(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】生成物の水和反応の改善及び/又はその粒径の縮小のための装置並びにその装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/37 20060101AFI20240718BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240718BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240718BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240718BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240718BHJP
A61K 38/22 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240718BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20240718BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240718BHJP
C12M 1/42 20060101ALI20240718BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240718BHJP
A61P 7/04 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A61K38/37
A61K9/14
A61K9/19
A61K9/16
A61K38/16
A61K38/22
A61K47/26
A61K39/395 M
A61K31/7105
A61K31/711
C12M1/00 A
C12M1/42
C12N15/63 Z
A61P7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577152
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 GB2022051478
(87)【国際公開番号】W WO2022263796
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522376380
【氏名又は名称】セントアンドルーズ ファーマシューティカル テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー、ウィリアム ジョン
【テーマコード(参考)】
4B029
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB01
4B029BB15
4B029BB20
4B029DG10
4B029GA02
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA32
4C076BB13
4C076DD66
4C076FF70
4C076GG06
4C084BA03
4C084BA41
4C084DB01
4C084DC15
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA44
4C084MA66
4C084NA20
4C084ZA53
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA10
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA44
4C086MA66
4C086NA20
(57)【要約】
生成物若しくは試薬の水和反応を改善し、且つ/又はその粒径を縮小させるための方法及び装置が提供される。この方法は、生成物若しくは試薬の水和反応の増加及び/又は生成物若しくは試薬の粒径の縮小を可能にするのに十分な期間にわたり、パルス電磁界を生成物又は試薬に印加するステップを含む。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成物若しくは試薬の水和反応を改善し、且つ/又はその粒径を縮小させる方法であって、前記生成物若しくは試薬の前記水和反応の増加及び/又は前記生成物若しくは試薬の前記粒径の縮小を可能にするのに十分な期間にわたり、パルス電磁界を前記生成物又は試薬に印加するステップを含む方法。
【請求項2】
前記生成物又は試薬が前記パルス電磁界に暴露される前記期間は、所定の期間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の期間は、10~15分±5分である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成物又は試薬は、培地、細胞培地、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬のいずれか又は任意の組み合わせであり、粉状又は顆粒状生成物又は試薬であり、タンパク質生成物、モノクローナル抗体、ホルモン、融合タンパク質、タンパク質構築物であり、トラスツズマブ、ペンブロリズマブ、インフリキシマブ、ダキシボツリヌス毒素、免疫グロブリン、オマリズマブ、アバタセプト、セクキヌマブ、インターフェロンベータ1a、ボルテゾミブ、DNA、DNAプラスミド、第VIII因子であり、静脈製剤、生成物又は試薬、CARPA反応に関連することが知られているものであるか又はその一部を形成し、分散剤、ツイーン80、ポリソルベート80である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記生成物又は試薬は、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬であり、前記方法は、前記凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬を、それに水又は液体を添加することによって混合物を形成するために再構成するステップと、前記混合物に前記期間にわたって前記パルス電磁界を印加するステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス電磁界は、前記混合物中の前記生成物又は試薬の再構成の期間にわたって前記混合物に印加される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物を形成するための前記生成物又は試薬への前記水又は前記液体の前記添加は、前記パルス電磁界が前記水、液体及び/又は混合物に印加されている間に行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記パルス電磁界は、前記凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬への前記添加前に、再構成に使用される前記水又は前記液体に印加される、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記パルス電磁界を印加する前、前記パルス電磁界を印加する前記ステップ中及び/又は前記パルス電磁界を印加する前記ステップ後の任意の時点で前記生成物、試薬又は混合物を撹拌するステップを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス電磁界のパルスは、すべて同じ期間及び周波数のパルスを含むか若しくはそれからなり、且つ/又は異なる期間及び/若しくは異なる周波数の連続したパルスを含むか若しくはそれからなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記生成物、試薬又は混合物は、a)前記パルス電磁界が発生されるデバイスと一体であるか、又はb)その後、前記パルス電磁界が発生されるデバイスの上、その中若しくはそれに隣接して配置されるかのいずれかであり得る入れ物内に位置する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記パルス電磁界は、患者への点滴若しくは注射プロセス中及び/又は静脈バッグ若しくは静脈送達容器内への配置中若しくは配置前に前記生成物、試薬又は混合物に印加される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記パルス電磁界は、1つ又は複数の電子デバイス、電子装置及び/又は回路によって発生される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ又は複数の電子デバイス及び/又は回路は、伝送手段若しくはデバイス又は1つ若しくは複数の電子伝送チップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
