(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】アルギン酸を配合した肥料
(51)【国際特許分類】
C05G 5/30 20200101AFI20240718BHJP
C08L 5/04 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C05G5/30
C08L5/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578955
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 IB2022000808
(87)【国際公開番号】W WO2023105293
(87)【国際公開日】2023-06-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523306416
【氏名又は名称】ザ・モザイク・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE MOSAIC COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,アディソン
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,マリー
【テーマコード(参考)】
4H061
4J002
【Fターム(参考)】
4H061AA01
4H061AA02
4H061CC04
4H061CC05
4H061CC06
4H061CC15
4H061DD18
4H061EE61
4H061FF08
4H061FF15
4H061GG15
4H061GG19
4J002AB051
4J002CH052
4J002DD066
4J002DE236
4J002DG056
4J002FD142
4J002FD146
4J002GA00
(57)【要約】
アルギン酸を含むNPKベースの肥料などの基肥材料を含む肥料製品およびその製造方法である。アルギン酸は、二価カチオンなどの架橋剤で架橋してヒドロゲルを生成する。アルギン酸を、保護層、共粒化、埋め込み、またはそれらの組み合わせにより肥料製品に組み込む。肥料製品はまた、アルギン酸と乳化しているオイルやワックスなどの疎水性成分を含んでいてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料製品であって、
基肥材料と、
前記基肥材料をカプセル化する保護層と、を含み、
前記保護層はアルギン酸と、疎水性成分と、を含む肥料製品。
【請求項2】
カプセル化された肥料製品を形成する方法であって、
架橋剤を含む粉末で粒状の基肥材料をコーティングする工程と、
前記粉末でコーティングされた粒状の基肥材料にアルギン酸および疎水性成分を含む溶液を噴霧して、粒状の基肥材料をカプセル化する保護層を形成する工程と、を含む方法。
【請求項3】
カプセル化された肥料製品を形成する方法であって、
水溶液と疎水性成分とを含むエマルジョンを形成する工程であって、前記水溶液はアルギン酸を含み、前記疎水性成分は前記アルギン酸と架橋する架橋剤を含む工程と、
粒状の基肥材料に前記エマルジョンを噴霧して、前記粒状の基肥材料をカプセル化する保護層を形成する工程と、を含む方法。
【請求項4】
前記保護層を乾燥させる工程をさらに含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記保護層は前記アルギン酸を架橋剤で架橋することによって形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の肥料製品または方法。
【請求項6】
複数の顆粒を含む肥料製品であって、
基肥材料と、
架橋剤で架橋されたアルギン酸を含むヒドロゲルと、
疎水性成分と、を含む肥料製品。
【請求項7】
前記複数の顆粒の各顆粒が、前記基肥材料と、前記基肥材料内に埋め込まれたヒドロゲルとを含む、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項8】
前記複数の顆粒の各顆粒は前記基肥材料と前記ヒドロゲルとを共造粒してなる、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項9】
前記複数の顆粒の各顆粒が、前記ヒドロゲルを含む複数の微小球を含む、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項10】
前記基肥材料と前記ヒドロゲルとが混合され、共押し出しされて形成される、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項11】
肥料製品の形成方法であって、
基肥材料と架橋剤とを混合して肥料混合物を形成する工程と、
前記肥料混合物の造粒中にアルギン酸および疎水性成分を含む溶液を前記肥料混合物に噴霧して、粒状の肥料製品を形成する工程と、を含む方法。
【請求項12】
前記架橋剤を、前記アルギン酸に対して重量比で最大5:1の割合で添加する、請求項5~11のいずれか一項に記載の肥料製品または方法。
