートリッジは、再充填可能であり、かつ再使用可能である。
【0335】
パターン化コーティング方法、システム、及び結果として得られる生成物
本開示は又、パターン化コーティングを形成することを伴う、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)の形成に使用するのに好適な金属基体をコーティングする方法を提供する。この方法は、ポリマー粒子及び添加剤を含む様々な粉末コーティング組成物のいずれか、並びに本明細書に記載の一般的なカートリッジ式システム及び方法のいずれかを使用する。コーティングの一般的な説明は又、この方法から生じるコーティングにも当てはまる。
【0336】
特に、本方法は、以下:金属基体を提供することと、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結などによって生成されたもの)を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、粉末コーティング組成物を、金属基体の少なくとも一部に選択的に適用して(例えば、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータの助けを借りる)、パターン化コーティングを形成することと、粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部に対して、硬化接着性パターン化コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、を含む。粉末コーティング組成物を選択的に適用又は印刷する方法である。
【0337】
「パターン化された」コーティング(すなわち、複数部分コーティング)は、基体表面上の2つ以上の領域に印刷された硬化コーティングを指し、これは、そこにコーティングを有しない印刷された領域の間及び/又は周囲にブランク領域を有しても有しなくてもよい。
【0338】
Felectromagnetic druAパターン化コーティングは、様々な形状(例えば、ストライプ、ひし形、正方形、円形、楕円形、リング)であり得る、コーティング領域の規則的又は不規則なパターンを含み得る。そのようなコーティング領域は、明確に描写された転移を有する非常に離散的であり得る。あるいは、そのようなコーティング領域は、明確に描写された転移なしにグラデーション効果(例えば、色又は艶消し/光沢に関する)を提供することができる。
【0339】
「パターン」及び「パターン化された」という用語は、設計要素においていかなる繰り返しも必要としないが、そのような繰り返しが存在してもよい。パターン化コーティングの硬化されたコーティング領域は、下にあるコーティングが存在しない場合に曝露した基体をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥がないという点で連続的であることが好ましい。
【0340】
パターン化コーティングは、それが全面コーティングであるか又は別のパターン化コーティングであるかにかかわらず、別の粉末コーティングに適用され得る。パターン化コーティングは、従来の液体適用ベースコートに適用されてもよい。
【0341】
本明細書に記載のパターン化コーティング方法を用いることは、いくつかの利点を有する。これは、従来の方法とは異なる所与のコーティングにおける様式で、選択的及び/又は差動的に行う能力を提供する。例えば、パターン化コーティングは、マーキングの形態で情報を提供することができる。これに関連して、「マーキング」とは、グラフィック、テキスト、証印、数字、文字、コード、通信手段(例えば、いつ及びどこでコーティングされるかについて)、並びに高解像度画像を含む他の視覚的画像(例えば、有名人、動物、キャラクタ、オブジェクト、芸術的表現などの顔)などを含む。マーキングは、層全体内の部分として存在することができ、又は第2の層(すなわち、層の縁部境界は、マーキング又は各個々のマーキングによって実質的に画定される)として適用することができる。マーキングは、例えば顧客によって、既に存在する従来の連続液体適用ベースコートに適用することができる。
【0342】
本明細書に記載のパターン化コーティング方法を用いることにより、消費される粉末コーティング組成物の量を潜在的に節約することができる。廃棄される金属基体の量の減少も又あり得る。例えば、節約は、ペイント缶の製造においてパターン化コーティング構築物を用いて行うことができる。リング形コーティングは、リングが形成される領域においてのみ金属基体(例えば、鋼)に適用することができ、残りの金属基体は、コーティング材料(すなわち、「露出ブリキ板(bare tinplate)」と呼ばれる)を一切含まないままである。コーティングされたリングが形成されると、残りの露出ブリキ板を使用して、ガロン蓋を作製することができる。この動作は、廃棄されたものが使用可能な材料となることを可能にすることによって金属基体の消費を節約する。
【0343】
本明細書に記載のパターン化コーティング方法を用いると、製造機械を洗浄する必要に起因して、ダウンタイムが短縮される可能性がある。例えば、食品又は飲料缶端部、又は同様の包装部品のための製品接触領域にパターン化した(例えば、スポット)コーティングとして粉末コーティング組成物を適用することは、製造機械においてコーティング毛を発生させる下流効果を防止することができる。従来の方法では、ブリキ板鋼上の有機コーティングを剪断すると、切り口から引っ張られるコーティングの細い毛が生成される。このコーティング毛は機械装置内に蓄積し、清浄度の問題及びダウンタイムを引き起こす。食品接触領域にスポットコーティングを適用することは、切り口がコーティング材料を含まないままであることのみを可能にする。これは、コーティング毛の形成を防止し、洗浄に必要なダウンタイムを排除し、大幅なコスト削減につながる。
【0344】
食品及び飲料缶端部の製造は、主に、コーティングがコイル形式で金属基体(及び場合によっては、金属シート)に適用された後に発生するかなりの数の製造工程に起因して、剛性金属包装製造の最も要求の厳しい領域の1つである。これは、プルタブを缶端部に取り付けるための極端な輪郭を有する「リベット」を含む、いわゆる「イージーオープン」食品及び飲料缶端部に特に当てはまる。従来の液体ベースのロールコート適用では、コーティング組成物は、コーティング後製造工程を通過するように高度に加工される必要がある。かなりの量の缶端部は、これらのコーティング後製造工程のうち、あったとしても、ごくわずかしか供されないので、コーティング組成物は、実際にはこれらの領域に対して過剰に加工される。
図12に示すように、エレクトログラフィックパターン化コーティングは、本明細書に記載の缶端部600の選択された領域602上にのみ設けることができるが、しかしながら、かなりの数の製造工程を受ける金属基体のこれらの領域602を、ポリエステル又はエポキシポリマー粒子を含むものなどの、優れた柔軟性及び接着性を有する高度に操作された粉末コーティング組成物でコーティングすることを可能にする。次いで、例えば、アクリル系ポリマー粒子を含むより一般的な性能の粉末コーティング組成物604を、缶端部600の表面全体に適用することができる。
【0345】
ガラスジャー(例えば、持ち運ばれたキャップ又はねじ付きキャップ)用の金属クロージャの製造は又、本明細書に記載されるようなエレクトログラフィックパターン化コーティング方法から利益を得る。このような金属クロージャ700は、典型的には二重コーティングされ、トップコートは、蓋(すなわち、ラグキャップなどの金属クロージャ)をガラスジャーに封止するのに役立つポリ塩化ビニル(PVC)ガスケットに対する良好な接着性を有するように配合される。トップコートは又、ベースコート中へのPVC可塑剤(ガスケットに見られる)の浸出を防止し、腐食を促進しなければならない。本明細書に記載のエレクトログラフィックパターン化コーティング方法を用いて、トップコート用の高性能のガスケット適合性の粉末コーティング組成物は、クロージャ700全体にわたってコーティングされるのに対して、ガスケットの真下の領域でリング形状702に局在化することができる。
図13は、
図13の左側の斜視図に見られるラグキャップ700の一例上のエレクトログラフィックパターン化コーティングの概略図であり、
図13の右上の断面
図A-Aは、
図13の最下図の矢視A-Aに沿ったものである。
【0346】
複数の粉末コーティング組成物は、複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる場合、パウダー・オン・パウダー・コーティング法について記載されるように、パターン化コーティング方法において使用され得る。例えば、方法は、異なる粉末コーティング組成物でパターン化コーティングを形成する前又は後に、金属基体の少なくとも一部に粉末コーティング組成物を導いて、パターン化コーティング又は全面コーティングであり得る連続コーティングを形成することを伴い得る。外部画像/印刷のために、現在、保護層とは別個のパターン化コーティング層(すなわち、パターン層)が使用されている。パターン化コーティング方法は、パターン層及び性能層がコーティング装置を1回通過した後に、1回の硬化工程で達成されることを可能にする。
【0347】
複数の粉末コーティング組成物を使用するパターン化コーティング方法を伴う別の例では、複数の粉末コーティング組成物の各々は、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が任意選択に別の異なる粉末コーティング組成物上に堆積されてコーティングを形成するように、金属基体の少なくとも一部に導かれてもよい。これは、パウダー・オン・パウダーコーティングを含むことができる。あるいは、複数のコーティング組成物は、パウダー・オン・パウダー法とは異なる、重なり合わない領域(例えば、そのような連続コーティングが好ましくは形成される当接領域)に導くことができる。
【0348】
パウダー・オン・パウダー法と同様に、硬化したコーティングを形成するために複数の粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することは、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化コーティングを形成するために、粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを伴う。しかしながら、好ましくは、本方法は、パウダー・オン・パウダーの有無にかかわらず、異なる粉末コーティング組成物の全ての層を堆積させた後に硬化コーティングを形成するために、粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを伴う。
【0349】
パターン化コーティングは、パウダー・オン・パウダー・コーティング法について記載されるように、粉末コーティング組成物が異なる量で堆積される結果として、コーティングされた表面にわたって異なる厚さを有し得る。これは、例えばコーティング性能及び/又は審美的目的のために、基体表面(すなわち、指数化された可変厚さコーティング)にわたって様々なコーティング厚さが必要な場合に、剛性金属包装産業において有利である。好ましくは、そのようなコーティング厚は、適用中に要求に応じて選択的に変えることができる。そのような選択性は、従来のロール適用液体コーティングプロセスを用いて達成することができない。そのような従来のプロセスを用いて選択的可変厚さを達成するためには、適用ロールの高価で恒久的な製粉/エッチングが必要とされる。更に、そのような従来のプロセスは、本開示の方法を用いて達成することができる、高度の分解能を提供することができなかった。
【0350】
図14は、インデックス付き可変厚さ(indexed variable thickness:IVT)コーティングの有用性の一例を実証する。これは、剛性金属包装産業においてコーティングされた金属シートを生成するために使用され得るIVTコーティングを示す。このシートから、缶/カップブランクを穿孔し、続いて従来のドローイング(drawing)及びしごき加工(ironing)プロセスによって形成することができる。典型的には収集されて再利用されるブランク間のマージン806では、コーティングは適用されない。缶/カップブランク用に最終的に穿孔されるマージン806によって分離された円形領域800では、最終的に、缶/カップの上部側壁になる領域800により多くのコーティングを半径方向パターンで適用することができる。図示した円形領域800は、同心円802、803、804、805を形成するインデックス付きコーティング重量を含んでもよく、コーティング重量は、中央部分802から外側に移動するときに増加する。最も厚いコーティング重量は、例えば、缶又はカップの上部側壁で必要とされる場合、最も外側のリング(例えば、リング804及び/又は805)の1つ以上で見られ得る。これは、缶/カップの上部側壁が、典型的には、ドーム又は底部領域などの他の領域よりも腐食の影響を受けやすいので、有用である。
【0351】
パターン化コーティングは又、異なる仕上げを有してもよい。例えば、パターン化コーティングの少なくとも一部は、光沢仕上げを有してもよい。あるいは、パターン化コーティングの少なくとも一部は、艶消し仕上げを有してもよい。パターン化コーティングは、光沢仕上げ領域(すなわち、領域)から艶消し仕上げ領域への1つ以上のグラデーション(例えば、漸進的)転移部、及び/又は光沢仕上げ領域から艶消し仕上げ領域への1つ以上の直接移行部を有してもよい。そのような艶消し/光沢仕上げは、BYK-Gardner AG-4440デジタル光沢計などの光沢計を用いて決定することができる。
【0352】
本開示は又、パターンコーティング金属基体、及びそのようなパターンコーティング金属基体を含む金属包装を提供する。より具体的には、パターンコーティング金属基体は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)を形成する際に使用するのに好適なパターンコーティング金属基体が提供され、金属基体の少なくとも一部は、融合粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された、例えば噴霧乾燥された粉末ポリマー粒子)を含む、硬化接着性パターン化コーティングによりコーティングされた表面を有する。そのような金属包装は、単一粉末コーティング組成物の使用を記載する一般的な方法によって作製された、本明細書に記載のものと類似している。そのような包装は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填されてもよい。
【0353】
本開示は又、パターン化コーティングのための包装コーティングシステムであって、1つ以上の金属包装粉末コーティング組成物であり、各粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する(粉末ポリマー粒子は、粉砕粒子とは異なり、好適な規則的粒子形状及び形態を有するように、例えば、噴霧乾燥又は限定凝結によって形成されることが好ましい)、1つ以上の金属包装粉末コーティング組成物と、説明書であって、1つ以上の粉末コーティング組成物を、金属基体の少なくとも一部に選択的に適用して、パターン化コーティングを形成することと、1つ以上の粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部に対して、硬化接着性パターン化コーティング(連続的であってもなくてもよい)を形成するのに有効な条件を提供することと、を含む、パターン化コーティングのための包装コーティングシステムを提供する。
【0354】
好ましくは、少なくとも2つの異なる金属包装粉末コーティング組成物を含むそのようなシステムでは、そのような組成物は、1つ以上の化学的又は物理的特性が異なる。そのような特性は、ポリマー粒子特性(例えば、分子量、密度、ガラス遷移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、固有粘度(IV)、溶融体粘度(MV)、メルトインデックス(MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配置、モノマー組成物、反応部位の利用可能性、反応性、及び酸価など)、並びにコーティング組成物特性(例えば、表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、熱抵抗性、日光又は紫外線エネルギーに対する抵抗性、金属への接着性、色又は他の視覚効果、及びリサイクル性など)を含む。好ましくは、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性は、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なる。
【0355】
そのようなシステムでは、複数の粉末コーティング組成物は、典型的には、複数のカートリッジに収容され、システムは、複数のカートリッジを含み、複数のカートリッジの各カートリッジは、粉末コーティング組成物を収容し、複数のカートリッジのうち少なくとも2つのカートリッジは、異なる粉末コーティング組成物(例えば、異なる色の粉末コーティング組成物)を収容する。好ましくは、そのようなカートリッジは、再充填可能であり、かつ再使用可能である。
【0356】
金属包装の作製方法-オール・イン・ワン位置
本開示は又、食品及び飲料容器用の剛性金属包装構成要素を生成するために使用される製造プレスとの、インラインでエレクトログラフィック粉末コーティング(EPC)ユニットを配置することを伴う方法を含む。そのような方法では、コーティングされていない金属は、典型的にはコイル又はスプールの形態で製造者に供給され、スプール取り外し後、金属はEPCユニットを通過し、続いて連続フィルムを作製するまで融着される。次いで、このコーティングされた金属を、製造プレス(例えば、イージーオープン端部、プルタブ、缶本体などを製造するためのもの)に直ちに供給して、完成部品を作製することができる。同様のプロセスは又、連続コイルの一部ではない金属シートにも利用することができる。
【0357】
食品及び飲料容器構成要素を作製する現在の方法では、出発金属(例えば、大型コイル又は個々のシートの形態のアルミニウム又は鋼)は、金属製造業者又はトルコータによってプレコーティングされ、次いで、製造のために、例えば缶製造業者又は他の容器製造業者に供給されることが多い。これは、コーティングが予め決定され、コイル全体に適用され、次いで供給されると、製造者によって在庫されなければならないことを意味する。異なるタイプの容器部品は、在庫が非常に複雑になる可能性があるため、異なるコーティングを必要とする。コーティングライン又は仕上げラインは、典型的には大型の独立した設備であり、金属のコーティングに費やされる時間は、圧延機から製造プレスにそれを得るのにかかる時間を遅延させる。これにより、仕上げラインがかなりのライン速度(毎分1,000フィート又は300メートル超)まで加速された。そのような高速度は、コーティング化学の種類、及び金属をコーティングするために使用することができる適用方法を制限する。
【0358】
より具体的には、本開示は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、又は金属包装容器若しくはガラスジャーなどのための金属クロージャなどの、金属包装容器)を、1つの位置で、及び/又は1つの連続製造ライン若しくはプロセスで作製する方法が提供され、本方法は、金属基体を提供することと、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された、例えば噴霧乾燥した粉末ポリマー粒子)を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、粉末コーティング組成物を(好ましくは、導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータを含む適用プロセスを用いて)金属基体の少なくとも一部に導くことと、粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部上に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、少なくとも部分的にコーティングされた金属基体を、金属包装容器(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶又はカップ))の少なくとも一部、それらの一部、又は金属クロージャ(例えば、金属包装容器又はガラスジャーの場合)に形成することと、を含む。
【0359】
この方法は、本明細書では「全位置測位法(all in one location method)」と呼ばれる。これに関連して、「オール・イン・ワン位置」及び「1つの位置及び/又は1つの連続した製造ライン若しくはプロセス」とは、本方法が、1つの建物内で、又はコンベヤシステムを備えた1つの建物上で(任意選択的に、間にコンベヤシステムを備えた隣接する特性上の複数の隣接する建物を伴い)実行されることを意味する。
【0360】
このオール・イン・ワン位置法は、ポリマー粒子及び添加剤を含む様々な粉末コーティング組成物のいずれか、並びに本明細書に記載の一般的なカートリッジ式システム及び方法のいずれかを使用する。コーティングの一般的な説明は又、この方法から生じるコーティングにも当てはまる。
【0361】
