(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】1つの工程で迅速に製造することができるアルキレンオキシド触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 27/055 20060101AFI20240718BHJP
C07D 301/10 20060101ALI20240718BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
B01J27/055 M
C07D301/10
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576344
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022031025
(87)【国際公開番号】W WO2023287500
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】スモル、カリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ノイエン、ヤスペル
(72)【発明者】
【氏名】パズミノ、ジョージ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】サントス カストロ、ベラ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】マクアドン、マーク エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】リュー、アニー
【テーマコード(参考)】
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA14
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BB10A
4G169BB10B
4G169BC02A
4G169BC02B
4G169BC03A
4G169BC04A
4G169BC04B
4G169BC06A
4G169BC06B
4G169BC32A
4G169BC32B
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC64A
4G169BC64B
4G169CB08
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EA06
4G169EB06
4G169EB18Y
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC07Y
4G169EC21Y
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FC07
4G169FC08
4H039CA63
4H039CF10
4H039CH40
(57)【要約】
酸素又は酸素含有ガスを用いるアルキレンの直接酸化による、エチレンオキシドなどのオレフィンオキシドを生成するためのプロセスにおける担持銀触媒及びその使用であって、銀の充填量レベルが16~25%の範囲であるにもかかわらず、触媒が良好な触媒活性及び/又は効率を提供する、担持銀触媒及びその使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ含有担体上に調製された担持銀触媒であって、前記担体が、約80重量パーセント超のα-アルミナと、約30重量百万分率未満の酸浸出性アルカリ金属と、を含み、前記アルミナの重量パーセント及び前記酸浸出性アルカリ金属の濃度が、前記担体の重量に基づいて計算され、前記酸浸出性アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物から選択され、前記担体が、その上に堆積された、
(A)前記触媒の16~25重量パーセントの量の銀と、
(B)セシウム、ナトリウム、スルフェート、レニウム、及び任意選択的にリチウムを含む固体促進剤パッケージであって、これらの促進剤について、量が、触媒1キログラム当たりの促進剤のミリモルの単位で表され、前記触媒上に堆積した前記固体促進剤パッケージ中のこれらの促進剤の量が、
C
Cs/Qが、3.1~8.7mmol/kg触媒の範囲であり、
C
Na/Qが、0.5~7.5mmol/kg触媒の範囲であり、
C
S/Qが、0.3~3.2mmol/kg触媒の範囲であり、
C
Re/Qが、2.4~6.9mmol/kg触媒の範囲であり、
C
Li/Qが、0~35mmol/kg触媒の範囲であり、
F1/Qが、0.3~5.2mmol/kg触媒の範囲であり、
F2/Qが、-5.1~6.3mmol/kg触媒の範囲であるような量である、固体促進剤パッケージと、を有し、
式中、Qが、1グラム当たりの平方メートルを1グラム当たりの1平方メートルで除算した単位で表される、銀及び促進剤の堆積前の前記アルミナ含有担体の表面積に等しい無単位スケーリング係数であり、
式中、F1及びF2が、以下の式によって定義され、
F1=C
Cs+0.032・C
Li+0.47・C
Na-(0.72・C
S+0.94・C
Re)、
F2=C
Cs-0.24・C
Li-0.27・C
Na+0.3・C
S、
式中、C
Cs、C
Li、C
Na、C
S、及びC
Reが、触媒1kg当たりの促進剤のmmol単位で表される、前記担体上にそれぞれ堆積したセシウム、リチウム、ナトリウム、スルフェート、及びレニウムの量である、触媒。
【請求項2】
前記担体が、その上に堆積された前記触媒の20~300重量ppmの量のマンガンを更に有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記触媒上に堆積したセシウムの量が、C
Cs/Qが4.2~7.8mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記触媒上に堆積したリチウムの量が、C
Li/Qが6~30mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項5】
前記触媒上に堆積したナトリウムの量が、C
Na/Qが1.2~7.5mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒上に堆積したレニウムの量が、C
Re/Qが3.0~6.8mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項7】
前記触媒上に堆積した促進剤の量が、F1/Qが1.5~4.1mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項1~6のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項8】
前記触媒上に堆積した促進剤の量が、F1/Qが1.9~3.7mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項7に記載の触媒。
【請求項9】
前記触媒上に堆積した促進剤の量が、F2/Qが-2.5~3.5mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項1~8のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項10】
前記触媒上に堆積した促進剤の量が、F2/Qが-1.8~2.7mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
前記触媒上に堆積した前記固体促進剤パッケージ中の促進剤の量が、
C
Cs/Qが、4.7~7.3mmol/kg触媒の範囲であり、
C
Li/Qが、10~26mmol/kg触媒の範囲であり、
C
Na/Qが、2.5~7.5mmol/kg触媒の範囲であり、
C
Re/Qが、3.3~6.7mmol/kg触媒の範囲であり、F1/Qが、1.9~3.7mmol/kg触媒の範囲であり、F2/Qが、-1.8~2.7mmol/kg触媒の範囲であるような量である、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項12】
前記触媒が、480~550℃の範囲内の温度で実行される焼成工程を使用して調製される、請求項1~11のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項13】
前記焼成が、焙焼ベルト上で実行され、前記触媒が、480~550℃の範囲内の温度のホットゾーン内で、5分以下の持続時間にわたって存在する、請求項12に記載の触媒。
【請求項14】
前記アルミナ含有担体が、0.7~1.5m
2/gの範囲の表面積を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の触媒。
【請求項15】
エチレンオキシドの製造における請求項1~14のいずれか一項に記載の触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担持銀触媒、その製造、並びに酸素及びエチレンなどのオレフィンからの直接のアルキレンオキシド、特にエチレンオキシドの生成におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキレンオキシドは、多様な用途について知られている。例えば、エチレンオキシドは、ポリエステル繊維及び樹脂、非イオン性界面活性剤、グリコールエーテル、エタノールアミン、並びにポリエチレンポリエーテルポリオールを調製する際に使用されるエチレングリコールを生成するために使用される。プロピレンオキシドは、ポリウレタンポリマー用途において使用されるプロピレングリコール及びポリプロピレンポリエーテルポリオールを生成するために使用される。
【0003】
銀触媒の存在下での、エチレンと、酸素又は酸素含有ガスとの直接反応によるエチレンオキシドの製造は、古くかつよく開発された技術である。直接エチレン酸化の歴史の概要は、米国特許第4,916,243号に見出され得る。この特許は、より具体的には、アルミナマクロ多孔性支持体上に堆積した銀を含み、かつセシウムと、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びルビジウムからなる群から選択される少なくとも1種の他のアルカリ金属と、を更に含み、その結果セシウムと他のアルカリ金属との組み合わせが、酸化プロセスに対して相乗的促進効果を示す触媒を記載している。
【0004】
アルキレンオキシド製造のための担持銀触媒は、許容可能な活性、効率、及び安定性を有するべきである。触媒の「活性」は、多くの方法において定量化され得、1つは、反応器温度が実質的に一定に維持されている間に、反応器の出口ストリームに含有されるアルキレンオキシドの、入口ストリーム中のアルキレンオキシドに対するモルパーセント(入口ストリーム中のアルキレンオキシドのモルパーセントは、典型的にはゼロパーセントに近づくが、必ずしもそうではない)であり、もう1つは、所与のアルキレンオキシド生成速度を維持するのに必要な温度である。多くの場合、活性は、特定の一定温度で生成されるアルキレンオキシドのモルパーセントに関して、ある期間にわたって測定される。代替的に、活性は、特定の一定モルパーセントの、エチレンオキシドなどのアルキレンオキシドの生成を維持するのに必要な温度の関数として測定され得る。「選択性」と同義である酸化の「効率」とは、特定の生成物を形成する変換又は反応したオレフィンのモルパーセントで表した総量を指す。例えば、「アルキレンオキシドへの選択性」とは、アルキレンオキシドを形成する変換又は反応したオレフィンのモルパーセントを指す。触媒の可使時間の1つの尺度は、反応物が反応システムを通過し得る時間の長さであり、その時間の間に、全ての関連する因子を考慮して許容可能な生産性が得られる。「失活」とは、本明細書で使用される場合、活性及び/又は効率の永久的喪失、すなわち、回復され得ない活性及び/又は効率の減少を指す。一般に、失活は、より高い反応器温度が用いられる場合、より迅速に進行する傾向がある。触媒の「安定性」は、失活速度に反比例する。より低い失活速度が一般的に望ましい。