互いに所定の離間距離で且つ/又は所定のパターン若しくはアレイで配設される複数の伝送手段又は電子伝送チップが、前記パルス電磁界を提供するために提供される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記電子デバイス又は回路の表面の105~115cm
2、又は50~60cm
2、又は25~30cm
2、又は15~20cm
2当たり1つの伝送手段又は電子伝送チップが存在する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記パルス電磁界は、2.2~2.6GHzの周波数で提供される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記パルス電磁界は、2.4~2.4835GHzの産業、科学及び医療用周波数帯域内の周波数で提供される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記パルス電磁界は、約50MHz以下、25Hz以下又は15Hz以下の周波数でパルス化される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記パルス電磁界の各パルスは、約1~20ms又は約1msにわたって続く、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
パルス間の時間は、約66ms以下である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記パルス電磁界のデューティサイクルは、2%未満である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記伝送手段又はチップの伝送電力は、2dBm~4dBm、約1mW、約2mW又は約2.5119mWである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
生成物若しくは試薬の水和反応を改善し、且つ/又は使用時のその粒径を縮小させるための装置であって、生成物又は試薬に向かって、前記生成物若しくは試薬の前記水和反応の増加及び/又は前記生成物若しくは試薬の前記粒径の縮小を可能にするのに十分な時間にわたって向けられ得るパルス電磁界を発生させ、放射するように構成される装置。
【請求項25】
使用時に前記生成物、試薬又は混合物を撹拌するための撹拌手段、使用時に前記生成物、前記試薬又は混合物の濁度及び/又は粒径を測定するための濁度及び/又は粒径測定手段又はデバイス、前記パルス電磁界に暴露されている前記生成物、試薬又は混合物が特定のレベルの水和反応、濁度及び/又は粒径に達したとき、ユーザーに信号を送るための音声、視覚及び/又は運動感覚手段のいずれか又は任意の組み合わせを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記パルス電磁界は、2.2~2.6GHzの周波数で提供される、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
前記パルス電磁界は、約50MHz以下、25Hz以下又は15Hz以下の周波数でパルス化される、請求項24~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法を使用して再構成された再構成生成物又は試薬。
【請求項29】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法に従ってパルス電磁界がある期間にわたって印加された静脈生成物又は試薬。
【請求項30】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法に従ってパルス電磁界がある期間にわたって印加されたDNAプラスミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願が関連する本発明は、生成物の水和反応の改善及び/又は生成物の1つ若しくは複数の粒径の縮小のための装置並びにその装置を使用する方法に向けたものである。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、事前に凍結乾燥された生成物、特に血液タンパク質第VIII因子の再構成を改善するために使用される本発明の装置の特定の例にほぼ限定して言及するが、当業者であれば、この装置は、任意のフリーズドライされた生成物の再構成、任意の生成物の水和反応若しくはその粒径の縮小及び/又は同様のものに使用され得ることを理解するであろう。
【0003】
生成物のフリーズドライは、生成物の特性を保持しながら、生成物を他の方法よりも大幅に長期間保存できるようにする周知のプロセスである。タンパク質のフリーズドライも周知であり、生物由来生成物の保存にとって重要なプロセスとなっている。タンパク質のフリーズドライのための様々なプロトコルがあり、典型的にはそれらに従い、フリーズドライされたタンパク質生成物が確実に保存され、次の使用のための位置に輸送され、そのような使用を可能にする形態に再構成され得る。
【0004】
フリーズドライは、凍結乾燥としても知られ、昇華及び脱離によって冷凍生成物から水を除去する行為である。フリーズドライの使用には既知の問題があるが、一般に、フリーズドライは、タンパク質生成物の保存寿命を延ばすのに有用で好ましい方法と見なされている。このプロセスは、熱に敏感であるか又は加水分解に不安定な医薬品有効成分(API)又は製剤成分からなる製剤から液体を除去するために、凍結乾燥機内の圧力及び温度の制御に依存する。得られた固体又は粉末は、凍結乾燥される前の水溶液よりも優れた安定性を有し、凍結乾燥される前の水溶液よりも高温で長期間保存することが可能となる。
【0005】
フリーズドライのプロセス中、タンパク質の崩壊を回避するために、タンパク質内に存在する水の形態の水分がかなりの程度まで除去され、水は、典型的には、多くの場合、タンパク質の外層を付与する1種又は複数種の糖などの抗凍結剤で置き換えられる。
【0006】
フリーズドライされた生成物の再構成が必要である場合、タンパク質を再構成するために糖を除去し、それを水に置き換える必要性が所望の程度に生じないことが判明した。したがって、これは、タンパク質を部分的に再構成できても、それらがフリーズドライプロセス前の形態に戻らないことを意味する。したがって、これは、再構成されたタンパク質の有効性が元のタンパク質生成物と比較して大幅に低下し、さらに、フリーズドライのプロセス前に予想されるものと異なってタンパク質が作用し得ることを意味し得る。
【0007】
