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  • 特表-個体の実際の光プロファイルの推定 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-25
(54)【発明の名称】個体の実際の光プロファイルの推定
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20240718BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20240718BHJP
   H05B 47/13 20200101ALI20240718BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20240718BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20240718BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/16
H05B47/13
H05B47/19
H05B47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580575
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2022067780
(87)【国際公開番号】W WO2023275081
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21182687.0
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519063303
【氏名又は名称】ブレインリット・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トード・ヴィングレーン
(72)【発明者】
【氏名】ベングト・リンドフ
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273QA07
3K273QA13
3K273RA02
3K273RA05
3K273SA20
3K273SA22
3K273SA23
3K273SA38
3K273SA57
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA12
3K273UA14
(57)【要約】
この発明の概念は、個体の実際の光プロファイルを推定するための照明システムおよび方法(20)に関する。方法(20)は、照明システムを使用して、個体を所定の光刺激にさらすステップ(S200)と、所定の光刺激に反応した個体の身体反応を感知するステップ(S202)と、個体の感知された身体反応および所定の光刺激に基づいて実際の光プロファイルを推定するステップ(S204)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体(130)の実際の光プロファイルを推定するための方法(20)であって、前記実際の光プロファイルが、前記個体が以前の期間中にさらされた光の累積された量に関連するスペクトル分解された情報を含み、方法(20)が、
照明システム(10)を使用して、前記個体を所定の光刺激(112)にさらすステップ(S200)であって、前記個体(130)を所定の光刺激(112)にさらすこと(S200)が、前記照明システム(10)によって放出される光の強度およびスペクトル分布の少なくとも一方を経時的に変更すること(S206)を含む、ステップ、
前記所定の光刺激(112)に反応した前記個体(130)の身体反応を感知するステップ(S202)であって、前記所定の光刺激(112)に反応した前記個体(130)の身体反応を感知すること(S202)が、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動を感知すること(S208)を含む、ステップを含み、
前記方法(20)が、
前記個体(130)の感知された身体反応および前記所定の光刺激に基づいて前記実際の光プロファイルを推定するステップ(S204)であって、前記実際の光プロファイルを推定すること(S204)が、前記個体(130)の前記身体反応に関するデータおよび前記所定の光刺激(112)に関するデータを、個体の身体反応および光刺激を実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練された機械学習モデルに入力すること(S212)を含む、ステップをさらに含む、方法(20)。
【請求項2】
前記機械学習モデルが、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練され、
前記方法(20)が、前記個体(130)を特定するステップ(S210)を含み、
前記実際の光プロファイルを推定すること(S204)が、前記個体(130)のアイデンティティを前記機械学習モデルに入力すること(S214)をさらに含む請求項1に記載の方法(20)。
【請求項3】
前記機械学習モデルが、畳み込みニューラルネットワークである請求項1または2に記載の方法(20)。
【請求項4】
中央制御サーバ(100)と、
1つまたは複数の光源(110)と、
身体反応を感知するように構成された身体反応センサー(120)であって、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動を感知するように構成される、身体反応センサー(120)とを含み、
前記中央制御サーバ(100)が、
個体(130)を所定の光刺激(112)にさらすために前記1つまたは複数の光源(110)を制御することであって、前記中央制御サーバ(100)が、前記1つまたは複数の光源(110)によって放出される光の強度およびスペクトル分布の少なくとも一方を経時的に変更するように構成されることによって、前記個体(130)を前記所定の光刺激(112)にさらすために前記1つまたは複数の光源(110)を制御するように構成される、制御すること、
前記所定の光刺激(112)に反応した前記個体(130)の身体反応を前記身体反応センサー(120)から受信すること、ならびに
