(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】高平均ピーク出力レーザシステム用のレーザビームダンプの吸収
(51)【国際特許分類】
B29C 64/268 20170101AFI20240718BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20240718BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20240718BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240718BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240718BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240718BHJP
B22F 12/20 20210101ALI20240718BHJP
【FI】
B29C64/268
B23K26/34
B23K26/21 Z
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y30/00
B22F12/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571492
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022030086
(87)【国際公開番号】W WO2022246097
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517405068
【氏名又は名称】シューラット テクノロジーズ,インク.
【氏名又は名称原語表記】SEURAT TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バイラミアン アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャーボー ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168DA13
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA25
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4E168DA27
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4F213WA25
4F213WA97
4F213WB01
4F213WL02
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4F213WL76
4F213WL96
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
複数のコンポーネントを有する付加製造システムは、レーザビームを形成するための高出力レーザを含む。レーザビームが向けられる少なくとも1つのレーザ透明窓を有する流体チャンバを備えたビームダンプが提供される。熱交換器が流体チャンバに接続され、熱交換器は、付加製造システムの複数のコンポーネントの内の少なくとも1つに、有用なエネルギを提供するように機能する。吸収流体は、流体チャンバと熱交換器との両方を通って循環し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンポーネントを有する付加製造システムであって、
レーザビームを形成するための高出力レーザと、
前記レーザビームが向けられる少なくとも1つのレーザ透明窓を有する流体チャンバを含むビームダンプと、
前記流体チャンバに接続された熱交換器であって、前記付加製造システムの前記複数のコンポーネントの内の少なくとも1つに、有用なエネルギを提供するように機能する熱交換器と、
前記流体チャンバ及び前記熱交換器を通って循環する吸収流体と
を含む、付加製造システム。
【請求項2】
前記ビームダンプは、レーザ源、レーザプリアンプ及び/又はアンプ、並びにライトバルブの内の少なくとも1つから前記レーザビームを受け取る、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項3】
前記熱交換器は、機械力、熱電力、又は電力を生成するのに適した熱エンジンに動力を供給し得る、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項4】
前記熱交換器は、前記複数のコンポーネントの内の少なくとも一部の温度を上昇させるために使用され得る、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項5】
前記吸収流体は、水に溶解した塩化銅を含む、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項6】
前記レーザビームは、前記流体チャンバを1回通過した後に実質的に吸収される、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項7】
前記流体チャンバ内の2つの窓と、前記流体チャンバを通過した光を前記流体チャンバに戻す外部ミラーとを更に含み、前記レーザビームは、前記流体チャンバを2回通過した後に実質的に吸収される、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項8】
前記レーザビームは、前記流体チャンバを複数回通過した後に実質的に吸収される、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項9】
複数のコンポーネントを有する付加製造システムであって、
レーザビームを形成するための高出力レーザと、
レーザプリアンプ及び/又はアンプと、
ライトバルブと、
レーザ源、レーザプリアンプ及び/又はアンプ、並びにライトバルブの内の少なくとも1つから前記レーザビームが向け直される少なくとも1つのレーザ透明窓を有する流体チャンバを含むビームダンプと、
前記流体チャンバに接続された熱交換器と、
前記流体チャンバ及び前記熱交換器を通って循環する吸収流体と
を含む、付加製造システム。
【請求項10】