特に、1つの問題は、再構成された生成物中に糖が存在し続けることであり、残存する糖により粒子が互いに効果的に接着することができ、これにより粒子が凝集してより大きい形状になることを意味する。例えば、血液タンパク質第VIII因子などの特定の生成物では、この生成物が再構成されると、粒子の凝集(通常、五量体の形態)は、それが体内に注射されると、体の免疫系が身体に対する脅威として凝集粒子に有害に反応し、それに対する中和抗体を生成するため、身体の免疫系が第VIII因子を破壊又は拒否しようとすることを意味する。この問題は、非常に深刻であり、現在、定期的に第VIII因子を体内に導入する必要がある血友病患者の最大30%は、再構成された第VIII因子に対する免疫を実際に高めるため、第VIII因子を拒絶すると考えられる[1]。したがって、患者への第VIII因子の導入による救命治療の利点が得られない[2]。患者に対して医学的悪影響があるにもかかわらず、第VIII因子は、高価な生成物であるため、最終的に使用されない可能性がある材料に多額の費用がかかる。
【0008】
第VIII因子などのタンパク質材料を再構成するための従来のプロセスは、粉末の形態で有効であるフリーズドライされた第VIII因子を含むバイアルをエンドユーザーに提供することを含む。エンドユーザーは、ある量の水をバイアルに加え、次いでバイアル内で水と粉末とを回転させて一緒に混合するようにバイアルを操作し、水で糖を除去して糖を水で置き換えて、第VIII因子粒子を再構成するように指示される。この従来のプロセスは、一般に、第VIII因子の完全な再構成を可能にするには不十分であり、したがって再構成された第VIII因子の有効性が著しく低下することが判明している。これは、エンドユーザーが、必要とされる有益な医療効果を得るために通常よりも頻繁に第VIII因子を使用及び注射する必要があり得ることを意味する。
【0009】
上記の例は、フリーズドライされた第VIII因子の再構成のみに関連するが、今日市販されている生物製剤の60%超は、凍結乾燥しないと不可能であろうと推定される。さらに、より多くのバイオシミラー又は新規生物製剤が開発されるにつれて、凍結乾燥技術に対する市場の需要は、高まる一方である。したがって、市場では、凍結乾燥された生成物の効率的且つ効果的な再構成を確実にすることが必要とされている。
【0010】
治療用生成物の静脈(IV)送達に関連するさらなる問題は、補体活性化関連偽アレルギー(CARPA)の発生である。これは、患者の血液に暴露された点滴に含まれる特定のナノタンパク質に対する抗原特異的免疫応答の独立性を特徴とする、有害な非免疫性アナフィラキシー反応又は過敏反応である。CARPAは、ほとんどの患者にとって概ね無害であるが、一部の患者ではこの反応が致命的となり得るため、治療用生成物のIV送達において懸念事項である。CARPAの発生に関連する試薬の一例は、ツイーン80又はポリソルベート80である。この試薬は、IV製剤の界面活性剤分散剤としてよく使用される。一部の患者では、IV送達されたツイーン80に暴露されると、CARPAを引き起こすと考えられる賦形剤凝集体(ミセル又は小胞)が発生する。
【0011】
大きい粒径に関連する別のさらなる問題は、トランスフェクションプロセスにおけるものである。トランスフェクションは、核酸などの細胞外物質を1つ又は複数の真核細胞内に送達できる技術である。トランスフェクションの一例は、DNAプラスミドを使用した核酸の送達である。場合により、DNAプラスミドは、1回のトランスフェクションで使用するには大きすぎる。そのため、より小さいDNAプラスミドを使用していくつかのトランスフェクションステップを使用する必要がある。その結果、プロセスに時間がかかり、実施のコストが大幅に高くなる。加えて、全体的なトランスフェクション頻度が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、再構成プロセス中の生成物粒子の凝集を低減若しくは排除し、且つ/又は再構成された生成物の有効性を増強できるように、フリーズドライ又は凍結乾燥された生成物の再構成プロセスを改善するための装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、フリーズドライ又は凍結乾燥された生成物の再構成プロセスを改善する方法を提供することである。
【0014】
本発明の別のさらなる目的は、生成物粒子の凝集を低減又は排除できるように生成物の水和反応を改善するための装置及び/又は方法を提供することである。
【0015】
本発明の別のさらなる目的は、IV送達される生成物又は製剤におけるCARPA反応を緩和するための装置及び/又は方法を提供することである。
【0016】
本発明の別のさらなる目的は、トランスフェクション頻度の改善を可能にするためにDNAプラスミドのサイズを減らすための装置及び/又は方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様によると、生成物若しくは試薬の水和反応を改善し、且つ/又はその粒径を縮小させる方法が提供され、その方法は、生成物若しくは試薬の水和反応の増加及び/又は生成物若しくは試薬の粒径の縮小を可能にするのに十分な期間にわたり、パルス電磁界を生成物又は試薬に印加するステップを含む。
【0018】
本発明の方法は、生成物若しくは試薬の粒径を縮小させ、且つ/又は生成物若しくは試薬における凝集体の形成を緩和若しくは減少させるという利点を有する。これにより、生成物又は試薬の有効性が高まり、その機能及び/又は効能が向上する。
【0019】
パルス電磁界の印加への言及は、パルス電磁界への暴露なども含むことが理解されるであろう。
【0020】
一実施形態では、生成物又は試薬がパルス電磁界に暴露される期間は、所定の期間である。さらに好ましくは、この所定の時間は、10~15分±5分である。
【0021】
一実施形態では、生成物又は試薬は、培地又は細胞培地である。
【0022】
一実施形態では、生成物又は試薬は、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬である。好ましくは、この方法は、凍結乾燥された生成物又は試薬の再構成中に実施される。
【0023】
一実施形態では、生成物又は試薬は、粉状又は顆粒状生成物又は試薬である。
【0024】
好ましくは、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬の再構成方法は、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬に水又は液体を添加するステップと、生成物若しくは試薬の水和反応の増加及び/又は生成物若しくは試薬の粒径の縮小を可能にするのに十分な期間にわたり、水又は液体と、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬との混合物にパルス電磁界を印加するステップを含む。
【0025】
一実施形態では、パルス電磁界を混合物、生成物又は試薬に印加することに加えて、パルス電磁界への暴露前、パルス電磁界への暴露中及び/又はパルス電磁界への暴露後の任意の時点において、混合物、生成物又は試薬を撹拌して、凍結乾燥若しくはフリーズドライされた生成物若しくは試薬と水若しくは液体との混合、又は生成物、液体若しくは混合物の撹拌を引き起こすことができる。
【0026】
好ましくは、撹拌のステップは、例えば、磁気撹拌機及び/又は振動機構などの撹拌手段又は撹拌デバイスを使用して行われる。
【0027】
一実施形態では、パルス電磁界のパルスは、所定の方法で発生され、このようなパルスは、すべて同じ期間及び周波数の連続したパルスを含むか若しくはそれからなり得、且つ/又は異なる時間及び/若しくは異なる周波数の連続したパルスを含むか若しくはそれからなり得る。
【0028】
一実施形態では、混合物は、混合物中の生成物又は試薬の再構成の期間にわたってパルス電磁界に暴露される。
【0029】
一実施形態では、混合物を形成するための生成物又は試薬への水又は液体の添加は、水、液体及び/又は混合物がパルス電磁界に暴露されている間に行われる。
【0030】