例えば、オール・イン・ワン位置法は、本明細書に記載のパターン化コーティングを形成することを伴うことができる。又、オール・イン・ワン位置法は、本明細書に記載のパウダー・オン・パウダー・コーティング法における複数のコーティング組成物の使用を伴うことができる。あるいは、オール・イン・ワン位置法は、パウダー・オン・パウダー適用を必要としない、コーティング方法における複数のコーティング組成物の使用を伴うことができる。
【0362】
この方法にはいくつかの利点がある。コーティング装置が簡単であり、コーティングを硬化させるために必要な熱入力が大幅に低減されることに起因して、EPCは、製造プレスとインラインで完成させることができるように、充分に小さい設置面積を必要とするはずである。この配置では、製造業者は、コーティングされたベース金属の在庫を大幅に減らすことができ、これにより、コーティングされていない金属をストックするだけで済む。このインラインセットアップは、製造者がジャスト・イン・タイム製造シナリオに移行することを可能にする。加えて、金属は、典型的には、毎分50~100フィート、又は15~30メートルでのみプレスに供給される。このように、コーティングプロセスは、剛性金属包装構成要素の生成に効果的にゼロ時間を加えながら、大幅に減速することができる。したがって、例えば、金属基体を提供することは、金属基体(例えば、粉末コーティング組成物が金属基体の少なくとも一部に導かれている、コーティング装置へ)を、毎分50~100フィート、又は15~30メートルの速度で供給することを含む。
【0363】
インラインプロセスは又、品質管理工程を含み得る。例えば、これは、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングの適切な形成を確実にするための、品質検査工程(例えば、目視検査)を含むことができる(少なくとも部分的にコーティング金属基体を、金属包装容器の少なくとも一部、その一部(例えば、イージーオープン端部)、又は金属クロージャに形成する前又は後)。
【0364】
加えて、この方法は、缶製造業者が、基体を変更する必要ない、又は異なるプレコーティングされた基体を在庫にする必要のない、実行間に適用された粉末コーティング組成物を変更させる際のはるかに大きな柔軟性を可能にし、これは、例えば、異なるマーケティングキャンペーン(例えば、タブ、イージーオープン端部、又はパターン化コーティングを介した缶本体の外観を変更することによる)を支援し得る。
【0365】
この方法の図を
図15に示す。缶製造業者の施設でインラインコーティング及び金属基体の製造を調製するために、コーティングされていない金属コイル又はシートを、金属生成によって形成し、缶製造業者の現場に配送する必要がある。このプロセスは、典型的には、コーティングされていない金属基体の送達908の前に、金属インゴット形成902、熱間圧延904、及び冷間圧延906を伴う。缶製造業者の施設でインラインコーティング及び金属基体の製造を調製するために、粉末コーティングは又、コーティング製造業者912によって製造及び配送される必要がある。このプロセスは、缶製造業者の現場への粉末コーティングの配送、すなわちポリマー分散体914の製造、ポリマー粉末粒子916の化学的調製(例えば、噴霧乾燥)、最終粉末コーティング組成物918の配合、粉末コーティング組成物920の包装、及び粉末コーティング組成物922の配送の前に、コーティング製造業者によって完了される本開示に記載の工程を伴う。コーティングされていない金属及び粉末コーティングが缶製造業者の施設に現場に配置されると、金属を洗浄し(910)、コーティングし(924)、製造し(926)、食品又は飲料容器を充填して封止する充填剤930への配送のために包装し(928)、その後、流通倉庫に配送し(940)、最終的に、包装された食品及び飲料を消費者に販売する販売業者に配送することができる。
【0366】
インラインプロセスの一例では、コーティング適用装置924は、スプーラから取り外した後(コイルを巻き戻す図示せず)、製造プレスの前に、インラインである。飲料端部製造のために、典型的には、半径方向に対称な特徴部(皿頭部及び肩部)を形成するシェルプレスと、半径方向に対称でない特徴部(サムウェル、スコア、リベット配置など)を形成するコンバージョンプレスと、の2つのプレスがある。ガスケット材料を缶端部に適用する配合剤がプレス後に来ることになり、その後、缶部品を包装する材料ハンドラが続く。プレスは、穿孔ブランク、平坦な金属への押圧機構、ロータリカーリング、缶壁へのローリングビーズ、円筒形缶の一部の直径を減少させるためのネッキング、タブをリベットに固定するための圧印加工、又はガラス、金属、若しくはプラスチック容器上にクロージャを保持するためのラグ若しくはねじ山の形成など、様々なタイプの缶部品製造を完了してもよい。
【0367】
例示的な実施形態
実施形態A:カートリッジ式送達システム及び送達方法
実施形態A-1は、複数のカートリッジを含むカートリッジ式送達システムであり、複数のカートリッジの各カートリッジは、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物を収容する、密閉容積を画定する本体を含み、任意選択では、0.001立方メートル以上の当該粉末コーティング組成物は、当該密閉容積内で、以下:当該カートリッジからの当該粉末コーティング組成物の分配中に、当該粉末コーティング組成物のための経路を提供するように構成された分配ポートと、当該粉末コーティング組成物が当該分配ポートから分配される際に補給空気が当該密閉容積へ入ることを可能にするように構成された、任意選択の入口ポートと、任意選択で、当該補給空気が当該密閉容積に入るときに当該乾燥剤材料を通過するようになっている、当該密閉容積内に曝露された乾燥剤材料と、に収容され、当該金属包装粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された、例えば噴霧乾燥された粉末ポリマー粒子)を含み、当該粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、好ましくは、当該粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は当該粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性キャリア粒子を有する。
【0368】
実施形態A-2は、当該入口ポートが、密閉容積内への当該粉末コーティング組成物の送達中に当該粉末コーティング組成物を受容するように構成されている、実施形態A-1に記載のシステムである。
【0369】
実施形態A-3は、当該システムが、当該入口ポートを通して当該密閉容積内に当該粉末コーティング組成物を送達し、任意選択的に、当該密閉容積内に当該粉末コーティング組成物を送達しながら当該入口ポートを通して当該密閉容積から空気を除去するように構成された、送達パイプを備える、実施形態A-1又は実施形態A-2に記載のシステムである。
【0370】
実施形態A-4は、当該送達パイプが、送達ルーメン及び戻りルーメン(return lumen)を備え、当該送達ルーメンが、当該粉末コーティング組成物を当該密閉容積内に送達するように構成され、当該戻りルーメンが、当該密閉容積から空気を除去するように構成され、任意選択では、当該送達ルーメン及び当該戻りルーメンが、当該送達パイプに沿って同軸に配置される、実施形態A-3に記載のシステムである。
【0371】
実施形態A-5は、当該複数のカートリッジが、当該複数のカートリッジの各カートリッジが当該複数のカートリッジのうち別のカートリッジの上面において支持されるように構成されるように、積み重ねられるように構成される、実施形態A-1~A-4のいずれか一項に記載のシステムである。
【0372】
実施形態A-6は、当該複数のカートリッジの各カートリッジ上の当該分配ポート及び当該入口ポートが、カートリッジの任意の積み重ねられたセットにおいて水平方向にオフセットされている、実施形態A-5に記載のシステムである。
【0373】
実施形態A-7は、当該複数のカートリッジの各カートリッジが、傾斜した底床を備え、当該分配ポートが、当該傾斜した底床上の最下位置に配置される、実施形態A-1~A-6のいずれか一項に記載のシステムである。
【0374】
実施形態A-8は、当該システムが、当該分配ポートを通る当該粉末コーティング組成物の流れを容易にするために、当該密閉容積内の当該粉末コーティング組成物を振動又は揺動させるように構成された揺動機構を備える、実施形態A-1~A-7のいずれか一項に記載のシステムである。
【0375】
実施形態A-9は、当該揺動機構が、当該複数のカートリッジの各カートリッジを支持するように構成された基部に取り付けられている、実施形態A-8に記載のシステムである。
【0376】
実施形態A-10は、当該複数のカートリッジの各カートリッジが、折り畳み構成と拡張構成との間で変換可能であり、カートリッジが、当該折り畳み構成における折り畳み密閉容積と、当該拡張構成における拡張密閉容積とを備え、当該折り畳み密閉容積が、当該拡張密閉容積よりも小さい、実施形態A-1~A-9のいずれか一項に記載のシステムである。
【0377】
実施形態A-11は、当該複数のカートリッジの各カートリッジの当該本体が、当該カートリッジの底部パネルと頂部パネルとの間に位置する伸縮継手を備え、当該伸縮継手が、当該カートリッジが当該拡張構成にあるときに当該底部パネル及び当該頂部パネルが拡張距離の分だけ互いに分離される場合に当該底部パネルを当該頂部パネルに接続及び封止するように構成され、当該伸縮継手が、当該カートリッジが折り畳み構成にあるときに当該底部パネル及び当該頂部パネルが当該折り畳み距離の分だけ互いに分離される場合に当該底部パネルを当該頂部パネルに接続及び封止するように構成され、当該折り畳み距離が、当該拡張距離未満である、実施形態A-10に記載のシステムである。
【0378】
実施形態A-12は、当該折り畳み距離と当該拡張距離との比率が、0.5:1以下、0.4:1以下、又は0.3:1以下である、実施形態A-11に記載のシステムである。
【0379】
実施形態A-13は、当該本体が、当該拡張密閉容積の60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、又は20%以下である、折り畳み可能な密閉容積を画定する、実施形態A-10~A-12のいずれか一項に記載のシステムである。
【0380】
実施形態A-14は、当該本体が、当該カートリッジが当該折り畳み構成にある場合、0.5立方メートル以下、0.4.立方メートル以下、又は0.3立方メートル以下、0.2立方メートル以下、0.1立方メートル以下、0.05立方メートル以下、0.01立方メートル以下、0.005立方メートル以下、0.001又は立方メートル以下の折り畳み密閉容積を画定する、実施形態A-10~A-13のいずれか一項に記載のシステムである。
【0381】
実施形態A-15は、当該カートリッジが当該拡張構成にある場合、当該本体が、0.001立方メートル以上、0.005立方メートル以上、0.01立方メートル以上、0.05立方メートル以上、0.1立方メートル以上、0.2立方メートル以上、0.3立方メートル以上、0.4立方メートル以上、0.5立方メートル以上、0.75立方メートル以上、又は1立方メートル以上の拡張密閉容積を画定する、実施形態A-10~A-14のいずれか一項に記載のシステムである。
【0382】
実施形態A-16は、当該伸縮継手が、屈曲性ポリマーリング及び屈曲性アコーディオン状蛇腹の一方又は両方を含む、実施形態A-10~A-15のいずれか一項に記載のシステムである。
【0383】
実施形態A-17は、当該伸縮継手が、当該拡張距離の分だけ互いに分離された当該頂部パネル及び当該底部パネルを選択的に保持するように構成される、実施形態A-10~A-16のいずれか一項に記載のシステムである。
【0384】
実施形態A-18は、当該複数のカートリッジの各カートリッジが、当該入口ポートを閉鎖する入口キャップを備え、任意選択的に、当該乾燥剤材料が、当該入口キャップ内に収容される、実施形態A-1~A-17のいずれか一項に記載のシステムである。
【0385】
実施形態A-19は、粉末コーティング組成物を送達及び分配する方法であって、当該方法は、以下:充填位置において、実施形態A-1~A-18のいずれか一項に記載の複数のカートリッジを、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶又はカップ)、その一部、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物で充填することと、当該粉末コーティング組成物で充填された当該複数のカートリッジを分配位置に送達することと、当該複数のカートリッジ内の当該粉末コーティング組成物の大部分を分配した後に、当該充填位置、又は当該分配位置とは異なる充填位置で当該複数のカートリッジを受け取ることと、当該充填位置又は当該異なる充填位置にある複数のカートリッジを、当該充填位置又は異なる金属包装粉末コーティング組成物にある当該複数のカートリッジを充填するために使用される当該粉末コーティング組成物で再充填することと、を含み、当該金属包装粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された、例えば噴霧乾燥された粉末ポリマー粒子)を含み、当該粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、好ましくは、当該粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は当該粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性キャリア粒子を有する。
【0386】
実施形態A-20は、当該方法が、当該複数のカートリッジを受け取った後に、及び当該複数のカートリッジを再充填する前に、当該複数のカートリッジの内部容積を洗浄することを含む、実施形態A-19に記載の方法である。
【0387】
実施形態A-21は、当該方法が、当該充填位置で当該複数のカートリッジを受け取った後に、当該複数のカートリッジの各カートリッジを折り畳み内部容積から拡張内部容積に拡張することを含む、実施形態A-19又はA-20に記載の方法である。
【0388】
実施形態A-22は、当該粉末ポリマー粒子が、噴霧乾燥又は限定凝結によって調製された粉末ポリマー粒子を含む、実施形態A-1~A-21のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0389】
実施形態A-23は、当該粉末ポリマー粒子が、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、実施形態A-1~A-22のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0390】
実施形態A-24は、当該粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する、実施形態A-1~A-23のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0391】
実施形態A-25は、当該粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する、実施形態A-1~A-24のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0392】
実施形態A-26は、当該粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する、実施形態A-1~A-25のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0393】
実施形態A-27は、当該粉末ポリマー粒子が、1ミクロン超、2ミクロン超、3ミクロン超、又は4ミクロン超のD50(好ましくは、D90、D95、又はD99)を有する粒径分布を有する、実施形態A-1~A-26のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0394】
実施形態A-28は、当該粉末コーティング組成物が、全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50(好ましくは、D90、D95、又はD99)を有し、及び任意選択的には、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90も又有する、粒径分布を有する、実施形態A-1~A-27のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0395】
実施形態A-29は、当該粉末コーティング組成物が、当該粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態A-1~A-28のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0396】
実施形態A-30は、当該粉末コーティング組成物が、当該粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態A-1~A-29のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0397】
実施形態A-31は、当該1つ以上の電荷制御剤が存在し、好ましくは、当該粉末コーティング組成物(例えば、当該電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在する、実施形態A-1~A-30のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。いくつかの実施形態では、電荷制御剤は、好ましくは、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で存在する。
【0398】
実施形態A-32は、当該磁性キャリア粒子が存在する、実施形態A-1~A-31のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0399】
実施形態A-33は、当該粉末ポリマー粒子が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生成される、実施形態A-1~A-32のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0400】
実施形態A-34は、粉末ポリマー粒子が、100~140(球形及びジャガイモ形)、好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ形)の形状係数を有する、実施形態A-1~A-33のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0401】
実施形態A-35は、当該粉末コーティング組成物が、全体(すなわち、当該組成物全体)として、100~140(球形及びジャガイモ形)、好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ状)の形状係数を有する、実施形態A-1~A-34のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0402】
実施形態A-36は、当該粉末ポリマー粒子が、1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは35~50)の圧縮性指数を有する、実施形態A-1~A-35のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0403】
実施形態A-37は、当該粉末コーティング組成物が、全体として、1~20(又は1~10、11~15、若しくは16~20)の圧縮性指数を有する、実施形態A-1~A-36のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0404】
実施形態A-38は、当該粉末ポリマー粒子が、1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、1.19~1.25、1.26~1.50、若しくは1.51~2.00)のハウスナー比を有する、実施形態A-1~A-37のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0405】
実施形態A-39は、当該粉末コーティング組成物が、全体として、1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、若しくは1.19~1.25)のハウスナー比を有する、実施形態A-1~A-38のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0406】
実施形態A-40は、当該粉末ポリマー粒子が、熱可塑性ポリマーを含む、実施形態A-1~A-39のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0407】
実施形態A41は、当該粉末ポリマー粒子が、15グラム/10分超、50グラム/10分超、又は100グラム/10分超のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む、実施形態A-1~A-40のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0408】