前記個体(130)の感知された身体反応および前記所定の光刺激(112)に基づいて実際の光プロファイルを推定することであって、前記実際の光プロファイルが、前記個体が以前の期間中にさらされた光の累積された量に関連するスペクトル分解された情報を含み、前記中央制御サーバ(100)が、前記個体(130)の前記身体反応に関するデータおよび前記所定の光刺激(112)に関するデータを、個体の身体反応および光刺激を実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練された機械学習モデルに入力するように構成されることによって、前記実際の光プロファイルを推定するように構成される、推定することを行うように構成される照明システム(10)。
【請求項5】
前記機械学習モデルが、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練され、
前記照明システム(10)が、前記個体(130)のアイデンティティを決定するように構成されたアイデンティティセンサー(140)をさらに含み、
中央制御エンジン(100)が、前記個体(130)の前記アイデンティティを前記機械学習モデルに入力するようにさらに構成されることによって、前記実際の光プロファイルを推定するように構成される請求項4に記載の照明システム(10)。
【請求項6】
前記機械学習モデルが、畳み込みニューラルネットワークである請求項4または5に記載の照明システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の概念は、個体(individual)の実際の光プロファイル(light profile)を推定するための方法および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生物におけるタイミング(たとえば、周期的)プロセスおよび現象を研究する生物学の分野である時間生物学は、人間の生理機能を理解する上でますます重要になりつつある。たとえば、概日リズムは、睡眠・覚醒サイクルを調節する生物(たとえば、人間)の体内プロセスである。概日リズムは、通常、ほとんどの人に関して、24時間よりわずかに長い時間周期にわたって繰り返す。このサイクルは、異なる個体の間で異なることがあり得ることも知られている。たとえば、「朝型」人間として知られている人がいる一方、「夜型」人間である人もいる。したがって、概して、異なる個体の特定の時間帯の行動は、異なる。これは、通常、人のクロノタイプと呼ばれる。
【0003】
時間生物学の重要な部分は、光が生物に与える影響の研究である。たとえば、夜に人を明るい光にさらすことは、その人が眠りに落ちる時間を遅らせ得ることがわかっている。さらに、最近の研究は、光が人の覚醒度(alertness)およびパフォーマンスに影響を与え得ることを明らかにした。最近は、光処置(light treatment)が、自分の最高のパフォーマンスを重要なイベントに合わせたい人、たとえば、競技で最良のパフォーマンスを発揮したいアスリートによって利用され始めている。しかし、特定の時間帯の光の影響は即時的であるだけでなく、日中の光への個体の以前の暴露にも依存することがわかっている。たとえば、個体が朝に明るい光(たとえば、明るい夏の朝の光と同様の光)にさらされた場合、同じ人が朝をより照度の低い光(たとえば、オフィス内の人工光)にさらされて過ごしたとした場合よりも、午後の明るい光の影響は通常より小さくなる。
【0004】
したがって、個体の光履歴(light history)を知ることが重要である。これは、通常、ウェアラブル光センサーを使用して個体の光暴露を記録することによって行われる。しかし、そのような解決策は、個体が光センサーを付け忘れる場合があり、またはセンサーが誤って(たとえば、衣服によって妨げられて)装着されるので、エラーを起こしやすい。これは、不正確な光履歴をもたらし、ひいては、個体の最適な光の設定が、適切に決定され得ない。したがって、個体の光履歴に関するより深い知識のニーズが存在する。
【0005】
CHANG ANNE-MARIEら、「The human circadian system adapts to prior photic history」、THE JOURNAL OF PHYSIOLOGY、589巻、5号、2011年2月25日(2011-02-25)、1095~1102ページは、以前の光の履歴(photic history)が、(i)位相リセット能力(phase resetting capacity)と、(ii)その後の飽和未満の光暴露に反応したメラトニン抑制の大きさとを調節することを実証する。
【0006】
CHANG ANNE-MARIEら、「Direct Effects of Light on Alertness, Vigilance, and the Waking Electroencephalogram in Humans Depend on Prior Light History」、SLEEP、36巻、8号、2013年8月1日(2013-08-01)、1239~1246ページは、典型的な室内光と比較して非常に薄暗い光への以前の暴露が、(a)主観的覚醒度、(b)神経行動学的パフォーマンス、および(c)覚醒EEG(waking EEG)のスペクトル組成によって評価される、生物学的夜(biological night)の光刺激の覚醒効果を大きくするという仮説を試験する。
【0007】
HEBERT MARCら、「The effects of prior light history on the suppression of melatonin by light in humans」、JOURNAL OF PINEAL RESEARCH、33巻、4号、2002年11月1日(2002-11-01)、198~203ページは、人間の光感受性に対する光履歴の急激な(1週間の)変化の影響に関する研究を提示する。
【0008】
CHELLAPPA S. L.ら、「Photic memory for executive brain responses」、PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES、111巻、16号、2014年4月22日(2014-04-22)、6087~6091ページは、認知的脳反応に関する光の役割に関する。
【0009】