前記熱交換器は、前記付加製造システムの前記複数のコンポーネントの内の少なくとも1つに、有用なエネルギを提供するように機能する、請求項9に記載の付加製造システム。
【請求項11】
前記熱交換器は、機械力、熱電力、又は電力を生成するのに適した熱エンジンに動力を供給し得る、請求項9に記載の付加製造システム。
【請求項12】
前記熱交換器は、前記複数のコンポーネントの内の少なくとも幾つかの温度を上昇させるために使用され得る、請求項9に記載の付加製造システム。
【請求項13】
前記吸収流体は水を含む、請求項9に記載の付加製造システム。
【請求項14】
前記レーザビームは、前記流体チャンバを1回通過した後に実質的に吸収される、請求項9に記載の付加製造システム。
【請求項15】
前記流体チャンバ内の2つの窓と、前記流体チャンバを通過した光を前記流体チャンバに戻す外部ミラーとを更に含み、前記レーザビームは、前記流体チャンバを2回通過した後に実質的に吸収される、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項16】
前記レーザビームは、前記流体チャンバを複数回通過した後に実質的に吸収される、請求項9に記載の付加製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本開示は、2021年5月19日に出願された米国特許出願第63/190,637号の優先権を主張する非仮特許出願の一部であり、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、一般的に、高フルエンスレーザビームダンプの動作に関する。より具体的には、高い光フルエンスにさらされる光変調器の長期間の使用を可能にするための技術、コンポーネント、及び材料。
【背景技術】
【0003】
高出力レーザシステムは、過剰な又は不要なエネルギを除去するためにビームダンプを必要とし得る。これは特に金属付加製造(AM)の分野に当てはまり、該分野は、対象の粉末チャンバにレーザが断続的に照射される場合であっても、レーザ源の安定した長期の動作からの恩恵を受け得る。レーザシステムの動作を中断することは、機械の安全性に懸念を生じさせ得、ショット間のエネルギ安定性を低下させ得る。
【0004】
従来の低出力システムは、意図したプロセスに必要のないレーザ光を捕捉するために、レーザシステムの外側に位置決めされた吸収ビームダンプをしばしば組み込む。低及び中出力レーザシステム用の現在の吸収ビームダンプは、通常、アルミニウム等の黒色の陽極酸化材料から成る。中出力レーザシステムの場合、この方法は、大量の局所的な加熱を発生させ得、吸収を通じて発生する熱負荷を抽出するために設計された冷却構成を必要とする。残念ながら、高エネルギ及び高出力レーザシステムの場合、現在このレーザ光を吸収できる材料は非常に限られている。
【0005】
高エネルギ及び高出力レーザシステムの現在の方法は、ビームダンプアセンブリの初期素子として散乱板を用いることである。レーザ光は複数の方向に散乱し、局所的な加熱を引き起こす追加の吸収コンポーネントの性能要件を緩和する。しかしながら、制御されていないレーザ光を散乱させることは、ユーザーに対してレーザの安全性に関する重大なリスクを生み出し得るので、この方法は理想的ではない。散乱板を使用することはまた、レーザ光の後方散乱がシステムの軸上で伝播するのを防ぐための制御を殆どできなくする。この後方散乱は、高利得レーザシステムに散乱して戻って来る少量の軸上のレーザエネルギがシード寄生及び損傷を発生させ得るため、重大な課題を提示する。ビームダンプでのレーザ光を散乱することの必要性は、高利得レーザシステムで使用可能なビームダンプの設計のスケーリングも制限し得る。
【0006】
本開示の非限定的で非網羅的な実施形態は、以下の図を参照して説明され、別段の指定がない限り、様々な図を通して同様の参照番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】シングルパスレーザビームダンプを説明する。
【
図1B】デュアルパスレーザビームダンプを説明する。
【
図1C】マルチパスビームダンプの一実施形態を説明する。
【
図1D】内部反射器を備えたマルチパスビームダンプの一実施形態を説明する。
【
図1E】複数のコーナーから対向するコーナーへの反射のために配置されたマルチパスビームダンプの一実施形態を説明する。
【
図1F】複数の側面から対向する側面への反射のために配置されたマルチパスビームダンプの一実施形態を説明する。
【
図2】ビームダンプ、冷却システム、及び熱エンジンをサポートする高フルエンスライトバルブベースの付加製造システムのブロック図を説明する。
【
図3】高フルエンスライトバルブベースの付加製造システムを説明する。
【
図4】高フルエンスライトバルブベースの付加製造システムの別の実施形態を説明する。
【
図5】廃エネルギを回収し、更に利用するためのスイッチヤードアプローチを組み込んだ高フルエンスライトバルブベースの付加製造の別の実施形態を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、その一部を形成する添付の図面が参照され、図面では、開示が実践され得る具体的で例示的な実施形態を説明する方法によって示されている。これらの実施形態は、当業者が本明細書に開示する概念を実践できるように十分に詳細に説明されており、本開示の範囲から逸脱することなく、開示する様々な実施形態に修正を加えることができ、その他の実施形態が利用され得ることを理解すべきである。以下の詳細な説明は、それ故、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0009】
以下の開示では、複数のコンポーネントを有する付加製造システムの改良について説明する。こうしたシステムは、レーザビームを形成するための高出力レーザを含み得る。ビームダンプは、レーザビームが向けられる少なくとも1つのレーザ透明窓を有する流体チャンバを含む。熱交換器が流体チャンバに接続され、熱交換器は付加製造システムの複数のコンポーネントの内の少なくとも1つに、有用なエネルギを提供するように機能する。吸収流体は流体チャンバと熱交換器との両方を循環する。
【0010】
幾つかの実施形態では、ビームダンプは、レーザ源、レーザプリアンプ及び/又はアンプ、並びにライトバルブの内の少なくとも1つからレーザビームを受け取る。
【0011】
幾つかの実施形態では、熱交換器は、機械力、熱電力、又は電力を生成するのに適した熱エンジンに動力を供給し得る。
【0012】