【0005】
近年、アルキレンオキシド触媒の活性、効率、及び安定性の改善が、好ましくは95重量パーセントを超える組成純度の高純度α-アルミナから調製された変性アルミナ担体の使用によって達成されている。例えば、国際公開第2005/023417(A1)号は、担体に水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を含浸させ、その後、担体を洗浄して、未結合又は過剰のアルカリを除去することによる、高純度予備形成α-アルミナ担体の変性を開示している。その後、変性担体には、銀及びセシウム、並びに任意選択的にレニウム、マンガン、及び/又は他のアルカリ金属などの追加の促進剤が含浸される。同様に、国際公開第2005/039757(A1)号は、ケイ酸ジルコニウム(ジルコン)を用いる高純度α-アルミナ担体の変性を開示しており、その後、ジルコン変性アルミナには、銀及び1つ以上の促進カチオン又はアニオンが含浸される。これらの変性プロセスから誘導される担体及び触媒は、典型的には、粘土などの結合剤を含有しない。結合剤は、望ましくない量の外来金属を導入する傾向があるので、結合剤の回避が望ましい。
【0006】
国際公開第2007/123932(A1)号などの他の参考文献は、反応器不調である場合に、より良好な性能のために変性された高効率触媒を記載している。
【0007】
これらの報告された触媒は、典型的には、銀の比較的高い充填量、典型的には30重量パーセント超、又は更には35重量パーセント超に依存する。このような高レベルの銀を達成するために、典型的には、製造プロセスは、複数の含浸工程を必要とし、触媒を生成するコストを増加させ、触媒製造プラントの年間生成能力を減少させる。更に、特に、より大型のエチレンオキシド生成プラントでは、必要とされる銀の総量は、特に銀の価格上昇を考慮すると、有意な資本需要であり得る。したがって、約25重量パーセント未満の銀含有量を有するエチレンオキシドの生成のための高効率銀触媒、特に銀堆積の単一工程を使用して調製され得る触媒を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、数百の促進剤組成を選択及びスクリーニングし、実験データに適合する回帰モデルを使用して、触媒活性及び触媒選択性の傾向を特定した。注意深く調整された量の特定のアルカリ及びオキシアニオン促進剤の使用を通して、このような触媒の活性又は選択性のいずれかを過度に犠牲にすることなく、より少ない量の銀が使用され得ることが見出された。約33重量パーセントの銀の含有量を有する触媒と比較して、約25重量パーセント未満の銀を有する本発明の触媒は、実際にはより高いレベルの促進剤を有する。線形スケーリングによる促進剤レベルの増加は、触媒活性を減少させる傾向があるので、これは驚くべき結果であった(米国特許第9649621(B2)号及び同第9908861(B2)号を参照)。25パーセント未満の銀を有する触媒の場合、銀の含有量を約33重量パーセントから25重量パーセント未満に減少させる際に予想される活性ペナルティを補償するために、促進剤レベルを減少させる必要があると予想された。したがって、一態様では、本発明は、アルミナ含有担体上に調製された担持銀触媒である。担体は、高純度アルミナ担体であり、約80重量パーセント超のα-アルミナと、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物から選択される約30重量百万分率未満の酸浸出性アルカリ金属と、を有し、アルミナの重量パーセント及び酸浸出性アルカリ金属の濃度は、担体の重量に基づいて計算される。この担体上に、(A)触媒の16~25重量パーセントの量の銀と、(B)セシウム、スルフェート、レニウム、ナトリウム、及び任意選択的にリチウムを含む固体促進剤パッケージと、が堆積する。好ましくは、20~300ppmの量のマンガンもまた、触媒上に堆積する。マンガン以外の促進剤の場合、充填量は、触媒1キログラム当たりの促進剤のミリモルの単位で表され、充填量は、Qの係数によってスケーリングされ、ここで、Qは、1グラム当たりの平方メートルを1グラム当たりの1平方メートルで除算した単位で、銀及び促進剤の堆積前のアルミナ含有担体の表面積に等しい無単位又は無次元スケーリング係数である。
【0009】
触媒上に堆積した固体促進剤パッケージ中の成分の量は、CCs/Qが、3.1~8.7mmol/kg触媒の範囲であり、CNa/Qが、0.5~7.5mmol/kg触媒の範囲であり、CS/Qが、0.3~3.2mmol/kg触媒の範囲であり、CRe/Qが、2.4~6.9mmol/kg触媒の範囲であり、CLi/Qが、0~35mmol/kg触媒の範囲であり、ここで、CCs、CLi、CNa、CS、及びCReは、触媒1kg当たりの促進剤のmmol単位で表される、担体上にそれぞれ堆積したセシウム、リチウム、ナトリウム、スルフェート、及びレニウムの量である。
【0010】
更に、これらの量は、F1/Qが、0.3~5.2mmol/kg触媒の範囲であり、F2/Qが、-5.1~6.3mmol/kg触媒の範囲であるようにバランスがとられ、ここで、F1及びF2は、以下の等式によって定義されるような促進剤堆積充填量の線形結合である。
F1=CCs+0.032・CLi+0.47・CNa-(0.72・CS+0.94・CRe)、 等式1
F2=CCs-0.24・CLi-0.27・CNa+0.3・CS。 等式2
【0011】
本発明の上述の触媒は、オレフィン及び酸素又は酸素含有ガスから直接アルキレンオキシドを製造するための連続プロセスにおいて有用性を示す。有利に、本発明の触媒は、より高いレベルの銀を有する以前に報告された触媒と比較して、匹敵するレベルの活性及び/又は効率を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】触媒11~45の選択性及び活性を示すグラフである。
【
図2】触媒46~57の選択性及び活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載される発明は、酸素又は酸素含有ガスを用いて、エチレンなどのアルキレン(オレフィン)を直接酸化して、エチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを形成する際に有用であり、25重量パーセント以下、好ましくは24重量パーセント以下、23重量パーセント以下、又は更には22重量パーセント以下の銀含有量を有する、新規な担持銀触媒を提供する。銀含有量が少なくとも16重量パーセント、好ましくは17重量パーセント、18重量パーセント、又は更には19重量パーセントの場合、エチレンオキシド生成に関して良好な結果が得られ得ることが見出された。より具体的には、本発明の担持銀触媒は、約30重量百万分率未満、好ましくは25重量百万分率未満の酸浸出性アルカリ金属を含むアルミナ担体を含み、アルカリ金属の濃度は、担体の重量に基づいて計算され、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0014】
担持銀触媒は、少なくとも約80パーセント以上、好ましくは少なくとも90パーセント、95パーセント、又は更には98パーセントのα-アルミナを含むアルミナ担体を含むことが好ましい。
【0015】
担体は、0.7m2/g、0.8m2/g、0.9m2/g、又は1.0m2/g以上の、担体1グラム当たりの表面積の平方メートルの単位で表される表面積を有することが好ましい。一般に、表面積が大きいほど良好であるが、いくつかの実施形態では、担体表面積は、1.5m2/g、又は1.4m2/g、又は1.3m2/g以下である。好適な担体は、国際公開第2005/039757号に記載されている手順などの、当該技術分野において既知の手順に従って作製され得る。
【0016】
この担体に、以下:(A)銀と、(B)セシウム、ナトリウム、スルフェート、レニウム、及び任意選択的にリチウムを含む追加の固体促進剤パッケージと、が堆積する。好ましくは、マンガンも促進剤として堆積する。
【0017】
促進剤の好ましいレベル(即ち、量)は、担体1グラム当たりの表面積の平方メートルの単位で表される担体の表面積に部分的に依存する。担体の表面積は、窒素BETによって測定され、細孔容積及びメジアン細孔直径は、例えば国際公開第2007/123932号に示されるように、当該技術分野において一般的に既知であるような、水銀圧入法によって測定される。
【0018】
マンガンの量は、存在する場合、触媒の20~300重量ppmの範囲であるべきである。好ましくは、マンガンは、少なくとも50、70、又は90ppmから、最大250、200、又は150ppmまでの量で存在する。
【0019】
セシウムは、触媒1kg当たり3.1、3.7、4.2、又は4.7mmolから、最大8.7、8.4、7.8、又は7.3mmolまでのCCs/Qの量で存在することが好ましく、ここで、Qは無単位/無次元であり、1グラム当たりの平方メートルを1グラム当たりの1平方メートルで除算した単位で表される、銀及び促進剤の堆積前のアルミナ含有担体の表面積に等しく、CCsは、触媒1kg当たりの促進剤のmmol単位で表される、担体上に堆積したセシウムの量である。
【0020】
堆積したナトリウムは、0.5、1.2、1.8、又は2.5mmol/kg触媒から、最大7.5、7.0、6.5、又は6.0mmol/kg触媒までのCNa/Qの量で存在することが好ましく、CNaは、触媒1kg当たりの促進剤のmmol単位で表される、担体上に堆積したナトリウムの量である。
【0021】
スルフェートは、0.3、0.5、又は0.7mmol/kg触媒から、最大3.2、2.7、又は2.2mmol/kg触媒までのCS/Qの量で存在することが好ましく、CSは、触媒1kg当たりの促進剤のmmol単位で表される、担体上に堆積したスルフェートの量である。
【0022】
レニウムは、2.4、2.8、又は3.3mmol/kg触媒から、最大6.9、6.4、又は6.0mmol/kg触媒までのCRe/Qの量で存在することが好ましく、CReは、触媒1kg当たりの促進剤のmmol単位で表される、担体上に堆積したレニウムの量である。
【0023】
任意選択的であるが、堆積したリチウムは、0、3、6、又は10mmol/kg触媒から、最大35、30、又は26mmol/kg触媒までのCLi/Qの量で存在することが好ましく、CLiは、触媒1kg当たりの促進剤のmmol単位で表される、担体上に堆積したリチウムの量である。
【0024】
様々な促進剤の上記の量は、担体上に堆積する量であり、例えば不純物としてアルミナ含有担体中に最初に存在し得る量を含まないことを理解されたい。
【0025】
当業者によって理解されるように、促進剤の上記の範囲は、一般に、以前に報告されものよりも高い。米国特許第9649621(B2)号及び同第9908861(B2)号などの刊行物が、アルカリ促進剤の量が多いと一般に触媒の活性が低下することを示唆しているので、これらの条件下で活性が維持されることは驚くべきことである。
