(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】満腹感を誘導する、及び代謝障害を治療するための方法及びキット
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240718BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240718BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240718BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240718BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240718BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240718BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240718BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240718BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240718BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240718BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240718BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240718BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240718BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20240718BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240718BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240718BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
C07K 14/605 20060101ALN20240718BHJP
C07K 14/62 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61K9/20
A61K9/70
A61K9/08
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/14
A61K47/18
A61P3/04
A61P3/10
A61P1/16
A61P13/12
A61P27/02
A61P25/00
A61K38/17
A61K38/16
A61K9/48
A61P43/00 121
C07K14/605
C07K14/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579276
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 US2022034836
(87)【国際公開番号】W WO2022272019
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520231809
【氏名又は名称】ギラ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GILA THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】トーマス バシチェック
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA36
4C076AA56
4C076AA71
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4H045CA40
4H045DA37
4H045EA20
4H045EA21
4H045EA27
(57)【要約】
本発明は、満腹感を誘導する、ならびに代謝障害、糖尿病、肥満、及び肥満関連状態の治療のための方法及びキットを提供する。本明細書に記載の方法及びキットは、満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、及び肥満関連障害の治療のための代謝ホルモン及びGLP-1受容体アゴニストの投与を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、慢性腎疾患(CKD)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、心血管疾患(CVD)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、網膜症、末梢血管疾患(PVD)、末梢動脈疾患(PAD)、及び神経障害から選択される状態を治療する方法であって、前記方法が、表1、2、3、4、5、6、7または8のいずれか1つのグルカゴン様ペプチド1受容体アゴニスト(GLP-1 RA)治療レジメン下で、2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを対象に局所的舌投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
表2のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表3のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
表4のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
表5のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
表6のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
表7のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
表8のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記代謝ホルモンが、前記対象のY2受容体を標的とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記Y2受容体が前記対象の舌に関連している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記代謝ホルモンの前記局所的舌投与が、前記対象の血液及び/または血漿中の前記代謝ホルモンのレベルの変化を実質的にもたらさない、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記代謝ホルモンが、PYY、PYY(3-36)、レプチン、オキシントモジュリン(OXM)、コレシストキニン(CCK)、インスリン、アミリン、胃抑制ペプチド(GIP)、グルカゴン、その類似体、バリアント、または生物学的に活性な断片である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
2.5μg、10μg、25μg、50μg、100μg、または250μgの前記代謝ホルモンが投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記代謝ホルモンが、経口溶解錠(ODT)、ロゼンジ剤、フィルム、またはスプレーとして製剤化される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ODTが、約1%~6%w/vの濃度で部分的に加水分解されたゼラチン、マンニトール、加水分解デキストラン、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシア、アスパルテーム、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、フェニルアラニン、水、またはそれらの組み合わせを含む急速溶解形態である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
GLP-1関連副作用を低減する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記GLP-1関連副作用が、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、便秘、膵炎、糖尿病性網膜合併症、低血糖、急性腎障害、過敏症、またはそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記GLP-1受容体アゴニストが、錠剤、ゲルカプセル、または液体として製剤化される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、NASH、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害から選択される状態を治療する方法であって、表9の全身性GLP-1 RA用量漸増レジメンを完了した対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、前記方法。
【請求項20】
満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、NASH、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害から選択される状態を治療する方法であって、以下のGLP-1 RA治療レジメン:
(a)前記GLP-1 RAが即時放出用に製剤化されたエキセナチドであり、前記治療レジメンがn*5μgのエキセナチド(nの値は1~2である)を全身投与することを含む;
(b)前記GLP-1 RAが徐放性放出用に製剤化されたエキセナチドであり、前記治療レジメンがn*2mgのエキセナチド(nの値は1である)を全身投与することを含む;
(c)前記GLP-1 RAがリキシセナチドであり、前記治療レジメンがn*10μgのリキシセナチド(nの値は1~2である)を全身投与することを含む;
(d)前記GLP-1 RAがリラグルチドであり、前記治療レジメンがn*600μgのリラグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含む;
(e)前記GLP-1 RAがセマグルチドであり、前記治療レジメンがn*250μgのセマグルチド(nの値は1~100である)を全身投与することを含む;
(f)前記GLP-1 RAがデュラグルチドであり、前記治療レジメンがn*750μgのデュラグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含む;
(g)前記GLP-1 RAがチルゼパチドであり、治療レジメンAがn*4mg、n*8mg、またはn*12mgを全身投与することを含み、治療レジメンBがn*2.5mg、n*5mg、n*10mg、またはn*15mgのチルゼパチドを全身投与することを含む(nの値は1~10である);
である前記GLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む、前記方法。
【請求項21】
(a)前記GLP-1 RAがセマグルチドであり、前記治療レジメンがn*1.7μgのセマグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含むか、または
(b)前記GLP-1 RAがセマグルチドであり、前記治療レジメンがn*2.4μgのセマグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象において満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、NASH、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害から選択される状態を治療する方法であって、
(a)表9の第1の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、前記方法。
【請求項23】
(a)表9の第2の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
(a)表9の第3の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、請求項22~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
(a)表9の第4の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
(a)表9の第5の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
(a)表9の第6の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
(a)表9の第7の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、請求項22~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
