(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】結合修飾オリゴマー化合物の合成のための方法
(51)【国際特許分類】
C07H 21/04 20060101AFI20240718BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C07H21/04 A
C07H21/04 Z ZNA
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580484
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 US2022035539
(87)【国際公開番号】W WO2023278589
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,アンドリュー・エイ
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057BB02
4C057BB05
4C057BB10
4C057DD01
4C057MM01
4C057MM04
4C057MM05
4C057MM10
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間連結基を有する修飾オリゴヌクレオチド、及び修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)を合成する方法を提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、1個または複数のスルホニルホスホロアミデート結合を含むオリゴヌクレオチドの合成において使用するためのある特定のスルホニルアジドの安定化された配合物を提供する。一部の実施形態は、修飾オリゴヌクレオチドの合成において使用され得る高エネルギー試薬の安定化された組成物を提供することにより、その安全なプロセス規模の調製を可能にする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾オリゴヌクレオチドを調製する方法であって、亜リン酸トリエステルヌクレオシド間結合を有する第1のオリゴヌクレオチド中間体を、少なくとも1つの安定剤、及びスルホニル酸化剤を含む酸化溶液に接触させて、式XIVのヌクレオシド間連結基を有する第2のオリゴヌクレオチド中間体を形成させることを含み、
【化1】
式中、
Rが、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、芳香族複素環、置換芳香族複素環、ジアゾール、置換ジアゾール、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
20アルキル、C
1~C
6アルケニル、C
1~C
6アルキニル、置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
6アルケニル、置換C
1~C
6アルキニル、及びコンジュゲート基から選択される、
前記方法。
【請求項2】
Rがメチルであり、前記スルホニル酸化剤が、メタンスルホニルアジド(MsN
3)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸化溶液が、前記少なくとも1つの安定剤を含む、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記酸化溶液が、前記少なくとも1つの安定剤を含まない、請求項1~2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記酸化溶液が、アセトニトリル、トルエン、ジクロロメタン、ピリジン、N-メチル-2-ピロリドン、及びそれらの組み合わせから選択される溶媒を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの安定剤が、スルホラン及びリン酸トリフェニル(TPP)から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの安定剤がスルホランであり、任意選択で、スルホランが唯一の安定剤である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの安定剤がTPPであり、任意選択で、TPPが唯一の安定剤である、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの安定剤が非架橋ポリマーである、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記非架橋ポリマーがポリスチレンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記酸化溶液及び前記少なくとも1つの安定剤から前記溶媒を蒸発させることによって得られる残渣が、500J.g
-1未満の燃焼エネルギーを有する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記酸化溶液及び前記少なくとも1つの安定剤から前記溶媒を蒸発させることによって得られる残渣が、300J.g
-1未満の燃焼エネルギーを有する、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記酸化溶液が、前記スルホニル酸化剤に対して0.1~10当量の前記少なくとも1つの安定剤を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記酸化溶液が、前記スルホニル酸化剤に対して1~10当量の前記少なくとも1つの安定剤を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化溶液が、前記スルホニル酸化剤に対して3~6当量の前記少なくとも1つの安定剤を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記酸化溶液が、前記スルホニル酸化剤に対して4~5当量の前記少なくとも1つの安定剤を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化溶液が、0.1~10Mの前記スルホニル酸化剤を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記酸化溶液が、0.5~5Mの前記スルホニル酸化剤を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記酸化溶液が、0.6~1.5Mの前記スルホニル酸化剤を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドを合成する方法であって、
【化2】
式中、式Iの各ヌクレオシド間結合について独立して、
Xが、O及びSから選択され、
Rが、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、芳香族複素環、置換芳香族複素環、ジアゾール、置換ジアゾール、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
20アルキル、C
1~C
6アルケニル、C
1~C
6アルキニル、置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
6アルケニル、置換C
1~C
6アルキニル、及びコンジュゲート基から選択され、
前記方法が、
a)第1のブロックされたヒドロキシル基を結合させた固体支持体を用意するステップと、
b)第1の遊離ヒドロキシル基をもたらすように、前記第1のブロックされたヒドロキシル基を脱ブロックするための脱ブロッキング剤を反応物に添加するステップと、
c)亜リン酸トリエステル連結ヌクレオシドをもたらすように、ヌクレオシドを、前記第1の遊離ヒドロキシル基にてカップリングさせるように前記反応物に添加するステップであって、前記ヌクレオシドが、ホスホロアミダイト基及び第2のブロックされたヒドロキシル基を含む、前記添加するステップと、
d)前記反応物に、
1.リン酸トリエステルヌクレオソード間(internucleosode)結合を生成するための標準的な酸化剤、
2.チオリン酸トリエステルヌクレオシド間結合を生成するための標準的な硫化剤、または
3.スルホニルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を生成するためのスルホニル酸化剤及び少なくとも1つの安定剤、
を添加するステップと、
e)任意選択で、いずれの未反応の遊離ヒドロキシル基もキャップするために、前記スルホニル(sufonyl)ホスホロアミデート結合、前記リン酸トリエステル結合、または前記チオリン酸トリエステル結合を、キャッピング試薬で処理するステップと、
f)前記修飾オリゴヌクレオチドをもたらすように、ステップb)からe)を、少なくとも1つの反復がステップ(d)3を含むことを条件として、既定の回数だけ反復的に繰り返すステップと、
g)前記修飾オリゴヌクレオチドをアセトニトリル中のトリエチルアミンまたはジエチルアミンで処理するステップと、
h)任意選択で、前記修飾オリゴヌクレオチドを前記固体支持体から切断するために、前記修飾オリゴヌクレオチドを水酸化アンモニウムで処理するステップと、
を含み、
それによって、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合を含む前記修飾オリゴヌクレオチドが合成される、
前記方法。
【請求項21】
各Rがメチルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記スルホニル酸化剤が、メタンスルホニルアジドであり、前記酸化溶液が、前記メタンスルホニルアジド及び前記少なくとも1つの安定剤を含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの安定剤がスルホランであり、任意選択で、スルホランが唯一の安定剤である、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの安定剤がTPPであり、任意選択で、TPPが唯一の安定剤である、請求項20~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記スルホニル酸化剤及び前記少なくとも1つの安定剤を含む前記溶液からの前記溶媒の蒸発によって得られる残渣が、500J.g
-1未満の燃焼エネルギーを有する、請求項20~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記スルホニル酸化剤及び前記少なくとも1つの安定剤を含む前記溶液からの前記溶媒の蒸発によって得られる残渣が、300J.g
-1未満の燃焼エネルギーを有する、請求項20~24のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
各XがOである、請求項20~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記キャッピング試薬が無水酢酸である、請求項20~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
保護基を除去すると共に、前記修飾オリゴヌクレオチドを前記固体支持体から切断するために、前記修飾オリゴヌクレオチドを水酸化アンモニウムで処理することを含む、請求項20~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、12~25個の連結したヌクレオシドを含む、請求項20~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエート及びメシルホスホロアミデート、ならびに任意選択でホスホジエステルヌクレオシド間結合(複数可)を含む、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、及びメシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合(複数可)から選択されるヌクレオシド間結合を含み、他のヌクレオシド間結合を何ら含まない、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、立体標準的糖部分、cEt糖部分、2’-MOE糖部分、2’-OMe糖部分、2’-F糖部分、2’-NMA糖部分、及び/またはβ-D-2’-デオキシリボシル糖部分を含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
式Iまたは式XIVの前記ヌクレオシド間結合が、cEt糖部分、2’-MOE糖部分、2’-OMe糖部分、2’-F糖部分、2’-NMA糖部分、及び/またはβ-D-2’-デオキシリボシル糖部分を含むヌクレオシドに隣接する、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
式Iまたは式XIVの前記ヌクレオシド間結合が、アデニン、シトシン、5-メチルシトシン、グアニン、チミン、またはウラシル核酸塩基を含むヌクレオシドに隣接する、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
コンジュゲートされた修飾オリゴヌクレオチドを形成させるためにコンジュゲート基を結合させることをさらに含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記コンジュゲート基が、細胞標的化部分を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞標的化部分が、TfRに対して親和性を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記細胞標的化部分が、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に対して親和性を有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項20~39のいずれか1項に記載の方法によって合成される修飾オリゴヌクレオチド、または前記修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
【請求項41】
請求項1~19のいずれか1項に記載の方法によって合成されるヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチド、または前記修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
【請求項42】
メタンスルホニルアジド及びスルホランを含むかまたはそれから本質的になる、安定化された組成物。
【請求項43】
溶媒をさらに含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記溶媒がアセトニトリルである、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
トルエンをさらに含む、請求項42~44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物が、メタンスルホニルアジドに対して0.1~10当量のスルホランを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物が、メタンスルホニルアジドに対して1~10当量のスルホランを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が、メタンスルホニルアジドに対して3~6当量のスルホランを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物が、メタンスルホニルアジドに対して4~5当量のスルホランを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記組成物が、500J.g
-1未満の燃焼エネルギーを有する、請求項42~49のいずれか1項に記載の組成物、またはその蒸発残渣。
【請求項51】
前記組成物が、300J.g
-1未満の燃焼エネルギーを有する、請求項42~49のいずれか1項に記載の組成物、またはその蒸発残渣。
【請求項52】
前記組成物が、衝撃に際して爆発性でない、請求項42~49のいずれか1項に記載の組成物、またはその蒸発残渣。
【請求項53】
メタンスルホニルアジド、スルホラン、及びアセトニトリルからなる、請求項42に記載の組成物。
【請求項54】
請求項42~53のいずれか1項に記載の組成物に接触している、固体支持体に結合したオリゴヌクレオチド中間体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本願は、配列表と共に電子形式で出願されている。この配列表は、2022年6月29日に作成された1kbのサイズのDVCM0048WOSEQ_ST25.txtと題されるファイルとして提供される。この配列表の電子形式の情報は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間連結基を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)の合成のための安定化された試薬組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
アンチセンス技術の背後にある原理は、アンチセンス化合物が標的核酸にハイブリダイズし、標的核酸の量、活性、及び/または機能を調節することである。例えば、ある特定の事例では、アンチセンス化合物は、標的の転写または翻訳の変化をもたらす。発現のかかる調節は、例えば、標的RNAの分解または占有に基づく阻害によって達成され得る。分解によるRNA標的機能の調節の一例は、DNA様アンチセンス化合物とのハイブリダイゼーション時の標的RNAのRNase Hに基づく分解である。
【0004】
標的分解による遺伝子発現の調節の別の例は、RNA干渉(RNAi)である。RNAiとは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を利用する機構を介したアンチセンス媒介性遺伝子サイレンシングを指す。RNA標的機能の調節のさらなる例は、マイクロRNAによって自然に用いられる機構等の占有に基づく機構によるものである。マイクロRNAは、タンパク質コードRNAの発現を制御する低分子非コードRNAである。アンチセンス化合物のマイクロRNAへの結合は、そのマイクロRNAがそのメッセンジャーRNA標的に結合するのを阻止し、故にマイクロRNAの機能に干渉する。マイクロRNA模倣体は、生来のマイクロRNA機能を強化することができる。ある特定のアンチセンス化合物は、プレmRNAのスプライシングを変化させる。遺伝子発現の調節の別の例は、CRISPR系におけるアンチセンス化合物の使用である。特定の機構を問わず、配列特異性は、標的の検証及び遺伝子の機能化のためのツール、ならびに疾患の病理発生に関与する遺伝子の発現を選択的に調節する治療薬として、アンチセンス化合物を魅力的なものにする。
【0005】
アンチセンス技術は、1つまたは複数の特定の遺伝子産物の発現を調節するのに有効な手段であり、したがって、いくつかの治療用途、診断用途、及び研究用途に独特に有用であることが判明し得る。化学修飾ヌクレオシドをアンチセンス化合物に組み込んで、標的核酸のヌクレアーゼ耐性、忍容性、薬物動態、または親和性等の1つまたは複数の特性を強化してもよい。コンジュゲート基をアンチセンス化合物に結合させて、薬物動態、薬力学、ならびに目的とする細胞及び/または組織内への取込み等の1つまたは複数の特性を強化してもよい。
【0006】
オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物は、複数ステップによるプロセスで化学合成される。置換スルホニルアジドは、結合修飾オリゴヌクレオチドの合成のための有用な試薬であるが、それらは高エネルギー材料であり得、とりわけ製造規模で取り扱いが危険な可能性がある。規模に応じて潜在的に危険な化学的性質を改善するための新たな安定化された試薬組成物及び反応条件の開発は、重要な課題のままである。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、ヌクレオシド間連結基を介して連結された連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)を合成する方法を提供し、該ヌクレオシド間連結基のうちの少なくとも1個が、式Iを有し、
【化1】
式中、X及びRは、本明細書で定義される通りである。該方法は、安定化材料を高エネルギー試薬の組成物に添加することを含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求されるような実施形態を制限するものではないことを理解されたい。本明細書では、単数形の使用は、別途明確な定めのない限り、複数形を含む。本明細書で使用されるとき、「または」の使用は、別途定めのない限り、「及び/または」を意味する。さらに、「含むこと」という用語、ならびに「含む」及び「含まれる」等の他の形態の使用は、限定するものではない。
【0009】
本明細書で使用される節の見出しは、構成目的のために過ぎず、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、論文、ならびにGenBank及びNCBI参照配列レコードを含むがこれらに限定されない、本出願で引用される全ての文書、または文書の一部分は、本明細書で考察される文書の部分に関して、ならびにそれらの全体が、参照により本明細書に明示的に援用される。
【0010】
本明細書に含まれる各配列番号に定められる配列は、糖部分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対するいずれの修飾からも独立していることが理解される。したがって、配列番号によって定義される化合物は、独立して、糖部分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対する1つまたは複数の修飾を含んでもよい。この出願に添付される配列表は、各配列を必要に応じて「RNA」または「DNA」のいずれかとして特定しているが、実際には、それらの配列は化学修飾の任意の組み合わせで修飾され得る。当業者であれば、修飾オリゴヌクレオチドを説明するための「RNA」または「DNA」のような指定が、ある特定の事例において恣意的であることを容易に理解しよう。例えば、2’-OH(H)糖部分及びチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾糖(DNAの1つの2’-Hに代わる2’-OH)を有するDNAとして、または修飾塩基(RNAのウラシルに代わるチミン(メチル化ウラシル))を有するRNAとして記載され得る。したがって、配列表にある核酸配列を含むがこれらに限定されない、本明細書に提供される核酸配列は、修飾核酸塩基を有するかかる核酸を含むがこれらに限定されない、天然または修飾RNA及び/またはDNAの任意の組み合わせを含有する核酸を包含することを意図する。さらなる例として、かつ限定されないが、核酸塩基配列「ATCGATCG」を有する修飾オリゴヌクレオチドは、修飾または未修飾のいずれかにかかわらず、かかる核酸塩基配列を有する任意の修飾オリゴヌクレオチドを包含し、これには、RNA塩基を含むかかる化合物、例えば、配列「AUCGAUCG」を有する化合物、ならびに何らかのDNA塩基及び何らかのRNA塩基、例えば、「AUCGATCG」を有する化合物、ならびに他の修飾核酸塩基、例えば、「ATmCGAUCG」(式中、mCは、5位にメチル基を含むシトシン塩基を示す)を有する修飾オリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で使用されるとき、フラノシル糖部分またはフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを参照しての「2’置換」とは、フラノシル糖部分またはフラノシル糖部分を含むヌクレオシドが、2’位にHまたはOH以外の置換基を含み、非二環式フラノシル糖部分であることを意味する。2’置換フラノシル糖部分は、オリゴヌクレオチドの関連にあるとき、核酸塩基及び/またはヌクレオシド間結合(複数可)以外に、フラノシル糖部分の他の位置に追加の置換基を含まない。
【0012】
本明細書で使用されるとき、フラノシル糖部分またはフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを参照しての「4’置換」とは、フラノシル糖部分またはフラノシル糖部分を含むヌクレオシドが、4’位にH以外の置換基を含み、非二環式フラノシル糖部分であることを意味する。4’置換フラノシル糖部分は、オリゴヌクレオチドの関連にあるとき、核酸塩基及び/またはヌクレオシド間結合(複数可)以外に、フラノシル糖部分の他の位置に追加の置換基を含まない。
【0013】