【0026】
促進剤は、互いに対してバランスがとられていることが好ましい。F1/Qは、0.3、0.6、1.0、1.5、又は1.9mmol/kg触媒から、5.2、4.9、4.5、4.1、又は3.7mmol/kg触媒までの範囲であることが好ましく、F2/Qは、-5.1、-4.4、-3.6、-2.5、又は-1.8mmol/kg触媒から、6.3、5.6、4.7、3.5、又は2.7mmol/kg触媒までの範囲であることが好ましく、F1及びF2は、それぞれ等式1及び2で定義される。
【0027】
促進剤は、任意の便宜的な形態、例えば水酸化セシウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、硫酸アンモニウム、過レニウム酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、及び硝酸マンガンで添加され得る。銀含浸溶液に添加する前に、マンガン促進剤(存在する場合)をエチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid、EDTA)と予備混合することが望ましい場合がある。
【0028】
別の態様では、本発明は、アルキレンオキシドを生成するための連続プロセスであって、気相中でアルキレン、好ましくはエチレンを、担持銀触媒の存在下で、酸素又は酸素含有ガスと接触させることを含み、触媒が本明細書で先に特定された組成のいずれかを含み、接触がアルキレンオキシドを生成するのに十分なプロセス条件下で実施される、プロセスを提供する。
【0029】
本発明のプロセスにおいて用いられるアルキレン(オレフィン)は、好ましくは以下の構造式Iであることを特徴とする。
【0030】
【化1】
式中、R
1及びR
2は、各々独立して、水素及び低級一価アルキルラジカル、好ましくはC
1~6アルキルラジカル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、及び最大6個の炭素原子の高級同族体から選択される。好ましくは、R
1及びR
2は、各々独立して、水素、メチル、及びエチルから選択される。より好ましくは、各R
1及びR
2は、水素であり、好ましいオレフィンは、エチレンである。本発明のプロセスにおいて生成される対応するアルキレンオキシドは、好ましくは、以下の構造式IIであることを特徴とする。
【0031】
【化2】
式中、R
1及びR
2は、反応物オレフィンに関連して本明細書で先に特定されている。最も好ましくは、アルキレンオキシドは、エチレンオキシドである。
【0032】
先行技術から既知であるように、酸素は、純粋な分子酸素として、又は代替的に酸素含有ガスとして、プロセスに供給され得、ここで、ガスは、酸化プロセスに関して本質的に不活性である1つ以上のガス状成分、例えば、窒素、ヘリウム、メタン、及びアルゴンなどのガス状希釈剤を更に含有する。好適な酸素含有ガスは、例えば、空気である。追加的に、酸素含有ガスは、本明細書で以下に考察されるように、水、二酸化炭素、及び様々なガス状促進剤及び/又はガス状副生成物抑制剤を含むガス状成分のうちの1つ以上を含有し得る。
【0033】
供給ガス中のアルキレンと酸素との相対体積比は、このような既知の従来の値のいずれかに従う範囲であり得る。典型的には、供給物中のアルキレンと酸素との体積比は、当該技術分野において周知のように、燃焼限界の対象であり、約2/1~約10/1で変化し得る。同様に、不活性ガス、希釈剤、又は他のガス状成分、例えば水、二酸化炭素、ガス状促進剤、及びガス状副生成物抑制剤の量は、当該技術分野で見出される既知の従来の範囲に従って変化し得る。
【0034】
本発明を実行する際に用いられる触媒担体は、高純度アルミナ、具体的には、約80重量パーセントを超える、好ましくは約90重量パーセントを超える、より好ましくは約95重量パーセントを超える、最も好ましくは約98重量パーセントを超えるアルミナを組成的に含む高純度アルミナを含有する、変性又は非変性の既知のアルミナ担体のいずれかから選択され得る。組成バランスは、典型的には、ケイ酸ジルコニウム(ジルコン)、他の耐火性シリケート、シリカ、又は他の金属酸化物のうちのいずれかを含む。相組成に関して、アルミナは、好ましくはα相アルミナ(α-アルミナ)を、より好ましくは約99パーセントを超えるα相アルミナ(α-アルミナ)を含む。必要条件として、高純度アルミナ担体は、約30重量ppm未満、好ましくは約25重量ppm未満、より好ましくは約20重量ppm未満の酸浸出性アルカリ金属を含有すべきであり、アルカリ金属の濃度は、担体の重量に基づいて計算され、アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、高純度アルミナ担体は、約30重量ppm未満、より好ましくは約25重量ppm未満の酸浸出性ナトリウムを含有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、アルミナ担体はまた、ケイ酸ジルコニウム(ジルコン)を、より好ましくは担体の重量に基づいて計算して最大約4、3、又は2重量パーセントの任意の量で含有する。
【0036】
高純度アルミナ担体の組成部分を形成する低レベルのアルカリ金属(Li、Na、K)が、担体中に組み込まれる方法には、アルカリが存在するとしても制限はない。典型的には、これらのアルカリ金属は、例えば、原材料の1つ以上における不純物として、又は焼成環境における汚染物質として、その合成中に担体中に導入される、しかしながら、これらのアルカリ金属のこのようなレベルを達成する他の方法も可能であり得る。重要なことは、本発明の触媒が、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びこれらの混合物から選択される酸浸出性アルカリ金属を約30ppm未満有する予備形成高純度アルミナ担体から出発して調製されることである。その後、予備形成高純度アルミナ担体は、処理されて、銀と、セシウム、ナトリウム、スルフェート、レニウム、並びに任意選択的にリチウム及び/又はマンガンを含む固体促進剤パッケージとを意図的に堆積させる、すなわち、それに添加する。
【0037】
本発明による高純度アルミナとして用いられ得る材料の代表的な例としては、Sud Chemie,Inc.,Louisville,Ky.,and Saint-Gobain NorPro Corp.,Akron,OHによって製造されているような担体が挙げられる。他の供給業者からも入手可能である。
【0038】
高純度アルミナ担体に好適な形状としては、固定床反応器における使用に好適なサイズの、ピル、チャンク、タブレット、ピース、ペレット、リング、球体、ワゴンホイール、星形の内側及び/又は外側表面を有するトロイドなどを含む、このような担体又は支持体に関して既知である幅広い種類の形状のいずれかが挙げられる。従来の市販の固定床エチレンオキシド反応器は、典型的には、外径約1~3インチ(2.5~7.5cm)、長さ約15~45フィート(4.5~13.5m)の触媒が充填された複数の平行な細長い管(好適なシェル)の形態である。このような固定床反応器では、例えば、約0.1インチ(0.25cm)~約0.8インチ(2cm)の直径を有する球体、ペレット、リング、タブレットなどの丸い形状に形成された担体を用いることが望ましい。
【0039】
本発明のアルキレンオキシド触媒における使用に好適なアルミナ担体を調製する多くの周知の方法が存在する。このような方法のいくつかは、例えば、国際公開第2005/039757(A1)号、並びに米国特許第4,994,587号、同第4,994,588号、及び同第5,504,053号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。好ましくは、所望の特性(例えば、所望の形態、表面積、細孔容積、及び/又は細孔径分布)を有する少なくとも90パーセント純度のアルミナ支持体は、原材料を調合(混合)し、押出し、乾燥、及び高温焼成することによって調製され得る。この場合、原材料は、通常、異なる特性を有する1つ以上のα-アルミナ粉末と、任意選択的に物理的強度を提供するために添加され得る材料と、任意選択的に焼成による除去後に所望の多孔性を提供するために使用されるバーンアウト材料(通常、有機化合物)と、を含むが、但し、結合剤及びバーンアウト材料は、約30重量ppm未満の必要な上限を超える量のアルカリ金属(Li、Na、K)を担体に添加しない。最終担体中の不純物のレベルは、使用される原材料の純度、及び焼成工程中のそれらの揮発度によってほぼ判定される。一般的な不純物としては、シリカ、アルカリ金属酸化物、及び/又はアルカリ土類金属酸化物、並びに微量の金属及び/又は非金属含有添加剤が挙げられる。
【0040】
好適な特性を有する高純度α-アルミナを調製するための別の既知の方法は、ケイ酸ジルコニウムを、ベーマイトアルミナ(AlOOH)及び/又はγ-アルミナと混合することと、ベーマイトアルミナ及び/又はγ-アルミナを、ハロゲン化物アニオン(好ましくは、フッ化物アニオン)を含有する酸性混合物中で解膠させて、ハロゲン化アルミナを提供することと、解膠したハロゲン化アルミナを形成して(例えば、押出し又はプレスによって)、形成された解膠ハロゲン化アルミナを提供することと、形成された解膠ハロゲン化アルミナを乾燥させて、乾燥した形成アルミナを提供することと、乾燥した形成アルミナを焼成して、α-アルミナ担体のピルを提供することと、を含む。本項において記載されているように調製されたα-アルミナ担体が使用される場合、ハロゲン化物アニオンを含有する酸性混合物で解膠されたアルミナは、銀又は促進金属の堆積前に焼成されることが重要であり、それは、ハロゲン化物が、本明細書で以下に記載されるように、α-アルミナの所望の小板を形成するために必要であるからである。
【0041】
本発明に使用するための高純度α-アルミナ担体は、好ましくは少なくとも約0.5m2/g、より好ましくは少なくとも約0.7m2/gの比表面積を有する。表面積は、典型的には、約10m2/g以下であり、多くの場合、約5m2/g、2m2/g、又は更には1.5m2/g以下である。高純度アルミナ担体は、好ましくは少なくとも約0.5cm3/g、より好ましくは約0.5cm3/g~約2.0cm3/gの細孔容積、及び約1~約50ミクロンのメジアン細孔直径を有する。好ましくは、高純度アルミナは、約12ポンドを超える破砕強度を有する。高純度α-アルミナは、好ましくは、その各々が、六角形プレートの形状に近似するラメラ又は小板形態を有する少なくとも1つの実質的に平坦な主表面を有し(いくつかの粒子は、2つ以上の平坦表面を有し)、その少なくとも50パーセント(数で)が、約50ミクロン未満の主寸法を有する粒子を含む。
【0042】
アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを生成するための本発明の触媒は、当該技術分野において周知のように、担体に1つ以上の銀化合物の溶液を含浸させることによって、上述の高純度α-アルミナを用いて調製され得る。固体促進剤パッケージは、銀含浸と同時に、又は銀含浸の前に、又は銀含浸の後に含浸され得る。銀及び促進剤の含浸は同時に実行されることが好ましい。
【0043】