実施形態A-42は、当該粉末ポリマー粒子が、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む、実施形態A-1~A-41のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0409】
実施形態A-43は、当該粉末コーティング組成物が、全体として、15グラム/10分超、50グラム/10分超、又は100グラム/10分超のメルトフローインデックスを呈する、実施形態A-1~A-42のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0410】
実施形態A-44は、当該粉末コーティング組成物が、全体として、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを呈する、実施形態A-1~A-43のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0411】
実施形態A-45は、当該粉末ポリマー粒子が、熱硬化性ポリマーを含む、実施形態A-1~A-44のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0412】
実施形態A-46は、当該粉末ポリマー粒子が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス遷移温度(Tg)を有するポリマーを含む、実施形態A-1~A-45のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0413】
実施形態A-47は、当該粉末ポリマー粒子が、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有するポリマーを含む、実施形態A-1~A-46のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0414】
実施形態A-48は、当該粉末ポリマー粒子が、少なくとも40℃の融点を有する結晶性ポリマー又は半結晶性ポリマーを含む、実施形態A-1~A-47のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0415】
実施形態A-49は、当該粉末ポリマー粒子が、最大300℃の融点を有する結晶性ポリマー又は半結晶性ポリマーを含む、実施形態A-1~A-48のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0416】
実施形態A-50は、当該粉末ポリマー粒子が、ポリアクリル酸(例えば、溶液重合アクリル系ポリマー、乳化重合アクリルポリマー、若しくはこれらの組み合わせ)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はこれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどのコポリマー若しくはこれらの混合物)から選択されるポリマーを含む、実施形態A-1~A-49のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0417】
実施形態A-51は、当該ポリマーのMnが、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンである、実施形態A-1~A-50のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0418】
実施形態A-52は、当該ポリマーのMnが、最大10,000,000ダルトン、最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、又は最大20,00ダルトンである、実施形態A-1~A-51のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0419】
実施形態A-53は、当該ポリマーが、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散性指数(Mw/Mn)を有する、実施形態A-1~A-52のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0420】
実施形態A-54は、当該1つ以上の電荷制御剤が存在し、好ましくは、当該粉末ポリマー粒子の表面上に配置されている(より好ましくは、当該ポリマー粒子は、電荷制御剤で少なくとも実質的にコーティングされているか、又は更には完全にコーティングされている)、実施形態A-1~A-53のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0421】
実施形態A-55は、当該1つ以上の電荷制御剤が、存在する場合、当該粉末ポリマー粒子が電荷を効率的に受容して基体への適用を容易にすることを可能にする、実施形態A-1~A-54のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0422】
実施形態A-56は、当該1つ以上の電荷制御剤が、存在する場合、基体への適用中に摩擦によって当該粉末ポリマー粒子へ電荷を提供し、それによって、摩擦電気的に帯電した粉末ポリマー粒子を形成する、実施形態A-55に記載のシステム又は方法である。
【0423】
実施形態A-57は、当該1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、実施形態A-1~A-56のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0424】
実施形態A-58は、当該1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、実施形態A-1~A-57のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0425】
実施形態A-59は、当該1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈降ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属性カルボキシレート及びスルホネート粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウムサルフェート又はスルホネート粒子)、ペンダント第四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属元素粒子、ニトロシン又はアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、ジンク、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属性錯体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態A-1~A-58のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0426】
実施形態A-60は、潤滑剤、接着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、艶消し剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、接着促進剤、無機充填剤、及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を更に含む、実施形態A-1~A-59のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0427】
実施形態A-61は、1つ以上の潤滑剤を更に含む、実施形態A-59に記載のシステム又は方法である。
【0428】
実施形態A-62は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で当該粉末コーティング組成物中に存在する、実施形態A-61に記載のシステム又は方法である。
【0429】
実施形態A-63は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で当該粉末コーティング組成物中に存在する、実施形態A-61又はA-62に記載のシステム又は方法である。
【0430】
実施形態A-64は、1つ以上の架橋剤及び/又は触媒を更に含む、実施形態A-40~A-43のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0431】
実施形態A-65は、当該粉末ポリマー粒子が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む、実施形態A-1~A-64のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0432】
実施形態A-66は、当該凝集体が、1ミクロン~25ミクロンの粒径を有する、実施形態A-65に記載のシステム又は方法である。
【0433】
実施形態A-67は、当該一次ポリマー粒子が、0.05ミクロン~8ミクロンの一次粒径を有する、実施形態A-65又はA-66に記載のシステム又は方法である。
【0434】
実施形態A-68は、当該粉末ポリマー粒子が、噴霧乾燥又は限定凝結によって調製された粉末ポリマー粒子を含む、実施形態A-1~A-67のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0435】
実施形態A-69は、当該粉末コーティング組成物が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない、実施形態A-1~A-68のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0436】
実施形態A-70は、当該粉末コーティング組成物が、TMBPFを除く、全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない、実施形態A-1~A-69のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0437】
実施形態A-71は、当該粉末コーティング組成物が、グローバル抽出試験に従って試験したときに、存在する場合、抽出可能な50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満を含むコーティングを形成する、実施形態A-1~A-70のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0438】
実施形態A-72は、当該粉末コーティング組成物が、接着試験に従って、9又は10、好ましくは10の接着性評点で、金属基体などの基体に接着するコーティングを形成する、実施形態A-1~A-71のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0439】
実施形態A-73は、当該粉末コーティング組成物が、曝露した基体をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥のない、連続硬化コーティングを形成する、実施形態A-1~A-72のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。このようなフィルムの不完全さ/破壊は、試験方法に記載のフラットパネル連続性試験を用いてミリアンペア(mA)で測定される電流によって示すことができる。
【0440】
実施形態A-74は、当該粉末コーティング組成物が、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及びおよそ7.5ミリグラム/平方インチの乾燥フィルム厚を達成するために適切な期間にわたり硬化焼成に供され、完全に変換された202標準開口飲料缶端部に形成される場合、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露されながら、5ミリアンペア未満の電流を通過する、実施形態A-1~A-73のいずれか一項に記載のシステム又は方法である。
【0441】
実施形態B:パウダー・オン・パウダー・コーティング法、システム、及び結果として得られる生成物
実施形態B-1は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、又は金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)を形成する際の使用に好適な金属基体をコーティングする方法であり、当該方法は、金属基体を提供することと、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結などによって生成されたものなど)を含み、かつ複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に(1つ以上の異なる下地の粉末コーティング組成物を硬化させる前又は硬化させた後に)堆積されるように、複数の粉末コーティング組成物の各々を、金属基体の少なくとも一部に導くことと、複数の粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部の上に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、を含み、各金属包装粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば、噴霧乾燥又は限定凝結によって生成されたものなど)を含み、当該粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、好ましくは、当該粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は当該粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性キャリア粒子を有する。
【0442】
実施形態B-2は、有効な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、当該粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを含む、実施形態B-1に記載の方法である。
【0443】
実施形態B-3は、有効な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の全ての層が堆積した後に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、当該粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを含む、実施形態B-1に記載の方法である。
【0444】
実施形態B-4は、当該異なる粉末コーティング組成物が、化学的に異なる、実施形態B-1~B-3のいずれか一項に記載の方法である。
【0445】
実施形態B-5は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる色であり、当該方法が、カラー・オン・カラー(color-on-color)印刷をもたらす、実施形態B-4に記載の方法である。
【0446】
実施形態B-6は、最外(すなわち、頂部)コーティングとして堆積された当該粉末コーティング組成物が、クリアコーティングを形成する、実施形態B-5に記載の方法である。
【0447】
実施形態B-7は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる機能を提供する、実施形態B-1~B-6のいずれか一項に記載の方法である。
【0448】
実施形態B-8は、第1の粉末コーティング組成物を堆積させて、比較的柔らかく屈曲性のプライマ層を提供し、第2の粉末コーティング組成物を第1の粉末コーティング組成物上に堆積させて、比較的硬く耐摩耗性のトップコートを提供する、実施形態B-7に記載の方法である。
【0449】
実施形態B-9は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、異なる厚さを有するコーティング層を形成する、実施形態B-1~B-8のいずれか一項に記載の方法である。
【0450】
実施形態B-10は、当該複数の粉末コーティング組成物が、テクスチャ表面を形成する様式で堆積される、実施形態B-1~B-9のいずれか一項に記載の方法である。
【0451】
実施形態B-11は、当該複数の粉末コーティング組成物が、平滑な表面を形成する様式で堆積される、実施形態B-1~B-9のいずれか一項に記載の方法である。
【0452】
実施形態B-12は、当該硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングが、マーキングを形成する、実施形態B-1~B-11のいずれか一項に記載の方法である。
【0453】
実施形態B-13は、当該金属基体が、極低温(cryogenically)で洗浄された金属基体である、実施形態B-1~B-12のいずれか一項に記載の方法である。
【0454】
実施形態B-14は、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導く前に、当該金属基体を極低温洗浄することを更に含む、実施形態B-1~B-13のいずれか一項に記載の方法である。
【0455】
実施形態B-15は、当該金属基体が、最大635ミクロン(又は最大375当該)の平均厚さを有する、実施形態B-1~B-14のいずれか一項に記載の方法である。
【0456】
実施形態B-16は、当該金属基体が、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する、実施形態B-1~B-15のいずれか一項に記載の方法である。
【0457】
実施形態B-17は、当該硬化接着性コーティングが、最大100ミクロンの平均総厚、又は最大100マイクロメートルの最大厚を有する、実施形態B-1~B-16のいずれか一項に記載の方法である。
【0458】
実施形態B-18は、当該硬化接着性コーティングが、最大50ミクロン、好ましくは最大25ミクロン(例えば、最大20ミクロン、最大15ミクロン、最大10ミクロン、又は最大5ミクロン)の平均総厚を有する、実施形態B-17に記載の方法である。
【0459】
実施形態B-19は、当該硬化接着性コーティングが、少なくとも1ミクロン(又は少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロン)の平均総厚又は最小厚を有する、実施形態B-1~B-18のいずれか一項に記載の方法である。
【0460】
実施形態B-20は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも2000ダルトン(又は少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、若しくは少なくとも15,000ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝結によって生成されるものなどの、化学的に生成された粉末ポリマー粒子)を含む、実施形態B-1~B-19のいずれか一項に記載の方法である。
【0461】
実施形態B-21は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大10,000,000ダルトン(又は最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、若しくは最大20,00ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-20のいずれか一項に記載の方法である。
【0462】
実施形態B-22は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、4未満(又は3未満、2未満、若しくは1.5未満)の多分散性指数(Mw/Mn)を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-21のいずれか一項に記載の方法である。
【0463】
実施形態B-23は、当該粉末ポリマー粒子が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量で当該ポリマーを含む、実施形態B-20~B-22のいずれか一項に記載の方法である。
【0464】
実施形態B-24は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD50を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-23のいずれか一項に記載の方法である。
【0465】
実施形態B-25は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD90を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-24のいずれか一項に記載の方法である。
【0466】