本明細書で使用されるとき、フラノシル糖部分またはフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを参照しての「5’置換」とは、フラノシル糖部分またはフラノシル糖部分を含むヌクレオシドが、5’位にH以外の置換基を含み、非二環式フラノシル糖部分であることを意味する。5’置換フラノシル糖部分は、オリゴヌクレオチドの関連にあるとき、核酸塩基及び/またはヌクレオシド間結合(複数可)以外に、フラノシル糖部分の他の位置に追加の置換基を含まない。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「投与」または「投与すること」とは、本明細書に提供される化合物または組成物を、その意図される役目を果たすように対象に導入する経路を指す。使用され得る投与経路の例としては、吸入、皮下注射、髄腔内注射による投与、及び経口投与が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンス活性」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的核酸へのハイブリダイゼーションに帰すことができる任意の検出可能及び/または測定可能な変化を意味する。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの不在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較した、標的核酸またはかかる標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現の減少である。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンス剤」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド二重鎖を意味する。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンス化合物」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド二重鎖を意味する。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸に相補的であり、少なくとも1つのアンチセンス活性を達成することができるオリゴヌクレオチドを意味する。アンチセンスオリゴヌクレオチドには、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド及びRNase Hアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチドと対合して、オリゴヌクレオチド二重鎖を形成する。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、対合せず、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、コンジュゲート基を含む。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「人工mRNA化合物」とは、1つまたは複数のコドンを含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチド、またはその一部分である。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「二環式ヌクレオシド」または「BNA」とは、二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。本明細書で使用されるとき、「二環式糖」または「二環式糖部分」とは、2つの環を含む修飾糖部分を意味し、ここで、第2の環は、第1の環内の原子のうちの2個をつなげる架橋を介して形成され、それによって二環式構造を形成する。ある特定の実施形態では、二環式糖部分の第1の環は、フラノシル部分であり、二環式糖部分は、修飾された二環式フラノシル糖部分である。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、フラノシル部分を含まない。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「キャッピング試薬」とは、オリゴヌクレオチドの合成、例えば、固体支持体上での合成中にヒドロキシル基を保護するのに有効な試薬を意味する。ある特定の実施形態では、キャッピング試薬は、無水酢酸であってもよい。キャッピング試薬は、塩基及び溶媒を含む組成物中で送達されてもよい。例えば、キャッピング試薬組成物は、無水酢酸及びアセトニトリル、またはピリジン、N-メチルイミダゾール(NMI)、及びアセトニトリルを含んでもよい。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「cEt」または「拘束エチル」または「cEt糖部分」とは、二環式糖部分を意味し、ここで、二環式糖部分の第1の環は、リボシル糖部分であり、二環式糖の第2の環は、4’炭素と2’炭素とをつなげる架橋を介して形成され、架橋は、式4’-CH(CH3)-O-2’を有し、架橋のメチル基は、S配置にある。cEt二環式糖部分は、β-D配置にある。
【0023】
本明細書で使用されるとき、オリゴヌクレオチドを参照しての「相補的」とは、かかるオリゴヌクレオチドまたはその1つもしくは複数の領域の核酸塩基及び別の核酸またはその1つもしくは複数の領域の核酸塩基の少なくとも70%が、当該オリゴヌクレオチド及び他方の核酸の核酸塩基配列が反対方向にアライメントされるときに、互いに水素結合可能であることを意味する。相補的な核酸塩基は、互いに水素結合を形成することができる核酸塩基対である。相補的な核酸塩基対には、アデニン(A)とチミン(T)、アデニン(A)とウラシル(U)、シトシン(C)とグアニン(G)、5-メチルシトシン(mC)とグアニン(G)が含まれる。相補的なオリゴヌクレオチド及び/または核酸は、各ヌクレオシドにおいて核酸塩基相補性を有する必要はない。むしろ、いくつかのミスマッチが許容される。本明細書で使用されるとき、オリゴヌクレオチドを参照しての「完全に相補的」または「100%相補的」とは、かかるオリゴヌクレオチドが別のオリゴヌクレオチドまたは核酸に対して、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドにおいて相補的であることを意味する。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「コンジュゲート基」とは、コンジュゲート部分及びコンジュゲートリンカーからなる原子団を意味する。
【0025】
本明細書で使用されるとき、「コンジュゲート部分」とは、コンジュゲート部分を欠いた同一の分子と比較して、薬力学、薬物動態、安定性、結合、吸収、組織分布、細胞分布、細胞取込み、電荷、及びクリアランスを含むがこれらに限定されない、分子の1つまたは複数の特性を改変する原子団を意味する。
【0026】
本明細書で使用されるとき、「コンジュゲートリンカー」とは、少なくとも1つの結合を含む原子団を意味する。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「CRISPR化合物」とは、DNA認識部分及びtracrRNA認識部分を含む修飾オリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用されるとき、「DNA認識部分」とは、DNA標的に相補的である核酸塩基配列である。本明細書で使用されるとき、「tracrRNA認識部分」とは、tracrRNAに結合した、またはそれに結合することができる核酸塩基配列である。crRNAのtracrRNA認識部分は、ハイブリダイゼーションまたは共有結合を介してtracrRNAに結合し得る。
【0028】
本明細書で使用されるとき、培養細胞に対するオリゴマー化合物または親オリゴマー化合物の効果の関連における「細胞毒性(cytotoxic)」または「細胞毒性(cytotoxicity)」とは、培養細胞への10μM以下のオリゴマー化合物または親オリゴマー化合物の適用に次ぐ、同じ条件下で培養されたがオリゴマー化合物または親オリゴマー化合物を適用されていない細胞と比べた、カスパーゼ活性化の少なくとも2倍の増加を意味する。ある特定の実施形態では、細胞毒性は、標準的なインビトロ細胞毒性アッセイを使用して測定される。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「デオキシ領域」とは、ヌクレオシドの少なくとも70%が立体標準的(stereo-standard)DNAヌクレオシドである、5~12個の連続するヌクレオチドの領域を意味する。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシドは、立体標準的DNAヌクレオシド(β-D-2’-デオキシリボシル糖部分を含むヌクレオシド)、式I~VIIの立体非標準的(stereo-non-standard)ヌクレオシド、二環式ヌクレオシド、及び置換立体標準的ヌクレオシドから選択される。ある特定の実施形態では、デオキシ領域は、RNase H活性を補助する。ある特定の実施形態では、デオキシ領域は、ギャップマーのギャップである。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「二本鎖アンチセンス化合物」とは、互いに相補的であり二重鎖を形成する2つのオリゴマー化合物を含み、2つの該オリゴマー化合物のうちの一方がアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、アンチセンス化合物を意味する。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「発現」は、遺伝子のコードされた情報が、細胞内に存在しそこで作動する構造に変換される、全ての機能を含む。かかる構造には、転写産物及び翻訳産物が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるとき、「発現の調節」とは、遺伝子の転写産物または翻訳産物の量または活性の任意の変化を意味する。かかる変化は、調節前の発現レベルと比べた任意の量の増加または低減であり得る。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「ギャップマー」とは、5’領域と3’領域との間に位置付けられた、RNase H切断を補助する複数のヌクレオシドを含む中心領域を有するオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書では、5’領域及び3’領域のヌクレオシドは各々、2’置換フラノシル糖部分または二環式糖部分を含み、中心領域の最も3’側及び5’側のヌクレオシドは各々、2’-デオキシフラノシル糖部分または糖代用物から独立して選択される糖部分を含む。中心領域の位置は、中心領域のヌクレオシドの順序を指し、中心領域の5’末端から開始して数えられる。故に、中心領域の最も5’側のヌクレオシドは、中心領域の1位にある。「中心領域」は、「ギャップ」と称される場合があり、「5’領域」及び「3’領域」は、「ウィング」と称される場合がある。ギャップマーのギャップは、デオキシ領域である。
【0033】
本明細書で使用されるとき、マウスの関連における「肝毒性」とは、300単位/リットル超である血漿中ALTレベルを意味する。マウスに投与されるオリゴマー化合物または親オリゴマー化合物の肝毒性は、1~150mg/kgの該化合物の少なくとも1回投薬から24時間~2週間後にマウスの血漿中ALTレベルを測定することによって決定される。
【0034】
本明細書で使用されるとき、ヒトの関連における「肝毒性」とは、150単位/リットル超である血漿中ALTレベルを意味する。ヒトに投与されるオリゴマー化合物または親オリゴマー化合物の肝毒性は、10~300mgの該化合物の少なくとも1回投薬から24時間~2週間後にヒトの血漿中ALTレベルを測定することによって決定される。
【0035】
本明細書で使用されるとき、「ハイブリダイゼーション」とは、相補的なオリゴヌクレオチド及び/または核酸の対合またはアニーリングを意味する。特定の機構に限定されるものではないが、最も一般的なハイブリダイゼーションの機構は水素結合を伴い、これは相補的な核酸塩基間のワトソン・クリック型、フーグスティーン型、または逆フーグスティーン型の水素結合であり得る。
【0036】
本明細書で使用されるとき、「発現または活性を阻害すること」とは、未処理の試料または対照試料における発現または活性と比べた発現または活性の低減または遮断を指し、必ずしも発現または活性の完全な排除を示すものではない。
【0037】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド間結合」または「ヌクレオシド間連結基」とは、オリゴヌクレオチドにおいて隣接するヌクレオシド間で共有結合を形成する基または結合を意味する。本明細書で使用されるとき、「修飾ヌクレオシド間結合」とは、天然に存在するホスホジエステルヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を意味する。「ホスホロチオエート結合」とは、ホスホジエステルの非架橋酸素原子のうちの1個が硫黄原子と置き換えられている、修飾ヌクレオシド間結合を意味する。修飾ヌクレオシド間結合は、リン原子を含有する場合も、含有しない場合もある。「中性ヌクレオシド間結合」とは、pH=7.0の緩衝水溶液中で負に帯電したリン酸を有しない修飾ヌクレオシド間結合である。修飾ヌクレオシド間結合は、任意選択で、コンジュゲート基を含んでもよい。
【0038】
本明細書で使用されるとき、「連結ヌクレオシド」とは、連続的な配列でつながっているヌクレオシドである(すなわち、連結されているヌクレオシド間に追加のヌクレオシドが何ら存在しない)。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「最大耐量」とは、許容できない副作用を引き起すことのない、化合物の最高用量を意味する。ある特定の実施形態では、最大耐量は、標準的なアッセイによって測定したときに正常上限値の3倍のALT上昇を引き起すことのない、修飾オリゴヌクレオチドの最高用量である。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「調節すること」とは、細胞、組織、臓器、または生物において特徴を変化させるかまたは調整することを指す。
【0041】
本明細書で使用されるとき、「MOE」とは、O-メトキシエチルを意味する。「2’-MOE」または「2’-O-メトキシエチル」とは、フラノシル環の2’位にある2’-OCH2CH2OCH3基を意味する。ある特定の実施形態では、2’-OCH2CH2OCH3基は、リボシル環の2’-OH基に代わるか、または2’-デオキシリボシル環内の2’-Hに代わる。「2’-MOE糖部分」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-OCH2CH2OCH3基を有する糖部分である。別途指示されない限り、2’-MOE糖部分は、β-Dリボシル配置にある。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「2’-OMe糖部分」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-CH3基を有する糖部分である。別途指示されない限り、2’-OMe糖部分は、β-Dリボシル配置にあり、「立体標準的2’OMe糖部分」である。
【0043】
本明細書で使用されるとき、「2’-F糖部分」とは、フラノシル糖部分の2’-OH基の代わりに2’-F基を有する糖部分である。別途指示されない限り、2’-F糖部分は、β-Dリボシル配置にあり、「立体標準的2’-F糖部分」である。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「モチーフ」とは、オリゴヌクレオチドにおける未修飾及び/または修飾糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合のパターンを意味する。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「天然に存在する」とは、自然界に見出されることを意味する。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基」とは、未修飾核酸塩基または修飾核酸塩基を意味する。本明細書で使用されるとき、「未修飾核酸塩基」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)、またはグアニン(G)である。本明細書で使用されるとき、修飾核酸塩基は、少なくとも1つの未修飾核酸塩基と対合することができる原子団である。普遍的塩基は、これら5つの未修飾核酸塩基のうちのいずれか1つと対合し得る核酸塩基である。5-メチルシトシン(mC)は、修飾核酸塩基の一例である。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「核酸塩基配列」とは、いずれの糖部分またはヌクレオシド間結合の修飾からも独立した、核酸またはオリゴヌクレオチドにおける連続する核酸塩基の順序を意味する。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「ヌクレオシド」とは、核酸塩基及び糖部分を含む部分を意味する。核酸塩基及び糖部分は、各々独立して、未修飾であるかまたは修飾されている。本明細書で使用されるとき、「修飾ヌクレオシド」とは、修飾核酸塩基及び/または修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドは、コンジュゲート基を含んでもよい。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「オリゴマー化合物」とは、(1)オリゴヌクレオチド(一本鎖オリゴマー化合物)または互いにハイブリダイズした2つのオリゴヌクレオチド(二本鎖オリゴマー化合物)、及び(2)任意選択で、一本鎖オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドまたは二本鎖オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドの一方もしくは両方に結合され得る、コンジュゲート基または末端基等の1つまたは複数の追加の特徴からなる、化合物を意味する。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「オリゴヌクレオチド」とは、ヌクレオシド間結合を介してつなげられた連結ヌクレオシドの鎖を意味し、ここで、各ヌクレオシド及びヌクレオシド間結合は、修飾されていても、または未修飾であってもよい。別途指示されない限り、オリゴヌクレオチドは、12~80個の連結ヌクレオシド、及び任意選択でコンジュゲート基または末端基からなる。本明細書で使用されるとき、「修飾オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1個のヌクレオシド(修飾ヌクレオシド)またはヌクレオシド間結合(修飾ヌクレオシド間結合)が修飾されているオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用されるとき、「未修飾オリゴヌクレオチド」とは、いずれのヌクレオシド修飾またはヌクレオシド間修飾も含まないオリゴヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチドは、オリゴマー化合物であり、オリゴヌクレオチドは、追加の特徴を有するオリゴマー化合物に組み込まれてもよい。オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチドは、それを固体支持体に連結するリンカー基を含んでもよい。リンカーは、Ravikumar et al.,Org.Process Res.Dev.2008,12,3,399-410に記載されるようなものであってもよい。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「オリゴヌクレオチド中間体」とは、オリゴヌクレオチドの合成中に生じ、最終的にかかるオリゴヌクレオチドの一部分を形成することになる化合物またはその一部分を意味する。オリゴヌクレオチド中間体には、本明細書に記載の連結ヌクレオシド、ヌクレオシド間結合、コンジュゲート基、及び修飾体、ならびにそれらの前駆体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド中間体は、固体支持体に結合させたヒドロキシ基である。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド中間体は、固体支持体に結合させたいくつかの連結したヌクレオシドである。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「薬学的組成物」とは、対象への投与に好適な物質の混合物を意味する。例えば、薬学的組成物は、アンチセンス化合物及び水溶液を含んでもよい。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「RNAi剤」とは、少なくとも部分的にRISCまたはAgo2を介して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するように作用する、アンチセンス剤を意味する。RNAi剤には、二本鎖siRNA、一本鎖RNA(ssRNA)、及びマイクロRNA模倣体を含めたマイクロRNAが含まれるが、これらに限定されない。RNAi剤は、コンジュゲート基及び/または末端基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、RNAi剤は、標的核酸の量、活性、及び/またはスプライシングを調節する。RNAi剤という用語は、RNase Hを介して作用するアンチセンス剤は除外する。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「RNAiオリゴヌクレオチド」とは、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドまたはRNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドを意味する。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド」とは、標的配列に相補的であり、RNAiに好適な少なくとも1つの化学修飾を含む領域を含む、オリゴヌクレオチドを意味する。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「RNAiアンチセンスオリゴマー化合物」とは、標的配列に相補的であり、RNAiに好適な少なくとも1つの化学修飾を含む領域を含む、一本鎖オリゴマー化合物を意味する。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチド」とは、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドのある領域に相補的な領域を含み、かかるRNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドと二重鎖を形成することができる、オリゴヌクレオチドを意味する。
【0058】
本明細書で使用されるとき、「RNAiセンスオリゴマー化合物」とは、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド及び/またはRNAiアンチセンスオリゴマー化合物のある領域に相補的な領域を含み、かかるRNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド及び/またはRNAiアンチセンスオリゴマー化合物と二重鎖を形成することができる、一本鎖オリゴマー化合物を意味する。
【0059】
RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチド及び/またはRNAiセンスオリゴマー化合物と、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド及び/またはRNAiアンチセンスオリゴマー化合物によって形成される二重鎖は、二本鎖RNAi化合物(dsRNAi)または短鎖干渉RNA(siRNA)と称される。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「RNase H剤」とは、少なくとも部分的にRNase Hを介して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するように作用する、アンチセンス剤を意味する。ある特定の実施形態では、RNase H剤は、一本鎖である。ある特定の実施形態では、RNase H剤は、二本鎖である。RNase H化合物は、コンジュゲート基及び/または末端基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、RNase H剤は、標的核酸の量または活性を調節する。RNase H剤という用語は、主にRISC/Ago2を介して作用するアンチセンス剤は除外する。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「RNase Hアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド」とは、標的配列に相補的であり、RNase H媒介性の核酸分解に好適な少なくとも1つの化学修飾を含む領域を含む、オリゴヌクレオチドを意味する。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「RNAi化合物」とは、少なくとも部分的にRISCまたはAgo2を介して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するように作用する、アンチセンス化合物を意味する。RNAi化合物には、二本鎖siRNA、一本鎖RNA(ssRNA)、及びマイクロRNA模倣体を含めたマイクロRNAが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、RNAi化合物は、標的核酸の量、活性、及び/またはスプライシングを調節する。RNAi化合物という用語は、RNase Hを介して作用するアンチセンスオリゴヌクレオチドは除外する。
【0063】