この技術分野は、「促進剤」、すなわち、触媒銀と組み合わせて存在する場合、触媒性能の1つ以上の態様に利益をもたらすか、さもなければ、所望のアルキレンオキシド生成物、好ましくはエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを作製する触媒の能力を促進するように作用する材料の概念を開示する。このような促進剤自体は、一般に触媒物質とはみなされないが、触媒中のこのような促進剤の存在は、触媒性能に1つ以上の有益な効果を与えることが示されており、例えば、所望の生成物の生成の速度又は量を向上させ(例えば、活性及び/又は効率を向上させることによって)、好適な反応速度を達成するために必要な温度を低減させ、かつ/又は望ましくない副生成物反応の速度又は量を低減させる。競合反応は、反応器内で同時に起こり、プロセス全体の有効性を判定する際の重要な因子は、これらの競合反応の制御の尺度である。所望の反応の促進剤と称される材料は、別の反応、例えば、燃焼反応の抑制剤であり得る。重要なことは、反応全体に対する促進剤の効果が、所望の生成物、この場合アルキレンオキシド、より好ましくはエチレンオキシドの効率的な生成に有利であることである。
【0044】
様々な促進剤成分の濃度が、注意深く制御される場合、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシドを生成するための触媒の使用は、触媒上に堆積した銀の量がより少ないにもかかわらず、所望の活性及び選択性レベルをもたらし得ることが見出された。上記のような、固体促進剤パッケージの成分(セシウム、ナトリウム、スルフェート、レニウム、並びに任意選択的にリチウム及び/又はマンガン)の濃度は、促進量で提供される。この文脈において、「促進量」という用語は、同じ量の同じ成分を含有するが、当該促進成分を含まない比較触媒又は基準触媒と比較した場合、及び同じ(制御された)プロセス条件下で比較した場合、その触媒の触媒特性のうちの1つ以上において改善を提供する促進剤の量を意味する。触媒特性の例としては、とりわけ、弾力性、操作性(暴走に対する耐性)、活性、変換(例えば、アルケンの変換)、効率(選択性)、安定性、及び収率が挙げられる。好ましくは、促進剤は、「相乗的組み合わせ」で提供される。「相乗的組み合わせ」という用語は、固体促進剤パッケージの個々の成分から調製されたそれぞれの触媒から同様の操作条件下で得られる値よりも大きい効率を達成することができる適切な量の促進剤の選択を指す。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,913,243号は、セシウムと、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びルビジウムからなる群から選択される少なくとも1つの他のアルカリ金属との相乗的組み合わせを含有する銀担持触媒を教示している。このような特許は、セシウムと他のアルカリ金属との相乗的組み合わせを特定するのに有用であり得る効率等式を記載しているが、当該効率等式は、相乗的組み合わせを特徴付ける唯一の方法ではなく、ただ1つの方法を表すにすぎない。
【0045】
銀の量、及びアルミナ担体上に堆積した固体促進剤パッケージの個々の成分を分析するために、周知の方法が用いられ得る。当業者は、例えば、物質収支を用いて、これらの堆積成分のいずれかの量を判定し得る。一例として、銀及びアルカリ金属含有化合物の堆積の前後にアルミナ担体が秤量される場合、2つの重量の差異は、担体上に堆積した銀及びアルカリ金属含有化合物の量に等しくなり、そこから堆積したアルカリ金属の量が計算され得る。追加的に、堆積した銀及びアルカリ金属含有化合物の量は、含浸溶液中の銀及びアルカリ金属含有化合物の濃度と含浸溶液から採取された重量との比に基づいて計算され得る。代替的に、誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma、ICP)又は蛍光X線(X-ray fluorescence、XRF)分光法などの元素組成を判定するための任意の好適な分析技術が用いられて、堆積成分の量を判定し得る。一例として、アルミナ担体は、担体中に存在するセシウムの量を判定するために、XRFによって分析することができる。セシウム含有化合物を用いて含浸した後、含浸担体は、担体中に存在し、かつ担体上に堆積されているセシウムの総量を判定するために、再びXRFによって分析され得る。測定値における差異は、担体上に堆積したセシウムの量を反映する。
【0046】
本明細で先に記載された固体促進剤パッケージに加えて、必要に応じて、ガス状促進剤が本発明の触媒とともに用いられ得る。ガス状促進剤は、エチレン及び酸素などの気相反応物を用いる、アルキレンオキシド(好ましくは、エチレンオキシド)の生成のための反応器に導入される気相化合物及び/又はこれらの混合物である。このような促進剤は、変性剤、抑制剤、又は向上剤とも称され、固体促進剤と併せて作用して、又は固体促進剤に加えて、所与の触媒の性能を更に向上させる。当該技術分野において周知であるように、1つ以上の塩素含有成分が、典型的にはガス状促進剤として用いられる。同様の効果を得るために、他のハロゲン化物含有成分も使用され得る。
【0047】
固体促進剤パッケージは、一般に、その使用前に化学化合物として触媒に添加される。本明細書で使用される場合、「化合物」という用語は、イオン結合及び/又は共有結合及び/又は配位結合などの表面結合及び/又は化学結合による、特定の元素と1つ以上の異なる元素との組み合わせを指す。「イオン性」又は「イオン」という用語は、帯電した化学部分を指し、「カチオン性」又は「カチオン」は正であり、「アニオン性」又は「アニオン」は負である。「オキシアニオン性」又は「オキシアニオン」という用語は、別の元素と組み合わせて少なくとも1つの酸素原子を含有する負の電荷をもつ部分を指す。したがって、オキシアニオンは、酸素含有アニオンである。イオンは、真空中では存在しないが、化合物として触媒に添加される場合、電荷平衡対イオンとの組み合わせで見出されることが理解される。一旦触媒中に入ると、促進剤の形態は、必ずしも知られているわけではなく、促進剤は、触媒の調製中に添加される対イオンなしで存在し得る。例えば、水酸化セシウムを用いて作製された触媒は、最終触媒中にセシウムを含有するが、水酸化物を含有しないと分析され得る。同様に、アルカリ金属酸化物、例えば酸化セシウムなどの化合物は、イオン性ではないが、触媒調製中又は使用中にイオン性化合物に変換され得る。理解を容易にするために、固体促進剤は、調製された触媒中及び/又は反応条件下でのそれらの形態にかかわらず、カチオン及びアニオンに関して言及される。
【0048】
一般に、担体には、触媒量の銀が含浸され、触媒量の銀とは、酸素又は酸素含有ガスを用いる、アルキレンの、対応するアルキレンオキシドへの直接酸化に触媒作用を及ぼし得る任意の量の銀である。このような触媒の作製において、担体は、典型的には、触媒の重量に基づいて、約16重量パーセントから約25重量パーセント以下の所望の範囲で、銀が担体に担持されるのに十分な1つ以上の銀化合物溶液で(1回以上)含浸される。最も好ましくは、担体は、所望の銀含有量を得るために、銀化合物を含む溶液で1回含浸される。
【0049】
担体を含浸するために使用される銀溶液は、好ましくは、当該技術分野で開示されている銀溶液などの溶媒又は錯化剤/可溶化剤中の銀化合物からなる。用いられる特定の銀成分は、例えば、銀錯体、硝酸銀、酸化銀、又はカルボン酸銀、例えば酢酸銀、シュウ酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、乳酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、及び高級脂肪酸塩の中から選択され得る。アミンと錯化された酸化銀は、本発明に使用するための銀の別の好ましい形態である。
【0050】
含浸媒体中で銀を所望の濃度に可溶化するために、幅広い種類の溶媒又は錯化/可溶化剤が用いられ得る。この目的に好適であるとして開示されているものの中に、乳酸、アンモニア;アルコール、例えばエチレングリコール、並びにアミン及びアミンの水性混合物が存在する。
【0051】
例えば、有利に、得られる含浸溶液が、約26%の酸化銀、18%のシュウ酸二水和物、17%のエチレンジアミン、6%のモノエタノールアミン、及び31%の水を含むように、酸化銀(Ag2O)は、シュウ酸及びエチレンジアミンの溶液中で溶解し得る。
【0052】
このような溶液の約0.7cm3/gの多孔性の担体上での真空含浸によって、典型的には、触媒の総重量に基づいて約20重量%の銀を含有する触媒がもたらされる。以前には、約25又は30パーセント、及びそれ以上を超える銀充填量を有する触媒を得ることが望まれていた場合、所望の量の銀が担体上に堆積するまで、促進剤を用いて、又は用いずに、担体に少なくとも2回以上の銀の順次含浸を供することが一般に必要であったが、本発明の担持触媒は、銀の含浸の単一工程を使用して生成され得る可能性があり、それによって、触媒を生成するためのプロセスが大幅に簡略化される。
【0053】
最終触媒中の銀粒子径は重要であるが、その範囲は、狭くない。好適な銀粒子径は、直径約10オングストローム~約10,000オングストロームの範囲であり得る。好ましい銀粒子径は、直径約100オングストローム超~約5,000オングストローム未満の範囲である。銀及び固体促進剤パッケージの様々な成分は、アルミナ担体上に比較的均一に分散されることが望ましい。
【0054】
銀触媒材料及び固体促進剤パッケージを堆積させるための好ましい手順は、(1)本発明による多孔性アルミナ担体に、溶媒又は可溶化剤、銀錯体及び固体促進剤パッケージを含む溶液を含浸させることと、(2)その後、含浸担体を処理して、銀塩を銀金属に変換し、担体の外部及び内部細孔表面上への銀及び促進剤の堆積をもたらすことと、を含む。銀及び促進剤の堆積は、一般に、担体を高温で加熱して、担体内の液体を蒸発させ、内部担体表面及び外部担体表面上に銀及び促進剤の堆積をもたらすことによって達成される。
【0055】
代替的に、金属成分を含有するエマルジョン又はスラリーから、銀及び固体促進剤パッケージの被覆が担体上に形成され得、続いて、本明細書で先に記載されたように担体を加熱し得る。しかしながら、担体の含浸は、被覆手順よりも銀をより効率的に利用するので、一般に銀堆積のための好ましい技術であり、後者は、一般に担体の内部表面上に実質的な銀堆積をもたらし得ない。加えて、被覆された触媒は、機械的な摩耗による銀の損失をより受けやすくなる。
【0056】
銀析出と同様に、固体促進剤パッケージの成分の可溶性塩は、1つ以上の溶媒及び/又は可溶化剤に溶解され得、好ましくは含浸によって担体上に堆積し得る。担体の表面に銀及び固体促進剤パッケージの成分を含浸又は堆積させる順序は様々であり得る。したがって、銀、セシウム、ナトリウム、スルフェート、レニウム、並びに任意選択的にリチウム及び/又はマンガンの含浸及び堆積は、同時又は順次行うことができ、例えば、セシウム及びナトリウムは、担体への銀堆積の前、間、又は後に堆積し得る。固体促進剤パッケージの個々の成分は、一緒に又は順次堆積し得る。例えば、銀が最初に堆積し得、続いてセシウム、リチウム(使用される場合)、スルフェート、及びレニウム(又はこれらの組み合わせ)が同時若しくは順次堆積し得るか、又は代替的に、セシウムが最初に堆積し得、続いて、銀及びリチウム(使用される場合)、スルフェート及びレニウムが同時若しくは順次堆積し得るか、又は代替的に、使用される場合、リチウムが最初に堆積し得、次いで、銀及びセシウム、スルフェート及びレニウムなどが同時若しくは順次堆積し得る。2回以上の含浸が用いられる場合、含浸担体は、担体への金属の堆積を確実にするために、典型的には、連続する各含浸の間に乾燥、又は焼成及び/若しくは焙焼される。