一実施形態では、再構成に使用される水又は液体は、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬への添加前にパルス電磁界に暴露される。
【0031】
一実施形態では、生成物、試薬又は混合物は、パルス電磁界が発生されるデバイスと一体であり得るか、又はパルス電磁界が発生されるデバイスとは別個であり、その上、その中若しくはそれに隣接して置かれる入れ物内に配置される。
【0032】
一実施形態では、入れ物は、フリーズドライ又は凍結乾燥された生成物又は試薬が最初に提供され、水又は液体が添加される入れ物である。
【0033】
典型的には、発生されるパルス電磁界は、水粒子の回転を引き起こすのに十分であり、回転の効果は、フリーズドライ又は凍結乾燥された生成物又は試薬に存在し得る1つ又は複数の糖の除去を補助することである。これにより、生成物からの糖の除去及び水粒子による置換のレベルが向上し、それにより再構成された生成物又は試薬の有効性が向上し、再構成プロセス中の生成物又は試薬の凝集傾向が減少する。
【0034】
一実施形態では、本発明に従って再構成された生成物又は試薬の有効性が増加すると、再構成された生成物又は試薬の使用頻度を減少させることができ、且つ/又は各使用時の再構成された生成物又は試薬の量を減少させることができる。
【0035】
一実施形態では、再構成された生成物又は試薬の凝集が従来のプロセスと比較して減少すると、再構成された生成物又は試薬の拒絶傾向が減少する。
【0036】
一実施形態では、生成物又は試薬は、例えば、モノクローナルAB、ホルモン、融合タンパク質及び/又はタンパク質構築物などのタンパク質生成物である。
【0037】
一実施形態では、生成物又は試薬は、トラスツズマブ、ペンブロリズマブ、インフリキシマブ、ダキシボツリヌス毒素、免疫グロブリン、オマリズマブ、アバタセプト、セクキヌマブ、インターフェロンベータ1a及び/又はボルテゾミブなどのいずれか又は任意の組み合わせである。
【0038】
一実施形態では、生成物、試薬、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬は、DNA又はDNAプラスミドである。
【0039】
一実施形態では、生成物、試薬、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬は、第VIII因子である。
【0040】
一実施形態では、生成物又は試薬は、静脈(IV)製剤、生成物又は試薬であるか又はその一部を形成する。好ましくは、生成物又は試薬は、CARPA反応に関連することが従来知られているものである。
【0041】
一例では、生成物又は試薬は、ツイーン80又はポリソルベート80などの分散剤である。
【0042】
一実施形態では、生成物、混合物又は試薬は、患者への点滴又は注射プロセス中にパルス電磁界に暴露される。好ましくは、パルス電磁界に暴露されるプロセスの部分は、インビトロ部分及び/又はインビボ部分であり得る。
【0043】
一実施形態では、生成物又は試薬は、IVバッグ又はIV送達容器内へ位置する間又は位置する前にパルス電磁界に暴露される。
【0044】
好ましくは、パルス電磁界又は信号を印加するステップは、室温(例えば、20℃など)で行われるか、又は室温より高い温度(例えば、37℃など)に設定され得るインキュベータ内で行われる。
【0045】
好ましくは、パルス電磁界又は信号は、1つ又は複数の電子デバイス、装置及び/又は回路によって発生される。
【0046】
好ましくは、1つ又は複数の電子デバイス、装置及び/又は回路は、使用時にパルス電磁界又はそれからの信号を発生させ且つ/又は送信するための、伝送手段又はデバイスを含む。
【0047】
好ましくは、伝送手段又はデバイスは、1つ又は複数の電子伝送チップを含み、1つ又は複数の電子伝送チップは、使用時に1つ又は複数のパルス電磁信号を発生させ、放射し、且つ/又は送信するように構成される。
【0048】
一実施形態では、伝送手段又は1つ若しくは複数の電子伝送チップへの言及は、1つ若しくは複数の送信機、少なくとも1つの送信機及び少なくとも1つの受信機又は1つ若しくは複数の送受信機を含み得る。したがって、一例では、パルス電磁界又は信号は、中心位置又はマスター送信機から送信することができ、それからのその後の再送信又は放射のために、1つ又は複数の遠隔及び/又はスレーブ受信機及び/又は送受信機によって受信することができる。
【0049】
一実施形態では、電子デバイスは、単一の伝送手段又は電子伝送チップを有する。このような単一の伝送手段又は電子伝送チップは、生成物又は試薬にパルス電磁界又は信号を提供するのに十分である。例示的な一実施形態では、単一の伝送手段又は電子伝送チップは、使用時に生成物又は試薬を入れるための入れ物に取り付けられるか又はそれと一体化されて提供される。
【0050】
一実施形態では、電子デバイスは、2つ以上の伝送手段又は電子伝送チップを有する。好ましくは、2つ以上の伝送手段又は電子伝送チップは、例えば、電子デバイス内などに互いに所定の間隔で配設される。
【0051】
好ましくは、所定の離間距離は、パルス電磁界若しくは信号でパルスされる生成物若しくは試薬に所望の効果(すなわち粒径を小さくし、且つ/若しくは水和反応を改善する)を提供し、且つ/又は使用時に均一な若しくは実質的に均一な分布の電磁放射/信号を提供するような間隔である。
【0052】
好ましくは、電子デバイスは、所定のパターン及び/又はアレイで配設された複数の伝送手段又は電子伝送チップを有する。
【0053】
単一の伝送手段又は電子伝送チップは、本発明の有利な特性を提供するのに十分であるが、複数の伝送手段又は電子伝送チップを有することにより、最大限の効果を維持しながら、より広範囲の表面積にわたってパルス電磁界又は信号を送達できることが判明した。本出願人らは、18.5cm2当たり少なくとも1つのチップが存在するように伝送手段又は電子伝送チップを均一に分散させることにより、最適な効果を得るのに十分な適用範囲が提供されることを見出した。
【0054】
いくつかの実施形態では、電子デバイス、回路又は装置は、1つ又は複数の伝送手段又は電子伝送チップを含む。いくつかの実施形態では、装置は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれを超える伝送手段又は電子伝送チップを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約105~115cm2ごと、好ましくは本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約110cm2ごとに1つの伝送手段又は電子伝送チップが存在する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約50~60cm2ごと、好ましくは本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約55cm2ごとに1つの伝送手段又は電子伝送チップが存在する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約25~30cm2ごと、好ましくは本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約27.5cm2ごとに1つの伝送手段又は電子伝送チップが存在する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約15~20cm2ごと、好ましくは本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約18.5cm2ごとに1つの伝送手段又は電子伝送チップが存在する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約10~15cm2ごと、好ましくは本明細書で定義される装置、デバイスのハウジングの表面又は物品の表面の約12.2cm2ごとに1つの伝送手段又は電子伝送チップが存在する。