実施形態B-26は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の量で当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-25のいずれか一項に記載の方法である。
【0467】
実施形態B-27は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の量で当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-26のいずれか一項に記載の方法である。
【0468】
実施形態B-28は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、当該粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は当該粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性キャリア粒子を含む、実施形態B-1~B-27のいずれか一項に記載の方法である。
【0469】
実施形態B-29は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態B-28に記載の方法である。
【0470】
実施形態B-30は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態B-28又はB-29に記載の方法である。
【0471】
実施形態B-31は、当該1つ以上の電荷制御剤が、当該粉末ポリマー粒子が摩擦電気電荷を効率的に受容して、基体への適用を容易にすることを(例えば、本明細書に記載されるもののうちいずれかなどの導電性トランスポータ又は半導電性トランスポータを介して)可能にする、実施形態B-28~B-30のいずれか一項に記載の方法である。
【0472】
実施形態B-32は、当該1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、実施形態B-28~B-31のいずれか一項に記載の方法である。
【0473】
実施形態B-33は、当該1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈降ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属性カルボキシレート及びスルホネート粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウムサルフェート又はスルホネート粒子)、ペンダント第四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属元素粒子、ニトロシン又はアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、ジンク、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属性錯体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態B-28~B-32のいずれか一項に記載の方法である。
【0474】
実施形態B-34は、当該1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、実施形態B-28~B-33のいずれか一項に記載の方法である。
【0475】
実施形態B-35は、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を導くことが、電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適な種類の印加電場によって、当該複数の粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態B-1~B-34のいずれか一項に記載の方法である。
【0476】
実施形態B-36は、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を導くことが、電場によって当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態B-35に記載の方法である。
【0477】
実施形態B-37は、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導くことが、以下:当該複数の粉末コーティング組成物の各々を1つ以上のトランスポータに供給することと、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を電磁場によって当該1つ以上のトランスポータから当該金属基体の少なくとも一部に導くことと、を含む、実施形態B-1~B-36のいずれか一項に記載の方法である。1つ以上のトランスポータは、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を含み得る。
【0478】
実施形態B-38は、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該1つ以上のトランスポータから導くことが、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を、当該1つ以上のトランスポータと当該金属基体との間の電場によって、当該1つ以上のトランスポータから当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態B-37に記載の方法である。
【0479】
実施形態B-39は、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該1つ以上のトランスポータから導くことが、以下:当該1つ以上のトランスポータと1つ以上の転写部材との間の電場によって、当該1つ以上のトランスポータから1つ以上の転写部材に当該複数の粉末コーティング組成物の各々を導くことと、当該1つ以上の転写部材から当該金属基体の少なくとも一部に当該複数の粉末コーティング組成物の各々を転写することと、を含む、実施形態B-37又はB-38に記載の方法である。
【0480】
実施形態B-40は、当該1つ以上の転写部材が、半導電性又は絶縁性ポリマードラム又はベルトを含む、実施形態B-39に記載の方法である。
【0481】
実施形態B-41は、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該1つ以上の転写部材から当該金属基体の少なくとも一部に転写することが、熱エネルギー、又は電気力、静電気力、若しくは機械力を適用して当該転写を行うことを含む、実施形態B-39又はB-40に記載の方法である。
【0482】
実施形態B-42は、当該1つ以上のトランスポータが、磁気ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含み、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、磁性キャリア粒子を含む、実施形態B-37~B-41のいずれか一項に記載の方法である。
【0483】
実施形態B-43は、当該複数の粉末コーティング組成物が当該金属基体の少なくとも一部の上に硬化コーティングを形成するのに有効な条件を提供することが、熱エネルギー(例えば、対流式オーブン又は誘導コイルを用いる)、UV照射、IR照射、又は電子ビーム照射を、当該複数の粉末コーティング組成物に適用することを含む、実施形態B-1~B-42のいずれか一項に記載の方法である。
【0484】
実施形態B-44は、条件を提供することが、熱エネルギーを適用することを含む、実施形態B-43に記載の方法である。
【0485】
実施形態B-45は、熱エネルギーを適用することが、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む、実施形態B-44に記載の方法である。
【0486】
実施形態B-46は、熱エネルギーを適用することが、最大300℃又は最大250℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む、実施形態B-44又はB-45に記載の方法である。
【0487】
実施形態B-47は、当該金属基体が、鋼、ステンレス鋼、電気亜鉛めっき鋼、錫無し鋼板(TFS)、錫めっき鋼板、電解錫めっき板(ETP)、又はアルミニウムを含む、実施形態B-1~B-46のいずれか一項に記載の方法である。
【0488】
実施形態B-48は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生成された粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-47のいずれか一項に記載の方法である。
【0489】
実施形態B-49は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、100~140(球形及びジャガイモ形)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形))の形状係数を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-48のいずれか一項に記載の方法である。
【0490】
実施形態B-50は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは36~50)の圧縮性指数、及び1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、1.19~1.25、1.26~1.50、若しくは1.51~2.00)のハウスナー比を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-49のいずれか一項に記載の方法である。
【0491】
実施形態B-51は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、熱可塑性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-50のいずれか一項に記載の方法である。
【0492】
実施形態B-52は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックス、及び好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-51のいずれか一項に記載の方法である。
【0493】
実施形態B-53は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス遷移温度(Tg)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-52のいずれか一項に記載の方法である。
【0494】
実施形態B-54は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-53のいずれか一項に記載の方法である。
【0495】
実施形態B-55は、当該硬化コーティングが、検出可能なTgを一切有しない、実施形態B-1~B-54のいずれか一項に記載の方法である。
【0496】
実施形態B-56は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40℃かつ最大300℃の融点を有する結晶性ポリマー又は半結晶性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-55のいずれか一項に記載の方法である。
【0497】
実施形態B-57は、当該複数の粉末コーティング組成物の1つ以上が、ポリアクリル酸(例えば、溶液重合アクリル系ポリマー、乳化重合アクリルポリマー、若しくはこれらの組み合わせ)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はこれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどのコポリマー若しくはこれらの混合物)から選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-56のいずれか一項に記載の方法である。
【0498】
実施形態B-58は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はこれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-57に記載の方法である。
【0499】
実施形態B-59は、当該複数の粉末コーティング組成物の1つ以上が、潤滑剤、接着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、湿潤剤、艶消し剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、接着促進剤、無機充填剤、金属ドライヤ、及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を含む、実施形態B-1~B-58のいずれか一項に記載の方法である。
【0500】
実施形態B-60は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、当該硬化コーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤を更に含む、実施形態B-59に記載の方法である。
【0501】
実施形態B-61は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該硬化コーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で当該硬化コーティングの中又は当該硬化コーティング上に存在する、実施形態B-60に記載の方法である。
【0502】
実施形態B-62は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該硬化コーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で当該硬化コーティングの中又は当該硬化コーティングの上に存在する、実施形態B-60又はB-61に記載の方法である。
【0503】
実施形態B-63は、当該潤滑剤が、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュ・ワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粒子化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、これらの組み合わせ、及びこれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)を含む、実施形態B-60~B-62のいずれか一項に記載の方法である。
【0504】
実施形態B-64は、当該粉末コーティング組成物が潤滑剤を含まないか、又は潤滑剤が、ベース粉末層の50%以下のみを覆うように、及び/又は典型的には適用される当該潤滑剤の当該粒径よりも厚くならないように、パターン化された形式で選択的に適用される、実施形態B-1~B-59のいずれか一項に記載の方法である。
【0505】
実施形態B-65は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-1~B-64のいずれか一項に記載の方法である。
【0506】
実施形態B-66は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それらから誘導される構造単位、又はその両方を実質的に含まない、実施形態B-1~B-65のいずれか一項に記載の方法である。
【0507】
実施形態B-67は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、TMBPFを除く、全てのビスフェノール化合物、それから誘導される構造単位、又はその両方を実質的に含まない、実施形態B-1~B-66のいずれか一項に記載の方法である。
【0508】
実施形態B-68は、当該複数の粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド含有成分(例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)の各々を実質的に含まない、実施形態B-1~B-67のいずれか一項に記載の方法である。
【0509】
実施形態B-69は、当該硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングが、グローバル抽出試験に従って試験したときに、存在する場合、抽出可能な50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満を含む、実施形態B-1~B-68のいずれか一項に記載の方法である。
【0510】
実施形態B-70は、当該硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングが、接着試験に従って、9又は10、好ましくは10の接着性評点で、金属基体などの基体に接着する、実施形態B-1~B-69のいずれか一項に記載の方法である。
【0511】
実施形態B-71は、当該硬化した連続接着性コーティングが、曝露した基体をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥を含まない、実施形態B-1~B-70のいずれか一項に記載の方法である。
【0512】
実施形態B-72は、当該複数の粉末コーティング組成物の1つ以上が、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及びおよそ7.5ミリグラム/平方インチの乾燥フィルム厚を達成するために適切な期間にわたり硬化焼成に供され、完全に変換された202標準開口飲料缶端部に形成される場合、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露されながら、5ミリアンペア未満の電流を通過する、実施形態B-1~B-71のいずれか一項に記載の方法である。
【0513】
実施形態B-73は、当該金属基体が、コイルとして提供され、当該方法が、コイル・コーティング・プロセスである、実施形態B-1~B-72のいずれか一項に記載の方法である。
【0514】
実施形態B-74は、当該金属基体が、シートとして提供され、当該方法が、シート・コーティング・プロセスである、実施形態B-1~B-72のいずれか一項に記載の方法である。
【0515】
実施形態B-75は、当該金属基体が、予備成形された容器(例えば、缶又はカップ)として提供される、実施形態B-1~B-72のいずれか一項に記載の方法である。
【0516】
実施形態B-76は、実施形態B-1~B-75のいずれか一項に記載の方法によって調製されたコーティングで、少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する、コーティング金属基体である。
【0517】
実施形態B-77は、当該基体が、延伸基体及び再延伸基体である、実施形態B-76に記載のコーティング金属基体である。
【0518】
実施形態B-78は、当該金属基体が、タブストックである、実施形態B-76に記載のコーティング金属基体である。
【0519】
実施形態B-79は、当該金属基体が、飲料缶端部を作製するためのアルミニウムコイルである(当該飲料缶端部の内面若しくは外面、又はその両方に適用されている、硬化コーティングを伴う)、実施形態B-76に記載のコーティング金属基体である。
【0520】
実施形態B-80は、実施形態B-1~B-75のいずれか一項に記載の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する金属基体を含む、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)である。
【0521】
実施形態B-81は、当該表面が、容器(例えば、缶又はカップ)本体の内面、外面、又は両方である、実施形態B-80に記載の金属包装である。
【0522】
実施形態B-82は、当該表面が、リベット缶端部及び/又はプルタブの表面である、実施形態B-80又はB-81に記載の金属包装である。
【0523】
実施形態B-83は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填されている、実施形態B-80~B-82のいずれか一項に記載の金属包装である。
【0524】
実施形態B-84は、包装コーティングシステムであって、複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を含む、包装コーティングシステムであり、粉末コーティング組成物の各々は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、当該粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、包装コーティングシステムである。
【0525】