【0057】
その後、銀、並びにセシウム、ナトリウム、スルフェート、レニウム、並びに任意選択的にリチウム及び/又はマンガンを含む固体促進剤パッケージが含浸された担体は、空気中、約200℃~約600℃の範囲の温度及び大気圧で、約0.01~約12時間の範囲の時間にわたって焼成又は焙焼される。475℃~525℃の温度で5~20分間が一般に好ましい。代替的に、焼成は、2つ以上の異なる工程で実行され得、最初の工程は、一般により低い温度で実施される。
【0058】
レニウム成分は、様々な形態、例えば、金属として、共有結合化合物として、カチオンとして、又はアニオンとして提供され得る。効率及び/又は活性の向上を提供するレニウム種は、定かではなく、添加された成分であり得るか、又は触媒の調製中若しくは触媒としての使用中に生成された成分であり得る。レニウム化合物の例としては、ハロゲン化レニウム、オキシハロゲン化レニウム、レニウム酸塩、過レニウム酸塩、レニウムの酸化物、及びレニウムの酸などのレニウム塩が挙げられる。しかしながら、アルカリ金属過レニウム酸塩、過レニウム酸アンモニウム、アルカリ土類金属過レニウム酸塩、過レニウム酸銀、他の過レニウム酸塩、及び七酸化レニウムも、好適に利用され得るが、但し、アルカリ金属過レニウム酸塩の場合、担体上に堆積したこれらのカチオンの合計を評価する際に、その中のアルカリ金属(Cs及び/又はRb、並びにNa及び/又はK)の量が考慮される。七酸化レニウム、Re2O7は、水に溶解される場合、過レニウム酸、HReO4、又は過レニウム酸水素に加水分解する。したがって、この明細書の目的のために、七酸化レニウムは、過レニウム酸塩、すなわち、モノアニオン性ReO4であるとみなされ得る。
【0059】
本発明で用いられ得る別のクラスの好ましい促進剤及び触媒安定剤は、マンガン成分を含む。多くの場合、マンガン成分は、触媒の活性、効率、及び/又は安定性を向上させ得る。向上した活性、効率、及び/又は安定性を提供するマンガン種は、確かではなく、触媒調製中又は触媒としての使用中に添加される成分又は生成される成分であり得る。マンガン成分としては、酢酸マンガン、硫酸アンモニウムマンガン、クエン酸マンガン、ジチオン酸マンガン、シュウ酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、及びマンガン酸アニオン、例えば過マンガン酸アニオン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の含浸溶液中でマンガン成分を安定化させるために、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその好適な塩などのキレート化合物を添加する必要性があり得る。
【0060】
固体促進剤パッケージ及び任意選択的な気相促進剤によって提供される促進効果は、多くの変数、例えば、反応条件、触媒調製技術、支持体の表面積及び細孔構造、並びに表面化学特性、銀、並びに触媒中に存在する促進剤の濃度によって影響され得る。
【0061】
本発明は、任意の好適な反応器、例えば、固定床反応器、連続撹拌タンク反応器(continuous stirred tank reactor、CSTR)、及び流動床反応器内でのエポキシ化反応に応用可能であり、幅広い種類の反応器は、当業者に周知であり、本明細書で詳細に記載する必要はない。未反応原料を再利用すること、又はシングルパスシステムを用いること、又は連続反応を使用して反応器を直列配置で用いることによりエチレン変換を増加させることの望ましさも、当業者によって容易に判定することができる。選択される特定の操作モードは、通常、プロセスの経済性によって決定される。オレフィン(アルキレン)、好ましくはエチレンの、オレフィンオキシド、好ましくはエチレンオキシドへの変換は、例えば、アルキレン(例えばエチレン)及び酸素又は酸素含有ガスを含有する供給ストリームを、約200℃~約300℃の温度、及び所望の質量速度及び生産性に応じて約5気圧(506kPa)~約30気圧(3.0MPa)の範囲内で変動し得る圧力で、触媒含有反応器に連続的に導入することによって実行され得る。大規模反応器内の滞留時間は、一般に、約0.1秒~約5秒である。酸素は、空気などの酸素含有ストリームにおいて、又は市販の酸素として、又は酸素富化空気として、反応に供給され得る。得られたアルキレンオキシド、好ましくは、エチレンオキシドは、従来の方法を使用して反応生成物から分離及び回収される。
【0062】
アルキレンオキシドの生成の前に、当業者に一般的に既知であるように、触媒を活性化又は試運転することが一般的に望ましい。1つの好適な活性化プロトコルは、最適性能を迅速に達成するために、2~5日間、ほぼ最適な塩化エチル濃度で245℃で担持触媒を曝露することである。
【0063】
本明細書に開示される触媒は、当業者に周知であるように、広く変化するプロセス条件下で使用され得る。
【0064】
以下の実施例は、本発明を例解する目的で記載されるが、これらの実施例は、決して本発明を限定することを意図しない。当業者は、本発明の範囲内に入る実施例の様々な置換及び修正を認識するであろう。
【実施例】
【0065】
中空形状の形態を有し、約80重量パーセントを超えるα-アルミナと約30重量百万分率未満の酸浸出性アルカリ金属(特にリチウム、ナトリウム、及びカリウム)を有する一連の高純度α-アルミナ担体は、アルミナの重量パーセントと酸浸出性アルカリ金属の濃度が担体の重量で計算され、Saint-Gobain NorProから入手される。以下の表1は、担体A~Fの特性を示す。
【0066】
【0067】
銀化合物溶液
銀含浸溶液は、米国特許出願公開第2009/0177000(A1)号に記載されている手順に従って調製され、約27重量%の酸化銀、18重量%のシュウ酸二水和物、17重量%のエチレンジアミン、6重量%のモノエタノールアミン、及び31重量%の水を含有する。この予備調製された銀溶液に、個々の促進剤溶液が、最終触媒上に所望の促進剤組成を作成するように予備計算された量で添加される。
【0068】
促進剤溶液、真空含浸による合成
硝酸マンガン(Mn(NO3)2)、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム((NH4)2H2(EDTA))、水酸化セシウム(CsOH)、酢酸リチウム(LiOCOCH3)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)を、予備作製された溶液として使用する。マンガン及びEDTA溶液を、予備調製された銀溶液に添加する前に、予備混合する。CsOH溶液を、典型的には、使用前に脱イオン水で所望のセシウム濃度に希釈する。酢酸ナトリウム(NaOCOCH3)促進剤溶液を、塩を脱イオン水に溶解することによって作製する。過レニウム酸アンモニウム(NH4ReO4)促進剤溶液を、撹拌しながら40~50℃に穏やかに加熱される脱イオン水中に塩を溶解することによって調製する。
【0069】
真空含浸による触媒合成
実施例1~10の触媒を、真空含浸によって合成する。合成装置は、ストップコックを備えた第2の容器に接続されたテフロンストッパーによって上部を密封し得る下部真空容器からなる。合成は、未堆積のアルミナ含有担体ペレットを下部真空容器内に充填することによって開始する。次いで、下部容器を密封し、真空下に15分間配置する。排気後、所望の促進剤濃度を有する銀含浸溶液を上部容器に添加する。ストップコックを開いて、促進された銀溶液を真空下で担体に導入する。次いで、真空を解除し、担体を含浸溶液中に15分間浸漬したままにし、続いて更に15分間排水する。新たな含浸担体を、ステンレス鋼メッシュトレイ上に単層で配置し、エアオーブン内で、500℃で10分間焼成する。触媒を冷却し、秤量して、含浸後のAg充填量を推定する。
【0070】
初期湿潤含浸による触媒合成
実施例11~45の触媒を、初期湿潤含浸法によって合成する。促進されていない銀含浸ピル(担体Aを使用して、先に記載されたものと同様の真空含浸法を使用して調製した、21.5重量%の銀)を粉砕し、30~50メッシュに篩い分け、500mgのロットに分割し、合成管内に配置する。脱イオン水、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、過レニウム酸アンモニウム、及び硝酸マンガン四水和物を使用して、促進剤溶液を調製する。マンガン溶液を、エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩及びモノエタノールアミンで安定化させる。促進剤溶液を組み合わせ、次いで、銀含浸粉末に添加し、続いて混合して均一性を達成する。含浸後、試料を80℃で30分間乾燥させ、次いで、空気フロー下のボックスオーブン内で500℃で10分間焼成する。
【0071】
真空含浸によって合成された触媒の元素分析
銀、セシウム、スルフェート、レニウム、マンガンの場合、蛍光X線分光法(XRF)によって元素分析を実行した。リチウム及びナトリウムの場合、誘導結合プラズマ発光分光法(inductively coupled plasma optical emission spectrometry、ICP-OES)によって元素分析を実行した。
【0072】
試験プロトコル、連続撹拌タンク反応器
逆混合Bertyタイプオートクレーブ反応器(RotoBerty)内での触媒能試験のために、30cm3(約20g)の触媒を充填する。反応器を、窒素フロー下で245℃に加熱する。温度が220℃に到達するとすぐに、供給ガスを導入する。反応条件は、7.1標準立方フィート/時(scfh)の総フロー(201標準リットル/時)、約6800時-1のガス時間空間速度(GHSV)、275psigの総圧力(1900kPaゲージ)、及び30%のC2H4、0.7%のC2H6、8%のO2、1%のCO2、4~5ppmの塩化エチル(ethyl chloride、ECL)、残りは窒素であるガス入口濃度(堆積による)である。触媒は、以下の実施例において特に指定されない限り、これらの「試運転」条件で2~3日間動作する。触媒活性化後、温度を235℃に減少させ、入口塩化エチル濃度を低から高に変化させることによって、気相促進剤の最適化を実行する。Cl最適化もまた、28.3%のC2H4、6.4%のO2、及び1.5%のCO2での出口濃度制御を使用して実施され得る。各塩化エチル濃度で、性能を安定化させ、平均値を記録する。最適性能を、選択性が最大になる入口ECl濃度での選択性及び活性(ΔEO)として報告する。ΔEOは、出口エチレンオキシド濃度と入口エチレンオキシド濃度との間の差異であり、反応器全体のモル体積の変化について補正され、モルパーセントで測定される。それは、エチレンオキシドのモルパーセントでの反応器入口及び出口濃度(それぞれ、EO入口及びEO出口)から、次のように計算される:ΔEO%=SF×EO出口-EO入口。「SF」又は「収縮係数」という用語は、エチレンオキシドの生成に起因して起こる正味の体積低減を表す。生成されるエチレンオキシドのモル毎に、総ガスの0.5モルの正味の低減が存在し、体積フロー量における対応する低減をもたらす。SFは、典型的には、以下のように計算され(200+EO入口)÷(200+EO出口)、式中、EO入口及びEO出口は、それぞれ反応器入口及び出口ガス混合物中のエチレンオキシドのモルパーセントでの濃度である。
【0073】
試験プロトコル、プラグフロー反応器