CATHERINE BEAULIEUら、「Modulation of ERG retinal sensitivity parameters with light environment and photoperiod」、DOCUMENTA OPHTHALMOLOGICA、KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS、DO、118巻、2号、2008年7月9日(2008-07-09)、89~99ページは、光曝露のレベルと光に対する網膜の感受性との間の関係に関する。
【0010】
SUAREZ ALEXISら、「Circadian Phase Prediction From NonIntrusive and Ambulatory Physiological Data」、IEEE JOURNAL OF BIOMEDICAL AND HEAL TH INFORMATICS、IEEE、PISCATAWAY、NJ、USA、25巻、5号、2020年8月27日(2020-08-27)、1561~1571ページは、最小限の煩わしさの生理センサーからのデータを使用して概日位相を予測するための改善されたモデルを構築することを目標とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】CHANG ANNE-MARIEら、「The human circadian system adapts to prior photic history」、THE JOURNAL OF PHYSIOLOGY、589巻、5号、2011年2月25日(2011-02-25)、1095~1102ページ
【非特許文献2】CHANG ANNE-MARIEら、「Direct Effects of Light on Alertness, Vigilance, and the Waking Electroencephalogram in Humans Depend on Prior Light History」、SLEEP、36巻、8号、2013年8月1日(2013-08-01)、1239~1246ページ
【非特許文献3】HEBERT MARCら、「The effects of prior light history on the suppression of melatonin by light in humans」、JOURNAL OF PINEAL RESEARCH、33巻、4号、2002年11月1日(2002-11-01)、198~203ページ
【非特許文献4】CHELLAPPA S. L.ら、「Photic memory for executive brain responses」、PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES、111巻、16号、2014年4月22日(2014-04-22)、6087~6091ページ
【非特許文献5】CATHERINE BEAULIEUら、「Modulation of ERG retinal sensitivity parameters with light environment and photoperiod」、DOCUMENTA OPHTHALMOLOGICA、KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS、DO、118巻、2号、2008年7月9日(2008-07-09)、89~99ページ
【非特許文献6】SUAREZ ALEXISら、「Circadian Phase Prediction From NonIntrusive and Ambulatory Physiological Data」、IEEE JOURNAL OF BIOMEDICAL AND HEAL TH INFORMATICS、IEEE、PISCATAWAY、NJ、USA、25巻、5号、2020年8月27日(2020-08-27)、1561~1571ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
当技術分野における上で特定された欠陥および欠点のうちの1つまたは複数を単独でまたは任意の組合せで少なくとも部分的に緩和、軽減、または除去し、少なくとも上述の問題を解決することが、目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様によれば、個体の実際の光プロファイルを推定するための方法が提供される。方法は、照明システムを使用して、個体を所定の光刺激にさらすステップと、所定の光刺激に反応した個体の身体反応を感知するステップと、個体の感知された身体反応および所定の光刺激に基づいて実際の光プロファイルを推定するステップとを含む。
【0014】
本開示の文脈で、「実際の光プロファイル」という表現は、特定の時間範囲の間に(たとえば、その日、その週、および/またはその月の間に)ユーザがさらされた光の累積された量に関連するスペクトル分解された情報/データと解釈されるべきである。情報/データがスペクトル分解されるので、実際の光プロファイルは、ユーザがさらされた波長/色の光の量の情報を含む場合がある。言い換えると、実際の光プロファイルは、ユーザの光履歴である場合がある。
【0015】
本開示の文脈で、「照明システム」という表現は、個体(人間および/または動物)にそれらのニーズに応じて光を提供するように設計された照明システムと解釈されるべきである。そのような照明システムの例は、出願人によって提供されるBioCentric Lighting(商標)システムである。個体のニーズは、目標光プロファイル(光レシピ(light recipe))内で与えられる/定義される場合がある。照明システムは、たとえば、ユーザの求められているおよび/または健康的な概日リズムを促進する場合がある。
【0016】
本開示の文脈で、「身体反応」という表現は、光刺激への暴露に反応した個体の身体的変化と解釈されるべきである。これは、たとえば、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の変化である場合がある。
【0017】
本開示の文脈で、「~に反応した」という表現は、幅広い時間的範囲にわたるものと解釈されるべきである。たとえば、上に列挙された身体反応などの一部の身体反応は、個体が光刺激にさらされてから少し(たとえば、数分、および/または1時間未満もしくは最大1時間)後に起こる場合がある。一部の身体反応は、個体が光刺激にさらされてから長時間(たとえば、数時間および/または数日)後に起こる場合がある。言い変えると、「~に反応した」が指す光刺激への個体の曝露からの時間スパンは、異なる身体反応の間で異なる場合がある。