(a)表9の第8の投薬レジメンを受けている前記対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、
(b)2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与と、
を含む、請求項22~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
2.5μg~250μgの用量での局所的舌投与用に製剤化された代謝ホルモンと、全身投与用に製剤化されたGLP-1 RAの用量とを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願はASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。2022年6月22日に作成されたASCIIコピーの名称は51547-007WO2_Sequence_Listing_6_22_22_ST25であり、サイズは24,476バイトである。
【背景技術】
【0002】
肥満の有病率は、世界中で増加し続けている。しかしながら、肥満及び他の代謝関連障害に対する有効な長期の非侵襲的治療は依然として不足している。既存の治療薬による満腹感の誘導、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、及び肥満関連障害の治療では、好適な治療効果が得られないことが多い。したがって、新たな治療が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、満腹感を誘導する、ならびに代謝障害、糖尿病、肥満、肥満関連状態、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、脂肪肝疾患、慢性腎疾患(CKD)、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、心血管疾患(CVD)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、網膜症、末梢血管疾患(PVD)、末梢動脈疾患(PAD)、及び神経障害(例えば、糖尿病性神経障害)の治療のための方法及びキットを提供する。本明細書に記載の方法は、満腹感の誘導、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、及び肥満関連障害の治療を増強する代謝ホルモン及びグルカゴン様ペプチド1受容体アゴニスト(GLP-1 RA)の併用投与を含む。
【0004】
一態様では、本発明は、満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、NASH、脂肪肝疾患、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害(例えば、糖尿病性神経障害)から選択される状態を治療する方法を特徴とし、該方法は、表1、2、3、4、5、6、7または8のいずれか1つのGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、約10μg~約1mg、例えば、約25μg~約250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与するステップを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、本方法は、表2のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、表3のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、表4のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、表5のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、表6のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、表7のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、表8のGLP-1 RA治療レジメン下で、対象に2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンを局所的舌投与することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは対象のY2受容体を標的とする。いくつかの実施形態では、Y2受容体は対象の舌に関連している。
【0007】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、ペプチドYY(PYY)、PYY(3-36)、レプチン、オキシントモジュリン(OXM)、コレシストキニン(CCK)、インスリン、アミリン、胃抑制ペプチド(GIP)、グルカゴン、または上記のいずれかの類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、2.5μg、10μg、25μg、50μg、100μg、または250μgの代謝ホルモンが投与される。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、経口溶解錠(ODT)、ロゼンジ剤、フィルム、またはスプレーとして製剤化される。いくつかの実施形態では、ODTは、約1%~6%w/vの濃度で部分的に加水分解されたゼラチン、マンニトール、加水分解デキストラン、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシア、アスパルテーム、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、フェニルアラニン、水、またはそれらの組み合わせを含む急速溶解形態である。いくつかの実施形態では、方法は、GLP-1関連副作用を低減する。いくつかの実施形態では、GLP-1関連副作用は、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、便秘、膵炎、糖尿病性網膜合併症、低血糖、急性腎障害、過敏症、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、GLP-1受容体アゴニストは、錠剤、ゲルカプセル、または液体として製剤化される。
【0008】
別の態様では、本発明は、表9の全身性GLP-1 RA用量漸増レジメンを完了した対象への2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与を含む、満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、NASH、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害から選択される状態を治療する方法を特徴とする。
【0009】
別の態様では、本発明は、以下のGLP-1 RA治療レジメン:該GLP-1 RAが即時放出用に製剤化されたエキセナチドであり、該治療レジメンがn*5μgのエキセナチド(nの値は1~2である)を全身投与することを含むか、該GLP-1 RAが徐放性放出用に製剤化されたエキセナチドであり、該治療レジメンがn*2mgのエキセナチド(nの値は1である)を全身投与することを含むか、該GLP-1 RAがリキシセナチドであり、該治療レジメンがn*10μgのリキシセナチド(nの値は1~2である)を全身投与することを含むか、該GLP-1 RAがリラグルチドであり、該治療レジメンがn*600μgのリラグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含むか、該GLP-1 RAがセマグルチドであり、該治療レジメンがn*250μgのセマグルチド(nの値は1~100である)を全身投与することを含むか、該GLP-1 RAがデュラグルチドであり、該治療レジメンがn*750μgのデュラグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含むか、該GLP-1 RAがチルゼパチドであり、チルゼパチド治療レジメンAがn*4mg(nの値は1~10である)を全身投与することを含むか、または該GLP-1 RAがチルゼパチドであり、チルゼパチド治療レジメンBがn*2.5mg(nの値は1~10である)を全身投与することを含む、該GLP-1 RA治療レジメン下で、対象への2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与を含む、満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、NASH、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害から選択される状態を治療する方法を特徴とする。
【0010】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはセマグルチドであり、該治療レジメンはn*1.7μgのセマグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含むか、またはGLP-1 RAはセマグルチドであり、該治療レジメンはn*2.4μgのセマグルチド(nの値は1~10である)を全身投与することを含む。
【0011】
別の態様では、本発明は、表9の第1の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、対象の口への2.5μg~250μgの用量の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む、対象において満腹感を誘導する、またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、肥満関連障害、NASH、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害から選択される状態を治療する方法を特徴とする。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、表9の第2の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、表9の第3の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本方法は、表9の第4の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、表9の第5の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、表9の第6の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、表9の第7の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、表9の第8の投薬レジメンを受ける対象への10%~90%のGLP-1 RAの全身投与と、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)の代謝ホルモンの局所的舌投与とを含む。
【0019】
別の態様では、本発明は、2.5μg~2.5mgの用量(例えば、1μg~1mg、例えば、10μg~1mg、例えば、2.5μg~250μg、例えば、25μg~250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)での局所的舌投与用に製剤化された代謝ホルモンと、全身投与用に製剤化されたGLP-1 RAの用量(例えば、表1~9のいずれか1つに記載される)とを含むキットを特徴とする。
【0020】
定義
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために具体例が使用され得る一般的な部類を含むことを意図するものである。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用は、特許請求の範囲に概説される場合を除いて、本発明を限定しない。
【0021】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は記載されている値から10%以内で上回る、または下回る値を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、ある範囲の値で提供される任意の値は、上限と下限の両方、及び上限と下限内に含まれる任意の値を含む。
【0023】
「有効成分」という用語は、本明細書で使用される場合、対象に投与された場合に生物学的応答を誘導する代謝ホルモン、GLP-1 RA、それらの類似体、バリアント、または代謝ホルモンの生物学的に活性な断片を指す。
【0024】
「結合する(bind)」、「結合する(binds)」、または「結合(binding)」という用語は、代謝ホルモンまたはその一部とY2受容体との間の化学結合(例えば、イオン性、共有結合性、または疎水性)または他の化学的もしくは物理的引力を介した、代謝ホルモンまたは代謝ホルモンの一部とY2受容体との間の会合を指し、代謝ホルモンとY受容体との間の会合によって生物学的応答が誘導される。例えば、Doods,Peptides.16:1389-1394,1995を参照のこと。
【0025】