実施形態B-85は、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に堆積されるように、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を金属基体の少なくとも一部に導くことと、当該複数の粉末コーティング組成物が当該金属基体の少なくとも一部の上に硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、を含む説明書を更に含む、実施形態B-84に記載のシステムである。
【0526】
実施形態B-86は、当該金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが、1つ以上の化学的特性又は物理的特性において異なる、実施形態B-84及びB-85に記載のシステムである。
【0527】
実施形態B-87は、当該特性が、ポリマー粒子特性(分子量、密度、ガラス遷移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、固有粘度(IV)、溶融体粘度(MV)、メルトインデックス(MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配置、反応部位の利用可能性、反応性、酸価など)、並びにコーティング組成物特性(表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、熱抵抗性、日光又は紫外線エネルギーに対する抵抗性、金属への接着性、色又は他の視覚効果、及びリサイクル性)を含む、実施形態B-86に記載のシステムである。
【0528】
実施形態B-88は、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性が、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なる、実施形態B-86又はB-87に記載のシステムである。
【0529】
実施形態B-89は、当該システムが、複数のカートリッジを含み、当該複数のカートリッジの各カートリッジが、粉末コーティング組成物を収容し、当該複数のカートリッジのうち少なくとも2つのカートリッジが、異なる粉末コーティング組成物を収容する、実施形態B-84~B-88のいずれか一項に記載のシステムである。
【0530】
実施形態B-90は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる色の粉末コーティング組成物を含む、実施形態B-89に記載のシステムである。
【0531】
実施形態B-91は、当該カートリッジが、再充填可能かつ再使用可能である、実施形態B-89~B-90のいずれか一項に記載のシステムである。
【0532】
実施形態B-92は、当該方法が、当該複数の粉末コーティング組成物のうち少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、当該基体の当該少なくとも一部に導きながら、当該金属基体を電気的に接地することを含む、実施形態B-1~B-75のいずれか一項に記載の方法である。
【0533】
実施形態B-93は、当該方法が、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導く前に、当該複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させることを含み、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電気的に接着させることは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物をトランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させる前に、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、実施形態B-92に記載の方法である。
【0534】
実施形態B-94は、第1の堆積した粉末コーティング組成物が、第1の極性であり、当該方法が、当該第1の堆積した粉末コーティング組成物の当該第1の極性を第2の極性に変更することと、第2の極性の第2のコーティング組成物を当該第1の堆積した粉末コーティング組成物に適用することと、を更に含む、実施形態B-93に記載の方法である。
【0535】
実施形態C:パターン化コーティング方法、システム、及び結果として得られる生成物
実施形態C-1は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)を形成する際の使用に好適な金属基体をコーティングする方法であり、当該方法は、金属基体を提供することと、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に製造された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結などによって生成されたもの)を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、粉末コーティング組成物を、金属基体の少なくとも一部に選択的に適用して、パターン化コーティングを形成することと、粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部に対して、硬化した接着性パターン化コーティング(連続的であってもなくてもよい)を形成するのに有効な条件を提供することと、を含む。
【0536】
実施形態C-2は、当該硬化接着性パターン化コーティングが、マーキングを形成する、実施形態1に記載の方法である。
【0537】
実施形態C-3は、当該硬化接着性パターン化コーティングが、金属基体上のリング形コーティングの形態にある、実施形態1に記載の方法である。
【0538】
実施形態C-4は、当該リング形コーティングが、PVCガスケットと接触するように金属クロージャで局在化されたトップコートである、実施形態3に記載の方法である。
【0539】
実施形態C-5は、当該硬化接着性パターン化コーティングが、食品又は飲料缶端部上のスポットコーティングの形態である、実施形態1に記載の方法である。
【0540】
実施形態C-6は、当該硬化接着性パターン化コーティングが、食品又は飲料缶端部の製品接触領域上のスポットコーティングの形態である、実施形態5に記載の方法である。
【0541】
実施形態C-7は、当該粉末コーティング組成物が、異なる量で意図的かつ選択的に堆積されて、当該コーティング表面にわたって異なる厚さを有するコーティングを形成する、実施形態C-1~C-6のいずれか一項に記載の方法である。
【0542】
実施形態C-8は、当該パターン化コーティングを形成する前又は後に、異なる粉末コーティング組成物を当該金属基体の少なくとも一部に導いて、パターン化コーティング又は全面コーティングであってもよい、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成することを更に含む、実施形態Cに記載の方法である。前述の実施形態Cの特定の実施形態では、本方法は、パターン化コーティングを形成する前に、金属基体に従来の液体コーティングを適用して、全面コーティングを形成することを更に含む。
【0543】
実施形態C-9は、金属包装粉末コーティング組成物を提供することが、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝結などによって生成されたものなどの、化学的に生成された粉末ポリマー粒子)を含み、かつ複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することを含み;当該粉末コーティング組成物を導くことが、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に任意選択的に堆積されてコーティングを形成するように、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部を導くことを含み;条件を提供することが、当該複数の粉末コーティング組成物の各々が硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することを含む、実施形態C-1~C-8のいずれか一項に記載の方法である。
【0544】
実施形態C-10は、条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、当該粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを含む、実施形態C-8又はC-9に記載の方法である。
【0545】
実施形態C-11は、有効な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の全ての層が堆積した後に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、当該粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを含む、実施形態C-8又はC-9に記載の方法である。
【0546】
実施形態C-12は、当該異なる粉末コーティング組成物が化学的に異なる、実施形態C-8~C-11のいずれか一項に記載の方法である。
【0547】
実施形態C-13は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる色であり、当該方法が、カラー・オン・カラー印刷をもたらす、実施形態C-12に記載の方法である。
【0548】
実施形態C-14は、最外(すなわち、頂部)コーティングとして堆積された当該粉末コーティング組成物が、クリアコーティングを形成する、実施形態C-13に記載の方法である。
【0549】
実施形態C-15は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる機能を提供する、実施形態C-8~C-14のいずれか一項に記載の方法である。
【0550】
実施形態C-16は、第1の粉末コーティング組成物を堆積させて、比較的柔らかく屈曲性のプライマ層を提供し、第2の粉末コーティング組成物を第1の粉末コーティング組成物上に堆積させて、比較的硬く耐摩耗性のトップコートを提供する、実施形態C-15に記載の方法である。
【0551】
実施形態C-17は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、異なる厚さを有するコーティング層を形成する、実施形態C-8~C-16のいずれか一項に記載の方法である。
【0552】
実施形態C-18は、当該1つ以上の粉末コーティング組成物が、テクスチャ表面を形成するように、又は平滑な表面を形成する様式で堆積される、実施形態C-1~C-17のいずれか一項に記載の方法である。
【0553】
実施形態C-19は、当該1つ以上の粉末コーティング組成物が、グラデーションパターンを形成する様式で堆積される、実施形態C-1~C-18のいずれか一項に記載の方法である。
【0554】
実施形態C-20は、当該金属基体が、極低温で洗浄された金属基体である、実施形態C-1~C-19のいずれか一項に記載の方法である。
【0555】
実施形態C-21は、当該粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導く前に、当該金属基体を極低温洗浄することを更に含む、実施形態C-1~C-20のいずれか一項に記載の方法である。
【0556】
実施形態C-22は、当該金属基体が、最大635ミクロン(又は最大375当該)の平均厚さを有する、実施形態C-1~C-21のいずれか一項に記載の方法である。
【0557】
実施形態C-23は、当該金属基体が、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する、実施形態C-1~C-22のいずれか一項に記載の方法である。
【0558】
実施形態C-24は、当該硬化接着性パターン化コーティングが、最大100ミクロンの平均総厚さ、又は最大100ミクロンの最大総厚さを有する、実施形態C-1~C-23のいずれか一項に記載の方法である。
【0559】
実施形態C-25は、当該硬化接着性パターン化コーティングが、最大50ミクロン、好ましくは最大25ミクロン(例えば、最大20ミクロン、最大15ミクロン、最大10ミクロン、又は最大5ミクロン)の平均総厚を有する、実施形態C-24に記載の方法である。
【0560】
実施形態C-26は、当該硬化接着性パターン化コーティングが、少なくとも1ミクロン(又は少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロン)の平均総厚又は最小厚を有する、実施形態C-1~C-25のいずれか一項に記載の方法である。
【0561】
実施形態C-27は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも2000ダルトン(又は少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、若しくは少なくとも15,000ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝結によって生成されるものなどの、化学的に生成された粉末ポリマー粒子)を含む、実施形態C-1~C-26のいずれか一項に記載の方法である。
【0562】
実施形態C-28は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大10,000,000ダルトン(又は最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、若しくは最大20,00ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-27のいずれか一項に記載の方法である。
【0563】
実施形態C-29は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、4未満(又は3未満、2未満、若しくは1.5未満)の多分散性指数(Mw/Mn)を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-28のいずれか一項に記載の方法である。
【0564】
実施形態C-30は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量で当該ポリマーを含む、実施形態C-27~C-29のいずれか一項に記載の方法である。
【0565】
実施形態C-31は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD50を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-30のいずれか一項に記載の方法である。
【0566】
実施形態C-32は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD90を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-31のいずれか一項に記載の方法である。
【0567】
実施形態C-33は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の量で当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-32のいずれか一項に記載の方法である。
【0568】
実施形態C-34は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の量で当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-33のいずれか一項に記載の方法である。
【0569】
実施形態C-35は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、当該粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は当該粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性キャリア粒子を含む、実施形態C-1~C-34のいずれか一項に記載の方法である。
【0570】
実施形態C-36は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態C-35に記載の方法である。
【0571】
実施形態C-37は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態C-35又はC-36に記載の方法である。
【0572】
実施形態C-38は、当該1つ以上の電荷制御剤が、当該粉末ポリマー粒子が摩擦電気電荷を効率的に受容して、基体への適用を容易にすることを可能にする、実施形態C-35~C-37のいずれか一項に記載の方法である。
【0573】
実施形態C-39は、当該1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、実施形態C-35~C-38のいずれか一項に記載の方法である。
【0574】
実施形態C-40は、当該1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈降ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属性カルボキシレート及びスルホネート粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウムサルフェート又はスルホネート粒子)、ペンダント第四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属元素粒子、ニトロシン又はアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、ジンク、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属性錯体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態C-35~C-39のいずれか一項に記載の方法である。
【0575】
実施形態C-41は、当該1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、実施形態C-35~C-40のいずれか一項に記載の方法である。
【0576】
実施形態C-42は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を導くことが、電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適な種類の印加電場によって、当該粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の1つ以上を当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態C-1~C-41のいずれか一項に記載の方法である。
【0577】
実施形態C-43は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を導くことが、電場によって当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態C-42に記載の方法である。
【0578】
実施形態C-44は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該金属基体の少なくとも一部に導くことが、以下:当該粉末コーティング組成物の1つ以上を1つ以上のトランスポータに供給することと、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を電磁場によって当該1つ以上のトランスポータから当該金属基体の少なくとも一部に導くことと、を含む、実施形態C-1~C-43のいずれか一項に記載の方法である。1つ以上のトランスポータは、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を含み得る。
【0579】
実施形態C-45は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該1つ以上のトランスポータから導くことが、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を、当該トランスポータと当該金属基体との間の電場によって、当該トランスポータから当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態C-44に記載の方法である。
【0580】
実施形態C-46は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該1つ以上のトランスポータから導くことが、以下:当該トランスポータと転写部材との間の電場によって、当該1つ以上のトランスポータから1つ以上の転写部材に当該粉末コーティング組成物の1つ以上を導くことと、当該1つ以上の転写部材から当該金属基体の少なくとも一部に当該粉末コーティング組成物の1つ以上を転写することと、を含む、実施形態C-44又はC-45に記載の方法である。又は、トランスポータと画像形成部材との間の電場によって1つ以上のトランスポータから1つ以上の画像形成部材に粉末コーティング組成物の1つ以上を導くことと、画像形成部材と転写部材との間の電場によって1つ以上の画像形成部材から1つ以上の転写部材に粉末コーティング組成物を導くことと、1つ以上の転写部材から金属基体の少なくとも一部に粉末コーティング組成物の1つ以上を転写することと、を含む。