高スループット評価のための触媒試験を、例えば米国特許第9,649,621号などに記載されている高圧反応器アセンブリモジュール(High Pressure Reactor Assembly Module、HPRAM)システムにおいて実施した。HPRAM反応器システムは、ガス供給システム、48個の反応器、2つの出口モジュール、及び3つの分析器(Siemens製MAXUM-IIガスクロマトグラフ(gas chromatograph、GC))を含む。48個の反応器のうち、7個は、ガス入口濃度を判定するために、ブランクのままにする。
【0074】
試験を、一定の触媒床容積(V触媒床=0.1498cm3)、一定のフロー(19.6標準立方センチメートル/分)、及び一定のガス毎時空間速度(GHSV=7850/時)で実行する。触媒を、不活性希釈剤を用いずに、粉末(30/50メッシュ)の形態で反応器に充填する。触媒を、以下に示される式を使用して、反応器管に質量で充填する。
充填質量(mg)=V触媒床・PD担体・100%/(100%-AGWT)
ここで、PD担体は、表1に列挙される担体の充填密度であり、AGWTは、重量%での触媒の銀含有量である。これらの試験に対する全ピル充填密度の使用は、より大規模な試験のモデルであることに留意されたい。触媒装填質量は、表6及び表8にそれぞれ報告される試験について、100.0mg及び93.8~100.3mgである。
【0075】
反応器に触媒を充填し、次いで不活性ガスフロー(ヘリウム又は窒素のいずれか)下で加熱し、続いて酸素を除く供給ガスを反応器に導入する。酸素を、システム内で可燃性混合物を構成するあらゆる機会を回避するために、最後に(典型的には2~3分後に)添加する。次いで、ガス圧及びガスフローを、試験期間中、10barg及び19.6標準立方センチメートル/分で一定に保持する。
【0076】
表6に報告される触媒試験(触媒11~45)を、以下のように実行する。2日間の活性化期間(245℃、28体積%の入口エチレン、4.8体積%の入口酸素、2.0体積%の入口二酸化炭素、4ppmvの入口塩化エチル、0.14体積%の入口エタン、11体積%の入口メタン、残りは不活性物質)の後、温度を235℃に下げ、ガス入口を、32体積%のエチレン、7.6体積%の酸素、1.5体積%の二酸化炭素、0.14体積%のエタン、11体積%のメタン、及び様々な量の塩化エチル促進剤に調節する。気相促進剤の最適化を、0.5~6.0ppmvの範囲の塩化エチルを用いて、低から高へのプラトー工程において実行する。
【0077】
表8に報告される触媒試験(触媒46~57)は、N=2~5個の反応器にわたる平均に関するものである。これらの試験を以下のように実行する。2日間の活性化期間(245℃、27体積%の入口エチレン、4.7体積%の入口酸素、1.7体積%の入口二酸化炭素、1.4ppmvの入口塩化エチル、0.12体積%の入口エタン、11体積%の入口メタン、残りは不活性物質)の後、ガス入口を、32体積%のエチレン、7.4体積%の酸素、1.3体積%の二酸化炭素、1.8体積%のエタン、0.7ppmwの塩化エチル、及び11体積%のメタンに調節する。5時間の操作(T=245℃及び1.8体積%のエタン)の後、温度を235℃に減少させ、エタン入口を0.12体積%に減少させる。次いで、気相促進剤の最適化を、0.96~3.84ppmvの範囲の塩化エチルを用いて、低から高へのプラトー工程において実行する。
【0078】
生成された触媒
触媒1
50gの担体Aを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒1」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
【0079】
200gの銀溶液(27.41%のAg)
0.1987gのMn(NO3)2溶液(0.1570gのMn/g溶液)
1.0963gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4030gのEDTA/g溶液)
2.4931gのCsOH溶液(0.1100gのCs/g溶液)
0.6179gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.3472gのNaOCOCH3溶液(0.0551gのNa/g溶液)
0.1238gの(NH4)2SO4溶液(0.2908gのSO4/g溶液)
9.4962gのNH4ReO4溶液(0.0320gのRe/g溶液)
【0080】
生成された触媒は、XRFによる測定で、19.2重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。表4は、分析された促進剤濃度に対する目標促進剤濃度の比較を示す。
【0081】
触媒2
50gの担体Bを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒2」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(27.41%のAg)
0.1912gのMn(NO3)2溶液(0.1570gのMn/g溶液)
1.0551gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4030gのEDTA/g溶液)
2.9531gのCsOH溶液(0.1100gのCs/g溶液)
0.7319gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.4551gのNaOCOCH3溶液(0.0498gのNa/g溶液)
0.1467gの(NH4)2SO4溶液(0.2908gのSO4/g溶液)
11.1440gのNH4ReO4溶液(0.0323gのRe/g溶液)
【0082】
生成された触媒は、重量的に判定される際、20重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。
【0083】
触媒3
50gの担体Cを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒3」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(26.8%のAg)
0.1883gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.0399gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.5583gのCsOH溶液(0.1090gのCs/g溶液)
0.6911gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.4214gのNaOCOCH3溶液(0.0491gのNa/g溶液)
0.0920gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
5.2368gのNH4ReO4溶液(0.0318gのRe/g溶液)
【0084】
生成された触媒は、重量的に判定される際、21重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。
【0085】
触媒4
50gの担体Cを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒4」に変換した。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(26.8%のAg)
0.1882gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.0397gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.8695gのCsOH溶液(0.1090gのCs/g溶液)
1.7325gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.2407gのNaOCOCH3溶液(0.0491gのNa/g溶液)
0.1002gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
5.2689gのNH4ReO4溶液(0.0316gのRe/g溶液)
【0086】
生成された触媒は、重量的に判定される際、20重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。
【0087】
触媒5
50gの担体Cを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒5」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(27.3%のAg)
0.1921gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.0607gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.9429gのCsOH溶液(0.1105gのCs/g溶液)
1.0626gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.3661gのNaOCOCH3溶液(0.0491gのNa/g溶液)
0.1018gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
6.9093gのNH4ReO4溶液(0.0316gのRe/g溶液)
【0088】
生成された触媒は、XRFによる測定で、19.7重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。表4は、分析された促進剤濃度に対する目標促進剤濃度の比較を示す。
【0089】
触媒6
50gの担体Dを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒6」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(27.37%のAg)
0.1926gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.0639gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.9487gのCsOH溶液(0.1105gのCs/g溶液)
1.3732gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.5383gのNaOCOCH3溶液(0.0500gのNa/g溶液)
0.1429gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
7.8562gのNH4ReO4溶液(0.0316gのRe/g溶液)
【0090】
生成された触媒は、XRFによる測定で、19.5重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。表4は、分析された促進剤濃度に対する目標促進剤濃度の比較を示す。
【0091】
触媒7
50gの担体Fを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒7」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(27.37%のAg)