本明細書で使用される場合、本発明による任意の組成物に関して「徐放性放出」という用語は、投与から10週間以内の組成物の全部または一部の放出を指す。徐放性放出用に製剤化された組成物は、1つ以上の放出段階で有効成分を放出し得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、本発明による任意の組成物に関して「即時放出」という用語は、調節された放出ではなく、投与から60分以内に組成物の全部または一部を放出する放出を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「局所的」または「局所投与」とは、全身的効果ではなく局所的効果を目的とした身体の特定の部位への投与を意味する。「局所的」または「局所投与」という用語またはその変形は、対象の血液中の有効成分のレベルに実質的な変化を伴わない、本明細書に記載の任意の有効成分の投与を指す。
【0028】
「代謝障害」という用語は、本明細書で使用される場合、代謝系の機能または制御の異常に関連する、及び/またはその結果として生じるヒトまたは動物の状態または疾患(例えば、肥満、糖尿病、脂肪肝疾患、NASH、PCOS、血糖値の上昇、CKD、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び/または神経障害(例えば、糖尿病性神経障害))を指す。「障害」という用語は、一般に、正常な身体構造及び機能の破壊、または内部因子もしくは外部因子に対する病態生理学的応答を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、対象からの試料(複数可)の当該技術分野において既知の臨床検査(複数可)を用いて、または用いずに、資格のある専門家(例えば、医師または上級看護師)によって判断されたときに、疾患または状態を患っているか、またはそのリスクがあるヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を表す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「全身投与」という用語は、1つ以上の有効成分、その類似体またはバリアントの血液または血漿レベルを検出限界を超えて増加させる、本発明による任意の組成物の送達を指す。
【0031】
「治療用量」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的有効成分が、疾患、障害、または状態に関連する症状を治療、改善、または低減することができる用量を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「治療レジメン」という用語は、本明細書に記載の疾患または状態のいずれかの治療または予防のために対象によって摂取される本明細書に記載の任意の組成物の少なくとも用量、頻度、及び期間を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「標的とする」という用語は、化学結合または他の化学的もしくは物理的相互作用を介した、本発明の任意の組成物の有効成分(例えば、代謝ホルモンまたはGLP-1 RA)または有効成分の一部と対象の受容体との間の会合を指し、会合によって生物学的応答が誘導される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「局所的舌投与」、「局所的舌側」という用語、またはそれらの変形は、対象の血液中の代謝ホルモンのレベルに実質的な変化を伴わない(例えば、実質的に全身曝露を伴わない)対象の口及び/または舌の上皮への代謝ホルモンの局所投与を指す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
概して、本発明は、満腹感を誘導する、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、及び肥満関連障害などの代謝に影響を与える状態を治療するための方法及びキットを特徴とする。本発明は、グルカゴン様ペプチド1受容体アゴニスト(GLP-1 RA)と、代謝ホルモン、例えばペプチドYY(PYY)との投与の間の相乗効果の驚くべき発見に一部基づいている。本発明はまた、GLP-1 RAの治療レジメンを以前に実施されたが、その後の代謝ホルモンによる治療、または代謝ホルモン及びGLP-1 RAを含む併用療法から恩恵を受けるであろう対象の治療のための方法及びキットを提供する。本明細書において企図される方法及びキットは、以下により詳細に記載される。
【0036】
満腹感を誘導する、ならびに代謝障害及びそれに関連する状態を治療するための組成物
GLP-1 RA組成物
本明細書に記載の方法は、GLP-1 RA、またはその生物学的に活性な断片、バリアント、もしくは類似体を含む組成物を全身投与することを含む。いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは、満腹感を誘導する、及び/または本明細書に記載の適応症のいずれかを治療するための承認された治療薬である。
【0037】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはエキセナチドであり、これは配列番号1に記載の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、エキセナチドは即時放出(IR)用に製剤化される。いくつかの実施形態では、エキセナチドは徐放性放出(ER)用に製剤化される。
【0038】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはリキシセナチドであり、これは配列番号2に記載の配列を有するポリペプチドを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはリラグルチドであり、これは配列番号3に記載の配列を有するポリペプチドを含み、20位のリジンに結合しているグルタミン酸スペーサーに結合したパルミチン酸部分を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはセマグルチドであり、これは配列番号4に記載の配列を有するポリペプチドを含み、2位にα-アミノイソ酪酸、20位にステアリン二酸でアシル化されたリジン誘導体を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはデュラグルチドであり、これは配列番号5に記載の配列を有するポリペプチドを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはチルゼパチドであり、これは配列番号6に記載の配列を有し、2位及び13位にα-アミノイソ酪酸、ならびに20位にグルタミン酸リンカーを介して結合したC20脂肪二酸を含む修飾リジンを有するポリペプチドを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは、GLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、GLP-1、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号17に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、GLP-1は、配列番号17に記載の配列を有する。
【0044】
本明細書に記載のGLP-1 RA(例えば、リキシセナチド、リラグルチド、セマグルチド、デュラグルチド、またはチルゼパチド)の組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(例えば、プロピレングリコール、ソルビン酸カリウム、L-アルギニン、エデト酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、及びポリソルベート20)を含み得る。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは約100mg/mlの濃度で存在し、L-アルギニンは約25mg/mlの濃度で存在し、ソルビン酸カリウムは約2mg/mlの濃度で存在し、エデト酸二ナトリウムは約1.2mg/mlの濃度で存在し、リン酸ナトリウム一塩基二水和物は約7.8mg/mlの濃度で存在し、ポリソルベートは約5mg/mlの濃度で存在する。さらに、本明細書に記載の組成物は、プロピレングリコールなどの共溶媒安定剤または他の好適な共溶媒安定剤(例えば、PEG200及び400などの低分子量ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、及びエタノールを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、L-アルギニンなどのアミノ酸安定剤または他の好適なアミノ酸安定剤(例えば、アラニン、アスパラギン酸、グリシン、リジン、プロリン、またはメチオニン)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ソルビン酸カリウムなどの防腐剤または他の好適な防腐剤(例えば、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、クエン酸、クロロブタノール、m-クレゾール、グルタチオン、メチオニン、メチルパラベン、プロピルパラベン、亜硫酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸エステル(ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル)、ホウ酸及びホウ酸塩、ソルビン酸及びカリウムを除く他のソルビン酸塩、ならびにフェノール類)を含むことができる。本明細書に記載の組成物は、酸化防止剤、例えばエデト酸二ナトリウムまたは別の好適な酸化防止剤(例えば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、及びブチルヒドロキシトルエン)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、緩衝液(例えば、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、クエン酸塩-リン酸塩、グリシン、HEPES、ヒスチジン、マレイン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、及びトリエタノールアミン(Tris))を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、界面活性剤、例えば、ポリソルベート20または他の好適な界面活性剤(例えば、ポロキサマー188/407、ポリソルベート40もしくは80、またはラウリル硫酸ナトリウム)を含むことができる。
【0045】
GLP-1 RAの投与経路
GLP-1 RAを含む本発明の組成物は、GLP-1 RAを全身に送達するように製剤化することができる。組成物は、任意の好適な経路及び投与手段用に製剤化され得る。薬学的に許容される担体または希釈剤は、経口、直腸、経鼻、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、及び経皮を含む)投与に好適な製剤で使用されるものを含む。製剤は、好都合には、単位剤形で提供することができ、薬学の分野において周知の方法のいずれかによって調製され得る。皮下または経皮投与様式は、本明細書に記載の特定の化合物に特に好適であり得る。いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは、錠剤、ゲルカプセル、または液体として製剤化される。本発明の組成物は、単位剤形であってもよい。そのような形態では、組成物は、適切な量の有効成分(例えば、エキセナチドIR)を含有する単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージされた製剤であり得、パッケージは、別個の量の製剤、例えば、分包剤、カプセル剤、及びバイアルまたはアンプル中の粉末剤を含有する。単位剤形は、カプセル剤、カシェ剤、または錠剤そのものであってもよく、または適切な数のこれらのパッケージ形態のいずれかであってもよい。これは、単回投与注射形態、例えば注射ペンの形態で提供されてもよい。
【0046】
代謝ホルモン組成物
本明細書に記載の方法は、代謝ホルモン、またはその生物学的に活性な断片、バリアント、もしくは類似体の局所的舌投与を含む。代謝ホルモンは、対象の口腔のY2受容体を標的とする(例えば、結合する、会合する、または相互作用する)。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、対象の舌上で発現されるY2受容体を標的とする。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、ペプチドYY(PYY)、PYY(3-36)、レプチン、オキシントモジュリン、コレシストキニン、インスリン、アミリン、胃抑制ペプチド、またはグルカゴンである。