【0060】
例示的な実施形態では、6つの伝送手段又は電子伝送チップが、装置、デバイス及び/又は回路内に提供される。
【0061】
一実施形態では、2つ以上の伝送手段又は電子伝送チップが必要である場合、複数の伝送手段又は電子伝送チップの間隔を最適化する必要がある。各伝送手段又は電子伝送チップ間に最適な所定の空間を実現するために、伝送手段又は電子伝送チップは、使用される電磁放射周波数の波長の半分に等しいか又は実質的に等しい距離に置かれるべきである。好ましくは、この距離は、任意の配向面又は装置若しくはデバイスの一部として一緒に使用される2つ以上の伝送手段若しくは電子伝送チップに関連すると考えるべきである。例えば、波長が12.4cmである場合、使用時に最適な電磁界を生成するために、伝送チップを約6.2cm離して配置される必要がある。
【0062】
一例では、所定の離間距離=波長/2である。
【0063】
一例では、X軸及び/又はY軸における所定の離間距離は、等間隔のグリッドの各伝送手段又は電子伝送チップ間の波長の半分である。このような構成により、破壊的な干渉のリスクが最小限に抑えられる。
【0064】
一実施形態では、電子デバイスはハウジングを含み、1つ又は複数の伝送手段又は伝送チップがハウジング内に位置する。
【0065】
好ましくは、ハウジングは、使用時にパルス電磁界又は信号を受信するもう1つの物品又は入れ物に対してハウジングを安定して位置するように、少なくとも1つの平らな表面又は平面を含む。代わりに、ハウジングは、使用時にパルス電磁界又は信号を受信する1つ又は複数の物品又は入れ物に対してハウジングを安定して位置できるように、1つ又は複数の湾曲した表面又は非平面を含み得る。
【0066】
一例では、ハウジングの少なくとも1つの表面は、使用時にパルス電磁界又は信号を受信する1つ又は複数の物品を位置決めするための1つ又は複数の凹部を含む。
【0067】
一実施形態では、ハウジングは、使用時にハウジングを表面上で直接的又は間接的に支持できるようにするためのベース面を含む。さらに好ましくは、ハウジングは、ベース面の反対側に上面を含む。好ましくは、上面は、使用時にパルス電磁界又は信号を受信する1つ又は複数の物品が置かれ得る表面である。
【0068】
一実施形態では、電子デバイス及び/又はハウジングは、入れ物及び/又は反応容器などの外面に取り付け可能である。例えば、電子デバイス及び/又はハウジングは、1つ若しくは複数の取り付け手段又は1つ若しくは複数のネジ、ナット及びボルト、磁石、紐、クリップ、ストラップ、相互係合部材、接着剤及び/若しくは溶接などのいずれか又は任意の組み合わせを含むデバイスによって取り付け可能であり得る。
【0069】
好ましくは、ハウジングの上面及び/又は使用時にハウジング若しくは電子デバイスの上、その中若しくはそれらに対して位置するときにパルス電磁信号を受信する1つ若しくは複数の物品、入れ物、生成物若しくは試薬と伝送手段との間の距離は、約25cm以下、20cm以下、15cm以下、10cm以下又は5cm以下である。さらに好ましくは、この距離は、約1cmである。
【0070】
好ましくは、パルス電磁界又は信号は、所定の連続したパルスで提供される。
【0071】
一実施形態では、パルス電磁信号又は電磁界は、約2.2~2.6GHzの範囲の周波数で提供され、さらに好ましくは、パルス電磁信号は、約2.4GHz±50MHz、より好ましくは2.45GHz±50MHzの周波数で送信される。
【0072】
一実施形態では、パルス電磁信号又は電磁界は、2.4~2.4835GHz、好ましくは2.45GHz±50MHzの産業、科学及び医療用無線周波数帯域(ISM帯域)の範囲内の周波数で提供される。
【0073】
好ましくは、パルス電磁信号又は電磁界は、約50Hz以下、さらに好ましくは約25Hz以下、なおさらに好ましくは約15Hz以下の周波数でパルス化される。
【0074】
好ましくは、パルス電磁信号又は電磁界の各パルスは約1ms~20msにわたって続く。さらに好ましくは、各パルスは約1msにわたって続く。
【0075】
好ましくは、パルス間の時間(「休止時間」又は「緩和時間」とも呼ばれる)は、約66ms以下である。
【0076】
好ましくは、パルス電磁信号のデューティサイクルは2%未満である。
【0077】
一実施形態では、電子デバイス内の各伝送手段又はチップによって提供される伝送電力は、2dBm~+4dBm、約1mW、約2mW又は約2.5119mWである。
【0078】
一実施形態では、パルス電磁界又は信号の所定の周波数は、約2.2~2.6GHz、2.4GHz±50MHz又は2.45GHz±50MHzであり、所定のパルスレートは、約15Hzであるか又は2%未満のデューティサイクルを有し、所定の電力は、+2dBm~+4dBm、1mW、2mW又は2.5119mWである。
【0079】
好ましくは、パルス電磁界又は信号は、0.45~0.55のガウス周波数偏移変調(GFSK)を使用して伝送される。
【0080】
好ましくは、パルス電磁界又は信号は、無線周波数(RF)データ信号である。
【0081】
好ましくは、パルス電磁界又は信号は、デジタルの連続したパルス電磁信号である。
【0082】
好ましくは、無線周波数電磁界又は信号は、Bluetooth LE(BLE)プロトコルのアドバタイジング機能を利用する。好ましくは、アドバタイジングRF信号は、周波数2402MHz、2426MHz、2480MHzにそれぞれ対応するチャネル37、38及び39上にある。
【0083】
好ましくは、パルス電磁信号は、トランスフェクションのための1つ若しくは複数のDNAプラスミド、再構成のための若しくは再構成される凍結乾燥された生成物若しくは試薬、IV製剤、生成物若しくは試薬及び/又は同様のものに向けられる。
【0084】
一実施形態では、電子デバイスは、使用時にデバイスに電力を供給するための電源手段を含む。好ましくは、電源手段は、電線からの電源、1つ若しくは複数のバッテリ、動力電池、1つ若しくは複数の充電式バッテリ及び/又は発電手段などを含む。
【0085】
一実施形態では、電子デバイスは、使用時に電子デバイス及び/又は伝送手段の動作を制御するための制御手段を含む。
【0086】
一実施形態では、電子デバイスは、1つ又は複数の回路基板を含む。好ましくは、伝送手段は、典型的には、集積回路の形態である1つ又は複数の回路基板上に提供され得、且つ/又は例えばメモリ手段などの他の構成要素が位置する。
【0087】
一実施形態では、電子デバイスは、メモリデバイス及び/又はデータ記憶デバイスなどのメモリ手段を含む。
【0088】
好ましくは、電子デバイスの他の構成要素には、装置の選択動作及び動作している場合にパルス電磁信号を発生させるための制御された動作に必要な1つ又は複数の構成要素が含まれる。例えば、使用時のデバイスの1つ若しくは複数の条件、動作及び/又は1つ若しくは複数のパラメータをユーザーが選択できるようにするために、ユーザー選択手段、1つ又は複数の設定及び/又は選択オプションなどを表示する表示手段をデバイス上に提供し得る。
【0089】
一実施形態では、さらなる構成要素又は電源手段は、1つ又は複数の動力電池を含み、それらは、すべてハウジング内に収容され得る。
【0090】
一実施形態では、電子デバイスのハウジングは、このハウジングが、使用時に電磁信号に暴露される材料及び/又は1つ若しくは複数の物品が入れられる入れ物に係合され、且つ/又は入れ物に対して位置決めされ得る形態で提供される。
【0091】
一実施形態では、制御手段は、パルス電磁信号の信号周波数、信号強度、信号電力、信号パルスレート及び/又は信号パルスの時間などのいずれか又は任意の組み合わせをユーザーが選択することを可能にする選択肢を含む。一実施形態では、周波数、強度、電力、パルスレート、パルスの時間及び/又は他のパラメータなどの選択は、使用時にパルス電磁界又は信号に暴露される特定の形態の試薬若しくは生成物及び/又は1つ若しくは複数の入れ物、生成物若しくは試薬の量、使用のために装置が位置する入れ物の寸法並びに/或いは他のパラメータについて行うことができる。