0.2020gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.1154gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.8693gのCsOH溶液(0.1105gのCs/g溶液)
1.0528gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.2411gのNaOCOCH3溶液(0.0500gのNa/g溶液)
0.1014gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
5.3403gのNH4ReO4溶液(0.0316gのRe/g溶液)
【0092】
生成された触媒は、XRFによる測定で、16.5重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。表4は、分析された促進剤濃度に対する目標促進剤濃度の比較を示す。
【0093】
触媒8
50gの担体Eを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒8」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(27.3%のAg)
0.2017gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.1140gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.9760gのCsOH溶液(0.1105gのCs/g溶液)
1.1105gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.2579gのNaOCOCH3溶液(0.0491gのNa/g溶液)
0.1074gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
5.6454gのNH4ReO4溶液(0.0316gのRe/g溶液)
【0094】
生成された触媒は、XRFによる測定で、17.1重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。表4は、分析された促進剤濃度に対する目標促進剤濃度の比較を示す。
【0095】
触媒9
50gの担体Dを、焼成処理における変更を除いて、先に提示された真空含浸法に従って「触媒9」に変換する。含浸及び排出に続いて、湿潤ピルを、500℃で10分間焼成する前に、110℃で10分間、エアオーブン内で処理する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(27.37%のAg)
0.2022gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.1167gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.6208gのCsOH溶液(0.1105gのCs/g溶液)
0.7314gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.4388gのNaOCOCH3溶液(0.0500gのNa/g溶液)
0.0969gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
5.5549gのNH4ReO4溶液(0.0316gのRe/g溶液)
【0096】
生成された触媒は、XRFによる測定で、21.1重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表3に列挙する。表4は、分析された促進剤濃度に対する目標促進剤濃度の比較を示す。
【0097】
触媒10
50gの担体Dを、焼成処理における変更を除いて、先に提示された真空含浸法に従って「触媒10」に変換する。含浸及び排出に続いて、湿潤ピルを、500℃で10分間焼成する前に、90℃で90分間、エアオーブン内で処理する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
200gの銀溶液(27.37%のAg)
0.1901gのMn(NO3)2溶液(0.1560gのMn/g溶液)
1.0502gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(0.4001gのEDTA/g溶液)
1.5243gのCsOH溶液(0.1105gのCs/g溶液)
0.6878gのLiOCOCH3溶液(0.0255gのLi/g溶液)
0.4127gのNaOCOCH3溶液(0.0500gのNa/g溶液)
0.0911gの(NH4)2SO4溶液(0.2944gのSO4/g溶液)
5.2241gのNH4ReO4溶液(0.0316gのRe/g溶液)
【0098】
生成された触媒は、XRFによる測定で、22.4重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表2に列挙する。表3は、分析された促進剤濃度に対する目標促進剤濃度の比較を示す。
【0099】
【0100】
【0101】
表4は、触媒1~10について先に示されたCSTR試験プロトコルを使用した触媒性能を示す。10種の触媒は全て本発明のものであり、各々が88.4%以上の選択性及びΔEO=1.23体積%以上の活性を達成する。
【0102】
【0103】
触媒11~45を先に提示された初期湿潤法を使用して調製し、プラグフロー反応器の試験プロトコルに従って、触媒11~45の性能をHPRAM反応器内で評価した。目標促進剤濃度を表5に示す。性能結果を表6及び
図1に示す。
図1に示されるように、選択性は、本発明の触媒及び比較の触媒についてそれぞれ、87.1~91.6%及び84.3~86.4%の範囲である。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
触媒46
50.09gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒46」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.04gの銀溶液(25.69重量%のAg)
0.6013gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.8065gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.4623gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
2.2177gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4091gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.7992gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
5.8594gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、21.02重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0109】
触媒47
50.21gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒47」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.35gの銀溶液(27.62重量%のAg)
0.0000gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.0000gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.6822gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
2.5511gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4704gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.9195gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
6.7391gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、20.54重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0110】
触媒48
50.08gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒48」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.20gの銀溶液(25.69重量%のAg)
1.5226gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
2.0444gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.5497gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
2.3497gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4337gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.8471gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
6.2084gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、19.69重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0111】
触媒49
50.16gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒49」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.25gの銀溶液(25.69重量%のAg)
1.0960gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
1.4711gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.5730gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
2.3847gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4403gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.8597gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
6.3016gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、21.02重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0112】