【0018】
本開示の文脈で、「光刺激」という表現は、特定の強度の、特定のスペクトル成分を有する光と解釈されるべきである。特に、1つまたは複数の波長範囲の特定のスペクトル成分は、個体の身体反応を誘発する場合がある。特定の例として、一部の波長範囲の青色光(たとえば、450から520nm)は、その光にさらされている個体の上昇したコルチゾールレベルおよび/またはメラトニン抑制を刺激することが当技術分野で知られている。特に、個体の目は、異なる身体反応を刺激する場合がある異なる波長内の光に感受性がある受容体を有する。したがって、個体が所定の光刺激にさらされるとき、個体の身体反応が刺激される所定の光刺激に感受性があるのは個体の目である可能性がある。
【0019】
本方法によって、個体が外部センサー(たとえば、光センサー)を継続的に装着することを要求することなく、個体の実際の光プロファイルが推定される。そして今度は、実際の光プロファイルが、照明システムが目標光プロファイル(光レシピ)に従って個体をより適切な光にさらすことを可能にする場合がある。特に、照明システムは、個体の実際の光プロファイルを個体の目標光プロファイルに合わせるために、照明システムによって放出される光を制御することを可能にされる場合がある。
【0020】
方法は、照明システムによってサービスを提供されるエリア内の個体の存在を判定するステップをさらに含んでよい。
【0021】
個体を所定の光刺激にさらすことは、照明システムによって放出される光の強度およびスペクトル分布の少なくとも一方を経時的に変更することを含んでよい。
【0022】
関連する利点は、個体を所定の光刺激にさらすことによって、個体の中で異なる種類の身体反応が刺激される場合があることである。これらの異なる身体反応は、個体をさらす光のスペクトル分布を変えることによって個体の中で刺激される場合がある。
【0023】
さらなる関連する利点は、個体の中の刺激された身体反応の強さが、個体をさらす光の強度および/またはスペクトル分布に依存する場合があるので、実際の光プロファイルがより高い精度で決定される可能性があることである。
【0024】
所定の光刺激に反応した個体の身体反応を感知することは、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動を感知することを含んでよい。
【0025】
実際の光プロファイルを推定することは、個体の身体反応に関するデータおよび所定の光刺激に関するデータを、個体の身体反応および光刺激を実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練された機械学習モデルに入力することを含んでよい。
【0026】
関連する利点は、訓練された機械学習モデルが、個体の訓練セットの一部を形成しない個体の身体反応を相互に関連付けるために使用されてよいことである。言い換えると、照明システムは、個体の実際の光プロファイルを推定するときに、個体の身体反応の情報を必要としない可能性がある。
【0027】
機械学習モデルは、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティ(identity)を実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練されてよく、方法は、個体を特定するステップをさらに含んでよく、実際の光プロファイルを推定することは、個体のアイデンティティを機械学習モデルに入力することをさらに含んでよい。
【0028】
関連する利点は、機械学習モデルが個体に関連するデータ(すなわち、身体反応、光刺激、アイデンティティ)を使用して訓練されるので、個体の実際の光プロファイルの推定が強化される可能性があることである。
【0029】
機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワークである場合がある。
【0030】
実際の光プロファイルを推定することは、個体の身体反応に関するデータおよび光刺激に関するデータを実際の光プロファイルと相互に関連付けるエントリを含むデータベースにおいて、個体の感知された身体反応に対応する実際の光プロファイルを特定することを含んでよい。
【0031】
関連する利点は、個体の実際の光プロファイルの推定がより複雑でない方法で実施される可能性があることである。
【0032】
さらなる関連する利点は、(たとえば、テーブル検索によって)データベース内の実際の光プロファイルを特定することが、実際の光プロファイルの推定に関連する計算コストを削減する可能性があることである。
【0033】
データベースは、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるエントリを含んでよく、方法は、個体を特定するステップをさらに含んでよく、実際の光プロファイルを推定することは、個体の識別情報(identification)および個体の感知された身体反応に対応する実際の光プロファイルを特定することをさらに含んでよい。
【0034】
関連する利点は、データベースが個体のアイデンティティに関する情報を有するので、個体の実際の光プロファイルの推定が強化される可能性があることである。したがって、それは、個体に関連付けられるデータベース内の実際の光プロファイルの特定を可能にする場合がある。
【0035】
第2の態様によれば、照明システムが提供される。照明システムは、中央制御サーバと、1つまたは複数の光源と、身体反応を感知するように構成された身体反応センサーとを含み、中央制御サーバは、個体を所定の光刺激にさらすために1つまたは複数の光源を制御し、所定の光刺激に反応した個体の身体反応を身体反応センサーから受信し、個体の感知された身体反応および所定の光刺激に基づいて実際の光プロファイルを推定するように構成される。
【0036】
第1の態様の上述の特徴は、適用可能なとき、この第2の態様にも適用される。過度の繰り返しを避けるため、上記内容が参照される。
【0037】
中央制御サーバは、1つまたは複数の光源によって放出される光の強度およびスペクトル分布の少なくとも一方を経時的に変更するように構成されることによって、個体を所定の光刺激にさらすために1つまたは複数の光源を制御するように構成されてよい。
【0038】