【0092】
一実施形態では、装置は、使用時に生成物、混合物又は試薬の撹拌を可能にする撹拌手段又はデバイスを含む。
【0093】
一実施形態では、パルス電磁界を発生させ、且つ/又は放射する電子デバイスは、パルス電磁界に暴露される生成物又は試薬の濁度及び/又は粒径を測定するための手段又はデバイスを含む。例えば、デバイスは、光散乱手段及び/又は比濁計手段などを含み得る。光散乱手段及び/又は濁度測定手段は、生成物、混合物又は試薬中の凝集体、ミセル、小胞及び/又は粒子などの存在の指標として使用することができる。
【0094】
一例では、電子デバイスは、使用時に生成物又は試薬が位置する位置決め手段の一方の側に位置するレーザー又は柱状光源を含み得、光検出器を位置決め手段の反対側に位置することができる。光検出器は、使用時に生成物、混合物又は試薬の濁度及び/又は粒径を決定する手段として、光源から生成物、混合物又は試薬を通過する光の量を検出する。
【0095】
さらなる例では、第2の光検出器を光源及び/又は第1の光検出器に対して横方向、垂直又は実質的に垂直に位置することができる。第1及び第2の光検出器から検出された光の比較を使用して、使用時に生成物、混合物又は試薬の濁度及び/又は粒径を決定することができる。
【0096】
典型的には、パルス電磁界に暴露される生成物、混合物又は試薬の濁度及び/又は粒径を測定するための手段は、電子デバイスと一体であり得るか、又は電子デバイスに取り付けられるか若しくは取り外し可能に取り付けられ得るか、又は電子デバイスに結合され得る。
【0097】
一実施形態では、電子デバイスは、生成物、混合物又は試薬の濁度及び/又は粒径の測定値を所定の閾値レベル未満に減らすのに十分な期間にわたってパルス電磁界を発生させ、且つ/又は放射するように構成される。
【0098】
一実施形態では、電子デバイスは、パルス電磁界に暴露されている生成物、混合物又は試薬の必要とされる濁度及び/又は粒径が所定の閾値レベルを下回ったときにユーザーに信号を送るための音声、視覚及び/又は運動感覚手段を含み得る。ユーザーに信号が送られると、ユーザーは、生成物又は試薬が注射及び/又は点滴などに安全であることが分かる。
【0099】
例えば、生成物又は試薬が、生成物、混合物又は試薬の濁度及び/又は粒径が所定の閾値レベルを超えていることを検出すると、デバイスに赤色のライトを表示させることができ、ユーザーが使用すべきではなく、電子デバイスが、パルス電磁界への暴露後に生成物、混合物又は試薬の濁度及び/又は粒径が所定の閾値レベルを下回っていることを検出すると、デバイスに緑色のライトを表示させることができ、ユーザーが使用することができる。
【0100】
一例では、試薬、混合物又は生成物がパルス電磁界への暴露後に安全に使用できることが検出されたとき、「ピン」又はアラームなどの1つ又は複数の音声信号を発することができる。
【0101】
一例では、試薬、混合物又は生成物がパルス電磁界への暴露後に安全に使用できると検出されたとき、デバイスから1つ又は複数の振動を発生させることができる。
【0102】
本発明の第2の態様によると、生成物若しくは試薬の水和反応を改善し、且つ/又は使用時のその粒径を縮小させるための装置が提供され、装置は、生成物又は試薬に向かって、生成物若しくは試薬の水和反応の増加及び/又は生成物若しくは試薬の粒径の縮小を可能にするのに十分な時間にわたって向けられ得るパルス電磁界を発生させ、放射するように構成される。
【0103】
好ましくは、装置は、生成物又は試薬の粒径及び/又は濁度を検出するための手段又はデバイスを含む。
【0104】
本発明の一態様によると、パルス電磁界の印加を利用して再構成された生成物又は試薬が提供され、生成物又は試薬は、パルス電磁界がある期間にわたって印加されている。
【0105】
本発明の一態様によると、パルス電磁界がある期間にわたって印加されている、静脈送達に適した静脈生成物又は試薬が提供される。
【0106】
本発明の一態様によると、パルス電磁界がある期間にわたって印加されたDNAプラスミドが提供される。
【0107】
本発明のさらなる態様によると、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬を再構成する方法が提供され、その方法は、凍結乾燥又はフリーズドライされた生成物又は試薬に水を加えて混合物を作成するステップ、1つ又は複数のデバイスを動作させてパルス電磁界を発生させるステップ、混合物をある期間にわたってパルス電磁界内に配置して、生成物又は試薬の再構成を可能にするステップを含む。
【0108】
本発明のさらなる態様によると、使用時に患者への静脈送達に適した静脈生成物又は試薬を調製する方法が提供され、その方法は、賦形剤凝集体の形成を減少又は防止するのに十分な期間にわたり、パルス電磁界を静脈生成物又は試薬に印加するステップを含む。
【0109】
好ましくは、賦形剤凝集体は、ミセル及び/又は小胞である。
【0110】
本発明のさらに別の態様によると、DNAプラスミドのサイズを縮小させる方法が提供され、その方法は、DNAプラスミドのサイズを縮小させるのに十分な期間にわたり、パルス電磁界をDNAプラスミドに印加するステップを含む。
【0111】
ここで、本発明の特定の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1a】本発明の一実施形態による装置を概略的に例示する。
【
図1b】本発明の一実施形態による装置を概略的に例示する。
【
図2】VIII因子に対する従来の再構成プロセス(対照)及び本発明の一実施形態による再構成プロセスの使用から得られた結果データを例示する。
【
図3】本発明の一実施形態による、パルス電磁界に暴露した場合と暴露しない場合(対照)のDNAプラスミドのサイズの測定で得られた結果データを例示する。
【
図4a】本発明の一実施形態による培地上でのパルス電磁界の使用に関して得られた結果データを例示し、
図4aは、培地がパルス電磁界に暴露されなかった場合の対照を示す。
【
図4b】本発明の一実施形態による培地上でのパルス電磁界の使用に関して得られた結果データを例示し、
図4bは、培地がパルス電磁界に暴露された場合の本発明を示す。
【
図5】実験6における活性サンプルのためのパルス電磁界デバイスの実験装置の上面図である。
【
図6a】第XI因子に対する従来の再構成プロセス(対照)及び本発明の実施形態による再構成プロセスの使用から得られた結果データを示す。
図6aは、すべての粒径を示す。
【
図6b】第XI因子に対する従来の再構成プロセス(対照)及び本発明の実施形態による再構成プロセスの使用から得られた結果データを示す。
図6bは、
図6aのより小さいサイズの粒子を示す拡大図である。
【
図7】1ml当たりの粒子数に対する粒径と共に、実験7における第XI因子の結果データを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0113】
最初に
図1を参照すると、フリーズドライされた生成物又は試薬の再構成に使用するための、本発明の一実施形態による装置が例示されている。
【0114】
