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特表2024-527523基板の昇抵抗領域を有する受動構成要素Q値の向上
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】基板の昇抵抗領域を有する受動構成要素Q値の向上
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L23/12 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579135
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 US2022034217
(87)【国際公開番号】W WO2022271615
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/681,029
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/213,567
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】スワミナサン サンカラン
(72)【発明者】
【氏名】スコット ロバード サマーフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン クック
(57)【要約】
集積回路(IC)(100)が、半導体基板(102)と相互接続領域(104)とを含む。半導体基板(102)は、第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する。半導体基板(102)は、受動構成要素(122)を備える第1の領域を有する。半導体基板は、第1の領域の外側に第2の領域を有する。第2の領域の抵抗は、第1の領域の抵抗よりも小さい。相互接続領域(104)は、半導体基板(102)の第2の表面上にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(IC)であって、
第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する半導体基板であって、前記半導体基板が、受動構成要素を備える第1の領域を有し、前記半導体基板が、前記第1の領域の外側に第2の領域を有し、前記第2の領域の抵抗が前記第1の領域の抵抗よりも小さい、前記半導体基板と、
前記半導体基板の第2の表面上の相互接続領域と、
を含む、IC。
【請求項2】
請求項1に記載のICであって、前記第1の領域が、
前記半導体基板の前記第1の表面から前記半導体基板の前記第2の表面に向かって中途まで延在する、複数のスルーウェハトレンチ(TWT)であって、前記複数のTWTが、前記第1の表面に対して垂直に延在する軸に沿って前記第1の領域に少なくとも部分的に重なる或るパターンを定義する、前記TWTと、
前記複数のTWT内の誘電体ポリマーと、
を含む、IC。
【請求項3】
請求項2に記載のICであって、前記誘電体ポリマーがパリレン化合物である、IC。
【請求項4】
請求項2に記載のICであって、前記誘電体ポリマーがフッ素化パリレン化合物である、IC。
【請求項5】
請求項2に記載のICであって、前記パターンがグリッドパターンである、IC。
【請求項6】
請求項2に記載のICであって、前記パターンが、中心を有する一連の同心トレンチを含み、前記パターンが、前記中心から外方に前記同心トレンチを介して延在する放射状トレンチを含む、IC。
【請求項7】
請求項1に記載のICであって、前記受動構成要素が、コンデンサ、インダクタ、又は変圧器のうちの少なくとも1つである、IC。
【請求項8】
集積回路(IC)であって、
第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する半導体基板であって、受動構成要素を備える第1の領域を有する前記半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1の表面から前記半導体基板の前記第2の表面に向かって中途まで延在する、複数のスルーウェハトレンチ(TWT)であって、前記複数のTWTが、前記第1の表面に対して垂直に延在する軸に沿って前記第1の領域に少なくとも部分的に重なる或るパターンを定義する、前記複数のTWTと、
前記複数のTWT内の誘電体ポリマーと、