【請求項13】
前記架橋剤が二価カチオンである、請求項5~12のいずれか一項に記載の肥料製品または方法。
【請求項14】
前記二価カチオンが、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、またはそれらの組み合わせである、請求項13に記載の肥料製品。
【請求項15】
前記肥料製品が、前記アルギン酸および前記疎水性成分を含むエマルジョンからなる、請求項1~14のいずれか1項に記載の肥料製品または方法。
【請求項16】
前記アルギン酸と架橋剤とがヒドロゲルを形成する、請求項1~15のいずれか一項に記載の肥料製品または方法。
【請求項17】
前記基肥材料が、窒素ベースの肥料、カリウムベースの肥料、リン酸ベースの肥料、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の肥料製品または方法。
【請求項18】
前記疎水性成分がワックスまたはオイルである、請求項1~17のいずれか一項に記載の肥料製品または方法。
【請求項19】
前記疎水性成分が、前記アルギン酸に対して約1重量%(wt%)~約90重量%の量で存在する、請求項1~18のいずれか一項に記載の肥料製品または方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施肥材料に関する。より具体的には、本発明はアルギン酸を含む施肥材料に関する。
【0002】
優先権の相互参照
本出願は、2021年6月23日に出願された米国仮特許出願第63/214,244号の利益を主張するものであり、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
肥料は土壌と植物に重要な多量栄養素(macronutrients)と微量栄養素(micronutrients)を供給し、土壌の健康と植物の成長を促進する。植物は、土壌から窒素、リン、カリウムを含む一次栄養素(primary nutrients)を摂取する。そのため、土壌にはこれらの栄養素が不足する。これを補うために、土壌に使用される肥料の大部分をこれらの一次栄養素が占めている。肥料は乾燥した小粒状、または液状で施用されるため、土壌や植物が栄養素を利用する前に流出したり分解されたりする可能性がある。肥料はまた、適切な吸収を妨げる厳しい環境条件にさらされることもある。
【0004】
アルギン酸(alginates)とは、褐藻類や海藻に一般的に見られる天然のアニオン性ポリマーを指す。褐藻類からのアルギン酸の典型的な供給源(soueces)としては、マコンブ(Laminaria hyperborea)、コンブ(Laminaria digitata)、コンブ(Laminaria japonica)、アスコフィラム ノドサム(Ascophyllum nodosum)、およびマクロシスチス ピリファー(Macrocystis pyrifer)等がある。アルギン酸はまた、アゾトバクター(Azotobacter)やシュードモナス(Pseudomonas)といったバクテリアの生合成によって生成されることもある。アルギン酸は海藻の細胞壁に存在し、主にナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびカリウムのカチオンと、いくつかの微量の金属対イオンを含む混合塩として存在する。アルギン酸の遊離酸型、アルギン酸、および特定の2価および多価金属イオンのアルギン酸は、水に不溶である。
【0005】
アルギン酸は、生体適合性と毒性の低さから製薬産業で使用されてきた。アルギン酸に2価のカチオンを添加すると、アルギン酸の直鎖が互いに架橋してネットワークやヒドロゲルを形成する。このような特性から、アルギン酸は医薬品を徐放または遅延放出させるドラッグデリバリーシステムに用いられてきた。また、アルギン酸には生分解性があり、比較的毒性が低という特性もある。
【0006】
肥料などの拡大市場でアルギン酸の有利な特性を利用する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、アルギン酸、例えば任意にヒドロゲルとして複合化されたアルギン酸を含み、土壌の健康を改善し、他の微量栄養素の担体として作用し、疎水性を提供することによって基肥材料(base fertilizer material)を保護し、施肥材料(fertilizer materials)に徐放性を付与し、および/または以下に記載される他の利点を提供する粒状の肥料製品を対象とする。いくつかの実施例では、アルギン酸は、基肥材料を実質的にカプセル化する保護層の一部として組み込まれる。さらに、または代替的に、アルギン酸を基肥材料と共造粒して、基肥材料とアルギン酸の両方の粒子を含む肥料顆粒を形成してもよく、または造粒中に基肥材料にブレンドしてもよい。さらに他の実施形態では、アルギン酸シェル(shell)を有する水などの担体中に微量栄養素を分散させたアルギン酸カプセルは、共粒化基材である。本開示はまた、開示された肥料顆粒を調製する方法についても記載している。
【0008】