本明細書で使用されるとき、アンチセンス化合物を参照しての「一本鎖」という用語は、第2のオリゴマー化合物と対合して二重鎖を形成することのない、1つのオリゴマー化合物からなるような化合物を意味する。オリゴヌクレオチドを参照しての「自己相補的」とは、それ自体に少なくとも部分的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを意味する。1つのオリゴマー化合物からなり、当該オリゴマー化合物の当該オリゴヌクレオチドが自己相補的である化合物は、一本鎖化合物である。一本鎖アンチセンスまたはオリゴマー化合物は、相補的なオリゴマー化合物に結合して、二重鎖を形成することが可能であり得、その場合、当該化合物は、もはや一本鎖ではなくなる。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「安定化リン酸基」とは、生物学的条件下で、未修飾ヌクレオシドの未修飾5’リン酸の安定性と比べてオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオシドの5’リン酸部分の安定化をもたらす、5’化学部分を指す。5’リン酸基のかかる安定化には、ホスファターゼによる除去への耐性が含まれるが、これらに限定されない。安定化リン酸基には、5’-ビニルホスホネート及び5’-シクロプロピルホスホネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「安定剤」とは、反応混合物を含むがこれらに限定されない溶液中に存在するときに、爆発のリスクを低減する物質を指す。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「標準的な酸化剤」とは、塩基性溶媒、3-ピコリン、ピリジン、2,6-ルチジン等の塩基性溶媒とヨウ素及び水との混合物、ヨウ素、NMI、塩基性溶媒、及び水の混合物を含むがこれらに限定されない、リンヌクレオシド間結合を酸化するための、オリゴヌクレオチド合成の技術分野で十分に理解されている酸化剤を指す。酸化方法のさらなる例及び説明は、WO2020236618A1に記載されており、同文献の開示はその全体が本明細書に援用される。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「標準的な硫化剤」とは、フェンアセチルジスルフィド(phenacetyldilsulfide)またはキサンタンヒドリドを含むがこれらに限定されない、リンヌクレオシド間結合を硫化するための、オリゴヌクレオチド合成の技術分野で十分に理解されている試薬を指す。酸化方法のさらなる例及び説明は、WO2020236618A1に記載されており、同文献の開示はその全体が本明細書に援用される。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「立体標準的ヌクレオシド」とは、下記に示されるような天然に存在するDNA及びRNAの配置を有する非二環式フラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。「立体標準的DNAヌクレオシド」とは、β-D-2’-デオキシリボシル糖部分を含むヌクレオシドである。「立体標準的RNAヌクレオシド」とは、β-D-リボシル糖部分を含むヌクレオシドである。「置換立体標準的ヌクレオシド」とは、立体標準的DNAまたは立体標準的RNAヌクレオシド以外の立体標準的ヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、R
1は、2’置換基であり、R
2~R
5は各々、Hである。ある特定の実施形態では、2’置換基は、OMe、F、OCH
2CH
2OCH
3、O-アルキル、SMe、またはNMAから選択される。ある特定の実施形態では、R
1~R
4は、Hであり、R
5は、メチル、アリル、またはエチルから選択される5’置換基である。ある特定の実施形態では、複素環式塩基部分Bxは、ウラシル、チミン、シトシン、5-メチルシトシン、アデニン、またはグアニンから選択される。ある特定の実施形態では、複素環式塩基部分Bxは、ウラシル、チミン、シトシン、5-メチルシトシン、アデニン、またはグアニン以外である。
【化2】
【0069】
本明細書で使用されるとき、「立体非標準的ヌクレオシド」とは、立体標準的糖部分の配置以外の配置を有する非二環式フラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。ある特定の実施形態では、「立体非標準的ヌクレオシド」は、2’-β-L-デオキシリボシル糖部分、2’-α-D-デオキシリボシル糖部分、2’-α-L-デオキシリボシル糖部分、2’-β-D-デオキシキシロシル糖部分、2’-β-L-デオキシキシロシル糖部分、2’-α-D-デオキシキシロシル糖部分、2’-α-L-デオキシキシロシル糖部分、2’-フルオロ-β-D-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-β-D-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-α-D-リボシル糖部分、2’-フルオロ-α-D-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-α-D-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-リボシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-リボシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-β-D-リキソシル(lyxosyl)糖部分、2’-フルオロ-α-D-リキソシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-リキソシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-リキソシル糖部分、2’-O-メチル-β-D-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-β-D-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-リボシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-リボシル糖部分、2’-O-メチル-β-L-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-β-L-リボシル糖部分、2’-O-メチル-β-L-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-β-D-リキソシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-リキソシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-リキソシル糖部分、または2’-O-メチル-β-L-リキソシル糖部分である。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「立体標準的糖部分」とは、立体標準的ヌクレオシドの糖部分を意味する。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「立体非標準的糖部分」とは、立体非標準的ヌクレオシドの糖部分を意味する。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「置換立体非標準的ヌクレオシド」とは、天然RNAまたはDNAに対応する置換基以外の置換基を含む立体非標準的ヌクレオシドを意味する。ある特定の実施形態では、置換立体非標準的ヌクレオシドは、2’-フルオロ-β-D-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-β-D-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-α-D-リボシル糖部分、2’-フルオロ-α-D-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-α-D-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-リボシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-キシロシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-リボシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-アラビノシル糖部分、2’-フルオロ-β-D-リキソシル糖部分、2’-フルオロ-α-D-リキソシル糖部分、2’-フルオロ-α-L-リキソシル糖部分、2’-フルオロ-β-L-リキソシル糖部分、2’-O-メチル-β-D-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-β-D-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-リボシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-リボシル糖部分、2’-O-メチル-β-L-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-キシロシル糖部分、2’-O-メチル-β-L-リボシル糖部分、2’-O-メチル-β-L-アラビノシル糖部分、2’-O-メチル-β-D-リキソシル糖部分、2’-O-メチル-α-D-リキソシル糖部分、2’-O-メチル-α-L-リキソシル糖部分、または2’-O-メチル-β-L-リキソシル糖部分である。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「スルホニル酸化剤」とは、亜リン酸トリエステルからホスホロアミデートへの変換をもたらすことができる薬剤を意味する。ある特定の実施形態では、スルホニル酸化剤は、構造
【化3】
を有し、式中、Rは、式Iに関して定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rはメチルであり、スルホニル酸化剤は、メタンスルホニルアジド(「MsN
3」)である。
【0074】
本明細書で使用されるとき、「糖部分」とは、未修飾糖部分または修飾糖部分を意味する。本明細書で使用されるとき、「未修飾糖部分」とは、天然に存在するRNAに見出されるようなβ-D-リボシル部分、または天然に存在するDNAに見出されるようなβ-D-2’-デオキシリボシル糖部分を意味する。本明細書で使用されるとき、「修飾糖部分」または「修飾糖」とは、β-D-リボシルまたはβ-D-2’-デオキシリボシル以外の糖代用物またはフラノシル糖部分を意味する。修飾フラノシル糖部分は、糖部分のある特定の位置(複数可)が修飾もしくは置換されていても、または置換されていなくてもよく、それらは、立体非標準的糖部分である場合も、そうでない場合もある。修飾フラノシル糖部分には、二環式糖及び非二環式糖が含まれる。本明細書で使用されるとき、「糖代用物」とは、フラノシルまたはテトラヒドロフラニル環を含まず(「フラノシル糖部分」ではない)、オリゴヌクレオチドにおいて核酸塩基をヌクレオシド間結合、コンジュゲート基、または末端基等の別の基に連結することができる、修飾糖部分を意味する。糖代用物を含む修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内の1つまたは複数の位置に組み込むことができ、かかるオリゴヌクレオチドは、相補的なオリゴマー化合物または核酸にハイブリダイズすることができる。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「標的核酸」、「標的RNA」、「標的RNA転写物」、及び「核酸標的」とは、これに影響を与えるようにアンチセンス化合物等のオリゴマー化合物が設計されている核酸を意味する。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、1つよりも多くのRNAに相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、これらのRNAのうちの1つのみがオリゴマー化合物の標的RNAである。ある特定の実施形態では、標的RNAは、オリゴマー化合物が投与される種に存在するRNAである。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「治療指数」とは、毒性を引き起こす量に対する、治療効果を引き起こす化合物の量の比較を意味する。高い治療指数を有する化合物は、強力な有効性及び低い毒性を有する。ある特定の実施形態では、化合物の治療指数を増加させることで、安全に投与され得る化合物の量が増加する。
【0077】
ある特定の実施形態
本開示は、以下の日限定的な実施形態を提供する。
【0078】
実施形態1:亜リン酸トリエステルヌクレオシド間結合を有する第1のオリゴヌクレオチド中間体を、少なくとも1つの安定剤、及びスルホニル酸化剤を含む酸化溶液に接触させて、式XIVのヌクレオシド間連結基を有する第2のオリゴヌクレオチド中間体を形成させることを含み、
【化4】
式中、
Rが、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、芳香族複素環、置換芳香族複素環、ジアゾール、置換ジアゾール、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
20アルキル、C
1~C
6アルケニル、C
1~C
6アルキニル、置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
6アルケニル、置換C
1~C
6アルキニル、及びコンジュゲート基から選択される、方法。
【0079】
実施形態2:前記スルホニル酸化剤が、メタンスルホニルアジド(MsN3)である、実施形態1に記載の方法。
【0080】
実施形態3:酸化溶液が、前記少なくとも1つの安定剤を含む、実施形態1~2のいずれかに記載の方法。
【0081】
実施形態4:前記酸化溶液が、前記少なくとも1つの安定剤を含まない、実施形態1~2のいずれかに記載の方法。
【0082】
実施形態5:前記酸化溶液が、アセトニトリル、トルエン、ジクロロメタン、ピリジン、N-メチル-2-ピロリドン、及びそれらの組み合わせから選択される溶媒を含む、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
【0083】
実施形態6:前記少なくとも1つの安定剤が、ナフタレン、スルホラン、及びリン酸トリフェニルから選択される、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0084】
実施形態7:前記少なくとも1つの安定剤が、リン酸トリフェニル(TPP)である、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0085】
実施形態8:前記少なくとも1つの安定剤がTPPである、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
【0086】
実施形態9:
【0087】
実施形態10:少なくとも1つの安定剤が非架橋ポリマーである、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0088】
実施形態11:前記非架橋ポリマーがポリスチレンである、実施形態10に記載の方法。
【0089】
実施形態12:前記酸化溶液及び前記少なくとも1つの安定剤から前記溶媒を蒸発させることによって得られる残渣が、500J.g-1未満の燃焼エネルギーを有する、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0090】
実施形態13:前記酸化溶液及び前記少なくとも1つの安定剤から前記溶媒を蒸発させることによって得られる残渣が、300J.g-1未満の燃焼エネルギーを有する、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0091】
実施形態14:式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドを合成する方法であって、
【化5】
式中、式Iの各ヌクレオシド間結合について独立して、
Xが、OまたはSから選択され、
Rが、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、芳香族複素環、置換芳香族複素環、ジアゾール、置換ジアゾール、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
20アルキル、C
1~C
6アルケニル、C
1~C
6アルキニル、置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
6アルケニル、置換C
1~C
6アルキニル、及びコンジュゲート基から選択され、
前記方法が、
a)ブロックされたヒドロキシル基を結合させた固体支持体を用意するステップと、
b)遊離ヒドロキシル基をもたらすように、前記ブロックされたヒドロキシル基を脱ブロックするための脱ブロッキング剤を反応物に添加するステップと、
c)亜リン酸トリエステル連結ヌクレオシドをもたらすように、ヌクレオシドを、前記遊離ヒドロキシル基にてカップリングさせるように前記反応物に添加するステップであって、前記ヌクレオシドが、ホスホロアミダイト基及びブロックされたヒドロキシル基を含む、前記添加するステップと、
d)前記反応物に、
1.リン酸トリエステルヌクレオソード間(internucleosode)結合を生成するための標準的な酸化剤、
2.チオリン酸トリエステルヌクレオシド間結合を生成するための標準的な硫化剤、または
3.スルホニルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を生成するためのスルホニル酸化剤、及びTPPから選択される少なくとも1つの安定剤、
を添加するステップと、
e)任意選択で、いずれの未反応の遊離ヒドロキシル基もキャップするために、前記スルホニル(sufonyl)ホスホロアミデート結合、前記リン酸トリエステル結合、または前記チオリン酸トリエステル結合を、キャッピング試薬の混合物で処理するステップと、
f)前記修飾オリゴヌクレオチドをもたらすように、ステップb)からe)を、少なくとも1つの反復がステップ(d)3を含むことを条件として、既定の回数だけ反復的に繰り返すステップと、
g)前記修飾オリゴヌクレオチドをアセトニトリル中のトリエチルアミンで処理するステップと、
を含み、
それによって、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合を含む前記修飾オリゴヌクレオチドが合成される、
前記方法。
【0092】
実施形態15:スルホニル酸化剤が、メタンスルホニルアジド及び前記少なくとも1つの安定剤を含む酸化溶液中にある、実施形態14に記載の方法。
【0093】
実施形態16:
【0094】
実施形態17:前記少なくとも1つの安定剤がTPPである、実施形態15~16のいずれかに記載の方法。
【0095】
実施形態18:前記スルホニル酸化剤及び前記少なくとも1つの安定剤を含む前記溶液からの溶媒の蒸発によって得られる残渣が、500J.g-1未満の燃焼エネルギーを有する、実施形態14~17のいずれかに記載の方法。
【0096】
実施形態19:前記スルホニル酸化剤及び前記少なくとも1つの安定剤を含む前記溶液からの溶媒の蒸発によって得られる残渣が、300J.g-1未満の燃焼エネルギーを有する、実施形態14~17のいずれかに記載の方法。
【0097】
実施形態20:XがOであり、Rがメチルである、実施形態14~19のいずれかに記載の方法。
【0098】
実施形態21:前記修飾オリゴヌクレオチドが、12~25個の連結したヌクレオシドを含む、実施形態1~20のいずれかに記載の方法。
【0099】
実施形態22:保護基を除去すると共に、前記修飾オリゴヌクレオチドを前記固体支持体から切断するために、前記修飾オリゴヌクレオチドを水酸化アンモニウムで処理することを含む、実施形態14~21のいずれかに記載の方法。
【0100】
ある特定の化合物
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、式Iの服なくとも1個のヌクレオシド間連結基を有する、オリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)であり、
【化6】
式中、Xが、OまたはSから選択され、
Rが、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、芳香族複素環、置換芳香族複素環、ジアゾール、置換ジアゾール、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
20アルキル、C
1~C
6アルケニル、C
1~C
6アルキニル、置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
6アルケニル、置換C
1~C
6アルキニル、及びコンジュゲート基から選択される。ある特定の実施形態では、XはOであり、Rはメチルであり、式Iのヌクレオシド間連結基は、下記の式IIのヌクレオシド間連結基である。
【0101】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、式IIの少なくとも1個のヌクレオシド間連結基、
【化7】
(メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合)を有する、オリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)である。
【0102】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、式IIIの少なくとも1個のヌクレオシド間連結基を有する、オリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)である。
【化8】
【0103】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり、式IVの少なくとも1個のヌクレオシド間連結基を有する、オリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)である。
【化9】
【0104】
修飾オリゴヌクレオチドは、未修飾オリゴヌクレオチドと比べて少なくとも1つの修飾を含む(すなわち、少なくとも1個の修飾ヌクレオシド(修飾糖部分、立体非標準的ヌクレオシド、及び/または修飾核酸塩基を含む)及び/または少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間結合を含む)。ある特定の実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合は、式I~IVのうちのいずれかを有する修飾ヌクレオシド間連結基である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、式I~IVのうちのいずれかを有する少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間連結基を有するオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)である。
【0105】
オリゴヌクレオチドの合成のためのある特定のプロセス
本開示は、式Iの少なくとも1個の修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを調製するための合成方法を提供する。
【化10】
【0106】
本開示はまた、かかるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物を調製するための合成方法も提供し、ここで、かかるオリゴマー化合物は、切断可能なリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合させたコンジュゲート部分を含む。ある特定の実施形態では、切断可能なリンカーは、リン酸ジエステル結合である。ある特定の実施形態では、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合と、少なくとも1個のホスホロチオエートジエステル結合及び/または少なくとも1個のリン酸ジエステル結合との両方を有するオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の所望の特性を有する。ある特定の実施形態では、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドは、ギャップマーである。ある特定の実施形態では、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドは、核酸標的のスプライシングを調節するために使用される。ある特定の実施形態では、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドは、RNAi化合物である。かかるRNAi化合物は、二本鎖または一本鎖であり得る。かかるオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の特徴、修飾ヌクレオシド、及びヌクレオシドモチーフのうちのいずれを含んでもよい。
【0107】
したがって、かかるオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の修飾糖部分のうちのいずれ及び/または修飾核酸塩基のうちのいずれを含んでもよい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の合成プロセスは、コンジュゲート基を含むオリゴマー化合物を合成するために使用される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の合成プロセスは、1つまたは複数のN-アセチルガラクトサミン残基を含むコンジュゲート基を含むオリゴマー化合物を合成するために使用される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスを使用して合成されるオリゴマー化合物は、ギャップマーである。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスを使用して合成されるオリゴマー化合物は、RNAi化合物である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスを使用して合成されるオリゴマー化合物は、一本鎖である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスを使用して合成されるオリゴマー化合物は、二本鎖である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスを使用して合成される化合物は、動物への投与用に製剤化される。