を含む、IC。
【請求項9】
請求項8に記載のICであって、前記パターンがグリッドパターンである、IC。
【請求項10】
請求項9に記載のICであって、前記グリッドパターンが、直交配置されたTWTを含む、IC。
【請求項11】
請求項8に記載のICであって、前記パターンが、中心を有する一連の同心トレンチを含み、前記パターンが、前記中心から外方に前記同心トレンチを介して延在する放射状トレンチを含む、IC。
【請求項12】
請求項8に記載のICであって、前記受動構成要素が、コンデンサ、インダクタ、又は変圧器のうちの少なくとも1つである、IC。
【請求項13】
請求項8に記載のICであって、前記誘電体ポリマーがパリレン化合物である、IC。
【請求項14】
請求項8に記載のICであって、前記誘電体ポリマーがフッ素化パリレン化合物である、IC。
【請求項15】
半導体ウェハ上に集積回路(IC)を製造する方法であって、前記方法が、
半導体基板の第1の領域において前記半導体基板上に受動構成要素を形成することであって、前記半導体基板が、第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する、前記受動構成要素を形成することと、
前記半導体基板の前記第1の表面から前記半導体基板の前記第2の表面に向かって中途まで延在する複数のスルーウェハトレンチ(TWT)を、或るパターンにエッチングすることと、
前記複数のTWTにおいて誘電体ポリマーを適用することと、
を含み、
前記パターンが、前記第1の表面に対して垂直に延在する軸に沿って前記第1の領域に少なくとも部分的に重なる、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記パターンがグリッドパターンである方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記パターンが、中心を有する一連の同心トレンチを含み、前記パターンが、前記中心から外方に前記同心トレンチを介して延在する放射状トレンチを含む、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記受動構成要素を形成することが、コンデンサ、インダクタ、又は変圧器のうちの少なくとも1つを形成することを含む、方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、前記誘電体ポリマーを適用することが、パリレン化合物を前記複数のTWT内に拡散させることを含む、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、前記誘電体ポリマーを適用することが、フッ素化パリレン化合物を前記複数のTWT内に拡散させることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体デバイス(ダイ、チップ)は、数多くのタイプの電気構成要素を含む。電気構成要素のタイプの一つは、周波数の関数である或るインピーダンスを有する受動構成要素である。そのような受動構成要素の例には、インダクタ、変圧器、及びコンデンサが含まれる。
【発明の概要】
【0002】
一例において、集積回路(IC)が、半導体基板と相互接続領域とを含む。半導体基板は、第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する。半導体基板は、受動構成要素を備える第1の領域を有する。基板は、第1の領域の外側に第2の領域を有する。第2の領域の抵抗は、第1の領域の抵抗よりも小さい。相互接続領域は、半導体基板の第2の表面上にある。
【0003】
別の例において、半導体ウェハ上にICを製造する方法が、半導体基板の第1の領域において半導体基板上に受動構成要素を形成することを含む。半導体基板は、第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の表面とを有する。この方法はさらに、スルーウェハトレンチ(TWT)を、基板の第1の表面から半導体基板の第2の表面に向かって中途まで延在する、或るパターンにエッチングすることを含む。このパターンは、第1の表面に対して垂直に延在する軸に沿って第1の領域に少なくとも部分的に重なる。この方法はまた、複数のTWTにおいて誘電体ポリマーを適用することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
種々の例の詳細な説明のため、添付の図面を参照する。