【0047】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、PYY、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である(例えば、(Pro34)PYY、PYY類似体NNC0165-1273、PYY類似体NNC0165-1875、またはPYY類似体NNC0165-1562)。いくつかの実施形態では、PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号7に対して少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、PYYは配列番号7に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのPYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのPYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのPYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、PYYバリアントは[Pro34]PYYである。いくつかの実施形態では、[Pro34]PYY、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号8に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、[Pro34]PYYは配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、PYYバリアントはNNC065-1273であり、これは35位にベータ-ホモ-アルギニンを有するPYY(3-36)ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、PYYバリアントはNNC0165-1875である。いくつかの実施形態では、PYYバリアントはNNC0165-1562である。いくつかの実施形態では、PYY類似体またはバリアントは、例えば、Lear et al.J.of Med.Chem.63:9660-9671,2020(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの実施形態では、PYY類似体は、例えば、Rangwala et al.Cell Metab.29:837-843,2019(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているPYY-抗体(抗体または抗体のFc領域に結合したPYY)または1つ以上のPEG部分に結合したPYYである。いくつかの実施形態では、PYYバリアントまたは類似体は、米国特許第8,217,001号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)に記載されている任意のバリアントである。
【0048】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、PYY(3-36)、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)バリアント、類似体、またはその生物学的に活性な断片は、配列番号9に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)は配列番号9に記載のアミノ酸配列を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、PYY(3-36)バリアント、類似体、またはその生物学的に活性な断片は、Balasubramaniam et al.,Pept Res 1:32-35,1998;Liu et al.,J.Gastrointest Surg.5:147-152,2001(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)におけるように、PYY(26-36)、PYY(25-36)、PYY(24-36)、PYY(23-36)、PYY(22-36)、PYY(21-36)、PYY(20-36)、PYY(19-36)、PYY(18-36)、PYY(17-36)、PYY(16-36)、PYY(15-36)、PYY(14-36)、PYY(13-36)、PYY(12-36)、PYY(11-36)、PYY(10-36)、PYY(9-36)、PYY(8-36)、PYY(7-36)、PYY(6-36)、PYY(5-36)、またはPYY(4-36)である。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)バリアント、類似体、またはその断片は、単一点変異、例えば、PYY(25-36)の単一点変異、例えば[Lys25]PPY(25-36)、[Thr27]PPY(25-36)、[Phe21]PPY(25-36)、[Ile28]PYY(25-36)、[Val28]PYY(25-36)、[Gln29]PYY(25-36)、[Ile30]PYY(25-36)、[Val30]PYY(25-36)、[Ile31]PYY(25-36)、[Leu31]PYY(25-36)、[Ser32]PYY(25-36)、[Lys33]PYY(25-36)、[Asn34]PYY(25-36)、[Lys35]PYY(25-36)、[Thr36]PYY(25-36)もしくは[Phe36]PYY(25-36)、またはPYY(24-36)の単一点変異、例えば[Ile24]PYY(24-36)もしくは[Val24]PYY(24-36)を有する断片であり得る。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)バリアント、類似体、またはその生物学的に活性な断片は、二重点変異、例えばPYY(25-36)の二重点変異、例えば[Lys25,Thr27]PPY(25-36)、[Lys25,Phe27]PPY(25-36)、[Lys25,Ile28]PPY(25-36)、[Lys25,Val28]PPY(25-36)、[Lys25,Gln29]PPY(25-36)、[Lys25,Ile30]PPY(25-36)、[Lys25,Val30]PPY(25-36)、[Lys25,Ile31]PPY(25-36)、[Lys25,Leu31]PPY(25-36)、[Lys25,Ser32]PPY(25-36)、[Lys25,Lys33]PPY(25-36)、[Lys25,Asn34]PPY(25-36)、[Lys25,Lys35]PPY(25-36)、[Lys25,Thr36]PPY(25-36)、[Lys25,Phe36]PPY(25-36)、[Thr27,Ile28]PPY(25-36)、[Thr27,Val28]PPY(25-36)、[Thr27,Gln29]PPY(25-36)、[Thr27,Ile30]PPY(25-36)、[Thr27,Val30]PPY(25-36)、[Thr27,Ile31]PPY(25-36)、[Thr27,Leu31]PPY(25-36)、[Thr27,Ser32]PPY(25-36)、[Thr27,Lys33]PPY(25-36)、[Thr27,Asn34]PPY(25-36)、[Thr27,Lys35]PPY(25-36)、[Thr27,Thr36]PPY(25-36)、[Thr27,Phe36]PPY(25-36)、[Phe27,Ile28]PPY(25-36)、[Phe27,Val28]PPY(25-36)、[Phe27,Gln29]PPY(25-36)、[Phe27,Ile30]PPY(25-36)、[Phe27,Val30]PPY(25-36)、[Phe27,Ile31]PPY(25-36)、[Phe27,Leu31]PPY(25-36)、[Phe27,Ser32]PPY(25-36)、[Phe27,Lys33]PPY(25-36)、[Phe27,Asn34]PPY(25-36)、[Phe27,Lys35]PPY(25-36)、[Phe27,Thr36]PPY(25-36)、[Phe27,Phe36]PPY(25-36)、[Gln29,Ile30]PYY(25-36)、[Gln29,Val30]PYY(25-36)、[Gln29,Ile31]PYY(25-36)、[Gln29,Leu31]PYY(25-36)、[Gln29,Ser32]PYY(25-36)、[Gln29,Leu33]PYY(25-36)、[Gln29,Asn34]PYY(25-36)、[Gln29,Leu33]PYY(25-36)、[Gln29,Thr36]PYY(25-36)、[Gln29,Phe30]PYY(25-36)、[Ile30,Ile31]PYY(25-36)、[Ile30,Leu31]PYY(25-36)、[Ile30,Ser32]PYY(25-36)、[Ile30,Lys33]PYY(25-36)、[Ile30,Asn34]PYY(25-36)、[Ile30,Lys33]PYY(25-36)、[Ile30,Thr30]PYY(25-36)、[Ile30,Phe30]PYY(25-36)、[Val30,Ile31]PYY(25-36)、[Val30,Leu31]PYY(25-36)、[Val30,Ser32]PYY(25-36)、[Val30,Lys33]PYY(25-36)、[Val30,Asn34]PYY(25-36)、[Val30,Lys35]PYY(25-36)、[Val30,Thr30]PYY(25-36)、[Val30,Phe30]PYY(25-36)、[Ile31,Ser32]PYY(25-36)、[Ile31,Lys33]PYY(25-36)、[Ile31,Asn34]PYY(25-36)、[Ile31,Lys33]PYY(25-36)、[Ile31,Thr30]PYY(25-36)、[Leu31,Phe30]PYY(25-36)、[Leu31,Ser32]PYY(25-36)、[Val31,Lys33]PYY(25-36)、[Leu31,Asn34]PYY(25-36)、[Leu31,Lys33]PYY(25-36)、[Leu31,Thr30]PYY(25-36)、[Leu31,Phe30]PYY(25-36)、[Ser32,Lys33]PYY(25-36)、[Ser32,Asn34]PYY(25-36)、[Ser32,Lys35]PYY(25-36)、[Ser32,Thr36]PYY(25-36)、[Ser32,Phe36]PYY(25-36)、[Lys33,Asn34]PYY(25-36)、[Lys33,Lys35]PYY(25-36)、[Lys33,Thr36]PYY(25-36)、[Lys33,Phe36]PYY(25-36)、[Asn34,Lys35]PYY(25-36)、[Asn34,Thr36]PYY(25-36)、[Asn34,Phe36]PYY(25-36)、[Lys35,Thr36]PYY(25-36)、または[Lys35,Phe36]PYY(25-36)を有する断片であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのPYY(3-36)、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのPYY(3-36)の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのPYY(3-36)の局所的舌投与を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、レプチン、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、レプチン類似体は、Peters J.H.,et al,Endocrinology,148(6):2878-85,2007(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)におけるようにレプチン受容体アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、レプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号10に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、レプチンは、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、レプチンの類似体は、組換え類似体メトレレプチン(MYALEPT(登録商標))であり、配列番号18に記載の配列を有するポリペプチドを含み、アミノ酸残基97及び147を連結するジスルフィド架橋を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのレプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのレプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのレプチン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、OXM、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、OXM、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号11に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、OXMは、配列番号11に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、OXMの類似体は、Liu,Y-L.,Int.J.Obes.,2010,34(12):1715-25(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される、長時間作用効果のために合成された合成類似体OXM6421である。いくつかの実施形態では、OXMの類似体は、Bianchi,E.,Bioorg.Med.Chem.,2013,21(22):7064-73(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される、高分子量PEG分子で官能化された長時間作用性ポリエチレングリコール(PEG)-OXMである。