【0108】
スルホニルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドの合成のためのある特定の試薬
本開示は、1個または複数のスルホニルホスホロアミデート結合を含むオリゴヌクレオチドの合成において使用するための、ある特定のスルホニル酸化剤、例えば、スルホニルアジドを提供する。本開示はさらに、スルホニルホスホロアミデート結合形成反応に導入され得る安定剤を提供する。ある特定の実施形態では、安定剤は、スルホニル酸化剤、例えば、スルホニルアジドの導入の前に、それと同時に、またはそれに後続して結合形成反応に導入されてもよい。ある特定の実施形態では、1つよりも多くの安定剤が結合形成反応に導入されてもよい。ある特定の実施形態では、安定剤は、スルホニルアジドの使用に関連するエネルギー事象を改善し得る。ある特定の実施形態では、安定剤は、立体的にかさ高い化合物であり得る。ある特定の実施形態では、安定剤は、低燃焼性の特性を有する。ある特定の実施形態では、安定剤は、低揮発性を有し、室温で固体または半固体であり得る。ある特定の実施形態では、スルホニルアジド及び安定剤は、結合形成反応への導入前に溶媒または溶媒混合物中に溶解させてもよい。本開示に従って有用であり得る溶媒には、アセトニトリル(MeCN)、ジクロロメタン(DCM)、トルエン、ピリジン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。本開示に従って有用であり得る溶媒には、アセトニトリル(MeCN)、トルエン、ジクロロメタン(DCM)、トルエン、ピリジン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、溶媒は、アセトニトリル及びトルエンである。ある特定の実施形態では、安定剤は、室温で固体または液体であり得る。本開示において有用であり得る安定剤には、ナフタレン、スルホラン、及びリン酸トリフェニル(TPP)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本開示において使用するための安定剤は、ポリスチレンを含むがこれに限定されない非架橋ポリマーである。本明細書で企図される追加の安定剤には、可溶性ポリマー、ろう、トリグリセリド、及びパラフィンろうが含まれる。
【0109】
安定剤は、溶媒の蒸発時にスルホニル酸化剤と均一混合物を形成すべきである。結晶化を生じやすい安定剤は、好適であると考えられない。故に、ジフェニルスルホン(DPS)は、結晶を形成することが見出されたため、好適でない。
【0110】
一般に、本明細書に記載の安定剤は、メタンスルホニルアジド等のスルホニル酸化剤の反応中に生み出される発熱を低減する。スルホニル酸化剤の量に対する安定剤の量は、決定され得る。ある特定の実施形態では、安定剤の量は、合成において安全に取り扱い、利用することができる組成物を提供する。安定剤は、プロセス規模に応じたオリゴヌクレオチドの合成を可能にする量であり得、例えば、オリゴヌクレオチドは、臨床試験を実施するのに十分な量で合成され得る。安定剤は、溶媒または水性洗浄によって容易に除去可能であり得る。治療用オリゴヌクレオチドの合成において使用されるような安定剤は、GMPプロトコルに適合するものであり得る。ある特定の実施形態では、安定剤は、例えば、メタンスルホニルアジドがスルホニル酸化剤である場合に、衝撃に際して爆発のリスクを有しない組成物を提供する。
【0111】
また、本明細書では、メタンスルホニルアジド及び安定剤を含む安定化された組成物も提供される。ある特定の実施形態では、スルホラン及びメタンスルホニルアジドを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる安定化された組成物が提供される。安定化された組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。ある特定の実施形態では、スルホラン、メタンスルホニルアジド、及び任意選択でアセトニトリルを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる安定化された組成物が提供される。安定化された組成物は、任意選択で、本明細書に記載されるような、ホスホロアミデートヌクレオシド間結合を含有するオリゴマー化合物の合成において使用するためのオリゴヌクレオチド中間体を担持する固体支持体に接触して配置されてもよい。
【0112】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むかまたはそれからなるオリゴマー化合物を合成するのに有用である。本開示は、本明細書に記載の任意の数の修飾を有するオリゴヌクレオチドの合成において使用するための試薬を提供する。
【0113】
故に、ある特定の実施形態は、メタンスルホニルアジド及びスルホランを含む安定化された組成物が提供される。該組成物は、メタンスルホニルアジドに対して0.1~100当量、0.1~10当量、1~10当量、3~6当量、4~5当量、1~2当量、2~3当量、3~4当量、5~6当量、6~7当量、7~8当量、8~9当量、もしくは9~10当量のスルホラン、またはメタンスルホニルアジドに対して約1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10当量のスルホランを含んでもよい。安定化された組成物中のメタンスルホニルアジドの濃度は、0.1~10M、例えば、0.5~10M、0.5~5M、0.1~5M、0.3~1.5M、0.4~0.6M、0.1~0.2M、0.2~0.3M、0.3~0.4M、0.4~0.5M、0.4~0.6M、0.5~0.6M、0.6~0.7M、0.7~0.8M、0.8~0.9M、0.9~1M、1~1.1M、1~1.2M、1.1~1.2M、1.1~1.3M、1.2~1.3M、1~1.5M、1.3~1.4M、1.4~1.5M、または約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、もしくは2Mであってもよい。安定化された組成物中のスルホランの濃度は、0.1~20M、例えば、1~20M、1~10M、3~6M、4~5M、1~2M、2~3M、3~4M、5~6M、6~7M、7~8M、8~9M、もしくは9~10M、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10Mであってもよい。
【0114】
I.修飾
A.修飾ヌクレオシド
修飾ヌクレオシドは、立体非標準的ヌクレオシド、もしくは修飾糖部分、もしくは修飾核酸塩基、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0115】
1.ある特定の修飾糖部分
ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、立体非標準的糖部分である。ある特定の実施形態では、糖部分は、置換されたフラノシル立体標準的糖部分である。ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、二環式または三環式フラノシル糖部分である。ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、糖代用物である。かかる糖代用物は、他のタイプの修飾糖部分の置換に対応する1つまたは複数の置換を含んでもよい。
【0116】
a.立体非標準的糖部分
ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、下記の式V~XIに示される立体非標準的糖部分であり、
【化11】
式中、
J
1及びJ
2のうちの一方が、Hであり、J
1及びJ
2のうちの他方が、H、OH、F、OCH
3、OCH
2CH
2OCH
3、O-C
1~C
6アルコキシ、及びSCH
3から選択され、
J
3及びJ
4のうちの一方が、Hであり、J
3及びJ
4のうちの他方が、H、OH、F、OCH
3、OCH
2CH
2OCH
3、O-C
1~C
6アルコキシ、及びSCH
3から選択され、
J
5及びJ
6のうちの一方が、Hであり、J
5及びJ
6のうちの他方が、H、OH、F、OCH
3、OCH
2CH
2OCH
3、O-C
1~C
6アルコキシ、及びSCH
3から選択され、
J
7及びJ
8のうちの一方が、Hであり、J
7及びJ
8のうちの他方が、H、OH、F、OCH
3、OCH
2CH
2OCH
3、O-C
1~C
6アルコキシ、及びSCH
3から選択され、
J
9及びJ
10のうちの一方が、Hであり、J
9及びJ
10のうちの他方が、H、OH、F、OCH
3、OCH
2CH
2OCH
3、O-C
1~C
6アルコキシ、及びSCH
3から選択され、
J
11及びJ
12のうちの一方が、Hであり、J
11及びJ
12のうちの他方が、H、OH、F、OCH
3、OCH
2CH
2OCH
3、O-C
1~C
6アルコキシ、及びSCH
3から選択され、
J
13及びJ
14のうちの一方が、Hであり、J
13及びJ
14のうちの他方が、H、OH、F、OCH
3、OCH
2CH
2OCH
3、O-C
1~C
6アルコキシ、及びSCH
3から選択され、
Bxが、複素環式塩基部分である。
【0117】
ある特定の立体非標準的糖部分は、例えば、Seth et al.,WO2020/072991及びSeth et al.,WO2019/157531において以前に記載されており、同文献の両方は参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0118】
b.置換立体標準的糖部分
ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、2’、3’、4’、及び/または5’位の置換基を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の非環式置換基を含む、置換立体標準的フラノシル糖部分である。ある特定の実施形態では、フラノシル糖部分は、リボシル糖部分である。ある特定の実施形態では、置換立体標準的糖部分の1つまたは複数の非環式置換基は、分岐している。置換立体標準的糖部分に好適な2’置換基の例としては、2’-F、2’-OCH3(「2’-OMe」または「2’-O-メチル」)、及び2’-O(CH2)2OCH3(「2’-MOE」)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、2’置換基は、ハロ、アリル、アミノ、アジド、SH、CN、OCN、CF3、OCF3、O-C1~C10アルコキシ、O-C1~C10置換アルコキシ、C1~C10アルキル、C1~C10置換アルキル、S-アルキル、N(Rm)-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N(Rm)-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N(Rm)-アルキニル、O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリル、O-アラルキル、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、またはOCH2C(=O)-N(Rm)(Rn)(式中、各Rm及びRnは、独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換C1~C10アルキルである)、ならびにCook et al.,U.S.6,531,584、Cook et al.,U.S.5,859,221、及びCook et al.,U.S.6,005,087に記載される2’置換基の中から選択される。これらの2’-置換基のある特定の実施形態は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ(NO2)、チオール、チオアルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルの中から独立して選択される1つまたは複数の置換基でさらに置換され得る。3’置換基の例としては、3’-メチルが挙げられる(Frier,et al.,The ups and downs of nucleic acid duplex stability:structure-stability studies on chemically-modified DNA:RNA duplexes.Nucleic Acids Res.,25,4429-4443,1997を参照されたい)。置換立体標準的糖部分に好適な4’置換基の例としては、アルコキシ(例えば、メトキシ)、アルキル、及びManoharan et al.,WO2015/106128に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。置換立体標準的糖部分に好適な5’置換基の例としては、5’-メチル(RまたはS)、5’-アリル、5’-エチル、5’-ビニル、及び5’-メトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、非二環式修飾糖は、1つよりも多くの非架橋糖置換基、例えば、2’-F-5’-メチル糖部分、ならびにMigawa et al.,WO2008/101157及びRajeev et al.,US2013/0203836に記載される修飾糖部分及び修飾ヌクレオシドを含む。2’,4’-ジフルオロ修飾糖部分は、Martinez-Montero,et al.,Rigid 2’,4’-difluororibonucleosides:synthesis,conformational analysis,and incorporation into nascent RNA by HCV polymerase.J.Org.Chem.,2014,79:5627-5635に記載されている。2’修飾(OMeまたはF)及び4’修飾(OMeまたはF)を含む修飾糖部分もまた、Malek-Adamian,et al.,J.Org.Chem,2018,83:9839-9849に記載されている。
【0119】
ある特定の実施形態では、2’置換立体標準的ヌクレオシドは、F、NH2、N3、OCF3、OCH3、SCH3、O(CH2)3NH2、CH2CH=CH2、OCH2CH=CH2、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(Rm)(Rn)、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びN置換アセトアミド(OCH2C(=O)-N(Rm)(Rn))(式中、各Rm及びRnは、独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換C1~C10アルキルである)から選択される非架橋2’置換基を含む糖部分を含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、2’置換立体標準的ヌクレオシドは、F、OCF3、OCH3、OCH2CH2OCH3、O(CH2)2SCH3、O(CH2)2ON(CH3)2、O(CH2)2O(CH2)2N(CH3)2、及びOCH2C(=O)-N(H)CH3(「NMA」)から選択される非架橋2’置換基を含む糖部分を含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、2’置換立体標準的ヌクレオシドは、F、OCH3、及びOCH2CH2OCH3から選択される2’置換基を含む糖部分を含む。
【0122】
ある特定の実施形態では、2’-デオキシリボースの4’OがSで置換されて、4’-チオDNAを生成し得る(Takahashi,et al.,Nucleic Acids Research 2009,37:1353-1362を参照されたい)。この修飾は、本明細書に詳述される他の修飾と組み合わされ得る。ある特定のかかる実施形態では、糖部分は、2’位がさらに修飾されている。ある特定の実施形態では、糖部分は、2’-フルオロを含む。この糖部分を有するチミジンが、Watts,et al.,J.Org.Chem.2006,71(3):921-925(4’-S-フルオロ5-メチルアラウリジンまたはFAMU)に記載されている。
【0123】
c.二環式ヌクレオシド
ある特定のヌクレオシドは、第2の環を形成して二環式糖部分をもたらす架橋糖置換基を含む、修飾糖部分を含む。ある特定のかかる実施形態では、二環式糖部分は、4’フラノース環原子と2’フラノース環原子との間に4’から2’の架橋を含む。ある特定のかかる実施形態では、フラノース環は、リボース環である。かかる4’から2’を架橋する糖置換基を含む糖部分の例としては、4’-CH2-2’、4’-(CH2)2-2’、4’-(CH2)3-2’、4’-CH2-O-2’(「LNA」)、4’-CH2-S-2’、4’-(CH2)2-O-2’(「ENA」)、4’-CH(CH3)-O-2’(S配置にある場合「拘束エチル」または「cEt」と称される)、4’-CH2-O-CH2-2’、4’-CH2-N(R)-2’、4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(「拘束MOE」または「cMOE」)及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.7,399,845、Bhat et al.,U.S.7,569,686、Swayze et al.,U.S.7,741,457、及びSwayze et al.,U.S.8,022,193を参照されたい)、4’-C(CH3)(CH3)-O-2’及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.8,278,283を参照されたい)、4’-CH2-N(OCH3)-2’及びその類似体(例えば、Prakash et al.,U.S.8,278,425を参照されたい)、4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、Allerson et al.,U.S.7,696,345及びAllerson et al.,U.S.8,124,745を参照されたい)、4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Zhou,et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134を参照されたい)、4’-CH2-C(=CH2)-2’及びその類似体(例えば、Seth et al.,U.S.8,278,426を参照されたい)、4’-C(RaRb)-N(R)-O-2’、4’-C(RaRb)-O-N(R)-2’、4’-CH2-O-N(R)-2’、及び4’-CH2-N(R)-O-2’(式中、各R、Ra、及びRbは、独立して、H、保護基、またはC1~C12アルキルである)(例えば、Imanishi et al.,U.S.7,427,672を参照されたい)、4’-C(=O)-N(CH3)2-2’、4’-C(=O)-N(R)2-2’、4’-C(=S)-N(R)2-2’及びその類似体(例えば、Obika et al.,WO2011052436A1、Yusukeの WO2017018360A1を参照されたい)を含む二環式糖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
追加の二環式糖部分は、当該技術分野で既知であり、例えば、Freier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429-4443、Albaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731-7740、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,2017,129,8362-8379、Elayadi et al.,;Christiansen,et al.,J.Am.Chem.Soc.1998,120,5458-5463、Wengel et al.,U.S.7,053,207、Imanishi et al.,U.S.6,268,490、Imanishi et al.,U.S.6,770,748、Imanishi et al.,U.S.RE44,779、Wengel et al.,U.S.6,794,499、Wengel et al.,U.S.6,670,461、Wengel et al.,U.S.7,034,133、Wengel et al.,U.S.8,080,644、Wengel et al.,U.S.8,034,909、Wengel et al.,U.S.8,153,365、Wengel et al.,U.S.7,572,582、及びRamasamy et al.,U.S.6,525,191、Torsten et al.,WO2004/106356、Wengel et al.,WO1999/014226、Seth et al.,WO2007/134181、Seth et al.,U.S.7,547,684、Seth et al.,U.S.7,666,854、Seth et al.,U.S.8,088,746、Seth et al.,U.S.7,750,131、Seth et al.,U.S.8,030,467、Seth et al.,U.S.8,268,980、Seth et al.,U.S.8,546,556、Seth et al.,U.S.8,530,640、Migawa et al.,U.S.9,012,421、Seth et al.,U.S.8,501,805、ならびにAllerson et al.,米国特許公開第US2008/0039618号及びMigawa et al.,同第US2015/0191727号を参照されたい。
【0125】
ある特定の実施形態では、二環式糖部分及びかかる二環式糖部分を組み込むヌクレオシドは、異性体配置によってさらに定義される。例えば、LNAヌクレオシド(本明細書に記載される)は、α-L配置またはβ-D配置にあり得る。
【化12】
α-L-メチレンオキシ(4’-CH
2-O-2’)またはα-L-LNA二環式ヌクレオシドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれ、これはアンチセンス活性を示した(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。本明細書において、二環式ヌクレオシドの一般的説明は、両方の異性体配置を含む。本明細書の例示される実施形態において特定の二環式ヌクレオシド(例えば、LNA)の位置が特定される場合、別途明記されない限り、それらはβ-D配置にある。
【0126】
ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、1つまたは複数の非架橋糖置換基及び1つまたは複数の架橋糖置換基(例えば、5’置換及び4’-2’架橋糖)を含む。
【0127】
フラノシル環の位置に続く、「2’置換」または「2’-4’置換」等の「置換」という用語は、それが、オリゴヌクレオチドにおける未修飾糖部分に見出される置換基以外の置換基を有する唯一の位置(複数可)であることを示す。
【0128】
d.糖代用物
ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、糖代用物である。ある特定のかかる実施形態では、糖部分の酸素原子は、例えば、硫黄、炭素、または窒素原子と置き換えられている、ある特定のかかる実施形態では、かかる修飾糖部分はまた、本明細書に記載されるような架橋及び/または非架橋置換基も含む。例えば、ある特定の糖代用物は、4’硫黄原子ならびに2’位(例えば、Bhat et al.,U.S.7,875,733及びBhat et al.,U.S.7,939,677を参照されたい)及び/または5’位における置換を含む。
【0129】
ある特定の実施形態では、糖代用物は、5個の原子以外を有する環を含む。例えば、ある特定の実施形態では、糖代用物は、6員のテトラヒドロピラン(「THP」)を含む。かかるテトラヒドロピランは、さらに修飾または置換されてもよい。かかる修飾テトラヒドロピランを含むヌクレオシドには、ヘキシトール核酸(「HNA」)、アルトリトール核酸(「ANA」)、マンニトール核酸(「MNA」)(例えば、Leumann,CJ.Bioorg.&Med.Chem.2002,10,841-854を参照されたい)、フルオロHNA(「F-HNA」(例えば、Swayze et al.,U.S.8,088,904、Swayze et al.,U.S.8,440,803、Swayze et al.,U.S.8,796,437、及びSwayze et al.,U.S.9,005,906を参照されたい)、F-HNAはまた、F-THPまたは3’-フルオロテトラヒドロピランとも称され得る)が含まれるが、これらに限定されない。
【0130】
ある特定の実施形態では、糖代用物は、ヘテロ原子を何ら有しない環を含む。例えば、ビシクロ[3.1.0]-ヘキサンを含むヌクレオシドが記載されている(例えば、Marquez、et al.,J.Med.Chem.1996,39:3739-3749を参照されたい)。
【0131】
ある特定の実施形態では、糖代用物は、5個よりも多くの原子及び1個よりも多くのヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシド、及びオリゴヌクレオチドにおけるそれらの使用が報告されている(例えば、Braasch et al.,Biochemistry,2002,41,4503-4510、ならびにSummerton et al.,U.S.5,698,685、Summerton et al.,U.S.5,166,315、Summerton et al.,U.S.5,185,444、及びSummerton et al.,U.S.5,034,506を参照されたい)。本明細書で使用されるとき、「モルホリノ」という用語は、以下の構造を含む糖代用物を意味する。
【化13】
【0132】
ある特定の実施形態では、モルホリノは、例えば、上記のモルホリノ構造から種々の置換基を付加するかまたは変更することによって、修飾されてもよい。かかる糖代用物は、本明細書で「修飾モルホリノ」と称される。ある特定の実施形態では、モルホリノ残基は、ヌクレオシド間結合を含めた全ヌクレオチドを置き換え、下記に示される構造を有し、ここで、Bxは、複素環式塩基部分である。
【化14】
【0133】