【0005】
図1】一例に従って、受動構成要素の品質(Q)値と基板抵抗との関係を図示するグラフである。
【0006】
図2】一例に従って、スルーウェハトレンチによって形成される隔離領域を含む例示の半導体デバイスの図である。
図3】一例に従って、スルーウェハトレンチによって形成される隔離領域を含む例示の半導体デバイスの図である。
図4】一例に従って、スルーウェハトレンチによって形成される隔離領域を含む例示の半導体デバイスの図である。
【0007】
図5】同心円状のトレンチを含むパターンに形成されるスルーウェハトレンチの例である。
【0008】
図6A】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6B】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6C】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6D】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6E】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6F】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6G】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6H】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6I】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6J】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
図6K】一例に従った、スルーウェハトレンチの製造のためのプロセス工程を図示する、ウェハの一部の断面図である。
【0009】
図7】シリコン・オン・インシュレータ・ウェハにおける受動構成要素のQ値を改善するために、スルーウェハトレンチが設けられる例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面において、(機能及び/又は構造のいずれかが)同じ又は同様の特徴に対して同じ参照番号が用いられている。
【0011】
受動電気構成要素の種々のタイプの品質(Q)値の定義は、所与の周波数に対するその抵抗に対するそのリアクティブインピーダンスの比である。Q値は、受動構成要素の効率の尺度である単位のない量である。Q値が高いほど、受動構成要素は理想的な構成要素(電気エネルギーを熱に変換しない構成要素である理想的な構成要素)に近づく。インダクタのQ値はQ=L×ω/Rsであり、ここで、Lはインダクタンス、ωは周波数、Rsはインダクタの直列抵抗である。コンデンサのQ値はQ=1/(Rs×C×ω)であり、ここで、Rsはコンデンサの直列抵抗であり、Cはコンデンサの静電容量である。変圧器が、各々それ自体のQ値によって特徴付けられる2つのインダクタを含む。受動構成要素については、低いQ値よりも高いQ値を有することが望ましい。
【0012】
受動構成要素は半導体基板(例えば、シリコン)上に製造される。半導体基板自体は導電性である。インダクタなどの受動構成要素は、基板内に電流を誘導し得る。基板における電流の方向は、インダクタにおける電流フローの方向と反対である。この現象は、レンツの法則によって特徴付けられる。この効果は、インダクタの実効インダクタンスを低減する。また、基板の抵抗は、インダクタの直列抵抗の増加を表す。Q値は、インダクタンスに比例し、抵抗に反比例するので、実効インダクタンスが減少し、直列抵抗が増加すると、半導体基板上に形成されるインダクタのQ値が減少する。半導体基板上に形成されるコンデンサのQ値も、同様の現象により損なわれる。
【0013】
図1は、受動構成要素のQ値に対する基板の抵抗(Rsub)間の例示の関係を示す。図1が示すように、Q値は、より低い抵抗の基板(101で識別される)及びより高い抵抗の基板(103で識別される)ではより高い。しかし、ほとんどの又は多くの基板は、図1で102によって識別される中間レンジの抵抗を有する。基板抵抗レンジ102では、このような基板上に形成される受動構成要素のQ値は一層低い。図1における例示の曲線における最低Q値は7.0であるが、より高い基板抵抗(例えば、103のレンジ)ではQ値はより高い(例えば、8~9)。