いくつかの実施形態では、OXMの類似体は、Scott,R.,Peptides,2018,104:70-77(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される、持続放出性類似体OX-SRである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのOXM、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのOXM、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのOXM、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、CCK、またはその類似体、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、CCK、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号12に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、CCKは、配列番号12に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、CCKの類似体は、Sperti J.Surg.Oncol.,54:11-16,1994(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるセルレインである。いくつかの実施形態では、CCKの類似体は、Mossner,Z.Gastroenterol.,29:59-64,1991(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される合成類似体Thr28NlE31CCK25-33(CCK9)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのCCK、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのCCK、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのCCK、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、インスリン、またはその類似体(例えば、インスリンアスパルト(NOVOLOG(登録商標))、インスリングラルギン(LANTUS(登録商標))、インスリンリスプロ(LYUMJEV(商標))、インスリングルリジン(APIDRA(登録商標))、またはインスリンデテミル(LEVEMIR(登録商標))、インスリンデグルデク(TRESIBA(登録商標))、NPHインスリン(HUMULIN(登録商標)NまたはNOVOLIN(登録商標)N)、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、インスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号13に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、インスリンは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリンアスパルト(NOVOLOG(登録商標))であり、配列番号19に記載の配列を有するA鎖と配列番号20に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリングラルギン(LANTUS(登録商標))であり、配列番号21に記載の配列を有するA鎖と、配列番号22に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリンリスプロ(LYUMJEV(商標))であり、配列番号23に記載の配列を有するA鎖と、配列番号24に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリングルリジン(APIDRA(登録商標))であり、配列番号25に記載の配列を有するA鎖と、配列番号26に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、インスリンの類似体はインスリンデテミル(LEVEMIR(登録商標))であり、配列番号27に記載の配列を有するA鎖と、配列番号28に記載の配列を有するB鎖とを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのインスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのインスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのインスリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、アミリン、またはその類似体(例えば、プラムリンタイド(SYMLIN(登録商標)))、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、アミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号14に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、アミリンは、配列番号14に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、アミリンの類似体はプラムリンタイド(SYMLIN(登録商標))であり、これは配列番号29に記載の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのアミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのアミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのアミリン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、GIP、またはその類似体(例えば、D-GIP1-30、N-AcGIP(LysPAL16、またはN-AcGIP(LysPAL37)、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、GIP、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号15に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、GIPは、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、GIPの類似体は、Sekar R.,Int.Rev.Cell Mol.Biol.,2016,326:279-341(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるD-GIP1-30、N-AcGIP(LysPAL16、またはN-AcGIP(LysPAL37)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのGIPの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのGIPの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのGIPの局所的舌投与を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、グルカゴン、またはその類似体(例えば、ダシグルカゴン(ZEGALOGUE(登録商標))、AB-G023、またはHM15136)、バリアント、もしくは生物学的に活性な断片である。いくつかの実施形態では、グルカゴン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片は、配列番号16に対して少なくとも70%(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%)の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、グルカゴンは、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、グルカゴンの類似体はダシグルカゴン(ZEGALOGUE(登録商標))であり、これは配列番号30に記載の配列を有し、16位にα‐アミノイソ酪酸を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、グルカゴンの類似体はAB-G023、溶解安定性の可溶性グルカゴン類似体である。いくつかの実施形態では、グルカゴンの類似体は、HM15136、非ペプチジル可撓性リンカーを介してヒト免疫グロブリンの定常領域と化学的に結合した長時間作用性グルカゴン類似体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約2.5μg~約2.5mgの用量でのグルカゴン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約10μg~約1mgの用量でのグルカゴン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのグルカゴン、またはそのバリアント、類似体、もしくは生物学的に活性な断片の局所的舌投与を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、口腔への送達に適合される(例えば、口腔内、口腔粘膜、経粘膜、局所的舌側、うがい薬、洗口剤、歯肉液剤、口腔粘膜液剤及び口腔粘膜懸濁剤、半固形口腔粘膜製剤(例えば、歯肉ゲル剤、歯肉ペースト剤、口腔粘膜ゲル剤、口腔粘膜ペースト剤を含む)、口腔粘膜ドロップ、口腔粘膜スプレー及び舌下スプレー(口腔咽頭スプレーを含む))、乾燥粉末スプレー、ロゼンジ剤及びパスティル、圧縮ロゼンジ剤、舌下錠及びバッカル錠、口腔粘膜カプセル、粘膜付着性製剤))。例えば、Oromucosal Preparations,(Ph Eur monograph 1807)を参照のこと。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の代謝ホルモンは、口腔内(例えば、舌上)で発現されるY2受容体に結合するように適合される。
【0059】
いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、ロゼンジ剤、フィルム、スプレー、または経口溶解錠(ODT)として製剤化される。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、対象の舌で急速に溶解する製剤を使用してODTとして製剤化される。例えば、製剤は、約1%~6%w/v(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、または約6%)の濃度で部分的に加水分解されたゼラチン、マンニトール、加水分解デキストラン、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アカシア、アスパルテーム、メチルパラベンナトリウム、プロピルパラベンナトリウム、フェニルアラニン、水、またはそれらの組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態では、ODTは、米国特許第4,305,502号、同第4,371,516号、及び同第5,738,875号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)におけるようにZYDIS(登録商標)製剤を使用して製剤化される。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物は、代謝ホルモン(例えば、PYY(3-36))が粘膜と接触する時間を増加させる(例えば、粘性増強、カプセル化、及び制御放出)賦形剤を含む。理論に束縛されるものではないが、医薬製剤と粘膜の接触時間が増加すると、代謝ホルモンの舌上のその受容体への結合が増加すると考えられる。粘性増強に好適な賦形剤としては、レオロジー調整剤が挙げられ、これはまた、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの粘膜付着剤であってもよい。口腔内での代謝ホルモンの放出調節に好適な賦形剤としては、粘膜付着性透過促進剤、例えば、23-ラウリルエーテル、アプロチニン、アゾン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、シクロデキストリン、硫酸デキストラン、及びラウリン酸が挙げられる。バッカルまたは口腔内送達に使用される他の好適な粘膜付着性ポリマーとしては、アガロース、キトサン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ガム(例えば、グアー、ハケア、キサンタン、ジェラン、カラギーナン、ペクチン、及びアルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例えば、CMC、チオール化CMC、CMCナトリウム、HEC、HPMC、MC、メチルヒドロキシルエチルセルロース)、ポリ(アクリル酸)系ポリマー(例えば、CP、PC、PAA、ポリアクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル-co-メタクリル酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、アクリル酸とPEGのコポリマー、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、PHPMAm、ポリオキシエチレン、PVA、PVP、及び他のチオール化ポリマー;スクレログルカン、PVA、ステロイド洗浄剤、非イオン性界面活性剤、ラウレス-9、フシジン酸ナトリウム、包含されるラウリルナトリウム(included sodium lauryl)、ラウリン酸ナトリウム(例えば、pH8.9)、パルミトイルカルニチン、ラウリン酸/プロピレングリコールビヒクル、Brij 78、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、及びPVPが挙げられる。例えば、International Journal of Pharmaceutics,Volume 53,Issue 3,1 August 1989,Pages 227-235を参照のこと。