幾つかの実施形態では、熱交換器は、複数のコンポーネントの内の少なくとも幾つかの温度を上昇させるために使用され得る。
【0013】
幾つかの実施形態では、吸収流体は[TBD]を含む。
【0014】
幾つかの実施形態では、レーザビームは流体チャンバを1回通過した後に実質的に吸収される。
【0015】
幾つかの実施形態では、流体チャンバに2つの窓が設けられ、流体チャンバを通過した光を流体チャンバに戻すために外部に位置決めされたミラーが使用される。このことは、レーザビームが流体チャンバを2回通過した後に実質的に吸収されることを可能にする。
【0016】
幾つかの実施形態では、レーザビームは、流体チャンバを複数回通過した後に実質的に吸収される。
【0017】
一実施形態では、複数のコンポーネントを有する付加製造システムは、レーザビームを形成するための高出力レーザ、レーザプリアンプ及び/又はアンプ、並びにライトバルブを含む。レーザ源、レーザプリアンプ及び/又はアンプ、並びにライトバルブの内の少なくとも1つからレーザビームが向け直される少なくとも1つのレーザ透明窓を有する流体チャンバを含むビームダンプが提供される。流体チャンバには熱交換器が接続され、吸収流体は流体チャンバ及び熱交換器を通って循環する。
【0018】
図1Aは、シングルパスレーザビームダンプシステム100Aを説明する。吸収流体は、入力流路105Aを通って流体セルビームダンプ101Aに流入する。吸収流体は、流体セルビームダンプ101Aを通って、矢印107Aにより指し示される方向に伝播し、出力流路106Aを通って流出する。吸収流体は熱交換器108Aに戻ることができるので、吸収された熱負荷は除去され得る。熱交換器は、レーザビームダンプシステム100Aを通って吸収流体を移動させるためのアクティブポンプを含み得る。或いは、加熱された吸収流体は、吸収流体の循環を促進するために、創出された気泡又は流体の対流を使用し得る。幾つかの実施形態では、熱交換器108Aは、冷却システムの一部を形成し得る。代替的に、又は追加的に、幾つかの実施形態では、熱交換器108Aは、他の工業プロセスに、有用な熱を提供するための熱伝達システムの一部であり得る。更に他の実施形態では、熱は、機械力、熱電力、又は電力を生成するのに適した熱エンジンに動力を供給し得る。この例は、熱交換器を通過することにより水蒸気又は超臨界水等の圧縮性流体への遷移を引き起こすように、高圧の水等の相変化流体を使用することである。この流体は、発電するためにタービンに渡ってその後膨張され得、再濃縮され得、熱交換器にポンプで送り戻され得る。
【0019】
レーザ光103Aは、入力レーザ窓102Aを通って入射する。レーザ光103Aは、入力面反射116Aが低エネルギビームダンプ104Aによって捕捉されることを可能にするように位置合わせされる。ビームダンプ101Aは、長さ110Aと、単一パス構成で実質的に全てのレーザエネルギ103Aを捕捉するのに十分な吸収力とを有するように設計される。
【0020】
幾つかの実施形態では、吸収流体は水である。他の実施形態では、吸収流体は、溶液又は懸濁液中に他の添加剤を有する水である。例えば、添加剤は、溶解した塩、液体混合物、コロイド、染料、又はナノ粉末を含み得る。例えば、遷移金属塩(例えば、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、硝酸コバルト、塩化コバルト、硫酸第一鉄、塩化第一鉄)、有機染料(インジゴ等の有機染料、又はUV、可視光線、若しくはIRの吸収用に設計された合成特殊染料)、又は純粋なカーボン(墨に使用されるランプブラック又はナノカーボン)が使用され得る。その他の添加剤は、システムの特定の波長帯域に調整された特性を有する量子ドット又はその他の人工ナノ粒子を含み得る。幾つかの実施形態では、エタノール、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、シリコーン油、及びフロリナート材料、アンモニア又はデュポンR-134a等の冷媒材料等のその他の人工熱伝達流体を含む、その他の水性又は非水性液体が使用され得る。
【0021】
吸収流体の様々な特性を調整するために、その他の添加剤を使用され得る。これには、Optishield等の腐食防止剤、又はプロピレングリコール等の粘度増加添加剤が含まれ得る。その他の添加剤は、相変化材料を含み得る。
【0022】
レーザビームダンプシステム内の説明した吸収材と組み合わせて、広範囲の様々な波長のレーザが使用され得る。幾つかの実施形態では、可能なレーザのタイプは、ガスレーザ、化学レーザ、色素レーザ、金属蒸気レーザ、固体レーザ(例えば、ファイバ)、半導体(例えば、ダイオード)レーザ、自由電子レーザ、ガスダイナミックレーザ、“ニッケル様”サマリウムレーザ、ラマンレーザ、又は核励起レーザを含むが、これらに限定されない。
【0023】
ガスレーザは、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、キセノンイオンレーザ、窒素レーザ、二酸化炭素レーザ、一酸化炭素レーザ、又はエキシマレーザ等のレーザを含み得る。
【0024】
化学レーザは、フッ化水素レーザ、フッ化重水素レーザ、COIL(化学酸素ヨウ素レーザ)、又はAgil(全気相ヨウ素レーザ)等のレーザを含み得る。
【0025】
金属蒸気レーザは、ヘリウムカドミウム(HeCd)金属蒸気レーザ、ヘリウム水銀(HeHg)金属蒸気レーザ、ヘリウムセレン(HeSe)金属蒸気レーザ、ヘリウム銀(HeAg)金属蒸気レーザ、ストロンチウム蒸気レーザ、ネオン銅(NeCu)金属蒸気レーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ、又はマンガン(Mn/MnCl2)蒸気レーザ等のレーザを含み得る。ルビジウム又はその他のアルカリ金属蒸気レーザも使用され得る。固体レーザは、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、ネオジムYLF(Nd:YLF)固体レーザ、ネオジムドープオルトバナジン酸イットリウム(Nd:YVO4)レーザ、ネオジムドープトイットリウムカルシウムオキソボレートNd:YCa4O(BO3)3若しくは単にNd:YCOB、ネオジムガラス(Nd:ガラス)レーザ、チタンサファイア(Ti:サファイア)レーザ、ツリウムYAG(Tm:YAG)レーザ、イッテルビウムYAG(Yb:YAG)レーザ、イッテルビウム:2O3(ガラス若しくはセラミック)レーザ、イッテルビウムドープガラスレーザ(ロッド、プレート/チップ、及びファイバ)、ホルミウムYAG(Ho:YAG)レーザ、クロムZnSe(Cr:ZnSe)レーザ、セリウムドープリチウムストロンチウム(又はカルシウム)フッ化アルミニウム(Ce:LiSAF、Ce:LiCAF)、プロメチウム147ドープリン酸ガラス(147Pm+3:ガラス)固体レーザ、クロムドープクリソベリル(アレキサンドライト)レーザ、エルビウムドープアンデルビウムイッテルビウム共ドープガラスレーザ、三価ウランドープフッ化カルシウム(U:CaF2)固体レーザ、二価サマリウムドープフッ化カルシウム(Sm:CaF2)レーザ、又はF中心レーザ等のレーザを含み得る。