一実施形態では、肥料製品は、基肥材料と、基肥材料を実質的にカプセル化する保護層とを含む。保護層は、アルギン酸と、任意に疎水性材料を含む。カプセル化された肥料製品を形成する方法は、架橋剤を含む粉末で粒状の基肥材料をコーティングする工程と、
粉末でコーティングされた粒状の基肥材料にアルギン酸および任意に疎水性成分を含む溶液を噴霧して、粒状の基肥材料を実質的にカプセル化する保護層を形成する工程と、を含む。
【0009】
他の実施形態において、カプセル化した肥料製品を形成する方法は、水溶液と疎水性成分とを含むエマルジョンを形成する工程を含む。水溶液はアルギン酸を含み、疎水性成分はアルギン酸と架橋する架橋剤を含む。次いで、粒状の基肥材料にエマルジョンを噴霧またはコーティングして、粒状の基肥材料を実質的にカプセル化する保護層を形成する。その後、保護層を乾燥させる。
【0010】
他の実施形態において、肥料製品は複数の顆粒を含み、各顆粒は、基肥材料、架橋剤で架橋されたアルギン酸を含むヒドロゲル、および任意に疎水性材料を含む。実施形態において、ヒドロゲルは、基肥材料とヒドロゲルとを共造粒または圧縮することなどにより、基肥材料内に埋め込まれる。肥料製品を形成する方法は、基肥材料と架橋剤を混合して肥料混合物を形成する工程と、肥料混合物の造粒中にアルギン酸および任意に疎水性成分を含む溶液を肥料混合物に噴霧して、粒状の肥料製品を形成する工程と、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、架橋剤は、アルギン酸に対して重量比で最大5:1の割合で添加される。いくつかの実施形態において、架橋剤は二価カチオンである。二価カチオンは、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、またはそれらの組合せを含む。実施形態において、肥料製品は、アルギン酸および疎水性成分を含むエマルジョンを含む。実施形態において、アルギン酸および架橋剤は、ヒドロゲルを形成する。
【0012】
一実施形態において、基肥材料は、窒素ベースの肥料、カリウムベースの肥料、リン酸ベースの肥料、またはそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、疎水性成分は、ワックスまたはオイルである。一実施形態において、疎水性成分は、アルギン酸に対して約1重量%(wt%)~約90重量%で存在する。
【0013】
上記の発明の概要は、図示された各実施形態または本発明のすべての実施形態を説明することを意図するものではない。以下の詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】アルギン酸を含む保護層で実質的にカプセル化された基肥材料を含む肥料製品の概略断面図である。
【
図2】基肥材料とアルギン酸材料とをブレンドした混合物を含む肥料製品の概略断面図である。
【
図3】共粒化した基肥材料とアルギン酸材料を含む肥料製品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、様々な変更および代替形態が可能であるが、その具体的な態様を図面に例示的に示し、詳細に説明する。しかしながら、本発明を、説明した特定の実施形態に限定する意図はないことを理解されたい。本発明の精神および範囲内に入るすべての変更、等価物、および代替物をカバーすることが意図されている。
【0016】
本発明の実施形態は、土壌の健康および作物に有益な効果をもたらすために、アルギン酸を肥料とともに利用するものである。アルギン酸を肥料に使用することにより、土壌および作物の健康に生物学的な利益をもたらすことができる。例えば、海藻は、生物学的および非生物学的ストレスに対する耐性を与えるだけでなく、種子の発芽および定着、ならびに作物の性能および成長収量に好影響を与えることが見出されている。海藻製品はまた、成長刺激活性および生体刺激活性を示し、処理植物の細胞代謝に影響を与える多量栄養素および微量栄養素、アミノ酸、ビタミン、サイトカイニン、オーキシン、ならびにアブシジン酸様成長物質を提供し、処置された植物の細胞代謝、成長を促進するための葉張り、および収量に影響を与える。海藻はまた、水分保持能力を向上させ、有益な土壌微生物の増殖を促進することにより、土壌に対して物理的、化学的、生物学的特性に影響を与える。褐藻類には、アルギン酸やフコイダンなどのポリウロニドが豊富に含まれている。これらの多糖類のゲル化能力およびキレート化能力は、親水性と相まって、これらの化合物を食品加工や農業・製薬産業において重要なものにしている。海藻抽出物は低濃度(1:1000以上に希釈)でも生物活性がある。
【0017】
ある研究では、主に褐藻類から抽出したアルギン酸を酵素分解して生成したアルギン酸オリゴ糖が、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)の菌糸の成長と伸長を著しく刺激し、カラタチ苗への感染性を誘発することが示された。様々な海洋性褐藻類(Laminaria japonica)の抽出物は、AM菌の成長促進剤として使用できる。同じ研究から、柑橘類の果樹園にコンブ(tangle)(海洋性褐藻類)抽出物を含む液体肥料をスプリンクラーシステムで散布したところ、土着(Indigenous)のAM菌は根の定着が27%向上し、胞子数が約21%増加した。研究者らはまた、紅藻類と緑藻類の有機フラクション(25%MeOH溶出液)が、試験管内でのAM菌の菌糸成長を著しく改善することも報告した。研究者らの研究結果は、紅藻類と緑藻類の25%MeOH溶出液をパパイヤ(Carica papaya Linn.)および、パッションフルーツ(Passiflora edulis Sims.)の根に散布すると、対照処置よりも菌根の発育が改善されること示す。この結果は、紅藻類と緑藻類はともに、高等植物の菌根形成に関与するAM刺激性化合物を有していることを示唆している。