触媒50
50.23gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒50」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.01gの銀溶液(25.69重量%のAg)
0.3035gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.4073gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.4903gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
2.2595gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4168gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)。
0.8144gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
5.9709gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、22.06重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0113】
触媒51
50.10gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒51」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.16gの銀溶液(25.69重量%のAg)
0.6126gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.8222gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.4901gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
0.0000gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4169gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.8144gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
5.9702gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、21.41重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0114】
触媒52
50.41gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒52」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.00gの銀溶液(25.69重量%のAg)
0.0000gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.0000gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.5414gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
0.0000gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4314gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.8422gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
6.1754gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、21.88重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0115】
触媒53
50.35gの担体Gを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒53」に変換する。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.18gの銀溶液(25.69重量%のAg)
0.6335gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.8507gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.5416gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
0.0000gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.6742gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
1.1044gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
6.1766gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、20.16重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0116】
触媒54
50.34gの担体Hを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒54」に変換する。この触媒の調製のために、触媒50に使用した銀含浸溶液を脱イオン水で希釈することによって、銀含浸溶液を調製した。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.10gの銀溶液(18.00重量%のAg)
0.3558gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.4771gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
0.8036gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
0.4207gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.1264gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.5409gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
1.9589gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、16.18重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0117】
触媒55
50.13gの担体Hを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒55」に変換する。この触媒の調製のために、触媒50に使用した銀含浸溶液を脱イオン水で希釈することによって、銀含浸溶液を調製した。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.10gの銀溶液(20.18重量%のAg)
0.3576gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.4798gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
0.8080gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
0.4228gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.1263gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.5438gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
1.9690gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、18.36重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0118】
触媒56
50.35gの担体Hを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒56」に変換する。この触媒の調製のために、触媒50に使用した銀含浸溶液を脱イオン水で希釈することによって、銀含浸溶液を調製した。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
164.90gの銀溶液(18.00重量%のAg)
0.5464gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.7333gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.4664gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
2.2263gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4117gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.8033gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
5.8757gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、15.79重量%(即ち、最も近い整数に四捨五入した場合、16重量%)のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【0119】
触媒57
50.22gの担体Hを、先に提示された真空含浸法に従って「触媒57」に変換する。この触媒の調製のために、触媒50に使用した銀含浸溶液を脱イオン水で希釈することによって、銀含浸溶液を調製した。以下の量を、含浸溶液の生成に使用する。
165.05gの銀溶液(20.18重量%のAg)
0.5712gのMn(NO3)2溶液(38.00mgのMn/g溶液)
0.7661gの(NH4)2H2(EDTA)溶液(401.0mgのEDTA/g溶液)
1.5326gのCsOH溶液(111.9mgのCs/g溶液)
2.3264gのLiOCOCH3溶液(12.00mgのLi/g溶液)
0.4297gのNaOCOCH3溶液(50.00mgのNa/g溶液)
0.8394gの(NH4)2SO4溶液(40.00mgのSO4/g溶液)
6.1408gのNH4ReO4溶液(32.20gのRe/g溶液)。生成された触媒は、重量的に判定される際、17.92重量%のAgを含む。全ての促進剤についての目標促進剤濃度を表7に列挙する。
【国際調査報告】