特定の実施形態では、糖代用物は非環式部分を含む。かかる非環式糖代用物を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの例としては、ペプチド核酸(「PNA」)、非環式ブチル核酸(例えば、Kumar et al.,Org.Biomol.Chem.,2013,11,5853-5865を参照されたい)、グリコール核酸(「GNA」、Schlegel,et al.,J.Am.Chem.Soc.2017,139:8537-8546を参照されたい)、ならびにManoharan et al.,WO2011/133876に記載されるヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、非環式糖代用物は、
【化15】
から選択される。
【0134】
修飾ヌクレオシドに使用され得る多くの他の二環式糖及び三環式糖ならびに糖代用物環系が、当該技術分野で既知である。ある特定のかかる環系は、Hanessian,et al.,J.Org.Chem.,2013,78:9051-9063に記載され、これにはbcDNA及びtcDNAが含まれる。6’-フルオロ等のbcDNA及びtcDNAに対する修飾もまた記載されている(Dogovic and Leumann,J.Org.Chem.,2014,79:1271-1279)。
【0135】
e.コンジュゲートされたヌクレオシド及び末端基
ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、コンジュゲート基及び/または末端基を含む。修飾糖部分は、コンジュゲートリンカーを介してコンジュゲート基に連結される。ある特定の実施形態では、修飾フラノシル糖部分は、2’、3’、または5’位に結合させたコンジュゲート基を含む。ある特定の実施形態では、ヌクレオシドの最も3’側の糖部分が、コンジュゲート基または末端基で修飾される。ある特定の実施形態では、ヌクレオシドの最も5’側の糖部分が、コンジュゲート基または末端基で修飾される。ある特定の実施形態では、ヌクレオシドの3’末端近くの糖部分が、コンジュゲート基で修飾される。ある特定の実施形態では、ヌクレオシドの5’末端近くの糖部分が、コンジュゲート基で修飾される。
【0136】
末端基の例としては、コンジュゲート基、キャッピング基、リン酸基、保護基、修飾または未修飾ヌクレオシド、及び独立して修飾または未修飾である2個以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
ある特定の実施形態では、5’末端の末端基は、安定化リン酸基を含む。ある特定のかかる実施形態では、安定化リン酸基のリン原子が、リン-炭素結合を介して5’末端ヌクレオシドに結合される。ある特定の実施形態では、そのリン-炭素結合の炭素が今度は、ヌクレオシドの5’位に結合している。
【0138】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下の式を有する5’安定化リン酸基を含み、
【化16】
式中、
R
a及びR
cが、各々独立して、OH、SH、C
1~C
6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、置換C
1~C
6アルコキシ、アミノ、または置換アミノであり、
R
bが、OまたはSであり、
Xが、置換または非置換Cであり、式中、Xが、5’末端ヌクレオシドに結合される。ある特定の実施形態では、Xは、5’末端ヌクレオシドの5’位の原子に結合している。ある特定のかかる実施形態では、5’原子は、炭素であり、Xと5’末端ヌクレオシドの5’炭素との間の結合は、炭素-炭素単結合である。ある特定の実施形態では、それは、炭素-炭素二重結合である。ある特定の実施形態では、それは、炭素-炭素三重結合である。ある特定の実施形態では、5’炭素は、置換されている。ある特定の実施形態では、Xは、置換されている。ある特定の実施形態では、Xは、置換されていない。
【0139】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、以下の式を有する5’安定化リン酸基を含み、
【化17】
式中、
R
a及びR
cが、各々独立して、OH、SH、C
1~C
6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、置換C
1~C
6アルコキシ、アミノ、または置換アミノであり、
R
bが、OまたはSであり、
Xが、置換または非置換Cであり、
Yが、C、S、及びNから選択される。ある特定の実施形態では、Yは、置換または非置換Cである。XとYとの間の結合は、単結合、二重結合、または三重結合であり得る。
【0140】
ある特定の5’安定化リン酸基は、例えば、Prakash et al.,WO2011/139699及びPrakash et al.,WO2011/139702(参照によりそれらの全体がこれにより本明細書に援用される)において以前に記載されている。
【0141】
ある特定の実施形態では、安定化リン酸基は、5’-ビニルホスホネートまたは5’-シクロプロピルホスホネートである。
【0142】
ある特定の実施形態では、5’末端の末端基は、式XIIを有する5’-メシルホスホロアミデートであり、
【化18】
式中、Zが、OまたはSである。
【0143】
ある特定の実施形態では、5’末端の末端基は、式XIIIを有する5’-メシルホスホロアミデートである。
【化19】
【0144】
2.修飾核酸塩基
ある特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5置換ピリミジン、6-アザピリミジン、アルキルまたはアルキニル置換ピリミジン、アルキル置換プリン、ならびにN-2、N-6、及びO-6置換プリンから選択される。ある特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、2-アミノプロピルアデニン、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-N-メチルグアニン、6-N-メチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-プロピニル(-C≡C-CH3)ウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-リボシルウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、8-アザ及び他の8置換プリン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、5-ハロウラシル、及び5-ハロシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、2-N-イソブチリルグアニン、4-N-ベンゾイルシトシン、4-N-ベンゾイルウラシル、5-メチル4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチル4-N-ベンゾイルウラシル、普遍的塩基、疎水性塩基、無差別(promiscuous)塩基、サイズ拡張型(size-expanded)塩基、ならびにフッ素化塩基から選択される。さらなる修飾核酸塩基には、1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン、1,3-ジアザフェノチアジン-2-オン、及び9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン(G-クランプ)等の三環式ピリミジンが含まれる。修飾核酸塩基には、プリンまたはピリミジン塩基が、他の複素環、例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン、及び2-ピリドンに置換される塩基も含まれ得る。さらなる核酸塩基には、Merigan et al.,U.S.3,687,808に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,Kroschwitz,J.I.,Ed.,John Wiley&Sons,1990,858-859、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、Sanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,CRC Press,1993,273-288に開示されるもの、ならびにChapters 6 and 15,Antisense Drug Technology,Crooke S.T.,Ed.,CRC Press,2008,163-166 and 442-443に開示されるものが含まれる。ある特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2つの核酸塩基を有する双頭型(double-headed)ヌクレオシドを含む。かかる化合物は、Sorinas et al.,J.Org.Chem,2014 79:8020-8030に詳細に記載される。
【0145】
上述の修飾核酸塩基ならびに他の修飾核酸塩基のうちのある特定の修飾核酸塩基の調製について教示する刊行物には、限定されないが、Manoharan et al.,US2003/0158403、Manoharan et al.,US2003/0175906、Dinh et al.,U.S.4,845,205、Spielvogel et al.,U.S.5,130,302、Rogers et al.,U.S.5,134,066、Bischofberger et al.,U.S.5,175,273、Urdea et al.,U.S.5,367,066、Benner et al.,U.S.5,432,272、Matteucci et al.,U.S.5,434,257、Gmeiner et al.,U.S.5,457,187、Cook et al.,U.S.5,459,255、Froehler et al.,U.S.5,484,908、Matteucci et al.,U.S.5,502,177、Hawkins et al.,U.S.5,525,711、Haralambidis et al.,U.S.5,552,540、Cook et al.,U.S.5,587,469、Froehler et al.,U.S.5,594,121、Switzer et al.,U.S.5,596,091、Cook et al.,U.S.5,614,617、Froehler et al.,U.S.5,645,985、Cook et al.,U.S.5,681,941、Cook et al.,U.S.5,811,534、Cook et al.,U.S.5,750,692、Cook et al.,U.S.5,948,903、Cook et al.,U.S.5,587,470、Cook et al.,U.S.5,457,191、Matteucci et al.,U.S.5,763,588、Froehler et al.,U.S.5,830,653、Cook et al.,U.S.5,808,027、Cook et al.,6,166,199、及びMatteucci et al.,U.S.6,005,096が含まれる。
【0146】
ある特定の実施形態では、化合物は、1つまたは複数の修飾核酸塩基を含む、標的核酸に相補的な修飾オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5-メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、各シトシンは、5-メチルシトシンである。
【0147】
B.修飾ヌクレオシド間結合
a.式Iのヌクレオシド間結合
ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の望ましい特性のため、式Iを有するかかるヌクレオシド間結合を欠いた化合物よりも選択される。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、強化された細胞取込みを有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対する強化された親和性を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼの存在下で増加した安定性を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、強化された細胞取込み、標的核酸に対する強化された親和性、及びヌクレアーゼの存在下で増加した安定性を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、強化された生物学的利用能を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、強化されたRNase H活性を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、強化されたRNAi活性を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、強化されたCRISPR活性を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、ある特定のタンパク質との低減された相互作用を有する。ある特定の実施形態では、式Iを有する1個または複数の修飾ヌクレオシド間結合を有する、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、ある特定のタンパク質との増加した相互作用を有する。式I(式II~IVを含むがこれらに限定されない)の少なくとも1個のヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドを作製する方法を使用して、上記の特性のうちのいずれかを有するオリゴマー化合物を作製してもよい。
【0148】
ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)は、式Iを有する1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間結合を含む、標的核酸に相補的な修飾オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなり
【化20】
式中、式Iの各ヌクレオシド間結合について独立して、
Xが、OまたはSから選択され、
Rが、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、芳香族複素環、置換芳香族複素環、ジアゾール、置換ジアゾール、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
20アルキル、C
1~C
6アルケニル、C
1~C
6アルキニル、置換C
1~C
20アルキル、置換C
1~C
6アルケニル、置換C
1~C
6アルキニル、及びコンジュゲート基から選択される。
【0149】
他のヌクレオシド間結合
ある特定の実施形態では、アンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、式Iの1個または複数のヌクレオシド間結合及び式Iのものではない1個または複数のヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、かかるヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。ある特定の実施形態では、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合以外の、オリゴマー化合物の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、式Iの少なくとも1個のヌクレオシド間結合以外の、オリゴマー化合物の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合またはホスホジエステルヌクレオシド間結合である。
【化21】
【0150】
ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、任意のヌクレオシド間結合を使用して一緒に連結されてもよい。ヌクレオシド間結合の2つの主要なクラスは、リン原子の存否によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、未修飾ホスホジエステルヌクレオシド間結合、修飾ホスホトリエステル、例えば、THPホスホトリエステル及びイソプロピルホスホトリエステル、ホスホネート、例えば、メチルホスホネート、イソプロピルホスホネート、イソブチルホスホネート、ならびにホスホノアセテート、ホスホロアミデート、ホスホロチオエート、及びホスホロジチオエート(「HS-P=S」)が含まれる。代表的なリン非含有ヌクレオシド間結合には、メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル、チオノカルバメート(thionocarbamate)(-O-C(=O)(NH)-S-);シロキサン(-O-SiH2-O-);ホルムアセタール、チオアセトアミド(TANA)、アルト-チオホルムアセタール、グリシンアミド、及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が含まれるが、これらに限定されない。天然に存在するリン酸結合と比較して、修飾ヌクレオシド間結合は、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を変化させる、典型的には増加させるために使用され得る。リン含有及びリン非含有ヌクレオシド間結合の調製方法は、当業者に周知である。
【0151】
中性ヌクレオシド間結合には、限定されないが、ホスホトリエステル、ホスホネート、MMI(3’-CH2-N(CH3)-O-5’)、アミド-3(3’-CH2-C(=O)-N(H)-5’)、アミド-4(3’-CH2-N(H)-C(=O)-5’)、ホルムアセタール(3’-O-CH2-O-5’)、メトキシプロピル、及びチオホルムアセタール(3’-S-CH2-O-5’)が含まれる。さらなる中性ヌクレオシド間結合には、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボン酸エステル、カルボキサミド、スルフィド、スルホン酸エステル、及びアミドを含む、非イオン結合が含まれる(例えば、Carbohydrate Modifications in Antisense Research;Y.S.Sanghvi and P.D.Cook,Eds.,ACS Symposium Series 580;Chapters 3 and 4,40-65を参照されたい)。さらなる中性ヌクレオシド間結合には、混合のN、O、S、及びCH2成分部分を含む非イオン結合が含まれる。
【0152】
b.キラルヌクレオシド間結合
キラル中心を有する代表的なヌクレオシド間結合には、アルキルホスホネート及びホスホロチオエートが含まれるが、これらに限定されない。キラル中心を有するヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドは、立体的にランダムなヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドの集団として、または特定の立体化学的配置にあるホスホロチオエート結合を含む修飾オリゴヌクレオチドの集団として調製され得る。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの集団は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の全てが立体的にランダムである、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。かかる修飾オリゴヌクレオチドは、各ホスホロチオエート結合の立体化学的配置のランダムな選択をもたらす合成方法を使用して生成され得る。本明細書に記載の全てのホスホロチオエート結合は、別途明記されない限り立体的にランダムである。それでも、当業者には十分に理解されるように、それぞれ個々のホスホロチオエートのそれぞれ個々のオリゴヌクレオチド分子は、規定の立体配置を有する。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの集団は、独立して選択される特定の立体化学的配置にある1つまたは複数の特定のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドが濃縮される。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団における分子の少なくとも65%に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団における分子の少なくとも70%に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団における分子の少なくとも80%に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団における分子の少なくとも90%に存在する。ある特定の実施形態では、特定のホスホロチオエート結合の特定の配置は、集団における分子の少なくとも99%に存在する。かかるキラル的に濃縮された修飾オリゴヌクレオチドの集団は、当該技術分野で既知の合成方法、例えば、Oka et al.,JACS 125,8307(2003)、Wan et al.Nuc.Acid.Res.42,13456(2014)、及びWO2017/015555に記載される方法を使用して生成され得る。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの集団は、(Sp)配置にある少なくとも1つの示されるホスホロチオエートを有する修飾オリゴヌクレオチドについて濃縮されている。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの集団は、(Rp)配置にある少なくとも1つのホスホロチオエートを有する修飾オリゴヌクレオチドについて濃縮されている。ある特定の実施形態では、(Rp)及び/または(Sp)ホスホロチオエートを含む修飾オリゴヌクレオチドは、それぞれ以下の式のうちの1つまたは複数を含み、式中「B」は、核酸塩基を示す。
【化22】
【0153】
別途指示されない限り、本明細書に記載の修飾オリゴヌクレオチドのキラルヌクレオシド間結合は、立体的にランダムであり得るか、または特定の立体化学的配置にあり得る。
【0154】
ある特定の実施形態では、式Iのヌクレオシド間結合は、キラル中心を含んでもよい。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、下記に示されるような、式IIのキラル結合を含む。
【化23】
【0155】
c.5’から3’のヌクレオシド間結合の代替例
ある特定の実施形態では、核酸は、標準的な3’から5’の結合ではなく2’から5’に連結され得る。かかる結合は、下記に例示される。
【化24】
【0156】
ある特定の実施形態では、ヌクレオシドは、2’,3’-ホスホジエステル結合によって連結され得る。ある特定のかかる実施形態では、これらのヌクレオシドは、トレオフラノシルヌクレオシド(TNA)である(Bala,et al.,J Org.Chem.2017,82:5910-5916を参照されたい)。TNA結合は、下記に示される。
【化25】
【0157】
追加の修飾結合には、下記に示される、α,β-D-CNAタイプの結合及び関連する立体構造的に拘束された結合が含まれる。かかる分子の合成は、以前に記載されている(Dupouy,et al.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,2014,45:3623-3627、Borsting,et al.Tetrahedron,2004,60:10955-10966、Ostergaard,et al.,ACS Chem.Biol.2014,9:1975-1979、Dupouy,et al.,Eur.J.Org.Chem..,2008,1285-1294、Martinez,et al.,PLoS One,2011,6:e25510、Dupouy,et al.,Eur.J.Org.Chem.,2007,5256-5264、Boissonnet,et al.,New J.Chem.,2011,35:1528-1533を参照されたい)。
【化26】
【0158】
d.コンジュゲート基を有する結合
ある特定の実施形態では、ヌクレオシド間連結基は、コンジュゲート基を含んでもよい。ある特定の実施形態では、式Iのヌクレオシド間連結基は、コンジュゲート基を含む。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドのコンジュゲート基は、式Iを有する修飾ヌクレオシド間を介して、修飾オリゴヌクレオチドの残部に結合されてもよく、
【化27】
式中、Rは、コンジュゲート基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、炭水化物または炭水化物クラスターを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、脂質を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C
10~C
20アルキルを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、C
16アルキルを含む。
【0159】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基を含むヌクレオシド間連結基は、式IVを有する。
【化28】
【0160】
II.ある特定のモチーフ