身体反応センサーは、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動を感知するように構成されてよい。
【0039】
中央制御サーバは、個体の身体反応に関するデータおよび所定の光刺激に関するデータを、個体の身体反応および光刺激を実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練された機械学習モデルに入力するように構成されることによって、実際の光プロファイルを推定するように構成されてよい。
【0040】
機械学習モデルは、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練されてよく、照明システムは、個体のアイデンティティを決定するように構成されたアイデンティティセンサーをさらに含んでよく、中央制御エンジンは、個体のアイデンティティを機械学習モデルに入力するようにさらに構成されることによって、実際の光プロファイルを推定するように構成されてよい。
【0041】
中央制御サーバは、個体の身体反応に関するデータおよび光刺激に関するデータを実際の光プロファイルと相互に関連付けるエントリを含むデータベースにおいて、個体の感知された身体反応に対応する実際の光プロファイルを特定するように構成されることによって、実際の光プロファイルを推定するように構成されてよい。
【0042】
データベースは、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるエントリを含んでよく、照明システムは、個体のアイデンティティを決定するように構成されたアイデンティティセンサーをさらに含んでよく、中央制御エンジンは、個体の識別情報および個体の感知された身体反応に対応する実際の光プロファイルを特定するようにさらに構成されることによって、実際の光プロファイルを推定するように構成されてよい。
【0043】
本開示の適用可能性のさらなる範囲は、下で与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および特定の例は、この発明の概念の好ましい変化形を示すが、発明の概念の範囲内の様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるであろうから、例示として与えられるに過ぎないことを理解されたい。
【0044】
したがって、説明される方法およびシステムが様々であってよいので、この発明の概念は、そのような方法の特定のステップ、またはそのようなシステムの構成部分に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定するように意図されていないことも理解されたい。本明細書および添付の請求項において使用されるとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記(said)」は、文脈がそうでないことをはっきりと指示しない限り、要素の1つまたは複数が存在することを意味するように意図されていることに留意されたい。したがって、たとえば、「ユニット(a unit)」または「ユニット(the unit)」への言及は、複数のデバイスなどを含む場合がある。さらに、単語「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を含む(containing)」、および同様の表現は、その他の要素またはステップを除外しない。
【0045】
以降、この発明の概念の上記のおよびその他の態様が、発明の概念の変化形を示す添付の図面を参照してより詳細に説明される。図は、発明の概念を特定の変化形に限定するものとみなされるべきではなく、むしろ、発明の概念の説明および理解のために使用される。図に示されるように、層および領域のサイズは、説明のために誇張されており、したがって、この発明の概念の変化形の大まかな構造を示すために提供される。全体を通じて、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1A】照明システムを示す図である。
図1B図1Aの照明システムによってサービスを提供されるエリアの側面図である。
図2】個体の実際の光プロファイルを推定するための方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで、この発明の概念が、発明の概念の現時点で好ましい変化形が示される添付の図面を参照して以降でより十分に説明される。しかし、この発明の概念は、多くの異なる形態で実施される場合があり、本明細書に記載の変化形に限定されると解釈されるべきでなく、むしろ、これらの変化形は、徹底性および完全性のために提供され、当業者にこの発明の概念の範囲を十分に伝える。
【0048】
以降、個体130の実際の光プロファイルが推定される例示的なシナリオが、図1A図1B、および図2を参照して説明される。
【0049】
図1Aおよび図1Bに示される例示的なシナリオにおいて、個体130は、照明システム10によってサービスを提供されるエリア1000A内に存在する。図1Aに示されるように、照明システムは、複数の異なるエリア1000A、1000B、1000Cにサービスを提供してよい。照明システム10は、中央制御サーバ100、1つまたは複数の光源110、および少なくとも1つの身体反応センサー120を含む。照明システム10は、存在センサー(presence sensor)150および/またはアイデンティティセンサー140をさらに含んでよい。中央制御サーバ100は、照明システム10の近傍に置かれる場合がある。中央制御サーバ100は、照明システム10とは異なる場所に置かれる場合がある。たとえば、中央制御サーバ100は、クラウドサーバであり、ネットワーク(たとえば、インターネット)を介して照明システム10のその他のコンポーネント/センサー/デバイスと通信する場合がある。中央制御サーバ100は、回路を含んでよい。回路は、トランシーバを含んでよい。回路は、トランシーバを介して、1つもしくは複数の光源110、身体反応センサー120、存在センサー150、およびアイデンティティセンサー140のうちの1つまたは複数と通信してよい。トランシーバは、有線および/またはワイヤレス規格を使用して通信するように構成されてよい。たとえば、一部の光源は、有線接続(たとえば、USB、イーサネットなど)を介して中央制御サーバ100と通信する場合があり、一方、その他の光源は、ワイヤレス接続(たとえば、Wi-Fi、Bluetoothなど)を介して中央制御サーバ100と通信する場合がある。