【0581】
実施形態C-47は、当該1つ以上の転写部材が、半導電性又は絶縁性ポリマーベルトを含む、実施形態C-46に記載の方法である。
【0582】
実施形態C-48は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該1つ以上の転写部材から当該金属基体の少なくとも一部に転写することが、熱エネルギー、又は電気力、静電気力、若しくは機械力を適用して当該転写を行うことを含む、実施形態C-46又はC-47に記載の方法である。
【0583】
実施形態C-49は、当該1つ以上のトランスポータが、磁気ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含み、当該粉末コーティング組成物のうち当該1つ以上が、磁性キャリア粒子を含む、実施形態C-44~C-48のいずれか一項に記載の方法である。
【0584】
実施形態C-50は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が当該金属基体の少なくとも一部の上に硬化コーティングを形成するのに有効な条件を提供することが、熱エネルギー(例えば、対流式オーブン又は誘導コイルを用いる)、UV照射、IR照射、又は電子ビーム照射を、当該粉末コーティング組成物の1つ以上に適用することを含む、実施形態C-1~C-49のいずれか一項に記載の方法である。
【0585】
実施形態C-51は、条件を提供することが、熱エネルギーを適用することを含む、実施形態C-50に記載の方法である。
【0586】
実施形態C-52は、熱エネルギーを適用することが、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む、実施形態C-51に記載の方法である。
【0587】
実施形態C-53は、熱エネルギーを適用することが、最大300℃又は最大250℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む、実施形態C-51又はC-52に記載の方法である。
【0588】
実施形態C-54は、当該金属基体が、鋼、ステンレス鋼、電気亜鉛めっき鋼、錫無し鋼板(TFS)、錫めっき鋼板、電解錫めっき板(ETP)、又はアルミニウムを含む、実施形態C-1~C-53のいずれか一項に記載の方法である。
【0589】
実施形態C-55は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生成された粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-54のいずれか一項に記載の方法である。
【0590】
実施形態C-56は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、100~140(球形及びジャガイモ形)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形))の形状係数を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-55のいずれか一項に記載の方法である。
【0591】
実施形態C-57は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは36~50)の圧縮性指数、及び1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、1.19~1.25、1.26~1.50、若しくは1.51~2.00)のハウスナー比を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-56のいずれか一項に記載の方法である。
【0592】
実施形態C-58は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、熱可塑性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-57のいずれか一項に記載の方法である。
【0593】
実施形態C-59は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックス、及び好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-58のいずれか一項に記載の方法である。
【0594】
実施形態C-60は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス遷移温度(Tg)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-59のいずれか一項に記載の方法である。
【0595】
実施形態C-61は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-60のいずれか一項に記載の方法である。
【0596】
実施形態C-62は、当該硬化コーティングが、検出可能なTgを一切有しない、実施形態C-1~C-61のいずれか一項に記載の方法である。
【0597】
実施形態C-63は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40℃かつ最大300℃の融点を有する結晶性ポリマー又は半結晶性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-62のいずれか一項に記載の方法である。
【0598】
実施形態C-64は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が、ポリアクリル酸(例えば、溶液重合アクリル系ポリマー、乳化重合アクリルポリマー、若しくはこれらの組み合わせ)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はこれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどのコポリマー若しくはこれらの混合物)から選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-63のいずれか一項に記載の方法である。
【0599】
実施形態C-65は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はこれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-64に記載の方法である。
【0600】
実施形態C-66は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が、潤滑剤、接着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、湿潤剤、艶消し剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、接着促進剤、無機充填剤、金属ドライヤ、及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を含む、実施形態C-1~C-65のいずれか一項に記載の方法である。
【0601】
実施形態C-67は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、当該硬化コーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤を含む、実施形態C-66に記載の方法である。
【0602】
実施形態C-68は、当該パターン化コーティング上に粉末潤滑剤を堆積させることを更に含む、実施形態C-1~C-67のいずれか一項に記載の方法である。
【0603】
実施形態C-69は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該硬化コーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で当該硬化コーティングの中又は当該硬化コーティング上に存在する、実施形態C-67又はC6-68に記載の方法である。
【0604】
実施形態C-70は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該硬化コーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で当該硬化コーティングの中又は当該硬化コーティングの上に存在する、実施形態C-67~C-69のいずれか一項に記載の方法である。
【0605】
実施形態C-71は、当該潤滑剤が、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュ・ワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粒子化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、これらの組み合わせ、及びこれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)を含む、実施形態C-67~C-70のいずれか一項に記載の方法である。
【0606】
実施形態C-72は、当該粉末ポリマー組成物のうち1つ以上が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-1~C-71のいずれか一項に記載の方法である。
【0607】
実施形態C-73は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない、実施形態C-1~C-72のいずれか一項に記載の方法である。
【0608】
実施形態C-74は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、TMBPFを除く、全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない、実施形態C-1~C-73のいずれか一項に記載の方法である。
【0609】
実施形態C-75は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド含有成分(例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)の各々を実質的に含まない、実施形態C-1~C-74のいずれか一項に記載の方法である。
【0610】
実施形態C-76は、当該硬化コーティングが、グローバル抽出試験に従って試験したときに、存在する場合、抽出可能な50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満を含む、実施形態C-1~C-76のいずれか一項に記載の方法である。
【0611】
実施形態C-77は、当該硬化コーティングが、接着試験に従って、9又は10、好ましくは10の接着性評点で、金属基体などの基体に接着する、実施形態C-1~C-76のいずれか一項に記載の方法である。
【0612】
実施形態C-78は、当該硬化コーティングが、曝露した基体をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥を含まない、実施形態C-1~C-77のいずれか一項に記載の方法である。
【0613】
実施形態C-79は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及びおよそ7.5ミリグラム/平方インチの乾燥フィルム厚を達成するために適切な期間にわたり硬化焼成に供され、完全に変換された202標準開口飲料缶端部に形成される場合、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露されながら、5ミリアンペア未満の電流を通過する、実施形態C-1~C-78のいずれか一項に記載の方法である。
【0614】
実施形態C-80は、当該金属基体が、コイルとして提供され、当該方法が、コイル・コーティング・プロセスである、実施形態C-1~C-79のいずれか一項に記載の方法である。
【0615】
実施形態C-81は、当該金属基体が、シートとして提供され、当該方法が、シート・コーティング・プロセスである、実施形態C-1~C-80のいずれか一項に記載の方法である。
【0616】
実施形態C-82は、当該金属基体が、予備成形された容器(例えば、缶又はカップ)として提供される、実施形態C-1~C-81のいずれか一項に記載の方法である。
【0617】
実施形態C-83は、実施形態C-1~C-82のいずれか一項に記載の方法によって調製されたコーティングで、少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する、パターンコーティング金属基体である。
【0618】
実施形態C-84は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブ)を形成する際に使用するのに好適なパターンコーティング金属基体であり、当該金属基体の少なくとも一部は、溶融粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝結によって生成されるものなどの、化学的に生成された粉末ポリマー粒子)を含む、硬化接着性パターン化コーティングによりコーティングされた表面を有する。
【0619】
実施形態C-85は、当該基体が、延伸基体及び再延伸基体である、実施形態C-84に記載のパターンコーティング金属基体である。
【0620】
実施形態C-86は、当該金属基体が、タブストックである、実施形態C-84に記載のパターンコーティング金属基体である。
【0621】
実施形態C-87は、当該金属基体が、飲料缶端部を作製するためのアルミニウムコイルである、実施形態C-84に記載のパターンコーティング金属基体である。
【0622】
実施形態C-88は、当該パターン化コーティングの少なくとも一部が、光沢仕上げを有する、実施形態C-83~C-87のいずれか一項に記載のパターンコーティング金属基体である。
【0623】
実施形態C-89は、当該パターン化コーティングの少なくとも一部が、艶消し仕上げを有する、実施形態C-83~C-88のいずれか一項に記載のパターンコーティング金属基体である。
【0624】
実施形態C-90は、実施形態C-1~C-82のいずれか一項に記載の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する金属基体を含む、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はイージーオープン端部のためのプルタブなどの、金属包装容器)である。
【0625】
実施形態C-91は、実施形態C-83~C-90のいずれか一項に記載のパターンコーティング金属基体を含む、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、金属クロージャ、又はプルタブなどの、金属包装容器)である。
【0626】
実施形態C-92は、当該表面が、容器(例えば、缶又はカップ)本体の内面、外面、又は両方である、実施形態C-90又はC-91に記載の金属包装である。
【0627】
実施形態C-93は、当該表面が、リベット缶端部及び/又はプルタブの表面である、実施形態C-90~C-92のいずれか一項に記載の金属包装である。
【0628】
実施形態C-94は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填されている、実施形態C-90~C-93のいずれか一項に記載の金属包装である。
【0629】
実施形態C-95は、1つ以上の金属包装粉末コーティング組成物であり、各粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、当該粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する(当該粉末ポリマー粒子は、粉砕粒子とは異なり、好適な規則的粒子形状及び形態を有するように、例えば、噴霧乾燥又は限定凝結によって形成されることが好ましい)、1つ以上の金属包装粉末コーティング組成物と、説明書であって、当該1つ以上の粉末コーティング組成物を、当該金属基体の少なくとも一部に導いて、パターン化コーティングを形成することと、当該1つ以上の粉末コーティング組成物が、当該金属基体の少なくとも一部に対して、硬化接着性パターン化コーティング(連続的であってもなくてもよい)を形成するのに有効な条件を提供することと、を含む、パターン化コーティングのためのパッケージングコーティングシステムである。
【0630】
実施形態C-96は、1つ以上の化学的又は物理的特性が異なる少なくとも2つの異なる金属包装粉末コーティング組成物を含む、実施形態C-95に記載のシステムである。
【0631】
実施形態C-97は、当該特性が、ポリマー粒子特性(分子量、密度、ガラス遷移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、固有粘度(IV)、溶融体粘度(MV)、メルトインデックス(MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配置、反応部位の利用可能性、反応性、酸価など)、並びにコーティング組成物特性(表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、熱抵抗性、日光又は紫外線エネルギーに対する抵抗性、金属への接着性、色又は他の視覚効果、及びリサイクル性)を含む、実施形態C-96に記載のシステムである。
【0632】
実施形態C-98は、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性が、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なる、実施形態C-96又はC-97に記載のシステムである。
【0633】
実施形態C-99は、当該システムが、複数のカートリッジを含み、当該複数のカートリッジの各カートリッジが、粉末コーティング組成物を収容し、当該複数のカートリッジのうち少なくとも2つのカートリッジが、異なる粉末コーティング組成物を収容する、実施形態A-95~A-98のいずれか一項に記載のシステムである。
【0634】
実施形態C-100は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる色の粉末コーティング組成物を含む、実施形態C-99に記載のシステムである。
【0635】
実施形態C-101は、当該カートリッジが、再充填可能かつ再使用可能である、実施形態C-99~C-100に記載のシステムである。
【0636】
実施形態C-102は、当該方法が、当該複数の粉末コーティング組成物のうち少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、当該基体の当該少なくとも一部に導きながら、当該金属基体を電気的に接地することを含む、実施形態C-1~C-82のいずれか一項に記載の方法である。
【0637】
実施形態C-103は、当該方法が、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導く前に、当該複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させることを含み、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電気的に接着させることは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物をトランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させる前に、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、実施形態C-102に記載の方法である。
【0638】
実施形態C-104は、第1の堆積した粉末コーティング組成物が、第1の極性であり、当該方法が、当該第1の堆積した粉末コーティング組成物の当該第1の極性を第2の極性に変更することと、第2の極性の第2のコーティング組成物を当該第1の堆積した粉末コーティング組成物に適用することと、を更に含む、実施形態C-103に記載の方法である。
【0639】
実施形態D:1つの位置で全て及び/又は1つの連続製造ライン又はプロセスにおける、金属包装を作製する方法