この装置は、第VIII因子などのフリーズドライされた生成物3が提供されて収容される空洞を有する、この場合にはバイアル2の形態の入れ物を含む。一実施形態では、このバイアルは、フリーズドライが行われる位置から、家庭内の場所であり得るエンドユーザーの位置まで、フリーズドライ状態の第VIII因子を輸送するために使用することができ、理解されるように、エンドユーザーが利用可能な装置は、限られているか又は存在しない。したがって、本発明によると、フリーズドライされた生成物の改善された再構成を可能にするために、非熟練者が使用することができる装置が提供される。図示される実施形態では、フリーズドライされた生成物3が中に位置するバイアル2が、開けられて、バイアルが配置される位置決め凹部8を有するプレート6に配置される。次いで、水をバイアルに所定の程度まで注ぐことができる水源10が提供され、必要に応じてバイアルの内容物の物理的混合を行い得るか、又はプレートが効果的に振動し、バイアル内の水と生成物との混合作用を行うことを可能にする撹拌手段をプレートに提供し得る。混合と同時に、又は混合前に、又は混合後、この実施形態ではプレート6と組み合わせて形成されるパルス電磁界発生装置11を動作させて、符号14で示すパルス電磁界を発生させ、このパルス電磁界は、示されているように、デバイスから放射され、プレートを通して入れ物に進入する。したがって、これにより入れ物内の水粒子及び入れ物内の生成物がパルス電磁界に確実に曝露され、これにより水粒子が回転し、その回転が、フリーズドライされたタンパク質の糖コーティングに作用し、表面から糖を効果的に除去することができ、その結果、水粒子による糖のより多くの置換が可能となり、その結果、フリーズドライ前の形状への生成物のより高いレベルでの再構成が可能になると考えられる。これにより、生成物の粒子が互いに付着する可能性及び機会が減り、それにより生成物の凝集の可能性が低下する。
【0115】
生成物が混合されると、例えば注射などによって人が使用するために、生成物を入れ物から取り出すことができる。注射される生成物は、患者の体によって要求される状態により近く、その場合、生成物の使用者の免疫拒絶レベルが大幅に低下するため、生成物は、従来の再構成プロセスの使用では従来達成できなかった免疫サイレンシングの状態を効果的に達成する。
【実施例】
【0116】
実験1 - フリーズドライされた第VIII因子の再構成
再構成されたフリーズドライされた第VIII因子の粒径に対する本発明の装置の使用の効果を測定するために実験を行った。
【0117】
血液タンパク質生成物第VIII因子(FVIII)の粒径を、この実施例ではZetasizer Ultra(商品名)(Malvern Panalytical Ltd,UK)である動的光散乱機器を使用して測定した。
【0118】
実験は、FVIIIにパルス電磁界が印加されなかった対照サンプル及びFVIIIにパルス電磁界が印加された本発明のサンプルに対して行った。
【0119】
方法ステップは、以下のとおりであった。
1.フリーズドライされた第VIII因子のバイアルをバイアルの説明書に従って注射用水(WFI)で再構成した(目に見えるすべての物質が溶解し、液体が透明に見えるまで穏やかに回転させた)。
2.対照サンプル及び本発明サンプルのそれぞれについて、1mlのサンプルを清潔なキュベット(部品番号PCS8501、PCS1115又はDTS0012、Malvern Panalytical,UK)に加えた。
3.キュベットをPulzFector(商品名)内に配置し、デバイスの電源を10~15分間オンにすることにより、本発明のサンプルをパルス電磁界(パルス電磁界を発生させるPulzFector(商品名)デバイス、St.Andrews Pharmaceuticals Technology Ltd,UKを使用)で処理した。
4.対照のキュベット及び本発明のキュベットをZetasizer Ultra(商品名)(Malvern Panalytical,United Kingdom)に順番に配置し、再構成されたFVIIIの粒径を測定した。
【0120】
一例では、実験を行うために使用するPulzFector(商品名)デバイスは、2.2~2.6GHzの範囲の周波数のパルス電磁界を、50Hz以下のパルス周波数で放射できる6つの電子チップを含む電子デバイス又は装置であり、各パルスは1ms~20msにわたって続き、各パルス間の時間は約66ms以下であり、出力は2dBm~+4dBmであった。
【0121】
【0122】
図2は、X軸に粒径の直径をナノメートル(nm)単位で示し、Y軸に体積パーセントを示すグラフである。粒径分布は、本発明のサンプルについて黒の実線で表し、対照のサンプルについて黒の点線で表す。対照のサンプルでは、直径が37.3nm及び173.5nmの粒子の2つの大きいピークが確認される。これらは、典型的には、免疫原性があることが知られている五量体凝集体である。本発明のサンプルでは、直径が26.3nm及び122.4nmの粒子のピークが確認される。
【0123】
したがって、パルス電磁界を印加しない場合と比較して、パルス電磁界に暴露された場合の再構成されたFVIIIの粒径が大幅に縮小し、凝集体が分散すると結論付けることができる。したがって、本発明は、免疫誘発タンパク質凝集体の形成を緩和及び減少させる。
【0124】
本発明のパルス電磁界を使用する再構成の方法における粒径の縮小の観察は、生成物の水和反応の均一性が増大することによって起こると考えられる。これにより、より小さい水和層が作成され、光散乱機器を使用するとより小さい粒子として示される。
【0125】
フリーズドライされた生成物又は試薬の再構成に使用される水(WFI)は、フリーズドライされた生成物又は試薬の暴露に加えて又はその代わりに、パルス電磁界に暴露できることが理解されるであろう。パルス電磁界は、再構成中又は再構成後、水とフリーズドライされた生成物又は試薬との混合物に向けられ得る。
【0126】
実験2 - 再構成されたフリーズドライされた第VIII因子の有効性の測定
血栓の形成における再構成されたFVIIIの有効性を、一段階発色アッセイを使用して分析することができる。その方法は、以下のとおりであった。
1.当量(最も一般的には0.1ml)の試験血漿又は参照血漿を37℃でインキュベートした。加えて、第VIII因子が欠乏している当量の血漿を37℃でインキュベートした。注:参照血漿を使用して、凝固時間を比較することによって試験血漿の濃度/活性を導いた。
2.乏血小板血漿(PPP)をリン脂質と共に37℃でインキュベートし、接触活性化剤を添加し、続いてカルシウムを添加した(凝固を開始させる)。注:すべての試薬は、あらかじめ37℃に温めた。
3.凝固時間を測定した。
【0127】
実験1で得られたデータ結果に基づいて、パルス電磁界に暴露された本発明のサンプルでは、対照サンプルと比較して凝固時間が大幅に短縮されることが予想される。したがって、生成物又は試薬へのパルス電磁界の印加の結果として、タンパク質の機能性及び/又は効能が改善されると結論付けることができる。
【0128】
実験3 - IV送達される生成物におけるCARPA反応の軽減
この実験は、IV送達される生成物又は製剤上の賦形剤凝集体(ミセル又は小胞など)の形成に対する本発明の装置の使用の効果を測定するために行った。
【0129】
IV生成物又は製剤における凝集体の粒径は、実験1のプロトコルに従い、動的光散乱機器(この例では、Zetasizer Ultra(商品名)(Malvern Panalytical Ltd,UK)を使用して測定した。
【0130】
実験1のデータ結果に基づき、本発明によるパルス電磁界への暴露により、IV生成物又は製剤中の賦形剤凝集体の形成が大幅に減少すると予想される。IV生成物又は製剤の有効性、機能性及び/又は効能は、IV生成物又は試薬にパルス電磁界を印加した結果として大幅に改善される可能性が高い。
【0131】
実験4 - トランスフェクションにおけるDNAプラスミドのサイズの縮小
この実験は、本発明によるパルス電磁界を使用するトランスフェクションプロセスで使用されるDNAプラスミドのサイズの縮小を実証するために行った。
1.トランスフェクションプロセスは、パルス電磁界に暴露されていない対象DNAプラスミドを使用して行った。
2.トランスフェクションプロセスの成功を評価した。
3.本発明に従い、パルス電磁界に10~15分間暴露されたDNAプラスミドを使用して、さらなるトランスフェクションプロセスを行った。パルス電磁界に暴露している間、トランスフェクション試薬は、DNAプラスミドと共に存在しなかったことに留意されたい。