【0018】
特定の種類のアルギン酸は、その独特な物理的特性により、特定の利益を提供するために肥料の様々な配合物に選択的に使用される。例えば、アルギン酸は、肥料中の栄養素の放出を遅らせたり、土壌の健康に良い影響を与えたり、土壌、微生物、作物に生体刺激作用を与えたり、肥料粒の品質を向上させるために使用することができる。アルギン酸は生分解性があり、比較的毒性が低いため、肥料として使用するのに魅力的な選択肢である。さらに、土壌中の金属イオンと結合すると、アルギン酸の塩が膨潤して水分を吸収・保持し、土壌のクラムテクスチャーと土壌の通気性を改善することができる。これにより、土壌の細孔の毛細管現象が改善され、植物の根系の成長が促進され、土壌微生物の活性が高まる。
【0019】
アルギン酸は、Ca2+、Mg2+などの2価カチオンを用いた場合を含む様々な架橋方法によってヒドロゲルを生成するために使用することができる。アルギン酸と土壌中の金属イオンとのヒドロゲル化により、水分を吸収して膨潤し、土壌水分を保持し、クラム構造を改善する高分子複合体を形成することができる。これにより、土壌の通気性が向上し、土壌細孔の毛細管現象が活性化され、植物の根系の成長が促進されるだけでなく、土壌微生物の活動も促進される。
【0020】
アルギン酸ヒドロゲル(alginate hydrogel)の物理的特性は、アルギン酸の供給源、架橋方法と分子、およびゲルに組み込まれる他の成分に依存する。例えば、アルギン酸には、ポリマー主鎖に沿って(1,4)結合したβ-D-マンヌロン酸((1,4)-linked β-D-mannuronate)(M)およびα-L-グルロン酸(α-L-guluronate)(G)の繰り返しブロック構造が含まれる。通常、アルギン酸には、連続するG残基(GGGGGG)、連続するM残基(MMMMM)、および交互の残基(GMGMGM)のブロックの組み合わせが含まれる。アルギン酸のGおよびMの含有量とブロックの長さは、アルギン酸の供給源によって異なる。科学的理論に束縛されることなく、ヒドロゲルを生成する架橋反応にはG残基が優位に関与すると考えられている。したがって、アルギン酸のG残基とM残基の割合、配列、Gブロックの長さ、および分子量は、アルギン酸によって形成されるゲルの物理的特性に影響を与える。アルギン酸ゲルの力学的性質(mechanical properties)は、通常、Gブロックの長さと分子量を増加させることにより高まる。さまざまなアルギン酸の供給源により、さまざまな化学構造を有するポリマーが得られる(例えば、アゾトバクター(Azotobacter)から生成される細菌性アルギン酸は、高濃度のGブロックを有し、Mブロックの含有量が高いアルギン酸と比較して、高い剛性を有するヒドロゲルを生成する)。
【0021】
いくつかの実施形態では、得られたアルギン酸ヒドロゲルは、微量栄養素や低分子化学薬品から高分子タンパク質に至るまで、様々なサイズの分子を土壌に運び、送達するために使用される。運ばれた物質は、架橋剤の種類や架橋方法に応じて、制御された方法でアルギン酸ヒドロゲルから放出される。ヒドロゲルの物理的特性(例えば、膨潤性、架橋能力)は、ゲルの安定性と、ヒドロゲルから周囲の土壌への分子(例えば、微量栄養素など)の放出速度を制御する。したがって、アルギン酸ヒドロゲルは、酸性環境で溶出する微量栄養素(例えばホウ素)を徐放または遅延放出する送達機構を提供する。また、開示されたアルギン酸材料は、土壌微生物と作物の両方に対するポジティブな相互作用により、単体の肥料製品以上に、作物に対して土壌の健康にポジティブな影響を持続的に与え、広範囲の土壌および作物に生物刺激効果(biostimulant effect)を提供することができる。
【0022】
図1に、一実施形態における、アルギン酸を含む保護層14で実質的にカプセル化(例えば、完全にカプセル化、または、ほぼカプセル化)された基肥材料12を含む肥料製品10の概略断面図を示す。以下にさらに説明するように、保護層14は、アルギン酸を単体で、またはヒドロゲルとして含む。さらに、他の実施形態では、保護層はワックスやオイルなどの疎水性材料を含んでもよい。
【0023】