【0026】
半導体レーザは、GaN、InGaN、AlGaInP、AlGaAs、InGaAsP、GaInP、InGaAs、InGaAsO、GaInAsSb、鉛塩、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)、量子カスケードレーザ、ハイブリッドシリコンレーザ、又はそれらの組み合わせ等のレーザ媒質タイプを含み得る。
【0027】
図1Bは、
図1Aに関して論じたものと同様のコンポーネントを有するデュアルパスレーザビームダンプシステム100Bを説明する。吸収流体は、入力流路105Bを通って流体セルビームダンプ101Bに流入する。吸収流体は、セル107Bを通って伝播し、出力流路106Bを通って流出する。吸収流体は熱交換器108Bに戻り得るので、吸収された熱負荷は除去され得る。
【0028】
レーザ光103Bは、入力レーザ窓102Bを通って入射し、出力レーザ窓112Bを通ってビームダンプ101Bから出射する。レーザ光103Bは、高反射レーザミラー113Bを使用してその後反射される。レーザ光103Bは、入力面反射116Bと、レーザミラー113Bから流体セルビームダンプ101Bを通って反射されて戻って来た非吸収レーザ光118Bとが低エネルギビームダンプ104Bによって捕捉され得るように位置合わせされる。ビームダンプ101Bは、長さ110Bと、実質的に全てのレーザエネルギ103Bをデュアルパス構成で捕捉するのに十分な吸収力とを有するように設計される。
【0029】
図1Cは、マルチパスビームダンプ101Cの一実施形態を説明する。入力レーザビーム103Cは、入力レーザ窓102Cを通って、吸収流体を含むビーム流体ダンプセル101Cに入射する。ビーム流体ダンプセル101Cは、その内壁の一部又は全部に取り付けられ、又はその内壁の一部又は全部を形成する高反射性のレーザミラー105Cを含み得る。
【0030】
図1Dは、ビーム流体ダンプセル101Dの内壁に対してある角度で突出する内部反射器106Dを備えたマルチパスビームダンプ101Dの一実施形態を説明する。入力レーザビーム103Dは、入力レーザ窓102Dを通って、吸収流体を含むビーム流体ダンプセル101Dに入射する。ビーム流体ダンプセル101Dは、その内壁の一部又は全部に取り付けられ、又はその内壁の一部又は全部を形成する高反射性レーザミラー105Fを含み得る。
【0031】
図1Eは、複数のコーナーから対向するコーナーへの反射のために配置されたマルチパスビームダンプ101Eの一実施形態を説明する。入力レーザビーム103Eは、入力レーザ窓102Eを通って、吸収流体を含むビーム流体ダンプセル101Eに入射する。ビーム流体ダンプセル101Eは、その内壁の一部又は全部に取り付けられ、又はその内壁の一部又は全部を形成する高反射性のレーザミラー105Eを含み得る。入力レーザビーム103Eの角度は、吸収流体を通る複数のコーナーからコーナーへの通過を創出するように配置され得る。
【0032】
図1Fは、複数の側面から対向する側面への反射のために配置されたマルチパスビームダンプ101Fの一実施形態を説明する。入力レーザビーム103Fは、入力レーザ窓102Fを通って、吸収流体を含むビーム流体ダンプセル101Fに入射する。ビーム流体ダンプセル101Fは、その内壁の一部又は全部に取り付けられ、又はその内壁の一部又は全部を形成する高反射性のレーザミラー105Fを含み得る。入力レーザビーム103Fの角度は、吸収流体を通る複数の側面から対向する側面への通過を創出するように調整され得る。
【0033】
幾つかの実施形態では、
図1E及び
図1Fに関して説明したようなコーナーからコーナーへの反射、及び側面から側面への反射が組み合わされ得る。レーザを3次元で僅かに角度付けることによって、ビーム経路は、らせん状、コークスクリュー、又はスパイラルの経路を描くように配置され得る。
【0034】
図2は、ライトバルブベースの付加製造システム200におけるビームダンプの使用を説明する。レーザ源202は、レーザプリアンプ及び/又はアンプ204を通ってレーザビームをライトバルブ206に向ける。パターニング後、光はプリント床に向けられ得る。幾つかの実施形態では、レーザ源202、レーザプリアンプ及び/若しくはアンプ204、又はライトバルブ206からの熱又はレーザエネルギは、熱伝達、熱エンジン、冷却システム、及びビームダンプ208に能動的又は受動的に伝達され得る。ライトバルブベースの付加製造システム200の全体的な動作は、レーザ出力及びタイミングを変更し得る1つ以上のコントローラ220によって制御され得る。
【0035】
幾つかの実施形態では、レーザ信号に高利得を提供するために、様々なプリアンプ又はアンプ204が随意に使用される一方、光変調器及びアイソレータは、光損傷を軽減又は回避し、信号コントラストを改善し、システム200のより低いエネルギ部分への損傷を防止するためにシステム全体に分配され得る。光変調器及び光アイソレータは、ポッケルスセル、ファラデー回転子、ファラデーアイソレータ、音響光学反射器、又は体積ブラッグ回折格子を含み得るが、これらに限定されない。プリアンプ又はアンプ204は、ダイオード励起アンプ又はフラッシュランプ励起アンプであり得、シングル及び/若しくはマルチパス又はキャビティ型アーキテクチャで構成され得る。理解されるように、ここでの用語、プリアンプは、レーザアンプ(大型)に対して、熱的に制限されない(すなわち、小型である)アンプを指すために使用される。アンプは通常、レーザシステム200の最終ユニットであるように位置決めされるであろうが、熱破壊又は過剰な熱レンズを含むがこれらに限定されない熱損傷を受けやすい最初のモジュールであろう。
【0036】