【0014】
本明細書に記載の実施例は、受動構成要素が位置するエリアの下にトレンチを形成するために裏側エッチングされる基板を対象とする。トレンチは、誘電体材料で充填される。受動構成要素の下の基板のエリアに、より高い抵抗の誘電体材料を含めることによって、そのエリアにおける基板の抵抗は、誘電体で充填されたトレンチがない場合の基板に対して増加する。その結果、受動構成要素付近の基板の実効抵抗は、レンジ102からレンジ103まで増加し、それゆえ、そのエリアにおける受動構成要素のQ値が有利に増加する。本明細書ではバルク半導体技術に関する例を説明するが、本記載の他の例には、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ベースの半導体技術が含まれる。
【0015】
本明細書で詳細に説明するように、1つ又は複数の受動構成要素を含む半導体デバイスが、半導体基板上に形成される。コンタクトと、金属線と、場合によってビアとを含む相互接続領域が、基板の頂部表面上に形成される。トレンチは、集積回路(IC)の基板を部分的に介してエッチングされ、トレンチの領域における基板の抵抗を増加させるためにポリマー誘電体で充填される。トレンチは、「スルーウェハトレンチ」(TWT)と呼ばれ、1つ又は複数の受動構成要素の下の基板のエリアに形成される。誘電体充填TWTが形成される基板のエリアは、基板の表面に対して垂直に延在する軸に沿って受動構成要素が存在する基板の領域に少なくとも部分的に重なる。一例において、トレンチは、グリッドパターンに形成されるが、他のパターンにも形成することもできる。
【0016】
図2図4は、基板102と、誘電体材料110で充填されたスルーウェハトレンチ108により形成される「昇(elevated)」抵抗領域112とを有する例示の半導体デバイス100の図である。領域112の昇抵抗とは、領域112の抵抗が、領域112の外側の基板102の抵抗より大きいことを指す。この例では、昇抵抗領域112は、受動構成要素122(例えば、この例ではキャパシタ)の下にある。受動構成要素122「の下」にあるということは、z軸(基板102の図3の表面106に垂直な軸)に沿って、昇抵抗領域122は、受動構成要素が位置するエリアに少なくとも部分的に重なる設置面積(footprint)を有することを意味する。
【0017】
図2は、半導体デバイス100の上面斜視図である。基板102は、バルク半導体ウェハからのものであり得、半導体材料のエピタキシャル層を含み得る。半導体デバイス100は、基板102の頂部表面106において相互接続領域104を含む。相互接続領域104は、誘電体材料の層と、1つ又は複数のレベルの金属線と、金属線を基板102における構成要素に接続するコンタクトと、異なるレベルの金属線を接続するビアとを含む。
【0018】
昇抵抗領域112は基板102の一部であり、この部分は、基板102から半導体材料を除去し、より低い抵抗半導体材料をより高い抵抗の誘電体充填材料110で置換することによって、スルーウェハトレンチ108が形成される。基板102の主要部分114が、昇抵抗領域112の外側にあり、昇抵抗領域112に当接する。この例では、領域112のTWT108内により高い抵抗の誘電体充填材料110が存在するため、主要部分114は、昇抵抗領域112よりも低い抵抗を有する。裏側誘電体層109が、昇抵抗領域112と主要部分114の一部とにわたって連続している。
【0019】
この例では、拡散障壁111が、裏側誘電体層109の上に重なり、裏側誘電体層109を封止する。場合によっては、拡散障壁111は絶縁体である。その場合、裏側誘電体は、昇抵抗領域112の全てを覆っていなくてもよい。相互接続領域104は、昇抵抗領域112の上で連続的であり得る。相互接続領域104は、基板102の頂部表面106とは反対の相互接続領域104の面において頂部表面118を有する。この例では、半導体デバイス100は、相互接続領域104の頂部表面118においてボンドパッド116を含む。明確にするために単一の受動構成要素122が昇抵抗領域112内に示されているが、2つ以上の受動構成要素がそこに配置されてもよい。また、基板102は、各々が1つ又はそれ以上の受動構成要素に隣接する、複数の昇抵抗領域112を有し得る。
【0020】