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。修飾オリゴヌクレオチドは、それらのモチーフ、例えば、未修飾及び/または修飾糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合のパターンにより説明され得る。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の立体非標準的ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の立体標準的ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖を含む1つまたは複数の修飾ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含む1つまたは複数の修飾ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間結合を含む。かかる実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの修飾、未修飾、及び別様に修飾された糖部分、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合は、パターンまたはモチーフを規定する。ある特定の実施形態では、糖部分、核酸塩基、及びヌクレオシド間結合のパターンまたはモチーフは各々、互いに独立している。故に、修飾オリゴヌクレオチドは、その糖モチーフ、核酸塩基モチーフ、及び/またはヌクレオシド間結合モチーフにより説明され得る(本明細書で使用されるとき、核酸塩基モチーフは、核酸塩基の配列から独立した核酸塩基に対する修飾を説明する)。
【0161】
A.ある特定の糖モチーフ
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って規定のパターンまたは糖モチーフで配置された1つまたは複数のタイプの修飾糖及び/または未修飾糖部分を含む。ある特定の事例では、かかる糖モチーフには、限定されないが、本明細書で考察される糖修飾のうちのいずれかが含まれる。
【0162】
ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、ギャップマーを含むか、またはそれからなる。ギャップマーの糖モチーフは、ギャップマーの領域、すなわち、5’領域、中心領域(ギャップ)、及び3’領域を規定する。中心領域は、ヌクレオシドの介在を伴わずに5’領域及び3’領域に直接連結されている。中心領域は、デオキシ領域である。中心領域の5’末端から最初の位置(1位)のヌクレオシド及び中心領域の最後の位置のヌクレオシドは、それぞれ5’領域及び3’領域に隣接し、各々、2’-デオキシフラノシル糖部分または糖代用物から独立して選択される糖部分を含む。ある特定の実施形態では、中心領域の1位のヌクレオシド及び中心領域の最後の位置のヌクレオシドは、式I~VIIのうちのいずれかを有する立体標準的DNAヌクレオシドまたは立体非標準的DNAヌクレオシドから選択される、DNAヌクレオシドであり、式中、各Jは、Hである。ある特定の実施形態では、5’領域及び3’領域に隣接する中心領域の最初の位置及び最後の位置のヌクレオシドは、立体標準的DNAヌクレオシドである。中心領域の最初の位置及び最後の位置のヌクレオシドとは異なり、中心領域内の他の位置のヌクレオシドは、2’置換フラノシル糖部分または置換立体非標準的糖部分または二環式糖部分を含んでもよい。ある特定の実施形態では、中心領域内の各ヌクレオシドが、RNase H切断を補助する。ある特定の実施形態では、中心領域内の複数のヌクレオシドが、RNase H切断を補助する。
【0163】
本明細書では、ギャップマーのこれら3つの領域の長さ(ヌクレオシドの数)は、[5’領域におけるヌクレオシドの数]-[中心領域におけるヌクレオシドの数]-[3’領域におけるヌクレオシドの数]という表記を使用して提供され得る。故に、3-10-3ギャップマーは、3’領域及び5’領域の各々における3個の連結ヌクレオシド、ならびに中心領域における10個の連結ヌクレオシドからなる。かかる命名の後に特定の修飾が続く場合、その修飾は、各5’領域及び3’領域の各糖部分の修飾であり、中心領域ヌクレオシドは、立体標準的DNA糖部分を含む。故に、5-10-5 MOEギャップマーは、5’領域における各々2’-MOE-立体標準的糖部分を含む5個の連結ヌクレオシド、中心領域における各々立体標準的DNA糖部分を含む10個の連結ヌクレオシド、及び3’領域における各々2’-MOE-立体標準的糖部分を含む5個の連結ヌクレオシドからなる。ギャップの2位に置換立体非標準的ヌクレオシドを有する5-10-5 MOEギャップマーは、ギャップの2番目のヌクレオシドが立体標準的DNAヌクレオシドではなく置換立体非標準的ヌクレオシドである、10ヌクレオシドのギャップを有する。かかるオリゴヌクレオチドはまた、5-1-1-8-5 MOE/置換立体非標準的/MOEギャップマーとしても説明され得る。3-10-3 cEtギャップマーは、5’領域における各々cEtを含む3個の連結ヌクレオシド、中心領域における各々立体標準的DNA糖部分を含む10個の連結ヌクレオシド、及び3’領域における各々cEtを含む3個の連結ヌクレオシドからなる。ギャップの2位に置換立体非標準的ヌクレオシドを有する3-10-3 cEtギャップマーは、ギャップの2番目のヌクレオシドが立体標準的DNAヌクレオシドではなく置換立体非標準的ヌクレオシドである、10ヌクレオシドのギャップを有する。かかるオリゴヌクレオチドはまた、3-1-1-8-3 cEt/置換立体非標準的/cEtギャップマーとしても説明され得る。
【0164】
3-10-3 cEtギャップマーの糖モチーフはまた、kkk-d(10)-kkkという表記によって表されてもよく、式中、各「k」は、cEtを表し、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表す。この糖モチーフは、核酸塩基配列、ヌクレオシド間結合モチーフ、及びいずれの核酸塩基修飾からも独立している。5-10-5 MOEギャップマーはまた、eeeee-d(10)-eeeeeまたはe(5)-d(10)-e(5)という表記によって表されてもよく、式中、各「e」は、2’-MOE-β-D-リボフラノシル糖部分を表し、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表す。
【0165】
ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド、またはその一部分の各ヌクレオシドは、2’置換糖部分、二環式糖部分、糖代用物、または2’-デオキシリボシル糖部分を含む。ある特定の実施形態では、2’置換糖部分は、2’-MOE糖部分、2’-NMA糖部分、2’-OMe糖部分、及び2’-F糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖代用物は、モルホリノ、修飾モルホリノ、PNA、THP、及びF-HNAから選択される。
【0166】
ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖部分を含む少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、または少なくとも20個のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、2’置換糖部分、二環式糖部分、または糖代用物から独立して選択される。ある特定の実施形態では、2’置換糖部分は、2’-MOE糖部分、2’-NMA糖部分、2’-OMe糖部分、及び2’-F糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖代用物は、モルホリノ、修飾モルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。
【0167】
ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む(「完全修飾オリゴヌクレオチド」)。ある特定の実施形態では、完全修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’置換糖部分、二環式糖部分、または糖代用物を含む。ある特定の実施形態では、2’置換糖部分は、2’-MOE糖部分、2’-NMA糖部分、2’-OMe糖部分、及び2’-F糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖代用物は、モルホリノ、修飾モルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。ある特定の実施形態では、完全修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、同じ修飾糖部分を含む(「均一修飾糖モチーフ」)。ある特定の実施形態では、均一修飾糖モチーフは、7~20ヌクレオシドの長さである。ある特定の実施形態では、均一修飾糖モチーフの各ヌクレオシドは、2’置換糖部分、二環式糖部分、または糖代用物を含む。ある特定の実施形態では、2’置換糖部分は、2’-MOE糖部分、2’-NMA糖部分、2’-OMe糖部分、及び2’-F糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、二環式糖部分は、cEt糖部分及びLNA糖部分から選択される。ある特定の実施形態では、糖代用物は、モルホリノ、修飾モルホリノ、THP、及びF-HNAから選択される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの完全修飾糖モチーフを有する修飾オリゴヌクレオチドはまた、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、または少なくとも4個の2’-デオキシリボヌクレオシドを含んでもよい。
【0168】
B.ある特定の核酸塩基モチーフ
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って規定のパターンまたはモチーフで配置された修飾及び/または未修飾核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、各核酸塩基が修飾されている。ある特定の実施形態では、核酸塩基のうちのいずれも修飾されていない。ある特定の実施形態では、各プリンまたは各ピリミジンが修飾されている。ある特定の実施形態では、各アデニンが修飾されている。ある特定の実施形態では、各グアニンが修飾されている。ある特定の実施形態では、各チミンが修飾されている。ある特定の実施形態では、各ウラシルが修飾されている。ある特定の実施形態では、各シトシンが修飾されている。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドにおけるシトシン核酸塩基の一部または全てが、5-メチルシトシンである。
【0169】
ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基のブロックを含む。ある特定のかかる実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端から3ヌクレオシド以内にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端にある。ある特定の実施形態では、ブロックは、オリゴヌクレオチドの5’末端から3ヌクレオシド以内にある。
【0170】
ある特定の実施形態では、修飾核酸塩基を含む1個のヌクレオシドは、修飾オリゴヌクレオチドの中心領域にある。ある特定のかかる実施形態では、該ヌクレオシドの糖部分は、2’-β-D-デオキシリボシル部分である。ある特定のかかる実施形態では、修飾核酸塩基は、5-メチルシトシン、2-チオピリミジン、2-チオチミン、6-メチルアデニン、イノシン、シュードウラシル、または5-プロピンピリミジンから選択される。
【0171】
C.ある特定のヌクレオシド間結合モチーフ
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って規定のパターンまたはモチーフで配置された修飾及び/または未修飾ヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、1つまたは2つの最も5’側のヌクレオシド間結合は、式Iのヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、1つまたは2つの最も3’側のヌクレオシド間結合は、式Iのヌクレオシド間結合である。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシド間結合は、式Iのヌクレオシド間結合、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、及びホスホジエステルヌクレオシド間結合から選択される。ある特定の実施形態では、各ヌクレオシド間結合は、式Iのヌクレオシド間結合及びホスホジエステルヌクレオシド間結合から選択される。
【0172】
ある特定の実施形態では、各ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、独立して、立体的にランダムなホスホロチオエート、(Sp)ホスホロチオエート、及び(Rp)ホスホロチオエートから選択される。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの中心領域内のヌクレオシド間結合は全て、修飾されている。ある特定のかかる実施形態では、ホスホロチオエート結合の全てが、立体的にランダムである。ある特定の実施形態では、5’領域及び3’領域におけるホスホロチオエート結合の全てが、(Sp)ホスホロチオエートであり、中心領域は、少なくとも1つのSp、Sp、Rpモチーフを含む。ある特定の実施形態では、修飾されたオリゴヌクレオチドの集団は、そのようなヌクレオシド間結合モチーフを含む修飾されたオリゴヌクレオチドが濃縮されている。
【0173】
ある特定の実施形態では、二本鎖アンチセンス化合物は、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド及びRNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドを含む二本鎖RNAi化合物であり、該RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチド及び/または該RNAiセンスオリゴマー化合物の一方または両方が、式Iを有する1つまたは複数の修飾ヌクレオシド間連結基を有する。ある特定の実施形態では、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。
【0174】
ある特定の実施形態では、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に1個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に2個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に3個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に4個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。
【0175】
ある特定の実施形態では、RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に1個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に2個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に3個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に4個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。ある特定の実施形態では、RNAiセンス修飾オリゴヌクレオチドは、式Iを有する厳密に5個の修飾ヌクレオシド間連結基を含む。
【0176】
ある特定の実施形態では、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドの最も3’側の5個のヌクレオシド間連結基のうちの少なくとも1個は、式Iを有する修飾ヌクレオシド間連結基である。ある特定の実施形態では、RNAiアンチセンス修飾オリゴヌクレオチドの最も3’側の5個のヌクレオシド間連結基のうちの少なくとも2個は、式Iを有する修飾ヌクレオシド間連結基である。
【0177】
D.ある特定の修飾オリゴヌクレオチド
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、修飾オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、上記の修飾(糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合)は、修飾オリゴヌクレオチドに組み込まれる。ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、それらの修飾、モチーフ、及び全長によって特徴が明らかにされる。ある特定の実施形態では、かかるパラメータは各々、互いに独立している。故に、別途指示されない限り、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、修飾されていても、または未修飾であってもよく、糖部分の修飾パターンに従う場合も、従わない場合もある。同様に、かかる修飾オリゴヌクレオチドは、糖修飾のパターンから独立した1つまたは複数の修飾核酸塩基を含んでもよい。さらに、ある特定の事例では、修飾オリゴヌクレオチドは、全長または範囲により、かつ2つ以上の領域(例えば、指定の糖修飾を有するヌクレオシドの領域)の長さまたは長さの範囲により説明され、かかる状況では、各範囲について数を選択することにより、全長が指定の範囲から外れるオリゴヌクレオチドがもたらされる可能性があり得る。かかる状況では、両方の要素が満たされなければならない。例えば、ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、15~20個の連結ヌクレオシドからなり、かつ3つの領域またはセグメントA、B、及びCからなる糖モチーフを有し、ここで、領域またはセグメントAは、指定の糖部分を有する2~6個の連結ヌクレオシドからなり、領域またはセグメントBは、指定の糖部分を有する6~10個の連結ヌクレオシドからなり、領域またはセグメントCは、指定の糖部分を有する2~6個の連結ヌクレオシドからなる。かかる実施形態では、A及びCが各々6個の連結されたヌクレオシドからなり、かつBが10個の連結されたヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドは、かかるオリゴヌクレオチドの全長が該修飾オリゴヌクレオチドの全長の上限20を超える22であるため、(ヌクレオシドのそれらの数がA、B、及びCについての要件内で許容されるとしても)含まれない。別途指示されない限り、全ての修飾は、オリゴヌクレオチド配列において修飾核酸塩基5-メチルシトシンが必然的に「C」であることを除いて、核酸塩基配列から独立している。ある特定の実施形態では、DNA配列にTを含むDNAヌクレオシドまたはDNA様ヌクレオシドが、RNA様ヌクレオシドと置き換えられる場合、核酸塩基Tは、核酸塩基Uと置き換えられる。これらの化合物の各々は、同一の標的RNAを有する。
【0178】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、X~Y個の連結ヌクレオシドからなり、ここで、Xは、その範囲内の最小数のヌクレオシドを表し、Yは、その範囲内の最大数のヌクレオシドを表す。ある特定のかかる実施形態では、X及びYは、各々独立して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50から選択されるが、但し、X≦Yであることを条件とする。例えば、ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~13個、12~14個、12~15個、12~16個、12~17個、12~18個、12~19個、12~20個、12~21個、12~22個、12~23個、12~24個、12~25個、12~26個、12~27個、12~28個、12~29個、12~30個、13~14個、13~15個、13~16個、13~17個、13~18個、13~19個、13~20個、13~21個、13~22個、13~23個、13~24個、13~25個、13~26個、13~27個、13~28個、13~29個、13~30個、14~15個、14~16個、14~17個、14~18個、14~19個、14~20個、14~21個、14~22個、14~23個、14~24個、14~25個、14~26個、14~27個、14~28個、14~29個、14~30個、15~16個、15~17個、15~18個、15~19個、15~20個、15~21個、15~22個、15~23個、15~24個、15~25個、15~26個、15~27個、15~28個、15~29個、15~30個、16~17個、16~18個、16~19個、16~20個、16~21個、16~22個、16~23個、16~24個、16~25個、16~26個、16~27個、16~28個、16~29個、16~30個、17~18個、17~19個、17~20個、17~21個、17~22個、17~23個、17~24個、17~25個、17~26個、17~27個、17~28個、17~29個、17~30個、18~19個、18~20個、18~21個、18~22個、18~23個、18~24個、18~25個、18~26個、18~27個、18~28個、18~29個、18~30個、19~20個、19~21個、19~22個、19~23個、19~24個、19~25個、19~26個、19~29個、19~28個、19~29個、19~30個、20~21個、20~22個、20~23個、20~24個、20~25個、20~26個、20~27個、20~28個、20~29個、20~30個、21~22個、21~23個、21~24個、21~25個、21~26個、21~27個、21~28個、21~29個、21~30個、22~23個、22~24個、22~25個、22~26個、22~27個、22~28個、22~29個、22~30個、23~24個、23~25個、23~26個、23~27個、23~28個、23~29個、23~30個、24~25個、24~26個、24~27個、24~28個、24~29個、24~30個、25~26個、25~27個、25~28個、25~29個、25~30個、26~27個、26~28個、26~29個、26~30個、27~28個、27~29個、27~30個、28~29個、28~30個、または29~30個の連結ヌクレオシドからなる。
【0179】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチド、または標的核酸等の特定される参照核酸に相補的である核酸塩基配列を有する。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのある領域は、第2のオリゴヌクレオチド、または標的核酸等の特定される参照核酸に相補的である核酸塩基配列を有する。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのある領域または全長の核酸塩基配列は、第2のオリゴヌクレオチド、または標的核酸等の核酸に少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。
【0180】
III.ある特定のコンジュゲートされた化合物
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、任意選択でコンジュゲート基を含む修飾オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端もしくは両端及び/または任意の内部位置に結合され得る。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端または両端に結合させたコンジュゲート基は、末端基である。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート部分または末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端にて結合される。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート部分(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端にて結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの3’末端付近に結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端にて結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、オリゴヌクレオチドの5’末端付近に結合される。
【0181】
ある特定の実施形態では、少なくとも1個のヌクレオシド間結合は、式Iを有し、
【化29】
式中、Rは、コンジュゲート基を含む。ある特定の実施形態では、Rは、C
16である。
【0182】
A.ある特定のコンジュゲート基及びコンジュゲート部分
ある特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のコンジュゲート部分またはコンジュゲート基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、薬力学、薬物動態、安定性、結合、吸収、組織分布、細胞分布、細胞取込み、電荷、及びクリアランスを含むがこれらに限定されない、分子の1つまたは複数の特性を改変する。ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、分子に新たな特性、例えば、分子の検出を可能にするフルオロフォアまたはレポーター基を与える。
【0183】