レーザプリアンプは、エネルギ効率をあまり気にしないシステムで使用可能なシングルパスプリアンプを含み得る。よりエネルギ効率の高いシステムの場合、次の段階に進む前に各プリアンプ204からエネルギの大部分を抽出するようにマルチパスプリアンプが構成され得る。特定のシステムに必要なプリアンプ204の数は、システム要件及び各アンプモジュールで利用可能な蓄積エネルギ/利得によって定義される。マルチパスプリ増幅は、(例えば、波長板又はファラデー回転子を使用して)角度多重化又は偏光スイッチングによって実現され得る。
【0037】
或いは、プリアンプは、再生アンプ型の構成を有するキャビティ構造体を含み得る。こうしたキャビティ構造体は、典型的な機械的考慮事項(キャビティの長さ)に起因して最大パルス長を制限し得るが、幾つかの実施形態では、“ホワイトセル”キャビティが使用され得る。“ホワイトセル”は、各パスに小さな角度偏差が追加されるマルチパスキャビティアーキテクチャである。入口及び出口の経路を設けることによって、こうしたキャビティは入口と出口の間に非常に多くのパスを有するように設計され得、アンプの大きな利得と効率的な使用とを可能にする。ホワイトセルの一例は、軸から僅かに外れたビームが入射され、何度も通過した後に反射がミラー上にリングパターンを創出するようにミラーが傾けられた共焦点キャビティであろう。入射角度及びミラー角度を調整することによって、パスの数を変更できる。
【0038】
アンプは、ダイオード励起であろうとフラッシュランプ励起であろうと、システムに必要な繰り返し率での動作を可能にするための十分な熱管理をサポートしつつ、システムエネルギ要件を満たすのに十分な蓄積エネルギを提供するためにも使用される。動作中に生成された熱エネルギ及びレーザエネルギは共に、熱伝達装置、熱エンジン、冷却システム、及びビームダンプ208に向けられ得る。
【0039】
アンプは、シングルパス及び/若しくはマルチパス又はキャビティ型アーキテクチャで構成され得る。アンプは、エネルギ効率をあまり気にしないシステムで使用可能なシングルパスアンプを含み得る。よりエネルギ効率の高いシステムの場合、次の段階に進む前に各アンプから多くのエネルギを抽出するようにマルチパスアンプが構成され得る。特定のシステムに必要なアンプの数は、システム要件と各アンプモジュールで利用可能な蓄積エネルギ/利得によって定義される。マルチパスプリ増幅は、角度多重化、偏光スイッチング(波長板、ファラデー回転子)を通じて実現され得る。或いは、アンプは、再生アンプ型の構成を備えたキャビティ構造体を含み得る。プリアンプに関して論じたように、アンプは電力増幅に使用され得る。
【0040】
幾つかの実施形態では、システム200の動作中に生成された熱エネルギ及びレーザエネルギは、熱伝達装置、熱エンジン、冷却システム、及びビームダンプ208に向けられ得る。代替的又は追加的に、幾つかの実施形態では、ビームダンプ208は、他の工業プロセスに、有用な熱を提供するための熱伝達システムの一部であり得る。更に他の実施形態では、機械力、熱電力、又は電力を生成するのに適した熱エンジンに動力を供給するために、熱は使用され得る。幾つかの実施形態では、接続されたコンポーネントの温度を上昇させるために廃熱が使用され得る。理解されるように、このアーキテクチャでは、適切な熱管理と光絶縁とを備えたより多くのプリアンプ及びアンプを追加することによって、レーザ束及びエネルギがスケーリングされ得る。冷却システムの熱除去特性に対する調整は、性能を調整するためにポンプ速度の増加又は冷却効率の変更を使用することで可能である。
【0041】
図3は、本開示で説明するようなビームダンプに適応し得るライトバルブベースの付加製造システム300を説明する。
図3に見られるように、レーザ源及びアンプ312は、前に説明したような冷却レーザアンプ及びその他のコンポーネントを含み得る。
図3に説明するように、付加製造システム300は、レーザパターニングシステム310の一部として一次元又は二次元の指向性エネルギを提供できるレーザを使用する。幾つかの実施形態では、一次元パターニングは、直線状又は曲線状のストリップとして、ラスター線として、スパイラルの線として、又は任意のその他の適切な形態で向けられ得る。二次元のパターニングは、分離されたタイル若しくは重なり合ったタイル、又はレーザ強度が変化する画像を含み得る。非正方形の境界を有する二次元の画像パターンを使用でき、画像の重なり又は相互貫入を使用でき、画像は2つ以上のエネルギパターニングシステムによって提供され得る。レーザパターニングシステム310は、1つ以上の連続的又は断続的なエネルギビームをビーム整形光学系314に向けるためにレーザ源及びアンプ312を使用する。整形後、必要に応じて、ビームは、透過型又は反射型のライトバルブの何れかを含むレーザパターニングユニット316によってパターン化され、一般的に、幾らかのエネルギは廃棄エネルギ処理ユニット318に向けられる。廃棄エネルギ処理ユニットは、
図1A~
図1Fに関して論じたようなビームダンプを含み得る。
【0042】
パターン化されたエネルギは、一実施形態では、床346の近くに焦点を合わせた二次元画像322として、画像リレー320によって物品処理ユニット340に向けて中継される。床346(任意の壁348を有する)は、材料ディスペンサ342によって吐出された材料344(例えば、金属粉末)を含むチャンバを形成し得る。画像リレー320によって向けられたパターン化されたエネルギは、所望の特性を有する構造体を形成するように、吐出された材料344を溶融し得、融合し得、焼結し得、結合し得、結晶構造を変化させ得、応力パターンに影響を与え得、又はその他の方法で化学的又は物理的に修正し得る。制御プロセッサ350は、レーザ源及びアンプ312、ビーム整形光学系314、レーザパターニングユニット316、及び画像リレー320、並びにシステム300の任意のその他のコンポーネントの動作を調整するために、様々なセンサ、アクチュエータ、加熱又は冷却システム、モニタ、及びコントローラに接続され得る。理解されるように、接続は、有線又は無線、連続的又は断続的であり得、フィードバック機能を含み得る(例えば、センシングされた温度に応じて加熱が調整され得る)。
【0043】
幾つかの実施形態では、ビーム整形光学系314は、結合、焦点合わせ、発散、反射、屈折、均質化、強度調整、周波数調整する、又はその他の方法で、レーザ源及びアンプ312から受け取った1つ以上のレーザビームを整形してレーザパターニングユニット316に向けるための非常に多様な結像光学系を含み得る。一実施形態では、異なる光波長を各々有する複数の光ビームは、波長選択ミラー(例えば、ダイクロイック)又は回折素子を使用して結合され得る。他の実施形態では、複数のビームは、多面ミラー、マイクロレンズ、及び屈折又は回折光学素子を使用して均質化又は結合され得る。