実施形態D-1は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般的な包装容器(例えば、缶若しくはカップ)、その一部、又は金属包装容器若しくはガラスジャーなどのための金属クロージャなどの、金属包装容器)を、1つの位置で、及び/又は1つの連続製造ライン若しくはプロセスで作製する方法であって、当該方法が、金属基体を提供することと、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に製造された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝結などによって生成されたもの)を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、当該粉末コーティング組成物を当該金属基体の少なくとも一部に導くことと、粉末コーティング組成物が、金属基体の少なくとも一部上に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、少なくとも部分的にコーティングされた金属基体を、金属包装容器(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶又はカップ))の少なくとも一部、それらの一部、又は金属クロージャ(例えば、金属包装容器又はガラスジャーの場合)に形成することと、を含む、方法である。
【0640】
実施形態D-2は、当該粉末コーティング組成物を当該金属基体の少なくとも一部に導くことが、パターン化コーティング(実施形態Cに記載)を形成することを含む、実施形態D-1に記載の方法である。
【0641】
実施形態D-3は、金属包装粉末コーティング組成物を提供することが、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝結などによって生成されたものなどの、化学的に生成された粉末ポリマー粒子)を含み、かつ複数の金属包装粉末コーティング組成物のうち少なくとも2つが異なる、複数の金属包装粉末コーティング組成物を提供することを含み;当該粉末コーティング組成物を導くことが、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に任意選択で堆積されてコーティングを形成するように(実施形態Bに記載されるとおり)、複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含み;条件を提供することが、当該複数の粉末コーティング組成物の各々が硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することを含む、実施形態D-1又は実施形態D-2に記載の方法である。
【0642】
実施形態D-4は、条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、当該粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを含む、実施形態D-3に記載の方法である。
【0643】
実施形態D-5は、有効な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の全ての層が堆積した後に、硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングを形成するために、当該粉末コーティング組成物の各々に有効な条件を提供することを含む、実施形態D-3に記載の方法である。
【0644】
実施形態D-6は、当該異なる粉末コーティング組成物が化学的に異なる、実施形態D-3~D-5のいずれか一項に記載の方法である。
【0645】
実施形態D-7は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる色であり、当該方法が、カラー・オン・カラー印刷をもたらす、実施形態D-6に記載の方法である。
【0646】
実施形態D-8は、最外(すなわち、頂部)コーティングとして堆積された当該粉末コーティング組成物が、クリアコーティングを形成する、実施形態D-7に記載の方法である。
【0647】
実施形態D-9は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる機能を提供する、実施形態D-3~D-8のいずれか一項に記載の方法である。
【0648】
実施形態D-10は、第1の粉末コーティング組成物を堆積させて、比較的柔らかく屈曲性のプライマ層を提供し、第2の粉末コーティング組成物を第1の粉末コーティング組成物上に堆積させて、比較的硬く耐摩耗性のトップコートを提供する、実施形態D-9に記載の方法である。
【0649】
実施形態D-11は、当該異なる粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、異なる厚さを有するコーティング層を形成する、実施形態D-3~D-10のいずれか一項に記載の方法である。
【0650】
実施形態D-12は、当該パターン化コーティングが、テクスチャ表面を形成する、実施形態D-1~D-11のいずれか一項に記載の方法である。
【0651】
実施形態D-13は、当該複数の粉末コーティング組成物が、平滑な表面を形成する様式で堆積される、実施形態D-1~D-11のいずれか一項に記載の方法である。
【0652】
実施形態D-14は、当該パターン化コーティングが、マーキングを形成する、実施形態D-1~D-13のいずれか一項に記載の方法である。
【0653】
実施形態D-15は、当該金属基体が、極低温で洗浄された金属基体である、実施形態D-1~D-14のいずれか一項に記載の方法である。
【0654】
実施形態D-16は、当該粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導く前に、当該金属基体を極低温洗浄することを更に含む、実施形態D-1~D-15のいずれか一項に記載の方法である。
【0655】
実施形態D-17は、当該金属基体が、最大635ミクロン(又は最大375当該)の平均厚さを有する、実施形態D-1~D-16のいずれか一項に記載の方法である。
【0656】
実施形態D-18は、当該金属基体が、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する、実施形態D-1~D-17のいずれか一項に記載の方法である。
【0657】
実施形態D-19は、当該硬化接着性コーティングが、最大100ミクロンの平均総厚、又は最大100マイクロメートルの最大厚を有する、実施形態D-1~D-18のいずれか一項に記載の方法である。
【0658】
実施形態D-20は、当該硬化接着性コーティングが、最大50ミクロン、好ましくは最大25ミクロン(例えば、最大20ミクロン、最大15ミクロン、最大10ミクロン、又は最大5ミクロン)の平均総厚を有する、実施形態D-19に記載の方法である。
【0659】
実施形態D-21は、当該硬化接着性コーティングが、少なくとも1ミクロン(又は少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロン)の平均総厚又は最小厚を有する、実施形態D-1~D-20のいずれか一項に記載の方法である。
【0660】
実施形態D-22は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも2000ダルトン(又は少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、若しくは少なくとも15,000ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝結によって生成されるものなどの、化学的に生成された粉末ポリマー粒子)を含む、実施形態D-1~D-21のいずれか一項に記載の方法である。
【0661】
実施形態D-23は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大10,000,000ダルトン(又は最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、若しくは最大20,00ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-22のいずれか一項に記載の方法である。
【0662】
実施形態D-24は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、4未満(又は3未満、2未満、若しくは1.5未満)の多分散性指数(Mw/Mn)を有するポリマーを含む、粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-23のいずれか一項に記載の方法である。
【0663】
実施形態D-25は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量で当該ポリマーを含む、実施形態D-1~D-24のいずれか一項に記載の方法である。
【0664】
実施形態D-26は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD50を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-25のいずれか一項に記載の方法である。
【0665】
実施形態D-27は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD90を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-26のいずれか一項に記載の方法である。
【0666】
実施形態D-28は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の量で当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-27のいずれか一項に記載の方法である。
【0667】
実施形態D-29は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の量で当該粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-28のいずれか一項に記載の方法である。
【0668】
実施形態D-30は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、当該粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は当該粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性キャリア粒子を含む、実施形態D-1~D-29のいずれか一項に記載の方法である。
【0669】
実施形態D-31は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態D-30に記載の方法である。
【0670】
実施形態D-32は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態D-30又はD-31に記載の方法である。
【0671】
実施形態D-33は、当該1つ以上の電荷制御剤が、当該粉末ポリマー粒子が摩擦電気電荷を効率的に受容して、基体への適用を容易にすることを可能にする、実施形態D-30~D-32のいずれか一項に記載の方法である。
【0672】
実施形態D-34は、当該1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、実施形態D-30~D-33のいずれか一項に記載の方法である。
【0673】
実施形態D-35は、当該1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈降ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属性カルボキシレート及びスルホネート粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウムサルフェート又はスルホネート粒子)、ペンダント第四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属元素粒子、ニトロシン又はアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、ジンク、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属性錯体、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態D-30~D-34のいずれか一項に記載の方法である。
【0674】
実施形態D-36は、当該1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、実施形態D-30~D-35のいずれか一項に記載の方法である。
【0675】
実施形態D-37は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を導くことが、電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適な種類の印加電場によって、当該粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の1つ以上を当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態D-1~D-36のいずれか一項に記載の方法である。
【0676】
実施形態D-38は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を導くことが、電場によって当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態D-37に記載の方法である。
【0677】
実施形態D-39は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該金属基体の少なくとも一部に導くことが、以下:当該粉末コーティング組成物の1つ以上を1つ以上のトランスポータに供給することと、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を電磁場によって当該1つ以上のトランスポータから当該金属基体の少なくとも一部に導くことと、を含む、実施形態D-1~D-38のいずれか一項に記載の方法である。
【0678】
実施形態D-40は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該1つ以上のトランスポータから導くことが、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を、当該トランスポータと当該金属基体との間の電場によって、当該トランスポータから当該金属基体の少なくとも一部に導くことを含む、実施形態D-39に記載の方法である。
【0679】
実施形態D-41は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該1つ以上のトランスポータから導くことが、以下:当該トランスポータと転写部材との間の電場によって、当該1つ以上のトランスポータから1つ以上の転写部材に当該粉末コーティング組成物の1つ以上を導くことと、当該1つ以上の転写部材から当該金属基体の少なくとも一部に当該粉末コーティング組成物の1つ以上を転写することと、を含む、実施形態D-39又はD-40に記載の方法である。
【0680】
実施形態D-42は、当該1つ以上の転写部材が、導電性金属ドラムを含む、実施形態D-41に記載の方法である。
【0681】
実施形態D-43は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上を当該1つ以上の転写部材から当該金属基体の少なくとも一部に転写することが、熱エネルギー、又は電気力、静電気力、若しくは機械力を適用して当該転写を行うことを含む、実施形態D-41又はD-42に記載の方法である。
【0682】
実施形態D-44は、当該1つ以上のトランスポータが、磁気ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含み、当該粉末コーティング組成物のうち当該1つ以上が、磁性キャリア粒子を含む、実施形態D-40~D-44のいずれか一項に記載の方法である。
【0683】
実施形態D-45は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が当該金属基体の少なくとも一部の上に硬化接着性コーティングを形成するのに有効な条件を提供することが、熱エネルギー(例えば、対流式オーブン又は誘導コイルを用いる)、UV照射、IR照射、又は電子ビーム照射を、当該粉末コーティング組成物の1つ以上に適用することを含む、実施形態D-1~D-44のいずれか一項に記載の方法である。
【0684】
実施形態D-46は、条件を提供することが、熱エネルギーを適用することを含む、実施形態D-45に記載の方法である。
【0685】
実施形態D-47は、熱エネルギーを適用することが、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む、実施形態D-46に記載の方法である。
【0686】
実施形態D-48は、熱エネルギーを適用することが、最大300℃又は最大250℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む、実施形態D-46又はD-47に記載の方法である。
【0687】
実施形態D-49は、当該金属基体が、鋼、ステンレス鋼、電気亜鉛めっき鋼、錫無し鋼板(TFS)、錫めっき鋼板、電解錫めっき板(ETP)、又はアルミニウムを含む、実施形態D-1~D-48のいずれか一項に記載の方法である。
【0688】
実施形態D-50は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生成された粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-49のいずれか一項に記載の方法である。
【0689】
実施形態D-51は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、100~140(球形及びジャガイモ形)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形))の形状係数を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-50のいずれか一項に記載の方法である。
【0690】
実施形態D-52は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、1~50(又は1~10、11~15、若しくは16~20)の圧縮性指数、及び1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、1.19~1.25、1.26~1.50、若しくは1.51~2.00)のハウスナー比を有する粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-51のいずれか一項に記載の方法である。
【0691】
実施形態D-53は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、熱可塑性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-52のいずれか一項に記載の方法である。
【0692】
実施形態D-54は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックス、及び好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-53のいずれか一項に記載の方法である。
【0693】
実施形態D-55は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス遷移温度(Tg)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-54のいずれか一項に記載の方法である。
【0694】
実施形態D-56は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-55のいずれか一項に記載の方法である。
【0695】
実施形態D-57は、当該硬化コーティングが、検出可能なTgを一切有しない、実施形態D-1~D-56のいずれか一項に記載の方法である。
【0696】
実施形態D-58は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、少なくとも40℃かつ最大300℃の融点を有する結晶性ポリマー又は半結晶性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-57のいずれか一項に記載の方法である。
【0697】
実施形態D-59は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が、ポリアクリル酸(例えば、溶液重合アクリル系ポリマー、乳化重合アクリルポリマー、若しくはこれらの組み合わせ)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はこれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどのコポリマー若しくはこれらの混合物)から選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-58のいずれか一項に記載の方法である。
【0698】