図3は、半導体デバイス100の断面である。TWT108の上の層104に、複数の受動構成要素321が示されている。昇抵抗領域112は、基板102の底部表面120から、部分的にウェハ基板102を介して、相互接続領域104に向かって延在しているが、相互接続領域104まで完全には延在していない。誘電体充填材料110は、TWT108を実質的に充填し、連続的な裏側層109を形成する。一例において、誘電体充填材料は、フッ素化パリレン(パリレン-F又は-HTC又は-AF4)である。他の例において、誘電体充填材料は非フッ素化パリレン化合物であり得る。他の実施例において、誘電体充填材料は、エポキシ、ポリイミド、シリコン、テフロン、又はベンゾシクロブテン(BCB)などの有機誘電体材料を含み得る。あるいは、誘電体充填材料110は、ガラス、セラミック、又は、シロキサン含有溶液又はゾルゲルから形成される二酸化シリコンベースの無機材料などの無機誘電体材料を含んでいてもよい。
【0021】
この例では、水分拡散障壁111が、裏側誘電体層109の上に形成される。以下により詳細に記載されるように、パリレンの誘電体特性は、水分を追い出すために加熱し、次いで、水分の吸収を防ぐために拡散障壁111で封止することによって改善され得る。この例では、拡散障壁111は、窒化シリコン(SiN)の層である。他の例において、シリコンオキシナイトライド(SiOxNy)、酸化アルミニウム(AlOx)などの他のタイプの材料を酸素/水分拡散障壁111に使用し得る。水分拡散障壁111はまた、Ta、Ti、TiW、TaN、TiN、Al、Cu、Ag、又はAuなどの金属、若しくは、その他の相互接続又はパッケージ金属システムであり得る。こういった金属は、良好な水分障壁を提供し、良好な熱伝導体でもある。
【0022】
受動構成要素122が、基板102の昇抵抗領域112に隣接している。分かりやすくするために単一の受動構成要素122が示されているが、付加的な受動(及び能動)構成要素を隔離部分112内に配置し得る。TWT108における誘電体充填材料110は、受動構成要素のエリアにおける基板102の抵抗を増加させるように機能し、その結果、そのエリアの抵抗が(TWT108を充填する誘電体材料がない場合よりも)高くなる。基板のこのエリアの抵抗は図1のレンジ103まで増加し、その結果、受動構成要素のQ値が増加する。
【0023】
基板102の厚み126は、全厚基板102の場合に600ミクロンまで、薄くされた基板102の場合、例えば200ミクロンの範囲とし得る。TWT108の高さ149は、基板の厚み126より小さい。各TWT108の幅128は、例えば、5ミクロン~50ミクロンとし得る。相互接続領域104における、コンタクト130、金属線132、及びビア134は、受動構成要素122及びボンドパッド116への電気的接続を提供する。
【0024】
図4は、半導体デバイス100の裏側断面斜視図である。基板102の昇抵抗領域112は、この例では、直交配置されたトレンチ108を有するグリッドパターンとして形成される。他の実施例において、昇抵抗領域112は、図5に描かれたパターンのような他の配置で形成される。図5において、昇抵抗領域112のパターンは、中心501から外方に延在する放射状トレンチ108bを備える、一連の同心円状のトレンチとして形成される。
【0025】
半導体デバイス100は、例えば、クワッドフラットノーリードパッケージなど、様々なパッケージタイプのいずれかにパッケージングされ得る。クワッドフラットノーリード(QFN)及びデュアルフラットノーリード(DFN)などのフラットノーリードパッケージは、集積回路を印刷回路基板に物理的及び電気的に接続する。マイクロリードフレーム(MLF)及びSON(small-outline no leads)としても知られるフラットノーリードは、ICをスルーホールなしで印刷回路基板(PCB)の表面に接続する、いくつかのパッケージ技術のうちの1つの表面実装技術である。フラットノーリードは、平坦な銅リードフレームパッケージ基板でつくられるほぼチップスケールのプラスチック封止されたパッケージである。パッケージ底部上の周囲ランドが、PCBへの電気的接続を提供する。他の例は、クワッドフラットパッケージ、ボールグリッドアレイなど、他の既知の又は後に開発されるパッケージング技術を用いてパッケージングされ得る。
【0026】
図6A図6Kは、半導体ウェハ600の一部の断面図であり、基板の一部の抵抗を増加させ、それゆえ付近の受動構成要素のQ値を増加させるために、トレンチをエッチングすることと、次いで、トレンチを誘電体材料で充填することとによって形成される、少なくとも1つの昇抵抗領域を有する半導体デバイス100の製造のためのプロセス工程を図示する。以下でより詳細に説明するように、誘電体ポリマーの裏側層は、パターン化され、半導体ウェハ上のデバイス間の切断線から取り除かれる。次いで、誘電体ポリマーの残りの裏側層の上に拡散障壁が適用される。このようにして、誘電体ポリマーの残りの裏側層は、半導体デバイスが分離されるときに露出されない。