【0044】
レーザパターニングユニット316は、静的又は動的エネルギパターニング素子を含み得る。例えば、レーザビームは、固定又は可動素子を備えたマスクによってブロックされ得る。画像パターニングの柔軟性と容易性とを高めるために、ピクセルアドレッシング可能なマスキング、画像生成、又は送信が使用され得る。幾つかの実施形態では、レーザパターニングユニットは、アドレッシング可能なライトバルブを単独で、又はパターニングを提供するためのその他のパターニングメカニズムと併せて含む。ライトバルブは、透過型、反射型であり得、又は透過型素子と反射型素子との組み合わせを使用し得る。パターンは、電気的又は光学的アドレッシングを使用して動的に修正され得る。一実施形態では、透過型の光学的にアドレッシングされたライトバルブは、バルブを通過する光の偏光を回転させるように作用し、光学的にアドレッシングされたピクセルは、投光源によって画定されたパターンを形成する。別の実施形態では、反射型の光学的にアドレッシングされたライトバルブは、読み出しビームの偏光を修正するための書き込みビームを含む。幾つかの実施形態では、非光学的にアドレッシングされたライトバルブが使用され得る。これらは、電気的にアドレッシング可能なピクセル素子、可動ミラー若しくはマイクロミラーシステム、圧電若しくは微小駆動光学システム、固定若しくは可動マスク、若しくはシールド、又は高強度光パターニングを提供できる任意のその他の従来のシステムを含み得るが、これらに限定されない。
【0045】
廃棄エネルギ処理ユニット318は、パターン化されず画像リレー320を通過しないエネルギを分散し、方向転換し、又は利用するために使用される。一実施形態では、廃棄エネルギ処理ユニット318は、レーザ源及びアンプ312と、レーザパターニングユニット316との両方から熱を除去する受動的又は能動的な冷却素子を含み得る。他の実施形態では、廃棄エネルギ処理ユニットは、レーザパターンを画定する際に使用されなかった任意のビームエネルギを吸収して熱に変換するための“ビームダンプ”を含み得る。更に他の実施形態では、廃棄されたレーザビームエネルギは、ビーム整形光学系314を使用してリサイクルされ得る。代替的又は追加的に、廃棄されたビームエネルギは、加熱又は更なるパターニングのために物品処理ユニット340に向けられ得る。幾つかの実施形態では、廃棄されたビームエネルギは、追加のエネルギパターニングシステム又は物品処理ユニットに向けられ得る。
【0046】
一実施形態では、“スイッチヤード”スタイルの光学システムが使用され得る。スイッチヤードシステムは、プリントされるパターンに起因する不要な光の廃棄によって生じるような付加製造システムにおける光の無駄を減らすのに適している。スイッチヤードは、その生成(この場合、空間パターンが構造化又は非構造化されたビームに与えられるときの平面)から、一連のスイッチポイントを通じたその照射までの複合的なパターンの方向転換を伴う。各スイッチポイントは、入射ビームの空間プロファイルを随意に修正し得る。スイッチヤード光学システムは、例えば、マスクが光に適用されるレーザベースの付加製造技術において利用され得るが、これに限定されない。有利には、本開示に従った様々な実施形態では、捨てられたエネルギは、均質化された形態で、又は高い電力効率若しくは高いスループットレートを維持するために使用されるパターン化された光としてリサイクルされ得る。更に、捨てられたエネルギは、より困難な素材をプリントするために強度を高めるためにリサイクル及び再利用され得る。
【0047】
画像リレー320は、レーザパターニングユニット316から直接又はスイッチヤードを通じて(一次元又は二次元の何れかの)パターン化された画像を受け取り得、それを物品処理ユニット340にガイドし得る。ビーム整形光学系314と同様の方法で、画像リレー320は、パターン化された光を結合し、焦点を合わせ、発散させ、反射し、屈折させ、強度を調整し、周波数を調整し、又はその他の方法で整形して向けるための光学系を含み得る。パターン化された光は、実質的な物理的移動を必要としない可動ミラー、プリズム、回折光学素子、又はソリッドステート光学システムを使用して向けられ得る。複数のレンズアセンブリの内の1つは、倍率比を有する入射光を提供するように構成され得、レンズアセンブリは光学レンズの第1のセットと光学レンズの第2のセットの両方であり、光学レンズの第2のセットはレンズアセンブリから交換可能である。補償ガントリに搭載されたミラーの1つ以上のセットとビルドプラットフォームガントリに搭載された最終ミラーとの回転は、プリカーサミラーからの入射光を所望の位置に向けるために使用され得る。補償ガントリ及びビルドプラットフォームガントリの並進運動は、物品処理ユニット340のプリカーサミラーからの入射光の距離が画像距離と実質的に等しいことを保証することもできる。実際、これにより、システムの高可用性を確保しながら、様々な材料の構築領域の位置に渡って光ビームの照射サイズと強度とが迅速に変更可能になる。
【0048】
物品処理ユニット340は、(集合的にビルドチャンバを画定する)壁で囲まれたチャンバ348及び床344と、材料を分配するための材料ディスペンサ342とを含み得る。材料ディスペンサ342は、分配し得、除去し得、混合し得、材料のタイプ若しくは粒子サイズに段階的変化若しくは変更を提供し得、又は材料の層の厚さを調整し得る。材料は、金属、セラミック、ガラス、ポリマー粉末、固体から液体へそして再び戻る熱的に誘発される相変化を受けることが可能なその他の溶融性の材料、又はそれらの組み合わせを含み得る。材料は、溶融性材料と非溶融性材料の複合材料を更に含み得、非溶融性の材料に沿って残し、又は該材料に蒸発/破壊/燃焼又はその他の破壊的なプロセスを引き起こしつつ、溶融性の成分を溶融するために画像リレーシステムによって何れか又は両方の成分が選択的にターゲットにされ得る。幾つかの実施形態では、材料のスラリー、スプレー、コーティング、ワイヤ、ストリップ、又はシートが使用され得る。不要な材料は、送風機、真空システム、掃除、振動、振盪、転倒、又は床346の反転の使用によって、使い捨て又はリサイクルのために除去され得る。
【0049】