基肥材料12は、任意の適切な材料であればよい。一実施形態において、基肥材料12は、例えば、窒素ベースの肥料(例えば、尿素)、カリウムベースの肥料(例えば、カリまたは塩化カリウム(MOP))、またはリン酸ベースの肥料(例えば、MAP、DAP、および/またはTSP)、またはそれらの組み合わせを含む種々の適切なNPK肥料のいずれかを含むことができる。基肥材料12はまた、任意に、下記の微量栄養素および/または二次栄養素の複数の供給源を含むか、またはそれと共粒化することができる。微量栄養素としては、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、および/または塩素(Cl)を含む。二次栄養素としては、元素形態の硫黄(S)、酸化硫酸塩形態の硫黄(SO4)、マグネシウム(Mg)、および/またはカルシウム(Ca)を含む。あるいは、様々な濃度のこれらの組み合わせのいずれかを含むがこれらに限定されない。
【0024】
保護層14は、基肥材料12と1つ以上のアルギン酸材料とを実質的にカプセル化(encapsulate)する。アルギン酸ポリマーを基肥材料12の上に適用して架橋させることにより保護層14を生成し、基粒を実質的にカプセル化したヒドロゲルが得られる。
【0025】
架橋プロセスは、イオン性架橋または共有結合性架橋を含むさまざまな方法で行うことができる。イオン性架橋では、ヒドロゲルは、二価カチオン(Ca2+、またはMg2+)などのイオン架橋剤と組み合わせたアルギン酸水溶液から調製される。グルロン酸ブロック(guluronate blocks)構造により二価カチオンの高度な配位が可能となるため、二価カチオンはアルギン酸鎖のGブロックにのみ結合すると考えられている。1つのポリマーのGブロックは、隣接するポリマー鎖のGブロックと連結し、ゲル構造が形成される。アルギン酸とのイオン性架橋を形成するために使用できるカルシウム源の例としては、塩化カルシウム(CaCl2)、硫酸カルシウム(CaSO4)および炭酸カルシウム(CaCO3)等がある。
【0026】
アルギン酸でイオン性架橋を行う際の課題の1つは、架橋とゲル化が起こる速度である。CaCl2は水溶液中での溶解度が高いため、一般的にゲル化が急速に進行し、制御が不十分となる。いくつかの例では、リン酸塩(例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム)を含む緩衝液を使用して、ゲル化を遅らせて制御することができる。これは、緩衝液中のリン酸基が、カルシウムイオンとの反応においてアルギン酸のカルボキシレート基と競合し、それによってゲル化が遅くなるためである。架橋とゲル化が急速に起こりすぎると、材料を基肥材料12に適用する前にゲル化が起こる可能性がある。したがって、基肥材料12の十分なカプセル化を確実にするために、ゲル化の速度を遅くするか、適用後にゲル化を起こさせることが有益である。
【0027】
CaSO4およびCaCO3ハ溶解度が低いため、ゲル化速度が遅くなり、アルギン酸ヒドロゲルの作業時間が長くなる可能性がある。例えば、アルギン酸溶液は、中性pHでは水に溶けないCaCO3と混合することができる。次に、グルコノ-δ-ラクトン(Glucono-δ-lactone)をアルギン酸/CaCO3混合物に添加し、pHを下げることで、CaCO3からCa2+を解離させることができる。放出されたCa2+は、その後、より緩やかな方法でアルギン酸溶液のゲル化を開始する。このように、溶液は予め混合され、基肥材料12上に噴霧され、ゲル化が起こり、保護層14が形成される。
【0028】
ゲル化速度は、二価カチオンを使用する場合のゲルの均一性および強度の制御に寄与し、ゲル化速度が遅いほど、より均一な構造が生成される。それによって力学的完全性(mechanical integrity)または保護層14が改善される。ゲル化温度もまた、ゲル化速度、およびその結果として生じるヒドロゲル保護層14の力学的性質に影響を与える。塗布温度が低いと、イオン架橋剤(例えばCa2+またはMg2+)の反応性が低下し、架橋速度、ひいてはゲル化速度が遅くなる。その結果として得られる架橋ネットワーク構造はより秩序を有し、得られる保護層14の力学的性質が向上する。前述したように、イオン性架橋アルギン酸ヒドロゲルの力学的性質はアルギン酸の化学構造によって異なる。したがって、選択したアルギン酸の化学構造と組み合わせてゲル化速度を制御することにより、最終製品に所望の物理的特性を与えることができる。
【0029】
イオン性架橋されたアルギン酸ヒドロゲルは、一価カチオンとの交換反応により周囲媒体に二価イオンが放出され、溶解する可能性があるため、生理学的条件下では長期安定性が限定的に低下する可能性がある。これらの特徴は、状況(例えば、ヒドロゲルまたは基肥材料12に含まれる材料の短期放出または長期放出が所望されるかどうか)に応じて、有利な場合もあれば不利な場合もある。
【0030】
ヒドロゲルの長期安定性がより高いことが好ましい実施例では、共有結合で架橋したアルギン酸ヒドロゲルを供することが好ましい。共有結合性架橋は、多くの用途でヒドロゲルの物理的性質を改善することが研究されている。イオン性架橋されたアルギン酸ヒドロゲルにかかる応力は、架橋が解離して別の場所で再形成されるにつれて緩和され、ゲルから水分が失われ、塑性変形が起こる。共有結合で架橋されたゲルでも水の移動が発生して応力緩和が起こるが、結合の解離と再形成ができないため、ゲルは弾性変形特性を維持することができる。しかしながら、得られるヒドロゲルが無毒性を保ち、環境基準を満たすことを確実にするために、架橋剤の精査を強化する必要がある。
【0031】