実施形態D-60は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はこれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-59に記載の方法である。
【0699】
実施形態D-61は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が、潤滑剤、接着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、湿潤剤、艶消し剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、接着促進剤、無機充填剤、金属ドライヤ、及びこれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を含む、実施形態D-1~D-60のいずれか一項に記載の方法である。
【0700】
実施形態D-62は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、当該硬化コーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤を含む、実施形態D-61に記載の方法である。
【0701】
実施形態D-63は、当該パターン化コーティング上に粉末潤滑剤を堆積させることを更に含む、実施形態D-1~D-62のいずれか一項に記載の方法である。
【0702】
実施形態D-64は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該硬化コーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で当該硬化コーティングの中又は当該硬化コーティング上に存在する、実施形態D-62又はD-63に記載の方法である。
【0703】
実施形態D-65は、当該1つ以上の潤滑剤が、当該硬化コーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で当該硬化コーティングの中又は当該硬化コーティングの上に存在する、実施形態D-62~D-64のいずれか一項に記載の方法である。
【0704】
実施形態D-66は、当該潤滑剤が、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュ・ワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粒子化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、これらの組み合わせ、及びこれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)を含む、実施形態D-62~D-65のいずれか一項に記載の方法である。
【0705】
実施形態D-67は、当該粉末ポリマー組成物のうち1つ以上が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-1~D-66のいずれか一項に記載の方法である。
【0706】
実施形態D-68は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない、実施形態D-1~D-67のいずれか一項に記載の方法である。
【0707】
実施形態D-69は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、TMBPFを除く、全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない、実施形態D-1~D-68のいずれか一項に記載の方法である。
【0708】
実施形態D-70は、当該粉末コーティング組成物のうち1つ以上が、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド含有成分(例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)の各々を実質的に含まない、実施形態D-1~D-69のいずれか一項に記載の方法である。
【0709】
実施形態D-71は、当該硬化コーティングが、グローバル抽出試験に従って試験したときに、存在する場合、抽出可能な50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満を含む、実施形態D-1~D-70のいずれか一項に記載の方法である。
【0710】
実施形態D-72は、当該硬化コーティングが、接着試験に従って、9又は10、好ましくは10の接着性評点で、金属基体などの基体に接着する、実施形態D-1~D-71のいずれか一項に記載の方法である。
【0711】
実施形態D-73は、当該硬化コーティングが、曝露した基体をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥を含まない、実施形態D-1~D-72のいずれか一項に記載の方法である。
【0712】
実施形態D-74は、当該粉末コーティング組成物の1つ以上が、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及びおよそ7.5ミリグラム/平方インチの乾燥フィルム厚を達成するために適切な期間にわたり硬化焼成に供され、完全に変換された202標準開口飲料缶端部に形成される場合、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露されながら、5ミリアンペア未満の電流を通過する、実施形態D-1~D-73のいずれか一項に記載の方法である。
【0713】
実施形態D-75は、当該基体を金属包装容器の少なくとも一部に形成することが、当該基体を容器(例えば、缶又はカップ)本体に形成することを含む、実施形態D-1~D-74のいずれか一項に記載の方法である。
【0714】
実施形態D-76は、当該基体を容器本体に形成することが、当該硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングが当該容器(例えば、缶又はカップ)本体の内面、外面、又はその両方を形成するように、当該気体を容器本体に形成することを含む、実施形態D-75に記載の方法である。
【0715】
実施形態D-77は、当該基体を金属包装容器の少なくとも一部に形成することが、当該基体を金属クロージャ(例えば、金属包装容器又はガラスジャー用のツイスト・オフ・キャップ)に形成することを含む、実施形態D-1~D76のいずれか一項に記載の方法である。
【0716】
実施形態D-78は、当該基体を金属包装容器の少なくとも一部に形成することが、当該基体をリベット缶端部に形成することを含む、実施形態D-1~D77のいずれか一項に記載の方法である。
【0717】
実施形態D-79は、当該金属包装に、食品、飲料、又はエアロゾル製品を充填することを更に含む、実施形態D-1~D78のいずれか一項に記載の方法である。
【0718】
実施形態D-80は、金属基体を提供することが、当該金属基体を1分当たり50~100フィート又は15~30メートルの速度でコーティング装置に供給することを含み、当該粉末コーティング組成物が、当該金属基体の少なくとも一部に導かれる、実施形態D-1~D79のいずれか一項に記載の方法である。
【0719】
実施形態D-81は、当該少なくとも部分的にコーティングされた金属基体を、金属包装容器の少なくとも一部、その一部、又は金属クロージャに形成する前又は後に、当該硬化した、好ましくは連続的な接着性コーティングの適切な形成を確実にするための品質検査工程(例えば、目視検査)を含む、実施形態D-1~D80のいずれか一項に記載の方法である。
【0720】
実施形態D-82は、当該方法が、当該複数の粉末コーティング組成物のうち少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、当該基体の当該少なくとも一部に導きながら、当該金属基体を電気的に接地することを含む、実施形態D-1~D-81のいずれか一項に記載の方法である。
【0721】
実施形態D-83は、当該方法が、当該複数の粉末コーティング組成物の各々を当該金属基体の少なくとも一部に導く前に、当該複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させることを含み、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電気的に接着させることは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物をトランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電気的に接着させる前に、トランスポータ表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、実施形態D-82に記載の方法である。
【0722】
実施形態D-84は、第1の堆積した粉末コーティング組成物が、第1の極性であり、当該方法が、当該第1の堆積した粉末コーティング組成物の当該第1の極性を第2の極性に変更することと、第2の極性の第2のコーティング組成物を当該第1の堆積した粉末コーティング組成物に適用することと、を更に含む、実施形態D-83に記載の方法である。
【0723】
試験方法
他に示されない限り、以下の試験方法が利用され得る。
【0724】
接着性試験
接着試験は、SCOTCH 610テープ(3M Company、Saint Paul,MNから入手可能)、並びに横に4本の擦過及び下に4本の擦過(だいたい1~2mm感覚)からなる格子パターンを用いて、厚さ125ミクロン以下のコーティングについて、ASTM D3359-17(2017)、試験方法Bに従って実施した。試験は、典型的には、試料当たり3回繰り返される。接着性は、0~10の尺度で評価され、「10」の評点は、接着破壊を示さないこと、「9」の評点は、コーティングの90%が接着されたままであること、「8」の評点は、コーティングの80%が接着されたままであること、以下同様を示す。9又は10の接着性評点は、典型的には、商業的に実行可能なコーティングに望ましい。したがって、本明細書では、9又は10、好ましくは10の接着性評点は、接着性であると考えられる。
【0725】
Tgでの示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(「DSC」)試験用の粉末組成物の試料を、標準試料パンに秤量し、標準DSC加熱-冷却-加熱法を用いて分析する。試料を-60℃で平衡化し、次いで20℃/分で200℃まで加熱し、-60℃に冷却し、次いで20℃/分で再び200℃まで加熱する。ガラス遷移温度を、最後の加熱サイクルのサーモグラムから計算する。転移の変曲点でガラス転移を測定する。
【0726】
ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量決定
ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)試験用の試料は、最初に、粉末ポリマーを好適な溶媒(例えば、所与の粉末ポリマーに適切な場合、THF)中へ溶解することによって調製される。次いで、この溶液のアリコートを、ポリスチレン(「PS」)標準の混合物と共にGPCによって分析する。試料の分子量は、GPCランを処理し、標準を検証した後に計算される。
【0727】
グローバル抽出試験
グローバル抽出試験は、コーティングから、コーティングされた缶に充填された食品に移動可能な移動性材料の総量を推定するよう設計されている。典型的には、コーティングされた基体が、所与の最終用途をシミュレートするために、様々な条件下で水又は溶媒のブレンドに供される。
【0728】
許容可能な抽出条件及び培地は、21 CFR § 175.300、段落(d)及び(e)に記載されている。本開示で使用した抽出手順は、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)「Preparation of Premarket Submission for Food Contact Substances:Chemistry Recommendations」(2007年12月)に従って実施した。FDA規制によって定義される許容可能なグローバル抽出限界は、百万分の50部(ppm)である。
【0729】
片側抽出セルが、Journal of the Association of Official Analytical Chemists,47(2):387(1964)に記載されている設計に従い、軽微な修正を伴い、作製される。セルは、テフロンスペーサの中心に、6in(インチ)×6inの開口領域を有する9in×9in×0.5inである。これにより、36平方インチ又は72平方インチの試験物品が食品シミュレート溶媒に曝露される。セルは、300mLの食品シミュレート溶媒を保持する。36in2及び72in2の試験物品のそれぞれが曝露された場合、溶媒対表面積の比率は、8.33mL/in2及び4.16mL/in2である。
【0730】
本開示の目的のために、試験物品は、0.0082インチの厚さの5182アルミニウム合金パネルからなり、PERMATREAT(登録商標)1903(Chemetall GmbH(ドイツ、フランクフルトアムマイン))で前処理された。これらのパネルを、試験コーティングでコーティングして(試験セルに適合させるために必要とされる少なくとも6in×6inの領域を完全に覆う)、242℃ピーク金属温度(PMT)を達成した10秒の硬化ベーク後に、11グラム/平方メートル(gsm)の最終乾燥フィルム厚を得た。セルごとに2つの試験物品を用い、セルごとの総表面積は72平方インチである。試験物品は、食品シミュレート溶媒として10%の水性エタノールを使用して、4回にわたり抽出される。試験物品を121℃で2時間処理し、次いで40℃で238時間保管する。試験溶液は、2、24、96、及び240時間後にサンプリングされる。試験物品を、上記の条件下で10%の水性エタノールを使用して4回にわたり抽出する。
【0731】
各試験溶液を、ホットプレート上で加熱することによって、予め秤量した50mLビーカーで蒸発乾固させる。各ビーカーを250°F(121℃)のオーブンで最低30分間乾燥させる。次いで、ビーカーをデシケーターに入れて冷却し、次いで、一定重量となるか秤量する。一定重量は、その差異が0.00005g以下となる、3回連続の重量測定として定義される。
【0732】
抽出セルにおいてテフロンシートを使用する溶媒ブランクを、同様に刺激剤に曝露し、溶媒自体によって添加される抽出残留物の試験物品の抽出残留物重量を補正するために、一定重量に蒸発させる。2つの溶媒ブランクを各時点で抽出し、平均重量を補正に使用する。
【0733】
総不揮発性物質抽出物を以下のように計算する。
【0734】
【数1】
(式中、Ex=抽出残留物(mg/in
2);
e=試験した再現試行あたりの抽出物(mg)、
s=抽出された面積(in
2)。
【0735】
好ましいコーティングは、グローバル抽出結果が50ppm未満、より好ましい結果が10ppm未満、更により好ましい結果が1ppm未満となる。最も好ましくは、グローバル抽出結果は、最適な場合には検出不可能である。
【0736】
フラットパネル連続性試験
この試験は、フラットな金属基体に適用されたコーティングの連続性を測定し、金属基体を曝露させる可能性がある孔、亀裂、又は他の欠陥がほとんどない連続フィルムの有無を示す。この方法は、実験室、並びに商業的にコーティングされた鋼及びアルミニウム基体の両方に使用され得る。試験アセンブリは、非導電性固体ベース(試験パネルを支持するのに充分な大きさ);ベースに取り付けられたヒンジ式クランプ機構;試験パネル(その結果、試験パネル上の直径6インチの円形領域が電解質に曝露される)上に下降させて封止することができるように、クランプ機構に接続された非導電性電解質保持セル;セルに電解質を充填するのに充分な大きさの電解質保持セルの穴;及び、電解液保持セルに挿入された電極からなる試験アセンブリが使用される。6.3ボルトの出力電圧を有するWACO Enamel Rater II(the Wilkens-Anderson Company、Chicago,ILから入手可能)を、試験アセンブリ(後述)と共に使用して、電流の形態で金属曝露を測定する。以下の試験で使用される電解質溶液は、脱イオン水に溶解した1重量%の塩化ナトリウムからなる。
【0737】
8インチ×8インチの金属パネルが、配合又は技術データシートによって規定されるように、試験されるコーティングでコーティング及び硬化される。試験コーティングにコーティング厚さ又は硬化スケジュールが規定されていない場合、試験パネルは、242℃のピーク金属温度(PMT)を達成するための適切な期間を有する硬化性焼成を利用して、11グラム/平方メートル(gsm)の最終的な乾燥フィルム厚が得られるようにコーティングされるべきである。各試験パネルは、1回だけ使用されてもよく、目に見えるように擦過又は摩耗がないものでなければならない。試験パネルは、試験コーティングを上に向けて試験アセンブリに配置される。次いで、電解質保持セルを試験パネル上に降下させ、クランプを閉じることによって定位置でロックする。エナメル評価器からの正のリード線は、コーティングのない領域でパネルの縁部に接続される。ベア金属基体を曝露させるために、小さな領域を研磨又は掻き取る必要があり得る。次いで、電解質セルは、セルの陰極との接触を確実にするのに充分な電解質溶液で充填される。エナメル評価器からの負のリード線は、セルの上部の負極ポストに接続される。最後に、Wacoエナメル質評価器上のプローブを下げて試験電流を活性化する。
【0738】
フィルムの不完全さ/破壊は、ミリアンペア(mA)で測定された電流によって示される。最初のミリアンペア読み取り値は、試験した各パネルについて記録され、結果はミリアンペアで報告される。変数ごとに2つ以上の決定が実行される場合、平均読み取り値が報告される。
【0739】
本出願の目的のために、連続コーティングは、この試験に従って評価した場合、200mA未満を通過する。本開示の好ましいコーティングは、この試験に従って、100ミリアンペア(mA)未満、より好ましくは50mA未満、10mA未満、又は5mA未満、最も好ましくは2mA未満、最適には1mA未満を通過する。
【0740】
柔軟性試験
この試験は、リベット締めされた飲料缶端部などの製造物品を生成するのに必要な形成プロセスを受ける際に、コーティングされた基体がその完全性を保持する能力を測定する。これは、形成された端部における亀裂又は破損の有無の尺度である。端部は、典型的には電解質溶液で満たされたカップ上に配置される。カップを逆さにして、端部の表面を電解質溶液に曝露する。次いで、端部を通過する電流の強度が測定される。製造後にコーティングが無傷のままである(亀裂又は破損がない)場合、最小電流が端部を通過する。
【0741】
本評価では、完全に変換された202個の標準的な開口飲料端部を、脱イオン水中に1重量%のNaClを含む室温の電解質溶液に4秒間曝露した。評価されるコーティングは、6~7.5ミリグラム/平方インチ(「msi」)(又は9.3~11.6グラム/平方メートル)の乾燥フィルム厚で飲料端部の内面に存在し、これは、7msiが目標厚さであり、配合又は技術データシートによって規定されるように硬化されていた。試験コーティングに硬化スケジュールが規定されていない場合、試験パネルは、242℃のピーク金属温度(PMT)を達成するための適切な期間を有する硬化性焼成を利用してコーティングされるべきである。WACO Enamel Rater II(Wilkens-Anderson Company、Chicago,ILから入手)を用いて、出力電圧6.3ボルトで、金属曝露を測定した。測定された電流強度をミリアンペアで報告する。末端連続性は、典型的には最初に試験され、次いで末端が、低温殺菌、Dowfax、又はレトルトに供された後に試験される。
【0742】
本開示のコーティングは、200ミリアンペア(mA)未満の電流を通過する場合、最初にこの試験に「合格」する。本開示の好ましいコーティングは、この試験に従って、100ミリアンペア(mA)未満、より好ましくは50mA未満、10mA未満、又は5mA未満、最も好ましくは2mA未満、最適には1mA未満を最初に通過する。
【0743】
低温殺菌、Dowfax清浄剤試験、又はレトルト後、好ましいコーティングは、20mA未満、より好ましくは10mA未満、更により好ましくは5mA未満、更により好ましくは1mA未満の連続性を与える。
【0744】
本明細書に引用された特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、各々が個別に組み込まれているかのように、それらの全体が参照により組み込まれる。書面による本明細書と、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書における開示との間に、矛盾又は不一致がある限り、書面による本明細書が優先される。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本開示に対する様々な修正及び変更が当業者には明らかになるであろう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、かかる実施例及び実施形態は、以下のように本明細書に記載される実施形態によってのみ限定されることを意図する本開示の範囲と共に、例としてのみ提示されることを理解されたい。
【国際調査報告】