ある特定のコンジュゲート基、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306-309、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20,533-538)、脂肪族鎖、例えば、ド-デカン-ジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14,969-973)、またはアダマンタン酢酸、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,i,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220;doi:10.1038/mtna.2014.72及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、またはGalNAcクラスター(例えば、WO2014/179620)が、以前に記載されている。
【0184】
a.コンジュゲート部分
コンジュゲート部分には、限定されないが、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物(例えば、GalNAc)、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア、及び色素が含まれる。
【0185】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、有効成分(active drug substance)、例えば、アスピリン、ワーファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジン、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ薬、糖尿病治療薬、抗菌薬または抗生物質を含む。
【0186】
b.コンジュゲートリンカー
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、コンジュゲート部分を修飾オリゴヌクレオチドの残部に結合させるコンジュゲートリンカーを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、単化学結合である(すなわち、コンジュゲート部分は、単結合によるコンジュゲートリンカーを介して修飾オリゴヌクレオチドの残部に結合される)。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、ヒドロカルビル鎖等の鎖構造、またはエチレングリコール、ヌクレオシド、もしくはアミノ酸単位等の繰り返し単位のオリゴマーを含む。
【0187】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノから選択される1つまたは複数の基を含む。ある特定のそのような実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル基、アミノ基、オキソ基、アミド基、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びアミド基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つのリン酸基を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、少なくとも1つの中性連結基を含む。
【0188】
ある特定の実施形態では、上述のコンジュゲートリンカーを含めたコンジュゲートリンカーは、二官能性連結部分、例えば、コンジュゲート基を本明細書に提供されるオリゴヌクレオチド等のオリゴマー化合物に結合させるのに有用であることが当該技術分野で知られているものである。一般に、二官能性連結部分は、少なくとも2つの官能基を含む。官能基のうちの一方は、オリゴマー化合物上の特定の部位に結合するように選択され、他方は、コンジュゲート基に結合するように選択される。二官能性連結部分に使用される官能基の例としては、求核基と反応させるための求電子剤及び求電子基と反応させるための求核剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル、及びアルキニルから選択される1つまたは複数の基を含む。
【0189】
コンジュゲートリンカーの例としては、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、及び6-アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)が挙げられるが、これらに限定されない。他のコンジュゲートリンカーには、置換もしくは非置換C1~C10アルキル、置換もしくは非置換C2~C10アルケニル、または置換もしくは非置換C2~C10アルキニルが含まれるが、これらに限定されず、ここで、好ましい置換基の非限定的なリストには、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルが含まれる。
【0190】
ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1~10個のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、かかるリンカーヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、未修飾である。ある特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジン、または置換ピリミジンから選択される、任意選択で保護される複素環式塩基を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン、及び2-N-イソブチリルグアニンから選択されるヌクレオシドである。典型的には、リンカーヌクレオシドは、標的組織に到達した後にオリゴマー化合物から切断されることが望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは典型的には、切断可能な結合を介して互いにかつオリゴマー化合物の残部に連結される。ある特定の実施形態では、かかる切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0191】
別途指示されない限り、コンジュゲートリンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、わずか1個のリンカーヌクレオシドを含む。
【0192】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基またはコンジュゲート部分がオリゴヌクレオチドの残部から切断されることが望ましい。例えば、ある特定の状況では、特定のコンジュゲート部分を含むオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)または修飾オリゴヌクレオチドは、特定の細胞種に取り込まれる方がよいが、ひとたび該化合物が取り込まれると、コンジュゲート基が切断されて、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチドが放出されることが望ましい。故に、ある特定のコンジュゲート部分は、典型的にはコンジュゲートリンカー内にある、1つまたは複数の切断可能な部分を含んでもよい。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、少なくとも1つの切断可能な結合を含む原子団である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ、2つ、3つ、4つ、または4つよりも多くの切断可能な結合を有する原子団を含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リソソーム等の細胞の内部または細胞内区画で選択的に切断される。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼ等の内在性酵素によって選択的に切断される。
【0193】
ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバメート、またはジスルフィドの中から選択される。ある特定の実施形態では、切断可能な結合は、ホスホジエステルの一方または両方のエステルである。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸またはホスホジエステルを含む。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドとコンジュゲート部分またはコンジュゲート基との間のリン酸またはホスホジエステル結合である。
【0194】
ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つまたは複数のリンカーヌクレオシドを含むか、またはそれからなる。ある特定のかかる実施形態では、1つまたは複数のリンカーヌクレオシドは、切断可能な結合を介して互いに及び/またはオリゴマー化合物の残部に連結される。ある特定の実施形態では、かかる切断可能な結合は、未修飾ホスホジエステル結合である。ある特定の実施形態では、切断可能な部分は、ホスホジエステルヌクレオシド間結合によってオリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドまたは5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合させ、かつホスホジエステルまたはホスホロチオエート結合によってコンジュゲートリンカーまたはコンジュゲート部分の残部に共有結合させた2’-デオキシフラノシルを含む、ヌクレオシドである。ある特定のかかる実施形態では、切断可能な部分は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を含むヌクレオシドである。ある特定のかかる実施形態では、切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0195】
c.ある特定の細胞標的化コンジュゲート部分
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、細胞標的化コンジュゲート部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、下記の一般式を有し、
【化30】
式中、nは1~約3であり、nが1である場合mは0であり、nが2以上である場合mは1であり、jは1または0であり、kは1または0である。
【0196】
ある特定の実施形態では、nは1であり、jは1であり、kは0である。ある特定の実施形態では、nは1であり、jは0であり、kは1である。ある特定の実施形態では、nは1であり、jは1であり、kは1である。ある特定の実施形態では、nは2であり、jは1であり、kは0である。ある特定の実施形態では、nは2であり、jは0であり、kは1である。ある特定の実施形態では、nは2であり、jは1であり、kは1である。ある特定の実施形態では、nは3であり、jは1であり、kは0である。ある特定の実施形態では、nは3であり、jは0であり、kは1である。ある特定の実施形態では、nは3であり、jは1であり、kは1である。
【0197】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、少なくとも1つのテザーリガンドを有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合させた2つのテザーリガンドを含む。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、分岐基に共有結合させた3つのテザーリガンドを含む。
【0198】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノ基から選択される1つまたは複数の基を含む分岐基を含む。ある特定の実施形態では、分岐基は、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、及びヒドロキシルアミノ基から選択される基を含む分岐状脂肪族基を含む。ある特定のかかる実施形態では、分岐状脂肪族基は、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定のかかる実施形態では、分岐状脂肪族基は、アルキル、アミノ、及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定のかかる実施形態では、分岐状脂肪族基は、アルキル及びエーテル基から選択される基を含む。ある特定の実施形態では、分岐基は、単環式または多環式環系を含む。
【0199】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、置換アルキル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、アミノ、オキソ、アミド、ホスホジエステル、及びポリエチレングリコールから選択される1つまたは複数の基を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、アミノ、オキソ、アミド、及びポリエチレングリコールから選択される1つまたは複数の基を含む直鎖状脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、ホスホジエステル、エーテル、アミノ、オキソ、及びアミドから選択される1つまたは複数の基を含む直鎖状脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、エーテル、アミノ、オキソ、及びアミドから選択される1つまたは複数の基を含む直鎖状脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル、アミノ、及びオキソから選択される1つまたは複数の基を含む直鎖状脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル及びオキソから選択される1つまたは複数の基を含む直鎖状脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、任意の組み合わせで、アルキル及びホスホジエステルから選択される1つまたは複数の基を含む直鎖状脂肪族基である。ある特定の実施形態では、各テザーは、少なくとも1つのリン連結基または中性連結基を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、約6~約20原子の長さの鎖を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、約10~約18原子の長さの鎖を含む。ある特定の実施形態では、各テザーは、約10原子の鎖長を含む。
【0200】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各リガンドは、標的細胞上の少なくとも1つの受容体型に対して親和性を有する。ある特定の実施形態では、各リガンドは、哺乳類の肺細胞の表面上の少なくとも1つの受容体型に対して親和性を有する。
【0201】
ある特定の実施形態では、細胞標的化部分は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に対して親和性を有する。ある特定の実施形態では、細胞標的化部分の各リガンドは、炭水化物、炭水化物誘導体、修飾炭水化物、多糖類、修飾多糖類、または多糖誘導体である。ある特定のかかる実施形態では、コンジュゲート基は、炭水化物クラスターを含む(例えば、Maier et al.,“Synthesis of Antisense Oligonucleotides Conjugated to a Multivalent Carbohydrate Cluster for Cellular Targeting,”Bioconjugate Chemistry,2003,14,18-29、またはRensen et al.,“Design and Synthesis of Novel N-Acetylgalactosamine-Terminated Glycolipids for Targeting of Lipoproteins to the Hepatic Asiaglycoprotein Receptor,”J.Med.Chem.2004,47,5798-5808を参照されたく、同文献は参照によりそれらの全体が本明細書に援用される)。ある特定のかかる実施形態では、各リガンドは、アミノ糖またはチオ糖である。例えば、アミノ糖は、シアル酸、α-D-ガラクトサミン、β-ムラミン酸、2-デオキシ-2-メチルアミノ-L-グルコピラノース、4,6-ジデオキシ-4-ホルムアミド-2,3-ジ-O-メチル-D-マンノピラノース、2-デオキシ-2-スルホアミノ-D-グルコピラノース及びN-スルホ-D-グルコサミン、ならびにN-グリコリル-α-ノイラミン酸等の、当該技術分野で既知のいくつもの化合物から選択されてもよい。例えば、チオ糖は、5-チオ-β-D-グルコピラノース、メチル2,3,4-トリ-O-アセチル-1-チオ-6-O-トリチル-α-D-グルコピラノシド、4-チオ-β-D-ガラクトピラノース、及びエチル3,4,6,7-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-1,5-ジチオ-α-D-グルコ-ヘプトピラノシドから選択されてもよい。
【0202】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)または修飾オリゴヌクレオチドは、以下の参考文献のうちのいずれかに見出されるコンジュゲート基を含む:Lee,Carbohydr Res,1978,67,509-514、Connolly et al.,J Biol Chem,1982,257,939-945、Pavia et al.,Int J Pep Protein Res,1983,22,539-548、Lee et al.,Biochem,1984,23,4255-4261、Lee et al.,Glycoconjugate J,1987,4,317-328、Toyokuni et al.,Tetrahedron Lett,1990,31,2673-2676、Biessen et al.,J Med Chem,1995,38,1538-1546、Valentijn et al.,Tetrahedron,1997,53,759-770、Kim et al.,Tetrahedron Lett,1997,38,3487-3490、Lee et al.,Bioconjug Chem,1997,8,762-765、Kato et al.,Glycobiol,2001,11,821-829、Rensen et al.,J Biol Chem,2001,276,37577-37584、Lee et al.,Methods Enzymol,2003,362,38-43、Westerlind et al.,Glycoconj J,2004,21,227-241、Lee et al.,Bioorg Med Chem Lett,2006,16(19),5132-5135、Maierhofer et al.,Bioorg Med Chem,2007,15,7661-7676、Khorev et al.,Bioorg Med Chem,2008,16,5216-5231、Lee et al.,Bioorg Med Chem,2011,19,2494-2500、Kornilova et al.,Analyt Biochem,2012,425,43-46、Pujol et al.,Angew Chemie Int Ed Engl,2012,51,7445-7448、Biessen et al.,J Med Chem,1995,38,1846-1852、Sliedregt et al.,J Med Chem,1999,42,609-618、Rensen et al.,J Med Chem,2004,47,5798-5808、Rensen et al.,Arterioscler Thromb Vasc Biol,2006,26,169-175、van Rossenberg et al.,Gene Ther,2004,11,457-464、Sato et al.,J Am Chem Soc,2004,126,14013-14022、Lee et al.,J Org Chem,2012,77,7564-7571、Biessen et al.,FASEB J,2000,14,1784-1792、Rajur et al.,Bioconjug Chem,1997,8,935-940、Duff et al.,Methods Enzymol,2000,313,297-321、Maier et al.,Bioconjug Chem,2003,14,18-29、Jayaprakash et al.,Org Lett,2010,12,5410-5413、Manoharan,Antisense Nucleic Acid Drug Dev,2002,12,103-128、Merwin et al.,Bioconjug Chem,1994,5,612-620、Tomiya et al.,Bioorg Med Chem,2013,21,5275-5281、国際出願第WO1998/013381号、WO2011/038356、WO1997/046098、WO2008/098788、WO2004/101619、WO2012/037254、WO2011/120053、WO2011/100131、WO2011/163121、WO2012/177947、WO2013/033230、WO2013/075035、WO2012/083185、WO2012/083046、WO2009/082607、WO2009/134487、WO2010/144740、WO2010/148013、WO1997/020563、WO2010/088537、WO2002/043771、WO2010/129709、WO2012/068187、WO2009/126933、WO2004/024757、WO2010/054406、WO2012/089352、WO2012/089602、WO2013/166121、WO2013/165816、米国特許第4,751,219号、第8,552,163号、第6,908,903号、第7,262,177号、第5,994,517号、第6,300,319号、第8,106,022号、第7,491,805号、第7,491,805号、第7,582,744号、第8,137,695号、第6,383,812号、第6,525,031号、第6,660,720号、第7,723,509号、第8,541,548号、第8,344,125号、第8,313,772号、第8,349,308号、第8,450,467号、第8,501,930号、第8,158,601号、第7,262,177号、第6,906,182号、第6,620,916号、第8,435,491号、第8,404,862号、第7,851,615号、公開された米国特許出願公開第US2011/0097264号、US2011/0097265、US2013/0004427、US2005/0164235、US2006/0148740、US2008/0281044、US2010/0240730、US2003/0119724、US2006/0183886、US2008/0206869、US2011/0269814、US2009/0286973、US2011/0207799、US2012/0136042、US2012/0165393、US2008/0281041、US2009/0203135、US2012/0035115、US2012/0095075、US2012/0101148、US2012/0128760、US2012/0157509、US2012/0230938、US2013/0109817、US2013/0121954、US2013/0178512、US2013/0236968、US2011/0123520、US2003/0077829、US2008/0108801、及びUS2009/0203132。
【0203】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を含む。
【0204】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、第1の修飾オリゴヌクレオチドの5’末端にて第1の修飾オリゴヌクレオチドに結合される。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾オリゴヌクレオチドの3’末端にて第1の修飾オリゴヌクレオチドに結合される。
【0205】
ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、トランスフェリン受容体(TfR)、別名TfR1及びCD71に対して親和性を有する細胞標的化部分を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、抗TfR1抗体またはその断片を含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することができるペプチドを含む。ある特定の実施形態では、コンジュゲート基は、TfR1に結合することができるアプタマーを含む。
【0206】
組成物、及び薬学的組成物の製剤化方法
本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチドは、薬学的組成物の調製のために、薬学的に許容される活性または不活性物質と混和されてもよい。組成物、及び薬学的組成物の製剤化方法は、投与経路、疾患の程度、または投与すべき用量を含むがこれらに限定されない、いくつかの基準に依存する。
【0207】