アルギン酸の共有結合性架橋は、様々な分子量のポリ(エチレングリコール)-ジアミンなどの適切な架橋剤を用いて行われる。研究によると、弾性率は、初めのうちはヒドロゲル中のポリ(エチレングリコール)(PEG)の架橋密度または重量分率が増加するにつれて徐々に増加するが、その後、架橋間の分子量が軟性(softer)PEGの分子量より小さくなると減少する。その後、アルギン酸ヒドロゲルの力学的性質と膨潤は、様々な種類の架橋分子を用いて、架橋密度を制御することによって厳密に制御できることが実証された。架橋分子の化学的性質もヒドロゲルの膨潤に影響を与える。第2の高分子(例えばPEG)として親水性架橋分子を導入することで、架橋反応によって生じるヒドロゲルの親水性の損失を補うことができる。
【0032】
一実施形態では、保護層14は、疎水性材料と組み合わせたアルギン酸または疎水性材料を含まないアルギン酸からなるヒドロゲルを含む。例えば、疎水性材料を含まない場合、基肥材料12を造粒し、乾燥粉末架橋剤と混合してもよい。2つの成分を共に混合(例えば、タンブリング)して、造粒された基肥材料12の外側に架橋剤の粉末をコーティングしてもよい。次に、粉末コーティングされた基肥材料12を、アルギン酸を含む水溶液(例えば、約1~10重量%のアルギン酸溶液)でスプレーコーティングしてもよい。粉末状の架橋剤と接触すると、アルギン酸が架橋してヒドロゲル保護層14を生成する。架橋剤とアルギン酸を、重量比で最大5:1までの任意の適切な割合で添加する。いくつかの実施例では、保護層はヒドロゲルアルギン酸を主成分とする(例えば、50重量%(wt%)以上)。
【0033】
最終肥料製品10中の適切な水分制御を確実にするために、ヒドロゲルコーティングを加熱して保護層14を脱水して水分を除去し、保管および輸送中に固体であるコーティングを提供することができる。いくつかの実施例では、コーティングされた製品は、最終含水量が5重量%未満、より具体的には3重量%未満になるまで加熱/脱水される。
【0034】
他の実施例では、外層の固化、含水量の制御、材料の放出プロファイルの変更等をするために、疎水性成分を保護層14に含有させる。このような実施例では、上述の水溶液を約1重量%~約90重量%のオイルまたはワックスとブレンドして、エマルジョンを形成する。次いで、粉体被覆した基肥材料12にこのエマルジョンを高温で塗布する。アルギン酸と架橋剤とが少なくとも部分的に反応して、開示のアルギン酸ヒドロゲルを形成する。塗布温度は、オイルまたはワックス成分が噴霧可能な溶融状態であるように、十分に高い温度を保つ必要がある(例えば、55℃以上)。十分に被覆されたら、製品を室温まで冷却して保護層14を固化させ、それにより基肥材料12をカプセル化することができる。任意に、得られた肥料製品10を所望の最終含水量までさらに脱水してもよい。
【0035】
疎水性材料を含む他の実施形態では、架橋剤とアルギン酸を別々の相で混合し、エマルジョンとして基肥材料に噴霧してもよい。例えば、上述の割合を用いて、アルギン酸を水溶液に溶解し、架橋剤(CaCl2、MgCl2などの二価カチオン)を、加熱したワックスまたはオイル(例えば、液体を生成するのに十分加熱したもの)に溶解または懸濁させる。次いで、アルギン酸水溶液と架橋剤を含むワックスまたはオイルの疎水性溶液を共に乳化し、基肥顆粒に噴霧する。アルギン酸と架橋剤が移動することで、材料が反応し、本開示のヒドロゲルが生成される。コーティングが完了したら、顆粒を冷却して保護コーティング14を固化させる。必要に応じてさらに脱水してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、保護コーティング14は、時間の経過とともにヒドロゲルから土壌中に放出される微量栄養素などの1つ以上の有益な添加剤を含む。これらの添加剤は、上記の水性相または疎水性相に配合することができる。さらに、または代替的に、添加剤を基肥材料12に含有させてもよい。添加剤としては、例えば以下のような微量栄養素および/または二次栄養素、または様々な濃度のそれらの組み合わせのいずれかを含むが、これらに限定されない。微量栄養素としては、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、および/または塩素(Cl)を含む。二次栄養素としては、元素形態の硫黄(S)の追加供給源、酸化硫酸塩形態の硫黄(SO4)、マグネシウム(Mg)、および/またはカルシウム(Ca)を含む。
【0037】
本開示のアルギン酸材料および保護コーティング14により、製品の品質または取り扱いが改善される。肥料製品は粉塵が多く、特に高温多湿にさらされると劣化しやすいことが知られている。アルギン酸材料を組み込んだ保護層14は、これらの品質基準を改善することができる。したがってカスタマーエクスペリエンスを改善し、選択した肥料製品が環境条件に耐えられない市場への拡大も可能となる。
【0038】
図2は、基肥材料22とアルギン酸材料24とをブレンドした混合物を含む肥料製品20の概略断面図である。これらの2つの成分は、任意の適切な方法で組み合わせて、圧縮してもよい。いくつかの実施形態において、架橋剤は、最初に基肥材料と混合してもよい(例えば、アルギン酸に対して最大約5:1の割合で混合する)。フィードが十分な架橋カチオンを有していない場合、アルギン酸溶液の濃度と最大5:1の割合になる濃度で、選択した二価カチオン(Ca、Mgなど)をフィードにブレンドすることができる。