【0061】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、唾液中の代謝ホルモンの滞留時間(例えば、ペプチドの有意な分解を伴わずに唾液中に代謝ホルモンが留まる時間)を増加させる賦形剤を含む。理論に束縛されるものではないが、唾液中の代謝ホルモンの滞留時間を増加させると、代謝ホルモンが舌上のその受容体に結合する機会が増加すると考えられる。唾液中の滞留時間は、例えば、嚥下を通じて代謝ホルモンへの全身曝露が増加しないように任意に調節することができる。
【0062】
本明細書に記載の代謝ホルモンの組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(例えば、プロピレングリコール、ソルビン酸カリウム、L-アルギニン、エデト酸二ナトリウム、リン酸一ナトリウム、及びポリソルベート20)を含み得る。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは約100mg/mlの濃度で存在し、L-アルギニンは約25mg/mlの濃度で存在し、ソルビン酸カリウムは約2mg/mlの濃度で存在し、エデト酸二ナトリウムは約1.2mg/mlの濃度で存在し、リン酸ナトリウム一塩基二水和物は約7.8mg/mlの濃度で存在し、ポリソルベートは約5mg/mlの濃度で存在する。さらに、本明細書に記載の組成物は、プロピレングリコールなどの共溶媒安定剤または他の好適な共溶媒安定剤(例えば、PEG200及び400などの低分子量ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、及びエタノールを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、L-アルギニンなどのアミノ酸安定剤または他の好適なアミノ酸安定剤(例えば、アラニン、アスパラギン酸、グリシン、リジン、プロリン、またはメチオニン)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、ソルビン酸カリウムなどの防腐剤または他の好適な防腐剤(例えば、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、安息香酸、クエン酸、クロロブタノール、m-クレゾール、グルタチオン、メチオニン、メチルパラベン、プロピルパラベン、亜硫酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸エステル(ヒドロキシ安息香酸メチル及びヒドロキシ安息香酸プロピル)、ホウ酸及びホウ酸塩、ソルビン酸及びカリウムを除く他のソルビン酸塩、ならびにフェノール類)を含むことができる。本明細書に記載の組成物は、酸化防止剤、例えばエデト酸二ナトリウムまたは別の好適な酸化防止剤(例えば、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、及びブチルヒドロキシトルエン)を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、緩衝液(例えば、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、クエン酸塩-リン酸塩、グリシン、HEPES、ヒスチジン、マレイン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、及びトリエタノールアミン(Tris))を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、界面活性剤、例えば、ポリソルベート20または他の好適な界面活性剤(例えば、ポロキサマー188/407、ポリソルベート40もしくは80、またはラウリル硫酸ナトリウム)を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、賦形剤は、組成物の摂取に対するコンプライアンスを高めるための香味剤を含む。例えば、香味剤は、苦味または他の望ましくない風味特性をマスクするために、または組成物の投与前もしくは投与後に摂取され得る食品の風味と組成物を適合させるために使用することができる。適合する香味剤としては、例えば、リンゴ、バナナ、バブルガム、チェリー、チョコレート、ブドウ、レモン、マンゴー、オレンジ、ラズベリー、イチゴ、バニラ、スイカ、ミント、または上記の香味剤の組み合わせが挙げられる。別の態様では、これらの香味剤は、色素無添加、無糖、低アレルギー性、グルテンフリー、及びカゼインフリーである。
【0064】
代謝ホルモンの投与経路
本明細書に開示される代謝ホルモンは、対象の舌に局所的に投与される。本明細書に記載の代謝ホルモン組成物は、例えば、局所的舌送達を介して、口腔組織に代謝ホルモンを局所的に送達するように製剤化される。代謝ホルモンの局所的送達は、口腔組織のY2受容体(例えば、舌のY2受容体)に結合する、及びY2受容体を介して脳へシグナルを伝達する、及び/または代謝ホルモンへの全身曝露及び全身曝露の任意の望ましくない副作用を回避するなどの有益な結果をもたらし得る。さらに、口のY2受容体に局所的に代謝ホルモンを投与すると、代謝ホルモンの全身投与によって同様の満腹感誘導効果を達成するのに必要な用量よりも実質的に低い用量を用いて満腹感が誘導される。
【0065】
併用療法を用いて、満腹感を誘導する、及び代謝障害を治療する方法
適応症
本明細書に記載の方法は、満腹感の誘導、及び/またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、もしくは任意の肥満関連障害の治療のための、少なくとも1つのGLP-1 RAとの併用療法の一部としての代謝ホルモンの投与を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、併用療法を必要とする対象は、肥満、肥満関連障害、メタボリックシンドローム、糖尿病、脂質異常症、高血圧、体重減少、体重増加、加齢性の体重増加、小児の体重減少、NASH、CKD、PCOS、CVD、OSA、網膜症、PVD、PAD、及び神経障害(例えば、糖尿病性神経障害)と診断されており、切断を必要とすることの多い末梢血管変性が予防される。いくつかの実施形態では、本方法は、体重の維持または体重増加の予防に使用される。
【0067】
GLP-1 RAの治療レジメン
いくつかの実施形態では、対象は、GLP-1 RAの治療レジメンを受けている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、最大推奨用量(例えば、体重、年齢、または他の臨床パラメータに基づいて投与される)での治療を受けている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、GLP-1 RAの用量漸増(表1~9)を完了し、血液または血漿中のGLP-1 RAレベルが定常状態である。いくつかの実施形態では、対象は、GLP-1 RA治療レジメンまたは用量漸増を開始し、最大推奨GLP-1 RA用量に達していない。いくつかの実施形態では、対象は、以前の適応症のいずれをも有すると診断されていないが、以前の適応症のいずれかを発症するリスクが高い、及び/または予防的にGLP-1 RAによる用量漸増を開始もしくは完了している。
【0068】
本明細書に記載の方法は、GLP-1 RAの全身投与を、代謝ホルモンの局所投与(例えば、局所的舌側)と組み合わせる。いくつかの実施形態では、対象は、GLP-1 RAの用量漸増レジメン(表1~9のいずれか1つにおけるもの)の最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表1のGLP-1 RAのいずれか1つの第1の用量を投与されている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表2のGLP-1 RAのいずれか1つの第2の用量を投与されている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表3のGLP-1 RAのいずれか1つの第3の用量を投与されている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表4のGLP-1 RAのいずれか1つの第4の用量を投与されている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表5のGLP-1 RAのいずれか1つの第5の用量を投与されている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表6のGLP-1 RAのいずれか1つの第6の用量を投与されている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表7のGLP-1 RAのいずれか1つの第7の用量を投与されている最中である。いくつかの実施形態では、対象は、表8のGLP-1 RAのいずれか1つの第8の用量を投与されている最中である。
【0069】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0070】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは、表1~9に示される推奨用量よりも低い用量で投与される。いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは、約10%~約90%(例えば、表1~9に示される用量の約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、または約90%)の投与量で投与される。
【0071】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは即時放出用に製剤化されたエキセナチドであり、即時放出用に製剤化されたエキセナチドによる治療レジメンはn*5μgの用量を全身投与することを含み、nの値は1~5(例えば、1、2、3、4、または5)である。いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは徐放性放出用に製剤化されたエキセナチドであり、徐放性放出用に製剤化されたエキセナチドによる治療レジメンはn*2mgの用量を全身投与することを含み、nの値は1である。
【0072】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはリキシセナチドであり、リキシセナチドによる治療レジメンはn*10μgの用量を全身投与することを含み、nの値は1~5(例えば、1、2、3、4、または5)である。
【0073】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはリラグルチドであり、リラグルチドによる治療レジメンはn*600μgの用量を全身投与することを含み、nの値は1~10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)である。
【0074】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは、セマグルチドであり、セマグルチドによる治療レジメンは、n*250μgの用量を全身投与することを含み、nの値は1~100(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、66、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100)である。
【0075】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはデュラグルチドであり、デュラグルチドによる治療レジメンはn*750μgの用量を全身投与することを含み、nの値は1~10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)である。
【0076】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはチルゼパチドであり、2つの別個の用量漸増レジメンA及びBのうちの1つを用いて投与される。チルゼパチドによる治療レジメンAは、n*4mgの用量を全身投与することを含み、nの値は1~10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)である。チルゼパチドによる治療レジメンBは、n*2.5mgの用量を全身投与することを含み、nの値は1~10(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)である。