【0027】
図6Aを参照すると、半導体デバイス100(図6K参照)は、シリコンなどの半導体材料を含む基板602を有するウェハ600上に形成される。この例では、基板602は、半導体デバイス100(各半導体デバイス100が1つ又は複数の受動デバイスを含む)を含むバルク半導体ウェハ600である。基板802は、半導体材料のエピタキシャル層を含み得る。半導体デバイス100は、基板602の頂部表面606に形成される相互接続領域604を含む。相互接続領域604は、誘電体材料の層と、1つ又は複数のレベルの金属線と、金属線を基板602における構成要素に接続するコンタクトと、場合によっては、異なるレベルの金属線を接続するビアとを含む。この例では、半導体デバイス100は、相互接続領域604の頂部表面618に又はその近くにボンドパッド116を含む。
【0028】
図6Bを参照すると、半導体ウェハ600は、キャリア638に最も近い相互接続領域604の頂部表面818と基板602の底部表面620とが露出した状態で、キャリア638上に搭載される。キャリア638は、例えば、シリコンウェハ、或いは、セラミックディスク又はガラスディスクであり得る。半導体ウェハ600は、Brewer Science WaferBOND(登録商標)HT-10.10などの一時的接合材料840を用いてキャリア638に搭載され得る。基板602の厚み626を、初期的に500ミクロン~600ミクロン、例えば、市販のシリコンウェハの全厚とし得る。
【0029】
図6Cを参照すると、基板602の厚み627は、例えば裏側研削によって基板602を薄くすることによって、約100ミクロンまで低減される。次いで、基板602の露出表面621は、化学機械研磨(CMP)などの既知の又は後に開発される技法を用いて研磨され得る。基板602の厚み626、627の他の値もこの例の範囲内である。
【0030】
図6Dを参照すると、TWTマスク642が、基板602の底部表面621に形成されてTWT108のためのエリアを露出させる。一例において、TWTマスク642は、例えば、フォトリソグラフィプロセスによって形成されるフォトレジストを含む。フォトレジストのTWTマスク642を形成することは、製造コストが低いという利点を有し、薄くされた基板602に適している可能性がある。別の例において、TWTマスク642は、プラズマエンハンスト化学気相成長(PECVD)プロセスによって形成される、窒化シリコン、シリコンカーバイド、又は、非晶質炭素などのハードマスク材料を含む。ハードマスク材料のTWTマスク642を形成することは、耐久性及び寸法安定性の利点を有し、全厚基板602に適している可能性がある。TWTマスク642は、昇抵抗領域112のためのTWTのグリッド(又は他の)パターンに対応するパターンを有する。
【0031】
図6Eを参照すると、基板602の半導体材料が、TWTマスク642によって露出されたエリアにおいて除去されて、後に誘電体充填材料で充填されるトレンチ108が形成される。基板602の半導体材料は、ディープ反応性イオンエッチ(DRIE)プロセスによって除去され得る。ボッシュプロセスと呼ばれるDRIEプロセスの一例は、代替的に、エッチングされた領域の底部の材料を除去し、エッチングされた領域の側壁を不動態化して、エッチングされた領域の所望のプロファイルを維持する。別の例は、同時に、エッチングされた領域の底部の材料を除去し、エッチングされた領域の側壁を不動態化する、連続DRIEプロセスである。トレンチ608が形成され、これは、基板602を部分的に介して相互接続領域604に向かって延在する。バルクウエハ処理(これはシリコン・オン・インシュレータ(SOI)層を含まない)の場合、エッチプロセスは、相互接続領域604に到達すると自動的に停止する。SOIプロセスの場合、エッチプロセスは、SOI構造内の誘電体層に達すると自動的に停止する。
【0032】
図6Eをさらに参照すると、図6DのTWTマスク642が取り除かれる。TWTマスク642におけるフォトレジストは、アッシングプロセス又はオゾンエッチプロセス、それに続くウェット洗浄プロセスによって除去され得る。TWTマスク642におけるハードマスク材料は、基板802における半導体材料と相互接続領域804における誘電体層とに対して選択的である、プラズマエッチプロセスによって除去され得る。