材料処理コンポーネントに加えて、物品処理ユニット340は、3D構造体を保持及び支持するためのコンポーネントと、チャンバを加熱又は冷却するためのメカニズムと、補助又はサポート光学系と、材料又は環境条件を監視又は調整するためのセンサ及び制御メカニズムとを含み得る。物品処理ユニットは、望ましくない化学的相互作用を軽減すると共に、(特に反応性金属での)火災又は爆発のリスクを緩和するために、全体的又は部分的に、真空又は不活性ガス雰囲気をサポートし得る。幾つかの実施形態では、Ar、He、Ne、Kr、Xe、CO2、N2、O2、SF6、CH4、CO、N2O、C2H2、C2H4、C2H6、C3H6、C3H8、i-C4H10、C4H10、1-C4H8、cic-2,C4H7、1,3-C4H6、1,2-C4H6、C5H12、n-C5H12、i-C5H12、n-C6H14、C2H3Cl、C7H16、C8H18、C10H22、C11H24、C12H26、C13H28、C14H30、C15H32、C16H34、C6H6、C6H5-CH3、C8H10、C2H5OH、CH3OH、iC4H8を含む様々な純粋な又は混合のその他の雰囲気が使用され得る。幾つかの実施形態では、冷媒又は大きな不活性分子(六フッ化硫黄を含むがこれに限定されない)が使用され得る。選択された割合の不活性/非反応性ガスと共に、体積(又は数密度)で少なくとも約1%のHeを有する筐体雰囲気組成が使用され得る。
【0050】
幾つかの実施形態では、粉末床を保持するためのビルドプラットフォームを各々有する複数の物品処理ユニット又はビルドチャンバが、1つ以上の入射エネルギを受け取ってビルドチャンバに向けるように配置された複数の光学機械アセンブリと併せて使用され得る。複数のチャンバにより、1つ以上のビルドチャンバ内で1つ以上のプリントジョブを同時にプリントすることが可能になる。他の実施形態では、取り外し可能なチャンバ側壁により、ビルドチャンバからプリントされた物体を簡単に取り出すことができ、粉末材料の迅速な交換を可能にする。チャンバには、調整可能なプロセス温度制御装置も装備され得る。更に他の実施形態では、ビルドチャンバは、レーザ光学系の近くに位置決め可能な取り外し可能なプリンタカートリッジとして構成され得る。幾つかの実施形態では、取り外し可能なプリンタカートリッジは、粉末を含み得、又は粉末供給源への取り外し可能な接続をサポートし得る。製品の製造後、取り外し可能なプリンタカートリッジは、取り外され得、新しいプリンタカートリッジと交換され得る。
【0051】
別の実施形態では、1つ以上の物品処理ユニット又はビルドチャンバは、固定の高さに維持されるビルドチャンバを有し得る一方、光学系は垂直に移動可能である。レンズアセンブリの最終光学系と粉体床の上面との間の距離は、ビルドプラットフォームを固定の高さに保ちながら、最終光学系を粉末層の厚さに等しい距離だけ上向きに動かすことによって、本質的に一定になるように管理され得る。有利なことに、ビルドプラットフォームの絶えず変化する質量の正確なミクロンスケールの移動が必要ないため、ビルドプラットフォームを垂直に移動させる場合と比較して、大きくて重い物体をより容易に製造し得る。通常、体積が約0.1~0.2立方メートルを超える(すなわち、100~200リットルを超える、又は500~1,000kgよりも重い)金属粉末を対象としたビルドチャンバでは、ビルドプラットフォームを固定の高さに保つことで最も利益が得られる。
【0052】
一実施形態では、粉体床の層の一部分は、ビルドプラットフォーム上の粉末床の層の別の部分を含むように粉体床の層の融合部分から1つ以上の一時的な壁を形成するために選択的に溶融又は融合され得る。選択された実施形態では、熱管理を改善可能にするために、1つ以上の第1の壁に流体通路が形成され得る。
【0053】
幾つかの実施形態では、付加製造システムは、ホッパー内で粉末床をビルドプラットフォームから実質的に分離するために、傾斜、反転、及び振動可能な粉末床を支持するビルドプラットフォームを備えた物品処理ユニット又はビルドチャンバを含み得る。粉末床を形成する粉体材料は、後のプリントジョブでの再利用のためにホッパー内に収集され得る。粉末収集プロセスは自動化され得、粉末の撤去及び除去を助けるためにバキューミング又はガスジェットシステムも使用され得る。
【0054】
幾つかの実施形態では、付加製造システムは、利用可能なビルドチャンバよりも長い部品を容易に取り扱うように構成され得る。連続した(長い)部品は、第1のゾーンから第2のゾーンまで長手方向に順次前進させられ得る。第1のゾーンでは、粒状材料の選択された顆粒が結合させられ得る。第2のゾーンでは、粒状材料の未結合の顆粒が除去され得る。連続した部品の最初の部分は、第2のゾーンから第3のゾーンに前進させられ得る一方、連続した部品の最後の部分は第1のゾーン内に形成され、最初の部分は、最初の部分が第1のゾーン及び第2のゾーン内に占めた横方向及び横断方向の同じ位置に維持される。実際、付加製造とクリーンアップ(例えば、未使用又は未結合の粒状材料の分離及び/又は再生)とは、部品コンベア上の異なる位置又はゾーンで並行して(すなわち、同時に)実施され得、粒状材料及び/又は部品を除去のために停止する必要がない。
【0055】
別の実施形態では、付加製造能力は、筐体の内部と筐体の外部との間のガス状物質の交換を制限する筐体の使用によって向上させ得る。エアロックは、内部と外部の間のインターフェースを提供し、内部は、粉末床融合をサポートするチャンバを含む複数の付加製造チャンバを有する。ガス管理システムは、内部のガス状酸素を限界酸素濃度以下に維持し、システムで使用され得る粉末のタイプと処理との柔軟性を高める。
【0056】
別の製造の実施形態では、筐体内に物品処理ユニット又はビルドチャンバを有することによって能力を向上させ得、ビルドチャンバは、2,000キログラム以上の重量を有する部品を創出できる。ガス管理システムは、筐体内のガス状酸素を大気レベル未満の濃度に維持し得る。幾つかの実施形態では、エアロックは筐体内の気体環境と筐体外の気体環境との間を緩衝するように動作するため、車両は筐体の内側からエアロックを通って、筐体及びエアロックの両方の外側の位置に部品を輸送し得る。
【0057】
他の製造の実施形態は、粉末床からリアルタイムで粉末サンプルを収集することを伴う。インジェスタシステムは、粉末サンプルの工程内収集と特性評価に使用される。収集は定期的に実施され得、特性評価の結果は、粉末床融合プロセスに対する調整をもたらす。インジェスタシステムは、随意に、監査、プロセス調整、又はプリンタパラメータの修正若しくは認可された粉末材料の適切な使用の確認等のアクションの内の1つ以上に使用され得る。
【0058】