【0077】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは即時放出用に製剤化されたエキセナチドであり、即時放出用に製剤化されたエキセナチドによる治療レジメンはn*5μgの用量を全身投与することを含み、第1の用量レジメンではnの値が1であり、第2の用量レジメンでは値が2である。いくつかの実施形態では、GLP-1 RAは徐放性放出用に製剤化されたエキセナチドであり、徐放性放出用に製剤化されたエキセナチドによる治療レジメンはn*2mgの用量を全身投与することを含み、第1の用量レジメンではnの値は1である。
【0078】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはリキシセナチドであり、リキシセナチドによる治療レジメンは、n*10μgの用量を全身投与することを含み、第1の用量レジメンではnの値が1であり、第2の用量レジメンでは値が2である。
【0079】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはリラグルチドであり、リラグルチドによる治療レジメンは、n*600μgの用量を全身投与することを含み、第1の用量レジメンではnの値が1、第2の用量レジメンでは値が2、第3の用量レジメンでは値が3、第4の用量レジメンでは値が4、第5の用量レジメンでは値が5である。
【0080】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはセマグルチドであり、セマグルチドによる治療レジメンは、n*250μgの用量を全身投与することを含み、第1の用量レジメンではnの値が1、第2の用量レジメンでは値が2、第3の用量レジメンでは値が4、第4の用量レジメンでは値が7、第5の用量レジメンでは値が10、第6の用量レジメンでは値が12、第7の用量レジメンでは値が28、第8の用量レジメンでは値が56である。
【0081】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはデュラグルチドであり、デュラグルチドによる治療レジメンは、n*750μgの用量を全身投与することを含み、第1の用量レジメンではnの値が1、第2の用量レジメンでは値が2、第3の用量レジメンでは値が4、第4の用量レジメンでは値が6である。
【0082】
いくつかの実施形態では、GLP-1 RAはチルゼパチドであり、チルゼパチドによる治療レジメンAは、n*4mgの用量を全身投与することを含み(第1の用量レジメンではnの値が1、第2の用量レジメンでは値が2、第3の用量レジメンでは値が3である)、またはチルゼパチドによる治療レジメンBは、n*2.5mgの用量を全身投与することを含む(第1の用量レジメンではnの値が1、第2の用量レジメンでは値が2、第3の用量レジメンでは値が4、第4の用量レジメンでは値が6である)。
【0083】
投薬及び投与経路
満腹感を誘導する、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、及び肥満関連障害などの状態を治療する方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのPYYの局所的舌投与との併用療法を使用することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのPYYの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのPYYの局所的舌投与を含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのPYY(3-36)の局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのPYY(3-36)の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのPYY(3-36)の局所的舌投与を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのPYY(3-36)の局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのPYY(3-36)の局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量でのPYY(3-36)の局所的舌投与を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのレプチンの局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのレプチンの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのレプチンの局所的舌投与を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのOXMの局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのOXMの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのOXMの局所的舌投与を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのCCKの局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのCCKの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのCCKの局所的舌投与を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのインスリンの局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのインスリンの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのインスリンの局所的舌投与を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのアミリンの局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのアミリンの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのアミリンの局所的舌投与を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのGIPの局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのGIPの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのGIPの局所的舌投与を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、表9に示される投薬レジメンで全身投与されたGLP-1 RAのいずれか1つと、約2.5μg~約2.5mgの用量でのグルカゴンの局所的舌投与との併用療法について記載する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約10μg~約1mgの用量でのグルカゴンの局所的舌投与を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)でのグルカゴンの局所的舌投与を含む。
【0093】
本明細書に開示される代謝ホルモンは、GLP-1 RAと組み合わせて対象に投与される。代謝ホルモンは、GLP-1-RAと同時に投与することができる(例えば、本明細書に記載の組成物の全ての有効成分の投与が15分、10分、5分、2分、1分、30秒、20秒、10秒、5秒、2秒、またはそれ未満の範囲内で起こる)。GLP-1 RA及び代謝ホルモンはまた、逐次投与することもでき、その結果、2つの作用が重なり合い、それらの組み合わされた効果は、障害に関連する症状または他のパラメータの減少が、一方の薬剤によってまたは単独もしくは他方の薬剤の非存在下で行われた治療によって観察され得るものよりも大きくなる。GLP-1 RA及び代謝ホルモンは、異なる経路によって投与してもよい。例えば、GLP-1 RAの組成物は、静脈内注射によって投与され得る一方で、代謝ホルモンは、局所的及び局所的に(locally and topically)舌に投与され得る。GLP-1 RAは、代謝ホルモンの直前または直後に、最大1時間、最大2時間、最大3時間、最大4時間、最大5時間、最大6時間、最大7時間、最大8時間、最大9時間、最大10時間、最大11時間、最大12時間、最大13時間、14時間、最大16時間、最大17時間、最大18時間、最大19時間、最大20時間、最大21時間、最大22時間、最大23時間、最大24時間、または最大1~7、1~14、1~21、もしくは1~30日投与され得る。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンはGLP-1 RAの後に投与される。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンはGLP-1 RAの前に投与される。いくつかの実施形態では、代謝ホルモンは、GLP-1 RAと同時に投与される。
【0094】
本明細書に記載の方法は、代謝ホルモン(例えば、PYY、PYY(3-36)、レプチン、OXM、CCK、インスリン、アミリン、GIP、グルカゴン、その類似体、バリアント、または生物学的に活性な断片を、対象の口(例えば、舌、唾液腺、舌側及び/または舌下上皮、または粘膜)に局所的に投与することを含み、該局所投与は、対象の血液及び/または血漿中の代謝ホルモンのレベルに実質的な変化をもたらさない。一般に、対象の血液及び/または血漿中の代謝ホルモンレベルは、代謝ホルモンの投与前レベルの最大10%(例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満)を超えて増加しない。いくつかの実施形態では、PYY(3-36)の血液及び/または血漿レベルは、Batterham et al,Cell Metabolism,4:223-233,2006(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、PYY(3-36)の局所的舌投与後、約15pmol/l~約25pmol/lの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、レプチンの血液及び/または血漿レベルは、Considine et al,N.Engl.J.Med.334:292-295,1996(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、レプチンの局所的舌投与後、約5ng/ml~約35ng/mlの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、OXMの血液及び/または血漿レベルは、Le Quellec et al,J.Clin.Endocrinol.Metab.74:1405-1409,1992(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、OXMの局所的舌投与後、約13.5pmol/l~約30.8pmol/lの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、CCKの血液及び/または血漿レベルは、Cuntz,U.,et al,PLOS ONE.8:e54457,2013(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、CCKの局所的舌投与後、約2μmol/mlの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、インスリンの血液及び/または血漿レベルは、Cryer,P.E.,Williams Textbook of Endocrinology,13th Edition,pg.1582-1607,2016(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、インスリンの局所的舌投与後、約2mIU/ml~約20mIU/mlの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、アミリンの血液及び/または血漿レベルは、Cooper et al,Hypertension,26:460-464,1995(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、アミリンの局所的舌投与後、約20pmol/lの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、GIPの血液及び/または血漿レベルは、Theodorakis et al,Diabetes Care,27:1692-1698,2004(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、GIPの局所的舌投与後、約33pmol/lの食前レベルを実質的に上回らない。いくつかの実施形態では、グルカゴンの血液及び/または血漿レベルは、Jensen et al,Encyclopedia of Endocrine Diseases,Second Edition,Vol.1:597-616,2018(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に報告されているように、グルカゴンの局所的舌投与後、約33pmol/lの食前レベルを実質的に上回らない。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、食事の前に併用療法を投与することを含む。腹満感は、GLP-1RA及び代謝ホルモンを投与した後、及び対象が食事をとった後、少なくとも約30、60、90、または120分以上持続し得る。いくつかの実施形態では、併用療法は食事の後に投与される。いくつかの実施形態では、併用療法は、定期的なスケジュールで、対象の食事時間とは無関係に投与される。