【0033】
図6Fを参照すると、誘電体ポリマー610が、基板602のTWT608内及び裏側表面621上に堆積されて、裏側表面誘電体ポリマー層609を形成する。この例では、パリレン-Fは誘電体ポリマー610である。別の例において、パリレン-HT又はパリレン-AF4を使用し得る。パリレンの堆積プロセスは、エポキシ、シリコーン、又はウレタンなどの他の誘電体材料に用いられる湿式堆積プロセスをなくす。これは、ローディングボート内に配置され、気化器内に挿入された、未加工の粉末パリレン二量体と共に、化学真空チャンバ内で開始する。二量体は、まず100℃~150℃に加熱され、固体パリレンを分子レベルのガスに変換する。このプロセスは、一貫したレベルの熱を必要とする。温度は、着実に上昇して最終的に680℃に達し、蒸気状分子を昇華させ、それを単量体に分割するものであるべきである。
【0034】
次いで、蒸気状分子は、被覆チャンバにおいて真空によって基板602上に引き込まれ、ここで、単量体ガスは、最終堆積位相、コールドトラップに達する。ここで、温度は、-90℃と-120℃との間で、被覆チャンバを介して基板から引き出されたあらゆる残留パリレン材料を除去するのに充分なレベルまで冷却される。
【0035】
パリレンの複雑で特殊化された気相堆積技法により、基板602に形成されるTWT領域608の特性に完全に共形でありながら、構造的に連続した裏側誘電体ポリマー層609としてポリマーが首尾よく適用され得ることが確実となる。
【0036】
更に別の例において、TWT608及び裏側誘電体層609が、未硬化エポキシ、未硬化ポリイミド、未硬化BCB、セラミックスラリー、ゾル-ゲル、メチル-シルセスキオキサン(MSQ)などのシロキサン含有流体、又は、ガラスを含有する流体液滴など、他のタイプの誘電体材料で形成され得る。誘電体含有流体液滴は、溶媒又は他の揮発性流体を含み得、これはその後取り除かれる。誘電体含有流体液滴は、液滴搬送装置からの搬送の直前に混合される、エポキシ樹脂及び硬化剤などの2つの反応性構成要素流体を含み得る。TWT608における誘電体含有流体は、必要に応じて、硬化、乾燥、又はその他の方式で処理されて、TWT808及び裏側誘電体層609内に誘電体材料610を形成する。半導体ウェハ600は、例えば、誘電体含有流体を誘電体材料610に変換するために、真空又は不活性雰囲気中で焼成され得る。これらの材料のいくつかは、低温で高密度化するナノサイズの粒子を使用し得る。場合によっては、低温ガラス粉末が用いられ、次いで、溶融し、それゆえ間隙を高密度化及び充填するのに充分に熱く加熱され得る。
【0037】
図6Gを参照すると、裏側誘電体ポリマー層609は、種々のデバイス100を互いから分離するために鋸切断されるか又はその他の方式で切断される、切断線領域681、682からパリレンを除去するように処理される。切断線領域からパリレンを除去する理由の1つは、パリレンが切断プロセスを妨害しないようにするためである。別の理由は、切断プロセスによってパリレン裏側層609を露出させない拡散障壁611(図6H参照)を、裏側誘電体層609上に配置することを可能にするためである。この例では、切断線領域681、682における裏側誘電体層609のエッジは、拡散障壁層611の滑らかな堆積を可能にするように、わずかにテーパ状である(図6H)。
【0038】
図6Gをさらに参照すると、一例において、フォトリソグラフィプロセス、及び酸素を用いるポリマーエッチによって形成される厚いフォトレジストが、切断線681、682からパリレンを除去するために用いられる。別の例において、プラズマエンハンスト化学気相成長(PECVD)プロセスによって形成される、窒化シリコン、シリコンカーバイド、又は非晶質炭素などのハードマスク材料が、切断線領域681、682からパリレンを除去するために用いられる。別の例において、切断線領域681、682からパリレンを除去するために、レーザアブレーションプロセスが用いられる。
【0039】
図6Hを参照すると、裏側誘電体ポリマー層609の上に拡散障壁層611が堆積される。一例において、拡散障壁層611は、パリレン層609とのCTE不整合が拡散障壁611をクラックしないように充分に厚いSiNの層である。別の例において、拡散層611は金属拡散障壁である。典型的な相互接続又はパッケージング金属のいくつかの例には、Ta、Ti、TiW、TaN、TiN、Al、Cu、Ag、又はAuが含まれる。この場合、例えば、銅(Cu)が、スパッタ、電子ビーム、CVD、又は後に開発されるめっき技術を用いて、チタン(Ti)又はチタンタングステン(TiW)障壁層の頂部上の接着層Cuシード層上に電気めっきされる。いくつかの例において、或るパターンを用いて、水分の吸収から保護される必要がある誘電体ポリマー層609のエリアにのみ厚いCuを堆積させてもよい。