これは、図1Aの例に示されており、ワイヤレス接続が、記号114によって表されている。しかし、図1Aにおいては、その図を見やすくするため、有線接続は図示されていない。回路は、プロセッサおよび/または非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体を含んでよい。プロセッサは、中央演算処理装置(CPU)とであってよい。非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体は、回路のプロセッサによって実行されるときに中央制御サーバ100の1つまたは複数の機能を実行するプログラムコードの部分を記憶するように構成されてよい。言い換えると、回路は、中央制御サーバ100の1つまたは複数の機能を実行するように構成されてよい。非一時的コンピュータ可読媒体は、データを記憶するように構成されてよい。たとえば、照明システム10のその他のコンポーネント(たとえば、センサー)に関連するデータおよび/または個体130に関連するデータ。一部の機能はプロセッサによって実行されるプログラムコードにより実装され、一方、その他の機能はハードウェアによって実装されることを理解されたい。さらに、回路は、中央制御サーバ100の1つまたは複数の機能を実行するように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む場合がある。
【0050】
身体反応センサー120は、可搬型電子デバイスである場合がある。身体反応センサー120は、個体130に関連する可搬型電子デバイスである場合がある。たとえば、身体反応センサー120は、ウェアラブルヘルスセンサー、スマートウォッチ、スマートリングなどである場合がある。身体反応センサー120は、複数の個体の身体反応を感知するように配置された電子デバイスである場合がある。身体反応センサー120は、実質的に据え置き型である場合がある。たとえば、身体反応センサー120は、カメラ、レーダー、赤外線カメラなどである場合がある。したがって、照明システム10は2つ以上の身体反応センサー120を含んでよく、各センサーはどの身体反応が感知されるべきかに応じて選択されてよいことを理解されたい。この文脈の関連する例は、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルである場合がある。特に、身体反応は、上記の例の変化および/または変動である場合がある。たとえば、身体反応センサー120は、個体の皮膚の色の変化を判定するように構成される場合がある。図1Aに示された例においては、個体130が存在するエリア1000A内に3つの身体反応センサー120がある。この例において、身体反応センサー120は、スマートウォッチ120-1、レーダー120-2、およびカメラ120-3である。スマートウォッチ120-1は、たとえば、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、および呼吸数に関連するデータを感知するように構成される場合がある。個体130のメラトニンレベルに関連するデータは、個体130の唾液を分析することによって感知される場合がある。レーダー120-2は、たとえば、心拍数、心拍数変動、および呼吸数に関連するデータを感知するように構成される場合がある。カメラ120-3は、たとえば、皮膚の色および呼吸数に関連するデータを感知するように構成される場合がある。中央制御サーバ100は、個体130の身体反応を決定するために身体反応センサー120からのデータを分析するように構成されてよい。身体反応センサー120が少なくとも1つの光源110に配置される場合があることも、想定される。たとえば、レーダー120-2は、少なくとも1つの光源110を収容する照明器具の中に配置される場合がある。
【0051】
存在センサー150は、照明システム10によってサービスを提供されるエリア1000A内の個体130の存在を判定する(S230)ように構成されてよい。存在センサー150は、個体130の存在に関連するデータを感知するように構成されてよい。中央制御サーバ100は、個体130の存在に関連するデータを使用して、個体130の存在を判定する(S230)ように構成されてよい。図1Aの例において、存在センサー150は、カメラである。カメラ150は、個体の存在を(たとえば、存在検出のための組み込まれた処理能力を使用することによって)直接検出するか、または個体130の存在に関連するデータを中央制御サーバ100に伝達するように構成されてよい。その場合、中央制御サーバは、存在センサー150から伝達されたデータを使用して、個体130の存在を判定するように構成されてよい。アイデンティティセンサー140は、個体130のアイデンティティを決定するように構成されてよい。アイデンティティセンサー140は、個体130のアイデンティティに関連するデータを感知するように構成されてよい。中央制御サーバ100は、個体130のアイデンティティおよび/または個体130のアイデンティティに関連するデータを使用して個体130を特定する(S210)ように構成されてよい。図1Aに示されたように、存在センサー150およびアイデンティティセンサー140は、たとえば、カメラであってよい同じセンサーである場合がある。さらに、存在センサー150および/またはアイデンティティセンサー140は、身体反応センサー120と同じセンサーである場合があることを理解されたい。言い換えると、カメラ120-3およびカメラ140、150は、同じカメラである場合がある。存在センサー150および/またはアイデンティティセンサー140は、たとえば、カメラである場合がある。存在センサー150および/またはアイデンティティセンサー140は、互いに通信し、それによって、個体130の存在/アイデンティティを決定するように構成された複数の電子デバイスを含む場合があることを理解されたい。たとえば、個体130は、第1の電子デバイス(たとえば、ラップトップ、コンピュータ、スマートフォン、RFIDタグ、スマートリング、スマートウォッチなど)に関連付けられる場合があり、個体130の存在および/またはアイデンティティは、電子デバイスが第2の電子デバイス(たとえば、Bluetoothビーコン、Wi-Fiルータなど)の範囲内にあり、第2の電子デバイスと通信するときに決定される場合がある。