ある特定の実施形態は、1つまたは複数のオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)またはその塩を含む薬学的組成物を提供する。ある特定のかかる実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される好適な希釈剤または担体を含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、滅菌食塩液及び1つまたは複数のオリゴマー化合物を含む。ある特定の実施形態では、かかる薬学的組成物は、滅菌食塩液及び1つまたは複数のオリゴマー化合物からなる。ある特定の実施形態では、滅菌食塩水は、医薬品グレードの食塩水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つまたは複数のオリゴマー化合物及び滅菌水を含む。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つのオリゴマー化合物及び滅菌水からなる。ある特定の実施形態では、滅菌水は、医薬品グレードの水である。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つまたは複数のオリゴマー化合物及びリン酸緩衝食塩水(PBS)を含むか、またはそれらからなる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、1つまたは複数のオリゴマー化合物及び滅菌PBSからなる。ある特定の実施形態では、滅菌PBSは、医薬品グレードのPBSである。組成物、及び薬学的組成物の製剤化方法は、投与経路、疾患の程度、または投与すべき用量を含むがこれらに限定されない、いくつかの基準に依存する。
【0208】
標的核酸に相補的な本明細書に記載のオリゴマー化合物は、薬学的組成物が注射に好適であるように、オリゴマー化合物を薬学的に許容される好適な希釈剤もしくは担体及び/または追加の構成成分と組み合わせることによって、薬学的組成物において利用することができる。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、リン酸緩衝食塩水である。したがって、一実施形態では、本明細書に記載の方法において、標的核酸に相補的なオリゴマー化合物及び薬学的に許容される希釈剤を含む、薬学的組成物が用いられる。ある特定の実施形態では、薬学的に許容される希釈剤は、リン酸緩衝食塩水である。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、本明細書に提供される修飾オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。
【0209】
本明細書に提供されるオリゴマー化合物(アンチセンス剤またはその一部分であるオリゴマー化合物を含む)を含む薬学的組成物は、ヒトを含めた動物に投与されると、生物学的に活性な代謝産物またはその残基を(直接的または間接的に)提供することができる、任意の薬学的に許容される塩、エステルもしくはかかるエステルの塩、または任意の他のオリゴヌクレオチドを包含する。ある特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾オリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。したがって、例えば、本開示はまた、化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、かかるプロドラッグの薬学的に許容される塩、及び他の生物学的同等物も対象とする。薬学的に許容される好適な塩には、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
標的核酸、標的領域、及びヌクレオチド配列
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス剤、オリゴマー化合物、または修飾オリゴヌクレオチドは、標的核酸に相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそれからなる。ある特定の実施形態では、標的核酸は、内在性RNA分子である。ある特定の実施形態では、標的核酸は、タンパク質をコードする。ある特定のかかる実施形態では、標的核酸は、イントロン領域、エキソン領域、及び非翻訳領域を含むmRNA及びプレmRNAから選択される。ある特定の実施形態では、標的RNAは、mRNAである。ある特定の実施形態では、標的核酸は、プレmRNAである。ある特定の実施形態では、プレmRNA及び対応するmRNAは両方とも、単一の化合物の標的核酸である。ある特定のかかる実施形態では、標的領域は、全体が標的プレmRNAのイントロン内にある。ある特定の実施形態では、標的領域は、イントロン/エキソンの連結部にまたがる。ある特定の実施形態では、標的領域は、少なくとも50%がイントロン内にある。ある特定の実施形態では、標的核酸は、マイクロRNAである。ある特定の実施形態では、標的領域は、遺伝子の5’UTRにある。ある特定の実施形態では、標的領域は、標的核酸の翻訳抑制エレメント領域内にある。
【0211】
ある特定の化合物
本明細書に記載のある特定の化合物(例えば、アンチセンス剤、オリゴマー化合物、及び修飾オリゴヌクレオチド)は、1つまたは複数の不斉中心を有し、故に、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び絶対立体化学の点で(R)もしくは(S)、糖アノマーに対するようなαもしくはβ、またはアミノ酸に対するような(D)もしくは(L)等と定義され得る他の立体異性体配置を生じさせる。ある特定の立体異性体配置を有するように描かれるかまたは説明される、本明細書に提供される化合物は、示される化合物のみを含む。未定義の立体化学構造で描かれるかまたは説明される、本明細書に提供される化合物は、それらの立体的にランダムな形態及び光学的に純粋な形態を含めた、考えられる全てのかかる異性体を含む。別途指示されない限り、本明細書に提供される化合物の全ての互変異性形態が含まれる。
【0212】
本明細書に記載される化合物は、1個または複数の原子が示される元素の非放射性同位体または放射性同位体と置き換えられている変形形態を含む。例えば、水素原子を含む本明細書の化合物は、1H水素原子の各々について、考えられる全てのジュウテリウム置換を包含する。本明細書の化合物により包含される同位体の置換には、1Hに代わる2Hまたは3H、12Cに代わる13Cまたは14C、14Nに代わる15N、16Oに代わる17Oまたは18O、及び32Sに代わる33S、34S、35S、または36Sが含まれるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、非放射性同位体の置換は、治療ツールまたは研究ツールとしての使用に有益である新たな特性をオリゴマー化合物に与え得る。ある特定の実施形態では、放射性同位体の置換は、化合物をイメージング等の研究目的または診断目的に好適なものにし得る。
【実施例】
【0213】
以下の実施例は、本発明のある特定の態様を例示することを意図しており、本発明をいかようにも限定することは意図しない。
【0214】
実施例1:酸化溶液の調製
各々、スルホニル酸化剤であるメタンスルホニルアジド(メシルアジド、MsN
3)を含む、5つの酸化溶液を調製した。1つの酸化溶液は安定剤を含有せず(対照溶液)、4つの酸化溶液は各々、安定剤を含んでいた。試験した安定剤は、トリフェニルリン酸(TPP)及びジフェニルスルホン(DPS)であった。
【化31】
ジフェニルスルホンの使用は、結晶性材料が形成されることが観察されたため推奨されない。
【0215】
溶液を下記に記載されるように、また表1に明記される濃度で調製した。全ての溶液は5℃で保管した。
【表1】
【0216】
アセトニトリル中1.0MのMsN
3の調製
【化32】
NaN
3(5.4g、83mmol、1当量)を脱水アセトニトリル(MeCN、80mL)中に縣濁させ、窒素下で撹拌しながら0℃まで冷却した。メシルクロリド(10g、6.75ml、88.3mmol、1.05当量)を滴加し、反応物を3時間かけて室温まで昇温させた。反応物を濾過して不溶性塩を除去することにより、所望のMeCN中1.0MのMsN
3溶液を得た。
【0217】
酸化溶液1の調製
20mLのトルエン及び20mLのMeCN中1.0MのMsN3(上述)を50mLの琥珀色のボトルに加えた。ボトルをパラフィルムで覆い、蓋をした。溶液を手で旋回させることによって混合した。
【0218】
酸化溶液2の調製
10mLのトルエン中2.0MのTPP及び10mLのMeCN中1.0MのMsN3(上述)を50mLの琥珀色のボトルに加えた。ボトルをパラフィルムで覆い、蓋をした。溶液を手で旋回させることによって混合した。
【0219】
実施例2:酸化溶液の熱力学的分析
上述した酸化溶液1~3を、標準プロトコルを使用してDekra(dekra.us/process-safety)によって試験した。簡潔に述べると、溶媒を各酸化溶液から除去し、対応する残渣を、それらの組成物の熱を決定するために示差走査熱量測定(DSC)によって評価した。この試験は、あらゆるエネルギー事象の開始温度及びそれらの事象に関連する総エネルギーを決定する。各事象は、下記の表2において別々の行に記載され、残渣が加熱されるときに残渣のエンタルピーに正(吸熱)の変化があったか、負(発熱)の変化があったかに関して標示される。300J.g-1超の分解エネルギーは、高エネルギー性材料を示し、500J.g-1超の分解エネルギーは、材料が爆発特性を有する可能性があることを示唆する。
【0220】
各溶液の0.400mLの分量を室温で一晩蒸発させて、残渣をもたらし、それをDSC試験で使用した。試験試料を、密封された高圧金るつぼに装入した。同型の空るつぼを基準として使用した。試料及び基準るつぼをMettler Toledo DSC 3+炉に入れ、それを25℃の開始温度まで加熱した。るつぼが炉と平衡化した時点で、それらを5℃/分の一定速度で400℃まで加熱した。試料るつぼ及び基準るつぼからの熱流を試験全体にわたって記録した。試料内のいずれの発熱活動も、基準るつぼと比べた試料るつぼからのより大きな熱流をもたらすことになる。開始温度、終了温度、及びピーク温度を記録し、これを表2に提供する。
【表2】
【0221】
上記に示されるように、TPP(酸化溶液2)を含有する残渣は、いずれの固体安定剤も含まない対照溶液(酸化溶液1)からの残渣よりも低い燃焼エネルギーを有する。
【0222】
実施例3:メシルアジド溶液を使用した酸化的メシル化を介したメシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドの合成
以下の図は、酸化剤としてメシルアジドを使用したオリゴヌクレオチド合成の一般的で俯瞰的なスキームを示す。白黒のリボンとして表示されるオリゴヌクレオチド中間体が、固体支持体(円として示される)に結合される。ホスホロアミダイトモノマーが、標準的技法を使用してオリゴヌクレオチド上に導入される。下記の図における「B(pg)」は、一般的な保護基(複数可)を有する可変の核酸塩基を表す。第2の一般ステップにおいてメシルアジドを酸化剤として使用することで、ホスホトリエステル結合の酸化がもたらされて、メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合が得られる。
【化33】
メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドは、実施例1に記載される酸化溶液を使用して調製した。
【0223】
オリゴヌクレオチド中間体である化合物Aは、標準的技法を使用して合成した。化合物Aは、核酸塩基配列(5’から3’):TGGTTATGACTCA(配列番号1)を有する13ヌクレオシド長の修飾オリゴヌクレオチド中間体である。化合物Aの糖モチーフは、(5’から3’):ddddddddeeeeeであり、式中、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。化合物Aのヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’):ssssssssssssであり、式中、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。化合物Aの5’-OHは、ジメトキシトリチル(DMT)保護基でキャップされる。化合物Aの連結ヌクレオシドは、固体支持体に結合される。
【0224】
2つの2’-β-D-デオキシリボシルチミジンヌクレオシドを、メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を介して化合物Aにつなげた。修飾オリゴヌクレオチドは、AKTA Oligopilot 10(35μmol規模)で合成した。デオキシTホスホロアミダイトを1:1のMeCN/トルエン(v/v)中に溶解させ、モレキュラーシーブで乾燥させた。トルエン中15%DCAを使用して、DMT保護基を修飾オリゴヌクレオチド中間体から除去した。3当量のアミダイト及びアミダイトに対して10当量の活性化剤(アセトニトリル中1Mの4,5-ジシアノイミダゾール及び0.1MのN-メチルイミダゾール)を使用して、デオキシTホスホロアミダイトをカップリングさせ、カップリング溶液を6分間再循環させた。MeCNでフラッシュした後、MsN3を含む酸化溶液を添加し(25当量)、25分間再循環させ、続いてMeCNで洗浄した。洗浄後、反応混合物をMeCN中20%無水酢酸(キャップA)、及びN-メチルイミダゾールのMeCN/ピリジン溶液(2:5:3v/v/v、キャップB)で処理して、あらゆるカップリング不成功物をキャップした。第2のメシル連結チミジンヌクレオシドを組み込むためにこのサイクルを繰り返した。
【0225】
修飾オリゴヌクレオチド中間体である化合物Bを固体支持体から切断し、標準的技法を使用して脱保護して、最終的な修飾オリゴヌクレオチドを得た。化合物Bは、配列(5’から3’):TTTGGTTATGACTCA(配列番号2)を有する15ヌクレオシド長の修飾オリゴヌクレオチドである。化合物Bの糖モチーフは、(5’から3’):ddddddddddeeeeeであり、式中、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「e」は、2’-MOE糖部分を表す。化合物Bのヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’):zzssssssssssssであり、式中、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「z」は、メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。
【0226】
酸化溶液1~5を各々使用して化合物Bを別個に合成して、化合物B1、B2、B3、B4、及びB5と類似的に標示される生成物をもたらした。化合物B1~B5をUVクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー-質量分析法によって分析した。酸化的メシル化ステップにおいて、酸化溶液2(1:1のトルエン対MeCN中のTPP)は、反応の完了、及び化合物B1(対照溶液を使用して合成した)と比較して許容される純度をもたらした。酸化溶液2、3、及び4中で、安定剤は、カップリングに対して有害作用を何ら有しないようであり、メシルアジドを取り扱うことの危険なリスクを低減する可能性がある。
【0227】
実施例4:スルホランを安定剤として含むアセトニトリル中のメタンスルホニルアジド溶液の調製
スルホランを安定剤として含む、アセトニトリル中のスルホニル酸化剤MsN
3を含む酸化溶液を調製した。スルホランの構造を下記に示す。
【化34】
【0228】
溶液は、下記に記載される2つの方法を使用して調製した。
【0229】
方法1
N2下でオーバーヘッドスターラー(Teflon月形羽根車、ガラスシャフト)を備えた1000mLの三口丸底フラスコに、NaN3(70.58g、1.09mol)、及び脱水MeCN(517mL)を充填した。撹拌を室温でIKAオーバーヘッドスターラーにおいて約2.5の設定で開始して、約5分間経ってから、フラスコを氷浴中に浸漬した。メシルクロリド(80.0mL、1.03mol)を、添加漏斗を介して約30分間にわたって滴加した。メシルクロリドの添加が完了すると、反応物を氷浴から取り出し、室温で一晩撹拌させた。
【0230】
1H NMRによるメシルクロリドに対する化学シフト(予想値:3.8ppm)の不在に基づいて、反応が完了したことが確認された。MsN3の濃度は、分析標準として炭酸エチレンを使用した定量NMRによって2.082Mであると決定された。
【0231】
次いで、反応物をボトルトップフィルターに通して、Teflonコート磁気撹拌棒を備えた風袋計量済みポリコートガラスボトル中に濾過した。濾過ケークを少量のMeCN(約10mL)ですすいだ。次いで、融解させたスルホラン(621.28g、5.17mol)をボトルに充填した。混合物を撹拌し、溶液の質量及び密度を決定し、これを使用して溶液を1034mLの総体積までMeCNで希釈した。
【0232】
方法2
N2下でオーバーヘッドスターラー(Teflon月形羽根車、ガラスシャフト)を備えた1000mLの三口丸底フラスコに、NaN3(35.29g、543mmol)、融解させたスルホラン(246g、2.59mol)、及び脱水MeCN(270mL)を充填した。撹拌を室温でIKAオーバーヘッドスターラーにおいて約2.5の設定で開始して、約5分間経ってから、フラスコを氷浴中に浸漬した。メシルクロリド(40.0mL、517mmol)を、添加漏斗を介して約30分間にわたって滴加した。メシルクロリドの添加が完了すると、反応物を氷浴から取り出し、室温で一晩撹拌させた。
【0233】
1H NMRによるメシルクロリドに対する化学シフト(予想値:3.8ppm)の不在に基づいて、反応が完了したことが確認された。MsN3の濃度は、分析標準として炭酸エチレンを使用した定量NMRによって反応混合物中0.943Mであると決定された。
【0234】
次いで、反応物をボトルトップフィルターに通して、風袋計量済みポリコートガラスボトル中に濾過し、さらに希釈することなく保管した。
【0235】
実施例5:メシルアジド溶液を使用した酸化的メシル化を介したメシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドの合成
メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を含む修飾オリゴヌクレオチドは、スルホランを含むアセトニトリル中のMsN3の溶液を使用して調製した。
【0236】
修飾オリゴヌクレオチドは、ポリスチレン系NittoPhase HL UnyLinker支持体(405μmol/g)を使用してAKTA Oligopilot 10(40μmol規模)で合成した。完全に保護されたヌクレオシドホスホロアミダイトを、本明細書において実施例3で上述した標準的な固相修飾オリゴヌクレオチド合成条件を使用して組み込んだ。DNAアミダイトを1:1のMeCN/トルエン中に0.1Mで溶解させ、6分間のリサイクリング時間を使用して組み込んだ。MeCN中1Mの4,5-ジシアノイミダゾールと0.1MのN-メチルイミダゾールを活性化剤として使用した。トルエン中15%ジクロロ酢酸を使用してDMT保護基を除去した。MeCN中20%無水酢酸及びN-メチルイミダゾール/ピリジン/MeCN(20:30:50)をカップリング不成功物のキャッピングに使用した。
【0237】
P(III)種の酸化を以下のように実施した:ホスホジエステル結合に対してはピリジン/H2O(9:1)中0.05Mのヨウ素;またはホスホロチオエート結合に対しては1:1のピリジン:MeCN中0.1Mのキサンタンヒドリド。メシルホスホロアミデート結合の組み込みのために、修飾オリゴヌクレオチド中間体を1:1のMeCN:スルホラン中0.65MのMsN3またはMeCN中0.65MのMsN3で処理し、25分間再循環させた。
【0238】
合成の終結後、トルエン中20%ジエチルアミンを使用してシアノエチル保護基を除去し、残った保護基を、固体支持体を濃アンモニア水中に縣濁させて、55℃で14時間加熱することによって切断した。支持体を濾過によって除去し、粗混合物を、精製、脱トリチル化、脱塩を組み合わせた方法を使用してHPLCによって精製した。塩基性RSR(逆相、SAX、逆相)法の間、試料は、H2O中でRPカラム(DuPont XT30)に負荷した。次いで、不成功物の溶出を、1:1(A:80%MeOH/水、B:2.5MのNaCl、50mMのNaOH)を用いてRPカラムで実施した。次いで、DMT切断を、6%DCAを用いてRPカラムで実施し、続いて水で洗浄した。次に、脱トリチル化された化合物を、80%MeOHを用いてSAXカラムに負荷した。RPカラムは50mMのNaOHで平衡化した。次いで、SAX勾配を、A及びB緩衝液(A:50mMのNaOH、B:50mMのNaOH、2.5MのNaCl)を用いて0から50%で実施した。ひとたびUV吸光度の閾値に達すると、化合物を次いでRPカラムに負荷し直した。カチオン交換のためにNaCl(250mM)をRPカラムに通してフラッシュし、脱塩のために水をカラムに流し、最終化合物を1:1のMeCN:水で溶出した。
【0239】
スルホランあり及びなしでの合成後の生成物純度の比較
本明細書で上述した標準的技法を使用して、修飾オリゴヌクレオチド化合物1633475をスルホランあり及びなしで合成し、各ロットをロットの純度に関して分析した。
【0240】
化合物1633475は、核酸塩基配列(5’から3’):GCATGTTCTCACATTA(配列番号3)を有する16ヌクレオシド長の修飾オリゴヌクレオチド中間体である。化合物1633475の糖モチーフは、(5’から3’):kkkddddddddddkkkであり、式中、各「d」は、2’-β-D-デオキシリボシル糖部分を表し、各「k」は、cEt糖部分を表す。化合物1633475のヌクレオシド間結合モチーフは、(5’から3’):ssszzzzssssssssであり、式中、各「s」は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し、各「z」は、メシルホスホロアミデートヌクレオシド間結合を表す。各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。化合物1633475は、下記に示されるように、ホスホジエステル結合を介して修飾オリゴヌクレオチドの3’末端の酸素にコンジュゲートされた3THAGNhp部分をさらに含有する。
【化35】
【0241】
各修飾オリゴヌクレオチドのロットの試料を、およそ1mg/mLの濃度でH
2O中0.01%のトリエチルアミン中で作製した。試料を、エレクトロスプレー質量分析計にインターフェースで接続された、バイナリポンプ、オンラインデガッサ、加熱カラムチャンバ、オートサンプラ、及び多波長UV検出器を装備したAgilent 1200シリーズにおいてイオン対HPLC/質量分析法(IP-HPLC/MS)によって分析した。分析は、Waters(Milford,MA,USA)XBridge(商標)HPLCカラム(18C、3.5μm、2.1×150mm、Waters P/N186003023)を使用して実施した。10%アセトニトリル中5mMの酢酸トリブチルアンモニウムと1μMのEDTA(移動相A)及び80%アセトニトリル中5mMの酢酸トリブチルアンモニウムと1μMのEDTA(移動相B)の線形勾配を、下記の表に記載されるように使用した。
【表3】
【0242】
カラム溶出液のUV吸光度は、400nmの基準波長を使用して、260nmで測定した。カラム溶出液はESI-MSに直接導入した。ESI源はネガティブモードで操作し、走査質量シグナル(m/z)範囲は(全長生成物質量)/4±150.0であった。キャピラリー電圧=4000V、乾燥ガス温度=260℃、乾燥ガス流量=12L/分、ネブライザー圧力=25psi、フラグメンター電圧=100V。
【0243】
UV純度を算出するために、260nmでの全長生成物(主UVピーク)、早期に溶出する不純物、及び後期に溶出する不純物のUVピークを特定し、OpenLab ChemStationバージョンC.01.09で積分した。主UVピークの面積を260nmでの全てのピークの面積の和に対して正規化し、これをUV純度(%)として下記の表に提示する。MS純度を算出するために、全長生成物のm/z及び全ての不純物のm/zを主UVピーク内で特定した。各構成成分の質量シグナルについてのイオンクロマトグラムを抽出し、積分した。全長生成物のシグナルの面積を構成成分のシグナルの和に対して正規化し、これをMS純度(%)として下記に提示する。各表は、異なる分析を代表する。
【0244】
1.5MのスルホランありまたはなしでのMeCN中0.65MのMsN
3を使用した化合物1633475の合成は、類似の品質の修飾オリゴヌクレオチドを生成した。UV及びMS純度を表4に提供する。使用した合成条件は、MsN
3酸化溶液を保持する溶媒を除いて同じであった。
【表4】
【0245】
実施例6:スルホランの存在下でのメシルアジドの熱力学的分析
スルホランによって安定化された酸化溶液MsN3を、標準DSCプロトコルを使用してNalas Engineering(nalasengineering.com/process-scale-up)によって試験した。
【0246】
各溶液の一部分を室温で一晩蒸発させて、残渣をもたらし、それをDSC試験で使用した。分析は、DSC25(Waters Instruments)を使用して実施した。試験試料を、密封された高圧金るつぼに装入した。同型の空るつぼを基準として使用した。試料及び基準るつぼを炉に入れ、それを30℃の開始温度まで加熱した。るつぼが炉と平衡化した時点で、それらを5℃/分の一定速度で500℃まで加熱した。試料るつぼ及び基準るつぼからの熱流を試験全体にわたって記録し、TRIOSソフトウェアを使用して分析した。結果をエネルギー流として下記の表に提示し、事象が発熱(エンタルピーにおける負の変化)または吸熱(エンタルピーにおける正の変化)として提示される。300Jg
-1超の分解エネルギーは、高エネルギー性材料を示し、500Jg
-1超の分解エネルギーは、材料が爆発特性を有する可能性があることを示唆する。下記の表に示されるように、スルホランを含有する残渣は、純MsN
3よりも低い燃焼エネルギーを有する。
【表5】
【0247】
実施例7:スルホランの存在下でのメシルアジドの衝撃感度分析
スルホランによって安定化されたMsN3の酸化溶液を、衝撃感度に対する標準プロトコルを使用してNalas Engineering(nalasengineering.com/process-scale-up)によって試験した。簡潔に述べると、材料の試料をBAM Fall Hammer Apparatusに配置し、種々のエネルギー量で衝撃を加えた。制限衝撃エネルギーを決定するために、試料を発火、火炎、または爆発に関して観察した。スルホランを含むMsN3、及び純MsN3の観察を下記の表に提示する。
【0248】
衝撃試験により、MsN
3:スルホランの約1:1(w/w)混合物は、MsN
3の爆発特性を軽減するようである。
【表6】
【配列表】
【国際調査報告】