【0039】
次いで、架橋剤を含む肥料材料を、溶解したアルギン酸を含む水性材料(例えば、1~10%のアルギン酸を含む溶液)とブレンドする。組み合わされてブレンドされると、架橋剤とアルギン酸が反応して、基肥材料22内に埋め込まれる本開示のヒドロゲルアルギン酸材料24が形成される。このような例では、必要に応じて、開示された疎水性材料をブレンドに含めることもできる。混合後、得られた肥料製品20は、従来の加工技術を経て複数の顆粒に造粒される。肥料製品20は、従来から肥料製品に適用されている従来の防塵剤(DCA)を噴霧してもよく、あるいは、本明細書に記載のカプセル化保護層14でコーティングしてもよい。
【0040】
他の実施例では、基肥材料22および乾燥形態のアルギン酸材料34は、肥料を圧縮する前に組み合わせることができる。乾燥アルギン酸材料は、基肥材料22の約1重量%~約10重量%の量で含まれてもよい。材料は、従来の技術を使用して圧縮することができる。肥料製品20は、典型的なDCAで噴霧され、および/または、本明細書に記載のカプセル化保護層14でコーティングされる。
【0041】
図3は、共造粒された基肥材料32とアルギン酸材料34とを含む肥料製品30の概略断面図である。例えば、予め造粒された乾燥アルギン酸材料を、基肥材料32の約1重量%~約10重量%の量で基肥材料の肥料圧縮フィードに添加する。造粒は、粒子状の肥料製品30を製造するための従来の技術を使用して行う。肥料製品30は、従来のDCAで噴霧されるか、および/または、本明細書に記載のカプセル化保護層14でコーティングされる。
【0042】
他の実施形態では、アルギン酸材料と基肥材料とを混合して肥料製品を形成する。アルギン酸材料は、水などの担体中に分散または溶解した微量栄養素、二次栄養素、および/または一次栄養素の材料を含むヒドロゲル球またはカプセルの形態である。例えば、アルギン酸を、水性担体に溶解(例えば、1~10重量%)させる。同様に、二価カチオン(例えば、Ca2+、Zn2+、Mg2+などの供給源)を含む粉末状の微量栄養素を、適合性のある水性担体に溶解(例えば、1~10重量%)させる。次いで、アルギン酸を含む水溶液を、二価カチオンを含む溶液に滴下して加えて、ヒドロゲルを形成する。滴下による添加により、アルギン酸およびカプセル化された微量栄養素を含むヒドロゲル材料の複数の微小球が生成される。ヒドロゲル球を溶液から取り出して、基肥材料と混合する。
【0043】
いくつかの実施形態では、アルギン酸材料を基肥材料とともに押出成形して、肥料材料の顆粒(例えば、ペレット)を製造する。例えば、アルギン酸を水性担体に溶解(1~10重量%)させる。二価カチオンなどの架橋剤を、アルギン酸との割合が最大約5:1となるような相対濃度で、加熱されたワックスまたはオイル(例えば、ワックスまたはオイルを溶融させるのに十分加熱された、すなわち摂氏55度以上で加熱されたワックスまたはオイル)に溶解または懸濁させる。次いで、アルギン酸を含む水溶液を、架橋剤/乳化剤/ワックスの組み合わせのうちの1つまたはすべてに乳化する。次いで、溶融したエマルジョンを基肥材料と混合し、押出成形して、混合肥料製品を形成する。混合物はダイキャストによって特定のサイズと形状に押し出すことができる。押出プロセス中および押出プロセス後に部分的に冷却することにより、溶融した顆粒が硬化して固まり、肥料顆粒が生成される。
【0044】
本明細書では、システム、装置、および方法の様々な実施形態について説明している。これらの実施形態は、例として示すものであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、説明した実施形態の様々な特徴は、様々な方法で組み合わせて、多数の追加の実施形態を作り出すことができることを理解されたい。さらに、開示された実施形態と共に使用するために、様々な材料、寸法、形状、構成および位置などについて説明したが、開示されたもの以外のものも、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を超えることなく利用され得る。
【0045】
関連する技術分野における当業者であれば、本明細書の主題が、上述した個々の実施形態に例示されるよりも少ない特徴で構成され得ることを認識するであろう。本明細書で説明する実施形態は、本明細書の主題の様々な特徴を組み合わせることができる方法を網羅的に提示することを意図するものではない。したがって、これらの実施形態は、相互に排他的な特徴の組み合わせではない。むしろ、当業者によって理解されるように、様々な実施形態は、異なる個別の実施形態から選択された異なる個別の特徴の組み合わせを含み得る。さらに、一実施形態に関して説明した要素は、特に断りのない限り、実施形態に記載されていない場合であっても、他の実施形態において実施することができる。
【0046】