【0040】
拡散障壁611を堆積させる前に、パリレン610を焼成して、潜在水分がある場合除去し、パリレンを高密度化する。パリレンから水分を除去することで、その抵抗率を、例えば100倍改善し得る。パリレンの抵抗率は典型的に、長時間ではより低温(250℃で24時間など)を、又は短時間ではより高温(400℃で1時間)を必要とする。また、焼成は典型的に抵抗率を改善するが、特に酸素環境において、過度の焼成は劣化をもたらし得る。焼成後、パリレン610への水分の拡散を防ぐために、拡散障壁611が適時に適用されるべきである。
【0041】
図6Iを参照すると、半導体ウェハ600は、キャリア638が除去されている一方で支持を提供するために、テープ684上に取り付けられる。テープ684は、ICの製造に用いられる、既知の又は後に開発されるテープである。
【0042】
図6Jを参照すると、半導体ウェハ600は、図6Iのキャリア638から取り除かれる。半導体ウェハ600は、例えば、図6Iの一時的接合材料640を、レーザ又は他の熱源を用いて一時的接合材料640を軟化させるために加熱することと、半導体ウェハ600をキャリア638から横方向に摺動させることとによって、除去され得る。一時的接合材料640はその後、例えば有機溶媒に溶解することによって、取り除かれる。
【0043】
図6Kを参照すると、半導体ウェハ600上に含まれる複数の半導体デバイス100は、機械的ソーイング、レーザ切断などの既知の又は後に開発される個片化技法を用いて、例示の切断線685、686に示されるように個片化される。ウェハ600上に並列に製造された全ての半導体デバイス100を個片化するために、多くの付加的な切断線(図示せず)が形成される。
【0044】
依然として図6Kを参照すると、裏側誘電体ポリマー687、688のエッジは個片化プロセスによって露出されず、拡散障壁611は、拡散障壁611の堆積の前に、切断線領域681、682(図6G)における裏側誘電体層609の一部の除去に起因して裏側誘電体層609を完全に封止及び保護するため、無傷のままである。図6Gを参照すると、切断線領域681、682から取り除かれるパリレンの部分は幅w1を有し、幅w1は、拡散障壁層611が適用された後に、裏側誘電体層609のエッジとIC100の周辺エッジ基板602との間に幅w2を有する空間889が依然として存在するように充分に広く、幅w2は、裏側誘電体ポリマー層609のエッジ687、688が個片化プロセスによって露出されないように充分に広い。図6Kを引き続き参照すると、複数の半導体デバイス100の各々は、次いで、既知の又は後に開発されるICパッケージング技法を用いてパッケージングされる。
【0045】
上述のように、受動構成要素のためのQ値を増加させる技法は、SOIベースのウェハにおいて実装され得る。図7は、図3のものと同様であるが、SOIウェハの場合を示している。絶縁体層(例えば、誘電体)710が、本明細書に記載されるようにQ値が増加された受動構成要素から誘電体充填トレンチを分離するように示されている。本記載において、「結合する」という用語は、本明細書と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行うためにデバイスBを制御する信号を生成する場合、(a)第1の例において、デバイスAは直接接続によってデバイスBに結合され、又は(b)第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を変更しない場合に、デバイスAは、介在構成要素Cを介してデバイスBに結合されて、デバイスBはデバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスAによって制御される。
【0046】
特に明記しない限り、或る値に先行する「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載された値の+/-10%を意味する。
【0047】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図7
【国際調査報告】