【0096】
局所的に投与された代謝ホルモン及び全身投与されたGLP-1 RAを使用する対象の併用療法は、全身性GLP-1 RA単独療法に関連する副作用を低減する。いくつかの実施形態では、併用療法は、全身性GLP-1単独療法の副作用、例えば悪心、嘔吐、下痢、腹痛、便秘、膵炎、糖尿病性網膜合併症、低血糖、急性腎障害、または過敏症から構成されるリストからの1つ以上を予防し、発症を遅延させ、重症度を低減し、及び/または排除する。
【0097】
キット
本明細書に記載の方法は、満腹感の誘導、及び/またはメタボリックシンドローム、糖尿病、肥満、及び肥満関連障害から選択される状態を治療することに使用するためのキットにおいて提供され得る。キットは、本明細書に記載の併用療法の1つ以上の用量を含み得る。キットは、約2.5μg~約2.5mg(例えば、約10μg~約1mg、例えば、約25μg~約250μg、例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μg)の用量で舌への局所投与用に製剤化された代謝ホルモン(例えば、ZYDIS(登録商標)ODT)と、全身投与用に製剤化された(例えば、注射ペン)GLP-1 RAの第1の用量レジメン、第2の用量レジメン、第3の用量レジメン、第4の用量レジメン、第5の用量レジメン、第6の用量レジメン、第7の用量レジメン、または第8の用量レジメンに従った用量(表1~9参照)と、を含む、1つ以上の組成物を含み得る。キットは、約10μg~約1mgの用量で舌への局所投与用に製剤化された代謝ホルモン(例えば、ZYDIS(登録商標)ODT)と、全身投与用に製剤化された(例えば、注射ペン)GLP-1 RAの第1の用量レジメン、第2の用量レジメン、第3の用量レジメン、第4の用量レジメン、第5の用量レジメン、第6の用量レジメン、第7の用量レジメン、または第8の用量レジメンに従った用量(表1~9参照)と、を含む、1つ以上の組成物を含み得る。キットは、約25μg~約250μgの用量(例えば、約25μg、50μg、75μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、または250μgの用量)で舌への局所投与用に製剤化された代謝ホルモン(例えば、ZYDIS(登録商標)ODT)と、全身投与用に製剤化された(例えば、注射ペン)GLP-1 RAの第1の用量レジメン、第2の用量レジメン、第3の用量レジメン、第4の用量レジメン、第5の用量レジメン、第6の用量レジメン、第7の用量レジメン、または第8の用量レジメンに従った用量(表1~9参照)と、を含む、1つ以上の組成物を含み得る。キットは、キットのユーザー、例えば、医師に、本明細書に記載の方法のいずれか1つを実施するように指示する添付文書を含むことができる。キットは、任意選択で、組成物を投与するための注射器または他の器具を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の追加の治療剤を含んでもよい。
【実施例】
【0098】
以下の実施例は、本明細書に記載の方法をどのように使用し、製造し、評価し得るかについての説明を当業者に提供するために提示し、純粋に本発明を例示することを意図するものであり、発明者らが自身の発明と見なすものの範囲を限定することを意図しない。
【0099】
実施例1.2型糖尿病を有する患者の併用療法
最近2型糖尿病と診断されたヒトは、リラグルチド(VICTOZA(登録商標))の用量漸増レジメンを完了する。そのヒトの血糖コントロールは定常状態レベルに達しており、内分泌科医は患者の状態を改善するための併用療法を推奨する。そのヒトは、GLP-1 RAを全身に送達する注射ペンによって3mgのリラグルチド(VICTOZA(登録商標))を毎日摂取する。加えて、そのヒトはPYY(3-36)を25μgの用量で有効成分として有する速溶性錠剤を1錠摂取し始める。この錠剤はヒトの舌の上で10秒以内に溶解する。そのヒトは、リラグルチド(VICTOZA(登録商標))及びPYY(3-36)の両方を同時に、例えば互いに5分以内に、1日1回摂取する。内分泌科医は、併用療法の7日後にそのヒトの血糖コントロールを測定し、ヒトの状態に対して相加を超える効果を観察する。
【0100】
実施例2.2型糖尿病及び肥満を有する患者の併用療法
最近肥満と診断された糖尿病者は、有害な心血管状態(例えば、心臓発作または脳卒中)を発症するリスクが高く、デュラグルチド(TRULICITY(登録商標))の用量漸増レジメンを開始する。そのヒトはTRULICITY(登録商標)の第2の用量レジメンを受けた後、定常状態レベルに達するが、GLP-1 RAの全身投与による種々の副作用を受けた。内分泌科医は、TRULICITY(登録商標)の用量を上昇させずに患者の状態を改善するための併用療法を推奨する。そのヒトは、現在、GLP-1 RAを全身に送達する注射ペンによって1.5mgのTRULICITY(登録商標)を毎週摂取している。加えて、そのヒトはPYY(3-36)を200μgの用量で有効成分として有する速溶性錠剤を1錠摂取し始める。この錠剤はヒトの舌の上で20秒以内に溶解する。そのヒトは、TRULICITY(登録商標)及びPYY(3-36)の両方を同時に、通常互いに5分以内に、1週間に1回摂取する。内分泌科医は、併用療法の4週間後にそのヒトの血糖値を測定し、ヒトの状態に対して相加を超える効果を観察する。
【0101】
配列
エキセナチド
配列番号1
HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS
リキシセナチド
配列番号2
HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK
リラグルチド
配列番号3
【化1】
K20はグルタミン酸パルミチン酸側鎖で修飾されている
セマグルチド
配列番号4
【化2】
X=α-アミノイソ酪酸であり、K20はステアリン二酸でアシル化されている
デュラグルチド
配列番号5
HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLG
チルゼパチド
配列番号6
【化3】
X=2位及び13位のα-アミノイソ酪酸であり、K20はグルタミン酸リンカーを介して結合されたC20脂肪二酸を含有する
PYY
配列番号7
MVFVRRPWPALTTVLLALLVCLGALVDAYPIKPEAPREDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRYGKRDGPDTLLSKTFFPDGEDRPVRSRSEGPDLW
[Pro34]PYY
配列番号8
YPIKPEAPGEDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRPRY
PYY(3-36)
配列番号9
IKPEAPGEDASPEELNRYYASLRHYLNLVTRQRY
レプチン
配列番号10
MHWGTLCGFLWLWPYLFYVQAVPIQKVQDDTKTLIKTIVTRINDISHTQSVSSKQKVTGLDFIPGLHPILTLSKMDQTLAVYQQILTSMPSRNVIQISNDLENLRDLLHVLAFSKSCHLPWASGLETLDSLGGVLEASGYSTEVVALSRLQGSLQDMLWQLDLSPGC
OXM
配列番号11
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNKNNIA
CCK
配列番号12
MNSGVCLCVLMAVLAAGALTQPVPPADPAGSGLQRAEEAPRRQLRVSQRTDGESRAHLGALLARYIQQARKAPSGRMSIVKNLQNLDPSHRISDRDYMGWMDFGRRSAEEYEYPS
インスリン
配列番号13
MALWMRLLPLLALLALWGPDPAAAFVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRREAEDLQVGQVELGGGPGAGSLQPLALEGSLQKRGIVEQCCTSICSLYQLENYCN
アミリン
配列番号14
MGILKLQVFLIVLSVALNHLKATPIESHQVEKRKCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGAILSSTNVGSNTYGKRNAVEVLKREPLNYLPL
GIP
配列番号15
MTTSPILQLLLRLSLCGLLLQRAETGSKGQTAGELYQRWERYRRECQETLAAAEPPSGLACNGSFDMYVCWDYAAPNATARASCPWYLPWHHHVAAGFVLRQCGSDGQWGLWRDHTQCENPEKNEAFLDQRLILERLQVMYTVGYSLSLATLLLALLILSLFRRLHCTRNYIHINLFTSFMLRAAAILSRDRLLPRPGPYLGDQALALWNQALAACRTAQIVTQYCVGANYTWLLVEGVYLHSLLVLVGGSEEGHFRYYLLLGWGAPALFVIPWVIVRYLYENTQCWERNEVKAIWWIIRTPILMTILINFLIFIRILGILLSKLRTRQMRCRDYRLRLARSTLTLVPLLGVHEVVFAPVTEEQARGALRFAKLGFEIFLSSFQGFLVSVLYCFINKEVQSEIRRGWHHCRLRRSLGEEQRQLPERAFRALPSGSGPGEVPTSRGLSSGTLPGPGNEASRELESYC
グルカゴン
配列番号16
MKSIYFVAGLFVMLVQGSWQRSLQDTEEKSRSFSASQADPLSDPDQMNEDKRHSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIAKRHDEFERHAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRGRRDFPEEVAIVEELGRRHADGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDRK
GLP-1
配列番号17
MKSIYFVAGLFVMLVQGSWQRSLQDTEEKSRSFSASQADPLSDPDQMNED
KRHSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIAKRHDEFERHAE
GTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRGRRDFPEEVAIVEELGRRHADGS
FSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITDRK
メトレレプチン
配列番号18
MVPIQKVQDDTKTLIKTIVTRINDISHTQSVSSKQKVTGLDFIPGLHPILTLSKMDQTLA
VYQQILTSMPSRNVIQISNDLENLRDLLHVLAFSKSCHLPWASGLETLDSLGGVLEASGY
STEVVALSRLQGSLQDMLWQLDLSPGC
インスリンアスパルト
A鎖
配列番号19
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN
インスリンアスパルト
B鎖
配列番号20
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTDKT
インスリングラルギン
A鎖
配列番号21
GIVEQCCTSICSLYQLENYCG
インスリングラルギン
B鎖
配列番号22
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPKTRR
インスリンリスプロ
A鎖
配列番号23
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN
インスリンリスプロ
B鎖
配列番号24
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTKPT
インスリングルリジン
A鎖
配列番号25
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN
インスリングルリジン
B鎖
配列番号26
FVKQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPET
インスリンデテミル
A鎖
配列番号27
GIVEQCCTSICSLYQLENYCN
インスリンデテミル
B鎖
配列番号28
FVNQHLCGSHLVEALYLVCGERGFFYTPK
プラムリンタイド
配列番号29
KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGPILPPTNVGSNTY
ダシグルカゴン
配列番号30
【化4】
X=α-アミノイソ酪酸
【0102】
他の実施形態
本発明はその特定の実施形態と共に記載されているが、本発明は、さらなる修正が可能であり、かつ、本出願が、一般に、本発明の原理に従った、本発明のあらゆる変化、使用、または適応をカバーし、本発明が関係する当技術で知られるようになる、または、習慣的に実践される、本発明からの逸脱を含むことが意図され、上記で説明した本質的な特徴に適用可能であり、特許請求の範囲に従うことが理解されよう。他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
【配列表】
【国際調査報告】