付加製造プロセスの更に別の改善は、人間にとって移動が困難又は不可能であろう部品の操作を可能にするクレーン、リフティングガントリ、ロボットアーム、又は同様のもの等のマニピュレータデバイスの使用によって提供され得ることが説明される。マニピュレータデバイスは、部品の位置変更又は操縦を可能するように、部品上の様々な恒久的又は一時的な付加製造操作点を把持し得る。
【0059】
制御プロセッサ350は、レーザ、レーザアンプ、光学系、熱制御装置、ビルドチャンバ、及びマニピュレータデバイスを含む、本明細書に説明する付加製造システム300の任意のコンポーネントを制御するために接続され得る。制御プロセッサ350は、動作を調整するために、様々なセンサ、アクチュエータ、加熱又は冷却システム、モニタ、及びコントローラに接続され得る。イメージャ、光強度モニタ、熱センサ、圧力センサ、ガスセンサを含む幅広いセンサは、制御又は監視に使用される情報を提供するために使用され得る。制御プロセッサは単一の中央コントローラであり得、或いは、1つ以上の独立した制御システムを含み得る。コントローラプロセッサ350には、製造命令の入力を可能にするためのインターフェースが設けられる。幅広いセンサの使用により、品質、製造スループット、エネルギ効率を向上させる様々なフィードバック制御メカニズムが可能になる。
【0060】
付加製造又は減法製造に適した製造システムの動作の一実施形態が
図4に説明されている。この実施形態では、フローチャート400は、説明する光学コンポーネント及び機械コンポーネントによってサポートされる製造プロセスの一実施形態を説明する。ステップ402において、材料が床、チャンバ、又はその他の適切な支持体に位置決めされる。材料は、減法製造技術を使用したレーザ切断用の金属プレート、又は所望の特性を有する構造体を形成するために付加製造技術によって溶融され、融合され、焼結され、結晶構造に変化を誘発し、応力パターンに影響を与え、又はその他の方法で化学的又は物理的に修正し得る粉末であり得る。
【0061】
ステップ404において、パターン化されていないレーザエネルギが、固体レーザ又は半導体レーザを含むがこれらに限定されない1つ以上のエネルギエミッタによって放射され、次いで、1つ以上のレーザアンプによって増幅される。ステップ406において、パターン化されていないレーザエネルギは整形及び修正される(例えば、強度変調又は集束される)。ステップ408において、このパターン化されていないレーザエネルギはパターン化され、エネルギは、ステップ410において処理されるパターンの一部を形成しない(これは、パターン化された又はパターン化されていないエネルギとしてリサイクルする廃熱、又はステップ404においてレーザアンプを冷却することによって生成された廃熱への変換を提供する、
図1A~
図1F、
図2、及び
図3に関して開示したようなビームダンプの使用を含み得る)。ステップ412において、一次元又は二次元の画像をここで形成しているパターン化されたエネルギが材料に向けて中継される。ステップ414において、画像が材料に印可され、3D構造体の一部分を減法的に処理し、又は付加的に構築する。付加製造の場合、材料の最上層の全ての必要な領域に画像(又は別の後続の画像)が印可されるまで、これらのステップは繰り返えされ得る(ループ416)。材料の最上層へのエネルギの印可が終了した場合、3D構造体の構築を続けるために新たな層が印可され得る(ループ418)。これらのプロセスのループは、3D構造体が完成するまで継続され、完成すると、残りの余分な材料は除去又はリサイクルされ得る。
【0062】
図5は、パターン化された二次元エネルギの再利用を可能にするスイッチヤードシステムを含む付加製造システムの一実施形態である。付加製造システム520は、1つ以上の連続的又は断続的なレーザビームをビーム整形光学系514に向けるレーザ及びアンプ源512を備えたエネルギパターニングシステムを有する。余分な熱は、
図1A~
図1F、
図2、
図3、及び
図4に関して開示したようなビームダンプを含み得る廃棄エネルギ処理ユニット522に伝達され得る。整形後、ビームはエネルギパターニングユニット530によって二次元にパターン化され、一般的に、幾らかのエネルギは廃棄エネルギ処理ユニット522に向けられる。パターン化されたエネルギは、通常、可動の又は固定の高さの床の近くに焦点を合わせた二次元画像として、複数の画像リレー532の内の1つによって1つ以上の物品処理ユニット534A、534B、534C、又は534Dに向けて中継される。床は、粉末ホッパー又は同様の材料ディスペンサを含むカートリッジ内にある。画像リレー532によって向けられたパターン化されたレーザビームは、所望の特性を有する構造体を形成するために、吐出された材料を溶融し得、融合し得、焼結し得、結合し得、結晶構造を変化させ得、応力パターンに影響を与え得、又はその他の方法で化学的又は物理的に修正し得る。
【0063】
この実施形態では、廃棄エネルギ処理ユニットは、廃棄されたパターン化されたエネルギの再利用を可能にするための複数のコンポーネントを有する。レーザアンプ及び源512からの冷却流体は、発電機524、加熱/冷却熱管理システム525、又はエネルギダンプ526の内の1つ以上に向けられ得る。また、リレー528A、528B、及び52Cは、発電機524、加熱/冷却熱管理システム525、又はエネルギダンプ526にエネルギを夫々伝達し得る。随意に、リレー528Cは、更なる処理のために、パターン化されたエネルギを画像リレー532に向け得る。他の実施形態では、パターン化されたエネルギは、レーザ及びアンプ源512によって提供されるレーザビームへの挿入のために、リレー528Cによってリレー528B及び528Aに向けられ得る。パターン化された画像の再利用も、画像リレー532を使用して可能である。画像は、1つ以上の物品処理ユニット534A~Dに分配するために、方向転換され得、反転され得、ミラーリングされ得、サブパターン化され得、又はその他の方法で変換され得る。有利なことに、パターン化された光の再利用は、付加製造プロセスのエネルギ効率を向上させ得、幾つかの場合、床に向けられるエネルギ強度を向上させ得、又は製造時間を短縮し得る。
【0064】
前述の説明及び関連する図面に提示された教示の恩恵を受ける当業者であれば、発明の多くの修正物及びその他の実施形態が思い浮かぶであろう。それ故、発明は開示した具体的な実施形態に限定されるものではないこと、並びに修正物及び実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。本発明のその他の実施形態は、本明細書に特に開示されていない要素/ステップがなくても実践され得ることも理解される。
【国際調査報告】