4.トランスフェクションプロセスの成功を評価した。DNAプラスミドのサイズは、Zetasizer Ultra(商品名)(Malvern Panalytical,United Kingdom)を使用して測定する。
【0132】
図3は、実験4に従ってパルス電磁界に暴露した場合及び暴露しなかった場合(対照)のDNAプラスミドのサイズの測定で得られた結果データを例示する。パルス電磁界に暴露しなかったDNAプラスミドの粒子の直径は、15.03nmと測定されたが、パルス電磁界に暴露したDNAプラスミドの粒子の直径は、12.19nmと測定されたことが分かる。
【0133】
したがって、DNAプラスミドのサイズは、パルス電磁界への暴露を使用しない場合と比較して、パルス電磁界への暴露で縮小させることができる。これにより、トランスフェクションの頻度が高くなる可能性が高い。
【0134】
実験5 - 細胞培地中の粒径の縮小
この実験は、本発明に従って細胞培養培地をパルス電磁界に暴露すると、細胞培養培地中の粒子のサイズが縮小することを実証するために行った。
【0135】
培地中の凝集体の粒径を、実験1のプロトコルに従い、この例ではZetasizer Ultra(商品名)(Malvern Panalytical Ltd,UK)である動的光散乱機器を使用して測定した。
【0136】
対照培地(パルス電磁界に暴露されていない)に関する動的光散乱データを
図4aに示す。本発明に従ってパルス電磁界に暴露された培地の動的光散乱データを
図4bに示す。パルス電磁界に暴露された培地中の粒径は、対照培地の粒子と比較して縮小し、その分布がより均一になることを確認することができる。これにより、パルス電磁界を使用しない対照と比較して、パルス電磁界に暴露した培地で細胞増殖を改善できると考えられる。細胞培地を使用できる場合のトランスフェクション速度並びにその効率及び頻度を改善できるとも考えられる。
【0137】
実験6 - 凍結乾燥されたrhFVIIIの再構成に対するパルス電磁界の影響
再構成された凍結乾燥されたrhFVIII(Advate(登録商標),Takeda,USA)の活性レベルに対する、本発明のデバイスを使用したパルス電磁界の印加の効果を測定するために、発色アッセイを行った。
【0138】
第VIII因子の発色アッセイにより、サンプル中のFVIII因子の定量的決定が可能である。第X因子は、まず第Xa因子に変換される(第X因子の活性化速度は、FVIII因子の量と線形に関連する)。次いで、第Xa因子の活性の定量化を、合成発色基質を使用して測定する。第Xa因子は、発色基質を加水分解してパラニトロアニリン(pNA)を放出させ、このpNAは、405nmで動力学的に監視され、サンプル中のFVIIIに比例している[3]。
【0139】
3つの別個の対照実験を行った。対照実験は、パルス電磁界に暴露しなかった。これらの対照実験は、以下の方法ステップを含んでいた。
a)1000IU Advate(商品名)(Takeda,USA)のバイアルを5mlの注射用水で再構成し、室温及び常圧で作業台上に15分間放置した。
b)10マイクロリットルの再構成されたAdvate(登録商標)を90マイクロリットルのFVIII欠乏血漿サンプル(HemosIL(登録商標) FVIII deficient plasma-Instrumentation Laboratory,USA)に添加することによって中間ストックを調製した。
c)次いで、50マイクロリットルの中間ストックを採取し、950マイクロリットルのFVIII欠乏血漿サンプルに添加した。
【0140】
(サンプルの純度がどの程度であるかを測定するために)調製した最終的なニート溶液の活性値は、対照実験では100%であると予想された。しかしながら、発色アッセイ試験を3つの異なるAdvate(登録商標)バイアルで3回行った後に得られた値は、対照実験では77.9%、86.4%及び89.4%であった。
【0141】
本発明に従ってパルス電磁界を使用した3つの別個の「活性」実験を行った。活性実験は、以下の方法ステップを含んでいた。
a)1000IU Advate(商品名)(Takeda,USA)のバイアル18を5mlの注射用水で再構成し、
図5に示すように、PulzFector(商品名)(パルス電磁界を発生させるデバイス、St.Andrews Pharmaceuticals Technology Ltd,UK)20上に配置し、室温及び室内圧力で15分間、4つのPulzar Piデバイス22によって取り囲んだ。Piデバイス22は、互いに、またAdvate18のバイアルから、等距離に配設した。
b)10マイクロリットルの再構成されたAdvate(登録商標)を90マイクロリットルのFVIII欠乏血漿サンプル(HemosIL FVIII deficient plasma-Instrumentation Laboratory,USA)に添加することによって中間ストックを調製した。
c)次いで、50マイクロリットルの中間ストックを採取し、950マイクロリットルのFVIII欠乏血漿サンプルに添加した。
【0142】
再び活性実験での最終的なニート溶液の活性値は、100%であると予想された。発色アッセイ試験を3つの異なるAdvate(登録商標)バイアルで3回行った後に得られた値は、98.7%、97.1%及び108.1%であった。
【0143】
t-検定を行った後、再構成プロセスのために、本発明に従ってパルス電磁界を活性サンプルに印加することにより、1000IU Advate(商品名)のバイアルの活性が大幅に増大したことが判明した。
表1
ニート発色アッセイの結果
【表1】
Α=0.05
t-検定:ペアの2つのサンプルの平均値
【表2】
【0144】
実験7 - フリーズドライされたHemoleven(登録商標)(第XI因子)の再構成
実験1を繰り返したが、第VIII因子の代わりにHemoleven(登録商標)(第XI因子)を使用した。
【0145】
この実験は、再構成されたフリーズドライされた第XI因子の粒径に対する本発明の装置の使用の効果を測定して、第VIII因子以外の試薬の粒径についての驚くべき観察を確認するために行った。
【0146】
パルス電磁界に暴露した第XI因子の粒径は、パルス電磁界に暴露していない第XI因子対照の粒径(オレンジ色の線(26))と対比して、
図6a及び
図6bの青い線(24)で示されている。パルス電磁界に暴露したサンプルは、対照と比較して大きい粒子の体積%が大幅に減少していることが分かる。これは、実験1で分かった結果を反映している。これは、本発明の利点が第VIII因子に限定されるものではなく、他の血液凝固因子にも同様に見られることを示している。
【0147】
図7は、X軸に粒径、Y軸に1ml当たりの粒子数を示した実験7のデータを示す。×の付いた青色の点は、パルス電磁界に暴露した第XI因子の粒径を示し、×のないオレンジ色の点は、第XI因子対照の粒径を示す。これは、本発明の利点が第VIII因子に限定されるものではなく、他の血液凝固因子にも同様に見られることを示している。
【0148】
参考文献
[1]-“Native-like aggregates of Factor VIII(FVIII)are immunogenic von Willebrand Factor deficient and hemophilia A mice”- J Pharma Sci.2012 Jun:101(6):2055-2065
[2]-“Molecular aggravation of marketed recombinant FVIII products:Biochemical Evidence and Functional Effects”- TH Open 2019 Apr;3(2):e123-e131
[3]-“Diagnostics Directorate,North Glasgow Sector,Department of Hematology,Chromogenic FVIII”- LAP-GRI-COA-076 - Revision No.1,page 3-11(NHSGGC)
【国際調査報告】