【0052】
1つまたは複数の光源110は、照明システム10によってサービスを提供されるエリアを照らすように配置されてよい。1つまたは複数の光源110によって放出される光の強度および/またはスペクトル分布は、調整可能である場合がある。1つまたは複数の光源110の各々は、個々に調整可能である場合がある。図1Bに示されたように、1つまたは複数の光源110は、天井におよび/またはフロアランプとして配置される場合がある。さらに、1つまたは複数の光源110は、壁などその他の場所に配置された光源を含む場合があることを理解されたい。
【0053】
中央制御サーバ100は、1つまたは複数の光源110を制御するように構成される。特に、中央制御サーバ100は、個体130を所定の光刺激112にさらす(S200)ために1つまたは複数の光源110を制御するように構成される。これが、図1Bにより詳細に示されている。図1Bにおいて、個体130は、エリア1000Aの天井に配置された光源110の下に立っているものとして示されている。しかし、個体130は、エリア1000A内および/または(図1Aに示されたエリア1000A、1000B、1000Cなどの)異なるエリア間を動き回ってよいことを理解されたい。したがって、2つ以上の光源が個体130を所定の光刺激112にさらす(S200)場合があることを理解されたい。所定の光刺激112は、1つまたは複数の光源110によって放出される光の強度とスペクトル分布との所定の組合せであってよい。さらに、1つまたは複数の光源110によって放出される光の異なるスペクトル範囲は、異なる強度を有する場合がある。言い換えると、1つまたは複数の光源110が放出される光の異なる色が、異なる強度を有する場合がある。中央制御サーバ100は、個体130を複数の所定の光刺激に経時的にさらす(S200)ために1つまたは複数の光源110を制御するように構成されてよい。
【0054】
中央制御サーバ100は、1つまたは複数の光源110によって放出される光の強度およびスペクトル分布の少なくとも一方を経時的に変更する(S206)ように構成されることによって、個体130を所定の光刺激112にさらす(S200)ために1つまたは複数の光源110を制御するように構成されてよい。非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体は、1つまたは複数の光源110を制御するように構成された制御機能を含んでよく、回路のプロセッサは、制御機能を実行し、それによって、1つまたは複数の光源110を制御してよい。1つまたは複数の光源110によって放出される光の強度および/またはスペクトル分布は、所定のパターンに従って変更されてよい。所定のパターンは、第1の期間にわたって強度を下げること、第2の期間にわたって強度を上げること、強度を2値の間で周期的なパターンで変更すること、第1のピーク波長を付近に第1の強度ピークを有する第1のスペクトル分布の光を放出し、第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長付近に第2の強度ピークを有する第2のスペクトル分布の光を放出するようにゆっくりと(たとえば、1から30分までの期間にわたって)変化することのうちの1つまたは複数であってよい。
【0055】
身体反応センサー120は、身体反応を感知する(S202)ように構成される。身体反応センサー120は、身体反応に関連するデータを感知するように構成されてよい。身体反応センサー120は、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動を感知する(S208)ように構成されてよい。感知される身体反応は、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動および/または変化である場合がある。図1Bに示された身体反応センサー120のうちの1つまたは複数は、個体が所定の光刺激112にさらされる間、個体130の身体反応に関連するデータを感知する場合がある。さらに、図1Bに示された身体反応センサー120のうちの1つまたは複数は、個体が所定の光刺激112にさらされた後、個体130の身体反応に関連するデータを感知する場合がある。さらに、(身体反応センサー120としての)スマートウォッチが、個体130が照明システム10によってサービスを提供されるエリア内にいないときに身体反応に関連するデータを感知ために使用される場合がある。
【0056】
中央制御サーバ100は、所定の光刺激112に反応した個体130の身体反応を身体反応センサー120から受信するようにさらに構成される。中央制御サーバ100は、所定の光刺激112に反応した個体130の身体反応に関連するデータを身体反応センサー120から受信するようにさらに構成される場合がある。中央制御サーバ100は、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動を決定するようにさらに構成されてよい。その意味で、個体130の身体反応は、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数の経時的変動である場合がある。一部の身体反応は、所定の光刺激112への短時間の曝露後に検出可能である場合があり、一方、その他の身体反応は、所定の光刺激112への長時間の曝露を必要とする場合がある。さらに、一部の身体反応は、所定の光刺激112への曝露に直接関連して(たとえば、数分および/または最大1時間後に)起こる場合がある。しかし、その他の身体反応は、所定の光刺激112への曝露の数時間および/または数日後に起こる場合がある。したがって、所定の光刺激112は、多かれ少なかれ、所定の光刺激112への曝露に直接関連して、または所定の光刺激112への曝露の最大1時間後に起こる場合がある身体反応を刺激するように構築されてよい。たとえば、体温、皮膚の色、心拍数、心拍数変動、血圧、呼吸数、およびメラトニンレベルのうちの1つまたは複数は、所定の光刺激112への曝露の数分および/または最大1時間後に(たとえば、経時的に変化または変動することによって)起こる場合がある身体反応の例である可能性がある。
【0057】