従属請求項は、特許請求の範囲において、1つ以上の他の請求項との特定の組み合わせを指す場合があるが、他の実施形態は、従属請求項と他の各従属請求項の主題との組み合わせ、または1つ以上の特徴と他の従属請求項もしくは独立請求項との組み合わせを含むこともできる。そのような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないと記載されていない限り、本明細書において提案される。
【0047】
上記文書の参照による組み込みは、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように制限される。上記文書の参照による組み込みは、文書に含まれる請求項が参照により本明細書に組み込まれないように、さらに制限される。上記文書の参照による組み込みは、本明細書に明示的に含まれない限り、文書に規定されるいかなる定義も参照により本明細書に取り込まれないように、さらに制限される。
【0048】
特許請求の範囲の解釈上、「手段(means for)」又は「手順(step for)」という特定の用語がクレームに記載されていない限り、35U.S.C.§112(f)の規定が適用されないことが明示的に意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料製品であって、
基肥材料と、
前記基肥材料をカプセル化する保護層と、を含み、
前記保護層はアルギン酸と、疎水性成分とを含む肥料製品。
【請求項2】
カプセル化された肥料製品を形成する方法であって、
架橋剤を含む粉末で粒状の基肥材料をコーティングする工程と、
前記粉末でコーティングされた粒状の基肥材料にアルギン酸および疎水性成分を含む溶液を噴霧して、粒状の基肥材料をカプセル化する保護層を形成する工程と、を含む方法。
【請求項3】
カプセル化された肥料製品を形成する方法であって、
水溶液と疎水性成分とを含むエマルジョンを形成する工程であって、前記水溶液はアルギン酸を含み、前記疎水性成分は前記アルギン酸と架橋する架橋剤を含む工程と、
粒状の基肥材料に前記エマルジョンを噴霧して、前記粒状の基肥材料をカプセル化する保護層を形成する工程と、を含む方法。
【請求項4】
前記保護層を乾燥させる工程をさらに含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記保護層は前記アルギン酸を架橋剤で架橋することによって形成される、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
複数の顆粒を含む肥料製品であって、
基肥材料と、
架橋剤で架橋されたアルギン酸を含むヒドロゲルと、
疎水性成分と、を含む肥料製品。
【請求項7】
前記複数の顆粒の各顆粒が、前記基肥材料と、前記基肥材料内に埋め込まれたヒドロゲルとを含む、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項8】
前記複数の顆粒の各顆粒は前記基肥材料と前記ヒドロゲルとを共造粒してなる、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項9】
前記複数の顆粒の各顆粒が、前記ヒドロゲルを含む複数の微小球を含む、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項10】
前記基肥材料と前記ヒドロゲルとが混合され、共押し出しされて形成される、請求項6に記載の肥料製品。
【請求項11】
肥料製品の形成方法であって、
基肥材料と架橋剤とを混合して肥料混合物を形成する工程と、
前記肥料混合物の造粒中にアルギン酸および疎水性成分を含む溶液を前記肥料混合物に噴霧して、粒状の肥料製品を形成する工程と、を含む方法。
【請求項12】
前記架橋剤を、前記アルギン酸に対して重量比で最大5:1の割合で添加する、
請求項2,3,11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記架橋剤が二価カチオンである、
請求項2,3,11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記二価カチオンが、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、またはそれらの組み合わせである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記肥料製品が、前記アルギン酸および前記疎水性成分を含むエマルジョンからなる、
請求項1に記載の肥料製品。
【請求項16】
前記アルギン酸と架橋剤とがヒドロゲルを形成する、
請求項2,3,11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基肥材料が、窒素ベースの肥料、カリウムベースの肥料、リン酸ベースの肥料、またはそれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の肥料製品。
【請求項18】
前記疎水性成分がワックスまたはオイルである、
請求項1に記載の肥料製品。
【請求項19】
前記疎水性成分が、前記アルギン酸に対して約1重量%(wt%)~約90重量%の量で存在する、
請求項1項に記載の肥料製品。
【国際調査報告】