中央制御サーバ100は、個体130の感知された身体反応および所定の光刺激112に基づいて、実際の光プロファイルを推定する(S204)ようにさらに構成される。個体130が所定の光刺激112にさらされ、個体130の身体反応が光への個体130の以前の曝露に依存するので、個体130の光履歴(すなわち、実際の光プロファイル)は、所定の光刺激112の組成を知ることによって、感知された身体反応から推測され得る。言い換えると、個体130の実際の光プロファイルは、個体130の感知された身体反応に関連するデータと、所定の光刺激112に関連するデータとを使用して推定され得る。このデータは、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に記憶されてよい。以下では、個体130の実際の光プロファイルを推定する(S204)ための2つの特定の方法が、説明される。
【0058】
実際の光プロファイルを推定する(S204)ための第1の方法は、機械学習を利用する場合がある。したがって、中央制御サーバ100は、個体130の身体反応に関するデータと、所定の光刺激112に関するデータとを機械学習モデルに入力する(S212)ように構成されることによって、実際の光プロファイルを推定する(S204)ように構成されてよい。機械学習モデルは、個体の身体反応および光刺激を実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練されてよい。機械学習モデルは、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に記憶されてよい。機械学習モデルは、たとえば、畳み込みニューラルネットワークである場合がある。
【0059】
機械学習モデルは、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練されてよい。機械学習モデルの訓練は、個体の訓練セットに基づいてよい。機械学習モデルを訓練するときに使用されるデータを収集するとき、個体の訓練セットの各個体は、知られている実際の光プロファイルを有していてよい。個体の訓練セットは、少なくとも1つの所定の光刺激にさらされてよく、それらの個体のそれぞれの身体反応(身体反応に関連するデータ)が、感知される。好ましくは、訓練データを収集しながら、複数の身体反応が感知される場合がある。したがって、訓練データは、2つ以上の身体反応(またはそれらに関連するデータ)を含んでよいことを理解されたい。個体の訓練セットは、各個体の現在の実際の光プロファイルが異なる複数の機会に同じ所定の光刺激にさらされる場合があることをさらに理解されたい。そして、この手順が、異なる光刺激を使用して繰り返されてよい。訓練データは、個体の感知された身体反応と、1つまたは複数の所定の光刺激とを含んでよい。グラウンドトゥルース(ground truth)は、個体の訓練セットの個体の各々に関連する実際の光プロファイルに関連するデータを含んでよい。そのとき、機械学習モデルは、訓練データ(身体反応および所定の光刺激)をグラウンドトゥルース(実際の光プロファイル)と相互に関連付けるように訓練されてよい。
【0060】
訓練データは、訓練セットの各個体のアイデンティティをさらに含む場合があり、グラウンドトゥルースのそれぞれの実際の光プロファイルは、その実際の光プロファイルに関連付けられる個体のアイデンティティでタグ付け/ラベル付けされる場合がある。この場合、機械学習モデルは、個体の身体反応、光刺激、およびアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるように訓練されてよい。したがって、中央制御エンジンは、個体130のアイデンティティを機械学習モデルに入力する(S214)ようにさらに構成されることによって、実際の光プロファイルを推定する(S204)ように構成されてよい。これは、個体130が個体の訓練セットに含まれる場合に有利であることがある。
【0061】
たとえ明示的に述べられていなくても、当業者は、訓練された機械学習モデルが個体の検証セットを使用して検証されることを理解する。検証セットの個体の実際の光プロファイルは、知られており、訓練された機械学習モデルの偏りのない評価を可能にする可能性がある。当業者は、機械学習モデルをさらに評価および/または強化するために、個体のさらなるセット(たとえば、テストセット)が使用される場合があることを理解する。
【0062】
実際の光プロファイルを推定する(S204)ための第2の方法は、データベースを利用する場合がある。データベースは、個体の身体反応に関するデータおよび光刺激に関するデータを実際の光プロファイルと相互に関連付けるエントリを含んでよい。データベースのエントリは、さらに個体のアイデンティティを相互に関連付けている場合がある。データベースは、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に記憶されてよい。データベースのエントリのデータは、機械学習モデルの訓練の説明に関連して説明された方法と同様の方法で決定されてよい。したがって、中央制御サーバ100は、データベース内の個体130の感知された身体反応に対応する実際の光プロファイルを特定する(S222)ように構成されることによって、実際の光プロファイルを推定する(S204)ように構成されてよい。データベースは、個体の身体反応、光刺激、および個体のアイデンティティを実際の光プロファイルと相互に関連付けるエントリを含んでよい。中央制御エンジンは、個体130の識別情報および個体130の感知された身体反応に対応する実際の光プロファイルを特定する(S224)ようにさらに構成されることによって、実際の光プロファイルを推定する(S204)ように構成されてよい。
【0063】
当業者は、この発明の概念が上述の好ましい変化形に決して限定されないことを理解する。反対に、添付の請求項の範囲内で、多くの修正および変形が可能である。たとえば、個体130は、人間として説明された。しかし、本発明は、その他の生物、たとえば、動物にも適用されてよいことを理解されたい。さらに、開示された変化形に対する変更が、特許請求される発明を実施する際に当業者によって、図面、開示、および添付の請求項の検討から理解され、実現され得る。
【符号の説明】
【0064】
10 照明システム
100 中央制御サーバ
110 光源
112 光刺激
120 身体反応センサー
120-1 スマートウォッチ
120-2 レーダー
120-3 カメラ
130 個体
140 アイデンティティセンサー
150 存在センサー
1000A エリア
1000B エリア
1000C エリア
図1A
図1B
図2
【国際調査報告】